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1984-05-08 第101回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月八日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十九日     辞任         補欠選任      福田 宏一君     夏目 忠雄君      山田  勇君     伊藤 郁男君  四月二十日     辞任         補欠選任      夏目 忠雄君     福田 宏一君  四月二十五日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     立木  洋君  四月二十六日     辞任         補欠選任      立木  洋君     安武 洋子君  五月七日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     山田  勇君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 増田  盛君                 村田 秀三君     委 員                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 福田 宏一君                 二宮 文造君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 安武 洋子君                 山田  勇君    国務大臣        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        石川  周君        国土庁土地局長  永田 良雄君        国土庁水資源局        長        堀  和夫君        国土庁地方振興        局長       川俣 芳郎君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房総        務審議官     吉田 公二君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        建設省計画局長  台   健君        建設省都市局長  松原 青美君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省河川局次        長        中川 澄人君        建設省道路局長  沓掛 哲男君        建設省住宅局長  松谷蒼一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    小林 康彦君        農林水産省構造        改善局農政部長  羽多  實君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (流域下水道汚濁対策モデル事業に関する  件)  (家庭雑排水の規制に関する件)  (道路特定財源道路整備費充当に関する件)  (木曾三川国営公園整備に関する件)  (信濃川河川敷利用計画に関する件)  (地価上昇率の経過と今後の動向及び地価の適  正化に関する件)     ―――――――――――――
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 村田秀三

    村田秀三君 まず初めに、建設大臣訪中御苦労さまでございました。きょうの読売新聞を拝見いたしましたが、「建設相として初めて訪中した水野建設相は、日中道路交流会議を、日中両国間に発足させることを決め、帰国した。」と、ずっと解説記事を読んでまいりますると大変評価をされておるようでございまして、中国側期待かなり大きいように見受けられます。  そこで、きょうは長い時間、将来のことにわたってもいろいろ申し上げる時間もございませんけれども、この日中道路会議を通じて決定をされたこと、そしてまた将来展望、こういうことについてひとつ、まあ帰国報告というとちょっと語弊がありますけれども、所感をお聞かせいただきたいと、こう思います。
  4. 水野清

    国務大臣水野清君) このたび本委員会委員長お許しも得まして、この連休の間に六日間中国を訪問さしていただきました。その背景は、先般、御承知と思いますが、アジアの発展途上国各国からあるいは中国から、日本道路建設技術中心とする建設技術に対するいろいろの問い合わせその他が非常に多いわけでございます。特に、中国においては最近予想外交通量がふえておりまして、国土計画といいますか、中国のいわゆる四つの近代化政策の中で道路というものが初めて見直されてきているというようなことから、いろいろなお話がございまして、交通部長招請を――李清という交通部長でございますが、その招請がありましたので、各方面のお許しを得て訪中をしてきたと、こういうことでございます。  内容は、現在の建設省設置法その他がございますから、余り突っ込んだ話はするわけにいきませんでしたけれども日本道路建設というのはどういう歴史を持ってどういうふうにやってきたか、あるいは日本経済建設という、経済発展の中で、特に高度経済成長政策の中で自動車がどういうふうにふえてきて、それに対応してどういうふうな予算制度で、あるいは道路財源の話なんかも説明をいたしました。そういうことでいろいろな意見交換をしてきたと、こういうことでございます。  そこで、中国側としては、今中国はどちらかといえば日本の援助によってというような考え方が非常に強かったわけでありますが、それは私どもの役所で約束をできることではないものでございますから、それはさておいて、ともかく日本道路技術とか建設技術とか、そういったことについてぜひ日本にも見にいらっしゃいというようなことから、日中道路交流会議という名前といたしましたが、道路関係交流会議というものを設置いたしまして、まず中国側から近いうちに日本を御訪問くださいと、特に専門技術関係の方とあるいは最高のプランナーの方が参加したそういう会議として日本を訪れてもらいたいという話をいたしまして承諾を得て、またこちらからも、中国の事情というものが余りわかっておりませんので、それにお返しとしていずれまた訪中をしてということで、お互いの何といいますか交流を広げていくというところで話をしてきたわけでございます。  私もたびたび訪中しておりますが、中国経済発展というのは私の見る限りでも非常に予想外に目覚ましいものがございまして、北京市内交通渋滞が既に発生しているというのは私もちょっと想像しなかったのでありますが、御承知のとおり自転車もあるし歩行者もあるわけでありますから、そういうものが非常に混然としておって、北京市内なんかはちょっと収拾しがたいほど時間によっては交通渋滞が激しくて、ちょうど日本昭和四十年代の後半ぐらいな、昔でございますと中国自動車で行けば五分で行けたところが三十分かかったと。私ども会議向こうの重要な国家計画委員会の副主任がおくれてまいりまして、おくれた理由に、交通渋滞がありましてと言うんで、世の中も大分変わったものだといってみんな笑い話をしたぐらいでございます。  今後、一つの日中間の建設省としてのテーマというものが生まれてきたわけでございまして、特に天津北京間というのは、これも御承知だと思いますが、塘沽に今天津新港という新しいコンテナ埠頭をつくっております。コンテナというのは国際規格でございまして、いろんなコンテナが揚陸されるわけでありますが、それを鉄道の貨車に乗せかえて全国へそれが流れていくわけでありますが、でき得れば鉄道だけでなくて自動車でそれを運びたいと、トラックで運びたい。しかし、それを運ぶのになかなかそれの道路がないと。行ってみますと、埠頭はできたが今度は道路がないということに気がついてきたと言っては失礼かもしれませんが、そういう段階にある、そこでひとつ助言を求めたいと、こういうようなことであります。  さしあたっては、恐らくこれからの日中道路交流会議の中で主要なテーマとしては、塘沽のいわゆる天津新港から北京の間の高速道路をどうしたら建設できるか、あるいはその財源としてはどういう形でやるか。例えば、日本道路公団はスイスで外債まで募集してやっているんだという説明をいたしましたら大変びっくりしておりました。あるいは高速道路の料金が一兆円も入ってきて、それが三十年で返還をして、三十年たつと大体日本高速道路網完成もするが、同時に借入金の返済もできるようになっているんだという説明をいたしまして、むしろ中国側としてはそういう制度があるのかということに気がついたというようなまことに、人の国のことを言っては大変失礼でありますが、まだ道路交通については大変初期的な状況にあるのだと思ってきたわけでございます。  いずれにいたしましても、建設省としては、このほか東南アジアの発展途上国からも道路建設技術について問い合わせなどが来ておりますので、今後こういうものについてどういうふうに取り組むかということを大いに考えていきたい、かように思っている次第でございます。
  5. 村田秀三

    村田秀三君 もっといろいろお話も承りたいと思いますが、将来どうするかというのは今後の問題になるでありましょう。主としては、これ対外的なことでありますから、外務省等かかわりを全く無視するわけにはいかないということもございますけれども、とにかく足はついたわけでありますから、これを成功させていくためには我々といたしましてもそれぞれやらねばならぬことはやっていく、そのつもりでおるわけでありますから、積極的に進められるように希望いたしたいと思います。  なお、この連休建設委員会かかわりを持つ各省庁はかなり活発に海外活動をいたしておるわけてありますが、稻村長官もいずれかに行く話もありましたが、何か都合で取りやめになったと聞きます。官房長、かわりにアフリカの方に行ってきた語も聞くわけでありますが、その話も若干この際お聞かせをいただいておいた方がよろしかろう、こう思いますのでお願いいたします。
  6. 石川周

    政府委員石川周君) 四月の二十六日から昨夜五月七日まで、足かけ十二日間でございますが、国連人間居住委員会第七回総会に出席してまいりました。私と現地井上大使、両名が政府代表を命ぜられた次第でございます。  会議は、四月三十日の月曜日がオープニングセレモニー、議長選出であるとか議題採択であるとか、事務局長報告であるとか、そういう行事が行われまして、二日目の五月一日の火曜日から各国代表所信表明が行われました。日本は七番目に発言の機会がございまして、井上大使日本政府を代表いたしまして発言をいたしました。内容は、日本から、かねて懸案でございました五十万ドルの拠出金日本政府として拠出をしたいということの宣言が中心でございまして、各国から大変な拍手を受けた次第でございます。その後各分科会がございまして、現在なお現地でその会議が続けられているわけでございます。全体を通じまして、人間居住委員会課題、つまり低開発国がまだ地球の上には多うございますので、土地づくり村づくり町づくりということの一番の中心課題は、家なき民にいかにして家を与えるか、つくってやるかということがやはり一番大きな問題でございまして、そういう意味を含めましてアフリカという地で総会が開かれた意味があるわけでございます。先進国、特に日本に対する期待というものは大変なものでございまして、井上大使それから私に対する総会の議場でも、あるいはこういう総会の場合、常に大事な話し合いの場となりますパーティー、夕食会というような場でございましても、私どものところに大変な人が集まってまいりまして、いろいろと期待を込め、感謝もされ、大変な歓待を受けたということでございます。  私といたしましては、この国連人間居住委員会、これからも国土庁としては意見交換をし、そうした低開発国等をこれからも日本として知恵を出し、手助けをしてやっていかなければいけないと思うと同時に、やはり先進国も入っておりますので、先進国との間の意見交換を含めまして、我が国の国土開発に対するヒント、知恵も得たい、こんな感じを持った次第でございます。  なお、国土政策と直接の関係は必ずしもございませんけれどもガボンはいかにも地球の裏側でございまして、遠い国でございます。そこで日本大使館方々が非常に不便な思いをしながら頑張っておられます。また、日本からは商社が一社出ておりまして、その商社系列会社石油――ガボンからは石油を産出いたしますので石油会社が一社、事実上その両社とも同じ系列会社でございますので、日本からは一社出ておりますけれども大使館を含めまして、在留邦人は家族を含めまして全部で十五、六名でございます。瘴癘の地にそうやって頑張っている同胞を目の当たりにいたしまして大変な感激をし、またこういう方々がおられるので日本世界に羽ばたいているのだということの感銘を深くした次第でございます。  なお、ガボンに行ってまいります途中、前後にイギリスとフランスに立ち寄りまして、それぞれ国土開発関係の要人とも会談をし、向こう国土開発意識ども意見交換をさせてきていただいております。ニュータウン開発向こうでも相当な意識を持っておりまして、特に工業地方分散といいますか中央への過度集中ということは、同じような問題意識を持っているということを認識した次第でございます。これからの国土政策参考にさせていただきたいと思いますし、まだ大臣にもよく十分な御報告をしておりませんが、まとめて大臣にも御報告をし、参考と、せていただきたいと、こう思っておる次第でございます。
  7. 村田秀三

    村田秀三君 どうも御苦労さまでございました。今後とも積極的にひとつ発展途上国のためにといいますか、大いに力を注いでやることについて私ども賛意を表します。  ところで、この日本先進国世界からは見られておりますのかどうか、中進国とも言えるのではないかと、こう思いますが、この日本でいわゆる発展をいたしましたがゆえに、開発をいたしましたがゆえにいろいろな問題が出てきておるわけであります。そこで、きょうは一般質問ということでありますから、水の問題、特に農業用水汚濁問題について建設省としてのかかわり、あるいは国土庁としてのいわゆる構想、こういうものについて、概括的ではありますけれども、できれば考え方の統一――現在統一されておりますと、こう言えばそれはそれまででございますけれども、どうも私らの目から見た場合には、まだそこまで踏み込んでおらないような気がいたします。でありますから、それに類する問題についていろいろと意見を申し上げてみたい、また考え方も聞いてみたい、こういうことであります。  実は、最近でありますが、建設大臣の地元であります千葉県、手賀沼の問題であるとか印旛沼汚濁問題が新聞等にもかしましいわけでありますから、ひとつ実情を見てこよう、こういうことで、党の建設部会といたしまして印旛沼に行ってまいりました。同時に、流域下水道、これについてもその計画なり、また終末処理場ども参観をさせていただきました。いろいろと考えを持ってきたわけであります。まだ完成は見ておりませんけれども、これが完成をいたしました暁にはかなり効果が出るであろう、こう強く印象づけられてきたわけでございます。  そこで、どちらへ行きましても計画の進捗、まあ完成年度内には終わらしたい、こういうことで、いずれに参りましてもお金の話であるわけであります。でありますから、この金の問題、今ここで詰めてもいたし方ありませんからとやかく申し上げませんが、その中で一つ大変これはいいことだなと思って実は聞いてまいりましたことがございます。  というのは、流域下水道幹線があるわけでありますが、それに流入する支川、小河川、これの汚濁というものもかなり厳しいわけであります。そこで、その汚濁対策としてどういうやり方がなされておるかといいますと、これは建設省で既に多摩川水域の中で実験をしておる、こう聞くのでありますけれども、私の記憶が間違っておれば訂正していただきますが、礫落浄化装置、つまり河床に礫――石を、どの程度のものであるかわかりませんが、敷き詰めるなり積み重ねるなりいたしまして、そこを水を通してそうして下流に流し込んでいく。極めて原始的な方法でありますが、非常に効果をあらわしておるということを聞いてきました。  時間がございませんから現場に行ってみるというわけにはまいりませんでしたが、私ら農村地帯で生まれ育っている者といたしましては、さもありなんと、こう思うわけでございまして、しかしそのためにはその流域かなりの面積、土地が必要である。せめて土地購入費助成などができないものかということであります。私の聞く限りでは、これは千葉県が初めて手がけた、こういうことでありますから、全国的にそういう工事や方法が進められておるわけじゃありませんから、まだ早さに失すると言えはそれまでの話でありますけれども、早晩これを積極的に進める必要があるのではなかろうか、こんなふうにも考えてきました。  まだ大臣の答弁をいただく段階ではございませんが、関係局長から、実験の結果あるいはまた将来どうこれを位置づけて推進をするか、あるいは助成問題等も将来いずれこれは問題になるわけでありますから、その間のことをひとつ、現状における所見でも結構でございます、お聞かせをいただきたい、こう思います。
  8. 松原青美

    政府委員松原青美君) ただいま先生指摘下水道整備されない地域での家庭雑排水によります水質汚濁、これが看過できない問題になっている地域が全国的にいろいろ出てきております。そういうところで、下水道整備されるまでの間、ひとつ水質汚濁対策をやらなければならないということで、先生が御指摘ありました千葉でも行っているシステムは、都市下水路雑排水対策モデル事業というものではないかと思っています。  都市下水路、これは処理場につながらない下水を排除するシステムでございますが、これの河床にただいまおっしゃいましたような礫を敷き詰めるとか、その他その地域、地形に合いましたものをつくりまして、流下する間に自然の浄化作用を働かせる、こういうものを五十八年度からモデル事業として採択して実施いたしてございます。さらに五十九年度からは、流域下水道とかあるいは大きな下水道処理場で、まだ処理能力に余裕がある、しかしながら管渠整備されないためにそれに直接下水が流入できなくている、そのために垂れ流しということが生じている地域で、幾つかのやはりモデル事業雑排水対策緊急モデル事業という名前をつけまして実施を始めたところでございます。  これは、都市下水路あるいは小河川等家庭雑排水が流れ込みまして、それがそのまま従来湖沼等に流れていたわけでありますが、それを途中から流域下水道幹線の大きな管渠につなぎまして、いわば小さい溝なり、小河川というのはちょっとオーバーでございますが、そういう水路の水を面接下水道処理場に持っていきましてこれを処理する、それでその地域水質汚濁対策を行う、こういう事業を始めたところでございます。まだまだ、モデル事業でございますので、実施箇所は少のうございますが、今後の推移を見ながら、緊急に水質汚濁対策が必要な地域について進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  9. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先生お話のございましたのは、礫間接触酸化法による浄化施設でございますが、これにつきましては、多摩川に流入いたします野川という川が、まだ下水道整備されていないため、非常に水質の悪い支川でございまして、それが多摩川に流入いたしまして多摩川水質汚濁に非常に大きな影響を及ぼすということで、これにつきましては礫間接触酸化法による浄化施設モデル事業として五十六年から五十八年にかけて整備をいたしたわけでございます。これは河川の水を礫の入った水槽に導きまして、接触、沈殿あるいは微生物による酸化分解等、自然の自浄作用を利用いたしまして河川浄化を図ろうとするものでございます。この浄化施設目標といたしましては、BODで七五%、SSで八五%の除去を当初目標といたしておりますが、今日までのデータを見ますと、ほぼそれに近い効果を上げておるわけでございます。  ただ、この施設は非常に広大な、先生も御指摘ございましたが、用地が必要でございます。たまたま多摩川につきましては、所要の敷地河川敷高水敷を使えるということで利用したからよろしゅうございましたが、今後この装置を各河川に普及さしてまいりますためにはこの土地の確保ということが非常に問題になるであろう。多摩川の例で申し上げますと、およそ一トンの水を浄化いたしますのに一万五千平米の土地が必要であるというような感じでございます。これにつきましては、将来一層開発に鋭意努力いたしまして、できるだけ限られた敷地内でも利用できるような形に今後進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、この敷地について助成できないかという御指摘でございますが、ただいま印旛沼におきまして進めております事業は、この用地の取得につきましては一応県単費で手当てをしていただいております。モデル事業でございますのでまだ制度的にも確立していないということがございまして、千葉県では単費でこれを購入しようといたしておりますが、今後の検討課題として私ども検討を進めてまいりたいと思っている次第でございます。
  10. 村田秀三

    村田秀三君 それは積極的に進めていただきたいと、こう思います。  そこで、さまざまな工夫をされておるということも私は承知をいたしております。そこで具体的な一つの例を出しまして、そしてこれに対してどう対策を講じたらよろしいか、私自身考えておるわけです。もちろん素人でありますが、素人素人なりのまたよい発想もあろうかと、こう思うのでありますが、そしてまた、それにかかわる現在進められている事業との関係、さまざまございますから、どうも建設で長年勉強させてもらった者でもございませんからいろいろ錯誤があります。ありますが、それは一々御指摘をいただきながら物の解決に向けてひとつ取り組んでまいりたいと私自身も思っておるわけであります。  そこで、申し上げますと、実はどういう表現をしたらよろしいのか何でございますけれども、水というのは今さら申し上げるまでもありません、こういうことを言いまするというと、おまえ何だというふうに言われるかもしれませんが、水というのは、農業用水であるとか飲料水であるとか工業用水であると、こう言いましても一つのものなんですね。当たり前のことを私申し上げるわけでありますが、とにかく上流では農業用水、それがそのまま流れ込んで、そしてその河川の水は飲料水にも工業用水にも利用される、こういうことであります。でありますから、今日の前に降った雨水は別にいたしまして、水源地から河口までさまざまな形に利用されている、さまざまな形で流れ込んでくる、こういうものであろうかと実は思うのでありますが、どうもやはりそれぞれの対策は局部的にはなされておりますけれども、一貫して水は一つだという考えというものが行政の側面から見た場合に分離されているんじゃないか、こんなふうに実は私自身思うわけであります。  そこで最近、今度の国会に農水省が提案をいたしております土地改良法の一部改正、それから農業振興地域整備法の一部改正、それぞれの中に、この農業用水水質保全の対策と私は見るのでありますが、それが提案をされております。そして、これには経過がかなりあるようでございますので、その経過とかそれから今回提案をされております内容について、その水質保全に関する部分のみで結構でございますから、ひとつ御説明をいただきたいと、こう思います。
  11. 羽多實

