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1984-10-17 第101回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十月十七日(水曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  十月四日     辞任         補欠選任      大森  昭君     菅野 久光君      片山 甚市君     本岡 昭次君      村田 秀三君     久保田真苗君      下田 京子君     安武 洋子君      青木  茂君     木本平八郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 三吾君     理 事                 岩崎 純三君                 後藤 正夫君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒今朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 大浜 方栄君                 河本嘉久蔵君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 矢野俊比古君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 木本平八郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君        外務省経済協力        局審議官     木幡 昭七君        外務省国際連合        局外務参事官   瀬崎 克己君        国税庁間税部酒        税課長      中島 富雄君        厚生大臣官房総        務審議官     長門 保明君        厚生省健康政策        局長       吉崎 正義君        厚生省保険医療        局長       大池 眞澄君        厚生省生活衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省薬務局長  小林 功典君        厚生省児童家庭        局長       小島 弘仲君        厚生省保険局長  幸田 正孝君        厚生省年金局長  吉原 健二君        社会保険庁年金        保険部長     長尾 立子君        農林水産省農蚕        園芸局植物防疫        課長       岩本  毅君        通商産業省機械        情報産業局電気        機器課長     広野 允士君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君    参考人        医療金融公庫総        裁        北川 力夫君        環境衛生金融公        庫理事長     加藤 威二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和五十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十七  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月四日、青木茂君、大森昭君、片山甚市君村田秀三君及び下田京子君が委員を辞任され、その補欠として木本平八郎君、菅野久光君、本岡昭次君、久保田真苗君及び安武洋子君が選任されました。
  3. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、厚生省環境庁医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  4. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  6. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 本岡昭次

    本岡昭次君 厚生省質問をさせていただきます。  まず、年金問題について若干伺います。年金問題は、年金制度が幾ら立派にできましても、それが実際に運営される段階制度対象となる者が、その制度現実に利用できるようになっていなければ意味がないのであります。現在、衆議院段階継続審議になっております年金法改正案も、政府は早期に成立をさせたいということで非常に慌てておられるようでありますが、現行の年金制度がどのように運営されているのかもう一度点検をする必要があると私は見ています。そういう観点からきょうは国民年金保険料免除の運用について若干ただしたいと思います。  現在、国民年金について保険料免除適用を受けている者はどの程度人数に上っておりますか。
  8. 長尾立子

    説明員長尾立子君) お答えを申し上げます。  現在、保険料免除者昭和五十九年三月末現価在人数にいたしまして三百九万人でございます。これを免除率という数字で表現いたしますと五十九年三月末で一六・七%になっております。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 免除者法定免除者申請免除者があると思いますが、今の総数三百九万人の内訳として法定申請と分けて報告していただけませんか。
  10. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 失礼いたしました。法定免除者は三百九万人のうち八十七万人、申請免除者二百二十二万人でございます。免除率にいたしまして法定免除者が四・七%、申請免除者が一二・〇%でございます。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 今説明がありました免除の問題なんですが、保険料免除制度というのはどういう目的でできている制度で、免除効果というのはどういうところにありますか。
  12. 吉原健二

    説明員吉原健二君) 保険料免除制度目的でございますけれども国民年金は、厚生年令等適用を受けていない、いわゆるサラリーマンでない農業をやっておられる方とか自営業をやっておられる方とか、それかも無業者の方も含めまして被用者年金適用を受けない全国民の方を対象にしているわけでございます。したがいまして、当然にその中には所得の低い方、それから所得心ない方も適用対象にしているわけでございます。それで、原則としてこの年金制度保険料を若いときに掛けていただいて給付を受けると、こういう仕組みをとっておりますので、原則保険料掛金を掛けでいただくことになるわけでございますけれども所得のない方、低い方についてはこれを免除すると、保険料免除するという制度を設けているわけでございます。そして、この免除を受けられた方につきましては、保険料を納める能力ができた段階でそれを追納できるという道も開いておりまして、追納することによって将来の給付に結びつくという格好をとっておりますし、さは免除を受けなかった方の場合と同様につけるということで、これまた給付の面でも年金に結びつくような配慮をしているわけでございます。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうした目的なり効果を持つ免除なんですが、法定免除申請免除免除基準はどのように定められているのか、簡単にお答えいただきたい。
  14. 長尾立子

    説明員長尾立子君) まず、保険料法定免除でございますが、これは国民年金障害年金、それから障害福祉年金、それから母子福祉年金等受給権者、これが免除でございます。もう一つは、生活保護法によります生活扶助を受けておられる方、これが法定免除対象者でございます。次の申請免除でございますが、これは所得がない者等対象としておるわけでございますけれども、具体的には都道府県知事保険料免除基準に当てはめまして免除の可否を決定いたしておるわけでございます。  免除基準の基本的な考え方を申し上げますと、まず前年の所得におきまして所得税が課せられているとき、これはまた被保険者本人または世帯主の方、被保険者配偶者のいずれにつきましても所得税が課せられているという場合には免除はしない。これが免除をしない最初の一番上のいわば上限と考えますと、次のその年の市町村民税均等割が課せられていないときは、これは絶対的な免除にすると、こういうふうに上と下を考え方を決めておるわけでございます。この中間に位置する方がおられるわけでございますが、この方々につきましては、前年の所得状況でございますとか固定資産、それから世帯構成等状況を一定の点数によって評価をいたしまして免除を決めるということをいたしておるわけでございます。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 ところで、その免除制度利用率といったらおかしいんですが、免除率推移でありますが、先ほど五十九年三月末の免除率は二八・七%ということでありましたが、これは推移は近年どのような趨勢にありますか。
  16. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 五十四年度からの推移を申し上げます。法定免除でございますが、五十四年度は四・〇でございます。それから申請免除が六・四、合計いたしまして一〇・五でございます。五十五年は法定免除四・二、申請免除七・六、合計いたしまして一一・八。五十六年度は法定免除四・四、申請免除八・七、合計いたしまして一三・一。五十七年度は法定免除四・六、申請免除一〇・四、合計いたしまして一五・〇。先ほどの五十八年度は法定免除四・七、申請免除一二・〇、合計いたしまして一六・七と、こういう状況でございます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 ただいまのずっと免除率推移を聞いてみますと、昭和五十四年度からしますと一〇・五、一一・八、一三・一、一五・〇、一六・七と順次増加一途をたどっているという状況にあることがはっきりいたします。  そこで、本来この制度が、先ほど目的のところで説明がありましたように、一時的に稼得能力の喪失といったことを補てんすることを目的として、稼得能力が回復したときには過去の保険料免除期間について十年を限度として保険料を遡求して納付することができるようになっている、そういうことによって年金制度そのものを持続させ得るところに効果があり、目的がそこにあるというふうに思うんですが、このように免除率増加一途をたどっているという状況では、どうも免除制度というものの目的とか効果、そうしたものが効果をあらわしていないんではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  18. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 本来の免除制度目的は、国民年金の体制の中で所得の低い、低所得層の方につきまいても、拠出制年金制度に結びつけていくといってとのために、この制度は考えられたと聞いておるわけでございますが、そういう意味では稼得能力を回復いたしまして、年金受給までの間に追納されるという方も相当におられるわけでございまして、私どもとしてはこの免除制度は有効昨日してるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  現実年金を受けておられる方のうち、免除期間がありまして受給されておられる方も、全体め中で一割程度の方が免除期間をお持ちになりながら年金を受けておられるわけでございまして、この制度は一応有効に機能はさしていただいているというふうに考えております。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 今のような説明でありますが、しかしこれ免除率が次第に高くなっているということの裏には、保険料の額がやはり高くなっていくに従って保険料負担能力が低下するということの中で起こっている問題ではないかと私は思います。  そこで、厚生省として最近におげる、先ほど言いました免除率上昇傾向を、ごれどのように認識しておられるんですか。
  20. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 先生指摘のように、最近保険料免除料率が上昇いたしておるわけでございます。これを先ほど最近の五年間の推移を私は申し上げたのでございますが、制度発足いたしました昭和三十六年以来の推移を眺めてみますと、この免除料率につきましては、実は三十年代におきましては一〇%を超えた免除料率になっております。これが四十年代におきまして下がりまして、四十年代の後半におきまして八%ぐらいの非常に低い免除料率になっているということでございます。それが最近に至りまして上昇している、こういうような過程になっておるわけでございます。こういうような全体的な推移を考えますと、免除料率影響を与えます状況というものは、一つはやはり所得水準国民年金の被保険者槽は無業の方等を含んでおるわけでございまして、本来所得能力の低い方が多いと思うのでございますが、一般的には景気の低迷ということの所得上昇率の低下ということが非常に大きいのではないかというふうに考えております。  先生指摘のように、確かに保険料の額が最近に至りまして非常に高くなっておりますことと、それから納付状況が厳しいという御指摘はごもっともでございますが、この点につきましては保険料を納めやすい環境の整備ということに努めてまいりたいと思っております。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 今度は免除率の問題を都道府県別に見てみたいと思うんですが、都道府県の中で最も免除率の高い県はどこで、どの程度割合になっていますか。
  22. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 免除率の最も高い県は、沖縄県でございます。その免除率は、昭和五十九年三月末現在で、法定免除は九・三%、申請免除が三四・〇%、計四三・三%とたっております。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 厚生大臣、どうですか。今の数字は初めてお聞きになったと思うんですが、私も調べてみて驚いたんです。沖縄県が四三・三%の免除率ということは、約五〇%近い人が免除されているということの中における年金制度、これをどう考えるかという問題なんですね。そして、この免除率の高さというのは早晩低下していくのか、四三%がやがて五〇%に近づいていくのかという問題は、これは重大な問題だと思うんですが、この点どういうふうに認識されておりますか、この問題を。
  24. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今、木岡先生の御質問で、非常に私どもも真剣に考えなければならない問題だと思います。今の地域別に見ると、沖縄県と。これは単に年金制度だけの問題でない、これは地域的な問題等もあるかと思いますし、また、最近免除率が多くなっているということも、この数年冷害等で、いわゆる園児年金対象になっている第一次産業農林水産業等の不振といったような国民生活国民経済全体の中で我々勉強しなければならない問題だと思いますが、これはいずれにしても、国民生活老後をしっかりと支えなければならない年金制度、これはやはり若い時代に国民皆さん方のそれぞれの御負担によって老後の安定というものが成り立っていくものでありますから、先生指摘のように、たとえ一つ地域といえども、四〇%の掛金を納めることができないような人がおる中での年金、こういうこと、いろいろと私ども勉強しなければならない大きな一つの示唆を与えていただいたものと考えております。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 ちょっとよくわからぬですね。答えにくかったんでしょうけれども。しかし、沖縄が四三・三%というのは、とにかくこれは非常に問題だと思います。しかし、その四〇%台でないにしても、幾つか県を挙げてみますと、北海道が二三・八、青森が二四・三%、そしてまた岩手も二一・〇%、鹿児島が二一・二%、宮崎が二一%、あるいはまた、長崎が二三・四%、福岡が二四・八%、こういうふうなところもあって、二〇%台から三〇%台に免除者がなっていくということは、私が最初言いましたように、国民年金というのは皆年金として制度として立派であっても、免除者を二〇%、三〇%、四〇%抱えている皆年金というのはどういうことかということになると、非常に問題がある、なぜこうなるのかということの解明を急いでいかなければ、この制度だけが先行して、ああ立派だ立派だといっても、実態はこういうことになるということで、これは早急にこの問題の解明をしてもらわなければいかぬ、こう思うんですね。  それで、免除率がこのように高いところと、また低いところがあるわけですね、平均して一六・何%になっているんですから。一体厚生省として相関関係経済のどういう指数と一体関係があるととらえておられますか、この状況を。
  26. 長尾立子

    説明員長尾立子君) ただいま先生から御指摘ございましたように、保険料免除の率の高いところは沖縄が一位でございますが、その後、福岡青森北海道長崎、こういう順位になろうかと思います。こういった県でございますけれども、一人当たり県民所得を考えますと、まず沖縄につきましては、一人当たり県民所得が四十七番目ということでございますし、それから生活保護保護率を見ますと、これが全国で二番目というような状況になっております。それから完全失業率も、全国平均が二・五%に対しまして、七・七%になっておるというようなことでございまして、こういった一般的な経済指標との関連は相当高いのではないかと思います。それから、福岡につきましては、これは一人当たり県民所得で見ますと六番目でございますが、生活保護保護率はこれは一位でございまして、保護率の最も高い県になっております。完全失業率についても二倍というような状況になっておるわけでございます。全体見まして、これはいろんな要素を勘案いたしまして、この免除率ということを考えていかなくてはならないと思うのでございますが、今申し上げましたような一人当たり県民所得でございますとか、被保護人員の数、つまり保護率でございますが、それから完全失業率、こういったものと相当相関関係は高いというふうに考えております。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 いろんな経済指標との相関関係があって、ある程度これ想定ができる状態に私は厚生省あるんではないか、こう思います。  そこで、これからの問題なんですが、今日のような経済的な状況の中では、残念ながらこの割合は低下しないんじゃないかというふうに推定するんですね。だんだんとこう上がっていくと思うんです。そうすると、一体国民年金制度としてどの程度までの免除率ならこれ許容できるんかという、全体がそれでは四〇%以上になっていったときに許容できるんかという問題があるんですね。そういうことをしっかりとらまえていなければ、この免除率というのは皆年金制度としていいと言っても、全部そこへずっと適用されていくような事態になったらどうなるんかという重大な問題を私はここで見出せると思うんですね。厚生省として一体どの程度までならば国民年金一つ制度として許容できるのか、この免除率が。どの程度ならば許容できるのか、またどの程度以上になれば年金制度としてこれは重要な問題をはらんでくるんかというのは、そこらはどういうふうに考えておられますか。
  28. 吉原健二

    説明員吉原健二君) なかなか難しい御質問でございますけれども、私ども国民年金最初つくりましたときに一体どの程度免除者を想定すればいいんだろうかということを大変議論をしたわけでございますが、まあ大体大ざっぱに考えまして一割ないし二割程度、あるいは場合によっては二割からもう少し上になるかもしれぬ、非常に予測がつかなかったわけでございます。大ざっぱに言いまして、非常に幅が広いあれでございますけれども、一割から三割ぐらいまでは考えておく必要があるだろうということでこの制度を出発さしたわけでございます。現実推移先ほど長尾部長からお答え申し上げましたような推移をたどっておりまして、現在一五、六%というところにきているわけでございますが、私ども考え方としては将来これが下がるかどうか、確かに景気状況経済状況によって上がったり下がったりすることが過去もございましたので、今後とも私はこれからずうっと上がっていくとばかりは断定できないだろう、あるいはもう少し下がるかもしれぬという期待も持っているわけでございます。  それからもう一つ問題は、やや、先ほども御指摘ございましたように、地域的な府県別の格差が大き過ぎると、沖縄は確かに四〇%でございますが、これがずば抜けている、ほかは高いところでも二〇%台である、低いところはなお九%というような県もあるわけでございます。少し、いかに経済影響地域的ないろんな問題の反映とはいえやや高過ぎるんじゃないかと、その面で、運営の面についても少し考えていく必要があるんじゃないかということを考えているわけでございます。それから、その制度として一体この免除制度というものを国民年金の中にこうだんだん率が高くなっていった場合にどう考えていったらいいのか。これまた大変難しい問題でございますけれども所得の低い方も含めて国民のみんなが、全部の方が年金に結びつけるようにするには一体どういう方式がいいのかということを考えますと、これももう制度発足当初以来の非常に議論の多かった点でございますけれども、そういう所得の低い方、ない方も含めて適用対象にするか、あるいはそういった方はもう最初から保険料を納められないのだから適用対象から外すかと、こういう二つの考え方といいますか、選択があるわけでございますけれども、やはり所得が低い高いというのは長い三十年、四十年の間にいろいろ上がったり下がったりということがございますので、一応は全部の方を保険制度対象にしておいて、そして一時的に保険料を納められない方には免除をして、特別な優遇措置を講じていく、これが一番いいだろうということで出発をさして、今後の年金制度のあり方としてもいろいろ議論がございましたけれども、やはりその考え方は維持をしていく方がいいんじゃないかということで今のような考え方でいっているわけでございます。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 私もその考え方に異論はありません。ただ、その制度発足当時の考え方現実に起こってくる問題のずれをどう調整して、そして制度そのものを絶えず見直していくかということが大事ではないかということの一つ問題点を出しているわけです。  それで、もう一つの側面として、これだけの免除率の高さから推定をして、正規の手続をして法定免除申請免除ということで対応する人以外に、多数の保険料滞納をするという方が必ずこれは存在するんではないかというふうに思うんです。その実態を私は資料として持ち合わせをしていないんですが、滞納というのは納入期限二年を経過すればこれは追納できないということで滞納者になるんですが、その実態を把握しておられますか。
  30. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 国民年金保険料収入状況といたしましては、検認率、つまり印紙納付ということが法律上の形になっておりますので、その印紙検認をした率というもので示しておるわけでございますが、現在の検認率は、昭和五十八年度末で九四・六%でございます。したがいまして、五・四%の方が保険料を納めていただいてないということになるわけでございます。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 その傾向はどうなんですか。
  32. 長尾立子

    説明員長尾立子君) 最近の状況を見ますと、やや検認率も低下をいたしておりまして、ほぼ横ばいと申してもよろしいかと思いますが、五十四年からの数字を申し上げますと、五十四年が九六・一でございます。五十五年も同じでございます。五十六年が九五・七、五十七年が九五・二、五十八年がさっき申し上げました九四・六という数字になっております。
  33. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に、今ずっと免除問題について若干の内容をえぐっていきましたが、厚生大臣一つ考え方の問題をお聞きしてこの質問を終わりたいと思うんです。  私は、国民年金保険料が今度は新しい基礎年金というものに制度的に変わって、そして将来一人一カ月一万三千円まで引き上げる必要があるということが具体的な金額として予測されております。五十九年三月段階五千八百三十円であったものが一万三千円までに引き上げられるというときに、先ほど議論してきた免除率の問題、経済的な指標もずっと上がっていくし、所得の面も上がっていくという面もあろうと思いますが、かなり掛金を満度に掛けていくということが今以上に難しい状態になっていくんではないかということを私は想定します。そこで、やはり国民年金も一定額をどのような所得階層にある人も掛けるという方式じゃなくって、少なくとも負担の部分は所得に応じたものにするという問題を取り入れていくか、あるいはその所得に応じた目的税的なものを一部にでも導入していくか、こうした方途を研究し、検討をしていかなければ、免除率問題が、先ほど言いましたように、局長が一〇%から三〇%の間を想定してスタートさせたとおっしゃいますが、私はかなりこの問題は大きな問題に発展していく可能性があるんではないかと思うので、そうした新しい国民年金を基礎年金という制度に移行していく段階で、今言いました所得に応じた掛金の問題、あるいはまたそれを目的税的なもので所得に応じて負担金を取っていくというふうなものを検討しなければ、やはりうまくいかなくなるんではないかということを思っているんですが、その点について厚生大臣のお考えを承って、きょうはとりあえずこの質問を終わっておきたいと思います。
  34. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま御指摘をいただいた問題、これ私ども今後検討を重ねていかなければならない問題だと思います。ただ、保険料老後所得保障の柱となる年金を受けるためのものでありますから、若い働ける時代に最大限の努力をして御負担をいただく、この原則を変えるわけにはこれはまいりません。そういう中で、今度私どもが御審議をお願いしている改正法では、基礎年金の部分に国民皆さん方の税金を投入するということで、税金を投入する面は下に厚くというような方法等も講じておるのでございますけれども、しかし今先生指摘のように四〇%も、これはたとえ沖縄県という特殊の事情にあるところであっても、四〇%も保険金が払えないというような状態が健全なものであるはずはございません。これも見てみますと、いろいろその地域経済の実情あるいは県民性とかいろんな面も関連するわけでございますが、基本的には私どもはやはりお互いの自助と連帯によって老後のお互いの生活の不安をなくそうというのがこれ年金制度でありますから、その掛金は若い時代に皆さんに応分に負担をしていただくという原則は貫いていかなければならないと思いますが、御提案のような、所得に応じた負担金や目的税を導入するということについては、一つ考え方ではあると思いますが、今後なかなかこれを実現していくこと、先ほど政府委員先生の想定質問の中でいろいろ討議をしたんですけれども、ここで私が明快なお答えをするには余りにも大きな問題であると思いますが、今後検討を重ねてみたいと思います。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは次の問題に入ります。  九月十八日の本決算委員会で、私は精神障害者の人権問題を取り上げまして、時間が非常に少なかったので幾つかの問題を残しておりますので、その問題について論議をさしていただきます。  まず、前回の質問のために外務省からもらった国連人権小委員会における日本政府の答弁書でありますが、私が国会の資料として提出を求めたこの政府の答弁書と、実際ジュネーブの国連において、人権小委員会において政府がオブザーバーとして答弁した資料とが違っていた。全面的に違っているということじゃないんですけれども、肝心な部分が、私には削除されたものが渡され、そして実際の国連での答弁は原文のままが使用されていた、こういうことになっている。その後いろいろ私もその事柄をただし、新聞でもそのことが問題になりましたが、ここで改めて、一体政府の方から私に渡された、国会に資料として出されたものが正しいのか、それとも別のジュネーブの方で出されたものを私はもらったんですが、こっちが正しいのか、ここではっきりさしていただきたいと思います。
  36. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) お答えさせていただきます。  先生から本委員会の資料として資料要求がございましてお渡ししましたテキスト、これが正しいテキストでございます。  したがいまして、ジュネーブの差別小委員会で発言いたしましたテキストには過ちがあったということでございます。
  37. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうしたら、なぜそのような過ちが起こったんですか。
  38. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) まず、ジュネーブの人権委員会におきまして、八月の十七日にNGOから日本の問題に関連いたしまして発言するという動きがございまして、この二つの団体は事前にテキストを配付したわけでございます。ジュネーブの代表部から、このテキストに基づきまして日本側の問題、すなわち若干その事実に誤認があるんじゃないかということがございまして、ジュネーブの代表部の方から一応反論するということでテキストをつくりまして、これを本省に送付してきたわけでございますが、この内容につきましては厚生省の所掌事務の問題でございますので、外務省の方から厚生省の方にお諮りいたしまして、部分的に訂正いたしましてジュネーブに送り返したわけでございます。  ところが、この過程で、事務的な手違いと申しますか、私どもの全くの不注意でございますけれども、実際に発言いたしましたテキストには当然削除さるべきところが含まれていたということでございまして、この点につきましては私どもの手落ちでございました。  したがいまして、今後こういった重要な問題につきましてそごのないように十分慎重に対応していきたい、かように思っている次第でございます。
  39. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、約一行削除されてあるんですが、この理由は一体何か、なぜそれでは削除する必要があったのか、そこを明らかにしていただきたい。
  40. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) ただいま先生の御指摘のございました削除した文言でございますが、これは強制入院として精神衛生法上の措置入院を説明した箇所でございます。  この箇所におきまして、その他は同意による入院との表現がなされておったわけでございますが、このその他は同意による入院、ここにつきまして、本人の同意かあるいは第三者の同意かということで、その他は同意による入院という表現は本人の同意を意味するというふうに解釈される余地がございましたので、この点削除した次第でございます。
  41. 本岡昭次

    本岡昭次君 国連に対してはその後どのような訂正を申し入れ、どのような措置をしたんですか。
  42. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) この過ちが発見された後に、直ちに私どもといたしましてはジュネーブの代表部に訓令を発しまして訂正措置を講ずるように命じた次第でございます。  具体的には、この差別小委の事務当局でございます国連人権センター、この人権センターに対しまして、日本政府説明の発言部分で、その他は同意による入院であるその部分は事務上の手違いで挿入されたものであって削除していただきたいというように申し入れてございます。  それから、実際にこの日本側の発言と申しますのは、国際人権連盟、身体障害者インターナショナル、この二つのNGOの発言に対しましての反論と申しますか、説明でございましたので、この二つの民間団体に対しましても日本政府の発言には過ちがあった、この当該箇所については削除していただきたいというように訂正措置を講じた次第でございます。
  43. 本岡昭次

    本岡昭次君 その過ちであったという訂正の措置ですけれども、今おっしゃったその三カ所だけで済むんですか。もっと広い対象に訂正をしなければ、人権小委員会に参加した組織全部にやはり外務省として訂正をする必要があったんではなかったんですか。
  44. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) この差別小委員会の事務局はセンターでやっておりますので、ここに一応我が方の過ちを通報したということによりまして、その他の団体にも当然周知徹底されるというふうに考えております。他方、この二つの団体に対しまして直接訂正措置を講じましたのは、この二つの団体の発言に対する実情の説明という直接の関係当事者でございましたので、特にこの二つの団体に対しましては特別の措置を講じたということでございます。
  45. 本岡昭次

