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1984-04-17 第101回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十七日(火曜日)    午前十時七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         後藤 正夫君     理 事                 鳩山威一郎君                 宮澤  弘君                 松前 達郎君     委 員                 嶋崎  均君                 中山 太郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 原 文兵衛君                 八百板 正君                 黒柳  明君                 和田 教美君                 立木  洋君                 関  嘉彦君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        外務大臣官房長  枝村 純郎君        外務大臣官房審        議官       都甲 岳洋君        外務大臣官房外        務参事官     有馬 龍夫君        外務大臣官房外        務参事官     斉藤 邦彦君        外務省アジア局        長        橋本  恕君        財務省中南米局        長        堂ノ脇光朗君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省中近東ア        フリカ局長    波多野敬雄君        外務省経済局長  村田 良平君        外務省経済協力        局長       柳  健一君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        外務省情報文化        局長       三宅 和助君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        経済企画庁調整        局調整課長    田中  努君        外務省情報文化        局審議官     市岡 克博君        大蔵大臣官房審        議官       桐渕 利博君        文部省学術国際        局ユネスコ国際        部国際教育文化        課長       草場 宗春君        農林水産省畜産        局食肉鶏卵課長  鎭西 迪雄君        通商産業省貿易        局輸出課長    土居 征夫君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       蕨岡 達慈君        郵政省郵務局業        務課長      伊藤 修介君        郵政省貯金局第        一業務課国際室        長        舘野 忠男君        郵政省電気通信        政務局国際課長  長谷川憲正君        郵政省電波監理        局宇宙通信企画        課長       江川 晃正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国マレイシアとの間の国際郵便為替の交  換に関する約定締結について承認を求めるの  件(内閣提出) ○日本国政府ペルー共和国政府との間の文化協  定の締結について承認を求めるの件(内閣提出  ) ○国際電気通信条約及び紛争義務的解決に関す  る国際電気通信条約(千九百八十二年ナイロビ  )の選択追加議定書締結について承認を求め  るの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府中華人民共和  国政府との間の協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国政府スリ・ランカ民  主社会主義共和国政府との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  )     —————————————
  2. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国マレイシアとの間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件、日本国政府ペルー共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件、国際電気通信条約及び紛争義務的解決に関する国際電気通信条約(千九百八十二年ナイロビ)の選択追加議定書締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 八百板正

    八百板正君 皆さん御苦労さまでございます。大勢の方々おいでくだすってありがとうございます。にわか勉強余りよく知りませんので決まり切ったことを聞くかもしれませんが、御了承ください。  委員久保田真苗さんが社会党石橋委員長らとアメリカに行ってきょうあたり帰ってくるかと思うんですが、留守なものですからきょうは私だけが御質問を申し上げます。  ところで、アメリカから帰ったらまず総理外務大臣には会って報告もしたい、意見も述べたい、社会党石橋委員長のそんな風聞なので、会っていろいろひとつ話してください。石橋さんとの会談総理もお会いできればということでしょうが、ひとつ中曽根さんにも話してください。御賛成ですか。
  4. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 石橋社会党委員長一行の訪米はまことに御苦労さまでした。アメリカの議会、政府の要人ともいろいろと有益な意見交換もあったようでありますが、政府とはまた違った立場での意見交換でありましたし、我々もその内容等につきましては関心も持っておりますし、ぜひお帰りになったら意見交換もし、またお話を聞かしてもらいたい、こういうふうに思っております。
  5. 八百板正

    八百板正君 石橋委員長と連絡しているわけではございませんが、帰りましたら私からも電話をしてあるいは会うなりいたしたいと思っております。  それから、ロンドンサミットの後先に首相が外遊されると、こういうふうに伺っておりますが、その際にいつ、どこを、ほかの国もというお話ですが図られますか。また外務大臣もこれは同行しますね。あるいはまた外務大臣だけの訪問というふうな予定などもおありでしたらこの際聞かしてください。
  6. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) サミットがございまして、その後で中曽根総理としても英、独、仏等寺公式訪問したいというふうな気持ちもあることは事実でありますし、またそれぞれの国がぜひ迎えたいという正式な要請をしておることもそのとおりですが、国会等との関係もありますが、サミットはどうしてもこれは大事な会合ですから行かしていただかなきゃならぬわけですが、後の方は一応の予定にはなっておりますけれども、まだ確定というところまではいっておらない状況です。私も、総理ヨーロッパ訪問、そういう間にまた日本外交の幅を広げるという意味で他の地域の訪問等計画をしておるわけですが、これまたやはり総理大臣訪問と同じようにまだ確定はしておらない、流動的な要因があるわけでございますが、できればそうしたいと、こういうふうに思っております。
  7. 八百板正

    八百板正君 それから、これまたやぼなことを聞くようで答えはむしろ国会の側から聞きたいと逆に言われそうですが、国会会期延長とか、今のお話もございましたがその辺の考え方もひとつ含めて、できればどこにいつごろ行きたいというお考えがありましたらちょっとお答えいただけませんか。
  8. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国会会期の方は国会の問題でして我々がとやかく言う筋合いはないわけでございまして、国会でお決めになることだと思います。  外交日程としましては、そうした国会情勢等も見ながら一応のスケジュールは立てておるわけでございまして、総理大臣が四月の三十日から五月の六日までインド、パキスタンの公式訪問をいたすことになっております。私も同行をいたすことになっております。それから、五月に入りましてOECDの閣僚会議がパリで行われますので、これはサミットも控えまして重要な会議になると思います。ぜひとも私はそれには出席をさしていただきたいと思うわけであります。  さらに六月に入りましてロンドンサミットがございますし、時間的に許されるならばサミット訪問を契機にその他の国々への訪問ということも今計画をいたしております。  それから七月には、私は日韓定期外相会談を七月の六日ごろからソウルで行いたいと、こういうふうに思っております。  さらに七月にはASEANの拡大外相会議がジャカルタで行われます。これは、毎年日本は有力な域外のメンバーとしてここに出席をいたすことに決まっておるものですからぜひともその外相会談には出席をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういうことで、一応の方針といいますか、スケジュールは打ち立てておるわけですが、今後のいろいろな状況等も判断をしながら順次決定をしていきたい、こういうふうに存じます。
  9. 八百板正

    八百板正君 次に、法案に関連する近い方の話をお聞きしたいと思いますが、委員会お尋ねも、聞く方がよく知っていて政府の知らないところなどを聞いて問題を引き出したり、時には困らせる、こういった質問一つの型があります。また、知らないことをいろいろお尋ねをいたしまして、やりとりと応答の中で双方とも気づかなかったような問題をそれなりに深く詰めていく機会として役立てる、そんな形、あるいはわかり切ったことでも繰り返し聞いて、答えてもらって、記録にとどめて後日の運営や執行の参考にする、役立てるというふうないろんなタイプがあると思うのでありまするが、何分にも私不勉強でどっちつかずのお尋ねで、門外漢の素人がお聞きしたいことをお聞きし、おしゃべりを申し上げるというふうなことになりがちですが、ペルー関係について前にも同僚委員から質問がございましたが、一九四〇年に排日の暴動が起こっていますですね。それから日本人が制限されたりした。目下は大変対日関係が良好だ、こんなふうに聞きますが、現状をひとつどなたからかお聞きしたいと思います。ペルー政情現状を。
  10. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) ただいま先生から御指摘がございましたとおり、一九四〇年には、戦争直前でございましたけれども排日運動ということがございました。しかし、ペルー我が国関係は、中南米諸国の中では最初外交関係をつくった関係がございまして、これはマリア・ルース号事件という有名な事件がございまして、中国奴隷船日本で引きとめて奴隷を釈放した、そういう関係がございまして、最初外交関係をつくった非常に伝統のある両国関係を持っております。その後、日本からたくさん移民が参りまして、今日では日系人が約七万人おるということでございます。  また、経済協力の面でも、日本のこれまでの実績は南米ではブラジルに次ぐ第二の地位を占めているということでございますし、我が国との関係貿易面文化面、あらゆる面で非常に密接でございまして、相互間の首脳の訪問も、例えば一九五九年に岸総理訪問される、あるいは八二年に鈴木総理ペルー訪問される、また先方からも大統領が六一年に来られるといったような緊密な関係がございます。  最近のペルー政情は決して安定しているとは申せませんで、一般的な世界の経済的な不況の中で百億ドルを超えます累積債務を抱え込んでおりまして非常に苦しい、そういうことで引き締め政策をとっておりますが、そのために現在の政府は評判を落としていると申しましょうか、昨年の十一月の統一地方選挙でも与党が大敗を喫っする、最近また内閣がかわったといった状況でございます。  これが一般的な状況かと思います。
  11. 八百板正

    八百板正君 最近かわったというのも私もよく承知していないんですが、前の資料など読んでみると、国会は閉鎖されたままで、三軍の革命委員会というような形で行われておる。そして、大統領独裁だが親米的傾向がまた反米的傾向にも変わっておるというふうな、私ちょっといただいた資料なんかでそんなふうに見るんですが、そういうことですか。
  12. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) 先生の御指摘のとおりでございまして、確かに一九六八年から一九八〇年までは独裁軍事政権ということでございましたけれども、その後、ベラウンデ現大統領が復活をされまして、前にも大統領しておられましたけれども復活されまして民主政権に移行したばかりでございます。
  13. 八百板正

    八百板正君 単純な聞き方をするようですが、キューバとの関係なんかもこのごろはいいんですか。
  14. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) キューバとの関係は、先ほど申しました軍事政権のころソ連から武器を買ったりしたことがございましてキューバとの関係もよかったんでございますけれども、在キューバペルー大使館に難民が逃げ込むという事件が二、三年前にございまして、それ以来ペルーキューバ関係は冷却化しているというふうに伺っております。
  15. 八百板正

    八百板正君 そういたしますと、反ソという方向でもなく反米という傾向でもなく、できれば西側の方につないでおきたいというところが日本立場ですか。
  16. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) ペルーは、非同盟諸国グループの中では穏健派に属するというふうに言われておりまして、日本との関係は大変に緊密であるということで、この関係を大事にしたいというのが政府方針であると思います。
  17. 八百板正

    八百板正君 六九年に農地改革をやりまして、地主制、かなり偏った土地所有関係農地解放によって解放された。地代を土地所有者が吸い上げるというふうな形の支配がある程度変わったように見えるんですが、言ってみれば自作農家みたいな土地の再配分をやりつつあるというふうな状況です。その辺はちょっと見るとかなり日本状況に似ているものを感ずるんですが、例えば前にペルーの大地震というのがございましたが、そんな地質といいますか地理的な条件。しかし現在は食糧の輸入国で、農民がかなり多い割合には農業収入が少ない、こういうふうな状況のようですが、文化交流のスタイルを見ますというと、これは私の感じですが、何か第三次産業といいますか、そんなふうな感じのところに焦点を当てて文化交流をというふうな協定感じがするんですが、基本的にはペルー文化というものは農業というものをもっと考えていかなくちゃいけないと思うんです。それから、地下資源がかなりあるという点なども考えまして、文化といえども結局生産ですから、何かその辺のところのとらえ方がちょっと私の好みに合わないような感じがするんですが、どんなふうにお考えですか。
  18. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) 文化協定それ自体は、一般的両国文化教育分野協力関係を規定しているものでございまして、それによって相互理解、それから友好関係というものをさらに促進しようということをねらいにしております。先生指摘のとおり、確かにその国の文化はその国の社会とか農業というものを基盤にしたそれ独特の文化ができてくるわけでございますが、本協定では、学者研究者交流というものの一環として、実は農業分野における学者研究者というような交流も将来行われる枠組みにはなっております。したがいまして、一応文化そのもの交流を目的としておりますが、その中で行われる学者教育者交流一環としての農業関係研究者学者交流が対象になり得るということでございまして、この種の文化協定一つのパターンと申しますか方法としては、一応文化という側面を前面に出して書いたということでございまして、決して農業分野その他を軽視しているというわけではございませんし、現実問題として、経済協力その他の面で農業その他の面の協力を行っているということでございます。
  19. 八百板正

    八百板正君 何かペルーというものとインカ帝国文明というようなものを二重写しにして考えるような感じがちょっと出ないんで、改めてインカ帝国ペルーだなと、こういうふうに思うような感じなんですけれども、やはりああいう歴史の古い、しかも文明史的に物すごく古い文化が今日ずっと進んできている、つながってきているという国ですから、こういう国との文化交流というものはかなりよその国の文化交流とは違ったものをつけ加えるべきものではないかと私は思うんです。  一体、文化というものはどんなものだとお考えですか。
  20. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) 文化の範囲は、いろいろな学者の定義によりまして非常に漠然たる概念でございまして、いろんなものを実際広い概念で含み得るわけでございますが、狭い意味におきましては、やはりその国の社会歴史背景にしました例えば人物交流とかあるいはその国の文化遺産交流、それから学者、それから研究者交流、あるいは演劇、絵画というようなものを含んでおります。  ただいま先生から御指摘のあったペルーの中にどういう文化がと申しますと、御指摘のようにインカ文明及びプレインカ文明というような非常に伝統的な文明文化を含んでおります。したがいまして、文化交流の際には通常の文化交流以上に場合によっては古い伝統的な文化交流もお互いにあり得ると。今後どういう文化交流を特に進めていくか、十分両国間で協議してまいりたいと思いますが、若干の特色が出てくるのではなかろうかと思われます。
  21. 八百板正

    八百板正君 古く例えば中国文明とか、チグリス・ユーフラテスの流域に栄えた文明とか文化とかいろいろ言われるんですけれども、インカ文明というのはそういうふうな型と全然違うんですね。例えば、大きな川が土を運んで豊穣な農地をつくって、そこに農耕文化が栄えてつくったというふうなこういうタイプが大体に一般的なんですけれども、このインカ文明というものを見るというと、全然そういうふうな生産性の高い地理的条件というものがないところに、しかも非常に古い文化が発生してきているというふうな感じがするんですね。  そういう点から見ますというと、何といいますか、物というものが中心になって生産という形で栄えてきた文化とは違った、人間とか精神とかそんなふうなものに基づいて伸びてきたちょっとタイプの違う文化インカ帝国の中に感じられるのですが、アンデスの高地の小さな山合いの盆地の深い谷に刻まれた山には雪が降る、そういう非常に土地条件のよくないところに発して、しかもまだ海岸地帯ペルーの方の文化などをちょっと見まするというと、これは物すごく古いんですね。紀元前八千五百年前に織物なんというものができている。もっとも日本縄文文化時代にも織物はあったと言えるかもしれませんが、土質なんかが違いますから跡形もなく消えてしまっているというようなこともあるでしょうが、とにかく物というよりも人間精神中心になったインカ文明といいますか、そんな感じがするんです。そういうふうな面で、ただ単に日本考えるような文化、ハイテクノロジーとかいわゆる近代流文化というふうな考え方で持ち込んでいくというよりは、何かそういうところにインカ文明に学ぶと申しましょうか、酌み取るものがあるというような形の文化交流が私は望ましいような気がするのです。今までの資料余り詳しく調べておりませんが、交流の経過なんかを見ると、考古学的な立場専門家が行ったりしていますけれども、上っ面の文化だけ文化交流というような形で取り組んでいるような感じがするんですが、そんな感じ、違いますかな。
  22. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) 先生指摘のとおり、例えば本協定の第三条におきまして、「大学その他の教育研究機関における他方の国の言語、文学、歴史文化その他の側面についての教育及び研究を奨励する。」というのがございます。したがいまして、御指摘のとおりペルーは、十五世紀に。スペイン人によって支配されるまでインカ文明プレインカ文明というものが栄えて非常に豊富な文化的及び歴史的な遺産を持っている国でございました。したがいまして、今後の文化交流につきましても、このような特徴を生かしました交流というものを従来の現代におけるいろいろな文化交流青少年交流に加えましてこういう特色が将来出てくるであろうと思われます。実は従来の例を見てまいりましても、例えば東京大学が五十六年度に中央アンデス農牧社会民族学的研究というようなことで出しておりますし、また、北海道大学も農業生産の実態的な調査とか、あるいは日本ラテンアメリカ学会出席のチームが参っておりまして、非常に現地の人と自然に結びつくような、伝統的な文化とその背景にある社会情勢というものを研究調査する、あるいは協力するというような形で今までも行われておりますので、今後とも御指摘のようなそういう伝統的な精神的な側面も含めた文化交流が、ほかの国以上に重点的には行われるだろうということが予想されるわけでございます。
  23. 八百板正

