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1984-05-09 第101回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月九日(水曜日)    午後一時四十分開会     —————————————    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      稲村 稔夫君     松本 英一君  五月七日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     服部 信吾君  五月八日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     久保  亘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         赤桐  操君     理 事                 鈴木 省吾君                 田代由紀男君                 粕谷 照美君                 原田  立君     委 員                 浦田  勝君                大河原太一郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 出口 廣光君                 吉村 真事君                 久保  亘君                 松本 英一君                 服部 信吾君                 下田 京子君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐四郎君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      田中  暁君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        科学技術庁研究        調整局生活科学        技術課長     大橋 哲郎君        国税庁税部所        得税課長     岡本 吉司君        文部省学術国際        局学術課長    重藤 学二君        文部省管理局教        育施設部指導課        長        篠塚  脩君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        逸見 博昌君        厚生省社会局施        設課長      近藤純五郎君        農林水産省構造        改善局農政部地        域農業対策室長  佐々木幸人君        運輸省港湾局技        術参事官     藤野 愼吾君        気象庁総務部企        画課長      新田  尚君        気象庁観測部管        理課長      山崎 道夫君        気象庁観測部地        震予知情報課長  津村建四朗君        建設省都市局街        路課長      依田 和夫君        建設省河川局防        災課長      狩野  昇君        建設省河川局砂        防部砂防課長   設楽 武久君        建設省道路局道        路防災対策室長  和田  惇君        建設省国土地理        院地殻調査部長  春山  仁君        消防庁震災対策        指導室長     金子 皓治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (桜島火山周辺地域における降灰及び土石流被  害に関する件)  (激甚災害指定基準見直しに関する件)  (豪雪被害対策に関する件)  (防災についての基本施策に関する件)  (東海地方地震対策に関する件)  (地震対策緊急整備事業進捗状況に関する件  )  (地震予知に関する件)  (気象業務の充実に関する件)     —————————————
  2. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月九日、稲村稔夫君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。  また、五月七日、太田淳夫君が委員辞任され、その補欠として服部信吾君が選任されました。  また、昨八日、村田秀三君が委員辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。     —————————————
  3. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 久保亘

    久保亘君 私は、きょうは桜島降灰土石流の問題について政府のお考えをお聞きしたいと思います。  桜島鹿児島を合わせる形で世間では東洋のナポリと呼んでおりますが、観光の面からいたしますと、桜島鹿児島の象徴でもございます。しかし、かなり長期にわたります桜島火山活動によって、その降灰土石流はこの周辺に住む人々にとって大きな脅威となってまいっております。この桜島火山活動について、国土庁としては最近の活動状況をどのように把握されておりますでしょうか。
  5. 田中暁

    政府委員田中暁君) 御指摘のとおり、桜島活動状況はことしに入りましても非常に激しくなっておりまして、非常に多くの爆発を繰り返し、多大の灰を降らしておるわけでございます。かつてのような大爆発は最近はございませんが、そのかわりと申してはなんでございますが、活動回数が非常に激しく、常時煙を吐き灰を降らしている。そして桜島を流れます小さい川でございますが、降灰をいたしておりまして、わずかの雨でもすぐ土石流を起こす。山から運ばれました大きい岩で海岸線まで変わりかねない。またその石の捨て場にも困っている。こういうような状況でございますし、農作物等につきましても、上を覆わないとほとんど商品としては成り立たないというような状況になっております。また、養殖漁業に対する被害につきましても、軽石、いわゆるボラが流出いたしまして非常に難渋をしておられます。大体そういうような認識を持っております。
  6. 久保亘

    久保亘君 私が報告を受けておりますところでは、最近十カ年間爆発回数は年々ふえてまいっておりますが、特に昨年昭和五十八年は一年間で史上第二位の爆発回数年間四百十二回であります。そして噴火回数は六百四十一回にも達しておりますし、特に五十八年の二月はわずか一カ月間の間に、二月は一番短い月でありますけれども、この一カ月間に七十三回も爆発いたしております。また火山性地震の観測されます回数は月間千回から五千回に及んでおるのでありますが、これまで活動火山対策特別措置法に基づいて国土庁中心にして各般の措置をとっていただいていることには深く敬意を表するのでありますけれども、なお政府に対して格段の対策を要請しなければならない状況にあると考えております。  最初に降灰の問題についてでありますが、降灰に限ってみましても、五十八年一年間に、鹿児島市を中心といたします自治体が観測いたしました観測地点十一カ所の平均降灰量は、年間平米当たり十キログラムに達しております。つまり百坪の敷地に対して一年間に三・三トンの灰が降るということでございます。県庁平米当たり五十八年に四キロ余りの灰が降っております。また鹿児島気象台は風向きの関係で割に降灰量が少ない地点にありますが、鹿児島気象台でも千九百十二グラム、二キロ近くの灰が降っております。こういうことを考えてまいりますと、鹿児島県庁のあたりで三十坪の住宅を例にとりますと、三十坪の住宅屋根に降ります灰の量が年間に四百キロに及ぶことになるわけでございまして、一年間に個人の住宅屋根の上に、鹿児島市の中心で高見山と小錦が一緒に降ってくるような量の灰が降ってくるわけであります。  これぐらいの降灰量でありますから、住民の受けている影響はもう大変なものでありまして、またこのことによってもたらされる出費も非常に大きくなってくるわけです。これは桜島からかなり離れたところのことを申し上げたんでありまして、ふもとの東桜島小学校などに参りますと、年間平米当たり十八キロの灰が降ってまいります。これは五十八年がそうですね。こういう降灰に対して国の方でも降灰除去防除事業についていろいろと補助事業として助成を行っていただいているのでありますが、地元としては、この国の補助率引き上げ等によって降灰に対してぜひいろいろと対策を強めていただきたいという希望が大きいのでありますが、この点についてお考えを承りたいと思うんでございます。
  7. 田中暁

    政府委員田中暁君) 先生御承知のとおり、降灰除去事業につきましては活火山法に基づきまして一定の率の補助を行っておるわけでございます。宅地等につきましては二分の一という補助率になっておるわけでございまして、ただ、最近非常に降灰の量が多いということもございまして、宅地に降る灰の除去につきまして補助率を三分の二に引き上げてほしいというような御要望があることは承知いたしております。ただ、現在の財政状況にかんがみますと、なかなか補助率引き上げというようなことは難しい面もあろうかと思いますが、御意向は十分承知いたしておりますので、関係する省庁とも十分連絡をとって検討してまいりたいと考えております。
  8. 久保亘

    久保亘君 これは他の公共事業補助の問題なんかとは違いまして、どうにもならない、こちらが希望しないのに降ってくるわけですから、それで何とかひとつこういう地域に対しては特別な配慮をいただきたいと思うんです。現在の活動火山対策特別措置法に基づいて降灰防除地域指定を受けているのは桜島以外にほかにございますか。
  9. 田中暁

    政府委員田中暁君) 桜島周辺でございますと二市三町がこの地域指定を受けております。
  10. 久保亘

    久保亘君 私が申し上げましたのは、桜島町という意味で申し上げたんじゃなくて、桜島にかかわる指定地域以外に全国でほかにあるかということをお聞きしているんです。
  11. 田中暁

    政府委員田中暁君) 阿蘇山とそれから北海道の有珠山でございます。
  12. 久保亘

    久保亘君 それは降灰防除地域指定を受けているわけですね、この活火山法によって。
  13. 田中暁

    政府委員田中暁君) ちょっと失礼申し上げました。有珠は受けていないのでございまして、桜島地域、それから阿蘇地域でございます。
  14. 久保亘

    久保亘君 これは全国的にも非常に特異な地域でございますから、一般的な公共事業等に対する補助考え方とは違って、天災を受けている地域に対する援助というような立場で、今御答弁になりましたように、ぜひひとつ各省庁とも協議を進められてこれらの補助について地元の要請にこたえるようにやっていただきたいと思うんですが、長官のお考えを述べていただきたいと思います。
  15. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) いろいろお話を承っておりましても、噴火回数も大変多いようですし、また降灰の量も大変多いというふうに承っております。そういう意味からも、おっしゃるとおり、これは普通の公共事業とは違う意味合いのものが十分私は含まれておると思います。  ただ、何せ各地域にこういったところが数多くございますと、いろいろな意見も出てくるでしょうが、桜島だけが景色のいい大変風光明媚と申しましょうか、そういった桜島は現在では何というか、昔の面影すらなくなってきておる、こういうことであります。先ほど来から聞いておったのでありますが、私なんかも知恵がないというのか、離島かなと思っておったところが離島でもなくなってきておるということですから、離島振興法——もちろん火山振興法によって扱われておるというふうに聞いておりますけれども、この特例措置という問題が大変手薄いというふうにも考えられるわけであります。  そういう意味から、これはあなたにもこれから今後大変御協力をちょうだいいただかなきゃならぬと思います。まあ半島振興法、こういういろんなことを兼ね備え、いろんなことを加味いたしました半島振興という問題、これはそう長くないんですよ、笑ってられるけれども。自民党としても九月ごろまでに結論を出していこうと、こういうことでございますから、皆さんにもひとつぜひ、あなたの場合は特に関係ありますから御協力を願って、できるだけ一日も早くこういったものも加味しながら半島振興法といったものを私はできるだけ早くつくり上げていくことが大事ではないかと思います。  そういう意味で、具体的に申し上げますとするならば、今後もできるだけこの問題について、住民皆さん方に大変御迷惑をおかけしているわけでありますから、これにこたえるために積極的にひとつ取り組んでみたいと、こういうふうに考えております。
  16. 久保亘

    久保亘君 長官もぜひひとつ、この桜島を初めとするこういう活動火山対策特別措置法責任省庁長官におなりになったわけでございますから、一遍桜島をお訪ねいただいて、そして地元自治体住民意見等も直接お聞きになって、今後の降灰対策や全体的な火山活動に伴う災害防除問題等、あるいは被害を受けている特に一次産業の振興の問題などについても積極的な御努力をお願いしたいと思うんですが、近いうちに一遍現地をお訪ねになりませんか。
  17. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これは桜島というばかりじゃなく、今質問ですから桜島お答えをしておいた方が迫力があると思いますが、問題はどうしても大隅半島ですね。ここの半島状態というものはどういうふうな状態になって交通体系が進められておるか。特に水の問題ですね。半島というのはどうしても水が不足しているわけです。そういう意味から水の問題であるとか、交通体系であるとか、こういったことの調査のために全く近くお伺いをさせていただくということになっておるわけです。今御質問の、それじゃ桜島調査をぜひということになりますと、ぜひこれはお伺いさせていただいて、地域住民の方々の悩みであるとか、あるいはまた御意見等々を承って、それにどう対応していくかということで検討してみたい、こういうふうに思っています。
  18. 久保亘

    久保亘君 極めて近い時期にそういう御計画をお持ちくださるということですから、ぜひそうしていただくようにお願いしておきます。  国税庁お見えになっておりますか。  この降灰の問題について私かねてから意見を持っておりまして、また国税庁関係の方に申し上げたこともございますが、豪雪地帯等において雪おろし等にかかわる経費所得税の減免の対象とされておると思いますけれども、降灰地域について——先ほど私が申し上げましたような膨大な降灰ですね。しかも雪と違いまして、こちらは解けもしなければ流れもしない。この降灰除去するために桜島周辺地域住民たち年間に最低二回ぐらい屋根に積もった灰、特に雨どいを埋めるものを業者を頼んで除去しなければならぬ状況がございます。これが高いところの仕事でありますから非常に経費もかかるんでございます。この降灰除去に伴う費用年間一定量以上の降灰があった場合には課税所得控除対象とするということは不可能なことでしょうか。
  19. 岡本吉司

    説明員岡本吉司君) 災害に対しまして幾つかの税法上の救済措置をとってあるのでございますが、桜島のような降灰の場合にも、豪雪の場合と同様に被害発生した場合には、まず事業用資産、例えば店舗など、商売をやっておられる方、こういった方が事業用資産について損害を受けた場合、例えば今お話ありました店の雨どいが壊れちゃったとか、あるいは空調設備が壊れちゃったとか、こういった減価償却資産が傷んだといった損害発生した場合には、これは当然のことながら、その損害額事業所得必要経費に落ちていくということでございます。それからまた事業の遂行上灰をおろす費用が必要だ、また費用がかかったということであれば、これまた当然その事業上の必要経費になる、こういうことでございます。  そのほかに、事業ではなくて一般の方が例えば住宅とか家財等生活用資産現実損害発生したという場合に認められておりますのが所得税法上の雑損控除、今先生お話はこちらの方かと思いますが、現実損害発生した場合に、その所得税法上の雑損控除適用を受けることができる、こうなっておるわけでございます。だから、この雑損控除適用に当たりましては、所得税法施行令の二百六条の一項三号に、災害による住宅家財等に係る被害発生防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出と、こうなっているわけでございます。いわば防止観点から緊急性のある支出に限って雑損控除対象にしましょうと、こういうふうになっております。したがいまして、仮にこの要件に該当するということであるならば、これは豪雪だけではなくてほかの災害におきましても全部これに雑損控除が当然適用になるわけでございますが、今のお話のございました桜島のような降灰除去費用につきましては、現在まで我々が伺っているところによりますと、被害発生とか、拡大を防止するために緊急性があるとか、あるいは偶発性があるとか、こういった要件をやや必ずしも豪雪ほど満たしてないんではなかろうかというような観点もございまして、この事前的な措置費用として、いわば被害発生防止費用として雑損控除を認めるというのはやや問題はあるんじゃなかろうかと考えております。もちろん、具体的に損害が生じた場合には雑損控除適用になるのは当然のことでございます。
  20. 久保亘

    久保亘君 これは例えば雨どいに全部灰が詰まって水が流れなくなる、それから屋根降灰が積もっていくという、それは雪のように一遍に非常な重量で積んでくるわけじゃありませんから、確かに被害をもたらす緊急性ということで言われますと少し問題のあるところかもしれません。しかし実際にはこれは天然現象に基づいてそれだけの出費を伴うわけですね。つまり所得でなくなるわけです、その分が。それだから、その分についてはこういう恒常的に毎年同じような出費住民天災として強要している場合、これは所得税法上の特例措置が検討されてしかるべきもんじゃないかと思うんですがね。あなたはそういうふうにお考えになりませんかね。
  21. 岡本吉司