    本岡昭次君 一応それで経緯はわかりました。  そこで一つは、例え事務上の間違いであったにせよ、国連の場で政府が答弁した資料そのものが間違った形で国会に結局は提出されたということになったわけなんです。私に渡されたものが例え正しくとも、それが国連の場でその時点では報告されなかったわけで、そういう意味では国会に対して外務省が正確な資料を渡してなかったということに私はなると思うんです。私に渡されたものを国連で答弁に使われていうんならそれでいいんですけれども、違うものが答弁に使われていた。しかし、実際は私に渡されたものが正しくて答弁に使われたものが間違いであった。このようなミスを犯しているんであって、それは例え事務的なものであったとしても内容も非常に重要な問題を含んでいますし、外務省としてまた厚生省として決算委員会に対してこういうような資料を渡して、そして混乱させたという問題に対する責任はどのように感じておられますか。
  46. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) 先ほど説明いたしましたとおり、当該発言部分につきましては、厚生省の専門家の方から御指摘をいただきまして、ジュネーブの代表部に対しまして削除方指示した次第でございます。ただ他方、事務上の手違いがございまして、削除せずにこれを読んでしまった。しかも後日、本岡先生の方から資料要求がございまして、国会の委員会に正式にお出しした資料と実際に発言した資料とにそごがあったということについては私ども深く反省しておりまして、今後このようなことがないように慎重を期したいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 先ほど来外務省の方からも御答弁ございましたように、私どもとしましても密接な連携をとりながら、このような事態が起こらないように今後とも協力を一腰緊密にやっていきたいと思います。
  48. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の責任問題を追及するにしても、事務的な問題だと、こうおっしゃつているんですけれども、最後にそれではこういうことになった責任は外務省なのか厚生省なのか、それだけちょっとはっきりさせておいてください。
  49. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) 先ほど来御説明いたしましておるとおり、このテキストにつきましては厚生省に御協議いたしまして、厚生省の方からこの部分は非常に誤解を生む余地があるので削除してほしいという御指示をいただきまして、それを外務省が訓令として発出したにもかかわらず、出先において手違いがあったということでございますので、この部分につきましては外務省側に落ち度があったということでございます。
  50. 本岡昭次

    本岡昭次君 外務省の方に責任あるということおっしゃってるんですから、外務省の方にまた改めて私は問題を出しておきたいと思います。きょうは時間がありませんから責任の所在だけ明らかにさしていただきます。  それで、今の問題について厚生省の方がここで書かれている問題は全体としてこういうことなんですよ。一九八二年には入院中の全患者数は三十二万六千人である。そのうち強制入院患者は四万人、すなわち入院患者数の一二・三%であって、その他はいわゆる承諾に基づく、同意に基づく入院患者であるという部分の、その他は同意に基づく入院患者である、というところをカットしたわけなんです。これは本人の同意ということに過ってとられることがあってはいけないということの厚生省の判断で削ったようであります。  しかし、私は問題にしたいのは、削っても削らなくとも、ここで論議されたのは強制入院患者というものの実態はどうなのかということがこの問題の焦点でありまして、厚生省が強制入院患者というのはあたかも措置入院患者だけであるというふうにここで強調して、その他同意入院、仮入院というものはそうではないんだというふうな形で、その事実を曲げてそこで主張したというところに基本的な問題があるというふうに私は見てるんです。この点についてひとつ厚生省にはっきりきしてもらわなければならぬのですが、同意入院なり仮入院というものは、これは措置入院と同じく患者にとってこれは強制入院であるのかないのかという問題をここではっきりさせなければならぬと思います。その点いかがですか。
  51. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 国連の人権小委員会におきまして政府代表が報告をいたしました点でございますが、都道府県知事が行政権限に基づいて措置入院をさした患者を強制入院患者ととらえまして、先ほど先生指摘数字も含めて報告したものでございます。  また同時に、同じ報告におきまして政府代表は、我が国の精神衛生法上、仮入院及び同意入院の制度のあることについても引き続きのパラグラフ、節で述べておるわけでございます。したがいまして、私どもはその強制入院患者というものについての行政権限に基づくものについてが強制入院患者ととらえたと、こういうことでございます。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 だから、ここの文章であなた方が行政的な立場から措置入院患者が強制入院患者ととらえた、それはそれでいいんですが、しかし同意入院患者というものはそれでは強制入院という状態であるのかないのか、この点はどうなんですか。
  53. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 患者さんの立場に焦点を合わせて今先生おっしゃるようなとらえ方をしますと、患者さんの同意というものを前提としていないという意味で強制的な要素、側面はあると思います。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 強制的な側面じゃなくて、患者にとっては強制的な入院、これ以外の何物もないんでしょう。本人の同意をとっていない以上、患者にとっては強制的入院、側面じゃなくて強制的入院なんでしょう。
  55. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 御承知のとおり、措置入院におきましては本人の同意はもとより、保護義務者の同意も要せずに行政処分として強制的に入院させるわけでございますが、我が国において設けております同意入院の制度におきましては保護義務者の同意を前提とするということで、先ほど申しました行政権限に基づく強制入院とは異なるものというふうに考えておるわけでございます。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 あなたのようなことを言うから国際的に問題になるんです。もう少しこの問題は、患者本人の立場に立ったら自由入院か強制入院か、この二つのうちの一つしかないんですよ。その範疇からすれば強制入院、自由入院ではないことは確かでしょう。そのことははっきりと「精神衛生法詳解」という中央法規から出されているところにきちっと説明がなされてあります。  これは厚生省の公衆衛生局長佐分利さんが「序」のところに、これは「公衆衛生局内の実務担当者が、精神衛生行政上の今日的な問題点を念頭に置きながら」書いたというふうに書かれておるし、そして「あとがき」のところにもそうした意味で、これは厚生省の精神衛生行政のやはり法律上の解釈として一番すぐれたものなんだというふうな説明があるこの解説書なんですが、その中に、三十三条、精神衛生法、「保護義務者の同意による入院」という項があります。この項の「要旨」のところにはっきり三十三条はこういう規定であるということが書いてあります。「本条は、いわゆる同意入院に関する規定である。同意入院は、本人の同意がなくともその者を強制的に精神病院に入院させる制度であるから、」というふうに書いてあり、「その運用には格別の慎重さが求められると同時に、本人の同意が求められる症状であればできるだけ本人の自由意思を尊重して、いわゆる自由入院の形式を採るべきであろう。」というふうに書いてあります。だから、入院には同意を得て自由入院といくのか、それとも本人の同意を得ずに強制入院といくか、二つに一つしかない。真ん中なんてないんですよ。  また、こういう説明もあります。「本人の同意がない場合においては、精神病院の管理者は、患者に社会的妥当性を有する必要最少限度の強制力を加えて病院へ収容することができる。この点で、患者にとっては、同意入院も措置入院も何等変わるところがない。」、こういうふうに書いてあるんです。だから、行政的な措置どうというよりも人権というのはあれでしょう、この場合は精神障害者の人権、患者の人権なんですよね。その人の立場から考えていかなければ、行政的な法の解釈でどうのこうのというのではない。国際的に問題になっているのは、本人の同意を得て入院する自由入院、それと同意を得ない強制的入院というものがどういう状態で存在しているかということが問題になっているんですよ。だから、厚生省はそこのところをつまびらかにする責任がありました。ところが、それを今のように何かわけのわからないことを言ってごまかすから、国際的に一体どうなっているんだとこう反響が出てくる。もっと正直に事実をありのまま私はここで、国際的な場ではっきり述べるべきだ、こう思うんですが、厚生大臣、今この厚生省の担当者が出された解説書、ごく素直にありのままに書いてあると思うんですが、あなたどう思いますか。
  57. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これはたびたび御指摘を賜っておりますように、その本人の身柄が拘束されるという意味では措置入院と同意入院と同じだということにもなりますけれども、しかし一方、本人も家族にも同意なしにする場合と、家族というのは大変な本人にとって大きな関係のある方々でございますから、その家族の同意によってするというのではおのずから性格は異なると思います。そういう点を今まで政府委員先生に答弁しておったのでございます。
  58. 本岡昭次

    本岡昭次君 だから国際的なこの場で、日本の精神障害者の精神病院に入院の際における人権上の問題はどうなのかということを問われているのですから、それを素直に同意入院の問題を解明する必要があると思いませんか。今のように同意入院は強制的入院でないのだということを強弁するために、いろいろなことをおっしゃっているのですよ。それなら逆に同意入院とは何かということをもっと国際的にはっきりさせることが必要ではないか。そのことは同時に、日本の国内におげる患者の人権問題にもかかわってくると思うのです。だから同意入院とは何か、一つは今言いましたように、はっきり自分の意思に反して入院させられる、自分の同意がなくとも、あるいはだからそのことは、家族の同意が得られても結局本人の意に反して入院させられるということであり、そしてまた精神病院内、中では結局それは精神障害者として本人の意思に反して監禁され、拘禁される、鉄格子の中に入れられるという状況がそこにあり、そしてまた自分の意思では退院できない、無期限にそこに拘束される、入院させられるという状態があるというこの問題を明らかにしなければ通用しないのではないかと思うのですが、この点はいかがなんですか。
  59. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 欧米諸国におきまして確かに御指摘のように、行政的な処分、強制力を伴った強制入院と、それ以外はもう自由入院というような二分法で制度が組み立てられているというところが多々あることも承知しているわけでございますが、我が国の精神医療の発達の歴史の中で我が国独自の制度を編み出したわけでございまして、今先生の御指摘の自由入院と、それから私どもの申し上げておる行政権限を伴う強制入院と、その中間帯に同意入院という制度を設けまして、これは法の基本的な目的にも沿うわけでございますが、あくまでも患者さんの医療と保護のためにこういう同意入院ということで患者さんに少しでも利益になるようにという仕組みをつくっておるわけでございます。  すなわち言うまでもございませんが、患者さんには程度の差はいろいろございますけれども、自分の病気の状態についての認識、判断能力あるいは置かれた状況に関する認識の問題、百分の意思の表示能力の問題、いろいろ障害があり、あるいはそういったことができないというような者に至るまでいろいろな病状があるという、こういう精神障害の特殊性に照らしまして、本人の意思が表現できないときにはもう二分法で、行政権限で措置入院するというような形をとらないで、後見人とか、親権者とかあるいは配偶者あるいはそのような方がおられない場合には扶養義務者で一定の手続を経て選任された者等、そういった保護の義務を有する一番身近な人が、本人の意思に成りかわってその保護を受けられるために同意入院という仕組みができておるわけでございます。  そのようなことでございますので、これは我が国の独自の発達の過程の中での制度でございます。したがいましてそれを直ちに欧米等で見られるような公権力による強制入院か、しからずんば自由入院か、それじゃ自由入院以外は全部強制入院だというようなふうに理解されるとすれば、それは我が国の実態とおよそかけ離れた話につながっていくんではないか、こういう意味において先ほど申し述べましたように、政府代表の報告におきましても、一方では都道府県知事による行政権限を行使しての強制入院と、他方にはそういう保護の任に当たる者の同意による同意入院なり、仮入院なりの制度があるということも同じ報告で申し上げておるわけでございます。  なお、なかなか理解を得られていない向きもあろうかと思います。今後いろいろな機会をとらえてそういった方々へのこの制度の真意、その趣旨、徹底を一層図りたいと考えておりまして、機会をとらえまして外務省ともよく相談しながら今後も努力してまいりたいと思います。
  60. 本岡昭次

    本岡昭次君 あなたは同意入院の実態というものがどういうものかということをよく御存じないようですね。患者の利益を守るために同意入院があるんだというようなこともおっしゃいましたが、しかしその同意入院に中にも、結局基本的には本人の意に反して強制的に入院をさせられるということが、本人の利益どころか本人にとってはもう人権上の重大な侵害を受けるという場合が多多あるということなんです。私がこの問題にかかわって、もう多くそういう実態を知っておりますが、時間が限られておりますので全部言えません。二点だけ一応参考までに申してみます。  ここで大変問題になったこの宇都宮病院に五年三カ月入れられていた画家のYさんという人がありますが、この人は寝込みを、寝ているところを、十人近い親族を含めた者たちが結局襲うというふうな形になって、そして無理やりに手錠をかけて岐阜から宇都宮まで連行して、本人は嫌だ嫌だと言っても無理やりにそうして岐阜から宇都宮にほうり込んでしまった。まあこれが同意入院の実態であるとすれば、その今あなたのおっしゃった解釈が、それではむしろ逆に措置入院の方がまた別の意味ではこの本人にとって人権上別な問題が出てくるんじゃないかと思うんです。  もう一人、宇都宮のこの問題で、やはりこれも住宅のいろんな問題についていろいろ意見を言っておられた方が、数人の男たちに逆手錠をかけられて車で連行されて、車の中で暴行を受けながら宇都宮病院に入院させられたというケースも、この本人が今そういう問題を告発されているんですが、これも同意入院ということで、この同意入院というのはこういうケースをしばしば伴う。それでもまさに法律上、行政上、同意入院というその形に当てはまるということになっているんですね。  だからどうですか。政府の方として今のように余りかたくなに欧米と物の考え方が違うんだというようなこと言わずにはっきりと、精神障害者の人権上の問題として今国際的に論議されている中にあって、日本の精神障害者の置かれている状況というものを見るときに、やはり同意入院、仮入院も措置入院と同じようにこれは患者にとって強制的な入院の仕組みをとっている、本人の意思に反して入院をさせることのできる制度なんだということがなぜ素直に言えないのかということが私はどうしても納得できないんです。そしてまた、明らかに本人の同意がなければ退院もできないという入退院の自由がないということは、これは強制以外の何物でもないわけです。だからそういう実態の上に立って、政府が今までいろいろ主張してきたことを訂正をして、そして外務省を通して新しく同意入院、仮入院の中身は、先ほど言いましたように、入退院の自由がない、患者にとって強制的なそういう制度になっていますということをはっきり言わない限り問題は解決しないんじゃないかと、こう思うんですね。  厚生大臣どうですか。この問題は解釈の問題じゃなくて、実態としてどちらが素直にわかりやすいかという問題になってくると思うんですね。そういうふうに事実を素直に見詰めて、そして厚生省もこうした精神衛生法の法律の解釈の中にそういうことをみずからも認めているんですから、無用な国際的な摩擦をつくる必要はないと思うんですが、いかがですか。
  61. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今、先生から御指摘がありましたいろいろな問題、精神衛生患者の場合はこれを回復させるための医療を行わなければなりませんが、同時にその医療を行う場合、これは適当な保護というものがどうしても必要だということで、非常に人権という問題で難しい問題に当面するわけでありますが、もちろん精神患者の人権というものは極めて重要な問題でございますが、同時に人権も、社会全体の公共の福祉のためには拘束もやむを得ない場合もあり得るわけでございますから、それが我が国の場合は、これは行政措置として入院させる場合と、家族はまた家族に一つの生活がありますから、その生活の中で奥さんなり子供なり親御さんなりそういう方の同意あるいは要望、そういうものを勘案しながらやはり拘束をする入院患者とするという二つの方法があるわけで、そのことを私どもは国際社会に日本の真意というものを強く訴えておるわけでございまして、このことが別に私ども精神衛生対策についてそれを糊塗して言い逃れをするというような意味では全くないのであって、我が国がやっておるその内容、身柄拘束の中にも二つの方式があるということを訴えていくのはこれは当然のことではないかと思います。
  62. 本岡昭次

    本岡昭次君 何か言逃ればかりしておられるようで、それは事実は私の言っているとおりの事実なんですよね。それを何か無理やりにあなた方言い逃れしようとしておる。  そういうところから、この前も質問しましたけれども、国際人権連盟から中曽根総理あてに九月十七日に抗議書簡が出されている。そのときに外務大臣は、真剣に内容について検討すると言われ、厚生大臣も、この抗議書簡が到着したらそれを熟読玩味して、西欧の先進諸国に比し我が国の精神衛生対策の立ちおくれを謙虚に反省し慎重に調査するということをこの委員会で答弁された。外務大臣は内容を真剣に検討すると。あなたは熟読玩味して、西欧の先進諸国に比し我が国の精神衛生対策の立ちおくれを謙虚に反省し慎重に調査するということを言われた。この文書はもう既に届いているわけで、その抗議文書の中に今私が論議していることが二項目目に出ております。だからここでも、あなたが言っているように、厚生大臣が言っているように、また局長が言っているように、そんなややこしいことを言っているんじゃないんですよ。こういうことを言っている。  精神衛生法三十三条、これは同意入院です。及び三十四条、これは仮入院です。により「精神病院管理者が意に反して入院させた者の数を除外しているが、これは誤りである。」と、こう言っているんですよ。本人の意に反して入院させているという者の数から除外しているのが誤りだと言っているんですよ。誤りなんでしょう。本人の意に反して――家族というのは本人じゃないでしょう。親権者といえども本人じゃない、あるいは配偶者といえども本人ではないわけで、だから三十三条及び三十四条によって入院している人が本人の意に反した入院をしている者であるということについてあなた方否定するから、それはおかしいじゃないかと言っているんですよ。だから逆に言えば、そうですと言えば何ら問題がないんですよ。そうでしょう。だからどうだこうだ何も言ってない、抗議は。あなた熟読玩味されたらそのことについて抗弁のしようがないでしょう。本人の意に反しているかいないかということを問うている場合に、いやこの人たちも本人の意に反して入院をさせている者ですということが前提にあって、その上で今、局長が盛んに答弁をするように、いや家族というものの立場はどうでこうでとかいう、それはついてもいいですよ、いろいろ説明が。だけれども、最も基本的なところにある本人の意に反するか反さぬかという問題について、そんなことをやっていたらあなた大変なことになるんじゃないですか。厚生大臣、熟読玩味した結果、ここのところどうなんですか、これ。それ以上のもう言いようないでしょう。さらに、これについてあなた方は返事を出すと言われた、対応すると言われた。そのときにはた何ですか、この精神衛生法三十三条及び三十四条にいう、これは本人の意に反したものでないんだと、あなた方の指摘の方が間違いだと言ってこれ答弁されるんですか、ここの項目に対して。
  63. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  64. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 速記を起こして。
  65. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは言うまでもございませんが、本人の意思は確認できないわけでありますから、本人の意思というものに関係なく家族の同意によって入院をさせているということに、強制しているということになります。(「精神病患者の特殊性を考えなきゃならないよ。」と呼ぶ者あり)
  66. 本岡昭次

    本岡昭次君 いいじゃないですか、特殊性の問題じゃないんですよ。  だから、患者は意に反して入院させられるというその事柄について、それは意に反して入院させられるんだということを言えばいいじゃないですかと私言っているんですよ。そのことがいいとか悪いとか、何もここで私は言えとかちっとも言ってない。意に反して入院させられるんでしょうということを尋ねているんですよ。そうですと言ってもらえばそれで済むことじゃないですか。なぜそこのところが、意に反してということが言えないんですかと言っているんです。
  67. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 本人の同意とか本人の意に反してということでなくて、本人の同意がなくてもその家族の同意によって入院させておるわけでございますので、本人の意に反しているか反してないかということはケースによってそれぞれ解釈は変わってくると思います。むしろ、今先生がおっしゃっているのは、自由入院と非自由入院というような分類でおっしゃっているとすれば、これはまた日本の制度と大分変わってきますので、横文字の方ではいろいろ使い分けて使っておるようでございますけれども、私どもはあくまでも行政措置を伴った強制入院という言葉を使って英語では表現していただいているところでございます。
  68. 本岡昭次

    本岡昭次君 なぜこの問題にこだわられるのか、また、外野の方からこのことについて応援が出るのか、僕はよくわからぬですね。そんな難しい問題じゃないと思うんですが、しかし、それほど難しい問題であるならば、私もこれは真剣に考えにゃいかぬですけれども。  最後に、こればっかりやっておられませんからね、もう一度聞きますけれども厚生大臣は、本人の同意を得ていないということについて、本人の同意を得ていない入院であるということは、これは今お認めになりましたね。だから、本人の同意を得ていないということが、別の表現すれば、それは強制的入院である、これは厚生省もそのことをここにきちっと書いてあるんですよ。私が言っているんじゃない、厚生省の法律の解釈の中に出ている言葉を言ったら、それを違うとそちらが言うから、そうすると、この「精神衛生法詳解」という、これを書きかえてくださいよ、そしたら。これはどうなんですか、我々がこれを読んで、精神衛生法とはどういうのやということについて、読んでこのとおりやっても、今おっしゃるように、現在の厚生省の皆さんからとれば、これは間違いなんだからこれに依拠してくれるなということになるんですか、このとおり読むことについては。「患者にとっては、同意入院も措置入院も何等変わるところがない。」とか、あるいはまた、「同意入院は、本人の同意がなくともその者を強制的に精神病院に入院させる制度である」というのは訂正しなさいよ、ここに書いてあるの。
  69. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 私どもといたしましては、そこに書いてあることはそれで正しいと考えておるわけでございますが、あくまでもその同意が、本人の同意というものがなくて措置がとられる、あるいは同意がなくて家族の同意によって入るということにおいて、本人の同意がないというところが共通しているということでございまして、その強制云々は、私どもは行政処分としての強制という角度でとらえているわけでございます。  それから、本人が、仮に先生おっしゃるように、意に反してというような場合でございますれば、おっしゃるように、形としては本人の意に逆らってまでも強制的に入れるというような意味では、措置入院の場合においても同意入院の場合においても同じことは起こり得る、こういうふうな記載と私は理解しております。
  70. 本岡昭次

    本岡昭次君 先ほどの抗議文ですか、中曽根総理に出された、ちょっとおかしいじゃないかと言った、この文章に対する返事を出す、こう言われたんですが、そのときに、ここに書いてある同意入院というのは、本人の同意がなくともその者を強制的に精神病院に入院させる制度ですとか、あるいはまた、患者にとっては、同意入院も措置入院も何ら変わるところがないものですというものをきちっと前提に押さえて、その上で日本における制度とアメリカやヨーロッパにおける制度の違い、家族の同意というものをそこに挿入する根拠、それはこういうものがあるんですというふうに書けば素直にわかるのと違いますか。だから、今度の答弁の中に、少なくとも今言っている、「同意入院は、本人の同意がなくともその者を強制的に精神病院に入院させる制度である」というこの解説と、それから、「患者にとっては、同意入院も措置入院も何等変わるところがない。」というここのところをはっきりさせれば、この同意入院とか仮入院とかいうのは何かということは、これは明らかになるわけで、その前後にあるごちゃごちゃとした加薬のようなものを抜けばはっきりすると私は思うんですが、今度の返事の中に、この第三十三条というものはこういうものですというふうに素直に、ここに出ている解説の言葉をそのまま出せばいいと思うんですがね、厚生大臣、それもやっぱりできないんですか。できないとすれば、これを書きかえてくださいよ、今あなた方がごたごた言っているように。
  71. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) この問題につきまして、私どもの対応はこれからいろいろと検討さしていただくわけでございますが、ただいま御指摘のようなことも含めまして、私どもの真意としましては、日本独自の同意入院制度というものが正しく理解されないと、いろいろな誤った理解につながっていくおそれがございますので、今後その対応の中におきまして、いろんな適切な機会を得られる場合においてその同意入院制度を一層的確に説明をしたい、こういう点について、また外務省その他と相談をしたいと思います。
  72. 本岡昭次

    本岡昭次君 同じことで悪いんやけどね、ここに書いてあることは、正しく精神衛生法の同意入院の問題を理解する文章じゃないんですか、ここに書いてあることは。そのことを答えてください。私はこれによって精神衛生法三十三条というものを正しく理解しようとするんじゃ。これによると正しく理解できないんですか。
  73. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) これは、国内におきますこの事務に携わっておる者に理解を深めてもらうためにつくった性質のものでございますので、これを直ちに外国向けに翻訳したからすぐ御理解が深まるかどうかというあたりについては、いろいろ検討させていただく必要があると思います。
  74. 本岡昭次

