○井上計君
大蔵大臣にこれはお伺いすることたくさんあるんですが、きょうは時間の
関係で余りお伺いできませんので、一方
通行で少しずうっといって、あと重点だけひとつお答えをいただくと、こういうことにいたします。
六十年度の予算編成についてはもう大変に御苦労を既にされておることについては、これはもう十二分に承知をいたしております。ただしかし、いろんな
新聞報道等見ますと、足らぬから要するにあれも取るんだ、これもふやすんだというふうなことが余りにも当然だというふうに大蔵省
考えておられるんではないか。これではまるで封建時代の悪代官と一緒で、苛斂誅求政策を大蔵省はまたまた
考えておる、あるいは大蔵省の
考え方にはもう苛斂誅求政策しかないのかというような国民に批判もあるということ、これは私がというよりも申し上げておきます。これはもう御承知だと思います。
けさ方の
新聞にもいろいろ出ておりますけれ
ども、八千億円程度の実質的な増税をやると、それには印紙税のさらに引き上げ、それから物品税の課税対象の拡大、電話利用税の新設、さらには物品税の拡大についてもOA関連機器、電池、紙等々への増税、いろいろと
新聞報道もありますが、どの程度お
考えか知りませんけれ
ども、ますます景気の回復の足を引っ張る結果になる、こういうふうにも
考えられますし、また物品税といういわば
性格を根底から変える、変えなくちゃいかぬ、変えるべきだというふうに思えるような検討の内容であろうというふうにも思われます。もちろん、この引き上げについては当然でありますが反対でありますけれ
ども、しかし万やむを得ないとしても、それらの点については取りやすいところから取るということでなしに、当然矛盾があるということから取る分についてはやむを得ないと思いますけれ
ども、お
考えをいただかなくちゃいかぬであろう、こう思います。
それから、その次にこの中で印紙税の問題でありますが、三年前でありましたか、印紙税を一躍倍にするというときに、私はやはり
委員会でも言ったんでありますけれ
ども、一遍に倍にしたら逆に印紙税収入が減るおそれがありますよということを実は
指摘をしたんです。当時大蔵省は、そんな
心配ないんだということでありました。ところが、その後の経過を見ますと、なかなか民は利口でありますから、やはり印紙税をできるだけ払わないようにしていこうというふうないろいろな合法的な方法を随分と
考えています。きょうまた、これまた
新聞にも出ておりますけれ
ども、第一勧銀とジャスコが共同開発した新型一括手形というふうなものを実施をすると。そうすると、一カ月に千八百枚発行している手形を一枚にすることができる、印紙税の大幅の経費節減となる、これについては引き続き大手商社など大企業はこの方式を導入する見通しであるというふうな
新聞出ていますが、ますます印紙税の収入が減っていくというふうなことになってくるであろう、こう思います。
だから、取るということについては、ひとつ取りやすいということよりも、実際にそれが本当にやっぱり内容的に正当性があるのか効果があるのかということをもっとお
考えにならぬと私はさらに難しくなってくるんではなかろうか。これはもう四年前でありますが、このことを、やはり同じことを実は言ったわけです。
それから、もう
一つ印紙税のことでありますけれ
ども、三万円以上百万円までがワンランクとして以前は百円であったのが改正で二百円になりました。そのときに言ったんでありますけれ
ども、中小企業の領収書等の平均値は大体十万円なんです。そうすると、十万円に対する二百円というのは〇・二%ですね。これが三百円になりますと〇・三%である。現在、
大蔵大臣よく御承知でしょうけれ
ども、中小企業の平均の利益率は大体三%弱です。とすると、利益率が三%弱、印紙税だけで〇・三%で、利益の実は一〇%が印紙税に食われてしまうじゃないか、こういうことになりかねない。
そこで、私は、そのときの提案でありますが、ひとつもう一ランク設けたらどうか、三万円以上五十万円というクラスを。五十万円までは据え置いて、五十万から百万までをどうしても上げざるを得ないなら上げたらどうですかという提案をしたんですが、まあこれは無視されましたが、私は印紙税を上げていいということじゃありませんけれ
ども、やはりそういうふうな印紙税の引き上げをお
考えになるとしても、そういうふうなきめ細かい配慮が必要であろうということをひとつ特にまたきょう強調しておきます。これが
質問の二番目であります。
それから、次に経済界、特に中小企業からもとみに高まっておりますのは、投資減税の拡充それから機械等の耐用年数の短縮であります。これは私、昨年も本会議の代表
質問でも
大臣へも
