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1984-10-04 第101回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十月四日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  九月十九日     辞任         補欠選任      稲村 稔夫君     梶原 敬義君  九月二十五日     辞任         補欠選任      下条進一郎君     岩崎 純三君      木本平八郎君     青木  茂君  十月一日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     菅野 久光君  十月三日     辞任         補欠選任      菅野 久光君     大森  昭君      久保田真苗君     村田 秀三君      本岡 昭次君     片山 甚市君      安武 洋子君     下田 京子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 三吾君     理 事                 岩崎 純三君                 後藤 正夫君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君    委 員                 大浜 方栄君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 大森  昭君                 片山 甚市君                 村田 秀三君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 下田 京子君                 井上  計君                 三治 重信君                 青木  茂君    国務大臣        法 務 大 臣  住  栄作君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        自 治 大 臣  田川 誠一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君         ―――――        会計検査院長   鎌田 英夫君         ―――――    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        人事院総裁    内海  倫君        警察庁刑事局捜        査第二課長    上野 浩靖君        北海道開発庁総        務監理官     楢崎 泰昌君        環境庁自然保護        局長       加藤 陸美君        法務省刑事局長  筧  榮一君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省証券局長  佐藤  徹君        大蔵省銀行局長  吉田 正輝君        国税庁直税部長  冨尾 一郎君        国税局調査査察        部長       村本 久夫君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       阿部 憲司君        中小企業庁長官  石井 賢吾君        運輸省国際運        輸・観光局長   仲田豊一郎君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省航空局長  西村 康雄君        労働大臣官房政        策調査部総合政        策課長      甘粕 啓介君        建設省住宅局長  吉沢 奎介君        会計検査院事務        総局次長     中村  清君        会計検査院事務        総局第一局長   西川 和行君        会計検査院事務        総局第三局長   小川 一哉君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君    参考人        新東京国際空港        公団副総裁    松本  操君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和五十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十七  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九月十九日、稲村稔夫君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。  また、去る九月二十五日、木木平八郎君及び下条進一郎君が委員辞任され、その補欠として青木茂君及び岩崎純三君が選任されました。  また、去る十月一日、梶原敬義君が委員辞任され、その補欠として管野久光君が選任されました。  また、去る十月三日、菅野久光君、久保田真苗君、本岡昭次君及び安武洋子君が委員辞任され、その補欠として大森昭君、村田秀三君、片山甚市君及び下田京子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岩崎純三君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は前回に引き続き総括質疑第二回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、冒頭委員会運営について官房長官考えなり協力を要請したいと思うんですが、九月十八日の総括質疑の第一日の際に、総理大臣がなかなか外交日程がとれないと、したがって自民党理事が非常に苦労されて、あなたが代理で出たわけでありますが、それは感謝します。しかし、私は十九日の各新聞社総理日程がありますね、動向。これを見る限りにおいては、外交日程というのは午後の二時半から迎賓館におけるガボンのボンゴ大統領歓迎式、これは国際慣行ですからいいとしても、その前段のやつは委員会総括質疑まで欠席してやる筋合いの性格のものではないと私は判断するわけであります。したがって、もう過ぎたことは申しませんが、こういう総理ともあろう者がうそを言いながら委員会をサボるという点はよろしくない。そういうことであるから各省大臣外遊外遊といって委員会に出ないで外遊に出て歩く、こういうことにもなりかねないから、私は釈明は要りません。こういうことにりいては十分に官房長官のところで配慮して、こういう不信感を少なくとも野党の我々に与えないように、やっぱり総理も一生懸命決算、予算を含めてやっているんだな、こういうことにやっぱり努力してもらいたいということを、これは言いっ放しで結構です、答弁は要りませんから。ひとつお願いしたい、こう思います。  それから二つ目、これはこの前の七月九日の五十六年度の決算総括質問中曽根総理に出てもらいまして、今一番課題になっておる国鉄再建問題について、亀井委員会あり、運輸大国あり、国鉄総裁あり、それから会計検査院会計検査院のここ三年ほどの会計検査もしているし、いろいろあるけれども、一体最もセンターはどこなんだと聞いたら、中曽根さんは亀井委員会だと、こう答えました。国鉄の問題について亀井委員会がそういう位置づけをするならば、ぜひ亀井委員長は、やはり累積赤字では決算委員会が一番権限を持っているわけであります。ですから、ぜひ出てきてもらいたいということを再々要請しましたが、出れませんと、こういうことでございました。それでは、十一月六日の決算運輸関係専門のときにそこでやるから、これはまだ一カ月有余余裕があるから日程を調整して低しいということを申し入れましたら、これもだめでございます。じゃ、あしたの運輸委員会ではどうだと言ったら、あしたもだめでございます。こういうふうにして、言いたい放題のことをどんどん言って、新聞に、マスコミに発表して、ワーワー勝手に国鉄悪者論をやっていますが、一番大事な国会に出てこないというのはどういうことなんです。そんな国会にも出てこない委員長に、国鉄百万の将来を律するものを任せておくわけにはいかぬと私はそう思うのです。賛成、反対は議論のあることですから、与党皆さんは権力がありますから、亀井委員長出てこいと言えば自民党交通部会あたりでやられるでしょう。しかし、我々野党亀井委員長と一問一答やるチャンスがないんですよ。ですから、これはひとつあなたの責任で、委員会で言いっ放しすればいいんだというものじゃない。委員会総理大臣ともあろう者が言った限りはやっぱり言ったことに責任を持ってもらう。我々はダニのようにそれを追いつくというのがやっぱり国会審会ルールですよ。だから亀非委員長にぜひ決算委員会あるいは運輸委員会に出てきてもらう。そして委員会の場で意見を発表してもらう。我々野党意見もそこで十分に聞いてもらう。あるいは参考人ですね、組合関係利用者、国民、地方自治体、農家の皆さん、そういう方にも国会に出てきてもらって、そこで意見を開陳するなり、あるいは地方を回って公聴会を開くなり、そういう多面的な多角的なことが必要だと、そう思うのです。あの三人の侍に交通の中枢を握る国鉄問題をやられたんではたまったもんじゃない、そう思いますので、ぜひこれは官房長官最大努力をしてもらいたい。  一歩下がって、いろんな公式日程があるならば、亀井委員長日程はいつといつあいていますと、それならば我々理事会でそのあいている日程委員会日程なりそれも我々調整するにやぶさかでない。そういう双方努力をして、ぜひ亀非委員長に出てきてもらう、そういうことについて最大努力お願いしたいと思いますが、これいかがでしょうか。
  7. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 二点につきまして御指摘をいただきまして、大変恐縮をいたしておるところでございます。  九月十八日の日程は、御指摘のように外交日程がございまして、総理がお伺いできませんでまことに申しわけないと思っております。このお客様は重いか、このお宮様は軽いかというのはなかなか判断は難しいんですけれども事外交のことになりますとやっぱり一たん約束をしますとどうしてもそれを覆すことが難しゅうございまして、特に十八日は閣議の日でございましたので、早くからそんな日程を組みましたので、大変欠席をいたしまして失礼をいたしました。言いわけがましゅうございますが、今後十分気をつけてまいりたいと思いますので御理解をいただきたいと存じます。  亀井委員長につきましては、過去国会に四回参考人として出席をして審議に加わっておるわけでございます。御存じのように、この監理委員会委員は非常勤ということになっておりまして、それぞれの委員の方々が非常にお忙しい仕事を持っている中で委員お願いをいたしまして、しかも週に二回から三回、この委員会を開いているというような、非常に忙しい日程の中で監理委員会仕事をお進めをいただいておるわけでございます。できればやっぱりできる限り都合をつけて、国会のお招きがあれば出かけてきていただいて、いろんな御審議、御質問を受けるということが望ましいと、こんなふうにまあ考えておりまして、そういう意味総理からの答弁があったものと思う次第でございますが、御指摘もございますし、今後できる限り出席をしていただくようにお話も申し上げてまいりたい、このように考えますので、ただなかなか今申し上げましたような意味で非常に忙しいようでございますので、そういった点も十分御勘案もいただきながら、いずれ与野党でお話し合いもいただいて、出席方について話を進めていくと、こんなふうにお願いをいたしたいと考えておるところでございます。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸大臣国鉄総裁にお聞きしますがね。あなた方は答申をもらう、あるいは答申をつくる過程で、亀井委員会の三人委員会でやっぱり十分に事前のディスカッションなりあるいは行政側から見た問題点などを提起しながら私は議論をされるべきだと、議論していらっしゃると、そう思うのですよ。しかし同時に、ルールからいうと答申が出てあなた方が法案をつくる、国会に出てくる、主体は運輸委員会決算とか社労とか連合審査に出てくるでしょう。その際に、事前答申を出す前に国会の我々と十分な議論のないまま一方通行でやられたら、これは私自身は体を張って抵抗しますよ。こんな事前にやることをやらないで。そういう将来展望考えた際に、やっぱり運輸大臣総裁もやはり国会にも運輸委員会あるいは国鉄問題小委員会、衆参両院あるわけでありますから、そういうところに出てきて十分にやっぱり国会側意見についても聞いてほしい、議論を深めてほしいということは、法律を扱う運輸大臣あるいは実際問題実施機関をあずかる国鉄総裁としては当然の事前の取り決めとしてそうあるべきだと、こう思うのでありますが、今官房長官は四回と言いました。四回と言ったってちょこちょこと出てきてものの二、三分か二十分いてぽこっと帰っちまう、顔を出したというだけで議論の余地などない、私の経験では。そういう形式的なもの、出てこない、出てきても形式的なもの、そういう議論の積み重ねでは国鉄をあずかる監督官庁運輸大臣実施機関を預かる総裁として一体どうなのかと、私は私なりにやっぱり非常に心配をしておるものであります。ですから、監理委員会運営のあり方、国会とのかかわり合い、そういうことについて運輸大臣なり総裁はどういう考えを持って亀井委員会接触をするのか、取り組もうとしているのか、監督官庁として、あるいは総裁として見解を聞かしてもらいたい、こう思います。
  9. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 申し上げるまでもございませんが、監理委員会から結論をお出しになったものは内閣に御答申になるわけでございますけれども、やはり国鉄を所管する大臣として運輸大臣責任を持ってこれに当たらなければならないということになるわけでございますし、当然また大きな問題でございまして、これは法律案その他の形で国会の御審議の対象になるようなことになることはもう必至だと、かように考えておるようなわけでございます。  したがいまして、監理委員会と私どもとの関係は密接にとっております。また、今後とも私ども考え方監理委員会に十分に反映していただく、御考慮をいただく、我々の考え方について検討してもらう、そして連絡をとってまいらなければならない。あなたの方へお任せっきりというわけにはまいらない、私ども責任上さように思っておるわけでございます。今日といえども監理委員会ができましても、国鉄監督権については第一義的には運輸大臣が持っておるわけでございますから、そういう点から考えてほったらかしにしとくわけにはまいらない、こういうふうな考え方でおる次第でございます。  監理委員会ないし監理委員長国会関係につきましては、今、官房長官からもお話がございましたが、いろいろな御都合もあるようでございまして、私どもそれ以上何も申し上げることはございませんが、事前国会との御意見の交流があることが望ましいということにつきましては私も官房長官と同意見でございます。
  10. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 国鉄といたしましては、今、先生も御指摘になりましたように、国鉄運営実務を担当しているということでございます。したがいまして、我々といたしましては、いろんな面で実行上の問題を抱えているというふうに認識をいたしておりまして、これらの点につきましては、監理委員会との公式の場においてもお話をする機会がございますが、それ以外に事務当局が資料を提供する、あるいは私自身亀井委員長とお目にかかるというようなこともございまして、いろいろと接触はいたしております。  ただ、今までのところ第二次提言におきましてもまだきっちりしたお話監理委員会国鉄の側とがしているという段階にはございませんが、実は私の考え方といたしましては、年末までの間がこれからの監理委員会の出されます改革案の骨子をつくる段階ではないかというふうに理解をいたしておりますので、これらの点につきまして国鉄部内において、今、鋭意検討を進めますとともに、これらをなるべく早く監理委員会等実務者の立場から申し上げまして、出される案に対して整合性を持つように努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは本当は亀井委員長来るものとして私は質問を組み立てたんですが、最後努力をしても来られませんから、これ以上運輸の問題は、国鉄の問題はやめます。明日また運輸委員会がありますから運輸委員会でやりますが、ただ官房長官ね、一つだけ言っておきます。  国鉄問題は非常に大事な問題だということは百も承知。我々も意見はあるけれども、討論についてはやぶさかでない。いい点は伸ばし悪い点は是正する。社会党だって私だって、それは考えは持っている。ただ議論をすることもしないで一方通行でやられたんでは、これはたまったものじゃない。したがって、私はやっぱり十分意見を聞く、組合関係意見も聞く、あるいは党サイドで、社会党にも国鉄再建対策委員会、民社党にもある、共産党にもある、皆あるんだから、その各会派別皆さん議論するのもよし。いろんな方法を考えて、やっぱり風通しをよくした上で、さて法案をつくる際にどうするか、こういうことにならないと、一方通行のままであれば社会党だって黙ってない、絶対。国労、勤労、労働組合だって、あるいは全交運八十万だって私は黙ってないと思う。徹底的な闘いを組む部分もあり得る。そういうことにならないように、事前の対応ということを大事にして、あなたがセンター――まさか中曽根さんにやれとは言えませんから、あなたがセンターになって関係各省と連携をとってやってほしいということを、これは要望しておきます。  それから、官房長官二十分ごろ帰るというから、あと二つ、三つ簡単に言いますが、一つは、けさこの新聞、これは飛び込みですが、日本医科大字の問題。この件については、日本医科大学の前学長ともう一人の人が成績原簿の答案の成績を転記してごまかしているというのが新聞に出ていましたね。これは場所によってはきのうきよう分かれています。これは文部省にもちょっと口頭で通告してあるんですが、この決算委員会で、五十六年度の決算審議で、文部省側大学汚職事件それから厚生省管轄汚職事件、あれほど追及されて、今後、絶対再びないようにと言ってこの決算委員会の場で総理以下皆誓ったんですよ。半年もたたないうちにまた同じことをやる。これは文部省体質的な問題が介在している、こう思うんですが、文部省よく監督して、この真相をぜひ委員会に報告してほしい。きのうのきようですから、あなたの頭の中にまだない面もあると思いますが、文部省には通告してあります。ぜひあなたが中心になって文部省汚職疑獄体質を徹底的にやっぱり洗ってもらいたい。そしてこの委員会に報告してもらいたいということを緊急に申し上げますが、いかがでしょうか。
  12. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) いろいろと入学試験などをめぐりまして、いろんな事件発生をいたしまして、文部省といたしましても教育の場で――入学試験というのは教育上非常に大きな意味を持っておるものでございますから、そういった中でいろんな疑惑を招くような事件発生をするという体質については十分指導をしていかなきゃいかぬ、こういうことで私立大学等について文部省指導をいたしてまいります場合に、大学自主性の問題などもございますので、非常に難しい中を、事柄性格上強い姿勢指導をして今日まできておるところでございます。  また、何か新しい事件新聞紙上をにぎわしておりまして非常に心配をいたしておりますが、事実関係などをよく調査をいたしまして当委員会に報告をいたしますように、文部省連絡をとって進んでまいりたいと存じております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あと残余関係大蔵大臣にしますが、官房長官もう一つ。  いろいろありますが定数是正の問題、これは本来、田川自治大臣をお呼びしようと思ったんですが、いろんな諸般の自民党内部、新自由クラブの中の家庭の事情があるらしゅうございますから、内閣改造展望どもありますから、やっぱり番頭役であるあなたが一番いいと思ってあなたに指名したわけですが、九月二十八日の高裁判決、これなどについて本当に次の国会国会冒頭ぐらいにこの問題についてやる積極的な姿勢があるのかどうか。やはりいろんな新聞紙上に出ておりますが、あなたは内閣の代表として定数是正の問題についての決意について、ぜひひとつ見解を述べてもらいたい、こう思うんです。
  14. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 昨年十一月の最高裁の判決に続きまして、先般、広島高裁判決におきましても違憲であるという判示が出まして、これを厳粛に政府としても受けとめておるところでございます。先般来の特別国会中にもぜひ成案を得たい、事柄性格上、緊急かつ重要な課題であるというふうに考えまして、政府としても真剣に取り組んできたところでございます。  ただ、進め方といたしまして、やはり国会の構成の問題でもございますので、各党間でいろんなお話し合いが進んでいる、このことが民主的であるし、かつまた現実的でもあるというふうに考えまして、与党である自由民主党の中のいろいろ成案化への努力、さらに各党間のお話し合いお願いをしてきたところでございます。非常に難しい問題でございますので、なかなか成案を得るに至らずに特別国会が終わりましたので、総理大臣から所感を発表いたしまして、国会中にまとまらなかったのは非常に残念で遺憾に思っている、なるべく早くまとめるようにさらに努力をしていくということを国会が終わりました段階で内外に発表したところでございます。  この広島高裁判決もさらに追い打ちをかけられたような感じを率直に言って感じておりまして、閉会中も各党間のいろんな御接触どもお願いをしながら進んでまいりまして、ぜひ来るべき通常国会におきましては成案を得てこの問題の解決に当たっていくように、政府といたしましても重大な関心を持って努力を重ねてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひ期待しています。  最後に、私は六十二歳。国鉄に入って、兵隊も四年半で帰ってきたんですが、私は戦前、戦中、戦後を通じ、内ポケットまで調べられて、あなただれですかなんて言われたことは私はいまだかつてない。何悪いことか知らぬけれども。  この前、全斗煥大統領の訪日の警備、それは国際的な行事であるから、取り組むことはそれなりにあなた方、理由があるんですが、ちょっと過剰警備じゃなかったか。それは私は国会に、タクシーをそこでおりてこの院内に入ってくる途中でやられました。国会議員と言っても論外だと。じゃ、あなた、中曽根さんのポケットまで調べますかと言ったら、いやそれは、と言っていました。それは何月何日、何のたれべえとは言いません。そういうような過剰警備があったんではないかと。  それから、私のところに二つ三つ、例えば在日韓国人政治犯を救う家族の会の金さんという方が、九月二日、ずっと尾行されて、うちの田舎でつばをかけることをたんべというんだが、たんべしかけたというんで捕まったというふうな笑い話のようなことがあるんですよ。一週間捕まって釈放になったと。そういうふうないろいろな投書が来ているんですがね。きょうは時間がありませんから言いません。改めて全斗煥の警備の問題について、過剰警備がなかったか、あるいは不当なことがなかったか、そういう問題全般についてやっぱり内閣として一度検討をしてみるべき問題じゃないかと。いろんな事件等についてもそういう視点からやっぱり適切に対応してもらうということが必要ではないかと。したがって、どこどこの事件とは言いません。私自身も、経験者などを含めてこの問題についてやっぱり改めて洗い直してほしいと。具体的な問題については関係省を通じてあなたの方に申し入れますから、そういう点でその際には御検討してほしいということを要望しておきますが、いかがでしょうか。
  16. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 全斗煥大統領の来日につきまして、事前政府としていろいろな対策を検討いたしたところでございます。特に外国からお客様がお見えになります場合に、その方々の身辺の警護ということにつきましてはお迎えをする側の責任になるわけでございまして、特に全斗煥大統領の場合には、かつてラングーンで非常に不幸な事件が起こったというようなこともございまして、我が国のみならず国際的にも韓国大統領の来日については非常に心配をしていたという環境にございます。したがいまして、万一のことがあってはいかぬという立場に立ちまして警備に当たったところでございまして、よく警備中にもいろんな御注意等もございまして、少し厳し過ぎるのではないかとか、あるいは身体検査などまでしてどうだというようなお話もいろいろ御注意をちょうだいをいたしました。途中でも何回かそんなことも警察当局、警備当局と連絡をとりながらきたところでございますが、何にいたしましても万一のことが起こってはというのが先に立つものですから、まず厳重な警備をするということが先に立ちまして、各方面に御迷惑をかけた向きもありたのではないかということを率直に言って心配はいたしております。  ただ、その間に東京都民を初めといたしまして、国民の皆さん方がこの非常に厳しい警備の姿に非常な協力をいただきまして、おかげさまで無事に全斗煥大統領の来日の日程が終わったということでほっといたしておるところでございます。しかし、こういった点の警備の進め方等につきまして、いろいろ御意見等も各方面におありのことは聞いております。したがいまして、よく今後の参考のためにも先般来の警備についてはよく考えてもみ、検討もしてみて、まあ何ともなかったのがやっぱり一番よかったと思いますから、それはそれでお互いにああよかったとこういうことになりますけれども、今後の参考のためにいろいろ検討はするという機会はできるだけ持っていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ喜びの陰に泣いている人もいることですからね、泣いている人の具体的なやつは私が出しますから、見直しの際に考えてください。  次に、東京海事の件について若干質問をいたします。  東京海事はことしの六月自己破産をしました。東京海事は来島どつく系列が三割強の株を持っている、それから十二人の取締役のうち五人が取締役に入っている、それから監査役も来島どっくの坪内さんの直系が監査役をやっていると、こういう会社の構成でありますが、自己破産を宣告したこの会社はそういう意味ではこの来島どつくの影響を直接受けていると、こういうふうに我々は判断をするわけでありますが、運輸省の見解はいかかでしょうか。
  18. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) ただいま先生御指摘のように、東京海事の昨年九月期の営業報告書によりますと、来島どつくはおよそ一〇%の株式を所有しておりまして、その後増資をいたしまして、増資後におきましては御指摘のようにおよそ三〇%が来島グループに属する会社または人によって支配されているという事実がございます。こういう事実から考えますと、やはり来島どつくが常識的には東京海事に対してある程度の影響力を持っているというふうに推定できるかと思います。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 九月二十六日、裁判官立ち会いの上で債権者集会が開かれておるわけでありますが、その中で管財人は、友田社長の言として「坪内さんに見放されたのが痛かった。」と。来島どつくの総帥に見放されたんではどうにもならぬと、こういう発言をしたということを公開の裁判所でやっているんですが、この事実は認めますか。
  20. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 新聞紙上そういう発言があったということを、載っておりますことは承知しておりますが、そういう事実があったという報告は当社、東京海事からは特に受けておりませんし、ほかからも聞いておりません。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 何だかさっぱり聞こえぬ。私も東北弁で言葉は悪いけれども、あなたは関西弁かなんか知らぬけれども、さっぱり聞こえぬ、私には。結局この会社は坪内さんに命運を握られていると。殺すも生かすも坪内さんだということは認めるわけですか。
  22. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 先ほどの株主構成及び取締役の数から申し上げまして、ある程度の影響力を持っているのではないかとは考えております。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がもったいないから、今度は株の話ですが、この会社はあなたが言うとおり、倒産の四カ月前に今までの資本金十億円から二十億円増資をして三十億円になったという点は認めますか。
  24. 仲田豊一郎

    説明員仲田豊一郎君) 実は私ども法律上現在の東京海事から財務上の報告、経理上の報告を受けるという立場にございませんので正確な確認はできませんが、我々の調査によりますとそういうような事実がことしの二月にあったというふうに承知しております。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あったと。  それでこの増資をした分を何に使ったかといろいろ調べてみると、これは友田社長の証言で借金返済に使ったと。借金を返済するために十億の資本金を三十億にして、その二十億で借金を返済したと。こういうことは一体正常の段階であり得るのかどうかですね。これはもう財政を指導する大蔵省にこういうことがあり得るかどうかひとつ見解を聞かしてもらいたいなと、こう思うんですが。
  26. 佐藤徹

    説明員佐藤徹君) 通常、企業が増資をいたします場合に、本件はいわゆる第三者割り当てでございまして有価証券報告書というものは出てまいりませんけれども、臨時報告書というのが私どもの出先の財務局に届いております。その中に資金の使途という欄がございまして使途を書くことになっておりますが、これは究極的にどういうところに充てられたかという意味の使途の掲載でございまして、増資資金、増資によって取得した資金の一部を借入金の返済に充てる、その借入金はもともと究極的には何らかの投資であるとか経費の支払いであるとかに充てられておるわけでございますが、そういったことで、増資資金がそのときの状態としては借入金の返済に充てられるということは、これは経理上十分あり得ることだと思います。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで今のことをもう少し時間があればあれしたいんですが、事実関係だけまず確認していきます。  この二十億の増資をする際に、これの中で政府関係する商工中金が、七億あったやつを十四億の増資に応じて二十一億融資をしている。倒産の段階で二十一億の焦げつきがあるわけですが、この焦げつきについては償却できる、取り返す見込みがあるんですかね。我々はもうこれは焦げつきじゃないかとこういうふうに見ているんですが、商工中金担当の通産と大蔵、答弁
  28. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 東京海事に対します商工中金の貸付額は今御指摘の二十一億円でございました。これにつきましては、この貸し付けに当たりまして当然のことながら担保を徴求いたしておりまして、一応債権の回収面で特段の問題はないと私ども承知をいたしております。  その債権回収の手段でございますが、当然船舶を担保といたしておりますが、さらに関連会社を保証人といたしておりまして、その保証人による、保証人からの回収の可能性が一つ現在ございますので、それとあわせまして、船舶担保を含めましてこの回収は可能であろうというふうに商工中金として判断しているというふうに承知しております。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 金なんというのは、これは私の調べでは、坪内さんの直系の東邦相互銀行というところが破産の直前にもう定期預金から何から皆、十五億相当程度は皆東邦相互銀行が持ち逃げして資産は空っぽだと我々は聞いているんですがね。あなたの答弁は、保証したところから取れるから心配ない、いわゆる回収可能だという見解ですが、その点は本当に財産はあるんですかね。
  30. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 担保といたしまして船舶に抵当権が設定されておるわけでございますが、御承知のように現在海運市況が低迷しておるわけでございますので、直ちにこれを担保を実行することが得策かどうかという問題もございます。先ほど申し上げましたように保証人からの回収可能性をさらに追求した上で、今後の海運市況を見ながら判断をしていきたいというのが商工中金の立場と承知しております。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃあこれをどういうふうに理解しますか。  債権者集会で管財人が明らかにした破産時点の資産状況、帳簿価額二百二億三千二百七十一万円、それから換価見積価額、いわゆるあなたが言う資産とかなんとかというものを現金にかえてそれを計算するとどうなるかという換価見積価額六億九百六十五万、これが管財人が裁判所で債権者集会で明らかにした財産ですよ。この較差百九十六億二千三百六万円、これはもう全然、何といいますかな、いわゆる回収不可能。  それであなたの方からもらった資料を見ますと、船舶、破産時の船舶は、社の船が二隻、それから用船、物を運ぶ小さい船が二十五隻、合計二十七隻。こんなの売ったってもう二束三文。このほかに管財人が明らかにできない隠し財源でも中小企業庁は握っているんですか、おたくの商工中金は。我々の調べでは財産はこれしかないんです。管財人が明らかにするのはこれは最低でしょう。これから見ると、おたくの商工中金が回収可能だなんという財源が出てこないんですがね。だれか物すごい裏バンカーでもいらっしゃるのかそれは知りませんが、その点はいかがですか。私が持っているこの資料のほかに特別にあるんですか。
  32. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 東京海事全体としての資産状況につきましては、的確に承知しておるわけではございませんが、商工中金が融資の際に担保として徴求いたしました船舶、これは五十八年九月、新日本検定協会の鑑定価格に基づきまして担保として設定いたしてございますので、債権額について相当部分これをカバーしているものというふうに我々は承知いたしておるところでございます。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だからそれらの問題が、この東京海事株式会社の謄本を取ってみると、監査役の坪内直系の一色誠さん、これは謄本にありますが、五十七年の十二月二十三日から五十八年十二月の二十二日まで監査役を務めている、この人が倒産寸前まで監査役をしておった。この人の直系のさっき言った東邦相互銀行が、金になるやつはみんな自分の銀行に持っていって空っぽにして倒産したわけですよ。その空っぽの中に商工中金も入っていると私は見ているんですがな。  もうこれ以上時間がありませんからあれしませんが、あなたの言っていることと私の言っていること、私はもう回収不可能で心配だなと、私はそういう視点に立っています。あなたは今、船舶を担保にして評価額が幾ら幾らとこう言っていますから、そうであれば幸いですが、この問題についてはひとつ大蔵省も、粉飾決算であるとかあるいは有価証券の関係どもありますから、大蔵省もひとつ手をかしてもらって商工中金の貸し付けが焦げつかないように、やっぱり私は最大の協力もしてもらいたいなと改めて協力を要請して、時間が来ますからこの問題はこれで終わりたいと思いますが、どうですか大蔵省、協力方。
  34. 佐藤徹

