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1984-08-07 第101回国会 参議院 社会労働委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月七日(火曜日)    午前十一時十五分開会     —————————————    委員の異動  八月七日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     志村 哲良君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石本  茂君     理 事                 遠藤 政夫君                 佐々木 満君                 浜本 万三君                 中野 鉄造君     委 員                 大浜 方栄君                 金丸 三郎君                 志村 哲良君                 関口 恵造君                 曽根田郁夫君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 村上 正邦君                 森下  泰君                 糸久八重子君                 本岡 昭次君                 和田 静夫君                 中西 珠子君                 山中 郁子君                 柄谷 道一君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  渡部 恒三君    政府委員        厚生大臣官房長  幸田 正孝君        厚生大臣官房審        議官       新田 進治君        厚生省健康政策        局長       吉崎 正義君        厚生省保険医療        局長       大池 眞澄君        厚生省保険医療  水田  努君        厚生省生活衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省薬務局長  正木  馨君        厚生省社会局長  持永 和見君        厚生省児童家庭        局長       小島 弘仲君        厚生省援護局長  入江  慧君        労働大臣官房長  小粥 義朗君        労働大臣官房審        議官       白井晋太郎君        労働省婦人局長  赤松 良子君        自治大臣官房審        議官       石山  努君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     根本 貞夫君        防衛庁経理局工  及川 康男君        外務省北米局安        全保障課長    沼田 貞昭君        大蔵省主計局共        済課長      坂本 導聰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会福祉・医療事業団法案内閣提出衆議院  送付) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○保健所法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○建設国保組合改善に関する請願(第一号) ○医療保険改悪反対に関する請願(第六号外二件  ) ○保育所制度充実に関する請願(第七号外二四  件) ○医療保険制度改正に関する請願(第一四号) ○医療保険制度改正に関する請願(第二六号) ○食品添加物規制緩和反対等に関する請願(第  二七号外二四六件) ○民間保育事業振興に関する請願(第三一号外  二〇件) ○漢方薬の健康保険適用除外反対に関する請願  (第三五号)  じん ○腎疾患総合対策早期確立に関する請願(第五  二号外三三件) ○障害者福祉法制定に関する請願(第七四号外  二六件) ○社会福祉社会保障拡充に関する請願(第七  九号外一七件) ○保育内容の向上と施設運営改善に関する請願  (第八〇号外一八件) ○医療保険改悪反対充実改善に関する請願(第  九三号外二一一件) ○学童保育に対する国庫負担制度化に関する請  願(第一一三号外一件) ○身体障害者福祉法改正にあたり中途失聴者・  難聴者に対する法的位置づけ福祉施策確立  に関する請願(第一四七号外一一件) ○食品添加物使用規制強化に関する請願(第一  七一号) ○障害者対策に関する長期計画具体化等促進に関  する請願(第一七八号外一件) ○使用済み乾電池処理に関する請願(第二三五  号) ○退職者医療制度化早期実現等に関する請願  (第二七七号外二件) ○健康保険改正反対国民健康保険給付率改善  に関する請願(第二八九号外一六件) ○健康保険本人医療費一割負担導入反対等に関  する請願(第三一九号) ○パート労働法(短時間労働者保護法案)の早期  制定促進に関する請願(第三二三号外六七件) ○児童扶養手当制度改悪反対等に関する請願(第  三三三号外四九件) ○医療保険抜本改悪反対充実改善に関する請  願(第三八三号) ○医療保険抜本改悪反対に関する請願(第三八  九号外三件) ○国民医療医療保険制度改悪反対等に関する  請願(第三九〇号外一七件) ○老人福祉に関する請願(第四五八号) ○厚生行政をただし、国民医療改善に関する請  願(第四六一号外一六件) ○カイロプラクティック・療術師法立法化阻止に  関する請願(第五一九号外三件) ○身体障害者福祉法の中に聴覚言語障害者情報文  化センタ義務設置明記等に附する請願(第  五四二号外八件) ○障害福祉年金拠出制障害年金なみ引上げに関  する請願(第五五〇号外八件) ○身体障害者福祉法における聴覚言語障害者の一  級格づけに関する請願(第五五八号外八件) ○福祉手当倍額引上げに関する請願(第五六六  号外八件) ○障害者所得保障に係る年金統合等国民年金法  改正促進に関する請願(第六二七号外一九件) ○医療保険の大改悪反対等に関する請願(第六四  二号外一四件) ○老人医療無料制度復活等に関する請願(第六  五六号外一四五件) ○医療保険制度改悪に反対し国民医療改善に関  する請願(第六七六号外二二件) ○医療保険抜本改悪反対に関する請願(第六九六  号外三三五件) ○社会保障制度改悪反対に関する請願(第七〇  四号外一三件) ○医療保険の大改悪反対に関する請願(第七三一  号外六四件) ○医療保険制度改善に関する請願(第七八五号  外七四五件) ○重度障害者の無年金者救済に関する請願(第八  〇二号外二三件) ○医療年金抜本改悪反対等に関する請願(第  八〇四号外二八件) ○身体障害者に対する福祉行政に関する請願(第  八七五号外二四件) ○労働者災害保障保険法改善に関する請願(第八  七六号外二四件) ○労災年金と他の年金との完全併給に関する請願  (第八七七号外二三件) ○旧旧労災被災者現行労災法適用に関する請願  (第八七八号外二三件) ○労災年金最低給付に関する請願(第八七九号  外二三件) ○福祉手当増額支給に関する請願(第八八〇号外  二三件) ○年金官民格差是正に関する請願(第八八一号  外二四件) ○福祉年金所得制限廃止に関する請願(第八八  二号外二三件) ○労災脊髄損傷者遺族年金に関する請願(第八  八三号外二三件) ○在宅重度障害者介護料に関する請願(第八八  四号外二四件) ○重度障害者終身保養所設置に関する請願(第  八八五号外二三件) ○労災重度被災者終身保養所設置に関する請願  (第八八六号外二三件) ○在宅重度障害者暖房費に関する請願(第八八  七号外二三件) ○労災重度被災者暖房費支給に関する請願(第  八八八号外二三件) ○労災年金スライド制度改善に関する請願(第八  八九号外二三件) ○重度障害者に対する健康保険法改善に関する請  願(第八九〇号外二四件) ○労災重度被災者脊髄神経治療技術研究に関す  る請願(第八九一号外二三件) ○重度身体障害者家庭奉仕員制度改善に関する  請願(第八九二号外二四件) ○重度障害者に対する国・公立病院改善に関する  請願(第八九三号外二四件) ○脊髄損傷者脊髄神経治療技術研究に関する請  願(第八九四号外二三件) ○重度障害者労災被災者介護料に関する請願  (第八九五号外二三件) ○車いす身障者雇用に関する請願(第八九六号外  二三件) ○労災年金給付改善に関する請願(第八九七号  外二三件) ○医療用漢方製剤健康保険適用存続に関する請  願(第一〇四九号外五件) ○医療保険抜本改悪に反対し、充実改善に関す  る請願(第一一〇六号外一四件) ○療術制度化促進に関する請願(第一二二一号  外四〇件) ○医療保険改悪反対充実改善に関する請願  (第一二四五号外三六件) ○仲裁裁定完全実施に関する請願(第一二五三号  外五六八件) ○原子爆弾被爆者等援護法制定に関する請願  (第一三一六号外一件) ○国立病院療養所存続に関する請願(第一三  一八号) ○男女雇用平等法パート労働法制定促進に関す  る請願(第一三五一号外一二四件) ○林業労働法制定等に関する請願(第一三五三  号) ○労働基準法改悪反対等に関する請願(第一五九  六号外六件) ○国立病院療養所統合廃止反対等に関する  請願(第一六六九号外一〇〇件) ○男女雇用平等法(仮称)の制定促進に関する請  願(第一八二〇号) ○労働基準法改悪反対男女雇用平等法制定等  に関する請願(第一九九二号外四六件) ○国立腎センター設立に関する請願(第二〇四一  号外一三件) ○健康保険改悪反対に関する請願(第二〇四二号  ) ○医療保険年金制度抜本改悪反対に関する請  願(第二二一九号外五一件) ○安定した老後の保障に関する請願(第二二五二  号外三件) ○食品安全確保に関する請願(第二二七六号) ○障害者所得保障に係る年金統合等国民年金法  等の一部改正に関する請願(第二二七七号) ○健康保険法改正反対等に関する請願(第二二七  八号) ○医療保険抜本改悪反対充実改善に関する請願  (第二三一二号外六件) ○児童扶養手当制度改正反対に関する請願(第二  四〇四号外一件) ○年金医療雇用保険改悪反対充実改善に  関する請願(第二四一七号外六九一件) ○自動車交通労働者労働条件改善に関する請願  (第二四一八号外一二三件) ○年金医療抜本改悪反対に関する請願(第二  五七〇号外三八八件) ○児童扶養手当に関する請願(第二六二五号) ○重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(第二八  〇七号外二九件) ○医療年金雇用保険抜本改悪反対充実改  善に関する請願(第二八五七号外一一件) ○難病対策拡充等に関する請願(第二八九七号  外六件) ○労働基準法改悪反対等に関する請願(第二九  八七号外三件) ○健康保険法等改正にあたり本人負担撤廃等に  関する請願(第三一三五号) ○視覚障害者雇用促進に関する請願(第三二〇  七号外九件) ○慢性及び神経疾患児童生徒療育給付の拡大  等に関する請願(第三二六七号) ○医療保険制度改悪反対に関する請願(第三三八  七号外一件) ○医療保険抜本改悪に反対し、その充実改善に  関する請願(第三四一八号外一〇七件) ○医療保険制度改悪反対に関する請願(第三六  八六号外三件) ○健保年金制度改悪反対に関する請願(第三九  三四号) ○母子家庭児童の健全な成長を保障し、児童手当  制度改悪反対に関する請願(第四二九二号外  一件) ○ベーチェット病調査研究班存続等に関する請  願(第四四七四号外四件) ○小規模障害者作業所助成に関する請願(第四  五四八号外二七件) ○個室付浴場業トルコぶろ)をなくすため公衆  浴場法の一部改正に関する請願(第四七三七号  外一六件) ○医療保険制度の大改悪反対に関する請願(第四  七三九号外一三件) ○社会保障福祉充実等に関する請願(第五〇  一一号) ○健康保険改定反対に関する請願(第五〇一二号  外二一件) ○健康保険本人の十割給付継続等に関する請願  (第五〇一三号) ○医療保険制度改悪反対老人医療無料化復  活等に関する請願(第五〇一四号) ○原価割れ診療報酬適正化に関する請願(第五  一三五号外四件) ○外国残留日本人並びに帰国者に対する特別措置  援護法制定に関する請願(第五二七八号外二件  ) ○実効ある男女雇用平等法法制化に関する請願  (第五三四八号外二件) ○労働基準法改悪反対・実効ある男女雇用平等法  の制定に関する請願(第五八〇六号) ○児童扶養手当削減反対に関する請願(第五九四  二号外一件) ○肢体障害者生活保障に関する請願(第五九五  八号外二件) ○松江市水道事業に対する助成措置に関する請願  (第六〇七一号外一件) ○保育料大幅引下げ等に関する請願(第六〇七  二号外二二件) ○健康保険法等改正反対医療保険制度充実  に関する請願(第六一一七号外一七一件) ○療術制度化阻止に関する請願(第六一七二号  外二件) ○年金医療改善に関する請願(第六六一四号  ) ○雇用分野における男女の均等な機会及び待遇  の確保を促進するための労働省関係法律案並び  に同法案による労働基準法の一部改正案反対に  関する請願(第六八三八号外一〇件) ○健康保険制度改悪反対等に関する請願(第七  三九一号外一○件) ○国民患者負担をふやす医療保険の大改悪反  対に関する請願(第七三九二号) ○水銀を含む有害物回収処理対策確立に関す  る請願(第七四五五号) ○男女雇用機会均等法案に関する請願(第七四五  六号) ○国民医療改善に関する請願(第七八二四号外一  件) ○健保・共済・国保等医療保険制度抜本改悪反  対に関する請願(第七八二五号外二件) ○保育行政充実に関する請願(第七八四四号外  一件) ○労働基準法改悪に反対し、母性保護を貫いた  実効ある男女雇用平等法制定に関する請願  (第七九〇六号外四件) ○労働基準法改悪に反対し、実効ある男女雇用平  等法の制定に関する請願(第八一〇五号外二三  件) ○実効ある男女雇用平等法制定に関する請願(第  八五六四号外四件) ○労働基準法改悪男女機会均等法案に反対し、  実効ある雇用平等法制定に関する請願(第八五  七五号外一件) ○医療制度充実に関する請願(第八六六〇号外  六件) ○国民年金制度改善に関する請願(第八六六一  号外六件) ○労基法改悪に反対し、実効ある男女雇用平等法  の制定に関する請願(第八七八三号外九一件) ○雇用分野における男女の均等な機会及び待遇  の確保を促進するための労働省関係法律整備  等に関する法律案に関する請願(第八八三六号  外二六件) ○てんかんの総合対策に関する請願(第八九九三  号外六件) ○労基法改悪反対、実効ある男女雇用平等法の制  定に関する請願(第九〇一三号外五件) ○健康保険制度改悪反対老人医療費無料制度  復活に関する請願(第九一一四号外一〇件) ○医療保険年金制度抜本改悪に反対し、その  充実改善に関する請願(第九一七七号外一件) ○心臓病児者医療生活保障に関する請願  (第九二五七号外一〇件) ○健康保険制度改善に関する請願(第九四二〇  号外三件) ○医療保険制度の改革に関する請願(第九四六〇  号) ○健保改悪反対に関する請願(第九五一〇号) ○雇用の場における真の男女平等の実現に関する  請願(第九七〇七号外六六件) ○男女雇用機会均等法案反対に関する請願(第九  八四一号) ○障害者に係る国民年金法等改正促進に関する  請願(第一〇二〇八号) ○実効ある男女雇用機会均等法制定に関する請  願(第一〇二〇九号) ○使用済み乾電池処理等に関する請願(第一〇  二一〇号) ○食品添加物規制に関する請願(第一〇二一一  号) ○戦没者遺児等に対する施策充実に関する請願 (第一〇三四四号) ○男女雇用機会均等法案に反対し、実効ある男女  雇用平等法制定に関する請願(第一〇三八五  号) ○医療生活保護年金等抜本改悪反対に関す  る請願(第一〇三八六号) ○はり、きゆう治療患者救済に関する請願(第  一〇四四三号) ○医療保険改悪阻止年金抜本的見直し反対に  関する請願(第一〇五七〇号) ○保育所増設等に関する請願(第一〇六〇二号  ) ○健康保険法改正案反対に関する請願(第一〇六  一六号外一件) ○雇用保険制度改善に関する請願(第一〇六二九  号) ○日雇健康保険制度被用者保険として改善・確  立に関する請願(第一〇六三〇号) ○外国残留日本人並びに帰国者に対する特別措置  援護法制定に関する請願(第一〇六三五号) ○中国残留日本人並びに帰国者に対する特別援護  措置法制定に関する請願(第一〇六三六号) ○現行保育制度の堅持と充実に関する請願(第一  〇六三七号) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○理事の辞任及び補欠選任の件     —————————————
  2. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会福祉医療事業団法案戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び保健所法の一部を改正する法律案、右三案を便宜一括して議題といたします。  右三案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 和田静夫

    和田静夫君 まず、事業団法厚生大臣に素朴な疑問をちょっとぶつけてみたいのでありますが、社会福祉事業振興会医療金融公庫統合される。この統合のパートナーとして適切なのかどうかという点が第一点であります。一見して何か木に竹を接ぐといった印象が非常に強いわけであります。背景に臨調があることを知らないわけではありませんが。  素朴な疑問の第二は、大きい方が小さい方に統合される。職員数だけで言ってみれば、百七十七の方が五十九ぐらいのところへ統合される、こういうスタイルであります。このことは、社会福祉事業の方がウエートが大きい、そういうふうに理解をしておいてよいのでしょうか。  まず、この二点。
  4. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御指摘の問題について、先生案内のように、人口構造高齢化疾病構造変化等に伴い、特に老人に対する施策などについて、社会福祉医療との関連性が非常に密接になってまいりました。私も最近よく特別養護老人ホームとかいろいろのところを視察してまいりまして、社会福祉医療接点というようなもの、また、これをどこでどういうふうに調和させるかというようなことを考えさせることが多いのであります。また、この委員会等でもたびたび社会福祉医療との中間施設というものをもっと積極的に考えるというような御指摘もちょうだいしております。こういう点から、この医療社会福祉、これをより密接に連携をし、有機的な働きをさせるという考えを持ったわけでございます。  今の、いずれを第一と考えるかというのは、これはたまたま今形の上でそういうことにこれなっておるので、人数が少ない方が多い方より大事ということもありませんし、また多い方が大事だということもありませんし、これはやはり、かしわ手を打つとき、右の手左の手のどっちから音が出たのかと、こうおっしゃられるのと同じように、これはいずれも重要な問題で、それを密接に、有効的に連携して効果を上げるというふうなお答えするしかないと思います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 どうも大臣もすっきりしてないんじゃないかという感じなんですね、今の答弁をお聞きをいたしましても。盛んに社会福祉医療連携、そういう言い方をされるわけであります。そしてこれに関する厚生省側のいろいろのものを読んでみましてもね。ところが、どのような連携が行われるのかという具体像は一つも浮かんで来ないのであります。恐らく予想答弁の中でも、具体像浮かんで来てないんだろうと思うんですよ。社会福祉医療連携という非常に美しい言葉であります。そういう美名によって双方が本来担わなければならない責務というべきものがあいまいになるのではないだろうか。そういう点が非常に危惧されるのでありますが、大臣はどういうふうに保障されますか。
  6. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これはむしろ運用によっては、先生も御経験のように、私どもも経験しているんですが、行政というものは、その接点にあるものは両方逃げる場合あるわけですが、そういうものがむしろこの機構によって救える。今私あちこち歩くと、ナーシングホームなんかつくったらどうだということを陳情を受けるわけでございますが、今のところ、私も帰ってきて、これは健康政策局長を呼んで話を聞くのか社会局長に聞くのかと迷うようなことがいろいろあるわけですが、そういうものをこの機構によってむしろ有効に発揮させる。これは運用いかんだと思います。  私どもは、そういう先生の御指摘等を十分に考えて、このことによってお互いに責任を逃れるということでなくて、むしろその責任分野が明確でないものも積極的に我々の仕事の上にのせていくことができるというふうに進めてまいりたいと思います。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 いずれにせよ、医療面での政策融資役割は私はなお高いと思うんですね。今後とも重要な役割を果たすべきであるという点についてはどのようにお考えでしょうか。
  8. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 全く同感でございます。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 先ほど来たびたびお話しのありますナーシングホーム、その他の中間施設についてでありますが、健保でもこれは議論をしたんですけれども、ますます重要になってきていると思います。その点では、今申しました政策融資として中間施設あるいは病院開放化に傾斜をされるというのは当然でありましょう。私は、この順序としては、まず中間施設そのものについての制度整備、それから施設整備に向けての年次計画というようなものが先行すべきで、それに対応する政策融資という順序であると考えるんですが、この中間施設あり方整備計画というものは一向に出てこないような感じがする。その辺はお持ちなんでしょうか。
  10. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は、先生方の積極的な御意見を予算委員会当初からお聞きいたしまして、これは非常に大事な問題だということを痛感いたしまして、先生案内のように、おくればせながら二十一世紀を目指しての厚生省のビジョンをつくらせました。その中に今の先生のような考え方を取り入れておるわけでございます。  六十年度はこれから概算要求に入るのでございますが、私は今先生指摘のようなナーシングホーム、いわゆる中間施設というものの芽を何とか出すようにしたい。そのためには、今先生指摘のようなこれから年次計画というものを当然検討していかなければならないものと考えております。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 例えば、地域別に何年までにナーシングホームを幾つつくるというような年次計画ですね。そういうものはやっぱり早急に、これは事務当局、策定をされるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  12. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 先ほど先生からお話しがありましたけれどもナーシングホームも含めまして中間施設と言われるもののあり方、これが我が国の事情に即してどうあるべきか、まずこの法制面費用面から検討をすべきものだと思っております。  これ、考えられる態様が非常にたくさんございます。例えば医療機関と福祉施設との中間的なもの、医療機関と家庭との中間的なもの、それからまた、福祉施設と家庭との中間的なもの、そういうものがいろいろ考えられるわけでございまして、こういうものを我が国の実情に即してどういうふうに整備をしていくべきか、法制面、費用負担あり方等、多くの検討課題があると思うのでございます。  ナーシングホーム中間施設の一つの型であると思うわけでありますが、イギリスとアメリカと必ずしも同じではないようでございますし、それからまた、アメリカで随分たくさんできておりますものが我が国にそのままの考えで持ってきて適切かどうか、本格的に検討をいたして、お話にありました、まず制度面の整備というものをやりたいと考えております。今日、例えば特別養護老人ホームも、医療福祉、介護の面が多いのですけれども中間施設の一つの型であろうと思うのでございます。  そういういろんな経験に学びまして、我が国でどういうふうに整理をしたらいいのか、まずこれを整理をして、そしてお話にございましたように、地域ごとに人口構造その他需要が違うわけでございますから、地域の事情に合ったような計画を立てるのが妥当ではないかと考えておるところでございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 社会福祉医療連携という問題に戻りますが、先ほど申しましたように、どうも私にはその具体像がよく理解をできないわけであります。それは中間施設についての具体像がはっきりしていないところから来るのだろうと思うのですが、ともかく社会福祉医療連携を強めるということになるのであったならば、ただ単に政策金融面にとどまらずに、出先機関の統合にまたとどまらずに、本省の局の統合も含めて全般的な機構再編に進まなければならないという方向性が私は出てくるのではないかと思うのです。  そこで大臣、今次事業団統合を手始めに、機構の大改革、再編といいますか、統合といいますか、そういうものに着手されるということになるわけでしょうか、これは。
  14. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先生案内のように、私どもは、今度新しい時代のニーズにこたえて改革を実行いたしましたばかりでございますから、今実行したばかりでまたその次にというようなことを私は考えておりませんし、また、今先生お話しのように、確かに社会福祉医療というものが極めて接点が多くなってきた、そこでこれを調和させて有効に力を発揮させるために今回事業団を一つにするわけでございますけれども、それは、それをするから機構の方も一つになるべきだということよりも、今の行政機構の中では二つになっておっていろいろの問題点を投げているのを、むしろこの事業団ができることによってそういう行政の中で残されているいろんな問題を解決することに役立てると、そういう考えでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 これまでの医療金融公庫が行ってきた融資事業の対象及び規模、そういうものは変わっていきましょうか。
  16. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 医療機関に対します政策金融、御指摘のございましたように、今後とも非常に重要なものであると考えておりまして、従来やっておりました事業は新事業団に引き継がれることといたしております。ただ、今後政策金融の対象を、例えば中間施設でありますとか開放型の病院でありますとか救命救急センターでありますとか、重さの置き方は地域のいろんな事情に従って変わってくるべきだと思いますけれども、原則として対象条件等は引き継ぐ、こういうことにいたしております。  なお、昭和五十九年度におきましては、公庫と新事業団の医療機関に対します貸付事業規模といたしましては、総額一千億円を見込んでおるところでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 従来この振興会の行ってきた事業も同様ということになりますか。
  18. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 社会福祉事業振興会におきましては、社会福祉法人が設置いたします社会福祉事業施設の融資でございますとか施設職員の退職手当共済制度、あるいは心身障害者扶養保険事業、こういった事業を行っておりますが、これはいずれも新しい事業団が引き続き承継する、こういうことでございまして、融資対象なり融資条件も社会福祉事業振興会がやっておりましたものをそのまま引き継ぐと、こういうことになっております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 という答弁になるわけですね。  そうすると大臣、どうも新事業団が発足しても実態はそんなに変わらないということになるんじゃなかろうか。どうも行管に対して特殊法人を一つ廃止しましたと、ノルマは達成しましたよと、これは厚生大臣の腕ですよということだけじゃないだろうか。役員が七名ぐらい減る、若干減る、こういうような削減をしたという、そこだけだということにしか理解できないですね。いかがでしょうか。
  20. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今回行政改革の一環として、臨時行政調査会の答申というものがございまして、厚生省関係の法人として、「医療金融公庫については、全国的な病床不足の解消状況及び医療事業と社会福祉事業との関連性にかんがみ、社会福祉事業振興会統合することとし、同公庫は廃止する。」、こういう答申をいただいておるわけでございます。  そこで、今御指摘のありましたように、行革の一番大きな、まあ一番大きなというのは語弊があるかと思いますが、行革の目的は、やはり人を減らしていくということも一つの目的だろうと思います。それにこたえるわけでございますが、しかし、ここで御審議をいただいて、新しい時代に即応してこういうものをつくるということは、それだけで終わったのではこれは進歩がないのでありまして、私はむしろこういう機会に、今まで国会でも随分とこの医療福祉の密接な連携、また、これを有効に調和して事業を進めていく、こういう問題が非常に指摘されておるのでありますから、これをきっかけにしてこういう先生方の、あるいは国民の皆さん方のニーズにこの機関がこたえるように、より積極的に努力をさせていきたいと思っております。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 高齢化社会に対応した適切な運用を図るために云々ということなんですがね。ということは、どうも具体像が浮かばないからあれでありますが、一皮むくと、医療福祉かのいずれかを切っていく、そういうことになることではないのだろうかということが危惧されますが、そんなことはありませんか。
  22. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先ほども私申し上げたように、これは高齢化社会に対する今後の我々の施策というものはより重要性を増しております。私は、二十一世紀二十一世紀とここで言っておしかりを受けたり共鳴をいただいたりしてまいりましたけれども、やはり二十一世紀に、明るい高齢化社会、老人の方が楽しく明るく健康で、お互いこの社会に生きていることを喜びを感じて最後まで頑張ってくれるような社会をつくっていくこと、これが今後我々政治家に与えられた非常に大きな課題になってまいろうと思います。その課題にこたえる一つの機関というものに、今回御審議をいただいている機関を役立てたいと、そういう理想に燃えておるのでございます。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっとまとめますが、先ほど来の両局長並びに大臣の御答弁を総括をしてみますと、公庫と振興会のこれまでの事業の枠は削らない、そういうことになってきて、かつ、大臣の二十一世紀に向かっての御発想を加えてみれば、今後も順次ここの部分は統合によってそれぞれ拡大をされていく、そういうふうに理解をしてよろしいですか。
  24. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御案内のように、出発点は臨調のいわゆる機構の縮小という言葉はこれも当てはまるかどうかわかりませんが、合理化というものの答申をいただいてやっておるので、私の申し上げた理想と現実とはかなり離れておるのではないかと御指摘を受けると思いますが、しかし、今先生から御指摘のありましたように、この医療福祉というものを車の両輪のようにお互いに調和させることによって、二十一世紀の明るい高齢化社会、健康な高齢化社会をつくるのに役立たせるために、私どもはこれを今後より有効に働けるもの、より内容を充実したものにするために努力してまいりたいと思います。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 統合についての理屈というのは、いろいろお聞きをしても、その必要性がやっぱりどうも胸の中にすっと落ちないのですがね。今のままでもよさそうな気がするんですがね。  臨調答申をずっと読んでみても、理屈として整合性があるかというと、どうもあれは整合性というのはないような気がするんですよ。臨調は民間活力ということをしきりに強調しているわけですね。民間活力の導入という点からすれば、ちょっと危惧されるのは、公的医療機関をふやさないことになるんだろうと思うのですね。そうしますと、民間医療機関で今後の高齢化社会への対応を進めなきゃならない。臨調の論理だとこの民間医療機関の重要性が増してくるということになる。となれば、医療金融公庫役割はますます重みを増してくるということになるんだろうと思うのですね。臨調の答申をずっと読んでいると、そういうことになると思うのですよ。そういう理屈になることは決して不思議じゃないでしょう、大臣
  26. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは私も、医療機関あるいは福祉施設、時間をつくっては随分歩いておりますけれども、やはり民間の活力というものがこういう方面の世界にも入っていくことが、今日先生方から御指摘を受けておる、非常に人間的なもの、人間と人間との触れ合い、そういうものを考える、単に財政的な問題だけでなくて、やはり医療とか福祉の面に民間の活力というものを加えていくことがより重要であるというような感を持っておるのでございます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 そうなんですよ。そこのところは私も変わらないのです。したがって、臨調の方針でいけば民間の活力、そしていわゆる私的医療機関の充実強化というところにつながっていくときに、なぜ医療金融公庫の存在が重視をされないということになるのだろうか。今の医療金融公庫をもっと充実させたっていいんじゃないか、そういうふうになってくるじゃありませんか。それがそちら側の論理じゃないかと、こう思っているのですがね。  医療金融公庫だって、この統合には必ずしも心から満足しているわけじゃありませんわね。そのことをなぜ無理におやりになるんだろうか。どうも論理的にすとんといかぬのですがな。
  28. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは先生、二つのものを一つにするということは、必ずしもその存在意義を薄くするということには通じないと思います。むしろ、現在あるいずれの機関も、今後重要性が増していくのでありますけれども、これを有効に効率的に働かせもために一つの方がいい、二つになっておって、五と五の働きで十の働きしかしなかったものが、一つになることによって二十の働きをするようになるというようなこともあるわけでございますから、民間の会社やなんかでも、弱かった一つ一つのものが、二つが一つになることによって今までの何倍もの力を発揮するという場合もありますから、二つのものを一つにすることが、その存在について薄い気持ちを持ったということに必ずしもつながらない。  むしろ今回の場合は、いずれの機関もこれから二十一世紀に向かってより重要性を増していくという考えで、しかし、これは二つになっているよりはやっぱり一つにしていくことによって、社会福祉の面と医療の面と車の両輪のように、将来の高齢化社会に備える幅広い働きをしてもらいたい、そういう願いも込めておるわけでございます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 そもそも、厚生大臣にしろ、そちら側にお並びの厚生省の皆さんにしろ、これ、好きこのんでやっているんじゃないんですね。このことはいいと思ってないんだよ。臨調の答申が出て、無理やり何かやらなきゃならぬからということで、苦肉の策でしょう。だからすっきりした答弁ができないわけですよ。無理されないで、やっぱりこれは間違っておった、もっと現行のところを強化していった方がいいんだというふうに言われたらいいんじゃないんですかな。  それで大臣医療機関の経営状況は非常に厳しいわけでしょう、今後ますます厳しくなっていくことが予想されますね。そういう状況下で、医療機関への政策金融というのは、先ほど来述べているように、大臣答弁されているように、より一層充実されていかなければならない。臨調のいうように、医療を民間活力——これは裏から考えてみると、利潤原理にゆだねるということですからね。これは利潤原理にゆだねるわけにはいかぬというのが実は私の考えてあります。臨調答申の主張を突き詰めてみますと、医療供給体制も利潤の原理にゆだねる、医療機関への融資も民間にゆだねるということになるわけですがね、医療を利潤原理にゆだねるというのはどうしてもこれは納得するわけにいきません。例えば利潤原理で医療を行おうとすれば、何回か論議になってきました宇都宮病院やらあるいは富士見産婦人科病院のような経営というのが、ある意味では最もよい、利潤原理というところからいけば。しかし、医療はそういうわけにはいかないのであります。公的医療機関の役割と私的医療機関の役割をきちんと位置づけて、そして私的医療機関が利潤原理で動かないような政策的な誘導、そういうことが私は必要だと思うんですね。そのための一手段として政策金融の役割は依然として重要だ。理論的に整理してみれば、私はそういうことになるんだと思うんですよ。その辺、大臣の認識を伺っておきたいんです。
  30. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは医療法人にしても私的病院にしても、いずれにしても、医療機関が常利を目的としてならないことは、これは我が困における原則でございますから、民間の活力を大いにこの方面に注入するということが必ずしも利潤目的にゆだねるということには、この場合は私はならないと思います。  ただ、民間にゆだねる場合はある程度の、経常にめちゃくちゃに赤字を出して、それをただ税金におんぶするというようなわけにはこれはまいりませんから、ある程度の合理化とか効率化とかいうことは経営面で考えていかなければなりませんが、それならそれが直接その福祉を受ける人、医療を受ける人へのサービス低下につながるかというと、これは私ども実際見回して歩いている範囲では、むしろ逆に、そういうものの方がより親切であったりより清潔であったりする場合もかなりありますので、民間にゆだねるということは、この場合は決して利潤追求にゆだねるということでありませんし、それから直接受益者に対するサービス低下というようなものにはならない、むしろサービスの向上になるようにしてもらいたいということでございます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 ともあれ、この医療機関への融資は今後一層充実されるというふうに、くどいようですが、確認しておいてよろしいですか。
  32. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 結構でございます。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、今後融資を充実させていく上で、民間医療機関であっても公的性格を持った医療機関あるいは公的な診療サービス機能を持った医療機関が重視をされるべきだろうと思いますが、よろしいでしょうか。
  34. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) まず、民間あるいは我が国の国民の活力でございますけれども、戦争に負けましてから今日まで、ベッドもかなり急速に伸びてまいりまして、寿今も延びて、乳児死亡率も下がってまいりました。これに対する民間の貢献というものは非常に大きなものだと考えております。そういうふうなことで、この一般ベッドにつきましては、諸外国と比べましても、民間、公的の努力が相まちまして、いいところへ来ておるわけでございます。  そこで、今後でございますけれども、したがって人口構造疾病構造、あるいは医学の進歩等によりまして、医療需要、医療を取り巻く状況が非常に大きく変わってきておると考えておるのでございます。そこでこれに対応した地域医療供給体制というものを体系的に整備をしていこう。したがいまして、ただいまお話しがございましたように、救命救急センターでありますとか、僻地中核病院、あるいはがんの専門病院、そういう方面に重きを置いて今後の政策金融を進めていくべきである。まだまだ法制的な整理はできておりませんけれども中間施設その他についても重点を置いていくべきである、このように考えておるところでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 医療機関の経常状況が厳しい中で新事業回が経常指導を行うということになっているわけでありますが、これは、新規事業として行うとすれば、それに応じた体制、ノーハウあるいは人員といったものが必要になるわけですが、それらのことはどの程度の具体的な規模をお考えになっているわけですか。
  36. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のございましたように、医療機関は利益を追求するものであってはなりませんけれども、一方、やはり経営の安定ということが大事でございまして、経営の合理化ということもまた必要だろうと考えております。  そこで、具体的にお話しのありました件でございますが、医療金融公庫におきましては、過去の金融を通じまして病院の経常については相当程度のノーハウを蓄積しておると考えておるところでございますが、具体的にどういう体制でどういうふうにやっていくか、これからひとつ研究をさしていただきたいと考えておるわけでございます。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 医療関係の業務について、公庫から事業団へ移行する、それに伴って大臣、予算が国会議決事項でなくなりますね。いわゆる認可予算形式ということになるわけですが、これはちょっと私、非常に疑問なんですよ。事の重要性から考えてみると、この新事業団の予算を全部国会議決事項とするのが私は至当だと思うんですが、どうして大臣、これ外すんですか。
  38. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは臨調行革の一つの方向の中で、今度政府関係の機関でなくなるわけですからその予算も国会の議決を要しないということになっている、それは手続上の問題だろうと思います。
  39. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) ただいま大臣からお答えいたしましたように、今回、医療金融公庫は政府関係機関としては廃止するということといたしたものでございます。そこで、その間の事情は先ほど来御議論のあったところでございますけれども、従来から一般の特殊法人として、社会福祉法人に対する融資事業等を行っている社会福祉事業振興会統合することといたしたものでございまして、これに伴いまして、医療機関に対する融資は社会福祉事業振興会の従前の事業と並んで新事業団における事業の一つとして実施していく考えであり、その予算につきましても、国会議決事項ではなく、他の一般の特殊法人において認められている認可予算形式と同一にすることとしておるところでございます。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 まあ恐らく事務局でつくった想定問答集の答えはそういうふうになっているんだろうと思うんですが、私はどうしてもこれ納得できないんですよ、大臣。何か逆に考えていくと、そのために小が大をのみ込んでしまうという統合方式が考えられたんじゃないだろうかという気がします。ここのところはやっぱり大臣、将来少し検討をされる必要があると思うんです。  これがなぜ起こったかということをちょっと考えてみたんですが、そうすると、新事業団の経理を、一つは一般勘定でしょう。それから片一方は医療勘定として分けたわけでしょう。そういうことは、本来性格の異なるものを統合しようとしてきたからこういう矛盾が起こるんです。したがって、私は素朴な疑問だとして一点、二点一番最初に大臣に尋ねたのは、ここを考えたからなんです。明確にやっぱり矛盾ですよ、これ。
  41. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御指摘のように、医療金融公庫社会福祉事業振興会、これは先生から今お話しがありましたように、性格が異なっておるものでございました。今後、その目的とするところ、これからやらなければならない必要なる機能というものは、一つにすることの方がその目的を達成させ、あるいはその機能を有効に発揮させるために有意義であろうということで一つにしたわけでございますから、当然これはいずれか一方は今までの制度と変わらなければなりません。そのために今先生から御指摘のようなものになったわけでございます。  ただ、そのことがいいか悪いかということでありますと、私どもが検討した結果は、むしろこのことによって新しい時代に民間の活力を吸収して有効に発揮できるという考えを持っておるわけでございますけれども先生から御指摘をいただいた問題も重要な問題でございますので、これを発足させていただいて、運営させていただく経過の中で、きょうの先生の御意向を十分に考えながら検討を続けてまいりたいと思います。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 まあ大臣就任以前のことであろうと思いますけれども、やっぱり臨調が何でも正しいのではなくて、臨調のこういう部分についての方向は誤っておったんだけれども厚生省側が非力であったか、あるいは非力以上に理解力があり過ぎてこういう矛盾を平気でのみ込んだかということになろうと思うんですがね。  そこで、この問題の最後ですが、結局私は、何のための統合なのかということは依然として納得できません。できませんがゆえに問題点を幾つか指摘をしたつもりでいます。それで、統合に当たってどうしても確認をしておきたいことは、職員の身分、それから労働条件、これに不利益が生ずるようでは困るわけでありまして、不利益が生じないように特段の配慮が必要だと思いますが、大臣いかがでしょう。
  43. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは私の考え方、先生と全く同感でございまして、今回の一本化をするに当たって、この両機関で働いていただいておる皆さん方が不利益になるというようなことがあっては、これは私の責めが果たせませんから、むしろこのことによって、両機関で働いていただいた人に、あのとき非常に不安であり心配だったけれども、結局私たちは気持ちよく働けるようになったと将来喜んでいただけるようにしていくことが、今回この法案を御審議をお願いすることになった私の大きな責任であり、これは私の後任の者にも今後しっかりと引き継いでまいりたいし、また、この法案を通していただいたときの我々の考え方の基本として、これは今後に継続させたいと思っております。  なお、具体的な何か御心配がありましたら、政府委員の者にお尋ねいただきたいと思います。
  44. 石本茂

