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1984-03-27 第101回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十七日(火曜日)    午後零時十分開会     —————————————    委員の異動  十二月二十七日     辞任         補欠選任      藤田  栄君     上田  稔君  一月十二日     辞任         補欠選任      上田  稔君     石井 一二君      山本 富雄君     岡部 三郎君  一月十三日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     山本 富雄君  一月二十三日     辞任         補欠選任      井上  計君     柄谷 道一君  二月三日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     井上  計君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 石井 一二君                 岩本 政光君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 梶原 敬義君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長  河本 敏夫君        官)    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        公正取引委員会        事務局取引部長  奥村 栄一君        公正取引委員会        事務局審査部長  伊従  寛君        経済企画政務次           官        山崎武三郎君        経済企画庁長官        官房長      窪田  弘君        経済企画庁長官        官房会計課長   遠山 仁人君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        通商産業政務次        官        佐藤 信二君        通商産業政務次        官        大木  浩君        通商産業大臣官        房長       福川 伸次君        通商産業大臣官        房審議官     棚橋 祐治君        通商産業省通商        政策局長     柴田 益男君        通商産業省産業        政策局長     小長 啓一君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        工業技術院長   川田 裕郎君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        特許庁長官    若杉 和夫君        中小企業庁長官  中澤 忠義君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (通商産業行政基本施策に関する件)  (経済計画等基本施策に関する件)  (昭和五十八年における公正取引委員会業務  概略に関する件)  (三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱における災害  に関する件)  (派遣委員報告に関する件)     —————————————
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  まず、通商産業行政基本施策に関し通商産業大臣から所信を聴取いたします。小此木通商産業大臣
  3. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) ごあいさつを申し上げます。  昨年十二月通商産業大臣を拝命いたしました小此木彦三郎でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  第百一回国会における商工委員会の御府議に先立ちまして通商産業行政に対する私の所信一端を申し上げます。  我が国をめぐる国際環境を見ますと、世界経済は二度にわたる石油危機による深刻な不況から脱しようやく回復に向かいつつあります。しかしながら、欧米諸国における保護主義圧力の高まり、発展途上国等の累積債務問題、不安定な中東情勢に見られるように、世界経済は依然として胴難課題を抱えております。最近、とみに進行してきた世界経済における相互依存関係の深化と構造的変化は、戦後の世界繁栄を支えてきた国際経済関係を律する枠組みを見直すことさえ必要としております。