    八百板正君 スペイン支配時代のものは、これはスペインのいわゆる植民政策のあらわれとしてそういう中から出た文化といえば文化で、前の文化を継承したといっても余り参考になるというとおかしいけれども、そう価値のあるものではないんじゃないかと思うんですが、もちろん、植民主義時代においては、スペイン植民地支配がどんなふうにうまくやったかへたにやったかというような意味ではいろんな問題が、酌み取るものがあるかもしれませんが、今日私どもが、もっと基本的な両国の長い歴史にたえる繁栄と文化国家というふうな意味考えていきますと、そのスペイン支配時代はそれほど価値のあるものだと私は考えません。むしろ、それ以前からつなげてきたものがどういうものかというふうな点で非常にペルーに対して学ぶべきものがあるんじゃないかというような感じがするのであります。  いずれにいたしましても、今はいろんな形でペルーの現実の政治が行われておるわけでございますけれども、非常に日本に似ている面が感じられますので、日本の悪いところを持ち込むのが文化交流ではない、もっと根源的に、現象的に世界特色のある長い歴史の中に育ったペルーとの間に学ぶべきもの、交流すべきものを求めていくという構えが必要なんじゃないかと、こんなふうな感じがいたします。文化論なんかやっていたら果てしもございませんから、話は次に移したいと思います。  ここでもまたルックイーストというふうな調子で、日本に大変学ぶべきものがあるような考え方ペルーにあるように聞いておりまするが、日本に学ぶものなんかはいわゆる文化の面からいうとございませんので、その辺のところはひとつ思い上がらないで、ペルーは何千年の歴史ですが、やっぱり百年、二百年先々のペルーに足しになるような交流が望ましいと思います。生かじりの文化論を申し上げましたが、生かじりはある意味では未熟だから発展性を持つものでありまして、成熟したと思ったらそのときはもう終わりでありますから、そういう意味ではこの前の委員会で決めましたブルネイの場合でも同じでありまして、あそこは今油が、天然ガスがというふうに大分経済力のいい国ですけれども、やっぱりああいう国もいずれはそういう地下資源というようなものは枯渇するわけでありまするから、ただガスを買ってきて向こうの所得を上げるというようなそういう関係だけではやっぱりよくないと思いますので、そういう国の資源が枯渇した場合でもなおかつその国がどんなふうに立っていけるかという、そういう展望の中でやはり関係はつくっていかなくちゃいけないものだろうと思うのでありまして、ペルーの場合もいずれ皆同じものだろうと思います。ひとつこのアンデス文化に謙虚に目を向けるような態度がこの文化協定機会に望ましいという意見を申し上げておきます。  次に、マレーシアの話にちょっと触れます。この国もさっきペルーについてお聞きしたと同じような点をお聞きしたいんですが、この国は非同盟中立という外交立場に立つ国ですね。
  24. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) そのとおりでございます。
  25. 八百板正

    八百板正君 しかしこれは英連邦の一員ということ、一員というと言葉は悪いんだが英連邦に属する立憲君主制というんですか、これは。
  26. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) そのとおりでございまして、立憲君主制ということで十三の州がございますので、立憲君主制のもとで十三の州より成ります連邦制をとっております。
  27. 八百板正

    八百板正君 ここの国の問題の中に国内ゲリラ対策というようなのがちょっと目につくんですが、これはどういう政情背景の中でそういうふうなことが国の中の大きなテーマになっているんでしようか。
  28. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) この国の北部にいわゆる武装された共産ゲリラというのがございまして、これは非合法活動でございますが、クアラルンプールの中央政府に対しまして時々反乱と申しますか、弓を引くと申しますか、北部の奥地で蠢動して政府の意向に従わないという問題がございます。
  29. 八百板正

    八百板正君 それはどのくらいの勢力があるんですか。
  30. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) 大体武装勢力千五百名というふうに推定されております。
  31. 八百板正

    八百板正君 この国の政治は国民戦線という政党ですか、これが圧倒的多数で政治の主導権を握っているんですね。
  32. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) 先生指摘のとおりでございまして、マレーシアの下院、これは現在議員の数が百五十四議席でございますが、百五十四議席のうち先生指摘のとおりにマハティールさん率いるところの国民戦線が現在百三十二の議席を持っております。あと小さな党がございますが、例えば野党でいいますと民主行動党でございますとか、あるいは回教党というのがございますが、非常な少数政党でございます。
  33. 八百板正

    八百板正君 私は外交のことは余りわかりませんが、政治それからいろんな運動というふうな点では長い経験を持った過去があるんですが、えてしてこの人民戦線とか国民戦線とかというふうな形のものはいろんな違った勢力、統一戦線を組んでいかなければ何かに対抗できないと、こういう場合に組まれる、また名称に出てくる名前なんですが、この国民戦線という形で国民的な連合を図っていくということになると、それによって何かに対抗するという、こういう政治の姿勢になるんですが、そういうふうな点では一体どういう状況の中でこんなふうな政治勢力がこの国の支配勢力になっているんでしょうか。
  34. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) 先生御承知のとおりに、マレーシアという国はマレー人それから中国人それからインド系の住民から成るいわゆる複合国家でございまして、長い間イギリスの植民地下にあったと、こういう歴史的な背景、それから多民族によるところの複合国家であると。したがいまして、宗教、人種それぞれ違った成り立ち、これを総合して一つの国家を形成しているわけでございますからそこで国民戦線と、こういう全国民を何とか糾合したいと、こういうことで出てきた、こういうふうに理解をいたしております。
  35. 八百板正

    八百板正君 そういう場合には政治運動の形態としては戦線ではないんですね。連合なんですね。戦線という形に名がつく場合には必ず共通の脅威といいますか、敵対物があって、それに対抗するために幾つかの民族なりあるいは国内の諸勢力なりが統一戦線を組んでいくと、こういう形になるのがこれが政治の常識なんだけれども、そういう意味でちょっと私、国民戦線という党が圧倒的多数となっているということは、何かそういう脅威というようなものを常に感じながら政治を統合していくという立場背景にあるのかなど、こう私なりに感じてのお尋ねなんですが、その辺のことはどうなんですか。
  36. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) まさに先生指摘のとおりに、普通、日本語で何とか戦線といいますと、これは主義、主張がたとえ違っても、共通の敵に対抗するために統一戦線を組むとか、あるいはその他の理由である一つの目標のために統一戦線を組むと、こういうことで普通使われておる言葉でありますことは先生指摘のとおりだと思います。ただ、マレーシアの場合は先ほど申し上げましたように、日本のような単一民族ではなくて複合国家であるということから、国民戦線という政党が最大政党としてでき上がっておるわけでございまして、国民戦線という訳語が日本語としてあるいは不適切だったかもしれませんが、英文で申しますとナショナルフロントでございます。つまり、ナショナルというところに本当の意義がございまして、もともとイギリスの支配下にあり、しかも分断統治されており、しかも民族的にも宗教的にも言葉の上におきましても極めて多様な国民を一つの国家にまとめていくためのつまりナショナルフロントと、こういう趣旨でございます。
  37. 八百板正

    八百板正君 民族間の融和というような問題がこの国の大きな問題だというふうにも指摘されておりまするからその辺のところは幾らかわかるんですが、それからこの郵便の約定日本との間にできているんですが、日本との間にはほかにどんな約定なり協定がありますか。
  38. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) 通商協定、航空協定、補償協定、租税条約などの取り決め、条約がございます。
  39. 八百板正

    八百板正君 ドライな協定だけでお互いの友好とか、さっき話が出た文化とか、そんなふうな面が余りないような感じがするんですが、そんな点はどうですか。
  40. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) あるいは私、大変失礼ながら先生の御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、現在、日本とマレーシアとの間が政治的にも経済的にもさまざまな面におきまして非常にうまくいっている例の一つであると存じます。つまり、厄介な問題は現在のところほとんど存在しないというふうに理解をいたしております。
  41. 八百板正

    八百板正君 ゴムを買ったり、パーム油、木材を買ったり、すず、石油、天然ガス、いろいろなものを買っていいお得意さん、こういう意味で、人間が行き来するために航空の協定をやる。情報関係、郵便関係、通商関係、租税関係、こういうふうな関係ができているわけですが、ちょっと手元にある資料を一部分だけ読んでみますが、ここにもまたルックイーストというか、日本に見習えなんというふうな動きが起こっておるんです。二年前からマハティール首相が日本を見習えというふうなスローガンを掲げて、技術の革新とか効率性とかというふうなものを唱えて大変企業誘致に積極的だと。ところが最近は、見習うべき日本ばかりに利益をもたらして現地にはさっぱりおかげがない、こういう批判が出ているという指摘なんです。  現地企業、特に建設業界などについては建設工事は年間に二十六億ドル、五千八百億円ぐらいの規模の市場を持っておるが、過去三年間に日本と韓国が落札した工事は二十二億ドルにもなっている。特に日本の契約額が多い。そのやり方も生き馬の目を抜くような早さでいとも簡単にとっていくという。何というんですか、たくましさといいますか、日本の企業のそういう態度に大変現地企業の強い反発が出ている。日本に学ぶということでいろいろ日本に対して優遇措置を与えたり主要な工事を任せたりするのは、この国が日本の新しい技術とか経営方法とかそういうものをやはり学びたいということなんだけれども、最近、現地の企業を見るというと、日本企業はそういう恩典、いいところは全部とっていくのに、契約にしても合弁にしても現地との間で一たんまとまってしまうと、材料は現地調達を嫌って日本からの輸入でやっていく。当初マハティール首相が目指した日本式の経営とか技術導入とか、そういうふうな面で何にも目的が達成されないままに仕事だけがどんどんとられていくという結果になって、もう今は、以前は日本や韓国が見向きもしなかったような小さな規模の工事にまで進出して、この分野でも現地企業との競争が出るようになって反発が非常に強くなっている。それで、公共事業にしても現地企業が平等に参加できる道を開くようにしなければいかぬという声が上がって、これはひとつ外国企業の流入を規制する政府監督機関を設置する必要があるというふうな声が上がっていると、動きが出ていると、こういう報道なんですが、これは偏った報道ですか。
  42. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) 先ほど申し上げましたとおりに、日本とマレーシアとの関係は、政治の面におきましても経済その他の面におきましても基本的には非常にうまくいっております。しかもマハティールさんが提唱するところの東方政策、つまり日本に学べ運動ということで政府あるいは与党の指導者は日本との関係に非常に力を入れております。したがいまして、ただいま先生の御指摘のような現地の方々の不満が、今のところ外交問題に転化するほど大きな政治問題にまで幸いにしてなっていないわけでございます。  しかしながら、ただいまの先生の御指摘、私ども実は将来に向けて心配をしておる問題でございまして、率直に申し上げますと、現在私どもの耳にこれまで入っておりまする現地側の不満を二、三申し上げますと、日本の企業が進出していった場合に、商品の販売に当たりまして代理店として本来使うべき現地のマレーシアの企業を利用しないで、直営でどんどん売り込んでもうけを全部吸い上げてしまうという不満、こういうふうなものがございます。それから、日本の企業の進出に際しまして技術移転をやらない。つまり、地場産業を育成する努力をしないという不満。それから貿易が相当ございますが、この貿易外取引におきまして、保険とか海運とかこういった分野においては現地を一切使わないで日本の企業が独占してしまう。それから、例えば合弁企業を進めていくに当たりまして現地資本を十分参加させないとか、あるいは現地人の雇用が十分でないといったこういう不満が底流にあることは先生指摘のとおりだと思います。  そこで、これに対する対策でございますが、これが先ほど申しましたとおりに大きな両国間の外交問題にまで転化するようになってしまえば大変でございますので、現地の日本大使館が現地に進出しておられる日本の各企業の方々と十分相談をいたしまして、大きな問題に発展しないように協議の協議体をつくっております。例えば日本・マレーシア経済協議会というのをつくりましていろいろ相談をしております。それから昨年の十一月に首都クアラルンプールに日本人商工会議所というのが設立されましたので、そこにおきましても先ほど先生指摘のような問題が大きくならないようにみんなで相談しているところでございます。  それで、政府・外務省といたしましても、今後とも引き続きマレーシアの人材養成につきまして十分な御協力を民間と協力しながら申し上げていくと同時に、マハティール首相がいわば政治生命をかけております日本に学べ運動、つまり東方政策の遂行のために、政府としても民間各方面と協力しながら何とか努力してまいりたい、かように考えております。
  43. 八百板正