    委員長石本茂君) 三案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  45. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き、社会福祉・医療事業団法案戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び保健所法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣、昨日の広島での記者会見、全国の被爆者の大がかりな実態調査をなさると語られたようであります。それは待ち望まれていたことでありますし、ぜひ綿密な調査を行っていただきたいと思います。  そこで、核の問題に関連して一問だけですが、昨日もNHKで放映をしていましたが、アメリカ政府も研究に着手するようでありますけれども、「核の冬」について、厚生省としても環境庁など関係省庁と協力して研究に着手されるおつもりがないだろうか。核戦争によって人体及び生態系にどのような影響をもたらせるのかということは、今日ある程度科学的に予測が可能でもあるわけでありますから、政府としてもぜひ研究に着手されるべきであると考えますが、昨日の記者会見との関連でいかがお考えになりましょう。
  47. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先生指摘の問題、極めて重要な問題であると考えますけれども、今私のお聞きした範囲では、これは環境庁が主で、私の方はどういうことになりますか、いずれにしても環境庁を抜きにして私一存でお答えするのは越権がと思いますので、極めて重要な問題であり、今後我々も大きな関心を持たなければならないことだと思います。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 保健所法に入りますが、厚生省は、高齢化社会に対応して国民の健康の確保を図るために保健所の役割は今後一層高まるというふうにされているわけであります。健保のときも議論したところでありますが、国民の健康づくりを促進する、いわゆるセルフケアを促進する、そのための中核組織として保健所があるわけであります。私の考え方が正しいとすれば、まず、保健所がセルフケアを促進するための中核的行政機関であるということについて確認をされますか。
  49. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は、最近保健所の機能、保健所の果たすべき役割、また将来の保健所に期待される問題、いろいろ今考えておるところでございますが、今日ほど国民の皆さんがそれぞれ健康に大きな関心をお持ちになっている時代はございません。そして、これは二十一世紀の将来にわたってますます強くなっていくものと考えます。  こういうことを考えますと、行政機関の、一番地域住民に密接するところで健康の問題の相談相手になる機関は、これは保健所でございます。したがって、私は国民の健康を守る役所として、保健所の機能、役割、これはますます大きくなってくるものと考えております。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 今言われるように、保健所の役割は一層高まっていくわけでありますから、それに対応した施策が求められるということになります。一般論として、役割が高まるということであれば、それに対応する新しい事業計画あるいは施設の充実、人員の確保、そしてそれらを賄う財源の措置、こういうものが必要になってくるわけでありますが、よろしいのですか。
  51. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今度の五十九年度予算も、先生方に御心配をいただいて、マイナスシーリングという中で、厚生省の予算、非常に苦労したものになってしまったわけでございますが、その中で、国民の健康を守る仕事の重要性という中で、保健所関係の予算は先生御承知のように三十五億ほど前年度より増額をさせることができました。やっぱりこれから保健所の仕事というのは市町村の保健事業との、どういう表現してよろしいか、とにかくよく密接な連携調和というものが大事でございますし、それから今先生指摘のように、戦後の保健所がやっておった当時の仕事とまるで、社会的なニーズも変わって多様化してまいりますから、私はこれからの保健所の機能というものは新しい時代のニーズに合わせてより多様化していかなければならない。そういう意味で、これは保健婦の問題とか人員等の問題もいろいろ今検討をし、また、これを増加させなければならない問題等、やっておるところでございます。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 ところが大臣、保健所への期待と比べて、保健所の実態というのは非常におくれておるわけです。  施行令第一条の政令市、昭和二十三年以降どれぐらいふえましたか。
  53. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 昭和二十三年には三十の市を指定をいたしておりました。その後、昭和三十八年に北九州市が発足をいたしまして、八幡市と小倉市が合併いたしましたために一時二十九に下がりましたけれども、その後、昭和四十九年の浜松市、それから昭和五十八年の東大阪市を指定をいたしましたので、現在三十一となっております。  お尋ねの件に即してお答えいたしますと、三十から三十一でございますので一カ所の増でございますが、なお昭和五十年には、地方自治法の改正によりまして東京都の特別区二十三区が保健所を設置することとされておりますので、二十三を数えますと、二十四の増となっております。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 政令市の基準ですがね、これは昭和二十三年当時どういうものだったでしょうか。そして、どういうような基準で政令市とされましたか。
  55. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 昭和二十二年当時には、市の財政行政の能力等を勘案いたしまして、人口十五万以上の市を指定をしておるところでございます。  なお、この歴史につきまして調べてみますと、当時原案では五大市を考えておったようでございます。一方、GHQは全部の市をそうすべきである、こういう意見であったようでございます。そこで、当時の情勢から考えますと、とても全部の市は無理である。それで、先ほども申し上げました行財政能力、衛生行政の第一線機関としての保健所を運営するための行財政能力等を勘案いたしまして、人口十五万以上と決めたものと思われます。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 自治省、人口十万人以上及び十五万人以上の都市の数、それぞれおわかりになりますか。
  57. 石山努

    政府委員(石山努君) 昭和五十九年三月三十一日現在の住民基本台帳に基づく人口によりますと、人口十万人以上十五万人未満の都市の数は全国で七十二になっております。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 十五万以上は。
  59. 石山努

    政府委員(石山努君) 十五万人以上の市の全体の数につきましては、百二十六でございます。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 それから大臣、昭和二十三年の人口基準十五万人と、こう言われたわけですね。百二十六あるわけでしょう。こういうことを考えてみますと、非常に立ちおくれているという感じがするんですね、政令市はいかがですか。
  61. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これ、立ちおくれているという意味が、一つのものがどれだけの人口を受け持っているか、こういう問題もございましょうし、また、距離的な問題は、これはむしろその後交通が非常に活発になってきたとか、いろいろの問題がありますから、立ちおくれておるというふうに断言もできませんが、しかし、先生指摘のような問題等含めて私は勉強をしてみましたら、やはりこれは行政改革の問題にも関連するでしょうが、何か画一的にただ行政機関を数を少なくする、出先機関を統合する、それが行政改革というようなものであってはならない。これも大事なことですが、やはり保健所行政みたいに地域住民に対する直接サービスの窓口というものは、いたずらに機械的に数を少なくするというのが行政改革だというような機械的なものであってはならないなというようなことを私は今考えておるところでございます。
  62. 和田静夫

    和田静夫君 保健所のトータルの数を見てみますと、これもこの昭和五十一年をピークにずっと減少してきています。これは何か理由がありましょうか。
  63. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、地域のいろんなその他の健康資源、医療資源との関係等があるのだと思われますけれども、私どもといたしましては、先ほどこの政令市の推移で申し上げましたように、昭和五十八年に新しく一つ指定をしておるわけでありますが、昭和二十三年と今日とではいろんな事情が異なっておりますから人口十五万以上というのが適切かどうかそれはしばらくおきまして、今日では、保健所を運営する行財政能力、これが何よりも基本でございますけれども、都道府県や市との協議が調いました場合には指定の方向で検討をいたすこととしておるところでございます。
  64. 和田静夫

    和田静夫君 今幾つかの簡単な数字をお互いに出し合ったんですがね。保健所のトータルの数というのは、昭和四十年代以降ふえ方が鈍ってきていますょ。それから五十年代になって頭打ちです。それから政令市については、先ほど御説明があったように二十三年当時からほとんどふえていない。  保健所というのは、衛生思想の普及やあるいは結核、疾病、伝染病などの対策、そういう大きな役割を果たしてきたのですが、その結果国民疾病構造は大きく変わってきました。高度経済成長時代を経て国民生活環境も大きく変わったわけですね。そうした社会構造の変化、疾病構造の変化があるわけですね。それにもかかわらず保健所行政は、大筋において高度成長以前の状態にとどまっているわけです。  私は、今の数字というのは、そういう状況の反映ではないかという認識を持っているわけでありますが、大臣いかがでしょう。
  65. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私どもも、保健所というと思いますのは、蚊とハエを撲滅する運動とか、何かDDTを振りまいてくれるのが保健所のような子供のころの思い出がございますが、今では、社会の保健所に対して求めておるものも、まるで変わってきております。ただ、医療機関との関連性ということになりますと、その当時、私ども子供のころは、私の町なんか周りにお医者さんはどのぐらいいたものですか、何かといえば保健所を当てにしたものですけれども、今ではかなり医療機関が、いろいろその当時と情勢が変わってきております。  そういうふうに周辺の条件、環境も変わってきているし、また、保健所に求める社会のニーズも変わってきておりますから、そういう点で、保健所そのものを運営する皆さん、また、我々指導の立場にある者も、何かやっぱり漫然と、もう伝染病もなくなり、蚊とハエも余りいなくなってきておるわけですから、昔の惰性によっておればこれはみずから埋没してしまうのでありまして、やはり新しい時代的要請の中に、名前は同じでも、保健所そのものは戦後発足した当時とまるで変わった新しいものになっていかなければならないという意欲を持つこと、これが一番大事であろうと私は考えております。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 施行令の二条ですがね、「保健所は、人口おおむね十万を基準として設置する」というふうになっているわけです。「おおむね十万」といって、正確じゃないんですよね。これは一体どれくらいなんだろう、幅はどういうふうに解釈するんだろう。これ、二万程度と考えておいてよろしいですか。
  67. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 今お話しのございました「おおむね十万」程度ということでございますが、これも実は若干の経緯がございます。  そもそもこの十万という数が出てまいりましたのは、正確にはわからないんでございますけれども、昭和八年にジュネーブの国際衛生会議で、大体保健所は十万に一カ所ぐらいが適当ではなかろうか、こういう議論が行われまして、そういうものを参考にしたのであろうと思われますが、一方、これが政令で定められます場合に、御案内のように保健所の所管区域の状況は全国一律ではございませんで、交通事情でございますとか、他の官公署でございますとか衛生の状態、その他人口分布、いろいろございますために、地域の事情によって人口の基準によらない場合というものも定めておるわけでございます。  そこで、全国平均で見ますと一カ所平均約十三万五千人でございます。四捨五入で大体十万人に一カ所ということになっておりますけれども、個個のことについて見ますと非常に大きな差があるわけでございます。七十余万人に一カ所のところから、お話にございました二万人欠けるところもございます。  そこで一方、先ほど来大臣がお答え申し上げておりますように、また先生からも御指摘がございましたように、もう一つ、やはりこれからの新しい需要に的確にこたえていくために、機能の再検討を行うと同時に、再配置ということも必要ではないか、こういうことで、都道府県等において検討を進めるよう指導してまいる考えでございます。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 おたくからいただきました資料を精査してみますと、約三分の二の都道府県が、今私が取り上げたこの施行令の人口基準を満たしておりません。さらに、政令市ではすべてが基準以下であります。  大臣、この現状は満足してはいけない現状だと思うんですが、いかがですか。
  69. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 人口もさることでございますが、これはサービス行政ですから、やはり保健所の周辺の交通距離というものも勘案していかなければならないと思いますので、人口だけに全部署る、こういうものでもないかと思いますけれども、しかし、今先生から御指摘のような、いろいろ現在の配置状況というものには非常に多くの矛盾が含まれておることは率直に私どもも、勉強すればするほどなるほどと、こういう問題もある、ああいう問題もあるということを考えさせられるのであります。  したがって政府委員から話がありましたように、これから保健所が新しい機能の中で新しく生きていくということのためには、やはりもう一遍その適正配置というものを全国的に見直すべきかなということを私も考えるのでありますが、これも先生案内のように、やってみまして、ふえる方はだれも文句言ってきませんけれども、減るなんということになったらその地域大騒ぎになりますし、なかなか難しい問題をはらんでおりますので、私は、全く申しわけありませんが、今首を右にかしげ、左にかしげ考えておるところでございます。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 これは厚生省の資料ですが、職員定数も、全国八百五十五保健所のうちに六百五十四保健所が基準の定数を満たしていない。これは局長どういうふうに説明されますか。
  71. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のございました、昭和三十五年に定めました保健所の配置職員数というものがございます。  これは、当時保健所を五つの型別、それからこれをさらに十五に細分をいたしております。そして、その当時の状況から考えまして、上位の四分の一の職員数、これを基礎にいたしまして、望ましい職員数として努力目標として示したものであると理解をしておるところでございます。当時の先輩の労作、こういう細かい分類をいたしましてこうやったということに深い敬意を表するものでございますけれども、先ほど来お話しもございましたけれども、およそ四半世紀を経過した今日におきましていろんな状況が変わっておるわけであります。  それから、先ほど来のお話ではちょっと出ておらなかったかと思いますが、健康需要、保健所に対する需要といいますものは地域によって相当差があると考えております。そこで、地域地域に合ったようなそういう保健所事業を展開していくべきである、こう考えておるのでございますが、そこで、昭和三十五年にそういう細かい作業をいたしましたものが今日そのまま適応するかどうか検討してみる必要があると考えますけれども、どうもそのままでは適応をしないのではなかろうかと思うのでございます。  しかしながら、一方、今申し上げましたような万般のことを考慮いたしましても、何よりもかにょりも大事なことはすぐれた人材の確保でございますので、先ほど申し上げました再配置、再検討とあわせまして、必要な職員の確保につきましては都道府県等に対しまして十分指導してまいりたい考えでございます。
  72. 和田静夫