    説明員羽多實君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問につきまして、大きく分けて二点お答え申し上げたいと思いますが、一つ先生指摘の、農業用水水質汚濁について対策と経過とおっしゃいましたが、農水省が今までどういう対策を講じてきたか、それからただいま衆議院で御審議をいただいております先生指摘の農業振興地域整備法の改正、それから土地改良法の改正につきましてお答えいたします。  まず、農水省が従来農業用水汚濁に対してどういう対策を経過としてとってきたかということでございますが、一つは、五年ごとに農業用水汚濁によって農薬の被害がどういう実態であるかということを調査してございます。全国で現在被害が発生しておる農地面積は大体十万ヘクタールぐらいになっているんじゃないかと思います。これに対しまして、農業用水として不適当な用水がかんがいされ水質障害が発生している地域であって、水質汚濁防止法第二条第一項に規定する公共用水域から農業用水を取水している地域につきましては、水質障害対策事業というものを実施しております。農水省の独自の事業でございます。この事業は、用排水の分離、水源の転換等により汚濁水が農業用水に混入することを防止するものでありまして、昭和四十五年度に発足して現在までに既に三万三千町歩ぐらいの採択をして実施をしておるわけでございます。  それからもう一つ事業は、農村集落の農業集落排水事業という事業でございます。これは農業の側から見まして、先生指摘のような、農業に使う水の水質が悪くなってくる、それからもう一つは、農村の生活環境の改善も同時に図れるという利点がございますので、昭和四十八年度から農水省で実施をしてまいっております。いろいろな事業名前実施しておりますが、五十八年度、昨年度でございますが、昨年度から新たに単独の事業として農業集落排水事業というものを制度として創設をいたしました。これが二つ目の事業でございます。  次に、先生指摘ございました農業振興地域整備法と土地改良法の改正案、これによりましてどういうふうに農業用水水質汚濁に対処しようとしているかという点でございますが、ただいま申し上げました五十八年度から独立の制度として実施いたしております農業集落排水事業、そのうち特に土地改良区が実施するもの、現在大部分は市町村が実施しておりますが、土地改良区が実施するものについて、土地改良法の改正によりまして土地改良区の附帯的事業としてこれを位置づける、これを契機といたしまして今後さらに一層この事業の積極的な推進を図っていくというのが第一点であります。  もう一つ、農業振興地域整備の法律の改正によりましても、水質汚濁問題に地域ぐるみ、集落ぐるみで取り組んでいこうと、これは非常に小さい用排水路の適正な維持管理をするために集落ぐるみで協定制度をつくっていこうということを御提案申し上げているわけでございます。これは、農村社会がいろいろな意味で、通勤兼業農家でありますとか、あるいは農家でない方々が混住をしてきたことに伴いまして、昔の村といいますか集落の機能がだんだん低下してくる。昔の集落であれば集落の全員が出て藻刈りをするとか、いろいろな水路の管理をするとか、汚い水を流すのはやめようというような意識が十分ございましたが、そういう意識がだんだん薄れてきた。これに着目いたしまして、集落ぐるみの協定制度ですね、小さな集落が日常的に見なければならないような用排水路について、その維持運営のための協定をつくってみんなできれいにしていこう、みんなで藻刈りをしていこう、こういう制度をつくってこれを法律としてバックアップしていくというふうに考えた次第でございます。  以上、二点でございます。
  12. 村田秀三

    村田秀三君 農水省の方にお伺いいたしますが、農業用水とそれからいわゆる市街地といいますか、あるいは市街地でなくともあちこちに自分の土地に家を建てるということがあるわけでありますから、非農家であります。しかし、非農家であるけれども家庭雑排水は農薬用水に流入をさせざるを得ない、こういう事態がだんだんと多くなりまして、そして非農家と農家の紛争が絶えない。これは随時、随所にあります。その際に、とにかく用水を管理するために賦金を取ろう、取ってもよろしい、こういう法律改正がございましたね。極端な話はいわゆる排水禁止の差しとめの措置もできる、こういう規定があったと思いましたが、それはいかがでございますか。
  13. 羽多實

    説明員羽多實君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、昭和四十七年に土地改良法の改正をいたしまして、先ほど申し上げましたように、農村の集落社会というものがだんだん混住化してくる、これに対応いたしまして、御指摘のように、都市的といいますか、要するに農村以外の水の利用によりますまず水質汚濁の問題。それから水量が非常に大きくなる。特に、例えば水田一町歩をつぶしまして工場用地などにいたしますと、約千トンの湛水のダムが一つ必要になるくらいでございますが、量の問題。それからもう一つは、都市的な、サラリーマンの方がそういう排水路の近くにお住みになることによりまして、例えば子供さんがそこに落っこちて事故が起こるとか、そういう三つぐらいの大きな問題点が指摘できたわけです。  これに対応するために、四十七年に土地改良法の改正をお願いいたしまして、先生おっしゃいましたような都市的な要請と農村的な要請の調整をする制度をつくりました。三つばかりつくりました。そのうち特に市町村と、市町村その他工場などもそうでございますが、土地改良区との間でそういう問題を話し合おうという制度をつくったわけでございます。例えば費用分担の問題、先生おっしゃいました問題、あるいはいろいろな施設をどういうふうにお互いにつくっていくかというような問題。つくりまして、この問題につきましてはかなり話し合いが進んでおりまして、ただどうしても市町村と土地改良区だけがお話をしていたのでは十分お話がつかないという場合に、知事裁定という制度を今度、今先ほど申しました土地改良法の改正をお願いしておりますが、これの中に新しく盛り込んでおるわけですが、これによりまして、都道府県の段階でその市町村と土地改良区との間で話がうまくつかないような場合に指導していただくというふうに改正をして、土地改良区と市町村との間の協議がより円滑に行われるように配慮したつもりでございます。
  14. 村田秀三

    村田秀三君 これ以上今の問題を申し上げますと、これは本院の農水でやっていくそうでありますから、その審査を侵害しても困りますので、いろいろ意見がございますけれども、あとは省略をいたしておきます。  ところで、これは農業用水の立場からの対策というのは防戦なわけですな。これ守るということで、その守る範囲の中でいかにして水質汚濁を防止するか、水質を保全するか、あるいは管理を効果的にするか、こういうことなわけです。もっと細かいこともたくさんありますが、きょうは申し上げません。守るという立場であるわけでありますから、表現はおかしいが、攻める立場もこれはあるわけであります。攻める立場という表現は適切でないかもしれませんが、いわゆる原因者に対する対策というものが、これはどうしても家をつくる、生活をする、都市をつくるというところから発すると、私はこう思います。  でありますから、その段階では建設省の対応というのが当然必要になってくるわけでありますが、今申し上げておりますのはし尿まで私言っておりません。し尿も最近は家庭浄化槽などができておりまして、厚生省を呼んでおりませんから私申し上げませんが、ぽつらぽつら一軒、二軒のうちはよろしゅうございますけれども浄化槽の清掃を年一回義務づけている。これは私も非常にうかつであったわけでありますけれども、とにかく議員立法でこういう法律ができたと、こういうことでありますから、経過を調べてみなくちゃならぬと思いますけれども、とにかくこれ私の立場からすれば多少まあ問題があるんじゃないかと、こう思って見ております。  いずれにいたしましても、し尿雑排水をためにため込んで、そして水を加えて化学処理をして、澄んだかに見える水を都市下水あるいは小河川、基幹河川に流入させるわけであります。何ほどきれいに見えても、これは窒素、燐酸の含有量などというものは減らないわけでありますから、沈んだかすを年に一回取り除く程度でありますから、これは水に大きな影響を与えておるに違いない。  上流で、びろうな話だけれども、我々が排せつしたものを川に流す、その下流はこれは水道の水源に使っておるわけです。背の天然現象――し尿は田んぼにまいた、太陽の光線で消毒もされ乾燥もして土に入った、土に還元された、そしてそこをしみ込んで流れてくる水であればともかくも、生で流すわけでありますから、これが一軒、二軒のうちはよろしいけれども、公共下水道の設置されておらない地域においてこういう家庭がふえたとするならば、その水はもう上流の段階からこれ死に水であります。こう理解しなくてはならぬのでありますが、それは年に二回掃除すればなおいいなどというような話もありますけれども、これは化学的、衛生的に見て私は絶対これはバツだと、こう思っております。しかし、その話は別にいたします。  つまり家庭雑排水の処理、建築基準法からはどういうふうに規制されておりますか、これをちょっとお伺いいたします。
  15. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 建築基準法におきましては、し尿浄化槽からの排水につきましての基準がございまして、処理対象人員の程度によりましておのおの水質の基準が異なっておりますが、浄化槽の処理対象人員五十人以下でBOD九〇ppmという水質基準を確保するように定められております。しかしながら、窒素あるいは燐等につきましては、現在の浄化槽である程度の除去は行われておりますが、その基準につきましては現在検討中でございまして、また現在中央公害対策審議会におきましてもその規制の方策が検討されておりますが、それとあわせて、建設省におきましてもこの点につきまして検討を続けていきたいと考えております。  なお、昨年五月に成立いたしました浄化槽法によりまして、良質な浄化槽の設置の促進を図るための種々の規定が行われているところであります。したがいまして、特に家庭用雑排水について建築基準法でこれを取り上げて規定するというものはございませんで、し尿浄化槽からの排出の水質基準についての規定があるということでございます。
  16. 村田秀三

    村田秀三君 細かい議論はいたしませんが、これどう対策しようとも、やっぱり汚水は流されるということです、どこかは別にいたしまして。  それで、これまた私の今の知識の範囲内での判断ですから、間違いがあれば御指摘をいただきますけれども、公共下水道計画がある、まだ実際にでき上がっておらないというところもありますが。そこへ全部組み込んでいけるという仮定であれば結構でありますね。これは、あと都市計画法に基づくところの市街化形成、これにはもう最初からいわゆるし尿、家庭雑排水の処理というものはきちんとされるようになっておりますから、これは結構であります。今はそうなっておりませんが、将来そういう構想で動いているから、それはひとまずここは了承せざるを得ないといたします。  ところで、開発許可を要しない地域、こう言いまするというと、これは一千平米以下は許可を要しない。ある業者が土地造成をいたしまして家屋をつくる、来年その隣にまた一千平米やる、こういう格好で積み重なって、五、六年たちまするというと結構なこれ市街が形成される状態になるわけでありますが、そういうところについては何らの規制もない、こういうことであります。  そこで、まことに恐縮でございますが、私の住んでいる周辺地域説明を図面をもってやればよろしいんでありますけれども、一例を申し上げます。  これは福島県の白河市、私の田んぼもありますが、これは農振地域になっております。それと隣接する部分、今私が申し上げましたように、五、六年でいつの間にかこれ市街化になっております。比況の関係で、市に公共下水道計画はありますが、まだ完成しておりませんけれども、ここは比況的な関係でその公共下水道に包括されない地域であります。そうすると、これ最近白河市役所土地改良区が農業用水の適否の調査をいたしたのでありますけれども、今私が申し上げましたように、自然に拡大をいたします市街地域の人家の戸数というのは年々増大をいたしまして現在百四十四戸、これはどこへ流すかというと農業用水に自然に流し込んでいるわけでありまして、もめごとが絶えない。  こういうところをではどうするかといろいろ考えるのでありますけれども、どこから見ても規制されるものはない。強いて言えば、土地改良区がいわゆる流出兼しとめの措置をとるとか、もう管理費を取りまして下水掃除いたしましたなどということでは始末にならないんです、もはや。限界なわけです。といって、農振地域でありますから、いわゆる農振法に基づく農業用水水質保全の事業をそこに起こすかと言えばさあどうでしょうか、これやってもらいたいと思いますが、恐らく採択にはならないと思う。どうするんだと言えば、これはやはりいわゆる農振地域と市街化の接点である場所を行政が手がけざるを得ない、こういうことになろうかと思うんですね。  いろいろ調べてみますと、それは市の仕事だ、こういうことになります。市はどうやろうかと考えておるかと言えば、この地域には実は南湖という周囲二キロ程度の沼がございます。松平楽翁公が難民救済のために興した事業でありまして、なかなか由緒のあるところでありますが、これは農業用水は流れ込む、家庭雑排水は流れ込む、汚濁をいたしまして、一メートル級のコイが浮き上がるなどということが最近起こっております。市ではどういう道をつけたかわかりませんが、いわゆる上流からパイプで水を直接南湖の湖水に送り込むという計画を持ったようでありますが、しかしこれは南湖のいわゆる保全という立場であります。農業とは関係ない。こういうふうに考えてまいりますと、何とかしなくちゃならないと私は思うんですが、これどう考えたらよろしいんですか。これはひとつ都市局長でありますか。
  17. 松原青美

    政府委員松原青美君) ただいま先生指摘の問題につきましては、いわゆるスプロール化が進行しているところの家庭雑排水対策、これにつきましては、現在規制することができませんで、一つの先ほど来先生指摘の行政の盲点と申しますか、そういうものになっているかと思います。直接のお答えがそういうことでできませんで、恐縮なんでございますが、建設省としましては、下水道整備されないでいる地域のスプロール化の問題、これにつきましては、特にその調整区域等がかかっておりますと開発抑制が働きますが、いわゆる線引きされていない都市計画区域外でもそういうことが進んでいるわけでございます。  恐らく先生指摘のところはあるいはそういう場所がとも存じますが、基本的に見ますと、私どもが長期的な下水道整備目標としまして、総人口に対しまして九〇%の普及率を掲げてございます。これは、同じく私どもの推計では、将来の市衛地人口は総人口の七〇%になるのではないかと考えでございます。これはもう当然市街地でございますから下水道で全部カバーする。その他のいわゆる集落を形成いたしておりますが、またいわゆる市街地として形成されないで居住するという形態が将来とも出てまいろうかと思います。  そういう地域につきましても、基本的にはそういう地域の都市形成の動向を踏まえまして、公共下水道なりあるいは特定環境保全公共下水道といいまして、市街地でないところで、農村集落等で昭和五十年から小規模な下水道事業実施いたしてございますが、こういうもので将来はカバーをしまして家庭雑排水対策を進めていくのが基本であろうと考えておるわけでございます。  現在の段階でもできるだけそういう水質汚濁が著しいところで事業を進めてまいりたいと考えておりまして、いわばその将来の九〇%普及を展望しながら、市街地のみならず、市街地外でも下水道事業を一部行っているところでございまして、それと先ほど申し上げました雑排水対策の緊急モデル事業と二つやっておる、二種類やってございますが、こういうものも組み合わせましてやってまいりたい。あるいは、先ほど農水省からお話ございました農村集落の排水対策等も踏まえまして、それとの調整をとりながら進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  18. 村田秀三

    村田秀三君 これはなかなか頭の痛いところだろうとは思います。とにかく先日、私は流域下水道は必要だから速やかに進めなければならぬ、こう申し上げました。確かに川は下の方から汚れが目立ってまいりましたから、人口が密集しておるのも下流でありますから、そこから仕事が始まったということは結構でありますけれども、しかしこれ阿武隈川を例にとります。白河は阿武隈川の上流地点に存在するのでありますが、いわゆる阿武隈川流域下水道、本当にこれ工事が緒についたばかりでありますけれども、しかしその整備区域というのは白河よりも下流の矢吹というところまでだと私は記憶いたします。今私が例として申し上げましたのはその上流でありますから、いわゆる流域下水道、下の方から整備してきたけれども、しかしその幹線を流れる水は既に上流で汚濁をしてきているという実態になろうかと、こう思います。  こう考えていきますと、確かに上流でありますから人口も希薄になる農村地域になるわけでありますから、そこに流域下水道などというでかいものをつくっても今にわかにどうなるものでもないということはわかりますけれども、少なくとも上流の水をきれいなものに保全をしておく措置というものを今やっておかなければ下流の流域下水道整備しても何もならぬ、こういうことになる。必ずそうなります。  でありますから、この際お伺いをいたしますが、今緊急雑排水対策事業というのもあるやに聞きました。それからだんだん私もいろいろ調べたり聞いたりしておりますうちに、建設省として特定環境保全公共下水道、こういう施策を進めておると聞きました。これのひとつ構想するところ、採択基準あるいは補助率等についでお聞かせをいただきたいと、こう思うんです。
  19. 松原青美

    政府委員松原青美君) 特定環境保全公共下水道は、市街地区域以外からの家庭排水によりまして公共用水域が汚濁してきている、そういうことから、そういう地域での一つの水処理対策の要望が強く出てまいりまして、昭和五十年度から事業実施しているわけでございます。現在、五十九年度におきましては総事業費百十六億七千九百万で九十五カ所で事業実施中でございます。特に、この事業につきましては、五十九年度総事業費が横ばい、若干減のときでございましたが、一・二五倍にふやしまして、新規箇所も十カ所採択いたしましてこの推進を図っているところでございます。  この採択基準と申しますのは、計画排水がおおむね千人以上一万人以下という地域、それから計画排水人口の密度が一ヘクタール当たり四十人以上の集落、あるいは公共下水道なり流域下水道整備とあわせて一体的に行うことが効率的であると。例えて申しますと、公共下水道処理場が近くにあると、市街地を離れて立地するケースが多うございますから近くにあると。その周辺の集落に下水道のやはり整備効果を及ぼそうと、こういうところでございます。そういうところを採択いたしてございまして、先ほど申しました全国で九十五カ所現在事業実施いたしてございます。  この補助率につきましては公共下水道の補助率と同じものを適用いたしてございまして、処理施設につきましては三分の二、管渠――パイプでございますが――につきましては十分の六という補助率を適用いたしてございます。
  20. 村田秀三