    説明員佐藤徹君) この会社から有価証券報告書が出ております。その五十八年九月時点の数字と、それから今回裁判所で管財人が精査をした結果出しました数字と若干の食い違いがあるということは承知しております。ただ、有価証券報告書の数字と管財人の数字というのはそれぞれその把握する目的が若干異なりますので、両者が食い違ったことが直ちに粉飾決算という問題になるかどうかというのは、これからの調査をまたなければいけないと思います。いずれにいたしましても、こういう企業が倒産をし、あるいは更生手続に入った場合にまず第一に重要なのは、そういった企業が存続をできるように関係者が考えていくということだと考えております。したがいまして、破産手続なり何なりが関係者大勢の方にできるだけ被害を少なくするような形で進められた、その後におきまして私どもの所管する証券取引法上の問題があるかどうか、これは調査をし、検討しなければいけないと思います。現在は公認会計士、監査に当たった公認会計士等から事情を聞いている段階でございまして、今まだ粉飾決算があるかどうかというような結論を出す時期ではございませんけれども、いずれにいたしましても、そういった会社なりあるいは従業員を生かすという方向でのいろいろな手続、それと並行いたしまして、私どもも所定の手続はこれから進めていくつもりでおります。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大蔵省ね、そのあなたの言う一般論はわからないわけではありませんが、私は何も、管財人が債権者集会で裁判所立ち会いの上で発表しておるデータですから、これは私が盗んできたデータじゃないですよ。私はやっぱり、現時点ではいろんな言い分はあるけれども運輸省の言い分、大蔵省の言い分、商工中金の言い分はありますが、やっぱり管財人が発表した数字というのが一番客観性があるんじゃないかなと、こう私は思っているんです。ですから、そこを軸に、答弁は要りませんが、御協力方をお願いしておきたい。改めてまた質問します。  それで運輸大臣、東京海事から発端になって、この関係系列会社ばたばた連鎖倒産いたしまして、現時点でこれは海員組合とかその他の関係、船舶通信士など四百名の解雇通告を受けておるわけですね、もう。ですから、海運行政を扱う運輸大臣として、連鎖倒産でこういう問題が起きたら大変でありますから、また、これはいつだ、十月一日の四百名だから、きょうは四日だからね、あと百や二百はふえたんじゃないですか。どんどん連鎖倒産していっている、こういうことですから、運輸大臣としてやっぱり最大努力を払って、連鎖倒産をしないように海運行政にくさびを打って事態収拾を図ってほしい。これは大臣しかできないから、あなたの見解を聞いておきたい、とう思うんですが、いかがですか。
  36. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 連鎖倒産の防止をできるだけのことをやるということは、もう当然のことでございます。今御指摘がございましたように、人間のこれは生活にかかわる大問題でございます。そこで、八月の二十二日と二十四日に労使間でいろいろ話し合いがなされておるようでございまして、まだ今私どもこの成り行きを見守っておる状況でございます。しかしながら、状況によりましては私どもとしましていろいろな角度からこの問題に対応していかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 労働省の世話にならないように、運輸大臣の力で早目に食いとめてもらいたいということを要請しておきます。  次は、ことしの四月五日――これは大蔵省関係です。四月五日の同僚の和田議員が尼崎浪速の信用金庫理事長の氏平競重さんの実弟の毅さん、十億円の融資をしたと、こういう問題について同僚の和田議員が質問をしております。したがって、私は和田議員の了解を得まして、当時の銀行局長調査いたしますと、こういう答弁をしておりますから、その後の大蔵省の調査の状況をまず冒頭お知らせ願いたいと、こう思います。
  38. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) ただいま御指摘のとおり、四月五日に参議院予算委員会で和田議員から御質問をいただいた件でございます。  そこで、私どもでは直ちに、これは財務局所管の金市でございますので、近畿財務局を通じまして調査を行っております。この件につきましては、かねてから私どもも検査の時点から注意しておったわけでございますが、御指摘もありさらに調査を行いまして是正、改善すべき点について適切に指導しておるところでございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、私は今の答弁を聞いても、この前の議事録読んでみますと、宮本銀行局長は、和田議員の質問によって初めてわかったような答弁をするんですが、これは本当に初めてわかったんですかね、その辺の事実関係を改めて確認します。
  40. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) この時点で御質問受けた四月五日でございますけれども、私ども検査をしていることは確かでございます。これにつきましては実は大変恐縮でございますけれども事前の御通告がない御質問でございましたので、突然のお尋ねでございましたので、当時の銀行局長調査させていただくというような形の答弁となったわけでございますけれども、本件につきましては財務局が検査しておりますので、私どもその後もフォローしておったのが事実でございますが、実際上その委員会の席上では突然の御質問であったので、そのような調査させていただくというような答弁をさせていただきました点を御理解をいただきたいと思います。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 すれ違いということで釈明するわけですが、我々の調べたところ、五十四年の二月、当時の近畿財務局長の水野さん、現在の国税庁長官が加藤八郎検査課長をキャップにして田中さん、長谷川さんの検査官を尼崎市に派遣して検査をしておると、いろんなことが指摘されておると、我々もいろいろやりまして原本を入手しております。これが原本です。この方は大分私より上手なんだけれども、こんな字を書いているんだね、御本人、これは本人の自筆です。自筆でありますけれども、これがなかなか読めないから私の方でタイプに打ち直してきれいにやりました。疑問があるなら書いた本人にこれは確認してもらって結構です。こういう原本があります。解説は百五十ページからある。それで、この問題については、今、前の局長すれ違いをやって、この事実は認めるわけですね。
  42. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) ただいま御指摘の御入手された資料についてでございましょうか、大変恐縮でございます。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 銀行が、監査すればおたくはこういう問題がありますよと、これは示達書というんですか、我々国鉄では監査書というんですけれども専門語で示達書というらしいですね、これは近財金検秘第十八号、五十四年五月十七日、近畿財務局長水野繁、尼信の氏平何のたれべえ殿と、この事実は認めるわけですね。この問題を認めないとどうにもならないから。これはあるんでしょう、おたくに。
  44. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) ただいまのような御指摘の検査に基づきます示達があることはそのとおりでございます。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、これを認めたとなると、この中に添付されている幾つかの問題、例えば債権者氏平毅氏に対する資格外の貸与、員外貸し付けというそうでありますが、その問題、これもそれじゃ認めるわけですね。
  46. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 先ほど申しましたように、本金庫について検査いたしまして、検査の結果是正、改善する事項についてはその都度改善のため指導を行っておるわけでございます。しかし、検査におきます具体的な指摘事項とか指導内容についてはこの場ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。一般論として申し上げますと、その検査自体は金融機関との信頼関係に基づいて出すわけでございますが、先生今御指摘の点につきましてあえて申し上げさせていただきますならば、事実のようなところもあり、事実でないところもあるように思います。そこいら辺は先生とまた子細に御説明させていただいて結構でございますけれども、一般論として申しますと、検査はそういう信頼関係に基づいて検査いたすわけでございますので、大変恐縮ながら今後の検査にも支障がございますので、この席上で御説明するのは差し控えさせていただきたいとかように思っております。  しかし、本件につきましても法令違反や不健全な業務のしぶり等が認められますと、これは本件に限らず一般的にございますけれども、ただいまの御指摘のような検査後の示達書等において厳しく指摘して改善を求めます。  それから、問題のある貸付先等につきましては特に指定いたしまして、引き続き定期的に報告を徴するというようなことの手法を通じまして、確実に改善の効果が上がっているかをチェックするというような方法によりまして、全体として金融機関の健全化を図っていくというのが私どもの態度でございます。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、一般論として逃げる気持ちもわからないわけじゃないが、和田委員が提起した氏平毅氏に対する資格外貸し付け、無担保融資あるいは情実融資、こういうことが何のたろべえに何万と言わなくとも、指摘された事項にこういう該当する事項があったと。名前は伏せますよ。名前は伏せますけれども、資格外貸し付け、無担保貸し付け、情実貸し付け、そういう数数があったということについては、中身の何のたろべえは別にして、あったことは認めますな、じや。
  48. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 今例示されました無担保融資等、それから会員外貸し付けでございますけれども、その点につきましては個別の事項でございますけれども、担保の若干の不足があったと思います点等がございますけれども、それ以外会員資格についても、その当時の時点におきましては会員に対する貸し付けであったというふうに承知いたしております。
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私がここにもう原本持っているんだから、そんなきれいごとを言ったってしようがないんじゃないですか。これはレクチャーの際に、これはここに原本があるんだから。きれいごとを言って、何でそんな尼信をかばうんですか、そんなに。  じゃ最後に、それはこの結論としてこの監査で、金融機関として主体性は全くなく、金融常識を大きく逸脱して、債務者のペースでやっている、厳正さを欠いた取り組みになっている、極めて遺憾であるというのがこの監査の一番最後についていませんか。これはどうですか。
  50. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 具体的にその中身について直接にはお答えできませんけれども、本件につきましてはやはり厳正な検査を行ったわけでございますけれども、その結果に基づきまして金融機関として融資のしぶりあるいは管理体制その他につきましては、検査一般を通じまして指導し、指摘してきたことは事実でございます。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう一つ、融資の段階に、融資する際には理事会に諮ると定款ではなっておるわけですが、ここに指摘されている問題はほとんど理事会に諮らないで、理事長の独断専行ということがたびたび行われておったということは、何の件がなんとは言いませんが、こういう理事会軽視の姿勢についてはいかがでしたか。
  52. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 検査の結果でございますので、かつ信用機関でございますので、ここで具体的には申し上げられませんけれども、私どもが厳重に指導し、今後も指導していくことには変わりはございませんし、それから検査の結果について金庫においても内部においてけじめをある程度つけたことも事実でございます。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 回りくどい答弁だね。  じゃ、五十四年に検査をして、その後五十六年にまた検査していますね。五十四年の後五十六年に検査していると。その際に今言った示達書、こういうことをなかなか金融機関に近畿財務局の方がよこさないと。証言によると、監査してから十カ月間ももうナシのつぶてだったと。そういう事実もあるんですが、この関係はどうなんですか。五十四年のときもおかしなものの、二年後の五十六年の際にもなかなかその検査の結果を尼信側に言わないと。これはどうなんですか。一般論として、大体監査したらどのくらいで示達出すんですか。
  54. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 検査の結果示達を出す場合には、その後検査した後に報告を整理し、かつその後調査を要すべき事項などについて当該金融機関から事後調査などをいたす時間などもございます。その結果、ケースによっていろいろとございます。この場合十カ月ということでございますけれども、必ずしも早かったとは申し上げにくいかと思いますけれども、事後調査等の点もございまして、示達壷がそういう時間を要したということも事実でございます。しかし、これはケースによっていろいろとございますのでということを申し上げさせていただきたいと思います。
  55. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはそんなこと言ったってだめなんで、これは私ここに証言持っている。昭和五十七年六月二十日、尼崎浪速信用金庫、まああんたら言わないから、こっちも私も本人の名誉のために○○理事と言っておきましょう。五十七年六月二十日、近畿財務局長小粥正己殿と、これは手紙のコピーです。これを読みますと、あなたが言った一般論では十カ月も寝かしたという点は証明できませんね。故意に延ばす、故意に。いろんな問題を知っていながら、その問題をもみ消すための時間稼ぎをしておったと。しかし、なかなか来ないので、この理事さんが心配して財務局長に言ったら後で渋々参りましたと。悪いことを発見してそれを直すんでなくて、そのことをもみ消すために時間稼ぎをしておくというのは、尼崎の信金に対する大蔵省の姿勢がちょっと過剰じゃないですか。この手紙のコピーは必要があればあなたに見せます、これは。こんなことが一体近畿財務局にあっていいのかどうかと、金融行政として。私はもってのほかだと、こう思うんですが、いかがでしょうか。そういうことありませんでしたか。この小粥さんというのは今どこだっけ、この人。現総理秘書官、総理官邸にいるわけですからね、これ文書見せますから本人に確認してください。中曽根さんの秘書官ですから、今、現秘書官。これはいかがですか。
  56. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 五十四年に検査いたしまして五十六年に検査をまたいたしましたことは事実でございます。そしてその検査の結果、当然のことながら金融機関としまして指導を行っていくわけでございますけれども、問題があれば私どもも厳しく指摘して改善を求めていくわけでございます。金庫といたしましても、この点については受けとめまして改善された面もあると存じております。  ただいまの財務局に対する投書のことでございますけれども、私ども投書などの有無にかかわりませず、検査とか日常の行政を通じまして指導を行っていくことは当然でございます。ただいまのその投書については後ほどまた拝見させていただきたいと思っております。
  57. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたは何を具体的に述べても逃げの一方だからちっとも張り合いかないんですがね、銀行というのはそういうところだと思うんですがね、これは。  じゃ、この五十六年の検査の中に、五十六年の一月二十九日から同年九月二十六日にかけて笹川了平氏に対して、この方が経営している日本ゴルフの融通手形、担保価額は四徳三千百万、これを貸し付けておるんですが、この担保であって実際は八億を融資したと、三億担保で。これなどについてはこれはどうなんですか。この方は途中であの世へ行つちまったらしいんだね。あの世に行ったらこれどうなるのかね。これは検査の対象にあったはずですが、いかがですか。
  58. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 私どもただいまの御質問につきまして正確に御答弁すべき資料を持ち合わせておりませんので、調査させていただきたいと思います。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちゃんとレクチャーで言ってあるんだがね。  もう一つ、物のついでだ。合田光三商店は西宮市内のセメント販売業者であるが、担保力六億九千八百万でありますが、この方には三十億三千五百万貸し付けている、やっぱり同じ不良貸し付け。これも監査の際に見つかっているはずですが、これはどういうふうに処理しましたか。
  60. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 恐縮でございます。今の御指摘の点につきましても私ども存じておりませんので、後ほど先生から伺いまして調査させていただきたいと思います。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃこの際はあなたの得意な一般論として、信用金庫の一社当たりの貸付限度枠は当時四億だ、当時四億。その限度枠を超えて融資した場合にはどういう罰則なり責めを受けるんですか、一般論として。
  62. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 答弁おくれまして申しわけございません。  当時の通達の限度で申しますと四十億程度と聞いておりますので、通達の限度には違反していないということでございます、四億でございましたら。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この金庫は我々の調べでは四億、現在は八億、どっちが本当ですか。まるで数字が違うね、これ。私の調べでは四億、現在八億、この金庫ですよ。
  64. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) ただいまの答弁でございますけれども、信金法に定める一会員に対する信用供与限度はただいま私が大体申し上げたようなことでございます。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはやりとりしてもしようがありませんから、では私がついでに言います、どうせ調べるんだから。  開明産業に対する八億五千万の使用の問題、それから二つ目の木曽山の家の問題、それから宝塚名塩グランドホテル六億円、この問題がありますから、調べるついでに調べてください。私はおたくの監査示達書、これから拾ったんですから間違いない。ただ問題は、これだけ五十四年のこの通達で示達してながら、その後一向今日に至るも改善されていないというところに私はむしろ問題があると、指摘しながら改善の措置を講じてないというこの金庫の体質、一体大蔵省はどういう態度をとっているんだろうかというところにむしろ疑惑の焦点を持っているということだけつけ加えまして、今言った問題を調べてその後の改善方について私の方に示してほしいということを申し上げますが、いかがですか。
  66. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 私どもは金融機関の公共性、それから銀行の健全性等にかんがみまして金融機関の検査についても厳正に行いたいとかように存じております。  それから御調査依頼の事項でございますけれども、公開の場ではお答えできないと思いますけれども、御教示いただきますれば調査させていただきまして先生に御説明させていただきたいと存じます。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この監査の最後に、この金庫は決算承認指定金庫に指定された、こう聞いているんですが、これは誤報ですか、本当ですか。
  68. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 決算承認指定金庫と申しますのは内部的な制度でございまして、金融機関の検査の結果、中身によりましてはそういう指定をいたしまして厳重に監視していくことがございます。本金庫がそれに該当するかどうかにつきましてはこれは個別の事柄でございますし、信用の問題でもございますので、御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 個別の事柄でございますのでと言ったって、この金庫で融資する案件の際に、いろいろ銀行の置かれている現状などを書いてますね、これはあなたが個別の問題と言ったって、大蔵省からそう言われたからそういうつもりで融資その他やっていますよとちゃんと証拠物件が残っているんです。だからそんなきれいごとを言わないで、悪い銀行は悪い銀行、危いところは危いところといって預金者の方もその危い銀行には金を預託しないようにと、そういう預金者に選択の自由を与えないと、大蔵省が国家機関で監査をして、いろいろな問題があって問題になれば、個別でありますから名誉のために隠しておいて、一般庶民はぼんぼん持ってくるでしょう、中身がわからないから。こんなこと金融行政として許されますか、これは大蔵大臣どうですかね、私の考えが誤りですか。預金者保護の面から見ると悪いところは悪い、いいはいいとあらかじめやっぱり国民に示して、そういう健全な銀行、健全な金融機関を利用する、この前のサラ金問題だってそうでしょう、そういうのが金融行政としてあたりまえじゃないですか。今の銀行局長答弁だと正直者が損をするといいますか、金融行政として国民を守るという立場から言うと、私は余り個別個別と言って公開で発表しないのは国民にとっては裏切り行為だと思うんですが、私が間違ってますか、大蔵大臣
  70. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今、目黒委員おっしゃいましたのは金融機関がある、日本で言えば銀行の数は百五十六ありますが、そういうものに対しては預金者がそれぞれ自由に選択してそれを利用しておる、その善意の預金者というものがおることに対してそれぞれの金融機関が例えば検査を受け、示達書をいただいて、その中にもろもろのものが指摘されておる、そういうものをむしろ可能な限り公にした方が預金者、利用者の選択の自由の範囲を拡大することになるから、そのような考え方で銀行行政というものも指導すべきではないかと、こういう大筋の御議論だと思うんであります。その議論は観念的には行われる議論でございますが、金融機関というもののよって立つ根源は、いわゆる相互の信用というものの上に立つわけでありますから、その段階に至ってはそれぞれ示達書等で指摘いたしまして改善を命じて、改善がなされておる問題もそれぞれあるわけでございますから、個別に一つ一つをオープンにするというのは現実問題としてそれは信用の上に成り立つ金融機関対その利用者という関係においては、私は個別問題をオープンにするということは、これはできないことだと思うんであります。  したがって、その検査の結果において、例えば徴税とかあるいは刑事事件とかいう問題があれば、これは別の角度から世間に公にされることでありますので、おのずから利用者のそれに対する選択の幅というものもその中に包含されるものではないかというふうに思うわけであります。  したがって、金融機関を指導監督する立場にある大蔵省、なかんずく銀行局といたしましては、絶えず国会議論をされる、あるいは新聞紙上で報道される、あるいは場合によっては投書等もあるというようなことについては絶えず厳正な検査、調査を行っていくというその姿勢がまず大事なことであって、それを一つ一つ公にすることによって利用者の判断の幅を広げていくというのは、必ずしも信用の上に成り立っておる銀行業務というものにおいては適当とは言えないのではないか、観念的におっしゃる意味は私もわかりますが、そういうことがないような指導調査をし、さらには検査をし、示達書を出すというのが私どもに与えられた任務ではなかろうかと、このように考えております。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうは言っても被害をこうむるのは、これは一般国民だけでね。  尼信というのは非常に不祥事件発生しておる、これも監査で私は見つかっていると思うんですが、参考までに読むと、五十五年の一月、本店営業部で十五万円、五十五年二月、梅田というところで三十五万、五十五年三月、港で二十万、五十五年五月、小園で八十万、五十五年六月、箕面で五十万、大きいところで五十五年九月、二千万。あっと私はあいた口がふさがらないね、二千万。しかもそこの支店長が職権を利用して二千万の使い込み。五十五年十月神戸東が八百万。五十六年間戸五十万、五十六年阿倍野三十万。大きいところで五十六年八月神戸、ここも支店長、四千五百万。同じく神戸で八百万。五十七年三月、南茨木で三百十万。五十七年八月、ここもでかい、梅田、ここは支店の次長さん、名前は言いません、名前はわかってます、二千百万。五十八年一月上野芝で四百万。これだけの不祥事件が私が調べただけで出ておるんですが、これは財務局なり大蔵省に御通知はあったんですかなかったんですか。
  72. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) ただいまの御指摘の点でございますけれども、それが私ども検査をいたしますると、当然に不祥事件があったかどうかを調査いたします。それから、万一不祥事件があった場合には、直ちに当局に届け出るような通達を出しておるわけでございます。ただいま御指摘のようなケースが私どもの把握しているもの等すべてカバーしているのかどうかにつきましては、近畿財務局を通じて調査させていただきたいと、かように思っております。
  73. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、支店長が四千五百万とか二千万もあなた使い込みしてやっているというのはね、支店長さんですよ、それをね監査でわからないというのは、しかもこれは、私のあれだとこれは解雇処分して退職金で穴埋めすると。足りないところは支店長の借用書書けと。で、借用書書いて一件落着と。全部これは口ふさがり。皆口ふさいでやっているから、おたくのところには私は行ってないと思うんですがな。行ってますか、これ。まあ調べると言うんだから、それ調べを待ちましょう。私の調べでは全部解雇、退職金は繰り入れると。足りないところは借用書書けと。年賦で今現にこの支店長などが払っていると。月何万円という金額は言いませんが、現に払っているという受取書も私は持ってます。  それではもう一つ、物のついでに、立花支店で五十六年二月から七月まで、これは盗難事故。五十万、百万、百万、三十万、百万、十万。合計で六回で三百九十万ですか、合計三百九十万。これは現金盗難事故。これもおたくの言うその四十年五月十二日の通達では、こういう際にも届けなさいと、こういうふうになっているけれども、これはわかってませんか。
  74. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) ただいまの御指摘、具体的にただいま私自身は承知しておりませんので、やはり調査の対象にさせていただきたいと思います。一般にただいま御指摘のような不祥事件、使い込みを含めて、あるいは盗難事件等々につきましては、金融機関はやはり健全な管理体制が必要でございますし、先ほど大臣が申しましたように、国民の信用を得なければいけませんので、もし事実であれば厳重に指導してまいりたいと、かように思います。
  75. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 警察庁にお伺いしますが、この尼崎の管轄の警察にあるいは県警にこの盗難事故あるいは不良使い込み事案などの届けが記録に残っているかどうか、レクチャーのときに調べてもらいたいとお願いしたんですが、警察庁、調べた結果どうでしたか。
  76. 上野浩靖

