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1984-06-29 第101回国会 参議院 環境特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十九日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  六月二十九日     辞任         補欠選任      片山 甚市君     高杉 廸忠君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 石本  茂君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 藤田  栄君                 星  長治君                 森下  泰君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 菅野 久光君                 高杉 廸忠君                 高桑 栄松君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君        発  議  者  丸谷 金保君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁長官官房        審議官      大塩 敏樹君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        防衛庁経理局工        務課長      及川 康男君        大蔵省理財局国        有財産総括課長  田中 誠二君        文部省学術国際        局学術課長    重藤 学二君        農林水産省構造        改善局建設部開        発課長      吉川  汎君        林野庁指導部計        画課長      野村  靖君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      斉藤健次郎君        建設省河川局都        市河川課長    近藤  徹君        建設省河川局開        発課長      志水 茂明君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○湖沼水質保全特別措置法案内閣提出、衆議院  送付) ○湖沼環境保全特別措置法案丸谷金保君外二名  発議) ○参考人出席要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、片山甚市君委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 湖沼水質保全特別措置法案及び湖沼環境保全特別措置法案を便宜一括して議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 菅野久光

    菅野久光君 先日いろいろな点についてお伺いをいたしましたが、再度、この法案では、もう既に活動している工場とか事業場等については規制の対象にしていないわけでありますが、その理由、それをもう一度ちょっと明確に言っていただきたいと思います。
  5. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先生今御指摘の、既に事業活動を行っている工場事業場についてでございますが、これにつきましては、水質汚濁防止法により、濃度規制ではありますが、一応の規制がかけられているわけでございます。  今回この湖沼法に基づきまして指定湖沼となった場合には、その濃度規制に加えて負荷量規制、瞬間的な濃度ではなく、一日当たりの排出の限度量規制を受けるわけでございますが、一般的に新しい法律制度を仕組む場合のこれは共通考え方でございますが、それまで事業活動を自由に行っていたものに対する規制というのは、やはり必要最小限にとどめるべきである、かような観点から新増設工場事業場に限って負荷量規制をかけることにし、それではどうも不十分である、こういうことが明らかになった場合、法律の二十三条に基づきまして、既設の工場事業場も含めまして負荷量規制をかけることができる、こういうような仕組みをとったわけでございます。
  6. 菅野久光

    菅野久光君 結局、今までの水濁法に今度の湖沼法上乗せをすることができる、そういうことで汚濁をある程度抑えることができるのではないかということ、それと、工場なり事業場なりが既に実際に動いておる、そういうようなこと等も含めてやったんだということだというふうに思いますが、本当に水濁法で実際にやられていれば汚濁が進行するということはあり得ない、厳格にやっていれば心配はないんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  7. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) もちろん、水濁法による濃度規制によってもかなりの成果が期待できるわけでございまして、現実に各都道府県においては、国の定めました一般基準に加えて上乗せ基準等を定めて湖沼水質保全を図ってまいったわけでございますけれども、ただ、湖沼につきましては、既に御説明しましたように、湖沼によって差異はあるにせよ、生活系汚濁化の割合が高く、これを除却するためにはどうしても規制と並んで事業計画的に組み合わせていかなければいけない。  つまり、下水道整備とかあるいはし尿処理施設整備を並行して進めていかなければいけない。それからまた、従来の水濁法の規制にはなじまなかった畜舎、あるいは養魚施設、こういうものに対する手当てもする必要がある。さらにまた、現在の湖沼汚濁状況から見て、従来の濃度規制だけでは足りずに、やはり一日当たりと申しますか、負荷総量規制する必要がある。こういうような観点から、水濁法を一般法とし、特に汚濁の著しい湖沼につきましては、この湖沼法による規制ないし施設整備事業推進ということを総合的、計画的に進めていこう、こういうようなところから今回の湖沼法を御提案申し上げている、こういうような次第でございます。
  8. 菅野久光

    菅野久光君 先日も申し上げましたけれども、現在ある工場だとか事業場、そういうものの排水水質汚濁原因力を与えているということはこれは否定のできないことですね。それは上乗せ基準が今度できるからいいのだとは言いながら、やはりそこのところが私は大変問題になってくるんではないかというふうに思いますが、すべての湖沼について水濁法のほかにこの湖沼法に基づく上乗せ基準的なものが適用されるというようなことになるのですか。
  9. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼法による湖沼指定を受けた湖沼についてそのような規制がかかっていくことになる、こういうことでございます。
  10. 菅野久光

    菅野久光君 私はこの法律の問題はやはりそこだというふうに思うんです。湖沼法指定をした湖沼についてだけはいわゆる上乗せができる、それ以外のところは一切ないわけですね、今の水濁法で。しかし、指定湖沼以外で既に汚濁が進行しているところがかなりあるわけです。そこのところは一体それじゃどうするのか。これは大臣答弁の中でもいろいろおっしゃられているわけですね。ひどくならないうちに早く手を打ってまいりますので御心配なくと。どうやって手を打つのでしょうか。
  11. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私ども、本委員会でも御答弁申し上げましたように、当面指定湖沼というのは十ないし二十ぐらい考えている。しかしながら、現実環境基準の定められている湖沼の中でも環境基準を達成しているものは四割ちょっとでございますが、六割のものは達成していないわけでございまして、そういう湖沼についてどういうふうに対応していくつもりか、こういうことでございますが、これにつきましては、私ども、まず第一点としましては、現在中公審専門部会で御検討いただいております窒素、燐の排水規制をできるだけ早く結論をいただきまして、これを施行することによって富栄養化原因である窒素、燐の流入を規制する。それから、それと並んで、各種事業計画的に総合的に施行するという、この湖沼法考え方に準じた考え方をそれらの湖沼についてもやっていく。そういう指導をするということを考えている、わけでございます。  この湖沼法に基づく指定湖沼は、この法案をごらんいただけばおわかりいただきますように、一つ一つ指定について閣議決定が要るとか、あるいはそれに基づく水質保全計画については知事さんが計画を樹立されて、それを公害対策会議の議を経て内閣総理大臣が同意する、こういう非常に大がかりな手続をとっておりますので、すべての湖沼についてそのようなことをとるということは実務的にも困難な面もございますので、この湖沼法考え方に準じた考え方で各都道府知事さんがやっていただくように指導してまいりたい。それと並んで、窒素、燐の排水規制を、これは湖沼法指定湖沼、それからその他の湖沼共通に水濁法でやっていく、こういうようなことで対応してまいりたいと考えているわけでございます。
  12. 菅野久光

    菅野久光君 国が指定した湖沼についてはある程度国が、指定しないやつはそれぞれの都道府県で何とか湖沼法に準じた形でやってもらうように、これは指導というものではなくてお願いということになるんでしょうか。そういうような考え方だというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  13. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 指導と申しますか、お願いと申しますか、そこは言葉の使い方の問題の面もあろうかと思いますが、各都道府県も、県内の湖沼につきましては、仮にこの湖沼法指定を受けられないような規模の小さいと申しますか、そういう湖沼でもいろいろ地域住民にとっては非常に問題であることは否定できませんので、積極的にそれらについては対策をとっていかれる御意向をお持ちでございますので、そういう御意向の上に立って私どもさまざまな面でそういうお手助けをしていくということをやっていきたい、こういうことでございます。
  14. 菅野久光

    菅野久光君 それではちょっとお尋ねいたしますけれども、先日の質問で、当面指定をしようと予定をしている湖沼を十ほど挙げられましたが、その十ほど予定していると言われたその指定する湖沼指定基準といいますか、何を基準指定をされようとしているのか、そこのところをお尋ねします。
  15. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼指定基準につきましては、法律上は法律の第三条に規定されております。環境基準が「現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい湖沼であって、当該湖沼の水の利用状況水質汚濁推移等からみて特に水質保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるもの」これが指定の要件になるわけでございます。  その中で十ないし二十をどういう基準で選んだかということでございますが、これはあくまで当面の各都道府県との現在相談が進んでいる湖沼の名前を一応挙げたわけでございまして、若干の出入りはあろうかと思いますけれども、一応湖沼規模、それから利用の現状、それからまた、法律上で言えば水の利用状況に入ると思いますけれども、その及ぼす影響の広がり、これは湖沼規模に大体並行してまいりますが、それから問題の深刻さの程度、こういうようなところから十程度を当面取り上げまして、さらに十ぐらいを追加することを一応前提に準備を進めているわけでございます。
  16. 菅野久光

    菅野久光君 いろいろな理由、幾つかの理由を挙げられましたけれども、そのうち最も重点的に考えられたのは何でしょうか。
  17. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 利用状況一つ大きな要素として上がってまいります。それからまたその湖沼規模、こういうことが大体一番要素としては大きく働いているわけでございます。
  18. 菅野久光

    菅野久光君 利用状況というのは、いろいろ利用する部分があるんですけれども、そのうちのどの部分を重点的に考えられましたか。
  19. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) やはり水道利用がなされている、上水としての利用がなされているというような場合には、できるだけこれは、もちろん湖沼規模とか汚濁程度ということも兼ね合わせて見ていくわけでございますけれども一つの大きな要素になってまいるわけでございます。
  20. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、十の湖沼のうち上水道利用される、いわゆる水源地として利用されている湖沼は幾つございますか。
  21. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 十湖沼のうち六つ上水としての利用がなされているわけでございます。
  22. 菅野久光

    菅野久光君 先ほどの答弁の中で、上水道利用している、それは相当重く考えられたということでありますが、十のうち六つ水源地として利用されている、あとの四つは上水道水源地としては利用していない。それじゃ、他の湖沼上水道水源地として利用されているもので指定をされていないものがかなり私はあるというふうに思うんです、しかも環境基準に達していない、それはどのように考えられておりますか。
  23. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) やはりおのずから湖沼規模の問題もございまして、上水水源として利用される、例えば琵琶湖霞ケ浦、それから印旛沼、それから相模湖、釜房ダムというような、これはある程度規模が大きいわけでございまして、上水として利用されているけれども非常に規模が小さいというようなものについては、一応指定湖沼としてこの湖沼法手続をとるというところまではまいらないで、県独自で対応をお考えいただきたい、かように考えているわけでございます。
  24. 菅野久光

    菅野久光君 これは、湖沼法というものを制定をして、少なくとも水質を何としてもよくしていかなきゃならぬ、こういうことでありますから、国が指定をしてやるということと、それぞれの都道府県で自治体が自主的にやるということでは、相当やっぱり重みが違うというふうに私は思うわけです。  私は代表質問の中でも、アメリカの西暦二〇〇〇年のあれを引用して言ったわけですけれども、水を原因とする病気が相当深刻な状況になるというようなことを含めて言えば、少なくとも水源地として使われて汚濁状況のひどいところ、これは優先的にといいますか、相当国としても真剣に取り組んでいかなければ、国民の健康に直接かかわりのある問題だというふうに思うわけです。  それは規模の問題もいろいろありますけれども、十のうち上水道水源地として利用しているのは六つしかない。六つしかないというのは六割ということですね。それではちょっと私は、せっかく法律を制定しながら、一番国民の健康にかかわりのある上水道水源地、ここをやらないということについては問題があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺のところはどのようにお考えになりますでしょうか。
  25. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  ただいま六つと申しましたが、これは直接湖沼から大きく上水道をとっておる、小さなものは余り載せておりませんが、上水道が全然ないというわけではないわけでございます。それから、今上水道でないと言いましたが、例えば手賀沼のようなものでございますが、これは手賀沼出口から――出口といいますか、利根川に排出するその出たところでもう上水道がある。これは上水道としてその水は使用していないといっても、その出たところで使うわけでございますので、これは上水道関連をしておると申しますか、非常に密接に関連をしておるというものでございます。  それから、それじゃそのほかにまだ残っているじゃないかというと、今度は非常に大きくて、例ばえ宍道湖のような非常に大きくて、なかなか府県対応するというのも大変であるというようなものを選んだらどうだろうか、こういうような趣旨で、それと、汚濁程度というようなことを考えて選びたいというふうに考えておるのでございます。上水道水源地として非常に汚濁が大変だというふうなものがほかにあれば、またそれは考えていきたいとは考えておりますが、汚濁程度が非常に低いというものであれば、これは府県でもある程度対応がすぐにやれていけるんじゃないか、そういうようなものは府県お願いをいたしたい、こういう考え方でございます。
  26. 菅野久光

    菅野久光君 上水道水源地として使われているところで汚濁のひどいところ、これ等については、一応今十ということで、まださらにそれぞれの県との対応の中で数がふえるだろうというようなことは予測されますけれども、その判断の基準の一番大きなウエートとしてこの問題をひとつぜひ取り上げていただきたいというふうに私は思うわけでございます。  つい最近も、下水道協会などでも、河川や湖の水質が、水濁法その他でかなりいろいろやってはおるんでしょうけれども、以前よりよくなったということはわずかしかないようで、ほとんどのところは以前よりも、例えば十年前よりも何か水質が悪くなった、特に精進湖地域で悪化しているというようなことが出されているわけですね。そういったようなこと等について、本当に水濁法が実効を上げているのか。上げている部分があったとしても、現実的にはこういうような調査が出ておりますが、この調査をごらんになっていると思いますが、それについてどのようにお考えでしょうか。
  27. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 今手元に持っておりませんが、私どもも、先般たしか下水道協会でございますかが実施された調査の内容は承知しております。  今先生御紹介になりましたように、人口が比較的、地方中小都市ないしその周辺部で悪化が進んでいるということでございます。これは、水濁法は御案内のように、特に生活環境項目については五十トン以上の工場事業場について規制している、それからまた下水道整備も従来はやはり大都市中心に行われてきた、かようなところから、今先生指摘になられたようなアンケート調査の結果が出てくるということではないか。  特に湖沼について言えば、そういう琵琶湖霞ケ浦等をとってみましても、非常に広範な農村部を抱え込んでいるわけでございまして、このような地域生活排水、汚水の処理をどういうふうに進めていくかということが、これは環境庁のみならず建設省、厚生省、農水省を含めまして私どもの重要な課題であるというふうに受けとめておるわけでございます。各省それぞれ対策は進めているところでございますが、緊急に措置しなければ今のようなアンケートの結果を解消できないというふうに判断しているわけでございます。
  28. 菅野久光

    菅野久光君 本当に水の問題は、何といっても私ども人間の生存にかかわる大事な問題なだけに、みんなで真剣に取り組んでいかなければならないというふうに思うわけです。  湖沼をよみがえらせるために、この間の本会議の御答弁ではありませんけれども湖沼法をつくったとしても、特効薬ではない、漢方薬みたいなもので、長い間かかって悪くなったんだから長い間かからなければよくならないというようなことをおっしゃられておりますが、一般的に考えてみて、確かに大臣が言われたような感じは持つわけでありますが、しかし、長い間かかって悪くなったからといって長い間かかってよくしなきゃならぬというものではない、なるべく早くこれは薬効のある漢方薬でよくしなきゃならない、そういうふうに思うわけであります。  いずれにしても、こういったようなことをやるについては、今の水問題がどれだけ国民生活、健康に影響があるかということが、いわば国民全般にわかっていなきゃ協力を得られないわけですね。だから結局、環境基準以上のものを垂れ流しするような工場事業場、いわば、言葉は少しきついかもしれませんが、利潤を得るためには多少そういうものは目をつぶってでもやらねばならぬというような不心得な者が中にやっぱりいるようなんですね。たまにそういうことが監視員によって発見されるというようなことがありますが、そいうようなことがやっぱり絶対起きないような、何というんですか、国民的な、水をきれいにしなきゃだめなんだということの運動、そういうようなものを起こさなければこういう法の実効というのは私は上がらないんじゃないかというふうに思うんですが、その辺のところはどのように大臣考えでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  29. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生指摘のとおり、工場あるいはまた個人が水をきれいにするということをお考えをいただかないといけないのではなかろうか、そのとおりだと思うのでございます。それに対しまして、また一方におきまして、なかなか今までの慣習もあったりして、何かそういうことをうっかりおやりになる方もあるわけでございますので、そういう面でいろいろ県の方においても、私は、この法律が施行されるとともにまた監視もひとつ十分やっていただきたいと思うのでございます。  工場やそういうものに対するばかりではなくて、例えば個人浄化槽をおつくりをいただいておる、その浄化槽を、例えば十家族なら十家族でおつくりになっておるというようなところに、夏になって、あるいはまた観光シーズンになってたくさんの方が来られて、そうして十家族分ではとても賄い切れないようなふん尿がざっと入ってくる、あるいは雑物が入ってくるというようなことになってはもう全然効果がないわけでございますので、そういったような面についても十分に監視をしていただき、またそれに対する対策考えていただくということを、早く手を打っていただくということを考えなければならないと考えております。  また、先生の御指摘のように、なるべく早く浄化していかなければいけない、これはそのとおりでございます。したがいまして、私が漢方薬と申し上げましたが、漢方薬でもやはり非常に市貝なものとそうでないものといろいろあると思うんでございますが、高貴なものをなるべく早く使いたい、つまり下水道の工事を大いに進めていただきたい、また、し尿処理のようなことも生活雑排水では早く対策を立てていただきたい。これを日本の国の経済の進捗とともに予算も私はふやしていただかなければならないと考えておりますが、そういう予算を大いにとっていただいて、伸ばしていただくということを推進をしたいと考えております。
  30. 菅野久光

    菅野久光君 今お話しの中で、特に監視体制を強化してというようなお話がございましたけれども、私もそうだと思うんですね。特に、工場事業場等排水が地下に埋没されてそして放流されるなんというような場合に、本当になかなかその水質をやるということが困難な面があって、そしてそのことがまた湖沼汚濁に一層拍車をかけていく、そういったような状況等があるやに聞いておりますので、監視体制の問題について強化をしていただくという、何というんですか、要望ということでなされようとするのか、あるいはもっと強い指導といいますか、そういうことでこの監視の面についてなされようとお考えになっておるのか、その辺をちょっとお伺いをいたします。
  31. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 水濁法に基づきます排水規制につきましては、都道府県を通じて監視を行っているところでございまして、この必要な経費に対しても助成措置を講じているわけでございます。現在財政事情が非常に厳しゅうございますが、これらの助成につきましては、お話もございましたように、水濁法を本当に有効に働かせるために不可欠に必要な経費でございますので、できるだけ削減等も一律ではなく必要最小限にとどめて、さらにまた、できれば、今後の財政状況にもよりますけれども、だんだん新しく監視をしなければならない項目等もふえてまいりますので、増加させるように努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  32. 菅野久光

    菅野久光君 人件費の削減の問題、これは財政事情ということで、今できるだけ削減を抑えてというようなことでありましたけれども、これは私は重大な問題だと思うんですよ。  私はいろんなところでお話しするわけでありますけれども、防衛防衛ということで、本当に戦争があるのかどうかわからないところに二兆八千億円も九千億もかけておるわけですよね。しかし、これは国民の健康を防衛する一番大事なところじゃないでしょうか。そこのところが削減される。片方はマイナスシーリングの中で上げていく、片方はそういうことで下げていくということは、私は重要なこれは問題だというふうに思うんですけれども、その辺の御認識をひとつ伺いたいと思います。
  33. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 私も、なかなか今の問題につきましてはオールマイティーでございませんのでちょっとお答えがしにくいのでございますが、これは下水につきましては建設省の方でおやりをいただいておりますしまた、河川水の監視につきましても建設省の方でいろいろ手を打っていただいて、今まで指定していないようなところの河川についても水質検査をおやりをいただいて、そうしてそれがどういう原因でどうなっているかというようなこともいろいろと調査をしていただいておるようでございます。  そういう点の予算は、河川を持っていただいておるところ、あるいはまた下水道を担当していただいておりますところにおいてまずその予算の増加をお図りをいただくようにしていただいておるのでございますが、環境庁も、今先生お話のように、非常に水というものは人命に関する問題でございますので、その予算を大いにふやすように私どもの方も図らせていただきたい。御援助というか、後ろからちょっと間接的になるんですが、これはやはり任務任務によるものでございますので、そういうことでやらせていただきたいと考えております。
  34. 菅野久光

    菅野久光君 防衛防衛ということでそちらの方にばかり金をとって、そしていざというときになったら自衛隊の人がよろよろしている、国民の健康がおかしくなっているということじゃ、一体何のための防衛かということにもなってしまいかねない、そういう私は大事な問題だというふうに思うわけで、ぜひ国民の健康を防衛する防衛費を増額するように万全のひとつ体制を図ってもらいたいということを、この点については要望しておきたいというふうに思いますし、私どももまたそういうことでは環境庁予算獲得のためにともにひとつ努力をしていきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、湖沼富栄養化の要因物質であります窒素、燐の問題でありますけれども、この環境基準が昭和五十七年の十二月に設定をされたわけでありますね。それで本年の夏ごろまでには排水基準についての中公審の答申が出る予定であるというふうに聞いておりますけれども、この排水基準はいわゆる指定湖沼に限定して適用することになるのかどうか、その辺のところをちょっとお伺いいたしたいと思います。
  35. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 指定湖沼に限定することは考えておりません。これは水濁法に基づく窒素、燐の規制措置ということになりますので、広く富栄養化しやすい湖沼について窒素、燐の排水規制基準を決めていきたい、かように考えているわけでございます。
  36. 菅野久光

    菅野久光君 この湖沼法案再提出の際に、環境庁に対して通産省が、中公審で検討中の窒素、燐の排水基準は緊急性を要する湖沼だけに限定すべきであるというような旨の何か要請を行ったというふうに聞いているわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  37. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 特に通産省というわけではございませんけれども、この湖沼法案再提案に際しまして政府部内で、富栄養化対策、特に窒素、燐の規制をどのような仕組みで行っていくかということについて議論があったことは事実でございます。  その議論のポイントは、一つは、富栄養化の防止、つまり窒素、燐についてはやはり生活系の汚濁負荷の割合が高いのではないか。したがって、産業系の負荷だけに規制をかけたのでは問題が片づかないのではないか、両方均衡ある対策が必要ではないか。これが一点。  第二点といたしまして、窒素、燐の規制につきましては、まだ学問的にもどうも解明されていない面がかなりある。それから処理技術についても必ずしも、特に窒素については除去技術が完成されたとは言えない。しかし、わからないからといって現在の富栄養化汚濁を放置していいということではないことは、これは政府部内で認識が一致しておりまして、しかし、そういう処理技術が未確立である、あるいはまだわからない面があるというようなことであれば、やはり限定的にある程度やるべきではないかというような主張がなされたことは事実でございます。  これに対して私どもといたしましては、先般来御議論いただきましたように、一度汚濁されてしまうとこれをもとに戻すのは大変なコストとエネルギーがかかるということを考えれば、水質汚濁防止法の未然防止という精神は窒素、燐についてもやはり守られなければならないのではないか。かようなことから、やはり水濁法で、我が国の湖沼も小さい沼まで全部とは申しませんけれども富栄養化しやすい湖沼については広くこれを規制を行うべきである。かような考え方になったわけでございまして、このような観点から、現在作業が進んでおりますように、窒素、燐の規制は水濁法でやる、それから湖沼法については現在御提案しているような内容でいこう、かようなことで政府部内で見解が統一されて御提案申し上げた、かような次第でございます。
  38. 菅野久光

    菅野久光君 では次に、閉鎖性水域であります海域の窒素、燐の環境基準及び排水規制についてはどのように対処されようとしているのか、そのお考えをひとつお伺いしたいと思います。
  39. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 同じく湖沼と並んで閉鎖性水域である内湾、内海、具体的な例で申し上げれば、瀬戸内海、伊勢湾、東京湾、こういうところにつきましては、同じように富栄養化が非常に問題になっているわけでございまして、私ども現在、まず環境基準をどういうふうに決めるかということで、局長の私的諮問機関ということでございますが、検討会を設けまして御検討をいただいているわけでございます。本年度中にはその結論はいただきたいというふうに考えておるわけでございまして、それ以後環境基準の設定、それから排水基準の設定という手続が進むことになるわけでございますが、現在までの検討の段階で言えば、海域の場合には湖沼以上にどうもわからない点が非常に多いわけでございますけれども、その辺も今後、現在までわかったこと、それからさらに追加して検討すべきこと等もこの研究会ではっきりさせていただきたい、かように考えているわけでございます。  ただ、そうは言っても、現実にはただいま申し上げました海域については赤潮の発生等非常にいろいろ問題が出ておりますので、これらにつきましては、特に瀬戸内海については燐について削減の行政指導を行っているわけでございまして、これが五十九年度で一応目標年度が切れるわけで、次期対策を現在瀬戸内審議会の専門委員会で御検討いただいているというわけでございます。  東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内含めまして、それ以外にはCODの総量規制を行っております。これにつきましても五十九年度で一応の目標年次が来るわけでございますが、次期対策を引き続き継続することが必要であると考えて現在目標等の設定等について検討を進めている、かようなことでございまして、結論からいえば、窒素、燐の環境基準、それからそれに基づく排水基準が設定をされるまでの間は、これらの削減の行政指導あるいは総量規制をもって対応してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  40. 菅野久光

    菅野久光君 ちょっと先に戻って恐縮ですけれども湖沼指定にかかわって水質保全局長が衆議院の環境委員会、五月十五日だと思いますが、ここで、第四条の「水質保全計画に基づきまして各種公共事業整備を進めていくことになる」そして「各省の所管いたします公共事業のうち湖水対策として割き得る限界があるわけでございます。そのために、おのずからこの湖沼指定は数字が限定されてくるわけでございます。」と答弁されております、会議録では。  それで、湖沼指定は、第三条で指定基準として水質汚濁から判断することになっているはずなんでありますけれども予算から逆境して指定湖沼の数を制限するというようなことになりますかどうか、そこだけお答えいただきたい。
  41. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 法律の解釈の問題といたしましては、この三条で、特に水質の「施策を総合的に講ずる必要」をどういうふうに理解するかということでございますが、私がそこでそういうふうに申し上げました趣旨は、つまり、湖沼法に基づきまして水質保全計画を立てた以上は完全に予算の裏打ちをつけて確実にそれが実行されるようにしなければいけない。そういたしますと、これは五年間で計画を立てるわけでございまして、その分はいわば予算の先取りみたいになるわけでございまして、例えば下水道に例をとれば、もちろん建設省も第五次五カ年計画の投資の重点項目として湖沼等の閉鎖性水域の水質浄化を挙げておられるわけでございますが、一方、同時に大都市の既成市街地等でもまだ必ずしも下水道整備は十分と申せないわけでございまして、おのずからやはり湖沼に割き得る予算規模というのは限定されるということがあることは、これはそのよしあしは別として、現実問題として認めざるを得ないわけでございます。  そのような観点から、水質保全計画につきましては、知事がお立てになられた計画を国に出していただきまして、公害対策会議、関係閣僚会議でございますが、ここで相談するということになります。ですから、各省もその計画の内容から見て、それぞれの官庁の予算執行の現状から見て可能な範囲で最大限努力していただく。もちろん、湖沼法を出す以上は従来より一層促進されなければならないわけでございます。しかし実現の可能性のある計画にしていきたい。かようなことから、十ないし二十というふうに申し上げたのも、今の国のいろいろな予算状況その他から見て、ここ数年の間では当面やれるのはそのくらいであればこれは実効性のある計画が立てられるのではないか。かような点から申し上げたわけでございまして、決して予算の方から何かあれを制限する、そういう趣旨で申し上げたわけではないわけでございまして、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
  42. 菅野久光

