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1984-06-20 第101回国会 参議院 環境特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十日(水曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     中村 鋭一君  四月二十六日     辞任         補欠選任      吉村 真事君     石本  茂君  六月十九日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     菅野 久光君      太田 淳夫君     高桑 栄松君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 藤田  栄君                 森下  泰君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 片山 甚市君                 菅野 久光君                 高桑 栄松君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁企画調整        局環境保健部長  長谷川慧重君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境長水質保全        局長       佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        防衛庁防衛局運        用第二課長    上田 秀明君        防衛庁経理局施        設課長      大原 重信君        防衛庁装備局開        発計画官     太田 眞弘君        国土庁大都市圏        整備局整備課長  立石  眞君        外務省国際連合        局企画調整課長  野口 晏男君        文化庁文化財保        護部記念物課長  田村  誠君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    森下 忠幸君        農林水産省構造        改善局建設部整        備課長      平井 公雄君        農林水産省農蚕        園芸局農薬対策        室長       岩本  毅君        林野庁業務部業        務課長      小沢 普照君        通商産業省貿易        局輸入課長    奈須 俊和君        通商産業省生活        産業局文化用品        課長       山浦 紘一君        運輸省航空局飛        行場部関西国際        空港計画室長   小坂 英治君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      斉藤健次郎君        建設省河川局開        発課長      志水 茂明君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査湖沼水質保全特別措置法案内閣提出、衆議院  送付)     ―――――――――――――
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十五日、伊藤郁男君が、翌二十六日に吉村真事君が、また、六月十九日に太田淳夫君及び秋山長造君が委員辞任され、その補欠として中村鋭一君、石本茂君、高桑栄松君及び菅野久光君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  関西国際空港株式会社法案について、運輸委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 次に、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に、今世間を騒がせておりますダイオキシンの問題について御質問をいたしたいと思います。  四国の方でダイオキシン廃棄処分が適切に行われていなかったということが問題になっておりますが、実は、かねてから調査を進めておりました北海道十勝広尾町の山林でも、ダイオキシン剤四十缶がコンクリートの密閉なしに発見されました。このことについては林野庁の方では既に御承知のことと思いますが、問題の箇所が十八日にようやくわかって発掘作業が行われたということが道新できのう大きく発表されまして、北海道では非常にこれでショックを受けております。四国だけでなく北海道でもこういうことが行われておった。この点について林野庁見解をまずお聞きしたいと思います。
  8. 小沢普照

    説明員小沢普照君) お答えいたします。  先生ただいま御指摘北海道のこれは広尾営林署という営林署管内でございますけれども、ここで二・四・五T剤が埋没処理されたわけでございますが、私どもといたしまして、今回の二・四・五T系除草剤につきまして、これは昭和四十六年当時に処理されていたものでございますけれども、その状況につきまして全国的に調査をいたしましたところ、この二・四・五T系除草剤、乳剤、粒剤液状のものと粒状のものと、大きく分けますと二種類使っておったわけでございますけれども、その液状のものにつきましては、四国におきます処理が大部分であったわけですが、北海道におきましても、先生が今御指摘ありましたように、約二十リットルでございますけれども、埋没処理されていたわけでございます。  そして今回の調査によりまして、これの処理方法につきましては、当時林野庁長官通達で指示した方法とは異なる方法処理をされていたことが判明したわけでございます。このために、私どもといたしましては、二・四・五T剤処理に関すと対処方針に基づきまして、北海道庁でございますとかその他関係機関ともお打ち合わせを行いまして、この広尾営林署管内におきます二・四・五T系除草剤の埋没処理しました地点におきます水質検査でございますとか、それから土壌調査、こういうものを実施いたしますとともに、六月の十八日に、地中に缶のまま埋没処理しておったものでございますが、これを発掘いたしましてコンクリート製の容器に密閉し保管をいたしたところでございます。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 環境庁にお伺いいたしますが、環境庁組織令の二十六条で土壌農薬課所掌事項というのがあります。こうした一連ダイオキシン剤に対する対応といいますか、これは環境庁としてはどういう権限を持って関与できるのですか。
  10. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在、農薬につきましては、先生も御案内のとおり、農薬取締法に基づきまして、農林水産大臣登録を受けなければ販売してはならないこととなっております。環境庁といたしましては、この登録に関しまして、人の健康の保護及び環境汚染の防止を図るという観点から、登録するかどうかというその保留基準を定めることといたしております。さらにまた、その残留性等により人畜や水産動植物被害を生ずるおそれの大きい農薬につきましては、残留性農薬等として指定しその使用方法を規制しているところでございます。  この二・四・五T剤につきましては既に登録が失効しておりますので、その限りでは問題ございませんけれどもダイオキシン関連いたしましては、除草剤CNPにつきまして、これははるかに低毒性でございますが、一・三・六・八ダイオキシン不純物として含まれるというこういう報告もございますので、その点につきまして、その不純物、現在の登録保留基準にさらにこのような新しい事態に対応できるかどうか検討を進めているところでございます。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、毒性が低いと言いますけれどもCNPの。しかし、私はここに大阪大学理学部中南先生レポートを持っているのですが、この先生によりますと、一九七一年の農薬取締法の改正で、農薬登録の際に残留試験土壌試験を出すことになっている。これは裏を返せば、それまでは何にも義務づけがなかったけれども、その後ヨーロッパやアメリカで母乳や食品の農薬汚染の事実が深刻な問題になってきて、次いで日本でもそれらが明らかになってきた。そして農薬残留の全面的な研究もこれら一連農薬汚染問題に突き動かされるように七〇年代からやっと進展し始めた状況であって、CNPもその例外でない、こういうレポートが出ているんですがね。これは詳しく数値が出ております。恐らく局長さんもこれはごらんになっておると思うんですが、こういう見解についてはどうなんですか。
  12. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 本件につきましては、しばしば国会においても農林水産大臣からも御答弁申し上げているかと思いますが、一・三・六・八ダイオキシンははるかに低毒性であって、それはしかもCNP不純物として含まれている。その不純物を含むCNPについて十分なチェックが行われているので一応問題ないというふうに判断するというのが農林水産省見解でございます。私どもも現在農林水産省と全く同じ見地に立っておるわけでございますが、ただ、環境庁といたしましては、さらにその後これが淡水魚、オイカワあるいはシジミ等から検出されているというレポートもございますし、さらにその不純物についても、不純物不純物としてチェックする必要もあるんではないかというようなことも考えられるわけでございます。  したがいまして、そういう生物濃縮性あるいは不純物について、不純物不純物としてチェックすることが必要であるかどうか、あるいはその手法をどうするかというようなことについて、現在予算措置をいただいておりまして、検討を進めてまいりたい。私どもは、現在はとにかく一応安全であるという判断に立っていることは良林水産省と全く同じでございますけれども環境庁の立場からさらに慎重を期する意味でそのような検討を現在進めている、こういうことでございます。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、二・四・五Tについてはどういう見解なんですか。
  14. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 二・四・五Tにつきましては、現在登録保留基準が失効しておるわけでございまして、今後これが使われる恐れはないわけでございまして、問題は、過去に使われた二・四・五丁が環境の中でどう変化していくか、あるいはまた、今回問題になりましたように、使用を禁止された際に処分された二・四・五Tが環境の中でどう変化していくか、このような点が今後の私どもの非常に大きな問題であろうかと考えております。  特に、アメリカ等におきましても、この点についてはEPAが精力的に取り組んでおるところであるようでございますので、私どもとしても当面林野庁あるいは厚生省とも御協力しながら具体的な対策を今後進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、端的に言って二・四・五Tも安全なんですかと用いているんです。
  16. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 二・四・五Tにつきましては、登録保留基準、まあ登録が失効しているということから見ましても、これは非常に危険性が大きい農薬であったというふうに考えているわけでございます。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一度お伺いいたします。私は、二・四・五Tは安全なんですかと聞いているんです。
  18. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 二・四・五Tは安全とは申せないというふうに判断しております。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 ところが、CNPの問題で今局長が御答弁したのと同じことを過去に二・四・五Tについても答弁しているんですよ。これは一体どういうことなんです。今おたくは、CNPは農水省や厚生省でも大丈夫だということで、毒性が少ないから安全性については心配がないと、こうおっしゃいましたね。そして私の再度の質問に、渋渋ですが、二・四・五Tは安全とは言えませんと言いましたね。ところが、かつては二・四・五TについてもCNPと同じような答弁当局はしておりますね。それはどういうことなんです。そうすると今のあなたの答弁も信用できないということになりませんか。ちょうど同じような表現で言っています。
  20. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 二・四・五Tにつきましての過去の国会での審議の詳細につきまして私現在承知しておりませんが、恐らく登録を認め使用を認めた以上は先生今御指摘のような答弁が行われたことはそのとおりかと思います。  私どもといたしましては、過去にあったことについての反省の意味も兼ねて、したがって現在CNPについては安全だとは一応考えておりますけれども、なおその生物濃縮性検査とか、あるいはCNP中の一・三・六・八ダイオキシンそのものをチェックするような方法について検討するということを現在進めているわけでございまして、その後十年間たっているわけでございますが、やはり農薬等環境の中の動きについては非常にわからないことが多いということは事実でございまして、私どもは、現在CNP使用を認めて登録している以上はこれは絶対安全であるというふう  に言っているわけでございますけれども、しかしなお、御指摘のようなことも含めまして、生物濃縮性その他諸先生から御指摘いただいているようなことについても調べてみようということで現在検討を進めているわけでございます。その点御理解いただきたいと思います。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 登録されている以上安全だと。これは答弁になりますか。おたくはちゃんと土壌農薬課というのを持っているんです。それから非常  に整備された研究機関も持っています。年間五十億近い運営費を使っているんですよ。その中でこうした問題を局長さんが、登録されているから大丈夫だと。環境庁がそういう姿勢でいいと思いますか。大臣どうです、今お聞きしておって。環境庁としての独自性は全くないんですよね。
  22. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 丸谷先生のお話のとおり、CNPにつきましては私どもはある程度疑問は持って、今調査を進めさせていただこう、こういうふうに考えておるのでございます。しかし、CNPはまた一面効果もこれは確かにあるものでございますので、そういう点を考慮して、今流性が非常に少ないから使用をしていただいてもいいということになっておるのでございます。なかなか人知というのは進みませんので、いろいろの面でそういう点が起こってくると思うのでございます。  かって、DDTが終戦後これは無害である、使用してよろしいということになっておりまして、私なんか背中にいっぱい入れられたのでございますけれども、あれは発疹チフスに対してどうしてもやっぱりやらなくちゃいけない、こういうことでやられたのだと思うのでございますが、これが今では毒性があるということになっておるのでございますので、これは非常に進歩してよかったということでございますが、環境庁もそういう意味におきまして、CNPにつきましても研究費をつけて今年度、今やっておるところでございますので、もう少しお待ちをいただきたいと思うのでございます。  その間被害が起こらないかということについては、これは毒性が非常に弱いということでございますので、そういう点をひとつお考えをいただきたいと思う次第でございます。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 長官、ちょっとそれはいただけないんです。DDTを戦後の混乱のときにはいた、我々もかけられました。このときはもっと大変な発疹チフスの予防というふうな問題もあったんです。人体にもっとより大きな害を及ぼす、生命に危険を及ぼすような問題があったときの措置。安全だと言われましたけれども、それにしても、そういうものがそういう形の中で半ば強制的に使わせられた、そうですね。好んでかかったんでないんです。  ところが今の農薬の問題は、その農薬を使わなかったら人間が発疹チフスにかかるというような、そういう公益とは全然違う次元の問題なんですよ。これはそういうことを同じ次元でとらえて大臣が御答弁なさっては私はとても受け取れません。それは違うんです、問題が、DDT発疹チフス関係と、今の農薬と。農薬の問題というのは経済性の問題だけなんですよ、そうでしょう。片一方はもっと大変な病気になるかならないかという問題なんです。これは大臣もう一皮そこのところは御訂正いただきたいと思います。
  24. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生のお言葉を返すようで大変申しわけございませんが、私もDDTにつきましては、今お話しのとおり、発疹チフスが原因でたしか使用されたと思うのでございます。しかし、その後も、実は発疹チフスが鎮静化した後におきましても、私どもは畳の下にあれをまきまして、そしてノミが発生するというような、あるいは南京虫、そういったようなものを退治するために、これはふんだんに使わせていただいたのでございます。そのときには、害があるというようなことは、毒性があるというようなことは全然私どもは考えなかったのでございますが、そのときにはわかっていなかったんじゃないか、あるいはわかっていたのかもしれませんが、毒性が弱いということで使われたのではないかと思われます。それはノミに効く毒があるわけですから人体にもないとはそれは言えなかったかもしれませんけれども。  そういったようなことで、CNPにつきましても、今のところは農産物に対していろいろ害を及ぼす害虫に対して効果があるということでございますので、これが人体影響あるということになるのではないかという心配を持って調査をさせていただいておりますので、環境庁としては懸命に早くこの結果を得たいというふうに考えておるところでございます。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 畳の下に敷いた話であれば私も了解するんです。発疹チフスとの関連の話で御答弁なさったので、その次元でとらえられたら大変だということです。  それから、今局長さんが、二・四・五T等ダイオキシン剤についての過去のいろんな問題について定かでない、定かでというのは、そういうことはいろいろあっただろうけれども、安全だと言ったのはどこでどういうふうに言ったというふうなことまでは今覚えていないと、こういう御答弁だったと思うんです。  それで、この問題は農薬の全体に対して大変重要な分かれ目だと思いますので、その定かでない点について私は少し定かに御質問申し上げます、状況をとらえて。具体的な問題ですから地域が非常に限られますが、私が北海道十勝で池田の町長をしておった時分に、昭和三十八年から四十三年に二・四・五Tが本別、足寄、陸別、上士幌、広尾、帯広、標茶、釧路、この営林署管内使用されております。そしてこれは四十三年に中止しました。全国的に問題になって中止したのは四十六年なんです。なぜこういうことになったか。労働組合を中心にして、この種除草剤人体危険性があるということで、地域ぐるみ反対運動をやったんです。私たちも、上流でまかれると水道水質関係がするということで、行政の長としても反対運動の先頭に立ちました。その結果、北海道営林局ではこれらの営林署に対していち早く見合わせる措置をとったんです。いつでもこういうように、今のCNPの問題も含めてこうした除草剤や八乗の問題というのは、初めに住民連動あるいは労働組合の運動ありきですよ。で、当局はそのときには必ず、先ほど局長答弁したように、レッテルに合格の記号があるから安全だという甘い方をしてまいりました。  そして、このことは、札幌に参りますと、これは有名な当時事件ですが、札幌藻岩山札幌営林署がやはり二・四・五Tを散布したんです。これは三十八年から四十年、この間ですね。これはNHKや道新もそのときの住民反対運動を取り上げましたし、全林野の北海道道評住民意識調査もいたしました。それから大変危険だということをPRしたんです。そうしましたらそのとき当局側は、今おたくが言ったのをもう少し詳しく述べるようなビラをまいているんです。そのビラはあります、今私のところに。これは昭和四十六年の一月です。そして四月からは全国的に中止いたしましたわね。後段で局長答弁したように安全でないと言いました。  このときの、「豊かな緑の山を育てるために藻岩山麓の皆様へ」、札幌営林署札幌営林局の名前で出ているんです。「使用基準どおり散布を実施すれば、安全性は十分確保されるとされています。」「二・四・五―Tが林地に散布されたあとのことにつきましては、土壌中の微生物の働きにより一、ニケ月で分解して炭酸ガスや水となり、天然に、還元するものであります。」「六月中旬から七月中旬でしたので、高温多湿微生物分解の盛んな時期であったことから、当時井戸水に影響があったとは考えられませんし、ましてやその後付年間薬剤成分が残っているようなことは考えられません。」と。何で今大騒ぎをして埋めたところを探さなきゃならぬかと思うようなことなんですよ、これからいくと。  「二・四・五-T散布後に、そこから外に流れ出る水の水質検査を本州でおこなった例によりますと、昭和四十五年度に空中散布を実施したケ所にある沢の水の採水分析結果は、散布直後から四十八時間後、最大二十日後までの分析結果では、いずれも検出されませんでした。」「なお、昭和四十四年度に意識的に河川に流入する状態で散布した結果によると、流水中の濃度は、散布直後で、二・四・五-T〇・○〇二PPM程度微量であることが確められています。また、外国の検査結果も発表されていますが、これらの結果からみて表流水においてすら検出されないか、検出されたとしても微量であり、」これは「微量であり」というところが微妙ですよね。「また、短時間で検出されなくなるので地下水影響を及ぼすことはない」「種々の動物を使っての食餌実験によると、二・四・五-Tは主として尿によって急速に排出され、動物組織内には蓄積されないので、水銀、カドミウム、砒素、鉛などと異なり体内に蓄積をすることは考えられません。」どうして今催奇性の問題がそれじゃ問題になるんですか、これだったら。  もっとひどいのは、「山菜のような草類散布すると、まもなく変化があらわれるので、薬剤のかかった山菜をとることはまずないでしょう。ねんのために散布直後は立ち入り制限処置を実施しています。」と。しかし、立入制限処置をしたけれども住民調査をしたら、そこへ入ったという一人が半数以上いるんですよ、調査の中で、その立入制限したというところに。  私が今これをここでなぜ問題にするかというと、このときの木村という営林局長さん、功成り名遂げて悠々自適だそうです。行政責任というものは全くこの種の関連の問題にはないんです。なぜか、結果が出るまでに時間かかるからなんですよ、そうですよね。  林野庁にお伺いしますが、これをまいたことは認めますでしょうね。
  26. 小沢普照

    説明員小沢普照君) ただいま先生が御指摘されましたビラといいますか、説明文を配布したことは事実と考えております。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 このとき実はさらにこういう問題もあるんです。林野庁の職員で一之江さんという方が北辰病院に入院しました。これは刈り払い機、機械で草を刈り払うあれがあるんです。その先の方から二・四・五Tがふうっと噴き出せるような、除草剤が噴き出せるようなそういう新しい機械を林野庁で開発して、これを試験に使った、そういうことございますね、林野庁
  28. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 先生指摘のとおりでございます。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 この人は明らかに、このとき非常にたくさんかかりますから、それが原因で入院したと思われたんですが、職業病の認定も受けないんです、本人自体が。そして、どうしてそういうことになったかということになると、その職場の人たちがそっくり全林野の労働組合をやめて、そのかわり後で、これは私は実態を調べたんじゃない、聞いたことですが、特別な林野庁から払い下げを受ける権利をもらって、組合の方をやめてよかったと、こういうことになって、職業病としての認定も何も受けないでそのままになった、こういうふうに聞いている。これらについて林野庁どうですか。何を払い下げるそのとき約束したと思います。
  30. 小沢普照

    説明員小沢普照君) ただいま先生指摘の職業病の認定問題等につきましては、ちょっと私その所管ではございませんのでつまびらかではございませんので、また後日でも内容につきまして御報告したいと思います。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 このときは、伝わるところによると、何かあっちの方に竹があるんだそうですね。これは藻岩山じゃないですよ、定山渓の方です。ネマガリダケというんですか、何かそういう竹の払い下げというふうなこと、これはひとつ調査してください、事実かどうかということをですね、そういう事実があったかどうかということを。  農林省もきょう来ていると思うんですが、農薬、特に塩素化合物を中心にした農薬ですね、これらについてはおたくの所管ですが、保管、廃棄その他についての基準はどうなっておりますか。
  32. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 御説明申し上げます。  先生質問の塩素酸塩の除草剤の保管、それからその他の取り扱いのことでございますけれども、一般的には毒劇物の法律の指定によりまして適切な扱いをするということになっております。なお、塩素酸塩の除草剤につきましては、非常に散布された後分解が進みやすいということで作物、環境等に与える影響は非常に少ないというふうに考えております。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 きょう農水省の方は、衆議院で農林水産委員会が行われているということで室長で了解したんですが、きょう実際に行われているんですか。  それじゃ、余り範囲を広げて質問してもちょっと、ごく専門的なことでないと無理かと思いますので、質問をちょっと変えますが、大体今の農薬ですね、こういう結果が出てきているんです。ササを例えば枯らす農薬、こういうものを散布しますと三年くらいで効かなくなってくる。次から次へとだから耐性が植物にもできるので、変えていかなければならないと、こういうことを現地から話を聞いたんですが、農林省の方としてはそういう点についてどういう判断をしておりますか。どういうデータございますか。
  34. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 私の方も、先生からそのようなお話をお聞きしまして、実は非常に急ぎまして専門家の意見も聞いてみたわけでございますけれども、その意見を聞いたところでは、塩素酸塩糸の除草剤によりササに耐性が生ずるというようなことは考えられないのではないかというようなことを申しておるわけでございますが、私どもこの塩素酸塩系の除草剤をササに散布しておりますけれども、大体一回散布いたしますと四、五年ぐらいは効果があるというように言われておりまして、一般的な状況でお話をいたしますと、したがいましてある程度効果が持続するものですから、一カ所に連続して散布するというようなことは一般的には行われていないんじゃないか。まあ連続というものの範囲の問題はございますけれども、そんなことで、現在のところでは連続使用というようなことからササに耐性が生じてきているということは考えにくいのではないか、かように考えているところでございます。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、例えば林野庁ではそういう点でこの薬が効くか効かないかというふうなことの適用試験をやっていますね、これをまいて効くかどうかという試験は。大量に使用する前に必ずやっておると思うんです。そういう点でいろんな薬を使っていく。そういう、何というか耐性が生ずるというふうなことでなくて、使っているのかと思いますが、一体どれくらいの農薬を使っているか、リストをお願いしておいたんですが、提出していただけますか。
  36. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 私ども先生の御指摘のように、除草のためでございますとか、その他事業を実行いたしますために薬剤使用している実態がございまして、種類等も種々ございますので、これにつきましては資料を先生のところに御説明したいと用意してございます。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと下ざい。
  38. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  39. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 速記を起こして。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実はここで一つ大きな問題があるんですが、今これ資料というけれども、細かく出てきていないんです。実は当時二・四・五Tについての廃棄はこういうふうにしたというあれが出ているんです。ところが、このときの林野庁長官からの各営林局長に対する通達、四十六年十一月五日付の通達を見ますと、二・四・五Tのほかに有機塩素系殺虫剤等の廃棄処分についても通達が出ているんですよ。この方はどうなっているんですか、全然問題になってきていないんですけれども。これの処分はどういうふうになっていますか。二・四・五Tの方だけは問題になっていますけれども、もう一つの方については今のところ全然問題になっていないようですけれども、どうなんですか。
  41. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 二・四・五T系以外の薬剤先生ただいま御指摘の殺虫剤等についても使用はしておったわけでございますけれども、この二・四・五T系除草剤というのはもともとほとんどが林業用に使用されておったという実態がございます。  それから、なおまた、その中でも国有林の嘱業の実行のために使用していた比重が非常に高いということでございますが、他の薬剤につきましては、私ども確かに使用はしておりますけれども、これは私ども使用者の立場といたしますと、全体量の中でも比重も小さいかと思っておりますが、いずれにいたしましても、当時、今先生指摘薬剤につきましても処置について行政的な指導もなされまして、私ども使用者としてそれに従っておりまして、適正に処賢をしたというように考えてございます。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは二・四・五Tについても適正に処置したと考えているやつが、いろいろそうでないのが出てきていますでしょう。これらは大丈夫なんですか。これらについても至急にその処置の方向を調査していただきたい。片方の方だけが今大きく問題になっていますからあれですが。
  43. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 適切に処置いたしてございます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 適切に処置されているということを確認してください。二・四・五丁だって適切に処置しているということだったんでしょう。再点検を要求するんです。私の言うのは、再点検を。
  45. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 適切に処置しているかどうかにつきまして全国の営林局に対しまして既に指示もいたしておりますけれども、また再度指示をいたしておきたいと思っております。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 環境庁、今ずっと一連の話をお聞きになっていたと思うんですが、林野庁が、先ほど申し上げたように、あれだけのビラを配ってまいたことも確認しているんです。おたくが今答弁したのと似たようなことを言っていますでしょう。だから私は今のような姿勢じゃ困る、こう言っているんです。そのような答弁をやっているんですよ、過去に、こういうふうに書いてあるように。それが結局安全でないと今言わなきゃならない。そうすれば、今安全だと言っていたって、これはまた同じことを繰り返さないとも限らないでしょう。いつもこういうときには民間側の突き上げなんです、大体問題が。この問題だってそうなんです。地域住民の方からわんわん言って、皮膚がちょっと赤くぶつぶつができたとかいろいろなことで騒ぎ出して、そういうことから起こってきているんです。  ですから、どうも環境庁としてのこういう問題に対する対応が何かこう及び腰というか、切り込んでいかない、そういう気がするんですが、実際にはやはり環境庁としてはそういう問題に切り込んでいく権限がなくてできない、こうおっしゃるのか、そういう安全性調査等は、こういう立派な国立公害研究所というところがあるんだから、こういうところでどんどん進めて早く出せるような体制に持っていけるのか、ここら辺をひとつもう少しはっきりしてくださいよ。それでなきゃ国民はダイオキシンの問題では、あれを中心にして最近では水道の水も飲めないという話になってきているんです。テレビ等を見てもわかるように、デパートの水が飛ぶように売れるようになった。これだけ非常に不安が広がっておるんです。どんなに水道局の方で心配ない心配ないと言っても、もう信用しなくなってきているんですよ。当局が言う安全だというやつは十年もたつと変わってしまう。現に変わっているんですから、こういうふうに。こういう点について、農薬の問題その他について、もう少し積極的な姿勢で取り組めないものかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  47. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 過去の農薬安全性についてのいろいろな問題について、御指摘いただきましたような点があったことは、これはもう率直に私どもとして反省しなきゃならない点だと思います。したがいまして、今後農薬、特に有機塩素系の農薬等登録保留基準の運用等に当たりましては慎重の上にも慎重に私どもやってまいりたい、かように考えておるわけでございまして、その過程におきまして国公研等の協力も得ていきたい、かように考えているわけでございます。
  48. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生の御指摘のとおり、いろいろわからない点が非常にあるのでございます。したがいまして、こういう人体にやはり危険を与えるのではなかろうかというものにつきましては、環境庁といたしまして早速害があるかどうかにつきまして化学的にこれを立証して、早く結論を出さなくちゃいけない、こういうことで今後も進ませていただきたいと思います。  今先生の御指摘の点につきましては、ダイオキシンにつきましてことし予算をとりまして調査をさせていただきます。CNPにつきまして予算をとりましてやりますので、結論を早く出したいと考えております。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 厚生省も来ておると思うんですが、これは厚生省か農林省か。  実は今米の問題で大変問題が出ております。このことについて、一昨日総理は答弁の中で、米の残留農薬の問題については私も大変心配しているという答弁をしているんです。今のお米の臭素というのは残留農薬と言えるんですか、どうでしょう。専門的にひとつ、厚生省でも農林省でもいいですが、お答え願いたいと思うんです。
  50. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 残留基準の問題につきましては厚生省も大変深いかかわりを持っておりますので、そちらの方からお答えいただいた方があるいはより適切かと思いますけれども、私どもの方の立場から申し上げますと、少なくとも現在米の生産に使われております農薬につきましては、問題となるような残留を生じさせないような使い方なり、あるいは基準の決め方をいたしておりまして、その範囲内で使っておれば特段の問題はないというふうに考えております。
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 ただ、総理が残留農薬と言っているんですよ。これ間違いなく私だけじゃなく皆さん聞いているんですよ、この間の答弁であなたは農薬の残留があるはずがないとおっしゃるんですか。総理が言っているんですよ。
  52. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 説明が不十分だったと思いますけれども、少なくとも農薬が使われることによりまして米の中にごくわずかでも農薬が残留するという場合もあるかもわかりませんけれども農薬は化学物質でございまして、それぞれいろいろな特性を持っております。それで、一定量の残留値が認められる場合にも、安全性が確認されておればその範囲内で許容されるということでございまして、先般来問題になっております米の中の臭素の問題につきましては、厚生省の方が暫定基準値として五〇ppmを決めておるということを聞いております。少なくともその範囲内であるならば残留があっても問題がないというふうに承知しております。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 農薬というのは、後で保存するために薫煙するものまで農薬と言うんですか、どうなんです。
  54. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 私どもは、農産物の病害虫を防除するという観点から使われます薬剤につきましては農薬というふうに考えております。当然米を保存しておる間にいろいろな害虫が発生してまいるわけでございますので、そういったものを駆除するというために使われておりますので農薬であるというふうに考えております。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、保存のために使用する薬剤についても農薬ということで、農薬の毎年出すリストがありますね、農薬の許可をした、今三百幾つですか、毎年出しますね、あの中に入っているんですね。
  56. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 臭素で問題となりました臭化メチル剤につきましては、農薬登録の適用を受けております。
  57. 丸谷金保

