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1984-04-13 第101回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会 第2号 公式Web版

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  1. 技術革新に伴う産業・雇用構造等に関する件 (会議録情報)

    昭和五十九年四月十三日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     小委員長        梶木 又三君     小委員                 杉元 恒雄君                 真鍋 賢二君                 山内 一郎君                 桑名 義治君                 吉川 春子君                 藤井 恒男君    政府委員        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        労働大臣官房審        議官       野見山眞之君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○技術革新に伴う産業雇用構造等に関する件  (一九八〇年代経済社会展望指針について  )  (最近における産業構造変化及び産業構造審  議会情報産業部会中間答申について)  (マイクロエレクトロニクス雇用に及ぼす影  響について)     ―――――――――――――
  2. 小委員長(梶木又三君)(梶木又三)

    ○小委員長梶木又三君) ただいまから国民生活経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業雇用構造検討小委員会を開会いたします。  技術革新に伴う産業雇用構造等に関する件を議題とし、関係省庁から説明を聴取いたします。  まず、「一九八〇年代経済社会展望指針」について経済企画庁より説明を聴取いたします。大竹総合計画局長
  3. 政府委員(大竹宏繁君)(大竹宏繁)

    政府委員大竹宏繁君) 当特別委員会議題でございますこの技術革新産業雇用構造変化といった問題を、この「一九八〇年代経済社会展望指針」でどういうふうに取り扱っているのかというお尋ねでございますので、「展望指針」、経済全般にわたって記述をしておるわけでございますけれども、その中から本日の議題になっております部分を抜き出して、資料としてお手元にお出ししてあると思いますが、その部分につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  二つ資料がございまして、その中の一つが縦に長い方の資料でございます。これは非常に大ざっぱにこの「展望指針」の中の関係部分を要約したものでございます。ざっとこれでごらんをいただきますと、まず最初に「「展望指針」の性格」というところが1として挙げてあります。昨年の八月に閣議決定になったこの「展望指針」の基本的な性格というものはどういうものであるかということが一番先に掲げてあるわけでございます。  その基本的な認識といたしまして、この我が国経済社会が非常に大きな転換期に直面しておる。しかも将来にわたって流動的な要素が多いというのが基本的な認識であります。このことは、ここで改めて申すまでもないことでございますけれども、そうした非常に我が国経済社会に大きな影響を及ぼすようないろいろな要素があるわけでありますが、例としてよく挙げられておりますのが、高齢化成熟化あるいは国際化といったような大きな流れ変化指摘をされておるわけでございます。こうした流れは、今までの経済社会あり方からかなり違った要素を含んでおるわけでございまして、そのためにかなり変化方向内容というものが不確実な面が多いということであります。また、その変化も非常に速いのではないかという基本的な認識がございます。したがいまして、この「展望指針」は、昭和三十年の「経済自立五ケ年計画」から数えて第十回目の計画になるわけでございますけれども、基本的な性格といたしまして、弾力的なものとしておるわけでございます。そうした事態変化に弾力的に対応できるような余地を残すということから、一つは余り細かい数字を掲げるということを避けております。  それからもう一つは、事態変化に応じてこの「展望指針」の中の政策を含めて見直していくということから、毎年一回レボルビングという形で計画見直しを行うということにしておるわけでございます。そうした基本的な性格を持っておりますので、ここに記載してあるところの性格はかなり大筋のものにとどまっておる面が多いわけでございます。  ただ、我が国が現在当面しております問題、非常に困難あるいは複雑な問題が多いわけでございまして、長期的に取り組まなければならない問題が多いわけでございますので、その辺を問題意識としてかなり書き込んでおるわけでございます。  以上が基本的なこの「展望指針」の性格と言ってよいかと思いますが、そうした性格のもとで、技術革新産業雇用構造についてどういうふうに扱っておるかということがその2以下に書いてございます。これはやや細かく、この横に長い資料の方に抜粋をしてございますので、それをごらんいただいた方が、あるいは全体の中でどういうふうに書いてあるかということでよりはっきりおわかりになるかと存じますので、横長の資料をごらんいただきたいと存じます。  まず、この「総論」のところでどう扱っているかということでありますが、総論としてこの「展望指針」の「基本的な役割考え方」ということが一番先に書いてあるわけでございます。  基本的な役割につきましては、先ほど申し述べたようなことで、長期の政策運営指針展望指針と、こういうことでございますが、その重点として〔二〕として書いてございますのが四つ、ここにございます。この一九八三年から八年間についての展望政策運営指針として、重点四つございます。この中で技術革新あるいは産業雇用構造関係のある部分重点に申し上げます。  重点として四つあるわけでございますが、第一が行政財政改革でございます。これは申すまでもないことてございますので、省略をさせていただきます。  第二として書いてございますのが「産業構造高度化に支えられた新しい成長への歩みを進めることである。」という記述がございます。ここで言っておりますのは、我が国が戦後非常に急速な産業化を通じまして、重化学工業あるいは機械産業にリードされた成長を続けてきたわけでございますけれども、今後は技術革新進展、あるいは価値観多様化、あるいは良質な住宅環境への欲求の高まりといったような新しい国民ニーズ、あるいはそれを裏づける技術の進歩といったようなことを背景といたしまして、ハードな面だけでなくてソフトな面も加わった新しい成長の姿をとっていくのではないかということが考えられるわけでございます。特に、このエレクトロニクス中心とした技術革新進展あるいは情報通信システムに支えられた情報化進展といったことが、国民生活はもとより経済社会全般多業変化を及ぼしていくということが考えられるわけでございます。その行き着く光といたしまして高度情報社会というものへの進展というような変化が進むというふうに考えておるわけであります。  それから第三の重点としては、民間活力重視ということが掲げられております。ここにも技術革新に触れておるところがございます。民間活力重視というのは、この「展望指針」を貫く一つの柱としての考え方でありますけれども、そうした民間活力の維持・形成ということの中におきましても、この技術開発進展というものが大きな役割を果たすであろうと。その結果として、あるいは原因になり結果になりしながらこの民間活力が発揮されるような状況、環境が整えられていくということが必要である。もとより、政府としても制度の見直し規制緩和といったような条件を整備するというようなことが必要であるというような指摘がございます。  それから第四の重点は、「国際協力推進」でございますけれども、これは当面の問題からやや離れたことでございますので省略をさせていただきたいと思います。  それから、次のページをお開きいただきたいと存じます。  この「展望指針」の総論の中の次の記述が、「一九八〇年代の歴史的位置づけ変化方向」という題目のもとに、戦後の我が国とそれから世界全体の動きを概括し、振り返っておるわけであります。その後に「一九八〇年代の変化方向」というのがその〔二〕としてここに掲げられておるわけであります。  その中で、最初にまず国際環境変化方向というようなことがございまして、それからここに二として「経済変化方向」という項目が掲げられております。この中で今後の我が国経済の進むであろう変化方向というものが記述されております。そこにかなり産業あるいは就業構造変化の問題が触れられておりますので、その部分を御説明いたします。  戦後の我が国が、非常に急速な、世界に例のない発展を遂げたということは申すまでもございませんけれども、こうした発展を支えました良好なパフォーマンスを維持するだけの経済的条件というものは、基本的にはこの八〇年代も維持されるであろうということが最初に書いてございます。その条件というものがまず第一には技術開発であるという記述がございまして、「特に八〇年代においては、エレクトロニクス中心とした技術革新がさらに進展し、経済効率化、新たな需要の創出に貢献することが期待される。」というふうな指摘がございます。それから、条件としての第二番目には高水準の家計貯蓄率、それから第三番目の労働力供給についても、まずまずそういう条件は維持されるであろうという見通してございます。  しからば、そういう条件の上に立って、どんな方向変化をするであろうか。経済社会構造変化方向ということで、まず第一に「産業構造就業構造変化」について記述されております。  まず、その産業構造でございますけれども、八〇年代ではエレクトロニクス中心とした技術革新進展等経済社会の各面に大きな変化をもたらすであろう。特に、情報通信分野技術革新あるいはトータルな情報通信システム形成というものが高度情報社会へ向けての変化を生むということで、これも一番最初に申し上げましたことをまた繰り返しておるわけでございますが、そうしたニーズ変化高度化エネルギー価格変化、あるいは国際分業進展といったことも背景になりまして、産業構造はどういう変化をするであろうかと申しますと、付加価値の高い財の比率が高まって集約化動きが続く、それからサービス部門高度化多様化し、拡大していくであろうということであります。このことは、一口で申しますれば、サービス経済化動きが続き、経済全体としてのソフト化進展すると言ってよいかと思うわけであります。  それで、消費構造サービス化ということがここに出でございますが、ちょっと参考の数字を申し上げますと、国民生産のうち、財とサービス二つに分けてみますると、昭和四十五年、これは一九七〇年でございますが、サービスの割合というのは四二・七%でございました。五十七年、これは八二年でありますが、それが五一・二%に高まっております、これは名目ベースでございますけれども。こうした非常なサービスウエートが高まっておるということは、今後もさらにそうした動きが続くであろうというふうに見ておるわけであります。  それから、そうした全体としてのソフト化という動きというものも、また別の面でとらえてみますると、産業連関表の中の物的産業への中間投入構造という面から見ますると、産業全体として生産に必要な中間財が投入されるわけでありますけれども、そうした物的産業に投入される財のウエートが年々低くなっております。昭和四十年は八五・八でございましたが、五十五年が八一・二ということでございまして、言いかえれば、サービス産業ウエートはこの中間投入という部分で見ましても――ということは、生産活動言いかえてもよろしいかと思いますけれども、そうした生産活動の中でサービス産業の占めるウエートは、昭和四十年が一四・二%程度でございましたが、五十五年には一八・八というように高まっておるということが言えるわけでございます。  それから、産業構造の姿が具体的にどうなるかということをもう少しここに書いてございます。そこでは、製造業の中では加工組み立て産業の高い成長、それから素材産業は現在調整局面にあるわけでございますが、今後、新素材開発により新しい発展が期待されるということ。それからエンジニアリング産業等のいわゆるシステム型の産業が大きく成長していくであろうということ。それからサービス業においても、対事業所サービス、あるいは対個人サービス、いずれも高い伸びが見込まれるということでありますし、発展もいろいろ多様な形が見込まれるということであります。  それから次に、就業構造でありますけれども就業構造もこうしたサービス需要の拡大を反映いたしまして、第三次産業就業者の高い伸びが続くということであります。これに反しまして、第二次産業は、実質生産伸びるわけでありますけれども技術革新による生産性の上昇から就業者伸びはかなり落ちついたものになろうということであります。  ちなみに、ちょっと数字を申し上げますと、就業構造でございますけれども、これはまた後ほど労働省の方からもお話があるかと思いますけれども就業者を四十五年から五十五年まで十年間の伸びで見てみますると、全体で七百六十七万人ばかり就業者がふえておるわけであります。この七百六十七万人の伸びのうち、六百六十四万人ばかり、八六・六%が第三次産業でふえておるわけであります。したがいまして、第二次産業でふえた就業者の増というのは百三万人でありまして、増加した就業者全体のうちの一三・四%であるわけであります。こうした就業者伸びというものが特に第三次産業で大幅に伸びてきたという傾向は今後も続くであろうということが記載されておるわけであります。  この「変化方向関係部分は、ただいま申し上げました第二として記述された部分でございまして、第一、第三というところがございますけれども、ここは省略をさせていただきます。  それから次のページでございますが、三ページに「展望指針」の総論部分の王といたしまして、「八〇年代経済社会の目指す方向政策」という記述がございます。  まず、八〇年代経済社会の目指す基本的な方向として〔一〕として「創造的安定社会構築」と書いてございますが、これはこの「展望指針」のいわば中心になる考え方でございます。その背後にある基本的な認識は、先ほど申し上げましたような我が国経済社会がいわば欧米の先進経済社会へ追いつく過程というものがほぼ終了したという認識に立ちまして、これからは我が国独自の方向産業経済あるいは技術、文化といったいろいろな面において独自のものを目指していかなければならないわけでありますが、そのときにやはり、一方では活力を維持し、一方で安心と安全が保障される、そういった社会構築していくべきであるということで、一言で「創造的安定社会構築」としてそれを名づけておるわけであります。  その柱といたしましては、三つのことを言っておりまして、一つは「平和で安定的な国際関係形成」ということでありますし、二つ目がここにございます「活力ある経済社会形成」でありますし、三番目が「安心で豊かな国民生活形成」ということであります。一番目の柱は、国際的な面から見た創造的安定社会というものの要素でありますし、二番目が経済社会という面から見た柱であります。三番目が国民生活という面から見た柱ということであります。  そこで、この技術革新産業構造等関係部分は、この二にございます「活力ある経済社会形成」ということでございます。これは、基本的な方向として四つ重点を掲げてあるわけであります。  まず第一として、「創造的な技術開発推進」ということで、この「活力ある経済社会形成」のまず第一の柱として創造的技術開発ということが掲げられております。科学技術経済社会活力の源泉であるという認識、それから今後は、外からの技術導入による技術水準の向上には限界があるという認識、したがいまして、我が国独自の創造的な技術開発をしていかなければならない。そのためには、人材育成あるいは教育内容、方法の改善・充実といったことが必要であるということが指摘されております。それから、この技術開発の成果を国民生活に、あるいは産業構造高度化に広く活用していくために必要な基盤の整備を図るべきであるという指摘がございます。  それから、この「活力ある経済社会形成」の第二でございますが、「創造的知識集約化等による産業構造高度化」ということであります。知識技術情報サービスといったソフト価値の比重が一段と高まるわけでございますけれども、その中で、産業構造の創造的な知識集約化推進されるように産業政策を進める必要があるということでございます。その他、農林水産業あるいはエネルギーの問題、地域政策というようなことがここでは触れられておりますが、産業構造高度化、それを進める産業政策というのが第二の記述でございます。  それから、第三が「民間活力」でございますが、これも若干関係はあるわけでございますが、やはり最初に申しましたように、民間活力という面からも規制緩和民間資金導入といったことを通じまして環境を整備し、そうした民間活力を通じて活力ある経済社会形成していくということでございます。  第四が「経済社会安全確保」という記述でございますが、この辺は省略をさせていただきます。  それから次のページでございますが、ここには総論の今申しました三のうちの〔二〕ということで、「経済運営基本的課題」ということでございます。これは「適度な成長の下で完全雇用物価の安定、対外均衡確保」ということと、「行政改革財政改革」、二つ部分からなっておりまして、その一のところがここに掲げられておるわけであります。  ここでは、ただいま申し述べましたような経済的な条件、あるいは今後の経済社会変化方向といったようなことを考えまして、世界経済環境等を考えまして、名目実質成長率が書いてございます。実質四%で名目六ないし七%程度成長が見込まれるということでございます。それから雇用の問題につきましては、完全雇用がこの経済運営の重要な課題であるということ申すまでもありませんが、その記述がございます。ただ、この完全雇用の問題は、御承知のように労働力需給の面におきます構造変化ということを考えますと、かなり雇用情勢が厳しいということが言えるわけでございまして、完全雇用を達成するための政策といたしまして、適度な経済成長を通じて、マクロの面から総量としての労働力需給を図るということ、二番目が、そうした需給構造変化を踏まえました部分的な需給の不適合を是正するという、構造政策が必要であるという指摘がございます。  そうした政策を通じまして、六十五年度には完全失業率を二%程度にすることを目安にして、できるだけ低くするよう努めるという、いわば政策方向が提示されておるわけであります。  以上が総論部分でございまして、五ページ以下は「政策基本方向」ということで関係部分をここに抜き刷りをしております。「完全雇用の達成と物価の安定」というところでは、ただいま申しましたようなことが書いてございまして、具体的な施策としては、技術革新進展に伴います対応あるいは経済社会ニーズ変化に即した職業能力開発必要性といったような指摘がございます。  それから技術開発につきましては、六ページの辺に、施策の基本的な方向、具体的な施策として、「技術開発基盤充実」、「人材育成」、それから「基盤的・先端的技術開発推進」、「技術開発を通じた産業活性化」、「社会関連技術の振興」、それから七ページへ参りまして、「国際協力推進」といった六つの具体的な施策が掲げてあります。  それから「産業構造高度化」という問題につきましても、基本的方向は先ほど申しましたようなことでございますが、具体的な施策として、七ページの右の方に「産業構造創造的知識集約化」ということ。それからその中では、個別に知識集約化推進をどうするかという問題、それから素材産業活性化というような産業政策の中身について触れております。  以上、「展望指針」の関連部分を申し上げたわけでありますけれども、「展望指針」は、言うならば政策枠組みでございます。こうした基本的な政策枠組みの中で、具体的な施策関係省庁におかれまして検討され、あるいはそれを推進されるということになっておるわけでございます。  ただいま申し上げましたような枠の中で、いろいろな施策が今後講じられていくというふうに私どもは考えておるわけでございます。  やや抽象的なお話で恐縮でございましたけれども、「展望指針」というものの性格上、ややそうした一般的なお話になったわけでございますが、これで説明を終わらせていただきます。
  4. 小委員長(梶木又三君)(梶木又三)