    説明員(上野浩靖君) お答えいたします。  ただいまいろいろと御指摘ございましたが、刑罰法令に触れるような事実につきましては、ただいまのところ把握いたしておりません。ただ、現金紛失事故につきまして、五十五年の七月末でございますが、先生ただいま申されました金庫の立花支店におきまして、現金がなくなったんじゃないかということで、当時尼崎西警察署に調査依頼が出されたようでございます。同署におきまして所要の調査を実施いたしたところでございますけれども、紛失原因等の詳細は判明いたさなかったというようなことで報告が参っております。
  77. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは時間が参りましたからこの程度でやめますが、大臣ね、この信用金庫という関係が、まあ尼崎が例外かあるいは全般かは知りませんが、私が今具体的にあなたの方でやった監査報告書を中心に洗ったんですが、どうもやっぱり腑に落ちない、あるいは答弁が迂回作戦でなかなかわからないという点に非常に私は不信感を持ちます。私はこの問題を取り上げますのは、このサラ金問題、福島交通に次いで何でこの尼崎の信用金庫だけが不正が見逃されたり、指定された事項がなかなか改善の実例として挙がってこない。なぜそうなんだろうか。しかも登場する人物は全部大蔵省の最もいいポスト、いわゆる中曽根さんの秘書官とか、そういうもう大蔵省最高のポストを歩いておるいわゆるエリート官僚の皆さんが皆かかわり合いを持っているわけですね。したがって、私はこの大蔵省の絶大な権力とエリート官僚の皆さんと、そういうものとのかかわり合いで尼崎信金の中に介在する泥臭い問題がもう表に出てこない、カバーされているということについて非常に激しい怒りと不信感と疑惑を持つわけです。したがって、きょうは第一ラウンドでありますから、銀行局長調査を待って、いわゆるさらに深く追及すると同時に、政治とのかかわり合い、政治献金もやっぱりあるんじゃないかという疑惑も幾つかデータを持っています。したがって、こういうことについてやっぱり大蔵大臣、ひとつ真摯な立場でこの今言ったような問題の調査と今後の問題について取り組んでほしいなということを、私は一議員の立場から金融行政の大番頭である大蔵大臣、いくいくはまだそれ以上のポストにつくであろうと、こういうことを期待されるエースの竹下大蔵大臣に、最後にこの問題に対する質問を聞いておって私の疑惑に答えるかどうか、あなたの答弁を求めたい、こう思います。
  78. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず本日御指摘になりましたことに対し、私どもの方で銀行局長あるいはその前の証券局長関係の御質問もございましたが、それらを含めてお約束したことに対しては忠実にかつ厳正に調査し、公にできるものは公にする、個別案件等については質問なされた目黒委員その人に可能な限りの御報告をすると、こういうのは当然のことであろうと思っております。  それから全般的な問題につきましては、なかんずくいわゆる金融の国際化だの、自由化だの、こういう時代でございますので、個々のよってもって立つ信用によってこの裏づけができておる金融機関が、なかんずくそうした中でみずから厳正なこのいわゆる事業運営をしなければなりませんし、免許事業でございますから、それを監督する立場にあります大蔵省としてそれぞれ金庫は財務局であり、あるいは信用組合につきましては都道府県等々になりましょうけれども、上は都銀から、そして信用組合に至るまでの金融機関の持って立つ公共性というものに絶えず着目をしながら厳正な調査をし、そして指摘すべきものは指摘し、その是正を促進していくという態度で対応しなければならないということは、目黒委員の御指摘に私どもが沿うゆえんのものではないかというふうに考えます。
  79. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そのようにお願いします。  次に、最後に秋田駅前の開発事業の問題について質問します。  もう時間がありませんから、この問題にはレクチャーの段階で大蔵省側関係者に言ってありますから、この案件は秋田駅前中央地区市街地再開発事業ということで、国の補助事業であります。  この事業は、五十五年から五十九年まで五カ年間、国が七億一千二百十七万五千円、県が三億五千六百八万五千円、市が同じく三億五千六百九万、合計四億二千四百三十五万国民の税金が使われておる事業であります。  国税庁にお伺いしますが、この事業体の中で、北海道電力用地問題で、この本体を請け負った大成建設、大成建設を洗っておるうちに二億円の金がこの関係者に裏金として使われているという点が把握されたと、こういうことになっておるわけでありますが、国税庁、この事実に間違いありませんか。
  80. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) ただいま先生御指摘のようなことが新聞で報道をされたという事実は承知をいたしておりますけれども、その内容が事実かどうかということにつきましては、個別にわたります事柄でございますので答弁を差し控えさせていただきたいと、かように思う次第でございます。  一般的に申し上げますと、国会で御論議いただきました事柄でございますとか、あるいは新聞等で報道をされました事柄、そういった一般的な諸情報、あるいは私ども税務当局の内部の資料情報、そういったものと、法人から提出をされました申告書等を総合的に検討いたしまして、課税上問題があると認められます場合におきましては、そういった情報等につきましても十分念頭に置きまして実地調査を行うということ等をやりまして適正な課税処理に努めているところでございます。
  81. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう事ここに至ってそんなきれいごとを言ったってしようがないんだ、あなた。秋田に南税務署あるでしょう。南税務署から秋田市のAさんという人に具体的に通知しているんじゃありませんか。それ確認できませんか。新聞はAさんになっています。私はちゃんとこれ持っています、ほらみんな、全部、ほら税務署から来ているやつ。これだけ証拠を握られておって、一般論として問題があれば指導しますと。一般論でやった結果こういうことを税務署から納税者にしているんじゃありませんか。これをこの国会の場でも否定するんですか。秋田市の南税務署から話があって、ちゃんとこう払っているんですよ。こんな一般論をここで、国会の場で、これだけつかまっておって、あなたそんなこと言い逃げできますか、長官。
  82. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま先生が御指摘になりましたように、秋田南税務署の関係新聞報道がありましたことは私ども十分承知をしております。しかしながら、その内容が事実かどうかにつきましては、個別にわたる事柄でございますので御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、そのような一般論として申し上げさしていただければ、不動産の売買、土地の開発、そういうたぐいの問題につきましては常に、非常に平素から関心を持っておりまして、種々な情報をできるだけ多方面にわたって集めまして、課税上の問題点につきましては十分に調査を行うなどして適正課税に努めておると、このような状況でございます。
  83. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱり悪いやつは悪いんですからね、いいやつはいいんですから。私はこれは本人の了解もらっています。じゃ、あんた方がそう言うんなら私が言いましょう。  この土地を買うに、物の価額、これは秋田市長さんから計算の書面――建物の権利四百三万五千円、それから借地権消滅の補償金三千四百四十二万三千四百八十八円――いいですか、おたくの銀行の帳簿と間違っているかどうかあなたも見てくださいよ。それから、これはいわゆる開発組合から不動産の譲り受けの対価の支払い調書七百二十八万一千四百四十五円、これだけ持って申告したところ、あなたの税務署から、南税務署から、北海道の調査の結果、あなたの会社には全部で九千八百八十万の金が入っているんじゃありませんかと、九千八百八十万。勘定がいませんよと言ってこの会社に聞かれたと。そのことがぱっとうわさになった瞬間に、この再開発組合ですね、再開発組合の理事長の代理を預る伊東さんという方がことしの二月千五百万を持ってきた。これは何ですかと言われたら、しかじかの問題でありますからお願いしますということで、前の金の千五百万、それからもう一つ、俗に裏金と言われている――ここに、まだこれは本人の了解得ていませんから言いません。原簿を持っている、原簿を。ちゃんと金額も書かれているし判こも押されている、これ。これをぱぱっと計算しますと、やっぱり九千五百万。それで、九千八百八十万と九千五百万で、まだ三百万足りないですね。おたくさん三百万ポケットするんですかと言われて、私はポケットしませんと、もうもらった金全部やりましたと言って、それでは調べてやりましょうと言われて、おたくの、これはおたくの税務署から法人税の通知書が来ましてちゃんと納めているんですね。これはちゃんと、おたくの秋田市指定金融機関で五十九年八月三十一日、これは法人市民税。こっちは法人県民税――おたくの税務署からきちっとやってあるんですよ、これは。これだけ証拠を持っていて――これは二億円の一部ですよ、九千八百八十万、この事実を肯定しませんか、これだけあなた公式の領収証を持っておって、どうですか。
  84. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 先生御指摘でございますけれども、先ほど申し上げましたように、御本人の仮に承諾がございましても、個別問題につきまして私どもがお答えすることは守秘義務の関係がございますので御勘弁をいただきたいと思います。
  85. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 本人が、場合によっては国会に、決算委員会に証人に出てもいいと、そういうことを言っていますが、証人に来てもあなたは今言ったことで言い逃げするわけですか。二億円のうち九千八百八十万現に受け取って、いろんな出入りあったけれども、税務署に申告してちゃんと税金を納めているんでしょう、これは。ここに受取あるんですよ、受取、おたくの受取。これだけ証拠物件があっても守秘義務を言うんですか。  大蔵大臣、そこまで守秘義務というのはあるんですか。二億円のうち九千八百八十万動いている。現にこう受取あるんですよ。これでも……。
  86. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 公務員の守秘義務の問題になりますと、個別案件については、本人が仮に、これは私がオープンにして差し支えないものですと、こう言ったといたしましても、職務上知り得た秘密に対する守秘義務の範疇に入るものがおおむね多いだろうと、私も正確な限界をどこまでかということになりますと、私がにわかにお答えするだけの能力を持ちませんが、たとえこの席上で、私はこのような申告をいたしておりますと本人が申しましたといたしましても、いわゆる一千万円以上で公示されておる者というようなものは当然これは守秘義務の範疇の外にあるわけでございますが、職務上知り得た秘密というものに関する守秘義務の範囲内では、恐らく本人がこれはオープンにしてもいいと言っておるものであっても、それを肯定なり否定するということは守秘義務の範囲内の問題じゃないかというふうに私も理解しております。
  87. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは時間がないから、そんなことで、はいそうですかと私は引っ込むわけにはまいりません。それはそれで、今度は新たな闘いを宣言します、作戦を考えて。  じゃ、角度を変えて会計検査院、これは十四億近くの金が県と国庫補助になっておるんですが、この金の流れについてやっぱり会計検査院はぜひ補助事業の流れについて検査をしてほしいと、こう思うんですが、いかがですか。
  88. 小川一哉

    説明員(小川一哉君) 先生御指摘の秋田駅前中央地区の可開発事業でございますが、国庫補助金として七億円余交付されてございますので、その事業が五十九年度に終了いたしますので、来年以降の検査でひとつ厳正に御指摘の趣旨を踏まえて検査をさせていただきたい、かように考えております。
  89. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 十分な検査をお願いします。  それから警察庁、法務省関係ですが、きょうは時間がないから持ってきませんが、再開発事業法によりますと、何か役員の理事さんとかあるいは理事長さんというのが仕事にかかわってお金をもらった場合には収賄、贈賄の関係が成立すると、そういうことになっておるし、あるいは組合自体でも五分の一か十分の一かわかりませんが、告発すれば監査ができると、そういう仕組みになっておるそうでありますが、今、国税庁は守秘義務で逃げておりますから、法務省と警察がこの二億円の金の流れのうち私は九千八百八十万までの領収証を持っておるわけでありますから、これらの問題について法務省なり警察庁に情報を提供するにはやぶさかでありません、私は、本人の了解を得ていますから。したがって、この二億円の事件のうち約一億円は持っておるわけでありますから、あとの一億円はどこに行ったのか、あるいは地元の新聞などを見ますと、いやこれはほんの入り口であって、もっと一人で五千万とか一億五千万とかもらっている方がもっといるんだと、仲間割れって変なものでね、ある人がわかると、いやおれだけが悪いんじゃないと、あいつも悪いんだと、いやあれももらっておるぞ、こういう俗称芋づる式に出てくるというのがこういう疑獄卒件の現実でありまして、私は法務省と玄孫にこれだけの資料を我々が持っておるわけでありますから、ひとつ警察と法務でそれなりの捜査なり調べをしてもらいたいということを要望してるんですが、いかがでしょうか、法務、警察。
  90. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) お答えいたします。  今、委員指摘のように都市再開発法でございますか、これの百四十条におきましては「(法人である個人施行者にあっては、その役員又は職員)」いわば役員の方々がその職務に関してわいろを収受したような場合には三年以下の懲役に処せられるという罰則があるわけでございます。今、御指摘の事実については私ども詳細に存じておりませんので、果たしてこれに当たるかどうかわかりませんが、もし犯罪の嫌疑があるということになりますれば、検察当局としてもその事実に従って適正に捜査処理をすることになろうかと思います。
  91. 上野浩靖

    説明員(上野浩靖君) 私ども具体的な事実関係を把握しておりませんので、ただいま直ちにどうなるかということは申し上げられませんが、今後そのような事実が出てまいりました場合には適切に処理してまいりたいというふうに考えております。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 警察と法務省ね、私は公的な客観的な物件を持っているんですから必要があれば提供します。また、これは単に証拠物件だけじゃなくて、だれかの告発が必要だというならば告発方の方法などについても私は検討するにやぶさかでありません。だから私は、国会でこれだけの証拠物件を持って提起をしたんですから、一般論じゃなくてひとつ重大な関心を持って、おたくも国税庁とか大蔵省にもそれなりにあるんでしょうから、重大な関心を持ってやってもらいたいということを重ねて要望しますが、もう答弁は要りません、要望だけしておきます。  それからもう一つ、建設省、この案件はどうもやっぱり建設省も――きょうは時間がありませんから言いませんが、建設省の問題で、この理事会の定款によりますと、競争入札が原則になっているわけですね、これだけの大きな仕事をするんですから。それが、原則は競争入札と理事会で決まっていながら、この大成建設はいわゆる随意契約ということで急速決まったと、こういうことも聞いておるわけでありますが、この大成建設が随意契約で競争入札を経ないで決まった経過などについてどうなのか、あるいはこの大成建設が開発用の土地の中に四十六坪を持っている地権者だということになっているんですが、これも福島駅前開発の福島交通の小針社長と同じ手でね、これはやり方が。大体田中角榮以来手は同じだ、皆。その四十六坪を持っていることが一つの理由になって競争入札を省略して大成建設に行ったのか、この辺の経過について十分レクチャーもしてませんでしたが、建設省きょう来てればぜひこの点を調査をして委員会に報告してほしいと、こう思うんですが、建設省いかがですか。
  93. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 先生ただいま御指摘の件につきましては、私どもこの事件新聞で報道されました後、秋田県を呼びまして報告を徴したわけでございますが、その際に秋田のこの発注の問題につきまして県からの報告によりますと、組合の定款とか、あるいは組合の総会の同意を得て定められました工事請負規定というものが組合にございますが、その中で、急に施工を要するため理事会の議を経て随意契約で行われている、この組合の規定では随意契約で行う場合も規定されておりますので、それを用いて随意契約にしたというふうに聞いております。その理由としては、当初予定していた専門店が出店を取りやめたというようなことで、建築設計の変更に日時を要したため、あと施工を急がなければならないとか、あるいは核テナントとして入居するホテルのオープン日が入居条件になっているので、それに間に合わせるというような、そういう急に急いで施工しなくてはいけないということが理由であるという報告をいただいております。
  94. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは秋田市議会と秋田県議会でこの問題が始まったイロハのイのときに言われたことであって、その後関係者から聞いてみるとそんなことでないの。だからもう少し事実関係を――きょうは時間がありませんから事実関係を今言った件について大成建設の関係理事会関係をぜひ調べて後日報告してもらいたいと、これは要望だけしておきます。もう御答弁要りません。  最後に、サラ金問題でひとつ大蔵大臣に要請します。これはことしの七月九日にサラ金問題を要請いたしました。十月過ぎて業者登録の猶予期間が経過するわけでありますが、七月九日の際にお話しした加藤正見さん関係、それから今池ビルディングの関係、三喜開発の関係、この問題についてはひとつ調査方を依頼しておったわけでありますが、調査がどのようになっていますかお知らせ願いたいと、こう思うんですが。
  95. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま先生御指摘の納税者の件につきましては個別にわたる事柄でございますので、この席での御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。ただ一般的に申し上げまして、私どもといたしましては平素から新聞、雑誌等で報道されていたことや、国会での御議論ども含めましてできるだけ多くの資料、情報を収集いたしまして、課税上問題があると認められますものにつきましては税務調査を行うなどいたしまして、適正な課税に努めているところでございます。
  96. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかしあるときには新聞に、あるときは週刊誌に、あるときは何とか雑誌に延々堂々としゃべっている方ですから、国税庁もそんなに遠慮しないで実態をきちっと調べて国会に報告して国民に明らかにしてもいいじゃありませんか。余りかばう必要はないと私は思うんですがね。ひとつそれじゃここで言えないならば、調べた結果などについて後ほど私のところに報告願いたいと、こう思うんですが。  それから同時に法務省、これも二〇%のやみ天引きの問題についても安岡さんの関係についていろんな法律上問題があるではないかという問題を提起しておったわけでありますが、この法務省の関係はどうなっていますか。
  97. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま私の答弁の中で、この場でというふうなことを申し上げたのは、ちょっと私として訂正させていただきたいと思いますが、個別問題でございますので御答弁は勘弁をさせていただきたいというふうにお願いいたしたいと思います。
  98. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、その中身については、それは後ほど教えるとかというのはありますけれども、問題を提起して全然調査していないということは私は許されぬと思うんですよ。国税庁と法務省は、問題提起を受けて真剣に取り組んで現在は調査中だというぐらいはわかるけれども、今の答弁を聞いていると、個別の問題だから答えられませんということは、裏を返せば、調査も何もやっていないということですか、もう七月以来。その点どうですか。
  99. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもとしては、いろんな資料収集には豊から努めているところでございます。問題があれば調査をいたしまして課税処理に努めるという方針で対処してまいっております。
  100. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 方針で対処しているということは、裏を返せば、調べを進行しているというふうに善意にとりましょう。  最後に大蔵省、福島交通でもういろいろありました。ありましたからもう何も言いませんが、最近小針社長さんが、那須のロイヤルとか東京の本社とか、いわゆる金になるところをどんどん手離しているという点がマスコミに載っているんですが、そのことについて一点だけ。  日債銀でここであなたの前の宮本局長議論した際に、できるだけ早い機会に福島交通の財産をそれなりに処理をしながら日債銀の借金を返すと、そういう指導をすると、こういうふうに言われたことを今記憶しているんですが、一連の行為なんかから見て、小針社長から、ここ半年か十カ月ぐらいの間にどのくらい日債銀に返済されていますか、返済の額だけ教えてもらいたいと、こう思うんです。
  101. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 具体的な返済金額を答弁することは、個別でございますので差し控えさせていただきますけれども新聞報道によります美福ビルの売却は行われておりまして、日債銀に対する債務の一部返済に充てられているところでございます。ただ、那須のロイヤルホテルについてはまだ売却が行われないと聞いております。
  102. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 日債銀にどの程度返っているのか教えてほしいと。個人的問題であれば、調べればすぐわかることだけれども、やっぱりあなたのところで、どの程度返しているか調べて報告してもらいたい。以上で終わるんですが、いかがですか。
  103. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 金額につきましては、この場では答弁を差し控えさせていただきますけれども、返済に充てられていますので、必要に応じて先生には御連絡させていただきたいと思い雲す。
  104. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  105. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、総括質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 外務大臣はメキシコを公式訪問されまして、その後国連総会に御出席なされました。すべての日程を消化されまして、新聞報道等を注視をいたしますと、大変成果を上げて御帰国なされました。二年にわたる安倍外交の取りまとめという感を深くするわけでありますが、この一連の外交日程の消化の中で三点ほど御質問をさしていただきたいと思うわけであります。  その第一は、中米問題であります。中米諸国は私が申し上げるまでもなく累積債務で悩み続け、政治的には極めて不安定な要素をはらんでおることは言をまちません。中米問題は今や中東問題と並ぶ国際問題の一つであるというふうに理解をしているものでもございます。特に米国におきましては中米問題は極めて大きい外交課題となっていることも承知をいたしておるところであります。現在中米における問題解決のために地域的努力がメキシコなどコンタドーラグループ、いわゆるコロンビア、ベネズエラ、パナマ、メキシコ等々を中心に進められているというふうに聞いておりまするし、今回の大臣の訪問にはかかる意味におきましても大変時宜を得たものであろうというふうにしんしゃくをいたしておるところであります。  そこで、今回のメキシコ訪問の意義、デラマドリ大統領を初め要人との会談を通じまして生の外交の成果をお聞かせをいただければ幸いと存じます。
  107. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は九月の二十日から二十四日までメキシコを公式に訪問をいたしまして、デラマドリ大統領、セプルベダ外相と会談をいたした次第であります。  中南米諸国は現存累積債務問題に直面しているわけでございますが、同時に、他方におきましては同地域は中米問題を抱えて、同地域の動向いかんは世界的にも大きな影響を持つものでございますが、今回の私のメキシコ訪問における一連の会談におきましてこれら国際問題につきまして率直な会談を行った次第であります。  メキシコは、中米問題解決のため地域的努力を進めているところのいわゆるコンタドーラグループ諸国の有力な一員であるなど、国際的にも中南米諸国、開発途上諸国における指導的な地位にもあります。このメキシコとのこのような対話の強化は、我が国外交の幅を広げるとの観点からも大きな意義があったというふうに考えております。また、メキシコは貿易、投資等の経済関係を初め、種々の分野におきまして我が国と緊密な関係にありまして、同国との間で今後一層の幅広い協力関係の強化につき合意をしたことは意味は深かったのではないかと。  そういう意味におきまして、今回のメキシコ訪問は、それなりに今後の日本とメキシコの友好関係をさらに発展させ、同時にまた中米問題につきまして突っ込んだ意見の交換をし、さらにコンタドーラグループを日本が支援するという立場を表明したことは、中米の和平解決に向かっての日本の外交の意欲というものをはっきり述べた面で中米諸国の支持を今後とも得ることができると、私はそういうふうに考えております。
  108. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 次に、国連総会出席にかかわる件についてお尋ねをいたしたいと思いますが、資料として安倍外務大臣の一般討議における演説のコピーを私ちょうだいをいたしまして拝見をいたしましたところ、特に創造的外交、すなわちそれはより能動的であり、より積極的な行動に踏み込む外交を強調されまして、三つの柱から成っておるわけでございます。  そこで、この国連総会での大いなる成果、これにつきましては各紙のコピーを私今持っているわけでありますけれども、いろいろと、それぞれ見出しは違いますが、大方、その国連総会での成果というものを評価をいたしておるわけでございます。国連総会での成果という意味につきまして、この際、お聞かせをいただければ幸いと存じます。
  109. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は第三十九回国連総会、今回の国連総会でございますが、この総会に出席のために九月二十四日から二十九日までニューヨークに滞在をいたしまして、二十六日に今御指摘がありました一般討論演説を行った次第であります。  同演説におきましては、厳しい国際情勢のもとで平和と繁栄のためにはやはり創意あふれる洞察力と国際間の協力が必要であるということを強く訴えるとともに、イラン・イラク紛争、軍縮問題、アフリカの飢餓問題を含む南北問題等に触れつつ、我が国の外交政策及び外交努力を表明した次第であります。  私の演説に対しましては各国代表及び国連事務総長から強い関心が示され、特にイラン・イラク紛争につきましての我が国の努力、軍縮に対する我が国の取り組み方、国連に対する協力ぶり及びアフリカ問題に対する姿勢等につきまして、私が言うのも自画自賛的になるわけでございますが、しかし全体的に私は高い評価を得たのではないかと思っております。特にアフリカ問題を私は今度の国連総会の演説では強く訴えたわけで、アフリカでは今一億五千万人が飢えておるわけでございます。二十四カ国がその渦中にあるわけでございまして、このままで放置することはできない、やはり国連が強くこのアフリカに関心を持ってこれに取り組んでいくことが必要である、国連加盟の諸国が一体となってアフリカに努力を傾注すべきであるということを強く訴えた次第でございます。これに対する反響は予想以上であったと思っております。私が明くる日の昼食会でアフリカの外務大臣等をお呼びしたところ、二十一カ国の外務大臣が直接私の昼食会に参加をいたしまして、こもごも日本のこうしたアフリカ問題に対する強い関心,そして世界に対するアピールに対して非常な感謝の意を表明をされました。私自身も非常に感銘を受けたわけでございますが、そのようにやはりアフリカ問題はまさにこれからの世界の大きな問題ではないか。同時にまた、我が国が昨年以来、私自身も執念を持って取り組んでまいりましたイラン・イラク外交につきましても、国連事務総長を初めとする各国の外相が日本の外交努力というものに対して非常な評価を下したと。私はそういう点で非常に感銘を受けたわけでございますが、しかし残念ながら、まだイラン・イラク戦争は一進一退でございます。我が国の外交努力もありまして、いわば戦争の拡大防止のためには一定のやはり成果を上げることができたと思っておりますが、この努力は引き続いて精力的に続けなければならないと思うわけでございます。イラン、イラクの外相にも今度会ったわけでございますが、イラン、イラクの外相との間の非常に強い深いパイプをさらにこれからもひとつ活用いたしまして、このアフリカ、イラン・イラク紛争の平和的解決に向かって日本外交は進んでいかなければならないと、今後もその路線を進んでいかなければならないということを強く感じる次第でございます。  国連総会は、世界各国の首脳、外務大臣が大勢集まりまして、我が国の外交の幅を広げるのに大変有益な場であります。私は短い滞在期間ではございましたが、この機会にペレス・デクエヤル国連事務総長のほか二十六カ国の外務大臣等々と会談をし、率直な意見交換を行った次第であります。今次の国連総会の出席を通じ、我が国の地位の向上に伴い、国際社会の我が国に対する期待がますます増大していることを痛感した次第でございます。
  110. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 ただいまのお話にもありましたように、国連総会においてロビー外交というものが大変繰り広げられたというふうに報道を通じて承知をいたしておりまするが、私ども、最もロビー外交の中で注目をいたさなければならないのは日ソ問題であろうというふうに思うわけであります。八月には日ソ友好議連の桜内会長を初めとする皆様方が訪ソをされて北方領土に触れられておられましたし、また、我が党の村田国民運動本部長がいわゆる北方領土地図の訪米ミッション――聞くところによりますと、現在我が国が主張している北方領土の問題につきましては、世界地図の中で韓国あるいは中国、トルコ、西ドイツ、パナマ等々だけが日本領というふうに記しているのみであるというところに思いをはせて、大変な成果を実は上げて帰ってこられた。日ソ外相会談の要約というものの報道記事を拝見しますと、領土問題がある限り訪日はいたさないというようなことが中心に伝わってきておりまするけれども、これらは新聞等の見出しから察しますと、日本の期待は肩透かしであるというような見出しもありまするし、また、日ソ対話強化で合意というふうな見出しもございますし、いろいろでありまするけれども、日ソ外相会談の内容、と同時に今後の対ソ外交という点について最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  111. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 昨年の国連総会におきましても、実はグロムイコ外相と会談する予定でございましたが、御承知のように、大韓航空機撃墜事件が起こりましてグロムイコ外相が国連をボイコットすると、こういうことになりまして、残念ながら会談の機会を得ませんでした。二年ぶりに日ソ外相会談が持たれたわけでございまして、九月二十五日にグロムイコソ連外相と会談を行いまして、その日ソの外相会談というのは、これまでの記録によりますと、いつも非常にとげとげしい雰囲気の中でソ連の側からはお茶の一杯も出されなかったというふうな記録もあるわけでございますが、今回私、ソ連代表部を訪問したところ、初めから非常ににこやかな態度で私を出迎えまして、コーヒーとか紅茶とかビスケットまで出るというふうな接待ぶりでございました。今までにない打ち解けたといいますかソフトな雰囲気で会談が始まったわけでございますが、そして二国間、さらにまた国際情勢等について話し合ったわけでございます。  その中で、全体を通して言いますと、私は全体的には会談で大きな前進はなかったように思います。領土問題にしてもあるいはまたソ連外相の訪日問題にしても、前進は見られなかったようでありますが、しかしソ連が日本を重視しているということをグロムイコ外相が二度もはっきりと私の前で言明をいたしたわけで、これなんかは今までにない発言でございました。そして、全体的には非常に友好的な雰囲気の中で対話をこれからも積み重ねていこうという姿勢はにじみ出ておりました。その点は私は一つの進歩ではないかと思うわけでございます。  ただ、私が何とかひとつ言質を得たいと思っておりましたソ連外相の訪日でございます。この点については私はグロムイコ外相に対しまして、ぜひともひとつ訪日してほしいということを強く要請をいたしました。これは日ソの間には定期外相会談という約束事があるわけで、今度はソ連外相の訪日の番ですから、あなたの番ですからひとつ日本は歓迎しますから来てほしいということを訴えたわけです。これに対してグロムイコ外相は、原則的には私の番である、私が東京を訪問しなきゃならぬということは十分承知しておるという、これも今まではそういうことをはっきり言ったことがなかったんですが、はっきり原則的には自分の番である、自分が訪問しなきゃなりませんということをはっきり言いました。しかし、同時にそのときグロムイコ外相は、しかし私が行ってもどうぜあなたは領土問題で論議をしかけてくるだろう、そうなると日本とソ連の立場は根本的に違う、だからここで暗礁に乗り上げてしまって私の訪日が無意味になるのじゃないかと、こういうことを言ったわけでございます。これに対して私は、いや、それは両国の外相が会談をして、そして日本が一番重大な問題と考えておる領土問題を取り上げない、領土問題を持ち出さないというわけには私は絶対にいかない。ですからこの問題は持ち出します。しかし、日ソ間においては領土問題だけがすべてでなくてその他に多くの問題があるわけであるし、やっぱり外相会談を東京で行うということはそれなりに私は意味があるのじゃないか、そしてまたそれなりの成果というものも生まれるのじゃないか、だからぜひ来てほしいということを重ねて言ったわけでございますが、これに対しては、今のやはり領土問題でぶつかっている以上は、なかなかいい雰囲気になれないというようなことでございました。特に領土問題につきましては、これまでソ連が実は領土問題は全く無視すると、日本の発言を無視するということであったわけですが、今回はむしろグロムイコ外相の方から領土問題を取り上げるという形でございました。いわゆる私、グロムイコ外相が東京に来て日ソ外相会談をやる場合も、領土問題をあなたは出すだろうということを言いましたし、あるいはまた今先ほど御質問がございましたが、日本が世界に使節団を送って地図の塗りかえを行おうとしている、これはけしからぬということをグロムイコ外相が述べたわけでございます。こうしたことは私はソ連のある程度の変化でもあるんじゃないかと。初めから領土問題というのを無視しておるということでございまして、もう解決済みだというようなことを言っておりましたソ連ですが、やはりそのソ連が領土問題でぶつかるだろうとか、あるいは地図の塗りかえを盛んにやっているのはけしからぬと、そういうことを言い出しておるというのは、やはり日本の外交努力によりまして世界じゅうに日本の領土問題に対する、北方四島問題に対する関心も高まってきた、これはなかなか無視できなくなってきておると、こういう状況にもなっておるんじゃないだろうか、そういうふうにも思うわけでございます。ですから、領土問題についてはやはり腰を据えて今後とも毅然とした姿勢で取り組んでいくべきであるということを痛感をいたしたような次第でございます。  そのほか、日本の外交につきましてもグロムイコ外相から若干の批判が行われたわけでございますし、また我が国から我が国の平和外交の基本方針を述べるとともに、ソ連が軍事力増強を自制するように求めた次第でございます。  その他の懸案等につきましても話し合いをいたしましたけれども、その中身につきましてはこれまで以上に多くの積極的な反応というものはなかったように思いますが、しかしとにかく対話を続けていこう、こういうソ連外相の姿勢、そしてまた私の姿勢というものは一致したというふうに私は思っておるわけでございます。したがって、我が国としましては、今後とも基本問題についての我が方の立場は堅持しつつ、ソ連との対話の強化、拡大に努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  112. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 外務大臣、ありがとうございました。  時間の関係で次に移らしていただきます。  実は、十月二日の朝日新聞の記事でありますが、「国際線の使用将来は検討」、羽田空港で云々ということで細田運輸大臣が語っておられます。現在、新東京国際空港二期工事の促進問題というのは、極めて空港の立地する千葉県にとりましても大きなテーマとして取り組んでいるわけでありますけれども、この新聞報道の中で、特に成田の二期工事も着工のめどがついていない云々、こうあるわけであります。本県側といたしましては、この記事は非常に疑心暗鬼に思える記事として受けとめておるわけでございますが、冒頭、この十月二日の朝日新聞運輸大臣の談という真意をひとつお尋ねをいたしたいと思うわけです。
  113. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答え申し上げます。  羽田空港の沖合い展開というものは、これは既に埋め立てが始まっておるわけでございますが、何と申しましても、これは現在の行き詰まっておる国内の航空の緩和のために使うということが主力であると、このためにむしろ羽田の沖合い展開というものをやるんだということはこれはもう前提でございます。現在、羽田に対して国内の各地から増便を要請し、あるいは東京からも増便を要請するというようなことに対してこたえることがほとんどできてないということなんでございます。  そこで、朝日新聞の記事は、多少私の発言あいまいな点があって誤解を受けたようでありますので、ちょうど御質問がございますので、私お答えをいい機会でございますから申し上げますが、新東京国際空港、すなわち成田空港が、一期、二期を含めましてあくまでも東京の、いわゆる日本の関東における国際空港なんでございまして、それが羽田へ移るという意味で申し上げたものでないことはこれはもうはっきり申し上げることができると思います。  私が申し上げましたことが誤解を招いたのはこういうことなんでございます。  現在、実は三十一カ国の外国から申し込まれておる、それが成田の現在の状況ではもうどうにもならない、このままの状態ではほっておけないんだと。そうすると羽田に一部使うというような話が起こってくる可能性がある、こういうことを申し上げたつもりだったんです。もう抑え切れない、したがって一方からいうと、私のつもりでは成田空港の第二期工事を急がなきゃならぬ、そういうことにつながるんだという意味で申し上げたわけでございますから、多少誤解を招いた点がありますことは私の責任でございますが、はっきり申し上げてそういうことでございます。
  114. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 新東京国際空港に関連いたしまして二、三お尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、今さら私がこの新東京国際空港のプロセスについて長く論ずるまでもなかろうかと思います。  簡単に申し上げましても、昭和三十七年の十一月、いわゆる羽田空港の行き詰まり解決策として新国際空港建設の方針が閣議決定をされた。その後富里という地域が内定をして、富里から成田に変更をする。成田決定から開港、そして開港以降と。考えてみますと、内陸国際空港を設置しようという閣議決定が昭和三十七年の十一月でありますから、現在昭和五十九年、まさに長い道のりであったわけであります。  そこで、当面問題となっておりまする点について数点お尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、第二期の工事を行います上には、少なくとも現在計画面積千六十五ヘクタールの中で取得面積が一千三十一・九ヘクタール、未買収が三十三・一ヘクタール、その中で敷地内農家二十五・七ヘクタールの十二戸、敷地外地権者の四・八ヘクタールの十七名、この交渉というものは一体どういうふうになっておられますか。これは空港公団お願いいたします。
  115. 松本操