    丸谷金保君 すると、適用を受けておりますと使用基準というものが決まっているんでしょう、当然。どうなんですか、決まっていないんですか。
  58. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 通常、農薬の場合ですと、一つの作物の作期、あるいは一年間というふうに考えていいと思いますけれども、その作物の生育期間中、あるいは一年間にどのくらい使うかというような形で基準は定めております。
  59. 丸谷金保

    丸谷金保君 基準を定めておって基準どおり使っておれば今回のような問題は起きないはずじゃないんですか。どうもそこのところがよくわからないんですよ。
  60. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 私ども基準を考えますときには、先ほど申しましたように、少なくとも特定の作物の生育期間中に何回か使う、あるいは一年間に何回使うというような考え方に基づきまして使用回数といったようなものを定めておるわけでございます。
  61. 丸谷金保

    丸谷金保君 じゃお米の保存の場合には何回使うことになるんですか。どれくらいの量を使うことになっているんですか。
  62. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 臭化メチルの穀物薫蒸の場合には、これは一つのサイクル、まあ一年と考えていただいていいと思いますけれども、二回というふうに決めております。
  63. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでどうして使用不能になるような状態になるんですか。
  64. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 説明が行き届きませんで大変申しわけありませんけれども、私どもは少なくとも一年間というものを一つのサイクルにして考えておりまして、その期間中には二回の使用でも問題のない残留値におさまるということで回数を決めておるわけでございます。
  65. 丸谷金保

    丸谷金保君 今農薬で、ササの問題のときには、一回やれば一定限度効果があるから後はやらないんだといった話がありましたね。お米の場合にはどうなんですか。
  66. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 少なくとも、貯蔵中の米の薫蒸の場合でございますけれども、年一回適正な使用方法によって消毒をすれば効果は十分あるというふうに考えております。
  67. 丸谷金保

    丸谷金保君 年一回はわかるんですよ、年二回もわかるんですが、五十三年産米なんです。今のおたくの話を聞いていると、食用に供せなくなって、これだけ大きな政治問題になるようなことになるのがどうしても腑に落ちないんですよ。そんなことになるはずないでしょう、あなたの話だと。厚生省どうなんです、何でだめなんですか。  大臣、これは厚生省の担当が水道しか来ていないんであれなんですが、今お聞きになっていて国務大臣としてひとつお伺いいたします。  今こういうことなんです。総理は本会議場で、残留農薬の問題については十分これから気をつける、自分も心配していると、こういう御答弁を一昨日なさっているんですよね、大臣も出ておいでになったんで御存じだと思うんですが。それで農水省の方では、残留農薬の問題については十分基準を設けて、薫蒸等については年に一回やればいいということで取り扱いの場合の規制はしている、こう言うんですよ。しかし、厚生省の方はこれ使っちゃだめだという基準をつくって使わないことになりましたね。で、今政治的な大きな問題になっているんです。これどうなんでしょうね。基準どおりやっていれば何でもないって片方で言っているんですよね。これ国務大臣として、私との話を聞いてどう思いますか。何でもないはずないんだよね。基準はちゃんとつくっているというんです。どこが間違ってああいうことになったと思いますか。
  68. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げますが、今のなかなか内容が複雑なようでございまして、農水省の方では規定どおり使っているから残留農薬はないはずだと、こういうお話をされる、厚生省の方では現実にこれは食用に適しないからだめだということであると、こういうことのようでございますが、これは私も直接にタッチしておるわけではございませんでわかりませんが、両方の大臣の方によくお話を申し上げまして、原因が一体どこにあるのか、そういったようなことについてお調べをいただきたいと思うのでございます。  なかなか食糧の貯蔵ということについては、特にお米でございますけれども、米の貯蔵ということに対しては最近は非常に進歩してきておると私は考えておるのでございまして、炭酸ガスにつけて貯蔵をしていただくと三年、四年ぐらいは味も変わらないような状態に、これはまあ私専門ではございませんが、保てるような方法も今考えられておりますので、そういったような面にどんどん進んでいただくようにしていただいたらいいのではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございますが、両省の方によくお話をいたしたいと考えております。
  69. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは私が前に本会議でも取り上げたアメリカからの輸入穀物の問題も同種の問題があるんです。そうじて、アメリカでは全面禁止しているということを日本ではまだやっていたわけです。  それで、先ほどの局長さんのお話でもそうなんですが、現況で安全だと、CNPの問題についてもね。それから今の保存上の薫蒸の問題にしてもきちんとやっていると。にもかかわらずいろいろな問題が出てくるんです。ということは、せんじ詰めていけば、僕は、農薬あるいはそういう一連の食物に添加する薬品、これらは根本的なところで見直さなければならないんじゃないか、基本的なところで。出発点で間違っているんじゃないかという気がするんです。こういう点についても、環境庁というのは、農薬の問題それからいろんな問題について大きなあれを持っているんですから、今ここでこの問題をこれ以上詰めても、どうも両大臣いなければ責任の所在が明らかになりませんのでやめざるを得ませんが、ただ極めて、これはどこかに何か間違いがなければこういうばかなことが起こり得るはずがないんで、このことについては両大臣に、当委員会においても問題があったということについて、今の質疑を踏まえて御報告をしておいていただきたいと思います。  ダイオキシン、結局は塩素化合物の問題ですが、それからもう一つ、実は二・四・五Tはいろいろな問題がだんだん出てきて、安全だ安全だと言いながら安全でないということに変わってきました。しかし、今また塩素酸ナトリウムという除草剤、これは林野庁全国的に使っていますね。
  70. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 塩素酸塩系の除草剤薬剤につきましては、ササ類の枯殺ということで使用してございます。
  71. 丸谷金保

    丸谷金保君 これも五十五、五十六年は実験だということだったんですが、五十八年から使い出して、五十九年、これは帯広営林署の中で約二百ヘクタール使用するような状況になってきました。これはどうなんですか。これは大丈夫なんですか、今度は。
  72. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 現在、ただいま先生指摘されました帯広営林支局管内ということにつきまして、私今資料を持っておりませんけれども、大丈夫かどうかという御質問につきましては、私どもは大丈夫であると考えております。
  73. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで林野庁、こういう場合に効果があるかないかの適用試験はやっていますね。人体その他に安全であるかという安全試験をやっているというふうに聞いていないんですが、どうなんですか、大丈夫だというのは。
  74. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 効果があるかどうかという問題につきましては、実際には森林の状況というのが、いろいろな場所によっても状況も異なるとか、それから例えばササにいたしましても、その生え方、密度というようなものも異なるということで、私どもはその使用に際しまして効果試験等を行ってから使用するということでやっておりますけれども人体に対する安全というような問題になりますと、これはその薬剤として登録される、あるいは認可されるというときに、そこは既に行政上安全かどうかということを確認していただいているということから、私どもとしては行っておりません。
  75. 丸谷金保

    丸谷金保君 使用する方としては安全試験はやらない。これはもう専ら安全だとレッテルに書いてあるから安全だと。じゃこれは農水省の方では安全試験やっているんですか。
  76. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 先ほども御説明いたしましたけれども、塩素酸塩除草剤につきましては、散布された後大変速やかに分解されていくということで、環境に与える影響は非常に少ない農薬であるというふうに理解しております。  それから人体に対する影響の問題でございますけれども、塩素酸塩除草剤登録に当たりましては、急性毒性その他毒性試験データに基づきまして、安全性を確認した上で登録をしておるという状況でございます。
  77. 丸谷金保

    丸谷金保君 私のお向きしておるのは、農水省は安全試験をやっていますかということなんです。
  78. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 私どもは、基本的には、農薬登録申請者から出されてまいりますいろいろな試験データを農薬検査所におきまして厳重な検査を行った上で、さらに毒性学の再門家の評価をお願いするというような手順を踏んだ上で安全性を確認し、登録を認めておる状況でございます。
  79. 丸谷金保

    丸谷金保君 私が聞いているのは、農水省が自体で安全試験をやっていますかと聞いているんです。
  80. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) いろいろな場合が考えられますけれども、基本的には、申請者が、中立的な毒性試験のデータの場合には中立的な毒性試験を実施する機関で作成されたデータを登録申請の際に提出してまいりますので、そういった中立機関でつくられた毒性試験データに基づいて安全性を確認しておるということでございます。
  81. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一回お伺いします。農水省が独自に安全性の試験をやっているんですかと聞いているんです。
  82. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) みずから私どもの機関が、例えば長期の毒性試験を実施するというようなことはございません。
  83. 丸谷金保

    丸谷金保君 結局、メーカーが出してくるペーパーに基づいて安全性を確認しているということですね、簡単に言えば。
  84. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) お答えいたします。  メーカーがもちろん申請者になるわけでございますけれども、申請者が提出してくるデータも、その企業内でつくられたデータではなくて、企業が中立的な毒性試験機関に委託してつくったデータ、それが提出されてくるというふうに御理解いただきたいと思います。
  85. 丸谷金保

    丸谷金保君 その中立的な機関というのは国の機関ですか。
  86. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 中には大学、それから公益法人の、例えば財団法人何々毒性研究所といったようなところで作成されておるわけでございます。
  87. 丸谷金保

    丸谷金保君 大鵬薬品に、これは薬品ですけれども、そういう問題が三年ほど前にあったんです。出てきたデータでは安全なんだけれども、データをつくる段階で、出るまでの間に申請者の方で大学その他に出したデータの中から改ざんして出してきたという例があったんです。それは直ちに取り消しました。中央薬事審議会が、一遍決定した薬品を私がそれを社労の委員会で質問して直ちに取り消すということになったんです、そういう事実がわかったから。しかしそういう事実がわからないと、国の機関が独自に安全性をやらないと、みんな申請者を信用してやっているんでしょう、今のところ。それじゃ大臣私いかぬと思うんですよ。出てきたデータが安全だから安全だと。まさに先ほど局長さんの言われたことと同じなんです。みんなそうなんですよ、今のところ。だから私は出発点で違うのじゃないかと。都合のいいデータだけ出してきたってわからないんですよ。そういうことが現実にあったんですから。私が取り扱った中にもあるんです。  大臣、こんなことでいいでしょうか。これだけいろんな問題、だから国民が心配になってきているんです、わかればわかるほどやぶの中ということで。しつこく私もこれを取り上げざるを得ないんです。いかがでしょう。
  88. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 農水省の方におきましてもいろいろそういう毒性の試験をおやりになるところはあるのでございましょうが、非常に危険性のあるものについてはおやりをいただいているんだろうと思うのですが、全部ができておらない。また、お使いになって安全だと言っておられるものに対して、私ども環境庁の方は、心配なもの、例えば先ほど先生のお話のCNPの問題なんかにつきましては、環境庁の方で補足的に試験をやらしていただいてさらに確かめる、こういう方法をとらせていただいておるのが今の現況でございます。これをさらにどういうふうにやるかというようなことにつきましては、また農水の方とよくお話をさせていただきたいと考えております。
  89. 丸谷金保

    丸谷金保君 たくさんまだ残っておるんですけれども、この問題はやはり非常に複雑に絡み合っている問題なので、しつこく取り上げざるを得ないんですけれども、どうも納得しないままに時間も迫っていますので、一応ダイオキシンの問題はきょうはここまでにしておきます。  それから、アセスの法案の問題なんですが、大臣これどうなるんですか。
  90. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 環境アセスメントの法案でございますが、環境庁といたしましてはぜひともこの法案を成立させていただきたい、国会に提出をさせていただいて成立をさせていただきたいと念願をいたしておりまして、いろいろと各関係の方に御連絡を申し上げまして、そうして調整をしていただいておるのでございますが、ただいま与党の方におきまして調整をしていただいております。特に、いろいろお困りになっておられます地方庁の方の関係をきょうもおやりをいただいておるというふうにお聞きをいたしております。
  91. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、この問題を少し突っ込んでやりたかったんですが、私は、第五次案と言われているアセスの法案を必ずしもこれがいいとは思わないです。環境庁長官が出すべき指針がいつの間にか基本的な問題だけになって、具体的な問題は主務大臣というふうなことに変わってきて、大変弱くなってしまっております。しかし、そうは言ってもやっぱりないよりはましなんで、一部には、これをやると、今地方自治体がもう少し厳しい規制をしている、これが逆に後退して、国のアセス法案に右へ倣えするというふうなことで、ない方がいいんだと、むしろ出ない方がいいんだという意見も一方にはあるんです。しかし、この点については、法律規定の中で、国を上回る基準を決めた各自治体の条例というのは有効だというふうなことだけは外さないんでしょう。大分がたがたと外れてきましたけれども、どうなんですか。
  92. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 過去に、今先生指摘のような部分につきまして、法案それから条例、要綱といった幾つかの見解が世の中にあるわけでございますが、また理論的な学説などあるわけでございますが、現に私ども考えておりまするところの、お願いしたいと思っております法案の考え方からまいりますると、現在の我が国の行政法の通説に従いまして、法案と条例との関係については、法律ができますれば先占いたしまして、当該部分については条例をさらに上乗せするということについては、法律の条文からはなるべく整合性を保つようにというような考え方で考えられているわけでございます。
  93. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、この法案が通れば、全部今の全国の条例というのは右へ倣えというふうに絶対的にすべきものだというふうに環境庁としては考えているんですか。
  94. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 現在条例と申しまするのは全国で四つほどございます。その他は要綱という行政指導でございますが、四つについての御指摘だろうと思いますが、理論的な面はただいま申し上げたとおりでございます。ただ、法律を施行いたすまでの期間及び施行後、そういったものについていろいろ運用面につきまして、先生が御指摘になりましたようないろいろな現地における問題などもございましょう。それは法律のできた暁においていろいろな調整を行うということを私ども日程としては考えておるわけでございます。
  95. 丸谷金保

    丸谷金保君 例えば東京都の条例の場合を考えても、今のアセスの法案から見てずっと進んでいます、いろんな点で。それでまたそれなりにその条例で都民が協力して、そういう点で従っておりますね。ただ、これなんかも聞く、ところによると、都知事はアセスの法案ができればそれにすり寄せるというふうなことも言っておるんです。そういう話も聞こえてくるものですから、絶対的なことになると運用の面で何とか考えていただけるということでないと、また北海道なんかでもそうなんですが、むしろ環境保全が後退するようなことになりかねない。しかし、全国的に考えればなおかつあった方がいい。こういう矛盾を抱えながらも、私たちは、やはりそうは言っても全国的な大勢の中では早く出して、むしろそういう不備な点は当委員会において論議を尽くしながら修正してもらうなり何なりという方向に行かなきゃならぬ、こう考えておるんです。  それで、どうしてもわからないのは、この経緯を見ますと、五十五年の三月四日に内閣審議室が取りまとめて環境、通産、運輸、建設、自治の関係局長会議で政府案ができているんですね。これから後どこでこれ文句が出たんですか。みんなで相談して決めてから、そしてそれから審議が始まって。
  96. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 今の先生の御趣旨を必ずしも私正確に把握できなかったら申しわけないと思いますが、今お話にございました、関係省庁の局長会議で政府における原案と申しますものができまして、その後ある期間を経まして政府の閣議決定を経て国会へ提出したというふうな事情でございますが、お答えになりますかどうかちょっとわかりませんけれども、そういう経過でございます。
  97. 丸谷金保

    丸谷金保君 その政府原案は、今度閣議で決定して、党でも当時の長官と政調会長、それから環境部会長や商工部会長が集まって相談していますね。しかも最後には、政府の事業対象十三から発電所の建設を除外して国会へ提出する方針で自由民主党の三役会でも決定した、そして五十六年四月二十六日にはさらに閣議決定をして国会に提出する方針を決定した、どうなっているんですよね。こういう順序をずっと行って、一遍これだけの手続を経て提出されたものが、その後、九十五臨時国会を初め、衆議院ではある程度論議が進んでおって、今度は出てこない。一体どこでそんなことになるのかという、ちょっとわからないんですよね。どうしてなんですか。
  98. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 大筋の流れといたしましては先生のお話のとおりでございますが、若干筋道で申し上げますると、政府原案が決定されまして、その後党の方の手続を経て閣議決定をした、それから国会に提出したという段取りでございますが、その後閣議決定をして国会に提出されまして、一年半の与野党の審議をお願いいたしまして御審議をいただいたわけでございますが、その過程において、やや、何と申しますかアセスをめぐる現実の諸制度、先ほど先生指摘ございました中央省庁及び地方の制度における全体の制度の動き、及びアセスメント法についてのかつての与党及び閣議決定の手続につきまして、もう一度論議の深め方と申しますか、そういったものについて二、三御疑念が出た面もございます。  そういうようなことを経過いたしまして、前回の解散ということで廃案になったわけでございまして、流れといたしましては本筋は変わっておりません。
  99. 丸谷金保

    丸谷金保君 流れとして変わっていなければ、大臣、いつごろ出てくるんですか。
  100. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  法案の内容そのものは今度前回と同じものを実は提出をさせていただいたのでございますが、あれがとにかく廃案になってしまったものでございますので、したがいまして、新しい法案と同じようにという考え方でいろいろと今討議をしていただいてきておるのでございます。その討議の中で、それなら前と同じなのになぜ討議があるんだと、こういう御質問かと思うのでございますが、その内容につきましては、実は三年前のときとは今事情が大分変わってきているではないかという御議論が大分出てきておるのでございます。と申しますのは、あの当時におきましてはまだ条例、要綱をお決めをいただいておるところは数が少なかったのでございますけれども、今はだんだんふえてまいりまして、二十五の地方団体におきましてはお決めをいただいておるというようなことになってきておりまして、各地にいろいろそういうアセスをおやりをいただいておる。これはいろいろ事情があってお決めになられたのではなかろうか。  だから、そういうようなことを考えると、統一的にするというのがどうなんだというようなお考えも出てまいりまして、問題も余り起こっておらないので、今スムーズにいっているじゃないか、こういうお考えも出てきておりまして、それに対しまして私どもは、それは手続についてはいろいろ変わっておりますので、府県がまたがったりあるいは町村や市、県、そういったようなところでつくっておられる内容が違うものですから、アセスをやる一つの事業に対して、あるいは計画に対して、アセスをやる上においてここはこういうやり方、ここはこういうやり方というようなことで、非常に実際に当たっては困るのでやっぱり統一をしていくということがいいのではなかろうか、こういう意見を出しておるのでございますが、そこらあたりがいろいろと今討議をされておるところでございます。
  101. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、私実はそういうふうに、例えば今度の大阪空港の問題なんかでも、運輸省が独自のアセスをやりましたね。各省庁がめいめい自分の都合のいいようなやり方で影響評価をやられたら、これは国民はたまったものではないと思うんですよ。みんなそれは自分たちがどうしてもやりたいような格好でやるんですから。そのために環境庁があるんじゃないかと私は思うんです。  第一、これはことし名古屋でもって環境調査が必要だということで、ごみ焼却場、これは条例がなくても必要だという判決が出ていますね。こういうふうになってくると、今やこれは、当然そうした環境に対する影響評価というふうなことはいかなる事業でもみんなやらなきゃならないような状態になってきているんですよ。そのときに、その基礎になる基本法がないでしょう、基準になるものが。これじゃ私、環境庁という役所は何だと、かなえの軽重を問われかねない時期に来ていると思うんですが、いかがですか、大臣。こんなことをして、みんなそれぞれやればいいんだというふうなことになってきたら、現在の行政改革で一番のやり玉にまた上がってくるようになったら大変だと思うんです。
  102. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生指摘のとおりのことを私どもは主張をいたしております。そういう心配も持っております。したがいまして、今懸命にこの折衝をさせていただいておるところでございます。
  103. 丸谷金保

    丸谷金保君 ひとつ環境庁存亡をかけて頑張っていただかなければならぬし、出てきたもので我我として納得できないやつは、徹底的にまたよりいいものにするために頑張らなければならぬと思っておるんです。  それから、実はきょう非常にショッキングなニュースを拝見したんですが、大気の複合汚染の問題で、三重大学で、環境基準内でも先合成の二五%を阻んで稲や麦に深刻な影響が出る。これは早急に大気汚染の基準値その他について環境庁として対応してもらわなければならないと思うのですが、新聞を大臣も読まれたかと思いますけれども、いかがですか。
  104. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) けさ方の新聞の件でございますので、今直ちにこうするというような段階でのお答えはちょっと差し控えさせていただきたいと存じますが、ここの記事の記載の内容につきましてまだ子細には検討が済んでおりませんけれども、ここで言われておりますことは稲、麦に影響という問題でございます。申し上げておることは人体影響等とまた違う問題提起であるという点は御理解いただきたいと存じます。しかしながら、いずれにいたしましても、大気汚染、特に複合の大気汚染という影響の問題はこれはなかなかむずかしい問題があると存じますが、実は環境庁でも、これは人体影響を頭に置いての勉強は既に、複合汚染状況のときにどうかということも国立公害研究所その他で研究は相当程度いたしておりますし、まあ完全に解明し終えているというわけではございませんけれども、その辺の検討もさらに加えまして今後の対応を考えていくべきことだと存じます。  今先生がおっしゃいましたように、環境基準の見直しという問題意識は、もちろん全くそういうことはないというのも言い過ぎかと思いますけれども、直ちにそういうところに結びついていくかどうかはさらに十分検討させていただきたいと存じます。
  105. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ちょっと補足いたしますと、今御指摘の点につきましては、新聞で私も初めてこういうことを教えていただいたといいますか、知らしていただいたところでございますので、まだ十分に検討できておりませんが、私どもの方も三重大学の方とよく連絡もとりまして、そして、私どもの方の公害研におきましては光合成の問題についても相当研究をいたしておりますので、そこらをあわせましてひとつもう少し内容を見ていきたい、こういうように考えております。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ時間が来ましたので、最後に、複合汚染の問題等についても私たちかねがね心配して主張してきたところなんです。これは農薬の同題も全部出発点は同じなんですよ。今官房長もおっしゃいましたけれども、今直ちにどうこうすることじゃないと言っていますけれども、もう少し慌ててくださいよ、こういう問題について。いろいろやってみた結果がやっぱりいけなかったと。出たときにはもう遅いんです。だから、のんびりしないで、できれば第一段階として、次の委員会までにこの問題についての中間的な報告でも環境庁として当委員会でしていただきたいことを希望して私の質問を終わります。
  107. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、琵琶湖の総合開発と環境保全について、前回に引き続き質問をしたいと思います。  去る四月十三日の当委員会で、琵琶湖の現状と問題点について端的に環境庁長官にただしたところ、率直な見解をいただきました。その一つは、琵琶湖の総合開発計画に対してはいささかも問題点を持っておらないと。まさに建設大臣に成りかわったように立派な御答弁でした。私は、そういう意味では環境庁長官としてよりも建設大臣が妥当じゃないかと、あきれるほど明快な答弁で感心したほどでした。二つ目には、琵琶湖周辺の人口増と生活雑排水が環境汚染や破壊の元凶であるかの答弁がありました。これもまた都市計画に言及した、新列島改造論が飛び出してきそうな、建設、国土庁の方々に頼もしい限りの見解を展開したように思います。答弁の中で若干の御訂正があったように思いますけれども大臣の気持ちは、いわゆる市民の雑排水、これが汚染の元凶のようにお言葉が走ったのも本音が出たと思うんです。会議録に目を通していただいた方には、恐らく大臣のお気持ちがにじみ出ておると思い、私は非常に肌寒いものを感じました。  私は、近く関西新空港建設をめぐる法案審議に当たりまして、環境汚染と破壊をいかに防止するかについて、いわゆる瀬戸内法、瀬戸内海環境保全特別措置法ですが、全く無意味化しておることについて厳しく追及するつもりでありますが、肝心かなめの環境庁長官がこのような姿勢では、運輸大臣や金もうけの亡者どもの思いのままになるであろうと思うとまたこれもそら恐ろしく思います。  さらに、この後本委員会において審議されるいわゆる湖沼法、湖沼水質保全特別措置法案にいたしましても、しょせん有効適切な措置など期待すべくもないことが容易にうかがえるように思って心配であります。  初めに、失礼でありますが、長官に対する苦言を呈しまして、これから琵琶湖の環境保全についての質問をするのでありますが、環境庁長官としての御立派な御答弁をこれから期待をするところです。  まず冒頭に苦言を呈しました。  そこで滋賀県が、御承知のように、県民に協力を求めましたいわゆる富栄養化防止条例や、現在滋賀県会で審議されているいわゆる風景条例――ふるさと滋賀の風景を守り育てる条例も琵琶湖の保全を目的としております。これはどういうことを意味しているのかといえば、結果的に琵琶総の環境破壊に対するびほう策だと思いますが、大臣の琵琶総に対する見解をもう一度お答えを願いたいと思います。
  108. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生からなかなか手厳しいお言葉をちょうだいをいたしたのでございますが、私があのときに申し上げましたのは、琵琶湖の総合開発計画というのは三つの部分から大体なっておる。一つは治水でございますが、一つは利水であり、もう一つは保全でございます、環境保全。この三つの柱から成っておるのでございまして、その保全の中には、水質をもこれはもちろんよくしていかなくちゃいけない、保全していかなくちゃいけない、こういう内容がもちろん入れられておりまして、それに自然環境の保全ということも大きな柱になっております。  これは、琵琶湖は国定公園でございますが、その国定公園を保全していく、それに都市公園、こういうものを大いに活用していく、こういう考え方の計画から成っておるのでございまして、そういう意味におきまして、水質を保全をしていただくということにおきまして、湖沼法とは非常に相入れるものであるというようなことを申し上げたのでございます。  滋賀県の方におきまして風景条例というものをお決めをいただく、これは非常に結構なことではなかろうかと私は考えておるものでございます。風景条例、今御審議中でございますので、内容を定かには存じておりませんけれども、滋賀県がいにしえから保持しておられます風景、そういうものを保存していこう、例えば家並みなんかにつきましても、昔からの家並みというようなものを保持していこう、また神社仏閣、そういうものがございますが、そういうものにつきましても以前と同じように保持していこう、また森を大いにつくって、そして緑をふやしていきましょう、涵養をしていきましょう、こういうようなお考えでおつくりをいただいておるというふうにお聞きをいたしておりますので、非常に結構なことであると考えておるのでございます。
  109. 片山甚市

