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1984-04-25 第101回国会 参議院 環境特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十五日(水曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      中村 鋭一君     伊藤 郁男君  四月二十五日     辞任         補欠選任      石本  茂君     吉村 真事君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 藤田  栄君                 星  長治君                 森下  泰君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 吉村 真事君                 秋山 長造君                 片山 甚市君                 太田 淳夫君                 近藤 忠孝君                 伊藤 郁男君                 美濃部亮吉君    衆議院議員        発  議  者  福島 譲二君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁企画調整        局環境保健部長  長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君        法務省民事局長  枇杷田泰助君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  玉木  武君        厚生省医務局総        務課長      古川貞二郎君        農林水産省農蚕        園芸局果樹花き        課長       武政 邦夫君        水産庁振興部沿        岸課長      入澤  肇君        通商産業省基礎        産業局基礎化学        品課長      高島  章君        海上保安庁警備        救難部警備第一        課長       吉田 孝雄君        自治省財政局調        整室長      前川 尚美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の  一部を改正する法律案衆議院提出)     —————————————
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、中村鋭一君が委員辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。     —————————————
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 前回に引き続き、水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  4. 丸谷金保

    丸谷金保君 前回答弁で明らかにならなかった問題から入りたいと思うんですが、自治省にお伺いいたしますけれどもチッソに貸し付けてある県債ですね、これはどういう性質起債でございますか。
  5. 前川尚美

    説明員前川尚美君) 現在チッソに係る金融支援ということで熊本県に対して許可をいたしております地方債は、一般単独事業債ということでございます。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 全額一般単独ですか。
  7. 前川尚美

    説明員前川尚美君) 全額一般単独事業債でございます。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 この間の答弁で、六〇%は国の財政資金で賄って、四〇%は地元の各関係金融機関等で賄っているというので、そうすればその分は縁故債じゃないかと思ったんですが、それは地元でというのはどういうことなんですか。
  9. 前川尚美

    説明員前川尚美君) 地方債の種別といたしましては一般単独事業債ということでございますが、この地方債に引き当てます資金といたしましては、今先生指摘のように許可額の六割が政府資金、それからその余が縁故資金という区分になっております。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 いわゆる縁故債と言われているものだと理解してよろしゅうございますか。
  11. 前川尚美

    説明員前川尚美君) まあいわゆる縁故債縁故資金を利用する地方債という意味縁故債ということでございます。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 公営企業等許可する縁故債とは違って、その場合にはそうすると二百億ですか、言われているのは。それが全部その償還元利については基準財政需要額でもって見込んでおるわけですね。
  13. 前川尚美

    説明員前川尚美君) この金融支援債につきましては、熊本県に対して地方債許可することといたしました経緯等々にかんがみまして、地方交付税の算定上の基準財政需要額には算入しないことといたしております。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 チッソに貸し付けておるのはもちろん利息をもらっておるのだと思いますけれども、これは地方債金利チッソから入っておりますか。
  15. 前川尚美

    説明員前川尚美君) この地方債許可するに当たりまして、今私ども基本的には、この金融債といえども、本来チッソがいわば汚染者費用負担の原則にのっとって負担すべきものでございます。それを患者救済の立場から熊本県の県債という形をかりて資金を調達するということになっております関係上、この熊本県債元利償還費、これはすべてチッソから償還期ごとに徴収をするということになっておりまして、今日までのところ計画どおり参っておると承知いたしております。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、チッソから熊本県に対しては地方債金利分は毎年きちんと入っているというふうに理解していいんですね。
  17. 前川尚美

    説明員前川尚美君) 私どもはそのように承知をいたしております。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 昨年五月の閣議で、できるだけ応分の熊本県に対して応援をするということになっているんですが、大臣にお伺いしますけれども、今聞きますと、地方債縁故債なので交付税対象にはしていないという自治省答弁があったんですが、そうするとどんなところで面倒を見ているんですか。
  19. 前川尚美

    説明員前川尚美君) 閣僚会議における申し合わせといいますのは、今回の金融支援のための熊本県債許可するに当たりまして、県側負担を生ぜしめることがないようにチッソの方からの支払いを確保する、そのためのチッソのための措置も講ずるというところにポイントがあるように私ども理解をいたしております。したがいまして、閣僚会議申し合わせによりまして政府が支援するということでございますが、対県との関係意味するところは、県債許可することによって県に過大な負担を生じないように配慮するということにあるわけでございまして、現状は、先ほども御説明さしていただきましたように、チッソの方から元利償還金に相当する部分の納入をいただいておるということでございまして、県に実質負担は今までのところ生じておらないということでございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 要するに、国は県に対して、金をこれだけ借りてもいいよという許可は出したけれども一般公共債のように交付税対象というふうな形で金は一銭も出していないということですね。
  21. 前川尚美

    説明員前川尚美君) 結論的に申し上げますと、この熊本県債について交付税措置をするという仕組みにはなっておりません。これは先生もよく御理解いただいておるとおりでございますが、交付税地方団体共有の財源ということでございますし、あわせて、この県債趣旨が、本来チッソ負担すべきもののいわば、ちょっと表現が悪うございますが、肩がわりをしているということでございまして、あくまでもその時期時期にはチッソ負担を求めるべきものというふうに私どもも考えております。  そういうことで、これは地方交付税基準財政需要額に算入できるものではないというふうに理解をいたしております。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは、もともとはこれは国のやるべき仕事熊本県に機関委任をしておるわけですね。それに対する事務費としてはどの程度見ておりますか。
  23. 正田泰央

