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1984-06-25 第101回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十五日(月曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月二十三日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     小笠原貞子君      三治 重信君     柄谷 道一君  六月二十五日     辞任         補欠選任      岩本 政光君     浦田  勝君      倉田 寛之君     水谷  力君      出口 廣光君     竹山  裕君      河本嘉久蔵君     下条進一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒今朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 浦田  勝君                 大浜 方栄君                 斎藤栄三郎君                 下条進一郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 竹山  裕君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 水谷  力君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 小笠原貞子君                 安武 洋子君                 井上  計君                 柄谷 道一君                 木本平八郎君    国務大臣        法 務 大 臣  住  栄作君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  森  喜朗君        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        農林水産大臣   山村新治郎君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        郵 政 大 臣  奥田 敬和君        労 働 大 臣  坂本三十次君        建 設 大 臣  水野  清君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総理府総務長         官)      中西 一郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君    政府委員        内閣総理大臣官        房会計課長        兼内閣参事官   渡辺  尚君        内閣総理大臣官        房管理室長    菊池 貞二君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁長官官房        会計課長     立花 昌雄君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     竹村  晟君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   友藤 一隆君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        国土庁長官官房        審議官      田中  暁君        国土庁長官官房        会計課長     安達 五郎君        国土庁土地局長  永田 良雄君        法務大臣官房会        計課長      村田  恒君        法務省刑事局長  筧  榮一君        法務省人権擁護        局長       鈴木  弘君        外務大臣官房長  枝村 純郎君        外務大臣官房外        務参事官     斉藤 邦彦君        外務大臣官房会        計課長      林  貞行君        外務省アジア局        長        橋本  恕君        外務省中近東ア        フリカ局長    波多野敬雄君        外務省条約局長  小和田 恒君        大蔵大臣官房会        計課長      渡邊 敬之君        大蔵省主計局次        長        的場 順三君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局次        長        志賀 正典君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       酒井 健三君        国税庁次長    岸田 俊輔君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省大学局長  宮地 貫一君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        厚生大臣官房審        議官       新田 進治君        厚生大臣官房会        計課長      黒木 武弘君        厚生省公衆衛生        局長       大池 眞澄君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省医務局長  吉崎 正義君        厚生省薬務局長  正木  馨君        厚生省社会局長  持永 和見君        農林水産政務次        官        仲川 幸男君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君        農林水産大臣官        房審議官     京谷 昭夫君        農林水産大臣官        房経理課長    岩崎 充利君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        食糧庁次長    山田 岸雄君        通商産業大臣官        房審議官     矢橋 有彦君        通商産業大臣官        房会計課長    緒方謙二郎君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        資源エネルギー        庁長官      柴田 益男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君        運輸大臣官房長  松井 和治君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        郵政省人事局長  三浦 一郎君        労働大臣官房長  小粥 義朗君        労働大臣官房審        議官       野見山眞之君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房会        計課長      望月 薫雄君        建設省計画局長  高橋  進君        建設省道路局長  田中淳七郎君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治大臣官房会        計課長      桝原 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    新田  勇君        科学技術方長官        官房審議官    雨村 博光君        会計検査院事務        総局第一局長   西川 和行君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十六年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(その2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書内閣提出衆議院送付  ) ○昭和五十七年度特別会詞予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書内閣提出衆議院送付  ) ○昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書内閣提出衆議院送付) ○昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れ  に関する調書内閣提出衆議院送付) ○昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(その2)(第九十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十三日、三治重信君及び佐藤昭夫君が委員辞任され、その補欠として柄谷道一君及び小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件並びに昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和五十六年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和五十七年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)を一括して議題といたします。  まず、予備費関係等八件の説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  4. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま議題となりました昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件、昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件並びに昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書事後承諾を求める件並びに昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)の報告に関する件につきましてその概要を御説明申し上げます。  初めに、昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件並びに昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件につきまして、御説明申し上げます。  まず、昭和五十六年度一般会計予備費予算額一千六百四十二億円のうち、昭和五十六年五月一日から同年十二月二十五日までの間において使用決定いたしました四百三十四億四千四百八十八万円余につきましては、既に第九十六回国会において御承諾を得たところであります。  その後、昭和五十七年一月二十六日から同年三月三十日までの間において使用決定いたしました金額は、九百八十四億七千六百八十七万円余であります。  その内訳は、災害対策費として、農林水産業共同利用施設災害復旧に必要な経費及び災害による廃棄物処理事業に必要な経費の二件、その他の経費として、国民健康保険事業に対する国庫負担金不足を補うために必要な経費等の十九件であります。  次に、昭和五十六年度各特別会計予備費予算総額三兆七千六百五十一億四千六百八十七万円余のうち、昭和五十六年十二月八日から同年十二月十五日までの間において使用決定いたしました十二億五千七万円余につきましては、既に第九十六回国会において御承諾を得たところであります。  その後、昭和五十七年二月二十六日から同年三月三十日までの間において使用決定いたしました金額は、七百三十七億四千四百九十五万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定繰り入れに必要な経費等特別会計の十件であります。  次に、昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和五十六年九月十八日から同年十二月十五日までの間において経費増額決定いたしました八十五億九千四百二十五万円につきましては、既に第九十六回国会において御承諾を得たところであります。  その後、昭和五十七年三月三十日に経費増額決定いたしました金額は、三百三十三億七千七百九十万円余であります。  これは、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費増額であります。  次に、昭和五十七年度一般会計予備費予算額二千三百億円のうち、昭和五十七年五月二十五日から昭和五十八年三月二十五日までの間において使用決定いたしました金額は、一千二百二十五億八百四十三万円余であります。  その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業に必要な経費等の十八件、その他の経費として、雇用保険求職者給付に対する国庫負担金不足を補うために必要な経費等の二十九件であります。  次に、昭和五十七年度各特別会計予備費予算総額四兆一千五百七十四億九千六百七十六万円余のうち、昭和五十七年十月十九日から昭和五十八年三月三十日までの間において使用決定いたしました金額は、一千三百八十六億二千九百三十二万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定繰り入れに必要な経費等特別会計の十四件であります。  次に、昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和五十七年九月二十四日から昭和五十八年三月三十日までの間において経費増額決定いたしました金額は、七百五十七億四千六百六十三万円余であります、  その内訳は、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費増額等特別会計の七件であります。  次いで、昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきまして、御説明申し上げます。  昭和五十六年度におきましては、予見しがたい租税収入減少等により、一般会計歳入歳出決算上二兆四千九百四十八億九百九十五万円余の不足が生ずることとなりましたので、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定により、当該決算上の不足額を補てんするため、決算調整資金から同額を一般会計歳入に組み入れて、昭和五十六年度の一般会計歳入歳出決算を行っております。  この決算上の不足額は、決算調整資金に関する法律施行令第一条の規定により計算いたしました額でありまして、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定の適用前における昭和五十六年度の一般会計収納済み歳入額四十四兆九千四百八十五億二千七百五十六万円余が、昭和五十六年度の一般会計において財政法第六条に規定する剰余金を全く生じないものとして算定した場合に得られるべき歳入の額に相当する額四十七兆四千四百三十三億三千七百五十一万円余に不足する額に相当する額であります。  また、この決算上の不足額を補てんするため決算調整資金から一般会計歳入に組み入れる際の決算調整資金に属する現金は二千四百二十三億千七百二十三万円余であって、決算上の不足額に二兆二千五百二十四億九千二百七十一万円余不足していたため、決算調整資金に関する法律附則第二条第一項の規定により、当該不足していた額を国債整理基金から決算調整資金繰り入れた後、同資金から一般会計歳入に組み入れております。  なお、この国債整理基金から決算調整資金繰り入れた額二兆二千五百二十四億九千二百七十一万円余に相当する金額につきましては、決算調整資金に関する法律附則第二条第三項及び第四項の規定により、昭和五十八年度予算に計上して一般会計から決算調整資金繰り入れた後、同資金から国債整理基金に繰り戻しております。  以上が昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件、昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件並びに昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書事後承諾を求めるの件の概要であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)の報告に関する件につきまして、御説明申し上げます。  昭和五十六年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額一千億円のうち、総額四億六千万円を限度として閣議決定を経た債務負担行為につきましては、既に第九十六回国会に御報告したところであります。  その後、昭和五十六年発生河川等災害復旧事業費補助につきまして、昭和五十七年三月五日の閣議決定を経て、総額百五十六億二千七百万円を限度として債務負担行為をすることといたしました。  以上が昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)の報告に関する件の概要であります。
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 以上をもちまして説明の聴取は終わりました。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより昭和五十六年度決算外二件の総括質疑第一回及びただいま説明を聴取いたしました予備費関係等八件の質疑を便宜一括して行います。  質疑に先立ち、まず昭和五十四年度決算及び昭和五十五年度決算における警告決議に対し、その後内閣がとった措置につきまして、大蔵大臣から説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十四年度及び五十五年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要を申し上げます。  政府は、従来から決算に関する国会審議議決会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率的使用事務事業の運営の適正化不当経理発生防止等に特に留意してまいったところでありますが、昭和五十四年度及び五十五年度決算に関する参議院審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめ、その概要を御説明申し上げます。  会計検査院検査充実強化につきましては、その重要性を考慮し、昭和五十九年度予算においても、検査業務に従事する職員の増員及び検査業務に必要な経費増額を行っているところであります。  また、会計検査院の行う検査の実施に当たっての協力についても、内閣官房長官からの当面実行可能な措置についての要請に基づき、関係各省庁において所管する政府関係機関に対し、会計検査院検査等に際しては会計検査の目的が十分達成されるよう指導してきているところでありますが、これらの検査がさらに有効に実施されますよう一層の協力方指導していくこととしております。  公務員等地位利用による選挙運動並びに政治的行為につきましては、昭和五十八年五月二十五日、各省庁の人事管理官で構成される人事管理官会議において、厳正な綱紀を保持し、いやしくも国民の疑惑や不信を招くことのないよう指示し、議決趣旨周知徹底を図ったところであります。  また、昭和五十八年十二月に行われた衆議院議員選挙に際しても、同年十一月二十九日付で総理府総務長官より各省庁事務次官等あての通知を発出し、これを受けて各省各庁においては、所属職員等に対して当該選挙における国家公務員等服務規律の厳正な確保を図ったところであります。  今後とも、あらゆる機会をとらえて綱紀の厳正な保持に努めてまいる所存であります。  行刑施設における物品の不正な製作、搬出入防止体制強化等につきましては、各行刑施設の長に対し、同種事案再発防止に万全を期するよう法務事務次官通達等を発出するとともに、各種会議等における指示・指導を通じて、作業指導員選任適正化及びその指導監督強化並びに搬出入物品検査工場内物品管理体制強化等措置を講じ、作業管理体制充実を、さらに職員研修・訓練の充実及び保安職員の配置の見直しを行い、保安管理体制強化を図ったところであります。  今後とも、あらゆる機会をとらえ同種事案再発根絶するよう指導を徹底してまいる所存であります。  元公安調査庁職員不祥事件につきましては、職員に対する管理監督に遺憾のないよう昭和五十八年六月三十日付で公安調査庁長官通達を発出するとともに、全国公安調査局長会議等各種会議研修等においてもこの趣旨周知徹底し、さらに職員の採用に当たってはその前歴調査をも徹底し、この種の不祥事件根絶を期しているところであります。  今後とも職員管理監督強化に努め、不祥事件根絶を期してまいる所存であります。  琉球大学における大学用地不正売却に係る事件につきましては、同大学に対し当該大学用地保全関係者に対する処分等事後処理に遺憾なきを期するとともに、国有財産管理及び人事管理について万全を期するよう強く指導したところであります。  当該大学用地保全等につきましては、琉球大学において所有権移転登記抹消登記手続請求等の訳を提起し、用地の一部につきましては既に原状回復がなされ、残余の用地についてもその回復に努めるなど所要の措置を講じているところであります。  このような不祥事態再発を防止するため、国有財産の厳正な管理及び適切な人事管理について、今後ともあらゆる機会をとらえ国立学校等に対し指導を徹底してまいる所存であります。  私立大学等経常費補助金不正受給等につきましては、従前から当該不正受給等が判明した場合は私立学校振興助成法等の法令に照らし、補助金の返還を命ずるなど厳正な措置を講じてきたところでありますが、本議決趣旨にかんがみ文部事務次官通知を発し、私立学校に負託された社会的責務の重大さにかんがみ補助金不正受給等根絶と私立学校に対する社会的信頼の確立について今後一層の努力を払うよう指導するとともに、補助金の交付等については法令の規定にのっとり一層厳正な態度で対処する旨注意を喚起したところであります。  また、学校法人等の管理運営が著しく適正を欠いているもの等で補助の目的を有効に達成することが困難であると認められるものについて、原則として五年間補助金を交付しないという厳しい措置を講ずることにより、国民の信頼を裏切るような学校法人に強く反省を求め、改善のための努力を極力促すようにしたところであります。  今後とも学校法人に対する指導監督の徹底を図るとともに、補助金の適正な執行に努めてまいる所存であります。  簡易水道施設整備事業等の執行につきましては、昭和五十八年七月七日付で都道府県知事に対し補助事業者等が工事契約時において適正な最低制限価格の設定を行うよう指導を求める内容の水道環境部長通達を発出したほか、全国衛生主管部局長会議、全国衛生関係主管課長会議等においても、補助事業等における最低制限価格の適正な運用について補助事業者等に対する指導の徹底について指示を行ったところであります。  今後とも、都道府県知事及び補助事業者等に対し、事業の適正な実施が行われるよう指導してまいる所存であります。  住宅・都市整備公団の民営賃貸用特定分譲住宅に係る割賦金の滞納に関する問題につきましては、同公団に対し、督促の強化等により長期滞納の事態の早期解消を図るとともに、制度改善等により滞納発生の防止のための措置を講ずるよう強く指導したところであります。  住宅・都市整備公団においては、民賃特別対策班を設け、滞納者に対する督促の強化等を行い、長期滞納の事態の解消を図るとともに、民営賃貸用特定分譲住宅の建設及び譲渡に関する事前審査の強化、譲渡契約時に一定の前納金を徴する等の制度改善、滞納発生後の措置についての基準の整備等により滞納発生の防止及び債権保全強化を図ったところであり、逐次改善の方向に向かっております。  今後とも本制度の適正な運用を図るよう住宅・都市整備公団を指導してまいる所存であります。     —————————————
  8. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 まず、宇都宮病院事件についてお伺いをいたします。  法令により拘禁下にある精神障害者に対し、病院ぐるみの暴力支配体制をつくり、リンチ、殺人、暴行などを行っていた宇都宮病院事件は、国民に対し名状しがたい衝撃を与えてきました。事件は、三月十五日、本院予算委員会で取り上げられまして以降、かなりのテンポで解明されつつありますが、まだ必ずしも全体像が浮き彫りにされるまでには至っておりません。そこで私は、これを解明し、きちんとした決着をつけるために幾つかの点に対し政府の見解を伺い、責任ある対応を求めるものであります。  まず、宇都宮病院事件に関する捜査の現況を伺います。  これまでの告訴、告発、取り調べ、逮捕、送検、起訴などの件数とその内容はどのようになっておりますか。時間が余りありませんので、簡潔に御報告をいただきたいと思います。
  10. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 宇都宮病院の一連の事件について御報告いたします。  栃木県警察におきましては、宇都宮病院に関します暴行、傷害等の暴力事犯の捜査を行いました結果、三月二十九日、傷害致死及び傷害容疑で五名を通常逮捕したのを初めといたしまして、十件を立件をしまして、被疑者延べ二十四名を宇都宮地検に送致、送付いたしております。  また、生活保護法に基づく付添看護料を福祉事務所から不正受給していた事件につきましては、六月八日に被疑者三名を地検に送致をいたしております。  さらに、死亡診断書に虚偽の記載をしました事犯につきましては、被疑者三名を証憑隠滅等の容疑で、六月四日に地検に送付をいたしております。  また、無資格診療等の医事関連事犯につきましては、四月八日から二十五日までの間に、保健婦助産婦看護婦法違反容疑等で、石川前院長ほか三名を逮捕いたしたのを初めとしまして、九件を立件いたしました。延べ四法人、被疑者六十五名を地検に送致をいたしております。  なお、捜査に関連いたしまして告訴、告発を受理しました件数は四件でありまして、いずれも既に地検の方に送付をいたしております。  以上でございます。
  11. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 石川文之進宇都宮病院前院長の公訴事実の要旨とその罪名をお伺いします。
  12. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 石川前院長につきましては、四月二十五日に保健婦助産婦看護婦法違反で通常逮捕いたしましたが、その容疑内容につきましては、看護士、准看護士の資格のない入院患者を使いまして、約一年三カ月にわたって脳波検査などの診療行為を行わせたものであります。このほか、入院患者の死亡原因につきまして、診療録に診療事実と異なった記載をした証拠隠滅事件、それから保健所長の許可を得ずに死体を解剖した死体解剖保存法違反及び看護人名義の看護料請求明細書を偽造しました付添看護料の不正受給事犯などの容疑で送致をしておりますほかに、ゴルフクラブ等で傷害を負わせたということで、元入院患者から告訴三件を受理しておりますが、これにつきまして検察庁の方に送付をしております。  以上でございます。
  13. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 萩原久之、石川亨、石川敏彦看護人等のこの公訴事実の要旨と罪名をお伺いします。
  14. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 萩原看護人につきましては、三月二十九日に傷害致死及び傷害容疑で通常逮捕いたしましたが、その容疑の内容は、昭和五十四年四月二十四日、他の二名と共同しまして入院患者に対して金属製パイプ及び手拳で殴打をしたという暴行でございますが、その暴行を加えまして、同日入院患者を死亡させたという疑いが一つでございます。  また、昭和五十八年十二月三十日、他の三名と共同しまして入院患者を足げりにした、それから体をスチール製パイプで殴打した、こういう事件で傷害を負わせたというケースでございます。
  15. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今報告を受けただけでも慄然とするような状況があるわけでございますが、私はそれで事件が終わったとは思っていません。まだまだ隠された事実があり、また警察の手によって真実を解明していただかなければならない問題がたくさんあると、こう思っております。今後のこの宇都宮病院事件の全体を解明することについてどのように進めていこうとされているのか、その点についてお伺いをいたします。
  16. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 栃木県警察におきましては、現時点で犯罪の疑いありと考えられますケースにつきましては、一応捜査を終了いたしたという報告を受けております。しかし、今後も家族その他からいろいろな情報が寄せられました場合には、当然それぞれのケースにつきまして必要に応じ捜査を遂げまして事件処理をいたしたい、かように考えております。
  17. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 これから、きょうもですが、社会労働委員会等を通じて、警察によって解明していただかなければならない問題を次々と我々の側から提示をしていきたいと思います。警察の方もこれで終わったということではなくって、真相を徹底的に究明して、この精神病患者に対する社会的なこの問題を浮き彫りにして、そして根本的な解決のために力をかしていただきたいということを要望しておきたいと思います。いかがですか。
  18. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいまもお答えをしましたとおり、今後におきましても各種の違反容疑情報等がありましたら、十分に捜査をいたしまして適正に処理をしていきたいというふうに考えております。
  19. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、報徳会宇都宮病院の問題の全貌を知るためには、石川一族によって形成されてきた報徳産業グループの実態の解明が必要であることを訴えてきました。宇都宮病院の巨大化、肥大化と並行をして、石川ファミリーが報徳産業グループとして次々と経営をしてきた企業、施設、こうしたものが数多くあります。この問題について政府の方に明らかにするように求めましたけれども、それは今応じていただいておりませんが、精神医療委員会が発行しております本年五月号にこの産業グループの目ぼしいものが明らかになっております。全体として十四あると言われておりますが、参考までに申してみますと、一九七六年に報徳建設、一九七七年に宇都宮自動車販売、一九七八年に報徳冷凍冷蔵、報徳自動車学校、一九八〇年に報徳会幼稚園、報徳基準寝具、報徳交通、報徳電算、そのほか報徳スイミングスクール、あるいは三幸石油、さらにマンション、郵便局、パーキングタワー、その上に葛生、今市、二つの特別養護老人ホームを持つ。さらに、この事件が発覚していなければ、宇都宮保健大学を建設する予定であった。こういうことでございまして、大変な宇都宮病院の周辺にこの問題が私は存在をしている、このように思います。したがって、宇都宮病院とこの今申し上げました報徳産業グループを一体のものとして解決していかなければ、宇都宮問題の真の解決はあり得ない、こう思っております。  そこで、医療法人宇都宮病院が多くの利益を上げている、そしてトンネル会社を通して、今言いましたいろいろな報徳産業グループにその利益を蓄積をさしていった、その分だけ宇都宮病院の医療そのものの質はどんどんと低下をして、そして無診療、無医療、不法拘禁、そうした数々の問題が起こって、医療法に抵触するというふうになったと、私はこのように結論を持っているんです。にもかかわらず、この問題に対して対応ができないということでは、どうしても私は納得ができないわけなんです。一体どこが、私が今言いましたような問題を解明をしていくのか、そこのところをお尋ねしたいと思うんです。そこにずっと各大臣がお並びでございますが、今私が言っているようなところ、どこが一体政府としてとらえて事態を解明していただけるのか。
  20. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) それぞれいわゆる関連の産業につきまして所管があることではございますので、私からまずお答えをいたしたいと思います。  今般、宇都宮病院におきまして、いわゆるリンチ殺人を初めとして、規則違反であるとか、あるいは患者を人間として扱わないといったような態度が出まして、それぞれ捜査を受けておることになりましたことはまことに遺憾でございます。その間にいろいろこの報徳会の関連産業がある、これをどうするんだというようなお話を伺って今日に至っておるところでございますが、いわゆる関連会社と言われておる会社は、いわゆる関連ではありますけれども、医療法人報徳会とは別の法人格を持っておると、こういう形になっておりますので、単に関連会社というだけで、これらの会社の実態について調査をするということはなかなか困難である、こういうふうに考えて今日に至っておるところでございます。しかしながら、医療法人報徳会の先生御指摘がございましたようにいわゆる資産の運用などにつきまして不適切であるという事情があるといたしますれば、必要に応じ、関係省庁が十分連携をとり合って適切な対応措置を講じていかなければなるまい、こんなふうに考えておるところでございまして、いろいろ捜査当局の解明なども進んでいくわけでございますし、またこの医療法人報徳会の内容につきまして、厚生省を中心にいたしましていろんな調査もしてきておるところでございますので、それらの様子も見ながら対応していくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  21. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今、官房長官から御答弁がありましたが、厚生省としては、まず先生方から御心配をいただいておる患者の人権の保護、これを第一にして今日までやってまいりましたが、今御指摘のように患者の人権を保護していくためにまことにけしからぬ行為があったのでは困りますから、それらの問題については今法当局で真相の究明が随時なされておりますが、まだ完全に解明されたものではございません。先生御指摘のとおりでございますが、それらの真相究明を見ながらなお一層努力を続けてまいりたいと思います。
  22. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、官房長官にお答えいただきましたことは、後ほど具体的な問題として再度見解をいただきたいと思っております。  そこで、もう少し事実関係のようなものを明らかにしていきます。  宇都宮病院に限らず、最近精神病院問題として新聞紙上に報道されている群馬の田中病院あるいはまた群馬の上毛病院、そうしたところにも同じように関連、トンネル、幽霊会社というものが存在をしているんです。厚生省は今大臣がおっしゃったように、まずそこの患者の人権を守ることだと、患者の治療、保護に当たることが先決だとおっしゃいますが、しかしその患者の十分な治療なり、人間として十分な保護を与えていくというその条件をつくるためには、その病院経営によって生まれた利益、本来それは病院経営の中で使うべきものがトンネル会社を通して外へどんどん流れていく、そしてその病院は、表現は適切じゃありませんが、まさに吸血鬼のごとく患者から搾り取って、それをほかへ流しているという事実があったときに、そこの問題にまで広げて問題の解決をしなければ、その病院の患者をどうこうするといっても、水道の蛇口を閉めないで、出てくる水のところを幾らさわっていってもだめだというようなことにもなると私は思っております。厚生省、そうした先ほどのような答弁じゃなくて、やはり関連するその周辺の関連企業、トンネル会社、幽霊会社というようなものがあるのかないのか、医療法人として純粋にそのことだけにその医療法人が仕事をやっているのか、経営者がやっているのかという問題についても調べていかなければどうにもならぬと思うんです。そのことは現在の医療法からはできないからどうしようもないんだというのか、それともやろうとするんだけれども、いろんな障害があってできないのか、意思がないのか、そこらあたりをはっきりしていただきたいと思う。
  23. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 御指摘のございましたいわゆるMS法人と言われております法人、かなりあることは事実でございます。これが当該医療法人とどういう関係にあるか、この解明が実は非常に難しいのでございますけれども、現行医療法に基づきましてできるだけ必要な指導を行いまして厳正に対処してまいる所存でございますが、御案内のように現行の医療法では医療機関に対しましては立入検査ができますけれども、法人につきましては報告徴収ができるだけでございまして、立入検査の権限がございません。そこで、今国会提出をいたしておりますところの医療法の一部改正案におきましては、医療法人の会計等につきましても立入検査ができますように改正案をお願いしておるところでございますが、私どもといたしましては御指摘の趣は十分理解できますし、厳正に対処しなければいかぬと考えておるところでございまして、一層の努力をいたしたい所存でございます。
  24. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 医療法に問題がある、この問題についてはまだ社会労働委員会のところで、そのほかにもいろいろ現在の医療法あるいは精神衛生法に問題があるのでそれはそれで追及をし、また厚生省の善処を求めてまいりたいと思います。  そこで、今私が田中病院の問題について言いましたけれども、田中病院にあった田中食品あるいは田中薬品という二つの会社は、新聞によって田中病院の事件が表面化するや、五月三十日に間髪を入れず社員総会を開いて解散をしてしまった。上毛病院も幸栄不動産あるいは上毛センターの二つの会社もありますが、これも調べていただいたらわかると思うんですが、いずれもこれは幽霊、トンネルの会社、こういうことも私たちは情報としてつかんでおります。こういうものが医療法人を経営する一族にとって、先ほど厚生省からもありましたけれども、医療法そのものを骨抜きにする脱法の道具として使われている、ここのところから逃げてしまえば問題の本質の解決はできないと思うんですね。京都十全会グループの六十億を超える土地取引、二百七十億円に達する株買い占めにも同様の手口が使われて、そして大きな事件になったのはごく最近のことなんですね。その当時の厚生大臣であった故園田直氏は、法の不備を補うために医療法改正案というものをまとめられた。今もそういう案は提案しているんだとおっしゃるけれども、それがいまだに日の目を見ていないわけで、したがって早急にこの医療法の改正というものを成立さすのか、さもなくば、故園田厚生大臣が当時十全会グループのこの問題を解明するために厚生省だけではだめだということになって設置された警察そして大蔵省もかかわって国税、厚生、この三省庁による連絡協議会のようなものをこの際つくるか、それともできないというなら、官房長官がお見えでございますが、内閣が責任を持って解明を図るか、この際明確な宇都宮病院問題に対する解決の態度をここで明らかにしていただきたい、このように思うんです。
  25. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) ただいま医務局長から御説明申し上げましたように、医療法人のいろんな運営につきましておるいは経営につきまして、他の法人といろいろな関係があるという場合に、なかなか医療法人でない法人格を持っておる他の企業を立入調査することができない、こういったことができるようにするということは一つあるだろうと思います。それから医療法人そのものにつきましては、やっぱり今度の事件などを考えてみまして医師なり職員なりの倫理観の問題とか、あるいは病院の体制の問題とかいろいろ医療法人そのもので指摘していかなければならぬ問題もあるだろうと思います。いろんな角度からこういった事件、事案が二度と起こらないように対処していくということは非常に大切なことでございまして、厚生省を中心にいたしましてこの事態を深刻に受けとめて、今対応を急ごうとしておるところでございます。  ただ、先生御指摘のように、それじゃ関連の企業といろいろトンネル会社などをつくって資金が動いている、あるいは利益金が他の企業へ動いているといったような事態をどうするのかということにつきまして、ここですぐにそのような形で対応するということはなかなか今申し上げましたように、他の法人への調査など非常に難しい面がございますけれども、先生の御指摘を踏まえさしていただきまして、関係企業それぞれ今お話がありましたように、教育の施設であるとか、あるいは通産省所管の企業であるとかいろんな関連産業、一般的に言われておりますので、それらの官庁が十分連携を取り合いましてこの問題を、医療法人報徳会の運営を中心にいたしましてその周囲のことにつきましてもいろいろ調査をしてまいらなければなるまい、そんなふうに考えておりますが、対応につきまして少し時間をいただいて相談をさせていただきたい、このように考えております。
  26. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 官房長官の前向きな答弁をいただいて、それで了解せねばならぬと思うんですが、いま少しはっきりさせておいていただきたいんです。  検討するということの中身の問題として、十全会病院の事件発生をしてその全貌を解明するために、当時厚生省、それから大蔵省の中の国税、それから警察、そうしたところが中心になって、そして今おっしゃったように関係するところとの協議をしながらその問題の解明に当たってきたというこの前例を踏まえて、こうした各関係省庁の連絡協議会というようなものをつくることをこれから考えて、そしてそれによって解決をしていく、もうこのような答弁をいただければ非常にありがたいと思うんですが、いかがですか。
  27. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 先ほどお答えをいたしましたように、捜査当局によりまして事態の解明が急がれておるところでございますし、事実関係についてはっきりしていくというのが一つあるだろうと思います。  それから当然厚生省といたしまして、医療法人のいわゆる中身がどうなっているのか、報徳会の中身がどうなっているのかということにつきましていろいろ調査をしていっておられることであろうと、こう思いまして、それらの事実関係の解明が進んでまいります中で、いわゆる関連産業との関係につきましてもまた浮き彫りにされてくる面があろうかと思います。そういった時間的な、どの時期にそういうふうに対処するかというようなことも含めまして、少し時間をいただきまして検討をさせていただきたい、このように申しておるところでございまして、やはり事実関係がずっと解明されていくことが中心であろうと思いますので、政府といたしましてもこの事案に対しまして厳しい態度で臨む、対応していくということをお答えを申し上げておきたいと存じます。
  28. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ひとつ厳しい態度で政府として対応していただきたいということを強く要望しておきます。  宇都宮病院事件は、ある意味では戦後における医療機関での不正あるいは人権侵犯事件としては、これは最大級のものであると思います。この解明なくして世界第二位の経済先進国日本は、人権の面では全くの後進国のそしりを免れないと私は思います。  現に五月十五日付のイスラエルの新聞ハァ・アレツ紙は「日本の経済的脅威の裏庭」というふうに題しまして、記事の中で「日本の精神病院の患者の処遇は、ユダヤ人の強制収容所をほうふつさせる」というふうに述べております。あの戦時国家のイスラエルの人々の目にも宇都宮病院事件はこのように映っているわけなんです。人権の問題からも政府の責任ある対応が求められると思いますし、また、三月十五日以降いろんな事実が明らかになっておりますが、中曽根総理大臣も予算委員会の中でこの問題についての答弁をされております。若干紹介しますと、「たとえ身体的あるいは精神的な欠陥がある者につきましても、やはり人格としての取り扱いを入念に行わなければならない。そういう点についてもし取り扱い上不備な点や考えの上において間違っている点があれば当局として厳重にそれらを取り締まらせ、また是正する措置をやらなければならないと思っております。」、このように予算委員会で総理が宇都宮事件問題で答弁をしております。精神障害者の人権確立のためにも本件の解明については政府として強い決意で臨んでいただかなければならぬと思うんですが、この点について官房長官に再度お伺いをしておきたいと思います。
  29. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 予算委員会におきまして総理がお答えをいたしておりますように、強い決意でこの問題に対処しなければいかぬ、こんなふうに考えるわけでございます。  精神病患者の問題は、医療の問題とかあるいは保護の問題とか、あるいは社会に復帰をして再生をしていくといったようなときにどういうふうに指導をしていくかとか、いろんななかなか難しい問題があるだろうと思うんです。私も詳しく専門的に知っておるわけではありませんけれども、今ここに座って先生の御指摘を聞いているだけでも、なかなか難しい問題があるだろうなということは想像いたしておるところでございます。しかし、それらの一人一人の患者の人権が正しく守られ、そして治療、医療が加えられていくようにしなければならぬということは非常に重要な問題でございまして、患者の人権を中心にいたしまして対処しなければなるまい、このように考えておる次第でございます。先生の御指摘を承らせていただきまして、政府といたしましても強い決意でこの問題に対処してまいりたい、このように考える次第でございます。
  30. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そこで官房長官にお願いがあります。  厚生省は、今官房長官が人権の問題は重大だとおっしゃいましたが、そのことにかかわって、入院患者の人権を守るガイドラインをつくるというふうなことが聞こえてまいります。そのことに関連して申し上げるんですが、国連は一九六八年から十六年越しに詰めてきた精神病者または精神障害者保護のための原則、ガイドライン、保障草案というものをつくり、そしてダエス最終報告書ということで現在国連の段階でまとまっているということなんです。この問題は私は、一部の専門家や医師だけの視野や、あるいはまた厚生省という行政の立場だけでできるものでない、こういうふうに考えております。そこで、国連という世界の場でこの精神病患者の人権をどのように守っていったらいいか、保護をしていけばいいかという草案が今できて、それが国際的に論議をされているという状況にあります。そこで、政府は早急にこの最終報告を入手して、もう外務省の方は入手していると思うんですが、これを政府刊行物として発行をして、広く国民に精神障害者の人権を守るということは一体どういうことなのかという事柄について、ひとつ国民的な論議をする材料を提供していただいて、そして先ほど言ったように人権後進国と言われるようなそういう汚名を返上していく第一歩としていただきたい、そのダエス報告をひとつ政府の力で翻訳をしてそして政府刊行物として出して、私たちの目にもそれが触れるようにしていただきたいというお願いですが、いかがですか。
  31. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 国連でそのような論議が進められておるということを今聞かせていただいたところでございます。外務省、厚生省とよく連絡をとりまして、先生御指摘のようなそういう動きに対応いたしまして国内におきましても国民の理解を深めていくように努力をしなきゃいかぬ、そのように今考えておるところでございます。早速に勉強させていただきまして、いろいろ対策につきまして関係省庁と相談をいたしまして、しかるべき結果が出ましたならば国民に向かっていろいろな形でこれを理解を深めるための努力をするというふうに持ってまいりたいと存じます。
  32. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間がありませんので、今の御答弁でまた次の機会にお願いをしていきたいと思います。官房長官どうもありがとうございました、時間が参りましたので。  次に、宇都宮病院の措置入院患者の実地審査についてお伺いしますが、この措置入院患者の実地審査の結果はどのようになっておりますか、ひとつ簡単にお答えください。
  33. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 宇都宮病院の措置入院患者の実地審査の結果につきまして御説明申し上げます。  措置入院患者百六十一名を対象といたしまして、本年四月十日から着手をいたしまして精神衛生鑑定医による実地審査を実施したところでございます。その結果は、四十七名について措置入院継続の必要ありと判断され、残りの百十四名の方については措置入院という形の必要がないと診断されたところでございます。  このため、その措置入院の措置の要なしとされた患者さんにつきましては、現在措置解除後の同意入院等の入院医療の継続あるいは社会復帰へ向かっての可能性の追求というようなことで保護義務者などと連絡をとりながら、逐次措置に関しましては措置解除を現在行っている途上でございます。
  34. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 実にこれはひどいものですね、人権問題であります。また後ほど法務大臣にお伺いしますが、具体的なものはあすの社会労働委員会で質問をしていきます。  そこで厚生省にお願いしたいのは、措置入院患者百六十一名を対象にして実地審査をしたら措置入院の必要のある者は四十七名しかいなかったというこの実態、それでは同意入院患者をもし実地審査したらどういう結果が出るかということを私は思うんですね。早速同意入院患者についても、同意入院という状態が必要であったのかどうか、恐らくその中にも、通院でいい、退院してもいいという人がたくさんいるのではないかと思うんですが、同意入院患者についての実地審査を早急にしていただきたい。いかがですか。
  35. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 同意入院の患者さんにつきましては、御承知のとおり入院の必要があって保護義務者の同意を得て入院している仕組みでございますが、同意入院の患者さんにつきましても今月末から実地審査を行うこととして、現在県においていろいろ調整準備を進めていると承知しております。
  36. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 法務大臣、先ほどから人権上の問題としていろいろ聞いていただいたと思うんですが、法務大臣に二、三お伺いをいたします。  今宇都宮病院の同意入院患者についてこれから実地審査をするということですが、この間新聞で問題になりました群馬県の田中病院では、同意入院患者の中で保護義務者の選任が必要な三百四十八人中保護義務者を選任していたのはわずか六十八名、残り二百八十人が保護義務者を選任しないまま、別の表現をすれば違法入院、違法な状態で強制入院をさせられていたという事実が判明した。群馬県の衛生環境部は手落ちだとしておりますが、担当官は、法を知らなかったとか、絶対的保護義務者である父親が同意したからそれでいいと思っていたというまことにずさんなことでありまして、病院も県も全く人権意識がないという状況がここで明らかになりました。  それから今の宇都宮の措置入院の問題、これもお聞きいただいたと思うんですが、大変な状況です。私はその一覧表を持っておるんですが、百六十一人の人たちがどういう状況で入院して現在どういう実地審査の結果があったか。その中で四十歳の男性が昭和三十七年から措置入院患者として実に二十二年間措置入院させられている。そしてこの実地審査によると入院する必要はない、通院でよいということになったというんですね。一体この十八歳から四十歳までこの患者の人生をだれが奪ったのか。考え方によれば最初から措置入院の必要なんか全くなかった、通院の治療でもよかったという者が入れられておったということにも考えられるような事態がここにあります。精神病院の名において人権をこのように剥奪することに私は強い怒りを覚えると同時に、お医者さんであるということによって、それじゃ診断を下して、そしてその人権を剥奪し、監禁したというこの行為はもう許せない気持ちでいっぱいであります。私はこれは行政当局が監禁罪に問われてしかるべきではないかというふうにこう思いますし、一方ではそういうことをやりながらその病院が多額の利益を、不正な、不当な利益を上げる、そのことに加担をしてきた、精神病院の不当な繁栄、それに手をかしてきたそういう行政の責任というものもある、こういうふうに思います。  人権上の問題から法務大臣の見解をひとつ聞かしていただいて、人権上の問題として全国の精神病院の措置入院患者、同意入院患者全部をご週人権上の問題から、正しく法の手続に従って入院しているのか、別の医者が診てもそれは措置入院の必要ありということで入院しているのかということを全部洗い直してもらわなければ、三十二万人が入院して、そのうちに措置入院、同意入院が八割いるということなんですから、それがこの宇都宮病院なりあるいは田中病院のような実態であれば人権侵害も甚だしいことがそこに起こっている。イスラエルの新聞にまるでナチの強制収容所と同じではないかと言われても仕方がないような側面が出てくると思うんですね。これは社会労働委員会でまた厚生大臣にお伺いしますが、きょうは決算委員会で法務大臣お見えになっているんで、法務大臣としてこの私の提案、全国一遍人権上の問題から実地審査というものをひとつやっていただきたいということについての御見解を承りたいと思います。
  37. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 一般論としまして、心身障害者等の人権をどう守っていくか、先ほど来御議論がございますようにあらゆる機会を通じて、そしてあらゆるデータに基づいて人権保護委員中心にいたしまして私ども十分配慮をしていかなければならない。  同時に精神病院の人権擁護の問題につきましては、精神衛生法に特に措置入院の制度だとかあるいは同意入院の制度、同意入院の制度につきましては患者の医療保護あるいは人権尊重という趣旨で保護義務者の制度が設けられておるということでございます。まず精神病院の管理者あるいは精神病のドクター、これはそういう法律を私はまず十分に知っていただく、そして正しく患者を扱っていただく、こういうことが基本的に必要であると思いますので、厚生省の方とも十分連絡をとって、特に厚生省におかれては今度指導基準をきちっとつくっていただく、こういう措置もとっていただくと聞いておりますので、病院の方はもうお医者さんのある意味では倫理の問題としても私は精神衛生法に基づくそういう思想、これのもとに患者を正しく扱っていただく、こういうようにもしていただきたいと思っておるわけでございます。実は人権擁護機関といたしましては立入検査の権限もございません。いろいろの情報をもとにいたしまして人権擁護委員が本当にむしろボランティア精神のような大変とうとい気持ちで努力をしていただいておるわけでございますが、そういうような点、特に人権侵犯のおそれある分野でございますので、私と皆これからも重点的に配慮して対策を講じてまいりたいと考えております。
  38. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは次に文部大臣に伺います。  昨日の新聞に宇都宮病院との癒着は東大医学部のみにとどまらず、自治医大にもあったということが報道されております。きょうもまた自治医大の問題が報道されているんですね。中でも自治医大の吉田充男教授は医療法人大恵会石川分院医局宿舎に無料で家族とともに住み、同病院の車を自家用車として使い、その上年五百万もの報酬を得ていたとありますが、これは事実なのかどうか。  またもう一点、きょうの新聞にも自治医大が六年閥にわたって宇都宮病院より研究費の名目で八百三十五万円の寄附を受けていたとも報じられています。  宇都宮病院にかかわった医者の皆さんも、東大医学部の関係者と同様、宇都宮病院における無診療、無看護、無資格診療が行われており、それから患者がどのように人権が侵害されていたかというふうな問題は恐らく皆知っていたと思うんです。わからなければそれはもうお医者さんでないと私は思います。そうした不正、不当な行為に目をつぶって、しかもその不正、不当な行為を裏づけとして積み上げてきた利益の中から寄附を喜んで受けるというようなことは、私はその無神経ぶりにもうあきれております。一体、医師の先ほど倫理という問題が法務大臣から出ましたけれども、私はもう医師の倫理よりも何よりも人間自身の退廃現象ではないか、どのように思って仕方がないわけなんですね。文部大臣、この二つの事実関係、それから今後どのように対応しようとされているのか、その問題についてお伺いしたいと思う。
  39. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今回無資格診療等の問題で指摘されました、今本岡先生から御指摘をいただいております宇都宮病院におきましては、東京大学医学部の教官が診療の指導及び研究を行っていることにつきましては、文部省としては事態を深刻に受けとめておりまして、大学に対しまして事実関係の解明を強く指導してきたところであります。  現在までの大学の調査によりますと、関係教官は東京大学教官としてあるいは医師としての姿勢において必ずしも適切ではないものがあった、極めて遺憾なことであると考えております。  同大学の医学部におきましては、この調査結果に基づきまして先般関係者に対しまして医学部長及び病院長から厳重に注意をいたしたところであります。また、兼業許可手続のとられていなかった者に対しましては訓告及び厳重注意を行っております。さらに東大医学部におきましては本件を契機といたしまして倫理審査委員会の設置を今準備をいたしておりまして、今後嗣医学部におきます医学研究の遂行を倫理面から厳しくチェックをしていきたい、このようにいたしたいと考えておりまして、文部省といたしましては同大学の今後の対応については適切に指導してまいりたい、こう考えております。  自治医大につきましては文部省の方にはまだその報告が入っておりませんので、私の方から今ここで申し上げる資料を持ち合わせておりませんことを御了承いただきたいと思います。
  40. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、自治医大の問題を今後どのように事実調査をしていかれますか、という問題についてはっきりとお答えをいただきたい。
  41. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) ただいま大臣からお答えしたとおりでございますが、私立大学の教官についてのアルバイトなりあるいは服務上の問題ということは、国家公務員法の適用されます国立大学の教官の場合とは異なりまして、基本的には各大学で処理をすべき問題であることは先生御存じのとおりでございます。ただ、基本的に医学部の教官として、また医師として、これは国立大学の教官、私立大学の教官に限らず、いずれにいたしましても、例えば研究遂行に当たりまして、患者の利益に対する配慮を十分するというようなこと、あるいは運営に問題のある病院におきまして、その問題に注意を払わず兼業なり研究を継続するというようなことなど、さらに大学教授の肩書等が利用されるというようなことについては十分配慮をすべきことは当然でございます。当面は、私ども自治医科大学内部での対応を見守りたいと、かように考えておりますが、必要に応じまして大学当局からその実情についてさらに今後事情を聞くなどの対応をしてまいりたいと、かように考えております。
  42. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、新聞に報道されているのが事実であるかどうかということを尋ねているんですよ。事実ということをまだつかんでいなければ、今後どうするかという、簡単にそれ答えてください、時間ありませんから。
  43. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) その事実については私どもとしてはまだ承知をいたしておりませんので、その事実の確認について大学側に至急問い合わせをいたしたいと、かように考えております。
  44. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 文部大臣、東大医学部の問題について今報告がありました。また、自治医大の問題も、これは私立の大学あるいは病院であるという立場からの説明がありました。しかし、私は国立であろうと私立てあろうと、この宇都宮病院にかかわった病院、医師のあり方というものは、医師の倫理の上から、人道的な問題から許すことはできないと思うんです。厳重なひとつ対応をお願いしたいと思います。  わけても、この東大医学部ですが、内部で若干の処分的なことを行われたということですが、しかし宇都宮病院に東大の医師が、私の表現をすれば、まさに寄生をしたと思うんです。そして、私欲のために精神障害者をモルモットがわりに使ってきたと。それで、この癒着の深さは——こういうことを言っている。「われわれはこの病院において、平畑高次郎先生と石川文之進院長を中心として、水魚の交わりをもち、精神医学においてまた人生において多大の収穫をえつつあります。」、これは何ですか。人生において多大の収穫を得られたら大変なことになりますやないか。これが医学部附属脳研究施設の武村信義助教授が昨年十二月、こともあろうに宇都宮病院二十五周年祝賀論文にこういうことまで響いているんですよ。そんな簡単なことじゃない。人生においても多大の収穫を宇都宮病院から東大の医師は得たというんですよ。だから、私は東大内のその甘い処分で見過ごすことはできないと。つまり、医師法第四条三号あるいは医師法第七条二項、これによってこの宇都宮病院にかかわった医師たちは厳重に処断されるべきだと、このように思います。文部大臣どうですか。医者としての品位を汚したという問題もあるし、公務員として、現に殺人、リンチ、不法診療、無資格診療が行われているその病院に行ってかかわってきたんですよ。知らなかったとは言わさぬ。そんなことがわからぬようなお医者さんでは困るですよ。自分がそこにかかわって、この病院がどんな病院かわからないで何の研究をやってきたんですか。ただ脳をもらいにだけ行ったんですか。そんな甘い処分では東大の権威が守れぬでしょう。東大なんというものは、日本の今の学術、研究の頂点にあるんでしょう。東大医学部といえば、日本の医学の面で、医師養成の面で、医療の研究の面でトップに立つところなんでしょう。文部大臣としてもっと厳正な処断をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  45. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 事実関係につきましては、直接文部省が調査に当たるということよりも、東京大学を中心にいたしまして事実の調査を今日までいたしてきたわけでございます。  東大医学部などの医師が非常勤の医師として名を連ねていたわけでございますが、報告によりますと、症例研究会等に出席をし、診療の指導及び研究を行っていたということでございまして、もちろん、先ほど申し上げましたように兼業許可の手続をとられてなかったということについては、これはまた別途の処置はいたしたわけでございます。東大の医師は、暴行、無資格診療は知らなかったと言っておるわけでございまして、関与の形態から、先ほど申し上げましたように、いわゆる症例研究会等に出席をするという形でございますので、関与の形態からいたしまして詳細に承知していたというふうには考えにくいという判断を東大ではいたしておるわけでございます。しかし、患者の状況に十分な注意を払っていないということは、今、先生からもお話がございましたように、医師としてやはり研究者のモラルあるいは兼業のあり方等から考えまして極めて遺憾なことであるというふうに考えておりまして、東京大学医学部では、医学部長、病院長から、先ほど申し上げましたように厳重な注意をいたしたと。それから、二人の無許可兼業につきましては訓告、監督者を厳重に注意をいたしたと、こういうことでございます。  確かに、先生がおっしゃいますように、私も直接この先生方にお会いしていないですから、この方々について申し上げるということも——一般論としてやはり学問を進めておられる研究者というのは、えてして対社会的にはいろんな意味で若干、ちょっとこう我々常識から考えにくい面があるというのは、まあこんなことを申し上げていいのかどうかわかりませんが、政治家の一人としておつき合いをしておるとそんな感じがしないわけでもありません。そういう意味で、今、先生から大変おしかりをいただいたように、実態、病院がこういうことをやっておったということを知らなかったと、私もこの報告だけを聞いて、やはりそういうふうに信じられない、面がある。大学局長にも、もう一遍そういう点は、一体どういう関係があったのか、あるいはこの宇都宮病院の院長というのは、これは東大の卒業生であって、そしてこの人たちと——お医者さんの世界というのは、やはり系列といいましょうか、学問の関係というのは強うございますから、そういう関係でもあったのかなと、こう調べて、大学局長にも問い合わせてみましたが、どうもそういう関係でもない。そういう面から見ると、どうも私としても理解しにくい面がたくさんあるわけでございます。しかし、文部省といたしましては、一応東京大学に調査をさせ、東京大学報告を私ども受けて対応をいたしておるところでございまして、御指摘の点につきましては先生のおっしゃるとおり、医学者としてのモラル、倫理観、こういう面については極めて遺憾でございまして、今後もなお十分に指導をしていきたいと考えております。先ほど申し上げましたように、東京大学にはこの機会に倫理審査委員会ができつつ今ございますので、やっぱりお医者さんの世界でございますので、大学の倫理審査委員会を中心にして今後の措置を考えていっていただくということが適切ではないかというふうに考えております。
  46. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の文部大臣の答弁には私は納得できませんが、もう時間の関係もあり、また改めて別の機会にその問題について追及をさせていただきたいと思います。  それで、六月二十二日に出された文部省の高校入試検討会議の最終報告の問題について、文部大臣に三点一括してお伺いをします。  この報告の特徴は、現在の受験競争を激化させている直接の原因である高校間格差を是認し、各高校ごとに入試を行ってもよいというところにあると読みました。この報告どおり、高校間格差、コース間格差に合わせて入試が行われるとすれば、必然的に中学校での教育はそれに合わせたものとなり、受験競争が一層激化し、小学校までその影響が波及していくことになると私は思います。高校が現在、大学入試のための予備校化しつつある現状を見ればよくわかることであります。さらにこの受験の、入試を複雑化、分断化することによって、中学校教育が受験産業のえじきとなって、教育の荒廃を一層促進することになると思います。文部大臣、この報告どおりの改革で、国民の求めてやまない教育改革、つまり荒れる中学生を生み出す大きな原因である偏差値教育を改善してほしい、あるいはまた受験戦争から子供を解放し、人間的成長を促す教育をしてほしいとの願いにこの報告がこたえられるということを確信を持っておられるか。端的に言えば、この激化する受験競争はこれによってなくなると考えておられるのかどうか、まず一点伺います。  二点目に、入試改革は入試をなくする以外に私はその弊害は解決しないというふうに思っております。したがって、高校間格差を認めてこれを助長していくというこの報告のやり方でなくって、どの高校にも多様な生徒を入学させて、学校内で選択できる多様なコースを設け、生徒たちの多様な能力、適性、興味、関心によって選択をできるようにする。そしてできるだけ高校間格差をなくして、入試の際の壁を低くして入試そのものを次第になくしていく、こういう方向でなくてはならないんではないか。そして、高等学校へ進学したいと希望する子供ができるだけみんな学べるように国の責任で高校をたくさんつくり、大学入試も改善して落ちこぼれというふうな子供などができないように四十人学級を中心にした教育条件の整備、こういうことをやることが今文部省にとって必要なことではないかと思います。  第三点目に、この高校入試は都道府県の責任において行われるべきものであります。文部省がこの施行規則を変更して通達行政によって全国に一律にこのような高校入試をやりなさいというふうな方向を打ち出すことは、これは文部行政による教育の画一化、規格化、硬直化であると私はこう思っております。高校入試の問題は都道府県の自主性にゆだねるべきだ、このように思うんですが、文部大臣のこの報告についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  47. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今回取りまとめをいたしましたのは、今、本岡先生から御質問の中にも御意見として入っておりましたが、私どもといたしましては健全で伸び伸びとした中学校教育をぜひ実現をしたい、高校を個性化、多様化に応じて多様な選抜が行われるようにしたいということが主眼でございまして、そういう意味では、検討会議報告をいただきましたことにつきましては極めて私どもは示唆に富んだ意見であるというふうに考えております。文部省といたしましては、この意見を踏まえまして高校入試の改善になお一層力を尽くしていきたいということでございまして、先生の御質問の三点の中で、これを各県教育委員会が一と三の御質問にございましたように、これを文部省がこういう方向でやれというそういう仕組みではございませんで、こうした考え方をぜひ検討をしていただきたいということで幾つかのいろんな多様な考え方をぜひ持ってもらいたい、こういうことでございますので、これから県教育委員会が中心になっていろんな仕組みを工夫をしていただくということになろうかと思います。したがいまして、先ほどの改善意見につきましていろんな角度から検討して仕組みをつくっていただくことによって、先生から御指摘がございましたようないわゆる偏差値、入学、受験教育というようなことのこの弊害がなくなるであろうということを期待をいたしたいわけでございます。また、したがいまして都道府県に対しましてこれをこうした考え方を示すということによって、それぞれ都道府県が主体性を持って今後考えていただくということでございますので、文部省が統制をするということではないというふうに理解をぜひお願いをしたいと思っております。  なお、この改善意見の中には、知識偏重の弊害、進学塾、偏差値問題の改善を重要課題としてとらえてきておるわけでございまして、現段階といたしましては最善の方向が示されているというふうに私どもは理解をいたしております。したがいまして今後、先ほど申し上げましたように各県で具体的改善に取り組むことによって事態は改善の方向に向かっていくだろうという期待を持っているところでございます。  先生から例示としてお話をいただきましたのは、社会党さんから提言をされておりますいわゆる地域総合計画というお考えを示されたことを前提に御意見があったんだろうと承知をいたしておりますが、地域の中で学校にすべてのそういう高等学校の進学の進路希望によって全部備えるということは、現実の高等学校制度全体の仕組みということも考えてみなきゃなりませんし、また財政全体的なことも考えてみなければなりませんが、高等学校全体の将来のいわゆるあり方等につきましては、また多くの方の意見をいただいて別途に考えていただかなければならぬ問題であろうと、こういうふうに考えております。
  48. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もう鰻後にちょっと時間が来たんですが、一点だけ予備費の問題にかかわって質問をしておきます。毎年この予備費にスモン訴訟の経費が計上されておりますが、この予備費というのは言うまでもなく予見しがたい予算不足に充てるため総額だけを予算議決し、句に使用するかは内閣の責任に任されているものでありますから、この予備費の使用は厳格に予見しがたい経費に限られるべきで、当初予算に計上できるものあるいは補正予算に計上できるものは予算に計上して、先に国会議決を受け、予備費の使用はやむを得ないものに限られるべきものである、こう思うんです。このスモンの和解履行経費も当初は予見しがたい経費であったと思うんですが、最近はやはり予見できる中身にだんだん和解の状況等でなってきていると思います。これを当初予算にもう計上してもいいんじゃないか、こう思うんですが、厚生省のお考えを簡単にお伺いして終わります。
  49. 正木馨