    八百板正君 うまくいっているという話がございましたが、日本側からうまくやっているでは困るんであります。また外交問題までになっていないとこうおっしゃいますけれども、どこまでいけば外交問題になるのかということになるとこれまた論議のある点であります。一通の投書でも、一通の投書は千三百人の声を代表しているなんてだれか言った日本の人がございますが、いずれにしてもこれは共同通信系の情報ですからそう一方的なものではないと思いますので、日本側でうまくやっているというのじゃなくて、やっぱり両国のためにうまくやるように願いたいと思います。  次の国際電気通信条約の問題に関連してちょっと伺いますが、これまた率直に言ってよくわかりませんので専門家に任せるほかないんですが、やっぱりこれからはいろいろな問題が出る可能性を持っておるんじゃないかと思うんです。紛議に対する義務的解決というような言葉で紛争義務的解決というふうなことが入っておりますが、電波とか周波数とかいろいろな技術の進歩の度合いによって非常に細かくなってくる問題も含んでいると思うんです。また出す方の能力、受ける方の能力、それも関連してまいりまするし、また今、電電で問題になっているように企業体も入り込んでくるということになりまするというと、極端に言えば子供でも電波を出したり、時によるといたずらもできると、こういうような問題も出てくるだろうと思います。かつてアメリカの高校あたりの青年が原子爆弾かなんかつくったという情報もございましたが、そういういろいろなことは今後起こり得ると思いますので、改定の機会にまた新しい問題があると思います。  えてしてこういう協定は先進国の優位を確保すると、こういうような形の性格を持ちやすいと私は思うんです。わからない、あるいはまた能力を持っていないというようなところが無視されていく、こういう傾向がつきまとうのじゃないかと思うんです。  例えば、静止衛星の打ち上げなんかになりましても、領海とかいろいろな国の問題がございますけれども、空の上もどこまでは文句の言える高さなのかというようなことになりまするというと、自分の国の上にどこかの静止衛星がいつも上がっているといったようなことになれば、自国の上空の権利に対する主張なんというふうなことも当然だんだん問題になってくるだろうと思うのでありまして、そういう問題に対してこの条約なんかでは、我が国を含む先進諸国は、共同して赤道諸国が行った宣言が、赤道諸国が静止衛星軌道の部分に対し主権を行使するという主張である限り、このような主張は認めることができないなんというふうなことが宣言の中に入っておりまして、そんな感じが伴うのでありまして、今後また改定の時期が来ると思うんですが、専門家にお任せして了解するという立場以外にございませんが、そういう意味で信頼してこちらは無知のまま結構でしょうと、こういう立場にならざるを得ないのでありますが、質問というよりもちょっと感じをつけ加えて申し上げておきます。  この際、外務大臣に。札幌で「一日外務省」というのをおやりになった新聞報道を拝見しました。大変いろいろな点について触れてお話になっておるようでありましたが、前に北方領土視察というふうな格好で外務大臣は行かれましたですね。それから今度また北海道に「一日外務省」という形でおいでになったが、前に行かれたときの私どもの感じと今度行かれた大臣の態度、考え方、ニュアンスがどこかかなり違うような感じがするんですが、その辺のところも含めて、あと時間もございませんから、それからどんなお話をされたか、今まで伺った上で承知している点は除いて、ちょっとひとつ大臣からお聞かせください。
  44. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 去る土曜日に札幌でいわゆる「一日外務省」を開いたわけですが、これは、我が国と諸外国との関係が深まり、国民生活の隅々にまで国際化の波が押し寄せている今日、国民の理解と協力を得る外交が非常に大事である、こういう認識からでございます。  こうした認識のもとに開催しましたこの「一日外務省」におきまして、外務省から現在の国際情勢あるいは我が国外交課題等について説明をいたしますとともに、地元の各界の人々と率直な意見交換を行ったわけでございます。特に、私から全般的な世界情勢、そしてまた北海道の当面する外交的課題、特に北海道が非常に関心を持っております日ソ問題を中心にいたしまして我々の考え方を述べまして、大変北海道の皆さんは関心を、注目されたと、こういうふうに思っております。北海道の皆さん方がやはりソ連という大国に直面をしている、同時にまたすぐそばで北方四島がソ連に占領されて軍事基地化しておるし、そしてその占領のいろいろの後遺症というのは北海道が一番受けているわけでありますし、同時にまた、北方四島の島民の皆さんも北海道に現在住まっておられる、そういう状況でございます。あるいはまた日ソ漁業交渉とか、あるいは日米農産物交渉とか、それこそまさに北海道の道民の台所にも直結するような外交的なこの課題に直面をしておられるわけでございます。そういう意味では大変日本外交についても、特に北方外交について関心が高いわけでございます。  私は昨年は八月に北方領土視察をいたしまして、その際、いわゆるソ連との間の対話を呼びかけたわけでございますが、その後御存じのように九月に大韓航空機撃墜事件が起こりまして一挙に日ソ関係が冷却化を深めていく、こういう状況になってまいりまして今日に至りました。確かにその後の日ソの関係は決して好転をしたとははっきり言えるような状況ではありません。私はアンドロポフ前書記長の葬儀に参列いたしまして、グロムイコ外相とも会談をする時を持ちまして日ソの対話は進めていこう、こういう合意は見たわけでありますし、その後いろいろと対話は進めてはおりますが、なかなか本格的な状況には至っていない。これはやはり領土問題あるいはまたソ連の北方における、極東における軍事力の増強、そういう点が大きく立ちはだかっておるわけでございます。しかし、我々はこうした厳しい情勢が続けば続くほどそれだけにやはり対話の窓口を閉ざしてはならない、これを拡大していくのがこれからの日ソ外交のあり方ではなければならない、こういう考えに立ちましてそろそろ本格的な対話のスケジュールづくりをして、そしてこれに取りかかろう、こういうやさきに実は北海道に参ったわけでございます。  御承知のように、五月の初めには西山欧亜局長をモスクワに派遣をいたしまして、五月以降の政治、経済、文化あらゆる面にわたっての日ソの対話のスケジュールの話し合いを進めるわけでございます。ちょうどそういう時期に当たったものですからそのような話もいたしまして、北海道の皆さんの理解を求めたわけでございます。  北海道の各界の皆さんにも、我々が行っておる外交、そしてまたこの外交はただ政府が行っておるだけではなくてやはり国民の皆さんに支えられた外交でなければならない、そういう意味で、また同時に北海道自体が特に日本のソ連外交、そういった面について特別なかかわり合いを持っておるという面で非常に注目を集めた一日であったと、私はこういうふうに思っております。また、それなりに日本外交のあり方等について北海道の皆さんの理解を深めることができた、そうした有意義な実りの多い一日であったと、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。
  45. 八百板正

    八百板正君 韓国の問題もいろいろお話ししたいんですが、しかし石橋社会党委員長アメリカとこの問題でいろいろ話をして、また機会もあろうと思いますが、韓国の現状にもいろいろ問題があるし朝鮮民主主義人民共和国にもある。これは次の機会にまた伺いたいと思います。  今、北海道の「一日外務省」という企画の中で厳しいほど対話をと、こう述べられたが、私はこの言葉、言葉というよりも考え方に対して支持をします。  アメリカは資本主義の国ですから、アメリカには「販売なくして事業なし」という格言がございます。これは資本主義経済構造の中ではそういうことだと思います。販売のない事業はないわけです。と同時にこれと対になって、販売は、「セールスは断られたときから始まる」と、こういう格言みたいな私の印象深い言葉がございます。これは別に外交がセールスだというわけではございませんが、人間関係における気まずい関係にしても、あるいは外交における気まずい外交にしてもやはり共通したものがあるだろうと思うのでありまして、だめだからだめだというとこれはだめなんでありまして、やっぱり絶えず接触して考え方を詰めて、意見の違うところ、共通したところ、そういうふうなものを濃く煮詰めていって共通したものを見つけてそこを膨らましていく、こういう外交の基本態度がやはり重要だろうと思います。  アメリカ考え方も、大統領選挙を前にしていますからいろいろゆがんだ面もございますけれども、人間としてレーガンさんを見た場合に、私は私なりに必ずしも表にあらわれたものだけではないというふうな面も見ております。また、ソビエトの新しいチェルネンコさんの指導が前面に出てきておるわけですが、時間がないから取り上げませんが、最近のプラウダに発表された論説などを見ますと、平和に対するアメリカの大規模な挑発、こういう形でアメリカ外交を厳しく批判しておりまするが、やはり底に流れる共通のものはあるわけでありまして、一言だけ取り上げてみますというと、チェルネンコ中央委員会書記長は、同等、安全の原則に基づいて一歩一歩核兵器を削減するよう努力し、あらゆる種類の核兵器の全廃に至る取り決めを結ぶ用意を表明したと。米国側ももし実際に平和と相互理解を望むならこの道を進むべきであるというふうなことが結びになっております。文字や言葉と実際がそのとおりでないというのも国際社会のある一面の常識でございますが、やはりどの国の外交もこんなことをやっていては大変だという面を持っておるわけでありまして、それにしても国内的には経済的ないろんな問題がある、食糧の不足もある、いろいろな問題を抱えておるわけですから、朝鮮問題にいたしましても日ソ関係にいたしましても、また米ソ関係にいたしましても、案外さっとひとつ方向が出ていくというようなチャンスはいつの場合にも私は外交の中にあると思うのでありまして、厳しいから、だめだからということでなく、積極的に機会をつくってひとつ取り組んでいただきたいと考えます。  きょうのお尋ねはこの程度にします。ありがとうございました。
  46. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  47. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  48. 和田教美

    ○和田教美君 牛肉、オレンジの輸入枠拡大をめぐる日米農産物交渉がこの間妥結いたしました。これは、日米の経済摩擦のいわば象徴的な存在になっておったわけで、確かにこの妥結によって一つのハードルを越したと思います。しかし現在、十六日、十七日とワシントンで、今、日米円・ドル特別会合の第三回作業部会が開かれておりまして、いわゆる円の国際化、それから金融の自由化というふうな問題についての日米交渉も一つの山に差しかかっておるという状況でございます。そこできょうは、議題に入る前にこの日米経済摩擦の問題を少し集中的に私取り上げてみたいと、御質問したいと思っております。  日米経済摩擦というのは、その解決いたしました農産物交渉を初めといたしまして今のいわゆる円・ドル問題、円の国際化、金融資本市場の自由化というふうな問題、それからいわゆるVANの問題、付加価値通信網のアメリカの企業の参入問題、あるいはまたコンピューターのソフト保護の問題、それから通信衛星の購入問題、それから関税引き下げの問題と、数え上げてみますとアメリカの対日要求というものは分野を非常に広げてとどまるところを知らないというふうな感じさえ持つわけでございます。最近は海運摩擦というふうな新語まで登場いたしまして、外務省の係官の方々も、もう摩擦はたくさんだというような顔をされておるように私見受けるわけでございますけれども、今度の一連の日米交渉の特色を見ておりますと、アメリカ側のやり方が非常に強引だという感じ一つ受けます。  例えばVANの問題なんかを見ましても、法案の作成過程にまでいろいろと注文をつけるというふうなことで、例えばマンスフィールド大使がこの問題について何回も閣僚にひざ詰め談判に来るというようなことも余り今までなかったことじゃないかというふうに思います。  それからもう一つは、アメリカ側が非常に強いと思っている分野、つまり農業とか金融とか情報産業とか、そういうふうな問題について日本の自由化なり市場開放を強く迫っているということが特色じゃないかというふうに思っておるわけでございます。  そこで、政府は今月の末までに対外経済対策を一まとめにまとめると、そして一括解決を目指すという方針だというふうに報道されておるわけでございますけれども、まずこの窓口といいますか、調整役といいますか、日米交渉の窓口の外務大臣お尋ねしたいのですけれども、農産物交渉が片づいてこれで一連の日米経済摩擦という問題は大きな山を越した、あとはもうとんとんといくと、そして四月中の一括解決という方向に持っていくという自信が十分おありかどうか、その辺のところをまずお聞きしたいと思います。
  49. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この日米経済摩擦というのは、これはいいかげんに打ち切りにしたいところですけれども、しかし今の日米の経済の膨大な交流、貿易だけでも六百億ドルという歴史始まって以来の二国間の貿易、これも伸びる一方です。その貿易も今非常にインバランスになっておると、こういうことで、これはただ一過性のものではなかなかないんじゃないか。ですから、これはGNPの自由世界で一位と二位の国ですから、この国がさらに貿易、経済交流を盛んにしていく以上は、どこかで何かがいつの時代にも起こってくるということはやっぱり私たちは認識してかからなきゃならぬのじゃないか。しかし、この問題は日米間においてはあくまでもやはりお互いに話し合いで解決する、経済問題は経済問題で解決していく、大きな政治問題にすることだけは避けるというのが日米の今後のあり方から見て、また今のあり方から見て非常に必要なことであろうと、こういうふうに思うわけなんです。  そういう中で、当面の解決を求められている課題は、農産物とVANが一応終わりましたからあと今お話しのように円・ドルの問題、それからサテライトの問題、それからアメリカあるいはEC等が要求してきております関税引き下げの問題がこれからの我々の課題になるわけです。農産物の交渉は大変難航をきわめて一時決裂というところまでいったわけですが、最終的には両国が痛み分けということで決着がつきました。これは両国ともこの問題で決裂のままいきますと、これからの日米間の懸案解決には非常に大きなそごを来すというよりは、同時にまたこの問題は政治的に大きくクローズアップするおそれがある、ですから、この辺でお互いに我慢し合ってという、両国ともそういう意思が働いてああいう解決になったと思うわけです。ですから、あの解決によってやっぱりその他の問題は一面においては非常に解決しやすくなったということは、傾向として私は言えるんじゃないかと思うんですね。  VANの問題も相当アメリカは厳しい注文をつけてきました。これは最近のアメリカ、今、和田さんは少し勝手過ぎると言われましたが、全然そういう面がなきにしもあらずですけれども、なかなかアメリカ日本の政策決定の時期とかメカニズムというのを非常に勉強して知ってきたわけですね。ですから、例えば関税なんかでも、今までは四月だとか五月だとかいうときにぽんと出してきていました。今度は、関税率審議会が年に一回しかないわけですから、これをねらってその寸前に打ち出してくるとか、あるいはVANの問題でも国会で法律が通った後では仕方がない、出してからではなかなかどうにもならぬ、ですから、政府が閣議決定をする前をねらってやっぱり注文をつける。その辺は今までと違ってなかなかアメリカ日本の政策決定の過程というのを非常によく知ってきたという感じを、研究してきたという感じを私ども率直に言って持つわけです。そういう中で厳しく注文をつけまして、日本は最終的には日本の判断ですが、しかしアメリカとの関係考えてああいう形で決着をして、これはある程度の評価はしておると思います。しかしこれから法律ができて、それから運用でどうするかという点について一つの疑問を持っておりますから、その辺はこれからの法律をどういう形でつくるか、そしてその運用をどうするか、やはり我々としては内外無差別、透明性というのが、これはハイテクだけに貫かれていかなければならない、こういうふうな基本的な認識は持っておるわけでございます。役所間のいろいろの調整は大変難航しましたし、またこれからもあると思いますが、やっぱりその認識が、その基本というのが大事だと思うんですね。  それから、残っている問題については大体四月の終わりごろをめどに今各省間で作業を進めておりまして、大体パッケージにしたいということですけれども、お話の円・ドルの方は、これは今アメリカに大場財務官が行ってやるわけですが、これは今我々がそばから見ておりましてもなかなか厄介だと思うんです。四月に何か日米間に見通しがつくかといってもそう簡単につくかなというふうな率直な感じを持たざるを得ない。リーガン財務長官は相当怒りまして、日本に来たけれども、日本で何らの資本市場の自由化とか円の国際化について具体的な解決策を示さなかった、逃げたんだということでえらく憤慨しているという状況が今も続いているように見えます。しかし、それはそれなりにやはり日本としても難しい問題を金融面で持っていますから、これは四月の終わりといってもなかなかそう簡単にいかないと思います。どの程度まで今度のアドホックの委員会で話し合いが進むか、これは注目しております。  それから、サテライトとかあるいは関税の引き下げの方は、これはある程度の調整がつきつつあるんじゃないか、全体的に見てそういうふうに私は見ておるんです。これも関税については、特に農産物なんかにつきまして問題があるわけですから、どういうふうにこれを全体的にこなしていくかというのは、なかなかこれも困難な点をこれから乗り越えなきゃならぬわけですから、いずれにしても何とか四月の末ぐらいにはパッケージにしたいものだ、こういうことで今各省間の調整を進めておりまして、この経済対策閣僚会議にいつ持ち込めるかということが今の焦点になっているところであります。  ブッシュ副大統領も五月の初めには場合によっては来るという可能性もなきにしもあらずで決定しているわけじゃないようですが、そうなればやはりそれまでには一応の方向性だけは打ち出さないといけないんじゃないか。アメリカもそれを求めておる。日本もやはりこの辺で一応の懸案についての日本の努力の成果というものを一応総まとめはしたいものだと、こういうふうに率直に思っております。
  50. 和田教美