    菅野久光君 そこで、水質を改善するために当面緊急に何を一番重点にやらなければならないというふうに環境庁としてはお考えでしょうか。
  43. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) もちろんすべての対策が等しく必要性は高いわけでございますが、なかんずく、現実問題としまして、湖沼によって程度の差はあるにしても、生活汚濁対策がおくれていることはこれは否定できませんものでございますから、これに対する対策について特に精力的に取り組んでいきたいというふうに考えているわけでございます。
  44. 菅野久光

    菅野久光君 建設省下水道の関係についてちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。  今環境庁の方からも御答弁がありましたように、湖沼水質改善については、何といっても生活雑排水、これにかかわる下水道の普及が当面一番の緊急の課題だ、そういうことでありますが、必ずしも下水道だけが万能ではない、いろんなことがあるということも今おっしゃられておりますが、しかしやはり下水道が何といっても当面やっていかなきゃならないことなんですね。しかし、その下水道つくり方によっては後々に困難を生じたり、対策がおくれたりしてしまう結果になる、そういうこともあるというふうに思うのです。そこで下水道湖沼の関係についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  今回湖沼法が制定された場合、指定湖沼となることが予測されている十の湖沼の集水域の下水道の普及率、それについてちょっとお答えいただきたいと思いますが。
  45. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  環境庁指定予定の十カ所の湖沼周辺の下水道整備状況でございますが、琵琶湖につきましては八%、霞ケ浦一二%、あるいは諏訪湖につきましては三一%というような状況でございます。そのほかたくさんございますが、平均いたしますと大体二〇%強程度の普及になっておるものと推定しております。
  46. 菅野久光

    菅野久光君 今お話しの、平均して二〇%、琵琶湖では処理人口に対する普及率が八%なんですね、下水道が。これは、琵琶湖総合開発計画が昭和四十七年に決定をされ、五十七年にさらに変更されて、もう十年以上たっていていまだに八%しか普及率がない。ここに私は大変な問題があるんじゃないかというふうに思いますが、このようにおくれているのは、その主たる原因は何でしょうか。予算上の問題でしょうか、何でしょうか、ちょっとお伺いしたい。
  47. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) 従来から、私ども建設省は、湖沼等閉鎖性水域にかかわります下水道につきましては積極的に対応してきたところでございますけれども、やはり下水道整備の方針といたしまして、根幹的部分といいますか、処理場あるいは幹線管渠の整備が先行いたします。そんなことで必ずしも十分今まで普及率が上がっていないという事実もあるわけでございます。また、先生指摘のように、昨今非常に厳しい財政状況でございまして、下水道事業が伸び悩んでいるということも一つ理由かと思います。
  48. 菅野久光

    菅野久光君 この十の湖沼のうちで、流域下水道ということで計画されているのはどこかおわかりでしょうか。
  49. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) 十の湖沼のうち、流域下水道につきまして現在事業を実施しておりますのは琵琶湖、これは琵琶湖の流域下水道でございます。それから霞ケ浦の常南流域下水道等でございます。それから諏訪湖、これも諏訪湖の流域下水道でございます。それから宍道湖、中海でございますが、これは宍道湖の流域下水道事業を行っております。それから印旛沼につきましては印旛沼の流域下水道手賀沼につきましても手賀沼の流域下水道、それから児島湖につきましては児島湖の流域下水道という事業をそれぞれ実施いたしております。
  50. 菅野久光

    菅野久光君 流域下水道は、地域によっては若干のメリットもあるようですけれども、このように下水道の普及率が低いのは、この流域下水道考えているために遅くなっているのではないかというふうな私は心配があるわけです。幹線管渠が必要なために処理施設が非常に大型化をして、それができなければ実際に供用にできないというような、そういう問題等もあるわけでありますが、その辺のところはどうなんでしょうか。
  51. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) 流域下水道に必ずしも限りませんけれども下水道事業につきましては、その地域状況とかあるいは事業に当たっての経済性等を十分勘案して最も適切な方法ということで事業を実施しているところでございます。
  52. 菅野久光

    菅野久光君 できるだけ早く湖沼の水喪をよくしていくというためには、先ほどからお話しのように、下水道をできるだけ早く普及していく、そういうことが必要なわけですね。  何か大臣はこちらの方の専門家だというふうにお聞きをしておるわけですけれども、本当に流域下水道計画をずっと進めていくことが早くできるのか、それとも個々の、何というんですか、小規模といいますか、そういうそれぞれの地域地域下水道、そういうものを早く完備していくことが必要だということになるのか。その辺はひとつ専門家としての大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  53. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 建設省でないので、私の言うことはこれは個人的の意見になりますが、その点をお許しをいただいてお願いをしたいと思います。  まず、下水道は、大都市の方は今たしか四〇%を超えて進捗をいたしております。ところが、そのほかの中小都市以下になりますとこれは進捗率が非常に少のうございまして、一〇%ぐらいになってしまうんじゃなかろうかと思うのでございます。特に、湖沼周辺のところというのはそういう状況でございます。  それはどういう理由であるかと申しますと、やはり下水道の技術者の不足と申しますか、そういうことが一つ。それから、個々に市町村で計画を立てておりますとなかなか金がかかる、非常に高価につくというようなことからこれはなかなか着手してもらえなかったということでございます。それからもう一つは、国の方の体制もこれは私はあると思うのであります。それはどういうことかといいますと、終戦向後におきましては、とにかく飲み水の方をやれ、こういうことで上水道の方の予算に回されたわけであります。そうして下水道の方はそれから後回しにされてきた。だから、下水道予算がぐんぐん伸びてきたのは二十年ぐらい後のことでございます。  したがいまして、そういうような観点から、特に湖沼の周辺というのは大都市がございませんので、全体的に下水道の伸びが悪いということでございます。しかし、手賀沼だとか印旛沼、これは東京周辺で非常に人口が張りついてきたものですから、それは下水道やらなくちゃいけないと一生懸命にやってはいただいておるのですが、まあ二〇%を超えて、まだ三〇%にはなっていないと思うのでございます。これをやはり計画的にこれから伸ばしてもらわなくちゃいけないんじゃなかろうか。飲み水にまで影響してくるような状態になってきておりますので、下水道の促進を図っていただきたい、これが私ども考え方でございます。  しかし、琵琶湖に例をとって申しますと、大津の周辺とか彦根とか、こういったような都市のあるところは下水道がなるほど促進をされますが、それから今の流域下水道の区域になっておりますところはある程度できますが、そうでない区域も私はあると思うのでございます。そういったようなところに対しては、し尿処理に対しての施設をひとつ大いに頑張ってやっていただくとか、あるいはまたそのほかのいろいろな小規模下水道、そういったようなものの考え方も出していただかなければならない。また、小規模のものは非常に高価につくということはあるわけでございますので、それに対しては各関係の省が、あるいは厚生省で、あるいは農水省でおやりをいただいておりますが、建設省でもやっていただいておりますが、そういったようなものをいろいろ計画に入れていただきたい、こういうふうに考えております。
  54. 菅野久光

    菅野久光君 専門家の大臣から大変詳しい御説明をいただきましたが、湖沼水質を改善するということが今緊急な課題ということでこの湖沼法が出されておりますが、そして、最も緊急を要する下水道事業の大きな柱である下水道が流域下水道、何かお聞きしますと、着工から供用開始までに十年から十五年ぐらいかかるということなんですね。これでは、緊急と言いながら十年も十五年もかかったのでは到底緊急とは言い得ないというふうに思うんです。これは所管が建設省だ、だから環境庁の方からということにはなるんでしょうけれども、しかし、これはやっぱり環境をよくしていくという意味合いでは、緊急を要する課題なだけに環境庁建設省との間で何らかの協議をしながら進めていかないと私はまずいというふうに思うんです。  それで、私は、流域下水道については相当供用開始までに時間がかかるということなども含め、取水口からはけ口のところまでの問題やらいろいろあるわけで、公共下水道方式を、ぜひ活用する、あるいは特定環境保全公共下水道事業、こういうのもあるわけですから、そういうものでできるだけ短い期間、早い時期に下水道事業を完成をさせて供用をしていくということが私は必要だというふうにお話を聞きながら思っているわけですけれども、先ほど言いましたように、下水道建設省だから環境庁からどうのこうのということではなく、ひとつその辺のお互いに協議をする場があると思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  55. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 今度は指定湖沼の周辺については計山を立てていただくことになっておるのでございます。その計画につきましては関係閣僚会議にもちろんかけるわけでございますので、それにかけるまでに関係各省といろいろ打ち合わせをさせていただく、こういう場ができると思うのでございます。私どもは、先生の御指摘のとおり早くこの対策を立てていかなければならない、こういう考え方で進めさせていただいておるのでございます。  もう一つ、先ほどから流域下水道と公共下水道お話が出京した。流域下水道になりますと、これは県知下さんが主体になって計画をお立てをいただくわけでございます。それにまた下水道事業団というのをおつくりをいただきました。これに下水道の技術者が入っていただいておりますので、その技術者がやはり計画をいろいろと立てていただいて、そして工事そのものも自分でおやりをいただく、こういうようなことを今事業団でやっていただいていますので、そこに県却下さんから委託をされるというようなこともございまして、そういうことで進めさせていただいておるのでございます。  なかなか下水道の方も、実は大幅に予算増を建設省の方では考えていただいて、河川予算よりも下水道予算は初めはもう十分の一ぐらいだったんですが、今はずっと上がってきまして河川予算とほとんど同じぐらいにまで追いついてきておるのでございます。しかし、そういうふうに伸ばしますと今度は技術者の方が足りなくなってくるというような問題が起こって、下水道事業団というものをつくってもらって、一方において事業団では技術者を養成する、また一方において事業を委託を受けてやる、こういったようなことをやってもらっておるのでございます。  したがいまして、下水道の促進をひとつ図っていかなければいけない。一つの町村で下水道をやるとなるとその点が非常に苦しいのでございます。そういったようなことをいろいろ考えてこれからやらせていただきたいと思っております。
  56. 菅野久光

    菅野久光君 これは指定湖沼にかかわってはそういうような場があるわけでありますが、指定湖沼でないところでもこれは流域下水道計画のある湖沼というのはありますでしょうか。
  57. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) 指定湖沼に予定されていない湖沼で現在流域下水道事業を実施している例といたしましては、山梨県の富士五湖周辺を対象にいたします富士北麓流域下水道、あるいは八郎潟の水質保全を図るための、これは秋田湾・雄物川流域、こう言っておりますけれども、秋田湾・雄物川流域下水道、あるいは人工湖でございますが、奈良県のダム湖を対象といたします宇陀川の流域下水道等に例がございます。
  58. 菅野久光

    菅野久光君 指定湖沼のところは協議の場がありますけれども、それ以外のところも今御答弁のように流域下水道ということでやられている。先ほども申し上げましたように、供用開始までに十年なり十五年なりかかるということになれば、当然ここでのまた水質汚濁ということが考えられるわけでありますね。ですから、これは指定湖沼であるとかないとかということにかかわらず、湖沼をどうやって守るか、湖沼水質をどうやって改善していくかということにかかわっての政府としての基本的な考え方、こういったようなものを立てていかないと大変じゃないかと思うんです。大きいことはいいことだということで、どんどんそういうことでやることがかえって環境を悪くするというような状況が生まれてくると思いますので、その点は私の意見としてひとつ申し上げておきますので、せひ参考にしてそういう方向をとっていただければ大変いいのではないかというふうに思います。  次に、下水道ができると家庭用の雑排水のCODが除去されるわけですけれども、し尿の窒素、燐も合わせて流入することになるわけで、水質がかえって悪くなることがあるというような指摘もあるわけです。そのため下水の三次処理の必要が言われるわけでありますが、三次処理ということまでになると、コストが非常に高いことと、まだ何か技術的に不安定だというようなことをお聞きしております。湖沼の集水域に排出される下水道水の窒素、燐の排出基準をどうするのか。そしてまた、それは三次処理を前提とするかどうか。その辺をお聞きしておきたいと思うんです。
  59. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在、窒素、燐の排水基準につきましては、先ほど申し上げましたように、中公審専門部会で検討していただいておりますので、直ちに三次処理が必要になるかどうか、ちょっとお答えいたしかねるわけでございますが、ただ、この点は現在まで既に専門部会の中でほぼ一致した御見解というふうに私ども考えておるわけでございますが、国が定めます一般的な窒素、燐の排水基準は一般家庭汚水に含まれる窒素、燐の排水濃度とバランスさせるということを一応考えておるわけでございまして、この程度濃度であれば一応現在の二次処理でも対応できるんではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、非常に汚濁が著しく進んでいるとか、あるいはまた上水道の水源になっているというようなことがあれば、当然都道府県上乗せ等の措置が必要になるわけでございまして、それに見合ってはまた三次処理が必要になる場合もあろうかと思うわけでございまして、建設省におかれてもこの点三次処理について鋭意御検討をいただいているというふうに私どもも承知しているわけでございます。
  60. 菅野久光

    菅野久光君 次に、下水道の建設が時局を要することと、また下水の処理については窒素、燐の除去が不十分なことから、湖沼水質改善には生活雑排水の簡易処理の方が好ましいというような意見もあるわけですね。  最近、都市下水路雑排水対策モデル事業が行われておりますが、その実績がどうなっているのか、それをちょっとお伺いしたいというふうに思います。
  61. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  下水道の未整備地域におきまして、生活雑排水が都市下水路あるいは在来の水路を経まして公共用水域に流れているという現状がございまして、これも御指摘のとおり、公共用水域の水質汚濁原因一つになっているわけでございます。そのため、私どもは都市下水路雑排水対策モデル事業といたしまして、下水道整備がおくれている地域におきまして都市下水路、これは構造的に申しますと開水路、小さな川とお考えいただければよろしいかと思いますけれども、これに接触ろ材を用いた処理施設を設置いたしまして、それに付着いたしました微生物等の働きによりまして水質の浄化を図ろうというような事業を五十八年度から実施しております。五十八年度は茨城県の鹿島町の御手洗下水路を初めといたしまして七カ所で事業を実施いたしました。五十九年度、本年度も数カ所で実施をする予定にいたしております。
  62. 菅野久光

    菅野久光君 下水の処理水の放出をどこにするか、これは一つの問題点であるわけですが、住民の感情からすると、なるたけ下流へということは十分考えるわけでありますが、しかし、下水処理後の水は早く自然に返すことが自然の浄化も期待できるし、また河川の水量を職かにすることができるので好ましいというふうに言えると思うんです。  そこで、湖沼の流入河川に下水の終末処理場をつくる場合、湖沼流入直前とか湖中に放出口をつくるのではなく、なるべく取水口の近くにつくるように指導すべきではないかというふうに思うんですけれども、そこのところはいかがでしょうか。建設省でしょうか、環境庁か、どちらか。
  63. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) 一応下水道側の考えをお答えいたします。  下水道のはけ口の計画に際しましては、関係機関と十分協議をした上で、放流先の水質環境基準とか、あるいは水利用形態などを総合的に検討いたしまして、それらに支障のないように決めているところでございまして、またそのように実施するように地方公共団体を指導しているところでございます。
  64. 菅野久光

    菅野久光君 建設省さん、どうもありがとうございました。  それじゃ次に、時間もございませんので法案のことについてお伺いをいたしますが、指定地域として指定する場合、第三条の三項ですが、「管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。」となっていますが、この意見聴取の方法とか効果、例えば聞きおくだけなのかどうか、そういうことを含めてどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
  65. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) これは、まず指定をいたしますには、当該湖沼が存在する県から申し出が必要になります。ただ、湖沼の集水区域を指定地域として指定するわけでございますが、この場合二県にまたがる場合があり得るわけでございまして、そこで関係県の知事さんの御意見を聞く、こういうことになるわけでございますが、実際問題といたしましては、非常に大きく数県に集水区域がまたがるというのは極めて限定されておりますし、また、それらの県では十分関係県で従来からお話し合いが行われておりますので、特にこの意見聴取の過税で問題があるということはないと思います。ということは、つまり、あらかじめ知事さんが指定してくれということを内閣総理大臣に申し出られる場合には、実態上は話が十分煮詰まっている場合が多いかと、こういうふうに判断しておるわけでございます。
  66. 菅野久光

    菅野久光君 それじゃ、第三条の第四項で、都道府県知事は、第一項の申し出――指定湖沼指定、または第三項の意見陳述をしようとするときは、関係市町村長の意見を聞かなければならないとされていますが、その意見聴取の方法とか効果、これもあわせてお伺いいたしたいと思います。
  67. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) これにつきましては、当然のことでございますが、湖沼指定を受ければその集水区域内は種々の規制措置が講ぜられるわけでございます。そのようなところから、地域住民意向を代表するという意味で市町村長の意見を聞くように義務づけたわけでございます。当然のことでございますが、指定の申請の際には関係の市町村長さんの意見がどうであったかということを添付していただきまして、私どももその内容を審査いたしまして指定するかしないかを決めていく、こういうようなことになろうかというふうに考えております。
  68. 菅野久光

    菅野久光君 このような問題といいますか、この種の指定に際して関係住民の意見を聞く制度を取り入れていないのはなぜでしょうか。湖沼が関係住民と深いかかわりがあることとの関連において説明をしていただきたいと思うんです。
  69. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼水質保全するためには当然集水区域、流域全体が問題になってくるわけでございます。流域の関係住民の数はかなりに上るわけでございまして、やはり市町村長さんがそれらの意向を一番よく承知しておられるというように私ども判断したわけでございます。  これは一つの例でございますが、やはり湖沼問題を考えます際に非常に難しいのは、湖に直接面している地域の住民の方は非常に御関心が深いわけでございますが、湖から離れるに従って関心の程度が落ちてくるというようなことを各都道府県から聞いているわけでございまして、そのようなところに規制をかけていくというようなこともございまして、むしろ市町村長さんの御意見を聞くことによって十分その地域住民意向というものを聞くということがむしろ適当ではないか、かように考えたわけでございます。
  70. 菅野久光

    菅野久光君 前にも意見も交えて申し上げたわけですけれども、この種のものは、いわば行政関係だけでやろうとしても地域住民の人たちの協力がなければ本当の実効を上げるということは難しいし、また実効を上げるためには時間がかかる、そういうことだというふうに思うんですね。そういう意味では、それは市町村長が地域住民を代表するといえば確かにそのとおりですけれども、やはり地域住民の意見を聞くということを取り入れていくことが、住民に対してこの問題の本質といいますか、問題がどこにあるかということを認識をしてもらう、そのことによってその地域の住民の人たちが関心を持って湖沼を守る、湖沼水質をよくしていくんだということに私はつながっていくのではないのかというふうに思うんです。  その辺がどうも何か、行政の縦割りの、それだけで済まそうとするのは、私はこの種の問題は実効を求めるという意味からいって、ちょっと甘いといいますか、そういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  71. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼は、当然でございますが、これからの生活環境項目関係の水質問題につきましては、やはり身の回りの水環境をよくしていくという地域住民の積極的な御協力をいただかなければ進まないという点では、私ども全く先生の御意見と同じでございまして、運用の問題でございますけれども、関係市町村長の意見を聞く際には、先生から今御指摘のあったような点を十分踏まえて行うように、この法律を仮にお認めいただきまして施行する際には、そのように処置してまいりたい、かように考えております。
  72. 菅野久光

    菅野久光君 今のことについて何か前向きに取り組むというような答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。本当にそういうような形でぜひみんなの力で、ただ単に行政に依存するということではなくて、国民の一人一人が自分たちの健康を守る、命を守るという観点でこの湖沼水質を改善していく、湖を守るという観点で運動が進められるように取り組んでいただきたいというふうに思います。  そこで、湖沼水質保全計画で、都道府県知事が五年ごとに湖沼水質保全計画を定めなければならないということになっているわけでありますが、この五年ごとにしたという理由が何かございますでしょうか。
  73. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼対策と申しますのは、自然現象でございまして、効果がきょうやってあしたすぐ出るというものではないわけでございまして、ある程度の期間を要さなければその効果というものは上がってこないのではないか。それからまた、これはやはり一度計画を立てまして実行いたしましても、どうも不十分な点あるいは理解が誤っている点等いろいろあろうかと思います、湖沼についての知見はまだ学問的にも必ずしも十分とは言えないものでございますから。そこで五年ごとに見直す、こういうふうにしたわけでございます。三年ではちょっとその効果を見るのにやや期間が短過ぎる、七年ではちょっと次のアクションをとるのに期間が長過ぎる、かようなところから一応五年と定めたわけでございます。
  74. 菅野久光

    菅野久光君 次に、第四条の第四項です。  湖沼水質保全計画を定めるに際して、「河川管理者に協議する」というふうにありますけれども、この「協議」というのは一体いかなる意味なのか、協議が整わないときの効果はどうなのか。また、「内閣総理大臣の同意を得なければならない」というふうにありますが、同意とか不同意というのは全体的、包括的なものなのかどうか。変更同意ということもあるのかどうか。その辺もちょっとお伺いしたいと思います。
  75. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在、湖沼はほとんど河川区域に認定されておりまして、都道府県知事あるいは建設大臣湖沼河川として管理されているわけでございます。そのような意味で、私ども、この湖沼水貧保全計画河川管理計画にも非常に影響するわけでございますから、御協議申し上げることとしたというふうに制度を仕組んだわけでございます。  当然でございますが、法律用研といたしては、同窓、承認、協議、意見を聞く等あるわけでございまして、その限りでは法律的な差異はあるわけでございますが、私ども湖沼水質改善のためには、河川管理者にも一〇〇%御協力をいただかなければならないわけで、意見を聞きっ放しということじゃなくて、実質的に双方十分理解し合った上で手続を進めるというふうに運んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それからまた、内閣総理大臣の同意でございますが、これにつきましては、やはり知事が立てられる計画について事後的、補完的に同意をする。と申しますのは、結局、先ほど御説明いたしましたように、国の予算執行にもいろいろかかわってまいりますので、そのような意味で同意という制度を仕組んだわけでございます。法律的に条件つき同意があり得るかということになれば、それは純粋に法律的に言えばあり得ると思いますが、私ども、そのようなことにならないように十分事前に詰めを行って、条件つき同感だということが生じないようにしてまいりたい、かように考えております。
  76. 菅野久光

    菅野久光君 時間ですので一言だけ申し上げますが、ことしの三月に出しました「湖沼水質保全対策について」という環境庁水質保全局の資料でも、富栄養化問題の発生が百四十八湖沼、うちアオコ、淡水赤潮八十一、水道の異臭床八十というような数字が出ております。湛水面積十ヘクタール以上で流域面積一平方キロメートル以上の湖沼の数が約千五百、富栄養化しやすい湖沼、水の年間回転数が百回以下、これが約千三百というふうに出て、大変な状況だというふうに思いますので、一日も早く湖沼水質改善がなされますように、私どもも努力したいと思いますが、環境庁の皆さん方の一層の御努力もお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  77. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 私は滋賀県でございますが、御承知のように琵琶湖の汚水が激しくなっております。  まず、上田環境庁長官にお伺いしたいのですが、最近淡水赤潮が毎年発生する状況であります。そこで滋賀県は五十四年に琵琶湖富栄養化防止条例をつくりまして、五十五年の七月から実施しておるわけであります。これは御承知のとおりであります。この条例は、急速に進む琵琶湖富栄養化を防止するため、全国で初めて法の力によって一般県民の燐を含む家庭用洗済の販売、使用、贈答、すべてを禁止しまして、同時に、工場事業場に対する窒素、燐の排出基準を国に先駆けて実施に踏み切ったわけであります。その他、農業排水の適正管理や家庭排水処理につきましても織り込んだこの条例は、いわば窒素、燐の総合的な削減条例となっております。  今回、湖沼水質保全特別措置法を提案され、さらに中央公害対策審議会に窒素、燐の排出を諮問している今日、湖沼の水環境保全に対し先導的な役割を果たしている滋賀県の琵琶湖富栄養化防止条例をどのように評価しておられるか、まず御意見をお伺いしたい。
  78. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  琵琶湖は、我が国の湖沼のうちにおきまして非常に大規模な――大規模と申しますか、非常に大きな水がめでございます。そうしてまた、琵琶湖の県民の方々は琵琶湖とともに生活をし、そうして滋賀県人としての御性格はこの琵琶湖によってはぐくまれてこられたものでございます。そうしてまた、下流の方におきましてはその水を多く使用していただいておりまして、その人口は二千万にも及ぶというようなことも言われておるわけでございます。  したがって、今先生の御指摘のように、その水がめがいろんな富栄養化の問題あるいは水質汚染の問題、そういうことから非常に取り返しのつかないものになりつつあるということでございますので、それを何とか早くしなくちゃいけないということは、これはもう関西の住民といたしまして皆考えておるところでございますが、特に滋賀県の知事さんが、どうも琵琶湖の汚染の原因は、あるいは富栄養化の大きな原因は有燐の洗剤にあるのではないか、これも一つの大きな原因ではないか、生活雑排水原因があって、その中で有燐の洗剤が非常に大きな原因をなしているのではなかろうか、こういういろいろな調査をされましてお出しをいただいたこの条例でございますが、確かにその一因になっておる、大きな原因にもなっておると思うので、私は高く評価をいたしたいと思うものでございます。  それで、その効果が今現在琵琶湖水質にも漸次あらわれてきておりまして、汚濁が進んでおったのが、富栄養化が進んでおったのがまた少し下がり目になって、毎年少しずつ下がってきております。これはやはりその効果があらわれてきておるのであると思っておるのでございます。
  79. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 そこで問題点をお伺いしますが、窒素、燐の排出基準の設定に関連いたしまして、現在中央公害対策審議会に諮問しておられますが、この燐排出基準がいつごろになるのか。また、その答申の内容が琵琶湖条例の規制値より緩やかな場合、その他霞ケ浦富栄養化防止条例がございますが、これはどうなるのか、その関係をちょっとお伺いしたいと思います。
  80. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 窒素、燐の排出基準につきましては、大体この夏の終わりごろまでには中公審の結論をいただきたいということで、精力的に御検討いただいているところでございます。  それから、国の一般的な規制値でございますが、これは家庭排水に含まれる窒素、燐を基準に、大体それとバランスするような濃度について規制したいと今考えておるわけでございます。  一方、滋賀県あるいは茨城県におかれましては、琵琶湖あるいは霞ケ浦の特性を考えてかなり厳しい規制値を設けられておりますので、先生指摘のように、国の基準を上回る場合、これは十分予想されるわけでございますが、この場合には、今回の国の規制値は水漏法に基づく国の一般的な規制値として定められるわけでございまして、水濁法によれば、各都道府県は、その国の定めます一般的な規制値に、一定の手続をとってでございますけれども上乗せができることになっております。したがいまして、その手続をとっていただきまして、上乗せ基準ということで現在の条例の内容が水濁法上位置づけられる、かようなことになろうかというふうに考えておるわけでございます。
  81. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 そこで、湖沼法の施行期日についてお伺いしますが、法案の附則では「公布の日から起算して一年を超えない範囲」というふうになっておるわけです。また、「政令で定める日から施行する。」と定めているが、環境庁は具体的にいつ公布し、施行しようとしておるのかをお伺いいたします。
  82. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) この法案につきまして御賛同いただきまして成立させていただきました暁には、公布は直ちにやりたい、かように考えておるわけでございます。  施行につきましては、若干準備期間も要るわけでございますけれども、この法律の中で、内閣総理大臣が定めます湖沼水質保全基本方針、それから都道府県知事の指定湖沼の申し出に係る条文でございますが、これは法律の公布と同時に施行いたしたいと考えております。その他の規定につきましては、若干の準備期間が要るわけでございますので、この法律の成立する時期が近々成立させていただけるものとすれば、五十九年度内にもその全文を施行いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  83. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 今菅野さんからいろいろなお話が出ましたが、下水の処理ということにつきましては滋賀県はおくれておる方で、これは八%、これは何とか環境庁建設省の御協力でひとつ促進方をお願いする次第であります。  また、来る八月二十七日ですか、世界湖沼会議というものを催しますが、これは梶木長官のときですが、了解を得たようですが、環境庁の非常に御協力を得られないといいますか、金銭的なですよ、一億七千万円で世界湖沼会議を開催する。これは県会でちょっと問題になったんですが、今の財政難のときに県で一億七千万円支出するということについて、国から少し援助をもらえぬかというような議論が出ておるわけです。こういうことにつきましてひとつ御意見を拝聴したいと思います。
  84. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 世界湖沼会議につきましては、知事さんからお話を承っておるのでございます。したがいまして、それに対しましてできるだけのことは御援助申し上げたいということでございまして、いろいろ具体的に進めておるのでございますが、しかし、今のお金の点につきましては、予算の点につきましては、実は時期がちょっとおくれてしまっておりまして、そういう予算を実は組んでおらないものでございますので、その点を非常に苦慮しておるところでございます。
  85. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 要するに、今回の法律につきまして、琵琶湖のみならず各湖沼とも、非常に水を大事にしなきゃならぬという意識は高まったということを私は理解しておるわけですが、ひとつ環境庁建設省を中心に各省庁とも格段の御努力を願わんことを要望しまして、私の質問を終わります。
  86. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 私は、政府提案によります湖沼水質保全特別措置法案並びに日本社会党の提案によります湖沼環境保全特別措置法案、両案の審議に際しまして、基本認識としてまず環境庁長官にお伺いをいたしたいと存じます。  長官は、社会党提案の湖沼環境保全特別措置法案について、湖沼水質保全や自然環境の保全などをどのように評価をし、どのようにお考えになりますか、まず所見を伺います。
  87. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 大変にお考えをいただいております案であるというふうに実は考えておるのでございますが、私どもの立てました案とは目的は皆同じでございまして、結局姉妹案のような私は関係であると思うのでございます。  その目的とするところは同じでございますが、そのやり方において、私どもの方は少し、何といいますか、ほっそりと、社会党でお立てをいただきました案は非常にふっくらとしておるというところでございますので、そういう意味におきまして、いろいろ実施するときにはこれは同じことをやるので、この法律、この法律、この法律を使って私の方はこれをこう進めます、社会党の方は、一つ法案に全部入れておいてやろうじゃないか、こういうお考えのものでございますので、私は同じようにいけるんじゃないかと思いますが、私どもの方は、今あります法律をひとつぜひとも使わせていただきたい、こういうふうに考えております。
  88. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今環境庁長官から社会党の案についての評価、所見を伺いましたが、せっかくでありますから、この際、大臣席にもいらっしゃるわけでありますから、発議者に伺いたいと思うんです。  政府提案によります湖沼水質保全特別措置法案と比較しますと、社会党の提案であります湖沼環境保全特別措置法案は、湖沼水質保全や自然の環境保全湖沼に即した汚濁負荷量の総量規制及び富栄養化防止のための措置など、政府案よりはるかに実効性のあるというか、すぐれたものであると思うんです。具体的にはどこがどのように異なり、あるいは特徴があり、また政府案についてはどのようにお考えになりますか、所見を伺います。
  89. 丸谷金保