    政府委員正田泰央君) 水俣病患者認定につきましては、ただいま先生指摘のとおりの性格を持っておりますが、何分患者救済ということを第一にいたしまして、チッソが支払うべき補償金支払いを完全に行わしめるという趣旨にのっとっているわけでございまして、その趣旨にのっとった上で政府として起債許可し、あわせて資金運用部資金でいろいろカバーしていく、こういうような考え方でございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこはわかるんですよ。金は一銭も出してない、許可をしただけだと、そして資金運用部の金も貸してあるんだ、それは貸しているだけで利息は当然もらっているんだろうし。ただしかし、機関委任事務として熊本県に委任しているんですよね。委任したら熊本県の方では事務費でも何でも相当かかるでしょう、仕事をやるのに。これは交付金なのか、どういう形で幾らくらい出ているのか。
  25. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  公害健康被害補償法によります水俣病認定業務に必要な事務処理費につきましては、この法律に基づきまして、国はその費用の二分の一を県、市に対しまして負担しているところでございます。また、認定業務関連事業ということで実施いたしております検診機器整備事業費及び申請者治療研究事業費につきましても、予算補助ということで国は二分の一の補助を行っているということになっております。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、事務費というふうなものに、仕事はお願いしたけれど国としては出していないということですか。人件費もかかるでしょうし、旅費もかかるでしょうし、恐らく県としては相当な組織を持ってこれに当たっているんだろうからね。これは自治省が見る性質のものですわね。そういうものは——具体的なあれに対する補助金はわかるんですよ、そうでなくて。
  27. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 説明不足で申しわけございませんでした。  先ほど申し上げましたように、認定業務に必要な事務費ということの中におきましては、認定審査会を開きますに当たりましてのその開催に要する経費だとか、それから検診を行うときの経費だとか、あるいはまた職員給与費等を含めまして、そういう事務費という形で国が二分の一を負担しておるという意味で申し上げたところでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは金額にしてどれくらいになりますか。
  29. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 五十九年度予算額で申し上げますと一億四千九百万、まあ三県一市の分でございますけれども、トータルといたしまして五十九年度予算額では一億四千九百万余でございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは熊本県だけでなく、全体としての予算措置ということですね。  どうも大臣、細かく聞いていきますと、相当県の方ではいろんな形で出費もされていると思うんです。それから、現在の制度の中では縁故債に対して交付税対象にするということもできませんでしょうし、ここいら辺に、大臣がやはりしゃきっと県に命令して早くやれというわけにもいかないような理由一つもあるんじゃないかと思うんです。  それでお伺いいたしますけれども機関委任事務というのは本来国の仕事で、国が県に依頼をしているんでなく、これは命令をしてやってもらっているんですね。自治省どうですか。
  31. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣は再三、お願いして、熊本県とも相談して相談してとおっしゃいますけれども、これは相談というのは片一方が嫌だと言えば成り立たないことをいうんですよ、相談というのは。しかし、これは熊本県は嫌だと言えないんですよね。だから、相談するんじゃなくて、最終的には早くやれと大臣命令もできるわけですね。そういう点でひとつ、ただ単なる相対的な相談でなくて、このお金の関係を見るとまことにどうも微々たるもので、なかなか環境庁長官として強く言えないような程度財政援助しかしていないようですけれど、やはり機関委任事務というのは国が都道府県に対して命令をしてやらしているんだということについて、県に対してこの認定業務がもっと促進できるようにしっかりひとつ指示をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  33. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 熊本県の知事さんにとりましては、これは熊本県下の問題でございまして、県民のかかっておられる問題でございますし、また、水俣の周辺につきましてもこれは非常に関係の深いいろんな問題になるのでございますので、知事さんとしてもやはり国からのいろいろ指示はあってもやっていただく、こういうことから二分の一を負担をしていただいておる、こういうことになっておるのでございます。したがいまして、そういうことに対しまして熊本県の知事さんとよく相談をしてやらしていただくということを今やっておるところでございます。
  34. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 委員異動について御報告いたします。  本日、石本茂君が委員辞任され、その補欠として吉村真事君が選任されました。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 五十一年に、非常におくれているのは不作為の違法だという判決が出ております。この違法判決には、例えば国会定数の問題なんかも違法判決というのが出ていますね。例えば国会の場合には三倍を超えた場合にはというふうな違法判決があります。一体、この場合の不作為の違法とみなされるのは、何年くらいたったら不作為の違法とみなされるんでしょうか。これは法務省ですか。
  36. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) 五十一年十二月の熊本地裁判決で、水俣病認定申請に対する不作為違法確認判決が出ておりますが、これは当該事案対象になりました方々申請に対する判断でございまして、何年になったらということは判決の中にもうたわれておらないようでありますが、個々の事案について判断されるべきことでございますので、裁判所が具体的な事案に即した期間を考えて、そして違法であるかどうかということを判断される事柄であろうと思います。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは、行政事件訴訟法の三十七条、三十八条を踏まえて三十三条に援用されておりますが、この三十三条で、判決拘束、「拘束する。」とありますね、この拘束法律効果、これはどういうものなんでしょうか。
  38. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) 三十三条の一項の規定は、これはいわゆる取り消し訴訟についての判決拘束力について規定をいたしたものでございますが、この取り消し訴訟の場合には、その取り消しによって申請状態に戻ってくるわけでございますが、要するに、その判決で示されました事実認定及びそれについての判断行政庁拘束する。同じような理由で、行政処分や裁決をしてはいけないという意味拘束するというのが中心の規定でございます。  これが三十七条、三十八条の関係不作為違法確認の訴えについて準用されておりますが、言葉の性質上、判断、要するに行政処分の実質的な判断についての要素はこの不作為違法確認の場合にはございませんので、不作為状態が違法であるということについて、当該行政庁及び関係行政庁について違法でないということはいわば主張させない、そういうことではないと。したがって、なるべく早くその申請に対する処分をなすべきであるというようなことが、拘束されるという意味内容になろうかと思います。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 取り消し訴訟ですと、原状回復すればいいんですから、判決が出ると原状回復ができますから法律効果というのはすぐ目に見えますわね。しかし、この場合には不作為を違法とするんで、そのまま不作為状態が続いた場合にはどうなります。承りましたというだけで不作為が続いていった場合に一体どういうことになるんですか。
  40. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) これは行政庁違法状態が継続するわけでありまして、ますます違法の度合いが強まるということが客観的に言われようかと思いますが、裁判所といたしますと、三権分立の関係行政権に対しましてそれ以上のことは言えないわけで、要するに、違法であるということを判決によって示すことによって、あとは行政庁が自己の責任において行政処分を速やかにするということが期待さるべきだということになるのではないかと思います。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、この三十三条の拘束ということの法律効果期待権ですか。
  42. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) この準用関係で必ずしもはっきりしない面がございますけれども期待権というよりは、やはり拘束拘束でございまして、当該行政庁は違法であるということを裁判所によって判決されたわけでございますので、それは違法であるということは、行政庁はもはや、これは適法なんだ、まだいいんだということを言うことは許せないという意味では拘束力を持っていると思います。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 国会定数問題なんかの場合ですと、違法という判決が出て、それでも現状を直さないで選挙をやれば今度は無効訴訟というふうなことが、これは勝つか負けるかはとにかくとして、あり得ますわね。違法ということを踏まえて不作為状態定数是正というふうなことに踏み切らなければそういう問題が出てくるわけです。法律効果が出てくるわけです。  もともとこの三十三条というのは、おっしゃいましたように取り消し処分を不当としてのものですから、原状回復ということなわけですが、準用規定がある以上、不作為の違法についてもこれはかぶっていると思うんです。その拘束ということが行政庁に対しては——行政庁は当然その判決を重視して迅速に不作為違法状態を直さなければならない義務があると、こういうふうなことですか、そうすると。
  44. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) 当該訴訟対象になりました事件につきましては、まさにそういう状態になろうかと思います。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変難しいんですが、当該訴訟対象になった方々、そこまではわかるんですよ、しかし、同じような状態で同じ訴訟をすれば同じ結果が出ることが明らかなのに、何回も何回も訴訟はしませんわね。同様な人から訴訟があれば同様の結果が出ますわね、同じ状態で同じような年月不作為状態が続いたということになれば。だから、これは今局長さんの言われたように、当該訴訟のものだけじゃないんじゃないですか。どうなんです。
  46. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) 法律的には、やはり判決の効力の問題でございますので、当該具体的な事案の当事者間の問題に限定されると思います。ただ、同種事案についてどうかということになりますと、これはその同種事案を抱えております行政庁の方がどう受けとめるかという行政庁姿勢の問題であろうと思います。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、その姿勢についてお伺いしたいと思いますが、この判決同種人たちに対して行政庁がどう受けとめるかという姿勢についてお答え願いたい。
  48. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 違法判決を受けまして私どもはその責任の重大を痛感をいたしておるのでございますが、認定業務促進をひとつ国と県とが一体になりまして積極的に取り組まなければならないということで、検診審査体制というものの強化をお図りをさせていただき、充実を図って各般の施策を講じてきておるのでございます。  ところが、いろいろ判断の困難な事例がやはり相当増加をいたしておりますし、また、一時期見られなかった一時期におきましては申請者の急増ということがございましたり、また検診拒否運動などが行われまして検診体制が十分に働いておらないというようなこと等におきまして、残念ながら思うように推進ができないような状態でございます。環境庁といたしましては、申請者理解を十分に得て、そして最大限の努力をいたしまして推進をいたしたいということで今やっておるところでございます。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、一生懸命やっているけれどもなかなか進まないということの一つに、お医者さんの問題があると思うんです。  これは厚生省にお伺いいたしますが、熊本県は昔から医大なんかもあって、ちょうだいした資料によると、全国でも十一番目というふうに全国平均よりも非常に高いお医者さんの数を持っているわけですね。しかし、このお医者さんたちがみんな応援して認定業務をやるというようなわけにいかないんですか。
  50. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) お答えいたします。  水俣病に係りますところの認定業務促進につきましては、先生御案内のように五十二年に関係閣僚会議申し合わせがございまして、これを踏まえまして私ども厚生省といたしましても、この熊本県の検診業務地元国立病院医師を参加させる、これは国立熊本病院国立療養所菊池病院でございますが、参加させるというようなことのほかに、また、県外申請者のための検診機関近畿地区あるいは名古屋の中部地区に設けるというふうなことで、検診体制の確保ということに関しまして御協力を申し上げてきたわけでございますし、今後とも十分努力してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 熊本国立病院厚生省のあれですね、あそこのお医者さんが何名いて、そのうちこの認定業務応援しているお医者さんは何人おりますか。
