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1984-01-20 第101回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年一月二十日(金曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  一月二十日     辞任         補欠選任      木本平八郎君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 岩本 政光君                 大浜 方栄君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村新治郎君        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        鉄道開発庁        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        防衛施設庁総務        部施設調査官   平   晃君        国土庁大都市圏        整備局長     杉岡  浩君        外務省北米局安        全保障課長    加藤 良三君        大蔵省主計局主        計官       涌井 洋治君        農林水産大臣官        房総務審議官   塚田  実君        農林水産省経済        局統計情報部長  井上 喜一君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君        食糧庁長官    松浦  昭君        林野庁長官    秋山 智英君        運輸省航空局次        長        栗林 貞一君        建設省計画局長  台   健君        建設省都市局長  松原 青美君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  沓掛 哲男君        建設省住宅局長  松谷蒼一郎君        会計検査院事務        総局第二局長   竹尾  勉君        会計検査院事務        総局第三局長   秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        農林漁業金融公        庫総裁      中野 和仁君        北海道東北開発        公庫総裁     新保 實生君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、木本平八郎君が委員を辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省建設省、北海道開発庁、国土庁農林漁業金融公庫住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。     —————————————
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 本来なら中曽根第二次内閣の各大臣がおるわけでありますから、所信、方針などを聞きたいわけでありますが、きょうは閣議があったり、いろんな事情がありまして、省略しまして、また後日お話を伺うことにして、もうずばり決算の問題に入りたいと思います。  建設省関係をやりますので、他の大臣は若干の間、あらかじめ打ち合わせのとおり御退席していただいて結構でございます。  建設省にお伺いしますが、五十六年度決算を見てみますと、補助金に関する不当事項不正事項が、この資料の一五〇から一六八まで十九件で二億五百二十四万七千四十三円、非常に大変な指摘事項があるわけでありますが、この問題は、私も五十四年から決算委員をやっているわけでありますが、依然としてこの傾向は変わっていないと、こういうことをはなはだ遺憾に思うわけでありますが、特にこの補助金事業建設省関係は多いという関係もありまして、これらの問題に対する再発防止について、基本的にあるいは具体的にどういうことを考えていらっしゃるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと、こう思います。
  8. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま御指摘ございましたように、決算のこの不当事項というのは、建設省におきましてはかねてからこの所管事業の適正な執行に努めてきたところでございますけれども、今回、会計検査院から少なからず指摘を受ける事態が生じたことはまことに遺憾なことでございます。  公共事業に対します国民の期待、建設省所管事業重要性などにかんがみまして、これらの適切な執行を確保することは、公共事業の所期の効果発現を図る上からも重要なことと考えておるところでございますが、御指摘事態はもとより、ほかの機関におきます指摘内容にも十分留意をしつつ、再発防止に万全を期してまいるつもりでございますので、御了承賜りたいと思います。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 本来なら、総選挙とか政治日程が狂わなければ、この指摘事項の二、三の問題を取り上げて具体的にお伺いしたい、こういうことでありますが、きょうは三省合わせて五十分ということでありまして、われわれ決算委員としてもきわめて残念でありますが、いま大臣の言ったことは単なる委員会における答弁ということではなくて、具体的にその実効ある対応をぜひお願いしたい、こう思っております。  特に、ずらっと見てみますと、災害関係復旧事業にこの指摘事項が多いという点がずらっと見ると言えるわけでありますが、災害地のいろんな特殊事項についてはわれわれもわからないわけじゃありませんが、やはりその上にも、この災害地復旧に対することについても特段の御配慮をお願いしたい、こう思うわけでありますが、大臣の御見解を聞いて、時間の関係でこの指摘事項に対することは終わりたいと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  10. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま目黒先生の御指摘のとおりでございまして、災害復旧というのは非常に原状回復が急がなきゃいかぬとか、あるいは査定の問題とか、いろいろむずかしいことがございますが、御指摘の点は重々肝に銘じまして、事務当局に十分検討するようにさしてまいりたいと、かように思っております。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そのようにお願いします。  次に、関西空港建設関係でお伺いいたしますが、五十六年の六月三日の衆議院の決算委員会で、わが党の井上議員質問、いわゆる新空港建設に伴う道路網及び地域整備主体建設省で、あると。運輸省とその辺については協議して、合意しているのか、こういう質問に対して、当時の建設大臣は、説明を受けておるけれどもまだ協議はしていない、こういう回答になっておるわけであります。きょうの政府大蔵省原案では、関西空港が具体的な日程に上るというような情勢でありますので、この井上質問以後今日まで、運輸省建設省はこれらの問題についてどういう協議をされたのか。大臣はなったばかりでありますから、もしも事務当局で経過があれば御説明願いたい、こうお願いします。
  12. 台健

    説明員台健君) 関西国際空港建設に関しましては、かねてから運輸省より、その構想あるいは構想進行ぐあい等につきましては説明を受けておりまして、その概要については十分承知しております。  現在のところは、事業主体の設立につきまして合意が形成されつつある段階だと聞いておりまして、今後空港建設計画具体化に対応しながら、昨年五月に設置されました関係閣僚会議等を通じまして、地域整備等の問題を含めまして十分な協議調整を進めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その問題に対して、地域整備とかアクセスの問題については、いろんな新聞を見ますと、大阪府の案であるとか、和歌山県の案であるとかということは、いろいろ新聞には報じられているわけでありますが、いま言った連絡閣僚段階では、まだそういうのは検討の段階で煮詰まっていないと、こういう認識をしていいのか、あるいは煮詰まっているのか、その辺の度合いについてなお御説明願いたいと、いかがでしょうか。
  14. 台健

    説明員台健君) 地域整備の具体的な内容につきましては、空港計画がまだ具体化しておりませんので、具体化する段階には至っておりませんが、その準備段階といたしまして、国土庁初め五省庁で、五十二年から四カ年間にわたりまして関西国際空港周辺地域整備調査というのを行っておりますし、また、今年度と来年度の二カ年度にわたりまして同じく五省庁泉州紀北地域総合整備計画調査を実施いたしまして、新空港の問題も含めまして地域整備計画の基礎になる勉強をしている段階でございます。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは中曽根さんが六十四年から着工ということを選挙中に公約しておるんですがね、いま事務当局が言ったことは大体どの辺を目安に詰めていくという、見通しはどんな見通しなんでしょうか。
  16. 台健

    説明員台健君) 地域整備の問題につきましては、もちろん建設省だけでございませんで、各省庁関係するわけでございますが、建設省といたしましては、現在のところ確定的に何年度ということでなしに、将来想定といたしましてたとえば六十五年とか七十五年とかというふうな期限を切りまして、そういう断面におきまして、たとえば交通量はいかなる負荷が生ずるであろうか、あるいはそのためにいかなる対策が必要であろうかというふうな想定で作業をいたしております。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはわかりました。  それでひとつ建設省にお伺いしますが、これは大臣になるのか、この三全総の紀南地域開発ということは、私も三全総、国土庁関係、実はやってお呑んですが、何か聞くところによると、今回の関西空港の問題について関係自治体協力をしなければ、三全総の紀南地域開発パアになるよというような意味で圧力をかけていると、逆に言えば、この関西空港をえさにして自治体協力せいという条件というと変でありますが、追い込んでいっていると、こういう三全総の紀南開発と新空港関係というものは非常にいろんな疑惑を呼んでいるわけでありますが、基本的にこの関西空港と三全総の紀南開発ということは別個の問題だと、私はこう理解しているわけでありますが、建設省のお考えはどちらでしょうか。
  18. 台健

    説明員台健君) 建設省に関しましては、御指摘のような事実は全くございません。おっしゃるとおり、三全総におきましては地方における定住圏の確立のために「紀伊半島などの交通体系整備の立ち遅れている地域幹線交通体系整備に努める。」と定められておりまして、建設省としても従来から、たとえば地方生活閥という制度を持っておりまして、新宮につきましても新宮地方生活圏定住基盤総合整備計画というふうなものをつくりまして、所管行政の総合的な推進に努めているところでございます。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、私が心配する、私もこの関西空港はもうかれこれ四年半追及しているわけでありますが、関西空港の…題といま建設省答弁したものについては別個のものとして、全然関連ないとは言いませんが、やはり別個のものとして開発して、場合によっては重なる場合もあり得るという基本的な立場建設省は進めると、こういうふうに理解していいですか。
  20. 台健

    説明員台健君) おっしゃるとおりでございまして、もちろん新空港によりまして大きな影響がございますので、整備内容につきましては大いに関係ございますが、建設とそれから整備とは別の問題というふうに考えております。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそういう、大臣にお願いしますが、私はこの問題をやっていますと、たまたま利益誘導型というのがちょいちょいあちこち顔を出してくるわけですね。ですから、そういう誤解のないように、泉州沖の埋め立てという問題は私はまだまだ多くの課題があると思いますが、そういう問題があっても建設省は三全総の精神をきちっと踏まえて紀南地区開発をやるんだと、そういうことについて大臣の今後のお考えを聞きたいと、こう思います。
  22. 水野清

    国務大臣水野清君) 関西空港建設につきましては、関連する公共施設整備など、建設行政にとっても非常に重要な問題であるということは御承知のとおりでございます。  しかし、空港建設具体化ということに関しましては、関係閣僚会議というものを通じまして協議調整するということになっております。また、地元地方自治体その他とも連絡は緊密にするということになっております。  しかし、ただいま先生の仰せのございましたように、紀南いろいろ開発とか、いろんな建設省計画がございますが、それを、地元で賛成の地域もありましょうし、反対地域もありましょうが、反対をするからやってやらないとか、そういうようなこととは全く違うわけでございまして、また建設省は、空港建設につきましては建設省自身がやるわけでございませんので、運輸省のお手伝いをする、閣僚会議を通じましていろんなお話がございまして、十分のお手伝いはすると、こういうような立場でございますので、どうかひとつ御理解をいただきたいと思いますし、私どもも誤解を受けないように、十分紀南開発の諸計画については留意をしていきたいと、かように思っております。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあそのようにお願いします。  大臣閣議関係があるそうですから、どうぞ御退席になって結構です。  きのうの続きを、大蔵省運輸省空港関係でちょっとやります。  けさの新聞で、これは読売でありますが、「交付税増減可能に」という、交付税増減可能、いわゆる「地方自治体財源不足対策などをめぐる竹下蔵相田川自治相の第二回閣僚折衝が十九日行われた。」以下云々と、これは大蔵省、間違いありませんか。
  24. 涌井洋治

    説明員涌井洋治君) 昨日、大蔵大臣自治大臣との間で大臣折衝が行われまして、地方交付税制度合理化措置が決められたと聞いております。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そのことは、これは一月十一日、日本経済新聞に上がっているこの運用部資金、きのう私が御指摘した問題とのかかわり合いはどうなんですか。このかかわり合いが、具体的に自治省とやった結果こういうふうに決まったと、こういうふうに理解していいんですか。
  26. 涌井洋治

    説明員涌井洋治君) 地方公共団体に対しては、資金運用部等地方債を引き受けるということのほかに、地方交付税特会に対して資金運用部がお金を貸すということを従来やってきたわけでございますけれども、今回の改革は、先生指摘のように、地方交付税特会に対して資金運用部からの新規の貸し付けはこれは行わないという措置をとりまして、そのかわり地方財政健全化に資する等のために、将来に元利償還負担を残す、要するに特会借入金は漸次ふえていくものですから、そういうことは——そういうあれですね、将来に負担を残すような制度からの脱皮を図ろうという趣旨でございまして、そのかわり、借入金にかえまして地方交付税交付金特例措置を行うという趣旨でございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その中身は一〇%前後上限下限でやるというのは、それはわかりますが、ただ私は、きのう関西空港で聞いていますのは、いわゆるきのうは航空局長が、大阪その他が関西空港の問題で出費をする、資金を出すという問題については、わずかであるから余り関係ありませんというような意味のことを航空局長答弁したんですよ。それで、あなたはもやもやと言ってしまったものだから、きょうに、時間が切れたから譲ったわけ。  結論から言うと、関西空港に対する二百億の出費あるいはその他五百二十億といろいろ説明あって、それは二百の四百億と、こうからから変わっていくんですがね。まあ変わってもしょうがない、ある程度。話は固まってないんだから、生コンだから、いまのところ。生コンであるけれども、結局は地方自治体から関西空港に金を出すということは間違いないわけですな。それから、東北新幹線で、水沢、花巻あたりでも四十何億を自治体負担すると、国鉄は一銭も見ないと。そうすると、自治体が四十五億出すためには、どうにか金を出さなければいかぬわけだ。あと、小さくは私の隣町の丸森線。第三セクターになるのに貧乏市町村に金を出せと、こう言っているわけだ。そういう国は出さないけれども地方自治体出せという傾向が、関西空港にしたって新幹線にしたってあるわけですよ。  そういうものに地方自治体が金を出す際には、きのう決まったこの問題は、国は金がないけれども地方出せと。地方の方にも貸しませんよと、今度は地方交付税一〇%前後の上限下限だけですよと。こうなると、これは自治省関係ありますが、地方自治体はどうすればいいんでしょうか。関西空港に金を出して、赤字になったから政府に金を貸してくれといっても、おたくはこの方針交付税調整だけでしょう。その辺は財政的にどうなんでしょうか。可能なのか不可能なのか、あるいは何かうまいからくりがあるのか。その点は財政屋さんとしてどういうふうにわれわれに説明してくれるんでしょうか。その出費と五十九年度のこの問題との関係をひとつ教えてもらいたい。いかがすればいいんでしょうか。
  28. 涌井洋治

    説明員涌井洋治君) 私、地方財政を担当しておりませんので正確な答弁はできないんですけれども、この先生のいまお話しの話は、まさにこれは地方交付税制度改革でございまして……
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これから変わるんでしょう、これから。結論交付だけれども、出発は貸し出しでしょう。
  30. 涌井洋治

    説明員涌井洋治君) そのほかに資金運用部等地方債発行に対しまして貸し付けをするわけでございますけれども、その点につきましては五十九年度においても十分配慮することといたしておりまして、地方債発行総額に対する政府資金の引き受けを額、傘とも引き上げる方針で臨んでいると聞いております。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、あなた、さっき私が言ったとおり、答弁能力ないのにそう思っていますなんと言うんじゃもう議論にならないわね、ここはあなた、討論の場じゃないから。  そうすると、航空局に聞きますが、大阪とかが出す金は自前でできるんですか。それとも大阪の問題については、地方債を増発してそれで関西空港出資金にすると。そういうことまで航空局はわかっておって地元負担ということを地元に要請しているんですか、航空局
  32. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 私ども、現在考えております関西国際空港事業主体株式会社案でございますけれども、この点につきましては、国と地方公共団体と民間とで一体となってやろうということでございまして、地方公共団体は、その地方に具体的ないろんなメリットがあるということと同時に、地方の意向もそこに反映しようということで、この構想に対して賛意を示しているということでございまして……
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなことはきのう聞いたよ。
  34. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) この点につきましては、大阪府が中心になりましていろいろ話し合いをいたしておりますし、主導的な立場大阪府は賛成しようと。それから、自治省の方にもこの辺のお話をしつつあります。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、自治省に話しているというんだから、具体的に財源捻出はどういう方法なんですかと。大阪府は自前で出せるんですか、和歌山県も自前で。大蔵省地方債を含めて一切お世話にならなくて、自前でやれるんですか。  その辺、あなた、全然、主体をする大蔵省建設省を除いて、運輸省中身がわからなくて、何をからくりしているの。  それで、この私の質問趣旨にも、そこはなかなか回答できませんと。回答できないよ、こんなちゃらんぽらんで回答できないのはあたりまえじゃないか。  したがって、きのう言った、この関西空港に絡むいわゆる五十八年の七月八日の運輸省の案では五百二十五億、ことしの一月六日の中身では二百億、こういう問題について、地方自治体大蔵省とでどういう方法地元出資金を調達するのか。  もうこれ以上あなたと幾らやっても物にならぬから、具体的に出資方法について、後ほど文書で責任ある回答をしなさい。いかがですか。
  36. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  37. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  38. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 地方からの出資の問題につきましては、いま申し上げましたようなことで、大阪府と話し合いをし、自治省とも話し合いをしつつありますが、具体的にどの地方公共団体がどれだけの出資をして、そしてそれは具体的にどういう方法資金が調達されるかということにつきましては、関係地方公共団体、それと自治省にもお願いして、これから詰めていくというところでございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなた、きのう航空局長が私にどういう答弁をしたか、議事録当たってみろ、もう一回。地方負担はわずかであるから、余り大蔵省には迷惑かけないと思いますということをあなたの上の航空局長がきのうの席で私に答弁しているんだよ。そんな人を食ったような答弁はやめろ、あなた。  したがって、私はこの質問書に従って、いま言った五十八年七月八日、運輸省事業主体構想案発表の際の五百二十五億、それから今度の新会社の場合の五十九年一月六日の二百億、これを地元出資する、こういう提示をしておるのであるから、地元と一時間がないから文句言わぬけれども、あなたは大阪大阪と言うけれども、大阪だけじゃないはずですね、関西空港関係自治体は。これは兵庫和歌山大阪兵庫和歌山には全然パアじゃないか、あなたたちは。  だから、兵庫和歌山も通じて、三地方団体とあなた方と大蔵省で、三者でこの資金繰りをどうするのか、それで今回決まったこの五十九年度の交付税の問題、それからいま大蔵省が言った地方債発行の問題、それらの関連を含めて、文書で私あてに統一的な回答をもらいたい、これが要求です。もう時間がないから答弁しないでくださいよ。文書回答してください。いかがですか。
  40. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 実は関係地方公共団体大阪府だけではない、それはおっしゃるとおりでございます。私、中心的なものは大阪府であると……
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 文書回答するのかしないのか、どっちなんだ。時間がもったいないよ、答弁能力ないくせに。
  42. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) その点につきましては、そういうことであれば、文書でまとめまして御提出さしていただきます。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 答弁能力ないならないと、あなた、はっきり認めなさいよ。私、あなたのぐずぐず言うことを聞いていたってしょうがないんだ、何ぼ聞いていたって、航空局次長あたりが。  では、文書回答を求めます。確認します。いいですか。
  44. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 後ほど文書にして提出いたします。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、大蔵省にちょっとお伺いしますが、きのう大蔵省は、十一月六日の報道でありますとおり、この公団と第三セクターの統合、地元負担の拡大、それから建設場所を内陸に近づけて事業費を圧縮する、こういうことを運輸省に求めて、それが解決しなければ今回はゼロ査定だと、そういうきつい態度を大蔵省はこの関西空港について、強硬な態度をとっているということは、ほとんど各社が共通で報道しているんですよ。きのう私、質問したら、内部のことでありますから言えませんと、そういう答弁で帰ったんですが、この答弁書では、大蔵省関係省庁協議中だ、そういうふうに私に答弁しているんです。ですから、私は一歩下がって待っていました。きょうは決算ですから、大蔵省は私が言った十一月六日の各社が報道した大蔵省の主張、それについて運輸省とどういうふうに調整したのか、あるいは運輸省が折れたのか、あなたの方が折れたのか、これらについて高度な政治判断をしたのか、これらについては答弁能力あれば答弁してもらいたい。いや、それは竹下大蔵大臣関西財界とやったボス取引であるから、大臣しか知らないというなら大臣に来てもらって大臣に答えてもらう。もう時間ございませんから、いまの問題について答弁能力あれば答弁してもらいたい。答弁能力なければ、後日文書で回答する、それはあなたの判断に任せます。
  46. 涌井洋治

    説明員涌井洋治君) 大蔵省は従来から、先生御承知のとおり、ともかく関西空港の問題は、やはり基本的には採算性の確保が基本であるということを申し上げてきたわけでございます。そういう意味で、採算性の確保をするにはどういうところが問題かという議論は当然しているわけでございます。ただ、新聞に書いてありますのは、たとえば内陸に近づけるとか、そういうことは、うちは一切そういう話はしておりません。ただ、工事費を切る工夫はできないかとか、あるいは採算性を確保するためには工事費を切るとか、あるいは国とか地元出資率を上げるとか、そういういろんな組み合わせがあるわけですね。そういう議論は当然のこととしてやってきております。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま言った内陸に近づけて工事費を圧縮するということは、それは新聞が勝手に報道したのであって、大蔵省はそれをとっていないと、それは確認していいですか。またほかの方に確認しますが。  それから、工事費を若干整理するとか、地元負担を上げるとかということは、あなたはいみじくもそういう要請はしてまいりましたと、その点はいいですな。前段の方はやっていない、後段の方はそういうことを運輸省と折衝したということですな、いいですか。
  48. 涌井洋治

