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1984-04-09 第101回国会 参議院 科学技術特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月九日(月曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      佐藤栄佐久君     後藤 正夫君  四月九日     辞任         補欠選任      山田  勇君     柳澤 錬造君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高木健太郎君     理 事                 古賀雷四郎君                 林  寛子君                 本岡 昭次君                 塩出 啓典君     委 員                 江島  淳君                 長田 裕二君                 亀井 久興君                 志村 哲良君                 成相 善十君                 福田 宏一君                 藤井 孝男君                 安田 隆明君                 小野  明君                 松前 達郎君                 伏見 康治君                 佐藤 昭夫君                 柳澤 錬造君                 野末 陳平君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       岩動 道行君    政府委員        科学技術政務次        官        岡部 三郎君        科学技術庁長官        官房長      安田 佳三君        科学技術庁長官        官房会計課長   窪田  富君        科学技術庁計画        局長       赤羽 信久君        科学技術庁振興        調整局長     福島 公夫君        科学技術庁振興        局長       村野啓一郎君        科学技術庁原子        力局長      中村 守孝君        科学技術庁原子        力安全局長    辻  栄一君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        松田  泰君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      渡辺 光夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管科学技術庁))     ―――――――――――――
  2. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十四日、佐藤栄佐久君が委員辞任され、その補欠として後藤正夫君が選任されました。  また本日、山田勇君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) 去る四月三日、予算委員会から、本日午前の半日閥昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  岩動科学技術庁長官から説明を求めます。岩動科学技術庁長官
  4. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 昭和五十九年度における科学技術庁予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十九年度総理府所管一般会計予算要求額のうち、科学技術庁予算要求額は、歳出予算額三千二百九十三億四千六百三十八万一千円を計上いたしました。  また、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管による電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁分といたしまして歳出予算額七百八十七億四千五百四十七万三千円を計上いたしておりますが、両会計を合わせた科学技術庁予算要求額は、歳出予算額四千八十億九千百八十五万四千円であります。これを前年度の当初歳出予算額三千九百七十九億五千五百四万二千円に比較いたしますと、百一億三千六百八十一万二千円の増額となっております。  この歳出予算のほか、国庫債務負担行為限度額といたしまして、一般会計一千九十億五百六十五万円、電源開発促進対策特別会計七百六十五億三千四百五十万円を計上いたしております。  次に、一般会計歳出予算要求額のうち主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、科学技術会議方針に沿って、科学技術振興に必要な重要研究業務総合推進調整を実施するための科学技術振興調整費の拡充を図り、同会議中心とする科学技術行政における企画調整機能の一層の強化を図るための経費として六十三億五千九百三十八万三千円を計上いたしました。  第二に、流動研究システムによる創造科学技術推進といたしまして、産学官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性に富んだ新技術を生み出すための研究推進に必要な経費として新技術開発事業団に二十二億九千六百四十二万四千円を計上いたしました。  第三に、がん関連研究等ライフサイエンス振興といたしまして、がん関連研究等経費三十四億五千八百二十一万六千円を含め七十六億五千七百五万二千円を計上いたしました。  これは、科学技術会議及びがん対策関係閣僚会議で示されたがん制圧のための基本方針に従い、がん関連研究の総合的かつ効率的推進を図るなど、保健医療、食糧、エネルギー等広範な分野において人類の福祉に貢献する総合的科学技術であるライフサイエンス振興を図るため、理化学研究所における遺伝子組みかえ技術を用いたがん本態解明のための研究等先導的基盤的研究及び科学技術振興調整費等の活用によるライフサイエンスに関する共通基盤技術等研究開発のほか、放射線によるがん診断治療のための研究等推進するための経費であります。  第四に、原子力研究開発利用推進といたしまして一千六百六十一億一千百六十九万八千円を計上いたしました。  これは、まず、原子力安全規制行政及び原子力安全研究など安全対策を進めるための経費、次に、海外におけるウラン資源調査探鉱ウラン濃縮国産化使用済み燃料処理及び放射性廃棄物処理処分対策等核燃料サイクル確立のための経費新型動力炉開発として、高速増殖炉及び新型転換炉研究開発を行うための経費のほか、臨界プラズマ試験装置建設等核融合研究開発及び多目的高温ガス炉研究開発のための経費原子力船「むつ」の新港の整備等に必要な経費並びに国立試験研究機関等における原子力研究開発利用に関連する各種試験研究を行うための経費などであります。  第五に、宇宙開発推進といたしまして八百五十八億一千百八十一万八千円を計上いたしました。  これは、宇宙開発事業団における静止気象衛星三号の打ち上げ、海洋観測衛星一号、技術試験衛星V型、通信衛星三号、放送衛星号等開発地球資源衛星開発研究、スペースシャトルを利用した第一次材料実験システム開発宇宙基地システム研究、人工衛星打ち上げ能力向上のためのHIロケット開発及び昭和六十年代後半の大型人工衛星の打ち上げ需要に対応するための大型ロケット研究などを進めるための経費のほか、航空宇宙技術研究所における大型ロケット等のための基礎的な、先行的研究を行うための経費などであります。  第六に、海洋開発推進といたしまして五十一億四千六百三十五万一千円を計上いたしましたが、これは海洋技術センターにおいて潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査技術研究開発を引き続き進めるとともに、さらに大深度を目指した高耐力潜水調査船システム研究を実施するほか、水深三百メートルまでの潜水作業技術の実海域実験に使用する海中作業実験船の建造を行う等、総合海洋科学技術プロジェクトを進めるための経費などであります。  第七に、重要総合研究等推進といたしまして二百六十五億九千二百八十三万九千円を計上いたしました。  これは、国立防災科学技術センター中心とする地震予知震災対策雪害対策等防災科学技術に関する試験研究に必要な経費航空宇宙技術研究所におけるファンジェット短距離離着陸機実験機開発等航空技術研究開発金属材料技術研究所及び無機材質研究所における材料科学技術に関する各種試験研究及び関連施設整備に必要な経費理化学研究所におけるレーザー科学技術等各種研究を行うための経費並びに資源調査所における各種調査に必要な経費のほか、独創的な新技術企業化促進などを目的とする新技術開発事業団事業推進するための経費などであります。  第八に、国際協力推進を図りますため、エネルギー分野及び非エネルギー分野における日米科学技術協力を初めとする先進国との科学技術協力ASEAN諸国等開発途上国との科学技術協力及び国際機関との協力に必要な経費として四十六億五千六百六十二万六千円を計上いたしております。  第九に、科学技術振興基盤整備といたしまして、科学技術振興を支える研究者養成等研究基盤強化を図るための経費日本科学技術情報センターにおける内外科学技術情報の収集、整理及び提供業務の充実を図るための経費など四十九億三千六十一万九千円を計上いたしております。  第十に、国際科学技術博覧会につきまして、会場及び政府館建設並びに政府出展展示物の製作を完了するとともに、運営等の準備を整え、昭和六十年三月から筑波研究学園都市において開催するため必要な経費として二百六十七億二百四十七万六千円を計上いたしております。  次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算要求額のうち、科学技術庁分の主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。  まず、電源立地勘定におきましては、原子力施設立地対策として、原子力施設周辺地域住民等に対する給付金の交付及び周辺地域における雇用確保事業推進を図るとともに、関係地方公共団体公共用施設整備のほか、放射線監視対策原子力防災対策などの原子力安全対策等に必要な経費として百四億八千八十九万円を計上いたしました。  また、電源多様化勘定におきましては、高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設新型転換炉実証炉に関する研究開発等新型動力炉開発を進めるとともに、使用済み燃料処理技術開発及びウラン濃縮技術開発を行うための経費など六百八十二億六千四百五十八万三千円を計上いたしております。  以上、簡単でございますが、昭和五十九年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。     ―――――――――――――
  5. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) この際、お諮りいたします。  昭和五十九年度科学技術庁予算についての安田官房長説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  7. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 林寛子

    林寛子君 限られた時間ではございますけれども岩動長官及び科技庁、そして関係者にいささかの質問をさしていただきたいど存じます。  天然資源に恵まれない我が国が、御存じのとおり、科学技術立国を確立して二十一世紀に向けて我が国経済の一層の発展国民生活向上を図っていくためには、科技庁にとって重大な時期に来ていると思います。まさに科学技術庁が今後二十一世紀日本に向かってどう対処するかが、日本の前途を大きく左右するほどの大きな時期に差しかかっているであろうと思われます。そういう時期に当たって、今、長官から説明されましたように、五十九年度予算全般にわたりまして科学技術庁長官としての岩動長官所見をまず冒頭に簡単に聞かしていただきたいと存じます。
  9. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) ただいま基本的なことについて御質問いただきましたが、何と申しましても日本はいわゆる資源小国でございます。あるのは人材であります。頭脳でございます。そして、この頭脳を二十一世紀へ向かって最大限に活用してまいり、そして日本経済はもちろんのこと、国際的な経済の活力を進めてまいるのは、何と申しましても科学技術であるという認識を持っているところでございます。  したがいまして、私どもはこのような観点から、特に五十九年度の予算について、ただいま申し上げたような内容でございますが、重点的なことを申し上げますと、まず、科学技術振興調整費、これは日本のあらゆる関係省庁に関係した月本全体の科学技術を進めるために極めて重要なものであると考えております。  また、創造的な科学技術、今日まで日本は、どちらかといいますと導入型、悪口で言われますと模倣型とも言われておりますが、今後はみずからの創造的な科学技術を展開していかなければなりません。そして、これを先端科学技術の中に生かしていかなければならない。そのような創造的な科学技術というものに重点を置いていかなければならないと考えております。  また、最近は特に目覚ましい発展を見ておりますライフサイエンス、このライフサイエンスの中におきましても、特にがんに対する対策重点的に考えなければならないと思っております。  また、日本が置かれております国際的な立場というものを考えたときに、平和的な日本の国際的な役割は、何と申しましても国際協力でございます。そういう観点から、特に国際協力重点を置 いた科学技術政策を進めてまいりますが、その一つといたしまして国際科学技術博覧会の成功を期して進んでまいりたいと考えております。また、代替エネルギーとしての原子力は、極めて重要な役割を果たしてまいりますが、これにつきましても安全性を大前提として力を入れていかなければならないと考えております。  また、宇宙開発は実利用の段階に入りました。したがいまして、通信あるいは気象その他、各種目的を持った宇宙開発衛星の打ち上げ等に努力をしていかなければならないと考えております。  また、日本は海に囲まれた国家でございますので、海洋開発にも大きな力を入れてまいらなければならないと考えております。  このように、非常に多岐にわたる分野科学技術は大きな役割を果たしてまいると思いますが、このような観点から私どもは国を挙げて、そしてまた国際的な協力の中において日本の果たす役割、特に科学技術というものの重要性認識をして進んでまいりたいと考えておるところでございます。
  10. 林寛子

    林寛子君 今重ねて長官から個々にわたっての御説明がございましたけれども、私はそうではなくて、全体に対して科技庁予算がどうあったか、岩動長官大臣になられて初めての予算でございますから、全体的なバランス、各省庁とのバランスの中で科技庁がいかに日本の将来の重要性にかんがみて前進でき得るかという御決意というか結果を聞きたかったんで、個々のことに関しては今御説明がございましたのでよくわかっておりますけれども、そういう意味では科技庁が限られた国家予算の中でいかにこの予算に取り組んで、そしていかに努力してきたかという結果が私は長官から伺いたかったと思っております。けれども、今おっしゃったように、個々目的に対して科技庁が今後日本の将来のために頑張っていくという御決意のほどが長官のお言葉の中にあらわれておりますので、それは重ねて伺うのは省略させていただきたいと思います。  ただ、特に先ほどから科学技術振興というお言葉がございましたけれども、これは長官御存じのとおり、自由民主党科学技術重要性にかんがみまして、これは御存じのとおり昭和五十六年以来五十九年におきましても科学技術振興というものを党の最重点政策一つといたしまして位置づけてきたわけでございます。ですから、今長官がおっしゃいましたように、積極的に科学技術振興というものは自由民主党も責任を持って推進してきたというその実績のもとで、やっぱり今長官がおっしゃったようなさまざまな分野で特に重要な役割科技庁科学技術振興に対して果たしてきたとは思いますけれども、今後の科学技術振興というものだけにとってみてもどのように進めていくのか、今若干の御説明がございましたけれども、端的に、簡単に一言おっしゃって  いただきたいと思います。
  11. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 端的にと申しましても、今申したところに尽きるわけでございますが、特に重点的に申しますならば、予算の面におきましては振興調整費、これは大変重要な役割を果たしています。これは産学官によって初めて日本科学技術が力強く進められるわけでございまして、しかも政府の中におきましても関係省庁がたくさんございまするから、そういう意味において、それの総合的な役割を果たすという意味において、これに相当の力を入れて私は予算を計上しているところでございます。あるいはがん対策、これにつきましても科学技術庁といたしましてはその本態解明のために理化学研究所等中心とした予算を計上いたしておりますが、さらにこれらは厚生省あるいは文部省等予算においても非常に大きなウエートを占めて重点的な予算が計上をされているところでございます。
  12. 林寛子

    林寛子君 それでは、先ほどから大臣のお言葉の中にございましたけれども大臣は、御説明のとおり、がん関連研究等ライフサイエンス振興についても並み並みならぬ意欲をお持ちであることを拝聴さしていだだきました。そのうち、特にがん対策につきましては、報道されましたように、中曽根総理も特に熱心に取り組んでおられます。科学技術庁としても科学技術の面から積極的に取り組んでいく必要があるというのは今長官のお言葉のとおりでございますけれども、今やがん対策は、一医療技術分野だけではなくて、あらゆる科学技術を駆使して、そして総合的な研究を進めてその制圧に向けて努力していく必要があるのは皆さん御存じのとおりでございます。今、長官からがん対策に対してのお言葉がございましたけれども我が国としてのがん研究の総合的な推進政策について今後どのように計画していらっしゃるのかを伺わしていただきたいと存じます
  13. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 先生御指摘のように、がん人類にとって最大制圧しなければならないものでございます。我が国死亡率におきましても、昭和五十七年で実数でおおむね十七万人、死亡者の二四%を占めるという大変大事な、またどうしてもこれを制圧しなければならない人類の苦しみの最大の病気でございます。したがいまして私どもは、中曽根総理中心として、その御指示によってがんに対する十カ年の総合戦略というものをつくりました。そして、まずがん本態解明するということが大事でございます。また、がん本態解明とあわせまして、私どもは新しい科学技術を駆使いたしまして、その治療に対しても大きな前進をしていかなければならないと考えております。これが「がん研究推進基本方策に関する意見」として科学技術会議から示されたところでございます。  がん本態解明ということは大変むずかしいことでございますが、幸いにして最近膀胱がんとか肺がん等がん遺伝子発見されたということは、がん研究の極めて飛躍的な重要なモメントであったと思います心今後はこのようながん本態解明する、そこから出発しなければやはりがんの撲滅にはつながらない、かように考えております。  また、一たんがんにかかった人に対しては、まず早期発見をしてその診断を行っていく、このことががんにかかった方の死亡率を少なくしていく、生存率を高くしていく、こういうことにつながってまいります。これにつきましては、例えばモノクローナル抗体というものを用いた早期発見技術開発されております。  また、発見されたがんにつきましては治療が大事でございます。この治療につきましては、従来の外科療法進歩もございますが、さらに化学療法あるいは放射線治療等着実に進歩をいたしておりますが、これらのがんのうちでも特に困難とされているのは非常に深いところにあるがん、なかなか発見できない、そしてまた治療も困難である、こういうようなものにつきましては、ただいま科学技術庁といたしましては特に重粒子線などによる治療というものを開発することにいたしておりまして、放射線医学総合研究所においてこれを進めることにいたしております。  このように私どもは、まずがん本態解明、そして中期発見、そして治療と、この三つに対して挑戦をいたしてまいるわけでございますが、文部省厚生省においてもそれぞれの立場からこれらに取り組んでいるところでございます。がん予算も三百数十億という予算を困難な財政の中においても計上しておることは御案内のとおりでございます。
  14. 林寛子