    ○片山甚市君 知事は文人であり、文化人らしいタイプであって、お言葉は非常にユニークでありますから、多くの方から受けておるようですが、今の知事が就任してから約十年たちますが、私たちは琵琶湖の水がよくなったと感じられませんから、利水、治水の問題については開発の問題で進んだとしましても、環境保全は、水質汚濁の問題は解決をするどころか悪くなっておる立場で、その改新を求めて長官に申し上げておるのです。金もうけをしようと思う人たちにとっては、堤防をつくったりそれぞれの構築物をつくったりすることでさぞ楽しかろうけれども、いわゆる琵琶湖の水は一向によくなっておらない。これをよくしていくためにこれから最大限力を尽くさなきゃならぬと思っておるところです。  そこで、琵琶湖の環境保全について考えるとき、自然の破壊や開発による汚濁がなければ、この間大臣がおっしゃった、産業廃棄物、産業的な排水についてはコントロールができておるし、そういう水を使わないような工場も琵琶湖ではつくっておる、残っておるのは県民がおるからそうなっておるんだ、いわゆる市民が水を使い過ぎる、大体なまくらな言い方を言うと、もう少し節水して井戸水を使ったらこんなに琵琶湖の水は汚れないんじゃないかと言わんばかりのことなんですが、一般廃棄物の処理がきちんとできたならば、何がそれじゃ問題があるんだろうか、そう考えてみますと、やはり環境を変えているのは、開発が第一になっておって、自然の自浄作用が失われておる。これから後お聞きしますなぎさの問題とか植栽の問題等について、それが自然が破壊されるということではないだろうかと思いますが、そのお考えはどうでしょうか。
  110. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 琵琶湖の水質の問題でございますが、工場が大分張りついてきておるではないか、その工場から相当汚染をしておるのではないかという御質問でございますが、先ほど先生が御指摘いただきましたように、滋賀県の知事さんは代々琵琶湖の水を守るということを第一にしておられまして、滋賀県に進出をされる工場につきましては悪水を出すような工場はなるべく来てもらわないようにということで選択をしておられるのでございます。したがいまして、中小企業の、水をそう使わない工場を滋賀県に進出してもらうようにしておられた結果が今の滋賀県の工場の姿であると私は考えておるものでございます。  それではどうして琵琶湖の水が、知事さんも条例をつくって、そして燐がなるべく入ってこないようにということで洗剤にまでいろいろ手を打っておられるのに、なぜ汚れてくるかということでございますが、なるほど知事さんが洗剤に対しての手を打たれた、そういうことによって汚れの進度といいますか、それがある程度鈍ってきておるということもこれは私は事実であると思うのでございます。しかしながら、汚染の一番の原因がやはりどうも生活雑排水にあるように私は思うのでございます。その生活雑排水の中にはふん尿の処理ということがやはり大きな問題であると思うのであります。下水の方の進捗がまだ進んでおりませんので、もろにそういうものが琵琶湖の中に影響してきておるということも大きな原因ではなかろうかと思うのであります。では以前はどうだと言いますと、戦前は農地におきましてそういう処理をやっていただいてきたのでございますが、最近はそういうことは全部川の方に入ってきてそうして琵琶湖に入るというようなことになってきておりますので、どうしても富栄養化、またCODが上がるというようなことで悪くなってくるということも起こるのでございますので、そういう点を早くやらなきゃいけない、こういうように考えておるものでございます。
  111. 片山甚市

    ○片山甚市君 長官は、私が工場の排水が汚染源だと言っておると言いますが、議事録を見てもらったらわかりますが、一言も言っておりません。勝手に妄想を抱いて、言わないうちからそういう気持ちが自分にあるものだから精いっぱい私に対する牽制をしておるようですが、私は、工場の排水は規制ができた、あと残っておるのは雑排水だけだと、こうおっしゃるんだが、それでよろしいか、そう言い切ってよろしいかと。  こういうことを言うのは、琵琶湖の総合開発によって自然の浄化作用を行うなぎさなどがどんどんなくなっていく、水がきれいになっていく状態の草地がなくなっていくようなことについて放置して、効率的なこととか、土地をつくることとか、住宅をつくることについて一生懸命やっておるけれども、それでは琵琶湖がだめになるのではないかということについて、全部言わないで質問しておるわけです。それに対して御自分の御関係で勝手なことを言っておるようですが、それはもう滋賀県民がきちんと下水道をつくり家庭用雑排水が処理されれば解決すると。そういうときに、重金属の問題も出てまいりますから後で聞きますけれども、私はその点については大臣がおっしゃるように考えない。  総合開発計画などというものは、基本政策のもとに、問題が起こるべくもない万全の対策が講じられた後実施されるものであって、十年前に総合開発がされてから後に環境破壊が起こっておるではないか。十年前から比べたら環境はよくなったと大臣は言い切れますか。  私は雑排水の責任をとれというのはわかりました、あなたのね。雑排水、いわゆる市民が生活をしておる水が琵琶湖の中へ入っておるんだから、それさえずれば解決するというふうにおっしゃるが、私は開発の手順が間違っておるから見直しをすべきだという立場で、あくまでも琵琶総のあり方について、琵琶総の計画は、琵琶湖の水を下流の千三百万の人たちの飲み水と工場の水に使うために、利水をするためにつくっておる計画であって、琵琶湖の水質保全をするようなことが主たる目的でない。あなたの言うように、武村知事はそうおっしゃっておるけれども、それは売り手の立場です。水を売る立場からいったらそういうふうにおっしゃっておるけれども、水を買う方にきれいでなかったらおかしいからそう言っておるけれども、実際上そうなっておらない。  後から質問しますからこのぐらいにしますが、それについては大臣どう思いますか。
  112. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先ほどお答え申し上げました中に、先生が、湖岸におけるいろんな、なぎさをなくしてしまっているじゃないか、また、そういったようなものが非常に琵琶湖の環境を保持する上において重要ではないか、こういう御質問に私は答弁が抜けておりましたので、大変失礼をいたしました。  私もそれは先生の言われるとおりだと思うのです。なぎさにつきましては、これはつくっていかなければいけないと考えております。そういったようなものもやはり全体の計画の中に入れていただいてそうしてやっていくべきではなかろうかと考えております。今琵琶湖におきます海水浴場、つまり遠浅になって砂地になっております部分は近江舞子の付近がこれが一番いいところでございますが、さらにまたもう少し北の方の安曇川の河口から北の方に行きました付近におきまして、ああいうところに、そういう地帯を開発と言えばそれもまた開発だと言われるかもしれませんが、なぎさをつくるわけでございますので、これは開発というかどうかわかりませんが、そういう公園を考えて、そうして水打ち際といいますか、そういうものもどんどん改良をしていくということも考えていかなきゃいけない、こういうように考えておりまあす。
  113. 片山甚市

    ○片山甚市君 琵琶湖に三十二ぐらいの内海があったんですが、この十年間に十ほどいわゆる埋め立てをして土地をつくってなくしている。内海というのは大体小魚が寄ってきて卵を産んだり、そこで自浄作用を行うことになっておるんです。列島改造の一つの見本としてつくった琵琶総が、そのような琵琶湖の水を清浄化していく作用を持つものを一つずつコンクリートの塀によって囲んでしまう、そういうことになっておることについてもう一度見直して、琵琶湖自体の力で清浄化さしていきながら、国民が、県民が憩える緑の豊かな水の美しい町にしていくことにしなければ、効率が中心になれば、ゆとりがなければ私はやっぱり琵琶湖は死んでいくしかないと思う。  時間が今来たようでありますから、午後引き続き質問いたしますが、私の考えは大臣いかがですか。
  114. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生の御指摘、非常に的確でございまして、大中之湖でございますか、あれが実は干拓にされてしまったのでございます。これは総合計画を立てる前にもう既にそうなっておったのでございますけれども、あれによりまして、実は今のお魚の点、これが非常に私は問題があったんではなかろうかと思うのでございますが、あの当時に計画を立てますときに、水産業というものについての実は研究が日本では非常に進んでおらなかったのでございます。  琵琶湖のアユがどういう状態において卵を産みつけるのが一番いいのか、あるいはまたモロコがどういうふうな生態で卵を産みつけるのか、そのほかの水産魚たくさんおりますが、それがどういうふうに卵を産んで、それがどういうふうになって、どういうところで育っていくのか、こういったようなことがどうも的確にわかっておらなかったのでございます。それで試験場をつくっていただきまして、これは私がつくったんじゃないので、つくってもらったのでございますが、皆寄って、そういうものをぜひとも早くつくってもらわなくちゃいけないということでつくっていただいて、そしてその研究がだんだん進んでまいりました。  アユについては、これはどうも今のままでは数が減っていくんじゃないかというようなことから、人工河川をひとつつくれ、こういうことで、実は北の方に人工河川をつくって、アユの産卵に適するような地帯をつくりました。それが今効果を上げてアユの稚魚がふえてきております。モロコにつきましても、これはやらなければならないのでございますが、それも今研究をしていただいておるのでございますので、やがて成果が上がってくると考えております。また、シジミあたりにつきましても、これも早く対策を立てていかなくちゃいけないということで、そういういろいろな面を考えて開発計画というものを進めていただくということでございますが、湖沼法によりましても、早くそういう全体の計画を、今度は環境の面における整合性のとれた計画を立てていただいて、そして琵琶湖の水をよくしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  115. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 木調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ―――――・―――――    午後一時五分開会
  116. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  117. 片山甚市

    ○片山甚市君 午前中に、開発計画が実施される場合は環境破壊が起こらないためにも事前にチェックをすべきだという意味のことを申しました。琵琶湖の汚濁の問題については、そういう意味からも湖沼法以前に環境アセスなどの厳しいチェックをする制度が確立されておらなきゃならぬと思っているんですが、先ほど丸谷委員質問に対しても、まだ提出のめどが立っていない、こういうことでは湖沼法を審議するのにも大変都合の悪い、条件の整わないものだと思います。そこで、もう一度問題をただしてみたいと思うんです。  滋賀県が琵琶湖の保全を条例化するということは、現在琵琶湖の自然環境が保全されていないという実証ではないか。むしろ破壊されつつあるということについての告白であり、富栄養化防止条例ができてもなおかつ汚濁は進んでおるので風景条例が提案されてきたと思います。そういう意味で、富栄養化防止条例でも環境汚染が進んでいるのでありますから、富栄養化防止条例は、琵琶総計画が進むに伴い、開発による汚濁が深刻化している現状を県民の関心からそらせ、県民のモラルというか責任のみで解消しようというねらいがあったとの厳しい指摘が地元でなされています。すなわち、琵琶総の開発によって起こった汚濁、汚染を、市民が燐を含まない合成洗剤を使えば改善されるじゃないかということにすりかえたんじゃないか。今度の風景問題も、なぎさの問題も含めて、ヨシ原の問題も含めて、それらを利用しておるだけで、本気で琵琶湖の自浄作用を伴う汚濁の防止につながっておらない、こう見ておるところです。  結局、根本的な原因である琵琶総そのものに対する見直しを含めた厳しい措置が欠落しているということである。建設、環境行政の基本姿勢に大きな不信を感ぜざるを得ないのでありますが、もう一度環境庁長官に、琵琶総に対する今後の問題について改善をする余地はないのか。琵琶総計画は御承知のように十年やってきて、ついこの間十年また延長したのでありますが、そういう中でも、いわゆる琵琶湖の開発をすることによって、琵琶湖の水質がよくなり環境が保全されるためにこれから何を中心に力を入れていくのか、環境庁長官としての決意をまず聞きたいと思います。
  118. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  琵琶湖というものの水面をどういうふうに考えるかということからこの開発計画が実はできておるのでございます。明治の時代におきましては琵琶湖の水位というのは、洪水のときには場合によっては三メートルばかり上がったことがございます。今も、もしそういうことを前提にすると、もう相当な地域は人が住めなくなる、田地もだめになるということになりますので、そういうことはもう考えないで、今、現状の琵琶湖のいわゆるゼロ水面というものを基準にしていろいろ、お住みをいただいておる方々、また農地をおつくりをいただいておる方々、それからいろんな風景、そういうものも全部それを前提にして考えておるのが今の計画でございます。  したがいまして、それを前提にいたしまして考えますと、今の琵琶湖の総合開発計画というものは、これは妥当なものではなかろうかと私どもは思っておるわけでございます。しかし、水質につきましては、これはもうそれじゃ琵琶湖の総合開発が完全にできたらそれでいいかということになりますと、時間的な問題もありますし、また計画もやはり環境水質そのものを考えてのものでもない面もありますので、そういう面をやはりやってもらわなくちゃいけない、そういう計画をあわせ立てていただかなくちゃいけない。総合開発計画も使っていくということはこれはもう当然のことですけれども、そのほかに計画を立ててもらってやってもらう、こういうようなことを考えて琵琶湖の今度の湖沼法による計画を立てていただきたいと考えております。  その際におきまして重点を置きますのは、やはり生活雑排水というものによる汚染、これを早く取り除いていくようなことを考えていかないと琵琶湖の水質はよくなっていかないのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるものでございます。
  119. 片山甚市

    ○片山甚市君 琵琶総は、御承知のように下流の千三百万の人の飲み水と同時に産業関係に使う水を確保するために国家的に水資源確保から出たのであって、琵琶湖の水を、環境をよくしようなどとはとんでもないことであります。ですから、私が先ほどから言いましたように、とんでもない方向に向かないで、今や琵琶湖の水をよくするのには環境を整備しなければできない。それについて、琵琶湖の水をダムとして、水さえあればいいというような強欲な考えはやめて、本当の緑ときれいに水がたたえられるような条件をつくるためにもう一度琵琶総を見直してもらいたい。見直さないと言っているけれども、私は見直してもらいたい。その焦点はあくまでも、私流に言いましたならば、琵琶湖は自然の力で、自浄作用でもってきれいな水に変えていけるような条件を与える、そのために国も地方も県民も力を尽くす、こういうふうなことにしたいと思います。  そこで、昨年九月二十一日、いわゆるアオコが琵琶湖に大発生いたしました。当時の新聞を見ると、汚染重症化の深刻な証明だと報じておりますが、発生の原因、因果関係についてはどのようになっていますか。
  120. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 琵琶湖におきましては昨年九月二十一日に南湖でアオコの発生を見たわけでございます。滋賀県からの報告によりますと、いわゆる化学的酸素要求量COD等につきましては前年同期とほぼ同じであったということでございますが、特に例年と違った特徴といたしましては、五十八年九月には雨量が少なく、琵琶湖の水が余り入れかわらなかった、こういうことからアオコの原因となりますプランクトン、ミクロキスティス等のプランクトンが風で湖岸に吹き寄せられたためにアオコが発生したのではないか、このようなふうに一応考えているわけでございます。なお、このアオコは発生した当日の夜半に雨で流されて消滅しているところでございます。  従来琵琶湖では淡水赤潮の発生は見ておったわけでございますが、アオコの発生は見ておらなかったわけで、アオコの発生は一般に富栄養化がより進んだ場合の現象というふうに今見られているわけでございます。そのような意味で、気象的な条件から短期間に終わった現象ではございますけれども、私どもとしても、琵琶湖の今後の水質にとって無視できない現象でございますので、今後とも、滋賀県と十分連絡をとり、琵琶湖の水質に対する注意を払ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  121. 片山甚市

    ○片山甚市君 汚染の重症化の証明だと言われるほど言いませんでしたが、警戒をしなきゃならぬということです。  そこで、そのプランクトンには毒性があるというアメリカの報告がありましたが、それについてはどうでしょうか。特に霞ケ浦、諏訪湖などのアオコと別種のものかどうか、いかがでしょうか。
  122. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) この琵琶湖に発生しましたアオコのプランクトンであるミクロキスティスにつきましては、これは私どもが従来承知している範囲では諏訪湖あるいは霞ケ浦のものと同種であるというふうに承知しております。それから、それ自体として毒性があるわけではないというふうに従来私どもは聞いておりますが、なお今後注意深く見守ってまいりたいと思います。  先生のような御指摘の論文、文献等がもしございましたら我々ももう少し注意して勉強してみたいと思いますが、私ども現在までの段階ではそれ自体として毒性があるというふうには聞いておりません。
  123. 片山甚市

    ○片山甚市君 臭い水の原因となるプランクトンも発生をしたと言われておるんですが、それはどういうことですか。
  124. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) いわゆる臭い水につきましては過去数回琵琶湖においても発生したわけでございますが、その浄化につきましては、結局ある種のプランクトンが発生して、そのプランクトンを浄化する過程におきまして、琵琶湖の水を浄化する過程におきましてそのプランクトンからにおいを発生する物質が生成する、かように承知しているわけでございます。やはり琵琶湖の水そのものをきれいにすることが異臭味問題を解決する根本的な対策であろうかと思いますが、この水の浄化のプロセスにおきましても、上水道側におかれましていろいろ工夫されまして、そのような現象が発生しないような浄化方法を種々検討されているというふうに承知しております。
  125. 片山甚市

    ○片山甚市君 アオコ発生のときに飲料水への影響は即断できないと、県の関係者が当時そういう発言をされておるんですが、問題が発生してからでは遅いのでありまして、その後の水質調査や発生防止対策についてはどのように環境庁として把握されていますか。
  126. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私どもは、このアオコの発生が基本的に湖の富栄養化によるものであるということで、現在公共水域の水質測定をCODについて行っておるわけでございまして、さらにまた窒素、燐につきましてもその濃度を測定しているわけでございます。これらの濃度が異常に上がってくるというようなことであればアオコ発生の可能性は非常に大きいわけでございます。  それからこれに対する対策といたしましては、基本的にはやはり富栄養化を防止するということでございまして、従来のCOD規制に加えてさらに現在窒素、燐の規制をも行うべく検討しているわけでございます。  琵琶湖につきましては、滋賀県におかれまして、先生も御承知のように富栄養化防止条例をつとに施行いたしまして、窒素、燐の規制を講じておるところでございまして、その結果といたしままして、現在窒素につきましては大体横ばいの状態になった、少なくともこれ以上増加することはない。燐については若干減少の傾向が見られる、このような報告を受けておるところでございます。
  127. 片山甚市

    ○片山甚市君 さらに、当時の新聞で、工場排水などの大口汚染源は排除できた、問題は家庭排水、農業排水など小口がむしろ汚染源だと、これは京都新聞の昭和五十八年九月十三日付の記事ですが、長官も先ほどからるる、また本会議でも、市民の出す雑排水がけしからぬのだと言っておるけれども、果たしてそうだろうか。といいますのは、大口のいわゆる工場の排水は規制ができて家庭雑排水はできないということになると、いつまでにそれでは家庭雑排水について解決するのかということがなければならぬ。あれができてこれができないとかいうものでなくて、総体的にはやはり私としては自然の浄化作用、自浄作用が低下しておる問題であろうと思うし、その回復は部分的に解消するものではないので、すべての原因を取り除かなきゃならぬと思います。特に、近畿の水がめとして命の水を守るということを、琵琶湖周辺の住民に有機洗剤を使うな、し尿を垂れ流すなということで規制のみが先行するのではなくて、国や行政の開発行為や汚染行為によって琵琶湖汚濁があることについて責任を果たすのが先決だと思います。  そこで、工場排水の量と規制はどうなっているか、いわゆる工場の排水の量と規制はどうなっておるか。二つ目には小口の排水、生活排水の量と規制はどうなっておるか。それらについて具体的に答えてもらいたい。
  128. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 工場排水につきましては、全国一律基準でございますと日量五十トン以上の工場、事業所を規制の対象にするということでございますが、琵琶湖につきましては、滋賀県におかれてこれを日量三十トン以上について規制を加えるということにいたしておるわけでございます。  さらに、その規制の内容について申し上げますと、全国一律基準では一二〇ppmが平均の規制値でございますが、それについて琵琶湖ではこれに上乗せいたしまして二〇ないし三〇ppm、この三〇ppmというのは下水終末処理場と、し尿処理施設のみでございますけれども、というように五分の一ないし六分の一程度に厳しく規制をいたしているところでございます。
  129. 片山甚市

    ○片山甚市君 それで、大体小口の排水の問題についてはいつごろになれば琵琶湖全体の汚水、汚濁を阻止をするだけの条件を整える計画ですか。
  130. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在、日本の下水道の整備は御案内のように大都市の市街地、既成市街地を中心に進められてきたわけでございまして、したがいまして、琵琶湖の周辺のように比較的農村部が残っているところでは下水道の整備が非常におくれている実情にございまして、現在下水道の人口での普及率が滋賀県では八%程度という状況でございます。  一方、従来の方式によりますと、一人当たりの下水道整備のための経費が百万近い金がかかるわけでございまして、このようなことではなかなか生活排水対策の充実は期待できないというふうなところから、建設省におかれましても、こういう人口密度が薄い農村地域での小規模下水道の整備について特別の計画をつくるということで、その計画のやり方等についていろいろ御検討をいただいているわけでございます。さらに農水省では 農村集落排水施設の整備事業、それから厚生省では、生活雑排水のみを対象にする整備事業というふうなものも新しく起こしていただいているわけでございます。  私どもは、今回御提案申し上げております湖沼法が成立した暁には、その湖沼法の中の水質保全計画の中で、滋賀県の現在の県の財政規模等から見て大体生活雑排水対策に割ける財源というようなものも見通しまして、雑排水整備のための可能な具体的な計画を詰めてまいる所存でございます。ただ、いずれにいたしましても、現在の非常に厳しい財政状況の中ではなかなかそれだけでは目的達成しにくい面もございますから、先生先ほどからお話のございましたような自然浄化機能というようなものもあわせて活用する。農業用排水路だとかあるいは農村にあるため池というような、そういう従来からある施設の方もこの計画の中に組み込んで、そういうものの助けもかりながら浄化機能を果たす、あるいはまた、家庭の段階で雑排水についてできるだけ大きいごみ等は取って流すということの御努力もお願いする。こういうようなことで具体的な計画を水質保全計画の中で立てまして、それによってその水質の目標も決めていきたい、かように考えているわけでございまして、もうしばらく時間をいただきたいというふうに考えております。具体的にその辺を御説明を申し上げるには、今後滋賀県と法律を通していただきました暁には十分詰めて、具体的な内容を御報告できるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  131. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで大臣、あなたの口癖の家庭雑排水の問題ですが、琵琶湖が汚れるのは、あなたの説によるとこれしかないんですから、ここにすべてを投入して、とにかくこれだけやってしまってから後堤防をつくるとか湖岸堤をつくりたいとか、おもしろい話は後にして、汚れない根本の問題をやる意思はありませんか。あなたが言うように、工場排水はうまくいっておるんだと、こうおっしゃっておるんです。今さら力を入れなくてもいい。家庭の雑排水、これが大変だからしたいというのなら、環境庁長官としては、これから流れ込むところの水のうち市民生活に使う水、生活用水等それを優先的に琵琶湖の総合開発に組んでもらいたい、こう言っていいんじゃないですか、あなたは建設に関しては発言力がある人ですから。そうしてもとを正さなければ、局長の言うように、しばらくといったって、しばらくしばらくしばらくで、わしゃやめたら知らぬと、こうなりますから。  ここで聞きたいのは、十年計画で延長されました琵琶総ですが、その中に優先順位としては、いわゆる人工なぎさをつくったり、人工突堤をつくったり、湖中堤をつくったりする前に、そういうものが入らないで済むようにまず努力をしてみるということはいかがでしょうか。
  132. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  琵琶湖の湖沼法によりますいろいろ計画を立てていただくようにしていただきたいと念願をいたしておるのでございますが、その中におきましてはやはり下水道に重点を置いて、そしてまた下水道が、先ほど局長が説明いたしましたが、行われにくい、つまり離れております、人口が余り集中しておらないような地域につきましては、またそれに適する対策を立てていただきまして、そしてそのほか、今工場についてもやはり全然影響がないというわけではございませんので、そういうものも、それに対する対策も皆それぞれ調和のとれたやり方をとらしていただいた計画を立てていただいて、それを関係閣僚会議にお願いをして実行をしていくというふうにやらしていただきたいと念願をいたしております。
  133. 片山甚市

    ○片山甚市君 琵琶総の金は一兆円余りを使うんですが、私は、一兆円余りの金を使うときに一番根源のところに金を使ってやるべきだ。調和などとらぬでよろしいから、家庭用の雑排水がおかしいんだ、生活用水が根源だと、そういうふうに罵倒するならそれについてちゃんと答えをしなきゃならぬ。私は、そう言う人たちは、水をうんと使いたい立場からいったら、先ほど三メートル上がったじゃないか、とりあえず一メートル五十ぐらい上がってもいいように堤防をつくってやろうと。その前に水が汚れてしまったんではどうにもならないのでありますから、そういう意味で繰り返して言いますが、意見を述べておきます。  琵琶総の計画による圃場整備、これは農水に関係するんですが、農業排水が従来以上に琵琶湖へ直接流入するようになっておらないか、そういうような問題があります。それから、農薬や肥料について湖に流入することはないか、これらについては農水からお答え願いたいんです。
  134. 平井公雄

