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1984-05-08 第101回国会 参議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月八日(火曜日)    午後一時四十分開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     立木  洋君  四月二十七日     辞任         補欠選任      竹山  裕君     中西 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         後藤 正夫君     理 事                 宮澤  弘君                 松前 達郎君                 抜山 映子君     委 員                 大鷹 淑子君                 嶋崎  均君                 中山 太郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 原 文兵衛君                 久保田真苗君                 八百板 正君                 黒柳  明君                 和田 教美君                 立木  洋君                 関  嘉彦君                 秦   豊君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        外務大臣官房審        議官       都甲 岳洋君        外務大臣官房外        務参事官     斉藤 邦彦君        外務省アジア局        長        橋本  恕君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省経済局次        長        恩田  宗君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        水産庁次長    尾島 雄一君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課防災環境        対策室長     千々谷眞人君        外務条約局審        議官       浜本 康也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北西太平洋における千九百八十四年の日本国の  さけます漁獲手続及び条件に関する議定  書の締結について承認を求めるの件(内閣提出  、衆議院送付) ○民間航空機貿易に関する協定附属書の改正の受  諾について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいまから外務委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、安武洋子君が委員辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。  また、四月二十七日、竹山裕君が委員辞任され、その補欠として中西一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 北西太平洋における千九百八十四年の日本国さけます漁獲手続及び条件に関する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします安倍外務大臣
  4. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ただいま議題となりました北西太平洋における千九百八十四年の日本国さけます漁獲手続及び条件に関する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和五十三年四月二十一日にモスクワ署名された漁業の分野における協力に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定に基づき、北西太平洋距岸二百海里水域外側水域における本年の日本国さけます漁獲手続及び条件を定める議定書締結するため、本年四月二十日以来、モスクワにおいて、ソ連邦政府交渉を行ってまいりました。その結果、五月七日にモスクワで、我が方高島駐ソ大使先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの議定書署名が行われた次第であります。  この議定書は、北西太平洋距岸二百海里水域外側水域における本年の日本国サケマス漁獲について、漁獲量、禁漁区、漁期議定書の規定に違反した場合の取り締まり手続等を定めております。なお、本年の北西太平洋ソ連邦距岸二百海里水域外側水域における年間漁獲量は、四万トンとなっております。  この議定書締結により、北洋漁業において重要な地位を占めるサケマス漁業操業を本年においても継続し得ることとなりました。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします
  5. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います
  6. 松前達郎

    松前達郎君 サケマス交渉についでお伺いをいたしたいと思います。  四月の二十日に開会式というんですか、これが行われて、大分長い交渉だったと思うんですが、五月の七日に署名という形になったわけです。その間いろいろと問題が多かったんじゃないかと思いますが、今回の日ソサケ・マス交渉経過を御説明いただければと思います
  7. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) ことしの日ソサケ・マス漁業交渉は、実は例年よりも大幅に開始がおくれまして四月二十日にようやく開会されまして、二十一日から日ソ双方お互い提案を行ったわけでございますが、日本側は四万五千トンの漁獲量、それから操業水域転換等提案したのに対しまして、ソ連側は、資源回復のおくれ及び昨年の漁期の大量違反問題を理由にいたしまして三万五千トンの漁獲量、それから日本監視船六隻にソ連監督官を乗船させるということを提案したために、双方見解は著しく対立いたしたわけでございます。そして、このような局面を打開するために、四月二十四日に水産庁長官が訪ソいたしまして交渉に当たったわけでございまして、ソ連側資源問題と違反問題、この二つを盾に一歩も譲らないということで主張したために、交渉はついに四月に妥結をするに至らなくて五月に実は ずれ込んだ次第となったわけでございます日本側としては、ソ連提案から極力前年並みの操業条件に近づけるように実は粘り強く交渉をした結果、ソ連側もようやく歩み寄りを見せまして、去る五月五日、実質的妥結を得たということでございます
  8. 松前達郎

    松前達郎君 その交渉の間、今のお話によりますとこれは昨年だったですかね、集団違反みたいなのがあったわけですね、そういった問題をソ連側が取り上げだということも今お話にありましたけれども、こういった問題も含めて、今の状況でいくと毎年交渉が行われることになるわけですけれども、今後の交渉に関する、来年以降の交渉のポイントとなるような点ですね、我々として日本側として気をつけておかなきゃいけない、あるいは留意すべき点があるとしましたらどういうふうなことをお感じになったのか、その点、ひとつお述べいただきたいと思います
  9. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) お答え申し上げます。  来年以降の交渉につきましてソ連側は、新たに経済水域に関する幹部会令が発効したことを理由に、枠組みについてもさらに交渉をしたいということを言っておりまして、来年以降のサケマス交渉が本年と同じになるかどうかということについては、現在のところまだ確定していないわけでございます。今年中にソ連側交渉いたしまして、新たな枠組みを向こうが提唱しておりますので、私どもとしては、従来から希望しておりますような長期的な取り決めが可能になるように、その際に努力していくということにしていきたいと考えておる次第でございます
  10. 松前達郎

    松前達郎君 その新たな枠組みというのは、これはソ連側がとにかく提案しようということだろうと思うんですけれども、これについて何か想像できますか。
  11. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) 現在、ソ連側経済水域に関する幹部会令の大枠はできておりますけれども、それに基づく大臣会議決定はまだできていない状況でございますので、ソ連側規制あるいはソ連側が考えております取り決め内容の基礎になる詳細がまだわかっていないものでございますから、今回もソ連側は、枠組みは別の機会に交渉しようということを言ったのみで内容については特に触れておりませんので、私どもとしては現在手がかりを有していない状況にございます
  12. 松前達郎

    松前達郎君 そうすると、これは後でまたちょっとお伺いする科学者会議とかいろんな問題が出てくるわけですが、今後の問題はそれとの関連も少しはあるんじゃないかという気もしますね。  それからもう一つは、さっきお話のありました長期的な取り決めですね。これは前から日本側の方で、毎年毎年同じようなことを繰り返していてもしようがないので、三年とか五年とかというピリオドですね、協定を結んでいったらどうかという、日本側としてはその意思があるのだと思うんですね。それを恐らく提案されていたと思うんですけれども、これについてソ連側の反応はありましたか。
  13. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) 本件につきましては、毎回漁業交渉たびごとに、毎年毎年の交渉ということではなくて、枠組みだけでも、日ソサケマス議定書枠組みを長期化したいということで私どもソ連側に話をしているわけでございます。今回についても同様でございますけれども、今回は交渉が遅く始まったということと同時に非常に厳しかった交渉でございますし、それから今回の議定書そのものについても、経済水域についての幹部会令をどう取り扱うかという問題もございましたので、今回は実質的な話をソ連側とするには至らなかったのが実情でございます。これは今後の枠組みの話をする際に長期的安定ということを念頭に置いて交渉を進めていきたいと、こう考えております
  14. 松前達郎