    林寛子君 今、大臣から御説明ございましたように、人類未知部分に対しては私は数十億とおっしゃってもまだ少ないぐらいだと、もっと世界に貢献できるものであれば、がん研究というものに対する経済大国と言われている中での研究費というものは、私はもっと金額が多くても惜しくはないというふうに思っておりますので、長官が今後一層なお、予算獲得を含めて、世界人類未知部分に対して挑戦していただきたいと心から支援する次第でございます。  そこで、わずかでございますので、要点だけ絞ってきょうは御質問申し上げたいと思います。御存じのとおり、原子力政策そのものは、長官冒頭の御所見にございましたように、資源に恵まれない我が国にとっては、代替エネルギー、そういうものに対しての対応のために原子力政策というものは欠くべからざるものがあるのは当然のことでございます。国民も周知の事実でございます。けれども、その原子力政策の中で、やはり大きなプロジェクトの中ではある一定の時期に見直す制度というものがなければ、私はやはり国民皆さんに対して貴重な税金を使う上において点検しなきゃいけないという、あるいはそういう時期に来ているのであろうと思われます。そして、多くの原子力政策の中で、私はこれほど経済的にも国民的にも多くの貢献をし、そして私どもが享受している部分はないであろうと思います。その意味で、きょうは通産省、エネ庁から関係者来てもらっていると思いますけれども原子力政策の中で、皆さん方がもう既に御存じのとおり、我が国原子力政策の中でも特に原子力発電は既に二十四年の歳月を経て、その間着実に進歩を遂げてきたわけでございます。現在では総発電電力量の約二〇%を既に補うまでに達しているわけでございます。また、その稼働率も良好でございますし、信頼性向上して、今や安定したエネルギー源として着実に国民の中にも定着したといっても私は過言ではないだろうと思います。しかし、今日に至るまでは、それぞれの難しいイバラの道と言ってもいいほどの道程を経て今日に至ったわけでございます。けれども、例えばある地点原子力発電所がつくられるとして、その地域はどれくらいの経済的な潤いを受けるのであろうか、そういうことも国民の中には疑問視する人もございます。  そういう意味でまず、よく原子力発電所立地地点におきましては漁業補償という名目の補償金がございます。これは御存じのとおり、原子力発電所から排出される温排水が付近の漁場に対して与える影響を考えて、漁民からそうした漁場を買い取るための補償金でございます。これは漁業組合に支給されて組合員に配分されるんですけれども、これは通常ですからよくわかりません。組合員平均一人当たり約一千万程度の配分になると言われております。果たしてそれくらいになるのであろうかどうか。これは原子力発電所はたくさんございますので、数多く言っていると時間がございません。端的に一番多い部分、あるいは少ない部分地域を二、三指定して、どれくらいの漁業補償費が払われたか、ちょっと通産省答えていただきたいと思います。
  15. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) ただいま先生のお話がございました漁業補償でございますが、これは先生のお話にも触れておられますように、地点によりまして相当ばらつきがございます。また、時期によってももちろん違いますし、それから影響の度合いによっても違ってくるということで、なかなか一概に申し上げにくいのでございますが、例でもということでございますので、ごく最近立地問題の調整が終わりました地点を幾つか申し上げてみたいと思います。例えば北海道電力が泊村に建設を予定しております泊原子力発電所、出力合計が百十六万ほどでございますが、この例で申しますと、漁業補償という形で関係の方と電気事業者との間で話がついたと言われておりますのが二十億円強だと聞いております。それから、東京電力が新潟県の柏崎市と刈羽村にまたがる地点に今大規模な開発をいたしておりますが、現在のところ一号機から次の三号機までの部分についての話が進んでおりますが、その結果で見ますと四十億円ほどという例がございます。それから、日本原電が福井県の敦賀市で建設を、これは既に建設に入っておりますが、敦賀二号機という百十六万の出力の発電所でございますが、この場合でございますと二十五億円強と、そういったような例で、いろいろばらつきがあるというのが現状でございます。
  16. 林寛子

    林寛子君 数がたくさんございますし、時間に限りがありますので、代表的なものしか今伺えませんでしたけれども、今おっしゃいました泊だとか柏崎、敦賀、そういうふうに今三地点例に挙げていただきましたけれども、同じくそれではその三地点におきまして、いわゆる地域協力金というものがございますね。地域協力金と称されるものに対して、今の同じ地点でどれくらいの金額になってるか。御存じのとおり、地域協力金というものは、平たく言えば原子力発電所という危険なものが来るから、そのために心理的不安を与える、そういうために迷惑をするんだから、迷惑の見返りとして迷惑料であるというようなふうに通常は世間では言われておりますけれども漁業補償とほぼ同額か、ややそれを下回るというのが通常の認識でございます。全国平均、漁業補償地域協力金と合わせて出力一万キロワット当たり約千三百万円くらいであろうというふうに言われているんですけれども、今おっしゃった三地点において地域協力金はどれくらい支払われましたか。
  17. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 通常、地域協力金と言われておりますのは、いろんな性格の金額が含まれているようでございまして、その取り方等によってもいろいろ数字が動くわけでございますので、これも一概に金額を申し上げられるかどうかという問題がございますが、通常、協力金ということで新聞等に報道された額ということで申し上げますと、今の三地点を順番に申し上げますが、泊発電所の場合は五十二億円強でございます。それから、東京電力の柏崎・刈羽発電所の場合は八億円強、それから日本原電敦賀二号機の場合は一億円強と、こういうばらつきになっております。
  18. 林寛子

    林寛子君 その他御存じのとおり電源三法の交付金がございます。これはもっとも個人に交付されるのではなくて、原子力発電所を含むすべての発電所の設置の市町村に適用されるものでございますけれども、交付金を受けた市町村、またそれはその市町村が道路及び各種の公共施設あるいは消防署等に使われるわけでございますけれども、これも今のところでちょっとわかれば教えていただきたいと思います。電源三法交付金です。
  19. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 電源三法の交付金、いろいろございますが、この中で今先生のお話のございました……
  20. 林寛子

    林寛子君 立地交付金で結構です。
  21. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 地方公共団体の公共施設の整備に使っております立地交付金について申し上げますと、これも四十九年に制度ができまして、いろいろ制度変更がございますからわかりにくうございますが、最近つくっております発電所の例で申し上げますと、百十万キロワット程度の発電機をつくりますと、所在の市町村及びその周辺の市町村に合わせまして総額九十億円強が交付されます。交付期間は大体数年間にまたがりますので、年平均にしますと十億円強ぐらいずつの金額になる、こういう状況でございます。それで現在、最近時点、全国的にどの程度になっておるかというので申し上げますと、五十六年度が百八十億円、五十七年度が二百四億円、五十八年度、まだ決算の数字が出ておりませんが、交付決定の金額で申しますと百八十二億円と、こういう実績になっております。
  22. 林寛子

    林寛子君 それでは、今三例を挙げてくださいました、最近の。その中で私が知りたいのは、その発電所の建設費に対していわゆる交付金なりあるいは補償金というものがどの程度のパーセンテージを占めているか、今例を挙げてくだすうた三地点についての建設費と、それから補償費あるいは協力金等のパーセンテージをちょっと教えてくださいますか。
  23. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 現在原子力発電所建設費の建設中のユニットについてのおおよその感じを申し上げますと、大体百千万キロワットクラスで四千億円前後になっております。それをもとに、先ほど来御説明いたしました金額との割合を仮に計算いたしてみますと、大体三分前後ぐらいになるということになるかと思います。
  24. 林寛子

    林寛子君 ありがとうございました。  御存じのとおりで、大体一つの発電所の総建設費の三%ぐらいが建設用地の周りあるいは県、市町村に対して交付金及び補償金、そういう名目のもとに払われている。そして、御存じのとおり、私どもがよく言われるんですけれども、大体電力の一キロワット、これが石炭でありますと十四円十五銭、そして重油だとこれが二十円、原発だと大体十円というふうに数字を言われたんですけれども、その金額の変動はありますか。
  25. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 御案内のように、昨年OPECが原油価格を基準価格で五ドル引き下げたということがございまして、石油価格及びそれとの関連でLNG価格とか石炭価格というのが低下傾向になっております。したがいまして、今先生の御指摘のありました数字は実はOPECの価格引き下げの前の数字かと思われますので、一番新しいところで見ますと若干下がっております。ただ、建設費がどうしても少しずつ上向いてくるということがございますので、原子力発電所のような場合には燃料費よりも建設費のウエートが高いということで、現在私どもが持っております試算では十二円五十銭ぐらいを見込んでおるわけでございます。
  26. 林寛子

    林寛子君 私は、皆さんがお聞きいただいていて、何を科学技術委員会でとおっしゃるかもしれませんけれども、私は、やっぱりさっき長官に申しましたように、国のためあるいは世界のために使う金額と上がってくるものとのバランスというものはどうしても必要であろうと思います。私はそういう意味で、もう既に皆さん方御存じのように、大ざっぱな金額で言われておりますけれども原子力船「むつ」というものが、四十三年十一月にこれが起工し、そして四十四年六月に進水をし、完成したのが四十七年の九月でございます。今昭和五十九年でございます。四十七年の九月に完成して以来、既に十二年たっているわけでございます。そして、今まで原子力船「むつ」につき込んだお金というもの、原子力船「むつ」の建設費、そして今まで使った金額、時間がありませんから簡単に言ってください。
  27. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 五十七年度までの実績で申し上げますと、原子力船事業団並びに科技庁から水産庁に移しました予算も含めまして四百八十六億円でございます。五十八年度につきましては、まだ決算が確定しておりませんが、おおよそ百十億円ぐらいであろうかと思いますので、両方で五十八年度までおよそ約六百億円という数字になろうかと思います。
  28. 林寛子

    林寛子君 六百億円の中で「むつ」に関する建設費及び「むつ」の従業員の今日までの純粋な費用を分類してください。
  29. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 五十七年度までの決算で申し上げますと、四百八十六億円のうち「むつ」の建造費、それからその後遮へい改修、安全性総点検、補修工事等やっておりますから、これらの「むつ」自身にかかっている経費が百九十八億円でございます。それから大湊の港の建設費が二十五億円でございまして、さらに新しい関根浜の新定係港関係の費用が二十億円ほどありますので、港の建設費としては両方で四十五億円になります。さらに乗員の養成訓練、それから「むつ」を何回か運航いたしておりますが、その運航費で二十四億円でございまして、人件費、一般管理費、運営費等が百三十八億円と、研究開発費その他で四十四億円という数字になっておりまして、あと漁業関係並びに地元対策費として科学技術庁から、四十九年の四者協定関連の地元対策で十二億、五十三年の長崎での五者協定関連で二十五億の三十七億円、以上でございます。
  30. 林寛子

    林寛子君 原子力船「むつ」に関係しまして、今までのあるいは青森あるいは長崎、それらの地元への支出金、もう一度年次を追って言ってください。
  31. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 主なところを申し上げますと、昭和四十九年の放射線漏れに伴いまして四者協定に基づいて措置した金額が約十四億円でございます。それから、昭和五十三年に佐世保での「むつ」の修理の受け入れのために長崎側と五者協定を締結しましたが、このときの措置で二十五億円でございます。それから五十七年に大湊に再入港するということのために五者協定に関連いたしました措置として魚価安定基金の利子補給などの事業に約二億円と、それから五十八年度に関根浜漁協の新港建設に伴う漁場消滅等に対する漁業補償として十八億円、以上が大体主なところでございます。
  32. 林寛子

    林寛子君 時間がありませんので大変残念ですけれども、これはまた後に譲るといたしまして、今大ざっぱに皆さんがお聞きいただいたように、今まで原子力船「むつ」に関してかかったお金が約六百億、そして今中村原子力局長から地元に払われたお金を大体今十四億、二十五億等、計算しますと約六十億になりますね。間違いありませんね。
  33. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 約六十億相当のお金が出ております。
  34. 林寛子