    参考人(松本操君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、民有地六百七十ヘクタールのうち現在約三十三ヘクタールが未買収になっておるわけでございますが、その三十三ヘクタールのうち敷地内に居住し、かつ敷地内に農耕地を所有している人たちが十二戸、敷地外に居住し敷地内に農耕地を持っておる――これは必ずしも御自分で耕しておるという意味ではございません。敷地内の居住者に小作に出しているという方もあるわけでございますが、これらを含めまして約三十ないし三十一ヘクタールでございますので、現在の未買収地のほとんどがその部分であるということが申し上げられるかと思います。  そこで私どもといたしましては、そもそもこの全体の中に、用地の中に三百二十五戸の農家があったわけでございますけれども、四十一年、私どもの公団が発足いたしましてからいろいろ紆余曲折はございました。ございましたけれども、基本的な考えといたしましては、あくまでも話し合いによって問題を解決していくということを念頭に置きながら、おかげさまで先ほど申し上げたようなところまで開港前、開港後を通じてやってまいったわけでございます。その後も、とりわけ敷地内に居住される十二戸の農民の方々につきましては、私どもいろいろな方策を講じながら、あらゆる努力を払って話し合いを継続し強化していくと旧いうことをやってまったわけでございますけれども、現在これらの十二戸の方は、程度の差がいろいろございます。あるいは派閥が違うというふうな面もございますけれども、いずれもいわゆる反対同盟という空港反対を標擁する農民団体に属しておいででございますし、また、敷地外の十七戸の方もみずからこれに属し、あるいは先ほど申し上げましたように敷地内の農家と小作その他の関係でかかわり合いを持っておられるというふうなことから、そのお話し合いというものが従来いろいろと努力したにもかかわらず難渋しておったことは否定できないところでございます。  現実にはどのようなところまで話がいっているのか、あるいはその見通しがあるのかという趣旨の御質問かと私推察するわけでございますけれども、個々具体的な点につきましては相手のある話でございますので御容赦いただきたいと存じますが、これらの中に私ども努力もようやく実ってきたかなあ、こういうふうに感じられる方も何軒かございます。  また最近とりわけ周辺市町村の中でも成田市あたりばこの問題について非常に積極的に取り組む姿勢をお見ぜいただいておるわけでございます。あるいは千葉県あたりからも心強い御支援をいただいておるわけでございます。こういうふうな周辺からの力強いサポートを受けながら、また私どもが長年やってまいりましたいろいろな努力というものも多少は実りを見せてきたというふうなことから、何のだれそれというふうには申し上げかねるわけでございますけれども、ある程度の部分につきましては、例えば代替地について御相談を申し上げるというふうなこともできなくはないというふうなところまで参っておる方もございます。  そういう状況でございますので、今後私どもといたしましては代替地の整理というふうな点についてはとりわけ力をいたしてまいりたいと思います。  また将来の生活設計というふうな点について、例えば農業を継続なさるのか、あるいは転業をなさるのか、そういうふうな個々具体的な点についても積極的に公団としてできる限りの御相談に応ずるというふうなことを通じまして、またさらには周辺市町村あるいは県等の御支援を受け、あるいは大きくは政府の御指導のもとにこの問題を何とか解決していきたい。いついつまでにきれいにしてごらんに入れますと言えますほど私現在気張ったことを申し上げる立場にないのが大変申しわけないのではございますけれども、しかしそう遠くない時点で必ずこの問題を解決するようにいたしたい、このように考えております。
  116. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 再度お尋ねを申し上げますが、秋富総裁話し合いの円満解決を目指すということをよく述べられておられるわけでありまして、今の副総裁のお答えの中で早急に解決をする自信がある、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  117. 松本操

    参考人(松本操君) お言葉を返すわけではございませんが、早急にという意味が非常に短い期間を先生お考えでしたら私言い過ぎであったかと存じますけれども、しかし今までのようなことではない、見通しのある意味においてお答えを申し上げたのだという意味において御理解いただけるのでございましたら、私どもといたしましてはともかく全力を挙げて御期待にこたえるようにやってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  118. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 先ほど触れましたように、成田空港の建設用地が一千六十ヘクタールのうち一千三十二ヘクタールは既に公団が取得をしている用地であります。問題はいつ着工するかという点であります。その点について取得をしておる土地から着工をするという考え方はありますか。
  119. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) これから二期工事に着手し、空港の完成を目指すということはかねてからの念願でございまして、できるだけ早期にそのような状態を実現したいというふうに考えている次第でございますが、具体的にどういうところからどのようにやるかという問題につきましてはなかなか、一つは工事の実際の手順をどうするかというのが、現状の土地の取得の関係あるいは現在、先ほどから公団の副総裁が申し上げましたように、話し合いによって土地を円満に取得していきたいという努力を続けております。そういう段階の中でどのような形で工事をやっていくかということは非常にいろいろなことに配慮をしていく必要があります。ただ、物理的に申しますと、今おっしゃったように公団がまず取得しているところから、というのはこの公団の取得しているところは現在空港公団が供用している部分と隣接しているところでございますから、そういうことは一つのやり方として考えるわけですが、具体的にどのようなふうにしていったらいいかということはもう少し状況を見てから考えていくことだと思っております。
  120. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 成田空港の建設というのは国が事業主体になっておるわけでありますから、二期の着工については国がはっきりとした態度をやはり打ち出していくという姿勢が必要だろうと思うのです。四十一年七月の閣議決定以来十八年余り経過をした空港であります。その点についてはいかがですか。
  121. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 非常に基本的な問題でございますので、私からちょっとお答えをいたします。  成田の状況が大変二期工事がおくれておりますことはまことに遺憾千万なことでございます。なぜこうなっておるかということについては、もうるる説明するまでもなく、よく地元として御存じのとおりでございます。しかし、いつまでもこのような状態を続けておくわけにはまいりません。しかし、最近非常にいろんな点で大きな変化が私は来ておると思うのでございます。  一つは、成田が既に一千万人を超えまして、一期工事ではもうどうにもならなくなっておる。ターミナルがラッシュにはもう収容し切れないほどの混雑を呈しておる。そういう状況が客観的にもう既に来ておるということが一つ。  それからいま一つは、先ほど航空局長からもちょっと話がありましたが、周辺の市町村の、あるいはその市町村議会の状況というものが大変最近変わってまいっておるのでございます。これも倉田委員が先刻御承知のとおりでございまして、ごく最近のことでございます。  こういったような状況下にありまするので、私どもとしましてはこれをどうするかということをいつまでもぐずぐずしておるわけにはまいらない、かように思っておるのでございまして、今航空局長が申しましたような諸般の事情を勘案しながら、なお千葉県なり各地元市町村とも相談をしながら、政府としての態度をはっきりさせていかなきゃならぬと、かように思っておるのでございます。  なお、六十年度の予算については、仮にどのような決め方をしましてもとにかく始めることができるように、というようなことも含みにしまして概算要求を出すという形に実はいたしておるのでございます。ただ、問題は、御案内のように大変デリケートな問題を、こんなことを恐れておっては仕方がありませんけれども、デリケートな問題を含んでおりまして、結局急がば回れになっても困りまするので、その辺のところを慎重に考える。しかし、慎重でおくれてしまっては何にもならぬと。この辺のところで十分ひとつ考えて決心をいたさなければならぬと、こう考えておる次第でございます。
  122. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 運輸大臣の御答弁に地元との調和というお話がございましたので次に触れさせていただきますが、地元対策として実施を約束いたしておりますB、C滑走路の騒音地域の指定、その対策、今後どのように進めるか、具体的にお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  私の持ち時間がもう十数分しかありませんので、御答弁、要点だけでひとつお願いをしたいと思うのですが、このB、C滑走路の騒音対策及び航空博物館の建設についてという問題については、昭和五十八年十一月二十二日、運輸省の当時の航空局長から地元側に対して約束の文書が手交付されているわけでございますから十分御承知であろうと思いますので、簡略にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  123. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 今お尋ねの騒音防止法に基づきます騒音区域の指定につきましては、現在、昭和五十九年度中に告示ができるように今作業を実施しているところでございます。したがいまして、今月中にはその区域の原案を地元に提示してまいりたいと、御相談したいと、こういうふうに考えているわけでございます。  そのほか、昨年に千葉県知事にいろいろと申し上げました点につきましても、逐次対策の実施ということをやっておりますが、特にB、C滑走路関係の民家防音工事等の具体的な事業につきましては、告示後これに着手していきたいというふうに考えている次第でございます。
  124. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 運輸省航空局が本年の十月の二日にお出しになられた「新東京国際空港の整備について」という実は説明資料があるんですが、この中で、「整備の必要性」というところに、要するに旅客が一千万人を超えました、滑走路の必要が高まっておりますというふうに実は書いてあるわけでありますけれども、元来この空港というのは三本の滑走路を完成させることが当然のことであるということで始まった空港であります。これはこのことについて、今日までの経過についてはもう私が申し上げるまでもなく御案内だろうと思うんです。ですから、運輸省、空港公団のみならず、これは政府責任において、この空港を完全な空港につくり上げていくというのはまさに政府責任である、中曽根内閣責任である、こういうふうに私は考えておりまするので、運輸大臣、いかがでございましょうか。運輸省、公団のみならず、政府責任としてこの問題は取り上げるというようなお話を閣内においてしていただけますでしょうか。
  125. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御承知のように、閣内には成田空港の閣僚協議会もございます。また、中曽根総理大臣、非常にこの第二期工事の完成について重大な関心を持っておるのでございまして、何としてもこれをできるだけ早く着工したいと、こういう決意を持っておられるのでございます。
  126. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 まだまだお尋ねしたい点があるのですが、先に一点だけ進ませていただきます。  成田新高速鉄道についてであります。経過を申し上げる時間がありませんが、この成田新高速鉄道の主なる経過は、昭和五十二年十一月の十六日に当時の田村運輸大臣から千葉県知事に提示をされまして、その大臣発言、原文のコピーでありますけれども、空港、成田ニュータウン、千葉ニュータウンのアクセスを一気に解決するものとしたい、この構想を千葉県知事と千葉県民にプレゼントをしたい、こういうことから実はこの成田新高速鉄道というものが今日に至っておるわけでありますが、現在の状況、今後の対応について御説明をいただきたい。
  127. 服部経治

    説明員服部経治君) 成田空港と都心を結びますいわゆる成田新高速鉄道につきましては、先生もう既に御承知のとおり幾つかの案があるわけでございますが、私ども現在そのうちのB案につきまして、B案と申しますのは、都営浅草線、京成線、北総開発鉄道線、それから千葉ニュータウンを経由いたしまして空港に至る線でございますけれども、このB案につきまして、その実現までにといいますか、実現のために解決しておかなければならない幾つかの問題点につきまして、現在多くの関係者を集めました研究会というものをつくりまして鋭意その具体的な問題の詰めの検討をやっておるところでございまして、私どもといたしましては早急にその結論を得ましてこの問題にけりをつけたいというふうに考えております。
  128. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 「早急に」というお答えをいただきましたので、一点要望しておきますが、とりわけ千葉県側といたしましては、A案またはB案いずれかの建設を先行して着手すべきであるということを従前から申し上げてまいりましたし、C案のみの単独着手があってはならないということも付言をしてきたことでありまして、このA案、B案のいずれかを早く決定をするということがこの鉄道の将来を占うことになるわけでありますので、ぜひ今の御答弁前向きにひとつ理解をさしていただきたいというふうに思うわけでございます。  あと、首都圏の交通整備の問題等々、二、三お尋ねをいたしたいというふうに思っておったのでありますけれども、時間が五分しかありませんので、一点だけ、首都圏の中で今大きな問題となっております常磐線の問題について実はお尋ねをいたしたいというふうに思います。  常磐線の混雑緩和の問題につきましては、長年の間検討が加えられ、今日までその次善の策というものが講じられてまいりましたし、特に明年から中距離電車の十五両化ということで、ある程度の混雑緩和に役立つであろうということが実は言われておるわけでありますけれども、しかしながら、それら常磐線の沿線地域の将来の発展性というものを数値的に調べますと、残念ながら、来年から解消をされる、中電十五両化の混雑緩和策というものは、少なくとも四年、長くても五年で今の殺人的な状況に舞い戻ってくる。それでは一体その後の対策というものはどういうふうにとられようとするのか。常磐新線の問題、あるいは営団地下鉄八号線、営団地下鉄十一号線、あるいは新金線という、それらの問題を含めた中で、今、地元の市町村は地域住民挙げてこの交通問題に取り組もうといたしておるわけであります。そういった観点含めて、よって来るべき混雑緩和策に窮した四年後の対策というものは一体とうなるのか、この一点だけお伺いをいたします。
  129. 須田寛

    説明員(須田寛君) お答え申し上げます。先生御指摘のように、明年・筑波博対策といたしまして、いろいろ、通勤対策も兼ねまして、中距離電車の増結と緩行電車の増発等を検討いたしておりますが、それが大体四年ぐらいたちますともとのレベルに確かに戻るというふうに推定いたしておりまして、その後の対策が必要になってまいると思います。その後の対策といたしましては、現在十両で走っております常磐線の快速電車がございますが、これを十五両にするということで、かなりの輸送力増強が図られることになりますので、次の対策はそういうことに相なろうかと存じます。ただ、十五両にいたしますためには、都心駅のホームの延伸でございますとか車両の増備等の相当額の投資が必要でございますので、そのタイミング等につきまして現在慎重に検討いたしておる状況でございます。ただ、その後になってまいりますと、もはや常磐線の現在の線路の中では増発、増結の余力がございませんので、新しい路線その他の問題が浮かび上がってくると存じますが、現在運輸省におかれまして、運輸政策審議会におかれましてこの問題を御審議いただいておるところでございますので、その御審議の経過を踏まえ、また運輸省当局の御指導もいただきながら、この常磐線の将来につきましてはより広い立場で問題を考えなければいけないのではないか、こんなふうに考えている次第でございます。
  130. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 ただいま御答弁の中で、快速の十五両化に伴うさまざまな諸施設の改良というお話がございましたが、これらについての調査費等々についてはどの程度要求をされているんですか。
  131. 須田寛

    説明員(須田寛君) 調査につきましては当方でおよそのものがもう完了いたしておりますので、具体的に三河島とそれから南千住、天王台の三駅でございますが、このホームの延伸と、それから両数、約数十両ぐらいになろうかと思いますが、電車の調達をいたしましてその車両基地の手当てをするということで、実行は可能でございます。ただ、いずれにいたしましても数十億のオーダーの大工事でございますので、そういった私どもの方のむしろ財政事情の中でどういうタイミングでこれをやるべきかというところを判断しなければいけない、こういう状況でございます。
  132. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 結構です。
  133. 服部信吾

    服部信吾君 私は、まず初めに、私の神奈川の大先輩である田川自治大臣にちょっと御質問したいんですけれども、昨日行われました広島県での一日自治省、この後の記者会見で、田川自治大臣が大変思い切った、大胆な御発言をされております。その中で、元首相の精神状態が錯乱しているんじゃないかと、こういう大変大胆な御発言があったわけであります。私もテレビを見ておりましたけれども、特にこういう総裁選を前にしていろいろ政局が流動的なときにこのような発言をなされたわけでありますけれども、この真意はどうなっておりますか。
  134. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 新聞にいろいろ出ておりますけれども、一日自治省が終わりまして、東京から一緒に行きました記者団と地元の記者団との記者会見がありまして、所管のいろいろなことが終わりました後、所管外の御質問が幾つかございました。連立の問題と、今御指摘の問題がございまして、質問がございましたので、私の考えていることを申し上げたわけでございます。  私が申し上げた中で、随分抜けている点があるんで申し上げますと、私はただ田中さんの個人を批判しているんではなくて、田中さんの政治家としての力量、過去の功績、そういうものと責任問題とは別である、そういう一つの前提に立って新聞に出ているようなことを申し上げたわけでございまして、真意は何もございません。私が平素考えていることを、質問を受けて申し上げたのでございます。
  135. 服部信吾

    服部信吾君 それにしても、ふだん考えていることを述べたということですけれども新聞で見る限り、精神状態が錯乱しているんじゃないかとか、例えばこういうことを聞いたときに、私どもから見るならば、新自由クラブさんが昨年連立内閣をつくって、ちょうど大体一年たった。なかなか自民党さんとの約束した政策合意がそのとおり行われていない、そんな不満のあらわれじゃないかともとれますし、また総選挙後ですけれども中曽根総理総裁声明の中で田中排除、こういうことをはっきり言ったわけでありますけれども、その後の流れを見ていると、どうもそうでもない、こんなようなあれではないかと思いますけれども、自治大臣としてはどうでしょうか。
  136. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 政治家が発言しますと、いろいろその背景にどういうことがあるか、その真意はどうかと必ず言われます。そういうことを言われますから、ついつい発言をしなくなる。これは今の民主主義の上から大変困ることであって、やはり考えていることというのはなるべく正確に発言を、意思表示をするということが政治家として必要ではないかということではないかと私は思っているのでございます。もちろん、秘密にわたることで、公開をはばかることで、言ってはならないこともございますけれども、政治的な信条とか政治姿勢とかということは、やはりきちっと言っていくのが国民の代表の務めではないかと、こういうふうに思っているわけで、私が申し上げたことは何も最近新しく申し上げたことではなくて、もう数年前から申し上げているわけでございます。国会でも同じようなことを申し上げました。  しかし、新聞やテレビというのは、私もかつて新聞におりましたけれども、そのときそのときの情勢で、発言をしても取り上げない場合もある。また、ちょっとした発言でも大きく取り上げるということがございます。そういうふうに見ていただいたらいかがかと思います。  私は、今新自由クラブの置かれている立場がどうだとか、あるいは公約が十分行われていないからどうだとかというようなことは、少なくとも記者会見の発言ではそのようなことは毛頭考えていない。私、政治家個人としての考え方を申し上げたのでございます。
  137. 服部信吾

    服部信吾君 個人的のというわけですけれども、じゃ一つだけ。  これは、精神状態が錯乱しているというのは、いろいろな背景があって言われたと思いますけれども、その内容をちょっともう一度。
  138. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私は、そのことを一つだけ――メモを持ってまいりませんでしたけれども、そういうふうに申し上げたのではないんです。その部分については、まあ速記がありませんから多少言葉どおりじゃないかもしれませんけれども、やはり力を蓄えていく一つの方法か、それともまあ精神上錯乱をされていらっしゃるんではないだろうか、そのいずれかではないだろうかという意味のことを申し上げたのでございます。
  139. 服部信吾

    服部信吾君 官房長官、この発言について、一応中曽根内閣責任者としてどのように感じておりますか。
  140. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 政治家がいろいろな場合にいろいろな発言をされるわけで、それぞれ自分の考えに基づいて御発言になるということになったのではないかというふうに考えております。そのことが中曽根内閣の云々ということにはならない。田川個人の御意見として発表されたものと、このように考えております。
  141. 服部信吾

    服部信吾君 この問題の最後ですけれども、十一月に総裁選挙が行われる。そういう前に前新自由クラブの代表である田川さんがこういう御発言をなされておる。まあ新聞あるいはマスコミ等、巷間聞くところによりますと中曽根再選は、まあこれはどうなるかわかりませんけれども、確実じゃないか、このように言われているわけでありますから、もし再選された場合ですね。これはもうどこのだれが一番最初に推しているか、どこの派閥が推しているかということは、これはもう明らかなことであります、これはもうみんな知っておりますから。  そういうことで中曽根内閣ができたときに、新自由クラブとしてはもう一回連立を組むんですか。この点だけお伺いしてこの質問を終わります。
  142. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) どなたが総理大臣になりましても、一年間連立を組んで今日まで来ましたから、やはりこれが一体成果があったのか、今後やっていって日本の政治のためになるのかどうかという程度のことは、政治集団として総括をしていく必要がある、こういうふうに思っているのでございます。  ただ、私は今新自由クラブの責任者じゃありませんし、前責任者でございまして、河野洋平代表あるいは山口幹事長、これを中心として国会議員団がそういう全体で討議をして、そうして総括をするということが政治家としての常識ではないかと、このように思っております。
  143. 服部信吾

    服部信吾君 それでは次に定数是正の問題についてお伺いいたします。  去る九月二十八日に広島高裁において、衆議院定数是正訴訟に関する判決があったわけであります。その内容は、昭和五十八年総選挙当時、一票の格差は最大四・四〇対一に広がっており、国会の裁量権を考えても合理性はなく、衆議院定数配分規定全体を違憲とし、広島一区の総選挙は違法、こういうふうに明確に判断を下しております。焦点となっていた違憲基準についても、許容できる最大格差は一対二程度、五十五年の東京高裁判決と同じ判断を示しているわけであります。ただ、選挙の効力については無効にした場合の混乱を避けるため有権者の請求を破棄しておりますが、五十一年四月十四日最高裁が初めて議員定数訴訟に違憲判決を行ったとき、定数配分規定は違憲の状態と言っていたものが、九月二十八日の広島高裁ははっきりと違憲と、こういうふうに言い切っておるところでありますけれども、この判決の重みを感じざるを得ないわけであります。  そこで、まず官房長官にお伺いしたいんですけれども、この最高裁、高裁の違憲判決を下したのはこの前で五回目であります。これまでの違憲判決を踏まえ、今回の広島高裁判決をどのように考えておられるのか、この点についてお伺いいたします。  また、自治大臣にも担当大臣として御見解お願いします。
  144. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 衆議院議員の定数配分の問題につきまして昨年の十一月に最高裁の判決が出され、かつ今回九月二十八日に広島高裁で違憲であるという判決、判示が出されましたことにつきまして、その内容を政府といたしまして厳粛に受けとめているところでございます。過ぐる特別国会の会期中におきましても、この問題の緊急かつ重要な性格にかんがみまして、政府といたしましても田川自治大臣を中心にいたしましていろいろ前向きに検討も加え、政府としても大きな関心を持って推移をしてきたところでございます。ただ、事柄性格上この問題を民主的にかつ現実的に処理をしようと思いますと、どうしても各党間の話し合いということが中心になって、その話し合いの中から合意ができて法律改正に持ち込むという形になることが最も望ましい、しかも最も進めやすい道であるというふうに考えまして、各党間の御論議をお願いをする、特に与党である自由民主党の中で成案を得るための努力をぜひお願いをしたいということで働きかけもいたしてきたところでございます。残念ながら特別国会会期中には実現をいたしませんでしたので、会期が終わりましたところで総理大臣から、解決できないで国会が終わったことは非常に残念に思いかつ遺憾に思っている、今後さらに前向きに取り組んでいくようにいたしたいという考え方を内外に明らかにしたところでございます。今回の広島高裁判決もございますので、従来よりさらにひとつ前向きに取り組むようにいたしまして、閉会中もこの問題についての論議を深めるようにお願いをし、ぜひ各党間の話し合いによって通常国会にはこの問題が解決されるように政府としても一層の努力をしていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  145. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ごろの広島高裁定数是正についての判決は、選挙は無効とはしておりませんけれども、定数配分規定は選挙当時憲法の選挙権平等の要求に反するものであった、こういう判決でございまして、この判決につきましては厳粛な気持ちで私は受けとめているのでございます。自治省といたしましても衆議院議員の定数是正は緊急かつ極めて重要な問題であると認識しておりまして、これまでも努力をしてまいりましたが、今後とも官房長官が言われましたように各党の合意のもとに通常国会において定数是正が実現するように最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  146. 服部信吾