  52. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) 国立熊本病院と、それから国立療養所菊池病院では、合わせまして四名の医師がこの検診業務に携わっているわけでございます。  なお、国立療養所菊池病院医師の数はちょっと今詳細承知しておりませんが、国立熊本病院で四十名程度だと思っております。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはもう少し応援するお医者さんの数をふやすわけにはいかないんですか。
  54. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) この両者につきましては、耳鼻科と、それから精神神経科のお医者が携わっておるわけでございますが、水俣病という疾病の特性ということである程度の制約はあろうかと思うわけでございますけれども、今後ともそういった検診充実ということについての協力方につきまして検討してみたいと思っております。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣促進するように努力すると言いましても、現実は今お答え願ったように、国の応援体制というものはたった四人なんですね。お医者さんがそろわなかったら、認定業務促進すると言ったって一番大事なところでできなくなるんじゃないですか。その点について、大臣はひとつ厚生省にもう少し応援体制を頼むというふうなことにはいかないんですか。
  56. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいまの、検診促進をしない——しないというか、検診隘路と申していいところでございますが、その隘路は、現在では、お医者さんの数というよりもむしろやはり検診を受けていただけるような説得力といいますか、そういったようなことに私は今あるということでございます。したがいまして、患者さんの御家庭の御都合がいろいろございましたり、お体の御都合があったりいたしますので、その御都合のいいときを選んでやらしていただくというところになかなかうまくいかないというところがあるようでございます。  したがいまして、そういう点を解消をしていこうということで県と国とが力を合わせまして今やらしていただいておるところであり、また診療体制認定業務につきましても、寝たきりの方々等に対しても検診を受けていただけるようにその点はお医者さんをふやして、また機械もふやしておるところでございます。もしお医者さんの不足ということによって認定業務がおくれておるということになりましたら、これはもう厚生省の方にもお願いをいたしまして、これは早速お助けをいただくようにやらしていただきたいと考えております。
  57. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先ほどの答弁を少し補足させていただきます。  私どもの方で、熊本県の検診センターにおきます検診医の確保の状況でございますけれども、常駐していらっしゃる先生はお一人でございますが、それ以外に関係機関等からいろんな形での応援をお願いいたしているわけでございます。  五十九年度の数字で申し上げますと、神経科、内科、眼科、耳鼻科、精神科、小児科、整形外科というぐあいに各科にまたがっているわけでございますが、総数で四十名の応援をいただいておりまして、その中には、先ほど厚生省の方からお話ございました国立病院等からのお医者さんが四人、それからあと熊本大学、鹿児島大学、大分大学というぐあいに近隣の関係大学からの応援をかなりいただいているわけでございます。特に熊本大学からはおよそ二十名ぐらいの先生がこの検診センターの検診応援に来ていただいておるというようなことで、それ以外に周辺の病院等からも応援をいただいておりまして、そういう面では、現状関係方面の御理解、御協力を得ながら検診を進めておるということでございまして、そういう面で、現段階においては医師不足による検診のおくれというのはそうないものというぐあいに理解いたしておるところでございます。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 これどの新聞も同じような取り上げ方しているんですが、「審査、もっと早めて」「増える解剖認定」。しかし実際には五千人近くがまだ未処分で「申請者の増大に、検診、審査が追いつかず処分が大幅に遅れているのが現状だ。」こういうふうな昨年の暮れの各新聞、朝日、読売、毎日。そうすると、こういう新聞の記事はでたらめですか。医者の数は大丈夫だと言うけれど、この記事はみんなそういうふうな書き方しているんですよ。  だから私はお医者さんが少ないんじゃないかと思ったら、お医者さんはいいんだと。それぞれ大新聞が責任持った記事だと思うんです。みんなそう書いているんですよ。検診や審査が追いつかずと、これはどうなんですか、お読みになっているんでしょう。新聞社に抗議しましたか、この記事うそだと言って、あなたたち。    〔委員長退席、理事山東昭子君着席〕
  59. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申しましたように、現在百五十人検診、百三十人審査体制を進めるということにおきまして、検診センターにおきましては関係方面の御協力を得ながら医師の確保といいますか、検診体制の整備に努めておるところでございます。その中におきまして、新聞等にもございますように、診療科目が非常にまたがっております関係から、時と場合によりましてはそういう診療科によるお医者さんがたまたまいないということでおくれるということもあり得たのじゃなかろうかなというぐあいに思っております。  そういうことで、私ども医師の確保にあわせまして検診計画といいますものを詳細にといいますか、申請者方々に御迷惑がかからないような形で組むようにというぐあいに常時配慮いたしておるところでございますけれども、そういう事例があったということにつきましては、今後そういうことのないように十分医師の確保ということと、検診に来ていただくスケジュールといいますか、その調整についてはさらに配慮いたしまして、そういうことのないようにしてまいりたいというぐあいに考えております。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 これから後ないようにということはわかるんですが、私の言っているのは今までのことを聞いているんです。お医者さんが少なくてこんなにたまってきているという、この新聞各社の記事というのはうそですかと聞いているんです。あなたたちも読んでいるでしょう、これ。毎日、朝日、読売、この記事がうそですかと聞いているんで、これからどうこうということを聞いているんじゃないんです。  例えば、具体的に言いますか。この審査会というのは十人の医師で構成されていますわね。これをもう一つ十人の医師で構成される審査会をつくれば倍進むじゃないですか。十人の医師で構成しているこの審査会に諮ってということで、パイプが一つしか通るところがなければ、五千人詰まっているのが百三十人ずつやったって何年かかります。    〔理事山東昭子君退席、委員長着席〕 それでお医者さんが不足はしていないんだということになると、この新聞はうそだということになるんだよ。具体的に書いているんです、新聞の記事の中身では。どうなんです。どっちが本当なんです。
  61. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 現在、月間百五十人検診、百三十人審査体制という形で、先生お話がございましたように審査会の委員も十名という形で構成して業務を行っているところでございますが、まず当面、現在持っております機能といいますのを十分に発揮できるような形でやってまいりたい。十分に検診を受けていただきまして、審査も月間百三十人やれるような形のものまで持っていきたい、それをまず持っていくことが先決であろう。その後におきまして、より以上にたくさんの方々検診を受けられる、あるいは審査もどんどん進んでいくというような事態になりました場倉におきましては、先生からお話がございましたようなことを、先行きの問題であろうかもしれませんけれども、当然それは検討するといいますか、そういう面におきましては、さらにまた関係方面の理解なり協力なりを得てさらに充実強化を図っていく必要があるだろうというぐあいに考えておるところでございます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 審査を受けない人がいるというふうにあなたは問題をすりかえるけれど、現に申請している人が五千人もたまっているんでしょう。審査を受けない人のことでなくて、たまっている人をどうするかという話を私はしているんです。そういうふうにすりかえた答弁をしないでくださいよ。私の聞いているのは、現にたまっている人たちについては、医師不足で、十人の医師で審査会が一つのパイプだけではなかなか進まないという新聞記事がうそなのか、医者は大丈夫なのか、あるいはもう一つパイプをつくれば、二系列にすれば倍進むんじゃないかと、こういうことを聞いているんです。現状のままで審査体制を進める、診療を受けない人を受けさせるようにするという話とは別のことを聞いている、私は。  大臣は、お医者さんの数は心配ないとさっきおっしゃいましたけれども、だから、詰まっているパイプをあけるためにはもう一つパイプをつくらないと詰まりはよくならないんです。これはきょう言ってあしたというわけにはいかないけれど、予算の段階から始まる問題だと思いますけれど、そういう点について厚生省協力すると言っているんですから、しっかり厚生省とこの問題について詰めて、環境庁の持っている総合調整権でもってパイプの詰まりを具体的になくするような努力をしていただけませんか。
  63. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答えを申し上げます。  私ども聞いておりましたところでは、患者さんと、認定業務を受けていただく。パイプといいますか、そういうものがどうも詰まってなかなかうまくいかないというようなことでお聞きをいたしておるのでございますが、お医者さんの方は一時ちょっと詰まるときもあるかもしれませんけれども認定業務というのは、一日に百五十人検診、百三十人審査体制で進んでおりますので何とかやれるんではなかろうかというふうに思っておったんですが、先生の今新聞のお話もございますので、これは現地の方をよく調べまして、そして厚生省の方ともお諮りをさしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 同じ話を厚生省とするにしても、やんわりといくか強くいくかで大分、それは強くやってもらえますか。強硬に話し合っていただく、強硬というのはちょっとあれだろうけれど。
  65. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 本日御審議をお願いをいただいておりますこの法案も、結局、促進ということで一つの国のパイプをつくるのでございまして、厚生省の方にまた強くそれは必要なときにはお願いをいたすようにしたいと考えております。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから、今度は農林省。  水俣病患者が、四十八戸、自分たちは被害者だと、だから被害者が加害者になっちゃいけないということで無農薬の栽培のグループをつくって始めたんです。これはこの間大臣にもお見せしたんですが、食べていただけたかどうか、大分古くなったんであれですが。その水俣病患者がやっている、それに対して農林省は何か補助措置なり何なりで応援しておりますか。
  67. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、水俣病患者方々水俣病患者家庭果樹同志会というのを設立されまして、五十二年の五戸から始められまして、かなり御努力をされて現在四十八戸、約三十ヘクタールを栽培されて、さらに生産量としても七百トンを上回る生産を上げておられるということも伺っております。さらに流通の方でも、無農薬ということで、自助努力をされまして販路を開拓されて、かなりそういう意味で一生懸命努力されていることも私ども承知いたしております。  ただこの方々はかなり自助努力、御自身の御努力で一生懸命ここまでもってきておられまして、これまで私どもの方から補助なり助成なりを差し上げたと、こういうことはございません。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、以上のようなことなんです。ことしは五十トンほど余っちゃって困っているんですよ、うまく売っているというけれども。余ったのを我々も分けて売ったり私たちも買ったりしてやっているんです。こういう認定を受けた患者に対しても、環境庁長官としてひとつ農林省にも、何にもやってくれていないんですから、環境庁長官の立場で強く要請していただけませんか、面倒見てやれというふうに。
  69. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 各省の権限に属する事項につきましては、関係閣僚会議におきましてもお願いをいたしておるのでございますが、したがいまして、先生の今の御指摘の点につきましても強くお願いを申し上げたいと考えております。  なお、先ほどちょっと体制のところで一日と言ったようでございますが、一カ月の百五十人検診、百三十人審査体制でございますので、ちょっと訂正をさせていただきます。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのことは気がついたんですけれども、別に悪意あって言ったわけじゃないと思いましたので、その事実をただす必要もないので黙っていましたが。  それで、この間もミカンのときに申し上げたんですが、なかなか熊本県に行かれなければ、せめて映画でもつくっているから見てくれと言いましたが、それはどうなりましたか。
  71. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  早速調査をさせていただきまして、八四年青林舎制作の「水俣の甘夏」というものと、フィルム工房というところでつくっております「無事なる海」というものと二つが制作されておるようでございまするので、早速その方の手配を今いたしておるところでございます。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 手配というのは購入するということですか。
  73. 上田稔