    ○小委員長梶木又三君) ありがとうございました。  次に、最近における産業構造変化及び産業構造審議会情報産業部会中間答申について、通商産業省より説明を聴取いたします。山田審議官
  5. 政府委員(山田勝久君)(山田勝久)

    政府委員山田勝久君) 私ども、望ましい産業構造あるいは産業構造あり方という点に関しまして、一九六〇年代は重化学工業化、一九七〇年代は知識集約化ということを進めてまいりました。そして一九八〇年代は、知識集約化の形容詞として創造的なという言葉を使っております。つまり、これは技術革新あるいはハイテクノロジーを活用して、産業構造を、今経済企画庁の方から御説明になりましたような高度化、高付加価値化を進めていこう、こういうことでございます。  まさに技術革新といいましてもいろいろの段階がございます。七〇年代はハイテクノロジーあるいは技術革新懐妊期間だと思います。そして、今私どもがおります八〇年代は、もっと大きな技術革新のうねりが到来しつつあるわけでございまして、その胎動期だと思います。そして、本格的にこれが花を吹かせて、産業構造上非常に大きなウエートになってまいりますのが、一九九〇年代だと、こういうふうに考える次第でございます。  そして、注目すべき分野というものを紹介いたしますと三つございます。  一つが新素材技術でございます。ファインセラミックスあるいは複合材料、そういったものでございますけれども、現在ちょっとお手元資料の中には数字ございませんが、五千億円ぐらいの生産額でございまして、日本生産活動全体、製造業サービス業も全部ひっくるめた生産活動の〇・一%にしかすぎません。しかし、それが紀元二〇〇〇年になりますと、純粋な新素材だけで五兆四千億円、そして関連の市場を入れますと、六十三兆円になるんではないか。つまり日本生産活動の約五%は新素材関連であるというふうに発展をしていくような計算を現在いたしております。  それから第二番目の分野バイオテクノロジーでございます。新しい医薬の製造ですとか新しい化学のプロセスですとか含めましてバイオテクノロジー。  それから第三番目が情報関連技術の一層の発展でございまして、マイクロエレクトロニクスとかFAとかOAとかいろいろございます。  この情報関連が第三の分野でございます。こういった技術革新というものを中心にしまして産業構造が大きく変化するんですが、従来私どもとかく産業構造変化といいますと、鉄鋼業機械工業化学工業と云々、こういうやや大きな分類で考えてまいりました。そして機械工業伸びるとか、鉄鋼業とかいう素材産業は相対的に伸びが小さいとかいろいろ考えてまいりましたが、これからはもっと重要なのは、各業種の中における分野の消長でございます。例えば化学工業一つとりましても、ペトロケミカルス関係の大規模生産というものよりは、ファインケミカルズのような新しい技術革新のものがふえていくとか、あるいは繊維産業をとりましても、炭素繊維のようなものがふえてくるとか、業種内部の変化というものに我々は注目をいたしたいと思います。  本日は、小委員長から命じられました二つのレポート、「最近における産業構造変化」、これを特に製造業サービス業のかかわり合いを中心としてまず御説明をさせていただきたいと思います。  B4版の二枚紙と附属の参考資料ございますので、両方を見ていただきまして話を進めたいと思います。  ちょっと、私の言葉でございますが、最近サービス化ソフト化という言葉が産業構造変化として有名になっておりまして、これをとかく「ハード君さようなら、ソフトさんこんにちは」というようなものに考えられがちでございますけれども、私どものきょうのレポートは、どうもそうではないんではないか、むしろハード部門である製造業ソフト部門であるサービス産業が相互にかかわり合いを持っている。そして両方が相互依存関係になりながら発展していく、こういう実態が現状ではないかというレポートでございます。  まず、附属資料の一ページ目を見ていただきますと、「要旨」の方の①というところで御説明いたしておりますが、このグラフの方を見ていただきますと、先ほど経済企画庁大竹局長の方から御説明ありましたように、サービス産業製造業あるいはサービス産業の全体におけるウエートというものが伸びているということがございました。  私どもこの見方として二つあろうかと思います。一つは、名目金額、もう一つ実質金額でございます。私どもの方は、二つやり方がありますが、まず図1のうちの大きな方のグラフを見ますと、これは一九七五年、つまり昭和五十年価格で産業連関表を使いましてウエートを見てまいりますと、非常に常識とちょっとかけ離れた数字になっております。つまり製造業ウエートは減っているのではないかと一般的に言われているんだが、この付加価値額を五十年実質価格でとってみると、昭和五十年と五十六年の間にむしろ製造業ウエートを増しているということでございます。二八・三%から三三・一%と。それと逆にサービス産業は、実質ベースで考える限り一九・八%から一七%に落ちている、こういうのが実態でございます。  ただし、名目の方を見ますと逆でございまして、製造業の方はおおよそ横ばい、そして第一次産業ウエートが小さくなって、その分だけサービス産業伸びている、こういうことでございます。どちらをもって見るかということはいろいろ論の分かれるところでございますが、実質価格で見る限り、これは製造業は頑張っておるということがわかるわけでございます。  それはなぜだろうかということでございますが、次のページ、二ページ目でございますけれども、この製造業が頑張っている理由は、この棒線グラフで、二ページを見ますと電気機械関係、つまりこれが情報関連、コンピューター、FA、そういったものでかなり伸びているなということがわかります。  それから三ページ目に行きまして、サービス産業では一体何が伸びているんだろうか。ちょっとはしょりまして簡単にやりますが、三枚目、図4というところを見ますと、サービス産業にもいろいろあるなと。まず、私どもはこれを情報関連サービスと企業関連サービスと、それから生活関連、娯楽関連、公共サービスと、こういうふうに分けております。これを見ますと、情報関連というのと企業関連というのが相対的に大きくこの六年間伸びているという実績がわかるわけでございます。どんな業種がこの分類に入っているかにつきましては、別添の「最近における産業構造変化」、やや分厚い資料の中にございます。  それから四ページに参ります。しかし、この実質付加価値額では製造業頑張っておるなということでございますが、今度は就業者の方になりますと、四ページ目の図7でございますけれども、今度はサービス産業が随分雇用を吸収してくれているという実態がございます。この間にふえました就業者数のほとんどをサービス産業が吸収している。つまり一番下の「うちサービス業二二・五%」のシェアだったのが五十六年には二五%。この間雇用のふえた部分の大部分を吸収しているということがここに掲げられております。  それから次、はしょりまして七ページに参りたいと思います。七ページ、図の13。それではこの付加価値額と就業構造動きが違う、では、どこにその問題があるのか、あるいは秘密があるのかといいますと、生産性の向上が原因でございます。製造業の方は一般的に生産性の上昇率が高い、それに対してサービス産業の方は低い、こういったことが実質付加価値額と就業構造動きが違うということでございます。それから、業種を中に割って入ってみましてもそれぞれ違います。この七ページの表は、一つ付加価値額が伸びが大きい産業はどういう産業だろうか。電気機械とか、あるいは精密機械というのは非常に付加価値生産性が高い。一方、就業者伸び率が大きいのはサービス産業であるとか、あるいは金融、保険であるとか窯業、土石であるとか、こういうような分類になっておりまして、この生産性ということがこの表からうかがい知られるわけでございます。就業者伸びが余り大きくなくて生産額が大きく上がっていれば生産性の向上率が高い、逆は道と、こんなようなことが一つ産業構造変化ということを少しブレークダウンしてみますと言えるわけでございます。  それから八ページに行きましてでは、サービス産業の中にもいろいろあるじゃないかと、今問題のサービス産業はどうだといいますと、情報関連サービスは比較的付加価値額も高くて生産性も向上は高いが、生活関連とか娯楽サービスになりますとやや生産性の上昇率が低いということがここで言えるわけでございます。  それから次のページへ、少し急ぎますが、この製造業サービス業のかかわり合いを見ますときに、非常に重要なことは、最近サービス産業の設備投資が伸びている。そして、その伸びているところが何であるかというと、いわゆる情報関連、つまり電気機械、コンピューター、そういったものを入れて非常に高度化をしているなということがわかるわけでございます。  十ページへちょっと移りまして、図の17、これはサービス業が設備投資をするときにどんなものを設備投資財として使っているか。輸送機械――自動車のようなものなのか、それとも一般機械なのか電気機械なのか見てみますと、昭和五十年には電気機械というものが設備投資の中で約三五%しか占めていませんでしたが、五十五年になりますと四八%を占めている。つまり、サービス産業が設備投資として、機械の中の分類はいろいろありますが、電気機械をより一層買うようになったということがこのグラフから明らかになっておるわけでございます。それだけ情報化をし、高度化をしよう、こういうのがこの表で掲げられているわけでございます。  結論的に言いますと、この文章の方にも結論として書いてございます。二ページの⑥というところを見ていただきます。この二枚目の⑥の結論の部分だけちょっと読ませていただきます。ただいま私がずっとグラフで御説明してきたことの結論といたしまして、最近、ソフト化サービス化ということが言われているが、全体として製造業との関連を深めておる。特に伸びが大きい情報関連サービスというものの発展は、製造業における新しい製品、技術革新に支えられている。サービス産業がどんどん伸びているのは、実は製造業における新しい技術革新に基づく新製品がこれを支えているということがわかるわけでございます。これからもサービス産業製造業の相互依存関係というものはますます深まっていくのではないかというふうに私ども考えておりまして、製造業の側でもそうしたサービス産業ニーズというものを踏まえていかなければいけない、これが最近の私どもの勉強の経過報告でございます。とかくソフト化サービス化が進んでおって、ハード面あるいは製造業というものが見捨てられがちでありますが、実はその中においては相互関連が非常に大きい。製造業サービス業もともに重要だなということがわかってまいったわけでございます。これが第一のレポートでございます。  それから、第二のレポートは情報化でございまして、委員長からの御葉の――産業構造審議会情報産業部会の答申が昨年の十二月に行われました。