    説明員涌井洋治君) われわれは専門家ではございませんので、工事費を切ってほしいということは当然申し上げますけれども、具体的にどうするかというのはわれわれには一切わからない話ですので、そういうことは申し上げておりません。
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、きょうはそういう答弁で。  それから、もう一つ運輸省にお伺いしますが、関西空港の関連で伊丹空港の問題がずいぶん話題になっているんですが、これは存続なんですか、廃止なんですか、プラスアルファなんですか。私は、航空審議会の基本から見ると、まあ問題はあっても、泉州になった場合には伊丹は廃港というのはあくまでも地域住民の問題である、こう理解するんですが、やはり完成後は伊丹は廃港、こういう認識に私は変わっていないと思うんでありますが、いかがですか。
  50. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 関西国際空港ができました場合の伊丹空港の問題でございますが、これにつきましては、一つは、航空審議会の答申で、「大阪国際空港の廃止を前提として」というふうに述べておりますのは、これは廃止するということを審議会で言っているわけではないということが一つでございます。これは、仮に大阪空港が廃止されても、その役割りを十分に果たし得るものということで案をつくったという認識を私どもはしております。  それから、現実に大阪空港の存廃の問題につきましては、これは早期に調査を行いまして、関西国際空港の開港時までに決めるということを従来から表明しておるわけでございますが、しかし問題は非常に重大でございますので、できるだけ早く調査をして、五十八年度中にも着手をして、関係地方公共団体の意見を聞いた上でできるだけ早期に結論を出すという考えております。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ都合よく解釈するものですね。まあ、きょうは時間がないから、航空局次長がそう答弁したということで、しかし、いろいろな面で運輸省なり現地が地方公共団体に適当なことを言って、その場限りでは私は納得しない。やはり関西空港の問題については引き続き書きょうはそういう話があったということで、私は了解しないということで、はっきりしておきます。  次は、ちょっと時間が来ましたから、農水省関係に移ります。  農水大臣ね、おたくの関係の五十六年度の決算を見てみますと、依然として不正不当事項があるわけですね。件数にして何件かね、これ。十四件、一億二千百十六万。農業改善事業、果実改善事業、やっぱりちょいちょい見積もりの誤まり、あるいは出し過ぎなどなどあるわけですが、これも建設大臣に言ったんですが、本来なら農水関係にまる一日とって、この問題の二、三について具体的にわれわれも聞くわけでありますが、時間がありません。したがって、総括的にこの問題について農水大臣見解を聞かしてもらいたい、こう思います。
  52. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) お答えいたします。  補助事業等の適正な執行については、農林水産省として種々配慮してきたところでありますが、五十六年度決算におきまして会計検査院から不当事項として指摘を受けたことはまことに遺憾に思っております。  なお、指摘されました事項につきましては、当省として、国の直轄にかかわるものについては直ちに契約を変更して是正する、また補助事業にかかわるものについては、補助金の返還、工事の手直し等を行わせました。  さらに、今後の再発防止のため、関係部局及び都道府県に対して改めて通達し、国、県はもとより市町村、農協等の事業実施主体を含めて、補助事業の適正な執行のための体制の整備に徹底を図ったところでございます。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それも先ほども大臣に要請したんですが、この場限りの答弁にならないように、この五十七年度の決算を見ましても、ぱらぱらっと見ても、やっぱりこれと同じようなことがずっと五十七年度決算にも出ていますから、大臣が就任してからせめて五十八年、五十九年の決算のときには一件でも二件でも実質的に減るように、大臣のひとつ誠意ある対処をお願いしたい、こう要望しておきます。  きょうは時間がありませんが、この前、二、三日前ですが、林政審の今後の国有林事業のあり方について答申がなされました。私も答申をもらいまして、いまあらゆる面から検討中でありますが、ひとつ、この答申が出た最初の農水大臣の国会の出番でありますから、この答申について農水大臣としては今後どういうふうに対応していこうとしているのか、その基本姿勢をひとつ大臣見解を聞きたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  54. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) この答申。においては、国有林野事業の改印を推し進めるに当たりまして基本的な方向が示されており、内容的にはいずれも厳しいものでありますが、国有林野事業が当面する困難な情勢の中で経営改善を実現するためには、避けて通れないものと厳粛に受けとめております。  今後は、この答申の内容をいかに実行していくかが課題であり、国有林野事業が国民生活の上で果たす重要な使命に思いをいたし、本答申を外し、不退転の決意で改革の推進に取り組んでまいる所存でございます。
  55. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそういうことでお願いしたいと思いますが、それで具体的にちょっと、林野庁になるんですかな、長官来ていますか。——お願いいたしますが、私、さらっと読んでみますと、これはちょっと北海道に行く汽車の中で見たものですから不十分な点もあろうと思いますが、いわゆる林野庁の自助努力あるいは借主的改善ということがぱあっと全面に出ておりますが、それはそれなりにわれわれは、国鉄と同じように林野が赤字ですから、それはそれなりにわれわれは否定しません。一生懸命お互いにやっていると思うんです。しかし、それだけではどうにもならない問題点がある。具体的に言えば、財政措置などについて、従来の国有林会計だけにこだわっておりまして、新たな財政措置をこうするからおまえらもやれ、こういう新たな財政措置の展開というのがどうも欠けているんじゃなかろうか、こんなふうに一読して感じました。したがって、当面の責任者として林野庁長官は私の指摘に対してどういうふうにあなた自身が受けとめ、あるいは将来政府全体に向かってお願いしていくのか、こういう考えがあったらひとつ林野庁長官の基本的な考えとしてお教え願いたい、こう思うんです。
  56. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま先生指摘ございましたが、林政審の答申におきましては、自助努力といたしまして、要員規模の縮減であるとか、あるいは組織機構の簡素合理化、さらには自己収入の確保という、いろいろな厳しい自助努力をするということを求められておりますが、同時にこの答申を見ますと、収支の悪化のゆえをもちまして国有林野の管理経営をゆるがせにすることがあってはならない、こういう御指摘もいただきまして、このような観点から国有林野の適正な管理と資源充実の確保を図るために所要の財政措置を講ずる必要があるということは御指摘いただいております。  そこで、具体的な話といたしまして、答申におきましては、現在の改善計画は御案内のとおり五十三年から六十二年でございますが、この間に一般会計から繰り入れをお願いするわけでございますが、この一般会計からの繰り入れを行う期間の延長、それから今後の要員調整を円滑に行うために新たな資金措置を行うということ、さらには昨年この分収育林制度というのを確立いたしましたが、これは民有林についてやったわけですが、これを国有林にも導入する、さらには一般林政の充実強化につきましても提言をいただいておるわけでございます。したがいまして、林野庁といたしましては、この答申に沿いまして、自助努力とあわせまして、いま申し上げましたような各般の措置を総合的に推進することによりまして、国有林野事業の経営の健全性を確保したい、かように考えているところでございます。
  57. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、もう一つ基本的な問題として、私は災害対策委員などをやったりしていろいろ議論する際に、やっぱり、この前の長崎の災害のときも同じ、去年の久慈市の森林火災の際にもしかり、いわゆる国有林の持つ公的機能、この問題がややもすれば銭、金にならぬもんだからお粗末にされる、しかし、お粗末にされるけれども、一たん災害が起きると取り返しのつかない人命と財産を失う、こういうことを繰り返しておるわけでありますが、これは農林大臣もぜひ聞いてもらいたいんですが、やっぱり国有林の持つ公益的機能、これに対する一般財政からの繰り入れ、あるいはこういう機能を独立さして別な会計で国民全体がこれに負担をする、こういう創意工夫をして、この国有林の持つ、あるいは森林の持つ公益的機能ということで充実発展させるというのが、やっぱりわれわれの孫、ひ孫を含めて国家百年の大計ではないか、こう思いますが、この答申を見ていますと、触れてはいますけれどもその点のどうもウエートのかけ方が少ないではないか、こんな気がするんです。したがって、私はやっぱりこういう点についてせっかくの林政審答申ですから、この公的機能の問題と国民全体がこの必要な資金負担する、こういう発想の転換とやっぱり具体的な肉づけという点が今後きわめて必要だとこう思うんですが、本来大臣答弁をもらうわけでありますが、一応それじゃ林野庁長官にこの問題について、ひとつ大事な二つ目の点としてお考えを聞かしてもらいたい、こう思います。
  58. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国有林野におきましてもいま先生お話ございました森林の持っております公益的機能に着目いたしまして、一般会計によりますところの治山事業、これは全額一般会計からの負担でやるように漸次改善をしていただいてきております。  それから、保安林の森林造成、さらには幹線林道の開設等につきましても、これは一般会計から導入いただいておりますが、さらにその災害につきましても五十八年度から受け入れを行っておるわけでございまして、逐次この内容を拡充を図ってまいっているところでございます。  また、今回の答申に御指摘いただいています非採算林分の問題でございますが、これにつきましてはこの答申の趣旨に沿いましてできるだけ早くこの調査検討をいたしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 少しずつはよくなっておりますが、なおこれは答申ですから、ひとつそういう点で最大の努力をお願いしたい。  最後に私は、この答申の一番最後にいろいろあるけれども、今後の国有林事業の事業実行形態の関連あるいは山村の振興の観点から考えると、林業の担い生育成と確保、これが最大の課題だと、こういうふうに締めくくっておるわけであります。  したがって、私は国有林あるいは公有林あるいは民有林、いろんな方がいらっしゃいますが、私もここ十年北海道の端から沖縄の端まで何回か全国の山を回って、国有林、民有林の方がおりましたが、やっぱり特に民有林の方々の労働条件と社会保険なり安全の確保、これは非常におくれている。今回の答申も、これは単に農林省とか林野庁だけの問題ではなくて、政府関係機関一体となってこの対応に取り組め、なかなか私はいいところをついている、こう思うのであります。  それで、この点についてひとつ特段の御配慮をお願いすると同時に、社会党もわれわれ林業対策特別委員会林業労働小委員会が中心になって林業労働法という法律を国会に提案しているわけでありますから、この林業労働法もひとつ十分参考にされて、早急に政府全体として林業の担い手の労働条件と安全の確保、山村振興というものに取り組むということについて要請をしたいと思いますが、林野庁長官見解なりあるいは今後の取り組みについてお聞かせ願いたい、こう思います。
  60. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) いま御指摘ございましたこの民有林の労働関係でございますが、林業振興という立場から見てまいりますと、担い手の育成確保という問題はきわめて重要であると私ども認識しておりまして、その対策につきましてこれからもさらに一層適切に対処してまいりたい、かように考えているところでございます。  それから、御指摘の林業労働法の法案の問題でございますが、これはもう御案内のとおり、基本的には労働行政の立場から判断さるべきものでございますが、この林業労働と申しますと、御案内のとおり非常に季節性もありますし、間断性もある、その他非常に山間部に分散していろいろな問題が実はございます。そういう多様性から法的に一律にやることにつきましてはいろいろな問題があるというふうに私ども認識しておりますが、今後さらにこの問題につきましては重要な問題でございますので勉強してまいりたい、かように考えております。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 農林省関係終わります。  最後に、三宅島の米空母艦戦機夜間離着陸訓練の代替基地の問題について若干お伺いいたします。  防衛庁と運輸省、昨年の十二月の二十一日、三宅鳥の村議会が官民共同の飛行場として大型ジェット機の離着陸が可能な空港整備を求める意見書を賛成多数でやりましたけれども、これについては防衛庁、運輸省わかっていますか。
  62. 平晃

    説明員(平晃君) 昨年の十二月二十一日、三宅村議会におきまして官民共用の飛行場をつくってほしいという議決がされました。二十三日に議会の代表者がそれを政府に意見書を持ってまいっております。  官民共用の飛行場の官という中には、私どもいま探しております艦載機の着陸訓練場、これを念頭に置いた表現であるというように伺っております。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この問題については、村民にも突然のことであるし、中には行政側にも唐突なことだという話も新聞報道などで報ぜられているわけであります。  名前は言いませんが、有力政府筋の話によりますと、三宅島は噴火で島民の絶望感につけ込んで、ある大手会社、これもわれわれはつかんでます、大手商社がダミーを使ってこの件でもうけるために、メートル当たり二百円という形で予定されるであろう土地をもう買い占めて、いつでもいらっしゃい、こういうような土地転がしの準備をされているということをわれわれもつかんでおるわけでありますが、そういう土地転がしの問題と、島民の絶望感と、そのすきにつけ込んだ今回のやり方ではないか、こういう危惧を非常に持っておるわけでありますが、こういうことについて防衛庁なり運輸省はいかなる認識を持っていらっしゃるか。知らぬなら知らぬ、わからぬならわからぬで結構でありますから、ひとつ防衛庁と運輸省見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  64. 平晃

    説明員(平晃君) 意見書をいただきましてから、私どもの立場としましては、早速島に参りまして行政当局初め地元の方々とお話し合いをしなきゃならぬ立場でございますけれども、その後島内が混乱しているという状況も伺っております。それで、現在は成り行きを見守っているということでございまして、具体的に話し合いには入っておりません。したがいまして、土地もどこにつくるということも特定しておらない段階でございますので、そういう先行買収が入るというようなことは考えられないことでございます。また、そういう事実も承知しておりません。
  65. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 運輸省の方でも、村議会の意見書の写しはいただいております。ただ、先生おっしゃいましたような話につきましては全く承知しておりません。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 東京都はこの問題を、まあ罹災のすきを縫ってということについては、東京都の方も非常にそのやり方についてはちょっと汚いといいますか、人の困ったところにつけ込んでというようなやり方が非常に汚いということで、東京都もやっぱりこの問題は慎重にやるべきだと、こういうことでいま対応していると聞いております。  それで、運輸省にお伺いしますが、あなたはまだ何も聞いていないと言っておりますが、仮にNLPの問題がパアになっても、いわゆる三宅島にジェット空港をつくる、空港をジェット化するという運輸省方針は変わりはないと私は思うんでありますが、このNLPと、空港のジェット化の問題は無関係であると、こう思うんでありますが、そういう認識は間違っていませんか。
  67. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 三宅島の空港は現在千二百メーターの滑走路でYSが飛んでいるわけでございますが、ここ数年、年間五万人台ぐらいの需要でございまして、その程度の需要でございましたら普通このYS11クラスの航空機で十分だと思いますし、当面はそのようなことでいけるだろうという認識でございます。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから住民のジェット化の要望とNLPは無関係だという行政当局の認識を私はこの答弁でもらいたいんですがね。防衛庁の問題がどうなろうと、いわゆる住民の要請があった場合には、いまあなたはYSで十分だと、いまの現状ではYSで十分だけれども、将来どんどん大きくなってジェット化をしてくれという、これは住民の要望もあるわけですよ。その問題とNLPは無関係だということについて、運輸荊として確認したいと思うんですが、いかがですか。
  69. 栗林貞一

    説明員栗林貞一君) 私どもは、現在のところは民間空港についての問題を議論しておるわけでございますが、先ほど来先生お話ございました村議会の問題などございますし、その辺は防衛庁から経過を聞いておりまして、どのように対処していくかはこれから考えていきたいと思います。
  70. 菅野久光

    ○菅野久光君 農林水産省関係について御質問申し上げますが、まず初めに、先ほど目黒委員からも御指摘がありましたけれども、会計検査院の検査の概要に関する主管局長説明の中でも、積算を誤ったためであるとか、あるいは補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、工事の施工が設計と相違していたり、補助の目的を達していなかったりなどしていたもの、また事業効果の発現がなく、補助の目的を達していないと認められるものが多数見受けられ、中には施設が設置後全く使用されていなかったり目的外に使用されていたり、無断で貸し付けられていたりしているなど著しく適切を欠いているものがあると。これらは事業計画に問題があるわけだということで指摘をされております。  きょうは時間がございませんので、その一々は別にいたしましても、担当者としても真剣にやっておられるのだろうとは思いますけれども、なお慎重厳正な業務試行を冒頭要請をしておきたいというふうに思います。  そこで、農林水産省については、かなりな国費が農業なんかでもつぎ込まれておる、そういう中でいま農業にとっては大変な問題が起きている。それは御承知のように農畜産物の輸入自由化枠拡大の問題であります。  貿易収支の不均衡問題に端を発したこの農畜産物の輸入自由化問題は、いまや日米間経済摩擦の象徴的な存在として取り扱われています。しかし、貿易収支が不均衡を生じた最大の原因は何か、これは自動車など輸送用機器や電気製品などの鉱工業品の集中豪雨的な対米輸出にあるのであって、本来ならば鉱工業品についての通商摩擦の問題として処理をすべきところでありますが、それを一番弱い農畜産物の自由化に矛先を向けてきたことについては、生産者はもとより農業関係者にとって全く納得のできないところであり、強い憤りさえ感ぜずにはいられないわけです。  そして、農畜産物の自由化が通商摩擦問題の真の解決にはならないと。このことを承知の上でのアメリカ側の要求でもあるというふうに考えられるところに大きな問題があります。  わが国の食糧自給力の実態は先進諸国から見てもきわめて低位にある。これ以上食糧の多くを外国に依存することは、国民の安全保障という観点からはきわめて危険で、まさに憂慮すべき状況となっております。このような状況を踏まえて、昭和五十五年衆参両院の本会議においてそれぞれ食糧自給力強化に関する決議、そして昭和五十七年には衆参両院の農林水産委員会において、農畜産物の輸入自由化がわが国における農業、漁業にとって壊滅的な打撃を受ける結果になることから、農畜水産物の輸入自由化反対に関する決議が採択されているのであります。  しかも、ここ数年の食糧輸入の状況を見てみますと、日本貿易振興会の農林水産物主要相手国別輸入統計で、米国からは昭和五十一年、金額で五十五億三千三百七十万九千ドル、昭和五十二年には七十一億千六百二十七万五千ドル、昭和五十五年には百二億九百七十八万九千ドルと年々増大し、今日までわが国が農畜水産物の市場開放問題にいかに積極的に取り組んできたか、この事実をもって証明していると思うのであります。  わが国は、現在農産物については二十二の輸入制限品目を持っているのでありますが、これらは国民の食糧を安定的に確保するという観点からは必要な基幹的な農産物であるとか、地域振興にとって欠くことのできない重要な作物に限られているのであります。  たとえば小豆やインゲンなどの雑豆は北海道特産の畑作物でありますが、その作付面積は全道で七万百ヘクタールにも上っております。  言うまでもなく北海道の畑作は麦、てん菜、バレイショ、そして豆類の四作物で輪作経営を行っているのでありまして、雑豆の適切な作付が確保されて初めて三十万ヘクタールを超える北海道の畑作全体が成り立つというきわめて重要な作物であります。このように現在輸入規制している農産物の輸入自由化あるいは枠の大幅拡大は、地域農業に重大な影響を及ぼすことはもう言うまでもありません。アメリカはこれまでわが国に対して牛肉と柑橘の自由化を強く迫ってきておりましたが、これに加えて昨年の七月突如として雑豆、でん粉、プロセスチーズなど十三品目について、ガット二十三条一項に基づく協議を申し入れるという強硬手段に訴えてまいりました。これらの品目は特に関係の深い北海道の生産者に大きな打撃を与えました。御存じのように、北海道は昨年異常低温のため千五百億円以上にも上る大きな被害を受け、農家経済はもとより地域経済にも大きな影響を受け、きわめて困難な事態に直面をしております。こうした中で、仮にも雑豆、でん粉、プロセスチーズなどの市場開放が行われるならば、北海道農業は、大幅な減反を余儀なくされている稲作に加えて、畑作、酪農にも重大な影響を受けることとなり、まさに北海道農業の死活にかかわる問題と言わなければなりません。牛肉、柑橘の市場開放問題をめぐる日米農産物交渉がきょうあすと二日間にわたって再開されて、東京ラウンドの協定が期限切れになるこの三月が大きな山場になるわけであります。そこで、以下農産物の市場開放問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、農産物の市場開放問題についての基本的な態度についてであります。大臣もそのお一人と思いますけれども、昨年の暮れの総選挙に当たって立候補されたほとんどの方は、農産物の自由化には反対だというふうに言われております。また一方、アメリカのレーガン大統領も日本の選挙を意識して、わが国に強く求めることを避けてきたとも聞いているわけであります。農業関係者は選挙が終わった今日の段階で何らかの妥協がなされるのではないかと、大きな不安を抱いているのであります。この問題について新大臣は就任インタビューの中で、日米交渉については日本農業を守るために蛮勇を振るうと言われておりますが、その基本的なお考えを伺いたいと思います。
  71. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) お答えいたします。  農産物の市場開放につきましては、関係国等の友好関係、これを保ちながら、国内農産物の需給動向を踏まえた上で、食糧の安定供給の上で重要な役割りを果たしておるわが国の農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることを基本として交渉してまいります。
  72. 菅野久光

    ○菅野久光君 先ほど申し上げましたけれども、農業の問題はただ目先の問題だけではなくて、まさに食糧安保的なそういう意味もありますし、これからの人口増加に伴うあるいは耕地の増加がきわめて少ない、まさにもっとグローバルな立場考えなければならない、そういう問題でございますので、ただいまの決意をひとつしっかり踏まえてこれからの交渉に当たっていただきたいというふうに思います。  具体的な若干の問題でありますが、牛肉についてでありますけれども、自由化は反対であると言われていることから自由化はしないと私どもは思っているのでありますけれども、輸入枠が大幅に拡大されるのではないかと心配をしております。そこで牛肉の自由化または輸入枠の拡大について基本的なお考えをお聞きしたいのでありますが、いかがでしょう。
  73. 石川弘

    説明員(石川弘君) 牛肉につきましては御承知のように、昨年酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律というのを国会でおつくりいただきまして、その中で酪農及び肉用牛生産の基本方針というものを政府がつくり、これを昨年の十月に公にしているわけでございますが、その中で「牛乳乳製品及び牛肉の需給については、増大する需要に対応し、国民への安定的供給を図るため、合理的な国内生産による供給を基本としつつ、国内生産で不足する部分については需給の動向に十分配慮して輸入を適切に行うものとする。」ということを国の方針として決めておるわけでございます。私どもこういう方針に基づきまして、畜産物価格安定法の運用を通じまして国内生産の確保と消費者に対する安定供給ということを義務づけられておりますので、この考え方を基本にいたしまして自由化はこういうことでやりますために、自由化いたしますればこういう方向はとれません、したがいまして、自由化をいたすことには常々反対をいたしておりますし、枠の運用につきましても、この精神にのっとって運用するつもりでございます。
  74. 菅野久光

    ○菅野久光君 端的に言えば需要量から国内生産量を差し引いた数量、それ以内で言えば抑えて安定供給に努めていきたいというようなお考えであるわけですが、かなりこの問題についてもアメリカ側は強硬な要求を持っているというふうに聞いておりますが、その辺これからの交渉にかかってくるわけでありますけれども、農水省としてのもう一度はっきりした決意をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
  75. 石川弘

    説明員(石川弘君) 実は先生指摘のとおり、需要量と国内生産の動向を見て枠を設定いたしておるわけでございますが、御承知のように、国内生産につきましてはかってかなりの変動がございまして、国内生産が沈滞いたしますときにはかなり大幅な枠を設定をしたこともございます。また、数年前のように、たとえば酪農の方で駄牛淘汰が大いに進みまして、国内の供給量が大幅にふえました場合は、いまから三年前でございますが、前年度を下回る枠でお願いをしたというようなこともございます。したがいまして、私どもは必要なものは入れなければならない立場でございますが、不要なものまで国内に入れて、国内におけるいまの安定制度、これは価格につきましては御承知のようにここ数年間全く価格水準を据え置きまして、実効価格におきましても価格が上がらない運用を実はしておるわけでございますが、そういう体系が混乱するというようなことはできないことだと考えております。
  76. 菅野久光

    ○菅野久光君 特に肉の問題については、農業政策が次から次に変わっていく、そういう中で、特に北海道は広大な地域でもあるというようなことを含めて、かなり肉牛の生産など入っているわけですね。そういうことでそういう施設をつくったり、いろいろやる場合に大変な資金が要るわけです。したがって、一戸当たりの借入金なども相当ふえている。そういう中でこれが、いま答弁されたようなことが崩されるようなことになれば、これは肉牛の農家にとってはもう大変な事態になるわけですね。そのことについては農水省としてもよく御存じだというふうに思いますが、せっかく国のいろいろなそういう政策、そして、それには多額のまた補助金なども含めて国費が投入されている、そういったようなことがむだにならないように、そして、生産農家についても安心して営農あるいはこういったような肉牛の生産に励んでいけるように、そこのところはひとつ日本農業を守るという立場で、強い決意で交渉に当たっていただきたいということを要望申し上げておきます。  次に、先ほど前段申し上げましたけれども、雑豆についてでありますけれども、これは北海道だけとも言うべき地域作物でありますが、全国的な動きの中でこのような品目が軽視されるのではないかというようなことで大変心配をしておるわけです。したがいまして、雑豆の市場開放問題についての農水省としてのひとつ御見解をお伺いをいたしたい、このように思います。
  77. 小島和義

