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1984-04-24 第101回国会 参議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十四日(火曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      福田 宏一君     夏目 忠雄君  四月二十四日     辞任         補欠選任      中西 一郎君     水谷  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         後藤 正夫君     理 事                 鳩山威一郎君                 宮澤  弘君                 松前 達郎君     委 員                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 水谷  力君                 久保田真苗君                 八百板 正君                 黒柳  明君                 和田 教美君                 立木  洋君                 秦   豊君    国務大臣       外 務 大 臣   安倍晋太郎君    政府委員       外務大臣官房長   枝村 純郎君       外務大臣官房審       議官        山下新太郎君       外務大臣官房審       議官        都甲 岳洋君       外務大臣官房外       務参事官      斉藤 邦彦君       外務大臣官房領       事移住部長     谷田 正躬君       外務省アジア局       長         橋本  恕君       外務省中近東ア       フリカ局長     波多野敬雄君       外務省経済局次       長         恩田  宗君       外務省経済協力       局長        柳  健一君       外務省条約局長   小和田 恒君       外務省国際連合       局長        山田 中正君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    国立国会図書館側        総 務 部 長  三塚 俊武君        連 絡 部 長  田邊由太郎君    説明員        防衛施設庁総務        部施設調査官   平   晃君        外務省国際連合        局審議官     遠藤 哲也君        林野庁林政部林        産課長      三澤  毅君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○千九百八十三年の国際熱帯木材協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  ) ○出版物国際交換に関する条約締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国家間における公の出版物及び政府文書の交  換に関する条約締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十日、福田宏一君が委員辞任され、その補欠として夏目忠雄君が選任されました。     —————————————
  3. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 千九百八十三年の国際熱帯木材協定締結について承認を求めるの件、出版物国際交換に関する条約締結について承認を求めるの件、国家間における公の出版物及び政府文書交換に関する条約締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  三件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 松前達郎

    松前達郎君 国際熱帯木材協定について質問させていただくのですが、その前に、今ちょうど進行中の日ソサケ・マス交渉についての経過、新しい情報が入っていましたらひとつ御説明いただきたいんですが。
  5. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) 本年のサケ・マス交渉は、御案内のようにかなりおくれて二十日から始まりまして、土曜日、日曜日も会談をいたしましたけれども、今までの結果、かなりソ連側が昨年の北洋操業において日本側の違反が多かったということを理由に挙げまして厳しい態度で臨んできております。そういうことで、漁獲量におきましてもかなり双方が示した数字にまだ開きがございますし、それから取り締まりの条件等においてもかなり厳しい提案をしてきております。そういうことで、現在まだ新しいめどが立っておりませんので、本日、水産庁長官が訪ソたしまして、高いレベルで少し交渉妥結を図ろうということで出かけられるところでございます。
  6. 松前達郎

    松前達郎君 交渉ですから、見通しはつかないと思いますが、何回もやっていますから今までの状況から判断されて、長官が行かれると何とか妥結といいますか解決できそうですか。
  7. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) それをめどにして長官がきょう出かけられるわけでございますけれども、長官が着きまして先方と話し合いをしてみなければどのような展開になるか、ちょっと今のところ見通しが立たない状況にございます。
  8. 松前達郎

    松前達郎君 それでは、国際熱帯木材協定に関連して質問させていただきたいんですが、まず最初に森林の保護に関する問題ですね。これについて、森林が次第に減少して砂漠化が進むとかいう問題が非常に今取り上げられているわけなんですけれども、この森林減少原因というのはどういうところにあるか、その辺はどういうふうにお考えになっておられるか伺いたいんですが。
  9. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) アメリカ政府昭和五十五年に発表しました「西暦二〇〇〇年の地球」という資料がございまして、その資料によりますと、ソ連、ヨーロッパ、北アメリカ等先進国地域における森林、これは針葉樹林でございますが、それは減少がない、そういう傾向が余りない、しかしながら、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ等にある熱帯雨林減少は激しい、こういうふうに報告しております。  数字で申し上げますと、熱帯雨林は毎年千八百万から二千万ヘクタールの程度で減少していて、そめために西暦二〇〇〇年には現在の森林面積熱帯雨林の四割ぐらいが減っちゃうのじゃないか、なくなってしまうんじゃないか、こういうことでございます。  先生指摘のように、ですから森林地帯減少しつつあるというのは熱帯雨林でございますが、熱帯雨林減少原因というのは主として焼き畑農業放牧、それから薪炭材料採取ということで、森林地帯に住む人々の生活に密着した形での森林消滅が一番大きい原因になっている、こういうふうに考えられます。それでまた同時に、熱帯雨林というのは技術的に造林が非常に難しゅうございますので、そういう理由でも造林というものがなかなか進まない、こういうのも原因ではないか、かように考えられます。
  10. 松前達郎

    松前達郎君 この熱帯地域における森林減少についてはこれは後でまたお伺いしたいんですが、木材伐採の問題が大分挙げられているんですね。これは今はどうかは知りませんが、かつては我が国森林ごと買ってそれを伐採して輸入をするという、そういうのも対象になって非難があるようにも見受けられるんですけれども、それと同時に砂漠化というものが進行している。これは熱帯地方の問題じゃなくて、例えばアマゾンとか南米あたりの問題だろうと思いますが、こういった砂漠化についてやはりいろいろなところで議論がされていると思うんですけれども、この進行状況ですね、これについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  11. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 砂漠化の問題につきましては、国連がこの問題に大変関心を持っておりまして、数年前になりますが、一九七七年に砂漠化防止行動計画、こういうのをつくりまして、それ以来砂漠化の問題に関する研究をやっておりまして、本年の二月に出したレポートの数字によりますと砂漠化が非常に多く進んでおる、こういうことでございます。  概略御報告しますと、現在砂漠化した地域陸地面積の三五%に及んでおる、人口の二〇%が砂漠化の脅威にさらされている。特にチャド、モーリタニア、マリ、ニジェール、セネガル、ソマリア、スーダン、ナイジェリア等、サハラ砂漠の南部周辺部でこれが特に深刻に進んでいる、こういうことでございます。砂漠化が脅かされているこれらの土地のうち七五%、人口の六〇%が既に環境悪化の影響を受けていて、それらのうちの四分の一ないし半分が深刻な状況に陥っている、こういう報告でございます。砂漠化進行度合いというのは年間六百万ヘクタールの割合で進んでいるということでございます。  砂漠化原因でございますが、これは乾燥地域等においてやはり焼き畑であるとか薪炭採取、それから放牧、特にサハラ地方は牛、その他動物に依存した生活をやっておりますので、その過度の放牧によるものと人為的な原因、そのほかに気候的変動での干ばつ等による原因であると言われていますが、まだ研究が十分進んでおりませんで、いかなる原因でいかなる状況でやっているかということについての確定した調査研究はまだないというのが状況でございます。
  12. 松前達郎

    松前達郎君 一九七七年に、これはケニアのナイロビ国連砂漠化会議というものが開催されているわけですね。それで、その内容として、どんどん砂漠化進行する内容について、今おっしゃったような牧草地の荒廃の問題ですとか、あるいは燃料ですね、燃料として使う問題、これは森林も関係ありますけれども、その他いろんな原因が挙げられているんですね。今のお話のように国連の方も努力をして、どういうふうにしてこれを解決するかという問題に取り組んでおられるんですけれども、なかなかどうも進行しないというふうに私聞いているんですが、それと同時に、国連環境計画UNEPというんですか、これもストックホルムで決議されていろいろと人間環境に関しての問題を取り上げておられると思うんですけれども、その点を全体展望して、国連の取り組み方も含めてどういう状況なのか、それをひとつお聞かせいただきたい。
  13. 遠藤哲也

    説明員遠藤哲也君) 今、先生が御指摘のとおり、五十二年にナイロビ砂漠化防止行動計画が採択されたわけでございますけれども、どうも残念ながらその後も依然として砂漠化進行が行われておるということで、国連もこういうことではいけないということで、実はことしの五月、来月でございますけれども、来月にUNEP管理理事会ナイロビで開かれる予定になっております。そこで、その管理理事会におきまして、昭和五十二年に採択されました行動計画の評価の審議というものが行われる予定になっておりまして、これを踏まえまして今後どういうふうに対策をとるべきかという点について議論が行われることになっておりまして、日本も本理事会には積極的に参加していきたい、こういうふうに思っております。
  14. 松前達郎