    林寛子君 ですから、今まで約六百億使い、そして地元に使ったお金が六十億。先ほど私が伺いましたように、大体原子力発電所建設費の約三%が地元へのいろいろな対策費に使われたというお話がございました。けれども、既にそれは、原子力発電というものは日本国民の生活、経済あるいは産業、工業、あらゆる面に、総発電電力の二〇%の供給をし、これははかりしれない大きなものを私どもに与えてくれているわけでございます。  同じ原子力政策の中でも、このように国民の生活、日本経済に貢献し得るものがありながら、今お聞きになりましたように、「むつ」はかわいそうに、あの四十九年九月一日の放射線漏れという、わずかなレントゲン、一年じゅうかけても何もないような放射線漏れ、わずかな放射線漏れのために約六百億のお金、しかも地元だけでも六十億使ってきたという、そして何のデータもとり得てない、国民に何のメリットも与えてないという、そのことが私は少なくとも見直されなければいけない大きな時期に来ていると思います。  ただ私は、当初の原子力政策の中で、原子力船の「むつ」による舶用炉の研究というものは、エネルギーのない日本にとっては欠くべからざるものであったと私は認識しております。必要でございました。けれども、余りにもかかる年数とかける経費とのバランスというものは、果たしてこれでいいのかどうか。それが人類未知研究であれば必要ですけれども、アメリカにおいても、あるいは西ドイツにおいても、舶用炉による原子力船研究は既に終了している。サバンナしかり、オット・ハーンしかりでございます。きょうはアメリカの船の今までかかった経費研究終了時のデータとは、私時間がありませんのでできませんけれども、少なくとも私は責任政党自由民主党の一人としても、自由民主党政策の中でもいけないことには果敢に挑戦して見直していくという、これが私やっぱり国民に信頼される自由民主党でなければならない大きな要点であろうと思います。ただ原子力政策を根本的にイデオロギーによって反対のための反対をするわけではないんだと、真に国のために、国民のためになるというものこそ自由民主党というものが遂行し得る重大な決定機関であろうと私は思っております。  その意味で、今後「むつ」の存廃自体に対しては、自由民主党の中で検討委員会をつくり、八月末の期限をもってもう一度検討し直すという検討委員会を設立するわけでございますけれども、私は政府におかれましても、今後、原子力船「むつ」ではなくて、もっと大きなプロジェクトが二十一世紀に向けてどんどんできてくると思います。ライフサイエンスもしかりでございます。けれども、その大きなプロジェクトというものは、ある一定の時期において、必ずもっとお金をかけて、そして人類未知部分に挑戦するんだという、その部分にはもっとお金をかけようという部分があってもいいとは思いますけれども、大きなプロジェクトになればプロジェクトになるほど、ある一定の時期で見直しする、レビューする、この再点検システムというものを政府におかれましても私 は確立していただきたい。それが今後の、二十一世紀日本科学技術立国を目指す上に大変重要なことであると思うので、長官もやっぱり名長官となられるために、この再点検システムというものを政府において確立するための御検討をいただきたいということを私は御要望申し上げて、お答えは結構ですけれども、要望だけ申し上げて質問を終わりたいと思います。
  35. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 答弁は要らないということでございますが、一言申し上げておきたいと思います。  原子力船「むつ」の再評価というようなことも含めまして、予算編成段階におきましても政府与党の間でいろいろ話をいたして、そしてただいまお話のように、本年の八月を一つの目標として原子力船「むつ」による舶用炉の研究をどうするかという結論を出すように努力をする、こういうことでございます。もちろんこれは単に一つの政党だけで検討すべきことではなくて、広く国会の御論議もいただき、各方面の御意見もいただき、かつまた専門家の御意見もいただいてやっていく。このことは、先般の施政方針の演説に対する質問におきましても、伏見先生からのお話もございまして、私どもは謙虚にこのような諸般の御意見を体しながら対応をしてまいりたいと、かように考えているところでございます。したがいまして、「むつ」に限らず、すべての研究開発というものも、一定の時期にはこれを再評価をしてみるということは大変大事なことだと思っております。  なお、先ほど委員からお話がありました、いわゆる商業用になった実用の原子力発電所における建設費と漁業補償等の比率については、通産省から説明のあったようなことでございましょう。  一方、この原子力船「むつ」に関してはやはり研究開発研究実験という、そういうものでございまして、したがって、商業用的な観点からのみその割合を判断するということは、私どもはその本質から見て必ずしも適当な対比ではないのではないか。もちろん費用対効果ということは研究開発においても大変大事だと思います。むだのないようにやっていくのは当然でございます。したがいまして、今後とも私ども日本科学技術研究開発を行うに当たりましては、最小限度の費用をもって最大の成果を上げるように努力をしていかなければならないと、このことを十分に念頭に置いて今後とも進めてまいりたいと考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  36. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私も原子力船「むつ」の問題について質問します。  大臣の所信表明について、まず初めに聞いておきます。  大臣は、所信表明の中で、原子力船「むつ」の問題については自民党内の検討委員会で今論議中だからということで、所信表明のあの文章の中に、自民党がこれを決めるからそれまで黙っておれと言わぬばかりの文言があって、私は非常に奇異に感じ、そして、原子力船問題、この「むつ」の問題は自民党だけの問題というふうな認識をもってそこで出しておられることについて納得ができない。なぜあそこにわざわざ「自民党」ということを、「政府」でいいじゃないですか、なぜ「自民党」と入れたんですか。
  37. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 御指摘の点はごもっともだと思います。ただ、私どもはやはり政府・与党という関係で政策を行ってきておりますので、したがいまして、私どもが経過としてそのような表現を用いたんでございますが、これはもちろん国会においての御審議をいただくための一つの表現でございまして、私どもはあくまでも国会の御審議を十分にちょうだいをいたしまして、そして政策を確立してまいると、こういうことでございますので、どうかその点は、国会を第一として私どもは進めてまいることを御理解いただきたいと思います。
  38. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、あの所信の中の文章に「自民党」という言葉がはっきり入ってることは不適、切であると思うんです。「政府」でいいと思うんですよ。私は大臣に削除してもらいたい、取り除いてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  39. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 繰り返して申すようでございますが、予算編成の段階においてそういうことになりましたので、まあいわば経過的な表現であったと思います。これによって各政党からの御意見を排除するものでもございませんし、また、国会の御審議を拘束するようなものでもございません。私どもはあくまでも各政党、そして国会という場においてこのような重要な政策課題については御審議をいただき、御意見をちょうだいし、そして、それに対応してまいるということでございますので、御了解をいただきたいと思います。
  40. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 また所信についての質疑の時間がありますので、「そのときに改めて今の問題については私は論議をさしていただきます。  それでは、原子力船「むう」の問題についてですが、日本原子力船研究開発事業団が設立されてから二十年以上経過しても、なお「むつ」は本格的な実験すらできないでいます。当初百二十億円ほどの予算昭和五十年になると実験を終了することになっていた「むつ」は、既に先ほど説明もありましたように六百億円を使い、不信の種をばらまき、実験船としての役割を何ら果たさないで大湊港に係留されている。今私たちは壮大なむだ遣いと言われてもこれは当然であると思っていますし、これだけの金をつぎ込み、このように長期間にわたって実験もできない以上、廃船に踏み切るのが当然である、このように考えています。自民党の科学技術部会の廃船決定は、そういう意味で遅きに過ぎた感はありますが、画期的な出来事として私は評価をしています。  しかし、わずか一週間でわけのわからぬ政治決着にそれがすりかえられまして、「むつ」の取り扱いの決定を党内の検討委員会の検討にゆだねる一方、結論が不確定な状態の今日になって、関根浜母港を新港というふうに、母を新しいという字にかえるだけで、建設費の四十五億円を予算として計上をしたのです。根本的な解決を先送りにして、港の建設費だけを計上するというふうなことは、国民にとってまことにわかりにくい、そしてまた新たな不信をそこに残す結果になったと私は見ています。  この混迷する状況は、その責任は挙げて私は政府にあると思いますが、長官にその責任の所存と国民皆さんにこの過程、状況をわかるように私は説明する義務があると思います。説明してほしいと思います。
  41. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 原子力船「むつ」による舶用炉の研究開発、実験というものは、日本の置かれている立場から極めて重要な政策課題であったと思います。また、現在でもそうであると思います。  何と申しましても資源のない国、特にエネルギーの大半を占める石油は、九九%を海外から輸入しなければなりません。しかも、その七割くらいは中東という極めて政情の不安な地域から輸入せざるを得ない現状でございます。そして、二度の石油危機を受けた日本としましては、何としても脱石油、そしてまた海運国家、造船国家であり、かつまた貿易立国である日本にとりましては、何といたしましても原子力の平和利用と、そしてまた将来へ備えての舶用炉というものの研究開発というものを確保しておかなければいけない、このような基本的な考え方に基づいた原子力船「むつ」であったわけでございます。  問題は、御指摘のように昭和四十九年のいよいよ試験研究、実験に入ろうという段階で、ぼんのわずかではございましたけれども放射線漏れが起きたことはまことに遺憾でございます。したがいまして、この放射線漏れは、レントゲン、我々が病院に行って撮る一枚分にも足りないくらいの放射線ではございますが、このようなことがあってはならないわけでございますので、まず遮へい工事をやらなければならないということで、その工事を行うための港を探したのでございますが、 なかなかどこも引き受けてくれるようなところはなかったのでございます。ようやく佐世保で引き受けてくれると、これもなかなか容易なことではございませんでした。そこで遮へい工事が行われました。そして、総安全点検も行いました。  そして、私どもの現在までの科学技術の知見から申しますならば、全くこれで安全なものになった、放射線漏れはないと、こういう安全点検も行われて、さてそれではこの原子力船「むつ」をどこに置いて試験研究、実験を行うかということになりました。日本全国六十に余る港に、引き受けてくれることを、定係港としてもらうということで検討いたしましたけれども、どこも引き受けてくれるところはなかったのでございます。大変残念でございました。やむを得ず青森県の大湊に引き続きお願いをいたしましたが、これもお断りされました。しかしながら^これを洋上に漂泊させるわけにまいりませんので、何とじて否むどこかに定係してもらいたいということで一仮に大湊にお受けをいただいたんでございます。  しかし、そのときには昭和五十七年王者協定ができまして、そして大湊は仮の停泊としては受け入れると、しかし、よその港にこれを持って行ってもらわなければならないということで、ようやく関根浜というところに新しく港をつくるならばそれは受け入れましようというのが青森県地元の対応であったわけでございます。そこで、私どもは関根浜を定係港とするということで地元の御了解をいただき、ようやく「むつ」のいるところが決まったのが経過でございます。その間、政府と地元との間のお約束をいたしました。そして、私どもは関根浜に港をつくろための予算も計上させていただきました。  そういうような中におきまして、原子力船「むつ」のあり方について各方面からのいろいろな御意見が出てまいりました。そして五十九年度の予算編成の段階におきまして、私ども政府・与党の中におきましてもいろいろな議論が出たわけでございます。廃船論も出たわけでございます。一方、ここまできて、もうあすにでも実験ができる、研究が開始できると、こういう状態になっているので続けてやるべきだという考え方もございました。それらのいろいろな御意見、そしてまた党内外の御意見、これらを私どもは拝聴しながら来年度の、六十年度の予算編成に間に合うように「むつ」のあり方を検討したいということになったわけでございます。  しかしながら一方、このような原子力船「むつ」の所在する場所はどうしてもこれは決めてやらなければなりません。そこで私どもは、政府と地元の関係者とのお約束によって関根浜に港をつくるということにいたしたわけでございますが、ただ問題は、試験研究、実験を継続するかどうかということは、本年の八月に結論が出るわけでございますので、それまでの間関根浜に港をつくるといいましても、どういう形のものをつくるかということが問題でございました。したがって、これにつきましては、結論が出るまでは最小限度の――いずれ廃船というような結論が仮に出るにいたしましても、大湊はこれは受け入れるわけにはいかないと、やはり関根浜でやってもらうほかないのだということでございましたので、最小限度の工事ということで関根浜に着工するということになったわけでございます。  いずれにいたしましても、過去の長い経過とそして地元の御協力と御理解がなければ、このような原子力船研究開発というものはできない。陸上における原子力発電につきましても、大変な地元との御了解と御理解がなければ進められない。原子力船「むつ」も同様でございます。かような意味におきまして、私どもはこれからも各方面の専門的な、そして貴重な御意見を拝聴しながら対応してまいりまするが、原子力船「むつ」の停泊するところだけは早急に決めていかなければならない、こういうことで関根浜に着工をすることにいたしているのが現状でございます。この辺の過去の長い歴史と、そしてまた地元の御協力というものを私どもは大事にしていかなければならないという現状にあることを御理解いただきたいと思います。
  42. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の質問は二十五分なんですよ。あなた、今十分近くしゃべられたら、私の質問する時間ないじゃないですか。わざと私の質問を妨害しているんですか。結局、私が廃船にするのは当然じゃないかということについては何もお触れにならない。何のための答弁ですか。ちょっと委員長、あんなの困りますよ。  何と言われようと、目的不明の新港建設、どっちになるかわからぬというようなことは、科学技術庁のやることじゃないと思うんです。科学とかいうことの名におよそふさわしくないやり方ですよ。建設省だったらやってもいいのかということになりますけれども科学技術庁でしょう、科学という名にふさわしいことをやっていただきたいと思います。  それは、科学技術振興は、日本科学技術立国ということでやっていくことがこれからの進路だということは私も理解します。しかし、科学技術開発のための大型プロジェクトに取り組んでいった場合、途中でやめる方が国民の利益にかなうと判断された場合――自民党の科学技術部会はそう判断したんでしょう。途中であっても、それを見直したり中断するということができないような、こんなプロジェクトは、私はやらないようにして、もらわにゃ困ると思います。やり始めたのだからとにかくメンツにかけてでもやり抜かなければならぬとか、あるいはまた、地元にこれだけのことをやってきたんだから、とにかくやれるところまでやらにゃいかぬのだというふうなことは、およそ非科学的な発想じゃないですか。私は、今の科学技術庁の話なんて、およそ科学技術庁長官らしくない話だと思いますよ。  私は、「むつ」問題はそういう意味で、これから日本科学技術立国として立っていく上においても、我が国科学技術政策そのものが問われていると思うんですよ。いろんなことをやっていかなければいかぬでしょう。だけど、やり始めたらとことんやっていかにゃいかぬのやと、地元のこともある、あるいはまたこれだけの金をかけてきたと、どこへいくかわからぬというところに国民の大切な税金をつぎ込んでやったんじゃたまらぬです。  今後、言われているところの港に三百四十億、陸上施設に二百四十億ですか、あるいはまた一連の実験にこれも二百四十億、あるいはまた廃船費用に六十億、人件費として十五年もやれば百五十億と、大まかに見積もって約一千億円を必要とするというふうな事柄に関して、余りにも私は、科学技術庁のやり方は国民の利益という問題にかかわって不当であるというふうに思うんですが、一体、この一千億もこれから長期にわたって投入して得られる国民的利益について、本当に科学技術庁は責任を持てるんですか。一言、長官の責任あるお言葉を聞かせてください、長く説明要りませんから。
  43. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) まず私は、八月までに結論が出るわけでございますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては舶用炉の研究開発は必要である、このことは私どもの基本的な政策でございます。それからまた、一千億というお話がございましたが、これにつきましてはもちろん私どもが決めた数字ではございません。事業団の方で一応の試算として出している数字でございます。したがいまして、今後結論の出方によりまして、私どもはさらに、もちろん十分にむだのない研究開発を進めるということにおいて、一千億というのは、これは政府が、私どもが決めた数字ではございませんので、今後十分にこれらは念査をしていく必要があるものであると考えております。
  44. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間がもうありませんのでかいつまんで、用意しておったのを飛ばしてやらしていただきますが、今の問題はまた改めて一般調査の段階で質問を継続させていただきます。  それで、もう一つ聞いておきたいのは、関根浜新港をとりあえずつくらねばならぬということの 話でしたが、それではその関根浜新港の供用開始の年あるいは完成年というんですか、それはいつを予定しているんですか。
  45. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 関根浜港につきましては、地元とのお約束でおおむね六十一年九月をめどに供用を開始するということになっておりますので、この点を念頭に置きまして一日も早くできるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  46. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 佐世保港で「むつ」の修理を行ったわけですが、瑕疵担保期間が本年六月に終了するということであります。最初のときも、実験をした、そうすると放射漏れがあったという状況になったときに、瑕疵担保期間が過ぎておって、その修理にかかる費用を全部政府が持たなければならなかったという問題があって、これも国会で多くの論議をされたところでございます。契約していたんだから仕方がない、契約上どうにも仕方がないんだということであったようでございます。今回の場合もこの瑕疵担保期間が本年六月に終了する、それまでに実験ができないというところにまた来ているんですね。今度は絶対ないというふうなことは言い切れない、前あったんだから。この瑕疵担保期間という問題について、政府は前回の轍を踏むんですか、それとも今後の実験等やったその時期までこの担保期間というのを延ばすということに責任を持てるのかどうか、はっきりさしてください。
  47. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 瑕疵担保期間につきましては、前回の経験にもかんがみまして、契約の際にできるだけ長くするようにということを折衝いたしまして、前回が、原子炉部につきましては、原子炉引き渡し後十八カ月でありましたものを今回は引き渡し後二年、それから船体部につきましては、一年としてあったのが引き渡し後二年というぐあいに延ばしたわけでございますが、その後残念ながらまだ地元の港の建設等の関係で時間が延びておりまして、この中ではどうも間に合いそうもございません。そこで、メーカー側と今事業団が折衝をいたしておりまして、この瑕疵担保期間の延長を交渉しておるところでございます。今のところこの延長につきましては、基本的にはメーカー側も了解しておりますが、期間等につきましてさらに詰めをいたしておる段階でございます。
  48. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 関根浜新港の供用開始は六十一年の九月、こうおつしゃったんですからね。この関根浜新港の供用ができない段階では実験ができないんでしょう。そうすると、この瑕疵担保期間をどこまで延長するかということはおのずからこれはわかっているわけで、六十一年九月以降実験ができる状態にまで政府は責任を持って延ばせるのですか、どうですか。
  49. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) まだ、メーカー側の保証する体制といたしまして、その間における種々の問題もございますので、一気にその時期まで瑕疵担保期間を延長するということは、いわゆる従来からのこういう商い慣習の点からも非常に難しい点がございますので、その点につきましては今後どのようにしていくか、さらに詰めていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  50. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 前科のあることですよね、政府として。そうでしょう。それで多大のお金がかかったんでしょう。先ほど自民党の方からの質問も、本体やら船体そのものに使うお金はわずかであったじゃないかと。問題は、修理そのものから多大のお金がかかったということなんですよ。原因はそこじゃないですか。だから、メーカーとの間、企業との間で、そこのところを責任持てる状況というものを契約の上ではっきりさせない限り、私たちはさらにこの「むつ」問題について新たな問題がそこに加わるということで、どうしても納得ができないという状況になってまいります。長官、百歩、千歩、万歩譲って、あなた方が実験を強行されるという状態になっても、この問題だけは前科のあること、責任持って瑕疵担保の問題は実験をやるという段階まで延ばすということを言ってください。
  51. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 瑕疵担保の問題は大事でございますので、最善の努力をいたしたいと思います。
  52. 松前達郎

