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1984-04-13 第101回国会 参議院 環境特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十三日(金曜日)    午後一時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 石本  茂君                 梶木 又三君                 藤田  栄君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 秋山 長造君                 片山 甚市君                 高桑 栄松君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁長官官房        審議官      大塩 敏樹君        環境庁長官官房        会計課長     廣重 博一君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁企画調整        局環境保健部長  長谷川慧重君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        防衛施設庁施設        部施設取得第二        課長       小澤 健二君        法務省民事局第        三課長      青山 正明君        文化庁文化財保        護部記念物課長  田村  誠君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    森下 忠幸君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    小林 康彦君        農林水産省農蚕        園芸局農薬対策        室長       岩本  毅君        通商産業省機械        情報産業局電気        機器課長     広野 允士君        気象庁観測部管        理課長      山崎 道夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害対策及び環境保全基本施策に関する件  )     —————————————
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは質問通告していなかったんですけれど、ちょうど時期になってきたので、一つだけ要望を兼ねて御質問したい件がございますので、それをひとつ長官に。  国立及び国定公園の中の道路の閉鎖、それから開始、こういうふうなのはこれは環境庁が所管するか何かそういうあれがあるのでしょうか。
  4. 山崎圭

    政府委員山崎圭君) 御指摘の点でございますが、国立公園あるいは国定公園の中を通っております道路を、特に雪が解けて、いつから開始するか、これはやはり一義的には道路管理者が決めることだと思います。そういうことでございますが、いろいろと実質的な下相談は現地管理事務所でもやっておるんだと思っておりますが、第一義的には道路管理者がいつから通すかということを決めていただく、こういうことだと思っております。
  5. 丸谷金保

    丸谷金保君 知床横断道路、具体的な問題なんですけれども、あれは毎年冬になると閉めて春になるとあけるんです。それは何かやっぱり環境庁の方が関係しているような話を前にちょっと聞いたことがあるんですが、どうなんでしょうか。余りあれですか。
  6. 山崎圭

    政府委員山崎圭君) ただいまお答え申し上げましたことだと思いますが、実質的には管理事務所もいろいろ相談に乗っているのだと思います。もし具体的にどうなっているかでございましたら、後ほどよく調べましてお答えさしていただきたいと思います。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは要望なんで、あるいは環境庁と直接関係がないのかもしれませんですが、毎年何日からあけるというふうに決めてやっているのです、それは雪の多い年も少ない年も。ことしのように雪の多い年は当然遅くなる。遅くなるというよりも、五月の初めだったでしょうか、というふうなことでいいと思うんですけれども、全く雪がなくていつでも通れるときでも閉めている、こういうことがあるんで、これはやっぱりそういった問題については地元の町村長の意見をできるだけ尊重していただくように、国立公園の中なので何かやはり環境庁にも関係あるという話を現地で聞きましたので、御配慮をいただきたいと思います。
  8. 山崎圭

    政府委員山崎圭君) 御趣旨承りましたので、よく現地と連絡いたしたい、かように思います。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 前回に引き続いての御質問になるんですけれども、先日環境庁から、兵庫県の水質状況あるいは環境状況等調査したデータをちょうだいしたんです。その中でBOD基準値が出ておりましたんですが、あれは一・二とか一・一というふうな数字で出ておったんです。四百九十ページから四百九十二ページにこれは出ておるということでちょうだいしている中で、BODの毎月の調査の結果が出ておるわけなんです。BODというものなんですが、私たちし尿処理場を経営しておりまして、そういうときに、たしかそこから出るのがBODでどれだけになるというふうな計算をして出していたと思うのですが、やっぱりそれと同じことなんでしょうか。
  10. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) し尿処理場排水基準につきましては、厚生省でも決められていると思いますが、BODあるいはCOD、いずれかの値で決めておりますが、私も今明確に記憶はしておりませんが、仮にBODで規定されておるとすれば、私ども公共水域水質基準に使っております。そのBOD測定方法その他合わせてあるはずだと思います。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、我々はし尿処理場なんかから排出する基準としてたしかこのBODを使っておったんですが、ちょうだいしたこれによると、河川そのものからくみ取った中での検出が出てい るんですね。そうすると、随分汚れているんだなというふうな感じを持つんですが、ここにある数字のこれからいくと基準としてはそれほど心配するものではないんですか。
  12. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 通常排水口から排水された汚水公共水域で希釈されるわけでございますから、通例で言えば、環境基準の十倍程度の値を通常排水基準に定めているわけでございます。  河川環境基準、ただいま先生の申されたBODで申し上げますと、AAと申しまして一番きれいな環境基準、これが最も望ましい水質ということになるわけでございますが、これはBODで一ミリグラム・パー・リットル、いわゆる一ppm。それから一番悪い、これがEランクでございまして、全体を六ランクに分けてございまして、その一番悪い六ランクEクラスになりますと十ミリグラム・パー・リットル、いわゆる一〇ppmと、かようなことになっておりまして、排水基準につきましては、これのおおよそ十倍程度ということで、BOD一二〇ppmということで定められているわけでございます。通常は、この河川環境基準の方が各排水口から排出されます汚水濃度よりもはるかに良好な水質であるように規定されているわけでございます。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 今BODCOD水質基準で二つのとり方があるというふうなあれなんですが、今水道水の場合は基準としてはどちらの方で……。
  14. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 御説明申し上げます。  水道水の場合は過マンガン酸カリウム消費量という指標を使っておりまして、これがppmで言いますと一〇ppm、正式には十ミリグラム・パー・リットル以下ということになっておりまして、大体CODと同じような内容のものをはかっておりますが、指標といたしましては過マンガン酸カリウム消費量というものを用いております。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、BOD調査に過マンガン酸カリウムですか、日本はそういう方式をやっているけれども、諸外国はクロム酸カリウム。そうすると検出される量というんですか、こういうものが過マンガン酸だと非常に弱くしか反応しないというふうに言われておるんですが、そのとおりなんですか。
  16. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 若干技術的な問題になりますので、水質保全局大塩審議官からお答え申し上げます。
  17. 大塩敏樹

    政府委員大塩敏樹君) お答えいたします。  先ほどお話BODと申しますのは酸素消費量を示すものでございます。過マンガン酸カリウム消費量と申しますのは、酸化剤でございまして、この薬品の消費量ppmであらわしたのが過マンガン酸カリウム消費量でございます。CODは消費された過マンガン酸カリウム消費量酸素に換算したものでございます。したがいまして、CODと申します場合は、その酸化剤種類によりましてCODの値が違ってくるということは事実でございます。ただ、過マンガン酸カリウムあるいは重クロム酸カリウム、その他酸化剤各国で使われておりますが、ものによりましてその酸化程度が違いますので一概には申せませんが、一般的には、重クロム酸カリウムを用いる方が酸化剤としては幅広い有機化合物酸化するのではないか、こういうように言われております。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 この間森下さんがテレビに出ておりましたね。あのとき主婦の方から、そうした問題について非常に心配して、たしかこれは東京都の浄水部長が、今の水道水は絶対心配ないから安心して飲んでいただきたいと、こういうふうなことをそのテレビの中で言われたところが、主婦の方から、一体、そうは言っても今の水質基準とかそういうものは変わらないのか、今安心して基準どおりだからと言っていても、これいつ変わるかわからないという心配を我々が持っている、これはどうなんですかという質問がありました。それに対してあなたは、当面はこれでいきますと、この基準でいきますと、ただいまのところは心配ないと。前置詞がついているんですよ。  そうすると、あれを見ていると実はますます心配になってくるんです。当面はこれでいく、この基準だと。そうすると主婦質問に答えていないんですよ。主婦は、今はこれでいい、安心して飲んでくださいと言っているけれども、この基準がいつ変わるかわからないんだけれども、変わらないんでしょうかと、こう聞いているのに対してあなたの方は、当面は変わりませんと。ということは変わるということでしょう。変わるかもしれないということを言っているわけなんですね。そうするとますますテレビを見ていて心配になってきちゃうんですが、どうなんでしょうね。ああいうときの答弁の仕方としてはあれよりないんでしょうか。かえってあれじゃテレビを見ていてみんな心配しちゃうんですよ。
  19. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) あの番組は実は生放送でございまして、時間が何分かおくれておりまして、私の御説明する時間がどうも後ろの方がなかったということも一つでございます。  あそこでお話しになりましたのは、トリハロメタンのことがずっとありまして、その他の一般水質基準のことについても私途中で御説明いたしました。厚生省の姿勢とか、今後いろいろ知見を集積することも申し上げました。  あそこで申し上げておりますのは、トリハロメタンにつきましては世界各国いろいろそれなりに基準をつくっておりますし、しかしその基準強制力のある基準というのは我が国とアメリカだけで、ほかの国のは勧告値とかあるいはガイドラインというふうなものである。WHOガイドラインというものを示しておる。それから、それらのすべての判断のもとになりました動物実験というのが、たった一つアメリカ国立がん研究所報告データであるということで、今のところこのデータで我々判断しておりますから、さらにもっと新しい知見が得られた場合には、しかも必要であればこれをさらに見直していくことがあるだろうと、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 今のお話前段でしていましたよね。テレビの中でも今と同じ話をしておったんです。だから、そのことはよくわかるんですが、非常に素朴な質問だけれど、それに対してはどうも余りはっきりしたお答えじゃなかったので、やっぱりああいうときには、国民が見ていて心配するようなことなく、もう少し、片方では部長さんは絶対大丈夫ですと、こう言い切っているのに対して、厚生省の方はいや当面とかなんとか、こう前置詞を使って逃げているものだから、やっぱり東京都の浄水部長さんより厚生省の方が皆偉いと思いますからね。だからそこのところは、ああいうときというのは非常にますます何かこう心配になってくるというふうな気がするんです。  そしてあの中で、日本の各地の、基準値以下ではありますけれども基準の一〇〇にやや近いくらいの状況が銚子、これはまあ季節によっても違うけれども、あるいは沖縄は基準値を超えるようなときもあるというふうなことで数字が出ておりました。驚いたことは全国全部。一体昔からこういう状態だったんですか。どうなんでしょう。
  21. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 前段の部分につきましては、実はまた明日出ることになっておりますので、きちんと説明したいと思っております。  それから実態でございますが、五十六年になりまして全国的な調査を初めていたしまして、それ以降五十七年、五十八年、毎年調査をさせております。したがいまして、それ以前の実態につきましては部分的なといいましょうか、悉皆調査ではございませんで、特定の水源を選んで調査したというものにとどまっております。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 こうした水質の問題については、結局水だったら厚生省だと、下水は建設省だというふうなことで分かれていますけれども水質をきちっとしていくということはまさにこれは環境庁の仕事だと思うんです。環境庁はまたそれらの水道水だけでなくて一般汚染状況発表しておりますし、それらの状況というのは、この前府中で私たち調査してきたような状況というのが いろいろ問題になっております。あの府中地下水汚染で、とめたというところまでわかっているんですけれども、その後原因はちっとも発表になった記憶ないんですけれども、どうなんでしょう、原因追求は。
  23. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 府中につきましては、実はあれは東京都独自でやられた調査だったかと記憶いたしますが、環境庁が昨年八月発表いたしました地下水汚染実態調査の結果に基づきまして、その汚染濃度の特に高かったもの、特にWHO暫定ガイドライン値を超えたような井戸につきましては本年度追跡調査をやっております。その結果はまた本年の夏ごろには発表できるかと思うわけでございます。  府中井戸につきましては、東京自身においてその汚染原因等検討しているんではないかと思うわけでございますが、私どもがただいま承知している範囲内で申し上げますと、近くに汚染源等も見当たらないので、その汚染メカニズムがどうなっているのか現段階ではつかみかねているというような状態であるというふうに現在のところでは私ども承知しています。その後東京都におかれてさらに検討は進められて、あるいははっきりしたある程度因果関係汚染源との因果関係が明確になったということも考えられますが、私ども現在承知している段階では特定汚染源は周辺にないというふうに聞いております。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 環境庁水質保全局で八月に発表したデータを私たちの方ちょうだいしてるんですけれども、こういうデータをちょうだいしても、今御答弁のありましたような原因追跡がはっきりされないと、これだけじゃ先ほども申し上げましたように心配がふえるだけで、ちっとも解決にならないんですよ。で、今の御答弁聞いてましても東京都の方でやってると。環境庁関係ないんですか。
  25. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 東京都につきましては、都が独自にやられたために、私どもの昨年十五都市について実施しました実態調査からは外していたわけでございますが、まさに先生おっしゃるとおり、汚染メカニズムがつかめない、汚染原因がつかめないことには手の打ちようはないわけでございまして、私どもは、五十八年度でございますね、あれは五十七年度の結果でございますから、五十七年度の結果について、五十八年度において特に汚染濃度の高かった井戸について追跡調査を実施しておりますので、その原因についてことしの夏以降には結果が取りまとめられますので、ある程度明確に御説明できるようになるんではないかというふうに考えております。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 これ全国全国と言いますけれど、それは確かに環境庁としては全国に網かけてやらなきゃならぬけれど、そうするとなかなかこれは進まないでしょう。具体的に問題として出てきたところを重点的に追跡調査をやるという方法はとれないんですか。
  27. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まさにおっしゃられるとおりでございまして、私ども千三百六十本の井戸について調査をやったわけでございますが、そのうち汚染濃度の高いものが、正確な数字を今ちょっと記憶しておりませんが、何%かでございますけれども、その井戸について追跡調査をやるわけでございます。まさに重点的にやっていこうと、こういうことでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体、ちょうだいしたあれだと三割くらいだったですね、数字的に言えば。それを重点的にやっていくと、それでことしの夏くらいまでにはある程度つかめると、こういうお考えですか。
  29. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 三割という数字確か検出率、およそ汚染されている井戸がそのくらいだったと思います。その中で特にまた濃度の高いものがあるわけでございまして、そういうものについて汚染原因追求しようと、こういうことでございまして、その他の点につきましては先生が今おっしゃられたとおりでございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうするとその三割の中からさらに絞ってやるということですね。大体どの程度おやりになるんですか。
  31. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) およそ五十本ぐらいでございまして、千三百六十の中の五十本ぐらいと、こういうことでございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあそれくらいに絞れば大分早く作業が進む。それでことしの何月くらいまでに一応の発表ができるようになるんですか。
  33. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 五十八年度に追跡調査をやったわけでございまして、それを取りまとめて分析した結果を発表するわけでございますが、昨年の例で申し上げますと、五十七年度に調査した結果を五十八年度の八月に発表できたわけでございますが、今回はその汚染原因追求というような面で若干検討を要すべき問題点もあろうかと思いますが、できるだけ早く公表できるようにいたしたいというふうに考えております。まことに申しわけございませんけども、現在その作業内容自身について私自身はっきりと詰めておりませんので、何月までということはこの段階では申し上げかねるわけでございますが、いずれにしても、そんなに時間をかけられるものではございませんので、はっきりしない答弁で恐縮でございますが、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣にお願いしますけれども、えてしてこういう調査は初めは勢いよく始まるんです。で、だんだんと原因が明らかになってくるに従っていろいろな要素が入ってまいりまして、いつの間にかこれは発表できるとかできないとかというふうなことが言われるようになるんです。今回は原因を明確にひとつ発表する、原因追求してわかった場合ですね、あるいは中間報告にしろ、そして原因除去の方へ今度入っていくということをこの機会に長官からお約束できませんでしょうか。
  35. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 非常に先生心配でございますが、私ども地下水調査を始めたのは、非常にそういう地下水は安全だと思っておりましたものが有害であるというようなことでございますと、これはもう大変な事故が起こる可能性もある、こういうことで調査を始めたのでございまして、その中に基準を超えたトリクロロエチレンとかいろいろなものが入っておるということがわかったので、それの対策をすぐに立てなければいけない。対策をまず立てさせて、それからこの原因追求と、こういう方に今行っておりますので、その原因は取り除かなければいけない、こういう方針で進んでおります。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから水道水質関係なんですが、基準値をつくるのに、いろんなトリハロメタン幾らだとか、こういうのが日本は非常に少ないんじゃないか。有害と思われる物質の入っている、検査のですね、何が幾らという基準をつくるのが非常に少ないんじゃないか。アメリカなどは六十幾つにもなっている。それはどういうわけなんだというふうな、これはあのテレビのときにもそういう説明は何かあったような気がするんですが、日本では一応水質基準の中では七種類じゃなかったですか。非常にアメリカの方が多くて日本は少ないと、そういうことはございませんですか。
  37. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 御説明いたします。  先ほども申し上げましたとおり、水質基準について強制力を持たせましたやり方をとっておりますのは日本アメリカでございますが、日本の場合ですとこの水質基準水道法では二十六項目、二十七の物質について定めておりまして、このほかにトリハロメタンとか、それから先日暫定的に定めましたトリクロロエチレンなど、こういうものを入れますと三十を超える物質を規制の対象としております。  参考までにアメリカの場合を申し上げますと、アメリカでは強制力のある基準として健康項目十九項目、それから公共の福祉の観点から、これは強制力はございませんけれども、十二項目ということで大体同じような項目かと思います。他の国ではガイドライン、それから勧告値、こういうふうな形で数値は示しておりますけれども、それがすべての水道に適用するとかそういう形にはなつ ておりません。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 水道の問題については塩素問題等もいろいろ、我々も水道の管理していまして、とにかく必ずこれだけは入れなさいというふうに言われた。しかし、この間のテレビなんかを見ていても、あれはアメリカが来て強制的にやらしたことだと、ミュンヘンなんかはアメリカの占領が解除されたらまたもとへ戻したというふうなことも出ておりましたね。どうなんですかね、あの塩素の問題というのは、逆にあれが今大変心配されるというふうなことになってきているんですが、かわるべき措置というのは不可能なんですか。
  39. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 塩素を用いますのは、やはり殺菌力が強いということと、それからその効果がずっと保持できるということで決めておるわけでございます。そのほかの方法があるかと申しますと、オゾンを使うとか紫外線を使うとか、あるいは過マンガン酸カリウムを使うとかありますけれども、これはその場限りといいましょうか、そこの汚染対策になりますけれども配水管の中でさらに何か汚染が起こったとかいう場合には対応できないというふうなことで、塩素を使うということは私どもこれは今後続けていくということになると思います。  ただし、塩素の注入量をもっと減らすことができないかどうかというふうなことは、これは恐らく先生テレビでごらんになったと思いますけれども、浄水場の前の方で入れます塩素と、それからその後で仕上げに入れる塩素とございますから、前の方で入れます塩素についてはいろいろ工夫してほかのものにかえるとか、こういうふうな研究も実は厚生省としてもやっている次第でございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは私の経験なんですけれども、表流水だけでやっていたやつを地下水くみ上げも入れることにして、検査しますと、地下水の力にはほとんどそういう塩素を必要とするような問題がない。ただ水がまずいという面もあって表流水とませますけれども、そうすると、特に東京都の西の方なんというのは地下水のくみ上げで非常においしい水が出ていたのに、今のような問題が起きてきて利根川の方から取るというふうなことが進んできましたね。例えば武蔵野市の桜上水なんというのは四万トンくらいのくみ上げ井戸だったと思うんですが、ああいう場合には前処理としての塩素は要らないんですか。
  41. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 先生御指摘の井戸につきましてただいま資料を持ち合わせておりませんが、原水そのものが大変きれいであれば前処理としての塩素はもう入れなくても、必要ないか非常に少なくて済む。昔は入れておらなかったわけでございます。昔はなぜ入れておらなかったかというのは、原水がきれいでありましたから前処理のためには塩素を入れない。それで後の消毒の効果を保持するということで若干入れておったということでございますから、きれいな水であればおっしゃるとおり前の方の塩素は必要ないというふうに考えております。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、やっぱり汚染源をたたいて昔のようなきれいな水に日本列島を戻していくということが、国民がデパートで水を買って飲むというふうなことのないような方向に持っていかなきゃならぬということになってくるんじゃないか。その点で環境庁しっかり頑張ってもらわなきゃならぬと思いますので、現在の地下水汚染がどうして起こってきているんだということについて、頑張っていただきたい。これは要望ですが、申し上げておきます。  それから、たくさんあるんでどれをこの時間で取り上げたらいいかと思うんですが、農薬の問題ですが、林野庁は最近苗畑のMOを使うことをやめたんです。今のところ農林省はまだこれは認めて使っておりますね。同じ農林省の中で実はどうしてそういうふうに別々の考え方を持つのかということだけちょっと聞いておきたかったんですが。
  43. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 御説明申し上げます。  農薬につきましては、農薬取締法の規定によりまして、さまざまな観点から安全性を評価した上で私どもは登録を認めているという状況でございます。CNP除草剤につきましても同様な手順を踏んで登録を認めておるものでございますけれども先生御指摘の、林野庁の方ではこの除草剤の使用をやめたのではないかということでございますが、私どもが承知しております範囲内で申し上げさせていただきたいと思いますが、国有林野の現場での農薬の選択と申しますか使用につきましては、それぞれの地域性を十分考慮し、あるいはその地域の植生といったものも十分その選択のための判断材料の一つとして使っておるようでございまして、こういうような総合的な判断を現地でいたした上でCNP除草剤を使うとか使わないとかというような判断をいたしているというふうに聞いております。  それではほかの場面で使っているではないかということでございますけれども先ほど申しましたように、CNP除草剤の安全性について私どもは十分な検討をした上で世に送り出しているというふうに考えております。現時点でその使用を中止するという考え方はございません。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題は衆議院の方で大分細かく論議をされて、結果として安全性の問題についての調査の資料等を農林大臣が国会に提出すると約束になりましたですね。あれはどうなったんでしょうかね。もしできてればちょうだいしたいと思うんですけれども
  45. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 御説明申し上げます。  一昨年の国会であったと思いますけれども、CNPの安全性に関するデータの公表につきまして議論がなされた経緯があるわけですけれども、その際当時の農林大臣からは、こういった安全性に関するデータは、企業といいますか、農薬の申請者がその総力を結集してつくったいわば貴重な財産であるという観点から、その公表につきましては企業みずからが判断すべき事柄であるということをお答えしております。ただ、企業側としてあるいは申請者側としてそういったデータの中で出せるものがあれば出してほしいということは申請者に対して申し上げるという答弁になっております。私どももその当時の考え方は変わっておりませんで、こういったデータは、先ほど申しましたように、企業が相当の長年月あるいは総力を結集してつくったという観点から、そのデータの公表については企業のあるいは申請者の判断にまつべき事柄だろうというふうに考えております。  なお、私どもはそういったデータは登録検査のために提出を求めておるものでございまして、私どもが直接そういったデータを公表する立場にはないということを申し述べさせていただきたいと思います。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのとおりなんですが、ただ、大臣が、企業にデータの提出を依頼する、頼むというふうにあのときおっしゃっているんですよね。そうしますと、少なくとも大臣が頼めば出すだろうということで一般はみんなこれは出ると期待したんです。簡単に言いますと、大臣は依頼したけれども企業に断られた、こういうふうに理解していいわけですね。
  47. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) その後申請者の方からは、一・三・六・八TCDDに関する長期毒性のデータの学術雑誌への公表の行為がございました。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは部分的にということですか、今のお答えは。
  49. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) そのとおりでございます。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 やっぱりそうすると肝心な、問題のあるようなやつは出さなかったというふうに理解せざるを得ない。私たちはあれでもってデータを出して一件落着すると思っていたんです。しかしその後ちっともそういうあれがないものですから今お聞きするんですがね。しかも、一方では林野庁、これはいろんな問題があっておやめになったと思うんですけれども、使わないような形がある。それからまた、当時農水省から農業団体を通じて関東の農協その他にはMOを余り使うなというような指示が出されたとか、いろんな風聞が乱れ飛びました。  これは環境庁長官にお願いするんですけれども長官、今農林大臣が企業に依頼したけれども肝心なもの出てこなかったということの答弁があったんです。環境庁の方がそういうことについてしっかりやっていただくということでないと、せっかくの環境のこの委員会というものが有名無実になっていってしまいますので、これから何回もこういうふうな問題を取り上げていきたいと思うんで、農林大臣のように、依頼したけれどもだめでしたということのないように、環境庁長官の立場でのこれからの資料公開等について全力を挙げて頑張っていただきたいと思うんです。そのことについてひとつお答え願いたいと思います。
  51. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいまの御質問は、農林大臣にお話をいただいてのものでございますが、資料公開だと思うのでございます。そういう問題につきまして環境庁としては、まあこれは農薬の問題でございますので直接には関係するわけにはまいりませんのですが、農林大臣の方によくお話を申し上げて、どういうことかお聞きをしたい、こういうふうに考えております。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は長官、農薬の問題は農水省だと、それから食品添加物の問題だとか殺虫剤、そういうものは厚生省だというふうなことでみんなやっていますわね。しかしこれが地下水汚染とか何とかの原因として出てきますと、これは農林省の問題だと言っていられなくなるはずなんですよ。そのことがあるんで私きょうはこの問題をずっと申し上げたんですが、やっぱり環境庁としてほっておけない段階がいずれ来る。そのときには、いやここから先は農林省だなんて言わないで、やはり環境庁として毅然たる態度で臨んでほしいという意味で実は御質問申し上げたんで、もう少しきちっとお答えを願いたいと思うんですが。
  53. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 大臣への御質問に大変差し出がましくて恐縮でございますが、一応事務的な私どもの考え方を申し上げまして、大臣からお答え申し上げます。  先生もよく御承知のように、農薬の登録に関しまして環境庁は登録保留基準をつくっているわけでございます。したがいまして、そのような見地から私どもとしては、このCNP問題については一つは生物濃縮の問題があるわけでございます。農水省におかれましてはもちろんCNPそのものの安全性は十分確認の上登録されているわけでございますが、環境庁の立場といたしましては、一つは、このCNPが環境中でどういうふうに変化していくか、特に生物濃縮が行われて魚等で濃縮されることがないかどうか、このような観点からのチェックを一回やってみたいということで、五十九年度予算要求をし、お認めいただいております。  それからもう一点は、このCNPの中に今御指摘のように不純物として一・三・六・八ダイオキシンが含まれているわけでございます。農水省におかれては、不純物を含むものとしてCNPのチェックを十分やっているので安全性に問題はないというふうに言われておるわけでございますが、もちろん農水省のそのような判断を環境庁としても尊重するものではございますが、念には念を入れてということで、農薬中の不純物について、不純物を不純物としてチェックするようなシステムを勉強したいということでこれまた五十九年度予算に措置されているわけでございます。私どもとしては、そのように私どもの与えられた権限の範囲内で十分この問題、安全性に問題のないように最大限に努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
  54. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいま局長の方から答弁をいたしましたが、農薬として扱われるそのときには安全であっても、それが出まして、水俣病のように凝縮してそれがために害が及ぶというようなことが河川水で、また湖沼水で、あるいは海水中にそういうことが起こることになるのでございますと、これは環境庁でございますので、常にそういうことに対して環境庁は注意をいたし、心配があるようでしたら直ちにこれは農林省に申し出ましてこれをやめていただく、そういったような手段をとらしていただくようにしております。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 前回も申し上げたんですが、くどいようですけれども心配が出たときでは遅いんですよ。だからもう一歩環境庁の行政としては踏み込んで、そういうおそれのあるものを先へ先へやっていっていただく、こういう姿勢で頑張っていただきたいということを申し添えまして、きょうは私の質問を終わらせていただきます。
  56. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは環境庁長官に対してまず冒頭に質問したいと思います。  環境庁設置法第三条及び自然環境保全法第一条ないし第四条に明記されておりますところの目的、理念、責務等について長官としてどのように受けとめられ、職責を果たされるおつもりか、冒頭にお聞きいたします。
  57. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 国民の健康を保護いたしまして、そうして生活環境を保全をするという使命を国は持っておるのでございますが、また、公害の防止や自然環境の適正な保全のための基本的かつ総合的な施策を策定をいたしまして実施するということが国の責務となっておるのでございます。  環境庁は、この環境の保全に関する行政を総合的に積極的に進めまして、そうして国の行政の機関としての任務を果たすということでございます。法令の定めるところによりまして、環境の保全に関する基本的な政策の企画、立案、推進、また関係行政機関間の事務の総合調整ということを行うことを所掌事務といたしておるのでございます。環境庁といたしましては、国政における基本的、不可欠な課題を担当しており、その果たすべき役割は大変に重要な任務であるということを認識をいたしております。  私、環境庁長官といたしましては、与えられた任務を積極的に全うをするべく全力を挙げてやらせていただく覚悟でございます。
  58. 片山甚市