いろいろ資料ございますが、一番簡単なのがこの三部作の三通りでございます、B4判であります「ニューメディアの発展あり方について(要旨)」というのと、それから「コンピュータ・セキュリティ対策のあり方について」というのと「ソフトウェアの法的保護の確立を目指して」という三つのレポート要旨がございますので、それをちょっとごらんになりながら報告させていただきます。  まず、この情報化がまさに産業のみならず生活、社会に影響を及ぼしつつあるわけでございますので、その基盤整備をどうしたらいいかということを産業構造審議会の部会で検討いたしたわけでございます。  まず、ニューメディア、これはもういろいろの場面で出てまいりますのでございますけれども、この一番上に、第一次情報化革命というものが六〇年代-七〇年代ございましたが、今や第二次、八〇年代-九〇年代にかけましてはもっと社会のあらゆる面に普及するだろう。それから、利用がさらに高度化して意思決定までいくであろう。それから、全国津々浦々あるいは国際的にネットワーク化するだろう。そういうことで影響範囲が大分違ってまいるわけでございます。そういう意味で、これからの高度情報化社会というものの構築に向かいまして、このニューメディアというものがますます重要になってくるわけでございます。いろいろ各種のメディアというものがございますが、これから重要なことは、いろいろの部門が相互関連するんではないか。製造業と問屋あるいは生産と流通、銀行、そういった異業種間のネットワークづくりということが新しい特色ではないかと思います。それが第一の私強調したい点でございます。  それから第二は、単に産業ではなくて、先ほど経済企画庁からも御説明ありましたように、生活、社会というものになっていく、そういうことを前提に私どもいろいろ検討をやっていかなければいけないかと思います。時間の関係もございますので、次のページの<Ⅱ>の2というところを見ていただきたいと思います。  次のページの下の方で、まず大事なことは、やっぱり高度情報化社会でもインフラストラクチャーというのが必要ではないかということがございます。それから第二番目には、制度的な基盤をつくっていただいて、まずは民間の自由な活力が発揮できるように、先ほどの「展望指針」の中でもございましたが、民間の自由な活力を発揮していただく。なおそれで、それを引き出すための政府の支援というものは積極的にやっていかなければいけないんではないかということでございます。  次のページに行って、表題だけをお読みするようなことに相なりますが、ニューメディアの関連産業というものもまた基盤を整備していかなければならないと思います。情報収集でありますとか、ソフトウエアの開発でありますとか、そういったこと、産業育成。  それから次の5というところにありますけれども、これはいろいろな対応をしなきゃいかぬ。こういう情報化、ニューメディアというものがどどっと入ってきます。それを受け入れるだけの産業側の対応、あるいは社会の対応、例えばコンピューターのセキュリティー、後で出てくるセキュリティーの面ですとか、それからプライバシーですとか、あるいはパブリック・アクセプタンスということが、いろいろ発電所やなんかありますけど、そういったニューメディア産業がどんどんどんどん進むだけではなくて、まさに受け入れ側の方の対応も、整備も必要だという点がございます。  それから、昨今の国際化という中でこのニューメディアの問題も仲間入りをして、国際的な情報の流通ということに積極的に貢献をしなければいけないんではないかというふうに思います。  まあ1、2、3、4、5、6、この表題だけで恐縮でございましたけれども、私どもこういう問題意識でもってニューメディアの発展というものをやるべきだ、こういう報告でございます。  それから、次の紙の「コンピュータ・セキュリティー対策」でございます。  情報化進展いたしますと、まさに経済社会の多くの分野でコンピューターシステムに依存する率が高まってまいります。例えば消費者信用情報といったようなことで個人データが大量に蓄積いたしますし、国民生活でコンピューター、コンピューターという関係が非常に出てくるわけでございます。そこで、コンピューターというものは安心して使えるものだろうか。銀行でもコンピューターやっておりますが、突如としてコンピューターのどっかがおかしくなってしまいますと、これは大変なことになりますので、このコンピューターの信頼性、安全性ということが重要だと、こういうレポートでございます。  では、現在どういうことに相なっているかということでございますが、セキュリティー対策の現状は、いろいろ技術面あるいは設備面あるいは運用管理面が、今のところいろいろ追求しておりますが、これからはそのバランスをとっていかなければいけないんではないかというふうに考えているわけであります。現在はかなりばらつきが多い。いろいろな設備面、流通面、運用面でのばらつきが多い。これをバランスをとってやっていかなければいけないんではないかと思います。  それからコンピューターセキュリティーというものを考えます場合に、非常に大型の、社会的に非常に影響力の大きいコンピューターと、個々の企業なり個々の家庭が使っている程度のコンピューターということでございますので、いろいろなレベルによってセキュリティー対策をやる必要がある。あくまでこれはそれを使っている民間というものが自己の自覚と責任のもとで行うということが必要でありますけれども、やはりその民間の自助努力のみでは困難な点がございますので、政府役割がそこで出てまいります。しかし、過度な規制というものは避けなければならないかと思います。  政府が講ずべきものはそれじゃ何であろうかということでございますけれども、次のページの2というところを見てまいりますと、(1)、(2)、(3)から(6)までございます。これは政府ソフトウェアのコンピューターのセキュリティーをやっていく場合に必要だなというポイントを六つ挙げでございます。  第一が指針、ガイダンスあるいはいろんなセキュリティー対策をやる場合の基準というようなもの。例えば「電子計算機システム安全対策基準」というものを従来やっておりますけれども、こういうようなものを発展させる。あるいはシステムというものの安全性、信頼性、効率性を確保するために監査制度というものをつくったらどうだろうかということが第二の提案でございます。それから第三番目がコストというものが当然かかってまいりますから、これを技術革新のもとでどうやってコストを下げていくかということで、コストが下がればそれだけセキュリティー対策が進展するという関係にございます。それから技術開発。それから保険というものもこの情報化に適用できないだろうか。情報化保険というものについての検討をしていく必要がないか。それからあとそのほかいろいろ情報の収集その他ございます。何はともあれコンピューターというものが普及してくるに従いまして、その安全性、信頼性の制度的なあるいは政策的なものが必要になってきたというのが報告の骨子でございます。  最後に、ソフトウエアの方に移りますと、コンピューター活用、情報化社会ということになりますと、ハードウエアとともにソフトというものが非常に重要な要素でございます。ただいま私どもいろいろこういうことで法案を検討し、国会提出までいけばいいなと、こう考えてやっておるわけでございますけれども、やはり各国の動き、あるいは国際的なもの、そういうものを考えながらやっていくわけでございます。まさにソフトウェアというものをどうやってこれを活用していくか、利用していくかということが重要ではないかと思います。  このレポートの中にもございますけれども、コンピューターの普及というものがある。しかし、ソフトウエアはおくれている。そこの権利を保護し、そしてその活用をしていただく体制をつくることが必要だということでございます。また、昨今ソフトウエアにかかわりますいろいろな係争案件が増加しております。これに対しましてやはりソフトウェア開発というのは相当のコストがかかっております。相当の人間と相当の費用をかけておりますので、その回収ということを確保する必要がございます。回収を確保することによって一層また開発が進む。ソフトウエアの開発に相当の資本投下をした。これを回収するという考え方でいかなければいけないんではないかと思います。  それから、いろんなところで独立して同じものを開発するというのが現状でございますけれども、ある程度それはむだな投資ではないか。したがって、ソフトウエアの流通ということが非常に重要になってまいります。そのためには権利の保護ということが裏腹の関係にあるわけでございます。権利の保護と流通の促進、この二つが裏表の関係に立ちましてソフトウエアというものが進展していくんではないかと思います。  ソフトウエアというのは、先生方も御存じのとおりでございますが、ほかの商品と異なりまして次のような特質を有しております。  一つは、コンピューターで使用されて初めて価値を発揮することでございます。それから第二が、開発に多額の投資と労力を必要とするということでございますが、あっという間にコピーされてしまうという性格のものでございます。原物、本物とコピーとが全く同じ物である。例えば絵画で言いますと、本物とコピーとは全く価値、値段その他全然違いますが、コンピューターソフトウエアは本物、原物とコピーとが全く同じ物であるということがこの特色でございます。それから絵でございますと、その後筆をつけ加えるというようなこともない。小説でもこれをもうちょっと読みやすく直そうなんということはないんですが、ソフトウエアになりますと、昨年つくったコンピューターソフトウエアをことしはもっと高度化しようということが可能でございます。そういうことをパワーアップと言っておりますけれども、そういったメンテナンスがきく商品であるということがございます。  それからプログラムの言語のルールが単純ということでございますから、いろんな類似のものが出てまいります。ちょっと違うな、しかし大筋は同じだなということも出てまいると思います。それから機械がプログラムをつくる。今人間がつくっておりますけれども、機械がつくるということもこれからの技術革新の中で起こってくると思います。  いろんな意味で、ソフトウェアというものはいわゆる商品あるいは物というものとちょっと違うことがございまして、特に技術革新というものがこれにかかわってくる。それだけ変化が大きい。それから国際的な考慮というものも必要だと思います。  この保護制度というものはプログラムの実態に即して権利の保護と利用の促進と、この二大目的に向かって何がしかの法案がつくられるべきであるということがこの情報産業部会の報告でございます。  ちょっと口早でございましたけれども報告をさせていただきます。
  6. 小委員長(梶木又三君)(梶木又三)

