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国務大臣(
岩動道行君) 宇宙
開発政策は、私ども
日本の将来を考えた場合には、何としてもまず自主
技術を持っていくことが必要である。その
理由は、先ほど
局長の方からも答弁したわけでございますが、何といってもやっぱり自分のものを持っていないと不安であるということが
一つあると思います。先ほども、
アメリカから衛星の
中心部を買って、そして打ち上げてきている。ところがそれが故障する。故障するとそれがなかなか直せない。ところが、これは自分で設計し、自分でつくっていったものでありますと、その故障部分がよくわかりますから直すことができる。気象衛星の例を
一つとってみましても、先般「ひまわり二号」が故障してどうにもならない。そこで、引退しておった一号をようやく何とか御隠居さんから現役に戻ってもらって、そして今何とか気象の通信というものができているわけでございます。そういうことを考えますと、なかなかやはりいただいたものだけでいいということにならない、不安がついて回ってくると思います。
もう
一つ実例を申し上げますと、最近上げました放送衛星、あれも無事に打ち上げは済んで、順調に静止軌道に乗っておったのでございますが、二カ所ほど故障ができて、いまだに直しかねております。これもやっぱりいただいたものでございますので、なかなか直し切れないという
状況でございます。幸いにして三系統のうちの一系統だけだったものですから、放送には影響がないということで、NHKも今着々と五月十二日を目標にして放送の準備を進めていると、こういうことでございまして、もう
一つその系統が故障したら一体どうなるだろうかという不安がついて回るわけでございます。そういうようなことで、何としても私どもは自前の
技術を持ってやっていきたい。そうでないとせっかく打ち上げても莫大な経費をかけながら役に立たないということになりましょう。そのように実際問題として自前のものが必要だ、こういうことが言えると思います。
そしてまた、通信衛星等もそのようなことがあってはならないわけでございますけれども、この通信という問題は大変重要な
日本の今後のニューメディアの
中心として大きな
役割を果たしてまいります。このことは、例えば地震とか災害があったときにも非常に大きな
役割を果たすわけで、したがって
国民生活にとっても大事なものでございますから、できるだけ早く自主
技術でやっていきたい、こういうことでございます。
しかしながら、一方
アメリカからは、通信衛星等も大変発達もいたしておりますのでぜひ買ってほしい、こういう強い要請もございますので、これにはやはり
国際協力という観点からも私どももこたえていかなければならない。そこで、自主
技術の
開発路線と輸入という問題の調和をどこに図るかということでいろいろ苦心をいたしてまいりました。
その結果、まず
民間において通信衛星等を購入したいという場合には、これには道を開いてあげましょうということで、ただいま電気通信事業法の改正を行って、その法律改正ができますならば
民間で通信衛星は買ってもよろしいと、買えると、こういう道をまず開くということがあります。それから政府とか電電につきましては、やはりこれは従来の関係もございますので、自主
開発路線の枠内といいますか、それと調和のとれた姿で、
海外からもあるいは
民間から国内においても買えると、こういうような体制を今回とるということにいたしたわけでございまして、あくまでも私どもは
アメリカに対しましても自主
技術開発路線というものの理解をさらに深く求めながら進めてまいりたい、こう考えているわけでございます。
したがいまして、冒頭に
先生から御
質問のありました、このたび変えました大綱につきましても、そういうような自主
技術路線というものを前提として、そして
日本としては何もかにもというわけにいかないのである程度やるべきものの整理をした。そして
大型化へ向かって、途中の段階を省いてもいいという
技術的な自信ができてきましたので、そのような途中経過を省略して二トン型に持っていく。あるいはまた、スペースシャトルでありますとか宇宙基地
計画といったような、これはもう大変な
技術と経費がかかりますので、そういうことについてはもう
日本でやろうとしてもなかなかできないから、
アメリカの方の
計画にこれはむしろ乗っかって、そして
協力の中で
日本の望むような宇宙での
利用を進めていこうと、こういったようなことが政策大綱の方針でもあったわけでございまして、
アメリカとの関係はそういうふうに自主
開発路線というものの理解を求めながら
協力していくと、これが今朝決めました対外経済政策の骨子でございます。