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1984-04-23 第101回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十三日(月曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     三治 重信君      関  嘉彦君     井上  計君  四月十七日     辞任         補欠選任      木本平八郎君     喜屋武眞榮君  四月二十三日     辞任         補欠選任      杉元 恒雄君     柳川 覺治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 平井 卓志君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 大浜 方栄君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 曽根田郁夫君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 安武 洋子君                 井上  計君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       中西 一郎君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        国防会議事務局        長        伊藤 圭一君        人事院総裁    内海  倫君        内閣総理大臣官        房会計課長        兼内閣参事官   渡辺  尚君        北方対策本部審        議官        兼内閣総理大臣        官房総務審議官  橋本  豊君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        日本学術会議事        務局長      藤江 弘一君        公正取引委員会        事務局長     妹尾  明君        公害等調整委員        会事務局長    海老原義彦君        宮内庁次長    山本  悟君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        防衛施設庁労務        部長       大内 雄二君        沖縄開発庁総務        局長       関  通彰君        沖縄開発庁総務        議官       大岩  武君        沖縄開発庁振興        局長       藤仲 貞一君        外務大臣官房審        議官       都甲 岳洋君        外務大臣官房外        務参事官     斉藤 邦彦君        外務大臣官房会        計課長      林  貞行君        外務大臣官房領        事移住部長    谷田 正躬君        外務省北米局長  北村  汎君        財務省中南米局        長        堂ノ脇光朗君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        外務省情報文化        局長       三宅 和助君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省貿易        局長       杉山  弘君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省機会        情報産業局長   志賀  学君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁石炭部長    村田 文男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    藤原  享君        防衛庁防衛局運        用第二課長    上田 秀明君        防衛庁経理局会        計課長      源氏田重義君        防衛施設庁総務        部調停官     宇都 信義君        防衛施設庁施設        部首席連絡調整        官        近藤 孝治君        防衛施設庁施設        部連絡調査官   八木  秀君        防衛施設庁施設        部施設管理課長  伊部 元康君        防衛施設庁施設        部施設保障課長  甲斐 三郎君        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課防災環境        対策室長     千々谷真人君        環境庁自然保護        局企画調整課長  佐々木喜之君        法務省民事局第        三課長      青山 正明君        文部省体育局ス        ポーツ課長    戸村 敏雄君        労働大臣官房参        事官       増田  実君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君        会計検査院事務        総局第五局長   中村  清君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      荘   清君        中小企業信用保        険公庫総裁    谷敷  寛君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   岩瀬 義郎君        地域振興整備公        団理事      坂井 清志君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月十六日、柄谷道一石及び関嘉彦君が委員辞任され、その補欠として三治重信吾及び井上計君が選任されました。  また、去る四月十七日、木本平八郎君が委員辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。  また、本日、杉元恒雄君が委員辞任され、その補欠として柳川覺治君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、内閣総理府本府、外務省通商産業省沖縄開発庁中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     —————————————
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょう、通産大臣が十時半からいなくなると、こういうことでありますから、まあ本当は順序立てて質問をして、最後のところに通産大臣大臣見解を聞くのが質問の常道なわけでありますけれども、いろいろやりくりしましたがどうにもなりませんで、ちぐはぐになるかもしれませんがお願いいたします。まず最初に、有明事故について、私は二月三日の決算委員会で約七点にわたって具体的な質問をしたわけでありますが、当時は調査中ということで一切具体的な問題について回答をしてもらえませんでした。しかし、三月十二日、調査委員会中間報告が出ておるわけでありますから、この中間報告について具体的に聞きたかったわけでありますが、途中は大臣がいなくなったら通産省に聞くとして、この大臣諮問機関である調査委員会は、私は公正妥当な委員会だ、こう思いたいのでありますが、同時に調査段階でも、関係者はもちろん労働組合、あるいは関係労働者からも十分に意見を聞いた上で作業が進められると、そういう委員会性格について、大臣の直接諮問機関でありますから、そういう私の理解に間違いあるかないか、ひとつ端的にお答え願いたい、こう思います。
  8. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) もちろんこの調査委員会は公正妥当な性格のものでございまして、中間報告段階であのような報告書が作成されたのでございますが、今後さらに最終的には十分精査した報告になるものと私どもは確信いたしております。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この有明事故類似事故再発防止日本で一、二番と言われるこの有明炭鉱でもこういう事故が発生したわけでありますから、それ以下の各炭鉱ではなおさら大変だと、こう思うのでありますが、この中間報告を受けて対応策などが幾つか出ておるわけでありますが、それらを含めて再発防止について大臣として基本的にどういう考えを持っておられるかお答え願いたいと、こう思います。
  10. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 政府といたしましては、鉱山保安の確保という問題が何よりも一番大前提であると、いわば生産よりも保安が第一であるということでこの保安監督に取り組んでまいったのでございますが、このような大きな事故が発生したことはまことに重大なことであると認識いたしておるわけでございます。  私といたしましても、事故発生直後現地に赴きまして各担当の方々から子細にその状況報告を受けたのでございますが、非常に今思い出しましても悲惨なまた不幸なことであると大変残念に思っておる次第でございます。今後、かかる類似災害というものが起こらぬように私どもは万全を期して指導監督の強化に努めてまいる所存でございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この調査委員会調査報告書を読ませていただきました。しかし、これは三月十二日に出たわけでありますが、この調査報告書を見ますと、私が二月三日、七つの疑問という点で問題を提起した中身には多少触れている面もありますが、肝心かなめのところへ行きますと結論がぼやけているという点で、私から言わせればこの調査委員会中間報告というのは私の七つの疑問に答えていないとこう私は見ざるを得ないわけであります。  しかしこの三月の十三日ですか、これは炭労三池保安調査団がやっぱり同じ報告書を出しておるわけであります。したがって、この大臣諮問機関調査委員会中間答申炭労保安調査団、この調査報告書をこう並べてみますと、こちらの方はもうほとんどけしからぬと断定していると、調査委員会報告は何々と思われる、何々と疑われるという点で何かこう結論づくことはまだ早いのか、あるいは最終答申で出すのかしりませんが、私はこの問題からいってもう時間も相当たっていますから、この有明事故はいわゆる会社のずさんな安全管理原因であると、こういうふうに私は今でも思っておるわけでありますが、この会社のずさんな安全管理原因、いわゆる人災だと、私はこう見ておるわけでありますが、この中間報告を受けて大臣はこの有明事故責任所在人災か不可抗力の事故か、そこらについてどういう認識を持っておられますか。現時点における中間報告をいただいた大臣見解を聞かしてもらいたい、こう思います。
  12. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 私どもお願いした方たちの手によって中間報告を受けたわけでございますが、この中間報告を受けた今の段階で、これはいま少し気をつければ何とかなったのではないかという感があることは事実でございます。しかし、先ほど申し上げましたようにまだ中間報告段階でございますので、最終的な報告を受けて私どもは判断したいと思っておるわけであります。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると今の段階ではもう少し手を打てはなあと、もっと死亡者も少なく被害も小さかったのになあと思うけれども調査委員会でお願いしている段階であるから最終報告を見た上で今私の提案した問題に対する最終的な態度を決めたいと、そういうふうにもう少し時間かしてくれと、こういうことで受け取っていいですか。
  14. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) たびたび申し上げますとおり、詳細な事実関係というものがはっきりいたしました段階で私どもは判断したいと思っております。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから私は、この中間報告が今大臣が答えた原因それからその対応の仕方、火災原因対応の仕方、これについては何といいますか、読ましてもらっているんだけれども、本当にあいまいもこになっているんですね、これ。前段で公正妥当な人選だとこう言いますから信頼はしたいと思うのでありますが、この炭労保安報告と全然ずれ違っておる。こういう点になりますと、私はこの調査段階で、それでは炭労皆さん現地の実際の保安要員労働者皆さん、そういう方々から直接聞いた報告書なのか、あるいは会社側だけの意見を聞いた報告書なのか若干疑問に思うんですがね。同じ現地を見て歩くのにこの炭労現地報告調査委員会報告が食い違っているというのは、これはどういうことなんですか。この点はどういうふうに調整されますか。
  16. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 事故調査委員会現地調査、これは全体で入坑いたしまして二回調査をいたし、また、九州在住の一部委員が三回にわたりまして現地調査をいたしております。その現地調査は単に会社側から事情聴取をするだけではございませんで、労働組合監督局等からの意見聴取を行った上で、火災発生原因及び火災被害拡大の要因についてとりあえずの中間報告を取りまとめたものでございます。その意味におきまして、過日、衆議院の石炭対策特別委員会におきまして各関係組合の方も一応この中間報告については評価し得るという意見陳述を行っておりますことを申し添えておきます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから私はそういう総体論からくるから、大臣の決意はけしからぬですよ。あなた、そんな抽象論——私は一問一答であなたに私が二月三日に出した質問のその後の経過、あのときは調査中でありますからというので私は下がりました。でももう調査は終わったんですから、例えば第一発見者から消火の指示が出るまで十五分かかっていると、第一発見者から救助隊坑内に入るまでに何時間かかっていますか、二時間四十分から二時間五十五分かかっているんです。あの災害時、救助隊が入るのに二時間四十分から二時間五十五分もかかっておったら、それでなくても大変な事態ですから、完全に出火原因対応策がおくれている。それが会社保安体制でしょう。この問題は全然触れていないんじゃないですか。これは労働組合側は、ないよりはいい、ないよりはいいけれども、やはり炭労が調べたこれからによるとまだまだ不十分な点がある。だから、もう時間がありませんから、結論から言うと、それでは大臣ね、一問一答をやっている時間ありません、この中間報告とその後に出された炭労保安調査団報告最終報告をつくる際には、この炭労保安調査団調査内容についても十分に組み込んで内容を調べて、最終報告の際に加味して調査報告をつくる。そういう調査団作業についてはお約束できますか。これはこれだ、これはこれだとこういう別個のものじゃなくて、この炭労保安調査団調査報告書も含めて広範囲に検討して、最終報告をまとめるように通産省としては努力する、この辺ぐらいはいいですかね、いかがでしょう。
  18. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 最終報告書の取りまとめにつきましては、当然炭労報告書参考とされるものと私ども考えているわけでございまして、いずれにいたしましても、これはまだ捜査中のことでございまして、捜査が進むにつれ確実な調査が行われるでありましょうから、私どもはそれに基づきまして、厳正ないろいろな意味での追及もしていかなければならないと考えているわけであります。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、だから私は、公正妥当な人選だと言うから、広範囲に現地も調べる——時の局長は二回、三回調べると言ったんですから、中間報告保安調査団の食い違っている点があるんですよ、大臣。私は時間があれば、この点は政府委員どうですか、この点はどうですかと七つの問題を提案したんですから、七つの問題について、この中間報告の一問一答をやりたいんですよ。ところが、時間がないから一問一答はできない。だから、内容が浮き彫りにならない。だから、私は不満であるけれども、そこを一歩下がって、この中間報告とこの三池鉱山保安調査団中身専門家の方で一回チェックしてみて、そして、やっぱり食い違う点は食い違う点として、なぜこうなったのかということを含めて、やはり最終報告作業をする際に考慮してほしいというのが私の提案なんですよ。これでもだめですか。
  20. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) でありますから、私がたびたび申し上げておりますように、最終報告段階炭労のその報告書も当然検討の参考にされるものと思われますと、かように申し上げているわけです。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それ以上言ってもしようがありませんから、十分各界意見なり関係者意見を聞くと言っているわけでありますから。十分私もこの報告書を読んでみました。石炭対策特別委員会参考人を労使呼んで集中審議したそうでありますから、その議事録は追ってまた見せてもらって、七つの疑問についてどういう議論をされているか、また私なりに点検したいと思います。同時にまた、政府委員の方でも、私の七つの疑問についてはわかっているわけでありますから、これらの問題についても、石炭対策特別委員会中身も含めて後ほど内容のレポートなりあるいはレクチャーをしてもらえばさらに明らかになるな、こう思うんでありまして、政府委員のこの点に関する取り組みについて考えを聞かせてもらいたい、こう思います。
  22. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 御質疑いただきました七項目につきまして、後刻、御説明をさしていただきたいと思っております。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そういうふうにお願いします。  警察庁にお伺いしますが、警察庁はこの問題について、一月二十日、福岡県警福岡鉱山保安監督署が一体となって、業務上過失致死罪の容疑で合同調査に入ったわけでありますが、今日段階における警察捜査状況、それを現状だけ御報告願いたい、こう思います。
  24. 藤原享

    説明員藤原享君) 捜査を進めております状況でございますが、現在、保安施設の設置、管理作動状況その他多数の方の会社関係者から事情聴取等を行っております。  そして、今後の見通してございますが、非常に坑内危険性の高い悪条件下現場検証ということで、大変作業が難航しておるわけでございます。しかし、現状といたしましては、大体この発火元と見られますナンバー十のベルトコンベヤー付近のあたりを残すだけで、大体おおむね周辺の検証が進んでまいりましたので、今後その点について十分それらの検証を行いまして、過失有無及び刑事責任所在について明らかにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大体目安として、結論でいいんでありますが、調査を終わって、いつごろこの問題に対する断を下す見通しですか。
  26. 藤原享

    説明員藤原享君) 先ほども申し上げましたように、現場のこの作業の条件が非常に悪条件下でございまして、現在これについていつごろというふうにちょっと申し上げにくいというふうに考えております。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、これはもう実際操業を開始しているんでしょう。操業を開始しているというのに、労働組合が入っているし、調査委員会も入っているし、これだけ入っておったら、なぜ警察だけがそんな時間かかるんですか。何かどこか気を使っているんですか。警察警察として、これだけ証拠物件そろっているんですからね、もう少しやっぱりきちっとして、あと一カ月以内とか、少なくともこの最終報告が出るころには刑事責任所在という点を明らかにして、やはり本件問題に対する国民の疑惑なり、あるいは我我の疑問にきちっと警察当局がこたえるというぐらいの姿勢を持って、最低限最終報告が出る時点をにらみ合わせながらやはり結論を急いでもらいたい、こう思いますが、どうですか。
  28. 藤原享

    説明員藤原享君) お答えいたします。  現在進めております捜査を中心に、この過失有無とか刑事責任所在を慎重に捜査いたしておるわけでございますが、そういった問題につきましても、やはりこれは捜査としては極力早くそういった責任所在を明らかにしていかなければならないというふうには考えておりますが、現在のところ、先ほども申し上げましたように、ちょっとこの時期をまだ明確にするような段階には至っていない、こういうふうな現状でございます。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 世界に誇る日本警察ですからね、ひとつ余りよその方に気を使わないで、まあこれ以上言ったって、あなたは立場上わかりましたとは言えないでしょうから、これ以上追及しません。そこに法務大臣もおることだからね、やっぱり天下の正義の味方ですから、やはりきちっと努力してもらいたいということを要望しておきます。  大臣最後沖縄琉球セメント関係で、本当はずっと沖縄開発庁も聞いて、最後におたくに聞けばいいんですが、前段は後でやりますから、沖縄開発庁長官に聞きますから。  琉球セメントが、海洋博の前後から沖縄に本土からセメントが入りまして、労働者の解雇あるいは一時帰休などを含めて大変な事態琉球セメントが追い詰められているという現状にあるわけでありますが、前段の方は後でやりますから、この追い詰められている沖縄の地場産業、しかも地下資源を持っている地場産業ですね、この沖縄琉球セメントに対する対応について基本的な大臣考え方を聞いて、あと、具体的には大臣がいなくなったら関係政府委員から聞きますから、この問題に対する大臣の基本的な考えだけを聞いて、どうぞお立ちください、こうお願いするんですが、琉球セメント対応についてお願いします。
  30. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) セメント業界が非常に困窮した状態であることは今さら私が申し上げるまでもございませんが、この沖縄の問題につきましても、今後構造改善を鋭意進めまして、この困窮した業界の救済に基本的に当たることを申し上げる次第でございます。  詳細につきましては、政府委員から答弁させます。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、琉球セメントの問題について、基本的に地元の要望などを含めながら、構造改善も含めて努力したい、内容については政府委員と一問一答やってほしい、そういうふうに受けとめていいですか。
  32. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 結構であります。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、通産省にもう一つお伺いしますが、アルコール専売事業が、そこにいらっしゃる安倍外務大臣通産大臣当時いろいろ努力されまして、アルコール事業の専売事業部門が新エネルギー総合開発機構、NEDOに移行されてから一年有余たっておるわけでありますが、この新機構に移行した後の今日までのいろんな諸懸案並びに労使関係の申し合わせ事項、これらについて円滑に行われておるのかどうか、現時点における通産省考え方を聞かせてもらいたいと思います。
  34. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) アルコールの専売事業の製造部門につきましては、先生御承知のように、行政機構の簡素化及びアルコール専売事業の効率化を図る見地から、昭和五十七年の十月一日に新エネルギー総合開発機構、NEDOと言っておりますが、これに移管をされております。移管後の事業経営についてでございますが、販売、流通規制部門は通産省で所掌をいたしまして、製造部門はNEDOに移すといういうことでございまして、その双方の密接な連携のもとに、工業用アルコールの円滑な供給というアルコール専売事業の目的につきましては順調に進展をしているというふうに理解をいたしております。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 移行のときの労使関係の申し合わせ、あるいは問題点の解決、もう具体的には言いません。それらの問題についてもほぼ協定どおり移行されているかどうか、確認を求めます。
  36. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 移管の際に特に問題になりましたのは、現業公務員でありましたアルコール専売事業の職員の扱いでございますが、これにつきましては、一部は通産省の非現業公務員の身分を取り、その他がNEDOの職員の身分を有するということになったわけでございます。これにつきましては、通商産業省及びNEDO双方につきまして現在円満な労使関係を維持しているというふうに理解いたしております。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひ今後も、向こうの機構に移行した方々についてはそれなりの多少の心配もあるようでありますが、今報告された移行当時の申し合わせということをひとつ新機構も守ってもらいたいし、あるいは通産省も常にそういう点では助言、指導ということをやってもらいたいということを要請しておきます。  次に、この法改正の際に、アルコールを新エネルギーとして利用するためのバイオマス開発を十分やるようというような附帯決議ができておるわけでありますが、この附帯決議の関係が今日どうなっておるか、そして将来についてこの附帯決議のこの趣旨を生かすように新機構並びに通産省で助成されておるかどうか、この辺の事情をひとつ聞かせてもらいたい、こう思います。
  38. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 当時の国会の附帯決議の御趣旨に沿いまして、農林産廃棄物、こういうものを中心として原料といたしましてアルコールを生産する技術開発を行う、このために通産省では五十八年度から予算を計上いたしまして新エネルギー総合開発機構が中心になって実施中でございまして、これは五十八年度から七カ年計画ということで行っております。予算額は五十八年度が約二億三百万円、五十九年度が三億八千四百万円が計上されております。このような農林産の廃棄物につきましては、こういうものを原料といたしますアルコールは、我が国のようにエネルギー資源が非常に乏しい国にとりましては貴重な国産燃料である、かつまた未利用資源の有効利用ということからも極めて意義のあることであるというふうに考えておりまして、今後とも開発に意を用いてまいりたい、かように考えております。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんから、この問題については、例えばミカンからアルコールをつくるとかいろんなことが言われておるわけでありますが、そういう日本の国産品ですね、あるいは国産資源を利用して新しいエネルギーを開発すること、そういうことについては、今一例を挙げられましたが、それらの問題を含めて今後さらに努力をしてもらいたいということを要望しておきます。アルコール結構です。  それからついでに、じゃ琉球セメントの問題出ましたから、セメントの関係をちょっとお伺いいたします。  それで、沖縄開発庁にお伺いしますが、昨年の九月二日、県議会の経済労働委員会で、名護市議会の陳情について議論したという新聞記事が載っておるわけでありますが、この県議会の経済労働委員会で名護市からどういう陳情が出でどういう議論をされたのか、おわかりだったらお教え願いたい、こう思います。
  40. 関通彰

    政府委員(関通彰君) ただいま御質問のございました琉球セメントの問題につきましては、琉球セメントは昨年も操業率が六六%程度で、かなり生産調整をしている状況にございます。このため、御質問のございましたような地元の県議会等におきまして、琉球セメントの経営の健全化につきまして各方面に陳情を行っているというぐあいに私ども承知いたしております。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、その六六%の操業を打開するために、具体的に一番近い名護市議会が請願をして議論しておるんでしょう。その議論の内容がどういう内容ですかということを聞いておるんですよ。
  42. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 沖縄開発庁、直接名護市からの陳情を受けておりませんで、開発庁といたしましては具体的な内容を承知いたしておりません。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 名護市から聞いてないなんて、あなたちゃんと新聞もあるんでしょう。私のところに、名護市の市会議員で私の友達がおるわけでありますが、こういう三つの点を軸にして今やっているから、目黒議員も頼むと私の同僚から言ってきました。  じゃ、私が申し上げます。一つには、公共工事に琉球セメントを使うことを徹底してほしい。二つ、県産品優先使用条項のうち、セメントの項に琉球セメントを指定をしてほしい。三つ、県内セメント製造業者の育成を図るため、本土大手セメント製造業に対し、県内供給量を自粛するよう行政指導をしてほしいと、これが三点じゃありませんか。  沖縄開発庁沖縄を扱って二次振をやろうとしているときに、二次振のポイントは何でしたか、二次振の法律のときに大分やったでしょう、沖特の委員会で私も約二時間近く。その中で琉球セメントというのは大事な地場産業でしょう。その地場産業がどういう動向にあるかということを開発庁が知らないようでは、沖縄開発庁何をしようというのですか。私の言った三つ間違いありませんか。確認の方法ないですか。
  44. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 名護市議会から具体的な陳情を受けておりませんので、私ども確認できないわけでございますが、御趣旨はお示しのような趣旨で各方面に陳情が行われているものというぐあいに承知しております。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、逆に聞きます。  沖縄の今扱っているセメントの需要と供給のシェア、昭和四十五年度から五十七年度まで、どんなふうになっていますか。
  46. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 沖縄地区におきますセメントの需給状況でございますが、四十年代にかけて逐次増強しておりまして、四十八年には、これは海洋博等の準備もあったかと思いますが、百万トンのオーダーに達しております。そしてその後五十四年百三十数万トンまで全体としては増加いたしましたが、その後公共工事の頭打ち等々の事情もございまして、現在は百十数万トンというオーダーで推移しております。そしてその中で琉球セメントのシェアでございますが、四十年代の当初には五〇%を超えるシェアがあったようでございますが、先ほど申しましたように、百万トンというふうに需要が増強いたしました際に本土からの企業の新規参入というようなこともあったようでございまして、その後のシェアは三七、八%というふうになっておるかと思います。全体的に需要がここ数年低迷しておりますので、琉球セメント自身の供給量も若干低下はいたしておりますが、シェアについて大きな変動というものは見受けられないというのが現状と理解しております。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 沖縄開発庁ね、聞いていてくださいよ。大体昭和四十七年当時はシェアは日本セメントが一八%、小野田が二〇・二、三菱系が一・五、琉球セメントは六〇あったんですよ。その後三菱が今言った海洋博関係沖縄に上陸いたしまして——上陸と言っちゃ変でありますが、沖縄に上陸いたしまして、大体四十九年当時は日本セメントが下がって一八・九、小野田が一九・三、沖縄上陸した三菱がぐっと上がって二一・六、それで琉球セメントは四〇・一と、こうやられちゃって、それで今通産省からあったとおり、五十七年の百二十万トンの段階では日本セメントが二一・一、小野田が一七・二、三菱が二二・四、琉球セメントが三八・五、というふうにどんどんどんどん、日本セメントも小野田の方も苦しいけれども、三菱に進出されまして、その分だけ琉球が食われて三菱の方がどんどん伸びていく、琉球セメントがどんどん下がっていくと、こういう現状で推移しておるわけですね。  ですから沖縄開発庁ね、こういう現状を見た上で、先ほど通産大臣が地元の問題ということを言った際に、沖縄開発庁としてはこの現状についてどういうふうに、この地場産業を守るための施策が必要だということを第二次振興の経過を含めてどういうお考えを持っているか、これは開発庁長官だね、もう事務官じゃだめだ、開発庁長官に、二次振の大婚な関連ですから、第二次振興ですね、この関係で。私もあのときは琉球セメント、電力、それから船舶、観光、これが沖縄の大事な産業だと言って提起したことも覚えていますから。こういう琉球セメントのシェアの減退というものについて沖縄の長官としてどういう考えを持っているか、長官の見解を聞かしてもらいたいと、こう思います。
  48. 中西一郎

