○浦田勝君 一九七三年ごろから、異常気象が世界的に吹き荒れてきたのでありますけれども、最近になりまして非常に異常気象が多発いたしまして、局部的な集中
豪雨とか、あるいはひょうが降るとか、あるいは集中的な
豪雪になるとか、そういうのが出てまいりまして、予測がつかないというような形になってきておるわけであります。
今回は、新春早々から全国的に
雪害が起こりまして、
豪雪地帯におきましては今なお除排雪等々の作業をしておられるような実況下でもございます。
特にまた、先日の新聞にも、ごらんになった方もあろうかと思いますけれども、ニホンジカが数十頭も餓死をするというような
状況の写真等が記載されておったわけであります。
特にまた、生鮮食料品が非常に市場に出なくなってしまった。輸送を阻害されてくるというようなこと等もございまして、
国民生活に多大の
被害を与えてきたわけであります。特に農林省におかれては保管の生鮮食品や、キャベツ、タマネギ二万五百トンを放出したほか、曲がりキュウリ等の並み品の生鮮食品の出荷奨励など、まことに異例の措置がとられたわけでありまして、
降雪被害がいかに広範にわたり膨大なものであったかということがおわかりになるかと思うわけであります。
豪雪地方の
除雪費用のほか、農林業における
降雪被害は西
日本地区にまで及びまして、特に西南暖地でありますところの熊本県におきましては、一月十八日午後より降り始めた雪は、一月十九日未明までに県中央部から県北部を
中心に三十九年ぶりという驚異的な積雪を記録して、
県下の農業用施設並びに農作物等に多大なる
被害をもたらしたものであります。中でも全国一の面積を誇るビニールハウスの約四割が倒壊し、スイカ、メロン等を
中心に、トマト、ハウスミカン、ナス、キュウリは出荷を前にいたしまして
被害を受け、その面積は約千五百へクタールにも及んでおるのであります。
被害の
総額が二百四十六億円に達しております。
農家並びに農協組織におきましては、この
被害にあらゆる
対策を講じ、
被害を最小限にとどめるとともに、
災害復旧に懸命の努力をいたしておるところであります。
農林省におかれても、一月十九日に九州農政局に
降雪被害連絡会議をいち早く設置され、現地の
調査、
指導のため係官を派遣のほか、施設、鋼管並びにビニールフィルム等修復資材の円滑なる供給を図るための適切な応急手配
指導をいただき、県当局並びに農業団体におきましても深く感謝しておるところであります。
しかしながら、前途有望な生産意欲に燃えた農業後継者群が、農業改良資金を導入し、ビニールハウスを建設して、いよいよこれから本格的に農業経営に取り組もうとしておるやさき、また出荷を前にいたしましてハウスが積雪により倒壊し、後継者の夢は一朝にして打ち砕かれたわけであります。全くその挫折感は深刻なものがございまして、特に春の進学、入学を控えた親、生産者の苦悩というのは、これは大変なものであります。
特に、御婦人方が倒壊ハウスの中でトマトを一個二個と拾おうとするそのような姿を見ますときに、全くもう再生産ができないのじゃないかというふうな気持ちもいたしておるわけであります。そういう中で
生活資金、進学資金をどうするのかというような実情を見ますときに、特に私どもとしてはこれに対してはできるだけ再生産ができるように配慮してあげなきゃいけないという気持ちでいっぱいであるわけであります。
特に、大半の農家が施設の大型化と規模の拡大のため多額の負債を抱え込んでおるわけであります。大変な負債を抱えながらやっておるわけでありますけれども、この単棟のビニールハウスの施設の復旧は、これも大変な御苦労が要るわけでありますけれども、大型の連棟になりますと、これは全く手がつけられない。しかも、皮肉なものでございまして、集団地域化をいたしております
関係から隣接と全く密着をしておる。したがって倒壊をしたハウスをよそに移動するとか、撤去というのがまた非常にむずかしい。従来は春一番等起きまして倒壊をいたしましたならば、部落の総出でみんなが
協力をしてやったというのが過去の例でありますけれども、今回の場合は一切それがままならぬ、したがってどこから手をつけていいのかというようなことでございまして、このようなことからいたしますと、極めて撤去作業等の
経費、時間というものが非常に要るわけでありまして、負債の償還に事大きながら農地を手放すとかあるいは離農するとか、こういうようなことが派生しないとも限らないような、非常に皆さん方が力を落としているというのが実情でございます。