    ○片山甚市君 今大臣は、「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進する」という設置法の目的についての決意を述べられたと思います。  そこで若干大臣から、答えにくいかもわかりませんが、そのお気持ちについてただしたいと思う、それは本当のことかどうか。  ここに一通の手紙がございますが、これは和歌山県日高町に居住し漁業に従事する一町民からのものであります。その人が、御承知のように、関西電力が日高に原発を建設するに当たっての一住民の意見ですが、「前略 余りペンを持ったことのない私ですが、静かで平和だった私たちの地域が、昭和三十五、六年から今日まで、公共事業に名をかりた電力会社の策謀により、行政と政治が一体となって暴力的にやってまいりました。その真実と私たちの願いをぜひ聞いてください」という書き出しで、関西電力が日高町に原発を建設する計画について一町民の立場から、その発端、その後の推移、現状と問題点を切々と訴えておりますが、原発建設に当たり地域住民をどのように巻き込んでいったのかを告発しておりますが、本問題について環境特別委員会でいずれ内容についてはお聞きいたしますけれども、三月の定例日高町議会では原発の事前調査に関する問題が取り上げられているので、環境庁としてはそのことについて事実関係をどういうふうにお知りでしょうか。
  59. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 日高原子力発電所の計画でございますが、これはまだ具体的に環境庁の方には何も御連絡がないのでございます。したがいましてその内容については承知をしておりませんが、しかしながら、電源開発調整審議会に上程されるようになってまいりますと、これはその委員に当庁の者がなっておりますので、必ず意見を求められてくるのでございます。したがいまして、その段階におきまして環境保全上にこれはどうであるかということを十分に審査をいたしまして、そうして適切に対処していく段取りになろうかと思うのでございます。そのときには私ども懸命になってやらしていただきます。
  60. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣の心組みを聞きましたが、こ のような、町民の意見が二つに分かれて三十五年から議論をしておるということでありますが、原発建設推進の立場に立つ人たちはともかくとしても、このような問題意識を持っておる人たちの意見については、その一つ一つについて解明をして納得をするかどうかは別としても、納得してもらえるように努力することが大切だと思いますが、いかがでしょう。
  61. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ちょっと中身が私どもはわかりませんので、今ここでどうだということは申し上げられませんが、これは担当をしていただいておりますのは科学技術庁になろうかと思いますが、科学技術庁の方でそういう納得を十分していただくようにもちろんいろいろな手続をし、また御意見を聞くようにされるというふうに考えております。
  62. 片山甚市

    ○片山甚市君 やはりトーンが低くなるんですが、環境についての総合的な調整をし、それに対する施策をするのが環境庁でありますから、あらかじめ原発建設が予定されておるんでありますから、それについては十分に理解をして住民の声は聞いてもらいたい。  そこで、これだけで時間をとるわけにいきませんから、若干読み上げてみます。  手元にある手紙によれば、「私たちは原発を持ってきてもらいたくない。そんな声に、関西電力と行政が一体となって土地を手放すようにしむける計画をしたり、暴力団まがいの者が介入したり、関係する比井崎漁協の不正融資事件に関与した役員たちは全部いわゆる推進派の者であったり、自主再建に努力している漁民に対し、事前調査受け入れを誘導するがごとき関西電力の高額預金がなされたり、目に余る手段を使い、その関電と行政が仕掛けたわなに無知で非力な町民がはまり、そのしりぬぐいをさせられているのです。私たちはこれからも命と財産をかけて一生闘う覚悟です。」とあります。  それで、私が申し上げたように、その是非の問題の前に、一つ一つそういう事実関係については解明をする時間をかけて、そして納得のできるように努力をしてもらいたい。紛争を起こしてから建設することがないように大臣の方で御努力を賜りたいと思うが、いかがでしょうか。
  63. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 電源開発調整審議会におきまして、今の環境の立場において参画をしております局長の方から具体的に説明をさせたいと存じます。
  64. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) ただいまの先生の御趣旨よく理解をさしていただきましたが、基本的には、先ほど大臣が申し上げましたように、従前からこの種の問題につきまして、私ども事務当局といたしましては、電調審のレベルで物を言いますときに、きちんと環境面からのいろいろな検討結果について意見を申し述べることになっております。  それから、先ほどちょっと先生がお触れになりました調整の問題でございますが、私ども環境庁といたしましては、公害の防止、それから自然環境の保全といったような意味の環境の問題を手がけておるわけでございますが、そのような、制度的に、原子力については原子力基本法に基づく他省庁の所管になっておりますので、安全性そのものについては私ども調整をする権限もございませんので、先ほど大臣が申し上げたようなことになっておりますので、その点ひとつ御了解賜ればありがたいと思っております。
  65. 片山甚市

    ○片山甚市君 念を押しておきますが、「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、」目的はそうですね。いわゆる環境の保全に関する行政を総合的に推進するということでありますから、何と言われても、環境庁の仕事は国民の健康を守るために環境保全をするんだということについて、間違いないと思うんです。それについて、原子力発電について、いいか悪いかじゃなくて、その疑念について解明をしてもらいたいと思います。  それで、国務大臣としての御答弁先ほど承ったので、環境庁はそういうお仕事でしょう。あなたは環境庁長官ですが国務大臣ですから、大局的に見て国民の健康を増進させるように、原発ができるから健康がおかしくなる、ならないという議論でなくて、そういう環境についての保全をきちんとするということについてはここでしかと承っておきたいと思いますが、大臣いかがですか。
  66. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先ほど申し上げましたように、環境庁環境の保全に関する行政を総合的に推進することを任務といたしておりますので、そういう観点において、実は、環境庁先ほど申し上げました審議会に所属をいたしまして環境に関する問題を審議をさしていただいておると、こういうことでございますので、その時期におきまして環境庁やらしていただきます。
  67. 片山甚市

    ○片山甚市君 科学技術庁の責任とかその他のことについて本日は聞くのじゃなくて、繰り返して言いましたように、環境庁長官として、健康で文化的な生活を送れるためにきちんと環境保全をするように、私は繰り返しここで五回ぐらい同じことを言っているんですが、申し上げておきます。どうせそう言っても、おれは所管外だ、これはもう別のことだと思われたら、これ以上聞くことありません。  そこで話を変えます。前の委員会で議論をしました土壌汚染について、御承知のように乾電池の問題がございますから、これについての御質問に移りたいと思います。  まず、廃棄物処理における乾電池の含有する水銀等についての重金属の影響が議論がありました。そこで使用済み乾電池の現状をお聞きしたいのですが、水銀を含有する乾電池は今日まで何年間、何億個ぐらい消費されていると推計ができますか、まず一つ。二つ目に、ここ数年の乾電池の生産量は種類、年度別にどれほどでありますか。三つ目は、乾電池一個の水銀含有量及び年間の水銀消費量は何トン程度でありますか。まず冒頭に三点を御答弁を願いたいと思います。
  68. 広野允士

    説明員(広野允士君) お答えいたします。  乾電池の用途は非常に多岐にわたっておりまして、また乾電池は非常に古いものでございますので、全体といたしましてどれくらいになるかというのは、現在のところ私どもデータを持ち合わせておりませんけれども、昨今非常に需要量が伸びてきておりまして、最近の情勢について申し上げますと、五十七年のデータでございますけれども、生産量といたしましては約二十六億個つくられております。そのうち国内流通量、輸出がなされておりますので、国内流通量は十四億個でございます。  また、一個当たりと申しますか、一個当たりの水銀含有量でございますけれども、いろんなタイプの乾電池がございますので一概には申し上げられませんが、例えばマンガン電池、単一マンガン電池でございますけれども、この場合は一個当たり千分の三グラム含まれておりますし、水銀電池では一個当たり〇・六グラム含まれております。  以上でございます。
  69. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、年間の水銀消費量は何トンぐらいになりますか。
  70. 広野允士

    説明員(広野允士君) 水銀使用量でございますけれども、生産量全体に対しまして、水銀使用量は五十七年のデータでは約百七トンでございます。そのうち、輸出分を引きまして国内流通の水銀使用量でございますけれども、約五十五トンというふうに考えております。
  71. 片山甚市

    ○片山甚市君 わかりました。  それではそのことについてですが、家庭用器具、例えば蛍光灯などで水銀が使用されておるんですが、年間の消費量はどの程度と推測されますか、家庭用器具。
  72. 広野允士

    説明員(広野允士君) 家庭用機器だけに限定しましてのデータの持ち合わせばないわけでございますが、乾電池は、例えば懐中電灯あるいはトランジスタラジオ、時計、携帯時計、また玩具、補聴器等非常に多岐にわたって使われております。そのうち家庭用というのをどれぐらいというのは、現在のところデータを持ち合わせておりません。
  73. 片山甚市

    ○片山甚市君 生活用具として広範に使われていることは承知しておるんですが、それでは、乾電池の用途で一般的に利用されているものについて、どういうものが大体ポピュラーにあるか、少し並べてください。
  74. 広野允士

    説明員(広野允士君) お答えいたします。  まず、灯火用ということでは懐中電灯あるいはキャップライトというようなものに使われておりますし、家庭電気製品ではトランジスタラジオあるいはテープレコーダー、ワイヤレスのマイク等に使われております。また、ひげそり器あるいは鉛筆削り器、卓上計算機、置き時計、玩具類でございます。また補聴器あるいは医療用の機器、カメラ等、非常に多岐にわたって利用されております。
  75. 片山甚市

    ○片山甚市君 私たちの生活には乾電池がなければ大変不便な状態のものであり、しかも水銀を使っておるということで、その使用量も先ほどの御説明のとおりでありますから、これは非常に重大な関心を持たなきゃならぬ。先日も言いましたように、水銀は蓄積をする関係から後日において健康被害の問題等、この間も話がありますように、土壌汚染等の問題が顕在化するのに月日がかかりますが、それを治すことは大変困難になるということで認識を新たにしたところです。  そこで、そのような使用済み乾電池のうち、回収を実施してきたのはどういう種類のもので、いつごろから実施しているのか、なぜ回収をやる必要があったのか、その実績はどうなっておるかについてお答えを願いたいと思います。
  76. 広野允士

    説明員(広野允士君) お答えいたします。  最近乾電池の使用量というのは非常に多くなってきておりまして、ただ、私どもといたしましては、乾電池に含まれております水銀による公害の事例というのは現在のところ承知していないわけでございますけれども、使用量が非常に拡大をしてきております観点、また未然に公害防止をしたいという観点から水銀乾電池の回収強化というのを業界に要請いたしまして、業界でもその方向で回収を強化するということになったわけでございます。  これは本年の一月に私ども業界に要請をいたしまして、今年の二月から業界は、全国にございます家電小売店あるいはカメラ小売店、それと補聴器等の販売店、全国十一万店に、水銀ボタン電池、ボタンのような格好をしております電池でございますけれども、水銀ボタン電池につきまして、それを小売店に持ってきてもらえば、販売ルートを逆ルートにたどりまして回収をするという措置を講じたわけでございます。そのほか筒型の乾電池につきましては、アルカリ乾電池でございますけれども、水銀使用量を三分の一に減らす研究をしておるところでございます。
  77. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、使用済みの乾電池の回収については、将来の汚染をなくするために予防的に措置をとっておるというように理解をしてよろしいですか。
  78. 広野允士

    説明員(広野允士君) 現在のところ、乾電池の水銀によります公害発生事例というのは私ども承知しておりませんが、需要量がどんどんふえてまいりまして水銀がどんどん多くなってまいりますということになりますと何らかの影響があるかもしれないということで、それを未然に防止するという観点から先ごろそういう措置を講じたわけでございます。
  79. 片山甚市