我が国としては、世界の一割閥家としての強い自覚を持って、欧米諸国とともに、自由貿易体制維持強化のための新たなルールづくり世界経済活性化に積極的かつ具体的な貢献を行わなければならないと考えております。  国内面においても、現在我が国経済社会は、一つの歴史的転換期に差しかかっております。すなわち、情報技術中心とする先端技術分野における技術革新飛躍的進展は、産業面のみならず社会全般に大きな変革をもたらしつつあります。これまでの近代化への過程においては、革新的動きはまず欧米諸国で経験され、我が国はその経験を教訓としあるいはその成果を吸収しつつ対応してまいりました。しかし、今や我が国自身経済社会変化先端に位置することとなっております。これらの変革の兆しをみずからのものとしてとらえ活力ゆとりのある社会実現するため、英知と創造力をもって未知の分野にも積極的に挑 戦していくことが必要であります。  国民ニーズも個性を充足するような生活質的充実に向かっております。このような多様なニーズに対応する選択機会を提供しゆとりある生活社会実現し支えるという観点に立って政策制度を見直すとともに、豊かさを支える諸要素を認識しその基礎を確固たるものとしていくことが必要であります。  以上申し述べましたように、現在我が国は、内外両面においてかつてないほどの大きな変革を経験しつつあります。このような変革を踏まえつつ来るべき二十一世紀に向けて我が国繁栄の礎を築き上げていくことは、時代が我々に課した責務であります。  私としては、以上のような認識もとに以下の六点を中心とした通商産業政策全力を挙げて推進してまいる所存であります。  最近の我が国経済は、米国中心とした先進国経済回復から昨年来徐々に輸出が増加し、これに加えて国内需要にも一部に持ち直しの動きが見られます。これらを受けて生産が増加し雇用情勢が改善するなど、景気は緩やかながら着実に回復してきております。しかしながら、業種別地域別には、なおばらつきが見られ、他方、対外面では輸入が増加の傾向を示しているものの、依然として経常収支の大幅な黒字が続いております。  このような景気回復を一層確実なものとし、対外均衡を図りつつ内需中心とした息の長い安定した経済成長を定着させていくため、昨年十月に決定した総合経済対策を着実に実施していくとともに、今後とも機動的かつ適切な経済運営に努めてまいる所存であります。  次に、中長期的観点に立って見ますと、現在進みつつある技術革新産業社会に画期的な変化を与えつつあります。このような技術革新を中核として創造性豊かな産業社会実現すべく、その環境整備全力を尽くしてまいりたいと考えております。  中でも情報関連分野における技術革新は、産業革命にも匹敵するような変化をもたらしつつあります。我が国工業化社会においては世界に誇るべき繁栄をおさめ得たわけでありますが、これが直ちに新たな情報化社会での繁栄を保証するものではありません。来るべき高度情報化社会構築に当たっては、細心の注意を持って工業化の成功をもたらした諸要因を受け継いでいくことが必要であります。私としては、このような認識もとに、第五世代コンピューター開発を初め情報化社会の形成に必要な技術開発推進するとともに、民間の自由な創意と活力最大限に生かされるよう、高度情報化社会にふさわしい制度の見直しと新たなルールづくり等基盤整備に取り組んでまいりたいと考えております。ソフトウエアにつきましては、その法的保護制度を確立すべく、現在プログラム権法案の提出を検討しているところであります。また、地域産業社会ニーズに即応する情報システム構築を図るニューメディアコミュニティー構想推進にも力を入れてまいりたいと考えております。  バイオテクノロジー、ファインセラミックス、新材料、エネルギー関連技術資源探査衛星等の新時代を切り開く技術開発促進は、我が国にとって将来の活力に満ちた創造的社会集塊を約束するばかりでなく、世界経済の新しいフロンティアを開拓するものであります。このような技術開発については、今後とも産学官有機的連携という基本方針もと民間企業活力最大限に発揮されるよう適切な支援を行うとともに、民間部門のみではリスクの大きさ、研究期間の長さなどから達成が困難であるような技術開発について、政府みずから開発に取り組んでまいることとしております。さらに、世界経済活性化に積極的に貢献していくという観点から、国際研究協力にも力を入れていく考えであります。  特許制度技術開発成果を適時かつ的確に保護することにより、技術開発を支える制度的基盤を形成しております。しかしながら、活発な技術開発の反映として、現在出願の累増等により審査期間が長期化しつつあり、近い将来制度本来の任務を果たし得なくなることが予想されます。このため総合的コンピューター化によるペーパーレスシステムの構築中心としてこの問題の抜本的解決を図るべく、その財政基盤確保するため、特許特別会計を創設してまいりたいと考えております。  経済社会がその若さを持続する力の源泉は健全で活力のあふれる産業活動であります。