    松前達郎君 それから、操業水域の転換問題ですね。それと関連して全体の資源量の問題、これが恐らくソ連側主張根拠になっているんだと思うんですね。これらについて科学者会議を何とか開きたい、本年中に開催しようというふうな話し合いがあったように伺っているんですが、その点はいかがでしょうか。
  15. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 今回の交渉で、実態論から見ましていろいろ問題があった点は大きく分けまして二点あったと思います。  第一点は、今お話のとおりの両国における科学者間の資源問題の見解でございます。  まず、資源問題につきましては、ソ連側資源回復のおくれを理由にいたしまして我が国サケマス漁業に対する規制を大幅にしようということで、一気に実は最適の資源状態を実現しようとしていたわけでございますが、我々といたしましては、漁業者サケマスによって生計を立てているという現実を踏まえながら回復させていくべきだという主張をいたしておりまして、その見解が実は鋭く対立したわけでございます。  このように見解が非常に違っておるわけでございますので、ソ連側といたしましてもこの問題について自分たち主張をかなり押し通すということがあったわけでございますが、特にソ連の最近の見解といたしましては、まず日ソ両方見解一致した点といたしましては、近年のサケマス類全体の資源量というものにつきましては、五十七年の、一昨年もしくは近年の資源水準から若干ずつ上回っているというように、両国科学者ともこのことについては意見一致を見ているわけでございますが、ただ、個々の魚種につきましてはそれぞれ日ソ双方見解が異なっておりまして、我が国我が国科学者は、ベニザケとかシロとかマスノスケとか、こういう魚種全体について、主要な魚種が、資源増加傾向にあるというぐあいに判断しておるわけでございますが、ソ連科学者は、マス類資源については増加をいたしておる、しかしその他の魚種については非常に低い水準であるという見解をとっておりまして、全体の資源水準としてはいいけれども、その魚種ごとに違っているという見解相違があったわけでございます。  こういう相違に加えまして、先ほど申しましたような早急に資源回復していかなきゃならぬというソ連側主張と、日本側の、現在の漁業実態を踏まえながら資源回復というものを進めていくべきだというところに相違がございまして、なかなか意見一致を見なかったわけでございます。  それから、操業水域の転換問題でございますが、これも実はやはり大きく言います資源問題でございました。  我が国の方といたしましては、四十四度から四十八度の北方水域漁場を転換したいというふうな希望を出したわけでございます。これの資源的な見方といたしましても、我が国研究者見方といたしましては、サケマス資源というのは南方から徐々に北方の方に行くに従って体重増加し、体長も大型化してくる。徐々に未成熟から成熟魚に達していくわけでございますので、北方の方に漁場を転換するならば、同じ漁獲量であっても体長とか体重が大きゅうございますので、それだけ漁獲尾数が少なくて済むということは、とりもなおさず資源有効利用もしくは資源の保護のために非常に有効であるという我が国科学者意見でございました。  これに反しましてソ連科学者は、回遊経路というものから見て、北方水域漁場を転換するということになると親魚が途中で遡河ができなくなる、遡上できなくなるという懸念を非常に抱きまして、その資源の分布、回遊生態等の生物学的な見解が著しく相違いたしましたので、結局これが合意を見るに至らなかったという事情があるわけでございます。これから日ソ科学者会議を、ことしじゅうに双方都合のよいときにこの科学者会議を開いて、資源の問題を含めながら、この操業水域の転換問題が資源にどのような影響を与えるかということを両国科学者によって十分検討してもらって進んでいきたいと思っておるわけでございまして、これによりまして、水域問題につきましてもことしは日の目を見ることはできませんでしたが、来年以降に交渉手がかりを得たのではないかというぐあいに考えている次第でございます
  16. 松前達郎

    松前達郎君 大分内容的に魚種も随分違いますし、それからいろんな科学的な根拠といいますか、こういうものの見方がそれぞれ違うし、お互いにそれを立ち会いの上で確認しているわけでもございませんから、恐らくかみ合わない点が随分あると思いますね。ですから、そういう意味では科学者間の会議というものを開きながらある程度の見通しの合意を取りつけておくというのが、やはり今後の交渉における大きな力になるんじゃないか、こういうふうに思うんですね。  そういうことで、この交渉の最中に科学的ないろんなデータを出してやりとりをするわけではないわけですから、恐らくそういうものはそっちの方に譲って、基本的な点だけの相互理解はしておく必要がある、しかも合意をしておく必要があるんじゃないかと思うんで、これは行われるとするとやはりソ連でやるんですか、それとも日本開催をするのか、大体いつごろから始めるつもりでおられるのか、その辺、もし御計画があればお聞かせいただきたいと思います
  17. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 開催の場所とか、それからいつごろ実施するかという時期の問題等につきましては、双方お互い都合のいいときに、本年じゅうに外交ルートを通じて決めていきたいということになっておりまして、今のところ末定でございます
  18. 松前達郎

    松前達郎君 それからもう一つ違反の問題をソ連側としてどうとらえているであろうかということですね。去年でしたか、相当派手な違反だったわけなんで、その辺はどういうふうにとらえているか、印象がありましたらひとつお聞かせいただきたい。  それともう一つは、今後混乱が起こらないようにどういうふうに対応していかれるのか、その点もあわせてお願いします
  19. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 違反問題につきましては、実は日本側は昨年漁期中型流し網漁船が大量違反操業したということで非常に厳しい指摘があったり、ソ連側との今回の交渉が難航した一つの大きな要因でもあったわけでございまして、この違反問題を盾にしてソ連側は、我が国が出しております日本取り締まり船ソ連の権限ある取り締まり監督官を乗船させろというようなことを実は主張してまいりまして、従来はオブザーバーという形で乗船していたものを、今度は権限ある監督官ということにしたいという提案があり、しかも隻数を、従来四隻我が国が出していたのをそれを六隻にして、六隻ともに権限ある監督官を乗船させたいという要望を実は出してきたわけでございます。  我が国といたしましても、監督官を乗船させるということはこれは主権にかかわる問題でもございますので、これは絶対できないということで拒否をいたしまして、一応これにつきましては五隻——一隻増加いたしましてオブザーバーを乗船させるということで結着をつけたわけでございますが、なお日本側がこれに対しまして日本側としても違反の防止に相努めるということで、例えば同一の港から出港する漁船群一つのグループとして船団操業をさせるとか、それからその同一船団には識別をするためにマストの色を、色彩を同一色にすると。その他いろんな形で取り締まりの権限の強化あるいは違反についての取り締まり、それから罰則の強化、こういうことをやって対処をしていこうというぐあいに今後とも考えている次第でございます
  20. 松前達郎

    松前達郎君 違反をすればそれだけやっぱり厳しくなってきますから、これはひとつ違反が起こらないように何とかしていただきたいと思うんです。  それともう一つ太平洋小型流し網というこの流し網の方が既に八日の朝出港したいということですね。これはソ連側はオーケー言っているんですね。
  21. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) ソ連側は、一応議定書署名が済んだ後は出港してもよろしいというぐあいには一応了解をとってあります
  22. 松前達郎

    松前達郎君 それはこの小型流し網だけにかかわらず、その他も議定書の調印さえ終われば出港していいというふうに、彼らはそういうふうな意見なんですか。
  23. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 小型だけに限定しているわけではございません。
  24. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、これは極端なことを言うと、国会で審議しなくてもいいんじゃないかというような格好になってしまうんですね。ですから、ソ連側解釈日本側解釈は違うと思いますけれども、これも来年また大幅にその交渉の時期がずれたりしたときの対応もありますから、ちょっと参考のためにお伺いしたんですけれども。  それから、日ソ間のこういった交渉、今のサケマス漁業に関する交渉、これは毎年やっていて厳しいながらも何とか一つの線が出てきているんですけれども、そのほかの方がなかなかどうもうまく進まない、あるいは相当冷たい関係というのがいまだに解けていない状況ですね。  そこで、これは外務大臣にお伺いしたいんですが、将来日ソ外相会談、これを行うということについての報道がありましたけれども、これらについて合意されたのかどうか。それらをもしか行うとすれば、大体いつごろ——これは外相会談だけを特別切り離してやるわけではないでしょうけれども、そういったような問題、それからこれらについて合意をされたとすればその交渉経過ですね、そういうものをひとつお聞かせいただければと思います
  25. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 西山欧亜局長が先般モスクワを訪問いたしまして、これからの日ソ対話のスケジュールについてカピッツァ次官と詳細に打ち合わせをいたしたわけです。そのいわば大詰めといいますか、一環としまして、この秋の国連総会、私とグロムイコ外相出席をされるときですね、両国外相がこの国連で会おうということも大体合意に達したと、こういうことでありまして、したがって外相会談ということになれば、この秋の国連総会、ニューヨークで行われるということでございます
  26. 松前達郎

