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1984-04-27 第101回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十七日(金曜日)    午後一時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         板垣  正君     理 事                 岩崎 純三君                 岩本 政光君                 鈴木 和美君                 中野  明君                 市川 正一君     委 員                 伊江 朝雄君                 大鷹 淑子君                 大浜 方栄君                 岡田  広君                 沖  外夫君                 北  修二君                 志村 愛子君                 松尾 官平君                 青木 薪次君                目黒朝次郎君                 藤原 房雄君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       中西 一郎君    政府委員        北方対策本部審        議官        兼内閣総理大臣        官房総務審議官  橋本  豊君        沖縄開発庁総務        局長       関  通彰君        沖縄開発庁振興        局長       藤仲 貞一君        外務省欧亜局長  西山 健彦君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        防衛庁防衛局防        衛課長      藤井 一夫君        防衛庁防衛局調        査第一課長    松村 龍二君        防衛施設庁施設        部施設対策第二        課長       杉本 康治君        環境庁自然保護        局企画調整課長  佐々木喜之君        厚生省保険局国        民健康保険課長  阿部 正俊君        農林水産省農蚕        園芸局果樹花き        課長       武政 邦夫君        水産庁研究部漁        場保全課長    山添 健一君        通商産業省生活        産業局窯業建材        課長       松井  司君        運輸省自動車局        業務部旅客課長  豊田  実君        海上保安庁警備        救難部警備第二        課長       姫野  浩君        海上保安庁警備        救難部海上公害        課長       堀尾 重雄君        労働大臣官房参        事官       増田  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する 調査  (株式会社琉球セメントに関する件)  (北方領土返還に関しての日ソの人的交流措置  に関する件)  (廃油ボールによる海洋汚染問題に関する件)  (日ソ事務レベル協議に関する件)  (基地周辺における民家の防音施設に関する件)  (パイナップルの輸入枠拡大に関する件)     —————————————
  2. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 沖縄の第一次振興策から第二次振興策に移行する際に、大分産業経済交通資源問題などについていろいろ議論をしたあれから二年たつわけでありますが、第一期計画の際に、本土から沖縄誘致産業が一件も来なかった、一社も来なかった、そういう点から見ると、やっぱり沖縄の持っておる資源あるいは地場産業、そういうものを振興する以外にない。あるいは観光、貿易などについて新しい沖縄をつくるには第二次振興目玉商品だということでお互いに意思統一をしたところであります。これは大臣関係局も御異論ないと思うんでありますが、この前、決算沖縄関係に十分から十五分しか時間がありませんでしたから、不十分な点を二、三この委員会でお伺いしたいと思っております。  まず第一に、琉球セメント沖縄自分資源を持っている。私も北部に、山に何回か行ってその資源の現場も見ております。でありますから、沖縄資源があり、しかも琉球セメントというのは、そういう意味で大きな資源を持つ地場産業雇用効果についても、大体就業労働者の八%前後、家族を含めて、関連産業を含めて八%前後の効果を持っておる。そういう点から言うと、私はやはり大事にすべきだと、こう思うんです。こういう二次振興の経過から言って、沖縄資源があって、しかも地場産業という点で、第二次振興計画のやっぱり目玉として大事にすべきだと、こういう基本的な考えについて、この前時間がなかったから、きょうは若干時間があるから、まず大臣見解をお聞きしたい、こう思います。
  4. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 今の沖縄セメントについては先般来いろいろ教えていただいて大分勉強いたしました。やはり資源を持っておる、それを有効に使うということは沖縄にとっては大変大事なことでございますから、これの振興、特に近代化設備合理化、そういったようなことについては力いっぱい協力していく必要がある、かように考えております。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そのとおりだと思います。それで私は、この前の決算で、昨年の九月二日、沖縄県議会経済労働委員会における名護市議会の本件問題に対する請願について、開発庁はわかっているかとただしたところ、わかりませんという答えが返ってきた。全く私は言語道断だと、こう思うんですよ。したがって、あのとき指摘したんですが、昨年九月二日の県議会名護市の請願について、どういう論議が行われ、県ではどういう対応をしているか、あのとき注文をつけたわけでありますから、もう一週間程度たっていますから、おわかりだと思うんですが、この件について事務局から御答弁願いたい、こう思います。
  6. 関通彰