この点で設備投資の停滞は大いに懸念されるところであります。このような認識もとに、我が国経済が抱える構造的問題の解決及び内需中心の健全かつ安定的な経済成長実現のため、エネルギー効率的利用中小企業メカトロニクス機器等導入テクノポリス地域への企業導入等を目的とする投資減税を創設することとしております。  さらに、繊維産業につきましては、多品種少量短サイクル化進展等に対応するため、昨年取りまとめられたいわゆる新繊維産業ビジョンを踏まえ、繊維産業先進国型産業への脱皮を目指すことといたします。このために繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を提出いたしております。  また、基礎素材産業につきましては、特定産業構造改善臨時措置法の運用を通じて、引き続き民間構造改善活性化への自助努力を支援することとしております。  現下の世界経済は、昨年来の原油価格の低下、インフレーションの鎮静化背景として、米国中心として景気回復への動きが見られるものの、さきに申し述べましたように、欧米における失業問題、発展途上国等累積債務問題等課題を抱えております。とりわけ欧米諸国では、貿易赤字等背景保護貿易主義が高まる気配すらうかがわれます。かかる状況もとで、政府は、内需中心成長実現と、輸入促進市場開放により貿易拡大均衡を図るとの観点から、昨年十月に総合経済対策を決定し、その着実な実施を図ってまいることとしております。  自由貿易体制もとで、世界経済の一割を占めるに至った我が国は、今や自由貿易維持拡大世界経済への貢献という視点に立った積極的行動が求められております。かかる観点に立って、私は、本年二月に開催された四極貿易大臣会合において、米、加、EC貿易担当大臣と、世界経済現状及び今後の世界貿易体制のあり方について積極的な意見交換を行ってまいりました。特に、総理が提唱された新たな多国間の国際ルールづくりのための交渉、いわゆる新ラウンドについては、私から、その準備に積極的に取り組むとともに、発展途上国を含め幅広く国際的な合意を形成していくことが必要であることを指摘し、参加閣僚はその開始に向けて努力していくこととなりました。これに先立って、ブッシュ副大統領を初め米国首脳日米間における懸案の諸問題について自由かつ率直な意見交換を行ってまいりました。  これらの会談を通じ、米国首脳及び主要先進国貿易担当大臣国内保護貿易主義を抑制すべく真剣な努力を払っていることを強く実感してまいりました。私としても、対外経済関係の諸懸案解決のため全力を尽くすとともに、世界自由貿易体制維持発展を図るために、欧米諸国と協調しつつ最大限努力を払ってまいる所存であります。  発展途上国との相互依存関係が深まる中で、我が国はその国際的責務として、経済協力積極的拡充を求められております。このため新中期目標もと民間活力をも活用しつつ政府開発援助拡充するとともに、貿易投資を通じた協力を積極的に推進する考えであります。また累積債務問題に適切に対処し得るよう保険てん補率の引き上げ、債務救済措置に伴う資金調達円滑化等輸出保険制度機能充実を図るため、輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改正する法律案を提出いたしております。  最近のエネルギー情勢を見ますと、二度にわたるオイルショックによる世界経済の低迷と、石油消費国における省エネルギー代替エネルギー進展により、現在石油需給緩和基調にあります。しかしながら、中東情勢は依然不安定であり、また今後の世界経済成長を見込むと、中長期的には石油需給は再び逼迫化するおそれすらあります。むしろ現在のような需給緩和期にこそエネルギー安定供給のための努力を地道に進めていくことが肝要であります。このような認識もとエネルギーコスト低減への要請にも配慮しつつ、セキュリティーの確保基本として、着実かつ計画的なエネルギー政策推進により資源エネルギー制約の克服を図ることとしております。  そのため具体的にはまずエネルギーの最大の供給源である石油安定供給確保するため、石油精製設備高度化推進するとともに、石油産業集約化促進して内外情勢に的確に対応した構造改善実現を目指してまいります。同時に石油開発の着実な推進を図るとともに、不測の事態に備えるための石油備蓄推進することといたしております。  次に、省エネルギー及び石油代替エネルギー推進について、エネルギー利用効率化等投資促進税制を創設する等、税制金融上の措置充実させるとともに、技術開発の重点的な推進を図ってまいります。また、原子力石炭、LNG、水力、地熱等石油代替エネルギー開発導入促進については、昨年十一月に改定された石油代替エネルギー供給目標実現に向けて一層の努力を傾けてまいります。特に原子力発電については安全性確保に万全を期し、国民各位の御協力と御理解を得て、電源立地核燃料サイクル事業化推進してまいる考えであります。この点先般の米国訪問においてホデール・エネルギー長官意見交換を行い、我が国濃縮工場建設に対する十分な配慮を確認することができたことは極めて有意義であったと考えております。  