    松前達郎君 それと貿易経済協議合意されたと伺っているんですが、これについては東京で開催ということを聞いていますが、いかがでしょう。
  27. 西山健彦

    政府委員西山健彦君) 貿易経済協議は昨年も十月に行われたわけでございます。大体これは年間貿易関係をレビューするというものでございますので、やはりことしも同じ時期にそれを開催いたそうということで基本的な合意がございます。先般打ち合わせに参ったときにそれを合意してまいりました。
  28. 松前達郎

    松前達郎君 これは日ソ間のハイレベルの会談ですから、これは大分先の話になりますけれども、またそのときにいろいろと御意見などを伺いたいと思いますが、最近非常に外交日程が立て込んできているようでありますけれども、例えばきょうはブッシュ大統領が来られた。きょう安倍外務大臣との会談予定されていると伺っているんですね。これは、恐らく今後国際的な会議が幾つか催される、ロンドン・サミットももちろん大きなものでございますけれども、それに対しての将来の日本側の立場というものをある程度決めるようなことになりはしないかと思うんですけれども、このブッシュ大統領との会談について何か特別に外務大臣として主張されたりなんかすることはありますか。
  29. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ここ数日間相当外交日程が立て込んでおりまして、きょうはブッシュ大統領、それから中国の姫鵬飛国務委員会談することになっております。さらに、トルンEC委員長もやって参りますし、あるいはまたワインバーガー米国国防長官もやって参るわけでございます。そうした要人とこれから数日の間に会談を行う予定にいたしておるわけでありますが、ブッシュ大統領との間では、私はきょう会いまして、あしたの朝は河本企画庁長官を中心にして経済閣僚と朝食をともにするわけでございます。その他、総理大臣との会談予定をされておるわけでありますが、主として先般行いました我が国市場開放政策につきまして日米間で話し合いをするということでありまして、アメリカにとりましてはまだまだ不十分という感じもあるわけでございますが、日本はしかしそれなりに全力を挙げて自由貿易体制を推進するための日本の努力を傾注したわけでございますし、そうした問題について隔意のない意見の交換をして、そしてこれからOECDも行われますし、あるいは閣僚会議も行われますし、サミットも行われるわけでありますので、そうしたサミットヘ向けての自由貿易体制の推進、あるいはまた世界経済景気回復、そういう方向へ向かってのいろいろな話し合いをしてみたいと、こういうふうに思っております
  30. 松前達郎

    松前達郎君 EC委員長トルン氏も来られるわけですね。ほとんど連日、毎日毎日どなたか来られる格好になりますが、十五日からブリュッセルで行われる日本EC閣僚会議、これは大臣も行かれると思うんですが、これに関して前にこの委員会で私もちょっと申し上げたと思うんですが、EC側から日本に対する要望というものが既にある程度出てきているんですね。中には航空機だとか兵器まで入っていろんな要望が出てきて、農産物も入ったと思うんですが、恐らくこの要望というものはもう一回蒸し返して出されてくるんじゃないかと思うんですね。市場開放あるいは関税の引き下げ、大きく言えばそういうことになると思うんですが、これらにやはり何らかの対応がないとまたいろいろ問題が出てくる。アメリカ一つ済んだと思うと今度はECと、いろんなところに我々も四面楚歌という、それほど大げさじゃなくても、そういった感じを持っているんですが、その点、今後の対応について大臣のお考えを最後にお聞かせ願いたいと思います
  31. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ECとの間の日本対策につきましても、これは対米対策とともに広くECそれから開発途上国も含めた対策でございますから、そうした日本の先般決定をしました開放政策を十分説明をしたいと、そういうふうに思っております日本が行いました関税の引き下げ措置、行おうとしている引き下げ措置、あるいはその他の製品輸入促進等の措置につきましては、EC側としても相当評価をしておるようでありますし、またいわゆる円・ドル問題、いわゆる金融の自由化の問題につきましてもECも関心を持っておるわけでございますから、これは日本としてもトルン委員長との間では相当日本がこれまで努力した成果というものをECに対して説明をして、そしてEC側の評価を求めることができるんじゃないか。もちろん十分だということはないでしょうし、また日本としてもECに対しても言い分は随分あるわけで、ECがやはり日本に対して自由化を求めると同時に、我々もECに対していろいろと自由化を求めたい点もあるわけでございます。ただ問題は、やはりECにおいてもそうですが、百億ドル以上の出超、黒字があるものですから、そういうところでこれからのやはり対応というものが、今市し上げましたような自由貿易体制を堅持しながらの輸入の拡大、内需の振興というものをやっていかなきゃならない、そういう点に対してのECとの話し合いは非常に大事であろうと、こういうふうに思っております
  32. 黒柳明

    ○黒柳明君 私どもも野党としまして、一応野党外交と言えるようなものをやりますと非常にやっぱり外交というのは忍耐が必要である、こういうようなことをいつも感じているわけであります。今回マスコミを通じてサケマス交渉を見聞きしてきましたが、いずれにせよ話し合いがまとまった、こういう過程においての御苦労については評価をする次第でありますが、ただ問題は、毎年毎年北洋の漁船の出港はおくれるし、あるいは今回六年で初めて漁獲高も制限されるし、中型漁船の水域ですか、果たしてその漁獲量が思うようにあるのかどうか、ともかく不安材料ばっかり、御苦労は御苦労として評価するとともに、非常に苦労した中で来年のことが思いやられる、こう思うわけでありますが、さらに来年はもっとソ連側は厳しい態度で臨んでくるのではなかろうか、こういうマスコミを見聞きしながらの私たちの感じ、また今、来年がと、こういうようなお言葉も承りましたが、本年の交渉を終わりまして、来年が大変じゃないか、ここらあたりはどのような感触をお持ちでしょうか。
  33. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 実は来年以降の交渉について申し上げる前に、ことしの争点になった点がやはり来年にも引き継いでくることであるわけでございまして、本年の争点は先ほど申し上げましたような資源問題とそれからもう一点は取り締まり違反問題、こういう点が非常な大き争点でございました。  資源問題につきましては、この数年間は比較的日ソ科学者同士は資源回復がある程度あるというようなことを見込みながらも、必ずしも各魚種ごと意見一致は見ていないという点がありますし、それから資源の今後の持っていき方という問題につきましても、ソ連は早急に昭和十年代の豊度の資源量にまで持っていきたいと言っておりますし、我が国の方はやっぱり現実に日本漁業が存在しているという実態に照らして徐々に回復をさせていこうというそういう相違が実はある、こういうことを踏まえまして資源の評価というものにつきましても必ずしも意見一致を見ていない、これは引き続きやはり来年も大きな争点になるのではないかというぐあいに考えているわけで、やはり何といっても日ソサケマスの問題を、この資源の問題で両科学者同士が意見一致をある程度見ていくような検討の内容がなければなかなかこの争点というのは解消するわけにはいかぬのではないかという点がございます。  それからもう一点は、今の取り締まり問題等もございまして、この問題につきましてもやはり日本の規律ある漁獲態度というものが要求されてくるわけでございまして、我々といたしましてもこれにつきまして漁業者に対する指導、啓蒙、それから取り締まり体制、こういうものに万全を期して、今後とも、来年以降についてもこの漁業交渉が比較的お互いの友好裏にかつお互いの理解の中で、相互理解の中で進められていくように努力をしていきたいというぐあいに考えております
  34. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) ただいま水産庁の方から漁業の実態につきましての御説明がございましたけれども、それに加えまして来年の特殊事情が一つございます。  ソ連側は、本年二月二十八日付でソ連邦経済水域に関するソ連邦最高会議幹部会令を三月一日から発効させまして、それからさらに第三次国連海洋法会議が終了したということをもう一つ理由に挙げまして、日ソ漁業協力協定の見直しを行う必要があるということを申し出ております。ただ、これについてはまだ別途の機会に交渉しようということでございましたので、来年までに現在の枠組みの見直しということが交渉議題に上ることと思います。その際に、私どもとしては当然のことながらサケマス協定枠組みを長期安定化させるという問題を提起する所存でございますけれども、これらの交渉の中で大枠そのものがどうなるかということが一つ新たな要因として出てきているということをつけ加えさしていただきたいと思います
  35. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然また四万トンが削られる可能性があるということですか。
  36. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 資源の評価をどのように見ていくかということでございますが、我々といたしましては、日本科学者が言っておりますここ近年の資源水準というのは比較的資源水準回復しているということでございますので、漁獲量はできるだけ従来どおりの漁獲量を維持できるような形で、科学的にもそのような形で要求いたしていきたいというぐあいに考えております
  37. 黒柳明