    ○小委員長梶木又三君) ありがとうございました。  次に、マイクロエレクトロニクス雇用に及ぼす影響について、労働省より説明を聴取いたします。野見山審議官
  7. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) 御説明させていただきます。  きょうの御説明に入ります前に、簡単に労働省がマイクロエレクトロニクス問題に取り組み始めました経緯をかいつまんで申し上げますと、産業ロボット等の普及が進展してくる中で、雇用なりその他労働面にかなりの影響が出てくるという判断のもとに、五十六年度以来産業ロボット等の新しい技術革新に対する調査研究を緊急にすべきだということで、きょう御説明いたします調査研究委員会を発足させたわけでございますが、五十七年度以来労働省の重点施策といたしまして技術革新に伴う労働対策の推進ということでおよそ四つ、すなわち雇用対策、二番目は能力開発対策、三番目は安全衛生対策、そして四番目は労使関係の今後のあり方というものを主として調査研究あるいは必要な対策に手をつけ始めたという状況でございます。  そこできょう御説明申し上げますこの調査研究委員会につきましては、お手元資料をごらんいただきますとおわかりのように、五十六年の六月に労働省の外郭団体でございます雇用促進事業団にございます雇用職業総合研究所に、下にございますような氏原正治郎さんを座長といたします研究委員会を発足させまして、以来調査研究をいたしておりますが、一昨年の八月には第一次中間報告、その中ではいわば技術革新進展の状況あるいは雇用に及ぼす影響についての一般的な理論的整理等を内容といたしまして、その中では、これまでのところ大きな雇用問題は顕在化していないものの、今後さまざまな影響が出てくることについての調査研究の必要性を明らかにいたしたわけでございます。  第二次中間報告は昨年の九月に出されまして、これから御説明いたしますが、NC工作機械の導入職場における職務の内容、その他の雇用への影響につきまして報告をいたしたほか、中小企業への影響、さらには高年齢者への影響等を扱っているわけでございます。  御参考までに、今月末にはこの調査研究委員会は最終的な報告を出す予定でございまして、ここにおきましては産業用ロボット導入職場の職務内容変化、オフィスオートメーションの導入に伴う雇用への影響に関する事例調査、ME機器導入職場における意識調査等につきまして、これまでの調査研究を整理した上で全体的な評価をして結論をまとめるという予定になっております。  そこで、第二次中間報告につきまして御報告申し上げたいと思いますが、別添に中間報告の概要が差し上げてございますが、まずその機械がどういうものになっているかということで、この別添資料の八ページに、既に御存じかと存じますが、調査の対象になりました機械の状況を簡単に説明してございますのでごらんいただきたいと思いますが、NC工作機械、これは通常の工作機械に、この右上にございますように、コンピューター等を設置しておりまして、切削する形、寸法等について必要な条件をプログラムに入れまして、このプログラムテープを電子制御装置にセットすることによって切削をしていくというものでございます。それから、その下のMC工作機械、マシニング・センターでございますが、これはこの上の絵の機械の左のところにさらに自動工具交換装置を持っているわけでございまして、一度の取りつけでいろいろな加工ができるというもので、NC工作機械の最も進んだ形でございます。  それから九ページに参りますが、同じく調査研究の対象になりましたFMSでございますが、フレキシブル・マニュファクチュアリング・システムと申しておりますが、この絵で御存じのように、この絵の右半分にNCあるいはMCが装置されておりまして、この真ん中がいわば運搬機械がついているわけでございます。その左に材料がございまして、材料が自動運搬によってNC、MCによって加工され、その次の段階に自動的に動いていくという生産システムでございます。それからその下がCAD・CAMと申しておりますが、この絵の真ん中にディスプレイ装置がございますが、このコンピューターを使って自動設計をするものでございまして、コンピューターと対話しながら設計図を作成していくというシステムでございます。その下がCAM、これはこのCADと一緒になりましてCADで出力されました設計データをもとにしてNC工作機械を動かすためのテープ作成を行うというような仕組みになっているわけでございます。これらの機械を対象にいたしまして雇用への影響等を調べたわけでございます。  文章の方は省略さしていただきまして、この絵の次に図表がございますので、それを中心に御説明申し上げたいと存じます。  第一の問題は、MEが雇用に及ぼす質的な影響を調べたわけでございます。すなわちNC工作機械導入職場における技能労働者への質的影響でございますが、この図1にごらんのとおり、従来の職務は、一番左にございますように、加工手順、治工具の決定から加工を経まして切り粉の清掃までが技能労働者の仕事の範囲であったわけでございますが、これが新しい職務分担関係を生じさせてきたということでございまして、その点線の右側がNC工作機中心の新型加工手順でございますが、加工手順あるいは治工具の決定等につきましてはプログラミングあるいは治工具の開発、プログラミング、治工具の修正等の新しい仕事に分かれるということが一つ。それから下の方の加工のところでございますが、従来は機械のコントロールをしておりましたのが、テープの設定あるいはコントローラーの調整、監視というような仕事に分かれていっておりまして、その結果その右にございますような職務分担関係が変わってきている。すなわちプログラミングなり治工具の開発等につきましては技術者の仕事という形になってきております。それからプログラミングあるいは治工具の修正等につきましては、ある工場ではプログラマーという専門職が新しく生まれてくるほか、これらにつきましては監督者等の人たちが仕事をするようになってきている。  しかしながら、この当初の段階も時間を経るに従って変わってきているというのがその次のページの図3でございまして、この縦全体が従来の形での技能者の分担でございまして、導入初期におきましては開発、修正・改善というのをすべて技術者が担当いたしておりましたが、経験を経るに従いまして徐々に修正・改善の業務は技能労働者の担当にかわってきているということが一つでございます。  以上のような職務分担関係の変更と、もう一つの特徴は、その次のページになりますが、図5というのがございますが、いわゆる多台持ち、台数をたくさん持つというような傾向が出てきているわけでございます。NCを操作する技能労働者は手持ちの状態が出てまいりまして、それがその時間を利用して複数の機械、これはこの図の5の右の上の方にございますが、同じような機械を多く持つケースと、異なった機械を多く持つというような違いがございますが、それぞれ多くの台数を持つというような形で技能労働者の能力を有効に発揮できるような職務編成に進んできているということでございまして、以上合わせますと、このNC工作機械によって、縦への職務拡大と多台持ちという横への拡大というような方向に変わりつつあるということでございます。  それから二番目の問題といたしましては、ちょっと文章の方に戻っていただいて恐縮でございますが、二ページになりますが、これらの職務変更についてどういう技能習得をさせているかという状況がこの枠で囲ってございますが、技能習得に当たっては二段階の訓練方法を採用しているということでございまして、すなわち、まず職場の核になる技能労働者が、メーカーの行う教育だとかあるいはOJT等によって集中的な教育を受けまして、これらの核労働者が現場の周辺労働者にOJTで伝えていくという二段階の訓練をとっているというケースが多いようでございますが、このような核になる労働者は、二十歳台後半から三十歳台前半の人たちが多いという状況でございます。  それから二番目の問題は、技術者がどういう知識変化が出ているかということでございまして、これは恐縮でございますが、図表の、四ページの表一というところで御説明したいと思いますが、この技術者のうち、最近持っている技術が非常に急激に変化をしたということを意識している万が非常に多いということでございますが、この(4)のうちで、最近五年間で新しく取得した知識、技能はどういうものがあるかということでございますが、全体で四割の人たちが五年間に新しい技術を習得しておりますが、その中心は電子・通信あるいは情報処理といった最先端の電子技術知識が最近において付加されてきているという状況でございます。また、表2にございますように、左のようなもともと持っていた知識の人たちが新しくどういう技術を加えたかという状況でございますが、例えば電気の人について見ますと、新しく付加したものが電子・通信というようなもの、あるいは計測・制御の人たちにつきましては、右にございますような情報処理の知識を新しく加えてきたというようなものが明らかになっておりまして、ME技術背景といたしまして技術知識の複合化が進んでいるという状況でございます。  それから、FMSの状況でございますが、六ページの表5をごらんいただきたいと思いますが、このFMSはかなり無人化の一つの段階でございますので、FMSの導入比率はかなり低いわけでございますが、入った企業、職場におきましては、やはり従業員につきましてはかなり減員をしたと、人が減ったという状況が全体で六〇%を示しております。その減りぐあいにつきましても、三、四割程度減ったというような状況でございまして、従業員は減ってきているということでございますが、ただ、この余剰人員につきまして配置転換によって対処しているという例がほとんどでございまして、解雇の事例は見られないというふうに考えております。  それから、中小企業に及ぼす影響につきましては、その次のページの図7でございます。  中小企業におきましても、ME機器の導入がかなり進んでおりますが、このグラフでごらんのように、産業用ロボットの導入割合は、ごらんのように大企業に比べますとまだ低いというような状況でございます。その他、NC機械、MCにつきましても同様の傾向が見られます。  これらの中小企業においての導入目的でございますが、表7にございますように、大別いたしまして、生産性の向上あるいはコストダウンといった経済的要因と、それから二番画は品質・精度の向上といった技術的な要因、それから三番目は省力・省人化、技能労働者の不足対策といった雇用要因というふうに、三つほど挙げられますが、中小企業におきましては、技能労働者不足対策の比重が大企業に比べて高いというところが注目されるわけでございまして、その背景といたしましては、大企業におきまして下請企業の選別、あるいは集中発注化などの外注に変化が見られまして、これに対応して中小企業でも新しい技術導入に積極的になってきたこと、あるいは中小企業では大企業に比べて新規学卒労働力ですとか熟練労働者が得にくいというような状況にあるのではないかというふうに思われます。最近の事例を見ましても、親企業に勧められてMC工作機械を入れたというような状況ですとか、あるいはME機器を導入しないと若い人材が集まらないというようなことを言っている企業も見られたわけでございます。  また、中小企業におきます職務の変化でございますが、これは大企業ほどではございません。その状況につきましては、恐縮ですが、本文の五ページの方に入っていただきたいと思いますが、この枠で囲ってございますように、中小企業におきましては、ME機器の操作要員あるいはプログラム要員の不足、さらにはその未習熟を訴える企業が多い。その結果、導入した機器が十分に活用されていないというような状況も見られます。また教育訓練の状況につきましても、機器のメーカーが行う教育訓練に参加をするというような形でございまして、まだ教育訓練についてはおくれが見られるという傾向がございます。  最後に、この本文の方の六ページ、最後でございますが、中高年齢者への影響でございますが、ME機器導入職場の年齢構成に占める中高年齢者の割合は比較的小さい。導入職場においては二十歳台、三十歳台が中心となっておる。それから、導入職場における労働者の配置転換でございますが、導入職場に入ってくる配転者は中高年齢者の割合が低く、また逆に、ME機器を導入した職場から他の職場に配転をしていくという場合には中高年齢者が多いというような状況がございます。  ME機器の導入に伴って生ずる中高年齢者の適応でございますが、教育訓練にある程度の工夫を加えるということによってそれは可能であるということが言われております。すなわち、技能の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、中高年齢者の持っている熟練技能労働力は、本来、新しい機械が入ってまいりましても必要不可欠でございますが、ただその場合には、従来の熟練技能の上に新たにプログラミングのような技能、技術というものを付加するということができれば、中高年齢者の活用は十分可能であるという結果でございます。  そのやり方といたしまして、中高年齢者に対しては時間をかけた教育訓練をしていくということが重要でありまして、いろいろ指摘されておりますのは、中高年齢者には、機械が英語で書いてあるとか、あるいは字が小さいから見にくいというようなことで、アレルギー的な傾向が一般的に見られますが、ME機器を導入する前に、事前に見知っておくというようなこと、あるいは時間をかけた教育訓練が必要であるというような企業がございますので、こういった職場への適応対策を講ずることによって中高年齢者の適応も可能ではないかという判断が出ております。  以上がこの調査研究の概要でございまして、この調査結果報告を受けまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました労働面における対策をさらに具体化していきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  8. 小委員長(梶木又三君)(梶木又三)