去る一月、三池炭鉱におきまして痛ましい。事故が発生いたしました。この場をおかりして改めて犠牲者の方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方に衷心より哀悼の意を表する次第であります。政府といたしましては、去る十二日に出された事故調査委員会中間報告を踏まえ、類似災害再発防止対策に万全を期してまいる所存であります。  以上のようにエネルギー政策はなお多くの課題を抱えておりますが、その財源を構成する石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油税収が、原油価格引き下げ等により大幅に減少しております。そのため歳出面における徹底的な節減、合理化に努め、施策効率化重点化を図るとともに、どうしても不足する財源につきまして必要最小限度財源措置を講ずることとした次第であります。  我が国経済発展にとって中小企業はその原動力として極めて重要な役割を果たしてまいりました。それぞれの中小企業の地道な経営努力が今日の経済大国としての我が国の礎を築いたと言っても過言ではないと思われます。全事業所の九九%以上、全従業者の八一%を占める中小企業の健全な発展なくして我が国経済の真の発展はあり得ません。  その中小企業は、今日、国民ニーズ多様化技術革新進展という環境変化の中で、機動性と旺盛な企業家精神をもって、大きく活躍し得る機会を与えられております。かかる状況もとにおいて以下のような施策全力を挙げて取り組む所存であります。  第一に、中小企業活性化を図るため、多様化する組合に対するニーズに対応するよう組合事業範囲等を見直し、組合機能充実強化を図ることといたします。そのための中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を提出することといたしております。また新分野の開拓の担い手としてのベンチャービジネス振興を図るためい研究開発促進を初めとして総合的な施策推進することとしております。  第二に、中小企業経営基盤充実を図るため、政府系金融機関による資金調達円滑化下請中小企業対策小規模企業対策等に努めることとしております。また税制面においては中小企業技術体化投資促進税制を創設し、情報関連機器導入促進することにより中小企業近代化促進してまいる考えであります。  第三に、中小商業サービス産業振興を図りたいと考えております。このため中小小売商業について、コミュニティーマート構想推進を積極的に講じてまいることとしております。また大型店の出店調整問題については、いわゆる八〇年代流通ビジョンを踏まえ、従来講じてきた措置を引き続き継続することとし、商業調整のより適正かつ円滑な運営を図るため、現行調整制度充実を行ってまいる所存であります。  産業社会活力ゆとりを与えるためには、大都市圏への産業の過度の集中を避け、地域において安定した雇用機会を創出し、自立的で魅力ある地域経済社会を形成することが不可欠であります。  地域における産学住有機的連携実現し、先端技術産業導入地域企業技術高度化を図ることにより新しいまちづくりを目指すテクノポリス構想は、まさに二十一世紀を展望した新しい方式であります。先般、具体的な開発計画の承認に向けて各地域に対し残された課題を提示したところでありますが、今後とも法律の円滑な施行に努めるとともに、各地域自主的努力を前提として、税制金融等の手段によりこの構想を積極的に促進する所存であります。  また、消費生活多様化に対応して消費者信用行政拡充を図ることとしております。具体的には近年伸長の著しい販売信用取引の健全な発展を図り、豊かな消費生活実現を期するとともに、販売信用取引をめぐるトラブルを未然に防ぐべく割賦販売法の一部を改正する法律案を提出し、消費者保護に万全を期することとしております。  さらに、快適な生活環境実現するため、環境の保全、産業保安住宅関連技術開発を積極的に推進する所存であります。  行政改革は二十一世紀を展望した国づくり基礎固めのための不可欠のものであり、真剣に取り組むべき課題であります。このような基本姿勢もと、今回工業品検査所繊維製品検査所との統合を行うとともに、機械類信用保険業務中小企業信用保険公庫に移管し、今後予想される事業規模拡大に対する円滑かつ弾力的対応を図るため、機械類信用保険法の一部を改正する法律案を提出いたしております。  私は、以上のような考え方に沿って諸般の施策を展開してまいる所存であります。しかしながら、現在通商産業行政の直面しております諸問題は、いずれも国民各層各位の御理解と御協力なくしては克服できないものばかりであります。  委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  4. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 小此木通産大臣退席されて結構でございます。  次に、経済計画等基本施策に関し、経済企画庁長官から所信を聴取いたします。河本経済企画庁長官