    ○片山甚市君 それから、使用済みの乾電池を回収していくところのルートはどういう処理をされておるんですか。今日、使い捨てになる、使って済んだ乾電池はどのように処理をされておるようですか。
  80. 広野允士

    説明員(広野允士君) ボタン型の水銀乾電池につきましては、販売ルートを逆にたどりまして、それをメーカーが、そういう乾電池を専門に廃棄物として処理いたします廃棄物処理業者があるわけでございますが、そこへ持ち込みまして廃棄物処理をしてもらうということでございます。
  81. 片山甚市

    ○片山甚市君 通産省の方は余り熱心でなさそうでありますが、埋め立ての場合、外装の部分まで水銀またはカドミウムが漏れてくるのは、どの程度の時間で漏出をしていくのかということについての想定は、研究はどういうことをされておりますか。
  82. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) お答えいたします。  乾電池だけ埋めました場合にどうなるかにつきましては十分のデータがございませんで、工業界においてこれから調査をされるということで計画が進んでおります。  なお、現在埋めておりますのは、普通のごみの中にあります状態で、乾電池が散らばっております状態でごみとして埋めておる都市がかなりございますが、それらの場合につきましては、最終処分場といいます遮水工を備え、それから出ます水の処理をいたしまして、最終処分場から外の環境へは定められました基準以下の水の状態で排出をされておりますので、その排出の基準を上回るような形での溶出はないというふうに考えております。
  83. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、厚生省が今お答えになったんですが、焼却処理の場合、処理場周辺における大気中の有害物質汚染濃度は、現在値においては許容基準を下回っているので大丈夫だというふうな説明環境庁調査してやられておるそうですが、これについての考え方をもう一度確かめたいと思います。
  84. 林部弘

    政府委員(林部弘君) お答えいたします。  今先生からお話ございましたのは、私ども昭和五十七年に全国的に総点検的な形で全国の居住地域を対象にいたしまして調査をいたしました。地域の数は、大都市圏、中都市圏の居住地域あるいは田園地域等を含めまして百八十五地点におきまして夏及び冬に調査を行ったわけでございます。その結果、全地域での測定値と、それからごみ焼却場が五キロ以内に存在していることがわかっております十五地点の調査の値を比べてみますと、いずれも同じ程度のレベルにございまして、実際に検出されました数値は、WHOが示しておりますクライテリアのガイドラインの数値よりも大幅に下回る状況であったということに基づきまして、現在の段階では高度に汚染が進んでいるというふうには考えられないのではないかというふうに先般発表したということでございます。
  85. 片山甚市

    ○片山甚市君 憂慮すべき状態でない、高度に汚染されていないということでありますが、そのような状態をつくらないことが環境庁の仕事であり、厚生省の仕事であると思いますが、それに間違いありませんか、大臣。
  86. 上田稔

    国務大臣上田稔君) そのとおりでございます。
  87. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、使用済み乾電池は、水銀等の有害物質による環境汚染が取り上げられる相当以前から有害なものであるとして注目されていたという事実はお知りでしょうか。使用済み乾電池が有害だということを今日言われる以前から注目されておったということについては知りませんか。
  88. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 乾電池の中には水銀が入ります前からいろいろの金属類がございますので、廃棄物処理の立場からはそれらの物質につきましては関心を持っていたところでございます。
  89. 片山甚市

    ○片山甚市君 私の手元の資料によれば、マンガン乾電池が大量投棄された周辺地において、死者まで出た集団中毒事件が昭和十四年の暮れに神奈川県であったと報ぜられており、その当時の責任者が文書を書いて発表していますが、その対策としては、埋立処分するのではなく、回収、再資源化をする方法が指摘されておりますが、こうした指摘に対し、行政あるいは製造業者等の措置についての沿革はどのような措置をとられたのか。神奈川県で二人ほど亡くなり、たくさんの人が中毒状態を起こして記事になりましたが、そういうことが昭和十四年、今申しましたのはマンガンの乾電池でありますが、そういうような事態があったことについてお調べを願ったでしょうか。
  90. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 御指摘の点に関しましては、昭和十四年に平塚市におきまして、廃マンガン乾電池によります井戸汚染原因と考えられます中毒事件が発生したという報聞がございま す。昭和十四年当時どのような措置がとられたか、どのような評価がなされたか、現在のところ私ども詳細な事情というのは把握をしておりません。
  91. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、行政として、行政上製造者等の措置についてどういうことをやったかわからないということはお調べを願っていない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  92. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 今回の関連で、御指摘の点につきまして特別調査をしたということはございません。ただ、マンガン中毒という点では昭和十五年ころから報聞があるようでございまして、水にかかわります基準策定等のときには検討されたものというふうに推察をしております。
  93. 片山甚市

    ○片山甚市君 私の資料は一部しかありませんし、これが多く読まれたかどうかわかりませんから、ここでこれ以上御質問することはいかがなものかと思いますから、もう一度検討してから発言をしたいと思います。  今までの説明にあったとおり、全国的に長期間重金属物質が垂れ流されている現状に対して、行政指導として昭和五十九年一月十一日及び一月十三日の文書で出され、業界からその対策として一月の十二日にそういうような措置をとられたようですが、それ以外に行政措置をとったことはありませんか。ことしの一月の十一日に、先ほどおっしゃったように業界に対する指導を行った。それ以外にはありませんか。業界から返事がありましたね。それまで使用済みの乾電池の回収の問題等についての御指導はなかったというふうに理解してよろしゅうございますか。
  94. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 一般的な広い意味で申し上げますと、最終処分場の構造の基準をつくり、管理の基準をつくるということで、これらの問題も含めまして対処する施策を進めてきたところでございます。廃棄物処理の立場から、乾電池だけに着目をいたしまして業界に対して強い要請をしたというのは今回が初めてでございます。
  95. 片山甚市

    ○片山甚市君 今、一月の話をしましたが、本年の一月に厚生省竹中環境衛生局長の名前で、日本電池・器具工業会への要請書を出しています。業界はその翌日に、従来からの検討も踏まえ対策を講ずるとの素早い対応を示しましたが、回答によれば、既にかなり以前から問題があったことを認めているのに、なぜ厚生省からの指摘があるまで積極的な対応ができなかったか。大体、十一日に手紙を出したら十二日に返事が来るというのは、よほど打ち合わしてうまく立ち回っておると思います。大体、役所の文書が届いた明くる日にできるというようなことはどうもわからない。世の中が乾電池の問題等重金属の問題が大変うるさくなったから、なれ合いで適当にやったのではないか。本気でやっているなら、竹中さんの方から、どういうことで出した明くる日にそんな文書が、立派なものが来たのか説明してください。
  96. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) ボタン型乾電池、特に水銀電池につきましては従来から一部回収が業界の自主的努力として行われておりまして、それから、昨年来乾電池に含まれます水銀が大きな社会的な問題になり、私どもといたしましては、現状問題はございませんものの、現在の生産量の伸びを考えますと将来の対策としてもっと積極的な方策を講ずる必要があるということで、通産省ともども業界に対しまして具体的検討をお願いをしてきたところでございます。これらの業界の活動といいますのは、法律に基づいて義務的に行うというものではございませんで、私どもの要請に対しまして業界の自主的な努力でまとめ、行うという性格のものでございますので、内容が詰まりました段階で公文書をもちまして要請をし、回答をいただいたと、こういう状況でございます。
  97. 片山甚市

    ○片山甚市君 水銀電池を回収することは非常にいいことでありますが、実は「暮しの手帖」に書かれておるように、「乾電池の中には水銀がいっぱい 大気と大地と水を汚染しないために乾電池の回収を」というものが出てから非常に一般の人たちも理解を強めたと思っています。それに対して行政が動いたと思いますが、先ほど申しますように、従来から検討しておったとおっしゃっておるから、どういう沿革史をもって乾電池について対処したかということについて聞いたんですが、昭和十四年以降の事件があって以来余り検討してないと言っておって、非常に素早い体制をしいたので感心をしておるところです。これ以上聞きません。委員会がこれで終わるんなら次々と打ち込んで確認しようとか、それは直せとか言いたいけれども、どうせ、ばらばらに聞いてまとめれば、本音で乾電池汚染をなくするために環境庁厚生省が全部協力するかどうかということが近いうちにわかると思うんです。私はそれ以上の追及をしません。  そこで、国の公害に対する全くといっていいほど無責任な対応に憤りを感じます。環境庁は大気中の汚染は安全値であると発表するし、厚生省は乾電池取扱店の店頭に回収箱さえ置けば当面問題はないとしておりますが、厚生大臣の諮問機関である生活環境審議会ではそれで十分だと言っておられますか、答申について伺います。
  98. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) お答えいたします。  生活環境審議会の答申におきまして、現行の処理施設、システムでは処理が困難な廃棄物の対策につきまして、使用済み乾電池に関する将来の問題を踏まえて提言がされてございます。  その内容は、一つといたしまして、処理技術、システムの開発を推進すること、二つといたしまして、処理困難性の尺度の設定方法、処理困難性の評価、関係者の役割分担等を明確にしつつ、その処理のあり方を検討すべきであること、また三番目といたしまして、市町村における処理が困難であり、生産者等における処理が適当な廃棄物については、代替品の利用及び使用、排出の抑制のほか、例えば広域的な回収、処理体制について検討すべきであること、こういう提言がなされております。
  99. 片山甚市

    ○片山甚市君 今お答えがありましたことでありますが、厚生省の方はそういうふうに受け取っておるんですが、それについて、環境庁を含めて、その答申について実際的に行政を進めていく段取りをせられるかどうかですね。これは答申を受けた、報告を受けた、それを実施をするつもりで受け取るのか、これは聞きおく程度になるのか、きちんとこれから行政の中で反映をしていき、実施をしていきたいと思っておるかどうかについてお伺いしたいと思います。
  100. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 厚生省が生活環境審議会の答申を受けられた内容につきましては、今厚生省の小林課長から御説明申し上げたとおりでございます。  現在の廃棄物処理法の体系が、このように有害な、危険性のある乾電池が一般廃棄物の中に入ってくるということは想定しなかったことはこれは事実だろうと思うわけでございます。それはまた、単に乾電池のみならずさまざまな化学物質一般廃棄物として焼却場の中に入ってくるということも事実でございます。そのようなところから、厚生省におかれても事態の深刻さを認識されてあのような諮問、答申ということになったかと思うわけでございます。乾電池につきましても私ども常々厚生省とお打ち合わせをしているわけでございますが、五十九年度からはこの広域処理システムの研究にかかられるというふうに伺っております。  それから、私ども環境庁といたしましては、既に先生に御説明したことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、現在のところ、最終的にはそこに排出される可能性のある公共水域において、一番有害な、危険性の高いアルキル水銀はもちろん総水銀もほとんど検出されていないという状況にあるわけでございます。ただ、私ども再三申し上げておりますように、現在検出されていないんだから騒ぐ必要はないというようなことを申し上げているわけではないんで、若干の検討の時間はお与えいただけるんではないかと思うわけでございます。厚生省におきましても、私ども環境庁として理解しているところでは、現在のままでいいというふうにお考えになっているわけではな いんで、これに積極的に取り組んでいこうと。  ただ、現在、分別収集あるいはそのほかの処理システムを考える場合には、当然、これは財政的にどういう負担がかかってくるのか、それが国及び地方公共団体の負担にどうなるのか、あるいは事業者の負担がどうなるのか、こういうような問題もあわせ考えていかなければならないどころから、若干の時間を与えてほしいと言われていることだろうというふうに私ども理解しておりますし、また厚生省におかれてもそのように取り組んでおられるわけでございます。私どもも、これまた最終処分場の基準は共管しているわけでございまして、その意味におきまして、今後とも厚生省と十分御協議申し上げて、先生の御懸念の点はないように対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  101. 片山甚市

    ○片山甚市君 長官環境の保全については調整をする機能を持つ庁でありますから、今のお話でありますけれども厚生省とよく話をして、この答申が聞きおく程度にならないで、実施をするということで具体的に進めてもらいたいと思いますが、決意のほどはいかがでしょうか。
  102. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生御指摘のように、環境庁は調整官庁でございますし、またそういうことを考えて、地下水の問題であるとか大気の問題等公害が起こらないように未然に調査をさせていただいておるのでございます。したがいまして、今の問題も厚生省の方とよくお話し合いをいたしまして、今の御答申に沿うように大臣間でもまたお話をさしていただきたい、こう考えております。
  103. 片山甚市

    ○片山甚市君 乾電池など有害物質を含んだ廃棄物処理をする自治体は、その対策に頭を痛めておるところでありますが、分別収集や特殊な終末処理をしている自治体はどの程度あるのか、そのための経費はどの程度要していると測定をされていますか。
  104. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) お答えいたします。  有害物という概念でごみを分けております自治体が全国で現在何カ所あるかについては、現在のところ正確な数というのは把握をしておりません。  コストにつきましては、それぞれのやり方によりましていろいろの差がございますが、例えば使用済み乾電池のみの処理経費ということで申し上げますと、広島市は、水銀回収工場へ運搬をし、処理をしておりますが、その運搬及び処理の費用といたしまして一トン当たり五万六千円、豊橋市では、乾電池をコンクリート固化しまして埋めておりますが、そのコンクリート固化の経費として一トン当たり二万六千円支出をしております。
  105. 片山甚市

    ○片山甚市君 これまた、環境庁長官、また厚生省にお聞きするんですが、乾電池のそういうような有害物質を含んだ廃棄物についての取り扱いがどのように自治体でやられておるか、どれだけの金が要るかということがわからなければ先ほどの答申が実施できないんでありますから、速やかに調査をしてもらって、そして概計を出して、マクロであっても、このぐらいの程度のものを用意すればこの程度のことができるというようなことに取り組んでもらいたいと思うんですが、どうでございましょうか。
  106. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 五十九年度から始めます調査の中で、先生御指摘の点も含めまして調査をし、適切な方策を考えていきたいというふうに考えております。
  107. 片山甚市

    ○片山甚市君 それはいつから始められますか。
  108. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 五十九年度の予算でございますので、ただいま準備をしておりまして、なるべく早い時期に着手をしたいと思っております。
  109. 片山甚市

    ○片山甚市君 今まで指摘してきたことでも若干おわかりになったと思いますが、たとえ微量といえども、将来にわたって必ず環境汚染原因となる重金属全般の野放し廃棄処理を認めるわけにいきません。野放しにしておけば最終的には大地に、水中に、大気に吸い込まれて人間の環境汚染原因をつくるんでありますから、野放しにしないということで受けとめてもらい、そのためにはどうしても、原因者負担の原則から言えば、購入者にあるのではなく製造者の側にあるのは当然であり、直ちに現在の行政指導上厳しい措置を求めることが必要だと思うんですが、それについてまず通産のこれに対するお考えを聞き、その次に環境庁のお考えを聞きたいんです。
  110. 広野允士

    説明員(広野允士君) 通産省といたしましては、使用済み乾電池の処理問題につきましては非常に重要なことだとは思っておりますが、まずは、現在やっております水銀使用量を減らす研究、また水銀電池の回収の強化等の効果をまず十分に上げること、これを地方自治体あるいは使用者である消費者の皆様、また販売ルートの各小売店の方々、また新聞等広報機関等の協力を得まして十分にその効果を上げまして、また通産省としてやるべき適切な措置を講じてまいりたいと思っているわけでございます。
  111. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) ただいまの先生の御提案は、端的に申し上げますと、自治体が大変処理に困っているんだから、その究極的な原因をつくったメーカーにある程度の負担をさせるべきではないか、かような御提案かと思うわけでございますが、この点は大変難しい問題でございまして、現在その辺の考え方が、廃棄物処理法の三条二項の、処理困難物について、その適正な処理が困難となることのないように製造業者等はしなければならないということで、一応の解決が図られているわけでございます。  この点については、やはり消費者がどうしてもそのような便利なものを使うということであれば、その便利な乾電池の最終的な処理の負担を、先生御提案のメーカー、それから消費者——メーカーに転嫁するというのは、場合によっては価格を通じて消費者の負担になるわけでございますから、それから一般的にはその廃棄物の処理責任を持つ市町村、さらには都道府県、国、こういう関係者の間で、どのように負担していくのが適正であるかというようなことについて、今後の一つの大きな課題として関係省庁間でよくお話し合いをしてまいりたい。環境庁としては、その際には、やはり環境を守り将来に禍根を残さない、そのようなためにはだれがどういうふうに負担するのがいいのか、このような点からその議論に参画していきたい、かように考えている次第でございます。  ただ、申し上げられることは、それを単純に単純という言い方はちょっと不正確でございますが、現象面のみにとらわれてメーカーに処理させるというようなことになれば、大変な流通上、生産上の混乱も起きるわけでございます。この種の乾電池のみならずその他のものもいろいろあるわけでございまして、その辺の影響をよく見きわめた上で結論を出されるべき問題だというふうに考えているわけでございます。この点は通産省を通じて関係業界等の御意見も十分聞いた上でその結論を出すべきものではないか、かように考えておるわけでございます。
  112. 片山甚市

    ○片山甚市君 重金属類を使った器具が国民生活の中に普遍的にといいますか、日常生活の中に欠くことができない状態になってきたことによって起こっていることでありますから、国民の理解も、それについての危険性を理解をしてもらうことも大変大きな役割ですが、それを売って商売をしている者は、そのことによって国民が健康被害に遭うようなことになってはならぬという厳粛な気持ちがなければならぬ。売りっ放し、買った者が悪いじゃないかと言わんばかりの今の御答弁の腹の中にある根性が高度成長をつくったことに間違いありませんが、高度成長が必ずしも幸福でなかったことは今日の教育荒廃の問題にもあらわれてくるように、もう少し謙虚に、水銀を十五万トンとか十万トンとか、幾ら使っておるんですというようなことを言って、その水銀は使うときはいいんですが、それが拡散するときには、それは消費者が使ったんだからてめえたちで適当に考えたらいいじゃないかと、水銀が一番たくさんあるボタン電池ぐらいの程度のものは街頭で取ってもい いけれども、その後は行政に責任があるとか、そういう言い方は私は納得できないという意見を述べます。  同調してもらう意思はないんです、同調してもらったんでは始まらないから。大体そういうことは、私の意見がわかれば、当然産業界はこのような態度でこのようにやってまいりますので、国民の皆さんにはこのような御協力を賜りたい、そしてしかも、地方自治体を含め公共団体にはへ恐れ入りますが地域の環境のためにもこんな手当てをしてほしいと言うのが妥当でありますが、金をもうけることはよく知っておるけれども、その後始末をしないのが日本の産業界の通弊ではなかろうかと思いますから、私はここで弾劾だけしておきます。それ以上言いません。  それから、それに同調する環境庁なのか、厚生省なのか、通産省なのかということは後日問われることであります。公害が発生をし、憂慮すべき状態が出てからでは遅いというのは丸谷委員が言われたとおりで、私たちは事前にそのようなことが起こらないための議論をし、効果的な措置をすることがこの国会における公害及び環境保全に対する委員会の役割だと思っています。  そこで、この案件についての最後のまとめとしてお聞きしますが、廃棄物処理の面で言えば、重金属を拡散するおそれのあるものは処理困難物として別途回収を義務づけ、自治体に対してそのための援助をすべきであろうと思います、例えば再生処理に要する経費などを含めて。そういう検討作業をされるようでありますが、これからしっかり国及び地方公共団体も取り組むようにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 厚生省といたしましては、先ほど説明いたしました家庭系特殊廃棄物の処理対策に関する調査の中で、御指摘の点を含めまして検討し、さらに、生活環境審議会におかれましては適正処理のための専門委員会を設置をされてございますので、その専門委員会でも十分御議論をいただきたいというふうに思っております。
  114. 片山甚市