    和田静夫君 今言われた昭和三十五年の通達、おたくの保健所三十年史の記述を読んでみますと、昭和三十五年当時職員配置の現実的な目標として設定したとしているわけですね。そういうふうにして設定した定数なんですね。そういう定数が今日なお実現されていないというのは、私は問題があると思うんです。二十年前の目標が実現されていないわけですからね、大臣。これはやっぱり保健所行政に力の入れ方が少なかったということですよ。そこのところは、どうですか、率直にお認めになった方がよいんじゃありませんか。
  73. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私、正直に申し上げますと、昔からこの方面は余り詳しい方でありませんでして、先生の方が何十倍も詳しいので、私がお答えして間違うかもしれませんけれども、ただ先生、戦後、保健所というものを見てますと、ある一時期保健所が、戦後の二十年当時に世の中から求められておったもの、これは、伝染病を退治し、また、環境衛生、蚊とハエをなくし、非常に悪かった戦後の生活環境を清潔ないいものにしたり、いろいろ大きな役割をして、その時期の役割は一つ済ましたと、こういうような時代であったのではないかと想像されます。  そしてまた今日、高齢化社会あるいは老人問題等で、特に健康の問題、医療の問題として重要視されて、今また保健所に対するニーズが大きく高まってきた。その中間にちょっとスランプがあって、それが今先生から御指摘のような、もろもろの保健所の何か整備の至らざる状態になっておるような気もいたします。  どういう解釈にしても、今決して、新しい時代にこたえるに十分であるとは言えませんので、これからさらに整備を強化するように努めてまいりたいと思います。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 五十八年十月一日現在の「保健所の型別平均職員数」、これもおたくからいただいたのですが、これで見ると、URのところの充足率、充足していないところが多いですね、これはどういうことでしょうか。
  75. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のございましたように、確かにURの2と3が多うございます。  これがどういう理由がというお尋ねでございますが、まあ中間型でございますから、健康需要というものがそのほかのものと比べてそれほど大きくなかったかなと想像いたしますが、あるいは、当時のこの定数の設定といいますものが多かったのか、ちょっとただいま正確にお答えできませんけれども、御了解賜りたいと存じます。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 それは了解できませんと言って座ってみたところであれでしょうから——とにかくここまでやってきた議論は、保健所の実態が大変貧弱であって、時代の変化に追いついていっていないということが私はお互い立証されたという意味で少し取り上げてきたのです。  そこで、保健所を今後強化していくという厚生省と私との共通の立場に立って、きょうは建設的な議論を展開してまいりたいと思うのです。このお答えいかんによっては採決の帰趨が決まっていくということになっているわけでありますが、いわゆる長期ビジョンの中でも何回か申し上げたんですが、保健所の強化がうたわれてはいますけれども、どうも具体策としては一向に何にもないんですね。局長も先ほど来、これからいろいろなことをつくっていくんだということを言われているんですけれども、強化するのであったならば、何をどのように強化するのか、具体策が私は明確でなきゃならぬと思うのです。強化の具体的方向で、現段階で示されるものがあればお示し願いたい。
  77. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 五十九年度予算で私が幾つか力を入れたものがあるんですが、その一つが老人保健事業でございまして、これも国民の幅広い合意を得ておると思います。  そういうことから私は、新しい時代に羽ばたいていく保健所の事業の大きな部門が老人保健事業、国民の皆さん方の健康を管理して、健康に対する関心を、また正しい認識を徹底させて、将来元気で明るい老人社会をつくり上げていく、これが目標だ、こんなふうに考えております。  また、これに対する具体的ないろいろの施策については政府委員から御答弁いたします。
  78. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) ただいま大臣からお答えいたしましたのが一番でございまして、老人保健事業あるいは母子保健、こういうものは非常に生活と密接な関係がございますので、市町村事業とされておるところでございますけれども、これに対しまして必要な指導及び協力、援助、これを十分行えるようにする。それから、二十一世紀は精神の時代だと言われておりますが、精神衛生あるいは難病対策、こういう高度の技術を要する事業を強化をしていく。それから保健と医療福祉のそれぞれの関係機関との連携をよく保ちまして、総合的な地域の保健医療体制の確立など、機能の拡充を図るよう、そういうことがまた今後の大きな事業になってこようかと思います。  そのためには、大臣から申し上げました老人保健事業推進のための基盤整備といたしまして、保健婦等の計画的な増員等を図っておるところでございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 衆議院の我が党の池端氏の質問に対しての答弁を読みまして、今言われたような四つのことが大体整理をされているのはわかっているのでありますが、問題は、市町村事業への指導や協力を保健所がやっていくということでありますけれども、もう一歩突っ込んで、具体的に何をやっていかれるのですか、これは。
  80. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) これは、地域によりましていろいろございます。  例えば、ある県の県庁所在地ではがんの健康診断を行いますための重装備を備えておりまして、これを開放して市町村と協力をして、そこでもって健康診断を行うということもやっております。また、離島を抱えております県では、船をもちまして各離島、市町村を回って健康診断をやっておる。あるいは保健婦を派遣をする。その他もろもろございますが、老人、成人病予防、母子保健等は市町村の事務として非常に重要なものでありますが、まだまだ市町村の基盤が弱い面がございますので、ある人の説によりますと保健所アメーバ論というのがあるそうでございますが、地域の実情に応じて、その足りないところへ手を伸ばして援助をしていく、こういう考えでございます。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 二つ目の、精神衛生や難病対策などの高度な技術を要する保健サービスと言われているわけですが、これは具体的に何を指していて、それに応じた施設、人員、これが確保されるというふうに見ておいてよいわけですね。
  82. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) ただいまお話しのございました高度の技術を要する保健サービスでございますが、おおよそ三つのグループに分けて考えておるところでございます。  在宅看護、在宅機能訓練の指導、病態栄養指導、遺伝相談、思春期相談、薬物中毒やアルコール中毒の指導、公害及び食品添加物の相談など、専門的な指導や相談を主とする事業、これが一つの範疇でございます。  二番目といたしまして、痴呆老人対策のように、社会的に複雑な問題を有する患者や家族に対する各種援護制度の活用や保健医療福祉、教育、労働等の機関や職種、専門家、ボランティアなど、こういう地域の多くの社会資源の連携活動とそれらの連絡調整、こういうふうな事業。  それから三番目には、各般の保健情報の収集、分析、提供、それから眼底カメラ、心電図、血液、呼吸器等の検査、こういうものを行う、この三つのグループに分けて考えておるところでございます。  そこで、御指摘のございましたそういう高度の技術を要する保健サービスを提供するための施設、人員についてでございますが、必ずしも十分とは思いません。最大の努力をしておるところでございますけれども、残念ながら医師も不足をしておりますが、特に重点事業としてやっております老人保健事業の基盤整備につきましては、五カ年計画で保健婦、精神衛生相談員、PT,OT、そういう人材の充実を図ると同時に、胃がんや子宮がんの健康診断のための機器、機能訓練の機器などの整備を進めておるところでございます。  今後とも、こうした高度の技術を要する保健サービスの充実に最大の努力をいたす所存でございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 医療法の改正によって今後地域保健医療体制を確立していく、その地域保健医療体制における保健所の位置、役割、それはどういうふうにお考えになりますか。
  84. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 地域医療計画につきましては二つのことを追求していこう、一つは包括性でございますが、健康増進から医学的リハビリテーションまでの包括性、それから健康はやはり環境と深いかかわりがございますので、そういうものを含めた包括性、それと社会福祉との連携等についてでございます。  そこで保健所は、ただいまも三番目のカテゴリーとして申し上げましたけれども、従来からこの各種の機関との連絡調整に当たっておりますので、その経験を生かしまして、そういう地域の特性に応じた包括的な保健医療計画を作成し、それを運営していく一つの核としての役割を期待いたしておるのでございます。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 市町村事業との関係で言いますと、厚生省は、市町村保健センターをつくっていくという、そういう方針のようでありますが、この保健センターというのは行政機関でも何でもない、言ってみればただの施設にすぎない。要するに場所ですね。これは厚生省もそういうふうにお認めになるわけでしょう。
  86. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のとおりでございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 そうだとしますと、私は、保健所の質量合わせた強化がまず行われなければならない。幾ら保健センターをつぐられても意味がないと思うんですね。  保健所と保健センターとの関連、そこのところを厚生省はどういうふうに位置づけられますか。
  88. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 保健センターにつきましては、まさに、御指摘のように、市町村が行いますところの母子保健、老人保健、健康教育、健康相談あるいは健康診査、そういうものを実施するための施設でございます。  そこで、その実施の方法でございますが、これは地域によっていろいろあろうかと思います。最近は医療機関の整備も進んでまいりましたので、医療機関との連携のもとにそういう場所で行う、あるいは保健所がそこへ出向きまして技術協力、技術援助を行うということもございます。  そうしてまた保健所は、いろんな医療資源と各市町村との連絡調整、そういうことも行っております。広域的な処理を要するもの、高度な技術設備を要するもの、チームワークを必要とするもの、そういうもの、市町村では実施できない保健サービス、それを行うこととしておるところでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても保健所と市町村との関係といいますものは、これは非常に大切でございまして、今後とも一層有機的な連携を図りながら保健サービスの実施に努めていく必要があると考えているところでございます。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 政令市の場合は、保健所と保健センターとが有機的関連を持って運営されやすいでしょう。ところが、県の保健所の場合は、この有機的関連が非常にできにくいんじゃないだろうか、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  90. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 確かに政令市の場合には御指摘のようなことがあろうと存じます。また、後段の方でございますが、県の保健所でありましても、それは中にはどうも余りうまくいかぬのもあるかもしれませんが、それはもう連携をよくすることが非常に大事でございますので、強く指導をしておるところでございます。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 保健所強化の具体策をお尋ねをしてきましたが、どうもいま一つ不鮮明な印象であります。  そこで、量の面での強化策ですが、保健所の増設というようなことについてどういう展望をお持ちでしょうか。
  92. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) この点につきましては、先ほど来再編成、再配置ということを申し上げておりますが、保健所は衛生行政の第一線機関でございまして、市町村との関係におきますところの健康診断、栄養指導その他の人を対象とする事業のほかに、環境衛生あるいは公害、そういういろんなものもあわせて扱っておりますところの総合的な第一線の行政機関でございます。そこで、都道府県等が人口規模、地理的条件、保健医療資源の状況等を総合的に勘案いたしまして、保健所の再編成を行う場合にはその状況を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 私は、思い切って政令市を拡大する、例えば人口十万以上の都市はすべて政令市とするぐらいの大胆な保健所強化策を打ち出すべきではなかろうか、常日ごろそういうふうに考えているんですが、いかがでしょう。
  94. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、また今もお答え申し上げましたが、十五万以上の都市全部というのは行財政能力からいっていかがなものであろうかと考えるのでございますが、都道府県と当該市と協議が相整いまして、そしてその市が十分そういう衛生行政の第一線の総合的な機関としての保健所を運営する能力がある、こういう場合には、前向きに検討してまいりたい考えでございます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 これは大臣、今局長答弁されたことなんですが、私は、厚生省行政当局というのは、量の上でも質の上でも、ずっと充実させなきゃならぬとお考えになっていると思うんですよ。ただ、一方では行革がある。政府部内の一方に気兼ねをしなきゃならぬというようなこと、そういうことが基準になるのではやっぱり困ると思うんですね。そこのところは大臣、しっかり見てもらいたいと思いますが、いかがですか。
  96. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は、行財政の改革というのは、これは時代的に不要になったり、余り存在理由が強くなくなったり、そういうものを改革していくことであって、そのことは逆に、これから新しい時代的な要請の強いものに対しては拡充していくと、こういう意味でありますから、国民の健康を守るという崇高な使命を持つ厚生省をお預かりして、ただ一律に、行財政改革であるから必要な行政機構まで要らないというような気持ちでやる考えは全くございません。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 自主的、弾力的運用を地方自治体がやりやすいようにするというのが提案理由であります。そこで、自治体が増設の意向を示したときは、その意向が尊重される、総括的に今までの答弁をそう承っておいてよろしいでしょうか。
  98. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) そのとおりでございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 逆に、地方自治体が自主的、弾力的運用をして、保健所数を減らすということも考えられるわけでありますが、局長、その場合、厚生省の判断基準というようなものはどういうものですか。
  100. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) お話にもございました自主的、弾力的ということでございますが、それの基礎には、地域地域によりまして健康需要の大きさ、それからその態様が違っておるということがあるわけでございます。そこで、県あるいは市が、その地域の事情によりまして保健所行政というものをどういうふうに進めていくか、お考えになるわけでございますけれども、私どもといたしましては、そのことが保健所行政、健康行政の低下につながるということがあってはこれはもういけませんので、そういうことがないように指導をしてまいりたいと思います。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 保健所の設置につきましては、大臣も何遍も言われましたように、人口だけが基準ではないということはわかります。しかし、交通事情その他の要件を考慮するとしましても、基本的な基準というのはやっぱり人口だろうと思うんですよ。対人口比、十五万とか二十万の都府県あるいは政令市というものは増設の必要が私はあると考えます。幾ら交通事情がよくても、人員に限りがあれば対応できないことは往々にして生ずるだろうと思うからであります。  医療施設が完備しているからといってそれが保健所にかわる機能を十分に持ち得るというふうには考えられない。したがって、自治体の意向を尊重しつつ基本的にふやしていく必要が、私は施行令二条からしても存在していると考えているわけであります。これいかがでしょう。
  102. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先ほども申し上げたのでございますが、やはり保健所ができたときに保健所に求められたニーズと今日保健所に求めておる国民の期待というものは、質的にも大きく変化してきておるのでありますから、したがって、保健所の機能というようなものも変わっていくのでございますから、やはりこういう時期に適正配置というものは考えていかなければならない、これに取り組んでいかなければならない。  ただ、適正配置ということは、ふやすということだけであればこれは抵抗はございませんけれども、適正配置というものを科学的に調査検討してくるということになりますと、ここはやっぱりだれが考えても、ふやさなければならないなというものが出てくると同時に、一方この辺はもう、二つあるものを一つにしていいのではないかというようなものも出てくるかもしれません。その面ではまた大きなそれぞれの抵抗が出てまいりますので、その辺のところをどういうふうに調和させていくか、それぞれの地域の皆さん方にどう御理解をいただくかという、今後に問題は残しておると思いますが、先生指摘の問題は私もなるほどと考えておりますので、これらの面では積極的に前向きで検討してまいりたいと思います。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 この改正案本体の、交付金化について伺いますが、厚生省は、そもそもこの交付金化には反対だったわけでしょう。
  104. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 保健所の運営費につきまして、交付金化と言いますよりか交付税化、一般財源に回すべきである、こういう御意見がありました。そのことにつきましては、一般財源化いたしますと、やはり先般来の御意見のような、また私ども考えのような、保健所の機能を充実強化していく、一定の水準を確保するということができるかどうか。また、そういうことを心配する一部の関係団体の反対もあったわけでございます。  そこで厚生省といたしましては、一般財源化、つまり交付税化というのは、これはやはりどうも適当ではない、そう考えたわけでございます。一方、事務の簡素化、それから人口構造が地域によって違う、あるいは環境も違う等によりまして、地域の特性に応じた自主的、弾力的な運営を保健所がやりまして、地域、市民、県民の要請に的確にこたえていくためには、やはり自主的、弾力的な運営ができるような補助金がよろしいのではなかろうか、こういうことで、この交付金という補助方式に改めることにしたわけでございます。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 交付金化することによって保健所職員の定数の基礎というものがなくなるわけですね。その点では自主的、弾力的運営にゆだねられるということになるわけですが、しかし、自主的、弾力的に必要定数を下回る自治体が出てまいらないと言えなくもないでしょう。その場合どうしますか。
  106. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) その点が実は非常に大きな課題でございます。  従来の定率補助でございますと、職種などを細かく決めまして定率で補助しておるわけでございますので、自主的、弾力的な運営に難があるとはいいながらその線だけは確保されておる、こういうことでございますが、その基礎がなくなる、これはもう御指摘のとおりでございます。一方、健康に対する需要というのは、これはこれから一層非常に大きくなってまいりますから、一つは、まさか従来やっておることをやらなくなるようなところはないであろうと思うこともございますし、一方、交付金化に当たりまして、先ほど大臣からお答えいたしましたように、三十五億円の増額の措置を図りましてそういうことのないようにいたしておるところでございます。一方、また、特別交付金として、計画的に増員を図る老人保健の基盤整備につきましては毎年増額をしていこう、こういう考えでございます。  そういうこととあわせまして、いやしくも保健所行政の水準が下がるようなことのないように強力な指導をしてまいる考えでございます。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 大臣も言われましたように、交付金化に伴って三十五億円を増額した。私は非常に心配になるのは、六十年度予算ではよもやこの増額分が削られるとかあるいは横ばいになるとかということはないでしょうね、これ。
  108. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 六十年度予算の概算要求、これから本格的に八月三十一日までにいろいろ検討を加えておるところでございますから、今ここでどうこうとその内容について明確に申し上げるまでには至っておりませんが、もとより先生御心配のお考え方、私も全く同じ考えてありますから、そのようにならないように努力してまいりたいと思います。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 まあ大臣を信用しておく以外にないんですが、当然増三千億円削り込むわけですからね、今度の要求基準額。それに保健所関係費が入るというのじや、これはもうたまったものじゃないわけでしてね。心配しなくてもいいと、おまえそんな心配しないで任せておけということでよろしいですね。
  110. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先生から何度も、厚生省の予算編成における非常に苦しい立場というものに御心配をちょうだいしておるのでありますけれども、これは全くそのとおりでございまして、かなり私どもの要望が基準設定に当たっては大蔵省に理解をさせたとはいえ、私どもやはりいろんなことを検討をして、六千五百億程度はどうしてもこれはもらわなければならないと考えておったものが四千百億しか認められない。しかも、その中でまた当然減というものが引かれてしまって、五十九年度に比べて三千四百二十億程度の増という基準の中で予算を組まなければならないわけですから、今先生指摘のように三千億、これから急仕事が残っておるのでございます。私もきょうまで健康保険法案を通過させていただくことで日夜頭を悩まし、やっとこれが終わりましたら、今度はこの三千億の内部における切り込みということで、どういう因果か、一番骨の折れる、おしかりを受けなければならない大臣になってしまって、これは国会が終わって、息つく暇もなくこの予算の作業に入らなければならないわけでございます。  そういうことから、これから厚生省の内部の諸君に向かって三千億の節約をお願いしなければならないのですから、その出発に当たって、ここだけはもう例外というようなことを明確にするのもどうかと思いますが、しかし、やはりこれから厚生行政をお預かりする私の一番大きな仕事は、国民の皆さん方の健やかな健康を守ることであろう。その健康を守るためのこれは予算でありますから、できるだけ尊重をするように努力してまいりたいと思います。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 そこのところは非常に期待しておきます。  国民疾病構造の変化に応じた保健所のあり方という問題に立ち返りますが、私はまず一般論として、保健所が、成人病対策に積極的に取り組むという姿勢が必要であると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  112. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のとおりと存じます。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、老人保健事業の各種健康診査における保健所の位置ですがね。かなり低い実態になっていますね。これは実態の報告はできましょうか。
  114. 水田努

    政府委員(水田努君) お答え申し上げます。  老人保健の事業は、五十八年度が実質的な初年度ということでございまして、循環器関係の一般健康診査というのは、市町村で老人福祉法時代から経験をいたしておりましたが、老人保健制度ができまして新たに付加されました胃がん検診、子宮がん検診というのは、従来県の事業であったものが市町村レベルにおりたということもございまして、五十八年度の実績はまだ最終的に出ておりませんが、五十八年度の予算で予定しました事業量は、市町村の出しております計画量と比較しますと、全国レベルではほぼ見合っておりますが、個々の市町村の間で見るとバラつきがあるということと、それからやはり県の事業から移ってまいりました胃がん検診がかなり成績が悪い、全体的に見ればほぼ予算で予定した事業量は達しておる、私ども、これが大体五十八年度の市町村の事業の実績ではないかと見ております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 保健所における成人病の健康診断実施状況、これは増加傾向にもありますね。ありますが、全体の健康診断は減少してきているという数字になっているんじゃないでしょうかね。  ということは、成人病以外の健康診断が急減しているということでしょうか、ここのところは。その急減した成人病以外の健康診断で浮いた分を成人病の健康診断が十分にカバーしていない。トータルで健康診断が減少していくのではないかと考えられるんですが、言いかえれば、保健所はもっと成人病の健康診断に力を入れることができるということを一般的には意味しているのではないかと思うんですけれども、この点はどう考えたらいいですか。
  116. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) ただいまお話しのございました件でございますけれども、保健所は、今の成人病の健康診断につきましては、市町村を援助することが主体でございます。ただ離島とか僻地、そういう市町村の自治体制の整わない地域につきましては代行をして行う、こういうこととしておるところでございます。  具体的には、保健所管内の関係者による老人保健連絡協議会を通じての保健事業実施計画を策定する。保健所の医師、保健婦等の派遣等によって援助を行う。保健所施設設備の供用をする。市町村保健婦等に対する研修を行う。関係団体の協力の確保、その他地域の実情に応じた指導援助等を行うこととしておるところでございますけれども、市町村の力がだんだんついてまいりまして、例えばその他の医療機関に健康診断を委託する、こういうことになりますると、保健所は、先ほど申し上げました精神衛生でございますとか、難病でございますとか、その他高度の技術を要する仕事がたくさんございますので、全体として見れば、保健所の事業がふえておると思うのでございます。  しかし、成人病はかつての結核にかわる重大疾患でございますので、今後とも一層の努力を傾注すべきものであると考えております。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 がん検診が実施できる保健所というのは幾つぐらいあるんですか。
  118. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) がんの検診でございますけれども、これは従来は御存じのように検診車を中心として実施をしてきたところでございます。しかし、御指摘のございましたように成人病対策の重要性にかんがみまして、老人保健事業五カ年計画に基づいて保健所でも実施することができるように、五十七年度から、保健所の機能強化としてがん検診機器の整備の補助を行ってきておるところでございます。  そこで、五十九年度末までに胃がんにつきましては三十五保健所、子宮がんにつきましては四十一保健所に整備されることとなっております。  なお、従来から行われておる検診車による検診につきましても、都道府県、指定市、もう直接実施しているものがございますが、これにつきましては今後ともこの方式を継続する予定でございます。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 これ、やっぱり非常にお寒い数字なんです。保健所が成人病対策の実施機関として明確に位置づけられてこなかったことによるように思われるんです。胃がん三十五、子宮がん四十一なんていう数字ですから。  そこで、保健所を成人病対策の中にきちんと位置づけるという決意を示すために、私は保健所法第二条の事業内容の中に新たな柱を立てる必要があるのではないだろうかと思っているんです。すなわち、成人病予防に関する事項を明記をする、そういう必要があると思うんですが、大臣どうですか。第二条の十号の「結核、性病、伝染病」の後に、いわゆる成人病という、そういう文言をつけ加える。それが先ほど来大臣が言われる時代的な要請だと私は思うんですよ。  まあここで作業して、修正してもう一遍衆議院に送れなんていうことを今言いませんが、約束ぐらいしておいたらどうですか、これは。
  120. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) この成人病予防に関することでございますけれども、現行法によりますと、関係の深い老人の衛生というのがございます。それから十に、「結核、性病、伝染病その他の疾病の予防」、「その他の疾病」ということでは不十分である、こういう御指摘かと存じます。  そこで、成人病の例えば健康診断について見ますと、先ほど申し上げましたように、保健所によりましては重装備をいたしましてそれを開放しておるところもございますが、がんとか高血圧の診断技術というものが年々進歩をしておりまして、それからまた、医療機関がかなり発達してきておりますので、かつての結核のように、結核対策に保健所が非常に大きな役割を果たしましたけれども、そのときはもうほかの医療機関は保健所の足もとにも及ばなかった、そういう実力を持っておったわけでございます。また性病につきましても、医療機関が足りませんで、代用診療所と言っておりましたが、性病の実際の治療も行っておった、こういうことがあるのでございます。伝染病もそうでございます。伝染病もこれはもう保健所が中心になってやったのでございます。  そこで、成人病の場合に医療機関との関係でどういうふうに位置づけるかという問題があろうかと存じますが、いずれにいたしましても、御指摘のありました、成人病対策を保健所がもっともっと力を入れてやるべきである、このことには全く同感でございますので、第二条を改正するのが適当であるかどうかも含めまして、研究をさせていただきたいと考えます。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 局長があれだけ答弁されましたが、大臣、一言あれば伺いたい。
  122. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 和田先生に、最後のきようぐらいは、歯切れのいい答弁をしたと言われたかったのでありますが、これは相談してみまして、もう少し研究をさせていただきたいと思います。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 研究の結果が私が求めた方向で出ることを強く期待をしておきます。  職員の確保についてでありますが、医師の確保に特段の工夫と配慮が必要であろう、そういう必要性が高まっておると思うんですがいかがでしょう。
  124. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 全く同感でございます。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 何か方策はお考えですか。
  126. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 保健所に働く医師が少ないこと、これが保健所行政をやる上の最大の悩みなのでございます。  客観的な情勢といたしましては、かつての甚だしい医師不足という状況が改善されてきつつございまして、私ども厚生行政にも、やってみたいという若手の医師もふえてきております。そこで今後に大いに期待をしておるわけでございますが、さて、そこで具体的にお尋ねのございました方策でございますけれども、例えば修学資金の貸与というのをやっておりますが、なかなか充足ができない。また、大学の医学部と保健所が共同で行う調査研究の実施をいたしておりまして、大学が学生に衛生行政に対する興味を起こさせる、このようなこともやりております。それからまた、衛生学公衆衛生学教育協議会というのがございますが、こういうところを通じまして大学との連携の強化を図る、このようなことも大事かと思っております。  これまで私の経験では、どうも医学生が、保健所に勤めて極めて有意義な仕事ができるということを知らないのが多いようでございます。最近参りました若い学生も、ポスターで見て知ったがどうかと言ってきたのもございますので、こういう仕事の重要性、非常に興味のある仕事であるということ、そういうことを医学生によく周知を図る、これが迂遠のようでも着実な方法ではなかろうかと考えておるのでございます。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 保健所問題の最後ですが、保健所の業務に関する問題として前にも問題にしたことがあるんですが、歯に対する、弗素の歯面塗布ですが、この問題は、依然として一部自治体で公費によって弗素の歯面塗布が行われています。  弗素については、最近、染色体異常を引き起こしたとするそういう研究報告も行われているわけであります。東京医科歯科大の「フッ素研究」八四年七月のナンバー五なんかはそのことを指摘していますが、厚生省としても、私が指摘してからかなりの時間もたっていますし、そろそろ明確な結論をお出しになってしかるべきではないだろうかと思っているんですけれども、いかがでしょう。
  128. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 確かに昨年の五月に商工委員会でもこの問題についての先生から御指摘がございました。  弗素、弗化ナトリウムの発がん性の問題につきましては、先生の昨年の御質問の前の五十七年の八月にも日本歯科大学の筒井助教授の研究報告があったわけでございますが、これはハムスターの胎児細胞を用いて発がん性についての検討をしたという報告でございます。これにつきましては、早速中央薬事審議会の調査会でも御検討をいただきましたが、再現性に問題があるということで、なお発がん性の問題については判断できないという御意見でございました。これは昨年の答弁でも申し上げておるわけでございますが、その後米国でも実験報告がなされております。  ところが、この実験報告につきましては、弗素成分というのは天然自然の中にも入っておりますために、それを除いてという研究がなかなか難しいということで、実験はありましたけれども、実験方法に問題がありということで、アメリカでもこれはまだ発がん性の問題については判断はできないということで、さらに実験のやり直しがなされているという状況でございます。  それから、我が国におきましては、今薬事審議会でこれは再評価の指定品目になっておりまして、再評価の調査会で検討をいただいております。いろいろな文献があるわけでございますが、そういったものも含めまして今検討をいただいております。  ところが、先生案内のように、この弗化ナトリウムにつきましては虫歯予防に効果的であるということでWHOも推進をしておりまして、これは世界各国が使用をいたしております。世界各国とも現在のところ問題はないということでございますが、しかし、一部の研究者の間でも発がん性について疑問がありということなので、これは慎重の上にも慎重を期すということで、私ども中央薬事審議会でも御検討をいただいておるわけでございまして、現時点で申しますれば問題がないということでございますが、さらに注意深く今後も検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 今お進めになっている薬事審議会の再評価といいますか再検討、結論はいつごろまでにお出しになるわけですか。
  130. 正木馨

