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1984-11-07 第101回国会 参議院 環境特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月七日(水曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  八月八日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     秋山 長造君  十一月一日     辞任         補欠選任      石本  茂君     上田  稔君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         粕谷 照美君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 上田  稔君                 梶木 又三君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 秋山 長造君                 片山 甚市君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石本  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        北海道開発庁企        画室長      大串 国弘君        環境政務次官   中馬 弘毅君        環境庁長官官房        長        岡崎  洋君        環境庁企画調製        局長       山崎  圭君        環境庁企画調整        局環境保健部長  長谷川慧重君        環境庁自然保護        局長       加藤 陸美君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君        外務省国際連合        局社会協力課長  馬淵 睦夫君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    加藤 三郎君        農林水産大臣官        房公害環境保全        対策室長     吉池 昭夫君        通商産業省貿易        局輸入課長    奈須 俊和君        通商産業省立地        公害局公害防止        指導課長     廣瀬 定康君        通商産業省機械        情報産業局電気        機器課長     広野 允士君        運輸省貨物流通        局陸上貨物課長  植村 武雄君        建設省都市局下        水道部長     中本  至君        建設省都市局下        水道部下水道企        画課長      黒川  弘君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局企        画課長      三谷  浩君    参考人        国民金融公庫総        裁        田中  敬君        環境衛生金融公        庫理事長     加藤 威二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告公害及び環境保全対策樹立に関する調査参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一日、石本茂君が委員辞任され、その補欠として上田稔君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) この際、石本環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。石本環境庁長官
  4. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 一言ごあいさつを申し上げます。  このたび環境庁長官を拝命いたしました石本茂でございます。  環境行政は、公害防止し、かけがえのない自然を保護し、さらに、進んで快適で潤いのある環境を創造するという重大な責務を負っておるところでございます。私は、環境庁長官といたしまして責任の重大さを痛感いたしますと同時に、その使命を果たしますべく全力を尽くす決意でございます。環境汚染未然防止に意を用いながら、長期的な視野のもとに積極的な環境行政推進してまいりたいと考えております。  委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
  5. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 次に、中馬環境政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。中馬環境政務次官
  6. 中馬弘毅

    説明員中馬弘毅君) 環境政務次官を拝命いたしました中馬弘毅でございます。  長官補佐役として環境行政の発展に全力を尽くす決意でございます。  委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
  7. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 次に、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。丸谷金保君。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 委員派遣報告を申し上げます。  去る十月三日以降五日まで三日間にわたり、粕谷委員長山東理事秋山委員近藤委員及び私、丸谷の五名で、長野県、諏訪茅野、岡谷市、上諏訪町及び安曇村から環境行政概況を聴取するとともに、諏訪湖水質汚濁状況浄化対策中部山岳国立公園上高地地域八ケ岳信高原国定公園美ケ原高原等管理状況並び三協精機下諏訪工場における排水処理施設等の実情を調査してまいりました。  なお、委員外議員として村沢牧君が現地参加されました。  最初に、諏訪湖浄化対策等について申しますと、諏訪湖は、海抜七百五十九メートル、周囲十六キロメートル、面積十三・三平方キロメートル、最大水深約七メートル、流入河川三十一本、滞留時間四十二日で、年間約四百五十万人台の観光利用のほか、農業用水及び水産漁業などの利水機能を有しております。  しかしながら、昭和三十年代後半以降水質汚濁が急速に悪化したため、県及び諏訪市等が中心として浄化対策研究委員会を設置し、さらに、地元国会議員等により構成された公害防止協議会を発足させて具体的に浄化対策推進することとしております。  ちなみに、環境基準は、四十七年にA類型、本年四月に第Ⅳ類型として全窒素、全燐が追加指定されておりますが、CODに係る昨年度の六地点平均値は、基準値三ppmを上回っております。  現在、県は、諏訪湖水質浄化の根本的な施策として、七十年度の完成を目指して流域下水道事業に着手しております。事業内容としては、湖周茅野、西山及び中央幹線管渠下諏訪ポンプ場並び豊田処理場等の建設であり、本年三月末の実績は、総事業費六百八十億円に対し四九・二%、関連公共下水道七百七十八億円を含めて三八・八%でありますが、水洗化接続人口計画に対してわずかに二二%にすぎませんので、今後の一層の促進を期待したいと思います。  さらに、河川環境整備事業として、全体計画二百七十五億円、六百八十一万立方メートルの底質除去事業が第二期計画として湖の全面を通じてマイナス二・五メートルより深い部分の底泥をしゅんせつしており、これとあわせて、湖内に繁茂する水生植物等除去周辺の草取りを河川愛護会協力を得て実施しております。関連して、三協精機下諏訪工場オルゴール等製造工程におけるメッキ部門排水処理施設は、諏訪湖に適用されている排水管理基準を上回る厳しい運用を行っているとのことでありました。  なお、今回の派遣では、諏訪湖を湖上より視察するとともに、流域下水道事務所等調査いたしましたが、県及び関係市町が一体となって水質改善努力している様子を推察することができました。  第二に、上高地地域保全状況等について申しますと、同地域は、中部山岳国立公園に位置し、最底部が標高千五百メートル、一部民有地を除いた国有地一万一千七百九十三ヘクタールの山岳盆地で、雄大な山岳美梓川大正池清流等の自然と景観多様性により、夏季を中心として年間約六十万人の利用客が訪れるなど我が国屈指風景地であります。  このため、環境庁は、従来から特別保護地区集団施設地区として指定し、また、国及び関係地方公共団体は、自然教室自然歩道及び自然研究路等施設整備指導しております。  しかし、近年、梓川上流部からの土砂流入等により河床の上昇、大正池の埋没が進み、同地域特有景観が変化し、その保全利用安全性が危惧されております。  これに対して、利用客の安全と自然景観保全すべく、国及び県等関係機関により構成される上高地地区保全対策懇談会を五十三年度に設置し、事業実施に係る調整等を行っております。  具体的には、周辺園地整備、護岸・砂防・治山工事梓川河川改修等保全対策実施しておりますが、恒久対策として、本年八月に関係省庁によりまとめられた上高地地域保全整備計画調査趣旨に基づき、災害防止について十分配慮した自然景観保全対策を検討してまいりたいとのことであります。  また、これらの施策とあわせて、国及び県は、地元協力を得て、五十年以降利用客の集中する時期の土・日・祝休日を中心年間五十余日に達するマイカー乗り入れ規制実施するなど上高地の適正な利用に努めているとのことであります。  第三に、八ケ岳信高原国定公園概況について申しますと、同国定公園は、三十九年指定、四十年以降逐次利用計画が決定されるとともに、全体の九〇%に相当する長野県側三万六千ヘクタールの、りち、特別地域約三万四千、特別保護地域約二千ヘクタールがそれぞれ指定されております。  県の説明によりますと、公園内には霧ケ峰自然解説館及び自然歩道等施設が整備され、利用客年間千三百万人に及んでおりますが、なかんずく全国国定公園の中で最も許認可件数が多く、また有料道路等の大規模開発の進展が著しいことなどが特色とされており、このため、計画変更等による所要調整措置を講じているとのことであります。  以上のほか、長野県等における環境行政概況について申しますと、昨年度の水質汚濁測定結果によると、生活環境項目では、大腸菌群数、SS及び湖沼におけるCOD達成率が低く、大気汚染についても、二酸化硫黄二酸化窒素はそれぞれ環境基準達成しているが、光化学オキシダントは未達成であります。  さらに、公害苦情件数の三分の一を占める騒音については依然として五年連続首位を占めているが、振動は要請限度を、土壌汚染地域指定要件をそれぞれ超えるところがなかったとのことであります。  これらに対して県は、公害未然防止対策として、五十七年二月に公害防止条例を改正して、深夜営業等騒音規制地域指定汚濁負荷量の大きい一部旅館業に対する排水基準上乗せ規制実施し、また諏訪湖については、湖沼法に基づく指定湖沼の検討のほか、スパイクタイヤ適時使用の啓発、道路粉じん対策調査実施有機塩素系溶剤使用工場指導及び松本・諏訪地域公害防止計画事業促進等に努めております。  なお、環境自然保護行政の一環として、環境影響評価制度を本年度から施行したほか、空き缶等散乱防止対策推進要綱の制定、家庭雑排水処理五カ年計画の策定及び自然保護条例に基づき自然環境保全地域等指定するなど所要施策を進めているとのことであります。  最後に、長野県知事から、諏訪湖富栄養化防止対策上高地保全対策推進及び国立国定公園施設充実について、諏訪湖浄化対策連絡協議会諏訪湖愛護会会長から、浄化対策推進のための助成措置について、また南安曇安曇村村長及び地元関係者から、上高地地域保全整備推進と、上高地における駐車場公衆便所並び登山道等中心とした施設整備充実についてそれぞれ要望がございました。  以上御報告申し上げます。
  9. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。     ―――――――――――――
  10. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。     ―――――――――――――
  11. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として国民金融公庫総裁田中敬並び環境衛生金融公庫理事長加藤威二君の出席を求めることに御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  13. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 次に、環境影響評価実施について、窒素及び燐に係る排水基準設定について、トリクロロエチレン等排出に係る暫定指導指針設定について政府から順次報告を聴取いたします。
  14. 山崎圭

    説明員山崎圭君) 「環境影響評価実施について」を御報告申し上げます。  昨年十一月の衆議院解散により審議未了となりました環境影響評価法案につきましては、前国会に再提出すべく各方面との調整全力を尽くしてまいりましたが、その調整が整わず、前国会への再提出は見送りのやむなきに至りました。しかし、政府といたしましては、当面の事態に対応するため、法案要綱ベースとして実効ある行政措置を早急に講ずることとし、八月二十八日に、お手元に配付しております「環境影響評価実施について」を閣議決定した次第であります。  この閣議決定は、その趣旨等を述べた前文、環境影響評価手続等を定めた環境影響評価実施要綱及び環境影響評価実施推進会議構成等を定めた別紙から構成されております。  まず、その趣旨は、事業実施前に環境影響評価を行うことが公害防止及び自然環境保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価手続等について環境影響評価実施要綱を定め、国が関与する一定の事業につきまして環境影響評価行政措置により統一的に実施しようとするものであります。  また、全体の仕組みといたしましては、主務省庁が、この実施要綱に基づいて事業者に対し指導通達等措置を講ずることにより環境影響評価が行われることになります。  次に、実施要綱概要でありますが、その内容は、環境影響評価法案要綱ベースとしたものであり、法律と閣議決定という行政措置の違いに伴う制約から生じます修正を除きますと、ほぼ法案どおりとなっております。  対象事業につきましては、国が実施し、または免許等を行うもので、規模が大きく、その実施により環境に及ぼす影響の著しいものであり、法案と同じく十一種類事業が具体的に列挙されております。  手続につきましては、主務大臣対象事業種類ごとに定める指針に従って事業者が事前に調査予測評価を行い、環境影響評価準備書を作成し、これを公告・縦覧し、説明会を開催するとともに、関係住民意見関係都道府県知事意見を聞いた上で環境影響評価書を作成し、これを公告・縦覧するという事業者手続が定められております。  次に、評価書行政庁へ送付し、対象事業免許等に際し、評価書をもとに環境影響に配慮するという国の行政への反映について定められております。  今後の進め方でございますが、十一月二十七日までに、実施要綱に基づき主務大臣指針を定める場合に考慮すべき調査等のための基本的事項環境庁長官が定めるとともに、環境影響評価実施推進会議において実施要綱に基づく手続等に必要な共通的事項を決定することになっております。その後におきまして、各主務省庁ができるだけ速やかに指導通達等措置を講ずることになります。  環境庁といたしましては、関係省庁と連携をとり、事業者地方公共団体の御理解と御協力を得つつこの実施要綱の円滑な実施に努めてまいる所存であります。  なお、法制化につきましては、閣議決定実施状況等を見つつ引き続き検討してまいる所存であります。   以上でございます。
  15. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 昭和五十九年九月五日付の中央公害対策審議会答申窒素及び燐に係る排水基準設定について」の概要を御説明申し上げます。  昭和五十八年一月十七日に環境庁長官から中央公害対策審議会に対して、湖沼富栄養化防止を図るため窒素及び燐に係る排水基準設定について諮問が行われ、同審議会における慎重な審議を経て、本年九月五日に答申をいただいたわけであります。  答申内容につきましては以下のとおりであります。  我が国におきましては、既に相当数湖沼富栄養化による問題が生じており、また、具体的な問題が生じていない湖沼においても富栄養化による問題が生ずるおそれがありますので、未然防止観点を含め富栄養化防止を図る必要があり、富栄養化要因物質である窒素及び燐について排水規制実施する必要があるとしております。  排水基準具体的内容についてでありますが、排水基準対象水域は、窒素及び燐が流入した場合に藻類等増殖しやすい湖沼、すなわち富栄養化しやすい湖沼及びこれに流入する公共用水域とすることとしております。この場合、藻類増殖は主として水の滞留性により影響を受けるところから、富栄養化しやすい湖沼は水の滞留性を示す年間回転数を主要な指標として判定することとしております。環境庁の推計によりますと、全国で約千五百程度湖沼が予定されております。  また、我が国湖沼の中には、藻類増殖にとって窒素及び燐が制限的になっている湖沼と燐のみが制限的になっている湖沼とが存在することから、燐については富栄養化しやすいすべての湖沼対象とし、窒素については燐とあわせて窒素が制限的となっている湖沼対象とすることとしております。  なお、窒素が制限的となっている湖沼は、窒素対燐の比が二十以下であり、燐濃度が〇・〇二ミリグラム・パーリッター以上である湖沼等としております。  排水基準の値は、全国一律の一般排水基準については事業者の最低限の責務として定める観点から一般家庭汚水と同程度濃度とし、窒素で百二十ミリグラム・パーリッター日平均値は六十ミリグラム・パーリッター、燐で十六ミリグラム・パーリッター日平均値では八ミリグラム・パーリッターとすることとしております。また、この値に直ちに対応が困難な業種等につきましては、当面五年間経過措置として暫定基準値を適用することとしております。  さらに、湖沼富栄養化防止のためには排水規制とあわせて規制対象外発生原因に係る対策も必要でありますので、その旨が明らかにされております。  検定方法については、事業者においても簡便に測定することが可能な方法とすることとしております。  環境庁といたしましては、この答申を受けて、現在具体的な規制対象湖沼確定作業を行っているところであります。今後所要法的手続を経て、湖沼水質保全特別措置法の施行とあわせて今年度内にも排水規制実施する予定であります。  引き続き、トリクロロエチレン等による地下水汚染対策について御説明いたします。  昭和五十七年度及び五十八年度に地下水汚染実態調査実施いたしましたが、その結果、トリクロロエチレン等化学物質による地下水汚染が認められました。  地下水汚染のメカニズムについては必ずしも十分に解明されるには至っておりませんので、環境庁としては引き続き五十九年度から三年計画でこれらの汚染原因等について所要調査実施し、必要な対策を検討することといたしております。  しかしながら、地下水は一度汚染されるとその回復は非常に困難であること、また高濃度汚染事例が各地で見つかっていることにかんがみ、トリクロロエチレン等による地下水汚染防止を図ることとし、これらの物質を取り扱う工場事業場対象とし、排水地下浸透防止及び公共用水域への排出抑制に関し暫定指導指針設定し、去る八月二十二日付で都道府県等に対し通知したところでございます。その内容につきましては、お手元にお配りいたしました通達案別紙1それから2にそれぞれ定められているとおりでございます。  なお、同時に厚生省建設省、通産省からも関係業界等に対し所要指導通達がされたところでございます。   終わります。
  16. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 以上で報告の聴取は終わ  りました。  それでは、ただいまの報告も含めて公害及び環境保全対策の全般について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 ただいま長官から簡潔にしかも極  めて端的な決意の表明をいただきまして、私ども新長官に大いに期待をかける次第でございます。どうかひとつ、大変難しい環境問題、予測しないことも起きてまいりますが、適切に処置をされて、ただいまの御決意が十分生かされるように御努力をいただきたいし、私たちもそれについて積極的に御協力を申し上げ、ただすべき問題をただしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。  今お話のございました中で、未然防止ということに力を入れると。その未然防止のためには私たちかねがねアセス法案早期提出を要求しておったところでございますが、それがなされないまま今回環境影響評価制度というふうなことで新たに閣議決定通達が出されました。今政府委員説明によりましても、それができないのでとりあえずこれを出したということでございますが、これが出たから法案が要らなくなったということではないのでございますので、アセス法案に対し前大臣が非常に努力をいたされましたが、引き続きそれらの実現に向けて努力をしていただけるかどうか、まず大臣の御決意をお聞きいたしたいと思います。
  18. 石本茂

    国務大臣石本茂君) お答えをいたしますが、まだ新米でございましてよくわかりませんのでお許しください。  環境汚染未然防止の徹底のために実効のある環境アセスメント制度の確立が必要と考えております。当面、閣議決定の円滑な実施に努めてまいりたい。今後の実際に出てくる条件等をじっくり見詰めまして、そして今後法制化については閣議決定実施状況等を見ながら、今申しましたように引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 法案と、それからこの閣議決定されたところの通達といいますか要綱といいますか、これと比べまして、やはりこれじゃなかなか未然防止ということにいかないんじゃないかという心配がございますので、この二十八日閣議決定の文言の中から非常に心配な点について二、三御質問いたしたいと思います。  第一は、準備書の作成なんですが、この中で「対象事業実施による影響評価」ということが五番目にございます。そしてそれらの評価のための対象事業、これらについてはそれぞれ「主務大臣環境庁長官協議して対象事業種類ごとに定める指針に従って行うものとし、環境庁長官は、関係行政機関の長に協議して、主務大臣指針を定める場合に考慮すべき調査等のための基本的事項を定めること。」こういうふうになっておるのです。「主務大臣指針を定める場合に考慮すべき調査等」、これは一体何なのですか。環境庁はどういうことをやるのですか。
  20. 山崎圭

    説明員山崎圭君) お答えいたします。  この影響評価でございますが、この「調査等」という中身は、調査をいたしまして、予測をいたしまして、そして評価をするという一連の内容を「調査等」というふうにしておるわけでございますが、そういう調査予測評価につきましては主務大臣指針を定めることになっておるわけでございます。例えばどういう調査項目をするかというような、それは対象事業によって異なります。道路の場合でありますとか河川の場合だとか、そういう決め方をするわけでございますが、その場合でも、私ども、環境庁長官協議をしてもらいまして主務大臣がその細目を定めていただく、こういうことをここで表現しておるわけでございます。これは実は御提出いたしました法案と全く同じ流れをここに記載してございます。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 ただ、法律規制でないので、協議が整わなかった場合どうするんですか。
  22. 山崎圭

    説明員山崎圭君) まさしく、こういうやり方でやろうということを関係省庁が相談いたしまして、閣議決定ということで意思決定をいたしましたので、協議して指針に従って行うというこの手続については各省庁とももちろん合意した上でございます。  問題は、先生のお尋ねは、そういうふうに指針内容によって環境庁長官意見と合わない場合があるかもしれぬじゃないか、これは場合によってはそういうことも予想されるかもしれませんが、十分これは各省庁協議を続けまして、整うまで努めてまいりたい、こういうことでございます。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 協議するのはいいですよ。しかし、主務大臣は、それぞれの事業協議が整わなくてもどんどん進めることはできますでしょう、どうなんですか。
  24. 山崎圭

