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政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。
まず、労働の場を提供する、労働の保障を行うという最初の二つの問題でございます。私
どもの立場としてできる最大のものは、やはりリハビリテーション対策の一層の強化ということでございまして、具体的には精神障害回復者の社会復帰
施設、デイ・ケア
施設、こういったものを引き続き予算の許す限り目いっぱい整備を促進していく。関係する自治体にも、そういった強い働きかけを行っていきたいと考えております。また、いわゆる職親制度を含みました通院患者のリハビリテーション
事業につきましても、現在十六県
実施ということになっておりますが、その拡充に努力をしてまいりたいと考えます。
それから次にベッドの問題、先ほど来しばしば御
指摘でございますが、御案内のように、
我が国におきましては、諸外国と一番違います点は、開設主体が公的な主体というのは総体的に非常に小そうございまして、諸外国、欧米におきましてはその発達の歴史からしましても公的機関が多い。そういうようなことで、相当思い切った政策が具体的な数値として打ち出せる、そういう背景があろうかと思います。しかし、近代的な精神
医療の流れというものに十分着目いたしまして、いろいろな政策の中におきまして近代的な
医療というものを取り込んでいく、その一環としては社会復帰
施設の整備でございますし、社会復帰の健進のための諸施策を講じていく、そういったことがひいては必要以上に増大するかもしれない入院
医療の需要というものを、そういった
地域医療という方に振り向けていくというような効果は期待されるわけでございます。
それから、社会復帰のために必要な、それに従事する専門的な職員でございますが、現在既に精神衛生研究所等を中軸にいろいろな研修コースを設けておりますけれ
ども、その引き続きの充実を図ってまいりたいと考えております。
また、精神衛生法それ自体におきまして、入退院等におきますところの異議申し立て制度等の問題でございます。また、行動制限規定等の改廃も含めての検討という御
指摘でございます。私
どもの考え方といたしましては、先般関係する局、すなわち公衆衛生局、医務局、社会局という三
局長の連名通知によりまして、現行法の基盤の中で一層その
趣旨を達成できるような指導の強化、徹底に着手しているところでございます。この指導通達を一層
地域におきまして的確に実行していくことによって対応していきたいと考えているところでございます。
なお、精神
医療の特殊性という
観点から、どうしてもケースによりましては、症例によりましては、行動制限というものはその
医療と保護のために欠くべからざる限度において必要となるわけでございますが、それをもう少しできる限り具体的に詰める必要があると判断いたしまして、既に公衆衛生
審議会におきましてそのような検討の場を設けて検討に入っておるところでございます。
また、通信、面会の自由の確保という件でございます。これは非常に大切な側面であると私
どもも考えておるわけでございまして、特に通信の自由というものはこれは保障されなければならない。また、面会につきましても、その患者さんの、
医療保護に著しい支障を来さない範囲におきましてこれも確保していく必要があるだろう。こういったことも含めまして、先ほど申し述べました公衆衛生
審議会の検討の場におきまして専門的な角度から検討に着手していただいておるところでございます。
また、国際的な組織からのいろいろな提言の一環としましての独立監査体制の問題等、非常に制度の抜本的な問題に関する御
提案でございますが、この点につきましては、当面私
どもとしては、現在の仕組みの中でその運用でいろいろとまだ改善を要する点もあるし、強化を図っていかなければならない点があると認識しておる関係上、そのような対応で努力をいたしたい。将来の課題として、こういった国際的な組織からの提言でございますので、その
観点からは私
どもとしてもよく勉強してまいる必要はあると考えておりますけれ
ども、現在の対応としましては、現行の仕組みの中でそれのより一層内碓な運用ということで対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
また、措置入院、自由入院というような問題も、制度の基本にかかわる
部分もあるわけでございますが、やはり措置入院という制度はどうしてもみずからの保護、また他人に害を与えるということに関する保護という
観点がございますので、すべてを自由入院制度というわけにはなかなかまいらぬだろうと考えております。しかし、そういう措置入院というものを軸にする一定の
本人の意思によらない入院につきましては、これまでの
先生からの御
指摘、いろんな御論議がございますように、その根底に人権というものを尊重しなければならないということは非常に大切な
観点と考えておるわけでございます。今回の三
局長通知におきましても、そういった人権の尊重、保護ということについては格段の配慮を加えるようにそれを軸にしながら指導に着手をしているところでございます。
次に、人権擁護のためのセンターという御
指摘がありますけれ
ども、非常に貴重な御提言ではございますが、現在の日本の精神
医療と司法との関係というのはまだまだ熟していない論議がいろいろとあるわけでございます。私
どもの立場としましては、現在の精神衛生
相談事業、精神衛生センター等を基軸にいたしまして、患者さんあるいは患者さんの
家族、関係者、そういった方々のいろいろな御
相談に幅広くおこたえしていきたいと、かように考えているところでございます。
また、いろいろな
相談の窓口におきまして提起されるかもしれないいろんな苦情、あるいは問題提起という問題につきましては、一層迅速かつ適正に対処するようにそれぞれの行政部門で努力を重ねてまいりたいと思っております。
また、精神
病院の未
設置県、それから精神衛生センターの未
設置県につきましても、御
指摘のございましたように強く働きかけを行って、その早い実現を国の立場からも促進してまいるように努力をしたいと思っております。
また、共同作業所の御提言でございますけれ
ども、五十九年度予算におきまして全国の
実態把握、それに対処すべきいろんな施策を検討するというようなことに着手しているわけでございます。その
調査検討の成果を踏まえて、今後の、次年度以降の施策の発展に努力をしてまいりたいと、かように考えているところでございます。