    説明員(小島和義君) 小豆、インゲン等の雑豆につきましては、先ほど御指摘ございましたように全国で約十万ヘクタール前後の作付面積がございますが、約七割が北海道ということで、大変地域特化の進んでおる作物でございます。面積といたしましてはそれほど大きいものとは存じませんけれども、北海道の畑作全体の中で申しますと、先ほど御指摘ありましたようにてん菜、バレイショあるいは飼料作物、麦、そういった作物と並びまして、いわば輪作の一環をなしておる、こういう特色を持っておるわけでございまして、北海道の畑作農業全体を支える上での大変大事な作物である、かように存じております。  この豆類でございますが、大変気象変動に対して弱いという性格を持っておりまして、年によります豊凶の差がかなりございますので、それを埋め合わせるという意味におきまして国内需給動向をながめて適正な輸入割り当てをいたしておるわけでございます。そういう作物でございますので、今次の日米の農産物交渉におきましても、私どもの省にとりまして大変重要な作物である、こういう考えのもとに、先ほど大臣からお答え申し上げましたような方針にのっとりまして対処いたしたい、かように考えております。
  78. 菅野久光

    ○菅野久光君 いまのお話を聞いて、ぜひそのとおり取り組んでいただきたいというふうに思っているわけですが、いまの日本の農業は非常に土地が痛めつけられているということが端的に言えるのではないかというふうに思うんですね。水田は、連作でこれは構わないわけですけれども、特に畑作の場合には、これはもう輪作をやらなければ土地がだめになってしまう。作物そのものも生育がおくれ、いや地病などを含めてこれはあるわけですね。それが最近のあれはハウスの栽培の問題を含めてこれは大変な、このまま日本の農薬が進んでいったときに一体どうなるのかということを私は心配せざるを得ないわけです。そういう意味では、やっぱり輪作の重要な作物であるこの雑豆の問題について、先ほども私の方から申し上げましたけれども、ひとつ真剣に取り組んでいただきたいということを特に申し上げておきたいというふうに思います。  そこで、いよいよきょうあすから始まるわけでありますけれども、市場開放の問題についての今後の日程についてはどういうことになるのか、ガット協議と牛肉、柑橘交渉の今後の段取りはどのようになっているのか、その見通しなども含めてひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  79. 塚田実

    説明員(塚田実君) お答えいたします。  ただいまお話ありましたように、日米農産物協議、けさ十時から開始されておりまして、私中座してまいったわけでございますが、今後の日程というお話でございますけれども、御案内のように、農産物貿易問題に関する日米間の意見の相違というのは相当大きなものがございます。ですから、そういう意味でその協議も難航することは、私としては間違いないというような印象を持っておりますけれども、何はともあれ今後のことにつきましては、きょうあすのこの協議の結果の成り行きを見て考えていくということになるのではないかというように思っております。  なお、交渉ではございませんけれども、来週月曜、火曜と日米の貿易委員会が東京で開催されることになっております。まあ、これは意見の自由な交換という場でございまして、交渉ではありませんけれども、まあしかし農業問題というのも議題になっておりますので、そこでまた意見を交換する機会もあるというふうに思っております。  ガット協議の話につきましては、米側とは昨年の七月と九月にジュネーブにおいて協議したところでございますけれども、この問題についての成り行きも、今回の協議あるいは来週の貿易委員会等の成り行きを見て検討するということになろうかというふうに考えております。  以上でございます。
  80. 菅野久光

    ○菅野久光君 まあいずれにしましても、この問題は先ほど申し上げましたように日本農業の死活にかかわる重要な問題でありますから、それだけに大変御苦労も多いことだとは思いますけれども、ひとつ体を張ってがんばっていただきたいというふうに思います。特に、大臣は運輸政務次官時代に起きた四十五年の「よど号」のハイジャック事件で、体を張ってがんばられた、そういう経歴の持ち主のお方でございますから、この農産物交渉についても「よど号」以上にひとつ体を張って、日本の農業、日本の農民を守るためにひとつがんばっていただきたい、そのことを申し上げて農水関係質問を終わらせていただきます。忙しいところをどうもありがとうございました。  続きまして、開発庁の関係でお尋ねをしたいと思いますが、大臣、御就任になりましてから、北海道開発庁の長官として就任早々、一月の六日、七日と北海道へ出向かれて、直接現地を視察され、また横路知事を初め地元関係者からも陳情を受けられ、そして懇談の機会なども持たれるなど、本当に精力的に行動されたことに対しまして、私も北海道選出の議員として心から感謝を申し上げますとともに、道民も大臣の御就任を心から歓迎をし、大臣の政治手腕に大きな期待をかけているということを冒頭申し上げておきたいというふうに思います。  北海道は、御承知のように東北六県と新潟県を合わせた広大な面積を有しているわけであります。そして、明治以降開拓されたということから歴史的にも日が浅くて、本州各県と比べて多くの面で立ちおくれが目立っているのであります。加えて、積雪寒冷地ということから、道路一つつくるにしても凍上のことなどもあって、地域によって差はありますけれども、路床を六十センチから百十センチぐらい掘って砂利を入れなければならないなど経費が本州とは比べものにならないくらいかかるわけであります。今日まで毎年多額な国費をつぎ込んで北海道の開発に当たっていただき、港湾とかあるいは空港、道路等の設備も逐年充実されてきております。それだけに北海道開発庁の持つ役割りはいよいよ重くなってきているわけであります。  そこでお尋ねをいたしますが、まず最初に、臨調は昨年、国土庁などの統合を打ち出して、政府方針ではさらに検討するということになっておりますけれども、長官としてこの問題にどう対応されるおつもりか、ひとつ所信をお聞かせいただぎたいというふうに思います。
  81. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 御質問の北海道開発庁の三庁総合の問題でございますが、昨年の五月二十八日閣議決定、新行革大綱。これに沿いまして、この問題をいろいろ話し合っていくという協議の場を設置をすることになっております。まあ、そういう意味から特殊性がありまして、沖縄も御承知のように、あるいは北海道も国土庁もいろいろ特殊性がありますから、そういう意味で意見を交換する、意見をよく詰めまして、またいろいろな知識階級の方——知識階級と申し上げては大変あれですが、これに大変権威のある方々の意見をもここへお聞きをしながら対処をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 まあ、意見を聞きながらという、臨調の関係もいろいろあるんでしょうが、長官としてやっぱり北海道の特殊性というものを十分御認識になっておられるわけでありますので、そういったようなまだまだ北海道にとっては非常に開発庁という役所が何としても必要だという立場については十分御理解なさっているのではないかというふうに思いますが、その辺のひとつ御認識のほどをお伺いしたいというふうに思います。
  83. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 新春早々北海道にも行ってまいりました。それから各種いろいろな方々の御意見もちょうだいしてまいりました。やはり開発庁、これはまだまだ将来において必要である、こういう認識を深めていることは事実であります。いま申し上げましたのは、そういったことを統合するためとちょっと勘違いした意見を発言したかもしれませんが、こういう新行政改革の大綱が決定されたということでありますから、そういう話し合う場をつくっていくことが大事であろうと申したことであって、結論は北海道開発庁は将来においても大変必要な庁である、こういうふうに受けとめております。
  84. 菅野久光

    ○菅野久光君 大変北海道開発庁の重要性について御認識をいただいていることについて私も感謝をしたいというふうに思います。  ところで、全国的には景気については上向きだというふうに言われておるわけですけれども、北海道はいまだに沈滞したままで、景気を浮揚させるためにはどうしても公共事業に頼らざるを得ないというのが北海道の実情であるというふうに私どもは考えているわけであります。それだけに公共事業の持つウエートというものは大きいわけでありますが、このことについて長官どのようにお考えでしょうか。ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  85. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) やはり北海道は産業の基盤が弱いと申しますか、こちらの方については大体景気が上向きつつあると言われておりますし、事実中小企業の設備投資等々見ましても上向きつつあるというふうに考えております。ただ、北海道の場合はまさしく雪も多いということもあるのかもしれません、現在は。しかしながら、それとこれとは別ですから、確かにこちらの方と相当おくれておるというそういう感じがひしひしと私にも考えられます。そういう意味からやっぱり何としても景気問題というのは民間活力と申しますか、こういったことを大変重要視しなきゃならぬ、その反面にやはり政府の持てる政策というのは何としても公共事業に待つことがきわめて北海道の場合は多い、私はこういうふうに考えております。そういう意味で、補正予算等々についてもこれは何としても全額の獲得をしなきゃいかぬ。それからまたもう一つ来年度の予算についても全く厳しい状態であることは私も認識いたしておりますが、しかしながら、北海道に限っては何としてもやはり上乗せをしなきゃならぬ、こういう形で全力を尽くさなきゃならぬということと、もう一つはやはり住民のサイドに立って、公共事業を配分する場合でも心と心の触れ合いというか、地域住民の側に立ってもっときめの細かい配分の仕方がないだろうかと鋭意努力をいたしております。できるだけ公共事業問題については真剣に取り組むということよりかは、むしろ減らしてはならぬと、こういう決意で臨んでおります。
  86. 菅野久光

    ○菅野久光君 公共事業の確保の問題についての決意のほどを聞かせていただきました。ぜひがんばっていただきたいと、このように思います。  また北海道においては、長官もおいでになっていろいろな場で陳情なども受けられて御存じのように、今日まで港湾とかあるいは空港等についてはかなり整備されてきておるわけでありますけれども、何といっても一番おくれているのが国土開発幹線自動車道であります。法定延長に対する供用率が全国四五・二%に対して北海道はわずかに一二・七%、百三十キロという状況であります。このことについて長官のお考えがあればぜひお伺いいたしたいというふうに思います。
  87. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 全くおっしゃるとおりです。空港も、あるいは港湾、その他は順調にいっているというふうに私は思っておりますが、ただ一番目につくのが特にいまおっしゃっておるような高速道路じゃないかと思いますね。一千キロの中で百三十キロ。全体を見ましても、伸び率においてもきわめて低いわけです。  そこで、どういうところにこの原因があるのかなというと、出発点から北海道はおくれておるわけですね。北海道の方が、いろいろな経済性の問題とか、あるいはいろいろなことを考えたのか、整備計画そのものがやはり北海道はおくれておるわけです。しかし、こういうときでありますから、こういうふうに景気が悪いですから、そういう意味から、経済の動脈というか、あの高速道路をやはり早急に完成をさせていく必要がある。もちろん採算ベースを考えますから、どうしても役所側では足踏みをする嫌いがある。料金をちょうだいするんですから。しかしながら、それを考えておるといつまでたっても千キロのところを百三十キロですから、そういう意味ではそのことも頭の中に入れなければならぬけれども、北海道開発庁までつくってそうして取り組んでおるというこの姿をもう少し全体にまじめに考えてもらう必要があるのではないか。こういう意味で、特に高速道路は目につきますから、その目につくところへ力を入れていく必要がある。いかに金を投じても目につかぬところもありますから、そういう意味で百三十キロ、いままでの伸び率に加えて今度が多少伸びたということになれば、北海道選出の各先生方もよく今度は本気になって取り組んできたぞ、あるいはまた、私もそうして応援をしてもらうことによって大変この問題について、うんなるほど、みんなとよく一緒になって一番望んでおる高速道路について真剣になったということは、これはとりもなおさず私は心と心の触れ合い、涙のある政治、こういうことになっていくのではないかと思いまして、これには真剣に取り組んでおりますし、また真剣に取り組もうという決意であります。
  88. 菅野久光

    ○菅野久光君 真剣に取り組んでいくという決意をお聞きいたしました。北海道はいろいろな意味でおくれが目立つ部分があるわけですけれども、きのうは運輸省関係で赤字ローカル線、地方線については割り増し運賃制をやる、そんなようなことが来年度予算の中で考えられているようでありまして、同じ国民として税金を払いながら、同じキロを乗ってよけい運賃を払わなけりゃならぬ、そうして道路の整備はまだしっかりなされていない、これはやっぱり政治としては大きな問題で、政治はやっぱり国民に対してある程度平等な恩恵が与えられなければならないというふうに思うわけであります。そういう意味で、北海道の開発については、このおくれている部分に日を当てるということが、今日の政治にとってきわめて大事なことだというふうに私どもは考えておりますので、そういう意味で長官としてもひとつ一層の御努力をしていただきますように心からお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  89. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時開会
  90. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産省建設省、北海道開発庁、国土庁農林漁業金融公庫住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  91. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 農林水産省にお尋ねをいたしますが、その前に新農林大臣がことしの年頭会合で、農産物の需給の不均衡、労働力の高齢化、行政改革の要請、諸外国からの市場開放要求など、農業は厳しい状況下に置かれているが、あくまでも日本の農業を守る立場を堅持し、適切に対処していきたいと、このようなごあいさつをある会合でなさっておられるようでございますけれども、私もまことに同感でございますので、どうぞ大臣のお力でがんばっていただきたい、このことを一つ申し上げておきたいと思います。  私は、本日、日本の農業の基本とも言われる稲作、そして国民の基幹的な食糧である米の問題について種々お伺いをいたしたいと思います。  まず、五十八年産米の作況についてお知らせくださいませ。
  92. 井上喜一

    説明員井上喜一君) お答えいたします。  昭和五十八年産水陸稲の収穫量は、水稲で千三十万八千トン、陸稲が五万八千三百トン、合計いたしまして千三十六万六千トンでございまして、前年より九万六千トン、比率にいたしまして一%の増加でございます。水稲の作柄は作況指数九六でございまして、やや不良でございます。そういうことで五十五年以降四年連続いたしまして平年を下回ったということになります。  この原因でございますが、東海、近畿、四国地方では平年並みないしは平年を上回る作柄となったわけでございますが、北海道の冷害を初めといたしまして、その他の地域でも、特に豊熟期の低温、日照不足あるいは台風の被害、また紋枯れ病とかウンカ等の病虫害が多発いたしましたこと、さらに夜間が高温に経過をいたしましたことなどによりまして豊熟が阻害されたことでございます。陸稲の作柄は、九州では干害それに病虫害の多発があったわけでございまして不良となりましたが、その他の地域では干害等の発生が少なく生育、豊熟とも順調でありましたために、作況指数は一〇六の良でございます。
  93. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いまのお答えで作況指数九六、やや不良、四年連続不作ということでございますけれども、かつて三年連続不作のときに異常だということが言われましたけれども、この四年連続不作という事態についてどんなふうな把握をしていらっしゃるのか、いまその不作の原因についてあらあらおっしゃいましたけれども、もう少し丁寧にお話しいただけませんでしょうか。
  94. 小島和義

    説明員(小島和義君) ただいま統計情報部長から申し上げましたとおり、昨年の場合にも作況指数が一〇〇を下回りました主な要因は、これは技術的な問題ではなくて、むしろ気象的な要因であるというふうに理解をいたしております。昭和五十五年が作況指数で八七、五十六年、五十七年、五十八年が続けて九六ということになっておるわけでありますが、各年につきましてその気象的な状態を分析いたしますと、昭和五十五年の場合には北日本の冷害、西日本の長雨、風水害。それから五十六年の場合で申しますと、北日本の冷害と風水害。それから五十七年の場合には、東北、関東を中心とする冷害、風水害。五十八年につきましては先ほど統計情報部長が申し上げたような要因があるわけでございます。  ちなみに、昨年の場合作況指数七四と全国で一番低い北海道は、その前年五十七年の場合には作況指数一〇五ということになっておりますし、昨年作況指数一一一と最も高い指数を出しました高知県は、前年の五十七年は九五ということでございまして、これをもって見ましても、その地域における気象条件が一番大きく影響しておる、これは紛れもない事実でございます。しかしながら、一般的にそういう気象の悪い中ではございますけれども、農家の努力によりまして相当高い収量を上げているという事例もあるわけでございしまして、近年の兼業の進行あるいは担い手の高齢化といったことが作業の粗放化あるいは農家間の技術格差の拡大につながりまして、こういった気象の悪い条件のもとで作柄の低下を助長しておるというふうな面も否めないと存じます。  以上申し上げましたようなことが今年、最近の作柄についての要因だというふうに把握をいたしております。
  95. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私ども農業の問題にいささかかかわる立場の者としては、いまのお答えのかなりのウエートを、気象条件の理由というふうに位置づけてこの不作をおっしゃっておるようでございますけれども、私どもが考えますのに、その不作の根底には、異常気象の問題だけではなく、かなり、農業の技術低下の問題、あるいはまた減反政策による米増収の意欲低下、あるいはまた農業の兼業化あるいは高齢化に伴う労働力の問題、あるいは機械化、科学化の振興に伴う土地そのものの問題、苗そのものの問題、こうした課題を挙げていけばかなりしさいな課題があるというふうに私は思います。そして、こういうふうなことは、人為的あるいは構造的な原因として私は考えてみたいというふうに思うんですが、この点いかがでございましょうか。
  96. 小島和義

    説明員(小島和義君) 私どもといたしましても、不作の主な要因が気象要因であるということは考えておりますけれども、こういう事態のもとでも、基本技術の励行等を通じましてある程度克服し得る、こういう余地のある問題であるというふうに考えております。  ちなみに、昨年作況指数で申しますと九六ということでございますが、実際にとれました十アール当たりの単収、これは四百五十九キロということになっておりますが、これは十年ぐらい前、たとえば昭和四十七年におきまして実収が四百五十六キロということで、その時点におきます史上最高の単収でございました。昨年は、不作ということながら、その四十七年時点における史上最高の水準を上回る実収を上げているということは、気象の厳しい条件のもとにおきましても、技術的な対策によって相当程度克服してきて、かなりな高い数字を上げている、こういうことのあらわれでございます。しかしながら、需給計画等に織り込んでおります平年作には到達しなかったということでございますので、今後も将来に向けまして、より一層稲作技術の向上、それから農家の取り組みの推進ということを通じまして、作柄安定に努めてまいりたいと、かように考えております。
  97. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いまのお答えの中にありました技術的な問題あるいは農業の構造的な問題、こういうふうな原因を踏まえて、将来の稲作づくりにどんな基本的な方針を持っておられるか、大臣お新しくなられましたので、大臣からひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  98. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 私としましては、米は国民の主要食糧であるので、その生産の安定を図ることは何よりも重要であるというぐあいに認識しております。  四年連続不作は、基本的には稲作期間における天候が不順であったということが起因するものであると考えてはおりますが、しかしながら一部では栽培管理の不徹底等により、異常な気象条件のもとで被害が助長された面がございます。これらを考えますとき、就任以来機会をとらえて米の安定生産を確保するための、実はたくましい稲づくり運動というのを提唱してまいったところでございます。一月十八日ですか、地方公共団体、農業団体、これらの最高幹部の皆さんと相談いたしまして、この運動を展開するということで官民一体でひとつやっていきたいということになったわけでございます。今後はこの新稲作運動を軸にして、村々に稲作改善の機運を盛り上げ、基本の技術の一層の励行等を通じて作柄の安定向上に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  99. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大いに期待をいたしておりますのでよろしくお願いいたします。  ところで、ことしの米の需給計画がどうなっているのか、これについてお伺いいたします。
  100. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) お尋ねの五十九米穀年度におきます需給でございますが、まず需要の方は、私どもいろいろと検討いたしまして一千五十万トンと見ている次第でございます。  他方、供給面でございますが、先ほど統計情報部長からお話し申し上げたように、五十八年産米、これが約一千三十七万トンでございます。これに加えまして、前年産米の持ち越し、これが十万トンございます。それに五十三年産米、これも十万トンから十五万トン引き続き売れる見込みでございますので、供給総量といたしましては一千六十万トンの供給総量があるというふうに考えております。  したがいまして、五十九米穀年度末、つまりことしの十月末でございますが、五十八米穀年度と同様、大体十万トン程度の五十八年産米を持ち越して、六十年に移っていくというふうに考えている次第でございます。
  101. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その五十九米穀年度需給見通しを私も手元に資料としていただいたのですけれども、まずその一点は、五十八年十月末持ち越し十万トン、このことですけれども、この五十八年十月末に十万トン持ち越したというこの米は、五十七年産米の米でしょうか。
  102. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) そのとおりでございます。
  103. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは、その他というところの十ないし十五万トンの分でございますけれども、これは超古米に当たる五十三年産米を充てるということでしょうか。
  104. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 現時点で五十九米穀年度の見通しといたしまして、供給量中その他ということで考えております十ないし十五万トンというのは、五十三年産米を考えております。
  105. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、五十八年産米生産量を一千三十七万トンと踏んでおられますけれども、この中に私かねがね昨年秋あたりから、昨年の端境期の状況をいろいろ耳にいたしておるわけでございますが、端境期にかなり厳しい状況があったために早食いがあったというようなことを耳にいたしておるわけですけれども、この一千三十七万トンの中にそれを含んでいるのかいないのか、この点いかがでしょうか。
  106. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) これは、米穀年度の考え方から出てまいるわけでございますけれども、年度内における新米の売却というのは例年あるわけでございまして、主として自主流通米を中心にいたしまして、五十万トン程度は毎年早食いをしているわけでございます。五十八米穀年度におきましても、都道府県別あるいは品質別の需給操作を円滑に行うという観点から、政府米も含めまして早食いをしているわけでございまして、その量は先ほど五十万トン通年の例と申しましたが、これよりもやや多目ということはございますけれども、決して非常に大きな早食いをしているという状況ではございません。したがいまして、お答えといたしましては、一千三十七万トンの中に入っているというふうに申し上げます。
  107. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういたしますと、私素人の計算なんですけれども、供給量の一千六十というのの数合わせをするためには、その二十七、二十を千三十七から引いておかなくてよろしいのでしょうか。
  108. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 先ほども申し上げましたように、毎年約五十万トンぐらいの早食いをしておりますから、つまり毎年毎年その程度の量が早食いの状態で翌年に持ち越されているということなので、ある年だけを引きますとかえっておかしな状態になります。つまり、その状態はあらかじめ織り込み済みで需給の計算がなされているというふうにお考えを願いたいと思います。
  109. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 数字合わせのようなことをお伺いして大変恐縮なんですけれども、こういう需給計画を細かくお伺いする理由は、昨年の需給状況ということをどんなふうに認識しておられるかという問題にもかかってくるわけでございます。  私どもは、昨年九月、大消費地の米の卸売業者の倉庫はほとんど空の状況が続き、頼みの新米も東北、北陸の収穫が雨でおくれにおくれて食糧庁をあわてさせたというようなことを聞いております。また、その間食糧庁の指揮のもとで、各食糧事務所や農協が協力をして、産地倉庫に残っていた五十七年産米をかき集めた、あるいはまた農協の保有米をかき集めて消費地に緊急配備した、あるいはまた取れた新米は水分率など基準値以上あっても検査そこそこに消費地へ直送した、あるいはまた足りない分は超古米、五十二年産米でこれを穴埋めしたというふうな状況をいろいろと聞いております。  確認の意味でお伺いをいたしますが、昨年の端境期このような事態があったのでございましょうか。
  110. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 昨年は三年連続不作という状況でございまして、お米のとれ高も五十七年産米一千二十七万トンという状況であったことは事実でございます。したがいまして、決して楽な需給操作をやったというわけではございません。しかしながら、当然適正集荷ということに努めまして、集荷団体から不正規米の流通の防止という意味も含めまして、農家の方々から適正に集荷をするということに相努めました次第でございますし、また検査も的確にやるということをいたしました。さらに、需給操作につきましてもかなりきめ細かな操作をいたしまして、その結果、消費地のどこにも不安のないそういう状態で五十八米穀年度を越したということでございます。
  111. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、私が先ほどの数字合わせを素人ながら一生懸命しながら考えてみたのは、ことしの端境期にこんな事態が起きては大変だというふうに思ったからでございますけれども、その点もう一度確認さしてください。
  112. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 五十八年産米につきましては、当初私どもやはり在庫の積み増しということが必要であるというふうに考えまして、実は転作の目標面積、本来でございましたら六十七万七千ヘクタールをいたすべきところでございましたけれども、これを六十万ヘクタールに軽減をいたしまして、そして五十八年産米の生産に当たったわけでございます。ところが、先ほどからお話がございますように、冷害等の事情によりまして作柄がやや不良、作況指数九六ということに相なりまして、その結果の生産量は、先ほどから繰り返して申し上げておるように一千三十七万トンという形に相なったわけでございます。  そこで、五十九米穀年度の供給の量でございますが、ただいまの一千三十七万トンに加えまして、前年産米の持ち越し十万トン、これに先ほどから申しております五十三年産米が引き続き十ないし十五万トン売れるということでございますので、一千六十万トンの供給は可能だと。したがいまして、先ほど申しましたように、需要が一千五十万トンでございますから、五十九米穀年度末には十万トン程度の在庫を持って次の年度に引き続いていけるだろうというように考えているわけでございます。ただ、その場合におきましても、五十八年と同じようなきめの細かな需給操作、これは必要だろうというふうに考えておるわけでございます。  さらに、端境期の状態であるいは不安があるのではないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、毎年十月末までには新米が大量に入荷いたしてまいりまして、政府米で大体二百万トン、それから自主流通米で百五十万トン以上は集荷されるという形になっておりますので、五十九米穀年度の端境期における需給に問題はないというふうに考えております。  ただ、一言申し上げておきたいことは、さような状態の在庫水準が適当であるかどうかということにつきましては、私どもやはり十万トンの在庫水準というのは低い在庫水準であるというふうに考えておりますので、これからこれを積み増していくということが必要であろうというふうに考えております。
  113. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 五年目の気象異常があるというふうに考えたくはございませんけれども、もし五年目の気象異常にかかったようなときに一番功を奏するのがこの超古米、五十三年産米だというふうに私思いますけれども、この五十三年産米はいまどのぐらいあって、その中で主食として本当に使えるもの、これがどれほど確認されているのか、このことをちょっとお伺いしたいと思います。
  114. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 十月末現在で約八十万トンございますけれども、私ども、主食用に供せられるお米としてはことしの十ないし十五万トンというのが適当な売れる量であるというふうに考えているわけでございまして、基本的には私ども本年度をもちまして過剰米の処理は終わりたいというふうに考えておる次第であります。
  115. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 本年五十九年度から米作の第三期対策が始まるわけでございますけれども、その三期対策がスタートするに当たって、片やいま幾つかのお答えがありましたように、米の不足の状況もいささか要因としてあるという状況の中で、この三期対策の減反政策、これをそのままお進めになるのかどうなのか。水田転作六十万ヘクタールを前提にして考えられておるようでございますけれども、この点どうなんでしょうか。
  116. 小島和義