    政府委員(正木馨君) スモンの早期和解は非常に私どもにとっては重要な課題でございますが、現時点におきまして提訴患者六千四百三十六人のうち六千二百三人が和解になっております。  ところで、この予算上の措置でございますが、スモンの和解につきましては、御案内のように係属裁判所で審理されておりますが、その状況。それから、裁判所が委嘱しております鑑定団の鑑定結果報告、それを受けましての個別協議ということで不確定要素があることは事案でございます。  そこで、従来からこれに必要な経費の見積もりを当初予算で組むということはなかなかできませんので、和解が成立しましたら可及的速やかに予備費の使用の手続をとりまして措置をしているということで、今後とも早期和解の促進につきまして努力をしていきたいというふうに思っております。
  50. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  51. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、本委員会の冒頭、大蔵大臣から昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書についての御説明がありましたが、この決算調整資金について御質問を申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕  前鈴木内閣は、五十九年度赤字公債依存脱却という政治目標を掲げて、昭和五十六年度を財政再建元年としてスタートをしたわけでありますが、結果は巨額な税収の落ち込みで歳入欠陥を招来いたしました。実に二兆四千九百四十八億円余という不足が生じ、初年度から財政再建計画は破綻したと言えるのであります。しかも、五十六年度の補正予算を十二月に提出をいたしました。ここで四千五百二十億円の歳入の減額をしたその補正予算が成立した後でも約二兆五千億円の歳入欠陥が生じたために、政府は五十三年に設けられた決算調整資金制度を初めて発動して、歳入不足額相当分を同資金から一般会計へ組み入れて補てんしたわけでありますが、以下この決算調整資金に関連をして質問をしたいと思います。  まず、歳入欠陥についてお伺いをいたします。  歳入欠陥の原因は、第一に税収不足を招いた政府の財政運営の失敗、第二は経済見通しの狂いから生じた税収の過大な見積もりにあったと思いますけれども、大蔵大臣の見解はいかがでしょうか。
  52. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず一般論から申し上げてみますと、各年度ごとの予算を組みます場合に、これは歳入はあくまでも見積もりでございますが、いわば積み上げ方式によって行うわけでございます。しかしながら、この本院等へ提出しております将来の後年度負担推計をもって見通しております仮定計算というようなことになりますと、名目成長率、およそ八〇年代経済社会の展望で見込んでおります六ないし七%の経済成長率の中間値の六・五をとって、それから十年間の平均であります租税弾性値一・一というようなものでお示ししてはおりますが、元来その年度に組む場合は積み上げ方式を精いっぱいやるわけでございます。しかしながら、私は五十六年度の歳入欠陥というのは、やはりまさに税収不足から今御指摘のように生じたものでございますが、第二次石油危機というもののいわゆる世界経済全体の停滞というものが予想以上であったと。したがって、その限りにおいて今御指摘のありました見通しが誤ったではないかということは、私はそのとおりでございますとお答えをすべきものであると思っております。そういう停滞が予想以上でございましたので、企業の生産活動やまた消費が予想した以上に伸び悩んだということに起因をするものでございます。したがって、私ども、よく一体税収見積もりの誤差の範囲はどこだというようなことを聞かれますと、これはだれが決めたものでもございませんけれども、私はよく一%は誤差のうちなんて言っておりますが、誤差どころじゃございません。一%では三千億程度でございますから、大変な歳入欠陥を生じたということは事実でございますので、今後ともにやっぱりこの見積もりは適正に近づけるように不断の努力をしていかなきゃならぬというふうに考えておるところであります。  したがって、税収不足は、やはりその第二次石油ショックの私どもの予測をはるかに上回る企業、消費の停滞からきたものであると。必ずしも財政運営とどれほどの関係があるか、これも十分私どもは反省すべき材料として検討を続けてきましたけれども、五十七年もそうでございましただけに、その限りにおいてはおまえらの反省は必ずしも十分ではないではないかと言われればそれは素直に受けとめるべきだと。幸い五十八年度が間もなく七月初旬に決算の結果をおおよそ御報告できる段階になると思いますけれども、今度はどうやら誤差のうち程度では締めくくることができるではなかろうかという感じがいたしております。いずれにいたしましても、見積もりではございますものの、できるだけ精緻な見積もりができるような不断の努力は重ねていかなければならない課題であるという認識をいたしておるところであります。
  53. 菅野久光