    説明員山崎圭君) お答えいたします。  そういう基本的な事柄について指針を定めていただくわけでございますので、これは整わなければ、そういうことはないと思いますが、仮に整わなければこのもの自身が動かないわけでございますので、そういうことはあってはならないし、あり得ないこと、こういうふうに考えております。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 あってはならないとあり得ないとでは大分違うので、あり得ないと解釈してよろしゅうございますか。
  26. 山崎圭

    説明員山崎圭君) あり得ないとお受け取りいただいて結構だと思います。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから、実施要綱概要によりますと、「事業者は、これらの意見が述べられた後、環境影響評価書を作成し、評価書公告・縦覧する。」と(4)のところにございますね。利害関係人が縦覧できるわけですが、これをした場合に、不服の場合にはどういう救済措置があるんですか。裁判よりほかないんですか。どうもこれから見るとないような気がするのですが。
  28. 山崎圭

    説明員山崎圭君) 不服の場合とおっしゃいますのは、事業者が不服の場合というふうに受け取らせていただきますと、この一連の手続事業者にこういうことをやってほしいということがいろいろと書かれてございますが、その最後の(4)で「事業者は、これらの意見が述べられた後、環境影響評価書を成作し、評価書公告・縦覧する。」こういう概要でございますが、これを事業者にやってもらおう、こういうことで決めたことでございます。でございますから、ぎりぎりのいわば、何といいますか、法律的な関係においてこれは事業者にやってほしいという、そういうあくまで指導でございます。  ですから、仮に法律的な議論で、事業者が嫌だよと言った場合にはどうなるかというお尋ねであれば、これはやむを得ないといいますか、それが法律とこの行政指導との違いではなかろうか、かように考えておるところでございます。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 まさにそこが違うんですよ。大臣、そこが違うので、これの状況を見てからということでなくて、法案法案で進める積極的な姿勢が私は必要ではないかと思うのです。  例えば、その後ろの方で今度は「行政への反映」がありますけれども、この中でも要するに行政庁の免許事業等がございますね。例えばごみの焼却炉とかの免許事業、これらの免許事業等を免許する際に「評価書をもとに環境影響に配慮する。その際、主務大臣が求めた場合の環境庁長官意見に配意する。」となっているんですよ。そうすると、主務大臣が求めなければ環境庁意見を出せないわけでしょう、これから言うと、許可事業についても。
  30. 山崎圭

    説明員山崎圭君) これは確かにはしょった書き方でございますが、実施要綱の方におきましては、主務大臣は、評価書が送付されましたそれをもとにいたしまして、環境に及ぼす影響につきまして特に配慮する必要があると認められる事項がありますときには環境庁長官意見を求めるというふうに記載しておるわけでございます。でございまして、環境に及ぼす影響というものが、客観的に見まして配慮する必要が特にある、こういうふうに認められるというそういう客観的要件に該当します場合には環境庁長官意見を当然求めてまいる、そういうふうに考えておるわけでございます。  もちろん、最後のその御判断は主務大臣にあるわけでございますが、主務大臣において適切にその辺は対処していただけるもの、こういうふうに考えておるわけであります。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはまことにいただけるものでなきゃならないと思うんですよ。しかし実際にはそういうふうにいっていない。  御存じだと思いますけれども、名古屋の地裁で建設工事禁止仮処分申請事件ということで、裁判記録を持っておりますけれども、五十九年の四月六日に、ごみの焼却炉の使用差しとめの判決が出ております。御存じでしょう。この記録を見ますと、工事の差しとめは、もう既に完成間近なんだから申請人たちの言い分は却下するということなんです、これはもう工事ができかかっているから。しかし、環境影響アセスの面から言いますとこのごみ焼却場は使っちゃいけない、こういう判決ですね。だから主務大臣はこれを許可しているので す、この場合でも。そうでしょう。主務大臣は許可しているのです。許可して進んで、そしてそれが裁判所の判決で、でき上がったものを差しとめたってどうしようもないから、できたけれども使っちゃいけないという判決が出ているんですね。こういうことにこんなことじゃなりかねないんじゃないですか。
  32. 山崎圭

    説明員山崎圭君) 当該事案、先生御指摘のように、ごみ焼却炉の問題でございますので、御引例になった判決その他の中身は先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、いずれもまだこういう制度化が行われていない結果としてそういうものが生じておるという面があるわけでございますので、今回の閣議決定によりまして円滑にそういうものが定着するならばそういう事案もなくなっていくのではないか。また、そういうことによりまして環境すべての、いろいろな公共事業等の事業施行に当たりまして各主務省庁環境要素というものを十分配慮して事業免許等も行っていく、こういうことが行き渡っていく、それがアセスメント制度のいわば日本における定着化、こういうことだろうと思いますので、せっかく今回の閣議決定の円滑な実施に努めてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、二度とこういうことは起きませんか。この場合もちゃんとやっているのですよ、事業主は。事業主体はこの場合は地方公共団体です、許可をもらって補助金をもらって工事を進めたのは。しかし、この判決文の中でも言っているように「我が国法上は、住民参加を義務づけたアセスメント法が存しないから、住民参加をアセスメントの必要要件とみるわけにはいかない。」と、しかし、そういう法がなくても裁判所として判断する場合にはこれはいけない、そして、工事はもうでき上がっているんだからしようがないけれども、操業は差しとめだと。  結局、裁判所に出してそこの判決をもらわなければ――いわゆる主務官庁がアセスをやっているんです。やってよかろうといって出したやつでもだめだということになったわけですね。ここまでいかないとこの差しとめができないというのは、まさにこの判決文の中にもあるように、法が存在しないのだから第一義的にはそういう住民の方からの要求は認められない、しかし実際にそれはあらゆる角度で判断する場合には操業はさせられない、こういうことですね。こういうことがこの要綱で私はどうも押さえ切ることができないような気がするんですが、局長さん大丈夫ですか。
  34. 山崎圭

    説明員山崎圭君) 手続よりも、どういう調査をし、あるいはどういう予測をしまた評価をするか、そういう個別案件におけるアセスメントの技術的な中身に関連いたしますが、そういういわば成熟度といいますか、熟度の問題とも非常にかかわりがあるように受けとめております。  そういうようなことでございまして、これは現在私どもが持ち得る科学的知見をフルに活用して、その技術的内容を深めなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございますが、そういうことにせっかく努力を続けてまいりまして、先生御指摘のような心配が起こらないように努力してまいりたいと思っております。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 これなんかでも、被申請人が昭和五十四年の八月に株式会社環境管理研究所のエンゲルフエルトに環境アセスメントを委託して調査して大丈夫だということで始まっているんですよ。ですから、環境調査をしたから大丈夫だということにするためには、主務官庁は許可をして仕事をさせたいわけだ、どんどん。そして、しかもこの要綱によると、そういう主務大臣の方から相談があったときに意見を言うということでしょう。相談がなかったら方法ないじゃないですか。こういうばかな国費のむだ遣いが行われてくるのです。これが、裁判所が決定するまで環境庁が手をこまねいていなきゃならないようなことでは、環境行政未然防止なんということはとても私はこの要綱なんかじゃできないと思うのです。大臣、そういう事例もあるのですよ。  判例も私取り寄せて見ましたけれども、読めば読むほど、一体環境行政というのはどうなってるんだ、未然防止なんてとてもじゃないけれども及びもつかないという感を実は深くしたのです。ですから、せっかく長官未然防止に重点を置くとおっしゃるのですから、そういう点ではやはりアセスの問題も、基本法ですから一日も早く実現できるように、こんな要綱じゃだめなんです。私たちは、勘ぐれば、こういう判決が出たものだから、アセスはほおかむりできないので政府はとにかく要綱でお茶を濁したなというようにしか思えないのです。  ひとつ大臣しっかり頑張っていただきたいと思いますので、できればそういう決意もお願いいたしたいと思います。
  36. 石本茂

    国務大臣石本茂君) ただいま先生のお話を聞いておりまして、いろいろなことを考えておるわけでございますが、今回の閣議決定は、法律に比べましてお言葉のとおり一定の限界はございます。ございますが、政府が取り得る行政措置として最高の重みを持つものであるというふうに私考えるわけでございまして、その適正な運用によりまして実効を期していきたい。  そういうことができてしまって、そしてそれからというのじゃなくて、それを事前に話し合いができるような体制づくりができなければいけませんわけでございますから、それを私自身期待しておりますので、しばらく様子を見さしていただきたいと思います。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、例えば八月十日の内閣官房長官の談話なんかも気になるのです。法案要綱ベースにして行政指導をするということを言っているのですよ。法案要綱どおりやるんだというのでなく、ベースにしてというところでちょっと薄めちゃうわけだ。法案より明らかに後退するような発言が内閣からなされているのですよ。ですから、これはやっぱり法案と同じようにやっていくんだということでないと、様子を見ているうちにまたいろんな問題が出てくるのじゃないかと思いますが、ここら辺何か歯切れの悪い談話が出ておりますので、長官として十分そういう点に目を光らせながら、閣議の全体的な空気を押さえて未然防止努力をしていただきたいと思います。  それから次に、水質、トリクロロエチレン等排出に係る暫定措置及び地下水汚染に対する通達というふうなものが相次いでここのところ九月に出されております。これは前々から言っていることなんですが、地下水汚染の問題は原因がなかなか追求できないので非常に大変だというふうなこともその中で申しておりますけれども、霞ケ浦一つとってみましても、地下水汚染されるような物質、これらはCNPなどというような除草剤、こういうふうなものの浸透が相当影響している。それからまた湖沼汚染もそれらが影響しているというように言われておるのです。  それで、地下水汚染と関連して我々調査に参りました霞ケ浦のアオコが、非常にことしの夏暖かかったからということで異常発生した、こういうことになっているのです。ところがあそこは一級河川ですね。一級河川ですと、ああいう問題が起きた場合のアオコの状況その他の事業というのはこれは建設省がやっているわけなんです。建設省、一体あなたの方は責任を持ってやっているのですか、アオコの除去を。
  38. 井上章平

    説明員(井上章平君) 霞ケ浦におきましては、この湖の水質浄化を図るための河川浄化事業としていろんなことをやっておるわけでございますが、昭和五十年からはいわゆるヘドロのしゅんせつ事業実施いたしております。これは年間十万から十三万立米のしゅんせつを進めておるところでございます。また、先生御指摘がございましたアオコにつきましても、夏季に大量に発生するアオコについては水面清掃船による採取、除去実施しておるところでございます。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 実施しているのは行ってみてわかっているのですよ。あんなことで少しでもきれいになるのですか。公害研究所にも寄ってきましたし、いろいろやっておる実験もお聞きしました。しかし、あの程度のことで一級河川として責任の ある建設省汚染対策をやっているのだということになるだろうかとあの当時からも疑問に思ったのですが、まさにそういう疑問に思っていたとおりの実情が出てまいっておりますね。どうなんですか、もう一度ひとつ。
  40. 井上章平

    説明員(井上章平君) 霞ケ浦の水質の現況でございますが、COD値で八ないし一一ppmでございます。これを当面の目標であります五ppmまで浄化しようということで各般の施策を展開いたしておるところでありまして、その一つが今申し上げましたヘドロのしゅんせつであり、またアオコの採取、除去でございます。そのほか、昭和五十九年度からは霞ケ浦の浄化と新規都市用水の開発あるいは既得用水の安定化というようなことで、いわゆる導水事業に新たに着手したところでございます。  これらの事業の効果でございますが、建設省はいろいろな形で試算をいたしておりますが、霞ケ浦の水質保全対策の一環といたしまして現在いろいろ実施されております排水規制あるいは下水道整備、し尿処理施設の整備等各般の施策と相まってこれらの河川浄化対策事業実施することにより、ただいま申し上げました目標値である五ppmまで浄化できるという見込みを抱いておるわけでございます。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、これはけさの新聞なんですが、こんなことうそだと言えますね。けさの読売新聞の「湖は死んだか」という中で「県や市ではアオコフェンスでアオコが川をさかのぼるのを食い止めようとした。」そして採取していますね、現場で。「ところが、アオコの採取は、見ていると、まるで太平洋の水をヒシャクですくうようなもので、当事者の一人も「むなしさを感ずる」」こう言っているんですよ。じゃ局長、こんなことうそだと言えますね、今言っていることから言うと。表現もあれでしょうけれども、太平洋の水をひしゃくですくうのじゃ、とてもじゃないけれどもどうもなりませんね。
  42. 井上章平

    説明員(井上章平君) 今新聞の記事は見せていただいておるところでございますが、この例えばどういうことかちょっと私も理解できませんが、確かにアオコ採取船二隻で懸命な努力をいたしておりますが、アオコをすべて取り払うというような状態になっていないことは事実でございます。しかしながら、これによりまして霞ケ浦の非常にひどい状態はかなり私どもの努力によって改善されておるのではないかと思う次第でございます。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 改善されていないから今問題になっているんでしょう。お天気が続いたからたくさん発生したんだなんということは理由にならないのですよ。そういうときにも発生しなくしてこそ初めて改善が進んでいると言えるのであって、お天気次第で発生したり少なかったりするんじゃ改善じゃないです、それは。ことしの異常発生とかそういうことをお天気のせいだけにして行政責任ないなんということにはならぬと思うのです。行政努力したしないの問題じゃなくて結果なんですよ。結果としてあれだけ九月に入ってからも大問題になるような状態、これは一体原因はどこにあるか。それは努力しているかも知らぬけれども、結果としてだめならだめなんです。寝ていたってよくなりゃいいんですよ、行政というのは。そこら辺が、こうやっているああやっているということよりも、ごうよくなりました、ああよくなりましたということを我々聞かないと環境がよくなったということにはならないのです。この一番大きな原因は何か。私は、やはり流域下水道、もうこれが金科玉条なことになって湖沼河川水質浄化ということに使われているからだろうというふうに思うんです。  下水道部長が来ておると思うのですが、一体霞ケ浦のこういう汚染の状況、例えば大体生活排水があそこへ八十万人分出ているのです。それから四万四千の工場がある。さらに、豚に換算して五十三万頭分の畜産汚水も出ているんですよ。十二万ヘクタールの田畑にも農薬が無制限に使われています。先ほど言ったMOなんか大分少なくなってきたといっても、いろんな形でまだ化学肥料が大量に使われている。これらを全部流域下水道で処理するんだというような今の流域下水道の物の考え方の基本にどこか間違っているところがないですか。那珂川や利根川の水を入れるとか、あるいは塩害防止のために水門をつけたからだめなんだとか、いろんな理由はつけていますよ。結果としてだめならだめなんで、今のような流域下水道の進み方、これで流域下水道が全部完備したけれども、なかなかそう簡単にいかないとなったらこれどうするんです。  諏訪湖なんかも、私今報告したように、実際には全体としては半分もいっていないし、まして家庭の水洗化なんというのは二二%しか進んでいない。そういう中で流域下水道でどんどんやっていけるんですか。どうなんですか。
  44. 中本至

    説明員(中本至君) 御指摘がありました、流域下水道によって湖沼等の水質が改善されるかという御質問でございます。  御指摘のとおり、やはり湖沼水質汚濁は生活排水あるいは工場排水あるいは畜産あるいは魚とか、いろいろなものが重なって汚濁をしているわけでございます。私ども下水道担当者といたしましては、一〇〇%流域下水道でもってそれを浄化するということではなしに、やはり持ち分の分については流域下水道で取ります。それはすなわち生活排水であり工場排水の一部である。それは湖によりましてかなりシェアが違っております。先生先ほどお話ありましたような諏訪湖流域下水道におきましては、流域下水道を早くやりまして、それから関連公共下水道等も早くやりまして、既に三市一町がつながっております。普及率も三六%になりましたので、これは非常に効果が出ていることは御承知のとおりだと思います。しかしながら、霞ケ浦等につきましては、霞ケ浦常南流域下水道とかあるいは霞ケ浦公共流域下水道、あるいは単独の公共下水道等をやっておりますけれども、何分にもこの進捗が遅い、普及率が遅い、そういうことで効果がおくれておると私どもは認識している次第でございます。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 今の流域下水道の進捗のぐあいでいくと、とにかくそれらができるまでは我慢してもらうよりないということになりますね、完全に。それで、その流域下水道の問題はまだいろいろ問題ありますけれども、これは別なときに譲ります。  実は、流域下水道のやるところはまだそういう答弁もできるのですよ。実は私先日大分へ行ってきたんです。そうしたら、大分市では非常に住民ぐるみでごみを片づけよう、それから余分なごみを出さないようにしようという運動の結果非常にごみが減ったということで、そういうことも書いてありますし、実際に行ってみますと、大分市の中では五十五年、五十六年、さらにずっとごみは、人口がふえているから総量で減らなくても一人当たりに割りますと随分減っているんです。私は、やはりそういう住民をくるんだ浄化対策というか、そういう環境対策ということが何か欠けている、霞ケ浦を見ましても欠けているのではないか。五十三万頭の畜産汚水まで全部流域下水道で処理するとこれは大変なんですよ。例えば牛一頭は人四十人分なんですよ。千頭の牛を飼っていれば四万人分の人間のし尿処理と同じことをやらなきゃならぬ。こんなものを全部今の計画のように霞ケ浦に入れてやっていくということは、まあコスト計算やめます。先へ進みますが、この問題また別にありますけれども進みます。  ところが、その後湯布院へ行ったのです。ここは非常に水をきれいにするということでみんな努力しています。努力しているのだけれども、流域下水道はもちろん枠にはまるような場所でないのですよ。ところが流域下水道というのがうんといくものだから、そういう形の公共下水道に対する目配りというものは非常に何か悪くなっています。ここはまだ計画もないというのです。それでどういうことになるかというと、あそこは、非常に水をきれいにしていかなきゃならぬ、環境をきれいにしていかなきゃならぬということで運動している町の人たちが、例えば温泉なんかでも全部自分たちで浄化装置をつくって川をきれいにする運動をやっているのです。  それで、環境衛生金融公庫来ておりますね。それで聞きましたら、それじゃそういうところにこそまさに環境衛生金融公庫の資金が投入されてやっておるのだと思って聞いたのです。ところが、いや先生だめだと言うのだ、面倒で、借りるまでに。信用保証協会の保証をとってこいなんということになると、普通の銀行で借りた方がずっと金利も結局は安くなる。自主的にやるところにこそ、そして自分たちで、今の国や地方自治体がやっていることでやれないで自分たち環境をよくしようとするそういうホテルやなんかに一番先に使われていると思ったやつが、そういう実際にやっている人たちが、いや先生そうじゃない、下に来てみなきやわからないのだ、とても面倒で、こう言うのですよ。一体環衛公庫の金は、信用保証協会の保証がついたり一般市中銀行の金融ベースに乗る以上の担保がないと出さないことになっているのですかね。どうなんですか。
  46. 加藤威二