    村田秀三君 実は福島県でやっておらないものですから、建設省がこういう事業を進めているということは知りませんでした。  そこで、先ほどの例でありますが、白河の例を申し上げましたが、よくよく考えてみて、どうしてもこれはつまり小規模の処理施設、これをつくって、そして農業用水に使うなりあるいは支川にこれは流出するほかはないんだな、こう実は素人なりに考えていたわけでありますが、だんだん調べておりますうちに、ただいまのような事業も進められておると聞きました。最初は観光地を主に考えたらしいような経過もあるようでありますが、いずれにいたしましても、それにしてもこれ数が少ないということが言えると思うんですね。  私は白河の例を一つとって申し上げたわけでありますが、単に白河だけじゃありません。今、いかなる河川の上流地帯でもこういう問題というものは起こっておるわけでありますから、まず上流を攻めるというのが私の物の考え方、申し上げたいところであるわけでありまして、やはり小規模施設というものをどんどんつくっていって、流域下水道ができましたと、その幹線水路に正常な水が流入する工夫を、これは先ほど申し上げました礫間浄化装置、名称は違うようでありますけれども、先ほど建設省からお答えありましたそういうものをあちらこちらに配備するとか、配置するとか、そうしてやっていかないと、阿武隈川の上流地域の小水系、名前もついておらないような川の水が汚れてコイも死にます、既にハヤもいません、アユもすめません。こういう水の状態にしておっては、流域下水道を仮に完備いたしましてもへの役にも立たないと、こう物事の考え方を定着させる必要がある、こう思っておりますが、それはいかがお考えでございますか。
  21. 松原青美

    政府委員松原青美君) 先生の御指摘は、河川流域におきまして一つ水質保全対策として総合的な水処理計画を立てて実施すべきではないかという御指摘かと思います。  河川流域におきまして総合的な下水道整備計画をつくりますのは、流域下水道整備総合計画という制度がございます。これは二以上の市町村の区域を流域に持つ河川で、水質環境基準が設定されておりまして、その公共用水域の水質基準を達成するために必要な下水道整備に関する基本的な計画でございます。これを全国の必要な水域につきまして逐次策定作業を進めてございまして、かなりのところがカバーされておるわけでございます。これによりまして、流域下水道整備する区域はこの範囲と、あるいは公共下水道整備すべき区域はこの範囲と、これによって総合的な川の水質基準が達成できると、こういうことで鋭意これに基づきましてその地域下水道整備を進めてまいっているわけでございます。  さらに、こういう流域下水道整備総合計画を策定することが義務づけられている区域以外につきましても、必要な場合では下水道整備に関する広域的な計画と、こういうものを策定いたしまして、将来の下水道普及率九〇%という目標に効率的に近づけてまいりたいと考えております。そういうことで、このいわゆる流総計画の策定はもちろんでございますが、それ以外の区域につきましても広域的な水処理下水道整備計画というものを策定するように都道府県を指導してまいりたいと考えております。  なお、この機会に、関連しました御指摘の中で、小規模な下水道を逐次整備していく必要があるのではないかという御指摘につきまして、確かにそういうことも私ども必要性を痛感いたしてございまして、特にそういう小規模な下水道で間に合うというところは、市町村の財政力も非常に弱いし、今後のできました後の維持管理につきましてもなるべく維持管理が容易にできるというシステムが必要であろうということで、この小規模な下水道につきまして小規模下水道計画指針というものを策定いたしてございます。今後とも、それぞれの地域の実情に合わせまして適切な下水道システムを採用できるように、この指針を生かせるよう地方公共団体を指導してまいりたいと思っております。  この小規模下水道計画指針では、例えば施設の維持管理については原則的には自動運転、無人化を進めていくと、あるいは、こういうところでございますから小さいパイプでいいわけでございまして、余り大型車両も道路に通らないようなところでは浅く埋めて工事費を安く上げるとか、そういうことを検討いたしまして指針を策定して指導を始めたところでございます。
  22. 村田秀三

    村田秀三君 ぜひ積極的にひとつ進めていただきたい、こう思います。  そこで、厚生省は来ておりますか。――大変お待たせをいたしましたが、厚生省といたしまして、廃棄物処理施設整備事業というのがあるそうでありますが、その内容、構想、現状それから補助率等についても、助成措置等についてもひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  23. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) お答え申し上げます。先生お話しの部分に限りまして御説明をさせていただきます。  御指摘のように、下水道の未普及地域からの台所、ふろ場等から出ます家庭雑排水につきまして、身近な生活環境の点から、あるいは下流の公共用水域の水質汚濁の点から、各地でこの問題に関心を集めているところでございます。このため、廃棄物処理行政といたしましては、まず地域し尿処理施設という制度を持っておりまして、し尿及び家庭雑排水をあわせて処理する施設整備する事業につきまして、百一人以上を対象にする事業を補助の対象といたしまして、通常三分の一、公害防止計画区域につきましては二分の一の補助をしております。この制度によりまして、五十六年度末までに補助事業として二百十カ所、六十四万人の施設整備してございます。補助事業以外に単独でやられているところがございまして、単独事業も含めますと七百八十八カ所、百二十八万一千人がこの施設を現在利用しております。  それから従来からやっておりますもう一つの方策は、し尿浄化槽と家庭雑排水をあわせて処理をいたしますいわゆる合併型浄化槽の推進、適正な管理という観点から廃棄物処理法の規制を及ぼしておりますが、これにつきましては、各個人に属するものでございますので補助の制度はございません。  これらの制度だけではなお手段として十分でないという地方公共団体の強い御要望もございまして、五十九年度に新たに生活排水処理施設という制度に補助をすることにいたしております。これは家庭雑排水のみを処理いたします、集合的に集めて処理をするという観点から、生活排水の専用処理施設、また各家庭で個別に簡易な沈殿槽等を設けまして、処理としては完全ではございませんが、とりあえずその程度の処理でもやりたいというところにつきましては、その個別の処理施設の汚泥を収集しました後、その汚泥を処理する汚泥処理施設につきまして補助をするということにしておりまして、これは市町村が設置、管理をします計画につきまして採択をするという考え方に立っておりますが、補助率が三分の一、公害防止計画区域で二分の一の補助制度を五十九年度の予算におきまして二億八千八百万計上させていただきまして開始をする、こういう状況になっております。  以上でございます。
  24. 村田秀三

    村田秀三君 きょうはそれだけにとどめておきます。  そこで、今までもいろいろと聞きましたが、いつも議論になるんですが、法律に基づいて建設省なら建設省計画する、それ以外は地方自治体の仕事だと、こういうことが常に言われるわけですね。だから、恐らくこの白河の例でも、白河が計画をして県に上げてくれと、あるいはそれは建設省で採択してくれるようにやってくれ、普通今の行政の流れというのはそういうことだろうと、こう思うんですね。だけれども、実際は白河にやる気がないという言い方はこれは不遜でありますが、そうは申し上げませんが、何らかの都合あるいは財政の都合でやりたいこともやれないということもあるかもしれないですね。  そうすれば、これは国土庁長官にも聞いていただきたいと、こう思うのでありますが、そういう仕事はおれの方の仕事じゃないと、こういうふうにあるいは言うかもしれません。だけれども、水の問題、水資源開発公団は国土庁所管と、こういうことになりますが、水資源の開発国土庁の所管だけれども、水全体の話となるというと、これは総理府の部署があってどうも担当外でございましていろいろとお話ができにくいと、そういう状態が今あるわけですね。でありますから、この水の問題というのは、上流の水源地から河口まで一貫して対策を立てる、計画を持ち実施するという体制が必要ではなかろうか、こう私は思うんです。  でありますから、いわゆる地方自治体に銭がないなどと、こう言わしておかないで積極的に乗り込んで、そこが問題だとすればそこの解決のために指導する。先ほど都市局長は、地方自治体も指導しますと、こう言っておりますからそれはそれで結構でございますが、指導すると同時に、つまりはお金もつけてやる。最後に金の話になって恐縮でございますけれども、とにかくそういうようなやはり国家的ないわゆる一つ事業構想とそれを推進することが必要ではないかと、こう思っておるわけでありますが、建設大臣あるいは国土庁長官の所見を伺っておきたいと、こう思います。
  25. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 御指摘のとおり、水は大変重要な資源であるということは私も承知をいたしております。これは何せ幅のすそ野の広い、農業用ならば農水省であるとか飲料用ならば厚生省であるとか、あるいはまた工業用ならば通産街と、こういろいろ幅が広いわけでありまして、そこで国土庁としてはそれを総合調整をする、こういう機能の役割を果たすという、こういう意味国土庁の中で水資源対策という問題をやっておるものだと私は心得ております。  そういう意味から、流域内において、先ほどおっしゃったとおり、やはり循環をされて利用されていくという大変重要なものだと私は思っております。そういう意味から、最近は大変都市化が進みまして、水の中でも良質な水が要請というか、要求をされるということになってまいっておると私は思っております。そういう意味から、これからの水資源対策としては量の確保、こういった問題にも大変注意を払わなきゃなりませんが、同時にやはり良質の水をつくるというか良質の水の確保と、こういった問題にもこれからはやはり水資源対策として注意をしていく、特にまた積極的に取り組んでいく必要があるというふうに私は受けとめております。
  26. 水野清

    国務大臣水野清君) 先ほど来お答えを事務当局からしておりますように、建設省の所管は、先ほど申し上げました特定環境保全公共下水道事業というのが御説明申し上げましたようにございます。それが中心でございます。下水道というのは、これは先生がもう御指摘のとおり、快適で良好な生活環境を確保するためには大変必要である、ナショナルミニマムである、しかも今日の日本の国に非常に要求されている最大の問題である、こういう意味において建設省流域下水道をまずやっております。さらに、その下に公共下水道をやっております。  しかし、それにもかかってこない、主として農振地域の問題でありますから、本来なら農林行政の中ですくい上げることでございますけれども、現在御承知のとおり農村というのは、特に都市近郊農村というのは農村であるのかどうか非常に疑問な点が多い。農家も兼業農家が非常に多いわけでありますから、そういう中で、先ほど御説明しましたように、千人以下の農村集落においてはこれは農林行政にお願いをする。千人から一万人の間の農村集落の中の下水道事業を、先ほど申し上げたように特定環境保全公共下水道事業というもので拾い上げていくという制度ができているわけでございます。  ただ、これも先生の御指摘のとおりでありますが、そうは言いながら、それでは予算的には全国のそういったものを全部対象に取り上げて即時やれるかといいますと、御承知のとおり公共事業費が今日のような伸び悩みをしておる中で、建設省としては五十九年度予算はたしか二五%増の予算の確保をした、こういうことでございまして、今後とも――しかしこんなことで十分満足しているわけじゃございませんので、大いに積極的にやっていきたい。これは水の問題でございますから、御承知のとおり各省庁間にわたって、厚生省にも関係あり農水省にも関係あり建設省にも関係あり、総合的には国土庁で判断をしていただく、こういう行政でございますので、建設省の範囲で私どもは大いにやっていきたい、意欲を持って対処していきたい、かように思っております。
  27. 馬場富

    ○馬場富君 最初に、道路整備について質問いたします。  大臣所信表明の中にも、道路整備の重要性については力を入れてやっていくという意味のことが言われておりますけれども、最初に財源についてお伺いいたします。  公共事業が五カ年連続で抑制されておる中で道路予算も抑制されております。特に、道路整備は特定財源制度によっての運営がなされております関係で、ここ三年いわゆる準特定財源とされている自動車重量税の本来道路整備に充てられるべきものが一部やはり一般財源に流用されておるというような点もありまして、五十九年度予算編成に際して、大蔵大臣建設大臣との間で来年度以降については流用させないという約束をされたというようなことも聞いておりますが、この点はどうでしょうか。  もう一点は、来年度についてもやはり厳しいシーリング設定が予想されておるわけでございますが、この点について道路整備費と財源についての約束履行もなかなかこれは大変ではないか、こう思うわけでございますが、財政当局との約束の内容と今後の対応についてちょっと御説明願いたいと思います。
  28. 水野清

    国務大臣水野清君) 揮発油税、自動車重量税等のいわゆる道路特定財源、これは受益者負担あるいは損傷者負担の考えのもとに道路整備費に充てることとして、道路利用者に特別の負担を求めているものであることは先生も御承知のとおりでございます。しかし、歳出予算の抑制に伴いまして道路予算も抑制またはマイナスの状況にございますために、昭和五十七年度以降道路特定財源の歳入予算額が歳出予算額を上回って、いわゆる自動車重量税のオーバーフローというものを生じているわけでございます。  このために、五十九年度予算編成におきまして、自動車重量税の取り扱いについて建設省と大蔵省の両省間において折衝いたしました結果、この自動車重量税につきましては、制度の創設の趣旨、運用の経過から、今後とも道路特定財源としての原則に従いまして運用を行うものであるということで了解をしたわけでございます。  したがって、昭和六十年度予算の編成に当たりましては、自動車重量税にかかわる道路特定財源は全額道路整備費に充当されるように、その具体的な方策について大蔵省ともかけ合って、今後道路整備に当たって十分な予算の獲得に邁進をしたい、かように思っておる次第でございます。
  29. 馬場富

    ○馬場富君 それでは道路財源の中で、五十九年度末で今お話しになりました揮発油税等の暫定措置が切れることになっておりますが、来年度以降それぞれどのようにこれが取り扱われるかという点ですね、現行の第九次道路整備五カ年計画の推進とも絡んでやはり大きな問題となってまいるわけでございますが、この点はどのように理解されておりますか。
  30. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 揮発油税等のいわゆる道路特定財源は、ただいま大臣から御説明のありましたとおり、受益者負担あるいは損傷者負担の考えのもとに道路利用者に特別の負担を求めているものであり、我が国の立ちおくれた道路整備推進に大きく寄与しているものと考えております。  第九次道路整備五カ年計画は、現行の暫定税率を五カ年間延伸することを前提に、計画実施に必要な財源の相当部分を道路特定財源により確保することで策定したものであります。この五カ年計画の達成のためには、来年度以降におきましても道路財源諸税の暫定税率の延伸を図る必要があると考えており、その具体の方策について検討を進めているところであります。
  31. 馬場富

    ○馬場富君 では、これは来年度以降もやはりこういう方向で行くという方針に理解してよろしゅうございますか。
  32. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 第九次道路整備五カ年計画計画的に実施していく上において不可欠なものであるというふうに考えております。
  33. 馬場富

    ○馬場富君 では次に、新聞報道等によりますと、建設省は電気通信事業の自由化に対応して、高速道路網に光ケーブルを敷設した情報ハイウェー構想を打ち出しておられますけれども、六月をめどに道路新産業開発機構を発足させるとの模様でございますけれども、この建設省主導の第二電電構想のねらいと将来的な方向についての展望についてお伺いいたします。
  34. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 現在電気通信法体系の改革が検討されているところでありますが、これにより電気通信事業分野に競争原理が導入されることになりますと、大容量の通信回線サービスについても新規参入が予想されます。この大容量の通信回線サービスの幹線ルートにつきましては、その可能性が幾つも考えられるものではなく、高速道路または鉄道を利用したルートとなるものと考えられ、その活用が期待されているところであります。  高速道路には既に道路情報用の通信回線が、現在供用しております三千四百三十五キロ全線にわたって敷設されておるところでありますが、建設省といたしましては、今後道路情報を含む多様な情報を伝達する大容量の光ファイバーを敷設し、高速道路利用者の利便の増進に資するとともに、さらに幅広く通信回線として活用することを検討しているところであります。  検討に当たりましては、各界の有識者の方々から成るロードスペース懇談会等において御意見をいただいているところでありますが、その具体化につきましては、先生今おっしゃられました新しく設立する予定の財団法人におきまして調査研究を進めていきたいというふうに考えております。
  35. 馬場富

    ○馬場富君 特に、道路利用者以外にやはり一般電気通信事業の不特定多数のような者にも範囲を拡大して考えていく構想が明確になっておるかどうか、その点をもう一遍お尋ねいたします。
  36. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 現在高速道路には、供用しておる三千四百キロメートルに従来の銅線または同軸ケーブル、さらには光ファイバーが敷設されておるわけでございます。したがって、これからそういう線について次第に光ファイバーを用いるようになりますと、この光ファイバーは大量の情報サービスを提供することができますので、道路公団で現在行っております道路利用者に情報を提供するほかにも通信回線として相当の容量が残るわけでございますので、そういうものを今後どのように利用していくかというようなことをこの新しい財団で調査研究していきたいというふうに考えております。
  37. 馬場富

    ○馬場富君 では次に、道路状況の具体的な問題といたしまして、先日当委員会が中部圏の視察に行きましたときに、特に中部地域より強い要望のあった一般国道三百二号線の推進について現状を御説明願い、今後の推進を説明してもらいたいと思います。
  38. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 名古屋環状二号線は、名古屋市の中心部から半径約八キロメートルの周辺地域を結ぶ延長約六十六キロメートルの環状道路であり、今先生お話のありました一般国道三百二号として路線指定されておるものでございます。本道路は、名古屋市内へ放射状に集中する幹線道路を受けて、交通の効果的な分散導入及び土地利用の適切な誘導を図るために計画されたものであります。  現在、直轄事業として国道二百四十七号の東海市新宝町から国道二十三号の飛島村梅之郷まで等合計約五十八・ニキロメートルの区間を事業化しているほか、日本道路公団の一般有料道路事業により名港西大橋を整備中であります。さらに、名古屋環状二号線の一都を形成する高速自動車国道近畿自動車道の名古屋西インターチェンジから、これは北回りで行くわけでございますが、名古屋インターチェンジの間につきましては、五十八年八月、日本道路公団に対し施行命令を出したところであり、現在、事業実施のための調査に着手したところでございます。現在までに直轄施行区間のうち国道十九号から二十二号までの間約八・九キロメートルを含む約十キロメートルが供用済みとなっております。  昭和五十九年度は名港西大橋を含む三・ニキロメートルの供用を予定しているほか、国道百五十三号豊田西バイパスから上社インターチェンジまでの間四キロメートル及び名古屋西インターチェンジから南へ国道二十三号までの間九・三キロメートルを重点的に事業実施することといたしております。  名港西大橋に接続する名港中央大橋及び名港東大橋につきましては、西大橋以上の大規模な橋梁の計画であり、現在その構造の概略設計、耐震性の検討、航路空間との調整等に関する調査実施しているところであり、今後港湾管理者等関係機関との調整を進め、調査の一層の促進を図っていきたいというふうに考えております。
  39. 馬場富