    服部信吾君 自治大臣にもう一回お伺いしたいのですけれども、私どもとしても今回のこの広島高裁判決が出る前に、やはり何とか国会の場で審議をしたがった、このように考えているわけです。国民も自治大臣が新自由クラブから入った、それで、担当大臣だから、私はこの高裁の判決が出る前にある程度めどをつけて前国会に出すべきじゃなかったかと思うんですけれども、この点は大臣どうですか。
  147. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 服部さん仰ぜられるように、判決が出ようが出まいが今の不均衡の状態というものはある程度是正していかなければならない。こういうことで、総理大臣も私も、また多くの党の方々も、自民党の方々もできるだけ早く是正をすべきであると、こういう考えのもとに努力をしてきたものと思います。私もそのような態度でさきの国会に臨んだわけでございます。しかし、服部さん御承知のように、なかなかそうは申してもこれは各党にとっても大事な重要なことであり、議員個人にとりましてもこれは大変なことでございまして、そういういろいろなことで意見がまとまらずに今日に至ったわけでございます。しかし、私はある程度の意見がこなされて、また、どういう難しい問題を次の通常国会にレールに乗ぜる一つの雰囲気というものはできたのではないかと、こういうふうに思っております。
  148. 服部信吾

    服部信吾君 何とか私も自治大臣のときに、田川さんのときにやってもらいたかったと思ってたのです。結構です。  それで、官房長官にお伺いしたいのですけれども政府としても大変関心を持っておると、定数是正を実現すると、こういうことであるようであります。その中で各党の論議をあれするということで、これは我が党を初めとして各野党、共産党を除いて対案は出しているわけですね。論議をしようということはもう前々から言っているわけです、実際に。例えば、衆院定数の五百十一人という現行枠は超えない、一選挙区三人から五人の定数は変えず、二人区、六人区は認めない、選挙区間の一票の重みの格差は二倍程度に抑えるなど、基本姿勢で我々各野党はもうできているわけですよね。問題はあと与党自民党さんの考えだけでできる問題だったわけです。中曽根総理も今度の百一国会冒頭に当たってはこれはもう最優先課題だと、必ずやるんだということで国民も大変期待しておったんじゃないかと思いますけれども、なぜここで出せなかったのか。この点について、官房長官のお答えをお願いしたいと思います。
  149. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 先生御指摘のように、各党からそれぞれ改正案が出されておるわけでございます。自民党の方は何といいましても政府与党でもございますし、数の上からいきましても自民党がまとまるということは非常に大事なことでございますので、政府の方からもいろいろと自民党の案としてまとまっていくように調整方などもお願いをしてきたところでございます。非常に精力的にお取り組みをいただいてきまして、特に減員になる選挙区の国会議員の方、やっぱり一人一人政治生命のかかっておることでございますので、なかなか大変であったと思いますけれども、何回も関係者の会議を開いたり、あるいは個別に党の幹部がそれぞれ減員をすべきと考える選挙区の国会議員さんにお話し合いをしたり、また、総理自身関係の議員の方々にいろいろお話も申し上げたりという機会を積み上げてきておるわけでございます。ところが、会期末になりましてなかなかうまくまとまりませんでしたので、会期は終わっておりますが、会期末ころには随分と突っ込んで自民党案がまとまるための努力は重ねられてきた、こんなふうに私ども理解をいたしておるところでございまして、ぜひ通常国会までには自民党案がまとまって、各党から出ておりますそれぞれ御意見もあるわけでございますので、まさに各党間の論議に発展をするように、そういうふうな構えがつくられていくように努力をしてきておるところでございまして、今、自治大臣からのお話にもございましたように、相当にその空気ができてきておるのではないかというふうに考えておる次第でございますので、その機運をさらに高めまして、自民党案がまとまるように、そして各党間の論議が深まっていくようにお願いをしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  150. 服部信吾

    服部信吾君 どうも官房長官の言っていること、よく余りわからないんです、奥歯に物が挟まったようなあれで。なぜ百一国会に出せなかったかという理由でございますけれども中曽根総理としてはやはりこの十一月の総裁選挙が終わるまではこういう問題、なかなか党内に敵をつくりたくない、こんなようなことであれだけ前国会に出すと言いながら出せなかった理由があったんじゃないか、このように我々も思うし、国民も考えているんじゃないか、こういうふうに思うんです。ということは、やはりこれだけ大事な問題に対して確かに次の総裁選挙がある、これはわかります。しかし国民が議会制民主主義の一番大事な問題に対して前国会に出せなかったということ、これに対しては、総理になるためとか、一党一派のために、そういうことで出せないとなるならば、これは国民の政治不信はますます高まると思うんですね。この点についてもう一回官房長官の御答弁を。
  151. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 確かに自由民主党の中で総裁選挙が十一月にあるという事実はございますけれども内閣総理大臣がその職務を遂行してまいるにつきまして、総裁選挙があるからという物差しで物を考えたことは一回もないのではないかと、そんなふうに考えております。特別国会の会期中も随分頻繁に、精力的にいろんな角度からこの問題についての話し合いが進められました。自民党の幹部の方々も随分何回も時間を割いて話をまとめるように努力をいただいたのでございまして、その自民党執行部の方々のお気持ちの中にも、総裁選挙ということは頭になかったのではないかと思います。ただ、なかなかまとまらなかったものですから、大詰めのところまでぐっといって話を進めていって、会期がちょうど終わってしまった。だからぜひ閉会中も努力をし、特に通常国会に向かって自民党案がまとまっていくようにひとつ努力をしていこう、こういうふうなお互いの、何か肩をたたき合うような、そういう雰囲気の中で国会の会期が終わった、こういうことになっておりますので、ぜひ通常国会に向かってその機運が助長されていってまとまっていくように、政府としても一層の働きかけをしてまいりたい、このように考えております。
  152. 服部信吾

    服部信吾君 先ほども藤波官房長官が十月一日に政府与党首脳会議で、衆議院定数是正のための公職選挙法改正案を次期通常国会に提出し、成立をさせることを決めた、どういうことを答弁されましたけれども、そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、ことしの二月に自民党の選挙制度調査会が衆議院定数是正問題の本格的検討に着手したのに並行して、反対派議員は定数是正対策議員連盟、こういうものを旗上げして自民党選挙制度調査会の案である六区増、六区減に激しく反対をした、自民党内で大混乱となった、こんなようなことがいろいろ言われています。そしてそういうことできようまでこういう形になってきたわけでありますけれども、ところがさきの百一国会が終わってまだ二カ月しかたってないわけでありますけれども、十月一日にこの政府与党首脳会談で意見が一致し、定数是正案を次期通常国会に提出する、成立させると、ここまでこう言っているわけでありますけれども、我々公明党を初めとし、野党もこれを受けて立つ、こういうふうに考えておりますけれども自民党内本当にまとまりますか、まとまったんですか。この点について官房長官にお伺いします。
  153. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 先日の政府与党首脳会議におきまして、広島高裁判決もかくかくしかじかの内容で出ておるというようなことから、政府としても最善の努力をしてまいるけれども与党である自由民主党としても、党内をまとめてひとつ成案を急いでいただきたいというお願いを私から申し上げたところでございます。もうほうっておけない、この問題が非常に重要な問題であるということについての認識は一致をいたしておりますので、通常国会に向けて努力をしようということで一致を見たところでございます。  関係議員にとってみますると、先ほども申し上げましたように非常に重要な問題でございますので、関係議員だけでいろいろお話し合いが進められてきたような機会もあるわけでございますので、それらの方々と自民党の執行部の方々ともいろいろお話し合いを進めてきているという状況でございまして、自民党の党内の問題でございますので、私から明確な意見を述べることを控えさせていただきたいと思いますが、関係の議員の方々もこの事態の重要性を非常に認識をしていただいておりまして、建設的にひとつ話を詰めていこう、そういう機運にある、こういうふうに理解をいたしておりますので、通常国会に向けてさらにその作業も進んでいくものと、このように期待をいたしておるところでございます。
  154. 服部信吾

    服部信吾君 先ほど官房長官からも、閉会中においても精力的にいろいろ野党側とも協議をするというようなことでありますけれども、そこで確認したいんですけれども自民党側は次期国会には可能、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありますけれども、まず自民党内を調整する、まずこの調整が大変じゃないかと思いますよ、おたくの方で。さらに、野党側とも協議調整、そして完全なる改正案の提出、成立に至るまでのすべての手続が完了することができる、このように言っているわけでありますけれども、実際に官房長官自民党首脳と会談された本人でもありますし、これは本当にできるのか、先国会もやるやると言っていながらできなかった、そういうことで、この辺の詰めですけれども、閉会中もし何かそういう動きがあるならば、考えがあるならばまた述べていただきたいと思います。
  155. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) やれるかどうかということよりも、やらなきゃいかぬということをみんな認識は一致をいたしておるわけでございます。なかなか、まだ今の段階で、まとまるでしょうというような楽観的なことを申し上げることは許されないと思いますけれども、今申し上げましたように、関係議員の方々も非常にこの問題、最高裁あるいは高裁での判決というものの重みを受けとめておられるわけでございますので、それらを踏まえて、突っ込んだ話し合いをして、成案を得ていくようにしなければならぬ、そんなふうにみんな認識は一致いたしておるところでございます。やらなきゃならぬとやっぱり思い込んでやらないとできませんので、やらなきゃいかぬと思って努力を進めていく、こういうふうな今、空気でございます。
  156. 服部信吾

    服部信吾君 百歩譲って、やると、そういうことであると思いますけれども、そこで、そこまで煮詰まっているのであるならば、今回、次期通常国会に提出される法案ですけれども、これは政府提案でやるのか議員立法でやるのか、この辺までも煮詰まっていると思いますけれども、この辺はどうですか。
  157. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 政府与党の中にも、これは政府提案でいくべきである、あるいは議員提案でいくべきだと、いろいろまだ意見が分かれておるところでございます。ただそれは提出をいたしますときの形式の問題、形式の問題といってしまいますと、何か軽い感じのようにとられてはいけないんですけれども一つのどちらで行くかという形の問題でございます。問題はやっぱり、自民党案がまとまって、そして各党間の論議が深まって、そして合意を得て法案の提出にこぎつけられるかどうかというところが大事でございますので、政府提案でいくか議員提案でいくかということについては、そのまとまってきた段階でまた話し合おう、こういうことで今のところは推移をいたしておるわけでございます。  政府といたしましても重大な関心を持っておりますので、形にこだわることなく、この問題が解決されるように前向きに取り組んでいかなきゃいかぬというふうに思っておるところでございますが、そこに至りますまでには、やっぱり各党間の深い御理解があって、合意が得られていくような作業が進んでいくことがまず第一だと、そういうふうに政府は働きかけをしていかなきゃいかぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  158. 服部信吾

    服部信吾君 まあ、その辺を決めるに当たって、政府か議員立法か、大体いつごろぐらいまでにやる予定ですか。まあ、これなかなか難しい問題だと思いますけれども、しかし、前国会のこともありますから、やるやると言いながらもなかなかできない。しかし、それだけもう決意をしているわけですから、ある程度のめどはついているんじゃないかと思うんですけれども
  159. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 閉会中にと申しましても、なお海外へ出ておられる議員さんやら、選挙区へ帰っておられる議員の方々が多いわけでございますので、寄り寄りこの努力が重ねられていくようにしなければならぬと、こう思っているところでございまして、通常国会に向けて努力をしていって、そして、通常国会会期内のしかるべき時期に各党の合意のもとにぜひ法律案が提出されて、この問題が解決されるというふうに運んでいかなければならぬなと、こういうふうに考えておる次第でございまして、今日の段階で明確に見通しを述べることはなおお許しをいただきたいと思いますけれども通常国会に向けて最善の努力をしていくという姿勢だけ申し上げておきたいと存ずる次第でございます。
  160. 服部信吾

    服部信吾君 そういうことで、できるだけ早くひとつお願いしたいと思います。  それから、広島高裁判決に、定数格差の許容限度が一対二、これを尊重すべきであると、大変こういう、あれになっております。我々としてはこれを歓迎するところですけれども、その中でやっぱり一つ気になる点があるんですけれども、それは、十月一日に政府自民党首脳会議で、次期通常国会定数是正案を提出、成立させようというところまで話が詰まっていると、こう言っているわけでありますけれども、過去に自民党の選挙制度調査会がまとめた六区増六区減、両者が合意したのではないかということです。  そこで、そういう合意があるならば、自民党選挙制度調査会の六区増六区減の定数是正案というのは格差は一対三と見ておる。そういうことで、広島高裁の一対二とは割合が大分遠くなってきておる。こういうふうに思うんですけれども、この点はどのようにお考えですか。
  161. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 広島高裁での判決を受けて、さらにこの問題は最高裁に持ち込まれるのであろうと考えておりますが、したがいまして、広島高裁判決を受けて最高裁がどのように判断をされるかというところもあろうかと思います。  いずれにいたしましても、二対一あるいは三対一、こういったところも十分踏まえて各党間の論議というのが深められることになろうと、こういうふうに考えておりまして、今の段階で二対一でいいとか、三対一がどうかというようなことについて政府の側から意見を申し上げることはお許しをいただきたい。むしろ、各党間の論議が深まって、そこで合意が形成されていくことをぜひ見守り、かつそのことをお願いをしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  162. 服部信吾

    服部信吾君 それで、じゃ、この違憲判決が出た以上、公選法改正なしてはやはりこれはもう衆議院の解散できませんか。
  163. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 衆議院の解散権の問題は、また独立してその権限は生きているものというふうに考えておりまして、他の何らかの要件によって規制をされるものではないというふうに考えますが、いずれにいたしましても、最高裁での判決も出ており、そしてこれからも何件か判決がまだ続いて出てくるわけでございます。これから出る判決を予測することはできませんけれども、流れといたしまして、既に最高裁で出ておる判決もあることでございますから、やはり速やかにこの問題が解決されるための努力は重ねられなければならぬ。一刻も早く、この問題が法に照らして後ろ暗いことのよいような形にしなければならぬというふうに考えておりまして、したがって、そのための努力を進めてまいらなければならぬというふうに思っておる次第でございます。ただ、衆議院では解散総選挙をした場合に、それは法律違反ではないかとか、あるいは無効になるではないかとかいったようなことを予測をして、解散権の問題を今論すべきではないというふうに考えておる次第でございます。
  164. 服部信吾

    服部信吾君 要するに、定数是正改正案が通過しなければ解散はできない、こういうふうに考えていいわけですね。
  165. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) そのようには考えていないということでございます。
  166. 服部信吾

    服部信吾君 わかりました。  次に参議院ですけれども、参議院もこういうようないろいろ訴訟がなされておるわけであります、けれども、参議院の定数是正についてはどのようにお考えですか。今度の改正ですね、通常国会に出すという改正案と同時に参議院の改正案も一緒に出すのか。
  167. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 参議院の定数の問題につきましては参議院内でいろんな御意見がある、御論議があるということは聞いておりますが、今のところ参議院の定数の問題も含めて速やかに処理しなければならぬというふうには考えていないことを申し上げておきたいと存じます。
  168. 服部信吾

    服部信吾君 最後官房長官にお伺いしたいのですけれども政府提案にしろ議員立法になるにしろ衆議院の定数是正案、これはもう議会制民主主義の根幹にかかわる重大な問題であるために、一党一派の利益だけを優先させるのではなくて、広く国民的視野から十分検討しなくちゃならないと思います。そのためには、我が党としましても何というか第三者機関で検討することを提案しているわけですけれども、具体的には昭和四十七年度以来休眠状態になっておる選挙制度審議会、こういうようなものの活用を図ったらどうか。また、行革、教育、靖国問題も民間の声――中曽根総理は民間の私的機関をつくるのが大変好きですけれども、何かそういう第三者機関をつくってそして解決すべきじゃないかと思いますが、西ドイツとか英国なんかそういう形でやっておるようでありますけれども、直接の政党間とかそうなりますとお互いのあれがありますのでなかなか決定できないと思いますので、やはりこういう第三者機関を設けてやるべきじゃないかと思いますけれども最後にこの点について官房長官にお伺いしておきます。
  169. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 議員定数の問題は、今お話しのように非常に大きな意味を持っておるものかと思います。したがいまして、住民からの訴訟もあり、また司法においてもその判断を下しているということになっておるわけでございます。  それでは、それをどのようにして実行していくか、実現するかということになりますと、お話のように第三者の審議会などの意見を聞くということもいいかと思うのですけれども、司法の方の一つの判断は出ておるわけですから、そういうことからいきますと、さらに各界の御意見、国民の声を聞くということよりも、どうやってその方向に向かって実行していくかというところへきておるのではないだろうかというふうに思うわけでございます。そしてまた、実行していくために一番大事なことは、何といいましても議会を構成しておる、そこで活動しておる各政党がこの問題をどのように考えて、そして的確に対処していくかということがやっぱり基本であろうかと思うのでございまして、そういうふうに考えてまいりますと、先ほど来申し上げておりますように、最も民主的でかつ現実的な方法として、やはり各党意見を出されて、その各党間の論議が十分深められて合意を得てこの問題が実現をするという道行きをとることが最もいいのではないかというふうに考えておりまして、今政府の方でこの問題について審議会にかけて御審議をいただくということよりも、各党間の論議をぜひ深めていただきたいということのお願いを申し上げるという方向に、今気持ちとしては動いておるわけでございます。
  170. 服部信吾

    服部信吾君 じゃあ結構です。  次に、人勧の件についてちょっとお伺いしたいのですけれども、総務長官にお伺いしますけれども、十月二日に公務員共闘の代表と会い、今後の人事院勧告についての話し合いを持たれたようでありますけれども、どのようなことがなされたのか。
  171. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 組合の方とは何回も会いましたけれども、十月二日のときは大体いつごろ政府案をまとめるつもりなのかといったようなことが中心の話題でございました。
  172. 服部信吾

    服部信吾君 その中で新聞報道によりますと、いろいろと出ておりますけれども、その人勧決定時期についてですけれども、昨年度の十月二十日ごろをめどに給与関係閣僚会議を持ち、そこで結論を出したいと、こういうふうに述べたようでありますけれども、この点はそうですが。
  173. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 新聞によって、割に正確だなというのと、必ずしもそうでないなというのといろいろございましたから、そういった御質問が出るんだろうと思いますが、私が申し上げましたのは、いずれにせよこういう問題については従来何回か先例があると。そこで、特別その先例を変えなきゃならぬといったような事態があれば別として、そうでなければまずまず先例となっているような日時を頭に置いて決めなきゃならぬと考えておるが、しかしいずれにせよそういった日程内閣官房においてお決めになることであるから、私の方からとやかくどうだと言うわけにはいかぬ面もあると、こういうお答えをいたしたのでございます。
  174. 服部信吾

    服部信吾君 次に人事院総裁にお伺いしたいんですけれども、人勧のあれによって三年間勧告が凍結なり抑制をされておるということで、本来ならば公務員の方たちがこれだけ抑制なり凍結されているんですから、国民世論からすれば何となくもう少しバックアップしてもいいんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、なかなかそういう声が何か出てこないような気もするわけです。そういう中で、この三年間、その理由としては、やはり公務員がこういうことをやったとか、親方日の丸だとか、あるいは高級官僚がどうしたとか、天下りだとか、いろいろこういうことでなかなかいわゆる国民世論がバックアップしないというような面があるかもしれませんけれども、とにかく三年間にわたって凍結、抑制されたということで、これは公務員の士気、こういうものにも影響すると思うんですけれども、この点は人事院としてはどのように把握しておられますか。
  175. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答えを申し上げますが、公務員の仕事というのは既に十分御存じいただいておりますように、やはり国民の皆さんの十分な御理解と御支援を得て初めて全うし得るものでございまして、私どももそういう意味では各省それぞれそういう点で懸命の努力をしておるところでございます。しかしながら、時には今おっしゃいましたような親方日の丸であるとかいろいろな望ましくない御意見も聞くことがあるんですが、私はこれはもう少し公務員の仕事の内容と公務員の現に行っておる仕事の実情を国民の皆さんに承知してもらって、理解していただけばよくおわかり願えることと思っております。現に、私どもがまだ正確な数字で申し上げるわけではございませんが、かなり国家公務員の中で心身をすり減らして、あるいはノイローゼとかあるいは心身症的な症状に落ち込んでいる人もあるわけでございまして、やはり一つのそういうふうな状態は仕事の厳しさというものをあらわしておるものではなかろうかと私どもは思っております。それに対しまして、抑制あるいは見送りというふうなことでここ二、三年の私どもの行いました勧告が実施されてない、これに伴う公務員に与えておる影響というものは決して少なくない。公務員で、あるいは職員団体等を通じて意見の表明を行っておる点もございますが、反面、黙ったままで、しかしその苦しみに耐えておるという実態もあるわけでございます。大変端的な言い方をしますれば、やはりだんだんに家も持ちたいというふうなことでローンを受けておる、しかしそれに見合う給与というものの改善は遅々として進まないことに伴う苦しみということを訴えておる人たちもあります。私どもは各省の人事担当者と時々会合を持ちまして、そういうふうなことによる苦しみというふうなものも聞いておるところでございます。したがいまして、相なるべくんば今回この私どもの行っております勧告を、内閣及び国会において慎重に審議していただくことは当然でございますが、ぜひこれを勧告のとおり実施していただくということが必要なのではなかろうか、こういうふうに思います。
  176. 服部信吾

    服部信吾君 その中で一つ具体的に、何か最近公務員試験の応募者がだんだん減ってきておる、こういうような状況も出ているようでありますけれども、これなんかもやっぱり人勧の凍結、抑制、こういうことが原因となっておる。当然やっぱりこれから――今まで我が国の公務員というのは大変優秀な人が集まってくる、それによって我が国も栄えてきたあれがあるわけですから、この点はどうですか。
  177. 内海倫

    説明員(内海倫君) このほど公務員試験の結果を発表いたしました。また、応募数あるいは合格数というふうなものも同時に発表いたしました。確かに昨年に比べますと本年は若干の応募者の減少を示しております。公務員の応募者というものは、また他の場合も同様かもしれませんが、やはり景気等による他の職域への魅力が出てまいりますと、またそれに反面公務員の応募者も減ってくる、こういうふうな傾向もあるわけでございまして、一概に言えないとは思いますが、なおかつ私どもがいろいろ見ておりますと、やはりそういう今仰せのような公務員における給与上の問題というものも、応募をしようとする人に影を落としておるということも言えないことはないと私ども見ております。とりわけ理工系の応募者が減っておりますことは、やはり反面における理工系を必要とする企業がだんだんに景気を回復しつつあるということとともに、公務員の魅力というふうなものも応募をしようとする人たちが考え始めたのかなと、こういうことも思っております。したがいまして、給与だけが理由ではないと思いますが、少なくとも昨年に比べて本年は若干の減少の傾向を示したということは言えるんではなかろうか、かように思います。
  178. 服部信吾

    服部信吾君 時間がありませんので、公務員のあり方について総務長官にいろいろとお伺いして、いろんな事例もちょっと持ってきたんですけれども、時間がないんですけれども、例えば、これは総括で答えてもらって結構なんですけれども、ある運輸省の関係する民間機関、民間会社からタクシー会社の要するにクーポン券をもらって平気で使っているとか、こういうような問題が随分出ています。私も実際に知っております。これはもう運輸省だけじゃなくて各省でも平気で、タクシー会社からある民間会社が要するにクーポン券を買って、それをお役人に渡して自由に使ってください、こういうような事例も随分あります。民間の会社としちや何でやらなくちゃ――一応使ってくださいとは言うものの、これはやっておかないと何か後でうまくないのか、そういうようなこともあるでしょうし、また何というんですか、どうせこれを持っていけばお役人は使ってくれるんだと、そんなもんだよというような考え方も裏にはあるという、こういうこともあります。それから、最近では局長さん、高級の局長さんが女流作家とのスキャンダルなんという、ああいう問題もあるわけです、実際に。まあ、これは事実は一生懸命にいろいろな形で研究はされていると思いますけれども、しかし、何か最近のマスコミの、テレビ見ると、ロスの三浦さんと、それから高級官僚のどこかの局長さんと女流漫画家のスキャンダル、こんなのはもう国民の間でどこへ行って一杯飲んでてもこんな話が出てきて、お役人というのはいいなというような、こういうこともあるわけです。ですから、一部の、本当にわずか一部の公務員の方がこういうことをやることによって、本当にまじめに働いている公務員の方たちが困っているという面があると思います。  そこで、これ一つずつ挙げられませんので、国鉄の方にお伺いしたいんですけど、総務庁長官、これ何だか知ってますか。これ定期券なんですけど知ってますか。見えないと思いますけれども、ここに赤線が入っているんですよ。こういう定期券見たことがありますか。国鉄に。
  179. 須田寛

    説明員(須田寛君) 最近におきまして、最低運賃区間の定期につきまして、識別を容易にするためにテスト的に赤線を入れた定期券を発売いたしておりますので、それかと存じます。
  180. 服部信吾

    服部信吾君 これはその目的は何ですか、この赤線こう入っているのは。
  181. 須田寛

    説明員(須田寛君) これは、お客様を大変御無礼に申し上げて恐縮でございますが、実は最低運賃区間と私ども申しておりますけれども、比較的近距離の定期をお使いになりまして不正乗車をなさる方が大変実は多いわけでございます。不正乗車と申しますとほとんどが最低運賃の定期にかかわるものでございますので、したがいまして窓口の改札に当たります係員とかあるいは車内の車掌等がなるべく識別を容易にするようなものにならないかということを言ってまいっておりましたものでございますから、テスト的にそのようにしておりまして、ややその定期につきまして注意を喚起するために印を入れたものでございまして、私どもの内部の一つの識別表示というふうにお考えいただければ結構でございます。
  182. 服部信吾