    政府委員(正木馨君) この再評価の調査会は五十五年度から実施をされておりますので、もう四年余りになっております。これはかなり時間がかかり過ぎているんじゃないかという御指摘かと思いますが、現在までに十九回やっております。それはいろいろな弗化ナトリウムについての文献がございます。千三百ぐらいの文献があるということでございますが、その中で弗化ナトリウムそれ自体の有効性、安全性の問題と、それから至適濃度といいますか、一体どの程度の量を使うのが適当であるかといったしうな問題、非常に幅広い問題がございます。それから発がん性の問題についても最近指摘がされておるというので、そういう点も含めましていろいろ御検討いただいておりますが、まだ現時点におきましていついつということは申し上げられませんが、いよいよ最後の検討段階に入っておるということで、もうそれほど長期に時間がかかるということはないんではないかということで御審議をお願いしておるわけでございます。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 労働省、自治省、前回に引き続いてまたお待たせをしてしまいましたが、廃棄物等の問題入ろうと思ったんですが、それに入るとこれからまだ小一時間かかりますから、きょうはやめておきます。
  132. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に関係する問題を、若干、残された時間質問をいたします。  昭和五十九年度予算における戦傷病者戦没者遺族等援護法対策の概要について、二、三伺っておきます。  まず、戦没者の遺骨収集についてであります。予算には三億一千四百万円計上されていますが、この戦没者の遺骨収集の実施状況と今後この遺骨収集問題をどのように進めていこうとされているのか、御説明をお願いしたいと思います。
  133. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 遺骨収集でございますが、戦後二十八年から五十年度にかけまして、年次計画によりまして三回の遺骨収集を行ってきたわけでございますが、五十年度以降は、その後も新たに遺骨があるというような情報も寄せられるわけでございまして、そういう情報に基づきまして、確度の高い情報があるところについて遺骨収集をやっておるというような状況でございます。  それで、五十九年度のお尋ねでございますが、今三億一千四百万円という御指摘がありました。これは遺骨収集だけじゃございませんで、遺骨収集なり慰霊巡拝、慰霊碑建設ということで、要するに私ども慰霊事業と言っているわけでございますが、遺骨収集につきましては、五十九年度マリアナ・トラック諸島、フィリピン、ソロモン諸島、沖縄、硫黄島、この五カ所を予定しておるわけでございまして、トラック諸島についてはついこの間沈船の遺骨収集を終わりました。硫黄島につきましても第一回目の遺骨収集は終えたところでございます。
  134. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その遺骨収集の問題なんですが、戦場になったところで漏れなく遺骨収集は今行われているんですか、まだ行われていないところもあるんですか。
  135. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 戦没者の数二百四十万と言われておりまして、そのうちこれまでに、大ざっぱな数で申し上げますと百二十万柱ばかり収集は終わっております。したがいまして、約半分残っておるわけですけれども、その中に、海没しての御遺骨が約三十万ございます。  そのほかに、今すべての戦場で遺骨収集ができるのかというお話でございますが、例えば、ソ連とか中国本土、インドネシア、そういう地域につきましては、遺骨収集といいましても、要するに相手の国にお願いして、そこへ入っていって遺骨収集をやるわけでございますから、了解が得られない国については主要戦域であっても遺骨収集ができないというようなことでございまして、百二十万残っております遺骨の中で、現在可能な地域における御遺骨というのは大体五十万というふうに私ども推計しております。
  136. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ソ連とかモンゴル、そうしたところについては遺骨収集ができていないが、しかし墓参というふうなことが別途行われているようですが、私よく知らないのでお尋ねするんですが、今、遺骨収集も墓参も全然行われていないところが朝鮮民主主義人民共和国ではないか、ここには何らそうした問題について手が差し伸べられていないんですか。何かあるんですか。
  137. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 朝鮮民主主義人民共和国は戦場になっておりませんので、今までそういう遺骨収集なり慰霊巡拝なりそういうことをやったことはございませんが、今のところも、そういう意味でのお話、御要望というのは、私どもは聞いておりません。
  138. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは次に、引揚者等援護に五億四千四百万円計上されていますが、その中の中国残留孤児対策の問題についてお伺いをいたします。  本年度の取り組みについてまず初めにお伺いしておきます。
  139. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 中国残留孤児の問題は、大きく分けまして、要するに肉親捜しというのが一つございます。それで肉親捜しの結果、肉親が見つかった孤児が永住帰国をする場合に、こっちへ帰ってまいりましてやはり言葉が不自由、生活慣習が全然違うということで、その定着化対策をどうするかという問題が第二点。それからこちらに永住する際に、四十年近く養ってもらいました養父母を向こうに置いてくるわけでございますから、その養父母の扶養をどうするかという問題、大ざっぱに言ってこの三点があろうかと思います。  この残留孤児の肉親捜しにつきましては、これまで五回の訪日調査を行いましたほか、マスコミを使った一般公開調査等を行っておりますが、その結果、肉親捜しの要望の出ております千五百五十名程度の方につきまして、七百数十名の方はもう既に肉親が見つかっておるわけでございます。それで、ことしは第六回目の肉親調査としまして、百八十人の残留孤児を日本に呼んで肉親捜しをやりたいということを考えておるわけです。  それと、定着化対策につきましては、ことしの二月に所沢に定着促進センターというのを設けまして、そこで四カ月の集中的な言語教育なり生活慣習に対する、何といいますか、指導というのを行っております。そのほかに、そこを終わりまして地元へ帰りましてからは、生活指導員を派遣して相談相手になる、そのほか職業指導、職業訓練、職業あっせん等も行いたいというふうに考えております。  第三点の養父母の問題でございますが、これはことしの三月に中国側と交換されました口上書によりまして初めて取り決めが決まったわけでございまして、どういう範囲の肉親に対してどういう方法でどれくらいの額をお払いするかという具体的な方法については、現在、中国側と協議中でございます。
  140. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、概略説明をいただきましたが、中国残留孤児問題についてはいろいろ難しい問題がございます。私も昨年二度中国を訪問しまして、現地の皆さんともいろいろこの問題について話し合いをしてきました。  そこで、七月三十日に中国政府孤児問題担当官が来日されて、きょう帰国をされるように聞いております。この滞在期間中、恐らく中国残留孤児の問題についていろんなことが話し合われたと思うんですが、差し支えのない限りここで御報告を願いたいと思うんです。日本と中国との間でどのような問題が話し合われたのか。そこで懸案になっておったことで解決できたものがあれば、どういうものが解決できたのか。あるいはまた、今後残された問題はどのようなものがあるのか。先ほど言いましたように、私たちもしばしば中国を訪れたり、中国の方と話し合う機会がございますので、そうしたことについて御報告をいただければありがたいと、このように思います。
  141. 入江慧

    政府委員(入江慧君) このたび中国政府並びに東北三省の政府機関で中国残留孤児問題を担当しておられる方が十名いらっしゃったわけでございますが、今回の訪日の目的といいますのは、こちらに永住帰国しました孤児がどういう生活をしておるかということを視察するという、要するに向こうとして、こちらの援護施策の現状を養父母の方々が、四十年育てた子供が日本へ帰ってどんな生活をしているだろうか、非常に心配しておる。したがって、日本へ行って実情を調べてきたいというのが主目的でございまして、したがいまして、わずか九日間の間でございますので、主として厚生省及び外務省、法務省から援護対策の実情を御説明しました。また、財団法人の援護基金からもこれからやろうとしているようなことをお話ししたわけでございまして、その後はその目的に従いまして所沢にありますセンターの視察、あるいは江戸川区にあります職業訓練校の視察、実際の永住帰国しました孤児との面接、ボランティア団体等との意見交換ということでございまして、今おっしゃいましたような私どもとの難しい交渉とか協議というふうなことは実を申しますとなかったわけでございます。  ただ、春に締結しました口上書に盛られておる事項でまだ具体的に内容が詰まっておらない事項、先ほど申し上げました養父母に対する扶養費の問題でありますとか、あるいは今度の口上書で親が見つからなくても永住帰国をしたい孤児は日本に帰れるような道が開けましたので、そういう問題についてどうするかということを、五月の段階で私どもも中国側に私どもなりの考え方というものを投げかけておりますので、それに対する回答をできるだけ早くいただきたいということを申し上げまして、それについてもできるだけ早く回答するということでございました。  短い期間でございましたけれども、こちらの援護対策の実情というのを知ってもらいまして、今後の孤児対策が円滑に進む一つのかなり大きなきっかけができたのではないかというふうに私ども考えております。
  142. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今も出ました中国残留日本人孤児問題の解決に関する日中間の協議の問題です。私のいただいている資料にもそれがあります。その中で、今出てきました日本に永住した孤児が中国に残る養父母に対し負担すべき扶養費の二分の一は日本政府が補助する、あるいは扶養費の標準額支払い方法等については日中双方が別途協議する、この問題が残っているというふうなことではないかと思うんですが、結局この問題の一番難しい問題は一体何かということを端的にひとつ私に教えていただけませんか。懸案として非常に難しくなっている問題というのは。
  143. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 結局今詰めておりますのは、どういう肉親の方にお払いするかということ、範囲でございますね、範囲と、幾らお払いするかということと、どういう方法で払うかということでございまして、予算は実際に五十九年度予算に計上してあるわけでございますから、そこさえ解決すればすぐにでもスタートするわけですが、向こうでどういうことを検討しておられるのか、ちょっとそこまで突っ込んだ話を今度はいたさなかったわけでございますが、恐らく額をどうするかというような問題が一つの問題ではないか。それと、あと送金の方法でございますね。御存じのように、扶養費の額は国費が二分の一でございますけれども、あと二分の一は民間の善意の寄付金によっておるわけでして、そういう扶養費をどういう経路で送るかというふうな問題が向こうで検討されているのではないかというふうに推測いたします。
  144. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 主として中国側の検討が問題であるというふうな御答弁でしたけれども、これは厚生省として、また援護局として、やはり一日も早く解決すべき事項だというふうにお考えだと思うんですが、解決の目途をどのあたりに置いておられるんですか。
  145. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 私どもは、冒頭に申し上げましたように、これは大きな三つの柱の一つでございますから、できるだけ早くしていただきたいということで先ほども申し上げましたけれども、三月十七日に口上書を結びましてから五月の初めにはこちらの考え方を向こうに投げかけておるわけでございます。それで、今回こっちにおいでになったときにこの問題のお考えをできるだけ早く聞かせてもらいたいということで、向こうは、要するに了解してお帰りになります、きょう帰られるわけですから。帰って至急検討してもらえるのではないかというふうに期待しております。
  146. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 昭和五十七年六月十六日に援護局が発表された「中国残留孤児生活実態調査の結果」というのがあります。これを見ると幾つか気になる問題点もあるんですが、特に一つだけお伺いをしておきます。  やはり、日本語ができないこと、これによって就職ができないという人が不就労の中で一番多いとか、あるいはまた、残留孤児の皆さんが感想とか意見、政府に望むことというふうなことを求められると、その中でやはり多いのが日本語教育を十分に行ってほしい、あるいはまた、帰国前に日本語の勉強をしておくべきであるというふうな意見が出されていまして、これはもうだれしもが考える当然のことであろうと思います。  そこで、帰国前の日本語教育、あるいは帰国後の日本語教育、先ほどもセンターをつくってそこで四カ月間やっているんだというふうに言われておりますが、これは所沢という一定の限定されたところであって、だから日本語を勉強するために住居を変えなければならぬというふうなことも調査の結果出ております。完璧な体制はできないでしょうが、やはり帰国された孤児の皆さんの要望に何とかこたえられるような体制をつくっていくべきだと思うんですが、帰国前の日本誌教育、また帰国後の日本語教育の問題について、今改善しつつあること、その対策を練り、そして条件を整備しつつあること、そういうものがあればお聞かせ願いたいと思います。
  147. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 確かに、生まれたときから四十年間日本語じゃない世界で育っておりますので、言語といいますか、日本語が非常に大きな問題であるということは御指摘のとおりでございますが、就労状況について申し上げますと、今御指摘の五十七年の調査によりますと、孤児本人のうち就労している者の割合は、男性で七二%、女性で二二%ということになっておりまして、また、孤児の配偶者の場合は、男性が五四%、女性が三六%が就労しておるということでございますが、就労していない人間について、なぜ就労できないのかという理由の一つに、確かに今お話しのように、日本語が不自由だということがあるわけでございます。  それで、ただいま、こちらへ帰国前の日本語教育ということでございますけれども、こちらに訪日調査で参りまして肉親が見つからなかった孤児の方、あるいは見つかった方もそうですが、一応向こうへ帰国するわけですけれども、そのときには、日本語のテープカセットと、要するに音が出る機械とテープを渡しているわけでございますし、今度もこちらへ参りました十名の方がお帰りになるときには、テープと日本語教育に関する材料をお渡ししておるわけですけれども、向こうで事前に勉強してほしいと思いましても、やっぱり皆さん毎日忙しい生活しておられますし、なかなかやはり、それは個人差が非常にあるわけでございますが、現にこちらへ来られた方の中でも向こうでひそかに勉強してこられて、来られたときからかなりの程度の方もおられますけれども、大部分の方はそこまでいっておられない。ただ、こちらで四カ月間の研修を見ましても、やっぱり非常に個人差というのがあるわけでございまして、私どもとしては、そういうふうにテープなり機械をお渡しして勉強する機会は、何といいますか、皆様方に提供しているということでございます。
  148. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間がありませんので、この問題だけにかかっておるわけにまいりませんから、厚生大臣、中国残留孤児問題というのは非常に歴史的な意味を持つ大切な仕事だと思います。それで、厚生省が五十九年の三月十七日に中国との間で協議して今後の一定の方向を決めた。このことは非常に大事な意味のあることだと思うんですが、やはりその中で一番の問題が中国に残る養父母の問題。これも、中国に行きましても、現地での話はこの問題に一番焦点が絞られてくるわけでして、双方、これは金の問題でございますからやはりいろいろ難しいことがあろうかと思いますけれども、一日も早く中国側の意見をまとめてもらって、そして厚生大臣の方でできるだけ早く、養父母問題という最も基本的な問題が一日も早く解決するように御努力を願いたいというふうに私は思うんですが、厚生大臣として、養父母に対する扶養費の問題等々にかかわって、今後積極的に対応して一日も早く解決をじていただきたいという要望を申し上げ、それについて厚生大臣の所見をいただいておきたい、このように思うんです。
  149. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは、本岡先生から御心配をいただいて大変ありがたいことだと思っております。我々の国にも、「生みの親より育ての親」と、これはとうといとうとい教訓でございまして、あのまさに戦後の困難なときに、置き捨てられてしまった我々の同胞を四十年近い長きにわたって育ててくれた、しかも当時は敵国の子供たち、これを育ててくれた、この育ての親の恩情に対する感謝の気持ち、これは今日繁栄と平和の中で生きておる日本国民すべてが感謝しなければならない問題でありまして、今御指摘のような問題等を含めて遺憾なきを期するように努力してまいりたいと思います。
  150. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 関連して、満蒙開拓青年義勇隊員の問題について一問だけ伺っておきます。  終戦までに渡満した隊員は約二万二千八百人というふうに言われています。私的な話も織りまぜて申しわけないんですが、実は、私の父も、昭和十八年に満蒙開拓青年義勇隊の神戸中隊長として神戸市内の尋常高等小学校の卒業生、十五歳、十六歳の少年を二百名引き連れて、当時の満州の牡丹江の近くの一面坡というところに入植をしたのであります。終戦後この青年たちを、想像に絶する、死と隣合わせのような難関を乗り越えて日本に連れて帰ったんですが、私の父は残念ながら、その当時の満州の風土病に侵されまして、帰っても病気のままで回復せず、治療の方法も日本では見つからぬということで死んでしまいました。それだけに私は、個人的にこの義勇隊問題について人一倍関心が強いのであります。今審議しております援護法をずっと見ておりますと、満州開拓青年義勇隊員の問題が出てまいりますので、一言だけその点を質問をしておきたいと、こう思ったわけです。  それで、お聞きしておきたいのは、この援護法のもと、満州開拓青年義勇隊員が、現在どのような適用を受けているのかという具体的な事例だけをきょうはお聞かせいただいて、またこれからいろいろ勉強もしてみたいと思いますので、現状をひとつ教えていただきたいと思います。
  151. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 今御指摘ございましたように、満州の青年義勇隊員約二万二千八百人でございますが、この青年義勇隊員が三年間の訓練を経まして義勇隊開拓団の団員になるわけです。この両者含めました統計しかございませんので、御質問にぴたりとしたお答えにならないで恐縮なんでございますが、青年義勇隊員が二万二千八百人、それと、訓練が終わった開拓団員が六万四千人おったわけでございますが、このうち援護法でどれくらいの者が処遇されているかという数字を両者含めまして申し上げますと、障害年金が六十七件、遺族給与金が二千四百二十二件、弔慰金が三千四件ということになっておりますが、恐縮でございますが、この中で青年義勇隊員がいかほどで開拓団員がいかほどかという内訳はありませんので、御了解いただきたいと思います。
  152. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今のは、義勇隊員とそれから開拓団の人たちのトータルの数字でしたが、急にとは言いませんが、もし、その義勇隊員と開拓団の人と、それぞれの件数を分けることができれば、そしてまた、特に義勇隊の隊員がどの場所でそうした状況になったのかというふうな問題について、もう少し解明した資料を私に教えていただければと、こう思うので、今でなくてもよろしい、一年かかっても二年かかってもよろしいから、ちょっとそういう事態を、先ほど言いました個人的な関心もあるものですから、できればひとつ分析をしていただけたらと思うんですが、いかがですか。
  153. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 数字の内訳は恐らく無理じゃないかと思いますが、義勇隊の方が東北三省のどの辺でどういうことをやられたのかというのは、もしかするとある程度わかるかもしれませんので、それは調べまして御報告したいと思います。
  154. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 附帯決議に、参議院の方は出ていないんですが、衆議院の方の附帯決議を見ておりますと、去年、おととしと二年続けて、「満洲開拓青年義勇隊開拓団については、国境及び満鉄警備等に関する事実を調査するため、関係者と連絡を密にし、一層資料の収集に努め、問題解決のため努力すること。」という項があるんですね。これは一体何をせよというんですか。「問題解決」というのはどういう問題を解決せよという附帯決議なんですか、ちょっと参考のために教えていただけませんか。
  155. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 援護法は、軍人軍属あるいは準軍属の方々が、本来の業務といいますか、公務に関連して傷を受けたりあるいは死亡したときに援護する制度になっております。ところが、今話題になっております青年義勇隊あるいは義勇隊開拓団というのは、本来の業務は農耕作業といいますか、要するに開拓する業務でございます。したがいまして、その本来の業務からいいますと援護法援護の対象にストレートにならないわけでございまして、援護法の中で、その青年義勇隊なり開拓団の方が軍務に関して負傷しあるいは疾病したときに云々と、要するに援護法の対象になるという規定の仕方をしておるわけです。したがいまして、身分としては準軍属になるんですけれども、準軍属の身分のある方が、軍務に関して負傷したりあるいは病気になった場合に援護するという形になっております。  ところが、ソ連が参戦しました八月九日前後というのは、御存じのように混乱の状態でございますので、その軍務に関して負傷しあるいは疾病にかかったかどうかというのは非常に難しいということでございまして、その辺の調査を、衆議院の「関係者と連絡を密にし、一層資料の収集に努め、」ということはそういうことでございまして、八月九日前後のその青年義勇隊員がどういう状態だったかという資料を集めて、軍務に関係したということの証明ができるように努力せよというのが附帯決議の趣旨でございます。
  156. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私が知る限りは、「満洲」と書いてあるが、あのときは満蒙開拓青少年義勇隊と言っておったように思うんです。十八年から十九年の中ごろぐらいまでは農耕に従事しておりましたが、昭和二十年になった段階では全部軍隊に徴用されて、そんな田んぼを耕しているような悠長な状況でないということで、ほとんど皆軍隊に徴用されています。私の父と一緒に行ったのもほとんど皆軍隊に行っているんですよね。そして、終戦時はほとんど軍人と同じような活動をしていますので、そういう事柄であるならば、関係者を集めて実態を聞けばすぐわかるんで、私の周辺にも、今言ったように百人近いそういう人がおりますが、こういうことを附帯決議に出されるのであれば、一日も早くここに書かれてあるとおり資料の収集に努めて、その身分関係を明らかにして、問題を解決していただきたいという要望を、とにかくまずきょうは強くいたしておきます。  それでは次の問題に入りますが、総理府の方にお開きをいたします。  五十七年度に発足した総理府の戦後処理問題懇談会は、戦後、シベリア強制抑留者に対する補償、また、恩給欠格者の救済、さらに引揚者の在外資産の補償の問題、こういうことを中心に議論して、あわせて、戦後処理問題全体についてどの範囲でどう考えればよいかということを検討することを目的としているようであります。ここでは、野党が共同して毎年法案を提出しています一般戦災者に対する援護施策確立について、この問題が検討されているのかどうかという点、まずお伺いをしたいと思います。
  157. 根本貞夫

    説明員(根本貞夫君) お答え申し上げます。  懇談会におきましては、昨年末まで、今お話しございましたとおり、恩給欠格者問題、シベリア抑留者問題、それから在外財産問題の三つの問題を中心に、その関係各省及び民間団体からヒアリングをやってきたところでございまして、現在はそれを踏まえまして、戦後処理問題をどのように考えるべきかにつきまして鋭意論議を煮詰めているという段階でございます。  それで、今御指摘の一般戦災者問題についても、このような懇談会における論議の過程で、その実態、それから講じられた措置につきまして紹介だとか説明が行われたところでございまして、一般戦災者との均衡にも留意しながら、冒頭申し上げました三つの問題を中心に戦後処理問題をどのように考えるべきかについての論議が行われている次第でございます。
  158. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 野党がいつも一つにまとまって出しているこの法案の問題は非常に重視していただきたいと思うんですが、今の答弁では、一般戦災者に対する問題も留意しながら戦後処理問題全体として考えていると、こういうことでありますので、この答申の際は、そういうことであれば、留意をしただけでなくて、一般戦災者の問題についても、援護施策についてどうすべきであるというふうな問題についても答申の中にぜひこれは入れていただきたい、このように考えるんですが、その点。  それから答申の時期ですね。本年六月の予定であったと思うんですが、今後いつどのような時期に答申ができるのか、今後の見通しについて伺っておきたいと思います。
  159. 根本貞夫