    ○松前達郎君 今、原子力船「むつ」の問題が非常に議論になったんですが、たしか中川元科学技術庁長官のときに、もうこの辺で決断しないと大変なことになりますよということで、廃船したらどうかという提案もいたしたのを今思い出しているんですが、そのまま全然進行せずにずるずる今日まで来てしまったわけです。やはり研究推進というものに関して、そのステップ、ステップの段階ごとに評価をしていかなきゃならないわけですね。そういった総合的な検討というものがどうもなされずに今日まで引きずり込まれてきた、そういうふうな感じを持つわけです。  これは私の意見なんです。例えば、舶用炉の開発が大切である。舶用炉の開発といえば小さな小型原子炉であるわけですけれども、何もわざわざ船に載っけないでも、シミュレーションで振動試験その他できるんですから、陸上でもって小型、コンパクトな、しかも非常に安全度の高い炉を開発するようなことをやれば今こんな問題起きてないんですね。そういったような総合的な研究開発体制に対する検討というのをひとつ科学技術庁でやっていただきたい、私はそう思うんです。例えば、スウェーデンのストックホルムに行きますと、町の中に小型の原子炉が置いてある。これは電力生産というよりも暖房ですね。エネルギー供給、電力エネルギー以外のエネルギー供給用の原子炉などもあります。舶用炉といえばこれはもう恐らく推進用のエネルギーですから電力そのものではない、いわゆる商用電力ではない、こういうことですね。その辺の問題ひとつ考えながら、今でも遅くはない、もう遅いかもしれませんが、とにかく廃船等を考えた方がいいんじゃないかと、私もそう思います。  そのほか、例えば船つくって、原子炉を積んだ船が果たして外国の港に入れるかという国際情勢も考えていただきたいんですね。石油がないからそれじゃその石油を運ぶために原子力船を使うというんだったら、石油がないんだったら行く必要ないわけですね。ですからその辺、全体の将来の展望も踏まえた上での計画というものをやはりこの際やってみる必要があると私は思います。  エネルギーそのものから言えば、例えば電力、電気エネルギーを生産する国、水力であろうと何であろうと豊富に生産できる国があるわけですから、そういうところの投資を我々はやりながら、それから電力そのものは送電線で引っ張ってこれませんから、この電力をほかの形に変える、例えば金属ナトリウムに変えるとか、そういうことをして日本に持ってきて、日本でそれを熱エネルギーとして使っていく。まあいろんなことが考えられるわけですから、総合的にひとつこの辺は配慮をしていただきたい、こう思うわけです。  私、きょうは宇宙開発中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど説明がございました概要説明の中にある第五の宇宙開発、これについてお伺いをいたしたいんですが、けさの報道にもありましたように、スペースシャトルの今回のミッションで、ソーラーマックスの修理だということですね。第一回目のその作業は成功しなかったわけで、今後またアメリカはそれを続けていくと、こういうことでありましょうけれども、各国で現在宇宙開発がもう盛んに進められている。この概要の中にも宇宙開発海洋開発、この二つがあるわけです・ね。要するに空、宇宙とそれから海、これは海洋と言っても、ただ単に海洋の上じゃなくて、海中あるいは海底、こういうものを含めた開発、これもまた我々特に海洋国家ですから必要だと私は思います。宇宙人類共同で開発できるスペースでありますから、これについても我々としても開発を進めていくのは当然じゃないかと、こういうふうに思うんですが、さて、その宇宙開発というものについて各国で進められているにもかかわらず、日本の場合、我が国の場合一体宇宙開発はおくれているんじゃないかと私は思うんです。これ についての御意見ですね。  それからさらに、宇宙開発推進に当たっての基本的な方針として、どうやら最近は宇宙開発の九割ぐらいが軍事開発になって、軍事目的開発になっていきつつある。我が国は平和のための宇宙開発、こういうことであろうと思いますから、これらについての基本的な考え方、さらに情報を得る手段としての宇宙開発、それから情報を交換するための手段としての宇宙開発、いろいろあります。こういったような問題について一体今後どう取り組んでいくのか、こういうことをお伺いしたいと思うんです。  とりわけフランスという国は独自性のある国で、フランスの宇宙開発というのは長期ビジョンで着実に今進められているんですけれども、こういうものと比較しながらお答えいただきたいと思います。
  53. 福島公夫

    政府委員(福島公夫君) お答えいたします。  我が国は、先生御存じのとおりでございますけれども宇宙開発に着手したのがソ連やアメリカに比べましておくれたために、今日なお多少のおくれをとっているということは事実でございます。この間、主としてアメリカから技術を導入しまして、かなりのキャッチアップというものをやってきたわけでございますが、これに投入する資金の量というものの制約もございますし、また経験不足ということもございまして、なお例えばロケットなんかにつきましても欧米に多少おくれをとっているということはございます。  しかしながら、人工衛星の打ち上げ個数というものを考えますと、もう既に二十七個打ち上げているということで、ある意味では世界の第三位という位置にも達したというふうに考えているわけでございます。実用の面につきましても、一応NⅡロケットというのが三百五十キロの静止衛星を打ち上げる力もできておりますし、これは世界的にも打ち上げということに関しては全く失敗しないロケットということで安定したロケットを開発したわけでございます。ただ、大きさにつきましてはまだ三百五十キロということでございます。アメリカあるいはヨーロッパでは既に一トン級の静止衛星を打ち上げる力を持っておりますので、こういうものについてはできるだけ早く追いつきたいという考えを持っております。したがいまして、ただいまHⅠロケットという、これは五百五十キロの静止衛星を打ち上げる能力を持つロケットでございますが、この二段につきましては、液酸液水のエンジンというものを自主的に開発しておりまして、現在非常に順調に進んでおります。この技術を使いまして将来大型ロケット、二トン級の静止衛星を打ち上げるロケットでございますが、これをなるべく早く開発したいと考えているわけでございます。  ただ、すべてのことを日本国内で独自にやるということも大変でございますので、例えばシャトルを利用しました材料実験とか、最近になってアメリカから呼びかけられました宇宙基地計画等、こういったものは国際協力というものを通じていろいろのものを習得していきたいと考えております。  なお、二番目の基本の問題でございますけれども、これはもう私ども宇宙開発事業団法あるいは国会決議ということでも示されておりますように、すべて平和の利用に限るということでやらしていただいているわけでございます。  また、情報に関しまして、例えば通信衛星あるいは放送衛星でございますけれども、ようやく我が国としましては実用の段階に達してきたと。ただ、そう申し上げましても、我が国宇宙開発は資金等の有効的活用ということがございますので、開発利用というものを相乗りでやっているという関係がございまして、打ち上げられました通信衛星及び放送衛星につきましても、まだまだ実用には供しながらも開発の段階であると御理解いただいた方がよろしいんではないかと思います。  最後に、フランスの問題でございますが、先生御指摘のように、フランスも非常に要領のよい開発を進めておるようでございます。あそこば国立の宇宙センターでCNESというところが一元的にやっておりますが、それと欧州の宇宙機関ESA、これを通じて主要な構成国としてアリアンロケットの開発等を進めているわけでございますけれども、既に先ほど申し上げましたように、実績として一トンの静止衛星というのを打ち上げておりますし、ある分野ではインテルサットのV号系の八号衛星どもアメリカと競争してアリアンロケットがとっているというぐらい実力をつけているようでございます。  なお、一九八六年ごろには二トンを超える静止衛星を打ち上げるロケットの開発も進めていると聞いております。衛星の方におきましても、地球観測を目的としましたSPOT等開発が進んでおりまして、そういった意味ではかなり着実に宇宙開発進めておるんではなかろうかと思います。  ただ、お金の点につきましては、日本とそう変わらず年間千百億円程度のものでやっておりますので、これはある意味ではESAを通じた国際協力というところで分担をうまくやっているからではないかと我々考えております。
  54. 松前達郎

    ○松前達郎君 フランスが非常にうまくやっているわけですね。ですから、我が国の場合もさっきの原子力船「むつ」みたいなことにならぬようにやっていかなきゃならないと思うんです。  つい最近、NASAのベッグズ長官日本に来られて、私もお会いいたしたわけなんですが、NASAがやっている宇宙開発日本協力できるものかどうかという打診があったはずなんです。これはモジュールによる参加とかいろんなことが言われていますが、この参加についての計画がありましたらお答えいただきたいと思います。長官いかがですか。
  55. 福島公夫

    政府委員(福島公夫君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、先月の十一日から三日間、ベッグズ長官が来日されまして、宇宙基地計画への参加についていろいろと御説明いただいたわけでございます。これはもちろんことしの年頭教書におきましてレーガン大統領がこの開発のゴーサインを出しまして、同時に中曽根総理の方に親書をいただきまして、また、ベッグズ長官から岩動長官の方にも参加の協力依頼の手紙をいただいておるものでございます。  私どもとしましては、こういった計画、これはもちろん国際協力で進めるべき問題だと考えておりますし、人類にとっても非常に有意義なものだと考えておりますが、何分非常に金のかかるプロジェクトでございますので、我が国の力というものも検討しながらこれを進めていかなくちゃならぬ。そういう意味で、今後本当にこの計画というものがどのぐらい人類にもまた日本にも役立つかということを見ながら、NASAの計画を聞きながらいろいろと検討していきたいと考えております。  ただし、時間的に、ベッグズ長官が言われますのは、九月いっぱいで返事が欲しい、十月からはいよいよ予備設計に入る、その予備設計の前に返事がいただけたらありがたいということも言っておりますし、それから六月のロンドンのサミットでもこれを提案したいということを言っておりますので、それを踏まえながらいろいろ検討を進めていきたいと考えております。
  56. 松前達郎

    ○松前達郎君 我が国宇宙開発、今後たくさんの問題を抱え込んでいるわけなんです。それもしかもお金がかかるわけですね。ですから、これらの計画についても十分な検討の上でひとつ決定をしていただきたいと思うんです。  それから、宇宙開発事業団、NASDAというのがありますが、これが今ほとんど打ち上げの実体といいますか、実際に打ち上げをやったりあるいは宇宙産業に対する発注等もやっているわけですね。このNASDAの中ではどうも研究開発機能が十分じゃない、こういうふうに私は思うんです。  それで、宇宙開発全体を展望してみますと、例えば探査衛星に関してはこれは農林省、それから通産省はこれは資源衛星、それから運輸省が気象 関係、気象衛星、それから郵政省が通信放送衛星、それぞれの省庁に分かれて管轄がされている。本当はこういうところが行政改革の対象になるべきだと思うんですけれども、それを科学技術庁がまとめて、そして宇宙開発事業団との協議の上、宇宙開発委員会というのが別にありますけれども、そして宇宙産業との結びつきをつけながら事業団を通して宇宙開発の実際に当たっている、こういうことなんですね。こういうふうなことの中で、特に我が国が取り組んでいます衛星の問題といえば気象衛星通信衛星放送衛星で、運輸、郵政というのが実際に実用衛星として今動いているわけでありますけれども、こういったシステムが果たしてこういう状態で将来の宇宙開発に対しての能率いい作業が進められるものかどうか、私は非常に懸念をいたしておるわけなんです。  その問題が一つと、それからさらに、例えば探査衛星資源衛星というのは、これはリモートセンシング・テクノロジーを利用する分野に入るわけなんですが、こういった探査、資源関係の衛星についで今後の計画があるというふうに伺っていますが、そういうものと、それからさらに、それを使ってのリモートセンシングの技術開発というものが一体どうなるのか。  一遍にまとめて御質問申し上げますが、さらにそのリモートセンシングに関して、例えば東南アジアを中心としたアジア地域における技術協力、例えば森林の資源とかあるいは食糧資源の問題とか、時にはアジア地域における、あるいはオーストラリアも含みますが、ウラニウムの探査だとか、いろんな問題があるわけですね。こういったような問題に対してどういうふうに取り組んでいかれるのか。国際協力の問題は先ほど出ましたけれども、その辺をひとつお答えいただければと思います。
  57. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 宇宙開発は、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、アメリカ、ソ連に次いで日本は追いついていっていると思いますが、おくれも否めないところでございます。  また、この宇宙開発の実用等に関しましても利用者が各省庁にまたがって大変多岐にわたっている点も御指摘のとおりでございますが、私どもは、宇宙開発委員会が中心となりましてその政策大綱というものをつくっております。そして先般、新しい技術の進展、また国際的な環境等を勘案いたしまして、その政策大綱を改定をいたしたところでございます。これによりましてまた毎年各省庁に関連するいろいろな施策の調整をいたしてきております。そういう意味におきまして、宇宙開発委員会は大変大きな総合的な調整の役割を果たしていると考えております。これらにつきまして、あと具体的なことは政府委員の方から御答弁させますが、そのように私ども中心となって進めているということを御理解いただきたいと思います。
  58. 福島公夫