    服部信吾君 これテスト的と言うけれども、何ですか、最短距離って三キロ以内とか、そういう方には全部こういう赤線入れているわけですか。
  183. 須田寛

    説明員(須田寛君) 発売の機械等の対応がございますのでまだ完璧には及んでないかもしれませんが、近いうちに三キロ以下の最低運賃定期につきましてはそういう標識にしたらどうかと考えております。
  184. 服部信吾

    服部信吾君 これはいつから始めたんですか、こういうあれは。
  185. 須田寛

    説明員(須田寛君) 逐次やっておりますが、大体この春の運賃改定のときあたりから発売を開始したと思っております。
  186. 服部信吾

    服部信吾君 これはちょっと、もらった方の人たちは全然理解できぬ。何で私のは赤線引いてあるのか、男性はね。女性は下に赤線が引いてあるそうですよ。何か買って悪いことしているんじゃないかというそういう感覚で、何か随分国民の方は知っておりますよ、これ。こういう苦情はありませんか。
  187. 須田寛

    説明員(須田寛君) 現在のところ目立った御苦情はちょうだいしておりませんが、私どもの方で若干反省をいたしておりますのは、何のためにそういう印をつけておるのかということを、もう少し事前に御説明と申しましょうか、駅頭その他に掲示をいたしまして御理解をいただけるようにしたらよかったかなという反省はいたしております。  今先生おっしゃいましたように、女性のアンダーライン――女性のお名前の下にアンダーラインが赤で入れてございますが、これは実はもう昭和二十年代からやっているわけでございます。したがいまして、そのようなことで若干御案内不足もございまして、何か非常に定期のデザインが不愉快だとか、そういうふうなお気持ちがあるいはわいたのかもわかりませんが、気持ちは先ほど来申し上げましたように改札の職員が識別しやすくするためのあくまで内部的な理由でございます。
  188. 服部信吾

    服部信吾君 じゃ最終的にこれをやるわけですか、こういう形で。
  189. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今申し上げましたようにテストでございますので、職員のこれからそれで果たして識別がよくなったかどうかということも聞かなきゃいけませんが、しかし何と申しましてもこれはお客様に御利用いただいておるものでございますから、お客様がこういう不愉快なデザインの定期じゃ嫌だとおっしゃるような、そういった御意見もやっぱり考えなきゃいけないと思います。そういった御意見をもう少しよく承り、かつまた現場の反響等も聞きまして、将来最終的にそれを定期のデザインとして取り込むかどうか、その辺を考えてまいりたいと思っております。
  190. 服部信吾

    服部信吾君 いずれにいたしましても、こういうことはやっぱり何となく国民を、乗客を疑っていると。きせるをするんじゃないか、だからちょっと赤鉛筆でこうやると。非常に不愉快です、これは利用者にとっても。ですから、これはまたそちらで判断することでしょうけれども、いずれにいたしましても総務長官、こういうような問題、高級官僚のああいうようなスキャンダルの問題だとか、いろいろあるわけです。  そういうことで、今後公務員のあり方として――しかし、そういう方はほんのわずかだけれども、一生懸命やっている方はたくさんいるわけですから、こう一生懸命努力をしているわけですね、これは。その努力がいいか悪いかは国民がどう判断するかですけれども、まあ今後のこの公務員のあり方としての総務長官のひとつお考えをお伺いしたいと思います。
  191. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 公務員は申し上げるまでもなく全体の奉仕者でございますから、何よりも公務が立派な成果をおさめるというその大前提は、公務そのものに対する国民の信頼感、これが一番肝心だと思います。それがためにはやはり公務員の諸君が誠心誠意誠実な仕事をやっていく、そして国民から信頼を失墜するというふうなことのないように注意してもらわなきゃならぬことは言うまでもございません。  御指摘のような事例が、多くの公務員でございますから間々発生することはこれは大変残念でございますが、政府としてはこういうことのないように公務員の規律の維持ということには最大の力を尽くさなければならぬと、こう考えるわけでございますが、それにしても、やはり昭和五十四年から指定職の諸君、五十七年からは全部の公務員諸君が人事院の勧告どおりの給与改善が実施できてない。これはまあ国民世論あるいは行政改革の過程で国民の皆さん方に痛みを伴う施策を講じておるわけでございます。そういったようなことも考えなきゃなりませんし、同時にまた、今日の厳しい財政の実情、こういったことで目配りを広くして国政全般の観点からやらなきゃならない、こういうことでございますから、今厳しい御辛抱を公務員の諸君に願っているわけでございますが、政府としてはこういった事態は一日も早く解消して、人事院制度がある以上は、その人事院勧告と政府の決定がいつまでも食い違うといったようなことがないように最大努力をしていって、公務員の生活面から見てもそういった非行その他がないようにやっていかなきゃならぬなと、かように私は考えているわけでございます。
  192. 服部信吾

    服部信吾君 終わります。
  193. 下田京子

    下田京子君 私は、まず地方交通機関、初島交通の社長をしております小針氏疑惑問題でお尋ねしたいんですが、この件は先般の百一国会、特に三月、この小針氏のグループ会社であります福高不動産など約百億円に上る使途不明金というものが問題になりまして、いろいろなところで国会でも追及されたと思うんです。その後、関係者が一体どの程度真相解明のために手を尽くされてきたのか大変疑問なんです。  といいますのは、むしろ事態の推移を見ていますと、解明どころか新たなる疑惑が次々と出てきているというのが実態ではなかろうか。特に七百億円にも上る日債銀からの貸し付けの問題について国会でもいろいろ追及があって、これは資産売却等で回収を図るというふうな日債銀側の動きもありまして、最近資産売却の動きが出てきておりますけれども、それに伴ってまた新たな資産隠しやあるいは土地売却に伴う脱税の疑惑やもろもろの問題が出ておりますが、その中でまず最初にお聞きしたいのは、こうしたことが地域開発計画にも大変混乱を生じているという問題なんです。  そこで国鉄にお聞きしたいんですけれども、今お配りしました福島駅及び駅前の略図をごらんいただければわかると思うんですけれども、この地図の中に福島交通パーキングという約一千平米の、斜線部分があると思います。これは福島市の駅前再開発計画ということでBⅡ北地区の開発計画に入っているところなんです。この開発がスムーズにいくようにということで、再開発組合には入らないけれども、組合にこの用地は売りますよ、その代替地として国鉄用地でありますAの土地、合わせて一千三百二十平米になると思いますが、約一千三百平米、これは小針さんからあるいはまた市を通じて国鉄にも正式に要求がされた。国鉄は、これは市の開発事業であることだし、スムーズにいくように、また地方公共機関がその公共性を考えて払い下げるに妥当という結論を出しているかと思うんですね、その経緯は右の方に説明しておりますけれども。  ところが、最近この福交パーキングなる土地が所有権移転されているのを御承知だと思うんです。船橋エス・シーというダイエーの子会社ですけれども、今年七月十六日譲渡担保ということで所有権移転、これは後で現金払えば所有権戻りますよということなんですけれども、なかなか田植のところなんですね。四十六年福島交通の土地であったものが福島交通不動産に渡りまして、五十七年にはフクコーというところに移りまして、同族内でくるくる転がって、今回譲渡担保という格好で所有権が移転された。こうなりますと、この払い下げ問題というのは当然見直してしかるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  194. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) お答え申し上げます。  この問題の千三百平米の土地に関します経緯は先生今お話しのございましたとおりでございます。  それで、この土地につきましては、国鉄といたしましては、一つは都市計画事業に対する御協力という面と、もう一つは福島交通飯坂線の御利用客の利便の増進に資する、そういう二つの目的を兼ねることができるということから、お譲りをするということで考えて進めてまいったわけでございますけれども、今御指摘のございましたように、都市計画事業でございますところの再開発事業の区域の中に含まれておりますこの千平米が、第三者の手に渡るということに仮になるといたしますと、今まで考えてまいりました条件が変更をされたことになるわけでございますので、国鉄といたしましては、改めて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
  195. 下田京子

    下田京子君 私は当然これは見直しということになると思うんですね。こうなりますと駅前の再開発の問題にまた影畳を与えていく。それから同時に、約一千三百平米のA地区の払い下げのみならず、全体的にB地区の問題も絡んでおりますけれども、つい先般できました国鉄再建法に基づく第三セクターの設立云々で阿武隈急行が設立された。その五一%の株を持っているのが福交さんであり小針さんですね。この第三セクターの阿武隈急行が福島駅に乗り入れる際にどこに乗り入れるかということをめぐって、なかなか新線免許が今出されてこないという経緯になっていると思うんです。  聞きますと、国鉄側は列車の時刻設定や通過などの制約をいろいろ考えれば、中ホーム乗り入れ案がいいんじゃないかという主張をされていると聞いております。ところが、第三セクターの方では、宮城県の知事名でもって先般七月、現行飯坂線、ここに乗り入れさせてくれと、こういう御要望を出されていると思うんですけれども、国状としては今もなお中ホーム乗り入れ案ということを主張されておられるんでしょうか。私たち見ればこの方が大変国鉄の用地は少なくて済むし、利用の面でも、それからまたダイヤ問題等からも東北線に、つまり中ホーム乗り入れ案の方が非常に合理的だ、こう思うんですよ。ですから、国鉄を応援するわけじゃありませんけれども。ところがなぜ飯坂線乗り入れというものを出してきたのか、その辺どういうふうにとらえられているのか。
  196. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 阿武隈急行の福島駅乗り入れに関連いたします乗り入れの形態につきましては、先生今お話のございましたように、阿武隈急行側からは五十九年七月十一日に東口に乗り入れをしたいということでぜひ協力をしてほしいというお話がございました。  これに対しまして、国鉄といたしましては、どちらの案がベターであるということをいま決断をいたしているわけではございませんけれども、東口乗り入れということになりますと、阿武隈急行の福島駅発の下り列車と東北線の上り列車との間に平面交差が生ずるということから、若干ダイヤ面の制約を受けるという問題がございます。  一方、中ホーム案にいたしますと福島の周辺の地域の方々が阿武隈急行を御利用になる場合、跨線橋を渡らなければならないという問題が生じてまいりますので、その辺の利害得失いろいろございますので、現在検討している段階でございます。
  197. 下田京子

    下田京子君 これ大変政治的なんですね。今おっしゃったのは福島市におりる方が跨線橋利用とおっしゃいましたが、逆にまた東北線を利用されて松川周辺等大学もございます、そちらに行く場合には便利ですし、東北新幹線に乗り継ぐというときにはまた便利なんです。ですから、国鉄サイドとしてどうなんでしょうねと、こう言ったんですが大分御遠慮されているようなんです。その辺がどうも解せないんですけれども、これは地図を見ていただければわかりますけれども、飯坂線に乗り入れできますと今のお話のように東北線の上りホームと平面交差するのみならず、そのことによって飯坂線が今度はまた東側に追い出されますから、そうすると小針さんが要求されている既存の約一千三百平米の土地の利用のみならず、隣のB地区約三千七百平米の部分にもかかわってくることになるんです。この用地の払い下げ問題のときに、小針さんははっきり言ってるんですね、駅ターミナルとして利用したい、こういうお話なんですが、三千七百平米までそういうことで交通機関で必要だということになると払い下げ検討されてるんでしょうか。
  198. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今のお話のございました中の一つは、乗りかえ等の跨線橋の問題でございますけれども、中ホームにつけました場合に、例えば東北本線の上り方に御利用になるお客様は跨線橋を渡らなくて済むという利点がございますのと、先ほども申し上げましたように福島の駅から乗降なさるお客様にとっては跨線橋を渡らなくて済むという利点があるわけでございます。  それから土地の問題につきまして、三千七百平米の土地がどうなるかというお話がございましたけれども、東口に乗り入れてまいります場合に、三千七百平米の土地全部を使うということにはとてもならないというふうに考えております。仮に東口乗り入れ案ということになりますと、阿武隈急行が使います線路敷、そういった最小限の土地の御協力は必要であるというふうに考えております。  なお、そういった意味では中ホームに乗り入れをいたしました場合におきましても、現在の東北線のホームに使っております上り、下りの両列車が発着しておりますところのホーム敷の一部を切り欠きまして、この土地を阿武隈急行のために占用をする必要があるということでございまして、そういった意味ではこの福島駅全体の用地の中での国鉄の使用面積にはそれほど大きな差は生じないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、そういったもろもろの問題をあわせ考えまして現在検討を進めている段階でございます。
  199. 下田京子

    下田京子君 三千七百平米全体をもし阿武隈急行が飯坂線利用ということになったら、それに関係して払い下げるということになるのかどうか。そこ、はっきりさせてください。なぜならば、これ資料にも書いておりますけれども、ことしの二月十三日、東京の赤坂でこの丸森線に関するトップ会談が開かれた。そこには福島、宮城の両知事のみならず、小針さん、それに三塚代議士等もいて、小針さんがこの阿武隈急行に参加する裏の条件なんだということまで言われているんですね。必要性がないと思うんですよ。必要がないものを私は払い下げる必要ないと思うんです。ましてや今、国鉄再建問題で、その陰で大量な首切り、合理化問題なども打ち出されておりますよ。それでなくても本当に国民の足、国鉄がどう再建されるかということで国民全体が見守っているときに、一坪たりとも国民の財産をそんなことで払い下げるなんてことがあってはならないと思う。明確にしてください。
  200. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) この三千七百平米の土地全体を阿武隈急行に払い下げをするというようなお話にはならないというふうに考えておりますし、今、先生お話ございました五十九年二月の経緯につきましては、私ども一切承知をいたしていないわけでございます。  また現在、阿武隈急行の方からこの三千七百平米について具体的に払い下げを要望するようなお話も一切お伺いをいたしておりません。  仮に東口乗り入れ案ということになりましても、線路敷に必要な最小限の土地についての譲渡ということについては検討をする必要があると思いますけれども、この三千七百平米全域について阿武隈急行に払い下げるというようなお話にはなっていかないというふうに考えております。
  201. 下田京子

    下田京子君 今の点、大変大事だと思いますから、きちっと対応していただけるように、今は検討してないけれども、やがて陰の力でもってやむを得なかったなんてことになりませんように指摘しておきます。  次に、同じく日債銀からの債権回収に伴って、どうも担保回避ではないだろうかと疑惑が言われている、指摘されているのに小針育英財団というのがございます。これは文部省にお尋ねしたいんですけれども、配りました資料の最後につけておきましたけれど、知事認可のこれは財団法人であって、五十六年三月五日、福島県教育委員会が設立許可を出しておりまして、福島県内の子弟に対する奨学資金の給与を行っている。実績等はここに書かれてあるとおりであります。ところが、この小針育英財団に最近福島民報社の株の九割に当たる一万八千株が寄附されたんですね。うち一万株が小針氏個人の所有であったんです。ところが、この小針氏個人の株所有が再び引き揚げられたと聞いておるんですけれども、その辺の事実経過を文部省の方からお聞かせください。
  202. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生御指摘の点でございますが、小針育英財団につきましては、当初の出発の基本財産はこの資料いただいておりますように六千一百万でございました。ところがその後におきまして五十七年四月に二回、五十七年七月、合計三回にわたりまして福島民報社の株式が小針氏外から寄附されておりまして、全体として民報礼に係る株は一万八千株になっておるわけでございます。この点につきまして主たる法人の主管者は県の教育委員会でございまして、県の教育委員会指導しておるわけでございますが、経過といたしましては一万八千株のうち一万株について小針氏の方から返還の求めがあったやに聞いておったわけでございます。この点につきましては県の教育委員会並びに私どもといたしましては財団の基本財産にかかわる内容でございますので、それを仮に返還するといたしますれば基本財産の減少を招く、これは問題が大きいということで、その点についての慎重な対処を求めておったわけでございますが、本年の七月になりましてこの基本財産一万株に関しましては額面において一株五百円でございますので、五百万円について寄附を小針氏より財団に対してこれを行う、そのかわり一万株については小針氏の方に返還をする、こういうふうな手続が理事会並びに県教育委員会の方にとられまして、結果といたしましては小針氏から五百万円の寄附が行われ、一万株については小針氏に返還されておるというふうに私どもは承知しておるわけでございます。  それからなお、福島民報社の株につきましてなお四千株に係るものがまだ残余ありまして、この点についての売却についてやはり申請が八月から九月について出ておりまして、売却ということに相なりますれば株の内容が売却資金として現金で財団に残るというふうなことで、この点については県教育委員会が認可をしておる、これが九月五日付であるというふうに承知いたしております。  ただ売却が行われたかどうかについてはまだ私どもは承知していない、こういう事実関係でございます。
  203. 下田京子

    下田京子君 今の一万株の小針育英財団に寄附するに当たって、実を言うと個人が所有している株を寄附した場合に譲渡所得が非課税扱いにされるというふうに御本人は理解しておったようですね。ところが国税当局の方でそれがなかなか認められないというふうなことがあって、今言うように引き揚げたい。しかし御報告のように、基本財産を減らしちゃいかぬという対応を文部省としてはされたということなんですが、非課税なら申請する、そうでなければ引き揚げる、私はここに小針さんの言ってみれば本質見たりという感じなんですね。ましてや育英財団、子供たちの奨学資金に充てられる維持をやられている、一方では。ところがその本質はそういうところにある。大変私は問題を感じました。  安倍外務大臣にお尋ねしたいのです。もう帰って早々で本来なら帰国報告に対しての御質問と申し上げたいのですが、時間の制約もあって大変申しわけないんですけれども、外務大臣お聞きになったように、今の育英財団に福田元総理や金丸信元建設大臣と一緒に理事に名前を連ねておられたと思うのです。つい最近六月二十二日に辞任されましたね。お聞きしたいのは、引き受けられた動機と、それからどうしておやめになられたのか、その辺ちょっと聞かしてください。
  204. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは小針氏から育英財団をつくるといいますか、つくったので理事になってほしいということで、もう教育といいますか、子弟の育成のためにこれを行うという事業ですから大変結構じゃないかということで名前をかしたわけです。しかしその後小針さんの方からいろいろと現職だし、迷惑がかかるからということでありましたので、それじゃやめさしてもらうということでやめたわけです。
  205. 下田京子

    下田京子君 現職でいろいろ迷惑がかかるということは、御本人も迷惑かけるようなことをやってるというふうなことを承知の上で、それからまた大臣もせっかくそういうことで意気込んでお引き受けになられたのに、今の問題にかかわることが五月四日に報道されたらその後おやめになられたというわけなんですね。大変これはまだまだいろいろ疑惑がございますが、まあ大臣結構です。  文部省ね、今後の指導、こういう点、育英財団が資産隠し等に悪用されているというふうなことになったんでは私はまずいと思うんで、その辺はきちっと対応していただきたいと思います。  大蔵大臣に一言最後にお尋ねしたいんです。実は優良企業の美福が、約百億円もの使途不明金といわれるその八割以上を抱えている福交不動産の赤字会社に逆さ合併されたと、これは恐らく租税回避ではなかろうかというようなうわさもございます。私は大蔵大臣にお聞きしたいのは、そのほか一連の問題があの国会の追及以後もどんどん出てきてるんです。使途不明金があるということは、それは一体どういうものなのかというと、もうその使途不明金というものが単に税務上処理されればいいということではなくて、特別背任罪であるとか横領とか商法違反だとか、いろんなことを絡んでいると思うんですね。そういう点で、徹底的な解明という点で今後もきちっとこれは国税局並びにそれら関係機関を御指導いただきたいという点で、ひとつ決意だけお聞かせいただきたいと思います。
  206. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 実情につきましては、私はお答えする準備をいたしておりません。が、例えば背任とか云々というような御議論がございましたが、私どもの権限の範囲内においては税務処理上きちんとしろと、こういうことだと思っております。そういうことはいろいろな情報入手の中で、一般論として税制というものの執行に当たっては厳正であるべきであるというふうに私は理解をいたしております。ただ、その背任とかそういうものを念頭に置きながら物事に対処していくというのは、人の道としては余り好ましいことじゃないと思っております。
  207. 下田京子

    下田京子君 大臣の今の御答弁、私は使途不明金ということが問題なんだと。例えばそういう使途不明金に絡んでいろいろな罪状というのが指摘もされてきたんだから、使途不明金解明にきちっとやりなさいということを私は質閲したんです。  時間が本当になくなっちゃったんで、私はもう一つ重大な問題も聞きたいので、それはもう強く要望しておくにとどめます。  二番目の問題は、秋田駅前の中央地区再開発事業をめぐる問題でございます。  これは先ほど他の委員からも御質問がございましたけれども、国税庁にまずお尋ねしたいんですけれども、先ほど委員お話では受けた側のお話がございました。私は出した方の側の大成なるものが一体何の目的で幾ら渡したのか、厳正にやっぱり調査されてしかるべきだと思うんです。私たちの情報では裏金二億円とも言われておりますけれども、十五億円というようなことも言われているんです。だからお尋ねしたいのは、大成にもそういうことできちんとおやりになっているというふうに理解してよろしいですね。
  208. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) ただいまお話のございました大成建設の調査の件でございますが、個別にわたります事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきますよう御了承いただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般的に申し上げますと、国税庁は従来から大法人に対しましては、いわゆる重点調査態勢というものをとっております。また、その大法人の中でも特に規模の大きい法人につきましては国税局の特別国税調査官というのが所掌をいたしておりまして、毎年のように実地調査を行っている。また、一回の調査に当たりましても相当の人員、日数を投入するというようなことで極めて徹底した調査を行っている、そういう状況にあるわけでございます。その調査の過程に当たりまして、国会で御論議ありました事項ですとかあるいは新聞等で報道をされましたような事項につきまして、これを十分念頭に置いてやっているという、そういうような次第で調査を進めているという状況でございます。
  209. 下田京子

    下田京子君 個別案件ということは別にしても、今私が指摘したことに対する答弁を聞く限りにおいては、かなりやられているというふうに理解させていただきたいと思います。  これは大成の調査をやっぱりきちっとやるということが一つのポイントだと思うんです。先ほど受け取った側のAさんの話ということで紹介されました。私、御本人にもお話伺ったんですけれども、このAさんという方は名前を出してもいいよと。境田さんとおっしゃいます。資料なども、私も実際に支払った調査どもいただいております。ところが、境田さんのところに持っていった当事者である伊藤さんという方にも会いまして、詳しく実情を聞いてみました。  伊藤さんの証言によりますと、一つは、大成建設から九千万円受け取り、その際本人伊藤さんの名前により領収書を書いて大成に渡している、こう言っています。二つ目に、その九千万円を二人に配ったと言っています。そのうち一人がいわゆる境田さんであります。それから三つ目に、この伊藤さんのところに実はことしの六月七日から延べ十日間にもわたって秋田南税務署が調査に入っている。ですから関係資料、帳簿とすべてこれは税務署がつかんでいるんですね。ですから、国税当局が単に新聞等で承知しているとか関心を持っているなんというものではないというふうに私は理解させていただきます。  今のお話ですと、超法人という場合には特別調査官をグループにして毎年一回きちっとやるというのみならず、いろんな問題の関心ごとに応じて徹底的にやるというふうなお話でしたから、今回は単に年一回の問題ではなくて、徹底してこの税務調査を行ってきた、もしくは行っている、また今後もやるというふうに理解させていただいてよろしいですね。
  210. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、具体的に大成建設をどうするかということにつきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、大法人に対します調査、特に規模の大きい法人に対します調査につきましては、従来から徹底した調査を行っている、そういう実情にあるということでございます。
  211. 下田京子

    下田京子君 では建設省にお尋ねしたいんですが、国税庁は具体的に今守秘義務ということで大成の名前は避けられておりますけれども、私たちの調査で先ほど九千万円ということなんですが、五十八年の八月二十五日、大成側から二人、再開発組合の理事長、副理事長の二人、それに伊藤さんと計五人でもって現金の渡しがなされているんですね。お金の目的は非同意者の協力取りつけのためだということなんですよ。それ以外にも別ルートで正規の補償金以外に上積み補償金をもらった組合員もいるというふうな証言も得ております。つまり裏金が流れたというのは明確なんですね。これもちょっとさっき法務省に他の委員からあって、都市再開発法の百四十条の収賄罪に該当する疑いありという話だったんですが、これは言ってみれば受け取った側の、都市再開発法に絡む役員の方の話なんですね、事実とすれば。これは事実だとすれば、当然理事長並びに副理事長とか皆さんこの罪に該当するというふうに理解してよろしいですね、建設省。
  212. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) このたびの疑惑ということでお話しになっている件でございますけれども、事実関係が明らかでございません。仮に、本当に仮に金銭の授受があったとした場合に、都市再開発法で、先生御指摘のございました第百四十条の適用がどういうふうにあるのか、あるのかないのかということについては、仮に授受があったとしたその金銭の性格がどういうものであるのか、まただれが受け取ったのかというようなことによって決まってくるのではないかと考えております。
  213. 下田京子

    下田京子君 法務省にお尋ねしたいんですが、今の都市再開発法百四十条というのは、この収賄の罪というのは受けた側の話で、しかも今お話しのように一定限定される。ところが、裏金を出した大成の方なんですけれども、これ本来出すべきお金でないものを出したということになりますと、商法の四百八十六条の特別背任罪の疑いも考えられるわけですね。これはそういう点からいって当然調査し究明すべきものではないかと思うんですよ。さっき他の委員に対して、事実が出てくれば対応するという答弁でありましたけれども、地方では大変問題になっておりますし、それからきょう、実を言いますと県知事に対して、この都市再開発法の百二十五条二項によって検査請求を組合員の皆さんが正式にお出しになったということでございますから、急いで――国税庁はつかんでいるんですから、国税庁はどちらかというと税務処理だけで追っかけられていたらそれで終わりということになりかねません。ですから刑事局長、きちっとこの対応すべきじゃないか、急いでやるべきじゃないかと思います。
  214. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) ただいまのお尋ねでございますが、まず都市再開発法百四十条の解釈につきましては、今建設省からお答えになったとおりだと私どもも思っております。  それから、この百四十条を見ますと、百四十一条というのもございますので、この収賄罪に対するその金品を供与したという贈賄罪も処罰されることになっておりますので、この点に関する限りは贈った方、もらった方、処罰規定はあるわけでございます。ただ、先生御承知のことでございますが、そのもらった人が組合の役員であるということがまず必要でございますし、さらにその職務に関してということでございますので、単にその工事を円滑にというようなことではなかなかこれには当たらないのではないか。そういう意味で、まだ、私ども新聞等で承知しております限りでは事実関係が不明確で、果たして犯罪になるかどうかという点は今後の推移を見なければわからないというふうに考えております。  ただ私、新聞で拝見しております限りでは、いろいろ県当局あるいは市当局でも調査をされるということでございますし、新聞等にも出ておりますし、また国会での御審議等もありますので、検察当局でもそれなりに調査をといいますか、関心を持っておるわけで、今後の推移に応じまして犯罪の嫌疑が出てくればその時点で適切に対処するものというふうに考えております。
  215. 下田京子

