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政府委員(
加藤孝君) 最近の
雇用失業情勢について見てみますと、昨年の七月ごろを底にいたしまして徐々に求人が
増加に転じてきておるわけでございます。七、八月ごろには主として輸出
関係の電気とかあるいは精密機械とか、そういったようなところでの求人増ということで出てまいりましたが、秋以降になりますと、それが徐々に繊維であるとか、あるいは鉄鋼であるとか、そういう全般的に広がってまいりまして、本年に入りまして、建設業を除きましてほとんどすべての
業種におきまして求人が前年に比べて増というような形で広がってきておるわけでございます。
一方、求職者の方の動きにつきまして見ますと、大体求職者の方がふえどまっておるといいますか、前年と同じ水準にとどまっておる、こういうような
状況になっておりまして、求人倍率も〇・五八という昨年七月の
数字を底にいたしまして、わずかずつではございますが、逐月、求人倍率も改善を見まして、現在は〇・六五というようなところまで回復をしてきておるわけでございまして、この間、
雇用者数も全体としては
増加を続けておりまして、
総理府の労働力
調査によりましても、この二月には前年に比べまして
雇用者数が約六十六万人ふえておる、こういうような事情にあるわけでございます。
こういうような
状況ではございますが、一方、完全失
業者数は、御
指摘ございますように、昨年は完全失業
統計始まって以来の高い
数字が出たわけでございまして、ことしの二月におきましても、季節調整値で二・七三%というような完全失業率が出ておるわけでございます。ただ、これにっきましては、
雇用者数は
先ほど申し上げましたように六十六万人ふえておる。しかし、
雇用者数がふえている中で失
業者数もふえる、あるいはなかなか減らないというような現象がずっと続いておるわけでございますが、この辺につきましては、
一つはなかなか就職の難しい高齢者がやはり以前に比べまして求職者という形でどんどんふえてきておる、こういう理由、あるいはまた女子の中年者と申しましょうか、三十代、四十代の方々が一応家事からあるいは育事からある程度解放されて新しく求職活動を始められる、こういう方が相当ふえてきておると、こういう構造的な、求職されても直ちにはなかなか希望の仕事につけない、こういう方の
増加というような構造的な事情も加わりまして、完全失業率が上がったり、あるいはなかなか下がらない、こんなような
状況にあるわけでございます。
そういうような
背景を踏まえまして、私どもとしては特にこういう求人と求職のミスマッチ、うまく結びつかないという、これによる失業というものをどうしても減らしていくというところに大きな重点を当てまして、今後このミスマッチの解消ということを軸に失業の減というものを進めていきたい、こんなふうに取り組みをしておるわけでございます。
一応この五十九年度の
経済見通しにおきましては、そういうような努力をいたしまして、この五十八年度の失
業者数首五十五万という
数字を何とか百五十万程度に、もうどんどんふえる傾向にはありますが、それを何とかそういう努力によりまして打五十万程度に持っていきたい。そしてまた完全失業率も、五十八年度二・六%というようになっておりますが、これを五十九年度においては二・五%程度まで持っていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
そのための
具体的な対策といたしましては、やはり高齢化の進展、あるいは女子の就業意欲の高まり、こういったものに対しまして、特に高齢者対策の推進、あるいはまた女子の就業についてのいろんな誘導策、こういった点を十分に織り込んだ対策というものを進めていく必要があるであろう。あるいはまた、つい最近もございましたように、大沢商会とかマミヤとか、ああいうような特定の
業種あるいは地域におきまして、いろいろ景気の回復についてなお取り残されておる、あるいはまた、非常に構造的
変化でいろいろ転換を余儀なくされている、例えば鉄鋼の産業というようなもの等にやはり不況対策、不況
業種対策・地域対策、こういったようなものを発動していかなければならぬだろう。あるいはまた、今後のこういうサービス
経済化の進展に
対応しまして、こういうパートタイム労働などへの
雇用対策、こういったものも進めていかなきゃならぬだろう、こんなような
観点で、こうした
状況への
対応を進めていきだい、こんなふうに考えておるわけでございます。