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国務大臣(水野清君) 六十年度予算編成に際しまして、
建設省といいますか、
建設省を
中心とした、まあ他
省庁のことは申し上げるのも
権限外でございますが、公共
事業費の
あり方について私どもも非常に苦慮をしております。御
承知のとおり、過去五年間ゼロシーリングあるいは昨年はマイナスシーリングで切り込んできております。そこで、例えば道路にしましても河川にしましても下水にいたしましても、あらゆる
建設省の五カ年
計画が思うとおりの進捗を図っていないことも先刻御
承知のとおりであります。
事業量について申し上げますと、五年前の
事業に対しまして五十九年度は、大体
事業量で言いますと、物価が上がっておりますから、幾ら物価が上がらない
日本経済だといいましても若干の上昇率はございますから、大体二割程度の
事業量は減であると、これが実情であります。
そこで私どもは、予算編成
方針として内閣の
方針が決定いたしますと、私ど
もとしては非常に
動きづらいといいますか、いろいろやりにくい点もございますので、その前にひとつ世論の喚起を図っておきたいというようなことから、
先生御指摘のように、各種の大会その他を開催していただきまして、その際に実情をぶちまけてお願いをしているということが事実でございます。
そこで、行革審が昨日これは新聞紙上に、
報告書の案でございますからこのとおりかどうかわかりませんが、発表をしておられます。発表ではなくてこれは新聞のリークかもしれませんが、ともかく出ております。この中で私どもが一呑気にしておりますのは、私どもはマイナスシーリングは困るということで公共
事業費を適当に伸ばしていただきたいと言いましても、結局は財政再建の最中でございますから、その財源がどこから出てくるかという問題が
一つあります。
一つというよりもこれが最も重要な問題であろうと思います。ことしの経済成長率がやや高いためにそこから生み出すという楽観的な
考え方も
一つございますけれども、ともかくどこに財源を求めるか。増税ということは、増税なき財政再建ということを言っている最中でございますので、私どももそういうことは
考えておりません。
結論といたしまして、やはり
建設国債をある程度増発をしていただきたいということを
考えろしかないだろうと、こう思っております。
しかし、これに対しまして、行革審のお
考えは真っ向から反対でございまして、
建設国債も一般の赤字公債も一蓮托生に一種のむだ遣い視をされて非難を受けているわけであります。しかし私どもは、
建設国債というものはこれは公共投資という形を通じて社会資本として少なくとも数十年の耐用年数の間、経済効果を発揮する資産として子孫に残すわけであります。片一方で借金をするわけでありますけれども、いわゆる後作度負担という形で残るわけではございますけれども、ただの借金ではなくて、いわゆるフローでなくてストックという形で
日本経済に大きな
機能をする。例えば、今日高速道路が
日本の南北にほぼ概成をしまして、これが
日本経済に大きな経済効果をもたらしていることはおわかりいただけると思いますが、同じような効果が各種
事業において発生していくということであるならば、これはひとつお認めいただけないであろうかということを私は各方面にお願いをしているわけでございます。
大変長時間にわたってこういう
答弁を申し上げるわけでございますけれども、言ってみますと、ちょうど
日本経済と企業と同一視して申し上げるのは妥当かどうかわかりませんが、経営が非情に悪化してきている企業体を再生させるためには、あるときにはやっぱり銀行からお金を借りてでも新しい商品
開発をする、あるいは新しい機械を買ってそこで新しい製品をつくるというようなことは当然必要なわけでありまして、今、
日本経済にとってはやっぱり同じようなケースに当たっているんではないだろうか。いわゆる一律マイナス削減は困る、しかし私どもも、これもいろいろ異論がございましょうが、同じ
建設省の予算でも、いわゆるフローに当たる物件費であるとかあるいは人件費であるとか、そういったものについてさらに節約をしろと言うならば非常に苦しい状態で、例えば役所の
局長さんたちは全新聞なんかもちろん読めないわけでありまして、お互いに新聞は違う新聞を入れてもらって交換して読み合っているというような節約もしておりますし、できるものはさらに節約をしていきたいと思っておりますけれども、このストックの部分については私は別じゃないかという哲学を持っているわけでございます。
それから、さらに申し上げさしていただければありがたいのでございますが、この行革審の中で、
我が国の景気は目下拡大過程にあり、景気刺激を必要とする状況とは
考えられないと、こういうふうに決めつけておられます。しかし、これは
日本経済全体としてはそうでございましょうが、地方経済の実情は公共投資に依存する
地域が非常に多い。東北、北海道、四国とか九州、山陰というような
地域は、一次
産業と公共投資だけで経済が運営されているというのが御
承知のとおりの実情であります。そして、そういうところでは今や倒産件数も非常に高いと。いろんな
意味から、この言葉も大まかにはさようかもしれませんが、私はこの
地域格差ということを余り理解をしないで文章を書いておられるんじゃないかというふうに思っております。
さらに、たとえ今の行革審の申し上げた、
我が国の経済は目下拡大過程にあるといたしましても、上半期の経済の実情を見ますと、非常に輸出が伸びてそれに引きずられて
日本経済が非常に上昇しているという形でありまして、現に国際収支は輸出超過で非常に偏った国際収支を示しておりますし、特に対米輸出は非常に多いと、これが実情でございます。でございますから、今のところは対米貿易摩擦というのがやや鎮静化しておりますけれども、私は、下半期になったらまた再び出てくるに違いない、ヨーロッパに対しても同じであろう、あるいは東南アジア諸国に対してもまた別の形のゆがんだ形でもっと反日感情その他が出てくるんじゃないだろうか。そういうことを
考えれば、当然国際的にも要望されております内需の拡大という点においても、私は公共
事業のマイナスシーリングというような
政策は、経済
政策自身としても間違っているんじゃないかというふうな
考え方をもって今予算編成に臨もうとしているわけでございます。