    説明員(小島和義君) ただいまの日本の水田面積、これ全部を仮に米をつくるということになりますと、気象条件が平年どおりであったといたしまして千三百七十五万トンぐらいの米ができるわけでございます。実際の消費量は千何十万トンというふうな台でございますから、仮に水田利用再編対策のようなものが行われなかったといたしますれば、三百万トンを超える過剰が毎年発生をする。数年を出ずして古米の山を築くということになるわけでございまして、過去におきましてもそういう苦い経験を有しておるわけでございます。その意味におきまして、水田利用再編対策のような米を計画的につくっていくという対策は必要であるというふうに考えておりますが、先ほど来食糧庁長官から申し上げました需給事情なども考慮をいたしまして、三期対策の枠組みをつくります際には、この潜在生産量の見方なりあるいはその必要とする米の重なりにつきまして、いろいろゆとりを持って計画を立てておるわけでございます。具体的に申しますならば、主食用として今後三年間、三期の間の三年間に見合う米穀年度の主食用消費量は千四十万トン程度というふうに見ておりますが、つくります方の米は、在庫積み増し分を含めまして千八十五万トンというふうに見ておるわけでございます。そのほかに別途主食用以外の加工用などに充足いたします米を、その外枠でさらに三十万トン程度考えるというふうなことも予定をいたしておりますので、三期対策の全体の枠組みといたしましては、今後起こり得るいろいろな事態に対処し得るような計画になっておる、かように御理解いただきたいと存じます。
  117. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 主食用一千四十万トン、それから積み増し量四十五万トン、合わせて一千八十五万トンという数字でございますけれども、この単収を幾らに計算していらっしゃいますか。
  118. 小島和義

    説明員(小島和義君) 平年単収をどう見るかというのは大変むずかしい問題でございまして、統計情報部の方で先ほど来お話ございました作況指数を出しますもとになりますいわゆる平年収量、これはその年の三月に統計情報部の方で決定をいたすわけでございます。ただ、私どもの方で扱っておりますやや中期の需給計画、いわゆる三カ年間の計画づくりということになりますと、毎年毎年の平年収量の決定を待ってというわけにまいりませんので、三年分を一括して見通しておるわけでございます。その三年分の収量がどういうふうに変わるかということにつきましては、昨年の、つまり五十八年の平年収量、これが四百七十八キロということでございますが、それがその三年間に毎年二キロぐらいずつ増加するだろうというふうな想定のもとに、三年の平均値と申しますか、年央値と申しますか、それで実は四百八十二キロ、これを潜在生産量計算の基礎にいたしておるわけでございます。ただ、御高承のように、六十万ヘクタールほどの転作を実施いたすわけでございますから、転作をする水田も含めて考えるということになりますと、これまでの傾向から転作田はどちらかというと生産力の低い水田において転作が行われるという傾向がございます。したがいまして、転作が行われなかった場合の平均収量はどうかということになりますと、三年間の平年収量よりは若干低目になるということで、先ほどお答え申し上げました潜在生産量千三百七十五万トンの基礎といたしましては、それより一キロ低い四百八十一キロということをベースにして考えておるわけでございます。
  119. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 五十五年が四百十二、五十六年四百五十二、五十七年が四百五十八、五十八年私は四百五十九というふうに調べておりますけれども、この単収から見て四百八十一というのは甘い読みではないでしょうか。
  120. 小島和義

    説明員(小島和義君) この平年収量はお天気のぐあいが過去の平均的な状態であったとすればどれぐらいとれるかという数値でございます。したがいまして、豊作が続きました時点におきましては、平年収量の見方が渋過ぎるのではないかというお小言をちょうだいする場合がございます。数字で申しますと、過去、昭和五十三年のときにおきましては四百六十キロというふうに見ておりましたが、実際には四百九十九キロとれたわけでございます。その翌年、平年収量を六キロ上げまして四百六十六キロというふうに想定をいたしましたが、実際には四百八十二キロとれた、こういうふうなときには、平年収量の見方がどうも渋過ぎるというお小言をちょうだいいたすわけでございます。  逆に、先ほども申し上げましたような、気象状態が悪くて不作が続いたという場合には、平年収量の見方がどうも過大なのではないか、こういうふうな見方をされる場合が多いわけでございますが、この平年収量と申しますのは、気象条件が普通であった場合にはこれぐらいとれる、これが物事を考えます場合のいわばスタートラインということになるわけでございまして、実際の豊凶変動にどう備えるかということは、いわば需給計画の世界でどこまでゆとりを見て考えるか、こういう問題になるわけでございますので、先ほども申し上げましたように、三期対策の需給の枠組みの中におきましては、別途いろいろ余裕を見て考えておる、かように御理解いただければよろしいわけであります。
  121. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、四十五万トンの積み増し量、この実現の可能性、この辺のところの見通しはいかがでございましょうか。
  122. 小島和義

    説明員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、三期対策の枠組といたしましては、六十万ヘクタールの生産調整を行い、残りの田んぼにおいて平年作程度のものはとれるということになりますると、計算上四十五万トンの余剰が出てまいりまして、それが食管特別会計における在庫という形で在庫が多少ふえる、こういうふうな計算になっておるわけでございます。  最終的には気象要因にかかわるわけでございますが、私どもといたしましては、生産面の指導の徹底を通じまして、ぜひともこの数字に近づけるような生産を行いたい、かように考えております。
  123. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その御指導、ぜひ徹底していただきたいというふうに思います。  三期対策等についてはまだたくさん伺いたいこともございますんですが、きょうは需給問題だけにしぼって実はこの三期対策をちょっと出したわけでございますが、いずれにいたしましても、十年がかりで計画されている水田再編の第三期目に当たる大事な年に当たっておりますし、またもう一つは、昨年の私どもが大変心配をいたしました米の安定供給というふうな事柄があわせて私の頭の中にあるもんですから、非常にこういう問題が気になってくるわけでございます。お米の問題というのは、一歩間違えば社会的な大きな動乱にもつながりかねない要因を持っておりますので、この需給関係の確かな見通し、そして施策、こういうものを、ぜひ真剣に取り組んでみていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、この点いかがでございましょうか。
  124. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 昨年、五十八米穀年度におきましても、私ども、消費者の方々に不安が絶対ないようにということを考えまして、国民食糧の安定供給ということが食糧管理制度の最も重要な責務でございますから、さような意味で万全の操作を期したつもりでございますが、五十九年におきましても、五十八年の経験を踏まえまして、食糧管理制度一これはいかなる需給の状態におきましても安定的に国民に食糧が供給できるという体制を敷きますために二年前に改正されたばかりでございます。さような食管法の目的ということも十分に踏まえまして、国民の方々に御不安のないように万全の操作をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  125. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 次に消費者米価のことについてお伺いをいたします。  去る十三日、米審を通して消費者米価三・七六%の値上げが決定になったわけですけれども、このたびの値上げの理由はどういうところにございますでしょうか。
  126. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 今回の消費者米価値上げにつきましての米価につきましては、近年その縮小に努めているもののなお相当の売買逆ざやがございます。実は臨調答申におきましてもその早期解消を強く求められておること、そしてまた米の管理に伴う財政負担、これは管理経費の合理化等その節減にもずいぶん努力してきたもののなお相当の額に達するものと見込まれること、またこの消費者米価につきましては、消費者の家計支出に占める米支出の割合は引き続き低下しており、消費者物価も基調として落ちついているとの状況を勘案し、消費者家計の安定及び物価への影響に十分配慮しながら、逆ざやの一部を是正するとの考え方に立って行ったものでございます。
  127. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 このたびの値上げが国民生活の家計の上にどのくらいの影響をもたらすというふうにお考えでしょうか。
  128. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ただいま大臣からも御答弁ございましたように、実は消費者の家計支出に占めますところの米の消費の割合は引き続き低下をいたしておりまして、昭和三十五年ごろですね、全家計支出に占めておりますお米の支出、これは九・五%、約一割近かったわけでございます。ところが、これが最近は二・五%というぐあいに非常に低くなってきております。このような状況のもとで、一方で消費者物価の方につきましても、最近一年間とりますと一・九%ぐらいの消費者物価の上がりということでございまして、このような状況を踏まえまして私どもとしましては、この間米価審議会に御諮問をいたしました数字、つまり六百四十円、三・七六%の引き上げということで最小限度のお願いを逆ざや解消のためにお願いいたしたわけでございますが、その影響は一世帯一カ月二百八円程度の支出の増と、それからまた消費者物価への影響が〇・一一%といったようなところであるというふうに考えましてこのようなお願いをし、御答申をいただいたという次第でございます。
  129. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 各種の公共料金値上げの予定がある中で、私は消費者米価の値上げというのは二百八円云々で済むというふうには考えておりません。それは単なる家計の中の米代ということだけで試算をされているのかというふうに思いますけれども、外食費の伸びもありますし、あるいはまた米菓等への影響もございますでしょうし、関連物価へのはね返りを考えるとき、二百何円云々ということで済むものではないというふうに私は思い、大変遺憾に思っているわけでございます。  ところで、昨年の七月、生産者米価一・七五アップ、この折に中曽根総理大臣とそれから当時の金子農林水産大臣は、口をそろえて消費者米価には連動させないという約束をされたのでございますが、大臣このことを御存じでしょうか。
  130. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 前金子大臣が昨年の生産者米価決定の際の、いわゆる消費者米価には連動させないということをおっしゃったことを、実は農林大臣就任直後に事務当局よりこれは説明を受けております。  今回の消費者米価決定に当たりましては、そのような経過も考慮しましたが、一方食管会計の現状から売買逆ざや縮小の必要性があることにかんがみまして、消費者家計及び物価への影響にも十分に配慮しながら、今回の消費者米価の必要最小限の引き上げを行うとしたものでございまして、継続性を考慮した点につきましてはひとつ事務当局から御報告さしていただきます。
  131. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ただいま大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、御質問のような経緯にあったことは、大臣御就任になりました直後に私ども事務当局の方から御説明申し上げた次第でございます。そのような経過も十分踏まえながら逆ざやの解消、それから食管運営の状況、それから厳しい財政事情いろいろ考えていただきまして、やはり最小限度の引き上げを必要であるという御判断、御決断をいただいたわけでございますが、その際に従来からの継続性という点も十分考慮したわけでございまして、実は今回の引き上げは六十キログラム当たり、先ほど申しましたように六百四十円、三・七六%の引き上げということになっております。これは昨年の生産者米価、つまり一・七五%生産者米価を上げたという状態のみならず、実は一昨年の生産者米価の引き上げの前から存在しておりました逆ざや、これは四・二%でございます。この四・二%を前提にいたしまして消費者家計及び物価への影響にも十分配慮いたしまして決定したものでありまして、さらにまた、これは前回の引き上げ、つまり消費者米価の引き上げ額の六百四十二円も若干下回るという状況でございまして、このようなつまり一昨年の生産者米価の引き上げ前からの実は売買逆ざや、これの解消ということを前提にして考えたということでございまして、さような経緯から昨年の生産者米価の引き上げに連動させたということではないというふうに私ども考えている次第でございます。
  132. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 米価審議会でたしか改定時期を慎重にということが出たはずでございますが、これを二月十五日に定めた理由はどういうところにございますでしょうか。
  133. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 実は改定の時期は前回と前前回は四月から改定していたということは事実でございます。しかしながら、その前をさかのぼってみますると、二月の改定あるいは九月の改定というのが普通でございまして、特別の事情のありましたときに四月の改定というのを行ったわけでございます。と申しますのは、前々回の改定のときはかなり物価が高騰しているという状況でございまして、さような中で政府として全体の物価の上昇を抑えるという意味から、四月まで米価の引き上げを延ばすというそういう経緯がございました。それから前回の場合には、一年の間に二回引き上げという実は事態でございまして、さような点でやはり四月ということで特別の配慮をいたしたわけでございます。  しかしながら、今回の引き上げにつきましては、やはり改定の時期は原則の二九に戻りましても、特別に物価への配慮ということをするような事態ではございませんでしたので、二月の十五日ということで改定をさしていただくということにいたした次第でございます。
  134. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いずれにいたしましても、このたびの値上げは消費者へのツケ回しという結果になっているというふうに私は思います。  三・七六%の消費者米価がアップしたことによって、いまおっしゃられていたいわゆる売買逆ざや、これが三・四まで縮小されたというふうに思っているわけですけれども、このようになりますと、政府管理経費を含めた今度コスト逆ざやが大変目立ってくるわけでございますけれども、このコスト逆ざやについて臨調答申等も踏まえて長官どんな御意見持っていらっしゃいますか、取り組み等についてでございます。
  135. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 臨調の御答申では売買逆ざやを早期に解消せよという御答申でございまして、さような観点から今回も売買逆ざやの解消に努めるということで三・四%の売買逆ざやまでこれを縮小したということでございます。  しかしながら、この上にさらにいわゆるコスト逆ざやというのがあるのは御指摘のとおりでございますが、この点につきましては基本的にはやはり政府の管理経費、これは運賃であるとかあるいは金利であるとか、あるいは倉庫料とかその他人件費もございます。こういったものの軽減、合理化、それに努めていかなきゃならぬということは私ども最大の努力を払ってまいるつもりでございます。しかしながら、コスト逆ざやそのものを解消するということになりますると、これはやはり食糧管理制度というものが国民への食糧の安定供給ということを目的にいたしまして、直接に政府米を管理しているということもあわせまして、しっかりとお米を供給していくという体制をとっているわけでございまして、ここにやはりひびが入るといったようなことになりますとこれは大変なことでございます。したがいまして、コスト逆ざやにつきましてはやはり政府管理経費の縮小には努めてまいりますけれども、基本的にこの問題をどう取り扱うということにつきましては慎重に対応いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  136. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いずれまたこのコスト逆ざやについては集中的にお伺いをしたいというふうに思っておりますけれども、大臣のお時間等がおありになるようですので次に移ります。  最後に伺いたいのは、米飯学校給食の値引き率の問題が課題になっているというふうに聞いておりますけれども、この点の議論はどうなっているんでございましょうか。
  137. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 学校給食の米飯給食でございますが、この学校給食におきますところの米飯を提供するということにつきましては、やはりお米の長期の需給ということを考えてまいりますると、やはり消費の拡大に努めていかなきゃいかぬということで、このような目的にかなうものであるということが一つございますし、さらに加えまして基本的にやはり学童期の食習慣というものが将来のわが国の食生活に大きな影響を及ぼすということから、長期的視点に立ちましてやはり米飯を中心とした日本型食生活というものを定着していく、そのための誘導を図るというために非常に重要な役割りを持っていると思うわけでございます。  しかしながら、一方におきまして実はこの米飯給食につきまして実施校の比率がすでにかなり高い水準に達している、これは九五%くらいまで実施校がふえております。  さらに、財政負担が相当になっているということから、臨調の最終の御答申におきましてその助成の縮減ということを求められていることもまた事実でございます。私どもといたしましてはこのような学校給食用の米穀の販売価格の値引き問題、これが出ておることはただいま申したように事実でございますが、やはり米の消費拡大あるいは日本型食生活の定着といったような非常に大きな目的というものは十分に踏まえまして、一方におきましてやはり臨調御答申の指摘あるいは現下の厳しい財政事情といったようなことも考えまして、五十九年度の予算編成一きょう内示でございますが、この中で検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  138. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私はいささか学校行政にかかわっていた立場から申しますと、文部省の指導では米飯給食の回数を多くするよう推進策を進めておる、その支えになっているのがこの六〇%ないし七〇%の値引きが支えになっているというふうに私は思うわけでございます。  それからまた、一方農政の側から言えばある一時期米消費拡大の大きな役を、この学校給食現場が私は果たしてきたというふうに思うわけですね。そういうことも考えられますし また、学校現場を回ってみますと、子供たちは大変に米飯給食が好きでございまして、米飯のときには残菜がございません。  こういうことを考えあわせまして、どうしても現状のこの値引き、これを確保していただきたい、私はこのように思いますし、これはたしか米価審議会の特記事項にもあったというふうに私は思うんですけれども、そういう点踏まえてもう一度御返答をお願いいたします。
  139. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 確かにこの御要望につきましては、米価審議会におきましても多くの委員からお話がございまして、御答申の中にもその要望が盛られているということでございます。  さような御要望、また先ほどから申し上げましたような米飯給食の重要性ということにつきましては、私ども十分に念頭に入っているわけでございますが、さようなことも踏まえまして、さらに、また一方で臨調の御答申ということもございますので、そのようなところを十分に考えまして、五十九年度の予算の編成の中で考えてまいりたいというふうに思っております。
  140. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いまのところ見通しはどうなんでしょうか。
  141. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) きょう内示でございますので、これからの折衝でございます。まだ見通しを申し上げるには早いと思いますが、いまのような心組みでやってまいりたいというふうに思っております。
  142. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これが圧縮されて値引き率がもっと少なくなっていくという実情が出てまいりますと、それは結局受益者負担、父母負担というような事柄にもつながっていくというふうに私思いますので、農水省としてがんばっていただきたい、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  143. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) いま長官からお話がありましたとおり、私も最後までがんばってまいります。
  144. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは大臣、お時間もおありになるようですから、どうぞ退席して。ありがとうございました。  最後になりますけれども、先ほど午前中に社会党の同僚議員からも話が出ましたので、私から改めて申し上げることはないかというふうに思いますが、きょう、あすと日米農産物協議が行われると、先ほどちょっとテレビで見ましたけれども、始まっているようでございますけれども、これ非常に厳しい大変な事態にあるというふうに思うんですけれども、私ども公明党といたしましても安易な妥協のないよう忍耐強くこの交渉に当たっていただきたいというふうに思っております。  本当は、この問題について大臣からももう少し御所見を伺いたかったんですけれども、大臣お時間がおありになるということなので、私からはそういう要望を公明党も持っているということをお伝えいたしまして、私の質問を終わります。
  145. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 昭和五十二年の十一月に第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総が、おおむね計画期間を十年をめどといたしまして、大都市の膨張の抑制、地方の振興、定住圏構想を柱として作成されたのであります。これを基本として、国土開発政策が展開をされてまいりましたが、昭和五十六年五月の国土審議会の決定に基づきまして、同審議会の調査部会におきましては、約二年にわたり実施されてまいりました三全総のフォローアップ作業の結果、三全総策定後の人口の動向であるとか、あるいは産業構造、国民の価値観、生活の様式の多様化、さらには過密過疎の態様、土地、水など、国土資源のあり方などに広範な分野で注目すべき転機が生じていることが明らかにされたと伺っておるわけであります。  わが国における首都圏の役割りが大きいものであることは論をまちませんが、わが国の経済社会の発展のためには、今後とも首都圏が先導的な役割りを果たすことが期待をされておりまするし、こうした首都圏の整備は長期的に、あるいは計画的に実施する必要があると考えるものでございます。  そこで、まず第一に、国土政策の基本となっております全国総合開発計画についてお伺いをいたしたいと存じます。  国土庁は、四全総の策定作業に着手をされたと聞いておりまするが、現段階における策定に関する基本的な考え方はどのようになっているか、お尋ねをいたしたいと存じます。
  146. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいま全国総合開発計画の改定につきまして御質問がございましたが、われわれといたしましては、先般これの改定に着手いたしたばかりでございます。  三全総につきまして、そのフォローアップをいたしまして、いろんな問題点をここで検討いたしてきたわけでございますが、特にただいま先生のおっしゃいました大都市圏の問題等につきましても、今後、計画部会をつくりまして、いろんな角度から検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  基本的には三全総におきまして、地方定住の、あるいは定住問題を三全総に掲げたわけでございますが、この考え方につきまして、さらに引き続いてこれを基本的な理念といたしまして、なお新しい全国総合開発計画を検討してまいりたいというふうに考えております。
  147. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 ただいま概要について御説明をいただいたわけでありまするけれども、それでは少し的をしぼりまして、四全総の中で国土における東京圏の役割りというものについてどのように位置づけられようとしておられますか、この際お聞かせいただければ幸いと存じます。
  148. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 東京圏につきましては、これはわが国は大都市圏とそれから地方圏があるわけでございますが、特に東京圏は首都圏でございまして、わが国の経済あるいは国土の発展に非常に大きな寄与をいたしてきておるわけでございます。しかし、まだその東京圏におきましても、いろいろと過密問題等があるわけでございまして、これを今後是正をして、そして地方が均衡ある発展をするような対策をするという方向で進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  149. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 国土庁におきましては、現在、首都改造計画の策定というものが進められておるようであります。国土庁の大都市圏整備局の監修によります首都改造構想素案なるもの、私もちょうだいをいたしまして素読をさしていただきました。これを拝見をいたしますと、いわゆる世界史に例を見。ない、えらい過密な状態が増している。同時に、巨大都市化をした東京大都市圏を長期的あるいは広範的な視点に立脚をして総合的に改造をしていこうという構想が書かれておるのであります。一その大きなねらいは、拝見をいたしますと、一極依存型の現在の構造に対して、東京大都市圏を多極多圏域構造に構築をしていこう、この考え方が述べられております。たとえば二十一世紀初頭になりますると、東京というのを例にとれば、人口が三千三百万から三千四百万になるであろう。まさに東京の機能は麻痺するであろうとも実は言われておるわけであります。それだけにこの構想というのは二十一世紀に向けた首都圏の均衡ある発展を図る上できわめて重要な政策であると私も存じます。  そこでお伺いをいたしたいのでありますけれども、東京大都市圏における多極多圏域型の地域構造についてどのようにお考えになられておりまするか、具体的にお聞かせをいただければ幸いと存じます。
  150. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、二十一世紀にふさわしい大都市圏を構築するという観点から、一概依存型の都市構造を多核多圏域の都市構造にするということは最も必要なことだというふうにわれわれは考えております。  そういった観点から、先般、首都改造構想素案を発表さしていただいたわけでございますが、その中にもございますように、東京の周辺に業務核都市を育成する、その業務核都市をさらに骨格的な交通軸で結ぶ軸状開発を進めるといったような多核多圏域の都市構造に発展してまいるという考え方をとっておる次第でございます。
  151. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 従来、新市街地の開発は、首都圏を志向した放射線状に住宅地を開発するという手法がとられてきたのは事実であります。このことは、東京中心部の業務集積に一層の拍車をかけたり、あるいは放射方向に通勤、通学等の混雑を来した要因をつくったということも否定のできない事実であるというふうに思うわけであります。いま御説明がありましたように、今後は環状方向における軸状開発の展開、これは大変重要なテーマであろうと私は思います。  そこで、今後の東関東地域軸状開発構想につきまして、どのように具体的にお取り組みになるのか、お聞かせをいただければ幸いと存じます。
  152. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 先般、国土庁建設省運輸省等におきまして、五十六年、五十七年と東関東の軸状開発について調査をいたしたわけでございます。これは筑波の学園都市から成田に至る東関東におきまして、まず骨格となる交通軸を整備し、それと同時に新しい都市を開発する、これを同時一体的に開発していくというものでございます。民間活力を導入しながらこういった都市整備あるいは交通軸の整備というのを進めるわけでございますが、これの具体的な、特に交通軸とそれから新しい都市の整備と同時一体的にする手法につきまして、さらに国土庁といたしましては、建設省等とも相談、協議をしながらこの具体的について検討してまいりたいというふうに現在考えております。
  153. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 そこで、具体的な問題を一つ二つ取り上げてみたいと思うわけでありまするけれども、要するに東京大都市圏の今後の構想というものを推進をしていく上に、東側の整備計画というものが大きな要素を占めてくるであろう。そういった中で五十八年度から国土庁建設省、林野庁が千葉県南部地域について実施をしておられます房総地域開発整備計画調査、おやりになっていると思うんですが、このねらいと内容というものについてこの際お開かせいただきたい。
  154. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいまのお話ございました房総地域でございますが、この房総地域は特に南部の地域、あるいは房総半島の中央部にございます丘陵地帯、こういった地区はまだ開発がこれからさらに進められる地域、すなわち首都圏におきます開発のポテンシャルを持っておる非常に有力な地域でございます。この開発ポテンシャルをいかに生かしていくかということが、われわれ首都圏整備を進める上において非常に重要なものというふうに考えたわけでございます。また、この地域は各般の交通網の整備も進められる計画があるわけでございます。そういった観点から、建設省運輸省それから農林省、それに国土庁ということで、五十八年、五十九年というふうに二カ年で調査を進めるという予定にいたしておるわけでございます。
  155. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 こうした国の東京大都市圏構想の検討と歩調を合わせまして、首都圏東側の地域の各自治体においても、新しいグランドデザインとでも申しましょうか、自発的な動きが起こりつつあるわけであります。こうした新しい動きというものは、これからの新しい地域づくりであるとか国土づくりの上からもきわめて注目をすべきことでありまするし、政府におきましても重視をすべき問題であろうというふうに私は考えております。  そこで、首都圏の東側が今後重要な意味を持つという実は意味を含めて、いまお答えをちょうだいをいたしたと思うのでありますけれども、千葉県が昭和五十八年六月に公表をいたしました千葉新産業三角構想、これにつきましては先ほど私お示しをいたしました首都改造構想素案にも示されておりまするので御案内かと思うのでありますけれども、いわゆる成田空港の将来とも国際都市になるであろう成田、そして千葉、特に千葉は幕張、常設国際見本市の計画等があるわけでありますが、さらには東京湾横断道路の重要部分を占める木更津、この三地点を結ぶ新しい地域政策や産業政策のこれは動きであります。これに対しまして政府は基本的にどのような評価を現在お持ちになっておられますか。
  156. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいまの千葉県の新産業三角構想でございますが、先生おっしゃいましたとおり、成田の国際空港都市、それから幕張の新都心構想、それから木更津、君津を中心といたしました上総の新研究開発都市、この三つのプロジェクトを中心にいたしまして、その中に新しい先端技術の産業を導入し、千葉県の工業の高度化を進めるというふうにわれわれは認識をいたしておるわけでございます。  この構想につきましては、先ほど申しましたように首都改造計画における多核多圏域の都市構造にするということにまさに軌を一にいたしておるわけでございまして、われわれもこういった考え方についてその首都改造計画あるいは各般の計画に積極的に取り入れていきたいというふうに考えております。
  157. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 もう一つ関連をしてこの際お尋つをいたしておきたいと思うわけでありますけれども、東京湾横断道路の建設予定地となります木更津、君津地域、いわゆる後背地でございます。この地域に民間研究所の集積を目指す上総新研究開発都市構想なるものが千葉県においては現在進められておるわけでございます。このことも御案内かと存じます。かんがみまして、わが国の研究開発の七割というのは民間部門が担っていることも事実でございます。新しい民間研究開発機能の集積を目指しておりますこの構想、これは大変口幅ったいようでありまするけれども、先端技術産業を中心といたしましたいわゆる技術立国日本の水準をさらに高めていくきわめて重要な政策と考えられております。政府はこれらの政策に対しまして支援をするお考え方がありやなしか、お願いを申し上げます。
  158. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいまの上総新研究開発都市構想につきましては、現在千葉県の方でいろんな適地の選定あるいはプランの作成等をされておるというふうに聞いておるわけでございます。この地域は東関東自動車道の木更津線もいよいよ着工になるというふうに、開発の非常にポテンシャルの高い地域でございます。われわれといたしましては、五十八年度から始めました房総地域開発整備計画調査におきましても、千葉県のこの計画等を意見を聞きながら取り入れていくというように進めてまいりたいというふうに考えております。
  159. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 いわゆる首都圏の今後のあるべき姿を中心とする一連の構想の中で、このような地方構想一般につきまして政府としてはどういう見解をお持ちになり、またこれらの諸政策については積極的に御支援をされるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  160. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) いろいろとその地方公共団体におきまして地域の特性を生かしながら、創造的な特色のある計画をおつくりになっておるわけでございます。こういった計画につきまして、われわれといたしましては首都圏の整備に非常に役に立つというふうなものにつきましてはいろいろな計画、たとえば首都圏計画あるいは首都改造計画等の計画にも取り入れ、また実際に基盤整備につきましてもその関係省庁等にお願いし、あるいは協力してそれを整備するというような方向でいきたいというふうに考えております。
  161. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 大変くどいようで恐縮でございますけれども、ただいまのお答えの中で首都改造構想に即したというお話がございましたので、改めて再度お伺いをさしていただきますけれども、首都改造構想に即した構想計画と、いわゆる軸上開発の展開の上に立ちまして各関係自治体が策定した諸政策につきましては支援を惜しみなくいたしますと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  162. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいま申しましたように首都改造計画は現在東京都心に一極依存というような形を是正いたしまして、東京周辺の各地域に業務核都市を育成し、そして多圏域の圏域の構造にするというものでございまして、そういったその各地方におけるそういった構想につきまして、首都改造の観点からその必要があるものにつきましては積極的に計画に取り入れ、また基盤整備等についてもひとつ十分協力してまいるという所存でございます。
  163. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 将来とも首都東京の機能を円滑に推進するためには、東京大都市圏における多核多圏域型地域構造の構築を通して、二十一世紀に備えていかなければならないと存じます。同時にまた、首都改造構想における東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、これらの地域が有機的に相関関係にあり、東京大都市圏の構想の中で地域の発展と地域の住民の幸せの中で諸政策が実現されることが望ましいことは言うまでもございません。東京湾横断道であるとか首都圏中央連絡道路であるとか、あるいは北関東横断道路であるとか、こういった広範な都市圏の形成に資する特殊な幹線道路の整備はきわめて重要であります。  そこで、東京湾横断道路についてお伺いをいたしたいと存じます。  この道路は、昭和四十一年から調査をされてまいりまして、去る五十八年の五月の二十七日に道路整備緊急措置法によって閣議決定をされ、第九次道路整備五カ年計画、これを受けて作成をされました建設省説明資料によりますれば、期間内に調査を完了し、建設着手が位置づけられたものと私は承知をいた、しておるわけであります。  そこで、まず東京湾横断道路の今日までの進捗状況、さらには今後に残されている問題につきまして、この際お伺いをいたしたいと存じます。
  164. 沓掛哲男

