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高桑栄松君 そこで、実はこれがイントロダクションでございまして、その次があるわけで、
厚生省は健康づくりの妙案を募集したというのが新聞に出ておったんですよね。
厚生省はもう大変エキスパートで知恵者がそろっておられるけれ
ども、やっぱり一般の妙案などを募集しているんだなと、いいことだと思うんですよ。というのは、幾ら知恵がおありでも、国民参加という
意味で、募集なんかいたしますと、やっぱり関心を持って、健康の
自覚に役立つんですよ。だからそれは僕は大変いいと思うんです。
ところが、その中であっと思ったのは、北海道の鷹栖町の例が挙げられておりましてね、私は、北海道から出てきたわけじゃないんですけれ
ども、北海道で長く職を奉じておりましたので大変関心が深いんですが、その鷹栖町の例というのを見ますと、鷹栖町は午前六時半から九時だったかな、それまでの早朝
診断というのを行っておる。早期
診断でなくて早朝
診断なんですね。その時間を利用して早朝
診断を行っておる。それから、家族単位で健康台帳をつくっている。これを
厚生省は大変御推賞のようでございます。私もいいことだと思っているし、鷹栖町のことはこの前の
予算委員会で、三月二十八日のときかな、私も例に挙げた覚えがあります。
それをもう一度振り返ってみますと、鷹栖町は
昭和四十三年から町民健康づくりを始めております。三十歳以上を
対象に早期発見に努めてきた。それで、実に異常者というのは二八%という報告なんですね。びっくりしてよくよく見たら、異常というのは
病気でないものを含んでいる。これは非常に大事なポイントであるんです。そして、これには予防的な
生活指導を行うものを含んで、二八%の人をピックアップしている。私は、鷹栖町というのは大変いいことをやっているんだということがよくわかったんですが、それで、データを取り寄せてみますと、
昭和四十九年には、例えば入院で全道と鷹栖町では鷹栖町の方が一・二倍高かったのが、五十六年ですから七年たっていますね、それで入院で〇・八倍になった。
医療費は〇・九倍。
つまり、北海道全道平均よりはずっと
医療費が低下している。私はそれをいつも申し上げていたわけです。健康管理、
健康診断、早期発見を行うことによって、十年もすれば
医療費は間違いなく低下していくということを証明している事実なわけで、私は、そういう
意味で、鷹栖町が健康づくりの妙案のサンプルに二つか三つ挙げられた中に出ていたことを、大変いいことだ、きょうの
委員会にも話をさしていただく大変いい材料であった、こう思っているんです。
そういうことで、これは同じようなことが岩手県の沢内村とか長野県の佐久市なんかで同じようなデータが出ているわけでありまして、だから町民健康づくりといったような町ぐるみの
予防医学、予防重点活動というものが町民の健康を
保持増進させ、そして町内会の協力
体制もうまくいくんじゃないかと思いますね。昔の衛生組合なんというのは今ないようですから、ああいったものとは別な
意味で協力
体制ができていくんじゃないかと思うんです。
ですから、そういうことを大いに進めていただきたいと思いますが、もう一度申し上げますと、さっきの
一般診査というようなことはこういうところでは問題にならぬわけですよ。こういうところはもっともっと、二八%も異常者がおるというのは、異常でないものもひっかけていっているということでございまして、しかも毎年やっているということは非常に大事なことでありまして、
血圧でも何でも、御承知のように高ければいけないんじゃないんですね。高いのがことしも去年も来年も同じレベルでいっていれば、それはその人のノーマルな
血圧と考えていい。去年低かった、ことし正常のように見えた、来年高くなった、それは、統計的には、再来年はもっと高くなるということでありまして、これが問題になるわけです。したがいまして、
健康診断というのは毎年やっていくことが大事。しかも腎
がんなんかの検診ですと、小さな細胞レベルというか、粘膜の細胞レベルでわからなかったものが半年するとわかるようになる、一年ほっておいたら、ひょっとしたら若い人だと手おくれかもしれない、こういうものでありますから、少なくとも年に一度は胃
がんの検診も必要なんですね。
ですから、そういうことを考えると、私は、さっき
厚生省が示された成人病予防五カ年
計画の中には、
一般診査というようなレベルの低いものではなくて、やっぱり
精密診査クラスが入っていかなければいけない。あれには胃
がんが入っておりませんけれ
ども、これに子宮
がん検診、それから胃
がん検診を含める必要がある。国保は別ですが、組合とか政管健保、共済組合は、保険の
本人はもう間違いなく十割
健康診断を受けております。しかも大企業であるほど極めて手厚い
健康診断を受けている。中小企業とそれから国保、それから家族、そういったところはどうしても
健康診断というのはなかなか行かないし、
健康診断は行けば全額自分ですから、これは大変なことだと思うんです。
私がやっぱり福祉という
意味で主張したいのは、予防給付という考え方を保険給付の中に採用できないか。
つまり国保であるとか家族であるとかいう人たちのために、予防給付が保険給付として採用されないか。私は
病気は受難だと思っています。受難であるから受難の人に対する相互扶助ということで保険というものがあるんだ、こういうふうに私は理解しておりますが、
健康診断の場合には、若干私は受難というよりも受益側に傾いて考えているんですけれ
ども、したがって、ある
意味の自己負担は経済的には仕方がないのかもしれないと思います。しかし、予防給付というものが、今は被用者
本人以外は全額
本人負担、そういうことで、この際保険給付が適用できる道を開けないものかということを伺いたいと思います。