    ○馬場富君 今当局から説明されましたように、重要な道路です。特にこの愛知県名古屋は、東西の通過地点として国道が十九本通過しています。そしてその十路線が名古屋市内を通過しています。そして現在交通事故の死亡で全国的に一番の状況が実は愛知県の状況になっています。この大きい原因は何点かございますが、一つはやはり国道の通過による問題点が大きく障害となっておるわけでございます。だから、この前陳情がございましたように、この第二環は、こういう通過する自動車等を二環によって調整をして、市内通過を避けて、非常に調整機関として最も大事な施設であるわけです。だから、そういう点でこれは何をさておいても優先的にぜひ扱っていただきたい、こう考えるわけです。  特に、海上部は予算もかかりますが、西大橋は一応完成のめどができておりますが、中央と東が今後どのような推進をされていくかという点と、それから先ほど説明の中にもありましたように、もう一点はいわゆる東名あるいは東名とあわせて東名阪を通ずる今の国土開発幹線自動車道というのは先ほどの北回りの線ですね、これの結局今後の推進状況をもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  40. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) まず、先生おっしゃられましたように、この環状二号線は名古屋周辺における交通問題を解決するに最も重要な幹線道路だというふうな観点から、私たちも直轄事業として、また道路公団高速道路、さらには一般有料道路として全力を挙げて整備を進めておるところでございます。  まず、海上部におきましては名港西大橋が今年度中に供用できる見込みでございますが、これだけでは今申しましたような機能を十分発揮できませんので、さらに東側に名港東大橋、さらに名港中央大橋、こういうようなものも架設していく必要があるというふうに考えておりまして、そのために現在名港中央大橋及び名港東大橋につきまして概略設計あるいは耐震性の検討等を進めておりますが、この名港東大橋、名港中央大橋は名港西大橋を上回る大規模な橋梁でございまして、いろいろな面でまだ調査検討をする点が残っておりますが、こういうような調査をできるだけ早く進めてまいりたいというふうに考えております。  さらに、先生おっしゃられました名古屋西インターチェンジから北回りで名古屋インターチェンジ間に至る高速道路につきましても、名古屋西インターチェンジから一般国道二十二号までの間を重点的に重点区域として事業の促進を図っていきたいというふうに考えております。  この区間が供用できるようになりますと、直轄で実施いたしまして既に供用しております二十二号から十九号間の路線とあわせてかなりの環状道路が機能することになりますので、この区間についてこの五カ年におきましても重点的に事業の促進を図っていきたいというふうに考えております。
  41. 馬場富

    ○馬場富君 大臣、お聞きのような状況ですが、三百二号につきましては、一般国道や高速道路と違って、そういう交通災害や交通事故の一つ対策として欠かすことのできない重要な位置を占めておる道路でございますので、私はこの推進について強力にひとつお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  42. 水野清

    国務大臣水野清君) 御承知のとおり、大都市圏構想というのが国土庁にございますが、首都圏と近畿圏と名古屋の中部圏の三大都市圏がございますが、東京と近畿には首都高速道路公団あるいは阪神高速道路公団のようなものがございまして、それぞれいろいろ御不満があろうと思いますが、その地域道路交通に専念をしているわけであります。それで、中部の地域におきます自動車高速道路計画というのは主として道路公団がやっておりますが、中部地区においては、御承知のように日本の産業の一つの大集積地域でございまして、非常に各方面からいろんな要望が出ております。今、道路局長が御説明申し上げましたが、建設省としては、この日本の産業の一つの大きな中心として、今後鋭意高速道路網あるいは一般国道網の整備に努力をしていきたい、かように思っております。
  43. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点、これは道路のことで先ほど大臣中国に行かれたときの発言で、発展途上国とのやはり道路建設等についての協力の考え方があるということをおっしゃいました。先般、私、IPUでスイスでの各国代表との懇談の中で、エジプトや南米地域の代表の中から出た言葉の中に、特に道路技術経済両面について日本との協力を大変希望しておる声が出ておりましたが、五月にはブラジル大統領等も来る予定でございますけれども、そういうような点で、南米地域との道路問題等についての技術協力等の考え方について建設省考えがあるかどうか、お尋ねいたします。
  44. 水野清

    国務大臣水野清君) 実は、今までのところ間接に、例えば国際協力事業団を通じていろんな要望がございまして、そういうものには御協力を申し上げていることは御承知のとおりであります。また、最近はマレーシアからもそういった話があるというふうに聞いております。たまたま、今回は中国から非常に強い要請がございましたので、私自身中国問題にも関心を持っておりますので、道路公団総裁と道路局長を伴って訪中をして現地を見てまいりました。  ただ御承知のとおり、建設省あるいは建設省所管の公団、事業団は海外事業に対しては直接いろんなことをするということが非常に難しい、法制上難しくなっております。これはなかなか簡単にいかない問題でございまして、JICAを通じて、いわゆる国際協力事業団を通じて言ってくることならば私の方はそれに対して対応する、その金目の話になりますとどうしても問題が一つございますから、公団、事業団の予算であるいは調査費で海外事業調査をするというわけにいかないわけでありますから、その辺のことについてはまだ今後法制的な問題として別な面から考えていかなけりゃいけない、かように思っているわけでございます。  しかし御承知のとおり、公団、事業団には非常にたくさんの技術者が集積をされておりまして、言ってみると技術集積といいますか頭脳集積といいますか、そういったものがあるわけでございまして、これだけ成熟したものをそのまま放置しておくということは私は非常に惜しいことであると、発展途上国その他に対してそういう人たちを通じて御協力できることがあればしていかなくちゃいかぬという一つの使命があるとは思っております。法制の問題と別に、私は今後の対策としていろいろ考えていきたいというふうに思っている最中でございます。
  45. 馬場富

    ○馬場富君 次に、河川整備についてお尋ねいたしますが、最初に木曾三川の公園化の構想と計画について御説明いただきたいと思います。
  46. 松原青美

    政府委員松原青美君) 木曾三川の国営公園についてのお尋ねでございますが、この公園は木曾川、長良川、揖斐川から成ります木曾三川の下流部に広がります広大な河川敷を活用いたしまして、これを公園として整備すべく五十五年度から着手したものでございます。この公園は河口地区、中央水郷地区、三派川地区の三地区に分かれておりまして、現在は中央水郷地区の、特にその中心となります、その利用の拠点となります地区センター区域の整備を進めている段階でございます。で、この早期開園につきまして地元からの強い要望もございまして、ひとつ早期開園を目指して事業の推進を図ってまいりたいと存じております。
  47. 馬場富

    ○馬場富君 この構想とあわせて、ひとつ長年月時間を費やして、特に中流地域の木曾川の護岸の整備が推進されておりますが、これは特に左岸の点につきましてかなり進行されて、後もうわずかな状況でございますが、この推進状況を説明いただきたいと思います。
  48. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先生承知のように、木曾川左岸は古くからいわゆる囲い堤によりまして洪水から守られておる地域でございます。しかしながら、近年その前面におきまして開発あるいは宅地化が進行しております。これらの箇所につきましては、新たに囲い堤の前に新しい堤防を築造してきているところでございます。この総延長は二十二・二キロメーターでございますが、そのうち十四・七キロメーターが今日までに完成をいたしております。暫定堤もございまして――暫定堤といいますのはいわゆる計画洪水までの堤防でございますが、これを含めますと十八・一キロができておるわけでございます。特に江南市の鹿ノ子地先であろうと思いますが、この地域につきましては、現在まだ未定のところがございます。これにつきましては比較的地盤も高いということもございまして、昨年の出水におきましても浸水しなかったと聞いておりますが、今日までまだおくれておるのでございますが、民生安定の見地からも引き続き築堤を促進して、一日も早く完成するように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  49. 馬場富

    ○馬場富君 この護岸につきましては、当局も御存じだと思うが、この木曾川の左岸は二重堤になっております。それで本堤から一歩外に出た二重堤が実は弱かったから、それを本堤のように整備して二重堤で完璧なものをつくっていこうということで整備されたわけです。それで非常にこれは大きい効果が上がっておるし、またそのために、その二重堤によって出てきた河川敷等がいわゆる公園や地域住民の大きい施設にも利用されてきておる非常に重要な一つ事業にもなってきております。後、今お話によりますと、千二、三百メートルまで来ておるわけですけれども、やはり二重堤というのは完全に閉鎖されなければ遊水地域ということになるわけですね、増水時にはそこに水が巻くということでいろんな計画が進まないわけです。だから、あの辺の周辺の都市におきましては、この木曾三川公園の計画の推進とあわして、やはり護岸の完成を待ってあの地域でも公園地域を形成していきたいという計画がみんなから強く要望されてきておるわけです。  そういう点で、やはり最終的な護岸の推進を一日も早くやってほしいということから強い要望があるわけですけれども、今年度の予算は二百メートルほどついておるようでございますが、あと千五百メートル足らずの状況でございますので、早急な推進をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  50. 井上章平

    政府委員井上章平君) この江南市地先の地域の堤防につきましては、先生指摘のとおりでございますので、一日も早く完成いたしますよう努力いたしたいと思います。
  51. 馬場富

    ○馬場富君 次に、住宅の問題についてお尋ねいたします。  基本目標は、大臣所信表明でも明らかにされておりますように、「すべての国民が、その家族構成、世帯成長の各段階、居住する地域の特性等に応じ、良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅」の確保にあると所信表明の中にも言われておりますけれども、現行の第四期住宅建設五カ年計画の推進状況を御説明いただきたいと思います。
  52. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 最近住宅建設が低水準で推移をしておりますが、第四期の住宅建設五カ年計画の進捗率は、昭和五十七年度までの実績見込みで、公的資金による住宅が四〇・一%、民間資金による住宅が二二・九%と、公的住宅はまずまずでございますが、民間住宅におくれが見られるわけでございます。なお、公的資金による住宅につきまして、計画を含めますと、昭和五十九年度までの四カ年で七九・五%と見込んでおりまして、ほぼ計画どおりの水準に達するものと考えております。  今後とも公的賃貸住宅の的確な供給を図りますとともに、おくれが見られます民間住宅の建設の促進を図ることによりまして、計画の的確な実施に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  53. 馬場富

    ○馬場富君 計画目標は、六十年代までにすべての世帯が最低居住水準を、また半数の世帯が平均居住水準を確保することができるということに実は目標がされておりますが、この達成はどのようにされておりますか。
  54. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 昭和五十三年の住宅統計調査によりますと、最低居住水準未満の世帯が、住宅の規模の要因で見まして、全体で約四百七十五万世帯、全世帯についての割合は約一四・八%でございます。平均居住水準未満世帯は同じく全体で約千八百七十五万世帯、全世帯の約五八・三%となっております。  現在、昭和五十八年の住宅統計調査の集計中でございまして、その結果につきましては間もなく集計の結果があらわれると思いますが、平均居住水準未満世帯は、新設着工住宅の規模水準の向上等によりまして順調に減少を続けております。昭和六十年までに半数の世帯が平均居住水準を確保するという目標につきましては、恐らくその達成が可能ではないかと見込んでおります。  ところで、最低居住水準未満世帯の方でございますが、これは大都市の借家居住世帯を中心に、なお相当最低居住水準に届かない世帯が存在をしておりまして、昭和六十年までにその解消を図ることはなかなか困難ではないかと考えております。したがいまして、今後とも大都市地域におきます公的住宅の的確な供給等によりましてその解消に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  55. 馬場富

    ○馬場富君 おたくの方からいただいたこういう資料等を見ましても、やはり新しい住宅の建設というのは全国的にも前年度から比べて大きいマイナスが出ておりますが、この原因はどんな点にありますか。
  56. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 五十八年度の新設の住宅着工戸数は、ただいま御指摘のように対前年度に比べまして一・九%の減であります。戸数にしまして百十三万五千戸と、こうなっております。  この原因でございますが、やはり基本的には、住宅につきましてある程度量的に充足をされてきているという住宅の需要構造の面があろうかと思います。それからもう一つは、やはり住宅の価格につきまして、若干鎮静化してきているとはいいながら、まだまだ高値でございます。その住宅の取得価格と国民の収入、住宅の取得能力との乖離が原因ではないかというように考えております。  したがいまして、五十九年度につきましては、厳しい財政事情のもとではありますが、住宅金融公庫の個人住宅建設の無抽せん体制の堅持でございますとか、貸付限度額の引き上げ、あるいは税制の改善等々の措置を講ずることとしておりまして、五十九年度の着工戸数といたしましては全体として緩やかな増加を示すものと考えておる次第でございます。
  57. 馬場富

    ○馬場富君 今までの推進状況のデータを見ましても、住宅金融公庫を除く以外は、やはり公団住宅にしても公営住宅の実績にいたしましても、落ち込みがひどい状況にあるわけです。今御説明もございましたが、やはりこういう実績と、それから今反省の中で、次の五カ年計画の策定に当たっては住宅対策についてはどのような点を考慮されるお考えでございますか。
  58. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 公団住宅あるいは公営住宅の建設につきましては、ただいま御指摘がございましたように、おくれが見られております。その原因は、一つ用地の取得が非常に難しくなってきておる、特に大都市地域におきまして用地取得が難しくなってきているということ、それからまた周辺住民との調整が非常に難航をしているということ等々にあると考えております。こういったことをなくするために、こうした住宅の建設を促進するために、関連公共施設整備促進事業の推進でありますとか、あるいは建てかえの促進等々の各種の施策を実施しているところでありますが、今後とも的確な供給に努めてまいりたいと考えております。  なお、今後の住宅政策のあり方についてでございますが、現在住宅宅地審議会に対しまして諮問をしているところでありまして、公的住宅の供給につきましても、需要の動向でありますとか、あるいはこれまでの実績等々を踏まえながら検討をしていただくこととしております。その成果を次の第五期の住宅建設五カ年計画にも着実に反映してまいりたいと考えておる次第でございます。
  59. 馬場富

    ○馬場富君 ここで各種の世論調査を見ましても、やはり依然として国民の間には持ち家志向が強く出ておるという点がはっきりしております。そこで、政府は良質なやはり持ち家取得の促進策を推進していかなければならないと思いますが、どのような施策が進められておるかという点と、また今年度の予算の中でそういう目玉となるようなものがあるのかどうか、説明していただきたいと思います。
  60. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) ただいま御指摘のように、住宅の需要につきましてはやはり七割程度の方が持ち家住宅を志向しているわけでございます。このため、住宅金融公庫を中心といたしまして持ち家住宅の建設の促進を図っているわけでございますが、五十九年度の施策といたしましては、従来と同様に住宅金融公庫の個人住宅建設につきまして無抽せん体制を堅持していくということ、それから貸付限度額につきましても一定の規模以上の住宅建設につきましては貸付限度額を引き上げるということ、あるいは二世帯住宅等につきましては割り増し貸し付けにつきまして同じく七十万円ほどの額の引き上げを行うということ等々のことを実施することとしております。また、税制につきましても、生前贈与制の創設によりまして、親子間の生前におきます贈与につきまして、住宅建設を目的とする場合につきましては、その贈与税の軽減を図るということによりまして個人持ち家住宅建設の促進を図ることとしておるわけでございます。
  61. 馬場富

    ○馬場富君 今の説明の中に出ました住宅取得資金の関係で、この贈与税の特例が実はその対策として創設が行われましたけれども、これにより住宅建設の増がどのくらいある見込みであると考えてみえるか。  それから、これが二年限りの特例となっているというのはどういうわけか。かなり長期的に考えなければならぬこの対策に二年の特例というのはおかしいんじゃないかと思いますが。また、これに対して、中古住宅の取得に当たってはこの特例が認められていないというような点もありますが、ここらあたりがやはり政府施策推進の中で障害となってはいないかということですが、この点はどうですか。
  62. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) ただいま御指摘の住宅取得資金に係ります贈与税の特例の制度でございますが、これは親または祖父母から自己の居住の用に供する住宅の取得のための金銭の贈与を受けた場合の贈与税につきまして、二年間の時限措置といたしまして、一定の要件のもとで、その住宅取得資金のうち五百万円までの部分につきまして特例の税額計算を行い、贈与税を非課税また軽減するものであります。その結果、三百万円までの贈与は非課税となります。また、三百万円を超える贈与につきましても税額が大幅に軽減されるので、住宅建設の促進に相当の効果期待できるものと考えております。  その効果でございますが、あえて一定の前提を置きまして試算をいたしますと、おおむね三万戸程度の住宅建設促進効果期待できるものではないかというように考えております。  なお、本制度は、現在住宅の建設が落ち込んでおります。その落ち込みを何とか引き上げようということで、住宅建設の促進を図るための特例の措置として設けられたものでございまして、租税特別措置法の改正によるものでございます。租税特別措置法につきましては、特例措置ということで二年間の時限措置というのが通常でございますので、このたびの生前贈与制につきましても、とりあえず住宅建設の促進を図るという観点から二年間の時限措置としたものでございます。  また、中古住宅の取得につきましても、広い意味では確かにこれを除外する理由はないわけでございますが、やはりこれも現在の住宅建設の落ち込みを解決し、住宅建設の促進を図るという観点から、住宅の新築に直接結びつかない中古住宅の取得については除外をしたわけでございます。したがいまして、非常にぎりぎりのところでこの制度効果的に運用していくという意味で住宅の新築に限定をしたわけでございますが、この制度をできるだけ有効に活用いたしまして住宅建設の促進の効果を図っていきたいと考えている次第でございます。
  63. 馬場富

    ○馬場富君 これは大臣にお尋ねしますが、贈与税の特例措置というのは実施の仕方によっては非常に効果が上がると思うんです。今言われたように、三万戸相当の結局は増になるという見通してございますが、これは非常に短い二年というような特例ですね。それからまた、中古住宅等には及ばないというような一つの枠をはめてしまうと、効果がPRの間に終わってしまうというようなことにもなりかねないと思うんです。  そういう点で、効果が上がれば二年の特例措置というものも延長する考えがあるかどうかということと、それから中古住宅にもこれはぜひ適用してこの効果を上げていくことこそ、今落ち込んでおる住宅対策、特に持ち家等についての持ち上げの大きい私は力になると思うんですが、この点どうでしょうか。
  64. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま住宅局長が御説明申し上げましたように、特例措置としてまず暫定的にやってみようということで大蔵、建設両省間でようやく合意を得た制度でございます。  そこで、二年間という制限がついておりますが、私どもとしては二年間で終わるということではないと思っております。三万戸ぐらいの住宅需要が発生するという一つの推定を住宅局長が申し上げておりましたけれども、もしそういうことであるならば、さらにこれを敷衍して、今御指摘のように中古住宅の取得についても――これは売買でございますから当然できるのではないかと思っておりますが、今後、これは建設省だけで考えられることではございませんので、他省庁との交渉もございますので、私が今ここで余り大きなことを申し上げて、かえってそれが障害になってもいけないと思っておりますが、十分に建設省としてはその意欲を持って考えておる最中でございます。
  65. 馬場富