    ○菅野久光君 一般的に今、大臣の答弁はわかるわけですけれども、具体的にその五十六年度の補正予算で先ほど申し上げましたけれども、税収の見込み額四千五百二十四億円を減額したわけでありますけれども、これは補正予算の編成時、十月末ごろですね。その時点で五十六年度のこの巨額な税収不足がなぜ見抜けなかったのか。いえば専門家集団としての大蔵官僚の皆さん方がいらっしゃってなぜ見抜けなかったのか。ここのところをひとつはっきり示していただきたいというふうに思います。
  54. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは主税局長も参っておりますので、詳しく御説明申し上げたが適正であると思っております。  補正予算編成時は御案内のように十月末の税収まででございます。今年度もいろいろな工夫をいたしましたが、結局、たとえて申しますならば、法人税、特に経済の好不況に影響を受けます法人税の三分の一は三月期決算でございます。したがって、十月と申しますと、例えば十月末税収は累計がまだ前年比九・九%でありましたが——税収のこれは実績でございます。しかし、その段階の進捗率は三五・八%にすぎないわけでございますし、なかんずく法人税の進捗率は一八・六%ということでもあったわけでございます。したがって、今御指摘なさいましたが、専門家集団でございますが、その時点でその先の見通しが誤ったと言われればそのとおりでございます。これは率直にお認めすべきである。しかし、法人税のわずか二割弱の時点で経済情勢から推定することは、私を除く者は専門集団でございますが、なかなか難しいことだなというのが私の——五十六、五十七、ちょうどそのとき私大蔵大臣じゃございませんでしたけれども、その間の決算を見ながらそのような感想を私自身も持っておるところでございます。
  55. 菅野久光

    ○菅野久光君 余りにも巨額なだけに、専門家集団として見抜けないというのはちょっと余りにも、何と言うんでしょうかね、経済動向が予見しがたかったと言えばそれきりでしょうけれども、そこのところはどうも私としては納得ができません。それでは、この巨額な税収不足が出ると政府が予測できたのは一体いつごろであったのか。五十六年の十二月末までの税収が判明した段階でまだ予測はできなかったのでしょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  56. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) ただいま大蔵大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますけれども、若干補足して御説明を申し上げますと、五十六年度の補正予算の編成をさせていただきました際には、石油税、それから物品税、関税、印紙収入等を中心にいたしまして、当時、間接諸税につきましては、年度当初から十月までの税収を見ておりまして、これは減額せざるを得ないという判断に立ちまして補正減額をさせていただいたわけでございます。ただ、結果的に見ますると、先ほど御指摘のありましたように、当初予算で三兆円を超える税収不足額を生じたわけでございますが、その大宗を占めますものは、法人税、それから所得税のうち事業所得に係る部分の税収減でございます。  これの背景といたしましては、先ほど大臣から答弁がございましたように、結局今の時点から振り返りますと、世界同時不況の形をとりました第二次石油危機の調整過程が予想外に、しかも非常に急激な経済停滞を招いたと、それに対しまして私どもの税収見積もりが的確に対応できなかったということにつきましては、これは率直に、謙虚に私どもは過去の事実として認めざるを得ないと考えております。  ただ、これは必ずしも弁解ということでお受け取り願わないようにお願いいたしまして、そういう前提で若干御説明申し上げますと、予算を編成いたしまして、それから年が明けまして、ちょうど衆議院それから参議院で、予算審議を立法府でやっていただきました時点におきまして判明いたしておりました税収の状況で、特に法人税について見ますると、九月決算、それから十月決算、十一月決算と対前年の決算と比べますとむしろ二割ないし三割ぐらいの好況の決算を行っておりました。法人税収もむしろしり上がりの状況でございましたけれども、ちょうど終盤の予算審議の段階で判明いたしました十二月の決算で、急激にこれが落ちたという事実があったわけでございます。私どもは、こういった事実を謙虚に反省もいたしまして、その後、税収見積もりの精度を上げるべくいろんな手法の努力を重ねておるわけでございますが、ちなみに、その後欧米諸国の歳入見積もりの状況につきまして子細に調査をいたしました。各国ともやはり歳入見積もり担当者が異口同音に申しますのは、間接諸税に比べまして法人税収の見積もりというのは非常に難しいと。特に昨今のような流動的な経済情勢のもとでは、法人税収の見積もりは各国の歳入見積もり着通じて非常に苦労しておるわけでございますが、なかんずく、我が国の場合は税体系に占めます法人税収の割合が三割でございます。欧米諸国でございますと大体一けた、あるいは二けたでも一〇%前後でございまして、そういった点からすれば、我が国の場合は、この法人税収の見積もりというのは非常に困難な状況に置かれておるということでございます。しかし、それは弁解であってはならないわけでございまして、私どもはその後マクロ経済の指標を追うだけではなく、個々の実体経済に税収見積もりが即応できるようにということで、現在では、従来も行っておったわけでございますけれども、特に大企業につきましては、個々の企業からのヒアリング、これをかなり綿密に年に複数回以上、年度途中にもそうでございますが、ヒアリングを行いまして、絶えず税収の状況、マクロ経済の状況と個々の企業収益の動向を的確に把握できるように現在努めておるわけでございます。今後とも的確な歳入見積もりについて努力してまいりたいと思います。御了解を賜りたいと思います。
  57. 菅野久光

    ○菅野久光君 十月、十一月は好況であったが十二月の段階で落ち込んだというふうな御答弁だったと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  58. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) そのとおりでございまして、九月、十月、十一月、これは決算期でございます。したがいまして、通常税収月はそれより二カ月おくれるわけでございます。
  59. 菅野久光

    ○菅野久光君 そうしますと、落ち込みがひどくなってきたというのがわかった時期というのは大体二月ごろというふうに理解してよろしいですか。
  60. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 二月の税収でそれがはっきりわかったわけでございますが、実は二月の税収が計数的にまとまりますのは三月の下旬から四月の初めにかけてでございます。
  61. 菅野久光

    ○菅野久光君 まあこれだけ巨額の税収不足は年度末間際に至らなくても、先ほどからいろいろ論議をしているわけでありますけれども、わからないのが不思議なことではないかというふうに私は思うわけです。したがって、三千億や五千億じゃないわけですね、二兆五千億という巨額な歳入欠陥、当然これは第二次補正予算によって対処するべきではなかったかというふうに思うんですけれども、その理由をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  62. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 二回目の補正をすべきではなかったかという御指摘でございますが、これは税収見積もりに関して私の方から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、税収月の把握がやはりタイムラグがございます。したがいまして、五十六年度の場合には既に本予算審議の最終段階の時点で、なおかつ急激に税収が落ちてくる傾向がまだ実績のデータとして的確につかみ得なかったという状況でございまして、時期的に恐らく二次補正の形で税収の減額を行うような時点ではなかったのではないかというふうに考えるわけでございます。
  63. 菅野久光

    ○菅野久光君 十二月の法人税の落ち込みがひどくなってくるような状況というのは、恐らくその決算のおおよその段階を経れば予測は私はできたのではないかというふうに思いますが、その辺をあるいは意図的に、予測ができたけれどもその実態をあるいは把握をしなかったのではないかというような推測、これはあくまでも推測でありますけれども、そういうふうに思わざるを得ないんです、余りにも巨額なだけに。税収不足が原因で五十六年度の一般会計歳入歳出決算上二兆四千九百四十八億円の不足が生じたために、政府決算調整資金から二千四百二十三億円、これでは到底足らないので、なお不足する二兆二千五百二十四億円については国債整理基金から決算調整資金繰り入れた後、同資金から一般会計歳入に組み入れ、五十八年度予算一般会計から決算調整資金へ繰り戻したわけですね。この繰り戻しの状況をひとつ説明をしていただきたいと思います。
  64. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 五十六年度予算決算補てんのために繰り入れました総額二兆四千九百四十八億の繰り戻しの状況でございますが、これにつきましては、ただいま先生御指摘のとおり、五十八年度予算決算調整資金への繰り戻しを計上いたしておりますのは二兆二千五百二十五億円でございまして、これは繰り戻し期限は五十八年度中ということになっておりますが、全体としての国庫の資金繰り、あるいは国債整理基金資金状況等を勘案いたしまして、各四半期ごとに約五千六百三十億円ずつ決算調整資金に繰り戻し、直ちに同資金から国債整理基金繰り入れており、五十九年三月末で全額繰り戻し済みでございます。
  65. 菅野久光

    ○菅野久光君 なぜ国債整理基金からの細み入れ分だけ繰り戻しをして、決算調整資金への分を繰り戻さなかったのか、その辺のところをひとつ説明していただきたいと思います。
  66. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、五十六年度の決算上の不足を補てんするためには、ただいまの国債整理基金からの決算調整資金への繰り入れ以外に、決算調整資金に属する現金による補てんということで二千四百二十二億を取り崩しております。これについても国庫に余裕がございますれば繰り入れるのが望ましいことは当然と思いますけれども、現在の財政状況極めて厳しい財政状況でございまして、特例公債の減額、利払い費用の削減、縮減ということが最大の問題になっております関係上、財政上ゆとりがなく、本来第一線準備として決算調整資金資金があるのが望ましいわけでございますけれども、第二線準備である国債整理基金からの繰り入れということを充てることによって対処できるということで繰り戻しを行っていないわけでございます。
  67. 菅野久光

    ○菅野久光君 決算調整資金の現在額がゼロですね。このゼロで果たしてこの資金が機能できるのかどうか。本則は全く生きてなくて附則だけで運用するというような状況ですね。これはこの法律案ができるときの五十三年二月七日の衆議院の大蔵委員会でのこのことについての質疑で、答弁の中に、制度をつくる場合、金を入れないでつくるのはいかがなものか、やはり一応合理的なめどで元金を入れておくのがあるべき姿ではないかというふうに答弁もされております。それから、最初から第二線準備を前提にして、これに頼り切って制度をしくのはいかがなものかというような答弁がなされているわけですね。これとの関係から見て、どのように考えますか。
  68. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ただいま御指摘のとおりでございまして、本制度を設けます際に財政当局としてそういう答弁をいたしました経緯も十分存じております。しかし、申し上げますと、財政状況が当時に比べまして現在一段と厳しくなっているということに尽きるわけでございまして、御指摘のとおり決算調整資金に第一線準備として本則によって決算調整制度を運用する資金が存在するのが望ましいのは当然でございますけれども、結局のところその資金を積み増すために必要な財源は特例公債に求めざるを得ないような状況でございます。特例公債に求めますと、結局利払いとなって長期に国債費の負担がふえてくるということでございます。幸いにして第二線準備の方の国債整理基金の方には金がございますので、もちろんそういった決算不足を生ずることのないような財政運営を慎重に行っていくということが第一義でございますけれども、万一出た場合にも現在の第二線準備で対応できるということで、やむを得ずそういう措置をとらしていただいているということでございます。
  69. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは、今後決算調整資金の財政的な裏づけ、今のような財政状況だからできないということだけじゃ私はやっぱりまずいんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
  70. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおりでございます。現在の財政状況についてできる限り歳出の削減合理化を行うという方向で財政再建をやっていく所存でございますが、そういった全体の歳入歳出の状況を見ながら、制度がございますので、その状況に応じて、可能であればできる限り資金繰り入れを行いたいと思います。現段階で考えますと、かなり難しい面が多々あるかと思いますけれども、できる限りの努力をいたしたいというふうに思います。
  71. 菅野久光

    ○菅野久光君 時間がございませんので、本当はもっと突っ込んだことで聞きたいわけでありますが、本来、一般会計歳入欠陥が見込まれる場合には補正予算国会提出をして国会審議議決によって対処することが憲法及び財政法上の建前であるというふうに思うわけです。しかるにこの決算調整資金制度は予備費と同様に財政処理について国会に事前に審査議決権を与えられておらない、事後の承諾しか与えられていないわけであります。したがって、本制度が乱用されないように慎重に運用しなければならないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  72. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 年度内にその歳入欠陥が生ずることが明らかに見込まれまして、かつその補正予算を編成するいとまがある、時間的余裕がある場合には補正予算によるべきことは当然であろうかと思います。したがいまして、決算調整資金は基本的には年度末間際あるいは作産経過後に判明した摩擦的な歳入不足に対処するものでございまして、これを乱用するつもりは毛頭ございません。国会審議権はもちろん尊重されるべきものと考えております。
  73. 菅野久光

    ○菅野久光君 五十六年度において初めて決算調整資金制度の発動と、こういうことになったわけでありまして、この実情を見てみても、巨額の税収不足が第二次の補正予算を組むことができないぎりぎりまで予見できなかったとは到底信じられないし、国民にも私は納得してもらえないというふうに思うんです。このような巨額の財政処理について国会が事前に何の権限も行使できなかったことは、先ほど来から言っておりますように、国会審議権の軽視ないしは無視として重大視せざるを得ないというふうに私は思います。歳入欠陥が生じる可能性がある場合、安易に決算調整資金を発動させないための歯どめ措置が私は必要ではないかというふうに思うんです。決算調整資金に関する法律の第一条の、決算不足が生じる場合の範囲を、現行の無限定から誤差程度、先ほど大蔵大臣は一%程度というようなお話がございましたが、こういうようなある程度一定の枠組みまで抑えて、大幅な歳入欠陥はこれを対象としないように改めることが私は必要だというふうに思うんです。そうすることによって第一に財政の放漫化を防ぎ、第二に大幅な歳入欠陥が見込まれると早目に補正予算を組むなど財政当局に緊張感を与えるとともに、国会の財政に対する事前コントロールがより強く作用できる、そういうふうに思うわけです。承諾案件ではこういうようなことが安易にやっぱり行われるのではないかということで、このことについてはどうも承服しがたい、そういうことを申し上げて一応この点については終わらせていただきます。  次に、厚生大臣、五月二十八日に横浜の検疫所に行かれたそうでありますが、私は決算委員会で検疫所にもぜひということを申し上げたんですが、何かそのことがあったからかどうかはわかりませんけれども、早速行っていただいたそうで、御感想をあればちょっと簡単におっしゃっていただけばと思いますが。
  74. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 先生から検疫所の医師の問題等の御指摘をちょうだいいたしまして、私も非常に関心を持ちましたが、私は山国生まれで検疫所というのを見たことがありませんので、やはりこの目で確かめたいと思いまして勉強に行ってまいりまして、非常に勉強させていただきましたことを御礼申し上げます。
  75. 菅野久光

    ○菅野久光君 前にこの決算委員会で、検疫所の予算が約九千二百万ほど余っているということで、その中身は一体何なんだということをお聞きいたしましたが、その後私の方に御報告がありまして、その主たるものは検疫所に配置をする医師が確保されないのでそれがほとんどだというふうに聞きました。  それで検疫所の医師の充足状況について調査をいたしました。調査をいたしましたところ、実に私は驚きました。昭和五十五年から——その前のやつはちょっと引っ越しで下の方に入っているので、それも出していただきたかったわけでありますが、昭和五十五年度で定員百十七名に対して現員が五十名、欠員が六十七名、四二・七%の充足率、五十六年度では百十七名に対して現員が四十二名、欠員七十五名、三五・九%の充足率です。その後も、五十七年は三五%、五十八年は三二・五%、五十九年は三四・五%、大体定員に対して医師の充足率は三分の一しか検疫所についてはないんです。そういうことが実はわかりましてびっくりいたしました。これ、ですから多額な人件費ですね、これが残るのは当然だというふうに思うわけですけれども、この医師の充足についてどのように努力をされたか、またできなかった理由は一体何なのかということをお聞きしたいというふうに思います。
  76. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 先生の御指摘のとおりでございまして、検疫所長等については、その職務内容から、医師を配置することで定数が定められておるのでありますが、ところが検疫所全体の六五%を占める出張所は立地条件も非常に悪いところが多く、また配置定員も一名から二名と極めて小規模で、医師の出張所長を常駐させることが非常に困難な状態となっておりまして、これが医師の欠員を生じておる原因となっております。したがって、これらの出張所においては地元の公立病院等の医師を非常勤職員として任用し、検疫業務の遂行に万全を現在期しておるところでありますが、なお検疫所医師の確保についてはさらにこれ努力をしてまいらなければなりませんが、国内防疫体制の確立された現在、検疫伝染病流行地との接触の少ない出張所等については、医師の定数などについてさらに検討する必要もございますので、この医師の定数がどの程度必要であるかという検討と、また必要なところにはこれは充足するように努力をしてまいりたいと思います。
  77. 菅野久光

    ○菅野久光君 検疫所の定員の充足状況を調べましたところ、今のようなかかわりで技術職も、これは医師もその中に入ると思いますが、昭和五十六年度では欠員が六十四名なんですね。ところが、事務職の方は逆に定員を四十三名上回っている。これは定員ということからいえば非常に問題があるんですけれども、ここはもう私は必要悪で、医師が充足できないからやむを得ず事務職で何らかの形で補わなくちゃいけないということだというふうに、私は仕事の状況を見まして理解をするわけです。このことはやっぱり正常ではない。正常ではないんですね。私前からも言っておりますように、日本が食糧の輸入大国になって、本当にここの、検疫の体制がどうなっているかということは、これは国民の健康にとっても大変な問題で、そこの体制がこういうような体制であってはこれはまずいんじゃないかというふうに私は思うんです。こういったような定員の状況について、大臣どうでしょうか。
  78. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 先ほど大臣御答弁申し上げましたように、検疫所の、特に出張所におきます医師の確保というのがその業務の態様、立地条件その他から勘案しまして非常に困難な実態にございます。そのようなことで、そのような実態を踏まえて、医師の定数確保の問題につきましてはいろいろと内部的な検討を諦めているところでございます。    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕その次善の策といたしまして、医師で判断を要する業務は、これは欠かすことができませんので、そのような施設につきましては、最寄りの公的な病院等から医師の非常勤の形で応援を受けて、業務上の支障を来さないような配慮をするとともに、そのような医師を常駐させることの困難なところにつきましては、いわゆるベテランの技官、事務官で対応しておると、こういうようなことで業務上の支障を来さないように努力をしておるところでございます。また、機会をすべてとらえて、医師の確保についてはそれぞれの立場で努力は継続しているところでございます。  なお、輸入食品の業務につきましては、検疫所の業務に統合いたしまして、その効果的な運用を図っているわけでございますが、その一環といたしまして、検疫所の職員の中でこの業務に補職をするというような形で現在適切な対応を図っているところでございます。
  79. 菅野久光

    ○菅野久光君 自治大臣、何か十二時に出なきゃならないというようなことですが、私が質問したことについては担当の者で対応してもらうということでよろしゅうございますか——であれば、何か特別な用事ということですので、今の段階よろしゅうございますけれども。  そこで、同じ厚生省の中で、片一方では医師過剰だと育っているんですね、片一方では確保のために努力している。どうもおかしいんじゃないかというふうに思うんですね。本当の自分らの仲間内で、片一方は足りない、確保のために努力する、片一方は過剰だ、この辺は一体どのようにお考えになりますか。
  80. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 医師過剰というニュースが最近いろいろ田でまいりましたが、これは昭和四十五年に厚生省の医務局が、国民医療を確保するために十万人に百五十人ぐらいの医師が適当であろうという一つの基礎数字をつくりまして、文部省等にお願いしまして、その百五十人は既に充足し、今の文部省の医科大学の養成でありますとかなりこれをオーバーするのでありますが、そのために医師過剰というようなことが伝えられるわけであります。ところがその後、いろいろ客観条件が変わってまいりました。一つは、急速に高齢化がやってまいりますと、老人の方は若い人の四倍ぐらい病気にかかり、医師にかかるわけですし、また、医療技術というものが非常に複雑多岐にわたってまいりましたから、したがって、昭和四十五年に考えた十万人当たり百五十人というものが必ずしも今後、将来の医療を確保するための数字であるかどうかということも検討しなければなりませんので、そういうものを含めて、私ども、将来の医師数のあり方ということを検討しようということであって、決して今過剰であるというふうに断定しておるわけではございません。  また、先生御承知のように、医師の方はやはりいろんな勉強を将来ともに続けたいというようなことから、やはり都市やあるいは医科大学のあるところに集中したいというような考えもありまして、現在でも県によって非常に偏在しておりまして、いろいろまだ僻地とか離島とか、そういうところはまだ医者が足りないで困っている、また、ある地域に行きますとこれは余って困っておるというようなところもあります。  そういうことから、この検疫所の場合も、これは場所によってはなりたいという方がいっぱいいるところもあるかと思えば、幾ら私ども一生懸命努力をしてもなかなか確保できない等のことがございますので、これらのものは、総合的に含めて、今後必要な場所に、必要な職場に医師を確保するのにはどうすればいいかということも含めて、今後の検討課題として勉強してまいりたいと思っております。
  81. 菅野久光

    ○菅野久光君 医師の過剰、過剰でないは、一定の、十万人当たり百五十人なら百五十人、そういうことで総医師数でやられるわけですけれども、これは学校の教員の場合でも同じですけれども、国語や社会科の先生ばかりたくさんいてもこれはやっぱりうまくないわけですね。そういう意味で、診療科目にかかわってその養成というものが私は必要ではないかというふうに思うんですね。  しかし、どうも医師が過剰だということになれば、過剰だ過剰だということで、既に、国立大学のある医学部では来年からの定員を減らすというようなことがもういろいろ計画をされているというようなことがあります。医師が不足をしている、無医地区といいますか、それが全国で千七百五十カ所あるんですね。これは、その地区に住んでいる人たちは大変な問題だというふうに私は思っています。  そこで、全国自治体病院協議会というところで、ごらんになっているとは思いますけれども、「自治体病院ならびに診療所における医師充足状況調査報告」というのが出されておりますが、これを見ましても、「病院医師充足率、総医師−常勤医師・病院の種類・病床の規模・開設者別」ということで昭和五十八年の九月三十日現在で出されておりますが、その中で、充足率は、開設者が都道府県の場合には割と多いんですね。総医師で九五・三%、常勤医師で八九・六%ですが、町村になりますと、総医師で七六・一%、常勤医師では六五・五%という状況です。これは充足率です保ね。  それから、「医師対策に「困っている」、「困っていない」病院数、病院の種類・病床の規模別」でアンケートがされておりますが、この中では、総数において困っているという回答が、総数では五二・四%——これは自治体病院ですよ。そのうち、一般病院では五三・五%、精神病院では二三・五%、結核病院では八〇%が困っていると、こう言っているんですね。  それから、「医師対策に「困っている」、「困っていない」病院数、開設者・病床の規模別」では、困っていると言っているのが、総数で五二・四%、都道府県三八%、市が五〇%、町村が六二%、組合が五五・四%と、こういうことになっているわけです。これはもう大変な状況だというふうに私は思っています。片一方では医師が過剰だと言っているのに、実際、自治体の病院ではこれだけ医師が不足して困っているという状況です。その状況について自治省としてはどのようにお考えでしょうか。
  82. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) ただいま委員の御指摘にありましたような数字のとおりでございます。  それで、全体で見ますと、昭和五十八年の九月三十日現在の医師の充足率が九一%ということでございまして、五年前の昭和五十三年九月三十日が八七%でございましたので、全体では四%上がっておりますけれども、実は、これは大病院につきまして集中して上がっているということでございます。したがいまして、三百床以上の病院は、総医師数で九〇%以上と、まあ大体完全に充足されているということがございますが、百床未満の病院というのは七〇%台というところが多いわけでございまして、まだまだ僻地、離島等の小規模病院におきましては公立病院におきます医師が不足しているというふうに認識いたしております。
  83. 菅野久光

    ○菅野久光君 時間がございませんので、これも「自治体病院ならびに診療所における医師充足状況調査報告」の七十二ページに、「医師確保についての回答者の意見」ということで、「病院の部」とか「診療所の部」とかということで出ておりますから、ひとつこれらをよく読んでもらいたい。厚生省もそれから文部省もこれは医師の養成等の問題を含めて関係があることですので、ぜひこれらを読んで、こういったようなことにやっぱりこたえるようなそういう施策をぜひ私はお願いをいたしたいというふうに思うわけです。  それで、先ほどから言っておりますように、総医師数で医師が過剰だ過剰でないということを判断するのはやっぱり私は間違いだというふうに思いますし、国民の側もやっぱり自分たちの生活圏の中にどういう診療科目の医者がいるかということが非常に大事なわけですね。ある地域に行くと、眼科のお医者さんが全くいない、あるいは産科婦人科のお医者さんがいない、こういうことで大変な状況になっているわけです。その辺をしっかり見きわめて、当然医師の養成にかかわっては、本人の希望だけで果たしてこれからもずっと医師の養成を続けていくということがいいのか、それともそういったような全体的な診療科目というか、将来の専門科目ですね、そういったようなものを考慮してやった方がいいのか、私はやるべきだというふうに思っているわけであります。  それは、例えば国立大学の医学部、歯学部の学生一人当たりにかなりな国庫の支出金、これは調査をいたしますと、昭和主十六年度では国立大学の医学部、歯学部の学生一人当たりの国庫支出額は、医学部で三百四十八万円、これは経常費を学生数で割った単純なものでありますが、歯学部では三百十四万円、こういうようなことになっております。それから私立大学でも、医学部、歯学部別の学生一人当たりの国庫補助額は、五十六年で医学部で二百二十三万八千円、それから歯学部は、これどうしてこんなに低いのかわかりませんが六十五万円というような、調査の結果がそうなっております。  いずれにしましても、国費をこれだけ、やっぱり文科系から見るとはるかにつき込んでおります。ちなみに、文科系のことを言いますと、国立大学の文科系、この中には芸術学部なども入っているのでありますが、昭和五十六年度では百十八万五千円、それから私学では九万九千円、学生一人当たりですね。この医学部あるいは歯学部等に対する国庫補助というものはこれだけたくさんつぎ込んでいるわけですから、ある程度・句というんですかね、国民の希望といいますかね、国民の意思にこたえるような、そういうことがあってもいいのではないか。そういうことで、何人かの方が提言されておりますが、これは朝日新聞の「論壇」で東京女子医科大学の心臓血管外科の講師であります今村栄三郎先生が、「辺地区経験を学位の条件に」ということで「論壇」で出されているのは既にお読みになっているんじゃないかというふうに思います。それから、情報サービス会社社長の武田文彦さんの「途上国の医師養成を図れ」、医学部の定員を減らすなんということじゃなくて、今のせっかくあるそれを生かして途上国の医師養成を図れ、そのことがまた日本の医療産楽ですね、これは発展させるのに役に立つことではないかというような提言がなされておりますが、これらのことにかかわって医師の養成ということで、文部大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
  84. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 今菅野さんから御指摘をいただきました点で、いろいろと御議論がございますが、文部省といたしましては、今先生から御指摘ありましたとおり、医師が過剰であるというそういう認識は持っていないわけでございます。ただ、御意見の中にもございましたし、厚生大臣からもお答えがございましたように、十万人に対する百五十人という目標はほぼ達成をしておる。しかし、人口の高齢化や、またこれに伴いまして医療需要の多様化、複雑化、さらに医学、医療の高度化、そして今お話もございましたように、自治体病院等地域的なもの、あるいはまた部門、分野といいましょうか、領域的なもの、これはやはり医師が確保難であるというふうに私ども承知をしております。文部省としては、医師の養成計画はやはり地域医療の動向、社会情勢の変化、これをやはり総合的に勘案をして、将来を見通した適正数を検討することが先決であるという考え方をいたしておりますので、まずは厚生省において五月から検討委員会を設置されたようでございますので、やはりここでの御意見というものが大事だろうと考えております。そうした厚生省の結論を勘案しながら慎重かつ適切に対処していきたいと、こう考えております。  御指摘をいただきました後段にございましたように、私どもとしても国立大学で医師養成をした学徒は対しては、そういう一定の基準を設けられるものかどうか。地域の離島だとか山村などへ何年かとか、一年間義務的にやってこいということが言えるのかどうか。また、お医者さんの若い医学生ほどむしろ医療機関が多い、また先輩たちの多いところで勉強を積まなきゃならぬというそういうやっぱり事情も教育上あるわけでございます。私ども自治体病院の市町村長さんに聞いてみますと、本当にやはり医師確保に苦労しておられるようでありまして、せっかくなれてきたかなあと思うとすぐ病院へ帰ってしまうし、研究だなんだかんだと都合をつけてすぐいなくなってしまうというようなことをよく聞いて、町村長の悩みもよく私ども承知いたしております。そういう意味で考えますと、もう少し根本的にお医者さんのそうした使命観みたいな問題、あるいは社会観というような問題、そういうようなこともやはり研究の中、学問を進めていく中に、やはりこれは適切に指導していかなきゃならぬものではないだろうかなあと、こんなふうにも考えているところでございます。
  85. 菅野久光

    ○菅野久光君 文部大臣、何か御用がおありだそうで、ありがとうございました。  EDBの問題について質問をする予定でございましたが、時間がございませんので、きょうのところはその点については質問を取りやめさしていただきたい。準備された方には大変御迷惑をおかけしましたが、よろしくお願いいたします。  それじゃ、これで終わります。
  86. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務大臣にお願いいたします。  朝鮮半島の安定につきましては我が国も非常に関心が強いところでございまして、国際社会の安定に不可欠の要素なんですが、しかし日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交がないために、民間ベースでは社会党がこれまで漁業協定などでの交流に努力してきたところでございます。ところが、昨年のビルマ事件以来北との接触の凍結によりまして、日朝民間漁業協定が一昨年失効したままとなっております。大変残念なことでございますし、西日本の関係漁民の方にはまことにお気の毒な状態が続いております。しかし、同時に米中首脳会談などをきっかけに朝鮮問題の平和解決への機運もまた芽生えてきていることは事実でございます。中国は韓国人の訪中を認めておりますし、また日朝関係改善に仲介の意向など漏らしているやに聞いております。中曽根総理も訪中の際に超紫陽首相との間で、たとえどんなことがあっても朝鮮半島に戦争を起こしてはならないんだという認識で一致されたと伺っております。しかし、それならばそのように前向きの態度をぜひとっていくことが必要ではないかと思うわけでございます。  そこで外務大臣にお尋ねしたいのでございますけれども、日朝関係改善につきましては最近北の方からも動きがあるように聞いているんでございますが、たとえ国交がなくても、できるところから前向きにやっていくことが非常に必要と思いますんですが、そのお考えがおありになりますかどうか伺わせていただきたいと思います。
  87. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 御承知のように、最近の北朝鮮の金日成主席のソ連訪問、そして東欧諸国訪問がございました。我々はこの訪問を非常に注目をいたしております。そして、例えばソ連訪問における金日成主席の対日問題についての言及、これはソ連のチェルネンコ書記長が非常に日本を攻撃していると。これに反してどちらかというと口をつぐんでおられると。こういうことは金日成主席の日本に対するところの一つの方向を示すものではないかと、こういうふうな感じも我々持っておるわけでございます。我が国は北朝鮮との間ではもちろん外交関係はないわけでございますが、したがって政府政府との関係というものを進めるわけにはいかないわけでございますが、しかし経済、文化、いわゆる民間レベルでの交渉はこれを維持してきておりますし、特に今も御指摘がございました民間漁業協定が今中断をいたしております。これはお話しのように西日本の漁民にとっては大変な打撃でありますし、政府としては直接手が出せないんですけれど、何とか民間あるいは議会レベル、そういうふうな形で漁業協定がまた進められることを期待はしておるわけでございます。しかし残念ながら、今いろいろと与野党の議員のレベルあるいはまた民間のレベルでも努力していただいておりますが、まだまだこれが再開できるというめどが今のところは立っておりません、非常に残念でありますけれど。今私は民間レベルの交流というものはできるだけこれを維持し進めたいと、こういうふうに思っております。同時にまた、朝鮮半島をめぐる緊張緩和につきましても、いわゆる南北対話であるとかあるいは三者会談、四者会談といったいろいろの動きも出ておるわけでございますから、そうした動きが今後とも実を結ぶと。なかなか困難な点もありますが、実を結ぶ方向で動きがさらに加速をされることを願っておるわけでございます。そうすることが結局朝鮮半島の緊張緩和につながっていくわけでございます。そうした基本姿勢で我々としては今臨んでおると、こういうことであります。
  88. 久保田真苗