    説明員(沓掛哲男君) 御説明いたします。  東京湾横断道路につきましては、いま先生お話しになりましたとおり、昭和四十一年度から建設省において東京湾環状道路の一環として調査を行ってまいりましたが、昭和五十一年度からは日本道路公団において調査を実施してきているところでございます。  これまでの調査内容といたしましては、経済調査、環境調査、地質調査、設計調査、船舶航行調査に大別されまして、経済調査では地域社会に及ぼす影響や経済効果などを、環境調査では東京湾の水質や海洋生態に及ぼす影響などを、地質調査ではボーリングによる地質の把握を、設計調査では橋梁、人工島、沈埋トンネルの構造検討を、船舶航行調査では海上交通に及ぼす影響とその対策についての検討などをそれぞれ実施いたしております。  進捗の度合いでございますが、これらの調査のうち経済及び環境調査につきましては、ほぼ取りまとめの段階に入っております用地質及び設計調査につきましては、技術的な可能性は確認されてはおりますが、本計画が軟弱な地盤の上に大規模な構造物を建設するものでありますことから、耐震性、施工方法などの検討のため、さらに詳細な調査を行っております。船舶航行調査につきましては、日本海難防止協会に専門家より成る調査委員会を設け、調査検討を行っておりますが、さらに船舶航行の安全対策に関する具体的な検討を進める必要があると考えております。また、漁業関係につきましても、その実態を踏まえ、それらへの影響についてさらに調査する必要があると考えております。  今後事業化に当たりまして特に残っておる問題といたしましては、いま申し上げた調査と幾分ダブるところがございますが、船舶航行の安全を確保するための具体的方策を取りまとめること、東京湾の環境の保全を図るための方策を取りまとめること、漁業等への影響とその対応策について取りまとめること、関連道路網整備を促進すること、採算性の確保についてより詳細な検討を行うこと、さらに関係地方自治体コンセンサスを得ることなどが挙げられると思っております。これら問題点の解明のため、従来の調査を一層推進するとともに、その成果を踏まえて今後関係機関と必要な調整を図ってまいりたいというふうに考えております。
  165. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 大変平たいお尋ねを実は申し上げますけれども、いま大相撲の初場所が行われております。相撲になぞらえて実はお尋ねを申し上げたいと思うんですが、建設省といたしましては、土俵にこれから上がろうとして塩を持っている力士ではなくて、土俵に塩をまいて四股を踏んで、軍配が返ってそうしてまわしをしっかり持ってこの東京湾横断道というものは取り組んでおりますよというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  166. 沓掛哲男

    説明員(沓掛哲男君) そのとおりでございます。私たちといたしましても、先ほど先生からの御質問の中にもありましたように、第九次道路整備五カ年計画期間内に東京湾横断道路に着工するよう、諸準備を進めておるところでございます。
  167. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 大変前向きの御答弁をちょうだいをして、感謝を申し上げる次第であります。これは東京大都市圏構想の一環の中でもきわめて大切な私は幹線主要道路であろうというふうに思いますので、ぜひいまのお気持ちの中でひとつ十二分に取り組んでいただいて、千葉県の悲願であります国家的なプロジェクトでありますので、お取り組みをちょうだいをいたしたいというふうに思うわけでございます。  時間の関係もありますので、もう一点だけ実はお伺いをさしていただきますけれども、建設省はいよいよ市街化区域、市街化調整区域等々、この線引きの見直しというものを実はいまお考えであろうと思うわけでありますけれども、これは住宅の供給を図ろうという考え方に基づくところが多かろうと思うんですが、これをなさる場合に、地方自治体というものは逆に住宅の供給を図るための土地が提供される、家がつくられる、それに伴いまして、当然交通問題であるとか生活環境の問題であるとか教育の問題であるとか、さまざまな問題をそれにフォローアップしていかなきゃならない、それに追いつけないという実は嫌いがございます。そういった問題等を含めまして、この線引きをなされる上では、いわゆる地方自治体というものとの連携を密にとられまして、地方自治体が困らない状況の中で作業をお進めになられるよう、またそれに対する諸政策を加味されるようすべきだというふうに私は思っておりまするけれども、これについて一点だけお答えをちょうだいしたいと思います。
  168. 松原青美

    説明員(松原青美君) お答え申し上げます。  御指摘のように、現在私どもの方では第二次の線引きの見直しを宅地供給促進という観点から全国的に各県で作業が進んでおります。今回の線引きの見直しに当たりましては、そういうことでございますので、区画整理事業等の事業の計画が固まっているもの、見通しの確実なものに限って市街化区域への編入を行うよう指導しておるわけでございます。また、これらのいま先生指摘の住民が住むことに伴う必要な公共公益施設、そういうものの整備関係する部局とも十分調整の上行うことにいたしてございます。  また、地方自治体と十分意思を疎通してやるべきではないかという御指摘につきましては、今回の線引きの見直しに当たりましては市町村から発議いたしまして、都市計画決定権者でございます知事のところに意見を出しまして、知事のところで一応県内の調整をした上で私どもとまた調整をする、こういう手順になってございます。したがいまして、関係市町村の意向も十分反映されるように作業も詰めてまいりたいと思っておりますし、冒頭御指摘地方自治体の公共公益施設の整備が追いつかない、こういう御指摘のような問題が生じないように十分配慮して進めてまいりたいと存じておりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  169. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 時間の関係がありますので御要望に最後はとどめたいと思いますけれども、いわゆる二十一世紀、西暦二〇〇〇年にはわが国の人口は推定されるところ一億三千万人になるだろう、しかも五人に一人は六十五歳以上の方々になると。このことは高齢化社会を意味することでありまするし、一方では静止人口社会と言っても過言でない社会であります。それは勢い、社会資本のエネルギーというものが減少をしてくる。まさに国土計画におきましては、いままでは国内に目を向けて北は北海道から南は沖縄県に至るまでバランスある国土の発展というものに視点が置かれておったと思うのでありますけれども、今後は、技術革新あるいは情報産業社会の変革というふうなものから、経済であるとか社会の動勢というものの変化は著しい、さらには国際化への対応というふうなものを含めまして、大変いまこの国土計画というのは私は大切な時期を迎えていると思いまするし、二十一世紀へ向かう子供たちの時代に私たちがなさなければならない希望のかけ橘という意味で、まさに国家体制の根幹に実はなっているというふうに思うわけでございます。  そこで、今後策定がされてまいりまする四全総、これを受けて策定をされるであろう首都圏改造構想等々につきましては、十二分にそのエリア内における地方自治体と綿密な連絡をとって、いわゆる言葉は悪うございまするけれども中央集権的な物の発想ではなくて、その機能を十分に発揮をさせる上で地方自治体との協議協力というものを実行していただきまして、何はともあれ東京を中心とする機能というのは日本の宝でありますから、そういった意味で、首都圏が死の町と化さないような方策をやはり今後政府においてもおとりいただき、十分対応していただきたい旨御要望申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  170. 矢野俊比古

    矢野俊比古君 私は、前々から繭糸それから絹業問題ということに大変関心を持っているわけでございますが、きょうは大変限られた時間でございますので、蚕糸砂糖類価格安定事業団の特に蚕糸部門についての経理について御質問さしていただきたいと思います。  昭和五十六年度の決算でございますが、この蚕糸部門における特に中間安定勘定でございますか、設立以来初めて三十九億百万円の欠損が出されておりまして、積立金の取り崩しということが行われたように拝見するわけでございます。昭和五十七年度それから昭和五十八年度、これはいま年度進行中でございますから最近までのと言ってもよろしゅうございますし、あるいは実績の推定でも結構でございますが、この辺はどのようになっておるのか、御説明を願いたいと思います。
  171. 小島和義

    説明員(小島和義君) 五十七年度の中間安定勘定の決算といたしましては、約五十七億円の損失を計上いたしておりまして、積立金の取り崩しにより、なお四十三億円ほどの繰越欠損を生じておるわけでございます。五十八年度は経過中でございますが、糸価の低迷等によりまして、事業団の在庫は前年度よりもさらにふえておるという状況にございます。五十七年度におきましては、多少の在庫糸の売り払いが可能な環境にあったわけでございますが、五十八年度の環境はさらにそれよりも厳しいと、こういう状況でございますので、前年度の五十七億円を上回る損失を計上することになろうということはほぼ間違いないというふうに思っております。
  172. 矢野俊比古

    矢野俊比古君 こういった現状の背景なり原因というのを承るわけでございますけれども、いま小島局長がおっしゃいましたように、結局買い入れそれから売り渡しということがスムーズになっていない。結局在庫がたまっているということによるということに原因あるいは背景をそう理解をするわけであります。確かに従来二、三回在庫がありましても、翌年の売り払いということで解消ができたということで健全な経営であったわけでございますが、五十四年度以降急速にこれは恐らく需給の不均衡ということだと思います、ということで、事業団が現在十七万五千俵とおっしゃいましたが、そういったものが在庫になっている、これが事業団の経営の圧迫ということの要因であるということに私も理解をするわけでございますが、まあしかし、この在庫をいつまでもこのままにしておきますと、十七万五千俵といえば、五十七年度の生糸生産量たしか二十一万俵でございますから、ほぼ一年分の在庫を抱えているということになって、いろいろと処理というのが大変苦しいんではないか。事業団が一掃でもされませんとこの欠損がさらにふえまして、いわゆるよく巷間言われておりますが、お米、健保、国鉄それから第四のKになるんじゃないかと、恐らく繭糸、絹織物、絹業ということでKなんだろうと思いますが、そういうようなこともうわさをされておるわけでございます。これは財政再建という点から見て、このまま放置しておくと大変処理のときには大きないわゆる財政圧迫になるんではないかと思います。  実は、きょうは財政当局にも来ていただいて見解、これに対する姿勢を聞きたかったわけでございますけれども、きょうは予算の原案内示というようなことで関係者が大変お忙しいということから、御出席をいただけなかったわけでございまして大変残念と思いますけれども、いずれ財政当局の姿勢なり考え方は改めてまた機会をいただいて承るといたしましても、当面農林省の御当局としてはこれをどういうふうに受けとめておられ、そしてこれの解消のためにはどういうふうにしたらいいかと、こういったことの御方策があれば伺いたいと思います。
  173. 小島和義

    説明員(小島和義君) 現在の繭糸価格安定制度の基本的な枠組みと申しますのは、絹の需要はそのときどきの経済状況に応じまして変動を繰り返しておると、こういう前提ででき上がっておりまして、供給が過剰ぎみ、消費が落ち込みましたときに事業団が買い支えをいたしまして、逆に消費が盛り返してまいりますとそれを放出するということによって糸価の安定を図るというのが基本的な仕組みになっておるわけでございます。しかしながら、昨今の様子を見ておりますと、五十三年ぐらいをピークにいたしまして当時四十五、六万俵程度の絹消費がございましたが、最近年を追うて減少しておりまして、昨年あたりは恐らく三十万俵ぐらいの消費になるのではないかと見ております。三分の一ぐらいの落ち込みということになるわけでございます。そういう継続的な需要の減退ということによりまして、需要の旺盛であった当時に外国と買い付けの約束をいたしました生糸、これが売れなくなって在庫になったということと、国産糸の下落を買い支えるということによりまして事業団の在庫がふくれ上がったと、こういう経過でございます。  長期的な絹の需要をどういうふうに考えるのかという問題はいろいろ検討しなきゃならない問題がございますが、昨今の情勢からよりますと、急速になかなか需要が回復するということも考えにくいわけでございます。そういう観点から供給の圧縮ということも相当考えなきゃいかぬということで、すでに外国との交渉を通じまして輸入の糸の買い付け量を減らすというふうなこと。さらには、国内の製糸業による減産の態勢、これには設備封印とかあるいは設備廃棄というふうなことも手がけておりますが、そういう国内の供給を縮小するというふうなことも考えてやっておるわけでございます。もちろんその需要拡大対策ということにつきましてもこれは通産省の御協力を得まして努めておるわけでございますけれども、なかなか目に見えた効果が上がるというところまではまいっておりません。そういう意味で事業団のただいまの在庫を、事情を改善するということになりますと、基本的にはやはり需給改善ということにならざるを得ないわけで、特に供給面の大もとであります繭の段階ということにも手をつけざるを得ないのではないかというのが昨今の私どもの考えでございます。これまでも養蚕関係につきましては、需給事情を反映させまして繭の計画生産ということを指導してきたわけでございますが、需要の減退が余りにも急速でございますので、こういう際においては少なくとも緊急避難的な生産圧縮ということにさらに協力してもらわなきゃならぬというふうなことを考えておるわけでございます。それらを通じまして需給改善が行われるというのが、在庫圧縮の前提条件であるというふうに考えておるわけでございまして、今後そういう面の努力をしてみたいというふうに目下考えておるわけでございます。
  174. 矢野俊比古