    ○黒柳明君 これから、我が方の提案が受け入れられたというこういうことで科学者同士話し合うと。  ただ、日ソの当事者同士が話し合いますと、やっぱりお互い意見主張してなかなか一致点が見出せない。そういう中でどうなんでしょうかね、水産国である第三国の客観的な正確なデータでもとって、そしてそれを一つ交渉の材料にするとか、そんなこともこれから両国科学者が話し合う話し合い一つの資料になるんじゃないかと思うんですが、そういうことはお考えでしょうか。
  38. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 現在、日ソ科学者意見お互いになかなか合意できないという一つの大きな問題は、お互いに資料の交換を行っているわけでございますが、例えば日本漁獲量、要するに漁業の実態から来る漁獲統計、あるいは調査船を出して生物学的な資源調査をいたしておりますので、その資源の調査に基づく体長組成とか分布とか、あるいはいろんな生態等についての諸資料は提供してやっております。ただ、日本側は沖取りをしている資料を出すわけでございますが、向こうのソ連側は、どちらかといいますと河川に遡河してくるサケの量とか、親魚量とか、そういうものを中心にして資源の解析をしているということで、その解析の方法上にも若干の食い違いがあるわけでございまして、それらはいずれ両者がやはりお互いに理解し合って、お互いの検討方法、資源の推定方法等についてお互いに理解をし合いながらその中である接点を見出し得るのではないかというぐあいに考えている次第でございます
  39. 黒柳明

    ○黒柳明君 これから新しい話し合いが始まるわけなんで、今までも資料の交換は行われている、その中でお互い主張というものが前提で、しかも向こう側はやっぱり一枚岩ですから、なかなか正確な資料、正確な主張かと思いますけれども、絶対それを譲らないというかたくなな姿勢はあるかと思いますけれども、今後の推移にまつよりほかないと思いますが、今の中型トロール船の流し網水域、これは漁民の皆さん方に聞きますと、もう出漁したってとれるかどうか全く不安だ、やっぱり北の地域に水域を変えてもらわなきゃならないというようなことは前からの主張で出ておりましたが、どうなんですか。あしたまた出漁するわけですけれども、そこらあたりのこの漁獲高というものはある程度保証はできるということなんでしょうか。
  40. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 現在操業いたしております中型流し網漁船は北緯四十四度以南で実は操業しているわけでございます。今回の交渉におきまして日本側漁場の転換ということで主張いたしましたのは四十八度以南ということで、四度北に移行したいということの主張でございました。この主張につきましては、もちろん漁業者側からの要望もあるわけでございますが、我々資源学的に見ましても、南方の四十四度以南でございますと魚体が小さくてまだ未成熟でございます。しかもその未成熟であるということは、結局漁獲をしてもやっぱり魚の値段もよくありませんし、そういう点から見ても、漁業経営から見ても必ずしも得策ではないという資源の状態並びに漁業経営の実態から即して実は要求を行ったわけでございますが、ソ連の方といたしましては、その水域において日本流し網を展開するということは北に遡上する魚の魚道を断つというような魚道の問題等があって、回遊を阻害するというふうなことを資源学者がやはり申しておるわけでございまして、その辺のところの食い違いがやはり非常に大きゅうございまして実施に至らなかったわけでございます。経営上から見てもあるいはまた資源上から見ても、我々としてはやはり北方の四十八度以南まで漁場を展開するということの方がより北洋のサケマス資源資源保護並びに有効利用という点に役立つというぐあいに思っておりまして、今後ともこの交渉は進めていきたいというぐあいに考えて、ことしの交渉ではこの実現はできませんでしたけれども、ことしじゆうには科学者会議等を開いてこの問題について十分検討した上で来年に対処するという足がかりをつけたというぐあいに考えておる次第でございます
  41. 黒柳明

    ○黒柳明君 私ども、今の話を聞いていても一長一短ということで、どっちの主張が正しいのかどうか軍配を上げるわけにまいりません。いずれにせよサケマスの漁民の方、船団の方からいろいろ聞きますとどうしても今の水域じゃだめだと、こういうことを断定的に九〇%の方がおっしゃる。今次長が、足がかりができたと、こういうようなことであるいは本年じゅうにと、こんな話も出たわけでありますので、こういう外交あるいは話し合いというのは、やっぱりただ単に我が方の主張だけを通すというのはこれは難しいんであって、何か向こうにも与えてそして損して得とると、こんなこともあるかと思うんですが、資源科学者同士の話し合い、話が進行する中において当然この水域というものはどうしても大きな問題になろうかと思いますが、これについては今次長がおっしゃったように足がかりだけじゃなくて、やっぱり結果が出るようにぜひともひとつやっていただきたいと、こう私要望いたします。  時間がありませんので、最後に外務大臣、今外交日程が非常に込んで、また来週はお出かけと、こういうことらしいんですが、ブッシュ大統領お話しして、このお話はまた夕刊で出るかと思いますので活字の方で読まさしていただきますが、同じく副大統領がそういう話をしたかどうかあれですけれども市場開放せよと副大統領がそういうことを言ったとは思うんですけれども、自動車の問題が話に出たかどうかわかりません。ただ、けさ現在のあの様子ですと、ブロックさんとそれからリーガンさんとの話は食い違っておると。自主規制せよと、とんでもないと、あれだけ自動車業界がもうかったのだから必要ないと、こんなことですが、私どもも八〇年の三月、レーガン政権誕生、自動車問題でがたがたしているときに、いろいろブロックさんともリーガンさんとも会って話を聞きました。妥当な方向にある程度結論がついたと、そのときはそういう感じがしたんですが、外務大臣、通産省がまたこれで一苦労するかと思いますよ。やっぱり財務長官に言わせると、決してこれは譲歩すべき問題じゃないと強気の姿勢ですけれども、ブロックさんもブロックさんの考え方があると思うんですが、日本政府としてはオレンジとビーフで非常にやっぱり譲歩してあれだけの結論が出たわけでありますので、さらにこの自動車の自主規制の問題について向こうが伝家の宝刀だなんというようなことは許せないと、こうは思うんですが、外務大臣、副大統領の話に出たんでしょうか。あるいはこのブロックさんとリーガン財務長官との意見の違い、余りにも露骨にマスコミでは伝えられておりますが、外務大臣、どのようにお感じでしようか。
  42. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ブッシュ大統領とは実は今からお目にかかるものですから、出るか出ないか、これは会ってみないとちょっとわかりませんが、しかしおっしゃるようにブロックUSTRの代表は、アメリカの景気も回復して自動車産業もすっかり力をつけてきたんで自主規制は解除すべきだと、こういうことを言っておりますし、これに対してリーガン財務長官は、今の日本市場開放措置等を見るととんでもない話だと、だからこれは残すべきだと、こういうことで対立をしておるというふうに私も聞いておるわけでございますが、しかし筋から言えば、これは本来自由貿易体制両国が推進するという上からいけば全く過渡的な措置でありますから、あくまでもこれはもとに返すと、自由な貿易に返すのが私は本筋ではないだろうかと、こういうふうに思っておるわけでございますが、しかしこれからどういうふうになっていくか、あくまでもこれは日本の自主規制ということでやってきた措置でございますので、これをどうするかということは今後のいろいろの情勢の中で決まっていくと思いますが、本来の筋からいけばやはり自由貿易体制、そして自主規制というようなものは一日も早く撤廃をすべきじゃないかと、こういうふうに思います
  43. 黒柳明