    国務大臣上田稔君) そのとおりでございます。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはいち早く対応していただいて評価いたします。何でもそういうふうに早くやってくれると非常にいいんですが。  あと実はチッソ応援体制の問題があるんですが、時間もわずかしかなくなってあれなんですが、一つだけ通産省にこのことで。  チッソは何か今子会社をつくって、そちらの方の株を相当チッソも持って、もうかりそうな仕事はそちらの方に移しているというような「エコノミスト」の記事があるんですが、これらの実態について通産省知る限りひとつおっしゃってください。
  75. 高島章

    説明員(高島章君) チッソは現在円滑に補償金支払いが進みますように親会社、子会社一丸となりまして努力をしている最中でございます。御指摘のような意見につきましては、我が方はそのようには受けとめておりませんで、それぞれの分野に応じて最も適切な生産活動ができるように親と子の会社の関係を考えているようでございます。特にこれから一番重要になります新しい分野、収益を上げる予想が立ちます新しい分野につきましては水俣工場が中心になって進んでおりまして、そういう意味では、長期的な補償金支払いの基盤というものはむしろ水俣チッソ本体にあるというように理解をしています。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 この「エコノミスト」の記事によりますと、八一年から八五年の期間中の設備投資総額は三百七十億だが、その配分は水俣工場が百七億、主要子会社が二百六十三億ということで、子会社の方にウエートがかかっている。今のお話では、子会社も賠償責任の系列の中に入っているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  77. 高島章

    説明員(高島章君) 法律的に、形式的に申し上げますと、親会社チッソ本体と子会社は法人格は別でございますから、親に生じました責任は当然に子会社にいくというものではございません。ただ、親会社、子会社含めましてチッソ全体の生産のやり方をどうするかというのは、まさに有機的に行われているところでございまして、法律、形式論は別にいたしまして、チッソ全体で本問題の解決に努力しているというのが我々の見方でございます。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 投資額もそうだし、この間における年商売り上げは、八一年度チッソ全体で千二百億、そのうち水俣工場は四分の一程度。「千葉県五井にあるチッソ石油化学がチッソの主力工場になっていることはたしかである。」こういうふうな記事なんです。そうすると、どうも資本を子会社の方に移し、そちらの方に設備投資も余計やり、主力がそっちに行くことによって最終的にチッソ自体が計画倒産というふうなことになりかねないんじゃないですかな。そういう点については通産省はどうなんですか。おたくはチッソ応援をしているというのは一体どのくらい、どういう応援をしているんですか。
  79. 高島章

    説明員(高島章君) 先ほど来申し上げておりますように、チッソの経営基盤が盤石になりますことが円滑な補償金支払いにつながるわけでございますから、チッソが全体といたしまして収益の生まれるような玉を見つけ、そしてそれに我々が支援をしていくということでなかろうかと思います。  一つは、新しい分野に出ます場合に、政府関係機関、政府金融機関から低利の金を貸すということで我々は応援しているわけでございます。また、幾らチッソが一企業といたしまして努力いたしましても、チッソの主力分野でございます石油化学工業が非常に苦しい構造的不況の中にいつまでも低迷しておりますと、個々の努力ではどうしようもないことでございまして、通産省といたしましては、この石油化学工業全体をどうやって経済的に自立できるかということで政策的に推進をしているわけでございます。具体的には、現在過剰になっております設備を処理いたしまして、もう少しぜい肉を落とした格好で石油化学工業全体が収益が生まれ、長期的にも自立できていくように種々の対策を講じているわけでございます。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 時間が参りましたので、まだこのほかに、実は運輸省にもおいでいただいて、水俣湾の堆積した汚泥処理の問題、これが六十四年までかかるんです。そういうふうな問題等もいろいろ残っております。これらにつきましては、ひとつ長官の方でこれらが万遺漏なく進むように運輸省の方とも話を進めていただきたい。非常にこれ時間がかかって、十五年くらいかかるんでしょうか、というふうなことのようです。  いろいろ調べてみますと、環境庁自体のおやりになることもさることながら、水俣病の問題一つとっても、各省庁にわたって進めなければならない問題が山積していると思います。窓口として環境庁がひとつそれら各省庁との調整についても強く頑張っていただくことを要請して、質問を終わりたいと思います。  最後に長官の決意をひとつ。
  81. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 水俣病につきましては、これはもう公害の原点でございますし、また環境行政の一番重要な課題でございますので、これを強く認識をいたしまして進めておるのでございますが、関係各省にも関係閣僚会議によりましてお願いをいたしておるのですが、早くこの処理をしていかなければなりませんので、その点については強くお願いをいたしまして、そうして対策を強力に推進をしてまいりたい。ただし、被害が起こらないように処理をしていただくようにお願いをいたしたいと考えております。
  82. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 最初に、水俣湾とか八代海における漁業の実情についてお伺いをいたします。  新聞記事によりますと、現在水俣湾は禁漁区になっておって、網を湾の外に張っておる、だから漁師は漁場を失って、そこで汚染された魚をとってこれを県に買い取ってもらっておるということが書いてございます。ところがその一方、水俣市で市販されておる魚を調べてみたところが水銀汚染の実情が明らかになっておる、こういう記事もあるわけでございます。  そこで実態はどういうことになっておるのかということをお尋ねをするわけでございますが、水俣湾とか八代海において漁業行為または漁獲行為は禁止されておるのかいないのか、このことについてお願いいたします。
  83. 入澤肇

    説明員(入澤肇君) お尋ねの件でございますが、漁業法では、例えば第六十五条におきまして、漁業取り締まりその他漁業調整のために必要があるときは、農林水産大臣または都道府県知事が省令または都道府県漁業調整規則で水産動植物の採捕制限、禁止等を行うことができるというふうに定められておりますけれども、あくまでもこれは漁業取り締まりあるいは漁業調整というふうに目的が限定されておりまして、その観点から採捕禁止、採捕制限を控えておるわけでございます。したがいまして、水銀に汚染された魚介類の摂取による人の健康被害、こういうふうなことを防止するために漁業法を援用して採捕禁止ということはやっていないわけでございます。
  84. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 どうも今私の耳が悪いのではっきり聞き取れなかったんですが、漁業取り締まりの法令は現在出されておりますか。
  85. 入澤肇