    本岡昭次君 国内で理解できるものであっても、国外であったら理解できぬとあなたは言うんですか。そうすると、いつもあなた方は国内向けと国外向けと別々のものをつくって出すんですか。そんな不見識なことをよくこの場で言えますな、あなた。国際的な問題になるよ。国内で我々に理解させ得ることを国際的に出したら理解できないから別のものを出すというんですか。そうすると、いつも日本人は二枚舌かと、いつも国内向けと国外は違うことを言っているんかという、そういう批判がよくありますがね、あなたはいつもそういうことをやっているんですか。ちょっと今の取り消しなさいよ、大変なことをあなたは言ったよ。これは国内的には理解できるけれども、これは国外的に出したら理解できぬと。重大なことをあなたは言った。
  75. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これ、私も率直に申し上げますと、全く専門家でございません、素人でございます。ただ、一般的な常識で判断しますと、これ精神衛生患者ですから、これそうでなければ問題ないんですが、精神衛生患者の場合、本人が本人のためにも入院した方がいいとか入院しない方がいいとかいうことの判断の能力がない場合があるわけですから、そういう方の場合、やはり家族、何といったって奥さんとかあるいは親御さんとか子供さんとか、家族はその人の生活、人権にとって一番大きな影響を持つわけですから、家族の方と相談しながらみんながいいような処置をとるということは、常識的に私はやはり決して好ましくない考え方だとは、これお言葉に逆らったら恐縮でございますが、思いません、これは常識論ですけれども。そうする場合、ただその判断の非常に難しいのは、ですから家族の同意を得て入院していただくわけですから、本人の同意は得てないという意味では、先生の御指摘と私どもの考えと共通するわけでありますが、それならその本人の同意を得てないで入院していただいたということが本人の意に逆らってということになるとすると、本人にそういう意思がないから家族と相談しているわけですから、ちょっと私どもも本人の同意を得ないでそういうふうになっているということについては共通するわけですが、本人の意に逆らって入院させたということにそうですと言うわけにもこれまいらない、これはひとつ御理解賜りたいと思います。
  76. 本岡昭次

    本岡昭次君 僕はそこのところを論議してないんで、厚生大臣とそこのところを論議しようと思ってない。ただ、私がその根拠としているのは、この精神衛生法詳解というところを読んで、私はこうやないかと言っているということを言っているんですよね。そんな一般的な解釈をしているんじゃない、限定しておるんですよ。ここに書いてあることに依拠して私が考えていくことは間違いなのかどうかということをさっきから言って、そうすると、それは国内的にはこれはそのとおりだけれども国際的にこれをそのまま出すわけにいかぬとおっしゃるから、それはちょっとおかしいじゃないですかという、私はこのことを論議しておるんだから。だから私がここに書いてあることをもう一遍素直に厚生省として論議して、向こうから出してきている部分について、日本では同意入院というのはこういうふうに考えているんだということを出せばそれに何ら問題がないでしょうと。これより別の同意入院の解釈があるんならそれはそうなんだということをやってもらわなければ。今あれでしょう、これしかないんでしょう。我々が同意入院がどうかというのは、厚生省国民に対して、あるいは国会に対して勉強する資料というものは。ほかにあるんなら出して、いやそうじゃないですよ、こういうものがありますよ、これでやってくださいと、こうやってもらわなければこれどうしようもないやないですか。
  77. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 多少言葉足らずであった点があるかもしれませんが、国内の担当者が自明の理として読むであろうところも、なかなか国際的に理解できない面もあり得るんではなかろうかと、そんなようなことも含めて、もしこういったものを詳解するに当たっては、国際的によく理解していただけるような配慮を加える場合もありましょうということを申し上げたいわけでございまして、国内向けの説明と国外向けの説明で基本的に本質が変わるということは、そんなことはあるはずもありませんし、私どもはそういうことを考えておるわけでは決してございません。
  78. 本岡昭次

    本岡昭次君 だから、今言ったように本質は変わらへんと言うんだから、説明の要旨の、「本条は、いわゆる同意入院に関する規定である。同意入院は、本人の同意がなくともその者を強制的に精神病院に入院させる制度である」と、こう最初の方に書いてあるんですからね、これが本旨でしょう、はっきり言ったら。だから、こういうものであるということ以外、私はほかにあるんですかということを盛んに問うているのに、あなた方はぐずぐす回り回り言っていくから話が発展してすぐ戻らぬ。  渡部大臣、だから、ここのところに依拠して同意入院という問題について、国際的にどうしたらわかってもらえるのかということを再度検討して出すと、訂正をするということをここで言っていただいて、私、おかしてくださいよ。こればかり言うとらんならぬ。そうでしょう、これしかないでしょう、ここに書いてあるのはこれ以外に。
  79. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先生の御指摘の問題、大変大きな問題でございますので、我々の真意が誤解を受けるようでは困りますので、先生の今の御指摘の意を十分体しまして、今後我々の意図するところを理解していただくような努力を続けてまいりたいと思います。
  80. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、この問題にこんな時間がかかると思わなくて、どうも参りましたな、これは。  それでは、あと幾つか残ったのがありますので、はしょって申し上げます。  厚生大臣ね、あなたも私の顔見て嫌になられると思うんですが、それでいろんなことをここへ来て私はやったんですが、今一つ気がかりなのは、宇都宮病院がその後どうなるのかという問題で、あれは廃院にしたらいいという立場の方もある。しかし、私は栃木県に行って、知事に公的なものを加味しながら、これはやっぱり再建してもらいたいということを強くそこで申し入れて、そのために国もやはりこれは協力してもらわなきゃいかぬでしようということを強く言ってきたんですよ。  それで現在、一体宇都宮病院がどういう状態にあるのか、私も一遍行って知事にも会い、また現状を見、向こうの院長なりいろんな人に会ってきたいと思っているんですが、厚生大臣、どうですか、私とここでいろいろやりとりはあるんですが、その中で御出身の福島県にはいい県立病院があるんだということを二、三聞かしていただきましたけれども、あなたは宇都宮病院へまだ行かれたことはないでしょう。どうですか、この休会中に、私とこれでおつき合いいただいたんだから、せめて一度宇都宮病院へ行っていただいて、そしてその中の模様を、若干改善されていると思いますけれども視察していただき、そして当事者にも会っていただき、特に知事とか県の関係者にも会っていただいて、再建への方途ですね、そういうようなものを聞きただして、そして国の手助けできる部分があるんならどういうところにあるのか、あるいはまた国として県に対する指導ですね、それはどういうところにあるのかということをひとつぜひやっていただきたいと思うんですがね。中曽根内閣は行動する内閣で、総理大臣も北海道から沖縄までずっと走り回っておられますし、ひとつ厚生大臣もこれだけ焦点化された宇都宮病院、あなたもこれは大変特例だというふうにもおっしゃっておられるから、やっぱりそこを見られることによって全体の問題を解明し、私も行ったことによってこれほどしつこい繰り返し巻き返しやっているようなわけで、ぜひひとつそういうことをこの休会中にやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  81. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これは大変大事な問題でございまして、私もことしの初春から、二月からですか、宇都宮病院に重大な、非常に大きな関心を持ってまいりました。時々本岡先生と宇都宮病院の夢を見るぐらい関心を持ってまいりました。このことが御指摘をいただきましたことを私は日本の精神衛生対策の将来のために積極的に、前向きに取り上げていきたい。そういう点から、この委員会でも申し上げましたように、率直に我が国の精神衛生対策がかなり先進諸国に立ちおくれている面もあることを認めなければなりませんし、これから積極的にやらなければならない問題を私は関係政府委員の者に強く指摘をいたしまして、今、六十年度予算案でもできるだけこの問題での先生の熱心な御質問に私ども政府としてできる限りこたえるように、予算面でも厳しい状態でございますけれども、この精神衛生面では積極的に取り上げていきたいという方針で予算編成の作業をやっておりますし、また神経センターというようなものにも私は特に関心を持って、先般も行ってまいりましたが、これを何とか一日も早くナショナルセンターとして皆さん方のお役により立てるように充実をさせていきたいということも、今関係者の者に督励をしておるところでございますが、今お話のありました宇都宮病院もこれだけ大きな問題になってき、我々の今後の精神衛生対策に警鐘を鳴らしてくれた問題等でもございますので、できるだけ早い機会に、時間を得られますればぜひ現場を勉強させていただいて、それをまた将来の精神衛生対策の糧としたいと思います。
  82. 本岡昭次

    本岡昭次君 ぜひひとつ行っていただきたいと思います。  それから、もう時間がありませんので最終的にまとめて質問をして、一括お答えをいただいて終わりたいと思います。  まず、お礼を申し上げておきたいと思うんですが、東京都の東村山にあります都病院の件であります。前の厚生大臣以来ずっと引き続いてお世話になりまして、二年半かかりましたが、今回四月十四日に開設許可、九月七日に使用許可がありまして、北久米川病院として新発足できるようになりまして、つぶれかかっていた精神病院がここに再建できて新しく発足できるということで、非常に喜んでおります。この間厚生大臣初め厚生省の関係者の皆さんには大変お世話になりまして、その点についてこの場をかりまして心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。  それから次に、これはお願いなんですが、宇都宮病院の人身保護請求事件弁護団に依頼して東京高裁に人身保護請求をしていた患者さんが十九名あります。これは栃木県と宇都宮病院が協力して、転退院を希望しているこれらの患者さんの希望を入れて早急に転退院させると確約がありましたので、八月六日に人身保護請求は取り下げられました。しかし、今日に至っても転退院が完了していません。弁護士側などの努力でこれまでに転退院した人が七名あり、十二名がいまだに宇都宮病院にいます。このうちの二人は、県の実地検査でも入院不要の人であるという結果が出ています。大至急、この本人の希望を入れて転退院の実現を図っていただきたいということを、ここでお願いをしておきたいと思います。  それで、最後でございますが、先ほどもちょっと言いましたけれども、前後八回私はこの精神障害者の人権問題について質問をさせていただきました。実に難解な問題でありまして、難しかったです。まあ大臣初め本当によくつき合ってくださったと私は思ってもおります。しかし、今も先ほど同意入院問題をめぐって論議してもなかなかこれ同意がお互いに得られぬということで、これ一つ見てもこういうことで、本当にこれは難しい問題だということは私はようわかっております。だから、八回やりましたけれども、何かこう入り口はちょっと入ったけれども、なかなか出口まで出られない。たくさんの問題をまだ残しておるとこう思うんですが、しかし、この段階で私は厚生大臣に一応のこのまとめとして、政府の立場を次の四点について明らかにしておいていただきたい。そのことで質問を終わりたいと思うんです。  まず第一点は、この決算委員会で官房長官が約束されました三省庁協議というものを促進して、この宇都宮病院、田中病院、上毛病院等々医療機関だけでなく、関連会社との関連の中で起きている問題を解明をしましょうというお約束もいただいて、大変ありがたかったんですが、その問題についてひとつ一日も早く全貌を解明をしていただいて、まあ医療問題についてこの種の問題が今後起こらないように、ひとつ重大な決意でもって対処していただきたいということであります。  それから第二点目は、去る七月三十一日の社会労働委員会で、私は精神医療改善に関する長期総合計画として十六項目の提案をここで行いました。大臣からは大変参考になる提案として承ったという答弁もいただいていますが、この十六項目提案の具体的な検討とあわせて、今国連人権小委員会で論議されているダエス報告、こうしたものに基づいて、精神障害者の人権保障を確立するための法と制度の改革というものに取りかかってもらいたい。  それから第三点として、この特に精神病院関係には慢性的な医療従事者の不足が明らかになりました。結局は、医療従事者の不足がこの治療なき収容と言われる病院になったり、あるいは精神障害者の人権を侵害したりしていることになるんじゃないかと私は思っております。だから、こうした医療従事者の積極的な養成と配置、そして一方では昭和三十三年の局長通達をやはり廃止をして、精神医療への差別的取り扱いをやめていただきたいということであります。  それから第四点目は、この六月二十二日に三局長通達が出ました。しかし、現場の病院関係者からは何か総反発を食っているようなことが新聞に出されております。したがって、私はやはり現場の関係者の理解と協力を得て、この三局長通達が完全に実施されるよう努力をしてもらいたいし、これは現場や民間の皆さんに任せるのでなく、国や県の行政機関としての責任を明確にして、そして誠意を持って具体的に対応をしてもらわなければならぬじゃないか。  以上四点、私はこの八回の質問を通して、もっとほかにもたくさん言いたいことはあるんですが、申し上げまして、まあ今後の一層の精神衛生問題あるいはまた精神障害者の人権問題が確保できるように厚生省としての御奮闘をいただきたいということを申し上げたいと思います。ひとつ今の私のお願いで答弁の中身がありましたら、お願いしておきたいと思います。
  83. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 大変本岡先生から我が国の精神衛生対策の進展のために貴重な御質問をちょうだいいたしました。これらの御質問等の内容を私ども謙虚に受けとめまして、特に今お話のありました関係三省で、今後もより密接な連絡をとりながら善処をしてまいらなければならないと考えておりますし、また、先ほども私申し上げたように、精神衛生対策の充実については、これ確かに私どもの国の精神衛生対策が立ちおくれ、出発点が西欧の諸国よりおくれておることは事実でありますから、今、追いつくために、あるいは追い越すための一生懸命の努力をしておりますけれども、今後も、我が国も堂々たるサミットに出席する先進国なのでありますから、この精神対策においてもおくれをとっておるというようなそしりを受けないための政策を充実させるように、なお一層励んでまいりたいと思います。  また、医療従事者の不足の問題もたびたび先生から御指摘を賜り、私どもも苦慮しておるところでございますが、これらの養成と適正な配置、こういうものにはなお一層努めてまいらなければならないのは当然でございます。  また、御指摘の三局長通知についても、都道府県、現場の理解を得まして、よりこの趣旨が徹底するように努めてまいりたいと思います。  なお、詳細必要でございましたら政府委員から答弁をさせます。
  84. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それでは、残った時間、厚生省に冒頭、五十七年度会計検査院報告の中で、これ見ますといろいろな問題点はあるんですが、一つは不当事項が各省間で見ますとトータルで百八十一件、そのうち順番に申しますと、郵政省が三十件、厚生省が二十九件、農水と労働と建設が十八件、通産が十七件、これ依然として不当事項は五十六年の決算を見ても同じことが繰り返されておるわけでありますが、毎年指摘される不当事項の解消について具体的にどういう内部指導をやっておるのか、どういう成果が上がっておるのか、この不当事項についての受けとめ方と指導のあり方、成果について一体厚生大臣はどういうふうに受けとめておるのか。決算の入り口でありますから大臣から見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  85. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 目黒先生指摘のとおり、厚生省に対する昭和五十七年度の会計検査院による指摘事項は二十九件で、特にこのうち補助金関係が二十六件、補助金全体の指摘のうちの約四分の一を占めておりますことはまことに遺憾であり、私どもも反省をしなければならないことと思っております。ただ、言いわけをするわけでございませんが、厚生省でも現在までもこの点について極力努力をしてまいりまして、過去の経過を見ていただきますと、この数年四十件から五十件の大台であった指摘件数を、昭和五十七年には一挙に二十件台に減らしております。したがって、今後もなお一層そういう努力をさらに強く重ねてまいりまして、今後御指摘のようなことが起こらないように全力を尽くして努力してまいりたいと思います。
  86. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、個々の問題は言いませんが、調べているときにこの一冊をもらってずっと読んでみると法令の運用解釈がどうもやっぱり、悪意はないんだろうけれども、法令の運用解釈というところがどうも数が多過ぎる、あるいは書類のチェック体制がどうも底抜けしているということが結果的に不当事項と、こうなっていますから、やはり補助金を預かるという、まあ収入も大変金額も多いし、私も社労委員やっていますから中身はわかるわけですが、やっぱり法令の運用解釈とチェック体制ということについては、私の見た限りでは要望をしておきたい。もう回答は要りません。要望しておきます。  それからもう一件ですね、これはやっぱり決算委員会だから聞かなきゃならぬと思うんでありますが、会計検査院法第三十四条及び第三十六条の規定によるものが厚生省国民健康保険助成費で一件あるわけですね。これは金額を見ますとその裁判の賠償関係のものでありまして、これを精算すると相当程度の金額、例えば医療給付などの補助金で一億六千二百三十三万、財政調整交付金で二千四百五十八万、五十六年度は交付の必要がなかったと認められるという関係、それから法定給付割合を超えた療養費に関する問題でも、五十六年度は二億六千二百六十一万円、五十七年度は二億五千三百七十四万円と指摘されておるわけでありますが、これももう時間がありませんから、この問題の取り扱いについて厚生省のとった措置と、今後の指導、運用ということについて後ほどで結構でありますから、ぜひ私の方に報告願いたいと、これは要望しておきます。この点については。  次に、これは私、国鉄のOBの皆さんから、まあ私もOBの一人でありますが、鉄道病院の問題についていろいろ陳情があるわけであります。この点はこの前の運輸委員会で民社党の伊藤委員の方からちょっと質問があって、時間がなくて時間切れになっておりますから、この際ひとつここで何らかの決着をつけてもらいたいなあと、こう思うわけでありますが、まず国鉄側にお伺いしますが、行革の関係などもありまして、鉄道病院の一般開放という点が取り上げられておるわけでありますが、現在どの程度一般開放になっているか、国鉄側からまずお教えを願いたいと、こう思います。
  87. 太田知行

    説明員太田知行君) 私ども、鉄道病院は幾つかございますけれども、そのうちで基幹的な病院として九つを指定しているわけでございますが、それにつきまして一般開放いたしたいということをかねてから念願いたして各方面の御理解を得るべく努力をしてまいったのでございます。おかげさまで御支援いただきまして九つのうちの八つまでは一般開放が実現できまして、一番早いのは五十七年の四月からでございますが、おおむね五十七年度じゆうに八つの基幹病院の一般開放が実現しております。おかげさまで大変皆さんにもお喜びいただきまして利用数もふえている、いわば地域の医療にもお手伝いできているということでございますし、あわせまして病院の活性化にもつながっているということでございます。大変ありがたいことだと思います。  しかしながら、最もその大きな病院でございますところの中央鉄道病院、東京にございます病院につきましては、今日に至るも一般開放が実現できておりません。大変近代的な設備を持っておりますし、何がしかの余力もあるわけでございますので、地域の医療にもお手伝いしたいし、それからまた今、先生お話しございましたOB会からの要望もかねてから私どももしばしば受けているところでございますし、ぜひOBになっても鉄道病院の診療を受けたいという心情もまことによく理解できるところでございますので、まことに残念な今状況でございます。なお今後とも努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  88. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 厚生大臣、これは予算委員会で、五十二年の四月七日の予算委員会の問題で、私は救急医療体制の問題の中で国立病院それから三公社五現業の職域病院、こういうものについてもやっぱり救急医療体制なりあるいは一般の病院との統合制、そういうことについて前向きにやるべきじゃないかという提案をいたしまして、ここに議事録四回、五回ほどやっているんですが、五回ほどずっとぶつ続けで、今の宇都宮病院じゃありませんが、ずっとぶつ続けで連続してやっているんですが、最終的な問題として当時の渡辺厚生大臣は、閣議で決定して、そういう三公社五現業の職域病院もそれなりに特殊性はあるけれども、救急医療であるとかあるいは一般の開放とかということについては、前向きに関係各省と連携をとっていきますと、そういうことを大臣が締めくくりとして答弁され、各大学あるいは専売なども含めて進行状況を各省大臣から説明を受けて、至らないところはさらに努力をしていくと、こういうことになっているんですが、この趣旨からいくと、今は国鉄側は臨調路線の問題でこうありますが、経営の問題が。別な医療機関という点から見ると、こういう論議をされておるわけですね。ですから、基本的に閣議決定して、三公社五現業の病院についてはそういう位置づけをしているんですから、やはり私は、今東京の鉄道病院はなかなかうまくいってないということであれば、やはり私は厚生省が強力な指導力を発揮して、東京の医師会あるいは私の記憶では中央鉄道病院は渋谷区の医師会と記憶していますが、東京医師会なり渋谷医師会との中に入って私はこの問題について打開の方法をぜひ講じてもらいたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
  89. 幸田正孝