    政府委員関通彰君) 名護市の琉球セメントに関します決議県議会への陳情につきまして事実を確認してございますので御説明申し上げます。  名護市議会決議をいたしましたのは昭和五十八年四月十一日でございまして、琉球セメント緊急対策に関する陳情沖縄県議会名護市議会から提出されております。この陳情趣旨は、琉球セメントの経営安定を図りますため次の事項が実現されるよう配慮してもらいたいというものでございます。その一は、公共工事に当たっては琉球セメント使用を徹底すること、その二は、県産品優先使用条項に、セメント等については琉球セメントだけにすること、その三は、本土大手セメント製造業に対して県内供給量の自粛を働きかけるよう行政指導を行うこと、以上の三点の陳情でございます。これを受けました沖縄県議会におきましては、五十八年六月議会におきまして、経済労働委員会に付託いたしております。しかし、この陳情関連いたしまして、県産セメント以外の本土銘柄セメントを扱っております販売店及びその系列下の生コン会社建材店等から、公共事業に関し県産セメント優先使用を定める場合は、純粋な地元企業の取り扱っているセメントもその枠内に含められたい旨の陳情が二件提出されております。県議会では、やや相反する陳情でございまして、御審議の結果、いずれの側の陳情も採択することをせず、継続審議扱いとし、以後、本年二月の議会におきまして審議未了となっております。  県産品愛用趣旨につきましては県当局推進しておるところでございますが、具体的に特定銘柄に限定するということにつきましては、ただいま申しましたような事情もございまして審議未了になったものというぐあいに理解をいたしております。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も事務局から販売業者請願書というのをもらいました。これ見てみますと、まあ、かかわりないというと語弊がありますが、原料は国内産のセメントを使っておる。しかし、関係する従業員あるいは資本参加、それは、沖縄方々資本参加し働いておるのであるから、それは県産品優先使用との関連で、地場産業育成という点から考慮してほしい、こういう請願だと。ですから、セメントの、もとの方は食い違いありますが、地場産業という点ではやっぱり相通ずる点があると思うんです。ですから、これらの問題については、これは県議会だけじゃなくて、去年の四月十五日、会社から沖縄総合事務所にもこれは請願来ているわけですね。ですから、見解の違いはわかりました。わかりましたが、じゃ、沖縄開発庁としてこの問題についてどういう指導をしようとするのか、その辺について、先ほどの大臣の、資源も持っておる地場産業資源本土からもらっておる地場産業、こういう関係についてどういうふうに沖縄開発庁として、目玉商品のこの琉球セメントについて対応しようとするのか、その辺の基本的な考えを、大臣であっても開発庁でもいいですから、県議会はわかりましたから、沖縄開発庁としてどういう見解かお聞かせ願いたい、こう思うんです。
  8. 関通彰

    政府委員関通彰君) 琉球セメントは、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、重要な地場産業でございます。沖縄開発庁といたしまして、かねてから一貫いたしまして育成に努めてまいったところでございます。沖縄開発庁として具体的に何をやってきたかという御質問でございますが、開発庁といたしましては、開発庁単独というよりも、むしろ関係機関の御指導あるいは地元協力を得まして諸般の施策を進めてまいったつもりでございます。これまでとりました施策三つの観点から申し上げられるかと思いますが、一つ設備合理化でございます。第二は需要量確保でございました。第三は、セメント業界、特に価格の変動も激しゅうございまして、市場秩序の維持という、その三つが挙げられるかと存じます。  第一の設備合理化につきましては、琉球セメント昭和五十三年から五十五年にかけまして大規模設備合理化をいたしております。この資金沖縄振興開発金融公庫がこの資金の大部分を融資いたしておりまして、これによりまして、現在琉球セメントは、規模は小そうございますが、設備といたしましては本土企業に十分太刀打ちできるだけの設備に更新されているというぐあいに理解をしております。  それから第二の需要量確保でございますが、昨年の実績でございますと、生産調整をいたしまして操業率が六〇%台でございます。いかにして琉球セメント需要量確保するかということでございますが、沖縄開発庁としましては、一貫いたしまして県産品優先使用推進を図ってまいったつもりでございます。また、さらに広い意味沖縄経済振興を図りまして県内セメント需要増大に努めてまいったのでございます。  それから、第三の市場の問題につきましては、特に五十六年から五十七年にかけましてセメント価格は非常に暴落いたしまして、沖縄でもメーカーの出荷停止という深刻な事態を招いたことがございます。これは本土の景気の後退もございますが、あわせて沖縄におきます生コン業者のやや乱立がございまして、これらによりまして市場が混乱したことがございます。その後通産省の御指導等組合が結成され、また構造改善事業等実施されまして、現在、市場もやや秩序を取り戻しているというぐあいに考えております。  かような状況でございまして、特に昨年の今ごろはレイオフをやる等大変深刻な状況でございますが、ことしに入りまして確認いたしますと、ことしの一月、二月、三月琉球セメントは休業なしにフル操業いたしていると承知いたしております。需要回復等効果があらわれているのではないかと存じております。私どもといたしましては、現在のような状況が維持されまして、今年度さらに操業率が上がり、生産量もさらに増大することが期待できるのではないかというぐあいに考えている次第でございます。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、それは琉球セメント近代化合理化をして生産性を上げる、あるいは価格のコストを下げるという努力はいいんですよ。ただ私が言ったのは、二つの相反する請願だとおたくがとらえておるから、地場産業では共通していると。陳情しているところはアサノセメント特約店なんですな。ですから、アサノセメントセメント琉球セメントセメント、どちらが銘柄がいいかいろいろありますけれども、そういう面もやはりできれば地元セメントを使うように業者方々に御協力を申し上げると、そういうようなことをやっぱり中に入って調整すればある程度この二つ請願統合性総合性といいますか、そういう可能性があるんじゃなかろうか。どうしてもだめだと言う人もおりますけれども。ただ私が心配しますのは、おたくからもらった、日本セメント小野田セメント三菱セメント、この伸びぐあいを見ますと、何といっても日本本土の大セメン十ですから、これだけ琉球セメントを圧迫するぐらいやっておっても、例えば三菱セメント沖縄に占める割合はわずか全会社の二・五%、五十七年度の生産を見ると一千二十三万一千四百七十一万トン、沖縄は二十五万八千八十一万トン、パーセンテージは二・三、だから三菱セメントから見れば沖縄なんというのは大した問題じゃないんですよ。問題じゃないと言うと語弊がありますが、極めてわずかなものだ。ですから、わずかなものですから、わずかなものに対して一〇%程度自主規制協力してもらえれば沖縄セメントの言う五十万体制ということが可能ではないか。ごくわずかなんですよ。だから、きょうは時間がありませんからこれ以上言いませんが、その問題についてぜひ開発庁においても留意をして、頭に置いてひとつ努力してもらいたいということを要請をしておきます。  それから通産省、割り当ての問題は通産省になると思うんですが、この前も時間ありませんでしたが、現在、産業構造審議会セメント部会全国を五つのブロックに分けていろいろ調整していらっしゃる、こういう話を聞いておりますが、沖縄の場合は宇部ブロックに入る、こういうことを聞いております。したがって、通産省においても沖縄振興という視点から、今申し上げた三菱セメントあるいは小野田セメント日本セメントなどなどについても理解ある協力をしてもらえるように、これもまあ表からはなかなかできないだろうけれども、裏と言うのは語弊がありますが、いい意味での沖縄振興協力するという立場で通産省もその面での努力をしてもらいたいな、こう思うんですが、これはなかなか答弁は難しいだろうけれども、御趣旨に沿って十分頭の中で考えていくというぐらいは御答弁が出ると思うんですが、通産省のひとつ沖縄に対する御理解のほどを聞かしてもらいたい、この点いかがですか。