    ○片山甚市君 この問題はこれから国民と我々との間で対話をしながら解決をしていく課題だと思いますから、本日はこの程度におさめます。  時間があと若干ありますから一、二間質問をしたいと思います。  琵琶湖総合開発と環境保全についてでありますが、私自身大阪に居住する者の一人として、琵琶湖は命の水を生む命の湖であります。現在から将来についても現状を見ると危機感を覚えるものであります。そこで、淀川水系を中心とした水資源に依存する千三百万人の生活を左右する琵琶湖周辺の環境対策については、今日まで多くの取り組みがなされておりますが、客観的に見て何一つ状況が好転したと言えません。例えば、武村滋賀県知事が、勇断と決意をもって滋賀県民の協力を求め実施すると言ってつくった琵琶湖の富栄養化防止に関する条例が今から四年前制定されましたけれども、それでもなお、無燐なら有害でないなどと言って合成洗剤を認めたままで、よくなりませんでした。本年八月に滋賀県大津市で開かれる一九八四年世界湖沼環境会議に臨む我が国の環境行政の現状は余りにも多くの課題があり過ぎると思うのであります。  そこで、環境庁長官にお答えができればお願いしたいんですが、琵琶湖の総合開発の進捗状況はどうなっているか、そしてその結果どのような改善がされたのかについて、きょうはそこまでの御答弁でやめたいと思います。御答弁してください。
  115. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 琵琶湖の総合開発計画の進捗率でございますが、つまびらかには私今ここにデータを持っておりません。ただ、その総合開発計画はまだ随分多くの残事業があるので、事業費で比べると残事業の方が多いのではなかろうかと、こういうふうに考えております。  ただ、琵琶湖の総合開発計画そのものは治水事業というのが大きな目的であり、また下流の水資源を生み出していくということも大きな事業でございますし、それからまた、琵琶湖の何といいますか、農業水利がそれがために不足を、琵琶湖周辺の農業水利というものに大きな影響が出ないように、また琵琶湖の水産に影響が出ないように、そうしてまた、琵琶湖に入る、今申しましたような水を生み出すために周辺の林野の保全を図っていく、そうしてまた、それとともに琵琶湖の修景が、これが環境が悪くならないように、そしてまた、周辺の方々から出てくる生活雑排水によって琵琶湖の汚染が進まないように、こういうことを考えて、そのほかもございますが、琵琶湖総合開発計画を立てさせていただいて進めさしていただいておるところでございます。
  116. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣はそういう願望を抱いてやったということはわかりました。ただし、そのかわりに、琵琶湖は人工ダムをつくっただけでありまして、自然は毎年悪くなってきておることは事実であります。きょうはこれについて具体的なことを追及いたしませんが、結局、流域水資源の拡大利用と地域の向上化あるいは発展化を図ったということであります。  そういうことで、今申し上げたように、琵琶湖を自然から切り離して人工ダムをつくったということになる。すなわち、水だまりに水をためるという思想で問題は解決しないと思います。結局水さえあればいいと、水を確保するためにつくられたのが総合開発で、そのために湖周の道路をつくるとかいろんなダムをつくるとか、湖中堤をつくるとか、そういうことを言っておりますが、琵琶湖の生態系への影響が大きいからこそ今日琵琶湖の汚濁が進んでおると思います。  そこで、琵琶湖の保全が目的になっていないので、琵琶湖の環境保全水質保全のために総合開発をやり直していくように私から要求しますが、それについてもう一度決意を述べてもらいたいと思います。
  117. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいま先生は、非常に琵琶湖の水質が悪くなってきたと、それは工場ができたからではないかと、こういうふうなお考えではなかったかと思うのでございます。  私どもは琵琶湖の汚濁の原因の大きなものは、やはり琵琶湖の周辺に住んでおられる方々の生活雑排水の影響が非常に大きいと私は考えておるものでございます。調査いたしますとそういうふうな結果が出てくるわけでございます。したがいまして、その生活雑排水というものの処理をやはり図っていかなければならない、こういうことで、周辺の下水道の処理、これを今急いでやっていただくように進めておるところでございます。  工場は、水を使わないような工場を琵琶湖の周辺にはつくっておるのでございまして、それによるものはたしか三割ぐらいだったと思うのでございます、汚染原因のうちの。その程度でございます。
  118. 片山甚市

    ○片山甚市君 今、住民の生活用水が琵琶湖の水を汚したと言明されましたから、私は滋賀県に行きますから今のことを県民に伝えてきたい。すなわち、どういうような工場が汚水処理をされているかということになると、武村知事になってから非常に努力をされておることは事実です。しかし、湖というのは自分の力で、自浄作用で回復しなければ、人力でできないことがたくさんあるから、水の流れをせきとめる湖中堤をつくったり、また石畳やコンクリートの堤防をつくったりして、自然に水がきれいにならないようになっておる。それが総合開発で土建屋がもうける仕掛けになっておる。  いわゆる総合開発をしたから洪水が起こらなくなる、そういうことではなくて、むしろ私たちとしては、琵琶湖の水が年々汚れておるということについて次のときに言いますから、勉強してもらって、きょうはあなたはよくなったと言う、悪くなったとすれば県民が悪いんだとおっしゃっておるが、私はそう思いません。雑排水が中心ではない。総合的に言えば、琵琶湖が自分の力で水をきれいにするような仕組みにしなければ、人間の力では到底及ばないと思う。特にアオコの発生等を見ましても、決して油断のできない状態でありま すから、怒りを持って私の質問は打ち切ります。
  119. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ちょっと言葉の不足の点を補わしていただきたいと存じます。  琵琶湖の周辺の方々が何か悪い——悪いことということないけれども、悪い水をどんどん自分で出して、それがために悪くなっておるということを言っておるのではありませんが、滋賀県の人口をごらんになっていただくとおわかりをいただけると思うんですが、戦前におきましては七十万かそこらの人口でございましたのが、今は百万を超える人口になってきておるのであります。それからまた、一日の使用水量というものが非常に大きく、一人当たりの使用量でございますが、ふえてきておるのでございます。そうして生活が向上をいたしておりますので、いろいろお使いになるものが非常に豊富にお使いをいただいておりますので、そういったようなことから勢い流出するものが琵琶湖の方に流れてくる、それに対して下水道の事業が今までおくれておったということがやはり大きな私は原因であると思うのであります。それを急いでやらなければいけない、こういうことでございます。
  120. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣がそうおっしゃるから言わざるを得ないんですが、私は、私が言うことは全部正しいから認めろなどと言っておりません。琵琶湖は自然の力でよみがえるような仕掛けをしなければ、コンクリートを使ったり、自分たちでいろんな細工をしてみてもよくならないと思う。そういう意味で、工場排水は全部とまったとか、家庭用水がよくなったとか言っておらない。それぞれ不完全なことはありましょうが、それよりも、もっと言えば、自然の力に頼らずに自然を改造するような根性を持っているけれども、琵琶湖の力はそういうようなものでないという意見がありますから、これからあなたと論争することを約束して終わります。
  121. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきたいと思いますが、中曽根総理大臣は、二十一世紀は日本の世紀だと胸を張っておられますが、私は、二十一世紀は環境面から見て人類の生存にかかわる世紀である、こんなふうに理解されると思うのでございます。  最初に、地球的規模の環境問題ということで質問をさせていただきますが、カーター政権のときに「二〇〇〇年の地球」というリポートが一九八○年に出されました。それからUNEPの人間環境会議が、ストックホルムから十年たったということで一九八二年に「世界の環境」というリポートを出しております。これを見ますと、二十一世紀は極めて悲観的であると、そういうペシミスティックなリポートだと私は思うのでございますけれども、さて大臣はどのようにお考えでしょうか。
  122. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 大変高道な御意見をちょうだいをいたしまして、なかなかこう私どもついていけないのでございますが、私は、二十一世紀は非常に悪くなるおそれがあるんじゃないかということを簡単に言えば先生は言われたのだと思うのでございます。そういうようなことにならないように私ども環境関係というものをやらしていただいておる者は心がけてやっていかなければならないと思うのであります。  最近地球規模のいろんな問題が起こりまして、世界で、アメリカにおきましてもカナダにおきましても、またEC諸国におきましてもそういう問題を取り上げて今議論をされておるのであります。今まではどうもちょっとそういう点には考えが少なかったんじゃなかろうかと思われるのでございまして、むしろ、日本が人口が非常に集中いたしておりますので、環境悪化を一地区で起こしますと、それがすぐにお隣りといいますか、隣りの府県といいますか、そういう地域に及んでまいりますので、環境は大変だ、力を入れなくちゃいけないということで、高度成長が始まって以来環境問題というのが大きくクローズアップされて、それに対する対策をいろいろ考えさしていただきました。  それに対して、割合領土の広いアメリカであるとかあるいはまたEC諸国でも、人口がまばらと言ったら失礼でございますけれども日本よりは稀薄と言った方がよろしいと思うのでございますが、そういうような状態にあるので、ちょっと日本ほど気を使っておられない。例えば大気汚染にいたしましてもそういうようなところがございました。これに対しまして、最近になってこれはやはり大変だと、酸性雨が降ってくるとか、あるいはまた、一カ所に廃棄物を捨てた、それに対しての配慮が少なかったために地下水に相当ないろんな被害といいますか、公害というか、そういうものが出てくるようになりつつある、これは大変だということで今盛んにその対策をおやりをいただいておる。こういうふうになりますと私はまたよくなっていくのではなかろうかと思うのであります。  それからまた、海洋の汚染でございますけれども、これに対しましても、海の中へものを捨てればこれは自然にきれいになるんだというような考え方が日本にもありましたが、世界にもやっぱりあったように私は思うのであります。特に、これは環境庁のちょっと何ではございませんけれども、例えば原子力の廃棄物といいますか、そういったようなものを海中に投棄、相当濃度の濃いものをそのままでお捨てになった時代もあったと思うのであります。今はロンドン条約というものを結んで、そしてそういったようなものは捨ててはいけないと、こういうような規定もつくって環境の保全というものを図っていただいております。それからまた、いろいろな緑が不足をしてきている、これは大変だということで世界の砂漠化というものを防がなくちゃいけない、こういう緑に対する配慮も各国が今心がけつつあるのでございまして、そういうことを考えますと、二十一世紀というものを目指して各国が努力をいたし、日本でも国民の皆様方がそういう点に力を入れていただきますれば、これは私は、夢のような日本になり、夢のようなやはり世界がつくれるのではなかろうかと、こういうふうに考えておるものでございます。
  123. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大変いいお考えを伺いました。私は、やっぱり政治をやる人というのは理想を目指すべきであると。ユートピアというのはそういう言葉だそうですね。達することのできないいい世界、達することができないから目指す。やっぱり私も一方悲観的であるから楽観的な方向に進もうではないか。私は、長官のお考えは大変よろしい——よろしいと言うのは大変うまくないんでございますけれども、賛成でございますということです。  ところで、今人口のことにも触れられましたので、私の考えをまたちょっと述べさせていただいて、また大臣のお考えをひとつ聞きたいと思うんですけれども日本の人口増のお話がございましたけれども、例えば一例を挙げますと、カイロに行きますと、公称八百万でしたかね、なんか言っていますけれども、実際には一千万超えているんですね。特に途上国は人口調査が行われていませんのでわからない。しかし実際には都市人口集中というのは物すごいわけです。それが環境を悪化させているわけです。ですから、世界の環境を悪化させているのは先進国の浪費と途上国の貧困だというようなことが言われているわけですが、まさにそうだと思うんですが、しかし、戦争を含めて、公害を含めてですけれども、すべて諸悪の根源は人口増にあると、マルサス人口論がそんなことを説いているわけですけれども、私はそう思っているんです。  やっぱり本当に二十一世紀を希望の世界にするには、世界の人口問題とあわせて環境を考えていかなければならないと思うんです。例えば、森林がなくなるといっても、よく日本人が東南アジアの森林を伐採させて持ってきたと、けしからぬとかというお話ございますけれども、実際には人口増が、例の焼畑農業ですよね、森林をどんどん減らしているのであって、やっぱりこれは人口増が問題なのでないかと私は思っているんですが、大臣その辺のお考えをひとつ。
  124. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 今先生から、人口増が諸悪の根源ではなかろうか、こういうお話でございます。  これはなかなか難しい問題でございますが、いろいろ地域地域によって私は事情が異なると思うのでございます。今タイのお話先生がおっしゃいました。これは確かにそういうタイの集中しておる地域を見ますとそのとおりでございますけれども、またタイの東北地方なんか、あそこの辺に参りますと、これはもっと農業を開発したらというような私は気がするのでございますが、それにはいろいろな気象条件があり、それを克服しなくちゃいけない、また適正な農産品を考えなくちゃいけないと、こういうようなこともございますし、また、インドネシアに行きますと、ジャワに人口が物すごく集中をいたしております。ジャワといいますか、ジャワ島に集中しているわけです。これをスマトラに移したらこれは解消するわけでございますけれども、そのスマトラの開発というか、行っても生活ができないという経済的事情がそこにはあるわけでございますので、そういったような問題を国としてお考えにならないといけない。それに対して日本は何とかして援助をしてあげようじゃないかということで、ノーハウを持っていったり、あるいはまたいろいろな援助資金を持っていったりしてやっておるのでございますけれども、それは向こうの考えでおやりになる、これは当然でございますので、それがなかなか進展をしていない。今一生懸命になっておやりになっておるという状況でございます。  そういうことを考えますと、人口を受け入れられる広さがあり開発の余地のあるところは、私は人口増があってもいいのではなかろうか。日本は昔、よく言うんですけれども、徳川時代の元禄時代は三千万人で、そのときは外国からの輸入とかそういうものを考えなくても元禄花見踊りでやあやめと、こういうふうにやれた。しかし、現在では一億一千万からの人口が集中しているわけですから、これ以上ふえてくるとなかなか大変だという、これが実態でございます。日本におるとよくそういうことを感ずるんですが、しかしまだ日本でも、そう言うと、北海道の方は、なに北海道は広いんだ、そこへ人口を持ってきてくれたら幾らでも引き受けられる、こういうふうに言われると思うんですが、これもやっぱり開発、生活、経済、そういうものをいろいろ考えてしなければとてもそんなことを言ってもそう簡単にはいかぬということであろうかと私は思うのであります。  そういうことを考えますと、私は、人口増だけがそういう諸悪の根源とは言えないんじゃなかろうか。ただ、環境というものを自分の生活に追われて考えなかったという貧困が、私はむしろ諸悪の根源ということになるのではなかろうかと思うのです。ただし、貧困になるのは人口が多いからだと言われるとまたそれも一理があるわけでございますが、そういうふうに考えて、貧困をやはりなくしていくように、世界じゅうがともに発展をしていくというような考え方を出さなくちゃいけないのではなかろうかと私は考えておるのでございます。
  125. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 長官と論争するつもりではなくて、御意見を承りましたので、論争はいずれまた別の機会ということにさせていただきます。  早速予算関連のことでお伺いをしたいと思うんです。  環境庁は予算の重要事項を八つばかり挙げておられるわけですが、「地球的規模の環境保全と国際協力の推進」というのが大項目の七に載っております。ところが、大項目の一の三には「二十一世紀に向けての環境保全長期構想の策定」、こういうのがございますが、この重点項目の一と七番との関連というのはどんなところにあるんでしょうか、お伺いしたいと思うんです。
  126. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) 予算の重点事項説明の資料についての御質問かと存じます。  まず、その仕組み方でちょっと御説明申し上げておきたいと思いますが、これは大きな柱で、大項目で分けてございますので、必ず全部縦に整然といっておるというわけではございません。ただ、今先生おっしゃいました点は確かに両方にどうも絡んでくるようなお話かと存じます。この事項の整理といたしましては、長期計画の方は第一の方に入れてございまして、地球的規模の方には長期計画的なものは計上してございません。
  127. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の二十一世紀に向けてというのは、予算からいっても千数百万ですね。何だかこれは国際協力ではなくて国内ですね。
  128. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) そのとおりでございます。ここに掲げてある予算事項はそのとおりでございます。
  129. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、予算の今の重要項目の二番でございますけれども、「自然環境の保全及び緑化の推進」というのがございますが、私が見た範囲で、これは国内関係の予算だろうと思うんで、そういう意味でずっと見てみますと、国際関係の分というのはやはりどうもないのではないかと思って見ておったんですけれども先ほど大臣がおっしゃいました、やっぱり国際協力でいろんな技術供与が要るのではないかと。私は、我が国が国際協力をしていくとしますと、やはりくちばしを入れるわけにはいきませんよね、大臣言われたように。やっぱりこれは技術供与をするとか、あるいはUNEPを通して何とか分担金でしょうかね、そういう環境保全のための分担金とか緑化推進のための分担金とか、何かそういうものとノーハウの技術供与というふうなことが私はやっぱり主力になってくるんだろうと思うんです。  これは、大臣さっきおっしゃったのは私はそのとおりだと思っておりますが、しかし、そういうための予算というものを、やはり国際的視野に立った予算を、二十一世紀の日本だと言うからには少し胸を張って言えるだけの予算を組むようにする必要があるんじゃないでしょうか。大臣いかがでしょう。いや、今度の予算のことを言っているんじゃございませんから、これからの何といいますか、将来に向けてのことをお伺いしたいと思います。
  130. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 具体的に環境庁の予算はどうかと、こう今お尋ねでございまして、大変にその点におきましては環境庁の予算としてお恥ずかしい国際協力であると思うのでございます。しかしながら、この国際協力の方は、実は別に、外務省のたしか予算だったと思いますが、そこに予算が組まれておりまして、それに私がいろいろ申し上げましたようなことが実は入れてもらっておるのでございます。  それは私も国会議員としてそういうところには参画をさせていただいて、そしてASEANの国々であるとか、太平洋諸島の国々であるとか、そういったところの実情を踏まえて、そういうところの援助を環境も考えながらやらしていただいておるのですが、先生の御指摘のとおり、環境の面においてはまだまだそういう国々に対しての配慮がされておりません。これからもひとつ大いに力を入れて環境庁としてもやらしていただきたいと念願をいたしております。
  131. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは国際協力についてもう少し伺いたいと思っておりますが、UNEPの第十回の管理理事会、一九八二年ですが、我が国は、鯨岡構想、原提案だったわけですが、国連環境特別委員会の設置を提案をしている。何か今度採択されたというふうに承っておりますが、その間一年ばかりペンディングになったようですね。何か事情があったんでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  132. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) 御説明申し上げます。先生御指摘のとおりでございまして、ちょうどストックホルム国連人間環境会議の十周年を記念して、昭和五十七年の五月にナイロビで開催されました特別会合で当時の原環境庁長官が提案をいたされまして、実現といいますか、国連での決定がされましたのが昨年の暮れということでございます。一年余りかかっております。国連の議決を要するものでございますので、手続的にも、それからいろんなネゴシエーションが必要でございますので、ある程度の時間はどうしてもかかるもの でございまして、一年半、必ずしも長いとは一概には言えぬかとは思いますけれども、まあいろんな議論もあったやに聞き及んでおります。現在、既に国連環境計画、UNEPと言っておりますが、そういう組織もあるわけでございますし、そことの関係をどういうふうに考えていったらいいだろうかというような議論もいろいろあったやに承っております。しかし、それはネゴシエーションをしていくプロセスでのお話でございまして、最終的には国連総会におきまして全会一致で採択されておりますので何ら心配は不要かとは存じますが、ある程度の期間を要したことは確かでございます。
  133. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 この委員会の委員に、我が国からは大来さんが委員になっておられるんでしょうか。
  134. 上田稔