    説明員(根本貞夫君) まず、答申取りまとめの時期についてでございますけれども、先ほどお話しございましたとおり、懇談会の検討期間につきましては、当初、委員間の協議によりまして、おおむね二年程度を要するとされてきたところでございまして、一応この夏を目途にその意見を取りまとめる方向で検討が進められるものと考えておったところでございます。ただ、戦後処理問題は非常に難しい問題でございまして、懇談会における論議も非常に多岐にわたっております。それで、十分論議を尽くしていただくためにはなお若干の日時を要すると、こういうことになることも考えられる次第でございます。  それから、意見の取りまとめの中に一般戦災者の問題を含めよという話でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、三つの問題を中心に戦後処理問題をどのように考えるべきかについて論議が行われているところでございまして、その論議は当然一般戦災者との均衡に留意しつつ行われているんだということで御理解いただければありがたいと、こう思っている次第でございます。
  160. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、それは理解はできませんがね。あなたと議論してもちょっと難しいんで、これはまた後日、別の場で、法案を提出している野党の立場で、改めて総理府と十分に話し合いをさしていただかなければならぬと思います。きょうは考え方だけ聞かしていただいておきます。  それで、もう時間もなくなりましたので、あと、毒ガス被害救済対策の問題について伺っておきたいと思います。  広島県竹原市の大久野島にあった旧陸軍の毒ガス工場に働いていた人たちの問題であります。この毒ガス被害の問題については、旧陸軍共済組合の組合員であった人に対してはガス障害者のための特別措置要綱というものに基づいていろんな対策が行われているんですが、先ほど私が満州開拓青年義勇隊の問題を出したと同じように、ここでも学徒動員、女子挺身隊員あるいは人夫、いろんな形で毒ガスとの関係を持った人があったわけでして、ただその身分関係が国との関係には直接なかった、あるいはまた、共済組合員でなかったというようなことで対策がおくれている、あるいはまた問題によっては差別的な状況が起こっている、救済措置に不公平があるというふうなことを耳にするんですが、この問題についてひとつ厚生省の現状の認識についてお伺いをしておきたいと思います。
  161. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 大久野島に係る動員学徒等の非組合員の方々に対します救済措置につきましては、厚生省におきましても毒ガス障害者に対する救済措置要綱というものを設けまして、旧令共済組合員に対します措置に準ずるような救済措置を講じているところでございます。  ただ、動員学徒等の、共済組合員でない方々に対する措置といたしましては、この方々の多くは毒ガス製造を中止した後でこの島に入られたとか、あるいは携わっておられた作業も、直接毒ガス製造ということではなくて、多数の方は風船爆弾の紙張りというような、やや危険度の低いような作業であったというふうに聞いているところでございます。そのようなことも背景にございまして、厚生省所管の非組合員に対します救済措置におきましては、旧令共済組合員に対しますような、例えば認定患者制度というような形ではこちらの方はやっていないわけでございます。  ただ、こちらの救済措置におきましては、旧令共済との比較におきましては、一般障害者並みの諸手当、医療費の支給等については万全の措置を講じているところでございます。
  162. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に厚生大臣にお伺いをして終わります。  今言いました一般戦災者の扱いの問題にしても、あるいはまた学徒動員、女子挺身隊員、こうした人たちの身分関係の問題、あるいは開拓団とか青年義勇隊というふうな形で戦争にかかわった人たちの問題が、やはり国との明確な身分関係にないというふうなことで、もうかなり問題は限定されていると思いますけれども、そこに不公平な状態があるとすれば、これは何としても私は改善をしていかなければならぬ、こう思うんです。先ほどからも調査中であるとかいろんな今後の問題が残されておりますが、厚生大臣として、厚生省の関係する各部局に対してこうした問題についても、戦後もう四十年たとうとしている今日でありますから、しっかりとした対応をこの際やってしまうようにというふうな、取り組みについての内部に対する特段の指示もいただきたいと、こう思うんですが、厚生大臣のそうした全般の問題についてのお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  163. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま本岡先生から御指摘のありました戦後未処理の問題、お話しのような旧軍人軍属の問題からさらに挺身隊の問題、あるいは一般戦災者の問題、あるいは徴用工の問題とか、非常に多岐にわたっておりまして、それぞれ、国家がどこまでその責めを負うべきかということで、これはいろいろ議論のある問題でございます。  また、担当する役所としても、私ども厚生省で担当すべきもの、また総理府が担当するものと各般に分かれておりますが、これは大変重要な問題であり、今先生からそういう総理府との質疑にありましたように、大きな問題については今戦後処理問題懇談会が検討を続けておりますので、その検討結果を待って国全体の方向が定まっていくものと思いますが、私どもに与えられた権限の範囲でできる問題については、もう戦後四十年近くたとうとしておるのでありますから、あの戦争で受けた傷跡というものをいやしていく努力を、今後もできる限り続けてまいりたいと思います。
  164. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  165. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 細かい個々の質問に入ります前に、まず厚生大臣にお尋ねいたします。  保健所法の一部を改正する法律案趣旨説明は先般お聞きいたしました。この文章の中にもこの法律案の目的といったようなものを述べられておりますけれども厚生省として、これが改正になった場合のデメリットと申しましょうか、ないしは留意すべき点、そういうものをお考えになっているとすればお聞かせいただきたいと思います。
  166. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今回の改正案は、保健所に対する地域社会の求めるニーズが保健所発足当時と大きく変化しておる、そういう時代的背景の中に、また求められておるものにこたえるためには、やはり地方自治体あるいはそういうものの協力、また保健所そのものの運営がやはり自主的にできるだけ有効に発展するようにということでお願いするわけでございますから、私は必ずこの精神にのっとってメリットのある運営が行われるように期待しております。  デメリットがどこにあるかということになりますと、今思いつきますのでは、定率から定額に予算がいっておりますから、このために何か今後、将来に向かって保健所が限られた予算の中で伸びられないというようなことがあっては困りますので、それはあくまで法律の問題でなくてこの法律を運用していく我々政府の責任であると思いますので、考えられるデメリットというものは、それぞれ我々が心していけば、努力をしていけば決してデメリットにならないものであると、こう思っております。
  167. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 まあデメリットという表現がちょっといかがかと思いましたけれども、いわゆる留意すべき点ですね。先ほどからいろいろ質問もなされておりましたけれども、今まではこれが補助金であった、今後は交付金になる、そうなりますと自治体としては、交付金となると補助金の場合と違ってまたちょっと使途というか、そういうものが、ある意味ではまた違ってくるのじゃないかと思いますが、他に流用されるというようなことはないとは思いますけれども、その辺のチェックについてはどういうようにお考えになっていますか。
  168. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 保健所運営のための補助金でございますので、これは補助金の適正化等に関する法律に基づきまして、保健所運営以外にはかたく禁止をされておるところでございますので、そのようなことはこれは万々ないと存じます。  ただ、留意点といたしましては、大臣からお答え申し上げましたように、自主的、弾力的、地域の実情に応じてというのが大きな眼目なんでございますけれども、これが裏目に出て水準が下がるということの万々ないように、これはもう十分留意をして指導をしてまいる必要があると考えております。
  169. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 補助金にしても交付金にしても、出るところは同じく一緒でして、そういうことから考えると、十条の項目に、「国庫は、保健所に関する経費を支出する地方公共団体に対し、」云々というところを、「国は、保健所の施設又は設備に要する経費を支出する地方公共団体に対し、」云云と改正内容はなっていますけれども、この「施設又は設備に要する」という字句が加わったわけなんですけれども、どういう変化なんでしょうね、これは。
  170. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 保健所の運営に関しましては、施設と設備の整備をいたしまして、そしてこれの運営をやると、こういうことでありますが、その運営費、主として人件費でございますが、これを、職種に応じた細かいきちんとしたやや弾力性を欠く硬直性をもたらしがちな定率制から、交付金という定額に変更する。一方、施設設備につきましては、従来のようにその事業に応じた補助事業として行う、こういうことにしているわけでございます。
  171. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 現在、保健所に関する職員が何人になっていますかね。
  172. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) およそ三万五千人でございます。
  173. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 去る昭和三十年から、地方事務官、食品衛生監視員あるいは環境衛生監視員の約一万人の方々が、今言われた厚生省所管の三万五千人ですか、その中から離れて自治省所管に移行されていると思いますけれども、こうした一万人の方々の人件費に対して、過去今日までいろいろな、まあ損なわれたというか、そういうようなことはございませんか。
  174. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のございましたように、保健所職員のうちで食品衛生監視員、環境衛生監視員等の職種の方が、一般財源としての交付税でもって、地方の自主性に基づいて配置をするということになっております。自治省所管の交付税でございますけれども、保健所の職員でございますが、これにつきまして経過を見ますと、特にこのために食品衛生監視員、環境衛生監視員が減ったということではございません。
  175. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 保健所の監督管理をするのは何といっても厚生省でございますが、そうであるならば、三万五千三百二十二人ですか、この職員が安心して働けることが最も大事だと思いますが、その意味で、地方自治体の責任者の一存において、やれ人員整理だとか、そうしたようなことがないようにしていただきたいと思いますが、これからのお考えはいかがですか。
  176. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) まことに御意見のとおりであろうと存じます。先ほども、万が一にもこの自主性が裏目に出て水準が下がることがないようにということを申し上げましたけれども、まことにそのとおりでございまして、ただいまお尋ねのありました食品衛生監視員等につきましても、特にそうした措置によって減少していることはございませんが、今回のこの交付金は厚生省所管の補助金の一つの形態でございますから、水準が下がることが万々ないように一層強く指導してまいりたいと存じます。    〔委員長退席、理事遠藤政夫君着席〕
  177. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私が先ほどから申し上げたかったことはそのことなんですが、ひとつそういうことがないように十分留意していただきたいと思います。  この交付金の全国の保健所、あるいは地方自治体に対する配分の基準ですが、これは先ほどからもいろいろ質問が出ておりました。それによると、人口、面積等によって七割部分を充てるということですけれども、保健所の数及びその職員の数、それを基本にして配分するのが妥当ではないかと思いますが、いかがですか。
  178. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) このたび定率の補助金から定額の交付金にいたしました趣旨は、根本的に健康需要、保健所に対する需要というものが地域によって性格を異にしておる。人口構造も違いますし、環境も違っております。そこで、この自主的弾力的な運用ができるようにというのが大きなねらいなわけでございます。  そのときに、やはり一番大きな要素というのは人口ではなかろうかと思うのでございます。それと面積。御指摘のございましたように、その現状を固定するというのはどうも望ましくないんではないか。これからもいろんな条件が変わってまいりますので、自主的弾力性を尊重いたしたいと思うのでございます。ただし、御指摘のございましたように、現状と非常に大きく変わったのでは混乱を来しますので、交付金総額の約三割につきましては、そういう人口と面積の案分では捕捉し得ない独特の事情、それを考慮をいたしまして、従来の補助金の交付額の激変による保健所運営の混乱等が生じないように配慮することとしているところでございます。
  179. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先般の健保のときにも特に私主張しておりましたように、これから成人病予防のためにも医療費抑制のためにも、大いにひとつ健康診断を普及していただきたい、こういうことを言っているわけですが、これから先、各地方によって、保健所あたりを通してのそうした成人病予防のための健康診断が活発に行われるところ、あるいはそうでないところいろいろあると思いますが、そういうことになると、非常に活発に行うところは必然的にいろいろな経費も要ってくるわけですし、そういう意味で、人口と面積だけではやはりいかがかと、こう思うんですけれども、その点重ねてお尋ねいたします。
  180. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) お話しの点はまことにごもっともだと存じます。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、約三割で特別な事情に応じて調整を図ることといたしておりますので、御指摘のような点は考慮できるものと考えております。
  181. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私調査したところによりますと、昭和五十八年度末で全国で八百五十五の保健所がありますけれども、この八百五十五の保健所のうち、医師の免許を持っていない所長さんが八十七人おられるようですけれども、所長は医師の免許を取得していなければならない、こううたわれておると思いますが、この点どのようにお考えですか。
  182. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 残念ながら、八百五十五のうちの約一割、御指摘のような数字が兼務になっておるのでございます。保健所は国民の健康に関する第一線の行政機関でございまして、やはりこれは専門の医師が所長としてあるべきであると考えております。そこで実は、医師でない者が所長になっておるのではございませんで、兼務であります。これはまことに残念なことでございます。  一つの理由は、ちょうど世代の交代のような意味がございまして、お年寄りがだんだんおやめになっていく、一方、最近は若い医師も希望者が逐次ふえつつありますけれども、その辺のギャップで、所長だけではなくて保健所に勤務する医師全体がどうも今一番底のような感じを持っております。何と申しましても、保健所の仕事にとって医師が最も基本の職種でございますから、保健所長の充実とあわせまして、全体の医師の充実にも努めてまいりたい考えでございます。
  183. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 その今おっしゃった、保健所に勤務している、医師の免許を持った方はどのくらいいらっしゃるんですか。
  184. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 現在全国で約千二百人でございます。一保健所当たりにいたしますと一・四人となります。
  185. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 兼務であるとしても、これはもう極めて変則なことでありますし、これからいろいろな保健所の機能を発揮していただかなくちゃいけない時期に入ってくるわけですから、ぜひひとつ、必ず兼務などという変則的なことはやめるように努力していただきたいと思うんです。  今、八十七の無資格の所長さんがいらっしゃる、これは大体地域的に見てどういうところですか。
  186. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 地域的には、従来医科大学の少なかったところ、東北地方に比較的多いのでございます。
  187. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 今おっしゃったように、かなりの医師免許を持った方々が現在いるわけですから、そういう人たちを抜てきするとか何らかの方法で、ひとつ今のそうした変則は解消していただきたいと思います。  次に、福祉事業振興会と医療金融公庫との統合についてちょっとお尋ねいたします。  これまた冒頭にお尋ねいたしますが、一番これは留意しなくちゃいけないなと思っておられる点はどういうところですか。
  188. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは提案理由の御説明でも申し上げましたように、医療と、一方は社会福祉、これは今まで違った仕事だったのでございますが、最近、高齢化社会というものが急速に進んでまいりまして、老人問題というのが厚生省の大きな仕事になってまいりますと、その接点が近づいてまいりました。ですから、中野先生からも幾たびが御指摘をいただいております、社会福祉医療の間の中間施設というような要望が非常に強くなっております。  こういうものにこたえる意味では、むしろこれが一つになって機能するということに、将来に大きな意味を感じておるのでございますが、これが何か逆の方向になってしまって、どっちにもつかないというようなことになれば、これは大変マイナスになってしまいますから、それぞれの機能を十分に発揮し、さらにお互いに接点において連携がとれて、調和がとれて、福祉医療というものが一体になって機能していけば、我々が今回これを一つにした目的が達せられると思っております。
  189. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 統合といっても、片方は芝であり片方は番町なんですね。これは細かなことですけれども、そういう何といいましょうか、どちらが主体になってくるんですか。
  190. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 現在の医療金融公庫社会福祉事業振興会の事務所の場所は、今、先生お話しありましたように、医療金融公庫は番町共済会館の中にございます。それから社会福祉事業振興会は芝の日赤の中にあるわけでございます。現在そういうことで事務所が異なっておりますけれども、今回の法律で一本の法人として審議をお願いしているわけでございまして、この法律を成立さしていただけるならば両事業団が一つの法人になるわけでございます。  そういう意味で、この法律を成立さしていただいた後には、できるだけ早く新たな事務所を物色いたしまして、業務全般を一カ所で行うようにということで、私どもそういう方向で配慮をしていくつもりでございます。
  191. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、現在事業の中で、社会福祉事業振興会の金融における貸付金の金利が年四・六%、一方医療金融公庫の貸付金の金利が七・一から七・九と、こういうようになっておりますけれども、これが一本になった場合、医療機関の場合とそうでない場合との現在のこの金利の格差というものは、このまま引き継いでいくわけですか。
  192. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 御指摘のように、現在社会福祉事業振興会が行っております社会福祉事業施設に対します融資は四・六%という極めて低利なものになっています。一方、これもお話しのように、医療金融公庫が行っております金利は七・一%から七・九%ということになっておりますが、いずれにいたしましても、今回統合いたしましたといたしましても、融資対象なりあるいは融資の範囲、そういったものについては従前のものを引き継ぐということになっておりますので、それぞれ事業の性格あるいは経営基盤、そういったものが異なっておりますから、従来のとおり社会福祉事業振興会がやっておりました金利を社会福祉事業施設についてはとり、医療機関につきましては医療金融公庫が行っておりました融資条件と申しますか、金利をとるということでやっていくつもりでございます。
  193. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この事業の中の、現在の社会福祉施設の老朽化だとか、あるいは休止状態にあるのがかなりあるように思いますが、どういう理由でこうしたいわゆる休廃止状態になっているのか、簡単に教えていただきたいんですが。
  194. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 現在、社会福祉施設は、まず総数で約四万五千カ所ございます。  それで、お話しの休廃止の状況でございますが、五十七年の十月二日から五十八年の十月一日までの一年間について見てみますと、廃止されましたのが三百十カ所、休止が五十五カ所となっています。中身といたしまして、主な施設は助産地設、保育所、児童館ということになっておりまして、詳しいことはちょっと不明でございますけれども、要するに、地域地域におきまする当該施設の需要の減退あるいは施設の統合、そういったものが大部分の原因じゃないかと考えられております。  また、老朽による休廃止が多いというようなお気持ちがあるいはおありになるかもしれませんけれども、老朽の場合には社会福祉事業振興会でいろいろとそれなりの特別な対応をしておりまして、老朽の再建につきましては借入金を無利子にするとか、あるいは償還金の一部について償還免除するというようないろいろな措置をとっておりまして、老朽化によって休廃止に追い込まれるという事実は余りないんじゃないかというふうに考えられるところでございます。
  195. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に参りますが、同じこの事業の中の一つですが、心身障害者扶養保険制度についてお尋ねいたしますが、現在加入しておられる方方が五十七年度末で約十一万人と、こうなっておりますけれども、全体の身障者の五十五年度末で百九十七万人という数から見ますと、これはまだかなり低いように思われますけれども、どうしてこういうように加入者が少ないのかという疑問もありますし、また加入しておっても、脱退していく方、こういう人も一万九千人というように聞いておりますが、ここいらの事情はどういうふうになっていますか。
  196. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 先生指摘のように、確かに十万弱の加入者の数でございまして、対象者の数から見ますと——先生今お挙げになりました百九十万人という数じゃなくもう少し絞られてこようかと思いますが、一割程度の加入にとどまっているんじゃなかろうかと我々も考えております。  ただ、この制度は任意加入の制度でございますし、公的年金制度拡充とかあるいは私的な貯蓄とかというようなことで、必ずしも必要としない方もいらっしゃることは事実だと思います。ただ、この制度についてのPR面についても、これを関係団体の加入者で調べた結果によりましても、二割五分程度はまだこの制度を御存じないという結果も出ておりますので、これらにつきましては、個々に加入されるよりも比較的有利な制度でございますので、さらにいろんな機会を通じてPRを図ってまいりたい、こう考えております。  もう一つ、脱退者の件でございますが、先生今お挙げいただきました脱退者の数の中では、これはちょっと数え方に問題もあろうかと思いますけれども、加入者が死亡なされたり、それから障害児が死亡なされたり、ある程度もう給付に移った方も脱退者と数えておりますので、純然たる任意脱退者、制度途中で抜けられる方は大体その脱退者の四分の一程度、加入者数に比較いたしますと〇・五六%程度でございますので、必ずしも高い数字ではないとは考えております。
  197. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 厚生省としては、この制度に対してそういう制度的というか、いろいろな面で何か補助をしておられますか。支援をしておられますか。
  198. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) この実際の事務は社会福祉事業振興会にお願いしておりますので、その事務費を国が負担しておるという形になっております。
  199. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 これ一口掛けておって、そして万一のときには一口について月二万円ですか、そういうふうになっていますけれども、今後のいろいろな物価の上昇とかそういうようなことから考えますと、これには多少物価スライドといったようなものも導入すべきじゃないかと思いますが、今後のお考えとしていかがですか。
  200. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) これはある意味では私的保険、私の保険でございますので、スライドということになりますと、後年度負担と申しますか、それ以後の新たな加入者の保険料を引き上げなくちゃならぬという問題もございまして、なかなか難しい問題があろうと考えております。  ただ、一口の保険ではなかなか期待できるような役割を営めないという御希望がありますので、五十四年度から二口目の保険の加入も認めるというようなことをしております。  また、この制度の今後のあり方等については、振興会内部でも御検討をいただいておるところでございますので、それらのことを見まして、本当に利用者が御満足いただけるような制度に近づけるような努力は今後とも続けてまいりたいと考えております。
  201. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 終わります。
  202. 中西珠子

    ○中西珠子君 ただいま議題になっています戦傷病者戦没者遺族等援護法の関係について質問させていただきます。  この援護法の適用を受けている人の数はどのくらいですか。
  203. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 遺族年金の関係が約十万人、障害年金の関係が約五千人でございます。
  204. 中西珠子

    ○中西珠子君 ただいまの御説明の数字の中で、広島県竹原市大久野島の旧陸軍造兵廠の忠海里造所と、それから旧陸軍の広島兵器補給廠の忠海分廠、こういったところで働いていた軍属とか準軍属の人たちの中で、適用を受けている人がおりますか。
  205. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 今お話しのありました毒ガス製造所で従事していた方々が遺族年金、給与金あるいは障害年金をどれぐらい受けておるかという御質問でございますが、実は、支給事由別の統計はとっておりませんので数字はわかりませんけれども、個別の事例としては、要するに障害年金を受けておられる方が一件、また、遺族給与金、忠海里造所で従事中に発病した方が肺壊疽で亡くなって遺族給与金を支給しているという、個別の事例としては裁定事例がございます。
  206. 中西珠子

    ○中西珠子君 なぜそんなに数が少ないんでしょう。
  207. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 援護法は、御存じのように準軍属、具体的に言いますと学徒動員でこちらで働いていた方が公務に基づいて障害になった場合等に支給するわけでございますが、ここの大久野島で学徒動員に来られた方は、要するに大久野島での毒ガス製造が峠を越した後にこちらへ学徒動員で参りまして、それで実際には風船爆弾の袋張りをやっておったというような状況でございまして、実際には学徒動員で来られた方から七例ばかり障害年金の申請がございましたのですが、五款未到といいますか、障害の程度が障害年金を支給する程度まで達しなかったということで、支給をしていないという経過がございます。
  208. 中西珠子

    ○中西珠子君 公明党広島県本部が竹原市に行きまして、昨年の八月に実情調査を行ったわけなんでございますけれども、大体この大久野島では旧令共済組合員であった人たちが常時大体五千名いたということで、それから、先ほどから厚生省の方は、もう毒ガスなど製造していないときに学徒が来たというお話でございましたが、竹原市を中心とした周辺の中学校、高等女学校とか青年学校の生徒、また小学校の高等科の児童まで未成年の学徒が千百名、国家総動員法の徴用令で強制的に動員されて来ていた。そして、風船爆弾をつくっているときだけにしか来なかったという事実は、証明が果たしてできるかどうか、大変疑問に思うわけでございます。  竹原市あたりの人たちの話を聞きますと、どうもそうばかりではないということらしいし、また、例えばホスゲンとかイペリットガスとか、青酸ガス、そういった毒ガスの製造そのものに従事しなくても、工場から少し離れたところで働いていても、島全体が汚染していたということもあるので、いろいろ後遺症がある人がいるんじゃないかということで、またその後も何回も忠海のあたりから陳情があるのでございますけれども、旧令の共済組合員であった者に対する救済措置状況、これについて大蔵省にお聞きしたいと思います。——大蔵省に来ていただくようにお願いしておいたのですけれどもね。
  209. 遠藤政夫

    ○理事(遠藤政夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  210. 遠藤政夫

    ○理事(遠藤政夫君) 速記を起こして。
  211. 中西珠子

    ○中西珠子君 それでは、旧令共済組合員以外の人ですね、動員学徒とか女子挺身隊員とか人夫だった人とか、そういった人たちに対する厚生省関係の救済措置状況について、先に御説明いただきたいと思います。
  212. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。  戦時中毒ガスを製造をしておりました旧陸軍造兵廠忠海里造所等で働いていました動員学徒等の方々に対しましては、厚生省におきまして救済措置要綱を定めまして救済に当たっておるところでございます。  その内容としましては、旧令共済組合員の一般障害者に対する措置に準じた内容となっておりまして、具体的には健康診断の実施、医療費自己負担分の支給並びに健康管理手当、保健手当、介護手当及び家族介護手当の支給でございます。
  213. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 大蔵省がおられないので、私のわかっている範囲で旧令共済の組合員に対してどういう措置が行われているかということを、ちょっと古いかもしれませんが申し上げます。  認定患者としまして療養を要すると認定された者が五百三十七名ほどおられまして、これらの方方には療養の給付、特別手当あるいは医療手当、介護手当というのが支給されております。そのほかに、若干軽くて、一般障害者、今保健医療局長から申し上げた対象者と同じレベルに該当する者ですが、この対象者が約千九百三十名で、その援護の内容としましては、医療費の支給、健康管理手当、保健手当、介護手当等が支給されております。このほかに年金の支給あるいは健康診断を年一回やっているというふうに聞いております。
  214. 中西珠子

    ○中西珠子君 忠海からやってきました被毒障害者たちの組織がございます。ですけれども、その人たちがまず第一に要請していることは、旧令共済組合員に対する措置とそれから厚生省の措置の間に非常に格差がある、それをまず是正していただきたいということでございまして、例えばただいまは年一回の健康診断で、悪くなったことがわかってからやっと医療手帳が交付される。それも非常に難しい手続を経て、認定を受けてそして交付されるというふうなことですけれども、これは全員に行き渡らせていただきたい。早期発見、早期治療のためにも全員に行き渡らせていただきたいということを言っているわけでございます。  それで、身分によって、身分が違ったからこういう取り扱いということではなくて、やはり国際法でも禁止されている毒ガスをつくっていて、それの製造に当たった人ばかりでなく、運搬したとか、そのそばで働かされたというふうなことでいろいろな障害を受けたり病気になったりをしている人たちなんで、それに対してはやはり国家の責任ということがあると思いますし、国家補償というものも考えなくちゃならないという意味からも、なるたけその格差の是正を一日も早く図っていただきたいということを要望したいと思うんですけれども厚生大臣、いかがでしょうか。
  215. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 旧令共済組合員の方に講じられております救済措置にできるだけ近づけるようにという要望の強いことは私どもよく承知しているところでございます。これまでにそのような要望を踏まえまして旧令共済組合員に対する措置に準じ得るような内容のものに逐年改善を図できたところでございます。ただ、その旧令共済組合員の方と学徒動員等の方と比較した場合に、毒ガス製造へのかかわりぐあい、直接長い期間にわたって従事しておられた旧令共済組合員の方々と、それから先ほどもちょっと話題が出ておりましたように、やや間接的な風船爆弾の紙張りというようなことで島におられた、しかも製造中止後に島に入られだというような方が大多数であるとか、いろいろ若干従事の状況も事情も違いますし、また、健康診断等の結果からも、現在までに掌握しているところによりますと、重篤な障害というものがまだ幸い見出されていないというような状況もございます。  そのような観点もございまして、全く同じというわけにはなかなかまいりませんけれども、御要望の趣旨も踏まえ、よくその実態を掌握しながら必要な対応を今後ともやっていきたい、かように考えているところでございます。
  216. 中西珠子

    ○中西珠子君 実態をもっとよく掌握するための調査というものもやっていただきたいし、それから被毒の影響、そういったものについてももう少し研究して究明するということが必要ではないかと思いますので、その点の要望をいたしておきます。
  217. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 学徒動員等の方々に対しましても、健康管理手帳はもう二千五十二名に交付いたしておりまして、単に病気にかかってからということでは必ずしもございませんで、健康管理手帳を交付した方々については健康診断を実施しております。  また、調査研究を推進するようにという御要望でございますが、現在も研究調査を継続をしておるところでございます。
  218. 中西珠子

    ○中西珠子君 今健康管理手帳を出しているのが二千五十二名いますとおっしゃいましたけれども、やはり竹原市周辺が一番多いわけですね、交付しているのは。千四百六十一名竹原市にはいるわけです。そして、その周辺を入れますと千九百十二名、ほとんど二千人近くいるということです。  それで、これは陳情なんですけれども、大体その辺に集まっているから国公共済の忠海病院の中に外科と皮膚科を開設してほしい、こういう陳情があるわけです。これは大臣が帰っていらしてからまた伺わなければいけないんですけれども、その点が一つ。  それからまた、それ以外の人が全国に散らばっていて、まだ健康管理手帳をもらってない人もいるかもしれない、それで手続もよくわからない人もいるかもしれない、そういうことのためにやはり相談体制というふうなものも強化してもらいたいし、そして指定病院の数をふやしていただきたいという要望があるんですけれども、いかがでしょうか。
  219. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 相談体制のことにつきましては、かねてよりの御要望がございます。私どもといたしましても、旧令共済組合を所管しております部門とよく協議をしながら今後の検討課題とさしていただきたいと思います。  それからまた、指定医療機関の件でございますが、現在学徒動員等の方々に対する医療確保という意味では、全国三十二の都道府県に百三十四カ所の指定医療機関をお願いしているわけでございます。数が限られた方々でございますので、それぞれの方々の一番便利な医療機関ということで、それぞれの最寄りの医療機関に手配をいたしまして指定をさしていただいているところでございます。
  220. 中西珠子

    ○中西珠子君 今大臣がちょっとお席をお立ちになった後に、ぜひ大臣にお願いしたいことを申し上げたんでございますが、今健康管理手帳をもらっている、毒ガスの障害者ということで一応健康管理手帳をもらっていて、それがひどくなった場合また認定されてあれするわけですけれども、そういう人たちが少なくとも年に一回は健康の診断を受けるわけでございますね。その人たちがやはり竹原市に一番多くいるわけで、そして、その健康管理手帳を交付されている人が千四百六十一名竹原市の中におりまして、その周辺を入れますと千九百十二名いるわけです。  それで、これは陳情に何回も参っておるのでございますけれども、国家公務員の共済組合の忠海病院に外科と皮膚科を開設していただきたいという要望なんでございます。それとまた全国に散らばっている人たちもいますので、全国の指定病院もふやしていただきたいという、こういう要望がございますので、今ちょっとお願いをしたところでございます。大臣、いかがでございましょうか。
  221. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 二点お尋ねをいただきましたが、第一の問題は私の所管でなくて大蔵省の所管になっているということでございますので、私の方から、きょうの先生の趣旨を大蔵省の方に十分伝えて善処してくれるようにお願いしたいと思います。  それから第二の点は、私の方の問題でございますので、できるだけ誠意を持って御期待にこたえるように努力したいと思います。
  222. 中西珠子

    ○中西珠子君 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。  もう一つ、これは厚生省からのお答えをいただける問題だと思いますのですが、現行の手当を支給する対象の疾病が大体呼吸器関係と消化器関係の疾患に限られているということなんでございますが、広島大学の西本教授なんかの研究報告書によれば、この範囲を超す、やはりもっと広い範囲の病気を対象にしてもらいたいというふうなことで、現在の疾病の対象範囲ですね、これを拡大していただけないでしょうかということですが、いかがでしょうか。
  223. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 御指摘の件でございますが、毒ガス障害につきましては、当初この救済措置を発足させましたときは、御指摘のとおり、主として呼吸器疾患に限定していたところでございます。しかし、四十九年度以降広島大学を中心としました調査研究を引き続き推進しているわけでございまして、随時その成果を踏まえまして、昭和五十五年には呼吸器疾患を基盤に置きました消化器疾患、皮膚疾患等その後追加も見たところでございます。今後ともこういった調査研究を引き続き継続をさせることによりまして、その成果を踏まえつつ、必要に応じて適切な対応をしてまいりたいと考えておるわけでございます。先ほども指摘ございましたように、この辺旧令共済組合員に対する措置との調整も十分必要になるだろうということで、よく連携をとりながら今後対応していきたいと思っております。
  224. 中西珠子

    ○中西珠子君 それから認定の問題なんでございますけれども、認定というものが公平に行われるように配慮をしていただきたいという要望がやはり陳情として来ているわけでございまして、これは認定審査会というものがあって認定をなさるわけでしょうけれども、そこの委員の選任はどういうふうになっているんでしょうか。
  225. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。  認定審査会は九名の委員で構成しているわけでございますが、本件毒ガス障害に最も詳しい医学的な専門家、あるいは大久野島の当時の居住状況、服務状況等について精通しておられる経験者、あるいは行政責任ある者等で構成しております。
  226. 中西珠子

    ○中西珠子君 大変公正な立場に立った方ばかりが審査会においでになるんだと思いますけれども、公平じゃないというふうなうわさが飛んだり、また、苦情が出たりしませんように留意してやっていただきたいと思います。その点はいかがですか。厚生省の御指導というのは届かないわけですか。
  227. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 厚生省が広島県の協力を得ながらお願いしておる審査会でございまして、先生の御指摘のことはもう当然のことでございまして、現に公正に処理をしていただいているというふうに私どもは理解しております。
  228. 中西珠子

    ○中西珠子君 私が女権拡張論者でこういうことを言うんじゃないですけれども、陳情の中にこういうことがあったんです。認定患者の中に女性は一人もいない、女性の中にもかなり重症な呼吸器疾患を持っている者がいるので、認定の道を開いてやってほしいというんですけれども、これは実はやはり申請手続とかそういったものがわからなくて申請もしないでいるのではないかと私は思うんですね。  それで、先ほどもちょっと言いましたけれども、相談業務を強化していただきたいという点と、相談員制度をつくるということはどうでしょうか。
  229. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 厚生省の方で所管しております動員学徒の方々の中には女子もたくさんおられますし、また、女子挺身隊なども、学徒動員等ということで私どもの対象に入っておりますので、先生の御指摘の点は、あるいは大蔵省所管の関係について言われていることかと存ずるわけでございますが。
  230. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) 大蔵省でございますが、私どもは旧令共済組合員というものを対象にしておりますので、事柄の性格上男性の方が多かったと思われるわけでございます。  ただ、今御指摘の相談の件でございますけれども、私ども、ガス障害者の八〇%が竹原市周辺にお住まいになっておられるということでございますので、現在忠海病院にそういった療養の給付等いろいろ各面での相談に応ずる窓口をつくっておりますので、そのほか指定病院等で御相談に応ずるという体制にしてございます。
  231. 中西珠子

    ○中西珠子君 先ほど大蔵省の方がいらっしゃる前に、その忠海病院、これは国公共済の関係の病院だから大蔵省の所管でございますけれども厚生大臣の方からもお話しくださるという大変お優しいお約束をいただきましたのでございますけれども、その忠海病院に外科とそれから皮膚科をつくっていただきたいという陳情があるのでございます。ですからこれは大蔵省の方で、きょうおいでになりました方が大蔵大臣の方にもお伝えくだすって、また、厚生大臣からもお口添えということで、どうぞよろしくお願いいたします。
  232. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) ただいま御指摘の皮膚科でございますけれども、これは現在医師が確保できなくて休診しているというのが正直なところでございまして、私どもは、鋭意医師の確保に努めてまいりたいと思っております。  ただ、御指摘の外科の方でございますが、月に手術が一、二例しかないという状況下でございますので、恒常的な外科部門をつくるということは非常に問題がある。したがいまして、今は広島大学の方にお願いいたしまして、広島大学の方で援助いただいているということでございます。
  233. 中西珠子

    ○中西珠子君 それでは皮膚科の方はなるたけ早くお医者様を見つけて再開していただきますように、外科の方は広島大学と協力してやっていらっしゃるということですけれども、広島大学の方でも随分研究をやったり報告書も出していらっしゃると思いますけれども、一層、この被毒の影響に関する研究をその忠海病院でもなすっていただくようにお願いしたいと思います。  それから、これまでいろいろ厚生省からお聞きしたんですけれども、旧令の共済組合員の人の救済措置というものをどのようになすっているかということを大蔵省の方からお聞きしたいと思います。
  234. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) 現在、旧令の共済組合員につきましては、国家公務員共済組合連合会がその業務を全部承継しておりますので、旧令共済組合員につきまして、公務上の障害ということで、医療等種々の助成措置を講じているところでございます。ただこれは、旧令共済組合員という性格もございますし、予算的な面で措置をしているという状況でございます。
  235. 中西珠子