    説明員(幸田正孝君) 昭和五十二年当時、渡辺美智雄厚生大臣がお答えをいたしました救急病院につきましての職域病院の指定の問題あるいは一般開放の問題、私どもその後種々努力をいたしたのでございます。  先ほど国鉄側からも御説明のございましたように、国鉄につきましては、大規模病院は東京を除きまして残りの八つの病院は既に保険医療機関の指定を終わっておりますし、また電電公社の関係あるいは郵政省の関係病院につきましても、東京都を除きましてはおおむね一般開放がなされている状況でございます。  それで、問題は東京都でございます。お話のように、渋谷区の医師会と中央鉄道病院と何回か話し合いが行われているようでございますが、いまだ思わしい結果が出ておりません。先生の御趣旨を踏まえまして、一層東京都に対して指導をしてまいりたいと思っております。この指定の問題は都が行うということになっておりますので、私ども都を通じまして強力に指導してまいりたいと思っております。
  90. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この前の運輸委員会のメモをもらいまして、渋谷医師会がなかなか納得しない、医師会の主張というのは一、二、三、四、これもらったんです。これを見る限りは、私の経験ではもう昭和五十二年時代からこの問題は論争済みで、この問題を乗り越えて当時の渡辺大臣が三公社五現業の職域病院の開放と救急医療の指定と、閣議に付議して決定しているんですから、今ごろ十年前の古証文を持ってきて、五十二年だから。まあ、七、八年前の古証文を言い出して話が詰まらないというのは、私はどうもやっぱりためにする議論があるんじゃないかというふうに疑いたくなるんですよ。  ですから、今局長の問題についてはそれ以上言いませんが、ひとつこれ行き詰まっていれば政治的な判断でもしない限りはこれは堂々めぐりと。聞くところによると専売も申請してから三年ぐらい棚上げになっているらしいですね。私も専売お世話になりましたから、専売の皆さんもいや目黒さん困ったもんだと、こういう専売は専売の話があるんですから、皆がふん詰まりになっていますから、ひとつ五十二年当時の論争を振り返ってさらに絶大な努力をしてもらいたいなと、こう思うんですが、いかがでしょうか、大臣。
  91. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) わかりました。  先生の今のお話よく浸透するように、過去のいきさつ等もあるようですが、今政府委員から答弁したとおりでございますので、これをより理解を深めるような努力を続けてまいりたいと思います。
  92. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ひとつ要望ですが、私は中央鉄道病院にかかってないんです、大田区にいますから。中央病院にかかっておったOBの皆さんは、全部健康診断のカードがあるわけですね、病院に保管されて。だから新しい病院へ行っていろいろな検査をするよりも、鉄道病院に行った方が自分の在職当時の健康状態から、いいことも悪いことも全部記録になっているわけです。その方々が特に老齢化の段階でかかりたいという特段の強い要望がありますから、鉄道病院にカードのある方などについては、ひとつ暫定的でもいいから国鉄側と話し合って、とりあえずそのOBでそこの病院にかかった経験者、系列者をはめていくということなどについても特段の配慮をお願いしたいと、これは答弁要りません。お願いします。  まあ、時間がありませんから、宍道湖の淡水化問題について残された時間お尋ねしたいと思うんでありますが、私もことしの八月、九月とずっと全国を回っておりまして、島根、鳥取も大分お世話になりましたから、島根、鳥取を回った際に大変な話だということを聞かされました。それで、この宍道湖の淡水化問題で国会でいろいろ議論がないかなと思って調べてみると、ここにいらっしゃる本岡先生が参議院の公害及び交通安全対策特別委員会で現地視察した際の議事録もありましたし、それから衆議院の予算委員会における議事録も一通り全部読ましていただきました。  それで、いろいろな経過がありますから、経過は時間がありませんから言いませんが、問題の発端は農水省が八月二十日、農業土木学会の中間報告を関係市町村に提案をして、それについてお考えを聞かしてもらいたい。まあ、ずばり言えば同意を求めるためのいろいろな行動が行われているというのが問題の発端だと、そういうふうに私はとらえました。したがって、今までの、過去の問題については農水あるいは建設、関係ありますから、逐次、聞きますが、きょうは環境庁関係を中心に二、三聞いてみたいと思っております。  この中間報告書、これが環境庁に農水省から提示されて、環境庁自体としてこの八月二十日の中間報告を検討されたのか、されていないのか、現在検討中なのか、検討されたとすれば総体的なお考えはどうなのか、まずここから、局長がいいか、長官がいいかわかりませんが、お答え願いたいと、こう思います。
  93. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 御指摘の中間報告につきましては、農水省から私どもの方に御相談がございまして、私どもこれをただいま部内で検討している最中でございまして、いずれ何らかの結論を出したいと、かように考えている次第でございます。
  94. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、農水省から環境庁に提示があったのはいつですか。
  95. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 正確な日にちをちょっと記憶しておりませんが、八月二十日公表されたとほとんど同時に御相談をいただいているわけでございます。
  96. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、環境庁としては御相談を受けておるわけでありますから、これをどの辺をめどに、これいろいろ地元の新聞なり地元の議会における関係者の答弁を見ますと、一体どの辺をタイムリミットでやっているのかなということをなかなかつかみにくいんですよ、市議会の論争を見ても、あるいは県会の論争を見ても、議事録を見ても。おたくの方ではこの相談を受けて農水省から大体半年とか三カ月とか、この辺ぐらいに大体めどを欲しいなと、そういう相談があったのかなかったのか。あったとすれば、現時点はどういうふうなのか。
  97. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 農水省からは特に時期をいつまでに回答してくれというふうな形では御相談を受けておりません。もちろん、一般論としてできるだけ早くというお話はございますけれども
  98. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで、この問題を深めるために、五十六年九月十七日、本岡委員が現地調査の際のこの論争の中で、公害対策審議会の答申の問題でやっておるわけでありますが、当時環境庁は、本件問題は環境庁設置以前にされたものであるから、環境庁としてはいいとか悪いとかというのはなかなか言えないと。しかし、一般論としては湖の汚れ、水質汚染という問題についてはケース・バイ・ケースでやっぱり対応していくと、そういう建前と当面の見解を表明するわけでありますが、相談があったというこの段階でやっぱりケース・バイ・ケースという視点で環境庁はこの問題に対して取り組んでいくと、こういうふうに理解していいのかどうか、お示し願いたいと、こう思います。
  99. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 本岡先生と私の前任の水質保全局長、小野との間に五十六年の九月、公交特でいろいろ御審議があったことは私どもも十分承知しております。その際、とにかく現実に事業は進んでいるという事実があるということは、やはり環境庁としてもこれは前提として考えなければならないと、こういうことを前提にして、今後の問題としてはケース・バイ・ケースと、こういうお答えを小野局長から申し上げているわけでございます。  本件、ただいま御協議をいただいた段階で、それではどう考えるかという点でございますけれども、これはもちろんその後湖沼法、私どもも中公審の答申をいただきまして法案提出し、御審議いただいて成立させていただいたと、こういう段階では、慎重の上にも慎重に取り扱っていかなければならない問題であるというふうには認識しているわけでございます。当面、その本件の協議に際しましては、本件がやはり地域住民にとって一番深刻な問題である。現実に水が欲しいと言っている、そういう農民もいることも、これまた否定できない事実でございまして、そのような意味で鳥取、島根両県におかれまして特別に農水省からの協議に対してどう答えるかということをせっかく検討中でございます。したがって、私どもとしては鳥取、島根両県とも十分よく打ち合わせをした上、その上さらに湖沼の水質を守るという環境庁の立場も加えまして、農水省に対してお答えしていきたいと、かように考えているわけでございます。
  100. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私はこの文章を読ませてもらって一番、私が頭悪いのか、あるいは南委員長が頭がいいのかわかりませんが、淡水湖化による影響の予測というところで最後に、一応「要するに現段階で明確化あるいは推定されている淡水湖化による影響諸要因から判断すると、淡水湖化が水質に与える影響を予測することは容易ではなく、」容易でなくだ、「今後の淡水湖化の過程における酸素の供給とリンの溶出抑制効果、脱窒作用、塩分濃度の変化」などにつき研究、調査を継続しながらその影響を見きわめていくということが、最後の締めくくりになっているわけですね、水質の問題で。そういうことを言っていながら、最後の結論になりますと、「現況程度の水質をほぼ維持しながら進めて行くことが可能で」あると。前段では推定できないから研究を続けていく必要があるんだよといって、水質の問題で方向づけをしておいて、進行形をやっておって、一番隅っこへいくとずばり短兵急に、現在の水質は汚染しないと。この論法は、これはどうしても私は頭が悪いのかどうか理解できない。これこれであるけれども、これこれのことをやっていけばしかじかだというなら話はわかるけれども、一番大事な中間が抜けている、この報告書は。これについてはどう思いますか。まあ、ざっとあなたも読んでいるとは思いますがね。私はこの問題を読んで一番気がついたのは、どうもここのところがおかしいというふうに思うんだが、いかがでしょうか。
  101. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 先生のただいまの御指摘は、その中間報告書の三編、各論の4の(6)として「淡水湖化による影響予測要約」という部分と、それから総論の中の「淡水湖化に関する総合影響評価」、この部分からの御指摘だろうと思います。  私もあの膨大な書物を詳細に読んだわけではございませんし、また先生方から直接御意見を伺ったわけではございませんけれども、私どもも同じく湖沼の水質問題をやっている者としての率直な感じを申し上げまして、湖沼の水質の将来予測をするということは非常に難しい問題でございます。しかも、これは生物学、それから水理学、さまざまな学問の方が協力しないとできない問題であって、それぞれの学問の分野で実験室的な意味で言えば、これは何とも結論を出しがたいというのが真相だろうと思うわけでございます。しかしながら、わからないということでは行政は済まないわけでございまして、やはり現在の知見でわからないところはあるにしても、どういう判断ができるのかということで、総論の部分で「淡水湖化は湖の現況程度の水質をほぼ維持しながら進めて行くことが可能であろう。」という結論を出されたのではなかろうか。もちろん、個々の御専門の分野から見ると、そういう結論を出すのは非常に問題であるという御意見の方もいらっしゃるかと思うんでございますが、まあ、こう言っても決定的に今の学問の水準から見て間違いだとはどうも言えないというようなところで、こういう結論が出てきたのではないか。確かにこの二つを並べてみますと、形式論理学的に読みますと、先生指摘のとおり、ちょっとおかしいんじゃないかという感じいたしますけれども、私どもは今回、窒素、燐の排水規制基準につきましていろいろな先生方にお集まりいただきまして議論をした際にも、同じような問題がございました。現在の学問の水準で言えば非常に難しいけれども、まあ、こういうことが言えるのではないかというのが総論の結論ではないか、かように私どもは理解しているわけでございますが、直接先生方の御意見を聞いたわけではございませんので、ひとつそういうところで御理解いただきたいと思います。
  102. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは環境庁が五十年に淡水化後の中海の水質の汚れについて調査をいたしまして、その調査結果として栄養塩類の流入により水質の、水の汚れはさらに進む、そういう環境庁の調査結果を発表しておるんですが、この調査結果の発表と今の時点の問題については、現在どういうかみ合わせといいますか、条件変化があるとか、条件変化がないとか、そういうのをおたくが研究した結果とこの中間報告と、こういう問題についてどういうふうに受けとめられますか。
  103. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 五十年六月に確かに環境庁は両県からの委託を受けまして、検討会を設けまして御指摘の結論を出したわけでございます。その際の結論としては、確かに先生今御指摘のように、CODが将来ふえるであろうことが予測されると。確かにそれは水質汚濁に通ずるわけでございます。ただ同時に、今回の中間報告でも維持されておりますけれども、浄化が進む、例えば塩分躍層がなくなって水が上下に循環するので、酸素が豊富になって燐の溶出が少なくなるとか等等、プラスの側面も指摘しております。結論としては、さらに勉強は必要であるというのが五十年六月の結論でございまして、当時の報告書では、一年でやったということもございまして、まだ湖沼の知見が十分なかったということもあって、具体的にあと五年後、十年後に水質がどうなるかといういわゆるシミュレーションと申しますか、その推測までやっておらなかったわけでございまして、農水省におかれては、あの五十年六月の知見も参考にいたしまして、さらに研究を進められた結果が出てまいったのが今回の中間報告と、一応私どもはそのように理解しているわけでございます。
  104. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それでは大臣、要請をしたいんですが、もう今言ったようなことがありますから、この中間報告について「中浦水門しめ切りに反対する会」、これは保守党の皆さんを含めて非常に広範囲に結成された研究グループがこの中間報告の問題点について、随分南委員長の今までの経過なども含めて、相当疑問に思っている点を羅列し、提起しているんです。ですから私は、ひとつきよらここで委員会に提案したということにして、この写しのコピーをやりますから、このコピーの中で環境庁にかかわる部門については、ひとつこれに対してはこういう見解である、あるいはまた検討を要するなら検討を要する、断定なら断定と、そういうことを含めて、これに対する回答というと変でありますが、やっぱり私は回答をもらいたいなと。建設省は建設省、農水省は農水省に同じものをやります。同じものをやりまして、環境、農水、建設と、この三つが関係するわけでありますから、それに最後はお金を持っている大蔵、そこに出しますから、この中海の環境庁に関する事項について、文書でひとつ、メモ類でも結構ですから御回答をもらいたいなと、そう思うんですが、いかがでしょうか。これは大臣。
  105. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答え申し上げます。  ただいま先生から地元のいろいろな疑問点を申し出ていただいておりますものをただいまお渡しをいただける、こういうことでございまして、それに対して、環境関係の問題点をどう考えているかということを報告をしろ、こういうことでございます。私どもは、ひとつお答えができるものがございましたら――あるから持ってきていただけるわけですから、これはそういう点につきましてはお答えを申し上げたいと存じます。
  106. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間があれば一つ一つやるんですが、時間がありませんので省略しますが、そういう点で御協力を願いたいと思います。  それから大臣、この問題については歴代大臣が、記録を見ますと、四十七年に大石環境庁長官が、中海干拓は考え直すべきときだ、こういうことを大石大臣が発言し、あるいは一番近くては、これ新聞がありますが、五十七年の六月、現場を視察した原環境庁長官が十七日、島根県庁で、汚れないことがはっきりしない以上、淡水化は実施すべきでない。同じく長官は、霞ケ浦、八郎潟残存湖、児島湖など、これまで淡水化をした湖がいずれも深刻な汚れに悩まされている事実から、中海、宍道湖だけが淡水化しても汚れないという保証はない、こういうふうに決めつけているんですがね。私は、やはり一番最近ではこの原長官の県庁での見解発表、この人は観念論ではなくて実際に現地を見て、現地の説明を聞いた上でこういう談話を発表しておるわけですよ、原長官が。ですから私は、この長官の談話というのがやっぱり一番環境庁の立場を明確にしておるものではなかろうかなと、こう思うわけでありますが、現在の長官が、これもちょっと地方で誤解を受けているんですがね。十月三日、環境庁長官が、シジミガイはすぐ死ぬものではない、こういう記事と、こっちはシジミガイが腐るから補償金返しますと、この二つの記事が地元に出て、一体どっちが本当なんだと、一般県民から見れば。こういう点から考えますと、やっぱり私は環境庁の立場からいうと、原長官の見解というのを今日時点では環境庁の基本姿勢として確認しておくことが、やっぱり県民のために、自然を守るために大事なことではなかろうかな。私は、新聞のとり方でちょっとこういうことがあったんではなかろうか、本心は原長官と変わりはないというふうに信じておるわけでありますが、長官のこれに対する見解を聞かせてもらいたいなと、こう思うんです。
  107. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  私の考え方は原長官と同じ考え方でございます。慎重の上に慎重に扱っていかなければならないと考えております。  農林水産省の方から淡水化に伴う水質予測等の調査をいただきました。これにつきまして今当局の方で検討をしておりますが、その結果をよく踏まえて、また現地の方の県のお考えも十分にお聞きをして、そうして住民の方々の御意見もいろいろお聞きをし、そうして私ども考え方をはっきりしていきたいと、こういうふうに考えております。
  108. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これを、私は「宍道湖の水を守る会」の代表世話人、松江市会議員の福田さんという方から、新聞を切り抜いて送ってもらったんですが、この福田さんという方は現在の細田運輸大臣のこれは元秘書ですね、だから自民党員です。自民党員で市会議員。この方の投書を見ますと、淡水化の問題で試みに行うんだからという中間報告は島根県民、鳥取県民を試験台にするにもほどがあると、今まで南委員長は二回もこういうことをやって失敗をして全部棚上げにしているじゃないかと、その棚上げしていることを島根県民と鳥取県民を宍道湖でモデルにやるとは何事だと言って、非常に強い怒りを持っているという問題提起であります。  時間がありませんから一遍に言います。  それからこれは、公明党、共産党、社会党、各党から現地の知事などに申し入れた原本のコピーであります。こうしますと、自民党の諸君もこういう申し入れをすると、各政党、公明、共産、社会党も同じ申し入れをするとなりますと、それから農民は心配しながらお金は返します、もともらった、これは二億四千万、二百四十人の組合員がシジミの補償金を返しますと、こういう運動が出ている。それから最も近いところでは、これは十月十三日、日本科学者会議島根県支部の月例講座で、東大の応用微生物研究所助教授の大竹さんという方がやりばりこの中間報告は少しお粗末過ぎると、もう少し条件整備をしてやらないと該当する県民がかわいそうだと、そして一たん淡水化で汚れてしまえば再び自然は戻らないと、こういう極めて厳しい学理的な問題提起を、中身は言いません、こういうことをしておるわけでありますが、こういうふうに考えると、この中間報告というのについては多くの疑問と疑念を持つわけでありますから、私はぜひ委員長にもお願いしたいと思うんですが、きょうは環境庁ですから環境庁、それから次は農水、そして最後には河川法の管理をしている建設省がみんなつながりますから、最後の建設省をやるあたりに、最後の詰め段階で、この報告書をまとめられた南委員長さんにでも参考人に来てもらって、こういう問題提起についてどういうふうに受けとめるのか、こういう大学の先生方が提起した問題について、もう一回中間報告をより実りあるものにするために、疑惑を解くためにさらに検討をして立派なものにするのか、そういうことを含めて、やっぱり一番の問題はこの中間報告でありますから、中間報告に対する意見を聞きたいなあと、こう思っておるわけであります。  したがって私は、きょうは最後に環境庁にそういう意味で慎重の上にも慎重にやってほしいと、同時に閣議においても、今度は国務大臣として、非常に焦っておる農林省に対して、やっぱりこの問題については環境を考えて、こういう問題が提起されておるから閣議としても慎重の上にも慎重にやるべきじゃないかという問題提起を、努力を国務大臣としての長官にお願いしたい。こういう点で、時間が来ましたから終わりたいと思うんですが、大臣の決意をひとつ聞いて終わりたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  109. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御要望の件は理事会で諮ります。
  110. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) ただいま、先ほども申し上げましたように、農水省から中間の報告書を今いただいたところでございまして、事務当局の方におきましてそれにつきまして検討をしておるところでございますので、今私が閣議においてということには、まだちょっと私は時期が違うのではなかろうかと思うのでございます。もう少しまた慎重に検討をさしていただいて、やらしていただきたい、こういうふうに考えております。
  111. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 問題があるという問題意識だけはひとつ十分持ってもらって、いま事務当局が検討中であるからということは事務作業でありますから、それをあえて言いません。ただ非常に県民の世論を二分している大事な問題だ、環境行政大変な問題だという問題意識を十分持ってもらって最大の努力をしてもらいたいということを要望します。それ以上大臣に言っても無理ですから要望しておきます。  以上です。
  112. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十三分開会
  113. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、厚生省環境庁医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  114. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 質問させていただきます。  先回に引き続きまして食品添加物の問題についていささかお伺いをしたいと思います。  昨年の八月末、食品衛生法施行規則の一部を改正し、新たに十一品目の食品添加物がふえたことになったわけでありますが、私どもといたしましては大変複雑な気持ちでありました。一方、この十一品目を含めて七月末、厚生省は添加物を使ったすべての食品についてその物質名、用途名などを表示することを義務づける方針を明らかにされました。昭和二十三年食品衛生法施行以来の画期的なことではありますけれども、私ども運動をしてきた者にとりましてはごく当然のことであるというふうに確認をし合っております。  しかし、その後組織されました添加物表示検討会においてどのような論議がなされているのかがよくわかりません。それで私どもは添加物がふえていくのならばせめて選択する権利を生かしたいとする消費者の側に立って、この全面表示がどんな状況に進んでいくのかは大変大きな今日的課題だというふうに思っております。そこでこの全面表示に向けての検討会の経過報告をお願いしたいと思います。
  115. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 先生お話にございましたように、食品添加物を含めまして食品の表示の問題でございますが、消費者や食品衛生関係の営業者に対しまして的確な情報を与えるという意味で大変重要な問題であると考えております。  添加物の表示につきましては、お話しございましたように、物質名を原則として全面表示をしてもらうという方針のもとに本年の二月以来検討会を発足させ御議論をいただいておるところでございまして、これまで六回にわたりまして会合が行われているわけでございますが、現在の段階ではまだ総論的な御議論が中心でございまして、具体的な問題につきましてはこれからまた鋭意検討を進めていただくというようなことで今やっておるわけでございます。
  116. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その検討会が結論を出すのはいつごろであるのか、先回私がいろいろお伺いしたところでは一、二年をめどというようなことが発表されておりましたようでございますけれども、これはいつごろをめどにしてお出しになるのか、そして、その持つ意味というもの、出た方向性が持つ意味というもの、そんなことについてちょっとお伺いしたいと思います。
  117. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 私ども、できるだけ早くということでお願いをいたしておりますが、まあ細かい問題もいろいろございまして、なかなか思うとおり進行するかどうかという問題はございますけれども、私どもといたしましては来年の春を目途に検討会の御結論をいただきたい。そういたしまして、それに基づいて私どもとして行政上の措置を早く進めていくと、来年の春を目途にいたしておるわけでございます。
  118. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほども申し上げましたように、食品添加物をめぐって種々の運動を続けてまいりました者にとりましてはこれは実は大変重要な意味を持っております。  それで、まあこれはお答えをいただかなくて結構でございますけれども、希望といたしまして一部話をさせていただくわけでございますが、ただいま表示義務のある六十八プラス十ですか、この品目が七十八が対象になるのか。あるいはまた、現在の三百三十六の化学添加物が対象になるのか。あるいはまた、天然添加物と称するすべてのものも含めてこれが対象になるのか。こういう問題は私どもに大変大切な関心事でございますので、ぜひこういう対象をどこに求めるかというようなことについてシビアな論議を続けていただきたい、このように思います。  それからもう一点は、厚生省がお出しになっているところの食品添化物行政中期五カ年計画との兼ね合いで、この検討会の出す結論がどういうふうにかみ合っていくのか。この問題もあわせて御検討いただきたいというふうに思いますが、本当はお答えをちょうだいしたいわけでございますが、これは結構でございますので、シビアに検討していただきたいということ。  それからもう一つ、最後に希望をいたしますことは、アメリカやEC諸国では既に全面表示が義務化をされている中で、先進国日本、この表示行政に関してはまことにおくれているわけでございますが、消費者保護のためにもこういう画期的な方向を打ち出されたのですから、これが本当に消費者保護の意味につながるような結論をぜひお出しいただきたいということを希望をいたします。現在ではたしか表示義務のある添化物は五分の一程度かというふうに私は思いますけれども、これがぜひ、先進国日本としては恥ずかしい数字でございますので、そうあらぬよういい方向で御結論をいただきたいということを希望いたします。  それでは、食品添加物の問題は私はその程度でとどめさせていただきまして、本日用意いたしました二つ目の問題は、乾電池の問題から先に入らしていただきます。  ここ数年来、乾電池に含まれておりますところの水銀による環境汚染が国民の間に大きな関心事となってきております。そして既に、私ども公明党はこの問題について早々とから各関係省庁にお伺いを立て、また要望等も、申し入れ等もいたしてまいりましたわけでございますが、先ごろ全国を歩きますと、この問題について国は何をしておるのか、公明党の取り組みは打ち上げたけをしただけで甘いではないか、もうちょっと国と折衝してほしいというような話がたくさん出てまいりまして、私も間に入って大変困っておるわけでございますが、決算委員会環境委員会等で春田議員が、あるいはまた予算委員会で斉藤議員がいろいろとお尋ねをいたしております。それで、そのときに都度都度いただいたお返事、御回答が今どんな状況で少しずつでも動いておるのかどうか、関係省庁から現時点のお考えを順次お答えいただきたいと思います。
  119. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 乾電池でございますが、これは前にも申し上げたかと思いますけれども、廃棄物処理施設から出る、例えば排出水でございますとか、あるいは大気に出る煙等につきまして、現時点において特にそれによって水銀の環境汚染が起こるというふうには私どもといたしましては理解をいたしていないわけでございますが、ただ、環境の汚染の未然防止とか、あるいは今後の乾電池の使用量の増加といったようなことに対応するために、業界にいろいろお願いをいたしたり、あるいは私どもといたしまして検討を進めたりいたしておるわけでございます。  業界の関係につきましては、これも先生御存じと思いますけれども、業界によるボタン型電池の回収、あるいはアルカリ、マンガン電池におきます水銀使用量の削減についての研究、検討、そういったことを業界として今進めていただいておるわけでございます。  それからまた、厚生省といたしましては、関係省庁といろいろ連携をとりながら、また先ほど申しました業界での回収活動等の対策の徹底を見ながら、さらに中長期的な問題といたしまして、ことしになりまして、生活環境審議会の適正処理専門委員会におきまして、この乾電池対策の基本的なあり方について御検討を進めていただいております。また、家庭系特殊廃棄物の処理対策に関する調査ということで、かなり大がかりな調査も本年度から開始をいたしておりまして、私どもの心づもりといたしましては、先ほど申しました審議会の適正処理専門委員会におきましてはおおよその枠、おおよその考え方を来年の夏ごろにはお示しをいただきたいということでお願いをいたしております。  それから、調査の方は、ことしから六十一年度まで三年がかりの調査でございますけれども、水銀乾電池の問題につきましては、その調査の中でもできるだけ早く結果が得られるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  120. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 環境庁といたしましては、当面の業界等に対する指導その他は厚生省にお願いしているわけでございますが、問題はごみ処理場における水銀の挙動がどのように動くかということについて、厚生省と一緒に調査してまいりたい。それからまた、埋立処分後の水銀の挙動に関する知見を集積することが必要でございます。公共水域には検出されない、しかし、なおかつその相当量の水銀が処理されている、このメカニズムはどうなっているか、それについての知見を収集することに努力している状況でございます。
  121. 広野允士

    説明員(広野允士君) 通産省としての見解を申し上げます。  現在のところ乾電池に含まれます水銀によります公害発生事例を承知していないわけでございますけれども、乾電池は非常に便利なものでございますから需要が非常にふえていくということで、これでは将来あるいは環境汚染が起こるおそれもあるということで、未然防止の観点からことしの初め関係省庁とも協議いたしまして、業界に対して対策を講ずるように要請をしたわけでございます。  現在のところ業界は、通産省の指導を踏まえまして、乾電池に含まれます水銀量を減量をする、根っこから断つという考え方のもとで減量をしていくという研究をスタートしております。また、水銀減量が非常に難しいと考えられます水銀電池につきましては、自主回収をするという措置をとっておりまして、環境保全対策に努めているところでございます。  その後,水銀減量に関します研究がかなり進みまして、また、通産省の指導によりまして業界ぐるみで研究をやろうということで技術研究組合をこの九月に設立をしております。三年間で三分の一に減量させるということを当初の約束として業界は言っておったわけでございますが、研究がかなり進展をしてまいりまして、来年の九月末をめどに当初の三分の一にするという研究にめどをつける、さらに、六十二年九月末をめどにさらにその二分の一――当初から考えますと六分の一に減量をするというようなことを目途に今研究を進めているところでございます。  当省としましてもこの措置の実現に向けまして、業界を十分に指導してまいりたいというふうに考えております。
  122. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ちょっと通産省の方にお伺いをいたしますけれども、新しい乾電池を開発なさることは大変私大事なことだと思うんですけれども、それは新しいタイプの乾電池ができることによって受ける消費者メリットは何でしょうか。つまり、コストが高くなるとか、あるいはもちが悪くなるとかいうふうなことへと変化するのでしょうか。
  123. 広野允士

