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政府委員(
井上章平君) 御
指摘の濃尾平野における治水対策でございますが、これにつきましては大きく言って三点に分かれるであろうと
考えます。
まず第一点は、濃尾平野の海に面したいわゆる
海岸に対する
事業でございますが、これにつきましては、
建設省の所管いたしております
海岸保全区域は、弥富町、飛島村及び名古屋市の港区南陽
海岸にわたる約九・五キロでございます。これにつきましては、南陽
海岸については大体
計画堤防高が確保されております。それから弥富
海岸につきましては、これは現在堤防が一メーター
程度沈下いたしておりますが、前面の鍋田干拓地におきまして農水省が所管しております
海岸堤防が概成いたしておりますので、
海岸保全上特に問題ないと
考えております。残る飛島
海岸につきましては、およそ五十センチから一メーター三十センチという地盤沈下が生じておりまして、大半の地区においていまだ
計画堤防高に達していないという
状況でございます。しかしながら、前面海域に埋立地が造成されておりますために、高波が直接来襲はしない
状況であります。本
海岸につきましては、さらに堤防を増強するため、高潮対策
事業によりまして補強
工事を進めておるところでございます。
次に、内部
河川でございますが、これにつきましては代表されるのは日光川でありますけれ
ども、これは
昭和三十四年九月二十六日の伊勢湾
台風後に伊勢湾高潮対策
事業を実施いたしておりまして、三十八年までに
河川堤防の
復旧が実施されたわけでございますが、その後日光川河口付近を中心といたしまして一メーターにも及ぶ地盤沈下が起きたわけでございます。これに対しまして、治水安全度の低下を防止するために、
昭和五十年に日光川河口に百トンの排水ポンプ場の建設に着手したわけでございますが、これにつきましては
昭和五十三年に完成を見たわけでございます。このポンプ
設置によりまして、現状において伊勢湾
台風クラスの出水に対しましては、平和町の一部の区間を除き、ほぼ対応できると
考えております。したがいまして、この残る区間については、中小
河川改修事業により堤防のかさ上げを鋭意実施いたしておるところでございます。
なお、日光川流域は、市街化の進展に伴いまして内水排除ポンプが逐次
整備されているところでございます。したがいまして、この
整備が進みますと下流のポンプの増強が将来の課題となると
考えられておるところでございます。また新川では、総合治水対策特定
河川事業及び地盤沈下対策
河川事業を、鍋田川及び日光川支川福田川におい
て地盤沈下対策
河川事業をそれぞれ実施しておるところでございます。これらは今後の流域の市街化の動向を勘案しつつ
事業の促進に努めてまいる所存でございます。
また、直轄
河川につきましても、これはやはり地盤沈下によりまして高潮堤等の補強
工事の必要が出てまいっておりますが、これらにつきましては鋭意
努力をいたしまして、現在まで五三%の
進捗率でございますが、なお
計画高潮位を下回る箇所が随所にございますので、これらにつきまして今後一層の補強
工事を進めてまいる所存でございます。