    国務大臣上田稔君) まだ正式には決まっておりません。日本から推薦を申し上げておるところでございます。日本からもだれか事務の方にもひとつお願いをしたいということを申し出てはおりますが、これもまだ決まっておりません。そのうちに決まると思います。  なお、この特別委員会に、ここにおいでになる梶木前大臣、また原元長官、みんな代々の長官が力を入れていただきまして、分担金をひとつ何とか日本から出そう、こういうことでお働きをいただきまして、その成果がこの五十九年度の予算に出まして外務省の予算として計上をしていただきました。
  135. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 よくわかりました。  鯨岡、原、梶木各歴代の大臣が熱心におやりになったことでもありますし、大来さんも大変環境に熱心なお方で、会議でいつも御一緒して、なかなか卓見を持っておられますし、大変うれしいことだと思うんです。したがいまして、その裏づけとしてのやっぱりそれなりの分担金ですか、そういったことを大臣ひとつ心がけてくださった方がいいんじゃないかと、こういう気持ちで今伺ったわけです。  そこで、国際協力というのは金を出せばいいのかという、そこが私の一つ質問をさせていただく理由なんですけれども、そういう基礎的な研究というか、あるいは技術の開発というか、そういったことが我が国では組織的に行われているのかどうか、国公私立全部含めまして、どんなもんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  136. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 今の御質問は、そういう教育の面で……
  137. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 いえ、研究とかね、ノーハウの技術とおっしゃったけれども、そういったようなものを今の……。
  138. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  これは、外務省と、それから大蔵省も入り、通産省も入って、それから農林省も入り、各省がお入りになって、そしてそういう経済協力の面のいろんな考え方というものを検討をしてやっていただいておるのでございます。  以上でございます。
  139. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) お答え申し上げますが、先生の御質問に的確にお答えできるかどうかちょっとわかりかねますが、環境庁の方で各省の研究調整、特に一括計上の予算を持ちまして行っている面がございます。またさらに、国公研において研究を行っておりますが、地球的規模の環境問題というのは重要でございますので、五十八年度から五年間で、バックグラウンド地域における環境問題、汚染物質のモニタリングのシステムとか、あるいは大気中、なかんずく成層圏のフロンガスの問題とか、そういったものを手がけております。さらに、各省において現在それに寄与するような研究予算というものはチェックすれば相当あろうかと思いますが、先生の御指摘のようなこういった国際問題といいますか、あるいは地球的規模というものに焦点を合わせた研究費ということになりますると、必ずしも十分でないと思いますが、来年度以降の研究調整の私どもの役割、仕事といたしまして、関係省庁の方と協議をしてそういったものに重点的な予算要求をいたしていくような心がけは持っていきたい、こう思っております。
  140. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のお話で私も国立公害研究所時代のことを思い出しているわけですけれども、例えば炭酸ガスが増加すると言っていますけれども、これはハワイとかいろんな有名なところのデータでありまして、我が国ではやっていない。どこが一番いいんだろうかというときに、富士山頂でないかという話が出ておったわけです。ところが富士山頂で空気を取るとなると、これは気象庁ですね、あの上に測候所がありますから。とても環境庁は行かれないというような話をしておったですね。ですから、私はこういうものはどうしても各省の協力体制のもとでやってもらわなきゃいけないんじゃないかと。例えば一括計上にしても、そういう地球的規模のことを含めてのやはり協力体制を組んでいただきたいということを、研究者の立場からも、今一例を挙げたわけですが、そう思うんです。  再三同じことになりますけれども、私は単に形の上で、言葉じりが合えばそれでいいというんじゃなくて、やっぱり本当に地球規模の環境問題を、長期展望といってもあと十数年もたてばもう間もなく二十一世紀に入ってしまうわけです。そういう状況のもとで、やはりそういう展望に立っての研究体制を含めて、技術開発を含めて、そういうバックアップ体制というものを予算面、技術面、研究面でやっぱりしっかりすることを、環境庁は調整官庁としても、また国立公害研究所を持っておられる立場からもそういうバックアップ体制を強めていただきたい。私の希望でございますが、大臣いかがでしょうか。
  141. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生からなかなかいい御指摘、御提案をいただきましてありがとうございます。環境庁といたしましても、そういう面で大いに力を入れてやらしていただきたいと念願をいたします。
  142. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、二番目に私がお伺いしたいのは水銀電池の処理問題なんですが、幾つかのことは先ほど片山さんからも御質問がいろいろございましたが、若干私の聞きたいこともございますのでお伺いさせていただきますが、一般のごみ処理というのは、今までいわゆる埋め立てとか、焼却とか、し尿ですと海洋投棄とかいろんなことがあったわけですけれども、これからは、水銀問題を一つの契機にいたしまして、単にごみを処理するということに、公害の未然防止ということがこれからはすべてに加わってくるだろう。つまり、未知のもの、予測していなかったものをやはり考える必要が出てきたということだろうと思うんです。  そこで、ごみ処理のこれまでの方法でございますけれども、水銀電池のごみ処理ということを中心にどんなふうな処理が行われてきたか、これ厚生省にお伺いいたします。
  143. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) お答えいたします。  使用済み乾電池のうち、いわゆるボタン型乾電池につきましては、関係業界におきまして回収処理が開始されているところでございます。それから、それ以外のいわゆる筒型乾電池につきましては、市町村によりまして処理の方法は異なっておりますけれども、ごみと一緒にそのまま埋め立てている方法、それからごみと一緒に焼却をいたしましてその灰を埋め立てている方法、それから、一部でございますが、使用済み乾電池だけを収集し、あるいは収集しましたごみの中から乾電池を選別いたしまして保管をしているところ、あるいは水銀回収を行っているところ、あるいはコンクリート固化をして埋めているところ、まあいずれかの方法によっているところでございます。いずれも廃棄物の処理及び清掃に関します法律の適用を受けておりまして、生活環境の保全及び公衆衛生の確保が図られること、こういう制度になっております。
  144. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そこなんですが、今のを大きく分けまして、ごみ処理ですから焼却と埋め立てが一番大きな柱だと思うんですが、その割合は大体どんなものでしょうか。
  145. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 乾電池を含むというところでは整理をしておりませんが、ごみ全般につきますと、焼却が次第に上昇しておりまして、現在六〇%を超えるレベルまで来ております。
  146. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そこで問題は水銀の発生する方法ですけれども、焼却となると無機水銀ですとほとんどベイパーになって出ていくだろう。埋め立てはそのまま入っていくわけですね。だからその辺がこれから問題になるだろうと思ってはいるんですけれども先ほど水銀が乾電池に何トン使われているかということを伺いましたが、問題になるのは、水銀乾電池と、それから一番多いのがアルカリ電池でしたか、その中での水銀の使用されている割合はどれくらいの割合になっているんでしょう。これはどっちでしょうか、通産省でしょうか。
  147. 広野允士

    説明員(広野允士君) 乾電池の水銀使用量、特に国内流通量でございますけれども先ほども申し上げましたけれども、全体で五十七年では五十五トンでございます。水銀電池はそのうち二十四トン、大体四四、五%使っております。アルカリ筒型電池でございますが、これが二十八トン、まあ五割ぐらいということでございます。そのほかマンガン電池等にも少々含まれているということでございます。
  148. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると半分がいわゆる水銀電池ですね。そこで、プロダクトの、生産の今の金額はどういう割合になっているでしょうか。水銀電池とそのほかのとの比較です。これも通産ですかね。
  149. 広野允士

    説明員(広野允士君) 金額で、五十八年のものがございますけれども、全体で千二百十二億円の生産金額になっております。このうち輸出がまたあるわけでございますけれども、その千二百億円のうち筒型マンガン電池の生産量が六百五十億でございます。また、水銀電池は四百七十五億円ということでございます。ただ、この中で酸化銀電池等も含まれておりますので、明確にボタン型電池の生産額というのは統計上は分類されていないことになっております。
  150. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 アルカリ電池の方は、さっき出ましたか。マンガンとおっしゃった、さっき。
  151. 広野允士

    説明員(広野允士君) 筒型マンガン電池が六百五十億、アルカリ乾電池が二百十億でございます。
  152. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 水銀が四百七十五ですか。
  153. 広野允士

    説明員(広野允士君) 水銀電池はその他という項目に入っておりまして、百二十億の内訳になります。どうも失礼いたしました。
  154. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 その百二十億のうちに水銀電池そのもの——その他の中に水銀と二つ入っているわけですね、二つというか、その他と。水銀というのはどれぐらいですか。二割か三割かなと僕は思っているんですが。
  155. 広野允士

    説明員(広野允士君) 大体二〇%ぐらいでございます。
  156. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そこで、二〇%だとすると、百二十億の二〇%ですから二十四億ですね。そうすると全体のほんのわずかですね。千二百十二億だから二%ぐらいですか。  それで、私はここでそう思うんですけれども、金額にして二%に当たるのが水銀五十数トンの半分を使っているということは、金額的に見ると、重金属汚染ということを言えば問題にならぬわけだ。だから、これは素人の大変単純な発想でございますが、これを例えば製造を禁止する、あるいは用途制限をして抑えるとか。つまり乾電池の生産二%で水銀が半分使っているというところが非常に大きなポイントだと思うんですよね。それで、これはどっちに聞くのかな、通産ですか。
  157. 広野允士

    説明員(広野允士君) 水銀電池でございますけれども、水銀電池は非常に低価格であるということと性能もよいということから、現在補聴器を中心にして使われているわけでございます。水銀電池の使用量の約半分が補聴器に使われているということでございまして、水銀電池以外のアルカリ、マンガン電池ですとか銀電池というのを使いますと非常にお値段が高いということで、そういう点が一つ問題があるわけでございます。  したがいまして、私ども通産省といたしましては、現在のところ水銀電池によって公害事例が発生しているということでもございませんし、ただ、非常にこれがふえてまいりましてそれによって公害が出るということを未然に防止しようという観点から、先ほど申し上げましたような、業界の使用済み水銀電池の回収措置ですとか、あるいは水銀電池の新しい用途開拓の自粛ですとか、水銀を使用しない乾電池等代替品の研究というようなことを業界としては努めていくということを言っておりますので、その措置が非常な効果を持ってなされることを期待いたしまして、まずそういうことを見守ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  158. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 業界との関連もございましょうし、そう簡単にはいかぬのかなと思ったのですが、私は単純に公害防止という意味で申し上げたのです。もちろん自然土中にも水銀は入っているわけだし、決して水銀がゼロであったものが出ているなんて思っていないんで、私も承知しているんです。石炭の灰がらだって水銀が出ますから。それは全部自然中にあるわけだから。ただ、それがどれくらいオーバーしてどうなるかということですよね。  そこで厚生省に伺いたいんですが、水銀に関して規定があるのは水ですか。
  159. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 廃棄物の処理に関して申しますと、最終処分場から出てまいります排水にございます。それから焼却処理施設から出ます排水につきまして、これは水質汚濁防止法の規制を受けております。大気につきましては現在基準値は定められておりません。
  160. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 水はどうですか、飲料水。
  161. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 水は私の所管ではございませんが、水道水水質基準には水銀の基準はございます。
  162. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 たしか飲料水は五ppbだったかと思うんですけれども、しかしアルキル水銀はあってはならないということですよね。水銀というとすぐ水俣病を皆さん思うわけですけれども、水俣病はアルキル有機水銀だし、焼却炉から出るのは、乾電池はみんな無機水銀ですからおのずから毒性が違う。これは明快にわかっていることですし、体内蓄積というのも、ある意味で、隔離すれば短期間に排せつされていくんですけれども、それはそれとしまして、やっぱり飲料水に入っているのをコンスタントに摂取するということは私はこれはほうっておけないと思うんです。  つまり、私がさっき焼却か埋め立てかと申し上げたのは、埋め立てというところは、将来ともにこれは水銀がいっか枠が腐食して地下水に入っていくということを念頭に置かなければいけないんじゃないかと思うので、焼却炉から出る水銀についてはいろんな調査があって、この間も問題になったようでありますが、埋立地の土というのは調査した例がございますか。
  163. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 土そのものは調査しておりません。先生御指摘のように、埋立地の浸出水について、これは先ほど厚生省からお答えいたしましたような基準値が定められておりまして、現在、一般廃棄物の埋め立てによる最終処分場の数というのは全国で二千四百八十六ございます。その中で、この排水基準につきましては〇・〇〇五ppm、五PPbでございますか、になっておりますが、これを上回った排水が出てきたという報告は私ども聞いておりません。それからまた一般公共水域につきましても、最終的には一般公共水域に入ってまいるわけでございますが、これについてアルキル水銀は御案内のように検出されてはならない。それから総水銀でも五PPb、これもほとんど環境基準を上回っている事例はございません。  かようなところから、私どもは、現在の段階では著しく危機的な状況にあると、将来の問題は放置できない問題であるにしても、現在直ちに非常に危険であるというふうには判断しておらないところでございます。
  164. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今僕もちょっと思い違いしておったかと思ったのですが、排水基準が五PPbですか。
  165. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) はい。
  166. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると、これはある病院で僕は言われて、私もよくわからなくて、はあと思ったんですけれども、体温計を患者さんよく落として壊すというんです。それを回収はしているんだけれども、どうしてもごみと一緒に排水というか下水に掃除されて出ていくと。これはサーミスター型式のものを買うと物すごく高い、一本何千円かするんでしょう。ですから、水銀体温計でないと困るので先生どうかならぬものでしょうかというんだけれども、どうですか。これはどなたに聞いたらいいかわからないんだけれども厚生省何かありますか。予告していないんで、今思い出したんで申しわけないが。
  167. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 私は廃棄物の処理の立場でございますが、廃棄物処理の立場からいいますと、体温計がごみの中に出てくるというケースがございますので、やはり水銀の発生源の一部ということで今後取り組む必要があるという認識は持っております。
  168. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうしますと、水銀の立場から言っただけでも、体温計が数倍の値上がりすると医療費はますます高騰するということを御認識いただく程度で、次の質問に移りたいと思いますが、医療費というのはそうなんですよね、しょっちゅう高くなっていくように仕掛けができているようです。  そこで、今のことを含めまして、さっきの水銀乾電池の問題があったんですが、私が思い出すのは、自動車排気ガスの規制を、日本が輸出をするときにアメリカできつく押し返されて、日本の自動車業界は大変お困りだったけれども、非常に頑張って研究をして、いつの間にかこれがうまくいったからトップの自動車メーカーになって輸出ができたんだろうと僕は思うんで、やっぱり「必要は発明の母」でございますから、私は、水銀電池が補聴器に必要であるという、つまり用途制限というのはそういうことを言ったんですけれども、それに安住していちゃいけない。やっぱり新しい開発を目指して、より効率的な、より害のない、そういう乾電池を開発することを通産も指導していただきたい。それが日本のこれからの経済上昇に役立つんじゃないかというのを私は考えて質問をしていたつもりでございます。つまり、国際競争力をつけるために、日本の現状だけで仕方がないというのではユートピアは生まれませんので、これはもう大臣のおっしゃるとおり、ユートピアを目指すにはやっぱり未然防止をやらなければならぬと思うんです。  そこで一つまたあるんですが、そういう製品が、先ほどの御質問のお答えが出てきておったわけですが、つい何年か前にはこのことを考えなかったということがあるわけですね。それで、労働省では昭和五十四年、新しい化学製品をつくる工場においては化学物質の有害性をアセスする法案というのをつくったんですよ。僕はこれは画期的だと、大したもんだと思った。それは、もうアセスメントを通らない限りはだめだと言っているんです。それからもう一つは、本当にわからない未知のもの、文献にも出てこないものは、バイオエキスペリメントというのか、そういうちゃんと実験やるところがあって、そこへ三年なら三年かけて、例えば発がん性を未知の物質についてはちゃんとやれ、それを通らないとプロダクトさせないというぐらいのものが昭和五十四年に労働省で出ています。これはもう僕は画期的だと思ったです。  それを今思い出して申し上げているんですけれども、そういう意味では、環境庁、通産省も絶対入るんだな、厚生省も入るんでしょうね、全部ひっくるめてですが、やっぱり環境庁がイニシアチブをとるんだろうと僕は思いますけれども、プロダクトの段階でのアセス、あるいは化学物質を使うんであればケミカルアセスというふうなもの、あるいはテクノロジーアセスというか、要するに私は、未然防止に役立つようなそういうアセスメントというもの、法案というのは本来は民主的でないのかもしらないんだけれども、法案ができればいい、できなくてもそういうことをやっぱりメーカーもやらなければいけないんだというような指導強化ということが要るんじゃないか。つまり、プロダクトアセスというようなことをプロダクトの段階でやってみるというふうなことを、私は前から同じようなことを繰り返して主張しているんです。これは大臣でしょうかね。
  169. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生、プロダクトアセスメントを設けたらどうかと、こういう御意見でございます。  新製品につきましては、確かに先生お話のとおりいろいろの問題を引き起こしますので、特に農薬関係というのは以前には相当問題になったのでございますが、農薬登録保留基準の設定をいたしまして、新規の農薬、あるいはまた、輸入した新農薬の登録に際して事前審査をするというようなこともやっております。また、化審法というもので化学物質についての問題を扱っております。農薬だとか化学物質だとか、そういうものについてはやっているのですが、そのほかの全般、個々の製品についてそういう統一的なものは今までになかったのでございますが、そういうことについてもこれはちょっと短期的ではできませんので、中長期的に考えて検討をさせていただきたいと考えております。
  170. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、私が予告申し上げておった三番目の廃棄物埋立跡地の管理ということに質問を移らしていただきますが、一般廃棄物の埋立処分というのは環境庁がやっておられるんですか、それの区分みたいなのを教えていただきたい。
  171. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 一般廃棄物の最終処分である埋立処分につきましては、環境庁は、その構造基準、それから維持管理基準、これについて厚生省と共管いたしておるわけでございます。
  172. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 先ほど、今のごみ処分場が二千五百ぐらいとおっしゃったのは、これは厚生省ですか。
  173. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 厚生省では、ただいまの環境庁お話でございました基準について一緒にやらせていただいているほか、施設の整備に対します助成でございますとか、具体的な行為につきましての市町村の指導というのを行っております。  一般廃棄物の最終処分場の数につきましては、五十六年度末現在、稼働中あるいは建設中のものが二千四百八十六カ所でございます。
  174. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それで、埋め立てが終わると閉鎖宣言をするということですね。それで、例えば過去十年間で閉鎖宣言をしたというのはどれくらいあるものでしょうね。
  175. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 毎年度の先はどのような数字はつかんでおりますが、閉鎖というところで調査をしたことはございません。
  176. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大ざっぱに一万ぐらいと、つまり二千五百の四倍ぐらいはあると見てもよろしゅうございますか。
  177. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 年間二百プラス・マイナスというくらいの感じの閉鎖ではないかというふうに思っております。
  178. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると、十年で限ると、大体十年で、二百として二千ですから、現在に直すと四、五千ということでしょうかね。  それで、私が聞いたのでは、もう大きな埋立地がなくなってきた、仕方がないので各自治体では小さなエリアでやる、そうするとすぐ詰まってしまう、また次のを確保すると、つまり自転車操業埋め立てが行われているようだというふうに僕は聞いているんですが、これはいかがでしょうか。
  179. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 最終処分地の用地確保は非常に困難をきわめておりまして、特に大都市及び大都市周辺で用地が物理的に取得不可能という市町村が相当数ございます。そのために、お話のございましたような小規模なものでありましても何とか工夫をして確保している、あるいは遠距離 の場所で確保しているという状況がございます。
  180. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今ので私の理解と同じだと思うんですけれども、やっぱりそういう小規模埋め立てというのが今後当然ふえてくると私は思うんです。それで、埋立処分が完了すると閉鎖宣言をする、閉鎖宣言をした後の土地の利用はフリーなんでしょうか。何か注文がつきますか。
  181. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 最終処分場が周辺の環境に支障のない状態になりましたときに閉鎖ということになりまして、その場合には普通の土地になるというのが現在の扱いでございます。
  182. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、閉鎖宣言をされた土地利用は自由だということでいいですね。
  183. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 法律の規定上はそのとおりでございます。
  184. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私はつまびらかにしないのでこれを環境庁に伺いたいと思うんですが、ニューヨーク州でラブキャナル事件というのが起きた。内容について教えていただきたいんです。
  185. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 正確には記憶しておりませんが、たしかニューヨーク近傍の化学工場がナイアガラの水力を使って化学物質をいろいろ製造した、それを運河の跡に埋め立てておいた。それがかなりの期間を経た後に、一般住宅地に住宅を建てる際に地下室等に溶出して著しい住民に被害を与えたというふうに記憶しております。
  186. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そのときの国というか州の対処の仕方はどうだったでしょうか。
  187. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まず住民の立ち退きをあっせんし、これもなかなか混乱が多かったようでございますが、立ち退きをあっせんし、最終的には土地の買い上げまで進んだんではなかったかというふうに記憶いたします。  ちょっと訂正いたしますが、土地の買い上げは、その後スーパーファンド法ができてあれはできるようになったかと思いますので、土地の買い上げまでは進まなかったかと思いますが、とりあえず立ち退き、それから健康診断、この二点について施策の重点があったかと、かように記憶しております。あと、当該会社からの原因者としての費用請求、かようなことが対策の骨子であったかというふうに記憶しております。
  188. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 その立ち退き等の対象になった戸数はどれくらいでしょうか。それから何年ごろのお話か、お伺いいたします。
  189. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まことに申しわけございませんが、私も翻訳書のラブキャナルを過去に読んだ記憶で申し上げているので、正確な戸数は記憶しておりませんが、運河沿いの二百三十九戸がまず立ち退き、州がその土地を買い上げております。それからさらに、一九八〇年にはカーター大統領の緊急命令で七百十戸が一時移転したということでございます。
  190. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 これは一つの例でございます。一九八〇年ですね。ですから割に最近なんですね。  それで、アメリカですとと言ったらいいのか、アメリカでは約一千戸の人たちの移動をし、土地を買い上げたりした。それでその健康をフォローアップしているはずですね、恐らく。ですから、これのガスが何であったか、書いてありますか。
  191. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 現在非常に問題になっておりますダイオキシンその他有機塩素系の化合物の製造、その廃棄物で、過去の埋め立てであったために、その性状その他が必ずしも明らかでないけれども、恐らく有機塩素系の化合物であろう、その中にたしかダイオキシンも一部含まれていたというふうに報告されておるようでございます。
  192. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 確かに重大な疾患を起こすというと、やはり塩素系ガスと思われるんです。ですから、簡単に死亡するとかそういうことというのはなかなか普通の金属等で起きませんからね。これ死亡はなかったかと思いますが、はっきりした症状が起きていますね。ですから塩素系かなと思っておったところですけれども、大変詳しく教えていただいて、これからの質問に大変役立たせていただきましたので、これはお礼申し上げます。  今御紹介いただいたことから言うと、埋立地というものが閉鎖宣言をして、後は土地利用が自由である。これは住宅地になったんですよね。したがって公共施設、学校等がこの上に建ったと。アメリカですから、二百三十何戸かを移し、あと七百戸を一時移転ができます。日本ではできませんものね。  したがって、私がこれからお伺いしたいのは、埋立処分に関する環境基準というふうなものを見直すとか、何かそういう考え方はあるんだろうか。環境庁いかがでしょうか。
  193. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まことに先生から現在の私どもの行政の一番の問題点を御指摘いただいたわけでございまして、非常に的確な御指摘であろうかと思うわけでございます。  それに対する私どもの対応でございますが、実は日本でもこれに近いような問題がいろいろ起きているわけでございます。まだ顕在化したわけではございませんけれども、かつて工場用地あるいは試験場跡地、こういうものが最近の土地利用事情の変化から大規模な利用転換が行われているわけでございます。したがいまして、その利用転換される際には、およそ各種法制度が整備される以前の状態でいろいろ廃棄物処理がなされていたわけでございますから、現在時点で見ますと種々有害物質検出されるわけでございます。幸い、ただいまのところはこれらの土地利用転換は、その売り主あるいは買い主が国または地方公共団体というようなことでございまして、個別処理といたしまして、現在の知見で得られる最善の処理をいたしまして、将来に禍根を残さないように処理をいたしているところでございます。  環境庁といたしましては、国、地方公共団体間の売買では問題はないだろうと思うわけでございますが、これはさらに大規模なデベロッパー等も入ってこられることも予想されるわけでございまして、将来の問題といたしまして、この有害物質検出された際にそれをどのように処理するか、その処理基準というようなものを、実は五十二年から五十六年にかけて私どもも市街地の土壌汚染についていろいろ勉強してまいったわけでございます。そういう知見をもとにいたしまして、それからまた、東京都等では既に一応の基準をつくっておられるようでございますので、それらも参照いたしまして、一般的な形で処理基準のようなものをつくって地方公共団体に対して指導することも考えているわけでございます。
  194. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 時間が来ましたけれども、法務省に伺いたいんです。  今の話、よく聞いていただいたと思うんです。今デベロッパーの話が出ましたので大変お話ししやすいんですけれども、埋立跡地の利用が自由だと。そうすると不動産業者が買って転売しているともうどういう土地かわからなくなるだろうと思うんです。したがいまして、事件がラブキャナルのように起きてしまっては大変なわけで、私の一つの提案は、土地登記簿に何年にここはどういう埋め立てをしたところであるというふうなことを記載する方法がないかどうか。現在あるのか、ないとすればする方法はないのか、そういったことを伺いたいんです。
  195. 青山正明