    説明員岡本吉司君) 恐らくその制度面の話と執行面の話と二つあろうかと思います。今私が申し上げましたのは、いわば現行の制度を前提にいたしまして、執行のサイドから現在の雑損控除の性格を考えた場合、雑損控除と申しますのは通常の損害ではなくて、異常な損害、偶発的な損害、こういったものが生ずることによりまして納税者担税力が減殺される、ここに着目して設けられている制度でございます。したがいまして、いわばたまたまそれは自然的な現象から生じるところの支出かもしれませんが、考えようによりましては、こういったものは多々あるわけでございまして、例えば過密地帯に住んでおりますと住居費が高いんで余計費用がかかるとか、例えば公害発生地域にありますと、またそこもこれに関連した生活費が余計かかるとか、いろいろあるわけでございまして、現在の考え方からいきますと、税調等答申におきましても、個々の地理的条件とか社会的条件の差異に着目して一つ一つその制度を、何とか控除というのをつくっていくというのは、税制を複雑にするので、必ずしも適当でないと、こういう答申になっておるんでございます。
  22. 久保亘

    久保亘君 例えば事業所経費として控除されるというならば、サラリーマンを初めとする家庭において、農家においてもそうですが、それは所得外になるわけです、その支払う分は。非常に少額の場合はいいですが、年間数万円に達するかなりなものになってくるわけです、そして全国にそういったくさん同種の例があるわけじゃない。あなたがさつき挙げられた例とは少し違うんですけれども、雪だって天災です。降灰だって天災です。天から降ってくるんです、どっちも。だから検討に値するものじゃないでしょうかね。そういうものを一々やりよったら税制が複雑になるからやめたといえばそれまでですがね。だから、そうではなくて、実情を十分調査して、そういうものを対象としていくかどうかを検討するということは、私は住民立場に立った税の執行のあり方じゃないかと思うんだがどうですか。あなたではなかなか言えぬかもしれぬけれどもね。
  23. 岡本吉司

    説明員岡本吉司君) 制度の方は主税局の方でございますので、先生お話はお伝えしておきたいと思いますけれども、執行の面に限って申しますと、現在の雑損控除というのは、極めて偶発性のある、緊急性のあるものを対象にしております。今先生のおっしゃったサラリーマンの場合ですね、事業の場合には経費として認められるけれども、一般サラリーマンの場合には経費としてそれが認められないじゃないかと、こういう御質問に対するお答えは、要するに事業を営んでいる方が支出しましたのは、まさにその事業収入を得るためにそういった支出が必要であるということで経費として認めているわけです。一般サラリーマン、私なんかそうでございますが、私なんかが仮にそういった費用支出した場合には、それは一つの自分が受け取った所得の処分としてなされると、こういうことでございますので、その辺は、事業所得を有する者と我々一般生活用資産に対して経費支出する場合とやや税法上は取り扱いが異ならざるを得ないというふうに考えております。よろしく御了解いただきたいと思います。
  24. 久保亘

    久保亘君 ちゃんとサラリーマンにも基礎控除があるんです、制度としては。ところが、こういうものを念頭に入れて決められた控除じゃないんです。あなたの場合とはそれが少し違うわけなんです。だから、そういう点について私の方から、こういうことで国税庁、大蔵省に対して強い地元希望を申し上げたということで、十分判断のできるような場所へ意見を伝達しておいてください。また私、改めてこの問題についてはしかるべき機会に申し上げたいと思っております。  きょうは時間が短いですから、次に、土石流対策についてお尋ねいたします。  桜島には、鹿児島湾に向かって桜島の山腹を縫って鹿児島湾に入ります河川が十八ございます。この十八の河川は、土石流発生する危険な通路にもなっております。いつもは水が流れていないです、ほとんどね。これらの河川発生する土石流回数というのがまた想像を絶するものでございまして、五十八年は例年に比べてまた特別に多く、年間九十回の土石流発生を見ております。中でも野尻川は有名になっておりまして、今度の土石流対策モデル事業対象にもなっております。この野尻川は昨年一年間で二十八回の土石流発生いたしております。  これらの土石流対策についてまず具体的なものをひとつお尋ねしたいんですが、ことしの四月の十九日に第二古里川という川に発生いたしました土石流は、この川の二メートルの擁壁を越えまして、そして国道二百二十四号線を三百メートルにわたって、一番厚いところでは一メートルの土砂で覆い尽くしたわけであります。この第二古里川は、昨年の二月にも同じような土石流による災害発生させております。この第二古里川の土石流発生について、昨年の二月に発生した後、建設省としては、現地を担当いたします工事事務所を通じていろいろの措置をおとりになった。もう大丈夫だという意見もあったと聞いておりますが、一年たった今回じような災害をまた発生さしたわけでありますが、五十八年二月の土石流災害再発防止のためにとられた対策はどのようなものであったのか。そして、この対策は、建設省としてはもう同様の土石流による災害発生させることはないという判断に立っておられたのかどうか。まずその点からお尋ねしたいと思います。
  25. 設楽武久

    説明員設楽武久君) お答え申し上げます。  昨年の災害以降、第二古里川につきましては、砂防ダム、それから床固めの設置を初めといたしまして、さらに河道に堆積しております土砂掘削等を行いまして、その後の土石流による災害防止のための努力を続けてきたところでございます。まだ一部河道の法線の整正を緊急に要するということで計画を持っておりますが、地元で用地関係で御了解が得られないということで、まだ継続して用地の取得に努めているというようなことでございます。  これで十分かという御質問でございますが、御存じのように、荒廃の進度が非常に速うございますので、抜本的な対策は別途考えなければいけないということで、今まで申し上げました内容については当面被害を少しでも少なくするということで実施しておるわけでございます。なお、ダム、床固め等については将来計画、全体の計画の中でも生かしていくというふうに位置づけておるわけでございます。
  26. 久保亘

    久保亘君 ここは、大体建設省は、国道二百二十四号線をおつくりになりますときに第二古里川のところからずっと国道を下げておられますね。そしてまた災害の出るこの地域を越えるところからまた国道は上昇勾配で上がっていくようになっておるんです。だから、少なくとも建設省としては、国道二百二十四号をおつくりになるときにも、そのような土石流災害に当たってこの国道を河川のかわりに使おうと思っておつくりになったはずはないんで、だからそういうことはあり得ない、そういう計算に基づいて国道もつくられたし、それから河川の改修もやられてきたと思うんですね。ところが、引き続いてそういう災害が起こってくるということになれば根本的に何か問題があるんじゃないか。それは建設省として予算上どうにもならぬということなのか。あるいは今日の建設省の治山治水能力をもってしては不可能であるということなのか。桜島に起こる天災である土石流に対してこれをとめ得る手段はない、こういうことなのか。その原因はどこだとお思いになりますか。もう不可抗力の天災であるか、あるいは予算上やりたいことが進行できないためにひっかかっているのか、どういうふうにお考えになっておりますか。
  27. 設楽武久

    説明員設楽武久君) 桜島の各渓流につきましては、火山活動が活発になる以前はほとんどしりなし川といいますか、海に通じてないような渓流が活動が活発になるにつれて拡大してきたというような状況でございます。第二古里につきましても、先生おっしゃいましたように、ふだんは水もない、非常に活動が活発になる以前には比較的おとなしいといいますか、河川であったわけです。これが急激に荒廃してきたということで、その対応につきましてはいろいろと対策を立てて、少なくとも道路でありますとか人家等に土砂が入らないようにということで計画を持っておるわけですが、一部計画どおり事業が実施できないというような面もございます。  それから全般的に見ましてどういうことかということでございますが、事業対策でやることにも限度はおのずとあると思います。地形的な条件、地質的な条件もございます。しかし私どもとしては、少なくとも人命、財産に影響のないようにという対策は立て得るというふうなことで今鋭意実施しているところでございます。
  28. 久保亘

    久保亘君 建設省としても能力、予算、そういうものを総合的にお考えになって、それは全部一挙に何もかもできるということがないということは私わかります。しかし、そういうことであっても、こういう繰り返し災害発生するような地域についてはある程度予算を集中させる、そうしないと国費の乱用になりますよ。もう毎年繰り返してそこを復旧するだけで大変なお金を使っていくわけでしょう。だから、そんなことだったら、そこに予算を集中させて、そういう災害が起こらないような措置をできるだけ短い期間で完成させる、そういう努力をしなけりゃいかぬのじゃないでしょうか。そうしないと、ことしの梅雨期にもまたあるということになるんじゃないですか。  この前四月十九日の災害は、一時間に四十五ミリ雨が降ったことによって起こったものです、四十五ミリ程度。それぐらいの雨でああいう土石流火山活動と関連しながらしょっちゅう起こるということになれば、国道の用もなさぬ、地域住民は大変な土石流の脅威の中でおちおち生活も仕事もできないという状況になる。これではいけませんので、もしあそこが、あのような被害の起こるところが大都会だったら、私はもうとてもじゃないが、あんな状況でほうっておけないと思うんです。あそこは鹿児島と大隅半島を結ぶ一つの幹線でもあります。だから、ぜひ少し予算を集中させてその対策を講ずると、こういう努力をしていただきたいと思いますが、そういうふうにはいきませんか。
  29. 設楽武久

    説明員設楽武久君) 予算の件につきましては、非常に厳しい予算の中でございますが、桜島に対しましては伸び率を確保いたしまして実施しておるところでございます。  なお、第二古里につきましては、特に最近の災害にかんがみまして大幅な予算の増額を行って実施しておるところでございます。
  30. 久保亘

    久保亘君 ことしの梅雨期といえばもうすぐですね。すぐですが、それまでに現状のままほうっとくんじゃなくて、ことしの梅雨期に再発させないような対策というのを何か今度の災害に対応してお考えになりますか。
  31. 設楽武久

    説明員設楽武久君) お答えいたします。  先般の災害直後に上流の河道に堆積しております土砂のうち特に不安定なものにつきましては既に除去しております。今後他の方策につきましてもでき得るものから実施してまいりたいというふうに考えております。
  32. 久保亘

    久保亘君 これ以上はここで申し上げても大変だろうと思いますが、今あなたの言われたことを建設省桜島土石流防止に対する熱意と私受けとめておきますから、ぜひ現地希望にもこたえられるようにやってください。  それから去年の事故が発生してからこれまでの桜島河川土石流対策を根本的に考え直すということで、模型実験とかそういうものをやって新しい基本計画をつくるんだということで何かおやりになっていると聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  33. 設楽武久

    説明員設楽武久君) ただいまの御質問は第二古里についてだと存じますが、先ほど来お話のありましたように再三災害が起きておりますので、この災害をなくすためには抜本的な計画が必要だろうということで計画を今検討しておるところでございます。今年中には——ただいま土木研究所で水現実験等をやっております。こういった結果を踏まえまして地元にもこの計画が御説明できるようにしたいというふうに考えております。
  34. 久保亘

    久保亘君 その基本計画に基づいてこの河川の何計画と言ったらよいかな、改修計画ができ上がってくるのは随分年月がかかるんだと思うんです。だから、桜島土石流発生させる可能性の ある河川について、第二古里川だけではなくて、黒神川も野尻川も、これもしょっちゅう道路を通行どめにするような災害を出しておりますから、こういうものについて全体の計画が終わるのは一体いつのことだろうかというようなことで、みんなが不安を持ちながら早く何とかならないもんだろうかという気持ちを持っているわけなんですね。ぜひひとつこの問題について積極的な計画の推進と短い年度での計画の完成、事業の完成を図っていただきたいと思うんですが、そういう方向で御努力いただけますか。
  35. 設楽武久

    説明員設楽武久君) これまでも全体計画といいますか、各河川について基本的な計画を策定できるものからいたして、地元の御協力等を得るように努力してまいったところでございますが、今後ともそういった姿勢で臨みたいと思っております。
  36. 久保亘

    久保亘君 最後に、私がなぜ念を押しながらいろいろお聞きしているかといいますと、今度建設省で人命第一という立場でモデル事業を御計画になりましたことは、これは大変結構なことだと思うんです。それもしかし六万カ所を超えるそういう土石流発生の予想される危険渓流と申しますか、その中での今度の四カ所のモデルですね。それで第六次の五カ年計画が終わっても、これらの危険渓流のうちそれで何らかの手だてを講ぜられるのは二割にも達しない。こういう状況の中で、実際言うと、住民は生命や財産に脅威を感じ、また道路も大変な状態に置かれているわけですね。だから、この土石流に対する対策というのは毎年災害が起きてから考えるというんじゃなくて、積極的に今日財政の非常に厳しいときであっても優先的にこれらの対策を立てていくということが必要なのではないか、こう思うんです。国土庁長官立場で、私今申し上げましたようなことについて御意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  37. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 先ほど来から建設省がいろいろ細かく報告をしておりましたが、国土庁といたしましても、各省庁との関係がいろいろございますから、緊密な連絡をとりながら御期待に沿うよう努力をいたします。
  38. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最初に激甚災害指定についてお伺いをいたします。  昭和三十七年の十二月激甚災害指定基準が決定されましたが、それ以来数々の指定が行われておりますけれども、今日までどのような数字でこれが行われておりますでしょうか。
  39. 田中暁

    政府委員田中暁君) たくさんの項目はございますが、一番メーンのもの、つまり公共土木、農地農業用施設、それから中小企業関係について御説明申し上げますと、本激は三十七年法制定以来、それから局激の制度ができましたのは四十三年でございますので、それ以降の数字ということに相なりますが、公共土木施設につきましては、本激十九災害、局激百七災害、農地農業用施設につきましては、本激四十九災害、局激百五十一災害、中小企業関係につきましては、本激が二十一災害、局激が二十七災害でございます。
  40. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 今の御報告のとおりだと思いますけれども、私が伺いたいのは、昭和四十三年、四十四年は本激がゼロですね、四十八年、五十二年からずっと五十六年まで本激ゼロになっているわけです。四十三年のときには局激ができましてこれで九件指定をされております。多分本激に該当しないからということでこの局激の制度ができたのだと思うのですけれども、なぜこの本激指定が減ったのでしょうか。災害が減ったというふうに理解をしたらよろしいのでしょうか。
  41. 田中暁