  10. 松井司

    説明員松井司君) 先生が申されましたように、セメント産業では構造改善を進めるべく今努力をしているわけでございますが、琉球セメントは宇部興産あるいは秩父セメント、敦賀セメント、この四社の中で一つのグループをつくって企業体質の強化を図ろうと今業界では検討中でございます。こういう構造改善を通しまして琉球セメント体質というのは今後強化されていくんじゃないかと我々期待しております。  一方、シェアの問題でございますが、先生申されましたように、通産省が各企業シェアを左右するということは事実上できません。ですけれども、やはり県外大手企業が不当な価格販売シェア拡大しようとするような不当な取引があるということであれば、十分我々はそれは適正な秩序ある取引が行われるように行政指導をしていきたいと考えております。いずれにしましても、沖縄の今後のセメント販売動向と申しますか、そういう面につきまして十分注視して、注意していきたいと考えております。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあそれは気持ちはわかりますが、私の言わんとするところについてはそれなり機会があれば努力してもらいたい、こう思います。  それから労働省沖縄雇用問題について、これも一次振の際大分議論したから言いませんが、二次振が発足をして失業傾向を見てみますと、五十六年はちょっぴり回復したんですが、五十七年、五十八年あるいは五十九年やはり依然として完全失業率は悪くなっている、そして全国平均の約二倍プラスアルファというように沖縄は特に悪い、こう言われているんですが、この雇用の問題について、前の法律をつくる際も議論されましたが、労働省として沖縄失業増大ということについてどういう理解を示し、これに対応しようとするのかお考えを聞かしてもらいたい、こう思います。
  12. 増田実

    説明員増田実君) 沖縄県におきます雇用情勢につきましては先生おっしゃいますとおりでございますが、五十五、六年度は若干改善傾向ございましたけれども、五十八年には御指摘のように完全失業率増大したということで雇用失業状況は悪化しております。最近、ことし二月の完全失業率が四・七%ということで、前年同期をかなり下回りはしましたけれどもやはり全国平均の水準に比べて厳しいと、この認識はございます。沖縄県の雇用情勢が非常に厳しい原因の基本としましては、人口増加、特に労働人口増加が著しい、それに対して県内におきます雇用機会拡大がこの人口増加程度に応じた形に進んでいないというのが一番基本な要因だということでございまして、今後、特に第二次振計にも強調されておりますように、産業振興等施策と密接な連携をとりまして雇用需要拡大を進めていく、これが重要なことであると私ども考えておるわけでございます。  そういうことで、特にこういう現状なり沖縄県の失業者特性を踏まえまして、当面対策一つの柱としましては、県内雇用機会が少ない状況から、県外就職が可能な方については県外への広域職業紹介を積極的に推進するということでございますが、基本は、県内失業者の中に若年者割合が大変高いということがございます。あるいはまた、経営基盤の弱い地元企業からの雇用需要をふやすということでは、零細で未充足求人もかなりある、こういうものに結びつける手だてとしまして、あわせましてこういう若年失業者雇用の場を確保していくということで、職場適応訓練実施等も図っておるわけでございますが、特に、五十七年度からは那覇地域をモデルに指定しまして、地域特性に対応した具体的な雇用開発推進する地域雇用開発推進事業というものを実施しております。こういうことで、できるだけ県内におきます雇用機会確保増大に結びつくような施策実施に努めてまいりたい、今後ともこういう施策効果的な推進を図ってまいりたい、かように考えております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは長官、沖縄皆さん仕事を持ってきて、だんだん今やることについてはそれなりに上がっておるんですが、沖縄仕事を持ってきたが、上がった利益をぽんとまた関西とか関東方面に持ち帰ると言うと語弊がありますが、やはり雇用を創造する、雇用を創出するというところまでいかないで、利益本土側に吸い上げてくる、こういう形がやっぱり依然としてこれは七割なのかあるいは六割なのかあるんですが、こういうことについては、沖縄に行って仕事をしたらその利益沖縄に落として、沖縄皆さん雇用が創造できるようにあるいは沖縄経済がよくなるように、そういう方向沖縄仕事のあり方というやつを指導してもらわないと、これは政府指導してもらわないと、いかに労働省失業をなくすと言ったって、ここ十何年たっても同じことが繰り返されている。したがって、そういう本土資本参加雇用の創造ということについて開発庁はどういう基本的な考えを持っていらっしゃるのか、この際お聞かせ願いたい。私はやっぱり、沖縄でやった仕事沖縄雇用をつくるという方向考えてもらいたいなとこう思うんですが、いかがでしょうか。
  14. 関通彰

    政府委員関通彰君) 沖縄といたしまして、第一次振興開発計画が終わり第二次振興開発計画を立案して現在三年目に入ったところでございますが、第二次振興開発計画におきまして最大の力点と重点が置かれておりますのが産業振興でございます。  先生御案内のように、第一次振興開発計画では本土との格差是正最大重点が置かれていたわけでございますが、最初の十年で相当な成果もしげております。第二次振興開発計画ではこういう基盤もとにいたしまして、この基盤の上に産業振興を図るということを重点にしているわけでございます。産業振興を図りますための地元に対しての最大のメリットは、やはり御指摘雇用の場の創出でございまして、現在の失業率状況、また毎年春卒業いたします新卒者就職希望、それから就職状況等を見てまいりますと、本土就職希望する新規卒業者はもうほとんど一〇〇%就職できるのでございますが、やはり地元就職したいという卒業者仕事がなくて滞留するということを繰り返しているわけでございます。こういう若い労働力雇用の場を与えることを二次振計でも最大重点といたしまして、産業振興を図っていきたいというぐあいに考えている次第でございます。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がないから、そうは言葉で言っても、沖縄経営者協会の資料をもらったんですが、沖縄総合事務局、五十五年から五十六年、今どうなっているか知りませんが、あなた方が仕事発注する際に、五十五年から五十六年は二百六億三千六百二十三万の発注をしているんですが、県内発注が四四・四%、県外関西関東が五五・六なんですよ。若い者が自分のところで働きたいという希望に燃えて、産業開発だといったって、あなた方自身公共事業発注をする際に、何も関西関東に半分以上発注する必要はないじゃないですか。せめて六割とか七割は沖縄発注して、そこに仕事を与えて若い労働力を吸収する、あなた方自身がやってないじゃないですか、これは。あなた方がやってないから今度は防衛施設庁見てみると、故意にやったかどうか知りませんが、県内が四四・八%、県外関西の方が五五・二%、沖縄総合事務局那覇防衛施設局が偶然にこれは県外県内を逆にして四五%県内、五五%は県外。こういうのは答弁要りません、もう答弁要りませんから、こういうみずからの仕事発注でやっぱり労働力を吸収することに努力してもらいたいということだけ、時間の関係ありますから答えは要りません、そういう要望をしておきます。