    説明員(青山正明君) 土地の登記簿には、土地を特定するための一つの要素といたしまして、宅地でございますとか山林、畑といった地目を登記するということになっております。  先生の御指摘の、廃棄物の埋立跡地であるということは登記簿の登記事項にはなっておりません。地目と申しますのは、土地の主たる用途に応じまして、土地の現況及びその利用目的に応じて十数種類の地目が定められておりまして、土地の特定の要素として登記することになっているわけでございます。もともと不動産登記と申しますのは、不動産に関する物権の得喪、変更を登記いたしまして第三者に対する対抗要件とする、対抗要件を充足させるというための制度でございますので、そういう不動産の権利の客体を特定するための要素を登記するという仕組みでございます。  廃棄物の埋め立て跡地であるということは、そういう土地の特定のための要素等というのとはや や趣を異にしておりますし、土地の現在の状況というふうにもとらえられ、過去において廃棄物が埋められたということでございまして、現在の状況をあらわすものではございませんので、これを地目あるいは地目に類するものとして登記簿に登記をするということは適当ではないのではないかというふうに考えております。
  196. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 実は、登記制度の法律技術的な性格から恐らくそのような、今法務省から御説明したようなことになるわけでございまして、それにかわるべき何か有効な手段がないかということで、五十九年度に若干の予算を措置していただいたわけでございます。五十九年度、私どもこの課題について検討してまいりたいと思います。  この際、やはり非常に一つ問題点といたしましては、そこを明確にすればするほど地価にそれが反映する。そうするとそれが土地の取得にまた支障が出るというような問題もあるわけでございますが、先ほどお話がございましたようなラブキャナルの例もございますし、これはそこに埋め立てられた物質の性格によっておのずからいろいろな取り扱いに差をつけるというようなことも考えていかなきゃいけないかと思いますが、いずれにしても、五十九年度で私どもこれに取り組みたいというふうに考えて、厚生省ともよく御相談していきたいと、かように考えているわけでございます。
  197. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それじゃ終わります。どうもありがとうございました。
  198. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、環境庁環境保全あるいは自然破壊防止、緑化などを一生懸命やるということをもっともっとしてほしいと思うんですが、前回も申し上げましたように、既に発生した公害被害患者を放置してはならないということを特に強調したいと思いますので、前回に引き続いてこの問題について質問したいと思うんです。  そういう点で、前回の私の質問の一番最後の方、長谷川環境保健部長答弁は、申請しないまま死んでしまった者、これは現在では救済されないわけです。それの理由として、一つは、生存中に申請する機会が幾らでもあった、それからもう一つは、そういう人を認定すると不公平になると、こういう答弁がありましてね。私は、現に被害者がおって、それがいろんな角度で証明できるのにそれを認定すると不公平ということは、これはどうしても理解できないんですね。この問題は私は、健康被害者を救済するという補償制度の根幹にかかわる環境庁の考え方につながってくると、こう思いますので、その点御答弁いただきたいと思います。
  199. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  公害健康被害補償法におきまして、患者さんと思われる方々の死後の申請を受理しないということになっておりますことの理由でございますが、まず第一点は、この公害の患者さんの認定に当たりましては高度の医学的判断を必要とするものでございまして、この公害病の審査に当たりましては公平、公正さを期する必要があるわけでございますが、そのためには、県等におきまして行われております、統一的に行われております検査によるデータが用いられているところでございます。患者本人が亡くなられた後に申請がありましても、このようないわゆる県等におきまして統一的なデータがそろえられないというようなことがあるわけでございますので、そういう面から公平な審査ができない可能性があるということが理由の一つでございます。  それから第二点といたしましては、本法の対象となります疾病は一般に慢性の疾患でございまして、非常に長い期間罹病していらっしゃるということでもございますので、患者の生きていらっしゃる間に十分申請する機会があるということを考えますと、現在のように生前中に、生きていらっしゃる間に申請をしていただきまして審査会において御判断をしていただくという仕組みといいますか、制度が一番妥当であろうというぐあいに考えておるところでございます。
  200. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 生存中十分に申請する機会があるというのも、これは確かに東京で考えていますとそのとおりなんです。ところが、実際に被害地へ行った場合に、要するに死ぬのを待つことなんですよ。  例えばこれ最近問題になっておりますのは、イタイイタイ病で申しますと要観察者、これは現に五人の方、福崎米次郎さん、西沢仙之助、浦本栄蔵、松井ツタ、窪田千代、この五人の人は要観察のまま死亡しました。そして、解剖をした結果の報告書が最近来まして、これは富山医科薬科大学の北川正信教授の報告書でありますけれども、それによると全部骨病変、要するにイタイイタイ病の症状が全部あると、こういう報告が客観的な資料として来ておるわけです。しかし、要観察のままですから申請していなかったんです。そして、一定の年齢の方ですからまあしかし一定の症状はあるんですが、家族としますと、ああ危ないなあと思って、そのとき申請するんでしょうけれど、しかし人間としては一刻も余計に生きておってほしい。そういうときに申請というのはどうしてもためらうものですよ。特にここは仏教王国です。もう敬けんな浄土真宗の信者がたくさんおるところですね。昔から一向一揆のあった、そういう風土なんですね。やはりそんな宗教感覚から言ったってそういうことはできないんです。それを東京におって、幾らでも申請する機会があったと。これはとんでもないことですが、そういう実情は御存じですか。
  201. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 私どもの方といたしましては、この公害の指定地域を抱えております県、市の方に対しまして、この制度の趣旨といいますか、仕組みについて十分御説明申し上げておるところでございまして、亡くなられた後の申請といいますものは現実においては受けるわけにまいりませんので、そういう疑いを持っておられる方、可能性があるとお考えになっていらっしゃる方々につきましては、生きている間に申請をしていただきたいという面での周知徹底を図っておるところでございます。今後とも、そういう面での周知といいますか、それを図って、先生のおっしゃるようなことのないように計らってまいりたいというように考えております。
  202. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 幾ら周知徹底を図ったって、一軒一軒言って回るわけじゃないんですよね、被害者はたくさんおるわけですから。イタイイタイ病だけじゃなくて、水俣病も実際はそういう問題が現実にあるわけです。  法律上は要するに公害健康被害補償法の第六条の一番最後の方に、この第六条というのは、これは死後、申請しないで死亡した場合においても申請できると。ただこれは極めて短期間であって、この法律ができた、要するに指定地域になった日から一年以内ということですから、もう過ぎちゃってこれは効力ないんですけどね。ただ、この条文を一番最後のところを削りますと、申請しないで死亡した場合に救済の道ができてくるんです。これは私はそういう立法、削除の立法をしてほしいと思うんですが、そこで先ほどの私の質問に対しては全然答えていないんです。要するに周知徹底しているということなんですが、いろんな事例があります。今私が言ったのは、要観察者という状況の人です。  それからもう一つ私は深刻な事態だと思うのは、イタイイタイ病、水俣病もそうですが、一度棄却されるんですよ。そして棄却されて再申請しない間に死んじゃうんです。そしてこれも、長官、普通の農民なり漁民なり、普通の市民が公の機関から一応資料をそろえて、自分は患者だと思って、またお医者さんもそう言っているけれども、しかし公の機関が患者でないと言った場合、再申請するということは極めて大変なことです。大体その出した資料とほぼ同じ資料しかないんですからね。出せばまた棄却されるのが落ちだと、そんなことできないと。しかし、現実には水俣病被害地域ではそんなことを言っておれるような悠長な状況でないから、もうそれは棄却されたって すぐ再申請というのをやっているんです。これはもう皆さん生きるか死ぬかの境ですから、そんなことを言っておれないのでやっていますけれども、しかし普通の人間であれば棄却されたらまず再申請はなかなかできません。そうこうといっているうちに死んじゃうんです。特に、床についてから危ないということで再申請するなんということ、これを普通の家庭に期待できますか。幾ら申請しなきゃだめなんですよといういうことを徹底したって、現状できますか。できないから存在するんですよ。  なぜかといいますと、それぞれ被害団体があります。その幹部の皆さんはある意味では半ば専従的に患者さんの世話をやっておるんです。ですからそういうことを徹底しています。現に、イタイイタイ病の場合でいいますと、生前に申請したけれども棄却処分になった人で、骨を取り出して骨生検をし、イタイイタイ病の所見があって、それで生きておったから再申請した、そういう人が九名で、うち六名が認定されています。そのように、幹部の皆さん一生懸命やっているんですね。それから死の直前に申請したと。あなたが言ったとおりですよ。しかし未処分のまま死亡して、要するに滑り込みセーフですね。そして死後病理解剖をした者が十一名、そのうち五人が認定になっています。そのほかに、生前に申請したけれども棄却処分になった人で再申請せずに死亡した人、それが九名おりますが、最近、今申し上げたとおり六名について骨生検が終了して、三名が骨所見ありと、こう出たんですね。  いろんな問題ありますけれども、要するに、十分に宣伝しているから大丈夫なんというととは、これほど一生懸命やったって漏れちゃうんですよ。その事態の前に、単にそういう教宣やっていると、要するに宣伝しているというだけで、こういう患者が漏れていくのを一体どう見るのか、御答弁いただきたい。
  203. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  イタイイタイ病の要観察者の方々に関するフォローアップの問題であろうかと思いますけれども、県におきましても、この要観察者につきましては毎年一回、経過観察のために検診等を行っているわけでございます。そういう面で、この方々につきましてはそれなりに把握といいますか、情勢をそれぞれつかまえているところでございますので、この方々につきまして、今後亡くなられることを予測するのは非常に難しい話ではあるかもしれませんけれども、この制度の仕組みといいますものにつきましては県も十分御承知しているわけでございますので、そういう面で、この制度の仕組みの中におきまして、先生から御指摘のような問題が起きないように配慮していく必要があるだろうというぐあいに考えているところでございます。
  204. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういう事態が起きないように配慮するといったって、幾ら県がそういうことをみんなに伝え、かつ被害団体の幹部が一生懸命やったって、現実に出ている。しかも、私は特にこれは国の責任だと思うのは、棄却になった人、先ほど申し上げましたね、棄却になった人が生きておったから骨生検した。大変痛いようですね。大変な苦労をしてそして患者に認定してもらったと。本当にイタイイタイ病で苦しみ、さらに生きているときに骨を取って二重に苦しんで、そして認定。要するに棄却が間違っておったんです。そうでしょう、棄却が間違っておった。あるいは棄却されて再申請がうまく滑り込みで済んで、その後解剖したら患者だったと。  これは予算委員会でも申し上げたけれども、水俣病では、環境庁答弁でも、昭和五十八年度中だけでも、再申請後死亡して解剖したらば、これは棄却された後ですよ、二件あったと。私の調査では十五件あるんですからね。これ実際あるんですよ。となりますと、こんなにもたくさん環境庁の棄却が間違っておるんです、そして排除された人とか。棄却されて再申請なんということは、本当にこれはもうよほどでなければできない。となれば、間違っておった棄却のまま再申請しない人々、これは国が間違ったためにその機会をとうとう失って患者と認められない、しかし後で調べてみたらば、客観的なデータから見ても水俣病でありイタイイタイ病であると。一体これどうするんですか。国が間違ったんですよ。それが事実でわかった。それは論争があるにしたって、それは学者が論争すればわかるんですから。現に認定された人もおるんです。国の間違いが明白なのにそれでも切り捨てられた人。それもたまたま生前中に申請しなかった。申請できなかった事情はいろいろありますけれども、その一端は申し上げたとおりです。一体この人々をどうするんですか。
  205. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 水俣病、それからイタイイタイ病、両方の病気でもそうでございますが、病気がだんだん進行してまいるという過程もあるわけでございまして、先生お話のように、申請時点におきます臨床所見、あるいは、そのときにイタイイタイ病でございますと血液所見なりあるいはエックス線の所見といいますものを見まして、審査会の先生方が総合的に判断いたしましてこれはイタイイタイ病でないというぐあいに判断されるわけでございます。その後に病気が進行してまいりまして、その後エックス線所見なり血液所見、場合によりましては骨所見といいますものの変化があった場合におきまして、さらに次の機会といいますか、再申請の場合におきまして再度審査いたしまして判断をするというケースでございますので、一回目の時点においては、そういう面で病像がそろわなくて、当該疾病ではない、違うんじゃないかという判断をされることもあり得ることであろうというぐあいに思うわけでございます。  そういうようなことで、この公害健康被害補償法におきましては、それぞれの方々がやはり自分の病気といいますか、疾病がそういう公害病によるものであろうという疑いを持っておられる方々のために、俗な言葉で申し上げれば、何回も申請していただけると、そういう方々につきましてはいつでも申請していただいて、また資料をそろえた上で適正な判断をしていこうというような考え方でやっているわけでございますので、そういう面で、病気の進行あるいは制度の仕組みというものにつきましての何といいますか、その時点におけるギャップといいますか、そういうものはある程度あるのはやむを得ないものであろうというぐあいに考えているところでございます。
  206. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 審査時とその後の病状の変化によって次の審査で認められる可能性があるというのは、私はあるにはあるけれどもごく一部だと思うんです。水俣病の現状の大多数は大変基準が厳し過ぎる。イタイイタイ病もそうですね。そのために、生きておればそれを証明させる資料がある。たまたまなかったために、実際は水俣病、イタイイタイ病だけれども、実際なかったために認められなかったにすぎない。で、あと死んで、あるいは生きているうち骨生検して、そしてもう有無を言わせぬ資料がそろって認めたと、これが大多数なんですね。その辺の認識をひとつ持っていただかないと、本当に過去の発生した被害の救済は全くこれはできません。  そこでもう一つ先ほど言っておったのは不公平だということなんでしょう。不公平という意味が、そういう申請しないまま死んでしまった人を認定すると不公平だということでしょう。どうして不公平なのかこれはさっぱりわかりません。どういうことですか。
  207. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 生前中に申請が出されますと、県が行っておりますいわゆる審査におきまして、先ほど申し上げましたようないろんな検査データがそろえられまして、それに基づいて判断をすることができる仕組みになってございます。しかしながら、先生おっしゃるように亡くなられた後での申請となりますと、そういう面で生前中に行っております検査等が十分行えないために、まあ何といいますか、資料が十分そろわないというような点で後々の審査が不公平といいますか、いろいろ問題があるということが考えられる という意味で申し上げているわけでございます。
  208. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そこで、死んでから最高のデータである、解剖したんです。そうしたらそれが患者であることのデータが出てきた。これを患者と認めることがどうして不公平なのか。不公平と言ったでしょう、そういう人々を認定すると不公平だと言った。なぜ死んでから、もう本当は生きているうちに認めてほしかったと思うんだけれども、しようがない、今の医学やあるいは認定基準が厳し過ぎるから認められない。死という人間の最高のものを提供して、体まで提供してそして資料が出てきた。しかし、なぜ申請していないと患者と認められないのか。不公平と言ったことは、もし認めりゃ不公平だということなんでしょう。一体なぜ不公平なのか明らかにしてほしい。
  209. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  亡くなられた後に申請を受け付けるといいますか、それをそういう仕組みをとりますと、先生おっしゃるように、亡くなった後にすぐに解剖して病理所見の得られる方もあるかもしれませんし、それ以外に、ほとんどの方は病理所見もなく、解剖なさらないままに、亡くなって死亡診断書というような形のものだけしか出ないこともあり得るだろうというぐあいに思うわけでございます。  そうなりますと、亡くなった方の後の申請を受け付ける段階において、何といいますか、色分けすることもできないわけでございますし、そういう面での後々の審査ということを考えますと、やはり生前あるいは亡くなった後の審査というものを並べて考えた場合におきましては、不公平といいますか、公平さを期することができない、いろんな問題が出てくるんじゃなかろうかなというようなことから、生前に申請していただければそういう面での適正さは期すことができるという考え方で、現在生前中の申請に限らしていただくという形をとっているわけでございます。
  210. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 わかりました。こういうことですね。ちょっと例を例えて言います、わかりやすく。長官ちょっと聞いてください。例えば、おぼれている者がそこにいるということがわかったんです、たまたま一つ方法、解剖という方法で。しかし、今の部長答弁は、その人を救ってしまうと、ほかにもおぼれている人がたくさんいるかもしれない、まだ発見されていないけれどもいるかもしれない、それを救済しないで目の前のおぼれている人間を救うのは不公平だと。そうでしょう。要するにあなたの話によれば、ほかの人はデータが出てこない、そのうちの一部にデータが出てきた人だけを認定すると不公平だというんだから、これは例を例えて言えば、おぼれているという、現にもうだれが見てもわかる事実がある。そのほかにも台風か何かで、洪水か何かでおぼれておる人がおるかもしれぬ、その一部だけ  現に目の前にいる人を、はっきりわかった人を救済することが不公平だということでしょう。そうなるでしょう。  委員長、そうなりませんか。梶木前長官行っちゃったけれども、これはそうなるんですよ。大臣、私の言ったことわかるでしょう、例えだけど。要するに、どんな資料があったって、現に患者であった資料があるけれども、それを認めてしまうと、ほかの人はそういうことはできないんだから、助けてもらえないんだから、これを認めるのは不公平だという。どうですか。
  211. 穐山篤