    参考人加藤威二君) 環衛公庫におきます融資につきましては、今先生御指摘のありましたような汚水処理施設につきましては特例貸し付けと申しまして重点貸し付けの一つに数えておるわけでございまして、こういう施設の融資につきましては、利子の引き下げ、一般の基準金利よりも利子を引き下げるとかあるいは限度額を上乗せするというような優遇措置を講じておるところでございます。  先生今御指摘の貸し付ける場合の手続の問題でございまするけれども、私どもの方の融資で、信用保証協会の保証がなければだめだというようなこと、そういう制度にはなっておりません。どうしても信用貸し付けに際して非常に不安であるという場合には信用保証協会の保証を取りつけることもあり得るという指導でございまして、必ずそれがなければならぬということではございません。したがって、適当な担保がありあるいは保証人があればこれは貸せるということでございます。ただ、手続面におきましては、私どもといたしましてもなお役所的な非常に煩雑な手続がございますので、今後手続についてはさらに簡素化に努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 理事長の言うとおりだろうと思うのですが、現地へ行ってみますと、地方でそういうふうに思い込んでいるのですよ。そういうことのないようにして。それともう一つ、環衛というのは非常に足を持っていますよね。それで政府金融機関に委託して貸し出しをするということが多いと思うのです。  それで、国民金融公庫の総裁おいで願っていると思いますけれども、国民金融公庫も委託業務をやっておるわけなのですが、そういう場合に、今環衛公庫の理事長の言われたように、やはり特別にそうした環境をよくしていくということのためには、いわゆる公庫の一般貸し付けの考え方を一歩進めた積極的な施設の改善、水の浄化をするというふうなことに努力するよう、そういうふうなことを各支店に対しては十分な指導をしておりますか。
  48. 田中敬

    参考人田中敬君) 私ども国民金融公庫が受託をいたしております環衛貸し付けにつきましては、先ほど環衛公庫の理事長が申されましたとおりに、政策目的に従いましてなるべく御要望に沿うようにという趣旨で融資案件を判断いたしております。例えば汚水処理あるいは「適」マーク等につきまして保健所なりあるいは消防署なりから改善勧告を受けました際、これを根拠といたしましてそういう特別貸し付けをいたしておりますけれども、政策目的に沿うようなるべく最大限の配慮を行うようにという趣旨は各支店に徹底して通達を出しておりますけれども、しかし個々の案件につきます場合には、資金の使途が妥当であるかどうかということ以外に、やはり金融機関でございますので、その資金の返済のめどその他も参考にいたす場合がございますので、その点はお含みいただきたいと存じます。
  49. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 参考人の方、どうも御苦さまでございました。
  50. 片山甚市

    ○片山甚市君 二十二年ぶりに女性の閣僚が生まて大変期待をしておるところでありますが、御承知のように、第一次中曽根内閣の失政あるいは国民からの不信について少しでもそれを和らげようという意味でやったのではないかといううわさがありますが、しかし、長官は御承知のように社会福祉と婦人の地位向上を一貫して追求されてきた今日までの実績、政治姿勢については、社会労働委員会委員長においても遺憾なく発揮されたと思っています。そこで、環境庁長官となられまして、国の内外あるいは院内外の期待にこたえるには大変これから苦しい思いをしながら努力をしてもらわなければならぬと思います。  そこで、自然と人間の調和が今日最も緊急な政治課題であるだけに、任期内に今までのすべての問題を解決するぐらいの意気込みで対処されたいと思います。冒頭就任のあいさつがありましたけれども、一歩踏み込んで、さらに、ここの委員会は、長官が御婦人でありますが、委員長も御婦人でありますし、理事も御承知のように御婦人で、三人そろっておりますから、方丈の気を吐いてもらいたいと思いますが、長官決意はいかがでしょう。
  51. 石本茂

    国務大臣石本茂君) どう言いますか、先生も御承知くださいますように、国民の健康の保護、生活環境の改善とかあるいは保全というような大自然を背景にしたところに来たわけでございますが、私は、女性としてどう取り組むかというお言葉でございますが、私なりにこれまでの経験を生かしまして、そして国民の命と美しい環境を守るために最善を尽くしていきたい。女だから、男だからという意識よりも歩いてきた道のことを振り返りながら、しっかり国民の皆様の健康保持に頑張っていきたいという気持ちでございます。
  52. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣はかわりましても、おつきにおるその周りの官僚は一つもかわりばえがしません。それで、経過報告に意を尽くされていれば、やはり後は大臣の決断と行動力がすべて優先すると思います。ぜひそのようなことを考えてもらってお願いしたいのですが、まして厚生行政についてあなたはオーソリティーであります。厚生行政関係する環境保全が大変大きな課題でありますだけに、国民の健康と環境を守る点では同じである、今までの経験を生かし、きめ細かい行政を行いたいとの就任当時の新聞記者会見については大変心強く思っておりますが、期待してよろしいでしょうか。あのときは言ったけれども、余り自信がないとおっしゃいました。頑張ってほしいのです。
  53. 石本茂

    国務大臣石本茂君) まだ自信とかそういうふうなことではございませんで、必死で取り組んでいきたい。そして、対話なり何なりを通しまして情熱を尽くして話し合いをすればわかってもらえることもあるのではないか、いやわかってもらえるのだというような、非常に素人くさいことを言いますけれども、そういう気持ちでございます。多くの女性の皆様の御支持も得ておりますので頑張りたいと思っております。よろしくお願いします。
  54. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほど丸谷委員から申しましたように、アセスメント法を一つつくるについても、行政指針で間に合うという思い違いをして、財界が反対しておるからできないのでありまして、何も歴代の環境庁長官がアセスメント法は要らないと言ったのではありません。時の力、金を持つ者、権力を持っておる者が妨害をしておる。これに立ち向かうのは、有権者の半分以上を超える婦人の力を背景に――長官は三人目です、日本の国で新しい憲法ができて以来大臣になられたのは三人でありますから、何としても方丈の気を吐いてもらいたい。私から声援を送ります。自民党の意見に違うことがありましても、環境衛生、厚生に関する実現について我々は協力を惜しまないことを前提に激励した次第です。  さて、諏訪湖浄化対策について冒頭に報告がありましたけれども、十月三日から五日にかけて本委員会長野県下における実態調査のための委員派遣をされました。特に諏訪湖浄化対策について極めて課題が山積しておることは明らかです。県並び関係市町村も真剣に取り組んでおられると思うが、諏訪湖については、昭和四十三年に諏訪湖浄化対策研究委員会がまとめた総合的対策というものが出てから今日まで十六年たっておりますが、にもかかわらず浄化対策は成績が上がっておらない。  そこでお聞きしたいのですが、上がらない原因はどこにあるのか、それが一つ。二つ目に、湖沼法が制定されたのだからすべて解決できるのかどうか。先ほどお話がありましたが、三つ目に、予算措置として必要な財源は環境庁として確保できるということで責任ある御答弁が願えるかどうか。三つについてお答えを願いたいと思います。
  55. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) まず、十六年前にそのような報告がなされていることは私どもも十分承知しております。その後、長野県を中心諏訪湖浄化対策にはさまざまな努力が払われてまいったわけでございますけれども、一つ言えますことは、排水規制につきまして専らBODないしCODの流入規制にとどまっていた。したがって、流入する汚濁化は減らされたけれども、湖自身で生産される汚濁物質、端的に申し上げますとアオコ等の植物プランクトン、こういうことになるわけでございますが、それについての対策は不十分であった、かようなことでございます。そのような観点から今回私ども窒素、燐につきまして環境基準を定め、さらに排水基準も決めたわけでございます。このことによって排水規制を行い、かつまた現在進行しております流域下水道計画促進、かような措置を柱にその他の対策を講ずることによって諏訪湖の浄化も可能になるのではないかと思うわけでございます。  それに必要な予算でございますけれども、確かに現在公共事業の予算につきましても毎年の伸び率はゼロでございまして、その中で特に湖沼対策にその予算を割くというのは大変難しい事情もあるわけでございますけれども、この点につきましては、建設省におかれましても下水道整備等についてはやはり湖沼あるいは内湾、内海等の閉鎖性水域に重点配分をするという方針を打ち出されているわけでございます。私ども、大臣中心に側面からではございますけれどもその予算の確保に努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  56. 片山甚市

    ○片山甚市君 流域下水道ができれば万事めでたしというような感じしかない水質保全局長佐竹さんの考えでは将来ともうまくいかないだろうと思うが、あなた思い込んでおるのだから仕方ありません。何回も言ったけれども、湖の自浄作用というものをもっともっと回復してほしいと言っても、そのことについて余り熱心でないということで、それはどういうことであるかというと、総合開発事業が優先するあなたたちのいわゆる土建屋的根性が直っていない、そう思って反論をしておきます。大臣、私は聞いたら聞きっ放しにしません。自分の気に食わないことを言っておきますから、大臣よく覚えておいてください。  そこで、世界湖沼環境会議についてですが、去る八月の末に大津市で開かれました世界湖沼環境会議環境庁としてはどのように関与されたか。局長も行っておりましたから、参加の資格や問題提起のことについて簡単でよろしいから説明してください。
  57. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 本年八月二十七日から八月三十一日まで滋賀県とそれから総合研究開発機構が主催、環境庁といたしましては後援という形をとったわけでございますが、世界湖沼会議が開かれたわけでございます。テーマは「湖沼環境保全と管理――人と湖の共存の道をさぐる」。この「人と湖の共存の道をさぐる」というテーマにこの世界湖沼会議のテーマが集約されると思います。人間の社会経済活動を進めていく上でやはり開発は必要である、しかし同時にそれは自然の環境を破壊するものであってはならない、それは非常に難しい道ではあるけれども、両方の共存は可能なはずであるというのがその考え方のポイントにあるのではないかというふうに私ども理解しているわけでございます。  環境庁といたしましては、計画推進に当たりさまざまな面で御協力申し上げてまいったわけでございます。私も報告者の一人として分科会で報告をさせていただいたわけでございます。
  58. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、世界湖沼環境会議の結果について環境庁はどのように受けとめてこれから政策に反映されようとしておられますか。
  59. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 会議の成果につきましては琵琶湖宣言という形で集約されておるわけでございます。この集約された内容につきましてここで一々読み上げることは時間の関係で避けることといたしますが、私どもはこの宣言の趣旨を体して今後の湖沼法の運用等に当たってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  60. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、宣言文書の中には、国際的な連絡組織を設置することと、湖沼環境問題に関する国際会議を定期的に開くということで、二年後には社会主義の国で開くような決議があったように思うのですが、受けとめておられますか。
  61. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 二年後にはたしかアメリカで開かれ、さらにその後ハンガリーでございますか、もし記憶違いでございましたら恐縮でございますが、その会議を持ちたいというような参加者からの御発言があったということは承知しております。
  62. 片山甚市

    ○片山甚市君 その今言ったことについて環境庁は支持をして、それが推進できるようにされますか。
  63. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) この点につきましては、滋賀県がまず国連等と連絡をとりまして、その結果の私ども報告を待っているわけでございます。自治体が自主的にやられたということでございまして、私どもは、もちろんこれは大変結構なことでございますから、積極的にそれが推進できるように可能な限り御協力申し上げていきたい、かように考えているわけでございます。
  64. 片山甚市

    ○片山甚市君 滋賀県が行ったことは承知しておりますが、環境庁長官も祝辞を述べられたし、局長は終始おられたのでありますから、私はそのはたで見ておりましたから、責任を持って成功させるようにお願いをしたい。  さて、参加者の中には、外国からは立派な方がたくさん来られて、外国における湖沼など自然環境を守る法律や具体的な実践報告が紹介されても、我が国ではどうなのか。環境アセスや湖沼法などの成立の過程を見てもどこに国際的に胸を張って言える環境行政が存在しているのかとの厳しい指摘がありました。風光明媚な観光地で楽しんだ、お祭り騒ぎだけに終わってしまったのでは大変だろうと思います。外国からのいい提言、議論を通じて得た会議の成果をどのように具体的に生かすのかが問われているのではないだろうかと思います。湖沼周辺、特に水質保全など極めて不十分な我が国のおくれている実態をまずしっかり認識することではないか。うまくいっているということは絶対言えないはずだし、環境行政は原点をしっかり見据えて進むべきだと思いますが、長官いかがでしょう。
  65. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 先般の琵琶湖におきます会議におきましては非常に熱心な保全に関する討議が行われたことは、私も、当時こういうような場に来るとは思っておりませんが、新聞など拝見しまして敬意を表しておりました。  琵琶湖を初め国民生活にとりまして重要な湖沼の水質を保全するために、環境庁としましては、湖沼法ができましたのでこの法律に基づきまして指定湖沼におきます総合的な対策推進努力をしてまいる覚悟でございます。  なお、水質汚濁防止法による窒素及び燐の排水規制実施を図るなど富栄養化防止につきましても積極的に取り組んでいきたい、今局長が申されましたことの次第でございます。頑張ります。
  66. 片山甚市

    ○片山甚市君 そういたしますと、これは環境庁が大変難色を示すことでありますが、いわゆる琵琶湖総合開発計画、琵琶総についてお伺いしたいのです。  会議で採択された琵琶湖宣言では、大規模な自然破壊という批判の強い琵琶総について一言も触れておられません。しかし、参加者の間からは、琵琶総の再検討や湿地帯の生態系における重要な役割などの宣言を挿入すべきだとの意見が出されました。しかし、宣言については多数決で採択した結果それは入れられませんでした。琵琶総計画が琵琶湖の危機に一層拍車をかけるものであることは、第百一特別国会での湖沼法審議の際私が再三指摘してきたところでありますが、当時の上田長官は一向に耳をかしてくれませんでした。  毎秒四十トンの水を下流に送るため一兆五千億円もの土建屋救済事業をやって、水面を今より一・五メートルも下げることがどんな影響を与えるものか、新長官も十分勉強してもらいたい。今水が足らないということで七十五センチ下がりまして、てんやわんやしておることは御承知のとおり。それからさらに七十五センチ下がればどうなるかと言えば、「水位低下による水質悪化」というテーマに対して滋賀大の鈴木教授は、現在の水位が七十五センチまで下がることの被害と、それ以後一センチずつ下がることの影響は極端に違う、現にこの夏のアユ、マスの産卵状況を見ても水位低下の影響、産卵場所が干上がったということが大いに影響しておると指摘され、一・五メートルもの水位低下は南湖の四〇%が干上がることであり、自然浄化能力を持つヨシを初めとした水生植物が死滅する影響ははかり知れないと指摘されておるところです。  また、湖岸線のほぼ五分の一に当たる五十キロメートルもの湖岸堤の建設が進められておりますが、特に南湖東岸部での湖岸堤建設で五十八ヘクタールの湖岸が埋め立てられ、現在の面積の三八%に当たる十六ヘクタールのヨシ原が消滅することになっております。このような状態を長官はどう受けとめられますか、お聞きしたいのであります。私は、こういうことについて、総合開発が琵琶湖の自然を豊かにするようにならない、歯どめをかけてもらいたいということであります。
  67. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 私から一応お答えいたし  まして、長官から御決意を。  琵琶湖総合開発につきまして、今度の湖沼会議におきましても先生今御発言のございましたような提案があったということは私ども承知しております。その発言は附属書類として記録に残されているわけでございまして、私どもも十分承知しております。ただ、環境庁の立場といたしましては、前長官からもお答えいたしておりますように、五十七年十二月にこのいわゆる琵琶総計画は改定になったわけでございます。琵琶湖総合開発法の法律改正によってつけ加えられた目的、環境保全観点にも十分配慮されて計画改定がなされたものと私ども考えているわけでございます。したがいまして、計画そのものについてこれを見直すということは、さらに将来の問題としては別として、ここ数年間は私どもとしては考えられないわけでございますが、今御指摘のあった工事の過程におきまして起こりますさまざまな問題点等につきましては、これは当然のことながら、それぞれの工事について十分なアセスメントをやり、また、もし問題があればその計画を修正するというようなことはこれは行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  68. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 総合開発の問題、それから水がだんだん減っていくというようなことは、私素人のようなものでございますけれども、ただごとではないなという気持ちはひとついたします。これらの問題につきましては、関係いたします省庁ともまた機会を見まして十分話し合いをして、そして琵琶湖が汚れないように、また問題が今後そのために起きていかないようにということを心して努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 片山甚市

    ○片山甚市君 結局、南湖がそれだけの水を出せば四〇%ぐらい干上がるということと、やはり三八%に当たるヨシの原がなくなるということになれば、いわゆる卵を産みつける場所もなくなる、魚も大変苦しくなる。今七十五センチ下がっておるだけで至るところで小魚の死んだにおいで大変嫌な琵琶湖になってしまっていることについて、現地に行かれましたらおわかりでしょうから、暇があったらなどとは言いませんが、国会が開かれていませんから、できたら近いのでありますから見ていただきたい。上田長官がそこにおりますが、よく御承知で私の意見に反対したのであります。  新長官はやはりきめ細かく、女性の特有の母性愛みたいなものをぱっと発揮されて、どういうように種の絶滅をしないように、この間の湖沼環境会議においても皇太子殿下から、動植物の研究者らしい立場から、琵琶湖にある特定の種が、日本にしかないようなものがなくならないように環境をよくしてください、非常にその話を聞いて感銘を受けたのですが、どうかそういう意味で、佐竹局長は、水質というか水をどっかにやりたい仕事ばかりやっているかわかりませんが、琵琶湖の南湖が四割も干上がってしまうといっても、いや開発計画があるんだから四、五年は勝手にやるぞ、日本の人がどうなろうと知っちゃいないという答弁を今しましたけれども、私は知ってもらいたい。もう一度それについては基本的に考えてもらいたいと思います。思ってもそれは私が言うだけで答えてくれませんから、次に質問を移ります。  琵琶湖における埋め立て抑制の実績についてですが、湖沼法案の土台となった昭和五十六年一月の中公審答申には、湖面埋め立て、干拓の抑制方針が述べられておりますが、瀬戸内法には取り入れられた埋め立て抑制条項が湖沼法には取り入れられておりません。瀬戸内法には抑制の条項があるのですが、湖沼法には入れられておりません。そのとき佐竹局長は、要するに現行の公有水面埋立法の規定を活用すれば事足りる、すなわち湖沼の水質、環境の悪化防止は図れると言っています。その具体的事例として、琵琶湖埋め立ての場合、協議を受けたケースの概要と、それに対して環境庁はどのような回答をしたのか。これは佐竹さんが答えられるはずですから答えてください。
  70. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 私が水質保全局長に就任してまいりましてからは協議の実例ございませんので、それ以前の近い事例を至急別途用意いたしまして先生のところに御報告申し上げたいと思います。ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  71. 片山甚市