    松前達郎君 そこで、これらを解決するのはこれは大変なことだと思うんですけども、やはり正確な情報が必要じゃないかと思うんですね。いろんなことを言われているけれども、例えば焼き畑農業が必ずしもそれがすべて悪であるとかそういうことではなさそうだという考え方もあるわけですね。だけれども、いずれにしても地球全体を展望する正確な情報というものをとらなきゃいけない、こういうふうに私は思うんですね。  それで、その方法として例えば技術的指導をやるとか、あるいはその他経済的な援助をやるとかそういう方法もあるかもしれませんけども、もうちょっと基本的に情報を集める点で、まずそのスタートから情報を集めていくというのが一つあるんじゃないか。これはこの前もここで申し上げたんですが、例えば人工衛星を使って毎年変化する森林状況を見ていこう、例えばカリマンタンあたりでもそういう手だてをやっているわけなんですけども、我が国の方として国際交流を進めながらそういう方向を打ち出していくというのはいかがでしょうか。
  15. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 森林減少していくという問題についての対処には国際的な協力とそれから二国間の協力というのがあると思うのでございますが、国際的協力の主な柱をなすのは、先ほど遠藤審議官の方から申し上げました国連関係機関を中心とする活動であろうかと思います。国連環境機関における活動はもう既に数年行われているわけでございますが、ただいま御審議いただいております国際熱帯木材協定も、主要な目的は木材の安定的な価格とそれから供給の安定を図る問題でございますが、同時に、供給の安定という面から森林状況情報を把握する、また森林保全のための研究を進めるということをやることになっております。これも一つ国際協力の形態がというふうに考えられます。日本熱帯木材に非常に依存することが大きい国でございますので、この協定を通じてもやはり協力を進めるべきかと考えております。また、二国間関係でもいろいろな技術協力専門家派遣等をやっておるわけでございまして、その詳細等についてはまだ御報告申し上げることができるかと思いますが……。
  16. 松前達郎

    松前達郎君 ですからそこで、これは私自身も関与した問題なんですけども、一九七四年にはインドネシア調査リモートセンシングテクノロジーを導入してやったんですね。それから一九八〇年にはフィリピン、タイ、マレーシアなども国際協力の一環としていわゆる人工衛星を使った情報収集、これらをやってきている。それから、また同時にカナダとか西ドイツ、アメリカなども早くからそれらの国に対するこの対策についての技術援助をやっているんですね。人員も派遣していますし、機材も提供しているわけなんです。ですから、マクロな視野からまず検討するということですね。これは日本としてできるはずなんですね、科学技術分野を応用していくということは。  ですから、一つの例を挙げますと、そういったリモートセンシング技術というものを提供していくということも国際協力として非常に重要だろうと私は思うんです。その協力体制として、単なる経済援助とか専門家派遣だけではなくて、技術協力という形で今のリモートセンシングテクノロジーなどの協力をすると非常に喜ばれるといいますか、長い目で見て非常に大きな成果が出るんじゃないかと私は思うので、この辺、従来の協力では十分じゃないと思いますから、日本独特のそのテクノロジーを持っていけるということですね、これをひとつ頭に置いて今後やっていただければ非常にありがたいと私は思うんですけども、その点はいかがですか。
  17. 柳健一

    政府委員柳健一君) 政府べースの二国間での林業分野協力というのはいろいろやっているわけでございますが、ただいま先生の御指摘になりましたリモートセンシングというのはまだそう広範にはいたしておりませんが、一部ではやっておりますし、今後御指摘のとおりこういう分野についてもさらに一層積極的に推進してまいりたいと、こう思っております。
  18. 松前達郎

    松前達郎君 この技術森林関係ですね、森林調査、それから農業生産の問題とかこういうものが一番有効的なんですね、一番効果的に出てくるわけですから。その辺、お考えいただければいいんじゃないかと私は思っております。  さて、そこで今度は我が国木材輸入の問題なんですが、どうも日本木材をどんどん輸入するから森林がどんどん減少していくというふうな意見が一部にはあるようですけども、私は必ずしもそうじゃないと思っているんですね。この点はいかがですか。最近の木材輸入量の動向から見ましてどういうふうな状況にあるか。これは林野庁の方がお見えでしたらお願いしたいと思います。
  19. 三澤毅

    説明員三澤毅君) 熱帯木材輸入状況について御説明申し上げたらよろしいかと思うんでございますけれども、熱帯木材戦前からずっとやっていたわけでございます。実際のやり方は、我が方の商社等現地におけるいわゆる伐採搬出業者、それからくるところのいわゆるジッパーと称している輸出業者ですね、それから買う、こういう形で実際の取引は戦前から行われておりますが、特に三十五年ごろから非常にふえてまいりまして、昭和四十八年に約二千七百万立方、これを記録しております。それで、我が国木材輸入総量の約五割という状況になりました。しかし、その後は住宅建設の不振、それから非木質材料、そういうものが出てきてそういう競合もございまして、木材需要がどんどん減っていく、こういう状況になっております。それからもう一つ産地国におきましても資源の減少というようなことがありまして、丸太での輸出を規制しよう、こういう動きが出てまいりまして、特に最近は熱帯木材丸太での輸入というのは減少しているわけです。  ちなみに昭和五十八年を見ますと、先ほど二千七百万という数字を申し上げましたけれども、これから約半分になりまして約千四百万立方、こういう状況になっております。しかし、発展途上国におきましても製品輸出は増大させたいという期待を持っておりまして、製品輸入量は全体的にやや増加傾向、こういう状況でございます。  それで、若干国別に見ますと、ほとんどASEAN諸国からでございますけれども、フィリピンからの輸入というのは当初非常に多かったわけでございますけれども、先ほど申し上げました資源的な制約、輸出規制、こういうものから大幅に減少しております。それから、インドネシアにつきましては御高承のとおり、丸太禁輸政策を一段と強めておりまして、八五年からは全面禁輸というような政策を打ち出しているところでございまして、現在、マレーシアのサバ州、サラワク州、いずれもボルネオ島にある州でございますけれども、そのシェアが極めて高い、こういう状況になっております。  そこで、これらの木材輸入そのものが要するに山を荒らしているんではないかという御議論に対しましては、それは全然ないとは申しませんけれども、実際の森林伐採は択伐状と申しまして、現地で抜き切りするわけでございます。といいますのは、ラワン等の有用な樹種というのはそうたくさんあるわけじゃございませんで、かなり散らばった状態にあるものですから、それを一本切っては引っ張り出す、こういう状況で実は集めております。したがいまして、問題はその後の造林、これも一応小径木を残すという形でそれぞれの国の政府は許可しているわけでございまして、小さい径の木は切らないようにということでやっているのでございます。  そこで問題は、そうした後、山火事が入りやすいとか、あるいは若干搬出路がつくとかそういう状況はございますけれども、世に言われるように森林破壊伐採そのもの森林破壊というようなことは少しいかがかと私も思っております。     —————————————
  20. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、中西一郎君が委員辞任され、その補欠として水谷力君が選任されました。     —————————————
  21. 松前達郎