    国務大臣(中西一郎君) お話のとおり、経過については先生御心配しておられるのもごもっともだと思います。そういったようなことで第二次振興計画に入っておりますので、我々としては地場産業の育成強化ということは大きな椎としてぜひとも前進させてまいりたい。ただ、スケールメリットといいますか、競争力というようなことを考えますと、やはり近代化、合理化を進めていく必要があるのではないか、琉球セメント自身にも努力をしてもらわなきゃいけないと思いますが、お話のように、地場産業の育成というのは何といっても沖縄にとっては重要な政策員標でございます。いろんな意味合いでの近代化、合理化、そして体質改善、そういったようなことを進めまして、生産性の向上を図りながらシェアの拡大を図っていくということに努力を傾注すべきである、そういった努力をいたしたい。通産省の方でも沖縄振興開発金融公庫でもいろいろ努力をしていただいておりますが、一層の努力をお願いいたしたいと、かように考えております。
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私は会社から、組合からも資料をもらっているんですが、会社側からの近代化あるいは合理化、構造改善、技術開発、そういうことについてはやっぱりそれなりに私は一生懸命努力していると思うのですよ、琉球セメント皆さんも。それだけではどうにも対抗できない、やっぱり本土の大手の沖縄上陸、これにやっぱりある程度目を向けないと、沖縄の地場産業というのはやっていけないという厳しい現実については長官はどういう認識を持っていますか。私も何回か沖縄へ行っていますから、北方の一番端の鉱山も何回か私も訪れています。その鉱山を見ますと、やっぱり今大臣の育ったことは当然やっています。それだけではどうにもならぬという沖縄の苦しい現状について、所管大臣としてはどういう認識を持っていますか。
  50. 中西一郎

    国務大臣(中西一郎君) お話のような事情はよく理解できるところでございます。といって、やはり地元の琉球セメント自身により一層の努力をしていただくということがございませんと、平均的なといいますか、安いセメントが使えるのに本土から入ってくるのを阻止したために、沖縄全土が高いセメントを使わなければいけないということになってもまた困るわけで、そういったような間の調整を図りながら努力をしていただき、不当な競争条件でもって何といいますか沖縄に進出してくるというようなことがもしあるとすれば、それはそれで我々としても大いに関心を持って十分留意して対処したいと、かように考えます。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の調べたところでは、沖縄に入っている大手、やっぱり前からあった日本セメントは全体の会社の生産量のうち沖縄に入れているのは二・三%ですね、会社全体の二・三%、昭和五十七年も二・四%。小野田セメントは全体の一・七%、五十七年は一・九%。海洋博で途中上陸した三菱は全体の二・五%、五十七年も二・五%。大体大手の一%から多いところで二・五%。それから琉球セメントは丸々ですね。そういう現状なんですよ。  それで私はいろんな文献を見ているうちに、いわゆる沖縄復帰前に、当時の琉球政府琉球セメントを守るために、やはり当時の輸入二社であった浅野セメント、小野田セメントに沖縄に対する自主規制をお願いして、そして沖縄琉球セメントが大体五〇%程度のシェアは守れるように大手会社の協力をお願いしたいということを、協力をお願いして、当時の琉球政府が、それを小野田セメント、浅野セメントがこれにオーケーのサインを送って、それで地場産業あるいは地場の資源である琉球セメントを守り抜いた、こういう実績があるんですがね、実績が心  ですから私はこういうかつての実績を考えますと、現在の段階でもこの二%前後の大手のセメント、三大セメント——日本セメント、小野田セメント、三菱セメント、この方々がやっぱり一割前後、私の計算では一〇%協力願いますと七万トン、一五%協力願いますと十万トン、琉球セメントは適正操業ということで関係方面に請願をしておるところは大体五十五万トン体制、五十五万トン体制を確保できれば解雇もしないし、一時帰休もしないで何とか地場産業を守っていけると、こういう請願をしておる点から見ますと、私はやっぱり今通産大臣と開発庁に、この大手の皆さんにもう少し沖縄の地場産業を守るために御協力願えないかということを、通産省通産省なりにいろんな審議会がありましょうから、そこでお話しするなり、あるいは開発庁長官は開発庁長官としてこの三つのセメントの大手にお願いすると、そういう努力というものをぜひしてほしいなと、もちろん会社の、大臣の言うとおり、内助努力は当然でありますが、そういうことについて通産省と開発庁長官考え方についてお答え願いたい、こう思います。
  52. 中西一郎

    国務大臣(中西一郎君) 御要望の趣旨あるいは背景については十分理解できるところでございます。産業政策としてどこまで行政介入ができるかというまた難しい問題もございます。といってほっておくわけにもまいりません。そういったようなことで通産当局ともよく相談をいたしたい、かように思います。
  53. 黒田真

    政府委員(黒田真君) セメント産業全体が現在ピーク時に比べて十数%の落ち込みをしておりますので、各セメント会社がいろいろ困難に直面し、努力をしているという状況にございます。琉球セメントの場合も同じような状況にあるかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、セメント製造業というものを特定産業構造改善臨時措置法の指定業種にいたしまして、この際セメント製造業の構造改善を思い切って進めるということで、業界挙げて取り組んでおるところでございまして、そういった取り組みの中からできるだけ問題を解決していくべきだと、かように考える次第でございます。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 労働省来てますね。この琉球セメントは、去年でしたか不況業種に指定されて、琉球セメントも助成金の対象ということで、どの程度の助成金を今まで実績としてありますか。
  55. 増田実

    説明員(増田実君) 琉球セメントの屋部工場におきまして、雇用調整としまして五十八年の二月と、それから四月に二度にわたりまして休業が実施されております。これに対しまして雇用保険法に基づきます雇用調整助成金制度によりまして、これは国が事業主の支払った休業手当の三分の二を助成するということでございますが、休業規模が二回合わせまして二十七日間、延べ千四百十六人日でございまして、金額にしまして八百六万でございます。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 琉球セメントは大体従業員三百、関連産業が三千、大体三千二百人の労働力を持っている。そういう点から見ますと、やはり沖縄の雇用情勢から見ると八%前後の波及効果を持っていると、こういう企業だと、こう我々は理解するわけであります。労働省も御存じのとおり、沖縄の失業率というのはもう最悪でありまして、全国平均が五十七年度で見れば、全国が男が二・四に対して五・一%、女が二・三%に対して四・七%、約倍。五十八年度も、これは速報ですから若干正確欠いていますが、全国が二・六、沖縄は五・八、もう二倍以上の失業率を持っているという点で雇用情勢は極めて悪い、こう思うわけであります。したがって、雇用情勢が悪いことも踏まえて、答弁は要りませんが、沖縄長官、ひとつ雇用面からもこの問題は放置できないということで最大の努力をしてもらいたい。できれば今月の二十七日ですか、二十七日に沖縄対策特別委員会を開くという通知をもらっていますから、その沖縄対策特別委員会ではもっと具体的に細い数字をつかんで一問一答やりますから、政府委員の方の事務局の方も冒頭申し上げた那覇の請願受けてないなんという、そんな冷たいこと言わないで、沖縄全体の動きがどうなっているかということをやっぱり開発庁の事務局がとらえていないで、何を沖縄この問題、大臣にまでやれますか。ですから、二十七日の特別委員会でじっくりやりますから、このセメント、電力の問題、雇用の問題、医療の問題、こういう問題に対する情勢をきちっと沖縄開発庁でつかんでもらって、より一層具体的な答弁ができるように要望しておきまして、この琉球セメントの問題はこの辺で終わります。答弁は要りません。  次に、総理府の国鉄再建監理委員会来ていますか。——一点だけお伺いします。  国鉄再建監理委員会が運輸委員会とか委員会になかなか出てこないんですが、一つだけお伺いします。  現在作業をやっておるんでしょうけどもね、一つは、国会の運輸委員会、予算委員会決算委員会、社労委員会で国鉄問題については幾つかの議論をして、与党も含めて申し合わせている事項あるいは見解の違う事項あります。そういう国会の今までの国鉄なり運輸政策に関する論議なり申し合わせについて、監理委員会はどのような方法で我々の意見を吸い上げてくれるのか、どういう申し合わせになっているのか。具体的に言えば委員長以下委員が必要な場合には、最も中心になるのは運輸委員会ですから、運輸委員会に出てきて、やっぱりそこで議論を聞く、議論の内容を国民全般に国会の場を通じてアピールするということなのか、もう極秘裏に国会の論議は国会の論議としてやるのか、そういう基本姿勢について一体国鉄再建監理委員会の亀井委員長以下の諸君は、忙しい忙しいばかり言ってさっぱり出てこない、どこにも。この前ちょこちょこっと予算委員会に出てきたきり。最も政策論をやる運輸委員会に出てきてもっと端的に与党、野党の議員の意見を聞くべきだと、こう私、思うんですが、国会との絡み合いをどういうふうに理解すればいいんでしょうか。
  57. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 国鉄再建監理委員会、昨年の六月に発足以来毎週二回のペースでかなり精力的にいろんな勉強を現在進めております。現在やっておりますのは、基礎的な国鉄の実態についての分析検討ということが中心でございます。  そこで監理委員会は、それぞれ御承知のとおり非常勤の委員でございまして、それぞれ本来の仕事を持っておられる方で大変忙しい方ばかりでございます。したがいまして、そういう方々、無理をお願いして週二回のペースで審議をお願いしているわけでございますけれども、決して国会の議論を私どもとして無視をしているわけではございませんで、過去の勉強の段階におきましても、国会においてどういう議論が過去において行われたかというふうなことについても十分勉強しながら審議を進めておるということでございます。現在そういう基礎的な勉強の段階でございますので、ただいま申し上げましたようなことで審議を進めておるわけでございますが、将来またその議論の段階に応じまして国会との関係いろいろ検討してまいりたいと、このように考えております。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、関係団体の意見を聞くということになっていると思うんですが、私が伺ったところでは、国労、勤労から——ほかの組合もあると思いますが、一時間程度ディスカッションをしたということは聞いておりますが、しかし時代の進展を含めて国労、勤労あるいは関係者組合においてもいろんな真摯な議論をしているわけですね、国鉄の再建をどうするかという問題については。そういう問題については今後とも委員会のところで直接そういう申し入れがあれば私は話を聞いてもらいたいと、こう思うんです。例えば、この前四月の十四日、勤労北海道が提案したいわゆるローカル線第一次、第二次、北海道大変ですね、三六%。これは自民党から共産党に至るまで全国会議員反対、横路知事以下田舎の村長さんまで反対、議会も反対、オール北海道が全部反対、こういう中で北海道は深刻な局面に立っているわけですよ。その中で勤労の皆さんも、こういうパンフ見たと思いますが、この前国鉄通じて。いわゆるローカル線を守るためにこういう方法でやろうと、ワンマンカーもやむを得なかろうと、あるいは廃止の路線についていろんな運営のあり方については、少々労働条件の問題についても無理を言わないと、場合によっては切り下げになってもやむを得ないと、運転も切符切りも車両の検修も信号も清掃も全部運転手がやろうと、そうまでそれぞれ折り下がって北海道の一次、二次の廃止路線を守っていこうと、そういう大胆な提案をしているんですよ。こういう問題についても、やっぱり私はマスコミに聞くんではなくて、こういう提案をした、特にここにも来ていますが、もうこういう足尾線を守るためにと、随分細かいことを書いてあるんです、これは。これは組合が足で歩いて全部、地元はどう思っている、こう思っておると回そういうものを承知をしておれば、やっぱり監理委員会として提案があればじかにやっぱり話を聞くと、あるいは議論をすると、そういう私は真摯な気持ちも監理委員会にあっていいと、こう思うんですが、こういう際にはやっぱり生の声を聞くという点でぜひ、あなたは事務局次長ですから、やはり国会で亀井委員長に対して、こういう提案についてはひとつ基本的に聞いて、いいところは取り上げていくと、あるいは悪いところは修正を求めると、そういう積極姿勢があっていいじゃないかと、こう思うんですが、監理委員会としていかがでしょうか。
  59. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私ども国鉄再建監理委員会としましては、やはり具体的でかつ実効性のある結論をまとめるということが基本的な命題でございますので、課題でございますので、したがってそういう見地に立った場合に、できるだけやはり幅広く各界の御意見もお伺いするということを基本姿勢にいたしております。したがいまして、昨年の秋、九月から十月にかけまして各方面からいろいろ御意見を伺った中に、例えば国鉄の五つの主要組合の代表の方々にも来ていただきまして、九月から十月にかけて約三回にわたっていろいろ御意見を伺っております。その段階では、関係労働組合から国鉄再建に関する提案というふうな冊子等も配付をされまして、その冊子についての御説明も伺っておるというふうなことを過去においてやっております。もちろん、今後、これから検討の進みぐあいに応じまして、その段階に応じてさらにまた各方面から御意見を伺うということも当然今後検討しなきゃならぬと思いますし、その際には関係労働組合からまたそういう積極的な建設的な御提案等がございましたら、十分そういうことについても御意見を伺っていくと、こういうことについて十分検討してまいりたいと、こう考えております。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 今までの運輸委員会でも大臣なり総裁なりあるいは関係者の方でもその問題はその問題として受けて、現在の政令の関係もあるだろうし、あるいはいろいろな運転法規の関係もあるだろうし、あるいは信号保安関係もあるだろうし、そういう諸法規の再検討ということも必要であるけれども、前向きに取り組んで、北海道に起きている問題についてその対応ができるのかできないのか、少し真剣に検討してみようという大臣答弁と総裁答弁を受けているわけですよ。しかし、一番国鉄に対してのかぎを握っているのが国鉄再建監理委員会ですから、国鉄再建監理委員会に入って議論しないことには、私は、こういう提案もやはり犬死にをしてしまうと、こういうことを心配するものでありますから、ひとつ、今、事務局次長が提案があれば具体的に検討すると、こういうことでありますから、ぜひしかるべき機関から監理委員会に出て提案をし、申し入れをした際には誠意を持ってひとつその可能性について検討してほしいということでありますが、約束できますか。
  61. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今後の審議の発展の段階に応じまして、状況に応じまして検討さしていただきたいと思います。
  62. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そのときにまた、申し入れた時点でまたそういうことで取り組んでもらいたいということを要望します。  最後外務省関係で、米軍厚木基地における米空母艦載機の夜間訓練の問題について、大手商社、これは言いません、一月二十日に私は決算委員会でこの問題を取り上げてやったわけでありますが、その後三宅村の情勢が逆転いたしまして、この前の新しい選挙を受けて十三対一でこの三宅島の、訓練の代替地は引き受けないということを村の村議会が十三対一で決定しておるところでありまして、これは一月二十日の委員会の提案がやはり功を奏したと、こう私は理解をしておるわけでありますが、何か四月十八日の新聞によりますと、防衛施設庁は公式に、この三宅島に夜間訓練の設備について公式にお願いしたと、こういう報道があるんですが、これは事実でしょうか。  村全体が十二対一で絶対受けつけないとわかっていながら、ぬけぬけとまた防衛施設庁が三宅島に出ていくというのはどういうことなんですか、これは。これは通告しておりません。これは本当かうそか教えてください、防衛施設庁。
  63. 千秋健

    政府委員(千秋健君) お答え申し上げます。  三宅島につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、昨年十二月三宅村議会におきまして官民共用の空港の誘致決議があった後、あと一月には反対決議、さらに二月の選挙がありました。そういう経過を経まして、実はこの三宅村長さんが昨年来病気で公務を離れておったわけでございますが、そういう中で施設庁としましていろいろ厚木の代替訓練所問題につきまして三宅島の絡みでいろいろお騒がせしましたので、村長さんが健康を回復されまして、村長の職務に復帰されたということもお伺いしましたので、三月の定例議会終了後、東京防衛施設局長がごあいさつに伺ったわけでございます。これもそういうことで健康を回復され職務に復帰されたというお祝いと、昨年来のいろいろ御迷惑をかけましたことにつきましてのごあいさつと、そういうことであったわけでございますが、この村長との会談が事前に村の方で広がりまして、村の方では反対住民等がこの面会の日に役場に押しかけるとか、そういうことで非常に村の反対の空気の中で村長さんとお会いしたということでございます。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あのね、少し住民の心を大事にしてくださいよ。そういう病気見舞いと言ったって結局、三宅島の大災害で非常に住民の心が困っているときに、それにえさをくれるようにやって釣って、私が国会で取り上げて問題になったらわかってこれで選挙を通じて賛成が一名、反対が十三名でしょう。それ最も近い選挙でわかった、そのときに病気見舞いなんて美名を使ってぬけぬけと乗り込んでいくその感覚、人をばかにしている、その感覚を私は許せない。  そういうことであるから、自衛隊なり防衛庁なりが何ぼ国民の防衛庁と言ったって嫌われるんですよ。少しは民意をよく考えて行動してもらいたい、これだけ要望しておきます。これ以上言ったってあなたは答弁できないだろうな、あなたの権限では。そういう民意をばかにした防衛行政はやめてもらいたいということで強く言って、おきます。あえてやれば反対闘争組みます、私も。それだけ言っておきます。  それから、大臣、この三宅島に関連してFRW、浮体工法による滑走路施設、この問題について、これは衆議院でも問題になりまして我が党の大出俊が問題を出してやったんですが、このとき業界と日本政府の、当時の外務政務次官が介入して頭越しで何かちょびちょびやったと、こういうことについて質問をしているんですが、当時の政務次官はそんなことありませんと、こう否定しておったんですが、外務大臣、これはどうでしょうか。
  65. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今御質問の件につきましては、私も国会での質問を踏まえましていろいろと調査をいたしました。そして、当の、当時の政務次官、石川政務次官にも確認をしたわけでありますが、石川政務次官が造船業界関係者と米軍の間の会談を仲介をしたり、あるいはまた政府の要望として米軍と日本造船工業会との会談がアレンジされたというような事実は全くないと、こういうふうに言っております。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はここに、私は小学校だけでありますから横文字読めません。読めませんが、学のある人に注釈してもらいました。学のある人の注釈したところによりますと、このサインだけは自分で、ローマ字書けますからね、これは石川要三と石川政務次官自分でサインしていますね。サイン、これは文書のコピーですよ、本物の文書の。これを日本語で読みますと、フジ・エコノミック・プランニング社社長杉村彰彦博士を紹介いたします。杉村氏は在日米海軍の首脳との会見予定を取りつけるため、貴殿への訪問を希望しています。彼が訪ねた節は必要な援助をいただけるとありがたいと存じます。  これは米軍に対するこのFRWに対するいわゆる橋渡しの外務次官のこれは公式の文書か私の私信かは知りませんが、まあ靖国神社の中曽根さんの公人私人の違いじゃありませんが、外務次官石川とサインをしている以上は、やはりこの問題に対して業界の方で頼むよということでやった書簡じゃありませんか。この書簡そのものを石川さんが否定しているんでしょうか。認めているんでしょうか。認めるけれどもこれはこういう意味だと、こういうことを言っているんでしょうか。この点、大臣いかがでしょうか。
  67. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この紹介状は非公式かつ私的な紹介状である、こういうふうに承知しておりますが、具体的には事務当局からお答えをさしていただきます。
  68. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま大臣から御答弁をされましたように、この紹介状は、当時の政務次官が個人的な資格で行ったものであるということを石川当時の政務次官から私どもは確認をいたしております。なお、石川政務次官が、その今御指摘になりましたDFS、民間産業コンソーシアム設立委員会事務局長と個人的な関係はあったということは事実のようでございますが、しかしあくまでもその紹介は個人的な資格で行うということを明確に本人に確かめた上でこの紹介状を出したというふうに、私どもは承知いたしております。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 個人であろうと私事であろうと、やはりFRWをもくろんでおる業界と接触して、この杉村さんを知っているということは接触しているということですね。接触しているということで、これは二千万か三千万、リベート幾ら来るか知りませんが、これは公人であろうと私であろうと、こういうものには常にリベートがつくんですからね。ですからこの書簡は認めたということは接触をしておったということには事実確認できるわけですね、個人であろうと公人であろうと。接触はしておって書面を出したと、個人であろうと公人であろうとにかかわらず、外務次官が書面を出したということは間違いないですね。
  70. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 全く個人的な資格で、大使館の担当官という、これは極めて抽象的な相手方の名前になっておりますが、そういうような紹介状を出されたということは、これは事実のようでございます。しかしまた同時に、それを受けましたアメリカの方も、私どもが確認をいたしましたところ、これは全く個人的な紹介状であるということとして受け取っておるというふうに言っております。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 個人的であれば、目黒朝次郎と書けば個人でありますが、参議院議員目黒朝次郎と書けばこれは公人ですからね、どんな格好にしようと。そういうことは、疑惑とか福島交通の問題を含めてそういう点がだんだん入ってくるあれですから。  それから大臣、ひとつ最後にしますがね、その問題は後で私たちが別途追及します。三月二十九日の衆議院予算委員会で、民社党の木下先生の質問に対して、四十八年ごろ小針さんから一億円を借りて、本年一月に利子を含めて二億円返済した、こういう答弁をしておるんですが、この関係は間違いないですか。
  72. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは個人と会社の貸借関係で、金利も含めて、期限が来ましたから全部完済はいたしました。
  73. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ことしの四月十二日の読売新聞を見ますと、世田谷区代沢一丁目の九百九十五平方メーターの問題について、土地のやりとりについて記事があるんですが、この立派な不動産のこれが、大臣が購入をして福島不動産に転売して、それが小針氏にまた転売されて、それでまた小針氏の女婿の山田福島交通専務理事に転売されている。二億円から一億円、こういう点があるわけですが、この記事と今大臣が衆議院で答弁した、一億円借りた、この問題とのかかわり合いはあるのかないのか、結論だけで結構ですから聞かしてもらいたいと思います。
  74. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私の財産の処分を業者である不動産に頼んで、それでいろいろと貸借関係ができまして、足らない分を借りたり、それから随時払っていったりなんかしまして、最終的には完済したわけで、十年前のことですから、私の手を離れてからどうなったかというのは私は全く知りませんし、借金が残っておりまして、それは累次払ってもいきましたが、最終的には今般払ったということで完全に決済は済んでおりまして、これはもう適法にやってきた全く個人的な問題でございます。
  75. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、私も田中問題などを知って、安倍外務大臣は政界を浄化するという点では新しいニューリーダーで頑張っておる方ですから、私はそれなりに尊敬をしておるわけでありますが、しかし我々の調査で福交グループが日債銀から十年余りで、私の調べでは十年前がたった九億。たった九億、金を借りたのが。現在は七百億。幾何級数的に借りているわけですね。これはそんなに福島不動産なり小針氏に財産があったんだろうかといって調べてみますと、担保になるだけの財産がなかなか見当たらない。見当たらないけれども七百億ぐらいは融資されていると。これは本当に、私は言葉は悪いが政治担保、政治家が中に入って、政治家の口ききでお金を貸している、お金を借りている、そういうことになっているんじゃないかという疑いを持つわけであります。でありますから、大臣国務大臣として銀行を管理指導するという責任がありますし、国税庁という機関もあるんですから、やはりこういう疑惑については政府みずからもやっぱりその真相を明らかにして過ちのないように、疑惑については国民に明らかにする、そういうやっぱり大臣なり政府としての積極姿勢が欲しいなと。また、そうあるべきじゃないかなと。田中さんの問題は責めたけれども、こっちの問題はパァパァじゃ困るから、やっぱり一貫した指導性が欲しい、こう思うんですが、国務大臣として、この現在の福島交通のいろいろな疑惑について、どういう基本的な態度をもって臨んでいるか、考えを聞かしてもらって質問を終わりたい、こう思うんです。
  76. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) おっしゃるとおりでありまして、やっぱり我々政治家、特に私も国務大臣を長くしておりまして、それなりにやはり自分の身を正さなければならないと常に心がけておるわけでございます。そういう中でいろいろと世間でおかしいじゃないかと、こういうふうに言われたりして大変私自身も反省もしておりますが、私自身としては個人的な問題についてはもうきちっとあくまでも適法に処理しておる、全くのきちっとしたものであるという確信はもちろん持っております。  また、さらに小針氏と私は個人的にも親しい関係にあることは事実でございますが、しかし事業とは何ら私、関係もございませんし、また、我々が今の立場は別にしまして十年前のまだペイペイのころ、そうした事業に関連をして銀行との間に入るとか入らぬとか、そういう立場ではありませんし、また、そういうことで大きな金が動くなんということは日本の経済、金融の情勢ではあり得ないと私は思っておるわけでございまして、いずれにいたしましても、私自身もいろいろと今後とも十分気をつけまして持さん方にいろいろと御迷惑をかけることのないようにしなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。
  77. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、去る一月の決算委員会で池子弾薬庫につきましての埋蔵文化財だけについて既に質疑をいたしましたけれども、きょうは日米地位協定の元締めでいらっしゃる外務大臣あるいは緑化運動を推進しておられる総理府総務長官がいらっしゃるので、環境とか土地の権利関係とかその他残っております幾多の疑問の点について御質問したいと思います。  池子弾薬庫は御存じのとおり、非常に広大な森林地帯でして、総面積約二百八十八万平方メートル、つまり、皇居と明治神宮内苑、外苑を合わせてすっぽり入れてまだまだたくさん余っているという非常に広大な土地でございます。逗子市の一四%を占めております。これが昭和十三年、戦前に旧海軍が接収しまして地下に弾薬庫を建設いたし、戦後は米軍が接収しまして、自来、人の手を入れない形で五十年近くも自然回復、自然が保全されてまいったわけでございます。ところが、最近、昨年からこの土地に米軍の宿舎を建てる、それも八十万平米もの大規模な開発を行うというような計画が急速に具体化してまいりまして、山を削り木を切り倒すという状態が目前に迫ったような感じがいたします。そこで防衛施設庁の方では本年三月末までにアセスメント調査を業者に委託してやっておられるわけですけれども、その結果が発表されないうちに強引に地元に受け入れを迫るというような状態になってまいりまして、私どもまことに順序が逆なのではないかと憂慮しているわけでございます。  そこで、まず初めに環境庁に伺いたいんですけれども、環境庁では日本の自然環境基礎調査報告書、通称緑の国勢調査という調査を実施しておられますね。ここには、環境庁いらっしゃいますか。——この地域の池子に隣接するような土地で神武寺山というところがございますけれども、この植生は重要度がVという最高の重要度に指定されておりまして大変貴重な植生になっておるんでございますけれども、残念ながら池子地域については調査が全く欠落しておるのはこれはどういうわけでございましょう、環境庁お願いします。
  78. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) お答えを申し上げます。  自然環境保全基礎調査で、全国を対象といたしまして特定植物群落の調査をいたしたことがございます。全国の我が国の自然の中で人の手の入っている度合いに応じましてクラシファイといいますか、分類をいたしまして調べたものでございますが、その中にはおっしゃるような神武寺の周辺の森が挙がっておりますが、池子については挙がっておりません。これは、私どもが都道府県の方に依頼をいたしまして調べたものでございまして、そのような委託先、依頼先の御判断による分類によって行われたものというふうに考えております。
  79. 久保田真苗

