○
上田耕一郎君 確かに
建設省の所管は駅前広場並びに都市
計画道路なんですけれ
ども、あそこはもう一つF・Fビルというような問題がありましてね、これは武蔵野市の単独
事業です。単独
事業だけれ
ども、実際上この都市再開発と非常に
関係があるのです。というのは、駅前広場をつくるためにあの駅前の一等地で商売をしてきた方々を募集して、積極的に協力しようと、不安を持ちながら。その方々が七十数店F・FビルのA棟に入ったのですね。B棟の方は伊勢丹になった。ところが二十年たって、協力して一等地からF・Fビルに進んで参加した方々が、ちょうど大阪の梅田で問題になったような大変ひどい
状況に陥っております。
例えば、七十三店当初入った方々が今半分以下の三十二店になったという
状況があります。中には滞納がたまりまして、開発公社からかなりおどかされて、少し気の小さい方で、おすし屋さんが首つり自殺までするという悲惨な例まで出ておりますね。今このF・Fビル問題が伊勢丹の進出と絡んで非常に大問題になっているんだけれ
ども、当初、だから協力した業者と、それからやっぱり頑張った方と分かれたわけですね。頑張った方はいまだに駅前で、一等地で商売をされている。ところが協力した方々は、入ってから十数年たって半分にはなる、しかもさらに追い出しをかけられるということ、売り上げも少ない、減るということで、物すごい格差ができたわけですね。そうすると、再開発に協力して権利変換やったら区分所有になって、移ったところがこれはだめだと。むしろ頑張った方が何とか生活はできるしというので格差がこんなにできているでしょう。そうすると、駅前広場を六百平米のをつくろうとしているんだけれ
ども、それを進めるためにも、みんなF・Fビルの二の舞をしたくないというので協力しないわけですよ。
そういう点では、武蔵野市の単独
事業ではあるけれ
ども、あそこの
建設省も
責任を持っている街路
事業、駅前広場をつくる
事業にとって実際上深い
関係があるんですね。だから、あの地域では再開発といえばまずF・Fビル問題と、そういうふうにみんなが見ているわけですね。そこの点の
関係をひとつよく御
理解をまずいただきたいと思うんです。
それで私、
建設省の
建設行政として三つの問題があるんじゃないかと思うんですね、考えなければならぬ点で。
一つは、当初の約束が守られないということです。これはちょうど梅田と同じですね。当初の約束が守られない。F・Fビルに入居している業者の方々にお聞きしますと、まず第一に、百九十号という区画街路をビルの前から駅前まで通す、地下道もつくる。それから地下フロア等々は味の店として本当に区分所有者だけでやる等々、まだ伊勢丹との
関係いろいろありますけれ
ども、そういう約束だったわけですよ。やっぱり市をみんな信じたと言いますな。本当に信じて、約束が守られると思って、不安は持ちながらも胸を躍らせて入居されたというんです。ところがそれから、あれは四十八年ですから、十年ちょっとたっていますよね。たってみると先ほど申しましたような
状況で、売り上げは減る、店もつぶれるし、出ていった人もいる。駅前の人々と物すごい格差ができてしまったわけですね。経済
状況の変化もあるかもしれないけれ
ども、約束したのは市並びに開発公社ですからね。
事業主体の
自治体の約束が守られていない、被害は全部協力した業者にかぶせられてしまった、こういう大きな問題がまず第一にある。
それから二番目に考えるべき問題は、大型店の進出問題です。大型店問題は、
建設省も通産省といろいろ協議をしておられるし、大体しばらく抑制しようということになっているわけですね。ところが、伊勢丹大型店問題が一番かんできた。伊勢丹が店を開いたのは
昭和四十六年です。ところが、三年後の四十九年に近くに近鉄と東急がオープンした。これは売り場面積が伊勢丹よりはるかに大きいんですな。お客をどっと取られたわけですね。五十五年にはパルコがオープンした。
今、吉祥寺は非常に有名で、商圏
人口百五十万と言われ、一日乗降客四十六万人、ヤングの町として有名なんだけれ