    政府委員田中暁君) 御指摘の点は公共土木施設の激甚の指定の問題だと承るわけでございますが、御指摘のように公共土木につきましては、近年なかなか本激の指定が該当をしなくなってきておりまして、先生がおっしゃいましたように、五十七年の長崎大豪雨までの間数年間全く指定が行われていなかったわけでございます。  この原因といたしましては、この激甚災害指定基準が、分子に災害復旧事業事業費をとりまして、分母にいろんな数値を使っておるわけでございますが、公共土木のこの分母は地方税の標準税収入額を使っておるわけでございます。この標準税収入額が三十七年から五十七年までの間に十八倍というような非常に大きな伸びを示しておりまして、これが災害復旧事業費の土木工事のいろんな諸掛かりの物価上昇をはるかに超えた率でございます。そのために一つには指定がなかなか行われていないという実情でございます。
  42. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 一方、公共土木施設に比べまして農地農業用施設というのは、ずっと連続して大体同じような数字でこの本激指定がされているわけでありますね。公共土木の方が三十七年当時に比して標準税収入が十八倍強だ、こういうことになっていますが、農業所得の方は何倍ぐらいになっているんですか。
  43. 田中暁

    政府委員田中暁君) 農地農業用施設関係指定基準は分母に全国農業所得推定額というものを使っております。これは三十七年を一〇〇といたしまして五十七年の伸びは三・三七倍でございます。標準税収入はさっき申し上げましたように一八・四三倍でございますから随分差がございます。この辺が影響しているのだと考えております。
  44. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういう意味で五十七年の長崎災害、五十八年の山陰災害、これは指定をされているわけですけれども、しかし台風十号が外れているんですね、あれだけの大きな被害であったにもかかわらず。これは数字的に当てはめていくと該当しなかったということになるのだと思いますけれども、しかし農地農業用施設の件はずっと該当されてきている。片や公共土木施設の本激指定はもうほとんど該当しない状況になっている。それはせっかくつくられた法律といいますか制度を生かしていくことにはならないというふうに思うので、見直していくといいますか、是正をしていくというんですか、考え直していく、そういうことが必要なのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  45. 田中暁

    政府委員田中暁君) この激甚災害指定基準につきましては先生のような御意見いろいろ承っておるわけでございます。ただ、これはなかなか難しい面がございまして、つまり日本経済に影響を及ぼすような相当大きい災害であるからこれは地方団体だけでは対応し切れないだろう、こういう趣旨で激甚災害制度が設けられているということもございまして、いわば全国的な災害の規模によってある団体における被害額は同じものであってもいわば非常に仲間が多いと激甚の指定になり、仲間が少ないと指定にならない、こういう現象が起こっておるわけでございまして、これは今申し上げましたような制度の趣旨、日本経済に影響を及ぼすというような趣旨を厳格に解しますと、いわば宿命的な問題であろうと思うわけでございます。  ただ、そうばかりとは言い切れない、ある団体について非常に激甚な災害であれば救済すべきではないかという御異論ももちろん一方にあるわけでございまして、本激のいわゆるB基準というのはそういうような考え方で、A基準の三分の一程度の全国被害額であってもある県の被害が非常に大きい、こういう場合には指定するという考え方に立っておりますし、四十三年にできました局激の制度といいますのも、これは市町村単位に非常に大きな被害があれば局地的に激甚災害指定をしよう、こういうことで設けられたわけでございます。だから、この二つの要請をどのように調和させていくかということが基本的な問題でございまして、十分いろいろと御意見は承っておりますので、我々といたしましても今後真剣に検討をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  46. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ぜひ真剣に検討していただきたいと思います。  それで次に、四月に入って新年度になったわけでありますが、あちらこちらから私のところに転任のあいさつ、退職のあいさつなどが来るわけです。これを読んでみますと、特に新潟の東頸城だとかあるいは魚沼だとか豪雪地域の方々から、まだ校庭に雪が一メートル残っているとか、二メートル二十センチ残っているとか、そういう中でこれから教育が始まるんだなどということが書いてあるわけです。そういうことから見ますと、田んぼも畑も姿を見せない、黒土がないような状況になっている。そういう中で異常に長く続いた五九豪雪災害の農業関係被害状況というのは一体今までどういうふうな状況になっておりますか。
  47. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ことしの降雪によります農林漁業関係被害状況でございますが、全国段階でも最終的な集計、まだ融雪を完全に見ておりませんので把握できておりませんけれども、現在までのところ各県からの報告を一応集計いたしておるわけでございます。それによりますと、総額で六百八十億ほどになっております。その内訳は、野菜と果樹等の農作物被害が大体二百六十億、それからビニールハウス等の営農施設にかかわる被害が二百六十億、それから林業被害が大体百六十億というのがそれぞれの現時点で把握いたしております被害状況になっているわけでございます。
  48. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういう被害状況に対して被災地域あるいは被災者、こういうものの救済は一体どのような状況になっているかということについてお伺いをするわけですが、私のところも新聞に大変な状況だということが載っておりまして、先日も行ってきたんですけれども、新潟第三区、有名な場所ですけれども、塩沢町の栃窪というところではこの五九の間に六・二五メートルの積雪があった。東頸城の松之山町には五・七メートルの積雪があった。御存じだと思いますけれども、積雪というのと累積降雪というのは全然違うわけですね。累積降雪というとこれの四倍になりますから六メートルのところは二十五メートルからの雪が積もっている、大変な状況になっているわけであります。だから雪おろしというのがこの間に七、八回行われてきている。災害の期間というのは一体いつからいつまでが災害の期間なんだろうかということになるわけですけれども、これから融雪期を迎えてまた新たなる災害も起きてくるだろう。それから今隠れている災害が目に見えてくる時期だというふうに思いますので、この点に関してこれからどのような対策を行われようとされるのかということをお伺いいたします。  特に私、新潟日報を読みまして、県の経済課長はこういうことを言っているんですね。農産物に対して「天災融資法の発動についても再三再四国に要請しているところである」。再三再四要請していて返事がないというような書き出しであります。この辺のところも含めまして、これからどのようにされていくのかということについてお伺いいたします。
  49. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 従来講じました施策につきましては、前の本委員会においても御報告申し上げておりますが、ただいま御質疑ありましたように、これから何をするかということを中心お話したいと思います。  これからの問題として、何といいましても、融雪を待ちまして、特に北陸、東北という米どころでございますし、それから最近の米の需給事情という中でございますので、何とか苗代なりあるいは本田への移殖がスムーズにいくということが一番大切なわけでございます。  それで、関係県に対しまして融雪促進方の指導なり、あるいは資材の手当てのあっせんなりということを従来からやってきておるわけでございますけれども、ごく残雪の多いところにつきましては、共同苗代にかかわる除雪事業を、こういう財政事情の厳しい中ではございますけれども、国としても財政援助の手を差し伸べるという基本方針を定めまして、現在関係県での事業の要望積み上げを行っているわけでございます。したがいまして、田んぼにかかわりましては、この系統の仕事がといいますか、事業というものがこれから一番注目されるというふうに思っているわけでございます。  それから融資関係でございますけれども、これにつきましては、もう既に借り入れております資金の償還猶予でございますとか、いろんな指導を行いましたし、それから幸いにいたしまして、農林漁業関係の場合にはいろんな既存の制度融資が、低利長期の融資がいろんな形で構築されておりますので、そういうものを円滑に末端に流すということで、自作農維持資金でございますとか、あるいは農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設資金でございますとか、こういうものを従来から窓口指導なりをやってきているわけでございます。これからも、いよいよ春の本格的な営農に差しかかってまいりますので、必要な資金額が出ますれば、それに応じた関係制度資金の円滑な手当てというものについて十分の対策を講じていきたいというふうに考えているわけでございます。  それからなお、ただいま御指摘ありました天災融資につきましては、大体こういう豪雪のときというのは比較的そういう傾向があるわけでございますけれども、全体トータルいたしますと被害額としてはかなりになるわけでございますが、これが全地域にある程度薄く広い形で被害が重なって、それを集計すると六百数十億という形になるわけでございますけれども、天災融資法の金まで借りて営農を再建しなければというような頭数なり深度というものが比較的薄いというのは過去にもあったわけでございます。ことしの場合にも、新潟等で例えばニシキゴイ等を中心にいたしまして、若干の資金需要があるというような話は聞いているわけでございますけれども、全体的にまだ天災融資法を発動すべきかどうかということにつきましては、我々といたしましてももう少し資金需要というものを的確につかんでみたいというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、天災融資法だけではなくて、自作農維持資金でございますとか、あるいは主務大臣指定施設資金でございますとか、あるいは果樹につきましては果樹関係の資金でございますとか、そういうそれほど遜色のない低利長期の資金というものがございますので、資金需要がありますれば何らかの形での対応というものは十分に考えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  50. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、要請があれば、これは当然のこと適用するけれども、まだそれに該当するほどの報告がないと、こういう理解でよろしいわけですね。
  51. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 基本的にはそういうことで結構でございます。
  52. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ゆうべ急に建設省にお願いをいたしまして資料を要請いたしました。けさほど届いたわけでありますけれども、水害関係で随分訴訟が起きているんですね。加治川、多摩川、太田川、長良川等、建設省がつかんでいるだけでも二十五件の災害訴訟が起きております。それから道路に関するものは十四件訴訟が起きているんです。  文部省に総合研究の科学研究費というのがありまして、一九八〇年から八二年までの三年間災害をめぐる法理論の総合的研究という題材をもちまして学者の方々が研究をしていらっしゃるわけです。その研究をしていく中で、とにかく災害に関して社会科学的な研究も十分ではない、それから災害法というものに対する研究は非常に貧弱であったと、こういうことを指摘していらっしゃいます。  この道路災害、今までだったらそんなことはもうしようがないと、こうあきらめていた人たちが訴訟を次から次へと起こすようになってきた。水害にしてもそうですね。三十九年のこの激甚災害指定ができたとき、ちょうど第一号が新潟地震でした。私も被災者の一人で家が全壊したわけですけれども、あのころはもうみんな大変だ、大変だと思いまして、何とかしなくちゃと思って立ち直って、ああこれでよかった、だれも死人が出なくてよかった、大火事にならないでよかったと、それでもう終わっているわけなんですね。裁判を起こそうなんてことを全然考えなかった。ところが、つい先日のあの宮城沖地震では十五、六件になりますか、ちょっと数字は忘れましたけれども、訴訟が起きておりますね。  だから、新潟の人はあばら骨が一本足りないんだとよく言われております、権利意識がないんだなんて言われておりますけれども、でもそうじゃないんだなと思いましたのは、それから数年後に起きました加治川の水害であります。あのときは私も、同じ職場におりました人が直撃を受けまして、家がもう全然なくなっちゃったわけです。そしてみんなでカンパ活動をやりましたり、あっちこっちへ行ってお金を借りられるだけ借り上げて、そしてやっと復旧して一年後にうちができたからというんでお祝いをやった。お祝いをやった一週間後に、またそれこそ直径七十センチもあるような木が流れてきて家の中を突き刺しているわけですね。本当にこれはもう人災だなという感じがしてならなかったわけであります。その御本人は裁判には加わりませんでしたが、地域の方々は訴訟に加わっているわけですね。  こういうことを考えていってみますと、災害対策の基本目的というものは、国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護すると、こういうことになっておりますが、自然災害天災に対するだけではなくて、必ず天災の中には人災というものが含まれている、そういうことも含めて基本的な抜本的な災害防止対策災害に対する国としての制度などというものを充実させていかなければならないのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  53. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これは国土庁としましては、国土の保全、災害から国民の財産、生命を守る、これは極めて国の重要な責任であろうと私は考えております。そんな意味から、今度四月一日から防災局も設立をいたしまして、災害というものに対して積極的な取り組み方をしなきゃならぬと、こういうふうに考えております。
  54. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そのとおりだと思うんです。ぜひ積極的な取り組みをやっていただきたいと思いますが、幾つかの問題点を私は指摘したいと思います。  例えば雪の対策についてであります。この雪害対策について、道路の整備だとか除雪あるいは雪崩防止、孤立した村などの民生の安定対策、財政上のさまざまな特例措置を設けて前進しているということは非常にうれしいことだと思います。しかし行政法規というものが全国一律、全国画一的だということをいつも考えさせられるわけです。道路について考えてみますと、普通の車線のほかに堆雪地帯、除雪をしたときに歩道のところに雪を載せないで、とにかく一時雪をためておくようなそういうスペースを設けておくような基準というようなものがつくれないのだろうか。あるいは屋根からおろした雪が自分のうちの地所に入ったと、これは長官の方も多分そういう地域ですからおわかりだと思いますけれども、それだけでもうけんかになっている、刃傷ざたになってくるというような事実もあるわけですから、建ぺい率なんかも五十三条に出ておりますけれども、特に豪雪地域の建ぺい率などというようなことは考え直す必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、建設省いかがですか。
  55. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  最初の方の道路の構造に関してでございますが、私、今手元に資料がないので、概略的なことを申し上げて御容赦願いたいと思いますが、道路構造令等で、雪寒地域における状況に対しては、例えば車線のわきにとる路肩の幅を通常の地域よりは広くとるとか等の対応がとられているというように私記憶しておりますが、ただいま先生御指摘ございましたように、屋根からおろすのと歩道との関係問題等ございます。これはしかし町中の件でございまして、非常に実態上もいろいろ各種の問題あろうかと思いますが、今後実態を十分把握しながら、そういった積雪地域における道路構造の問題につきましても取り組んでいきたいというぐあいに考えております。
  56. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 今一つの例を申し上げましたけれども、私はそういうきめ細かな対策というものを災害においてはとっていただきたいと思うのでございます。  最後に、地域の方からこういう要望、請願書をいただいたんです。各省に来ていただいてこれはどこが受け取るのかと言ったら、どうもそういうことはうちの省じゃないようだと、こういうふうに言われたんですけれども、審議官がこういうことについてお答えになるんでしょうか。どうも災害委員会というのは本当にあの省この省みんなばらばらで質問するような感じで私は不満もあるわけです。  例えば一つには、民家周囲の排雪促進のための除雪機械整備事業、こういうものをぜひ充実してもらいたいという請願であります。これは雪国では屋根から雪をおろしますと、その落とした雪をどけるというのはまたこれは大変なことなものですからそこへ積み重ねておく。そうすると裏口からの出口もなくなるし窓からの出口もなくなるということで、火事が起こりますと中で死んでしまうんですね。玄関のところからだけしか逃げられないから、そこのところに煙が充満したり火が出たりすると、どうしても家の中で死んでしまうという状況が出てきます。だから屋根からおろした雪を除雪するために町内とかあるいは市町村とかで機械を買う、そういうものに対して何とか国で面倒を見てもらえないだろうか、こういう請願が一つ上がっております。  それから冬期保安要員制度の創設に関する請願書というのが出ています。新潟県は県単独で大体二百名をちょっと上回るぐらいの措置をしているわけですけれども、道路の雪よけをさしたり、屋根からの雪おろしをさせたり、あるいは急患の対策をさせたり、要保護世帯の面倒を見たりというようなことでありますが、県単独なものですから二百人を超えるということは容易なことじゃないわけですね。そういう人たちの数をもっとふやしていく、県がやった場合には国がそのことについて補助をする、こういう制度をぜひやっていただきたい。  それから雪おろしのためにぜひ戻ってこいと、こういうことでそれぞれの村長さんや町長さんから出稼ぎ先に対して電話が入る。そうするともう何をさておいても帰ってきて、年寄りが心配ですから雪おろしをする。往復の日程も入れて相当な費用もかかるし、賃金も少なくなってくる。そういうこととあわせて、豪雪地域の中小企業の経営者たちは自分の従業員を休ませてしまう。こういうようなことに対して大変な出費があるので、全部が全部見てくれとは言わないけれども、一定率以上になったらその面倒を見てもらいたい、こういう要望が出ているんです。  まことにもっともな話でありますけれども、このようなことについての災害対策救助というようなことについて話し合う機関といいますか、こういう人たちが物を持っていって訴えるような場所、そういうものは一体どこになるんでしょう。
  57. 田中暁