    委員長穐山篤君) まず技術的な問題を先に。
  212. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  おぼれている人という例をとられての御説明でございますが、そういう例をとるのも一つの考え方かと思いますけれども、私どもは、やはりこの公健法を適正に運用するためには、いろんな場合といいますか、その地域に住む方々がそういう権利と申しますか、そういうものが適正に執行できるような形のものの運用を考えていく必要があるだろうというぐあいに思うわけでございます。  そのような観点から申し上げますと、やはり病気の疑いを持っておられる方々は同じような資料のもとにそれぞれ適正に判断される必要があるだろうというぐあいに考えるわけでございまして、そういう面では、生前に申請をしていただくことによりまして適正な資料が得られ、適正な判断が得られるというわけでございまして、亡くなった以降の場合になりますと、そういう面では必ずしも平等といいますか、公平な資料を得ることができなくなるおそれが多分にあるというようなことから、死後の申請の受理につきましてはいろいろ問題があるのじゃなかろうかというぐあいに考えておるところでございます。
  213. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、今の説明わかりますか。委員長がわからなきゃ、これちょっと委員会としてわからないことなんですね。どうですか、わかりますか。
  214. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 私は、理屈はわかります。
  215. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 山東先生どうですか、わかるでしょう、私の理屈。要するに申請したかしないかというだけの話で、もう立派に証拠があるんですよ。  私はこのことをなぜ怒りを持って申し上げるかというと、認定制度ができる前は、解剖なりお医者さんの証明なりがあれば、この認定制度なかったんだから、そうでしょう、認定制度ない段階では、今ある資料、解剖なんというのはもう最高の資料ですよ。それがあれば認められた。大体、一斉検診やりまして、申請しなくたって県が全部、例えばイタイイタイ病被害地域あるいは水俣病被害地域に一斉検診やって、特にイタイイタイ病はそうですね、一斉検診やった結果、あなたは尿が多い、糖が多い、それまたピックアップして、そしてレントゲン撮ったらこれはおかしいと。認定制度ない段階にはそれで患者とされたんですよ。  そしてそういうことが積み重なってきて、そしてとうとう四日市公害訴訟で環境庁は裁判所からしかられたんです、放置しておったと。それに刺激されて環境庁はこの公害補償制度をつくったんでしょう。つくった補償制度が、その前であれば当然患者と認められるような人々を、今言った要するに生前申請したかしなかったかという、こんなことだけのためにもう排除しちゃう。この救済制度というのはこれは損害賠償制度的な面があるんでしょう。民事賠償的な面があるんでしょう。それだけ答えてもらいましょう。
  216. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 公害健康被害補償制度につきましては、ただいま先生からお話ございましたような民事責任を踏まえた賠償責任というものを踏まえて制度が組み立っておるというぐあいに考えております。
  217. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、制度ができる前は認められた人々、それができたために認められない。となれば、もう一度裁判やれと言うのですか、そういった人々は。これができた趣旨説明を見てみますと、今まで裁判などいろいろやらざるを得なかったと、長期間かかるし、大変だから、だからこの制度で損害賠償的な面をひとつ解決していこうということでできた制度じゃありませんか。その制度ができたためになぜ今まで救済されることのできた人が救済されなくなるのか、これを御説明いただきたい。  そして先ほどの私の例、まあおぼれるんでいけなけりゃ、現に本当にもうれつきとした患者がおるのに、たまたま申請しなかったというだけでなぜそれを排除するのか、それを認めることがなぜ不公平なのか、これは全然説明つきません。いろんなことがあるというのはそれはありますよ。あるけれども、現にある患者を救済してどうしてそれが不公平なのか。その二つをお答えいただきたいと思います。
  218. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども先生がおっしゃるように、要観察者という方々につきましての観察は県において毎年検診等をやっているわけでございますので、そういう面で、この方々がこの制度が十分活用できるといいますか、利用できるといいますか、当然受けるべきものを受けることができるような形のものにしていかなきゃならないというぐあいに思うわけでございます。そうい う面で、そういう対象の方々に対しましてこの制度の趣旨につきまして十分御説明申し上げ、御理解を得ながらこの制度が適正に機能するように私ども県とも十分今後とも連絡をとりながらやってまいりたい。先生のおっしゃるような問題が死亡後におきまして問題とならないような形で事前に十分対応していく必要があるというぐあいに思っているところでございます。
  219. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が言ったような人々が今認められないという事実が現に存在し、そういう人が認められないということはこれは大変まずいことであり、やはりそれはその人にとっては大変不公平じゃないんでしょうか。同じ患者でありながら、たまたま生前申請できなかった、その事情もいろいろある、その人が認められなかったのは同じ患者から見れば不公平じゃないでしょうか。あなたは先ほど、ほかに認められない人々との関係でこれを認めると不公平だと言ったけれども、逆に患者から見ればこれ不公平じゃありませんか。それだけ答えてください。それは認めるんでしょう。
  220. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 仮に、先生おっしゃるように、その方々が、先生のおっしゃる方々が申請しておられた場合におきましては、審査会におきまして、生存中の臨床所見なりあるいは解剖後の病理所見というものを踏まえながら総合的にイタイイタイ病であるかどうかの判断をされるわけでございますが、その審査会におきまして仮にイタイイタイ病であると言われ、判断された場合におきましては、先生のおっしゃるような意味では逆に不公平ということもあり得るものとは思います。  ただ問題は、その病理所見あるいは臨床所見を総合的に判断して審査会の結論が出せるといいますか、出ないような現在の仕組みといいますか、そういう制度の仕組みになっているわけでございますので、先生のおっしゃる方々が本当の意味でのイタイイタイ病であるかどうかについての判断が現在のところできないという状況にございます。
  221. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それが官僚答弁というのですかね。あなた方が認定審査会の先生方の審査を受けるチャンスを奪っちゃっておいて、比較できない、これが認められないのは仕方がないという、そんなばかなことありますか。あなた方が奪っているんですよ。もともとあったんだ、もともと救済できる余地があったんですよ。それをあなた方が奪っておいて、それで認定審査会が認定すべきものでありますと。だからそういう機会を設けたらいいじゃないですか。そして、要するにこれは先ほど言った六条の一番最後の条項を削ればこれはできるんですから。もともとこれは死んだ後も申請できるという規定なんですからね。  そこで、時間が来ましたので、大臣、私のやりとり理解できたでしょう。これ理解できなきゃちょっと環境庁長官の資格ありませんから。理解できたと思うので、それについて、まずこういう方々が救済されていない状況、これは私はたまたま人数からすればそれほど、まあ相当数だけれども、総人口から比べればそれほどのものとは思わぬけれども、しかし、こういう状況が放置されているということは、この救済制度が損害賠償制度だという根本をこれはもう否定するんですから、この制度を設けた根本的な趣旨が崩れるんですから。  そこで環境庁長官長官の資格があるかどうか試されるひとつ御答弁をいただきたいと思うんです。
  222. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいま近藤先生からいろいろと患者の実態といいますか、お亡くなりになってからのいろいろな問題点を挙げていただいたのでございます。  今の基準というのは、結局はどこで線を引くかということ、冷たい言い方をするとそういうことになろうかと思うのでございます。この法律のもとが、臨床所見によってとにかく患者であるかどうかということを判定をする、こういうことになっておるわけでございます。じゃ、亡くなった方を解剖してそれに病理所見も入れておるじゃないか、こう言われますと、その病理所見もなるほど総合的に考えて判定をしておられるようでございますけれども、そこの線の引き方であって、申請がされてない場合においてはこれは臨床所見というのが得られないから、そこは何といいますか、線から外れるのである、こういう今の仕組みになっておるのでございます。  この辺のところがいろいろ今問題になったわけでございますが、これは私も、ちょっとその辺のところ非常に判定がしにくいというよりも、特にお医者さんの関係でこれはよく決めていただかなくちゃいけないと存じますので、こういったような点はひとつまたそういうことを検討をしてもらうように私も考えてみたいと思っております。
  223. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、終わりますけれども、今お聞きになりましたように大変深刻な重大な問題ですので、この問題を当委員会として少し国民がわかるようにひとつ解明していただきたいということを申し上げまして、今の大臣の答弁じゃ余計わからなくなりましたので、ひとつそういうことをお願いして私の質問を終わります。
  224. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 文化庁の方来ていただいていると思いますが、現に指定されている特別天然記念物、動物と鳥類につきまして何種、そして具体的にはどういう動物、鳥類がいるか、お教えをお願いいたします。
  225. 田村誠

    説明員(田村誠君) 文化財保護法によりまして天然記念物に指定されたもののうち、特に重要なものを特別天然記念物に指定しているわけでございますが、特別天然記念物に指定されております鳥類ではコウノトリ、タンチョウなどございますし、獣類につきましてはアマミノクロウサギ、カワウソ、イリオモテヤマネコなどございまして、そのほかに春日山の原始林であるとか秋芳洞など合わせまして七十六件が現在特別天然記念物に指定されているわけでございます。
  226. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先日ヤンバルテナガコガネが発見されましたね。これは現在指定等々のことは文化庁としてはお考えでございますか。
  227. 田村誠

    説明員(田村誠君) ヤンバルテナガコガネにつきましては、今年の早々に新聞等で報道されたわけでございますが、天然記念物の指定につきましては、学術上極めて重要であるというような基準によりまして指定しておりますので、現在学会の動向等を見ながら、また分布状況等を子細に調査しなければいけないというようなことで、沖縄県の教育委員会と連絡している段階でございます。
  228. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 環境庁どうでしょうか。今協議をしているとおっしゃいましたけれど、ヤンバルテナガコガネが本当に我々の全く知らなかった超大型の昆虫であって、国民みんな喜ぶと同時に、これは大事にしなければいけないなという点においてはもう一致した意見だと思うんですけれど、環境庁として、例えばこのヤンバルテナガコガネを特別天然記念物に指定するべく文化庁とよく相談をしてお決めになる、そういう御意思はございますか。
  229. 山崎圭

    政府委員山崎圭君) ヤンバルテナガコガネにつきましては、昆虫の分類に入るものでございまして、私どもの所管しておりますのは鳥とけものということに相なっておりまして、実は昆虫の方は法律的には責任を持っていないと、こういうことでございます。  ただ、ひとしく一般の自然の環境という意味、そこに生息するそういう動植物、こういう観点では大変関心のあることでございますし、文化庁におかれましてそういう手続がスムーズにとられるように側面的にいろいろな形でお話もしてみたいと、こういうふうに思っております。
  230. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今のヤンバルテナガコガネに特性的にあらわれたものだと思いますけれども、法律的には環境庁の所管でないにしても、大きい意味での動物という点ではヤンバルテナガコガネも動物の種でございますから、それはひとつ積極的に環境庁としても、一例を挙げればこのヤンバルテナガコガネ等が特別天然記念物に指定されるように側面から、今御答弁いただいたように御努力をお願い申し上げておきます。  長官、ひとつこれもよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
  231. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいまお話のとおり、非常に貴重な昆虫でございますし、失われてしまいますとこれをまた再びというわけにはいかないものでございますので、文化庁の方とよく御連絡、調整をとりまして、そしてその保護を図っていけるように私どもも力を入れたいと考えております。
  232. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 気象庁の方お見えでございますね。  気象庁の方で、たしか生物観測指針だと思いますけれど、その年度で初めて例えばモンシロチョウがあらわれた日、あるいは桜の開花前線等がよく知られていることでございますけれど、いろいろな動物でありますとか、あるいは植物について一つの気象学上の観測指針というものをおつくりになっていらっしゃると思うんですが、その概略をお教え願います。
  233. 山崎道夫

    説明員山崎道夫君) 御説明申し上げます。  気象庁では「生物季節観測指針」というものに従いまして観測をいたしてございます。この指針では植物の開花、それから紅葉といったこと、動物の出現等につきまして日本全国に広く分布している、例えばソメイヨシノでありますとかイロハカエデ等の植物につきまして十二種類、それからツバメですとかシオカラトンボ等の動物につきましては十一種類を観測することとしております。またそのほかに地方の実情に合わせまして必要に応じて観測する種目ということで、リンゴでありますとかミカン等の植物二十一種類、ハルゼミ等の動物十六種類、これを一応規定してございます。これはいわば選択種目ということになってございます。  この指針は、制定いたしましたのは昭和二十八年でございます。
  234. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 昭和二十八年に制定されて、今おっしゃったように植物十二種、動物十一種、その他選択的な指針等も地域的には含まれているということなんですけれど、元来これを制定された目的はどこにあったんでしょうか。
  235. 山崎道夫

    説明員山崎道夫君) 気象官署で行いますこの生物季節の観測というものの目的は、生物に及ぼします気象の影響を知るということと、それからその観測結果から季節のおくれ進みや気候の違い、そういったこと、総合的な気象状況の推移ということを知るところにございます。
  236. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今おっしゃったのは、例えば中国には二十四節気、七十二候というのがございまして、一番よく知られているものでは例えば啓蟄というのがございます。その年初めて虫がはい出る日、これを啓蟄と言っておりますね。だから、そういう観点からこの指針をお定めになったということはわかりますけれど、どうなんでしょう、現実に、単に気象上の季節のめぐり変わりを知るための指針であったものが、列島そのものが例えば開発等々によって、単に気象的な条件の変化だけにとどまらず、開発等々による例えば化学的な変化等々、公害等の影響によって、観測そのものが純粋に季節の進みおくれを知るためにはもう役立たないような、そういう状況も出てきているんじゃないでしょうか。
  237. 山崎道夫

    説明員山崎道夫君) 現在、指針の項目の中ですと、はっきり利用できなくなったというふうなものはございません。また、生物季節の観測というのは同一種目について長期間その結果を比較することが望ましいと考えておる次第でございます。
  238. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いや、私のお伺いしているのは、何というんですかね、単に自然的な季節の進みおくれ等々を知るには、その他の要素が介入をしてきて、例えば都会等においてはソメイヨシノの開花日等をいわゆる桜前線というような形で予測をする場合でも、自然が非常に一定であればともかく、物すごい勢いで今変わっていっていますから、そういった生物観測指針を貫き通すには、いわばその面から見れば不純な要素が介入をしてきて非常にデータとしての利用価値が減りつつあるものもあるんじゃないかと、こういう意味でお尋ねをしたんですが。
  239. 山崎道夫

    説明員山崎道夫君) 私どもの観測しました中で若干調べてみますと、蛍などの場合には地点数が昭和二十八年以来徐々に減少していたものがございます。ただ、これは昭和四十五年前後から再び増加傾向を示しておるということでございます。そういう例もございます。
  240. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 環境庁にお尋ねいたしますが、今端的に教えていただいたんですが、蛍ですね、これがどんどん減少しているということは、気象庁の今の生物観測指針、昭和二十八年に始まった、これをもってしてもはっきりしているわけですね。それがまた昭和四十五年ぐらいからふえ出したということは、いわゆる公害そのものについての環境庁の行政について、例えばこの気象庁の生物観測指針の統計的な推移というものが、環境庁がおやりになっている行政が適切であるのかどうかということを知る参考になりはしないかと私は考えるんですけれど、その辺についての環境庁の御見解はいかがでございますか。
  241. 山崎圭

    政府委員山崎圭君) 結論的には先生の御指摘のようなことになるかと思いますけれども、ちょっとこの際私どものやっている調査も含めまして御披露申し上げたいと思いますのは、今気象庁からのお話のように、生物季節観測指針というのは、気象とのかかわりにおいてある特定の種を選んで気象との関係を御調査いただいている、そういうことでございます。私どもは、そういう全国的な動植物の分布ということについての知見というものは大変大事である、今先生御指摘のように環境改善の推移を知る上でも大事でございますし、種それ自身の保護管理のためにも大事なことである、こういうようなことで、いわば自然環境をトータルにつかまえるところのそういうものの基礎的な情報として位置づけておるということでございまして、私どもは、どういう種類の動植物の種がいつどこで観察記録されたか、こういうことを全国的に調べてみようと、こういうことで、実はこれは自然環境保全法という法律の中にも、おおむね五年ごとにそういう全国的な調査をやれと、こういうことでございまして、四十八年度第一回、五十三、五十四年度第二回、そして今五十八年度、五十九年度、明年度あるいは六十一年度にかけまして第三回の相当大規模な調査をやっておるわけでございます。  そういう意味で、今の気象庁の生物季節観測指針も役には立ちますが、むしろ気象庁の方はソメイヨシノという種の存在を前提にして調査をする、私どもはそういうソメイヨシノに限らずいろいろなそういう種が全国的にいつどこであるか、その時間的な推移もこれから年を経るごとに精密さを増してくる、こういう関係に相なるわけでございます。  そういうことで、とりわけて現在やっております、緑の国勢調査と呼んでおりますが、その中で身近な動植物の分布調査を、この全体の調査項目は全部で八本の柱にわたりますが、その中で動植物の分布調査というものがありまして、その中では専門家集団による調査全国的なボランティアによる調査を考えておりまして、実は先般の当委員会におきましてもお話し申し上げたのですが、八万人を超えるボランティアの方々の御参加、御協力を得ております。そういうことで、これはもう大変身近な、動物種類では四十種、植物種類で三十種類を調べていただく、こういうことでございます。そういうことが非常に広範囲にわたって多くの方々の参加を得て豊富なデータが集積できるものと、かように考えておるということでございます。これはもちろん気象庁のおやりになっているのもいろいろに参考にさせていただきました。今の種の選定についても参考にし、調査の手引書にもそれを御紹介したり、あるいはまた現実に気象台の職員のOBの方々もこの調査にボランティアとして入っていただいている、こういうようなことでございます。
  242. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今のお話を伺って私も大変安心をすると同時に、今後さらにまた気象庁ともよく連 絡をおとりになって、こういう点でも省庁の垣根を取り払っておやりいただければ大変結構だと思う次第でございます。  防衛庁、来ていただいておりますね。  逗子の池子の弾薬庫の跡地と私は理解しておりますが、跡地につきまして、米軍の住宅を建設する、このことにつきまして、神奈川県民と逗子の市民がこれは困るじゃないかということがありまして新聞等に報じられたんですが、ごく簡略に、この池子の弾薬庫跡地、二百九十ヘクタールでございますか、これの利用計画、防衛庁とアメリカとの話し合い、それから反対運動の概略、現在の状況をお教え願います。簡略にお願いいたします。
  243. 小澤健二