    説明員(入澤肇君) 自主規制をやっておりまして、熊本県におきましても都道府県漁業調整規則というのが制定されておりますけれども、それはあくまで漁業調整という観点からの規則でございまして、汚染された魚をとるとかとらないということについては規定されておりません。
  86. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 現実に汚染された魚が町で売り出されておるというのが事実であるといたしますと、そういうことがないようにするための措置がとられなきゃならぬのですが、これは法律を出すのは厚生省でしょうか、環境庁でしょうか。そういうことも御研究の上の法的措置はどうなっておりますか。
  87. 玉木武

    説明員(玉木武君) 熊本県衛生部におきまして、熊本県内の市場流通段階の魚介類につきましては、昭和五十七年では四百七十八検体、五十八年度では四百八十検体の水銀検査を行っておりますが、すべて暫定的規制値を下回っているというような報告を受けております。  それで、食品衛生法関係では、現在、食品衛生法第七条で規格、基準の設定を行うことができることになっておるわけでございますが、その第七条を受けまして、暫定的な規制値を設けて魚介類の流通を自主的に制限していただいておるというようにやっておるわけでございます。
  88. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは二年前の情報だから古いかもしれませんが、朝日新聞の水俣版の五十六年十月十九日の新聞ですが、それによりますと、熊本県の衛生部が発表したものとして、その年の二月に水俣市内の鮮魚店で買ったカサゴから総水銀一・九三九ppm、メチル水銀〇・五五〇ppmが検出された。そのほかの魚からも出ておるが、それは皆、規制値であるところの、総水銀の場合は〇・四ppmが規制値であり、メチル水銀は〇・三ppmが規制値であるが、その規制値よりもはるかに超えたものが検出されたと、こういうことが載っております。  それで、今あなたがおっしゃった県からの報告というのは何年何月の報告でございますか。
  89. 玉木武

    説明員(玉木武君) 先ほど申し上げましたように、昭和五十七年度、それから昭和五十八年度熊本県内で調査した結果によりますと、暫定的規制値を下回っておったという報告を受けておるわけでございます。
  90. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それよりも少し前の状況がそうでないという県の報告があるんですが、その報告は厚生省に来ておりますか。
  91. 玉木武

    説明員(玉木武君) 昭和五十五年度では一検体、それから昭和五十六年度では三検体、メチル水銀の〇・三ppmを上回ったものが見つかっております。  以上でございます。
  92. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そういうものが来ましたときの対策ですが、どうして最近のものが減ったのか、減るには理由があるはずですが、どういう対策をとられて減ったということになりますか。
  93. 玉木武

    説明員(玉木武君) そういうものが見つかりました場合には、どういう漁場から捕獲されたものが市場に出回っているか、いわゆる食品衛生の監視を徹底させまして、そのような魚介類が市場に出回らないように指導してまいってきておるわけでございます。
  94. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 もう少し具体的に、何年何月にどういうことをやり、年に何回、一月に何回行ったかというふうでないと、個々の一つの例を散発的に取り上げておやりになっても、現在の危険状態がなくなったという証明にはならぬわけですね。 どうですか。
  95. 玉木武

    説明員(玉木武君) 現在のところ、先ほど何度も申し上げておりますように、五十七年、五十八年度ではまずそういう規制値を上回るものが出なかった。これは先ほど申し上げましたように大体五百検体調査をいたしております。この五百検体という数字は、昭和五十年以降では一番多くの検体をとりまして検査した結果でございまして、我々としましては、五十七、五十八と五百検体近くのものを収去しまして検査した結果まず暫定規制値以下であるというようなこともございまして、まずまずの監視体制はとられておる、このように考えております。
  96. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 厚生省でおやりになっていることを聞いていますと、それは魚をとってきて陸上に上がっておる段階のものを取り上げて検査しているという状況でございますね。そのもとを絶つということをしておりませんね。海でとることを禁止すれば、一遍に片づくことを、とらしておいてそれを調べるということではどこに危険が紛れ込むかわからないでしょう。  私が最初お尋ねしましたのは、海で魚をとるということを制限する、そういう法措置をおとりにならないのかということをお尋ねしたんですが、どうですか。
  97. 玉木武

    説明員(玉木武君) 食品衛生法では、漁獲の禁止をするということはこれは困難でございまして、一応汚染されている地域を決めまして自主的な捕獲制限をお願いする。また、その問題につきましては水産庁サイドでも御努力をいただいておる、このように理解いたしております。
  98. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 水産庁にお尋ねをすれば、漁業調整上それはできない、それは水産庁の任務じゃないと、こういうお答えです。厚生省にお尋ねすれば、それは厚生省の任務でないと。そうすると、一体これは政府の任務になるとどこの省の任務になることになるでしょうか、お尋ねいたします。環境庁でしょうか。
  99. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 法律的に言えば、所管の問題になればこれは内閣等で調整すべき話かもしれませんが、便宜お答えいたしますと、現在の法制度とすれば、販売禁止をすれば一応目的を達成するというようなところから食品衛生法の体系ができているわけだろうと思います。例えば、これはホビーとして魚を釣るというようなことを禁止する必要はないんではないか、こういうところから現在の仕組みができておるわけでございまして、採捕禁止はあくまで漁業法上は資源保護、こういう観点からだけ採捕禁止をする。後は販売禁止をすれば一応国民の健康の保護の上では問題ない、こういうような観点から現在の法制度ができているんではないかと、かように判断しているわけでございます。
  100. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 毒物が搬入されるのを禁止しておりますね、法律で。麻薬の場合もそうですね。そういう人命にかかわるようなものについては日本の国に入れないという法律さえあるのに、海の上でそういう危険なものがあるのをおかに上げるということをなぜ禁止できないのか。これは当然起こる疑問でございましょう。  こういう国民の生命をむしばむようなそういう毒物を上げない、つまり魚をとらせないということが必要でしょう。現在そういう制限法規がないために、水俣湾の網を張ってある中で一本釣りが行われているという情報があるんです。魚をとるんです。これは漁業組合に入っていない漁師あるいは一般の人が船を持ちまして魚をとる。とった魚は自分は食べない、危険だから。売るんですよ。そういう事実があるということを聞いておりますが、そういう点についてお調べになったことがございますか。また、そういう問題を法規制する必要がないとお考えなのかどうか、お答え願います。
  101. 玉木武

    説明員(玉木武君) 御指摘の点十分理解できるわけでございますが、食品衛生法の関係では、販売ができないというような形をとっておるわけでございまして、いわゆる漁獲する段階のものはその食品衛生法の範疇に入らない。市場に流通する場合に販売を禁止させるというような形になってまいりますので、そうする形をとりますと、まさにとっても売れないということが期待できるというような形で運用いたしております。
  102. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 どうもそれは人間の欲望をないものという、神様と考えた御議論でおかしいのですが。  それで、海の上の話ですから、海の上のあらゆる法律を励行するのが海上保安庁であります。したがいまして、海上保安庁ではこの問題をどう考え、どういう取り締まりを行っておられるかお尋ねいたします。
  103. 吉田孝雄