またいっかその実績を検証するときがあるでしょう。そういうことでお願いしたいと思います。  それから、残った時間私は交通問題でちょっとやりたいと思います。  まず、バス問題。これは私は去年、私も随分悪口言われて、ストライキ男とか順法男と言われていますが、去年沖縄は三十五日間ですか、延べ三十五とか三十六。私も現地に二、三回行きました。そして沖縄総合開発庁とか経営者皆さんとかそれから銀行筋まで、関連銀行筋まで頭を下げて随分お願いをしてきたわけでありますが、依然としてうまく解決しなかった、そういうことを経験してきております。したがって、まず冒頭、私は沖縄のパスの問題についてはもうどうにもならないところにまで追い詰められているんではなかろうか、経営者組合も。バス交通問題シンポジウム、去年のストライキをやった後に県も市もバス会社の労使もこれはどうにもならぬからシンポジウム開いております。これは全部読ましてもらいました、このシンポジウム経営者の方は沖縄バス協会労務委員長さん、それから組合の方は私鉄沖縄の書記長さん、沖縄県の開発部長さん、それから琉球大学で沖縄交通問題を勉強せられている学校の先生、そういう方々シンポジウムやったのです。  これで共通していることは、もう沖縄にも交通問題に対する国の助成が欲しいと、簡単に言えばそういうことなんです。組合側は公的一元化という言葉を使っています、公的一元化。経営者の方は、本土には国鉄とか都市交通があって一定の助成をもらっているのだから、それに準ずる交通全体の助成を沖縄にやっぱりくれないかと、そういう御意見なんです。それである先生はこういう計算をしています。去年、八三年にこれは我が国鉄、余りいい例じゃありませんが、国鉄には七千三十億国から助成している。これを一億国民で割ると七千三十円、沖縄県民が百万だから七十三億、本土皆さんがもらっている程度から見れば七十億前後は沖縄交通関係の整備ということで考えてもいいじゃないか、そういう認識が一致するのですね。何で沖縄だけが公的な交通の助成を受けられぬのだと、差別扱いも甚だしい、交通面で。そういう問題で現在沖縄交通はどうにもならない、バスは。そういうところに追い込められでいるというのは全部共通した認識です。したがって、沖縄開発庁としてやっぱり国鉄とか公営交通本土本土という言葉はよくありませんが、本州にやっているこのシステムをやっぱり沖縄にも、ことしはだめですが、早い機会沖縄に国の助成を投入する、それで沖縄交通の根本的な整備を図ると、そういうことが必要だと思うんですが、これは大臣だね、やっぱり政治的判断ですから。大臣いかがでしょうか。
  16. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 今バスに係る助成の問題で御提案があったわけでございますが、御案内のとおりこういう助成問題、運輸省の所管ということでございます。  ただ、私どももちろん関心がないということではございませんが、私どもは現在のような厳しい財政状況の中では非常に困難であるというようなことを聞いております。現在、沖縄本島のバス事業につきましては、目黒先生よく御承知のとおり、地元におきまして協議会をつくりまして、このバス問題をどうするかということを煮詰めておる段階でございます。私どもも、県民の足としてのバス路線の維持ということは非常に重要なことだと考えておりますので、この協議会等の動きを見守りながら関係省庁とも連絡を密にしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 局長、今、県バス問題対策議会一つ、それから開発庁のあれで、バス問題四者協議会これが一つ、それから沖縄交通審議会に対して、これも総合事務局の方から沖縄県における公共交通の維持、整備に関する計画と、バス問題で三つ委員会があるんですよ。あんな県に三つ委員会を持って何も縄張り争いをやる必要はないと私は思うんですよ。その委員会があることは結構です、こういう問題を含めて。結構ですが、モノレールを含めて沖縄のバス問題、沖縄交通問題の根本的なガンは、何だかんだ言ったって那覇周辺に二十五年間のうちに人口が三十三万ふえて、二十八万那覇周辺に全部集中しているんですよ。この集中している過密度、いわゆる鉄道がありませんから過疎地帯の県民の足はどうしてもこれは根本的に国の助成がなければ、一バス会社の能力では解決できないですよ。沖縄県民だって、これは伊江先生がいらっしゃるけれども、まあ余り豊かな方じゃないです。県民所得も豊かじゃない沖縄県民にやれと言ったって酷じゃありませんか。  ですから、やっぱり国が国鉄やあるいは東京地下鉄や公営交通に一定の助成をしているように、国も思い切って沖縄交通に一定の助成をしようと、助成をする方向をとるから、モノレールはどうあるべきだ、バスはどうあるべきだ、ハイヤー・タクシーはどうあるべきだ、あるいは那覇空港はどうあるべきだ、そういうことについて県民のニーズにこたえることについてお話をしてくださいというならこの委員会がその意味で成り立つ。そういう抜本的なことをやらないで、去年三十五日もストライキをやっても一歩も前進してない。ことしもまた三十日ストライキをやっても一歩も前進してない。むしろバス離れがどんどんあって、いわゆるマイカーを買う、ミニバイクを買う、あるいは二輪車を買う。ますます交通渋滞になってしまうということの悪循環じゃないですか。だから、思い切ってやっぱり国の資金を投入する、だから皆さん考えてくださいと。この方針を示さないで何ぼ三つ委員会をやったって、私十年の経験から見ると一歩も前進してません、堂々めぐり。だからこの委員会は結構でありますから、一本やっぱりくぎを刺すべきだ。それは国の助成、だから考えてくれということを沖縄の二次振興に対する特別立法かあるいは沖縄交通整備に絡む特別立法か何かして、法律上問題があればそういう法整備もして国家資本を投入する道を講じない限り、沖縄交通は依然として解決しないと、こう思うんです。  大臣沖縄へ行うたんでしょう。行って国際通りのあのやんちゃかやんちゃか、国際通りのあの通り、それから赤ちょうちんでしょうちゅうでも飲むかいわいへ行くと貨物軽タクシーというやつね、ぞろぞろぞろぞろ黄ナンバー、青ナンバーがうろうろしているね。そういう表面的にはきれいだけれども沖縄の根本的なガンを直すには、私は国家資本を投入するという以外にないとこう思うんですが、これはこの辺、大臣どうですか。  なるほど目黒の言うこともわかる、では今答弁できないけれども、おれが長官中には何とか物になるようにはやってみようと、こういう前向きの姿勢をぜひきょうは御答弁もらえば立派な長官だな、こう思うんですがどうですか。