    説明員(平井公雄君) お答えいたします。  今の、圃場整備をやったために琵琶湖へそういった汚濁物質が直接流入するようになるのではないか、こういう質問でございますが、琵琶湖周辺の圃場整備につきましては全体で五万ヘクタールぐらいの要整備、圃場整備をやる必要のある農地がございます。そのうち五十八年度末までに大体二万八千ヘクタール圃場整備済みでございます。  それで、圃場整備をやったためにそういった物質が琵琶湖に流入するということにつきましては、従来の田越しかんがい等でやってきた場合と比べてやはり出てくる量は確かに多いかと思いますが、我々は、この琵琶湖については、特に水を反復利用することによって農地での固定、あるいは再利用される圃場における作物の吸収、そういったことでできるだけ浄化を図って琵琶湖の水質影響のないように指導いたしてまいっております。  二万八千ヘクタール整備できておりますうち一万九千ヘクタール、約七割は反復利用をされるような水計画になっておりまして、琵琶湖の周辺といえども水を、貴重な水でございますから、農業用水の使用に当たっては、できるだけその反復利用を実施しながらそういった汚濁物質の流出を防ぎ、効率的な水利用を図るということで水質汚濁防止に配慮するよう指導いたしております。県の方もそういう観点から巡回指導等パトロール班を編成したりして、営農の水管理の指導に当たっておるような次第でございます。
  135. 片山甚市

    ○片山甚市君 生活雑排水と同時に農業排水が汚染のいわゆる元凶でもあるように書かれておりますから、農水省としても十分に、農業問題から琵琶湖の水が汚濁をすることがないように格段の指導といわゆる改善を図ってもらいたい。  そこで、琵琶総の開発以前と以後との環境の変化について若干聞きたいのですが、湖岸堤、湖中堤、人工なぎさなどをつくって変化したなぎさの線は、どのぐらいのなぎさが変化をしたか。周辺の内湖、沼などの埋め立て等の箇所、面積及びヨシ原の埋め立て箇所、面積など大体どのぐらいになるのか、大ざつ。はにお答えを願いたい。
  136. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 湖岸堤、湖中堤は約五十キロございまして、そのうち自然の前浜を残す部分が約二十七キロございます。それから、新しく人工の前浜を造成しまして、ヨシなどの植生を行ったりいたしまして自然に近いなぎさ線にしていく部分が約六キロございます。それから残りの約十七キロメートルにつきましては、その地域地域の実情に応じまして自然のヨシを残したり、あるいは新たにヨシの植生等を行うなどの対策を講じてやっておるところでございます。
  137. 片山甚市

    ○片山甚市君 今後の開発による埋め立て等で自然環境が変わると思われるのはどの和皮と予測できますか、琵琶総による。
  138. 立石眞

    説明員(立石眞君) 琵琶湖総合開発計画は、先ほど長官の方からお話がありましたように、琵琶湖の自然環境水質の保全、回復を図りながら、その水資源の利用と地域住民の福祉をあわせて増進することを目的としているわけでございます。水辺の環境保全につきまして、琵琶湖のすぐれた自然環境と風致の保全のために必要となる土地の公有化、あるいは湖辺における都市公園、自然公園の整備等を現在行っているわけでございます。  琵琶湖総合開発事業を実施した場合でございますが、一部の地域でなぎさ線の移動あるいはヨシ原の埋め立て等が行われる場合もあるわけでございますが、今建設省の方からも答弁ございましたが、そういうような湖岸堤の建設に当たって、前浜をできるだけ広く確保するとか、なぎさ線の保全等を図ること等によりまして自然環境の保全に努めていくというように考えているところでございます。
  139. 片山甚市

    ○片山甚市君 建設省のお答えですが、琵琶湖の人工なぎさにしてもヨシ原にしても、ヨーロッパの湖をモデルにしたということを聞いておるんですが、そのとおりですか。
  140. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 人工前浜は、先ほど申し上げましたように、湖岸堤あるいは湖中堤を築造するに当たりまして自然の前浜を確保することが非常に困難な地域におきまして、周辺環境との調和を図りながら、また消波効果等の機能を増進するために人工の植生を行ったりいたしまして、これも滋賀県などの関係機関と十分協議しながらやっておるわけでございまして、今先生の御指摘のヨーロッパの例に倣ってやったというぐあいには聞いておりません。
  141. 片山甚市

    ○片山甚市君 環境庁としては、これは適切なやり方だというふうに思っていますか。
  142. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 大臣からもお答えしておりますように、この琵琶総の内容の一つの柱としまして保全といいますか、そういう問題があるわけでございまして、その保全の内容としましては、大きく分けて水質の保全、下水道を中心とする事業と、ただいま両省庁からお話しのありました自然環境の保全、利用、この両面があると思います。そういうことで自然環境保全、利用のうちただいまお話しの種々の点につきましてはそれなりの私どもは適当なものだと考えておるわけでございます。
  143. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、先ほどから覆いますように、湖岸堤、湖中堤、人工なぎさなどをつくることについて、自然の浄化作用が失われてくると思っております。手元に手づくり限定版として「くたばれ湖岸堤・湖中堤」という写真集があります。これはもう新聞でも御紹介されておるのですが、環境破壊の実態がありますから、大臣これちょっと見てください。  そこで、先ほどは人工なぎさやヨシ原についてもヨーロッパの湖をモデルにしたんじゃなくて滋賀県の君たちが考えてやったんだと言われました。そこで、人工なぎさも現実は琵琶湖に育つ湖岸生物の増殖に役立つようなものではないし、ヨシ原も見た目だけの景観としてのみとらえているようですが、コンクリートの護岸と岩石を配した人工なぎさや鉢植えのヨシ原などで、生態系については水と人間の共存ができておりません、それを見てもらったらわかるように。それは作り物、盆栽でありましても自然の中に溶け込めない、魚がそこで育たない、こういうことでは危険があります。ヨーロッパ方式というのでないならば、相当な規制をしておる西ベルリンなどではヨシ群落保護法などをつくっていますから、ヨシをつくるならば、人が近づいて踏みくたにしないように、汚れないように相当の手入れをしなければ、ヨシが群生をしても自然浄化に役立たない。人工的なヨシ原をつくるということは大変難しい、こういうように思うんですが、それはどうでしょうか。
  144. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 例えば自然のヨシ、アシについて言えば、それは保全をしそのままの状態で残すことが最善の道だと私どもは考えます。ただ、何らかの理由でそういうものが一たび失われた場合に、それを再現し復元する場合にどう自然の復元力を生かすか、ここにまずポイントを当てて問題を考えていかなければならない、かように考えておるところでございます。
  145. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣、私の時間が来たようですが、今の話からいって、人工なぎさをつくる前に自然のなぎさを復活させていくような努力をすべきだと思って言いました。何回も言いますように、人工の手段を講じましてもなかなか大自然に勝てるものではない。そういう意味で、滋賀県の人たちがこれ以上開発ということで自然を破壊せずに自然と共存ができるようにしてもらいたいということで、あなたの好きな調和がそこに出てくるんですが、開発の方を急いで、そして琵琶湖の水が汚れてくる、または生活がしにくくなるということですから、それらについてのまとめとして大臣はどういうようにこれから取り組んでくれますか。
  146. 上田稔

    国務大臣上田稔君) なかなかコンクリートの構造物と自然のなぎさとの調和というのが非常に難しいのではないかというお考えでございますが、私もごく最近の、今おやりをいただいております構造物について実は拝見をまだしておらないのでございますけれども、そういう構造物の上に自然のものをつくっていくということは、そのままでございましたらできませんけれども、その上に自然の例えば砂等をずっと置いてやっていくということを考えたり研究をしたりしていただくと、私は自然のなぎさに近いようなものができ上がっていくのではなかろうかと考えておるものでございます。いろいろ工夫をしていただいて、そして、先生の御指摘のような水打ち際というものも非常に大事でございますから、そういうものをやっていただきたいと考えております。
  147. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほどから言いますように、内海を埋め立てるようなことはできるだけやめることと、なぎさ線を人工にせずに幅をとって浄化作用ができるようにする。人工なぎさをつくるということは開発が第一になるから、それでは琵琶湖の水はよくならない、そういうことを繰り返して申し上げておきます。  そう言うと建設省の方は、おれの方が考えていることが正しいのでやっていくという話ですが、それが困るということで住民運動があり、今度八四世界湖沼環境会議を琵琶湖の大津でやるのでありますから、そのところで告発運動があれば、外国から来た人は、なるほどと琵琶湖というところについての認識を別にされると同時に、日本政府の環境への取り組み、日本の行政の取り組みについても各国から来られた人たちに別の意味の認識を与えることになるから、八月の終わりに開くまでの間にきちんと答えを出してもらいたいと思います。  先ほどから申された中で流域下水道について触れておりませんから申し上げておきますと、いわゆる湖南中部流域下水道について工場排水の規制はどういうようになっているのか、工場排水による危険性は全くないのかどうか、まずお答えを願いたいと思います。
  148. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  湖南中部の流域下水道につきましては、五市十四町からの下水を集めて処理をするという計画になっております。この中で御指摘の工場排水の件でございますけれども、下水道に排出されます工場排水のうち、終末処理場で処理することが困難な物質を含む下水につきましては、水質汚濁防止法と同様の排水基準を設けまして、その基準に適合させた上で下水道に受け入れることになっております。また、滋賀県におきましては、排水基準の上乗せ条例及び滋賀県が定めました公害防止条例と同等の規制になっているところでございます。
  149. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで規制値はどういうふうに決めているんですか。
  150. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) ただいまお答え申し上げましたとおり、滋賀県におきましては、排水基準の上乗せ条例及び滋賀県の公害防止条例と同等の規制値を用いております。
  151. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、工場からの汚水、例えば下水処理能力を超えた重金属類の廃棄物垂れ流しの危険性は今のところ全くないというように思いますか。どのように処理しているから問題がないということですか。問題はありませんか。
  152. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) ただいまもお答えいたしましたように、下水処理場で処理することが困難な物質につきましては、規制を設けまして工場側で処理をしてもらいまして、受け入れが可能になった、基準に適合した水質になった上で下水道に受け入れることになっております。
  153. 片山甚市

    ○片山甚市君 それではもう一度聞きますが、重金属類や化学物質の流入でバクテリアが死ぬなどということで、下水処理能力を激減させるような危険は大体今のところない、こう考えてよろしいですか。
  154. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) ただいまお答えいたしましたように、排水基準を遵守させた上で受け入れておりますので、終末処理場でのバクテリア等が死滅するということはございませんし、また現実にもそのような事例は聞いておりません。
  155. 片山甚市

    ○片山甚市君 規制値を超えなければ安全だということは、先ほど丸谷委員が言ったように、これは大丈夫ですかと言ったら、大丈夫ですと言って、本当に大丈夫ですかと言ったら、危険性がありますと言うのと同じように、これからまた問題がありましょう。  そこで、汚泥、処理水の農地還元で新たな土壌公害の原因は発生しないと断言できますか。下水処理能力では日本は世界においてどのぐらいの水準になりますか。
  156. 斉藤健次郎

    説明員斉藤健次郎君) お答えいたします。  下水処理において発生いたします汚泥、あるいはそれを富養化したものの農地還元につきましては、すべて肥料取締法の特殊肥料の基準を守って実施しておりますので、土壌公害のおそれはないというふうに考えております。  それから、もう一つの処理技術の問題でございますけれども、我が国の下水道処理技術につきましては、欧米先進諸国のそれにもまさるとも劣らないものというふうに考えております。例えば、日米の下水処理技術委員会とか、あるいは日独の環境パネルの下部機関でございますワークショップ等での議論におきましても専門家の評価を得ているところでございます。
  157. 片山甚市

    ○片山甚市君 非常に自信に満ちたお話を聞きましたから、長官、十分に今の話を受けとめてもらって、あなたの口癖の生活雑排水を含めて、琵琶湖には一滴の汚水も入らぬように一日も早く確立してもらいたいと思うんです。  そこで、琵琶湖保全とは、水を蓄えるための、水の入れ物だけのダムではなくて、自然を守るということでなければならないと何回も言ってきました。環境行政も、当然、自然を守り、破壊された環境を修復し、自然を回復することであるべきであって、自然をつくりかえるというものでないと思います。自然を守るということは、自然の風景の中で生態系を確立することだと認識しております。そういう意味で、環境庁は大いに努力をしていただきたいことを申し上げて、終わります。
  158. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは、最初に大臣にひとつお願いをしたいと思います。  先ほど丸谷さんからアセスメント法案の提出に旧していろいろ御質問がありましたし、私も改めて申し上げることもないかと思ったんですけれども、私の立場でもう一度大臣のお考えを承りたいんです。  去る三月二十八日の予算委員会の総括質問のところで私は総理大臣にこの問題については質問をいたしまして、総理からは、提出の方向に向かって党内調整に努力をしているところだというふうに承りましたが、先ほどの大臣のお話も、努力してもらっているみたいに承ったものですから、大臣はどういうふうにやってくださるんでしょうか。私はできるだけ早く提出されるようにしてもらいたいというふうに思ってちょっと伺いたいと思います。
  159. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先ほどお答えを申し上げたのでございますが、党内調整を今やっていただいておるのでございます。本日も実は今やっていただいておるところでございますが、私は、この党内調整を早くやっていただいて、そうして早く提出をしていただきたい、こういうことで関係のところにいろいろとお話をさせていただいて、そうしてどうしても必要なんだということを申し上げておるところでございます。
  160. 高桑栄松

    高桑栄松君 それは、まあ難しい、お答えとしては面倒かもしれませんが、今国会中に出したいというお考えでおられるんでしょうか。
  161. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 環境庁といたしましては、これはもうアセスの法案はぜひとも提出をして、御審議をいただきそうして成立をしていただきたい、今国会中にお願いをいたしたいということでお願いをいたしております。
  162. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは、そのことにつきましてはどうぞひとつ大臣も頑張っていただきたいと思います。  次に、私は土壌汚染について質問をしたいと思うんですが、これも、例えばダイオキシンに関しては午前中の丸谷さんの御質問にもありましたけれども、私が承りたいと思うのは、今までいろんなことが言われておりましたけれども、現時点で調査結果というのはどんなふうになっているのか。この前の国会でいろいろ御報告があったかと思うんですが、現時点ではどうなっているかひとつ伺いたい。
  163. 小沢普照

    説明員小沢普照君) お答えいたします。  私どもの方では、昭和四十六年当時に処理いたしました二・四・五丁剤の処置状況につきまして鋭意全国的な調査を行ったわけでございますけれども、五月の二十五日までにおおよその取りまとめができたわけでございます。その状況につきまして概要を御説明さしていただきたいと思います。  当時全国に営林署の数が三百五十ございましたのですけれども昭和四十六年の四月に中止指令を発しましたときに、除草剤を手持ちしておった営林署の数は九十の営林署があったという結果が出ております。そしてなお、九十のうち五十三の営林署除草剤を地中に埋没するというような処理を行ったという結果が出てまいりました。なお、九十の営林署と五十三の営林署の差でございますけれども、それ以外の営林署で手持ちしていた除草剤につきましてはメーカーに返したというような実態がございまして、これまた後で出てまいりますが、そんなふうな措置状況になっていたわけでございます。  それで、この当時手持ちしておりました二・四五T剤の処分の総蛍は、これは内容が液状の乳剤とそれから粒状の粒剤に分かれておりますけれども、乳剤につきましては七キロリットル全国でございました。これは有効成分量で換算いたしますと四トン程度と判断しております。それから粒剤につきましては六十六トンの手持ちがございまして、これも有効成分量で換算いたしますと、この場合は成分が薄いために〇・九トン程度と考えております。  それからそれの処分の実態でございますけれども、乳剤につきましては、この七キロリットルのうちメーカーに返還いたしましたものが七〇%に当たります四・九キロリットルでございます。そして地中に埋没するという処理をとりましたものが三〇%に相当いたします二・一キロリットルということになっておるわけでございます。なお、埋没方法をとりましたうち、当時処理方法林野庁長官通達で指示しておるわけでございますが、この通達で指示した方法と異なる処置をとりましたもの、つまり乳剤をそのまま埋没したというのが、この乳剤の埋没処理量二・一キロリットルのほとんど大部分でございましたが、これがいわゆる四国地域で行われていたものでございます。なお、四国以外でこの乳剤をそのまま埋没する方法をとりましたのは、北海道で一カ所ございまして、これは二十リットル、つまり〇・〇二キロリットルございました。  それからもう一つ粒剤の方でございますけれども、これにつきましては六十六トンの手持ちがあったわけでございますけれども、このうち六四%に当たります四十二トンにつきましてはメーカーに返還してございます。そして残りの三六%、二十四トンにつきまして埋没処理を行っております。なお、この粒剤の埋没方法につきましては、通達で指示いたした方法と異なる方法、つまり、通達では粒剤をセメントや土とまぜ合わせて埋没処理をするように指示してございますけれども、そのような方法をとらないで処理したものは約四トンございました。  以上が概要でございますけれども、この時点では、最初に申しましたように、五十三の営林署のうち四営林署につきましては調査取りまとめ時点で内容がまだ不明ということでございましたが、その後さらに調査を続けまして、そのうちの一営林署につきましてはその後判明いたしましたが、これは粒剤を、処理方法につきましては通達どおりにやっておりましたが、数量が、千二百二十キロを四カ所に分けているということで、量の点でややオーバーしているというふうに見ております。と申しますのは、通達では一カ所三百キロ以内を原則にと言っておりますが、この場合四カ所ですが、千二百二十キロということですから、二カ所三百キロをちょっとオーバーするというような実態でございました。  以上がその後調査いたしました概要でございます。
  164. 高桑栄松

    高桑栄松君 その場合に、埋立処理をした場合なんですけれども土壌汚染については調査をされたでしょうか。同じく林野庁の方にお願いします。
  165. 小沢普照

    説明員小沢普照君) 今申し上げましたのは、当時どのような処置をしたかということでございますが、私どもといたしましては、今回このような出時の処置状況というのがおおよそ判明いたしましたので、それではこの問題につきましてどのように対処するかということでございますけれども、この問題につきましては、調査結果を踏まえた今後の対処方針ということになりますが、関係の機関とも御相談もいたしまして、この六月一日に全国の営林局あるいは営林支局に対しまして指示をしてございますが、この基本的な方針といたしましては、まず、通達と異なる処理方法をとりました乳剤につきましては、埋没箇所を発掘いたしまして、埋没してございましたものを抜き取ってこれは厳重に保管するという措置をとります。同時に、その周辺につきまして水質土壌調査を行うように指示してございます。  それから粒剤の方でございますが、これも通達と異なる処分を行ったケースにつきましては、埋没箇所周辺の水質土壌調査を行うように現在指示しております。そして、ただ土壌調査結果につきましてはやや時間がかかりますので、現在のところ調査結果が一応出ましたのは三カ所ぼどでございますが、一カ所につきましては二・四・五Tの検出はございませんが、あと二カ所につきましては微量の検出がございますので、さらに再度綿密な調査をするように指示しているところでございます。
  166. 高桑栄松

    高桑栄松君 そのダイオキシンの測定方法なんですけれども、私はよく知らないんですけれども、文献等を読んでみますと、特に愛媛大学の立川教授ですか、私もよく存じ上げているお方ですが、測定が非常に難しくてダイオキシン微量検出ができる能力のある研究室は少ないというふうに聞いているんですが、その分析体制というのはどうなっているでしょうか。
  167. 小沢普照

    説明員小沢普照君) ダイオキシンの問題になりますと、私どもも実は耳門でございませんで、非常に難しいというふうにお聞きしておるわけでございますけれども、そこで私ども土壌調査を行っておりますのは、まず使用いたしました二・四・五Tにつきまして検出調査ということを指示いたしておるわけでございます。  なお、その二・四・五Tとダイオキシン関係等につきましては、私どもとしても難しい分野と考えておりますが、今後さらにその専門家の御意見もお聞きして私ども参考にさせていただく必要があるかと考えておるところでございます。
  168. 高桑栄松

    高桑栄松君 これは土壌汚染だけではなくて大気汚染の方も関係があるかと思うんで、環境庁の方も聞いておいていただきたいと思いますけれどもダイオキシンの系列のものはプラスチック一般がその原因物質であり得るというふうなことが言われておりますので、この検出方法というのは非常に重要だと思うのです。この分析の体制が整備されなければうまくないので、先ほど国立公害研究所の話が出ましたけれども、国立公害研究所は個々のものについてすぐ対処をするという研究は実は本来の目的じゃないので、もっとそういったグローバルな研究とか基礎的な研究をやっておられますが、分析技術にかげては世界第一級でございますから、相談をされるなり指示を受けるなり、検出の講習会というか、そういう技術指導は国立公害研究所は多分能力を十分以上持っておられます。  そういう分析体制を整えていただかないと実態の把握はできないはずで、単に調査を命じたということでは実態が把握できないはずだと思うんです。ということになると、結局そういう高度な技術を持っているところから指導を受けるというと、それにやつ。はり研究費なり調査費なりを大臣、手当てをしてくださらないとだめだと、こんなふうに思うんです。これは私の一つの提案でございます。  それではその次に、これは環境庁に伺いたいと思うんですが、前のときに私は水銀電池の埋め立てのことを一応伺ってはおりましたが、もう一度、コンクリートに入れて乾電池を処理するとか、焼却にそのまま回ってしまうとかいうのがあったようですが、そのほか一般の普通の埋め立てに回るのは乾電池のどれくらいの量だったでしょうか。パーセントで結構です。
  169. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在乾電池につきまして一般廃棄物として埋め立てられるものにつきましてでございますが、おおよそ全体の四割程度というふうに見通しされているわけでございます。
  170. 高桑栄松

    高桑栄松君 これは国立公害研究所の後藤研究員の発表で見たのですけれども、埋立地の土中には水銀が三ppm程度含まれているというふうに推計するし、また実際そのようだというふうなことが出ておって、したがって普通の埋め立てば大変将来禍根を残すのではないかということかと、私もそう思います。それで、もしこのまま放置すると少しずつ土中に出ていくわけで、私は現時点で三ppmがどうこうということじゃないと思うんですが、例えば十年後、二十年後にそのまま放置されているとやはり土中に蓄積されていくのではないか、こんなふうに思いまして、その辺はどうお考えでしょうか。
  171. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在、一般廃棄物につきましても我が国の廃掃法の体系では遮水工の設置あるいは浸出液処理設備等を施しておりますものでございますので、一応溶出の危険性はないというふうに判断されるわけでございます。また現実にも、私ども、公共水域で先生御案内のように、水銀については総水銀、メチル水銀、有機水銀両方を測定しておりますけれども、すべての測定地点で現在環境基準を満足しておりますので、現時点においては一応問題はないというふうに判断しております。  しかしながら、埋立処分地内での土壌の中での水銀の動きにつきましてはまだよくわからないところが多いようでございます。したがいまして、現在が安全であるから直ちに将来とも安全であるということを理論的にもきちっと言えることはまだできないようでございます。したがいまして、私ども埋立地内における水銀の挙動に関する調査検討について引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。  それからまた、一部現在分別収集されております乾電池があるわけでございますが、この点につきましては、厚生省におかれまして三カ年程度かけてこの広域処理体制の整備ということを御検討になっておられるようでございます。その過程で何らかの方針が打ち出されるのではないかというふうに期待しているわけでございまして、その結論が出るまでは現在各地で厳重に保管されているのが実情でございます。厚生省のその検討に非常に期待しているということでございます。それから一方、私どもはその基礎的な埋立地内の水銀の挙動の勉強をしてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
  172. 高桑栄松

    高桑栄松君 今のにまた関連なんですけれども、乾電池の四割が普通の埋め立てたとすると、物資に関しても大変な浪費ではないかと思うんです。これも私よくわかりませんが、何かクローズドシステムで全水銀を回収するというようなことも考えておられるようで、これは通産なのかなと思うんですけれども、そういう方向での、つまり、水銀乾電池に関する処理ということは大変世論でも高まりを見せているときですから、いろいろな意味でチャンスだと思って、一挙にそういう方向をひとつ方向づけてやってみるのも大変効果があるんじゃないかと思うので、今の単なる埋め立てに回すのじゃなくて、別な資源回収の意味での対策ということは考えているかどうか。
  173. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先生も御案内のように、乾電池中の水銀の含有量にはタイプによってかなり違いがあるわけでございまして、特に含有量の高い水銀電池等については、これは民間で自発的な回収システムができているというようなことのようでございます。さらにまたボタン型乾電池につきましては、先般厚生省、通産省で行政指導によって業界もそれに従うということになったわけでございます。  問題は筒型の乾電池でございますが、これは重量が重いということがあって、それと水銀の含有量が少ないというようなところから、なかなかこのまま放置したのではそういう回収システムには乗りがたいというようなことでございます。厚生省において、特に広域処理システムの研究ということに踏み切られたのも、一つの背景としては、私どもこれは推察でございますけれども、そのような点からあるかというふうに考えておるわけでございまして、今後、筒型の乾電池も含めまして、おっしゃられるような再資源化ができることが一番望ましいわけでございまして、これはどなたも異論のないところで、関係省庁さらに業界も含めまして引き続き相談してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  174. 高桑栄松