    丸谷金保君 まず第一点は、市民参加の道を開いたということで、三条の二項で、都道府県知事に対して意見を積極的に述べることができるというふうにいたしております。これは、知事さんによっては指定の申し出をしないというような御意向のところもあるように承っておりますので、そういう場合に住民が直接申し出を知事に対して要求できる、こういう市民参加といいますか、そういう道を開いた点が一点でございます。  それから、二十五条で、富栄養に対する対策を挿入してございます。政府案でございますと、これについては、水質汚濁防止法の法文を中公審の答申をまって改正していくというふうなことで対応していこうというお考えのようでございますが、やはりこれはここで一応一つの法の体系としてこの問題にも法案の中で取り組むという姿勢を明らかにした方がいいんじゃなかろうか、それが第二点でございます。  それから、一番根本的に変わっている点、これはもちろん第一条の目的でございますけれども、私どもは、水をきれいにするためには、周辺環境を同じ法律の中で対応していくようにまとめていかなければならない、こう考えておりますし、政府案の方は、水質をきれいにするための対応としては、それぞれの関係法令に依拠する、こういう考えのようでございます。  それから第四点としては、財源措置、これらを明確にして推し進める措置をとらなければ、立派な法律ができても画竜点睛を欠くのではないか、こういうように考えております。  それからもう一つは、許可と届け出の関係で、いわゆる届け出制度よりも一歩強い、できるだけ知事権限を強化して許可制を多く導入する。  以上のような点でございまして、それらの点におきまして、私どもの方がむしろ五十六年中公審答申をできるだけ忠実に採用させてもらって法案を作成した、このように考えております。
  90. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ただいま両法案に対しての基本的認識についてそれぞれお伺いをいたしました。  限られた応問でありますから、以下、私は霞ケ浦を主とする関係についてただしたい、このように考えております。  近年の霞ケ浦水質状況の特徴についてお伺いをいたしますけれども、風光明媚とうたわれ、ワカサギの帆引き漁として特徴を持ち、全国でも有名な霞ケ浦であります。山紫水明の言葉そのままに、関東の名山であります筑波山とセットでその風光をたたえられてきた霞ケ浦も、ここ二、三十年来水質が年々悪化をしてきております。近年では、常に水質ワーストリストの上位を占めるようになってきているわけです。このために、茨城県では去る五十七年九月に、琵琶湖に次いで全国二番目の富栄養化防止条例をつくって、水質の改善に取り組んでいるところであります。  そこで、まず環境庁伺いますが、第一に、近年における霞ケ浦水質状況についてどう把握されていますか。第二に、また特に富栄養化防止条例施行以後の状況についてどのような特徴が見られますか。見解をお伺いをいたします。
  91. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 霞ケ浦の現況水質でございますが、五十七年度の水質は、西浦で一一ppm、北浦で七・一ppmということでございまして、これは、霞ケ浦環境基準湖沼のA類型、CODで三ppmでございますので、三倍強、二倍強の状況になっているわけでございます。また、これに伴いましてアオコの発生が著しく、水道の異臭味、時によってはコイのへい死等の障害が出ているわけでございまして、霞ケ浦状況というのはまことに憂慮すべきものであり、全国的に見ましても汚濁がかなり進んだ湖沼だというふうに認識しているわけでございます。  霞ケ浦につきましては、かかる現状もございまして、茨城県におきましてつとにいろいろ御検討なられて、五十六年末に霞ケ浦富栄養化防止条例を成立され、五十七年二月から一部施行、五十八年九月から全面施行されたわけでございます。全面的に施行されましてからまだ一年も経過しておりませんために、現在直ちに具体的な水質改善の効果が認められる状態にはなっておりません。しかしながら、既に五十六年七月から同じような内容の富栄養化条例を全面施行された琵琶湖につきまして見ますと、先ほど大臣からのお話にもございましたように、燐につきましては数年を出ずして低下傾向が見られ、窒素につきましても五十八年は若干低下を見たというような報告を受けておりまして、霞ケ浦につきましても、将来は同様な効果が期待できるのではないかというふうに今判断しているわけでございます。
  92. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 建設省の方いらっしゃいますか。――那珂川から霞ケ浦、そして利根川の導水路建設で、どのように霞ケ浦の湖水の浄化が改善されるのか、これをまず伺いたい。  それから、建設省では現在試算をしているようですけれども、しかし環境庁の方では試算をしていない、こういうふうに聞いておりますが、これはどういう理由があるんでしょうか。いかがなんですか。それからまた、千葉県の手賀沼の試算状況も同様のようであると聞いているんです。建設省環境庁との省庁間の連携は一体どういうふうになっているんですか。両省から伺います。
  93. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 霞ケ浦の導水事業は、先生御承知のとおり、那珂川の下流部、それから霞ケ浦、それから利根川の下流部を連絡します延長約四十四キロの流況調整河川を建設するものでございまして、これによりまして、霞ケ浦それから那珂川支川の桜川の水質浄化を図りますとともに、毎秒十二・七立方メートルの都市用水の開発を行いまして、あわせて那珂川下流部及び利根川下流部の既得用水の補給など、流水の正常な機能の維持を図るものでございます。  この事業の実施によりまして、那珂川から年間約三・三億立方メートル、利根川から年間約三・二億立方メートル、計六・五億立方メートルの流水が霞ケ浦に導水されることになりまして、これは霞ケ浦水質浄化に非常に大きな効果があるものと期待いたしております。  私どもでもいろいろ試算をしておるわけでございます、先生さっきおっしゃいましたように。私たちの試算によりますと、霞ケ浦水質保全対策の一環といたしまして、現在実施されております排水規制だとか、それから下水道及びし尿処理施設整備、これらの浄化対策と相まって、この霞ケ浦の導水事業を実施することによりまして、現状、先ほど七から一一ppmといったようなお話がございましたが、これが暫定の目標値五ppmには浄化できるものと推定をいたしております。
  94. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) この事業建設省の直轄工事で行われておられまして、当然のことながら、霞ケ浦水質浄化を目的とする上において、私ども環境庁あるいは茨城県の環境局で講じております対策と目的は一致いたしております。ただいま建設省からの御答弁にも、霞ケ浦についての富栄養化防止条例に基づきます県の目標値を使われているわけでございまして、現場の工事事務所と、それから県の環境局との間では十分相談がなされて数値が定められたものだろうというふうに考えております。  今後の問題でございますけれども、従来、先生の今御質問いただきましたように、同じ目的でありながら各省ばらばらで仕事が進められてきたということがあるわけでございまして、今後、湖沼法をお認めいただきました暁には、この水質保全計画におきまして今の事業が重要な一つ対策事業として位置づけられるわけでございまして、国のレベルでも環境庁建設省の間で相談が行われることに当然なっていくだろうと思います。今先生不思議であるというふうに言われたわけでございますが、従来の行政組織でも、個別に各担当者間ではいろいろ交流があったわけでございますけれども、今後制度的にもきちっと各省の事業が整合的に進められるようにやってまいりたい、かような観点で今度の制度を仕組んだわけでございます。
  95. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ひとつ密接な連携の上に一体になって浄化をしていただきたいと思うんです。  次に、現行の県の施策と法案による施策との重複について伺いたいと思うんですけれども、茨城県は、霞ケ浦富栄養化防止条例を施行すると同時に、同条例に基づく霞ケ浦富栄養化防止計画というものを策定をして、霞ケ浦浄化のための諾施策を推進をしているわけです。この計画によりますと、現在西浦、北浦、常陸利根川の全平均で九・一ppmのCOD値を六十五年に六ppm台にすることを目標としているわけなんです。窒素や燐については、要因別流入負荷削減目標を定めているんですね。また目標達成のための基本的方策としては、下水道整備など生活排水対策工場事業場排水対策、農業排水対策、畜産排水対策、漁類養殖対策及び湖内浄化策などの推進を挙げているわけなんです。  このように、現行の県の計画の内容を見ますと、提案をされております湖沼法案の施策はほとんど盛り込まれているわけなんです。ただ、違う点といえば、湖沼法案には新増設工場事業場に対する負荷量の規制がある、こういう点だと思うんです。震ケ浦が湖沼法案による指定湖沼指定された場合、県は湖沼水質保全計画を作成することになりますけれども、その内容は現在ある富栄養化防止基本計画とさして異なるものではない、こういうふうに考えるんですね。  こういうように見てきますと、湖沼法案は、少なくとも霞ケ浦に関する限り、現在県が進めている諸施策に何ほどのものをつけ加えることができるのかちょっと疑問に思うんです。  そこで、伺いますが、この点について環境庁はどういうような見解を持っておられるのか、この際伺います。
  96. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私ども湖沼法を仕組むに当たりましては、非常に先進的に意欲的に取り組んでこられました茨城県あるいは滋賀県の経験を十分いろいろ勉強いたしまして、それに基づいて制度を仕組んでいるわけでございまして、その意味では、先生おっしゃるように、つけ加えるべき何ほどのものもないではないかというふうに今おっしゃられれば、その御指摘は確かに認めざるを得ない点があろうかと思います。  しかしながら、この計画を立てられるに当たっては、これは都道府県の担当者が大変な御努力をされているわけでございますと申しますのは、例えば農業、畜産業、漁類養殖業、これはそれぞれの行政目的を持っておりまして、中央官庁の農水省、ただいまの例で言えば農水省の指導が行われているわけでございます。それに対して、いわば霞ケ浦水質保全のために新しい規制をかけていくことになるわけで、各都道府県の担当官がお百度を中央官庁に踏んでこういう計画をつくられているという実態があるわけでございます。  そのような点もあって、今回の湖沼法については、私どもから申し上げるのもいかがかと思いますが、都道府県の実務担当者から、いろいろ不満な点はあるけれども、やはり仕事がやりよくなるから早くつくってくれ、こういう御意見を承っているところでございます。この点、計画作成についてでございます。  それから第二点は、今回茨城県でも、現在の富栄養化防止条例で目標達成のためには各種事業を予定されているわけでございます、下水道整備を初めといたしまして。これにつきましては、予算単年度主義でございますので、国の財政措置がない限りはなかなか計画を立てにくい面もあるわけでございまして、従来の予算配分の実績等から見てこのくらいは何とか確保できるだろうということで県はやられたわけでございますが、今回茨城県の立てられました富栄養化防止条例に基づく計画が、恐らく基本的には、年次の若干の調整を除いてはそのまま水質保全計画の内容になってくると思うわけでございますけれども、それについては、今度は私どもで県からの計画を提出いただきましたら、各省に申し上げて、まあいろいろ予算面の制約はあるにしても、最低限六ppm台の水質というのは暫定目標としてはいわば最低限の目標だろうと思います、現に上水道として使われているわけでございますから、それを達成するためには予算的に協力していただきたい。それからまた、仮にある部局で無理ならば、それにかわるような代替措置で予算的に余裕のある方策はないかというようなことも県と一緒に御相談して、またそれぞれの所管庁に御相談申し上げる。  こういうようなことをして、現在茨城県が非常に努力されてつくられた富栄養化防止条例を国のレベルでも全面的にバックアップして実効あるものにしていきたい、かように考えているわけでございます。  そのような点で、確かに先生の御指摘はつけ加えるべき何物もないではないかというのは、計画のいわば形式的な中身ではそのとおりでございますけれども、それを実効あらしめる点で私どもも相当お役に立ち得るのではないか、この湖沼法に基づく水質保全計画はお役に立ち得るんではないか、かように考えておる次第でございまして、今申し上げましたことかうそにならないように今後努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  97. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 うそにならないようにということですから、基本計画ですから、具体的な推進については十分な表づけをぜひひとつ環境庁挙げて取り組んでいただきたい。お願いをしておきます。  そこで、富栄養化問題に関連をして霞ケ浦のアオコの毒素判定について伺いたいと思うんです。  昨年だと思うんですが、東北大と東京都が調査をしたその結果、東北大の方では毒素あり、こういうふうに結果が出ているんですね。ところが都庁の方では毒素なしとなっていると聞くんです。こうしたことを見ると、先ほども指摘しましたように、省庁間、研究所間の、国立公害研究所と筑波大の研究体制の横のつながり、こういうのが欠如していると思われるんです。  そこで、総合体制ということは一体どういうことになるんですか、これを伺います。
  98. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) ただいま御指摘の点でございますが、私どもも、先生指摘のように東京都の衛生研究所において四種のアオコについてマウスに対する毒性試験を行ったところ、一種について毒性があるという報告があり、一方東北大の研究では毒性がない、私どもはそのように聞いているわけでございます。  これにつきましては、国公研もそのようなやや内容の異なった報告が出たことについては大変関心を持っておりまして、国公研で、筑波大あるいは東京都の衛生研究所等と研究グループを結成してこのアオコの毒性の研究に今後取り組むための具体的なプランについて検討している段階でございまして、そのような状態にあることを一応御報告しておきます。
  99. 重藤学二

    説明員(重藤学二君) お答えいたします。  文部省といたしましては、問題になっております環境と人間生活の関係のことにつきましては、極めて正安でございますので、文部省に科学研究費補助金という予算制度がございますが、昭和五十二年から特別に環境科学特別研究という枠を設けまして、現在大体十億円ぐらいの予算でございますが、これを設けまして、全国的にいろんな分野の研究者、それからいろんな研究機関の研究者による共同の研究を推進してきております。過去にも、霞ケ浦につきましても五十三年からかなり総合的な研究調査を実施いたしましたし、それから過去五年の間に筑波大学の研究者はもちろん、国立公害研究所の研究者もこの文部省の科学研究費補助金による研究を実施いたしております。それからなお、筑波大学では学内で何人かの研究者が霞ケ浦につきましてのいろんな研究をそれぞれの専門的な立場からいたしております。  それで、文部省といたしましても、大学あるいは国立公害研究所あるいは都道府県の研究者、そういう研究者による総合的な研究チームで特に研究計画を立てた場合には、その申請を受けて、しかるべき審査の上で補助金、研究費を交付いたしておりますが、なるべく総合的な立場からの研究、解明ということが望ましいと考えますので、そういう申請があれば審査の上検討したいというふうに考えております。
  100. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、環境基準の達成の見込みについて伺います。  霞ケ浦のCOD環境基準値はA類型、三ppm以下、こうなっていますけれども、現状は、五十七年度時点の全平均で、B類型の五ppmはおろか、C類型の八ppmをオーバーしているという今日の汚れようなんですね。環境の基準類型の当てはめを行った昭和四十七年当時、県では基準値三ppmを目標に浄化方策を立ててきましたけれども、その後この値は達成不可能、こういうように判断をして八ppmに目標値が引き下げられた経緯があるわけですね。ところが、さらに、その後富栄養化防止条例の施行に伴って作成をされました基本計画では、今度は六ppmに引き上げられた。  そこで、今回この湖沼法案が成立した場合、第一に、目標値、これは幾らにするか。第二に、達成時期、これはいつになるのか。それから第三に、環境基準値の三ppmの達成の可能性というものはあるのかどうか。それから第四に、達成の見込みがないとすれば、基準類型の当てはめというものを変更する意図というのがあるのか。この四つの諸点について伺います。
  101. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 霞ケ浦につきましては、現実に数十万の方々の飲用水の水源とされている、かようなことから、現在の水質環境基準は、CODについて申し上げますと、水道利用の可能な限界というのは三ppmであることが望ましい、こういうようなところから三ppmという当てはめが行われたわけでございます。しかしながら、現実状況は、今先生から御紹介のございましたように、富栄養化防止条例の目標年次六十五年では、四十年代の半ばの水質の六ppm台、こういうような目標が置かれたわけでございます。したがいまして、私ども今後この水質保全計画を立てる際の検討課題となるわけでございますけれども、やはり現在の富栄養化防止条例が、各種いろいろな環境条件を十分詰めた上で立てられたものであれば、それに近い値になるであろうということは大体予想できるわけでございます。  しからば、じゃ一体いつ達成できるか、こういうことになるわけでございますが、これは五年ごとに改定するわけでございますが、現在の段階では、今後の下水道整備予算をどのくらい確保できるかというようなことも関連いたしてまいる関係上、具体的に十年以内なら必ずやってみせるということをここで断言するわけにはまいらないわけでございますが、再三申し上げておりますように、水道水源になっているという現状を踏まえ、できるだけ早くこの目標が達成できるように各種対策推進するように私どもも努力してまいりたい、かように考えるわけでございます。  それから、当てはめをそれでは変えるのかということでございますが、この環境基準そのものを引き下げるということよりも、むしろ環境基準をやはり終局的目的として、中間的に可能な目標を示していく、こういうような方向で対応してまいりたい、かように考えているわけでございます。この点につきましては、茨城県ともよく協議の上、現実的であり、かつまた、霞ケ浦が数十万の方々の水道水源になっている事実を十分認識した数値が打ち出されるように相談してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  102. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 局長、十年とかいろんなことを言われるんですが、そういうことでは困るんです。  水道水源について言うと、御承知のとおり、霞ケ浦周辺の住民は、現に水道二級の、CODの三ppmをはるかに超える汚れた、しかも悪臭のある水源の水を飲まされているんですよ。本委員会では六日に御視察になるそうでありますから、先生方にもごらんいただければわかるとおり、しかも、そういう水源の水を飲まされていて、これが将来とも基準を達成する見込みがない、こういう現状では大変困るんですね。このような水源の水を永久に飲まされることについて一体どういうふうに、国民の健康、保健、日常生活の問題ですから、考えているのか。ひとつ長官から責任ある御答弁をいただきたいと思うんです。  特に、浄水技術の高度化によって、汚れた水を無理して飲料水に適するまでには大変な苦労をしているんですね。さらに、これに伴う危険性が最近言われているんです。こうした現状や事態に対して環境庁どういうふうにお考えになっているのか。思い切って水源を切りかえるなどの措置をとる必要性が私はあると思うんです。ですから、そういうことについて大臣からひとつ責任ある御答弁をいただきたいと思うんですよ。
  103. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  環境庁といたしましては、水道水源でございます霞ケ浦水質保全は非常に重大なことであると認識をいたしておるのでございますが、何分霞ケ浦水質がもう既に悪くなってしまっておりまして、その対策として今建設省の方でも導水計画をお立てをいただいて、そして早くこれを良質に変えていきたい、こういうことでおやりをいただいておるのでございます。そのほかに、いろいろ県の方におきましても、霞ケ浦富栄養化防止条例をおつくりをいただいて、そうしてこの浄化に努めていただいておるのでございますが、そういうもろもろの施策、これをひとつやはり計画的に一本に早くして、そうしてそれを実行していってよくしていかなければならない、こういうことでこの法案お願いをいたしておりますので、これを速やかに御審査をいただきまして、そうして霞ケ浦を込めました、今水源として悪いものをよくしていくということをさせていただきたいと考えておるものでございます。
  104. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 長官、ぜひひとつ一日も早く浄化の方へお願いをいたしたいと思います。  次に、下水道計画について伺います。  霞ケ浦流域の人口というのは約八十二万人であります。このうち、まず一つ目としては、下水道計画がある区域の人口はどのぐらいか。二番目として、計画がない区域の人口、これは幾らか。それから三番目として、現在の下水処理人口並びに各流域下水道及び単独公共下水道計画による目標の処理人口及び目標の年次、この際示していただきたいと思うんです。さらに、下水道計画がない区域の生活排水対策、これはどのように進めるのか、あわせまして伺いたいと思います。
  105. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  霞ケ浦の流域内に住んでおります人口は現在約八十万人でございますけれども、このうち下水道計画のある地域に住んでおります人口は約七〇%の五十五万人程度でございまして、したがいまして残り約三〇%、二十五万人程度計画のない地区に住んでいるということと推定いたしております。  次に、霞ケ浦関連下水道事業状況でございますが、現在霞ケ浦関連いたします下水道といたしましては、霞ケ浦常南流域の流域下水道及び湖北の流域下水道、もう一つ霞ケ浦水郷流域下水道、三カ所の流域下水道事業が行われております。また、単独の公共下水道といたしまして、神栖町の公共下水道、それから鹿島町の公共下水道が実施されております。  これらの、現在事業実施しております下水道計画処理人口は八十七万七千人でございます。それぞれの事業につきまして事業の着手の年度はそれぞれ違っておりますが、一番早いのは潮来町の下水道でございます。これは、先ほど申し上げました霞ケ浦水郷流域下水道に現在切りかわっておりますけれども、四十七年に着手をいたしました。その後逐次事業を開始しております。また、供用開始、つまり処理開始につきましては、霞ケ浦常南流域下水道が昭和五十一年に供用開始をいたしまして、以下霞ケ浦湖北、神栖町それから霞ケ浦水郷については、五十二年ないしは五十三年に通水を開始しております。鹿島町の下水道については、現在終末処理場の建設を進めているという状況でございます。  五十七年度末の数値でございますけれども処理人口は約九万七千人程度で、普及率に換算いたしますと約一二%程度でございます。  それから、下水道計画のない地域生活排水に対してどういうふうにするのかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、やはり生活排水対策としては、基本的には下水道整備の促進を図るということが最も重要であるというふうに考えておりますけれども湖沼周辺などにおきまして、特に生活雑排水によりまして汚濁が問題になるというような地域で、かつ下水道計画がないというような場合には、一つの例でございますけれども、昭和五十八年度に創設いたしました都市下水路雑排水対策モデル事業などで対応するというようなことも考えられるのではないかと思っているところでございます。
  106. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ヘドロのしゅんせつについて次に伺いますけれども霞ケ浦に堆積されているヘドロというのは約五千万トンと推計されておりますけれども、第一に、ヘドロのしゅんせつ計画の概要及びその実績、これについて御説明をいただきたいと思うんです。  二番目に、しゅんせつしたヘドロの処理、処分、これはどのように行っているのか。  それから三番目に、霞ケ浦湖底ヘドロの排除船を、従来四隻あったのが二隻に減らされたと聞くんです。減らされた理由というのは何なんですか。  あわせまして諸点について伺います。
  107. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 霞ケ浦のしゅんせつの概要と実績でございますが、霞ケ浦においては、湖の水質改善を図るため、昭和五十年度から直轄河川環境整備事業として湖底に堆積したヘドロしゅんせつを実施しておるところでございまして、昭和五十八年度までに事業費二十一億八千万円で約五十四万立米のしゅんせつを完了しております。  ヘドロの処理の方法でございますが、ポンプしゅんせつ船でしゅんせつしたヘドロは、湖辺の処理ヤードへ運搬しまして、十分天日乾燥した後に湖の周辺の公共用地等へ処分しているところでございます。  それから排除船のことでございますが、霞ケ浦においては昭和五十年度からポンプしゅんせつ船を一そう、さらに、五十一年度からはアオコの水面清掃船と藻切り船を各一そう、昭和五十四年度からは処理船を一そう、さらに五十六年度からはアオコの水面清掃船を一そうと逐次就航させまして、現在までに合計五隻が動いているところでございます。  以上でございます。
  108. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 減っているということはないんですね。
  109. 近藤徹

    説明員近藤徹君) ございません。
  110. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、しゅんせつヘドロの処分と、埋め立て、干拓について伺います。  諏訪湖では、しゅんせつしたヘドロを湖に埋め立てておりまして、このため湖沼環境が二次的に悪化している、こういうふうに聞いているんです。霞ケ浦では現在埋め立て、干拓は行われておりませんけれども、今後とも行う計画がない、こういうふうなことを聞いているんですけれども、今後のしゅんせつヘドロの処分に係るものを含めて埋め立て、干拓は行わない、こういうことをこの際確約できますかどうか。できれば長官からひとつお答えをいただきたいと思います。
  111. 近藤徹