    久保田真苗君 池子につきましては、ここがずうっと米軍基地でありますためにいかなる調査もなされておらないと思いますが、環境庁もなさったことはございますか。
  80. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 環境庁として調査をいたしたことはございません。
  81. 久保田真苗

    久保田真苗君 わずかに昭和四十五年九月八日、当時施設庁の御協力とそれから駐留軍の許可によりまして立ち入りをいたしまして、横浜国大の宮脇旧教授外何人かの方が植性調査をされたことがあります。これは非常に短時間の調査でございましたので、決して十分な、全貌が明らかになるというようなものではないと思いますが、しかしこの方たちの報告書を見ますと、大変目をみはるような秘境の連続であって——もっともこの当時は戦後二十五年の状態でございまして、今はもう戦後三十八年という状態でございますから、さらに自然度が高くなっているものと思われますけれども、当時でもこの地域一帯で最も自然度が高く、人間の干渉が停止されている状態の中でスダジイを中心とする常緑広葉樹林あるいは斜面にはイロハモミジ、ケヤキ林という三浦半島でも非常に数の少ない森林が発達しているということを観察しております。また、山間部の森林域は自然の重要度によりまして自然重要度Vの最高の自然林として人間の侵入、干渉を今後も抑え、これを保存することが必要だというような勧告もしておられるわけでございます。これが画一的にブルドーザーにより住宅化されるには関東地方一般に他に比を見ない、かけがえのない自然回復地として余りにも重要だ、ですから両一的な開発はぜひ避けたいと、一度破壊した後、これを回復するにどのように予算をつぎ込んでも五十年以上かからなければ復元は困難だろうと、このような大要の報告を出しておられるわけでございます。環境庁はこのような事実を御存じでしょうか。
  82. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) ただいま御指摘の逗子市によりますところの調査、この内容については承知をいたしております。  そのほか、最近地元の方々がいろいろ御調査に。なったもの、そういうものも承っておりまして、承知をしております。
  83. 久保田真苗

    久保田真苗君 地元の方からの調査によるいろいろな状況といいますと、どういうことでしょうか。
  84. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 直接、私ども調査をされた方から承ったわけではございませんが、非常に野生の鳥獣の生息が豊かであるというようなお話を承ったわけでございます。
  85. 久保田真苗

    久保田真苗君 特に、特筆すべきは鳥類の多さでございまして、地元の調査によりますと、私が伺い、また資料もいただいておるのでございますが、ここは鳥の天国だと言われております用地元の御調査は一九八三年、昨年の二月からこの一年間に日本野鳥の会の会員を中心とするバードウォッチングで観測されているわけでございます。非常に苦労をされまして周辺からこの池子の地域を観測しておられるわけですが、現在までに鳥の種類としましては三十七日八十一種類の鳥が確認されております。この中には、絶滅に瀕している鳥として特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律というもので特殊鳥類に指定されているものが少なくとも二種類——オオタカ、ハヤブサとございます、それが観測されておるわけです。また、天然記念物に指定されておりますオジロワシも確認されておるわけでございます。このように猛禽類が多数生息しておりまして、すぐ近くの二子山で——鳥が多いんでございますが、七十二回観察しても四種類の猛禽類しか発見されていなかったものが、ここでは既に十種類が発見されている。つまり、えさとなる小動物も多く、非常に原生的な自然体系に返っているために、このように猛禽類の生息が可能であると、こういう土地になっているわけでございます。  また、大変細かく申し上げるようですが、いかにも貴重なと思われますのは、冬はアオサギが渡来してまいりまして一遍に三十羽もこの地域で確認されております。神奈川県では一番多く水鳥の渡来する相模川河口ですらも、八年間に四点回以上観測してこのアオサギが発見されたのは最多時で二羽しか発見されないと、こういう記録がございます。また、日本特産の鳥といたしましてはアオゲラ、セグロセキレイ等がございますけれども、アオゲラは広葉樹林を生息地とするためにめっきり数が減ってしまった鳥でございまして、この地は日本特産の鳥の生息地として非常に重要な意味を持っていると、このように考えられるわけでございます。また、動物もリス、タヌキが確認されておりますし、かつて新聞にも報道されましたが体長一・五メートルの金色の毛をしたタヌキなどが見つかっている。また同様に、多種多様のチョウ類、昆虫類が生息して観測されているわけでございます。  環境庁では、これらの調査結果は信用できるとお考えだと思いますが、どうでしょうか。
  86. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 野鳥の観察会等がその周辺で開かれておるというようなことも伺っておりますし、そういう方々が観察をされましたという観察の結果に基づく記録であるというふうに考えておりますので、十分に信用できるものというふうに考えております。
  87. 久保田真苗

    久保田真苗君 そこで、仮に開発に伴ういろいろな打撃がこういうものに及ぶのではないかと思うのでございますけれども、今後これらの状態を調査し、あるいは保護するという立場から考えますと、それは一体どこの竹片あるいは地方自治体の責任になるんでしょうか。
  88. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 私ども環境庁の方で調査をいたしておりますのは、冒頭、先生が御指摘になりましたような全国にわたりますところの自然状況調査でございます。自然環境保全の基礎調査を今まで三回実施をいたしております。三回目はただいま実施中でございます。  そのほか、すぐれた自然景観でございますとか、国家的な見地から特別に保全をすべき土地の調査、こういうようなことは私どもの方で実施をいたしておりますが、それ以外のところのものについては特に私どもの方では実施はいたしておりませんで、現状では都道府県あるいは市町村の方の御調査ということに任せられているといいますか、そういうことに期待をしておるということでございます
  89. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、県に責任があって、環境庁はそれに対して何もするところがないわけでございますか。
  90. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) ただいま申しましたように、全国的な自然状況の保全の調査をいたしまして、その調査結果によりまして、特に全国的に見ましてすぐれた自然のものについて対策を講じていくというような地域につきましては、人手とお金の許す範囲で私どもの方で調査をする、かように実施をいたしております。
  91. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、県がこのような自然を保全する上で環境庁とのかかわりはどういうふうになっておるんでしょうか。
  92. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 制度的には、自然公園の制度及び自然環境保全の制度がございまして、それぞれの都道府県の地域の指定をいたします際に、私どもの方に御相談が来る場合もございます。それからまた、特別の規制をその地域で行います場合に御協議をいただきまして、私どもの方で関係各省との調整をするというような関連がございます。
  93. 久保田真苗

    久保田真苗君 環境庁の御責任のある点につきまして、何といっても自然保護の問題でありますし、まだ未調査と言ってもよろしいような貴重な自然環境の問題でございますので、環境庁とされましても、ぜひ都道府県とともにこの行方を十分見守り、必要に応じて手を打っていただきたい、こう思うわけです。  次に、総理府総務長官がおいでになりますのでちょっと関連して伺いたいんですけれども、中曽根内閣発足当時に、内政の主な柱の一つに緑化推進運動というものを掲げたことを記憶しております。  その後、中曽根内閣は行革に大変力を入れるといいますか、行革三昧におなりになって、そして今また行革の主な点を残して、大事な点はなおざりにされたまま、今度は教育問題に取りかかっていらっしゃる、こんなような状態でして、緑化問題の方はどこかへ行ってしまったような印象を受けているわけです。  この運動の決かといいますか、どのくらいの成果が上がっているのか、その点、伺いたいと思いますし、またこの運動の今後の見通しをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  94. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 緑化に関しましては、従来から関係省庁におきまして各般にわたる施策を講じてきたわけでございますが、昨年の三月、関係省庁が大変多岐にわたるというふうなこともございまして、緑化推進連絡会議というものを設置いたしたわけでございます。その目的は「国土の緑化に関し、関係行政機関相互の緊密な連絡を図り、もって総合的かつ効率的な諸施策を推進する」ということでございましたが、この緑化推進連絡会議におきまして、昨年の四月、緑化推進運動の実施方針というものを決定いたしまして、その旨、都道府県ないし市町村に対しましてその周知徹底を図ってまいったわけでございます。その後、この実施方針に基づきまして、関係各省庁におきましてこの緑化運動推進のための具体的な事業とか施策につきましてそれぞれ実施要領等を定めて、現在積極的にこれを推進いたしておるわけでございます。  この緑化推進運動は、発足以来広く国民の御理解と御協力を得て、私ども大きな成果を上げておると考えております。  昨年の秋に国土庁におきまして全地方公共団体を対象といたしました調査によりますと、緑化運動の実施状況は、前年度に比べまして極めて大きな伸びを示しておるところでございます。簡単に申しますと、例えば緑化対策事業の実施団体は二千百四十七団体ということで、対前年度三七%増であるとか、あるいは緑化推進計画等の策定団体は千四百四十一団体ということになっておりまして、これは対前年ほとんど倍増でございます。こういうふうなことで、緑化運動の趣旨の御理解とその推進はかなり進んでおるものと考えておりますが、私どもこの緑化推進連絡会議におきまして、さらに関係各省庁間の連絡を図ってまいりまして、今後とも有効に機能するように努めてまいりたい、かように考えております。
  95. 久保田真苗

    久保田真苗君 これからもおやりになるということなんですが、実は同じ内閣の中で、一方で緑化運動をやりながら、一方では無慮何万本の何十年という大樹を惜しげもなく切り倒していくという、こういうことが行われるということは実に残念なことだと思うんです。いかにこの地域が安全保障条約のもととはいえ、八十万平米もの大規模開発をして、この国土を損なうということは、余りにも代償が大きく、またこの地域全体の生態系を破壊するというようなことになりますと、首都圏に非常に少ないその自然の持っている空気あるいは気象、気温等に及んでいる首都圏住民への恩恵を根っから奪うことになるんじゃなかろうか、こう思うわけです。また、文化財のことはきょうは申しませんけれども、文化庁の御推測でも、この地域には、現在文化庁で登録されている中世の墳墓であるやぐら一つ以外にも、相当数の埋蔵文化財があることが十分考えられるという答弁をしておられるところですし、こういう地域でございますので、私はぜひ、総務長官のお立場としましては、この緑化運動にかけまして貴重な現在ある木を切らないこと、そして自然を保全していくこと、こういう観点から内閣にわたります諸省庁、少なくとも私は五つ、六つの省庁がこの関連で、米軍宿舎建設とは別の角度からの同士に対する責任をお持ちだと思いますので、こういう をひとつお考えいただきまして、十分にいい知 を出していっていただきたい、こう思うわけなんですが、長官いかがでしょうか。
  96. 中西一郎

    国務大臣(中西一郎君) 具体的なその池子地区の話と、それから全国的に取り組んでおります緑化、花と緑の運動というものとを直にどう結びつけてという判断はなかなか難しいことだと思います。いずれにいたしましても、それぞれ担当がございますから、それぞれの役所で十分に地元と話し合いをしながら、花と緑の運動の方は積極的施策でございますし、今米軍の住居についてのお話もあったわけですが、そういう問題はその地域の問題ということで、それぞれ慎重な判断のもとで結論を出していかざるを得ないんではないか、かように思います。我々緑化ということに重点を置きましてやっておりますが、この方の問題は、非常にこう盛り上がってきております。そういうような背景を踏まえまして、一膳前進をさしてまいりたいと考えておるところでございます。
  97. 久保田真苗

    久保田真苗君 ごくいい緑と普通の緑とあると言いますね。ごくいい緑というのは、自然がはぐくんだ緑でして、これを必要以上に破壊するというようなことは、緑化運動の見地からいって最も大事な観点だとお考えになりませんか、長官。
  98. 中西一郎

    国務大臣(中西一郎君) 劇然林の問題、各所にございますが、そういったものをできるだけ育てていくといいますか、また、できておるものについては守っていくという観点もこれは大切だと思います。しかし、いずれにしても、ともかく完璧を求めるということは非常に難しいと思います。それぞれのいろんな角度からの要請がございますから、その間の調整を図りながら、全体として悪い方へは持っていかない、よりよい方へ持っていくという視点は失ってはならないと思いますが、個別の問題については、今全国にいろんな問題があると思いますが、特に逗子の問題についてどうだとおっしゃっておられるんですが、このことについて私自身の対応はどうかということについては、ちょっと具体的問題過ぎますので、これは避けさしていただきたいと思います。  しかし、十分検討をする必要のある課題であるということは、よく認識できるところであります。
  99. 久保田真苗

    久保田真苗君 現在あるものを守っていくということが基本である、そういうお考えを一応確認しまして、なお池子の問題につきましても、ひとつ十分御勉強いただきまして、中曽根政権が間違った方向へ行かないようにひとつ御努力いただきたい、こう思います。  長官、どうもありがとうございました。  次に、外務省にお伺いしたいんですが、昭和四十七年十一月十五日付、外務省アメリカ局長、現在は北米局長になっておられますけれども、横須賀市長あての「米海軍横須賀基地に関連する諸問題について」という文書があります。御存じでございますね。  この中で、ミッドウェー母港化に伴い、約千世帯の宿舎が必要だが、横須賀市及びその周辺の民家を借り上げて居化するので、新たな施設区域の提供は必要ない、こういうふうにアメリカ局長の文書の中で言っておられるわけです。これは、国が横須賀市及びその周辺都市に対する約束と理解しますけれども、この点いかがでしょうか。
  100. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま委員御指摘のとおり、昭和四十七年十一月十五日付で当時のアメリカ局長から横須賀市長あての文書がございまして、その中で、米空母、ミッドウェーの乗組員家族の横須賀居住というものは、これは新たな施設区域の提供を要するものではないというふうに述べておることは事実でございます。  御承知のとおり、これはミッドウエーの乗組員家族の横須賀居住というものは、これはこの書簡の出ました翌年の昭和四十八年から行われておりまして、現在までにもう十年以上にわたって行われておるわけでございますが、この間、ミッドウェーの乗組員家族について我が国においては適宜、居住先を手当てしておりまして、ミッドウェーの乗組員のために新たに政府が施設区域を提供したということはございません。
  101. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、この文書ですと、アメリカ側から新たな施設の提供は要らないと申し出た表現、この事実を一応確認いたしまして、現在ミッドウェーの乗組員は民間住宅等を借り上げて住んでいるわけでございますね。そうだといたしますと、仮に池子に米軍宿舎ができた場合、これらの民家を提供している方の家から池子へ移ってしまって、民家の方はがらあきになるんじゃなかろうかという、そういう心配はないわけでございますね。
  102. 北村汎

    政府委員(北村汎君) こういう施設区域の詳細な問題については、むしろ防衛施設庁の方で担当しておられますので、私が十分な御答弁を申し上げることはできるかどうかわかりませんが、先ほども申し上げましたように、ミッドウェーの乗組員というものに対して新たな施設区域を我が方から提供するということはいたさないということを十年前に言っておって、この十年間ずっとそういうことで来たわけでございます。
  103. 久保田真苗

    久保田真苗君 施設庁に同じ質問を伺います。  そういたしますと、新たな施設提供は要らないということになっておりますので、現在のミッドウェーの乗組員は民間住宅を借り上げているわけだけれども、そうすると、池子に仮に宿舎ができた場合に、民家から池子へ移るということはないわけでございますね。
  104. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) お答えいたします。  今回、池子弾薬庫に計画しております米軍の住宅につきましては、横須賀地区における米軍の家族住宅の深刻な不足の状況を早急に解消する必要があるということから行うものでありますが、その不足の理由としましては、米国が従来の徴兵制から志願制に制度を変えましたが、これによりまして家族の居住条件の改善等も図ってまいっております。それから、下士官あるいは兵の家族帯同の基準というものが大幅に緩和されましてふえてきておる、それから一方、従来基地の外の民間住宅を借り上げて居住等をいたしておりましたが、それらの住宅が大変老朽化してきた、あるいは狭小になってきておるというようなことから、そういうところでの居住がしにくくなってきておる。そういうような状況から、大変米軍の横須賀地区における家族住宅が不足してまいっておりますので、これは随分以前からの米側の要請でございますが、そういう状況対応するために住宅の建設の計画が必要になってきたということでございます。  個々の乗組員、どういう鑑船のどういう乗組員が横須賀のどこに展性しておるかということとはまた別の、一般的な不足の問題として対応する必要が出てきておるわけでありまして、個々の乗組員がどこに居住しておるかということにつきましては、私どもは承知いたしておりません。
  105. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、ミッドウェーの乗組員は池子に行くんですか、行かないんですか。
  106. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) 今申し上げましたように、池子の住宅建設につきましては、横須賀地区における家族住宅の一般的な深刻な不足の状況対応するということでございます。横須賀には艦船が多数米側のものが入ってきておりますし、また出ていくものもありますけれども、そういう艦船個々の乗組員がどこにどう居住するか、あるいは居住しておるかというような状況につきましては私どもは承知いたしておりません。
  107. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、一体どのくらい不足して、池子には何月建てる予定と、こういうことになるんでしょうか。
  108. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) お答えいたします。  横須賀地区におきます米軍の家族住宅の不足は、米軍から聞いておりますところによりますと約千三百戸でございまして、先生お尋ねの池子弾薬庫地区に建設を計画しております戸数は九百二十戸でございます。
  109. 久保田真苗

    久保田真苗君 衆議院の予算委員会でも岩垂委員質問に対して施設庁長官が、ミッドウェーが入ったからということでなしに、最近の横須賀地区で千三百不足と、こう言っておりますけれども、ちょっとこれはあれなんですね。アメリカのシーボーグという海軍の新聞で横須賀地区司令官のマッコイさんが発言していることが出ているんですが、これによりますと、関東地区において千三百戸足りないんだと、こう言っているわけですね。そして、地区全体でそうであって、池子には九百戸建てるということを三年計画で望んでいるというような、そういう発言をしているんですけれども、今の千三百戸不足というのは横須賀地区ではなくて関東地区の間違いじゃないんですか。
  110. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) ただいま私、横須賀地区と申し上げましたが、関東地区と申しますのは、関東地区の米在日海軍でございますので、横須賀基地を周辺としましたその地域のことを申しておりまして、先生のおっしゃられます、米軍が言っておるという関東地区と、私が申しております横須賀地区というのは大体一致した範囲でございます。
  111. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が伺いたいのは、そうしますと、ミッドウェーの方々が相当数が今まで横須賀地区で民家の借り上げ等をやっているわけですよ。そうすると、こういう方たちは当時いろいろ設備投資なんかもして貸すように励まされておいて、それで今どうなんでしょうか、この方たちのこういった家などは池子の宿舎の建設に伴ってがらあきになる、こういうことなんでございましょうか。その辺どういうふうに把握しておられますか。
  112. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) お答えいたします。  米軍の家族がどういう民家を借り上げまして居住しておるかということにつきまして、私どもつまびらかにいたしておりません。したがって、家族住宅が池子に建設された後、そういう民家の借り上げ状況がどのようになるかということにつきましては私どもの方ではわかっておりません。
  113. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり、ミッドウェーの方たちには新しい施設は要らないという約束だったんですね。それがどうなんでしょうか、それはミッドウェーの方たちは池子には行かない、こういうふうに理解してよろしいわけじゃないんでしょうか、そういたしますと。
  114. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) 横須賀地区を中心としますアメリカの海軍の家族というものは、従来、基地の中にも住んでおりましたし、基地の外にも住んでおりました。ミッドウェーの乗組員が基地の中に住んでいたということも十分考えられます。そういう基地の中の住宅のやりくりの一環として池子の方に住むことになるということは、これはあろうかと思いますが、それは池子に新規にミッドウェーの家族の住宅を供するということではなくて、従来の基地の中での住宅のやりくりの一環としてというように考えられます。  ただし、現実に池子の方にミッドウェーの家族が住むことになるかどうか、これは先ほど来申し上げておりますように、私ども承知しておるわけではございませんが、そういう事態はあり得ないことではないというように思います。
  115. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省の方ではともかく、ミッドウェーには新しい施設は要らないんだ、こう言っていらっしゃるわけですね。このミッドウェーを母港化するときに横須賀市に対して新しい施設は要らないという条件でもってこの母港化を受け入れさしているわけです。そういたしますと、今になってその辺はわからないとか、そういうことでは大変アメリカの方もちょっと何といいますか、勝手過ぎやしないかと思うんですね。やっぱりこういう点ははっきりとそれなりの委員会をお持ちなんですから、こういう点突き詰めまして、やっぱり約束であることは約束として守ってもらいたい、そのように交渉していただきたいと思うんですけれども、これはどちらですか、施設庁でしょうか、それとも外務省なんでしょうか。
  116. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) 先ほど来申し上げておりますように、ミッドウェーの乗組員の家族は、民間住宅あるいは基地の中の家族住宅、そういうところに住んでおるわけでございますが、この十年来特にそのために新規にということでは出てきておりません。  たびたび繰り返しますが、今回の池子における住宅の建設は、横須賀地区におきます米海軍の家族住宅が非常に深刻に不足しておるという一般的な状況対応するものであるというように私どもは存じております。
  117. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省どうでしょうか。大量にミッドウェーの方たちが池子に移るというようなことになった場合には、どういうふうになさるおつもりでしょうか。
  118. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほど来防衛施設庁の方から繰り返し御答弁をされておられますように、私どもといたしましてその米軍側の一般的な家族住宅の不足という、そういう現象に対処するために今般池子に約千戸の住宅を建設するということを決定したわけでございまして、これは十年以上前に横須賀市長にアメリカ局長が書いておりますミッドウェーの乗組員だけのために新しく施設区域を提供しなきゃならぬということではないのだというこの内容とは、これは反するものではないというふうに私ども考えております。
  119. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、ともかくこのミッドウェーの母港化に関して施設が要らなかったという、この点をひとつ御記憶いただきまして、これからの米軍住宅の建設が行われます場合にはひとつこの点も米軍と十分お話し合い、主張すべきは主張していただきまして、余り横須賀市の側であるいは住宅を提供した市民の側でいろいろな被害が起こってくる、このようなことのないようにひとつお願いしたいと思います。  施設庁に対しましてワインバーガー国防長官の手紙というものがあって、これについて施設庁に伺いたいのでございますけれども、これは地元の団体並びに緑の防衛の見地から御協力いただいたアメリカのスミソニアンインスティチューションの事務局長であるリプレーさん、それからクランストン上院議員等にほぼ同文の手紙で回答をしているものでございます。これによりますと、要点だけ申し上げますと、池子住宅がもしできるようであれば、その他子の土地のたった八%から一〇%を使用するにすぎないのだと、こういうことを指摘しているわけでございます。これは環境問題の見地からなんでございます。  ところが、今八十万平米にもわたる、約三割近いという池子の地域の面積を開発しようというのはこれは一体どこがどう違うんでございますか。なぜそんなにたくさん、アメリカのワインバーガー長官が現に八から一〇%程度と言っているのに、どうして三割近くもの土地を開発するんでしょうか。
  120. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) ただいま、私ども先ほど申しました九百二十戸の住宅並びにその関連施設を建設する地域としまして計画しておりますのは約八十ヘクタールでございますが、私どもその中で自然保護の考えを尊重しまして四〇%以上の緑を確保していこうと、残していこうという考えで今計画を進めておるところでございます。  一方、先生おっしゃられましたワインバーガー長官の書簡にありますいろいろの数字でございますが、私どもは在日米軍と公式の調整を踏まえて住宅の建設計画を進めているものでございまして、御質問のような米側が言われたとされるいろいろな数字、その数字がどのような形で出てきたものか理解できないために、実は在日米軍にも照会いたしたところでございますが、その数字の明確な説明について回答を得られてない状態でございます。
  121. 久保田真苗