    ○馬場富君 次に、大臣の所信の中で、公共賃貸住宅の的確な供給の促進を図るという点が強調されておりますけれども、これについて具体的にはどのような施策を今行ってみえますか。
  66. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 公共の賃貸住宅の供給につきましては、昭和五十九年度におきましても、厳しい財政事情の中ではございますが、所要の戸数の確保を図ったものでございます。さらに、新しく公営住宅総合建替モデル事業でありますとか、住都公団におきましてフリープランの賃貸住宅等を実施することとしております。また、公営住宅につきましては、既存の木造の一戸建て住宅あるいは簡易構造の連続建て住宅等の建てかえの促進を図ることとしております。こういったことを総合的に実施をいたしまして、公共賃貸住宅の的確な供給に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  67. 馬場富

    ○馬場富君 特に、持ち家等の問題の中で発生してくる、住宅ローンの返済に窮してサラ金に手を出したり、あるいは一家心中を企てたりという暗い事件が、実はこの住宅問題を背景にして犯罪等も起こっております。これはやはり住宅価格と取得能力の乖離が甚だしいためにこのような現象が起こっておると見るわけですけれども、現在、平均的なサラリーマンがマイホームを手に入れようとするとかなりの無理を覚悟しなければならないと。そういう点で、無理をしてまでも持ち家を取得しようとする背最の中には、一つは良質な借り家の建設が十分なされてないという問題点もあるのではないかと。だから、この借り家対策がやはり十分ではないんじゃないかという点もここで実は出てくるわけです。  それで、それぞれの年代に応じた住宅というのが実は必要になってくるわけでございますが、やはりこれからの住宅の中でそういう考え方をもとにした住宅政策というものが必要だと思いますが、この点どうでしょうか。
  68. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) ただいまの先生の御指摘のように、地域に応じまして、また年代に応じまして、あるいはさらに所得に応じましておのおの的確に住宅を供給していくということが住宅政策の基本であろうと考えております。そういう意味では、大都市圏におきます比較的年代の若い世帯につきましては、借家住宅を中心に供給していくということが重要であろうと考えております。  ただ、大都市圏における賃貸住宅の供給というのは、用地価格等のこともありましてなかなかその供給が厳しい状況でありますが、今後公的賃貸住宅の供給を基本としながら、地主さんの土地を有効に活用して賃貸住宅の供給を図っていくというような政策を今後とも強力に進めていきたいと考えておる次第でございます。  また、地方都市あるいは大都市圏におきましても、ある程度の収入のある方につきましては持ち家住宅の供給が重要でございます。これにつきましては、住宅金融公庫の融資を基本としながらその住宅の供給を図っていきたいと考えておりますし、また住宅価格と所得の乖離が基本的に住宅建設の促進をおくらせているということでございますので、この住宅価格につきましてもできるだけその低減を図るよう種々の施策を講じていきたいと考えておる次第でございます。
  69. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、やはりこういう問題等の解決のために、民間による再開発の促進と市街地住宅の供給促進がやはり今年の住宅対策の柱の一つとなっておりますけれども、私は重要なポイントになると思います。  そこで、政府が今年から打ち出されました新規事業である優良再開発建築物整備促進事業並びに公営住宅総合建替モデル事業、この二点につきまして具体的にはどのようなことをなさるのか、御説明願いたいと思います。
  70. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) まず第一点の優良再開発建築物整備促進事業でございますが、市街地の環境の整備あるいは改善に資する良好な建築物の整備を図りますとともに、あわせて良好な市街地住宅の供給を行うというものであります。二人以上の地権者等が敷地の共同利用をあわせて行う優良な再開発建築物の建築あるいは敷地整備を行う場合に、当該建築物を整備する者に対して補助金を地方公共団体が交付する、その地方公共団体に対し国が必要な助成を行う制度でございます。  具体的には、三大都市圏の既成市街地等それからまた県庁所在都市、さらに人口二十万人以上の市を対象といたしまして、敷地がおよそ一千平米以上の区域におきまして二人以上の地権者等が敷地を共同利用して一定の空地を有しながら三階以上の中高層の建築物を建築する場合に補助をするわけでございますが、補助の中身は、調査設計計画費、土地整備費、共同施設整備費でございます。具体的な事業地区につきましては、現在地方公共団体と種々話し合いをしておるところでありますが、地方公共団体の希望を求めましてその地区を選定してまいりたいと考えております。  なお、この制度に関連いたしまして、五十九年度は税制上も、こうした事業実施に伴い、資産の買いかえにつきまして、譲渡所得につきまして課税の繰り延べ措置を行うこととしております。また金融上も、こうした事業に係ります住宅金融公庫融資の中高層再開発融資につきまして単価等の優遇措置を講ずることとしているわけでございます。  それから二番目の公営住宅総合建替モデル事業でございますが、これは三大都市圏の既成市街地におきまして、一ヘクタール以上の既存の公営住宅、木造公営住宅等が多かろうと思いますが、その既存の公営住宅を核といたしまして、周辺の市街地を含んだ五ヘクタール以上の地域を一体的に再開発しようとするものであります。  この事業のねらいといたしましては、国公有地の活用の一環といたしまして、建てかえの時期に来ております公営住宅用地を有効活用するということ、それから地方公共団体による公営住宅の建てかえとあわせまして、民間による周辺市街地の再開発実施し、民間活力の積極的な活用を図るということ、さらに地域の一体的な再開発を行うことによりまして合理的な都市の高度利用を促進して、あわせて市街地住宅の積極的な供給を図るということであります。このため、公営住宅の建替事業を行う地方公共団体と共同で本事業を行います事業者に対しまして、調査設計計画費、建築物の除却費及び共同施設整備費につきまして補助を行う等の助成制度を創設したわけでございます。  なお、具体的な事業地区につきましては、これがモデル事業ということでありまして、今年度は全国で一カ所、地区を選定いたしたいと考えております。そういう観点で東京都、大阪市等と現在その適地につきまして相談をしているところであります。できるだけ早く適地を選定いたしまして、事業実施にかかりたいと考えておる次第でございます。
  71. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、五十三年度の住宅統計調査によりますと、住宅総数は三千五百四十五万戸となっております。そうしますと、やはり一世帯当たり一・〇八という数字が出てくるわけでございますが、やはり量的には戸数の面においては足りてきておるということが数字的には見受けられるわけでございます。だから、そういう点でいきますと、やはり今後はここで国民のニーズにかなった良質な住宅を供給することが今後の対策の中で一番ポイントになってくるのではないかと、こう考えるわけです。  そういう点で、やはりこれからの住宅対策の中には、特に増改築とかあるいは修繕とか模様がえ等のリフォームによる居住水準の向上を一つ考えていかなきゃいかぬじゃないか。それから、あわせましてやはり中古住宅流通市場の整備の促進というのが大切になってくると思いますが、この点につきまして、当局の考え方とあわせまして大臣のひとつお考えをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  72. 松谷蒼一郎

    政府委員松谷蒼一郎君) 初めに、先生の御指摘になりました中古住宅の増改築等の施策につきまして御説明申し上げます。  我が国の住宅ストックは、ただいま先生から御指摘がございましたように、既に昭和五十三年におきまして三千五百万戸を上回っております。こういったストックの有効な活用を図るということ、質の向上を図るということ、そのために増改築、修繕等の推進を図り、また中古住宅の流通を図る必要があると考えております。このため、住宅金融公庫の住宅改良貸し付けにつきまして拡充を図っております。  例えば、昭和五十七年度当初、住宅改良資金の貸付限度額は三百万円でございましたが、それを昭和五十七年の十月から三百五十万円に引き上げる。さらに五十九年度につきましては、外壁不燃化工事等のものにつきまして三百七十万円と、これをさらに二十万円引き上げるということにしております。また、貸し付けの戸数も五十七年度当初四万八千戸でございましたが、五十九年度は七万三千戸を予定しております。こういうようなことで、ストック対策の一環といたしまして、住宅の増改築につきましても融資の面での改善を図っております。  また、新しく設立をいたしました財団法人日本住宅リフォームセンターを活用いたしまして、増改築等のコストダウンを図るための技術開発あるいは増改築につきましてはなかなか適正な情報が提供されないうらみがありますが、これにつきましての情報の提供、また消費者に対しまして増改築の助言を行う人材の養成等供給体制の整備を行うため、この財団法人に対しましても国費を三千万円計上いたしまして総合的に増改築等の向上普及を図ることとしております。  また、中古住宅の流通につきましても、住宅金融公庫の融資条件の改善を図るということにしておりまして、全体として住宅のストックの対策を重点的に実施をしていきたいと考えております。また、もちろん住宅ストックの改善のために建てかえという政策が非常に重要でございますが、これにつきましても質の悪い住宅の建てかえを行いますために、木造賃貸アパートが密集している地区につきまして特別に改良の地域指定を行いましてその改良を図っていくということ、あるいは公的住宅につきましても建てかえの促進を図っていくというようなことで、総合的にストックの改善の策を実施することとしている次第でございます。
  73. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま住宅局長から申し上げたことで尽きているわけでございますが、御承知のとおり、地価の上昇あるいは建築費の上昇その他あるいは一般の勤労者の方々の所得がここのところ低迷しているというようなことから、住宅取得が非常に難しくなっております。五十九年度予算では、それをもとにして、いかにこういう経済情勢の中でも住宅建築戸数を増していくかと、住宅建築というのは一つ経済成長の大きな基本にもなるわけでございますから、いろいろ工夫をしたところでございます。  例えば民間、公共を含めましてでございますけれども、先ほど申し上げましたように秘制の面から親子税制のようなものを創設いたした、あるいは都市の再開発の中でも税制の改正をお願いした、あるいは公共住宅におきましては、賃貸住宅の問題につきましても、新しい分野で抜本的なこととはなかなか言えないわけでございますが、いろんな各種の対策を行った、こういうことで、ことしはでき得る限りの知恵の出せる範囲のいろんなことを動員いたしまして、ともかく住宅建築が落ち込まないようにということで、最善の努力をして予算編成をし、皆さん方の御協力で予算の成立を見たわけでございます。  今後、景気の動向などを考え合わせまして、最大のひとつ問題として、上半期は大体予算というのは見通しがついてまいりましたけれども、下半期も含めまして、あるいは来年度予算を見通しまして、積極的に住宅建設が進むような対策を講じていきたい、かように思っている次第でございます。
  74. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十二分開会
  75. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査議題といたします。  質疑を続けます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 前回の質問に引き続きまして、きょうは信濃川河川敷利用計画問題、それから国鉄の信濃川水力発電所問題などについて質問させていただきたいと思うんです。  信濃川河川敷の問題も、今度の利用計画の長岡市との協議、建設省がそれに同意したということが発表をされて、現地では事態がいよいよ動き出していくというように見られています。現地の新潟日報の五月一日号では「”田中金脈”も四月に入り動き始めた。田中ファミリー企業の室町産業と千秋が原工業信濃川河川敷南半分の所有地の利用計画を策定し、十六日、長岡市はゴーサインを出した。この同意により、両社は五十億円は下らないといわれる用地内の砂利採取やその後の土地造成に着手可能となり、金脈形成の切符を手にすることになった。」と、そう書かれております。  五月の二日に田中角榮議員は現地へ行きまして、越後交通の本社に行き、それからこの信濃川河川敷の南半分の現地に立ったという、恐らく二十年ぶりぐらいじゃないでしょうか、あの土地にいよいよゴーサインが出たというので現地に行って、あそこは山盛りになっているんですけれども、その上に立ったというんですね。それで、今ブルドーザーが入って平らにならす工事が始まっている。  それからこれも御存じと思いますけれども、五月四日には小林孝平市長が辞任表明をされまして、六月にはいよいよ市長選挙なんですね。これまで中途辞任はしないと言われていた小林市長の今回の辞任は、やっぱり信濃川河川敷問題と絡んでいると言われています。きょう、私どもの長岡の市議会議員の榎議員が傍聴に来ておりますけれども、きょうのこれは新潟日報で、私も榎さんから見せてもらったんですが、「早められた”Xデー″」というので、小林市長の辞任問題についてこう書いています。「しかし、市長は辞職を”決断”した。時期は田中元首相の金脈と騒がれた信濃川河川敷の室町産業所有分の利用計画の進展と微妙にからんでいるのは間違いない。」と。で、市長が目白の田中邸を訪れ、田中元首相と話し合い、心境を打ち明けて、最終的に辞職と後継者の問題で合意を得たのは三月十七日の目白邸と言われていると、そう新潟日報などは書いているんですね。  それで、国会では十八年間この信濃川河川敷問題というのは問題になって、各建設大臣、三木首相、福田首相等々が何回もこの問題について答弁をし、各党とも取り上げてきた問題で、この前も申し上げましたが、参議院ではこの問題について遺漏のない行政措置をすべきだということが決算委員会並びに本会議でも決議になっているというような問題なんですね。  水野建設大臣はどうもこの問題に余りお詳しくないとおっしゃるので、やっぱり十八年間国会で取り上げ、国民に不信の残らないような措置を政府としてはやるということを何度も表明してきた問題ですので、改めて、多少おさらいぎみにもなりますけれども、やっぱり国会全体の問題として、特にこの問題について担当として取り上げてまいりました建設委員会として、いよいよ最終段階のようにも思われますので、私、問題をお伺いしたいと思うので、建設省側も、何とかこの場を逃れればいいというのではなくて、やっぱり国民の見ている問題にどう責任あるけじめをつけるかという態度で御答弁をいただきたいと思うんです。  この問題は、私何回も取り上げて、建設省の行政側も大きな責任があるんじゃないかというように言ってきたんですが、少しおさらいになりますけれども信濃川河川敷というところは、水がしょっちゅうかかって、ツツガムシのところで、大変な土地だったんですね。だから、あそこの農民たちは、堤防をつくってもらいたい、水のかからない土地にしたいというので、堤防送り出しの期成同盟というのをつくって、本堤防をつくってほしいという運動をずっとやってきたんですよ。  それで、それをめぐる疑惑が出てまいりましたのは、まず第一に、昭和三十九年から四十年に田中角榮が室町産業という会社をつくってこの土地を買い占めたわけですね。七十三ヘクタールのうち、十ヘクタールは国有地で、六十三ヘクタールを、民有地は平米五百円、九条地はたった百円です、で買っちゃったんです。それは、農民たちは堤防をつくってくれと、それで水のかぶらない農地にしてほしいというのを、どうせ水はかぶるんだから、耕してもいいし、ひとつ時価で買ってあげようということになって、農民の要求を入れるような顔をして買っちゃったわけですよ。買い占めちゃったんですね。これが今詐欺その他であるというので裁判になっているんですね。で、この土地買い占め、農民の要求を逆手にとった土地買い占め、これが大きな問題だった。  それで、実はこれに地位利用の疑惑があると。買い占めた当時、田中氏は大蔵大臣。これ、昭和四十一年に当時共産党の加藤進議員が国会で取り上げた、これが一番最初です。取り上げたときに、橋本建設大臣が、今もうその堤防をつくり始めているけれども、これは霞堤だと、締め切らないんだと。霞堤というのは、見えるか見えないかの低い堤だと、これ、ちょっとおかしいですね。この答弁おかしいんだが、とにかく締め切る意思はないという答弁をしたんです。ところが、実際には締め切る方針が成っていて、昭和四十三年に締め切りが決定されて、導流堤で水はこう入るはずだったのに、全部締め切られたためにその土地がもう河川敷で実際上なくなる。そうすると、これまできちんと見事に買い占めてあった土地が、これが一挙に、水の入るとんでもない土地ではなくて、将来すばらしい値段になるという可能性が生まれたわけですね。  この締め切った当時は、田中氏は自民党の幹事長でした。我々が地位利用と思うのは、当時田中大蔵大臣・自民党幹事長だけが、農民は知らないけれども知っていた情報が集まっていたはずなんです。一つは、長岡バイパスが通る、長岡大橋がつくられるということ。それから河川法改正、旧河川法から新しい河川法の改正がこの当時ずっと行われていて、九条地がもとの地権者に、廃川敷処分になれば地主の手に戻るということになるわけですね。そういう河川法改正からバイパス、長岡大橋の問題等々、それから特に大事なのは、この堤が締め切られる、本堤になるということを田中氏は知っていた。その情報を知っていたために、農民をだまして五百円、百円で買い占めると。これはみんな越山会の会員です。みんなもう本当にふるさとの農民で、田中さんを神様のように思っていた農民たちをだまして買い占めてしまったということなんです。  そのために、国会で田中金脈問題が大きな問題になったときに、期せずして田中金脈の最大のテーマとしてこれが国会で取り上げられてきたと。政府としては田中金脈と言われるこの事件について大きな関心を持っていると。それで、大きな暴利をむさぼらせないように、国民の疑惑が残らないような行政措置をとるということを答弁してきたんですね。  建設省側の疑惑というのは、この霞堤を本提にやっぱり切りかえると、切りかえたのは一体なぜなのか。建設大臣の答弁で本堤にする意思はないと言っているのに、二年後に締め切ってしまったと。しかも、締め切った経過が不明だというので行管庁の監察まで行われた。ところが、その当時の文書は当然保存しておかなければならないのになくなっておると。ある文書はかがみがないと。だから、だれがついているのかわからないというんですね。ある三年間分のこの堤についての記録が失われているということが問題になってきているんですね。そうすると、いろいろ建設省側のその問題が一つ。  それから廃川敷処分が行われたとき、三木首相は、必ず首相と協議してから決める、建設大臣一存では決めさせないと答弁していたのに、当時の長谷川建設大臣が、福田首相と協議しないで一存で廃川敷処分を行ってしまったということも、私大変問題視しましてこの委員会でも取り上げた。そういう経過がずっとあるんですね。  それで、全体の河川敷、後楽園が五十個ぐらい入る広いところですけれども、その北半分は長岡市が公共利用するということになり、南半分は室町産業、千秋が原工業、この二つが利用計画を長岡市と協議して決める、それについては建設省も事前に協議するということがこれまでの経過だったわけです。ところが前回、局長の答弁でこれまでの経過、また首相、建設大臣の表明と異なった点が幾つか出てまいりましたので、私時間切れのときでしたが、これ追及いたしまして協議が続いてきたというわけです。  少し前置きが長くなりましたけれども、そういう非常に重要な問題ですので、国会の責任をきちんと国民の前に示すという非常に大事な機会ですので、建設省側もこの問題をよく自覚されて対処していただきたいと思うんです。  さて、問題の出発点は昭和五十年十月三十日の三木首相の答弁、これはまだ廃川敷処分の行われる前ですけれども、長岡市長とそれから室町産業側とが協議を行って、大体長岡市長に全体一任するという覚書が取り交わされて、一任するけれども、どうも長岡市が北半分だろうというので、残りの南半分の室町産業側の利用問題が国会で問題になったときのことなんです。  この質問をされたのは社会党の宮之原議員です、参議院の予算委員会で。それで、この南半分を室町産業にそのままやるのは問題じゃないか、きちんとした行政指導があってしかるべきじゃないかということを宮之原さんが追及された。残りの部分もちゃんと公共用地としてやれということを当時の仮谷建設大臣に追及した。  それに関連して国務大臣三木武夫――三木首相が「いま話し合いの途中でありますがこと言って、こう言ったんです、「その土地によって室町産業が暴利を得たというようなことは国民が納得しませんから、やはりそれを売り渡す場合には、もとの原価プラス土地の、いろいろ土地造成なんかに金がかかればその費用もあるでしょう、それから金利、こういう程度で、その土地で非常に暴利を得たというようなことのない措置であるべきである。しかも、その土地利用は公共優先という立場でその措置をされることが適当である。」と。  これは大体長岡市が利用する公共用地だけでなくて、室町産業に残される分についても、私はこれ三原則と言っておりますけれども、暴利を得させないと、それから価格はもとの原価プラス金利、造成の場合は造成費用が入ると、三番目は公共優先ということを首相が答弁されたんですね。ですから、これは室町産業の分についてもこの原則が適用されるべきだということを首相が答弁されて、仮谷建設大臣もその後すぐ「少なくともあの土地全体を通して室町産業が不当な利益を受けることがない、しかもその土地は公共のために、あるいは市の発展のために利用される」べきなんだということを当時の建設大臣も予算委員会で答えられた。  水野さん、そういう経過なんですが、三木首相並びに仮谷建設大臣の答弁、つまりあの土地全体について、室町産業の利用される分も含めた全体についてこういう原則だという政府の表明、これは当然尊重されるだろうと思いますが、まずその点をお伺いいたします。――大臣に、これは原則問題ですから、首相のそういう答弁を……、局長には後で詳しくまたお伺いしますから。
  77. 水野清