    説明員近藤徹君) しゅんせつしたヘドロは、天日乾燥した後湖周辺の公共用地等へ現在まで処分しており、今後とも湖の埋め立て、干拓に使用する予定はございません。  なお、諏訪湖の関係でございますが、私ども現地に問い合わせたところでは、埋め立てたヘドロは流出しないよう十分しっかりした構造で現在まで実施しておりまして、今のところそれが直接原因水質汚濁につながったということは聞いておりません。
  112. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今後のあれはないと確約できますか、今後埋め立て、干拓はやらないと。
  113. 近藤徹

    説明員近藤徹君) そのような予定は現在ございません。
  114. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 埋め立て、干拓は湖水の水質等に非常に影響があることは御指摘のとおりでございます。これは、今後水質保全計画を立てて運用していくわけでございますが、埋め立て、干拓を行う場合には公有水面埋立法により所要の手続がとられるわけでございまして、その前提といたしまして、水質保全計画内でそのような埋め立て、干拓に対する考え方も恐らく書き込むことになろうかと思うわけでございます。  私ども現在霞ケ浦についての具体的な事情について承知しておりませんので、ここではっきり申し上げかねるわけでございますけれども、今のような趣旨を水質保全計画等に織り込んで霞ケ浦水質浄化に遺憾のないようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  115. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、水がめ化による水質の悪化について伺います。  霞ケ浦開発事業実施計画によって、現在、逆水門から太平洋に流出する年間十三億ないし十四億トンの水というものを五億トンに減らして、差し引き八億トンないし九億トンをさらに工場用水等に利用しようとするための工事が六十一年三月完成を目指して進められているわけです。これが完成しますと一霞ケ浦はいわゆる水がめ化して、閉鎖性が一層強まるわけです。これは御承知のとおりに水質の悪化がさらに進むことは当然言えるわけですし、これは八郎潟や児島湖の先例を見ても容易に想像できるわけなんです。この計画の完成に伴いまして水質というものはどの程度悪化すると予想しているのか。  それからまた、水質改善のためには、逆に海への流出量を今よりもふやして流動性を高める必要がある、こういうふうに思うんですけれども、これについてはいかがお考えですか。
  116. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) お答えいたします。  霞ケ浦から現在海へ出ております年間総流出量は、最近の三十カ年の平均値で見ますと、今先生がおっしゃいました数字から実際に使っておる水を別に抜き出しておりますから、海へ出ておりますのは約十一億トンが出ております。この開発事業実施後は、御承知のように毎秒四十立方メートルの都市用水、農業用水を取水いたします関係上、先ほどおっしゃいました年間おおむね約五億立方メートルに減ります。  ところで、先ほど申し上げましたように、霞ケ浦導水事業で年間約六・五億トンの水を霞ケ浦に持ってまいりますので、これを、取水する水も入れまして換算をいたしますと、海へ出ます水はおおむね約九億立方メートルになります。したがいまして、海へ出ます流出量というのは現状よりゃや減少するわけでございますが、先ほど来話の出ております排水規制あるいは下水道あるいはし尿処理施設、こういったものの建設などとあわせまして、清浄なこういう多量な水を流入させることによりまして霞ケ浦そのものの水の回転率が上がりまして、水質は相当改善されるものである、このように考えております。
  117. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、自然湖岸線の減少についてお伺いをしますけれども霞ケ浦開発計画によって八億ないし九億トンの水の太平洋への流出をとめることに伴って、霞ケ浦の水位の上昇に備えて湖岸堤の建設が今行われているわけですね。このため、水辺の動植物が生忌をして湖水の自然浄化にすぐれた機能を持つなぎさ線というものは年々減少しているわけです。霞ケ浦の湖岸線の総延長、そのうち現在の自然湖岸線の延長及び人工湖岸の延長、それぞれどのぐらいになるのか、ひとつ教えていただきたいと思うんです。  また、開発事業完成時における自然の湖岸線延長及び人工湖岸線延長はそれぞれどのぐらいになるのか、これもあわせて教えていただきたいと思うんです。  さらに、なぎさ線の消滅に対する代償の措置として、琵琶湖で行っているような人工なぎさをつくる計画霞ケ浦にあるのかどうか、あわせまして伺います。
  118. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 霞ケ浦におきましては、総湖岸延長が約二百キロメートルございます。そのうち霞ケ浦開発事業開始以前に既に約百八十キロメートルの区間にわたりましては堤防がございました。そして湖周辺の土地利用が図られておったわけでございます。この開発事業におきましては、この約百八十キロメートルの区間の概成堤防に対しまして堤防の腹づけを行ったり、それからかさ上げを行ったりしまして所定の堤防断面のものに改築をいたしましたり、あるいは護岸の補強を行います。それと同時にまた、残っております約二十キロの区間につきましては、無堤区間ございますが、これにつきましては、堤防を新築いたしまして、湖周辺の洪水によります浸水を防除いたすことといたしております。  そこで、琵琶湖では、先生がおっしゃいましたように、新たに湖岸堤とか湖中堤を建設するに際しまして、極力自然の前浜を残すということにしておりますけれども、約六キロ区間にわたりましては、消波効果の機能の増進を兼ねまして人工の前浜を設置することにいたしております。ところが霞ケ浦におきましては、琵琶湖に比べまして対岸距離が非常に短いわけですし、それから水深も平均四メートルでございまして、非常に浅いわけでございまして、特に消波効果を期待するような前浜というものは必要でございません。  湖岸総延長は先ほど申し上げましたように、二百キロのうち大部分の百八十キロにつきましては既に何らかの形での堤防ができておりましたわけでございまして、これを、先ほど来申し上げましたように、堤防をもっと強固なものにするに際しましては、前面の砂浜など状況を極力変化させないように配慮しながら実施をいたしております。それから、残りの二十キロの区間内の一部につきましては、この湖岸堤の築造に際しまして、前浜を保全したり、あるいは親水機能の確保のための砂どめ工などを実施する計画といたしておりまして、いろいろ御指摘の件につきましては極力配慮をしてやっておるつもりでございます。
  119. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、国定公園の関係について伺いますけれども、水郷筑波国定公園の概要、それからその沿革、その特徴、この際御説明をいただきたいと思うんです。  それからさらに加えまして、国定公園霞ケ浦保全方策についてもあわせ伺いますけれども、茨城県の環境白書によりますと、県内の国定公園、県立自然公園の特別地域内の開発行為にかかわる許可申請等件数は、昭和四十三年の三十七件から年々増加しているんですね。五十五年には二百七十八件で、四十三年を一〇〇とした指数で計算しますと、七五一と大幅な伸びを示しているわけですね。霞ケ浦地区に限ってもこの傾向は同様であると思うんです。これはどういうふうにお考えですか、それをまず伺います。  同時に、湖岸堤の建設などで湖岸や湖辺の改変が進みまして、国定公園の特別地域としての価値が低下している霞ケ浦地区の近年の状況をどういうように認識されているのか、あわせまして伺い、さらに、このような霞ケ浦の地区を今後どのように保全をしていくのか、その具体策をひとつ伺いたいと思います。
  120. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。  水郷筑波国定公団でございますが、昭和三十四年に水郷国定公園といたしまして、まず指定が行われております。次いで、十年たちました四十四年に筑波地区が取り入れられまして、拡張を見ておりまして、その結果水郷筑波国定公園という名称になったわけでございます。そして、昭和五十七年にこの全体の国定公園の中身を再検討をいたしまして、新しい保護計画あるいは利用計画を策定したところでございます。  その概要はもう既に先生は御存じのとおりでありますが、水郷地域が面積が約二万一千ヘクタール、大部分が第三種特別地域でございますが、この湖水面を約二万ヘクタール含んでおるわけであります。また、筑波地区につきましては、面積が一万ヘクタール強ということでございまして、これまた大部分が第三種の特別地域、こういう地種区分になっております。  特徴といたしましては、何といいましても我が国の湖沼琵琶湖に次いで二番目に大きい霞ケ浦、あるいはまた、利根川といったものと一体となりましての広大な内水面、あるいはその周辺にあります鹿島神宮あるいは潮米というような人文景観と申しますか、これらが一体となった景観を特徴として持っている。さらにはまた、犬吠町に代表されるような、何といいますか豪快な海食崖の景観がある。また、筑波につきましては、平野部に屹立しております、豊かな植物層を持っておる、そういう筑波山の景観、こういうことが総体としてのあの国定公園の特徴であろうと考えておるわけであります。  次いで第二点、先生指摘の茨城県環境白書を引用されての許可件数、申請件数の増加傾向でございます。これについて若干私ども茨城県にも尋ねたところでありまするが、茨城県におきましては、先ほどの国定公園あるいは県立自然公園、この両面につきまして、県土の自然環境を保全していきたいというようなことで積極的に自然公園の区域拡張を推進してこられたわけであります。そういうことが背景になりまして、先生指摘の三十七件というその四十三年当時と比較いたしますと、特別地域の面積がち工うど七、八倍に拡大しておるのであります。先生、指数で七百数十という指数を申されましたが、どうもそれに一応パラレルに関係しているのではないか。つまり、特別地域でございますといろいろな行為の許可が要るわけでございますので、どうも特別地域の面積拡大が深くこれに関連しているのではないかと考えております。もちろんそのほかに社会経済状況もあろうと思いますが、一応はそういうふうに考えております。  ちょっと水郷地区だけについて申し上げますると、昭和四十三年のデータありません。昭和四十五年で五十三件でございまして、確かに昭和五十四、五年は九十件とか九十七件とか、百件に近い申請件数がありますが、また最近五十七年、五十八年では十二件とか十一件とか極めて減っておる、こういう状況でございますので、いろいろと変動はありまするけれども、あの増加傾向がそのまま伸びているという関係ではございません。これだけは事実のようでございます。そういうふうに認識をしておるところであります。  それから第三点でございますが、先ほど建設省の方から御説明申し上げました例の湖山岸堤の建設、これに関連しての国定公園としての価値低下ということに関してのお尋ねでございます。  何と申しますか、私ども公園の景観というものを考えます場合に、全体としてといいますか、一体としてといいますか、極めてそれもマクロに、大きな地域をとらえるというそういう感覚的なところがございまして、そういう意味で、湖沼なり河川の何といいましても広大な水域景観、これがあそこの特徴でございますので、それをまた主たる保護対象としているというようなことでございますので、湖岸堤などの建設によってもちろん局地的にはいろいろと変化があることは避けられないと思っておりまするが、また、そのことの是非は別にいたしまして、国定公園全体としての価値が特にこれによって低下しているとは考えていないのであります。  なおまた、今後の保全策につきましては、先ほどももちょっと冒頭で触れましたように、五十七年三月にこの水郷地域全体の見直しを行いまして再検討したわけでございますが、水域の景観保護強化を図るために、この再検討結果を踏まえまして今後ともこの水域景観の保護に万全を期したい、かように考えておるところでございます。
  121. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、山林保全の方策について伺います。  山林が栄養塩類を吸収する作用というものは著しいものがある。茨城大学の高村助教授の報告によりますと、年間一平方キロ当たり一トンの窒素が流入するのに対して、流出する量というのは〇・三トンで、差し引き〇・七トンが山林に吸着される、こう述べているんですね。また、燐の場合は〇・〇四トンの流入に対して、流出は〇・〇三トン、差し引き〇・〇一トンが山林に吸収される、こう述べているんです。このように水域の浄化に果たす山林の役割は極めて大きなものがあると思うんです。  霞ケ浦流域の土地利用状況を見ますと、地形の関係から、琵琶湖などに比べまして早くから農地化が進んできたところへ、近年工場用地、宅地というものの造成のために山林の消滅が急速に進行しているんです。流域に占める山地の比率というものは、琵琶湖が七三・三%であるのに対して、霞ケ浦は二五・〇%、格段に低いわけなんです。水質浄化機能の点で一段と不利な条件を背負っていると考えられるんです。  霞ケ浦流域における十年前及び現在の山林面積、さらに今後の山林保全の具体的方策についてはどのように進めるのか、この際示していただきたいと思うんです。
  122. 野村靖

    説明員(野村靖君) 霞ケ浦周辺の森林面積の推移でございますが、霞ケ浦周辺には三つの森林計画区がございまして、森林計画区と申しますのは、都道府県知事が樹立をいたします地域森林計画の樹立単位でございますが、この三つの森林計画区内に所在します森林面積は、昭和四十八年には約十万一千ヘクタールございましたが、昭和五十八年には約九万五千ヘクタールとなっておりまして、減少の傾向が見られております。  先生指摘のとおり、森林は水源の涵養、環境の保全等、公益的な面で多面的な機能を持っておりまして、水質保全する上でも大きな役割を果たしていると考えております。林野庁といたしましては、このような森林の持っております諸機能を高度に発揮させるために、計画的な森林施業の実施を通じまして、活力のある健全な森林の維持造成に努めているところでございますが、今後とも森林計画制度、保安林制度あるいは林地開発許可制度等の適切な運用を図り、また造林事業、治山事業等の公共事業の実施を通じまして森林の保全を図り、公益的機能の発揮に努めてまいりたい、かよう考えている次第でございます。
  123. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 森林の保全につきましては、第一義的には、林野行政の面からただいま林野庁から御答弁のあったような諸施策が講ぜられるわけでございますが、それ以外にも、都市計画法施行地域で線引きがあれば開発許可制度等もかかってくるわけでございます。その他の各種開発規制、法制を総合的に運用いたしまして、霞ケ浦水質に対する影響をできるだけ軽微にする、このように努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  124. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、国立公害研究所の淡水赤潮研究について伺います。  国立公害研究所では、霞ケ浦に臨時実験場を設けるなどして、淡水赤潮の発生機構等の研究を行っている、こういうことを聞いているんですけれども、現在までに得られた研究成果、これについてこの際御報告をいただきたいと思うんです。
  125. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 国立公害研究所は、ただいまお話ございましたように臨湖実験施設を設げるほか、赤潮発生装置、マイクロコズムと申しておりますが、を持っておりまして、淡水赤潮、それから赤潮一般について研究を進めているわけでございますが、これは淡水赤潮に限らず赤潮につきましては発生機構は非常に複雑でございまして、一つは、非常に富栄養化が進むということはもちろんあるわけでございますが、それ以外にも、各種植物プランクトンの中で一定の種が非常に成長していきますために必要な微量要素、それからさらに、それが集団にまとまって広範に広がっていくための物理的な現象、原因と、各種要因が組み合わされているようでございます。  これがまた各赤潮の、それぞれの湖ごとに植物プランクトンの種類が違っているようでございまして、植物プランクトンの種類ごとに今のような点について知見を詰めていくということになるわけでございますが、淡水赤潮につきましては、現在までのところ一応赤潮生物の増殖要因の解明はほぼできた。これは幾つかのプランクトンに限られているわけでございます。これはマイクロコズムで大体発生温度等、それから塩分濃度等を、これは海の赤潮の場合でございますが、増殖をコントロールできるような段階にまではなってきているようでございます。今後はさらに臨湖実験等の施設も使いまして、より具体的な発生機構の解明、こういうようなところに重点を移してまいりたい、かように考えているわけでございます。  特に赤潮につきましては、経常研究といたしまして、ダム湖における淡水赤潮発生機構解明に関する研究として、五十七年から六十年度までの研究期間をとりまして、赤潮生物の増殖要因及び生成機構の解明、これは大体ほぼ今申し上げましたようにできたわけでございます。さらに今度は赤潮生物発生に対する制御手法の検討、こういうところを研究してまいりたい、こういうふうに予定しているわけでございます。
  126. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、調査研究推進の具体的方策についてこの際伺います。  五十六年一月の「湖沼環境保全のための制度のあり方について」という中公審答申では、「国及び地方公共団体は、湖沼の環境保全に関する調査研究及び技術開発を促進する必要がある。」こういうふうに述べております。本法案の第一項にもこの趣旨のことが書かれておりますけれども、今後調査研究が具体的にどのように進められるのか、この際伺います。
  127. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖水の水質保全に係る調査研究につきましては、環境庁の附属機関である国立公害研究所が中心になって各種研究機関と連携をとりながら研究を進めてまいる、かようなことになるわけでございまして、このようなシステムを通じて遺憾のないように研究を進めてまいりたい、こういうようなことに考えているわけでございます。
  128. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 時間もわずかでありますから、長官と発議者の方にこれから締めくくりとして御質問申し上げ、御要請を申し上げたいと思います。  長官、今までの質疑を通じても明らかのように、政府提案によります湖沼水質保全特別措置法案では、残念ながら霞ケ浦は完全によみがえらない、こういうように思うんです。すでに霞ケ浦に関心を持つ多くの人の間では、霞ケ浦は死んでいる、こういうふうにまで言われている現状なんですね。霞ケ浦水質はもちろんでありますけれども、美しい自然の環境を取り戻し、ワカサギの帆引き漁が回復できるためにも一日も早く湖をよみがえらせなきゃならないと思うんです。  そこで環境庁長官に要請を含めて所見を伺いますが、この際、政府提案の湖沼水質保全特別措置法案を思い切って修正でもしまして、今回の日本社会党提案によります、一段とすぐれた実効性のある湖沼環境保全特別措置法を本委員会において成立させるべきだと私は考えます。長官いかがですか。
  129. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  私は、日本の行政というものはいろいろ縦割り行政というふうなことが言われておりますが、また一面におきまして、いろいろな省がおのおのその特色を発揮して行政をおやりをいただいておるのでございます。今の環境の保全につきまして各省においてもいろいろ対策を立てていただいておる、また水質の問題においてもいろいろ計画を立てていただいておるのでございます。しかし、それが縦割り行政だからばらばらになっておるということは、これは否めないのでございます。したがいまして、これを一つ計画に持っていくということにおいて、そうしてそういう調整官庁が必要であるということから環境庁がつくられて今やらせていただいておると思うのでございます。  そういう意味におきまして、各省の立てておられますいろいろな計画、あるいはまた各省がお持ちをいただいております各法令、こういうものを使いまして、そうしてこれに当たっていったら一番早くできていくと私は考えておるものでございます。環境庁は、そういう意味におきまして関係各省の御協力をいただきたい。それには、環境庁一つ法律でぐっと自分で締めてやっていくというようなことになりますと、やはり関係各省はこれは協力が薄れてくるということでもありますので、環境庁としては今のこの法律でやらせていただきたいと念願をいたしております。
  130. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 最後でありますけれども、私も質疑を通じて幾つかの提案をし、要請をいたしました。そういう意味では環境庁を挙げて長官を初めとして激励をしている、そういう立場だと思います。ひとつ浄化のために一層の御尽力をいただきたいと思います。  最後でありますが、せっかくであります、湖沼環境保全特別措置法の発議者であられる丸谷先生に所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思いますが、今まで私の質問を通じても明らかなように、政府提案の湖沼水質保全特別措置法案と比較検討いたしますと、湖沼が、安定的な水資源だとかあるいは水産の場としての機能とか、その他人間にとって多様な機能を営む重要な水域として、その恵沢を国民が享受するためにも湖沼環境保全特別措置法の成立をぜひ期すべきである、こういうふうに私は思うんです。どうも強く感じてなりません。  あわせましては、霞ケ浦についても、申し上げましたとおりに霞ケ浦は茨城県民にとって大きな資産であります。あるいは全国民の貴重な自然の資産でもあると思うんです。しかも、明年は御承知のとおりに科学万博が筑波で開催をされます。世界の人々が霞ケ浦を見るわけです。科学と自然を比較して、そういうふうに見られると思うんですね。著しい科学の進歩と調和のとれた美しい霞ケ浦の自然が相まってこそ科学万博も価値あるものと考えるんです。  湖沼水質はもちろん、これに影響を及ぼす周辺の自然環境を一体として保全するという立場から、最後に丸谷先生の所見を伺いまして、私の質問を終わります。
  131. 丸谷金保