    政府委員田中暁君) 先生御指摘になりました請願の件につきましては、我々も内容を承知しておるところでございます。雪国で生活するということで万事いろんなハンディキャップがあるわけでございまして、それに対して何らかの国の手当てをしてほしいという現地の方々のお気持ちは十分理解できるわけでございます。  ただ、その態様といたしましては、いわゆる個人被害の救済というような問題に結局は帰着いたしますので、現在の段階ではなかなか難しい面があるだろうと思うわけでございます。確かに現在の災害の弔慰金制度等々、個人被害に対する救済というものはそちらの方向に向かって動いてはきていると思いますけれども、一挙に個別の個人の被害を国が補てんしていくということは財政的に見てもなかなか大変でございます。ですから、例えば御指摘のような民家周辺の除雪対策等につきましても、各個人でそういった機械を買うのに補助金を出すというのは、今のいろんなバランスから言いますと大変難しい。これは何らか住民の共同組織のようなもの、あるいは地方公共団体が何らかの形で関与いたしましてそれに対する補助と、こういうようなある形をとった場合に何とか対応できる、こういうようなことであろうかと思います。  一番最初の問題につきましては、国土庁の方でも持っております克雪生活圏整備事業等々の運用によりまして一部では対応が可能かとも思いますけれども、いずれにいたしましても、そういうような状況のもとで、しかし豪雪地帯のハンディを何とかしてみんなでカバーしていかなければならないという考え方に立ちまして、今後各省庁とも連絡をとり方応してまいりたいと思います。  なお、そういう地域住民の方々が役所ではだれのところに言っていったらいいのかということでございますが、それはいろいろ各省庁関係いたしますけれども、余り多く関係してというような場合にはもちろん国土庁が十分お話を承りたいと考えております。
  58. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 終わります。
  59. 竹山裕

    ○竹山裕君 昨年は、五月の二十六日の日本海中部地震、七月には山陰を中心とする豪雨、そして十月の三日には三宅島の噴火など多くの災害に見舞われたわけでありますし、その被害も甚だ大きいものがございました。こうした災害に対する被害を最小限度にとどめるためにも一層の防災施策の増進を図っていかなければならないと考えておりますが、私は静岡選挙区から出ております関係上、東海地震対策につきましては特別の関心とまた期待を持っているわけであります。  駿河湾を震源とする周辺地域において近い将来特定の大規模地震が起こりそうだということで地震防災対策強化地域指定され、対策を強化しているということについては、我が国はもとより世界的にも地震防災対策上画期的なことだと考え、大きく評価しているわけであります。その予防対策は、昭和五十五年度から地域に係る生命財産の安全を図るための最小限度の地震対策緊急整備事業として四千百八十億円の事業規模で実施されているわけであります。そこで、今回私はこの地震対策緊急整備事業全国的な地震の予知について、この二点についてお尋ねをしていきたいと考えております。  まず初めに、地震対策緊急整備事業進捗状況、その後の見通しについてお尋ねしたいわけでありますが、東海地震については、昭和五十一年の秋の地震学会においてその発生の可能性が指摘されて以来、大規模地震対策特別措置法の制定、地震防災対策強化地域指定など各般の施策が講じられてきております。現実には地震発生こそしていないものの、いつ発生しても不思議ではない状況と言われて今日ここまで来ているわけでございます。そこで国土庁にお伺いいたしますが、東海地震についていつ発生しても不思議ではないという状況が現段階においていかがなりや、その辺をお伺いいたします。
  60. 田中暁

    政府委員田中暁君) 先生御指摘のとおり、昭和五十一年の地震学会で東海地震発生の切迫性につきましていろいろ学会を挙げての議論が行われたわけでございますが、その理由といたしましては、あの地域、駿河トラフ沿いの地域は安政の東海地震以来もう既に百三十年が経過して、いわゆる空白域が存在しているということ。それからいろんな測地測量の結果からいいますと、駿河湾周辺の明治以降の地殻のひずみの蓄積というものは相当大きくなっている。こういうようなことから、非常に大規模の地震が発生する可能性が高い、切迫しているということであったわけでございます。その後もいろいろ調査が行われまして、いろいろ新しい知見も加わったわけでございますが、しかし基本的な東海地震発生の切迫性、いわゆるいつ発生してもおかしくないと言われている状況につきましては変化はないというように承知  いたしております。
  61. 竹山裕

    ○竹山裕君 そうしますと、そのような状況考えれば、なお一層国を挙げて東海地震対策を推進していかなければならない、こう思うわけであります。このためには、中でも地震対策緊急整備事業の推進こそ急務である。この事業につきましてはいわゆる地震財特法に基づいて計画的に整備が推進されてきたわけでありますが、この法律は時限立法であり、ことしの五十九年度が最終の年度になっているわけであります。  そこで、続いて国土庁にお伺いしますが、法律の期限切れまで余すところ一年弱ということになっている現段階で、本事業進捗状況がどんな程度になっているか、この辺をお伺いいたします。
  62. 田中暁

    政府委員田中暁君) 今先生もおっしゃいましたように、五十八年度末までに実施済みの事業費、これは二千五百八十三億円でございまして、率にいたしますと六二%になるわけでございます。最終年度でございます五十九年度末、どういう状態になるであろうかということにつきましては、まだ各省庁の予算の具体的な箇所づけと申しますか、配分が完了いたしておりませんので、見込みを余りはっきりは申し上げられないわけでございますけれども、過去の進捗率等からごく大ざっぱな推定をいたしますと、八〇%程度ではなかかろうか。逆に申しますと、一〇〇%達成というものは大変厳しい状況にあるというように承知いたしております。
  63. 竹山裕

    ○竹山裕君 この地震対策緊急整備事業は、避難地、避難路などの十七種の整備事業があるわけでありますが、それら全体の進捗状況、今審議官から総括的な八〇%見込みに対して頑張ろうということでありますが、それぞれの各所管の皆さん方の御努力にもかかわりませずこうした状況であります。したがって、いま一歩の御努力をお願いすると同時に、関係省庁御出席をいただいているわけでありますので、順を追ってそれぞれの事業分野別にお伺いをさしていただきたいと思います。  まず最初に建設省にお伺いいたしますが、建設省は、避難地、避難路を初めとする緊急輸送道路、河川管理施設などの事業を所管しておられますが、これらのそれぞれの事業の現在の進捗状況、そして五十九年度期限切れまでの見通しと申しますか、進捗率の見込みなどをお聞かせいただきたい。田中審議官お話どおりなかなか一〇〇%達成は無理のようですが、これらの達成が困難だという理由、この辺にも関連してお聞かせをいただきたい。
  64. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  建設省所管の地震対策緊急整備事業でございますが、全体額で千八百億円という計画になっております。昭和五十八年度までで六五%の進捗状況になっております。五十九年度の見込みを入れますと、全体で七九%という見込みになっておりまして、計画の達成は非常に困難な状況になっております。  中の所管施設ことでございますが、建設省には、先生御指摘のように避難地、避難路等、各種の施設を所管しているわけでございますが、この中で緊急輸送路につきましては、おおむね当初の計画を達成いたす予定でおりまして、五十九年度でおおむね一〇〇%に近い数字になっておりますが、避難地は七七%、避難路は例えば三八%、河川管理施設が七四%、海岸保全施設が三六%、砂防設備が八五%、地すべりが七九%、急傾斜地が六八%というのが五十九年度における達成の見込みでございます。  この進捗がおくれていることでございますが、建設省としましては、全体としまして一番大きな理由としましては、ここ数年来のゼロシーリングあるいは本年はマイナスシーリングでございますが、公共事業費全体の伸びが抑えられてきたということでございます。また個別の事業で申し上げますと、特に市街地で実施します避難地、避難路の整備事業につきましては、用地買収を初めとする地元協議に相当な時間を要したということ、それから海岸保全地域の整備事業の一部について自然景観との調整、調和のとれた計画に時間を要したこと等の個別の理由が挙げられると考えております。  以上でございます。
  65. 竹山裕

    ○竹山裕君 では、引き続きまして、それぞれの関係省庁、消防庁は消防用の施設、通信施設、また運輸省は緊急輸送関連港湾、農林水産省は緊急輸送関連の漁港、保安施設、ため池などの関連、厚生省については公的医療機関と社会福祉施設、文部省関連では公立小中学校の関連、これらについてそれぞれ、先ほどお話ししましたとおり、五十八年度末の進捗実績と五十九年度末の見込みを含め、なおかつ理由、実態を踏まえたお話をお聞かせいただきたいと思います。
  66. 金子皓治

    説明員(金子皓治君) 消防庁からお答えをさせていただきます。  私どもで担当しておりますのが緊急整備事業のうちの消防用施設と通信施設の二つでございます。で、五十八年度末の事業の進みぐあいにつきましては、消防用施設が六一%、通信施設が六九%というふうになっております。この事業計画の最終年度でございます昭和五十九年度の見込みにつきましては、現在補助金の交付事務を進めているところでございますが、おおむね消防用施設といたしましては七二%、通信施設につきましては八六%になるものと考えております。  なお、この事業計画が一〇〇%達成できるかどうかという問題でございますが、ただいま五十九年度の見込みについて御説明申し上げましたとおりに、一〇〇%達成は不可能であるというふうに考えております。その主な理由といたしましては、消防用施設につきまして、メーンでございます耐震性貯水槽の建設というのがございますが、それに必要な用地の確保がおくれたということと、先生も御承知のとおりに、今日の地方財政の置かれました厳しい環境というものが多分に影響しているんではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  67. 藤野愼吾

    説明員(藤野愼吾君) 運輸省の港湾局といたしましては、港湾の整備事業を担当する中で、静岡県下におきまして御前崎外人港で高い耐震性を有する係留施設の整備というものを行ってまいっておるところでございます。この五カ年間で全体で三十八億の事業を計画いたしておりましたが、五十八年度末の進捗率は七〇%でございます。五十九年度当初予算を加えて推計してみますと約九〇%ということになる見込みでございます。したがいまして、六十年度、もう一年はいただきたいという気持ちはありますが、いずれにいたしましても五十九年度までに完了をするという見込みは得られておりません。  それから一方、先生のお言葉の中になかったかと思いますが、港湾海岸につきましても同様で、十一の港湾海岸で事業を実施いたしておりますが、これは五十九年度を含めして六二%。したがいまして完成の見込みが立っておりません。  それらにつきましては、先ほども御説明の中にちょっと出ておりましたけれども、現地の利用者との調整問題、なんかずく景観との調整問題といったふうなことがございましてうまく事業の進捗が図れておらないというのが主な理由でございます。  以上御説明させていただきました。
  68. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 農林水産省関係地震対策緊急整備事業は五本ございます。緊急輸送関連漁港施設、それから海岸保全施設、それから保安施設、それから地すべり防止施設、それからさらにため池と五本あるわけでございますが、農林水産省全体で五十八年度末におきます進捗率は六〇%となっております。五十九年度末に進捗率がどの程度になるかということでございますが、現時点の推計ではおおむね七三%ということが見込まれているわけでございます。  それぞれの事業別でございますが、緊急輸送関連漁港施設、これにつきましては、おかげさまで五十七年度をもちまして一〇〇%完了させていただいておるわけでございます。それから海岸保全施設につきましては、五十八年度末ではまだ三分の一程度でございますが、五十九年度末の見込みで今のところは四八%。それから保安施設は五十八年度末で六八%、五十九年度末見込みで八一%。それから地すべり防止施設は五十八年度末で六八%、五十九年度末で八五%。それからため池が五十八年度末で四一、それから五十九年度末で五三というような状況にそれぞれなっているわけでございまして、残念ながら五十九年度末にすべての事業が一〇〇%というわけにはいかない状況にあるわけでございます。  そういうことに立ち至りました理由でございますけれども、それぞれの事業によりまして個別の理由もございますが、何といいましても基本的には、現下の厳しいゼロシーリングなりマイナスシーリングという財政事情というほかはないかと思っているわけでございます。  以上でございます。
  69. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 厚生省の関係でございますが、社会福祉施設につきましては、五十八年度末で四九%の事業達成率でございまして、五十九年度末の見込みでは約七〇%程度まで達成できるんじゃないかと考えております。  それから公的医療機関につきましては、五十八年度末で六三%でございまして、五十九年度末の見込みでは約八〇%程度ではなかろうかということで、計画期間では達成が困難という状況にあるわけでございます。  おくれている理由といたしましては、主として財政的な問題になろうかと思いますけれども、社会福祉施設につきましては、改築の移転先の確保の問題でございますとか、大部分が保育所でございますので、児童の数が減っておりまして、統合などの問題も生じておりまして、改築を見合わせるというふうなケースもあるわけでございます。公的医療機関につきましては、平常の診療業務と並行して整備を行うという必要があるわけでございますので、この関係事業計画が行われているものがあるというふうなのが主な理由でございます。
  70. 逸見博昌

    説明員(逸見博昌君) お答えいたします。  公立小中学校の校舎に係ります地震対策緊急整備事業でございますが、これはその事業緊急性にかんがみましてすべて採択する、優先採択するという方針を持って臨んでおりますが、今のところ改築と補強合わせまして六〇%という達成率でございます。こういうふうに達成率が大変低くなっておりますが、この中でも改築よりも補強の方が大変困難なようでございます。  その理由でございますが、例えば建築当時の図面がもう紛失してしまっておるというふうなことから補強の設計方法が大変困難だというふうな事情、それから工事を夏休み中に行なわなきゃいかぬということから業者の確保が大変困難だというふうなことからこの補強がおくれておりますということで、例えば補強の場合には二三%という達成率でございます。金目にいたしますと千二百九十八億九千二百万の目標でございましたが、現在のところ七百七十七億七千四百万の達成率でございます。
  71. 竹山裕