    高桑栄松君 今私がお話ししたようなことは一つの例として実は取り上げてみたのですけれども、七つの公害のうちで、土壌汚染の環境基準というのが決められていないんですね。いないんだけれども、これは決めることになっているんでしたか。これについてお考えはどうなんでしょうか。  つまり、さっき申し上げたように、多分、土壌汚染の環境基準というのは何を評価の基準に置くかによって大分違うんで難しいんじゃないかと僕は思います。しかし、さっき申し上げたように、一つの高まりがあるときだから、これについて環境庁は積極的に土壌汚染の環境基準を考えているかどうかということを伺いたいと思います。
  175. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 土壌につきましては、御指摘いただきましたとおり、公害基本法に基づきまして環境基準が定められるべきものというふうに制度的にはなっているわけでございます。私どもも当初そのように考えて法制定されたわけでございますが、その後問題は二つに分かれまして、一つは農用地の土壌汚染の環境基準、それから市街地の基準と、こう二つになるわけでございますが、農用地につきましては、具体的に検討してまいりますと、例えばカドミにつきましても、一応食品衛生法の体系に基づきましての許容基準である一ppmの発生する土壌の濃度というのに実にばらつきがございます。結局、土壌から植物体へ吸収されるそのメカニズムがどうもまだよく.わかっていない面がございまして、したがいまして、一般的に各種行政の共通の目標としての土壌環境基準ができないというのが現状でございます。  さらにまた、市街地の環境基準につきましては、専ら健康上の影響ということが問題になるわけでございますが、これにつきましても、土壌の汚染の程度と健康との関係につきましての知見が甚だ乏しゅうございます。クライテリアができないというような状態でございまして、そのような理由によって今日まで時日を過ごしてきたわけでございまして、私どもも決してこのままでいいというふうに考えているわけではございません。さらに知見を深めるように今後努力してまいりたいと思うのでございます。  当面、特に問題になっております市街地の土壌汚染でございますが、これは専ら試験所、研究機関等の跡地の他用途への転用に際していろいろ問題が出てまいるわけでございます。この点先般も当委員会等でも諸先生から御指摘いただきまして、大臣からも特に御指示をいただきまして、市街地の土壌汚染につきましては、少なくとも公共用地を売却する場合には、安心できるような基準値を設け、その基準値にして売り渡すべきではないか、こういうような御指示をいただきまして、私どももそのような方向で、近々環境庁内に諸先生方お集まりいただきまして、まあ国公研からも御参加もいただきますが、少なくとも環境基準にかわるものとして、当面、公共用地等の売却に際しましての安全の基準として各種重金属について値を定めていきたい、かように考えているわけでございまして、なお、引き続きその基本的な問題についても知見を深めてまいるようにいたしたい、かように考えているわけでございます。
  176. 高桑栄松

    高桑栄松君 多分そんなことかなと、私もそう思うんで、ヘルスに関してダイレクトにどれだけの因果関係があるかと言われると、非常に量を決めるのは面倒だと思うんです。ただ、面倒だけれども、やっぱり害がありそうだ、つまり単独に取り出したときの、仮に重金属なら重金属が労働衛生関係ではちゃんと決まっているというふうなのがあるわけで、それを考えると、やはりこういうものがあっちゃいけないということがわかるわけですね。ですから、やはり今言われたような暫定基準のようなものをとりあえず、量的な因果関係がはっきりしないけれども有害であるという見地に立って、ある幅を決めて、この幅の中でとりあえずは暫定措置とするというふうなことがあっていいのではないか。  それから、今試験研究機関等の跡地の売却の話が出ましたが、この前の質問のときに私は、埋立地がいろんなものを含んでおって、土壌汚染の環境基準がないままにこれが住宅地に転用されていったときに、売られているうちにどんな土地かわからなくなる、だからそういったものを土地台帳に記載する、そういう法的な規制はないのか、それは予防医学の上で必要なのではないか、そういったことを、法務省でしたかね、法務省か何かとの関係だったかと思うんですが、何か難しいみたいな話があったようですが、難しいといえば、今の法律以外のことをやろうとするのは難しいが、それを変えるのが国会なんじゃないかと思うので、そういう意味で、今の試験研究機関の跡というふうな話を今私は大変関心深く聞いたんです。だから、つまりそれに埋立地も加える必要がないかということなんです。いかがでしょうか。
  177. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 埋立地につきましては、先ほど申し上げましたように、一応一般廃棄物は、いわゆる管理型の埋め立てで、環境汚染のないように覆土あるいは汚水処理施設等つけているわけでございますが、確かに長期間にわたりますといろいろな問題が起きる可能性なしとしないわけでございまして、したがって、少なくともそういう危険性のある土地であるという経歴を何らかの形で明らかにすべきではないかということは、これはアメリカのラブキャナル等の例を見ても、私どもも必要性があるかというふうに考えておるわけでございます。  先般の先生の御質問に対する法務省からの回答にもございましたように、やはり土地登記制度には土地登記制度の理屈がございますので、なかなかあれに直ちに結びつけることは難しいかと思いますけれども、何らかの形でそのような土地の履歴を一般の方々にわからせるようなその仕組みというものを工夫していきたい。  この点については、そのようなことをすると非常に一般廃棄物の最終処分地の取得が難しくなるという意見も一方あるわけでございますが、しかし、そのことと国民の将来にわたっての健康ということとはやはり直ちに結びつけられないわけでございますので、基本的には私どもはやるべきであろうというふうに考えておりますが、これは、実務を担当されておられます厚生省等の実務上の御意見というのもやはりそれなりに尊重してまいらなければならないわけでございまして、今後の課題として引き続き検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  178. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは次に、地下水汚染の問題に触れてみたいと思うんです。  地下水となりますと、今の土壌汚染にも極めて関連が深い問題でございますが、私はどうもすぐやつ。はり健康を中心に物を考えちゃうものだから、厚生省がまず飲料水といった場合には問題だなとすぐ思うんですが、最初に厚生省に伺いたいんですが、地下水に関しては、水源だとか水脈だとか、飲料水水源だとか、それから家庭の場合だとか、いろいろなことがあると思うんですが、その管轄する領分というんですか、カバーするのは、どの辺までが厚生省でどの辺が環境庁なのか、厚生省の方にちょっと伺いたいと思います。
  179. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 御説明申し上げます。  地下水水道水源にとりましては大変貴重な水源でございまして、現在でも水道水源の量にいたしまして約三〇%を地下水に依存しております。そういうことで、水道事業体を監督いたしますという立場で厚生省では私ども水道整備課で所管しておりますが、また、一般の家庭用の井戸で水を飲む場合につきましても、水の衛生に関することということで、同じく水道整備課が所管しております。
  180. 高桑栄松

    高桑栄松君 今の三〇%というのは、水道水の水源としてですね。個人で井戸水から飲料水をとっているのは何%ぐらいあるんでしょうか、総人口の。
  181. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 水道の普及率が昭和五十七年度末で九二%を超えておりますから、水道法の対象になっております水道から供給を受けておらない一般国民は八百万人から九百万人ぐらいだと思います。で、ごく小規模の水道、法対象以外の水道から飲んでおるものもございますし、それから一般家庭の個別の井戸から水を飲んでおるという方もおられると思いますけれども、数百万人という程度ではないかと思っております。
  182. 高桑栄松

    高桑栄松君 そうすると、地下水を利用している国民というのは大変多いわけですね。三〇%プラス数%と、約四割近い。大変貴重な水源であろうかと思うんですが、環境庁がカバーしている地下水の領域というのはどういうことでしょうか。
  183. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 公害基本法に言われております水質汚濁でございますが、これには地下水も含むということが関係省庁間で了解されているわけでございまして、したがいまして、私どもは、ただいま厚生省側からの御答弁のあった点も含めまして、地下水水質汚濁につきましては環境庁も広くこれについて責任及び権限があるというふうに理解しておるわけでございます。
  184. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは、昭和五十七年に環境庁地下水汚染実態調査を行いましたね。そのデータについて、時間の関係もありますので要領よく答えてもらいたいと思うんです。  例えば、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、そういうものがどれくらいの濃度で何%ぐらいで出てきたかといったようなことを伺いたいと思います。
  185. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) じゃ手短に結果のみ申し上げます。  環境庁は、全国から大都市を中心に十五都市につきまして、有機化学物質十七物質と硝酸性及び亜硝酸性窒素の十八物質の調査を行ったわけでございます。その中で、自然界に広く存在します硝酸性あるいは亜硝酸性窒素を除きまして検出率の高かった物質としましては、トリクロロエチレン検出率二八%、テトラクロロエチレン同二七%、クロロホルム二二%、 一・一・一トリクロロエタン一四%、四塩化炭素一〇%と、こうなっております。  なお、この結果を、WHOのガイドラインの案でございますが、これと比べますと、このガイドライン案を超えたものの比率の高いものとしては、テトラクロロエチレン四%、トリクロロエチレン三%と、こういうことになっているわけでございます。
  186. 高桑栄松

    高桑栄松君 そこなんですけれども、発がん性の疑いのある物質というのがこのごろ問題になってきて、今までやってきた浄水法その他との関連もあって、これからどういうふうなことがいいのか、大変面倒になってきているようです。それで、発がん性の疑いのある化学物質についての対応は考えておられるんでしょうね。どんなものでしょう。
  187. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まず、本調査結果に基づきまして、厚生省におかれましては、一番国民の健康にかかわり合いの深い飲料水につきまして、トリクロロエチレン等三物質について水道水の暫定基準を設定し、都辺府県に対し地下水保全対策の一層の取り組みを指示されたわけでございます。  私ども環境庁といたしましては、水道水以外にもやはり地下水が汚染されることは広くいろいろな問題を惹起する可能性がございますので、五十九年度から三カ年にかけまして地下水の汚染機構、汚染原因等について所要の調査を実施いたしまして、その過程で必要な対策、要すれば排水規制措置、あるいは環境基準の設定というようなことも検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  188. 高桑栄松

    高桑栄松君 一番最近の日本衛生学雑誌に研究論文が載っておりまして、それを読みますと、トリハロメタンの前駆物質は、合成洗剤よりも生分解性の高い石けんの方にトリハロメタン前駆物質の産生が多い。つまり、それに塩素消毒をするとトリハロメタンの産生率が向いというのが出ているんですよね。しかし、最近よくいろんな運動で石けんを重要視するということが出ているので、この辺はどんなふうにお考えになるでしょうか。
  189. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 合成洗剤の安全性につきましては、つとに先生も御案内のように、厚生省から一定の見解が出されたわけでございます。その中で、環境汚染に対する影響をできるだけ減らすということから無燐化を環境庁としては推進してまいったわけでございます。  ただいま先生指摘の石けんと合成洗剤の比較につきまして、特に石けんの方が分解性が容易であるためにトリハロメタンの前駆物質の生成の可能性が高いという文献につきましては、私も今ここで初めて、大変不勉強で恐縮でございますが、伺うわけでございますが、これは国公研におきましてただいま合成洗剤と石けんの環境負荷の大小についていろいろ検討をしていただいているわけでございまして、ただいま御指摘になったような点があれば、そのような点につきましても、若干当初の研究目的からは広がるわけでございますが、御研究をいただくようにお願いしてみたいというふうに考えております。
  190. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは、時間ですので最後に一つだけ。  今の有機溶剤ですね、トリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンとか、こういったものは特にクリーニング業界ではむしろどんどんふえてきている。そういうものは非常に安定した物質であるから、地下にもしあると十年ぐらい分解しないんじゃないかというようなことも言われているんですが、やっぱり将来性を考えて、また地下水が飲料水源として国民の三十数%がこれを利用していることを考えると、やはり地下水汚染に関する対策としての法規制がだんだん要ることになるんじゃないかなというふうに思うので、環境庁のこれに対するお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わらしていただきます。
  191. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) ただいま御指摘ございましたように、金属洗浄剤等に使われるわけでございまして、使っている企業が中小企業が非常に多いというようなこともございまして、実は行政技術的に果たして規制の可能性があるかどうかというようなことも問題があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、ただいまお話しのように安定性が非常に高い、また逆に、そのゆえに、不燃性であるということから利用が伸びてきたような実態もあるようでございますが、そのような点も勘案しまして、我々、先ほどお答え申し上げました三年間調査の過程で、そういう中小企業から排出される、地下水に流入しているこれら物質のウエートがどのくらいあるかというようなことも詰めまして、その結果、要すればそのような措置を講ずることといたしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  192. 高桑栄松

    高桑栄松君 ありがとうございました。
  193. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私は、現在、関西空港株式会社法案が審議されておりますが、これに伴いますところの環境問題について御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、今度の関西空港設置に当たりましての工法の問題ですが、新聞によりますと埋立工法をとる、浮体工法の方はとらないというように伝えられております。衆議院におきますところの合同審査の際にも、運輸省の方ではそのように答えておられまして、浮体工法をとらない理由としては、不安があるからだと、こういう御答弁が見られるわけでございます。環境という点から申しますならば、埋立工法よりは浮体工法の方がいいんだということを述べておられる中でそういうことになっておるわけですが、浮体工法が不安だという意味は、どういうふうに不安なのでしょうか。運輸省の方おいでですか。
  194. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) お答えいたします。  関西国際空港につきましては、航空審議会でいろいろと議論していただいておりまして、過去二回の審議会の答申を得ております。その中で、一次答申を四十九年にいただきまして、一応埋め立てでいくということが決まっておりましたけれども、その後、今先生が御指摘ありましたように、浮体工法でできないかという問題が提起されまして、二次答申におきましてその答申を得たわけでございますが、そのときに、浮体工法と埋立工法と比較しまして、建設技術あるいは空港機能の問題、経済性環境に与える影響、地元経済社会に対する貢献度、工期等いろいろ総合的に検討されたわけでございますが、非常に急がれている本プロジェクトにつきましては、非常に安定しておる埋立工法で行うということに決まったというように理解しております。
  195. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 埋立工法をとりますと、大体何年ぐらいたったら完成をして飛行場が使えるのでしょうか。
  196. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 今先生のお尋ねは、今回の私どもが計画しておる埋め立てがどのくらいでできるかということかと思いますが、今、関西国際空港株式会社でこの事業を行うということで参議院の運輸委員会の方で審議をしていただいておりますが、法案が通りますれば、この十月には会社を設立しまして、埋め立てのための手続等、環境アセスメントも含めまして、事業者である会社が所要の手続を進めていくわけでございますが、できれば六十年度末には着工いたしまして六十七年度末には開港したい。したがって、埋め立てにつきましては、非常に急がれる工法でございますので、上の基本施設等埋め立ての建設をしながら一部部分竣工しつつ整備を進めていくということになりますけれども、大体五年程度で埋め立てを完成したいというふうに考えているものでございます。
  197. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 五年で大体埋め立てを完成をしまして、後すぐ使えないでしょう。十年ぐらい固めないとだめですね。その点はいかがですか。
  198. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) この空港をつくります場所は泉州沖五キロの海上でございます。この地域はいわゆる大阪湾のすべての地層と同じでございまして、粘土層が相当厚く覆っております。この中で、特に沈下について気を使っておりますのは沖積粘土層でございますが、これが約二十メーター程度あります。  空港をつくる場所は、大体水深が十八メーターから十九メーターの地点を中心に約五百ヘクタール埋め立てをやる予定でございますが、その水深十八メーターから十九メーターの下に二十メーターばかりの軟弱な沖積粘土層がございます。このために、この粘土層の上にこのまま埋め立てをやりますとちょっと心配でございますので、いわゆるサンドドレーンといいまして、砂ぐいを打ちまして強制的に水を搾り出すという工法を考えております。この工法によりまして埋め立てが終わり、開港までにはほとんど沈下を終えてしまうということで、十分空港の利用に耐えるものというふうに考えております。
  199. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 神戸の沖合でポートアイランドというのをつくりましたね。あのところをつくるのに今おっしゃったような期間でできたでしょうか。現在つくりまして使っておるのですが、毎年地盤が沈下していくのです、今問題になっておりますね。そういう心配はないようになるでしょうか。
  200. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 神戸市が行いましたポートアイランドは、今私が関西空港の工法で申し上げました、現在ある沖積粘土層に何ら地盤改良工法をせずにそのまま埋め立てたものでございます したがって、当然ながら荷重の大きいものがかかりますと沈下がございますし、利用している段階である程度沈下が予想されることは当然だろうと思います。
  201. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、その設置なさる場所のことはわかりましたが、そこに使われるところの土砂、埋め立て用の物質ですね、これの量というものはどのぐらいの量でございましょうか。
  202. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 航空審議会で答申を得ております空港計画の全体は約千二百ヘクタール、滑走路三本ということで計画ができておるわけでございますけれども、今回関西国際空港株式会社をつくりまして整備したいと考えております空港は、そのうち滑走路一本、それに附帯するいろいろターミナル施設を入れまして約五百ヘクタールを考えているものでございます。したがいまして、この第一期計画だけに必要な土量としては、約一億五千万立米の量でございます。
  203. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それだけの量のもので埋めるわけですが、埋める材料になるものはそれは山の土ですか、それともどこか何か特別のものを製造してやるんでしょうか。山の土であるならばどの辺の山の土をどのように取るのかという問題がございますが、いかがですか。
  204. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先ほど先生雷われました神戸地区のポートアイランドであるとか六甲アイランドとかいうものにつきましては、神戸市が六甲地区の山を削りまして、約二億立米ぐらいの量になろうかと思いますけれども、そのそばで供給しているものでございます。  私どもの考えでおります空港のための土量といたしましてば、現在、あの神戸以外の埋め立て、大阪湾の埋め立てばほとんどが淡路島から出ているものでございますけれども、やはり安定的に大量の土砂を供給するということで、この空港の背後にあります大阪府の泉南市あるいは岩出町以西の丘陵地、いわゆる和泉葛城山系でございますけれども、そこから供給したいというふうに考えておりまして、現在そのための調査をしているところでございます。
  205. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 文部省の方おいでになっておりましょうか。  今おっしゃいました泉南市の背後の土地ですね、この土地は昔から歴史的には日本民族の発生当時から使われた土地でありまして、大変歴史的には重要な文化財、遺跡その他が残っておるのではないかと想像されますが、そういう点につきまして文部省の方では御調査になっておるでしょうか。なっておればどのぐらいのものがあるかということをお聞かせ願います。
  206. 田村誠