    政府委員(福島公夫君) 宇宙開発委員会が中心になりまして我が国宇宙開発推進しているということは、ただいま大臣の方から御答弁のあったとおりでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、確かに先生御指摘のように、各省庁がそれぞれいろいろな研究、検討をやっておられる。これはNASAのようにすべての基礎研究から全部をやるというやり方もあると思いますが、日本のように現在あるキャパシティーというものをフルに利用するという方が、かえって政府全体としては非常に効率的であるという考えもあると思います。したがいまして、ユーザーに当たる各それぞれの省庁に属する機関が、ミッションについては十分検討し、またある部分の基礎的な研究というものをやっております。また、大学でもそういうことが行われておりますし、電電公社等の利用機関もそういう研究をやっておるわけでございます。もちろん、すべての研究がそういうところで行われているかというと、そうではございません。共通的な技術あるいは他のところが引き受けられないような技術につきましては、宇宙開発事業団自身も筑波の宇宙センターの中に研究開発部も設けておりまして、そこでも基礎的な研究をやっております。例えば、リモートセンシングの話がこの後出るわけでございますけれども、センサーについての検討やなんかも、あるいは合成開口レーダーというような研究、こういうものも宇宙開発事業団がみずから進めている分野でございます。  そういう意味で、そういったものを踏まえて、宇宙開発委員会が最もいい調和のとれた計画というものをまとめているということでございますので、私どもは今後も宇宙開発委員会のもとで政府一体となって有効な効率的な開発を進めていきたいと考えております。  それから、二番目の問題でございますが、リーモートセンシングにつきましては、これは現在、いわゆるランドサット等のデータを利用さしていただいているわけでございますが、これも宇宙開発事業団が鳩山村にあります受信所でデータをとりまして、これを一部は使いやすいような形に加工して利用者に提供しているという形をとっておりまして、これも現在非常にスムーズにいっております。  それからなお、今後、我が国の地球観測衛星というのがございますが、MOS1という海洋観測衛星あるいは五十九年度から着手をいたします地球資源衛星、こういうものにつきましても、同じような、従来からやっておりましたしきたりに準じてやっていきたいと考えておりますが、なおこれらにつきましては、利用機関ともいろいろと相談しながら進めていきたいと考えております。  それから技術開発は、先ほどもちょっと触れましたが、日本の地球観測衛星は、必ずしも今までのランドサット等でやっていたようなものだけではなく、日本独自のセンサー技術というものを入れて、従来のランドサットでは得られなかったような知見も得ようということで研究開発を進めておるわけでございます。  それから、最後の主として東南アジア等との国際協力という問題でございますが、これは非常に重要な問題でございますので、私どもとしましても、できるだけセンサーを開発する段階から東南アジアの利用者の意見というものを聞くように心がけておりまして、今日でも多くの国々から研修生を受け入れて訓練したり、また技術者を派遣して訓練したりしております。ただ、地球観測衛星は、国によってはやたらに自分のところは余り探らぬでくれというようなこともございますので、この辺につきましては、今後根気よく、東南アジアに限らず世界各国と話し合いながら進めていきたい、こう考えております。
  59. 松前達郎

    ○松前達郎君 終わります。
  60. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、昨年三月、総理大臣から科学技術会議に対して、長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策についての諮問があつたわけでございますが、科学技術政策の最高審議機関である科学技術会議でのその後の検討状況ですね、大体いつごろまでにできるのか、余り時間もございませんので、要点だけで結構でございますが、お伺いしたいと思います。
  61. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 科学技術政策につきましては、ただいまお話しのように、昭和五十二年の五月に科学技術会議での諮問第六号「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本について」の答申に沿ってただいま進めているところでございますが、もう既に六年を経過いたしておりますので、この間科学技術をめぐる内外の諸情勢とか大きく変化しておりますので、昨年の三月総理大臣から諮問がございまして、ただいまこの諮問に対しまして、科学技術会議で新しい科学技術政策の指針となる答申を鋭意検討中でございます。これは、おおむねこれから十年程度を目指して、長期的な観点から総合的な政策を打ち出すということでございますが、その大きな柱といたしましては、創造性豊かな科学技術振興、これが第一、それから第二に国際社会への貢献の問題、それから第三は科学技術と人間社会との調和、こういう点に配慮をしながら、おおむね本年の夏ごろには答申が出るように、ただいま審議促進をいたし ているところでございます。
  62. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 五十七年の臨調中期答申では、科学技術会議の機能強化を求める意見が出ておるわけでありまして、この五十七年の科学技術白書にもそういうことに触れておるわけですね。私は、今回の「むつ」問題等もかなり政治的に振り回された感があると思うんですけれども、そういう意味で、科学技術会議のそういう調整機能強化というんですか、また大局的見地から、こういう研究を進めろとか、こういう研究はやはりストップしろとか、そういうものをやる意味において、この科学技術会議というものが今までのような、ただ何となく飾りのようなものではいけないんじゃないか、もっと機能強化をしろというのが、僕は臨調の答申の趣旨じゃないかと思うんですがね。そういう点は何かお考えがあるでしょうか。
  63. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) おっしゃるとおり、科学技術政府の中におきましてもほとんどの各省庁にまたがる分野でございますので、そういうものの総合調整、いわば参謀本部的な役割としては科学技術会議というものは大変大事でございます。したがって、その機能強化はもちろん十分に考えていかなければなりませんが、特に私どもの役所といたしましては研究調整費というようなものの予算の拡充を図って、そしてこれをどのように活用するかというようなことは科学技術会議の大きな役割であり、機能強化一つであろうと思っております。あるいはまた、ライフサイエンスが進展をしていく中において、どういうものはやってよろしいとか、どういうものは抑えていくとか、そういったようなことも科学技術会議にも十分な御意見を聞いてやっていくというふうに、単なる諮問機関というよりも、絶えず科学技術の進展に呼応したような、機動的な具体的な意見を出していただく、指針を示してもらう、こういうことによって関係省庁もまたそれに従った科学技術振興を図る、こういうことになっておりまするし、これからもそのような機能は強化してまいりたいと考えております。  なお、今「むつ」について言及がございましたが、原子力船「むつ」につきましては、科学技術会議の御意見ももちろん必要であろうと思いまするが、原子力委員会というものがございまして、むしろ原子力委員会において専門的な研究等もやっていただいて、そちらの御意見を尊重するという体制になっておることも御理解いただきたいと思います。
  64. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろん法律的には原子力政策については原子力委員会なんですけれども、ただ私は、例えば核融合の問題にしても、一つ研究というのを始めると、そこに研究集団というか学者のグループができる、どんどん専門的なことをやっていく。そうすると、そういう専門家だけの集まりではやっぱり方向転換はなかなか難しいんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、全体的なバランスという点から、原子力政策はもちろん原子力委員会がやるにしても、さらにもうちょっと全体的なバランスの上で、本当に限られた研究費をどういうところに使うことが最も効果的であるのか、そういうことを常に考えながら見直しをしていくという、私はそういうのを科学技術会議あたりの機能強化という意味でとらえることができないのかなという、そういう感じがするんですが、そういう点、研究していただきたいと思うんです。  また、先ほどの御質問にありましたように、研究の評価というのは、アメリカでは議会に技術評価局というのがあって、第三者的立場からいろいろ研究しているようですが、我が国においてもそういう大局的な、しかもかなりの専門家がいないとできないんで、そういう評価ができるところをつくるべきではないか。それが科学技術会議がいいのか、そのあたり僕よくわからぬのですけれども、そういう問題についても検討すべきじゃないかと、その点はどうでしょうかね。
  65. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 研究の評価システム等については、各方面からの御意見もございまするし、私どもも、まず現実的には毎年の予算の編成段階において政府政府なりにやってはきておりますが、さらに広い見地からのそういうような評価ということもこれからは十分に勉強さしていただいて、科学技術会議もまた十分にその機能の中においてそういう役割が果たしていけるように勉強さしていただきたいと思っております。
  66. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先般日本原子力産業会議がございまして、その大会で有沢会長は、原子力発電所の定期検査をもっと短かく二カ月以内にしろ、あるいは設計余裕度を見直して実績に基づいて余りむだな余裕はやめて新たな安全基準を設けるべきだ、あるいは極低しベルの放射性廃棄物等は一般産業廃棄物と同じに扱うべきじゃないかという、こういう提言を行っておるわけであります。もちろん原子力発電も効率性、経済性は非常に大事であると思うんですけれども、だからといって余りそういう点に重点を置きますと、スリーマイルの事故からの教訓もありますし、こういう問題については科学技術庁としてはどのような姿勢で対応していくのか、このあたりの考え方を承っておきます。
  67. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) ことしの初め、先月でございましたが、原子力産業会議におきまして有沢会長からただいまお示しのような御提言があったと承っております。それは、原子力発電所の定期検査期間の短縮化、あるいは核燃料サイクルのいわゆるバックエンド対策に対する積極的な取り組みなどでございました。  石油価格が最近、昨年から下がったわけでございまして、そういう中において原子力発電所建設経費というものは大変高くなってきている、そういうことから経済性ということも十分に検討していくべきではないかということで、民間の原子力発電事業者に対する一つの提案をなされたと思います。これは原子力発電が既に日本の電力供給の二〇%、しかも稼働率は七〇%、定検の期間を除きますと一〇〇%の稼働率といってもいいように非常に安全性も確立されてきている、そういう中において経済性ということにも着目すべきではないか、どういう御意見だったと思います。  私どもは、あくまでも安全性ということを大前提としてやはり原子力の平和利用を進めなければならない。そういう中において、例えばリードタイムをできるだけ短縮するとか、あるいは定検の期間も、もしいろいろな検討の結果、安全性が確保された上での短縮が可能ならばそれも一つの重要な考え方であると。いずれにいたしましても、安全性ということを大前提として、私どもは有沢提言というものを貴重なものと考えているところでございます。
  68. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 資源エネルギー庁はこの間、原子力発電所稼働率の状況をたしか発表したと思うのですが、最近の状況は大体どういう状況であるのか。それと、大体軽水炉の運転については、今言ったバックエンドとかそういう問題は別として、軽水炉運転そのものについてはほぼ技術的に問題点は解決したと見ていいのかどうか、そのあたりの認識はどうでしょうかね。
  69. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 最初に、稼働率の状況について申し上げますと、先ほど発表いたしました 五十八年度の設備利用率は、平均いたしまして七一・五%ということで、七〇%を実質的にも超えたということを発表いたしたわけでございます。最近、例えば五十五年、六年ぐらいを見ますと約六〇%でございましたが、五十七年度で六七・六%、それが七一・五%というふうにP、B合計いたしましてなったということでございまして、ここ数年間に非常に稼働率が上昇しております。この上昇はもちろん運転中のいろいろなトラブルあるいは原子炉をとめて点検しなくてはいけないというようなことが減ってきたことに起因しておるわけでございますが、もう一つは、先ほどからおっしゃっております定期検査におきまして、いろいろな修理だとか必要な点検をやること自体が減ってきているということによって、合計いたしまして運転の稼働率が上がっているということになっているわけでございます。  そういうことからいたしまして、現在の軽水炉 がどういう水準に達しているかということにつきましては簡単にはなかなか申し上げられませんが、非常に多くのトラブルを起こした原因につきましてはほぼその原因が確かめられてきておる。したがいまして、過去経験いたしましたような幾つかの細かいトラブルは大部分避け得るようになっているということはあると思っておりますが、例えば今後、運転開始しましてから十年とかそれぐらいたちました、つまり長い期間運転した時期におきまして新しく発生してくる問題が全くないかということについては、それは全くないということを信じているというわけではございませんで、そうした経年劣化的な現象につきましては十分注意してかからなくてはいけないというふうに思っている次第でございます。しかし、それにいたしましても、それについてのある程度予防的な診断等の技術を鋭意開発しておりますのでそういったものと、あるいは運転管理の習熟によりまして大きな稼働率の低下というようなことは起こらないで済むのではないかというふうには考えておる次第でございます。
  70. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、コストの問題ですけれども、今まで大体言われてきたのは、石油火力、LNG等が、例えば五十八年度の原子力年報のデータでは、運転開始の初年度の発電原価が、石油火力及びLNGでは十七円、石炭火力では十四円、それに対して原子力発電は十二・五円である。しかし、最近非常に原油価格の低下、石炭価格の低下等でかなり原子力発電経済性、メリットというものが非常に差が縮小してきた、場合によっては試算において逆転をしておると、こういうことが言われておるわけですね。この場合の原子力発電等のコストの計算において稼働率というものは、石炭火力、LNG、原子力、こういうのはどういう想定のもとにやっておるんでしょうか。  それと、今まで廃棄物の処理の費用とか廃炉の費用というものは原子力発電のコストには入れていないという、私はそういうことを入れないでのコスト計算ではちょっとこれはまやかしものであって、国民を惑わす数字であって、こういうものを何の説明もなしにいろいろなデータに載せるということは私は全くよくないと思うんですが、その点はどう思いますか。
  71. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 最初の御質問でございますが、石炭火力、石油火力、LNG、原子力、それぞれの初年度のコストを、モデルプラントを想定いたしまして比較の意味で、相対比較の意味で発表いたしておる次第でございますが、それぞれの稼働率は皆七〇%という前提で計算いたしております。で、実際にこういった電源が七〇%という稼働率で運転されるかどうかという問題につきましては、技術的にそこまで運転するのが難しいという問題よりは、本当は電力系統の中でどのような負荷を分担していくかという、むしろ運転経費の総合的な経済性という面から負荷配分が決まるわけでございますので、ベースに原子力、石炭火力が来れば石油火力の稼働率は当然低くなるというようなことになるわけでございます。私どもがやっている計算は、あくまでも新規に電源を入れます場合にどちらが同じ条件で運転した場合に経済的に発電原価において差が出るかという計算のためにやっているものでございますので、そういう意味で七〇%というふうに想定いたしまして計算している次第でございます。  なお、先生がおっしゃいましたように、原子力につきましては、その発電コストの計算の際に廃炉の費用とそれから廃棄物の最終処分の費用は含まれておりません。この費用につきましては、これまで公式に我々が申し上げますにはややデータといいますか、内容のコスト計算上のデータの精度が非常に不確かなところが多いということで除外していた次第でございまして、本来のあり方からすれば当然これは含めて考えなくてはいけないというふうに思っている次第でございます。それらの点につきましては、現在通産省資源エネルギー庁におきましては、ことしになりまして検討のための委員会をエネルギー調査会原子力部会の中に置いて鋭意検討しているところでございまして、できるだけ早い機会にこういったものを含めて計算し、それらの数字のウエートを国民皆さんにわかっていただく結果を発表したいと思っている次第でございます。しかし、発電原価のいろいろな外国のデータその他を参考にいたしますと、ほぼ一割程度、多少前後いたしますが、ぐらいがそういう今含まれていないものによって占められるのではないかというふうな想定でございます。
  72. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今の七〇%というのは、石炭、石油、原子力、全部七〇%の計算というのはちょっと私は理解しがたい。というのは、大体石炭とか石油火力というのは、ほとんど定期点検以外は問題ないわけでしょう。もちろん今言ったような営業的な政策でストップするときは別としてもね。そうすると、原子力発電所稼働率が今非常によくて七一%、そうすると、それに比べれば稼働率を同じで計算するというのは、やや客観情勢から見て原子力発電経済性をより強調する意図があるんではないか、このような気がするんですが、そういうことはありませんか。
  73. 松田泰