    ○黒柳明君 私どもが四年前に行ったときは、やっぱり議員サイドからの非常な突き上げがあったし、ローカルコンテント法案も議員サイドですけれども、これ、自主規制にストレートに結びつくものではないわけでありますが、今回やっぱりアメリカの議員サイドというのは、おとなしいということはないと思いますが、四年前のかんかんがくがくというものは全くないに等しいわけでありまして、ただ、どういう事情があるか、これはアメリカ国内の状況でありますので何とも言えませんけれども、両首脳が完全に対立したような発言をしていると。しかも、私たちは完全にブロックさんの方に、今外務大臣がおっしゃったように軍配を上げたくなるというのは、これは何も自動車業界だけじゃなくて客観的に公平に見た立場だと、こう思うんですけれどもブッシュ大統領との話の中で市場開放の要求というのは当然出てくるかと思いますが、その中でひとつ、日本の国ではやっぱりこの両者の活字が、報道が目立つわけであります。ですから、ここらあたりも外務大臣、話の行きがかりということもあるかと思いますけれども日本の姿勢というものをきちっとやっぱりこの際ですから明確に打ち出した方がいいんではなかろうかと、こう思いますので、ひとつ最後に要望だけさせていただきます
  44. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今御発言の点に関しましては、十分ひとつ頭に置いて話し合いをしたいと思います
  45. 抜山映子

    ○抜山映子君 漁業協力費の四十二億五千万円、これは毎年の協力費金額の推移を見ますと、一九七八年には十七億六千万、それから逐次ふえてまいりましてことしは四十二億五千万と、こういうことなのでございますけれども漁獲量につきましては七八年から八三年まで一貫して四万二千五百トン、そしてことしは四万トンと、こういうことになってまいりましたので、漁獲量あるいは魚価とは関係ないものと考えられます。この漁業協力費の算定基準は何なのでしょうか。
  46. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 漁業協力費の算定の基準でございますが、計算の方法といたしましては、ソ連側は、サケマス資源の維持あるいは再生産をする、資源の増殖をするわけでございますが、その増殖に要する費用を日本ソ連との漁獲の比例に応じて負担すべきであるという主張を実は前々からしているわけでございます。その主張に基づきますと、ソ連がかつて言っておりました別な数字があるわけでございますが、しかしながら我が国といたしましては、漁業協力費というのは、日本の漁船に対して十分な操業条件が与えられるというソ連側の特別な配慮に見合うべきであるということを言っております。また、ソ連側の計算方法は、日本漁業者の負担能力というものは勘案されていないという点を主張いたしておりまして、日本といたしましては、ソ連側が言っている計算方法は受け入れられないという態度で今まで臨んできているわけでございます。  また、事実今回の交渉におきましても、ソ連側は、先ほど申しましたようなソ連の計算方法による漁業協力費を負担すべきということで主張してきたわけでございますが、クォータがことし決まりました四万トンということであれば、ソ連側主張でいきますと約四十九億円に相当する漁業協力金を支払わなければならぬというところであったわけでございますが、そちらにつきましては、我が方はソ連の計算方法というものを否定いたしておりまして、あくまで日本漁業者の負担の能力を勘案してなされるべきであるということとか、あるいは操業条件によって配慮されるべきであるということ等を主張いたしまして四十二億五千万にとどめた次第でございます
  47. 抜山映子

    ○抜山映子君 今の御回答でも明らかなように、その算定基準は極めてあいまいであるということが言えると思うのでございます。七八年から八三年までに二・四倍以上に増加しておるわけでございまして、サケマスの再生産に投下した費用と申しましても、インフレ率を勘案しても二・四倍は不当に増額されておると思うのでございます。この四十二億五千万円は、先般二月に補正予算で十七億の補助金が出て、残りは日本漁業者が負担することになるわけでございますので、ひとつ交渉に当たって、毅然とした態度で、その算定基準を明らかにするよう突いて交渉していただきたいと念願するものでございます。  さて、今回の交渉サケマス資源回復が上昇基調にあることはソ連側も認めだそうですが、日本側として資源回復についてどのような科学的資料を提示して交渉されたか、明らかにしていただきたいと思います
  48. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 資源回復につきましては、日本資源科学者が解析をいたしております日本漁獲統計に基づく資料、例えば漁獲量それから漁獲努力量、これらから来るある単位漁獲努力量当たりの漁獲がどのように推移するかということを、それぞれの水域資源魚種をもとに解析をしていくというやり方がひとつ漁獲統計から出てくるわけでございます。  それから、もう一つの解析の仕方といたしまして、調査船を当該水域に派遣いたしまして生物資源調査をいたすわけでございます。これは年齢査定、あるいは体長体重調査、あるいは生殖腺の成熟度合い、こういうものからくる資源の豊度が近年にどのように消長しているかということを資源学的に調査をする方法とがあるわけでございまして、この両方から、実は我が方といたしましては資源回復しているということを主張しているわけでございます
  49. 抜山映子

    ○抜山映子君 日本の総漁獲高は千万トンと言っておりますし、諸外国の沿岸における漁獲高は総計二百万トンだと、こういうふうに言われておるわけですけれども、諸外国の沿岸における各漁獲高をひとつ明らかにしていただきたいと思います、大ざっぱで結構ですから。
  50. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 日本の総漁獲量は現在約一千百万トン程度あるわけでございます。かつての二百海里以前におきましては、おおむね一千万トン台を維持している中で、遠洋漁業の占めるウエートは約四百万トンございまして、大ざっぱに一千万トンの漁獲のうち四割が遠洋漁業で占めていたわけでございます。二百海里に入りましてから遠洋漁業が非常に厳しい状態に置かれまして、それぞれ沿岸国の二百海里の中でいろんな漁場制限等を克服しながら実施をしているわけでございますが、現在、先生のおっしゃったように、外国水域での漁獲量は約二百万トンというぐあいに半減いたしているわけでございます。半減をいたしておるわけでございますが、その中で、やはり何と申しましても北部太平洋におけるウエートが圧倒的に多うございまして、その北部太平洋におきましても、アメリカ水域ソ連水域に大きく分けますと、アメリカ水域が約百万トン、それからソ連水域が約五十万トンということで、この両者合わせまして百五十万トン、全体の二百万トンのうち四分の三を占めるわけでございまして、そのほかは、例えば韓国水域それから中国の水域あるいはオーストラリアその他もろもろの水域漁獲しているわけでございますが、そのように圧倒的にアメリカ水域ソ連水域のウエートが高いという事実があるわけでございます
  51. 抜山映子