    松前達郎君 今お伺いしますと、木材輸入の数量は全体的に見てどんどん減っているという状況ですね。そうなりますと、かつて日本が全部荒らしているんだというふうなそういう意見というのは、現時点ではそういうものは問題はなくなりつつある、そういうふうに解釈していいんじゃないかと私は思うんですけれども、そういう中で、今回熱帯木材協定というのが今ここで論議されているわけですが、そうなりますと、この木材協定の事務所というんですか何というんですか、これをどこに置くかという問題も出てまいりますね。日本として、我が国としての動きといいますか、この本部の設定に関して何か動きをされているかどうか、その点をお伺いしたい。
  22. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 熱帯木材協定によって創設されます熱帯木材機関、これの本部協定が発効した後の第一回の理事会で決定する、こういうことになっております。  現在のところ、本部誘致関心を示している国は我が国のほか、英国、フランス、ベルギー、オランダ、ギリシャ、それから生産国としてインドネシア、合計七カ国が本部誘致関心がある、かような状況になっております。  我が国も第一回理事会を目指して、現在、首都圏ということで各国の支持を求めている状況でございます。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 この点はひとつ、余り引け目がない状況になっていますから何とか実現できればと思うんですけれども、努力していただければと思います。  さてそこで、ちょっと話ががらっと変わるんですが、大韓航空の問題なんですね。以前の委員会で質問さしていただいたんですが、そのときは時間がなくて御回答がなかったわけなんですが、その後、この大韓航空の問題はまだ処理が完全についていないわけですね。遺族の皆さんに対する問題等もあると思います、これは日本の方も含まれておるわけですから。その後、この動きについて何か外務省情報が入っていますか。
  24. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) 大韓航空機事故の問題につきましては、ソ連側に対しまして、従来からソ連側本件につきまして誠実な対応を示すようにということを機会あるごとに申し入れてきているわけでございますけれども、先般、三月の中旬にモスクワで行われました日ソ事務レベル協議におきましても、我が方から、再び我が方の基本的な立場先方に申し述べますと同時に、遺体遺品等で追加的なものがあればそれを引き渡してほしいということ、それからさらに、本件犠牲者の家族が、一周忌に際しまして墜落現場を訪れたいという希望を有しているのでこのことを伝えまして、ソ連側に善処を求めたということがございます。  それに対しまして、基本的にはソ連側は、本件は米国がソ連領内スパイ機を送り込んだ事件であるという基本的な立場を崩しておりませんで、その見地からの応酬が繰り返されましたし、それから遺体遺品の追加的な引き渡しについては特に反応がなかったわけでございますけれども、ただ、一周忌に際しまして遺族現地を訪れたいという希望につきましては、そういう申し出があれば、これを真剣に検討してみたいという反応がございました。  以上が日ソ関係の中におきます本件につきましての最近のやりとりでございます。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 この大韓航空機撃墜事件については、大韓航空機事故遺族会というのがありまして、これについて私どものところにもいろいろと要望なり主張なりが参っておるわけなんですね。  これによりますと、ソ連がミサイルで民間機を撃墜したことは、これは人道的な面から見てけしからぬことである。それと同時にもう一つは、アメリカ側情報を握っているにもかかわらず、侵犯をどんどんしていくのに対して何らの警告を与えなかったのもけしからぬ話である、こういうふうに両国に対しての一つ考え方を打ち出してきているんですね。それで恐らくソ連は、スパイ機であるといえ考えであろうと思うのですが、しかしそれは議論していても、幾らたってもこれは解決にならない。結果として起こったわけですから、これを一体どういうふうに御遺族希望をかなえていくかという問題をやはり日本側としてはとってあげるのが当たり前じゃないか、こういうふうに思うんですね。ですから、原因とかその問題についてはここではいろいろと議論はしたくないと思うんですけれども、最近、韓国が民間航空機の安全に関する問題で提案をしようというふうな、きょうあたりの報道に出ておりますけれども、それも、民間航空機を撃墜するということはけしからぬ話であると、これは当然ですね。そして、侵犯をした航空機に対する対処としては強制着陸といいますか、これを行うべきであると。それがとれる手として一番最終の手であると。ところが、着陸しなかったらどうするんだということなんですね。撃墜していいのかということになりますから、その辺で解決できる問題じゃなさそうなんですね。やっぱりもっと軍事的な問題が含まれていますから簡単には処理できない問題だと思いますけれども、今のお話にございましたような、御遺族現地へ一周忌に行きたいという御希望などをかなえる、これもまた一つの我々日本側としての努力だろうと思うんです。これはひとつ強力に推し進めていただきたいと思うんです。  これから先いろんな問題があると思いますけれども、しかしそういった問題、あと大韓航空と御遺族との間で賠償の問題とかいろいろあるかもしれませんが、これは我々が関与する範囲じゃないと思いますからここでは申し上げませんけれども、今申し上げたようなことでひとつ御尽力いただければと、これをお願いしておきたいと思います。  あと質問さしていただきたいこともあるんですけれども、時間的にちょっと始まるのが遅かったものですから、私の質問はこれで終わらしていただきまして、次回以降、その他の条約あるいは一般の問題についてこの二十六日にまた質問を続けさしていただきたい、こう思います。
  26. 和田教美

    ○和田教美君 私は、今議題になっております出版物国際交換に関する二つの条約について御質問したいんですけれども、その前に、二十二日、パリ郊外で起こりました日本のソニーの子会社ソニー・フランスなど二カ所での爆発テロ事件、これについてちょっとお尋ねをしたいと思います。  爆弾のテロ事件というのは最近ヨーロッパでは別に珍しいことではございませんし、二十日の夜にはロンドンのヒースロー空港でも爆発、爆弾事件が起こっております。しかし、パリでは日本の関係施設や日本企業への犯行は近ごろ余りなかった、ほとんどなかったわけでございまして、それだけに我々も非常に関心を持つわけでございます。しかしまだよくわからない点がございまして、AFP通信に対して犯人が無政府主義者グループと名乗ったというふうな報道もございますが、一体その無政府主義者グループとはどういうことなのか、また日本人が関係があるのかどうかいろいろわからない点があるわけでございますが、その辺について外務省情報をとっておられると思いますが、今までわかったところをひとつ御報告を願いたい。  それからもう一つ、今後こういう事件が起こるということを十分覚悟しなければならないと思うので、外務省として在外公館あるいは海外在留の日本人あるいは日本企業などにどういう対策ないし要望を指示しておられるか、その辺もお伺いしたいと思います。
  27. 谷田正躬

    政府委員(谷田正躬君) 二十二日の早朝に起きましたパリにおける日本との関連のある企業の爆弾事件につきましては、パリの捜査当局から我が方の出先大使館に対して情報、連絡がございまして、我々といたしましては二十三日にこの情報を把握しております。  この事件内容、背景等につきましてはただいまフランスの捜査当局が鋭意活動を進めておるところでございまして、その原因の方は、はっきりこの点につきましてはまだ今後のフランス当局の活動の成果にまたなければなりませんけれども、我々といたしましては、とりあえず大使館ではこの情報をパリにございます日系企業には直ちに通告いたしまして注意喚起いたしますとともに、フランスの当局に対しまして、これに対して今後警戒を厳重にしてもらうように、それからこの事件の捜査につきましてはこれを鋭意行って、日本側にも情報を提供してもらうように申し入れ済みでございます。
  28. 和田教美

    ○和田教美君 ヨーロッパに起こった事件という意味で、もう一つ参考のためにお尋ねしたいんですけれども、例のロンドンのリビア人民代表部前で起こりました発砲事件、これがついに発展いたしまして、イギリス政府がリビアと外交関係の断絶、大使館員の退去というところまで発展をしたわけでございますけれども、結局大使館員の退去ということになりますと、リビアのその人民代表部の中にいたと思われる犯人は結局そのまま国外に退去するということになるわけでございまして、その辺でイギリスの新聞などは相当いろいろと書き立てているようでございますけれども、日本外務省として、こういう形で問題を一応とにかく解決するといいますか前進させるということは、国際慣例から見て、まずイギリス政府としては妥当なやむを得ない措置であるというふうにお考えなのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  29. 都甲岳洋

    政府委員都甲岳洋君) 本件は四月の十七日にロンドンで起こった事件で、御案内のとおりの事件でございますけれども、その後イギリス政府といたしましてはリビア政府側と鋭意交渉して、これを外交的に解決すべくやったわけでございますけれども、結局リビア側の態度はかたく、この事件を大使館の中に入って解明するということはとても無理だという結論に達したものでございますから、外交関係を断絶するということにいたしまして、それでリビアの外交官あるいは内部にいる人たちを退去させるという事態に至ったわけでございます。このような事態に至ったということ自体は非常に残念ではございますけれども、イギリスの国内におきましても、このような交渉を尽くした結果の措置として今回のような事態に至ったことについてはこれはやむを得ない措置だということで、政府を支持している世論がかなり強いようでございます。私どもも非常にこれは残念だと思いますし、それから、外交特権の乱用というのは許されるべきではないと思いますし、本件のような場合に、双方が冷静に話し合って問題を解決するということが当然一番望ましい形ではございますけれども、今回の事態の経過に徴しまして、ある程度やむを得なかったのではないかという考えをとっております。
  30. 和田教美