    丸谷金保君 湖沼の汚染をできるだけ早く改善しなきゃならぬというのは、国民的な要望であろうと思います。そういう点で言いますと、今御指摘のございました、科学万博を控えての霞ケ浦というのは国際的に見ても緊急を要するということは、これは論をまたないところでございます。したがいまして、そういう点から言いますと、私どもはやはり思い切った政策遂行、そういう法的な裏づけを持った環境行政、こういうものが必要でなかろうか、かように考えております。  したがって、そういう観点から見ますと、政府法案というのは、それぞれ既存の法体系を縦横に駆使して効果を上げよう、これも一つ考え方だと思いますが、実際にはなかなかそういかない。例えば、先ほどから保安林というふうなものもあるというお話が出ております。しかし、この保安林一つとってみましても、この指定するところの法の目的といいますか、これは大体水源の涵養、これが一番大きな、いわゆる水源涵養林といいますけれども、こういうことが日本の保安林行政の中心でございます。さらにまた、治山関係の土砂の流出、こういうものを防備する、あるいは雪崩や落石というふうな、いろいろな保安林指定をする場合の要件を出しておりまして、その中に水をきれいにするというふうなことをあえて探せば、幾つかの項目のうちの十項目に、保安林指定の二十五条ですが、十項目に「公衆の保健」、こういうふうなのがございます。  ですから、そういう点で確かに水にも関係ないとは言えないですが、法の立て方なり目的が違うものでそれをいろいろ駆使してもなかなか目的達成することは、現況の行政機関の縦割りの中では難しいだろうというふうに考えますと、やはり水をよくするために周辺も網をかける、こういう法の立て方が必要でないか。中公審の答申もそういう立場で答申をなされたのでないかと考えております。もちろん、全国的な一律基準としての私どもの環境保全法案ですから、霞ケ浦のように一歩踏み込んで進んでいるところ、こういう面についてはまた別途考えなきゃならない問題も当然出てくるかと思いますけれども、しかし、とりあえずとしてはやはりこの程度の踏み込んだ環境行政を進めることが私は絶対に必要だ。  そういう点で、本法律案の成立、そしてそれを一つの足がかりにして、例えば農薬汚染の問題であるとか、今までも当委員会で数々取り上げられてきた、全体を含んだ水質保全ということにいかなきゃならぬと思います。そういう点で、本法案ぜひ皆さんの御協力を得たい、かように考えておる次第です。
  132. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時五十四分開会
  133. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、湖沼水質保全特別措置法案及び湖沼環境保全特別措置法案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  134. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 両法案を拝見いたしまして、大変よくできておりますけれども、一カ所だけどうしても私理解できない条文がありますので御質問を申し上げます。  それは、政府案の三十条、それから社会党案の三十八条、経過措置の規定でございますが、この経過措置の規定の中で、括弧しまして「(罰則に関する経過措置及び経過措置に関する罰則を含む。)」こういう文言があるのでございますが、この意味がどうにも理解しがたいのですが、いかなる意味でしょうか、お尋ねいたします。
  135. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まず、三十条の罰則に関する経過措置でございますが、例えば、今回の改正法で規制の対象を拡充いたします場合に、違反に対する罰則の適用を一定期間猶予するということが考えられるわけでございまして、本来であれば、まさに罰則の適用関係でございますから、法律自身できちっと決めるべきでございますが、新しく規制の対象になった施設について違反が生じた場合の罰則をかげるには、ある程度周知徹底させるための期間を要するというようなこともございますので、ここの法律に従いますと、「その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、」罰則をかけないというようなことを定めることができる。これが罰則に関する経過措置でございます。  さらに、経過措置に関する罰則でございますが、これは例えば、新しく届け出が必要になる施設が本法が施行されると出るわけでございますが、これにつきましても、本来の届け出にかえて、ある一定期間は簡易な届け出をすることができるように、これも要は周知徹底の期間を設けるという意味で、法律本来が予定しているよりも簡易な届け出の様式等を定めることができることとなるわけでございますが、この場合にもそれについて罰則をかけることができません、その簡易な届け出であるにしても、その実効が担保できないわけでございますので。これも本来であれば罰則をかけるわけでございますから、法律自身できちっとその要件なり何なりを決めておくべきでございましょうけれども、今申し上げました趣旨に基づきまして、一定の期間、政令で簡易な届け出違反に対する罰則をかけることができる、こういうことを定めたわけでございます。
  136. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの御説明、まだちょっと理解しがたいんですが、例えば、今おっしゃった罰則に関する経過措置というのは、罰則を緩める場合のことだ、その場合は法律に決めなくても命令で決めてもいいではないか、こういう御説明だと思います。  罰則を緩めるということは、それは法律で罰則が決めてあるのに、命令で罰則を緩めるということがあり得るかどうかという問題です。こういう問題が一つあるんです。  それから、経過措置に関する罰則というのは、簡易手続をする場合に、罰しないと都合が悪いので罰則を決めるんだ、そういう場合のことだというふうに承ったんですが、簡易措置であろうと何であろうと、罰則をつける以上は、これは刑罰ですからね、罰則というのは、それを命令でやっていいということはどうもこれは憲法に反するのではないか。  憲法の三十一条には、法律に定める手続によるにあらざればとはっきり書いてあるんです。法律に定める手続でなければ罰してはいかぬぞと書いてあるのに、命令でそういうことをできるようにするということは、これは罪刑法定主義の原則をなし崩しに崩していくことにどうもなるような気がいたすわけです。憲法に違反するのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  137. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) そのような御疑問もあるところから必要最小限にとどめるという意味で、「その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、」ということでございまして、そういう状態で将来とも永久に続くわけではございませんので、合理的に必要と判断される範囲をどのくらいに設定するかということもございますが、一年以内ぐらいと考えるのが常識かと思いますが、極めて経過的な措置として許されるのではなかろうか。  憲法の解釈につきましてはこれは私ども十分勉強しておりませんが、法制局で御審査いただいたところ、このような規定を設けることについてお認めいただいた、こういうことでございます。
  138. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この法案は当然閣議にかけられたんですから、法制局の目も通っておると思いますけれども、法制局の目を通したから憲法問題をいいかげんにしていいということにはどうもならぬのです。結局、合理的に必要と判断される範囲内においてならば命令で罰則を決めてもいいという、そういう原則を政府がつくり出されるということはこれは困るわけですね、根本問題として憲法問題ですから。これは私はこういうふうに書かれるということは問題だと思いますよ。  これは、もし法制局の方でこれでいいとおっしゃったということであれば、ぜひこの場に法制局の人を呼んでいただきたい、直接私お尋ねいたしたいと思いますが、いかがですか。
  139. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私の説明がやや不十分な点あろうかと思いますけれども、経過措置に関する罰則につきましては、先ほどの説明が必ずしも法律的に的確であるかどうかは存じませんが、先ほど御説明しましたようなことでございまして、私どもといたしましては、御指摘のような憲法上の問題についても法制局等で吟味された上でこのような条文の書き方をお認めいただいたのではないかと思うわけでございます。  ちょっと今立法例を探さしておりますけれども、比較的事態としては間々起きるような事態に関する規定でございますので、恐らく他にも立法例はあるのではなかろうか。もちろん最終的にはこれは裁判所の御判断を仰ぐことになりますけれども、私どもは一応許されるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  140. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは重要なものだと思いますが、今の御答弁はこれは大変重要な問題で困ったことだと思いますよ。  明治憲法のもとにおいては、現在の憲法のような三十一条はなかったんです。だから明治憲法のもとでは命令で罰則を決めることができた。しかし、現在の憲法では一切命令で決めることは禁止しておるわけです。ただ憲法三十一条の解釈で、あそこに書いてある「法律」という言葉を、国会が決めた法律ではなくていわゆる一般的な意味の法という意味だと、こう御解釈になるならこれは別ですよ。しかし、あの三十一条は、いかなる憲法学者もこれは制定法であるという解釈を下しておりまして、制定法以外の法でいいなんという解釈を私は見たことがありません。ですから、この問題につきましては、法制局がいいと言うたからといってそれで見逃すわけにまいりませんので御研究を願います。  私はこの条文は賛成できません。この条文一つでこの法案はもう憲法違反の法案ということになりますよ。
  141. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 実は、お言葉を返すようでございますが、先ほど申し上げました立法例について申し上げますと、例えば建築基準法九十七条の四「経過措置」でございますが、これにつきまして、「この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。」という規定がございます。それから、水質汚濁防止法の二十七条においても同じような規定が設けられております。  もちろん政府でこういう規定を設けたから直ちに今の問題が解決するという性質のものでないことは私どもも承知しておりますけれども、現在政府部内の法律解釈といたしましては、このような規定を設けることについて一応憲法上の問題はないという判断に立っているのではないか、私どもこのように考えておるわけでございます。
  142. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまお挙げになりました法律がそういうことを書いてあるのは全部憲法違反なんです、その法律自体が。だから、当然憲法違反である部分については無効なんです。憲法に反するものは無効と言えましょう。あの法律全体が無効じゃありませんよ。憲法に反する部分だけは無効なんです。その無効のものをまねして、お手本にして、これからつくられるこういう立派な法律にそういうものを導入されてはいかがかと思いますが、いかがですか。  これはぜひ取る、取られるなり、あるいはもっとほかの命令による罰則以外のことについてだけの問題だとされるようにしていただきたいわけです。つまり、括弧の中は、これは非常に憲法違反の疑念があるので削除されたらどうかと思いますが、いかがでしょう。
  143. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 法律の最終的な効力につきましては、裁判に際しまして、最終的には最高裁判所で、この規定に基づきまして定められた経過措置に関する罰則で処罰されたその処分が合法的であるかどうかという形で争われることになろうかと思うわけでございますが、私どもも、ただいまの先生の御指摘につきまして、政府部内でも種々議論があったであろうというふうに想像するわけでございます。突然の御質問でございまして、その経過を十分調べてまいりませんが、もしお許しいただけるならば、後刻その点については、どのような議論が交わされ、どのような解釈に立ってこういう規定を設けたのか御報告申し上げたいと思うわけでございます。  私どもとしては、従前の立法例もある以上、このような形でひとつお認めいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  144. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この三十条につきましては、御答弁は納得いきませんので、これはもう一度将来検討し直すということにしていただきたい。それできょうはほかの質問に移ります。  この法律の中で、大臣は提案理由をいろいろおっしゃってくださいましたが、その中で「水質汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼について」云々、こういうお話がございました。そこで、そのような「水質汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼」という、そういう湖沼をどういうふうな判断基準で判断をして決められたのか、またそういう湖沼は、現在具体的にはどういう湖が我が日本全国にあるのか、それは幾つあるのかという問題についてお尋ねをいたします。
  145. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 法律の三条の問題でございますが、まず一つの要件といたしましては、環境基準が「現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい湖沼」であることが要件として挙げられるわけでございます。これについて言えば、現在湖沼についての環境基準が定められている湖沼は百三ございますが、その中で環境基準が達成されているものが四十三でございまして、達成されていないものが六十ございます。ですから、六十について言えばまずこの要件は満たすわけでございます。達成されている四十三のうちにも将来達成されないこととなるおそれのある湖沼もあるわけでございますが、一応六十ということになります。  それから、「当該湖沼の水の利用状況水質汚濁推移等からみて特に水質保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるもの」ということでございまして、「当該湖沼の水の利用状況、」といたしましては、先ほども答弁申し上げましたように、上水利用がなされていることというのが一つのその場合の有力な判断の基準になるのではないか。  それから、「水質汚濁推移等からみて」ということで、仮に現在環境基準を達成していなくても漸次よくなってきているというものは、これは当然外れてもいいのではないか、必ずしも指定しなくてもいいのではないか、こういうふうに判断するわけでございます。趨勢的に水質が悪化している湖沼ということになります。  それから、「特に水質保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められる」、この解釈でございますけれども、やはりここでおのずから湖沼規模というのが出てくるのではないかというふうに判断するわけでございます。と申しますのは、やはり国が指定して各種対策を国のレベルで総合的に推進することについて検討していくということになれば、おのずからある程度規模の大きい湖沼、こういうことになるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  以上、抽象的に申し上げましたけれども、当面十ないし二十の湖沼についてこういう要件を満たすものだというふうに判断しているわけでございます。
  146. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 具体的な湖沼の名前はわからぬわけですね。
  147. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 具体的に申し上げますと、若干今後出入りもございますけれども、当面具体的な湖沼の名前を挙げて都道府県との間で協議を進めている湖沼といたしましては、琵琶湖霞ケ浦、諏訪湖、宍道湖、中海、印旛沼、手賀沼、児島湖、相模湖等、こういうところになるわけでございます。そのほかに十ないし十一程度さらにここ数年の間に指定することを検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  148. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの湖は大変重要な湖ばかりでございますが、そのほかでも、河川をせきとめたダムのようなところ、最近私見てまいりましたが、ほとんどのダムが色が変わっておりますね。二十年前に見ましたときには澄み切ったものが現在は黄色い色に変わっております。  木曽川をとめてつくりました恵那湖というのがありますが、あそこは前はそれこそきれいなところでした。つい先日あそこへ参りましたところが、本当に黄色い、ちょうど大便を流したような色をしております。天気のいい日ですよ。そしてごみもいっぱいたまっている。これは木曽川のようなああいうきれいな川がそのようになったのは結局恵那の町の排水を全部ダムに流し込んでおるからです。そういうようなことになっておるから私は湖沼が大変濁っておるんじゃないかと思いますが、結局この水質汚濁をとめるというためには湖沼にそのような汚水を一切流し込まないということが先決問題だと私どもは素人なりに考えるわけです。  いろいろ環境庁のお方にお伺いしますと、流域下水が大分完備されてきた、だから将来はよくなるというお話もございました。例えば琵琶湖の周辺に流域下水道ができたというんなら琵琶湖が汚れるはずはないのですが、どのぐらいの程度でそういう流域下水というものはつくっておられるんでしょうか、完成しておるんでしょうか。ただつくっておるというだけじゃ困るので、その点いかがでございますか。
  149. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  現在、湖沼に係ります下水道につきましては合計四十一の湖沼について下水道事業が行われております。下水道の数にいたしまして五十九カ所の下水道整備が進められておりますが、その中で流域下水道につきましては十六カ所でございます。さらに、その十六カ所のうちに十一カ所については既に供用開始といいますか、処理を開始しているところでございます。  ちなみに、残り四十三カ所のうち三十カ所が公共下水道でございまして、これは二十一カ所が既に供用開始いたしております。これは単独の公共下水道でございます。独自に終末処理場まで持っている公共下水道が三十カ所、うち二十一カ所が供用開始をしております。  それからもう一つ、公共下水道一つでございますけれども、特定環境保全公共下水道といいまして、国定公園とかあるいは自然保護地域を対象にいたしている下水道でございますけれども、これにつきましては十三カ所において事業が行われておりまして、うち五カ所において供用を開始いたしている状況でございます。
  150. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今の御説明で抽象的にはわかったんですが、具体的にわからないのは、その下水をつくったためにどの程度湖水の汚染が防止されたか、そういう問題を御調査になったでしょうか。なっておればお聞かせ願いたいんです。
  151. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先ほど建設省から御答弁なられたように、多くの湖沼周辺で今流域下水道計画が進んでいるわけでございますが、流域下水道の場合には、先生も御案内かと思いますが、末端の市町村が事業主体になります事業が完成いたしませんと下水道事業としての機能を発揮しないわけでございます。その意味では、琵琶湖等におきましては、大変建設省でも力を入れておるわけでございますが、やはり非常に都市部が少ないということもあって下水道普及率が八%ぐらいというのが現状でございます。したがって、著しく下水道普及率が高まったところについてでないと、ただいま申されましたような調査等なかなか難しいわけでございます。  ちなみに、諏訪湖等では下水道普及率が、流域下水道が既に稼動いたしまして普及率がたしか三〇%強まで進んでいるかと思いますが、その効果といたしましては、諏訪湖については近時少しずつではございますけれども、浄化の効果があらわれてきているというふうな報告を聞いておるわけでございます。  具体的な数字で申せませんけれども、先般、諏訪湖につきまして私どもが五十七年十二月に策定しました環境基準を当てはめを行いました際に、長野県において詳細に検討した際にそのような知見があるという報告を受けておるわけでございまして、いまだ多くの湖沼で目に見えた形で効果が出てこないというのは、遺憾ながらまだその事業の進捗率が必ずしもはかばかしくない。特に湖沼の周辺というのは非常に人口の密度の低い中小都市あるいは農村部が主体になるために、最近顕著に下水道事業に力を入れ始めたというのが現状でございまして、多くの湖沼については目に見えるような形で、一般の方々の目に見えるような形ではその効果が必ずしもあらわれていないのが現状でございます。
  152. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは次の問題にいきますが、湖沼へ流れ入る河川に、生活排水とか農業排水とかいろいろの濁水、そういうものを排出することを条例等で禁止しておる都道府県はございましょうか。あるいはまた、禁止とまではいかなくても何らかの規制をしておる自治体はございますか。
  153. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼に対する排水行為自体を禁止している、そういう条例等をつくっている都道府県はございませんが、しかしながら、具体的な例で申し上げますと、国が定めておりますCODの一般的な環境基準は一六〇ppmでございますけれども、これに対して、例えば一番汚れていると言われております手賀沼では、既設について言えば二〇から八〇ppm、これは業種によって違いがございますが、ですから二倍から八倍厳しい基準。それから新設について言えば一〇ppmから七〇ppmということで、同じくこれは国の一般的に定めましたCODの排水基準に比べれば非常に厳しい基準を適用しているわけでございます。  さらにまた、個別のケースでございますけれども、例えば霞ケ浦の周辺に最近立地しました先端産業について言えば、霞ケ浦水質汚濁の現状から、住民からの非常な強い御要望もございまして、役所で行政指導をした結果、湖水に対しては一切排水しない、クローズドシステムをとった、そういう事例も個別的にはあるわけでございますが、一般的にそのようなことを条例等で規制している自治体というのはないわけでございます。
  154. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 先般滋賀県から県の人が出てまいりまして陳情に来られました。それは、このたび出されておるこの湖沼水質保全特別措置法をぜひ通してくれるように、これが廃案になると困るという趣旨の陳情でございましたが、そのときに私はお尋ねしたわけです。それは、湖の周辺が最近旅館がふえたりあるいは工場誘致をしておられるではないかと。そういうことをなさることによって汚れた琵琶湖であるのに、そういう問題を棚上げしてこの法律を早く通してくれ、こういう御陳情なんですが、何か一つたがが抜けておるような気がいたします。  先ほどの御説明で、琵琶湖の周辺には下水道ができた、こういうお話でしたが、下水道ができたならばなぜ下水道にそういう汚水を流さないのかという問題があるわけです。そういう問題についてどうもはっきりとした御返事がいただけなかったのです。いただいたのは、工場を誘致しないと滋賀県の経済が立ち行かぬ、だから呼ぶんです、こういうお話でしたね。  こういうような問題について、環境庁はどのように従来御調査になり、また現在どのようにお考えになっておりますか。
  155. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  滋賀県におきましては、琵琶湖の水というものに対しまして非常に愛着を持ってそうして取り扱っていただいておるのでございます。そして、今先生が御指摘をいただきました工場でございますが、工場はいろいろ吟味をされまして、悪水を大きく出すようなそういう重工業的なものは呼ばないで、そうして軽工業的な、内陸工業的な工業を誘致しておられるのでございます。したがいまして、そういう排水というのは、工場からの排水による汚染というものは海と比べて、例えば瀬戸内と比べて産業による汚濁というものが非常に少ないという数字が出ておると思うのでございます。  もう一つ先生の御指摘の、下水道ができておるのにということでございますけれども琵琶湖の周辺におきましては、先ほどから御説明がありましたように、八%しかまだ進捗をいたしておりませんので、大津の一部分あるいはその他の都市において少し下水道ができかけておるというところでございまして、まだ十分にその機能を発揮しておらないのが現状でございます。
  156. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 流域下水道をつくるということは、結局地方の自治体の考え方が相当影響すると思います。  加古川という川がございますが、その加古川は現在は相当水がよくなっておりますが、十年ぐらい前はこれは手のつけられない泥水になりました。  闘竜灘という、昔は清流でアユがとれる場所がございます。ここには漁業組合もあったんです。それが上流の方で悪水を流すことによってアユも来なくなって水がほとんど麻痺するような状態にまで陥りましたが、現在の三重県知事が腹を決めまして、流域下水道をつくるということで各市町村に、まああそこは村がありませんから市町ですね、市と町に呼びかけまして協力を求めて下水道つくりました。人口三万から五万の都市ばかりですが、そういうところでもうつくったんです。その結果大変水がきれいになりました。上流から汚水を流すということはうんと減ったんです。まだ今でもあることはありますがね、農村の方は。そういうことは、結局自治体の長がどういう考え方を持つかによって決まることなんですが、きれいごとでなしに本当に実行するという腹があるかどうかの問題だと思います。  湖の場合も私は同じだと思います。琵琶湖のような重要なところで、大阪市民それから京都市民その他の都市の飲料水です、あれは、それを放置しておるということ自体が私は大変問題だと思いますが、なぜ今までたった八%ぐらいしか下水ができないのか、これは問題だと思うんですよ。意識の問題。  それから、こういう湖ばかりでなしに、上水道の源になるようなものは河川だってあるんですね。名古屋市の上水道は木曾川ですね。その木曾川の上流で、先ほど申しましたような恵那峡のようなことになっているわけです。ダムをつくりまして、それがそれこそとても手のつけられないような水になっている。そういう水を皆飲まされておるわけですね。消毒すればよくなるというお話だろうと思いますけれども、それはちょっといただけないと思いますよ、消毒だけでは。  そういう指定湖沼ばかりでなしに、そのほかの飲料水にしなきゃならぬような水をとる河川、こういうものについての手当てが今まで非常におくれておるということが言われるわけでございますが、今度この法律案をつくられましたが、残念ながら特定の指定湖沼だけであって、それ以外入っていないんです。このような問題につきましては、環境庁はどのようにお考えになりますか。
  157. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) もちろん、私どもが当面考えております指定湖沼以外にも、上水道水源等になっている天然湖沼あるいは人工湖沼があるわけでございます。それらにつきましては、まず第一に当面私ども考えております対策といたしましては、指定湖沼も含めまして、水濁法に基づきまして窒素、燐の排水規制を行う、これを第一番の対策として考えているわけでございます。さらにまた、そのような湖沼につきましては、それぞれ各都道府県におきまして、この湖沼水質保全計画に準じた計画、つまり規制事業とを組み合わせて、ある目標を定めてその目標を達成するように努力していく、そのようなやり方というものを指導していきたい、かように考えておるわけでございます。  このような思想は、この法律に基づきまして内閣総理大臣が定めます湖沼水質保全基本方針でございますが、この中におきましてそういう指定湖沼以外の湖沼についての対策考え方、かようなものを書き込むことといたしまして、これに基づきまして各都道府県指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  158. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今の問題に関連しまして、湖沼とか河川水質汚濁が地下水に与える影響について御調査になったことがございますか。
  159. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 地下水につきましては、五十七年におきまして十七化学物質について調査を行ったところでございます。地下水も当然私どもの所管しております公共水域というふうに観念されております。従来地下水問題というのはやや量の問題として関係省庁間で議論されてきたわけでございますけれども、やはり質的な面でも、かえって一度そこに流れ込んだ化学物質等が分解しにくいというような問題もあるわけでございまして、質的な問題についても今後引き続き検討してまいり、最終的には要すれば制度的な措置というようなことも考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  160. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 環境庁長官国務大臣の御説明の中に、「その他の湖沼水質保全に資する事業」という言葉がございます。「その他の湖沼水質保全に資する事業」というのはどういう事業を予定しておられますか。これは水質保全計画のところの言葉ですがね。
  161. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 水質保全あるいは水質改良のための事業といたしましては、ここに書きましたような下水道整備が中心的な事業になるわけでございますが、そのほかの事業といたしましては、浄化用水の導入、よその川等からきれいな水を持ってくる事業、あるいは曝気方式、つまり水を強制的に物理的な方法で攪拝する、これは余り大きい湖沼については適用できませんけれども、神奈川県が相模湖について現在実験しておりますが、そういうような曝気事業、そういうものが当面考えられるわけでございます。
  162. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、建設省のお方にお尋ねいたしますが、湖沼の沿岸の流域下水道以外の下水道、そういうような下水道について実施計画はお持ちでしょうか。
  163. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) 下水道法律でございます下水道法に基づきまして全国の水質環境基準が定まっている流域につきましては、流域別下水道整備総合計画というものを、流総計画と言っておりますけれども、そういう計画を立てることになっておりまして、その計画に基づきまして、それぞれの水域において流域下水道あるいは公共下水道、そういったものをどういうふうに配置していくかという計画を立てることになっております。
  164. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 計画は立てることになっておるので、まだ立てていないのですか。立てておるとしまして、指定湖沼あるいはそれに流れ込む川の流域下水道を完成するのに大体どのぐらいの年月が必要でしょう、これから。指定湖沼だけでいいですが。そしてまた、それに要する費用というものはどのぐらいの費用がかかるか、概算されたことがありますか。
  165. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 指定湖沼につきましては、今御指摘のような詰めをこの水質保全計画の樹立を通じて検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  水質保全計画は一応五年を単位にしております。したがいまして、そこで水質目標も設定するわけでございますから、それを達成するのに必要な汚濁負荷量の削減必要量というものが出てくるわけでございます。それに対して、それじゃ下水道事業処理対象人口をどのぐらいにしなければならないかというのが次に出てくるわけでございます。それについて逆に今度は、毎年度の予算の面から実現の可能性も考えて、今度はもし現実的に不可能であれば目標の方を若干修正するというような作業をいろいろやっていった上で水質保全計画を固めたいということでございます。  その段階では今の先生の御質問に的確にお答えできるわけでございます。現在の段階では的確にお答えできるべき数字がちょっと持ち合わせておりませんので、恐らく建設省の方でも同じかと思いますので、その点御理解いただきたいと思います。
  166. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは昔話を申し上げて恐縮ですが、私どもが子供のころには、農村では田に引く水は用水と言いました。その用水は大きなきれいな川から取ってきまして、その用水には生活排水とかその他の汚水は一切流し込まないという鉄則があったんです。そして、生活排水などは、別に悪水路をつくりまして、その悪水路に流し込んだものです。稲を植える水というのはどんな水でもいいというわけではないので、それはもう厳重に区別しておりました。ところが、現在はそうした区別が知らぬ間になくなりまして、用水もそれから悪水もまじり合ってしまっておるという状況です。  こういう状況を一日も早く昔に戻しまして、河川のうちで悪水河川上水河川をはっきり指定をいたしまして、上水河川には一切汚水は流し込まないという制度が私は必要だと思います。そうしませんといつまでたっても湖沼の水はよくならない。悪水河川は、湖水に入るところで横へ道をそらしまして、別に汚水処理をする湖を設けましてそこへ流し込むという処置でも講じない限り、いい水というものは保存できないというふうに思われるわけです。  こういう昔の人の考えておった知恵を今日も応用するということについてどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
  167. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  今先生の御指摘は、農業用水を例にとっていただいたと思うのでございます。私も、実は大阪の方で勤務をいたしておりまして水を取り扱わしていただき、上水道の方もやらしていただいたのでございますが、その当時に、庭窪あたりのところにおきましては、用水と悪水と一緒にした用悪水路というようなものもございました。上流の方はきれいな水が入りまして、それを使いました後また下の方では悪水が入ってくる、こういうようなことでやっておったのでございますが、今現在建設省がやっていただいております流域下水道というのは、まさに先生の御指摘の悪水路でございまして、この悪水を浄化をいたしまして、そうして川の中に入れても大丈夫なような水質に変えて持っていくという考え方でございます。  下水道考え方は、大きな雨が降って出てきたものに対してと、それから生活雑排水等のものと区別をいたしまして、そうして分流式の下水道の浄化方法というようなものもとっておるのでございます。それはいずれにいたしましても下水道ということでやっておりまして、非常に今のところ金がかかるというのが実態でございます。
  168. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 鉄筋コンクリートの土管をつくりまして、そしてそれで下水道をつくる、あるいは鉄管でつくるという思想に立つ限り私はお金がかかると思いますよ。これは都市ではそういうことが必要だと思います。しかし、田舎の方へ参りますと、別に土管を埋めなくても、土を掘って溝をつくっただけでいいと思いますね。昔の小川式のものをつくれば結構で、その小川が都市に入ったときに上を覆えばいいのではないかと思います。  現在日本の国でどうしても土管でなければならないというところはそんなに多くないと思いますが、都市部とそういう都市部でないところと、大体面積の比率というものはおわかりでしょうか。山地を抜きまして平野部だけでも構いません。都市よりも都市でないところの方が広いでしょう。都市といいましても、何々市といいましても田舎のような市もあるんです。そういうところは別に土管でなくても、土を掘っただけでいいわけです。土を掘削しまして溝を掘りまして、それを悪水路にするということでも可能なはずであります。そうであるなら大分費用が節約されて、労働力があったらいいというふうになる。いかがでしょうか。
  169. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 確かに、昭和三十年以前、大体三十年、高度経済成長期以前の農村部というのは、先生の今御指摘になられましたように、非常に微妙な水の使い方をいたしまして、用水、それから排水がエコロジカルなシステムができていたことは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、現在農村について見ました場合に、まず水の使用量が当時とは全然違ってきているわけでございまして、当時であれば一日五十リットルとか六十リットルぐらいのものが、最近は洗車などの水を含めれば都会地と変わらないほど水を使うようになっている。それから、第二点といたしましては、生活形態が非常に変わってきている。これは食生活の内容が変わったというようなこともあるわけでございます。それからもう一つは、電気洗濯機が入り、洗剤が入ってきている。  こういうようなことでございまして、従来の農村部の用排水システムに依存している場合には、どうも用排水路の汚濁というのはどんどん進んでしまうということでございまして、そのような意味から自然浄化機能だけには依存できないというふうに、これは農水省等でも認識して、それなりの対策をいろいろ講じているわけでございます。  ただ、御指摘された点は私どもとしても非常に重要視して考えなければいけないと思いますのは、これは建設省でもそのような方向をとっておられるわけでございますけれども、従来の生活排水処理は大体大都会地中心でございまして、そのような非常に人口密集地帯の汚水処理技術というものだけをヨーロッパの技術の中から入れてきて使ってきた。ところが、そのような方式を農村部等でやる場合には、非常にこれは人口密度も薄いわけでございますからお金がかかる、管渠の費用等も非常にかかるということで、やはりこれは自然の生態系を活用していくことが必要であろう。ただ、自然の生態系だけに依存していたんでは現在の生活汚濁負荷の現状からいってとても無理があるわけで、そこで人工的な技術と、そういう生態系をうまくかみ合わせた、そういう新しい技術の開発が必要であるというのが最近の大体各省共通の認識でございます。建設省におかれましても、そのような観点から小規模下水道の技術基準のようなものを策定されておられますし、また農水省におかれましても、集落排水施設整備事業計画基準というようなものを検討されているようでございます。  今後、特に私ども、ヨーロッパにもこれがないわけでございますけれども、広範な水田地帯を含んだ農村地帯の生活排水処理というのは、これはヨーロッパ、アメリカを含めて全く未経験でございまして、大変むずかしい課題でございますが、先生の今の御指摘の趣旨も私どもとしては十分わかるわけで、生かして今後検討を進めてまいりたい。現に国公研等でもそのような研究が進められておりますし、それからまた科学技術庁の資源調査所でもそのような研究が進んでいるところでございまして、御趣旨は今後の私どもの国の事業の中にさまざまな形で生かされていくのではないかというふうに考えているわけでございます。
  170. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの御答弁大変喜んでおります。  ところで、そうした農村地帯につくる悪水人造河川、こういうものをつくるといいということに御賛成いただいたと私は理解して喜んでいるわけですが、そういうものをつくるに当たりましてやはり国家予算というものが必要ですが、余りたくさんのお金を出すわけにいかないわけですね、現在。そうしますと、金を使わないでそういう悪水人造河川を日本国じゅうに張りめぐらすということになりますと、これは非常な大きな労働力を必要とします。  そこでお尋ねするわけですが、都道府県でそういう計画をなさったときに、労働力の獲得がむずかしいというときに、自衛隊に対して援助出動をお願いするということをした場合に、現在の防衛庁ではそういう自衛隊の活動は法的に許されるとお考えでおいででしょうか。あるいは許されないと考えておいでか。あるいは法的に許されても現在そういうことを計画してやることは差し支えがあるとか、いろいろなことがあると思いますが、そのような御事情を、防衛庁の方のお方で、もし来ておられましたらお答えを願いたいと思います。
  171. 及川康男

    説明員(及川康男君) ただいまお話のございました水路について自衛隊が協力できるかどうかということにつきましては、この工事が自衛隊法第百条による受託土木工事として自衛隊が受託できる場合に限り協力できるものと思います。  このような工事を自衛隊が受託する場合の要件といたしましては、訓練目的に適合すること、この工事に対して地元住民の合意が得られていること、自衛隊の持つ技術力で施工が可能なこと、工事に必要な費用を負担していただくこと等でありまして、地方公共団体の長等から具体的に申し出がありましたならばその時点で検討さしていただきたいと思います。
  172. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの防衛庁の方のお方の御説明の範囲内で都道府県が人造河川をつくるということを計画いたしました場合に、環境庁あるいは建設省の方の御方針と衝突するようなことはないでしょうか。例えば、建設省の方でそんなことをせられたんでは土木業者から抗議が多くなってだめだとかといったこともございましょう。そういうような問題についてどのようにお考えでしょうか。建設省はいかがですか。もし建設省が差し支えあれば環境庁の方でお願いいたします。
  173. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生の今の御質問は、自衛隊を工事に使ってはいけないかという御質問ではなかろうかと思うのでございます。  なるほど先生の御心配のような地区もあるとは思いますけれども、自衛隊の方にお願いをいたしまして、災害の場合なんかにおきましてはこれは全面的に御協力をいただいております。また、山中の道路の築造、こういったようなものにおいても市町村からお願いをして、御協力を、演習をしていただくというようなこともお願いをしておる例も多々ございます。
  174. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そういう人造河川をつくるには土地が必要なんでございますが、掘る土地につきまして国有地を掘れば余り問題が起こらないと思います、民有地ですと大変いろいろの問題が起こると思いますので。一体、そういう湖水に流し込む水を吸収できるような川を掘るに適当な国有地、そういうものは現在日本全国でどのぐらいあるものでしょうか刀大蔵省、おいでになったらお尋ねいたします。
  175. 田中誠二