    ○抜山映子君 今後、各国が経済水域を設定するに従って日本の遠洋漁業の展望は非常に厳しいものがあると思うわけでございますが、今後いかなる対策を考えておられるか、明らかにしてください。
  52. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) この二百海里の水域の設定以来、漁業規制というのは年々非常に厳しくなってくるわけでございますが、特に昨年の末行われました日ソ、ソ日の漁業交渉とか、あるいはアメリカにおける漁獲割り当て量の問題等を見ますと、今後の我が国の外国の二百海里水域内での操業というのは非常に厳しい状態になってくるわけでございます。その上、各沿岸国は、二百海里水域内での日本操業を認めるということとの引きかえに、自国の水産業の発展とかあるいは貿易問題に大きく影響を持ってまいりまして、自国の水産業の発展にどの程度日本漁業が貢献しているかというようなこと等を非常に勘案しているわけでございます。したがいまして、二百海里体制のもとではこのような各国の動きは今後ますます強くなってくるわけでございまして、漁業外交 の粘り強い展開というものが必要でございますし、また、諸外国における海外漁業の技術協力あるいは経済協力等、海外漁業協力の推進を十分行うことによって、日本漁業の海外漁場の確保をしていかなきゃならぬというぐあいに考えておる次第でございます
  53. 抜山映子

    ○抜山映子君 ところで、日本は、海洋法に関する国際連合条約のもとでの二百海里までの経済水域をまだ設定しておらないようですが、現在既に設定した国は何カ国ございますか。
  54. 浜本康也

    説明員(浜本康也君) 私どもの把握しております限り、現在のところいわゆる二百海里の経済水域を設定している国は約六十カ国でございます
  55. 抜山映子

    ○抜山映子君 日本はこの条約を八三年二月に署名しておりますが、まだ批准しておりません。この批准のための国内法整備の進行状況はいかがなものでしょうか。経済水域を一日も早く設定することは日本の国益に沿うと思うのですが。
  56. 浜本康也

    説明員(浜本康也君) 国連海洋法条約につきましては、私どもとしては基本的には批准の方向で準備を進めておるわけでございます。この条約は非常に多岐にわたる事柄が書いてございまして、実際は関係する官庁もそれから法律も多いものでございますから、現在この条約と国内法とがいかなる関係にあるかということを中心にして準備を鋭意進めておるところでございます
  57. 抜山映子

    ○抜山映子君 このたび西山局長が訪ソされまして、重要な隣国であるソ連との対話が回復するということで大変好もしいことと思いますけれども、一方において、北方領土の問題についてソ連はかたくなな態度をとり、しかもその懸案の北方領土には一個師団の正規軍を駐留させている。そして北方領土には空港もつくってミグ機が四十機も待機しておる。このようなこと、及び空母ミンスクに加えてノボロシスクも配備された。こういう一連のソ連の軍拡路線についてはやはり監視を怠ることなくひとつ念頭に置いて対話をしていただきたいと思うのですけれども、特にソ連との経済開発協力につきましては、第三国も入れて日本のリスクを少なくしてこれに取り組むべきと思いますが、これについてひとつ外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います
  58. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先般、西山局長が訪ソをいたしましてソ連とのこれからの対話につきましてのスケジュールをつくってまいりました。そして、この秋には私もグロムイコ外相国連総会で会うというところまで合意をしてきたわけでございますが、もちろん対話は対話として進めでいかなきゃならぬ。おっしゃるように隣の重要な国でありますから対話を進めていかなきゃならぬと思いますが、しかし日ソ間には御案内のような非常に厳しい領土問題が横たわっております。そして、北方四島には今お話しのようなソ連の軍事力が強化をされておりますし、極東全般にもソ連は軍拡を進めておると、こういう状況でございますから、そうした問題に対しましては日本は言うべきことはきちっと言って、毅然たる方針、姿勢を失わないで対応をしていく。同時にまた、そういう厳しい情勢は厳しい情勢と認めながらも、厳しい情勢であるだけに対話もまた一方では進めていかなければならない。こういうことでこれから努力を重ねてまいる所存であります
  59. 抜山映子

    ○抜山映子君 日本の放射性廃棄物の海洋投棄についてお伺いしたいんでございますけれども、これにつきましては大洋州のナウル、キリバスが反対し、加えまして北欧五カ国が反対を表明していることは周知の事実でございます。  実は先般四月二十五日、二十六日、コペンハーゲンで開催されました社会主義インターナショナルの幹部会に出席したのでございますが、決議事項にこそなりませんでしたが、多くの方から個人的にこの日本の放射性廃棄物の海洋投棄の問題について質問を受けたのでございます我が国では、原子力委員会が原子力開発利用長期計画というものを昭和五十七年に発表しておりますが、海洋処分を行う、それから陸上処分を行う、二種類に分けておるわけでございますが、現在、海洋投棄を待って貯蔵されているものはどれぐらい量があるのでしょうか。
  60. 千々谷眞人

    説明員千々谷眞人君) お答えいたします。  昭和五十七年に原子力委員会が発表いたしました原子力開発利用長期計画では、低レベル放射性廃棄物を海洋処分と陸地処分とあわせ行うという方針でございまして、低レベル放射性廃棄物の海洋処分につきましては、先生御指摘のとおりキリバス、ナウル及び北欧五カ国から懸念の声が出されております。  この反対の意見は、実は国際的な規制枠組みでございますいわゆるロンドン海洋投棄条約というものがございまして、その中で低レベル放射性廃棄物は特別許可を得れば海洋に投棄してもよいという国際的な枠組みがございますが、この条約を変更して全面的に禁止しようというような意見が出されたわけでございます。昨年二月にロンドン条約の締約国協議会議でそのような主張がなされたわけでございますが、禁止に持ち込むための科学的な根拠が非常に薄いということでロンドン条約締約国協議会議では再度科学的な検討を行おうというような決議が通りまして、これに基づきまして現在、科学的検討が原子力の専門家、海洋学の専門家等によって進められている状況でございまして、この結論は来年の九月に開かれます第九回のロンドン条約締約国協議会議に出されるということになっております。私どもといたしましては、この科学的検討の結果、海洋投棄、特に低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については安全上問題がないという結論を得て国際的な理解を得たいということで、目下この科学的検討に積極的に協力している次第でございます。  また、陸地処分につきましては、最近電力業者の方で、陸地処分の一つの方法として原子力発電所の敷地の外に集中的にこれを保管するといったような方策が考えられておりまして、現在、その立地等につきましては電気事業者の方で選定が進められております。  この対象となります放射性廃棄物でございますが、現在までのところ約五十万本ほど原子力発電所等のサイトの中に保管されてございまして、これらのうち海洋投棄に適したもの、それから陸地処分に適したもの、それぞれ分けましてそれぞれの処分に向かって進みたいというふうに考えている次第でございます
  61. 抜山映子

    ○抜山映子君 きょうは時間がございませんので、引き続きこの問題は次回にお伺いしたいと思います。  五十万本と言われましたが、それは容量一本は幾らでしょうか。それだけお答えください。
  62. 千々谷眞人

    説明員千々谷眞人君) 二百リットルのドラム缶に換算してでございます
  63. 抜山映子

    ○抜山映子君 終わります
  64. 立木洋

    立木洋君 大臣、今回のサケマス交渉を見てみますと、最初交渉に入るのが大分やっぱりおくれましたし、その間もどういう理由でおくれているのかという連絡もない。しかし、交渉が始まってみるとなかなか難航して実際には出漁期が大幅におくれるというような状態になったんですが、こういう経過大臣がごらんになって、今日の日ソ関係がある意味ではそういうふうな形で投影されているのかどうか、あるいはこういう日ソ関係という観点から見てこの漁業交渉経過をどのようにごらんになるのか、感想をひとつお聞かせいただきたい。
  65. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今度の交渉がおくれたのは、ソ連お話によりますと技術的な理由だと、こういうふうに言っておりますが、日本にとっては非常に重要なことなんですがね。日ソ間の漁業交渉というのは、日ソのいろいろな問題がありますから、それとは切り離した形でこれまで毎年事務的に大体交渉が進められてそして妥結をしてきた、そういう歴史を持っておるわけなんですから、したがって、今回も特に背景に特別な理由が、政治的な理由があるというふうにも思わないわけですけれども、思いたくないわけですけれど、しかしとにかくおくれたことは極めて残念だ、日ソのこれまでの漁業交渉のあり方からすれば、一度はおくれたことはありますけれども、大体五月一日出港ということで間に合っていますからそうあってほしかったな、こういうふうに思うわけです。  交渉内容につきましても、最終的には二千五百トン削られたような形になりましてこれも非常に残念だと思いますが、これは、資源の問題とかあるいは違反操業の問題とか、相当やっぱりソ連なりの主張というものが日本主張とかみ合わなかったという点もあったんだろうと思います。今回の交渉は何とか曲がりなりにも妥結したんですが、先ほどから御質問がありましたように、来年以降の交渉というのはなかなか厄介なことになりかねない。特に経済水域二百海里、それに対する幹部会令というものによって厄介なことになりかねないという要素を含んでおるわけであります。山村農水大臣も今度訪ソするということですから、よくこれからの日ソ間の漁業秩序、あるいは漁業交渉枠組み、そういったものについて両首脳間で十分ひとつ話し合って、漁業に関しては一つの道筋が、円満な道筋が立つことを我々は期待をいたしておるわけであります
  66. 立木洋