    矢野俊比古君 いま局長からの御指摘でいろいろ苦労もされておられると。それから、確かに需給関係、特に供給拡大という、需要の拡大というのが大きい問題と思いますけれども、やはりここ数年間の石油ショックによる景気の不況とか、あるいはまた逆に着物離れというようなことで絹織物の需要がなかなか伸びないという状況もあるわけです。こういうことが非常に先行きすぐ明るいということならいいんですけれども、なかなかそうはいかないんじゃないかと。そうすると、一方ではどんどんこの在庫がある限りにおいて金利、倉敷がふえて結局また高い値段の生糸になってしまうと、買い入れのときに。そうすると、この後売るのに大変なことになるということにもなるわけでございます。乱やっぱりいま現在でもすでに金利、倉敷がふえているんだろうというふうに思うわけでございますので、これは一つの事業団のいわゆる赤字対策といいますか、経営対策ということも全体の中で解決するんだというのが局長の御主張だと思いますが、なかなかその見通しも非常にむずかしいとなれば、できるだけその間短期的にも何かいろいろ考えていただけないかなあと思います。逆に言えば、それだけの滞貨があることがまた繭の生産業者への圧迫という、生産への圧迫というのはさっきのお話のとおりですから、そこも組み合わせなければいけない。  いずれにしましても、私は時間もありませんので最後に申し上げておきますけれども、やはり根本的な何か繭業、それから蚕糸、川上から川下を通じた一貫した抜本策を何か考えていただかなければいけないんじゃないかと。非常に議論しますと、これだけの借り入れで賄っておられるわけです、農林中央金庫の。千何百億という膨大な資金が投げ込まれておりますが、そういった先行き暗いものにそういうお金が貸せるのかという議論もないわけではありませんし、きょうはそういうことを申し上げるわけではありませんが、そういった問題もあるということで、私は今後さらにこの問題をいろいろなところで詰めさしていただきたい○当委員会もさることながらしかるべき場所でまたいろいろと質問さしていただくことをひとつ留保さしていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  175. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  176. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  177. 安武洋子

    ○安武洋子君 まず、農水大臣にお伺いをいたします。  けさほどから農産物の自由化問題について同僚議員から質問がございましたが、前金子農水大臣は国会などで繰り返して自由化も枠の拡大もしないということを明言されておられます。私はここで山村大臣からも端的に自由化も枠の拡大もなさらないのかどうなのか、これを大臣御自身のお言葉で一言で結構でございますからずばりと聞かせていただきたい。御答弁いただきます。
  178. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 日米の農産物協議におきましては、わが国の農業を守るという立場を堅持し、農林水産委員会の一昨年五月の決議及び昨年十二月の申し入れの趣旨を踏まえ、農業者が犠牲にならないよう今後ともわが国農業を着実に進展させて発展させていくことを念頭に置いて適切に対処してまいりたいと思います。御存じのとおり、きょうあすにわたりましていま実務者いろいろ協議をしておるところでございます。
  179. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣は千葉には牛肉もオレンジもないというふうにおっしゃっておられます。兵庫県には淡路島、但馬を中心にいたしまして肉牛飼育、これが五万七千頭ございますし、ミカン栽培も五十六年で一万一千トンでございます。いずれも輸入自由化の問題というのはこれは死活問題になります。ですから農家に打撃を与えないようにということであれば、これはもう端的に自由化も枠の拡大もしないということであろうかと思いますけれども、農水大臣としてはもう当然のことではございますけれども、農民の立場に立って自由化問題には取り組んでいただきたい。そのことを強く申し添えまして、次に建設省の問題に移らせていただきます。  建設省は昨年の七月に「宅地開発等指導要綱に関する措置方針」、これを決定いたしまして、地方自治体開発規制措置に対する一連の緩和を求める指導に乗り出しております。この指導方向は一九六八年の都市計画法制定以来進めてこられました居住者の住環境を維持向上させる、こういう立場からの都市開発の一定の規制を加えて、そして計画的に推進するという流れを一気に逆転させております。開発優先の結果、災害とかあるいは住環境の悪化とか自治体への財政のしわ寄せと、こういうことで重大な結果を招いております。私はこの開発の実態を挙げまして、いかに建設省の緩和の方針というのが現状に合わないものであるかということを指摘し、再検討を求めてまいりたいと思います。  まず最初に、ワンルームマンションについてお伺いをいたします。いま周辺住民とのトラブルが絶えないというふうなことで大都市を中心にいたしまして社会問題になっておりますワンルームマンションにつきましては、一月十八日付で朝日新聞が社説で取り上げたりいたしております用地方自治体が指導に乗り出したりもいたしております。大都市を中心にかなり広く社会的な問題にいまなってきております。  そこで、まず現状の把握についてお伺いをいたしますけれども、現在建設省はワンルームマンションの建設戸数をどのように把握なさっていらっしゃるのでしょうか。また五十八年度から建設戸数というのが急激にふえたと言われております。建設戸数はどのように推移してきたのでしょうか。また急激にふえてまいった背景とか理由、これをどういうふうに認識なさっているんでしょうか、お伺いいたします。
  180. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) お答え申し上げます。  住宅着工統計上、いわゆるワンルームマンションの建設動向を直接に把握することは統計上は現在できませんが、分譲共同住宅で三十平方メートル以下の小規模なマンションの着工戸数を見てみますと、五十四年度以降四千戸台でほぼ推移しておりましたが、五十七年度には五千六百九十三戸、前年度比二六・〇%増と増加傾向を示しております。またさらに五十八年度に入りますと、ただいまの御指摘のように四月から十月の累計で八千百七十三戸、前年度比としまして一八六・八%増と急激に増加いたしまして、分譲共同住宅に占める割合も一〇・七%となっております。これを地域的に見てみますと、東京都のシェアが非常に高く、五十八年の四月から十月までの累計で戸数は五千八百四十一月に達し全国の七一・五%を占めております。また、分譲共同住宅全体に占める割合も二四・九%となっております。こういうことで五十八年になりまして非常にふえてきておるわけでございますが、このふえてきました背景といたしましては、やはり単身者のこういった居住に対する需要と、それからこういったワンルームマンションが投資用という形で建設をされているというような背景があるのではないかというように考えております。
  181. 安武洋子

    ○安武洋子君 大変な急増ぶりでございます。その急増の背景として若いサラリーマンとか学生に人気があるとともに、いまリースマンションが広がっているという御指摘もございました。  いま、このワンルームマンションでございますが、非常にさまざまなトラブルを発生させておりますけれども、共通していることが幾つかございます。  一つは、一棟の規模が非常に小さいということでミニ開発でございます。規制にもかからない、地元との話し合いもやらない、こういうことでトラブルを発生させるわけです。私が見てまいりました西宮市の建設予定地、わずか六十坪でございますが、非常に閑静な住宅のその一つが開発に充てられようとしている。非常に住環境が変化をいたします。今後の都市計画上も私は大きな支障になろうかというふうに思いますし、敷地いっぱいに建物を建てる——日照問題を引き起こしております。十メートルの規制に対して九・九九メートルというふうなことで、これが敷地いっぱい建てるわけですから通風、日照こういう問題がおこります。  二点目、これは管理人が置かれていないというふうなことで、居住者は深夜まで騒音をまき散らす、勝手気ままにごみを出したり、それから風紀、環境上の問題を引き起こしている。また入居者のかなりの部分が住民登録をしていないということがございます。ですから住民税の納付もなくって地方自治体にとっては迷惑はかけられるけれども、納税してもらえるというメリットが少ない、こういうことがございます。  また、もう一つでございますが、これはリースマンションが多いというふうなことで、投資家である所有者、そして入居者、これは別でございます。ですから区分所有法で定められている管理組合、この設立がなかなかむずかしゅうございます。荒れほうだいのマンションも出ている、こういうことでスラム化の方向をたどる危険性をはらんでいるわけです。このような点、建設省は一体どう把握をなさっていらっしゃるでしょうか。
  182. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) ただいまの御指摘のように、ワンルームマンションにつきましての紛争は各地で多く発生をしております。たとえば世田谷で申し上げますと、五十八年四月から八月の総計の計画件数六十三件のうち紛争となりましたもの二十八件、杉並で二十件のうち三件と、以下相当の発生件数を見ておるわけでございます。  その紛争の中身を見てみますと、御指摘のように第一には所有者と入居者が異なっておりまして、そのために管理人を置かないものが多いので管理が不十分になるということ、それから比較的入居者といたしましては若年者が高密度に居住するということによりまして地域社会が乱されるということ、それからごみの処分あるいは深夜の騒音等、近隣に迷惑となることが多いということ、それからまた御指摘にございましたように耐久性にも問題がある建築物で、将来スラム化のおそれがある、こういうようなことで紛争が多く発生しているというように聞いております。建設省といたしましてはこのワンルームマンションの実態を十分に把握をし、現在種々の調査を行っておりますが、その上でこれの紛争が極力なくなるように、周辺住民との調和が保たれながらこういった住宅が建設されるように、また居住水準についてもできるだけ建設省で第四期の住宅建設五箇年計画で示しております最低居住水準、単身の場合最低居住水準が専用面積で十六平米でございますが、少なくとも十六平米以上はあるようにというようなことで指導をしていきたいと考えておりますが、十分に実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
  183. 安武洋子

    ○安武洋子君 その実態把握のために、報道によりますと業界の代表や関係自治体を呼んで実情を聞きたいと、こういうお考えと聞いておりますけれども、いかがなんでしょうか。
  184. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) 実態の把握につきましては、当然現に建設されているもの、あるいは建設計画中のもの、それらにつきましてどういった紛争の内容であるのか、あるいはそのマンションに入居をしている入居者の方々が入居前にどういった住宅に住んでいたのか、あるいは供給業者の実態がどうであるのか等々につきまして調査を行っております。  したがいまして、場合によりましては供給業者につきまして十分状況を聞くこともありますし、また、地方公共団体を通じて実態の調査を把握するというようなことも行っておるところでございます。
  185. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではまだ聞いていらっしゃらないということですか。
  186. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) 地方公共団体を通じて調査をいたしております。
  187. 安武洋子

    ○安武洋子君 ワンルームのマンション業者は節税効果、これを大々的に宣伝をいたしております。サラリーマンに対しまして投資のために購入を勧めているわけですけれども、ブームをつくり出しているこのワンルームマンションの節税効果でございますが、この利殖が目的という無責任な売り方、このために購入者が直接居住をしないという現象が出てくるわけですから非常に問題が発生してくるわけです。  報道によりますと、ワンルームマンションの投資というのは節税効果を入れましても健集会社がPRするほどうまみがないと、こういう試算を建設省はなさったというふうに聞いておりますが、その試算の概要をここで発表してくださいませんか。
  188. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) 御指摘のようにこういったリースマンションと申しますかワンルームマンションの建設に当たりまして節税効果であるとか、そういった形で過大なPRといいますか、宣伝を行うことは厳に慎むべきであるというように考えております。  なお、ただいま御指摘のワンルームマンションの損得試算につきましては建設省で仮に試算をしておりますが、結論といたしましては自己資金の二百万円と、それから初年度の負担額二十一万円といたしまして二十年間の負担額の合計を五百六十万円といたしまして、その合計がワンルームマンションの購入により二十年後に一千六十五万円となります。ワンルームマンションを購入しないでこの二百万円と五百六十万円を年六%で運用いたしますと、二十年後には一千五百五十万円となります。したがいまして、この場合はワンルームマンションを購入しない方が有利であるという試算をしておりますが、これはあくまで試みの試算でありまして、前提の置き方いかんでは結論が異なることもあるものでございますので、試みにわれわれとしてはこういう試算をしておるということでございます。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまワンルームマンション問題に直面をいたしております自治体、ここでは指導要綱などの規制対策に乗り出しております。東京では中野、杉並、世田谷、兵庫では西宮市、こういうところでございますけれども、その内容を見てみますと、建築上の規制とそれから管理上の規制、これに大別されると思います。  一つは世田谷の要綱案、これは一戸当たりの面積を十六平米以上にするということで、いまのワンルームマンションの大半が十三から十五平米と言われておりますが、先ほどの御答弁にもございましたように、住宅建設五カ年計画の単身者用の最低居住水準である十六平米を無視したことになるので、十六平米以上ということで規制をするというふうなことが出ております。それから管理人室を設けて管理人を置く、建物使用上の注意規則をつくって入居者に守らせる、こういうこと。あるいは西宮市の条例案のように、高さ十メートル以上に加えまして四階以上を中高層建築物の規制対象にするというふうなことで、九・九九メートルというふうな逃げ場をふさぐというふうに規制対象を広げております。  着工以前に周辺住民との調整をよくするよう指導することも私は大切だろうというふうに思いますけれども、この自治体の取り組みというのは周辺住民とのトラブルがあるからこそ、そしてまた都市づくりの面などから現状を放置できないというふうなことで取り組んでいるわけでございます。こういう取り組みにつきまして私は建設省としては評価をなさるべきだと、こういうふうに思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
  190. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) ただいま御指摘のように、ワンルームマンションの建築に伴い周辺住民との紛争が多発しており、このため中野区におきましてはワンルームマンション供給業者等に対するパンフレット等による行政指導を実施しております。また、世田谷区におきましてはワンルームマンションの建築に関する指導要綱の制定の検討を進めております。西宮市では市民の生活環境を守る条例をワンルームマンションにも適用するための改正の検討を行っております。  こうした措置につきましては、ただいま先生お話にございましたように、管理の問題、あるいは建築計画の事前公開の問題、あるいは住戸規模の問題等を内容としているものでございますが、こういった措置につきましては、地域の特性や紛争の内容も多様でございまして、また、条例によるもの、指導要綱等に基づく行政指導によるものなど、形式、内容等もさまざまでございます。したがいまして一概に意見を申し述べることはできませんが、今後の推移を見守りながら、周辺住民との調和が図れるよう適切な措置につき検討をしてまいりたいと考えております。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 周辺住民との調和がとれないからこそ、自治体がそういうことを打ち出しているわけです。ですから、いやしくも地方自治体の取り組みに対して行き過ぎだとか、こういう攻撃などおかけにならないようにしていただきとうございます。  大臣にお伺いをいたしますけれども、いまや社会問題になっておりますこのワンルームマンション建設につきまして、自治体任せにするのではなくて、関係団体などを通じて建設省としても行き過ぎ是正の行政指導、こういうことを私は業者になさるべきだと、こういうふうに思いますけれども、いかがでございますか。
  192. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま住宅局長が御説明しましたように、中野区において、あるいは世田谷区において、西宮市においてそれぞれの措置をとっているということは御承知のとおりでございます。これらの措置はおおむね外壁の、何と申しますか、隣接地の境界線からの距離を離すということが一つの配慮になっております。また、管理人があるかないかという問題も御承知のとおり言っております。それから住戸規模の確保とか建築計画の事前公開などの項目を内容としていることも御承知のとおりだと思います。  こういう措置について、地域の特性とか紛争の内容も非常に多様でございまして、条例によるもの、あるいは指導要綱によるもの、行政指導によるものなど、形式、内容なども非常にさまざまでございますので、一概に意見を申し上げることはできないのでございますけれども、今後の地方自治体がやっております推移を見守りまして、周辺住民との調和がとれますように適切な措置を講じていきたい、かように思っております。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 さっきの御答弁と一緒ですよ。原稿を同じように読んでもらっては困るんです。  大臣に私が求めているのは、やはりここで自治体任せにしないで、関係団体なども通じて建設省としても行を過ぎ是正の行政指導をしていただきたいと。ですからもう少し政治的答弁をお願いいたします。——いや、大臣に聞いているんです。もう時間がないから頼みます。
  194. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) ちょっとその前に。  ワンルームマンションの問題につきましては、確かに周辺住民との調和を図るということはきわめて重要なことであると考えます。ただ、二、三日前の読売新聞等におきましても論説で書かれておりますように、住宅政策上果たしてこれは排撃すべきものであるかどうかということにつきましては、やはり異なった観点があるのではないかというように考えております。というのは、現在住んでいる居住者のうち四〇%から五〇%程度の居住者が、事前に木賃アパートの劣悪な居住水準の中に居住している人から移住してきている若年層でございます。したがいまして、住宅政策の観点から居住水準の向上を図るという意味では、わずかずつでもそういった入居者に対しては居住水準の向上が図られているわけでございます。したがって、これは必要悪ではなくて、こういったものをできるだけ適正に誘導していくということが重要でございますので、その点住宅政策上の配慮とそれから周辺住民との調和等を十分図りながら、正しい適切な方向へ指導していきたいと考えておる次第でございます。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣の御答弁ございませんので次に進みますけれども、このワンルールマンションの社会問題の背景に私はやっぱり国の住宅政策の問題があると思うんです。単身者向けの住宅建設が特に大都市でおくれている、需要にこたえ切れない、こういうことだろうと思います。ですから建設省としましても単身者用の住宅問題に取り組むべきだ。たとえば低利融資とか税制の優遇による民間の単身者用賃貸住宅の質と量の大幅改善を図れという朝日新聞の主張がございます。それから公団や公庫の需要にこたえる単身者用の住宅の拡充をすべきと、こういう提言もございます。建設省はこの提言をどうお考えでございましょうか、端的に御答弁いただきます・
  196. 松谷蒼一郎

    説明員松谷蒼一郎君) 若年単身者向けの賃貸住宅といたしましては、住宅・都市整備公団におきまして一DK等を中心といたしましてこれまでに約八万戸の住宅を供給をしております。また住宅金融公庫におきましては都市の勤労青年等のための宿舎の建設に対して融資を行ってきたところであります。  しかしながら、御指摘のように、大都市における単身世帯は増加傾向にあります。東京都では全世帯の三〇%近いものが単身世帯となってきております。こういった傾向にありますので、単身世帯に対する住宅政策のあり方につきまして、次期の住宅建設五カ年計画、すなわち第五期の住宅建設五カ年計画の策定とあわせまして検討してまいりたいと考えております。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 では時間の関係上、次に無謀な宅地開発の及ぼす問題についてお伺いをいたします。  宅地開発などによる環境破壊、災害への危険につきましては、大都市周辺のベッドタウンと言われる地域できわめて深刻でございます。兵庫県の宝塚市も、かつては水と緑の町と言われましたけれども、いまは山という山は緑をはがされてしまっていると、こういうふうになってしまっております。この宝塚市の泉ガ丘という六甲山系の長尾山の急傾斜地、ここに団地づくりの計画が進行しております。この計画がいかに無謀かということは、標高差が百二十五メートル、壁のような急斜面でございます。ここを八・七ヘクタール掘削するということで、七階建てのテラスハウス六十八棟、それと三階建ての住宅四棟、計七百五戸を建設しようというものでございます。  全国的に見てみましても、斜面開発地の一ヘクタール当たりの人口密度は九十人から百十人でございます。これに対してこの計画は三倍以上の三百三十人ということで、また造成に当たりましても最高二十メートルもの盛り土を行う。こういう防災上も非常に危険なものでございます。さらに技術上の安全性も確認されておりませんのに勾配二十三・六度、ここに斜行エレベーターを設置するというふうなことを計画いたしております。ちなみにこの開発業者は昨日の国鉄用地に契約前にボーリングを勝手にやったという株式会社朝日住建でございますけれども、周辺住民がこんな無謀な計画を知りまして驚いたのは当然でございます。長崎水害のように下の住民が押し流されてしまう、孫子の代まで災害の心配をしなければならない、こういうことで自治体に意見を出されております。この計画というのはこの住民の反対にもかかわらず非常に強引に推し進められようといたしております。この計画内容にも大変問題がございますけれども、それとともに審査の内容もきわめて問題が多うございます。二十九条の申請を受けた後になって、開発区域内に市街化調整区域が含まれていたことがわかったということで、行政手続を逆戻りさせております。  農水省にお伺いをいたしとうございますけれども、当該開発予定地である宝塚市切畑長尾山十一の七十五及び十一の四の保安林指定、これはどうなっておりますでしょうか。
  198. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいまの御質問の一部につきましては、四十三年の八月二十五日に五・二ヘクタールの保安林の解除申請が出てまいりまして、四十五年の六月九日に解除が確定しているのが入っております。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 農水省に要望いたしとうございます。  この当該開発予定地域というのは、かつて土砂流出防備のための保安林に指定されていたところで、先ほどのように四十五年でございますか、一部解除をされております。開発ということで解除をされながら、その後大手業者の間を転々といたしておりますけれども、開発に不向きだというふうなことで十数年開発されておりません。私は最初の解除の申請時の審査というのが大変ずさんであったということを申し上げとうございます。  ところが、今度開発しようとする面積が指定解除面積を上回っているというふうなことがございます。したがって、今後追加して解除申請がなされることもあり得るのではなかろうかと思うわけです。すでに解除された区域も地域森林計画の対象となっております民有林で、これは森林法十条の二による都道府県の開発許可が必要となります。だからその際、十数年前に保安林解除がなされた時点といまとでは、斜面下に多くの住宅が建っておりますし、台風による山崩れも現にここで起こっております。長崎災害の教訓もございます。ですから国、県の間で慎重に検討していただきまして災害の発生を招くことがないように私は対応していただきたい、こう要望いたしますが、いかがでございますか。
  200. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 御質問の宅地開発の個所でございますが、事業者から林地開発許可申請が行われた場合におきましては、森林法に基づきますところの林地開発許可制度趣旨に即しまして適正な開発が行われるように、兵庫県知事を指導してまいりたいと考えております。また、その開発に伴いまして新たに保安林の解除が必要とされまして事業者から申請がなされた場合には、保安林解除の基準に照らしまして慎重に対処してまいりたいと思っています。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 同じように長尾山を切り開きまして大林組が宅地造成をしまして、クラレ不動産が分譲した中山台というのが隣接しております。この団地では宅地分譲いたしまして六年ほどいたしますと住宅が二十センチから三十センチの不等沈下を起こしております。ガス管は割れるとかあるいは家屋はミシミシ音を立てるとか、家を家ごと持ち上げましてその下に一メートルのコンクリートを流し込むというふうなことをいたしておりますけれども、七十戸から九十戸が転居をするというふうな事態も起きているわけです。とりわけこれは急傾斜地で盛り土が深いところに起こっております。この被害をめぐりました地裁の判決文でも、将来も大災害が生じる危険をはらんでいる、こう指摘をいたしております。宅地造成にはきわめて不適当なものと言明もいたしております。  急傾斜地という点では問題にしている先ほど申し上げました泉ガ丘でございますが、この方がさらに急傾斜地でございます。盛り土の厚いというのも共通いたしております。何よりもこの地域というのは土質がもろうございますし、近くを大きな有馬・高槻構造線——ここに私は断層地図を持ってきておりますけれども、(地図を示す)これにはっきり出ておりますように大きな断層が走っておりますから、これに伴って破砕帯も走っている、こういうところでございます。現に一昨年の台風でも山崩れが起こりましたし、昨年の十号台風でも裏山の山崩れを起こしております。このようなところだからこそ防備の保安林として私は指定がなされてきたところであろうかと思うわけです。ところが、ここに最高二十メートルもの土盛りをする、そして住宅を建てる、危険きわまりないこういうことに対して、私は建設省に望みとうございますが、建設省は適切な指導をしていただきたい、いかがでございますか。
  202. 台健