    ○和田教美君 それでは、出版物国際交換に関する条約、それから、国家間における公の出版物及び政府文書交換に関する条約、この二つの条約についてお尋ねいたします。  二つの条約とも昭和三十三年のユネスコ総会で採択された条約であります。そして、昭和三十六年に効力を生じております。それから数えますと既に二十三年たっておるわけでございますが、日本政府はなぜ今ごろになってほこりを払ってこれを、とにかく参加すると、結ぶという気持ちになったのか。何かごの出版物国際交流というものを飛躍的に増大させようというような意図があっておやりになるのか、その辺の事情をお聞かせください。
  31. 遠藤哲也

    説明員遠藤哲也君) 和田委員指摘のとおり、発効後二十三年たっております。実は、この条約につきましては、採択されました時点からその趣旨は非常に結構である、なるべく早く本件条約締結をしたいと、こういうふうに思っていたわけでございますけれども、その最初の段階ではまだ締約国の数も少なく、また各国の実施状況等もわからなかったというようなことが一つ、それから実際上、実はこの条約がなくても国会図書館等を通じまして、現実にはかなりの交換が行われてきているわけでございます。したがいまして、そういうふうな状況でかくも長い時間がだったことは非常に申しわけないと思っております。  しかしながら、他方、やはり実際上行われております図書の交換にいわゆる国際的な枠組みをまた与えたい、その枠組みを通じて図書の交換についてもう一層のはずみをつけたいということ、それから、実は再来年でございますけれども、日本で国際的な図書館の連盟の大会が行われて、そこにたしか千数百名の関係の方々がおいでになるということを承知しておりますけれども、そういったようなこともございまして、非常におくれて申しわけなかったのでございますけれども、この機会にぜひこの条約に入りたいということで今日御審議を願っている次第でございます。
  32. 和田教美

    ○和田教美君 今の答弁にもございましたように、別にこの条約に入らなくても国際交換というのはどんどんできるわけで、現に各省がそれぞれ外国の役所と文書交換もしたり、民間でも出版物交換というのは盛んに行われておるわけでございますが、しかし今の政府関係の国際交換というものの主体は恐らく国会図書館が担当しているだろうと思いますが、国会図書館の方いらしていますか。——大体国会図書館で現在どのくらいの国と交換をしているのか、それから各国との交換の数は一体どのくらいなのか、これは一年間の集計で結構でございます。あるいはまたそのための予算がどのくらいついているのかお知らせください。
  33. 三塚俊武

    ○国立国会図書館参事(三塚俊武君) 当館の現在の国際交換業務には、当館がみずから行う交換とそれから受託交換がございます。  まず、当館が行う交換でございますが、主として国立国会図書館法第十章の規定によりまして納入される政府出版物を海外に送付しております。米国議会図書館等十一機関に対しましては我が国政府出版物の主要なものをセットに組んで送付いたしております。また、見返りに相手国政府出版物の主要なものを受領しております。その他の諸機関とは、当館と相手機関との間で合意した出版物を選択的に交換しております。これらの交換相手機関は、国際機関を含めて百九カ国、六百九十三機関に達しております。昭和五十七年度には、当方から図書二万四千四百九十一冊、雑誌八千二百五十九部、地図千八百四十二枚等の資料を送り、外国からは、図書二万六千五百十冊、雑誌三千六百三十七部、地図千二百三十五枚等の資料が送られてきております。この国際交換により収集される出版物は当館の収集する外国出版物の約四割を占めておりまして、その圧倒的大部分が公の出版物であります。  次に、受託交換でございますが、内外の学術研究機関、図書館等が国際交換を行う際に当館はその仲立ちをいたします。国内の学術研究機関、図書館等から委託された資料を外国の交換先に送る一方、同じようにして送られてきた資料を受け取った後、国内の学術研究機関、図書館等へ送付しております。昭和五十七年度には、外国の交換機関あてに四万二千百四十包みの資料を送り、外国から当館を経由し、もしくは交換機関に直接ほぼ同量の資料を受領しております。  これらの交換資料を送付する予算でございますが、当館の図書館資料の購入予算の中に計上しております。昭和五十九年度で申しますと六百六万円でございます。  以上が当館の国際交換の実情のあらましででございます。
  34. 和田教美

    ○和田教美君 その六百六万円というのは書籍を買う金も含めて、輸送費も全部含めてですか。
  35. 三塚俊武

    ○国立国会図書館参事(三塚俊武君) これは送料を主としております。
  36. 和田教美

    ○和田教美君 そうすると、書籍の金はどこから出てくるのか。
  37. 三塚俊武

    ○国立国会図書館参事(三塚俊武君) 書籍の金は購入予算の中に別個計上してございます。
  38. 和田教美

    ○和田教美君 国際交換をしているいろんな書物だとかあるいは雑誌だとかその他写真だとかそういうものを、仮に、西側とそれから発展途上国と共産圏とに分けまして、大体いずれも相互交換が順調にいっているんですか。
  39. 田邊由太郎

    ○国立国会図書館参事(田邊由太郎君) お答えいたします。  西側諸国、共産圏諸国、それから発展途上国という分け方が必ずしも明確にできない国もございますので、便宜区分してお答えいたしますことをお許しいただきたいと存じます。  まず、単行図書と定期刊行物に分けて申し上げます。  単行図書は、先ほど出てまいりましたように二万六千五百十冊を昭和五十七年度におきまして受け入れております。そのうち、西側諸国から受け入れましたものは二万六百七十二冊ということで七八%になります。それから、共産圏諸国から受け入れましたものは二千二百七十六冊、八・二%でございます。それから、発展途上国から受け取りましたものは千八百六十七冊、七%となっております。  また、これに対しまして当館の側から送付いたしました総数は二万四千四百九十一冊ございますが、そのうち西側諸国に送りましたものは二万五百二十五冊、八三・八%になります。それから、共産圏諸国には八百五十冊、三・五%、発展途上国には二千七十冊、八・五%となっております。  次に、定期刊行物の交換でございますが、受け入れ総数三千六百三十七タイトルございますが、そのうち西側の諸国からは千五百六十五タイトル、四三%を受け入れております。共産圏諸国からは千五十一タイトル、二八・九%、それから、発展途上国からは七百五十三タイトル、二〇・七%を受け入れております。  これに対しまして当館から送付いたしました定期刊行物は、総数が八千二百五十九タイトルございますが、このうち西側諸国には五千九百九十一タイトル、七二・五%、共産圏諸国には八百七十四タイトル、一〇・六%、発展途上国に対しましては九百九十三タイトル、一二%となっております。  以上でございます。
  40. 和田教美

    ○和田教美君 大分時間がたってきましたので簡単にお答え願いたいんですけれども、どうも私聞きましたところ、一般出版物交換について大体購入する数量、価格のバランスを相手国ととっていると、そういう話も聞いたんですけれども、今のお話でも発展途上国というのは非常に数が少ないですね、こっちから送り出すのも。いわゆるバランスをとって交換するということであれば、発展途上国なんていうのはほとんど数は少なくなるのは当たり前なので、これは何といいますか文化協力というような立場から見ても、採算を度外視してこちらから一方的にどんどん送ってやるというふうな政策考えるべきじゃないかと思うんですけれども、その点は外務省の方、どうでしょうか。
  41. 遠藤哲也

    説明員遠藤哲也君) 先生指摘の点は基本的にはそのとおりだと思います。例えば、この条約も実はまだ我が近隣諸国であるアジア諸国から加入しているところはかなり少ないんでございますけれども、この条約に加入しました暁には、なるべく多くのアジア諸国にもこの条約に入っていただいて、これをきっかけにしましてそういったように相互交換ができれば相互交換という形に持っていきたいと、こういうふうに思っております。
  42. 和田教美