  5. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私、このたび経済企画庁長官を務めることとなりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  我が国経済の当面する課題経済運営基本的な考え方につきましてはさき経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして重ねて所信一端を申し述べたいと存じます。  激動する内外経済情勢もとで我々が目指すべき経済運営基本的な課題は、国民生活充実、向上を図るとともに、世界経済に積極的に貢献することであります。  このためには、我が国経済の潜在的な活力を十分に発揮させるような経済運営を行う必要があります。我が国経済は、物価の安定、高い貯蓄率等の好条件に恵まれており、経済政策のよろしきを得れば、我が国経済活力を一層引き出すことは十分可能と考えております。またこのことによっ て行財政改革の円滑な推進も、対外経済摩擦問題の基本的解決もより容易になるものと考えます。特に現在は、世界経済我が国経済回復基調にあり、我が国経済の潜在的な活力を引き出していくまさにその好機であると考えます。さて、世界経済は、総じて第二次石油危機を契機とした三年続きの不況から脱却しつつあります。その原動力アメリカ中心とした先進諸国景気回復であります。しかし、欧州諸国中心とした高水準の失業、アメリカの金利の高とまり、発展途上国債務累積等の困難は続いており、保護貿易主義的傾向は衰えを見せておりません。  このような中で我が国経済は、昨年春以降、緩やかながら着実な回復過程にあります。しかし、対外面では経常収支は大幅な黒字が続いております。  このような内外経済情勢もと昭和五十九年度の経済運営に当たっては、特に次の諸点を基本としてまいりたいと考えます。  第一は、国内民間需要中心とした景気持続的拡大を図るとともに、雇用の安定を確保することであります。  昭和五十九年度の我が国経済は、実質で四・一%程度成長することを見込んでおりますが、今後の内外経済情勢いかんによっては、我が国民間経済もさらに勢いを増す可能性もあり、引き続き民間経済活力最大限に生かすような適切かつ機動的な経済運営に努めてまいりたいと考えております。  財政面では多くを期待し得ない現状でありますが、今後とも景気情勢に即応して、適切かつ機動的な財政運営を図るべきことは言うまでもありません。さらに、国内需要拡大を図るためには、民間経済活力最大限に発揮されるような環境整備を行うことが重要であります。このためには特に金融政策について現在なお存在する種々の制約条件の改善を図り、その機動的運営確保されるよう努めていく必要があります。  第二は、物価の安定を図ることであります。  経済政策を進める前提条件として物価の安定は絶対に必要なものであり、また、物価の安定なくして活力ある福祉社会実現は望めません。最近の我が国の消費者物価は、前年度比上昇率二%前後と近年にない安定ぶりを示しております。政府としては、今後とも物価の動向に細心の注意を払いながら機動的な政策運営に努め、公共料金についても物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱っていくことにより、物価の安定基調を維持したいと考えております。  この結果、昭和五十九年度は、卸売物価一%程度、消費者物価二・八%程度の上昇にとどまるものと見込んでおります。  また、国民生活の安定と向上を図るため、各種商品、サービスの安全性確保、消費者取引の適正化、その他消費者利益の擁護、増進のための所要の施策を進めてまいる所存であります。  第三は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済への貢献であります。  保護貿易主義の高まりが懸念される中で、我が国は率先して自由貿易体制の維持、強化を図り、調和ある対外経済関係の形成と世界経済活性化への貢献を図っていく必要があります。  このような状況もと我が国内需拡大による輸入の増加を図って世界経済を相互に拡大していくとともに、円の適切な対外価値の維持に努めることが重要であります。  こうした観点から政府は一連の市場開放対策を決定し、関税率の引き下げ、輸入検査手続等の改善、輸入促進等の努力を払ってきたところであります。また、資本の流入の促進、円による国際取引の促進金融・資本市場の環境整備にも努めることとしております。  また、我が国が平和国家として国際社会へ積極的に貢献していくためには経済協力推進が肝要であり、新中期目標もとにその一層の充実と効率、効果的推進に努めてまいります。  今後の我が国経済社会は、国際環境、経済活動、国民生活の各面で、多重的に変化していくものと考えられますが、これらの変化に対し積極的、創造的に対応していくことにより、経済社会の安定と発展を目指していかなければなりません。  