    国務大臣水野清君) 信濃川河川敷問題の処理に当たって、三木総理初め歴代の建設大臣が基本方針をそれぞれ答弁しておられます。そこで私はどうかと、こういう御質問でございますが、信濃川の河川敷問題に関する三木総理初め歴代の総理、建設大臣の基本方針は、国民の納得のいく措置をとるということであると理解をしております。当然この方針は継続すべきものだと私も考えております。
  78. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国民の納得いく措置をとるということにすっとされたけれども、その具体的内容として首相は、暴利をむさぼらせないと、もとの原価プラス金利、造成した場合は造成費用、それから公共優先と、こう言われているんですね。それが国民の納得いくものであろうと言われているので、仮谷建設大臣もそれを追認されましたが、具体的にその方向、それも尊重されますね。
  79. 水野清

    国務大臣水野清君) おおむね私はそういうことであろうと思います。ただ私は、二十年という時間の経過がありますから、やっぱりその時間の経過ということもあわせて考えるべきであると、先生は今三原則と、こうおっしゃいましたが、私はプラス二十年の時間の経過という問題、これは世相の変化もありますし、土地価格の変化もありましょうし、いろいろな問題が含まれてきていると思いますので、私はそれもあわせて国民の納得のいく措置をとるということであるというふうに理解をしているわけでございます。
  80. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 二十年というのは加藤さんがやってから。この三木首相の答弁は昭和五十年ですからその後八年間たった。三木首相の答弁からは八年ですからね、そのことはひとつ頭に置いていただきたい。  その次に、そういう原則を立てた上で具体的に南半分の室町産業所有の土地をどう公共優先、公益優先でしていくかということについての建設省の責任問題が起きてくるわけです。これは次に五十二年の十一月にこの廃川敷処分が行われるんですね。この廃川敷処分のときに、北半分と南半分ということが市と室町産業の間で取り交わされて覚書が結ばれる。その覚書の際、建設省が十月三十一日付で「利用計画の同意をしようとするときは、あらかじめ、本職に協議されたい。」と、つまりこれが事前協議です。あらかじめ事前協議ということを約束をするわけです。で、この廃川敷処分が市長と協議なしだったんじゃないかというので私大いに追及したんですが、そのことはもうきょうはしません。  しかし、そのとき当時の参議院の決算委員会並びに建設委員会でこの問題が取り上げられました。決算委員会では社会党の瀬谷英行議員、それから公明党の黒柳明議員、それから私、三人が取り上げました。当時の長谷川建設大臣が各党の質問に対していろいろ答弁をされております。私、このときの決算委員会並びにその後の建設委員会の長谷川大臣の答弁を前回の委員会で申し上げましたが、大臣はそういう答弁があったことは私は今まで知らなかったということをおっしゃったので、きょう改めて長谷川建設大臣がどういう答弁をされているかを明らかにしたいと思うんです。  社会党の瀬谷英行議員の質問に対して、つまり室町産業の利用分を今後どうするかというところをみんな質問したんですが、長谷川さんはこう答えておられる。「膨大な利益を与えないようにしなければならない。」と、五十二年十一月二日です。  そこで、市長に相談しなければその土地を使うということができ得ないということが第一点と、その使う、利用する申し出があった場合にはこれを建設省に通達をする、建設省の方でそれならばやむを得ないじゃないか、それでよろしいと言った場合にのみそれが利用できるということでありまして、でありますから、価格というような点についても、さらに皆さん方の御意見もございますから、価格の方も当然これにはチェックしなければならないと思います。ですから、こういうような公共施設、公共用に供するということがあるわけでございますので、あとに残された部分におきましても十分この点にはその約束が実行できるような方法に持っていかなければならぬと、 こういうことを瀬谷議員の質問に対して答弁されています。つまり、価格についても公共利用についても建設省としてはチェックするということですね。  私の質問に対しても同じことを言っております。「その公共性が本当に真に公共性のものになっているどうかという点についてのこれからもし合い議」――合い議というのは事前協議のことですね、「合い議があって利用する場合には、十分にこれに対してチェックするつもりでおります。」「決してこれが一営利会社の利益になるためにやった処置でも何でもないというふうに私は自信を持ってお答えを申し上げられます。」と言っているんですね。ですから、この南半分の利用について、長谷川建設大臣は価格についても用途についても十分にチェックするということを決算委員会で答弁された。  当然、水野さん、今の建設省としても、南半分の利用計画について価格並びに公共性、この二点は十分チェックするという態度だと思いますが、いかがでしょう。
  81. 水野清

    国務大臣水野清君) 細かいことはわかりませんので、政府委員から答弁をかわってさせます。
  82. 井上章平

    政府委員井上章平君) 信濃川河川敷問題につきまして国会で種々論議がございましたことにつきましては、先生指摘のとおりでございます。それで、これは昭和四十一年に始まりまして今日に及んでおるわけでございますが、その間、例えば先生から御指摘ありましたように、五十年の三木総理大臣発言、五十二年の廃川敷処分に当たっての総理大臣及び建設大臣の御発言、それらが続いておるわけでございますけれども、実はこの土地の処置につきまして、先ほど大臣から御説明ございましたように、国民の納得のいく措置をとるということで、るる論議をされて次第にその措置の内容が固まってきたというふうに私どもは理解しておるわけでございます。  それで、三木総理大臣が三原則をおっしゃいました。この時点でこの発言がございましたのは、私ども今いろいろ調べてそうだと思いますことがございます。それは、何といいましてもこの措置がまだ十分固まっていない、しかもこれはすべて公共利用をするという建前で進んでおった時期であります。それを前提にいたしまして三木発言があったというふうに理解されるわけでございます。  その後、廃川敷の処分等を行うに当たりまして、徐々にこの土地の措置が次第に具体化してくるわけでございます。その最大のものが、今日まで継続して行われております室町産業とそれから長岡市との間に締結された覚書であろうと思います。今日、この土地に対して私どもを拘束いたしておりますのはこの覚書であろうというふうに感ずるわけでございます。  したがって、この覚書が設定されました時点で国会でどのようにこの覚書の趣旨あるいは内容につきまして発言されたかということでございますが、実はさまざまな観点から御質問があり、それに対する政府当局からの回答があったわけでございます。例えば、公共性といい公益性といい、さまざまな見解がございました。また価格のチェックにつきましても、できるといいできないといい、いろいろあったわけでございます。しかしながら、それらを通しまして、今日私どもがこの覚書が履行されるという事態に至りまして何ができるかということになるわけでございますけれども、それは忠実にこの覚書の内容をこれからのこの土地利用に当たって反映させることではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  そういうことでございますので、私どもは、これは先日のこの委員会で御答弁申し上げたと思いますけれども、価格の問題あるいはこの土地の利用の問題につきましては、この覚書の趣旨に沿って実施していくことであるというふうにお答え申し上げたはずでございます。
  83. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、私はあなたがそういう態度をとったので前回の委員会で大いに怒ったんですよ、非常に国会を無視しているということで。  今のあなたの答弁、まず第一に、三木首相の答弁はすべて公共利用の当時だったと。そうじゃないんですよ、調べたんですか。この当時は、これは宮之原委員も詳しく述べておりますけれども、当時五十年九月二十九日に、「いわゆる信濃川河川敷用地について」という小林長岡市長と田中角榮氏とそれから入内島金一、三氏の覚書ができたんです、覚書がね。これは長岡市が必要とする用地については長岡市に提供する、当該用地利用計画決定は長岡市長に一任という内容です、御存じですね。これが問題になって、宮之原議員は長岡の要るというのは半分弱だ、残りは室町産業に行くではないかということで質問したんだ。ですから、この当時全部公共利用が前提だった、そんなことないですよ。全部公共利用にならないで、半分だけ長岡市が使うと。これはまだ覚書ができる前ですよ、五十年の九月二十九日だから。  それで、仮谷さんはこれでやろうとしたんだ。まだ半分は室町産業に残るんじゃないかというので宮之原さんが質問したのに。議事録を読んでごらんなさい。宮之原さんは「小林市長自体半分弱ですかと、御本人までこう言っておるんですから」と半分のことを問題にしているんですよ。それで、残りが室町に行ったんじゃ困るじゃないかと言ったら、三木さんが「話し合いの途中」だが、「それを売り渡す場合にはこと言っているんですから、公共用地じゃないんですよ。売り渡す場合には原価プラス土地、金利だ。暴利を得たというようにするべきでないと、その次は公共優先だと。全部公共じゃない、公共優先だということにしたんで、全部公共用地が前提ならこんな答弁が出てくるわけないんですよ。  まず第一、どうですか、局長。あなたは当時三木首相の答弁が全部公共利用が前提だったと。とんでもないです。半分室町に残るというので予算委員会で問題になってこう答えているんでしょう。訂正しなさい。
  84. 井上章平

    政府委員井上章平君) この覚書が締結されたのは五十二年でございまして、それ以前に……
  85. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いやちょっと、違う、違う。五十年九月の覚書を言っているんだ、私は。
  86. 井上章平

    政府委員井上章平君) 三木総理大臣発言の件でございますが、その時点におきましてこの土地をどのように利用するかということはさまざまな御見解がございました。それで、長岡市長に一任されるというふうな動きがございましたことは事実でございます。しかし、半分は室町産業に残るのかどうかというような事柄につきましては、当時は決定されていなかったというふうに私どもは理解しておるわけでございまして、やはりあくまでも公共利用ということを前面に立ててこの土地の措置を行うというふうな考え方があった時代であろうというふうに考えております。
  87. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長、あなたは全然知らない。当時九月二十六日、処分方針というのができたと、田中角榮立ち合いのもとで。宮之原さんが聞いた。「処分方針というものを御存じですか、どうですか。まず、それからお尋ねします。」と、三木首相、「そのことは承知いたしております。」と、首相も知っている。仮谷国務大臣は、この一任のことが合意に達したという報告がある、この報告は九月二十九日市議会の本会議報告されている、私は高く評価すると答えているんですよ。何にも知らないんですね。  五十年の九月二十九日に、こういう覚書ができて三木首相も仮谷建設大臣もちゃんと知っておると、高く評価すると答えているんだから。それについて宮之原さんが、首相も建設大臣も知っている、このことを、これはまだ室町に半分残るじゃないかというので質問していったんだ。――隣から聞かなきゃわからないような経過を知って、経過をあなた全く知らない。だから、どうですか、とにかく取り消しますか。三木さんの答弁は全部公共利用だという前提で答えたとあなたさっき言ったでしょう。そうじゃないんです。ちゃんとこういう覚書ができて、首相も建設大臣も知っていて、それで予算委員会で問題になって三木首相が三原則を答えたんだから。あなたの先ほどの答弁は違うでしょう。どうですか。
  88. 井上章平

    政府委員井上章平君) 当時は公共利用という考え方であったというふうに私どもは理解いたしております。それから具体的にこの土地がどういうふうに処理されるかということはまだ未決定である、長岡市長に一任されておるという状態であったというふうに私どもは理解をいたしておる次第でございます。
  89. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは幾らでもやらなきゃなりませんけれども、未決定どころか、長岡市が発表したこの文書、建設省は持っておるでしょう。「「千秋が原」に関する今日までの経過」「小林長岡市長は、昭和四十三年ころすでに、田中角榮代議士と、この土地について数度話し合いをし、将来いろいろの問題が片づいて、これが利用できることになったときは、」云々と書いてある。昭和四十三年というと本場締め切りのときですよ。締め切りのときからもう田中角榮代議士と小林市長は数度話し合いをやってきたんですよ。これにずっと書いてある。五十年九月二十六日、室町産業と話し合った、それでこれは報告されたと。「当時の仮谷建設大臣は、この確認・合意が市議会でも了承され、町内会長会議でも圧倒的な支持が得られたことを高く評価され、廃川敷処分をするため鋭意これと取り組まれた。ところが、たまたま仮谷建設大臣が、昭和五十一年一月に急逝されたことによって、事態は停とんしてしまった。」と、長岡市の方が詳しく経過を書いているんです。建設省側はそういう経過もほとんど、私がこういうものを質問しなければわからない。  それであなたは、当時三木首相の言明が全部公共用地にするという前提でのお答えだったと。とんでもないですよ。全くとんでもない。その事実経過は認めますか。
  90. 井上章平

    政府委員井上章平君) 「いわゆる信濃川河川敷用地について」という文書については、これは昭和五十年九月二十九日に小林市長が田中角榮氏立ち会いのもとに室町産業の代表者と会談した結果を記述したものであります。これを読んでみますと、「当該土地は長岡市の都市計画上極めて重要な土地であること。」「したがって、今後におけるその利用は、長岡市発展の見地から、また市民全体の利益を優先して行われるべきものであること。このために、長岡市が必要とする用地については室町産業はこれを長岡市に提供するものとすること。」「以上の認識の上に立って、」云々とございます。つまり、どういうふうに処理されるかはこの時点では私どもは確定していなかったのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  91. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 文書としてはこう言うんだけれども、長岡市が要るのは提供すると。これは半分ということなんですよ、当時の記者会見その他で小林市長もしゃべっている。だから宮之原さんも取り上げている。仮谷さんが亡くなられて、今度は長谷川建設大臣のときにきちんと覚書ができて、北半分と南半分と二分の一ずつに分かれた。局長は何も知らないで、委員諸兄もおわかりでしょうけれども、経過も知らないで隣に教わって何とかかんとかつじつまを合わしているだけです。  さて二番目の問題、これは一層重要です。  あなたは、三木首相の言明をもその後の経過で具体化すると、具体化したものは覚書だという言い方でこれを実際上空文化するような答弁をされた。二番目に、この覚書についてまたあなたは大変なことを言われた。当時、長谷川建設大臣が価格のチェック、それから公共優先のチェック、この二つを参議院の決算委員会で各党の委員の質問に対して答えたんです。価格をチェックする、それから公共利用に本当になっているかどうかをチェックすると言われた。ところが、あなたはこれを覚書に即してやるんだと言って、この間の私の答弁どおりだということを言われた。  あなたはこの間どういう答弁をされたかといいますと、これ非常に問題があるんです。まず第一は、半分については公共機関は利用の意思なしたということをあなたは断定された。この公共利用問題もここでもいろいろ問題になり、丸山良仁当時の河川局次長が団長になって調査に行かれて、報告書が建設委員会にも提出されています。これを見ると長岡市の意向、大体今の面積で十分だと。しかし「国からのお尋ねもあるので、十分検討のうえ、すみやかに回答したい。」というのが長岡市の意向と。県の意向、「当面、この土地を県の施設敷地として利用する計画はない。」と、「当面」ですよ。「しかし、なお検討のうえ、すみやかに県の意向を申し上げたい。」というのが建設委員会に対する答弁です。ですから、「当面」はないけれども、「なお検討する」というのが県の答弁なんです。  公共利用といったら国の計画だってありますよね。国が果たしてこれ検討したのかどうか。それについてあなたは「公共機関の利用する意思がない土地」という断定をまず第一にやっております。これが第一の問題。  二番目は、この南半分の利用は「全面的に長岡市長のお考えに預けられた」と。「これに対するチェックとして、河川局長がそれに対して同意を与えるかどうか」、こう承知していると答えた。これも事実と違います。全面的に長岡市長のお考えに預けられて、それに対して、ただ同意するだけかというのではなくて、あらかじめ事前協議すると、河川局長が。そういうふうに決定されたと文書も出ている。建設委員会にも報告があります。あらかじめ事前協議すると、よく。しかも長谷川建設大臣は決算委員会で、本当に十分にチェックする、「合い議」と言っているんです。合議をして協議をして、そこで十分にチェックするんです。あなたは全面的に長岡市長に預けられたわけで、ただ同意を与えるかどうかなんです。これも大変おかしい。これが第二点です。  第三番目に、「民間がこの利用計画に沿って利用される」と理解して、「そこで民民の取引として利用される」ということがあると。「室町産業がみずから利用する場合だけとは限っておりませんので、土地の譲渡があるであろう、その場合は近傍類地価格等にのっとった妥当な価格で取引されるのであろうというふうに私どもは理解いたしておる」と。これは三木首相の答弁とも違うし、長谷川建設大臣の答弁とも違うんです。  三木首相の答弁は、もとの価格に金利程度、暴利をむさぽらせないというふうにはっきり言われた。長谷川建設大臣も、この価格についてもチェックをすると音われた。ところがあなたの方は、室町がどこかに譲渡する、近傍の価格だろうと。近傍の価格にのっとった妥当なということになりますと時価ですよ。私が先ほど提起した大きな疑惑のある、五百円、百円で買った土地がもう何百倍にもはね上がって、私先日これで二百数十億円になるだろうということを指摘いたしましたけれども、そういう膨大な暴利が室町産業に入ってしまうじゃないですか、氏民の価格だと。これは第三番目のあなたの大きな間違い。私はこの言明は取り消してほしいと思いますね。  十分にあらかじめ事前協議するということをあなたは一体したのかどうか、ただ同意を与えればいいと思ってあなたはやったのか。二番目に、価格についてはチェックしないでいいんだと、時価で取引されるであろうと、そう理解してあなたはやったのか、明確に答えてほしい。
  92. 井上章平