    説明員(広野允士君) 現在のところ研究中でございますので、コストがどういうふうになるか、また、寿命といいますか、耐久性がどういうふうになるか、確たることを申し上げる段階ではございませんが、現在出回っているものと同様の品質あるいは価格帯でということで現在研究をしているところでございます。  まずは、消費者と申しますか、環境保全の観点から水銀量を減らしていくという考え方のもとに研究を進めているところでございます。
  124. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほど厚生省の方からお話を伺いましたけれども、これは我が党の春田委員環境委員会でお尋ねをしたときに小林課長からの回答の中で、例の厚生大臣の諮問機関であるところの生活環境審議会の廃棄物処理部会の中に適正処理専門委員会ができたということで、そこで現在適正処理専門委員会は適正処理の尺度の設定、あるいは困難性の評価、あるいは関係役割分担等を論議しておる、というところをお答えになっておられるのが三月二十七日でございますけれども、この三つの大切な柱についてお話し合いがなされているようで、これは一番今関心事になっております。どんな論議がなされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  125. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 適性処理専門委員会でございますが、この専門委員会は六月の十一日以降現在まで五回開催をしておるところでございます。この委員会での最も重要な審議事項、検討事項は、先生が今おっしゃいましたような尺度の設定でございますとか、あるいは役割分担の問題、まあそういったことでございますけれども、現在まで五回にわたって行いましたのは、その前提になるものといたしまして、市町村あるいは都道府県、そういった自治体の清掃の関係者あるいは電池、家電製品、プラスチック飲料容器等について関連業界からヒアリングを行った、五回にわたって行ったという段階でございます。これから、せんだって申し上げましたような項目につきまして本格的に審議を進めていただくという予定にいたしております。
  126. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 審議の内容をお伺いしたわけですが、厚生省見解をお伺いしたいと思います。  今、私どもは乾電池の問題をいろいろやっておりまして一番ネックになっているのは、この乾電池が処理困難物という形で了解されないということが一番ネックになっているのではなかろうかというふうに思うわけです。今、各省庁の御回答の中にも、害は出ていないとつ私がした対話集会の中では、人は死んではいないというところまで出ましたけれども、乾電池で害が出て人が死ぬような状況になったときは、日本国じゅう水銀汚染でやられてしまうわけでございまして、そんな状況になった段階で策をなさったのでは大変なことになります。この処理困難物ということが認定されないために廃棄物処理法三条二項が生きてこないというふうに私たちは了解しているわけなんですね。  実は、これもいろんな形で私ども検討いたしておりますけれども、先回、昨日もちょっとそちらの皆様にもお願いをしたんですが、有害物質含有家庭用品規制法ですね、この中で水銀化合物というのは有害物質には認定されるわけですね。それから、通産、厚生両方の所管になるところの化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、ここでもやっぱり水銀は有害物であるということが認定されるというふうに思うんですけれども、私はこの二つの法律を持ち出してこなくても、水銀は有害物であることを前提に動いていますよと言われて大変ショックでありましたが、この二つの法律と、これは御専門の先生方も既にこの中で水銀及び水銀化合物は有害物であるということが社会的には認定されていると。それなのに、廃棄物処理法三条二項の、いわゆる処理困難物と結びつかない事情をみんなで考えてみようというのが今私どもが抱えているテーマなんですけれども、これ何とか御回答いただけないでしょうか。
  127. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 家庭用品の規制法でございますが、これは先生も御承知のとおり、家具でございますとか、あるいはじゅうたんでございますとか、衣服でございますとか、そういうものに例えば触れたりなんかをいたしまして皮層障害が起こると。ですから、家庭用品を家庭で一般の方が使用されるときにそれによって直接障害を受けると、こういったものについて規制をしていくというのが家庭用品の規制法でございます。したがいまして、乾電池そのものにつきましては、家庭でお使いになられる場合については別段の支障がなくて、むしろ廃棄物として出てきた場合にどう処理するかということでございますので、ちょっとまあ家庭用品の規制法の場合と違うのではなかろうかと思っております。  ただ、これもお話しございましたように、廃棄物処理法の三条二項で、事業者はその製品等が廃棄物となった場合に、その適正な処理が困難になることのないようにしなければならないという規定があるわけでございます。これについて、処理が困難だということについての認識が関係者によって違うことは、先生指摘のとおりでございます。ただ、先ほど申しました適正処理専門委員会におきましては、この三条二項の考え方、趣旨というものを踏まえまして、その上で廃棄物となった水銀乾電池をどうするか、それについてのそれぞれの業者なり自治体なり国なりの役割をどう考えていくか、あるいは処理の態勢をどうするかということを検討していただいているわけでございまして、やはり三条二項の考え方に立っておると、その上でどうするかということを検討しておるということでございます。
  128. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今、地方自治体では分別収集をして、そしてトン九万七千あるいは十三万五千、あるいは十六万何がしというコストをかけてイトムカまで運んでおりますね。あの場合は地方自治体において、終末処理地がいわゆる適正処理困難物であるということを盾にとって、つまり認定して終末処分地に入れてくれないから、だから北海道へ持っていっているわけですよね。だから、乾電池が処理困難物であるという認識はもう定着していると。これいかがでしょうか。
  129. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 乾電池を分別収集をされましてそれをどう処理、処分するかと、そうなりますと、まあ一定の、お話しの北海道における処理工場のような形の処理をすること、あるいはコンクリートで固めるというようなことが現在考えられる方法でございます。したがって、分別収集されました乾電池をそれをそのまま土に埋める、埋め立てをするということでございますと大変危険でございますので、そういうことのないようにどうすればいいかと。  そこで問題は、現在北海道に一カ所しかない、したがってお話しのとおり運搬等の経費も非常にかかるということでございます。そういったものを例えばブロックごとにつくっていくという考え方もございましょうし、あるいはまた、そのつくっていく場合に、これはなかなか採算の合う仕事ではございませんので、かかる経費についてどうするんだと。それを例えば自治体と、場合によれば国と、あるいはまた業者とが一体どういうふうに分担をしていくのかといった役割分担という意味ではそういうことも関連があるわけでございまして、そういったことが今申し上げました再出委員会での審議の中心課題になろうかと思っておるわけでございまして、その辺の結論、そしてまた関係者のコンセンサスをいただいた後に、まあできるだけ早くいただきまして、それに基づいて対処の方策を考えていきたいというのが私ども考え方でございます。
  130. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 一つお伺いをいたしますが、昭和五十二年に一般廃棄物の処理法が一部改正になって、いわゆる遮水シート、土壌汚染問題が出てきて遮水シートを使うような形に改正されましたね。今、終末処分地は全国で二千五百カ所ぐらいあるというふうに聞いておるわけでございますけれども、この二千五百カ所の中で五十二年以前に、五十二年以前に、つまり遮水シートを使わないで終末処理場として機能させた個所が何カ所ぐらいあるかお伺いしたいと思います。
  131. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 五十二年の法改正以前につくられたと申しますか、埋め立てられました最終処分場の数でございます。なかなか正確に把握するの難しい点もございますが、一応私どもとしてはおよそ千三百カ所ぐらいではなかろうかと、先生お話しのトータル二千五百あるいは二千六百というもののうちの約半数を占めるのではなかろうかと考えております。
  132. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 環境庁にお伺いをいたしますが、この遮水シートがない終末処分地の周辺において水銀――無機、有機ともにですけれども、水銀が検出されたというような調査をなさったことはございますでしょうか。
  133. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 現在までのところそのような調査を実施した例はございません。
  134. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 調査はしたことがないということですか。データがないということですか。
  135. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 自治体が個別にはやった例がございますが、全国的に統一的な方針に基づいて調査はやっておりませんので、したがってデータはございません。
  136. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ごろ神奈川県方面で〇・六ppm――〇・〇三ppmをはるかに超えた〇・六ppmの水銀が検出されたというようなデータがございまして、これは終末処分地であったところの箇所から検出されているというようなことなんですね。それで、私は今細かい問題に入る気は実はないんです。一体、水銀ないしは乾電池の処分をどないことしたらいいだろうという問題のそのことだけにかかわって心配をいたしておるわけでございますが、この土壌汚染の問題、私は、今厚生省、千三百カ所というふうにおっしゃいましたけれども、ぜひ法改正以前に終末処分地として使われていたところの千三百カ所の周辺、近辺についての水銀による土壌汚染を調べていただきたいというふうに思うんですけれども、これいかがでございましょうか。
  137. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 御要望のようなことで本年度調査をいたすことを考えておるわけでございます。私ども、公共水域全般について常にモニターしておりまして、公共水域一般においては検出されておりませんので、まず非常に問題があるということではないと思いますが、しかし御指摘のような事実があることも否定できませんものでございますから、周辺住民に対する不安解消というふうな意味でも、国の統一的な方針に基づきまして、厚生省と御相談の上、調査を本年度実施したいというふうに考えております。
  138. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。国民の皆様の関心は乾電池に対して身近な生活用品であるだけに大変深いものでございますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  それから、これはもう一度厚生省の方にお伺いをするわけなんですが、処理法第四条の考え方ですけれども、処理法第四条の中に、国は、廃棄物処理に関して地方自治体及び企業体に対して指導を行うという意味のことが書いてございますね。これについては厚生省はどんな手を打っておられますか。
  139. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 先生お話しの点は第四条三項の「国は、」「市町村及び都道府県に対し、」「必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」、この条文であろうかと思いますが、私どもこの条文に基づきまして各種の技術的な研究を進めて、その成果を都道府県、市町村に伝達をする、あるいはまた御承知のような廃棄物の処理施設の建設に当たりましては国庫補助を出しておるというのが現状でございます。
  140. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 通産省にお伺いいたします。  現在の法律によりますと、一般廃棄物というのはやっぱりその処分の責任が地方自治体にあるわけで、今大変に国民の不安に思っている処理困難物であるところの乾電池を皆それぞれボランティアの力も働いて、これを分別収集、回収し、そしてそれぞれの処分の仕方に応じてやっているわけですね。で、北海道の野村興産イトムカあたりに大変なコストをかけて持っていっているわけです。これが大変いい形に定着したというふうに言っているところすらあるわけで、私はこれは大問題だと思うんです。つまり、痛み分けという言い方をしたくはないんですけれども、果たして、企業が社会的責任において、これだけ不安要素と言われている乾電池の問題について地方自治体あるいは使用者に負担だけをかけておいて、企業はこれを黙って見ていていいのかどうなのか。これはいつも出る問題でございますけれども、通産省はどういう御指導を今後なさっていくおつもりですか。
  141. 広野允士

    説明員(広野允士君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、使用済み乾電池につきましては、従来、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、廃棄物処理法に基づきまして自治体において一般廃棄物として処理されているところであります。ただ、通産省としましても、現在のところ公害発生事例は承知していないわけですが、将来ふえてくる乾電池需要といいますか、そういうものに対処して、未然防止という観点から関係省庁とも協議して業界指導をやっているところでございます。  先ほども申し上げましたとおり、三年間をめどに水銀減量を行っていくという研究を指導してまいりたいというふうに考えておりますし、業界が現在自主的にやっております水銀ボタン電池の回収という行為も、できるだけ回収率が上がるように指導してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。今後とも関係省庁とも協議しまして対応してまいりたいと思っておりますが、まずは現在とっております措置を十分効果あらしめるようにやってまいりたいというふうに考えております。
  142. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 乾電池の論議は私どもの党も本当に長々とやっておりますので、だんだん専門的になっていくわけです。専門的になっていくとかえって袋の中に入ったみたいに道が出てこないんですね。これは我が党でも大変に頭を悩ませております。それでいて一方で地方を歩きますと、国で何をやっているんだ何をやっているんだと言われるのは私どもなものですから実は私ども間に入って大変苦慮をしているわけでございますけれども、ぜひいい方向で早く国の責任においてこういうものが処理されていくことを私は望むわけでございますけれども厚生大臣にちょっとお伺いをいたします。  先回、予算委員会のときでしたか、我が党の斉藤節委員が大臣に第三セクター方式の問題を御提言申し上げたと思います。それに対して大臣は大変よい御回答をなさってくださっておるわけですけれども、この第三セクター方式による処理方法について、その後何らかの形の検討ないしは取り組みなんかなさったんでしょうか、お伺いいたします。
  143. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) たしか斉藤先生から提案ありましたときに、非常に貴重な御意見として今後参考にさせていただくということを申し上げたはずでございますが、その後これらの御提言の問題等も含めて今特別委員会等で検討を重ねておるところでございます。
  144. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 環境庁長官にお伺いいたします。  長官は三月二十七日の環境委員会で春田議員の質問に対して「水銀に対しましては懲り懲りいたしておりますので、この問題につきましてはこれから後も引き続き検討を加え、問題の起こらないように処置をさせていただきたい」というふうにお答えになっていらっしゃるわけですけれども、長官がおっしゃっておられる「懲り懲りいたしておりますので、」というこの中身は何を頭に置いて懲り懲りいたしているというふうにおっしゃられたのか、お伺いをいたします。
  145. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  水俣病という非常に大変な恐ろしい問題を浮かべておるわけでございます。
  146. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 御決意のほどを伺いたいと思います。
  147. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) したがいまして、国民の皆様方の中にもそれをやはり非常に恐れておられまして、市町村の中にはもう分別収集に踏み切って、そしてそれを集めておられるのが今の一部の実態でございます。それがだんだんたまってまいりますので、厚生大臣さんお隣りにおられますが、閣議じゃないんですが、私ども集まっておりましたときに私にお話がありまして、厚生省環境庁と、やっぱりこれは最後に大変な問題として扱わなくちゃいけないと。ひとつお互いに力を合わしてやろうや、こういうお話がありまして、私の方にも事務当局の方にこれを検討するように早く厚生省の方と打ち合わせをしろと、こういうことを申したのでございます。早速事務当局の方、厚生省の方とお話しをいたしましたところ、厚生省は、今こういう審議会をつくっておるのでこれをもうちょっと待ってくれと言うから、そんなに長いこと待ってられぬと、まあなるべく早くやってくれと、こういうことを言いましたら、来年の夏まではとにかく待つ七ほしいと、こういうお話でございますので、それぐらいはこれは当然かかるだろうと、こういうことで実は目途に検討をしてもらいまして、私どもの事務当局もこの御相談にあずかってやらしていただいておるということでございます。  これは何とか私どもは対策を立てなければ、今せっかく市町村で分別収集をしていただいておるところがますますお困りになる、またお金もかかるということになりますので、これはなるべく早く処置をさせていただきたい、こういうふうに決意をいたしております。
  148. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ひとつよろしくお願いいたします。  ことしの十月、東京都で行われる消費者週間では、乾電池を最大のテーマにいたしますようでございますし、日弁連の十九、二十日の大会でもこの廃棄困難処理物としての乾電池をテーマにやるようなお話を伺っておりまして、国民の意識というのは非常に高くなってきております。したがって、やっぱり国といたしましても六十二年とか六十一年とか、そうのんきなことは言っていられないのではないかというふうに思っておりますので、できることとできないこととを分けて、今何をすべきかというようなことからでも結構でございますので、ぜひ何かの取り組みをしていただきたいというふうに希望をいたしまして、この問題は終わらせていただきます。  それでは、今、同僚議員の方から一問質問をなさりたいようでございますので、お願いいたします。
  149. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 関連ですか。太田委員
  150. 太田淳夫

    太田淳夫君 ただいま食品添加物及び公害問題について同僚委員から質問がございましたが、せっかく厚生大臣出席されておりますので一点だけお尋ねしておきたいと思うんですけれども、それは最近起こっております毒物混入事件についてでございますけれども、これがますますエスカレートすることが懸念されているわけですけれども、私ども国民の健康を守る立場からも一日も早くこの事件が終息をすることを祈ってやまない次第でございます。  最近ではテープに小中学生が利用されている疑いもございましたし、これは児童福祉あるいは児童教育、そういったものにもいろんな問題点が及んでくる可能性もあるわけですが、そこで、厚生省といたしましても当然これは公衆衛生上あるいは食品衛生上または児童福祉の面からもなおざりにできない問題じゃないかと思うんですが、その点で厚生大臣、所感及び対応策についてお尋ねをしておきたいと、このように思います。
  151. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御指摘の最近のグリコ・森永事件に関して、これは御指摘のとおり厚生省、人の命は地球よりも重いと言われる人間の健康を守っていかなければならない責任がございますから、最近の報道等を見ながら胸を痛めておるのでございます。  ただ、先生御案内のように、現在は警察当局でその真相を究明中でございますので、その捜査が進められる段階厚生省としてお役に立つことがあればどんなお役にでも立ちたい。また、食品衛生法に基づき食品の安全を図るという立場で、これは我々の大きな重い責任もございますので、このようなまさに社会に挑戦するというような事件というものに対して、これは非常な憤りを感ずるとともに、こういうことが行われないように、また今日の時点でもそれが国民の健康を害するようなことに絶対にこれはならないように、大きな関心を持ってこれからも努めてまいりたいと思います。
  152. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 次に私がお伺いするのは、アルコール症の問題でございまして、先回アルコール入りドリンク剤の問題につきましては、大臣の大変素早い手を打っていただいたおかげで、事がいろいろな形に動きまして感謝を申し上げる次第でございますが、アルコールの問題については、実はアルコールそのものの問題で社会的に大きな課題があるということを、私は心を痛めておる者の一人でございます。  一九八二年WHOの総会においても、西暦二〇〇〇年までに世界のすべての人々の健康を達成するためのさまざまな問題が取り上げられましたが、その中でもアルコール健康問題が大きく取り上げられ、各国でもこの問題について前向きの取り組みをしているということが報告されております。我が国でも労働省の健康調査等を見ますと、働く者の二人に一人はストレスを感じており、そのストレス解消法の一つには睡眠が挙げられますけれども、その第二に酒を飲むという解消法を選択しております。一般の人たちの四四・六%が解消法として挙げられています。そして中間管理職になりますと、これが四八・九という形で飲酒によるストレス解消ということが挙げられていることが五十八年の労働省健康調査で発表されております。そして、こういう飲酒傾向がエスカレートしていく中で、アルコールによるアルコール症あるいはアルコール依存症あるいはアルコール中毒症と申しましょうか、呼び名はそれぞれのお立場でいろいろあるようでございますけれども、非常にふえてきており、現在これは世界的傾向にもなっているというふうに思います。そしてまた、これがさらに、このアルコール症現象が若年層あるいは女性層にも及んでいるということで、私はこの問題がそう軽々と扱われてはならない問題だというふうに思っておるわけでございますが、現在アルコール症と言われる患者が日本ではどのぐらいおるのか、あるいはまた厚生省としてはこのアルコール症についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。
  153. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) アルコールと健康の問題についてのお尋ねでございます。  アルコールは、言うまでもなく人間関係の潤滑油というような役割を初め、社会的にもまたいろんな面で効用のあることも既に明らかでございます。大変長い歴史もございます。しかし反面、適正な飲酒を、道を踏み外しますとすなわち大量飲酒、毎日続けて飲むというような適正でない飲み方になりますと、その極端な場合アルコール依存症とかあるいはアルコール精神病、そのほか先ほど先生も御指摘のようにWHOもその概念を大分広げてきておりまして、胃潰瘍とか胃腸障害、肝硬変等々いろんな健康の問題とのつながりもございます。そのようなことで国民の関心も高まっておりますし、私どもとしましてもこのアルコールと健康との問題に関する対策につきましては一層重視をしておるところでございます。従前、アルコール中毒者を中心としての施策、いろいろこれまで行ってきておるところでございますが、一層その範囲を拡大して今後考えていかなければならないと考えております。  それから、中毒症の実態についてのお尋ねでございますが、御指摘のように概括的には増加傾向が見られるわけでございまして、アルコール中毒患者数、これは患者調査で把握した数字でございますが、昭和四十三年時点では一万四千七百二十人でございましたのが、現在一番近い統計として五十六年の数字を持っておりますが、二万二百人というようなことで三七%ほどの増を見ております。  その背景にございますいわゆる大量飲酒者、これはいろんな定義があるわけでございましょうが、一日平均を百五ミリリットル、すなわち日本酒に換算しますと五合、ビールなら六本、ウイスキーダブル六杯、これを毎日飲むような方、そういうような定義で大量飲酒者数を推計した試算がございます。これも同じく四十三年と比べてみますと、四十三年のときには百九万人でございましたが、五十六年は百八十九万人というような推計数字もございます。  そのようなことで、確かに御指摘のような問題点もございます。私どもも今後健康を預かる立場において、適正飲酒の普及、それからそういったいろんな問題の発生の予防、またはそういった中毒に不幸にもかかられた方の社会復帰と、こういったような重要なそれぞれの柱について一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
  154. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 よく御理解をいただいていて助かるわけでございますが、アルコール依存症の問題について少し質問をしたいということの意思表示をいたしましたところ、昨日の夜までに資料ががさつと集まってきて、今スーパー袋で持ってまいりましたが、そしてこれも聞いてもらいたい、これも聞いてほしいということで、私このスーパーの袋にいろいろ皆様のお訴えを持ってここへやってきたわけでございます。今アルコール依存症にかかわる課題、さまざまな角度の課題というのが実は私はあろうかというふうに思っておりますので、今その側面を御理解をいただいていたような御回答をいただきましたんですが、それで私も大変困りまして、問題を絞らなければ話にならないんじゃないかということで幾つかの柱をちょっと立ててみましたんです。これが合うか合わないかは別といたしまして、この一つ一つの問題についてもし御所見等あればお答えいただければというふうに思うんですが、この依存症を扱う場合に、私は先回九月二十二日に浜松で開かれましたアルコール医学会でもこの問題が大変大きな課題になっていることを立ち会ってまいりました。そこでもこのアルコール依存症に関しては、保健医療と福祉の両側面からやはりかかわらなければならないということが主なるテーマとして出ておりました。その両側面からかかわる場合に、行政面として問題と思われる点一その一つ先ほどもちょっと触れましたけれども、診断名等の問題、その状況をどう診断すればよろしいかという診断上の問題でしょうか。あるいはまた保健所と福祉事務所等の相談指導を行う場合の役割り分担とか、あるいはまた家庭内暴力など犯罪等の関連についての処置との関係、あるいはまた民間団体の方がたくさんボランティアとしてしていただいております。この民間団体の方々の民間団体活動との調整を行政はどうするべきかというような問題。あるいはまた先ほど午前中本岡委員の方から出ておりました措置入院制度等を適用した場合の人権上の問題とかいうふうなことを私は幾つか挙げてみたんですけれども、こういう柱についてこのアルコール依存症の問題、どうかかわらせて御意見を持っていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  155. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) ちょっと一遍にたくさんの難しいことを御指摘がありましたが、もし漏れましたら後で補足させていただきます。  診断の問題につきましては、これは医学の問題としていろいろ学会あるいはアルコールを専門に取り組んでおられる方々の間で新しい概念形成に一生懸命励んでおられるわけでございます。私ども行政としてはそういう学会での動きというものを注目しながら、必要な概念をちょうだいしながらそれを施策に反映していくという努力でございます。  アルコール依存とかアルコール中毒とかいろいろ従来使いならされている言葉がございますが、私ども別にアルコール中毒という言葉にこだわっておるわけではございませんで、アルコール症とかアルコール依存症とか、あるいはアルコール関連問題とかいろんな言い方がございます。しかし、いろいろな論議をするときに概念のすれ違いがあってもいけませんので、必要に応じてそういったことについてはチェックをしていきたいと思います。  それから、保健所活動とか福祉事務所活動とか、健康面での活動とそれから福祉面での活動との連携の問題、これは非常に大切な視点でございましくそれぞれの出先の機関におきまして心がけておることでございますが、個々のケースに応じていろんな問題、いろんなバリェーションがあると思いますけれども、それに応じて必要な連携というものは今後ともとっていくわけでございます。なかんずくいろいろと今度は先ほど指摘のようにいわゆる若年者あるいはキッチンドリンカーと申しますか、家庭の主婦の問題とかいろいろな問題がありますけれども、その中から将来の依存症問題が出てきてはいけませんので、そういった面についてはいろいろな保健婦の健康教育活動とか、それからまた福祉面におきます訪問活動その他の面もよく連携をとって、そういった問題の防止に今後留意していく必要があろうかと思います。  それから民間団体の活動でございますが、例えば先生も御案内のように、断酒の会等いろいろなそれぞれの地域におきます活発な活動がございます。  特に、このアルコール依存症との関係につきましては、その再発防止という上で非常に重要な活動だと考えておりますし、それぞれの団体において相当実績もお持ちであろうかと思います。そういったものについて保健所、精神衛生センター等の技術力でお手伝いできる面は今後とも積極的にお手伝いをしていく、育成指導に努めていくということでございます。  それから措置入院との関係ということでございましたが、これは精神衛生法で言う措置入院は、自分を傷つけ他を損ねるというようなことに着目しての行政処分としての入院でございますが、そのような症状を呈するようなアルコールが原因の中毒症でございますと、そういう措置入院をとることがあるということで、とりあえずお答えさせていただきます。
  156. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 対策の問題等、私はたくさん意見を持っているわけなんですが、時間の制約がありますので私の住んでおります地域、小さな町の国分寺市で、一カ月に一度第二木曜日に、アルコール症者あるいはその家族の相談――いわゆるプライマリーケアないしは地域ケアというような形の行事を六年ほど続けておりまして、そこから大変数々の報告をいただいております。そして、そこで立ち会っております医師ないしは保健婦さんのお話では、アルコール依存症の方々はとにかく身体的、内科的疾患等を訴える以前に、話し合いをしながら回復へと引っ張ってやりたいところだが、そういうところに来るときには既にいわゆる患者といわれる形の状況になったときでなければそれもあらわれないというようなことで、その段階になると家庭内暴力が起きたり、あるいはまた家庭破壊あるいは経済苦あるいはどうしようもない修羅場が出てきて初めて相談に見えるというような形のようでございますけれども、私はこの対策の一番積極的な方法は教育という方法ではなかろうかというふうに思うんですが、先ほど御答弁の中にもいささか出ておりましたけれども、アルコールの害の教育というようなことについて、これは一九八〇年に東京で開かれました西太平洋地域対策会議という中で、セブン・シティで開かれておりますが、日本の厚生省と、それからこれはWHOの西太平洋地域事務局が共催で行った事業のようでございますね。そこで確認された事項が、各国政府国民一人当たりのアルコール消費量をこれ以上ふやさないよう努力すべきであり、また園児に対してアルコールの害などを教える教育プログラムをつくるべきであるということが確認されておるようなんですけれども、この出題についてはどんな形で政策化されておるというか、なされておるというか、その確認事項はどうなっておりますでしょうか。
  157. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) ただいま御指摘の西太平洋地域事務局との結果、どのような措置をというのはちょっと突然のお尋ねでございましたので、それにつなげての御答弁申し上げることができないんですけれども、一般的にお答えいたしますと、先ほど先生指摘のございましたように、もうその依存症あるいはそれの結果生ずるかもしれない精神病にまでなってからでは遅いということは、大変大切な視点と私ども認識しておりまして、その予防の観点から教育が大変大切であるということについては、私どもも全く同感でございます。  それで、具体的には、例えば精神衛生センターに精神科の専門の医師あるいは訓練を受けました保健婦あるいは看護婦あるいは精神のソシアルワーカーの方とか臨床心理学の専門の方とか、そういった専門スタッフを配置しまして、大酒飲みといいますか大量飲酒者に依存症にまで落ち込まない段階で酒害というものをよく認識してもらうような、酒害防止相談事業というようなものも取り組んでおるところでございますし、また全国に散在しております保健所におきますいろいろな形の衛生教育あるいは健康教育活動の中におきましても、その対象に応じまして、また地域の実情に応じまして随時アルコールの問題なんかも取り上げて予防の観点を強調していく必要があろうかと、何もかもお酒は毒だということではなかなか皆さんついてこなくなる実態でございますので、適正飲酒という考え方の普及、適正飲酒とはどういうことであるかというような中身のいろんな教育材料といいますか資料等を、非常に熱心に取り組んでおります民間団体もございますので、そういうところの資料等も活用しながら健康教育に当たっているわけでございます。
  158. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この問題については、それこそスーパー袋いっぱいでございますのでとてもやり切れませんものですから、あと柱を二つ立てて整理をさしていただきますと、先ほど申し上げましたように若年層の飲酒についての問題と、それからあとは女性の飲酒に関する問題と、この二つを整理してみたいと思うんですが、未成年飲酒禁止法、大正十一年ですか、この法律は今生きておりますでしょうか。
  159. 古山剛