質問をし、またお答えいただいておりますから、詳しくは申し上げませんが、やはり民間経済の活性化、さらにまた国際競争力の維持という点を
考えるとこれは投資減税、さらに投資減税という範囲に入りますけれ
ども、機械等の法定耐用年数の短縮、これはやはり真剣に検討してもらうべきだと、こう思います。といって財政上今いろいろな問題がありますから、あれもこれもというわけにいかぬことはわかっておりますが、必要なもの、同時にまたこれをやることによって設備投資の促進に役立つ、あるいはまた事実上はそれによって景気回復に効果があるというふうな、そういう機種等については六十年度ぜひお
考えをいただきたい。これが貸間の第三点であります。
それからもう
一つ。税金というのは納め過ぎたら戻してやろうというのがこれは大体方針であります。事実いろいろな還付がなされております。ところが実際には取り放しで戻してもらえないという税金があるんですね。自動車重量税なんです。自動車重壷税は車検期間を残して廃車した場合でも、他の自動車税等は還付されますけれ
ども、重量税は還付されないんですね。これは大蔵省のいろいろな理由づけがあるように聞いております。五十八年四月に一部改正で販売業者、整備業者等のディーラーについては、しかもこれは天災地変等の災害等に被災した車についてのみ還付されるように変わっていますけれ
ども、当然ながら私は全部のものにこれを適用すべきであろう、こう思います。
ちなみに我々が
調査いたしましたが、五十八年度の廃車台数が三百五十五万台あります。そのうち乗用車が二百三十万台あります。乗用車がどの程度、まだ重量税を納付した期間内にと、いろいろ
考えますと平均大体一両が五カ月程度残しておるんではなかろうかと、こう思われます。平均して乗用車の重量税は一カ月約千円強でありますから、そうすると全体で百十五億円程度いわば還付してもいいではないですかと言える金額があるわけですね。これはもう推定でありますけれ
ども、だからこれらのものをやはり還付するということで、百億円のものを還付するということ。これもひとつ今後いろいろな面で増税やむを得ないとは思いますけれ
ども、やはり片方、取ることばっかりではなしに、やはり返すものは返すんだというふうなことをまたこれからのやはり政策上私は必要ではなかろうかと、こんなふうに思う。これが
質問と要望の第四点であります。
あとは時間がなくなりましたから、もう省略しますけれ
ども、実は年金、特に国家公務員、地方公務員の共済年金の問題、最近ある
新聞が連日のように報道しております。私は五十三年、五十四年、五十五年と毎年のように
内閣委員会、予算
委員会等々でこの年金の問題について取り上げました。それは
昭和五十年の八月に共済年金
審議会ですか、会長の今井一男さんが提言をされておるのは、要するに公務員の年金についての当然支給の問題について改正する必要があると、こういう提言であります。私が五十三年以降毎回提言しております内容は、まず公社、公団等々の
政府及び
政府に準ずるところから給料あるいは歳費等を受けておる人たちが年金を受給していることは、やっぱり二重取りだという批判を受ける。そこで、そういうことについて共済年金法の一部あるいは恩給法の一部を改正すべきであるという提言を随分してきたんですね。まずそれには隗より始めろで、
国会議員の中に当時約百七十五名であったと思いますけれ
ども、年金――年金には地方及び国家公務員の共済年金あるいは地方議員の互助年金あるいは恩給、軍人恩給いろいろありますけれ
ども、それらを受けている人たちは少なくとも
国会議員在職中はそれを辞退したらどうかと、そうしてやはりそれぞれの年金制度の改正にまず
一つのやっぱり踏ん切りをつけたらどうかということを再三提案してきたんです。
大平
総理が亡くなりました年でありますけれ
ども、
総理は予算
委員会で私の提言を入れられて、今恩給法改正というわけにはいかぬ、しかし辞退をすると後もう必要のときに交付してもらえないから、自分の在職中はもらった恩給は実は寄附しますと、こういう約束をして、事実そのとき器附していただきました、間もなく亡くなりましたが。その問題を含めて私は、大蔵省というよりもむしろ
政府自体が真剣に
考えてもらわぬと、国民の政治に対する不信、不満というものがますます増大をしていくんではなかろうか。だから増税ということだけでは国民の不安、不満はますます増大いたしますから、ぜひお
考えをいただきたい。
私の持ち時間がもうあとわずかになって、幾つかのお尋ねで少しまた
大蔵大臣のお答え、難しいかと思いますけれ
ども、以上、時間の
関係で一括してお尋ねをし、また提言をし、
お願いをしましたので、よろしく
お願いをいたします。