    政府委員井上章平君) 前回の委員会における発言が誤解を招く結果になったとすれば訂正申し上げます。  ただ、同意を与えるという意味は、これは覚書に伴いまして河川局長から長岡市に対しまして文書で約束しておることがございます。それには「本職に協議されたい。」というふうに記載があるはずでございます。私はそれにのっとりまして長岡市長と御協議申し上げて同意したということでございます。  それから第二点は、長谷川建設大臣が、これは廃川処分に当たっての質疑の中で申し上げたのだろうと思いますが、「必ず公共性のものに限って私の方でチェックしてやります」という答弁があったというふうに、お話はそういうことでございましょうか。――国会議事録を拝見いたしましたところ、御指摘の答弁については、これは大臣のお考えを必ずしもそのまま述べたのではないようでございます。読みますと、長谷川大臣発言といたしまして、  私は、その陳情書を持っていろいろ参りましたから、そのときに、いろいろ問題があった土地なんだから市で全部取って、そして市でもって全部公共性のものに使ってもらえないのかと、ぜひそうしてくださいよということをお願い申し上げました。ところが、やっぱり市の方でも都合があってなかなか全部というわけにはいかぬというようなお話でございまして、それではあとは公共性のものを、必ず公共性のものに限って私の方でチェックしてやりますという話で、それじゃぜひひとつそのときには建設省の方にも話してくださいよということで連絡をする、あらかじめ連絡をして、建設省でよろしいと言った場合にのみそれはオーケーを出してくださいよと、そういう約束をしておったわけであります。というふうに議事録にはございます。  この「公共性のものを、必ず公共性のものに限って私の方でチェックしてやりますという話」というのは、長岡市長のお話でございます。それで、これは長谷川建設大臣が長岡市長とのお話し合いの中で長岡市長が発言された内容を披露されたものと考えられるわけでございますが、この際長岡市長がそのとおり発言されたかどうかは私どもにはわかりません。わかりませんが、しかし私どもはその後ずっと長岡市長どこの問題についてお話し合いをいたしておりますが、その間長岡市長とお会いしたときにこの問題についてただしましたところ、同市長は、覚書第六条の取り扱いに対する考え方はこれが締結されたときも今回も終始一貫していると明言されておりますので、したがいまして私どもは、今回の私どもと長岡市長との協議の際の同市長の説明内容と趣旨においては変わりはないものではないかというふうに考えておるわけでございます。  それからこの覚書の趣旨に照らして価格のチェックができるのかどうかということでございます。これについてはいろいろな御意見が出されておるわけでございます。本件土地の転売価格について建設省のチェック機能を肯定した見解を表明しているところもございますが、また否定したものもあるわけでございます。例えば、昭和五十二年四月七日の参議院の決算委員会におきまして、当時の櫻内建設大臣発言でございますが、  いま売る価格についてはどうかと。しかし、それはやはりこの長岡市の背景になるところの市議会にしても、また市の執行者にしても、それぞれの責任があるし、その上に、この覚書の上には、文章には出ておりませんけれども建設省に対してはこれらの処分をするときには協議をすることの約束になっておることは何遍もお答えをしておるところでございます という答弁がございまして、それに対して橋本敦先生が、 大臣、覚書の解釈でいま大臣は非常に重要なごとをおっしゃったんですよ。として、  大臣がおっしゃるように、他に売却する場合も処分に当たる。その場合も長岡市と協議をし、そして長岡市及び長岡市議会は室町産業が処分する相手方について、価格について、原価相当性があるか、あるいは相手方が公益性の事業を行うという相手方でない場合は、長岡市はこの覚書に基づいて室町産業と第三者が結んだ売買契約を無効にし得る、こういうところまで効力があるかのごとくあなたおっしゃったんですよ、 として、河川局長にその効力についてただされております。それに対して河川局長は、  転売の価格について覚書でチエックできるかどうか、これにつきましても承知はしておぬわけでございます。 と答弁いたしまして、それに対して橋本敦先生は、  局長はいま第三者への処分について、この価格についてはチェックできないということをおっしゃった、大臣の答弁と食い違うんです。私は河川局長の答弁が正しいと思う。 と発言されている事実もございます。  それで、慎重に検討いたしましても、やはり覚書の趣旨は本件土地がいかに利用されるかに主眼が置かれており、私どもといたしましてもそのように理解して本件を処理してまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、この点につきましては長岡市長の御見解も同じでございます。
  93. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは非常に重大で、結局三木首相の答弁も、時間がいろいろかかってくる、結局具体化は覚書だ、覚書の解釈はこうこうこうだと、この覚書によってはチェックはできないと。それで建設大臣が答弁したことさえ、覚書で長岡市と田中側ですよ、田中側と長岡市がどういうふうにこれを解釈し、どう実行できるかということをあなたは全部絞っちゃったんですよ。建設省政府の行政責任を全く放棄しているじゃありませんか。  これは瀬崎議員も明らかにしましたけれども、長岡市に対して建設省は指導しているんですよ。長岡市の最初の北半分の利用計画というのは、建設省に言われてやむを得ず変えたという答弁まであるでしょう。だから私が問題にしたのは、あなたがこの覚書をどう解釈するか、覚書で価格がチェックできるかどうかというんじゃなくて、建設省政府はこの価格についてもチェックするように指導しなきゃならぬと。そのことを建設大臣は答弁しているんですよ。  あなたは先ほど長いこと読み上げられましたけれども、私がこの間読み上げたのは、確かに十一月十五日の参議院の建設委員会の答弁です。それは確かにあなた方よく読めば、これは長岡市長の言い分だなと思われるようなふうになっています。しかし、先ほど私が読み上げたのは十一月二日の決算委員会の議事録です。決算委員会の議事録では、長岡側がいろいろ言うだろうが、その公共性が本当に真の公共性のものになっているかどうか、これからもし合い議があって利用する場合十分にこれに対してチェックするつもりだというふうに長谷川大臣は言っているんですよ。だから一カ所私が取り上げたところを読んでどう解釈しようかというふうに逃げないで、当時の建設省一の、また政府の答弁がどういう精神で答えていたかということをしっかり調べて答弁しなきゃならぬのです。  価格の問題についてだってそうです。民民取引を認めて相手が時価で買えば、これは膨大な金が何百億も転がり込むんですよ、室町産業に。あなたは覚書の解釈でそれで転がり込んで当然だという、それでもう知らぬ顔するつもりですか、歴代の建設大臣の答弁をもひっくり返して。  それで私はもう一つ、あなたの答弁は全く政府のあれと違うのは、瀬崎議員に対する政府の答弁書が出ている。これは事前協議問題についてこう書いてある。これは政府の答弁書です、閣議で了解された。「本件処分地の南半分の土地について、覚書第六条の規定により長岡市がその利用計画の同意をしようとするときは、あらかじめ建設省に協議することとなっている。」と、だから、長岡市と室町とが同意する前に建設省があらかじめ協議せにゃいかぬのですよ、事前に。そこで指導するんですよ、建設省は。室町産業と長岡市が南半分について決まったことを持って来られて同意するかどうかじゃなくて、同意の前に協議するんですよ、市と。あなたはしましたか、今度その協議で。その前にしましたか、いつやりましたか、何日に長岡市と。室町産業と長岡市が今度のこれを決める前にあなたは一体事前協議をいつやったんですか。
  94. 井上章平

    政府委員井上章平君) たしか四月三日に長岡市長がお見えになりまして、室町産業との覚書に従って事業計画を同意いたしたいが、あらかじめ協議をいたしますと言ってお越しになって、私ども説明があったわけでございます。それに対しまして、同月九日に文書で同意する旨御回答申し上げたわけでございます。
  95. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日にちがわかりました、四月三日ですね。それは事前だということで、その点はいいと思いますが。しかし、中身に踏み込んであなたがやったかどうか、そのあなたの解釈の仕方が非常に問題だ。この政府答弁書はこう書いてある。「事前協議の対象となる行為としては、本件処分地の南半分の土地に係る権利移転及び最終的な土地利用となる行為が考えられる。」と、いいですか、あなたはこの前の答弁で、「今度の利用計画はもう少し経緯を見る必要がございますが、」「ほぼそれに近い計画書」、つまり最終的な土地利用、ほぼこれに近い計画書だと、あなたはそう答弁している。それは私は違うと思う。  今度の長岡市の室町産業との協議でも、この利用計画に変更が今後ある場合にもすべて協議すると、最後の項目に書いてある。あなた自身も民民取引があるであろうということも言っている。まだ事業主休も決まっておりません。今後この南半分の土地利用について一体どこが事業主体になるのか、どこに売り渡すのか、これが最終利用になりますからね。すると、政府の答弁書で、事前協議の対象は「南半分の土地に係る権利移転及び最終的な土地利用となる行為」だ、こういうふうに書いてあるんだが、だから今後この利用計画書に基づいて室町産業並びに千秋が原工業が権利移転をしたり、それから最終的にどう利用するか、事業主体を決めたり、売り渡したり、これについてはすべてあらかじめの事前協議が必要となると、そう思いますけれども、この点どうですか。
  96. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先般、長岡市長が私のところに参られまして事前協議されましたのは、室町産業が策定いたしました土地利用計画書案でございます。これは本件土地がどのように利用されるかという計画書でございます。したがいまして、私どもはその計画内容をいろいろお話し合いいたしたわけでございます。これがそのとおり利用される限りにおきましては、私はもはや事前協議の対象にはならないと思いますが、内容が変更されるのでございましたら、それはそういう時点で再び事前協議をお願いいたしますと、こういうことであろうかと思います。
  97. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、そうじゃないんですね。この利用計画を決めただけなんだから、今度は。この利用計画の中身は、どこを緑地にするとかスポーツ施設にするとか、都市整備に伴う代替地だとか区画整理予定地にするだとか、あなた自身民民の取引もあるだろうと言っているんだから、この利用計画に基づいて今後権利移転、最終的な土地利用、こういうことが起こっていくわけですよ。スポーツ施設にするのでもスポーツ会社は一体どこになるのか、スポーツ会社に一体売るのか売らないのか、権利移転が起きるでしょう。これ重大答弁ですよ、あなたはこの利用計画に基づいて動いていくのならもう事前協議は要らないと。政府の答弁書をあなたはひっくり返すつもりですか。ちょっと大臣――もう局長はいいや、局長はしようがないよ、これ勝手にいろんなことを決めてしまって本当に責任逃れしようとしているんだから。
  98. 井上章平

    政府委員井上章平君) 利用計画について事前協議を受けたわけでございます。昭和五十二年十月三十一日の河川局長からの長岡市長あての文書を読みましても、「貴市がその利用計画の同意をしようとするときは、あらかじめ、本職に協議されたい。」ということでございまして、あくまでもこの土地がどういうふうに利用されるか、それにはまず利用計画がどのように立てられるかというところが一番のポイントであるところから、利用計画の同意をしようとするときは本職との協議というお約束を申し上げたわけでございまして、そのかねてからのお約束に従いまして、長岡市長は、先般私どもの方へその利用計画について御相談があったわけでございます。  当然、利用計画というのは単なる利用計画にとどまらず、この利用計画に沿って今後土地利用が図られるという前提であろうかと思います。したがいまして、図られなければそれは利用計画の変更ということに相なるわけでございますから、そのときはこの覚書に基づきまして、まずは長岡市長に御相談があるはずでございます。長岡市長は、室町産業から御相談があれば、それに対して同じように私どもの方に御相談があるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  99. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やっぱりこれは大臣に聞かないと。とにかく局長の答弁は、利用計画書について今度事前協議に同意したと、この利用計画に変更がなければ今後事前協議は要らないと言うんです。政府の答弁書は、「事前協議の対象となる行為としては、本件処分地の南半分の土地に係る権利移転及び最終的な土地利用となる行為が考えられる。」――「土地利用となる行為」ですよ、「最終的な土地利用となる行為」。そこに家を建てたり木を植えたり、あるいは造成地をつくってそれで分譲にしたり、さまざまな土地に最終的な土地利用行為がありますよね、これについて事前協議すると言っているんだから、今局長利用計画書、簡単なものですよこの計画書、ここにありますよ。ちょこっと地図がついていてこんな程度のものですよ。これをオーケーしてこれが変更にならなければもう事前協議は一切要らないと。  大臣、おかしいじゃないですか、政府の閣議にかかってこれが「事前協議の対象となる行為」だと、「本件処分地の南半分の土地に係る権利移転及び最終的な土地利用となる行為が考えられる。」と、これについては事前協議をやるという、局長答弁にあるけれども大臣今後も――ちょっと局長はもういいです、あなたは。大臣どうですか。今後この南半分の土地について最終的な土地利用に至るまで権利移転並びに最終的な土地利用となる行為については、政府答弁書のとおり、あらかじめ事前協議に応じて建設省が指導し抜く、それが私は国民に対する本当の責任だと思うんですよ。今の局長の答弁だと、こういうちょこっとした計画書が出て、これにオーケーしたら後どう使われようが変更書が出ない限りもう何もしないと、それでもう終わりというんだとしたら大変ですよ。もう時間もありませんからきちんと大臣答えてください。
  100. 水野清

    国務大臣水野清君) 上田先生大変御心配のようでありますが、今は市長から利用計画が出てきたといういろいろなこれからの行為のひとつ前提として利用計画が出てきたということであろうと思います。  そこで、覚書が今後適正に履行されるかどうかということが大事なことであると思いますが、それについては今後様子を見守っていけばよろしいと、私はかように思っております。
  101. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、ただ見守るだけでなくて、この土地に係る権利移転及び最終的な土地利用となる行為について事前協議を建設省としてするかどうかですよ、この政府の答弁書どおり。これを大臣からはっきり答えていただきたい、大臣からはっきり。
  102. 水野清

    国務大臣水野清君) 今、私の申し上げたことで、将来いろんなことが発生するかもしれませんが、私の申し上げたことがそういういろんなことを、因果を私は含んでいるというふうに思って御答弁申し上げているわけでございます。
  103. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いろんなことを含んでいるというのは、政府の瀬崎議員に対する答弁書のように、国民の疑惑が起きないように南半分の土地に係る権利移転、最終的な土地利用となる行為、これについての事前協議も含めて、単に土地利用計画書が出たからそれでオーケーだということでなく、今後権利移転や最終的な土地利用行為について建設省として責任を持って――今度市長もどうも選挙でかわりますから、新しい市長が当選するでしょうが、経過もわからぬ市長がなるかもしれぬ。建設省として責任を持って指導し事前協議も行い、国民の疑惑を晴らすようにするという趣旨として受け取ってよろしいですね、これは大事なところだから。答弁を聞いてもまるっきり変わってしまうんじゃもう何もならぬですよ。
  104. 井上章平

    政府委員井上章平君) 瀬崎先生からの質問主意書に対する答弁の中に、「最終的な土地利用となる行為」とございますのは、あくまでもそのとおり実施されるべき土地利用計画の策定であろうと思います。といいますのは、あくまでも土地利用計画が決定されるということについての覚書でございます。ただ、これが単に絵にかいたもちではなくて、そのとおり土地利用が図られるという前提での土地利用計画というふうに私どもは理解しておるわけでございますから、先生が御心配なさるようなことはないはずであるというふうに考えています。
  105. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもわからぬな。あなたは先ほど、今度計画書に事前協議したと、この計画に変更がない限りもう事前協議は要らぬのだと言った。そうじゃない、この計画に基づいて実際実行されていくのかどうかと。これ覚書はとにかく長岡市のための公益的な、第一条、「都市計画上極めて重要な土地であり、したがって、今後におけるその利用は、長岡市発展の見地から、また、市民全体の利益を優先して行われるべきものである」というのが第一条でしょう。こういう第一条の目的に従ってこれは使われなきゃならぬと。そのために長谷川建設大臣はこの委員会で何回も、価格についてもチェックすると、公共利用優先で十分にやるということを答弁されていたんだ。  一応利用計画書が出てきた。それについてあなた方は事前協議で同意を与えた。この利用計画書に基づいて具体的に実行されていくんだが、事業主体まだ決まっていません。一体スポーツ施設にするといったって、営利目的のどんなスポーツ会社ができるか、それに一体どう売りつけるのかわからないじゃありませんか。計画書に基づいて、権利移転や最終的な土地利用がどうなっていくのか、これは建設省として最終まで見にゃいかぬのですよ。将来あの土地建設省が思ったのとまるで違った、国民が思ったのとまるで違ったような利用のされ方をした場合に、国会並びに政府建設省は責任を問われるんだから、一片の紙だけの計画書ではなくて、これに基づいて今後土地がいろいろ動いたり売られたりするんです。そのことについて三木首相は、売られる場合に暴利をむさぼらせないようにやると、公共優先にすると、価格についても原価プラス金利でやるんだということを予算委員会で答弁したんだから。  国民に対して、国民が疑惑を持たないようなやり方を今後責任を持つためには、この事前協議の対象となる行為としては、「南半分の土地に係る権利移転及び最終的な土地利用となみ行為」と、これについてはするという答弁書が出ているんですから、大臣きちんと答えてほしい、これについてはやると。ちょっと局長、あなたはだめだ、本当に。大臣、あなたの責任でこれ決まるわけですから。
  106. 水野清

    国務大臣水野清君) 先ほども申し上げましたとおり、覚書を適正に履行するように、また履行することが必要であると私は考えております。
  107. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この政府答弁書の趣旨は尊重してやるということですか。
  108. 水野清

    国務大臣水野清君) 信濃川の河川敷問題に関しましては、局長からただいま申し上げましたように、過去の国会におきましていろんな論議がなされております。その論議を経てこの問題の事後処理のための措置として覚書に基づくルールが定められたものでございます。  そこで、今回このルールは長岡市の責任において適正に処理されたことと考えておりますが、今後本件の土地に関しましては、今回の計画に沿った利用が図られていくものと考えておりますが、私どもといたしましても慎重にその推移を監視をしていきたいと、かように思っております。
  109. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 上田委員、時間が来ましたから最後にしてください。
  110. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間が来ましたが、質問に対して答えてないわけだ。覚書覚書と言うんだけれども、そうではなくて、この政府の答弁書ですよ。五十五年、三年前ですよ。二年半前だ、十二月だから。五十五年十二月十二日、鈴木善幸総理大臣、あなたの大変親しい総理だ。鈴木善幸総理大臣が「事前協議の対策となる行為としてはこと先ほど読み上げたようにしたんでしょう。覚書だけじゃなくて、この鈴木首相の政府答弁書に基づいて今後この南半分の土地利用についてはやっていくと、そのことをひとつはっきりお伺いしたい。――いやいや、大臣大臣でなきゃだめですよ。
  111. 水野清