ども、そういう中で最初に進出した伊勢丹がアウトになってきて、伊勢丹が約三千平米の増床
計画を立てるわけですね。それでA棟、大体これは
行政ビルであって、結婚式場だとかそれから市民の集会場だとかいろいろあって、それで協力した方々を入れたビルでしょう。そこに進出してくるわけですね。それに問題は、開発公社、
自治体が伊勢丹の進出
計画に賛成して、意図的にショッピングセンターという管理
会社ができているんだけれ
ども、そこを使って業者の方々の追い出しを系統的にやってきたという問題がある。だから、大型店の進出問題に対して地元の業者を守るべき
自治体が、自分の
責任で
行政ビルを建てたわけだから、そこの
自治体が一体どうすべきかという非常に大きな問題がここにあるんですね。
これについては証言もあります。四月四日、開発公社の臼井理事長は、五年前から伊勢丹を進出させるために空きフロアづくりをしてきたということをはっきり言っているんです。つまり商売がうまくいかなくなった店が出るでしょう。そうすると、その店から開発公社が買い取ったり賃貸させるわけですよ。そして伊勢丹のフロアを進出させるわけです。もう既に一、二階は伊勢丹になっていて、地下一階にも伊勢丹が進出してきていますね。
こうなってくると、例えば伊勢丹のシャッターが七時におりちゃう。それから九時にはさらに全体のシャッターがおりる。飲食店だから十一時までやっている店もあります。深代さんという有名な歌声喫茶の「ともしび」なんか十一時までやっていますからね。そうすると、シャッターは閉まっちゃうんで、あそこはお化け屋敷という名前までついているというような
状況で、しかもそういう業者に対しては地上には看板を出させないということまで行われて、看板を出させるだけに四年かかったというのですけれ
どもね。大型店の進出と地元の業者との共存共栄というか、本当に民主主義的にどういうふうにすべきかという問題が第二の問題としてあると思うんです。
一つ一つ本当はお聞きしたいんですけれ
ども、時間もありませんので、ちょっと問題点だけ言ってしまいます。
三つ目は区分所有問題。これは都市再開発をやって業者の方々が権利変換をやり、ビルを建てる場合に区分所有、分譲方式で行われるケースが多いわけですね。これは「週刊住宅」という
新聞のことしの四月五日号に、
建設省の都市開発課の、名前は書いてありませんけれ
ども、談話がかぎつきで載っています。この都市開発課の談話は「代替地が賃貸方式だと、役所仕事の面と民間サイドの営業面とがしっくりゆかないきらいがあり、その点吉祥寺の場合は分譲方式で、自分たちの財産を運営するのは、自らの
事業努力の問題だということで、むしろはっきりしていいんですがね」と、そう思うということを都市開発課の方は述べている。ところが、開発公社の方は伊勢丹を伸ばそうというわけだから邪魔になっているわけですな、区分所有の方々が。それで臼井理事長は、区分所有にしたのが間違いだったと、区分所有者は邪魔だということまで述べているので、非常に問題になっていますね。
以上、私は最初の
自治体の約束が守られなかった問題、それから大型店の進出に
自治体側が非常に協力した問題、三番目に区分所有という方式が邪魔者だということで、買い取った者が全部空きフロアにしちゃうんですね。空きフロアにしてそのままになっているという
状況で、私は最近現場に行って皆さんのこともお聞きし、
資料も全部読んだんですが、市議会でも去年の九月に
建設委員会で満場一致の請願が通過し、それから本会議では賛成多数で請願も通っていますけれ
ども、どうも
自治体の姿勢としては問題があるんじゃないか。
そういう点で、単独
事業のケースではあるけれ
ども、あの吉祥寺駅北口の再開発問題の今後の進行、さらには武蔵境の再開発も新しく問題になっておりますし、地元も望んでおりますし、そういうところにも響くわけですね。みんな吉祥寺の二の舞は御免だという声でにっちもさっちもいかない
状況になっている。その点で
建設省としての適切な
行政指導、これが必要ではないかと思っておりますが、御答弁いただきたいと思います。