○菅野久光君
農林水産省の
関係について御
質問申し上げますが、まず初めに、先ほど
目黒委員からも御
指摘がありましたけれども、
会計検査院の検査の
概要に関する主管
局長の
説明の中でも、積算を誤ったためであるとか、あるいは補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、工事の施工が設計と相違していたり、補助の目的を達していなかったりなどしていたもの、また事業効果の発現がなく、補助の目的を達していないと認められるものが多数見受けられ、中には施設が設置後全く使用されていなかったり目的外に使用されていたり、無断で
貸し付けられていたりしているなど著しく適切を欠いているものがあると。これらは事業
計画に問題があるわけだということで
指摘をされております。
きょうは時間がございませんので、その一々は別にいたしましても、担当者としても真剣にやっておられるのだろうとは思いますけれども、なお慎重厳正な業務試行を冒頭要請をしておきたいというふうに思います。
そこで、
農林水産省については、かなりな国費が農業なんかでもつぎ込まれておる、そういう中でいま農業にとっては大変な問題が起きている。それは御承知のように農畜産物の輸入自由化枠拡大の問題であります。
貿易収支の不均衡問題に端を発したこの農畜産物の輸入自由化問題は、いまや日米間経済摩擦の象徴的な存在として取り扱われています。しかし、貿易収支が不均衡を生じた最大の原因は何か、これは自動車など輸送用機器や電気製品などの鉱工業品の集中豪雨的な対米輸出にあるのであって、本来ならば鉱工業品についての通商摩擦の問題として処理をすべきところでありますが、それを一番弱い農畜産物の自由化に矛先を向けてきたことについては、生産者はもとより農業
関係者にとって全く納得のできないところであり、強い憤りさえ感ぜずにはいられないわけです。
そして、農畜産物の自由化が通商摩擦問題の真の解決にはならないと。このことを承知の上でのアメリカ側の要求でもあるというふうに
考えられるところに大きな問題があります。
わが国の食糧自給力の実態は先進諸国から見てもきわめて低位にある。これ以上食糧の多くを外国に依存することは、国民の安全保障という観点からはきわめて危険で、まさに憂慮すべき状況となっております。このような状況を踏まえて、
昭和五十五年衆参両院の本
会議においてそれぞれ食糧自給力強化に関する決議、そして
昭和五十七年には衆参両院の農林水産
委員会において、農畜産物の輸入自由化がわが国における農業、漁業にとって壊滅的な打撃を受ける結果になることから、農畜水産物の輸入自由化
反対に関する決議が採択されているのであります。
しかも、ここ数年の食糧輸入の状況を見てみますと、日本貿易振興会の農林水産物主要相手国別輸入統計で、米国からは
昭和五十一年、金額で五十五億三千三百七十万九千ドル、
昭和五十二年には七十一億千六百二十七万五千ドル、
昭和五十五年には百二億九百七十八万九千ドルと年々増大し、今日までわが国が農畜水産物の市場開放問題にいかに積極的に取り組んできたか、この事実をもって証明していると思うのであります。
わが国は、現在農産物については二十二の輸入制限品目を持っているのでありますが、これらは国民の食糧を安定的に確保するという観点からは必要な基幹的な農産物であるとか、
地域振興にとって欠くことのできない重要な作物に限られているのであります。
たとえば小豆やインゲンなどの雑豆は北海道特産の畑作物でありますが、その作付面積は全道で七万百ヘクタールにも上っております。
言うまでもなく北海道の畑作は麦、てん菜、バレイショ、そして豆類の四作物で輪作経営を行っているのでありまして、雑豆の適切な作付が確保されて初めて三十万ヘクタールを超える北海道の畑作全体が成り立つというきわめて重要な作物であります。このように現在輸入規制している農産物の輸入自由化あるいは枠の大幅拡大は、
地域農業に重大な影響を及ぼすことはもう言うまでもありません。アメリカはこれまでわが国に対して牛肉と柑橘の自由化を強く迫ってきておりましたが、これに加えて昨年の七月突如として雑豆、でん粉、プロセスチーズなど十三品目について、ガット二十三条一項に基づく
協議を申し入れるという強硬手段に訴えてまいりました。これらの品目は特に
関係の深い北海道の生産者に大きな打撃を与えました。御存じのように、北海道は昨年異常低温のため千五百億円以上にも上る大きな被害を受け、農家経済はもとより
地域経済にも大きな影響を受け、きわめて困難な
事態に直面をしております。こうした中で、仮にも雑豆、でん粉、プロセスチーズなどの市場開放が行われるならば、北海道農業は、大幅な減反を余儀なくされている稲作に加えて、畑作、酪農にも重大な影響を受けることとなり、まさに北海道農業の死活にかかわる問題と言わなければなりません。牛肉、柑橘の市場開放問題をめぐる日米農産物交渉がきょうあすと二日間にわたって再開されて、東京ラウンドの協定が期限切れになるこの三月が大きな山場になるわけであります。そこで、以下農産物の市場開放問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
まず、農産物の市場開放問題についての基本的な態度についてであります。
大臣もそのお一人と思いますけれども、昨年の暮れの総
選挙に当たって立候補されたほとんどの方は、農産物の自由化には
反対だというふうに言われております。また一方、アメリカのレーガン大統領も日本の
選挙を意識して、わが国に強く求めることを避けてきたとも聞いているわけであります。農業
関係者は
選挙が終わった今日の
段階で何らかの妥協がなされるのではないかと、大きな不安を抱いているのであります。この問題について新
大臣は就任インタビューの中で、日米交渉については日本農業を守るために蛮勇を振るうと言われておりますが、その基本的なお
考えを伺いたいと思います。