    ○和田教美君 議題についての質問は終わります。  日米安保関係の質問を一、二したいんですけれども、まず第一に、一部の報道でございますが、原子力空母エンタープライズが今月の二十五日ごろ横須賀に入港するんではないかという報道がございました。私もいろいろ調べてみたんですけれども、どうも現地の話によりますと、このエンタープライズは、この報道によりますと今度長期間ドック入りするためということなんですけれども、そのエンタープライズの入り得るようなドックは今修理中なのでどうもおかしいんじゃないかというような見方もございましたが、二十五日というとあしたでございますから、二十四時間前には通告があることになっておるわけですが、外務省に何かそういう通告がございますか。また、どういうふうに判断をされておるか。
  43. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) ただいま御質問いただきました点は、先週四月二十日の読売新聞の朝刊との関連でお聞きになったのかと思いますけれども、私どもといたしまして、エンタープライズが日本に寄港する予定があるということは何ら聞いていない次第でございます。
  44. 和田教美

    ○和田教美君 その二十五日前後というのは仮にそうではないとしても、近くそういう希望を持っておると。佐世保には入ったことがあるんだけれども横須賀には入ったことがないわけですね。もし横須賀に来るという希望があるとすればいろいろな問題が起こってくると思うんですが、その辺はどうですか。
  45. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) ただいま申し上げましたとおり、どうもこの報道の根拠がどこにあるのか私どもちょっとわからないというのが正直なところでございます。  現実にそれでは入ることがあるのかという点なんでございますが、一般的な形でも一切そういう話は私どもアメリカ側から聞いていない次第でございます。もしそういうような、エンタープライズ等の寄港といったようなことが米側から何らかの形で意図表明等がございましたら、申し上げるまでもなく、政府としましては安保条約によるその関連取り決めに従いまして対処する、こういうことになるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、何の話も聞いていないというのが現状でございます。
  46. 和田教美

    ○和田教美君 次に、東京防衛施設局長が、去る十八日ですか三宅島に行きまして三宅島の村長に、例のアメリカの空母の、艦載機の夜間発着訓練の代替基地を三宅島に建設したいから協力してくれということを要請したけれども、村長から断られたという報道がございます。  ミッドウェーが横須賀を母港化いたしまして、最初は三沢とか岩国を発着訓練基地に使っていたんですが、遠いというので最近は厚木基地を使っておるわけでございます。ところが、厚木基地の周辺で騒音公害が盛んに問題になりまして、アメリカ側も何か代替基地をとにかく早くつくってくれということを言っておるわけで、ワインバーガー国防長官が今度来るときもそれが議題になるという話が出ておりますけれども、防衛施設庁の方にお聞きしたいんですが、どうも報道によりますと、三宅島一本に絞ってぜひ代替基地をつくりたいというふうなことが報道されておりますが、そういう考え方なんですか。それとも、要するに選択の一つとして三宅島ということが出てきておるのか。それ以外の選択肢としてどういうことが考えられるのか。私は神奈川県に住んでいるから厚木に時々行くんだけれども、大変な騒音公害なんですよね。ですから、どこへ持っていっても騒音の問題というのは解決しないと思うので、アメリカ側に、夜間発着訓練というのを少し自粛する、自制する、やめるというふうな形での交渉というのはできないものかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 平晃

    説明員(平晃君) ミッドウェー入港時に、三沢、岩国とともに厚木飛行場においても夜間の着陸訓練を実施しているわけでございます。  この騒音問題は大変大きな社会問題になっておりますので、厚木飛行場周辺における騒音の緩和を図る、あわせて米軍のパイロットの訓練が十分円滑にできるような代替施設を見出したいということで、私ども従前から、まず既存の自衛隊等の飛行場に分散して訓練ができないかというような調査、それから新しい訓練場を取得できないかという適地の調査、それから三つ目に、浮体飛行場というものについての資料の収集ということを従来からやってきております。いずれもいろんな問題点がございまして、いまだ特定できる段階に、どうするというような方針が決められるような段階に至っておりませんけれども、厚木飛行場における訓練の騒音影響というものは大変大きゅうございますので、厚木飛行場に関しては訓練時の騒音規制の取り決めが日米間にございます。その騒音規制を十分守るように、また、なるべく地元周辺に大きな影響を与えないようにいろいろ日米間で調整しながら実施している状況でございます。  ただ、この夜間着艦訓練というのは、艦載機のパイロットの練度を維持する上において必要不可欠なものであるというように承知しているわけでございます。
  48. 和田教美

    ○和田教美君 基地問題というのはこのところ余り大問題になっていないわけですけれども、とにかくこういうものをうまく処理しないと、またそれが非常に大問題になるという可能性をはらんでおるわけで、慎重の上にも慎重に対処していただきたいと思います。  そこで、時間もなくなりましたので外務大臣に最後に一つお伺いしたいんですけれども、レーガン米大統領が中国訪問に出発いたしまして既にホノルルに到着しているわけですけれども、我々の関心から見ると、今度のレーガン訪中というもので、朝鮮半島の緊張緩和、南北対話の問題について米中間で一体どういう話し合いができるかというふうなことが一つ関心事だと思います。ところが外務大臣は、これは毎日新聞の四月二十一日ですけれども、韓国と北朝鮮との意思の疎通を増進させるために、日中両国が橋渡し役となる間接対話の構想をお持ちだというふうなことがインタビュー記事として出ております。これは要するに、北の真意を中国から日本そして韓国と、逆のルートで韓国の真意は日本から中国そして北朝鮮と、こういう間接対話のルートを考えるというふうなお考えのようですけれども、米中間でも、つまり間接対話というか、要するに側面から緊張緩和を援助するというような構想が今度も恐らく話し合われるんだろうと思うんですが、安倍外務大臣は中曽根総理と一緒にこの前北京に行かれまして、中国首脳ともそういう問題について十分話し合ってこられたと思うんですが、こういう考え方は中国首脳との間で一応いろんな話し合いがあった上での一つの提言なのかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  49. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 私が言っておりますのは、間接対話というのは構想じゃないんですけれども、現実的には今我々がやっていることはそれに近いことをやっておるわけで、これまでも中国と日本との会談を行うときは、やはり韓国の考え方というものを我々は中国にも伝えております。これは中国から北朝鮮にも当然伝わるものである、こういうふうに認識しておりますし、また中国と北朝鮮の関係から見まして、やはり中国側も北朝鮮の考え方を我々に対しても述べております。これはそれなりに私たちは承知をしておりますし、それをまた韓国側等にも伝えておるわけでありまして、胡耀邦さんが行かれるに当たりまして、中曽根総理との間の会談でも、何か日本の北朝鮮に対する考え方があるならばそれは伝えたいと言われだということも聞いておりますし、そういう意味では、やはり今の非常に密接な日中関係というものが朝鮮半島情勢を緩和するには一つの役割を果たす可能性はあるんじゃないか、そして、それはそれなりにまた果たすことができればやはりそれは果たさなきゃいかぬと、こういうふうに思っております。  確かにそういう意味では、米中会談もそうした今私が申し上げましたような米国と韓国との関係、あるいは中国と北朝鮮との関係から見まして、一つの朝鮮半島の情勢緩和には、両国が、南北が直接語をするということでなくても一つの意思疎通の役割を果たし得る可能性は私はあると思う。今度のレーガン大統領の訪中は、一つは中ソ問題、それから米中そして朝鮮半島、そういうところが我々が外から見ておりましても中心の議題になっていくんじゃないだろうか、そういうふうな感じが私はするわけであります。
  50. 和田教美

    ○和田教美君 終わります。
  51. 立木洋

    ○立木洋君 出版物国際交換についてですが、これは出版物国際交換という一つの形態、これが世界各国の間でのいろいろな知識だとか思想、考え方、これを自由に交流していく一つの重要な手段であると、これはユネスコでもそういう意味でこの条約が極めて重要な意味を持っている、促進させるものだという評価をしているわけですが、先ほどのお話を聞いていましても、今までもある程度図書館を通じてやってきたからと言われるものの、今日までこれが条約承認ということにならなかったということはやはり怠慢だったと言わざるを得ないだろうと思うんですね。これは八条から十条を見ましても、ユネスコの機関がいろいろと報告を求めて、その情報を国際的にも知らしめて、必要な援助は講じるというこの条約の目的を促進するためのあれもきちっと規定されているわけですし、そういう点というのは今後やはり重視していただきたいと思うんです。  図書館の方にちょっとお尋ねしたいんですけれども、この条約締結されて批准された場合に、今までいろいろと国際的に行ってきた出版物交換を国内的に知らしめる、あるいは国内的にもっとよりよき利用の促進を図るというふうな点をどのように強化し改善していこうというふうにお考えになっているのか、ただ単に、今まで条約を結ぶ前も結んでから後も全くかわりないのかどうなのか、あるいは予算が足らないとおっしゃるのかどうなのか、そういう点についての御見解をちょっとお聞きしたいんです。
  52. 三塚俊武