    ○小委員長梶木又三君) ありがとうございました。  以上で、関係省庁からの説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  御意見のある方は小委員長の許可を得て順次御発言を願います。質問者も答弁される方も座ったままで結構でございますから、ひとつ自由に御質疑をやっていただきたいと思います。どうぞ。
  9. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 いろいろ質問したいことがあるんですけれども、まず経済企画庁の「一九八〇年代経済社会展望指針」についてなんですけれども、非常に美辞麗句で飾られておりまして、バラ色の展望を示しているようにも見えますけれども、その中で、〔二〕のさらに二で、「就業構造展望すると、」というところで、「第二次産業では、実質生産伸びが期待されるものの、技術革新等による生産性の上昇から、就業者伸びはかなり落着いたものとなろう。」こういうくだりがあるんですけれども、落ち着いたものとなるというこの中身、もうちょっと具体的に教えていただきたいんですが、第二次産業であふれた労働者を第三次産業で吸収できるということなのか、「落ち着いたもの」というのは、減るという意味でもないと思うんですけれども、その辺ちょっともう少し突っ込んで御説明願いたいと思うんですけど。
  10. 政府委員(大竹宏繁君)(大竹宏繁)

    政府委員大竹宏繁君) まず、美辞麗句というお話でございましたけれども、決して美辞麗句だけ言っているわけではございませんで、もう財政あるいは行政改革というようなかなり困難かつ長期的に努力を要する問題の指摘、あるいはその重要性というようなことも言っておるわけでございます。  それはさておきまして、この就業構造についてのお尋ねでございますが、ここに書いておりますことは、先ほど通産省の方からもお話がございましたように、産業別に見ますると名目実質ではかなり動きが違うというような御指摘がございました。  ここにもございますように、「第二次産業では、実質生産伸びが期待される」ということは、通産省がお述べになりました最近の数字の傾向からもそれが言えるわけでございまして、生産性がふえるということを通じまして実質生産はふえる、しかしそれに要する就業者の数はそれほど大幅なものでなくて済む、こういう意味でございます。したがいまして、「落ち着いたもの」という意味は別に減るということを申し上げたわけではありません。具体的な数字というものは、この八〇年代で幾らかというようなことを今回の「展望指針」では細かく出しておりません。この一番最初に申し上げましたように、非常に弾力的な対応を必要とする時期の計画でございますので、大きな方向づけをしているにとどめておるわけであります。  ただ、これは政府が決定した正式の計画というものではございませんが、経済審議会の中の長期展望委員会というところがいろいろ議論をしまして発表をしたものがございます。「二〇〇〇年の日本」というものでございまして、これはあるいは御承知と思うわけでありますけれども、その中でいろいろな想定をしておりますけれども産業別の就業者伸びは、幾つかのケースがありますが、例えば一九八〇年から二〇〇〇年までのこの二十年間をとった場合、年平均どのくらい伸びるであろうかということで想定をしておりますが、そこでは第二次産業は〇・五という想定になっております。で、その前の十年間、七〇年から八〇年までの十年間の年平均の増加率は〇・七でございましたからやや落ちる、小幅にはなりますが、〇・五%程度伸びは見込めるんではないかという想定が掲げられております。いずれにしましても、二十年先のことでございますから、このとおりになるかならないかという厳密なチェックは必ずしもできないわけでございますが、そういうものはございます。  いずれにいたしましても、就業者伸びは三次産業で非常に高い伸びが続くということでございまして、これはただいま申しました「二〇〇〇年の日本」の中でも第二次産業〇・五という想定の場合の第三次産業は一・三というふうに想定をしておるわけであります。
  11. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 経企庁にお尋ねをしたいんですが、先ほどからるるあらゆるいろいろな方面から御説明をいただいたわけでございますが、この御説明の中で一貫して言えることは、いわゆる行革の問題、あるいは財政改革の問題、あるいは産業構造高度化という問題、さらに民間活力役割、あるいは国際協力推進と、大体こういうところが一つの根になりながらさまざまな推定なり、あるいはまた計画なり、基本政策なりをつくられているようでございます。  ただ、私がここで通産省からの御説明をいただいた中との比率で、非常に先端技術ということを主体的に考えられて、そういった高度社会というものが今後さらに進展をしていくであろうと、それを基盤にしながらの政策策定がなされているように思われるわけでございますが、ところが、通産省のいろいろなお話の中で、ここにいろいろなグラフが出ているわけでございますが、製造業あたりがこれ五十年から五十六年を比較をしてみますと、二八・三%から三三・一%へ伸びていると。それから第三次産業というものがこれ比較をした場合には五六・五から五三・九にダウンしているというような統計が出ているわけでございます。  いずれにしましても、この高度化を進めていくということは今から先のこれ一つの大きな潮流ではあろうとは思いますけれども経済全体から考えた場合には、製造業というものはこれは無視できない一つの大きな要素を持っている、ここら辺が基盤になりながら新しい先端技術というものが発展をしていかなきゃいけない、こういうふうに基本的に私思うわけでございますが、そこら辺の記述がどうも少ないような気がするわけでございます。おたくのきょうの説明の中ではそこをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思うんですが。
  12. 政府委員(大竹宏繁君)(大竹宏繁)