    ○片山甚市君 私の質問に対して局長は次のように答えています。湖沼の埋め立てば、公有水面埋立法の政令三十二条ノニの後段の「環境保全上特別ノ配慮ヲ要スル埋立」によって環境庁長官との協議対象として対応することが可能である、湖沼については周辺環境変化に対して敏感に水質が変化するから、その自然環境保全上特に配慮を要する埋め立てに該当する場合が多いと思われると答弁している。該当することが多いと言われて、ないというのですから、私は納得をしていないのです。  それで、後から御答弁を受けることにするんですが、そこで、琵琶湖に今後予定されている埋め立て計画についてどのケースを環境庁協議対象と考えているのか。またどのように対処するのかについて、これからのことについてそれではお聞きします。今までのことについて調べてもらう。これからどうするのかお答えください。
  72. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 公有水面埋立法に基づきまして環境庁長官協議がございますのは、法律の四十七条でございますが、「主務大臣ハ政令ヲ以テ定ムル埋立ニ関シ前項ノ認可ヲ為サムトスルトキハ環境保全上ノ観点ヨリスル環境庁長官意見ヲ求ムベシ」こういうことになっておりまして、それを受けまして政令上は、面積が五十ヘクタールを超える埋め立て、それから環境保全上特別の配慮を要する埋め立て、こういうものについては協議が必要になる、かような法律の仕組みになつているわけでございます。
  73. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、佐竹局長の言う、湖沼の埋め立てば現行の公有水面埋立法の規定で十分対処できると言った言葉は論弁としか言いようがないのであります。湖を死滅させない抜本策は便宜措置では無理なので、埋め立てを厳しく規制 する独自の法律を確立すべきではないかと思います。いかがでしょう。
  74. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 公有水面埋立法の埋め立ての免許の要件といたしましては、その埋め立てが環境保全上十分配慮されたるものであることということがあるわけでございます。都道府県知事は一次的には当然この法律の規定を遵守するわけでございます。ただ、特に規模の大きい埋め立て等につきましては主務大臣の認可が必要であり、その認可をするに当たって環境庁長官協議がある、こういう法律制度としての仕組みがあるわけでございまして、特に影響が大きいと思われるものについてはいわば二重チェックがかかっているわけでございます。したがいまして、私どもは、仮にその五十ヘクタールを下回る埋め立てであるとしても都道府県知事は当然この規定を遵守されるということを考えているわけでございまして、お言葉ではございますけれども、しり抜けになっているというふうには考えておらないわけでございます。
  75. 片山甚市

    ○片山甚市君 海洋の公有水面と湖との場合影響が違うということを認めておって、同じ法律を使うことについては意見がある。湖沼については湖沼の法律をつくるべきだ、規制をすべきだということを言っておるのであります。解釈でできるとは思っておりません。  もし佐竹局長が言う、現行の公有水面埋立法の活用を実質的なものにするなら、同法の政令三十二条の二の後段の「環境保全上特別ノ配慮ヲ要スル埋立」の概念について、これを具体化した三省庁、運輸省、建設省環境庁の合意は海域埋め立てを想定したものであって、湖沼埋め立ての場合に適用するもっと厳格な内容の覚書として別につくるべきではないかと私は言っておるのであります。そうでなければさきに述べた佐竹局長の答弁は根拠を欠き、単にその場逃れの逃げ口上と言わざるを得ないと思います。私の言葉については納得できないと言いますが、私は、いわゆる海洋についての埋て立てと湖沼については分けてつくるべきだという、湖沼法のときにも言ったのですが、きょうもまた繰り返して言います、これは実現するまで言わなければ湖は死んでしまいますから。いかがでしょう。
  76. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 埋め立ての与える影響は海の場合と湖沼の場合とでは当然違うであろうという先生の御主張、これは私もそのとおりであろうと思うわけでございます。  先生の御提案は、であれば法律制度としての仕組みも当然異なってくるべきであろう、少なくとも関係省庁の間で異なるような運用をすべきであるというきちっとした合意をつくれ、こういう御提案でございまして、理論的には確かに御指摘の点は十分理解できるわけでございまして、万一命後この公有水面埋立法の運用上、湖沼の埋め立てについて現在の御指摘のような点が十分でないために著しい問題が出るということになれば、これは関係省庁に対して環境庁から申し出て、その運用についてそのような点をはっきりさせていきたいというふうに考えております。  現在では、全国湖沼の現状についてつぶさに承知しているわけではございませんから余り差し出がましいことを申すのもいかがかと思いますけれども、この現在の法律制度の運用で特に大きな問題を生じているというようなところは承知していないわけでございますので、将来そういう問題が起きてくるとすれば、当然今申し上げたようなことで対応したいというふうに考えております。
  77. 片山甚市

    ○片山甚市君 問題が起きてからやるということは環境庁の仕事じゃなくて、長官も言われたように、未然に具体的な措置をとりながら予防をする、保全をするということですから局長意見が違うことを明らかにしておきます。後日これからも大いに争っていかなければ、あなたたちの頭では日本の国土を守ることはできないだろう、こういうように勝手に思っておきます、論争しても時間がありませんから。  そこで水の質の確保についてですが、琵琶湖・淀川水系を水源とする京阪神の水道は毎年夏になると臭い水に悩まされ、今ではその期間のみでなく常態化しておる次第です。また、浄水場で殺菌用に投入する塩素と微量有機物が反応してできるトリハロメタンは発がん物質としてその危険性が問題化しております。各家庭では自衛措置として簡易浄水器やパック入りのミネラルウオーターの購入が激増しているという状況について、環境庁は異常な事態と思っておりますか。水道の関係についてお聞きします。
  78. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 御指摘の異臭味問題、それから発がん性のあるトリハロメタンについて、京阪神の住民の方々はもちろん、それから霞ケ浦等でも同じような問題が生じていることは十分承知しておるわけでございます。もちろん、現在の浄水された上水道は、水道法の規制のもとに絶対安全であるという保障のもとに責任官庁であられる厚生省で対応されているところではございますけれども、やはりこれは原水をきれいにいたすことが何よりも肝要であるかような認識のもとに、私ども窒素、燐の排水規制等におきましても、水道水源となっております湖沼等につきましては一般の湖沼とは違った取り扱いをするように特に慎重に、富栄養化の進行のすることのないように、あるいは既にしてしまったものについては正常な状態に復元するために最大限努力を払ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  79. 片山甚市

    ○片山甚市君 厚生省がこの間水道の水のきき水をやったら、一番先にやかったのは琵琶湖の水が臭いというか、おいしくないことわかっておるのです。これでも立派なものだといって、水質保全局長などの名前をつけた佐竹さんが堂々と胸を張って物を言う国会ですから寒い限りです。  一方、工業用水の循環利用がふえ、水需要全体が静止あるいは減る傾向にあります。なぜいまだに琵琶湖破滅につながる毎秒四十トンの新規利水計画が強引に推し進められなければならないのか。水需要もふえず、水道水への不安が広がる流域住民のためには、今こそ琵琶湖総合計画を抜本的に見直して、琵琶湖の自然浄化機能を生かし利用することによって質のよい水を確保すべきであり、それこそが自然保護、自然と人間との調和の施策と言えるのではないだろうか。その方向への転換を示す長官の所見を賜りたい。  きょうは琵琶湖の水については、水がもう足らなくなって標準から七十五センチも下がってきた。それで至るところで渇水になってきた。あとまた七十五センチ水を下流に流したいといっておるけれども、今水は下でそれほど要ると言っていない。ですから今制限をしても騒いでおりませんが、それをまた琵琶湖総合開発でさらに七十五センチ下がるように計画をすることについては見直してもらいたいという私の意見について、賛成、反対は別としても、妥当な箇所がたくさんあるのですから、長官もひとつそれについての答えを願いたいと思うのです。
  80. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 詳細にわたりましてはまだお答えするほどのものを持っておりませんが、先生おっしゃいますように、これ以上水が減ったり、それからまた環境が破壊されるということはどうしても阻止していかなければならぬというふうに思います。
  81. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣になられたばかりですから、私から矢継ぎ早に申すわけにいきませんが、できるだけ実情を見て、やはり命の水でありますから、おおよそ、アバウトではいけません。水道の水は確かに殺菌をしたり何かをしておりますから飲めますけれども、うまい水を飲ませたいという厚生省のキャッチフレーズが選挙用であったと思うと、今度はもう大丈夫だという話はせずに、やはり日本の国じゅう自然の水が飲めるような程度のよいものをお互いに提供しようというふうにしないといかぬ。そのためには琵琶湖が自然に息づくようにしてもらいたい。自然自然と言いましても工場もあればいろんなものがありますから、その対策はやりますけれども、しかし流域下水道ができれば大体うまくいけるような感じではないということをもう一度言っておきます。  次に、使用済み乾電池をめぐる問題ですが、昭和五十九年一月十一日、厚生、通産両省から日本電池・器具工業会に対し使用済み乾電池の処理対策について文書が出され、同工業会からは五項目にわたる環境保全対策を講ずる旨の回答がなされておりますが、その後の対策の進捗状況は項目別にどういうふうになっているか説明願いたい。
  82. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) まず厚生省の方からお答え申し上げます。  ボタン型電池につきましては、現在までに約二十二万七千個の回収箱がつくられまして、一般電器店とかあるいはカメラ店、そういったところに設置されまして回収が行われております。回収の状況につきましては、現在日本電池・器具工業会が調査、集計中であるというふうに聞いております。  それから筒型乾電池につきましては、五十九年二月から三年間でアルカリ・マンガン乾電池の水銀の含量を三分の一にするということで、業界におきまして本年九月に技術研究組合を設立いたしまして本格的な研究開発を開始したというふうに聞いておるわけでございます。  私ども厚生省といたしましては、今後のこれからの回収活動なりあるいは技術開発、そういったものの徹底につきまして注意深く見ていきますとともに、今後の課題といたしましては、まず、生活環境審議会に設置されております適正処理専門委員会における使用済み乾電池対策の基本的なあり方に関する検討、あるいはまた使用済み乾電池を広域的に回収、処理する体制について特別の調査をいたしております。家庭系特殊廃棄物の処理対策に関する調査という調査を今実施いたしておりますが、そういったことを通じましてこの問題に対処してまいりたいというふうに思っております。
  83. 広野允士

    説明員(広野允士君) ただいま厚生省の方からお答えがありましたとおりでございますが、さらに少しつけ加えさせていただきます。  通産省では未然防止観点から乾電池の水銀問題について業界を指導しているところでございますが、水銀減量化につきまして技術研究組合を先ごろ設立させまして研究を推進させておりますが、現在のところ、当初お約束をしておりました三年間で三分の一に水銀を減らすということにつきまして非常にうまくいっておりまして、来年の九月ごろまでにほぼそのめどを立て、さらにそれの二分の一に二年後に、六十二年の九月でございますけれども二分の一、当初からいきますと六分の一までに減量をさせるというさらに目標を高めまして水銀減量化を進めるということでございます。
  84. 片山甚市

    ○片山甚市君 乾電池によるところの被害がまだあらわれておりませんだけに、何としても電池の性能、水銀を使わないことを実現できるようにすると同時に、事前対策を今以上に進めてもらいたいと思うのです。  そこで、問題として、昭和六十年度予算要求に乾電池問題対策費はどのような内容で盛り込まれておるのか。というのは、政府として実効の上がる施策をどのように措置をしようとして今考えておるかということについての説明をまず願いたい。二つ目に、埋め立て処分、焼却処分、回収などについて法制上改正の必要性について検討されているかどうか。三つ目に、それ以外に、自治体や国民一般の乾電池公害と言われる問題への不安解消の具体策としては、先ほども水銀を使わないようにできるだけ少なくしたいとのことでありましたが、どういうことをやられるか。また、日本電池・器具工業会の自主対策で十分と考えられておるか。これ以上通産省、厚生省が手を加えなくても自主的にやられるかどうか。  まずこの三つについてお答え願いたいと思います。
  85. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) まず、先生お尋ねの予算でございますが、先ほどもちょっと触れました家庭系特殊廃棄物の処理対策に関する調査というのがございます。これは五十九年度から六十一年度までの三年間の予定で調査をいたしておりまして、当然六十年度も引き続き要求いたしております。五十九年度につきましては九百六十八万の予算でやってございます。中身につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、乾電池なりあるいは蛍光灯など水銀を含有する物質がございます。こういったものを個々の市町村で処理するというのは必ずしも簡単ではないということで、一つの考え方といたしまして広域的に処理したらどうだろうかということで、その中身づくりをこの調査でしたいというふうに思っております。一応私どものめどといたしましては、六十一年夏ごろまでには何かガイドラインなりそういったものを得たいというふうに思っているわけでございます。  それから、この廃棄物全体につきましては、先ほどもちょっと簡単に触れさせていただきましたけれども、基本的なあり方につきましては、生活環境審議会の適正処理専門委員会におきまして鋭意検討しているわけでございます。  具体的に申し上げますと、ことしの六月に第一回会合を開きまして、以降今日まで五回会合を重ねて鋭意検討いたしております。中身的には、市町村それから都道府県の代表からのヒアリングなり、あるいは電池業界あるいは家電製品業界、プラスチック業界、飲料容器業界、そういったところからヒアリングを行ってきたところでございます。今後、これらのヒアリング結果を踏まえまして、乾電池を含みます適正な処理が困難な廃棄物につきましてその概念の整理を行いますとともに、処理の困難性といったものの尺度をどう設定するか、あるいは処理が困難だといったものの評価をどうするか、それから、この問題につきましてはメーカーなりあるいは流通業界、消費者、自治体、いろんなところが関係いたしておりますので、その関係者の役割、分担を明確にするといったようなことをいたしまして、基本的にこの問題に対処していきたいと鋭意検討いたしているところでございます。
  86. 片山甚市

    ○片山甚市君 私が質問するのが十分でなかったのでお答えがなかったと思いますが、埋め立て処分や焼却処分、回収などについて法制上改正の必要性があるということで検討をされておるのかどうか。法制上はどうでしょうか。
  87. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) この問題につきまして、廃棄物処理に伴う水銀による環境汚染の問題は、先生もお触れになりましたように現在問題がなくしたがって現状のごみ処理体系で支障が生ずるものとは考えていないわけでございます。したがいまして、私ども現在の時点で何か法制上改正をする、そういった観点ではまだ対処いたしておりません。
  88. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、日本電池・器具工業会の自主対策だけで大体うまくいくというふうに思っておられますか。
  89. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 自主的な対策をいろんな場面で強化していただきたい、技術開発をしていただきたいということは当然でございますが、それだけで十分というわけでございませんので、先ほど言いましたような調査費、あるいは審議会におきます検討を重ねていきたいというふうに考えております。
  90. 広野允士

    説明員(広野允士君) 通産省としましても、厚生省とも協議をしまして、乾電池に含まれます水銀問題というのを業界の自主的な活動をバックアップするような形で進めさせていただきたいと思っております。具体的に申しますれば、先ほど申しました技術研究組合でやっております研究を促進をするという意味から、来年度でも、重要技術開発補助金というのがございますが、そういう補助金を活用しながらバックアップしてまいりたいと考えております。
  91. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほどお答えがありましたけれども、もう一度私から聞いてみたいと思います。  厚生省は、乾電池等の有害物質を含む廃棄物処理計画に関する調査昭和五十九年七月から三年計画実施しておりますが、実施概要についてもお聞きしました。  そこで、電池・器具工業会が研究体制の強化で水銀使用の減量化を三年で三分の一にすることが可能という話なのに、処理対策について積極的な行政指導をする立場からいえば、もっと早く調査結果をまとめて法律の上にあらわされるべきでないだろうかと考えます。今問題が出ていないから業界任せあるいは自治体任せということでないということで、環境庁あるいは厚生省、そういう姿勢であることについて間違いありませんか。
  92. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先ほどお答、えさせていただきましたように、私どもとしては、業界任せ、自治体任せということでなく、厚生省としてやるべきことにつきましてこれまでもやってまいりましたが、これからも引き続き検討して、できるだけ速やかにそういった検討成果を反映させていきたいというふうに考えております。
  93. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは、廃乾電池処理のために、通産省の外郭団体である財団法人クリーン・ジャパン・センターの技術開発補助ということで、北海道のイトムカにおける鉱業所でリサイクル適応性の研究をしておるそうですが、廃乾電池処理プラントを現在建設中であるということですが、その概要と、技術開発補助とはいっても、現実の問題として野村興産の処理能力は倍増するわけであり、廃乾電池を抱えている自治体の期待は大きいと思うのですが、利用する側からの問題はないということでしょうか。
  94. 廣瀬定康

    説明員(廣瀬定康君) 先生お申し越しの使用済み乾電池の廃棄物につきましては、私ども通産省の立場といたしましても、これはやはり廃棄物とはいいながら有用な資源である水銀、まあ水銀というのは相当部分を輸入しておるわけでございますから、その他の物質が含まれておりますし、これらを回収して再資源化するということは日本の国益にもつながることでございますので、ぜひそういった方向で技術開発をしていきたいというのがこのプロジェクトとの意図するところでございます。このために、私どもといたしましても補助金を先生お申し越しのクリーン・ジャパン・センターの方に出しまして、当センターが現在水銀含有廃棄物の再資源化実証プラントということで建設を行っております。今先生おっしゃいました北海道のサイトでございます。  このプラントは、極力先導的な技術を用いまして、再資源化事業としての経済性、それから実際に連続操業をしていくこと、あるいは有価物の回収効率のレベルを上げる、経済的レベルを極力上げるといったことのための技術性の確立をするためのものでございまして、六十年の三月には完成を予定しております。その後約三年を実証実験の時間といたしまして、その中で、先ほど申し上げました、まず第一に経済性の実証を得る、それから技術性の確証を得るといったようなことを考えております。そして、このプラントから出ましたデータ、今申し上げました諸データは極力公開することによりまして普及に努めてまいりたいと思います。  以上でございます。
  95. 片山甚市

    ○片山甚市君 北海道につくられる場合、やはり輸送費の問題が一番大きなネックになるように我々は聞いておりますから、この処理について、水銀電池を運ぶ場合の輸送費について検討してもらいたい。  と申しますのは、イトムカ鉱業所以外に処理工場が建設される予定はないか。全国の廃乾電池処理の要望にこたえるには、全国にこの種の施設が必要なのではないだろうかと思いますが、その場合を仮定して考えると、北海道につくられるものが実証的にうまくいったならば何カ所ぐらいつくられることが望ましいと思われますか。
  96. 廣瀬定康

    説明員(廣瀬定康君) このプラントは今申し上げましたように経済性が生命でございますので、その実証を得るということが一つ大事なことでございます。これらの成果は、何カ所ぐらいという話でございますが、先ほど厚生省の方からのお話がありましたように、私どものこの成果をシーズといたしまして、厚生省の適正処理専門委員会等の検討の場に提供させていただいて、一つのそういった検討の材料として、その中でどういうふうに振り向けていくのかということもその時点の問題になるかと思います。
  97. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省の立場からちょっと補足させていただきたいと思いますが、先ほども触れました家庭系特殊廃棄物の処理対策に関する調査の中におきまして、私どもとしては、恐らくこの手の廃棄物なり乾電池なりあるいは蛍光灯といった、こういった有害物を含む廃棄物につきましては広域的な処理が適当ではなかろうか。そういうことで、回収処理センターといったものを設けたらどうだろうかということで、そういう考え方の適否を検討する意味で、例えば乾電池、蛍光灯の処理、処分の必要量がどのくらいになるのか、あるいは収集、運搬の方法はどうしたらいいのか、あるいは処理、処分の方法はどうしたらいいか、それから先生お尋ねの、こういったものをもしつくるとすればそれの設備なり全国的な配置はいかにあるべきかといったようなことを検討することになっております。こういう場を通じまして今先生お尋ねの問題につきましても今後検討していきたいと思っております。
  98. 片山甚市