    政府委員(松田泰君) そのようにとられると非常に私どもとして不本意でございますが、実際 に、現実にある石炭火力があった場合に、原子力発電所が必要とするような定期検査の期間等は要らないケースが多いわけでございまして、実際には八〇%に近い石炭火力の稼働率というのは実現しやすいということは私ももちろん承知しているわけでございますが、その石炭火力の経済性、原子力発電経済性が本来どのようなものであるかということを比較するというときには、一応同じ条件で比較してその相違、例えば資本費のウエートが片方はこれぐらいで片方は燃料費のウエートが非常に大きいとか、そういう辺を明らかにしたいということで一種の経済比較をやっているわけでございます。ただ、もちろん現実には原子力の場合に現在でも法律上の要求なり検査項目七の他、あるいは技術的な実証性等からどうしても三カ月ぐらいは検査がかかってしまうということがあるわけでございますので、その前提で石炭の場合だともう少し高い稼働率原子力の場合だとこれぐらいの稼働率という比較はもちろんできないわけじゃございませんけれども、実際には石炭の場合、個別の石炭のプラントについて見ますと、何かトラブルがあれば非常に長くなることもありますし、原子力でも最近できるプラントにつきましてはもっと高い稼働率で個別のプラントはやっておるわけでございますので、個々のプラントの比較ではなくて、総体的な、全体としての性能、経済性を示すという比較の場合にこういうふうに前提をそろえてやっているということでございます。ちょっとそういうことで説明がましくなりましたが、そういう意図でやっておりますので、それに伴う誤解はできるだけ避けるように説明はしなくちゃいかぬというふうには考えておる次第でございます。
  74. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは長官にもお願いしたいわけですが、やっぱりエネルギーのコストが安いということは日本経済発展のためには非常に大事だと思うんです。そういう意味でより安いコストのエネルギーを推進をしていかなくちゃいけないんじゃないかと思うんですが、そういう意味国民に対しても正しい理解を与えていかないといけないんじゃないか。今、総合エネルギー調査会等にも原子炉廃止措置対策委員会等でそういう廃炉のコストとかそういうものについてのいろいろな計算等が行われているようですけれども、我々はそういうものを早急にやってある程度の客観的な目安をつくって、そうして国民に対しても余り誤解を与えないようにそういうことをしていただきたいと思うんですがね。だから、原子力発電のコストなども、より客観性をもって本当に納得できる比較ができるように僕はすべきだと思うんですか、その点はどうでしょうか。
  75. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 原子力発電のコストは、今運営している限りにおいては先はどのように大変な効率のいいものになっておりますが、核燃料サイクルのことを考え、また廃炉というとこ ろまで考えた場合にはどうなるかと、そういう点での経済性の検討ということは早急にやっておくべきことであろうと思います。また廃炉につきましては、特に東海におきまして具体的にやっていかなければならない、もう目の前に迫ってきている問題でもございますので、まずその基礎的な研究をやるということでございますので、そのようなことを含めまして、私どもは全体としての流れの中での原子力発電の位置づけというものをさらに勉強していかなければならないと考えております。
  76. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今度の原子力産業会議においてもいろいろ問題になったようですが、アメリカが百基ぐらいキャンセルが続いたと。原子力産業会議でアメリカの代表は、これは安全性の問題ではなしに経済性の問題のような、こういうような話をしているわけですが、なぜアメリカが百基もキャンセルをするほどの原子力発電のメリットがないという理由がどこにあるのか、これをどのように政府としては認識をしているのか、これをお伺いしたいと思います。
  77. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 米国において近年原発のキャンセルが相当な数になっているということは今先生御指摘のとおりでございますが、米国におきましては、一九六〇年代から七〇年代の初めにかけまして、先行きの明るい見込みのもとに相当な数の原子力発電所建設が予定され、見込みの発注が行われた嫌いがございます。その後、インフレ並びにアメリカの高金利、それから建設工期が長期化したというようなことで建設費の高騰があったという点が指摘されるわけでございます。これはちなみに物価の上昇率で申しますと、一九七七年から一九八二年にかけまして、日本では五・四%でございますが、アメリカでは九・一%ということでございます。平均金利ということでいきますと、一九七八年から一九八二年におきまして、日本では五・七%程度のものがアメリカでは一〇・七%、公定歩合の上の数字でございますが。そういったようなインフレと高金利、さらには建設工期の長期化ということでの建設費の高騰というのが一つの大きな原因である。それから、米国の電力会社は経営基盤が我が国の電力会社に比べますと非常に小さなところもございまして脆弱性がございます。財務体質が悪化し、資金調達が非常に困難になっているというような問題も指摘されておるわけでございます。それから、こういったものの一つの背景といたしましては、電力需要の伸び自身が過去において想定したものよりも非常に鈍化をしているということも一つの理由かと思われるわけでございます。  いずれにいたしましても、近年の米国におきますキャンセルというのは、大分このように米国の固有の事情によるということがございまして、我が国の状態とはかなり異にしておるわけでございます。先生御指摘のように、安全性というよりかむしろそういう経済性のウエートが非常に大きいということでございます。
  78. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは資源エネルギー庁にお尋ねしておきますが、正直言って原子力発電経済的なメリットというものがかなり縮小はしてきておる、いわゆる石炭等に比べて。したがって私は、原子力発電においてはもうちょっとコストダウンをしなければメリットがないじゃないかということが有沢さんの一つの提言でもあったと思うんですね。もちろん原子力発電もコストを離れての発電はないと思うんですが、感じとしては大分縮小してきておる、こういう感じですか、やっぱり。
  79. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 御存じのように、石炭火力の発電コストのウエートは燃料費が非常に大きなウエートを占めておるわけでございまして、石炭価格の動向というものが石炭火力の判断をする場合に大きなウエートを占めるわけでございます。現在石炭のコストは比較的下がっております。したがいまして、ある年度、特に初年度のコストを計算いたしますと、原子力発電の場合と比較いたしまして非常に差が接近しているということは事実だと思います。で、私どもはもう一つ、こういう発電設備は長期間にわたって経済性を見る必要があるわけでございまして、その場合に原子力の特色は、資本費のウエートが高い、燃料費のウエートが少ないということから、比較的燃料価格の変動に左右されないという特色を持っているわけでございます。  したがいまして、その辺をどう判断するかということで優劣といいますか、経済性のメリットの見方が変わってくるわけでございますが、私どもといたしましては、電力の安定的な供給、もちろんコストも含めまして、という目で見ますと、原子力がかなりいい特性を持っている。もちろん先生おっしゃいましたように、廃棄物等の問題は解決されなければならないという問題は別にいたしまして、そういうふうに判断いたしている次第でございます。
  80. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、ことしの一月に、政府、電力業界はいわゆる青森県下北半島のむつ小川原地区に核燃料サイクル基地をつくる、そこにはウランの濃縮、それから再処理、廃棄物処理、こういうものをつくることを内定したと新聞報道があるわけですが、これは内定したんでしょうか、どうなんでしょうか。
  81. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 青森県におきまして核燃料サイクル関係の施設を立地するということにつきまして、先ほど新聞紙上でも書かれていることでございますが、この点につきましては私どもも電気事業連合会の方等に問い合わせをいたしておりますが、具体的にその地点について現段階において決定したということはないということでございまして、まあその地点が、青森県がそういう施設についての候補地、全国的にいろいろ探しておるわけでございますが、候補地の一つであるということは事実だろうと思いますが、決定したということではないと承知しております。
  82. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この再処理は東海村で一日〇・七トンでございますか、〇・七トンのそういう炉が今運転されているわけですが、大体この再処理技術というものは確立されたのかどうか私も余りよくわかりませんが、新聞で見る限りはしょっちゅうとまったり動いたり、我々が外から見る限りは再処理技術というものはまだ確立されておらないんではないかという、そういう感じがするんですがねっしかし、新聞報道等では、大体再処理技術というものは確立をされて、今、次の新しく民間ベースでのものについては我が国の独自の技術でできるんじゃないかという、こういうようなことを動燃が考えているやに伺っておるわけでありますが、このあたり再処理技術はもうほぼ問題点は解明をされていると判断をするのか、もし非常に問題があるとすればどういう点が残された問題であるのか、その点お伺いいたします。要点だけで結構でございます。
  83. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 使用済みの燃料の再処理技術につきましては、イギリス、フランス等も含めましてすでに二十年以上のいわば再処理の実績があるわけでございまして、我が国の動燃事業団の東海再処理工場においてもその実績があるわけでございます。ただ、不幸なことに幾つかのトラブルがあることは事実でございます。しかし、それらの点につきましては、我が国自身、東海の再処理工場におきまして幾多のトラブルを経験いたしまして、十分にその点についての技術的な問題も解明し、新しい技術を投入するということで問題を解決してきておりますし、フランスにおきましても大型の再処理工場につきまして既にモックアップテスト等も終わって建設を進めているわけでございまして、基本的な技術の確立は十分になされているわけでございます。ただ、何分にもこういう非常に濃い硝酸を使う放射性の高い施設でございますから、そのメンテナンス等を効率的にやっていくというような点で稼働率を高めていくという点につきまして、今後一層の改善が必要であろうかと思う次第でございます。
  84. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ウランの濃縮もこれはこれから将来次の段階として考えなくちゃいけないと思うんですが、また再処理も今新しい民間会社が場所を探しているんじゃないかと思うんですね。それから核廃棄物の処理、こういうような場所をどこに つくるかということは非常に大事だと思うんですが、これは大体どこが決めるんですか、最終的には。決定者はだれなんですか。
  85. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) お答えいたします。  再処理施設につきましては、御承知のように原燃サービス株式会社が既に設立されておりまして、その会社が一義的に責任を持って立地をまず決めるということになるわけでございますが、原燃サービスの親会社とも言うべき電気事業者サイドからもいろいろバックアップ等がなされていると承知しております。  さらに、ウラン濃縮事業主体につきましては、これはやはり民間で行うということを建前といたしまして現在電気事業者の内部においてその準備を進めておりますが、電気事業者を主体とした形でウラン濃縮事業会社が設立されるようになろうかと思っております。  さらに、低レベルの放射性廃棄物につきましては、現在発電所の構内に貯蔵されておるわけでございますが、当面これを発電所の敷地外に集中的に貯蔵するという構想がございまして、これが当面の方策としては一つの有力な手段ではないかということでございます。これらの実施主体をどうするかということにつきましては、基本的には原子力発電所の中の構内にためておるものを敷地外に集中貯蔵するという意味合いにおきまして、電気事業者を主体にして進めていくということで現在考えられておる次第でございます。
  86. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ウランの濃縮等については、岡山県の人形峠でずっと研究が進められまして、今度できるのは原型炉と言うんですか、原型炉が今度人形峠にもできたわけで、やっぱり地元は商業用炉も地元でやってもらいたいと。確かにそういういろいろ研究を積み重ねてきているわけだから、あんまりこれが変な方向に持っていったんでは、技術の連続性の上からいっても私はそういう点も十分配慮すべきだと思うんです。これはしかし、いろいろそういう原燃サービスなり、ウラン濃縮ならば新しい事業主体、そういうものが決めるわけでしょうけれども、最終的には原子力委員会とかそういうものが、そういうものについてはここが非常にいいとか悪いとかというようなとこをチェックするようにはなっていないんですか、今。その点どうなんですか。
  87. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 先生御指摘のように、今人形峠におきまして私どもの所管します特殊法人でございます動力炉・核燃料開発事業団が、いわゆる原型炉、まあ片方ではデモンストレーションのプラント、こういう言い方もしてございますが、いずれにいたしましても商業用の段階に至る一歩手前で、経済性を実証するということも含めて、試験施設として建設をいたしております。その次の段階に来る商業用のプラントにつきましては、先ほども申しましたように、電気事業者を主体とする事業主体というものが決められて、そこが実際の事業を行うという形になろうかと思いますが、その用地の決定につきましても、基本的にはこれも当然のことながら実施主体が決めるということでございます。ただ、その実施主体が決めた用地においてその施設自身が十分安全なものになっているかどうかということにつきましては、原子炉等規制法による安全審査の段階においてチェックをされるということでございますが、サイト設定の責任といいますか、につきまして政府が直接介入して、ここにしろ、ここではだめだというようなことを指示する立場にはございません。
  88. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もう時間がございませんので、最後に長官に要望しておきたいんですが、我々新聞等で見る限りは、このむつ小川原地区にしても、石油プラント等をつくる予定でつくったけれども、さっぱり油ショック以来の経済成長の低下で入る企業もなくて、一千億の借金を抱えている。これが二、三年後にはさらに利子が利子を生み一千五百億円にもなる。稲山経団連会長等が、財界がこういうものに関与しているようでありますが、そういう借金を、経済見通しの誤りのツケをこれ幸いど押しつけられたんじゃいかぬと思うんですね。  それで、原子力船「むつ」においても、むつを母港としてこれを決定しながら、後結局政府はよそに撤去するという、こういうようなことではいかぬ。決めた以上はやっぱり断固頑張ってもらわなければいかぬし、したがって決めるに当たってはもうちょっと慎重に、ただ政治的にぱぱっと決められるようなそういうやり方は私は断じて許せないと思うんですよ。今の中村局長の答弁では、場所を決めるのは余り政府は関係がないというようなことですけれども、これはやはり私は非常に大事な国家百年の大計に基づいていくものですから、そういう立地等においても政治的に事が運ばれないように十分ひとつチェックをする道を行政指導するなり考えていただきたい、このことを要望し、長官の御見解を承って質問を終わります。
  89. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 原子力の平和利用の中でこれから力を入れなければいけないのは、核燃料サイクルの確立てございます。そういう意味におきまして、今岡山県の人形峠で原型炉のあれを進めておりますが、やがて商業用の段階に入ってまいります。そういう中において、やはり便所のない原子力発電政策であってはいけませんので、そういう最後までの処理という、そういう中においてどこがどのように適地であるかということは、これはやっぱり事業者がまず最初に十分な調査をしてやらなければなりません。また、その最終決定もその企業者がやることにはなるわけでございますが、しかしこれは安全性の問題あるいは日本全体の原子力の平和利用のあり方等にもかかわってまいりますので、十分に政府としてはその方向については注目をし、また企業者だけが独走することのないように、先方からも御相談もあろうかと思いますので、その辺は十分に一体性を持った政策としてこのような重要な核燃料サイクルの確立を進めてまいりたいと考えておりますので、ただいま御指摘の点は十分に念頭に置いて進めてまいりたいと考えております。
  90. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私も「むつ」問題についていろいろ質問をいたしたいと思いますが、既に同僚委員の議論の中で上っておりますが、いわゆる一月二十四日の予算編成大詰めの段階での「むつ」に関する自民党四役と科技庁長官との間での合意書の問題でありますが、    〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 その中で、八月の三十日を目途に「むつ」の存続か廃船かについて結論を出すと、こうなっているわけでありますけれども、これでいきますと、法によって原子力船も含めて原子力研究開発利用について企画し、審議し、決定する権限を持つ原子力委員会の存在、これを無視をした形になっているのじゃないか。この一月二十四日の合意書なるものは、そういった点では法的に疑問があるのじゃないかというふうに私は見るのですけれども、その点の見解、長官、どうでしょうか。
  91. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 五十九年度の予算編成の段階におきまして、最終的に政府と与党であります自民党とのいろいろな検討が行われました。そして、先ほど来お話がありますように、自民党の中にも廃船をすべきではないかという意見も出ておったわけでございますが、そのようないろいろなことを、またさらにいろいろな方面からのいろいろな議論も寄せられておりまして、また国会でのそのような御意見等も私どもは十分に承知をいたしておりました。  そういう中におきまして、最終的には八月までに自民党の中におきましては検討委員会を設けて結論を出したい、その際は政府の意見も聞いて進めていきたい、こういうようなことでございました。そのとき、私もその四役折衝の中に入っておりましたが、私がそのときに特に申し上げましたことは、原子力委員会の決定というものがございます、これは大変重いものでございます、そのことも十分に留意をして今後党においても検討されたいと、また政府も、この原子力委員会の決定というものを尊重しながら進めてまいりたいということでございました。    〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕  したがいまして、五十九年度予算編成の結果 いわゆる党の決定というものは、決して原子力委員会の決定を否定しあるいは覆すというものではございません。その決定は依然として存在をいたしておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  92. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そのように御説明をされようとも、この一月二十四日の自民党四役と長官も加わった合意書がつくられる、これは夜の段階ですね。それに先立って原子力委員会が、改めて私から言うまでもありませんが、同日、一月二十四日、付で「今後の原子力船研究開発のあり方について」という、こういう文書を決定をしておる。この中には、「むつ」を存続するという考え方でいろんなことがるる書いてある。こういう文書でありますから、そうなると、廃止をするということも含めて八月まで検討していこうという、このこととのかかわりにおいて一体関係はどうなるのか。重大なのは「むつ」のあり方について決定する権限を持っているのは原子力委員会なんですね。こうした点で、自民党四役と長官も加わったそこで、これから検討委員会をつくってやっていく、これが「むつ」のあり方を決めるという形になっていくとすれば、これは法的には重大な疑義が出てくるんじゃないかというふうに指摘をせざるを得ないと思うんです。  もう一つの問題は、この「むつ」の扱いについて、これだけ大問題になっていることを、さっきもありましたが、自民党と政府との間の議論だけで結論を出すという、そういう一方的なやり方は今度は繰り返してはいかぬ。そういうやり方がやられてきたからいろいろ矛盾、悪循環の蓄積になってきたんだという、ここの問題であります。  こうした点で、さっきの御答弁では、八月に向けての結論を出していくに当たって、野党の意見もよく聞いて進めていきますというふうには言われておりますが、これが口先だけにならないように、本当に国会の同意を前提にして八月に向けての「むつ」問題の結論を出す、こういうことをきちっとお約束を願いたいと思うんですが、長官、どうでしょう。
  93. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 「むつ」に対する各方面の御意見、御議論等は十分に踏まえて進まなければなりません。しかし、このあり方について、は、政府・与党の立場においては、自由民主党さらに新自由クラブも入りまして、党としての意見は八月にまとまり、そしてそれを受けて政府としてはどのように対応するかは、最終的にはこれは政府の責任において決めることでございます。  その際、原子力委員会の決定というものは尊重されなければならないという法の規定の精神に従って、私どもは最終決定をいたしたいと考えておるところでございます。そのように御理解をいただきたいと思います。
  94. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 野党の御意見はよく聞くけれども、最終的には自民党と政府との責任において方針を決めるんですと、こう言われるということは、一応野党の意見は聞くには聞きますと、しかし、本当にそれを尊重して、今度こそ誤りない「むつ」のあり方の結論を出していこうということでは私はないと思いますね。  私は繰り返しませんけれども、ぜひ国会の同意のもとにこの結論を出す、こういうことで今度の問題の結論をくだす民主的なやり方をやってもらいたいということを強く要求をしておきたいと思います。  そこで、八月に向けて検討がやられていくわけでありますけれども長官としても何遍も発言をされてますように、権限を持つのは原子力委員会だと、こうなりますと、当然原子力委員長を兼務をされております科技庁長官として、原子力委員会に対しても再度「むつ」のあり方いかにあるべきかという問題についての再検討を原子力委員長として提起をしていくということに当然なるだろうというふうに私は思いますが、そう理解をしてよろしいでしょうか。
  95. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) まず、今回の国会においてもいろいろ御議論をちょうだいし、御意見もちょうだいいたしております。そのようなものは当然私どもが党において検討する場合にも重要な御意見として参考になっていくと思いまするし、私ども政府立場においてもそのような御意見は十分に党にも伝えていきたいと思っております。  しかし、これは行政の問題でもございまするので、最終的には政府において結論を出すということになり、その結果、これがどのような形になりますかは、予算という形においてこれが出てまいりまして、そしてこれが国会においてさらに御審議をいただく、こういうことでございます。その政府の意思決定の過程において、国会の御議論あるいはいろいろな政党の御議論、各方面の御意見等は十分に拝聴しながら結論を政府としては出しますが、その前に同意を得てやるということは、私ども行政の立場では、御意見は尊重し、またそのようなことを踏まえた結論になっていくように努力をいたしたいと思いまするが、最終決定は政府の責任においてこれを行うということでございまして、その結果、それが予算の面においてどのように出るか、それは国会でさらに御審議をいただいていく、そして御結論を出していただくと、こういうことになると思いますので、この点は御理解をいただきたいと思います。
  96. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ただいまの答弁について多々意見はありますけれども、限られた時間ですので、別の問題に進みたいと思いますが、原子力委員会との関係において、今までもいろいろ御相談をして、その都度意見も反映もしてきた、今後とも必要に応じていろいろ御相談をしていくと、こういうことでありますが、そういうことであれば、本当に「むつ」いかにあるべきかということがいよいよ問われておる局面でありますので、そうした点で原子力委員会として「むつ」に対してのさまざまな意見を持っておられる広範な学者、専門家によるあり方についての検討会、シンポジウム、こういうものも聞いて、本当に誤りない方向を打ち出していくということをぜひ考えてもらう必要があるのではないかということが一つ。  それから、青森県民の動向、意向というものを正しくつかむために現地公聴会のようなものをぜひやっていただきたいと思うわけでありますが、この点について二つ、どうでしょうか。
  97. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 「むつ」のあり方につきましては、先ほど先生からも御指摘ございましたように、一月二十四日に原子力委員会としては、昨年来懇談会を開いていろいろ御議論をいただいた上での決定ということで原子力委員会の意見がまとまっておりますので、今すぐこれをどうこうするというようなことは今原子力委員の先生方の中から提起はされておりませんが、今後どのようにしていくかにつきましては、原子力委員会の中においていろいろ御検討があろうかと思います。  さらに、地元の問題につきましては、知事、県当局を初めむつ市当局、さらには現地の漁業組合の方々等ともことしに入りましてからもいろいろお話し合いをいたしております。そういったことで、地元の御意見も休しつつ事を進めるということでございまして、先ほどお話のございました予算編成の過程における政府・与党間における折衝の過程におきましても、港の建設等につきましては地元の意向を踏まえてやる、こういうようなことで、十分今後我々としては地元の意見もお聞きしながら対処してまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  98. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 当委員会として、この法案の問題に先立って、「むつ」のあり方いかにあるべきかというこの問題について、ひとつ多方面の参考人を呼んで、政府政府レベルの検討をやりますが、国会の責務に照らして、当委員会としてそういう参考人をひとつお呼びをして、「むつ」のあり方についての慎重な国会としての検討、議論をやるという、この問題をぜひひとつ理事会などで御協議をいただきたいというふうに思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  99. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) その取り扱いにつきましては、いずれ理事会で協議をいたしたいと思います。
  100. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう時間がありませんね。  この八月の三十日までに「むつ」を廃船にするかどうかを検討をする、ともかくこういう方向が打ち出されているわけでありますけれども、ところが片一方、政府は、五月末を会期にしておりますこの国会に、いわゆる原子力船事業団を原子力研究所に統合する法案を提出をされたわけでありますね。考えてみれば、「むつ」問題を八月までに結論を出すと、こう言いながら、ところが、その結論を出さないままに五月末までの国会で強引にこの法律を通してしまおうと、こういうやり方というのは、どう見たってこれは筋が通らない。むしろ「むつ」問題の結論が出てから法案をどうするかという問題について考える、こういうのが当然の事柄の筋道じゃないかというふうに私は思うんですけれども、なぜこれを逆転をした形でこういうふうに法案を出してきたのですか。
  101. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) お答えいたします。  原子力船研究開発事業団を他の原子力機関と統合するということにつきましては、現在の原子力船研究開発事業団法の附則第二条によりまして「行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、昭和六十年三月三十一日までに事業団を他の原子力関係機関と統合する」と、こういうぐあいに定められておるわけでございまして、この期限までに統合するということになりますと、やはり相当な準備期間が必要でございます。こういったことで、今国会での御審議をいただくため法案を出させていただいておる次第でございます。  なお、「むつ」につきまして、御指摘のように今後検討するということでございますが、これにつきましては、いずれにいたしましても原子力船「むつ」の取り扱いのいかんとは別に、原子力船開発のために必要な研究というのはどういう方法にしろ進めていく必要があるというぐあいに政府としては考えておるわけでございまして、この原子力船開発のために必要な研究を円滑かつ着実に実施し、推進していくという観点に立ちますと、この原子力に関する総合的な研究基盤を有します原子力研究所と原子力船研究開発事業団を統合するということが適切であり、準備期間等も考慮して法案の御審議をお願いをすることにした次第でございます。
  102. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は決してそういうふうには思いませんね。  この八月の末に「むつ」のあり方についての結論が出ると、そのことに基づいて廃船という結論が出れば法案についての考え方が大いに変わるんじゃないですか、前提が。そのことがあるし、それでは片や六十年の三月三十一日に間に合わない、この五月末で会期終わった、八月にこの結論が出るという――どうしても重要だ、しかもそれが、私が言っているように、本当に野党も含めての国会の同意のもとに準備をされていく、そういうものであるならば、臨時国会の召集を提起をするというという方法だってあるでしょう。そうしたら三月三十一日までに半年前後あるわけですから、決して準備不足ということにはならない。本当に今度こそ民主的な方法で野党の意見もよく踏まえて誤りない結論を出していくということであれば、そういう方法だってとり得るというふうに私は思うわけでありますから、こうした点で「むつ」の扱いの結論が出るまで、いわんや統合という点については、当該の原子力研究所への原子力船研究開発事業団の統合という問題について、職員の間では大きな反対があることはよくよく御承知のところだと思いますけれども、こうした点で法案の提出はこの際引っ込めて、撤回をしてもらいたいということを強く長官に求めておきたいと思います。この点は今後何回となく主張する点でありますので、長官、一遍よくよく考えを練っておいていただきたい。私はそういう方向にするということが、本当に今度こそ誤りない「むつ」のあり方と原子力開発研究のあり方を決める方向になっていくと思いますので、強くこのことを主張しておきたいと思います。  それで最後に、岩動さんが新大臣になられましてきようが最初の質問ということになりますので、念のためにもう一問ひとつお聞きをしておきたいと思いますが、政府がなぜこんなに「むつ」に一体固執をされるのかということについて、実は近い将来原子力潜水艦の技術などに転用したいという、そういう意図があるんじゃないかというふうに国民は大きな危惧を持っておると思います。そうした点で改めて聞くわけでありますが、日本原子力研究開発は、原子力基本法第二条にも明確に定めていますように、平和目的に限る、軍事目的に転用することは絶対ない、こういうことをぜひ長官としてこの際明言をしていただけるかどうか、ひとつその点を明言していただきたいというふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
  103. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 原子力船「むつ」の研究開発目的は、あくまでも原子力の平和利用ということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  104. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 終わります。
  105. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私は、予算の概要説明の中の第十番目の国際科学技術博覧会について御質問してまいります。  この科学万博に必要経費として二百六十七億二百四十七万円が計上されているわけですけれども、この科学万博の開催の意義と目的というものをお聞きをしたいのでございます。  私は、アメリカがアポロ計画を立てましたんですが、しかし、あのアポロ計画を立てて、月まで飛んでいって生物がいるかいないかということを確かめるのが主の目的ではなかったと思うんです。大変なお金を投資をしてあの計画を立てた。しかし、・その実行過程で数々の技術開発されて、それが人間社会にどれだけ大きく役立ち貢献をしにかというところにあのアポロ計画の意義があったと思うんです。したがって、科学というのは未知の世界への挑戦であって、人間生活に無限の希望と変化をもたらすものではないのか。食糧問題にしても環境問題にしても、そのほかいろいろな人間社会の問題を解決していく中で、この科学技術の果たす役割というものが非常に大きいと思うんです。  そういう意味で、今回のこの科学万博というものが、単に技術の展示や紹介だけでなくて、人間にとって科学というものは何なんだと、これからの科学というものはどうあるべきかということを問いかけられるような、そういうものでなくてはならないと思うんですけれども、その点いかがでございましょうか。
  106. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 来年筑波で開かれます科学技術万博は、ただいま先生もおっしゃるように、そのテーマも「人間・居住・環境と科学技術」というテーマになっております。つまり、猛烈な勢いで日進月歩の現在の科学技術、特に先端技術というものは目覚ましいものがあり、またそれが極めて人頼に有用な役割を果たしていくものであることも私どもは承知をいたしております。と同時に、科学技術だけがどんどんどんどんひとり歩きをして人間が置き去られる、あるいは科学技術に人間が使われてしまう、そういうことになってしまっては大変なことでございます。ロボットをつくる、そして人力を省略する、あるいは正確な極めて緻密なものをつくってまいる、これは人間の及ばない面もございます。物をつくって、そして人がそれに使われてしまうということでは、これは科学技術の本来の目的ではないと思います。そういう意味におきまして、何といいましてもこれからの進む科学技術は、人間が考え、人間がつくり、そしてできたものは人間が使っていくのだと、こういうものでなければなりませんっ  そういうようなことにおきまして、今回のテーマも、人間とかあるいは居住とか環境、それと科学技術というもの、つまり科学技術がいかに人間との調和の中において発展することができるのか、こういうことが一つの大きな目標ではないかと思います。  そういう意味におきまして私どもは、この科学技術が二十一世紀に果たす役割は、世界経済ある いは日本のあり方に大きな役割を果たしてまいりますが、同時に、科学技術に使われる人間でないようにしていかなければいけない。したがいまして、先般も「ライフサイエンスと人間」ということのテーマで箱根会議が行われましたが、これもやはり遺伝子の組みかえであるとか細胞融合であるとか、そういったようなものが動植物等に有益に利用される反面、人間にこれが適用されたときにはどうなるのかということが非常に大きな問題であり、人間の尊厳の問題、倫理の問題、そういったようなことにかかわってまいります。したがいまして、来年の筑波万博も、そのような人間性との調和ということを私どもは十分に認識をし、またこれからの若い人たちにもそういう中において科学技術の有用性というものを認識してもらう、こういう意味において私は大変大事な万博であり、またそのような目的が達成できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  107. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 ありがとうございました。今岩動長官がおっしゃられたような、そういう目的でぜひお取り組みをいただきたいと思うんです。  それで、今世紀最後の国際博覧会じゃないかとも言われているわけなんで、ただ、あと開催までもう一年をたしか切ったと思うんです。だからそういう点でもって、工事やその他そういうものが全般的に予定どおり進んでいるのかどうか、資金調達なんかも順調にいっているのかどうか。さらには、この前の大阪の万博のときには民族の大移動と言われるくらいに空前の人出で大変だったわけなんですけれども、今回のもこの計画を見ますと二千万人の入場者が見込まれていると書いてあるわけです。ところが、関東の方はまだ近いから筑波と言うとすぐわかるんですけれども、全国的には筑波と言ってもなかなかみんなぴんとこない。この残された一年間しかないというときに、そういうふうなPR不足というか、その辺なんかよほどやらなければこれは間に合わないと思うんですけれども、工事の進捗状況の関係、資金調達の関係とあわせて、そういう宣伝の面がどうなっているかということをお聞きしたいんです。
  108. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) おっしゃるようにぜひ成功させなければなりませんし、また国会を初め、さらに各政党の先生方にも大変な御協力と御鞭撻をちょうだいしてまいってきております。また、地元茨城県にも大変な努力をいたしていただいておりますし、さらに関係の町村の皆さん方にも非常な御協力をちょうだいいたしております。  そういう中におきまして、おかげさまで現在国内の出展参加も二十八企業・団体でございまするし、外国の出展参加も現在のところ着実に増加をいたしまして二十六カ国、そして九国際機関となり、さらに参加国のふえるように私ども努力をいたしております。  そういう中におきまして私は、何といっても大阪万博と違いまして筑波というのは余り国民に膾炙されておりません。そういう意味においてどうしてもPRが大事である。そういうことで、私は特に国民に広く理解をしてもらい、また外国にも、発展途上国だからもうおれたちは参加する資格がないんだと、そういうようにとかく思われがちでございますので、むしろそういうような発展途上国に対する呼びかけ――ネパールが既に参加を表明いたしております。ネパールに科学技術があるのか、先端科学技術の時代に何だろうか、こういう疑問もございますが、そもそも科学技術というものは、本来人間が生存する限りそこには必ず現代の言葉で言えば科学技術がある。神代の昔から我々はお酒をつくっておりますが、これもいわゆるバイオテクノロジーの一種であります。そういうような意味におきまして、どの国もやはりそれぞれの科学技術というものを持っているわけでございまするから、ぜひ参加をしていただくようにこれからも努力をいたしてまいります。  そういう意味において私は、これは一つのお祭りである、そういう気分の中で日本の若い人たちが科学技術にも関心を持ってもらい、先ほど申したように人間と科学技術というものをどのように考えるかという場にしていきたい。今後ともPRには努力をしてまいりたいと思いまするが、特に国会の諸先生方にほ特段の御支援と御鞭撻をちょうだいして成功させたいと、かように考えております。
  109. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 特に私も聞きたかったのは発展途上国です。今も長官、ネパールがもう参加を決めたということは大変ありがたいことだと思うんです。ですから、そういう発展途上国なんかにさらに呼びかけもしていただきたいと思います。  それから、今のPRのことに関連をするんですが、何だかんだと言っても、国際科学技術博覧会というこのメーンタイトルは仕方がないんですけれども、何かサブタイトルにもう少し楽しいと言ったら何ですけれども、親しみやすい名称をつけてみたらと思うんです。ですから、場合によれば一般からそういうものを公募をしてやるというのもまた一つのPRになると思います。  またシンボルマーク、これなんかも何かお考えになっているのか。筑波と言えばガマですか、そういうガマをコミカルな図案化をしてやってみるとか、小学生や中学生、そういう小さい子供たちを対象にしたPRなんかも考える必要があると思うんです。あるいはマスコットの人形なんかもつくるとか、そういう点はどんなようなお考えをお持ちなんでしょうか。
  110. 赤羽信久