    政府委員大竹宏繁君) 新しい経済社会基盤になる技術というものは、先端的な技術あるいはこれから出てくる新しい素材産業あるいは情報技術といったようなもの、そういうものは当然もう現在既にあるし、これから出てくる、そういうことはそれは間違いない。  ただ、それは一体どの産業で体化され、産業活動として経済成長を支えていくか、そういう問題かと思います。何か先端、先端と書いてあって、製造業がどうなるか必ずしもはっきりしないではないかというような御指摘のように伺ったわけでありますけれども、これはやはりそういう新しい技術というものが体化していく部分は、もちろん第三次産業もありますけれども、今の通産省の御説明にもございましたように、第二次産業製造業で体化されていくという部分が相当大きいわけでございます。新しい素材であるとかあるいは情報技術と合体したいろいろな機器であるとかいうようなものは、当然これは第二次産業あるいは特に製造業というものでつくられなければできないわけでございます。ですから、そういう意味におきましては、別に製造業をないがしろにしておるとか軽視しておるというふうには私ども考えておりません。  やや私の御説明が先端、先端というようなことばかり申し上げたようにお感じになられたかとは存じますが、ここに書いてございますことは、そういう製造業が今後衰退していくというような意識は毛頭ございませんし、産業の重要な柱であるという認識は変わっていない。通産省とは特に相違があるというふうには考えておらないわけでございます。
  13. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 労働省にお聞きをしたいわけでございますが、先ほどからるる御説明いただきました。この中で私一番問題になるのは、いわゆる中高年者の労働力をどういうふうに活用していくかという問題がどうも心配でならないわけでございます。  それで、その中でいろいろとグラフ等でも説明がございましたし、それと同時に文章でも御説明いただいた。新しい技術導入をした場合には大体二十代から三十代の前半だ、中高年者に対する適応というものは、いわゆる新しい教育を行った上で適応できる者、適応できない者が生まれてくるような記述があるわけでございますが、いずれにしましても、いかに現代に二十代、三十代の若者であろうとも、しょせんは年をとっていくわけです。そういう技術革新についていけるかどうか、そこら辺をどういうふうな今後教育を施しながら、あるいはまた政策を立てながらこの社会に適応させていくか、そこら辺も一つの今後の大きな課題になるんではなかろうか。現在はもうこれは大きな格差があると思います、これは急激に技術革新が行われましたから。しかし、やがて現代の二十代、三十代の人もさらに早いテンポでもって技術革新が行われるというところにやっぱり一つの問題点が出てくるんじゃないかというような気がしてしょうがない。  と申しますのは、先日、この小委員会で電電の研究所に視察に行ったわけでございますが、そのときに、今までは三年単位とか五年単位とかいろいろサイクルを言われておったけれども、今や半年ぐらいのサイクルで大きな前進を遂げて変貌しつつあるということになれば、相当ここらを考えていかないと大変なことになるのじゃなかろうかという気がしてしょうがないわけですが、その点はどうでしょうか。
  14. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) 御指摘のとおりだと思います。私どもとしては新しい技術変化に対応していく上でのこれからの最大の問題は、中高年齢者の適応と能力の活用ということでございまして、現実に導入直後等におきましては、むしろ若年化の傾向が出てきておるということが問題だろうと思っております。  したがいまして、高齢者の職場への適応対策がまず第一にありまして、それから、若い人たちが中高年になっていく過程でおくれていくということにつきましては、私どもでは生涯能力開発体制という方針のもとに、職場に入ったときにはいわゆる養成訓練という形で企業なり公共団体が訓練を実施していく。しかし中年になった段階で能力向上訓練と申しましょうか、途中で企業が、企業内で能力開発のための訓練、あるいは必要ならば外に出して公共訓練で請け負える部分につきましては、その部分での能力の開発向上のための訓練というものを生涯的に考えていくということで進めようということでございまして、まだ十分に働いていないかもしれませんが、既に私どもの対策といたしまして、職業生涯能力開発のための給付金制度を実はスタートさせております。これは新しい技術変化の中で中高年労働者を再訓練する場合には必要な助成措置をとるというようなこと等を進めているところでございまして、これらを中心にさらに中高年対策を進めていきたい。  それから、現在までのところ、企業におきましては雇用の安定というものを大前提に新しい技術導入を進めているというのがこれまでの実態でございまして、そのために労使が非常な御努力をされていらっしゃるということは承知いたしておりますが、今後とも労使の十分な協議のもとで新しい技術導入等が進められるような方策というものが重要ではないかというふうに思っております。
  15. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 労働省にお聞きしたいのですが、「FMS導入にともなう従業員の増減状況」、これを見ますと、「減員した」が軽工業の場合は八〇%になっているんですね。それから重工業の場合は五七%ですか。これは特に中小企業の分ですか、このデータは。
  16. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) 一般、全体でございます。
  17. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 全体ですか。そういうふうに見ましても、いわゆる減員が非常に多いというところがちょっと心配になるわけですがね、この図表はどういうことを意味していますかね。
  18. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) これはごらんのとおり、FMSの段階にいきますとかなりの減員が出てくるということは、この調査結果でも明らかでございますし、ただ現在までの段階では、FMSの導入の状況はかなりまだ低いということで、具体的な問題出てきておりません。しかし、今後FMSの導入が進んでいくという段階では、雇用の量的な問題というものも考えておかなきゃならぬと思いますが、これにつきましては、さらにマクロ的な観点から、その導入職場における大幅な減員がその企業における全体の発展の中でどういうふうに吸収されていくか、あるいは生産量の増大との関係でマクロ的には維持できるかどうか、それがさらに検討していかなければいけない問題だと思っております。
  19. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 そこでやっぱり一番問題になるのは今もあなたから御説明いただいたように、FMSがこれ全面的に導入されたわけではない時点で既にこういう結果が出てきておる。そうするとこれは将来は大々的に導入されていくという状況にあることは、これは否定できないと思うんですね。そのときにやっぱり大きく雇用問題というものがクローズアップされてくる。そこを一応想定しながら労働問題というのは考えていく必要があるんじゃなかろうか。というのは、もう大変なこのデータを、皆さんの今の御説明の中でも私は大きな危機を感ずるわけですが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  20. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) この点につきましては、労働大臣の私的懇談会として雇用問題政策会議というのが設置されておりまして、これは公労使のトップレベルの方々の意見交換の場でございますが、昨年来新しい技術革新雇用問題につきましての検討の中で、この三者構成の会議として、今後の新しい技術革新に対する雇用労働対策の対応のあり方について提言を考える必要があるということで今審議をしていただいております。その中では、今後の技術革新進展によっては大きな問題が出てくる可能性がある。その場合の対応のあり方については基本的には雇用の安定というものを第一義的に考えつつ進める必要があるという御指摘がされております。私どもといたしましては、それを中心課題に据えまして労使の協議システム等をさらに充実する形で進めていただくということが重要ではないかと思っておりますが、具体的な対応につきましては、さらに私どもとしても御指摘の点につきまして検討を進めてまいりたいと思っております。
  21. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 これは労働省だけの問題ではなくて、通産省あるいは経企庁、この三者がやっぱりお互いの話し合いの中で全体的に進めていかなけれは解決できない問題だろうというふうに私自身も思うわけでして、その中で僕は特に心配になるのは、図7に見た中小企業ですね、下請企業。これのいわゆる産業ロボットの導入、NC機械の導入、あるいはMC機械の導入。この比率を見てみますと、小さな下請工場は非常に導入がやっぱりおくれている。やはり三百人以上になってくると大きくずば抜けている、それぞれの分野で、導入が。そうなってくると、ここらでいわゆる弱者が、中小のうち小がだんだん脱落して、そして中あたりに集約されていく、そういう可能性が出てくるんじゃなかろうかというような気がするわけでございますが、この点は、これ労働省の資料ではございますけれども、通産省どういうふうにお考えになりますか。
  22. 政府委員(山田勝久君)(山田勝久)

    政府委員山田勝久君) 先生御指摘のとおり、私どもこういった先端技術進展に対して中小企業はおくれをとるんではないかという可能性を心配しておりました。そこで、五十九年度の税制改正におきまして、実は中小企業メカトロ税制というものの新設をお願いしたわけでございます。情報関連、あるいはNC工作機械、コンピューター、そういった新しい技術革新を活用していただくように、三〇%の特償、あるいは七%の税額控除――選択制でございますけれども、中小企業にとって必要な新技術体化投資促進税制と申しますが、俗に言う中小企業メカトロ税制でまず対策を講じたところでございます。そのほか先生御指摘の点を十分踏まえて、中小企業がおくれをとらないように、むしろこれを契機にして中小企業の活性化が進むようにしてまいりたいと思います。
  23. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 税制だけの問題でこれ片づく問題じゃ私はないと思いますよ。今から先の、産業構造そのものが大きく進展している中での一つの大きな渦の中に巻き込まれながら前進をしていくわけですから、私は単なる税制だけの問題でこれ片がつく問題じゃないと思うんですよ。そうなってくると、やはり協業化ということをある程度進めていかないとこれはもたないんじゃないか。そうすると、これはそういうことが手がおくれてしまうと、大きないわゆる失業問題なりあるいは社会問題に発展していくおそれが私は出てくるんじゃなかろうかと、こういうふうに思うんですけれども、その点どうでしょうかね。
  24. 政府委員(山田勝久君)(山田勝久)

    政府委員山田勝久君) 協業化ないし組織化政策というのは、まさに中小企業政策の非常に大きな根幹でございます。従来は共同販売ですとか共回生産ですとかいうことでやってまいりましたが、これに技術の面でも共同して、そしてそれを生産に生かしていくということはまさにこれからの新しい方向として必要だと思います。  それから、技術開発費というもの、そしてそれが自分に合うような中小企業特有の技術開発をするということもまた出発点として必要だと思います。それが地方地方によって特色があろうかと思いますので、中小企業の活性化投資というんでしょうか、そういう研究開発についてのいろんな制度も拡充いたしております。
  25. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 経企庁にお尋ねしたいんですが、いろいろとおたくの資料で、あるいは政策あるいは基本認識、そういうものを全部見ますと、「国際協力推進」という問題も出てきます。これは今から先はやっぱり世界というものをにらみながら、世界というものの中に組み込まれながらどうしても前進しなきゃならぬというのが近代社会の常でございますけれども、その中で特に日本が大きな影響を受けるというのはアメリカだろうと思うんですね。現在でこそ産業日本が優位に立っているかもしれません。しかし基礎産業というもの、基礎技術というものを眺めた場合にはこれもうやっぱり相当な開きがあるわけですね。そしてアメリカがおくれをとった大きな最大の原因は何かというと、やはり工作機械その他の機械が非常に古くなり、老朽化していると。日本は戦争にぼんぼんやられちゃってゼロから出発して、アメリカと比較した場合には、やはり先端技術導入した、いわゆる機器によって支えられたということが一つ要素としては否定できないことだろうと思う。アメリカはそういったことで活性化をどんどん進めておりますね。これにどういうふうに対応していくかということは、これは大変な問題だろうと思うんです。これが一つ。  それから、アメリカでもヨーロッパでもしょっちゅう言われておる問題でございますが、日本人として何を発明したんだ。おまえたちはおれたちの発明したものを基礎にしながら、それを改良しながら現在のいわゆる近代化が進んだんじゃないか、技術革新が行われたんじゃないかと。これはもうアメリカやヨーロッパへ行って、いつも言われて頭が痛い問題なんですが、その辺のやはり底を広げるということ、底の厚みをつけるということ、ここら辺がやっぱり大きな課題になってくると思うんですが、ここら辺は、この二点どういうふうにお考えでございますか。
  26. 政府委員(大竹宏繁君)(大竹宏繁)