    久保田真苗君 仮に民間ベースで交渉再開などの機運が盛り上がりました場合には、外務省となさっては入国申請その他について便宜をお図りになるという、そういう姿勢はおありでしょうか。
  89. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあこれはあくまでも、外交関係がございませんから、民間ベースでやっていただかなきゃならぬわけでございますが、私たちも、外務省としましても民間漁業協定の重要性というものは十分認識をしておりますから、そういう立場で配慮してまいる考えであります。
  90. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひ平和的解決機運の芽を育てていただきたいと思います。  ところで、私がさきに本委員会及び外務委員会でお伺いしました国籍法改正に伴う外務公務員法の改正についてでございますが、その後どのような御処置をお願いできましたでしょうか。
  91. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) その問題、十分私今承知しておりませんが、今責任者がこっちにやってきまして答弁をさせていただきますが、それまで御猶予をいただきたいと思います。
  92. 久保田真苗

    久保田真苗君 はい、それじゃお待ちいたします。  それから次に、池子弾薬庫への米軍住宅建設の問題につきまして私は再三ここで取り上げてまいりました。それで、これが昭和十三年、旧帝国海軍に接収されて以来立入禁止となっておりますところから非常に貴重な自然を持っておりまして、その保護につきましてあるいは埋蔵文化財につきまして再三お願いをしてきたところなんでございます。実は若干の問題が解明されないまま残っておりますんで、時間のある限りこれについてお尋ねしたいと思います。  まず防衛庁につきまして、私が四月二十二日この委員会でお尋ねしました、政府が国有地であると主張されておる土地の中に数々の民有地、公共地があることにつきまして、そのときの施設庁の御答弁は、国のものだが、そのあみものについては未登記の財産である、取得したのは戦前であると、国のものであるという確証はないというふうな御答弁をいただいたんでございます。それで、特に一例としまして逗子市花ノ瀬八十八の六の土地についてお尋ねしましたところ、この土地は昭和三十年十一月二日に逗子市自身によって所有権の保存登記がなされているということが前回、法務省の御答弁によってはっきりしているところです。これについて施設庁は目下調査中であると、こういうふうに御答弁なすったんですが、調査の結果はいかがでございましょうか。
  93. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘の逗子市池子の花ノ瀬八十八番地の六につきましては、その後調査を完了いたしました。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 調査結果はいかがでございましょうか。
  95. 塩田章

    政府委員(塩田章君) この御指摘の土地につきましては、従来から国有地として管理して、池子の弾薬庫の用地として米軍に提供してきたものでありますが、確認作業をいたしました結果、地目は雑種地、地積は五十九平米であり、国有地の一部であることが判明しましたので、去る五月十五日に国有地への所有権移転登記を終えたものであります。
  96. 久保田真苗

    久保田真苗君 国有地が判明したその根拠は何でございいましょうか。
  97. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 今も申し上げましたように、従来から国有地として管理をしてまいったところでございまして、今回確認作業の結果も従来からの国有地であるということで確認をいたしたわけでございます。
  98. 久保田真苗

    久保田真苗君 実は私がこの前からお尋ねしておりますのは、その確認の方法についてなんでございます。と申しますのは、この土地は逗子市の登記になっておりまして、しかも昭和三十年という段階にこの保存登記がなされておるものですから、これから見ます限り、国有地だという確証はどうしても私にはわからないわけでございます。でございますから、私はどういう確認作業でどのようにそれが立証されるのか、それをお伺いしたくて今再度質問に立っているわけでございます。よろしくお願いします。
  99. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 御説明申し上げますが、私どもこの土地を含めまして池子弾薬庫に国有財産として従来から管理している土地があるわけでございます。それで、御指摘の花ノ瀬八十八番の六という地番がつきました土地につきまして、これがその従来我々が管理しておる土地に含まれているかどうかということの確認作業をやったわけでございます。これは、そういうことでこれらの土地が、この御指摘の土地が従来から私どもが国有地として管理している土地の中に所在するものであるということが確認されまして、それにつきましてまた逗子市の方と、登記名義が逗子市になっておりましたのでそれについて話し合いました結果、逗子市の方から所有権移転について御承諾いただきまして、先ほど申し上げましたような移転登記を行った次第でございます。
  100. 久保田真苗

    久保田真苗君 申しわけないんですが、なぜ確認されたのか、その点を以前からお伺いしているんですね。なぜそれが確認されるのか、そこを私が知りたいんです。どういう書類あるいはどういう人の証言でもってそれが立証されるのか、そういうことを伺いたい。この一つは、たくさんあるうちの一つでございまして、ほかの面についても大きい影響があるわけでございますから、ひとつはっきりお答えいただきたいと思うんでございますけれども。
  101. 千秋健

    政府委員(千秋健君) ちょっと再度同じ答弁になって恐縮でございますが、私どもの確認作業を行いましたのは、御指摘の土地が従来から私どもの国有財産として管理しておる土地に含まれておるかどうかということの確認がございます。これによりまして、従来私どもが国有財産として管理しておる土地に所在しておる土地ということが確認されまして、そのことからその周辺財産、周辺の国有財産とともにこれも私どもの国有財産になっておるものという一つの推定がございます。そういうことからまだ登記が移っていないということから逗子市と話し合ったわけでございます。そういうことで、これは我々の国の財産であるということが確認されたというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  102. 久保田真苗

    久保田真苗君 どうもよくわかりませんですね。そういたしますと、それは国有財産台帳に載っているということ、それが根拠でございますか。
  103. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 国有財産台帳の方には、またこれは総括的に包括的な登載がなされていると思いますので、私どもはそういうものを含めましてこの土地が国有財産として管理されている土地であるかどうかということを確認した次第でございます。
  104. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは大蔵省にお伺いしたいのですけれども、国有財産台帳というものがございまして、ある程度不明な点を解明できる資料かと思いますけれども、この台帳は私がお願いしましたところ公開がされていないということなのでございます。それでただ、私としましては、国有財産台帳にかわるものということで拝見しました「国有財産現在額口座別調書」というのがございまして、これはコピーが許されませんでしたので手書きで写したのがお手元の資料一でございます。    〔資料配付〕
  105. 久保田真苗

    久保田真苗君 五口座にまとめてありまして、これだけでは具体的にこの土地がどうなっているかということの役に立たないわけでございます。それでおっしゃるとおりにそういう確証があるということでございますと、私はやはり国有財産台帳そのものの方を拝見させていただかなきゃならないのでございますけれども、これはその台帳をここで御提示いただくことができますか。大蔵省お願いします。
  106. 志賀正典

    政府委員(志賀正典君) お答えを申し上げます。  まず第一に、国有財産台帳についてのお尋ねがございましたが、私ども備えております国有財産台帳におきましては、国有財産法施行令にございますように、区分——土地、建物の区別、所在、数量、価格、得喪変更の年月日及び事由、その他必要な事項、こういうことを記載をするようになっておるわけでございますが、国有財産にかかわります。その取得あるいは売り払いあるいは貸し付け、こういった行為が伴っております。このような取引行為といいますのは、これは国と第三者であります相手方とがまさに同じ立場で行う私法上の契約ということで行われておりまして、そういう物件の内容につきまして相手方の立場を尊重する、こういう見地から従来から台帳の公開はしないこと、こういうふうにさせていただいているわけでございます。ただ、国有財産でございますから、その概略を明らかにして資料として御利用いただけるように、こういうことでただいまお配りいただきました「国有財産現在額口座別調書」、こういうものをそれまでの国会での御論議も踏まえまして昭和五十二年以降私どもで所管をしております一般会計普通財産につきましてもその大部分につきまして台帳にかわるものとして作成をし、ごらんをいただけるように措置をしているところでございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。  また、これだけではよくわからないではないか、こういうお尋ねでございます。台帳そのものをということにつきましては、ただいま申し上げたとおりでございますのでお許しをいただきたいと思うのでございますが、私どもできる限りこの地区の提供財産に関しまして聞き取りをしてまいりましたので、それにつきまして若干御説明をさしていただきたいと思います。  この池子の日米安保条約によりまして提供財産とされております区域に関します国有財産の口座としては、先ほど御配付をちょうだいをいたしました資料のとおり五口座になっております。  まず、旧海軍軍需部池子倉庫は、その代表地番が逗子市池子芋仲川千六百七十九でございまして、種目は宅地でございます。面積は百六十四万四千平方メートルでございまして、台帳価格はここにございますように三千百万円でございます。
  107. 久保田真苗

    久保田真苗君 簡単にお願いします。
  108. 志賀正典

    政府委員(志賀正典君) できるだけ簡単に申し上げます。  その全面積を日米安保条約に基づき提供しております。  次に、旧第二空廠池子倉庫は、その代表地番が逗子市池子字石下千百四十の一でございまして、種目は宅地と森林から成っております。面積、台帳価格は、お配りいただきましたとおりでございます。このうち提供面積は七十六万七千平方メートルでございます。  次に、旧池子倉庫引込軌道路は、その代表地番が逗子市池子芋桟敷戸千九百十三の一でございまして、種目は宅地となっております。面積、台帳価格は御配付いただきました資料のとおりでございまして、提供面積は七千平方メートルでございます。  次の池子弾薬庫地区は、その代表地番が逗子市久木字大畑前七百七十でございまして、種目は森林、宅地及び畑となっております。面積、台帳価格は御配付をいただきましたとおりでございます。提供面積が一万六千平方メートルでございます。  最後に、旧横須賀工廠谷戸田鋳填工場は、その代表地番が、横浜市金沢区六浦町谷戸田二千三百三十九の一でございまして、種目は宅地でございます。面積、台帳価格はお配りいただきましたとおりでございます。このうち提供面積は四十六万六千平方メートルでございます。  以上、五十五年度末現在で申し上げました。
  109. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が知りたいのは、民有地、公有地別のこの国有台帳にある少なくとも民有地については九十三筆ある。そういった記載について知りたいわけでございまして、私がお配りした資料を説明していただいてもしょうがないんでございます。ですから、私は今この際この決算委員会に、少なくともこの池子の権利関係の不明確なこの部分について、国有台帳の写しをこの部分だけで結構ですから提供していただくか、または私にこの国有地、公有地、民有地別のもっと詳細な内容について納得のいくような御説明、物件の提示をお願いしたいと、こう言っているわけです。
  110. 志賀正典

    政府委員(志賀正典君) 先ほどの御質問の際にも申し上げましたとおり、国有財産台帳そのものあるいはその写しということにつきましてはお許しをいただきたいと思うわけでございますが、さらにまた必要な事項がございますれば、お尋ねがございますれば、でき得る限り私ども調べまして先生のところに御報告に上がらせていただきたいと思います。  なお、先生のおっしゃる民有地、公有地というのが、登記上民有地、公有地の部分ということでございますか、あるいは周辺の民有地、公有地ということでありますか、必ずしも私どもよく理解できなかったのでございますが、前者でございますとそのあたりのことについての詳細な確認作業というのは現在防衛施設庁において行われているというふうに承知をしておりますので、その結果をまちまして整備をすべきものがあれば整備をする、こういうふうに考えております。
  111. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が申し上げているのは、国有台帳にどのように書かれているかということなんです。それが一つの根拠として考えざるを得ないわけです。そうでございませんと、全くここの権利関係というものは関係者にとって明らかにならないまま、現に池子の森林の丘の切り崩し、立ち木の伐採、調整地掘り、こういったことでこの土地に重大な変更が加えられようとしているわけでございます。こういうことをきちんとしていただいた上で、いろいろな計画を進めていただかないのではとても納得ができない。関係者も非常に心外なことと思います。私はこういう点につきまして、きょうは時間がありませんから次に譲るといたしまして、この国有財産の台帳の内容につきまして、それでは、私のところへもう少し詳しく中に何が書いてあるか、これだけの分筆になっておりますいろいろな土地がこれに記載されているのかどうか、記載されているとすればどういうふうに記載されているか、その点を御説明をお願いできますか。
  112. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 議事進行。社会党の理事として。  質問と答弁がかみ合わない。したがって、理事会で後刻この問題についてきちっと整理をして、大蔵省と防衛庁に関係書類の提出説明を求めるということで、理事会の議題とするということで委員長裁断お願いします。
  113. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 後刻理事会においてその扱いは協議いたします。  この際、安倍外務大臣及び枝村外務大臣官房長より発言を求められておりますので、これを許します。
  114. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほどの御質問につきましては、官房長から答弁いたさせます。
  115. 枝村純郎

    政府委員(枝村純郎君) 御質問の趣旨は、今回の国籍法の改正によって男女平等ということは確保されるわけでございますが、女性についてはかえって帰化の条件が厳しくなる。こういう場合に外務公務員法第七条との関係で問題が生ずるんじゃないかと、こういうことであったかと承ったわけでございますけれども、確かにそのとおりでございまして、現在の猶予期間一年ということを維持しますといろいろ不都合が生ずるわけでございます。したがいまして、そうなりますと外務公務員法第七条でせっかく特例を認めておるこの立法上の趣旨にも反するように考えますし、現実に私どももかつて外国国籍を有しておった御婦人と結婚しておる者が百人ほどございました。人事政策上も望ましくないと思いますので、この施行令を改正いたしまして、実質的に今までと同じような猶予が確保できると、そういう線でぜひ支障のないようにいたしたいということでございます。その点は私ども人事政策上もぜひそうしなければならぬというふうに思っておりますので、御休心をお願いいたします。
  116. 久保田真苗

    久保田真苗君 どうもありがとうございました。外務公務員法そのものについては、将来的に見ていろいろな問題があると思いますので、こういうことにつきましてはまた折々協議させていただきたいと思いますが、とりあえずどうもありがとうございました。
  117. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  118. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十六年度決算外二件並びに予備費関係等八件を一括議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、本日提案されております予備費関係についてお伺いをいたします。  この本日提案されております予備費を見ますと、各省庁において退職手当の不足を補うために予備費使用が行われておりますが、これは、先般公務員の退職金減額等の措置あるいは六十歳定年をしかれたというようなことが大きくかかわってこういうふうなことになり得たのかというふうにも思いますけれども、そういうふうに考えるのならば、例年に比較してこの影響をどのくらい受けたか、このことから御説明をいただきたいと思います。
  120. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御質問の趣旨は、五十九年度予算において定年法施行に伴って必要となる退職手当についてどのような手当てを行ったかということでございましょうか。
  121. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いや、五十六年のをやっているんだから。そうじゃなくて、要するに駆け込みの人がふえているのではないか、こういう考え方でございます。おわかりでございましょうか。
  122. 的場順三

    政府委員(的場順三君) そういたしますと、各省庁における退職の方々が当初予算でどういうふうに見込んで、実際にどうであったかということは、これは執行を預っておられる各省庁でないとわかりませんけれども、今御指摘のことを数字でお答えいたしますと、例えば五十六年度の退職者に対する予備費の使用状況は、五十六年度合計で百十六億三百万でございます。五十五年度が三十四億三千三百万でございましたので、その点から申し上げますと、五十六年度はふえているというのが実態でございます。
  123. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでお伺いをしたいんですがね、この退職手当というのは、当初予算に計上する場合にやっぱりあらかじめ予測がつくとかいう、こういう問題ですけれども、予算編成時に、だれがどの程度退職をしていくのかということの退職手当の見通しというのは、正確に見積もることが不可能なのかどうなのかという問題で、こういうことについてその一定な算式を持っておられるかどうか。これ、どういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
  124. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 予算編成に際しまして、あらゆる経費についてできるだけ正確な見通し、積算をなすということは非常に大事でございます。退職手当につきましても同様でございます。ただ、退職手当の具体的な算定は、まず人を管理しておられます各省庁が十分に把握しておられるわけでございます。例えばことし肩たたきを予定している人が何人であるとか、そういった具体的なことをは各省庁の御判断にゆだねまして、その各省庁の御判断をできるだけ尊重して誤りなきを期すという計上方法をとっております。しかしながら、実行上、例えば肩たたきがうまくいかなかったというふうなことがあったり、あるいは予定以上都合でやめられる方が出てきたというふうなことが生じまして、予算に過不足が生ずるということは、これは避けられないことであろうと思いますが、今後とも、各省庁六十歳定年制も施行されましたことでもございますし、今後はできるだけ精度を上げるように努力をいたしたいと思います。
  125. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうしますと、五十六年度で百十六億、五十七年度で七十八億、五十八年度(その1)四十七億足りなくなって予備費からこれを支出しているわけですけれども、大蔵省はまとめてこの退職手当にこれだけ予備費を充当させたということについてどういう見解を持たれるわけですか。
  126. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 予備費は予見しがたい経費不足に充てるために包括的に御決議をいただきました範囲の中で具体的な費目に応じて支出をするものでございます。したがいまして、退職手当のように最初から項目としてはっきり支出が予定されるものについてできるだけ精度を上げるという努力については、できる限りこれを行っていく必要があると思いますが、全部が全部過不足なしに済ますということは、これは経費の性格上非常に難しいと思います。ただいま先生御指摘がございましたように、五十六年度は百十六億でございましたけれども、五十七年度は七十八億になっておりますし、また、五十八年度の(その1)では四十七億というふうに予備費の支出額は漸次低減の傾向にございます。したがいまして、今後ともできるだけ努力をいたしますということでお許しいただきたいと思います。
  127. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、五十六年度百十六億もあることをどのように考えられるか、このばらつきをどう考えておられるのかということなんです。
  128. 的場順三

    政府委員(的場順三君) これ各省別に見てまいりますと、それぞれの省庁においてそれぞれの年にばらつきがあったわけでございまして、そのそれぞれについて恐らく結果的に、私どもが見ますと、やむを得なかったということで予備費を支出するというふうなことにさしていただいたわけでございますが、これは積算上の問題でもございますので、五十六年度に多額の予備費を使用するようなことになったことについては、できる限り今後積算の精度を上げるということによって対応していきたいというふうに考えております。
  129. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、各省庁のばらつきの問題に入らしていただきますけれども、五十六年、五十七年度で一番多く退職手当のために予備費を使っているのが総理府所轄の防衛庁になっています。五十六年度で二十二億三千八百万、五十七年度で五十一億九千九百万というのは他省に比べて非常に額が多いわけですね。予算編成階の段階で防衛費だけを突出させたくないという、こういう印象を避けるために意識的に低く抑えたのではないかというふうに私は勘ぐるわけでございますけれども、この予備費を内々に見てやるから、だからというような裏取引はなさっておられないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  130. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 五十六年度、五十七年度それぞれ先生おっしゃるような金額を予備費から支出させていただいたわけでございますが、その理由でございますけれども、実は五十六年度に防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案というのを国会へお願いをいたしまして、その法律によりまして任期制自衛富の退職手当制度の改正をお願いしたわけでございます。この法案がそのまま国会で五十六年度にお認めいただければこういうことはなかったかとも思うわけでございますが、それが実は五十八年度になりましてから国会で成立をいたしました。したがいまして、当初予算を組みますときには、国会でお認めいただけるという前提のもとで計算をいたしました金額予算に計上しておったわけでございますが、それが結果的にそうならなかったということで、それぞれ先生おっしゃるような差額の大部分でございますが出てきた、こういうようなことでございまして、今勘ぐりとおっしゃいましたけれども、そういうようなことはございませんので、御了承願いたいと存じます。
  131. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういう御説明を聞いております。それで、五十六年度当初で百三十八億の退職金を見積もってあったと。そしたらば決算時で百六十一億二千万ですかの費用を要するようになり、二十二億の不足を生じたということですね。それから五十七年度が百二十四億五千六百万ですか、当初。そして、百七十三億何がしかを必要とするようになったので四十八億の不足を生じて、これを予備費から充てているということなので、そのことの関係ですけれども、先ほどの法案との関係で私説明を聞いたわけです。五十六年二月四日に法案を提出し、そしてこれが予測に反して審議未了で通らなかった。そのために五十六年は不足を生じたというふうにおっしゃるのですが、その影響も五十七年に出ているわけですか。
  132. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 今おっしゃいましたように、五十六年度通りませんで、五十七年度にまた再提出をいたしたわけでございます。五十七年度予算のときは、再提出いたしておりますから、再提出しているということを前提に予算を組んでおりますので、五十七年度もそれで結果的に言いますとそれが通らなかったということでございますので、五十六年度、五十七年度、今先生おっしゃるような姿になっておる、こういうことでございます。
  133. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは大変しつこくお伺いをいたしますけれども、五十五年の決算時はどうだったのか。それから今度、五十八年十一月二十八日に参議院を通過してこの退職手当法の改正が成立いたしました。そうしますと、五十八年は全く低い額が、あるいはゼロでこの予備費が出てくるというふうに考えてよろしいわけですか。
  134. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 五十五毎度及び五十八年度につきましては予備費をお願いいたしておりません。ゼロです。
  135. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういうことになりますと、この防衛庁における予備費というのは、私が勘ぐるように、防衛費突出などと言われるのは大変困るので、予備費の中で人件費を隠しているというようなことは全くないというふうに考えてよろしいわけでございますね。
  136. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) そのようにお考えいただければありがたいと存じます。
  137. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 さらにお伺いをいたします。  五十一年度以降の退職手当のための予備費流用を見させていただきますと、    〔委員長退席、理事属黒今朝次郎君着席〕 五十一年ではなし、五十二年で五億九千四百万、五十三年で五億七千四百万、五十四年で一億六千九百万、五十五年で三十四億二千八百万というふうになっていて、先ほどの三カ年度分を合わせてみたときに、予備費の支出が非常に大きい。そして、これは大蔵省に伺っているんですよ、退職金つまり公務員の退職金減額等の影響があるということは私考えられますんですが、もっと勘ぐりたいのは、シーリングが厳しくなってきたこと。このシーリングが厳しくなってきたことと無縁でないのかどうなのかという問題をひとつお伺いしたい。
  138. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 今御指摘のとおり、五十六年度のその退職手当にかかわる予備費支出の額が相当大きくなっているのは事実でございます。  また、シーリングにつきましても五十六年度以降大変厳しくなってきているのは事実でございますが、シーリングを厳しくしたから退職手当は予備費で見るというふうなことは行っておりません。これは、先ほど防衛庁の方から御説明のございましたような法案との関係で、退職手当の計上の仕方を実際に支給されるものよりも少なくとどめることが適当とその当時は判断されたというふうなことで、それぞれの費目について適正にその見積もりをつくったはずでございます。  ただ、その見積もりがそれぞれの各省庁の御事情等により狂ってきたというのが実態でございまして、そのために巨額の予備費支出を必要としたということでございまするから、それはその点先ほど来申し上げておりますように、今後十分に気をつけますが、シーリングがあるから必要な経費を予備費に回すというふうなことはやっておりません。それは財政当局の立場から言いますと、そういうことをすれば、みずから設定したシーリングの厳しさということをみずから逃げることになるわけでございますから、私どもがそういうことをするはずがないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  139. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 国会関係会計検査院ですね、ここでも毎年退職手当が不足して予備費使用を行っているというところがございますんで、私はこれを今の問題で勘ぐったわけです。つまり、事業官庁でない国会とか会計検査院などシーリングが厳しくなってくると削るところがないということで、退職手当等できるだけ内輪に見積もっておいて、そして決算時においてこれが足りなくなってきたので何とか帳じり合わせてほしいというふうな考え方は本当にないのですか。
  140. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 例えば今御指摘の国会につきましては、五十七年度は予備費支出を行っておりません。  それから、会計検査院は各年度、五十四年度から五十八年度まで各年度ございますが、数字につきましては相当ばらつきがございますし、これはそれぞれの事情に基づくものでございます。したがって、今申し上げましたように、シーリングが厳しくなって、事業官庁でない事務官庁についてはこういうところをどうこうしなければ予算を組むのが大変だというふうなことで、退職手当をあらかじめ不足する額を計上したということはございません。
  141. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 なければ大変に結構だと思いますので、その基本でお願いをしたいわけでございますけれども、本来、予備費というのは年度途中で予測のつかなかった、予見がきかなかったものに対して支出をするというのが本来の性格でございますから、できるだけこの予備費というものの費目については大蔵省当局も厳しくチェックをしていっていただきたいというのが、厳しい財政の中でやりくりをなさっている皆様へのお願いだということでございますので、ぜひこれを実行していっていただきたいというふうに思うんですけれども、毎年歳出カットをして、前年度対比幾ら下げたというふうなことを国民に発表なさるからには、この予備費等についても厳しく査定をしていただいて、そして財政を預かっていくということ、大臣、この点いかがですか、よろしゅうございましょうか。
  142. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 方向はおっしゃるとおりだと私は思います。  昨年度でございますね、五十八年度の出納整理期間も間もなくでございますが、そういう際に見ましても、予備費全体から見れば節約して、それを不用に立てておるということもひとつのそういう努力のあらわれではなかろうかというふうに思っておりますが、御指摘の方向は私もそのとおりだと思っております。
  143. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 次に、先ほど同僚委員の中からも話が出ました決算調整資金についてお伺いをいたします。  先ほども御指摘がありましたように、鈴木内閣の大失政で、五十六年度決算で当初予算額から三兆三千三百十八億円という膨大な税収不足を出したというこの問題でございますけれども、補正後なおかつ一般会計歳入歳出において二兆五千億に近いお金を決算調整資金及び同資金を通じて国債整理基金から繰り入れることによって帳じりを合わせたと、これは先ほども皆様が御確認なさったとおりでございますけれども、この資金を初めて発動したときの実態について、この制度をつくって初めてこれを使った、発動したときの実態、このときの実態を大臣はどのような御認識に立っておられますか。
  144. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御案内のように、決算調整資金一これをつくりましたのは五十二年でございます。事実、制度ができて最終的に出納整理期間で摩擦的なものをどうするかというようなところで制度をつくったと。制度がある限りにおいてはやっぱり金のないのはおかしいじゃないかと、こういう御議論がございまして、それで二千億でございますか、そこへ入れたわけでございます。この五十六年度予算においてこのことを初めてやって、いわゆる決算調整資金に対しての第一線準備である決算調整資金自体を、財源を十分積み立てて、その財源で決算上の不足に対処するのが最も好ましいということは当時もまた今日も続いておると思っております。ただ、ここのところ若干の、議論の弱いところが私どもにもあることはあるんです。といいますのは、それを積み立てることは、言ってみれば赤字公債をうんと発行しているんだからそれを、すなわち利子のつく金を借りてまた積み立てる、結果としてはそういうことになるんじゃないかと、こういう議論。しかしおっしゃいますように、五十二年だって赤字公債——五十年からでございますから発行しておったではないかと言われると若干弱い点があるなあと、私も勉強しながらそう思っております、率直に申しまして。  それで、五十六年のときは、   〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕 ちょうど私は五十五年までが大蔵大臣でありました、あれは四百八十四億でございましたか、ささやかながら剰余金が出るというような状態であったわけであります。それで、五十六年へまいりましてから私どもが予見し得ないほどやっぱり第二次石油ショックの後遺症というものが——世界の中では日本が一番先に脱却したなどと言われておりますものの、世界同時不況の中で大変な税収の不足を来したと。先生の方の側に立ってみれば、いわゆる税収見積もりに誤りを犯したと、こういう批判も当たるでございましょう。私は、これは決してその立場によってその御意見を否定する考えはございません。が、歳入欠陥、五十七年度はもっとでございますけれども、またこの次、五十七年度の歳入不足の議論が出れば大変だなあと今から覚悟しておかなければいかぬなと思っております。確かに、世界同時不況の中で、先ほども申しましたように、一%は誤差のうちなんて私は言っておりますが、これは大蔵省の方針ではございません。ただ私がそういうことを常日ごろよく言っているだけの話でございますが、一%どころか一〇%でございます。それで、それを補正後でごらんいただいても九%でございますから、これは大変な同時不況の中でいわば歳入の見積もりに大きな不足を生じたということは、私の側から言えばやむを得ざる状態ではなかったかと。そこで先ほど来の御議論がございましたように、大体税収見積もりというのはもっと早くわかれば第二次補正だって組めたんじゃないかと、こういう御議論もあろうかと思います。しかしながら、御質問を先取りするようでございますが、やはり今年度もほぼ剰余金が積めるなあと今思いつつも、やっぱり七月の上旬になりませんと三月期決算の法人の税収が確定しませんので、いまだにそういうことを明確に申し上げられない。ことほどさように予算審議いただいておりますのは二月、三月の時点でございますから、やっぱりそのときに先ほど来の御指摘もありましたが、きちんとした第二次補正を組む状態にはなかったと。したがって、先ほど来指摘いただいておるような措置をせざるを得なかった。だから私は、その後情勢の変化を言えば今日ゼロになっているんじゃないかと言われますが、確かに五十九年度に当時はまだ脱却するという前提の上に立っておった。それもある意味においては大政策転換と申しましょうか、ある人によればそれは転換じゃないんだと、ただ、しりの期限を延長しただけじゃないか。こうおっしゃいますが、六十五年脱却という大転換をやったわけでございますので、今日ゼロの状態にあっても私どもはまあやむを得ぬ問題ではなかろうか、こういう考え方で対応しておるわけであります。  したがって、五十六年、将来五十七年の御議論もいただくわけでございますけれども、この世界同時不況というものをある意味において予見できなかったかと、こう言われればそのとおりだと言わざるを得ないという、まさにやむを得ざる措置としてこのような措置を行わしていただいたというというふうに御理解をいただきたいと、御理解いただけないまでもなるほどと思っていただきたい、こういうことであります。
  145. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうすると大臣ね、今のその話ですけれども、鈴木総理が五十六年度を財政再建元年と名づけて、五十九年に赤字公債依存から脱却するんだと、今おっしゃったそのとおりですよね。それは明言しておられた。それなのに初年度からつまづくわけだけれども、そこで、前年度対比二兆円へ国債減額をしたと、これあたりが原因になるんじゃないんですか。
  146. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 恐らく二兆円……これは五十五年にさかのぼりますと、五十五年に私は大蔵大臣でありましたが、五十五年度予算編成のときにまず一兆円の減額ありきというのでかかったわけでございます。したがって、今度五十六年は、当時の考え方で言えばまず二兆円の減額ありきという心構えで対応しておったことは私は事実であろうと思います。それを前提に置くから一兆円税収見積もりを上げなければ予算が組めなかったから、その結果こうなったのではないかという御指摘もあろうかと思うのでありますが、当時の状態からして、積み上げてまいります税収見積もりにおいて、いわゆる恣意的にあるいは作為的に二兆円はみ山さすために税収見積もりというのを故意に上げた。事実上、当時の経済見通し等が全く下方修正されておりますけれども、そういうものでは当時なかったのではなかろうか。五十五年は、私は五十五年を財政再建元年と位置づけたいと思いました。しかし、一兆円減額してみたら五十四年の成績がよくて結果としてそれ以上のものを出さなくて済んだ。そうするとやはりクリスマスにイブがあるように、財政再建元年の前の晩というようなことを私自身位置づけて、申し送りをして五十六年が初年度になったということでございますので、あの当時の時代から見ますと、あれほどの世界同時不況というのを、これを見通すということは、神ならではとは申しませんが、事実上なかなか難しいことであった。ただ、途中において歳入欠陥が出るんじゃないかという国会等で指摘があったことはこれは事実であります。
  147. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣、大変正直でいらっしゃっていろいろ本音をおっしゃってくださっているようでございますけれども、そうしますと、次に私は、調整資金のことで大蔵当局にお伺いしておきたいのは方法論のことだと思うんですけれども、この調査資金の条文を見ますと、七条の一項で「資金に属する現金」という定義がありますね。資金に属する現金は、各会計年度の一般会計歳入歳出決算不足を生ずることとなる場合に限り、一般会計歳入に組み入れるものとする、ということですね。六条では「資金に属する現金は、資金運用部に預託することができる。」、まあこのようになっていて、五十二年度補正予算で二千億を一般会計から資金繰り入れ、これを資金運用部に預託をして最終的に運用益を二千四百億円を得たということ、それはよろしいですね。  一方、附則の二条の一項で、「資金に属する現金が決算不足額不足するときは、」「国債整理基金から基金に属する現金を資金繰り入れることができる。」ということがございますね。このことでございますけれども、この基金から資金繰り入れられた現金が第七条で言うところの「資金に属する現金」と言えるのかどうかというところが大変疑問なんです。もしこの資金に属する現金ということにこれがならなければ一般会計繰り入れることができないわけですね。この考え方は大変ポイントになってくるだろうというふうに私思うんですけれども、この基金から資金繰り入れられた現金が七条で言うところの「資金に属する現金」というふうに認識されるかどうか、この辺をちょっとお伺いします。
  148. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ただいま御指摘の点につきましては、こういうことではなかろうかというふうに考えております。  まず、決算調整資金法は、御指摘のとおり、資金に属する現金を決算不足額の補てんに充てることとしておりますけれども、この資金に属する現金とは文理上そのときどきにおいて決算調整資金が保有する現金を指すものというふうに解しております。したがって、決算調整資金法附則第二条第一項に言う「資金に属する現金が決算不足額不足するとき」の「資金に属する現金」は決算調整資金の自己財源のみでございますけれども、当該不足額がただいま御指摘のございました同法附則第二条第一項の規定により国債整理基金から決算調整資金繰り入れられた後においては、その繰り入れ分も当然資金に属する現金となり、決算不足額の補てんに充てることができるものと解しております。このことは同条第三項におきまして、基金から資金繰り入れられた金額一般会計から資金に繰り戻すべき旨が規定されていることからも明らかであろうというふうに思います。  これ非常に平たく申しますと、例が適切でないかもしれませんけれども、家計に属する現金と言う場合に、まず給与、ボーナス等の額で家計に属する現金というふうに考えますが、その現金に不足があって銀行から借り入れた場合にも、一たんは家計に属する現金になるわけでございますから、家計から出ていく場合にはすべてこれ家計に属する現金ということになるんだろうと思います。  そういうことから考えましても法理上から考えましても、資金に属する現金というのはすべてを含むというふうに考えております。
  149. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは五十三年当時ですか、法制化したのは。その当時そういう論議はなかったかどうか、あるいはまた財政制度審議会あたりからそういう見解についての御指摘がなかったかどうかということをお伺いすると同時に、そこにやっぱり資金に属する現金とみなすというようなみなし規定みたいなもの、こういうふうなものが必要であるかないか。
  150. 的場順三