    ○和田教美君 今外務大臣お話にもございましたように、ブッシュ副大統領が五月の連休明けに来る予定だということは報道されているわけで、新聞記事によりますと、経済摩擦問題の手打ちに来るというふうに書いているところが多いわけですね。手打ちに来るということであれば、日米円・ドルの問題にしても、そういう懸案の問題が一応パッケージで解決しているということを前提として手打ちということになるんだろうと思うんですが、もし今の外務大臣お話しのように、一番今焦点になっているのはやっぱりこの日米円・ドルの問題だと思うんですけれども、そういう問題が仮に解決しない場合には、ブッシュ副大統領の来日ということも延びるとか取りやめになるという可能性はあるわけですか。
  51. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私が一月に行ったときからの話ですが、ブッシュ副大統領日本に一度は来たいという、日米のいわゆる懸案事項のアメリカ側における取りまとめをレーガン大統領から委任を受けていると、こういうことで責任を持っているので最後には日本に来たいと、こういう気持ちを持っておられることは事実で、そういう方向で今日に至ってはおりますけれども、しかしまだ最終的な段階として決まったわけじゃないんですね。そしてまた同時に、日米間の今行っておりますいろいろの懸案の解決が、あるいは実質的な進展といいますか、そういうものがどこまでいくかということがやはり来るか来ないかの一つの判断にならざるを得ないんじゃないか。日本はいつでもおいでくださいと言っていますけれども、ブッシュ副大統領が来るか来ないかはやっぱりブッシュさんの判断ですから、それは今の懸案が四月の末、五月の初めまでにどういうふうにまとめられるかというのが恐らく判断の基準になると私は率直に言って思います。そのときに面倒なのは、私は大蔵大臣からまだ聞いておるわけじゃないんですけれども円・ドル問題じゃないだろうかと思いますですね。これは四月、それから五月にもう一回やるという一応予定になっていますから、四月の、アメリカに大場財務官が行っている間に国内からそういう大きな、アメリカもある程度評価するような前進が見られるようになるのかどうか、何といっても大問題ですから、その見通しも我々もつきかねておるわけであります。
  52. 和田教美

    ○和田教美君 今お話しに出ております今月末までにまとめるという一括対外経済対策、これは経済企画庁でまとめておられるんだろうと思うんですけれども、その骨子でもできておるというのであれば現在の進行状況を聞かせていただけませんか。
  53. 田中努

    説明員(田中努君) ただいま取りまとめを行っております対外経済対策の骨子でございますが、先ほど和田先生お話にございましたような日米間の懸案事項、農産物でございますとかあるいはVANでございますとか、一部解決済みのものもございますけれども、まだ解決のついていないそれ以外の通信衛星の問題、ソフトウエアの保護の問題、それから金融資本市場の自由化の問題といった日米間の問題に加えまして、ECからもやはり同様に関税率の引き下げという要望も出ておりますし、製品輸入を拡大してほしいと、さらには基準認証制度の改善の実施をしてほしいということを要請してきております。また、ASEAN諸国からも関税の引き下げ等の市場開放措置の要求が参ってきております。  これらを踏まえまして、これらに対応する形でパッケージを取りまとめたいということで現在関係省庁と鋭意折衝を行っておるところでございます。
  54. 和田教美

    ○和田教美君 まだ内容をしゃべれというのはちょっと無理かもしれませんからそれくらいにとどめておきます。  それで、具体的な問題について二、三お尋ねしたいのですけれども、ここに、外務省の経済局で少し前につくられた日本と米国との間の経済摩擦の現状という便利な表がございますので、この表に従いまして二、三問題を取り上げたいと思います。  まず、さっきからも言っておりますようにやはり当面一番の焦点は日米金融摩擦の問題だと思います。この金融摩擦、つまり円・ドル問題あるいは金融資本市場の自由化の問題、これについては厄介なことにアメリカ側から非常に強い要求が出ているというだけでなくて、国内でも金融自由化という声がもう相当強くなってきておる傾向があるわけで、いわば外圧と内圧が重なり合って、過保護と言われております大蔵省の金融行政のあり方にもかなりインパクトを与えているのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それで、今ワシントンで開かれておりますアドホック委員会、つまり日米円・ドル特別会合の第三回作業部会で、これは中曽根総理も再三大場財務官や国際金融局長を呼んでいろいろ勉強し、また注文もつけたようでございますけれども。ここで日本側としては今度の会議で主としてユーロ円市場の具体的開放策についてアメリカ側に提示をして、できればこの場で事実上の決着を図りたいという方向で臨んでおるということが報道されておるわけでございますけれども、具体的にどういう案を米側に、特にユーロ円市場の問題で提示しておるのか、それからまた、今度の第三回作業部会で決着をつけるというふうに動きつつあるのかどうか、まだ途中経過でございますけれども、ひとつ御報告を願いたいと思います。
  55. 桐渕利博

    説明員(桐渕利博君) お答え申し上げます。  ちょうどただいま十六、十七日の両日、御存じのようにワシントンで日米間で話し合いが行われている最中でございます。私どもといたしましては、既に御存じのように第一回、第二回と話し合いを続けてまいりまして相当にお互いの理解が進んできた。それから、第二回におきましてはさらに突っ込んでこちらの考え方も申し上げあちらの考え方も伺って、特に第二回では日本の金融資本市場の自由化についてのこちらの考え方を申し上げた次第でございますが、今回第三回におきましては、アメリカ側から提起されておりましたユーロ市場の拡大というもの、ユーロ円市場の拡大を中心といたしまして日本の円の国際化を進めてはどうかということに対する私どもの考え方、それから今後の展望と申しますか、どのようにしていくかということを中心お話しして、今回の会合で実質的にはすべてお互いの理解が一致するようにいたしたいと、今後はむしろ財務長官及び大蔵大臣に提出いたします報告書の起草というものに入りたいというふうに思っておる次第でございます。
  56. 和田教美

    ○和田教美君 その日本側の提案というか、そういうものについての内容をいろいろと新聞で具体的に報道されておるわけでここにもございますけれども、これについては、ユーロ円の問題に限って多少具体的なお話ができませんか。
  57. 桐渕利博

    説明員(桐渕利博君) 確かに私どもも、米国の御関心のところは居住者によるユーロ円債の発行の緩和とか、あるいは非居住者によるユーロ円債の発行、あるいはそれに関しますリードマネージャーをどうするかというようなこと、それからユーロのたとえばCDというようなものを発行すること等にあることはよく存じておりまして、これらについて十分検討いたしまして一応私どもの考え方を述べることになっておりますが、ただいまちょうど話し合いをしている最中でございますので、具体的な点については御勘弁をいただきたいと存じます。
  58. 和田教美

    ○和田教美君 それでは、新聞報道に基づいて少しお聞きするわけですけれども、今おっしゃったユーロ円債の発行規制緩和については、居住者の問題については日本企業からも今度発行できることになりましたね。非居住者については、今までは外国政府だとかそういうところだけだったのが今度は民間でも発行できるということにするというふうに考えておるという報道がございますね。それから、今おっしゃったユーロ円債発行の主幹事の問題ですけれども、外国証券会社にも開放する、そういうことがいろいろと報道されているわけですが、そのくらいのところは大体そのとおりですか。
  59. 桐渕利博

    説明員(桐渕利博君) お答え申し上げます。  まず第一に、ユーロ円債の非居住者分についてでございますけれども、これにつきましては昭和五十二年以来漸進的に外国政府とか国際機関による発行を認めてきている次第でございます。四月一日から居住者によるユーロ円債の発行というものについて大幅な緩和をいたしたところでございますが、非居住者のユーロ円債のガイドラインにつきましてもその運営を緩和する方向で今後検討していくつもりでおります。その旨、多分発言していると思います。
  60. 和田教美

    ○和田教美君 この問題はもう少しはっきり決まってからまた機会を見て質問したいと思うんですが、実は前川日銀総裁がユーロ円市場の自由化問題に関連をいたしまして、基本的には国内金融市場の諸規制の自由化を先行させるべきであって、海外のユーロ円取引の自由化が先行するのは適当でないという見解を述べておられますね。きょう日銀の支店長会議が開かれているニュースを昼やっておりましたけれども、その席でもさらにその点を強調されておったということでございますけれども、前川さんの考え方は、やはり海外のユーロ円市場の開放という問題は要するにアメリカの圧力というか、それによって余り先走ってしまって国内の方が取り残されて、そこでアンバランスができるということではいけない、自主性を持って取り細めという、つまり調和をとってやれということをきょうは盛んに強調されたというんですけれども、その辺のところはどうも政府・大蔵省の考え方と大分食い違いがあるように思うんですが、その点はいかがですか。
  61. 桐渕利博

    説明員(桐渕利博君) お答え申し上げます。  私ども、前川総裁が御発言になっていらっしゃるということと私どもの考えと別に開きがあるというふうには思っておりません。私どもは、やはり円の国際化とか金融資本市場の自由化というのは、まず国内市場の自由化というのが重要であるというふうに考えておりまして、ユーロ市場の規制の緩和という問題は、国内のそういう自由化の進展ともにらみ合わせましてバランスをとってやっていくべきであるというふうに考えております。  私ども、やはりユーロ市場というのにつきましては国際的にもいろいろな評価があるかと思っておりまして、必ずしも一致した意見がないところではないかと思いますので、これにつきましては慎重に今市し上げたような態度で進んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  62. 和田教美

    ○和田教美君 先ほど安倍外務大臣からも御発言がございましたけれども、リーガン財務長官が三月の二十四日でしたが東京での記者会見でかなり刺激的な発言をしております。円の国際化をめぐる日本との話し合いについて、言葉は多いけれども何ら実行が伴っておらない、非常に失望する、欲求不満を感ずるというふうなことで、さらに我々にとって見逃しがたいのは、アメリカの巨額の貿易赤字の原因の一つが不適正な円・ドルレートであり、それをもたらしているのが日本の金融資本市場のさまざまな制約である、こういうふうに言いまして、要するにさっきも外務大臣が述べられました去年は二百十億ドルぐらいになる日本の対米黒字という問題が、いかにも日本の円が不当に安く評価されておる、つまり円安ドル高だからだというふうな言い分をリーガンさんはやっているわけなんです。私はその点は、やはり基本的な問題はアメリカが高金利であって、そしてその背景には財政赤字があるという問題がドル高ということに響いてきているということだと思うんで、このリーガンさんの言い分はまことに見当違いだと思うんですが、実はきのう安倍外務大臣にお会いになったオーストラリアの外務大臣のヘイドンさんもきょうの報道によると大変その点を指摘して、アメリカの態度は非常にけしからぬというふうなことをおっしゃったというふうに報道されておりますが、この点はもっとアメリカに対してはっきり物を言ったらどうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
  63. 桐渕利博

    説明員(桐渕利博君) 今の円・ドルレートの問題でございますが、私どもも、問題は円安ではなくてドル高である、それから、ドル高の主要な原因はアメリカの金利高にある、また、その金利高の主要な原因はアメリカの財政赤字にあるというふうに思っております。したがいまして、このことについてはたびたび私どもの方からあらゆる機会をとらえてアメリカの方にその旨を申し上げ、かつアメリカ側において財政赤字について適切な対策をとられるよう望んできたところでございます。現に、円・ドル委員会作業部会というものにおきましても、アメリカの財政赤字対策というものを私どもの方から取り上げましてアメリカの方に善処方をお願い申し上げている次第でございます。
  64. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) きのうオーストラリアのヘイドン外相がやってきまして、まず日米農産物交渉に触れまして、日本アメリカから相当大きく買わされてしまったと、これは要するに日米間の貿易のインバランスがアメリカをして農産物についてもああいう強い態度をもたらしたことであるけれども、しかし、むしろこういうことは見当違いで、お話しのようにアメリカの高金利に実は問題があるんだと。オーストラリアとしては、日米農産物の結果としてそのしわ寄せをオーストラリアが受けることはこれはもう我々としては認めるわけにはいかない、こういうふうなことを盛んに言っておりました。それはそれなりに一つの、今のように理屈がないわけじゃない、こういうふうに思っております。  貿易の黒字、赤字というのは二国間の問題だけではないんですけれども、しかし日米間にこれだけ大きなインバランスが出ますと、やはりアメリカとしても大変これに対して——全体的には率は減っているんですけれども、しかし大きく気にせざるを得ない。日本としては、もちろんこれは高金利に一つの原因があるということを言ってもなかなかそれだけでは通用しない面もあるわけで、お互いに言いたいところはきちっと言いながら、しかしお互いにまた是正したりあるいはまた改善したりする点は改善していかなきゃならぬ。高金利の問題もそうですし、あるいはユニタリータックスなんかの問題も我々率直に言ってこれは改めてもらわなきゃならぬし、また日本の今の円の国際化とかなかなか困難な問題もあるでしょうけれど、資本市場の自由化等についても日米間で話し合ってできるだけの改善措置をとっていかざるを得ないのじゃないか。それがやはりこれから自由貿易体制を堅持していかなきゃならぬ日本の責任である、こういうふうに認識しております。
  65. 和田教美

    ○和田教美君 さっき安倍外務大臣からVANの問題についても大体めどがついたというお話がございましたけれども、しかし例えばマンスフィールド大使が、電気通信事業法案がまとまる段階で声明か何かを出して、なおかつどうも米側は不満だというふうなことを言っておりますね。そしてどうも聞いてみると、法律ではなるほど今おっしゃっていた内外資本完全無差別、それから外資規制もやめるということで形は整ってアメリカの要求は入れられたわけですけれども、しかし具体的に政令、省令、そういう段階で何か登録制、大型VANについて登録制になるわけですが、これについて何か郵政省が規制的なことをやるんじゃないかという疑心暗鬼がまだアメリカ側にあるんじゃないかという感じもするんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  66. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 今御指摘の点につきましては、先般国会に提出をいたしました電気通信事業法案では、先生指摘のとおりに内外無差別という原則で、特別第二種電気通信事業につきましては自由濶達に内外の企業が競争をしてもらう、それによって電気通信事業の発展を図るという道を選んだわけでございますが、アメリカ側の懸念は、一つには法文上に外資規制の条項を載せるということ、これに反対をするということでございますが、もう一つは、御指摘のとおりに実際の運用の中で外資系の企業が不利益を受けるということがあってはならないと、こういうことでございました。  それで、この点に関しましては、今度の法案の中におきまして特別第二種電気通信事業につきましては登録という形になりましてその要件は法律の中にも明定をしてございますし、実際、これから政令、省令の中でもさらに詳しく基準等を書き込んでいくということによりまして十分透明性を確保していきたいというふうに考えております。これらの考え方機会を通じましてアメリカ側にも私どもお話しをしているところでありまして、法案の中から外資規制の条項が最終的になくなったということでアメリカ側の懸念は解消されたというふうに考えているところでございます。
  67. 和田教美

    ○和田教美君 大体これは山は済んだというふうに見ていいでしょう。  それから、次はさっきもお話しのございました通信衛星の購入問題でございますけれども、これは安倍外務大臣がこの前、去年の十月ですか、ブロックさんに我が国の宇宙開発政策は自主開発でやるんだと、これは変えないと、自主開発で衛星をやりますと。しかし、将来民間企業については国内法制上の手続をとった上で外国から通信衛星を買う可能性が出てくることになりましょうというような回答を出しておりますね。ところが、また最近アメリカが問題にしてきているのは——電電公社が将来結局民営になるというか改組されますね。その新電電というものはこれは今の電電とは違うわけで、これは民間会社というふうに解釈すべきであると。そうすると、新電電には当然買ってもらわなきゃいかぬというふうな建前で新しい要求を出してくるという報道があるわけなんですが、その点はどうなんですか。
  68. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 電電公社を電信電話株式会社に変える株式会社法案、それをこのたびの国会に提出したところで御審議を願う段階になっているところでございまして、その法律が通りますと来年、六十年四月一日から電信電話株式会社になるという状態になっております。  そこで、先生指摘日本電信電話株式会社による通信衛星購入という問題についてはどうなのかということについては、ただいまここで一義的に即答することはいたしかねる状態だというのが現実でございます。我が国の宇宙開発政策というのは実はあるわけでございますが、そこの中における現在の電電公社が負っている役割、占めている位置づけ、そういうような問題とか、あるいは新しく電気通信事業法ができ上がりますと新しい電気通信秩序というものができ上がってくるわけですが、その中における新しい電電会社の役割とか、それからただいま先生指摘アメリカからの要望など、そういったものを踏まえながらそれぞれの政策フィールドからの今後の十分な検討を必要とする問題だと、そのように考えている次第でございます。
  69. 和田教美