    説明員(田村誠君) 大阪府の泉南地区、大阪府と和歌山県の県境から岸和田市あたりのところを泉南地区というふうに言っているかと思いますが、現在の遺跡地図等で見ますと、約三百五十ぐらいの遺跡があるというようなことは確認されているわけでございます。  関西新空港の建設とこれは埋蔵文化財との問題でございますけれども、まだ具体的な土取りの計画というものを私ども承知しておりませんので、どれだけの埋蔵文化財、遺跡に土取りが当たるのかということはわからないわけでございますが、今後恐らく具体的な事業計画が決まりますれば、事業者の方から地元の教育委員会が連絡を受けて、さしあたり、まず埋蔵文化財の所在状況調査を具体的に実施するというふうになるものと考えております。
  207. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この関西空港をつくるにあたりましての準備としていろいろなことがなされなければならぬと思いますが、今の文化財の調査もまだこれからやるんだ、それから場所の指定もこれから研究するんだということになりますと、これは非常に私は不安に感じますのは、この関西空港というのはわざわざ株式会社にしたんですね。公団じゃないんです。国の事業としてやるんじゃなくて、わざわざ株式会社にした。これは経済を中心の方法で推し進めるという思想のあらわれではないか。いわゆる文化財だとか、あるいは自然環境の破壊とか、そういうようなことが無視されていく可能性が強いのではないかという心配があるんですが、こういう点について運輸省、それから各関係の官庁との間で今まで一緒に御研究になる機会というのはあったんでしょうか。それともまだそういうことをやっておいでにならぬのでしょうか。いかがでしょうか。
  208. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先生今おっしゃった関係省庁間の会議というものが土取りに関してということであれば、私ども調査をするに先立ちまして、こういう調査をしますよという連絡程度でございまして、空港計画全体につきましては、関係閣僚会議等を設けていただきまして計画を調整あるいは検討していただいているものでございますが、土取りそのものにつきましては、まだ場所の選定のための基礎的な調査をやっている段階でございますので、まだ関係省庁と具体的な調整という段階には至っておりません。
  209. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは環境庁にお尋ねをいたしますが、ただいまの一応運輸省の方の御構想がございます。これは私どもは、実はお断りしておかなければいかぬのですが、関西空港をつくるということは賛成なんですよ。反対じゃありませんので、反対のための今質問をしているわけじゃない。つくるんだけれども、つくる以上はほかの方に迷惑をかけてはいけないので、環境関係それから文化財の保護、こういう問題で十分な処置をなしつつやらなければならぬというのが国としては考えなければならぬ立場だと思いますので、そういう点からいろいろ調査をするわけですね。これは国政調査の一種ですからね。そういう点で誠実なひとつお答えを願いたいわけなんです。  埋め立ての土砂採取予定地、まだはっきりせぬとしても大体の想像はつきますね。大阪府の泉南市、大阪府の南の方の地区、それから和歌山県との県境のあの山、大体想像がつきますからね。こういう方面における自然環境調査ということは早目にしていただくのがいいのではないかと思いますのでお尋ねするのですが、そうした地区における、すんでおるところの動物ですね、どういう動物がすんでおって、それはどういう生態のもとにあるか、またどういう植物が分布しておるか、そういう問題について環境庁では御調査になっておると思いますが、どういうふうになっておりましょうか、お尋ねいたします。
  210. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 土取りのことにつきましては、私ども特に本プロジェクトの計画に関連したものといたしましては最大限の関心を持っておりまして、基本的には土取りのアセスメントについては慎重に対応するということで主管省庁の方にお話をいたしております。特に本件につきましては、プロジェクトの公有水面埋立法の規定に基づきますところの主務庁からの意見の照会がございます。そのときに私どもアセスメントについて十分審査申し上げるという立場にあるわけでございますが、その前提といたしましては、過般運輸省の方でアセスメントの実施要領というようなものが出されておりますので、それに基づいた土取りの計画が行われるだろうということは私ども期待をいたしております。  また、この地域全体につきましては、自然環境との生態系に関連する調査などは既存のものはございますが、これは従来の委員会などで私ども申し上げておるところではございますが、土取りのアセスメントと申し上げましても、何万ヘクタールのものをただむやみにアセスメントを私どもの方で調査するというわけにまいりません。新しい土取りの実施主体がこの地点においてこのようなスケールの土を採取するというような時期になりまして、初めて私どもの方に具体的な自然環境の問題が検討の対象の余地が生まれてくると思っておりますので、現在のところでは、先生のお言葉ではございますが、具体的な地点についての具体的な調査、具体的な影響の評価といったものはいたしかねておるということで御理解願いたいと思います。
  211. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 法律ではいろいろの法律があるでしょう。鳥獣は保護しろという法律がありますね、植物の保護のあれもありますね。あの地区に一体保護しなければならない動物とか植物がありはしないかということぐらいは御調査になっていないと、あそこの土を取るからという通告を受けてからの調査では遅いでしょう。今までにそういう調査はなさっていないんでしょうか。
  212. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 先生の御指摘のところがはっきりわかってまいりましたから、そういうような調査はある程度のものはございます。ただ、その調査の範囲内のどこでという問題がはっきりいたしませんと、具体的にどこの地域のどの通りがどうこうというような問題ははっきりいたしかねると思っております。
  213. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、会社の方で大体どこから土を取るということを決めたら、そのときに、その地区はどういう動物がすんでおるからだめだとか、植物があるからだめだとか、どういう遺跡があるからだめだとかいうことがすぐその場で合い議できるという状態にありますか、それともそういう状態ではないのでしょうか。
  214. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 運輸省の方から、当該会社におきましてどの辺で土取りをするかというようなことが私どもの方に案が成熟すれば話があると思いますが、私ども、先ほど申し上げたデータも既に公知のデータでございますので、当然、当該会社におきましてもあるいは所管の官庁におきましても、そういった資料については検討をされた上でいろいろなことを調査してまいるものと思っております。
  215. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、一応埋立工法をおとりになるということで決めまして、埋立工法をとってどこかの土地から土を取るわけなんですが、土を取る方法の問題でいろいろの問題があると思うんです。例えば神戸のポートアイランドを埋め立てをするときには、六甲山の裏側の鵯越、昔歴史的に有名な鵯越の山ですね、あれをそっくり上の土を取ったんです。そしてそれをコンベヤー、今おっしゃったあれで運びましてそしてやったんですが、跡地へ行ってごらんになったことがあるかどうか知りませんが、取った跡を見ますと、もう土は全部取ってしまっておりますから岩なんですよ、下は。広いところが岩になりまして墓場と同じになっているんです。木一本生えないんです。あれは初めの計画では都市をつくる、あそこへ住宅をつくるんだ、ポートアイランドの方でもつくり、山の裏側にもつくるんだ、こういうことでおやりになった。それは土を全部取ってしまうところにはもうできない。十分取っていないところは家が建っていますよ。木が生えている。しかし、こういうような状態になるまで土を取らないとあの神戸の埋め立てばできなかったんです。  今度の関西空港を埋め立てる場合に、どの程度に一体土を取るかということが問題になると思いますね。つまり、自然破壊をするんですが、その後破壊された自然を復旧することができるかという問題。復旧可能な程度で土を取るということが必要だと思いますが、そのような研究は一体なされておるでしょうか。
  216. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 実態の方針につきましては運輸省の方からお答え申し上げると思いますが、私ども環境面からお答え申し上げますると、まず場所につきましては、今先生が御指摘のようなことが我々の世界でも重大問題でございまして、かつての場所のような、私有地について私的な会社がそういった土取りをするということにつきましては、おっしゃるような御懸念の結果というものが予想されないとは限りません。  しかし、今回のプロジェクトにつきましては、関係省庁の方も、公的ないわば公有地と申しますか、そういうところで、後のケアの方もきちんとしたものができるような場所とか、あるいは土取りの採取主体とか、そういったようなことを考えているというふうに聞いておりますので、まず前提としてはそういうことを踏まえた主体がやはり行われるべきであるし、また、実際問題といたしましては、過去十年ぐらいの土取りのいろいろな反省などに基づくアセスメントなどもございますので、そういったことは十分建設省及び株式会社の方で考慮されるものと私どもの方では考えております。
  217. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、それに関連したことをお尋ねいたしますが、大体この付近から土を取るんだという予想がつきましたときに行われる地質調査、どの深さまでどういう土があるのか、どこまで掘ったらどういう岩盤に到達するのかという調査をおやりになる計画はあるのでしょうか。
  218. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 土取りは本プロジェクトにとって大変大きな意味を持つものでございまして、どういうふうに取るかということにつきましてはかねがね調査をしておりまして、環境面に与える影響をどういうふうにアセスメントをやるか、どういうことを考えたらいいかということにつきましては、五十六年、五十七年、二年間かけまして勉強してきたところでございます。さらに、それではどういう場所から取ったら、一つは経済性の問題、一つは防災の問題、それから一つは環境の問題、これらを十分満足させるような土取りができるかという勉強をしておるところでございますが、一方では、跡地をどういうふうに使うかということで、今先生がいろいろと御心配になっておられる件、その跡地利用との兼ね合いでどういうふうに取るかという問題も若干変わってくるかと思います。  したがいまして、まず私どもとしては、どういう岩質、あの地区は泥岩と砂岩の互層地帯でございます。どういう風化状態になっているか、どういう割れ目があるか、どういう風化の状態であるかというようなことが非常に意味を持つものでございまして、五十八年度にボーリングを相当やりました。大体五十メーターから百五十メーターぐらい、地形によって当然違いますけれども、ボーリング調査をやっております。さらにそれを補完するものとして簡単な弾性波等の調査をやりまして、全体の地質の把握に努めておるところでございます。
  219. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 環境庁の方にお尋ねいたしますが、これは環境問題だと思いますので。  関西空港の設置のための埋立用の土を取った跡地ですね。跡地の利用計画、それから自然復元計画というものについてどのようにお考えになっておるでしょうか。――運輸省ですかな、所管官庁でお立てになった利用計画があると思います、それを御報告願いたいのと、それから自然復元計画も同時に。それから、それが環境関係影響があると思いますので、環境庁の方の御意見、環境庁でどういうふうに一体それを受けとめて、どういうふうに今後指導していかれるか、それからまた、どの程度ほかの官庁に対して強い発言権を維持していかれるかという問題について、所管官庁、それから環境庁、両方からお答えを願います。
  220. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 現在私ども調査しているところで、それぞれ相当な広さがございますので、場所によっては跡地利用が制限される場合もあろうかと思っております。したがいまして、ある程度的を絞りまして、複数でございますが調査をしておりまして、これをある段階からは、跡地利用に最も責任を持ち、影響を持ちます地方自治体と話し合いながら、どういう跡地利用が考えられるか話し合いをしていきたいと思います。  その跡地利用の形によりまして、どの程度自然を復元するかというような問題が出てこようかと思います。例えば先ほど話題になりました六甲等の住宅開発では、何%かのある程度の緑化を含めながら住宅開発をやっているというように聞いておりますけれども、私どもといたしましてもその跡地利用の形によりまして考えてまいりたい。その中で特に問題となります、この地域の地質から問題となります斜面の安定等につきましては、防災上非常に意味を持ちますので、緑化による安定工法みたいなものも含めて跡地利用に合った復元計画、跡地利用に合った姿というものを自治体と一緒になって考えていきたいというふうに考えているわけでございます。
  221. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 基本的にはただいま御説明があったとおりだと思っておりますが、昨年の九月ごろ大阪から御坊にかけましてヘリコプターで私自身調査をいたしました。また私ども関係職員、出先も含めて十分に調査いたしておりますが、特に生駒山系のかつての開発、その際の跡地利用の問題、そういったものが私どもの重要な問題意識にございます。  さらに、恐らく採取地になるであろうという一円の地域につきまして、既に土取りの行われた場所もございます。そういったものと比べて、いわば絵を描く形になろうかと思いますが、例えば泉南地域の方から見まして、景観的に跡地がどんなような形になるのか、あるいはそういったものを避けた、その次の山脈の方から取ることの方がいいのではないかどうかとか、そういったような問題点が多々ございますので、そういった調査の中に、あるいはもっと細かい調査分析したものを前提にいたしまして、運輸省の方といろんな御相談なり意見交換という形になろうかと思っております。
  222. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この環境問題につきまして、環境庁を中心とした各省との合同の機関というのはつくられておるんでしょうか、関西空港設置に当たりまして。非常なこれは環境破壊、自然破壊をいたしますので、そういう問題について相当強く会社を監督しませんと、これは利益会社ですから何をしてかすかわからないというぐらい不安があるんです。今会社は余り信用がないんですよ、おやりになることは。経済的なことは信用しますよ、立派におやりになれば。しかし、会社が文化のことを守ったり環境を守るということについては余り国民は信用していない。  そういう状況でありますので、どの程度十分な監督を会社に行って環境破壊をごく自然に食いとめていくかという問題ですが、そのためには各官庁との合同の審議機関がなければならぬと思いますが、そういうものについてはどのように準備なさっておるのでしょうか。
  223. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 環境問題は御指摘のように大変重要な問題でございます。先生今会社がやるからということでおっしゃられましたけれども、この会社は法律に基づきます特殊法人でございまして、国が二分の一以上出資するということで、国の責任を相当明確にあらわした会社であろうと思っております。したがいまして、この会社が行います事業につきましては、環境問題について問題を起こさないということを常に考え、指導していきたいと思っておりますけれども、衆議院のこの法案審議の中におきましても環境監視につきまして一つの附帯条件がついております。環境監視に対してそれなりの仕組みをつくって十分に監視してくれという話がございます。運輸省といたしましては、この会社を指導しまして問題ないように、環境監視の仕組みについても今後どういうようにやるかなお検討が必要でございますけれども、十分監視できる工事の仕方、事業の仕方を考えていきたいと思っております。
  224. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これはだれそれがこういうことを具体的に考えておるということではなくて、国民の一般的な心配でございますが、この大阪空港をつくるに当たりまして、その事業主体を普通ならば成田のような形式をとるべきものが、ところがああいう形式をとらないで特に株式会社にしたということは、利益を中心にした考え方で空港をつくるためではないか。つまり、環境の問題だとか文化財の保護とかいったようなこと、そんなことは一切抜いて、専ら安上がりで、専ら利用価値の高い空港をつくり上げようという、そういう経済中心の考え方で株式会社にしたのではないかという不安が国民の中には存在するわけです。  それで、そうではないというのであるならば、そうでないという理由がなければならぬわけですね。株式会社の方が普通の公団よりはいい、公団にすると、お役人であってこれは怠け者だからだめだから、怠け者じゃないようにするために会社にしましたと、これはそれならそれで一つの理由ですよ。しかし、そういう理由もないのに会社にしたということでは納得ができない点があるんです。これは公の、殊に環境だとか文化財保護といったような問題を無視しようとする思想のあらわれではないかという心配ですが、どうですか。
  225. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 今まさに運輸委員会の方で御審議いただいておることでございますけれども、私どもとしては、国際空港である第一種空港を今まで直轄で、羽田空港であるとか伊丹空港であるとかをつくってきたわけでございますが、さらに成田空港という段階で、どうも従来の直轄方式ではとてもできない、それは資金調達の面でも組織の面でも無理だということで公団方式をやったわけでございます。しかし、今回はさらにそれに加えまして国、地方それから民間、その一致した協力責任体制のもとにやっていこう。それからさらに、行政改革の中で一つの答申があるわけでございますが、民間活力を期待した新しい形の組織でこの空港をやっていこう。  いろいろございまして、この空港をもちろん経済的に、御指摘のように経済性を重視することはもちろんでございますけれども、しかしながら公共の空港でございます、公共性を持った空港として十分従来の空港と変わらないものをつくっていかないといけないということから、法律の中ではそれぞれの国の責任というものを明記してございます。決していわゆる会社に全部任したという形をとっているものではございません。十分環境については国としての責任を担保した形でやっていけるものと考えておりますし、そのつもりでございます。
  226. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 運輸貧の事務当局のお考えはまことに誠実でよくわかりましたが、政治ということになりますとなかなか事務当局のおっしゃるとおりにいかないことが多いわけですね。  その点特に大臣にお尋ねをするわけですが、こういう会社ができたときに環境問題について、これから長い同事業をやりますから、環境を乱す、これについてどういう監督を実施されていくおつもりなのか、その方針、御決意、それから今後やっていかれる法律とか命令とかいうものがあるのかないのか。また、環境庁の方で、特にこういう環境問題についていろいろ他の関係官庁を呼んで合い議し、注意を与えていかれる組織をつくられることがあるのかどうか。また、この関西国際空港株式会社に対して直接環境問題については強硬な指示をお出しになる、そういう体制にあるのかどうかひとつお答えを願います。
  227. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  環境庁といたしましては、関係閣僚会議を実はつくっていただきまして、そしてこの関西国際空港の建設問題につきましては対処していっておるのでございます。  普通でございますと、埋め立てをおやりになりますときにアセスをやって、そしてこれを環境庁の方に持ってきてもらうわけでございますが、そのほかに関連の事業につきましても大きなものについてはアセスをやっていただきたい。今御指摘の特に土取りの関係につきましては、これはアセスをぜひともやっていただきたい、こういう注文をいたしております。したがいまして、この土取りにつきまして計画を詳細に持ってきていただきまして、そしてそれを検討していくということもいたします。またそれの実行につきましては、これはもちろん運輸省の方において御監督になるでございましょうけれども環境庁としてもこれに関心を持ってやらしていただきたい、こういうふうに考えております。
  228. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題につきましては、時間が参りましたのでこれで質問をやめますが、時間がもうないから次の質問ばでき得ないかもしれません。実は動植物の共存共栄の政策、動植物との共存共栄政策と薬物使用の見直しについてということでお尋ねをする予定でおりましたが、九分までと書いてあるんで、あと一分ないですな。  時間が来ましたので、今回はこれで私の質問はやめます。もう一つの質問はこの次にいたすことにいたしますので、せっかく関係官庁の方、おいでくださいましたが、どうぞ御了解ください。じゃ、これで私の質問はやめます。
  229. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 新潟県に粟島という面積九平方キロメートル、人口五百八十四人の小さい島がありますが、この島について自然保護あるいは文化財保護の立場からどういう法的指貫がなされているかへまず御答弁いただきたいと思います。    〔委員長退席、理事丸谷金床君着席〕
  230. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 御指摘の新潟県粟島でございますが、これは県立自然公園がございまして、瀬波笹川流れ粟島という名前の県立自然公園の区域に組まれております。また、この島は同時に県の設けました、県設の粟島鳥獣保護区として設定されております。
  231. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、直接の所管じゃないかもしれませんが、天然記念物についてはどうですか。お答えちょっと無理かもしれませんが、これは鳥獣保護区とダブると思うんですが、オオミズナギドリ、ウミウの貴重な集団繁殖地になっておるわけです。ですからここには環境庁としても鳥獣観察所が置かれているんじゃないですか。
  232. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) ただいまもお話し申しましたように、鳥獣の分野につきましても、これは県の設けた保護区でございますので、    〔理事丸谷金保君退席、委員長着席〕仮にそういう観察舎的なものがあるといたしましても県の施設、県が設けたものであろう、こういうふうに推察をいたします。
  233. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 防衛庁にお伺いしますが、国産開発中の地対艦誘導ミサイルSSM1の射場候補地としてこの粟島が挙がっていると思うんですが、その地元などへの説明あるいは折衝状況はどうでしょうか。
  234. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  現有の訓練用射場等で陸上部から海上への射撃が可能なところといたしましては、静内、六ケ所、佐多及び新島がございますが、いずれも狭隘でございます上、使用期間が制限されていることもございまして十分な射撃ができない状況でございます。このため新たな射場を取得すべく、ただいま検討しているところでございます。先生指摘の、粟島につきましては、調査対象の一つとは考えておりますが、いまだ部内検討の段階でございまして、候補地として決定したわけではございません。したがいまして、地元に対し申し入れをするとか調整をするとかといった段階ではございません。
  235. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 しかし、有力な候補地の一つ、検討の対象になっているんですから、そういうものであることは間違いないでしょう。それでやっぱり地元に何らかの接触、これはしているんじゃないですか。
  236. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  先般突然新聞報道がございましたため、県側から、新潟県でございますが、県側から防衛庁に対しまして事実関係等を承知したいという旨のお話がございましたので、今回お騒がせいたしましたことについてのおわびかたがた、本地対艦誘導弾の性能等を初め防衛庁の考え方について、東京防衛施設局次長を派遣いたしまして御説明さしていただいております。しかし、正式要請ということではございません。
  237. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 正式でなくていいんですけれども、やはり粟島を頭の中に置き、ときには幾つかある候補地の一つ――大体候補地は幾つあって、どこなんです、いろいろ考えているでしょうから。
  238. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  地対艦ミサイルの試験訓練用射場を取得したいということで検討してきておりまして、粟島につきましても調査対象の一つというふうに考えているところでございますけれども、他の調査対象地の一つ一つについて申し上げるということは控えさせていただきたいというふうに考えております。
  239. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ調査対象の一つでもいいんですが、このような自然公園を射場にした前例、これはありますか。
  240. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  自然公園法にかかっておりますところのものを射場にしたという例、もろにその例というのはございませんけれども、私どもで試験場として持っております新島が、これが取得してから数年たちまして国立公園のかぶりを受けたという事実はございます。
  241. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今も説明のとおり、要するに自然公園は後なんですね。  環境庁長官、これ初めての例なんですよ。自然公園に射場が設けられるということで、ひとつ次の質問に入りたいと思います。  現在四つの射場がありますが、それが狭いという理由だけなんですか。狭ければその区域を広げればいいわけで、海なんだから無限に広がっているんですから。それができずに新たに、粟島は調査対象地だそうですが、ともかく他に求める、その理由は何でしょうか。
  242. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  まことに失礼でございますが、先ほどのを若干訂正をお許しいただきたいと思います。国立公園に新たに指定されたということでございませんで、国定公園が国立公園に変わったということでございます。おわびいたします。  お答え申し上げます。  現有の射場で陸上部から射撃訓練が可能なところは、先ほど申し上げましたが、四カ所ございますが、いずれも使用海面が狭隘であります上に、使用期間が制限されている等のことがございまして十分な射撃ができないという事情にございます。また、これらの使用海面を今後必要とする範囲まで拡大するということは、射場を取り巻きます環境から見まして困難であるというふうに考えております。
  243. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まあ防衛庁で自分で狭いと言っているんですけれども、果たして狭いかどうか。端的に言えば、現在の訓練にはそれは差し支えないでしょう、現在のものには。今度、今開発して間もなくこれが実用化されるSSM1の射場としては狭隘だと、そういう趣旨なんでしょうね。
  244. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございます。
  245. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうしますと、SSM1というのは、今まで日本の自衛隊が持っているどのミサイルよりも射程距離においても、また性能においても攻撃力においても一段と強化されたもの、そういうものだと理解してよろしいですね。
  246. 太田眞弘

    説明員太田眞弘君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の地対艦誘導弾でございますが、これはミサイルの諸元といたしまして、全長が約五メーター、胴径約三十五センチで重量約六百六十キログラムのものでございます。  御指摘の射程につきましては、これは防衛上の機密といたしまして、細部については公表を差し控えさしていただきとうございますが、大体百数十キロメーターの射程を考えているわけでございます。
  247. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、一段と性能もそれから攻撃力も強い、こういう兵器の登場ということになるんだと思うんです。  調査対象の一つということですが、しかし、調査対象の一つに選ぶにはそれだけの理由があると思うんですね。なぜ粟島を選んだのか。
  248. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  調査対象として選びましたのは、いろいろな諸元がございまして、海面に面しているとか、そういった事情でございますが、一つ一つについては若干御説明ば差し控えさしていただきたいと思います。
  249. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 既に地元で報道されているところによりますと、人口が少ないこと、射場としての利用可能地が広いこと、それから船舶、これは航路も含むんでしょうが、への影響が少ないことということですが、それはそのとおりですか。
  250. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  251. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、この島を選んだ理由として地元で心配していますのは地形ですね。要するに陸上も使うんじゃないか。大体ミサイルというのは山や谷に沿ってすうっと行くんですから、海へ撃っておったんじゃ余り意味ないんじゃないか、恐らくこの島を全部使うんじゃないか、こういう心配があるんですが、その点どうですか。
  252. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  海に向かって撃つつもりでございます。
  253. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、これも素人的な判断ですが、ミサイルの訓練をするのに、海は大体平らですから波に沿った程度のこんなんじゃしようがないんで、やっぱり山が来たら上がり谷が来たら下がるという、そういう訓練はこれはどうするんですか。
  254. 太田眞弘

    説明員太田眞弘君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点でございますが、この地対艦誘導弾は、経過点をあらかじめ設定いたしましたとおりに飛ばせるように飛しょうさせまして、その後終末のホーミングに入っていくものでございます。したがいまして、経過点をセットいたしましたとおりに飛んでいるかどうか、これは発射試験のときには地上でモニターいたしておりますので、それがそのとおりに飛んだかどうかはわかります。ということで、海面上でそのような飛しょうをとらせ、それを確認することができますので、地上を必要としないというものでございます。
  255. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 なるほど。そうすると幻の山の上を飛んでいくということになるようですね。  そこで、もしこれ予定どおりに、計算どおりに飛んでいかないような場合、その場合はこれどうするんですか。
  256. 太田眞弘

    説明員太田眞弘君) 私どもが開発しようとしておりますのは、そのように計画どおりにちゃんと飛ぶものを開発しようとしているものでございますけれども、もし万一そのようなことが起こりましたときには、いろいろな方式をもちまして、まず地上でもって飛しょう中飛しょう経路その他をモニターいたしておりまして、その経路があらかじめ設定いたしております経路を外れましたときには、地上から指令を与えましてミサイルに対して水没をさせることができます。そのようなやり方になっておりますので、例えば予想以外の方へ飛んでいってしまうということはございません。
  257. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 例えば一定の範囲がありますね、そこを超えてしまうような場合、そういう場合爆破するようなことはあるんですか、自分で爆破させる。
  258. 太田眞弘

    説明員太田眞弘君) 爆破させるのではございませんで、水没させるようなものでございます。
  259. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、これは実弾射撃なども行うんでしょうか。
  260. 太田眞弘

    説明員太田眞弘君) 実用試験の際には、弾頭の性能も確認するためにいわゆる実弾頭を使うこともあろうかと思います。
  261. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、既存の射場が狭隘だというんですが、そうしますとこの場合にはどの程度の制限水域が必要なんでしょうか。
  262. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  制限水域、先ほど開発官の方からお答え申し上げましたが、百数十キロ飛ぶというわけでございますが、訓練あるいは試験の場合はそれほどの水域を必要としないものというふうに考えておりまして、まだ具体的に何キロのものが要るという計画もございませんが、おおむね数十キロというふうに私どもは理解いたしております。
  263. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、これは今度陸上での施設の問題ですが、どういう施設ができるのか。ヘリポートなどは建設されるんでしょうね。それから隊員の数と滞在の期間、これはどうですか。
  264. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  陸上の施設は、広さといたしましては特に今のところ頭に描いているわけではございませんが、現有の射場がおおむね三十ヘクタール、四十ヘクタール、九十ヘクタールというので、新島は九十ヘクタールを持っておりますが、それから考えまして三十から九十の範囲内ぐらいでおさまるだろうというふうに考えてございます。  それから陸上の施設といたしましては、今のところ常駐ということまでは考えておりませんので、隊員が試験あるいは訓練に参りましたときに住まわしていただきます廠舎とか管理棟とか、そういった簡単なものを考えております。
  265. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから隊員の数。
  266. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えを申し上げます。  隊員の数も具体的に何名という腹づもりは今のところしっかりしたものはございませんが、約百名を超す程度というぐらいに考えております。
  267. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それからまた地元で心配しておりますのは、一たび射場を認めてしまいますと、SSM1だけじゃなくて陸上自衛隊のホーク、あるいは今開発中の地対空ミサイル、あるいは海上自衛隊が導入をほぼ決めている新地対空ミサイルパトリオットなどのこういう実射訓練に使用されてしまうんじゃないかという心配があるようですが、そういうことはないという約束はできますか。
  268. 上田秀明