    ○中西珠子君 それで、厚生省の方にお願いしたいんですが、やはり旧令共済組合の人たちに対する措置と、それから動員学徒とか女子挺身隊とか人夫とか、そういった人たちの救済措置、厚生省関係の救済措置との間になるたけ格差がないようにこれから一層改善を図っていただきたいということをお願いしたいと思います。    〔理事遠藤政夫君退席、委員長着席〕  それで、今予算上の措置でやっているというお話が出ましたけれども、昭和二十九年に大綱をおつくりになって以来ずっと予算措置で続いているわけですね。ですけれども、国際法上禁止されているようなこういう毒ガスをつくっていたという秘密の工場で働いていた人たちに対して、予算措置でなすっているのは大変結構なんでございますけれども、やはり国家としてもきちっとした責任を明確にして、そして補償責任を明らかにすることは重要なことだと思いますので、これ以後やはり続けていかなければならないことでございますし、予算上、非常に財政事情が厳しくてなかなか思うだけのものが取れないという状況にもおありになると思いますので、やはり国家責任、国家補償というものを明確にするというために、この毒ガスの工場で働いていた人たちの救済措置というものは何か根拠となる法律をおつくりいただきたいと私は切望するわけでございますけれども厚生大臣はこの点はどういうふうにお考えでいらっしゃいましょうか。財政事情が厳しければ厳しいほど、なかなか手当支給も難しいでしょうし、年金支給も難しくなるでしょうから、ちゃんとした根拠法が必要なのではないかとこう考えるわけでございますが、いかがでございましょう。
  236. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 毒ガス障害者の救済措置は、限られた地域における限られた対象者の救済でございます。したがって、立法措置によらなくともそれと同様の効果を上げるということからきょうまで行政措置として行われておるものでございます。したがって、中西先生の御心配は、要はこれに対する適切な対策を充実しろ、こういう意味で立法化のことをおっしゃっておられることだと思いますので、問題は、この施策、救済措置の一層の充実というものが行われれば先生の御趣旨に添えると思いますので、先生のきょうの御趣旨を十分踏まえまして、今後とも救済措置の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
  237. 中西珠子

    ○中西珠子君 とにかく格差の是正ということと救済措置の一層の充実、そして身分制の差のないやはり救済措置を確保してやっていただきたいと思うわけでございます。法律がなくても行政措置だけで大丈夫、予算上の措置だけで大丈夫という大臣の御確約をいただきましたので、私は安心してそれで大いに充実していただけるものと期待いたしておりますから、よろしくお願いいたします。  次に、中国帰国孤児の帰国後のいろいろのことをちょっとお聞きしたいんですけれども生活保護法の適用状況はどうなっておりますでしょうか。どのくらいの率の人が生活保護法を適用されておりますでしょうか。
  238. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 五十七年の六月に、それまでに帰国いたしました孤児六十八名全員について実態調査をしたことがございますんですが、その調査によりますと、帰国直後はやはり大部分の者、具体的に申し上げますと九六%の者が生活保護を受けているわけでございますが、帰国後三、四年たちますと、ほぼ三分の二の世帯は生活保護から脱却して自立をいたしております。残る三分の一の世帯のその中を見てみますと、一一%の者は病気または障害ということで、何といいますか、自立が非常に難しい世帯が残っているというような状況でございます。
  239. 中西珠子

    ○中西珠子君 なかなか日本語の習得も難しい状況でしょうし、就職も難しいのではないかと思いますが、就職状況とか月収とか、そういったものをお教えいただけますでしょうか。
  240. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 同じ調査でございますけれども、就職の状況について最初に申し上げますと、孤児本人のうち——孤児本人というのは男と女がいるわけですが、このうち就労している者の割合が男性の場合は七二%、女性の場合は二二%でございまして、今度は配偶者の方を見ますと、男の配偶者は五四%、女性の配偶者は三六%就労しておりまして、だれかが働いている世帯が全体の六六%ということになっております。  次にお尋ねの月収でございますが、これは大ざっぱに申しますと、十万円から十五万円程度の者が多いわけでございますが、三年以上就労している者では十五万円以上の収入のある者も約半数いるというような実態になっております。
  241. 中西珠子

    ○中西珠子君 就職する前にやはり職業訓練とかそういったものを受けさせるように指導していらっしゃるんでしょうか。  そして、公共職業訓練を受けている人というのはいますでしょうか。
  242. 入江慧

    政府委員(入江慧君) こういう方々は、肉親のいる地域社会で、結局労働省の方の所管になりますが、あちらの方で職業訓練校なんかに入って訓錬を受けて職業あっせんをしてもらっておるという実情でございますが、ちょっと具体的な数字は持ち合わせておりません。
  243. 中西珠子

    ○中西珠子君 中国帰国孤児の定着促進センターというのが最近できましたそうですね。そちらでは今何人ぐらい収容をされているんですか。
  244. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 促進センターでは、これまでに二十四世帯、百二十四人の者が入所いたしまして——これは二月にできましてそれからぼつぼつと入ってまいりましたのですが、したがいまして二月に入った者が五月末に修了をしてと、そういうふうにこれまで三期生まで退所いたしましたが、二十四世帯、百二十四名のうち十七世帯、八十六人の者が修了いたしましてそれぞれ肉親のいる地域社会に今戻っているということになっております。
  245. 中西珠子

    ○中西珠子君 それぞれ肉親のいる地域社会に戻っていくというふうにおっしゃいましたけれども、それぞれの肉親が引き取るということですね、はっきり言えば。それで、定着促進のためにどういうことをなすっていますか。事業内容をお教えくださいますか。
  246. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 促進センターでの事業内容でございますか。
  247. 中西珠子

    ○中西珠子君 はい。
  248. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 促進センターでは、四カ月間カリキュラムを組んでやっておるわけですが、要するに日本語教育と生活慣習といいますか、日本の制度というものを同時に教えていくというような考え方をしておりまして、例えて申しますと、一カ月目は日常のあいさつ、緊急時の表現とか、市役所、郵便局でどういう対応するかというようなこと、あるいは買い物の仕方というようなことをやっております。二カ月目になりますと、病気になったときの表現あるいは近所づき合いの表現、学校での子供の対応というようなこと。三カ月目になりますと、仕事探しに対する表現、地域社会での生活に関する表現あるいは職業訓練に関する表現というようなこと。四カ月目になりますと、日本の社会制度とかあるいは職場での人間関係、レジャー関係というようなことについて段階的に教えておるわけでございまして、この過程で、例えば買い物の表現なんていうときは、実際に近くのスーパーまで出かけて行きまして、孤児さんがかごを提げて実際に買い物をする、そのわきで先生が間違いないかということで見ているというふうな実地の訓練をやっております。
  249. 中西珠子

    ○中西珠子君 そのセンターでの職員の構成、それから教員は何名ぐらいかというふうなことをお教えいただけますか。
  250. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 職員は七名で、日本語を実際に教える講師の方は五、六名ということでございます。
  251. 中西珠子

    ○中西珠子君 講師はみんな非常勤ですか。
  252. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 常勤と非常勤と両方ございます。
  253. 中西珠子

    ○中西珠子君 その割合は。
  254. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 常勤が五名で、非常勤が十名ほどおられます。
  255. 中西珠子

    ○中西珠子君 せっかく中国帰国孤児定着促進センターというふうなものができたんですから、どうぞ事業内容を充実させて、本当に中国からの帰国孤児が定着ができるように、日本語の面でも、また生活指導の面でもいろいろよく指導して、温かく送り出してあげるようにしていただきたいと思います。これは要望でございます。  これで終わります。
  256. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに、保健所法改正に関して、二、三お伺いをいたします。  改正案は、人件費、旅費等保健所運営費補助金が交付金に変わるというものでありますけれども、これをめぐりまして、保健所関係者の中に大きな心配があります。保健所は今後とも地域保健、公衆衛生の中核としての役割を果たす、その重要性はますます増してくるわけでありますけれども、例えば人件費補助であれば人事院勧告による引き上げなどが保障される仕組みになります。しかし、これが定額制の交付金になれば、保健所機能の縮小あるいは変質につながりかねない、こういう心配があります。  けさほど来からも議論もされてきているところでありますけれども、五十九年度予算額はふえてはいるんですが、将来一般に交付金の総体的な低下が起こった場合に、これが保健所機能の低下につながっていってはならないと思いますが、この点については保健所機能の低下につながらないということが保障できるのかどうか。厚生省の見解並びに施策の方針をお伺いをいたします。
  257. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のございましたように、保健所の役割はこれから一層大きくなってくると考えておるところでございます。交付金という補助金の形にしたことに伴いまして、確かにおっしゃいますように自動的にベースアップというふうなことはなくなりますが、一方、逆に定員削減ということもなくなるわけでございます。  また、この改変に伴いまして、従来問題視されておりました現員と予算対象定員との乖離、それから実給と予算補助額との乖離等も是正をしたところでございます。  また、これからの保健所事業の中で、今日最も重要であると考えておりますところの老人保健基盤整備につきましては、計画的に増員を図ることとしておりますので、特別交付金として別枠として毎年度増額を図る考えでございます。  そこで、この一般交付金でございますけれども、これは交付金の性格上毎年改めるというものではないと考えておりますけれども、事業量の変化、経済情勢の変動等によりましてこの保健所事業の円滑な実施に支障を来すということのないように、そういうときにはこれを見直しまして、必要に応じその増額に努めてまいりたい考えでございます。
  258. 山中郁子

    ○山中郁子君 保健所の一つの重要な業務としての乳幼児健診の問題についてお伺いをいたします。  先日の健保法の審議の際にも若干私取り上げましたが、厚生省の「今後の医療政策の基本的方向について」という文書の中で、「疾病の予防及び早期発見・早期治療のため、ライフサイクルの各段階に対応した乳幼児健診、成人病健診等各種の健康診査、保健指導等の保健サービスを充実する。」と、こうなっております。この乳幼児健診の充実の問題については、具体的にどのような方針をお持ちかお伺いをいたします。
  259. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 疾病予防、健康づくりにつきましては、各ライフサイクルの段階に応じたいろいろの施策が必要でございますが、特に妊産婦、乳幼児につきましては国民健康づくりの出発点でございまして、長期にわたる重大な疾患あるいは障害等を早期に発見してその改善を図るという意味でも、非常に重要なことだと考えております。  したがいまして、従前から乳幼児の健康診査や妊産婦の保健指導等の各種の施策を展開してきたところでございますが、今後とも母子保健サービスの充実を図るため、さまざまな研究の成果をもとといたしまして、必要な施策拡充を図ってまいりたいと考えております。
  260. 山中郁子

    ○山中郁子君 やっぱり余り具体的でないのですけれども、一歳六カ月健診ですね。これは予算補助で五十二年度から八年が経過していますが、端的に申し上げて、もう法律事項にしてもよいのではないかというふうに私は思っておりますし、そういう要求が大変強くなっている。そうした措置によって、より一層あなた方のおっしゃる乳幼児健診の充実ということがさらに進むものになるというふうに思います。  厚生省からいただいた資料によりましても、九〇%以上の市町村で既に実施しているし、いつまでも今のような予算補助ということではなくて、現実の問題としてもう法律事項にする条件はあるというふうに考えますが、この点はいかがでございましょうか。積極的に御検討いただけるものかどうか。
  261. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 御指摘のとおり、近年特に一歳六カ月児の健康診査の重要性が指摘されておるところでございますので、今後ともこの施策拡充については具体的な検討も進めているところでございますが、法制の整備に関しましては、母子保健全体の法制の見直しの一環といたしまして、前向きに検討を推し進めてまいりたいと考えております。
  262. 山中郁子

    ○山中郁子君 現実にも無理がないわけだし、体系化する趣旨からも、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それから、やはり受診率を高めるということが一つの重要な問題であると思いますが、一歳六カ月健診八二・九%、三歳児健診八一・四%、これは法律になってから二十年以上もたっているわけですけれども、やはりどう受診率を高めていくかということが一つの重要な問題であろうと思います。当然一〇〇%に至らなきゃならないわけですから。私自身も職場で働きながら子供を生んで育てた経験を持つ者の一人として痛感してきているところですけれども、勤労婦人対策としての面からの改善がやっぱりどうしても必要だろうというふうに思うんです。  それで、具体的にどういう形をとるかは別として、健診休暇だとか、実際に働いているお母さんたちが乳幼児の健診の制度を享受できるような、そういう手だてが働く母親のサイドに立って検討されてしかるべきだというふうに思っておりますけれども、この点については積極的な取り組みの御意思をいただきたいところなんですが、いかがでしょうか。
  263. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 乳幼児健診につきましては、先生も御指摘のように、一応八〇%を上回る高い水準の健診の実現を見ておりますが、さらにその拡充を図りますためには、一層この重要性に対する理解を進め、PRをしていかなければならぬ、こう考えております。  なお、勤労婦人対策につきましては、これらの健診あるいは保健指導が地域保健対策という形で進められておりますので、なかなかなじまないと申しますか、そういう面もありますが、先生指摘のような、例えば休暇を便宜を与えるというようなことにつきましては、関係省庁ともさらに話を進めながら、これらの施策が十分実施できるように考えてまいりたいと思います。
  264. 山中郁子

    ○山中郁子君 それから、八〇%以上の高い率とおっしゃるけれども、乳幼児の罹病率その他の関係から考えますと、二〇%が受診できていないということはやはり一つの大きな問題点になってくるというふうに受けとめなければならないと思いますが、例えば東京都では受診に来られなかった方に対して保健婦さんが訪問健診というんですか、できる範囲でされているということがありますけれども、例えばこういう方向を厚生省としても、国としても積極的に取り入れていく、検討されていくということがあってよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  265. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) この重要性を御認識いただき健診をお受けいただくような機会を設けるためにそういう場の活動は重要なことだと考えておりますし、その他母子保健推進指導員というような方々の訪問指導も各地で行われているところでございますので、こういう形のものも総合的に実施して、より高い受診率を実現してまいりたいと思います。
  266. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに指摘いたしましたように、それからまたこの法改正に基づくほかの幾つかの問題点もあるんですけれども、私は、本法案はそういう立場から保健所の事業水準の低下などが危惧されるという余地を大いに残しているという点から、本法案に直ちには賛成できないという態度であることを表明をしておきたいと思いますが、乳幼児健診その他で、また、あるいは事業水準を確保するという点でお約束をされた厚生省の姿勢を堅持されて、施策充実のために御努力をいただきたいと思います。  それから次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法案の一部改正に関連してお尋ねをいたします。  私は、この法案はさきに審議されました原爆被爆者特別措置法の一部改正と同様に、人事院勧告の一部カットにならって戦傷病者等の諸手当を二%程度しか引き上げないという大変不当なものであり、物価上昇などに見合って当然の引き上げを行う、そして戦傷病者等関連する方々の生活を守るという立場に立つべきであるというふうに考えているものでありまして、原爆被爆者の特別措置法の一部改正に反対いたしましたと同じ理由で、今申し上げました立場から反対をするものであります。これを初めに申し上げておきたいと思います。  それで、本法案の審議に当たりまして、私はきょうは遺骨収集問題、特に硫黄島の遺骨収集問題についてお尋ねをしたいと思います。  戦後三十九年たちまして、いまだに海外における日本軍人及び軍属等の遺骨収集事業が引き継がれているということは、これは日本軍国主義が起こした侵略戦争の悲劇が終わっていないということのまさに証明であると思います。きのうは広島に原爆が投下されて三十九年目、これは厚生大臣も広島においでになったわけですけれども、二度と侵略戦争を繰り返してはならないということを全国民がお互いに銘記するという時期だと思います。  私は、遺骨収集事業はとにかく早くやる必要があるというふうに思っておりますけれども、当然遺族の立場に立っては、とりわけそれが急がれることが求められています。単に予算をふやせばいいという問題ではありませんけれども、五十八年、五十九年ともに約三億一千万ということでほぼ同額になっていますし、きょうは硫黄島の問題を取り上げたいと思っているんですけれども、聞くところによりますと、収集地域別の予算争奪というような状況も出ているというふうに伺っております。  私は、遺骨収集の予算を引き続きふやして、この収集事業をさらに急いでいかなければいけないというふうに考えておりますが、まず基本的に、その辺についての厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
  267. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 予算の数字の問題でございますので私から申し上げますが、遺骨収集は昭和二十八年から手をつけたわけでございますけれども、それから五十年まで三次にわたる計画収集を行ったわけでございまして、その結果でございますが、二百四十万という海外戦没者のうちまだ百二十万柱御遺骨が残っておる。この中には海没御遺骨等もありまして、現在収集可能と考えておりますのは五十万柱でございますが、とにかく遺骨収集といいますと相手側の国の了解を得なければならないということ、あるいはまた、現在往来できるような土地での遺骨収集というのは大体終わったわけでございまして、ジャングルの奥地でありますとかあるいは地下ごうの中ということで、だんだん作業は困難になってきているというような事情もございまして、要するに現在は遺骨があるらしいというかなり確度の高い情報があった場合にそこに収集団を派遣するということにしております。  それで、予算は大体同じじゃないかということでございますけれども、三億何がしと今おっしゃいましたのは遺骨収集及び慰霊巡拝、慰霊碑の建立、その三つを含めました慰霊事業の予算でございまして、遺骨収集について申し上げますと、微増ではございますが最近少しずつふえておる。例えば五十七年度で申し上げますと一億一千三百万、ことしで申し上げますと一億三千九百八十万ということで、微増でございますがこの厳しい財政状況下、少しずつふえているというのが現状でございます。
  268. 山中郁子

    ○山中郁子君 全体の問題について具体的に突っ込んでお伺いする時間の余裕はないのでありますけれども、硫黄島の遺骨収集問題についてお伺いいたします。  まず、太平洋戦争中の硫黄島での戦死者数及びその遺骨収集状況を、概略で結構でございますが御説明いただきたい。
  269. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 硫黄島におきます戦闘により戦死した日本軍人は、陸軍が約一万二千七百名、海軍が七千四百名ということで、約二万百名というふうに把握しております。それで、これまでに二十二回に及ぶ遺骨収集団を派遣いたしまして、その結果五千七百二十柱の御遺骨を本土に送還しております。
  270. 山中郁子

    ○山中郁子君 五十八年からは年二回の収集ということで予算が八百万円というふうにお伺いをいたしましたが、これはそのとおり理解してよろしゅうございますか。厚生省にちょっと事前にお伺いした数字ですけれども
  271. 入江慧

    政府委員(入江慧君) それは予算の積算の際に硫黄島の遺骨収集に対して八百万ということで計上したわけでございますが、実行では、今御指摘になりましたように五十八年度が二回やっておりまして、二千三百二十万ほど使用しております。
  272. 山中郁子

    ○山中郁子君 戦死者数二万百名とさっき御答弁ありました。東京都の資料によりますと、二万百二十九名という数字が出ておりますが、ほぼ同じ数ですが、そして収集されたものが五千七百二十柱ですね、さっきおっしゃいました。  そうすると、戦後四十年になんなんとしているわけですけれども、残りの一万数千柱の遺骨が収集できていないでいるということになります。これはどうしてなのかということをちょっとお尋ねをしたいと思います。
  273. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 先に数字ちょっと申し上げますと、東京都の二万百二十九名、これは正確に申し上げますとそういうことで、私は丸めて二万百名と申し上げました。失礼いたしました。  それから、これまでに二十二回の遺骨調査及び収集で収集した御遺骨は、五千七百二十柱でございます。そうしますと、今御指摘のように、差し引き一万数千柱の遺骨が帰っていないということになるわけでございますが、この二万百名ほどの戦没者のうち、私どもの推測といいますか、いろいろな方々から聞いた状況からの推測で申し上げますと、約半数の方は、したがって一万名程度の方は当時地上で戦闘に参加されて戦没されたというふうに推定しておるわけです。御存じのように硫黄島には鉄量にして四万トンと言われる砲弾が打ち込まれたわけでございまして、そうしますと、地上に残された御遺体というのは、かなり残っている可能性が少ないんじゃないかということでございまして、昭和二十七年に初めて硫黄島に予備調査に行ったときも、地上にはもう御遺体はほとんど見られなかったというのが現状でございます。  したがいまして、仮に先ほどの一万名の方が地上で戦没されたということにいたしますと、残り一万名近くの方がごうの中で亡くなられたわけでございまして、その方々のうちの五千七百二十柱がこれまでに本土に送還されたということでございまして、残りの数千柱の御遺骨はごう内に眠っておられるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  現在は、先ほど申し上げましたように、すごい量の爆弾で地形が変わったと言われる硫黄島でございますので、ごう口、要するにごうの入り口が全部つぶれているわけでございますね。したがいまして、これからの遺骨収集というのは、まず、このごうの口を捜すことから始めるわけでございまして、見つけて中に入りますと、中はいわゆる硫黄ガスといいますか、非常に熱気とあれで蒸れておりまして、遺骨収集は非常に困難だというのが現在の硫黄島の遺骨収集の現状でございます。
  274. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、ごく大きく丸めて一万名が地上戦死者として物すごい爆弾の中で、全部遺体が残らないという状況になった。それで残りの、ごうの中に残されていると思われる遺体、遺骨については、先ほどの数は収容できたけれども、残りがまだ収集できていない、こういう状況だということでございますか。  私も実は数年前、国会の視察で硫黄島へ参りました。それで現実にごうの中とか、全体の地形の問題、どのようなすさまじい戦闘が繰り広げられたかというふうな跡を目の当たりに見てまいりましたけれども、そのことは、今私が申し上げたように理解をしてよろしいのか。  それからもう一つは、米軍の戦死者が約七千というふうに言われていると思いますが、これはすべて米軍が遺骨を収集して本国に持ち帰っているということですが、そのとおり厚生省では把握されていますか。
  275. 入江慧

    政府委員(入江慧君) まず第一点でございますが、大体そういうことでございまして、残りの御遺骨の数は定かでございませんけれども、大体こうの中で眠っておられるのではないかということで、これまでにごうの入り口でございますね、五百八十ばかり見つけまして、そのごうは全部収集済みということになっておりまして、あと残りは、先ほど申し上げましたように、生還者、生存者に実際に収集団と一緒にあっちに行ってもらいまして、ここに阿部隊の何々ごうの入り口があったはずだという記憶を呼び起こしてもらいましてパワーシャベルを入れるわけですが実際にはないという、かなりごうの口を見つけるのが非常に難しいというような状況に現在なっております。  それと、第二点の米軍の死没者でございますが、御指摘のように、私どもが把握している数字は、米軍は約七千名の方が戦死しておられますが、その御遺体が全部持ち帰られたかどうかという事実については、私ども承知しておりません。
  276. 山中郁子

    ○山中郁子君 旧日本軍の遺骨収集については、米軍も少し収集したという話もあるのですけれども、これは先ほどの五千七百二十柱に含まれているというふうに理解をされておられますか。
  277. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 米軍が収集したという御遺骨は含まれておりません。私ども今初めて伺いましたが、そういう御遺骨は含まれておりません。
  278. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど、積み上げの際は八百万円であったけれども、実際の実行は二千三百三十万だというお話がございましたけれども、私はやはり非常にわずかな予算で、今後何年たったら、少なくとも今厚生省がお認めになっている五千を超える遺骨の収集ができるという見通しがお立ちになるのかどうか、ちょっとその辺をお尋ねしたいと思います。
  279. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 先ほど、これは予算だけの問題じゃございませんで、要するに硫黄島も含めましてでございますが、現在、かなり見つかりやすいところの御遺骨はもう収集済みでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今残っております御遺骨は、ジャングルの中でありますとか山岳地帯の奥だとか、あるいは硫黄島、沖縄もそうでございますけれども、埋没ごうの中ということでございまして、なかなか困難をきわめるわけでございまして、防衛庁あるいは国鉄等の御協力も得ながら沖縄あるいは硫黄島ではやっておるわけですけれども、現実にはなかなか進捗しないということでございます。  遺骨収集がいつ終わるかということを現在ここで確言しろというお話でございますが、それ非常にむずかしいわけでございまして、今後とも遺骨があった、ありそうだという確度の高い情報があった場合に、そこに、機械力を使って遺骨収集に出ていくということを、そういう情報がある限り続けていきたいというふうに考えております。
  280. 山中郁子

    ○山中郁子君 お金だけではないことは確かでありますけれども、最大の障害は、私はやはり今の自衛隊基地、米軍基地にあると思います。それで、戦後四十年になろうとしているこの時期に、この硫黄島一つ問題とってみても、そこで無念の死を遂げられた方たちの遺骨を収集するということが戦後処理の問題の大きな欠かせないところであるという立場から、私はぜひとも、玉砕したといっても実際に約一千名の軍人が戦死を免れているわけですよ。それはもう厚生省も御存じだと思います。その方たちの証言もあるし、具体的ないろいろな指摘もあるわけなので、そういう点からぜひ積極的に、もちろん予算もそこでつけなければいけないわけですけれども、収集に本格的に促進をするという立場にお立ちいただきたいと思っているわけです。  それで、戦死を免れた方たちの証言によりましても、現在の二千六百五十メートルの、これは自衛隊最長の滑走路でありますけれども、この滑走路は整備されたのですが、その下にたくさんのごうがあって、そのごうの中に遺体がたくさんあるということが証言されておりますけれども、この点については厚生省はどうお考えになっておられますか。
  281. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 私ども、生還者から聞いた話によりますと、現在の滑走路は、旧日本軍が使っておりました元山飛行場の滑走路の部分について、米軍が上陸直後に整備して使っておったわけでございますが、それをさらに自衛隊が整備して使っておるということでございまして、今のお話のように、滑走路の下にごうが、御遺骨があるかどうかということにつきまして、生存者からの情報ではそういう具体的な情報は得られておりません。
  282. 山中郁子

    ○山中郁子君 実際に証言もあります。それにそのことをとやかくあなたの方がおっしゃらなくても、それだけの大きな長い滑走路の、かなりの面積を占めるところだけにごうがなかった、したがってそこには遺体はない、遺骨はないとは言い切れないでしょう。どうですか。絶対ないということはないでしょう。
  283. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 絶対にないということは私も申し上げられませんけれども、今申し上げましたように、もとは旧日本軍の元山飛行場のあった場所でございますから、私はよくわかりませんが、飛行場は普通攻撃するときの第一目標になるんだろうと思います。そうしますと、そこにごうをつくるというのは通常考えられないんじゃないかというふうに私は推測いたします。
  284. 山中郁子