    説明員(古山剛君) 現在も生きております。
  160. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 未成年がお酒を飲む機会というのは大変に多いわけですし、それから私が集めました未成年関係の飲酒による犯罪事項、事件というもの、今ここに二十七持ってきておりますけれども、こういう状況の中で未成年飲酒禁止法が生きているという見解はどういうところから出るのでしょうか。
  161. 古山剛

    説明員(古山剛君) 私の方でも先生のお話しのとおり少年の飲酒という問題は、少年の成長にとって好ましくない、しかも非行化への第一歩であるということで飲酒の上非行に走ったり、あるいは福祉犯の被害に遭う少年少女が後を絶たないという状況でございますので、少年の飲酒につきましても補導活動を一生懸命やっております。そして、また未成年者飲酒禁止法というのは、先生御承知のとおり親権者などが、子供が飲酒をすることを知っておって制止しなかったというようなものとか、あるいは未成年者が酒を飲むということを知って酒類を販売あるいは供与した、そういう営業者、知情販売、そういうものについて罰則がございます。その罰則を適用いたしまして、昭和五十八年には親権者を七十九人、それから営業者を知情販売で百九十八人、合計二百七十七人検挙しているところでございます。営業者の中に、もっといろいろとそういう知情販売ではないかというようなものもあるわけでございますけれども、はっきりと知情販売であるという立証ができなかったために注意、指導にとどめたというのが実はたくさんございまして、事件としてはっきり立てたのが営業者に関しては百九十八人ということでございまして、この法律につきましても一生懸命適用して、できるだけ未成年者の飲酒というものを減らそうということで努めているところでございます。  それから、未成年者の飲酒そのものにつきましては、これは未成年者飲酒禁止法で禁止はしておりますけれども、罰則そのものはついておりません。そこで、私どもの方では不良行為少年として補導しておりまして、昭和五十八年中は三万九千二百四十六人を補導いたしております。うち、参考まででございますけれども、女子少年は四千九百九十四人補導しているわけでございます。なお、この検挙いたしました人員あるいは飲酒により補導いたしました少年の数、いずれも五十七年よりも若干ふえているという状況で、一生懸命やっているところでございます。
  162. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 取り締まりも結構なんですけれども先ほど私申し上げましたように教育ということ、酒の害に関する教育というのがほとんどなされてないわけで、諸外国の例ではWHO等の指摘もありまして、既に酒の害についての教育というのが進んでおるわけですよね。そういうのはおたくさんの方はなさいませんよね。
  163. 古山剛

    説明員(古山剛君) 私どもといたしましては、こういった取り締まり、あるいは補導活動のほかに、やはり酒を飲んで非行に落ち込むという、そういう少年も多うございますし、またいろいろ犯罪の被害に遭うということもございますし、いずれにいたしましても少年の健全な育成にとって好ましくないということで、そういう面での地域における啓発活動も一生懸命努めているところでございます。
  164. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、大蔵省がおいでいただいていると思うのでお伺いいたしますが、今も話が出ましたけれども、未成年に酒を飲むなということで未成年飲酒禁止法が現に生きておるわけでございますけれども、にもかかわらず、酒を飲む機会あるいは環境というものは十分に青少年の間にあるわけでございますね。これは、私のところに届きましたアンケートのデータでは、中学の三年生で七五%、それから高校三年生になると八九%、酒を飲んだ、飲んだことがあるというのを含めますとね。全く低年齢化しているわけですね。これはやっぱり自動販売機等、お酒がいつでもどこでも買えるという条件がそろっているからだというふうに思うんです。私どもかつて婦人運動の中で酒類小売店販売業界の方々にお願いをいたしまして、夜の十一時から次の日の朝まで自動販売機を自主的にとめていただきたいというお願いをいたしまして、これが一時かなり定着をしておりましたけれども、また今もとへ戻っているような感じもあるわけですけれども、いつ、どこでも酒が買えるというこの環境に対して、つまり若年層の飲酒傾向が進んでいるという問題と絡めて、大蔵省はどのような見解をお持ちでしょうか。
  165. 中島富雄

    説明員(中島富雄君) お酒につきましては、販売につきましてすべてとれは免許制度でございまして、基本的にはだれでもお酒を売れるという状況にはなっていないわけでございますけれども、私ども国税庁といたしましても、酒類が、致酔飲料と申しますか、先ほど来お話のありますように、それが往々いろいろいい面もございますけれども先ほど来お話のあるようないろんな面で害を生ずる場合もございますので、そういう意味でお酒が無秩序に販売をされる、また節度を持たないで販売されるということはこれは社会的にも許されるわけではございませんので、そういう観点から、特に問題になります自動販売機につきましては、これはかつては自動販売機だけの免許と申しますか、お酒屋さんの店先ではなくて、独立した場所で自動販売機だけの免許というのもございましたけれども、これは四十八年以来既に自動販売機だけの免許というものは出しておりません。そういう意味で、社会的ないろんな何といいますか御意見等もございまして、そういう面でかなり免許の面でも私ども従来よりかなり抑制した形で運用をしておるということはまずございます。  それから、酒販店の店先に確かに自動販売機、数多くあるわけでございますけれども、これは一つは酒屋さんの経営と申しますか、人手が足りないというようなこともございまして、やはり自動販売機を置きたいという御希望があるわけですし、またお酒を求められる側からもやはりある程度そういうものの御要望あるわけでございまして、私どもとして、本来酒というものは対面販売と申しますか、相手を見て売っていいものかどうかをチェックした上で本来売るということが建前としてはあるかと思いますけれども、やはりこういう自動販売機というものを全く認めないというわけにもまいらないわけでございまして、私どもとしましては免許業者としての自覚のもとに適切に管理をされるように指導をしておるわけでございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように全くお酒屋さんの目の届かないところで販売機があるという状態は現在はないわけでございまして、店先なり目の及ぶところに原則として置いていただいておるということでございます。それに加えまして、先ほどもちょっと先生から御指摘、お話ありましたように、酒類小売業界では、これは公正取引委員会の認定を受けて、自主的に酒類小売業における酒類の表示に関する公正競争規約というものがございまして、その中で先ほど先生がおっしゃいました午後十一時から翌日午前五時までの夜間販売の自粛ということもうたっておりますし、それから自動販売機の管理責任者等の表示、それからさらには未成年者及び自動車運転者の飲酒禁止の表示等をやるように業界の自主的なルールの中で決めておるわけでございまして、私どもそれを踏まえて指導をしておるというのが状況でございます。特に夜間販売の禁止といいますか自粛につきましては、最近余り徹底していないんじゃないかという御指摘がございましたけれども、これは昨年の三月に第二臨調の答申の中に、酒類の販売の免許制度のことが触れられまして、その一つの項目として夜間販売の自粛を徹底させるようにという御指摘がございましたので、私どもそれを受けまして昨年通達を出しまして、関係業界に夜間販売の自粛の徹底を図るように通達をいたしておるわけでございまして、各県等で実態の調査をいたしておりますけれども、このところかなり全体に実施率が上がってきておるというふうに私どもは聞いておるわけでございます。そういう意味で私どもの国税庁なりまた関係業界も先生のおっしゃるような点は十分頭に置きながら、いろんなことをやらしていただいているということでございますが、私どもとしましても今後こういう酒類の販売といいますか、特に自動販売機のあり方等で社会的にいろいろ御意見があるところにつきましては、十分頭に置いて今後も努力をしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  166. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私どもは、このお酒に関してはアルコール産業というのは今売りまくるという感じを受けております。特にテレビコマーシャル等使いまして広告宣伝、連日幾つ映るかと調査しているのもいます。物すごいものです、売りまくるという感じを受けます。こういう環境の中で未成年にお酒を飲むなと言っても無理であろうかというのが私どもの言い分でございまして、本当はきょうは細かく広告宣伝等の問題についても入りたいというふうに思っていたわけですが、時間もございませんのでこれはやめますけれども、とにかくそのあたりの分についてまでの御指導も含めて、ぜひ子供たちに対するいい環境づくりということで、適正な飲酒という話がさっき出ましたけれども、適正な販売ということもぜひにお考えいただきたいというふうに思います。  それから次に女性の飲酒についての問題でございますが、最近これも実はライトビール等を通じてあるいはマイルドという言葉を使って、女性が飲みやすい酒類の宣伝と申しましょうか大変に出ております。まあ飲む方が悪いのだという話もございますが、最近の傾向といたしましては、かつてはお酒に浸るというような女性は特殊な女性であるというふうになっておりましたけれども、最近ではよく酔っぱらった後さまさせたら普通の主婦だったというような例も出てまいりまして、そういう形に女性の飲酒が進んでいることを私もよく知っております。それだけに女性とアルコールということではもう一つ女性の立場でテーマを持っているわけでございますが、きょうはその中で胎児性アルコール症候群の問題について少しお伺いをするわけでございますが、FAS児の問題ですけれども、この問題が妊娠中ないしは妊娠可能時における女性の飲酒とこのFAS児との関係が非常に深いというお話を伺っておりますが、その辺の厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
  167. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 妊娠中の母親の飲酒が胎児にいろいろな影響を及ぼし得るということは、もう医学的にも当然予想できることでございますが、いろいろな学問的な調査報告も出ておるわけでございます。欧米のレポートによりますと、先天性知能障害の一つの主要な原因をなしているというような趨勢にございます。胎児期、出生後の発育不良とか知能障害あるいは落ちつかない子供、特徴的な顔貌、内臓などの奇形等々がそういった調査では報告されております。
  168. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 昨日も厚生省の方々とお話し合いをしている中で、これを防ぐ方法はあるのかないのかというようなことでお話し合いをいたしましたけれども、母子手帳を交付される段階でそういうものが注意書きとして書かれていたのではもう既に遅いんだというふうにおっしゃるわけですよね。そうすると、この教育はどの段階ですればよろしいとお考えでしょうか。
  169. 小島弘仲

    説明員小島弘仲君) 妊娠してからでは遅いという趣旨だと思います。  たまたま最近、子供の健全育成ということの観点から、婚前教育ということに関しまして結婚前の若い女性に対していろいろの生活指導あるいは健康指導をしておりますので、そのような機会を、妊婦だけでなくて、そういう妊婦予備軍と申しますか、そこに至る前の若い女性も含めまして、アルコール等が胎児に及ぼす危険性等については十分今後ともPRを図ってまいりたいと思っております。
  170. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、これはやっぱり提案なんですけれどもね、最初の子供さんを出産するときに、その母子手帳をもらった段階でそういうものが、注意事項というか、列挙されていたというものを見てはたと気がついたというようなこともあって、次のお産にも役に立つわけでございますしね、私は母子手帳にこれを書き込んで悪いということは、あるいはおくれているということはないと思うんですね。  それから、初期の段階での飲酒ということがかなり胎児への影響が大きいということは、諸外国でも言われているようでございますけれども、しかし、妊娠中に一度だけ飲酒をしたと、しかし深酒であったということが原因であったか、FAS児を確かに出産しているというようなことも先回のアルコール医学会でも発表されております。私はこの母子手帳にこの種の注意書きをお書きいただくことは決して愚かではないというふうに思うんですけれども、これはどんなものでしょうか。
  171. 小島弘仲

    説明員小島弘仲君) 母子手帳そのものにどういうものを記載するか等については、また検討させていただきたいと思っておりますが、とりあえずは関係団体の協力を得まして、母子手帳交付時に合わせまして、副読本といたしまして生活指導のための「赤ちゃん」というパンフレットを配っておりますので、このパンフレットが六十年度たまたま面目を一新すると申しますか、新しくして出すことにしておりますので、この機会にとりあえずはこの「赤ちゃん」という副読本の中に妊婦のアルコールの危険性というものについても十分触れてみたいと、こう思っております。
  172. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 もう時間でございますので、本当は、この社会をにぎわしている事故例、事件例という種類のものを七十四件全部御披露したかったわけですけれども、これを知っていただくことによって、今日本の社会の底辺でアルコール症というものが社会的な問題として、底辺に非常なウエートを持ってあるということをお知りいただけると思ったものですから、実は用意させていただいたわけですが、とてもその時間がございません。ぜひ、がん対策あるいは麻薬対策というようなことはかなり目立ってなさるわけでありますが、好きでいい気持ちで飲んで病気になって厚生省に責任を負わせるというのはけしからぬみたいな話も出たりして、なかなか手を打っていただけない感じもございますけれども、やはり適切な御指導をお願いしたいというふうに私は思いますし、それからまた地域社会で、地域ケアといいますか、地域社会においてもこういう問題を認識していかなければならないということを私考えるわけでございますが、最後に厚生大臣の御見解を伺いまして、質問を終わらせていただきます。
  173. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) いろいろ御指摘をちょうだいいたしまして、貴重な御意見として拝聴いたしておりました。今政府委員から、適正飲酒という話が出ましたけれども、私は、ほどほどにということをこれ覆っておるのでありますけれども、これは先ほどからも出ておるように、液が、やっぱり人生というものは健康で長生きしなければならないと同時に、その健康で長生きする人生を楽しむわけでございますから、その分野で果たしておる役割もこれございますので、今お話しのように、昨年十月に公衆衛生審議会に新たにアルコール関連問題対策専門委員会を設けて、アルコールに起因する健康上の問題点等の把握と今後の施策のあり方を今年度末までに結論を出したいということで進めておりますので、先生きょう御指摘になられた点、特に子供の飲酒の場合とか、あるいは妊産婦の飲酒の場合とか、これはだれがどういう立場で考えても好ましくない問題等は、これは厳重に私どもはこれからそういうことが起こらないように努力をしていかなければなりませんし、また酒というのは、悲しいとき、楽しいとき、いろいろつきまどうものでありますが、これ飲み過ぎていいなんということはないわけでありますから、やはり健康を守ることに害にならないように、そういう意味ではやはり適正飲酒ということになると思いますが、これを保健所とかいろんな分野で国民の皆さんにできる限り徹底するように努力してまいりたいと思います。
  174. 安武洋子

    安武洋子君 私はまず人工心臓についてお伺いをいたします。  先日アメリカで心臓移植を受けて成功されて帰ってこられた方がございます。近ごろ、我が国でも心臓疾患が急増いたしまして、その死亡率もふえております。心臓疾患に対しまして非常に関心も高まってきているわけでございます。心臓疾患の最高の治療というのは心臓移植であろうと思いますけれども、これは提供者の限界がございまして、我が国では今までこういうのは一例しかございません。それだけに、人工心臓の開発というのが切望されているわけでございます。我が国における現在までの人工心臓の開発状況、まずこれをお伺いいたしとうございますので、お答えいただきとうございます。
  175. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) 我が国におけるこれまでの開発状況というお尋ねでございますが、一口に言いますならば、かなり進んでおる、将来は大いに期待が持てるのではないかと私どもとしては考えておりますが、細かいことは、ちょっと時間もございませんし、省略させていただきます一
  176. 安武洋子

    安武洋子君 ただ進んでいるというふうな御答弁だけでございましたけれども、人工心臓は、人体に対します補助心臓といたしましては一部治験段階に入っているということで、全体としてはまだ開発途上だというふうに思います。  その中で兵庫県の姫路市の町工場を経営されております湯浅貞雄さんというエンジニアの方がいらっしゃいますけれども、非常に優秀な人工心臓をつくっておられます。この湯浅さんのつくられましたトーマス型空気駆動形ダイヤフラム方式、これは体内に埋め込みます全置換型でございますけれども、この人工心臓、これを使って動物実験をなさっていらっしゃるお医者さんの方にもお会いをいたしましたし、またこの人工心臓についてのお話も聞かせていただいたわけでございます。ここに写真を持っておりますけれども、これがその人工心臓でございます。  この動物実験でございますけれども、トーマス型人工心臓を使った動物実験といいますのは、福島県立医大で子牛を使いまして六十六日間、それから京都大学医学部心臓外科グループで羊を使いまして二百二十六日間、それから神戸中央市民病院でヤギを使いまして八日間生存させるというふうなことで、全置換型の人工心臓の動物実験といたしましては、いずれのケースも我が国最高最長の生存記録をつくっているわけでございます。これにつきましては、手元に私はきょう京都大学の二十八回の実験成績、それから神戸市立病院の十一回の実験成績、この記録を持ってきておりますけれども、これとともに評価も持ってきております。  この評価として両方のところから出ておりますのは、トーマス型人工心臓は生体内毒性もなく長期使用に耐える完全置換型人工心臓であるということが言え、一九八二年米国で最初に人間に臨床応用されたユタ大学のジャルビック7型人工心臓に匹敵する性能を有すると考えられ、駆動条件やカニューレの応用により補助心臓としての能力も十分有する、こういうふうになっております。そしてまた、現在多くの患者が死に直面しながら、その使用を待っている左心または両心補助のための補助人工心臓としては、十分その臨床治験使用に耐え得るというふうにも評価をされております。  このように非常に優秀な高度の性能を持った人工心臓が、これも一民間のエンジニア、この方が医師の協力を得られまして独力で開発をされているというふうなことは、これは私は大変なことだと思うわけです。このことを厚生省は御存じでございましょうか。そしてまた、これをどのように評価をなさっていらっしゃいますでしょうか、お伺いをいたします。
  177. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) お話のございましたように、心臓病患者にとりまして人工心臓の開発は非常に大事なことだと思っております。  直接お話のございましたトーマス型人工心臓につきましては、今ここに神戸市立中央市民病院の胸部心臓血管外科医長の立道さんの論文の一部がございますけれども、お話のございましたように、評価に耐えるものであるとこの方は言っておられます。  私どもは、いろいろお話のございました中でどれが一番よろしいか、ちょっと的確に今まだお答えできるだけの知識を持っておりませんけれども、今後この方面の開発には厚生省といたしましても大いに関心を持って推進方協力してまいりたいと考えておるところでございます。
  178. 安武洋子

    安武洋子君 厚生省といたしましては、との福島県立医大で子牛を使って六十六日、京都大学で羊を使って二百二十六日、それから神戸中央市民病院でヤギを使って八日間というふうなことで、全置換型人工心臓の動物実験ではいずれのケースも我が国としては最長の生存記録であるというふうなことは、これは御存じでございましたか。
  179. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) この「人工臓器-この一年の進歩」というのを私ども読んでおりまして、今お話のございましたようなことが書いてございますので、理解、承知しておりました。
  180. 安武洋子

    安武洋子君 こういう優秀な人工心臓をつくられるということは、私はこれ大変なことだと思うんです。人工心臓というのは幾つかの大学とか病院などでも開発をされております。これはいずれも多額の費用を要するわけなんです。この湯浅さんの場合も一九七九年に人工心臓ということに興味を持たれまして、八〇年につくり始めておられますけれども、今まで私財を投じまして不眠不休の努力をされて、こういう優秀な人工心臓をつくってこられたわけです。この人工心臓一つをつくりますのにこの弁をアメリカから取り寄せますけれども、この弁は一つ五十万円ぐらい、一つの人工心臓に四つ使いますから、弁だけで二百万というふうになります。そして他の材料費に三十万から五十万ぐらいということで、この人工心臓一つは二百八十万から三百万ぐらい、こういうふうに材料費がかかります。もちろん、これは人件費とかそういうふうなものは入っておりません。そうして弁が大変高うございますので、その弁を一々買うというふうにもまいりませんので、何度も何度も使って一年ぐらいは同じものを使うというふうなことで実験を重ねておりますけれども、やはり新しいもので実験をしていくというふうなことは、その弁が古くなったからというふうなことで失敗というふうなこともあるわけですから、そういうことを防ぐ上で必要ではなかろうかというふうにも思います。  それで、米国の記録を調べてみますとアメリカの場合は人工心臓の開発ではハードウエアの方への援助のウエートが高いというふうになっております。日本の場合はそうはなってはおりません。在して一民間人の湯浅さんのような場合には非常に優秀な技術を持っておられますけれども、そして今の国に本当に必要な、医学界に必要な人工心臓を開発するというふうなことをやっておられるわけですけれども、国からの助成、援助が全くないもとで開発をせざるを得ないというふうな状態でございます。  また、これに協力して動物実験をするお医者さんもいるわけでございますけれども、これはだれでもが実験できるような状態には置かれていないわけです。例えばほかのところに比べますと非常に恵まれているというふうに言っておられますけれども、神戸市立病院にいたしましても研究グループ、これは一人ではできません、もう十人ぐらいがやはり最低いるわけでございまして、ここにその一つ写真はございますけれども、こういうふうにしてたくさんの人たちがこれはポケットマネーで、そして手弁当で、しかも日曜日をつぶして研究をせざるを得ないというふうな状況でございますし、まあ全国どこでもこの基礎研究をやりたいというふうなお医者さんがあるわけですけれども、しかし、その研究をするという道はなかなか開かれていないというふうなことにもなるわけです。ですから、お医者さんたちが安心して自分が研究したいというふうな研究ができるように、国としても私は目配りをして援助をしていくべきではなかろうか、それは日本の医学を飛躍的に発展させるということにも大きくつながることではなかろうかと思うわけです。  そこで、お伺いいたしとうございますけれども、私は今後研究開発を促進するためにも、先ほど私が申し上げましたような一民間人の方がこういうふうな苦労をされて人工心臓を開発されてこられているというふうな、こういう人工心臓のようなケース、こういう開発実験に対しまして国からの援助、助成、この道を何とか切り開けないものかというふうに考えますが、この点でいかがでございましょうか、お伺いをいたします。
  181. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) お話のございましたように、新技術の開発に政府として援助をすることは非常に大事なことであると考えておりまして、厚生省でも厚生科学研究事業等によりまして助成をいたしております。    〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕 もちろん、民間も対象でございまして、人工心臓の場合にはやはり医学でございますから、医学者と理工学者とそれからメーカーといいますか、そういうグループで研究するのが普通の形でございます。直接お話のございました件につきまして申請がありましたかどうか、ちょっと私今つまびらかにいたしておりませんが、神戸市立中央市民病院の医師が共同でやっておられるようでございますけれども申請がありましたならば必ずということになりますかどうか、やはり審査会等がございますから、そこのところは今ここで明確にお答えはできませんけれども、お話のございましたような道は開かれておるわけでございます。
  182. 安武洋子

