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上田耕一郎君 前回の質問に引き続きまして、きょうは
信濃川河川敷の
利用計画問題、それから国鉄の信濃川水力発電所問題などについて質問させていただきたいと思うんです。
信濃川河川敷の問題も、今度の
利用計画の長岡市との協議、
建設省がそれに同意したということが発表をされて、
現地では事態がいよいよ動き出していくというように見られています。
現地の新潟日報の五月一日号では「”田中金脈”も四月に入り動き始めた。田中ファミリー企業の室町産業と千秋が原
工業が
信濃川河川敷南半分の所有地の
利用計画を策定し、十六日、長岡市はゴーサインを出した。この同意により、両社は五十億円は下らないといわれる
用地内の砂利採取やその後の
土地造成に着手可能となり、金脈形成の切符を手にすることになった。」と、そう書かれております。
五月の二日に田中角榮議員は
現地へ行きまして、越後交通の本社に行き、それからこの
信濃川河川敷の南半分の
現地に立ったという、恐らく二十年ぶりぐらいじゃないでしょうか、あの
土地にいよいよゴーサインが出たというので
現地に行って、あそこは山盛りになっているんですけれ
ども、その上に立ったというんですね。それで、今ブルドーザーが入って平らにならす工事が始まっている。
それからこれも御存じと思いますけれ
ども、五月四日には小林孝平市長が
辞任表明をされまして、六月にはいよいよ市長選挙なんですね。これまで中途
辞任はしないと言われていた小林市長の今回の
辞任は、やっぱり
信濃川河川敷問題と絡んでいると言われています。きょう、私
どもの長岡の市議
会議員の榎議員が傍聴に来ておりますけれ
ども、きょうのこれは新潟日報で、私も榎さんから見せてもらったんですが、「早められた”Xデー″」というので、小林市長の
辞任問題についてこう書いています。「しかし、市長は辞職を”決断”した。時期は田中元首相の金脈と騒がれた
信濃川河川敷の室町産業所有分の
利用計画の進展と微妙にからんでいるのは間違いない。」と。で、市長が目白の田中邸を訪れ、田中元首相と話し合い、心境を打ち明けて、最終的に辞職と後継者の問題で合意を得たのは三月十七日の目白邸と言われていると、そう新潟日報などは書いているんですね。
それで、国会では十八年間この
信濃川河川敷問題というのは問題になって、各
建設大臣、三木首相、
福田首相等々が何回もこの問題について答弁をし、各党とも取り上げてきた問題で、この前も申し上げましたが、参議院ではこの問題について遺漏のない行政措置をすべきだということが決算
委員会並びに本
会議でも決議になっているというような問題なんですね。
水野建設大臣はどうもこの問題に余りお詳しくないとおっしゃるので、やっぱり十八年間国会で取り上げ、国民に不信の残らないような措置を
政府としてはやるということを何度も表明してきた問題ですので、改めて、多少おさらいぎみにもなりますけれ
ども、やっぱり国会全体の問題として、特にこの問題について担当として取り上げてまいりました
建設委員会として、いよいよ最終
段階のようにも思われますので、私、問題をお伺いしたいと思うので、
建設省側も、何とかこの場を逃れればいいというのではなくて、やっぱり国民の見ている問題にどう責任あるけじめをつけるかという態度で御答弁をいただきたいと思うんです。
この問題は、私何回も取り上げて、
建設省の行政側も大きな責任があるんじゃないかというように言ってきたんですが、少しおさらいになりますけれ
ども、
信濃川河川敷というところは、水がしょっちゅうかかって、ツツガムシのところで、大変な
土地だったんですね。だから、あそこの農民たちは、堤防をつくってもらいたい、水のかからない
土地にしたいというので、堤防送り出しの期成同盟というのをつくって、本堤防をつくってほしいという運動をずっとやってきたんですよ。
それで、それをめぐる疑惑が出てまいりましたのは、まず第一に、
昭和三十九年から四十年に田中角榮が室町産業という
会社をつくってこの
土地を買い占めたわけですね。七十三ヘクタールのうち、十ヘクタールは国有地で、六十三ヘクタールを、民有地は平米五百円、九条地はたった百円です、で買っちゃったんです。それは、農民たちは堤防をつくってくれと、それで水のかぶらない農地にしてほしいというのを、どうせ水はかぶるんだから、耕してもいいし、ひとつ時価で買ってあげようということになって、農民の要求を入れるような顔をして買っちゃったわけですよ。買い占めちゃったんですね。これが今詐欺その他であるというので裁判になっているんですね。で、この
土地買い占め、農民の要求を逆手にとった
土地買い占め、これが大きな問題だった。
それで、実はこれに地位利用の疑惑があると。買い占めた当時、田中氏は大蔵
大臣。これ、
昭和四十一年に当時共産党の加藤進議員が国会で取り上げた、これが一番最初です。取り上げたときに、橋本
建設大臣が、今もうその堤防をつくり始めているけれ
ども、これは霞堤だと、締め切らないんだと。霞堤というのは、見えるか見えないかの低い堤だと、これ、ちょっとおかしいですね。この答弁おかしいんだが、とにかく締め切る意思はないという答弁をしたんです。ところが、実際には締め切る方針が成っていて、
昭和四十三年に締め切りが決定されて、導流堤で水はこう入るはずだったのに、全部締め切られたためにその
土地がもう
河川敷で実際上なくなる。そうすると、これまできちんと見事に買い占めてあった
土地が、これが一挙に、水の入るとんでもない
