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木本平八郎君 今の大蔵省の
見解が正しいと思うんです。それで国民の常識としても当然だと思うんですね。これは先ほど地代とか資本利子とかおっしゃいましたけれども、事実はこれは農家の利益なんですね。所得補償でしょう。したがって、これはただ算定の基準が地代とか資本利子ということで算定しているだけであって、この金額、例えば先ほどの例で六千六十円ですか、これは利益なんですね。そうするとこれは利益であれば課税される額、その限度に達しているかどうかは別にしてちゃんと利益として、所得として申告してなきゃいかぬはずなんですよ。ところが多分これ申告されてないと思いますね。その辺もう突っ込んでもしようがないんで突っ込みませんけれどもね。私は、こういう非常にまやかしみたいなものが米価にも非常に多いと。多いと言うのは、これは先ほどおっしゃったように、
昭和三十五年からどんどん何か手直ししてきて、それで、だんだん何か実態と違ってきておかしくなってきているという感じがするわけです。
実は、きまうの話題はそういうことじゃなくて、いわゆる米価自身もそういうふうに非常にゆがんできているというふうな感じがあるわけですね。例えば全中の問題にしても、例えば実勢の小作料相当分を地代に欲しいということを言っているわけですね、これは百円ぐらいだと。ところが
農水省の方は、とんでもないということで、いわゆる農業投資価格という非常に低い価格に抑えられていると。ところが、また一方、
農水省で、例えば米及び麦類の生産費
調査というふうなことをやっておられて、それを発表されているんですね。例えば五十七年度の生産コストが二万五百八十四円ですか。ところが決定された米価は一万七千九百五十一円なんですね。そうすると、全中は、
農水省もこれだけのコストがかかっていると言っているんだから我々これだけ損しているという言い方をするわけですね。それで、最近全中の立場としては、食糧危機だとかいろいろなことを言って、
補助金の問題とか、あるいは減反をやめるとか、いろいろなことを目的があるんでやっているんですけれども、それが実際より誇大PRになっているわけですね。米は非常にコストが高くてもうからないもうからないと、こう言っているわけですね。そういう印象が国民の側にとったら非常に何か白々しいと言うか、そういうことで非常に不信感が大きいわけですよ。その辺はやはり
農水省としてきちっと
指導されないと、ますます国民と遊離していくんじゃないかということを私は感じるわけですね。例えば米の平均の値段も、実際に自家用に食べているお米のコストまで平均しているとか、これをある、私どもがやりました試算では一万六千六百六十三円という値段さえあるわけですね。そうすると、一万七千九百五十一円にしても十分にもうかるわけですよ。事実もうかっているわけですね。そういう実態がありながら、何となくまやかしみたいなことが非常に行なわれているというところに、私はもう現在の一番の大きな米づくりの問題があると思うんですね。この辺はひとつぜひ
農水省の方で御検討いただきたいわけです。
それで、もう時間がだんだんなくなってきますので、私の申し上げたいことを言いますと、要するに今
日本の米は世界一高いんだと。年間三兆円もの
補助金を何十年間にわたって出しながら、どんどん穀物の自給率が下がっていっていると。三三%ですね、今現在。これは要するに米が高過ぎるからほかの穀物をつくらないわけですよ。米が安くなってくればほかの穀物つくれるはずですね。その辺が、米の値段の高いというのは諸悪の根源だと私は思っているわけです。例えば転作をやめたいとか減反をやめたい、休耕田を復活したいという要求がありますね。これは米づくりがもうかるからなんですよ。だからさっきと違うんですね。一万七千九百五十一円でももうかるわけですよ。そういうことがあって、今生産力が非常に過剰でありながら減反して、非常に無理に無理を重ねてきているわけですね。
ところが、私のところへ投書がありまして、これは大規模農家なんですけれども、今の米価の六七%で生産コストが賄えるというわけですよ。だからどんどんつくりたいというわけですね、今の値段でも。ところが減反をやられているのでこれどうしようもないんだと。
それからある篤農家からの話では、現在の生産者米価の五五%の手取りでもやれるから減反を廃止してほしいと。またほかの農家からは、ことし四百二円ですね、米価が上がりました、一俵当たり。ところが百俵つくっていると。これは一・五ヘクタールですから、相当大きな、平均よりも大きな農家ですね。これは百俵で、四百二円ですよ、年収で四万二百円しかベースアップしないと同じことでしょう。これじゃ上げてもらっても余り、あれだけわあわあ騒いで、それでサラリーマンからは怨嗟を受けてこれやっているのじゃどうしようもないというふうな嘆きみたいなものが来ているわけです。
私は結論的に言ってやはりもう
日本の農業というのは、農業高校を出た人が農業に打ち込んで、米づくりで十分に食っていけるようにしなきゃいかぬと思うんですよ。もう戦後だけでも四十年間やってきて、どんどん農家経済は悪くなる一方でしょう。これはこの辺でやはり転換しなきゃいかぬじゃないか。結論的に私は大規模農家に傾斜集中生産させるということですね。もう小さい小規模の農家には転廃業してもらうと。これはどんな産業でも全部やってきているわけですよ。もう工業
関係全部やってきているわけですね。農業だけがどうしてそういうことでいいのかということがあるわけですね。例えば〇・五ヘクタール以下のものにやめてもらって、それ以上にしますと七七%残るわけですね。それから一ヘクタール以上ですと四八%残って、まあ半分以上がだめになるわけですけれどもね。これで十分に賄えるんじゃないかというふうな気がするわけです。それで、要するにフリーにして、それで一遍にやると大問題ですけれども、徐々にフリーにやっていきながらそういう体質の強化をしていく、そして国際競争力をつけるということが必要だと思うんですけれどもね。その辺御意見をお伺いしたいんですがね。