    ○片山甚市君 「エネルギーと公害」という雑誌のことし八月九日の発行、ナンバーで八百二十一号ですが、「イトムカ以外に五カ所ほどの候補地があげられた。その中でも神奈川県平塚市の首都環境整備(株)が最も有力視されたようだ。しかしこの事業所の処理方法は、廃乾電池から鉄分だけを回収し、残りはセメント固化して埋めるというもので、イトムカのような水銀回収プラントは設置されていない。」と書いてあります。そういう意味で、イトムカの方が成果を得たならば、速やかに全国的なセンターをつくって安心ができるように努力をしてもらいたいということをつけ加えておきます。  そこで、国道四十三号線に関係する公害被害者救済に関する環境行政についてのお話を聞きたいと思います。  財界主導の行政改革が天の声であるとの立場に立つ中曽根内閣のもとで、大気汚染公害指定地域の縮小や公害健康被害補償制度そのものの廃止をねらっている財界の意図は日増しに露骨になっているようであります。全国公害患者や多くの自治体からも公害指定地域解除の動きに憤りと反対の声が強く、さらにSOxのほかにNOx及びSPM、浮遊粒子状物質の略語でありますけれども、それを地域指定の要件に加えてほしいという要望書や意見書が政府に出されていると思いますが、それは御承知でしょうか。
  99. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) ただいま先生からお話ございましたいわゆる窒素酸化物あるいは浮遊粒子状物質につきまして、現在行っております地域指定の要件に加えて検討してほしいという自治体あるいは自治体の議会等からの要望書は私ども受け取っております。
  100. 片山甚市

    ○片山甚市君 このような状況下で環境庁は昨年十一月地域指定の見直しを中公審に諮問されました。それのみか、ことしに入ってアセス制度の法制化を事実上放棄しましたし、さらに経団連との間に定期懇談会を始めるなど、国民からは公害加害者の利益代弁者である経団連と環境庁はぐるになったのではないかとの批判が強まっています。  今、環境庁は、公害被害者や自治体の持つ悩みや要望にこたえて、その救済と公害絶滅を目指す本来の使命が問われているのではないだろうか。財界の圧力に屈するのか、国民の生命、健康、環境を守る立場に立つのか、新長官の再度の決意をまず聞きたいと思います。
  101. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 公害健康被害者の迅速かつ公正な保護は環境行政の重要な課題でございます。公害健康被害補償制度がこのために果たしてきた役割は非常に大きいものであったと考えておりますが、今後ともこの制度を適切に運用していくためには、我が国大気汚染の態様の変化を踏まえた第一種地域のあり方を検討することが基本的に重要と考え、現在中公審で審議を仰いでおるところでございまして、その審議の結果を見守っておるところでございます。
  102. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、私の地元である阪神間の国道四十三号線及び阪神高速道路の沿線は、大気汚染を初め騒音、振動、さらに低周波空気振動などありとあらゆる自動車公害のるつぼと化しております。住民の生活環境、健康への直接影響が問題視されている状況でありますが、地元の尼崎、西宮、芦屋の三市当局から、物流、道路構造、土地利用その他を含めた総合的な対策を求める要望書が提出されておるのです。昨年中公審が示されました交通公害対策答申を踏まえ、この四十三号線の公害にどのように対策を講じられていくか。特に、地域指定を解除するようなことになっておらないと思いますが、御答弁を賜りたいと思います。
  103. 三谷浩

    説明員(三谷浩君) 御答弁いたします。  自動車公害の問題の物流あるいは道路構造、土地利用に関する総合的な政策を確立して、建設省としてどう考えるかということについてお答えをしたいと思っております。  当然ながら、自動車公害による障害の防止というのは、例えば自動車構造の改善の問題であるとかあるいは交通規制等の問題、もちろんそれに道路計画あるいは道路構造の改善の問題、これらを総合的に実施しなければいけないというふうに考えております。このような観点に立ちまして、私ども道路をつくる側としましては、一番目には、まず体系的な道路網の整備による道路機能の分化あるいは掘り割り、遮音壁、環境施設帯の設置による道路構造上の対策を図る、さらにその沿道の土地利用を幹線道路の沿道にふさわしいものに誘導する、こういうような政策を中心として沿道環境保全を図るべきと考えております。建設省といたしましては、これらの総合施策のうちの一環としての道路構造の問題等につきまして、中央公害対策審議会答申趣旨を尊重しつつ積極的に実施してまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、四十三号につきましても、もし御質問がございますれば、いろいろなこういうようなことについてできるだけのことを、建設省としてできる範囲のことをやらせていただいております。
  104. 植村武雄

    説明員(植村武雄君) 国道四十三号線の交通公害対策につきまして、私ども運輸省におきましては、特にトラック輸送についての交通量の抑制あるいは走行の状態の改善ということでいろいろ努力しておるところでございます。  交通量の抑制につきましては、四十三号線を走っています路線トラック便を中国自動車道に流すといったようなこと、あるいは積載効率がよりよい営業用トラックに自家用トラックから荷物を移しまして極力積載効率をよくすることによってトラック交通量を減らすというようなことを進めておるところでございます。  また走行状態の改善につきましては、急発進、急停止しないようにするということ、それから制限速度の遵守あるいは過積みしないというようなことにつきましてトラック関係の団体を通じて事業者及びドライバーの方に呼びかけ、公害対策に対する協力を求めており、引き続き今後とも努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  105. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、中央公害対策審議会におきまして第一種地域のあり方について検討いたしておるところでございますが、その中におきましては、先生がお話ございました窒素酸化物、浮遊粒子状物質についても当然審議対象ということで審議をしていただいておるところでございます。
  106. 片山甚市

    ○片山甚市君 四十三号線については現状が改善されておらないから地域指定の解除をするような状態ではない、こういうことをまず確認しておきたいのですが、いかがですか。
  107. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) お答えいたします。  ただいまお答えを申し上げましたように、ただいま中央公害対策審議会におきまして第一種地域のあり方ということについていろいろ御検討いただいておるわけでございますが、その中におきまして、先生お話ございました窒素酸化物、浮遊粒子状物質につきましても、それと健康被害との関係についての審議といいますか、評価をただいまやっていただいておるわけでございますので、その評価あるいは中公審の審議の今後の推移を見守ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  108. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、先ほど言いましたように尼崎、西宮、芦屋の三市が陳情しておることについては理解をして対処していると思ってよろしいか。陳情書が来ておるでしょう。陳情しておることについては理解ができるということですか。陳情していることわからないということですか。
  109. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) お答えいたします。  ただいま先生からお話ございました三市におきましてそれぞれ地域の実情についていろいろ私どもお話を承っておるところでございます。この中におきまして、大気汚染によります健康被害もある、あるいはそれ以外のいろいろの影響がかなり出ておるんだという話は私ども承っておるわけでございます。このような地域の実情といいますものを十分私ども理解するといいますか、私ども十分踏まえながら大気汚染と健康被害との関係につきましてただいま中公審で御審議いただいておるというところでございます。
  110. 片山甚市

    ○片山甚市君 最後に、私は、環境汚染がなくなり環境被害がなくなったらいいということでありまして、その指定をしてほしいと言っているんじゃない、早く解除ができるような状態にしてもらいたいと思っておるところです。  本問題は単なる環境庁指導上の問題ではなくて、政府の基本政策が問われる問題であるだけに、地域の深刻な状況や環境庁の対応などについては、これから公害に対する審議会で十分な対策をとられた後、この委員会審議できるようにひとつ約束をしておきたいと思います。  終わります。
  111. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 公明党・国民会議所属の飯田忠雄でございます。  本日は、大臣がかわられまして、前任の大臣の非常に誠実な御態度に私どもは感謝をしておるわけでございますが、にもかかわらず、先ほど来問題になりましたアセス法案は日の目を見ることができなかったわけでございます。これは大臣の罪ではなくて、いわゆる政治的環境がしからしめたということで私どもは理解をいたしておるわけでございますが、その反対理由が、もしアセス法ができますと住民の運動が盛んになる、だから困るという御意見のようでございます。住民運動は、アセス法に対する住民運動ではなくて、むしろそこで環境を侵害するであろうと思われる事業をなさるその事業に対する反対運動であるはずでございまして、別にアセス法ができたからといって住民運動が起こるとは限らないと思われるわけでございます。そういうアセス法に対する反対理由を住民にその罪を転嫁するという考え方が一部であることは大変残念に思いますが、それにしましても前長官の誠実な御対応に、成功しませんでしたけれども、感謝をいたしておるわけでございます。  新任の長官は女性のお方でございまして、私はここに非常に不思議な現象を見て希望を抱くわけでございます。大臣も女性であり、委員長も女性であり、また理事の一人も女性だ、こういう三者そろった状況でございまして、こういう状況は珍しい。女性の優しい心で、環境行政というものは行政の中でいいますと女性的行政でございまして、男性的なものはないのでございますが、それだけに女性の大臣を得たということは将来に希望があるのではないか、こう思うものでございます。  ところで、環境アセスメント法はそうしたむしろ女性の大臣を得たことによって成立しやすくなるのではないかと希望を抱いておるわけでございますが、与党の中における問題でありますので何ともおっしゃれないと思いますけれども、この点につきまして、将来取り組む姿勢につきまして、同僚議員からもお尋ねいたしましたが、もう一度おっしゃっていただければありがたい、こう思うものでございます。
  112. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 今先生御指摘なさいましたように、先刻も申しましたように、閣議決定ということで規制された部分もございますが、一応決定しておりますので、今後の成り行きといいますか、関係諸官庁との間の問題でございますので、そうしたものを見守りながら、そしてさらには、今女性という言葉もありましたが、私どもは男性の先生方に比べまして割合にきめの細かいところに目 をつけてきたし、またつけやすいのではないかという気もしております。  いずれにいたしましても、アセス法が絶対に必要だという見きわめがつきました時点におきましては、また委員の先生皆様のお力をいただきましてそのように踏み切っていかなければならないんだ、しかしながら、現在ただいまは閣議決定の線に沿いまして、どういう条件がどういうふうに進んでいくのかをじっと見守りながら実現への道づけということを探っていきたいという私の気持ちでございます。
  113. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 よくわかりました。  本日私は少し時間をいただきましたので、水質汚染対策につきましていろいろお尋ねをいたしたいと思います。特に、水質汚染対策といいましても範囲が広うございますが、その中で下水道政策につきまして若干問題点を挙げましてお尋ねいたしたいと思います。  まず、従来の政府の下水道に対する基本政策はどういうものかどうもはっきりいたしませんが、見ておりますと、下水さえつくれば環境汚染が防げるというように受け取れるような政策であるように思います。特に、先ほども問題になりましたが、流域下水道、これに力を入れればそれで事が済むというような傾向が、少なくとも都道府県の方ではそういう傾向がなきにしもあらずという状況でございました。  そこで、そういう流域下水道が本当に水質汚染対策として適当かどうかという問題につきまして政府の方のお考えをお聞きしたいわけでありますが、その前に、参議院の常任委員会調査室というところで「立法と調査」というこういう雑誌を発行しております。この中で「下水道と環境保全」という題で参議院の調査室の四つの委員会の代表の方が調査班をおつくりになりまして研究なさった結果が書いてございます。大変興味深い、よく調査された御論文であると私は思いますが、これを見まして感じますることは、これまでの流域下水道に対する反省、流域下水道の持つ欠点、そういうものを論議なさっておるように思うものでございます。  この御研究によりますというと、流域下水道にはそれなりの利点はあるけれども、しかし金がかかり過ぎる。また、問題点が多いために、下水を利用なさる方の間でいろいろ論議がなされるために年数がかかり過ぎるということが論点になっております。もっとも、この研究で言われておることは、流域下水道のような大枠の、大きな下水政策ではなしに、もっと小さく割った部分部分で下水を処理していくものの方がいいのではないかという、そういうことが書かれておるように思います。つまり、一つの都市なら都市で、そこで自分のところで出した汚物は自分のところで処理する。つまり、流域下水のようにはるか下流に持っていって処理するというようなことはしないで、上流で出たものは上流で処理する、中流で出たものはそこで処理するということをやらないと河川そのものが死んでしまうという結論であるように思います。  こういう考え方につきまして政府ではどのようにお考えになっておりましょうか。まず御見解を承りたいと思います。これは関係省庁としましては、環境庁のほかに建設省なりあるいは厚生省なり通産省なり農水省なり、こういうところの御関係があると思いますので、それぞれ御見解を承りたいと思います。
  114. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 私その論文をまだ拝見しておりませんので、先生の今お話しの限りで私なりに理解してお答えするわけでございますが、建設省におかれても決して流域下水道一本やりではございませんで、地域ごとの具体的条件に応じた下水道のあり方ということを探究されているわけでございます。  具体的に言えば、特別環境下水道という制度もございますし、今後湖沼周辺等農村部の下水処理、生活関係の汚水処理に当たってはやはり小規模な下水道が必要であるという判断に立たれておられ、現に小規模下水道の計画基準等も御検討中だというふうに聞いているわけでございます。私どもこのような行き方が正しいというふうに考えているわけでございまして、環境庁といたしましては、現在、建設省の特別環境下水道のほかに、農林水産省における集落排水整備事業、さらに厚生省の雑排水の単独処理事業等各省の事業がいろいろ並んでいるわけでございまして、これらの事業が、決して私どもが調整するような、それだけの力も予算も、それからノーハウもあるわけではございませんけれども、整合的に行われることによって公共水域の水質保全に遺憾のないようにしてまいりたいということで連絡を密に各省とやってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  115. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 建設省が行っております下水道でございますが、御承知のとおり、生活環境の改善と公共用水域の水質保全を図るための基幹的な施設であるという認識のもとに現在下水道の整備を進めているところでございまして、地域によりまして、水質保全効果が上がりまして、魚がすまなくなったところに魚が帰ってきたというような着実な成果が上がりつつあるところでございます。  下水道には、御承知のとおり流域下水道それから公共下水道がございます。それから、公共下水道の中にはさらに都市地域以外の地域で行います特定環境保全公共下水道という制度がございまして、例えば湖沼などで行います自然環境保全のための公共下水道、それから農山漁村におきます農山漁村下水道、そういうような種類がございます。そういった各種の制度を使いまして、ナショナルミニマムの実現あるいは公共用水域の水質の保全のために施策推進しているわけでございますけれども、その中の一つに先ほど御指摘の流域下水道というものがございます。流域下水道は、非常に広域的な観点からある地域を総合的に下水道を整備しないとその地域環境基準達成等になかなか効果を上げがたいということで、広域的な観点から都道府県が乗り出して基幹的な施設を整備し、その下の部分につきましては地方公共団体が流域関連の公共下水道として整備するものでございます。  その整備の手段を選択する場合の考え方でございますけれども、すべてについてどうこうということではございませんで、具体的な地域対象にとりまして、流域下水道方式を用いるのがいいのか、あるいは単独の公共下水道方式を用いるのがいいのかということにつきまして、その地域の具体的な実情を見まして、どれだけ金がかかるか、あるいは建設費のほかに維持管理費の問題も含めまして各種の代替案をつくりまして、その結果、やはり流域下水道という制度を使って事業を進めたところが一番効果的であるというようなところにつきまして流域下水道を整備しているわけでございまして、今後ともそういった各種の制度を組み合わせながら下水道整備の推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  116. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省といたしましても、下水道整備は生活環境保全なりあるいは公衆衛生の向上といった観点から極めて重要なものというふうに考えております。  厚生省といたしましては、下水道整備が困難な地域につきまして、生活排水処理施設の整備なりあるいは浄化槽の適正な管理といったようなことを行ってきておるわけでございます。
  117. 廣瀬定康

    説明員(廣瀬定康君) 通産省といたしましては、流域下水道につきましては、下水道一般につきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  118. 吉池昭夫