    ○竹山裕君 ありがとうございました。  各省庁の実績、そして見込みを踏まえてもこのような進捗状態ということでありますが、この事業は本来的に東海地震に立ち向かっための津波対策、そして消火、避難あるいは輸送対策などの最低限度必要なものの対策という、その基礎事業であるというふうに地方の公共団体は考えておるわけでありまして、したがってこれの完全実施の必要性、特に田中審議官は静岡に副知事としてもおられ、肌で東海地震をお感じだと思いますが、こうした状態、特に現在の地方財政環境を考慮しまして、地震財特法の延長は不可避だと考えるわけですが、この辺について国土庁の総合的なお考えを伺いたいと思います。
  72. 田中暁

    政府委員田中暁君) 我々も地震財特法によって今度の緊急整備事業に盛り込まれております事業は必要最小限度の事業である、ぜひともやらなければならないものだというように考えておるわけでございます。現在のところ一〇〇%達成は大変厳しい状況でございますが、今後延長等の問題が出てまいることは十分承知しておりますけれども、我々の基本的な態度といたしましては、東海地震が発生いたしました場合の被害をできるだけ小さなものにする、そういう立場から対処してまいりたいと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、あと一年ございます。当面の我々の態度といたしましては、関係省庁の御協力を得まして残された期間内にできる限りこの事業の推進を図ってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  73. 竹山裕

    ○竹山裕君 現在の段階では今のような御答弁になるかと思いますが、いずれにいたしましても、地元の熱望にこたえて前向きに対処していっていただきたいと思うと同時に、進捗状況によりましては、議員立法によって成立した法律でありますので、議員立法による何らかの措置をとることも考えていかなければならない、こう思っておるわけでございます。  それでは続いて地震予知の問題に移らしていただきます。  我が国は地震国とも言われる日本列島でありますが、マグニチュード八以上の巨大地震が十年に一回、七程度の大地震が年に二回ぐらい、マグニチュード五から六程度の中地震が何と年間百六十回ぐらい発生している、二日に一回という度合いになります。その中で被害地震はここ百年間に四百四十七回、年平均にしますと四回半起こっているわけであります。この中にはガラスの窓が割れた、あるいは棚から物が落ちた、その程度の地震は含まれていない数字であります。最近でも五十七年三月のマグニチュード七・一、震度六の北海道の浦河沖の地震、そして昨年はマグニチュード七・七、震度五の日本海中部地震が起きているわけであります。殊に日本海中部地震の場合は、ほかの地域よりは観測を強化しようとしている特定観測地域での地震であったにもかかわりませず、当然のこととはいえ地震予知ができないで百四名の死者を出すという不幸な事態になっているわけであります。  そこで、私は先ほど来東海地震について詳しく御質問したわけですが、ほかの地域についても先ほど申し上げました日本海中部地震あるいは浦河沖の地震の発生考えますと、もっと予知研究の推進に結びつく観測体制の充実強化、この辺に大いに意を配していかなければならない、こんなふうにも考えるわけであります。  そこでお伺いしたいわけですが、東海地震の発生の可能性については先ほど国土庁からお話を伺いました。東海地域以外の地域での海洋型の大規模地震の発生の可能性についてはどういう状況になっているか、この点については国土地理院の御意見を伺わしていただきます。
  74. 春山仁

    説明員(春山仁君) 東海地域に関しましては地震予知連絡会で昭和五十一年に見解を公表しております。その後もその観測結果を慎重に検討しておりますけれども、その見解を変更する状況には至っておりません。  東海地域以外の地域につきましては、地震予知連絡会としては特に取りまとめられた見解はございません。ただ、大方の専門家の御意見を拝聴しますと、日本列島の太平洋側沖合での海洋型の大地震につきましては、一般的に発生の可能性はそんなに高くない、こういうふうに考えられておるようでございます。
  75. 竹山裕

    ○竹山裕君 そんなに心配はないというお話ですけれども、絶対安全というわけはないわけなんで、そういう見地から東海地震と同じような予知体制はとれないものだろうか、この辺はいかがですか。
  76. 春山仁

    説明員(春山仁君) 海洋型の大地震につきましては、もちろん地域的にいろいろ事情ございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、それほど切迫していないというふうに考えられております事情もございまして、東海地域におけるほどの予知観測の密度、こういったものは現在とられていない状態でございます。
  77. 竹山裕

    ○竹山裕君 それでは海洋型はそれといたしまして、そのほかの地震、内陸型地震とも言われておりますこれらの発生の可能性あるいは予知体制のあり方についてもう一度お伺いしたいと思います。
  78. 春山仁

    説明員(春山仁君) 地震予知連絡会では地震予知に関します金とか人とか、そういったものを効率的に配分するというふうな戦略的な見地から地域指定しまして重点的に観測を行う地域というものを指定しているわけでございますが、国土地理院におきましては、そういった地震予知の一番基礎になります地殻変動というものを検出するために各種の測地測量を実施しております。これらの測地測量は全国対象にしまして繰り返し実施することを基本としております。  で、特定の地域につきましてはさらに密に行っております。細かく申しますと、全国の三角点、水準点を対象といたしまして、三角点の間の距離を測定する、それから水準点の高さを観測する、こういった精密測地網測量を繰り返し実施して全国の地殻変動の状況の把握に努めております。そのほか地磁気測量、重力測量の繰り返しを行っております。また全国二十三カ所の験潮所で潮位の観測を行い地殻変動の検出に努めております。
  79. 竹山裕

    ○竹山裕君 それではその内陸型地震についてですけれども、予知研究推進の取りまとめ役でいらっしゃる科学技術庁にお伺いしますが、この内陸型の地震の研究、現在はどんな段階まで進んでいるのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  80. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 地震予知観測研究の実施に当たりましては、測地学審議会が建議いたしました地震予知計画、これは五十八年の五月に建議がなされておりますけれども、こういうものの趣旨に沿い、かつ内閣総理大臣が決定いたしました防災に関する研究開発基本計画に基づきまして、内閣に設置されております地震予知推進本部を中心といたしまして政府関係機関、国立大学等との緊密な連携のもとに地震の予知技術の向上をさせるための観測研究を実施いたしております。  御質問の内陸型地震と申しますか、直下型地震につきましては具体的には次のような観測研究を実施いたしております。  まず、国立防災科学技術センターにおきましては、三千メートル級の深層地殻活動観測施設を首都圏の三カ所に設置いたしておりまして微小地震や地殻傾斜の観測によります予知研究を行うとともに、五十九年度におきましては、神奈川県東部における基盤深度調査に着手するほか、茨城県南西部を試験地域、私どもテストフィールドと言っておりますけれども、試験地域にいたしまして直下型地震の予知に有効な観測の手法の開発を進めております。  次に気象庁では、直下型地震予知のための研究に五十九年度から着手をいたします。  また、地質調査所、先ほどの話がありました国土地理院等におきましても各種の観測研究を実施しております。  さらに、科学技術庁では、科学技術振興調整費を活用いたしまして、関係機関の協力のもとに、ただいま首都圏における直下型地震の予知及び総合防災システムに関する研究を実施いたしております。  現在の技術水準ではマグニチュード八クラスの大規模な海溝型地震につきまして、特にいわゆる東海地震につきましては予知が可能と考えられる段階にありますけれども、これ以外の地震、すなわち御指摘の内陸型地震等につきましては予知できる段階には達していないということでございます。今後とも直下型地震の予知研究の推進に努力してまいりたいと考えております。
  81. 竹山裕

    ○竹山裕君 先ほど来超緊縮予算の中での御苦労を聞くわけでありますが、ことしの地震予知関係の予算、マイナスシーリング、昨年度から一〇%の減というようにも聞いておりますし、その内容の主なもの、またその中身の理由、さらには五十九年度の予算の中の目玉とも言われるような点につきまして、科学技術庁に御説明をいただきたいと思います。
  82. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 昭和五十九年度の地震予知関係予算は総額約五十六億円でございまして、これは前年度に比べまして六億円余の減になっております。  この理由でございますが、国立防災科学技術センター及び気象庁が関東東海地域において計画的に進めてまいりました観測機器の整備がほぼ完了いたしまして、今後はこれらの観測機器を維持運営し、観測研究の体制に入ったことなどがその理由でございます。  観測研究の主な内容は次のとおりでございます。  まず、国立防災科学技術センターでは首都圏直下型地震予知の研究を強化するために、先ほど申し上げました三カ所——三カ所と申しますのは岩槻と下総と府中にございますが、の三カ所の深層観測井による観測研究を継続するほか、神奈川県東部における基盤振動調査を実施いたします。  気象庁では、前年度に引き続きまして、房総沖海底地震計の整備を図るとともに、直下型地震予知のための研究に五十九年度から着手をいたします。  さらに、郵政省電波研究所及び国土地理院では超長基線電波干渉計、私どもはVLBIと申しておりますが、これは宇宙からの電波を利用いたしまして地球上の距離を計測するものでございますが、そういうものを用いまして観測の実験を共同して行うことにいたしております。  また、電波研究所は日米共同観測実験を本格的に着手いたします。  さらに、科学技術庁では、先ほど申し上げましたが、科学技術振興調整費を活用いたしまして、関係機関の協力のもとに首都圏における直下型地震の予知及び総合防災システムに関する研究及びフィリピン海プレート北端部、これは要はいわゆる東海地震を対象にいたしておりますが、そういった東海地震の予知のための研究を実施することにいたしております。  以上でございます。
  83. 竹山裕

    ○竹山裕君 よく私ども地震予知という面では、天気予報まではいかないまでも、何かそうした予知体制を組めないものかと素人は思うわけでございます。気象庁にお伺いしたいと思いますが、日本の地震の予知体制のあるべき姿といいますか、理想像というようなものを描くといたしまして、現在はそうしたゴールに対してどんなような状態にあるのか。またあるいは、それに向かってどういう段取りで持っていこうとしているのか。若干抽象的でありますが、お伺いしたいと思います。
  84. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 地震予知の理想像といたしましては、すべての被害地震についてその前兆を事前に発見して、地震を予知し、地震災害を軽減するということでございますが、その実現は容易ではないと考えております。  地震予知が実用化されるためには地震予知研究のレベルが上がりまして、対象とする地震が予知できるという学問的根拠が明らかにされていることと、この根拠に立って地震の前兆をとらえ、実際に予知するための監視、警報を行うという業務的予知の体制が整っているという両面が必要でございます。東海地域のマグニチュード八クラスの海洋型地震につきましては、その発生機構がほぼ解明され、既に業務的予知の段階に入っておりますが、その他の地震についてはなお研究段階にあるというのが現状でございます。  気象庁といたしましては、今後とも関係機関と協力して予知研究の推進に努め、その予知研究のレベルの向上に伴って予知が可能となったものについては順次業務化を図り、この理想像に近づけるように努力いたしたいと、こういうふうに考えております。
  85. 竹山裕

    ○竹山裕君 理想像というなかなか難しいテーマでありますが、学者の先生方がお集まりになっての測地学審議会の地震予知計画の建議がそれへ向けての大きな一つのよりどころ、ステップとなると思うわけでありますが、最近において、私ども素人が伺ってもなかなか理解が難しいと思いますが、何か具体的といいますか、例示的に、そうした建議を踏まえてあるべき姿へのアプローチの例などがあればお聞かせいただきたいと思います。
  86. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 速記を起こして。
  88. 重藤学二

    説明員(重藤学二君) お答えします。  文部省に測地学審議会が置かれまして、ただいま先生のおっしゃられたとおり、昨年の五月に第五次地震予知計画の建議が出されております。この建議は大体四項目を柱として予知計画を推進する必要があるということになっておりまして、その四項目と申しますと、一が「長期的予知に有効な観測研究の充実」、それから二が「短期的予知に有効な観測研究の拡充強化」、三が「地震発生機構解明のための研究の推進」、それから四として「地震予知体制の整備」、この四つの柱を中心に今後五年間過去の実績を踏まえて推進していくべき項目等が盛られておるわけでございます。具体的にこの建議の線に沿いまして各省庁、大学が実際にそのための観測研究あるいは体制の整備ということを図っておるわけでございます。  文部省が関係しております大学の関係を例にとって申し上げますと、特に五十九年度からやっていこうという目玉というようなものといたしましては、従来から多少継続ではございますが、特定地域における総合観測ということで、南関東、東海地域の総合観測研究、近畿、京阪神地域の総合観測研究、それから日本海沿岸総合観測研究という研究を続けておりますが、そのほか地殻活動特性把握に関する特別の観測等、あるいはテストフィールド、これは山崎断層を場所としてテストを行うという研究でございますが、テストフィールドの総合観測、こういうことを特に今後重点的に推進していこうということ。  それからもう一つは、五大学、それから二研究所で大学が観測をやっておりますが、この北から南西までの大学の各観測点のデータを全国的に結びまして、そしてできるだけ迅速にデータ解析ができるという、そういう仕組みの整備というのを図っておりまして、かなりこの方は進捗をいたしております。さらに、そういう大学の取得したデータを気象庁等と、関係省庁とも交換をするというような方向で大学の観測研究を進めておるところでございます。
  89. 竹山裕

    ○竹山裕君 建議に基づいての御努力はそういう状態だと。これはどうでしょう、あるべき姿への近づきとしてどの程度埋まっていくといいますか、理想像へ向けてのステップはどんなふうに理解していけばいいんでしょうか。もう一度文部省いかがですか。
  90. 重藤学二

    説明員(重藤学二君) 大変恐縮でございますが、測地学審議会の建議に基づいて、大学それから各関係省庁それぞれ分担をして実施しておるわけでございますが、その実施につきましては、先ほどその事務をやっております科学技術庁の方から御答弁がありましたし、それから専門的な立場からは国土地理院に地震予知連絡会という専門家の組織を置いてそこでいろんな推進方策も具体的にはやっておりますので、大変恐縮でございますが、文部省としてそういう実施の段階につきましての全体の把握というのを必ずしも的確にはいたしておりませんのでお断りいたします。
  91. 竹山裕