    久保田真苗君 わからないとおっしゃるけれども、これは八三年七月のワインバーガー国防長官がこういった上院議員やスミソニアンの方あるいは池子の地元の団体に回答していられるものでございまして、少なくともこの時点においては米国防省としてはこの程度の土地の必要を考えておったと思われるのでございますけれども、何で八十ヘクタールもの土地が必要なのか、その点私は甚だ疑問に思うわけです。これは非常に大きい面積ですね。  御参考までに逗子市内に最近できました東逗子団地、これは日本の団地でございますけれども、これと比較してみますと余りにもぜいたくな土地の使い方をしているんですね。東逗子団地では、ここには十七棟、四階建てで三DK四百六十四戸の住宅がつくられております。この場合道路を除いて三・八ヘクタールを使っておるわけです。道路を入れても多分四・五ないし四・八ヘクタールぐらいだろうと、こう思われます。もろちん米軍の規格は日本人から見ると二倍あるいは三倍程度の住宅の規模を要求するかと思います。軍曹程度で百三十平米程度、こういうことなんでございますけれども、あるいは将校はそれ以上に大きい、そして平屋でなければならないとか、いろんな条件が、基準はあるのかと思うのですが、この日本の狭い土地、しかも人口欄密な日本の土地で住宅を建てる、しかもこちらの思いやり予算、こちらのお金を使って姓でるわけでございますから、私はせめて土地だけはそんなにぜいたくにふんだんに取るなと、こう言いたいわけです。なぜなら、この土地は本当に首都圏でまれに見る自然が残されている、これをみんなで享受していきたいと、こう思うからです。  でございますから、どうなんでございましょうか、これも日本の実情にある程度合わして、この土地がこんなに八十ヘクタールも必要だというこの点について私は疑問を呈したいと思うんですが、どうなんでしょうか。
  122. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) 先生おっしゃられます八十ヘクタールにつきまして、私ども全地域を宅地造成に使うということではございません。先ほどから申し上げておりますが、四〇%以上の緑地は確保しようということでございます。その残った地域にどういうものをつくるかといいますと、住宅九百二十戸のほかに、関連する支援施設でございます販売所とか集会所とか、それから面積的にはかなりの部分を必要としますが運動施設などを建設することになっておりまして、そういう一つの米軍の住宅施設としての一団地という考え方からまいりますと、私ども考えておりますような規模のものが必要になってくるわけでございます。特に八十ヘクタールを選定する場合におきまして、私ども、先生先ほど申されましたアオサギのいる地域とか、それから弾薬庫の池子川の上流の奥の方の地域、そういう地域を除外した地域を選んでおりまして、できるだけ自然の保護には配慮したつもりでございます。
  123. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかくこの土地の使用ぶりにつきましては、また緑の保存ぶりにつきましてもまだ何も伺っておらないわけで、非常に問題があると思いますので、一応問題として疑問を呈しておきます。  外務省に伺いたいんですけれども、米軍に提供している施設区域が使用目的以外に使用される場合、使用目的の変更の合意が新しく必要だと思いますが、この点どうなんでしょうか。弾薬庫から宿舎になるわけでございますね。
  124. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 一般的に申しまして、提供いたしました施設区域について米側がその使用目的を基本的に変更する、こういうような場合には、これはもう御指摘のとおり使用実態に即するよう、使用目的の変更のための合同委員会合意というものを行う必要があると考えております。ただ、個々の施設区域の使用目的とそれから使用実態というものの関係につきましては、これはやはりケース・バイ・ケースで個々の具体的な事例を判断しなければならないと思います。  池子弾薬庫につきましては、これはいろんな補給品というものを貯蔵をしておるわけでございます。そういうところに今回住宅を建てるということになるわけでございますが、そういうことにつきまして今後この合同委員会の合意というものをどういうふうに修正するか、あるいはその必要があるかないか、そういう点は今後慎重に検討いたして、米側とも協議をしていきたいと思っております。
  125. 久保田真苗

    久保田真苗君 岩垂委員の衆議院での質問につきましては、弾薬庫として今後使用する予定があるのかないのかということにつきましては、施設庁の方では米軍としては使用する予定はないと承知していると、こういう返事をなすっているわけですね。そしてまた、逗子の市としましても幾ら何でも弾薬庫として使わないという保証がなければとてもこういうことに乗れるはずもないと思うんでございます。そうしますと、弾薬庫をやめて、そして住宅に変更するという、そういう内容がある場合には当然合意が、新たに使用目的の変更が必要だと、こう思いますんですね、私は。  それで、これに関連しまして、防衛施設庁の資料によりますと、池子の住宅建設に伴いまして、大規模な山の切り崩し、伐採が行われると、こういうことになるわけです。このような大規模な開発が行われる場合、使用目的の新たな合意に際して、地位協定の実施に伴う国有財産の管理に関する法律、通称国管法と言っておられますけれども、その七条によりまして、関係行政機関の長、関係都道府県及び市町村の長、学識経験者の意見を聞かなければならないと、こういうのがございます。この国管法のこの七条は、外務省の御所管だと思いますけれども、これについてどうお考えになりますでしょうか。当然これが必要だと思いますが。
  126. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) お答えいたします。  池子弾薬庫につきましては、現在既に施設区域として米軍に提供いたしておる施設でございます。今回その施設区域の一部に家族住宅を建設するわけでございますが、この住宅の建設に当たりましては、地元の逗子市の意向も伺い、また環境影響評価を実施しまして、そうして建設した住宅を米軍に使用させるということになりますので、国管法第七条に規定しております処理を行うことは考えておりません。
  127. 久保田真苗

    久保田真苗君 しかし、この土地に対しまして大きな変更を加えるわけですね。そして、この国管法の法律施行令によりますと、「合衆国に使用を許そうとする国有の財産のうち、その使用を許すことが産業、教育若しくは学術研究又は関係住民の生活に及ぼす影響その他公共の福祉に及ぼす影響が軽微であると認められるもの以外のもの」についてこういう手続をとると、こういうことになっておるわけでございます。しかし、今までの使用目的からしまして、今回九百二十世帯、四、五千人もの人口が、このわずか五万の逗子市にふえるわけでございます。国道の大渋滞ということも当然あり得るでしょう。また、米軍が所在いたしますことによる犯罪とか麻薬とか、その他いろいろな心配もなされますし、第一今のこの逗子市の自然、文化財、それから開発することによって起こってくる出水の影響、こういったものがいろいろ考えられるわけでございまして、私はこういう手続をお踏みになるのが妥当じゃないかと、こう思いますが、どうなんでしょうか。
  128. 近藤孝治

    説明員(近藤孝治君) 池子弾薬庫につきましては、現在米軍は補給品置き場等として使用しておるわけでございますが、そこの一部に住宅を建設するわけでございます。住宅を建設するに当たりましては、地元の逗子市の意向も伺い、また今先生がおっしゃられたようないろいろな問題につきまして環境影響評価等を実施して、その上で建設をいたします。そういうことで建設をした建物を米軍に使用を許すということでございますので、繰り返しになりますけれども、国管法七条によって、意見を聞く等の処理をすることは考えておらないということでございます。
  129. 久保田真苗

    久保田真苗君 地元逗子市のほか、そういたしますと、当然神奈川県はアセス調査その他に関連して関係があるわけでございますね。その上に先ほどから私が申し上げております自然環境保全、それから埋蔵文化財の件につきましても関係省庁あるいは県あるいは学識経験者の意見というものが当然聞かれなければならないと、このように思うわけでございますけれども、この関係につきましては、国管法の七条についてはまだ十分あれを調べることといたしまして、このような広い範囲にわたっている問題だものですから、やっぱりただ非常に三百代言的な解釈をするんじゃなくて、十分関係者意見を聞いていくことが本当に国の財産を守るという、そういう立場になるんじゃないかと私は思うわけでございます。ですから外務省には日米地位協定を所管される、そのような大乗的な立場からこういう点も十分この問題の広がりを把握していっていただきたい、このように思うわけでございます。  それから最後に、これは土地の権利関係についてなんですけれども、池子弾薬庫につきましては、土地の権利関係についても非常に不明確な点が多過ぎるんですね。その二、三を指摘いたしますと、民有地、公有地の問題なんです。これ施設庁の方では、国有地、民有地、公有地が、それぞれどのくらいあると、こうつかんでおられますか。
  130. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) お答え申し上げます。  現在、池子弾薬庫の土地の所有区分でございますけれども、国有地が約二百八十七万平米、それから民有地が二千八百四十四平米、それから国鉄の土地が百十九平米、わずかでございますけれども、ございます。これらの民有地及び国鉄の土地につきましては契約を結びまして、それぞれ有償または無償で借りておる、かような状態になっております。
  131. 久保田真苗

    久保田真苗君 こちらの方で調べましたところ、国有地とされている土地の中に逗子の市有地があるんですね。それは十五筆、二千二百九十平米あるわけでございます。これが、ここに登記簿の写しもございますけれども、これだけあるわけでして、それと同時に民有地として登記されている土地が少なくとも九十三筆、このうちちょっと面積が不詳のものもまだありますので、少なくとも一万三千平米はある。ここに登記の写しがございます。  それで、この違いというものを施設庁はどういうふうにお考えになりますか、余りにも違いが大きいように思いますが。
  132. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) ただいま御説明申し上げました国有地の中に、実は一部登記簿上公有あるいは民有となっておりますすなわち国有名義になっておりません、いわゆる未登記財産が存在いたしております。ただいま先生御指摘の土地等につきましては、その中にあるいは含まれるかもしれませんけれども、それらの未登記財産につきましては、ただいまその筆数でありますとか、面積でありますとか、その実態につきまして確認作業を行っているところでございます。
  133. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは、市の名前、あるいは民間人の名前になって登記されているんですけれども、これがいつ国有地になったっておっしゃるんでしょうか。
  134. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) お答え申し上げます。  これらの土地につきましては、旧軍、海軍だと思いますけれども、旧海軍が買収などによりまして戦前に取得いたしまして、戦後一括いたしまして大蔵省に引き継がれた、その他の国有地とともに引き継がれたわけでございます。それらの国有地の中に入っているものでございますので、当然に国有である、かように考えております。
  135. 久保田真苗

    久保田真苗君 おかしいですね。この私有地、民有地が国有地であるという、そういう証拠が何かあるんでしょうか。つまり、国民は登記があればそれは自分の権利だとして守られていると安心しているわけです。また、第三者でその土地を買い取るということもあるわけですね。ところが国はそれは国有地である、それならば一体どういう根拠があって、その証拠を拝見したいんですけれども
  136. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) ただいま申し上げましたように、これらの土地は旧軍が買収したもの、そういたしまして戦後一括して大蔵省に引き継がれたものというふうに理解いたしておりまして、ただ所有権移転の登記手続だけが未了になっておる、かように理解いたしておるわけでございます。
  137. 久保田真苗

    久保田真苗君 戦前に買収したとおっしゃいますけれども、実際問題として一つだけ私出しますけれども、花ノ瀬八十八番の六というのがあるのです。これは法務省に登記されている土地台帳及び不動産登記簿にあるのですが、法務省の方おいでになりますでしょうか、これと同じ写しをさっきお渡ししてございますので、ひとつここから読み取れることをおっしゃっていただきたいと思いますが。
  138. 青山正明

    説明員(青山正明君) お尋ねの逗子市池子字花ノ瀬八十八番の六の土地の登記簿の謄本によりますと、地目は雑種地、地積は五十九平方メートルになっておりまして、昭和三十年十一月二日受付第一万九百十三号をもって所有者逗子市のために所有権保存の登記がされております。また、その土地につきましての旧土地台帳の謄本によりますと、この土地は昭和十五年十二月二十八日地番設定によりまして土地台帳が設けられておりまして、その当時の地目は廃道、所有者は逗子町となっております。
  139. 久保田真苗

    久保田真苗君 登記簿の方に昭和三十年十一月二日所有権の保存登記をしてございますね。これは保存登記はだれがやっているんでしょうか。
  140. 青山正明

    説明員(青山正明君) 所有者である逗子町の嘱託によって登記がされたものと思われます。
  141. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、逗子町は三十年十一月二日に所有権の保存登記をやっているわけなんですね。施設庁としてはこの土地も国のものだと、こうおっしゃるわけですか。
  142. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) ただいま先生御指摘の土地につきましては、その他の未登記財産とともに現在筆数、面積その他につきまして確認作業を行っているところでございます。
  143. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、そういうことはいつ確認されるわけですか。
  144. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) 確認作業でございますけれども、逗子の弾薬庫内の全筆につきまして登記簿名義人等、あるいは旧軍買収当時の資料等を再確認するという大変膨大な作業でございまして、特に旧軍買収当時のその資料を再確認するということになりますと、もう既に大変時間がたっておることでございますので、なかなか手間がかかるのじゃないかと、かように思っております。
  145. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうおっしゃるけれども、ともかく三十年に、この一つを見ましても、こういう登記がなされているわけですね、保存登記が。ともかくこの問題につきましては、土地の権利関係について余りにも疑問が多いんです。こういうものはたくさんございますので、ひとつこういうことを明確にしてからいろいろなことをやっていただきたいと思うんです。余りにも今防衛施設庁は急いでいろんなことをやっておられますので、私はその点大きい疑問を提示しまして、今後慎重に行動していただくようにお願いします。終わります。
  146. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  147. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十六年度決算外二件を議題とし、内閣総理府本府、外務省通商産業省沖縄開発庁中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  148. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、きょうは電気料金とガス料金の問題について集中的にお伺いしたいというふうに思います。  しかし、何と申しましても、一主婦で家計の中で電気料金、ガス料金が大変大きなウエートを占めているという立場からの発言をさしていただくつもりでございます。  ところで、大臣は先日電力業界の方々とお会いになりまして、各社の五十八年度の余剰利益金を留保するよう要請されたということを新聞報道等で私読んでおりますけれども、この辺の真意についてまずお伺いしたいと思います。
  149. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 電気、ガス料金の取り扱いにつきましては、確かに原油価格の引き下げという要因はございますけれども、しかし一方において広い意味でのコスト増というようなこともございますし、また国際情勢ということも考えてみなければならないと思うのです。とりわけ中東情勢というものが非常に不安定である、そしてまた為替の動向、こういうものもその推移を見きわめなければならない。したがって、どうしても電気、ガス料金のような公共料金というものが料金の長期安定というものを期して慎重に対処していかなければならないと思うのでございます。そこで先般、このような観点から電気、ガス業界に対しまして、私は、五十八年度中に生ずるところの余剰利益についてはこれを明確な形で積み立てておいて、今後料金の長期安定ということに資してもらいたい、かように要請いたしたわけでございます。
  150. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 総理府の五十八年度上半期の家計調査によりますと、勤労者世帯では電気代が四・七%、そしてガス代が一・九%、合わせて六・六%でしょうか、実質一万二千二百二円というウエートをもって家計に占められているわけですけれども先ほど大臣がおっしゃいましたように、電気代、ガス代は私ども家計を預かる者にとりましても、長期安定ということを期待したいわけでございますけれども、この大臣がおっしゃる長期というのはどのくらい先の見通しを見て長期というふうにおっしゃっておられますでしょうか。確認さしていただきます。
  151. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) できるだけ長くということでございますが、一年でも二年でも三年でも長ければ長いほどいいわけでございまして、この際できるだけ長くということで御理解願いたいと思うのであります。
  152. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ガス料金、電気料金という問題は、これまでも国会で何回も取り上げられておりますので、今さらという感じも私自身もなくはないのでございますけれども、このたびの大臣の御発言で、いわゆる原油差益を還元するというこの問題に一区切りをつけられたというような感じを私持ちますものですから、確認という意味で電気料金についていささかお伺いをしていきたい、このように思うわけでございます。  ところで、五十五年四月平均五〇%の電気代の値上げが断行されたときに、何しろガス代とともに重なったものですから家計は大変なものでございました。諸般の状況という言葉で値上げ理由が総括されたあのときの値上げの理由を再度確認させていただくとともに、それ以降三年の間、つまり五十五年、五十六年、五十七年の三年間の収支決算状況を伺わしていただきます。
  153. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 五十五年四月の電気料金の主な理由につきましては、電源開発を促進していく上で資本費の増向という基本的なもののほかに、いわゆる第二次石油ショックによりまして油の代金が当時十二、三ドルから段階的でございますが三十ドルを実質超えるような状態になった。これは油種によって若干違いますが。それから、為替が一時二百円を切るというような状態にいったんですが、実際上は二百円を相当超える二百四十円ぐらいに大体なるというようなことがございまして、いわゆるそのための石油を中心とする燃料費の増高ということが最大の理由であったかと思います。  それで、御質問の五十五、五十六、五十七年の三年間の収支状況はどうであったかというのが次の御指摘の点かと思いますが、具体的に申しますと、五十五年度は経常利益として一兆八百十億円、当期利益で五千九億円、それから五十六年度は六千二百二十一億円、当期利益で二千九百七十三億円……
  154. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 もうちょっと大きな声で言ってください。
  155. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 五十五年度は一兆八百十億円、経常利益。当期利益が五千九億円、五十六年度は六千二百二十一億円、これ経営利益でございます。当期利益が二千九百七十三億円、それから五十七年度は経常利益六千百四十一億円、当期利益は三千四百五十五億円、ただしこれは商法改正によりまして、従来の方式でいきますと二千六百四十七億円というのが五十七年度の当期利益でございます。
  156. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私が調べたものでは九電力会社の経常利益、五十五年四月電気料金値上げのときに通産省が査定した諸般の状況から、八%配当を基準にということが考えられて決められた三千二百億円の基準を、まず初年度五十五年、今おっしゃったように七千六百億円もオーバーした。それから五十六年はこの基準を三千億円オーバーし、五十七年度は年度当初の円安あるいは資本費の増加あるいは需要の伸び悩みという、前年度に比べて経営環境が非常に悪くなっているのにもかかわらず前年度並みの経常利益を確保した、こういうことでございますけれども、よろしゅうございますか。
  157. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 五十五年度の織り込んだ経常利益につきましては、たしか先生今六%とおっしゃったと思いますが、八%の利益配当が可能な配当利益金と、それからそれに配当いたしますためには利益準備金を積み立てる、これが十分の一ということでございますが、そういうものを前提とした法人税を織り込んだということでございます。ただし、料金の計算につきましては、いわゆる公正妥当な投資につきまして一定の公正報酬を織り込むということでございまして、これは別途の計算になっておるわけでございます。
  158. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私ども考え方といたしましては、この五〇%電気代を値上げしたということに伴って出できた収益というのは、物すごいものがあるのではないかというふうに思うわけです。当初、今八%配当というふうにおっしゃいましたけれども、その後、利益が上がったところを見て配当は一〇%配当で、これ配当に充てた分が——これはつまり三年間で上がった利益を今度どう使ったかというところの分に入るわけですけれども、一〇%の配当にして、それで四百億円を配当に充てている。あるいは三年前の査定で認められていなかったところの原子力工事償却準備金とか、あるいは使用済み燃料再処理引当金とかいうふうなものに二千億円を充てた。あるいはまた次期繰越金利益の上積み分を二千三百億円をつくった。あるいはまた別途積立金が、これは消費者に還元するという目的でできているわけですけれども、千八百億円持っている。そして法人税に六千五百億円上積みした。こういう使途があるというふうに聞いておりますけれども、これよろしいでしょうか。
  159. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 料金を五十五年度に値上げするときにはできるだけその値上げ率を低くするということでございまして、そういう観点からいわゆる公正報酬という事業資産に対する一定率の報酬を織り込むほかに、法人税としては、ぎりぎり八%ぐらいの、八%の配当をするときにどうしても必要な税に相当するものを織り込んだと、こういうことは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、実際の決算に当たりましては、電気事業が年々の電気の需要の伸びに対応して電源開発を進めていくと、大体最近三兆円ぐらいの設備投資をいたしておるわけでございまして、そういう資金の調達としてやはり資本金に頼っていかなくちゃある部分はいけないということで、安定配当ということはどうしてもしなければ資金調達ができない、こういう基本的な問題があるわけでございます。そういう観点で、実際の決算に当たりましてはいろいろな努力を前提として、一割配当をやる場合にはどうしてもしなくちゃいけないということで、一割配当しておるということは先生御指摘のとおりでございます。それから電気事業の経営の健全性ということからいたしまして、先生今おっしゃいました原子力の償却の準備金の問題は当然税法でも見込まれておるわけでございますし、それも行うと。それから再処理につきましても、これはかねがね再処理とかバックエンドもコストに織り込まなくちゃいけないということでございまして、そういう意味からそういう引当金も行っておるということでございまして、実際の経理の健全化のためにそういうことを行っておるわけでございます。ただ、それをいたしましても、なおかつ五十五年度は相当の利益が出たということでございまして、千七百数十億円、千八百億近い金額につきましては将来の原価高騰に対して料金安定に資すると、そういう意味でそれを別途積立金にさせたということも事実でございます。
  160. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私ども国民の立場から言いますと、電気料金の算定というのは非常に複雑で難しゅうございますね。わかりませんね。よくみんなが頭を寄せ合って勉強もいたしましたものでございますけれども、本当にわかりにくい。それでできればできるだけわかりやすくこの電気料金の算定の仕方、こういうものについてちょっとお伺いをしたいわけなんですけれども、いわゆる総括原価の算定、こういうものの中に燃料費がございま すね、この燃料費の考え方でございますけれども、いわゆる原油の価格の問題ですが、原油というのは今輸入している各国の分を合わせて二十四種類ぐらいの油種があるというふうに私伺っているんですけれども、この二十四種類ぐらいの油種の一つ一つが値段がみんな違うんでしょうか。例えばアラビアンライトあるいはアラビアンミディアムあるいはアラビアンヘビー、ここらあたりが全部値段が違うのか、ひっくるめて計算するのか、ちょっとその辺のところを教えてください。
  161. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ただいまの点でございますが、油につきましては基準原油というのがアラビアンライトでございます。ただ、実際問題としてはいろいろな種類があるということでございまして、我々が料金原価を計算いたしますときには、大体その電力会社が使う油の実情に応じて大体見ておるということが一番近いんじゃないかと思います。まあどこから来る油でも使える場合の発電所もございますんですが、例えばローサルのインドネシアのどういうものを使うということになりますと、それを多く使う発電所用にはそういうものをある程度考えるとかそういうことですが、完全にどうこうということになりますと、その油種を必ずしも特定できないものもございます。そこは一定の考え方に基づくと、実際に大体使っておる油種を前提に考えておる、こういう御理解をいただければと思います。
  162. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 アラビアンライト、これが基準価格として考えられているというふうに了解してよろしいわけですね。
  163. 豊島格