    説明員上田秀明君) お答えいたします。  先生御存じのように、ホーク、ナイキはただいまにおきましてはアメリカの射場を利用して訓練を行っておるわけでございますが、これを栗島において行う考えはございません。  それから、その他の誘導弾等の射撃訓練または実用開発段階、それから射撃訓練に移行する段階で、今具体的にどれがどうという考えは持っておりません。使用して実施できるものがあればまた考えになってくるかもしれませんが、今は具体的な計画はございません。
  269. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これが今粟島へのミサイルの、まだ検討段階と申しますが、しかし、候補の一つとして実際浮かび上がって地元へ説明もされておるようですので、具体的に起きている問題なんですね。先ほども御紹介したとおり、自然公園、環境庁の直轄ではないにしても、やはり責任は基本的には最終的に環境庁長官の責任になるものですが、そこにこういうものが、しかも初めてなんですよ、設置されるというこういう問題が起きておるんです。  そこで、今後の問題、要するに自然保護という立場から、これがもしも具体化していく場合に環境庁としてはどういう態度で臨むのか、これをお伺いしたいと思うんです。現に県の方では公園計画を立てていまして、遊歩道とかあるいは釣り場とか、また遊覧船もちょうどこの射場が設けられようとしている突端の前を通っていくという、そういうような遊覧船も実際あるようでありますし、そういうのが進んでおる以上、これはやっぱり環境行政としてはそのまま放置できないんじゃないか、こう思うんですが、それについての長官のお考えを聞きたいと思うんです。
  270. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 環境庁といたしましては、新岡報道等を通じてこういうような何かあるらしいというぐらいな程度にしか承知をいたしておらないものでございますが、県立自然公園また県の県設の鳥獣保護区につきましては、知事さんが県の考え方においておつくりになるものでございまして、そういうものをつくったということでございますが、これは景色のいいところとか、そういうところを選んでおやりになられ、また鳥獣、ここはオオミズナギドリでございますが、生息をしておるから鳥獣保護区ということでお決めをいただいたと思うのでございます。そういう自然を保護するという観点から、これはもしお申し出があった場合は慎重に対処していただきたいと念願をいたしております。  まだ何にも連絡がありませんので、どうということもまだできませんわけでございます。
  271. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 来てからでもいいんですが、しかし、対処していただきたいというのは人ごとでありまして、やっぱり環境庁としても自然保護の観点からそれは県を指導するなり、あるいは県と相談するなり、それなりのやっぱり対応があっていいと思うんですがね。全くそれは県知事任せですか。そうじゃないと思うんですよね。その辺については環境庁としても重大な関心を持ち、かつ自然保護に支障を来さないような、まあいろいろありますよね、直接の法的な責任があるかないかという問題もありますから、それはあると思うんだけれども、全く無関心じゃないでしょう。それはやっぱりそれなりの関心を持ち、それなりの対処はするんでしょう。それをお聞きしたいんです。
  272. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) ただいま大臣答弁の趣旨は、具体的な権限なり何なりに即して申し上げれば、やはり県立の自然公園である以上県知事さんの管轄に属することである、そういう意味で県知事さんの御判断にゆだねられるべきことである、こういうこと。さらに一般論として申し上げればということであろうと思っておるわけで、県知事さんがその御判断については自然環境の保全ということを考えて慎重にやっていただきたい、こういう御答弁の趣旨であろうと思いますし、私どももそう考えております。
  273. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ただ、これは申し出る場合には国の方から申し出るんですから、やっぱりそれは環境庁全く関心ないというようなことではなくて、重大な関心を持って対処してほしい、こう思うんです。  あと残された時間、今まで質問通告しておきながら時間の関係質問できなかった若干の問題についてあと質問したいと思うんです。  一つは、神通川流域について汚染土壌の復元事業が第一期工事が終わりまして、第二期に準備が進んでいます。どうしてもやはり汚染された土壌を復元してきれいな環境を取り戻したい、こういう点で臨んでいるんですが、問題は、多額の金と労力をつぎ込みましても、再び上流からカドミウムが流れてきたんでは、そして再汚染したら大変だ、まさにこれは大きな社会的損失になるわけであります。  地元ではその対応策がいろいろ進んでいますが、ここに北陸農業試験場の飯村康二さん外一名の報告書があるんです。それによりますと、いろいろ実験してみた結果、「自然界の平衡を破って少しでも汚染が加われば、その汚染の程度に比例して川洲や水田土壌などにカドミウムの蓄積が進んでいくことを示している。」「カドミウム濃度が〇・〇一ppmのところでは相当の吸着がおこり、土壌の汚染が急速に進行していくものと考えられる。」という指摘をいたしまして、「〇・〇一ppmCdの用水を濯漉した場合、土壌中のカドミウム濃度は数年~十年以内という比較的短期間に一ppm程度に達すると考えられる。」そして汚染米、〇・四ppmあるいは一ppmを超える米が生産される可能性がある、こういう指摘がされております。  そこでお伺いしたいのは、今のところこういう研究はこれだけだと思うんですが、これを否定するような調査や論文などはあるのかどうか。そしてまた、この結果というのは一定の重視をしなきゃいかぬと思うんですが、いかがですか。
  274. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) ただいま御指摘の北陸農試の論文は私どもも承知しております。これについて特に明確にそれを否定するという論文等は私どもも承知しておりません。ただ、環境庁といたしましては、水から土壌へ、それから土壌から植物体へ移行するそのメカニズムは非常に複雑でございまして、私ども土壌汚染防止対策事業をやっておりましても、各地区でいろいろな数値にばらつきがございますので、直ちにこの論文の内容がそのまま真実であるというふうには私どもは判断しておりません。  いずれにいたしましても、再汚染防止ということは百五十億、神通川について一次、二次で百五十億も金をかけるわけでございますから、数年間で再汚染をするといったらこれはゆゆしいことでございますので、私どももそれなりの対応、十分な観測その他はやっておるつもりでございます。
  275. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 やっぱり神通川というのは通常の河川とは違うと思うんですね。現に多数のイタイイタイ病が発生をしたという地域ですし、それから、今言われたとおり莫大な金をかけて復元事業を下流で行っている、こういう地域で再汚染は断じて許せないことだと思うんです。その意味でも常時監視体制が必要ですし、それから、防止協定に基づいて三井金属と被害住民が定期的にサンプルをとって、それぞれ持ち帰って分析をして突き合わせて、汚染も単に発生源だけじゃなくて、途中の河川、要するに環境状況もこれは調査をしておるんです。  そういう意味では、実際被害住民みずからが環境を守っているということになるんですが、問題は、行政の側としてそれに対応することをやっているんだろうか。例えば県の方の環境白書によりますと、カドミだけじゃなくて重金属については不検出だということで、どうも様子がわからないんですね。しかし、実際に被害住民と三井金属が検査したものによると〇・一六ppbのカドミが検出されている。これは自然界は〇・二一ppb以下ですから、やはり学者の指摘するところによりますと、〇・一六ppbでも、さっきの北陸農試の研究じゃありませんけれども、やっぱり汚染をしていく可能性がある、こういう状況なんですが、この行政の対応はどうなんですか。
  276. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私どもは公共水域の水質につきましては環境基準を決めまして、カドミにつきましては一〇ppbでございます。この観測を行っております。ただ、この土壌汚染地区につきましては、その設計値につきましては、それよりもはるかに低い数値を用いて設計しておるわけでございます。したがいまして、一般環境基準の測定では一〇ppbにふさわしい測定方法を定めておりまして、それでは五ppb以下の報告義務を課しておりませんものですから、それ以下の数値は不検出ということになっているわけでございますが、ただ、それでは私ども行政の目的は達せられませんものでございますから、別途、土壌汚染対策工事が完了した地区につきましては、その対策地域調査環境庁の補助事業として県に実施してもらいまして、流入した水質、それから土壌、それからさらにそこに産出された米、その三点について設計値とそれから実測値の狂いがないかどうかということを継続観測しているわけでございます。  神通川の場合におきましては、少なくとも五十七、五十八両年度の私どもの得られましたデータから見る限りでは、水それから土壌、それから玄米内のカドミの濃度、特に玄米内のカドミの濃度については食品衛生法上決められた基準よりもはるかに下回っておりまして、今のところ再汚染の心配はないというふうに判断しております。
  277. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 再汚染の心配ないというそちらの判断ですが、しかし、もしされた場合一番困るのは被害住民ですし、だからこそ自分たちで実際大変な高い金を出して検査しておるわけなんですね。ところが、今せっかく県がやっているそのデータと全く突き合わせがないんですよね。私は、この辺は環境庁の指導によって突き合わせをし、それは公表するしないというのは別の問題ですから、要するに被害住民としては、実際県がやっているデータはどれぐらいなのか、行政はどこまで見ておってくれているのか、先ほど申し上げた〇・一六ppbを超えてはいないかどうか、そこをどうチェックするのか、その辺のことがわかれば安心するんですが、その辺の指導はどうですか。
  278. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私どもも、再汚染防止対策事業をやっている以上、その地域住民の方々に安心していただくように説得する義務があることはもう当然のことでございまして、単に大丈夫だから安心しろと言うだけではこれは片づかないということはよく承知しております。したがいまして、ただその数値につきましては、特に水の測定につきましては、若干技術的な問題でございますけれども、測定の精度、それから測定の頻度等もございますので、その他土壌、米の数値と一緒に解釈しなければいけない、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、住民の方々との突き合わせという点につきましては、御納得のいくようによく説明の上でデータもお見せする、そういうふうに県を指導してまいりたい、かように考えております。
  279. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、先ほど言った環境共準以下については、法的にはそいつを調べたりする必要はないということなんですが、しかし今言われたようなことで調べていますよね。再汚染の可能性を防いでいくということで測定すると同時に、そのチェック体制、これもやはり行政としてとってほしいというのが切なる願いなんですが、そういう点では期待してよろしいんですな。
  280. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) そのとおりでございまして、一応事業完了後三年程度のチェックをやっておりますが、さらに必要があればその後においてもそのチェックを国が県にお願いしてやっていただく、このような体制をとることも考えております。
  281. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に、水俣病について、残った問題たくさんあるんですが、あと時間のある限り水俣病についての質問をしたいと思うんです。  従来からずっと指摘してきた問題に関係して、申請中死亡した人三百二十名いますね。これ審査促進をしなきゃいかぬということは当然ですが、環境庁としての審査促進の方策としてはどういうことがありますか。
  282. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございました、認定申請をなされまして検診が終わらない前に亡くなられた方で、なおかつ解剖をなさらなかった方々の認定促進に関するお尋ねというぐあいに理解いたしたわけでございますが、そういう方々につきましては、その方の生前におきます暴露状況なりあるいは既往歴、現疾患の経過及びその他の臨床医学所見につきましては広く資料を集めるという方針に基づきまして、現在県におきましては疫学調査なり病院調査などを実施いたしておるところでございます。この申請者の方々が空前にいろいろな病院で受診をなさっておられますこともございまして、幾つかの病院で調査をしなきゃならないというようなこともあるわけでございますが、できるだけ調査をいたしまして、できるだけ早く審査にかけていただきたいというぐあいに考えております。
  283. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは、申請書を見ればその亡くなった申請者の主治医がだれであるかはすぐわかりますよね。また、その主治医で診断書を書いた先生方も、来てくれれば、いつでもそれはもう生前の資料いっぱいあるんだからそれはお渡ししたい、こういう気持ちでおるようなんです。ところが先生方の方は、だれがいつ死んだかということは全部わかるわけではありませんからね。それでむしろ待ちぼうけ食っているというんですね。一番促進の早い方法は、審査会の方からその主治医の先生に、この人はいついつ亡くなったからひとつ生前の資料を御提供願いたい、こう言えばこれはもう一挙にぱっと出てくるんです。そういうことを進められるおつもりはありますか。
  284. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  病院の調査につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、主治医の先生の病院におきますカルテ等を調査する、あるいはそれ以外にもまた、その方がその前後におきましていろんな先生にかかっていらっしゃることもあるわけでございますので、そういう面での調査もあわせてやらなきゃならないというようなことで、現在いろいろ県において努力いたしておるわけでございますが、ただいま先生からお話ございましたような、病院におきますカルテの集め方につきましては、先生のおっしゃるような意味での医療機関からのより効率的な資料の収集という方策につきましても県でいろいろ検討いたしておるわけでございますけれども、いずれにしましても、いろんな医療機関にかかっていらっしゃる方々の資料をできるだけ広く集めたいということで努力いたしておるところでございます。
  285. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それはそれでいいんですが、今私が言ったような、とりあえず主治医に連絡すれば一番的確な、一番多数の資料が集まってくるでしょう。それをおやりになるお気持ちはないんですか。広く集めるというのはそれはいいんですよ。しかし、広くずっと集めておったらそれこそ作間がかかってしまってなかなか審査が進まないわけでしょう。その点が一つ。  それからもう一つ、環境庁から熊本県に二名のドクターを派遣して、これは申請者の生前にかかっていた病院などに行ってカルテの調査、それから主治医の話を聞く努力をしていると、そう聞いているんですが、こういうドクターにその辺もっと徹底的に今言ったことをさせればこれは大きく促進すると思うんですが、どうですか。
  286. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  まず先生の第一点目のお尋ねでございますが、そういう方法につきましても県の方で検討いたしまして、病院の協力が得られれば、カルテを貸していただけるとか写しをいただくとかというようなことを考えてみたいというぐあいに思っております。  それから第二点の医療審議員の二人のことでございますが、現在の業務が認定審査会にかかわることということでございまして、この中身といたしましては、認定審査会で審査されました資料の点検なり整理なり、あるいは病院調査等も行っているわけでございますし、またあわせまして、棄却をされました方々に対する棄却理由説明などをいろいろ行っているわけでございますので、医療審議員二人もこの水俣病に関するいろんな業務に携って、鋭意努力いたしておるという状況にございます。
  287. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 主治医の協力を得られればということなんですが、主治医の方は協力するつもりで待っておるんですよ。だからそれはもう通知をすればそのまま進む。だから、これは何も今言ったように、もたもた言わないで端的にそういうことをやりますということで、素直な方がこれは物事が早く進むのじゃないでしょうか。どうも長谷川さんの話を聞いていると、何か回り道のような答弁をいつも聞くんですが、促進するんです、それで。
  288. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 私どもは県からいろいろお話を承っておりますし、お医者さんからもお話を承っておるわけでございますが、カルテを提供するといいますか、県の方に資料として提出するについてはいろいろの御意見の方もいらっしゃいます。先生おっしゃるように、すぐにでも差し上げるとか提供するということをおっしゃる先生もおられますし、必ずしもそうでない先生もいらっしゃるわけでございますので、そういう面で一概にそうするというぐあいになかなか言えないということでございます。
  289. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それじゃ、提供する先生にはすぐ通知をして提供してもらう、そうでしょう。皆通知して、提供しない先生は提供しないだけの話なんですよ、だからすべての先生に通知すれば、出す先生は出してくるんです。それだけの話じゃないですか。
  290. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、水俣病につきましては三県一市でそれぞれやっているわけでございますが、いろんなところでいろんな事情等もございますので、先生の御趣旨につきましては、十分私どもも理解しているつもりでございます。そういう点を踏まえながら、私ども各県市とも十分連絡をとりながら、亡くなった方々の資料の収集につきましてはさらに努力してまいりたいというぐあいに考えております。
  291. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、もう一つ認定の促進がうまくいかない理由として、環境庁側の今までの答弁では、検診拒否がある、この検診拒否という事態をどう理解していいのか苦慮をしているという答弁でしたね。ところが、これは東京で考えたのじゃわからないんです。私も東京におって考えたら、これは全く本末転倒ですよ。しかし被害地に行って患者の話を聞くとよくわかるんですよ、また実際調べてみますと。  一つは、検診が患者の立場に立っていない。要するに、うそを言っているんじゃないかということで、血が出るまで針を刺して感覚障害を調べるというんですよ。そのことを初めともかくも大変な検査、しかも不親切、そして疑いがかけられておる、そういうことがまず患者が嫌になる理由。それからもう一つは、検査が済むとほとんどが棄却されてしまう。要するに棄却のための手続になって、死んで解剖しなきゃこれは認定されないということは今まで述べてきたので省略しますけれども、そういう事態ですね。患者はしようがないから再申請しますが、再申請した場合、一年ないしは半年間は医療費がもらえませんよね。そうですね。そうすると、わずかその期間医療費をもらえないことが本当に生活困窮の患者の皆さんには耐えられない。だから、検診が終わったということは、まさにそういう事態になるのだと。考えてみれば、本当にわずかなために、しかし自分の生活を守るために全く本能的な反応をしている。そのことがこれを阻んでいる一番の理由だと思うんです。  もう時間ですから端的にお伺いしますが、そういう点では申請即医療費支給という、これは建前上なかなか難しいとおっしゃるけれども、やはりこれは形式論じゃだめなんですね。そこでもう一歩踏み込んで考える必要はないのか。  それから、簡易な検診方法、例えば永木先生のペインメータ工法ありますね、そんなものの開発とか、そういう点でもっとこれは一歩進んだ対応が必要じゃないかと思うんですが、答弁を伺って質問終わります。
  292. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  まず、検診の実施に当たりましては、先生からただいまお話ございましたように、いろんな不信感といいますか、そういうような同題もあるというぐあいに聞いております。私どもは、検診に当たりましては、そういう患者さんの状況を十分配慮した上で、その患者さんの病状を的確に把握するための検診をやっていただくようにということで検診に当たっていらっしゃる先生方にお願いし、県にそういうぐあいに要清いたしておるところでございます。  申請即医療費というよりも、現在の医療費のお話でございますが、私どもこの医療費、治療研究事業につきましては、あくまでも、水俣病認定申請者が申請から処分までに非常に長い期間にわたる場合もありますから、その間の病状経過を把握するという観点におきまして、先生お話ございましたように、半年なり一年たった方々にりいての治療研究事業というものを行っているわけでございます。そのような趣旨から、先生お尋ねのような、申請したらすぐに医療費というわけにはなかなかまいらないということで、それは御理解いただきたいというぐあいに思っております。  なお、先生お話ございましたペインメーターにつきましては、私どもも県あるいは熊本にございます研究センターでもいろいろ調査研究を行っているわけでございますけれども、的確にいわゆる感覚障害を把握することもなかなか難しい問題があるというようなお話を承っておりまして、そういう面で現在まだ取り入れていないといいますか、そんな状況にございます。いずれにしましても、検診がより簡素化、迅速化できます方法があれば非常に望ましいことでもございますので、そういう面につきまして今後とも引き続き改善なりあるいは研究調査というものを進めてまいりたいというふうに考えております。
  293. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  294. 中村鋭一

    中村鋭一君 環境庁とそれから文化庁にお尋ねいたしますが、タンチョウヅルとそれからトキ、さらにコウノトリですね、この三種につきまして現在確認されております個体数、保護の現状、それからえづけ、さらに繁殖計画の実態と今後の計画等についてまず御説明をお願いいたします。
  295. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) お答えいたします。  御指摘のタンチョウヅルでございますが、タンチョウの生息数は昭和二十七年に三十三羽という数を数えたのでありますが、その後幸いにふえてまいりまして、三十年たちました昭和五十八年十二月の調査によりますると三百四十五羽になっております。私ども環境庁は、生息地の保護という観点から釧路湿原、ここが生息地でございますが、この中にクッチャロ太鳥獣保護区を設けておりまして、これをまた同時にラムサール条約に基づきます指定湿地として登録をしておりましてその保護を図っているということのほかに、毎年その生息数の調査でございますとか、また給餌などを行いましての保護増殖事業を行っております。  それからトキでございますが、トキの方は残念ながら逆の傾向でございまして、いろいろ紆余曲折がございましたが、昭和五十六年に野生で飛んでおりました五羽を捕獲いたしまして、佐渡のトキ保護センターでいわば人工飼育の増殖、飼育増殖を開始したわけでございます。現在雄一羽、雌二羽の三羽ということになっておるわけであります。これにつきましては、専門家の参加を求めましたトキ増殖技術検討会を設けまして技術的検討を行っておりますほか、現地のトキ保護センターにおきましては四人の専従職員等が、一つは、つがいによりまして、ペアを組ませましての自然交配、それによる卵を産んでの産卵ということを期待しておるわけでございまして、さらにまた、今研究段階でございますが、人工授精によりましての交配をどの程度期待できるか、それをせっかく努力中でございます。  それから、コウノトリでございますが、これは文化庁から御説明していただいた方がいいとも思いますけれども、毎年一、二羽程度、旅鳥でございまして、旅鳥として飛来するものもございますが、留鳥としましては残念ながら野生状態では生息する個体はございません。現在十三羽が各地の動物園で飼育されている、こういうふうに考えておるところでございます。
  296. 中村鋭一

    中村鋭一君 文化庁、コウノトリ。
  297. 田村誠

    説明員(田村誠君) コウノトリについてでございますが、我が国で最後まで自然状態で生息していた兵庫県の豊岡盆地の水田におきましても、食糧増産のために農薬散布されるようになりまして、えさ不足等によりまして昭和三十年ごろには但馬地方で三十羽が推定されていたわけでございますが、昭和三十九年には十六羽までに減少したというようなことで、翌年昭和四十年から豊岡にフライングケージを建設いたしまして、人工飼育条件下での増殖事業を兵庫県が事業主体となりまして実施してきているわけでございます。現在、この豊岡で七羽が飼育されておりまして、日本動物園水族館協会の獣医の方々を初め鳥類学者などの協力を得ながら人工増殖を試みているわけでございますけれども、残念ながら今のところまだ成功していないわけでございます。  ただいまお話がございしまたが、これ以上に野外で繁殖していたコウノトリというのは、昭和四十四年以後全く観察されなくなってるという状況でございます。
  298. 中村鋭一

    中村鋭一君 今コウノトリのところで農薬という言葉が出ましたけれども、例えばアメリカの国鳥として指定されておりますハクトウワシなんか司ああいった猛禽類といいますのは、まず農薬がまかれましてそれが水の中に流入する。それを小さな微生物といいますかプランクトンが食べる。プランクトンを小魚が食べる。その小魚を中ぐらいの魚が食べる。大きな魚を海辺に生息しておりますハクトウワシが食べる。その結果といたしまして、例えば水銀等の有害成分が個体の中に残留をいたしまして、今や例えばハクトウワシも絶滅に瀕している、こういうことが言われているわけでございます。だから、朝からの委員会で指摘されておりますように、例えばこういった除草剤等は人に影響を与えるのみならず、生態系そのものも場合によれば破壊していくということを我我はしっかりと念頭に置いておかなければいけないと思うんです。  ニホンカワウソにつきましては、現在の確認されております個体数、これは高知県だけと言われておりますけれども、その他保護の実態等について御説明をお願いいたします。
  299. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 確認されているかとおっしゃったわけでございますが、いろいろな痕跡でございますとかその他のデーターで推測すると言った方が正しいのかもしれません。いずれにいたしましても、四国西南部に推定約十数頭と言われておりますがニホンカワウソが生息していると考えております。そしてこのニホンカワウソに対しましても鳥獣保護区、西南鳥獣保護区と申します名前のものでございますが、それを設けておりまして給餌と調査を行っているところでございます。
  300. 中村鋭一

    中村鋭一君 ここに、五月二十一日付の朝日新聞に井川一久という編集委員が実際に高知県の西南部を回りましてカワウソを求めた記事が出ているんですけれども、その中でこういうことを書いているんですね。「このほど北宇和郡津島町で廃棄方法の不備が明るみに出た猛毒の2・4・5T系除草剤は、昭和四十二年から四十六年にかけて大量に使われたが、同町付近でカワウソの生息を示す足跡、食べ残しのエサ、巣などの発見報告(いわゆるカワウソ情報)が絶えたのも四十五年前後。偶然にしてはできすぎている。」このように朝日の編集委員は書いているわけですけれども環境庁としてはこのことについての因果関係は御研究ではございませんか。
  301. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 私どもまだそういう除草剤と、けもの、例えばニホンカワウソというようなものとの因果関係については残念ながらそこまで研究が及んでおりません。
  302. 中村鋭一

    中村鋭一君 それはそうでしょうね。この新聞記者も「偶然にしてはできすぎている。」と言っているだけで決して断定をしているわけでもない次第でございます。ただ、そういうふうに農薬等々が生態系に重大な影響を及ぼすということは、何度も言いますけれども、我々は常に念頭に置いていかなければいけないと思うんです。  長官、少し演説になりますけれどもお聞きいただきたいんですが、この地球上に生物が出現いたしましたのがおよそ三十億年前と言われております。現在この地球上に生息するあらゆる生物の種はおよそ百五十万種と言われておりますが、およそ二億年前に恐竜が出現をいたしまして、この恐竜が一億年にわたっておよそ一千種地球上で繁栄をきわめたわけですね。二億年前に出現して一億年地球上の実質の支配者となって、それがわずか百万年の間に絶滅をしてしまった。これは考古学のジャンルに属することかもわかりませんが、歴史がそれを我々に教えているわけであります。一億年にわたって栄えた一千種が百万年の間に絶滅した。こう言いますと非常に急激に絶滅してしまったように思いますけれども、考えてみますと、一千種が百万年でございますから、およそ千年に一種の恐竜が死に絶えていったということになります。一千年です。千年に一種です。  ところが、ここ三百年の間に地球上の哺乳動物と鳥類だけでおよそ二百種が既に絶滅をした、こういう証明がなされております。単純に計算をいたしますと、三百年に二百種でございますから、千年で言いますと七百種ということになります。一万年で七千種です。十万年で七万種です。百万年で七十万種ということになりますと、今の加速度から言いますと、今から二百万年たちますと百五十万種の地球上のあらゆる生物は死に絶えなければならない。それをあえてしているのがここ三百年の人、ホモサピエンスである。  考えてみれば、我々はこの百五十万極と言われる生物の中で自然の支配を受けてきている種が大多数でございまして、自然の支配を受けないでむしろ自然を支配し自然を破壊しているのは哺乳動物である人ただ一種ということが言えると思うんですね。だから、よほどここはそれだけにいわゆる人が勇気を持ってこの生態系を大事にしていかなければ、今申し上げましたように、まことに大胆な単純計算ではありますけれども、二百万年すると地球は我々人によって人そのものが被害を受けて死に絶えてしまわなければならない。これは重大な問題である、こう思うんです。  そのためにも環境庁の存在は非常に大きな意義があると思うんですけれども、今申し上げました三百年に二百種の哺乳動物と鳥類が死に絶えていった。そういうことに少しでもブレーキをかけるために、ワシントン条約が一九七三年に成立をいたしました。このワシントン条約の内容、その目的につきまして、外務省来ていただいていると思いますが、まずお教えを願います。
  303. 野口晏男

    説明員(野口晏男君) お答え申し上げます。  いわゆるワシントン条約の目的でございますが、それは、絶滅のおそれのある野生動植物等に関しまして、その国際取引を各国が協力して規制するということによりましてそれらの野生動植物の保護を推進しようというものでございます。  この条約の内容は、附属書Iに、絶滅のおそれのある野生動植物で取引の影響を受けるものを掲げてございまして、これらの動植物につきまして商業目的のための取引を禁止しております。また、附属書Ⅱには、現在必ずしも絶滅のおそれはありませんが、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれが生ずる野生動植物等を掲げてございまして、これらにつき、ましては、輸出国の科学当局、我が国につきましては環境庁農林水産省がこれに当たりますが、その科学当局の助言等を得まして、管理当局、我が国におきましては通産省でございます、ただし一部につきましては水産庁がございますが、そういった管理当局が許可した場合以外の輸出を禁じておりまして、輸入国はその輸出許可書を事前に確認するということになってございます。
  304. 中村鋭一

    中村鋭一君 これを日本が批准をしたのは何年何月でございますか。
  305. 野口晏男

    説明員(野口晏男君) 一九八〇年の八月でございます。
  306. 中村鋭一

    中村鋭一君 そうしますと、七年ばかりラグがございますが、日本の批准がおくれたのはどういう理由だったんでしょうか。
  307. 野口晏男

    説明員(野口晏男君) おっしゃいますとおり署名後七年ということになっておりますが、この条約の批准がおくれました背景というものといたしましてこのようなことが考えられると思います。  その一つは、この条約の規制の対象が極めて広範囲にわたっておりまして、関係各省の所管にまたがる事項が多くございまして調整に時間を要したということが第一点でございます。  第二点は、条約の規定の国内的実施に当たりまして技術的な面での実効性の確保のために検討を要するものがあった。具体的には、例えば野生動植物の通関時のチェックの仕方といったものがございました。そのために、主要締約国の条約の運用をも見きわめまして条約の締結の検討作業に入ったということが第二点でございます。  第三点としまして、条約の国内的実施のための関係国内法令の検討に時間を要したということ。  第四点としまして、この条約の締結によりまして影響を受ける関係業界と条約の実施の方法につきまして調整を行う必要があったというふうな事情でございます。
  308. 中村鋭一

    中村鋭一君 どうも外務省ありがとうございました。  これは、条約を結びそれを批准するのは外務省が主管官庁でおやりになったわけでございます。実際に批准された条約を科学的に適用するのは環境庁、それから管理していくのは通産省、こう伺いましたが、通産省にお尋ねをいたします。  今批准が七年ばかりおくれた理由四点を外務省はお挙げになりました。まさにそこにだからいろいろな問題があったんだし、実際に管理していく通産省も、条約は批准したけれどもその点においていろいろと御苦労もあった、こう思うんですが、条約批准後の適用状況といいますか、現実にこれが守られ、罰則もあるわけでございますから、それに違反した場合の摘発、あるいは罰則の適用等についてのこれまでの状況をまずお示しをお願いいたします。
  309. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) お答えいたします。  ワシントン条約に基づきます輸出入取引の規制につきましては、外国為替及び外国貿易管理法、それから同法に基づきます輸出貿易管理令及び輸入貿易管理令で実施しております。ただいま外務省から御説明ございましたような手続に従いまして、附属書Ⅰ、Ⅱ、それぞれ手続にのっとって輸出入を行っております。  若干のデータを申し上げますと、昭和五十五年十一月に我が国においてワシントン条約が発効いたしまして以来、輸出入の承認件数を申し上げますと、まず輸出につきましては約三千七百件、輸入につきましては約一万二千件台という数字になっております。先生指摘のような、こういう正規の手続を経ないで持ち込まれた件数でございますが、若干年を追って数字を申し上げますと、昭和五十六年には二件ございました。五十七年には四件、五十八年には十一件、五十九年は現在まで三件でございます。  こういうふうに持ち込まれたものにつきまして罰則がどうかということでございますが、法律上見てみますと、先ほど申しましたような、輸出承認または輸入承認等を受けないでワシントン条約の対象となります動植物を輸出または輸入した場合には、外国為替及び外国貿易管理法第七十条に基づきまして三年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金、これは併科される場合もございます、そういう規定になっております。先ほど申しましたように、手続を経ないで持ち込まれた場合、これは、こういうことについて現在まで外為法に基づきまして罰則をかけた例はございません。これは、こういったものを輸入しようとしたものが必ずしもワシントン条約上の規制、ワシントン条約の対象になるものかどうか、そういったものを承知していない場合が多いわけでありまして、そういったものに対して先はどのような法律上の罰則を直ちに適用するというのは必ずしも適当じゃないという考えで、今までございません。ただし、こういうふうな持ち込まれたものにつきましては厳重に注意をしております。基本的には、持ち込まれたものは、今までの例では全部任意放棄といいますか、輸入者が放棄しております。したがって、輸入した人間はそのものを以後所有しないというふうになっております。それから、以後そういう輸入をしないようにという注意は厳しくしておる次第でございます。
  310. 中村鋭一

    中村鋭一君 思いつきみたいな質問で恐縮でございますが、この間私テレビを見ておりましたら、国内の動物園業者が例のエリマキトカゲを、パプアニューギニア政府だったと思いますが、許可を得て数頭輸入をいたしまして、それを持ってテレビのショー番組に出演をしておりました。私、見ておりまして非常に嫌な気がいたしました。私だけかと思いましたら、私の娘も見ておりまして、幾らテレビのコマーシャルで人気があるとはいいながら、現実に生きているエリマキトカゲを輸入して、そしてああいうテレビのショー番組でみんなの前でエリマキトカゲを手のひらに乗せて、こんな迷惑なことはないということを言っておったんでございますが、このエリマキトカゲはワシントン条約の附属書のどの部否かに入っておりましょうか。
  311. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) エリマキトカゲはワシントン条約の附属書のいずれにも入っておりません。したがって、こういう規制の対象になっていないということでございます。
  312. 中村鋭一

    中村鋭一君 ですから、こういった立派な条約ができてそれなりに完備しているようですけれども、現実に例えばこういうエリマキトカゲなんかが評判になりますと、やはりそれを営利目的で輸入をして、エリマキトカゲの迷惑は全く考えなくてわあわあわあわあ騒いで、あれはエリマキトカゲを怒らせて、エリマキトカゲが必死になって逃げるために襟を広げて、ああいう格好で走らざるを符ないように造物主によってつくられているわけです。それを厚かましくも人がそれがひょうきんだとか、かわいいだとか言うのは、こんないわば不遜な行為は私はない、こう思うのです。  ひとつ長官この点につきましても、例えばワシントン条約の附属書に加えるべき動物の種等々も、これは常に環境庁は外務省あるいは通産省と協議を怠らず、例えばこういうふうにエリマキトカゲが話題になれば、これはやっぱりぐあいが悪いから、これも附属書の一に加えたらいいんじゃないかぐらいの討議はなさるようにぜひお願いを申し上げておきたいと思うのでございます。その点について長官何か御意見ございますか。
  313. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 私もエリマキトカゲというのは見たこともございませんけれども、何か非常に数が限られておって、そしてしかも弱い、弱いというか早く死ぬおそれのあるものであるということをお聞きをいたしております。したがいまして、そういうような特殊なものであれば、やはりこれは減るということのないようにしていかなくちゃいけない。ワシントン条約にまさに該当するものだと思いますが、これは外務省の方ともよく連絡をいたしまして、あるいはまた、おかげで国連の環境特別委員会の方に我が方の代表も出ていただいていますのですが、その代表も外国の方でいろいろ活躍をいただいておりますので、話題が出ればそういうところにおいても賛同を得るようにしていただきたい、こういうふうに考えております。
  314. 中村鋭一