このため、中長期の経済運営については、昨年八月に決定した「一九八〇年代経済社会の展望と指針」をよりどころとして、経済環境変化に即応した諸般の施策を適切に推進していく必要があります。  以上、我が国経済の当面する課題経済運営基本的な考え方について所信を申し述べました。  我が国経済解決すべき幾多の困難を抱えておりますが、困難を克服していく旺盛な活力を有しており、戦後三十有余年、すぐれた適応力を発揮し多くの困難を乗り切ってまいりました。  昭和五十九年度は、物価の安定、世界経済回復等の条件を生かし、創意と工夫を重ねることにより、持続的安定成長への道を切り開くことが可能な年であると確信をいたします。  本委員会の皆様の御支援と御協力を切にお願いをする次第であります。
  6. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ありがとうございました。  河本経済企画庁長官退席されて結構でございます。     —————————————
  7. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) この際、通商産業政務次官、経済企画政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。通商産業政務次佐藤信二君。
  8. 佐藤信二

    政府委員佐藤信二君) 昨年末通商産業政務次官を拝命いたしました佐藤信二でございます。  小此木大臣のもとに、大木政務次官と力を合わせて、微力ではございますが通産行政政策努力していく所存でございます。  委員長初め委員の皆様方の御支援と御鞭撻を心からお願いいたします。よろしくお願いします。  ありがとうございました。(拍手)
  9. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 佐藤政務次官退席されて結構です。  同じく大木浩君。
  10. 大木浩

    政府委員(大木浩君) 大木浩でございます。  ただいまごあいさつございました佐藤政務次官ともどもに昨年末から通産政務次官を仰せつかっております。  実は、この商工委員会は、私もかつて席を置かせていただきまして大変諸先生方に御指導をいただいておりましたわけでありますが、今回は通産省の一員として委員会の御審議に出席をさせていただきたいと思っております。  小此木大臣、佐藤政務次官ともどもに全力を尽くして職務の遂行に努めたいと思いますのでよろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手)
  11. 斎藤栄三郎

  12. 山崎武三郎

    政府委員山崎武三郎君) 昨年末経済企画政務次官を拝命いたしました山崎武三郎であります。  我が国経済政策運営に当たる責任の重さを痛感しております。  我が国経済運営は、景気持続的拡大を図ること、物価の安定を図ること、調和ある対外経済関係を形成することの課題がございます。  経済企画庁長官を補佐する立場としてこれらの課題全力で取り組んでまいりたいと思いますから、先生方の御指導、鞭撻をよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)
  13. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 山崎武三郎政務次官どうぞ退席されて結構です。     —————————————
  14. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、昭和五十八年における公正取引委員会業務の概略について公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。高橋公正取引委員会委員長
  15. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 昭和五十八年における公正取引委員会業務につきましてその概略を御説明申し上げます。  昨年の我が国経済は、世界景気回復物価の安定等を背景輸出や生産が伸びを見せるなど、緩やかながら着実に回復してまいりましたで。また、中長期的に見ますと、技術革新とともに経済のソフト化、サービス化が進展するなど経済社会の構造変化には著しいものがあります。このような中で民間活力が十分に発揮されるような経済環境整備を行うことがますます重要になっており、公正取引委員会といたしましては公正かつ自由な競争の維持、促進により我が国経済活性化効率化を図るべく、独占禁止政策の適正な運営に努めてまいったところであります。  特に昨年は、独占禁止法違反事件の迅速な審査に努めるとともに、広報活動や業界に対する指導等により予防行政を推進いたしました。