  18. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) いつまで沖縄開発庁長官をやっておるかわかりませんが、先生の御指摘の問題の重要さについては十分理解できます。国がお金を出せばいいかというと、お金を出すだけではまたぐあいが悪いので、それを受けてお使いになる方が道路をつくるにしましても用地買収から都市計画からいろいろなことが絡み合ってくると思います。そういうことで、地元皆さんも多年お困りになってきたもうぎりぎり限度まできておる時期だと思いますので、それぞれ沖縄を愛する方々が多いのでございますから、地元でも知恵を出していただいて、これで未来が開けるということになれば運輸省の方も建設省の方もお金が出しいいのではないかと思います。私どもも一生懸命勉強さしていただきますが、御協力のほどをよろしくお願いいたします。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 遠回しながらやはり少しは歯車がかみ合ったね。その三つ委員会でいろいろ勉強してもらって、三つ委員会の総合的な意見としてやっぱり国の助成が必要だというようなことを運輸省も含めて皆さんがまとまれば、それを受けて長官としても前向きに検討するにはやぶさかでない。そのときには、力ない目黒だけれどもおまえも協力せい、こういう遠回しの馬蹄型の答弁ではあるけれども、ある程度私の問題を受けたとこう思うので、私もこの三つ委員会にそういう意味での働きかけということはぜひしたいと思うんです。  それから、これをやれば今一番問題は、何といっても四社が競合して同じところを走っている。朝夕は満杯だけれども昼間は空気を運んでいる。これは競合率が七三%ですね。全国平均が二三ですから、いかに沖縄の国際通りあたりがむだと言うと語弊がありますが、むだにやっているかということを客観的に証明している。ですから、あの四社線を公的一元化して四社を統合して、そして合理的なダイヤをやる。あるいは国際通りを買物市場にすればあのわきの方を通ってニーズにこたえる。そういう国の資本を投下してやるから、四つのバス会社もいろいろな利害があるけれども、この際協力して一元化せいと、そして余ったと言うと語弊がありますが、余ってくる要員等については今モノレールの建設が準備されているから、そのモノレールの運転の要員、運輸の要員、経験者として優先的にバスの運転手の方々をモノレールに採用しよう。そういう何か総合的にやればバス問題も解決する、雇用問題も解決する、あるいは交通渋滞も解消する、そういうことが出てくるんじゃなかろうか。だから、バス会社の四社の統合問題にしますと、国の姿勢あるいは沖縄県の姿勢があいまいであるから組合側は足踏みしておってなかなか前に入り込めない、首がくるんじゃないかと心配してしまって。  ですから、沖縄の根本的問題は、今言った国家助成と四社の公的一元化の問題とモノレールとの関連、この三点セットで沖縄交通問題、もちろん道路関係はありますよ、道路延長率もほかの県に比べて六割ですね、舗装はされているけれども、いわゆる市町村道が非常に整備されていない。そういう道路問題もありますが、とりあえず公的な国の助成、バス会社が一元化するという問題、人が余ればこれはモノレールと結合するという問題、この三点セットでやはり沖縄のバス問題、モノレール問題を解決する以外に私は幾ら考えてももう方法はないとこう思っておりますので、ぜひ局長の方でその問題について考えてもらいたい。また、運輸省もそういう方向についてひとつ運輸政策として総合性ある問題として検討してほしいなということで、これは開発局長と運輸省からひとつ取り組みについて、そんなことを言ってもおまえパアだよとこう言わないで、なるほど少しぐらいはいいことを言っているなと、こう思ってひとつ前向きに検討してもらいたいなと、そうしないといつまでも同じことの悪循環を繰り返している。そう思いますので、ひとつお答え願いたい、こう思います。
  20. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) まずバス四社の一元化の問題についてお答えを申し上げます。  この問題につきましては、これも先生よく御承知のとおりでございますが、ただいま申し上げました協議会等におきまして集約化と申しますか、そういうもののメリット・デメリットを検討いたしまして、集約の是か非かということについて協議を重ねているところでございます。私ども先ほどと同様、この動きをよく見守りながら運輸省ないしは沖縄県と連絡を密にしてまいりたいと思っております。  それから、モノレールをも含めて那覇都市圏の交通体系を整備すべきではないかと、こういう御指摘でございます。これはもう専門家の先生に私から申し上げるまでもなく、このモノレール計画推進するに当たりましては、バス路線との調整ということがこれは絶対の要件でございますので、これは今後の問題として残っておりますが、その際に、いろいろ検討されるべきことであろうと私は考えております。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、時間が来ましたので、最後にハイヤー・タクシーの問題ですね。現在のハイヤー・タクシー、個人タクシーの現状については事務当局から資料をもらいましたから省略いたします。実車率も四二・三%ということでありますからまあまあのところいっているんだろう、こう思いますから、時間の関係で省略します。  ただ、問題であります軽貨物自動車、この問題については、私たちが調べた範囲では、問題になった四十八年は五千五百台ありました。国会で運輸委員会あるいは交通安全委員会で問題になりまして、現場当局、運輸省あるいは警察当局の御指導でだんだん減ってまいりまして、五十五年には軽貨物自動車は五百九十七台まで減りました。非常にいいことだなと思って喜んでおったんですが、ここからが悪い。五十七年度からまた逆になりまして、五十七年は七百七十八台、五十八年度は八百二十台、これにまた新しい潜り、黄ナンバーと言っているんですがね、新しい潜りがまた七百台出てまいりまして、結局千五百台で五十年代にまた逆戻りしたと、こういうのが現状であります。特に、那覇市においてはグリーンナンバーが四百六十、黄色ナンバーが四百六台、これは五十九年三月、タクシーの業界組合が立ち会い調査でやった結果これだけの現車を確認した、ナンバーを確認した。ですから、潜り営業が那覇市だけで大体千台、一千両ですね。一千両がこれは潜りで走っておるという現状であります。それから離れ島においても、徳之島ではグリーンが百七十三台、それから奄美本島、これはグリーン車が三百一台、これくらい走っておる。このあたりはもうバス、タクシーは仕事にならないというくらい離れ島では走っておるというのが現状なんです。  そこで、私は時間がありませんから結論として、この五十五年の五百九十七台まで、この五千五百台から約七、八年かかって五百九十七台まで減らした努力は多としますから、これだけの力があるんですから、もう少し開発庁も運輸省も、あるいはきょう警察庁を呼んでおりませんが、この潜り営業については手厳しく指導しながら、そしてこの潜り営業の皆さんが新しい生業であるタクシー営業に配転、転換する場合にはそれなりの助成をして、正常なルートでハイヤー・タクシーの仕事ができるように、関係方面の一層の指導と監視をお願いしたいなと、こう思って拾った数字を全部言いました。ですから、その点について開発庁と運輸省の見解を聞いて終わります。
  22. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 大変申しわけないんですが、私どもちょっと今、資料が手元にございませんで、目黒先生のお示しなされた数字から見まして、また事態が悪化しているというぐあいに考えております。関係方面と早速連絡をしたい、かように考えます。
  23. 豊田実

    説明員(豊田実君) お答えいたします。  違法行為を行っている軽貨物事業者というものがかなり多いというのは御指摘のとおりでございます。私ども大変これを問題視しておりまして、関係機関協力して取り締まりを強化するということとあわせまして、今お話がありましたように、本来の貨物事業に転換していただくということで関係努力している最中でございます。今後とも引き続き努力してまいります。