    政府委員大竹宏繁君) 第一の点でございますが、冒頭申し上げましたように、我が国の現在の立場というものはいろいろな意味で欧米先進国と肩を並べるような点が多くなってきておるわけでございます。したがって、これからお手本といいますか、今までキャッチアップする目標みたいなものがあって、そこへ向かってエネルギーを結集して進んできたというようなことが言えるかと思うわけでありますが、今後は新しく日本の独自のものを見出し、それを推進し、あるいは世界経済社会発展に貢献していかなくちゃいけない、そういう立場になっておるわけでございます。  特に経済活力という面でアメリカ経済についてお触れになられましたけれども、アメリカもいろいろな面があるわけでございまして、一方で非常に進んでいる面がございますし、あるいは産業によっては非常に老朽化したものを抱えてどうするかというような問題に悩んでいるという面もございます。なかなか一概には申せないかとは思いますが、ただ、そういう活力の源泉というものを考えますと、一つ技術の点に即して申しますと、研究開発費というものが非常に重要である。単にお金の額だけではなくて、使い方とかいろいろあるわけでございますが、そういう研究開発費というお金だけの点を申しますと、我が国もかなりそういう意味では欧米の水準に近くなっているということは言えるのではないかと思います。国民生産に対する研究費の国際比較というものを見てみますると、これは一九八二年の数字でございます、五十七年の数字でございますけれども日本は二・四四という数字になっております。アメリカが二・五六、西ドイツは五十六年の数字でありますが二・六六でございます。それからフランスが二・〇六、イギリスが二・三五というようなことでございますので、金額の面ではまずまず遜色のないところへ来ておると言ってよいかと思います。  したがって、ここから第二の御質問に触れることになるかと思いますが、どうやってそれでは新しい独自の技術、人まねでない技術を生み出していくかということは、そのお金の使い方あるいは人材の養成といったような科学技術政策、あるいは産業政策も一応関係があるかと思いますが、あるいは教育政策といったようなところに全部がかってくる問題でございます。そこはこの「展望指針」でもかなり、きょうは余り申し上げませんでしたけれども科学技術のそういう独自の研究の必要性ということは指摘をしておるところでございます。したがって、関係省庁におかれまして、そういう意識でこれから、あるいは既に政策を検討、考え、あるいは実施をされているというふうに私どもは思っておるわけでございますが、そういう問題意識そのものはこの「展望指針」にも明らかにされておるところでございます。  科学技術というものは、これも御承知のとおりでございますが、やはり何か核になる技術というものが発明されるということももちろん必要でございますが、それを実用化するということも、それに劣らず必要ではございます。そういう意味で、日本は人まねばかりという御指摘も一方ではございますけれども、それを実用化し、広く使われる技術に仕立てるということもまた重要な貢献ではあるとは思います。しかし、もちろん新しいものをつくっていくというところがなくてはこれからやっていけないということでございますので、そういう問題意識はこの中にも指摘されておるところでございます。
  27. 桑名義治君(桑名義治)

    ○桑名義治君 僕は今二点申し上げたですね、いわゆるアメリカとの産業のバランスですね。この面についてのお答えが余りなかったような気がしてしょうがないんですよ。経済学者の中には、あと五年、あと十年と言う人もおりますが、やがて日本とアメリカは経済力が逆転するであろう、こういうふうな指摘が今随分なされておるわけですね。そこら辺をどういうふうに認識なさったのかということをちょっとお聞きをしたかったわけですよね。
  28. 政府委員(大竹宏繁君)(大竹宏繁)

    政府委員大竹宏繁君) 経済力を何ではかるかということも一つあるかと思います。GNPの成長率というようなことも一つでございましょう。あるいは単に成長率だけでなくて、物価であるとか対外的な収支の均衡の問題、あるいは失業といったような経済のパフォーマンス全部を入れて考えるということも必要かと思います。そういう総合的な目で考えますと、日本がアメリカを追い越すという意味はどういうことかということでございますけれども、GNPの伸びという点からいいますと、まだまだアメリカに対して日本はGNPは二分の一程度でございますから、いわゆるその規模において追い越すということはまあ五年や六年の先の話にはないと思います。  ただ、最近のアメリカ経済いろいろな見方はあるわけでございます。問題を非常に抱えておるということ、特に財政赤字あるいはそれとの関連があると言われておる高金利の問題とかいろいろ問題があるわけでありますけれども、ただ現在の勢いといいますか、活力といいますか、そういうものがもし続いたら、アメリカ経済は今までこう沈滞していたところから脱却して非常に生産性も高まってくるんではないかという説もございます。したがって、アメリカの持つ力というものをどう評価するかということはなかなか一概には言えないと思います。  ただ、本日の御議論に即して申しますと、一つ技術革新がどの程度、どんな速さで進んでいくか。それの日米の比較という問題があると思いますし、それから、そういった技術革新が進み、産業構造就業構造変化していったときにうまく円滑に転換をしていけるかどうかと、そういう問題もあるかと思います。その技術進歩の速さということは、これは一番先端の技術をとった場合には、いろんな見方はあると思います。物によってはアメリカが進んでいる、日本が進んでいる、いろいろあると思います。そこら辺、今のレベルがどうであり、今後どうなるかということを的確に申し上げる能力は私も正直言ってないわけでございますけれども、ただ、そういう転換をしていく能力の点、円滑に転換していく能力といいますか、そういう産業構造なり就業構造変化に対応していく能力というものは、日本経済というものはかなり柔軟性がございますので、そこは持っておるんではないか。  もちろん必要な施策も講じていくということが必要であると思いますが、そういう意味から申しまして、説明の際申し上げましたように、日本経済の良好なパフォーマンスを維持する基礎的な条件はあるというふうに私どもは考えております。したがって個別の技術あるいは特に先端的なものの開発という面については、あるいはアメリカが非常に速いやつもあるし、日本が速いやつもある。ただ、総体としての力は日本経済というものはアメリカ経済にそれほど劣っておるというふうには思っておりません。
  29. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 労働省にお伺いしますけど、OAが導入されて、特にこれを使っている婦人の労働者の健康破壊ということが各地で問題になってきていると思うんですけれども、ごく最近VDTの作業に基準を労働省が設けられまして、今まで何もなかったということを考えればひとつ評価できると思うんですが、しかしこれだけでは本当に足りませんで、ほんのまだ第一歩だという気がするんですね。それで、特にこういう問題について今後ともいろんな基準をつくったり、それから指導を強めていかれると思うんですけれども、例えば今雇用平等法との関係で深夜業の廃止なんということもされかねない状態にあるんですけれども、OAの導入に伴う労働者の健康ということについて、もっともっと保護というか規制を強めていただきたいと思うんですけれども、そういう点について今後の見通しを労働省にお伺いしたいのと、それから通産省にこの機械についての何らかの健康を保護する上での基準といいますか、今無制限につくっているわけですね、だからそういう点で、もっと通産省の方で働く人たちの健康という面から機械の基準などについて将来設けられるような準備が進められているのかどうか、そういう点をちょっとお伺いしたいんですけれども
  30. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) OA機器の導入に伴う安全衛生面への影響につきましては、既に私ども研究所においていろいろ研究いたしておりまして、そのために健康対策ということの面では御指摘のように最近VDT作業にかかわる目の疲労の問題等を注目いたしまして、いわゆるガイドラインというものをつくったわけでございます。これはあくまで暫定的なものでございまして、さらに研究を深めまして、できるだけ早い機会にVDT作業にかかる作業基準的なものをつくって適切な光度の問題、明るさの問題、あるいは継続時間の問題等についても基準等の作成を目指して努力していきたいというふうに思っておりますが、それと同時に、やはり新しい技術に入ってくる過程で安全衛生の問題が大きな問題になりますので、私どもとしては機器自体が労働安全、健康に障害のないようにしていく機器の開発の問題と、それからその使用時における安全衛生のルール化と申しましょうか、そういうものをできるだけ早く確立していきたいというふうに考えております。
  31. 政府委員(山田勝久君)(山田勝久)

    政府委員山田勝久君) 先生の御指摘非常に重要な面を持っていると思います。私ども機械の生産活動におきましても人間工学的な面というのは相当活用していると思います。しかしこれからは技術が進む、私どもハイテクノロジーと言っておりますが、ハイテクノロジーが進めば進むほど人間的触れ合い、あるいは文化的な側面というものが重要になってくる、こういうふうにアメリカのベストセラー作家のジョン・ネースビッツが言っております。むしろそういったハイテクとともにハイタッチ、人間的な側面が重要になってこないとハイテクノロジーも進まない。私どもそういう観点から一つ言いますと、工作機械というものをつくってきた、あるいはNC工作機械に発展してきた。そのデザインというものは従来効率性、機械としての機能面を中心にデザインされてきたと思います。しかし、これはこれからの方向だと思いますけれども、そこに働く人たちのことも考えてデザインを考えなきゃいかぬ、あるいはちょっときざな言葉で言いますと、美的感覚を持ったデザインを持った工作機械が職場にあらわれてくる、これが一つの人間工学といいますか、これからのハイテクとともに歩むハイタッチということではないかと思います。
  32. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 OAの機器の導入について婦人労働者とかそれを操っている労働者にどういう影響があるのかというようなことを労働省として今どの程度つかんでおられるのかという点を続けて伺いたいのと、それから例えばOA機器などを深夜にまでわたって婦人労働者が扱うというようなことは大変健康にも大きな影響があると思うんですけれども、深夜業の禁止との関係で今後そういう方向に向けてやっぱり規制を強めていただきたいというような声が大分あるんですけれども、そういうことはいかがでしょうか。
  33. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) OAにかかる調査でございますが、労働省は昨年実は調査をいたしております。現在まだ調査の集計段階でございますので、いずれ結果がまとまると思いますけれども、これはOA機器の導入の状況、あるいはそれによる労働面への影響等について調査しているものでございまして、いずれこの結果等を踏まえまして必要なOAに対する労働省としての措置、対応を考えていきたいというふうに思っております。  それから御指摘の深夜労働につきまして、女子労働者の深夜労働は禁止されておるわけでございますが、通常の勤務の中でOA機器を扱うことに伴う、先ほど申し上げました衛生、健康面への対策につきましては、特に女子就業者がこれを多く扱っているという現状にかんがみまして、さらに対応を考えていきたいと思っておりますが、女子労働全般の問題につきましては現在いわゆる男女雇用平等法案の中で女性労働のあり方、対応についてまた検討いただくということになろうかと思っております。
  34. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 その結果はいつごろ発表なさるんですか。  それと、やっぱり深夜にまでわたってOAの機器が扱われるということは、労働省としては、今は禁止されていますけれども、今後の問題として、そういうような職場で深夜にわたって婦人労働者が働くというようなことはもちろん適当でないというふうにはお考えになっていられるんでしょうね。
  35. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) 調査についてはまだ集計の段階のように聞いておりますので、ちょっとまとまる時期についてはまだ私からはっきり申せないんですけれども、まとまりましたらまた発表さしていただくということにしたいと思います。  それから女子労働者の就業問題どこのOAとの関係でございますが、私ども現在やっておりますのは、OAに伴う労働への影響、あるいはそれがどういう影響を質的にも与えているかというところの検討でございまして、それと女子就業との関係につきましてはまた別な観点から検討しなければいけない視点が出てこようかと思いますので、その点につきましてはこの場で私からお答えするのはちょっとできかねますので、御了承いただきたいと思います。
  36. 小委員長(梶木又三君)(梶木又三)