    ○和田教美君 そのほかに、例えばコンピューターのソフトウェアの保護の問題、保護立法の問題というような問題でもこれは通産省と文化庁、それから通産省とアメリカが対立したというようないろいろ問題があるわけですが、時間の関係もございますからその問題は省きます。  次に、これは直接の日米経済摩擦の問題ではございませんけれども、しかし日米の牛肉、オレンジのいわゆる増枠の妥結ということがはね返って、今やはり難航しているのが日豪、日本とオーストラリアの牛肉交渉だと思うんですが、とにかく、農水省は五十九年度の牛肉の輸入量の増加分をどのくらいに見ているんですか。報道によれば大体年間九千トン弱だというふうに伝えられておりますが、そうなりますと、日米農産物交渉で妥結した高級牛肉の枠、この増加だけで年平均六千九百トンですから、千五百から二千トンくらいしか残りはないことになってまいります。一方、オーストラリアの方は大体一万トン以上拡大してくれということを要求しているということなんですけれども、これじゃなかなか話が合わないことは当然のことであって相当難航するだろうと思うんですが、その辺のところの事情を説明していただきたいと思います。
  70. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 日豪の牛肉交渉につきましては一昨年の十一月以来何回かやってまいりまして、今度も五月の十日前後に事務レベルの協議を再開しようということになっております。その際の私どもの基本的立場といたしましては、牛肉の輸入につきましては、需要のうち国内生産で不足する部分についてグローバルベースで行うというのが一点でございます。それから、牛肉の輸入は、需給動向を踏まえまして国内農業の健全な発展と調和のとれた形で行われるべきであるというのが二点でございます。もう一点は、我が国と豪州との従来の貿易関係、こういうものにも十分配慮して行う、こういう基本的な立場でやっております。  そのとき、今先生おっしゃいましたように、私ども閣議決定をやっております昭和六十五年の農産物の需要と生産の長期見通しというのを今持っておりまして、牛肉もその一部でございまして、六十五年時点に日本においてどれだけの需要になりどれだけの生産が見込めるかと、その差が結局必要輸入量ということになるわけでございますが、その中間年度におきましてはどういう形でいくかということについては長期見通しは触れておりません。現在アメリカとは一九八七年でございますので六十二年までの合意というのが成立いたしまして、豪州も大体そのくらいの期間について日豪両国でなるべく早い妥結を望む、こういうように言っておりますので、私どもはこの長期見通しの線に沿った形であくまでもグローバルベースで対処していく、こういう基本的な態度に変わりはございません。
  71. 和田教美

    ○和田教美君 そうすると、もしオーストラリアと合意ができなかった場合には、一方的に日本が輸入枠を割り当てるというふうな形になるわけでございますか。
  72. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 実は、現在結ばれておりますMTNの日米、日豪の合意がございますが、日豪の合意は一九八二年、すなわち昭和五十七年度まで数量についての約束がある状態でございまして、アメリカとは一九八三年すなわち昭和五十八年まで数量の約束があるという一年ずれた形になっておりまして、実際は五十八年度におきましては豪州との間では総枠についての約束のない状態になっておったわけでございますが、我が国我が国独自の立場から直近の需給見通しに基づきまして上期、下期に分けてその割り当てをやりました。こういうことでございますので、これから日豪双方は早期妥結に向けて最大の努力をしようということでやっておりますので、その帰趨についてとやかくこの場で申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、五十八年のような状態ということになりますと、五十八年と同じような考え方で割り当てをやっていく、こういうことになろうかと思います。
  73. 和田教美

    ○和田教美君 わかりました。  今、いわゆる経済摩擦といわれる問題を大体総なめに聞いてきたわけでございますけれども、どうも私見ておりまして、今度の一連の日米経済摩擦の問題というのはアメリカ側が強引にとにかくどんどん押してくる、そうして日本が受け身に回っているという印象が非常に強いわけですね。背景にはさっきも言いました二百億ドルを超える対米貿易黒字という問題があるからどうしてもそうなるんだろうと思うんですけれども、しかしもっと日本側が、要するに要求すべき問題も二国間関係ですから当然あるわけでございまして、例えばさっき安倍外務大臣がおっしゃったユニタリータックスの問題ですね、世界レベルの合算課税というような問題、これはアメリカの五十州のうちで十二州がやっているということでございますね。こんなものは非常に何というか、アンフェアなものだというふうに我々は考えるわけです。とにかく日本の企業が向こうに行って進出をしていろいろ工場をつくったりするのは、この貿易のインバランスを改善するということと、それによってアメリカの労働者を、要するに働き手を雇うことによってアメリカの経済に寄与するという意味があるだろうと思うんで、そういう意味ではむしろ優遇措置をとってもらったっていいんじゃないかと思うんだけれども、全く逆のことをやられておるわけであって、こういう問題はもっと強くアメリカに要求をすべきであるというふうに思うことが一つです。  それから、例えば農産物の交渉について見ましても、オレンジは輸入枠が拡大をされましたけれども、しかし日本のミカンについては今アメリカが植物防疫ということを理由に大体六州ぐらいしかミカンの輸入を認めていませんね。だから、これも非常にアンフェアじゃないか。要するに自分のところのオレンジは盛んに売り込んでくるけれども、日本のミカンはなかなか輸入しないでシシャットアウトしているというようなことに現在なっておるわけでございますね。そういうところの外務省の努力というか、政府の努力が少し足らぬのじゃないかという感じさえ持つわけですが、その点はいかがですか。
  74. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは日本の場合も外交交渉を通じましてやはり言うべきことはきちっと言うという姿勢を貫いておりますし、先ほどからお話が出ました高金利の問題なんかもこれは日本だけじゃなくて世界の各国が注目しているんですが、日本も、やはりドル高の原因の一環として高金利の問題があるんじゃないかということは強く指摘しておりますし、あるいはユニタリータックスなんかもこれは日本が強く求めたために、リーガン財務長官のもとで今委員会をつくって改善作業に入っておりますが、どうにかいい方向へ進みそうだという情報も今得ておるわけでありますし、これは日本が強く言ったために改善措置がとられていくということになったと思います。あるいは農産物についてもアメリカは自由化自由化ばかり言っていますけれども、アメリカ自身が農産物については保護政策をとっているんですから、こういう点についても農産物交渉のときは我々は堂々と言うべきことは言っております。あるいはまた、水産の問題にしてもアメリカは相当日米漁業交渉の中でその枠を打ち切ると、それも捕鯨の問題に絡めて打ち切るようなことがありまして、そういう点については非常に不公正じゃないかということで日本も強く主張しまして、その点についてもだんだんと交渉が今、日米間の中でうまく進む可能性も出てきたわけです。こういうことはやはり日本が率直に言って強く主張してきたからであろうと思います。言うべきことは言わなければなりませんが、同時にまた、日本の場合もやるべきことをやらないと、日本は自由貿易がやはり原則で、これがなくなってしまえば保護政策が世界に蔓延するということになりましたら日本経済というのは壊滅的な打撃を受けるわけですから、やはり自由貿易体制というものを日本みずからも積極的に打ち立てるための市場開放努力は積極的にやっていかなければならぬ。相当痛い思いもしなきゃなりませんが、それはやはりやらなければいけないんじゃないかということで、我々としても市場開放努力を引き続いて今継続して、そして四月の末には何とか今の懸案の問題だけでも前向きにひとつ見通しをつけようということで頑張っておるわけであります。
  75. 和田教美

    ○和田教美君 もう時間がなくなりましたから、これは外務大臣に対する最後の質問なんですけれども、今までのお話しでもよくわかりますように、とにかく二百億ドル以上のインバランスというものがある。これが非常に重圧になっているわけですね。それで農産物交渉でこれは象徴的な存在だというように言われたけれども、これはオレンジそれから牛肉全部自由化してもせいぜい数億ドル改善されるというにすぎないわけで、これで解決するという問題ではないですね。そうすると摩擦は結局続くと。この貿易の膨大な黒字という問題をとらえてアメリカがいろんな注文をつけてくるという状況が続くだろうと僕も思うんです。それで政府は個別対策で何とか摩擦解消をと、そして政治問題化はしないというのですけれども、セミ政治問題化は常に続いていくというような状態になるんじゃないかと思うんですけれども、結局基本的には、やはり個別対策だけではこの問題は解決しないんじゃないかというふうに私は思うのです。  それで、実は私、今月の四日に参議院の予算委員会で河本経企庁長官にこの問題を聞きましたら、河本さんは、まさにそのとおりだと、つまり、個別対策で幾ら解決してもこの貿易黒字、赤字という問題がある以上は解決しないと、だから基本的にはやはり国内の内需をもっと振興して、そして輸出をある程度抑えるような状況に持っていくことによって問題を解決する以外にないんだというような趣旨のことを述べておられましたけれども、その辺のところは、将来の総裁候補としての安倍外務大臣の御見解をひとつお聞きしたいわけでございます。
  76. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この日米のインバランスは私はそう簡単には解決しないと思います。確かにアメリカの赤字の中で占める日本の比率というのはだんだんと少なくなってきます。二分の一から三分の一、四分の一というふうに少なくなっておるわけですが、しかし何としても巨大な貿易のインバランスがあるわけで、これはそう簡単にいかない。それは今おっしゃるように一つは、これを解決するためには日本の内需を積極的に高めてそして輸入を促進するということが必要でしょうし、またやはりもう一つは、構造的な問題も日米間の経済の中にはあるんじゃないか、そういう構造問題も大きな比率を占めているんじゃないかと、私は率直に言って思うわけでございます。そしてまた同時に、二国間の問題だけでこれをとらえるというのは、そして日本はけしからぬとか日本にどうしろというのはおかしい話で、やはり貿易というのはグローバルな形でとらえなければならぬ、それは基本だと思うのですけれども、しかしアメリカもせっぱ詰まっているものですから盛んに二国間の問題をとらえて言っておりますし、日本も、いやこれはグローバルな問題だということで突っぱねれば突っぱねられるわけですがそうもいかないということで、いろいろと努力は重ねておりますが、全体的にはそう一挙に解決するというふうなことにはならない。しかし同時に、それを解決する方向に努力はしなければならぬ。それは一面においては、やはり河本さんもおっしゃるような内需の拡大、内需の振興というものが大きな問題であろうと思いますし、あるいは円・ドルの問題で、結局もっと円が強くなればそれだけ輸入も増進されるということにもなってくるでしょうし、それから構造上の問題等もいろいろと日米間で研究する必要もあるのじゃないだろうかと、そういうふうに思っておりまして、やはり日米関係はいわば同盟関係ですから、そういう関係を踏まえながらいろいろとお互いに知恵を出し合って、将来に向かっての展望を開いていくという考え方、気持ちが非常に大事だと私は思います。
  77. 和田教美

    ○和田教美君 時間がなくなりましたので議題の三件については質問をする時間がなくなりましたけれども、この三件とも我々としては別に依存がない、賛成だということを申し述べまして質問を終わります。
  78. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 きょう議題になっております三件につきましては、我が党も別に依存はございません。  きょうは、外交の問題、特に文化交流の問題に限定して質問したいと思っております。  私は、日本の安全、平和のために、一方においては万一の場合の侵略に備えてそれを撃退し得るだけの防衛力を持つ、抑止力として持つということが必要だと思いますけれども、同時に、そういう事態に至らせないために紛争の原因になるような種を絶えず除去していく、そういう外交努力が必要だと思うのであります。この外交努力というのは、単に外務省だけではなしに政府全体がやるべき問題だと思いますけれども、やはりその中心になるのは外務省ではないかというふうに考えております。ところで、その紛争の原因になるのはいろいろありますけれども、一つの大きな紛争の種になるのは物の摩擦といいますか、経済摩擦といいますか、物についての利害の衝突が一つあると思います。しかし、それに劣らず重要なのは心の摩擦といいますか物の考え方の摩擦、この摩擦を除去していくことが必要ではないかというふうに考えております。  ところで、物の摩擦でありますとか経済摩擦というのはこれは大部分数量化してあらわれてまいりますので、例えば今度の日米農産物交渉のように両方の数字を出し合って、そしてその解決方法につきましてもお互いが歩み寄りまして、大野伴睦式に足して二で割るというふうな解決によってある程度解決することができるし、それが解決すればそれは成功だということが言えると思うんですけれども、心の摩擦の解決というのはもともと目に見えないものでありますので、どこまでやったら成功しだということが言えるか、どこまでやってもなかなか成功しだということが言えないそういう性質の問題だろうと思うのであります。そのために、ともすると心の摩擦の問題が国民の間でも軽視されるように思うのですけれども、しかし考えてみますと、物の摩擦の問題にしましても結局は心の摩擦、物の考え方の摩擦に帰する場合が多いわけであります。その意味で、文化交流によりましてそういった心の摩擦を取り除くということが私は大変大事なことだと思うんでありますけれども、どうも今申しましたように、形にあらわれないものでありますためにともすれば軽視されてくる。  それで、今度外務省は、機構改革によりまして今の情報文化局が情報調査部と文化交流部ですか、というふうに改組されるようになったと思うんですけれども、そのことが文化交流を軽視するということになってはならないと思うんであります。少ない外務省のスタッフでこれをうまくやりくりしていかなければいけませんけれども、文化交流を担当する人、必ずしも人数が多ければいいというものでもございませんけれども、やはりある程度のスタッフがそろう必要があると思うのです。そういう文化交流の方にも十分人数を配当していただきたいと思うのですが、まず最初に、安倍外務大臣文化交流に対する考え方をイントロダクションとしてお伺いしたいと思うのであります。
  79. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今日の国際社会におきましては、しばしば相互理解の不足に基づく誤解あるいは相互不信が国際関係を必要以上に複雑にしております。こうした状況にかんがみれば、諸外国との相互理解を増進し、互いの国情についての正しい認識を確立していくことが外交の重要な課題であろうと思います。このために政府は、今後できる限り多くの機会をとらえ、多種多様の方途により我が国の実情について諸外国の認識を深めるよう海外啓発活動を一層強化するとともに、学術、教育、芸術、スポーツ、日本語の普及等の文化面における交流協力を促進し、特に将来を担う青少年を中心とする国民レベルでの人的交流を一層拡充していく考えてあります。  他方、我が国の国際化に伴いまして、地方姉妹都市を中心とする地方自治体や民間におきましても文化交流は急速に進展しております。政府としましては、このような活動との連携にも意を用い、さらに積極的に支援してまいりたいと考えております。  今回、五十九年度の予算においても、文化交流関係につきましては、厳しい財政状況の中で我々としては各方面の理解を得てある程度の予算も確保し得たと思います。人間の面で足らない点はまだまだあります。不足している面はありますけれども、こういう点もおいおい充実をしてまいりたい。そして、まさに文化交流日本外交の大きな柱としてこれを推進しなければならない、こういう決意でこれからも取り組んでいく考えでございます。
  80. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、今から五、六年ほど前ですけれども、外務省の依頼でヨーロッパ、アメリカ、豪州あたりの大学で日本紹介の講演をして回ったことがあるんですけれども、そのときに在外公館の文化、海外広報関係の人たちといろいろ話してきたんですけれども、場所によりましては非常に熱心なところもあります。本省から送られてくる資料なんかたちまちに所要のところに配付しているところもあるんですけれども、場所によりましては本省から送られてきている資料が山積みになっている。もらいに来る人があればそれを配っているんだというふうなところもありましたし、あるいは広報誌かんかを送るメーリングリストなんかが非常に古い。恐らく五、六年ぐらいは書きかえられたことがないんじゃないか、私たちがちょっと見てもこの人は死んでいるはずだと思うような人がメーリングリストに載っているような場合もありました。やはり広報を担当する人がどれだけこういった文化交流という問題に関心を持っているか、あるいはその重要性を自覚しているか、そのことが非常に大事じゃないかと思うのです。外国なんかにそういった担当官を任命される場合に、やはりそういう問題に関心のある人を任命してもらいたいと思いますし、また、職員の研修なんかにおきましてもこういった文化交流の重要性ということを大いに強調していただきたいと思うんですが、そういった点について外務省はどういうふうにお考えでございますか。
  81. 市岡克博