    安武洋子君 ひとつ、何も政治の光が当たらないという中で、非常に世界にも、今世界では人工心臓開発はドングリの背比べということですが、このままでいきますと日本はやはり他国から取り残されてしまうということになりますので、やはり政治の光を当てていただいて、大いに援助をしていただきたいということで、申請があった場合にはぜひそういう道も考えていただきたいということでお願いをいたしておきます。  そういうことで、次に奇形猿の原因究明についてお伺いをしてまいります。  ニホンザルの奇形が全国的に発生しまして、今なおその原因が解明をされておりません。そして問題になっております。過去において発生しました奇形猿の頭数と申しますのは四百頭を超えるというふうに思われておりまして、一九七〇年前後には恐るべき高率で発生をしております。ところが、近年は全国的に減少してきております。しかし、現在もなお百数十頭の奇形猿がいるわけでございます。人間に最も近い霊長類の奇形でございますから、こういうところで奇形が発生するということからも、その奇形の究明というのを私はぜひとも早急になされなければならないというふうに考えるわけです。  そこで、文部省の科学研究費も受けながら奇形の実態調査とそれから原因究明、これ続けてこられた方たちがいらっしゃるわけでございますが、これは京都府立大学の四手井先生を代表者とした研究チームでございます。ここが昭和五十六年から五十八年の二年間の研究成果を報告書にまとめておられます。ことしの三月にそれが発表されておりますけれども、これを見てみますと、前三年間の研究成果、これを踏まえまして大きく前進をさせておられるわけです。  奇形発生には、一つ、えづけ群に多発する、それから二つ目には広域分布性がある、それから三つ目には家系集積性がある、それから四つ目には年次変動、こういうふうな特徴につきまして遺伝、環境の両面から考察をして、疑わしい要因を消去法的に除いていくというふうな形で研究を進めてこられているわけです。まず、遺伝的な要因につきましては、単因子遺伝についてはすべて否定をされております。遺伝の唯一の可能性として残されておりますポリジーン仮説、これはほぼ否定されたといっても言い過ぎではないと思いますけれども、なお雌雄個体間の交配実験が引き続き必要であるというところまできているわけです。それから、環境の要因につきましては、環境要因の持つ多様さまざまな、いろいろな条件がございますけれども、幾つかの要因が否定されております。そして、今回の研究で初めて正常体とそれから奇形体、この間に一定の差があらわれた物質としてここに新しく出てまいっているのがヘプタクロールでございます。これは死亡した猿の臓器の中に残留している有機塩素系農薬の測定を行いました結果、ヘプタクロールが奇形を持った猿は正常のものと比べまして肝臓で七・四倍、腎臓で五・九倍という大きな差が出てきているわけです。奇形群の中には肝臓に一五ppmあるいは二〇ppm、こういう正常群の平均の二十倍から三十倍という残留の量のものもおります。ところが、奇形を持ったものの中でも汚染の認められていないというのもあるわけです。しかし、その反面正常なものの中で非常に高い数値が出た三頭もあるわけですけれども、この三頭を調べてみますと、一頭は未経産、まだお産をしていないわけです。それで二頭は過去に奇形を出産したというふうになっております。この結果につきまして、奇形猿が発生して問題となって以来ずっと研究が続けられてきたわけですけれども、原因究明の中で初めて原因に突き当たるような結果と、こういうことで発表されたわけで、極めて注目に値するものではなかろうかというふうに思うわけです。有機塩素系農薬の残留というこういう結果につきまして、農水省としてはどのように受けとめておられましょうか、御意見をお伺いいたします。
  183. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 御説明申し上げたいと思います。  農林水産省といたしましては、猿のえさの中に農薬が含まれるか否かといったような観点から、昭和五十四年度より残留農薬研究所におきましてこういった調査を実施してきておるわけでございます。この調査は一応五十九年度までということで計画を立てて実施しておるわけでございまして、現段階では、すべて完了しておりませんけれども、これまで得られましたデータによりますと、猿の奇形発生と残留農薬との間に相関のあることを想定させるような知見は得られてないというのが現状でございます。
  184. 安武洋子

    安武洋子君 この猿の奇形とそれから残留農薬との間に相関関係があるというふうな知見はないというふうな御答弁でございましたが、この「ニホンザルの奇形に関する総合的研究」というふうなこの実態調査と原因究明、これは農水省としては検討をされたことがあるんでしょうか。
  185. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 私どもといたしましては、文部省の科研費で実施されました研究の成果につきまして現在までのところ十分な検討はいたしておりませんけれども、私ども全国何カ所かの猿の育成地におきまして残留農薬の調査を実施してきたというような観点からいたしますと、先ほど申しましたようにそういった明確な相関があるというようなことを想定されるような知見はこれまでにないということでございます。
  186. 安武洋子

    安武洋子君 六年間にわたって系統的にこういうふうな研究をしてきているというふうなところから、これは何も机上の計算ではなくて、実際にヘプタクロールが出てきている、これが肝臓とか腎臓で正常な猿に比べて奇形猿は七・四倍とかあるいは腎臓で五・九倍とかというふうな大きな差が出ているということになっているわけです。これが奇形の原因であるというふうにまだ決めつけてはいないわけです。しかし、相関関係がないというふうにも言えないわけです。農水省としてももう少しこういう研究結果を真摯に受けとめていただいて、もしこの農薬が、ヘプタクロールが奇形に原因があるということであれば本当に大変なことでありますので、それに対してどう対応していくかということが後問われるわけですから、もう少し真剣な態度で私はこの研究を受けとめていただきたい。このヘプタクロールが奇形と相関関係がないというふうには否定をされていないわけです。今からさらに研究が続けられるわけですけれども、一応こういうふうに大変疑わしいと、非常に大きな相関関係があるのではないか、こういう研究が出ている。それをもっと私は重大に受けとめていただきたい、こういうふうに思います。そして奇形猿の原因究明につきまして、研究の到達の上に立って私は引き続きこの研究が進められていくというふうに思うわけです。まして、この農水省のそういう御態度があるわけですから、もっとはっきりさせなければいけないわけですが、死亡した奇形猿の分析とかあるいは奇形を産んだことのある母猿の分析とか、こういうものが必要になってくると思いますし、ヘプタクロールなどの催奇性の実験とか、あるいは残留量から見まして今でも土壌を通じてえさがヘプタクロールに汚染されているというふうなことも考えられるわけです。こういうふうな調査なども必要でございますし、それからまたダイオキシンとの関係の分析も進める必要があるというふうにも聞いているわけです。国としましても、これを単に研究者任せというふうなことではなくて、各省庁で原因究明にとって必要な調査研究、これにぜひ取り組んでいただきたいと思うわけです。私は、本当に奇形猿が発生していると、しかし猿じゃないか、人間ではないというふうな態度をとられるというのは大きな間違いであろうと思います。霊長類――私どもの一番身近で、一番人間に近い生体を持っている猿に奇形が発生しているというふうなことをもっと真摯に受けとめて、そしてその原因を究明するということがなければ、決して人間に及んでこないんだというふうなことにもならないというふうに思いますので、私は、こういう研究に原因を究明するまでぜひ取り組んでいただきたいということで、厚生省、農水省それから環境庁、各省庁にお伺いをいたします。
  187. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 猿の健康を守る方の務めは環境庁の方だと思いますが、私の方は人間の健康を守る務めで、したがって、先生の御指摘のような問題が人間の健康にどういう影響を与えるかということについては大きな関心を持っていかなければなりません。今後、関係省庁との連絡を深めた上で、そのことが人間の健康に害を与えるというような危惧があるかないかよく勉強をさせていただいて、そういうことがもしありとすれば、これは万全を期してまいる所存でございます。
  188. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  環境庁といたしましては奇形猿の問題、これはやはり先生の御指摘のとおり人体に影響があるのではなかろうか、こういうことから非常に関心は持っておるのでございますが、その原因であろうと今先生指摘のヘプタクロールまたはディルドリン、これはいずれも農水省の方でもう今は禁止をしていただきまして、使用をされておりません。  それから、奇形の動きとそういうものの使用とがどういうふうに影響があるかということで、あるようなないような、余りはっきりいたしませんので、まだ結論が出ておらないと聞いておるのでございます。こういうことにつきまして、奇形が少しではございますが出ておりますので、さらに追求をしてやっていこう、こういうことでございます。
  189. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 環境庁の長官の方からもお答えがございましたように、先生お話にありましたヘプタクロールは、昭和四十八年以降農薬として出荷されておりません。現在もそういった形で農薬として使われておらないわけでございます。  なお、今後の私どもの対応ぶりといたしましては、先ほど申しましたように、五十四年度以降六年間にわたって継続した調査を実施してきておるわけでございまして、その結果から、先ほど申しましたように、明確な相関を想定させるような知見が得られてないというようなことから現時点では、今までのような調査を継続する考えは持っておらないわけでございます。
  190. 安武洋子

    安武洋子君 私、厚生大臣と、それから環境庁長官の御答弁、ある程度前向きに御答弁いただいて、いいと思うんです。ところが、私は農水省の御答弁というのは全くだめだと思います。ヘプタクロールを使っていない、しかし、土壌汚染しているかもわからないし、しかもこのヘプタクロールが奇形の原因であるかどうかというふうなことはこれは研究して、とどのどん詰まりまで行かないと原因究明にはならないわけです。ですから、もう研究を続けていく、そういうことはやらないというふうなことを断定されるということについては私は怒りを覚えます。  この奇形の問題ですけれども、奇形の発生は確かに減少はしてきております。しかし、減少してきている群れもありますけれども、また数年ぶりに発生した群れもあるわけなんです。ですから、奇形が多発しないという保証は全くないわけです。原因がわからないわけですから、原因がわからないだけにこの問題の持つ不気味さというものもあるわけなんです。ですから、農水省が奇形の出ているところからえさを取り寄せる、そして残留農薬研究所に依頼してこれを検査をしてきた。それは打ち切ろうということですけれども、この奇形の発生とえさの中の農薬の関係、これを究明していくというふうな上で、一九七〇年奇形が多発したこのときのえさの分析結果がなかったということが、今の奇形の原因を究明する大きな壁になっているわけです。何も奇形がこれで全く終息をしてしまって何十年もたっているというのではなくて、まだ数年ぶりに奇形が発生する群れもあるというふうなことですし、それから少数でも奇形を発生させているわけです。ですから、今ごろになって、農薬とそれから奇形との関係、これを解明する上で一番欠かすことのできない分析検査をやめるというふうなことは、私は全く大きな怠慢であろうというふうに思います。ですから、引き続きこのえさの分析検査をすべきですし、毎年分析をするということが大変なら、奇形が出たときには前年のえさが分析研究できるというふうなことで、このえさの分析結果がなかったから奇形解明の大きな壁をつくってきたわけです、障害をつくってきたわけですから、今さら障害をつくるというふうなことはやめていただきたいというふうに思います。  さらに、過去二期六年間文部省の科研費、これが出ていたわけです。研究に大いに役に立ってきたわけです。ところが、ことしの申請はたくさんあるというふうなことでございましょうけれども、やっぱりこれ漏れて却下をされてしまっているというふうなことです。  私は、この研究というのが人間とのかかわりで重要という、こういう観点からやっと原因に突き当たりかけた、そういう点で研究が推進できないというふうなことはこれはまことに遺憾であるというふうに思うわけです。こういうことを踏まえまして引き続き研究できますように研究を支えるような措置を講じていただきたい、こういう点を御配慮をお願いいたしとうございますが、いかがでしょうか。
  191. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒今朝次郎君) これは、農水省は一課長が来て、あなたはもう後ろを縛られてきているんだろうからそれ以上答弁できないから、大臣二人いらっしゃるんですから、内閣として厚生大臣と上田大臣、農水大臣とよく相談して、今安武委員の要望についてどこまで答えられるか、期待に添えるかどうか、当面努力してもらいたいということを、これは農水省の岩本課長に答弁求めたって一課長がそういう政治判断を答弁できることではありませんから、委員長判断で両大臣に安武委員の要請を伝えるというところでこの研究の問題については大臣にげたを預けるということでいかがですか。
  192. 安武洋子

    安武洋子君 私は、この奇形猿につきまして過去七年前からいろいろと各省に原因究明についてお願いをしてきているわけです。当時各省は原因が不明だということで自分のところの所掌でないというふうなことで、各省とも非常に消極的な姿勢を示されたわけです。まるで自分のところじゃない、自分のところじゃないというふうなことで、ドッジボールの突き回し合いのような態度をとられてきました。しかし、文部省の科研費とか、それから農水省の残留農薬の研究とか、また厚生省の国立予防衛生研究所の方が研究に携わるとかというふうに、各省とも一定の努力は払ってこられているわけです。しかし、基本的な点、つまりこういう問題は一体どの省庁が扱うのか、原因究明にやはり努力をしていくのかというようなことは、これは明確にならないまま七年来ているわけです。  そこで私は、両大臣もおられますことですし、先ほど委員長のお取り計らいで協議をしていただくということになりましたので、私は何よりもこういう奇形猿の究明について、今まで各省庁ばらばらで少しずつ一定の努力をしていただいたということではなくて、厚生省環境庁、農水省、それから文部省も科研費ということでかかわりがございますので、こういうところで協議をしていただいて適切な処置をとれるようにしていただきたいと、こういうことを両大臣がおられますのでお願いをしておきとうございますが、いかがでございましょうか。何だったら厚生大臣、代表でお答えいただけますか。
  193. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先ほどもお答え申し上げましたように、このことが人間の健康にまで及ぼすということになれば、これは私どもも関心を持たなければならない問題でございます。また、環境庁あるいは農水省、文部省等にもそれぞれの職務分担がございます。しかし、今御指摘もございましたし、私もさる年生まれで猿には愛情を感じており、猿は猿らしい顔をしていただいた方が人間社会にとってもいいようですから、今、委員長から御指摘がございましたので、農林大臣等とも相談いたしまして、必要とあればそういう今後検討を進めてまいるように努めてまいりたいと思います。
  194. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) ただいま厚生大臣から御答弁がございましたが、私の方も一緒になってさらに進めていくようにいたしたいと思います。
  195. 安武洋子

    安武洋子君 では、お二人の大臣が御答弁くださったので、私はよもやということはないということで大きく期待をさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。  昨年の八月に、厚生省が新しく指定をいたしました十一種類の食品添加物のうちの一つ、人工甘味料のアスパルテームの問題でございますが、この安全性についてお伺いをしたいわけです。これら十一種類もの添加物を一気に認可したという背景は、私はアメリカの加工食品の輸入をふやすためというだけの理由のものもありまして、国民の間に強い反対があったわけです。中でもアスパルテームは、甘さや低カロリーという点で砂糖にかわる大変優秀な人工甘味料というふうなことですけれども、しかし反面、安全性という問題では極めて問題が多かろうというふうに思います。  フェニルケトン尿症、こういう病気を持っておる人の場合ですと、アスパルテームを食べますとこれは体内でフェニルアラニンが生ずるというふうなことは非常に有害であるということではっきりしているわけです。食品衛生法第六条、これによりますと、添加物の指定といいますのは、人の健康を損うおそれがないものとされているわけです。たとえ一部の人といえども摂取することが非常に有害だというふうなことですと、これは食品添加物を認可するということにはならないと、食品衛生法第六条の趣旨に私はアスパルテームを認可されるということはこれは反するのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  196. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) アスパルテームでございますが、御承知のように体内に入りますと直ちに必須アミノ酸でございますフェニルアラニンとアスパラギン酸に分かれる、分解をいたすわけでございます。このフェニルアラニンは、お話しのとおりフェニルケトン尿症の方にとりましては一定量以下に制限をする必要があるということでございますが、一方で、このフェニルアラニンは必須アミノ酸でございまして、お米の中にもあるいは魚や肉の中にも、つまり普通の我々がとっております食品の中に普遍的に存在する必須アミノ酸でございます。そういった意味で、このフェニルケトン尿症の方に対する問題というのは食品衛生法で言っております六条の問題とは必ずしも関係はいたさないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  197. 安武洋子

    安武洋子君 食物の中に普遍的に存在するということはそれは承知をいたしております。  ところが、食品添加物、わざわざそれに添加をしていくものに、こういう人たちは明らかに摂取することが有害だということで食事療法をしなければならないわけです。そういう人たちに対して人の健康を損うというものを食品添加物に認可していくということは、これは食品衛生法の第六条の趣旨に反するのではないかということで私は御質問をいたしております。
  198. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) アスパルテームの指定と六条との関係は先ほど申し上げたとおりでございますが、先生も御承知のように、我が国ではフェニルケトン尿症の新生児についての検査がほぼ一〇〇%近く行われておるわけでございまして、その結果 五十八年度末現在で百三十一人の方が把握をされ、またこの方々は特定の約五十の登録医療機関にかかっておられるわけでございます。したがいまして、このフェニルケトン尿症の方々に対しては十分私どもとしてPR、御連絡、通知等等いたしておりますので、フェニルケトン尿症の方々に対する問題というのは私どもとしては御安心いただいていいと、また六条については先ほど申し上げたとおりでございます。
  199. 安武洋子

    安武洋子君 子供のころにフェニルケトン尿症にかかっていた、こういう婦人が結婚をしまして住所も変わっていくとか、あるいは子供のころのことでもう覚えていないとか、正確なことがわからないとかというような人が出てくるというおそれは十分にあるわけです。  それからアスパルテームがお砂糖にかわりましてどんどん使われ出しているわけです。ということになりますと、もとの製品にはそれは含有表示がされます。しかし、加工されたお菓子とか、お漬物とか煮物とか乳製品とか、そういうものに一々表示ということにはならないわけでしょう。ですから、知らない間に明らかにこの人たちにとっては有害な添加物を口にするということになってしまうわけです。ですから、こういうふうな場合に一体どう対処なさるわけですか。
  200. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) まず最初にお話のございました、過去にフェニルケトン尿症であった方とかあるいは検査一〇〇%近くと申し上げておるわけでございますが、なお一・五%検査漏れがある、こういう人たちに対してアスパルテームは大丈夫なのかという問題でございます。  これにつきましては先ほどもちょっと申し上げましたように、普通の米あるいは肉、魚に入っておるわけでございます。それもアスパルテームの使用量から比べれば、大変多い量のフェニルアラニンが入っているわけでございますので、そういう方々についてはそれが先に問題になるということであろうかと思います。  それからアスパルテームを使用した製品でございますけれども、これを大口で使っておる、一部コカコーラ等が使い始めておりますが、そういうものについての情報も、先ほど申し上げました百三十一人の方々にどういう製品に使われることになったというような情報も逐一御連絡をしておるわけでございます。
  201. 安武洋子

    安武洋子君 この人たちは低フェニルアラニン、こういうことで治療しなくちゃいけない。ところが、わざわざ毒物をなぜ添加して食べるというふうな状態に置かなければいけないのか、先ほどこういう食品に使いましたよということを通知  していくというふうにおっしゃいましたけれども、百貨店なんかでこれからもどんどん使われてくると、煮物にも使う、そして総菜として売り出すとかあるいは乳製品の中にも入れて、そしてそれが店頭で販売されるとか、お漬物にも使われるとか、こういうふうになりますと、どうしてわかるんですか。全然わからないうちに、口にしなくてもいいはずだったのに、この人たちは知らず知らずの間にこういうものを口にしていかなければならないという、危険な目にさらされるということについては防ぎようがないんではありませんか。
  202. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 先ほど申しましたように、非常に限定された数の方で、しかも一人一人その医療機関まで把握がされておりますので、アスバルチームの使用状況等についてはできるだけの情報を御連絡をしておるわけでございます。  なお一般的にアスパルテームの、例えば今例を挙げられましたような物に使われる場合についての表示の問題につきましては、これは食品添加物の表示の検討会の方で、全体の食品添加物全体の表示のあり方を今検討していただいております。その中でどういうふうにしていくかということを一緒に検討していただくことにいたしております。
  203. 安武洋子

    安武洋子君 そうはお答えになっても、私は喫茶店とか店頭とかというところで細かくこんなものを含有しているというふうな表示というものができるわけはないというふうに思います。  そこで、質問を変えますけれども、食品衛生法という法律ですけれども、これは憲法第二十五条に基づいた法律ではないんでしょうか。
  204. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) もちろん憲法の範囲内での立法だと心得ております。
  205. 安武洋子

    安武洋子君 憲法二十五条でしょう。憲法二十五条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、こうなっているんですよ。すべての国民対象でありまして、一部、たった百三十一人、少し漏れているけれどもと、そういう人は除外してよいということにはなっていないんです。ですから、すべての国民が健康な生活を送れるようにということで、一部特別な病気の人はやむを得ないというふうな態度というのは、私はまことにおかしかろうというふうに思います。  それほど審査が必要な安全性に疑問のある物質だということでね、ここに私は新聞を持ってきているんです。これは九月十九日付の夕刊に掲載されております一面広告ですね。これは見ていただいてもわかりますように、見出しをごらんいただきましても、すべてその効用と安全性、これがばんと大きく出ております。それで、安全性につきましては、数々の試験で安全性が確認されたというふうになっているわけです。歴史上これほど安全性が徹底的に調べられた物質はないと、こういうことになっておりますけれども、これはもう今までにも議論されましたように、いかにこの物質が大変な物質であって、数々の審議を重ねなければならなかったかと、裏返せばそういうことでございます。日本では、一九八三年にその安全性とすぐれた特徴が認められ、指定をされたと、こういうふうになっておりますけれども、アスパルテームの特定に当たりましては、これは食品衛生調査会の審議というのは、他の十品目も含めましてわずか二日間というふうなことで、本当にもう企業の資料をうのみにして、あっという間に決めたというふうな状態ではなかろうかと、こういうふうに思います。  そこで、聞きますけれども、アスパルテームは通常の食品成分のアミノ酸と同様の代謝を行うことが明らかになっております、こういうふうにここは述べているわけです。それで、私聞きたいんですけれども、アスパルテームというのはどんな条件のもとでも、この新聞に書かれているように、通常の食品成分のアミノ酸と同様の代謝を行うことが明らかになっている、こういうものでございましょうか。
  206. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) ちょっと御質問の趣旨が私よく理解できない点があるのでございますが、先ほど申しましたように、アスパルテームが体内に入りますと、フェニルアラニンとアスパラギン酸に分解をするわけでございますが、一定の条件のもとではアスパルテームからジケトピペラジンという物質ができる場合がかなりあるということでございます。
  207. 安武洋子

    安武洋子君 今お答えになりましたジケトピペラジン、これにつきまして人間は分解する酵素、これを持っているんでしょうか。人体内部でどのように代謝されるのでしょうか。これが明らかになっているんでしょうか。お答えいただきます。
  208. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) ジケトピペラジンの吸収、排せつでございますが、動物実験の結果によりますと、摂取されたジケトピペラジンの多くはふん便の中に出ていく。それからまた、一部は尿の中に排せつされる。それからまた、一部は分解をいたしまして、フェニルアラニン等になりまして、アミノ酸といたしまして、普通のアミノ酸と同じような生体内の運命をたどるというふうに報告をされております。
  209. 安武洋子

    安武洋子君 一般に二つ以上のアミノ酸がペプチド結合で順次直線上につながるという化合物ペプチド、これは消化管内の酵素で簡単に分解されます。中央で六角環状になる環状ペプチドのジケトピペラジン、これを分解する酵素というのは人間は持っておりますかということを私はお伺いしているわけです。この点をきちっとお答えください。
  210. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 先ほど申しましたようなことで、ジケトピペラジンのまま出ていくものがかなりございます。そのほかに、一部腸内で加水分解を受けて、先ほど申しましたようなアスパラギン酸とフェニルアラニンになる、そしてアミノ酸として普通の運命をたどるということでございます。
  211. 安武洋子

    安武洋子君 私が申し上げておりますのは、一定のアスパルテームは中性付近の状態で加熱をしますと、構成アミノ酸とメチルアルコール分に分解する。それでこういう反応を起こすとともに、ジケトピペラジンというアスパラギン酸とフェニルアラニンの環状ペプチドを生成するということなんですね。ですから、ジケトピペラジンにつきまして私はお伺いをしておりますんですけれども、これは人間の生体にとりましては異常成分で、もともと人間はこういうものを代謝するようにはなっていないわけでしょう。この点をお伺いしているんです。はっきりお答えください。
  212. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) ジケトピペラジンは、先生おっしゃいますように、本来、天然にあるというものではないことは確かでございます。しかしながら、その構成はやはりアミノ酸がくっついてできておるものでございますので、先ほど申しましたように、一般の代謝機能によりまして一部のジケトピペラジンはフェニルアラニンとアスパラギン酸に分解をするということでございます。
  213. 安武洋子

    安武洋子君 一部とおっしゃいましたけれども、全部そういうことになるんですか。こういうふうなものが人間の中で六角環状になる、こういうものがペプチドのジケトピペラジンが人間が代謝できるんですか。
  214. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) 先ほど申しましたように、かなりの部分がふん便の中に、そして一部は尿中に排せつをされるということでございまして、全体といたしまして四十八時間で約七〇%のジケトピペラジンが排せつをされる。それから、その残りが、先ほど申しましたように一般の代謝機能によって分解をする。もちろん動物実験によります代謝、吸収、排せつの実験でございますので、いずれの物質の吸収、排せつ、代謝試験におきましても、一〇〇が全部行方がわかるというものでは、本来、吸収、排せつ、代謝の試験はどの物質につきましてもそういうことはないわけでございまして、大部分がどうなるかというのが普通得られる知見でございます。  そういう意味で、先ほど申しましたように、約七〇%近くが四十八時間で排せつをされ、残りの大部分はアミノ酸に分解をすると申し上げておるわけでございます。
  215. 安武洋子