    説明員(小澤健二君) お答えいたします。  池子弾薬庫と申しますのは、神奈川県の逗子市、一部横浜市にかかっておりますが、総面積が二百九十ヘクタール、現在安保条約に基づきまして米軍に提供中の財産でございます。米軍は数年前から横須賀地区に軍人等の住宅が大幅に不足しておると、困っておるということで、日本政府に対して住宅建設をしてほしいという希望を米軍は折に触れて表明したわけでございます。それで政府といたしましては、早期にその解決を図る必要があると考えまして、米側の希望を聞きながらここに住宅建設を計画したものでございます。  住宅建設を池子弾薬庫に決定することにつきましては、横須賀地区に米海軍の住宅が現在非常に不足しておるわけでございまして、これを早急に解消する必要があるということで、これは横須賀海軍施設に通勤し得る範囲の既存の施設・区域
  244. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 簡潔にお願いします。
  245. 小澤健二

    説明員(小澤健二君) これを検討したわけでございまして、およそ千戸まとまった住宅が建設できる用地といえば池子弾薬庫、これに地形、地質などを調査いたしました結果、池子弾薬庫のこの土地二百九十ヘクタールのうち八十ヘクタールを住宅建設区域ということで考えたわけでございます。
  246. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 反対運動があったことは御承知でございますね。それにつきましては、例えば逗子市あるいは逗子市議会等々との話し合いは現在どうなっておりますか。それから、あわせて県との話し合いはどうなっておりますか。
  247. 小澤健二

    説明員(小澤健二君) 去る四月の十日、これは逗子市の方からの連絡でございますが、市議会も逗子市長の意向を了承したという連絡を受けております。それで、市長からは、要望事項をまとめまして当庁に対して正式な回答を近日中に行うということでございまして、私どもこの市長から出される要望につきましては誠意を持って検討いたし、また関係機関を含めまして調整いたし、これを実施するべく十分対処したいと考えております。
  248. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 県はどう言っているんですか。
  249. 小澤健二

    説明員(小澤健二君) これは、逗子市は早速この問題につきまして、私ども環境アセスの調査を行いましたので手続をとりますし、逗子市の方も県とすぐ調整に入るというふうに申しております。
  250. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私がお伺いしたがったのは、県は今防衛施設庁が千戸米軍住宅をつくるということについてオーケーはまだ出していないわけですね。そのことをちょっと確認したかったんです。
  251. 小澤健二

    説明員(小澤健二君) 神奈川県の方からは現在まだ届いておりません。
  252. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 環境庁はこの件につきまして、良好な環境を保全する、鳥だけでも五十種類を超える貴重な種がいると伺いましたが、この件につきましてどのように対応をしてこられたんですか。
  253. 山崎圭

    政府委員山崎圭君) 池子弾薬庫につきましては、その周辺に、逗子市、鎌倉市あるいは横浜市にかけましての丘陵地、これに大規模な森林が展開している、こういうことで、大都市の近郊にありましては豊かな自然が残された地域と、こういうふうに考えております。その中に池子弾薬庫が位置づけられているわけで、お話のように二百九十ヘクタールでございまして、そういう丘陵地の中の二百九十ヘクタール、これが森林の一部を形成していると、こう考えますし、植生面から見ますると、大部分がコナラというような二次林でございますが、そういう森林でございますし、その森林に生育する動物等も豊富であると、こういうふうに理解をしておるわけでございます。  そういうことでございますが、私どもといたしましては、都市近郊で緑が失われていくという状況にかんがみますと、事情が許す限りこういう自然というものは基本的には保全されるべきであると、こういう考え方をとっておるわけでございますが、何せこの問題につきましては、私どもの現行法によるいろいろ厳正な保護を図っている地域があちこちにありまするけれども、ここは対象の外でございまして、具体的な法律上の、私どもが容喙するという関係にはないということでございます。そういう意味合いにおきまして、関心は持っておりますが、防衛施設庁において、そういう都市近郊の自然の保全というものと、特別な事情にある米軍への提供地、それの住宅ということとの調整、調和をうまく図っていただきたいと、こういうふうに念願しておるところであります。
  254. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 長官にお尋ねいたしますが、今回の建築は、今施設庁おっしゃいましたように、二百九十ヘクタール中の八十ヘクタールですね。二百十ヘクタールは、だから施設庁もちゃんと良好な環境のままに置いておくと、こうおっしゃっているんですけれど、環境庁の立場からすれば、これは安保条約に基づいて提供している弾薬庫であるから、弾を置いておく、弾薬を置いておくよりも米軍住宅にした方がいいだろう、そういう考え方もそれはあるかもわかりませんが、建築をする八十ヘクタール以外の残る二百十ヘクタールについて、積極的に環境庁が間に立ってこれは国に返していただく。返していただいて、この二百ヘクタール余のところを、例えば都市近郊の緑に満ちあふれた国立公園として維持していく、そういう考え方については長官はいかがでございますか。
  255. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生御指摘のこの池子の土地でございますが、これは非常に森林地帯になっておりまして、相当樹木が、コナラとかそういういろいろ生えておるようでございますけれども国立公園国定公園あるいは県立公園、これは自然公園でございますから、国立、国定というわけにはちょっといかないのじゃなかろうか、規模もなんでございますし。そうすると県立公園ということになるのですが、県がやっぱりそういうお考えを出していただかなくちやいけないと私は思うのでございます。  これは住宅をお建てをいただくときに、余りこう密にお建てにならないで、本当は少し間を置いて緑を残して、緑の中にお建てをいただくようなことを考えていただいて、そして自然環境をなるべく保全していただくというような、そういう指導を防衛庁の方でやっていただくと非常にいいんじゃないかと思いますが、県の知事さんにも、そういうことをひとつ御配慮をいただきたいということを申し上げたいと考えております。
  256. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 施設庁に、これは要望でございますけれど、逗子の方からの要望書はまだ届いてないということですけれど、報道によりますと、およそ十二項目ぐらいございますね。私、その中でも特に、緑の良好な環境と、そこに住んでいる動物、植物、鳥類、昆虫類、こういうものを一つたりとも損なうことのないように、これは緑がちゃんと保全されていれば、そこにお住みになる米軍の家族の方も気持ちがいいだろうと思うんですよ。だからそういうことも含めて、特に神奈川県民や逗子市や周辺の鎌倉市や横浜市の住民の皆さんが、我々不本意であったけれどもコミットしたと、我々の言い分が通って、池子弾薬庫は立派な、名称はともかく、法律的にはともかく、立派な我々の公園として生まれかわったなと言ってもらえるような配慮をこれからの建設面でやっていただくようにぜひお願いをしておきたい。一言だけその決意を伺って私の質問を終わります。
  257. 小澤健二

    説明員(小澤健二君) 自然及び文化財の保護の 重要性というものは十分認識しておりますので、この緑の確保というものにつきましては十分配慮をいたしましてこの計画を進めてまいりたいという所存でございます。
  258. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 環境庁の設置法であるとかあるいは長官の所信表明などを見まして、環境庁がどういう責任と申しましょうか責務と申しましょうか、を日本の行政の中で背負っているのかということを私なりにまとめてみますと次のようになると思うんです。    〔委員長退席、理事丸谷金保君着席〕  環境庁の最大の任務幾つかございますけれども、その一つは次のようなものであると考えられます。これは憲法二十五条で国民に保障されました健康にして文化的な最低限度の生活を営み得るために、つまり最低限度の健康と文化的な生活を営むことができるために、環境庁公害を防止し、環境及び自然の保全整備に努めること、そしてもう一つ、そういう方向に行政全体を向かわせるように最大の努力を払うということ、行政が総合的にそういうふうな方向に向かうように最大の努力をするということ、この二つに集約されるんではないかと思われますけれども長官いかがでございましょうか。
  259. 上田稔

    国務大臣上田稔君) ただいま御指摘をいただきましたそのとおりでございまして、環境庁は、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するようにするということ、それから環境の保全に関する行政を総合的に推進することを任務といたしております。そして、法令に定むるところに従いまして、環境の保全に関する基本的な政策の企画、立案、それから推進、また関係行政機関の事務の総合調整などを行うことを所掌事務といたしております。
  260. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 わかりました。  そういたしますと、私は、環境庁日本の自然を保護し整備し、あるいは環境を保全するということに一生懸命に努力をしてくださっていると、したがって日本の自然は保たれ、保護され、整備されているというふうに思いまして、私はその自然破壊というようなことが問題になっている箇所を日本じゅう回ってみました。まだもちろん全部は回り切れませんけれども、二十五、六カ所を回ってみました。    〔理事丸谷金保君退席、委員長着席〕ところが、私は、まさにその私が考えた情景とは別に自然の破壊がどんどんと進んでいる、その状況は目を覆わなければならないような状況であるということを実際にこの目で確かに見てまいりました。それで、その点についていろんなことを申し上げたいと思いますけれども、わずか三十分の時間でございますので、とてもその時間がないので、私は二つの箇所に絞って御質問をいたしたいと思います。  一つは、瀬戸内海に面した今治、松山の近くの、御存じでしょうけれども、今治の瀬戸内海に面した地先、ここに織田ケ浜という非常に美しい砂浜を持った海水浴場がございます。この海水浴場に三万トンの船を横づけできるような港をつくって、そうしてほとんど全部を埋め立ててしまうという計画がございます。それともう一つは、このごろ非常に問題になってまいりました石垣島のサンゴ礁の埋め立てと、この二つの問題に絞ってお伺いをいたしたいと思うんです。  それで、今治の地先の瀬戸内海に面した海岸、これは一・一キロあるそうでございます。そうして幅は五十メートルないし七十メートルくらいでございましょうか、そこに砂浜、白い砂を持った浜辺が連なっております。そうして、瀬戸内海の中で自然の浜、これだけの大きい浜辺というものはほとんどない。ほとんどここがただ一つ残っているところであるということでございます。私は瀬戸内海全体を回ったわけではございませんけれども、例えば私の故郷は高砂でございますけれども、昔は高砂は今の今治の織田ケ浜のような美しい浜辺であったのが、今や全くセメントとコンクリートで固められてしまいまして昔の面影が全く残っておりません。そういう意味において、昔の自然のままの浜辺は瀬戸内海においてもこの織田ケ浜だけだと言っても差し支えないと思うんです。  この浜辺を埋め立てて港をつくって、そうして三万トンの貨物船が横づけになる。そしてその推進を考えている方々はそれが今治市の繁栄につながると言っておられますけれども、瀬戸内海の橋もほどなくできることであって、そうして貨物船による貨物の何といいますか、移出入もほとんど最近は下火になっている。そういうところに三万トンもの大きい貨物船が横づけになるような港をつくるということはナンセンスではないだろうかと我々も考えます。それで現在においては、公有水面埋立法及び瀬戸内海特別措置法ですか、両方の法律に違反をする、そういう違反した事業に市民の税金を使うということは違法であるという提訴をしております。その裁判が進行中でございます。  私はもう一つ申し添えておきたいことは、ここの市民の方々の中心になって、何とかしてこの織田ケ浜を今のままに、自然のままに残したいという運動の中心になっている方が飯塚さんというお年寄りでございまして、非常に不幸な生活をなすって、そうしてぜんそくに苦しんでおられます。そうしてまた、自分の葬式のためにためておいた金を全部この運動に投じたという。そうして今は塾を、つまりお母さん方がつくってくだすった塾で先生をされている。そういう方々が純粋にこの浜辺を何とかして守ろうということで運動をしていてくださるわけでございます。そういう織田ケ浜、これは織田ケ浜のためにも、また、めちゃくちゃになった瀬戸内海のためにも何としてでも壊さないで残しておきたいと思っておりますのですけれども長官いかがでございましょうか。いらっしゃらないからよくおわかりにならないでございましょうけれども、大体私の申したところから想像はおつきになったと思います。
  261. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  先生から先日もこの問題につきましていろいろお教えをいただいて御説明をいただいたのでございますが、まだ具体的に県の方からは実は何にもお話が来ておらないのでございます。  なるほど公有水面埋立法というものにつきましては、施設のある程度の大きさ以上のものはこれは環境庁の方にも回ってくるようになっておりますが、先生お話をお聞きをいたしますと、これは具体的でないからまだそうはっきり申し上げられませんけれども、面積が非常に小そうございますので、環境庁の方へ回ってこないで県知事さんの方でおやりになられるのではなかろうかと思うのでございます。それからまた、瀬戸内海の国立公園の海面が普通地区になっておるのでございますが、そういうことを考えますと、これもまたやはり普通地区ですから県知事さんがおやりをいただくようになるのではなかろうかと思えるのでございます。  何分、先生東京都知事さんをおやりをいただきまして、地方の知事さんというのは、県知事さん、都知事さんもそうでございますが、そういう方の御意見はこれはもう私ども国の者は尊重をしなくちゃいけない、地方の時代であると、こういうことに今どんどん進みつつありますし、尊重をさせていただきたいとは思っておるのでございます。しかし、先生からのお話もあったものですから、またよくお聞きをいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  262. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 もう少し環境庁は積極的に出るべきではないかと思うんですね。つまり、設置法にも「行政を総合的に推進すること」と、それが任務の一つになっているんで、つまり、県の方から上がってこないから何にも言わないんだというんじゃ情けないので、積極的にもっと出ていただきたいということをお願いをする次第でございます。  それからもう一つは、石垣島の白保のサンゴ礁の問題でございます。これは私も二千キロくらい飛行機で飛びまして行ってまいりました。ただ、残念ながら海が荒れまして、船でもってサンゴ礁 の上に行くことはできませんでしたけれども、浜を自動車で一キロ余りサンゴ礁の横を走りまして、そうしてサンゴ礁の美しいことはよくわかったわけでございます。ここにサンゴ礁の写真がございますので、これお見せをして、委員長にも御承認を得ておりますから、どうぞ。もうそれはそれは美しいサンゴ礁でございます。それが埋められようというんです。何と申しましょうか、自分の身を切られるような気になると言っても間違いはないと思うんです。  朝日新聞の「天声人語」も四月の十日にこの白保のサンゴ礁のことを書いてくれました。非常によく書いておりますので、まだ時間がございますから、ちょっと読んでみます。   二十年前の沖縄の海はまさに竜宮幻想の世界だった。珊瑚は燃え、海底の礁砂の一粒一粒がきらめき、熱帯魚の影が砂上に刻まれるのがみえた。今、その沖縄の海は珊瑚の墓場に化しつつあるという 八重山・石垣島の白保地区の海を埋め立てて新空港を造る計画が進んでいる。残念なことだ、という話を昨秋、本欄に書いたあと、沖縄からたくさんの訪問客があった「海と白保のひとの命は切り離せません」と土地の人はいう。「魚がわく」といわれるほど恵まれた海で、人びとは魚をとり、アーサ(海草の一種)をとり、モズクをとる 大みそかには海辺に集まって日の出を拝み、春には浜下りの行事をし、五月には海神を祭るハーリーの行事をする。人びとの心の中には海の神が生きている。海を埋め立てれば、その海人の生活が根底からゆらぐことにはならないか 沖縄に住んでイソバナの研究を続けている米国人の海洋生物学者キャサリン・ミュージックさんも、訪問客の一人だった。彼女は海に潜って、石垣島東岸の四地点の珊瑚を調べた。白保を除く三地点は海の墓場が多く、生きた珊瑚はわずか四、五種類だった。開発で海水の汚れが進んだためだろう だが「魚がわく」白保の海には二十六種類以上の珊瑚が生きていた。ゆたかな珊瑚は魚のゆりかごである。白保の海になぜ珊瑚が生き残っているのかはなぞだが、ここはむしろ沖縄の誇る海洋公園にふさわしい海だ、とミュージックさんはいう 石垣島には千五百メートル滑走路一本の空港がある。もっと広い空港を造り、地域の振興をはかりたい、離島苦から脱出したいという気持ちは痛いほどわかる。正直いって、今でもまだ筆者は代案なしに反対を説くことにためらいを感じている ではどうしたらいいのか。「大切なことはゆっくり考える」という沖縄の人たちの習わしを信じたい。一度埋め立ててしまえば、もう白保の海は戻らない。  これはまことにそのとおりで実に名文であると思うんです。それで、私も代案はございません。しかしながら、代案らしきものを考えれば、過疎の地の石垣島にはまだまだ空き地がたくさんある。それがどれもこれも飛行場の滑走路には向かないというのではないと思うんですね。滑走路を長くするのに五カ所の候補地があったということですけれども、その候補地がすべてだめだというふうには私にはどうしても考えられない。  私は、小笠原でやはり飛行場の問題が出まして、小笠原に飛行場は、これ以上大きい飛行場は要らないんじゃないだろうかと思って飛行場をつくることは許しませんでした。そうして今でも飛行場はできておりません。しかし、飛行場をつくるということは、観光客は参りますけれども、自然を破壊してしまう第一歩であるというふうに言っていいと思うんです。しかしながら、石垣島は離島苦にやはりさいなまれているところであり、何とかしてジャンボジェット機を発着させたいという気持ちもわかります。しかしながら、それにはたくさんの土地が余っているんです。行ってごらんになればわかりますけれども、過疎の土地であって、余っているんでジャンボジェット機を飛ばす滑走路もできないことはない。この「天声人語」にも書いてあるようにゆっくり考えようと。つまり、この土地はもう飛行場をつくる許可は出されているんです。運輸省が出しているんですね、五十七年に。それですから、これは今は、つまり漁業権の抹消が非合法であったということで提訴をしております。それがだめならば公有水面埋立法の提訴はできる。しかしながら、法律で争うんだったらば日本の恥であって、これはオーストラリアの何といいますか、サンゴ礁が世界第一で、第二とも言われる。そうして沖縄のサンゴ礁はすべて大体墓場に化している。  私は金武湾を見ました。ところが、金武湾は島の真ん中に自動車の通路をつくりましたために、金武湾のあれが両側に分かれてしまって、モズクの第一の生産地だった金武湾にモズクが全然とれなくなってしまった。そして入り口にあったサンゴ礁もみんな死んでしまった。こういう金武湾の二の舞を白保の海には絶対にさせたくないと思うんです。どうぞもっと、来ないから黙っているんだというのではなくって、こういう自然を破壊するのは、つまり環境庁としては私と同じように身を切られるような気持ちでいてほしい、そうしてそういう気持ちから反対をしてほしいとお願いをするんですが、いかがでございましょうか。
  263. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生、石垣島でございますけれども、空港としてもう場所も決まっているんだというふうに今お話がございましたが、実は、これは空港の予定としては石垣島につくるという話は何か運輸省の方でお決めになっておるようでございますけれども、それは場所はまだ決まっていないというのが今の状況のようでございます。
  264. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 官報に許可が出ているんですよ。いや、それは僕の間違いかもしれない。
  265. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 私どもはそういうふうにお聞きをいたしております。  それからもう一つ、ここの場所の、今先生が言われるような、サンゴ礁の上に埋め立てを行う場合におきましては、面積が非常に大きくなりますので、これはやはり私どもの方へ回ってくる対象に相なります。また県知事さんも、今言われたような美しいサンゴ礁というものをこれは十分にお考えになって計画をお立てをいただくと思うのでございますので、もう少し、今のゆっくり考えようというお言葉のとおり、私どもももう少しゆっくり県知事さんのお考えを聞かしていただきたいと、こういうふうに考えております。  離島に飛行場の要ることも、これは私も石垣島にも行かしていただいたし、西表にも行かしていただきましたが、本当にそういう切実な島民の方々のお考えもお聞きをいたしました。両方お聞きをいたしております。
  266. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 じゃ私終わりますけれども、これは本当かうそかは知りません。しかしながら、うわさによりますと、大きい企業がその背後にあって、自分のホテルをつくるときに観光客が来るようにというので一生懸命になっているんだという話も聞きました。それは本当かうそか全くわかりませんけれども、地元ではそういううわさもあるようでございますから、そういうこともひとつ御考慮の上、我々も一生懸命で反対をいたしますから、環境庁もよろしくどうぞお願いをいたします。
  267. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十九分散会