    政府委員(豊島格君) アラビアンライトというのは世界全体の油の値段をOPECが示すときのいわゆるその指標になるようなもので、これは基準原油でございます。ただ、実際には電力会社の使っております石油はアラビアンライトそのものから出てくる重油ばかりでございませんで、例えばローサルのインドネシアのミナス原油とか、そういうのを使うというようなことでございます。したがって、そのときどきのアラビアンライトを基準に決まった実際の価格、ほかの原油の価格、一番実際に使うであろう石油の価格を前提とします。恐らく御質問の趣旨は、当時アラビアンライトは必ずしも三十ドルを超えていなかったということでございますが、それには相当プレミアムも実際ついておったわけでございますし、ほかの原油も、そのアラビアンライトが実勢が非常に強いときでございますから、一定のディファレンシャル、格差というのが相当広がっておったということもございまして、そういう実態を十分見て実情に合った油の値段を織り込んでおると、このように御理解いただきたいと思います。
  164. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その次に、いろいろとこれはかねてから消費者団体等で言われている問題だというふうに思いますけれども、減価償却の問題で定額方式と定率方式の問題がそちらの方にもよく届いているというふうに思うんですけれども、五十五年の値上げのときに各社ともみんな定額法から定率法へと変更して申請したというふうに私承知しておりますけれども、この辺のところの計算の仕方、この辺のところはどういうふうになっていますか。
  165. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 先ほど申し上げましたように、電気事業にとりましては需要の伸びに応じて電源開発を進めていかなくちゃいけないと、三兆円を超える投資をしておるわけでございますが、その場合にやはりその資金調達として自己資金もある程度持っていかなくちゃいけない、それが増資であり償却でございますが、そういう観点から言いますと、定額償却というのは非常にそういう設備投資をどんどんやっていかなくちゃいけない企業にとりまして、あるいは設備を多く持つ企業にとりまして適当ではないんじゃないかということで、五十三年度からたしか段階的に定率償却制度を取り入れるということで、最初は二割からだんだん上げていくということでございまして、たしか五十五年には七〇%ぐらいの定率に持っていったと思いますが、料金を算定するに当たりましても定率償却を段階的に取り入れるということで、五十五年の段階でも定率償却をある程度認めだというのは事実でございます。
  166. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 通産省は当初この査定、この問題についての査定では脱石油、つまり水力とか石炭とか地熱、あるいは原子力発電、こうした機械装置に限ってだけ定率法を導入する、これを認めるという経過が多分過去にあったと思うんですけれども、ところが、最近ではこの査定というのは全く関係なしにほとんどすべての機械装置、さらには構築物に至るまで定率法で減価償却を行い、年間二千億円もの減価償却費をふやしている、こういう話があります。  それからまた、特別償却という枠を設けたということで、例えば東京電力の例などでは、五十六年に福島第二原子炉の特別償却だけで四百七十二億円もの上乗せをしたと、こういう話がございます。料金値上げの前の年、つまり五十四年でしょうか、その五十四年と比べて五十六年ですね、五十六年の決算を見てみますと、本来原油が値上がりしたからという理由で電気代が上げられたはずなのに、この五十六年の決算ではこの燃料費よりも減価償却費の方がはるかに上回っていたという、こういう現実があるというふうに聞いておりますが、いかがでございましょうか。
  167. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ただいまおっしゃいました、御質問になりました点でございますが、料金を算定するといいますか、決めるに当たりましては、最初におっしゃいましたように、代替電源を中心にだけ料金には織り込んだということでございます。大体、定率になりましたのはしたがって総資産の一五%ぐらいだったかと存じます。ただ、五十四年三月に今後の電気事業の料金のあり方あるいは経営のあり方について電気事業審議会で御検討いただきましたところ、先ほど来申し上げております電気事業の特殊性からいいまして、暫特段階的に定率に持っていくということでございまして、そういう意味で経理がいい場合、料金には織り込んでおりませんけれども、定率を暫時進めていくということでございまして、五十五年末には大体七割ぐらいと、それから五十八年度には大体全部の資産を定率償却にするということをいたしておるわけでございます。ただ、この点につきましては、先ほど来の大臣が申し上げましたように、公共料金的な電気料金につきまして、できるだけ長期安定ということからいきますと利益の出たときにということではございませんが、暫時定率償却を採用していくということ自身は将来の電力コストの低減に非常に役に立つわけでございまして、今後増高するコストを引き下げるということになるわけで、そういうことを実施しているわけでございます。  それから、特別償却につきましては、料金には入っておらないわけですが、実際に税法上も認めておりますし、行っているということも事実でございます。  それから、最後の、五十六年度の減価償却と燃料費と、燃料費を減価償却の方が上回ったんじゃないかというふうに私伺ったわけでございますが、その点について申し上げますと、燃料費は、たしか五十六年度は三兆八千六百六十五億円、減価償却費は一兆一千二百五十九億円、こうなっておりますので、その意味でございますと、燃料費の方が資本費より大きい。ただし償却の増加分を見ますと、確かに、償却の増加分と燃料費の増加分を見ますと、五十六年度につきまして……
  168. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 割合が上がっているんです。
  169. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 比率は高まっていることは事実だと思いますが、パーセンテージ自身はかなり高いということは事実でございます。
  170. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この議論をしていますと大変、一日かかってもできないほど電気料金の算定というのは非常に難しいということは私よくわかっておりますので、あえてもう申し上げませんけれども、私どもの認識では、この燃料費といわゆる減価償却費、資本費の中の減価償却費というこの分が電気料金に一番多く深くかかわってきているということを認識いたしておりますので、よく主婦たちがこの問題についていろいろと勉強しているというこういう実態がございますので、ぜひ今後ともまたいろいろとお教えをいただきたい、このように思います。  もう一つ、総括原価の算定の中で気になりますのが、修繕費の問題でございますけれども、この修繕費は、燃料費等に比べますと非常に変動要因が少ない。こういう現状の中で、修繕実績といわゆる計画との間に、予定と実績との間にギャップがあり過ぎやしませんかという指摘がございますが、この点いかがなものでしょうか。
  171. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 修繕費につきましては、一応の計画というのが各会社とも年度当初に決めておるということは事実でございます。ただ、それが計画と実績が相当変わるということも御指摘のとおりでございますが、これは、非常に経理が苦しくなって経営上非常に経営処理に困るというような場合において、修繕費をその次の期に繰り越さざるを得ない、これはやむを得ないことでございまして、余り修練費を繰り越すということは、電気の保安といいますか、安全性の確保ということから問題でございますが、そういう直接にかかわりの薄いところにつきましては、本当はことしやらなくちゃいけないというのを延ばすということがございます。そういうことで変動しておるわけでございまして、例えば五十四年は、先ほど申しましたように、油の値段が上がる、為替もまた後半高くなるということでございまして、非常に苦しかったわけでございまして、そのときは相当修繕費を落としたということでございますが、それを若干五十五年でカバーした、料金値上げをしていただいてカバーした。それから五十七年は、御承知のように円安でございまして、上期の決算というのが非常に苦しい、このままでいくと、五十八年度は会社によっては下期以降値上げせざるを得ないんじゃないか、こういう状態があったものですから、電力会社としては、五十八年、七年度の決算を乗り切るために計画より相当落としたということでございまして、前の修繕費、毎年設備がふえればふえるところでございますが、例えば五十六年に比べまして、五十七年の修練費は、形式的に五百億近く落とさざるを得なかった、実質的には五百億ふえるということになると、千億ぐらいは実質上節約した、こういうような事態があるわけでございます。
  172. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これもいろいろお伺いをし始めますと、もろもろ伺いたいことが出てまいりますので、時間がございませんので、次に譲りますけれども、この辺のところがいわゆる水増ししやすい部分だなどと言われないように、その計画と実績、この辺の細かいチェックをぜひ通産省の方できちっとしていっていただきたい、このように要望いたします。  今までの分は五十七年度分のお話を伺ってまいりました。ところで、五十八年度決算の見通しをお伺いするわけでございますが、円高による為替差益、あるいは先ほど申しました最大の要因であると思われる原油の値下がり分、そして寒かった冬や景気のいささかの回復に伴う需要の伸び、そして原発の稼働率、こういったものが好条件となって五十八年度はかなりの収益が上がる、こういう見通しがあるやに伺っておりますけれども、その見通しについてお伺いいたします。
  173. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 五十八年度におきまして、上期は既に中間決算が出ておるわけでございますが、通常の一割配当を維持する利益水準とほぼ同額しか出なかったということでございますが、下期におきましては需要も相当伸びるというので上期が五・一%に対して下期は前年同期比七・六%。それから円高の問題もございます。しかし逆に渇水になったということもございますが、いずれにしても上期よりはかなりいい決算が出るんじゃないか、年度を通しまして。ですが、これはまだ現時点では会社が最終的な整理をしておるということで、具体的な数字は今ここで申し上げるのはいかがかと存じますが、かなり五十七年度に比べれば収支は好転するということは事実でございます。
  174. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ところで、その利益、これを先ほど大臣もおっしゃっておられましたけれども、価格の長期安定に役立てるために留保する、こういうことでございましたけれども、具体的にはどういう名目でどういう形で留保をなさいますか。
  175. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 先般の電気事業者との懇談会で大臣から明確な形で、余剰の利益を積み立てて将来の原価高騰といいますか、長期料金の安定に資するようにしていただきたい、こういうことを申し上げたわけでございますが、それをどういう形でやり得ますかという点については、その趣旨に沿って会社側において十分配慮して対処してほしいということでございまして、これはいわば利益処分に関する一つの決算のといいますか、利益処分の方法でございますが、そのやり方については大臣から要請のありました趣旨に最も沿う形で会社側が自主的に考える、このようになっております。
  176. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今の余剰金を頭に置きながらもう一つ確認をさせていただきたいことは、我が国で現在持っている電力の供給能力ですね。供給能力と需要との関係はどうなっているのか、こういう問題でございますけれども先ほど来からおっしゃっておられるように、電力会社は毎年三兆五千億円ぐらいの巨額な設備投資を行ってきている、そして千五百万キロワットに上る電気の供給能力をこの三年間でふやしてきた。ところが電気の使用量の方は最も消費が進むはずの八月、最大電力が必要であるというふうに言われるこの八月ではこの三年間でたった三%しかふえていなかった。したがって、現在設備過剰という現象があるのではないか、どうだろうか、こういう話がとやかく言われているわけでございますけれども、この点いかがでございましょう。
  177. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 電力の供給能力といいますと、いわゆるキロワットアワーとキロワットと両方あるわけですが、特に問題なのはキロワット、最大電力でございます。それでここ数年、特に第二次石油ショック以来電力の需要の伸びというのが低かった、あるいは一昨年あたり冷夏というようなこともございまして、一番余裕力があったときはたしか二割を超えておった。それから二割近いような余力のあったときもあったわけですが、昨年は御承知のように非常に暑い夏でございまして、したがいまして最大電力に対する供給力は大体一〇%程度というのが昨年の開きでございました。ただ、この点につきましては、電気につきましてはよその国でも起こるのですが、最近日本では余り起こっておりませんが発電所が何らかの理由でとまるというようなことがございます。そういうときに備えて、大体過去においては七%か八%の予備力を持っておるということを言われておりましたが、最近では御承知のように、昔は十万ぐらいの発電所というのが最近では原子力になりますと百万キロとなります。そういう大きなのがもし仮に何らかの理由でとまるということになりますと、相当影響が大きいというので、大体予備力というのは一〇%ぐらい持たないといけないんじゃないか、こういうことを言われております。そういう観点からいたしますと、昨年は猛暑ということもあったわけですが、大体適正な予備力に見合うだけの設備があったと、このように御理解いただきたいと存じます。
  178. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 余剰が出てくると設備投資というふうな形で消費者に還元していくんだというふうな話は、私ども前々から伺っているわけでございますけれども、その設備投資が過剰になってまたその資本費がふえてくる、そういうようなことから経営が不振になる、そうするとまた値上げにつながる、こんなふうな悪循環がないようにいわゆる設備の過剰、こういうものについても私は厳しくチェックしていくのが通産省のお仕事ではないかなというふうに思うわけでございますけれども、時間がございませんのではしょって申し上げれば、私が申し上げたいことは、余剰を残してそして設備投資とあるいは特別の積立金をつくっておくというようなものではなくて、この余剰分をやっぱり何らかの形で消費者に還元をするということできれば電気料金を値下げをしていただきたい、こういうことが逆に消費者の電力に対する需要をふやし、ふえればもうかるわけですから、電力会社も。そういうことで考え方が変わらないものであろうかなということを思う者の一人でございます。そして、かつて五十五年電気代を上げるときには、いわゆる原油の値上がりということが原因でこれを上げたわけでございますから、筋から言えば下がったんだから下げてほしい、こういうのが普通の理論ということになりますけれども、これがなかなか難しいということで、私どもはぜひそれができないことの事情をはっきり国民に理解をさせるとともに、この大幅にできた余剰金というものがどんな形で使われていくのか、こういうものを国民の前にやはり明瞭にしていかなければならない、これがやっぱり政府の仕事ではないかというふうに私は思っております。  時間がございませんので用意をしてまいりましたガス料金の方のことについてもちょっとお伺いをしたいのでございますけれども、ガス料金についても、先ほど通産大臣が電力会社方々とお会いになったときを同じくして、エネルギー庁長官が大手都市ガス三社の方々とお会いになり、LNGの価格が大幅に下がった、そして需要も大幅に伸びてきたということのために、三社の五十八年度の決算は史上最高の利益となるという状況の中でこれを内部留保していきなさいと、こういうふうなことをお認めになったということでございますので、この五十八年度ガス業界の決算状況をお話しいただきたいと思います。
  179. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ガスの大手三社というのがLNGを使っておるわけでございますので、これの収支でございますが、ガスの販売量というのが五十七年度比、二月までの実績ですが八・一%上がっているということで、売上額にしますと六%ぐらいでございますがそのぐらい上がっている。それから、油の値段が下がったことに連動いたしましてLNGの価格も当然それにスライドして下がった。それから、為替レートも当然のことながらLNGの国内価格には響きます。ただ原材料費以外の値上げ、コストアップというものが人件費その他の経費でございますし、それから、兼業という表現がよろしいかどうかは存じませんが、コークス等の副産物は関連業界の不況によって収益が減る、こういうようなことがございます。ただ、いずれにしましても、五十七年度に比べますと相当程度いいということは先生御指摘のとおりでございます。これにつきましても、依然として、現在会社が最終的な計算をやっておるところでございまして、ここで具体的に幾らというのは差し控えさしていただきたいと思いますが、かなり五十七年度に比べてよくなるということは事実でございます。
  180. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 LNGの価格が平均して二〇%値下がりしているということで、五十七年度で円・トンで七万三千八百七十二円、五十八年六万三千七百二十一円、五十九年一月三万九千百五円というふうに値下がりをしていて、これは二〇%降下しているというふうに私ども承知しておるわけでございますけれども、こういうものがやはり家庭のガス代、こういうものに直接還元されてこないものかなということを私は考えておる主婦でございます。産業用については五十七年、いわゆる個別料金許可制をとって原価スライドをさせているということでございますけれども、家庭用にはこれがスライドさせられてないわけでございますね。
  181. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 家庭用につきましては五十五年に決まった料金がそのまま適用されておるということでございますが、一般の家庭生活上いろいろ考えますと、もちろん料金は低い方がいいわけでございますが、やっぱりある程度長期的に安定する方がいいということで、仮にコストが若干上がっても上げないで済めば上げないということで、そういう観点から電力と同じ考え方をとっておるわけでございます。  ところで、産業用については割り引いているんじゃないか、そこはどうなんだろうかというのが次の御質問かと存じますが、五十四年以来、産業用LNGにつきましては全体のコストダウン、すなわち需要の平準化といいますか、ガスは一般家庭用その他、大体冬に非常に使いまして夏には非常に低いということで、そういう点からいって、夏、冬共通にならして使う需要家には安くしてもいいんじゃないか、そういう需要を誘導した方が全体のコストが下がる。それからLNGにつきましては、大口需要であれば配給コストといいますか、そういうものが安くなるというようなことで特別に契約をしておりますが、これにつきましてはシビアな前提を置きましてやっておるわけでございまして、そのシビアな条件としては例えば、三年間は仮に自分のところの商売上要らなくなってもそれは必ず引き取りなさいということ、それから、LNGが仮に例えば何らかの紛争でカットしたときは、おたくにはまず最初に協力していただいて供給を落とさしていただきますよ、そういう条件と引きかえにやっておるわけです。その条件のもう一つは、当時の考え方としては、石油はどんどん上がる、LNGも上がるだろうということで、このような大口需要につきまして、大体そのガス料金の八割がLNGのコストということになりますので、そういうこともございまして、上がったときには上げてくださいよというのが条件になっておりまして、その結果、五十五年の最初の契約に比べまして一番高かったときはおととしの暮れから昨年の初めにかけてでございますが、大体一五%ぐらいそのときより高い料金を実際上適用していた、こういうことでございます。  そういうことで、逆に今のように下がりますと五%ぐらい安いということで、これはそういう契約になっておるわけでございまして、必ずしも優遇しているということにはなってないわけで、むしろコストの負担をそういうことで吸収するという目的からいって、それはたまたま下がったために若干割り引かれている、こういうのが実情でございます。
  182. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 最後大臣にお伺いするわけでございますけれども、昨年から原油の値下がり、バレル当たり五ドル値下がりしたということが大変に国民生活にいろいろな形で影響を及ぼしている。そして、これは私ども消費者グループの試算でございますけれども、ちなみに灯油業界では前年度比三百円私どもに還元してくれました、返してくれました、これで大体試算をいたしますと千八百億円、それからガソリンがリッター八円から二十円値下げをしてもらった、このことで私どもが試算をいたしますと、大体四千億円ぐらいは私ども手元に返してもらったと、こういう実感を持っているわけでございます。ところが、ガス料金、電気料金というものは、公共料金という枠組みの中で小回りがきかない、こういうことで大変私どもも困っているわけでございますけれども、しかし考えてみれば、公共料金というのは政府の手中にあるものだ、こういうことできめ細かい対応ができないものであろうか、それをしていくのが政治ではなかろうかというふうな素朴な意見を持っているものでございますけれども、これに対する答弁を伺いまして質問を終わります。
  183. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 刈田委員のおっしゃった小回りのきかないということは最も適切な表現でございまして、過去においても還元ないしは値下げということを行った結果、またさらに今度は値上げというようなことになりまして、それがあらゆる物価にも影響するというようなこともなしとは言えないわけでございます。したがいまして、私が冒頭申し上げましたように、国民生活をより安定させるためには、このような電力料金あるいはガス料金というものをより長期に安定させることがよろしいという考え方に沿いまして申し上げたわけでございまして、私どもが、くどいようでございますが、国民生活を長期に安定させるためにこの電気ガス料金というものをできるだけ長期に安定させなければならないという考え方を持っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  184. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに、総理あるいは外務大臣が、ロンドン・サミットの後約一週間ぐらい、英国、フランス、西ドイツ、イタリー等へ訪問する予定だったんですけれども、この取りやめた理由、これについてお伺いします。
  185. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 総理はサミットに参りましてからその足で、かねてからヨーロッパの主要国から招待を受けておりましたので、できればその招待を受けて主要国を回りたい、こういうことで外務省としましては、それらの国々と非公式に検討を重ねておったわけでございます。同時にまた、私も外交の幅を広げるという意味で南米等の国々をできれば訪問したい、これも招待を受けておりましたから、そういうことで準備もしておったわけでございますが、しかしその後総理大臣の判断でこの旅行は取りやめて、国会の重要法案の審議に全力を傾けたい、こういうことで一応予定しておりました各国に対してはその旨を通告をしたということでございますが、各国に対しては非公式ということでございまして、それなりに日本側の説明は了解をされたものと、こういうふうに考えております。
  186. 服部信吾

    ○服部信吾君 訪問目的ですけれども、招待と簡単に言いますけれども、当然やっぱり論外国に行く以上はきちっとした目的があったと思うんですけれども、その込もう少し明確にしてもらいたいと思います。  と同時に、もう少し具体的になぜやめたのか、内政問題、当然そんなことは、これだけの重要国会ですからいろいろな法案も詰まっているし、聞くところによれば秋にいろいろあるようですけれども、当然そういうことはわかっていたはずだと思いますけれども、その点どうですか。
  187. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは訪問先は英国、フランス、ドイツ、イタリーという各国です。そして、それぞれの国から日本に対しまして元首または首脳が日本を訪問をしております。それの返礼というような意味もあって日本の総理大臣の訪問を求めておった、こういうことで具体的にそこへ行って、具体的に何を会談するかということではなくて、親善訪問。しかし現在世界が非常に大きく動いております、そういう中でサミットが行われているわけでございますから、    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕 そうした関係国と二国間で十分論議するということも今の世界情勢の中では大事なことである、こういうふうにも考えるわけでありまして、そういうことで日程を立てておったわけでございますが、これは判断の問題ですから総理大臣がやはりこれは取りやめようということに決断をいたしたわけでありまして、これは二国間についてはそれぞれ非公式な検討段階でございましたから、その限りにおいては非礼にならないでこれは取りやめることができた、こういうふうに思っております。やめたということはこれは総理大臣の判断、こういうことであります。
  188. 服部信吾

    ○服部信吾君 非公式、非公式といいますけれども、一応ロンドン・サミットというのは一年前から決まっていたわけでありますけれども、じゃその後こういう英国、フランス、西ドイツ、イタリーへ行くのは、大体いつごろ行きますかってことはこれ通知したんですか。
  189. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) イギリス、フランス、ドイツ、イタリーに対しては、これは訪問は公式訪問ですけれども、いわゆる行きますよということについては、非公式なまだ話し合いの段階にあったということを私は言ったわけであります。いつ行くかというのはこれから後の問題として時期を見て、両国の都合のいいとき、こういうことになると思います。
  190. 服部信吾

    ○服部信吾君 ちょっと答弁があれなんですけれども、要するにいつごろ西側諸国に行くのかということをこちらが通知したか、こういうこと。それから六月七、八、九のロンドン・サミットで、その後それこそもうこれから勘定したって三週間ぐらいしかないわけですから、当然向こうの西側諸国としても受け入れ態勢できてたんじゃないですか、この点は大丈夫ですかね。
  191. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) サミットに合わせて向こうへ行きますから、サミットの前後でこれら申し上げました諸国を訪問をしたいということは、大体一カ月ぐらい前ですか、に外務省から非公式なルートで相手の国の都合もあるわけでありますから打診をしておったということでありますが、完全に日程をつくって内定をしておったという段階ではまだないわけであります。
  192. 服部信吾

    ○服部信吾君 ある新聞報道によりますと、ロンドン・サミットが終わった後で一日ぐらいみんな集めてちょっとこうというふうな形で簡単に済まそうというような報道もあったわけですが、それは事実ですか。
  193. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ロンドン・サミットではこれらの訪問先の国々の首脳が全部集まるわけですから、そこで首脳の皆さんとは十分会談といいますか会議ができるわけでございますが、訪問の場合はそれぞれの国に公式訪問という形をとるわけでありまして、ですから一堂に集まってどうだこうだという必要はもちろんありませんし、毛頭日本としてそういうことは考えてもいないわけであります。
  194. 服部信吾

    ○服部信吾君 簡単に非公式だからというようなことで行けないということなんですけれども、いろいろ今までも、例えばアメリカの大統領がいろいろこちらへ来る、それでフィリピンに行く予定だったとかカナダに行く予定だったとか、要するに首脳が行く場合に、行く予定をしておるのが来れなくなったということになりますと、大変いろんな、何が起きたのか、こういうようなこともやはり諸外国ではみんな感じるわけですね。ですから、一応総理なり外務大臣がこれから行くということを非公式ながら言っておいてそうして一カ月、それこそ三週間前ぐらいに、いや、都合悪いから行きません、こういうふうな形で言った場合に、西側諸国の来るなあと受け取っていた国からすれば、日本としてはどうしたのか、何かあったんじゃないか、こういうことを私は受け取ると思うんですよ。簡単にいや行けませんよというようなことで済まされる問題じゃないと私は思いますけれども、この点はどうですか。
  195. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん、話が詰まってもう公式日程まできちっとすれば、これはこれを変更するというのは、相手の国に対しても非礼になるわけでございますし、今おっしゃるようにいろんな外交的な問題も起こってくるわけでございますから、これは慎しまなければならぬわけですが、今回の段階はそこまでは至らなかったわけでありますし、それから我々いろいろと外国からの首脳の訪問等につきましても実は大体ある程度予測されておって外交チャンネルである程度の非公式な話し合いはしておっても、向こうの都合でこれが変わるという例はこれまでも何回かあるわけでございます。それは余り表には出ないで変わる場合が随分あるわけでございますから、今回の場合もこれは表には出ましたけれども、相手の国に対しましても正式ないわゆるきちっとした日程等つくってこちらが申し入れたという段階ではないわけでございますから、その限りにおいてはこの予定の変更というのは相手の国にも十分理解もしていただけるし、また非礼にもならない。後でいろいろと検討しましたことについては、相手国に対しまして説明を求めて、そうして十分な理解を得たわけであります。
  196. 服部信吾

    ○服部信吾君 これは官房長官どうですか。
  197. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 一つ一つ具体的に今外務大臣からお話があったとおりでございます。事前に、お話のようにサミットの日程というのは大体六月でロンドンというのは決まっていたわけでございますから、その前後にどのようにするかということについては、前々から訪問することができればというので、外務省を通じて接触はしていただいていたと思いますけれども、具体的にこういう日程で何日間参りますと言って固めてあったわけではありませんので、おおよそのできればという意向でこちらの意思を伝えてあった、いよいよサミットが目前に来て日程を固めなきゃならぬ段階が来たので、その固める段階で今度はお伺いすることができなくなったということを申し上げているわけでございますから、非礼になっておるというふうには考えません。  ただ、余りいいことかどうかということになりますと、事前に行ければ行きたいと言っておったわけでありますから、行くにこしたことはないとは思いますけれども、外交上そのことによって問題が起こるとか非礼になったということではない、こう考えておる次第でございます。
  198. 服部信吾

    ○服部信吾君 総理はとにかく口を開けばこれから二十一世紀は国際化時代だ、そういうことで非常にそういうことを強調しているわけですから、そういう面で非礼ではない、こういうことですけれども、外務大臣、要するに一応こういうことで行けなくなった、こうなったわけでありますから、これはやはり当然行く予定だったんですから、早急にそういうことをわびながら行くべきだと思いますけれども、この点はどうでしょうか。
  199. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは総理大臣が中止ということを決定された段階に各国に対しましては十分説明をいたしております。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕
  200. 服部信吾