    政府委員(赤羽信久君) PRでございますが、まず御指摘の標語でございますが、かたいとは言いながらテーマとしまして「人間・居住・環境と科学技術」ということが一応決まっておりまして、ややこれは難解であるという御指摘もいただいておりますが、内容については、単なる科学のかたい面だけじゃなくて、人間との関係を大いにやりたいという説明をしているところでございます。  シンボルマークにつきましては、現在正式の博覧会のマークとしまして三角形のマークがございます。さらに補助的なものとして俗称「コスモ星丸」と言っておりますが、丸っこい人形がございまして、これがまだ先生のお目に届いていなかったことは我々まだPRが不足で恐縮でございますが、今後も大いにやってまいりたいと思います。  なお、最近行いましたPRの項目だけ簡単に申し上げさしていただきたいと思いますけれども、まずマスコミでございますが、ここにいろいろ資料も提供いたしまして、それから政府広報というものも含めましてかなりの報道を最近していただいております。特に一年前の日には各新聞非常に大きく取り上げていただいているという実績がございます。それからさらに、マスコミに対しまして広告という形で、こちらから費用を出してお願いする広告でございますが、これも実施しておるところでございます。それから町の中に、これは瞬に十四基ございますが、残りの日数を表示する装置が方々にあります。それから空港のパス、リムジンバスにステッカーを張るとか、それから民間航空機の胴体に既にPRの表示がございます。こういうものをさらに拡充していきたいと思っております。  それから、各種の行事、例えば起工式とか入場券の発売式、最近では一応前祭りというのも行いまして、行事としてなるべく大勢の人に見ていただくという努力をしてございます。  それから全国、特に遠くに対しましてはデパートを巡回してPRの展示というのをやっております。既に二十七都市行いまして、さらにふやしていく計画でございます。それから、自動車のグループによります宣伝キャラバン隊というのを約五十都市に派遣し、今回っているところでございますけれども、かなりの内容の展示等を含めました自動車のグループになっております。それからさらに、国鉄の列車、これは九月ごろになると思いますけれども、一列車編成しまして、この中で博覧会あるいは科学一般の展示をできる列車をつくりまして、これも約五十都市を巡回していこうと、いわゆるサイエンストレインと仮称しております。このほか海外向けのPRも順次活発にやっていく方向でおります。
  111. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いろいろ事例を挙げて今お聞きし ましたし、そういうことだから十分なのかなとも思うんだけれども、PRが十分ならば私がここでもってそんなことを質問するはずないんですから、いわゆるお役所的な、あれもやっています、これもやっていますということではなくて、こういう質問が出てくるというところに、ああまだまだ十分じゃないんだなというお考えをお持ちをいただくことが大事だと思うんです。  それで、先ほど岩動長官もお祭りの要素を盛り込んだものにしたいと言っております。これは非常に大事なことだと思うんです。ですからそういう点で、科学万博だといってかたいイメージを与えているのを解いで、自分たちの生活に関係した大事なことなんだから一度行ってみなくちゃいけないんだという気持ちを国民が持つようにする。そういう点で大事な点が、目玉商品というかそういうものを、大阪の万博のときにはアメリカの宇宙飛行士が持って帰った月の石を、あんな小さなものだけれどもあそこへ展示をしたことで大変な人気を呼んだわけですが、何かそういう超目玉商品みたいなものをお考えになっているんですか、どうでしょうか。
  112. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 大変大事な点で御指摘とまた激励をちょうだいしてまことにありがとうございます。先ほど局長が「コスモ星丸」なんというのを申したんですが、皆さんほとんど御存じない。これはやっぱり私どものPR不足であり、また万博協会に対しても十分に督励をしなければならないと思っております。また、先ほどの四六のガマ、これなんかも大変おもしろいので、私もかねてから協会の方にもそんなものを少し表に出して見せ物にしてやったらどうかということも言っておりますんですが、いろいろ私ども皆さんのお知恵をよく伺って、それを広く取り上げていくと、役人的な発想ではこれはもう限度がございます。  そこで、先ほど御指示もございましたが、私は例えば宇宙食なんかをひとつうんと売ったらどうか、こういうことを言っているんでございまして、これもまだ知恵のたりないところでございますけれども、いろいろそういう知恵を広くやっぱり出していただいてこれを活用していく。そしてまた、万博会場が楽しいものになる、そのためにはお祭り要素を十分に入れる。ディズニーランドに行くよりも筑波の万博に行った方がおもしろいと、こういうようなものにしなければならないということで、これからも皆さん方の、先生方のいろいろな御指示や御鞭撻をいただいてやっていきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
  113. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私、筑波へ行ったことあるんですけれども、輸送機関ですね。本当に二千万の人たちがあそこに行くのだということになったら、それこそ大阪の万博どころではなくて、よほど国鉄も整備をしてやらなきゃいけないし、また同時になるべく国鉄にも乗ってもらうようにして、乗れるように割引なんかも考えているのか。  それからもう一つは、宿泊の施設ですけれども、これはもう大阪の万博のときには私もとうとうあの万博は見なかったんです、しょっちゅう通っているから見れるだろうと思って。あの終わりごろになったら、大阪駅の駅と駅前の広場にまるでマグロが並んでいるみたいに全部外に寝ているような状態で、宿泊施設がなくて大変あれ評判が悪かったんです。そういう点でいけば、大阪のあんなところですらああいうことになったんですから、筑波の場合はよほどのことをこの宿泊施設で考えなくちゃいけないし、その辺なんかもどのようにお考えになっているか、簡単で結構ですからお聞かせいただきたいと思います。
  114. 赤羽信久