    下田京子君 ちょっと今の答弁では問題だなと思うんですよ。もうちょっと積極的に究明に乗り出すべきだと思います。  建設省について、事実関係どの程度つかんでいるかなんです。さっき、契約のあり方では県を呼んでいろいろ聞いたということなんですけれども、裏金の事実について県からどういうふうに聞いておりますか。これは駅前の再開発事業ということで国から七億二千百万円補助金出ているわけです。そういう点からも積極的な対応が必要だと思いますが。
  216. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) この事業は先生御存じのように都市再開発法に基づいて行われている事業でございまして、法律の上でも組合に対する指導監督権限というのは都道府県知事にあるように規定されてございます。秋田県ではこの件につきまして今後調査をするということを申しておりますので、建設省としてはその推移を見守ってまいりたいと考えておるわけでございます。  先ほども答弁申し上げたように、この件について、九月十七日だったですか、秋田県の担当を呼びまして事情を聴取いたしましたところ、秋田県の方は、組合に聞いてみたけれどもこの事実はないという返事をもらっている。また国税庁の方にもお伺いをいたしたけれども、御返事が得られなかったということを秋田県の方からは聞いております。今後どうするかというのは、先ほど申し上げましたように県の調査を待ちたいというふうに考えております。
  217. 下田京子

    下田京子君 県の調査を待つまでもなく、国がやらなければならない性格のものであるということで、私は二点指摘したいと思います。  確かに今言うように、この事業は組合事業ですから、直接指導監督、その権限は知事にございます。しかし、同時に、この補助金交付という点で一体適切であったかどうかという点では、補償費の中にも八千七百万円補助金が出ているんです。この補償費に対して上積みする形で裏金が流れたということになりますと、補助金交付の決定に従って事業が正確に遂行されているかどうかという点で、非常にこれは国も責任を持たなければならない事案である、これが一点。  さらに、お金を出したと言われるその大成建設ですけれども、私が言うまでもありません、建設業法第十五条に基づいて大臣認可の特定建設業者です。ですから、建設大臣は、特に必要があると認めた場合には、報告をとったり、あるいは職員をして帳簿を見たりいろんな事情を聞き、検査もできる、これは同三十一条で規定されているんですよ。そういう点から見て、県が云々でなくて、これだけいろいろ都市再開発に絡んで、言ってみれば、大手の大成が裏金流したということになると大変問題だと思うんですよ。そういう意味で建設省の責任が問われていると思います。お答えください。
  218. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 最初の補助金のお話でございますが、この市街地再開発事業の補助は、組合の施工者に対しまして補助を行っている地方公共団体、今度の場合は市でございますが、その市に国が補助をするという間接補助の仕組みになっております。組合に対する補助金の交付に当たりましては、組合等に対する補助の主体であります市、それから指導監督の立場にあります県において十分審査をされたものにつきまして交付決定を行っておるわけでございます。また、事業が終わりました後では、交付決定の内容、条件に適合しているかどうか県が十分調査して補助金の額を確定し、報告を受けるということになっているわけでございまして、この補助に関する限り、この内容について適正に執行されているものというふうに我々は考えているわけでございます。  また、建設業法上のことについて御質問ございましたが、おっしゃるとおり、大成建設は建設大臣の許可を受けた建設業者でございますけれども調査の結果、大成建設の都市再開発法違反の事実が仮に明らかになりましたら、業法に基づいて現実的に対処していきたいということでございます。
  219. 下田京子

    下田京子君 補助金の性格は何も私向いていません。言われるまでもなく承知した上でお尋ねしているんですよ。それが正式にどうなっているかということは建設省も聞いていますでしょう。今、問題が指摘されているさなかなのに、その補償金なるものが適正に執行されたと思うなんてことは、余りにも断定的でけしからぬと思うんです。その態度は変えなければならないと思いますよ。  さらにお尋ねしたい点なんですけれども、建設省、さっき契約問題について、これも県から聞いた、そしたら大成建設が、急を要する施工であるということで市は発注したんだという話を聞いて了承したようなお話ございましたね。私は、これは大変問題だなとやはり思います。なぜなら、ビル本体工事が大成建設一社に、単なる随契じゃないんですね、特命で六十八億円も契約されている、こういうことでございます。私、建設省にいろいろ聞いてみまして、他にこういう例があるのか、随契というのはあるというんですね。それは建設省が出されております都市再開発法の際のその定款を定める模範例の中にも、一般的には競争入札がいいよ、しかし、こういう場合はということで急な場合が例外に挙がっております。しかし、その例外の場合でも、本当に随契が全く一社であったということがないんですね。私いただいたのは東京都の例だけでしたけれども、随契であっても二社ないし三社や四社、そういうふうになっておりますよ。  なぜこういうことになったんだろうか、これまた疑惑が多いところなんです。急な施工を要する工事として大成が必要だったということなんですけれども、実は、五十一年から七年間もその地方で、駅前の中央地区の設計等に関与してきた竹中工務店の秋田出張所長さんにも会っていろいろ聞いてきました。その方が言うには、我々はあくまでもお願いしていたが、大成に随契で決まったからと言われたので、やむなくおりた、こう言うんですね。竹中では、技術や力からしても急な施工、これはやれるとみずからおっしゃっているんです。建設省、妥当だと言うんですか、それでも。
  220. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 建設省の指導ということで、指導といたしましては組合の発注は競争入札を原則とする、しかし、組合の事情によって急を要する場合等に随意契約によることが必要な場合もあるので、随意契約もできるという形にしておるわけでございますが、この指導といいますか、先ほど先生の方のお話のありました標準の定款案に基づいて組合がおのおのの契約の形をお決めになる、そのお決めになった中で、現実に随意契約によるのか競争入札によるのかというのは、これは組合自身の御判断でございまして、先ほど先生は建設省は了承したのかというお話ございましたけれども、建設省が了承するとかしないとかいう種類のものではないというふうに理解しております。
  221. 下田京子

    下田京子君 私はそういう問題があるのをこれで問題なしとするのかということでの基本的な認識を聞いているんですよ。仮に、御承知でしょうけれども、これ一九八〇年の報告を見ますと、大成建設は東京本社で資本金三百八十六億円ですね。竹中工務店は大阪本社ですが、資本金五百億円ですよ。こういう点でも問題がありますし、また報道によりますと、理事会で説明する際に、なぜ大成がいいのかという点では、駅前再開発に積極的に取り組んで便宜も計らってくれている野呂田芳成代議士が大成がいいと言うので決めたというふうなことまで出ているんですよ。政治家がこういう不明朗な問題に契約にまで口を挟んでいくということがもし事実だということになると大変問題だと、そういうことも含めてきちっと調査をすべきだということを私はかねてから言っているんです。  会計検査院最後に、もう時間になったのでお聞きしたいんですけれども、今までの議論で明らかになったと思いますよ。補助事業であってその金額が多少にかかわらず――七億数千万ですから少ないなんていうものじゃないと思うんですよ。こういう再開発事業に絡んで多額の裏金が流れた疑惑、これをやっぱりきちっとしていくべきではないか。同時に、その工事発注をめぐって大成建設一社に特命で決まるというような異常さというか異例、そういうことを十分に念頭に入れて厳重なる検査というものをやっぱり施行すべきではなかろうかと、こう思うんです。お答えください。
  222. 小川一哉

    説明員(小川一哉君) ただいま御指摘の秋田駅前中央地区の再開発事業につきましては、午前中にも答弁をさせていただきましたが、本年に事業が終了いたしますので、来年以降の検査におきまして御指摘の趣旨を踏まえまして十分厳正な検査をいたしたい、かように考えております。
  223. 井上計

    ○井上計君 総務庁長官、何かお急ぎのようでありますから若干順序を変更して、最初に長官にひとつお伺いをいたします。長官は北方対策本部長を兼務をしておられるのでありますが、北方領土問題につきましてひとつお伺いをいたします。  実は、先日、九月の二十六、七、八の三日間、本院の沖縄北方問題特別委員会として北方四島の問題等を中心に北海道の東部を視察をいたしました。地元の各機関あるいは各代表と懇談をして、大変委員会としては非常に有意義な視察を終えたわけでありますが、その視察を踏まえまして、北方対策本部長である長官にひとつ提言をし、またお願いをし、また質問をいたしたい、こう思います。  北方四島の早期返還の要望、ますます最近高まっておりますし、またこれに対して、政府としてもこれらの対策について多大の努力をしておられますことについて私も評価をしております。先般、私、委員会でも提案をしておきましたが、特に明年は副読本を全国的に、まあ一部であるけれども配付するという予定も具体的にお持ちだということも聞いておりますけれども、要は国民に対してなぜ北方四島の返還を国を挙げて求めておるのかというふうな、いわば事実を国民にもっと理解をしてもらうようなそういうことが必要である。国際法上から見ても北方四島の返還を強く我我が主張するのは当然であるというふうな理解を国民にしてもらわなくちゃいかぬと思うんですね。  これはなぜ私がこういうことを申し上げるのかといいますと、国民の中には依然としてソ連と戦争をして日本は負けたんだと、戦争によって負けて占領された領土を返還をしろと言っても、これは無理ではないかという、実はそういうまだ声があるんですね。それから、そのようなことの中で返還運動をやるから、ソ連との間に対立がますます激化して、それによっていわば必要以上にソ連の脅威が高まってくるんだと、あるいはまたソ連との間の交渉がうまくいかないんだと、だから北方四島の返還については余り強く言うなと。むしろ領土返還よりも魚の方が大事だという声も実はあることも事実なんですね。事実、今度も視察の中で、公式な意見ではありませんでしたが、そういうふうな意見も実は耳にいたしました。  そこで、私は既にこれも沖特委員会でも言ったことがありますし、他の委員会でも言ったことがありますけれども、北方四島が占領された事実を国民の間に余り知らされていない。国民が実は知らない。戦後、これらのことについて余り報道されていない。特に教科書、小学校、中学校、高校の教科書等では北方四島をソ連に占領された経緯あるいは事実というものが正確な記載が全くないんですね。私の調査した範囲では、不法に占領されておるという字句、不法という文字を使った教科書はただ一つしかありません。あとはなぜ占領されておるのかということを全く書いていない、こんな教科書が多いんですが。ポツダム宣言を受備をした後、すなわち八月の十九日からソ連が武力をもって樺太に進駐をして、そうしてずっと千島列島から南下をして北方四島を占領した、武力占領した。最終的に北方四島の武力占領をソ連がしたのは九月の三日であるというそのような事実がほとんど実は知られていないわけですね。そういうふうな事実を国民の間に知らして、だから我我としてはこの要求はこれは当然である、早くこれを実現をする、そのためには国際世論にも訴えるというふうなことをもっともっとひとつ対策本部長として大臣のひとつ御努力お願いをいたしたい。これはひとつ要望であります。  さてそこで、今後視察をして実は感じたことでありますけれども、北方対策本部長として大臣にぜひなるべく早期に現地をひとつ視察をしていただきたい。これも要望であります。それはなぜかと言いますと、たまたま二十六日に私ども委員会が釧路に到着をしました同じ時刻に、総理大臣が北海道視察で到着されたんですね。総理大臣は、ところがいろんな事情もあるでありましょう。現在のソ連との問題等々、我々は理解はできますけれども、いわば北方四島問題は素通りをして、北海道視察中もほとんどノーコメントで他の視察をされた。これについて大変な実は現地では不満があるわけですね。それらを考えますと、やはり北方対策本部長の長官に早期に現地をぜひひとつ視察をしていただきたい。これもひとつ要望です。でないと、中曽根内閣は北方領土返還についてはまことに消極的である、こういう意見も実は耳にいたしました。これについてもぜひひとつ御配慮をいただきたいということでありますが、以上、今の要望につきましてまずひとつ大臣からお答えをいただきたい、こう思います。
  224. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 北方四島が日本の固有の領土であるということは、これは歴史的にも、また条約上も私は極めて明確になっていることであると、かように考えておりますが、事実上ソ連が占領しておるといったようなことで、我が国としては国民的な課題として、何としてでも北方四島を返還をしてもらいたいということをこれは根強く主張し続けていかなければならぬと、こう思っておるわけでございます。それには何としても、今御説の中にもありましたけれども、やはり北方四島が日本国有の領土で、しかも九月三日以来事実上不法占拠されておるんだと、こういった事実関係を国民の前に明らかにする。そして粘り強くやりませんといけないと。ただ国民性が、相手方は御案内のように粘り強い国民、日本は冷めやすい国民といったようなことでございますから、国民に対する啓発の運動をやっていかなければならぬと、かように考えておるわけでございます。  そこで、政府としてもいろいろ施策を講じておるわけでございますが、お話の中の副読本もその一つでございます。同時にまた、先般、党の方とも打ち合わせをいたしまして、村田君を団長にして今世界各国百六十の国の中で地図を直してもらわなきゃならないと。それで今、日本の領土だという表示になっておるのは数カ国にすぎないと思いますが、とりあえずアメリカに行ってもらって、これは非常な成果をおさめました。こういったことを各国にこれまた粘り強くやっていくというようなことで、何としてでもこれは平和的な話し合いの中で返してもらう、しかしそれだけになかなか容易でない仕事であると、かように考えております。  そこで、御要望の中にもう少し中曽根内閣はそういった点について力を入れて、例えば北方対策本部長である総務庁の長官は現地に行くべしと。当然の御要望でございます。私も時間の許す限り、スケジュールの許す限り北方四島の視察には参りたいと、かように考えているわけでございます。
  225. 井上計

    ○井上計君 今粘り強くというふうな運動を展開する必要があるというお話でありました。従来、特に一昨年あたりごろから政府がかなり北方領土返還運動については力を入れておられることについては了としております。一層のひとつまた御努力を期待をいたしますし、また今長官お話ありましたが、できるだけ早くひとつ現地を視察に行こうということでありますから、ぜひ重ねて要望しておきます。  そこで、具体的な北方領土返還運動の施設についての提言をひとついたしたいと思いますけれども、現在納沙布岬に望郷の家、あるいは北方館あるいは島のかけ橋等の設備が建設をされました。そこにかなり広い広場ができましたし、駐車場ができまして、全国からいろんな運動をしてきた人がそこに集まっていろいろ集会ができる、これはこれなりに成果を上げておるようであります。結構であります。ところが、私ども納沙布岬で見まして、かなりいいお天気で、珍しいほどいいお天気でありましたけれども、歯舞群島がやや見えるという程度であります。したがって、切実感が余りないんですね。ところがその翌日、これはまた珍しい天気だと言われましたけれども、知床半島の羅臼町に参りました。この知床半島の羅臼町の峠から見ますと、もう目の前に、本当に目の前に国後島が横たわっておる。しかも香川県と同じぐらいの面積でありますから相当大きな島ですね、それが本当に指呼の間と言えるような、あるいはまた観光バスのガイドが間違ってよく説明すると地元町長が言っておりましたが、知床半島の一部である、続きであるという説明をするほど、本当に間近に見えるわけですね。あの島が我が国の固有の領土である国後島である、これが現在ソ連の占領のために非常に大きな問題が生じておるというふうな切実感は、もう本当にこの羅臼の峠に上がってひしひしと感じたわけですね。ところが、それについて、残念でありますけれども一国後島を展望するそのような設備というのは、若干羅臼と離れておりますが、標津町というところに一部が見られますけれども、北方領土館というのがありますけれども、羅臼町には全くないんですね。知床半島に全くこれらの施設が実はないわけですが、これらの事実について大臣は、御承知だと思いますけれども、どうお考えでありますか。
  226. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 北方領土問題について国民の理解また粘り強い返還運動をやる必要があるといったようなことで、これまで北方領土を目で見る運動ということを推進をしておるわけでございますが、そういう一環として今お話のあったこの施設があるんですけれども、残念ながらまだ羅臼ですね、これは例の横断道路ですから、その横断道路の適当な場所に国後を中心とした北方領土を展望できる施設、あるいは北方領土の案内施設、こういうものをつくろうという計画がございます。現在、羅臼それから斜里、それから行政の関係機関としては環境庁、北海道開発庁、こういったところと協議中だというふうに私は承知をいたしておるわけでございますが、私どもの北方対策本部としては、これらの省庁それから地元等とも十分協議をしまして、これは何としてでも実現をしたいと、こういう今考え方でおることをお答えをいたしておきたいと、かように思います。
  227. 井上計

    ○井上計君 かなりそれについてのもう既に検討を進めていただいておるということを聞きまして、大いに意を強ういたしました。  そこで、まあ検討をしてもらっておるだけではなかなかこれはうまくいきませんで、やはり実現は早い方がいいということになりますが、その実現についてでありますけれども、これは長官からはそのようなお答えをいただきました。  そこで、環境庁長官にお伺いしたいんでありますけれども、自然保護との関係についてこれは難しい問題があることは十分承知をしております。従来、今総務長官からもお話がありましたけれども、知床半島横断の国道三百三十四号線ができました。この三百三十四号線をつくるについても、いろいろと自然保護の関係で問題があったと聞いておりますけれども、せっかくできたこの道路が、環境庁としてはこれは通過道路であるということで観光道路ではないという見解から、そこに施設をつくることについては大変問題があるというふうなことで行き悩んでおる。しかし、何か聞きますと最近また改めて具体的にそのことについての方向を御検討いただいたと、こう聞いておりますが、どのようなことを御検討いただいておりますか、ひとつ環境庁長官からお答えをいただきたいと、こう思います。  まあ環境庁長官は今度、十四日ですか、現地を御視察の御予定だということで、実は地元も非常にこれは期待してます。環境庁長官見えたらもうぜひこの場所で見ていただいて、ぜひとも早期施設の建設実現をお願いしたいと地元は張り切っておりますが、環境庁長官あの場所でごらんになれば、まあ自然保護も大事だけれども、これはもう  一日も早くそういう施設をつくらなければいかぬ、またつくることによって国民の合意を得るために大変役立つと、このような御理解を必ずされるものとこう考えておりますが、ひとつ環境庁長官どうお考えでありますか、お願いをいたします。
  228. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  先生御指摘をいただいておりますように、三百三十四号でございますが、これが開通になりましたのがたしか五十五年だったと思うのでございます、国道の開通になったのが。これは御案内のとおり国立公園の中であるのでございますが、ちょうどこの斜里町とそれから羅臼との境のところになっておりまして、これのいろいろ計画を立てなくちゃいけないのでございますが、そういう境のところでございますので、両町に諮りまして、そして北海道庁また開発庁、こういうようないろんなところと御相談をして計画を立てていただくということで、ことしは実は計画は今立てていただいておるのでございます。そして、来年にひとつ着工できるよう検討していきたい、こういうふうに考えております。お話のとおり、来られる方が毎年百万人に及んでおりますし、自動車でおいでになる方もございますし、そういういろんなことを考えて、そして計画を立てたい、そして実行したい、こういうふうに考えております。
  229. 井上計

    ○井上計君 環境庁長官の御説明でこれまた意を強ういたしました。ぜひひとつ今度調査をされまして、現地でまた改めてそのような点をお考えをいただきたい、こう思います。  ただ、現在できております駐車場よりもちょっと下になりますけれども、見返り峠というのがありましたが、そこから見ると文字どおり指呼の間、一望できるということでありますので、それらの点も場所ももう一度ひとつ再検討していただく必要があるんではなかろうか、こう思います。  そこで、もう一つ環境庁長官と今度あわぜて北海道開発庁にお伺いしたいんでありますけれども、今、知床峠にあります駐車場、実はまことに不合理なんですね。というのは駐車場が奥にありまして、何といいますか、通過道路が海側にあるんですね。駐車場に車を覆いて、こちらの方で立って見ますから非常に危険なんですね。道路を横断しなくちゃいかぬ。だから道路を後ろにして駐車場を、展望といいますか、そういうふうな場所を前にすべきだと思うんですが、なぜこんなふうなことをしたんだろうなといって私ども実は大変見て不思議であったわけです。  それからもう一つ、そこに仮設トイレがありました。これも四月からさらにまた延長だということになったようでありますけれども、これが水もないんですね。もちろん水洗じゃありません。こういう委員会の席でどうかと思いますが、まことに汚いんです。あれではせっかくあっても使う人が少ない。余計に環境破壊をしておるというふうなことになっておると思います。したがって、トイレは重大な施設でありますから、この問題もあわせて従来のいわば環境庁の非常に厳しいお考えを少し緩和をしていただく必要があるんではなかろうかと、こう感じました。  それから、知床峠だけではありませんで、実は最近、国立公園内のトイレは随分よくなったと聞いておりました。評判がよくなったと聞いておりましたが、我々が視察した最後に釧路空港への途中に双湖台というところがありまして、やはり国立公園地帯。このトイレもまことに汚いんですね。水洗、もちろんありません。だから手を洗う水もないわけです。手を洗う水もないようなトイレが国立公園の中に設置されておることはかえってこれはマイナスだと、こういう感じを強くしたんですね。ましてあの付近、外国からの観光客もふえておるようでありますから、自然保護との調和が大事でありますが、しかしそれと十分調和するような施設をつくることは可能であろうし、あるいはまた予算面その他で問題があるなら、私は開発庁、有料トイレをお考えになってもいいんではないかと、こんなふうにも私というよりも視察した我々一行は、そういうことで実は意見が一致をした、そういう考え方を強くしてきたということでありますが、トイレの問題、駐車場の問題等について、環境庁と北海道開発庁、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  230. 加藤陸美

    説明員(加藤陸美君) 環境庁の自然保護局長の加藤でございますが、まず私どもの方からお答えいたします。  三点おっしゃいましたと存じますが、まず道のつけ方の問題でございますが、大変先生詳しいところまでごらんいただきましてありがとうございます。私どももその辺の実情は地元とよく相談いたしまして承知いたしております。先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、本年六月に公園計画の中に、園地計画と専門的には申しておりますけれども、園地の計画を追加、既にいたしております。ただ、計画の中身、具体的な面につきましては、大臣お答え申し上げましたとおり、両町、それから地元の北海道庁さんとよく御相談していただきまして、それを踏まえて適切に対処いたしたいと存じております。  それから、あわせましてトイレのお話でございますが、おっしゃるとおりの問題は、これは暗にここの土地だけでなしに、トイレの管理というのは非常に難しい問題がございまして、いわんや仮設というのはとかく簡便でありますが、反面おっしゃるような問題がございまして、やはりこの園地計画に伴いましてもう少ししっかりしたものをつくれば使用もしっかり使っていただけるということもございまして、公徳心といいますか、それも働きますので、ぜひそういうふうに園地計画の中で整備していきたいと思っております。  それから、あわせまして釧路空港からのべンケ、パンケを望む双湖台の点でございますが、これも大変眺めのいいところでございますが、やはり仮設でございまして、地元の町が管理していただくことにはなっておるわけでございますが、なかなか手が行き届かないというようなこともありまして、トイレの設置場所をもう少し工夫した方がいいんではないか。近所の売店があるわけでございますが、それとの関係も相含めまして地元の町長さん等のお知恵を借りながら、先生御指摘の点うまく解決して、より立派な自然公園の維持管理、それから観光に資するように努力したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  231. 楢崎泰昌

    説明員(楢崎泰昌君) 北海道開発庁の総務監理官でございます。  先生ただいま御言及になりました国道三百三十四号は御案内のように知床半島を横断している国道でございまして、五十五年に開通、本年度舗装工事が全部完了したというものでございます。この道路は、地域の経済活性化ということで北海道開発庁が計画して推進した事業でございますが、同時に、御指摘のように非常に景観のすぐれたところであり、かつ国後島を見渡せるというところでもあるということで、建設をいたすときに環境庁及び地元と御相談申し上げまして、知床峠に路側駐車場として十五台収容分の駐車場を設置をいたしたわけでございます。その駐車場が山側に駐車場ができておりまして、展望のできるところが反対側になっていると、こういう御指摘でございます。作成のときにいろいろ御相談を申し上げたんですけれども、国立公園の中であるということ、通過交通ないしは通過観光的な性格のものと考えたということ、それから、大変恐縮ですけれども、地形の問題、つくるときの景観の問題等々ございましてあのような形に現在なっているわけでございます。先生御指摘のようにいろいろな問題は含んでいるというぐあいに思いますが、作成をいたしました意図はそういうことでございまして、先ほど環境庁の方からございましたように、本年六月に知床国立公園計画の改定が行われまして、現地に展望利用施設をつくるということで改定になっております。まだその具体的な計画はできておりませんけれども、環境庁その他関係機関と十分協議をいたしてまいりたいと思っております。
  232. 井上計

    ○井上計君 環境庁、北海道開発庁伺いましてありがとうございます。  ただ、今北海道開発庁も言われましたが、現地を見て今度は改めて感じましたことは、お役所仕事というのは何でわかり切ったことを規則規則でこんなことをするのかなということで改めて大変実はびっくりしたと、こういうことでありますから、環境庁長官、視察をされましたらそういう感じをお持ちになると思いますけれども、やはりもうわかり切ったことは若干、多少何があっても先のことを考えて最初から役に立つ施設をつくるべきだと、こう考えますので、特に要望しておきます。  総務庁長官環境庁長官、ありがとうございました。北海道開発庁結構です。
  233. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) 今、先生御指摘のとおり今月参りますので、よくこの点を留意いたしまして現地で指示したいと思っております。ありがとうございます。
  234. 井上計