    立木洋君 水産庁にお尋ねしたいんですがね。先ほど来やっぱり問題になっていました資源の状態に対する双方の認識ですね、これはいろいろと食い違いがあるというお話なんですが、もちろん双方で統計や資料を出し合って、そうして話し合われることになるだろうと思うんですが、その食い違いが起こってくる原因というか根拠というか、日本側が当事者ですから、一方の当事者から客観的に見るというのはなかなか難しいんですけれども、しかし、資料のとり方だとか統計の出し方に問題があるのか、あるいは調査不能地域があるためにそういうふうなやむを得ない状況になるのか、そこらあたりの食い違いが出てくる原因というのはどういうふうにお考えになっていましようか。
  67. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) いろいろな要素があるわけでございますが、やはり一つは、先ほど私が申し上げましたように日本は沖取りを主体にした調査をやっております漁獲調査にしても漁業調査にしても、それから科学的な調査で生物調査をする場合でも、やはり沖取りを中心にした、沖合の資源調査を中心にした形になります。一方ソ連の方は、どちらかというと彼らは沖取りはありませんので、母川回帰、母川に戻ってくる回帰量とか、それから、本来親魚がどの程度この河川に来ればこの河川の収容力から見て生産力が最も上がるか、そういうようなことが一つの基準になっているわけでございます。そういう点がやはり一つ大きな食い違いの要素があると思います。  それからもう一つソ連主張は、やはり昭和十年代の、言ってみますとかなり処女資源に近いくらいのそういう状態に早く戻したいという彼らのやはり政策的な問題があると思いますが、我が国といたしましては、現在の漁業の実態を踏まえながら、日本漁業の置かれている実態を踏まえながら、やはり現実的な形で資源回復を図っていくという、そういう問題が一つどうしても潜んでいるわけで、そこで、今後の進め方というものについてもどうしても食い違いができるし、一つ資源をどう評価するかということについても、フィールドの違いとかそういう問題がどうしてもあるわけでございますが、ただ従来とも、この二百海里が設定されてから、秋と春でございますが、二回にわたってこの資源問題については検討をいたしております。そういう関係ではかなりお互い意見というのは、それぞれの形では理解はできるようになっておると思うわけでございますが、今後ともさらにその点の日本の方法論というものも彼らに理解してもらわなきゃなりませんし、向こうの方法論についても我が方としても理解していかなきゃならぬということで、相互理解を深めることによってやはり双方の中で一致した意見というものが出てくることを実は期待しておるわけでございます
  68. 立木洋

    立木洋君 資源の状態に対する認識が接近してきますと、いろいろな問題で、交渉の面でも打開する可能性というのがある意味で出てくるだろうと思うんですが、そういう認識を一致させる上で共同調査というふうなことも問題になってきたわけですが、こういう問題というのは今現状はどうなっているんですかね。
  69. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 日ソ間では、これまでも日ソ漁業協力協定に基づきまして資源の評価の基礎となる統計資料の交換とかいろいろなことをやっておるわけでございますし、また科学者会議もやっておるわけでございますし、これも広い意味でいいますと共同の調査をやっている、大きな意味では共同に調査をしているという中に入るんだと思います。我々としては、今のような方法を粘り強くやはり相互に実施していくことによって共通の認識というものを深めていきたいというぐあいに考えております
  70. 立木洋

    立木洋君 この点でひとつ大臣、やはりこの協力協定の中でも、「科学的調査の実施」という項目が第二条の(d)項にありますし、ですから何らかの形で、こう毎年厳しいやりとりの状況にならない、共通性を見出せる方向を一歩でも打開していくということが重要じゃないかと思うんですが、山村農水大臣ですか、行かれるときにはぜひそういう面でも、本来は例えば三年間、五年間という協定になればいいわけですけれども、なかなかそうならない段階でも、一歩でも歩み寄れるような、そういう打開の道をぜひ切り開いていただきたいと思うんですが、よろしいですね。
  71. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは農林水産省が中心でやっていただくわけですが、やはり私も農林大臣を経験したことから見まして、漁業協定を毎年毎年やっているということではどうもやはりいろいろと問題が多いわけですから、何とか一つ枠組みをつくりたい、そういうふうな気持ちは持っていますが、なかなかこれはソ連も容易にこれを認めるという状況にはありませんけれども、しかし非常に困難が予想されるこれから先の漁業交渉を何とか切り抜けていけるように、そして、漁業秩序が保て資源が確保できる、日本漁業者操業できる、こういう方向で、これから早目にやっぱり水産の責任者同士が話をしておくということは非常に大事なことだと私は思います
  72. 立木洋

    立木洋君 これ、ちょっと話が違うんですが、最後にこの点だけ。  大韓航空機の撃墜事件で、国会でも決議があるんですが、これはソ連との交渉の現状がどうなっているのか、あるいは遺族会からもいろいろと要望が出されてきていると思うんですけれども、そういう問題点でどういう状況にまでなっているのか、現状をちょっとお聞かせいただきたいんですけれども
  73. 西山健彦

    政府委員西山健彦君) 本件につきましては、三月に開かれましたいわゆる事務協議レベルでも我が方から本件については遺憾の意を表明して、ソ連側にこの点についての先方の態度表明を迫ったわけでございますけれども、御承知のようにソ連側は、これは自分の方の責任ではない、これはアメリカのスパイ活動の一部であるという趣旨のことを言い続けておりまして、全く論点がかみ合わないという状況のままに推移している次第でございます
  74. 秦豊

    ○秦豊君 最初に水産庁ですね、これは一つだけ伺っておきたいんですけれども日ソの魚の交渉は図式としては絶えず前年度比マイナスアルファ。当然裏返しとしてトン当たり単価が上昇する。恐らく今、大水産会社を含めて採算点に乗っている企業というのを探すのは難しかろうと思います。今後ともそうであろう、加速されるわけです。それで、企業にはよく損益分岐点というのがありまして、それがメルクマールになるわけだが、一体、さっきの次長のお話でもありましたように、二百万トン分の四万トンという遠洋の話があったでしょう。そうすると、これは今後の日本の水産漁獲高全体にとって不可欠のウエートなのか。  それから、今後とも資源の問題で一つのデータを見るレンズが違うわけなんですよね。だから、なかなか科学的客観性が貫けない、どうしても政治の立場があの体制上絡む、特にクレムリンは。となると、一つの純客観を貫けないという危惧も絶えずつきまとう。マイナスアルファをこの先一体、つまり我慢の限度ですね、なかなかこれは難しいと思うんだが、三万五千トンになったらどうかとか即断もできない。三万九千トンならとも言えない。けれども日本の水産業全体の中で四万トンというのは避けがたい、何としても三万九千トンであろうが忍耐の許容量をふやして今後とも維持すべき方向なのかどうか。あなたは魚一筋の次長で御専門だから、その辺のあなた自身のお考えを交えて一度伺っておきたかったんですがね。
  75. 尾島雄一