また、貿易摩擦問題に関係した各種の実態調査を行いその結果を広く内外に説明したほか、下請取引を初めとする中小企業関係の取引の公正化に努めたところであります。  まず、独占禁止法の運用状況について申し上げます。  昭和五十八年中に審査いたしました独占禁止法違反被疑事件は三百四十四件であり、同年中に審査を終了した事件は二百四十五件であります。このうち法律の規定に基づき違反行為の排除等を勧告いたしましたものは十二件、法的措置をとるには至りませんでしたが警告を行いましたものは百二十九件であります。また、昨年における課徴金納付命令事件は十五件であり、合計二百三十五名に対し、総額十七億九千百八十六万円の課徴金の納付を命じました。  次に、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、昭和五十八年中に、それぞれ一千五十七件、七百九件、合わせて千七百六十六件の届け出があり、所要の審査を行いました。  事業者団体につきましては、昭和五十八年中に成立居等一千三百七十四件の届け出がありました。また、事業者団体の活動に関する事前の相談に対しましては適切に回答を行うよう努めるとともに。相談事例を取りまとめて公表することにより違反行為の未然防止を図りました。  国際契約等につきましては、昭和五十八年中に四千二百六十三件の届け出があり、改良技術に関する制限、競争品の取り扱いの制限等を含むものについてはこれを是正するよう指導いたしました。  独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、ガイドラインの別表掲載の十三業種について実態の把握及び関係企業の動向の監視に努めました。  価格の同調的引き上げに関する報告徴収の業務につきましては、昨年中に価格引き上げ理由の報告を徴収したものは、鋼材六品目、バター、溶接棒、ビール及びウイスキーの計十品目でありました。  次に、経済実態の調査といたしましては、生産集中度調査、企業集団調査等を行いました。また、流通分野においては、医療用医薬品、腕時計等の業種別の実態調査に基づき、独占禁止法及び景品表示法上問題のある行為につきまして所要の改善指導を行いました。  さらに、近年、貿易摩擦問題の一環として、我が国市場が閉鎖的ないし排他的であるとの諸外国からの批判があることにかんがみ、輸入品の流通実態、輸入総代理店や総合商社の事業活動の実態等につきまして独占禁止法の観点から調査を行い、昭和五十八年四月、その結果を公表いたしました。  政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度につきましては、我が国経済における民間活力を生かし、経済の効率性を高める見地から、引き続きその見直しのための検討を行いました。  独占禁止法上の不況カルテルは、エチレン、石綿スレート及びセメントの三品目について認可いたしましたが、昭和五十八年末までに終了しております。なお、独占禁止法の適用除外を受けている共同行為の数は、昭和五十八年末現在で四百六十八件となっておりますが、その大半は中小企業関係のものであります。  国際関係の業務といたしましては、OECD等の国際機関における会議に積極的に参加するとともに、アメリカ、EC等の独占禁止当局との間で意見交換を行うなど、国際的な連携の強化に努めました。  次に、下請代金支払遅延等防止法の運用状況について申し上げます。  下請事業者の保護を図るため一千六の親事業者に対し、下請代金の支払い改善等の措置を指導いたしました。特に不当な値引き等の案件につきましては、値引き額を下請事業者に返還させるなど重点的に取り組みました。また、親事業者及び親事業者団体に対して下請取引の適正化の要請を行うなど法の周知徹底を図り、違反行為の未然防止に努めました。  最後に、不当景品類及び不当表示防止法の運用状況について申し上げます。  昭和五十八年中に同法違反の疑いで調査した事件は三千五百四十六件であり、このうち排除命令を行いましたものは十二件、警告により是正させましたものは千二百八十二件であります。都道府県の行いました違反事件の処理件数は、昭和五十八年一月から九月末までで四千九百四十三件となっており、今後とも都道府県との協力を一層推進してまいる所存であります。  また、同法第三条の規定に基づき、家庭用合成洗剤及び家庭用石けん業並びに不動産業における景品類の提供を制限する告示を制定いたしました。  事業者が自主的に規制するための公正競争規約につきましては、雑誌業における景品類の提供の制限に関する規約など十三件を認定し、昭和五十八年末現在における公正競争規約の総数は百十三件となっております。  以上簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。  今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。