    政府委員(的場順三君) これ当初、先ほど大臣五十二年とおっしゃいましたが、五十二年度でございます。大変申しわけございませんけれども。五十二年度に議論をいたしました際に、当然法理上こういう現在のような条文の形で十分だということでございまして、いろいろ学説としては国債整理基金から繰り入れた現金についてみなすという規定、みなし規定が要るのではないかという議論もございますけれども、当時どうも財政制度審議会の御議論あるいは我々自体の法理上の解釈から言いましても、あえてみなす規定を置く必要はないのではないかというふうに考えております。
  151. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 わかりました。  それで、この決算調整資金の私自身の締めになる部分を申しますんですが、先ほどから午前中の同僚議員の質問に対しても見通しの難しさということを盛んにおっしゃっておられて、大臣の答弁の中にも出てきておるわけですが、今回五十六年、決算調整資金を発動せざるを得なかった原因を歳入規模で見てみれば、これは前年度に比較して二兆円の国債減額を五十六年度当初予算で行ったことがどだい無理であったということであろうと私は思うんです、先ほど申し上げたように。  もう一方で制度的なものとして見る場合に、これよく御存じのとおり、四十九年度とそれから五十三年度と二回にわたっていわゆる年次区分の変更をやったでしょう。それが、いわゆる税収区分の年度変更が先の見通しが全くできない状況をつくってしまったのではないのでしょうかという疑問が私の中にあるわけです。五十三年度の二回目の変更によれば、五十六年度つまり五十七年三月三十一日までに納税義務が発生し、かつ翌年度中の五月末までの納付期限のいわゆる税収、これが年度途中で税収の予測を非常に困難にしたということ。先ほどからおっしゃっているように、見通しが難しい、見通しが難しいというのは、これはまさにこのことだと思うんですね。これはいかがですか。
  152. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 確かに歳入の見通しについて難しくなったという点に関しまして、これは私は主計局でございますのであるいは出過ぎた答弁になるかもしれませんが、いろいろその難しくなっている点はあろうかと思います。  一つは、やはり国際社会がかなり激変するということでございまして、法人税については確かに御指摘のような点がございまして、それまでに比べて確かに年度区分を変更したことがより見通しを困難にしたということは否めないと思いますけれども、それだけではなくて、やはり従来と同じ年度所属区分でございました所得税についても見通しを誤っているというふうなことがございますので、御指摘の点だけをとらえて言いますと、それは前の状況に比べて確かに難しくした点は否めないと思いますけれども、それについては今後十分その精度を上げるように、見通しの技術についてもできるだけ工夫、努力をすることによって補ってまいりたいと思いますが、それだけではないんではないか。全体として歳入の見通しが経済社会のいろんな変動の要因が大きくなっていることに伴って生じてきている、それについてもあわせてこれから十分努力をしていきたいということであろうかと思います。ということでございます。
  153. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、したがって調整資金を発動せざるを得なかったという事態が生じたのだというふうに私は認識しているわけです。いかがでしょうか。
  154. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 結果的に見れば大穴があいたわけでございますので、そのとおりでございます。決算調整資金の制度というのは制度としてはどうしても必要でございますけれども、できれば発動しないで済むというのが最も財政当局にとって望ましいわけでございますので、御指摘のようなことの今後起こらないように十分努力をしたいと思っております。
  155. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ありがとうございました。  次に私は、立川防災基地計画についてお伺いをいたします。  私は当立川の隣接に居住いたしておりまして、立川飛行場跡地利用等にも大変いろいろの経過があったことをよく存じております。五十四年十一月、国有財産中央審議会から大規模公園と防災基地にということで答申が出ていることもよく存じておりますし、既に昭和記念公園等が完成し、開園をいたしておりますが、この防災基地計画の方のものについては、国の災害対策実施本部あるいは警察、消防等の災害対策機関、情報収集連絡機能、あるいは救急活動を行うための自衛隊基地、それから備蓄倉庫、医療施設等集中駒機能を持たせ、南関東広域防災基地としての構想が答申されていることを知っているわけでございます。  その後、五十七年に国土庁が青写真をつくられ、昨年五月中央防災会議においてこれが立川広域防災基地というふうに決定されたということまでは知っておるのでございますが、その後のことについて、この計画がどうなっておるかをお話を伺うと同時に、予算措置等はどんなになっておりますでしょうか。
  156. 田中暁

    政府委員田中暁君) 立川広域防災基地の整備につきましては、先生御指摘のとおり、五十七年九月に国土庁が各施設の配置計画の図を作成いたしまして、既にでき上がっております自衛隊の飛行基地部分を除きましては、現在、建設基本計画の作成のための調査を実施しているわけでございます。さらに、本年度予算におきましては、災害対策本部予備施設のほかの敷地調査を実施することとしておりまして、このために、災害対策本部予備施設と警察防災関係施設の敷地調査費、それぞれ百万円でございますが、これを計上しているわけでございます。
  157. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういたしますと、例えばこの病院設備のための厚生省所属の中身とか、あるいは備蓄倉庫のための食糧庁の所管の計画、こういうふうなものはまだ全くないわけですか。
  158. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 南関東地域に広域的な災害発生した場合に備えまして、防災基幹病院のようなものが必要であると私どもも考えておりまして、そのために広域防災基地内に敷地を確保しているところでございます。一方、現在、国立病院・療養所につきましては、新行革大綱におきましてその機能を明らかにする、見直しまして再編成をすることにいたしております。そこで私どもといたしましては、その中でこの防災基幹病院というものを考えてまいりたい。これにつきましては、昨年の秋にプロジェクトチームをつくりまして、またこの四月からは対策室を設置をいたしまして、鋭意検討しておるところでございます。  一方、防災基幹病院のようなものがどういう機能を持つべきであるか、従来から検討は進めております。熱傷センターでありますとか、あるいは、応急処置が終わって移転可能な者につきましては、各地の国立病院等と連絡をよくとりまして移送するとか考えておりますが、さらに、本年度におきましては、国土庁とも御相談をいたしまして、どういう機能を備えるべきであるか、そういう細かい検討をいたしたいと考えておるところでございます。
  159. 山田岸雄

    政府委員(山田岸雄君) 御質問の食糧備蓄倉庫の関連についてお答えいたします。  立川広域防災基地内の食糧倉庫の建設につきましては、食糧庁としましては、今後、道路等の供用施設整備の進捗状況等を見きわめつつ、食糧倉庫の具体的な建設計画につきまして作成していきたい、このように考えておりますが、なおまた予算等の裏づけはなされておりません。
  160. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、私はこの質問をするに当たって、恐らく各省庁個々にかかわってくる省庁がまだ予算もついていないような形でスタートしているので、一体どこにこの質問を向けてすればいいのかなと最初考えたわけですけれども、やっぱり結局は国土庁あたりにお伺いをするより仕方がないのだなというふうに思うので、再度国土庁にお尋ねいたしますけれども、その他の機関でこの計画について動いているところはあるんですか。
  161. 田中暁

    政府委員田中暁君) 予算措置については、今申し上げましたほかはいたしておりません。
  162. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで防衛庁にお伺いするわけでございますが、防衛庁はこの立川防災基地で緊急時の人員あるいは物資の輸送の任務を負うということで、そのための準備は防衛庁が一番進んで行われているはずですけれども、この辺のところをお聞かせください。
  163. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 私どもの陸上自衛隊の立川基地は、現在そちらの方へ所在をいたしておりますが、先生今お話がございましたように、基本的には昭和五十四年十一月にございました国有財産中央審議会の答申を踏まえまして、広域防災基地の中の一環としまして、災害時におきます情報の収集、連絡あるいは救援活動を行いますための人員、物資の輸送等を行います必要から、自衛隊の基地の整備をするということで、予算的には五十四年度からお願いをいたしておりますが、答申がございました後、地元立川市ともお話をいたしまして、この基地のあり方等につきまして地元の御要望等もお伺いをいたしまして、五十五年十一月から地元の方の御了解をいただいた上で、滑走路それから航空保安施設及び隊舎等の整備を始めたわけでございます。  それで、まず主要な航空施設、これは滑走路等でございますが、これは環境等の問題もございまして、当初ございました場所から西北方向に移転をするということもございまして、こういった新しいランウエーの工事をまずやったわけでございますが、これが五十七年の三月に完成をいたしましたので、とりあえずその新しいランウエーでの飛行運用を開始をいたしております。その後隊舎等の施設も逐次整備を進めまして、五十七年度末には駐屯地としての施設全般が一応完成を見たわけでございまして、五十八年五月には部隊全体が新しい施設に移駐をいたしております。  それで、私どもとしましては、新しいランウエーが完成いたしましたのは五十七年の三月でございますので、やはり防災基地としてはいつでも災害時にこういった物資、人員の輸送を実施できますように訓練をやはりやってまいる必要があるということで、地元立川市にも御理解をお願いをいたしまして、とりあえずC1輸送機の操縦者に対します離着陸の経験をさせておきたいということで、まずローアプローチをお願いをするということで、これは五十七年十月から現在まで実施をさせていただいております。しかしながら、災害時におきましてC1輸送機によります救援物資の輸送を円滑に実施をするという点に立ちますと、やはり平素からパイロットに対しまして実際の離着陸の経験をさせておくということが私どもとしてもぜひ必要であるというふうに考えておりますので、こういった点を踏まえまして、御案内のとおり、去る五十九年の三月でございますけれども、地元の立川市に対しまして、私どもとしてはローアプローチばかりでなく離着陸訓練についてもやりたいということで申し入れを行っておるところでございまして、実はこの六月の十一日でございますが、立川市長さんの方からお返事がございまして離着陸訓練について御了解をいただいたところでございます。
  164. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 長官ね、この計画を私は反対するものではございません。南関東防災基地計画というのは大変私は立川基地跡地利用としてはベストの、跡地利用としてすばらしい計画であるというふうに思うんですけれども、先ほど伺っていると、これに関係する各省庁は何にもまだやってない、それなのに防衛庁だけが早々とからお始めになるから市民感情が大変によくないわけですよね。これは立川市の方にも責任があるかと思いますけれども、横田基地の補完的機能を持つようにさせるんだとかさせないんだとかいうビラが配られたり、こういうふうなことは、これから遠大な計画を進めていくのに、立ち上がりからこういうことにつまずいたのでは大変に私はまずいと思うわけですけれども、この点いかがお考えですか。
  165. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) まず私の方から御説明をさせていただきますが、御案内のとおり、陸上自衛隊の立川基地は、こちらに新しいランウエーを建設いたしますまでは、暫定使用でございますけれども、米軍との共同使用という段階がございまして、やはり飛行場を利用させていただいておったわけでございます。幸い、五十四年の国有財産中央審議会の答申をいただきまして、広域防災基地としての一翼を担うということでその移転等の整備が進められておるところでございまして、とりあえず滑走路ができた、あるいは部隊が整備されるという状況を踏まえまして、私どもとしましては、やはり自衛隊はふだんから災害派遣の任務を負わされておりますし、こういった任務をやはり遂行していくことが国民の負託にこたえる道ではないかということで、重要な任務でございますので、できるだけやはり私どもとしては持てる能力を常に発揮できるような状況にしておきたいと、かような見地からお願いをしておるわけでございます。
  166. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 六月十一日に立川市から防衛庁に正式ゴーサインの回答があったということは私もよく承知しておりますけれども、そういたしますと、この離着陸訓練はいつから始まるわけですか。
  167. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 幸い市の方の御理解をいただきましたので、私どもとしてはできるだけ早くやりたいということでお願いをしておりました経緯もございますので、第一回といたしましてはこの六月の二十八日ごろを予定をいたしております。
  168. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでね、このローアプローチは既に二十回ほど行われているわけですけれども、この離着陸について、当初立川市からローアプローチはいいけれども、離着陸、発着訓練についてはしばらく待ってほしいということがあったはずでございますけれども、それがここでゴーサインが出たということ、この間の進捗状況は何が条件になってこのような立川市の歩み寄りが出てきたわけですか。
  169. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては、この基地を新しいところへ移転をいたします際にも、地元の市長さんにはいろいろ申し上げてきておりまして、ここは防災基地ということで、やはり緊急時の救援物資の輸送を円滑にやりますためにはぜひC1の経験訓練をお願いしたいと、これはもう当初から実は申し上げておるわけでございまして、その基本的な方針につきましては御理解をいただいておったわけでございますが、具体的に基地ができ上がり、滑走路の運用を始めるに際しましても、改めてまた市長さんにお願いをするということで今日まで来ておるわけでございます。それで、市の御当局としましては、やはり防災基地として、あるいはこの跡地の整備と、こういった全体の中でやはりいろいろお考えもあったかと思いますけれども、やはり騒音問題あるいは安全性、こういった問題について十分市民の間で御理解が進むということも必要であるという御意見もございまして、私どもとしましてはそういった観点から地元の御理解を賜るようこの間お願いをして御返事をいただいたと、かような次第でございます。
  170. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その地元の御理解でございますけれども、騒音とそれから電波障害、こういうようなものについてどんな手だてをなさっていくおつもりか伺いたいのと、ローアプローチはこれまでも何回か行ってきていますね、今二十回ですか、五十七年十月から。それで、あそこは御存じのとおり、横田基地との関係があって、騒音については市民がいろいろな思いを持っているところでございますけれども、このローアプローチを行うようになって騒音あるいは電波障害、こういったものに関して苦情があったかなかったか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
  171. 塩田章