    説明員台健君) 御指摘の地点の開発につきましては、事実関係の詳細がまだ把握できておりませんけれども、たとえば急傾斜地を開発行為で開発いたします場合には、必要な安全性を保つために擁壁等の設置義務等が都市計画法及びその関係法令において細かく技術基準として定められているところでございまして、開発許可に当たりましてはそういう基準に従いまして許可を審査いたしまして、安全なように許可するたてまえにはなっております。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 たてまえはわかります。しかし、現実問題をいま私が逐一申し上げております。ですから私は私の申し上げたことを含んで、強力に安全のために建設省は指導を行っていただきたい、こういうことを申し上げております。  もう一点続けて伺います。  この開発計画に対する周辺住民の意見書にこたえまして、最初は自治体は一昨年の九月でございますけれども、利害関係者の同意を得ることなど五点、これを見解を示しまして、このことで合意をするようにというふうに指導いたしておりましたけれども、この五点がことごとくまだ最終的な結論を見ておりません。それにもかかわらず、法的要件が整ったからと、こういうことで開発申請を受理するに至っております。これはまさに建設省開発規制の緩和を求める指導と軌を一にしたもので、私はここに危険きわまりない開発が進められようとする、いかにこのことが危険きわまりない開発を進めていくかという見本であろうかというふうに思います。自治体のこのような周辺住民と取り交わしているというふうな合意事項、これをただ開発の書面が整ったからということで一方的にほごにしてしまう、そして危険な開発が進められていく、こういうふうな姿勢に対して私は建設省としても適切な指導をなすべきではないか、また住民の同意を得る必要なし、こういうことを指導するようなことを改めるべきではないか、このように思います。いかがでしょうか。
  204. 台健

    説明員台健君) 第一点の安全性につきましては、当然私たちも開発行為が安全でなければならないということは最優先に配慮すべき事項といたしまして、都道府県を指導しているところでございます。  第二点の地元との話し合いの問題でございますが、内容を確認できませんので具体的には申し上げられませんが、一般的には地元の住民と市町村との話し合い内容は、法令上は当然に県知事の許可権の行使を拘束するものではございませんけれども、それが合理的な内容であれば知事が開発行為の許可に際しまして尊重することを期待しております。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、さらに同じ宝塚市の長尾山中に宝塚サングリーン開発という、百七十四ヘクタール、こういう計画がございます。戸数は三千五百八十九戸、人口約一万五千人、こういう大規模開発計画されているわけです。この計画に基づきますと、緑が奪われるとか、あるいは古墳が壊されていく。私はもう詳しく申し上げる時間がありませんので、ここにいかに古墳があるかという地図も持ってきておりますが、これは省略いたしますけれども、そういうことだけではなくて、雨水というのが左右に分かれまして、東側は猪名川支流の最明寺川、そして西側は武庫川支流の天神川、ここに流れ込みます。雨水に加えまして一万五千人の生活排水も流入すると、こういうことになります。  お伺いいたしますけれども、建設省は河川の水防につきまして各河川管理区ごとに重要水防地区、これを把握されている、こういうふうに思います。さきに挙げました最明寺川、それから天神川、ここで最も危険である危険度A、この区域、そしてその破堤とか溢水により浸水を予想される、こういう区域が存在するかどうかお伺いをいたします。
  206. 井上章平

    説明員井上章平君) 最明寺川、天神川とも背後地は市街地でございますので、兵庫県では水防計画書の中で重要水防区域として指定いたしております。その、ただいま申し上げました河川の一部が危険A区域に指定されております。
  207. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はここに地図を持ってきておりますけれども、最明寺川にしましても、それからこの天神川、この二つとも溢水個所、危険度A、これがちゃんと明記をされているわけでございます。いまでもこのような状態でございます。私は河川改修、そして治水対策、これを万全にしてから開発を行うべきだと。先ほどの泉ガ丘の団地、この下にも大堀川がございます。これは昨年の十号台風で溢水をいたしました。そして、床上浸水を含む被害を大きく出しております。これの上にまだ泉ガ丘の開発がなされようというわけですから、いかに無謀かということがおわかりいただけると思います。建設省は規制緩和の方針、これに基づいて大規模な開発、この促進を考えておられるようですけれども、河川局の方では一体これに対応する水防対策、これをお持ちなのでございましょうか。
  208. 井上章平

    説明員井上章平君) 流域の開発行為の著しい河川におきます河川改修につきましては、従来から重点的にその促進を図る努力をしてまいったところでございますが、これらの地域開発者に対しましては、流域開発と河川整備との整合を極力図るために、たとえば防災調整池の設置等、個々具体の事例に即した所要の対策を講じまして、治水の安全度を悪化させないよう調整を図る旨、地方公共団体等を適宜指導いたしておるところでございます。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまでも溢水個所がございます。そして乱開発されようという泉ガ丘、この下を流れる大堀川はいま現在でも十号台風によって溢水をした、被害を出したと、こういうことになっているわけです。いまの御答弁のたてまえはわかりますけれども、私は河川改修、河川対策、これを万全を期してから開発はやるべきだということを強く申し上げます。  宅地開発関係する河川でございますけれども、この河川の統一的な改修を進める指導というのを私は行っていただきたいと思います。一自治体開発、この許可を行うに当たりまして、その下流の自治体に対してもいろいろとそれに見合った溢水、こういう被害が出ないような対策、また連携、こういうシステムを確立するというふうな検討をしていただいて、そして自治体を私は指導をしていただきたい、これに対して御答弁をいただきます。
  210. 井上章平

    説明員井上章平君) 開発行為によりまして河川の治水安全度が低下いたしますことは避けなければなりません。そういうことで、これら開発行為に関連する河川につきましては、原則といたしましては、一つは河川改修を実施して下流の安全度を十分確保して開発行為を行うということと、もう一つは、それらの開発行為によりまして、少なくとも下流に対して治水安全度の劣化は来させない所要の措置を講じさせる、この二点でございます。
  211. 安武洋子

    ○安武洋子君 下流の安全が確保されていない例を挙げて私は御要望を申し上げましたので、その点を酌んでいただいて十分やっていただきたいし、下部の自治体に対しても連携システム、これを確立していただきたい。御要望いたします。  最後に大臣にお伺いをいたします。  私は、きょうはごく限られた例だけを挙げさせていただきました。これは限られた例でございまして、全国的に起こっている問題の私は縮図であろうというふうに思います。私は大臣に望みたいのは、大型プロジェクトばかりに目を奪われるというふうなことではなくて、国民が毎日寝起きをしている、生活をしているその周りの環境が一体どうなっているんだと。そして建設省がこの開発の規制緩和、これをやったと。そのことが住民にどれほどの災厄をもたらしているのか。こういうことがやはり私は考えられなければならないと思うんです。私は大臣に望みたいのは、ぜひ大臣御自身の目で耳で調査をしていただきたい。そして、この建設省の規制緩和、これは現状に全く合いません。だから再検討をしていただきたい、このことを御要望申し上げます。
  212. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいまの御質問趣旨を拝聴しておりますと、先生お話考えさせられる面が非常に多いんでございますが、ただいま事務当局が御答弁申し上げた内容もひとつ御理解をいただきたい。その一つは、やはり国民の要求は安くて住みよい宅地の供給をもっとふやしてもらいたいと。宅地供給が少ないために地価が上がっていると、こういうような面があるわけでございますし、そこで宅地開発指導要綱というもののかつての行き過ぎの是正を進めてきたわけでございますが、また同時に先生の御指摘のようなそれへの便乗といいますか、そういうものの見直しの中に乗って不十分なものもあるいはあるのかもしれないというふうに思ってお話を聞いておりました。ともかく、開発行為については、これは法令に基づきまして、あるいはその法令以上に、先ほど河川局長の御答弁申し上げましたように、その周辺の公共事業の施行状態、そういったものもあわせまして検討をさしていただきます。
  213. 三治重信

    ○三治重信君 私は、農林省に主として水田利用再編対策についてお伺いをします。  第一期、第二期をおやりになって、いよいよ第三期ということになって、その対策が非常に、軌道に乗るかどうかというのはやってみなくちゃわからぬことかもわかりませんが、第一期、第二期をやられて第三期に持ってきたときの一番大きく留意をした点、これはどういうことなんですか。いわゆる第一期、第二期の水田再編対策で一番大きなのは過剰米対策だったと思うんです。過剰米そのものの処理に三兆数千億も使った。その上にさらに減反政策で金を使った。ここで全部過剰米を処理できたということなんですか。そしていわゆる備蓄米もせなくちゃならぬ、こういうふうになってきたわけなんですが、一応この第一期、第二期対策をやって、第三期に対して一番大きな反省点というのはどこにあったのか、これをひとつ。
  214. 小島和義

    説明員(小島和義君) 水田利用再編対策は、御承知のように昭和五十三年度からおおむね十カ年の対策ということでスタートをいたしたわけでございまして、五十三年から五十五年までが第一期、五十六年から五十八年までが第二期ということで、明年度からいわばその第三期に入るわけでございます。これまでの経過といたしまして、過剰な水田に他作物を栽培をするというそのこと自体大変むずかしい問題でございますが、全国の各都道府県、市町村並びに農家の御協力を得まして、米の需給均衡を図るというふうな観点からはおおむねその効果を上げてきたというふうに考えております。  ただ、臨時行政調査会あたりの御指摘にもございますように、将来的にはその転作の定着化を一層進めていくという必要があるというふうなこと、さらには現在の奨励補助金の水準並びに体系を見直していくというふうなことが一つの大きな課題となっておったわけでございまして、今後における米需給を十分踏まえまして第三期の対策を仕組んだところでございます。
  215. 三治重信

    ○三治重信君 その臨調の転作奨励金の処理のやり方、それから再編として永久的な、結局十年やってみても水田の再編利用をまだ続けなくちゃならぬということのようですね。    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕だからそれに対して、水田というものをいつまでも同じように高い金をもって保存していかなくちやならぬのかどうか。その再編で転作作物をやることによって水田から逃れようとする、いわゆる金をかけぬでもそれで転作が定着をするという見通しというものについて、第三期対策ではどうも余り出ていないような気がするんですが、そこまでは考えなかったのか。いずれにしても、これはもう第三期対策で水田の転作ということまではやっておって、その転作をもう転作でなくしていくということについてはどうも余りのってないようなんですが、それはどうなんですか。
  216. 小島和義

    説明員(小島和義君) 転作奨励補助金は、もと水田でありましたところについて転作を続ける限りは毎年交付されるというのが基本的な性格でございます。しかしながら、転作の中にもより定着性の強いもの、たとえば果樹等の永年性作物につきましては、奨励金交付後五年たちましたならばもう打ち切りにするというルールがすでに確立されております。今回の第三期対策におきましても、いわゆる転換畑と申しまして、水田に他の作物を植えつけられるように用排水路等も取り払いあるいはあぜ等も取り払いまして、全く畑と同じような状態に転換をいたしまして転作をするというものにつきましては、一定の年限を付してその期間で奨励金交付を打ち切りにすると、こういう制度を第三期において導入することにいたしております。大部分の水田につきましてはまだそこまではいっておりませんで、水田という本来水をためて稲をつくる、そういう中での他作物の導入でございますので、奨励金交付が続くものが量的には圧倒的に多いわけでございますが、いま御指摘のような点も三期対策においては導入をしておる、かように御理解いただければ幸いでございます。
  217. 三治重信

    ○三治重信君 そういうふうなことが、具体的なのはどうも余り出ていないみたいですね。どれだけそういう奨励金対象から外していくかという面積とかなんかは余り出ていないようなんですが、いずれにしてもそういうことが必要だと思うんです。  それから今度の予算の編成の過程で、多用途米を再編対策の中で米の生産面積から外して転作用の面積に入れたというのはどういうわけなんですか。
  218. 小島和義

    説明員(小島和義君) 水田利用再編対策の三期対策の目標といたしましては、六十万ヘクタールということが決定されておるわけでございまして、その中で麦、大豆、その他必要な作物をつくっていくというのが基本的な構想でございます。米の中におきましても、従来せんべいとかみそ、しょうゆというふうな加工原料に使っておりますものについては、従来過剰米がありましたときには、毎年毎年の需給計画の外側でいわゆる古々米等を充当いたしまして販売をいたしておったわけでございます。本年度をもちましてそういう過剰米の処理を終わりますので、したがってそのような原料の需要者に対する販売する米というのはなくなるわけでございます。過去におきましては外国から安い米を輸入して充当したという時期もあるわけでございまして、ただいまの通常の食用の米では値段が高くて原料米として使えない、こういう状態にあるわけでございます。そこでこれを輸入するのか、それとも国内産米において需要者が満足するような価格水準で米をつくっていくのかと、こういう問題が出てきておるわけでございまして、私どもといたしましては、現在水田としての余剰が相当あるわけでございますから、その中でつくっていくという方の道を選択をいたしたわけでございまして、大部分の農業者の希望というものにも一致するというふうに考えておるわけでございます。しかしながらその価格水準というのは、政府がいま売っております水準でトン十二万円ぐらいということでございますし、一般の食用についてはトン三十万ぐらいというのが農家の手取りでございます。それを単純に比較考量いたしまして農家に生産をお願いするということになりますと、これはなかなか安い方の米をつくるという選択は生まれてこない仕組みでございます。  ただ、現在行われております転作の中で考えてみますと、先ほど申し上げましたように湛水した状態で米をつくるという状態のたんぼで転作をいたしておるわけでございますから、農家によりましては、他作物をつくるよりは安い米でももっとつくった方が経営的にはプラスであると、こういう選択も生まれてくるわけでございまして、各地の実情を調べてみますと、そういう御希望の方も相当多いわけでございます。その意味におきまして、裸のトン十二万円ではなかなか農家がつくりにくいという問題もございますので、政府が一定の助成をするという条件のもとでこれをいわば水田利用再編対策の枠組みの中に採用することにしたと、かような経過に相なっておるわけでございます。
  219. 三治重信

    ○三治重信君 これはそうすると、トン七万円やるというのは転作奨励金との関係はどうなるんですか。
  220. 小島和義

    説明員(小島和義君) 転作等目標面積の中に織り込んではおるわけでございますが、水田で稲をつくるわけでございますから転作奨励金をお出しするというわけにはまいらぬわけでございまして、別途食糧庁からトン当たり七万円ということで別なルートでの助成をすると、転作奨励金そのものではないというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  221. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、その七万円は食管会計の中のいわゆる売買の逆ざやに対する支払いというふうに、一般の食用米の逆ざやと同じようなふうに考えていいわけですか。
  222. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ただいま農蚕園芸局長から御答弁申しましたように、この多用途利用米に対します助成はトン七万円ということで、食管特別会計の持ちということになるわけでございますが、その会計のやり方といたしましては食管特別会計の中でこれを助成するという形をとりまして、そうなりますれば当然その年の損益の中に入ってまいるわけでございますから、全体として食管特別会計、単に売買逆ざやという問題ではございませんで、全体の損益の中でその赤字が出た分が全体として補てんされる、こういう形でもって処理されるということでございます。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕
  223. 三治重信

    ○三治重信君 その問題は、結局食管会計の赤字の逆ざやということだわね。それはそれでいいわ。だけれども、今度はつくる農家の方にしてみると、食用米に売る値段と他用途米に売る値段とえらい差がある。七万円もらっても、十二万円と七万円もらって十九万円になる、それでも一般の食用米になると二十何万円もらえるんですか、三十万円ですか、そこに差があると。それに対して何というんですか、共補償とかなんとかいって現地で、生産のところではいろいろの補償の問題が、県が補償するのか農協が補償するのか、みんな生産反別によって共補償の議論がいま現地においては出てきているようなんですが、これも一般的に全国へ割り当てるのか、本当に米作に違いないんだから米作しかできないような東北とか北陸とか水田として残しておいて、第一に残しておいた方がいいようなところへ割り当てて、何か一般的にどこでもかしこでもせっかく転作でやるようになったのに、またこんな他用途米ということで稲作をつくるというようなことは稲作の水田しか、転作といっても、転作奨励金といっても水田というものを畑に直すということがなかなかできぬところがずいぶんまだ残っているはずだよね、ずっと全部。そういうようなところを優先にしてやるとか、何か政策的にせっかく価格差をつけて米をつくらずという一つの画期的な政策をやるからには、やはり生産適否なり経済性を見て転作というものを奨励しても意味がないというんですか、休耕さすとえらい非難受けるから生産に面積を使わにゃいかぬと。しかし、余り転作奨励やっても湿地帯で効果がないようなところも相当あるだろうと思うんだが、そういうようなひとつ余り転作に適しないような土地とかいうようなものは農林省の方で非常に場所を限ってやった方がいいような気がするんですが、それはどうなんですか。
  224. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 幾つかお尋ねがあったわけでございますが、まず他用途利用米の価格の問題でございますけれども、やはり他用途利用米をつくっていただきます際には、一般の主食用のお米とはちょっと事情が違いまして、新しく農業機械等の投資が要らないというようなこともございますし、まあ他作物に転換をするに比べまして栽培技術等の面で農家が導入しやすいというようなこともございますから、必ずしも二十万円まるまるということではないんじゃないかということを考えまして、しかしそれにいたしましても、やはり助成をいたしませんとなかなかこれが進まないということから、トン当たり七万円の助成ということでやっていただくという仕組みにしたわけでございます。その際に共補償の点にお触れになりましたけれども、共補償は確かに全国のベースで共補償をするということにはなかなか難点がございましたが、県によりましては共補償をその中におきまして地域の実情に即して実施したいということで検討中のところもございます。したがいまして私どもとしましては、そういう努力が実現されれば政府としてもさらに生産者が他用途米の生産に取り組みやすくなるということで考えておる次第でございます。  最後に御指摘になりましたこの配分をどうするかということでございますが、私どもといたしましてはこの六万ヘクタールの他用途米の生産につきまして、これを転作目標面積に移すということで、その場合に五十九年度の配分に当たりましては各都道府県の他用途利用米の生産予定面積ということで、全体の転作等目標面積六十万ヘクタールに占めますところの他用途米利用の生産予定面積、つまり六万ヘクタールの割合、これが約一割でございますので、各都道府県におおむね一割ということで割り振った次第でございます。もちろん、ただいま先生がおっしゃいますように、もう少し経営者的な考え方を導入してはどうかということもいろいろ考えたわけでございますが、実態といたしまして、私どもやはり全県を見回しました場合に、全都道府県の御協力を得ましてこの他用途米というのは実施していかなきゃならないということで、やはり水田利用再編対策の一環ということで導入されているという性格には着目しなきゃいけないなということと、いま一つはその導入の背景になりました土地条件あるいは営農上の理由ということから、いろいろ転作の拡大については困難が伴うわけでございますが、その困難性というのは各都道府県それぞれやはり持っているわけでございます。たとえば、ただいま先生がおっしゃいました余り転作に適さない、青刈りをしなきゃならないような地域というものは、これはやはり各県がそれぞれ持っておりますので、さような面からおおむね一割ということでこれを各県に配分したという経緯でございます。
  225. 三治重信

    ○三治重信君 それはそういう答弁だろうと思うんだけれども、それがいわゆる農林行政の何でも全国一律、補助金も何でも一律というようなちっとも変わらぬ対策だと思うんだわね。それは非常にみんな一律一律でやればいいかもしれぬけれども、とにかく米をつくる水田が過剰なんだから、そうすると、水田を畑作なり他用途に転換できるところはそっちを早く転換をさす方策がいいわけでしょう。そして湿地帯とかいわゆる水田地帯のところではそれは専門化した方がいいだろう。そこにもう少し、いかにも適地生産とかいろいろ農林省は計画を立ててやるんだけれども、何かこんなのになってくるとみんな一律一律になって、言っている重点作物の適地生産とかなんとかいうことについていろいろ……。こういうふうなことこそ私はもっと初めてやるんだから東北なり北海道なりへぴしゃっと割り当てて、転換作物ができるようなところにはこんなものは、共補償とかなんかトラブルなんか起こさぬように、そんなところへやった方がええと思うんだが、何でも一律一律というのはおかしいじゃないの。
  226. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) この転作につきましては、他用途米も同じでございますけれども、各県それぞれの御事情がございまして、この面積そのものにつきましてはその事情を全部勘案いたして個々のケースを考えていきますと、もう非常に複雑な問題になるわけでございます。したがいまして、他用途利用米につきましても同じような事情がございますので、先ほど申しましたように全国一割ということでお願いいたしたわけでございますが、その中でたとえば市町村別の生産予定面積の取り扱い、あるいは集荷量の取り扱いということになりますと、やはり地域の実情に即した形で生産されるということが適当だろうと思いますので、あるいは都道府県と農業団体とが一体になって協議いたしまして調整するといったような道は考えておりますし、また県間につきましても、もちろんこれは一割ということを前提にしてやっていただきたいと思っておるわけでございますが、転作の定着性等から地域の実情によりましてどうしても生産予定面積なり集荷量なりが確保できないというような都道府県がありましたり、一方で当初の予定以上の生産が見込まれるような都道府県がある場合には、他用途利用米の確実かつ円滑な生産を確保するという観点から県間調整考えられるということを指導している次第であります。
  227. 三治重信