  16. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 以上で政府所信及び説明は終了いたしました。委員長退席なさって結構でございます。  なお、昭和五十九年度通商産業省関係予算及び経済企画庁関係予算の説明につきましては、お手元の配付資料で御了承願います。  両大臣の所信等に対する質疑は後日行うことにいたします。     —————————————
  17. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱における災害に関する件を議題といたします。  この際、政府から報告を聴取いたします。石井立地公害局長
  18. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 大臣のごあいさつにもございました三池炭鉱坑内火災事故調査委員会中間報告及び同鉱有明区域の操業再開につきまして御報告を申し上げます。  去る一月十八日発生いたしました三井三池炭鉱有明区域の坑内火災事故の原因を調査するため、通産大臣の諮問機関といたしまして東大の伊木名誉教授を委員長とし、学識経験者から成る事故調査委員会が設けられたわけでございますが、同委員会は現地調査数回を含めまして非常に精力的に検討を進められまして、三月の十二日中間報告を取りまとめまして、これを通産大臣に提出したわけでございます。同報告書及びその要旨につきましてはお手元に配付いたしてございますが、この骨子を申し上げますと以下のとおりでございます。  まず、報告書は三点から構成されておりまして、第一が火災発生の原因、第二が被害の拡大要因、第三がこれらに対応する当面の保安対策という三点から構成されておるわけでございます。  第一点の火災の原因でございますが、まず火災の発生箇所につきましては、有明鉱がマイナス二百二十メーターレベルとマイナス三百二十メーターレベルの主要坑道から成っておるわけでござい ますが、この二つをつなぎます二百二十メーターベルトコンベヤー連絡斜坑の坑底付近で第三調量門というのがございます。これは通気を調節いたします戸門でございますが、第三調量門またはそのごく近辺ということが火災発生箇所として特定されたわけでございまして、火源といたしましては、ベルトコンベヤー施設等の摩擦熱によって蓄熱発火したものというふうにいたしてございます。  また、第二に被害の拡大要因といたしましては、火災発見のおくれあるいは連絡指令の手間取り、消火活動中のトラブルといったようないろいろな要因が複雑に絡み合いまして大災害となったものというふうに報告をいたしてございます。  第三といたしまして、これらの原因究明を踏まえまして当面の保安対策事項といたしまして、ベルトコンベヤーの保守管理あるいはその監視の強化、連絡指令体制の強化、避難設備等の整備、教育訓練の徹底等が指摘されております。  当省といたしましては、この報告を受けまして、とりあえず鉱山保安局部に対しまして通達を発しまして管内鉱山に周知徹底をするとともに、同報告書に盛り込まれましたラインに沿って保安監督指導をいたすようにその周知徹底方を図ったわけでございます。  第二が、三井三池炭鉱有明区域の操業再開でございます。三月の十二日に三池鉱業所長より福岡鉱山保安監督局長に対しまして、操業再開願が提出されました。これは有明区域のうち今回の災害に関連いたします掘進部内を除きました採炭部内についての操業再開でございます。これを受けまして鉱務監督官八名を派遣いたしまして、十二、十四日の両日入坑検査あるいは事情聴取等の保安点検を実施したわけでございます。その結果今回の中間報告の指摘に盛られておりますような対策を含めて所要の保安対策が講ぜられているという判断に達しましたので、十四日の二十三時四十分福岡鉱山保安監督局長より操業再開を了承する旨鉱業所長に通達をいたしたわけでございます。  これを受けまして会社側は三月の十五日よりならし採炭を開始いたしまして、三月の十九日より全面再開に移行いたしたわけで、今月に至っておるわけでございます。  今回の災害に関連いたします掘進部内の操業再開に関しましては、今後の司法捜査の状況あるいは会社の保安対策の進捗状況等を勘案して、改めて検討いたす所存でございます。  以上御報告申し上げます。
  19. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) どうも御苦労さまでした。     —————————————
  20. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、派遣委員報告に関する件についてお諮りをいたします。  去る二月一日及び二日の両日、本委員会が行いました三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱における災害の実情調査のための委員派遣につきまして報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会      —————・—————