    ○竹山裕君 なかなかいろいろな分野にそれぞれ分かれての組織体制で統合的なものが難しいかと思いますが、私もここで一つ提案をいたしたいと思います。  全国的な地震予知網の整備という面で、地震観測網の整備を東海地域、南関東地域並みにこうした充実したものを全国レベルでの広範囲なものに地震予知研究の広がりを持っていけば、ひいては東海地震の局地的な地震の発生現象の把握の度合いも高まるだろうし、また相まって全国的な規模の資料の集積ということができれば飛躍的な予知技術の向上に結びつくのではないか。なかなかお金のかかることでもあります。大変とは思いますが、先ほど来生命と財産を保持する、特に命を守るという意味での地震の予知のレベルアップという意味で、全国的にネットワークを持つ気象庁そして予知関連の担当の科学技術庁、それぞれの所見を聞かしていただければと、こう思います。
  92. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 全国レベルの予知体制の御質問でございますが、先ほど来お答えいたしておりますように、現在の地震予知技術ではマグニチュード八クラスの大規模な海溝型地震、とりわけ東海地震につきましては予知が可能と考えられる段階に来ておりまして、当面このような地震の発生が懸念されております東海地域については、 御承知のとおり気象庁において業務的予知体制がとられております。しかしながら、御指摘の全国レベルで考えますと、いわゆる東海地震以外の地震につきましては予知できる段階に達していないわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、地震予知推進本部を軸にいたしまして政府関係機関、これは先ほど来出ております建設省、国土地理院、運輸省、気象庁等の関係機関及び国立大学の緊密な連携協力のもとに、全国的な測地測量、それから地震観測、さらには地震発生の機構の解明のための研究等につきまして鋭意観測研究を進めておるわけでございまして、今後とも一層観測研究を進めることが基本ではないか、このように考えております。
  93. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 先生の御指摘はごもっともでございますが、地震の発生には地域ごとに特徴がございまして、それに応じた観測網を展開するという必要がある、そういう一面もございます。そういう関係もございまして、気象庁といたしましては、その他の機関におかれても同じかと思われますが、測地学審議会が建議されました第五次地震予知計画及び地震予知推進本部の答申に沿って全国の観測網の整備を推進してまいりたいと考えております。
  94. 竹山裕

    ○竹山裕君 では最後に大臣にお伺いいたしたいと思います。  これまでの審議を踏まえまして、地震予知対策を初めとしての震災対策にかける大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  95. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 我が国はいろいろな災害の多い国でありまして、特に昨年は水害、火山それに豪雪、それから中部地震、こういうふうに災害が大変多いわけであります。そういう意味からこの対策の推進に国土庁は当然積極的に取り組むわけでありますが、その中でも震災対策、中部地震の被害等々考えましても大変大きいわけであります。そういう意味から国民の盛り上がりと申しますか、災害に対する関心が大変高まってまいりまして、行政改革の厳しいときでありますが、防災局の設置が認められたわけであります。この新しい体制下のもとで東海地震あるいはまた地震予知、こういった問題を踏まえながら各省庁協力を求めて積極的に地震対策に、いつ起きても不思議ではない、こういうような体制で臨んでいかなきゃならぬと、こういうふうに考えているわけであります。
  96. 原田立

    ○原田立君 災害対策に関する国土庁長官の所信表明、この前お伺いいたしましたが、その第一ページ目のところに、「災害から国土を保全し、国民の安全を守ることは、国政の基本」である、こう仰せになっている。まさにそのとおりだと思うんでありますが、これについての御所見をお伺いしたい。    〔委員長退席、理事粕谷照美君着席〕
  97. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 災害から国民の財産、生命を守るということは、これはもう当然のことであります。そういう意味災害対策という問題は、今も申し上げましたように、日本の国は多種多様にわたっての災害が大変多い国でございまして、一つ一つの問題を取り上げても、積極的というか、各省庁協力を得ながら解決に当たってまいっておるわけでありますが、今後も各省庁協力を得て全力を注いでまいりたいと、こういうふうに考えております。
  98. 原田立

    ○原田立君 災害対策の基本としては二通りあるんじゃないかと思う。それは災害発生して、そしてそれを一生懸命早目早目に手当てを講じて早く復旧を完成していく。こういう後始末といいますか、そういうふうな面と、それから非常に災害発生しやすい、だけれどもそれを未然に防ぐように先取りしていく、施設の設置とか、こういうふうに二種類あるんじゃないかと思うんですが、これは私両方大事だと実は思っているんです。そういう面からいって、ただ後追いだけで終わったのでは進まないと思う。  今、大臣、各省庁間に連絡、連携をとっておやりになる、これはやってもらわなきゃ困りますから、それは結構なんでありますけれども、そうじゃなくて、それもありますが、いわゆる先取りしていくようなそういう姿勢を国土庁長官はお持ち願いたいと、こう思うんですが、どうですか。
  99. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 全くそのとおりですが、国土庁というこの省は各省庁の連絡調整機能の役割を果たす、そういう意味から大変強力な各省庁を持っておりますから、この責任を果たすことによって今の御指摘の点もこれは完璧な体制にいくのではないか。私も全く御指摘のとおりですが、例えば災害にしても、災害の起きるところに何かの理由が必ずあるわけです。あるいはまた豪雪にしても、豪雪を、雪を降らさぬ、そんなことできませんが、雪崩の起きる地点というのは必ず雪崩が起きる。そういう意味からこういうところにはどうして雪崩が起きないようにするか、こういったことは相当今度は強く私の方で御連絡を申し上げ、御指示を申し上げ、御協力をちょうだいすることになっておるわけです。  そういう意味から、今の問題につきましても、国土庁長官として災害をあずかる私といたしましては、今各省庁に、例えば先ほど来の桜島の問題にしましてもいろいろお聞きをしておりまして、いろいろ聞いてみたり何かしておるのですが、ほとんどの河川は直轄にしてこれは当たっておる。それでは直轄にしておって、それはいいとしても、もう少しそれが何とかならないものだろうか、もっと治山治水というものを強力に推し進めることはできないものだろうか。年間六十億ぐらいの災害対策費というのは出ておるわけでありますが、これは後の始末ということでありますから、どういうふうにしてこれを活用して、それではその後始末という問題に対して、これは年々同じことですから、年々そういったことがさいの河原のようにまた後片づけをやりながらまた来年度もという、こういうふうな形になっておるわけでありますから、先ほど来も御指摘のように、これはそれでは一回にぶっかけて、そして災害がもう相当減少するというような方法はないものだろうかな。これは私なりに考えておったことですが、今の御指摘のとおり、これも各省庁に御連絡を申し上げ、そして御協力をちょうだいして災害対策の完璧を期していきたいと、こういうふうに考えております。
  100. 原田立

    ○原田立君 災害が起きる。そうするとその被災者の方は大変お気の毒。だから、そういうふうなことがないようにしていくのが皆さん方のお仕事だろうと思うのであります。  ところで、長官、やっぱり仕事をするには予算が潤沢に、言えばあれなんですけれども、きちっとしたものがないといけないんじゃないかと僕は思うのですよ。ところが、五十九年度の予算を見てみますと、この前も一遍指摘しましたけれども、前年度比、比べてみると九五・八%、四・二%減なんですよ。ところが、去年の場合には日本海中部地震とか七月豪雨、三宅島噴火などの多様な災害が相次ぎ、多大な被害発生している。長官も仰せになっているのですから、だから当面五十九年度の災害予算はある程度まではふえてしかるべきではなかったのじゃないのかなと、こう思うんですけれども、どうですか。
  101. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 全体の公共事業の予算が大変厳しいわけであります。その中でも災害対策の予算というのは大変各省庁努力していただいて、私はいいところに来ているということを申し上げては大変恐縮でありますが、大変皆さん努力をしていただいて災害対策費用というものがこれは予算化されておると、こういう受けとめ方をしておるわけです。    〔理事粕谷照美君退席、委員長着席〕
  102. 原田立

    ○原田立君 私は実はそうは思わないんですよ。それは国土庁は調整機関であって、長官は冒頭に言いましたけれども、それだけじゃちょっと弱いのじゃないですか。結局九五・八%というのはちょっとまずいのじゃないでしょうか。もう少しふえてしかるべきじゃないかというふうに思うのですよ。それはそれとしてせっかく努力願いたい。  次に、冬の豪雪問題に関して豪雪対策本部をつくった。被災農林漁業者、中小企業者などに対する金融措置などの適切な救済措置を講ずるよう各省庁に要請したと。ところが、これしてもらったのだけれども、これは審議官から答えてもらえば結構ですけれども、もう万全の体制ができたのかどうか。これが一つ。  それから今、東北地方、融雪時期で災害が徐々に発生しているわけでありますけれども、それらについての措置、この点はいかがですか。
  103. 田中暁

    政府委員田中暁君) 長官が申し上げました被災農林漁業者、中小企業者などに対する金融措置について適切な救済策を講ずるよう各省庁に要請をしたという点の具体化の問題でございますが、被災農林漁業者に対する資金対策につきましては、農林水産省におきましてこれまでにいろんな災害関係資金の円滑な融通、あるいは既に貸し付けております制度資金の償還期限の延長など、貸し付け条件の緩和の指導を行ってきたところでございます。  それから中小企業者の救済策といたしましては、中小企業庁におきましてまず政府系中小企業金融三機関、これに対しまして災害復旧貸し付けの発動をいち早く指示いたしております。また中小企業体質強化資金という有利な資金がございますので、これを積極的に活用するようこれも関係各県に対して指示を行ってきておるところでございます。  御指摘のように、今後融雪時における災害発生ということも懸念されますので、この辺につきましても農林漁業者、中小企業者の金融につきましては支障の生じないように関係省庁とともに努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  104. 原田立

    ○原田立君 やってないとは言わないんだけど、もうぴしゃっといきましたか、どんな状況ですかと聞いてるんですよ。
  105. 田中暁

    政府委員田中暁君) 農水省、中小企業庁を中心に十分対応しているものと承知いたしております。
  106. 原田立

    ○原田立君 十分対応ぐらいな中途半端な答弁では納得いかないんです。だけど、農水省の審議官を呼んで今ここで本当は答えてもらいたかったんだけれども、今こっちに来ているそうだが、しようがない、それは結構だ、時間もおくれる。  それで長官、先ほど久保委員から桜島の問題がありました。私も桜島の問題をお伺いしたいと思ってるんです。それで、実は桜島町議会噴火降灰対策特別委員会という方々が私の部屋にお見えになりまして、るるその窮状、またその救済策を訴えていかれました。ことしに入って四月末日までで百十回の爆発をした。観測所の報によると、南岳の火口まで溶岩がせり上がって、大爆発の危険はないものの要注意である、こういうような状況のようであります。それで、「緊急時における避難対策として海上脱出を主としてとらえ、活動火山特別措置法の制定により施設整備事業により避難港の整備充実がなされていますが、陸路による脱出の見直しも迫られているのが現今であります。ところが、陸路の交通体系は整備の遅れが目立ち緊急整備の要を迫まられている箇所が」多々ございます。私も質問の要旨をつくってきたんだけれども、切々として訴えてきた手紙、この方が真実味がありますもので、これを読んでそれで質問しますから、お答え願いたいと思います。  「中でも鹿児島市側に属する国道二百二十四号線中野尻川は降雨のたびに橋桁近くまで土石流が堆積し交通止めになるし、また車両等に非常に危険であります。有村橋については、異状な曲がりカーブで大型車両等危険な状態で通行しているのが現況であります。また県道桜島港−黒神線に至る未改良部分の早期整備であります。この区間においては曲線と黒神川による土石流の堆積のため通行止めになるケースが二百二十四号線の有村−野尻間の例とまったく同じであります。そうしたことから緊急時における陸路脱出の危惧が案ぜられ、その抜本的な対策として、つり橋の建造あるいは橋桁をうんと高くした円筒形の橋の改良はできないだろうかとお願いしているのでございます。」。  こういうふうな話なんです。いかがですか。
  107. 和田惇

    説明員(和田惇君) お答え申し上げたいと思います。  昭和四十八年に制定されました活動火山対策特別措置法というのがございますけれども、それに基づきまして知事が作成いたしました避難施設緊急整備計画、こういうのがございますけれども、その中に掲げられている区間につきましては既に五十七年度までに完了させたところでございます。現在その他の区間につきましても円滑な交通を図るということから、道路拡幅でありますとか、線形改良といったようなことの整備の促進を図っているところでございます。  五十九年度でございますけれども、これにつきましては、先ほど先生の方からお話ありました一般国道二百二十四号、特にこのうちの野尻−有村でございますか、そういったようなところにつきまして事業を実施することにしております。それから主要地方道の桜島港−黒神線でございますが、これにつきましても事業を実施するということにしております。大変厳しい予算の中ではございますけれども、五十八年度を上回る予算でもってやることにいたしております。今後とも災害防止という観点から道路の整備を鋭意推進してまいりたいと、かように考えております。
  108. 原田立

    ○原田立君 今指摘する野尻−有村間の整備、それから県道の桜島港−黒神の早期整備、この進捗状況はどうなんですか。
  109. 和田惇

    説明員(和田惇君) お答えいたしたいと思います。  今ほどの有村でございますけども、この区間につきまして今鋭意事業を進めておるわけでございまして、今年度二億八千万で事業を進める予定にしております。それから主要地方道の方でございますが、これにつきましても事業費七千万円で事業を進めるという計画でございます。
  110. 原田立

    ○原田立君 私はこの工事量で一体どのぐらいかかるのか、それに対して今現在どのぐらいになっているのか、その点ちょっと今聞き漏らしたんだけど、それはもう大分進んでるということですか。
  111. 和田惇

    説明員(和田惇君) お答え申し上げます。  今ほどの全体事業どのぐらいあるかというお話でございますが、国道の方につきましては、五十九年度現在で計画が百億ほど残っているわけでございますが、今鋭意事業を進めている段階でございます。
  112. 原田立

    ○原田立君 県道の方は。
  113. 和田惇

    説明員(和田惇君) 県道の方につきましては、全体事業ちょっと把握がされておりませんが、現在三工区を着手いたしておりまして、鋭意これも仕事を進めているという状況でございます。
  114. 原田立

    ○原田立君 あなたね、よく聞いてて質問に十分答えてくださいよ。つり橋の建造あるいは橋げたをうんと高くした円筒形の橋の改良等もできないだろうかと、こういう意見があるがいかがかっていうことも私質問しているんです。答弁がちょっちょっと切れ切れで答えないようにしてもらいたいんです。
  115. 和田惇

    説明員(和田惇君) お答え申し上げたいと思います。  今ほどのつり橋等のお話でございますが、県の方から実情もよく聞いております。土石流で道路がとまるという問題でございまして、十分これも聞いておりまして、いろいろ現地の方で調査研究をいたしておりまして、かなり面倒な問題がたくさんございますが、調査研究を進めておる段階でございます。今後とも県等ともよく相談をいたしまして事業を進めてまいりたいと、かように考えております。
  116. 原田立

