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八百板正君 大事なことは、
日本の
林業というか、山に対して
活力がなくなっているという、
活力を与えるという
言葉をお使いになりましたが、ここが肝心なところですね、現在の
日本の山の問題は。早く言えば、外材を
外国から買った方が安いからどんどん買ってくる、それで
世界一の
木材輸入国、
世界じゅうの半分も
日本が買ってしまったと、こういうことになっているんですね。したがって、
日本の山は引き合わないから手をかけない、ほったらかしだと。しかし、
日本の
自然条件は
アジアモンスーンの湿気の多い、雨量の多い、適当な気候で自然繁茂すると、こういうことでほったらかしだけれどもとにかく幾らか伸びている。しかし、
活力を与えるためには山を
経営的に成り立つようにしなくちゃいけないわけでありまするが、
外国から安いのをどんどん買ってきましたから成り立たないと、こういうことになったんで、この点で
日本の農業をある
意味では解体的に持っていったと。小麦も大豆もかつて
日本ではあり余るぐらいであったものが、全部
輸入依存というようなのと同じ
一つのタイプになっておるわけだと思うんです。
それからまた、この
協定の中で
国際熱帯木林機関の設立、本部及び
構成というようなものがございます。それからこの十条に票の
配分、
付表Aは
生産国、
付表Bが
消費国側の
表決権の票の
配分というのがありますが、これを見まするというと、
日本が千のうちの三百三十票なんですね。これもなるほどなと驚いたんですが、欧州共同体の合計が二百七十七票です。第一位が三百三十票で
日本。第二位が欧州共同体の二百七十七。三位がアメリカで七十九。
この票の
配分にあらわれておるように、大変な
日本の
関係ですね。口は悪いけれども山荒らしの張本人は
日本だと、こういうことになるんですね。そして荒らされた相手方は、一番いろいろよい環境をつくりたいと心配しております
アジアの国々で、例えばちょっと
数字を見ただけでも、輸出のマレーシア五二%、
インドネシアニニ%というような
数字が出ておりますね。そして、もう丸太では売らぬと言われて、そう山を荒らされちゃ困るという国の批判が出ております。あるいは、
日本国と漁業
協定をするというと、海の物をかっさらっていかれるだけで自国の足しにならぬということで、漁業の権利金とかあるいは寄港義務とかというようなことに事寄せていやだと言われて、
インドネシアなんかからも断られておる。ルックイーストとかジャパン・アズ・ナンバーワンなんて
日本に目を向けて、
日本に見習えなんと言っておるマレーシアにしたって、
日本の経済進出には根こそぎにさらわれるだけでというような批判が出ております。
日本に学ぶ中進国の悩みがまざまざと出ております。
一つ注文なんですが、この第一章の第一条の(h)のところに、「生態学的均衡の維持」という
言葉を使っております。これをひとつ大事にしていただきたいと思うんですね、この
条約の中で。
最後に一言だけ質問というか
意見を申し述べておきます。この
協定は、商品を確保するという
立場を基本にしていますが、
日本は
日本自身の山を荒らしたことについて
日本自身に目を向けて、
日本国内の風土的な条件とかあるいは
日本の外貨の余裕とか先進国の
国際的役割というふうな点を
考えますというと、やっぱり高度の次元に立って、
日本が加害者的
立場を方向修正をしてしかるべきときに立っておる、こういうふうに私は思うんです。
国会の方でもって大局を見失なってはいけないと思うんです。
日本には軌道修正をするいわゆる余力があるんです。それをしないと、国際的な
世界の共存とか
日本の自立もやがて大きな破綻を招くことになりはしないかと、とがめが我が身に来る。
外務大臣というよりは、あわせて
日本の政治のあすを
考える者として、ひとつ
安倍晋太郎さんの御
見解をここで一言伺っておきたい、あすを
考える政治家として。答えにくかったら後で答えてもらってもいいですよ。