    説明員(田中誠二君) お答え申し上げます。  国有地は、地方公共団体が排水路の用に供する場合は、これは国有財産法によりまして無償貸し付けができることになっております。また、公共下水道、都市下水路等の用に供する場合は、これは下水道法によりまして無償貸し付けまたは譲与することができることになっておるわけでございます。したがいまして、仮に先生の御指摘のように、排水路を設けることとなりまして、地方公共団体から具体的な国有地利用の要望がありました場合には、関係省庁それから地方公共団体等と十分協議してまいりたい、こういうふうに思っております。  先ほど、現在どのくらいあるかということでございますけれども、今用水路といたしまして無償貸し付けしているもの、これは五十七年度末でございますけれども、八十二件、二十七ヘクタールほどございます。それから、ほかにどうかということになりますと、これはやはり具体の場所につきまして地方公共団体から要望が出てきた段階においてやはり個別に対処してまいらないといけないのではないか、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  176. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいま大蔵省の方のお話で、排水路をつくることについては大蔵省の方では十分便宜を図って無償で貸し付ける、あるいは使用を許すということをおっしゃいましたが、そういうことを全部含みまして、今後の湖沼を守るための悪水処理人造河川、こういうものをつくる御計画をお持ちになる様子がございましょうか。そういうことはもうとても口で言うだけで考えもせぬということでしょうか、どうでしょうか。
  177. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生のいろいろな御構想、大変に敬意を表するのでございますが、こういう水路、湖に入る悪水を全部排除していくということでございます。生活雑排水水路というか、そういったような構想ではなかろうかと思うのでございます。  生活雑排水の水路というと、結局今までやっておりますのは、下水道で管を通し、あるいはその他の方法で持っていくということでございます。先生のは、素掘りでやれ、こういうことでございます。素掘りでやりますと、先ほど先生がちょっと心配されました、地下水に汚濁が入らないか、ヒういう御心配をいただきましたが、私どももそういうことを考えて、よほど砂地であるとかあるいは礫の層とかそういうものがないようなところを選んでやらなければならないと思うのでございます。そういうところが全然ないかと言われると、これは調べてみなければわかりませんが。  それからもう一つ、国有用地のところを通したらどうだということでございますが、これも国有用地というのは一番大きいのは営林署、林野庁の方で持っておられます国有用地が一番大きいのでございまして、そのほかのことになりますとちょっとなかなかそういう、大体琵琶湖であるとかあるいは霞ケ浦であるとか、そういうところになりますと、そういうところはなかなか得られないのではなかろうかというふうに考えられます。また、山の中の上流のところの湖、例えば諏訪湖でございますと、それを下流の方まで持っていくということになりますと相当長い距離にもなりますし、川に入れないようにずっと持っていかなければなりませんので、これもまた大変な事業になるということでございます。  したがって、比較が、先生の言われるそういう水路をつくる延長と工事量、それから地下水に入らないような結局コンクリート巻きか何かをやはりしなければならないと思いますが、そういうような費用と、そして下水道をおやりになる場合はある短い距離でおやりになるということですから、その比較、こういうことになろうかと思います。  それで、例といたしまして、実は京都の下水.道、これが今進捗が四十何%になっておりますけれども、以前は二〇%まででございました。そして京都の下水の汚れが桂川に入って淀川に入って、そうして大阪の方が水を飲む。私も大阪に住んでおりましたときには京都の下水を飲ましていただいておった。こういうことになっておったので、ひとつその悪水と上水とを分離しようじゃないかというようなことまで言い出したことがあるのであります。そうしてそれを検討していったのでございますけれども、結局は、そういうふうにいたしますと非常に金がかかるということがわかりまして、京都の下水を進めてもらいたいという話になりまして、下水道やっぱり促進だということで、下水道予算をふやすという方向に向けまして、やっと今四二、三%ぐらいまで進んでおったと思うのですが、京都の下水道が進んでまいりました。今京都市の下水道も事情の許す限り予算をつけていただき、また市の予算の許す限りこれを進行をさせていただいておる、こういうことでございます。
  178. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 長官の御答弁大変ありがとうございましたが、もう少し元気を出していただくといいと思いますね。  田舎の方、現在実は田舎も全部下水道をつくった方がいいんですが、金がなかなかないので田舎の方は次善の策で露天掘りですね、都市部は下水道をつくる、こういうことでやるということは急には難しいにしましても、そういう方法でも講じませんと湖に入る汚水をとめることができないというふうに思われるわけでございます。それで、私は次善の策でもいいからいい方法を環境庁考えていただいて手を打っていただきたい、こういうことでお尋ねをいたしたわけでございます。  そこで次の問題に入りますが、指定湖沼水質保全に関する特別措置というものでございますが、工場とか事業場に関係する排出水の排出規制ということが述べられておりますが、これはどういうことを意味するのでしょうか。どこへ排出する規制なのか。つまり湖へ排出する規制なのか、川に排出する規制なのか、あるいは下水に排出する規制なのか、その辺のところはいかがでございますか。
  179. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) これは十四条、十五条、十三条等に規定があるわけでございますが、指定地域内ということになるわけでございまして、いわゆる湖沼の集水区域ということになるわけでございます。ですから、湖に直接排水する施設はもちろんのこと、湖に流入する河川排水する施設につきましても同様に規制がかかることになるわけでございます。
  180. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 湖に直接排出するということを何とかやめるわけにはまいらぬでしょうか。湖に直接入れないで下水に入れるとか、あるいはそういう水を一たん入れる水路をつくるとかして、それをできるだけ湖には入れない方法を講ずることができないだろうかということを実は私考えるわけです。といいますのは、湖の水は多かれ少なかれどこでも飲料水にするわけですね。飲料水はこれはただきれいだからいいというわけではいかぬので、やはり感情問題が入ります。感情を無視すれば、浄化すればいいということでしょうが、例えば、肥えだめからくんできて汚物を抜きましてその水分をきれいにすれば、それが飲み水になるかというと、なることはなるでしょうが、感情問題が入りますね。  ですから、それを拡大したような考え方ですから、今後の飲料水を確保するという意味でもできるだけ厳格な方法で二重、三重の手を通すということをお考えになることはできないでしょうか。いかがでしょうか。
  181. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖に直接排水することを禁止したらいかがであるかという御提案でございますが、確かに、浄化施設を設置して浄化した上とはいえ、湖に直接流し込むことが望ましくないことはそのとおりでございまして、できれば下水道等を経由して終末処理施設で浄化した上で湖なり、あるいはさらにでき得べくんば下流に放流するということが望ましいわけでございますけれども、やはりそれぞれの湖沼の具体的事情あるいは地形等からいたしまして、湖に直接放流せざるを得ない場合もかなりあるわけでございます。  私どもとしては、そのような施設について、少なくとも新増設する場合には届け出をしていただきまして、湖沼に対する汚濁負荷をできるだけ軽減した上で排水していただく、かようなことをやはり現実問題として認めざるを得ない状況にあるわけでございます。
  182. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 湖沼の沿岸、自然の沿岸を破壊して埋め立てるということがよく行われますが、沿岸をコンクリートで固めてしまった場合と自然のままの場合とで、湖沼の水の状態というものは変化するかしないかという問題について御調査になったことはございましょうか。
  183. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) その点が私どもの一番今まで欠けている点でございまして、確かに、琵琶湖の場合でございますと、内湖とかあるいは自然湖浜、それからまたその湖周辺のヨシ、アシが一種の浄化機能を持つという御指摘がいろいろ諸先生からもあるわけでございますが、これを組織的にきちんとした形で定量的につかんでいないわけでございまして、今後の私ども一つの研究課題であろうというふうに考えておるわけでございます。
  184. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 時間が大分たちましたので、先に必要なことをやりましてから、それから後また御質問いたします。  湖沼環境保全特別措置法案というのがございまして、この案と、それから湖沼水質保全特別措置法案、この二つの法案が一緒に出されまして同時に審議をいたしておるわけでございますが、この環境保全特別措置法案というのは、これは拝見いたしますと大変よくできておりまして、水質保全特別措置法案とよく似た文言でできております。そして、ただ違うのは、環境保全であるか水質保全であるかというだけの問題になっておりますが、これは同時に審議しておりますので私お尋ねするのです。これは両方出して、おまえ、いい方、どっちがいいかとれと、こういう御趣旨なのかどうかということが問題ですから、それでお尋ねするんです。  まず政府の方へちょっとお尋ねいたしますが、湖沼環境保全特別措置法案について御研究になったことがございましょうか。今まで御研究になったことはございますか。  この二つの法案を比べてみますと、結局、水質保全がいいのか、環境保全がいいのかということになってまいります。どちらがいいかということになると、やっぱり範囲の広い方がいいように思われてくるんですが、それにもかかわらず、政府案が環境保全をとらないで水質保全の方をおとりになったということにはそれ相応の理由があるという気がいたします。政治における総合調整の問題があると思いますが、それはどういうようなことが考慮されたのか。その間の事情をもしお差し支えなければお伺いをいたしたいわけです。
  185. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 実は、中公審答申は、しばしば当委員会においても御指摘いただきましたように、湖沼環境保全に関する特別措置法ということ、そういう制度を仕組むべきであるという御答申をいただいたわけでございます。その中公審答申の中で、湖辺の環境保全については一応都市計画法、森林法、自然公園法、河川法等既存の制度を活用せよ、さらに必要があれば新しく湖辺について地域指定をして各種開発行為を規制するような制度を検討せよ、こういう御答申をいただいたわけでございます。  そのような答申を受けて、私どもの検討の過程では、確かにこの社会党御提出の法案にもございますような、地域指定をいたしましてそこで開発行為を規制するような法制も検討の段階であったことは事実でございます。しかし、その後私ども各開発規制の法規を一つ一つ照らして、これは政府で新しい法案をつくるとき当然行われる作業でございますが、その地域指定をして規制しようとする行為が従来の法制度で一体目的が達成できないのかどうか、こういう検討を一つ一つやっていったわけでございます。  そういたしますと、まあかなりの程度カバーできる。特に、我が国の主要な湖沼については河川法の河川として指定されておりまして、河川として指定されれば、河川区域が指定されましてそこで河川法の二十三条から二十八条までの規制がかかることになるわけでございます。特に、近時、河川管理者、建設省におかれましても、河川の環境保全については大変意を用いられておりまして、五十六年に河川審議会から河川環境整備についての答申を受けられて、その中で、湖辺の管理についても十分意を用いるような、そういう答申が出されているわけでございます。  そのように一つ一つ詰めてまいりますと、中公審から検討せよという御答申はいただいているものの、必ずしも新しい制度を設けなくても既存の制度の運用で一応目的は達成できるんではないか、かような結論に達しましたわけでございます。  そこで今回の法律では、既存の各種法制を湖沼の環境保全に役立つように運用していただくという趣旨も兼ねまして、二十五条に「国及び地方公共団体は、この章に定める他の施策と相まって指定湖沼水質保全に資するよう緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならない。」旨の規定を設けたわけでございます。しかしながら、目的としては、湖沼自然環境保全法というにはこの二十五条の規定だけではやはり不十分である、これは法律技術的な観点からそのような意見がございまして、直接本法で考えております水質を中心に法律の名称もなった、かようなことでございます。  るる申し上げましたが、私どもも自然環境を一体として保全すべき必要性については毫も否定しているところではございません。ただ、それを手段といたしましてこの法律にすべてを織り込むのか、それとも、この法律は最も緊要な水質に限定して、その他の部分は他の個別法規の運用でいくか、こういう手段の違いにあるのではなかろうか、かようなふうに考えているわけでございます。
  186. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この政府案は、お出しになった以上はこれでいかれるということで、撤回されることは恐らくないと思いますがね。  それで、こっちの環境保全特別措置法案を提案なさいました提案者にお尋ねをするわけですが、内容は必ずしも同じではないということを聞いておりますが、衆議院でこの湖沼環境保全特別措置法案が否決されたということをお聞きしておるわけです。社会党案の方が政府案よりは非常に原則的に進んでおるように理解をされますけれども、すぐれておるから、だからそちらをとって可決してしまうということになりますと、結局両院協議会を開かねばならぬということになるんですが、それは衆議院の方の発議を必要とするわけでございます、憲法上。衆議院が否決をした法律案を衆議院に送付できるかどうか、この点が大変運用の問題で問題が起こってくるわけなんでございます。  そこで、仮に政府原案を本院で否決いたしまして社会党案を可決したといたしましても、結局、憲法の五十九条第二項で、衆議院が出席議員の三分の二以上の多数で再びこれを可決すればそれで法律になってしまう、こういうことになるから、たとえこちらで否決しても衆議院でなるからいいではないかというふうに抽象的には思われるかもしれませんが、しかし、これは場合によっては政府原案は廃案となる危険が多分にあると思われるわけであります。  そこで、政府原案を廃案としてでもこの理想案の社会党案をどうしてもつなぎたい、こういう御趣旨なのか、あるいはそうでなくて、理想を一応この際示そう、とにかく政府案に対して対案として示して、もっとしっかりせいと、こういう活を入れる意味なのか。その辺のところを、本当の御真意ですね、御真意を承りたいんですが、いかがですか。
  187. 丸谷金保

    丸谷金保君 質問通告いただいてからも、これいろいろ大変難しいので考えた次第でございますけれども、ただ、事実認識で一つ違っている面がございます。  それは、私ども調査によりますと、衆議院で社会党案は否決されておらないんです。賛否を問われていないということでございまして、ですから、建前から言うとまだ衆議院で生きていることになるんでないかなというふうに思っております。ただ、逆に言うと、生きておるから、こちらから可決をしていただいて送付したときの取り扱い、これはどうなのかなと、逆にそういう実は心配もいたしておる次第でございます。しかし、それは衆議院でやってくれればいいことで、我々は参議院の独自性のもとに参議院で法的に行える委員会の持ち方を進めていけばいいんじゃないか。その限りにおきましては、当院で私どもが提案いたしました法案というのは本委員会で御論議いただくことについては一向に差し支えない、こういうふうに考えております。  それからまた、両院協議会という御質問でございますけれども、これは、一つ法案が送付されたり、あるいはまた向こうへ持っていったり、そういう中における取り扱いの問題でないかと思いますので、この段階で両院協議会を直ちに持たなければならないというふうな扱いのものではないんじゃないかというふうに私は思っておる次第でございます。  それから、こちらで可決すると、今度は衆議院で三分の二ということで、両方とも廃案になる、それでもやはり提案して審議しなければならないのかということなんですが、私は、この社会党の案というのは、非常に目配りをして、必ずしも厳しいというだけのものでなく、それぞれに御賛同いただけるんじゃないかというように実は判断しております。したがって、この案を参議院で与野党の皆さん方の御協力で可決させていただいたならば、衆議院段階でも必ず思いを新たにしてこの法案が成立するのでないか、こう考えておりますので、余り廃案になるというふうなことについての心配は実はいたしておらないのでございます。  そうでございますので、よろしくひとつ御協力のほどをお願いいたします。
  188. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 まず、環境庁が予定している指定湖沼を十カ所挙げられましたけれども、これが五十七年度基準でCOD環境基準を達成するためにはあとどれくらい汚濁負荷量の削減が必要なのか、大体の要削減率を御答弁いただきたいと思います。
  189. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼ごとにかなりの差はあるわけでございますが、総じて申し上げますと六割から七割程度の削減が必要になる、かようなことでございます。
  190. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 個別に言っていただけますか。
  191. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 琵琶湖について申し上げますと、北湖が六二%、南湖で七四%。丸めて申し上げます。霞ケ浦は大体七〇%、諏訪湖で六〇%、宍道湖で五〇%、中海で五〇%、それから印旛沼で八〇%、手賀沼で八〇%、児島湖で大体五〇%、それから相模湖につきましては、これは当てはめが違いますので、ちょっと計算数値が出ておりませんが、もう一つ釜房ダムでございますか、これは大体六〇%ぐらい、こんなことになります。
  192. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いずれにしても相当な削減率が要求されるわけですが、問題は湖沼法案との関係です。  この湖沼法案を提案された原点について質問したいんですが、この湖沼法案の根本任務の一つは、今挙げられた要削減量をいつまでを目途にどのような対策、手段を講じて削減するのか。このことを制度の上で本当に実効ある特別対策としてどう担保するのか。このことにこの湖沼法案の存在意義があると思うのですが、そこで長官の御見解を承りたいと思います。
  193. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  この法案を成立をさせていただきまして水質保全計画を立てさせていただくのでございます。そうして今の負荷量を減らすということにこれから計画を立てていただくわけでございますが、なかなかまだわからない点が相当あるのでございます。  それともう一つは、たとえ負荷並が一時――一時といいますか、全体で減っても、水のかわりといいますか、汚濁されている部分が流出してかわっていくスピードが、一遍にばあっと押し出して全部水を空にして、新たに入ってくるものをどんどん入れていくということになればそれはきれいになるのですけれども湖沼というものの性格上そういうわけにはいかぬわけでございまして、入ってきた水は表面をさあっと流れていく、そしてある程度のものが下へ行って下の方も少しずつ押し出していく、こういう性格を持っておりますので、それがそう急には全体についてはいけない。入ってくるものについてはきれいになっても、なかなか湖そのものがきれいになるには時間がかかるということを申し上げたのでございます。  それからもう一つは、アンノーンの点ということを申し上げましたが、これはどういうことかといいますと、先日も琵琶湖の問題でいろいろ学者の先生方が御研究になっておられるところを発表しておられますが、湖に出てくる地下水がございます。そういうようなことがやはり汚濁と関係があるということもございますので、そういう点がいろいろ重なっておりますので、計画を立てて五年たってそれがどういうふうなぐあいに浄化されていくかというようなことを調べ、またそのほかの原因もあるかどうかというようなことについても調べていくということにおいて全体の計画を立ててやっていただくというところに非常にメリットが私はあると思うのでございます。
  194. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私がお聞きしたことは、端的に言って、湖沼法案の存在意義です。それは、先ほど局長答弁しました要削減率はもう大変な率です。それを削減すること、単に減らすだけじゃなくて。いろいろな難しい問題があるということは今長官が説明されたわけですからわかっておるんですが、いろいろな難しい問題があるけれども、先ほど例を挙げられた要削減率をゼロにしていく、単に減らすだけじゃなくてゼロにしていくということ、そこにこの法律の存在意義があるのではないか、こう聞いたのですが、それに対して端的に答弁いただきたい。
  195. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 私は、湖沼の水をきれいにするということがこの目的であるというふうに考えております。
  196. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それは素人の答弁でして、長官はこの問題の専門家としての立場ですから。じゃ何を基準にかといえば、それは環境基準環境基準に対して現状は余りにも基準をオーバーしている。だから、そのオーバーした分をなくして環境基準に達していく、これがやはりこの湖沼法の存在意義でしょう。
  197. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 環境基準に合う湖沼水質にしていくということでございます。
  198. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それがきれいになっていくという意味だと思うんです。  そこで、一昨日私は琵琶湖を例にとりまして窒素、燐対策の問題を質問したんですが、その本質もまさにそこにあると思うんです。窒素、燐につきましては、環境庁は、夏以降水濁法による一律排水規制とそれから県条例による上乗せ措置を用意している、こう聞いております。しかし、琵琶湖それから霞ケ浦で問題になっているのは、富栄養化防止条例でその対策をもうすでに先取りして目いっぱいの実施をしておるわけですね。その上でさらに相当量の削減を迫られている、ここに私は問題があると思うんです。  一昨日も指摘しましたけれども、長官が、第Ⅱ類型を当てはめて五年間で達成しようというこの琵琶湖の例で、これは現行対策、いろいろなことをやっていますね、琵琶湖なんかで。それを目いっぱい実施した上で、なお環境基準の達成のためには、一昨日も指摘しましたけれども、トータル窒素で南湖で四五%カット、北湖で一五%カット、それからトータル燐について南湖で三五%カット、これは新たに必要なことなんですね。  そこで改めてお聞きしたいんですが、琵琶湖では湖沼法案の特別対策はまさにこの要削減量をどのようにして達成するのか。そこにこの存在意義があると思うんですが、これをどうやって削るのか、そこのところをお聞きしたいんです。
  199. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 若干申し上げますと、先ほどの削減率でございますが、これは五十七年度の水質でございますので、滋賀県の富栄養化防止条例の成果というのはもうちょっと後になってあらわれてまいりますことが期待されますので、この削減率すべてがこれ以上規制によって下がらないというものではないのだろうと思うわけでございます。  そのほか、主として生活汚濁につきましては、施設整備、端的に申し上げますと下水道整備が一番大きくなると思いますが、その他し尿処理施設、それから農林水産省の農村集落排水施設整備事業、こういうもので生活系の汚濁化をカットする。さらにまた、実は内部負荷と申しますか、湖底の底泥から溶出してくる負荷があるわけでございます。これにつきましては施工方法をかなり工夫してやらないといかぬかと思いますけれども、汚泥のしゅんせつ、そういうような事業も湖水の水賢浄化には一定の役割を果たすのではないか。このような手段によって浄化を図っていきたい、かように考えているわけでございます。
  200. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 問題は、滋賀県が今の条例で目いっぱいやって、これは今局長が言われたことも含めて、下水対策も含めてすべてのことをやっておるわけです、ABC作戦と言いまして。それでもなおかつ、今指摘したように、窒素について南湖で四五%、北湖で一五%、燐について南湖で三五%カットが必要である。これを今の方法ではカットできないんですからそれをどうカットするのかということが問題だと思います。  一昨日の私の指摘に対して、新聞報道によりますと、これは京都新聞ですが、「このシュミレーションについて、滋賀県は「富栄養化防止条例でうたっている対策だけを続けた場合を想定した試卸値であり、環境基準部会でその妥当性も含めて検討してもらっている段階」と説明」したというんですが、しかし、私が思いますには、恐らく県に問い合わせたと思うんですが、検討段階の資料だとしましても、検討してもそんなに数値が、四五%がこれが一〇%段階というようなことじゃないんで、大体その前後ですよね、専門家がずっと調べてきた数値ですから。となると相当のカットが必要である。しかも今の方法ではそれはカットできない。となると一体何が必要なのか。新たな対策が必要なんです。それをどう考えておるのか、これを聞いているんです。
  201. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 一つには、規制面で申し上げますと、もしどうしても不十分な場合には総量規制を適用いたしまして、既存施設を含めて規制によるカット量をふやすということが一つあるわけでございます。
  202. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そうですね、まさに総量規制なんです。しかし、今それには立ち至ってないわけですし、今のところですと、まず水濁法で窒素、燐の一律排水基準を設けまして、それでずっとやつてみて、それでもうだめならば今度の湖沼法二十三条を適用していくということだと思うんです。しかし、もう既にわかっておるんですよ、今のを目いっぱいやってもこれだけのものはだめなんだと。となれば、なぜ今すぐ湖沼法の中に水質を規定し、すぐ実施しないのか。  我が党は後に修正案を出しますけれども窒素、燐をきっちりと法文上も規定し、それについての総量規制を直ちにやるべし、こういうのが我が党の修正案ですけれども、むしろ琵琶湖などについてはまさにそれを今やるべきではないのか。もうそれは明々白々なんじゃないか。これが一昨日からの私の一番の疑問とするところですし、この法案の一番の問題じゃないか、こう思うんです。
  203. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 確かに、明々白々であるというふうな御指摘でございまして、これは滋賀県が現に富栄養化防止条例で数年前から実施しているものでございますから、その成果が、先ほど申し上げましたように、要削減量がもう少し下がるのではないかと思いますが、それにしても確かにおっしゃるようにそうひどく大きく数字が動くわけではないわけでございます。その意味で、水濁法による窒素、燐の規制に限界があって総量規制が必要ではないか、こういう御指摘だろうと思います。  法律の仕組みといたしましては、県の条例で現にやっていることを前提に仕組むわけにもまいりませんで、一応水濁法それから湖沼法というふうな仕組みになっているわけでございます。現にこの総量規制につきましては、手続が、水濁法でも御案内のように総量規制できることになっておりますけれども、水濁法の総量規制手続よりもはるかに簡素化されて、水濁法ではやや難しい場合にも湖沼法で総量規制ができるように仕組まれているわけでございます。  その点は、直接琵琶湖水質保全に御努力なさっておられる滋賀県とも相談いたしまして、この総局規制の発動の時期等についてはよく相談してまいりたい、かように考えております。
  204. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今までの質疑の中で、ともかくも現状を目いっぱいやっても、あらゆる手段を通じても残るものがある。それを削減していくのがこの法の目的だとなりますと、今すぐやれというのが私の意見だけれども、それがこの法案でそのままのことですから。しかし成立した暁には、これは早晩その問題にぶち当たるのじゃないか。となれば、これはもうちゅうちょしないで直ちにそういう総量規制の方向を、いち早く窒素や燐を明確に環境基準規制を設けてそして直ちに総量規制すべきだ、私はそう伺ってよろしいですか。
  205. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先生、先ほど来、目いっぱいやってもと、滋賀県が現に目いっぱいやっている、こういうことでございますが、その目いっぱいやるに際しましては、滋賀県におかれては今後の下水道事業予算の伸びの見通し等もやり、それからまた、個々の施設について果たして技術的に、それからまた経済的に可能であるかどうかということを詰めた上で規制値を決められているわけでございまして、これは総量規制ということになれば当然、濃度規制で滋賀県は御検討になったわけで、今度は総量規制で同じような作業が必要になるわけでございまして、やはり県政運用上余り無理な規制をするわけにもいかないというような問題もあろうかと思われます。  私が先ほど滋賀県とよく相談してと申し上げましたのもその辺でございまして、私どもは、もちろん湖沼水質浄化は環境庁の目的でございますから、これを第一義的に考えることは申すまでもないことでございますけれども、県で現実的な運用の可能性ということもやはり考えていかなきゃいけない。そういうようなことから、直ちにということを今ここで先生にお約束するわけにはまいらないわけでございます。その点御了承いただきたいと思います。
  206. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 県が六十年目標値を決めまして、その達成のために努力をしていますね。しかし、それはもう既に審議の中で出ているとおり、やっぱり県のできる範囲という、そういう段階のものなんです。  しかし、問題は、上田長官もこれは京都で堂々と言われたとおり第Ⅱ類型を五年で達成するのだ、五年でいくかどうかは別ですけれども、そこを目指すのだということだし、前回も第Ⅱ類型にしたいということですからね。となると、まさに国、滋賀県が一緒になってそこを目指さなきゃいかぬですね。となれば、もうこれが施行されるともうすぐさまその問題にぶち当たる。今直ちにということは難しいということかもしれませんが、それはやっぱり早急にそういう方向に行くべきだと思います。  その場合に、今の局長答弁でもわかるとおり、やはり財政的な表づけがないので直ちにできるかどうかという問題、直ちにしなきゃいけないのだけれども、財政問題が一番ひっかかっていると思うんです。そこで、これは我が党の修正案は、財政的措置をしっかりやれということですが、政府案はそれがぽっかり落ちちゃっておる。極めて残念なことで、これは指摘だけにとどめたいと思います。  そこで問題は、この実効ある条文の規定として、制度的に今言ったた削減をどう実行していくかという点で幾つか問題がありますし、政府案が要削減分の対策として実効ある制度となっているかどうかということが問題ですので、順次質問をしたいと思うんです。  工場事業場の新増設に対する対策の問題ですが、なぜ許可制を導入しないのか。今以上に新たな汚濁源あるいは汚濁負荷量の増加があれば、これはますます汚濁がふえていくわけですね。まず、それがないということが前提で減らしていくことが問題ですね。なぜここで許可制が導入できなかったのかという点です。
  207. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) やはり許可制ということは、指定湖沼の周辺では一切原則として工場事業場の立地を禁止する、禁止した上で特定の場合だけ許可で解除する、こういうことになろうかと思います。これは、制度的にはやはりかなり重い意味を持つわけでございまして、土地利用に対する非常に重要な規制になるわけでございます。  したがって、現在の憲法に基づく法律制度のもとでは、やはり国民に対する権利義務の規制必要最小限にとどめるべきであるという一般的な議論があるわけでございます。したがいまして、要するに、基準に合致すれば許可する。今度は逆に言えば、届け出をさして基準に合致するように変更命令をかける、そうすれば論理的には全く同じことになるわけで、したがって、私どもとしては、届け出に対する計画変更命令という、国民の権利義務に対する規制としては許可制よりはるかに緩やかになるわけでございます。同じ目的が達成せられるならばそのような仕組みでやるべきではないか、かような観点から届け出と計画変更命令、こういうふうな仕組みをとったわけでございます。
  208. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これ以上汚濁を進めない、そういうものの設置は認めないという立場に本当に立てば許可制以外にないんで、我が党は許可制の修正案を出しますが、この点は社会党案は許可制になっておるので、この点は高く評価をしたいと思うんです。  次の問題は、既設のすべてのものに対する総量規制の導入についてでありますが、これはなぜ環境基準とリンクさせ、その達成のために必要となる削減量を総量削減目標としないのか、これが第一点です。  それから、原案のままですと総量規制を実施しても環境基準の達成はいつのことになるのか、これはわからないのではないか、こういう疑問がございますが、この点はどうですか。
  209. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生の御指摘は、産業系のNとPが非常に大きなウエートを占めておるということを前提にお話をいただいておったのではなかろうかと思うのでございます。しかし、琵琶湖の場合におきまして、NとPの出してくる割合というものは生活系が一番大きゅうございまして、この生活系をやはり抑えていかない限りNとPはなかなか抑えられないというのが私の考え方でございます。  先ほどからたびたび申し上げておるのでございますけれども琵琶湖の周辺、滋賀県に張りついてきております工場につきましては、その排出する水質について非常に各知事さんは神経質にお取り扱いになっておられまして、今までの張りついております工場につきましては、そういう水質を悪くするような、汚濁するようなそういう排出はないか、あるいはNとPを多く含んでおるようなものはないか、こういうことでそれを調べてそうして許可をしておられる。許可というか、規制をしていただいておる。こういうことをしておられるのでありまして、その方針はやはり続いて私は滋賀県においては行われていくというふうに確信をいたしておるものでございます。  したがいまして、生活系をやはり下げていかない限り、今先生がおっしゃっておられました負荷量は下げられないのではなかろうかと思うのであります。その生活系のものを極力下げる、そういう計画を私は立てていただきたい。もちろん産業系につきましてもこれは下げていく計画をさらに詳細に調べて立ててもらわなければなりませんけれども、そういうことが一番大事ではなかろうか。あるいはまた、そのほかの、何といいますか汚濁をするNとPを含んでおるもの、あるいはまた水質汚濁するものを含んでおるもの、こういうものに対しての対策を立てていかなければならないと考えております。  それから、NとPとが減っていきますと湖沼の中での汚濁の進行といいますか、そういうものも少なくなっていくだろう、これの調査もあわせてずっとやっていただくということをやっていかなければならないと考えております。  特に、琵琶湖におきまして赤潮が発生し始めたのは六、七年かそこらぐらい前からたしか起こり始めたと思うのでございます。したがいまして、それからの汚濁負荷量、NとPの負荷量というものがふえてきたことによって今の赤潮が発生をしておるというふうに考えられるのですが、もう少し下げていかないといけないかもしれません。一度発生しますとまた起こりやすくなっておりますので、そういったようなことも込めて、赤潮の発生しないように、アオコの発生しないように早くしていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  210. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 次に、湖面の埋め立て、干拓、水辺環境保全のための規制、これが入っていないわけですが、湖沼の一定の水域がそっくり消滅してしまう湖面の埋め立て、干拓その他の湖岸の人工改変、これを規制することはやはり湖沼の環境保全すべての根本条件だと思います。これを入れなかった理由について伺います。
  211. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 埋め立てあるいは干拓が湖沼水質に重要な影響があることは私もひとしく認識しておるわけでございます。  この点につきましては、公有水面埋立法に基づきまして、都道府県知事が埋め立て免許をする際に、知事は、その埋め立てが環境保全及び災害防止に十分配慮せられたものと認める場合でなければ免許を行うことができないことになっているわけでございます。このために、湖沼法案においては特に埋め立て、干拓の新たな規制措置を設けることとはしなかった、こういうような次第でございます。
  212. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから、丸谷先生せっかくそこにお座りですので、若干の質問をさせていただきますと、一つは、富栄養化防止対策についての社会党案についてです。社会党は、先ほどの許可制の問題、それから湖沼環境の保全という点では我が修正案とも同じなんですが、ただ、条文の上で提案者の趣旨がはっきりしない面があるものですから一つ伺いするんです。  これは主に二十五条関係ですが、これは環境庁考えでも、水濁法の政令改正で窒素、燐の一律排水基準を設定し、さらに必要に応じた条例による上乗せ規制対策が打てるようになっているんですが、この社会党案ですと、これはいわゆる瀬戸内法流の指定物質削減指導方針なんですね。排水規制を私はかけた方がいいと思うんですが、かけなかった理由です。これをかけないと、現に滋賀県や茨城県が富栄養化防止条例の先進的な排水規制を近めでいるのに対して悪影響がありはしないか、こう思うんですが、その点いかがですか。
  213. 丸谷金保