    説明員(吉田孝雄君) いわゆる行政事犯に属するこのようなものの取り締まりにつきましては、それぞれ関係します行政機関とも十分に連携をとって取り締まりをするのが当庁の基本的な姿勢でございます。  御指摘の汚染魚の取り締まりの件につきましては、当庁としても関係の行政当局に問い合わせをしておりますが、先ほど来の御議論のとおり、現在のところ取り締まるべき法令がないというような現状でございますので、したがって当庁としても現在のところ取り締まりを実施しておりません。
  104. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 取り締まり機関が取り締まれないような情勢をつくっておるということは、これはやはり政府全般の責任ではないか。やはり閣議でも開いてどこでやるのか決めていただいて、取り締まり法令をつくっていただかないと困ると思いますが、この点について環境庁長官いかがお考えでしょうか。
  105. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 一応私からお答えいたしまして、さらに大臣から最終的に政治的な観点を含めてお答えいただきます。  私からお答えするべき性質の話かどうかでございますが、せっかくの御質問でございますのでお答えいたしますと、先生まさに法律についてはお詳しいので釈迦に説法でございますが、特定の行為を禁止するというのは国民のいわば自由を束縛するわけでございまして、やはりその目的との関係で必要最小限にとどめられるべき性質の問題であろうというふうに考えるわけでございます。例えば化学物質等につきましては非常に有害な物質いろいろあるわけでございますが、これは、例えば非常に残留性が高いとかいうような、害悪が非常に広範に及ぶような可能性のあるものについてはこれは製造について許可制がとられております。さらに、製造は自由であるけれども、その流通過程について一定の資格の要件のある者でなければ扱えないような毒劇法というような法律が用意されておるわけでございます。  それと同じように、漁獲等の行為につきましても、やはり行為の禁止というのは必要最小限にとどめられるべきであるというような観点から、例えば資源保護とかというような観点から漁業法あるいは水産資源保護法等で必要な規制措置が加えられているわけでございます。確かに先生の御意見は、かつて三十四年当時、特別立法によって漁獲を禁止せよという地元からも非常に強い要望のあったことは私どもも承知しているわけでございます。一つの御意見であろうかとは思うわけでございますが、現在の段階では、食品衛生法の体系とすればまあ販売禁止だけで足りるのではないか、かようなところから政府としては関係各省集まりまして自主規制措置ということを行政指導いたしているわけでございまして、かような考え方であることについて御理解いただきたいと思うわけでございます。
  106. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そういうことでありますと、もう魚一匹一匹について毎日一刻一刻お調べにならないと困るんですがね。そういう面倒なことをおやりになるかわりに、とられるのを禁止したらいいんじゃないかということをお聞きしているわけです。  この問題について長官の意見をお伺いする前に、湾のしゅんせつの問題について先ほど同僚議員からもちょっと話がありましたが、ヘドロが随分たまっているという話ですが、これはどういう状況でしゅんせつなさっておりますか。
  107. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 水俣湾につきましては、チッソ工場の排水によりましてヘドロが堆積されていることは御指摘のとおりでございます。これにつきまして、四十八年に環境庁の指導のもとに総点検をやりましたところ非常に高濃度の水銀が含有されているということから、そのヘドロの除去をいたすことといたしたわけでございます。  事業のやり方といたしましては、熊本県を事業主体といたしまして、運輸省第四港湾建設局を施行主体といたしまして五十二年十月に着工され、五十七年度までに仮締め切り堤、それから一工区の護岸及び余水吐きが完成いたしまして、五十七年度末から五十八年度の初めにかけまして試験しゅんせつが行われたところでございます。試験しゅんせつにより工事の安全性等が確認されましたため、五十八年六月から本しゅんせつにかかりました。五十八年度には埋立地の表面処理等を残しまして一工区のしゅんせつを終了することとしております。本年度は、前年度に引き続き二工区の護岸工事等が行われる予定でございます。全体の工事の完了は六十四年度を目途といたしておるわけでございます。  本しゅんせつ工事につきましては、地元住民からその安全性に疑問がありとして工事差しとめの仮処分の訴えが提起されたところでございます。この点につきましては、裁判所側から、一応現在の工事の進め方で安全性に問題なしということで訴えは却下されたわけでございますが、環境庁といたしましては、関係省庁とも相談しながら、工事の安全性につきましては、安全な上にも安全、慎重の上にも慎重な態度をとって進めるべく現在進めているところでございます。
  108. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今のお話ですと、しゅんせつも十分できていない、水銀を含んだヘドロがいっぱいだまっている。それを魚がやっぱり食べているんですね。網を張っておりましても小さい稚魚が出入りするそうですよ、網の間から。魚は、出入りしましてヘドロの水銀を食べまして外へ出て大きくなつでいくんですが、その水銀は赤ん坊のあれにはたまらぬのですかね。やはりたまるでしょう。そうなりますと、ヘドロも十分取っていない、魚をとってはいかぬという規則もない、そうしておいて、陸上で上がってきたら検査すればいいんだと、そういうことで本当にこの危険なものを防止できるかということは非常に疑念があるんでございます。  聞くところによると、取り締まり法令をつくると漁業補償を言ってくるので、漁業補償をするのは困るから取り締まり法令はつくらないんだと、こういうことを私は聞いております。人命尊重という点と、チッソが漁業補償代を払うという問題と、これはてんびんにかけてどちらを重要視するべきかということなんですが、どうでしょうか、この点について総括的なひとつ長官の御意見お伺いしたいと思います。
  109. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  ただいま局長の方からいろいろと水俣湾のしゅんせつの問題を申し上げたのでございますが、この水俣湾の今非常に水銀で汚濁された底質でございますけれども、それが水俣湾の中に今たまっておりますので、これをやはり除去して、そして魚が体内に水銀をためないような、そういうような湾に変えていかなくちゃいけない、こういうことからその除去工事を行っておるのでございます。現在におきましてはそれが進行中でございまして、湾の外海とのところには、湾内にたまっておる水銀が流出していくかいかないかその水質を調査をいたしまして、流出していないという状態において工事を行っておるのでございます。  そういうことでございますので、この工事の進行中は魚をとらないようにということで、御近所の方にも、御近所といいますか、湾内の水俣の方にもその他の方にも一応申し上げておりまして、とにかくとらないようにということで自主規制をしていただいておるのでございますけれども、この工事が完了いたしまして水銀を多く含んだ底質がなくなってしまいますと、これはそういう規制を解除するということに相なって、もちろん調査を十分にしてでございますけれども解除をすると、こういうことに段取りとしてなっていくと思うのでございます。  今現在、それを食べてどうもひどくなられる方があるんではないかという心配でございますけれども、これは厚生省の方でその販売しておる鮮魚そのものを調査をしていただきまして、そしてそういう鮮魚がないかどうかということについては取り締まりをしていただいておるのでございます。そういうことでございますので、今のところでは、水俣湾の外に出ております魚、大きい魚も小さい魚も込めてでございますけれども、心配のないという状態になっておりますのでそういう規制を湾外にはしておらない。湾内では、水銀を前に食べた魚がまだおるというようなことも考えて自主規制をしていただいておると、こういうことでございます。
  110. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今長官のお話で、最近食べておるかどうかということも調査しておるというようなふうにお聞きしたんですが、最近新しく発病した患者というものはおるかどうか、年月日。例えば、四十三年に政府見解が出ましたが、その後の発病状況で五十年以降に発病した者がおるかどうか、そういう点いかがでございますか。それがなければ安心なんですが。
  111. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  手元に今正確な資料がないので数字的なことは申し上げられませんが、先生お話のございましたように、五十年以降に新たに発病した人がいるかいないかというお話でございます。  水俣病につきましては、神経症状といいますか、末梢神経の知覚障害を主症状とした症状でございますので、そういう面では、症状の軽い方におかれましては、若い世代におきましては症状が発現しないというか、他の機能で代償されておって症状がなかなか見えなかったというような方もおられるわけでございますが、年齢が高まってくるにつれましてそういう面での症状が顕在化するといいますか、見えやすくなってくるというような方もいらっしゃるわけでございますので、そういう面で、多角的にといいますか、そういう症状が出たのをとらえる時点が人によっては早い時期の方あるいは遅い時期の方もいらっしゃいます。また一方におきましては、症状の発現の仕方が非常に遅い方もいらっしゃるわけでございますので、そういう面におきましては、症状が五十年以降に新しくいわゆる発現したという方もいらっしゃるだろうというぐあいに思っております。
  112. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 時間が来ましたので終わります。