  24. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、今、目黒委員からの質問がありましたので、沖縄の問題については長官に基本的な部分についてのみ御質問いたしまして、北方問題に中心を置きたいと思うんです。  まず最初に、大変恐縮ですが、長官、沖縄には何回おいでになったですか。
  25. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 時間をかけて視察するという関係では一回でございます。
  26. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一度行きたいと思いますか。
  27. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 日程を今やりくりしておるところですが、できれば本島あるいは離島の方にも足を伸ばしたいと思っています。
  28. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 沖縄に住みたいとお思いになりますか。
  29. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) これから私自身は沖縄に住みたいとまでは思いませんが、大変愛着、愛情を感ずるに至っております。これからの新しい世代の方々が、交通も便利になれば、本拠はどこか本土にあるにしても、沖縄に何かコテージのようなものでもおつくりになるというような時代が来ることを期待しています。
  30. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 なぜそのような質問をしたかというのは、私の経験ですが、私は専売公社に勤めておりましたが、沖縄は民間のたばこ会社でございまして、何回か復帰前にも私も沖縄には出かけています。  先般ある会議がございまして、今は専売公社になりましたけれども、八重山とか何か、葉たばこづくりで何年か本土の人たちが向こうに転勤をして、そして帰られて、また集まってこちらで会議をしたときに、もう一回行ってみたいと言う。そうしたら沖縄の人たちが、もう一回行ってみたいということに対して憮然としているんです。私も最初は何だろうなと思ったんです。その会議が終わってから聞いたら、なぜ住みたいと言ってくれないんだ、行ってみたいということもありがたいけれども、来てもらうということもありがたいけれども、もう一回住んでみたいとなぜ言ってくれないのかと。私は、この心というものは大変なことだと自分は感じています。そういう意味で、沖縄対策の最高の任にあられる大臣ですから、私はそういう意味で、今愛着という言葉をお聞かせいただきましたが、もう一度住みたいと思うぐらいの気持ちで沖縄問題に取り組んでほしいと思うんですが、所見を聞かしてください。
  31. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 当委員会にも沖縄に対して愛情と愛着を強く感じておられる先生方がたくさんいらっしゃいますが、私もそうした先生方に負けないだけの気持ちを持って沖縄問題と取り組んでまいりたいと思います。
  32. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 沖縄問題の私のきょうの質問の最後ですが、軍事基地の問題であるとか、過密過疎であるとか、自然環境の保護と開発の問題であるとか、観光の問題であるとか、たくさんあると思うんです。  それで、今回国体というものが開催されるということで、国体を機にしていろんな開発が行われるように聞いておりますが、私はこの国体開催に絡んで非常に心配していることは、現地から私の友達ですが手紙などを見せてもらって、開発とか、つまりいろんな問題の解決のために、国体を機にして解決してもらうのは大変ありがたいことなんだが、そのときに天皇陛下から皇太子から宮様からおいでになる、そういうときに君が代と日の丸ばっかり振られて、あそこの軍事基地に対する島民感情というものが大変逆なでされるみたいな感じがするんだけれども、そういうことに対してどういうふうに国は考えておられるのかというような手紙でした。私は、そういう意味で国体開催とともに開発仕事をなさることは大変賛成でございますが、逆なでするようなことのないようにぜひ御配慮いただきたいと思いますが、その点について長官の感想を聞かしてください。感想で結構です。
  33. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) よく理解できない点もあるのですが、ともかくせっかくの国体、昭和六十二年でございますか、開かれる予定になっていますし、恐らく天皇様も各地国体には御臨席になっています。そういったふうに思うのですが、今御指摘趣旨がちょっと理解できませんけれども、やはりこれは沖縄県にとっても大変重要な行事でございますし、日本本土の各府県にしましても重要な問題でございますので、円滑にそれが実行、遂行されるということを期待いたしたいと思います。
  34. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それでは北方問題について御質問いたしますが、本来であればこれは外務大臣に聞かなきゃならぬことだとは存じますが、お聞きしたところおいでになれぬそうですから、適宜答えていただきたいと思うんです。  大変原則的なことで恐縮ですが、政府北方領土返還に対する基本的な姿勢ということを改めて私は聞きたいと思うんです。なぜそのことを聞きたいかというと、ここに私読売新聞の四月二十三日の新聞で見せていただいたんですが、巷間伝えられているところによると、中曽根総理大臣が東南アジア訪問の際にインドに寄ってグロムイコ外相の、つまり日本においでいただきたいということをあっせんしてもらおうというようなことが政府の方針として固まったというように書いてあるんですが、基本的な領土返還と外交上の問題についてどういう事実になっているのかお聞かせいただきたいと思うんです。
  35. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) お答え申し上げます。  御承知のとおり、我が日本政府といたしましては、北方四島はこれは日本国有の領土である、そういう立場からその返還につきましてこれまでもソ連側と粘り強く交渉を行ってまいっております。しかしながら、これも御承知のとおり、ソ連側は依然といたしまして領土問題は存在しない、非常にかたくなな姿勢を崩していないわけでございまして、まことにこれは遺憾なことと存じております。政府といたしましては、この問題解決のために今後とも粘り強く、息長くソ連側との対話を重ねることが重要であるというふうに考えておりまして、去る二月に安倍外務大臣が訪ソをいたしましたときにもグロムイコ外相に対しまして本問題を提起したところでございます。今後ともソ連側に対しましては、この問題が日ソ関係を真の相互理解の上に発展させ真に安定した関係を確立するためには不可欠の条件である、そういう認識をあらゆる機会をとらえて先方に申しまして、北方領土問題を解決して平和条約を締結するよう引き続き呼びかけていく所存でございます。  なお、御指摘のございましたインド訪問に当たってグロムイコ訪日のための橋渡しを頼むというふうな報道でございますが、政府といたしましてはそのようなことは全く考えておりません。これはあくまでも二国間の交渉として進めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 この「インドに仲介望む」という記事は観測記事というふうに受け取ってよろしいんですか。