    ○服部信吾君 大体いつごろ、大臣の在任中に行く予定ですか。
  201. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) あといつごろ行かれるかということについては、これはまた時間……両国の都合のいいときを見てということでこれは外交チャンネルを通じまして御相談をするということになっておりまして、いつということはまだ何も決めておらない、こういう状況です。
  202. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、いわゆるオリンピックの問題についてお伺いいたします。ロス・オリンピックまではもうあと百日を割ったということでありますけれども、ソ連あるいは東欧諸国がこれをボイコットしようじゃないかというような話があるわけですけれども、この点外務大臣はどのようにお考えですか。
  203. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ロサンゼルスのオリンピックに関しましては、ソ連オリンピック委員会がその準備過程における米国の態度を種々の事例を挙げて非難をしておりますが、ソ連が参加するか否かについては、まだ最終的態度は決めていないと承知をしております。  ソ連としては、今後のIOC理事会での協議や米国の対応等を見守りつつ、最終的態度を決定するものと思われ、ソ連オリンピック委員会関係者は五月末に予定されているソ連オリンピック委員会総会で決定を下す旨を述べております。
  204. 服部信吾

    ○服部信吾君 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、前回のモスクワ・オリンピックにおいて、我が国もアメリカに同調してオリンピックをボイコットしたわけでありますけれども、そのときたしか見てみますと、参加した国の中で西側諸国の中でも、御承知のとおりイギリスだとかイタリアだとかオランダ、フランス、ニュージーランド、メキシコ、こういうところはみんな参加しているわけですよ、これ。ところが我が国は参加しなかった、こういうことですけれども、これは過去のことですけれども大臣としては率直に言ってこのときの措置はこれでよかったと思いますか。
  205. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) オリンピック大会は申し上げるまでもなく、本来スポーツを通じまして、よりよき、より平和な世界平和の建設に助力し、国際親善をつくり出す、こういうことを目的に開催をされるわけでございます。オリンピック精神の遵守というのが非常に求められるわけですが、この前のモスクワ・オリンピックの開催につきましては、開催国のソ連による一九七九年末のアフガニスタンへの軍事介入が国際世論の厳しい批判にもかかわらず長期化の構えを見せまして、国際平和と安定にとって憂慮すべき状況になりました。  そういう中で、アジア、欧米その他の諸国においてもモスクワ・オリンピック不参加の動きが生じてきたわけです。  我が国としては、こうした状況のもとで選手団を参加させるかどうかということをいろいろと検討したわけですが、参加させることは望ましくないと判断をいたしまして、その旨の政府見解を発表したものであります。また、同様の判断に基づいて、我が国のオリンピック委員会が最終的に不参加を決めたわけです。  そこで、政府としましては、こうしたオリンピック参加を目指しての選手団の心情等は十分わかるわけですけれども、ただ日本としては、平和を国是とする立場からして、いろいろの角度から見ましてこれ以外の選択はなかったんじゃないか、こういうふうに考えております。今振り返ってみましても、当時の情勢から見ましても、あの当時、日本がとるべき道はあの方法しかなかったんじゃないかと、私はそういうふうに思っております。
  206. 服部信吾

    ○服部信吾君 西側の一員ということでボイコットしたわけですけれども、その当時やむを得なかったと、こういうことですけれども、やはり外交というのは、これは私から言うまでもなく、実際に西側の、それこそイギリスだとかフランスだとかオランダだとか、こういうところはみんな入っているわけですよ。それでみんな参加しておるわけです、これ。何で日本の国がということは残ると思いますよ。もしこういうところで日本の国が参加していれば、ともかく今回こういうような問題があったときに、これはソ連に対しても言えるんじゃないですか、何らかの形で。ところがやめておいた中で、そうして、どうですか、参加しませんかと、言ったときに、何を言っているんだと、こういうふうに言われたって返す言葉はないんじゃないですか、これ。僕は何となく——たまたまこれはレーガンさんの、いわゆる大統領選挙も迫っていて、いよいよこれでロス・オリンピックにソ連が来なかったら、これはどうなっちゃうんだと、こういうことも考えますし、そういうことで私は何となくソ連の報復措置じゃないか、こう思うんですけれども大臣どうですか。
  207. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 本来、国際スポーツと国際政治というものは、全く別問題として考えなければならないと私も思います。それが、いわゆるスポーツ精神でもあろうと思うわけですが、当時のいわゆるアフガニスタンに対するソ連の侵入、ああいう状況の中で国際的に騒然としておりました。そういう状況の中で、やはりただ単にオリンピックだからといってこれを別個の立場で考えるという世界的な空気にならなかった。  これはかつて東京でオリンピックが戦前あったときも、当時の物情騒然たる中でオリンピックがついに開催が不可能になったというのと、ちょっと似ておらないわけでもないわけですが、そういうことで結局日本も各国——アメリカその他の諸外国とともに不参加としたわけで、これは日本の不参加の決定はオリンピック委員会が行ったわけでございますが、政府としてもそういう判断を下したことも事実でございますし、あの当時としては、そういう状況ではあの道を選ぶ以外にはなかったんじゃないかなと今でも思うわけでございますが、しかし、あれ以来今日の状況で、本質的には国際情勢はそう変わっていないわけですけれども、しかし平和を求める、あるいはまた東西間、あるいは米ソ間の改善を求める空気も出ておることも事実でありますし、そうした世外情勢の中で今回ロサンゼルスで行われるオリンピックでは、やはりこれは各国がそろって参加をするということがこれからの世界の平和を求めていく上において、一つの大きな糸口になっていくんじゃないか。オリンピックといわゆる政治というものは別にしなきゃなりませんけれども、残念ながら、現実問題としてはそういう方向に動いてないということでございますし、今日では随分空気も緩和しておりますから、私は全世界のオリンピック委員会がすべて参加することを決定されるように心から念願をしておりますし、恐らく私はソ連も最終的には今の状況なら参加を決定をするんじゃないか、こういうふうに推測をしておりますし、また期待をしておるわけです。
  208. 服部信吾

    ○服部信吾君 あと文部省にちょっとお伺いしたいんですけれども、JOCとしては、国際オリンピック委員会——IOCですか、こういうところに対して、やっぱりできる限りソ連等が参加するように、こういうふうな働きかけをすべきだと思いますけれども、現在どのようなことを行っていますか。
  209. 戸村敏雄

    説明員(戸村敏雄君) ただいま外務大臣が御答弁申し上げましたとおりに、オリンピックというのはIOCが主催する行事でございまして、参加するしないについては各国のNOCが決定する権限というものを有しているわけでございます。  したがいまして、今回のソ連の参加問題につきましては、現在アメリカのオリンピック委員会、ソ連のオリンピック委員会、それにIOCが入りまして、種々協議をしておるというふうに承知をしております。協議の上で円満に事態が解決されることを私どもとしては期待しているわけでございます。
  210. 服部信吾

    ○服部信吾君 とにかくオリンピックというのは人類の平和の祭典というような感覚ですし、それが前回のモスクワではある西側が参加しなかった。またもしロスのオリンピックで今度は東側の一部が参加しなくなったとなりますと、その面からいって本当に国民としてもこれはどうなっちゃうのかと。今までオリンピックというのは、とにかく平和のシンボルとなっていたわけですけれども、そういうことが失われていくんじゃないか。そういうことで大臣も推測としてはいろいろな条件があってソ連も参加するだろうと、こういう予測だそうでございますので、一層ひとつ御努力をしていただきたいと思います。  次に、武器技術の問題について、ちょっとお伺いいたします。  日米武器技術共同委員会——JMTCが近々中に発足するように聞いておりますけれども、この点はどうでしょうか。
  211. 北村汎

    政府委員(北村汎君) JMTC——日米武器技術共同委員会でございますが、これはできるだけ早く発足させたいということで、現在のところまだ発足しておりませんが、今後とも米側と協議をしていくつもりでございます。
  212. 服部信吾

    ○服部信吾君 それは年内ということですか。
  213. 北村汎

    政府委員(北村汎君) まあできるだけ早くということで考えておりますので、相手があることでございますから、いつまでというふうに期限を切って申し上げるのはどうかと思いますが、とにかくできるだけ早く発足させる所存でございます。
  214. 服部信吾

    ○服部信吾君 新聞報道によりますと、米国防総省は日本企業から武器技術の導入をより具体化するために本年五月に大型調査団を派遣させ、日本の企業と個別に協議させるということになったようだが、この辺はどうですか。
  215. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  本件は防衛庁が窓口でございまして、現在防衛庁の方においていろいろ打ち合わせをしているようでございますけれども、まだ決まっておりません。
  216. 服部信吾

    ○服部信吾君 ここへ来て、とにかく昨年からこの武器輸出の問題に対しては大変いろんな論議を醸しているところでありますけれども、実際にアメリカの武器供与の真のねらいというのはどこにあるのか、この点について大臣どうですか。
  217. 北村汎

    政府委員(北村汎君) これは、日米安保体制のもとで日米両国というものは相互に協力してそれぞれの防衛力を維持して発展させるということにされておりまして、これまで我が国は委員御承知のように米国からいろんな防衛力整備のための技術の供与を受けておるわけでございます。アメリカは、近年我が国の技術水準というものが向上してまいりました、こういう新しい状況にかんがみまして、我が国の技術が米国の防衛能力の向上に一般的に寄与し得るというふうな判断をしたわけで、そこで武器技術を含めまして防衛分野における技術の流れを従来の一方交通であったものをこれから相互的なものにしたい、こういう希望を持つに至ったものであるというふうに考えております。
  218. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今局長が答弁いたしましたように、アメリカとしましては、今まで一方的にアメリカの武器並びに武器技術を日本に供与しておったわけでございますが、最近における日本の目覚ましい科学技術の進歩、それに伴いましてアメリカとしても日本の武器技術についての供与を得たい、こういうような要請等もありまして、そしてこれはやはり日米安保体制の効果的運用という立場を考えますとそれも必要なことである、こういうふうな結論のもとにこの日本からの武器技術供与というものを決めたわけでございますが、しかし、今それじゃどういう武器技術をアメリカは求めておるかということにつきましては、態勢は整いましたし交換公文等は交わしましたけれども、しかし具体的にはまだ何らの進展も行われてないというのが今日の実態でございます。
  219. 服部信吾

    ○服部信吾君 そこでひとつお願いしたいんですけれども、海外に進出する企業がいろいろあるわけですけれども、ニューヨーク所在の我が国最大大手商社、これちゃんと一九八四年度版の「東洋経済」の「海外進出企業総覧」、こういうところに出ているわけですけれども、日商岩井エアロスペース・アメリカ、こういう会社があるわけでありますけれども、この会社が「日米間の軍事技術需要の発掘とあっせん」、こういうあれが出ているわけでありますけれども、この会社はどんな会社なのか、また外務大臣としてはこの会社に対してどのような情報をつかんでいますか。また、通産大臣としても、これは私の大先輩である小此木通産大臣にひとつこういうことを、設立を許したという、この点についてはどうでしょうか。
  220. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 突然のお尋ねでございまして、ちょっと手元に十分な資料ございませんけれども、私ども承知しているところでは昨年、宇宙関係日本との情報交換をよりよくするためにそういうような会社をつくったということを報道によって承知しておりますけれども、現在私どもが承知しているところではその程度でございます。
  221. 服部信吾

    ○服部信吾君 ただいまそういう情報を受けたということを聞いたようでありますけれども、それに対して、いいんですか、これ。
  222. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  いずれにいたしましても、アメリカに対する武器技術供与の問題はこのたび枠組みがつくられたところに従いまして行われていくべきものというふうに承知しております。  そのほか民間におけるいろいろな技術の交流、これは私ども従来から申し上げておりますように、これは武器技術を含めてでございますけれども、私どもとしては民間の自主的な判断によって行われるべきものというふうに思っておりまして、民間がそのような自主的な判断に基づきまして技術交流を深めていくということについては、私どもそれなりに結構なことではないかというふうに思っております。
  223. 服部信吾

    ○服部信吾君 そうしますと、これずっと出ているわけですけれども、日商岩井エアロスペースと、こう出ているわけですね。出資率だとか、あるいは資本金、それから従業員、これは全然出てないわけですけれども、これはどのようにお考えなんですか、これ。
  224. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 対外投資の場合には、御案内のように、外為法に基づきまして大蔵省においてチェックをするわけでございます。したがいまして、もし具体的にそういう話が出てくるとすれば、その段階においてチェックを行っていくと、こういうことになると思っております。
  225. 服部信吾

    ○服部信吾君 そういうことですけれども、要するにその「業種、事業内容」として「日米間の軍事技術需要の発掘とあっせん」と、こういうふうにあるわけですけれども、じゃこの会社もう今やっているわけですか、これ。
  226. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 先ほどお答え申し上げましたように、その会社が具体的にどのような形で発足し、具体的にどのような活動を行っているかということについては、私現段階において承知をしているところではございません。
  227. 服部信吾

    ○服部信吾君 先ほど言いましたように、もしこれが実際に稼働してやっているということになったときにはこれは別にどうということはないわけですか。かえって奨励するわけですか。
  228. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 具体的にアメリカとの間において武器技術供与の問題が仮に起こってくるということになったとすれば、それはこのたびでき上がりました対米武器技術供与の枠の中で行われていくわけでございまして、その段階において慎重な検討が行われるということになるというふうに思います。
  229. 服部信吾

    ○服部信吾君 恐らく、昨年のこういう武器技術供与に対してのこういう問題が起きて、そうしますと、これはもう今回供与されるということが完全に交換公文ができてもう既に受け皿をつくって待っていると、こういうふうに考えていいわけですか、これ。
  230. 志賀学

    政府委員(志賀学君) いずれにいたしましても、現段階においてアメリカから具体的な武器技術供与の要請はないわけでございます。枠組みができたというのが現段階でございまして、いずれにいたしましても具体的にそういう問題が起こってくれば、この枠組みの中で処理されるということでございます。
  231. 服部信吾

    ○服部信吾君 先ほどから調査して、そうして実際にやっているかどうかということがわからないと、こういうことですね。  そうすると、先ほど何回も言っていますけれども、実際にもしやっていたらどうするんですか、これ、いいんですか、これ。
  232. 志賀学

    政府委員(志賀学君) いずれにいたしましても、そういうような活動の結果、アメリカ政府の方から日本側に対して具体的に要求があった段階で私どもは枠組みの中で処理をしていく、こういうことでございます。
  233. 服部信吾

    ○服部信吾君 これはもう堂々めぐりですけれども、早急に調べていただいて、どういうことをやっているか資料として提出してもらいたいんですが、どうですか、これ。
  234. 志賀学

    政府委員(志賀学君) いずれにいたしましても、民間相互においていろいろな情報交換等はいろいろ行われているわけでございます。そういう情報交換それ自身は自由な問題、自由でございますから、問題は、具体的にそういうそのいろいろな動きの結果アメリカ政府の方から日本側に対しまして要求があったという段階で問題になるわけでありますから、その段階では枠組みの中で慎重に検討して対応をしていく、こういうふうに思っております。
  235. 服部信吾

    ○服部信吾君 通産大臣、どうですかね、これは。
  236. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) これは、ちょっと事実関係が私よくのみ込めないのでございますが、国会等でも重大なやりとりがありましたし、また日米関係にも非常に大切な問題なので、もっとその事実関係というものを調査しまして、その上でお答えした方がよろしかろうと存じます。
  237. 服部信吾

    ○服部信吾君 じゃあ、ひとつ資料、よく調べて提出してください。  次に、武器技術供与に関連しそうな米国に進出している企業が現在四十九社あるそうです。向こうの現地法人としてですね。そしてアメリカでは、現在カリフォルニア州あるいはマサチューセッツ州、イリノイ州など十二州で、いわゆる現地で税金を払い、なおかつ東京本社で払うといういわゆる合算課税、ユニタリータックス、こういう制度が設けられているようであります。それらの企業の中では、メーカーとか、商社とか銀行などが追加投資をしたり、あるいは撤去すると、こういうように大変厳しい状況に置かれていると言われておりますけれども、今回この対米技術供与に関して、合算課税の適用企業が営業上のかかわり合いを持つ可能性があるのではないかと思うんです。  例えば、今回の交換公文の中で、「アメリカ合衆国政府は」云々とありまして、「日本政府が承認する武器技術の供与に関連してアメリカ合衆国において課されることのある租税その他の財政課徴金を免除する。」と、こういうふうになっておりますけれども、これはユニタリータックスの免除も含めて免除すると、こういう意味ですか。
  238. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ここの部分は、これはアメリカから日本に従来供与されました技術あるいはその試作品とか、あるいはアメリカの場合は武器も供与されたわけでございますけれども、そういうものに対して、そのMDAの枠の中で租税をかけないということでありましたので、今回日本からアメリカに対して提供される武器技術またはそれに関連する試作品のようなものが出た場合に、それに対してアメリカでも租税はかけないと、こういう相互主義のことからこの規定が入ったものでございます。
  239. 服部信吾

    ○服部信吾君 それから、このユニタリータックスについて、ソウル国際貿易会議の席上に、これはことしの四月十五日に行われたブロック米通商代表が小此木通産大臣に対して、一カ月以内にこのあれを改善すると、こういう報道がありますけれども、これに対してはどうでしょうか。
  240. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) ソウルにおきまして国際貿易研究センターの会合がございましたのは、十三日から十五日までの三日間でございましたが、私は十四、十五と出席いたしたわけでございます。何分にも、先進国、開発途上国、合わせて二十カ国以上の通産、貿易担当大臣等が出席したものですから、非常に熱心な会合でございまして、二、三の国と個別会談をやっとしたわけでございますが、十五日の午前中の休憩時間にブロック通商代表たちと私たちが約十五分ぐらいの会談を持てたわけでございます。  何分にも短い時間でございましたから、多くを語り合えませんでしたけれども、我が方から、ユニタリータックスの問題は日本からの直接投資するための非常に阻害する重大な原因になっておると、国会でもたびたび質問等があるし、業界の陳情も非常に激しいと、適切な処置を願いたいと率直に私がブロック代表に言いましたところ、これは一カ月ないし一カ月半のうちに改善の方向を見出すであろうというはっきりした説明があったんです。改善の方向を見出すであろうということは、要するにこれは州法であって連邦政府の決めることではないというようなことであろうと思うのでございますが、何らかの方法で改善の方向を見出すであろうというはっきりした説明があったことは事実であります。
  241. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、潜水艦の訓練問題についてお伺いをいたします。  相模湾全域といいますのはアメリカの潜水艦の行動海域になっていると思いますが、一体このアメリカ潜水艦の行動海域になったのはいつからでございましょうか。
  242. 八木秀

    説明員(八木秀君) 安武先生の御質問にお答えさせていただきます。  相模湾潜水艦行動区域につきましては、昭和二十七年の七月二十六日に、合衆国軍に提供する施設区域として提供しております。
  243. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃあ、ここではどんな訓練が行われているんでしょうか。そして、過去何回行われているのか、最近はいつごろ行われたのか、この三点お答えください。
  244. 八木秀

    説明員(八木秀君) 訓練につきましてでございますが、訓練については、先ほど申し上げました二十七年の告示をいたしました際に述べておりますとおり、演習の種類は射撃演習を除くすべての種類の演習を行っております。ただし、模擬魚雷射撃演習については除外されておりません。模擬魚雷射撃をする際には、あらかじめ視覚探査を行った上で行うこととなっております。  なお、使用の詳細、具体的な内容については、よく承知しておりません。
  245. 安武洋子

    ○安武洋子君 よく承知していないというのは、ここで訓練行われているということを全く把握をしていないと、こういうことですか。
  246. 八木秀

    説明員(八木秀君) 今申し上げました使用されておる条件での許される演習は行われているというふうに承知しておりますが、個々の内容、具体的な内容についてはよく承知していないという意味でございます。
  247. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃあ、過去何回行われたの。最近はいつごろ行われたの。これはわからないんですか。
  248. 八木秀

    説明員(八木秀君) 過去何回どのような種類の演習が行われ、最近どのような演習が行われたということについては、承知いたしておりません。
  249. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃあ、日米合同の潜水艦の訓練、これを行ったことないんですか。
  250. 上田秀明

    説明員(上田秀明君) 御指摘の相模湾の米潜水艦の訓練水域内では、日米共同の訓練は行ってきたことはございません。
  251. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、今現在日本にいるアメリカの潜水艦のうち、原子力潜水艦でない通常の潜水艦、これは何隻ぐらいですか。
  252. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま委員の御質問になりました何隻が通常型の潜水艦かということにつきましては、私どもはつまびらかにしておりません。一隻はダーターと申すのが佐世保に乗組員の家族を居住させておるわけでございます。
  253. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、原子力潜水艦でない通常潜水艦は、今おっしゃった佐世保に一隻というふうに承知をいたしております。アメリカの潜水艦、これは今や九割が原子力潜水艦、こういうことになっております。とすれば、この相模湾にも原子力潜水艦、これが訓練に参加をしていると、こういうふうに思いますけれども、これはいかがでございますか。
  254. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 御指摘の相模湾の潜水艦行動区域において原潜が訓練をしているかどうかというお尋ねであると思いますが、この点につきまして私ども在京米大を通じまして念のために照会をいたしましたところ、四月二日にアメリカ側から次のような説明を受けております。横須賀に、寄港する米原潜、これはその都度我が方に艦名が通報されるわけでございますが、その米艦船が横須賀寄港の際に本件区域を通過することは、これはあると、しかし、米原潜は本件区域においてかかる横須賀寄港と関連のないような演習等の行動は行っていないということでございます。
  255. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと今聞き漏らしたけれども、何日とおっしゃいましたか。
  256. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 四月二日でございます。
  257. 安武洋子

    ○安武洋子君 四月の十七日、アメリカ大使館のノーマン・S・ヘイズテングス、こういう書記官ですけれども、相模湾でのアメリカの原子力の潜水艦、この行動を認めております。そしてさらに、同区域内に特別区域を設定して潜水艦の行動を行っている、こう言っております。事実が違うじゃありませんか。どうなんですか。
  258. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま、在京米大使館の書記官がどういうことを申し上げたか、それは私は承知しておりませんが、私どもが正式に在京米大使館を通じて米側から得ました回答は、先ほども申し上げましたとおり、米原潜は横須賀寄港に関連する行動は、これはこの地域においてすることはあっても、横須賀寄港に関連のないような訓練等の行動はしておらないということでございます。
  259. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が先ほどから、ここの区域で何回演習が行われたのかと、一体いつごろ行われたのかと、こういうことをお伺いいたしましたけれども、これに対して、全く把握をなさっていらっしゃらない、こういう御答弁が続いた後で、このことだけは明確にお答えになります。しかし、アメリカ大使館の書記官の答弁とは食い違っているわけです。これは私は事実を確認していただかなければならないと思います。この原子力潜水艦の寄港に関する日米間の往復文書、これによりましても、佐世保、横須賀、沖縄、この三カ所のみの寄港が許されている、対象になっているということですから、こういう、私はこのアメリカの大使館の書記官の発言、これによりますと明らかにこの取り決めの違反でございます、違法行為になります。ですから、厳重に私はこの点事実確認をもう一度やっていただきたい、このことを要求いたしますが、いかがですか。
  260. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 私どもは、先ほども御答弁いたしましたように、米原潜のこの地域における行動についてはっきりと米国からの回答を得ておるわけでございます。それは、委員も御指摘になりましたように、米原潜あるいは原子力推進による米艦船というものは、これは日本に寄港する先の港を三つに限定しておるわけであります。これは、委員よく御承知のとおり、地位協定第五条に基づきまして、アメリカの艦船は自由に我が国の施設区域に寄港できるわけでございますけれども、しかし、何分とも原子力というものに対する日本国民の感情というものを配慮して、アメリカは原子力推進の艦船については、これは横須賀、佐世保、それから沖縄のホワイトビーチと、この三つの施設区域に限定して寄港するということにして、その寄港中に放射能のモニタリングを行うことにも協力をする、こういうようなレンジになっておるわけでございます。そこで、そういう横須賀寄港の際にこの相模湾は近いところにございますから、そこで、横須賀寄港に関連のある行動はこれはとることはあっても、そういうことに関連のないような、演習、訓練等は行っていないと、こういう回答をはっきりと得ているわけでございますから、これ以上アメリカ側に確認する必要はないと考えております。
  261. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、今アメリカの原子力潜水艦でない通常潜水艦というのはたった一割です。日本に今いるというのも確認されているのはたった一そうです。そのために何のためにこの行動海域の訓練をするんでしょうか、何のためにこんな行動区域を設けていなければならないんでしょうか。私は全くナンセンスだと思います。しかもこれが決まったのは、先ほどもおっしゃったように三十二年も前の旧日米安保条約のもとで決められたものですから既にほとんど九割が原子力潜水艦になっていると。その原子力潜水艦が訓練をやっていないということであれば、通常潜水艦の訓練、こんなものナンセンスじゃありませんか。私は、こういうことは直ちにこういうところを行動海域、こういうものから解除して撤去をする、こういう交渉をなさるべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  262. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 米軍がこの地域を横須賀寄港に際して関連のある行動に使うこともあるということを申しておりますんで、それはやはり米軍にとってこの地域が必要な地域であるということは理解するわけでございますが、何分ともこの施設区域といいますのは昭和二十七年に提供された古い地域でございます。そこで、本件区域の使用の実態等についてはアメリカ側にもいろいろ照会をし、政府としても本件の施設区域の現状については調査を検討していきたいと考えております。
  263. 安武洋子