    政府委員(塩田章君) まず、騒音につきましては、従来から飛行場がございましたわけでございますから、当然いろいろの問題もございまして対策もとってまいっておりますが、電波障害につきましては、今までのところ私どもは特に電波障害についての苦情を承ったことはございません。
  172. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 騒音等について市民に対してどういう手だてをして、これを少しでも避けるという方法をおとりになるおつもりですか。
  173. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 騒音対策は、運航面の対策とそれから住宅防音等の面と二通りございますので、私の方からまず運航面の方を御説明をしたいと思います。  私どもとして考えております運航面での対策でございますが、まず第一番目としましては飛行回数でございます。これは市長さんともいろいろお約束をいたしておりますが、年間二十回以内ということで、これはローアプローチを含みまして二十回以内ということがまず第一でございます。  それから第二は、一回やります際は一機でやるというのが第二でございます。  それから日取りのことでございますが、三番目といたしまして夜間、早朝あるいは日曜、祭日、こういった日は訓練を実施しない。  それから第四番目といたしまして、連続離着陸と申しまして、いわゆるタッチ・アンド・ゴーでございますが、これも実施をしない。  こういうことで、私どもとしては必要最小限パイロットの離着陸経験を得るための訓練をお願いするということで、周辺の航空機騒音の軽減には運航面からも十分な留意をしてまいりたいと、かように考えております。
  174. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私の方から騒音対策について申し上げますが、立川飛行場周辺の区域におきます騒音対策のうち、住宅防音工事につきましては現在その騒音状況の調査を進めておりまして、その結果七十五WECPNL以上という騒音が認められれば当然これは第一種区域ということで指定を行う考え方であります。なお、学校等の公共施設の防音工事につきましては、同飛行場が米軍の施設であった当時から、小学校を初め三十九件につきまして防音工事を実施して助成を行ってきておるところでございます。
  175. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ここの地域は御存じのとおり繁華街、住宅の真ん真ん中でございますね。そういうことから、やはり先ほどから市民ニーズはどうなっているのかということを慎重に考えていただかなければならないというふうに申し上げましたけれども、自衛隊機の事故等を聞いたりするたびごとに、みんなやっぱり不安を持っているのは確かなんですね。それで、やっぱりこういう問題は慎重に扱っていっていただきたいということが一つある中で、例の障害物件の問題が残っているわけです。これについても私はあんまりこういうところで騒いで言うということがどうなのかというふうに自分で思うわけですけれども、やっぱりこの障害物件の問題を解決しないうちに見切り発車で六月二十八日から予定をしておられるというようなことについては、その周辺地区に住む私といたしましても大変に不安を感じるわけでございますが、この障害物件について少し御説明をいただきましょうか。
  176. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 障害物件についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり飛行場につきましては、転移表面あるいは進入表面、水平表面といった空中におきますいろんなエリアが決められておりまして、その中に、地上からでございますが、いろいろ物件が存在するということは原則としてやってはならないということになっておるわけでございます。立川の飛行場につきましては、今御質問がございましたように、こういった進入表面等の上に出る物件がございますけれども、全般的には立川におきますC1輸送機の離発着訓練に際しましては、まず第一に気象状況について十分注意を払いまして、悪いときには実施をしない、よく下の見えるような状況で実施をするということが第一。それから第二といたしまして飛行要領でございますが、こういった進入表面に出ます物件を十分考慮をいたしまして、それを安全にクリアできる飛行要領を定めまして、安全飛行上危険がないようにいたしたいというふうに考えております。ただ、ふだんの訓練はそれでもよろしいわけでございますが、やはり災害時にこういった緊急時の輸送あるいは情報活動をやるということでございますので、気象条件がよくない場合でも十分任務が達成できるように確保していくことが、私どもとしては必要ではないかと思っておるわけでございますので、進入表面の上に出ます物件のうち、高い物件でございます建物等につきましては、従来から除去のお願いをいたしておりまして、種々交渉を重ねておるところでございますが、いまだ所有者等との合意が得られない状況でございます。ただこの状況をずっと長く続けるということはぐあいが悪いというふうに私どもも思っておりますので、今後とも一層の努力をして、こういった障害物件の除去については努めてまいりたいというふうに考えております。
  177. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 まさに今おっしゃられたように、この防災基地機能というのは天気のいいときだけ飛ぶわけではなくなるわけで、やっぱりそういう意味からいっても気象状況のいいときだけ飛ぶわけにはならないということを前提にして、この障害物件になり得るものについては考えていかなければならないというふうに思いますけれども、それはまた逆に言うとかなり難しい問題もあるわけで、私も当地におりますもんでよくわかるわけで、この点、きめ細かく、しかも住民感情を大事にしながら適切なお話し合いをしていっていただきたいことを希望するものでございます。何とかこれは決して防衛力等にかかわる問題ではなくて、いわゆる住民福祉のために飛んでいただく飛行機でございますから、何といっても理解を持たせること、これが一番大事かと思いますので、ひとつその点よろしくお願いするということと、御存じのとおり、立川市はこういう飛行機あるいは飛行場問題について非常に市民が敏感な感覚を持っている歴史があるところでございます。これは御存じのように立川基地をめぐって長い住民感情の積み重ねというものがあります。そういうものにも逆なでをするようなことなく、話し合いを重ねていっていただくことを私は希望したいと思います。防衛庁の方、ありがとうございました。  次いで教育問題の方を少し残っている時間でさせていただきます。私はきょうあと十三分ほどしか持ち時間がございませんので、文部省のお方にお伺いをいたします。  最近の新聞で、高校の中退者が年々ふえているということを知っております。五十七年度中に退学した数を見ますと、公立て六万五千三百十四人、私立て四万七百二十七人、これは高校生ですね、全主従に対する比率でいけば公立ては二%、私立ては三・二%に当たっているということを聞かされておりますが、中退の理由あるいはまた年々ふえていく理由、こういうことを文部省はどのようにお考えでしょうか。
  178. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 中退のまず理由でございますが、中退の理由としてはまず第一に学校生活に対する不適応という理由が約二%、それから高等学校に行ったけれども、自分としては専修学校等、実技を身につけるようなところに行きたいということで進路変更をする者が約二〇%、それから学業不振、高等学校の教育についていけない、こういう理由で中退をするのが一九%というのが中退の主な内容でございます。  この内容からもわかりますように、一つは九四%の高校進学率がございまして、高校に入るときにはどこかの学校に入りたい、まあ入ればいいというような気持ちから、それぞれの学校に進学していくという状況があるわけでございます。そういう点では中学校の進路指導がもう少し徹底して行われる必要があろうということを思うわけでございます。それから一般的な世間の風潮によって高等学校に行くのではなくして、最初から専門学校、専修学校等へ行って、実際の技能、技術を身につけるというのが自分の性格に合っている、適性に合っているというような子供たちについては最初からそういう学校への進路を指導、助言をしてやるということも必要だろうと思うんです。また、高等学校に入ってきた以上はその一人一人の子供の適性、能力を最大限に伸ばすように高等学校側で最大の努力をしていくと、こういう努力を積み重ねていかなければならないであろうと思っております。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 局長、今、不適応の増加が多くなったということに対して、進路指導でどこへでもいいから入ればいいというふうに思う者が多くなってというふうなことをおっしゃったけれども、それは入ればいいじゃなくて入れればいいなんです。つまり、進路指導をしながら、学校の側としても中学校の進路指導でどこでもいいから入れてしまえばいいという考え方を持って進路指導をしているから、入ればよいではなくて入れればいいなんですけれども、これはどうですか。
  180. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 二つの二面性があると思います。学校の先生としては、自分の担当している子供に浪人をさせたくないから、どこかにそれぞれ所を得しめるという進路指導をしたい。それからまた親の側からいえば、やっぱりどこかに入ればいいというような気持ちが根底にあって、十分な親子の進路の相談もなくして入っていく、その二面性があると思います。
  181. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 午前中も同僚議員の中から高校教育についての質問が出ておりましたけれども、これは今、高校は非常に大変な課題をたくさん抱えているのではなかろうかというふうに思うのは、先ほどのいわゆる中退者の数が年々ふえているということでも、私は非常にいたく思えるわけでございます。  そこでお伺いをいたしますわけですが、きょうの私がこの問題を伺う中身は、大学入学資格検定試験のことをお伺いしたくて申し上げているわけですけれども、大学入学資格検定試験、大検ですね、これは過去五年間の受検者がどんなふうに推移しているのか。また合格者はどうか、こういうふうなことを資格別でちょっとお教えください。
  182. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 昭和五十四年の受けたいという出願者、これが昭和五十四年では三千四百八十九、大体同じような経過をたどりながら五十六年度になりまして四千二十一、五十八年度で五千四十二というように出願者自体が増加しております。  そして、出願した者のうち、受検者、実際上試験を受けた者が昭和五十四年では二千八百七十、昭和五十八年では四千百四十七と、これまたふえているわけでございます。  合格者もそれに比例いたしまして昭和五十四年が千百七十七人、全体の合格率が四一%でございます。五十八年度は合格率が三八・七%で千六百四が合格をしているという状況でございまして、毎年ふえている、上昇傾向にあるということでございます。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 合格者の資格別。
  184. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) その合格者がどういう人たちが合格しているかということの内訳でございますが、まず高校中退、五十八年度で申し上げますと、合格者が千六百四でございまして、そのうち高校中退者が約四七%で七百五十二。五十八年度で八百七でございまして五〇・三%、約五割でございます。  それから、中学校卒業者、中卒、この方々が全体の一八%で二百八十九、定時制、通信制の過程に在学している子供が二七・九%、約三割弱で四百四十八ということでございます。したがいまして中退者が五割、それから中学校卒業者が約二割、それから定時制、通信教育に在学している者が約三割、こういうのが合格者の大まかな傾向でございます。
  185. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 一昔前ならば、この大検というのは経済的理由等で進学できなかった中卒者が大半であったというふうに思うわけですけれども、それが高校中退者によって四割を占められるようになったということ、これはやっぱりこの大学資格検定試験の性格を変えるものになってきているというふうに思うんですけれども、これはいかがですか。
  186. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 大検は大学進学のために道を開くための制度でございまして、その理由はいろいろございましょう。高校中退した者もあるし、高校にいかない者もあろうしということでございますので、その目的、性格がこういう現状であるから直ちに変わったというふうには考えておりません。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 本来の趣旨をそれて、大学入学資格検定を大学入試へのバイパスに仕立て、専門コースを開設する予備校が出現するなど、この面にも受験体制のゆがみがあらわれ始めできたとして最近話題になっています。マスコミはこんなことを書き始めるようになりましたけれども、これはいかがですか。
  188. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 一部のマスコミで、やや私たちの目から見ると誇大な宣伝と思われるような形で、一流大学に入るためには高校にいかなくてもそういう大学検定試験を通ればいい、大学検定試験を通るためには正規の学校じゃなくて予備校にいけばいいというような発想があるようでございますが、これは本質的に学校制度として考えた場合に、学校というのは集団生活の中でもろもろな生活体験を経て、いろんな人生経験を積み重ねていくわけでございまして、教科の成績だけ、点数だけで考えるわけにいかないと思うんです。したがいまして、大検を受けるための予備校があり、そしてそれを受けて一流大学に入るというような仕掛けは、本当にやむを得ない形で受ける人であれば別ですが、その目的のためにそういう道を選ぶのは決して勧めるべきことではないと思います。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 でも、現実にそういうものがあるということは御存じだと思うのです。それで小学校のころから塾へ通うことが本業で、その合間を縫って学校へいくというような、本末転倒した初等教育が行われるようになっているのではなかろうかということを考えたくなるくらい、今塾へ通うのは当たり前であり、私ども家計の調査をいたしますと、子供の教育費というのは大体塾に運ぶお金が教育費というふうに計上されているわですね。これは非常に変則な形になってきている。それが派生して、この段階に来てなおかつ、こういう認識がずっと続いてきているというふうに考えるんですけれども、これはいかがでしょうか。
  190. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 入試の非常な競争、しかも有名校志向ということが親たちの意識の中に根強くありまして、そしてそれが引き金になって子供たちを塾に通わして有名校へ進学させたいというのが基本的にはあるわけでございます。これは長い我が国の学歴社会に対する評価も絡まっていると思われます。そこで、そういうものを是正していくために、学校教育をもっと魅力ある、充実したものにしていかなければならないという自己努力、内部の努力というのは継続し、大いにやっていかなければならないと思うんです。しかし、その前提として、そういう親たちの意識というものをやはり是正していくということも一つの大きな仕事であろうと思います。ですから、両方相まってそういう問題の是正に努めていくということが大切であろうと思います。
  191. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 親たちの意識もそうなんですけれども、現実に対応するにはそうせざるを得ないという現実も私はあるというふうに思います。  それで今日、一九化した教育体系の中で、やっぱり高校教育が非常に形骸化してしまっているのではないかという現象的なあらわれが、こういう数字の中に私は出てきているのではないかというふうに思うんです。これ、いかがでございますか。
  192. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 先ほど申し上げましたように、九四%の子供たちが進学するようになりました現在の高校教育でございますので、ただ画一的な一定の内容の教育を展開するだけでは十分でないということでございます。そこで、昭和五十七年から新しく教育課程を改定いたしまして、もっと弾力化して、多様化していきたいということで、今ちょうどその途上に高等学校の多様化、弾力化の政策をとっている段階でございます。したがいまして、そういう多様化、弾力化を図りまして一人一人の子供に適合するような高等学校教育の展開を図っていかなければならない、そういうことで現在、努力中でございます。
  193. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 要望をいたしておきます。  大学入学資格検定試験というのも、それはそれなりに大切な機能を持っているものでございますから、これをゆがめることのないようにしっかりと監視をしていただきたいということと、それから文部省が一生懸命努力をなさっても教育産業というような側面から、この形がゆがめられていくという要素が今社会的な現象としてあるというふうに思いますので、これをしっかり取り締まるという言い方はおかしいかもしれませんが、やはり考えていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 収賄、贈賄、脱税、脅迫、世の中嫌なことがたくさんございます。人言って、悪いやつほどよく眠ると言うし、また石が流れて木の葉が沈むと、いろいろなことが言われております。そして、それに対しての怒り、そしてまたしょうがないやというあきらめ、そして世の中というのはこんなものだよという気持ち、私はそういうことではならないと思う。やっぱりこの疑惑に対してはしっかりとした態度で正さなければ日本の未来はない。中でも土地買収に絡んでいろいろな問題が起きるけれども、これはまさに川を流れる大きな石の一つだと、そう思うんです。  きょうは具体的に北海道の泊原発用地に絡む疑惑についてお伺いしたいと思います。この問題は、北電が原発用地取得に絡み、不動産その他を入れて国土利用計画法に反する買収価格で裏取引をされているという疑惑でございます。国土利用計画法に反する買収価格で裏取引されている、買い手が北電、売り手は堀株農園。この売買契約では別に違反はしない、一億八千万円というお金になっております。しかし、実際には八億円で取引されたという疑いになっております。  堀株農園の用地は回ないし五億円とも言われる抵当権が設定されておる。だから、もともと十六億で北電に売りたいというのが当初の折衝だったわけです。それで、抵当権を抹消するために約五億からかかる用地を一億八千万円で売ったとするとこれは大変なことだ。しかも、膨大な赤字を抱えている堀株農園のことです。だからこそこの間にブローカー数人を入れて八億円で取引をしたと言われている。その差額六億二千万円というのは一体だれが出したのか。それは原発工事の受注者である大成建設だと既に指摘されています。大成建設は現在既に準備工事として北電の仕事を進めております。総工費四千六百億という建設工事計画の中から見れば、それくらいの負担は当然カバーできるという疑惑でございます。  これについて国土庁は調査されていると思いますが、まずその調査の結果、要点をお伺いしたいと思います。
  195. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 国土庁ではございませんで、北海道庁が新聞報道で取り上げられた北海道電力の泊原子力発電所用地の買収にかかわる国土法違反事件について調査をいたしました。  事情聴取等の調査によりますと、まず売買の当事者、これは北海道電力株式会社とそれから掘株農園でございますが、当事者双方が道に法律に基づいて行っている届け出以外の金銭の授受はないという報告がございます。  それから二番目、抵当権の抹消等に関し、北海道電力株式会社、それから大成建設は融資していないと見られることなどから、国土利用計画法の運用に関して特に問題はないと考えられる、こういう調査報告を受けております。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今簡単におっしゃいましたそのとおり、調査結果をいろいろ私、伺いました。それで、大成建設はその中でこの土地売買に一切関与していない、こう言っているわけですね。しかし、ここに大成建設が竹中氏に二千万円貸した借用書というのが実物、判ついてサインしたものがございます。新聞によると、大成の小池正之輔札幌支店長は竹中さんにも会ったことがなく、密約は知らない。竹中というのは一体だれたというと、これは売り手の堀株農園から用地処分を委任されたブローカーでございます。それで、大成の小池正之輔さんは、竹中さんに会ったこともないし、密約はない、竹中さんに二千万円貸したこともないし、そして後で問題にいたしますが、裁判の仮処分のことも耳にしたことがない、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。しかし、これは竹中さんが出した大成建設あての借用証書でございますが、こういう問題についても今と同じ結果だとおっしゃるわけですか。
  197. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 北海道庁はこの件について二十数名から成る関係人から事情聴取を行っております。その結果、ただいま私が申し上げたように、そういう裏金が出た、あるいは売買契約で取り交わされている金銭以外の授受があったということは認められないという報告を受けておるわけでございます。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ次に、私が入手いたしました資料がございまして、これは堀株農園の清野氏から委任状を受けている、今話に出ました竹中氏が五十八年の一月二十六日、堀株農園から突然解任をされました。そして、竹中さんにかわって別のAというブローカーに委任が移っていきました。それで、竹中氏は北電や大成などと交渉を行って、相当話が煮詰まっていい段階に来たときに解任されて、うまみをすっかり失ってしまった。そこで、堀株農園を相手取って用地の譲渡等の処分をしてはならないという仮処分を申請をいたします。これに対して堀株農園が異議申し立てを起こし、札幌地裁で裁判になりました。その裁判で大成建設札幌支店の小松管理部長が法廷で証言をしております。小松管理部長の疎乙第二号証ということで大成の小松管理部長報告書でございます。この中で、「昭和五十六年十二月下旬、竹中から、同用地買収を円滑に進めるためには」云々と書いて、「その資金として金二千万円出して欲しいとの申し出がありました。」、そして、「堀株農園の土地買収について、北電が難じゅうしているとのことであり、その解決の一助になればと考え、その申し入れに応ずることになりました。」と、こういうふうに大成建設の小松管理部長が法廷で証言をしております。そして、確約書もございます。大成が金を出しているということは、さっき言った借用書もありますし、そして今裁判での証言、裁判というのは御承知のように宣誓して、うそは申しませんと言っての証言でございますからね。この証言の中で本人の小松管理部長がこう言ってお金を出しているということを言っているわけです。大成が金を出していることはここでも明らかでございます。先ほどおっしゃった調査結果の御報告とは全く違うのではないか。私は、今こういう一つの新たな事例を出したわけですけれども、きっとそこまでお調べになっていないではないか、そうすればお調べをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  199. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) ただいまのお話は今初めて聞くわけでございますが、大成の責任者、それから堀株農園の責任者からは、いずれも本件土地の買収に関しては一切の契約書以外の金銭は出しておりませんという明確な報告を受けておるわけでございます。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 疑惑を持たれている本人に聞いて、いや、それはこうですなんて言うばかはいないでしょう。だから、そういう報告をお聞きになって、疑惑はない、そういう報告書をお出しになった、それはいいです。だけれども、事実裁判所において本人がこう言っているんだという事実を私は今申し上げたんだから、そのことについてきちっとお調べをいただきたい。当然お調べにならねばならないと思いますが、どうですか。
  201. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 今、急におっしゃられた発言内容で、明確にわかりませんので、私どももそれを調べてみたいと思います。
  202. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうぞ、お調べいただきたいと思います。  それだけではないんですね、これは。それは金の流れについても私の方は調べてみました、一番問題が大きくなっていますから。堀株の言い分は、八億円の確約書はあるが、もう皆さん御存じだと思いますが、八億円出しますよという確約書が出ております。この確約書があるけれども、実行されていない、だから関係ないんだと、こう言っているわけです。確かに、この確約書というのを見ますと、甲というところには堀株農園の清野昭吾などの名前が出ているわけですね。相手方の乙のところは空欄になっているんです。だから実行されていないんだ、こういうふうに、きっと調査なさったときもそちらにお答えになったと思いますし、その立場に皆さんはお立ちになっていると思いますけれども、これも事実と全く違うんですね。事実、この確約書どおりにお金が動いているわけです。  この確約書を調印するために関係者が集まった。これは私の方の関係している者から聞いて調べたわけです。時は五十七年三月三十日であると。そして所は東京の銀座、東急ホテルでありました。集まった人は、大元産業の大物右翼と言っている白垣という人、これは北電の代理人とみずから言って出席しているわけです。それから堀株農園の清野兄弟、それから清野から委任された米谷という人、それからもう一人、これは毛利松平代議士の秘書の渡辺という人、そして北電の人と称する二人というのが、場所も日にちも、そして時間もちゃんとはっきりさせているわけです。そして、どういう話を相手方、つまり乙側ですね、相手方とどういう話をしたか。そして北電の代理人と言っている白垣という人を相手に話しました。このときの話し合いで、確約書の相手、つまり中はあるけれども乙が空欄になっているということについて、こう言っているわけですね。確約書のこの相手は本来北電になるはずだと。当然そうだと思うんだけれども、北電が大元産業に代理として名前を出させるか、または北電の指名するところを入れるという約束で、ここでは具体的に入れなかった。こういうことになって、相手方は出ていないわけですね、乙側が。これは全然実行されなかったよというふうに言われるけれども、ここに甲に対する支払い、第一回、昭和五十七年三月三十日、この三月三十日に、先ほど言ったように東急ホテルで、これこれの人が集まった。この確約書をつくるために集まっているわけなんです。そして、事実この確約書どおり第一回の支払いがこの三月三十日にここで支払われた。額は一億円。この一億円は現金であった、こう言っています。そしてお礼はばらばらで、そして東海銀行、第一勧銀、富士銀行、そして愛知の熱田農協の帯までついているのがあったよと。そして一億の中から一千万円は白垣氏が取って、これは毛利代議士に渡すと言っていたと。こういう事実も、国土庁、御調査の中で御存じだったか、そこまでは全く知らないとおっしゃるか、いかがですか。
  203. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) 本件土地につきましては、かねてから堀株農園はいろいろなところへこれの身売りの話をかけていたという話を聞いております。その過程で、いろんな人との出会いとかなんとかはありましたが、いずれもそれらは実行するに至らないで、結局は北海道電力と当初申し上げましたような形での契約が実現した、かような報告を受けております。
  204. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、報告を受けたというのはさっきも聞きましたからね。今私が言いましたような、時は五十七年三月三十日、所は東京銀座、東急ホテル、ちょっと何か活弁みたいになっちゃうけれども、こういう事実で、一億円はお礼がばらだったよと、第一、東海、そして熱田農協の帯までついているよということで、非常に具体的に問題が出てくるわけですね。だから、おたくの方はそういう報告までは聞いていらっしゃらないと思うんですよね。だから、私は今ここでどうだと言ってもしょうがないんです。私はこういう事実を関係者から聞いていますから、おたくの方でその事実もお調べいただきたい。お調べになる必要があると思いますので、先ほどお調べになるとおっしゃったように、この点についても御一緒にお調べをいただきたいと思います。
  205. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) その関係者とおっしゃいますが、私どもが北海道から報告を受けておりますのは、いわゆる権利者あるいは契約の当事者としての責任者から聞いておるわけでございます。それがそういう事実を言っておるわけでございますので、私どもといたしましてはそれを信用いたしたい、かように考えたいと思います。
  206. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さっきも申し上げましたけれども、疑惑を持たれている本人から聞いて何でもなかったよということでは子供の使いより悪いでしょう。これは大きな問題なんだから、具体的に私がこういう事実を指摘してるんだから、当然調査というのはあらゆる手だてを尽くして調査すべきですよ。それなくて、聞きました、何でもありません、こんな無責任な態度がありますか。長官いかがお考えですか。
  207. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 先生の御質問は大変細かく具体的な質問でありますから、きょうただいま現在におきましては当事者同士の契約でそういう裏金が動いたとか、そういったことがないという、こういう御報告はちょうだいしておりまして、先ほど局長が答弁したとおりでありますが、その後の先生の質問は大変具体的な御質問でございますので、これはもう一度疑惑を取り除く、あるいはまた疑惑でないのかどうかしりませんが、取り除く意味からも、やはり調査をもう一度してもらうという必要がある、こういうふうに思っております。
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 やっぱり長官は違いますね。じゃよろしくお願いします。  じゃ次、もう一点具体的に金の動きについて申し上げたいと思うんです。  今度は銀行口座を利用してるんです。堀株農園の清野氏の持っている会社に、三衆観光株式会社というのがあります。この会社がもともと原発用地を買い占めていたわけなんです、清野さんが持っている会社で。その三衆観光の口座に五十七年五月十九日、つまり八億円に近いお金を出しますよという確約書、甲と乙とで確約書をつくった二カ月後にちゃんと一億円が振り込まれているんです。振込人はだれだと、これは不二開発興業という会社です。この不二開発興業というのはどういう会社がというと、大成建設の下請、取引関係の会社でございます。この不二開発会社の事業部長という人が堀株農園の社長をしている室井利男という人なんですね。なぜここで不二開発が出てくるのかということなんです。それは、大成建設から直接ではまずいと。だから下請の不二開発を使って、ただ経由するだけの三衆観光に振り込ませている、これも大変生々しい事実でございます。関係者から聞きました。  もっと具体的に申し上げますと、銀行はどこだと。三菱銀行虎ノ門支店でございます。口座番号は、普通預金四五八二六三七でございます。私たちはこれを確かめております。そして五十七年五月三十一日には七千万円が振り込まれている。これもまた新しい一つの事実ですから、先ほど大臣おっしゃいましたように、これもつけ加えて調査をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
  209. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 先ほど来も申し上げましたように、国土庁、それから道庁等との調査の依頼が、そういう結果でありますが、今また初めて聞くわけです、今の問題については。この場で御発言をされるわけですし、この場で御質問をされるわけでございますから、新しい段階としてこれは調査をいたしたい、こういうふうに思ってます。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 結局先ほど御報告をいただきました。実際は道庁からの調査だということなんですけれども、いかにずさんかと。具体的な問題、こういうのに調べがいってないと。大成は一切関係してないと。全くうそだということが明らかになりました。それから堀株農園についても今お金の動きで具体的に指摘いたしました。そしてさらに言えば確約書の調印の日に、代表取締役を清野氏から室井氏に変更して、確約書どおり譲渡権を移譲しているんです。清野になぜ多額の金がこんなに——これも一部なんですけれども、入ったのかと、北電に売った金、一億八千万円以上のお金がこれも北電と堀株が売買契約をする一年も前に動いていると。つまり確約書どおりすべてが実行されているということでございます。このことを指摘して、御調査いただきたいと思います。  次に、北電についてお伺いしたいんですけれども、先ほどの報告では、北電は五十六年末は関係はないと、全然関係はありませんと、こういうふうにおっしゃいましたね。私の方でいろいろレクをして聞いたら、竹中が来て断ったとか、仲介人依頼はない。そして、先ほどの仮処分に対する裁判で、その当の竹中氏はどう言っているかと。竹中氏なんて知らないよということを言うわけなんですけれども、竹中氏が裁判で証言をまたやっているわけでございます。この竹中氏が裁判で言っておりますことは、弁論陳述九月二十日という中ですけれども、債権者——債権者というのは竹中になるんですけれども、債権者は昭和五十六年十月ごろ、某科学技術庁審議官(原子力担当)の橋渡しにより北海道電力の橋本公一立地環境部長、瀬山幸二部長代理及び南幸衛等々と面談したと。こういうふうに言っているわけなんです。その面談した際に、竹中と会ったときに大成は用地買収に関する資金を調達する、債権者は本件土地の評価額、同土地に関する債権、債務等を調査整理するとの合意もここで成立したと、こういうふうに言っているわけでございます。こういうふうにして見ますと、北電も関係ないよということには全くならないわけなんですね。竹中氏自身がこう言ってちゃんと会ったよということを言っているわけです。  だから、例えば整理して申しますと、一回、二回、三回と竹中氏は会っているわけなんです。第一回のときは五十六年十月ごろですね、先ほど言いました。北電の橋本公一立地環境部長と同部長代理、そして東京支社勤務の南さんという人と会った。そして、今言ったように土地買収について話をしかけたら、これは北電にとっては願ってもないことだと。ぜひ協力してほしいということを言われたと。それから、第二回目に会っているのは、これは安念という、これも北電の立地環境部長ですけれども、これも東京で会っております。  この後また三回目会っております。その三回目会ったときには、戸田原発推進本部長用地買収の話に大成建設も加えてほしいと北電が言ってるんですね。大成建設も加えてほしいと。これもこの証言の中で出てくるわけですね。そして、竹中の法廷証言、十一月一日のところに、これも法廷証言です、「北電側と会ったのは、昭和五十六年十一月から十二月にかけて」「第一回は」——さっき言ったように、「橋本ほか四名で、場所は北電東京支社と北電が指定した通産省横のレストランでした。」と。「第二回目」——これ繰り返しですよ、さっきの。「第二回目は安念以下四人」と会いました。「第三回目は、東京支社で戸田以下四人」と会いましたと。そして、そのとき、用地買収の当事者の北電との間に大成建設を入れてもらいたいということが戸田から提案された。そして、「私は同意しました。」と。そして、「大成とは十二月初めに、三回目に北電と会ってから四、五日か一週間もたたないころ、札幌の小池支店長が突然電話してきました。」と。そして、「東京本社で会いましたか?」と弁護士が聞いたら、「はい、会いました。十八階の応接間です。」、そして、「北電から話があって、あなたを窓口にして話をすれ、ということだったんですか?」「はいそうです」と。「自分のところが窓口になって用地買収をこれから進めていくということを、小池支店長から話があったわけです。」と。そして、「用地買収に必要な資金は出す、出したいということを小松部長から話があった。」「小松部長が自分とこの名前を現在出すことは得策じゃないから、名前を隠してもらいたい、ということを大成側の要求で、」云々という言葉がまたここでも出てくるわけでございます。  ここのところで先ほどの報告、簡単におっしゃったけれども、大成も、それから北電も具体的にかんでいるということがはっきりわかったと思うんですね。あなた方の調査というのは当事者から聞いたと。私は当事者から聞いても、それだけじゃ足りない。私がいろいろ出しましたのは裁判所の記録ですよね、その仮処分出して裁判やられたんだから。その裁判の中で出されて、宣誓して話している、本人が話している、竹中などと、それから北電や大成の人たちも話している、これもしっかりやっぱり調査すべきであると。そして、この裁判があったということは事実なんだし、裁判の弁護士さんにも会って事情を聞いてみるべきだと、そう思うんです。それで、ここに出てくる戸田だとか、それから橋本だとか安念だとか環境部長だとかという、北電のそういう人たちにも直接聞いてないんでしょう。だから、直接聞いてほしい。そして、先ほど言われたように、大臣に再度いろいろな具体的な問題今出しましたので、再度先ほどおっしゃったように御調査をお願いしたいと、そう思います。先ほどもお答えいただきましたから、再度御調査ということで躍りたいと思います。  それから、科学技術庁来ていらっしゃるでしょうか。
  211. 雨村博光

    説明員(雨村博光君) はい、来ております。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 科学技術庁の方にも、先ほど竹中の法廷における証言で、「昭和五十六年十月頃、某科学技術庁審議官(原子力担当)の橋渡しにより、北海道電力(株)の橋本公一立地環境部長、瀬山幸二同部長代理、及び南幸衛東京支社勤務らと面談した。」と、こういうふうに法廷で証言されているわけですね。もしもこれ事実だとすると、ちょっと大変なことではないか。この点について、一体審議官はだれなのかお調べをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  213. 雨村博光

    説明員(雨村博光君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘いただきました事実、今ここで初めてお伺いいたしましたので、承知いたしておりませんでした。事実につきましては調べさしていただきたいと思います。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ぜひお調べをいただきたいと思います。  いろいろ申し上げましたけれども、もう一つはっきりさせなければならないんだけれども、大成の小松管理部長の五十八年九月二十日、これも法廷証言なんですけれども、これもちょっときちっと読んで私は皆さんに聞いていただきたいと思うわけなんです。  それは、一番最初ちょっとさっき抜かしましたので、ちょっと戻りますけれども、二千万貸しましたね、堀株農園の清野が貸してくれと、出してくれというので、一番初め二千万出したというところに戻ります。さっきちょっと飛ばしちゃったものですから。  つまり、そのときに、これは大成の小松管理部長なんだけれども、こう言っているんですね。「当該貸し付けに大成建設の名前を出すのは都合が悪いとのことで、同社としては」、「とりあえず竹中名義で借用証書を入れてもらい、後日に、清野昭吾名義で正式な契約書を作成するつもりでした。」と、こう言っているわけです、一番初めに清野がお金を出してほしいと言った二千万円のことなんですけれどもね。つまり、ここで気をつけていただきたいのは、「大成建設の名前を出すのは都合が悪い」ということで、そして一応「とりあえず竹中名義で借用証書を入れてもらい」ということを言っていることを注目していただきたいと思います。そして次に、こう言っているんですね。「北電は大成のお得意で、泊原発の工事には、大成はメイン業者として参加していることもあり、北電のためになればと判断し、竹中と何回か話し合って結局清野昭吾に二千万円を貸し付けたのです。」と、こういうわけですね。そしてまた次に、「当時、北電が土地取得のことで難儀しているとのことは、竹中の話とは別に聞いていました。また北電が工事を発注する際には、当然大成建設を指名されることは予想していました。この様な状況で竹中から話が持ち込まれたので、北電にとっても都合が良いと考え、清野昭吾に二千万円を貸し付けたのです。」と。ここで言いたいことは、つまり、大成建設が全然関係ない、関係なくてお金を貸したというのではないということなんですね。大成建設が北電のために、そして大成建設が仕事ももらえるだろう、だから北電にとっても自分にとってももらえるという、そういう憶測があって、そしてこういう結果を生み出しているということが明らかになっていると思うんです。  そこで、先ほど長官、調査するとおっしゃってくださいましたので、そのとおりやっていただきたいと思いますが、お金が出ていることはちゃんと指摘をいたしました。口座番号まではっきり具体的に申し上げました。大変調査なさりやすいと思います。それから、金が出ているのは、ただ単にお金を出したというのではなくて、そこには何があったか、意図するものは何があったのか。今言いましたように、「北電のためになれば」と思って大成は金を出しました。そして、北電が難渋しているということも聞いたから、だから北電のためによかれと思ってやったんだということですね。北電のためにも都合がいい、大成にとっても仕事もらえるから都合がいいと。だから全く知らない第三者ではなくて、そこに利害関係があって、そういう思惑があったという点ですね、ここに問題があると思うわけです。先ほどから私は、きょう出しました具体的な事実について御調査いただくということでお返事をいただきました。こういうことになりますと、御調査をしてそして国土利用計画法の違反ということについて引っかかってまいりますよね。だから、そういう立場から私は御調査をお願いしているということを再度重ねて申し上げたいと思います。  国税庁にもお伺いしたいんですけれども、札幌国税局も大成建設の担当者を呼んで調査しているというふうに思いますがどうでしょうか。それから、今まで申し上げましたように大成建設、不二開発興業、堀株農園、北電、そして大元産業、三衆観光、こういったようなところの金の動き、ずっと私も申し上げました。このことについてやっぱり国税庁としても、もしそれが動いて入ってということになれば脱税ということにもなろうかと思いますので、十分関心を持って御調査いただきたい、関心を持っていただきたいということでございますが、いかがでございましょうか。
  215. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 個別の企業の調査の問題につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申し上げまして、私どもといたしましては新聞報道その他外部の情報、それから内部で独自に資料も開発いたしております。さらに国会での御議論その他を踏まえまして、もし課税上問題があるというふうに認められます場合には、当然実地調査もいたしまして、課税の公平を期してまいりたいというふうに考えております。本件につきまして先生御指摘がございました。十分念頭に置きまして適正な課税を実行していきたいというふうに考えております。
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 警察庁にもお願いをいたしたいんですけれども、今申し上げましたのはきょう具体的に出した事実でございますので、その事実についても御調査いただきたいと、国土利用計画法に違反するかどうかと。今国税庁がおっしゃいましたように脱税という行為になるという問題もございますし、また脅迫があったというようなこともいろいろたくさん伺ったことがございます。極めて深い問題が絡んでおりますので、今まで私がきょう申し上げました点を十分踏まえて対処すべきだと、そう思いますが、いかがでございましょうか。
  217. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 警察といたしましては、推移を見守ってまいりたいと思いますけれども、法に触れる行為が出てくるということであれば厳正に対処してまいりたいと思います。
  218. 安武洋子

    ○安武洋子君 外務大臣にお伺いをいたします。  先般のロンドン・サミットの件でございますけれども、ここでイラン、イラク両国に対する毒ガス原料物質の輸出規制、これは議題になりましたんでしょうか。お伺いいたします。
  219. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) イラン・イラク戦争の拡大防止につきましてはいろいろと意見の交換はいたしまして、それぞれの国の立場で拡大防止に努力しようということで議長の声明にまでこれを述べられたわけでございますが、化学物質、化学兵器の使用問題については直接議論はなかったように思います。
  220. 安武洋子

    ○安武洋子君 イラン、イラク両国に対する毒ガス原料物質の輸出の許可制はアメリカ、それからイギリス、西独三国が行っております。そして、この四月の十七日に参議院の外務委員会で私どもの立木津議員の質問に対しまして、いろいろと大臣とのやりとりございますけれども、大臣は、最終的には「もちろん化学兵器の問題は非常に重要ですから、政府としてもいろいろと相談してみたいと思います。」と、こういう御答弁でございます。  大臣、輸出規制の問題について、この相談は進んでおりますんでしょうか、お伺いいたします。
  221. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、御答弁申し上げましたように、その後関係省庁間で話を今進めておるわけでありまして、具体的にどういう物質を輸出禁止にするかといったような問題にまで及んで検討を進めて、大体の方向が決まりつつある、こういうふうに存じております。この点については主として今通産省が中心になってやっていただいておるわけであります。
  222. 安武洋子

    ○安武洋子君 では通産大臣にお伺いいたします。  現にイラン・イラク戦争で毒ガスが使用されているというふうなことでございます。この両国に、私は、急いでせめて毒ガス原料物質のアメリカ、イギリス、西独なみの輸出禁止の措置、これをとっていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
  223. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 米国など数カ国が毒ガスの原料となる化学物質の輸出規制を実施いたしておることは承知しております。これらの化学物質につきましてこれまで調査したところでは、我が国からイラン、イラク向けに輸出された実績はございません。  今後の我が国の対応につきましては、今後ともそのような化学物質がイランやイラクに対して輸出されることがないように、欧米諸国と同様の措置をとる方向で現在政府部内で検討中でございます。
  224. 安武洋子

    ○安武洋子君 その検討は一体いつまで——私は緊急にやるべき必要があるのではないか。アメリカとかイギリス、西独、これは毒ガス兵器が使われたというふうなことが事実上認定された直後にこういうことが行われているわけです。私はせめて日本も早く緊急にこの措置をとるべきだというふうに思いますが、早急にやっていただけますでしょうか。
  225. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) もちろんなるべく早急にやるべく検討中でございます。
  226. 安武洋子

    ○安武洋子君 重ねて聞きます。大体いつごろのめどでございますか。
  227. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) ただいま大臣お答えいただきましたように、可及的速やかにということでございます。現時点におきまして問題は、アメリカの措置、EC、西ドイツの措置等と若干品目の異同がございます。現在、なぜ違うのかというようなことにつきまして照会中でございます。その回答が参りました段階におきまして可及的速やかに作業を進めたいと思います。現時点におきましては遅くとも来月の中旬ごろには政令の制定・公布というのができるのではないかと期待しております。
  228. 安武洋子

    ○安武洋子君 日中戦争当時、日本軍が中国で毒ガスを使ったという裏づけの資料が発見されているわけです。私は、その反省に立ってもいち早くこういうことをやっていただきたいということを重ねて御要望いたしまして、大変時間にせかれておりますので次の問題に移らしていただきます。  ハワイの日米事務レベル協議が始まりますけれども、アメリカは、我が国の防衛力の整備に対する評価といたしまして、一九九〇年に一千海里のシーレーン防衛能力の達成、これを重要な基準にいたしております。  あすからのハワイ協議では、一九八一年のハワイ協議で出てまいったように、アメリカから、大綱にこだわらないで大綱水準を超えた軍事能力を持つべきだと、こういう話が出るということが予測されるわけです。防衛庁はこのようなことを受け入れるという態度で臨まれるでしょうか。まさかそういう態度ではないと思いますが、防衛庁長官お伺いいたします。
  229. 新田勇

    説明員新田勇君) 安保事務レベル協議が、現地時間の二十五日から三日間にわたって行われるわけでございますが、この協議では、両政府事務レベルの担当者が日米双方にとって関心のある問題点につきまして自由かつ率直に意見交換を行うということでございまして、特に議題を定めて行っているものではございません。したがいまして、今御指摘のような議論が出るか出ないかというようなことにつきましては全く決まっておらず、自由かつ率直に議論を闘わすと、こういうこととなっておるところでございます。
  230. 安武洋子