    ○原田立君 今度は川の話なんですけどね。「次に桜島町における治水治山の砂防工事の件につきましては、主要河川が九線ある中で金床川のみが一昨年国の直轄事業に編入され、残りは、山間部においては林野庁の直轄事業で、下流においては農地砂防で事業が進められていますが、近い将来県砂防直轄事業に編入されるとのことですが、早期国の直轄事業への編入を要望」いたしたいと。 要するに、場所によって施行のところが違うんですね、国でやったり県でやったりね。こういうように場所によって違う、それを一括して国の直轄事業に編入してくれという、これが質問一つです。  それから「特に深谷川上流においては、長谷川より深谷川へ合流する危険性が十分考えられ、深谷川下流は五十八年度も川底がえぐられ五十センチぐらいの厚い底盤の地表が露出して九千万円の農地災害復旧事業がなされています。しかしこの深谷川は、上流は林野庁、下流は県農地砂防で事業が進められていますが、上流の危険合流点を初め鹿馬野台地の流末も合流するように工事が進められているのであります。ところが下流においては極度な曲線が何ケ所もあり、以前も土石流により災害が起きて流域住民は降雨のたびに不安を抱いているのであります。そうしたことから国の直轄砂防事業への編入と事業費の枠拡大、河川の直線化を図っていただきたいとお願いする次第であります。」。こういう質問です。
  117. 設楽武久

    説明員設楽武久君) お答え申し上げます。  まず第一点の所管別の話でございますが、上流の山林部分は林野庁の所管で工事を実施していただいておりますし、下流については建設省、あるいは農地の関係の、これは河川ということではなくて、水路として所管しているものもございます。そういったことでございますが、これはそれぞれの省庁が連絡協議会をつくりまして、現地で密接に連絡を取り合って工事を実施しているということでございます。  それから第二点目の、長谷川、それから深谷川の直轄施行ということでございますが、現在、先ほど来お話がありましたように、十八河川のうちの八河川、特に工事が至難で規模の大きいものということで直轄として順次取り上げてまいってきたわけでございます。現在の各河川降灰状況等を考えますと、この長谷川、それから深谷川につきましては、現在のところ直轄施行ということは困難ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  118. 原田立

    ○原田立君 今あなたの立場ではそれしか答えられないんだろうと思うんだけれども、上流は林野庁で、下流が建設、農地関係事業が行われているなんてね。これはもう少し整理してやった方が仕事はうまくいきやすいんじゃないんですか。それが一つ。   それから曲がりくねってきているのがあって、土石流が噴き出して非常に住民に不安を与えている。これの改良もしてくれ。そういうふうに努力するように上司に言いますぐらいのことは言ってくださいよ。
  119. 設楽武久

    説明員設楽武久君) ただいまの件につきましては、既に着工できる状況にある河川につきましては、御趣旨のような趣旨に沿って工事を進めているところでございます。
  120. 原田立

    ○原田立君 そういうふうにやっていながらもなおかつこういう言い方をしてきているんですよ。それはしっかり頼みますよ。  「次に宅地降灰除去は現在二分の一補助事業費でありますが、これを道路降灰除去補助率三分の二に引き上げていただきたい。そして現在、火山法の適用を受けていない公共施設等、例えば校庭及び校舎の屋上などPTAと子供で除去作業をしているのでありますが、屋上など危険を伴い困っているところであります。」。その他にグラウンドとか運動公園等がありますが、ということであります。これは文部省にお答え願いたい。  「更に、道路降灰除去対象にならない農道及び国の管財下にある町道以外の狭い集落内の道路もぜひ降灰除去対象にしていただきたい。」。  二点の質問であります。お願いします。
  121. 依田和夫

    説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。  第一点の宅地内の降灰除去に関しての補助率の問題でございますが、活動火山対策特別措置法第十一条の規定に基づきまして、一定量以上の降灰があったことを要件として市町村が実施いたします宅地に係る降灰除去に要する費用につきましては、二分の一を国が補助することができることとなっておるわけでございますが、ただいまの御趣旨の道路に係る降灰除去補助率につきましては、原則として二分の一でありますが、一定の要件を満たす場合におきましては補助率が三分の二となっておるところでございます。  宅地除去に関しましての補助率二分の一についてのかさ上げという点でございますけれども、宅地に係るこの補助率二分の一は、都市災害復旧事業として施行されます宅地内の堆積土砂排除事業補助率と同一でございまして、現下の国の財政状況から見まして、宅地に係る補助率引き上げるのは困難であると考えておるところでございます。
  122. 篠塚脩

    説明員(篠塚脩君) 第二点の御質問の、校舎の屋根等で子供が危険な作業をやっているのは危ないではないかということ、これは御趣旨のとおりでございまして、児童生徒が危険な屋根降灰除去作業をやることは適当でございません。これは実情を調べまして、県を強く指導いたす予定でございます。
  123. 原田立

    ○原田立君 実情を調べるというんですか。
  124. 篠塚脩

    説明員(篠塚脩君) はい。
  125. 原田立

    ○原田立君 大体そういう意味のようだけれども、私が言っているのは宅地内——さっきのこちらの方もちょっと答えがおかしいんですよ。宅地降灰除去は現在二分の一だけれども、これを三分の二に引き上げてくれというんです。それはできないというあなたの返事だね。  また、公共施設等、例えば校庭及び校舎の屋上などをやっているけれども、危険で困ると。だから、そんなことは、何かそういうようなことをやらせないようにして——やらせないといったって灰がたまっちゃうんですからね、あとほかの人が手だてするとそれだけお金かかるわけですから、そっちの方の手当ては一体どうなっているんですかって聞いているんです。
  126. 逸見博昌

    説明員(逸見博昌君) お答えいたします。  学校施設に対します降灰除去、現在ではその量が大変多いような場合、これは災害復旧ということで取り組んでおります。実例がございますが、桜島の場合にも、例えば五十三年でございますが、大変多く降りました。七日間で二センチ三ミリから二センチ五ミリというふうな量が降りまして、これに対しまして災害復旧ということで仕事を進めております。  ということで、これぐらい大きくなりますとまとめて災害復旧ということで助成できるわけでございますが、例えば二センチよりも下回るようなその程度の降灰、そういった場合には、これは現在特別交付税で措置をされておるというそうでございますので、そちらの方で処理をしていただくということが建前になっているそうでございます。
  127. 原田立

    ○原田立君 「次に、防災営農対策事業によるミカン屋根かけハウスのビニールが大量の降灰や風水害により破損し、年に二、三回取りかえる現況であり、したがって採算性が困難となってくるが、桜島町の農家はハウス施設以外には経営自立は望めない。そうしたことから資金面で二回分のビニールの補助をどうしてもお願いしたい。特に桜島は特別激震地の指定としての配慮をぜひしていただきたい」。これが一点。  「それからトンネル栽培については、五十三年度で事業は打ち切られているのでありますが、桜島特産の桜島大根等はこの栽培法以外には生産の目途はありません。そこで、どうしてもこの事業を再度復活していただきたい」。  こういうふうな二点の要請があるんですが、御答弁いただきたい。
  128. 佐々木幸人

    説明員佐々木幸人君) 第一点目のミカンのハウス栽培の件でございますが、桜島火山周辺地域におきましては降灰によってミカン初め農作物等に著しい被害を生じ、農業経営に多大な影響を及ぼしているところでございます。このため、昭和四十八年から五十八年までに三次にわたりまして防災営農施設整備計画を樹立し、これに基づいていろいろ適切な対策を講じてまいったところでございます。現在も桜島火山につきましては活発に活動しておりますので、引き続いて昭和五十九年から六十一年までの三カ年間で第四次の防災営農施設整備計画を樹立しつつあるところでございます。御指摘ありましたように、ハウスの施設につきましては、新たに設置する場合につきましては従来から補助対象にしておりますし、今後ともそのように取り扱われるというように考えておりますが、消耗品でありますビニールだけを単純に張りかえるというようなものにつきましては、第一次の計画以降補助対象ということで扱っておらないのが実情でありますし、現在検討中の第四次の整備計画におきましても同様な扱いにならざるを得ないというふうに考えております。  なお、第二番目のトンネル栽培の件でございますが、過去第二次の営農防災施設整備計画、これは五十三年から五十五年までの三カ年計画でございますが、この中で五十三年度に降灰防止降灰除去施設等整備事業の一環として、桜島大根の栽培につきまして、傾斜地の大変小さい畑というところにつきまして補助対象と五十三年一年に限って扱った実例がございます。しかし、目下検討しております第四次の防災営農施設整備計画につきましては、現在鹿児島県の方から提出されています計画の案の中にも盛り込まれていないのが実情でございますし、またトンネルハウスというのが大変軽微な簡易な施設でございますので、むしろ従来から補助対象にしてきております一般のハウス施設の方が農家のために営農の安定に役立つのではなかろうかというように考えられますので、今後ともそのトンネルハウスを補助対象にしていくということは非常に難しいではなかろうかというように考えております。  しかし、いずれにいたしましても、桜島火山周辺の営農の問題につきましては、これは大変重要な課題でございますので、今後とも鹿児島県と十分相談しまして適切な推進を図ってまいりたいというように考えております。
  129. 原田立

    ○原田立君 じゃ審議官、今いろいろと現地の方々の要望を逐一読み上げて御答弁いただいたんだけれども、こういう法律に引っかかってだめですとか、これ以上はいきませんとか、あちこちみんな引っかかっているんですよね。だけど、そういうことは十分承知しながら、なおかつこういう点で大変困っている、だからぜひ改良してくれという要請なんですよ。だから私は、それは大変大切な問題だと思って当委員会に提起しているわけです。国土庁長官も、もっと現況を十分把握しながら、この声を率直にくみ上げていって実現方に御努力願いたい。これを強く要請したい。
  130. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 各省庁の御意見をもいろいろ聞かれたようでありますが、恐らく物によっては、事柄によってはここではっきりとお答えをするということのできない立場の人も私は来ておられるのではないかと思います。そういう意味で、先ほど来も申し上げましたように、連絡調整機能の役割を果たす国土庁でございますから、各省庁とよく連絡をとりながら、また御協力をちょうだいしながら、御指摘の点についてはひとつ全力を注いでまいるということをお約束申し上げておきたいと思います。
  131. 原田立

    ○原田立君 しっかりした答弁をできる人が来てないことはわかってるんです、課長さんクラスですからね、余り言えないでしょう。  そこで大臣、連絡機関だなんというような、そんなことでなくて、もう少し強みを持って、重みを持って各省庁に言ってもらいたいと思うんですがね。今のお話を聞いていると何となく頼りないような感じがするんですが、再度御答弁願いたいと思います。
  132. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 国土庁そのものが弱いというんじゃなくて、これはどうしても協力を求める立場でございまして、強気でいっても金を持たない省でございまして、ただ連絡調整機能の役割をということでありますから、大変力のある各省庁を、下請という言葉を使っちゃどうかしりませんが、そういう省庁を持っておりますから、国土庁の役割は極めて私は大きいというふうに考えております。そういう意味から、弱気を出しているわけじゃありませんけれども、強気になってもこちらの方が、くどいようでありますが、財政というところが大変乏しい、そういう意味から各省庁に対する協力、こういうことがございますので、多少言葉の上、ニュアンスで弱気のようにお聞きこえになるかもしれませんが、心の中では大変強く国土庁がそのイニシアチブをとっていかなきゃならぬ、こういうように考えておるわけです。
  133. 原田立

    ○原田立君 大変力強い御発言で意を強くしました。よろしく頼みます。  もう時間が余りありませんので、土石流関係、あるいは急傾斜地の問題、あるいはがけ崩れ等々の問題についてもるる質問したいと思って準備してきたんですけれども、時間がありませんのでそれは割愛するとして、最後に建設省に。  建設省は、土石流災害防止を目的に監視装置をセットしたモデル事業を四カ所設置するとの報道がありますけれども、どのような内容のものか、また全国的な実用化への見通しについてはどんなものか。実は、新聞報道によりますと、長野県上高地、岐阜県中津川流域、兵庫県六甲山、鹿児島桜島、どれもこれも土石流発生の非常に危険な地域ですから、前々から私も視察に行ったりなんかして、前々からこういう施設は必要だということも痛感してきているんです。新警報監視装置の内容と、また今後の見通し、これについて説明願いたい。
  134. 設楽武久

    説明員設楽武久君) お答え申し上げます。  昭和五十九年度におきまして実施するいわゆる総合土石流対策のモデル事業でございますが、先ほど御指摘のありました全国で四カ所モデルで実施するということになっております。これは土石流発生の危険のおそれのある地区にいわゆる土石流発生監視装置、主として雨量計を改良したものでございますが、これによりまして得られました土石流発生に関する情報を、警戒、避難を実施するところの市町村、関係市町村に提供するといいますか、通じて流すということで、最終的には関係地域住民にこの情報を伝達するというような仕組みになっているわけでございます。  五十九年度はモデル事業ということで、先ほど申し上げました全国四カ所というところでやることにしておりますが、今後につきましては、このモデル事業の実施状況を見て検討していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  135. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、ことし六月一日は、一八八七年、明治十七年の六月一日に天気予報が発表されてちょうど百年目になるのを御存じだと思うんです。郵政省は、六月一日に記念切手の発売をするとか、そういう計画をお持ちのようですけれども、国土庁長官は、災害と気象とのかかわりという点では深い御認識をお持ちだと思うんです。とりわけ国民の命と財産を守る、国土を保全していくという点で、気象観測体制だとか業務内容の充実という点で大変その必要性も感じられているんではないかと思うんです。去年も大変な被害がありましたけれども、ことしの豪雪だけの被害を見ましても、四月二十四日調べだそうですが、農業関係だけでも六百八十二億円ということになっております。公共土木施設関係はまだ取りまとめ中で、今月末にならなきやわからないというお話なんですが、気象業務の充実、観測体制の充実という点でどういう御認識をお持ちなのか、まずその辺をお聞かせいただきたいんです。
  136. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これは国土庁災害を預かる省としての立場だと、本当は気象庁ですがね、やってもらっているんですけれどもね。  そこで、昨年は特に災害がありましたですね。そういう意味で、これは迅速的確な情報の収集というのは極めて災害対策上大切なことじゃなかろうか、そういうふうに考えております。そういう意味から、今後の気象庁の置かれている立場、特に日本は災害の多い国でございますから、極めて重要な役割を持っておる。特に百年という長い歴史を今度お迎えになったわけでありますから、これを契機としてなお一層の気象庁の充実した体制をつくっていただくということを大変期待をかけております。
  137. 下田京子