    丸谷金保君 法案の作成の段階におきまして、私どもは、できるだけ厳しくすることも必要ですけれども、大方の合意を得るような、しかもそれで中公審にできるだけ近い線でまとめていこう、こういう考えを持っておりまして、したがって、富栄養化の問題につきましても、窒素や燐の数量規制というふうなことも一応考えたのですが、現況の状態で厳しい規制をしても果たしてそれが実行可能かどうかというふうなことになると、瀬戸内海の法案でございますと与党、野党それぞれ賛成なさっている向きもございますので、恐らく現在の政府案よりは一歩進んだ我が党案に満場で賛成をしていただけるんじゃないか、こういうふうなことを実は頭に入れながら、この点についてはその程度規制でいく。  ただし、地方自治法の精神から言いましても、それから、この法案水質をよりよくしていくという精神からいきましても、都道府県知事がさらに踏み込んで進めることについては何らの支障はないのでないか、かように考えております。
  214. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この点私は成立した場合のことを心配しまして一言申し上げるのですが、基本に水濁法があり、それに対して条例の上乗せがあり、その上に湖沼法が乗るというんですが、事この富栄養化防止対策につきましては、その下の基盤がなくなってしまって、それで指導方針ということでずっと下へ来てしまいやしないかということを心配しますので、これは御一考願いたい。できれば賛成できるようなことに変えてもらえればこれは大変ありがたいと思うんです。
  215. 丸谷金保

    丸谷金保君 この富栄養化対策につきましては、なかなか現行の法体系の中で、先ほど近藤委員もおっしゃいましたように、直ちに実効を上げられるような方法があるかというと、これはなかなか難しい問題だと思うんです。  ただ、私はその点については、現在の機構、例えば流域下水道というふうなものに固執しておりますからなかなか簡単にいかない。相模湖だけ見ましても、例えばCODは神奈川県の方が七%で山梨県の方が九三%、窒素や燐になると神奈川県が六%で山梨県が九四%というふうにほとんど山梨県の方が多いのです。それじゃ、山梨県の方で隣の県の相模湖の方にいくのに現況の中で流域下水道がそんなに進むかというと、それはなかなかそういうふうにはいかないようでして、桂川流域にしろ上野原の公共下水道にしろみんな十年、二十年かかるんです。  私の経験から言いましても、小さな人口一万二千の町で、北海道の池田町はもう近く供用開始ができるようになる、下水道が。これは十勝川流域下水道に入らなかったんです。うちはちまちまと自分のところだけでやる、その方が早くいく、こういう私は体験を持っているんです。  ですから、今のようにできるかできないかわからない工場の廃液まで全部入れることを想定して、莫大な金をかけて終末処理場をつくっていく、こういうことの政策を大きく転換して、例えばソフト・ウオーター・パス、いわゆる小さなところにもどんどん小さな処理機能を生かしていく。恐らく今の円の予算の中でもっともっと上手にできる方法もあるんじゃないか。ただ、遺憾ながら私が内閣総理大臣じゃないのでそういうわけにいかないわけです。  そうしますと、現況の中で富栄養の問題を考えた場合には、まず最低ガイドラインとしての瀬戸内、こういう考え方で進めてまいっておりますので、よろしくその点御理解の上御賛同をお願いいたしたい、御協力をお願いいたしたいと思います。
  216. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その議論はその程度にしたいと思うんです。  次に、もう時間がないので、建設省が来ていますから建設省質問に移ります。  湖沼水質保全の面で下水道整備事業が大変重要なウエートを占めていることは明らかですが、ただ、重要湖沼を抱えている県の下水道普及率というのは極端に悪い。それから、指定湖沼に予定されている十湖沼下水道普及率も、数子は挙げる時間ありませんが、これもよくないわけで、琵琶湖は八%ちょっとという状況なんです。  それで、問題はこの低い状況をどう打開していくのかということですが、これは公共事業のマイナスシーリングが重くのしかかっておるわけなんです。そこで建設省、こういうマイナスシーリングの中で、やはりせっかく湖沼法できるわけですから、どのように前向きにこの下水道整備をしていくのか、この点が一つです。  それからもう一つは、これは各自治体の切望しているものは、要するに、処理面積が五百ヘクタール未満の地域で口径三百ミリ以上、これが補助対象ですね。これを二百ミリから二百五十ミリに拡大してもらいたいというのが切望なんです。というのは、三百ミリがずっと来ましても実際に家庭に入るところはもっと細い二百から二百五十で、ここを補助してもらわぬと実際進まないんじゃないかという点が実態のようなんです。  この点二点についてお答えいただきたいと思います。
  217. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  現在の下水道整備状況は、先ほど来いろいろ御議論いただいておりますように、五十七年度末の総人口普及率で三二%にすぎないという状況でございます。今後とも限られた予算の中で効率的な事業の執行に努めまして、普及率の向上に努めてまいりたいというふうに基本的に考えているところでございます。  現在、湖沼関連につきましては、四十一カ所の湖沼かかわります地域につきまして下水道整備が進められておりますけれども、今後とも湖沼水質保全を図るためにこれらの湖沼関連する下水道整備推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、補対率の改善といいますか、補助対象の範囲の拡大を図るべきではないかという御質問でございますけれども、今申し上げましたように、現在四十一の湖沼についてそれぞれ地域特性に応じた下水道整備推進しているところでございますが、ただいまも御説明いたしましたように、全国の下水道整備状況がまだ三二%にすぎないということでございます。したがいまして、湖沼周辺の下水道の補助対象につきましても、厳しい財政状況のもとでございますが、当面、その補助対象の範囲の拡大よりも、予算の範囲内での事業量の確保を優先して整備の促進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  218. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 もう時間ですので最後に、これは自治体の湖沼研究所に対する補助をお願いしたいと思うんです。やはり実際に自治体の対応が一番必要であるということはずっと今までの議論で明らかでありますし、湖沼浄化対策を効果的に講ずるために、湖沼の環境保全に関する調査研究、これは不可欠だと思うんです。  例えばこれは滋賀県の琵琶湖研究所、この研究事業に対する補助です。施設整備については分析機器などに一定の補助があるようですが、もうちょっと広くこの補助ができないか。さしあたって来年度予算の概算要求の中でそういう補助予算を確保すべきだ、それが私は具体的に進めていく湖沼法ができたということの一つのあかしだろうと思うんですが、その点の答弁お願いしたいと思います。
  219. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 都道府県の公害関係の研究所に分析機器の補助があるのは先生もう既に御承知でございます。  問題は、湖沼に関する研究所と申しますと具体的には琵琶湖の研究所等が考えられるわけでございまして、これについての助成ということでございますが、この種の補助金の新設というのは非常に難しゅうございまして、調査研究につきましても既存の諸制度でさまざまな補助制度がございますので、琵琶湖研究所のテーマのうちにそれらのものに合致するものがあれば、積極的にこれを取り上げて実質的に琵琶湖研究所の運営を援助していきたい。私どもとしても、大変有意義な研究をしていただいているところでございますので、そのような方法で対応してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  220. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ちょっと正確にしてもらいたいんですが、いいのがあればそれをどうなさるのか、補助をされるのかされないのか、そこが大事なんですよ。
  221. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 水質保全局を含めまして環境庁にはさまざまな委託費とかそういうような制度があるわけでございます。私どもお願いしたいテーマと研究所のテーマが一致すれば十分それはやれるわけでございます。そのような方法で対応していきたいというふうに考えております。
  222. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 初めに、本法案の名称は湖沼水質保全特別推置法案でございますので、お伺いいたしますが、湖沼という単語の定義でございます。環境庁はどのように湖沼を理解しておられますか。
  223. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私どもは、湖沼については社会通念上の湖沼ということでとらえまして、特に定義はいたしておりません。  ただ、実際問題といたしまして、この制度を運用していく上では環境基準の当てはめが必要になるわけでございまして、環境基準の当てはめるべき水域として、これは水質汚濁法の体系で規定されております。それによりますと、天然湖沼とそれから貯水量一千万立米以上の人工湖、こういうことになりますので、現実問題としては、この定義、つまり天然湖沼と貯水量一千万立米以上の人工湖がこの湖沼法の言う湖沼として運用されるような結果になるというふうに考えております。
  224. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうすると、単語としては湖沼という言葉を使っておられますが、今の御説明によれば、湖という言葉と沼という言葉にその違いはないわけですね。
  225. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 特にございません。広く湖沼というふうに社会通念上言えると思いますので、そのように御理解いただいて結構でございます。
  226. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今おっしゃいました湖沼によれば、その湖沼を構成するところの水の種類といいますか、例えば汽水、塩水、淡水等々ありますが、これはもう全然今の湖沼の定義の中には含まれていないわけでございますね。
  227. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 具体的には、塩水が除かれるのはこれは当然だろうと思います。  問題は、汽水湖が果たしてどうなるかということでございますけれども、汽水湖にも塩水濃度によってかなり性質の違いがあるようでございます。この湖沼法を目的論的に解釈しまして、この法律に定められました諸対策で目的が達成できるようなものについては、汽水湖のうちの一部は取り込む。具体的な限界については、ちょっと現在データ等を用意しておりませんのでお答えできませんが、そのように運用してまいりたいと考えております。
  228. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、島根県の中海は当然湖沼に入るわけですね。
  229. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) これは入ることになります。
  230. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 中海を含めまして、今の定義に基づきます湖沼は幾つぐらい日本にございますか。
  231. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先ほど申し上げましたように、社会通念上の天然湖沼を全部挙げますと、これはちょっと私どもも集計しておりませんが、天然湖沼で面積が一ヘクタール以上のもの、これは約五百ございます。それから貯水量一千万立米以上の人工湖が約三百ございますので、大体八百ぐらいということになります。
  232. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、将来的には広い意味での湖沼法の対象になる湖の数はおよそ八百、こう理解してよろしゅうございますか。
  233. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 湖沼法適用の可能性のある湖沼につきましては、おっしゃられるとおりでございます。
  234. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私は長官にちょっとお尋ねしたいんですけれども、先年カナダに参りまして、カナダのこういった水質のことを担当しておりますセクションの人と懇談をいたしました。そのときに、これはまあうそのサンパチという言葉がありますから、確認したわけじゃございませんが、カナダの役人の方がおっしゃっていたのは、我が国にはおよそ三百万の湖があります、ということでございました。カナダ国としてはその三百万の湖について、後世誇るに足るだけの立派な水質と周辺環境を保全するために率先して一生懸命やっているんだ、どこでも見てください、我がカナダは世界のどこの国と比較しても、どの湖を見てもらっても負けないだけの頑張りをやっております、こういうことだったんですね。  私も実際カナダの湖、これは釣りに行ったんですけれども、幾つか回りまして、それはもうサケからマスから見事なものでございました。また、その保護に対する国民やまた行政当局の熱意というんですか、これは打たれるのみでございました。  私、そこで長官にお尋ねしたいんですが、カナダは三百万です。確認したわけじゃございませんが、少なくとも百万以上はあると思います。これだけのことをやっているわけです、カナダは。我が国は、今御説明を伺いますと、まあ言ってもたった八百です。その八百の湖の相当多くが今日既に取り返しがつかないぐらい汚染の度が進んでいるわけでございまして、だからこそこういう法律もつくってこれから少しでも汚染の度合いの進行を遅くする、逆にきれいにしていく、そういうことをやらなければいけないわけでございますから、ここでまず長官に、本法律案成立につきましての御決意をいま一度お伺いしておきたい、こう思います。
  235. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  ただいまカナダの例を挙げていただきまして、日本の湖をもっとしっかり保護をやれ、こういう御激励を賜りました。  私も、この湖沼法をつくっていただきまして、今八百でございますけれども、そのうちで最も急を要するものは二十以下と言った方がいいのではなかろうかと思いますが、さしあたって十ぐらいのものを早くきれいにしていきたい、こういうことでやらしていただくのでございます。  この湖沼水質の悪化というのが終戦前の時代からだんだん進んできておるのでございますけれども、終戦後特に人口増とともに悪化をしてまいりましたので、その原因を十分に追求いたしまして、特に生活雑排水からだということでございますので、それに対する対策を十分に立ててきれいにしていきたい、そうして使っていただきたいと念願をいたしております。
  236. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そこで個々にお伺いいたします。朝から各委員がお尋ねになったものとほとんどが重複すると思いますが、同時にそれは私の疑問でもございますので、同じことをお耐ねすることになると思いますけれども、お答えをお願い申し上げます。  五十六年一月に中公審から答申が出て、この法案が提出されましたのが昨年の五月でございました。その間大分時日の経過がございました。これはどうなんでしょう、やっぱり各省庁間の調整等に手間取ったわけでございますか。どの辺に、答申から法案提出までこんなに時日がかかったという理由原因があるんでしょうか。
  237. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 中公審答申に基づきまして私ども制度を仕組むことを検討を開始したわけでございますが、その検討の過程で、ただいま御指摘にございましたように各省庁との相談もございました。その過程で時間がかかったというのが率直なところでございます。
  238. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 答申では、これも何人もの委員がお尋ねでございます、許可制にすべきである、こういう御意見があったわけでございますが、これが届け出制になりました。後退以外の何物でもないと思います。いま一度理由をお示し願いたいと思います。
  239. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 許可制と申しますのは、私が今さら申し上げますまでもなく、指定湖沼の周辺には一切工場事業場は立地することを禁止をする、禁止をした上で、特定の場合には解除して工場事業場を立地することを認める、こういうことでございます。これは国民の財産権に対するかなり厳しい規制になるわけでございまして、それだけの実質的な理由が必要になるわけでございます。  瀬戸内法につきましては、おっしゃるように工場事業場の立地はすべて許可制になっておりますが、これは瀬戸内海の場合には非常に大企業が立地して、しかもその負荷割合が全体の汚濁負荷の中でウエートが高い、全体として八割ぐらいだったかと記憶いたしますが、そういう実質的な利用があるところからそういう厳しい規制について法律的にも認められたことかと思うわけでございます。  これに対して湖沼の場合には、一般的に中小企業の割合が高く、かつ汚濁負荷の割合では、再三申し上げておりますように、産業系のものよりも生活糸の汚濁負荷の割合がかなり高いというところから、そういう実態があれば、一切禁止するのはちょっと法律制度としていかがであろうか。結局、要は禁止をして特定の場合解除するということでございます。そうしますと、届け出させて、特定の場合、つまり許可制がしいてあれば認められるであろうような基準にならないものについては計画変更命令をかけるということにすれば、同じく目的は達成できるわけでございます。  したがいまして、国民の権利義務に対する規制というのは必要最小限にとどめるべきであるというような法律上の法制局の御判断もあって届け出制をとった、かような次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  240. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それは、環境庁の例えば局長を中心とするスタッフで、何の問題もなく今のような結論に達しられたのか、それとも例えば通産省との調整等を待って、今おっしゃったような法制局等の見解を引き出した上でのこういう法律の案文になったんでございましょうか。その辺をはっきりと御答弁お願いいたします。
  241. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 政府案検討の段階ではいろんな過程があったかと思いますが、確かに御指摘のように、中公審答申では許可制として仕組むべきではないか、こういうふうな御答申をいただいているわけでございます。したがって、政府案の内部での検討の過程で許可制で案を仕組んだ時期があることは間違いございません。その後、各省とのいろいろな折衝、法制局へ対する説明の過税で現在の姿になったということでございます。
  242. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その点だけ確認をしておきます。だから、古葉をかえれば、最初の環境庁プロパーの案文の作成時におきましては確かに許可制というものも論じられた、このように理解しておいてよろしゅうございますね。
  243. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 中公審答申にできるだけ忠実に仕組むのがやはり一つ考え方だと思いますので、そのような検討をなされた時期があったことは間違いございません。
  244. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 何回も同じことを聞いておりますけれども、「湖沼の環境保全を図る上では、湖沼水質及びその周辺の自然的環境を一体のものとして保全することが肝要である。」一昨日の美濃部委員の御質問にございました。これは答申にはっきりと明示されているのですが、これを水質保全に限定されました。この点についてお答えをお願いします。
  245. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  環境と水質保全、この両方を適合して、そうして保全を全うしていく、湖沼水質保全していくということについては、これはもう方向としては間違いがない、中公審の方向と同じでございます。しかし、今晩在におきましていろいろと各省が法律をお持ちになられまして、そうして環境保全に対しての手当てをしていただいておるのでございます。これを調べてみますと、今考えております湖沼の周辺というものはそういう法律で十分に守っていけるのではないかということがわかってきたのでございます。  ところで、それではどこに今それじゃ欠陥があるのだと言いますと、これを水質保全、環境保全湖沼の周辺の保全ということを考えてのいろんな計画がまちまちに動いていくというところにいろいろ問題がある。一つの方向に向かってこれを計画的にやってもらえるということになったら、これは非常に有効になってくるということではなかろうかと思うのであります。  環境庁というのは大体調整官庁として生まれたのでございますが、そういう縦割り行政の不備と申しますか、この省のお持ちになっておられるこの法律はこれはできるんだけれども、今そんなところ考えていません、こっちです、こういうふうに言われるところに、せっかくこういうふうな法律があって、こういうふうにしようと思うときにそれが働いてこないというようなことが間々生じてくる。これをやはり一つに調整官庁で調整をして、そうして水質保全とその周辺の環境保全の諸法律、こういうものを調整をして目的を達成できるようにするということがやはり環境庁の仕事であろう。  そしてまた、そういうふうにして調整ができるならば、各省は各省のいろいろな思惑、今おやりになっておられることをフルに発揮をしていただいて、そうして御協力がいただけるのではないか。全部環境庁の仕事でございますと言って、環境庁法律に書き入れましてそうして実行しようといたしますと、そこに非常に無理ができる。特に、調整官庁でありますから、予算の面におきましても実行の面におきましても、工事とかそういう実行面でございますけれども、そういうことについての権限の問題もございますし、それはやはり各省庁を動かす方がいいのではなかろうか、こういう観点から、水質保全というものと、そうして環境のいろいろな保全というものとを、片一方の方は各省がお立てになるものに任せ、そうして水質の方だけを計画を立ててやらせていただくというようにしたのでございます。
  246. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 長官のお言葉を伺っておりますと実に説得力がございますので、もっともだ、なるほどなという感じがいたします。でも、言葉じりをつかまえるわけではないですが、そのまた長官の今のお言葉をじっくりと拝聴しておりますと、例えば縦割り行政の不備という言葉がございました。調整官庁ということを何回もおっしゃいましたですね。  ですから、お認めのように縦割り行政の不備があり、環境庁そのものが調整官庁でございますから、これは長官、言葉をかえますと、常に環境庁というのは、例えばこういう法律案を提出いたしましても、その提出に至るまでに妥協を繰り返さなければいけない。結果としては、その法律案が当初もくろんでいた点よりもやはり相当に妥協を繰り返すことによって後退をしたものにならざるを得ない府命があるかのように思いますが、この点については長官の御見解はいかがでございましょうか。
  247. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  各省におきまして法律つくりますときには、自分の方で考えた、その省において考えたやり方、それをもって法律をつくって、そうして各省に協議をするわけでございます。そうするとまた向こうの省は向こうの省で自分の方から考えたやり方でこれを討議をいたしまして、そうして意見の一致を見て政府案というふうにやっていくわけでございます。  したがいまして、これは環境庁も初めは自分のところでというような考え方も出したのでございますけれども、やはりそういうやり方をやっておるとこの法律はうまくいかない面が出てくるということもあわせ考えて、そうしてそのかわり調整官庁としての面に立ってやらしていただこう。閣僚会議というものもこれを活用できるようにして、そうして調整官庁としての役目を果たさせていただこう、こういうふうに考えてきたものでございます。
  248. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私もそうだと思うんですよ。ただ、野党としての立場から申し上げますと、これは率直な私の気持ちなんですけれども、この委員会でこうやって時間をちょうだいして質疑をいたしましても、現実に与党の方が数が圧倒的に多くて、それでこの委員会で審議をして幾ら質疑をして幾ら問題点を突き詰めても、最終のところは、やはりこれは民主主義でございますから多数決になりますね。ですから、もう委員会の審議に入ったときには既にほとんど修正も不可能というのが私は現実だと思うんですね。丸谷提案者も立派な法律案を本委員会に御提案でございまして、先ほども質疑がありましたけれども、まあ結果においては、残念ではありますが丸谷提案の環境保全特別措置法案は恐らく成立をしないということは数の原理にのっとって明らかであります。  だから、私がお願いをしたいのは、やはり法律案提出に至るまでに、なるたけ、例えばこの法律案についていえば、中公審の答申に近いものを調整官庁ではありましてもお出しいただくように、これからまたアセスメント法案等がきっと提出をいただけると確信をしておりますけれども、そういうときに同じ嘆きを繰り返さないためにひとつよろしく御陳情を申し上げます。お願いを申し上げておきたいと思う次席でございます。  ベストがそれはいいに違いないんですけれども、やっぱりワーストよりはベターがいいに違いないんですから、私はその点においてこの湖沼法案がベターであるという点において評価していることは指摘をしておきたいと思います。  農水省米ていただいておりますが、中海の干拓事業につきまして、工事の着手、それから現在工事の進捗はどこまで来ている、完成しているなら完成している、それから締め切りに必要とします水門は既に稼働しているのかどうか、その干拓事業についての総予算は幾らかかったのか、お伺いをいたします。目的もお願いいたします、干拓事業の目的です。
  249. 吉川汎

