○山中郁子君 私は、健康保険法の質問に入る前に、一言
委員長に強く抗議を申し上げます。
周知のとおり、この
社会労働委員会は、本日は
労働省の定例日でございます。健保は言うまでもなくこれは
厚生省の案件です。先ほどの
委員会でも、仲裁の疑旨
説明が行われて、当然これが
議決されるべきものであります。私は、理事会でも繰り返し主張してまいりましたけれども、こんなにたくさんの人々が反対をしている健康保険法の改悪を、会期末だからという
理由で、慣習を無視して、定例日外のきょう行うということには断固反対してまいりました。まさにそれは悪法を成立させること、これを皆さんがお認めになる、そういうことにほかならないということであります。当然のことながら今までの
国会の慣習として、そしてそれを守られてきた定例日の
審議を十分慎重に行いながら、そしてそれで
審議が尽くせないならば
審議未了、廃案となるべきことであって、それが
国民の声の
国会に対する反映であります。その私の一貫した主張を無視して、そしてきょうこのような形で健康保険法の
審議を強行するという
委員長の
委員会運営について、それからまた、私どもが知らないところでどういう御
相談があったのかわかりませんけれども、そうしたことも明らかにされないまま、理事会でも引き続き解明されないで、このような
質疑を強行することについては、私は強い抗議を表明するものであります。
私は、この健康保険法の改悪について、最初の時点から最低十時間の質問は必要であるという意思を表明してまいりました。私が今まで質問できたのはわずか一時間二十分であります。したがいまして、私はさらに慎重な
質疑が必要だということを要求し続けている立場から、質問を放棄する、あるいは質問時間を使わないという立場にはもちろん立っておりません。したがいまして、先ほど申し上げました強い抗議を行うと同時に、あくまでも慎重に、この健康保険法の改悪については
審議をすべきであるという立場から、これから二巡目の健康保険法の改悪に対する
質疑に入ります。
私は、前回の
質疑で本人一割負担、二割負担がどれほど勤労者家計に打撃を与えるか、このことを入院や慢性的な病気の例を挙げて
指摘をいたしました。
国民は医療保険だけで政治を見ているわけではありません。
労働白書によりましても、健保は二割負担になる、年金保険料も上がる、
労働白書によりましてもさまざまな
国民の声と、それから
実態が浮き彫りにされていますけれども、健保が二割負担になる、年金保険料も上がる、社会保障関係は国庫負担を減らしながら逆に防衛費は伸ばす、またまた来年度の概算要求でも
国民にとっては我慢のならないそうしたことが
相談をされている、決定されてきている、こういうことはまさに了解できないところであると同時に、
国民が本当にこうした政治に対して反発し、怒りを覚え、この健保の改悪をやめるべきだという大きなうねりになってきていることは当然のことではないかと思います。
私は、本法案の提出の本当の動機、これは前回にも多少触れましたけれども、結局は患者負担増をする、それから国庫負担の大幅な削減を図る、そういうこと以外にはない、そこのところが本当に中心的なねらいであるということはもう改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、最初にこの点について臨調答申との関連でもって申し上げますが、臨調第一次答申、申し上げるまでもありませんが、答申
内容一、二、三項ともにそのことを明らかに示しています。
つまり、一項、「医療保険の国庫負担については、定額国庫補助の廃止等によりその削減を図る。また、受益者負担の原則にかんがみ、高額医療費自己負担限度の引上げ等を行う。」、二項目、「医療保険に対する事務費国庫負担の保険料財源への切換えを図る。」、三項目、「老人保健制度において患者一部負担を導入した
趣旨にかんがみ、地方公共団体は、単独事業としての老人医療無料化ないし軽減
措置を廃止すべきである。」、こうしたことがまず臨調第一次答申で登場いたしました。国保への国庫負担の削減、都道府県の五%負担は反対でつぶれたけれども、そうしたら今度は
本案のように、退職者医療制度の創設を
理由として補助率の引き下げということで三千九百億円、これを国庫負担を削るという
状況になってきています。つまり、あれがだめだったら今度はこれで削る、そういうふうなやり方で、全く無定見である、つまり、定見がないということと同時に、あるのは国庫負担を減らして患者負担を増額させるということ以外にはないと言わなければなりません。
臨調最終答申でも、さらに追い打ちをかけてこのことについて書いています。つまり、「他の医療保険についても、医療費適正化
対策を推進するとともに、国の補助はあくまでも補完的役割にとどまるべきであるという
観点から、保険財政を考慮しつつ、補助率の引下げ、定額化等を図る。」、
厚生大臣が幾ら二十一世紀二十一世紀と言っていろいろな言葉を尽くして言われても、結局のところは、こうした患者負担増による国庫負担削減、この臨調路線に基づくものであると言う以外にはないじゃないですかということ、まず、今私が申しました臨調の答申のずっとこういう経過を見ましても、結局そこのところから発しているという以外にないではないか、この点について
厚生大臣の御見解を伺います。