    ○三治重信君 やったって平行線だろうから言わぬけれども、水田再編対策なんだから、そういうようなところで水田というものを、転作ができるようなところはどんどんさしていって、転作ができぬところを残していくのが適地対策でもあると思うから言うので、何でも全国都道府県で、そうして、一割なら一割でぴしゃっとそろばんさえ合えば政策ができるような、また、補助金をそういうぐあいにしてやるようなことでは、僕は農林政策というのはちっとも進まぬと思うんです。農協は、そんな仕事がないところとあるところとあって非常に多面的でいいと思うんだけれども、ひとつ参考意見として申し上げておきます。  それから、四十五万トン在庫積み増しをやると、こういう計画なんですが、いわゆる適正在庫というものは、これは三年間四十五万トンずつだというと百三十五万トンになるわけなんだが、百三十五万トンが在庫適正になるのか。そうすると、その管理費はまたどういうようになるのか。それと、いわゆるいまの在庫を積み増ししていって、古米というものをまた食用に回して食わすのか。それよりか他用途米にした方がいいんじゃないかという議論も出てくるわけなんで、在庫を積み増ししていって在庫米をつくるなら、それは古古米になったら他用途米でやれば食管会計は非常に便利になるわね。ある程度、それは国民の食糧だから売買逆ざやより貯蔵米の、ある一定の貯蔵米という概念がこれはどうしても必要なわけなんだから、そういう在庫米についての保管費用とか何かというのは当然国民が負担すべきものだと思うわけなんで、だから、こういうような積み増しはいいんだけれども、その四十五万トンというのは、そうすると、三年間だというと百三十五万トンなわけで——もうずっとやってきて、十万トンになるまでぎゅうぎゅう締めてやっていて、今度はまた三十五万トンと、こうやっていくというとまた示しがつかぬようなことになりはせぬかね。
  228. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 先ほども御答弁がございましたように、第三期対策の中で毎年約四十五万トンという積み増しをいたすという計画にいたしておるわけでございますが、まず、適正在庫ということにつきましての私どもの考えでございますけれども、確かに、現在の状態で五十八米穀年度を越えますに当たりまして十万トンの在庫水準、それから、五十九年も恐らく米穀年度の末に栄きまして十万トンの在庫水準ということで、かなり在庫水準は低いという事情にございます。これはもう積み増しをして在庫水準を適当なところに持っていく必要があるということは事実でございますが、その場合に、やはり多ければ多いほどいいという考えでは私どもはないと思っております。つまり、在庫保有に伴う費用の問題、ただいま先生指摘なすったとおりの問題がございますし、また、消費者のいわゆる新米指向ということもございまして、余り古米だけをためておきますと消費が落ちるという問題が出てまいります。さらに加えまして、いわゆる三たびの過剰米が発生したら大変であるということはこれも御指摘のとおりでございまして、さような点からどのような適正な水準かということをわれわれ考えたわけでございます。  そこで、適正在庫と申しましても、やはりこの在庫水準というのは、あるいは備蓄という問題は短期的な事態への対応であるということが農政審議会のお考え、御報告にもあるとおりでございまして、さらにまた、在庫水準と申しましても必ずしも画一的なものではないと私ども思っております。そのときそのときの作柄の状態、需要の状態あるいは世界的な状況といったようなものに応じまして、こういうものが決まっていくということでございまして、いまのような物の考え方を前提にいたしますれば、第三期の対応策といたしまして、計画的な在庫の積み増しをすれば毎年約四十五万トンというのが適正であろうというふうに考えたわけでございます。  そこで、それではそのような形でもって在庫の積み増しが行われまして、毎年、平年作で適正な在庫が積み増しされたといった状態のときに、果たして大丈夫かということでございますが、この在庫水準を考えますに当たりまして、私どもは、通常の需給操作上、主食用販売で無理なく回転できる限度ということで考えてまいりましたので、したがいまして、このような数量であれば、うまく回転をさせていくことによりまして決して過剰な状態は生じないというふうに考えておる次第でございます。また逆に、これで足りるのかという御議論でございますが、実は五十五年程度の不作、これは作況指数八七であった年でございますけれども、これにも対応できるし、また昭和四十六年のような不作、これは作況指数九三でございますが、これが二年連続したとしても大丈夫であるということから、両方の面から考えましてこのような水準が妥当ではないかということで第三期対策を組んだ次第でございます。
  229. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、作柄や何かの見通しなんですが、四年間不作だということなんだけれども、どうも不作ということだけで済ましていいのか。そうすると、不作で米の反当収量が悪くなってくると、また今度は稲作の改良の奨励金だとかなんとかいって増産対策みたいなのに一生懸命金を使おうとするんだけれども、片方で水田面積を一生懸命縮小していて、単位当たりの面積の収穫を多くするようなのにまた金を使うというのは非常に矛盾をしていると思う。それよりか、米の消費の増加につながる、いわゆる適正米、優良作米、またこれがつくられたことによって、そういう一時みたいに多収穫米から、競争原理で少しでも高いやつということでササニシキなり何とかいろいろ消費者が好む作柄の米をつくるようになる。それがすなわち多収穫米よりか収量が減ると、こういうようなのが、いわゆる米の品質をよくするために収量を犠牲にしてなってきたということから、何でも量さえよけいにすればいいという多収穫品種の収穫を平年作として、そしてそこからずっとだんだん何といいますか、消費者の需要に合う米の品質をつくることによってのいわゆる収穫の減というようなものも、非常に影響しているんじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  230. 小島和義

    説明員(小島和義君) いま御指摘になりました、たとえばササニシキとかあるいはコシヒカリというのも、品種開発の際の目標といたしましては多収品種としてこれを取り上げたものでございます。結果的には、非常に食味もすぐれているということで今日では良質米の代表のように言われておりますけれども、決してこれ自体が収量の落ちる品種、おいしいけれども、収量の落ちる品種として開発されたものではございません。現に、過去二、三年の産地の様子を見ましても、他の品種よりもすぐれた収量を上げているというふうな地域があるわけでございます。したがいまして、米の今後の生産の指導の方向といたしましては、そういう食味にもすぐれ、かつ安定した収量が上がるというふうなことをねらっていくというのが筋道であろうというふうに考えております。  しかしながら、農業でございますのでどうしても気象変動の影響というのを受けることは免れないわけでございまして、過去四カ年の不作につきましてもいろいろな要因が指摘されておりますが、一番基本となっております要因は、それぞれの年におきますところの大きな気象災害というものが大きく響いております。昨年北海道で非常に早い時期に雪が降ったというふうな事例もございますけれども、それぞれの気象状況につきまして過去のデータから見まして、あるいは百年に一度、あるいは三十年に一度というふうな大変激しい気象変動があったわけでございまして、不作の原因はその面から十分説明ができるわけでございます。しかしながら、農家の対応の仕方いかんによって気象変動による減収を極力克服するということも、これは実例として随所にあるわけでございますので、農林省といたしましては、今後の気象条件がある程度厳しいということも十分念頭に置きながら、たくましい稲作づくりをやっていこうということで、本年、各地の生産者団体、地方公共団体にお願いいたしまして、そのような指導を全面的に展開いたしたいということを考えておるわけでございます。
  231. 三治重信

    ○三治重信君 それから、転作奨励の補助金で、段階的に分けて補助金が出されています。そして、転作を団地化をするとこの加算をすると。団地化加算というのがあるために非常にどこもかしこも団地化ということでやっているんだが、これが会計検査院にみんな引っかかっちゃって、実際団地化ということをやっていて補助条件としては通達はしてあるんだけれども、それが実際見ているとそういう余り団地化されていない。だから会計検査院が、あっちつかずこっちつかずで、みんな団地化やってなくて団地化の補助金をもらっているんじゃないかと、こういう指摘だと思うんですが、こういうようなものの、いわゆる地域ぐるみの集団的な転作というものについての指導というんですか、これは地域社会、農村の部落なんかの協力を得なくちゃならぬわけなんだけれども、それを安易にやるというと何のために団地化対策として特別加算をやっているのか、団地化加算は団地をやらぬでもやってもみんな一律にもらっていると、ここが会計検査院指摘だろうと思うんですが、それから水田利用の中核的農家への集積という問題が出てくるというんだが、そういう何というんですか、いわゆる稲作みたいな耕種農業というものはやはり土地をよけいつくらぬと単価当たりの生産費が安くならぬ、だから中核農家にするためにはいわゆる耕地面積を広くすると、それがいわゆる農林省の自立農家の育成ということになるんだろうが、そういうことのいわゆる地域ぐるみの集団的な転作に対する配慮と、それから水田利用の中核的農家への農地の集積というものについて、どういうふうな対策をとっておられるのか。
  232. 小島和義

    説明員(小島和義君) 幾つか御指摘があったわけでありますが、まずこの第二期におきますところの転作奨励の仕組みでございますが、加算制度が幾つかございまして、いまお話しの計画加算、地域ぐるみの転作をやると、その結果転作目標を達成すると同時に、ある程度地域的にまとまった転作をやるというものについて計画加算というのが支払われるようになっております。それから、そういう計画加算の対象となっておりますものの中で、非常にまとまっております、連担団地と呼んでおりますが、おおむね三町ぐらい完全にまとまった団地につきましてはさらに団地化加算が出る、こういう二段重ねの加算制度があるわけでございまして、そういう各種の加算の運用の中に、具体的な要件充足の判定は市町村にお願いをしている経過もございますので、多少要件に外れたようなものが見られるというふうな御指摘は、昨年の会計検査院の改善処置要求の中に出てきておるわけでございます。そういう検査院からの御指摘の次第もこれありまして、今次第三期対策におきましては、団地化加算に匹敵するものは残すことにいたしておりますが、計画加算についてはおおむね所期の目的を達成したということもございますし、実態的な問題もございますので、今後はこれを廃止いたしまして新しい加算制度に組みかえることにいたしております。  それから、後段お尋ねの構造政策的な視点がこの対策の中にあるのかどうかという問題でございますが、農地の集積を中心とします構造政策的な対策は、農林省の中で申しますと構造改善局が中心となって幾つかの対策を仕組んでおるわけでございます。もちろん、この水田利用再編対策もそのものを目的とするわけではございませんが、その展開過程におきまして構造政策的な役割りを十二分に果たし得るように心がけるべきものだと思います。これまでにおきましても、団地化等のプロセスにおきまして農業の担い手といたしまして意欲、能力のある人が中心になって転作をやっていく、あるいは残りました水田につきましてもできるだけまとめて、特定の人が作業を分担していくというふうな機運が見られておるわけでございまして、規模拡大に実質的には貢献をいたしておるわけでございます。  ただ、今回の対策におきましては、加算制度の一つとしまして第二種加算というものを考えておりますが、その中で都道府県知事の御判断によって、より構造政策的な視点から望ましい転作をやっておりますものについても、県の判断で加算が出せるということにいたしておりますので、いままでにも増して農地の利用集積ということについては、この対策もある種の役割りを果たし得るというふうになろうかと考えております。
  233. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  234. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  235. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は持ち時間の都合もありますので、問題を沖縄の問題にしぼって質問をいたしたいと思います。  ところで、沖縄の問題といいましてもたくさんありますので、いま全県民の重大な関心を持っております二つの問題についてお尋ねいたします。  ところで、沖縄の問題を論ずる場合にいつも壁にぶつかりますことは、金網の内と外に分けて答弁を求めねばならないという問題の困難さ、問題の複雑さがそこにあるわけであります。  そこで、これからお尋ねするわけでありますが、どうかそれぞれの関係大臣並びに長官は明確な御答弁をお願いいたします。  沖縄の問題をはしょって集約しますと、すべて基地に突き当たります。金網に突き当たります。それは日米安保から派生しておるもろもろの問題であるということなんです。ところが、きょう、御都合があってのことだと思いますが、最も私が求めております外務大臣と防衛施設庁長官がここにおられないことは大変残念に思う次第であります。  さて、沖縄の一つの問題は、沖縄の米軍演習による山林火災と、北部四ダムにおける米軍演習の中止の問題について尋ねます。  まず、山林火災の問題でありますが、米軍演習による山林火災は復帰後、年を追うて増加する傾向にあります。昨年はそのピークで、年間十九回という山火事が発生いたしております。その中の一つ、キャンプ・ハンセン演習場における去年年末十二月の山林火災は、延々五十時間という長い時間、そして約百万平方メートル延焼しておる実情であります。その焼失面積百万平方メートルを超すと。しかもそれが危うくさらに延焼しようという状態の中でやっと消しとめられたいきさつがあります。  そこで、山火事の原因は、時間がありませんので内容については申し上げられませんが、原因は米軍の実弾射撃訓練のためであります。これらの演習場内の森林は重要な森林資源であり、水源涵養林の役割りを果たしておることはいまさら申し上げるまでもございません。そこで、水源涵養林と自然環境を守る立場から、米軍の実弾射撃演習は許されてはならないと考えております。よって、国内法であります消防法とかあるいは森林法を基地の中、金網の中、基地施設内にも適用して県民の基地不安を除去すべきと思うが、そういった私の背景には、沖縄県議会から米軍演習による、山林火災に関する意見書として、いままでも意見書はたびたび出たわけですが、抗議という形での意見書はそうないのであります。ところが、今回は厳重な抗議をする、演習の即時中止を求める、こういう形で要請書、意見書が出されておることは御承知と思います。  そこで、いままでの簡単な説明を結んで、以上の問題点について農林水産大臣林野庁長官国土庁長官の御答弁を求めたいと思います。
  236. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 森林を火災から守ることは、これは先生おっしゃいましたように、森林資源の維持、林業振興のみならず、水資源の涵養、国土の保全等の見地からもきわめて重要な問題であると認識しており、農林水産省としては沖縄県においてもこのような基本的な観点に立って森林、林業行政の推進に当たっているところであります。しかし、米軍基地内の森林につきましては、御存じのとおり、日米安保条約第六条に基づくいわゆる地位協定の規定に基づきまして、米軍がその管理に当たっているところでありますので、農林水産省としては防衛施設庁等関係機関連絡を密にすること等により、山火事の多発が防止されるよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  237. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 山火事の問題ですね。これは国土庁としては水資源を確保する、こういうことに全力を挙げていきたい、こういうように思っています。
  238. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま農林水産大臣から申し上げたとおりでありまして、私どもといたしましては、沖縄県の森林資源きわめて重要でございますので、これにつきましては鋭意その育成保護に努めてまいるわけでございますが、基地内の森林につきましては大臣から申し上げたとおりでございます。
  239. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま非常に抽象的な、満足のできない御答弁があったわけでありますが、これはまた次の機会に掘り下げることにいたします。  次に、北部四ダムの貯水部分とその周辺における米軍演習の計画についてお尋ねをいたします。  沖縄県は、人口増加、工業の発展、生活水準の向上等によって水の需要が年々増加いたしております。したがいまして、北部四ダムの水資源の確保と水質保全の機能強化を図ることが大変重要な問題であるわけです。しかるに、北部四ダムの水面を米軍演習に使用させるための事務協議が、現地防衛施設局と沖縄総合事務局の間で行われておる由に承っております。これらの北部ダムは県民の水がめであり、そこで米軍の演習を行うことは県民生活を著しく阻害する要因となっております。水質の保全について河川管理者としての重大な使命、責任をお持ちの建設大臣の所見を承りたいと思います。
  240. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま喜屋武先生の御質問の要旨でございますが、沖縄の北部に御承知の四つのダムの貯水池がございます。これは安保条約に基づきまして米軍が共同使用する区域とされているわけでございますが、共同使用によってダムの管理に支障が生じましたり、あるいは水質及び周辺の環境が悪化したりするようなことは防ぎたいと、こういうふうに考えております。  それから、早くから完成をしております福地ダム、新川ダム、この二つのダムにつきましては、従来から基本的な考え方をもちまして現地事務所の担当者と米軍の責任者との間で個別に折衝をして打ち合わせをして対応をしてまいっております。また、対象ダムがどんどんふえておりますこともございまして、現在現地において共同使用の方法などにつきましては打ち合わせを行っている最中でございます。今後とも貯水池の水質及び周辺環境の保全につきましては、沖縄の県民の皆さん方もこの水がめを御使用でございますから、十分に保全に努力をするつもりでございます。
  241. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いままで皆さんが述べられたように、安保条約のかなめにがんじがらめにされておるというのが沖縄県民の実情であります。  ところで、沖縄県においては、年々、毎年毎年軍事演習の内容は再編強化されてきておるのが実情でありますが、逆に県民の生命、財産、生活に対する配慮がそれに伴わないというのも実情であります。これは、沖縄基地の実態が県民生活を無視し、軍事優先の様相を呈するものと言わざるを得ません。だれが何と言おうが事実はそういうことになっておると私は断、青をいたします。  これらの問題のそもそもの発端は、昭和四十九年一月三十日の日米安全保障協議会、昭和四十九年二月二十一日の日米合同委員会、この両機関で日米の合意がなされているところに、そもそも根本の問題があると思うわけですが、そこで外務省、防衛施設庁各当局の基本的なそれに対する見解を求めたいと思います。  その見解を求める前にもう少し補足いたしますと、日米合同委員会において合意事項を再検討する、すなわち昭和四十九年一月三十日の日米安全保障協議会、昭和四十九年二月一十一日、日米合同委員会、ここで合意をされたことがそもそもの原点になって、このいまさっき申し上げた一例でありますが、そのような過酷な苦渋を与えておるということであるならば、何としてもこの合同委員会に、できるだけ近い機会の合同委員会にこの山火事の問題と、それから四ダムの米軍演習の実態についてそれを取り上げて、そして改めていくという、このことがなされない限りその場限りのまた弁解にしかならないということを私は指摘いたしたいと思うのであります。  それでは、その合同委員会における、そして昭和四十九年一月三十日の日米安全保障協議会でどういうことが合意されたかというと、その柱だけはしょって申し上げますと、貯水池予定部分とその周辺部分は返還する。貯水池部分は地位協定二条四項(b)により米側の使用、原則合意したと。  それで、四十九年二月二十一日の日米合同委員会においてさらにその内容が明らかにされております、ダム建設の水面提供を合意したと。米軍のダム水面における訓練内容として、浮き橘の建設と使用、水域渡河訓練、いそ波訓練、ヘリコプターによる消火訓練、水質浄化訓練、小型舟艇操作訓練、水陸両用車使用による訓練、ヘリコプターによる空海救助訓練、この両項が四十九年二月二十一日の日米合同委員会で合意されておるんですね。だからこれをどうしても改めていかなければ、沖縄県民の命の水、水がめであるところのこのダムがこのように使用されたらこれはたまったものじゃないと、県民は怒り心頭に発しておるというのが実情であります。ですから、県議会におきましても全会一致で意見書をまとめて要請をしておるその背景を御理解願いたいと思います。こういう基本的なものを避けておいて、日米安保条約があるからやむを得ぬとか日米地位協定があるからやむを得ぬとか、こういうことではもう許される問題ではないと沖縄県民は思っております。この喜屋武眞榮もそう思っております。  それで私は、時間がまだ少しありますが、答弁を求めるわけでありますが、どうか重ねて申し上げたいことは、沖縄県民の生活用水ですよ、今の水、その中で泥まみれ、ほこりまみれ、汚れたアメリカの兵隊がいろんな器具機械を持ち込んでそのダムに渡河訓練とか消火訓練とかあるいは救助訓練とか、それは県民感情そのものとしてもこれは許されぬ。道義的にも許されない。それをあえて合意をしたというところにさらに問題があるわけであります。ですから、加えてどうしても、基地はない方がよろしいが、ある限りにおいて、訓練をしなければいかぬというなら、別個にダムを持ってそこで訓練をすべきである。いやしくも県民の命の水の中でそのような形で演習をされたらたまったものじゃない、こう思うんです。そういうことを、別個にダムをつくってアメリカの軍事演習はやるべきであると、これを強く要望し、それも加えてひとつ御答弁を求めたいと思います。
  242. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) お答え申し上げます。  沖縄の用水の問題、これが非常に重要な問題であることは私ども十分承知しておるつもりでございます。他方、私たちはこれも累次国会等で申し上げてきておるところでございますけれども、やはり日米安保条約、これに基づきましてわが国の平和と安全を維持することを目的として米軍に基地を提供している、施設区域を提供しているということになっているわけでございます。米側がその施設区域内で必要な演習を行うということは、これは安保条約というものの目的を達成し、すなわち日本の安全ということを確保するということのためにやむを得ないものがあるということなのではないかと思うのでございます。  キャンプ・ハンセンの山火事の問題とそれから四ダムの問題を御提起になられたわけでございますけれども、キャンプ・ハンセンの山火事については非常に遺憾な事態でございましたので、私どもは在京米国大使館及び合同委員会のチャンネルを通じましてアメリカに強く注意を喚起し、再発防止、消火活動の円滑化ということを申し入れまして、米側も今回の山火事はまことに遺憾であったと、今後こういう大きな山火事、その再発を防ぐようできるだけ努力するとともに、不一にして山火事が発生した場合には、消火活動に遺憾なきを期するよう最大限努力したいということを述べているわけでございます。  それから北部四ダムの問題でございますけれども、御指摘の合同委員会合意というものがございますが、なおその合同委員会合意に関連して申し上げますと、仮にその四ダムが二4(b)とおっしゃられたその形で施設区域として米軍に提供されましても、その地域においてはアメリカが訓練を実施する場合には水中爆破というふうなことは行わない。それから恒久的な建造物の建設は禁止します、やりませんと。それから、仮設建造物を使用後撤去します、また汚染防止のために万全の措置を講じますというようなことも合意されているわけでございます。さらに、それを踏まえまして、先ほど御答弁のございましたように、沖縄の現地でたとえば三者協といったような場を通じての協議も行われているわけでございますので、これらの点についてぜひ御理解を得たいというふうに考えているわけでございます。
  243. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 聞けば聞くほど皆さんの御答弁の姿勢は逃げの一手である。私は責めるにますます力まなければいけない。こういう雰囲気しか生まれてこない。安保条約があるからやむを得ぬということは、日本国民であるこの沖縄県民は犠牲にしてもよろしい、要望は無視しでもよろしい、こう思っておられるんですか。もう一遍ひとつ、安保を盾にして逃げの答弁だけが先走るんですが、そこを私が明確に答えてほしいと前置きしたのは、そういうことを言いたいんです。もう一遍回答してください。
  244. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 沖縄における施設区域の密度が非常に高いということも含めまして、いろいろな状況が生じていることを私どもは十分承知いたしております。もちろん政府といたしましてはかねてから申し上げておりますとおり、施設区域の安定した円滑な運用を図っていくためには、施設区域の存在と、それから米軍の活動によって生ずる周辺の県民の皆様の生活への影響、これを最小限に食いとめるようできるだけの努力を払う。そういう形で調和を図るということが必要であるということを十分承知しているわけでございます。ですからこういう基本的な立場に立って私どもは累次の機会に米側に対し、先ほど申し上げましたような例を含めまして、施設区域の活動において十分の考慮を払うよう求めているわけであり、ただ、不幸にしていろいろな事態が発生した場合には、米側に対して注意を早急に喚起して再発防止措置をとるよう求めるといったようなことを行っているわけでございます。やはり米軍に対し、日米安保条約に基づいてみずからの国の安全を確保するための手段として、施設区域というものを提供しているということ。それによって生ずる県民生活への影響というものを最小限にとどめるよう努力するということ。この二つの組み合わせで何とかよい結果が得られるように努力していきたいと思っているわけでございます。
  245. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後まで食い下がりたいと思うのでありますが、この何とかかんとかという言葉をよくお使いになる、何とかしたいという。事実は何よりの真実ですよ。山火事は復帰後ますます多くなっていますよ。軍事演習も多くなっていますよ。そしてそこからくるところの被害も多発しておりますよ。数字が明確に示しておりますよ。事実は何よりの真実だ。それを伏せておいて、心情的にお気の毒にたえぬとか、何とかかんとかしますと言ったって話は始まりませんよ。事実をもって示してほしい。  これ以上時間が許しませんので、ちょうど時間来ましたので終わりますが、強く要望いたしまして、次にその事実がどう対処されるか、それを見詰めながら対決したいと思います。
  246. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、農林水産省建設省、北海道開発庁、国土庁農林漁業金融公庫住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算についての探査はこの程度といたします。  次回の委員会は二十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会      —————・—————