    ○山中郁子君 滑走路の下に、今自衛隊の滑走路として整備されたその下にたくさんのごうがあって、その中に遺体があるという証言が先ほどあると申し上げましたけれども、あなたが今そういうふうにおっしゃっても、絶対にそこには遺骨はないんだということは言えないわけですね。現にやっぱり、事実滑走路の下にごうがたくさん掘りめぐらされていたという証言もあるわけで、やはり私はこういう事態のもとで、遺骨を全部収集し切るという立場に厚生省、国が立って、その事業を進めなければいけないというふうに思います。  それで私は厚生大臣に、今までのやりとりをお聞きになった上で、ここでちょっと基本的なお考えというか、厚生省の姿勢を確かめておきたいのですが、やはり遺骨収集はやり切るという立場に厚生省はお立ちになっているはずですよね。それはお約束いただけるものと思いますが、いかがでございましょうか。姿勢です、基本的な。
  285. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは、我々の国を守るために命を失った先輩の皆さん方の霊の安らけくと祈るのが我々の気持ちでありますから、その霊に安らかに眠っていただくためにも、遺骨収集はできる限りやらなければならないものと考えております。  ただ、今政府委員から答弁申し上げましたように、やはり物理的な制約あるいは外交上の制約、そういう数々の困難の問題がありますが、それらの困難な条件の中で、可能な限り努力をしたいと思っております。
  286. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は先ほど、数年前に国会の視察で硫黄島へ行ったということを申し上げました。そのときに、本当に真っ青な海で、真っ青な空で、きれいなそういう中で二万人の日本兵が玉砕をした。そのときに伺いましたら、その大半は少年兵であったということも伺いました。私は日本軍国主義の侵略戦争の犠牲となったそのいたいけな少年兵たちの遺骨を本当に国の責任でもって収集し、そしてしかるべき安住の場所に運ばなければいけないというふうに、現地を見て強く痛感した次第であります。  私が今重視しておりますのは、もう一つは、このような島で再び米軍が七月十五日に上陸演習を行ったということです。これはどういう部隊名かも含め、どんな規模で、いつからいつまで、どのような内容の訓練を行ったか、この際明らかにしていただきたい。外務省にお尋ねをいたします。
  287. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) ただいま御質問のありました米軍の訓練と申しますのは、非戦闘員の救出訓練でございまして、米軍の当初の計画によりますれば、七月の十五、十六の両日に五隻の艦艇が参加し、約八百人ぐらいの上陸ということで予定されておりましたけれども、艦艇等の都合上、実際に行われました訓練の規模は縮小されまして、一隻の艦艇、それから上陸した人員は約四百五十名ということで、訓練が行われました時間も十五日のみであったと承知しております。  若干細かく申し上げますと、私どもが把握しております範囲で申し上げますと、米海軍の第三両用戦隊に属しますLPHのニュー・オルリーンズという船からヘリコプターで、またC130の飛行機によって第三一海兵隊両用戦大隊の隊員約四百五十名が上陸し、地位協定のもとで施設区域として提供されております飛行場を利用して、七月十五日の午後一時から六時過ぎまでの間、非戦闘員の救出を目的とする訓練が実施されたと承知しております。
  288. 山中郁子

    ○山中郁子君 部隊名をもう一回教えてくださいますか。ちょっと聞き取れなかったんですけれども
  289. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  米海軍の参加部隊は第三両用戦隊でございます。それから米海兵隊の参加部隊は第三一海兵隊両用戦大隊でございます。
  290. 山中郁子

    ○山中郁子君 このような島で、まさに再び戦火を繰り返すまいと多くの国民が願っているときに、米軍がこうした上陸演習を行うなどということはとんでもない話であって、私は今後の訓練に対しては絶対に日本が認めるべきではないという立場で政府に申し上げるところであります。  防衛庁にお伺いをいたしますが、自衛隊は昭和五十五年から五カ年計画で、約百億円かけて、自衛隊の硫黄島基地の強化を図っていますけれども、その中で、この最長と言われる滑走路の費用はどのくらいかけたものなのでしょうか。それから、滑走路の厚さは大体どのくらいのものとして補強工事をされているのか。この基地強化の五カ年計画での、滑走路だけでないその他の部分の概要を、目的を含めて簡潔にお示しをいただきたいと思います。
  291. 及川康男

    説明員(及川康男君) 御説明いたします。  まず、硫黄島基地の整備の目的でございますけれども、これは本土における飛行訓練環境の制約によりまして、海上自衛隊と航空自衛隊が所要の訓練を十分実施し得ない状況にあることから、練度の維持向上を図るため、硫黄島に訓練用施設を整備しているわけでございます。  これに要した費用は、先ほどお話しがありましたように、約九十八億円でございます。それから滑走路等に要した費用は十六億円ということでございます。  滑走路の厚さの関係が今お話しございましたけれども、今、手持ちの資料で持ってまいっておりませんので、ちょっとわかりません。
  292. 山中郁子

    ○山中郁子君 この滑走路の整備の際も、この作業に従事した鹿島建設の関係者から、整備したりあるいは格納庫を建設した際にも遺骨がたくさん出てきたと、こういう証言があるんです。  ですから、先ほど外交上の問題だとか物理的なとおっしゃったけれども、本当にあの侵略戦争で犠牲になった方たちの霊を弔うというふうに厚生大臣が心からおっしゃるならば、やはり厚生省として、まず私は、この基地撤去なしには硫黄島の遺骨収集は終了できないと思いますし、そういう立場で遺骨収集をやり切るという姿勢をお示しになるべきだというふうに思います。硫黄島の墓参に参加した遺族の方が、硫黄島がいつまでも平和な島であってほしいというふうに願っておられますけれども、まさに今防衛庁から御答弁があったように、あるいは外務省から御答弁があったように、自衛隊や米軍の基地としてまた危険な戦争の拠点にされているという現実を私はやはり重要な問題として受けとめなければならないというふうに考えます。  それで、第二次大戦の戦死者の遺骨が、一万数千なのか、先ほど厚生省がおっしゃったように数千なのかはともかくとして、二万を超える戦死者のうちの遺骨が五千余しか収集されていないという現実があるわけですから、硫黄島がこれからますます強固な基地になっていくような道をたどるならば、この遺骨収集の問題だけとってみても、一層これは困難な問題になっていくわけです。私はそういう点で、遺骨を収集するという厚生省の重要な仕事の中身に照らして、こうした方向について厚生省がきっぱりした立場で遺骨収集が実現可能な施策を示していくべきであるし、当然のことながら、硫黄島が強固な基地として進んでいくことについては断固として反対をしていただかなければならないというふうに思っています。  現在、硫黄島の墓参も東京都に任されているわけですけれども、ことしの東京都主催の墓参には希望者が三百五十人おられたけれども、定員の関係、つまり予算の関係で三分の一の人はカットされたというのが現実です。私は、政府としても予算をつけて墓参計画を行うべきであるし、また、遺骨収集予算も増額すべきであると、最初に申し上げた点を改めて申し上げて厚生大臣の御見解を伺うとともに、現状のような硫黄島の基地増強のもとで、遺骨収集の問題だけに限って言っても、遺族の方たちの、また亡くなった方たちの平和への願いを踏みにじるものであるという私の考え方に対して厚生大臣がどのように考えておられるか、御見解をお示しいただきたいと思います。
  293. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 今東京都の慰霊巡拝団のお話がございましたけれども、政府派遣の慰霊巡拝も、五十五年三月、五十九年三月、二回にわたって行っておりまして、今後三回目を行うことを検討してまいりたいというふうに考えております。
  294. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) この国が起こしてしまった戦争でとうとい命を失った皆さん方のみたま安かれと祈る気持ち、これはもう国民みんなが同じだと思います。私も朝できるだけ早く起きて毎日靖国神社の参拝を欠かさないように努めておりますが、これはもう国民の皆さん同じ気持ちであるし、また、そのみたま安かれと祈る気持ち、戦争が終わって三十九年たってなお海外のそれぞれの島や地域にまだ遺骨が野積みにされ、あるいは雨ざらしになり、あるいはごうの中に残っておる、これはやはり日本人として、日本国としてできるだけ故国に収集したい、しなければならない、この気持ちも国民すべて同じことだろうと思います。  ですから私は、さきに申し上げましたように外交上の制約、これはこの国が国際社会に生きている以上、やたらに自分だけ勝手にどうこうするというわけには、これは世界が平和になっていくためにもいきませんから、やはり外交的なある程度の制約は受けます。また、これは戦後三十九年たってしまいましたから、今政府委員から答弁しましたように、極めて物理的に困難なもろもろの問題等がございます。しかし、それらの制約をできるだけ克服して遺骨収集を早くしたいという気持ち、そしてその務めが我が厚生省にあるのですから、これは一生懸命これからも努めてまいります。  ただ、先生のお言葉に逆らって申しわけありませんが、自衛隊の基地の問題は、これはまた別の問題でございまして、我が国が二度とあのむごたらしい惨禍に遭わないように、この国の、国民の平和を守るために自衛隊は存在し、その自衛隊の基地はそれなりに平和を守るためにあるのでございますから、これと遺骨収集の問題は別でございます。
  295. 山中郁子

    ○山中郁子君 一言だけ。  大臣があえておっしゃるから私も申し上げますが、今靖国神社問題がどういう問題として国民の間で論議をされているか、受けとめられているか、自衛隊の基地の問題がどのように受けとめられているかということを、時間がもうありませんからここで議論をいたしません。しかし、あえて遺骨収集の問題に関して厚生大臣がそうおっしゃることは、日本の軍国主義復活強化、そして今核戦争の危険のもとにさらされ、そしてファシズムの道への危険をみんなが感じている、そういうもとでそのようにおっしゃることは国民への重大な挑戦であり、本当に平和を願う人々の心を傷つけるものであり、そしてあの侵略戦争の犠牲で亡くなられた方たちを冒涜するものであるということだけを私は一言申し上げておきます。
  296. 柄谷道一

    柄谷道一君 まず、社会福祉医療事業団法について御質問いたします。  医療金融公庫は、昭和三十五年七月に設立されましたいわゆる政府関係機関でございますが、その当時の速記録によりますと、その設立の目的を、当時渡邊国務大臣は次のように説明しております。「現下における私的医療機関の担当すべき役割から見て、その適正な整備及び機能の向上をはかるためには、これに必要なる資金を、財政資金により、長期かつ低利に融通する道を講ずることが必要と考えるのであります。」、その主なところはこういうところです。一方、社会福祉事業振興会は、二十九年四月からスタートいたしておりますが、これも速記録によりますと、「終戦後民間社会福祉事業はますますその重要性を加えて参りましたが、補助金についての厳重な制限、物価の高騰等により施設の修理、改造等に困難を感じ、昭和二十二年以降共同募金運動の展開を見ましたが、配分対象の増加によりまして実質的な配分額は減少する状況でありまして、社会福祉事業振興のためには、長期低利の資金融通をはかる必要性が強く要望せられて来たのでありまして、」と、こう提案されているわけでございます。  そこで私は、行政改革として、これらの機関の統廃合については、もちろん簡素化の見地から反対するものではございませんが、ただ二つのものを一つにするというだけでは芸もありませんし、合理的でもないと思うわけでございます。どうも、私はこの二機関は、その提案趣旨の内容から見て異質のものではないかという感じがいたします。また、このほかに厚生省所管の政策金融機関としては環境衛生金融公庫も存在するわけでございます。  今回の統合について、積極的な理由づけをまずお願いをいたします。
  297. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) この委員会で提案理由の説明でも申し上げましたように、医療社会福祉と、これは二本立てでいろいろの施策が今日まで進められてまいりましたが、最近急速な高齢化社会が近づいてまいりまして、いろいろ高齢者に対する施策、寝たきり老人の問題とか、あるいはぼけ老人の問題とか、我々やっておりますと、この対策のためには医療社会福祉というものが極めて密接不可分の関係で有機的に連携していかなければならないということが痛感されるわけでございます。そういうことから、今回この二つの機関を、今まではかなり異質の面がございましたが、一つにすることによってこれを同化し、調和させていくことによって新しい時代のニーズにこたえてまいりたい、これが私どもがお願いしておる最大の理由でございます。
  298. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣の御答弁は、社会福祉医療の有機的関連を強化して事業を進めていきたい、この一言に尽きると思うわけでございますが、私は、大臣がそのようなお考えで今後この事業を遂行していくためには、裏づけといいますか、政策との関連が極めて重要になってくると思うわけでございます。  例えば、我が国の医療機関の整備状況を見ますと、マクロ的には確かにかなりの水準に達しております。しかし、一方では高齢化社会の到来に即応した医療体制の整備や僻地医療の問題など、新たなニーズが生まれつつあることも大臣十分御承知のところであろうと思います。  ところで、この医療金融公庫につきましては、貸付金額、貸付件数とも最近は鈍化の傾向を示しております。人によっては、融資機関としての役割は低下しているのではないか、その必要性が少なくなってきているんではないかという指摘も行われているわけでございます。私は、今日適正な医療資源の配分を行うためには、貸付機関の統合によって目的をよりよく発揮させると同時に、それに政策が伴わなければ政府関係機関とか特殊法人にしておくメリットはないと、こう思います。そこで、総数で見た医療供給体制は、さきに申し上げましたように、欧米並みにはなっておりますけれども地域格差は解消していない。こういった実態をどのように改善、解消していくか、こういった政策と融資というものが一体的な運営がなされなければならないと、こう思います。  また、そういう意味では社会福祉施設も同様でございまして、今後の高齢化の過程の中でますます重要になってまいります在宅対策との関連、今後の需要の変化等を考慮しつつ、要収容人員の見直しを行い、新しい整備計画のもとに計画的に整備を図っていく必要がございます。在宅対策の充実と関連して、適所施設、福祉医療接点になる施設、生きがいを高めるための施設等をどう位置づけていくべきか、これもまた重要な政策課題でございましょう。さらに、コミュニティーケアが強調されております中で、施設体系を見直す必要も生まれてくる。その際、中間施設としての通園施設、利用施設への重視、措置施設としての社会福祉施設の再検討が必要になってくる。私は、そういうふうに医療機関に対する融資、福祉施設に対する融資、しかも大臣はこの間に有機性を持たせつつ、関連性を強化してこの事業運営を図っていきたいと言われるならば、やっぱり中期ビジョンにも書かれていることをもう少し厚生省としての政策を持って、この政策に従って事業を運営しなさいよというものがないと、大臣、言葉ではきれいに言われるんですけれども、ただ足して一つにしただけではないか、こういう批判を免れないのではないかと、こう思うんです。  今、この短い時間に一つ一つの政策について解明せよということは、時間的に私に許された時間もそうございません。ただ、ここで大臣は、私の申し上げましたような政策検討、立案、これと今度の新事業団を結合さして事業運営を図っていくお気持ちがあるのかどうか、また、そういう方針で省内を督励し、かつ新事業団を指揮されるお気持ちがあるのかどうか、これだけをお伺いしておきたい。
  299. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 大変貴重な御意見をちょうようだいいたしました。  実は私、ついせんだって、日曜日にちょっと国に帰りましたら、看護協会の人たちがいらっしゃって、ぜひナーシングホームをつくりたいと、これはまた、看護婦さんの皆さん方が定年になったりした後にここで働く、一石二鳥をねらった考えを聞いて、なるほどなと、こう思って帰ってまいったんですが、これをさて社会局長に相談すべきか、健康政策局長に相談すべきか、こうなると、かなり戸惑うところがございます。  先生からも幾たびか指摘されましたが、今医療社会福祉接点にある中間施設、こういったもののニーズが非常に高まってまいります。こういうものは、まさに今回御審議を賜るこの機構がこれにうってつけの適用ができるのではないかということを考えたのでございますが、今度私ども先生方に出しました二十一世紀の医療ビジョン、具体性がないというおしかりをいろいろ受けておりますが、この基本的な私ども考え方を、今度御審議、成立を賜りましたら、この新しい機構と有機的に結びつけて、具体的なそれぞれの施策を計画的につくって、これをそこで実施していく方向を進めていく。  私は、今まで国会に忙殺されて、なかなか取り組めなかったのでありますが、あした国会が終わったら、今度は私は、明るい高齢化社会、健康で明るく楽しく生きていけるような高齢化社会、これをどう創造するかという問題に取り組んでいきたいと思うんです。今の先生からの貴重な御意見等を十分に参考にさせていただいて、できるだけこれらの問題の具体的検討を急いでまいりたいと思います。
  300. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、本法案が賛成法案なるがゆえに実効を上げねばならぬ、その実効を上げるためには、政府の政策とこの新事業団がやはり裏と表の関係で緊密な連携をとりつつ政策展開をしていく、その融資機関である、ぜひこのことは大臣も肝に銘じて実効が上がる御指導を賜りたい。  あわせまして、国民に対して適切な医療福祉を提供していくためには、今私の申し上げました視点のほかに、もう一つの視点が要ると思うのでございます。それは、その前提として、健全かっ安定的な医療機関、福祉施設の経営が確保される、こういうやっぱり背景づくりということが必要であろう。その政策と経営基盤の安定という二つが相まって、国民期待の医療供給体制や福祉施設体制というものが整備されていくべきである。金を渡すから勝手にお使いなさいでは、これは貴重な国のお金が絡んでくるわけでございますから、そういうことであってはならない、こう思いますが、第二の私の視点について、大臣、御所見いかがでしょう。
  301. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 全く同感でございます。
  302. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間がございませんので、次に、保健所法の一部改正について御質問をいたします。  この法案は、臨調第三次答申の趣旨に沿うものでございますけれども、この第三次答申は、保健所職員を含む地方公務員に対する人件費補助につきまして、補助対象職員が担当する事務事業の円滑な実施を確保するための必要な措置について検討を加え、二年以内に原則として一般財源措置に移行するということが指摘されているわけでございます。この答申に従って一般財源化を行わなかった理由は一体那辺にあるのか。今後一般財源化を図るお考えをお持ちなのか。この点をお伺いいたします。
  303. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 御指摘のございましたように、臨時行政調査会の御意見は、地方公務員に対する人件費の補助は一般財源化すべきであるということでございました。しかしながら、保健所は、一層高まってまいります国民の期待にこたえまして、地方における衛生行政の中心機関で、地域の保健水準を確保する必要があるわけでございます。そのためには財源が確保される必要があるわけでございます。地方交付税による一般財源措置になりますと、その使途が全く特定されなくなりますために、保健所活動を行うために十分な財源が保障されるかどうか、保健水準の確保ができるかどうか、いささかの疑問もございまするし、一部関係者がそういう心配をいたしまして強い反対もあったところでございます。  そこで、私どもといたしましては、やはりこれはこの際一気に一般財源化するのは適当ではないのではないか。補助方式を改めまして、厚生省所管の補助金としての交付金化をすることによりまして、地域の実情にあった自主的な、弾力的な運営ができ、保健所が一層円滑な事業運営ができるように、一般財源化ではなくて交付金化ということが適当であると考えたわけでございます。そこで、これはただいま申し上げましたように、地方の自主性に応じて、また、実情に合った運営ができますので、この方法によりまして保健事業制度の推進を図ってまいりたい考えでございます。
  304. 柄谷道一

    柄谷道一君 保健所が、今後高齢化社会の到来等を控えまして、地域における保健対策、予防対策を強化しなければならないときにその中心的な機関になる。今後、医療費対策の面からも保健、予防が重視されなければならないということは、健保法審議の中でも各委員から強く指摘されたところでございますし、附帯決議の中にもこれが盛り込まれているわけでございます。  今局長は、一般財源化よりもむしろ交付金の形をとることがより財源的に確保できるという趣旨の御答弁があったわけですが、今回の改正案では、国庫補助定額方式をとっているわけでございます。その理由として、保健所運営の自主性弾力性に資するためと、こう言っておられるわけでございますが、私はむしろ定額交付になることによって、まず最初に国の財政の事情も絡み、お金の枠が決まってしまう。それに身の丈を合わせるように活動が萎縮をしてしまう、運営いかんによってはその危険が多分にあると、こう思います。また、保健所運営関係の予算が、前年度に比べて約三十五億円増額されておりますけれども、これは甚だ失礼なことかもしれませんが、今回の改正案の定率負担から定額負担へという方式の変更自体から生ずる増額ではなくて、一種の手土産的増額であると皮肉る向きも一部にございます。また、定額交付金方式というのは、さっき言ったように今回三十五億円ふえておりますけれども、この増額は交付金方式とは全然別個のものでありまして、将来ともに、毎年前年度よりふえていくという保証はないわけでございます。  あれこれ考えますと、交付金の今後の枠決定いかんが、今後ますます重要視される保健所活動のいわば決め手になるというわけですね。  大臣の方から、これはビジョンにも書かれているように、この施策を今後強化していくんだ、そのためには定額というものは時代のニーズに合わせて充実していくんだ、この努力ベのお答えがないと、これははなはだ不安を醸し出すんではないかと思うのでございますが、大臣の御所見、決意はいかがでございましょうか。
  305. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これはまさに先生指摘のとおりでございまして、この方式を今後とることになった場合、地元の自治体の皆さん方が保健所に対してどれだけ大きな関心を持ってくれるか、また、国の毎年の施策において、保健所運営の重要性というものがどれだけ予算に反映していくか、これによってその功罪が決まっていくと思います。  私は、今日ほど国民の皆さんの健康に対する関心が強くなっておるときはありませんし、また、これから二十一世紀に向かってますます国民の皆さん方の健康に対する関心は高まってまいります。民主政治は、国民の世論が政策に反映していかなければなりませんから、都道府県の皆さん方もこれは保健所の充実というものにより御協力をいただくものと確信をいたしますし、また、国も、こうして先生方に御審議をお願いしたこの方式が裏目に出るようなことがあってはこれはなりませんから、私どもは努めていかなければなりませんが、この社会労働委員会先生方の後押し、御協力、御指導、これを得ながら、この保健所方式、この方式によって二十一世紀の新しい時代に保健所の運営が、国民の期待にこたえる機能がより充実していくように努力をしてまいりたいと思います。
  306. 柄谷道一

    柄谷道一君 交付金を地方公共団体に交付するに当たりまして、不公平のないように地域ごとにいろいろな事情を配慮する必要があると考えるわけでございます。この配分に適正を欠きますと、地域によりましては保健所事業が後退するという危険も生じてくるおそれがございます。また、面積や人口というものは、余り毎年毎年変動がないわけでございますから、その場合、予算獲得の陳情のうまさが各地方の交付金の額を決めるということになったり、特定政治家の圧力でこの案分がゆがめられるということに仮にもなりますならば、国全体の保健施策というものが混乱してくるおそれがあるわけでございます。もちろん大臣は公平を期すと、こうお答えになると思うのでございますが、どういう基準で、基本的な考え方で、この交付額を決められるわけですか。
  307. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) お話のとおり、不公平があってはならないことはもちろんでありますが、今日考えておりますのは、交付金総額の約七割を、お話にもございました人口と面積に基づいて案分をいたしたい。保健所事業は歴史がございまして、各都道府県で定着をしておるわけでございます。今後は、新しい保健需要に基づきまして地域の実情に応じて自主的、弾力的に運営をしていただくことになりますけれども、やはり基本は人口と面積であろうと思うのでございます。  しかしながら、全部それでは、やはり事業の多寡等による不公平が生ずるおそれがございますので、三割につきましては、そういう人口とか面積による案分では捕捉し切れない地方公共団体の特別な事情、例えば辺地をかなり多く抱えておりまして特にそういうところに対策を講じておるとか、そういう人口と面積によることができない特別な事情を考慮いたしまして交付額を決定をする。事業量につきましても、そういう交付金の範囲で調整を図り、不公平の生じないようにいたしたい考えでございます。
  308. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひこれは絶対に公平を期していただきたい。  また、本案が成立いたしましてさらに明確な配分基準等が定まりました場合は、委員会とは別に、こういう方向、基準で配分するということについて、私にもまた資料の提供を求めたいと、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  309. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) 了解いたしました。
  310. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法について御質問いたします。  既に数人の委員の方から指摘されました中国残留孤児問題についてお伺いをいたします。  終戦当時、中国大陸で行方不明として戦時死亡宣告を受けた十三歳未満の子供は約三千三百人、このうち既に死亡された方々も多いと思われますが、本年三月上旬の第五回訪日調査で身元が判明した孤児二十五人のうち、十一人は既に戦時死亡宣告を受けていた人であった。この事実から見ましても、厚生省が残留孤児千五百四十六名、永住帰国した者百八十七名を引いて、現在千三百五十九人の残留孤児があると、こういうふうに概数で把握されております数は、今後精査すればまだ相当ふえるのではなかろうかと思われます。新聞紙上伝えるところによりますと、中国外交部の張瑞所長が、約二千人の残留孤児が現在いる、調査継続中であって、さらにこれはふえるのではないかという見解を示したと新聞に報道されているわけでございます。  私の知るところによりますと、厚生省では未帰還者名簿や戦時死亡宣告者名簿を洗い直す作業を既に実施をしておりまして、基礎資料を整備する方針であると、こう承知いたしておりますが、この残留孤児問題も中国政府と連携をとりつつ、さらに正確な数の確認について、今後どのように作業を進めていかれる予定を持っておられるのか、お伺いします。
  311. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 先ごろ来日しましてきょう帰りました中国の残留孤児の担当者の方々が、確かに、中国に現在二千名の残留日本人孤児がいるという発言をされたわけでございます。しかし、私どもの肉親捜しは、中国残留孤児の側から肉親を捜してほしいという手を挙げた残留孤児について肉親捜しをやっておるわけでございまして、先月末で申し上げますと、先ほど御指摘の数よりちょっとふえますが、千五百五十二名の肉親捜しを希望する孤児がおりまして、そのうち七百四十二名について肉親が見つかりまして、現在八百十名について調査中ということでございますが、いずれにせよ、この二千名と千五百五十二名というのに、差があるわけでございます。  それで、その差が何かということは、現在のところ定かではないわけでございますので、要するに外交ルートを通じまして名簿の孤児名の照合等をやりたいと考えておりますが、恐らくこの二千名の中には、孤児ではあるけれども、何といいますか、いろいろな家庭の事情その他で、現在の段階では肉親を捜したいということを申し出るような環境にないというような方が含まれているのではないかということが推測されますが、いずれにしろ、これはできるだけ外交ルートを通じて孤児名等の照合を行ってみたいというふうに考えております。  それから、戦時死亡宣告のお話が出ました。確かにこの間の調査で、二十五名のうち十一名が戦時死亡宣告等を受けまして戸籍から抹消されておったわけですが、戦時死亡宣告、御存じだと思いますけれども、戦後多数の人間が引き揚げてまいりましたときに、海外にいて引き揚げてくるはずなのに引き揚げてこない方につきまして、留守家族から未引揚者届というのをとったわけでございますが、それで残留孤児のうち、これまで肉親が見つかりました中で、この未引揚者届というのが出ていない者が約半数おりますし、この未引揚者届が出されております孤児の中でも、その中の大部分が死亡宣告を受けているということでございまして、やはり終戦のああいう混乱の状況でございますので、かなりデータに不正確な点があるということでございまして、要するに、当時十三歳未満の残留孤児に該当すると思われる者につきましては、これまでの戦時死亡宣告というような戸籍処理の現状にかかわらず、その者が死亡していない、死亡しているという確認のとれない者につきましては、当時の状況等を肉親から改めて聞きまして、資料の充実を図りまして、肉親捜しを希望している孤児から申し立てております事実と突合して調査を進めていきたいというふうに考えております。
  312. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生大臣、戦後の混乱期でございましたから、いろいろ国の持っておる資料が必ずしも正確であったかどうか、これは二十五人身元がわかったうち十一人までがもう既に死んだことになっておったという方が出てきたというのは、半数以上がそれに該当しているというわけですから、ぜひ地方自治体とも連携をとられて、ぜひ正確な数の把握について厚生省も御努力を願いたい。よろしゅうございますか。
  313. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) できる限りの努力をいたします。
  314. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、本年三月十七日に日中両国政府間で口上書が取り交わされた。これは、今後の中国残留弧児問題について一つの大きな前進であったと評価するものでございますが、今日まで、一つの大きな問題点は、やはり養父母の扶養問題というのが一つのネックであったと思うわけでございます。その口上書によって幾つかの点が確認されておりますが、これは省略をいたします。  そこで、この中でお伺いいたしたいのは二つございます。  一つは、扶養費の国の負担分ですね。五十九年度は二千五百万円を予算化しておるわけでございますが、厚生省は具体的にどういう標準額で、支払い方法をどうしようとお考えになっているのか。  それからまた、後の半分は中国残留孤児援護基金からの寄附金で賄う、こういうことになっておると承知しますが、六月中旬で、十億円の目標に対して七億三千万の募金しか集まっていない。そのために、さらに来年六月まで延長して目標達成に努力する、こういう方針のようでございますが、その後の寄附金の状況は一体どうなっているのか。  この二点をお伺いします。
  315. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 初めに、養父母の扶養費の問題でございますが、御指摘のとおり、三月十七日の口上書によりまして、日本に永住帰国した孤児が中国に残る養父母に対して負担すべき扶養費について、二分の一を日本政府が負担する。残余については残留基金が寄附金を募集して充てるということになったわけでございまして、ただ、その口上書の中をお読みいただければおわかりと思いますが、具体的に被扶養者の範囲なり額なり支払いの方法というのは、今後、両国政府間で協議するということになっておりまして、現在こちらから、その範囲なり支払いの方法について、こちらとしての一つの考え方を向こうに投げかけておりまして、現在、向こうから答えを待っているという状況でございます。  それで、五十九年度予算に二千五百万円の扶養費が計上されているけれども、その算定はどういうふうにしたのかという御質問につきましては、そういう状況でございまして、扶養費の額は今はペンディングの状況でございますが、昨年、この口上書の下打ち合わせをやるために向こうから事務担当者が参りまして、事務レベルの話し合いをしたときの話し合いの中で、向こうの平均的な一人の生活費は二十五元であるというような話がございまして、それは一応平均的でございますので、まあ大都市とあるいは農村というのは少し傾斜をつけたらどうだろうかというような話が出たわけでございまして、その話を一応基礎にしまして五十九年度予算は二千五百万円という予算を計上したわけでございますが、現実に今度払います扶養費が幾らになるかというのは、今協議しております中国側の回答が来た段階で最終的に決まるということでございます。  それからもう一点、援護基金の募金の状況でございますが、ただいまたしか六月十五日の募金状況を御指摘になったと思いますが、七月三十一日現在で七億四千万円の募金を受け付けております。今後とも、できるだけ一般の理解を得ながら募金に努めていきたいというふうに考えております。
  316. 柄谷道一