    説明員(吉池昭夫君) 農水省でございますが、お答えをいたします。  生活排水等の処理について農水省もこれも重要だというふうに考えております。  そこで、農水省は特に農業集落排水事業というものをつくりまして、比較的集落単位の、工場排水等が入っておりませんいわゆる自然浄化ができるようなそういうようなシステムを考えまして、集落排水事業として推進しているところでございます。  以上でございます。
  119. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 大体各省の御意見はわかりましたが、やはり統一的な総合的な対策がどうもなされていないようですね。環境庁の方で当然これはまとめていただかぬと、ばらばらでは困る。  私がお尋ねいたしましたのは、流域下水道というのはこれは不必要に広域、広いところの水を一カ所に集めてそこで処理をいたすために、工場排水も生活排水も雨水も全部一緒くたにしてしまってやることになる。しかも大設備を擁するので金がかかる。それから、上流の方の下水を河川に流さないで全部下流へ持ってくるから、水を取るところとそれから処理して川に流すところの間が広過ぎる。この間というのは水がない。最近における大河川を見ますと水が枯渇しておるわけですね、真ん中で。そういうところは、結局、せっかく河川の自然浄化作用があるのにそれを無視して河川の浄化作用を殺してしまっておることになりますね。そういうような問題があるということも頭に入れて、そして流域下水道が本当に必要なのかをもう一度考え直す必要はないでしょうか、こういうことをお尋ねしたわけです。  流域下水道でこれは下水処理場をつくるところでは各県とも皆反対運動が起こっておるわけですね。その反対運動を抑えるために使う金というものは相当な金が使われておる。これは無用な金なんです。それから、一本の太い線を引っ張る、その一つの都市と都市をつないで下流へ持っていく、その間というものは元来一つの都市ごとに処理すれば要らぬものなんですね。あれを一つにまとめるからそういうものが必要になるわけなんですが、そういうような問題について根本的にお考えになって改善なさる政策はないのか、こういうようなことをお尋ねをいたしておるわけです。これはどうですか、環境庁さん。
  120. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 流域下水道について、ただいま先生が御指摘になられましたような批判がかなり強くかつ有力であるという事実は私どもも承知しております。ただ、現実の日本の社会的経済的条件を考えてまいりますと、例えば工場排水を絶対に下水道に入れるなというふうな御指摘については、既成市街地の内部に中小企業等が広範に存在するような場合に、それをすべて下水道でキャッチしない場合にはこれは個々の事業者に汚水処理施設を整備させろということは大変無理があるわけでございます。したがって、ある程度のものはこれは下水道で受け入れざるを得ないという面があろうかと思うわけでございます。一方、大企業の場合には、最近水のコストがどんどん上昇するというようなことで、積極的に循環利用を図っておのずからクローズドシステムが進んでいるという実態がございます。  それからもう一点、延々と水路、管路を引っ張って河口近くで放流する、そのために川の水がなくなるのではないかということ、これは建設省の問題ではございますけれども、流域下水道計画を立てる際には河川局と十分調整をされていると思いますし、私ども環境庁の立場からいいましても、ヨーロッパ型の水利用のシステム、つまり、一度使った水を河川に戻してさらに再利用するシステムというのは確かに一つのやり方だろうと思います。ただ、現在のように汚濁負荷量が非常に大きくなった場合に自然浄化作用にどの程度期待できるかということについては、私は特に大都市周辺では疑問に思うわけでございますけれども、一度川に戻せばいいではないかという御議論は確かにあるわけでございますが、ただ、日本のように河川の用水が上水道の水源になってほとんど飲用に回っているという実態があるわけでございまして、下水処理水の中にどのような汚染物質が含まれているかわからないという状態のもとでは、一度川に戻せということがこれまた絶対的に果たしていいことであるかどうか。  確かに河川流量等には影響が出るにしても、できるだけ再び人間の口に入らないように一番河口近くに持ってきて放流するというのも一つの有力な考え方だろうと思うわけでございます。特に最近のように化学物質による微量汚染がシビアな問題になってきた場合には、一概に河川に戻すことがいい、小規模に区切って河川に戻すことがいいとばかりも言い切れないものがあるのではないか。このような点については今後さらに私どもも勉強してまいりたいと思いますし、各省ともよく相談してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  121. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 都市によっては工場が少ない都市もございますね。また、工場排水といいましても重金属類が入っていない工場排水もございます。    〔委員長退席、理事丸谷金保君着席〕重金属類が入っていない工場排水ならこれはいわゆる家庭排水と一緒にしても差し支えないわけですね。問題は重金属が含まれておる工場排水、こういうものだけを区別するという政策を強行しない限り水の再利用は難しい。生活排水とかあるいは重金属の含まれない工場排水ならば水の再利用が可能になるわけですね。そういう方策を政府として根本的にお考えになる必要があるのではないかということを私はお尋ねをしておるわけです。  御承知のように、昔の日本になぜ公害がなかったかといいますと、重金属を出すような工場が昔はなかった、それから大都市であっても大都市の生活物質は全部農地に還元された、だからそこには公害がなかったということが言われております。だから、そういうことができるようなことをもう一度考え直す必要があるのではないか。水というものはますます減っていく状況下にありますので、つまり私が申し上げるのはきれいな上水ですよ、きれいな水はなくなる情勢でありますので、こういうものを取り戻すための政策、そのためには重金属を含む工場排水はほかの排水とはっきり区別する、そういう処置を政府の方で何とか行われる、強行されることがこれからの水質汚染対策として必要ではないか。  これは「レファレンス」という本ですが、これは国立国会図書館調査立法考査局が出している本なんです。この四百五号に「下水道と農業」というところで論文が載っております。これなども非常に参考になるものでありまして、日本の都市の例をよく挙げております。例えば、所沢市から毎日四十トン、年間一万トンに及ぶ脱水ケーキを運んで堆肥化しておるのが群馬県の昭和村だ、こう書いていますね。群馬県の昭和村では肥料は所沢市から求めておる。それは所沢市の汚物を処理した残りですね。じゃなぜそれが可能かというと、所沢市では重金属を含んだ工場排水は入っていないから。これが入っていると農地を汚すことになるわけですね。こういうような問題を細かに調べまして下水対策をお立てになる必要があるのではないかと考えます。  これは皆国会で出した本ですよ、先ほど読んだ本もね。だから、余り国会を軽視しないで、国会でもこういうことを研究しているのだということで、ひとつぜひ政府の方で対策を講じていただきたいが、この点いかがですか。
  122. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 流域下水道の問題からいろいろ御意見をいただいておりますけれども、流域下水道をつくります際に、やはり全体の水域の浄化をどうしようかということで実は流域別に流域別下水道整備総合計画というものをつくります。これは都道府県知事がつくって建設大臣が認可するものでございますが、その中で流域下水道がいいのか、公共下水道がいいのかいろいろ検討いたしまして、その結果、ある地域については流域下水道がいい、    〔理事丸谷金保君退席、委員長着席〕ある地域については公共下水道がいいという位置づけをしまして、それを実施する段階で流域下水道を実施いたします。  それから、流域下水道につきましても、現在非常に小型の第二種の流域下水道という制度も発足しておりますし、それから、流域下水道をつくりました場合に、必ずしもある川の場合に全部最終の端末に行って全部そこで出すということじゃございませんで、流域下水道につきましても、どういう処理区でどういう区分をして処理していった方が全体として効率がいいか、あるいは送り出した先の水質環境あるいは川の正常な維持用水の確保、そういった点からどういった処理区によって処理をしていったらいいかということで、ものによりましては七つとか八つの処理区に分けまして浄水場をつくりましてそこから出しているということでございまして、実態に合わせたように、そういった必要に応じていろんな工夫をしているところでございます。  なお、一般的に下水道整備そのものは、確かに川というのは自然の浄化作用があるわけでございますけれども、なかなか自然の浄化作用ではどうしても生活排水やあるいは中小企業を含めました工場排水の処理ができないというような場合に、やはりそれを集中的に公共団体が責任を持って浄化をして、さらに自然の環境に返していくという基本的な考え方でやっていることにつきましては御理解賜りたいと思います。  なお、工場排水関係で重金属の問題が今出ておりますけれども、具体的に下水道を整備いたします際、工場につきましても、中小企業等もございますので、物の考え方としましては生活排水工場排水と両方とも引き受けることにしておりますけれども、具体的な計画の立案に当たりましては個別的に審査をしまして、それほど問題がないというような、例えば冷却用水とか空調用水等で出している水、あるいは既に大きな工場の場合で具体的に処理施設が非常に完備していて、今後とも十分な維持管理が可能だろうと見込まれたようなものにつきましては除外して整備計画を立てるような方針も立てております。なお実行しているところでございます。  それから、具体的にそれじゃ中小企業あるいは大企業につきましても、下水道の中にそういった重金属等が入ってくる場合どうするかということでございますが、実は下水道の処理場というのは水質汚濁防止法によりますと一つの特定施設として公害対策の規制を受けているわけでございまして、具体的に下水道から環境水域に水が出ていくという段階では、当然一般的な公害規制を受けた数値の基準を守って出していくわけでございます。ただ、その際どうしても工場から重金属等が入ってきてそういった水質を守り切れないというような場合につきましては、企業に対しまして除外施設という、普通の企業でございますと特定施設と言いますけれども、そういった重金属などを下水に流さないような基準を設けてそれを守っていただいて下水の中に出していただく。そういった手段もいろいろ講じながら下水道についていろんな施策推進しているところでございます。  我々も各種のいろんな御意見があることを踏まえましていろんな勉強を続けているところでございまして、そういったものを踏まえて、総合的に水質の環境がどうやったらよくなるか、しかもそれが総合的な目で見てちゃんと位置づけができているかどうか、そういったことにつきましては今後とも勉強しながらあるいは具体的な計画を立案する際に反映させていただきたいと考えているところでございます。
  123. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 大変抽象的な御答弁で、具体的な処置がどうもわからぬのです。  一つ例を挙げてお尋ねいたしますが、「レファレンス」に寄稿しておられる渡辺善次郎という方の書いた論文ですが、この中で東京都の例を挙げているんですよ。「東京都では多摩ニュータウンからの下水を処理している南多摩処理場で、年間約六〇〇トンのコンポストを生産し、「南多摩汚泥」と名付けて、二〇キロの袋詰めで都経済連から市販し、生産が間にあわない程の好評を呼んでいる。」こうあります。これは東京都の多摩地区だけの、ニュータウンだけの汚水を集めましてそれだけで処理しておるわけです。それだけで処理するから、ほかの工場排水が入っていないからこういうことができるのですね。  私が実は質問申し上げているのは、こういうように個別的な下水処理をしたらどうだ。そうすれば下水の費用も少ないし、またそれから出てくるところの品物も役に立つではないか。これを流域下水のように広範囲にやりますと、これは雑多なものが入ってしまってどうも処理しかねることになる。だから金の高いものをやるよりもこういう方法でやったらどうだということなんですね。  これは東京都だけじゃありませんよ。鹿児島市でもやっているというのです。「一日五〇トンも排出される市内の汚泥を使ってコンポストを作り、「サツマソイル」の名称で市販している。」これも非常に好評だと書いております。それから、所沢市の話も先ほどやりましたね。また渋川市というのもあるそうですが、そこでもそういうことが行われておる。個別的に各都市でやっておるんです、地方都市では。それをわざわざ流域下水ということで一つにまとめてしまわなくてもいいではないか、むしろ分散した下水政策をとるべきではないか、それから農村は農村で農村下水政策をとるべきではないか、こういうことを提案しているのですよ、この本の中で。  私は渡辺善次郎という人の考え方、なかなかおもしろい研究をなさっておると思いますが、こういうことについて、担当の政府の所管官庁では今まで考えられたことがあるのか、あるいは今後こういう方式を取り入れてやっていかれるおつもりはないのかということをお尋ねしているわけです。いかがですか。
  124. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 下水汚泥のいろんな有効利用につきましては、現在下水汚泥が非常に、三三%の段階でも三十五万立方メートル、年間でございますが、出ている状況でございますので、それの有効利用ということは下水道行政にとっても一番大きな問題の一つでございます。  それを具体的にどう有効利用しようかということにつきましては、建設資材として利用する方法、あるいは農地に還元して土壌の改良あるいは有機肥料として利用する方法、いろんな方法がございます。これにつきましては、今先生御指摘のとおりいろんな地域で、コンポストにして有機肥料にするとかあるいは各種の建設資材にするというふうなことで、具体的にコンポスト化をしているところにつきましても、直接公共団体がやっているところにつきまして、例えば秋田とか山形などの十二都市でやっておりますし、またそれを民間企業に引き取っていただいて民間企業がコンポスト化している例もございます。これらにつきましては、我々としても、いろんな調査研究を通じまして積極的にそういう方向にしていっていただきたいということで、各種の研究をしたりあるいは農水省の方々あるいは農協の方々にもいろんな御理解を賜るような努力をしているところでございます。  なお、先ほどおっしゃいました、すべて区分すればという議論が一つあろうかと思いますけれども、これにつきましては、我々の下水道行政の最初の出発点は、具体的な水の浄化というのをどう効率的にやっていこうかということから出発してまいります。したがいまして、水の処理としまして、きれいな水を環境に返す場合にどういう効率的なやり方があるかというところからのアプローチで現在進んでまいりまして、そういった中で、企業等についても、日本の場合なかなか、例えば東京都などの場合に農業と工業が混在しているような地域が非常にあるというようなこともございまして、考え方としましては、生活用水と企業用水両方取り入れる仕組みを全体としては推進しなければいけないと考えておりますけれども、個別的にそういった問題などのあるところ、例えば多摩ニュータウンのように非常に住民の方だけが住んでおられるというところなどにつきましては、いろんな処理区を設けたりすることによりまして、汚泥につきましてもそういった純化が図られるような方法というのは今後とも推進していかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  125. 佐竹五六

    説明員佐竹五六君) 先生の今御指摘の点は、まさに政府部内でも一番問題意識としてクローズ  アップされている点でございまして、例えばことしの、五十九年四月二十四日に「自然浄化機能を活用した水質の改善方策に関する調査報告」、これは科学技術庁の資源調査会からそういう報告書が出ております。私ども環境庁といたしましても、今後は人口の低密度地帯での生活汚水処理が非常に大きな課題としてクローズアップされてくるわけでございまして、そのためには、日本の下水道技術というのはやはり既成市街地の汚水処理を中心に発達したわけでございますが、そういう人口低密度地帯、しかもそれが大部分が水田に取り囲まれているような地帯の生活汚水をどのような方法で処理するか、これについては当然自然浄化機能の活用ということを財政的な面からも考えざるを得なくなってきているわけでございまして、今後重要な課題として真剣に取り組んでいきたいというふうに考えております。各省ともそのように考えている次第でございます。
  126. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それではそのようにお願いすることにしまして、農村下水は都市の下水と区別する必要があるのではないか。これも今示しました雑誌の中で指摘している点なんですよ。  農村下水というのは工場排水が入っていないんだからそれをそのまま水で薄めて農地の肥料にできるんだ、そういうことはアメリカでももう実施に移している、こう書いています。見たわけじゃありませんので、本当かどうか知りませんよ。そう書いてある。それで、そういうような農村における下水の問題は各農村ごとに補助をしてつくらせて処理したらどうだ、そうすれば川の上流で汚染されることが防がれることになりますね。  つまり、私が今まで述べてきた質問は、一つ一つの都市でも、小都市なら小都市一つで処理してしまったらどうだ、それを流域下水でまとめないでおやりになった方がいいではないか、農村は農村、中都市は中都市、大都市は大都市で、大都市の中でも住宅地と工場地は区別して下水政策は進めらるべきではないか、そういうことをお尋ねしているのですよ。その方がこれからの下水政策としてのあり方だというふうに専門家が本に書いているから、それで引用して御質問申し上げているわけです。  そこで、時間がないので先へ行きますが、農業用水の話は時間があったら後でやることにして、先ほど、諏訪湖をごらんになって、その結果の報告を理事の方からお聞きしましたが、その中で、諏訪湖の水質の改善を行うために流域下水道政策をとっておるということを現地で言っておった、こういうことを述べられていましたね。つまり、諏訪湖の問題を流域下水で処理するという考え方に私は大きな疑問を持つのです。流域下水というのは広域下水なんです、元来。天竜川なら天竜川という川の流域全体の問題でしょう。諏訪湖というのは天竜川の水源地なんです。水源地なら水源地だけの、諏訪湖だけの問題として浄化作用をなすべき問題である。  それから、例えば岡谷の町の工場排水をどうするかという問題、それから温泉地の温泉排水をどうするかという問題、これは排水を分析しまして、含まれておる物質によって処理を区別すべきである。そしてこの問題は流域下水じゃなしに諏訪湖下水計画というものができなきゃならないのじゃないかと思います。そういう点をもっと明確にして、大まかに一つの言葉でごまかさぬで、流域下水という言葉でごまかしてしまわぬでやっていただきたいわけです。殊に天竜川という川は、あの広い川が今水がほとんど枯渇している。なぜ枯渇しているか、それは原因があるでしょう。水を流さないからですよ。だから、これなども天竜川の自然浄化力を利用できる程度にもっと水を流して、そして中間から下流のところで処理場をつくるという手もあるだろうし、それから上流の方では各都市の汚水は全部上流で処理して天竜川に流すという方法をとることもできるでしょうしね。そういう問題を今までお尋ねしているんですよ。流域下水論で今やられるというのは、私はどうも納得できない。  流域下水の言葉の問題だけれども、どういう言葉の内容を含むかによって変わるだろうが、私どもが理解している流域下水というのは、一つの川の流域、その一つを単位としての下水政策を考える考え方でしょう。この点についていかがですか。お尋ねいたします。
  127. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 流域下水道というのは、確かに一つの川の流域という言葉の使い方があるので川という概念をお持ちだったのかもしれませんが、やはり一つの町村の範囲を超えまして、数市町村が集まって広域的な下水処理をやろうという場合の手法として都道府県が直接行います流域下水道という制度があるわけでございまして、諏訪湖の場合には御承知のとおり岡谷市、諏訪市、茅野市、それから下諏訪町、三市一町が対象になりまして、幹線の部分及び処理場については県が行います。それぞれの町の中の末端の管渠についてはそれぞれの市町村で事業をやっていただいているところでございます。それから琵琶湖等につきましても、琵琶湖について流域下水道もございますし公共下水道もございますけれども、これにつきましても、流域下水道の場合も処理区を数カ所に分けて対応しております。  なお、諏訪湖につきましては、御承知のとおり、排水につきましては、処理場から排水しますのは諏訪湖の出口の釜口水門に出しているわけでございまして、それによりまして諏訪湖の水質を改善していこうという基本的な考え方で、やはりこれについては諏訪湖の流域そのものが一体となって全体として対応しなければいけないという観点から、流域下水道の手法を使って下水道対策を講ずることにしたわけでございまして、今後さらに、先ほどの三市一町の公共下水道の範囲が広がることによりましてますます効果があらわれてくるものだろうというふうに考えているところでございます。
  128. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまのお話であれば、流域下水道という言葉の内容の問題であるので、おっしゃる意味の流域下水道で議論を進めましょう。  諏訪湖に流域下水道をつくるということは私は非常に疑問が多いのは、岡谷市と、それから上諏訪、下諏訪諏訪の町ですね、これとは出てくる水の質が違う。岡谷市の場合は工場排水ですよ。ところが上諏訪、下諏訪、これは温泉街の水でしょう。生活排水とか温泉なんです。そういうものは重金属を含まれた排水じゃないはずですね。ですから下水をつくる場合はいわゆる工場排水を、岡谷市の工場排水は重金属を含む排水であるかどうか、そうでないかどうかをよく調べていただいて、重金属を含むならそのものだけを区別した下水政策をとっていただく。そして含まないものは一括してやられても構いませんよ。そうでないとせっかくつくる下水が水質の浄化にならない。浄化したつもりでも実は重金属を含んでいるということでは、水で薄めたというだけで人体に影響がないからいいということでは困るわけです。これは総量規制といってみたって、何回も総量規制をやっていくうちにべらぼうにふえてしまうということになりますからね。そういう点を私は御質問申し上げているのです。流域下水ではなくて、個別下水政策がとれないかということを申し上げる意味はそういう意味なんですがね。
  129. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 下水は生活排水工場用水を取り入れまして浄化するわけでございますけれども、浄化した結果、汚染物を集めたものが実は汚泥なわけでございまして、汚泥を集めることによりまして、処理水そのものは環境庁で決めておられます上乗せ排水基準を含めました公害対策上許された範囲、実際上はそれよりも恐らく半分、それ以下の水質で出すことになると思いますけれども、そういったきれいな水を出して諏訪湖そのものをきれいにしていこうということで下水道を整備しているわけでございます。  その際、じゃ汚泥の中にそういったものが仕分けができるものはしたらいいじゃないかという御趣旨については、趣旨としては一つの考え方だろうと思いますけれども、具体的な処理場などをつくります際に、そういったことも含めまして維持管理費、それから建設費、それらをいろんな対策をつくって、どれをとろうかというようなことで検討した結果、一般論で申しますと、そういった流域下水道をつくろうという判断をしておりますので、計画段階ではそういったものも含めてコスト計算はした上で選定しているということについては御理解賜りたいと思うわけでございます。
  130. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの御発言はこれは重大な発言だと思いますよ。それは元来毒でない汚物と毒の汚物とを混同した話なんです。生活排水から出る汚泥はこれは水を取り去れば固めて肥料になる。ところが、工場排水のものを固めてつくりましてもそれは農村に肥料として出せば農作物を侵害するでしょう。農作物が金属類を吸い取るわけです。それを人間に食べさせているというのはこれは重大な問題だと私は思います。こういう問題を決して軽々しく扱わないで峻別していただきたい。そうでなければ生命の安全というものは将来にわたって保たれない。それから、水の浄化ということもできないわけですね。  諏訪湖の場合は、私は諏訪湖へ流し込む水の話を言いたいんですよ。諏訪湖へ流し込む場合に、岡谷の工場から出す水は区別しろと。それから生活排水の場合も、できればそのまま諏訪湖へ流さないで処理場をつくったらどうだ、そして浄化してから流せと。もっとはっきり申しますと、諏訪湖に流れ込む川があります。その川にはずっと上流の方へ水を持っていって生活排水を流してもいいんですよ。流してもいいんですが、その費用を考えるぐらいなら処理場をつくった方がいい。生活排水だけの処理場をつくったらどうだ、こういうわけですよ。それから工場排水工場排水でおつくりになったらどうか。二つに分けられる、せっかくつくるのなら。これは重要な問題だ、こういうふうに考えますので、それは私が考えるのじゃなしに、専門家がそう書いているわけだ、本の中で。それで申し上げるんですよ。  政府の方でも、こういう専門家が研究した結果の結論はやはり重んじて、まず人間の命を守る、水を本当にきれいにするという観点からの政策を立てていただきたいのですが、こういう点についてはいかがですか。
  131. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 考え方といたしまして、生活排水工場排水を完全に分けまして、専用の、例えば道路などでも歩道というのと車道というのがありますが、そういった専用の下水道をつくるというような仕組みが現在の財政事情の中で分割してできれば非常に一つの考え方かと思いますけれども、現在日本の場合、地域によってはあれでございますが、やはり生活用水ないしは生活用水に少しプラスしたような意味での工場用水というものも非常にたくさん混在している中で下水道整備を進めていくわけでございますので、基本的にはそういったものも取り入れる下水道として整備しておりますが、先ほど申し上げましたように、下水道計画をする際に、個別の企業が十分な対応力を持って将来にわたって自分たちで処理できるという見通しが立てられるもの、そういったものについては水量を下水道計画対象から除きまして、それにつきましては企業独自で処理していただくという仕組みをかみ合わせるということは現在でもやっているわけでございます。  その場合でも、現在公害で規制しておられる普通の企業というのは、大体一日五十トン以上出す企業というのは通常対象になっているわけでございますので、それらも勘案しまして、やはり基本的な考え方としては両方を取り入れるような形の中で、今先生がおっしゃったようなこともいろんな意味で加味しながら具体的な仕分けをしていきたいというふうに考えているところでございます。
  132. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 時間がなくなってきたので急いで質問しますが、流域下水道のメリットとして経済性ということが従来言われたでしょう。ところが、流域下水道をつくることによって不経済になるということが参議院の常任委員会調査室の調査の結果では明らかになったのです。読んでみますと、経済効率の問題が従来流域下水道のメリットとして考えられたが、実際には、単独の公共下水道の場合には必要としない市町村間を結ぶ幹線管渠が必要となる。これについてどのくらい費用がかかるかといいますと、一メートル当たり百万円、一キロメートルで十億円かかる。こういうむだな金が要るというわけですね。そしてその上に、流域下水道をつくる場合には住民の反対運動とかその他がありまして、社会的費用も必然的に増加する。ですから流域下水は単独下水をつくるよりもはるかに費用がかかるものだということが明らかになった。こういうことを調査室が調査の結果出しておりますが、こういう点もぜひ考えていただきたいわけです。  時間が来ちゃったので、簡単に御答弁願って私の質問をやめます。
  133. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 流域下水道でございますので、市町村と市町村の間を結ぶ幹線というのは当然必要になってくるわけでございますけれども、そこだけを見て例えば費用がかかるというのは確かにそうでございますが、処理場の経済効率、そういったことをトータルを含めました場合にどちらが安いかということを勘案して選択しているという趣旨でございまして、個別的には管渠のところは高くなり、処理場のところが維持管理費及び建設費を含めて安くなる、それを全体としてどう見るかということで判断しているものでございます。  なお反対運動等についてもある場所があるということはあれでございますけれども、いろいろ地元の方々の御理解を得て、広域的なやはり観点からどうしても流域下水道の制度でないとその地域の水質環境が守られないということにつきまして、いろんなことにつきまして御理解を得るように努めているところでございます。
  134. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 最後に一つだけ。  その御説明はどうも漠然としすぎて困るのです。これは参議院の常任委員会調査室が調査した結果なんですから、もし、この調査でなくて、政府の方でつくられた調査では費用はこれほど安くなる、流域下水道とそうでない個別下水道の場合にこれだけ安くなるという資料がありましたら、ぜひ資料をつくって資料で報告してくれませんか。この次のときにはたそれを中心にしてやりたいと思います。  きょうは時間がないのでこれでやめますので、この点御注文を申し上げておきます。お願いします。
  135. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 黒川課長、よろしいですか。
  136. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 今私が申し上げましたのは、個別の下水道をつくる際にそういう計算をしているということでして、大きな下水道と小さい下水道が一般的に経済的かどうかということではなくて、個別のものをどうつくっていくかという際に比較しているということでございます。  先生のところに御説明に参らせていただきます。
  137. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  138. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 速記を起こしてください。
  139. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 まず、石本長官に自然保護に関する基本的なお考えをお聞きしたいのですが、抽象論をしても仕方がないので、端的に、今焦点になっております北海道千歳川の放水路問題、これが計画全体がウトナイ湖やあるいは湿原など自然環境に重大な影響を及ぼすもので、特に西ルートについては論外だということを私はことしの七月十三日の当委員会で指摘をいたしました。これに対しましては、当時の上田環境庁長官と自然保護局長の方から、ウトナイ湖はガン、カモ、ハクチョウなど鳥類の生息地であり、保護区にしているので、そういうところに放水路は避けてほしいというのが環境庁の考えです、こういう答弁でありました。  その後、去る十月十五日、上田長官がこのウトナイ湖を視察していただきまして、大変御苦労さまでした。それで記者会見いたしましてこの問題について見解を発表されたわけであります。本当はそこでしゃべってもらえばいいのだけれども、そういうあれでもないので、ひとつその中身をメモ等でもありましたらちょっとお述べいただきたいど思います。
  140. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 先生御指摘のありました現地での前長官のウトナイ湖視察の際の発言について御紹介申し上げます。その要旨を申し上げます。  千歳川放水路計画地域にあるウトナイ湖及びその主な水源になっている美々川への直接的ないし間接的な影響が懸念されるといたしまして、まず、西ルート案については、ウトナイ湖及び美々川に重大な影響を生じさせ好ましくない。東ルート案及び中間ルート案についても、直接間接の影響が懸念され、事情が許す限り避けるべきである。万やむを得ない場合には関係者への十分な説明のほか事前調査を行い、ウトナイ湖及び美々川の水位維持に特段の配慮を望む。以上の実現のため頂上会談なども考慮するとの基本的な考え方を明らかにいたされております。  以上要旨を申し上げましたので、ちょっと言葉をはしょっております。  さらに、本計画に今度は関連する部分にも若干触れておりまして、乾燥化しているウトナイ湖の水位の実態、それから美々川流域の道の自然環境保全地域指定、この二点について十分な対策が講じられるよう、あるいは必要な地域が確保されますよう関係機関の積極的な対応を望むとともに、必要があれば関係機関に対し要請するというのが要旨でございます。
  141. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そこで新長官に確認しておきたいのですが、この前長官の記者会見の中身ですね、これはこのまま引き継ぐおつもりでしょうか。
  142. 石本茂