    ○安武洋子君 寄港に際して関連に使うって、関連て何ですか。
  264. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 私ども余り原子力潜水艦の操作というものに詳しくございませんし、またこれは相当米国の軍事機密に属するものであろうと思いますので、私からそういう有権的な解釈を申し上げることはできかねるわけでございますが、やはり潜水艦等は寄港に際していろいろ準備をすることはあろうと思います。そういうことの行動をこの地域で行うことがあるべしということでございます。
  265. 安武洋子

    ○安武洋子君 いいかげんなことを言ってもらって理解を示してもらったら困るんです。ここは訓練区域なんでしょう。だから、訓練をするということに使うんだから、もう通常の潜水艦しか訓練使わないんだから、こんなところはさっさと返還の要求をすべきだ。外務大臣いかがですか。
  266. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほども御答弁いたしましたように、この施設区域の米軍の使用の実態、そういうものをよく照会をいたしまして、現状調査いたした上でいろいろ今後の問題についても検討していきたいと考えておるわけでございます。
  267. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、外務大臣調査をされる、今まで調査もしていないわけですから調査をされて、普通型の通常潜水艦もうこれは一割しかないわけです、日本に一そう。こんなものの訓練水域としてここ相模湾全体を指定しておく、こういうことはナンセンスだと思います。実態を調査してそういうことが明らかになれば返還の要求をなさいますでしょうか、お伺いをいたします。
  268. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 一般論としまして、この米軍に提供された施設あるいは区域が地位協定の目的のために必要でなくなった場合には、こうした施設区域が我が国に返還されなくてはならないわけでございますが、今のお話しのような個個の具体的な問題につきましては、米側にも事実関係を照会をしなきゃならぬ。今、局長が言いましたように調査ということでしょうが、照会もし、要すればその上で米国との間で検討をさるべき問題じゃないかと、こういうふうに考えております。
  269. 安武洋子

    ○安武洋子君 土佐湾も過去アメリカ潜水艦の行動海域になっておりましたけれども、これは撤去をされております。その理由というのは、どういう理由ですか。
  270. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 詳しくはまた施設庁の方からも御答弁があるかと思いますけれども、私はその施設区域が提供されたときと、もはやその使用目的、必要としないということになったから撤去されたのであると理解しております。
  271. 安武洋子

    ○安武洋子君 相模湾も提供されたときと、私は使用目的が変わったと思います。ですから、先ほどからここは返還要求をすべきだということを要求をいたしております。このようなことまで要求できないというふうなことになりますと、これは原子力潜水艦が含まれていないと言っても、やはりこの訓練区域で原子力潜水艦が訓練をやっているのではないかと、こういう疑いを持たざるを得ませんし、また将来原子力潜水艦が訓練をするというこの道をあけておく、こういうことにもなりかねません。  それからさらに、アメリカ海軍省のホステットラー巡航ミサイル計画部長、この方が米下院で潜水艦発射の核つきトマホークは実用試験が完了し、この夏配備を開始する予定だ、こう証言されております。ということになれば、この夏以降核トマホーク積載の潜水艦も訓練に参加をしてくると、こういう事態も予測をされるわけです。これでは私は漁民のみならず国民にとっても危険きわまりない。こういうことは返還、必ず私は交渉をしていただきたい。このことを強く申し入れます。  さらに、防衛庁にお伺いいたしますけれども、防衛庁も自衛隊の潜水艦訓練を行っておりますけれども、どのような訓練をされているんでしょうか。
  272. 上田秀明

    説明員(上田秀明君) 海上自衛隊では、昭和五十三年度から相模湾の一部で潜水艦の救難訓練、これを年およそ二週間程度行っております。そのほかに横須賀に近いこともございまして、一般的な航法を行うというか、航法訓練というようなものを行っております。
  273. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ日米共同訓練は、全く今まで行われたことがないわけですか。
  274. 上田秀明

    説明員(上田秀明君) 相模湾の米国に提供されております潜水艦の訓練水域におきましては行われたことはございません。
  275. 安武洋子

    ○安武洋子君 ここで特別区域を設けているというふうなことが言われておりますけれども、特別区域が設定されているわけですか。
  276. 甲斐三郎

    説明員(甲斐三郎君) 相模湾におきまして、相模湾の模擬潜水艦救難訓練海面というのを設けてございます。先ほど課長の方からもお話がございました、年間せいぜい二週間程度でございまして、これではこの潜水艦の救難訓練海面の設定につきましては、契約によりまして、これ相模湾におけるところの組合がございます。その組合との間で契約によりまして設定してございます。
  277. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、特別区域という、私はどこからどこまでだというのを後で資料としてお出しいただきたいと思いますが、よろしいですか。
  278. 甲斐三郎

    説明員(甲斐三郎君) この区域でございますけれども、区域は長さが九千メーター、幅が約五千メーターですか、その程度でございます。
  279. 安武洋子

    ○安武洋子君 出していただけませんか。
  280. 甲斐三郎

    説明員(甲斐三郎君) これは検討いたしまして、そのように取り計らいます。——一応そういうふうに取り計らいたいと思います。
  281. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、出してくださいね。  科技庁にお伺いいたします。  アメリカの原子力艦艇とか原子力潜水艦、これが日本領海内の通過とか訓練の行動を行う場合、これは科技庁にも連絡あるんでしょうか。
  282. 千々谷真人

    説明員千々谷真人君) お答えいたします。  横須賀、佐世保、それから沖縄の金武、中城港、三港に米国の原子力潜水艦が寄港いたします際には、外務省を通じまして二十四時間前に連絡がございます。
  283. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、寄港だけで、今私が言いましたような日本領海内の通過、こういうことには連絡はないわけですか、訓練、行動を行う場合。
  284. 千々谷真人

    説明員千々谷真人君) 領海内通航その他に関しまして連絡はございません。
  285. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、もしそういう連絡があった場合、あなたの方では放射能の測定を行うと、こういうふうなシステムになっておりますか。
  286. 千々谷真人

    説明員千々谷真人君) お答えいたします。  政府といたしましては、昭和三十六年以来、関係省庁が協力いたしまして、また三十二都道府県の協力のもとに、放射性降下物などに係ります放射能の影響がどのように進展またはあるのかということにつきまして、全国的規模できめ細かく調査しております。この調査は最初は核実験に伴う放射性降下物が中心だったわけでございますが、その他海水中の放射能そのものにつきましてもいろいろございますので、全国的規模で調査をしております。  なお、この過去の例えば相模湾の例で申し上げますと、神奈川県等の協力がございまして、毎年定期的に海水、海底土、海産生物等を採取いたしまして、これを放射能分析しておりますが、全国的水準と比べて特に変わったものはございませんし、その他日本全国のどの海域におきましても特段の変わった数値は出ておりません。
  287. 安武洋子

    ○安武洋子君 質問ちゃんと聞いて、それで答えていただかないと。  私は、領海通過とか、それから訓練、そういうことは連絡が来るんですかと。連絡が来たら、あなたはそういうちゃんと放射能測定するという、そういうシステムになっているんですかということを聞いているわけです。
  288. 千々谷真人

    説明員千々谷真人君) 連絡があった場合に直ちに行くかどうかということは、今まで連絡がございませんので何とも申し上げかねますが、過去の例で申し上げますと、日本で米国の原子力潜水艦が日本の貨物船と衝突したとか、そういった事象が起こりましたときには、海上保安庁の方とも協議いたしまして、海上保安庁の方が調査に出かけるといったことは過去ございました。
  289. 安武洋子

    ○安武洋子君 今答弁の中にもあったように、日昇丸事件あるいはこの三月に日本海でソ連原潜とアメリカ空母の衝突というふうなことが事故が起こっているわけなんですね。そして私は本来潜水艦の訓練海域としてふさわしいところなど日本の領海の中にはないと断言をいたします。しかし、とりわけこの相模湾というのはふさわしくなさ過ぎるところなんです。もう過去の遺物にもなっておりますし、これは首都圏のレジャー、もう観光地とか魚釣りとか海水浴とか、大変親しまれているところです。ここがこういう潜水艦の訓練海域にされてしまっているというふうなことはほとんどの人は知らないと思います。こういうことが知らされれば私は大変驚くだろうというふうに思いますし、漁業の宝庫でもございます。ですから私は潜水舵の訓練海域としてまことにふさわしくない、こういうところを防衛庁としてもここでの訓練はやめていただきたいし、外務大臣にも十分調査の上、アメリカに対してこの返還を要求していただきたい、このことを強く申し添えます。大臣最後の御所見を聞いて次の質問に移りたいと思いますので、御答弁願います。
  290. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今お話がありましたこの施設区域は昭和二十七年以来の米軍に提供されました古い施設区域でもあります。いろいろと御指摘の点もありましたように、実態についてまだわからない点もありますが、これらについては米側にも照会をいたしまして、政府としても本件施設区域の現状について調査、検討すると同時に、これからどうするかといった問題については、この事実関係を米軍に照会した上で米側との間で検討したいと、こういうふうに思います。
  291. 安武洋子

    ○安武洋子君 必ず返還できるように頑張っていただきたい。  それじゃ次に防衛予算に移らしていただきますけれども、防衛庁の予算で六十年度に後年度負担、それから退職金の増額、こういうことで支出予定になっている額は幾らなのか、金額及び今年度の予算に対する伸び率、これでお答えください。
  292. 源氏田重義

    説明員源氏田重義君) 後年度負担でございますが、この後年度負担の中には継続費と国庫債務負担行為という二色ございまして継続費の方は年割りがあるわけでございますが、国庫債務負担行為の方は年割りがございません。それでこれからの契約によってまた変わってくるわけでございますけれども、それを一応いろいろな過去の例等によりまして計算いたしますと、増額が九百三十億円、伸び率にいたしますと今年度予算に対しまして三・二%程度の伸び率になろうかと思われます。  それから退職金の方でございますが、これも退職人員が何人になるかということがこれから決まってくるわけでございまして、なかなか確たることはわからないわけでございますが、これも本当に目の子でどれぐらいかということで計算いたしますと四百数十億程度になるんではないかというふうに思っております。
  293. 安武洋子

    ○安武洋子君 官房長官にお伺いをいたします。六十年度の予算編成、これが始まるわけですけれども、さらにマイナスシーリングを続けていく、こういう報道がなされておりますけれど、そのような方針でございましょうか。
  294. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) おかげさまで五十九年度予算の成立を図っていただきまして、五十九年度予算が動き出したところでございます。予算が成立をいたしました直後の閣議におきまして、予算が成立をしたことについての所感を大蔵大臣が述べられまして、その中で引き続いて非常に財政状況が厳しい、したがって年度内に補正の要因というのをできるだけ持たないように努力をしなきゃいかぬし、五十九年度についてもいろいろと節約をしていくことを考えていかなきゃいかぬ、六十年度の予算案の編成についても引き続いて非常に厳しい財政状況であるということを踏まえて取り組んでいかざるを得ない、こういう意見の表明がございまして、早速に厚生大臣や建設大臣から意見が出て各省ともいろんな意見が出かかったのでございますが、いずれ予算編成をしていく中でよく勉強しようということでひとまず閣議での論議は終えたところでございますが、今お話のような方向で来年度も編成に臨まざるを得ないのではないか、こんなふうに考えておるところでございます。
  295. 安武洋子

    ○安武洋子君 その中で防衛庁の予算といいますのは、後年度負担とか人件独アップ、こういうもので既に七%近くになっているわけです。これに今年度の人勧アップ分、これをプラスいたしますと一〇%近い数字が予測されるわけです。新規調達などを今年度並みにしてもこういうふうな数字になってくるわけです。国民生活部門は制度見直し、こういうことも含めて切り捨てていくというふうな中で、私は来年度はもう既に防衛予算一〇%近くなっていくというふうなことは財政上から見ましても防衛費をこれ以上膨らますことは絶対に避けなければいけない、絶対すべきでない。だから大軍拡計画である五九中業についても何だかこれを下命されるというふうに聞いておりますけれども、私はこういうこともやめるべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  296. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 財政状況が非常に厳しいことにつきましては今申し上げたところでございます。全体としてやはりバランスをどうとっていくかという問題だろうと思います。そういう意味では他の諸施策とよく比較検討いたしまして予算編成に臨んでいかなければなるまいと思うのでございますが、いずれにいたしましても着実に防衛力を整備をしていくという非常に大事な課題がございますが、必要最小限にとどめて、他の諸施策とバランスをとりながら編成に臨む、こういうことで進んでいくのではないか、まだこれからの検討の課題でございますので、今確たることを申し上げる段階にありませんけれども、そんなふうに考える次第でございます。
  297. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでは六十年度予算でGNP一%を超えない、こういう明言おできになりますか。
  298. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 五十九年度予算をめぐりまして、GNPの一%以内であるか超えるかといったようないろんな御論議を、衆参両院の予算委員会等でもたくさんにいただいてきたところでございます。政府としては三木内閣以来の方針をぜひ守って進みたいと、こういう方針でお答えをしてきておるところでございまして、五十九年度につきましても不確定な要因がたくさんございますし、ましてや六十年度ということになりますとどういうふうにこれから動いていくかという極めて予測しがたい幾つかの要因がございますので、確たることは申し上げられませんけれども、従来の方針を引き続き踏襲して努力をしていくようにいたしたいと、このように考える次第でございます。
  299. 安武洋子

    ○安武洋子君 内閣の決意を伺って、私は次に寄港問題に移らせていただきます。  四月二十日付の報道によりますと、今週にも原子力空母エンタープライズ、これが横須賀に寄港すると言われておりますけれども、これは事実でしょうか。
  300. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) エンタープライズの寄港につきましては何ら通報も受けておりませんし、我々としては承知いたしておりません。
  301. 安武洋子

    ○安武洋子君 では非公式にもそんな話はないわけですか。
  302. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん非公式を含めて公式にもありません。
  303. 安武洋子

    ○安武洋子君 しつこいようですが、一、二カ月の間にもそんな工とはないと、こういうことになりますか。
  304. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは先のことを言いますと私もはっきりしたことを申し上げる段階ではございませんが、少なくとも新聞等で報道されるような最近に寄港というような事態は起こらないというふうに承知しております。
  305. 安武洋子

    ○安武洋子君 横須賀に七月に新しく駆逐艦のオルテンドルフが配備をされます。アメリカの民間研究所の軍縮協会によりますと、核巡航ミサイルが搭載される、こういう予定になっております。これは確認しているでしょうか。
  306. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま委員御指摘の駆逐艦とは報道されたオルテンドルフということであると思いますが、この艦が七月ごろ我が国に寄港することは十分に考えられるところであると思います。  が、いずれにしましても安保条約上艦船によるものであれ何であれ、核の持ち込みというものは事前協議の対象でございます。  ただいま委員がこのオルテンドルフはトマホークを積載する予定の艦であるというふうにおっしゃいましたが、このことにつきましてはアメリカが今までに言っておりますことは、このオルテンドルフ駆逐脇が属するスプルーアンス級の駆逐艦にはトマホークを積載する予定であるということで、アメリカは今までそのスプルーアンス艦級——これは艦というのは船級でございますが、そのスプルーアンス級のどの艦に、具体的にはどの艦にトマホークを積載するかどうかということは明らかにしておりません。  また、御承知のようにトマホークと申しますのは核、非核両用の、ミサイルでございます。
  307. 安武洋子

    ○安武洋子君 六月から実戦配備をされます陸上を目標とするトマホーク、これは核弾頭だけのものだというふうに承知をいたしますが、そうでしょうか。
  308. 北村汎

    政府委員(北村汎君) これは対地攻撃用のミサイル、トマホークのことであると思いますが、これにつきましても、これは核、非核両用でございます。
  309. 安武洋子

    ○安武洋子君 では戦艦ニュージャージーの寄港という話も出ております。これには三百二十から四百発のトマホークの装備が予定をされております。そのうちの四分の一が核トマホークと言われております。日本に核トマホークの実戦配備、これが六月から行われるということになっているわけですけれども、私ここで改めて核持ち込みについてお伺いをいたしたいんですが、昨年日本に寄港いたしましたアメリカの潜水艦二十五そう、この二十五隻のうち核トマホークを配備予定艦、これは十七隻でございます。で、二月の十五日に我が党の不破委員長質問に対しまして、総理は、ニュージャージーの寄港に際しては、国民世論もあるし、いろいろ騒がれている状況である、非核三原則というものを堅持している我が方の態度を向こうにも話して、そして核兵器がないということを確かめたい、こういうふうに答弁をなさっておられます。ニュージャージーについては核の有無を確認なさるんでしょうか。
  310. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは総理大臣も答弁いたしましたように、ニュージャージーが、またこれは何も決まってないんですけれども、もし寄港ということになりますれば、これまで国会等で議論があったわけであります、国民も注目しておるわけでございますから、寄港に当たりましては、私から例えばマンスフィールド大使を招致をいたしまして、かつて、去年です、エンタープライズの入港の際に行いましたと同様に、一般的な立場で非核三原則を堅持しておるという日本の確固たる意思を説明をする。同時に、安保条約さらにその関連規定をこれを厳重に守らなければならない、そして核の持ち込みについてはもちろん当然これはもう事前協議の対象になるし、核持ち込みが行われるときは日本としてはこれはすべてノーであるということを日本の立場を明確に打ち出したい。  これに対しましてアメリカ政府がこれまで言ってきたところによれば、アメリカは日本との間の友好親善関係、信頼関係というものはこれを堅持していく、安保条約並びにその関連規定は守る、ただ核の有無についてはこれを明らかにしないというのがアメリカの一般的な立場である、しかし日本との信頼関係はこれを守ると、こういうことを去年は言っておるわけでありまして、私も今回は、このニュージャージーについての日米の話し合いの中では、日本の立場をさらに明確にしたいと考えております。
  311. 安武洋子

    ○安武洋子君 いえ、委員長に答弁をなさった、核兵器はないということを確かめたい。確かめられるんですか。
  312. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日本の立場を明確に打ち出します。しかし核については、アメリカはこれまでの、核の有無についてはこれは明らかにしないというアメリカの立場はこれを恐らく変えることはないだろう、こういうふうに判断しています。
  313. 安武洋子

    ○安武洋子君 今大臣日本の態度を明確に打ち出す、こうおっしゃいました。そして中曽根総理大臣はその後で引き続いて衆議院での三月十三日の論議の中で、何度も念を入れてというふうなことをおっしゃっているわけです。念のために米国に注意を喚起するというふうなことを繰り返し繰り返しおっしゃっておられます。  それでお伺いをいたしますが、この念のために米国に注意を喚起すると言っている、これはどういうことなんでしょうか。
  314. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは念のために、ニュージャージーが来るわけですから、まあ来るか来ないかわからぬですが、来たとすれば、これまで行ってきた日本の非核三原則に対する日本の強い決意、そして核の持ち込みについてはこれはもちろん当然事前協議の対象になるという日米双方の合意、そういうものを念には念を入れてはっきりさせる、こういうことです。
  315. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、念には念を入れられるわけですし、強い決意を示されるということになりますと、日本に対する核積載艦、この一時寄港、一時通過、これも核持ち込みに当たるんだよ、こういうことを、念のための中に含めて確認はもちろんなさいますでしょうね。
  316. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもちろんこれまでの藤山・マッカーサー口頭了解とかあるいは岸・ハーター交換公文から、当然そのことは含まれるということは日米間のこれまでの合意事項であると、こういうふうに考えています。
  317. 安武洋子

    ○安武洋子君 いえいえ、念を入れておっしゃるその中に含めてもう一度、念には念を入れるんだから確認をされますねと、そのことを言っている。
  318. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 非核三原則を念には念を入れてアメリカにはっきりするわけです。
  319. 安武洋子

    ○安武洋子君 非核三原則の中に、一時寄港、一時通過も核持ち込みに当たりますよということを、念を入れるならそこまでおっしゃるのが当然だと思いますけれども、おっしゃいますか。
  320. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは日米の信頼関係の中で、これまでの交換公文とかあるいはまた口頭了解というのがあるわけですから、日米間はそういう信頼関係で成り立っておるわけですから、我々は基本的な線をはっきりすればそれでいいのじゃないかと思います。
  321. 安武洋子

    ○安武洋子君 今までそれで来て、今回は中曽根総理も、今まではこういうことをやらなかった、個別の船が入ってくる場合でもそういうことをしなかった、しかし今回は国民の世論もある、国民の大多数はこの核積載艦の一時寄港という形で非常に神経も立っていることだ、だから念には念を入れるんだと、そうおっしゃっているんです。  ですからこれだけ国会の中でも論議があるわけですから、私は念には念を入れられるなら、念には念で、やはり核持ち込みの中には一時寄港、一時通過、これも入りますよと言うくらい簡単じゃないですか。どうなんですか、言えないんですかそんなことが。
  322. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあこれは言うとか言わないとかいう問題ではなくて、日米間の信頼関係ですからね。そして岸・ハーター交換公文とがあるいは藤山・マッカーサー口頭了解でそれはとにかく日米間の合意事項としてお互いにきちっとしているわけですから、何もここで一つ一つの条約の中身の問題についてまで言うことはない。やはりその非核三原則、そして事前協議条項、そして日米間の信頼、そういうものをきちっと言えばいいのじゃないかと私は思います。
  323. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでやってきて国会でなぜこんな論議が起こるんですか。国民がなぜこれだけ世論が沸き立っているんですか。だから、念には念を入れて今までやらないことをやるんだとおっしゃるから、念には念を入れるという中身の問題として、私は当然これぐらいのことはおっしゃるのが当たり前じゃありませんか。別にそれだけ言うのにどれぐらい時間がかかりますか。しかも外交問題というのは厳密にやるのが当たり前じゃありませんか。外交問題で一つ一つの事柄で将来禍根を招かないように一つ一つのことをきっちり詰めておく、これが外交の姿勢じゃないんですか。いかがですか。
  324. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は外交問題で一番大事なことはやはり信頼関係の確認だと思いますね。日米安保条約をこれをお互いに守る、その関連規定を守る、そういう確認をする、そして日米信頼関係をさらに高めていく、こういうことが大事だと。信頼関係のもとですべてが行われるわけですから、その信頼関係を確認する。その信頼関係の基本の中にあって、非核三原則とかあるいはまた事前協議、こういうことが具体的にあるわけですから、それ以上のことを言わなくても私はこの日米関係においては十分である、これまでもそうでありましたし今後も大丈夫である、こういうふうに確信していますから。
  325. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣はそれで十分であるとおっしゃっても国民はそれで十分だと言っていないし、国会でもこれだけ論議が起こっている。それなのにそういうことを繰り返されるというのは私は国民が政府を信頼できないという、やっぱりそこに大臣の姿勢の大きな問題があると思います。アメリカの信頼関係だ、信頼関係だ、こう言われながら、私はこんな大事なことも、そして言うのは簡単です、そんなことも言えない、実に屈辱的な姿勢だと、そのことを強く申し上げます。時間がないので残念ながら次に進みます。  次に地域振興整備公団の問題について伺います。  地域振興整備公団、これが行っております中核工業団地造成事業、これについてお伺いいたしますけれども、この事業は現在まで全国十七カ所で行っていると用いております。現在まで造成の終わっているもののうちでその分譲の状況、これはどうなっているんでしょうか。簡単で結構です。
  326. 坂井清志

    参考人(坂井清志君) 御指摘の十七団地のうち、現在分譲を行っておりますのが八団地でございます。この八のうち既に全部分譲が終わりましたものが二つございまして、したがいまして分譲途中のものは残る六団地でございます。この八団地全体で見ますと、五十八年度末時点で分譲にかけました面積のうち約四一%が分譲済みでございます。
  327. 安武洋子

    ○安武洋子君 兵庫県の豊岡市に計画をされております豊岡中核工業団地、これは先週の十八円に起工式が行われまして建設着工、こういう運びになっております。それで全体の完成の見通し、これがどうなっているかお知らせください。
  328. 坂井清志

    参考人(坂井清志君) 確かに十八日に豊岡の起工式を行いました。この豊岡の工業団地につきましては全体を一期と二期、二つの時期に分けて工業を進めることにいたしております。現在そのうちの第一期の中のまた約半分、これを第一工区といたしまして先般着工いたしました。一期、二期全体を含めました完成時期はまだはっきり定めておりません。とりあえず一期だけで申しますと大体六十一年度中には完成をさせたい、こういう腹づもりで現在工事を進めております。
  329. 安武洋子

    ○安武洋子君 一期分の分譲六十一年度から、こういうことでございますが、当然こういうことをやりますと先行投資されなければいけないのが工業用水の供給であろうかと思います。ところが兵庫県としましては第二期に入ってから行う、こういうことでこのまま造成が終わりましても工業用水のないままの分譲、こういうことになってしまうわけです。全国の分譲状況から見ましても工業用水がない、こういう分譲では私は大変誘致が困難ではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  330. 坂井清志