    説明員(市岡克博君) ただいま御指摘のございました、海外におきます我が国文化あるいは我が国の啓発に関しての体制の整備あるいはその体制下における活動が十分当を得ていないケースがあるではないかという御指摘でございます。  私ども外務省には、在外公館の中にこれに附置いたしまして海外広報センターを二十八カ所ばかり持っており、そこにおおむね専任の担当官を配置し、日々本省の方よりも督励をいたしているところでございます。  お目につきましたような点、例えばメーリングリストにつきましては、私ども、資料配付に当たっての基礎資料としてこれほど重要なものはないわけで、日々これをできるだけ新たにしていくように指示をしてそういう努力も現に行っているわけでございます。在米大使館等多くの公館におきましては、こういう点につきまして当を得た措置が行われていることと考えておりますが、公館によりましては必ずしも適切にその整備が行われていない例もあったというように承知いたしております。私どもといたしましては、この点なども含めてこの海外広報センター等の活動の充実には十分意を用いていかなければならない、こういうように考えておりまして、今後ともそういうことが可能になりますように、人員配置の面におきましても、あるいは時宜を得たアドバイスをするにいたしましても心してまいりたいと考えております。
  82. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 文化交流の問題は、文化の輸出の面とそれから外国からの輸入の面とに分けることができると思うんですけれども、まず最初に輸出の面を取り上げたいと思います。  これはだれでも言うことですけれども、日本は商品については非常に輸出超過でありますけれども、そういった文化でありますとか情報という点になると大変に輸入超過であって、輸出努内が非常に不足しているのではないかと思われることが多いんですけれども、この輸出の場合に二つにさらに分けることができると思うんですが、一つは外務省が直接おやりになるもの、それからもう一つは民間の人たちがやっている、それを政府が援助する、その二つに分けることができると思うんですけれども、その最初の方の、政府が、外務省が直接諸外国に対して広報誌なんかを送る、その問題をまず最初に取り上げます。  これもやはり五、六年前の話でございますからあるいは既に改善されているかもしれないと思うんですけれども、デンマークに行ったときなんです。大きい国では、あれはパウチというんですか、一定の数量がまとまってから本省から在外公館に送るもの、あれがしょっちゅう来るらしいんですけれども、小さい国になると、あれがある一定の数量がたまらないと発送してこないんだそうで、何かデンマークあたりでは、日本で発行されたものが大体ニカ月ぐらいおくれて現地に届く。そして、それをさらに仕分けして送るというと、もう実際にその本人のところに届くのは非常におくれるわけで、今は改善されているかとも思いますけれども、現在はどういうふうにしてそれを発送しておられますか。
  83. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) 実は送付します場合に、一つはディプロマチックパウチとしまして送っている場合と、それからもう一つ、ディプロマチックペリオディカルという、いわばディプロパウチ外でございます、これは主に定期刊行物などを空輸便で送っておりますが、この二種類。それからさらに船便という三つでございまして、先生指摘の点の船便につきましては、ある程度荷物がまとまった段階で送るということになっておりまして、これは確かに、例えばアメリカの場合は平均二カ月から二カ月半、それからヨーロッパの場合は場所によりましては三カ月ないし三カ月半ぐらいかかるというのは、ある程度まとまらないとコストの問題があるということでございます。しかしながら緊急を要する問題につきましては、できるだけディプロマチックペリオディカルという航空便を使いまして現在送っておりまして、できるだけ資料につきましてはその方途を活用しているということで、かなり改善はしているわけでございます。
  84. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ペリオディカルの方を航空便で送っておられるのはごく一部でございましょう。
  85. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) これは全体の量といたしましては少のうございます。やはり中心は船便でございますが、最近量的には比較的ふやす方向に来ております。
  86. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それでは次に、民間の人たちが海外に情報なんかを輸出している場合のその問題を取り上げたいと思うんですけれども、日本紹介の印刷物なんかを外国に配布する民間の人たち、営利団体の場合もありますし、非営利団体の場合もあるんですけれども、その場合のボトルネックになっているのは郵送料が高い、郵便料が非常に高いという問題があるんじゃないかと思うんであります。郵政省の方が来ておられると思いますけれども、日本国内においても郵便事業というのは第二の国鉄になるんではないか、取扱量なんかもそれほどふえていないように思うんですけれども、このままいけば私はだんだん郵便事業というのは衰退していくんじゃないかということを恐れているんです。臨調あたりの答申を見ましても、郵政省内部においていかに合理化して金を少なく使っていくかということは提案してありますけれども、もっと郵政省がもうかるようにする必要があるんじゃないかと思うんであります。もっと増収を図る方法、それを考える必要があると思うのでありますけれども、その問題はここは外務委員会ですからここでは取り上げません。逓信委員会あたりでまた取り上げたいと思っておりますけれども、ここではもっぱら外国に対する印刷物、これの発送の場合の郵便料、これの問題を取り上げたいと思います。  現在そういった印刷物、第三種にならない——第三種というのは定期刊行物であるとかいろんな要件があるんですけれども、例えばクォータリーで出している雑誌でありますとかあるいは不定期に出している印刷物であるとか、そういうものの料金は諸外国と比較してどういうふうになっておりますか。特に西ドイツが安いというふうに話を聞いているんですけれども。一つの例で結構です。大体百グラムなら百グラムくらいで第三種以外の郵便料金、航空便じゃなしに船便です。
  87. 伊藤修介

    説明員(伊藤修介君) お答えいたします。  ただいま先生の方からお話がありました西ドイツについて申し上げますと、第三種とかあるいは学術刊行物のような定量の物を除きまして、その他の物の西ドイツから日本あて、日本から西ドイツあての料金についてお話を申し上げますと、例えば二十グラムの物でございますと、西ドイツから本邦にあてられる物は大体五十二円くらい、六十二ペニヒでございます。これに対して本邦から西ドイツにあてて同じ重量の物を送る場合には七十円ということでございます、重量別によりましていろいろございますけれども。
  88. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 余り差のない例を挙げられたように思うのですけれども、百グラム未満の場合はどうですか。
  89. 伊藤修介

    説明員(伊藤修介君) 百グラムのところで同じ条件で比較をいたしますと、西ドイツから来る場合は百二十ペニヒ、日本のお金にいたしますと百三円くらいでございましょうか。日本から送る場合は百五十円でございます。
  90. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私の調べたのでは、西ドイツはもう少し安いように思うのですけれども、西ドイツの場合、重量が多くなればなるほど非常に低減していますですね。余り重量の少ないものはそれほど日本と変わりませんですけれども。私はこの西ドイツのやり方というのは非常に勉強する必要があると思うのです。西ドイツはやはり国策として海外に送る印刷物をできるだけ安くしよう、そういう政策的な意図が働いているんじゃないかと思うのです。例えば日本でやる場合でも外国語で書かれているような印刷物、それは大概外国向けだということはわかりますから、外国語で書かれているようなものは特別に安くするとか、あるいは非営利団体で出しているところの広報誌であるとか印刷物、毎月出していない、第三種に入らない定期刊行物ですね、そういったものに対して割引料金をつくるとか、あるいは例えば千部以上であるとか、三千部以上まとめて出す場合には、これは外国だけじゃなしに国内についても私は同じことが言えると思うのですけれども、そういう場合には特別に安くする。これによって私は国内でも大いに増収——金もうけができるんじゃないかと思うし、対外的にも文化交流に役立つだけじゃなしに、大いに金もうけができるんじゃないかと思うのですけれども、そういう文化交流に対して郵政省として何か特別な配慮をしておられますかどうか。
  91. 伊藤修介

    説明員(伊藤修介君) ただいま先生からお話がございましたように、文化交流といいますか、経済、文化の発展というような公共性の責務、もちろんこれは郵便事業を実施していく場合に一つの要素ではございますけれども、もう一つ同時に、それと同じように独立採算という形で現在わが国の郵便事業が経営されているわけでございまして、最初先生の方からお話がありましたように、独立採算ということで郵便事業を伸ばしていかなくちゃいかぬというのが基本的な姿勢でございます。そういう中で、船便について申し上げますと、例えば第三種の郵便物、それから学術刊行物に該当するようなものにつきましては、一般の印刷物の料金の五十%の低減の料金を適用しまして文化交流等の配慮をしているわけではございます。それ以外の例えば外国語で出されているものとかあるいは非営利法人等の広報誌、先生から今御指摘をされたわけでございますが、低料金を適用しております第三種あるいは第四種の問題にいたしましても、これは当然コスト割れになるわけでございまして、そのコスト割れの部分がどういうことになるかといいますと、ほかの郵便の利用者の方の負担で行われているということでございますので、郵便事業が文化交流等の配慮をする場合にもおのずからそこにはやはり一定の限度というものがあろうかと思います。
  92. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 どうも郵政省の考え方には余り商売気がない、コマーシャルマインデッドじゃないのではないかと思うんですけれども、量をふやすことによって独立採算であっても増収を図って赤字を出さない方法があるんじゃないかと思うんです。例えば先ほどちょっと出しました百グラム未満のもの、これは万国郵便協定で標準が八十二円五十銭ですね。上下にアローアンスがあって、高くするのは一〇〇%までよろしいと、安くするのは七〇%でしたかね、それがあるんですけれども、標準が八十二円五十銭で、最高が百六十五円までは上げてよろしい、最低は二十四円七十五銭まで下げてよろしいというふうになっていると思うんですけれども、大体日本の場合は百五十円でしょう。そうするとかなり上限に近いところまで取っているわけですね。私はこれを下げることによってもっとダイレクトメールなんかがふえて増収になるんじゃないかと思うんですけれども、高くして少なく売るというよりも安くしてたくさん売る方法を考えた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  93. 伊藤修介

    説明員(伊藤修介君) 万国郵便条約の定め、今先生が御指摘をされましたように、基本料金を基準にいたしまして各加盟国が引き上げる場合については一〇〇%を限度とし、それから引き下げる場合には七〇%の限度の範囲内と、こういうことになっているわけでございますが、この引き上げあるいは引き下げの規定は、各国がそれぞれの自国の経済情勢なり内国郵便料金との均衡というようなものを考慮して料金を設定し得る権能を与えたものでございまして、我が国の船便の印刷物の料金について見ますと、七〇%引き上げということで設定をしてございます。  印刷物の料金をこういうふうにしております大きな理由は、船便の通常郵便物の中に占める印刷物の割合、これは全体の約九〇%という非常に高い率になるわけでございます。そういうことから、この事業を支える一つの基本としてこの印刷物の料金というものを考えざるを得ないということと、それともう一つ、内国郵便の料金との均衡というものを考えて現在の料金に設定した次第でございます。
  94. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 決定された事情はわかるんですけれども、これは外務省以外のすべての官庁について当てはまることですけれども、郵政省あたりでもやはり国際的な文化交流がいかに大事であるかということをよく踏まえて、それでこういった海外郵便物の料金なんかも、もう一度再検討していただきたいというふうに思っております。今すぐの返事は無理でしょうから、その問題はこれで打ち切ります。  それから次に、日本語の普及の問題に移りたいと思うんですけれども、先般、NHKのテレビで私見た記憶があるんですけれども、バリのパリ大学に一つのカレッジですか、東洋語学学校というのがあるんですけれども、あそこで日本語を学びたいという学生が最近急激にふえて、何か今まで二百人くらいだったのが二千人くらいにふえたために教室が足りない、先生が足りないというので学生がデモをした。その風景をNHKで見たことがあるんですけれども、パリ大学というのは国立の大学ですから、日本が直接にどうするということはできないと思うんですけれども、校舎の問題なんかどうするということはできないと思うんですけれども、せめて教師を派遣する、これは国際交流基金の方の仕事だと思うんですけれども、外務省の所管ですからお尋ねしますけれども、外国人に日本語を教える、在留邦人じゃなしに外国人に日本語を教える、そういう一種の特殊技能を持った人をパリを含めて外国にもっと出していく、そのことが必要ではないかと思うんですけれども、いただいた資料によりますと、去年は何かたった一人しか出ていないように思うんですが、どういうふうなお考えでやっておられるか、お伺いしたいと思います。
  95. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) まず、事実でございますが、御指摘のとおり、フランスにおける日本語学習者数が一番最近の数字でございますと二千三百という数字になっておりまして、またパリの第三大学の日本語学科の学生及び教師が抗議集会をしたのは一月の二十六日、千名ぐらいの抗議集会を開きまして、直接はフランスの政府に対しまして、一つ日本語学科教師数が少ない、特にロシア語と比較しまして少ない、それから教室などの施設が劣悪である、それから教師の勤務条件が劣悪というような、あるいは研究教育条件の改善というような四つの点を挙げまして抗議集会を開いた。  そこで、現在日本協力しておりますのは御指摘のとおり一名、全体では三名でございますが、昭和五十五年にはパリの第三、第七大学、リヨンの第三大学に対して一名ずつ計三名、五十六年にはリヨンの第三大学に一名ということでございまして現在非常に少ない。ちょうどこの問題が起きましたものでございますので、早速実情を現在調査、訓令を打ちまして、同時にこれは直接はフランス政府の意向を体して、あくまでも意向を踏まえてやらなくちゃいかぬということでございまして、まず事実がどうなっているか、それからフランス政府の意向はどうかということを照会中でございまして、その意向を踏まえた上で今御指摘のような先生の派遣とかあるいは教材とか、当然日本側としてできることにつき、ぎりぎり予算の全体をにらみ合わせながら、できるだけ前向きに考えていこうということで、現在返事待ちの状況でございます。
  96. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今後一層努力していただきたいと思います。  次に、今度は文化の輸入の方の問題に移りたいと思うんですけれども、現在日本は表面的に見ますと非常に国際化しているように見えます。銀座なんか歩いてみますと横文字の店であるとか片仮名の店であるとか、これはどの国かと思うくらいにそういう意味の国際化はしているように思うんですけれども、果たして日本人が国際的に物を考えるようになっているかどうかと考えると、私は必ずしもそうではないんじゃないか、表面的な国際化にかかわらず依然として日本人だけにしか通用しないような論理で物を考えていたり、あるいは経済摩擦の問題についても世界に通用するような一般的な原則というものをともすると忘れがちな人たちが非常に多いように思う。あるいはベトナム難民などの受け入れの状態を見ておりましても、そういう意味の国際化というのは非常におくれている。私は、やはり国際的に通用するような物の考え方日本人が学ぶ必要があると思う。その窓口になるのは、やはり外務省が窓口になってその世話をする必要があると思うんですけれども、その場合に外国の映画であるとかテレビなんかを紹介するのはもちろん必要ですけれども、やはり指導者の考え方を変えていくにはやはり文字と申しますか言葉といいますか、そういうものを学ぶことが必要ではないかと思います。  これも五、六年前、ちょうど私がイギリスに行っていたときに、その当時、今OECDに行っておられる坂本重太郎さんがロンドンの広報担当でやっておられて、あの人といろいろ話し合ったことなんですけれども、あの人の発意、イニシアチブなんですけれども、イギリスから大学卒業した若い人たちを何人か選んで、そして日本に送って中学校、高等学校あたりで英語の教師にしたらどうかということを発意されて、それが実ったのだと思うんですけれども、数年ほど前から何人かのイギリス人の人が来て各地で教えているように思うんですが、その成績は一体どうでしょうか、これは文部省の所管になりますか。
  97. 草場宗春

