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国務大臣(
竹下登君) 今御指摘なさいましたとおり、まあ
国民金融公庫法を読んでみましても、第一条には「
国民金融公庫は、庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする
国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行う」と。また中小企業金融公庫法によりましても、「中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と。まあ環境衛生金融公庫法の場合は多少違いますが、そういう目的でもともとは設立されたものであります。事実、今日までのそういう
政府関係の金融機関を考えてみますと、一番最初戦後の混乱期にできたものは復興金融金庫というものが存在をいたします。したがって、我が国全体の経済力あるいは
国民の貯蓄力、そうしたもの等の過去を振り返ってみましたときに、それなりに果たしてきた役割というものは私は大変あったものではないかというふうに思っておるものであります。
しかしながら、今日の実態はどうかと、こういうことになりますと、いわば我が国の中小企業というものがそれぞれの自覚において、言ってみれば市中金融の中へ十分に適応できるような体力を
一つはつけてきたではないかという問題がございましょう。それからいま
一つは、やつ。はり今現実はいわば資金がだぶついておるという表現でございますが、そのとおりであろうと思います。全体としてそういう公庫が依然として必要なのは、だぶつく場合もあれば非常にまた厳しい場合もあり得るというところに、この公庫がいつまでも必要な
一つのゆえんがあるわけでございます。
今、現状においてこの御指摘の点を分析いたしてみますならば、いわゆる金融緩和下におきまして、民間金融機関が中小企業に対してかなり積極的に貸し出しに応じてきておるということがやっぱり
一つの大きな、公庫離れという表現をお使いになりましたが、私はいわゆる市中銀行、市中金融機関全体が積極的に貸し出しに応じてきておるという環境が、まず第一には指摘されるべきものと思うわけであります。しかしながら、まだこの中小企業の中にいわゆる業種的ばらつきというような点があるということも、やっぱりこれはないがしろにすべきではないというふうに思っておるわけであります。したがって、この最初の
国民金融公庫等はまさに融資の対象にならざるものを対象にした。それから今日は、言ってみれば中小公庫等による中小企業に対する量的補完の必要性ということは依然として私は今日続いておるではなかろうかというふうに思っておるわけであります。
それからいま
一つ、手続、担保、保証人等々の問題が厳格に過ぎはしないかという問題でございますが、これはやっぱり、いわばその企業
責任において行われるところの民間金融機関と、公的機関たるいわば公庫等におきましては、その企業
責任のみの問題と公的機関というものからする
責任という問題とが、やっぱり底辺には私は存在しておると思うわけでございますけれ
ども、提出書類の簡素化を図りますとか、そういう点においても可能な限りの簡素化をもってこれに
対応していこうということと、それからいま
一つは、御案内のように零細な業者に対して無担保、無保証という融資もございますので、それなりにケース・バイ・ケースで弾力的に
対応を行ってきておるではなかろうかというふうに考えるわけであります。
それからいわゆる金利の問題でございます。この問題につきましては、今、
杉元さん御指摘なさいましたとおりの金利の体系でございます。この問題につきましては、それは民間金融がいわば資金がだぶついて積極的に貸し出しの対象として中小企業を非常に意識しておる今日の段階におきましては、その金利という問題ももとより私は安易に融資が受けられるという形で、少々の金利を問題の外に置くということもあろうかと思いますけれ
ども、政策的に必要性の高いものについては今日なお長期プライムレートを下回る低利の貸し付けも行っておるわけでございますので、まさにそれらもケース・バイ・ケースで
対応しておる
課題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。