    ○井上計君 大蔵大臣にこれはお伺いすることたくさんあるんですが、きょうは時間の関係で余りお伺いできませんので、一方通行で少しずうっといって、あと重点だけひとつお答えをいただくと、こういうことにいたします。  六十年度の予算編成についてはもう大変に御苦労を既にされておることについては、これはもう十二分に承知をいたしております。ただしかし、いろんな新聞報道等見ますと、足らぬから要するにあれも取るんだ、これもふやすんだというふうなことが余りにも当然だというふうに大蔵省考えておられるんではないか。これではまるで封建時代の悪代官と一緒で、苛斂誅求政策を大蔵省はまたまた考えておる、あるいは大蔵省の考え方にはもう苛斂誅求政策しかないのかというような国民に批判もあるということ、これは私がというよりも申し上げておきます。これはもう御承知だと思います。  けさ方の新聞にもいろいろ出ておりますけれども、八千億円程度の実質的な増税をやると、それには印紙税のさらに引き上げ、それから物品税の課税対象の拡大、電話利用税の新設、さらには物品税の拡大についてもOA関連機器、電池、紙等々への増税、いろいろと新聞報道もありますが、どの程度お考えか知りませんけれども、ますます景気の回復の足を引っ張る結果になる、こういうふうにも考えられますし、また物品税といういわば性格を根底から変える、変えなくちゃいかぬ、変えるべきだというふうに思えるような検討の内容であろうというふうにも思われます。もちろん、この引き上げについては当然でありますが反対でありますけれども、しかし万やむを得ないとしても、それらの点については取りやすいところから取るということでなしに、当然矛盾があるということから取る分についてはやむを得ないと思いますけれども、お考えをいただかなくちゃいかぬであろう、こう思います。  それから、その次にこの中で印紙税の問題でありますが、三年前でありましたか、印紙税を一躍倍にするというときに、私はやはり委員会でも言ったんでありますけれども、一遍に倍にしたら逆に印紙税収入が減るおそれがありますよということを実は指摘をしたんです。当時大蔵省は、そんな心配ないんだということでありました。ところが、その後の経過を見ますと、なかなか民は利口でありますから、やはり印紙税をできるだけ払わないようにしていこうというふうないろいろな合法的な方法を随分と考えています。きょうまた、これまた新聞にも出ておりますけれども、第一勧銀とジャスコが共同開発した新型一括手形というふうなものを実施をすると。そうすると、一カ月に千八百枚発行している手形を一枚にすることができる、印紙税の大幅の経費節減となる、これについては引き続き大手商社など大企業はこの方式を導入する見通しであるというふうな新聞出ていますが、ますます印紙税の収入が減っていくというふうなことになってくるであろう、こう思います。  だから、取るということについては、ひとつ取りやすいということよりも、実際にそれが本当にやっぱり内容的に正当性があるのか効果があるのかということをもっとお考えにならぬと私はさらに難しくなってくるんではなかろうか。これはもう四年前でありますが、このことを、やはり同じことを実は言ったわけです。  それから、もう一つ印紙税のことでありますけれども、三万円以上百万円までがワンランクとして以前は百円であったのが改正で二百円になりました。そのときに言ったんでありますけれども、中小企業の領収書等の平均値は大体十万円なんです。そうすると、十万円に対する二百円というのは〇・二%ですね。これが三百円になりますと〇・三%である。現在、大蔵大臣よく御承知でしょうけれども、中小企業の平均の利益率は大体三%弱です。とすると、利益率が三%弱、印紙税だけで〇・三%で、利益の実は一〇%が印紙税に食われてしまうじゃないか、こういうことになりかねない。  そこで、私は、そのときの提案でありますが、ひとつもう一ランク設けたらどうか、三万円以上五十万円というクラスを。五十万円までは据え置いて、五十万から百万までをどうしても上げざるを得ないなら上げたらどうですかという提案をしたんですが、まあこれは無視されましたが、私は印紙税を上げていいということじゃありませんけれども、やはりそういうふうな印紙税の引き上げをお考えになるとしても、そういうふうなきめ細かい配慮が必要であろうということをひとつ特にまたきょう強調しておきます。これが質問の二番目であります。  それから、次に経済界、特に中小企業からもとみに高まっておりますのは、投資減税の拡充それから機械等の耐用年数の短縮であります。これは私、昨年も本会議の代表質問でも大臣へも質問をし、またお答えいただいておりますから、詳しくは申し上げませんが、やはり民間経済の活性化、さらにまた国際競争力の維持という点を考えるとこれは投資減税、さらに投資減税という範囲に入りますけれども、機械等の法定耐用年数の短縮、これはやはり真剣に検討してもらうべきだと、こう思います。といって財政上今いろいろな問題がありますから、あれもこれもというわけにいかぬことはわかっておりますが、必要なもの、同時にまたこれをやることによって設備投資の促進に役立つ、あるいはまた事実上はそれによって景気回復に効果があるというふうな、そういう機種等については六十年度ぜひお考えをいただきたい。これが貸間の第三点であります。  それからもう一つ。税金というのは納め過ぎたら戻してやろうというのがこれは大体方針であります。事実いろいろな還付がなされております。ところが実際には取り放しで戻してもらえないという税金があるんですね。自動車重量税なんです。自動車重壷税は車検期間を残して廃車した場合でも、他の自動車税等は還付されますけれども、重量税は還付されないんですね。これは大蔵省のいろいろな理由づけがあるように聞いております。五十八年四月に一部改正で販売業者、整備業者等のディーラーについては、しかもこれは天災地変等の災害等に被災した車についてのみ還付されるように変わっていますけれども、当然ながら私は全部のものにこれを適用すべきであろう、こう思います。  ちなみに我々が調査いたしましたが、五十八年度の廃車台数が三百五十五万台あります。そのうち乗用車が二百三十万台あります。乗用車がどの程度、まだ重量税を納付した期間内にと、いろいろ考えますと平均大体一両が五カ月程度残しておるんではなかろうかと、こう思われます。平均して乗用車の重量税は一カ月約千円強でありますから、そうすると全体で百十五億円程度いわば還付してもいいではないですかと言える金額があるわけですね。これはもう推定でありますけれども、だからこれらのものをやはり還付するということで、百億円のものを還付するということ。これもひとつ今後いろいろな面で増税やむを得ないとは思いますけれども、やはり片方、取ることばっかりではなしに、やはり返すものは返すんだというふうなことをまたこれからのやはり政策上私は必要ではなかろうかと、こんなふうに思う。これが質問と要望の第四点であります。  あとは時間がなくなりましたから、もう省略しますけれども、実は年金、特に国家公務員、地方公務員の共済年金の問題、最近ある新聞が連日のように報道しております。私は五十三年、五十四年、五十五年と毎年のように内閣委員会、予算委員会等々でこの年金の問題について取り上げました。それは昭和五十年の八月に共済年金審議会ですか、会長の今井一男さんが提言をされておるのは、要するに公務員の年金についての当然支給の問題について改正する必要があると、こういう提言であります。私が五十三年以降毎回提言しております内容は、まず公社、公団等々の政府及び政府に準ずるところから給料あるいは歳費等を受けておる人たちが年金を受給していることは、やっぱり二重取りだという批判を受ける。そこで、そういうことについて共済年金法の一部あるいは恩給法の一部を改正すべきであるという提言を随分してきたんですね。まずそれには隗より始めろで、国会議員の中に当時約百七十五名であったと思いますけれども、年金――年金には地方及び国家公務員の共済年金あるいは地方議員の互助年金あるいは恩給、軍人恩給いろいろありますけれども、それらを受けている人たちは少なくとも国会議員在職中はそれを辞退したらどうかと、そうしてやはりそれぞれの年金制度の改正にまず一つのやっぱり踏ん切りをつけたらどうかということを再三提案してきたんです。  大平総理が亡くなりました年でありますけれども総理は予算委員会で私の提言を入れられて、今恩給法改正というわけにはいかぬ、しかし辞退をすると後もう必要のときに交付してもらえないから、自分の在職中はもらった恩給は実は寄附しますと、こういう約束をして、事実そのとき器附していただきました、間もなく亡くなりましたが。その問題を含めて私は、大蔵省というよりもむしろ政府自体が真剣に考えてもらわぬと、国民の政治に対する不信、不満というものがますます増大をしていくんではなかろうか。だから増税ということだけでは国民の不安、不満はますます増大いたしますから、ぜひお考えをいただきたい。  私の持ち時間がもうあとわずかになって、幾つかのお尋ねで少しまた大蔵大臣のお答え、難しいかと思いますけれども、以上、時間の関係で一括してお尋ねをし、また提言をし、お願いをしましたので、よろしくお願いをいたします。
  235. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 正確にどこまでお答えできますか。  まず六十年度予算編成作業が始まっておることは事実でございます。これだけ、いわば国際的に見て経済自身は優等生と言われながら、財政はどこの国にも増していわゆる赤字財政であります。そういうときに、最も単純に考えるといたしますならば、昭和三十九年まではもちろん公債発行はいたしておりませんし、また四十九年までは建設公債だけでございますし、五十年から赤字国債ということになったわけでありますが、その経過を単純に眺めますと、いわゆる歳出の増加率が歳入の増加率を超しておる、そのギャップが累積残高となってあらわれておるわけであります。したがって、それを逆の方向に戻していけば最終的には均衡すると、こういう単純な財政理論の上に、ある意味においては立っていかなきゃならぬじゃないかと、こういう感じもないわけではございません。しかしながら、それには当然国民生活というものを第一義に考えた上での財政政策であらなければなりませんので、緩急の度合いとか、それぞれあろうかと思っております。したがってその場合、歳入を考えますときに、私どもは今、井上委員の御指摘にありましたように、苛斂誅求とか、あるいは取りやすいところから取るとかという考え方ではなく、まずは税制調査会等においてたびたび指摘されますように、不公平の是正と、いわゆる矛盾を解消していくということを念頭に考えていかなければならぬというのは私どもに対する一つの指針であり、教訓であるというふうに考えます。そうすべきであろうというふうに考えておるところであります。  それから、次は具体的な問題として印紙税の問題にお触れになりました。  印紙税の問題につきましては、確かに百円を二百円に、倍にすると簡単だという議論をされたことの速記録等も残っております。この問題につきましては、税制調査会において指摘されておりますように、確かに印紙税は最近における経済取引の進展等に伴って、負担の公平とか適正化の観点から児直すべき面が生じておるという指摘がある。したがって、「今後とも簡明な制度を維持するよう留意する必要がある。また、旅券等に対する課税についても今後引き続き検討することとする。」ということが五十八年十一月の中期答申において指摘されておるところであります。そして今御指摘がありましたように、私もきょう新聞見て一勧とジャスコの問題、ははあという感じを素直に私も感じました。これらがいわゆる経済取引の変化、進展に伴って絶えず我々が見直していかなきゃならぬ事納であるなという認識を今の御質問を承りながら一層強くいたしたわけであります。  いずれにいたしましても、国会で税制の議論が行われましたものは、正確に私どもは税制調査会にこれを取り次ぎます。その上で、もろもろの御議論をいただくことでございます。印紙税等々を含めて、新聞紙上に出ておりますような八千億の増税を今念頭に置いて作業を進めておるということは、これは取材側の判断でありまして、それが我々の最大公約数として前提に置いておるものではないということだけは申し上げておきたいと思います。  それから、その次の投資減税の問題でございますが、これは井上委員とたびたび議論をいたすわけでありますけれども、五十九年度改正においても中小企業新技術体化投資促進税制というものを設けたところでありますが、いつも議論になり、そして最近特に国際的にも議論になりますのは、いわばあらゆる租税特別措置というのは税制面の補助金ではないかと。これを最近、租税歳出という言葉でしきりに議論されておるところであります。したがって、そういう言ってみれば租税歳出という観念から見ますと、いわば財政再建という厳しい事態の中に、むしろそういう租税歳出すなわち租税特別措置の整理合理化こそ要求され、それを新たに租税歳出という角度からこれを眺めて、それをさらにふやしていこうという環境には総体的にはないではないかというふうに私どもは言わざるを得ないと思うわけであります。  そして、さらに御指摘のありました、いわゆる減価償却資産の法定耐用年数でございます。  これもいつも議論のあることでございますけれども、確かにこの問題はあくまでもいわゆる資産の物理的寿命と経済的陳腐化を加味して客観的に決めるものであって、政策税制として取り上げるものではないという税制論理上の考え方は、私はそれなりにあろうかと思っております。しかし、この税制調査会の御答申をいつも吟味してみますと、明確に書かれてあるものは、いわゆる「技術的進歩による陳腐化の状況に配意しつつ」と、最近のいわゆる技術的進歩というのが陳腐化の概念を非常に変化させておると、そういうことからはなお見直しを行うべきものではないかという必要性も提示されております、税制調査会から。それらのことが、我々が正確にきょうの御議論などをお伝えするとともに念頭に置いておくべきことではなかろうかというふうに考えます。  それから次は重量税の問題でございます。  この問題は、やっぱりこれは重量税だけは一種の権利創設税であるという考え方を、税制上の考え方からいうとそれを変えるわけにはいかぬではないかと。そこで先生の御指摘にございましたように、長崎水害等々の教訓を受けて、この改正しましたのが私はぎりぎりの措置じゃないかなと。税制論理上の議論の中では、権利取得税ということの範疇の外へこれを持ち出すことは、依然として私は御議論を承りながら今日もなお、それを外へ持ち出すことは私なりには非常に肯定しにくい議論だというふうに考えております。  それから年金の問題でございます。  大平総理が、私も当時大蔵大臣でございましたが、自分も恩給を受けておるという立場から委員の御指摘の趣旨に沿われたということは、事実を承知しております。私は恩給を受けておりませんので、そのことについて今記憶を呼び戻しただけでございます。ただ、今井先生からの御指摘もございますけれども、やっぱり最終的には年金問題自体を総体的な年金問題の中で一環として検討すべきものであって、やはり所要の掛金負担というものも行っておるということも考慮しなければなりませんし、大平総理、あるいは当時大平議員として、あの人の個人の意思においておやりになったことであって、今私が大蔵大臣として、しかも議員としてまだ年金なり恩給なりをちょうだいした経験のない者が、かくすべきであるという定義を下すほどの立場の権威の持ち合わせがないと、こういうことではなかろうかと思っております。
  236. 井上計

    ○井上計君 どうもありがとうございました。
  237. 青木茂

    青木茂君 前回の木本議員の質問に引き続きまして、主として単身赴任の問題、再び御質問を申し上げます。  ただ、ちょっとお願いしておきたいんですけれども、いかんせん小会派というやつは割り当て時間が少ないものですから、簡単明瞭にひとつお答えをいただきたいと思うわけでございます。  まず、それに先立ちまして大臣の率直なお気持ちを伺っておきたいと思うわけなんですけれども、きょうの新聞ですね、「税負担率は最高 年収の伸び最低」、これ見ますと、サラリーマンはせつないですよ。しかも一週間前のこれ、「8割が申告漏れ しめて1兆800億円」、これを見ますと、せつなさを通り越してまさに怒りを覚えてくるというのが実際サラリーマンの気持ちだと思うわけなんです。それに対して、サラリーマンのこのせつなさ、怒り、今の税制全体の中に、サラリーマン少しかわいそう過ぎるんじゃないかということ、これに対して大臣のひとつ率直なお気持ちをまずいただきたいと思うわけでございます。
  238. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私もきょう各紙に大体同じようなトーンで報道せられておりました。私は常日ごろ税の問題について、いろいろいじめられるという表現はおかしいんですが、いろいろ質問される立場にございますので、とはいえ可処分所得はふえているんじゃないかという気持ちが一両なかったわけじゃございません、率直に申しまして。しかしながら、やっぱり世に言うクロヨンでございますとかトーゴーサンでございますとか、そういう言葉自身が実存するしないは別として、そういう言葉が歩いていることはこれは事実でございます。そういうことからすると、やっぱり税体系の基幹税たる役割を担う所得税、こういうものは国民の理解と協力と信頼によって成り立っておるものである。したがって、それにはやっぱりゆがみがあってはならぬ。給与所得は、言ってみれば捕捉しやすいということになると、やっぱり数年に一度適宜見直していかなきゃならぬということではございますものの、私どもは所得税が基幹的な税であるという意味において、国民全体に給与所得者以外の方々に対しての理解というものをもっと得る努力を、私ども自身もしていかなきゃならぬ課題だなというふうに思います。  ただ、最近報告を受けますと、いわば給与所得以外の所得の捕捉の仕方が各国税局ごとに、これだけふえたとかいう報告を受けるたびに、なるほどそれだけある意味においては理解が深まったな、ある意味においては税務署が本気出したなと、こういう感じを素直に私は受けておることをつけ加えさせていただきます。
  239. 青木茂

    青木茂君 わかったようなわからぬようなあれなんですけれども、とにかく今の税制と税の執行ということに対しては、私は給与生活者に大変失礼だと、最大多数の職業集団ですから、もう少しなりの直ったものがあるんじゃないかと思うわけでございます。  かわいそうだとか怒っているとかいう問題はございましたけれどもへその中でやはり一番税のあふりを食らっているのが、給与所得の中でも転勤族、特に単身赴任族だと思うわけなんですけれども、しかし私どもは単身赴任というものを美化する気はないんですね。家族みんなで行くのが当然だと思うんですよ。ただ社会環境上、家族みんなで行けない条件というものが多過ぎる、だからやむなく涙をのんでいやいや一人で行くわけです。したがって私は、政府も企業も一体となって、家族みんなで行けるような体制づくりというものを急いでつくる必要があると思うわけなんです。  そこでひとつ文部省にお伺いしたいんですけれども、家族みんなで行けない一つの理由は、高校の転入学の枠の狭さ、難しさ、それがあるわけですね。これは文部省、非常に御努力は願っているんですけれども、まだ末端まで浸透しているとは必ずしも言いがたい。それについてより一層の努力文部省、今後してくださる御意思ありや否やということをまず伺いたい。ひとつ簡単にお願いします。
  240. 阿部憲司

    説明員(阿部憲司君) 保護者の転勤に伴います高校生の転入学問題につきましては、この三月一日付で初等中等教育局長通知を出しまして、各都道府県に特別の御配慮をお願いするような指導をいたしました。またその後、この七月二十日には学校教育法の施行規則の改正を行いまして、従来は欠員のある場合に限って転学を許可するということであったわけでございますが、それをもう少し幅広く、単に欠員がある場合に限らず教育上支障がない場合には転学を許可することができるというふうに改正いたしまして、同日付の通知をもちまして各教育委員会等にその趣旨の徹底を図ったところでございます。  こうした文部省の措置を受けまして、例えば東京都におきましては、つい先ごろ、従来転入学試験の時期を三月に行っていたものを四月に繰り下げるなどして転入学希望者の便宜を図る措置を来年度からとる予定であるというふうに承っておるところでございます。  まあそういうようなことでございまして、今後とも文部省のその趣旨を受けまして、各都道府県におきましては一層な努力を払われることを期待しておるわけでございまして、文部省といたしましてもできるだけ弾力的な取り扱いが行われますよう、今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  241. 青木茂

    青木茂君 ありがとうございました。  その文部省の意向が各都道府県に徹底するようにさらに一層の御努力お願いしたいと思うわけでございます。  それから次に建設省の方にお伺いしますけれども、家族帯同赴任のネックになっているのはやっぱり住宅問題なんですよ。その住宅問題について何らかの措置が講じられないか、例えば公団、公営住宅を別枠に優先的に割り当てるとか、そういうようなものが考えられないかということを、簡単にというより極めて簡単に、考えられる考えられないで結構ですからひとつお答えをいただきたいと思います。
  242. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 簡単に申し上げますと、公営住宅については先生御承知のように、これは地域における低所得者を対象にしまして住宅の供給を行っております。入居基準もございます。かわりに家賃抑制ということもございますが、これは申し上げたような地域の低所得者を対象とするということで、転勤者向きに、特にそれを対象にして扱うわけには、ちょっとそうはいかないんではないかということでございます。もちろん、公営住宅につきましてもあきがありまして、入居基準に該当する場合には入居が可能であるわけでございます。  ただ、公団住宅がございますが、公団住宅は先生おっしゃったような趣旨を踏まえまして、入居者が転勤するような場合に転勤先の公団住宅に優先的に入居させるという制度を持っております。これによりまして、毎年一千件以上の移転の実績を上げております。
  243. 青木茂

    青木茂君 さらにひとつ徹底方をお願いを申し上げます。  それから労働省に伺いたいんですけれども、労働省こそ家族帯同赴任の環境整備の総本山であるわけですね。私どもは十年計画ぐらいで単身赴任しなくて済むような条件づくりの案を今立案中ですけれども、労働省こそそれを中心的にやっていただきたい、これはやっていただけるかどうかと、これだけで結構です。
  244. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) この問題につきましては、私どもも条件整備に努めていきたいと思っておりますが、労働団体と経済団体との間で、この問題につきましてそういう条件整備を図っていきたいというふうな格好での意見の一致を見ておりますので、その状況も見守っていきたいというふうに思っております。
  245. 青木茂

    青木茂君 最後に大蔵省に伺いたいんですけれども、あれですね、例えばアメリカの税法なんかで、家族帯同赴任で行った場合には何か引っ越し料費プラス三十日間の生計費を控除するとか、ドイツの判例なんかにいきますと、住居差額ですね、住居差額は必要経費として控除するとかというような前例があるわけなんですけれども、どうですかね、それぐらいのことはひとつ我が国でも考えられぬでしょうかね。
  246. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 今おっしゃいましたアメリカと西ドイツの問題でございますけれども、アメリカの場合は――実はそれに対応するものといたしましては、我が国では赴任旅費がそもそも非課税になっておるわけでございます。アメリカはそういう赴任旅費を非課税とする体系ではございませんで、転居に要した費用を所得控除するということでございまして、そこは平仄が合っているわけでございます。後で言われました西ドイツの問題、いわゆる二重生活になる場合のかかり増しに関する点でございますけれども、これも委員御案内のとおり、我が国の場合と西ドイツの場合は所得控除の体系が違うわけでございます。そのかかり増しの実額控除を選択するためには、西ドイツで認められております概算控除の控除権を放棄して実額を選択するということでございますが、これにつきましても食費とかそれから滞在関係のいろんな費目ごとにドイツの所得税法に限度がございまして、そういうもの等計算をいたしますと、サラリーマンの場合、我が国の場合は世界でも一番高い概算所得控除を認めておりますので、それとのバランスからいきまして必ずしもドイツが有利であって我が国の所得税法が不利であるということは一概に言えない。つまり、所得控除の体系が違うということでございます。
  247. 青木茂

    青木茂君 一つだけ申し上げておきますけれども、体系が違うからいろいろできないといったら、余り大蔵委員会なんかに国際比較というのをお出しにならないように。国際比較が好きなんですよ。体系が違ったら国際比較なんかやったって意味ないわけだから。それだけにしておいて。  そういうようなお話を伺っていると、まだ家族帯同赴任はなかなか難しい、そうすると単身赴任たらざるを得ないわけですよ。その単身赴任について、実はここに私のところに来た駆け込み寺の実例を一つ持ってきたんですけれども、とてもこれじゃ時間がなくて、この表を中心にいたしまして論議を願いたいと思ったけれどもできません。これは大臣に申し上げておきますけれども、ケース二というのが実例でございます。ケース一というのは、仮にそれが二百万円所得が少なかった場合はどうなるかということを計算しただけでございます。  どちらにいたしましても、東京から福岡へ転任した場合に六十万の別居手当と帰宅旅費四十六万九千四百四十円、これがぽんと所得になった場合は、税金において所得税、住民税で三十三万ぽんとふえる、これじゃどうしようもないわけなんですね。赤字率を計算したら一〇・六%、つまり給料の一〇%カットと同じような結果が出てしまう。これでは本当に泣く泣く行く単身赴任族に対して、私は酷だと思います。じゃ例えば企業からもらう手当、そういうものに課税しなきゃならない理論的根拠があるかということになりますと、私は全くもってないと思います。  例えばもう一回西ドイツを取り上げますけれども、西ドイツの税法九の一の五、ここでは二重家計の場合は明らかに経費であるという規定があるわけですよ。そして、そのときの判例を見ますと、一九六六年二月十八日の判決、これはとにかく、日本では月に一回帰る旅費すら控除しないと。向こうさん、この判例は五十二回帰っているんですよ。つまり、家庭を持った以上、一週間に一遍は物理的、肉体的――そこら辺はまあいいですけれども、夫婦の確認をやることはこれは義務というのか権利というのか、そうなっているんですよ。何回家族のもとへ帰ったって、それは全部経費になっていますね。そして、仮に企業から補償を受けます。補償を受けた場合はちょうど医療費控除の計算をするようなもので、単身赴任に伴って実際かかった費用から企業からの補償をさっ引いた分は必要経費であるという、明らかにドイツの判例があります。それは九の一の五に明確に定められておるわけですね。日本は、先ほど申し上げましたように、国際比較が好きなんだから、向こうさんにあることなんだから、日本でもサラリーマンのせつなさをくみ上げて、これぐらいのことはやっていただいても罰は当たらぬじゃないかと思うのは果たして私一人でございましょうか。この点のひとつ御見解を伺いたいと思います。
  248. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 国際比較で申し上げますと、二重家計のかかり増し費用の所得控除を認めておる税制は、恐らく先進国でドイツだけだと思うわけでございます。ほかの国で、フランスで若干限定的に認めている場合がございますけれども、実情はほとんど活用されていない、それは先ほどの繰り返しになるわけでございますけれども、所得税の課税所得を計算する場合の所得控除の仕掛けといたしまして、わが国のように概算控除一本で貫くのか、概算控除と実額控除の選択制の中で所得税制を仕組むのか、これはまさに国際比較の問題でありますし、それぞれの国の選択の問題であるわけでございますが、この点につきましては従来からわが国の税制調査会の一貫した考え方と申しますのは、やはり個々の家計支出あるいは個々人の生活実態に対応して控除体系を認めるよりも、むしろ概算控除という形での水準を維持するという方が税制としても簡明であるし、かえって実質的な不公平を招かないのではないかという観点があるわけでございます。
  249. 青木茂

    青木茂君 恐らく給与所得控除のことをおっしゃっていらっしゃると思いますけれども、給与所得控除という話を聞くと、給与生活者、サラリーマンは「あああ」って慨嘆しますよ。三つあるんですよ。第一「あやふや」であるということと「あいまい」であるということと「あきれた」控除であるということと、「あ」が三つつくんですよ。つまり我々がサラリーマンに必要経費を認めないかと言うと、給与所得控除がございますと言って逃げちゃうわけですよ。あるいはサラリーマンは一代限りの所得で、資本を相続させ得る事業経営者と比べて担税力が違うじゃないですか、こう言うと、いやそれは給与所得控除に見込んであるんですよ。例のクロヨンですね。クロヨンも不公平じゃないかと言うと、それも給与所得控除で見ているんですよ。つまり全部の税理論を給与所得控除というものの中にぶち込んでしまって、逃げてしまっていると思う。もし給与所得控除がそういうものであるとするならば、ちょうどフランス税法のように必要経費を実額と概算の選択にやらしておいて、さらに二〇%の給与所得控除をとるという方がはるかに合理的なんですよ。だから給与所得控除というものは、本当にすべての税理論をこれで逃げてしまう、そこにサラリーマンのせつなさ、あの税体系の問題が出てくるんだと。もう時間がございませんから、それを申し上げます。一つだけ、いいですか。世界に類例のない、つまり特定少数の利益集団については税法の理論をぼんぼん、ぼんぼん壊しているわけですよ。みなし法人しかりですよ。利子配当分離課税しかりですよ。この前問題になった農家の転作奨励金の一時所得、これまたしかりですよ。医師優遇税制またしかりですよ。こんなものは世界に類例ないですね。特定少数の集団に対して税法の理論をぽんぽん壊しながら認めておいて、有業人口の七割以上を占める不特定多数のサラリーマン集団に対しては、何かと理屈をつけてこういう不公平税制というものが温存をされている。これが果たして民主主義と言えるかどうかということなんですよ。僕は、税の理論は税の理論として大蔵委員会でやりましょう。やりますけれども、サラリーマンのせつなさと怒りというものを受けとめてくれなければ、これは手痛いしっぺ返しいつかは来ますよ。そのとき一体どうするんだということだけははっきり申し上げて、わずか二十分、質問終わりましたから、これで終わらしていただきます。大臣、言い過ぎて失礼しました。
  250. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 以上で昭和五十七年度決算外二件の総括質疑は終了いたしました。  次回の委員会は十月十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会