    説明員(草場宗春君) 文部省では、外務省の御協力を得まして昭和五十三年度から日英文化協定の趣旨に基づきまして我が国の英語教育の改善に資することと、日英両国の友好親善、相互理解の促進を図るという二つのねらいを持ちまして、英国人の若い方々に日本の高等学校などで英語教員の助手としてお勤めいただくということで英国人英語指導教員の招致を進めております。これまで延べ三百七十名ほどの方が日本に来て高等学校等で英語の指導をしていただいておりますけれども、その成果は大変に高く評価されております。  特に、高等学校などで英語の授業を毎週最低一時間程度は持っていただきまして、LL教室の運営とかあるいは会話の指導等を通じまして生徒の英語の授業に対する学習意欲を高めるとかあるいは英語能力そのものも高まっていくというような非常に成果を上げております。また、来日した英国人教師にとりましても、日本教育文化の事情あるいは高校教育の実情等について理解を深めていただいているものと思っております。
  98. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私の聞いたところでも大体において評判はよろしい。最初のうちは英語教師なんかで自分たちの職場を奪われるんじゃないかという心配で反対の声もあったそうですけれども、最近ではむしろ英語の教師なんかが非常に歓迎しているというので、私はあの計画は非常に成功だったと思うのですが、これを今後さらに拡大していく考え方はないのかどうか。特に、日本人というのは東西、横の方はすぐ見る、アメリカであるとかヨーロッパの方はよく見るんですけれども、縦の関係、南北の関係を見ることがどうもおくれているんじゃないか。先ほど和田さんの話にもありましたけれども、日本と豪州との間で経済上のいろんな問題が起こっておりますけれども、やはり太平洋圏として今後私は豪州、ニュージーランドとの関係を密接にしていくことが非常に大事じゃないかというふうに考えております。  日本と豪州との関係考えますと、ちょうど日本アメリカ関係を逆にしたようなもので、日本アメリカのことは非常によく知っているけれども、アメリカ人は日本のことを余り研究しようとしていない。それとちょうど同じことが日本と豪州との間に言えて、豪州の人たちは日本のことは非常によく研究しているように思うんです。ところが、日本学者で豪州のことを研究している人は余りいない。最近は少し出てまいりましたけれども、実に数からいいますと非常に少ない。豪州の学者日本研究している数に比べますと私は非常に少ないように思う。  これも五、六年ほど前にキャンベラのナショナルユニバーシティーに行ったことがあるんですけれども、あそこでやはり日本語、日本学というのですかね、それのドクターの人たちなんかはもう日本語ペラペラの人たちがかなりおりましたけれども、そこで聞いたことは、せっかく日本語をやってもそれを生かす道がない、そういう話を聞きました。せっかくやっても何の役にも立たない。私は豪州あたりからそういった大学なんか卒業したような人たちを、日本に関心を持っている人たちを呼んで、イギリスの場合と同じように中学なり高等学校あたりで英語を教えてもらう。あそこの英語はちょっと癖のある英語なんですけれども、キングズイングリッシュをしゃべる人もおりますから、そういう人たちを選んで中学校、高等学校あたりで教えるというふうなことを検討されたらいかがかと思うんですけれども、どうですか。
  99. 三宅和助

    政府委員三宅和助君) 実は、イギリスの場合の英語の教師の招待計画は、実は公、私立大学、高校生、学校関係でいきますと文部省が航空運賃を払いまして、滞在費は各受け入れ大学、高校の方で負担する。かつ、民間の場合は航空運賃もそれから滞在費も民間側で負担しているわけでございまして、外務省がこれをあっせんしているということでございます。  したがいまして、豪州につきましてはまず受け入れ側の要望というものも十分——今言った言葉のことも考えまして、どうしても今のところはイギリスの先生の方が希望されるということでございますけれども、受け入れ側の要望を十分考慮いたしまして、また財政的な一つの制約もございますものですから、そのあたりを総合的に考えながら、特に民間の場合で受け入れるというようなことがありますと外務省としても積極的にこれを進められるということでございますので、将来の課題として十分文部省とも協議しながら検討してまいりたいと、こう考えております。
  100. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 以上で質問を終わりますけれども、くれぐれも文化交流というのは、形が見えないものであるだけに、またどこまでやったら成功ということが言えないだけに、ともすると国民の間で高く評価されないし、また日本政府全体としてもそういう問題に対して関心が非常に薄いように思うのであります。やはり外務省が中心になって、ほかの各省庁なんかにも努めて文化交流に対して積極的になるように努力していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  101. 立木洋

    ○立木洋君 先日の委員会お尋ねしたんですが、イランとイラクの紛争に関連して毒ガスが使用されたという国連調査団の発表に基づいてアメリカが五種類の化学物質の輸出を禁止するという決定を行い、それに対する日本側としての対応をお尋ねしました。  この間尋ねたところによりますと、アメリカが発表した五種類の化学物質はイラン、イラクに輸出していないということがはっきりしたというお話でした。私の方では、それ以外に毒ガスに使用される危険のあるようなものが輸出されていないかどうかさらに調査をし、しかるべき対応をお願いしたいということをお伝えしてあったんですが、その後調査されたのかどうか、また調査されたらその結果ですね、どのようになっているのか、それに対してどのように対応されるのか、最初に御説明いただきたいと思います。
  102. 波多野敬雄

    政府委員波多野敬雄君) 先般御質問をいただきまして直ちに調査を開始いたしまして、外国の事例、外国政府による現在の処理ぶり等についても調査いたしまして、実は大変に難しい調査でございまして、毒ガスというものが多種類にわたっているのみならずいろいろな製法がありまして、その原料となりうるものが極めて数多いということで品目を絞る作業が極めて大変でございます。現実問題といたしまして、軍縮関係会議では現在とのようなものを化学兵器の原材料として規制すべきかにつきまして目下検討が国際的な場において進められている模様でございます。そういう状況でございますので、どの品目について調査すべきかについていろいろ苦労いたしましたけれども、結局英国等と話しましたところでは、米国が既に輸出をとめた五品目に加えまして三品目、これは極めて——極めてというか相当程度毒ガスの原料となる公算が強いという品目が発見されまして、一つはクロロエタノール、一つはジメチルアミン、一つは二塩化メチル燐化合物、この三品目がアメリカが挙げました五品目に加えて危険性の割合に高いものであるということになりました。  最初に挙げました二つの品目、クロロエタノールはマスタードガスに使われまして、後に挙げましたジメチルアミンと二塩化メチル燐化合物は神経剤に使われるものでございます。目下この三品目について、イラン、イラクに輸出した実績があるかどうか調査中でございまして、我々が調査した段階ではそういう事実は今のところ明らかになっておりませんけれども、これも極めて数多くの製造業者があり得るわけでございまして輸出統計等には載っていない品目でございますから、確信を持って輸出していないと断言する段階にはございませんけれども、今のところ輸出しているという事実は承知するに至っておりません。
  103. 立木洋

    ○立木洋君 やはり、そこのところは私は一番大切じゃないかと思うんですね。通産省の方、おいでになっているかな——どうぞ前に出てきてください。  化学兵器の原材料になるそういうものというのは、これはやはり武器輸出三原則に基づくものとしていろいろきちっとチェックされなければならないと思うんですが、いわゆる通産の方ではそういうようなものがチェックされる機能がきちっと働いているのかどうなのか、どうなっているんでしようか。
  104. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) お答えします。  軍用の化学製剤につきましては、輸出貿易管理令で承認制ということでこれはチェックをされる体制にございます。ただし、それ以外のものにつきましては汎用品という範疇に入るものが多かろうと思いますので、現行体制では輸出承認というふうな形でのチェックはできない仕組みになっております。
  105. 立木洋

    ○立木洋君 貿管令のあれですよね。しかし、ここで言う軍用の化学製剤というのは具体的にどういうものですか。
  106. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) ここでの軍用の化学製剤と申しますのは、これは軍事用に使われると、軍用に使われるという条件があるものでございます。
  107. 立木洋

    ○立木洋君 毒ガスというのは原料をいろいろ——これが農薬に使われるだとか何かかあったりする、つまり、使用目的によって変わるということになると、相手の国で、輸出された先で何に使用されているかというのはこれはわからないじゃないですか。問題は、つまり化学製剤というものがどういうものかということが明確にこれには指定されていないんですよね。指定されていないということは、そのものがどういう目的で向こうで使われるか使われないかにかかわりなく、事前にそのものを、いわゆるこれが軍用に使用される危険性があるからといってチェックできないのじゃないか。  例えば、ここでいわれている同じ貿管令の中でも二百、爆薬安定剤、この爆薬安定剤の場合にはぴしっと全部品目が挙げられているんですよ。こういうものが輸出されるとこれは危険だからという形にちゃんとなっているわけですね。だけれども、ここでは軍用の化学製剤というのは何も指定がないんですよ。指定がないということは、まさに何もチェックできないということと等しいことじゃないか。どうですか。
  108. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) その点につきましてはただいま外務省からも御答弁がございましたように、毒ガス禁止条約につきましてもそのあたりがやはり議論の焦点だったかと思います。
  109. 立木洋

    ○立木洋君 通産省の方は御存じだろうと思いますけれども、ジュネーブ議定書で禁止されておる毒ガスというのは決まっているわけですね、化学兵器というのは。それには例示としていわゆる化学物質が挙げられていますわね。そういうものもここでは全然いわゆるチェックの対象にはされていないんですよ。どうですか。
  110. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) 御質問のそういった種類の品物が、実際に具体的な品物の名前が出ましてそれの輸出承認というものの書類が出ました場合には、そういった条項に照らして妥当であるかどうかを判断する、こういった仕組みになろうかと思います。
  111. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、この化学兵器で挙げている例示の塩素だとかホスゲン、ヂホスゲン、青酸、塩化シアン、マスタード、窒素マスタード、ルイサイト、タブンやサリンや、こういうものが輸出されたときにはぴしっとチェックされていますか。
  112. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) そのときには、ただいま申し上げましたように軍用であるかどうかというようなことを中心に判断をするというふうな形になろうかと思います。
  113. 立木洋

    ○立木洋君 例えば、イラン、イラクで紛争が起こるというふうな状態の中でこういうものが輸出されるとなったらどうされるんですか。
  114. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) ただいままでのところ、それに関連して具体的な品物の輸出承認というような事例が出ておりません。
  115. 立木洋

    ○立木洋君 つまり、ここで問題になっているのは、軍用の化学製剤という貿管令二百五で一応チェックできるような体制であるかのように見えますけれども、現実に具体的な品目の指定がないということは、その品目が今あなたが言われるように軍用である、相手の軍部に輸出するということになればこれは明確でしょうけれども、しかし輸出先がどこであるかわからない、その国の政府である場合に、その政府が農薬に使うだとか何に使うかわからないような条件のもとで、これはまさにチェックのしようがないじゃないですか。そのようにもろもろの条件を考慮に入れてといったって、さっき言ったいわゆる爆薬安定剤のように具体的な品目が挙げられているとそれは具体的に検査できますよね。検査する担当官、チェックする担当官がその書類が上がってきたときにもろもろの形でチェックができるのかどうなのか、具体的に品目が挙げられていなくて。
  116. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) やはりそういう事例の場合には、具体的にそういうようなものがここでいう軍用の化学製剤に該当するかどうかということが通関当局等から問い合わせがありましてそれについて具体的な検討、チェックをする、そういうふうな仕組みになっております。
  117. 立木洋

    ○立木洋君 今までにチェックしたことがありますか。
  118. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) ただいままでのところ、私どものところにそういう判断を仰ぐという事例は出てきておりません。
  119. 立木洋

    ○立木洋君 そういう判断を仰ぐという例は出てきていないということですね。
  120. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) おっしゃるとおりでございます。
  121. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、具体的にこの二百五に基づいて軍用の化学製剤というもので検討しなければならない事例になったということは一回もないと。つまり、化学兵器として輸出されるものかどうか、軍用の化学製剤として輸出されるものかどうかということをいわゆる判断しなければならない状態に遭遇したことは一回もないということですね。もう一度。
  122. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) 少なくとも私の承知している範囲内ではそういった事例はございませんでした。
  123. 立木洋

    ○立木洋君 いつごろからでしょうか、それは。ちょっとはっきりさしておいていただきたい。
  124. 蕨岡達慈

    説明員(蕨岡達慈君) 私が当課に着任しまして二年になりますが、その間には記憶ございません。
  125. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣ね、お話をお聞きのとおりで、つまりこの貿管令によると、二百五で軍用の化学製剤というのはチェックされるようになっているんですよ。ところが、軍用の化学製剤というのはどういう品目かということは明確に何一つ書かれていないんです。そして、そういうものが今まで輸出されているんです。チオグリコールにしたって、アメリカが禁止しておるものだって輸出はされているんですよ。だけれども、それについて一回もそういう事例がなかった、そういうことが検討の対象になった事例がなかったということになると、軍用の化学製剤が事実上チェックできる機能がなくてしり抜けになっている。つまり、具体的な品目の指名をしていない限りにおいてはそういうふうにならざるを得ないんで、ここらあたりはよく検討して、今は化学兵器の原材料の輸出の問題が大きな問題になっているときですから、これは検討していただくということはできないでしようかね、外務大臣。それは通産が担当でしょうけれども、外務大臣の意向として、国際的にも日本からそういう品目が輸出されておるというふうなことをアメリカの新聞に書かれたりしている状況ですから、何らかの形でそういう歯どめをきちっとするというようなことを御検討いただけないでしょうか。
  126. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今までは幸いにしてイラン、イラクに今通産省からお答えがあったように輸出されていないということですから、それは日本がそういう汚名を着るということはないわけですが、同時にまた、今どういう品目がこの化学兵器であるかということについては先ほどお話があったように、今国際的にそういう点についての協議を続けておるということですから、その協議の結果を見て、そしてその結果判断をすべきでないか、こういうふうに思います。
  127. 立木洋

