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政府委員(
中村守孝君)
先生からの御
指摘で「
むつ」に起こりました放射線漏れが非常にプリミティブなことであったという御
指摘でございますが、起こりましたこと自体は、いわば漏れた放射線というのは極めて微弱でございまして、まさに取るに足らないものでございます。
ただ、この起こった原因が
設計、
建造のときに十分な知識がないいわゆる高速中性子のストリーミング現象ということがもとで起こりました。したがいまして、その高速ストリーミング現象というものが、その後の
技術進歩によりまして解析する遮へいコード等も完備いたしましたので、それで今度の改修に当たりましては、最新のそういう計算コード等を用いまして遮へいの完全というものを
確認いたしておるわけでございます。そういう
意味で私
どもとしては完全な遮へいの改修が行われたという理解をいたしております。
出力の上昇試験を進めるに当たりましては、
先生御
指摘のように、低出力試験からさらに出力をアップして徐々に上げていくわけでございますが、それに先立ちまして冷態停止状態、現在「
むつ」は冷態停止状態といういわゆる温度の低い状態にございますが、その状態での点検はもとより、今度は核反応は使いませんが、
原子炉の温度を上げまして、これは核反応じゃなくて、循環ポンプを回すことによって温度が上がるわけでございますが、それによって
原子炉の
運転状態に近い温度にしたところで、また各部の機器の動き等を十分に点検をいたします。そうした上で出力上昇試験に入っていくわけでございますが、その出力上昇試験を行うに先立ちましては、念のためまた炉内の点検もいたしたいと思います。これは現在大湊の港にある間は地元との
お話によりまして
原子炉のふたをあけられないという状態にございますので、そこら辺を今すぐするわけにはまいりません。
それから、
原子炉の中が十分
確認されてないではないかということにつきまして、まあ一番問題とされておりますのは
燃料棒の健全性ということでございますが、この
燃料棒の健全性につきましては、
原子炉の水をしょっちゅう循環させ、それから水質管理を行っておりまして、その水質につきまして念入りな測定をしております。したがいまして、
燃料に異常がございますれば、そういう水の中に異質なものが出てくるとか、そういうことがあるわけでございますが、そういったことが現在まで検出されていないこと、さらには大宮の三菱
原子力工業のところで
原子炉の中にあると同じ
燃料のさやでございますが、これはステンレスでございますが、それと全く同じさやを
実験室に置きまして、水の中につけたままずっと放置してございます、その実物をいろいろ使いまして健全性を
確認いたしておりますので、十分安全であると思っておるわけでございますが、なお念のためには、当然出力上昇試験に入る前には、念のために炉のふたをあけて念査をする、そういうような慎重なステップで先へ進めていきたいというぐあいに、「
むつ」を動かすということになればそういうことをしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
出力上昇試験はずっとトラブルがないかと、こういうことに関しましては、いわゆる何といいますか、周辺の皆様方に御迷惑をかけるようなトラブル、これはあっては絶対ならないわけでございますが、機器類につきましては、これは現在の
原子力発電所でもさようでございますが、建設して、それから実際に試験合格して、正規の
運転に入るまでの過程におきましては、いろいろなところで、メーターの動作がちょっとおかしいとか、あるいはバルブのナットの締め方がちょっとおかしいとかというような、いろいろなささいなことも含めましてこれはございますので、そういうことまで一切ないということは申し上げられないことでございますが、周辺の皆さまに御迷惑をかけるようなトラブルはもう一切起こさない。で、そういうことでステップ・バイ・ステップの試験を進めながら、先に行っても大丈夫であるということを
確認しつつ
実験を進めるということでございます。それが出力上昇試験の
意味でございますので、そういうことで進めることを考えております。