  113. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この水俣病につきましては、県知事認定業務についてその体制と内容の改善をしていくことが大変重要だと思うんですが、問題はそれ以前のところにあると思うんです。前回私は、棄却が多い、死んで解剖しなければ認定されない、その解剖自体も危機的状況にあるということを指摘をしたんですが、きょうは、認定業務、またはこれに対する不服申し立ての審理の基本にある問題について質問をしたいと思うんです。これからの質問は、時間が余りありませんので端的に質問しますので、抽象的な答弁は要りません、具体的な答弁をお願いしたいと思うんです。  そこでまず、これは環境庁からいただいた資料によりますと、水俣病認定申請棄却処分に係る不服申し立ての問題ですね。旧法に基づく請求件数は五百九十九件、これに対して取り消し、要するに棄却処分が誤りだと認めたものが十一件、棄却あるいは却下、これが百五十六件、取り下げ二十三件、未処理が四百九件。それから新法になりまして、請求件数三百六十五件、取り消し四件、棄却百二十七件、取り下げ四十一件、未処理百九十三件。いずれも大変未処理が多いわけであります。これは全部環境庁の問題ですね。  これを前提にしてさらに次の問題。これもそちらの資料ですが、旧法に基づく不服申し立ての処理状況は、今申し上げた四百九件中、申請後五年以上経過したものが百二十六件、六年以上百二十八件、七年以上三十七件、八年以上二十七件、九年以上三件、十年以上二件。要するに、五年以上経過したものが、未処理四百九件中三百二十三件もあるんです。  まず伺いたいのは、どうしてこんなにおくれているのかということであります。
  114. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  この水俣病につきましては、非常に高度の医学的判断をもととして、非常に難しい病気でございますので、その判断といいますか診断が非常に専門的な知識を必要とするわけでございますが、このようなことで、先生御案内のように、第一審といいますか、県におきます審査会におきまして水俣病ではないというような判断を下された方々が、その判断に不満であるということで環境庁の方に審査請求が参るわけでございます。  環境庁といたしましては、そういう方々につきましては、その第一処分庁であります県におきまして、そういう処分をした考え方あるいはその資料といいますものにつきまして資料の提出を求めまして、その資料を審査請求委員の方にまたお渡しいたしまして、審査請求委員の方から意見といいますか反論書というふうなものも取り寄せる。そのようなことで、処分庁の御意見あるいは審査請求人の御意見といいますものを相互に取り寄せまして、そこでの意見の調整といいますか、意見をそれぞれ突き合わせるといいますか、十分吟味するというような作業をやっておりますし、またあわせまして、必要に応じては現地審尋という形で、現地に赴きまして審査請求人の意見陳述を承るというようなことをいろいろやっているわけでございますので、そういう面でこの環境庁におきます裁決の処分には非常に時間を要しておるという現状にあるわけでございます。
  115. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それは時間を要しているという現況の説明であって、なぜおくれたのかということの説明にならぬと思うんですね。  そこで、私は具体的に五人の方について伺いたいと思うんです。  一人は森枝鎮松さん。四十七年に旧法で申請し、四十八年棄却、そして旧法に基づく不服申し立てをしたんです。その後新法で再申請しましたが、五十六年にこれは認定になっています。ところがその前の四十八年の段階で、その棄却したものに対する環境庁への不服申し立て、ですからこれは申し立て後既に十一年たっていますが、まだ出されていませんですね。  それから坂本武喜さん。この方は、最近死亡後病理解剖で認定になった人ですが、四十七年に旧法で申請し、これも棄却に対する不服申し立て後十年以上たっております。  川淵末太郎さん。四十八年に申請し、五十一年棄却。これも新法で再申請しまして、死亡、病理解剖した結果五十六年に認定になっておりますが、やはり不服申し立てしてから八年近く経過してもなお未処理。  これは、最近上田長官のもとで裁決があった二件の中の鈴木イチさんですが、これは四十九年に旧法に基づく不服申し立てをして、やっと十年たって最近裁決。  村上福松さんも、四十九年に棄却、すぐ不服申し立てして、これも最近、原処分の棄却は妥当だという裁決ですが、棄却妥当だというのにこの二件はいずれも十年かかっておるんですね。  これはかかった事情は先ほど説明があったので繰り返して求めませんが、長官に伺いたいのは、既にこれはいずれも新法で認定になっている人ですね。だから明らかに前のは間違っておったんですよ。それを棄却という、前の段階のやつ棄却というんだけれども、それは後でまた保健部長には答弁求めますけれども、長官、こういう事態です。県の段階の問題については不作為の違法という判決がありましたけれども環境庁みずからがやはり不作為の違法をやっているんじゃないかという、そのことに関しての端的な反省がおありでしょうか。長官のお考えを聞きたいと思います。
  116. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  不作為判決を県が受けられたのでございますが、これは委任業務で国がお願いをしてやっていただいておるということでございます。したがいまして、国の方もこれはそういうことのないようにということで、今懸命にその対策を立てさせていただいて認定促進をいたしておるところでございます。
  117. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今提案されている本法はまだ国自身の認定の問題ですが、これは国に対する不服申し立ての処理状況、それがこんなにおくれているんですね。やはり国自身も不作為の違法という、こういうことを既に犯しているんじゃないかと思うんです。  そこで、今度は少し専門的になりますが、保健部長にお伺いしたいんですが、今申し上げた五件、これはいずれも新法で再申請認定されておるんですね。ということは、一つには、やはりずっと前の旧法による棄却が誤りだった。しかも、坂本さん、川淵さんについては、今申し上げたとおり、死んで解剖してそれでやっと認められたということですね。それが明らかになったんではないか。要するに、旧法による棄却の誤りが明らかになったんじゃないか。  それからもう一つは、この間、慎重になんて言いながら放置してきた環境庁自身の不作為状況が、新法による認定ということでその誤りが認められたんじゃないか、こう思うんですが、どうですか。
  118. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  まず先生のお尋ねの第一点でございますが、旧法時代において棄却になって新法になって認定されたということでございますが、私ども、県におきます審査、これは、ただいま問題になっております行政不服に基づきます裁決につきましては、いわゆる原処分主義ということでございます。申請がございました時点におきます検診のデータを踏まえながら県においてはその時点における判断をされる。私どもは、そのデータを県から提出いただき、審査請求人の御意見等も聞きながらも、その時点におけるデータに基づきまして判断をすることになるわけでございますので、そういう面で確かに審査請求がございましてから判断に時間を要します。非常に前といいますか、かなり古い時点における状況のデータを見ながら判断をすることになるわけでございます。  そのようなことで、第一回目におきます県の処分あるいはそれの同時点におけるデータをもとに踏まえまして、環境庁における裁決処分といいますのはそういうことで判断されるわけでございますが、その後に患者さんの方では病状の変化等を踏まえて再申請なされ、新しい時点におきますデータを踏まえてのまた判断が行われるわけでございますので、そういう面におきましては、環境庁の裁決のときのデータと、それから再審査請求におきますデータといいますものはおのずから異なるものでございますから、そういう面におきましては判断が異なることもあり得るだろうというぐあいに思うわけでございます。これは御案内のとおり、水俣病が、先ほどもお尋ねもございましたけれども、年齢あるいは経過に従いまして症状が発現してくることもあり得るわけでございますので、そういう事態も起こり得るということで御理解をいただきたいというように思っております。  それから、第二点の解剖所見のお話でございますが、解剖所見につきましても、臨床所見を裏づけする資料という形で私ども取り扱っておるわけでございまして、この解剖所見あるいは臨床所見等を総合的に判断した上で個々のケースについての認定棄却を行うわけでございます。このようなことで、先生から御指摘ございました個々の方々につきましても、時間的なずれといいますか、時間的な経過に従いまして判断をすべき資料が異なるということによります結果の違いであろうというぐあいに理解いたしておるところでございます。
  119. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するに、新法で認定になったのは、その後の症状の変化ということが今の説明だったわけですね。  そこでちょっと確認しますが、我々は新次官通知というのは後退だということでずっと議論をしてきて、それに対して環境庁側は同じなんだというんですが、きょうはその問題は別にしまして、この新次官通知について、その前提となってきた、その少し前の企画調整局環境保健部長の「後天性水俣病判断条件について」という通知がありますね。それによりますと、感覚障害、運動失調等々幾つかの症状を挙げて、それが全部出なくてもいいんで、幾つかの症状の組み合わせがあればいいということで、第二項の(2)のアからエまでそれが列記されていますね。だからこれはそれに当たればいいんじゃないか。だから、水俣病認定されるためには一つは暴露、それから本人の水俣病と見られる訴えが存在する、そしてあとは幾つかの症候の組み合わせということでいいんだと思うんですが、まずそれだけ簡単に確認しておきます。
  120. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先生から御指摘ございました五十二年七月の環境保健部長通知でございますが、先生からお話ございましたように、「有機水銀に対する曝露歴」、それから「次のいずれかに該当する症候の組合せ」ということで部長通知で示しているところでございますが、これらの症候あるいは暴露歴といいますものを総合的に、高度な学識と豊富な経験に基づく先生方のお集まりの場で総合的に判断をして、個々の申請者につきまして水俣病であるかないかの判断をしておるということでございます。