    ○安武洋子君 このハワイ協議の、私はポイントを伺いたいんですけれども、やはり今重要な問題というのは、日米のシーレーン防衛力の整備に対する相違、これを詰めるということではなかろうかと、この協議の大きなポイントになるのではなかろうかというふうにやはり思うわけです。私は、こういう詰められた中身というのが五九中業に反映させられると、盛られるのではないかと、こういうふうに思いますけれども、その点はいかがなのでしょうか。
  231. 新田勇

    説明員新田勇君) 今申し上げましたように、議題は特に定まっておるわけでございません。ただ、過去の例から見まして、一般的に言えば、国際情勢それから日米双方の防衛努力等について意見交換が行われることが予想されるところでございます。現在わかっているのはこれだけと。しかも、今申し上げたのは、過去の例から見てこんなことが議論されるということでございまして、ここで自由かつ率直な意見の交換というのがこの会議の目的でございます。
  232. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうはおっしゃいますけれども、アメリカの方ではそうではないはずです。  六月の十九日に、アメリカの国防総省が公表いたしました「共同防衛への同盟国の寄与」、これに関する年次報告書、これを見てみますと、今策定中の五九中業見積もりに注目して、「もし、日本がこの見積もりに十分に考慮して作成するなら、一九九〇年までに、一千カイリシーレーン防衛は達成されよう」と、この期待を明らかに表明をいたしております。五九中業についての指針が発表されておりますけれども、防衛大綱を目指す、こういうことになっております。五九中業の期間中に、すなわち一九九〇年までに一千海里シーレーン防衛が基本的にできると、こういう判断なのでしょうか、長官の御見解をお伺いいたします。
  233. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 米国防総省の「共同防衛に対する同盟国の貢献」に関する報告書、これを引かれて言われましたけれども、まあ私いつも委員会で言うんですがね、アメリカの方の期待と、それはそれなりに私ども頭の中へとめておりますけれども、それだから我々がアメリカに沿っていろいろ議論をすると、そういうことは決めておらぬ。特に、今度ハワイ会議に行く事務当局に対しましては、アメリカとの友好関係というものは、これは揺るぎないものである。ただし、言うべきことは言ったらよかろうと。特定の議題についてあらかじめ設ける必要ないと、そういうことを育っておりますので、先ほど来説明員の言っているとおりでございますので、さように御了承いただきたい、特定の議題ございませんから。
  234. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官、先ほどの私の質問に半分だけお答えいただいております。  私は、五九中業についての指針が発表されておりますけれども、これが防衛大綱を目指すというふうになっているわけです。五九中業の期間中に、すなわち一九九〇年ですね、それまでに一千海里シーレーン防衛、これが基本的にできると、こういう御判断をお持ちなのでしょうかどうかと、この点にもお答えください。
  235. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今度の五九中業は防衛計画の大綱の水準の達成を期すると、そういうことでございますから、それをやった場合にシーレーンが全部完成するのか、こういう意味でございますと、シーレーンが完成するとか何とかというんじゃないんです、これ。それは、シーレーンといいますか、それの結果によりまして、いわゆるシーレーン防衛について相当な力がついてくるだろう、今の時点で思っておりますから、それで完成とか何とかと、そういうことではございません。
  236. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでは長官、アメリカから、もしハワイ協議の中で大綱にこだわらずに大綱水準を超えた軍事能力を持ってシーレーン防衛をやれと、このシーレーン防衛達成を一九九〇年までにやれというふうな要請が出たとしても、防衛庁としてはそのことは受け入れられないと、こう承ってよろしゅうございますね。
  237. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) ですから、何が出るかわからぬし、こちらの方として言うべきことは言えと、こう言っておりますので、それ以上のことは申し上げられない。
  238. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、その言うべきことの中に今私が申し上げたようなことが出れば、防衛庁の態度はどうなのかということをお伺いしているので、その点を明確にお答えください。
  239. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういうことを含めて、ただいま私が申し上げるわけにはまいらぬと、こういうことです。
  240. 安武洋子

    ○安武洋子君 明確に答えてほしいんです。  そういうことが出たときには、その要請には応じられないと、こういうことになりますんでしょう。イエスかノーかどちらかなんです。
  241. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) だから、私は、そういうことについてはお答えをしないと。ここでは、そういう仮定の問題についてお答えをしないと、アメリカが言うか言わぬかわからぬのですから。そういうことについてここでは言わないと、こういうことです。
  242. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官ね、一九九〇年までに長官はこの防衛大綱を達成したとしても、シーレーン防衛は相当な力はつくけれども、完全にできるんじゃないというふうなことを言われているときに、もしそういうことがあれば、防衛庁は、当然それはできないとアメリカに答弁されるのが当たり前じゃないですか、筋として。それまで言えないというのはどういうことなんでしょうか。
  243. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は、さっきから言っているとおりですね、ハワイで十分に協議しますので、そういうことで、何もここで言う必要ないということを申し上げているんです。
  244. 安武洋子

    ○安武洋子君 けしからぬじゃないですか。ハワイで言えて、なぜここで言えない。私は、これほど明白なことが国会でおっしゃれないということについては、全く納得できません。
  245. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) それは納得できるできないの問題でなしに、私の言っているのは、ハワイで十分にこちらの言い分を言いなさいと、こう言っているんですから、それによって結果を見ていただければ結構でございます。
  246. 安武洋子

    ○安武洋子君 言い分を言ってきなさいということを、できないことだから、長官の先ほどの御答弁では、だからできないと答えるのが当たり前でしょうと、私は当たり前のことを聞いている。それに対してまでそんな御答弁は、私はないと思いますが、一体どうなんですか。ちゃんと答えてくださいよ。
  247. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私の方から行っている諸君は、私の気持ちを十分に理解をして答えをすると思いますので、この場で仮定の問題について私はお答えをすることを御遠慮いたしたい、こういう意味です。
  248. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  249. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こしてください。
  250. 新田勇

    説明員新田勇君) 事務的な点がございますので、一言申し添えさせていただきます。  防衛計画の大綱の水準を達した場合においても、具体的にシーレーン防衛がどの程度できるかということにつきましては、脅威の具体的な様相や米軍の支援等、多くの要因がございますので、一概に言うことは困難である。いずれにしろ現状に比べ相当能力が向上する、このように判断をいたしておるわけでございます。  それから、米側が我が国に対していろいろ物を言うということがあるわけでございますが、これは安保条約によって日本を防衛する立場にあることでございますので、我が国に対していろいろ期待を表明するのは自然なことと存じますが、日本といたしましては、従来からも申し上げておりますとおり、米側の期待は念頭に置きますが、我が国の防衛については自主的判断のもとで我が国防衛のため必要最小限度の防衛力の整備を着実に進めるということでございまして、具体的には大綱に定める防衛力の水準をできるだけ早期に達成するということを目的として努力する、こういう方針が従来どおりで変わりはございません。
  251. 安武洋子

    ○安武洋子君 以上で終わります。
  252. 柄谷道一

    柄谷道一君 特殊法人、認可法人及び公益法人について御質問申し上げますが、私は十五人の大臣を並べて喜んでいるわけではなく、そうしなければ質問ができないという現在の縦割り行政の実態がここにあらわれているわけでございます。  まず、行管庁長官に御質問いたします。  第二臨調、特にその第四都会が特殊法人及び認可法人のあり方について深くメスを入れまして、五十七年五月十七日と五十八年一月十七日の二度にわたりその改善について具体的な提言を行っておりますことにつきましては、行管長官よく御承知のところであろうと思います。これらの法人の数は、三公社を除きまして、五十八年一月一日現在、特殊法人九十六、認可法人九十八でございます。五十六年度の事業規模は二十二兆一千億円、うち財投計画額十四兆四千億、一般会計からの出資金及び補助金は一兆八千億円、役職員数は常勤役員九百六十人、職員約二十二万人という大きな規模になっております。私はこれらの法人が民業に対する誘導補完、行政の代行などの機能を果たしまして市場経済の欠陥を補い、経済社会全体の効率を高めてきた今日までの役割を否定するものではございません。しかし、行政改革、財政再建が政治の至上課題になっております今日、それらは決して聖域ではない。また、その規模と役割については、変化への対応、簡素合理化、信頼性の確保という行革の基本理念に立って抜本的な見直しが必要でございます。そして、その運営についても企業性、効率性という視点からの改善が加えられるべきであります。臨調はそうした視点からの行政の転換を迫っているものと私は受けとめております。そこで、行管庁長官は、臨調答申を受けて特殊法人及び認可法人についてどのような基本姿勢で改革を進めようとしておられるのか、私は閣議決定の内容はよく承知しておりますので、それの焼き直してはなくて、これを超える長官の決意をまずお伺いをいたしたい。
  253. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御説のように、行政改革という観点から見ますと、特殊法人あるいは認可法人等のあり方についてやはり改善措置を講じなきゃならぬということはこれは間違いのない事実でございます。もちろん現在の特殊法人なり認可法人のそれぞれの職員の皆さん方はそれなりに私は一生懸命に努力はしてくれていると思いますけれども、御質問のような観点で世間にはいろいろと批判があることも事実でございますから、行政改革の観点からはこれにしっかりとひとつ取り組んで合理化を図っていきたいと。それで、今御質問の中にございましたように、第二臨調からも御答申をいただき、それを受けて政府の行政改革大綱も決定をいたしておりますので、その線に沿って今日も努力をしておりますし、まだ残っている問題も多くございますから、それらについても精力的に政府としては取り組んでいって、一般の皆さん方の御期待に沿うようにやっていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  254. 柄谷道一

    柄谷道一君 国鉄、電電及び専売公社の改革につきましては既に法案が提出されております。また、審議会でその検討が進められている国鉄問題もございます。この三つの問題は改めての機会に質問を譲ることといたしたい。  その他の法人につきましては昭和三十年代の高度経済成長期に増加の一途をたどりました。そして、その数は四十二年度には百十三法人に達したわけでございます。その後、こうした特殊法人の増加について国民の批判が出まして、新設についてはスクラップ・アンド・ビルドの原則が定着してまいりました。五十四年十二月以降漸次十九法人が整理される方針が決定されまして今日に至っております。私はそうした努力を評価することにやぶさかではございませんが、臨調はこのような現状をもってなおよしとせず、特殊法人の新設、目的変更を厳しく今後規制して七ないし十年ごとに事業を見直し、事業目的が終了したものについては廃止または民間法人化することを求めております。そして、経営活性化のために自立化を原則として六項目にわたる具体的内容を提示いたしておるわけでございます。ところが、これらの特殊法人、認可法人はこれは全部縦割りでございます。各省ごとの任意に任して、指導に征して果たして臨調の答申が具現できるのであろうか。新たな仕組み、新たな手法が今求められているんではないかと思いますが、行管庁長官どうお考えでございますか。
  255. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まあ御説のように、今縦割り行政、この弊害があるということもこれまた一般の御指摘を受けております。殊に行政改革なんていう問題になると、これなかなか難しい問題でございますから、この問題については、やはり臨調の答申を受け、閣議決定を経てその大綱が決めてあるわけでございますから、各省ともその方針に従って私はやっていただけるものと、かように考えておるわけでございます。  御質問の中に、まあ従来からたくさんあった、またふえておるぞと、こういうお話でございますけれども、御案内のように特殊法人については、たしか大平内閣、五十四年だったと思いますけれども、これで統廃合を行って今日九十九になっていると。それから認可法人、これも整理をしまして現在九十八になっているわけでございますが、これらについてもさらに一国会理化をしなさい、統廃合をやりなさい、事務の見直しをやりなさい、あるいは存置するものについては活性化をやるべしといったような御答申がございますから、既にその線に沿って御案内のように統廃合等については十二法人、それから民間法人化については十九法人ですね。まあ二十ございましたけれども、一つは関西国際空港に関連した問題でございますから十九でございます。あるいは事業の縮小、これは四十四法人でございますが、これは予算編成の際に相当な合理化が行われてわる、こういうようなことでございますし、活性化については、まあ何せ役員会の機能をもう少し強化しなきゃなりませんし、何よりも何といいますか財務諸表とかあるいは経理のやり方、準則ですね、こういうようなものについてもまだまだこれからやらなきゃならぬ点がございますから、今、国会にお出ししてあるのはどうぞひとつ御協力をいただいて今国会で上げていただきたいし、今後も一生懸命やりますから、そういう点についてはできる限りひとつ各省一体になって取り組んでいきたい、かように考えております。
  256. 柄谷道一

    柄谷道一君 閣議決定を受けまして、具体的に特殊法人をどのように改革していくか、本来全大臣に聞きたいところでございますが、私に与えられました時間が短いわけですので、これはまた別の機会に譲りたいと思います。  そこで、特殊法人の増加抑制が強化されたことに伴いまして、隠れ特殊法人と称するわけでございますが、認可法人が増加の一途をたどってまいりました。この認可法人のうち、公務員等の共済組合四十九法人、民間団体の自治能力を制度的に担保するための日本公認会計士協会など八法人を除きました四十一法人について、臨調は官庁名と法人名を具体的に挙げまして改革を求めております。この認可法人の改革に対する手法と方針、行管庁長官にお伺いいたしたい。
  257. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今、柄谷さんの御質問の中にふえておるじゃないかというんですが、これは五十五年からはたしかふえておりませんので、今九十八であると、この点はひとつ御理解をしておいていただきたいと思います。  なお、これらの中にやはり財政面等で国とのかかわりあいのあるものもございますから、これらについては先ほど来お答えしておりますように特殊法人に準じまして、これは民間でおつくりになって認可する、こういうことでございますから、そこらをやっぱり監督しますから、そういう観点で御期待に沿うような適正な管理が行われるというように改善をしたいし、同時に民間に任せてもいいではないかといったものがたしか二十ぐらい指摘になっていると思いますが、これは六十年度末までにできる限りそうしなさい、こういう御答申でございますから、その線に沿って今後具体的な整理、合理化方針を決定していきたい。それと同時に存置する——言葉は悪いですけれども、生き残りと言ったらぐあい悪いですけれども、存置するものについては、これはやっぱり活性化方式をとって、物によりますよ、物によりますけれども、できる限りはやっぱり企業原則とでもいいますか、そういうやり方に変えて効率化を図らなきゃならぬ、こういう点についてはせっかく勉強していくつもりでございますから御理解願いたいと思います。
  258. 柄谷道一

    柄谷道一君 私、言葉足らずでございましたが、四十二年に特殊法人の規制がぐっと強化されたんですね。確かに四十二年から五十五年まではふえているんですよ。そこで問題になって五十五年から横ばいをしておる。これが実態であろうと思うんです。  そこで私は、本日のメーンでございます公益法人について触れたいと思うんですが、今までの傾向を見ていますと、特殊法人が四十二年に規制される、そうすると特殊法人は確かに減少傾向をたどるが、隠れ特殊法人の認可法人がふえていく。五十五年に認可法人が問題になる、そうしますと、それは横ばいをするかわりに今度は隠れ認可法人とも言うべき公益法人がふえる。私はまことにしたたかなお役人の知恵であると、こう思うわけでございます。  そこで、行管庁は昭和四十六年に公益法人の指導監督に関する行政監察を行い、十二月二十一日に九項目にわたりまして二十省庁に勧告を出しておられます。その勧告の内容は時間の関係で省略します。端的にお伺いいたしますが、どのような問題意識を持って監察をされ、何をねらいとして勧告を行われたんですか。
  259. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 公益法人は御案内のように民法三十四条で民間の方が設立をせられて、そしてそれの認可申請といいますか、そういう形になるわけですから、やはり基本はこれは公益性を厳しく限定すべきである、こう思います。これが一点。  それからもう一つは、監査の結果を見ますというと、どうも休眠法人といいますか、どんどん社会経済情勢は変わっているわけですから、ほとんど活動していないといったようなものもございますから、こういう点についてはやはり廃止すべきものは廃止をしてもらうような行政の指導といいますか、それが必要なのではなかろうかなと、かように考えておるわけでございます。それで御質問のように、あの監査のときはたしか四千四百ぐらい国の分がありましたね。ところが、地方はなんぼありましたかな。地方がまたむやみに多くて九千八百あったんですよ。それで今日幾らになっておるかというと、国の所管の法人が五千九百ですね、それで地方の所管が一万四千九百、これはふえていることは事実でございます。もちろん、それは民間の方の発意でこれをおつくりになる。それはそれだけの必要性があるからおつくりになっておると私は思いますよ。だから、つくること自体については私は別段異論を唱えるものではありませんけれども、さっき言ったように公益性ということで限定しませんと、やはり事業の内容から見てこれは公益法人じゃなくて民間に任じたらどうだと、あるいはまたもう役割が済んでしまっているものもある。ここらにもう少しメスを入れなきゃならぬのかなとこう思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、お役所に手を入れると特殊法人になっていく、特殊法人に手を入れると認可法人になる、それに手を入れると公益法人になるといったような御批判があることは素直にこれは私ども受けとめておりますけれども、同時にまたこれは世の中の変化に従って必要なものは私は認めていくという基本はあるんじゃないかなと、ここらの兼ね合いをどうするかということがこれからの大きな課題だなと、かように考えておるわけでございます。
  260. 柄谷道一

    柄谷道一君 総理府長官にお伺いしますが、行管庁の勧告を受けまして昭和四十六年十二月二十二日に総理大臣官房管理室長が主宰いたします公益法人監督事務連絡協議会を設置されております。しかし、それはあくまでも各省庁の公益法人担当局の課長クラスの連絡機関でございます。全省庁の合意が得られなければ運営できないという仕組みになっております。私がいろいろ管理室長に資料要求いたしましても、他省庁の了解を得なければ資料が出せぬというような実態なんですね。私は、そうした連絡機関だけで今行管庁長官炉言われました休眠法人をチェックし、その公益性というものに対してチェックするということが可能でございますか。
  261. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ちょっと先ほどのお答えで落としましたから。  そういったようなことがございますから、行管庁としては五十八年にいま一度調査を実施いたしております。現在それを取りまとめ中でございますから、その取りまとめの結果を見まして、そしてまた必要な措置内閣全体で検討して進めていきたいと、こう考えております。
  262. 中西一郎

    国務大臣(中西一郎君) お話のように、総理府の管理室長が主宰いたしまして、関係各省の文書課長その他関係課長の諸君を集めまして連絡協議会というものを持っております。これは行管の先ほどの勧告に基づいてできたものであるというのもお話のとおりでございます。資料その他については、これは何も関係各省の了解を得なければ出せないという性質のものではございません。ただ、今お話がございましたように、一万四千という地方関係、それから本庁関係で五千というような数がございまして、それをわずかな人数で処理しておるというようなことで、先生方の御要望にこたえられなかったケースもあるんではなかろうかと思います。  ただ、今行管庁長官からもお話がございましたが、新しい観点からどうしていくかということを今、御検討をいただいておるところでございますし、私の今までの気持ちといたしましては、屋上屋を重ねるよりは、各省庁がその気になって対処していけば、今行管庁長官が言われたような仕事の目的に外れた仕事をしておったり、あるいは休眠状態だったりというようなものについては、各省庁で厳正に処理すればそれで十分足りるんではないか、かように考えておったのであります。ただ、よく調べてみますと、なおそういうものが少し残っておるというのも実態でございますので、なお十分検討をしたい、かように思います。
  263. 柄谷道一

    柄谷道一君 官房長官にお伺いいたしますが、確かにこの連絡協議会は、その後五つばかりの申し合わせを行っておりますし、九省庁から知事に対する通達を二つばかり行っております。そして、昭和五十五年の六月二十日施行で民法の一部改正が行われた、これらの経過はよく知っておるわけですが、私は、端的に言ってこれは事務的な整備であって、抜本的に公益法人に切り込むということにはまだなっていない。大体、公益法人を持っておりますのは二十二省庁、地方支分部局、都道府県知事四十七、都道府県教育委員会四十七と、多岐にわたっているわけでございます。また、四十六年の行管勧告のうち第七項、すなわち法人に対する厳正な措置という一項については、その後十二年間、基準作成も手つかずのまま今日に至っております。  なかなか資料をもらえないものですから、私はやむを得ず財団法人公益法人協会の資料から引っ張り出したんですが、各省庁所管の公益法人は、四十二年の八月に四千五十八法人だったものが四十六年六月一日には四千四百七、五十六年四月一日には五千百七十五、この十年間に七百六十八法人ふえているわけですね。一方、地方公益法人は、四十六年六月九千八百七十二法人が五十六年四月現在で一万四千百九十四、実に四千三百二十二法人もふえておる。私は、この増加のすべてが悪だとは申しません。しかし、休眠法人の整理とか、事業目的の洗い直し、さらに公益性を厳正にチェックするということをやっておって、これだけの法人がふえたのが適正なのかどうか、大きな疑問を感ぜざるを得ないんですが、内閣を束ねる官房長官として、四十六年の行管勧告以来、目に見えて改善の実が上がっておると評価されますか。
  264. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 四十六年の勧告がありましてから、今総務長官からもお話がございましたように、公益法人監督事務連絡協議会を設けまして、各省庁十分連絡をとって、公益法人としての目的を遂行する団体は認可していいけれども、あるいは中には休眠法人などもあるといったことについて、いろんな角度から検討しようということで努力をしてきておるところでございます。いろいろ設立の基準を申し合わせをいたしましたり、会計基準を申し合わせをいたしましたり、さらに民法の一部改正を行いまして、休眠法人の整理をするといったような努力をしてきておるところでございますが、結果としては数がふえている。行管庁長官から今少しお触れになりましたように、経済社会情勢の変化に応じてこういった公益法人がまた必要になる、活動する舞台が出るという部分もございますので、ふえていること自体が悪いとは申しませんけれども、休眠法人の整理などについてもっと思い切って手を打てないのだろうかといったようなことについては、十分検討していく必要があるというふうに考えておるところでございます。一生懸命やってまいりましたとお答え申し上げたいと思いますけれども、これは見せかけではいけませんので、今行管庁長官からお話がございましたように、その後の情勢を点検をしているというお話もございましたので、それらも踏まえまして、さらにいろんな民間との関係とか、あるいは法人自体の活動状況とかといったようなものもよく点検をしてみて、今後の方針をさらに前向きに取り組んでいくようにしてはどうかと、こんなふうに今考えておるところでございます。
  265. 柄谷道一

    柄谷道一君 自治大臣にお伺いいたしますが、たびたび申し上げておりますように、五十六年四月現在で地方公益法人の数は一万四千金、十年間に四千三百余の法人が増加いたしております。そこで、これらは国に比べまして増加率が異常に高いと思われるわけでございます。地方の行政改革が要請されております現在、このような実態について自治大臣はどうお考えか。また、国にも休眠法人はある、これもチェックしたいと、今官房長官申されたわけでございますが、地方にも休眠法人は多いと思われます。自治大臣として、これらの地方公益法人の増加傾向に対してどういう対応をしようとされておるのか、お伺いします。
  266. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 地方公益法人が非常に国に比べてふえているということは柄谷さん御指摘のとおりでございまして、今までもお話がございましたように、ふえている原因はいろいろございますけれども、社会経済の発展、国民生活の多様化、文化の向上などに対応する、そうしたことで地方の活動が非常に活発になったということが非常に大きな原因であると私は思います。しかし今、御指摘のように、必ずしも活躍をしていない固体もあるはずでございます。ただ柄谷さんよく御承知のように、地方公益法人といいましても、設立の認可、許可については総理府並びに各省庁、各大臣のそれぞれの管轄、機関委任事務として都道府県知事に任されているわけでございます。都道府県知事が事務を執行しているわけでございますから、これを全体的に地方公益法人だからといって、自治大臣が直接いい悪いと言うわけにはこれはまいりません。これはもう御承知のとおりでございます。しかし今、御指摘のようなたくさんの公益法人の中に安易なものがあるとすれば、これは決していいことではございませんし、私の考えとしては、安易な地方公益法人の設立については今後も慎重にこれは対処していかなきゃならぬ、慎んでいかなければならない、このように思っております。
  267. 柄谷道一

    柄谷道一君 自治大臣、私も地方公益法人につきましては、各省庁が所管に応じて都道府県知事をそれぞれ指導する、そういう仕組みになっていることはよく承知いたしております。しかし自治省は、地方の行革という立場から、例えば地方にゆだねられておる職員の給与や退職金のあり方についても全体的な立場からの行革推進の旗を振っておられるわけです。とすれば、私は新しい仕組みを考えて、自治省自体が——省庁は各所管大臣が持っておられようとも、その基準作成ないしは基本的整理、見直しのあり方、こういうものについては自治大臣がやはりリーダーシップを発揮するということでないと、今の総理府につくられているような連絡機関だけではなかなか地方の行革は進むものではないと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  268. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 柄谷さん御指摘のように、行革を推進していく上に、特に地方の行革を進めていく上におきましては、よく言われておりますように縦割り行政を再検討していかなければならぬということはよく言われておりますし、先ほどもちょっとお触れになったようでございます。しかし、園の行政組織と事務分掌のあり方、こうした問題に対する非常に重要な、根本的な問題でございますから、これは慎重にやっていかなければならないと思っております。  全体的に、個々の法人は別にしまして、地方公益法人の一般的な傾向として、私どもは給与の問題とかその他いろいろな問題と同じように、やはり積極的に指導していく、こういうことはやらなければいけないと思います。しかし根本は、やはり各省庁がお互いに連絡をとって、統一した方針のもとにやっていただきませんと、御指摘の問題はなかなか解決していかないんではないか、このように思っております。
  269. 柄谷道一

    柄谷道一君 問題を次に移しまして、最近マスコミに幾つかの公益法人の問題が報道されまして、公益法人そのものに対する信頼が失われたり、指導監督の任に当たるそれぞれの省庁指導性に対して疑問が出たりいたしております。  時間が私、余りございませんので、簡潔に各大臣に対応をお伺いしたい。  まず、本年の四月二十四日、六月十七日と連続して経営危機に見舞われておりますサラ金業界の準大手ヤタガイクレジットの債権者名簿の中に、公益法人郵政互助会の孫会社ともいうべき信友リースが十四億円。この信友リースはそのほかにアコムに延べ二十億円、武富士に約十億円融資をしておる。また、これは孫の孫になるのかもしれませんが、弥生物産が二億五千万円をヤタガイクレジットに融資をしておる。報道によりますと、郵政当局は、信友リースは互助会の資本系列下にある会社とは認識していないとか、人事面もノータッチ あるとか、我々には無関係であると、こういう新聞で弁解をしておられるようでございますけれども、両社とも社長は元全逓の役員さんでございます。    〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕 また互助会の元監事、元理事がこれらの会社に名を連ねておられます。そして互助会の子会社であります手形割引会社私信商事のあるものは系列会社であり、またはそのグループである参停会と深いかかわりを持っていると伝えられておるわけでございます。  私は、郵政職員の九〇%が加入して毎月給与の三%を積み立てている互助会が、大蔵省の指導もあるこのさなかに間接的とはいえサラ金に融資をする。そしてその融資先のヤタガイクレジットが今不渡り手形を出すのではないかという経営危機に見舞われておる。  この問題について、郵政大臣どうお考えなのか、また、互助会が普通の資金運用以外に不動産売買、信用保証などの収益事業を行っていると報道されているわけでございますが、果たして公益法人がこのような収益事業を行うことが適切とお考えなのかどうか、以上について郵政大臣に率直に見解を伺います。
  270. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 先般報道されたサラリーマン金融に互助会のあるいは系列にある子会社、孫会社といったような形の関連会社が関与しておるという事実はまことに遺憾の一語に尽きます。    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕  御指摘のように郵政互助会は、退職、死亡、災害等の相互扶助を目的として、あるいは職員貸付等を行うという、まさに職員の福利増進を補完するといった形で、今御指摘のように九〇%近い二十六万の職員加入の共有の資産で成り立っておるということでございます。  したがって、こういった運用に関しまして、たとえそれが法的に合法であれ、そのことは別といたしまして、少なくとも国民から指弾をされ、批判を受け、あるいは職員間にそういった互助会に対する不信感を持たせるような運用行為はまかりならぬと思います。  そういった意味合いで、先般御指摘もいただいたことでございますけれども、互助会の会長に対して、こういった運用の実態の子会社、孫会社と言われるそういった実態に詳細な報告を求めてきたところでございますし、今後ともこういった運用面を含めて、少なくとも郵政事業という信頼を基礎にして成り立っておるそういった職員の共有財産の運用に関しては、厳正で社会の御批判を受けることがないように厳しく今注意をして指導しておるところでございます。
  271. 柄谷道一

    柄谷道一君 文部大臣にお伺いいたしますが、文部省は他省庁の中でも際立って多い千五百六十一の公益法人を——以下全部五十六年の時点でございますが、持っておられます。この問題については横におきまして、これも本年五月四日の報道で福島県の小針育英財団が担保逃れのための資金隠しの疑いが濃い、これは財同法人の目的外行為ではないか、大きく紙上をにぎわしました。  また、国際科学振興財団が収支決算を粉飾し、放漫経営の疑惑がある。これは昨年十二月二十七日の報道でございます。  代表的な二つの事例を申し上げましたが、これらに対して大臣としてどのような対応をされてまいりましたか。
  272. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 柄谷さんから、文部省は一番多いがこの件は別にしてということでございましたので、多いということの前段についての私どもの考え方は一応省がしていただきまして、御指摘の二つの点についてお答えをさしていただきます。  御指摘をいただきました国際科学振興財団、五十七年、経理内容が悪化をいたしまして、その悪化に伴いまして基本財産の処分につきまして不適切な事実がございまして、運営の適正化と経営の健全化を図るように厳しく指導をいたしておりまして、なお一層今後とも十分に運営の適正化に努めるように指導をいたしておるところであります。  御指摘の問題、前後いたしましたが、小針育英財団につきましては、これは御承知かと思いますが、文部省の所管ではなくて、福島県教育委員会の所管でございまして、公益法人としてふさわしくないという点があるとするならば教育委員会とも連絡をいたしまして、今後協議をしていきたいと、こう考えております。
  273. 柄谷道一