    柄谷道一君 戦後三十九年経過いたしまして、孤児たちはもはや中年でございます。肉親たちはすでに老境に入っておられるわけでございます。この肉親捜し問題は、まさに時間との競争と言っても過言ではないと思います。そういうことを考えますと、例えば一つには、毎年百八十人ですか、という来日調査の規模を拡大するということも必要でございましょう。また、第二には、これは中国と折衝しなければならぬとは思いますが、中国に調査員を送りまして現地で孤児との面接調査を行い、その結果を情報とともに、でき得ればビデオに収録して、我が国の報道機関の協力を得て流すという方法を併用することもまた有効な手法でございましょう。  さらに、血液鑑定の問題でございますが、現在行っておりますABO、MN、Rhの各血液型の識別だけでございますと、親子確認の精度としては五〇%もあればいい方だというふうにも言われております。これに対して、赤血球や血清など三十一項目の検査を伴う血液鑑定をすれば、九九%親子関係の合否の確率があるとも言われております。私は医者ではございませんので専門的なことはわかりませんが、そういうことも言われているわけでございます。  従来のような手法ではなくて、口上書の交換を一つの契機として、多角的な方法をこれに採用してこの時間との競争に挑戦していく、こういう姿勢が厚生大臣にあってしかるべきではないか。この点に対する御所見をお伺いいたしますと同時に、あわせまして、人道問題から出発いたしまして口上書が締結されましたことを喜ぶと同時に、戦後サハリンに置き去りにされたまま解決に至っていない韓国の人々に対して今どういう対応をしておられるのか、これをお伺いいたしまして、多くの通告をしておりましたが、時間が参りましたので質問を終わります。
  317. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 訪日調査の規模の拡大の点が第一点でございますが、五十九年度百八十名を予定しておりまして、現在、その訪日日程について中国側と協議しております。昨年は百十名やったわけでございますが、今年度はぜひ百八十名について調査団をやりたいというふうに考えております。六十年以降も肉親捜しの早期解決という観点から、前向きに検討したいというふうに考えております。  次に、訪中調査でございますが、御指摘のように、これはやはりあちらの国へ行ってやることでございますので、向こうの事情も考えなきゃならないということでございまして、幸いに、これで訪日調査がレールに乗りました段階で粘り強く訪中調査、こちらから向こうへ出かけてやる調査についても、向こう側の協力をとりつけたいというふうに考えております。  第三点の血液鑑定でございますけれども、御存じのように、肉親捜しは性別、年齢、あるいは別れた場所、避難経路、身体的特徴等々いろいろな状況を照合しながらやるわけでございまして、それてどうしても踏ん切れないというときには、現在でも、経費を国側が負担いたしまして先ほどおっしゃった精密な血液鑑定を行っているわけでございますが、過去の実績を見ますと、血液鑑定を行わないで、先ほど申しましたもろもろの状況から判明した孤児は約八割ということでございます。それで、確かに親子関係の確認という点につきましては、先ほどの精密な血液鑑定というのはかなりの効果を持っておるわけでございますけれども、一方、兄弟とか、あるいはおじ、おばの関係になりますと、確度がさらに下がってくる、こういうような状況、先ほど申し上げましたように、八割の人間について血液鑑定をしないで見つかっているという現況から見まして、全員について血液鑑定をやるということは必要ないんじゃないかというふうに現在では考えておるわけでございます。  それから、サハリンの関係でございますが、サハリンの残留者対策、これは人道上の問題といたしまして、外交ルートを通じましてこれまでに何回か実情調査あるいは帰還ないし親族との再会につきまして、ソ連側の好意的な配慮を申し入れておるわけでございますが、ソ連側の立場は、要するにこの問題は日本と話し合う問題ではないという態度をかたくなにとっておりまして、現在では進展がないという状況でございますが、今後とも、外務省にお願いしまして、外務省が粘り強くあちらに働きかけていくというふうに聞いておりますので、厚生省としてもその推移を見守っていきたいというふうに考えております。
  318. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先生指摘の問題、人道上極めて重要な問題ばかりでございます。また、具体的に貴重な御提言も賜りましたので、これらを十分に参考にさせていただいて、できる限りの努力をしてまいりたいと思います。
  319. 下村泰

    ○下村泰君 三つの法案を審議中でございますが、私は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正案、この中の二つの問題についてお尋ねをいたします。  まず、遺骨収集についてお尋ねをいたしますが、先ほど二百四十万の遺骨、そして収骨が百二十万と、こういうふうにお答えになりましてが、これは事実でしょうか。
  320. 入江慧

    政府委員(入江慧君) そのとおりでございます。
  321. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、ちょっと異論があるのです。と申しますのは、昭和五十四年四月三日の予算委員会におきまして私が質問したときも、やはり海外戦没者二百四十万、遺骨送還収集が百二十万。ことしは五十九年です。私がお尋ねしたのは五十四年なんですよ。五年もたっていて数が同じというのはどういうことなんですか。
  322. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 五十四年から、ちょっと大ざっぱに申しまして一万二、三千柱の御遺骨が送還されているだけでございますので、百二十万という大きなオーダーで丸めますとそういうことになります。大変雑な話で恐縮でございますが。
  323. 下村泰

    ○下村泰君 それは局長まずいな。少なくともまずいと思う、それは。遺骨ですよ。それは今度の戦いで、そういう地区で、幾ら戦争をしているとはいえ、好むと好まざるとにかかわらず死んだんですよ。殺されたんです、早い話が。そういう方の遺骨を収集する数において、百二十万に対する一万幾らだからというのは、ちょっとこれはいただけないお話じゃないかと思いますよ。私は、百や二百なら黙りますけれども、一万何ぼの、その方たちのみたまを冒涜する言葉じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  324. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 御指摘の点は今後気をつけたいと思います。  正確に申し上げますと、五十七年までは百十九万台でございまして、五十八年度に百二十万台になったということで、そこを、百十九万が百二十万という表現になったということでございます。
  325. 下村泰

    ○下村泰君 どっちにしても、五十四年からふえていないということになりましょう。そのとき、五十四年のときにそういう数だったんですか。
  326. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 今も申し上げましたように、万のところで切りますと、五十四年度から百十九万のオーダーであったわけです。それで、五十八年度に正確に百二十万のオーダーになったということでございます。
  327. 下村泰

    ○下村泰君 そうすると、五十四年のときの厚生省の方の御返事というのは、随分いいかげんなものですね、これ。百十九万なら百十九万とお答えになればいい。それを百二十万人と、一万もふやしちゃったんでしょう、そのときに。そういう計算になりましょう。  いずれにしても私は、まあそういうことはとやかく言いません。ただ、どちらにしても厚生大臣、これは英霊に対して冒涜ですよ、こういうことは。冒涜です、これは。そういうことではちょっと困りますので、どうぞひとつ慎重にやっていただきたいと思います。  私、実は五十四年の一月の十九、二十、二十一日の三日間にわたってサイパンに収骨に行ったんです。そのときにあちらで聞いた話なんです。別に厚生省を誹謗して言うわけじゃありません。ところが、厚生省の方々が遺骨を収集に来ると実にいいかげんなんだそうですわ、やり方が。我々ですと、そこにある遺骨をちょっとでも見つければ、夢中になって掘り続けるんですけれども、たしかこちらの方にもまだあるはずですよと土地の方が御説明しているのに、いやきょうはこれでおしまいと、こういうやり方だったそうですよ。それを承ってきて私は非常に腹が立ったんですけれどもね。そうして、まだ日にちがあるのにもかかわらず、グアム島へ行って、それきり本国へ帰ってしまった。  実は、サイパンのそうした情報を提供した人が、ふんまんやる方なく私らに説明してくれました。と申しますのは、御存じのごとく、その方たちは、第一次欧州大戦以後日本に委任統治されておりましたので、日本語もよくわかるんです。中にはサイパンの元上院議員だったという人が、御夫婦で「愛染かつら」を歌っていましたよ。そのくらい日本語がうまいんです。その方たちが、あたかも日本人と同じような感情であなた方の作業を——もちろんあなたが行ったわけじゃないでしょうけれども厚生省の方々の収骨作業班に対してそういう批判をしておりました。ですから、ひとつ遺骨収集の際には、そういう横着なことのないようにお願いをしたいと思います。  それで、先ほども同僚委員からのお話しがございましたけれども、硫黄島の滑走路、現在の硫黄島の滑走路というのは、日本軍が撤退をした、あるいは占領されたその後に米軍がつくり直したものですか。それとも日本軍が建設をした当時の滑走路がそのまま今日あるのですか。どうですか。
  328. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 生存者から私ども聞いておりますところでは、旧日本軍が使っておりました元山飛行場のところに米軍が上陸して飛行場を整備したというふうに聞いております。
  329. 下村泰

    ○下村泰君 整備というのは、もうできていましたその上を例えば上塗りして拡張した、こんなような仕方ですか。
  330. 入江慧

    政府委員(入江慧君) ちょっと、そこまでは承知しておりません。
  331. 下村泰

    ○下村泰君 もし、米軍が、その元日本軍の使っていた飛行場を一応全部御破算にして、そしてもう一回つくり直したとすれば、その新しい滑走路の下に遺骨がたくさんあるということは断定できるんです。  と申しますのは、私がサイパンヘ行って聞いたのは、その現地の方々の見ている前で、日本軍人の多数の遺体を、あの前がシャベルのブルドーザーがありますな、あれ、シャベルブルドーザーっていうんですか、ブルドーザーシャベルっていうんですか、私はよく知りませんが、そのブルドーザーで、日本人の軍人の遺体をあたかもごみあくたのごとくに押していって、そしてパワーシャベルっていうんですか、あれで大きくほじくった穴の中へ、日本人の軍人の遺体を全部そのままブルドーザーで穴へ入れて、その上をまたかぶしたと、こういう話を聞いておるんです。もしそういう方法がとられているとすれば、当然そういった飛行場の下には、我々の同胞の遺骨がまだ眠っていると考えても間違いではないわけなんです。  私どもは、サイパンの島民の方々が、自分たちの目で見て、こういうふうにされましたよという地区を採掘に行ったわけです。一メートルも下をほじくりますと——ちょうどこの台ぐらいですよ、一メートルぐらい掘りますと、遺体がそのまま出てくるんですよ、後から後から。恐ろしいぐらい出てきます。私はこの話、もう自分も野戦の経験がありますから、事細かに話をしているうちに私は涙が出てくるんですよ、これは。泥をはねのけていきますと、鉄かぶとというか、鉄帽があります。その鉄帽をぱっと引っ張ると、下に頭蓋骨がある。これがはがれてしまいますので、鉄帽が見つかったらその回り三十センチ四万ほじるんです、掘るんです。そして、鉄帽の下へ手を突っ込んで持ち上げますと頭蓋骨が鉄帽の中に入ったまま出土するわけなんです。もうこのときには、涙ぼろぼろでどうにもなりませんでしたよ。それで、歯を見ますと年がわかるんです、これ。お年の方は必ず入れ歯がしてあります。そして、二十歳台であろうと思われる方の歯は一本も欠けていません。そういう方々の遺骨を収集しましてだびに付しました。  私、ビルマにおりました当時に、しかばね衛兵だった戦友が、死体を焼くと泣くと言うんですね。死体が泣く、骨が泣くと言うんです。話では聞いておりましたけれども、実際に経験したのはそのときが初めてですが、旧日本軍が使った、陸軍の隼戦闘機が飛び立っていた旧飛行場に、あちらの灌木を集めてまいりまして、その上へ、一番この方が年輩者であるなと思う方を真ん中に据えまして、その回りに幾十体の遺骨をだびに付したわけです。そうしますと、これはもう、理屈じゃわかっておるんですけれども、炎が上がりますると、回りの空気を吸収するみたいになります。そうしますると、この頭蓋骨の鼻とか目ですね、ここへ空気が吹き込むんでしょう。これはもう一種独特の、表現しにくい音がヒューっとするんですよ。それが遺骨の焼ける最後の段階なんですね。  そういう現場を見ておりますると、こういう方方の遺骨がまだサイパン全島にあるんだなと思うと、とてもじゃございませんけれども、それは三日や四日で帰れる心理状態にはなりません。どのくらい厚生省がまじめに遺骨収集作業に取り組んでいるのか。殊に南方というのは孤立している部隊がたくさんございましたから、どういうふうにやっていらっしゃるのか、今後またどういうふうにやるのか、ちょっとお話し願いたいと思います。
  332. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 去る大戦は、主要戦域が非常に広いわけでございまして、かつ遺骨収集をいたしますには、相手側の国の了解が要るということで、いろいろとあるわけでございますけれども、二十七年から初めましてこれまで、五十年までは三回に分けまして年次計画でやってまいりました。五十年を超えましてからは、要するにあそこに御遺骨があったというような情報を得ましたときに、そういう戦域について、大体一年に五戦域について遺骨収集をやってまいっておるわけです。それで、今のところ人間が往来できるような場所等について御遺骨があるというような状態はもうなくなってまいりまして、ジャングルの奥とか山岳地帯という、あるいは地下ごうの中ですね、そういうところに残る御遺骨があるというような状況になっておるわけでございますが、今後とも私ども、そういう情報を得ながら主要戦域について遺骨収集を続けていざたいというふうに考えております。
  333. 下村泰

    ○下村泰君 そういうときにこそ、自衛隊員に武器を持たせないで、研修か何かの名目でもってそういうところに連れていった方が一番いいと思います、私は。そして遺骨を収集する。殊にサイパンの場合などは、我々の手の届かないはるか上に洞窟がある。そこにまで日本の兵隊が入って頑張った。ところが行かれません、そこは。私なんか見上げるだけです。そういったような状況がまだたくさんあります。  それから、もう一つ一番困ったのはビルマですね。殊にインパール作戦。この状況が一番激しかったんですけれども、このビルマの遺骨収集がいやはや何とも進んでおらぬ。殊にあちらと国交がございませんから余計だろうと思いますけれども、これはどういうふうにしますか。
  334. 入江慧

    政府委員(入江慧君) ビルマにつきましては、昭和三十一年から五十一年まで、四十九、五十、五十一と、四回遺骨収集をやりまして、三万二百十六柱の遺骨を収集しているわけでございますが、五十二年以降になりましてビルマの方が遺骨収集について了解を出さなくなりまして、それで日本政府による遺骨収集というのは望めなくなったわけでございます。したがいまして、その後はビルマ側が収集しました遺骨を在外公館を通じて受け取るという形で三回、五十二年度、五十五年度、五十七年度に七百三十九柱を受け取っております。この結果、九万千三百二十柱の御遺骨が送還されておるわけでございます。  ただ、まだ国境地帯等については遺骨が残存している可能性があるわけでございますが、国境周辺は治安状態等が悪いということで、現在のところビルマ政府からの了解が得られておりません。こちらとしましては、さらに遺骨収集ができるように働きかけていきたいというふうに考えております。
  335. 下村泰

    ○下村泰君 私が五十四年に質問させていただきましたときに、お亡くなりになりました大平総理が、「御指摘いただきました問題は、戦後政治の原点にある厳しい厳粛な問題でございます。私どもといたしましては亡くなられた方々の心を心として戦後経営に当たらなければなりませんが、同時に、亡くなられた方々の冥福のためになすべきことは全力を挙げてやらなければならぬと考えております。」、こういうふうにお答えくださっております。  その割には後の作業が進歩していない、進んでいないということを私は申し上げたいんです。厚生大臣、いかがでしょう。
  336. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今先生から大変貴重な体験談をお聞きいたしまして、私も先生と同じような気持ちでお聞きさせていただきました。  本当に今の先生のお話を聞きますと、私も援護局を預かる大臣として、この遺骨収集のためにいろいろの難関、今政府委員から答弁いたしましたように難しいいろんな制約がございますが、できる限りこの制約を克服して、一日も早くこの国の平和のために、この国の国民の幸せのためにとうとい命を南海の孤島で、あるいは北辺の地で失った皆さんの遺骨がふるさとの国に戻ることのできるように、努力しなければならないという心を新たにさせていただきました。
  337. 下村泰

    ○下村泰君 次に、中国残留孤児、もうしばしば諸先生方からお話が出ております。この参議院社会労働委員会の調査室の方々がまとめてくださった御本なんですけれども、この中にも援護基金のことにつきまして随分団体の名前が出ております。私どもの団体もございます。ただし、この中に出るような偉い団体ではございません。何しろ会長が浪曲の木村若衛でございますから。副会長が私でございまして、いま一人は落語協会の会長の柳家小さん、幹事長なんて偉そうな名前をつけていますけれども、事務担当が国友忠と、こういうメンバーでやっております。  そして、使われる基金でございますけれども、先ほど柄谷先生もお尋ねになっていらっしゃいましたけれども、目標の十億にはもう足りな過ぎるくらいなんです、私どもが集めた金は。わずか一・七%、千七百万。それがどういうふうに使われたか。一応皆さんに報告しなきゃならない義務がありますので。
  338. 入江慧

    政府委員(入江慧君) 先生副会長をしておられます春陽会でございますが、これまで、中国残留孤児の帰国定着化の促進を図るということで、各地で十七回のチャリティーショーを開いていただいておりまして、そのうち十五回までの収益金をこれまでいただいておるわけでございまして、私ども大変感謝しているわけでございます。  このお金がどういうふうに使われるかということでございますが、これは財団法人の中国残留孤児援護基金の目標額十億円の基金の中に繰り入れさしていただきまして、その果実で事業をやるわけでございますが、その対象の事業といたしましては、あちらに置いてきました養父母の扶養費の支払い援助、あるいはこちらに帰ってきました帰国孤児、その家族の就学援助等の事業に使わしていただくということを予定しております。
  339. 下村泰

    ○下村泰君 上手に使ってください。もう少し差し上げたいんですけれども、なかなかうまく皆さんに賛成が得られないんです。皆さんテレビをごらんになって、ああいった、肉親に会っておいおい泣いたり、悲喜こもごもの姿を見ているときはよろしいんですが、いざ文書にして、これこれこういうわけですからぜひ御賛同願いますと言うと、なかなか切符が売れなくて困っておるんですわ。  この会を始めるきっかけと申しますのは、中国残留孤児の中に、お母さんに連れられて六歳と七歳の男の子がおりまして、母親は自分はもう生きる望みはない、この子供二人を何とかしておたくの軒下にでもいいから置いてもらいたいと言ったら、引き受けた中国の方が——これは余り悪口言いたくありませんけれども、その中国の方が、本当に軒下に入れておたいそうです。そして、この二人が約十五歳になるまで、ですから七歳のお兄ちゃんが十五歳になるまでですから約八年間、うちの中に一回も入れてもらったことがないそうです。そして、豚小屋がございまして、もうあの零下何十度という極寒、我々はよく歌にも歌わさせていただいたことがございますけれども、そのひどい寒さのときには、豚がふんをしますと、その豚のしたふんの中へ足を突っ込むんだそうですな。これが一番暖かいんですって。  そういうことまでしてやっと十五、六歳になったときに、売られそうになったそうですわ。この売られそうになったという話を実は俳優の森繁久彌さんにもしたんです。そうしましたら、森繁久彌さんも引き揚げてくるときに、おまえの子供売らないかと言われたそうですな。同じ話を俳優の芦田伸介さんもしていました。向こうの国というのは、ある程度の労働力を持った男の子というのは平気で売買やっておったようですね。  そういう関係で、この二人の兄弟も売られそうになりました。売られそうになりましたので、この二人はその家から出まして、放浪をいたしまして、上のお兄ちゃんは死にまして、弟はやっと中国で居ついて生活ができるようになりましたら、今度は文化大革命のあらしに遭って、またおかしくなったそうです。そのお子さんが実は今もう日本に来ているんです。そのお子さんの話を聞いて我々が、それではというので春陽会という会をつくって始めたのが実はきっかけなんでございます。  いずれにいたしましても、先ほどからるる諸先生方からお話が出ておりまするけれども、まだまだあちらに残っていらっしゃる方々が多うございます。とにかく一人でも多く、一日も早く日本の土を踏ませてあげたい、これが我々の気持ちでございます。  そういう問題に対しまして、厚生大臣のお考えをお聞きして、私は終わります。
  340. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は、厚生省に働かせていただくようになって、今先生指摘の問題、非常に胸を痛めておる問題の一つでございます。今まさに四十年たとうとしておるのでありますから、今の先生のようなお話を聞くと、本当にもう一日も一分も早く解決しなければならないという思いに駆られるのでございますが、外交上の問題、また、四十年という歳月の長さ、いろいろな障害で、援護局の者も一生懸命、先生も御理解いただいていると思いますが、一生懸命やっておるのでございますけれども、なかなか思うように進まないような状態でありますが、今の先生のお気持ち、援護局の担当の者もみんな聞いております、私もしっかりと胸に刻ませていただきましたので、今後できる限り促進するために努めてまいりたいと思います。
  341. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。     —————————————
  342. 石本茂

    委員長石本茂君) 委員の異動について御報告いたします。本日、斎藤十朗君が委員辞任され、その補欠として志村哲良君が選任されました。     —————————————
  343. 石本茂

    委員長石本茂君) 他に御発言もなければ、右三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  344. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認めます。  まず、社会福祉・医療事業団法案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。  これより採決に入ります。  社会福祉・医療事業団法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  345. 石本茂

    委員長石本茂君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、佐々木君から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木君。
  346. 佐々木満

    ○佐々木満君 私は、ただいま可決されました社会福祉医療事業同法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     社会福祉・医療事業団法案に対する附帯決議(案)  政府は、社会福祉の増進、医療の普及向上を図るため、社会福祉医療事業団の効率的な運営に努め、統合によるメリットが生かされるよう特段の配慮をするとともに、従前の労働慣行を尊重し、関係職員の処遇について十分配慮し  た措置を講ずること。  右決議する。  以上でございます。よろしくお願いします。
  347. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいま佐々木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  348. 石本茂

    委員長石本茂君) 全会一致と認めます。よって、佐々木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、渡部厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部厚生大臣
  349. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  350. 石本茂

    委員長石本茂君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  351. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  352. 石本茂

    委員長石本茂君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、佐々木君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。佐々木君。
  353. 佐々木満

    ○佐々木満君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の要旨は、原案のうち、昭和五十九年八月一日施行となっております遺族年金等の額の再度の引き上げについて、本年の八月一日が既に経過しておりますので、これを公布の日施行と改め、昭和五十九年八月一日にさかのぼって適用しようとするものであります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  354. 石本茂

    委員長石本茂君) 本修正案に対し、質疑のある方は御発言を願います。——別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めます。  これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。  これより戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、佐々木君提出の修正案を問題に供します。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  355. 石本茂

    委員長石本茂君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  356. 石本茂

    委員長石本茂君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、浜本君から発言を求められておりますので、これを許します。浜本君。
  357. 浜本万三

    ○浜本万三君 私は、ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項につき、速やかに格段の努力を払うべきである。  一、戦没者遺族等の老齢化の現状及び生活の実態にかんがみ、国民生活水準の向上等にみあって、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。  二、戦没者遺族等の老齢化の現状にかんがみ、海外旧戦域における遺骨収集、慰霊巡拝等について、更に積極的に推進すること。  三、生存未帰還者の調査については、引き続き関係方面との連絡を密にし、調査及び帰還の促進に万全を期すること。  四、中国残留日本人孤児の肉親調査を今後とも積極的に推進するとともに、帰国を希望する孤児の受入れについて、関係省庁及び地方自治体が一体となって必要な措置を講ずること。  また、中国からの引揚者が一日も早く日本社会に復帰できるよう、中国帰国孤児定着促進センターの運営の充実強化を図る等その対策に遺憾なきを期すること。  五、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等に係る戦後処理のなお未解決な諸問題については、人道的な見地に立ち、早急に、関係各省が一体となって必要な措置を講ずるよう検討すること。  六、ガス障害者に対する救済措置は、公平に行うとともにその改善に努めること。  七、法律の内容について必要な広報等に努める等更にその周知徹底を図るとともに、相談体制の強化、裁定等の事務の迅速化に更に努めること。  右決議する。  以上でございます。
  358. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいま浜本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  359. 石本茂

    委員長石本茂君) 全会一致と認めます。よって、浜本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部厚生大臣
  360. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  361. 石本茂

    委員長石本茂君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  362. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  363. 石本茂

    委員長石本茂君) 次に、保健所法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。  これより採決に入ります。  保健所法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  364. 石本茂

    委員長石本茂君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  この際、中野君から発言を求められておりますので、これを許します。中野君。
  365. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私は、ただいま可決されました保健所法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     保健所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、保健所事業に係る助成が定額交付金方式に改正されることに伴い、物価、賃金等の変動によって保健所事業の推進に支障を生ずることのないよう、事業水準、予算の確保に努めるとともに、地方公共団体間の事業水準等に不均衡が生じないよう制度運用に万全を期すること。  二、保健所職員に対する国の予算定数が廃止されることに伴い、地方公共団体における保健所事業の推進に支障を生ずることのないよう、適正な保健所職員数確保に努めること。  三、保健所事業に対する要請が多様化、高度化している現状にかんがみ、それに対応する施策確立するとともに、保健所が地域における公衆衛生行政の中心的な機関としての役割を果たすよう、その内容の充実と強化に努めること。  右決議する。  以上でございます。
  366. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいま中野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  367. 石本茂

    委員長石本茂君) 全会一致と認めます。よって、中野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部厚生大臣
  368. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  369. 石本茂

    委員長石本茂君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  370. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  371. 石本茂

    委員長石本茂君) これより請願の審査を行います。  第一号建設国保組合改善に関する請願外五千九百五十四件を議題といたします。  本委員会に付託されております五千九百五十五件の請願につきましては、理事会において協議いたしました結果、第七号保育所制度充実に関する請願外二百八十二件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第一号建設国保組合改善に関する請願外五千六百七十一件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  372. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  373. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  374. 石本茂

    委員長石本茂君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  375. 石本茂

    委員長石本茂君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたします。  次に、公衆浴場法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  376. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  377. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  378. 石本茂

    委員長石本茂君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  379. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  380. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  381. 石本茂

    委員長石本茂君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  382. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  383. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  384. 石本茂

    委員長石本茂君) 理事の辞任についてお諮りいたします。  本日、遠藤政夫君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  385. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  386. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に村上正邦君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十二分散会      —————・—————