  121. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そこで、先ほど私が名前を挙げた五人のうち、村上福松さんと鈴木イチさんについて、ことしの一月三十一日に、上田長官の恐らく初仕事かもしれませんが、裁決がありましたね。要するに原処分は適法だったというんですが、これを見てみますと、最後の「判断」のところで、いずれも暴露歴があること、それから水俣病に見られることのある自覚症状を訴えているということを認め、その後こう言っています。「一方、同人の処分時の症候については、感覚障害、視野狭窄、眼球運動異常及び静止時振戦が認められ聴力障害が疑われる。」そして村上さんの場合には運動失調が疑われる、こう言っているんですね。となれば、私たちは後退したと思っている新次官通知によっても、先ほど申し上げた運動失調が疑われても、平衡機能障害あるいは求心性視野狭窄が認められればいいんだというんですよ。これは現に認められているんです。ところがこれを棄却ですね。  だから、先ほど部長は、その後新たな症状の変化で最近認定されたんだと言うんだけれども、大体我々後退したと思っている新次官通知の基準に合致しているやつ、それを最近棄却したじゃないですか。一体これはどういうことなんですか。  それから鈴木イチさんについては、これははっきりと運動失調は認められているんです。こういう場合、これは明らかにアからエのうちに完全に合致するんですよ。それをその後また典型的な感覚障害じゃないとか、余計な条件つけちゃったんですね。新次官通知さえ守っていないじゃないですか。一体これはどういうことなんですか。先ほどの部長答弁は、その後の症状の進行によって認められたと。とんでもないことです。もともと患者だったんだ、これは。
  122. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  感覚障害に関する御意見の違いではなかろうかなというように思うわけでございますが、私ども、有機水銀によります水俣病に見られます感覚障害と申しますのは、先ほどの五十二年七月の部長通知にも書いてございますけれども、「四肢末端ほど強い両側性感覚障害」、これが水俣病に見られます感覚障害でございます。こういう感覚障害でありますればそれは感覚障害が認められるということになろうかと思うわけでございますが、先生が例示されましたお二人の方々につきましては、そういう面での感覚障害ではなかったというようなことから、この方々につきましては水俣病ではないという県の処分が妥当であるといいますか、同じ判断で棄却処分をしたということでございます。
  123. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 最近この人々が患者認定されたというのは、今部長が言った典型的な症状があったから認めたんでしょう。なければ認めるはずないんですよね。となれば、当時はそいつを十分認識し得なかったんじゃないですか。それがほかの症状が全部ありながら感覚障害だけがその後発展したと、そんなばかな話はないんですよ。水俣病は全身病なんだからね。水銀の影響があるから既にほかの症状が全部あらわれておったんです。たまたまその当時感覚障害で今言ったような問題があったとしましても、しかしそれは全体から見れば水俣病だったんですよ。それがその後感覚障害だけがあなたが言ったような発展するはずないんですから。全身病なんだから。そういう意味では、大体あなた方が出したこの次官通知すら守っていないんですよ。  それで、私は、この水俣病患者の皆さん——時間がないからこちらで言ってしまいますけれども、本当に人間として扱われているんだろうか。こういうちゃんと後退したと思われているような通知がある。それで今まで棄却されている。多くなった。しかし考えてみたら、これさえ守っていないんだから棄却されるのは当たり前なんです。だから棄却が確実な検診を拒否するんですよ。受ければ棄却されて、わずか一年間でも医療費もらえないんだから。しかもそのことが極貧の状況にある人々にとっては耐えられない。だから、東京におったんじゃなぜ検診拒否するのかわからない。これが現状なんですね。  まさに私は、こういう本当に後退した次官通知すら守っていないという環境庁が、延長をして促進なんて言っているけれども促進なんかできるどころか棄却が余計ふえるだけだと私は思うんです。こういう批判に対してどうお答えになりますか。
  124. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように原処分主義ということでございますので、申請のありました時点におきます症状におきまして判断をそれぞれ行うわけでございますから、先生のお話のお二人の方々につきましては、当初の申請時点におきましては、そういう面での感覚障害がはっきりしなかった、明らかでなかったということから棄却処分されたわけでございますが、その後病状がはっきりしてまいりまして、そういう四肢末端ほど強い感覚障害があらわれたというようなことから、再申請の結果、審査会におきましての認定というぐあいに処分されたというぐあいに思うわけでございます。  そのような面で、私どもできるだけ申請のありました申請者方々につきましては、その症状を、患者状態を配慮しながら的確にとらえるべく努力いたしておるところでございますが、今後ともそういうような形に努めまして、できるだけ申請者方々の病状を的確にとらえるように努めてまいりたい。そういうデータに基づきまして審査会におきましてはそれぞれ専門の方々によります判断をしていただく。また、その結果におきまして申請者方々の意に沿わなかった場合におきましても、症状が加わる、あるいは明らかになった場合におきましてはさらに再申請をしていただきまして、もう一度きちっとした検診、審査を行って、患者さんにつきましては一人でも見落としのないような形の救済といいますか、そういうものについて心がけてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  125. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 問題たくさんありますけれども、時間来ましたのでやめます。
  126. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより本案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  128. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、自民党提出、衆議院送付の水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  改正案は、昭和四十四年から四十九年の間に熊本県などに認定申請した者で未処分の者が、本年九月三十日を限度として環境庁長官に対して認定申請ができるとしたものを、さらに三年間延長し昭和六十二年九月三十日までできることとするものであります。  臨時措置法施行後の四年間の経過を見ますと、本法の認定率は七十二名中二十名となっていますが、県を含む水俣病認定業務全体として見れば、この法律とセットで出された新事務次官通知発効後の患者認定率は、それ以前の半分以下に大きく落ち込んでおります。このことからも、本法律制定を含む当時の水俣病関係閣僚協の決定の本質が患者切り捨てにあったことは事実によって証明されているのであります。  今回の延長は、第一に、対象者が既に約四百三十名と現在の申請者全体の一割以下にまで減少しており、改めて延長することは形だけのものにすぎないこと。第二に、これが依然として悪名高い新事務次官通知とセットである点に変わりはなく、さらに、この新事務次官通知で確認されている基準にすら従わない環境庁のもとでは、今後この臨時措置法により事実に反した棄却がふえこそすれ、認定促進が期待できる根拠は全くないこと。第三に、認定業務は自治体の事務であるという公害健康被害補償制度の大原則を崩したものであること。第四に、棄却された場合、環境庁長官への異議申し立てが却下された後は行政不服審査の道が閉ざされていること。第五に、今回の延長措置は、国や県の怠慢による認定業務のおくれを不作為の違法とした判決及びこの判決に基づき国、県に対し認定待ちの待たせ賃を払えという判決など、一連の裁判対策と、県や患者に対し国も努力しているとの体裁を繕うためのものであります。  国や自民党が本当に認定業務促進するというのであれば、まず何よりも環境庁が、環境庁に対してなされた旧法に基づく不服申し立てに対して根拠もなく棄却している事態を強く反省し、旧事務次官通知から大幅後退した現行の新事務次官通知を撤回し、旧通知の精神に沿って進めること、熊本県などの認定審査会患者を日常的に診療している主治医を大幅に加えて、その機能を拡充強化すること、多くの患者から事実上棄却のための資料づくりと批判されている検診業務の実態や、患者に対する偏見に満ちた検診姿勢を根本的に改め、患者に十分信頼されるような方法に改善すること、認定申請者への治療研究費支給事業を一年経過のものに限定せず、申請即医療費支給の制度に改めることなどの措置を講ずるべきなのであります。このことをせずに本法律の三年間延長の措置によっては水俣病認定業務の真の促進とはなり得ないと思われます。  環境庁がこれらのことを直ちに実施するよう強く要請いたしまして、自民党提出、衆議院送付の改正案に反対の討論といたします。
  129. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、山東君から発言を求められておりますので、これを許します。山東君。
  132. 山東昭子

    ○山東昭子君 私は、ただいま可決されました水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び参議院の会、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように、全部が正しく救われるような精神にのっとり、左の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、昭和五十一年十二月の熊本地裁の確定判決趣旨を踏まえ、認定業務不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務に関し法の救済の精神を尊重して、患者との信頼回復に努めること。  右決議する。  以上であります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  133. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいま山東君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 全会一致と認めます。よって、山東君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、上田環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上田環境庁長官
  135. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして努力いたします。
  136. 穐山篤

    委員長穐山篤君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会