    ○国立国会図書館参事(三塚俊武君) 国際交換によって我々のところに入手いたしました資料についてはこういう資料が入っているということを広く知らせるというために私の方で「洋書速報」というものを出しております。「洋書速報」というのは月に二回刊行しておりまして、その中に国際交換によって入ってきた資料の目録を収載しております。こういうものが入ったということを知らせるには単行本については「洋書速報」に頼っています。  それからもう一つ、定期刊行物につきましては「欧文雑誌目録」というのがございまして、これを定期的に刊行しておりまして、特にそのサプリメントを、絶えず新しいものをコンピューターで打ち出しまして、それをやはり広く配付しております。  以上のような方法資料の通知方をやっております。
  53. 立木洋

    ○立木洋君 条約が批准された後、さらにどういうふうにそれを強化されていくのかという点はどうでしょうか。
  54. 三塚俊武

    ○国立国会図書館参事(三塚俊武君) 特に我々の方は、今この条約が批准された場合には国の交換機関となるわけでございまして、それに伴いまして、特に交換が割に順調にいっておりませんいわゆる東南アジア関係の諸国等については、やはり国立国会図書館が日本交換機関であるということによりまして、先方の方ともさらに交換の促進に努めたいというふうに考えております。
  55. 立木洋

    ○立木洋君 そういう交換における改善、それからいろいろと交換されておる実態をより広く知らしめて利用の促進を図るという点にも努力をしていただいて、その目的をよりよく達成できるようにひとつお願いしておきたいと思うんです。  そのこととあわせて、いろいろと国連機関なんかで出されておる重要な決定あるいは報告等、さらにまた国際的に日本が問題を提起するような、そういう重要な問題提起などのものもやはりよりよく国民に知らしめるための方法というものを講じることが大切ではないだろうか。その点では、原文ならあるけれどもなかなか翻訳が難しくて日本文になっていないということになりますと利用される人々が限られるということが一つありますのと、それからもう一つは、中央機関にはいろいろそういうものがあるけれども、地方でそれを利用しようとするとなかなか利用しにくい、そういうものがなかなか入手できないというふうな状態がある。だから国連などの重要なそういう資料、文献等、あるいは日本政府がそういう国際的な機関に提出したいろいろな報告、意見書等々、公表できるものについてはできるだけ日本文で、かつ地方でも利用できるようなそういう方法というのを強めていただきたいんですが、その点はいかがでしょうか。
  56. 遠藤哲也

    説明員遠藤哲也君) 先生がおっしゃいましたように、確かに英文を日本文に直すというのは大変な作業であるのでございますけれども、しかしながら、そういった限られた人と財源の中ではある程度やっているのでございます。ただ、それに加えまして一年に一回あるいは場合によっては二、三年に一回、国連のいわゆる活動状況日本がどういうふうに活動していったかという文献等々、資料等々は取りまとめましては発行しているわけでございます。そういうことで、財源等の関係がありましてなかなか一般の方々には届かないんでございますけれども、図書館等々にかなり広く行き渡っていると思っております。
  57. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、今の続きなんですけれども、つまり今日の軍縮、とりわけ核軍縮の問題だとかあるいは人権の問題だとかというのは国際的に非常に重視されている課題、テーマです。こういう問題が国際的な機関でいろいろ重要な決定やあるいは報告がなされたようなものに関してはできる限り翻訳をして国民に知らしめる、今言ったように外国のものをすべて翻訳といったってこれは膨大で大変ですけれども、しかしそういう重要な問題については可能な限り努力をするというふうにお願いしておきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  58. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今おっしゃるような、国連における特に日本活動等を中心にした資料等については、これは今審議官からも話しましたように、日本としても特に外務省を中心としましてできるだけ翻訳して資料化して、これは詳細でなくても抜粋とか概要とかというふうな形にして知らしめる、一般の人たちにも見ていただく、詳細については特殊の図書館とかそういうことになるでしょうが、そういうことはやっておるようでありますけれども、これは非常に必要なことでありますし、我々としてもできるだけこれは拡大していかなければならぬ、こういうふうに思います。
  59. 立木洋

    ○立木洋君 ぜひお願いしておきたいと思うんです。  話はちょっと変わりますけれども、去年の国連総会で、核問題で第十回国連特別総会で採択された勧告及び決定の履行というので、第三十八回国連総会決議三八の一八三Mです。これは、核戦争の脅威が増大しているという危険性を指摘して、やはり核戦争を防止し、核兵器を完全に廃絶していく、そういう努力をしなければならない、そのためにやはり核を持っている国々が第一義的にそういう努力をしてほしいという趣旨の決議ですが、これに対して日本政府が棄権をされた理由はどういう理由だったんでしょうか。
  60. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 今、先生指摘ございました決議はアルゼンチン、パキスタンが提案いたしたものでございますが、決議の主文が四項ございます。そのうちの一、二、三、これは今先生もお触れになりましたような軍縮における核兵器国の特別な責任でございますとか、軍縮努力に対する各国の義務でございますとかそういうことでございまして、これはもちろん問題があるわけではございませんが、この決議の意図と申しますか、それが、主文の第四項でございます。  これは核兵器国に対して、核戦争防止及び核軍縮のために単独でまたは他国と共同して実施した措置に関する年次報告を総会に提出するというものでございます。軍縮関係に関します決議に臨みます我が国の基本的立場といたしましては、その文言、背景、それから意図、効果等を勘案いたしまして、また、我が国の基本的立場である軍縮というものを具体的に効果のあるものを一歩一歩進めていくという立場からこの今申し上げました第四項を判断いたしますと、主として米ソに対して核軍縮の進展についての年次報告を求めるということでございますが、例えばINFとかSTARTというふうなああいう交渉、これは交渉がまとまりますれば当然公表されるものでございます。交渉の過程におきましては、交渉の機微な点があるものでございますから報告が出てくるということではないと思います。そういたしますと、そういうことを決議でするということが核軍縮というものを現実的に進めるという立場からどういう効果があるのであろうか、どういう意味があるのであろうか、こういう決議を通すことで核軍縮ができるというのについては我々としては非常な疑念を持っております。したがいまして、もちろんこういうことに反対するわけではございませんが、積極的に支持する立場にないということで棄権したものでございます。
  61. 立木洋

    ○立木洋君 大臣も御承知だと思うんですけれども、一九八二年の五月の二十七日と二十八日にわたって衆議院の本会議とそれから参議院の本会議で、この第二回国連軍縮特別総会に関する決議というのを行っているわけですね。これは全会一致で行った決議ですが、そこでは今言ったようにこの核戦争の脅威の問題について言及をし、そして核兵器の廃絶を訴える。その文言の中にも、これは衆議院の場合も参議院の場合もそうですが、米ソを初めとするすべての核兵器国に対する要求というのがきちっと述べられているわけですね。だから、そういう見地から言うならば、いわゆる核兵器保有国がとりわけこの核軍縮の問題について責任を負っている、そういう努力をすべきだというこの衆参両院の本会議で行った決議の精神から見ても、これは私は賛成して当然ではないだろうかというふうに考えるわけですけれども、どうも今、山田局長がおっしゃった内容では、日本の国会で行った決議の精神、とりわけやっぱり核保有国、これは明確に米ソを初めとする核保有国に対するという文言で述べられておる条件から見れば、核保有国が特別の責任を有するんだと、だから、そのことについてはきちっとやはり国連という国際的な機関に報告を求めるということは、私は国会での決議の精神から見てもいわゆる許容される内容だと思うんですけれども、その点はどういうふうに判断されますか。
  62. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 国会の決議はもちろん尊重しなきゃなりませんし、それから核については日本は独特の立場から核の廃絶あるいは核軍縮については積極的な姿勢を堅持しておりますし、そのために日本が独自で国連に出した決議案もあるわけなんですが、しかし核の決議につきましては、今局長も言いましたようにやはり現実性がなきゃならないと。検証とかそういうことがはっきりしていないと、ただ決議だけ出してそれで事足りるということでは核廃絶にも核軍縮にもつながっていかないわけですから、やっぱり検証というようなものが伴って現実性を持ってこれが具体的に実行可能と、こういう決議でなきゃならぬと思います。そういう意味では、日本が現実性というものを重視し、一歩でもやはり核軍縮、核廃絶というものに近づくための日本のやはり現実的な姿勢としてこれまでとってきた態度でございますから、私はそれは当然のことじゃないかと、こういうふうに今思っておるわけです。
  63. 立木洋