    ○立木洋君 一九八二年ですけれどもね、このジュネーブ議定書によって、いわゆる窒息剤の原料とされている塩素ですね。これはイラクに輸出されているんですよ。それから同じく一九八二年ですけれども、これは有機硫黄化合物、これは品番が二九、三一—〇〇〇となっているんですけれども、これにはアメリカが禁止しておるチオグリコールが含まれておるんですよね。こういうようなものがやっぱりチェックできるような機能になっていないと困るんじゃないかと思うんですよ。そういうものが使用されているのか使用されていないのかということは、何も私が行って調べたわけではありませんからわかりませんけれども、しかし少なくともそういうものが、これは通産省からいただいた品目の番号と、それからこれは輸出国別品別表というのがありますから、イラクにどういう品目のものがどれくらいの量、いつ輸出されたかというのはこれ全部公表されているものですから、これを見せていただいたらアメリカで禁止されているそういうチオグリコールが含まれた品番も入っているわけですね。塩素も入っている、あのジュネーブ議定書でいわゆる窒息剤の原料になる——私はそれがイラクで使われたからと言っているわけじゃありませんよ。それはわかりませんけれども、しかし少なくともそういうふうになってくるとそういう危険が起こってくるんじゃないか。この間の外務大臣お話では、やはり日本としては化学兵器というものはきちっとやっぱり歯どめをしなければならない、そしてやはり化学兵器をなくすということを、それが日本政府としても第一義的な課題として、軍縮の課題として揚げていきたいというふうにおっしゃっているわけですから。だから、何らかのそういう歯どめがきちっとできるような、チェックできるような、そういう疑いを受けるようなことがないようにやっぱりきちっとした点はやっておく必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
  128. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日本は、特に化学兵器については生産についても貯蔵についても、あるいはまた輸出、そういった面をやはり禁止をして、本当に世界から絶滅させなければならぬという点についてはどこの国よりも強い関心を持っておるわけです。そのために軍縮委員会等で、会議等でこれについては特に主張してきましたし、これからも大いに主張し、そしてその枠組み等についてもこれをつくるために行動しなければならぬと思いますけれども、今度の国連の調査報告でああしたイラン・イラク戦争で使われたということがはっきりしたわけでありますから、やはり今後どういうふうにしてこれをチェックするかという点等も踏まえて、国際的な会議の場を重ねて結論を早く出さなければならぬ。やはりそれが国際的な一つの合意といいますかね、取り決めといいますか、そういうのが一番大事じゃないかと思いますね。それを早くやらないと、日本だけが一方的にそういうことを認定する立場にないわけですから、国際的な合意というものを積み上げていくというそのためにやはり日本が積極的な立場に立たなければならぬ、これは私もそう思います。
  129. 立木洋

    ○立木洋君 国際的なこともさることながら、事実上、武器輸出三原則という考え方に基づいて貿管令できちっとやはりチェックできるような対応ということもぜひ検討していただきたいと思うんです。もちろん、これは通産大臣の方でいろいろあれされるでしょうけれども、外務大臣の方からも強く要望していただいて可能な限りそういう状態ができるように、そういう化学兵器、危険な軍用の化学兵器が出るようなことがきちっとチェックされて、そういう事態にならないようにということを重ねて強く要望しておきたいのです。  それとあわせて、今もお話がありましたように、アメリカの場合には使用される危険性のある五品目について、五種類について禁止するということが発表されたわけですね。それからイギリスも、今お話がありましたようにさらに三品目加えて八品目、これをイラン、イラクに対しては輸出をしないということをあそこの通産大臣ですかが発表したんですよね。だから、アメリカもそういう形で発表し、イギリスもさらに三品目加えて八品目を発表している。それから、御承知でしょうけれども、今EC五カ国でつまりこの問題が検討されているという報道もありますわね。これは西ドイツ、イギリス、デンマーク、ベルギー、オランダの各外務大臣がやりましてね、そして化学兵器製造に使われるおそれのある化学物質の輸出を制限することで合意をした。そして厳しい輸出免許制度を導入する計画承認したのだと。そしてどういう品目にするか、あるいはどういう国々を対象国にするのかということについては、委員会を設置してさらに検討を急いでおるという状態が既にあるわけですね。このEC五カ国に、さらにこれを十カ国にまで広げてそういう検討をしようということまで、既にもう四月の中旬の報道で出されているわけです。ですから日本の方としても、そういう事態に立ちおくれることがないように私はきちっとしていただきたいと思うんですが、外務大臣、重ねて。
  130. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今まで答弁しましたように日本としては、今指摘されましたような八品目についてはこれまでイラン、イラクに輸出されたということはない、なかったと、こういう
  131. 立木洋

    ○立木洋君 なかったんじゃないんです、まだ。完全にないと言ってないですよ、調査した結果。
  132. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今のところは、調べた結果は大体そういうことだと、ないというふうに見ておるわけなんでしてね。今後はこうした点については十分検討していかなければならぬし、とにかく特に国際的な取り決めをやはり日本が先頭に立って決めることが一番大事じゃないかと思っております。今おっしゃるように、日本は武器輸出三原則を持っておるわけです。少なくとも貿管令の上では武器あるいは武器技術についてはこれを輸出しない、させないということをきちっとしているわけですから、外国よりはこの辺はきちっと私はしておると思うんですよ。
  133. 立木洋

    ○立木洋君 きちっとしてないんですよ。
  134. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) していると思うんですよ。ですから、そういう点については国際的なまず枠組みというのをつくるということが大事じゃないか。そうでないと、これがばらばらとたくさんの品目が、十品目、二十品目と、毒ガス関係があるものはそれは集めればどれだけになるかわからぬということになりますから、やっぱりこれはきちっとその品目を確立するということが、国際的に確立するということが大事じゃないかと、こう思いますね。そうすれば日本は制度があるわけですから。
  135. 立木洋

    ○立木洋君 いや、貿管令できちっとされていると言うけれども、きちっとなっていないんですよ。それからまた、品目全体がまだ完全に調査し切っていない。なかなか難しいんですよ、化学物質の輸出というのは。だから完全にないというふうには言い切らない方がいいですよ。後で出てくると外務大臣の名誉にかかわるから。  それでね、外務大臣、だから私の言いたいのは、少なくとも今アメリカは五品目をこれは禁止するということを発表したんたし、それからイギリスも八品目を禁止すると発表した。それは大臣の言い分によりますと、今までのところ幸いにしてイラン、イラクには輸出されていないだろうという状況だと。だけれども今後輸出されるおそれがあるかもしれない。だから、少なくともイギリスやアメリカでそういうふうな態度を発表しているんだから、極めておそれのある品目に限定してでもいいですから、これらの品目はいわゆるイラン、イラクに当面輸出してはならないということをやっぱり政府としてはきちっと対外的にも発表すべきじゃないか。  例えば、日本の場合には貿管令で武器輸出三原則ということがありましてそういうことをしてはならないということになっているわけでしょう、一つは。いわゆる軍用の化学製剤はきちっとチェックされなければならないわけですから。同時に国会の決議でも、現に紛争が行われている国々の紛争を助長するような経済協力といいますか、そういうものをやってはならないという国会決議もあるわけですから、少なくとも今明確にされている範囲内ででも結構ですからそれを限定して、これらのものは日本としてはイラン、イラクに輸出してはならないという態度表明をするというふうなことぐらいは私はできるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  136. 土居征夫

    説明員(土居征夫君) 御承知のように、武器輸出三原則で規制しています武器は、いわゆる武器専用品でございますので若干……
  137. 立木洋

    ○立木洋君 私が今聞いていることだけに答えてください。時間がないんですから。私はまだ聞かないといけないんです。
  138. 土居征夫

    説明員(土居征夫君) したがって、民生用にも使用される汎用品につきましては武器輸出三原則では対象にしておりません。これは、汎用品を規制するということは非常に通常貿易を阻害するという要素がありますので非常に慎重を要すると。外為法でも必要最小限度ということになっておりますので、そういう観点からの慎重さが必要だということでございまして、したがって、本件化学製剤につきましても、米国の措置の状況とか我が国の実態等々を調査した上で今後判断していくということになるわけです。
  139. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣、だから少なくとも日本としては化学兵器を禁止するということを軍縮の第一義的な課題に掲げてやっているわけです。ましてや化学兵器がああいう形で使われたというのは極めて遺憾なことであり、こういうことは今後してはならない、使ってはならないんだという厳しい談話もあなた御自身が発表されているわけですから、使われるおそれのある品目が日本から輸出される、それがイラン、イラクという限定した国で使われる可能性があるということになれば、そういう国会決議にも従って、武器輸出三原則に従って、そういうところには当面の間そういうものはやっぱり輸出すべきではないということは、政治的な態度として私は言えるのではないかと思うんですけれども、今、輸出課長がおっしゃったのはこれは説明ですから、大臣の政治的な考え方をちょっと。
  140. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ですからそれは、化学兵器に対する禁止を行わなければならぬということは、従来から日本はどこの国よりも強く熱望しそのために努力するわけですが、また幸いにして、イラン、イラクに対してはこれまでの五品目だけじゃなくて八品目に至っても輸出された形跡は今のところ見当たらないと。これは非常に我々もよかったと思っております。だから、これは今後ともそうでなければならぬと思いますし、ただ、今の品目をどういうふうに指定するかということはこれはやはりなかなか難しい問題があると思うんですよ。これが軍用かどうかという、指定すればそれで終わりですから、その辺はなかなかやはり通産省としても難しい問題があると思います。しかし、その中で日本が化学兵器の生産に手助けをするというようなことはこれは基本的には避けなければならない。ですから、そういう点については通産省が事実上貿管令の運用を行っているわけですから、今のお話をよく通産大臣にも伝えまして、我々の、化学兵器に対する政府全体としての決意というものを何とか実らせるというための努力を今後とも政府全体としてひとつ考えていきたい、こういうふうに思います。これは、国際的にも国内的にも考えなければならない問題だと思います。
  141. 立木洋

    ○立木洋君 本当に強くこれは要望したいんですよ。アメリカでそういうふうにできて、イギリスでもそういうふうに禁止するということになって、EC諸国でも五カ国で、どういう品目でイラン、イラクを含めそういう紛争国に輸出することをしないということを早急に検討する状況になっているわけですから、化学的な兵器の使用ということを厳しく糾弾をされて、そしてそういうことを一刻も早くなくさなければいけないという態度をとられている日本政府が、そういうことができないということはこれは全く私は筋が通らないと思うんです。ほかの国では汎用品について限定がしやすくて日本政府だけが限定がしにくいというようなものではないだろうと思うんです。先ほども言いましたように、八二年にこの品番二九、三一—〇〇〇、これは有機硫黄化合物ですが、アメリカが禁止しているチオグリコールが含まれているんですよ。これが一万七千百九十キログラムというのが輸出されている。だから私は、これが使われているかどうかはわからないと言ったのはそういう意味なんです。だから、そういうものが今後輸出される可能性が全くないわけじゃありませんから、これはちゃんと通産省の統計に出ている数字ですよ、イラクに輸出されているというのが。輸出されていないというふうに断定できないんですよ。だけれども、化学兵器として使われたかどうかということはこれは断定できませんよ、私もわかりませんから。しかし、そういう状態になっているということを御検討いただいて、引き続いて今後輸出される可能性が全くなくなるわけじゃありませんから、だからこれはきちっとやはりけじめをつけておくということを強く要望したいんですが、ぜひとも通産大臣とも話をされて、日本が化学兵器に対して、そういうものが使われるべきではないというこの政治的な態度を一刻も早く明確にされるように具体的な内容として重ねて要望したいのですが、よろしいですね。
  142. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん化学兵器の問題は非常に重要ですから、政府としてもいろいろと相談してみたいと思います。
  143. 立木洋

    ○立木洋君 そのことを強く要望しておきます。  郵便条約の問題で郵政省の方はおいでですか。——いろいろ具体的な事情についてはある程度知っているつもりですけれども、一方では為替ですね、これは万国郵便条約に基づいてやっている場合とそれから二国間の条約に基づいてやっている場合とあるわけですが、これは万国郵便条約に基づいてやっている場合と二国間での条約で行っている場合とはどういう違いがあって、どちらにどういういわゆる問題があるのか、ちょっと簡単に御説明していただきたいのですが。
  144. 舘野忠男

    説明員(舘野忠男君) 国際郵便為替は、万国郵便連合の郵便為替条約とそれから二国間の条約によるものと二通りの方法で行われておりますけれども、万国郵便連合の条約の場合には主としてカード式と称する交換方式がとられておりますが、二国間条約の場合には目録式と称する交換方式がとられております。このカード式と申しますのは振出国ですね、こちらで為替証書を作成いたしまして払い渡し国に送付をするという方法でやりますが、目録式の場合には振出国では証書をつくらずに、為替金額あるいは受取人の住所氏名というようなものを記載をした目録を送付しまして、その目録に基づきまして払い渡し国で為替証書を作成するというようなこういう方法でございます。  このように郵政省の行う実務上の違いというものはございますけれども、しかしいずれの条約に基づきまして業務を行いましても特にいま問題点というものはございません。
  145. 立木洋

    ○立木洋君 そうしましたら、郵政省としてはいわゆるこの万国郵便条約に加盟して行う方が一般的にいいというふうに考えているのか、あるいは二国間条約でも全く問題はないというのか、あるいは私の考えでは、やっぱり万国郵便条約という形で将来統合していって全体が一つの形でやられる方がより合理的になるんじゃないかと思うんですけれども、そういうふうな考え方が郵政省としてはおありになるのかどうなのか。また、そういうふうにして統合した方がいいというのであればそういう見通しが現実的にはどうなのか。簡単で結構です。もう時間が来ましたのでそれだけお尋ねしておきたい。
  146. 舘野忠男

    説明員(舘野忠男君) 日本側といたしましては、この万国郵便連合の条約でもって行いたいという提案はいたしましたけれども、相手のマレーシア側の事情によりまして二国間で行いたいということがございまして、最終的には日本側がマレーシア側の要望に応じたということでございます。  それで、現在二国間条約でもって行っておりますのは八カ国ございますが、これはやはり統合というのは、相手国の事情がございましてなかなか難しいという状況でございます。
  147. 立木洋

    ○立木洋君 結構です。  終わります。
  148. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 以上で三件に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、日本国とマレーシアとの間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  149. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、日本国政府ペルー共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  150. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、国際電気通信条約及び紛争義務的解決に関する国際電気通信条約(千九百八十二年ナイロビ)の選択追加議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  153. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府中華人民共和政府との間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府スリ・ランカ民社会主義共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上面件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣
  154. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府中華人民共和政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、中国政府との数次にわたる交渉を経て、昭和五十八年九月六日に北京において、両国政府の代表者の間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、できる限りOECDモデル条約案に沿ったものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約または協定とほぼ同様の内容となっております。  この協定の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する所得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる所得につきましては、相手国において全額免税することとなっております。また、投資所得に対する源泉地国での税率につきましては、一〇%を超えないものとしております。  この協定締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国政府スリ・ランカ民社会主義共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  我が国スリ・ランカ民社会主義共和国との間の定期航空路開設に関しましては、昭和四十一年以来スリ・ランカ側より累次にわたりその旨の希望が表明されてまいりました。近年に至り、両国間の貿易、投資等の経済関係の緊密化に伴い、航空運輸需要がほぼ直通航空路を開設し得る状況になったと判断され、政府は、両国間の伝統的友好関係にもかんがみ、航空協定締結のための交渉を行うこととし、昭和五十八年九月協定案文につき最終的合意に達しましたので、本年二月二十二日コロンボにおいて我が方大鷹駐スリ・ランカ民社会主義共和国大使と先方アティガラ国防次官との間で署名を行いました。  この協定は、我が国スリ・ランカ民社会主義共和国との間の定期航空業務を開設することを目的としておりまして、そのための権利を相互に許与すること、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が署名した航空協定としては三十七番目のものでありまして、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定は、両国の友好協力関係の強化に資するとともに、両国間を直結する航空路を開設することによって、拡大しつつある貿易経済関係に伴って増大している両国間の人的及び物的交流の一層の増進に役立つものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  155. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 以上で趣旨説明は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会      —————・—————