    政府委員(赤羽信久君) 二千万人はいろいろな調査をもとにしまして出した数字でございますが、やはり御指摘のように輸送を一番難しい問題と考えております。約半分は自動車、道路により、半分は国鉄等鉄道によるという想定でいろんな設備を考えているわけでございます。常磐線を増結し、それから臨時駅をつくりましてここから専用のバス、特に連節バスと申します二倍の大きさのバスを百台用意いたしましてピストン輸送をするということを考えておるわけでございます。御指摘のようなセットの切符の割引券、バスと鉄道あるいは入場券、これをセットにしたものというのも企画中でございます。ただ、やはり土、日とか夏休みとかに集中しますと輸送の方も苦しくなりますので、できるだけ早い時期からウイークデー等に大勢来られるようなPRというのも大事だと考えておるところでございます。  それから宿泊の件でございますが、筑波を選んだときからやはり現地には大きな宿泊能力は期待できないということで、いろいろ県当局も御努力いただいておりますけれども、やはり従業者が一万人を超えますので、そのうちの相当部分を現地に宿泊させるという対策の方がやはり重要でございまして、観客の方は東京を初め周辺都市にお泊まりいただいて周辺都市からおいでいただく、その輸送をできるだけ充実させるという考え方をせざるを得ないわけでございまして、数キロ、十キロぐらいのところに泊まりながら毎日博覧会へ来ていただくというようなことが割合限られた数になりそうでございまして、現在も鋭意民泊も含めまして県が充実に努力しておられますけれども、やはり現地の情勢からして数としては限度があるようでございます。
  115. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 もう時間がございませんから終わりたいと思いますけれども、私も科学万博の議員連盟ですか、あれに入っているのですけれども、最近とんと開かれていないし、ですからなかなかみんなにも浸透しないんですから、そういうこともやったり、それから何だかんだ言っても、先ほど長官言われたように意義あらしめて、ああやっぱりお金かけたけれどもやってよかったなといって、それで科学ということがもっともっと国民が自分たちの身近に感じられるようなことをして、科学万博というものが成功されるように御要望申し上げて終わりたいと思います。
  116. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 一言だけ。  大変な御激励をいただきましてありがとうございます。議連の会長は竹下大蔵大臣でございますので、きょう早速そのことを伝えたいと思います。みんなでやらなければならないことだと思いますので、この上ともこの委員会の諸先生はもちろんのこと、国会を挙げてひとつ御鞭撻をちょうだいしたい。ありがとうございました。
  117. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) ほかに御発言もなければ、これをもって昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査は終了いたしまた、  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 高木健太郎

    委員長高木健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時十七分散会      ―――――・―――――