    ○立木洋君 いや、査察だとか検証がない場合でも日本政府が賛成していることもあるんですよ。問題は、この決議に反対したのは、核兵器の廃絶で核保有国が特別の責任があるという問題で、これは反対したのはアメリカだけなんですよ、この決議に反対したのは。そして、NATOの加盟国ですらこの決議に賛成している国々もあるわけですよ。百三十三カ国が賛成したというのは、国際的に見れば比較的多い国々が賛成した内容になっている、そういう決議文なんですよ。アメリカだけが反対しているということで、国会の決議の精神から見て当然賛成されるべきだという内容でありながらこれがやはり棄権に回っているというのは、これはどうしてもアメリカの動向に左右されたんではないかというふうに指摘せざるを得ないんですけれども、前回も私は申し述べましたけれども、結局こういう重要な問題、国会での決議の精神を踏まえて日本政府がやはり国際的な舞台でも努力をぜひともしていただきたいということでとりわけ強調したいわけですけれども、これは例えば国会で、外務委員会で決議されている内容を見ましても、「国連をはじめ、その他の国際会議等において、わが国の軍縮に対する態度をより一層明確にし、核兵器廃絶のために貢献すべきである。右決議する。」というふうなことも外務委員会での決議の文章になっているわけですね。ですから、国会で行われたそういう核廃絶、核兵器保有国の特別の責任に言及した内容等々についても、国会決議の精神に基づいてやはり国連の舞台でも積極的に努力をしていただきたいと。アメリカだけが反対しているからどうも棄権に回ったんではないかというように感じられるような態度は、厳に慎んでいただきたいということを強く要求しておきたいと思うんですけれども、最後にその点、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うんです。
  64. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 核兵器の廃絶だとか核兵器の軍縮だとか、これは日本がかねてから強い信念として国連の境においても積極的に取り組んでおることですから、これについては今さら何も申し上げる必要はないわけですが、ただ、先ほどから申し上げましたように、実際決議をする場合には、決議の背景として検証であるとかあるいは査察だとか、そういう現実的な核兵器の軍縮が行われる可能性というものがこの決議案の中にないというと、ただ決議だからすべて賛成しろといったってこれは意味のないことじゃないかと、そういうふうに思います。ですから、日本は具体的に現実的により一歩一歩核軍縮、核廃絶に向かってこれも努力をする、今後ともその努力は積極的に続けたい、そしてこれは現実的なものにしていきたいと、こういうふうに考えております。
  65. 立木洋

    ○立木洋君 時間が過ぎましたから次にします。
  66. 秦豊

    ○秦豊君 最初に、木材協定なんですけれども、今度の木材協定の前文を見ると、「関連地域及び生物界の生態学的均衡を維持」という文言があるわけですね。では、そういうことに関して日本ができる協力というのはどういうことなんでしょうかね。
  67. 恩田宗

    政府委員恩田宗君) 国際熱帯木材協定自体は、熱帯木材の価格と供給を安定させるという目的でできた協定でございますが、同時に、委員指摘のとおり、やはり供給の安定のためには森林破壊から生ずる環境保全問題に対してこの協定の枠内で協力しなきゃいかぬと、こういうことになります。  この協定の枠内での協力でございますので、まず第一に、森林関係の保全の問題に関する委員会等において、我が国としてはこの問題の重要性を認識して、十分そういう態度で臨むということがまず第一でございます。  その次に、この機関自体が資金を持っていろいろな研究開発を行う。例えば既に研究プロジェクトの候補がありまして、天然林における適切な補植の技術をどうしたらいいかとか、あるいは熱帯降雨林の運営のために農業と同時に林業をやるためにはどうしたらいいかと、こういう研究プロジェクトでございます。こういうプロジェクトに対する資金の協力の問題であるとか、最後に、そのプロジェクトをやるときに実際に日本技術を応用してもらう、日本も既に相当の植林を行っておりますのでそういうことも可能かと、かように考えております。
  68. 秦豊

    ○秦豊君 ところで外務省、きょうの閣議でフィリピンヘの例の援助、これは取り決めができましたか、どうなっておりますか。
  69. 柳健一

    政府委員柳健一君) フィリピンとの円借款につきましては、前回も申し上げましたけれども……
  70. 秦豊

    ○秦豊君 いや、きょうの閣議で決まったかどうかだけを聞いている。
  71. 柳健一

    政府委員柳健一君) きょうの閣議ではまだ決まっておりません。
  72. 秦豊

    ○秦豊君 事務次官会議のあれを調べてみると、リストアップされていなかったのできょうではないとは思ったけれども、念のために聞いた。とすると、四月二十七日金曜日の閣議ではあり得る案件でしょうか。
  73. 柳健一

    政府委員柳健一君) フィリピンとの間で話し合いがかなり煮詰まってきておりますので、ただいま私どもは閣議の準備もいたしておりますけれども、まだ日取りは決まっておりません。
  74. 秦豊

    ○秦豊君 あなた方が急ぎたがっているんだから。二十七日の閣議をやり過ごした場合には連休シーズンになってしまいますよね。あなた方の本意じゃないでしょう。そうすると、四月二十七日の閣議、金曜日、最もあり得る期日ではありませんか。こういうことは余り慎重に答えなくていいんです。すぱっと答えたらいいんです。
  75. 柳健一

    政府委員柳健一君) 先ほど申し上げましたように、まだ閣議の日取りは決まっておりません。
  76. 秦豊

    ○秦豊君 あり得る最も大きな日として二十七日金曜日だと私は思います。  それでは、どういう方向で煮詰まっているんですか。どういうものに絞って事務次官会議、閣議と、もうここまでくれば、あなた、まだ検討中という答弁は許されないわね。
  77. 柳健一

    政府委員柳健一君) 煮詰まっております内容、対象は、商品借款とプロジェクト借款でございます。
  78. 秦豊

    ○秦豊君 商品借款はどれくらいになっているんですか。
  79. 柳健一

    政府委員柳健一君) まだ閣議に付託しておりませんので、内容を申し上げるのは控えさしていただきたいと思います。
  80. 秦豊

    ○秦豊君 そう言うだろうと思った。大体三百億円を超えることかなりという金額で当初伝えられていたような内容が決まりつつあるのではないか。このニュアンスはいかがですか。
  81. 柳健一

    政府委員柳健一君) 先ほど申し上げましたとおり、一切コメントは控えさしていただきたいと思います。
  82. 秦豊

    ○秦豊君 安倍外務大臣ね、相当あなた、これは努力されたわけですね。少なくともアクセル役は果たされなかったと私は思っている。しかし、あなたの日程その他をずっと見たり、あるいは中曽根総理の日程を見たり政府全体を見ていると、やはりあなたとしても事ここに至り四月二十七日、緩やかに閣議で決まるならばいたし方もなしと、あり得ると、こういう御心境ですか。
  83. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これは外務省だけの問題じゃなくて各省間の調整もある問題ですが、その調整が、聞いてみますと大体煮詰まってきているということですから、ごく近い将来これは閣議にかかる可能性はあると、こういうふうに見ております。
  84. 秦豊

    ○秦豊君 それは仮に今度の金曜日であっても別に不自然さはないと、こう受けとめていいですか。
  85. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 不自然さといいますか、そこまで煮詰まればいつの時点でもそれはもう閣議を経なきゃこれはできませんから、閣議という最終結論を出さなきゃならぬと思います。
  86. 秦豊