    国務大臣石本茂君) ただいま発言の御要旨について説明がございましたように、私は前長官の御見解を適切なものというふうに考えておりまして、私も踏襲してまいりたいというふうに思っております。
  143. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そこで、このメモの中で、西ルート案については自然環境に重大な影響があり好ましくない、こう書いてあるのですが、具体的な問題として、もし西ルート案が決まりまして出されてきたとするならばこれは不許可にするという、こういう趣旨が含まれているとこれは理解するのです、文面から。どうでしょうか。
  144. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 御質問でございますが、仮定が前提になっているわけでございますけれども、千歳川放水路計画に関する前長官の先日の発言につきましては、北海道開発庁におかれましても十分しんしゃくするという旨表明されておるわけでございます。私どもとしましては、仮定の問題でどうこうということをお答えする以前に、いわゆる西ルート案が採用されるという可能性がむしろないのではないかというふうに期待したいなと思っておるわけでございますが、まあ今後の問題でございます。
  145. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それではこう聞いていいわけですね。環境庁がこう言った以上、よもや北海道開発庁はこの西ルートなんというばかげたことは持ち出さぬだろうという趣旨ですね。どうでしょう。
  146. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 期待を込めて申し上げておるわけでございます。
  147. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 北海道開発庁おると思うので、大変強い期待というよりか、出てきたら絶対もう許可せぬということも私は含んでいると、こう思いますので、これは私の注釈ですけれども、今の局長の答弁にはそういうことがあると思います。  そこで、具体的に今地元で「千歳川放水路計画について」ということで資料が出されまして、私のところにも公式説明資料というのをいただきました。それで伺いたいのですが、大体私たちに示されたこの中身で地元でずっと説明を続けてきたのですか。
  148. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) 地元説明、先生御指摘のとおりその資料で説明を申し上げております。
  149. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ところが一枚だけ違うんですよ。全部同じなんですが、一枚、地元説明したのにはちゃんと図入りでどういう標高かということまで含んで、その地点地点の計画河床高まで書いた図入りのやつがあるのですが、私がもらったこちらの東京でのやつにはそこだけが欠落しておるんですね。しかも、これを調べてみましたらここが一番大事なんです。この問題の一番重要な部分がなぜ私どもにくれた資料では欠落してしまったんだろうか。ということは、これから私指摘しますけれども、極めて重大な問題がここにあるのですが、どうですか。
  150. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) ただいまの御質問につきましては、現地の方で書類を用意して説明を申し上げておりまして、同じ資料をこちらに送ってくれということで申し上げております。何か手違いがあるかもわかりません。そのことで再度問い合わせて、後ほど提出したい、違っておりましたら提出したい、このように考えます。
  151. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そうしますと、本庁に来たときには、今私が指摘した部分、これはないんで、大串さんこれは初めて見るわけですかね。ちょっとこれは本庁までだまくらかそうという意図がうかがえるのだけれども、どうですか。
  152. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) 先生に御提出申し上げた資料を私もここに持っておりますけれども、ただいまお見せいただいた図面はちょっと欠落しているようでございます。
  153. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そうすると、大串さんも知らないというんじゃしようがないのですが、なぜ大事かと申しますとこういうことなんです。  放水路の河床高で、全長四十キロメートルなんですが、すべての区間にわたって海面より低いんですよ。まず取水口、一番最初の取り入れ口ですね、ここでマイナス一メーター、それから河口でマイナス三メーター。途中で高くするわけにいきませんからね、水が流れないから、ましてや放水路。そして問題は、放水路がずっと通っていくその区間ですね、一番高い丘陵部分、そこの標高というのは相当高いですね。これはどれぐらいか。それからさらに出口の地点での河床高、これは何メートルぐらいか。それから取りつけ口ですね、それぞれの高さどれぐらいですか。  ちょっと時間がないからこちらで指摘しましょう。取りつけ口で高さが六メーター、七メーター、それをマイナス二メートルまで掘り下げるんです。丘陵部の高さは大体二十から二十五メーター、これも大体マイナス二メートル前後まで掘り下げますね。出口はゼロメーターだけ私ども、それをマイナス三メーター。こうなりますと、これはこの美々川もそうですし、遠浅川もそうなんですが、この勇払原野を流れている水が大体地下水に行きますよね。そしてこれらの川に流れるのだけれども、そこをそれより低い、美々川や遠浅川よりずっと低くなりますね。場所によっては十何メーターも低くなっちゃう。うんと低くなりますね。となりますと、あそこはまさに湿原であり、水が一面にあるわけですが、それが地下に行くわけですから、全部放水路へ行っちゃうんですよ。そうすると、特にウトナイ湖へ流れる美々川、これはまず水がなくなっちゃいますよね。この辺はどう考えていますか。これは西も真ん中も東もないのです。その前の、分かれる前のところでそういう状態が起きてしまうのですが、そこをどう見ていますか。
  154. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) 前置きをちょっとさせていただきたいと思います。  千歳川放水路の事業につきましては建設省が主管するものでありますけれども、北海道開発庁としましては、開発事業推進調整の立場から放水路ルートの選定過程において検討調整を行っているところでございます。そういう立場でお答えをさせていただきたい、このように考えます。  御指摘のように千歳川放水路のそれぞれのルートにつきましては、美々川並びにウトナイ湖に対する影響、これは考えられます。それぞれのルート考えられますけれども、いずれの場合も工夫を凝らしまして影響は最小限にとどまるようにただいま鋭意検討中でございます。御理解いただきたいと思います。
  155. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いろいろ影響を最小限に食いとめるということで、放水路に地下水が行ってしまうことはこれは当然予想できるわけですからね。そこでそいつを美々川にポンプアップするという案も実際あるようですね。ところが、このまさに自然湿原あるいは自然河川、そこを例えば美々川がこう流れるとしますと、その下を逆に突っ切るわけだからね、放水路が。そうすればそこは何かで川が通るようにするんでしょうが、ここはそんなものじゃないのですよ。もっと自然のところを地下水がずっと美々川に入ってきてウトナイ湖に入っていく。となりますと、こんな深いところに放水路ができた場合には、大体こんなポンプアップしたって流れていくかどうかわからぬし、それから、現に流れたとしましても、今度また流れていった水が地下へ行ってしまって下の放水路へ行っちゃうんですね。すると逆に今度はウトナイ湖の水が逆流してしまいやしないかという、これが現地では実際心配されていますし、こちらに送られてこなかった図面から見ますと、その可能性が極めて強い。  となりますと、長官ぜひここでお考えいただきたいのは、西ルートについては先ほどの局長の答弁のとおりで、この後に期待したいのですが、西ルートだけだめと言っても、美々川自身、そしてウトナイ湖自身がだめになってしまうのです。大体ポンプアップするなんといったって、それは東京やその辺の河川だったらポンプアップだっていいでしょう。ところがまさに自然そのものですよね。野鳥が集まってくるまさに自然そのものを、そんなところをポンプアップするというのは、例を例えますと、死んでいく人間をまさに殺す寸前にして、あと人工呼吸や点滴でやっと生かしている、そんな状況にしてしまおうという計画なんです。となりますと、ぜひこれは環境庁にお考えいただきたい点は、西ルートをノーと言うだけじゃなくて、さらに東も真ん中も自然破壊という点ではもう取り返しがつかない状況になるんだという指摘をむしろすべきではなかろうか。むしろそのことをやりませんと、仮に今、道の方がここを自然保全地域指定したとしますよ、ルートが決まってしまってから。しかし、水がなくなってから幾ら自然保全地域にしたって何も意味がないんですよ、水がなくなっちゃうのだから、肝心の水が。そうすると、ウトナイ湖がまさに壊滅して鳥も来なくなってしまう、こういう状況になるかならぬかという大変な状況なのですが、私の指摘に対してどう現状を把握しておられますか。
  156. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 非常に難しい問題をまた御勉強なさっていただいておると思いますが、実は、私ども現時点でそれをどう考えるかという点については、今直ちに申し上げるだけの材料は持っておりませんし、もちろん関係省庁におかれましても、その辺も含めて御勉強になっておるところだと思います。したがいまして、今直ちに、そうなるからこうであるべきだというふうにはちょっと申し上げるわけにまいりませんが、なおまたいろいろと勉強はさせていただきたいものだと思っております。
  157. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そう申し上げるわけにいかないというのは、まだそこまで勉強してないのでわからないので、私の指摘を今初めて聞いたので、それでそういうことに対して今回答できないということなのでしょうか。どうですか。
  158. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) その可否といいますか、妥当性、それから結論、全部含めて私どもわからないのでございますので、何とも申し上げられません。
  159. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 環境庁はわからなかったということで指摘しないままルートが決まり、決まれば推進になりますからね、予算もつき。後でしまったと言ってもこれは取り返しのつかないことですよね。となれば、今私が指摘したことを直ちに調査に着手し、その危険があれば、まあいろいろ権限の範囲があることはありますよ。今回の西ルートについての見解は、それなりに環境庁としてかなりできる限りの範囲内での研究はしましたと私は思うのですが、しかし、肝心のウトナイ湖自身がだめになってしまうとなれば、その上流の問題についてもっと積極的にこれは見解を示すべきだと私は思うのですが、今までの範囲のことをお聞きいただいて、長官としては前向きに受けとめていただけますでしょうか。
  160. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 自然保護という観点を踏まえまして、そして、今お聞きいたしました事柄につきまして、内容等をよく聞きまして調査をさせていただきます。
  161. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この問題は自然保護の問題だけではなくて、実は農地の問題もあるのです。これは取り入れ口のところに、国営根志越土地改良事業、これが恐らく抜本的な変更を迫られるだろうと思います。それから植苗地区、これは酪農家が大量に畜舎や住宅を奪われる可能性があるということで、地元の早来町長などは、まさに迷惑千万、これが本当の開発なのか、こういう怒りの声を述べておるわけですね。そういう点も十分考慮されて、ひとつこれは直ちに調査に入り、自然が失われないような措置をとっていただきたいと思います。  それからもう一つ、これは開発庁に指摘したいのですが、ルートを決定する前に今指摘したような問題も全部調査をして対応すべきじゃないのか。そこまで調査しないで、事前の環境影響調査をしないままルートを決めるわけにいかぬでしょう。私は順序が逆だと思うのですが、その点どうですか。
  162. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) お答えいたします。  昭和五十七年三月に、石狩川水系工事実施基本計画の中で千歳川放水路が決定されておりますけれども、その後五十七年度から既往調査資料及び補足調査によって望ましい三つのルート案を選定しまして、自然環境、社会環境などへの影響を考慮しながら比較検討を行っているところでございます。ルートが決定されてから正規な手続による環境影響評価が行われることになりますけれども、いずれにしても、ウトナイ湖等への自然環境及び社会環境への影響を最小限にとどめるよう配慮してまいりたい、このように考えているところでございます。
  163. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この千歳川計画が古くからの懸案であることは私も知っておるのですが、問題は、千歳川放水路で水害が防げるのかという、これは学者の見解もありますし、それから我が党の道委員会では、むしろ石狩川本流をもっと徹底した対応をすることによって水害対策ができるのじゃないか、こういう指摘もしておりますので、そういうものを十分これは参考にしていただきたいと思います。  あと残された時間、もう一つの問題でありますが、この問題は、上田さんがあそこにおったらちょっと文句を言おうと思っておった問題です。そっちへ行かれてしまってちょっと残念で仕方がないのですけれども、財界との懇談の問題なんですが、先ほどちょっと指摘がありましたね、これは本年十月一日に帝国ホテルでおやりになった。まとめて質問しますので、まとめてお答えいただきたいのですが、これは財界と相互理解の場を持ちたいという環境庁の側の呼びかけに対して財界がこたえたと新聞で報道されていますが、そのとおりか、これが第一点です。  それから、問題は、一体何のためにやったのか。これは時期的にいいますと、環境アセスメント法案がつぶされた、これは財界の力でつぶされたということはもう公知の事実なんですね。片や、公害健康被害補償制度についてはその見直しを財界が強く求めている、そしてそのことで中公審の審議が今行われている、こういう時期です。こういう時期に会談を行ったことは、これは極めて重大な意義を持つと思うのです。その点どういう認識をお持ちか。  この会談では健康被害補償制度について、財界側から、制度改正を一刻も早く、こういう要望が多く出された、こう聞いていますが、大体それを聞くためにわざわざ出かけたのじゃないか、私はそう思わざるを得ないのですが、その点どうか。  それからもう一つ、こういう指摘をしますと、恐らく新長官も、財界と会っても悪くはないではないか、だれとでも会いますよ、被害者が来れば被害者とも会うし財界の人が来れば財界と会う、こういうお答えをされると思うのですが、私は、環境行政の根本を考えますと決してそういうものではない。これは先ほど長官自身も言われましたけれども、公害防止し、かけがえのない自然を守りたい、そのための重大責任がある、これが環境庁だ、こうおっしゃいましたし、国民の健康保持に全力を尽くしたいと。そうなりますと、まず環境庁が真っ先にやるべきことは、公害の実態をまず正確につかむことだと思うんですね。そのためにば環境庁が進んで被害者の中に入り積極的に耳を傾けるという、こういう姿勢が必要だと思うのです。  大体、被害者団体まで結成されるまではこれは極めて大変なことです。私もイタイイタイ病被害者とつき合いましたけれどもね、ああいう団体ができるまでに十年、十数年という本当に苦労があって初めて団体になるわけです。そしてやっと来るわけですね。その前の段階では、自分が被害者であるという声さえ出せないという、そういう状況から公害というのは始まるわけですね。そうであれば、来る者だけではなくて、むしろ積極的に出向くべきです。ですから、むしろ被害の実態をまずつかむために全力努力をすることがまず環境庁のなすべきことですが、そのことで財界と同列ではないと私は思うのです。財界と直接おつき合いする窓口は通産その他幾らでもあるわけですからね。ですから、その辺のところをどうお考えなのか。ひとつまとめてお答えをいただきたいと思うのです。
  164. 岡崎洋