    参考人(坂井清志君) 確かにこの工業用水の問題、私どもも非常に重要だと考えております。約一年前になりますが、昨年の三月に私どもの公団と丘兵庫県、豊岡市三者で話し合いをいたしまして、いずれにいたしましても最終的には兵庫県が事業主体となりまして、日量五千トンの工業用水を供給できるようにしよう、県が責任を持ってくれるということを約束をしてもらっております。ただ、この工業用水が実際に供給が可能になるためには若干の時日が必要となりますので、そのつなぎというような意味で当面豊岡市の上水道、これは簡易水道でございますが、上水道によりまして暫定的に対応をしていただく、この上水道によりまして日量約二千トンの供給は当面可能になる見込みでございます。
  331. 安武洋子

    ○安武洋子君 水問題に象徴されますように、この事業での地元市の豊岡の負担というのは大変大きゅうございます。関連施設というのは私はまだしもと思いますけれども、団地内の道路あるいは公園、これは後で移管されるとはいえ当然団地の附帯設備でございます。これは私は公団が負担すべきものだというふうに思いますし、地元負担という場合でも、これは事業としてはもともと国の定住圏構想、それと県の県北広域都市圏振興整備構想、こういうもので位置づけられて始まっている事業でございます。ですから但馬全域の経済的、社会的基盤の整備振興、これが広域的な目的として掲げられているわけでございますから、一豊岡市でなくて県が責任を負うべきものだと、こういうふうに思うわけです。工業用水に見られるように、私は県の姿勢というのは大変問題が多い。公団としてももっときっちりこういう点対処すべきでないか、こう思いますが、いかがでございますか。
  332. 坂井清志

    参考人(坂井清志君) 御指摘の点は私どもも非常に現在気にしておるところでございまして、やはりこういった難業は公団のみならず県、市、特に県の積極的な御協力をいただかないと成功をしないわけでございます。ただこの地域、もう委員もよく御指摘のとおり、なかなか企業を誘致いたしますにしましても楽観を許さないところでございまして、やはり企業は立地をする場合には一番まず気になるのは分譲価格が幾らか、坪当たり幾らかということが何といっても問題になるところでございますので、そういう厳しい環境にある団地であればあるほど、分譲価格については少しでも安くしたいということでございます。もし仮に私どもがこの関連の公共事業、道路とか公園とかいった関連の公共事業にお金を使いますと、その分は当然分譲価格の中にはね返ってくるわけでございまして、私どもといたしましてもできる範囲内で関連公共事業に対しても公団が負担をしたいと考えてはおりますが、そういった最終的な企業立地、誘致ということを頭に置いて、一応私どもは分譲価格を大体近隣の比較におきまして坪四万円台には抑えたい、その目標を達成するためにはどうも残念ながらこの地域におきまして、私どもの公団が公共事業について御負担を申し上げるということがその余地がないわけでございまして、やむを得ず県と市にお願いをする、特に県についてはもう先生の御指摘のとおり、これまで以上に強力にやっていただくように私どもも強く要請をしてまいりたい、こう思っております。
  333. 安武洋子

    ○安武洋子君 この一期工区の造成入札、一月九日に東京で行われております。九社が参加しておりますけれども、地元企業は一社も参加をいたしておりません。結局鹿島建設が落札いたしておりますが、二億一千五百万円のこの工事、これは分割発注いたしますと地元にも造成工事を引き受けられるという業者は十分にいるわけです。地域振興を目的とした事業でありながら東京の大企業に仕事がいくというのは、私は実に不合理であろうというふうに思います。入札とか発注方法、これは検討して地元でも入札が行われて地元の業者にも仕事が回る、こういうふうに今後改善をしていただきたい、これは強く望んでおきます。また本件の工事の今後の附帯工事につきましては、地元業者に発注するように努めていただきたい、これも要望申し上げます。いかがでしょうか。
  334. 坂井清志

    参考人(坂井清志君) 御指摘の点につきましては、私どもも従来からできるだけの配慮をしておるつもりでございますが、なお一層そういうことを念頭に輝いて努力をしてまいりたい、かように考えております。
  335. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと時間の関係で急ぎますが、関電の赤穂火力の問題についてお伺いをしておきます。  関西電力の赤穂発電所の建設計画、これは先月の十六日に電調審で開発決定がなされております。六十万キロワット二基という大変大規模なものです。それだけに環境への影響というのが大変心配されるわけで、私は地元の方々と今までも何度か大気汚染の問題あるいは温排水の問題、こういう問題で要請を繰り返してまいりました。電調審を通過した時点で、とりわけ温排水の放水路について私は通産省にきっちりと対処をしていただきたいと思うわけです。  赤穂火力というのは前面が海でございます。ところがそれにもかかわらず温排水の放水路、これは何と赤穂市街を四キロも横断する。その横断していく周りには市街地、住宅とか学校とか、こういうものがございます。その地下を三メートルのところに四メートル四万のコンクリートのカルバートボックス、これを二本通す。そして毎秒五十五トンという大変大きな、川並みでございます、こういう河川級の流量の温排水を流す。日本でもこんなのは例のないことです。私は無謀としか言いようがない、非常識な計画である、基本的にこのような計画は取りやめるべきだ、こんな危険な計画を実行に移すべきでない。まして前面が海です。ですからそのことを強く申し上げます。  しかし、それでもなお関西電力が強行する、こういうことになると、私は通産省としてはこれに強く対処をしていただかなければならないというふうに思うわけです。  まず第一に、放水路に事故が起こる、こういうことになりますと、温排水が噴出する。でも急選放水、これをストップするというふうになりますと発電所のタービンが爆発する、こういう心配がございます。ですから流し続けていくと周囲は大変な洪水に見舞われる、こういうことにもなるわけですから、工事に万全を期するというのはこれは当然のことですけれども事故に備えて補助的な放水手段、これを関電側につけさせるように指導をすべきだということが第一点です。  それからもし建設協定、こういうものが地元側からの要請、こんなものであった場合、これは事故とか地下水脈への影響、これをもたらすことのないように安全性とともに、もし被害というふうなことがありますと、無過失賠償責任を含む確認を関電側にしっかりと交わさせる、こういうことが必要だろうというふうに思います。放水路の安全を維持するために、学者とかあるいは地元住民も含めました放水路の点検、管理、そういうための委員会的なもの、こういうものも私は設置を関電側に認めさせていただきたい。  以上について通産省の強力な指導を要請いたしとうございますが、それに対しての御答弁を承ります。
  336. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 最初に、御指摘の放水路につきましてでございますが、この放水路、壊れて事故になったとき、とめればタービンが爆発するんじゃないかということでございますが、そういうことはないようにちゃんと発電機の設計等もできておりますので、そういうことはないと思いますが、そもそものものといたしまして、この放水路の設計につきましては、各種の土木工事等の設計指針に基づいて堅固で耐久力のある構造物とするように計画を電力側でもやっておるわけでございまして、私ども通産省におきましても、この発電所の工事計画認可申請というのが出てきた場合には、十分その点大丈夫であるかどうかということは当然チェックをいたして、そういう事故のないように、その内容について万全を期したいと、こういうふうに考えております。  それから、もう一つの御指摘の点は、事故が仮に、万が一起こった場合に、無過失賠償責任を含めた協定をしたらどうかと、あるいは点検のための委員会をやったらどうかと、そういうことを指導したらどうかという御指摘だと思います。しかし、この点につきましては、まあ協定を結ぶとか委員会を設けるというのはあくまでも当事者間の問題でございまして、私ども通産省としてそういうことをしろということを言う立場にはないと思います。指導をする立場にも私はないんじゃないかと思いますし、ただ、そういうことじゃなくて、実質的に発電所の運営につきましては、その保全について細心の注意を払うよう会社側もやっておると、点検、管理を行うと言っておりますが、それについて当然、そういう点検、管理は十分に万全を期しろということについては当然指導したいと思いますし、それから、先ほど来申し上げましたように、この工事自身十分堅固で耐久力のあるものだということを前提といたしますが、それは工事認可の際に、それをちゃんとするようにチェックいたすということにしておる次第でございます。
  337. 安武洋子

    ○安武洋子君 異論はありますけれども^時間が来ましたので。
  338. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 外務大臣の御都合があられるようですので、私の予定の質問の順序を取りかえていたしたいと思っております。  まず、質問の第一は、この私の質問にお答え願うためには、外務大臣防衛施設庁長官がその気になって立ち上がってもらえばすぐ解決できると、こういう見通しを私は持っております。それは、米軍泡瀬ゴルフ場内道路建設についてであります。  まず、説明を申し上げる前に地図によってその概況を申し上げます。(地図掲示)  この赤い、これは北中城村の役場であります。この黄色い範囲がいわゆる米軍泡瀬ゴルフ場であります、終戦直後アメリカ軍がゴルフ場に接収した。そのために、ゴルフ場によって——この青い線は戦前からの村道でありました。ところが、これはゴルフ場に米軍が使いたいというので、それじゃ復元はもう遠慮しようということで米軍の言うなりにこれは譲ってあるわけです。ところが、そのために、このゴルフ場によって北中城村の本拠と、ここに赤い筋が——これが同じ北中城村でも島袋という字であります。戸数約四百、千二、三百名の人口があります。このゴルフ場のために村が分断をされて、そしてここの村民は、仕方がないから、ずっと大回りをして、時間的にも経済的にも、そして村行政の立場からも非常に村長、村民は困っております。それで、このパイプの——赤いこれでありますが、この道路ができればすべて解決するわけであります、この道路が。これをぜひ実現してほしいという願いを込めて、七年前から実は要望し続けておるのであります。ところが、その前提には、ただ一方的に要望ではありません。その七年の間にどういうことが確認されておるかといいますと、ゴルフ場内の旧村道はもう復元はしない。道路は米軍と共同使用してよろしい。この新しくできる道路はですね、米軍と共同使用して結構です。そして、その道路の場所も、ゴルフに支障のない——ここまでがゴルフ場で、ここは急傾斜地で、ずっとゴルフ場とは関係ありません。もっと延ばしたいという気持ちがあるかどうかわかりません。とにかく、今はゴルフ場には使っておりません、傾斜地です。だから、この端を通してくれという要望なんです。そして、その費用負担も、防衛施設庁と村当局の相談の上、その土地の買い上げは村でやると、これに、道路に関係する民有地はですね。こういった相談もできておりますにもかかわらず、七年たった今日、いまだにそれが解決をしておらないということなんです。それで村長も、村行政の立場からも非常に困り抜いておる状況であります。もうこれ以上待てない、我慢ならない、こういうことで私にも絶えず訴えてまいりましたので、私は村長とも打ち合わせ、そして防衛施設局、沖縄現地の、局長にも次長にも会いました。そして、防衛施設庁長官にも会いました。横田の基地司令部の参謀のフランク大佐にも会ってきました。ところが、それが具体的にどのようにどこまで行っておるかということについては皆目知るすべがありません。これではいけないんじゃないかと、こういうことで実はきょうこの問題を具体的に取り上げたのでありますが、現時点で一体どうなっておるのであろうか、そしてそれをどのような経過で、いつまでにそれが解決できると、こういう確約をしてもらわなければいけないと思って、私は強く迫っていきたいと、こういう気持ちで激励をしておるところなんですが、いかがですか。
  339. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘の事実関係は、そのとおりでございますから省略させていただきます。  現状段階を申し上げますと、現在、米側と交渉中でございますが、現地では、現地の米軍と北中城村と防衛施設局の間で調整を下しております。終わっております。したがって、近く米側から回答が出されるということを期待しておる段階でございます。
  340. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 段階はわかりましたが、これは解決してもらうためには、手順があるわけですよ。それを、いつどのようにしてテーブルにのせるか、これが聞きたいんです。
  341. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 今申し上げましたように、近く米側から回答があるというふうに期待しておりますが、回答がありました時点で事務処理を続けてまいるわけでございますが、今具体的な日にちをここで申し上げられるという段階ではございませんで、近く米側からの回答があってそれを待って手続を進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  342. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 外務大臣、お聞きのとおりですね、この問題は日米合同委員会で最終的には決まるでしょう。ところが、その前に技術小委員会にテーブルにのせられるはずなんです。そういう手順を経てこれが進められると、こう思うんですが、そういう手順を考えた場合に、どうしても外務大臣がその気になってもらわなければいけないのではないかと、こういうことであえて外務大臣にお残りを願ったわけなんですが、いかがですか。
  343. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今お話しの点については私もよく理解をいたしました。今施設庁長官からも答弁がありましたように、当事省間で話が進んでおると、こういうふうなことでありまして、これからの問題につきましては、施設庁あるいはまた米軍あるいはまたさらに関係があるとするならば、これは外務省もそれぞれ相談をしながら、これを米軍からの回答があった後に具体的な段取り等については進めてまいりたいと、こういうふうに思います。
  344. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、米側の回答を待っているわけでございますが、回答が出次第これを中城村に回付しまして同意を得たいと。最初に申し上げましたように、現地の造成が終わっておりますので、特段の恐らく御意見がなくて事務的には進んでいくものというふうに考えられますけれども、一応まだ米軍の回答を見まして、それを村の方に出しまして村の同意を得て施設委員会にのせると、こういう経過になろうかと思います。
  345. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もうこの問題はどう考えてもどう見ても疑問が残るはずはありません。本当にその気になってすいすいやっていけばあしたでもあさってでも解決できる問題だと私は思うんです。あえて即しますのは、こういうことを言いたいんです。政府は米軍の要求に対しては極めて積極的、だが県民の切実な要求に対しては極めて消極的、許せないということなんです。  以上、申し上げて、一刻も早くその結果を明らかにしてください。  第二問、この問題と裏腹の問題だと私は思っております。思いやり予算について申し上げます。もう結論的に、思いやり予算はこの喜屋武はあくまで我が国の米軍に対する、米政府に対する思いやりであって、我が国が当然負担すべき義務負担ではないと、私は理解しておりますが、外務大臣いかがですか。
  346. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 思いやり予算につきましては、今、日米間には安保体制というのがありますし、その根幹として在日米軍の駐留が行われております。この駐留が円滑かつ効果的に行われると、そして我が国自身の安全保障の観点及び在日米軍従業員の雇用の安定という見地から地位協定の枠内においてなし得べきことはしなければならないと、こういう考え方でなされておると、こういうふうに思って判断しております。
  347. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もっと端的に焦点を突いて答えてください。私の質問があくまで我が国のアメリカに対する思いやりであって、負担すべき義務負担ではないと私は理解いたしておりますが、いかがですかということなんです。そうであるかそうでないかという答えだけで結構なんです。
  348. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほど外務大臣からもお答えありましたが、この点私どもは、地位協定二十四条二項による、施設関係の方は、二十四条二項による日本側の負担であって、いわゆる俗称として思いやりという言葉が使われておりますけれども日本側に全く義務のないものを文字どおりの意味の思いやりとして提供しているのではない。あくまでも根拠規定としては地位協定二十四条第二項であるというふうに理解いたしております。
  349. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が言いたいことは、一体思いやりの言葉でそれが実施されたのは、引き金は何であったかということを原点に返ってください。ということは、あなたの説明されることは思いやりという名のもとに変質してきておるということなんです。量の上からも広がり、質の機能の上からも高まってきた、変質をしてきておるではないかということを僕は指摘したんです。いかがですか。
  350. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御承知のように、五十三年度から労務関係が始まり、五十四年度から施設関係が始まったわけでございますが、直接的な当時の動機としまして、御承知のようなドル対円の関係とか、そういうようなことも確かにあってこういう問題がスタートしたということ。したがってまた、そういう意味で当時思いやりという言葉が使われたということは私ども承知しておりますが、その時点でも根拠を言われればやはり地位協定に基づいて実施したのであって、全くその義務のないことを純粋の意味の思いやりとしてやったんではなくて、根拠規定とすればやはり地位協定にあるというふうに我々は理解しておりまして、それが今日に至っております。まあ質が転換したんではないかというふうな意味のお尋ねでございますが、確かに量的に増大してきておりますけれども、根拠としてはあくまでも地位協定に基づく措置であるというふうに私ども考えております。
  351. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  352. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  353. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が変質しておるではないかと言いましたのは、地位協定の二十四条二項でしょう。ところが、思いやり予算の心からは土地買い上げ料と給料の補償だったでしょう、最初は。それが今度は戦車の修理工場、航空機の掩体、艦船、航空機の使用、維持、修理、このように機能が、内容が広がってきた。そうすると、これは歯どめのない広がり、このままでいくというともう五年間にも五十五年の三百七十四億二千八百万円が五十九年には六百九十三億八百万円、約二倍にはね上がっておる、異常突出しておる。このままでいくというと、駐留費の全予算の半分以上にのし上がってくることは火を見るよりも明らかなんですね。それで私は思うんです。どうしてもこれに歯どめを一応持たぬといかぬではないか、このまま手放しでいきますというと、どこまで広がり、どこまで高まっていくか知らない、恐ろしいことですよ、こういった無節操な形でのなし崩しになりますと。そのすきに乗じて米軍はぐんぐん迫ってきておるじゃありませんか。米軍だけじゃありません、米政府は。その歯どめをどうどこに置くか、答えてください。
  354. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 提供施設整備費の歯どめのお尋ねがよくあるんでございますけれども先ほど申し上げましたように、二十四条二項を根拠にしまして、申し上げるまでもございませんけれども、第一項で、米側が負担するもの以外のすべての施設及び区域の提供について日本側の義務であると、こういうことになっております。したがいまして、今先生がおっしゃった中で例えばどういうものを、こういう種類のものは米側が持つべきで、こういう種類のものは日本側が持つべきだというような意味での、提供するものによるところの区別をつけていわゆる歯どめをしようという考え方は、この二十四条二項からは私は出てこないというふうに思います。今戦車の修理だとかいろいろおっしゃいましたけれども、実態的には住宅でありますとか隊舎でありますとか、あるいはそれに関連する生活関連施設が主たるものではありますけれども、確かに御指摘のようなものがまじっております。しかし、この二十四条二項の規定から、そういうものはどういうものを外すということは私どもはできないんじゃないか。むしろそうでなくて、歯どめというのは、前々私どもがお答えしておりますように、米側の要請もありますけれども、我が方の社会的な情勢判断でありますとか、つまり米側の要請あるいは我が方が提供する施設の緊要度の判断でありますとか、あるいは我が方自体の財政の状況もございます。そういったようなことを総合的に判断して個々に決めていくと。当然のことながらそれは当然国会の議決をいただいて実施するという今の形で実施していくよりないんでございまして、ものによって区別するということは私どもは今のところ考えておりません。
  355. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そのものによってですが。原点に返ってみようじゃありませんか。原点ということは結局、施設、住宅それから給与の補償と、これが原点ですよ。ところが、機能の面から既にもう逸脱してきておるということなんですね。これが問題だというんです、これが問題。それから量を考えた場合に、このままでいくというと要求にはすべて応じてきておるじゃありませんか。そうなるとあちらさんの言うなりにどんどんふえてくる。どうしても歯どめを持たぬといかぬ。観念的な歯どめではだめなんです。そのことを私は強く指摘したいと思うんですが、もう一遍答えてください。
  356. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 前肢の繰り返しになりますが、機能の面からものによって区別するということが現行の地位協定上できないということは、先ほどお答えを申し上げたとおりでありますが、それにしても、しからば量の面で今御指摘は米側の言うとおりになっているんではないかという御指摘でございますが、それは決してそんなことはございません。米側の要望どおりならもっともつとたくさんあるわけでございまして、私どもとしましては当然のことながら現在米軍が駐留しております基地の周辺の社会的な状況といったものも考え、また我が方の財政事情も考えながら個々に決めていっておるわけでございまして、決して米側の言いなりになっているというような状況ではございません。
  357. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 とにかくその場では一応何とかつじつまを合わしてもらわなければいけないでしょうが、あなた方の立場からはね。これは根本的な重大な問題を含んでおりますよ。真剣に考えてみようじゃありませんか。この程度にしまして残しておきたいと思います、時間がありませんので。  では次に、これは防衛庁長官に次のことを、これは時間がもうありませんので、要点だけ申し上げて答えを求めたいと、こういうことなんです。まず、会計検査の決算検査報告書を非常に大事にして次のことを私は申し上げたい。防衛施設庁の配下であります那覇防衛施設局関係に絞って一つの問題を尋ねます。  それは、那覇防衛施設局に関しては、施設局職員とそれから建設業者との間にとかくの黒い霧のうわさが絶えずありました。ところがそのうわさの報道が正夢となって、事実となって、贈収賄容疑の事実が摘発されて逮捕者が出た。そうしますと懲戒免職になり、後日一審で有罪の判決を受けた者が出ました。このことはもう単なるうわさでなく事実となっているんです。その新聞報道もこんなに連続出ておりますよ。もうそのことには触れません。このことはまことに不幸なことであると言わねばならない。  そこで、防衛施設庁長官、このことに対する、もう具体的な例は省きますが、よく御存じと思いますので、御見解をお聞きしたい。
  358. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘までもなく、事実はよく承知いたしております。まことに残念な、かつ申しわけのない事件でございます。私としましては、いろいろ言われましても、業者と私ども職員との間に癒着があるというようなことは信じられませんでしたし、今も信じておりませんけれども、事実そういう事件が起こりまして、まことに一方で申しわけないと思いますと同時に、内部としましては、これはこの機会に引き締めていかなければならないというふうに考えまして、いろんな措置をとっておるわけでございます。社会一般の信頼をこういうことで失ったんではまことに申しわけないし、当庁の任務遂行といった点からも大きな影響がありますものですから、この点心を引き締めてまいりたいと考えております。もちろん職員の規律の確保といったような点につきましては、今後ともあらゆる機会を通じまして注意を喚起しながら、適正、厳正な事務の執行に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  359. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 こういった事件に関しては絶えず責任ある立場の人が、まことに遺憾であるとか、二度と起こらないように努力するとか、よくおっしゃることなんです。本当に二度と起こらぬかというとなかなかそうもいかぬようですよ。次次と起こっておる。そこにこの問題を通して一緒にひとつ考えてみようじゃないかということは次のことなんです。  沖縄の、さっき午前中にも質問がなされました地場産業の育成だとか、中小企業を守ると、こういう立場から、沖縄の業者ももっともっと足腰を強くして、本土の、そして他県の業者に負けないように頑張っていこうと、こういう気持ちを持っておる。また我々もそういうように叱咤激励しておるんです。にもかかわらず、この癒着の業者がだれであるかということを考えましょう。本土から行った業者が、沖縄まで乗り込んでいって、その業者と防衛施設局の職員が癒着しておるということがさらに許せないんです。これはどこの業者であろうが癒着することは許してはなりませんが、わざわざ本土から沖縄まで乗り込んでいっているその業者が、防衛施設局職員と癒着をしておるというこのことを、このような体質を徹底的に浄化しない限り、二度と再び起こらぬようなことをすると言ってみたところで、これは単なる絵にかいたもちにしか、アドバルーンにしかなりませんね。私はそのことを強く申し上げると同時に、再び繰り返したいことは、政府は米軍の要求に対しては極めて積極的である、ところが国民の側から、特に沖縄県民の切実な要求に対しては極めて冷淡で極めて消極的であるということを、私は戦後の沖縄のケースを顧みて自信を持って言えるんです、そのことは。この体質を浄化しない限り、県民は、国民は幸せになれないということなんです。この姿勢が沖縄県民を不幸にしつつあるんですよ。不幸にしてきたんですよ。これからもするでありましょう。そのことを私は強く指摘をして、長官の見解を求めて終わります。
  360. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 癒着とかあるいはこういった汚職といったような事件が、沖縄の地元の業者であれ、本土から行った業者であれ、起こしてはならないというのは当たり前のことでございまして、私ども沖縄の業者あるいは本土の業者いずれかを問わず、こういった問題については先ほど申し上げたような気持ちで厳正に対処していくべきであるというふうに思っております。  それから、先ほどの問題にも関連しますけれども政府は一般的に米側の要求には甘いといいますか、積極的に対応するけれども、県民の要求に対しては消極的ではないか、冷淡ではないかという点でございますけれども、これは先生のお気持ちあるいは御意見として十分承ってまいりますけれども、我々は、先ほども申し上げましたように、我々の気持ちとしましては、むしろ私ども防衛施設庁あるいは那覇の防衛施設局というのは、一方で米側があり、一方で地元の御要望があるという形の中で日々の行政をいたしております。もちろん、米側との間にいろいろなやりとりをしまして、そしてそれがまた一方県民の地元の側との折衝になっていくということで、その地元の側からごらんになって、施設庁あるいは施設局というのは米側の言うことばかり聞いているんじゃないかというふうにごらんになるかもしれませんけれども、私どもの意識としては、あるいは実態としては決してそんなことはございませんで、米側に対して言うべきことは言うという姿勢で今までもきたつもりでございますし、今からもそういうつもりで対処してまいりたいと思います。にもかかわらず先生のような御意見が出てくるわけでございますから、そこら辺は十分かみしめて、なお一層そういうつもりでやっていかなきゃいかぬというふうに考えておりますけれども、その辺はひとつ御理解を賜りたいと思います。
  361. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、内閣総理府本府、外務省通商産業省沖縄開発庁中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は五月十二日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会      —————・—————