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神谷信之助君 それが大体ごまかしなんですね。退職者
医療制度を創設することによってアンバランスができる。したがって、それを穴埋めをするために財調交付金を使います。財調交付金を使うんだけれ
ども、その中で使っている軽減費交付金が年々ふえてきて、四分の一程度になってきた。これはふえてきたんでは困るから、配るのに足らぬから、ばらつきが大きくなりますからね、農村、市町村の場合と企業城下町とではうんと違ってきますから、だからそのための財源をつくるために二割カットして、こっちへ持ってくる。しかし財源調整資金全体の枠というのは変わらない。あるいは国庫補助金体としては減ってくるんですから、その穴埋めをせなきゃならぬ、こうなっているんですからね。入れ物は変わらぬけれ
ども要るものはふえる、だからこっちへきますよと、こう言う。だから軽減費交付金の配分を結局二割分は一般の方に使いますよと言っているけれ
ども、全体としてそれが足らないという状況だということを私は
指摘しておきたいと思うんです。
そこで、
国保税が年々どんどん上がってきているんですよね。
厚生省の資料をいただきましたが、五十三年度の
保険料税額、これが五十七年度と比べてみますと、全体として一・五三倍になっています。ところが、これはもう
大臣も御承知のように、市町村個別にそれぞれが違いまして、そのアップ率というのは違いますね。だから、例えば岡山市の場合ですと、五十年度と五十八年度の間、八年間で三・〇六倍になっています。それから前橋市の場合で十年間で約五倍になっていますね。そうするとどういう状況が起こっているかというと、収納率も五十年度は九四・六%だったのが五十六年は九〇・一四%に下がる。だから、
国保税が上がってくることによって収納率が下がってきている。これは全国的にもそういう状況で、五十三年度は九四・九%が五十七年度は九三・六%に下がってきていますね。
現実に一体それがどんな状況になっているかと見ると、前橋市の五十八年度の「所得階層別加入者調」というのを見ますと、
国保加入者の中の所得のない者というのが二六・四三%、それと二十二万円以下というので二九・四七%という状況ですね。さらに二十二万から七十万円の所得の人、これが一一・二八%、これら合わせますと全部で四〇・七五%。だから、
国保の加入者の四割近い人がそういう低所得者で占められている。こういう状況で、そこへ
国保税がどんどん上がっていくわけですから、片一方では減額の基準をつくって救済をしてみても、収納率全体としては下がっていく、こういう状況が現に起こっているというのが私は特徴だというように思うんです。
それで、これで収納率が悪いと、
大臣も御承知のようにペナルティーがかかりますね。財調交付金が減らされているわけでしょう。九〇%以下になると一〇%カットになってきますし、こういうカットがされる。これで沖縄の場合を見ますと、そうやってカットされるものですから、例えば那覇市で五十七年度が八三・五%ですね。基地の町で失業者が多いという問題もある。そういう状況の中でそうなりますから、調整交付金は一〇%カットされて、結局ペナルティーとして年間六千七百万から七千万円ぐらい減額されている。だから、那覇市の財政も著しい中から五十九年度は五億一千万円
国保財政に繰り入れざるを得ない、こういう状況が起こっています。先ほ
ども答弁ありましたけれ
ども、したがってそういうところはもっと収納率を上げなさいと、こうなりますね。そして収納率を上げるためにいろんな手が打たれる。
そういう中で、沖縄県の十市では、
国保税の滞納者に対して
保険証を交付していない。
保険証を渡さない。それで、誓約書を書かせて、有効期限つきの
国保の加入証明書を渡す。だから、滞納額が多い人は一カ月更新だし、
比較的滞納額の少ない人は六カ月ぐらいの更新、こういうことになるわけです。これが名護市も沖縄市も具志川市も、ずっと全部そういう誓約書を書かせて証明書を出す。その証明書は期限つきだ。だから、どうしても
医者にかからなけりゃならぬという
家族を抱えたり、
本人の場合、ただ頭を下げていろいろ苦しい状態を訴えて、そしてまた誓約書を書いて交付をしてもらう、こういう状況が起こっているんですよ。
これは好ましい状況でしょうかね。
大臣、いかがですか。