土地ではなくて、将来すばらしい値段になるという可能性が生まれたわけですね。
この締め切った当時は、田中氏は自民党の幹事長でした。我々が地位利用と思うのは、当時田中大蔵
大臣・自民党幹事長だけが、農民は知らないけれ
ども知っていた情報が集まっていたはずなんです。
一つは、長岡バイパスが通る、長岡大橋がつくられるということ。それから
河川法改正、旧
河川法から新しい
河川法の改正がこの当時ずっと行われていて、九条地がもとの地権者に、廃川敷処分になれば地主の手に戻るということになるわけですね。そういう
河川法改正からバイパス、長岡大橋の
問題等々、それから特に大事なのは、この堤が締め切られる、本堤になるということを田中氏は知っていた。その情報を知っていたために、農民をだまして五百円、百円で買い占めると。これはみんな越山会の会員です。みんなもう本当にふるさとの農民で、田中さんを神様のように思っていた農民たちをだまして買い占めてしまったということなんです。
そのために、国会で田中金脈問題が大きな問題になったときに、期せずして田中金脈の最大の
テーマとしてこれが国会で取り上げられてきたと。
政府としては田中金脈と言われるこの事件について大きな関心を持っていると。それで、大きな暴利をむさぼらせないように、国民の疑惑が残らないような行政措置をとるということを答弁してきたんですね。
建設省側の疑惑というのは、この霞堤を本提にやっぱり切りかえると、切りかえたのは一体なぜなのか。
建設大臣の答弁で本堤にする意思はないと言っているのに、二年後に締め切ってしまったと。しかも、締め切った経過が不明だというので行管庁の監察まで行われた。ところが、その当時の文書は当然保存しておかなければならないのになくなっておると。ある文書はかがみがないと。だから、だれがついているのかわからないというんですね。ある三年間分のこの堤についての記録が失われているということが問題になってきているんですね。そうすると、いろいろ
建設省側のその問題が
一つ。
それから廃川敷処分が行われたとき、三木首相は、必ず首相と協議してから決める、
建設大臣一存では決めさせないと答弁していたのに、当時の長谷川
建設大臣が、
福田首相と協議しないで一存で廃川敷処分を行ってしまったということも、私大変問題視しましてこの
委員会でも取り上げた。そういう経過がずっとあるんですね。
それで、全体の
河川敷、後楽園が五十個ぐらい入る広いところですけれ
ども、その北半分は長岡市が公共利用するということになり、南半分は室町産業、千秋が原
工業、この二つが
利用計画を長岡市と協議して決める、それについては
建設省も事前に協議するということがこれまでの経過だったわけです。ところが前回、
局長の答弁でこれまでの経過、また首相、
建設大臣の表明と異なった点が幾つか出てまいりましたので、私時間切れのときでしたが、これ追及いたしまして協議が続いてきたというわけです。
少し前置きが長くなりましたけれ
ども、そういう非常に重要な問題ですので、国会の責任をきちんと国民の前に示すという非常に大事な機会ですので、
建設省側もこの問題をよく自覚されて対処していただきたいと思うんです。
さて、問題の出発点は
昭和五十年十月三十日の三木首相の答弁、これはまだ廃川敷処分の行われる前ですけれ
ども、長岡市長とそれから室町産業側とが協議を行って、大体長岡市長に全体一任するという覚書が取り交わされて、一任するけれ
ども、どうも長岡市が北半分だろうというので、残りの南半分の室町産業側の利用問題が国会で問題になったときのことなんです。
この質問をされたのは社会党の宮之原議員です、参議院の予算
委員会で。それで、この南半分を室町産業にそのままやるのは問題じゃないか、きちんとした行政指導があってしかるべきじゃないかということを宮之原さんが追及された。残りの部分もちゃんと公共
用地としてやれということを当時の仮谷
建設大臣に追及した。
それに関連して
国務大臣三木武夫――三木首相が「いま話し合いの途中でありますがこと言って、こう言ったんです、「その
土地によって室町産業が暴利を得たというようなことは国民が納得しませんから、やはりそれを売り渡す場合には、もとの原価プラス
土地の、いろいろ
土地造成なんかに金がかかればその費用もあるでしょう、それから金利、こういう程度で、その
土地で非常に暴利を得たというようなことのない措置であるべきである。しかも、その
土地利用は公共優先という立場でその措置をされることが適当である。」と。
これは大体長岡市が利用する公共
用地だけでなくて、室町産業に残される分についても、私はこれ三原則と言っておりますけれ
ども、暴利を得させないと、それから価格はもとの原価プラス金利、造成の場合は造成費用が入ると、三番目は公共優先ということを首相が答弁されたんですね。ですから、これは室町産業の分についてもこの原則が適用されるべきだということを首相が答弁されて、仮谷
建設大臣もその後すぐ「少なくともあの
土地全体を通して室町産業が不当な利益を受けることがない、しかもその
土地は公共のために、あるいは市の
発展のために利用される」べきなんだということを当時の
建設大臣も予算
委員会で答えられた。
水野さん、そういう経過なんですが、三木首相並びに仮谷
建設大臣の答弁、つまりあの
土地全体について、室町産業の利用される分も含めた全体についてこういう原則だという
政府の表明、これは当然尊重されるだろうと思いますが、まずその点をお伺いいたします。――
大臣に、これは原則問題ですから、首相のそういう答弁を……、
局長には後で詳しくまたお伺いしますから。