    ○秦豊君 それ以上の日本語は返ってこないと思いますけれども、私、去る三月二十一日の当院の予算委員会以来大きな関心を持ってきた一人として、あなたの善意と願望と努力にもかかわらずと申し上げましょうかね、やっぱり不透明性がぬぐわれたとはとても思えないし、なぜ急ぐかという質問に対しても、十分一人の議員をさえ説得できる論拠をついに展開できなかったという点は外務省側、つまり政府に残ります。私のこの実感は恐らく多くの国民の皆さんも共有されると私は思いますよ。だから、対比援助の大詰めを迎えている今、外務大臣としては、この問題に対しどういうことをまた今後についてお考えですか。
  87. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) それは確かに大詰めは迎えております。そして最終的に閣議で決める、あるいは交換公文を取り交わす、こういう状況になれば私も事務当局に指示しておりますが、これはやはり対フィリピン借款は非常に国民的にも注目されておりますから、フィリピン側と十分話し合ってそしてこの借款の行方というものはやっぱりはっきり見届けていかなきゃならぬ、あるいはまた透明性を確保する、そういうことも必要であろうかと思います。そういう点については交換公文等で十分対応してまいる、そういう努力を重ねておる、こういうふうに承知をしています。
  88. 秦豊

    ○秦豊君 大臣が、かねて衆議院の答弁以来、また私に対する答弁以来繰り返されたこと、例の透明性を付加するということですね。これはどうですか、今ここで全文をという欲張ったことは言いませんが、外務大臣の範囲の中ではやはりあなたの主張は生かされた交換公文ができ上がっている、こう考えていいのですか。
  89. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これはフィリピン政府ともこれまでいろいろと話し合ったと思います。そういう中で十分日本側の真意、私の考え方というものもその中で説明をしておるはずでありますし、あるいはまた交換公文におきましてもそうした今度の対フィリピン借款についての重要性を背景にした日本側考え方というのが盛り込まれておる、盛り込まれるであろうと、こういうふうに私は確信しております。
  90. 秦豊

    ○秦豊君 それから、省内にある例の評価委員会に類するものですね。私はこれもしつこく申し上げているわけですが、特定の国を特定するということについて、その抵抗を恐れるのではなくて、やはりこの独裁的性格の強い政権に対する援助の実行ということについては、これは我が院の国会の条約承認権の範囲を超えて次元の違う交換公文ですからね。外交行為になっているから我々の手が及ばない。ならば、そうであればあるほど、私はせっかくできた機構、委員会等は活用すべきである。円借款はやがて第十三次を迎えようとするわけだから、やはりこの際思い切ってフィリピンを調べてみるというお約束をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  91. 柳健一

    政府委員柳健一君) 実は、フィリピンにつきましては過去におきましても既に幾つかの案件を調査いたしておりますし、今後ともさらに、フィリピンももちろんですが、さらに広げてこの評価という活動を拡充していきたい、こう思っております。
  92. 秦豊

    ○秦豊君 それはいつごろですか、来年度あるいは今年度、実行してくれるの。
  93. 柳健一

    政府委員柳健一君) 本年度のは今ちょっと調べておりますが、過去のを申し上げますと、五十六年度、五十七年度と、二年とも調査は評価をいたしております。
  94. 秦豊

    ○秦豊君 今年度にも追加していただきたい。
  95. 柳健一

    政府委員柳健一君) そのように取り計らうように努力いたします。
  96. 秦豊

    ○秦豊君 安倍外務大臣ね、今度中曽根総理一行がインド等を歴訪されますね。それに関連して私ちょっと大臣に伺っておきたいことがあるのですが、中曽根総理大臣の外遊日程、つまり訪問日程が、ヨーロッパとオーストラリア、ニュージーランド等でかなりカットアウトされた。そのことを外交的なマイナスと指摘する人とそうでないと見る向きは分かれておりますけれども、中曽根さんという人はああいうキャラクターの方ですから、一方で失ったものは一方で必ず取り返すという計量のシャープな人ですよ、好き嫌いは別として、そこで、今度インドを訪問された際にどうもガンジー首相を招請されるのではないか、つまり日本に、もちろん国賓として。しかもそれを総裁選挙の前に、九月から十月、双方の外交日程のはざまに最重要課題的にそれをインプットするというふうなことが総理官邸を中心に、外務省ではどうもないという私感触なんだけれども、総理官邸中心に動いていると私は思っているのですが、そういう感触をお感じになっていますか。
  97. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これはこれからの両国の首脳会談等でいろいろ議論の出る中でどういうことになるかの問題ですけれども、私もそれは可能性としてはあり得るのではないかと思います。これはことしになるか来年になるか、ことしはやはり相当秋はいろいろ日程がつかえておりますし、これはなかなかそう簡単にはいかないと思 いますけれども、しかし招聘ということは、大体総理が行くときは招待をいたしておりますし、可能性としてはあり得るんじゃないかと、こういうふうに思います。
  98. 秦豊

    ○秦豊君 実は私の調べた範囲では、日本国民のガンジー氏に対する一種の畏敬というか敬愛というか、言葉はちょっと適当でないかもしれないが、大きなものを持っております、メンタルなものを。そういうものとガンジー首相とオーバーラップするイメージのプラス効果というのは私大変大きいと、しかもニュージーランド、オーストラリアをマイナス、サミット以外はヨーロッパをマイナスという中で盛り上げるアイテム、外交アイテムとしてはなかなかねらったなと私は思っていますが、外務大臣も可能性を否定されなかった。恐らくことしでなければさほど意味がないという意味合いを含め、しかも対ソ関係打開ということを含めてねらいとしてはやや飛車角のような、なかなかねらった妙手の一つではないかと私は思っていますが、ちょっとその印象を含めて。
  99. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) ねらったかねらわないかそれはわかりませんけれど、しかしガンジー首相を国賓として呼ぶということは、国賓といいますか、これは総理大臣ですから公賓という形になるんじゃないかと思いますが、その可能性は私は否定いたしません。やっぱり日本、インドの関係は非常に重要ですし、非同盟の議長をやっておられますし、ガンジーさんというのは今お話しのように日本国民にとっては特別に印象の深い人です。そういう面で、やはり国際外交を進める上において意味も大きくあることじゃないかと私もそういうふうに思います。
  100. 秦豊

    ○秦豊君 最後に、今の日本、インド、モスクワという連鎖で考えますと、ここに鳩山先生もいらっしゃいますけれども、櫻内先生が、秋か、いつか、何月かわかりませんがチェルネンコ氏と会談をするべく準備に入っていらっしゃる、これも私の独断と偏見がもしれませんが、どうもその感触もあると。その場合はもちろん総理親書を携行されるわけであります。そのこと自体を否定しているわけではありません。申し上げておきたいことは、どうも最近の外交展開の中に官邸外交というのが牢固としてあり、そして在来の霞が関外交がもちろんある。非常にしっくりかみ合っていけばパワーになりますけれども、乖離して働くとマイナスを透発しかねない。対ソ関係打開については安全保障上重要な関心をだれも持っていますけれども、余り恣意的にあるいは余りにもイレギュラーに動くとかえって向こうからつけ込まれるということを含めてマイナスを透発しかねない。したがって、外交はもちろん一元であるべきであって、そういうことについて、櫻内氏がチェルネンコ氏に会うというふうな動き自体については外務大臣も否定はなさるまいと思いますが、私の申し上げた意味を込めて、今後の秋に向けての対ソ外交の展開についてはどうお考えですか。
  101. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 外交は一元的でなきゃなりませんし、これまで私が外務大臣に就任して以来、外交面につきましては、私は官邸外交とか霞が関外交とか言われるんじゃなくて一体でやってきたと、こういうふうに思っております。いよいよこれから対話を含めた対ソ外交を進めていこうという段階ですが、政府といいますか、外交は一元という形でこれを進めないといけないと思います。もちろん、一般の議員という立場で、その他、党の首脳という立場でいろいろと活動されるのは、それはそれなりに成果はあると思いますし評価する点はありますが、しかしこれはもう政府の外交ではないわけですから、やっぱり政府がやる外交は一元的に行わなきゃならない。かつて鳩山さんと重光さんがやったような事態は、これはやっぱりソ連に対しては避けていかなきゃならぬと思いますし、それから日本として、対ソ外交というのは日ソ間で話をしていけばいいわけで、どこの国にいろいろと調停を頼むとかそういう筋合いのものじゃ私はないと、こういうふうに思っております。
  102. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 三件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会      —————・—————