    ○下田京子君 所管省庁は運輸省、言うまでもございませんが、災害と非常にかかわりありますし、そういう意味で大臣に基本的な御認識を伺ったところです。  今お述べになりましたように、本当に国民のための気象業務という点で、予報ということでも迅速的確、そういう点での今後の充実化を期待したいというお話でございました。ところが大臣、きょう気象庁来ておりますから、後で細かいことはお尋ねしたいんですが、この百年間で、ちょっと過去十五年間の間を見ましても、どういう状況になっているかといいますと、百年の歴史に逆行してしまうんじゃないかと大変心配をしているんです。  といいますのは、第一次の人員削減、定員削減というところから始まって今第六次に来ているんですけれども、第一次のときは四十三年から四十六年の間に二百三十九名が削減されました。そのことによって気象通報所の統合ということがありました。第二次は四十七年から四十九年で二百六十二名定員削減がされて、予報業務の系列化と称して測候所から予報権限がなくなっちゃったんですね。住民から離れてしまった。そういう形で以下、時間も限られていますから申し上げたいんですが、三次、四次抜かしまして、五次になりますと、五十五年、五十六年で九十名削減された。測候所業務の集約化と称して実は全国十四カ所の測候所で夜間閉鎖されてしまった。夜の七時から朝の八時までは業務停止。今まで四人でやっていたんですが、三人にした、そういう結果になってしまった。これはもう全国で反対の運動が起きたんですが、結果としてそうなりました。  今、第六次、五十七年から六十一年度まで二百九十二名、これも定員削減しようと。レーダーのディジタル化等々やるから国民に支障がないんだと、こういうことなんですけれども、改めて必要なところには必要な手だてをして、本当に国民に期待されるような気象事業がなされるように働きかけをお願いしたいと、こう思うんです。
  138. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これはちょっと私の方で具体的なことを申し上げると大変にまずいことになると思います。ただ、先ほど来申し上げましたように、気象情報、これは極めて災害と表裏一体なものでありまして、的確な情報、こういったことが我々の方で掌握される、あるいは我々じゃなく、国民の中でもこれに関係のある方々でも、この情報が早く的確に流されて情報収集されていくことは極めて重要なことであります。ただ、人員等々の問題についてはこれは政府のいろいろな流れということもございまして、恐らくそれなりの意味があると思いますので、気象庁も参っておられると思いますから、気象庁の方からひとつお聞き取りを願いたいと、こういうふうに思います。
  139. 下田京子

    ○下田京子君 具体的に気象庁にお尋ねしたいんですが、よろしくお願いいたします。  この四月から富士山レーダーのディジタル化に伴いまして、東京管区気象台で技術員二名の定員削減がなされましたね。同時に、東京レーダーの伝達網の回線も作動が中止されている。  まず確認したいことなんですけれども、富士山レーダーというのは観測機能に一定の限界があるというふうに聞いております。どういう点でかといいますと、富士山レーダーの場合には、広範囲に特に台風だとか前線だとかそういったものを観測するのが主任務で、限界と言われるのは、例えば背の低い雲はとらえにくいだとか、あるいはグラウンドエコーが強いために弱い雨なんかは把握しにくいとか、小さい雷雨ですね、そういうのは不得意だとか、そういう問題があるというふうに聞いております。これはディジタル化されてもやはり同じように問題点が残るわけですね。そこのところひとつ確認。
  140. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、気象レーダーの最も大切な使命といいますのは、災害を伴うような集中豪雨あるいは台風、前線といったものの監視にございます。富士山レーダーの場合には三千八百メートル近い、いわば世界でも類のない高いところに設置しておりまして、それのゆえに探知範囲が大変広いというのが一つの大きな特徴になってございます。これをディジタル化ということをいたしますことによりまして、地面の反射を除去することが可能になったということでございまして、そういう点で大部分の降水現象、これを的確に、今までに比べまして的確にとらえることが可能になったということは言えると思います。  ただ、関東平野の一部につきましては、ごく弱い雨でありますとか、それから発現の高さの低い、先ほど雪のこともちょっとございましたが、そういった降水現象等が把握しにくい場合というのがございます。ただ、雷雲等強い降水を伴うものにつきましては、これは大方のものについては富士山レーダーで観測できる、キャッチできると、そういうふうに考えている次第でございます。
  141. 下田京子

    ○下田京子君 今お話ございましたが、東京レーダーの役割というのは、そういう富士山レーダーの持っている弱点といいますか機能の限界というか、そういうことをカバーする点で大変重要な役割を果たしていたと思うんです。  で、これを長官にちょっとお見せしたいんですが、専門家じゃないからなんてお逃げにならないでごらんください。どうぞ。(資料を手渡す)  こういうことになっていますが、その違いなんです。山崎課長さんは御存じだからお渡ししませんけれども、ことし雪が東京に二十八回ほど降ったわけです。また一センチ以上積もった日が十二日間あった。ごらんいただきたいのは、長官、今配りましたのは二月十七日の降雪のときと一月三十日の降雪の状況なんですけれども、ぼちぼちしているのが富士山レーダーがディジタル化によって送ってきている図なんです。それから手書きの部分、それが東京レーダーでキャッチしたものを手書きにしているという状況なんです。だからこれを見てもわかりますように、今お話しのように関東一円、特に北関東なんかには、そういう雪に対しての富士山レーダーがとらえる点で弱さがある、それを東京レーダーが補っていたんだという一つの証明になると思うんです。そういうことですね。確認だけで。
  142. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) 先生おっしゃいますように、富士山レーダーをディジタル化いたします以前のことにつきましては、関東地方では、地面の反射とそれから雨雲の反射といいますかエコー、これの区別が困難な場合が割合多かったということで、東京レーダーを富士山レーダーといわばあわせ用いて運用していたわけでございます。
  143. 下田京子

    ○下田京子君 ちょっとお答えになっていないようなんですが、この三月末までは富士山レーダーはディジタル化していなかったわけですね。ただ、試運転をやっていたから、その試運転をやっていた際のやつがこういうぼちぼちになっていて、東京レーダーも動いていたから、それを読み取って手書きでスケッチして強さや何かも書き込んでいた。こうなりますと非常にわかりやすいわけですね。そういう大きな役割があるということは確認されたわけです。  その上に、これは三月三日の朝日新聞なんかにも出ている、地方版なんですけれども、第一線で働く気象庁の職員の皆さん方がこういうことを訴えているわけです。夏場の雷雨だとか集中豪雨、そういう点で東京レーダー図の伝送というのは欠かせない、注意報だとか警報の際に一番頼りにしているのが東京レーダーだ、それが今度業務簡素化ということで送信されないということになると問題だということになって、気象庁でもいろいろ部内で検討された。で、必要に応じて一定の場合に運用しましょうと、こうなったと思うんですね。どんなときに運用することになったのか、運用の際の基準を簡単にお答えください。
  144. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) 四月、今年度に入りまして、富士山レーダーがディジタル化されましてからの東京レーダーの運用基準につきましては、三つございます。一つ、富士山レーダーのエコーの強度から推定されます降水強度と雨量の実況値が大きく異なるとき、それから富士山レーダーで表現をしにくいレーダーエコーが発生、予想されるときと、それに雷雨が発生したときあるいはそれが予想されるときといったことが一つの基準でございます。  もう一つつけ加えますと、当然ではございますが、富士山レーダーの機器が障害を起こしましたときに、富士山レーダーにかわりまして東京レーダーを運用するということにしてございます。
  145. 下田京子

    ○下田京子君 そういう基準を決めて運用ということですが、これは結局臨時観測ということだと思うんですね。時間が限られているので簡単にお答えいただきたいんですけれども、一体東京レーダーの作動をだれが判断して、どれにどのような指示を与えるのでしょうか。
  146. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) 東京レーダーを運用する場合には、東京管内の予報中枢というのが気象庁の中にございます。ここでそれらの必要であるという判断をいたしますときに、この東京レーダーを運転、運用いたしまして、管内の各官署にその情報を伝送するということにいたしてございます。
  147. 下田京子

    ○下田京子君 本庁の予報官が判断して、そして東京レーダーの要員に指示する。その要員というのは電源を入れたり切ったりということだそうですね。今伝送をするんだということですが、お話を聞きますと、富士山レーダーの機器に障害が出たときにであって、通常はスケッチ送画はやらないと聞いております。そうなりますと、電話で読み取って一体どういうふうにやるんだろうかという問題が残るわけなんで、私細かいことを申し上げません。これは検討をお願いしたいんです。レーダーの専門官も必要だろう。それからスケッチの送画もやれるようにしなきゃならないだろう。そして少なくともことしの四月一日から動いてないということで、必要なときだけ動かすという話ですけれども、第一線の皆さんも心配しているように、あるいは農家の方々や北関東近辺の皆さん方も心配しているように、雷雨の発生やなんかのときに速やかにそういう情報が提供されますように、ことしの夏場ぐらいは東京レーダーの作動をもう一度検討すべきではないかということです。  同時に、今後の問題になるんですけれども、東京レーダーというのがいかに大事なのかということはいろいろわかってきたわけですね。ですから、今後更新時の場合にディジタル化の方向も含めて考えていただきたい。そういったことでの検討をまずやっていただきたい。細かくはいいです。そういう今言ったことの内容について検討をいただけるかどうか。
  148. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) レーダーの情報、それから気象情報につきましては、アメダス等によるものを総合的に判断いたします。そんなようなところも含めまして検討をさしていただきたいというふうに存じております。
  149. 下田京子

    ○下田京子君 さらに沖縄気象台の充実の問題なんですけれども、沖縄は私が言うまでもなく、東は南北の大東島から西は台湾に近い与那国島、尖閣列島などを含んだ東西におよそ一千キロに及ぶ島々がございますね。それからまた一方で広い海域にわたって観測していかなければならない。大変問題が多いと思うんです。ところが、本土という言い方がどうなのかわかりませんけれども、本土を襲撃する台風というのは、大体沖縄を通ってくるわけですね。そういう意味でも本土防災の第一線であるという点からも、この沖縄気象台の果たす役割というのは大変だと思うんです。  この気象台の位置づけがどうかといいますと、管区気象台の場合には総務部に三課、技術部に七課、そして一つのセンターが置かれていると思うんですが、沖縄気象台の場合には、総務課初め六課のみで対応されているのですね。これでは不十分だということで、これも時間がないからまとめて言っちゃいますが、一つは予報官の増員を考えてくれと、こう言っています。沖縄気象台の場合には、主任予報官が一名で予報官四名なんです。札幌、仙台、それから大阪、福岡等管区気象台は予報官が八名いるんですね。それから調査、統計の担当にしましても、沖縄は三名なんですが、例えば仙台ですと九人いる。それから観測問題でも重要なのが観測の機器ですね。そういう維持管理というのも重要なんですが、そういう担当者が沖縄は三名、仙台は八人、大阪は十人、福岡は九人と、こういう点で総合的に沖縄の体制というのは見直してみる必要がある。どうでしょうか。
  150. 新田尚

    説明員(新田尚君) お答えいたします。  沖縄の気象台につきましては、先生御指摘のとおり気象的に非常に重要な地域でございますが、従来も気象業務体制の強化のために他の管区気象台と全く同一の権限を有しておりまして、沖縄におきます各気象官署の指導監督を行ってきております。人員、規模、管轄区域その他等におきまして若干の差がございますが、なお引き続きいろいろと検討をしてまいりたいと存じます。
  151. 下田京子

    ○下田京子君 課長さん、若干じゃないでしょう、今ちゃんと聞いていたら、大臣だってわかるよね。例えば調査の係だと沖縄三人でしょう、仙台気象管区九人ですよ。若干じゃないでしょう。  それで、検討するということですから、あわせて要望したいのは、異常気象時に対応する体制がどうなのかということなんです。これは大臣、まとめて大臣にお願いしたい。いいですか、三つほど頼みます。  一つは、今言った、沖縄というのは異常気象時に対応できる体制になっているかどうかという点で、測候所のうち、西表島は所員が三人、名護は四人なんです、久米島は五人なんです。与那国のここは一日一回予報をやらなきゃならないにもかかわらず八人という体制。台風で常時ということになったらこれは大変なことになるんですね。そういう沖縄の気象台の果たす役割の重要性について御認識を新たにしていただきたい。これが一つ。  二つ目。実は気象関係で働く職員の皆さん方は、部署は違っても、まさに国民のための気象のあり方ということで非常に情熱を燃やしております。時間もありませんからそう申し上げませんが、レーダーのディジタル化に伴って、例えば名古屋は今まで八人だったのが六人になった。福井は九人が七人になった。新潟は十人が八人になった。新潟というのは弥彦村にある山岳レーダーなんですね。それから富士山が十二人が十人になった。  これは富士山で働く労働者の訴えなんですがね。酸素が地上の三分の二しかないとか、それからもう既に殉職者が四名も出ているんです。それから病気、けがの対応もできない、おふろにも長期間入れない、家族にも電話すらできない、水も十分じゃない、大変なものですよね。そんな中で最後に言っていることは、台風のとりでを守るために誇りを持って富士山頂で頑張っているんだと。富士山頂に来手がないということじゃなくて、その山頂勤務の労働条件、職場環境等をよくして、その気象業務に本当に耐えられるような仕事をしていきたい、こう申しております。ですからこういう状況も改めて御理解ください。  そして最後に、何といっても伴うものは人員とお金なんです。そこで、人員の問題については、この定員削減問題で実は五十六年の閣議決定の際に、必要とあらばただし書きで、各省庁皆さんが行管庁と個別に話し合いをしてどうぞ対応しなさいというのがあるんです。そのくだりを肝に銘じて運輸あるいは気象庁、御相談をいただきたい。  災害を未然に防ぐという立場から、国民の命と財産を守るという立場から、予報始まって百年目に当たって大臣、これをやったと言えるような形で来年度の予算折衝に当たっていただきたい。  この三つをお願いして御答弁を求め、質問を終わります。
  152. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これは各省庁も人員の問題は大変適切な配置が迫られておりまして、わずか何名のことで大変苦労をしておるわけであります。しかしながら、これは災害のことで すから、できるだけこれに対応してもらう、気象庁の方にも適切なひとつ対応していただくということを私の方から大変期待を申し上げておきたいと思います。
  153. 赤桐操

    委員長赤桐操君) それでは、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会      —————・—————