    説明員吉川汎君) 御説明申し上げます。  中海干拓事業につきましては、島根県の斐伊川、宍道湖、中海の総合開発計画、それから鳥取県の西部地域の総合開発計画の一環といたしまして発足したものでございます。  事業の内容は、中海に約二千ヘクタールの農地を造成するとともに、干拓地とそれから周辺の沿岸の耕地合わせまして約九千三百ヘクタールの農業用水を確保するために宍道湖、中海を淡水化するというのが中海事業の概要でございます。  これらの工事の進捗状況につきましては、主要工事であります干拓淡水化工事につきまして、四十三年の関係漁協と代替補償交渉等も経まして、本格的に工事を進めてまいりまして、現在干拓につきましては五地区ございますが、そのうち三地区は干陸ないし埋め立てを終えております。まだ完成というところまでいっておりませんが、ほぼ完成に近い状態でございます。残りの二地区につきましても既に干陸目前というところでございまして、現在その準備工事を進めておるというところが現況でございます。  事業費でございますが、全体の事業費は現在時点で八瀞四十億円を想定いたしておりまして、五十八年度までに支出いたしました事業費は五百三十八億円、名目の進捗率で六四%ということに相なっております。  それから、淡水化を行うためには樋門の操作が必要なわけでございますが、淡水化に必要な樋門工事につきましては既に完了いたしておりまして、既に操作が開始できる状態になっております。  現在、淡水化を行うに当たりましては関係機関との協議が必要であるということで、特に淡水湖の水質問題につきましては非常に大きな関心をいただいておりますので、農林省といたしましても慎重に対処したいということで、内部でも関係のいろんな専門家の御意見を伺いまして検討を進めてまいったわけでございます。  現在、昨年の末に県の水質の将来計画というものが公表されましたので、そういう計画に沿いまして、淡水化が行われた後の水質がどうなるかというような水質予測を現在やっておりまして、それと同時に、淡水化をどういう手順でやるのか、船の航行なんかもございますので、そういった面を検討いたしまして淡水化施行計画を現在策定中でございます。これができますと、関係機関といろいろ協議を開始いたしまして、水につきましては、大変早い時期に欲しいという周辺農家の希望もございますので、なるべく早くそういう工事に着手できるようにしたいというふうに考えております。
  250. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 数年前にこの委員会で、当時は公害特別委員会といっておりましたが、視察に参りました。その現地での御説明では、たしか、干拓したところへ畜産農家を導入したいということをおっしゃっていたと思いますが、そういう計画はありましたですか。
  251. 吉川汎

    説明員吉川汎君) 中海干拓卒業の営農計画につきましては、現在幾つかの労農類型を立てましていろんな試算を現在やっておる段階でございます。入植をどのくらいするのか、あるいは増反をどのようにするのかということで、数字につきましてはまだ確定したものはございませんが、営農類型といたしましては、酪農入植というのも一つの基本的な考え方で類型として考えております。
  252. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 具体的な戸数で伺ったように思いますが、何戸ぐらい導入したいという……。
  253. 吉川汎

    説明員吉川汎君) 酪農入植のパターンでございますが、一戸当たりの配分面積から勘定いたしまして、全部入植で埋めるということになりますと戸数が大体九十五戸ぐらいが埋まりそうだという計算になります。
  254. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 環境庁にお尋ねいたしますが、今審議しております湖沼法によれば、畜舎等も規制の対象になるのでございましたね。どういう内容でありますか。
  255. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 畜舎につきましては、必ずしも直接公共水域への排水がない、あるいは排水の量が非常に少ない、しかしながら汚濁負荷量は非常に多いという場合もございますので、これにつきましては特に指定施設という制度を設けまして、その構造基準を定めまして、外焔に汚濁負荷が流出しないように規制をしていくことを考えておるわけでございます。
  256. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 中海、宍道湖、まあ中海と宍道湖は短いカナルで結ばれておりますが、中海、宍道湖は指定湖沼の対象になっておりますか。
  257. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在、指定する方向で関係県と協議をしている段階でございます。
  258. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 とすれば、仮に、今農水省おっしゃったように九十五戸の営農農家が入植をいたしますね、干陸に。そうしますと、当然指定湖沼でございますから今おっしゃったような規制を受けることになる、こう理解してよろしゅうございますね。
  259. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 入植酪農家の具体的な指標、つまり飢育頭数が何頭ぐらいになるというようなことがわかりませんと明確なお答えはいたしかねますが、当然のことながら、私どもが定めます指定施設としての要件を備える場合にはきちっとそれを守っていただくようなことになることはもうこれは当然のことでございます。
  260. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 工事に着手を農水省されたのは昭和四十三年でございましたね。四十三年といいますとまだ環境庁はできていなかったわけでございますが、農水省としては、日本海の水が池々で通過しております中海、宍道湖を締め切りましてあの湖を淡水化した場合に、漁業においてあるいは観光価値の低減において、それからまた、当時陳情もありましたけれども、あそこはコハクチョウの泊地になっておりまして、たくさんのハクチョウが渡ってきたんですが、こういった干拓化が進み、締め切って淡水化した場合に、例えばハクチョウは渡ってくるのか、漁業はどうなるのか。それから、淡水化することによって湖水の汚濁がどのように進むかということにつきましての徹底したアセスメントは、農水省としておやりでございましたか。
  261. 吉川汎

    説明員吉川汎君) 淡水化によりまして水質がどのように変わるかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、いろいろな調査なり推測なりを実はやっておる段階でございます。既に中間報告等も得ておるわけでございますが、さらに、将来予測も含めまして、淡水化が行われた暁にはどのような状態になるかということを含めまして検討をしておるということでございます。
  262. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今検討をしていると。今例えば地方自治体の鳥取県や島根県のそういった調査の結果を待っているというのと、四十三年に着手するときに、将来これをやったら、この工事が完成したら、なるほど農業用水はいい、酪農家も入ってくる、しかし我々の宍道湖や中海がどうなるのか、淡水化したら水がどうなるのかということに対しての配慮というものが私は欠けていたと思いますし、ちゃんとおやりになっていれば、今そんな鳥取県や島根県の調査結果を待ってだとか、水門が既に完成しておりますのにまだ締め切りもできないというような事態には立ち至らなかった、こう思うんですが、その点についての御認識はいかかですか。
  263. 吉川汎

    説明員吉川汎君) 御指摘のとおりに、環境問題につきましていろいろな御意見かあることも事実でございます。したがいまして、そういう御意見を踏まえまして、農水省としても独自にそういう検討をした上で、淡水化をする場合にはこのような手順でやります、淡水化をしたら大体このようになると思いますというものを含めまして、ゲート操作を開始する前に県知事さんと協議をするというお約束になっております。したがいまして、なるべく早くそういう協議に入るべく今準備をしておるということを申し上げたわけでございます。  したがいまして、四十三年の時点から環境問題は変わっているということを十分認識した上でやっておるわけでございます。
  264. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 でも、私ずばり申し上げますが、それは淡水化したらその淡水化した湖がどんどん汚くなってCODだって上がってきますし、まして窒素や燐酸、PやNの値がもうどんどん高くなっていく、いわゆる富栄養化するというのはこれは自明の理、子供にでもわかる理屈であったと思うんです。だからいまだに水門をおろすことができない、私はそのように理解をしております。  環境庁は、この中海の干拓についてどのように不かわぞこられましたか。
  265. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先ほど農水省から御説明がございましたように、農水省が締め切るに当たって水質のシミュレーションをやられているわけでございますが、昨年末、島根県で水質管理計画を定めて、いわば将来の湖に対する汚濁負荷がいろいろ見通しが変わってきたということで、今現在それに基づいてもう一遍水質のシミュレーションをやり直されて、大体作業が完了したというふうに伺っておるわけでございます。近い段階で恐らく御協議いただけると思います。その際に十分説明を伺って対処してまいりたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、農水省におかれても、淡水化しても水質が悪化しては非常に使う上で制約が出るということはこれはもう当然のことでございます。私どももその点で水質保全を図るという環境庁の立場と一致できる点はあるのではないか。その意味で、若干時間はかかっても慎重に農水省が対応されていることは私どもとしても非常に妥当な対応ではないかというように考えているわけでございます。
  266. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これはほかの話になりますけれども、例えば「むつ」が今日のような状況になって国費のむだ遣いと言われておりますが、これは不可知の部分がありますから、ある程度理解できる面もあります。  また、この間放送衛星が上がりましたけれども、三台の中継器のうち二台が故障いたしまして、あの放送衛星打ち上げに六百十億円金がかかっているわけでございます。それは全部国民にツケは返ってきているわけですね。今一台しか働いていない。しかし、これも三万五千キロの上空に衛星を打ち上げているわけですから、それは打ち上げた後で中継器が故障する、これはまあある程度しようがないということも言えます。  しかし、中海の場合は、もし締め切ることによって淡水化してどんどん宍道湖と中海の汚濁が進んでいって、結局最後のところはどうしても締め切ることができないというような事態に立ち至った場合は、これは予測可能なことについて八百数十億円という国費をむだ遣いをしたというそしりは免れ得ない、こう私は思うんですが、その点につきまして農水省は、これはもういろいろな調査結果を待ち、地元の住民の皆さんの同意も得た上で当初の計画どおりに干陸を完成し、そして農民の皆さんにも喜んでいただける農業用水を確保し、当初の予定どおり営農畜産農家も導入することができる、そういう確信がおありでございますか。
  267. 吉川汎

    説明員吉川汎君) 中海の淡水化につきましては、周辺の関係農家から一日も早い淡水化を進めてほしいという強い要望が出てきておるのも事実でございます。それから、先ほど先生が御指摘のように、淡水化をすることによって環境がどのように変化するかという不安をお持ちの方々もいらっしゃるということも事実でございます。  そういう前提の中で私どもも慎重に検討をしておるわけでございまして、中間報告等によりますと、これは現在の負荷量でございます、将来の負荷量を想定いたしておりませんが、現在の負荷量のままで十分環境は保持できるという報告も実はいただいておるわけでございます。しかし、将来予測も十分やっておく必要があるのではないかというようなことで、現在将来予測をやっておるわけでございまして、それができ上がりましたら、なるべく早い機会に関係機関の方へ御説明いたしまして御理解を深めていただく努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  268. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 一昨日も、隣に座っていらっしゃる美濃部委員が、この湖沼法、既に汚れてしまった湖沼について網をかける、それも大事だけれども、これから汚れていこうとする湖についてその汚染が進まないように周辺の環境保全も含めてやることが大事だ、こういう御指摘でございまして、私も全く同感でございます。  宍道湖というのは、今、日本で消費されているシジミの相当多くの部分を生産しておりますね。これが淡水化したらシジミはとれなくなる可能性の方が大きいと私は思うんです。だからそういう心配をなくするためにも、これから例えばこの法律案ができましたら、今中海は指定湖にするという方向で進んでいるとおっしゃいましたから、農水省とよく御相談になりまして、一点の不安でもある限りはこの水門は一センチたりともおろすことはあり得ないというぐらいの勇気を持った御処置をひとつ環境庁に、文字どおり調整官庁としての環境庁お願いをしておきたいと思います。  最後に一言だけ。  先ほど河本委員質問でございましたが、夏に世界湖沼環境会議が滋賀県であるわけですけれども、これにつきまして一億七千万円の県費を滋賀県も張り込むわけでございます。まあ金は出せないとおっしゃいますけれども、長官、この世界湖沼環境会議には、日本の環境庁がこれだけ頑張っているんだということをPRするためにも絶大なひとつ援助をお願い申し上げたいと思うし、そのまた御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  269. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  八月に滋賀県で開催される予定になっております世界湖沼環境会議におきましては、国内、国外の自然科学者、また行政官あるいは市民運動の方方が一堂に集まりまして、湖沼環境の保全と管理のための御意見や情報の交換と討議を重ねていただくものでございまして、我が国におきまして、湖沼水質保全を初め環境の保全を課題にいたしましてこの国際会議が開かれるのでございまして、大変に私は意義の深いことであると思うのでございます。  環境庁といたしましても、この会議を後援するとともに、会議の企画、推進に当たる委員会に職員を派遣をいたしまして、できる限りの協力をさせていただきたいと考えておるものでございます。私も出席をさせていただきたいと考えております。
  270. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 先ほどの中村議員の質問についての上田長官の御答弁でございますけれども質問の内容を簡単に言いますならば、昨日私が申しました、水質の問題とそれから自然環境の問題とは切り離すべからざる一体の関係であるにもかかわらず、それをなぜ切り離したか、それから、ひいて環境庁のあり方というようなことに対する御答弁でございまして、中村議員は大変に説得力がある御答弁であるというお話で、私はそうは思わないで、非常に説得力のない答弁ではなかったかと思うのでございます。と申しますのは、さかのぼって言うと、憲法の二十五条に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」国民は権利を有すると書かれてございます。  そうして、この条文を受けまして環境庁設置法では「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」と明白に書いておりますね。それでありますから、環境の保全に関する行政を総合的に推進することをその任務とするというのが環境庁の任務でございます。  それでありますから、単に水質ということではなしに、その水質を周囲の自然環境その他と一体に見まして、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものであるかどうかということを考えるのが環境庁の任務であって、単に各省庁の調整をするというふうなことが任務であるとは私には思えないのですけれども環境庁長官の御意見はいかがでございましょうか。    〔委員長退席、理事山東昭子君着席〕
  271. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  先ほど中村先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたのでございますが、この法案によりまして、湖沼水質とその周辺の自然環境とを一体に見て、そうして湖沼を守っていく、水質を守っていくということを申し上げたのでございまして、その考え方はこれはそのとおりなのでございます。  水質の方は、これはやはり環境庁にもちろん上がってきて、それを十分に見て関係閣僚会議にかけて決定をしていただくということになるのでございますけれども、これは知事さんにそういう計画を立てていただく。知事が立てられた計画環境庁が十分審査して、そうして関係閣僚会議にかけてそれを決めていくというものでございます。  そしてまた、自然環境の方は、各省がお持ちになっておられます、そうして実行しておられますいろいろな法律、それに基づくいろいろな行為、そういうものが今あるわけでございます。それを湖沼水質保全するという面から見て、これをいかに活用すればいいかということを環境庁考えまして、そうして各省に諮りまして、それを湖沼水質保全に資するように、一体になって働くようにこれをやるということでございまして、考え方として、一つ法律の中にそういう行為を全部各省が持っておられる法律から取り上げて――取り上げるというわけではないですが、ピックアップしてそうして環境庁がやるか、こういうこととの比較を申し上げたのでございます。  やはりただいまの日本の行政の仕組みというものは縦割り行政で、各省がお持ちになってそれぞれの目的でおやりになっている。そういう行為を、今度は調整官庁として、こういう目的にこの法律はひとつ使っていただきたい、そうしてこれを守ってもらいたい、こういうことをやっていった方が現在の日本の仕組みに合うのではなかろうか。その方が各省のいろいろの立場に立って、そうしてそれを働かしてもらえるようになるのではなかろうか。  そういうことをこの法律に――法律といいますか、湖沼水質保全ということにおいては一体にして考えていきますが、そういうやり方で一体にしてやらせていただきたい、こういうことでございますので、その一体にするということについては同じでございます。
  272. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 この議論はこのくらいで打ち切ります。というのは、幾ら議論をしてもとめどがないので、私のきょうの目的はそういうことではないんで、理解は一向いたしませんけれども、これ以上議論をしてもむだだと思うので打ち切ることにいたします。  それで、つまり健康にして文化的な生活を保障するということは、私は、環境庁の最終目標であると同時に、また地方自治体も、やはり自治体の住民に対して健康にして文化的な生活を送る権利を実現する、その義務を果たすということが地方自治体の任務であるというふうに思うんです。  それで、私は十二年間、東京の都知事をいたしまして、この健康にして文化的な生活をできるだけ都民に差し上げるということが自治体の政治の目標である、環境庁と同じような任務を持っていると考えまして一生懸命で努力をいたしました。  例えば、この湖沼法と似た問題では、隅田川、東京湾が非常に汚染をしてしまいまして、私が知事になりました当座は、隅田川の両国橋の上に行くと、ぷんと臭いにおいがする、悪臭がするというくらいに隅田川が汚れて、そうして東京湾もそういう河川を受け入れまして非常に汚染をして、魚もいなくなる。昔は七月、八月になるとハゼ釣りの都民でにぎわった東京湾がもうハゼ釣りもできなくなる寸前になっているという状態でございました。  そうして私は、こういうのは健康な生活環境というのとは真っ向から逆であるからしてこれは何とかしなければならないというふうに考えまして、そうして非常にたくさんのお金を投じまして隅田川その他の河川の流域の下水を完備いたしまして、そうして都民全体の下水処理が三五%ぐらいだったのが七五%くらいに上げることができて、また東京湾の海もよほどきれいになってハゼ釣りもできるようになり、それからミヤコドリもたくさん飛んでまいりますし、それから隅田川の花火もできるというほどになってまいりました。  しかしながら、こういうふうに東京湾の水が清くなったというだけでは十分ではないのであって、それを取り巻く環境をよくしなければならないというので、私が就任しない前に計画がありました湾岸の埋め立てを進めざるを得ない状態でございましたけれども、その埋め立てた上には工場その他の建物は一切建てさせない。その上には公園をつくる、それからハゼ釣りについてできるだけ便宜を与える、それから鳥がたくさん集まってくるバードサンクチュアリーもつくるというふうなことをいたしまして、東京湾の水が清くなった。清くといっては少し大げさでございますけれども、汚染が少しよくなったということに応じまして、周囲の環境もまたできるだけよくするということに努力をいたしました。    〔理事山東昭子君退席、委員長着席〕  そしてそれは、今の環境庁湖沼法におきまして、水質をよくすると同時に自然環境もそれに応じてよくする、そうして国民の健康な憩いの場とする、そういうことが湖沼法の最終目標でなければならないと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  273. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生の御指摘のとおりでございまして、環境をよくしていかなければならない、これはそのとおりでございます。  隅田川の汚染につきまして、荒川から水を入れましたときの私は河川局長、責任者でございますので、当時のことは一番よく私は承知をいたしております。その後下水道を東京都の方でおやりをいただきまして新河岸川の方の水が漸次、長時間かかってよくなってきた。その結果が今だんだんとあらわれておるのでございまして、これは本当に御同慶にたえない次第でございます。  今の湖沼の方の周辺でございますが、これは水質とそれから周辺の自然とこれを一体にして考えて、そうして憩いの場といいますか、水も十分に住民の方々に活用をしていただく、利用していただけるようにしていきたいというのが私どもの願いでございます。
  274. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 私は、そういうふうにして東京都民の憩いの場所というものも考えなければならない。  そうして、それは伊豆七島、これも自然のままをできるだけ保存をしてそうして憩いの場所とする。それから森林地帯として多摩丘陵、これも完全に手を入れてはいけないということを市長さんに頼みまして、手を全然入れさせなかった。その結果として、埼玉県の多摩丘陵のこっち側に行ってみますと、埼玉県側は全部開拓をして住宅を建てていて、その向こう側の東京都の領分には森が非常に茂っていて、そうして建てた家の広告には、背後に非常に景色がいい森が茂っているというふうなことが書いてありましたけれども、とにかくあの多摩丘陵の森をできるだけ保存をする。  それから、今問題になっております霞ケ浦一帯の湖沼、これもまた何とかしてきれいにして憩いの場所にしよう、そういうふうに考えて、霞ケ浦一帯は私のといいますか、都知事の榊限外ではございますけれども、何とかしてこれも都民の憩いの場にしたいというふうに考えていたわけでございます。  そういう考え方、いかがでございましょうか。
  275. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 東京の首都圏の周辺に近郊緑地をつくり、そしてその近郊緑地に東京都民、あるいはまたその周辺の勤労者と申しますか、そういう方々、あるいはまたそのほかの商店の方々、そういう方々が憩いの場として御利用をいただくような計画を実は首都圏整備本部の計画におきまして立てていただいたのでございます。  ちょうど私はそのときには近畿圏の整備本部の次長をやっておりまして、東京都の首都圏の方とタイアップいたしまして、両方に保全地域つくりそして近郊緑地を実は計画をさしていただいたのでございます。そのときに多摩の方ももちろん入っておりまして、それを憩いの場にしていただくということは結構でございますし、また霞ケ浦につきましては、これは建設省の方でいろいろと御計画をしていただきまして、今その水質をよくしようということで他から導水もお図りをいただいておるのでございますので、早くそれができて、そうしてそういう憩いをしていただく、あるいは水を十分に活用していただけるように、私どもこの湖沼法の一日も早い成立をお願いいたしておるところでございます。
  276. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 非常にいいお話でございますが、そのためには、一昨日も申しましたけれども霞ケ浦の付近で最もきれいな牛久沼を大切にするということが私は絶対に必要であると思うんです。  それで、牛久沼のほとりには住井すゑさんとおっしゃる作家がおられます。この方は「橋のない川」を書いた方でございまして、それから「暮しの手帖」には毎号牛久に関する随筆を書いております。そして「牛久沼のほとり」という本を出しておられます。その中に「もとより、大河、長流の気品には欠ける。大洋、大海の豪快さとも無縁。けれども沼は大地のえくぼ。沼は人々に愛をささやく。」と書いておられます。それほど牛久沼を非常に愛しておられる方でございます。この住井さんは八十三になられます。そして八十三の住井すゑさんは、牛久沼の競艇練習場に反対する会という市民運動の会長をされて、この運動の先頭に立って、牛久沼を競艇練習場にするということに反対をされているんです。  そのいきさつを簡単にこれからお話ししたいと思いますけれども、牛久沼を競艇の練習場にするということ、これは騒音でいっぱいになってしまう、それから汚染も激しくなる、そういう、何といいますか、付近の住民に対しても大変な迷惑であり、それから国民の憩いの場にしようという計画に対しても決定的な障害になる、そういう競艇の練習場にするというのです。その話は一昨日はまだお聞きにならなかったということでございますが、そういう企てがあるということ、その点について.はどうお考えになるでしょうか。
  277. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生が今御指摘の牛久沼でございますが、あそこは冬季には鳥が非常に飛んでくるのでございまして、ヨシガモであるとかコガモであるとか、これが飛んできて、そうしてそこに休むのでございますが、これはやはりそういうえさがあり、そしてまた水がきれいであるということからそこへ飛来してくるのであると思うのでございます。そしてまた周辺も自然の状態に今あるわけでございまして、これをひとつ何とか守らなければいけないじゃないかということから、実は先ほどもちょっと申し上げましたけれども、首都圏近郊緑地保全法というのがございますが、それによって緑地を今守っておるのでございます。それで水面及びその周辺を保全をしていこうということでこの指定がされておるのでございます。  また、鳥が飛んでくるということを申し上げましたが、県の方では鳥獣保護区によりまして野鳥の保護を図ろう、こういうことで今指定がされて保全に努めておるのでございます。  したがいまして、そういう状態において今保たれておりまして、水質の方は今のところそう悪くはなっておらないという状態でございますので、これは首都圏でございますから、国土庁の方において十分監視をしていただいておるという状態でございます。
  278. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 お話伺いまして大変心強く思うわけでございますが、この企画を進めているのがかの有名な笹川良一さんなんでございます。  少し簡単にプロセスを申しますと、五十八年の六月に練習場誘致の陳情書というものがこの周辺六カ町の町長の企画として議会に提案されそうになったのです。そのことは、その六カ町の町長さんが笹川良一氏にそういうことを頼んだ、依頼をしたということで、これを議会にかけるということが新聞に載りまして、そうしてそれが非常に問題になりまして大変な市民運動が起こって、先ほど申しました住井さんが先頭に立ってこれに反対をした。そうして一時この話はやめになってしまったんです。  そういたしましたらば、牛久地区の六市町村が、ことしの三月及び五月になりまして、曙地所というのと三建土地株式会社という二つの土建業者が笹川良一先生から依頼を受けましたと、そして牛久沼地区にトレーニングセンターの設立につき協力を要請されて、笹川さんから今度は要請されて、そうして今周辺の町議会に出すという協力依頼書というのが出ているのです。そうしてその協力依頼書は、もしこれを許していただけるならば、運動場を初めとして何でも金に糸目はつけないで援助をする。これは笹川さんのBG計画、つまり、市町村が土地を提供したらば、そこにいろいろな施設を自分の金で建ててあげる、それだから土地を提供してくれ、そういう計画の一環だと思われるわけです。  そうして、笹川さんというのは有名な右翼の闘士でございまして、そうしてギャンブルの大将でございます。そういう方が結局は牛久沼を支配するという計画を立てているのではないか。そうして、それが笹川さんの計画であるだけに私は非常に問題であるというふうに考えます。  したがって、今長官が言われたように、この美しい牛久沼を守るためにあらゆる手段を講じていただきたいということを心からお願いをいたしますが、いかがでございましょうか。
  279. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 今先生がいろいろと牛久沼の現況についてお話がございました。しかし、現在では地元の市町村の具体的な動きは私はないというふうにお聞きをいたしておるのでございます。  それから、先ほど私が申し上げましたが、首都圏の近郊緑地にこれは該当――該当というか、指定をされておりますし、また、牛久沼そのものは河川法上建設省の一級河川ということになっておりまして、これもやはり建設大臣から知事さんに管理を委託されておられる区域に該当をしておるのでございます。  そういったようなことがございまして、環境庁とは今のところ直接にはこれは関係がございませんが、そういう両省の方にも、また県知事さんの方にも申し上げておきたいと思います。
  280. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 前にそういう動きがあって、その動きは一応おさまったんです。そうして、各町長さんが署名をして、その署名は取り消すということになりましたけれども、それがことしの五月二十五日に、これは曙地所株式会社というところから協力要請書簡というのが茎崎町の議会に出されているわけでございます。それは「モーターボート競走会連合会及び船舶振興会の会長笹川良一先生から依頼を受けました牛久沼地区に造る予定の競艇選手の為のトレーニング・センター設立の件に付き」町会の協力を要請するという要請書。それからもう一つ藤代町の議会にも全く同じ文句の要請書が出されております。  それでありますから、動きがないというのは環境庁が御存じないんで、お調べになりましたならば、ことしの三月及び五月、前は笹川氏という名前は表面には出ないで、笹川氏にトレーニングセンターをつくることをお頼みするという形で話があって、笹川さんは後ろに隠れていたんですけれども、今度は笹川さんが表に出まして、そうして笹川さんの依頼によってトレーニングセンターのことを討議していただく、その場合にはよろしくお願いするという要請書が出ているわけで、問題はそう楽観を許さないという状態になっておりますので、環境庁も十分慎重な態度で対処していただきたいということをお願いをして、私の質問を終わります。
  281. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  282. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  湖沼水質保全特別措置法案及び湖沼環境保全特別措置法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  284. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  285. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  湖沼水質保全特別措置法案及び湖沼環境保全特別措置法案審査のため、委員派遣を行うこととし、その取り扱いについては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会