    国務大臣水野清君) 政府委員からかわって答弁をいたさせます。
  112. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先回も御答弁申し上げましたように、瀬崎議員は、この質問主意書でおっしゃいましたことは、前回土地利用計画が決まらない前に権利譲渡が行われたということに対して、こういうことは事前協議の対象になるのじゃないかという御質問の要旨でございました。それに対して、そのような場合は事前協議の対象となるということを御回答申し上げたわけでございますが、その際どういう場合が事前協議の対象になるのかということを改めて問いただされておりますので、それに対応いたしまして、まずこの土地利用計画が定まる前における権利譲渡につきましてはなりますということと、それとその後土地利用が定められるでありましょうから、そのときの最終のというのはそういう意味でございまして、そういった土地利用計画の決定に当たっては、その土地利用計画そのものが事前協議の対象になるというふうにお答え申し上げたのでございます。
  113. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間がありませんから、また続けます。続けますけれども、明らかになったことは、大変危ないということですよ。  もう長谷川建設大臣が決算委員会建設委員会でどう答えようと、つまり田中角榮の枠の中でしかあなた答えぬということだ、局長は、覚書覚書って。覚書は田中角榮の粋なんだから。小林長岡市長と田中角榮立ち会いで決めたと。政府がどう答えようと、三木首相が何を答えようと、鈴木善幸総理大臣がどういう答弁書を出そうと、田中角榮がオーケーした覚書の範囲内で、それだけでやろうという答弁を局長は繰り返しているんですよ。極めて重大だ。  私は今後も追及しますが、最後に大臣、もう局長に任せないで、これだけの経過があるんだから、ちゃんと国会審議並びにこの政府答弁書どおりやるということは明確にお答えいただきたいと思います。
  114. 水野清

    国務大臣水野清君) 上田委員のいろいろな角度からの御質問にどうも十分お答えができないようでありますが、覚書に関しまして、今後の権利移転については私は局長の言うとおり入っていないというふうに聞いております。  このことは別といたしまして、今後いずれにいたしましても省内の意見を取りまとめて、また御質問もありましょうから、その際に御答弁を申し上げたいと思います。
  115. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、局長は今後の権利移転は入ってないという解釈だと、大臣は省内の意見を取りまとめて改めて答えるということで、改めて私は追及します。
  116. 山田勇

    山田勇君 ちょっとこれは質疑通告いたしておりませんので、わからなければ後日の質疑に譲りたいと思いますが、先日、四月の二十四日、差しかえ委員といたしまして、運輸委員としまして空港建設の予定地をヘリコプター並びに海上それから陸地という形の中で視察をしてまいりまして、それぞれ地元の市長、知事、各代表者と懇談会が開かれました。その一般質疑の中でいわゆる空港に対する交通アクセスについてお尋ねをいたしました。道路局長だったと思いますが、湾岸道路の問題でございます。この湾岸道路は神戸市の東灘から阪南町まででとめてしまうというふうに御答弁をいただいたと思うんですが、再度確認をしておきたいと思います。
  117. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 関西空港のアクセス道路として近畿自動車道、さらに湾岸道路があるわけでございますが、現時点におきましては近畿自動車道を鋭意整備いたしておるところでございますし、また湾岸道路につきましても南の方に向けて現在事業化を図っておるところでございますが、先生おっしゃった、今最後の南の方の点から関西空港に至るまでについては現在調査を進めておるところでございまして、その調査結果を待って事業化をどのようにして進めていくかを検討したいというふうに考えております。
  118. 山田勇

    山田勇君 局長、これ阪南町までですが、あと阪南町から和歌山県まで延ばすということはまず考えられませんか、距離にすればそうないと思うんですが。僕も正確な距離数がわかりませんが、今一応計面をしております東灘区から阪南町まで、阪南町から、和歌山県のどこへ入れるかは別にしまして、和歌山県までといいますとそう遠くない距離なので、この空港視察の中でも強く和歌山県副知事の方からも要望がございました。これはもう御承知のとおりに、二十六号線が飽和状態になっておりますので、その点何とかもう一つ建設省の方として道路計画を再検討していただく余地があるのかないのか、ひとつ局長の方からお願いをしたいと思います。
  119. 沓掛哲男

    政府委員(沓掛哲男君) 第二阪和道路については、現在和歌山県の方に延ばすための調査を進めておるところでございます。  湾岸道路につきましては、現存、事業化した南の方については埋め立て等もその前面にあるわけでございまして、こういうものとどういうふうな調整を図っていくかというようなこともいろいろございますので、今後そういうことを踏まえての調査の中で検討を進めさしていただきたいというふうに考えております。
  120. 山田勇

    山田勇君 どうもありがとうございました。  では次に、国土庁にお尋ねをいたします。  国土庁土地鑑定委員会は四月の三日付の官報で土地公示価格の公示をしましたが、それによりますと、昨年一年間の地価上昇率は全国平均で三%、前年の上昇率より一・七%下がっております。四年連続して鈍化の傾向を示しております。しかし、この地価上昇率は、昨年一年間の消費者物価上昇率の一・九%を上回っております。国土庁はこの状況をどのように判断をしておられますか。地価上昇率の鈍化、安定の背景は何であるのか、今後の土地価格の推移をどう見ておられるか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  121. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) まず結論を申し上げますと、地価の今後の動向といたしましては、私どもはまだ当分安定基調が続いていくだろうと、かように考えております。  地価が安定してきたのはどういう理由によるものかと、こういうお話でございますが、一つ経済の成長が鈍化してまいっております。ひところのような高度成長はもう望めないような日本経済の構造になっておるのが一つ大きな理由としてあるだろうと私どもは思っております。それからさらに、人口や世帯数の増加も非常に鈍化いたしてきております。結局、人口が伸びない、あるいは世帯数が伸びないということになりますと、住宅地として必要な土地の需要がなくなるわけでございますから、そういった構造的な要因がございます。  それからもう一つは、人口の大都市への移動も激減いたしております。一時期は三大都市圏へ約六十六、七万人、七十万人近くの人が三大都市圏へ流入してきておったわけでございますが、五十七年の時点ではそれが五万人でございますから、出し入れ五万人しかふえない、こういう状況でございます。  それともう一つは……
  122. 山田勇

    山田勇君 今後の土地の価格の推移です。
  123. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 土地の価格は、したがいまして、先ほど申しましたように、それほど大きな騰貴はしないだろうと。景気の動向によって多少の変化はありましょうけれども、一時期みたいな高騰といったものはないであろう、かように考えておるわけでございます。
  124. 山田勇

    山田勇君 この地価上昇率の鈍化の傾向が住宅地に強くあらわれております。今御答弁いただいたとおりでございます。今回は三%ですが、これはある面から考えると一見喜ばしいことのようですが、これは既にもう上がり過ぎて高値安定が定着したと見るべきで、これでは少しでも住宅や土地を安く手に入れたいと考えている国民にとっては何らありがたくない話ではないかというふうに思います。この地価を引き下げる有効な手段、対策というようなものをお持ちではないでしょうか。
  125. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 土地が現在より下がる何か対策はないかというお話でございますが、土地が下がるというのはなかなか大変なことでございます。私どもは政策の目標としては、地価を下げるというよりはこれ以上余り上がらないような方向へ持っていくことを目標とすべきだというふうに思っております。ただ、現実にことしの地価調査地価が下がったところはございます。それは具体的に言いますと、山形市とか酒田市なんかでは地価は下がっております。この要因を考えますと、結局、公的あるいは民間も含めまして土地の供給が非常に過剰に出たと、そのために需給関係を反映して地価が下がったということでございますが、先ほど言いましたように、なかなか地価を下げるというのは大変なことでございまして、私ども地価を安定的に推移させていく必要があるというふうに思っております。  それでは安定的に推移させていくためにどういう政策をとるのか、こういうことでございますが、基本的には、先ほど申しましたように、地価の形成は供給と需要の関係によって決まってくるわけでございます。今は安定しておりますのは、供給も非常に細っておりますが、需要はそれ以上に激減いたしております。こういう状況で、需要がぱっと大きくなりますとまた上がりかねない状況になりますので、やはり土地の供給を適正な規模で毎年促進していくということが必要ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  126. 山田勇

    山田勇君 これから法案を審議したりいろいろあることでしょうが、これは建設省の所管だと思いますが、総理が建設省へ直接に入ってといいますか、直接に非常に力を入れている問題があるはずですね。それは公共事業と民間の活性化という位置づけの中で、いわゆる公有地の開放、それから建築基準法の一部の改正、いわゆる線引きそれから調整区域、それから老朽化した市町村の住宅を一たんは立ちのいてもらって高層住宅ビル化していくというふうな、大きなそういう構想を持っている。また、法案を改正していくということですが、これはどの程度まで――公有地の一部開放というのは、御承知のとおり、東京ですと、国鉄のこれは所管ですが、汐留であるとか、大阪で言いますと梅田貨物ヤード、天王寺、そういうふうなことが活発化されてきておるんですが、これはいろんな法案の問題等もありましょうが、建設省としてはこういう地価の問題、それからもう一度都市の活性化という位置づけの中でどういうふうに考えておられるのか、御所見をお伺いしておきたいと思います。
  127. 吉田公二

    政府委員(吉田公二君) お答え申し上げます。  建設省といたしましては、土地対策に連なるわけでございますが、もう一つ、総理が昨年来いろいろ指導されております、民間の活力を都市対策あるいは住宅対策という点でもっと伸び伸びと伸ばすというようなことについての対応といたしまして、幾つかのものを昨年来検討してきているわけでございます。  一つは、昨年の夏にいわゆる都市対策といたしまして、主として規制の緩和というものを中心といたしまして民間の活力を引き出すという対応を、一応昨年の七月十四日でございますか、決めたわけでございますが、さらに建設省の全行政を見直しまして、去る四月十三日にいわゆる民間活力の検討委員会というもので結論を出したわけでございます。  そういうものの中で幾つかの対応がございますが、例えば建築基準法の問題でございますとか、あるいは都市計画法に基づきます線引き等のいわゆる開発に関します規制について、民間の都市対策、宅地供給、住宅建設、そういうものを含めましてなるべく実際の仕事がやりやすくなるように考えられるべきものは考えていく、あるいは税制等について検討するものは検討していくというような対策を講じてきたところでございます。また、こういった民間の力を住宅供給等に生かしまして、かつ経済対策としても効果あるような対応ということになります一つの手近な方法といたしまして、国有地でございますとか国鉄用地等の活用の問題もございます。  そういうことで、先生指摘の汐留でございますとか梅田、まあ汐留なんかはちょっとまだ具体の土地利用の問題がございますのでおくれておりますけれども、梅田でございますとか東京の錦糸町、こういった国鉄用地の問題、それから公務員住宅の建てかえ、こういうものによりまして有効に土地を生み出しまして、民間の活力を引き出して都市対策あるいは住宅供給というものに資するとともに、都市対策にも貢献していく、あるいは経済の活性化を図る一助にしていくということをとっておりまして、建設省といたしましても、そうした意味で所管行政の範囲内でできるだけの努力をしていく、そういう対応をしているところでございます。
  128. 山田勇

    山田勇君 僕は、これは冗談でよく言うんですが、これは日本列島改造論のミニ版だというふうに受けてもいいんです。だから、日本列島改造論そのものがすべてが悪かったとは私も申し上げません。やっぱり功罪半ばと言っても間違いないと思います。ただ、今回そういう形の中で、大きく建設省の中で法案を改正したり、思い切った建ぺい率の見直したとかいう形の中で、どうしても総理の考えの中には、やっぱりグラウンドをもう一度動かそう、そういう中でいわゆる沈滞した日本経済の活性化というものをねらっていこうという大変大きな構想をお持ちだと僕は思うんです。  それはそれで大変結構なんですが、さあそのときに、日本列島改造論のようにいわゆる悪徳不動産業者が先取り的なもので先々物を買い、地価を急騰させてしまうようなことでは困るので、そこを何とか建設省なり国土庁も力を合わして、各所管の大臣方にお知恵を拝借して、これを何とか歯どめをしていきながら土地を見直していく、そして住宅政策も出す、道路政策も出していくという形ができないものだろうかと思いますので、両大臣に、これは漠然とした抽象的な質疑になってしまうんですが、大臣なりの考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  129. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 地価問題というのは大変重要な問題でありますが、これは所有者というのはいろいろ幅広くございまして、各省庁連絡をいたしまして地価騰貴がなされないようにやってまいりたい。特に、民間の場合ですと国土利用計画法というものがございましていろいろ調整もできるわけでございますが、この前の、全く身近な問題としては、品川駅の問題等についてはこれはその域に達しないということでございますが、今後はああいうことのないように各省庁連絡をとり合ってやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  130. 水野清

    国務大臣水野清君) 土地価格の総合的な問題は国土庁の御所管でございますが、建設省としても、実際に建設行政を行う上で土地価格というのは特に住宅問題などでは重大な関心を持っております。その中で私どもも懸命に今後の土地対策に取り組んでいきたいと、かように思っております。  ただ、余計な発言になるかもしれませんが、実は都市における活性化ということは、どうしても日本経済の質の問題からいいまして、必ず土地価格というものが伴ってくるわけであります。活性化しますと土地価格はむしろ上がっていく。御承知のとおり、土地価格が下がるようでございましたら、実は大体の企業というものは土地を担保にして金融をしているというのが現状でございますから、もし土地が半額になれば日本経済は恐慌になるのじゃないか。私は実は土地が上がるのがいいと思って申し上げているのじゃありません。むしろ大変困ったことであります。今日住宅取得や何かが非常に大問題になっているのは、土地価格が上がったために手が届かない。いわゆる二千万円ぐらいまでなら買えるが三千万円では買えないというような、一戸建てがですね、そういうような問題があるのはやっぱり土地価格であります。  ただ、この土地価格というものが大都市の中心街、例えば銀座で地価が下がるということがあるとすれば、やはりこれは銀座が実は活性化しない、むしろ衰退していくと、こういうことにつながってしまうという、非常に残念なことなんでありますが、日本経済の持っている一つの宿命かなと思って、それを一体いかにして解決するのかが大事なことなんじゃないかと思っております。その中で、国公有地の今後の再利用とが再開発とか、いろんなことがございますが、個々の問題としては私どもは厳重にこれを抑えていきたい。  ただ、先般の国鉄のように、いわゆる国土利用計画法にも何もかからないものですから、国土庁にも御相談をしないで勝手に一千億なんという高い値でお売りになったと。ああいう問題は、確かに今後やはり品川周辺の土地価格に大きな影響があると思います。あれだけ上げられてしまうと、じゃ品川周辺が活性化するかといったら、これは私はなかなか疑問だと思いますので、そういう点については国土庁とも御相談申し上げまして、ともかく個々のケースについては厳重に監視をしていきたいと、かように思っております。
  131. 山田勇

    山田勇君 ちょっと時間がもうありません、これを最後の質疑にしますが、各都市を回ってみまして、大臣、これは所管がどうか、各地方自治体の所管になるかもわかりませんが、駅前再開発なんかを見ますと、もう押しなべたように同じ形の同じビルで、本当に創意工夫がないんですね。だから大阪府でこの間、国際デザイン交流協会という新しい協会を設けた。おい、君これ何やと言うたら、いわゆる都市デザインというものをもう一遍見直そうというそういう国際会議があるそうなんで、そういうものにも積極的に参加して、だから何か建設省がそういう開発業務といいますか、その開発なんかに懸賞金などをつけるなりして、都市開発とかいわゆる新しい都市づくりというようなもの、これは国土庁にも関係あると思いますが、何かそういうものを国民的に一遍募集してみたり、例えばオーストラリアのシドニーとメルボルンとの間で首都をどこへ置くかと争ったときに、キャンベラに決まったわけですが、あれは世界から都市建築デザインを募集してアメリカの建築家が当選をして、キャンベラというのは人工都市で、僕も行ってみたのですが、ちょっと無味乾燥的なところがありますが、それはそれなりに都市機能を果たしていると思うので、そういうふうなことを建設省国土庁、御一緒に力を合わせて、そういうような都市の新しい町づくりといいますか、何かそういうようなことをひとつこれから考えていっていただければ私は大変結構ではないかなと思うのですね。  私は、今、大阪市長に企画苦を提出していますが、あの御堂筋を光の街にしようと。イチョウに小さい豆球をつけてシャンデリアみたいなものにしようという形ですが、その電気はどこから持ってくるんだとか、葉が茂ればどのぐらい電気に影響を与えるのだとか、そういうような今研究をさしてもらいながら、いわゆる大阪市の皆さんと考えてあのメインストリートを光の街にしよう。二十一世紀だってもう終わったら、帆船祭りが終わったら後何にもしないというのが実態なんです。国民が参加する、市民が参加するというような都市づくり、町づくりということを考えていかなきゃいけませんので、何かそういうような方向づけがあれば、またお知恵があれば御答弁をいただきたいと思います。
  132. 水野清

    国務大臣水野清君) 事務当局からお答えしようと思ったのでございますが、自分も先生と同じような考え方を持っておりますので申し上げますが、確かに日本じゅうどこを歩いても同じようなビルが建っておりまして、同じような看板が出ておって、ちょっと寝ぼけておると青森の町を歩いておるのか鹿児島の町を赤いでおるのか区別がつかないというようなのが私は今の日本の現状だと思います。やっぱり何といいますか、都市はそれぞれの都市の歴史を持っておって、過去の歴史を引き継いていくことが私はそこに住んでいらっしゃる方々の文化の水準とか、また住みよいというようなことにもつながっていくと思います。  例えば、倉敷のようなところは大変私はすばらしい町並み保存をしておられると思いますが、建設省の最近の都市づくりの中では、市街地の中でなるべく一つ一つの建物だけでなくて町全体で調和のとれた設計ができないものであろうか、あるいは古い城下町のようなものは昔の町並みが保存できないだろうか、でき得れば新しい家に建て直す際にも町並みを保存しなくちゃいかぬ。そのためには、例えば町の中に電線を張りめぐらしているのも大変みっともないことでありますので、そういうものも地中に埋めるとか、そういうことをしてなるべくそれぞれの町の歴史をあらわすような、先生も例えばヨーロッパなんかへおいでになってわかると思いますが、ドイツはドイツなりの、フランスはフランスなりの誇りを持った歴史のある町づくりを続けておりますが、日本でももうそういう時代が来たんじゃないかと、私はそう思ってなるべく事務当局を指導していきたい、かように思っております。
  133. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三分散会    ―――――・―――――