  37. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) そのとおりでございます。
  38. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それでは、それに関連してお尋ねしますが、安倍外務大臣が今度のソ連との関係において、極端に冷却化している関係であるから、「国際政治における日本の重要性や政策を、ソ連の人たちに広く正確に知らせる必要がある」と述べたという部分は事実ですか事実でないですか。
  39. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 先生が御指摘の点は安倍外務大臣が記者会見で述べられたことであろうかと存じますが、この点は確かにソ連における対日認識と申しますか、今日の世界の政治、世界の経済の中で日本がどれだけ重要な役割を果たすようになっているか、そういう客観的な姿についての認識が低いのではないか、したがってソ連の関心というのはどうしても第一にはアメリカに向き、またヨーロッパに向く、そういう傾向があるのではないかと、そういうお考えがございまして、したがいましてできるだけ対話の機会を設けてソ連の側に日本の姿をよく知るようにさせたい、そういうことで先般来対話を幅広く繰り広げていきたい、そういう考え方を申し述べたことと思います。
  40. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そのような安倍外務大臣の意向と、先般、これは何日ですか、日ソの第四回高級事務レベル会議が開かれましたですね、この中で最低年一回以上は事務レベルまたは次官レベルで話し合いをしようというようなことが決まったように受け取っているんですが、その安倍外務大臣の構想とこのような交渉というものは、これは一致しているんですか。
  41. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 御指摘のとおりでございます。政府といたしましては、日ソ関係が非常に冷たく厳しい状況にあるだけに、また先はどのような考えからいたしましても、日ソ間の対話の道は広げていくべきである、こういうふうに考えております。したがいまして、先ほども申し上げましたように、本年の二月、アンドロポフ前書記長の葬儀に安倍外務大臣がモスクワへ赴きました際に、グロムイコ外相との会談でこの対話の点につき合意を見た次第でございます。その結果といたしまして、先月モスクワで次官級のいわゆる日ソ事務協議を実施したわけでございますけれども、その際御指摘のとおり、少なくとも年に一回以上この事務レベル協議を開催しようということにいたしたわけでございます。
  42. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は基本的に対話を拡大するということに関して賛成なんです、基本的には。ただ二つの問題点があると思うんです。二つ目の問題点は後ほどまた事情に絡んでお話ししますが、第一の問題の問題点というのは、その人的交流を進めていくということと、先般の大韓航空機事件が発生しまして、その後、人的交流の制裁措置といいますか、ある措置をとりましたですね。そのとられたことと今回の対話拡大というものと絡めて考えますと、大韓航空機事件後のあの制裁措置というのは事実上、人的交流のですよ、は解消するというような問題点が絡んでいると思うんですが、いかがでございますか。
  43. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 先般の、昨年の九月でございますが、韓国機の撃墜事件に伴いましてとられました措置は、これはソ連の航空機を使わない等の短期間の措置でございまして、先生が御指摘の措置は恐らくアフガン事件をめぐって我が方がとりました対ソ措置を指しておられることかと存じます。  確かに御指摘のとおり、公的な人的交流についてはケース・バイ・ケースに慎重に考慮するということになっております。しかしながら、これはただいま申し上げました言い方からも明らかなとおり、ケース・バイ・ケースに慎重に考慮するということでございまして、これが両国間の具体的な対話あるいは実務を進めるという上で役に立つものと判断される場合にはそれと矛盾するものではございません。
  44. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一度事実のことをお尋ねしますが、大韓航空機事件後に人的交流制限措置というものをとった、その中身はどういうものですか。
  45. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) その大韓航空機撃墜事件に関する措置と申しますのは、これは昨年の九月二十八日、官房長官の発言ということで明らかにされているわけでございますが、第一点は九月十五日から二十八日までの間、日ソ間の航空機運航停止措置ということが主要な点でございます。それから第二点は、九月九日にこれに先立ちまして官房長官談話の形で発表した国家公務員等のソ連航空機使用禁止等の一連の対ソ措置、この二点が韓国機撃墜に関してとられた対ソ措置でございます。したがいまして、公的な人的交流と申しますのは、これに先立ちますアフガン問題をめぐっての措置の一部でございます。
  46. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 九月の十五日と九月の二十八日に人的交流の制限措置というものが閣議で決められて、官房長談話で今お話しのような発表が行われたわけですね。これは短期的な人的交流の制限措置であるということなんですか。それでもう既に解消しちゃったんですか、まだ解消しないで残っているんですか、これは。
  47. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) ただいま申し上げましたとおり、大韓航空機の撃墜事件をめぐりましては人的交流の制限措置ということはございません。日ソ間の航空機の利用並びに国家公務員に対してソ連の航空機使用禁止を行った、一定の時限措置をとったという、その二点でございます。
  48. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それが現在解消しているんですか、続いているんですか。
  49. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) これは現在、両方とも既にその措置が解除されております。
  50. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 わかりました。  それでは、この大韓航空機事件の人的交流制限措置とは別に、ソ連側に対して人的交流とは違った意味で解決策を幾つか提示してありますね。ソ連側というか、日本として大韓航空機問題はこうしなければならぬ、ああしなければならぬ、つまりICAOの問題も含めて、それから十分な補償の問題であるとか遺品とか遺体とか、そういう問題であるとか、捜索行為を妨害しないとか、国際機関に対して二度とこういう事件が起きないようにしようじゃないかとかというような提唱というものが日本側でなされておりますね。その事実をもう一回説明してくれませんか。