    政府委員尾島雄一君) 実は、二百海里時代に入りまして、ソ連漁業協力協定に基づいてサケマス議定書をつくって、沖取りをするというような段階になりましたときにまずソ連は、日本の沖取りというものは今後とにかく基本的には認めないんだという基本姿勢に実は立っているわけでございます。  一方我が国漁業の中で、今でこそ確かにおっしゃるとおり四万トンというぐあいに少のうございます。しかし、少なくとも日本北洋漁業というのは先人の開発した漁場でございまして、この漁場日本の特に北海道、東北周辺における地域経済に及ぼす影響が非常に大きゅうございます。そういうような地域経済のことを考えますと、単に数量の問題だけではなくて、やはり今後とも漁業というものについては存続をさせていく必要性がある、個人的な意見とおっしゃいますのでそういうふうに思うわけでございますが、現在沖取りでとっております以外では、日本では例えば日本サケマスの増殖が非常に進歩いたしまして、年々回遊が多くなっております。採捕する数も多くなっておりまして、現在では十一万トン、十二万トン近くにもなっておるということでございますので、数量的に見ればまさにそのようにウエートが少なくなっているわけですが、ただ沖取りでとっておりますサケマスには、日本の沿岸に回遊してくるシロザケだけではなくて、やはり非常に高価であると言われているベニとかギンとかマスノスケとかこのような高級な魚種が非常に含まれておるわけでございまして、これの確保ということはやはり日本の国民にとっても、食生活の向上という意味からいっても私は必要性があるというぐあいに考えております
  76. 秦豊

    ○秦豊君 けさ、たしか北海道として、道政の中の水産行政の一環として自主規制問題などという減船の報道がちらっと伝わりまして、これからどういうふうに波及するのかかなり心配な問題だと思いますが、欧亜局長ね、ちょっとサケマス日ソ漁業からはいきなり変わりますが、今度非常に御苦労願ったわけですが、今度のモスクワでの一連の話し合いの中で、外務省がベラヤチ・イラン外相来日の後に、たしか四月十四日だと記憶していますが、ソビエトとの間でもイラン・イラク戦争の処理について、できれば協議をする方向を目指したいというふうなコメントがありまして、今度の欧亜局長の訪ソの中でこの問題は出ましたか。
  77. 西山健彦

    政府委員西山健彦君) 私がソ連に参りました主要目的は、今後の対話の段取りを決めるということが主体でございましたので、個別の案件についての話ということはいたさなかったわけでございます。ただいまのお話はそういうことになるかどうかは別といたしまして、広く中近東の問題について、六月の下旬に協議と申しますか、意見交換を行おうという点について一致しておりますので、その中であるいは触れられるかもしれません。
  78. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、ちょっとこれ、お聞き取りいただきたい。私のこれは質問と提案なんですけれどもね。  最近のサミットがやや政治ショー化して、先進国の何か単なる会議、あるいは持ち回りの非常に義務化した側面が強くなった。サミットを見詰める途上国の目なんかにも痛切感が薄れてきたんじゃないかとさえ私は恐れているわけですよ。サミットというものが、国際関係枠組みの中ではやはり絶えず他の三十数億の民衆から注目されるというふうな熱っぽい役割を果たさなきゃいけない。それについて六月のロンドン・サミットで、ぜひ日本外交として提案をしていただきたいことがあるわけですよ。  それは、今サハラ砂漠以南の大干ばつ、飢饉という問題が、例えばモザンビーク等を中心にして餓死者は十万とも言われ、十七万とも言われ、飢餓線上が二千万人とも言われているわけですね。だから、一日に必要とするカロリーのほとんど半分にも満たないようなものしか摂取されていないという状態がヨーロッパのすぐ南側に大量に発生しているわけです。こういうふうな途上国の民衆の痛みを分かち合わないサミットというのも、私はかなりエゴイスティックではないか、幾ら高邁な理念を振りまいてもそのそしりは免れない。  そこで、ぜひ安倍外務大臣にお聞きとめいただいて、サミットの今回の首脳部の議題の中に対アフリカ緊急食糧、医療援助実施計画というふうなものを目指した提案をされて、日本がそのためにまず貯蔵米の中から緊急輸送をする、医療チームを送る、あるいは医薬品を急送するというふうな行動を先にとっておいて、ロンドンの会議場裏でそれを提案するというふうなことについて、安倍外交の中でぜひ私は高度な配慮として緊急提案をしていただきたいと思うのですけれども、基本的にどうお考えでしょうか。
  79. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) サミット議題につきましては首脳個人代表で今整理しておりますが、私はまだその詳細は聞いておりませんが、しかしいずれにいたしましても南北問題、これは大きな課題として当然出てくるのではないかと思いますし、債務累積の問題とか、あるいは今お話のようなアフリカにおける飢餓問題とか、難民問題とか、いろいろとこれは出でくるんじゃないかと思います。経済が中心のサミットでありますし、特にその中での南北問題、そしてまたこれは、今回も中曽根首相と一緒にパキスタンあるいはインドを回りましても、南北問題について、特に日本が旗を振って対話協力を推進してほしいというガンジー首相やあるいはハク大統領からの強い要請もありましたし、これは日本もかねてから熱心に取り組んできたわけですから、この問題は当然ひとつサミットで論議をしなければならない。そういう中にあって、今アフリカの問題については私もいろいろと考えておりますし、十分念頭に置きまして今後対応してまいりたいと、こういうふうに思います
  80. 秦豊

    ○秦豊君 大変まともな誠実な御答弁だと思いますが、サミットでもし完結をしなかった場合は継続にして、場は違っても、枠組みが違っても、秋の国連総会でも日本は新たにそれをめぐる先進国を先頭にした合意に何とかこぎつけて、そしてサミットの前にもできれば緊急援助ですね、これは食糧とか医薬品のまさに人道に直結した援助なので、格別な予算措置等輸送措置をとって、実行をしておいて提案するというふうなことを重ねて御配慮をお願いしたいんですが、大臣の答弁をお願いしてこの質問を終わりたいと思います
  81. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはやはり世界もいろいろと、特に先進国も国際責任として非常に重大な関心を持っておると思いますし、日本日本なりに今いろいろと計画といいますか救済のための措置について検討を進めておりますので、その結果があり次第発表し、そしてこの対策は進めたい、このように思います
  82. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 以上で質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  北西太平洋における千九百八十四年の日本国さけます漁獲手続及び条件に関する議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  83. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  85. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 民間航空機貿易に関する協定附属書の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします安倍外務大臣
  86. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ただいま議題となりました民間航空機貿易に関する協定附属書の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  民間航空機貿易協定は、民間航空機及びその部品等に係る世界貿易の最大限の自由化を図ることを目的とするもので、東京ラウンドの成果の一つとして昭和五十四年四月に作成されました。この協定は、昭和五十五年一月一日に発効し、現在、我が国を含む十六カ国及び欧州経済共同体が締約国となっております。  この協定の附属書は、無税または免税の対象となる産品の表を掲げておりますところ、これら締約国間におきましては、かねてより、この協定に基づいて、この附属書の内容を拡大することが検討されてまいりました。今般、締約国間で合意が成立し、民間航空機貿易委員会は、去る三月二十二日、全会一致により附属書の改正を決定しました。この改正につきましては、各締約国政府とも明年一月一日までにすべての締約国について発効することを強く期待しております。  我が国がこの改正を受諾することは、民間航空機貿易の拡大及び我が国航空機産業の一層の発展に資するとの見地から重要な意義を有すると考えられます。  よって、ここにこの改正の受諾についで御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします
  87. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会      —————・—————