    柄谷道一君 運輸省にお伺いいたしますが、運輸省は文部省に次ぐナンバーツー、七百五十一の公益法人を持っておられます。これも横に置きまして、六月二十日付の新聞で、自動車整備振興会、軽自動車協会、交通安全協会等が十四府県にまたがりまして車検業務費への協力金を徴収しておる。これはまことに問題ではないかという指摘が大きく取り上げられております。  運輸省の対処方針をお伺いいたしたい。
  274. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 御説のように、十四府県におきましてそのようなことが行われておったということでございまして、大変申しわけないことでございますけれども、こちらでも気がつかなかったということなんですが、元来車検のとき取るべきものを取れば一番楽ですから、横着を決め込んでこんなことをやってもらっちゃ困る。これはもう厳重にやめさせるようにいたしまして、早急に調査を行って、車検の際に徴収しているようなものはやめさせる方向で指導いたします。大変申しわけないと思っておりますが、こういうことをしちゃいかぬ、横着千万な語だと思っておるわけでございます。
  275. 柄谷道一

    柄谷道一君 建設省も二百二十七の公益法人を持っておりますが、この公益法人のうち、全国三千キロを超えるハイウエーの管理運営をめぐりまして、二百十七カ所の食堂、給油所の営業権を独占いたしております道路施設協会の利益は、公益事業への多額の寄付金を差し引いてなお三年間で約百億円に達するという巨大構造利権が存在をする。そして、その関連三十七社に社長、役員、管理職として約四百人の道路公団OBが天下りをいたしておりまして、公団が発注する年間約八百億円近い料金収受、維持管理業務の大半がこれらの関連会社に受注されている。独禁法違反の疑いがあるのではないかと。この報道に対してどのような対応をされておりますか。
  276. 水野清

    国務大臣(水野清君) 道路施設協会——高速道路公団の外郭の道路施設協会が一元的にサービス施設を占拠していると、こういう御指摘でございますが、これは私どもは、建設の管理を担当するということは妥当であるというふうに思っております。  それで、ただいま御指摘の三年間でこれは税金を払う前でありますから、税引き前の利益が約百億、正確に申し上げますと、五十五年から五十七年度で、三年間で九十八億でございますが、これにつきましても、すべてこれはレストラン、売店、給油所等の建設に必要といたしました借入金の償還に充当するなど適切に運営されていると私どもは考えておりますし、現にその検査も十分にやった結果、間違いないというふうに信用しております。  それから、まあそれにしても若干この利益が多過ぎるという御指摘が間々ありますが、現在この道路公団は本土を縦のいわゆる縦貫の道路を建設中で、ほぼ大体これが今完了しかけてきているところでありますが、これはまあ今までのところは東名とか名神とか、非常に利益率が高いところの売店がそういうことでありますが、今後道路公団の事業というのがいわゆる本土を横に横断する道路をこれからかかることでございます。そうなってまいりますと、そういうところの施設というのは、どちらかといいますと、非常にまあお客も少ない。将来は私どもは、そういうものを含めていきますと、必ずしも今日のような利益が上がってこないだろうという予測もしております。  そこで、これは昨年でありますが、ある新聞に非常ないろいろな誤解も大分あったんでございますが、御指摘を受けまして、そこで、建設省、道路公団、施設協会の三者によりまして高速道路サービス施設問題懇談会というものを設置いたしまして、道路サービス施設の管理運営及び今後のあり方について検討を行っております。  それから、ただいまその天下りの問題で御指摘をいただきましたが、まあ簡単に申し上げますと、道路公団に勤めておりまして、ある年齢に達すると定年退職後に確かにこの道路施設協会に行っている人がいることは事実であります。まあ五十七年度には関係会社、いわゆる今の下請会社のような御指摘でございますが、三十八社、一万二千人のこの全職員の中で三百八十人、約三%がこの関係者でございますが、天下りと言えば天下りなんでございますが、これは道路公団でもいわゆる下級管理職の方とか長年お勤めになった方々でありまして、しかもその方々が道路の運営管理に非常に精通している方であります。そこで、この管理会社といいましても、御承知のとおり、料金の徴収なんかは職員では非常に困りますので、あるいは農村地帯なんかでは中高年層の方をお使いするというような関係から、そういうふうに委託業務をやっているわけであります。その中で管理職になったり、まあ業務の指導をしていると、こういうことでございまして、いわゆる一般のどうも天下りということと非常に誤解を受けておりますが、そういうことではないということを申し上げさしていただきます。  なお、これは申し上げることもありませんが、新聞報道では八百億ぐらい売り上げがあると、こう書いてありますが、実は私どもの方ではどうも数字をどういうふうに調べてもそういう数字が出てこないんでございまして、五十七年度の業務委託費は約四百四十九億、うち関連会社に委託をしておりますのは三百五十八億でございます。
  277. 柄谷道一

    柄谷道一君 まあその問題はもっと深く改めてやりたいと思います。  厚生大臣ですね、私はまあ盲導犬育成事業にいろいろ尽力してきたと自負いたしておりますが、財団法人日本盲導犬協会の募金事務局長ら同協会の役員多数が参加した株式会社ペットライフ保証、これが貸付金が多額にわたって焦げつくと、盲導犬事業に大変な信頼失墜という事態が生まれたという報道。  さらに、がん免疫振興財団がかつて医学誌掲載の論文流用で問題になりましたが、引き続いて実験用動物が一匹もいないのに動物用飼料費を計上するなどの不正経理を行っている、こういう報道もなされております。これに対してはいかがでございますか。
  278. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 御指摘の財団法人日本盲導犬協会について調査をいたしましたのですが、同協会の役員がペットライフ保証会社の運営に参加するなどの実態はありませんでした。今後とも同協会が公益法人として各種の誤解を招くことのないように、指導してまいりたいと思います。  二番目のがん免疫振興財団については、補助金を交付した日本船舶振興会により監査が行われ、厚生省においても事情を聴取したところ、いわゆる架空支出等の不正はございませんでしたけれども、今先生から御指摘がありましたような問題、経理区分の方法において適切さを欠く点が見られておりましたので、この点については必要な処置を行い、改善処置を講じてまいりたいと思います。  以上でございます。
  279. 柄谷道一

    柄谷道一君 防衛庁長官、お待たせしました。  防衛庁でもですね、防衛施設周辺整備協会の幹部が建設資材の販売会社をつくりまして、特定のメーカーの防音工事資材を押しつけ販売していたという指摘が報道されております。いかがですか。  あわせて国家公安委員長、これも本年三月二十五日の報道で、日本警察犬協会の使い込み事件というのが報道されております。両大臣の対応を率直にお伺いいたしたい。
  280. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 御指摘の点はあったようでございますが、その後協会が公益法人として非常によくないんじゃないかと、いわゆる株式会社調和というのですが、それと一体となっているようなそういう言辞を存することは厳に慎まなければいかぬという注意をいたしました。そして協会といたしましては、調和の方から兼職役員を引き上げるとか、あるいは出資を引き上げるとか、そういう措置をいたしました。それから、この株式会社調和の方でも取締役会でいろいろと誤解を受けるようなことは慎むということで決議をし、それに沿って行動しておる、このように聞いております。
  281. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 御指摘の問題につきましては、ことしの二月、警察庁の検査によりまして協会の会計職員が不正をやってたと、不正事犯が発覚をいたしまして、これについては協会が告訴をいたしまして、今警視庁が捜査をしているように承知をしております。警察犬協会は警察関係の公益法人でございますから、法令にのっとりまして協会が厳正に運営をされるようにこれからも強く指導監督してまいるつもりでございます。
  282. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は時間の関係もあったのでございますけれども、ここ一、二年マスコミに報道された不祥事件だけでも主なものがそのような問題があるわけでございます。私はどうも各省指導監督が後追い的である、問題が出れば調査をする、会計検査院とか行政管理庁から指摘をされればその部分の指導をする、いわば後追い的であって、果たして行政改革という視点から、また適切な指導監督という点から地方及び中央合わせて約二万の公益法人の指導というものについてまだまだ大きな問題があるということを指摘いたしておきたい。  さらに私は質問で引き続きまして、最近こうした傾向がさらに輪がかかりまして、昨年三月には大蔵省が国際金融情報センターを設置されておる。また最近大蔵省では金融機械化システムにかかわる第三者機関、いわゆる金融VANの構想を推進しておられる。これも運用いかんによりましては財団法人を通じて金融のコントロールが可能になるということで、関係者は大きな反発をしておるという問題もございます。通産省でも海外企業法務情報センターの設立準備を進めておりますが、これについても関係者の反対が強い。さらに労働省では雇用情報センターの設立をされましたけれども、これについてもその真意というものについてまだまだ各方面からの指摘がある。建設省でも不動産取引公正審査機構を設立されましたが、関係者がこれまた天下りではないかという指摘があるなど、今各省で設立され、もしくは設立が準備されている中にもいろいろ問題がございます。  きょうは労働、通産大臣に、質問時間が終わりますので質問できない無礼を本当にお許しいただきたいと思うんですが、私が資料要求いたしました中でも昭和五十八年度だけでも七省庁だけ調べましたら財団法人三十、社団法人二十三、一年間で五十三の公益法人が中央で認可され、そのうち代表者に、ないしは常務理事に二十二名のかつての高級官僚の方が役職についておられる、こういう問題もあるわけでございます。官房長官として総合的な対応をひとつ腰を据えて御検討を願いたい。  最後に大蔵大臣、公益法人のこの税制について公益法人協会の中にも、一口に公益法人と言っても典型的公益法人、親睦団体的公益法人、行政補完型公益法人、特別法型公益法人などいろいろの特殊法人がある、これらについてその公益性を中心に交通整理を行い、税制のあり方について検討するのとあわせて、公益法人に寄附する場合の非課税限度額についても見直す必要があるのではないか、これは法人みずからがそういう提言を行っておることについて大臣の所見を伺い、私の質問を終わります。
  283. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず私の方からお答えをいたします。  確かに今おっしゃいましたように、公益法人二十三万七千三百八十八、昭和五十八年十二月末調査、そのうちいろいろ御指摘なすっております民法三十四条法人一万七千三百二十六、十八万二千、七七・一%に当たります宗教法人が一番多いわけでございますけれども、この法人の公益法人税率等の問題につきましては税制調査会からもきちんとした答申をいただいております。したがって、今後の検討課題であるという事実認識を持って対処をしようということであります。  それから公益法人の公益性の軽重の問題と、それから寄附する場合の非課税限度の問題でございます。公益法人の公益性の軽重の問題というものは、いわゆる、これにつきましては公益性の強い事業を行っていれば収益事業課税において優遇するということであれば、一般法人との課税上の公平を図るという見地から収益事業の範囲を定めて課税することとしている現行制度の基本的考え方にかかわる問題でございますので、この点は、今御論議なすったものを私どもも正確に税制調査会等にお伝えすることにははばかりませんが、今日その意味においては問題があるじゃないかというふうに考えます。  それから寄附の問題でございます。この問題につきましてはこの寄附金を原資として行われる事業の公益性、緊急性等に応じて損金算人限度額を定めておりますので、特に抜本的な見直しを行う必要は今日時点ではないではないかと、こういう判断の上に立っておるわけであります。  いずれにいたしましても、公益法人の税率問題等につきましては既に税制調査会の御答申もいただいておりますので、今後の検討課題であるという事実認識で対応をしてまいりたい、以上お答えといたします。
  284. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、倉田寛之君、出口廣光君、岩本政光君及び河本嘉久蔵君が委員辞任され、その補欠として水谷力君、竹山裕君、浦田勝君及び下条進一郎君が選任されました。
  285. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は蚕糸事業について質問したいんですけれども、まず、私の手元に、きょうは昭和五十六年度の決算ですから、それにかんがみて蚕糸事業団の決算報告をちょっと見ていたわけです。そうしますとこの借方、いわゆる流動資産の勘定の中に長期保管生糸として千四百十三億円計上されている。ところがこれをいわゆる損益計算書の方で見ますと、千四百十三億円というのは十六万俵なんですね。これを単価で——失礼しました、これは九月ですね。五十七年三月三十一日の分では千三百四十九億ですか。それでこれの約十五万俵、これを単価で計算しますと一俵九十二万円になるわけです。ところがこの同時期に約二万俵売り渡されているわけですけれども、それの金額が百五十億円ですね。そうしますと単価は七十七万円にしかならない。この差額が十五万円ということになりますと、約十五万俵として二百二十六億円の含み損があるのじゃないかという感じがするわけですね。それをついでに五十七年度見てみますと、やはり三月三十一日現在の貸借対照表で千四百三十三億円ある、これが単価が九十五万円になる。ところが売り渡しているのは七十七万円で差額が十八万円ということになると、やはり五十八年の三月三十一日で含み損がやっぱり二百七十億円あるんじゃないか。この時期に事業団としては約五十五億円の損失があるので、五十五億円に二百七十億円足すと約三百二十五億円ですか、これだけの含み損がある。したがって、相当見かけよりも事業団の含み損失というのは大きいんじゃないかという気がするんですが、この辺はどうなんでしょう。
  286. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 事業団のただいまの決算で表に出ていない含み損があるということは御指摘のとおりだと思います。ただ、保有しております在庫を一体幾らに評価するのが適当かということになりますと、コスト価格以上で売れた時期もあるわけでございます。また五十六年の場合、平均単価七十七万円で売れておりますけれども、子細に内容を見ますと、一律七十七万円ということでもないわけでございます。五十七年度同様にいたしまして平均の販売価格は七十七万円でございますが、その内容を見ますと八十六、七万円に売れたものもございますし、また七十三万円くらいにしか売れなかったものもあるわけでございます。その意味におきまして幾らに評価をするかというのは大変難しゅうございまして、事業団発足以来、コスト価格によって在庫は評価するというルールをとっております。ただ、国産の糸につきましては標準販売売り渡し価格、この線以上で売れるということはまずないということで、標準販売売り渡し価格を超えます部分につきましては当年度の損失としてこれを落とす、かような経理をいたしておるわけでございます。
  287. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かにそういうことで将来高く売れればという希望的観測があるわけですけれども、後でその問題を大きく取り上げたいと思うわけです。  ついでにちょっとお伺いしたいんですが、私の手元に五十八年度はないんですけれども、五十八年度もしも決算がお手元にありましたら、五十八年度ではこういう計算でいくと大体どのくらいの含み損があるか、わかっている範囲で結構ですが。
  288. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 五十八年度決算はまだ完結いたしておりませんで、私どもの手元にも参ってないという状況でございますが、近い時期に取りまとめになりましたらばお届けいたしたいと存じます。
  289. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひ教えていただきたいと思うんですが。  それでここで指摘しておきたいのは、五十六年度は在庫のコストが九十二万円だったわけですね。ところが、それがもう一年で五十五万円になっている。多分ごとしは百万円になっているんじゃないかと思うんですね、これどんどん金利、倉敷料もいろいろかかってきますからね。そういうことでこの問題というのはちょっと簡単には解決しないんじゃないか。問題はそれじゃ将来の需要動向その他がどうなるかということだと思うわけです。  次に質問を移らしていただきますけれども、事業団、私は、これ御説明するまでもなく、一月の二十日にこの決算委員会で同僚議員が質問しておりますので、その議事録ここにございますので、これは踏まえた上で、もうこの中に書いてあることは答えていただかなくても結構ですから、そういう前提のもとにいろいろお聞きしたいんですが、念のために数字的にレビューしますと、現在在庫が約十七万五千俵ある、それから農林中央金庫よりの借り入れが千八百八十億円ですか、約千八百億。それから金利、倉敷料だけでも年間百六十億円かかる。この十七万五千俵というのは、私もちょっと聞いてびっくりしたんですけれども、三十キロの段ボールに入れて積み上げると富士山の四十倍ぐらいになるらしいですね。大変な生糸があるんだなと思ってびっくりしたわけですけれども、こういう状況で、問題は先行き需要がどうなるかですけれども、それで事業団としてはいろいろ手を打っておられるわけです。例えばここに農水省の絹業活性化対策ということで、これは自民党の蚕糸絹薬特別対策委員会ですか、何かに報告されましたね、六月に。これは結構だと思います。こういうふうに着々とやっておられる。これは前に決算委員会で同僚議員が質問したことに対する一つの約束の実行みたいな形にもなっていると思うんですけれども、この辺は非常に精いっぱいのことをやっておられると思います。  しかしながら、例えば今全面的な輸入禁止ですね、生糸から絹織物まで。こういうことがいつまで続けられるだろうかというふうな危惧があるわけです。したがって、そこでお聞きしたいんですけれども、要するに事業団の経営方針ですね、ミクロ的には今先ほど申し上げましたようないろいろな手を打っておられるわけです。それはいいんです。しかし、例えば五年間のマクロ的な経営方針、どういうふうにやっていかれるおつもりなのか、需要の見通しは好転すると何か議事録におっしゃっていますけれども、そんな甘いんじゃないだろう。もしも好転するとおっしゃるんなら、その根拠はどういうところに好転するということをお考えになっているのか、それに対して事業団の経営方針としてマクロ的にどういうふうに持っていかれるおつもりなのか、その辺をちょっとお聞きしたいんですが。
  290. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 事業団の在庫が今日のように膨れ上がりました理由は、大体五十三年ごろを最近のピークといたしまして内需量が、これは輸入品、国産品含めてでございますが、極端に減少いたしておりまして、五十三年当時四十六万五千俵程度の需要でございましたが、ごく最近五十八年で申しますと二十九万二千俵ということで非常に大きな落ち込みを見ておるわけでございます。この間におきまして輸入も、これは既に自由化いたしております商品でございますから一方的にとめるということはできないわけでございまして、輸出国との話し合い、合意の上に立ちまして、我が国の事情を踏まえまして輸入数量についても削減の努力をしてきたわけでございます。  生糸について申し上げますならば、一番多かった五十三年に比べまして約三割ぐらいの線まで減らしておりますし、絹糸の場合で五割ぐらい、絹織物の場合は、これは面積ベースでございますけれども、やはり六割ぐらいの水準にまで減らしてきておるわけでございますが、需要の減退の方が余りにもスピードが早うございまして、なかなか消費に見合った輸入というわけにはまいらないわけでございます。また国産につきましてもこういう状況でございますから、計画生産の推進ということでいたずらに増産をすることを抑える政策をとってまいりましたが、これまた減少するテンポというのは需要の減退のテンポに比べますとはるかに遅々たるものがあるわけでございまして、この点は永年性作物という特徴もございますので、ある程度いたし方ない点もあるわけでございます。そういう需給のギャップというのを事業団が買い支える、あるいは輸入糸の場合でございますと、契約によって買いましたものが放出できないということで膨らんできたわけでございますので、基本的には需給関係を改善するということに尽きるわけでございます。かつてはこういう絹関係の需要は大きく減退する時期もございましたけれども、またその反動として上昇するということもございます。そういう需要の関係が波を打っているということを前提といたしまして、この買い入れ制度は成り立っておるわけでございます。すなわち、供給が過剰の場合には事業団が買い支えると、逆に供給不足の場合には事業団が売りに出ると、こういうことで適正な水準に価格を落ちつかせようと、こういう制度なわけでございますが、今日のように年を追うて減少してくるということになりますと、今の制度自体に大変無理がかかってくるわけでございます。そこで、事業団としての経営方針いかんというお尋ねでございますが、事業団自体といたしましては、現行の仕組みの中である状態が現出いたしますと買わざるを得ないという仕組みになっておるわけでございますので、これは政府の行政の問題として一日も早く需給を均衡させると、できれば供給量の方が需要以下であるということになりますと事業団の在庫品がはけるわけでございますので、まず需要の拡大のために新規用途売り払いを初め各般の努力をいたしておるわけでございます。  次に、輸入でございますけれども、これも輸出国にもいろいろな事情があるわけでございますが、いろいろ国内の事情を申し上げまして、先ほど申し上げたような水準にまで輸入数量を減らしてきておるわけでございます。従来、国産につきましては計画生産の推進という域を出ない指導をしてきたわけでございますが、本年年明け以降、このままいきましたら事業団の今の制度は成り立たなくなるという危機感に基づきまして養蚕団体等に呼びかけを行い、本年の基準収繭量の二五%程度の減産を行っていただきたい、こういう要請をいたしましたところ、団体内でもいろいろと議論はあったようでございますが、最終的には了承を得られましてただいま減産を進め、これらを通じまして何とか需給均衡状態に持っていきたいと、努力中のところでございます。
  291. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、私はミクロ的なことでなくて、マクロ的に経営者の立場として、民間で言えば、どういうふうにおやりになるのかということをお聞きしているんで、細かいことはこの辺にいっぱいありますからね、それはいいんですけれども。それでちょっと次の問題に進む前に実は申し上げておきたいのは、要するに、いかにも事業団のやっていることは農民保護だというふうに見られますけれども、はっきり言って私は農民と反対の立場におるわけです。しかしながら、農民の方々に聞いても決してこれは農民にプラスになってないわけですね。養蚕農家どんどん悪くなっていってね、養蚕だけでは食えないから兼業をやっていっていると。それで計算されたと思いますけれども、一月当たり四百五十キロしか収繭量がないわけですね。それで二千二百円としても約百万円しかないわけですよ、一体間働いて。それで一方で米をつくれと言って、いや米はやめろと言って桑植えさせられた、今度また桑引っこ抜けと言われている。それでもう本当にめちゃくちゃだという感想があるわけですね。これは農民の方だけでなくて機屋さんだってめちゃくちゃ困っているわけですよ。九千軒のうちに六五%が赤字だと、ことしは九〇%が赤字だと言われているわけですね。業界、上から下までめちゃくちゃなわけですよ、呉服屋さんも。こういう状況を、これは基本的に今考えないとえらいことになる。それでこれ非常に厳しい言い方しますけれども、私は、農政が絹業業界をつぶすんじゃないかという気がするわけですよ。もしもそういうことになりますと、政府が業界をつぶしたなんというのは産業史に非常に特筆されるような恥ずかしい事態、そこにまさに来ていると思うんですよ。私が申し上げるよりも皆さんの万がよく感じておられると思いますけれども、時間がありませんのでその次にどんどん進めていきますけれども、要するに、根本的にはやはり絹の需要の問題だと、こうおっしゃったわけですね。しかし、素人が見るところでも当面まずだめだろう、ここ十年ぐらいは日本の絹の需要というのはどんどん減っていくんじゃないかという気がするわけですね。大体値段が高くて、私の家内なんかも着物もつくれないわけですね。皆さん方もほとんどそう簡単に和服をつくられるという方もないと思うわけですね。こういう状況に追い込んできたら、これはもう絶対だめだと思うんですね。それで、中には六十万円の着物のうち生糸代が二・四%ですか、二、三万円だという説もありますね。しかし、これはやはり川上で統制されているために起こってきている現象だと、私は解釈しているわけです。  そこで、こういう業界の状況を一階的なものあるいは景気循環的なものだというふうにお考えになっているのか、それとも私はこれは構造的なものであり本源的なものであり、これは私は政策不況じゃないかという気がしているわけですね。政策不況の線はちょっと別にしまして。こういうことになってくると、本当にやはり国民に安い絹を提供する、絹織物を提供するというところからもう出直す必要があるんじゃないか。それに対して農林省のやり方を見てますと、ざっくばらんに申し上げて、絹全盛時代だった絹行政、それを何とかてこ入れしようとか、あるいは高度成長のときは需要増に助けられてうまくカバーできたのを、何とかそのうちになるだろうというその日暮らしみたいなことで、こういう状況であしたの天気を期待して本当にいけると思っておられるのかどうか、その辺一言で結構ですからまずお聞きしたいんですが。
  292. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 昭和三十年代の初めのころ、つまり高度経済成長が始まります前の時点での日本人の絹の消費総量は大体十七万俵ぐらいであったというふうに言われております。したがって、今日の時点で振り返ってみますならば、四十万俵、五十万俵というかつての水準自体が、ある一時代における特殊な理由によって爆発的にふえた絹の消費ではないかというふうに見られるわけであります。  今後の見通しといたしまして、これは値段の高い低いに必ずしも関係なく、生活の洋風化という傾向がますます進展する。若い人の生活習慣から見ましてもなかなか和装の世界というのは入っていきにくいものがございますので、一部のフォーマルウエアと申しますか、そういうものを除きまして、相当絹消費全体が縮小的にならざるを得ないのではないかというふうに最近では見ておるわけでございます。まあ若干明るい希望と申しますか、私どもは努力もそこに傾けられておるものでありますが、これだけ生活全体が洋風化してきておりますので、洋装における絹の需要、これは欧米の場合でもある程度のものはあるわけでございますので、今後の工夫あるいはその品質の改善とか素材開発、こういう努力によりまして洋装の世界における絹需要、これをどの程度見込めるかということに多少の希望を託しておるというのが現状でございます。
  293. 木本平八郎

    木本平八郎君 これは結論的に私申し上げようと思ったんですけれども、要するになぜ売れないかというのは高いからなんですよ、簡単なんですよ、事は。これが半分になればどんどん売れるわけですよ。それで、イブニングドレスだってアフターヌーンドレスだってみんな女性の絹に対するあこがれというか嗜好というのは、これは外国人見ていても大変なものなんですよ。だから、その辺はもう少し農林省でいろいろお考えになっていただきたい。本当にそのマーケットリサーチをやっていただきたいと思うわけですね。  そこで私、ちょっと時間がなくなってきたので結論から申し上げますと、非常に乱暴な言い方をすると、もうこの辺で、保護や助成をやめて市場を完全に一たん自由化してみたらどうだということなんですよ、極めて乱暴な言い方ですけれども。もちろんこれはあしたからすぐということになると大混乱を起こしますけれども、二作先、三年先、あるいは四年先ということを宣言して、がんの宣言じゃ命がないということでだめなんですけれども、やはりこれは大手術をやらなきゃだめだということを一たん言って、そしてその間にできるだけトータルの損失を少なくするように官民力を合わせて対処していくということで、こういうふうにやりますと、一時的には川上から川下まで大混乱を起こすと思うんです。倒産も出るでしょうね。大変なことになると思います。しかしながら、これを乗り越えてくればやはり絹製品も値下がりしてくるし、それに伴ってどんどん需要が私は回復すると思うんですよ、これは日本人だけじゃなくて世界的な嗜好からいっても。それで、生き残った農家や業者は数が少なくなるだけ有利ですしね。ほかの業界でも、やはりみんなそういう非常に厳しいところを乗り越えたところは、それなりにもう生き残っているわけですね、日本人のバイタリティ、というのもあるでしょうけれども。そういうことで、政府としてはこの際ぜひ各、養蚕から製糸、それから絹織物、機屋さんから全部に、ひとつ将来のために絹の業界を立て直すために、痛みを分け合って何とか我慢してやってくれということで、そのために数百億のあるいは補助金みたいなものがかかるかもしれません。私はそれは出すのは反対ですよ。反対ですけれども、このままずるずるいかれて、後で何千億もこれの後始末に金を払わされるんじゃタックスペイヤーとしてかなわないから、そのくらいなら今思い切って手術代ぐらい出した方がいいんじゃないかという感覚があるんですが、その辺大臣いかがでしょう。
  294. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 先生の今の大変そのものずばりというような御質問でございますが、我が国の養蚕、製糸、絹業、これはいわゆる伝統的なものでございまして、地域社会に定着してやっておるというところが多うございます。そして、山村及び農村、これらの地域における重要な作目でございますし、また製糸業は地場産業として重要な地位を占めておるというような状況でございまして、そうかといって先ほどから話がございましたが、十七万五千俵というような在庫ということもございますし、合理化を図るということで先ほど局長の方から二五%の減反というようなこともして努力してきたところでございますが、しかし構造的問題と考えてもいいじゃないかと思いますが、なかなか難しい問題があるわけです。そして、今まで一定範囲での助成等、これは不可欠であるということでやってまいりました。しかし、繭糸価格安定制度、これにつきまして現在伝統ある我が国養蚕業の健全な発展を図るという、伝統ある我が国のということを前提にしておりますが、これを守っていくという立場もございますし、学識経験者の皆さんにどうやったらよろしいだろうかということで、研究会を開いていただいて検討していただいておる最中でございます。農林水産省といたしましては、その検討結果を見た上でひとつ適切に対処していきたい、そういうぐあいに考えます。
  295. 木本平八郎

    木本平八郎君 適切に対処するということはしょっちゅう国会で言われるのですが、山村大臣はそういうことじゃなくて、本当に真剣にやっていただけるだろうと期待するわけですね。  それで、時間がありませんので最後に申し上げますけれども、やはりこの問題は放置しますと消費者物価がどんどん上がっていくということ、あるいはガットの違反で訴えられかねないということ、それから貿易摩擦の問題にも進展してくるだろうし、大体先ほどの同僚議員のなにがありましたように行政改革の精神にも反してくるというふうなことで、いろいろ問題があるわけです。しかしながら、一番根本的には業界が上から下まで、安楽死じゃないけれども死に追いやられちゃうということなんですね。この辺は、今まではっきり申し上げて、役人の方々の対処の仕方というのはその日のびほう策みたいなものが多いわけですね。この際、本当にやはり政治家が出て、決断を持って、そして国民にも全部訴えて、そして対処していくと、これだけじゃないと思いますよ、幾らでもいっぱい問題あると思いますけど、この問題はそういう観点から取り組んでいただかないと、このまま何か委員会の答弁だけうまくやっておくということになりますと、私はこれ断言してもいいですけれども、五年後になったら大問題になっちゃうと思うんですよ。そういうことがありますので、私も蚕糸業界のことについては素人ですけれども質問申し上げましたので、最後にもう一度大臣のお話を聞いて私はやめます。
  296. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 私も、このいわゆる需要拡大というようなことでも少しでも図っていけばということで、閣議のときに、閣議が終わりました後で閣僚メンバーにみんな背広を売りつけたりいろいろやってきたんですが、やはり抜本的な問題もあろうと思います。今後勉強さしていただきたいと思います。
  297. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、昭和五十六年度決算外二件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  予備費関係簿八件につきましては、質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより予備費関係等八件を一括して討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)の採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  299. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十六年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)並びに昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、以上二件を一括して採決を行います。  これら二件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  300. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 多数と認めます。よって、これら二件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書並びに昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書、以上二件を一括して採決を行います。  これら二件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  301. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 多数と認めます。よって、これら二件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十七年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書の採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  302. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書の採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  303. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)の採決を行います。  本件について異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  304. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって異議がないと議決されました。  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会