    ○小委員長梶木又三君) 一点だけお伺いしたいんだけれども、先ほどの労働省の第二次の中間報告、これは今の先端技術導入程度であればこういう結果が出るだろうと思いますよ。これはそれなりに、私は現状分析されて正しいものだろうと思うんだけれども、今では、ある会社は、ある企業は相当進んだ技術革新をやっておるんだと思うんです。そういうところの資料も出ておる。しかし、まだやっていない、非常におくれた部門も現在ではあるわけだ。非常に過渡的な段階なものですから、雇用面において、例えば先ほどの報告にあったように配置転換等割合容易にできるかもわからぬと思うんですよ。  それは例えば技術革新をやっていないところがあれば生産性がまだおくれておる、片一方では生産性が上がった。しかし片一方におくれておるところがあるから生産された価格なんかこっちに引っ張られて、生産性が上がってもそれほど安くしないという面もあります。だから雑用というか、いろんな点にも、労働協約もあるからそう簡単に今の時点では解雇できない。ところが、あらゆる部門の企業がずうっと進んでいく、それからまたそれも一次、二次、三次、まあ一次は別にしまして、全部やっていく、そういう時点において今の分析のような雇用関係でおれるのかどうか。  先ほど経企庁の方から、六十五年完全失業率二%を目標にしておるという話ね、今の完全失業率の統計の取り方に私自身は疑問があるんだけれども、それはそれとして、六十五年までに二%を目標にしてやっていくとなると、相当いろんな面において対応策を考えていかんとこれは非常に難しいんじゃないか、こういう感じがするんですよ。だからそれについてひとつ通産省も含めて、簡単で結構だから、とりあえず六十五年の今の二%目標にするのにはそれぞれの立場からどういう方策を考えられておるのか、これをひとつお伺いしまして終わりたいと思います。
  37. 政府委員(野見山眞之君)(野見山眞之)

    政府委員野見山眞之君) 先ほどお話がありました完全展用目標二%水準につきましては、私どもは昨年の秋に「展望指針」と対応いたしまして雇用対策基本計画政府で決定していただきましたけれども、その中におきまして今後の需要と供給の構造変化を見ますと、需要面ではサービス経済化等を伴う産業構造変化、そして新しい技術革新が進んでいくという一方で、供給面から申しますと、御存じのように高齢化進展していく、さらに婦人の職場進出が今後進んでいくというような、需給両面の構造変化のもとでは需要と供給は結びにくい状況、すなわちミスマッチの状況が出てくる。このミスマッチをできるだけ解消していくという努力の中で、二%程度完全雇用目標に向かって努力していきたい。  その対応策の第一番目は、新しい技術進展に対応した雇用の安定拡大対策を進めていくというのが第一、第二番目は、高齢者対策を中心とする雇用の安定確保の問題、三番目は、サービス経済化に対応する雇用対策として、最近出ておりますパート労働を中心とする短時間労働対策を進めていくというようなこと等を基本的な課題として、その計画の中で今後進めていくことにいたしておりますが、ただいま委員長指摘の今後の技術革新進展の度合いというのは、これは私どもでは想像できないような形でございまして、そのテンポにしても幅にしても、大きなものになるということだと思います。  しかしながら、現在までのところ企業が抱えている雇用労働者についての雇用安定は、現在の終身雇用あるいは日本的な労使関係の中では維持されると思いますけれども、新規に学校を卒業して就職する人たちの雇用機会が、国全体の雇用需要全体の伸び悩みがあるとすれば問題が出てくるのじゃないだろうか。既に端緒的に最近における高校の卒業者を対象とする求人が伸び悩んでおりますけれども、その要因として、やはり最近のOAあるいはその他の技術進歩が新規の雇用需要の鈍化をもたらしているのではないかというふうにも懸念されるわけでございます。  したがいまして、この新しい技術に対応した労働対策のあり方としましては、労働対策だけでは対応できないというふうに考えております。そのためにやはり適度な経済成長が持続されていくという環境がまず必要であるということが一つ。それからもう一つ産業政策と労働政策の連携をとりながら対応していくということが重要ではないかというふうに思っております。
  38. 政府委員(山田勝久君)(山田勝久)

    政府委員山田勝久君) 最近の製造業における人員配置の傾向というものを調べてみますと、直接製造部門、それから管理部門のウエートが減ってきております。それに対していろいろなソフトウエアの面を含めまして企画開発、先ほど御議論になりました研究開発の問題も含めて企画開発、それから販売部門と申しますか、マーケティングの部門、これがふえております。そういうことで、なるほどこういった新しい技術を活用して直接製造部門の方はOA化あるいはFA化でかなり合理化が進むと思いますが、他方、企画開発とかマーケティングの方で人間を吸収していくという傾向が現在見られております。  それから、基本的にはこの技術革新というものの果実を企業経営に生かすということでございますが、そこを通じて労働時間の短縮という方向に活用できれば、それはまさに生活あるいは日本社会というものの前進につながるわけでございますので、そういう面で生かしていったらいかがかなと思っております。
  39. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 ちょっと通産省にお伺いしたいんですけれども、コンピューターなどの技術革新開発に伴う補助金のことなんですが、非常にコンピューターの開発によって大きな企業が利益をたくさん得ていると思うんですね。第五世代のコンピューターなどについても補助金もたくさん出ておりますけれども、この補助金の回収ですね、それについて伺いたいんですが、たくさんの補助金を出してしかも技術開発されてそして利益が上がっても、なかなか返還しないという問題がありますね、返還させないという問題がありますね。私たちこれたびたび国会でもほかの委員会でも伺ってきたんですけれども、ここがどうも納得いかないんですね。  物すごい付加価値の高いものが生み出されてきて、そしてもうかっている。それなのに返還がなされない。そこがやっぱり中小企業などがその恩恵を十分に受けていないということと相まって、すごく不公平に思うんですけれども、その辺について、もっときちんと利益を上げたものについては返還させていくような方向が望ましいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  40. 政府委員(山田勝久君)(山田勝久)

    政府委員山田勝久君) 研究開発等に占める政府の割合というのは諸外国に比べると日本が一番小そうございます。現在大体二六、七%でございます。ヨーロッパ、アメリカは大体四、五〇%、その中でいろいろ先端技術の基礎的な面について補助金あるいは委託をさしていただいておりますが、補助金の場合には、先生御指摘のようにもうかってきますと返還をしてもらう、こういうことでございます。外国の場合には、多くの場合やりっ放しということですが、補助金というと出しっ放しということが普通の常識でございますが、この研究開発に関しましては、先生御指摘のようにペイしできますと返していただくということになっております。私どもの理解では過去のプログラムはそういう方向で行われているはずでございます。始まったばかりのものはまだ収益が上がっておりませんから補助金が出る一方でございますが、やがて収益活動になりますと返還されるということでございます。  第五世代コンピューター、これは始まったばかりでございまして、約十年計画でございますが、これに匹敵するものが、イギリスでもアメリカでもむしろ補助金の程度というものは我が国よりも政府依存の強い形で出てきていますので、私どもその辺は十分考えて、企業一点張りというイメージじゃないもので、実行しているわけでございます。  それから中小企業でございますが、私どもの予算、ほかの各省に比べて相対的に少のうございますけれども、一がエネルギー、二が中小企業、これでほとんど取られております。まさに私どもの予算は中小企業ということに相当集中しておりますので、技術の面においても中小企業ではかなりのウエートを持っているのが実態でございます。
  41. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 そこはいろいろとやり合って、ちょっとまだ平行線になっていることだと思うんで、私お願いしておきたいんですけれども、やはり中小企業にかなりやっているというのは、実は事実に反することで、大企業と比べても少ないし、中小企業の補助金などがどんどん削られていっているというのは予算の上で見ても事実なんですが、このコンピューターとか、こういう技術革新に対して大企業にたくさんの補助金を与えてきたし、今後も与えるんですけれども、それはやっぱりきちんと利益の上がったものは回収するという、そういう方向でやっていただきたいという注文をつけておきたいというふうに思うんです。  それで、さっき技術革新に伴って時間が短縮される、その労働時間が短縮される、そういう福音があるというふうにおっしゃられましたけれども、実際問題としては、労働時間が本当に短縮されて、それが労働者にはね返ってきているという面じゃなくて、むしろ合理化とか配置転換という、中高年の労働者などにとってはかなり厳しい状態になってきていると思うんです。  最後に、経済企画庁にお伺いしたいのは、「展望指針」の中で、「労働生産性向上の成果を労働時間の短縮等労働者福祉の向上にむすびつけ、ゆとりのある職業生活を形成する。」というふうに述べておりまして、これが実現されることが私たち大事だと思うんですけれども、実態は、今私が申し上げたようなふうに逆行しているわけですね。そういう面で、やはり労働時間の短縮という点について、もっと強力な行政指導をしていくべきじゃないかということをお伺いしたいんですけれども
  42. 政府委員(大竹宏繁君)(大竹宏繁)

    政府委員大竹宏繁君) この「労働生産性向上の成果」というものの配分でございますが、それは、一つは労働時間の短縮という形で働く人たちの福祉に還元されるということは、それはお述べになられたとおりであると思います。ただ、いつ、どのくらい、それがどうなるかということは「展望指針」の中で具体的にそこまでは書いてはおりません。これはやはり産業政策なりあるいは労働政策の中で具体的に検討あるいは実現されていくべきものと考えておるわけでございます。ただ、基本的な立場としては、そういう趣旨を踏まえて「展望指針」にも触れてあるわけでございますので、私どももそういう方向で努力をしたいと思っております。
  43. 小委員長(梶木又三君)(梶木又三)

    ○小委員長梶木又三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十三分散会