    中村鋭一君 どうも前向きの御答弁をいただきましてありがとうございます。  私、ここに「滅びゆく野生動物」、これはイタリアの動物学者が著した、絶滅を心配される動物の種をまとめた本なんですけれども、この中で、これはやはりチーターという動物なんですが、これはワシントン条約の附属書の一に挙げられている動物でございます。この本の記述を見ておりますと、こう書いてあるのですね。「国際毛皮取引連盟は、チーターの毛皮利用を一九七一~一九七四年の四年間見合わせるように呼びかけた。フランス、イタリア、スペイン、スカンジナビア諸国、日本などの国々はあっさりと無視してしまった。」と、このように書いているわけです。書いたのはイタリア人の学者でございますけれどもね。これどうでしょう。外務省、通産省あるいは環境庁、どちらでも結構でございますけれども、この事実は確認はしていらっしゃいますか。
  315. 山浦紘一

    説明員(山浦紘一君) お答え申し上げます。  先生の御指摘の国際毛皮取引連盟はロンドンに本部がありまして、毛皮全般についての取引についていろいろ協議をしているようでございますが、我が国の毛皮業界は一九七五年、昭和五十年に加盟したわけでございます。お話しの七一年-七四年の取引につきましては、加盟以前のことでございますので、業界全体としてそれを正式に受け取った形跡がないようでございます。ただ、チーターのような毛皮につきましては、ある意味では日本人の趣味なりあるいは嗜好に合っていないということもございまして、かなり需要がなくて、むしろ御指摘のフランスなりイタリアにおいて非常に好まれているものであるというふうに聞いております。  なお、八〇年にワシントン条約に加盟いたしましたので、御指摘のとおりチーターは1類として分類されておりますので、加盟後は商業目的の国際取引としては禁止されておるということでございます。
  316. 中村鋭一

    中村鋭一君 山東委員なんかは毛皮には大変お詳しいと思うんでございますが、例えばオセロット、あるいは南米の岩石の山におりますビキューナ、こういった毛皮が珍重される動物あるいは海の生物でありますラッコ等々、こういった人類が毛皮をとることを目的にして乱獲をいたしました動物の種というのはたくさんいるんですけれども、こういったものを環境庁としては積極的に世界の世論に訴えかけて、従来珍重されていた毛皮というものはもうこれを、例えば女性のコートなんかにするのはやめようじゃないかというような、具体的にはこういう呼びかけをなさる御意思あるいはそういう御研究は従来環境庁ではおやりになっていらっしゃいませんか。
  317. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 毛皮の需要あるいは毛皮に対する嗜好と申しますか、そういう問題に限定すればそういうことまで意識してやってはおりませんが、広く野生動物保護といいますか、そういう観点での認識は十分当然の使命として持っておるわけでございまして、例えばそのための世界野生生物基金というような民間団体の活躍もあるわけでございます。そういうものに対しましても積極的な御支援を申し上げていくというような形で、要は、これ長いことになりまするが、長い目で見なければならないと思いますが、結局は国民の自覚なり意識の問題に尽きる、こういうことでもあろうと思います。そういう観点でさらに研究をさせていただきたい、こういうふうに思います。
  318. 中村鋭一

    中村鋭一君 例えばフランスの映画女優のブリジット・バルドーさん、あの方は、前非を悔いてかどうか知りませんが、大変な女優の全盛時代は毛皮の消費者の側であったと思うんですが、今はこういった、例えばチンチラとかアザラシとかラッコとか、こういったいい毛皮を持っている動物を一切とらないでおこう、大事にしよう、そういう運動の先頭に立ってブリジット・バルドーは活躍をしている。そういう点で、私も昔からのファンだったものですから大変敬意を払っているんですが、環境庁もこのブリジット・バルドーに倣ってひとつこういう点においても今後とも大いに頑張っていただきたい。  そこで、今お話に出ましたWWFJですね、動物基金、それからナショナルトラスト、これも環境庁が提唱されて、日本名を公募されたように私承知しておりますけれども。それから鳥のサンクチュアリー、こういったものも日本に今何カ所か設定されているようで、これは大変結構なことだと思うんですが、このサンクチュアリー、それからWWFJの活動状況、それからナショナルトラスト、こういったものにつきましての現状と環境庁の対応の仕方、今後の方針等を簡単で結構でございますからお願い申し上げます。
  319. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) WWFJは、出際的な世界野生生物基金というものがございますが、それの日本委員会という姿で、財団法人格を持っておるところでございます。世界各国の野生生物保護事業に協力いたしますと同時に、国内の野生生物の事業を推進する、こういう役割を持っておるわけでございまして、私どもの認可法人でございます。この活動に対しましては、従来から指導、助言を申し上げて、あるいは募金キャンペーンの行事などにも御支援申し上げる、こういうようなことのほか、例えば一例を挙げますならば、イリオモテヤマネコ、これの調査の事業をこの団体に委嘱をしておる、テレメーター調査などをやっていただいておる、こんな姿でございます。  また、バードサンクチュアリーにつきましては、野鳥の聖域という姿でございますが、一般的には日本野鳥の会、これも環境庁の認可財団法人でございますが、それが自主的にある一定の地域を限りまして鳥獣保護区的に運用をし、またそこのバードウォッチングなどの利用にも供する、こういうようなことでございまして、これについても積極的な指導、助言を行ってきておるわけであります。卑近な例等申しますれば、北海道ウトナイ湖、ここにその第一号ができている、こういうようなことでございます。  ナショナルトラストにつきましては、これはちょっと意味合いが、考え方も違いますけれども、要は、国民の浄財を募りまして、自然破壊から土地を買い取るというような姿でその土地を守っていこう、こういうような姿で発足いたしました。イギリスの例に範をとりまして、日本にもそれを広めていこう、こういうことでございまして、北海道の知床あるいは和歌山県の天神崎等においてその活動が行われておる、このようなことでございまして、私どもも、ただいま先生指摘のような愛称募集というような姿でこの普及啓蒙も行ってきておりましたし、またこのナショナルトラストの今後の発展の方向を探るというような意味合いを持ちましての研究会の発足、それの報告書の取りまとめ等もいたしました。今後ともいろいろ課題がございますが、これについても積極的な発展を求める方策を考えてまいりたい、かような基本姿勢でおるわけでございます。
  320. 中村鋭一

    中村鋭一君 ことしあたり日本の各地で蛍の復活運動が大変盛んでございまして、滋賀県の例えば山東町は、ボランタリーの人たちが中心になりまして、数年間努力をいたしまして、ことしは特に大きなゲンジボタルが、カワニナがたくさん川に戻ってきたこともありまして、ことしは数万尾乱舞したと言われているんですが、この間新聞を見ておりましたら、ところが蛍祭りの当日に、あれは何日かなんですね、蛍合戦というのがありまして、蛍が一斉に飛び立つ。一番見ごろなわけですが、その当日に、かっぱ姿に長靴の職漁者、専漁者とでもいいますか、プロの蛍ハンターが大正にあらわれて、町当局は一生懸命とらないでくれと呼びかけたんだけれどもたくさんの蛍をとって持って帰る。  都会へ行きますとこのゲンジボタルが一匹二百円から三百円で売れるそうなんです。大阪あたりでも、私も毎年案内をいただきますけれども、料亭で蛍祭りと、こう言いまして、ゲンジボタルを庭に放して宴会をやる、そういうところもあるわけなんですね。私、せっかく皆さん努力して、やっと蛍が戻ってきて、しかもゲンジボタルのようなすばらしい蛍が戻ってきたのに、これをとって持って帰るのをどうにもできない。町そのものが例えば条例とかでそれを規制しているところもあるんでしょうけれども、やっぱりこれは最終的には私は地域指定じゃなくて、例えばゲンジボタルのような特別天然記念物は、その種に対して、これは一切とっちゃいけないという規制をかける方向が望ましいと思うんですけれども、文化庁の御見解はその点いかがでございましょうね。
  321. 田村誠

    説明員(田村誠君) ゲンジボタルについてでございますが、ただいまお話がございましたように、ゲンジボタルは最近地方公共団体や関係者の努力によりまして全国的にも相当ふえているという状況でございます。五十四年度の調査によりますと、全国で本州、四国、九州に分布いたしまして、生息地は八百五十六カ所というような数を数えるということでございます。  天然記念物の指定でございますけれども動物、植物あるいは地質、鉱物で学術上貴重で我が国の自然を記念するものということで、それを天然記念物に指定しているわけでございますが、蛍の場合につきましては、いわゆる蛍合戦が見られるほどの多発地というのはそう多くないわけでございまして、このような多発地での蛍の様態をとらえて、極めて重要なものを天然記念物として地域を定めて指定して保護しているところでございます。  ただいま滋賀県の山東町の蛍のお話があったわけでございますが、山東町の蛍につきましては、特別天然記念物、長岡のゲンジボタル及びその発生地ということで指定されているわけでございます。これは地域を指定していると同時に、この地域にいる蛍そのものも特別天然記念物に指定しているわけでございまして、これを許可なく捕獲するということは禁じられているわけでございます。ただいま先生のお話のように、捕獲しているというお話でございますけれども、町当局から私どもが聞いているところでは、観光客が一部持ち帰っているようであるというような話を耳にしているというようなことを町としては聞いているというような話でございますが、ただいまのお話をお聞きしましたので、もうちょっと詳細について町の方を通じて調査いたしまして、必要な指導をしていきたいと思っております。
  322. 中村鋭一

    中村鋭一君 時間でございますから、最後に長官にお願いしておきます。  私先ほど申し上げましたように、よほど我々頑張らないと、本当にどんどん地球上の種が減るばかりでございますので、ひとつ環境庁は、コンサーバティブなそういう行政体じゃなくて、もっとアグレッシブな、地球全体がサバイバルするためには、環境庁が先頭に立って攻撃的なテクノクラートの集団であるべきで、今後も大いに頑張っていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  323. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 いよいよ私が最後の質問者でございますから、あと四十分間御辛抱をお願いをいたします。  最初に長官に御質問いたしますけれども長官は、所信表明でも、またその他の場合でも、公害による汚染は漸次よくなりつつある、改善されつつあるというふうなことを申されたように思いますが、そう考えてよろしゅうございましょうか。
  324. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  環境関係についての全体的の感覚でございますが、これは、私も日本にずっとおりますものですから、その変化について余り切実といいますか、毎日見ているものですから余りわからないのでございますけれども、外国からおいでになった方が環境庁においでをいただきまして、そして東京の空を、また川崎の空を見ていただき、そしてまた水を飲んでいただいて、そして日本は非常に環境がこういう点についてはよくなりましたねというお言葉をいただけるのでございます。そういう意味においては私はよくなってきたのではないか、そういうふうな感じがいたすのでございます。  それから、終戦後でございますが、大阪にいたしましても川崎にいたしましても、そういえば思い起こすと、昼同でもなおかつ真っ暗な状態で、こういうふうに電気をつけなければ仕事ができないというような状態が間々あったのでございますが、そういう時代から比べるとよくなってきつつある、この調子を続けていけばさらによくなっていくのではないか。しかし、新しい公害がまた発生をし、きょうもいろいろと御指摘をいただいておりますが、そういう新しいものが発生しないように常に環境庁としては配慮してそうしてやっていかなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  325. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 私もそう思いまして、例えば、私が知事をしておりました閥に、東京から目土山が見える日というものが非常にふえまして、その後もまたふえつつあるということが言えると思うんです。しかし、これは汚染の源泉が個別的に識別できるような汚染、そういう汚染は把握することができて、いかにもよくなっていっていると思いますけれども、しかしながら、集合汚染と申しましょうか、きょうも話に出ましたダイオキシンとかあるいは水銀とか、それから酸性雨とか、あるいは自動車による排気ガスの汚染とかスモッグとが、そういう個別的に識別できない汚染はむしろ悪化しているのではないだろうか。  そうしてさらに問題なのは自然破壊、大きく言って大規模な自然破壊というものは所々方々で、きょうも大阪の国際空港の問題あるいは新潟の島の問題等が例に出ましたけれども、これだけでなく、自然破壊という点においてはやはり非常に進行しているんじゃないのかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  326. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生指摘のとおり、いろいろ新しい問題も起こってはおりますし、また自然破壊と申しますか、自然利用をされておるという点、あるいは完全に破壊されておる点も間々見受けるようになってきております。また、一方において非常にそれを保護していただいて持続をしていただいておるところもございますので、そういうところを大いにふやしていくように私どもは考えてこれから進めていきたいと思っております。
  327. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 私は自然破壊が進んでいるということが非常に心配でございまして、この二年、三年、自然破壊が問題になっているところをできるだけたくさん自分の目で見たいと思って回ってみたのでございます。それのすべてについてお話しする時間はとてもございませんけれども、大きいところについて少しお話をしてみたいと思うんでございますが、自然破壊につきましては、自然破壊というか、企業なら企業を誘致する、あるいはその他の計画を持ってそうして準備をする、あるいは海岸を埋め立てる、あるいは整地をする、そういうふうに準備行動をしてしまったけれども、目標である計画が実現をしないで、整地した土地がほうりつ放しになっている。埋め立てた海岸が手つかずで残っている。そういう場所が数多くあるということと、もう一つは、これから破壊しよう、自然破壊の計画を実行しようというところと、その二つがあるというふうに思うんです。  それで、第一に、その自然破壊はやった、つまり場所はつくった、しかしながら計画どおりの実現ができないで、その土地なり何なりがほうりっ放しになっている、そういうところで一番私が大きい問題であると思ったのは、苫小牧の東地区でございます。これは簡単に申しますけれども、鉄鋼業とか石油精製とか、石油化学とか非鉄金属とか、自動車とか電力とか、それらの関連工業が、これはもっとも高度成長が始まろうというときだったせいもございましょうけれども、こういうふうな工業が来る、そうして従業員は五万人ふえる、それからそういうすべてのものの生産額は三兆円以上にも達するという鳴り物入りで、約一千億円をかけて整地をしたわけでございます。そして港をつくったわけなんです。ところが何も来ない。ほとんど来ない。電力会社が一つできた、それから自動車工場が一つできて、あとは全部が草ほうぼうの状態で残っている。これが一つでございます。  それからもう一つは、むつ小川原の問題でございまして、これは石油精製百万バレル、石油化学生産百六十万トン、火力発電三百二十万キロワット、そういう工場を起こすというので、札束でほっぺたをたたくようなことでたくさんの金を積んで土地を買収して、そうして今言ったような工場を誘致するという土地を整地したわけでございますけれども、これも工場はほとんど全く来ないと言ってもいいと思うんです。  そうして、私が言うまでもなく有名な話でございますけれども、そういうふうにしてお金をもらった人たちが六ケ所村という村にみんな集まりまして、それはそれは立派な家を建てまして、そうして中には菊の御紋の入った家なんかがある。そうして子供たちにはみんな自動車を一人一人買ってやる。そうして、おれたちは事業が来るんだからそこで働ければ大いに所得を得ることができるという考え方でまいりましたところ、工場は一つも来ない。そして最後に来たのが石油のタンクであって、石油のタンクというのは現地の人はほとんど全く要らない事業でございますから、土地を売った人たちは非常に困って、みんな出稼ぎに行って、私が参りました昼間などは実に森閑としたもので、立派な家の中に家族が肩をすぼめているというふうな状態でございました。  そうして、ここはさらにもっと悪いことには、原子力発電の集中場所にして、そうして関根浜も合わせてここを原子力の基地にしようということになりそうな状況でございまして、この関根浜は  「むつ」を最後に持っていこうというところでございまして、これは新聞にもたびたび最近出ておりますけれども、漁業権の放棄について非常に不正が行われたということで、大変な問題になろうとしているところでございます。  それからもう一つ、これと類似をしたところは、福井県の東尋坊のこっちの方の三国町の臨海工業地帯でございます。同じようなことでございますからくどくは申しませんけれども、ここも整地はして、これはハッカの畑があって、そのハッカの畑をみんな買収をして広大な土地をつくったけれども、企業が来ない。そこで、余談でございますからすべて省きますけれども、そういうことでやはり土地が大半手つかずで余っている。  それから、これは土地ではございません、中海の水門の問題でございますけれども、これは農地二千五百ヘクタールを新しく開拓するという看板を掲げて、そうして中海に水門をつくった。しかしながら、その水門をして、そうして中海と宍道湖とが真水に近い状態になったらば、今まで住んでいる魚はみんな死滅するというふうな反対が非常に盛んになりまして、そうしてまだ水門はすっかり、私が行ったときは、いつでも閉めるようになっているけれども、反対が強いんで閉めることができない。そして現在に至るまで水門はあいたままであった。  こういう例はまだたくさんあるんですけれども、大きいものを数えてみましても今申し上げたようなところがありますので、これはつまり計画がずさんだったという以外にございませんで、大変な費用をむだ遣いをして、そうしてたくさんの人たちに迷惑を及ぼして、そうして何も成果がなかったという、実に嘆かわしいような結果になって、ただ行われましたのは大規模な自然破壊だげであるということなんですけれども、これについてどうお考えでございましょう。
  328. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 先生の御質問の御趣旨に合うかどうかわかりませんが、私どもこれらの御指摘の四つの計画に当たりまして環境庁といたしましては、政府全体の整合のある意思決定の中身におきまして、環境庁としての立場である環境行政の視野から相当な年月をかけて必要な指摘、指示を行ってきたところでございまして、現在実施中のプロジェクトにつきましてはその辺の環境問題としての公益は確保されたと思っておりますが、御指摘の企業の進出その他経済的な実態につきましては、その後の日本経済の推移等から見まして現在のような状況に立っていると認識いたしておりますが、当時の考え方といたしまして、プロジェクトについては政府全体の意思決定の中身において私ども参画しておりましたので、そのように御承知おき願えたと私は思っております。よろしくお願いします。
  329. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 私は、初めに計画するときにもつと慎重に考える、そうしてそれを環境庁が十分に批判をして、これで大丈夫だという上で計画を立ててやるべきであったというふうに思うんです。そして、そういう点においては、今もっていろいろ自然破壊の計画がございますけれども、その計画のほとんどすべてが全く私のような素人の目からもずさんきわまりないものであって、そうして自然を破壊する必要がどこにあるのであろう、そういうものもたくさんございます。  その例を私が回りましたところから二、三挙げてみますと、まず志布志でございます。  志布志はもう十何年来の歴史を持ったところでございまして、初めは非常な大きい計画を立てて、そうして開発をしようということになって、だんだんそれが小さいことになって、ただいまは志布志湾、これは国定公園に指定されておりますけれども、志布志湾の出口に人工の島をつくりましてそこに石油備蓄タンクをつくろう、そういう計画がほぼ固まって実行に移すばかりになっております。そうしてこの出口に相当大きい人工島をつくるということで、権現山という山に登って志布志湾を望みますと非常に美しい国定公園の景色が見えるわけでございますけれども、その目の下に石油のタンクができるわけです。それはもう自然の景観を非常に破壊するということだけではなしに、これはこの席で前に申し上げましたけれども、運輸省の昔の調査によりますと、志布志湾というのは港湾はできない、台風が来たときにどうにも逃れられないような状況になる、そこに大きい巨大な石油のタンカーが入ってくる。そうして油を水揚げする最中にそういう事態になったらば、それは収拾すべからざることになる。そうして志布志湾では現実に石油タンカーが漂流して難破したこともある。そういうところにつくろうというのでございますので、これもまさにやったらば、つまりやったはやったけれども、計画は一つも思いどおりにならなかったという、前に述べた例と同じことになるのではないだろうかと思うんです。  それからまた、これは最近の問題でございますけれども、石垣島のサンゴ礁、これはサンゴ礁を埋め立てて二千五百メートルの飛行場をつくる。それは観光客をたくさん呼ぶためと、それから農産物を早く飛行機で輸送するためだという目的を掲げているのでございますが、私にはどうしてもわからないのは、石垣島に観光客が来る、これは何といってもあの美しいサンゴ礁を見物するためであって、そのサンゴ礁をつぶしてそうして余計に観光客を誘致しよう、こんな矛盾していることは絶対にないと思うんです。それと、農産物は今は冷凍の設備が完備しておりまして、石垣島から千キロ以上のところを飛んで東京や大阪の市場に出しても、これは競争力が弱くて売れないに違いないし、そうしてサトウキビとそれからカボチャ以外にほとんど農産物がない石垣島が何を出そうとするのか。私は飛行場の滑走路をつくるということの目標が全然わからない。もしそれを実行に移すとしたらば前と同じような、整備はしたけれども目的は実現されなかったということになるに違いないと思うんです。  それからもう一つは織田ケ浜、これは今治の出先の海岸、これは瀬戸内海で今残った白砂青松の海水浴場の数少ない海岸地でございまして、夏は十五万人くらいも海水浴客が来る。そこに漁港をつくろうと。それも三万トンくらいの船が横づけになるような港をつくれば今治は大いに栄えて、そうして住民の生活も豊かになるということでございますけれども、今治のところは鉄道ができるという予定になっている土地で、そうして、そうでなくても貨物の輸送の船というものは減りつつある。それに汽車ができて汽車で運べるようになる。そうであるにもかかわらず港をつくるということは実際わけがわからない。それだから、これも、もし織田ケ浜を埋め立てて漁港をつくったらば、何も目的が達せられないで前の苫小牧と同じような状況になるのではないか。  それだから、今局長さんからのお話があったように、今行われようとする自然破壊についても、もっともっと慎重な検討環境庁が下して、そうして環境保護を、総元締めは環境庁なんですから、環境庁が世論なりあるいは政治的なりに積極的な活動をして、そうしてこの行われようとする自然破壊を何とかしてとめていただきたいということをお願いをして、まだ時間がございますけれども大臣の御所見を伺って私は終わりといたします。ありがとうございました。  どうぞ御意見を。
  330. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいま美濃部先生から、るる問題点についてお話しをいただいたのでございます。苫小牧、むつ小川原、また三国、中海と、こういういろいろな計画についてのそごがあったのではなかったか、今に見てみると、自然破壊、環境破壊だけが行われておったように思えるという御指摘でございます。  これは、私も工業地帯の開発ということについて見せてもらってはおったのでございますが、非常に経済状態というものが変動いたしまして、世界的な大きな波が来たわけでございまして、その結果、非常にこの地元の皆様方大変お苦しみのことと私も存ずるのでございます。早く世界の経済状態が直っていけば、荒れ果てたところというのも計画どおりになるのではなかろうかとは思いますけれども、そういったようなことについてもっと計画を密にしておけばよかったんじゃないか、こういう御指摘でございます。こういうものの御計画があったときにはまだ環境庁は実はできておらなかったのでございますけれども、これは私どもも心してこれからの計画に当たらせていただきたいと念願をいたしております。  それから、今もう一つの御指摘の織田ケ浜、それから白島、上五島、志布志等の御計画についていろいろお話があったのでございます。この中には、やはり環境庁関係するものとしないものとが私は出てくると思うのでございます。そういう点を踏まえながら、先生のいろいろな御意見も頭に置いて、いろいろと私どもも折衝をしていきたいとは考えておるのでございますが、環境庁もなかなかオールマイティーではございませんので、環境の面においてばいいのですが、やはり日本全体のいろんな動きとか世界の動きとか、そういうものになってまいりますとやはりなかなか大変でございます。まあひとついろいろ御支援をちょうだいをいたしまして、環境庁としてもいろいろと守るべきところを守らしていただくというふうに進ませていただきたいと考えております。
  331. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 もう一言。  先ほどもお話がありましたように、環境庁はもっと積極的な態度をとって、日本の環境保護公害からの保護、こういうことをする総元締めであるという気概を持って行動をしていただきたいということをお願いをいたします。
  332. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  333. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 次に、湖沼水質保全特別措置法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。上田環境庁長官
  334. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 湖沼水質保全特別措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  湖沼は、古来人々の生活と生産活動を支えてきたかけがえのない国民的資産であり、現在及び将来の国民がその恵沢を享受することができるようにこれを保全していくことが必要であります。  しかしながら、湖沼の水質の現状を見れば、閉鎖性水域という自然的条件に加え、湖沼周辺で営まれている生活及び生産活動に起因する汚濁が近年特に著しく、その水質の改善を図るためには、水質汚濁防止法による排水規制等の従来の制度では不十分な状況にあります。  この法律案は、こうした状況にかんがみ、湖沼の水質の保全を図るため、湖沼水質保全基本方針を定めるとともに、水質の汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼について水質の保全に関する計画の策定及び汚水その他の水質の汚濁の原因となる物を排出する施設に係る必要な規制を行う等の特別の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、湖沼水質保全基本方針の策定であります。国は、湖沼の水質の保全に関する基本構想等を内容とする湖沼水質保全基方方針を定めることといたしております。  第二は、指定湖沼等の指定であります。内閣総理大臣は、水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要がある湖沼を指定湖沼として、指定湖沼の水質の汚濁に関係のある地域を指定地域として定めることといたしております。  第三は、湖沼水質保全計画の策定であります。都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、指定湖沼ごとに、湖沼の水質の保全に関する方針、下水道の整備その他の湖沼の水質の保全に資する事業に関すること等を内容とする湖沼水質保全計画を定めることといたしております。  第四は、指定湖沼の水質の保全に関する特別の措置であります。  その一は、指定地域内の工場または事業場に係る排出水の排出の規制であります。従来の濃度規制のほか、都道府県知事は、指定地域内の工場または事業場について、排出水に関する汚濁負荷量の規制基準を定め、水質汚濁防止法の特定施設等の新増設に係る排出水がこの規制基準に適合しないと認めるときは、改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができることといたしております。  その二は、みなし特定施設に係る排出水の排出の規制であります。一定規模以下の浄化槽等、湖沼の水質にとって生活環境に係る被害を生ずるおそれのある汚水等を排出する施設として政令で定める施設を水質汚濁防止法の特定施設とみなし、同法の規定を適用することといたしております。  その三は、指定施設の設置の届け出等であります。一定規模以下の畜舎等、排水基準による規制によりがたいものとして政令で定める指定施設を設置しようとしている者等について、届け出の制度を設けるとともに、都道府県知事は、その者が構造等の基準を遵守していないと認めるときは、改善の勧告、さらには、命令をすることができることといたしております。  その四は、汚濁負荷量の総量の削減であります。人口及び産業の集中等のため、排水規制等によっては水質環境基準の確保が困難な指定湖沼については、汚濁負荷量の総量を削減するための措置を講ずることといたしております。  その五は、指定湖沼の水質の保全に資するよう、緑地の保全その他湖辺の自然環境保護に努めなければならないとしていることであります。  以上のほか、湖沼の水質の保全を図るために必要な指導、援助、関係行政機関の協力等について所要の規定を設けております。  以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、悼重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  335. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会します。    午後五時十一分散会      ―――――・―――――