被災者が一刻も早く立ち直り、再生産をし、農業経営に取り組めるような
政府の格段の御高配を
お願いするものであります。
そこで、第一点といたしまして立ち直り資金についてでございます。
熊本県並びに
市町村及び農業団体は、立ち直り資金として自作農維持資金、施設の再取得として農業近代化資金の
融資と利子補給を決定いたしました。末端利子三%、利子補給期間四年間の貸し出しを
計画しておりますが、自作農維持資金については全国的な要望も続出しておりますので、このような資金需要に見合う
融資枠が
確保できるのかどうか非常に懸念をいたしておりますので、この見通しについてお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。
なお、御参考までに利子補給並びに農協組織の対応について申し上げますと、利子補給の割合は、二つの資金とも県が五〇%、
市町村が二〇%、県農業団体三〇%となっており、さらに農協が末端利率三%のうちの〇・二五%利子補給を行っていく予定でありまして、最終的な末端利率は二・七五%になる運びであります。
また、農協組織におきましては、利子補給のほか、県連が一億五千万を拠出いたしまして、農協と
県下の役職員の募金が二千九百万円、合わせまして一億七千九百万円を見舞い金として被災農家へ近日中に支給することにいたしておるわけであります。さらに、県連と単協の職員を動員いたしまして、先ほど申し上げましたような転倒ハウスの
復旧作業の応援に当たらせて、早期復旧に
全力を挙げ、特にまた改植等を行わせる、あるいは病害虫の予防措置を行わせるというようなことに今努めておるわけであります。
そのようなことで、県民、団体一丸となりまして
災害復旧に取り組む姿勢を当局におかれましてお酌み取りいただき、資金
融資の枠の
確保が十分に行き届きますように、切に
お願いを申し上げるところであります。
時間がないので引き続きの御質問でお尋ねをいたしますが、第二点といたしまして、農業改良資金、いわゆる農業後継者育成資金でございますが、導入者の被災
対策についてお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。
先ほども申し上げましたように、五十八年度に設定され、ビニールハウスを建設し、
災害を受けた後継者は、たった一度の収穫の喜びも味わうことなく、来年度からいや応なしに償還が強いられることになります。しかも後継者は、認定条件どおり、経営主から独立した独立採算制であり、償還の見通しは立たない
状況であります。特別な救済措置が考えられないものか、お尋ねを申し上げたいと思います。
第三といたしまして、
林業関係でありますけれども、
林業関係におきましても、先ほどどなたか御質問になっておりましたが、熊本県におきましては、特産品といたしましては、林業のほかにはシイタケ、生シイタケあるいはタケノコ、竹材とか、こういろいろあるわけでありますけれども、大変な
被害も受けておりますが、特に立木の
被害も極めて大きいわけであります。しかも、まだ残
雪がたまっておりまして、詳細には出ておりませんけれども、大体
被害総額十一億近く出ておるわけでございます。そこで、特に山林の折損木の
被害の
状況と
対策についてお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。
私どもの
日本の林業は、現在非常に輸入材に押されてやられておるわけでありまして、今大体輸入が七割程度になってしまったというようなことで、山林が今日におきましては間伐その他手が届かなくて、非常に荒廃の一路をたどっておるというのが実情でございます。そこで、町村有林はもちろん県、国有林におきましても植林、間伐がおろそかになりがちな今日、山林が
国土の保全、環境自然保護、空気の浄化あるいは水源涵養林とかあるいは公益的機能を通じ、
国民生活に重要な役割を持っておるわけでありますが、折損木の
被害が熊本県のみならず、全国的に膨大な
被害の面積になろうかと考えられますので、その
状況と、また民、公有林を問わず植林のための手だてがあるのか、特に民有林に対する援助措置はないものか、お尋ねを申し上げる次第であります。
以上三点、お尋ね申し上げたいと思います。