    安武洋子君 五十七年十二月発行の厚生省の食品化学レポート、このシリーズの「アスパルテーム」、これを見ますと、アスパルテームをpH四、すなわち大分酸性の水溶液ですね、これで八十度Cで四時間加熱いたしますと、アスパルテームの残存率、これが八九%。それからDKP、ジケトピペラジンが七・九%生成されるというふうになっているわけです。  「食品工業」という雑誌の同じ五十七年十二月下旬号でも、そのほかに、一六・五の、これは大変中性に近い水ですけれども、水溶液でアスパルテームを八十度Cで加熱した変化が載っております。これによりますと、二時間の加熱でアスパルテームの残存率というのはわずか七・五%、そして八〇%、すなわち大部分がDKPに変化するという結果が出ております。これは味の素の資料でもそうなっております。  さらに厚生省先ほどの資料でも、百度の緩衝液の中でのアスパルテームの安定度が図表で出ておりますけれども、これによると、一二から一五という酸性の中ではアスパルテームはかなり安定しておりますけれども、pH六という中性に近い状態ではわずか二十分、こういうことでアスパルテームの残存率というのは四〇%台に下がって、四十分では一〇%台になってしまう。残りは何に変化しているのか。これは先ほどの資料の数字から見ましても大部分はジケトピペラジンに変化をしているというふうに思われるわけです。  そして先ほど厚生省のアスパルテームの資料、これに放射性炭素で標識したジケトピペラジンをラットに投与した実験結果が載っております。それによりますと、血漿水や組織内ではジケトピペラジンというのはほとんど検出をされない、そして多くの部分は未変化のまま排出される。そして重要なことは、肝臓や腎臓で未変化のままのジケトピペラジンが検出をされているということです。つまり、ラットはジケトピペラジンを消化器から吸収して肝臓や腎臓に取り込む、そして取り込まれたジケトピペラジンはそこからどうなるのか、どのように代謝されるのか、何もわかっていないはずでございます。生体にとって異常成分であるジケトピペラジン、これが肝臓とか腎臓という非常に重要な臓器に取り込まれるということが確かめられているというふうに思いますけれども、これは違いますか。
  216. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) お話ございましたように、アスパルテームはpHが二から四ぐらいのところで一番残存率が高いわけでございます。pH六ぐらいになりますとかなり減るというのはお話のとおりでございます。実際に使われております清涼飲料水等々につきましては、大体pHが三ぐらいのところが中心でございますのでその点はまあ問題がない。また、それを単独でコーヒー、紅茶等に使われる場合も、これもそういった意味では減少はしない、余り減少はしないということだと思います。  それから放射性のラベルをした炭素でやりますと、一部ジケトピペラジンが一定の臓器に残るというのもこれもお話のとおりでございますが、そういった点を全部含めまして、ジケトピペラジンの慢性毒性実験等々のデータによりまして、FAO・WHOの専門家会議でもこのアスパルテームの議論の際にあわせてジケトピペラジンの検討をいたしまして、その結果ADIを決めておるわけでございます。御承知と思いますが、七・五ミリグラムというADIを決めているわけで、それも私ども調査会で検討いたしまして、その決められた七・五ミリグラムというADIを十分頭に置いて、そして生成するジケトピペラジンの量を考えると十分問題はないと、そういうことが結論でございます。
  217. 安武洋子

    安武洋子君 安全だと結論だけは言われます。しかし、ジケトピペラジンは肝臓とか腎臓とかに取り込まれているわけでしょう。そこからどのように代謝されるのか、これが全然わかっていないのに、どのように代謝されるのですか。先ほどからそこをぼかしてきちっとお答えにならない。どういうふうに蓄積されていくのか、あるいはどのように代謝されていくのか、これが有毒なのか安全なのかということが研究実験されていないわけなんですよ。ここが研究実験をされていない。  生体にとって異常成分であるこういうジケトピペラジン、これが代謝というものがどうなるのかというふうなことが全然わかっていなくて、蓄積したらどうなるのか、有害なのか安全なのか、この実験がされていない。私はだから安全性について審査をやり直すべきなんですよ。そして高温による熱処理でこれはどんどん変わっていってしまうわけですからね。こういうものができてきて、そしてそれが肝臓とか腎臓に蓄積されていくのかどうなのかもそれもわからずに取り込まれていくというふうな状態というのは、これは安全だ安全だという結論だけを振り回されても困るというふうなことで、私はここで時間がないのでまたこの問題については引き続き質問させていただきたいと思いますが、安全性について審査をやり直すべきである、それから少なくとも高温による加熱処理を禁止すべきだというふうなことと、それから衆議院の中で、アメリカで苦情がもう六百件も来ているわけですね、そしてこれについてFDAも調査の腰を上げまして一カ月後に予備報告がされるということで、こういう資料もちゃんと情報収集するというふうに言われておりますので、こういうものもどうなるのかということを後でまとめて私のところに御報告に来てほしい、こういうことを申し添えまして、私の質問を終わります。
  218. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒今朝次郎君) じゃあ厚生省いいですか、今のは。時間がありませんから、今の安武委員の要望については親切に答えるように、直接接触してください。要望しておきます。    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕
  219. 木本平八郎

    木本平八郎君 私はまず世界人口の問題についてお聞きしたいのですが、先立ってまず外務省にお聞きしたいと思います。  ということは、最近アフリカの飢餓の問題で国民の間に救援運動が起こっていますね。とにかく食糧を送ろうじゃないか、救援物資を送ろうじゃないかということが民間運動が始まっているわけです。私はこれはもう非常にいいことだし、人道的な立場から大いに推進すべきだと思うわけです。ところが、この問題は普通の衣料品なんかを送るのと違いまして、食糧というのはあるとき気が向いたときに送って次の日やめるということになると、もっともっと悲劇が大きくなるわけですね。したがって、食糧なんていうのは一つのあるカーブで緩やかに変化していかないと、急に食糧がどおんと出てくるとか明くる日はなくなってしまうというふうな状況だとかえって悲劇になる。そういう点で、やはりこの際政府としても、日本の国としても大局的に考えて、アフリカの救援をどういうふうにやっていくか。例えば彼らが完全に飢餓から脱出するまで救援を続けていくとか、あるいはこの分野を日本が受け持ってこの程度はやっていくんだとか、そういう計画性がないといけないと思うのですけれども、その辺のコントロールをどういうふうにお考えになっているか、まずお伺いしたいわけです。
  220. 木幡昭七

    説明員(木幡昭七君) ただいま先生指摘のとおりでございまして、食糧危機につきましては私どもできるだけ本当に緊急な物資を必要なときにお届けする、援助するということで、これは言うなれば緊急の援助というような格好でとりあえずやっているわけでございます。しかし、それだけでは中長期的に見てアフリカの食糧問題は解決しないという御指摘もおっしゃるとおりでございます。私ども緊急援助を実施するに当たりましては、当然のことながら、FAOであるとかそういう国際機関の調査の結果のそういう数字も参考にしながら援助しているわけですが、そのほかに中長期的に見た場合にやはり食糧増産関連の援助を地道にやっていかないと、本当の意味でアフリカの食糧問題解決に資することにはならない、こういうふうに考えております。したがいまして、肥料であるとか農薬、農機具等の食糧増産関連の資機材を援助するとともに、人づくりであるとかあるいは水資源の開発、あるいはまた食糧の輸送、貯蔵部門の援助等々もこれから計画的にやっていかなければならない、そういうふうに考えておりまして、つい最近もそのための調査団をアフリカに送ったところでございます。
  221. 木本平八郎

    木本平八郎君 これは飢餓状態にあるというのは非常にぎりぎりの段階ですね。したがって、子供たちがどんどん目の前で飢えて死んでいくということもあるわけですけれども、母体の方も相当極度に衰弱している状況ですね。ところが、これに少し栄養がよくなりますと、途端にまた出生率というか妊娠率が高くなるわけですね。日本、アメリカのように非常に栄養が過多になりますと、今度はもう逆に繁殖力が落ちていくというのが先進国のパターンなわけです。ところが今のアフリカの状況というのは、少し栄養がよくなるとますます人口増殖に進むんじゃないかということが考えられるわけですね。そういうことになりますと、人口がふえると、そうすると食糧がまた足らなくなる、それで取り合いっこすると。今までは、これは非常に不遜な言い方ですけれども、不穏当な言い方ですけれども、まだ弱い子供が餓死した、ところが、この次は親も全部もろともにいかれてしまうというふうな状況も考えられるわけですね。その辺は外務省としてどういうふうに援助の面からお考えになっているのかという点をもう一つお伺いしたいわけです。
  222. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) ただいまの先生の御質問の人口抑制か開発かということでございますが、今年の八月に第二回の世界人口会議というのをメキシコシティーでやったわけでございます。ところが、その十年前の一九七四年、ルーマニアのブカレストにおきまして第一回の世界人口会議をやったわけでございますが、この十年前の会議におきましては、先進国側が開発途上国の人口抑制ということを非常に強調したのに対しまして、開発途上国の方は、自分たちの方はまだ開発の方が重点項目である、したがって人口抑制ということよりも開発を重視したいんだということを非常に強調いたしまして、開発途上国と先進国との間で非常に激論が闘わされたわけでございますが、その後十年たちました去る八月のメキシコシティーの会議におきましては、先進国側が人口抑制を強調したのに対しまして、開発途上国の方もようやくこの人口問題というのが開発の上で非常におもりになっているんだということを理解したと見えまして、十年前とは全く違って、この問題について、人口抑制ということの重要性が非常に認識されたわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、国連のいろいろな機関あるいは二国間の経済技術協力等を通じまして、開発途上国の人口抑制につきまして多面の協力を行っているわけでございますけれども、今後とも引き続きこの人口抑制の重要性と開発とのバランス、この点につきましては開発途上国の理解を踏まえつつ人口抑制についていろいろ協力していきたい、かように考えている次第でございます。
  223. 木本平八郎

    木本平八郎君 その人口抑制の問題について厚生省にお伺いしたいわけですけれども、御存じのように、紀元元年には地球上の人口は約二億五千万だと推定されているわけですね。それが約千六百年たって倍ぐらいの五億になった。それが三百年で一九〇〇年の初めに十徳になって、それが今四十八億ですね。あともう二〇〇〇年には六十一億ですか、それから二〇二五年には八十億になっていくと。こういうふうになっていくと、これはいろいろ見方があると思いますけれども、地球がそれだけの人類を養っていけないんじゃないかということが想像できるわけですね。現在でも四十八億の中で、潜在的というか、三分の一ぐらいは非常に飢えに近い状況にある、食糧不足に悩んでいる、あるいは五億ぐらいはまさに飢えに瀕しているんだというふうな見方もあるわけですね。  一方、耕地がどんどん砂漠化していく、あるいは異常気候が発生してきて、もう何どき世界的な食糧危機が来てもおかしくないという状況にまでどんどん迫ってきておるわけですね。一方、こういうふうに人口だけはどんどんふえていく、しかも先進国が非常に資源を使って資源がどんどんなくなっていくと、この食糧資源だけじゃなくて、鉱山、鉱物から森林資源からどんどんなくなっていっている、こういう状況になっていっているわけですけれども、こういうふうな一つの世界の人口状況と将来の世界全体の人類の生活水準というものについては、厚生省としてどういうふうな見通しを持っておられるか、常識的な範囲で結構なんですけれども、お答えいただけたらと思います。
  224. 長門保明

    説明員(長門保明君) 世界の人口が現在の四十八億人から今世紀の終わりには六十一億になると、先ほど先生お示しの数字のとおりでございまして、こういった世界的に人口が急激にふえると。したがって、その人口抑制の問題が非常に大きな課題になっているということは私どもも十分承知しているわけでございますが、ただ、この人口抑制策の問題につきましては、この八月にございました国際人口会議におきましても、やはり基本的には個人とそれから国家というものの自主性を基本として考えなくてはならないということを強調してございますんで、そういった意味におきまして個人の立場を尊重した家族計画と、それから各国の自主性、主権を、主権にかかわるものでございますので、各国の自主的な努力によってこういった人口抑制等につきまして自分の国の人口をどういうふうに持っていくかということをお考えいただくということが基本であると、こういうふうに国際会議の御意見はまとまり勧告は出されたものと承知いたしております。
  225. 木本平八郎

    木本平八郎君 事前の打ち合わせが悪かったんで人口抑制の問題、先を越されちゃったわけですけれども、この問題ちょっと後でもう一度ゆっくりやるとしまして、その前にもう一つだけお伺いしたいのは、今私の質問も悪かったんですけれども、アメリカなんかはやはり人口抑制よりも経済開発だと、経済発展だと、開発だということをLDCの方も言っているようですね。ところが、私はこういうここまで人口が世界的にふえてくると、そういうことではもう追っつかないんじゃないかと、人類としての経済発展の限度へ来ているんじゃないかと思うんですけれども、その辺は非常に感触的なことなんで、できれば大臣に感触的にどうお感じになっているかという感じだけで結構です。
  226. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 人口問題、これは大変難しい問題だと思います。一般的にはやはり地球の持てる面積また資源、こういうものを考えると今後の人口の急増というものは決して好ましいものでないという常識があると思いますが、一方あのマルサス、百数十年前、百年後にこれは人間は幾何学的にふえ食糧は算術学的にしかふえないので飢餓状態が来るという予言をしたわけですが、ところが、その時期、これはマルサスの予測しなかった生産性の飛躍的な向上によってこれは飢餓状態は来なかったわけでございますから、今も私どもは先端技術の開発とか新素材の開発とか今後二十一世紀に向かって新しい技術開発というものをやっておるわけでございますが、ただ、日本だけで申し上げますと、先般私は人口白書を発表させていただきましたが、これは我が国の出生率は一・八を切るような状態になってしまいました。したがって、これを予測していきますと、人口が若干これからふえてまいりますが、最終的にはまたこれもとに戻るというようなことになっておって、先生指摘のようにやはりこの人口問題の心配は、これは開発途上国が大きな問題だろうと思うんですが、これは先ほど政府委員から答弁しましたように、それぞれの国の主権というものを他の国がこれはとやかくするわけにはまいりませんので、私どもも開発途上国等からこれは人口計画等でいろんな協力を求められればそれはできる限りの協力をするということで、私どもの方から他に強くどうこう働きかけるというのもいかがかと考えておるところでございます。
  227. 木本平八郎

    木本平八郎君 ちょっともう時間がなくなってきていますんでどんどん進めますけれども、私の意見を申し上げますと、先ほど言いましたようにもう経済開発ではこの地球上の人口を養え得ないところへ来てしまっている、人口抑制しかないというのが私の観点なわけです。  それで、しかもこの人口問題、いろいろメキシコの会議なんかの様子を聞いてみましても、過去を見てみましても、LDCの、発展途上国の問題であるというふうな考え方が非常に強いんですね。ところが、私はそうじゃなくて、これは地球上の人口がふえ過ぎたということが、たまたま一番弱いところヘアフリカなんかに出てきているということなんですね。これは次に中進国あるいは先進国にも来る可能性が十分にある。私はそういう意味で、人口が増加している、ふえているということが、これがもう諸悪の根源であるというふうに考えるわけです。  そこで、これちょっと、その前になにしますと、考古学とか生物学の原理でいきますと、人口のふえ方がずっと二千年来底辺をはってきて、ここへ来て急激に立ち上がっているわけですね。しかも物すごい勢いで立ち上がっている。こういうカーブを描くと、その種というんですか、スピーシーズは必ず絶滅するというのがもう考古学ではっきり出ているわけですね。過去にあります。そういうことで人類はまさにそのパターンを通っているわけです。これで百億にいったら絶滅するということがほぼ確実だろうと私は思うわけです。そこで、人口抑制の問題というのを非常に私は重要に考えるわけですけれども、したがってこの人口抑制の問題は開発途上国じゃなくて先進国も含めて全世界の人類の共通の問題として考えなきゃいけないんじゃないか。結論的には日本政府にぜひそういう見地に立っていただきたいということを申し上げたいわけですけれども。  それで、人口問題については、先ほどの国の主権の問題とか、それから個人の問題とかありますけれども、私は母親に自決権を与えるべきだと、母親が産みたい人は十人でも二十人でもどんどん産めばいい。しかし、産みたくない人は、もうこれは産まないという権利をやっぱり女性に与えるべきだと思うんですね。過去何千年我々男性が握ってきましたけれども、これはもう女性にやっぱり返すべきだということです。  それで、世界的にはカトリックとか回教徒とかいろいろこういう反対するのあります。しかし、その方々はもうちょっと説得している時間がないんで、どうぞ自由におやりいただきたいということで、人口抑制やろうじゃないかという国だけが、民族だけが団結して、今その方向に向かうべきじゃないかと思うんですね。  私のちょっと調べたところでは、いかなる場合でも絶対に妊娠中絶はいかぬ。妊娠中絶ですよ、これは避妊じゃなくて。これは世界の人口で九%なんですね。あとは、全く自由というのは三八%くらいある。日本のように社会的な理由で、経済的だとかこういう理由があればいいというのは二四%あって、この両方合わせると六二%くらいあるわけですね。そのほか母体の危険だとか胎児の問題とかで妊娠中絶をオーケーしているというのを合わせますと九一%になるわけですよ。これが全部賛成を得られるかどうか知らないけれども、しかしもうやれるという人だけが、やはりこの際やると。それでもうやれないという人はちょっと後で来てもらったらいいというふうなことで着手しなきゃ間に合わないんじゃないかという気がするわけです。  そこで、実は一番の肝心の問題なんですけれども、最近プレグランディンという人工流産剤が開発されましたね。これを日本でもすったもんだのあげくやっと許可になって、今使われ出したところですけれども、私はこれは神が人類に与えた最後の切り札だというふうに考えているわけです。これはもう皆さん御存じのように掻爬手術というのは命がけだし、これは医者の数も要るし、もう大変なことなんですね。したがって、これを中絶するというのは大問題だと。ところが、私の調べましたところでは、こういう座薬は割合に安全に使える。日本ではいろいろ治療剤とかなんとか言っていますけれども、建前は別にして、これは割合に簡単に使えるということで、ビル、日本はまだ解禁されていませんけれども、ビル。こういうものを日本民族だけが今ここで持っているんじゃなくて、広く世界の人類に提供するということを考える必要があるんじゃないかということなんですね。私は実はこの質問をしようと思ったのは、こういうツールが手に入ったからなんですよ。こういうツールがなければ、従来のように掻爬手術でやらなきゃいかぬということであれば、私はやっぱりこの問題はここで取り上げないと思うんです。しかし、こういう簡単なツールができて、しかも私はこれは神様が人類に下さった一番の切り札だから、これはみんなの人類に恩恵を分け与えなきゃいかぬじゃないかと。その点で日本は経済力もあるし、技術力もあるし、ツールもあるし、それからそれを指導する人材も割合に豊富なわけですね、イシンリがたくさんいますし。そういうことなんで、先ほどの問題もありますけれども、私はもう出てくる胎児の生命権というのも必要ですけれども、現在生きている人間の生存権の方がまず大事だと、これは宗教の問題もいろいろありますけれども。そういう点から私はこのプレグランディンをどういう形でですか、まあ国連なんかが一番いいと思うんですけれども、通じてどんどん提供して、そしてその国がこれは使いたいという国だけに提供すればいいと、使いたくないという国はもういいわけですね。それからその国の中でも母親が自分が使したいという人には使っていただくと、私はもう要らないと、どんどん産むという人はもうどんどん産んでもらえばいいと、そういうことをやっぱりやっていくべきじゃないかと。アメリカは今レーガンが反対していますけれども、アメリカだって妊娠した女性の二六%は中絶を希望しているという統計もあるわけですね。そういう状況でこういう問題というのは非常に微妙な問題で、日本でもこれやると宗教団体がすぐ反発するとか、いろいろ問題があるわけです。しかし反発する声は大きいけれども、それが本当の多数の意見なのかどうかということを政府としてはやっぱり見きわめていただきたいと思うんですね。ただギャーギャー反対されるから嫌だからやらないということじゃなくて、本当に人類のためどうだと、毅然たる態度でカトリックの国だとかイスラムの国とかに対してもやはり本当にどうなんだということを、やっぱり広い世論に基づいてやっていただきたいと思うんですよ、一部の反対でやめておこうということじゃなくて。そういう点でプレグランディンをそういうふうに世界に供給していくということについて厚生省のお考えはどうかお伺いしたいわけです。
  228. 小林功典

    説明員(小林功典君) プレグランディン、ことしの八月一日から医療機関の方に販売しておるわけでございますが、先ほど政府委員から答弁しましたように、やはり人口問題への対応ということでございますと、やはり相手国あるいは国連といったところから要請を踏まえなきゃいかぬと思います、国家の主権ということがございますので。そういうのが一つございます。  それからもう一つは、医学、薬学的見地からでございますが、確かに人工掻爬に比べますと安全だということでございますが、ただこのプレグランディンも使い方を間違えますと危険性もございます。したがいまして日本で使っていただく場合にも医師の管理下に置くと。しかも医師が扱う場合にも管理取扱要領というのをはっきり決めまして、きちっとしてやっていただくということでやっておりますので、私どもそれを考えます場合にもやっぱりそこら辺の管理、取り扱い、そういうものが十分適切にできるかどうかという点を十分考えなきゃいかぬものですから、やはり扱いは慎重にする必要があるだろうと、こういう考えでございます。
  229. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういうもちろん去年ですね、プレグランディンを許可される段階の国会の論議を見てみましても、相当かんかんがくがくで大変だったと。今厚生省がいろいろ建前論をやっておられるということはよくわかるわけです。日本は当分それを続けていかなきゃいかぬと思います。日本でいきなりフリーにするとかなんとかできないと思いますけれども、これは私今申し上げているのは世界の人口問題なんですね。それじゃ、逆に人口を抑制するのに何があるかと。飢饉だとか疫病だとか戦争なんてとんでもないですよね。そうすると、掻爬だって大変だと。そうすると、やはりせっかくこういうものがあるんだからこれを世界の会議の場に出して、こういうものがせっかくできましたと、神様からいただきましたと、ついては皆さん方の希望される方はお使いになっていただいて結構ですと。経済援助の形で出していくということは私はそんなにおかしなことでもないし、日本の立場はやれるんじゃないかという気がするんですね。殊にアメリカがこの問題でちょっと今レーガン政権の間は手がつかないと。そうすると、世界のナンバーツーの経済大国である日本がやるのには非常にいいんじゃないかと。あるいは後世の史家は日本人のそういう決定について非常に大きく評価するんじゃないかと思うんですがね、もう一度その問題だけちょっとお聞きしまして、あと最後外務省に意見をお伺いしてやめたいんですがね、厚生省いかがですか。
  230. 小林功典

    説明員(小林功典君) いろいろな御意見あると思いますけれども、やはり人工中絶剤、我々はこれを治療的流産に使うということでございますので、これを人口の抑制のために使うということはいかがであろうかという気がどうしてもするわけでございます。御意見として承りたいと思います。
  231. 木本平八郎

    木本平八郎君 最後に外務省にお伺いしたいわけですけれども、この問題は国内にもいろいろありまして、なかなかこれは大変だと思うんです。ああいうふうに苦しい答弁をなさるのはもうやむを得ないと思いますけれども、ただ、これ将来そういう国内の問題が一応解決したということで、国内は国内でいいんですけれども、これを先ほど来申し上げておりますように、世界の人口の抑制のために日本が提供していくと、これも二国間でやれればいいわけですけれども、あるいは商業ベースでもいいんですけれども、今これだけ値段高いときですからなかなか商業ベースでは出ないだろうと。それでこういうものをやはり私は国連のWHOかなんか、あるいは国連の人口何というのですか、何かありますね、国連の人口活動基金、何かありますね。そういうところを通じてやるとかという方法をとらざるを得ないと思うんですが、その辺こういうものを国連に出していく、あるいはそういう国際の場に出していくということはどういう問題があるでしょうか、ちょっとそれをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  232. 瀬崎克己

    説明員(瀬崎克己君) 先ほど来御説明してございますように、この人工中絶につきましては非常に各国の宗教上の理由とか、ある文い化は的な理由、医療行政の面、非常に複雑な問題があるわけでございます。したがいまして、一国から見てこれが非常に最適な方法あるいは手段であるということで提案いたしましても、他方の国からいろいろ反論が出てくるというような非常に複雑な問題がございまして、ただいま先生指摘の特定の薬剤につきましては、私も専門的な知識がないんでございますけれども、十分やはり国内の専門家の方々の意見を徴した上で今後いろいろ検討さしていただきたいと、かように思っております。
  233. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 他に御発言もないようですから、厚生省環境庁医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会      ―――――・―――――