    説明員(岡崎洋君) 今幾つかの点御指摘にございましたので、順を追ってお答えをいたします。  まず最初に、これはどちらが呼びかけたか、こういうことでございますが、私ども環境庁も経団連も、かねてより幹部が一堂に会して環境問題について意見を交換するというのが望ましいというふうに考えておりまして、その気持ちが先般具体化したということで、ともに考えていたことが具体化したというふうに御理解いただきたいと思います。  第二点に、何のために会ったのかということでございますが、これは今御指摘の具体固有の問題に限ってお話をしたわけではございませんで、むしろ私どもとしては、一堂に会して経団連の幹部に対して環境行政の基本的な姿勢、私どもの現在考えております基本的な考え方をさらに理解を深めてもらう、そういう趣旨で総合的なお話をいたしました。  第三番目に、時期がおかしな時期にやったじゃないかという御指摘でございますけれども、冒頭申しましたように、かねてより考えておりましたことがいろいろ日程等がつかなくて延び延びになっておりましたものがたまたま十月の初めに行われたことでございまして、時期等について特段の他意があるわけではございません。ただ、結果的に申しますと、十月の初めと申しますのは、私どもが来年度に向けての予算をつくり要求をしておるその骨格ができたところでございます。そういった意味で、来年度に向けての私どもの環境行政施策について話がまとめてできるという時期であったのがたまたまよい時期に当たったというふうに考えております。  第四点は、公健法の見直しについて産業界の方からお話があったではないかということでございますが、産業界の要望といたしまして、科学的、合理的な見地から見直して一刻も早く結論を出してほしい、こういう要望はございました。それにつきまして、私どもといたしましては、大切な問題でありますので現在中公審で審議中であります、こういうお答えをいたしております。  それから第五番目、いろんな人に会うということについて、まずそれは患者団体、あるいは実態をよく見きわめるべきではないか、こういう御指摘でございますが、公害の実態把握につきましては私どももいろいろな角度でできるだけのことをしておりまして、そちらをおろそかにして経団連の方と会うということではございません。公正中立の立場でいろいろな方に耳を傾ける、御意見に耳を傾けるのは適当であろうというふうな立場で物事を考えております。
  165. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣発言の前にちょっと一言。  時期的には、アセスをつぶしたのだからむしろそれに対する抗議の発言があってしかるべきですよ。前の土屋長官も、大阪財界からいろいろアセスについては言ってきたけれども、私は断っている、こういうことを、それはつぶされた後なんですからね、それがあってしかるべきだが、それがなかった。  それからもう一つ、患者の代表は陳情として扱われるわけです。しかし、これは出向いていって懇談、対等ですよね、御意見拝聴。やっぱりこれは違うんですよね。扱われるのは陳情ですよね。なぜそういう対等、むしろ御意見拝聴というこういう扱いをしたのか。しかし、現に患者に会っていると言いますけれども、つい最近水俣病患者が全国的な団体ができて環境庁に行きましたら、これは会いませんでした。長官以下局長も課長クラスも会わなかった。拒否の理由を言っていると時間がないから言いませんけれども、そういう例があるのですからね。それとの対比でひとつ最後に長官からの御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  166. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 今官房長からもお話ございましたけれども、私は各界各方面の意見を聞くことも必要ではないかと思っております。それから被害者の方々ともこれは当然機会を見つけてお会いをして、そしてよく実態、実情を承知すること。それからまた、経団連といいますか、経営者側と申しますか、そういう側との話し合いも時にはあってもいいのではないだろうかというような気持ちでおります。
  167. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 石本長官の御就任を心からお喜び申し上げます。  前任の上田長官は、例えば湖沼法というような立派な法律案を仕上げてくださいました。この前任の長官に倣われまして、ひとつまたさらに一段と環境行政について挺身してくださることを冒頭お願いを申し上げておきたいと思います。  十月の一日から十二日までのクアラルンプールでワシントン条約のアジア・オセアニアテリトリーの会議が聞かれました。外務省にお尋ねいたしますが、だれが日本からは出席をいたしましたか。
  168. 馬淵睦夫

    説明員(馬淵睦夫君) お答え申し上げます。  御指摘のセミナーはクアラルンプールで開催されましたけれども、このセミナーへの参加招請というものは、本条約の管理当局である通産省に対してなされました。通産省の方は諸般の事情から出席困難ということでございましたので、当省といたしましては在マレーシア大使館の館員を出席いたさせました。
  169. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 このセミナーに欠席をいたしましたのは、日本は実質ボイコットと一緒ですね。出席したのはオーストラリア、バングラデシュ、中国、香港、インド、インドネシア、ヨルダン、マレーシア、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ等々全部出ているわけですね。イランだけです、欠席しましたのは。日本は実質ボイコットと一緒でございます。  そのときの会議の主な内容はどのようなものが討論されたのでしょうか。
  170. 馬淵睦夫

    説明員(馬淵睦夫君) 今御指摘がありました、日本は実質ボイコットという点でございますけれども、これは、マレーシア大使館員は初日に出席いたしまして、我が国実施体制についてプレゼンテーションを行っております。それから都合四日間向こうのセミナーに出席しております。  それから、我々が受け取っております報告によりますと、このセミナーにおきましては、非公式のセミナーでございますので、一々記録はとらなかったわけでございますけれども、本ワシントン条約の実施に係ります各国の事情紹介の問題でございますとか、条約違反が起こった場合の取り締まりを各国がどうやっているか、これをどのようにして強化すればいいかとか、あるいはお互いに管理当局間で情報交換を強化しようじゃないかとか、それから特に開発途上国につきましてはいろいろ援助をしようじゃないかとか、そういう問題に関しまして意見交換が行われ、また決議が出たというふうに聞いております。  それから、セミナーの最後近くになりまして、日本に対してもっと条約の実施方を改善してくれるようにという趣旨のアピールが採択されたという報告を受けております。
  171. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私が理解しております範囲では、これはたしか十二日間開催されたと思いますが、今出席したとおっしゃいましたけれども、初日と四日目と最終日に外務省の方がお一人かお二人か出られておったわけで、これはセミナーだからどうこうとか、我々も参加をしたというのはそれは牽強付会の説でございまして、腰が引けているのは事実だと思います。だから我々がボイコットしたと世論はそのように理解をして当然でございまして、そのように日本でも報道されているわけでございまして、そのあげくに、一九八〇年に我々はこの野生動植物の絶滅しようとしているものについての取引に関する条約を批准しているわけです。にもかかわらず、こういった大切な、これ会議長期にわたるですよ、それはセミナーとおっしゃいましても、それにほとんど出席もしない。あげくの果てに非難決議が出てきた、こういうことなんです。  これにつきまして通産省、環境庁、なぜこういう非難決議が出るに至ったのか、その背景等をまとめて簡略に御説明をお願いいたします。
  172. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) お答えいたします。  今回のセミナーでございますが、ただいま外務省の方からも御答弁ありましたが、私どもにワシントン条約事務局から連絡がありましたその趣旨は、これは研修である、加盟各国の職員の研修である。目的としますところは、加盟国におきますワシントン条約の規定の理解を向上いたしましてその実施の効率化を図る。したがって、参加すべき人間としましては、この条約実施の日常業務に携わる者ということになっております。このような研修の場でございますので、これは条約にかかわる政府代表間の国際会議ではございません。  同時に、もう一つつけ加えますと、このセミナーに中心人物として参加しましたワシントン条約事務局の人間、この人間がマレーシアのセミナーの後日本に来たいという連絡がございました。この連絡はセミナーの連絡とほぼ同時にございました。日本に来たいという趣旨はやはり同じような目的で、特に日本が重要であるので、条約が十分実施されるよう、特に日本には一週間程度来て個々に相談なり、ワシントン条約事務局からすれば指導をしたいという申し出がありまして、したがいまして、まさにこれはセミナーとそれから事務局の職員の来日、ほぼ同じ目的でございますので、これは日本で十分事務局の指導を受けようということにいたしたわけであります。現に十月十八日から二十七日までこの幹部が来日いたしまして、細かくいろいろと打ち合わせをしております。  このような非難決議がなぜ生じたか。実は、我が国のワシントン条約の運用に関しましては、どうも条約どおりやっていないんじゃないか、運用が甘いんじゃないかという声が残念ながら従来からございました。こういうことが背景で、いわゆる非難と言われているものにつきましては、その中身でございますが、日本政府がワシントン条約の効果的な実施を確保するための改善策を早急にとるよう求めたいという中身でございます。私どもこの決議を受けまして、早急にこの条約を遵守するという基本方針、この方針に基づきまして今後の運用の改善を図ってまいりたいと考えております。
  173. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) ただいま管理当局でございます通産省の方の方から御説明がございまして、その間の事情についてはおっしゃるとおりいろいろな事情もあったことと存じますし、先生の方に御理解をお願いするわけでございます。  さらに、同時におっしゃいましたが、日本の国内での野生動物、特に絶滅に瀕しているというようなものに対する、何と申しますか、難しい表現で、しゃくし定規な表現でなしに、何となく形が悪いといいますか、姿勢が悪いといいますか、そういうようなことが漠然とあったのではないだろうかというふうに、これはある意味で非常に国際関係では重要なことでもあると思いますので、ただいま通産省の方からもお答えいたしましたが、私どもとしても直ちに徹底、それからいろいろと関係方面との御協議、御相談をしながら進めていくことなどを早速手をつけたいと思って、先月から相談に入っておる現状でございます。ひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  174. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その御理解賜りだいとかいろいろな事情とおっしゃられても、これはワシントン条約というのは非常に重要な条約であって、我が日本国はそれを批准しているのですからね。現実にそれを批准したって、それが遵守され具体的な形で守られなければ、そんなものはざる条約と言われても仕方がないわけでしょう。しかも、こんなに恥ずかしい非難決議を突きつけられて、いろんな事情がありますからとか、あれは実はセミナーでございますからとか、そんなことは弁解、言いわけにしかすぎないわけでございまして、だからWWFのエジンバラ公がお見えになったとき中曽根総理大臣と会って、会った瞬間に中曽根総理大臣の方から、大変恥ずかしゅうございます、この条約を批准している我が国としては、早速に国内法等を検討をいたしまして、全き形でこの条約が守られるように努力をいたさせますということを、エリザベス女王の夫君殿下に総理大臣が約束しているわけでしょう。ですから、こういうことは私は本当に残念至極なことであった、こう思わざるを得ません。  昨年日本が輸入した生きた猿は、資料によりますとおよそ三千六百匹、猿以外の生きた野生生物がおよそ千二百十五万キロ、熱帯魚が四万キロ、こう言われております。EC各国なんかは、いわゆる留保条項、これはもう全廃しているのです、去年。日本はふえているのです。最初たしか八種ぐらいだったと思うのですが、今十四種ですね。すべてが、条約の精神というよりも、世界的な絶滅のおそれのある動植物にとどまらず、我々の快適な自然環境というものを守って、生物と平和に共存しようという世界的な潮流に逆行しているとしか私は思わざるを得ないわけでございまして、したがいまして、改めてお伺いいたしますが、この非難決議を全会一致をもって採択されたという事実を、まず通産省はどのように受けとめ、どのように反省をされておられますか。
  175. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) 通産省としましては、自然保護の分野において非常に重要な意義を有しますワシントン条約に関しまして、我が国が同条約の締約国として国際的非難を受けたということはまことに残念と存じております。国際条約に加盟しました以上、この条約上の義務を遵守するということは我が国の基本方針でございますので、この方針に基づいて今後条約の運用の改善を図ってまいりたいと考えております。
  176. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 環境庁
  177. 石本茂

    国務大臣石本茂君) ただいま先生いろいろ御指摘くださいましたように、今般のこの決議は、日本がワシントン条約の締結国でありながら同条約を遵守していなかったということになりますので、まことに残念であり、深刻に私ども受けとめております。  この問題につきましては、中曽根総理からも指示がございました。早速ワシントン条約関係省庁と連絡会議を設置するなどいたしまして、政府全体で条約の効果的な実施のための対応策について検討を開始いたします。環境庁は、この連絡会議の議長としてできる限り努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  178. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 時間がありませんので、私が問題点を指摘しますから、具体的にこれからその問題点についてどう取り組んでいかれるか言ってください。  一つは、やはり留保条項が十四種もあるということです。今申し上げましたように、EC各国は全廃しているわけです。日本はふえている。この十四種の留保条項をこれからどのように減らしていくのか、具体的な取り組みをまずお伺いしたい。  第二点は、税関のチェックが非常にずさんであるということです。アメリカなんかは特に動植物に関しましてはきっちりと数カ所に限定をいたしまして、そこに専門の税関の係員を置きましてやっているわけですよ。例えば、オランウータンはこれはワシントン条約でいかぬということになっていますが、子猿の場合は、いわゆる条約の規制を受けていないお猿さんとオランウータンの子猿とはほとんど見分けがつかない。そうすると、専門家の税関の職員がいない場合は、専門家でもわからないものが、よほどこれは専門に勉強しないとチェックができないということになりますね。ですから、税関のチェックをどういうふうにきっちりとやっていくのか、その体制です。  それから第三点は、一たん輸入をされてしまいますと、それが密輸をされた動物でも、取引をして発見されましてもそれに対する罰則規定がございませんから、結局、一たん国内へ入ってしまいますと幾らでもやれるわけです。現に、私昨年鹿児島県の指宿に参りました。指宿の一番端の観光地がございます。そこへ行きましたら、もう土産物屋さんがずらっと何十軒並んでいまして、どの土産物屋さんにもそれはもう何十枚というべっこうがかかっているわけです。べっこうに、これは日本の近海でとれたとか、密輸したものでありますとかそんな標識ついているわけじゃありませんが、私の推測では恐らくあれはやっぱり密輸したものだと思いますよ。しかし現にそうやって売られている以上しようがないわけですよね。だからそういうところの法律の不備をどうしていくのか。  以上三点について、環境庁それから通産省の具体的な今後の取り組みとその決意をお伺いいたしたいと思います。
  179. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 先ほども大臣の方からお答え申し上げましたとおり、早速取り組んではおりますが、現在始めて早々ということもございますのであれでございますが、しかし、ただいま御指摘になりました三点はいずれも非常に重要な問題と存じております。  まず留保品目、御指摘になりました順番に申し上げますが、それから通産、管理当局の方からの御説明も後刻あるかとは思いますけれども、私どもの考え方を若干申し上げておきますと、留保品目、確かに数だけでまいりますとスイスと同数という感じではございますが、多いことには間違いございません。いろいろな経過があったよ、りに伺っておりますけれども、現在の状況下におきまして、関係省庁連絡会議におきまして中長期的に積極的に取り組んでまいりたいと……
  180. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 減らすべく……。
  181. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) はい、その方向で考えてまいりたい。それが第一点でございます。  それから第二点、専門家のお話がございまして、実はこれは科学当局が環境庁という、まあ政府部内の話でございますけれども、いろいろ役割が分かれておりますが、これはなかなか難しい問題ではございますが、現に環境庁にもこれは動物、植物それぞれの専門家はございます。ただし各税関の地点にとなりますとこれはまた難しゅうございますので、その辺の持っていき方、それから、現に私どもの職員、我が局の職員が成田空港へ時々行っておりますので、これは現実に一生懸命に、今オランウータンのお話も出ましたが……
  182. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 時々じゃなく。
  183. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 必要なときにということでございますが、行っております。ただ、それでもう十分かという問題はございますと思いますが、これも検討させていただきたいと思います。  それから最後、三番目に、一度入ったら抑えられないという問題、国内体制の問題になるわけでございまして、これにつきましても、今後のどういう体制でどういう必要性といいますか、どういう実態にあってどういう手がいいかというようなことを勉強をしてまいりたいと考えております。先ほど申し上げた、環境庁が議長役、自然保護局長が議長役ということになっておりますけれども、そういう努力を早速させていただきたいと思います。
  184. 奈須俊和

    説明員(奈須俊和君) 管理当局としての通産省の立場から答えさせていただきます。  まず、留保品目の削減につきましては、ただいまも御答弁ありましたとおり、削減の方向で努力をしたいと思っております。現に、数年前から、この留保品目となっておりますものにつきまして養殖事業が行えないだろうか、もちろん海外でございますが、そういう可能性につきまして調査を実はやっておりまして、その調査の結果ある程度可能性があるというものにつきましては養殖事業をどういうふうにするかという計画づくり、そういったことも手がけておる次第でございます。  第二に、税関におきます監視といいますか、そういう体制の強化の点でございますが、既に幾つか手段を講じております。例えば、先生御指摘のように、ワシントン条約の対象動物、非常に識別が困難なわけでございますので、識別図鑑を作成して各税関に送付する、各税関で参考にしていただくということをやっております。ただ、これはやはり図鑑ですから限度がございますので、さらに、条約対象動植物かどうか不明な場合には、ただいま御説明ありましたように環境庁にお願いして見ていただく、またさらには、それぞれ動植物の専門家の方々、識別委員ということで委任いたしまして、そういう学識に基づいた識別のお知恵を拝借するというようなことでやっております。  これが現状でございますが、さらに、どう強化すればいいか十分考えてまいりたいと存じております。
  185. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 結局、長官、ここで出てまいりました一つの問題点といいますか、私の感想としては、一つには、日本の経済力が大変豊かでございますので、国民の間にもいわゆる過熱したペットブームのようなものがあると思います。それに伴って、特に通産省に申し上げたい点なんですけれども、動物のそういう輸入業者に対する、私はあえて誤ったと言いますが、保護主義的な物の考え方ですね。業者を圧迫するわけにはまいらない。国民がそれを求めるのだから、そういう動植物を輸入する人、例えば植物で言えばランなんかそうですね、こういったものを抑えつけるわけにはまいらないという誤った保護主義がそこにあるのではないか。それが一つです。  それからもう一つは、外務省は外務省で、もう我々は条約を批准したんだからあとはほかの省庁の問題である。その条約を批准されたものを履行し、それに基づいて実際に行政をしていくのは通産省であるから、これは環境庁の関知したことではないというようないわゆる縦割り行政の弊害というものがここに生まれていやしないか。だからこういう問題は、我々の大切な動植物、そのためにこそワシントン条約があるのですから、こういった縦割り行政を越えて各省庁がひとつ緊密な連絡をとりつつ、今後この条約が遵守されて、世界の国々からさすがに日本は大したものだ、エコノミックアニマルと言われたけれども、今は全くそうじゃないんだ、我々の先頭に立って自然を守るということ、滅びゆく動植物を守ることに熱心なんだ、そういう印象を持ってもらえるようにやっていく必要があるのじゃないかと思います。  最後にその点につきましての長官の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  186. 石本茂

    国務大臣石本茂君) ただいま本当に示唆に富んだ、しかし考えてみますと当然だと思うお話でございますので、そのことをしっかりわきまえまして、そして、あすからと申しますか、すぐ今後の対策努力をしてまいりたいと思います。
  187. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 終わります。
  188. 粕谷照美

    委員長粕谷照美君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会