  51. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) この点に関しましては、従来からまず、ソ連との関係におきましては損害賠償請求、これを我が方としては行っておりまして、誠実に対処するようにあらゆる機会に求めております。先ほども申し述べました先般モスコーで開催されましたところの日ソ事務レベル協議におきましても、当方からこの事件に言及いたしまして犠牲者の遺体及び遺品の追加的引き渡し、それから本件犠牲者家族が一周忌に際し撃墜現場を訪れたい、そういう希望を有しておられるわけでございますけれども、それに対して善処方を要請した次第でございます。しかしながらソ連側は、これは米国がソ連領内にスパイ機を送り込んだのであるという建前を崩しませんで、そういう主張を繰り返し、我が方の言い分に耳をかそうとしなかったわけでございます。ただし、墜落現場訪問につきましては先方も慎重な注意を持って、多大の注意を持ってこれを検討するということを述べております。  それから、遺族に対する補償問題それ自体につきましては、これは大韓航空と遺族会の間で話し合いが行われていると承知いたしております。  それから他方、ICAOの理事会におきましてもこの問題がずっと討議されておりますが、現在のところ、ICAOとしての事件の解釈は出ておりますけれども、まだ最終的な結論には至っていないという状況でございます。
  52. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私が非常に心配しているのは、どちらの方法を政府はとろうとしているのかという、二つに分類すれば、今大韓航空機問題についてのソ連側の主張というんですか、損害賠償といいましょうか、そういう補償の十分な措置というものにきちっとけりをつけなければ、ソ連との関係というもの、こちらは回復したい、いろいろあってもきちっと解決してからそういうことをやるべきだという方法が一つありますね。それから、いや、それは人的交流というか、冷却期間を解消しながらその進行の中で、アイ・エヌ・ジーの中で解決をしたいということも方法としてはあると思うんですね。私は、どちらかというと第一の方法をとるべきじゃないかと思ってはいるんですよ。今後、この大韓航空の補償の問題といわゆる日ソ関係を回復したいということとの関係はどのように選択なさるわけですか。
  53. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 先生指摘のとおり、大韓航空機撃墜事件はこれは大変な事件でございますので、私どもといたしましてもこれについて満足な誠意あるソ連側の対応をずっと要求しておりますし、今後も要求し続けていく次第でございます。  しかしながら、これはやはり一つの事件には違いないんでございますけれども、これをもって日ソ関係全体が影響されてしまうということであっては、大きな角度から見た日ソ関係の、冷却し切った日ソ関係を改善する上にやはり問題があるのではないかというふうに考えております。したがいまして、先ほどの先生のおっしゃいました二つの選び方ということに従って申し上げれば、私どもといたしましては同時並行的に、これの解決も求めつつ、他方ソ連との関係、両国関係はそれとは一応切り離した格好で進めていきたいと、かように考えております。
  54. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 いい悪いは後ほど意見を述べますが、今のお話でいきますと、つまり大のためには小を殺すという形になりましょうか。
  55. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 決して小も殺さないわけでございまして、そちらの方はそちらの方であらゆる機会に我が方の要求は貫いていく、貫いていく努力を続けていく。しかしながら、あわせてそれをもって日ソ関係全体が暗い影に覆われてしまわないように、他方において日ソ間の話し合いを進めて、両国間の関係を少しでもいいものにする努力をしていきたい、かように考える次第でございます。
  56. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、グロムイコ外相が日本に来るということは大変な出来事だという認識を持っています。そのことは何を意味するかということもよく知っています。しかし、今大韓航空機事件後のいろんな遺族の人たちなどの関係などを見てみると大変な深刻な問題になっているわけですね。同時に、あの当時ソ連に対する日本国民の感情というものは、もうとにかくすべてが共通した認識だったんじゃないでしょうか。それが時が過ぎると何か解決しないうちにだらだらといくようなやり方というのに対しては、基本的に私は賛成ではありません。そこでなるべく早く解決するような方向政府としても検討してもらいたいと思うんです。つまり、日ソ関係を回復するに当たって、人的交流の問題の第一の問題点というのは、この大韓航空機の取り扱いいかんによっては大変なことになるという問題点を認識してほしい。  さて、第二の問題点に移る前に防衛庁にお尋ねいたしますが、これも読売新聞の四月二十一日版ですが、「宗谷海峡に強力監視装置」をつける。「ソ連艦を常時識別」する。「カムチャツカ南部まで」見れる。特に、この見出しの中で、「防衛庁、極秘で配備中」というのが非常に私は気になったんですが、この内容について防衛庁から説明してください。
  57. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) お答えいたします。  御指摘の監視装置につきましては、防衛庁では沿岸監視能力の向上を図るため、昭和五十八年度より陸上自衛隊第三〇一沿岸監視隊稚内にレーダー波監視装置の導入を計画いたしまして、六十年度に運用を開始する予定でございます。  このことにつきましては、一般に情報収集機能の能力を明らかにするということは差し控えさせていただきたいということで、あえて公表しないでやってまいったわけでございますが、また従来の能力を単に向上するというものでございますので、このように措置してまいったわけでございまして、特に極秘に配備とか、そのようなことではないということを御理解いただきたいと思います。
  58. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 これは読売新聞の報道の中で、「読売新聞社の二十日までの調べで明らかになった。」という見出しで書いてあるんですが、そうすると、今あなた方の施設計画については、どこにもだれにもしゃべっていないということになるんですか。読売新聞社が独自で調査した活動の中でこれを知ったということですか。  それであなたの話を聞くと、六十年から配置したいと言うんですね。六十年ということは来年でしょう、いかがですか。
  59. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) この予算総経費約二十三億でございますが、これにつきましては昭和五十八年度三国債、昭和五十九年度二国債でお認めいただきまして、本年の夏から施設工事を開始いたしまして、六十年度から運用を開始する予定でございます。
  60. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一度お尋ねしますが、現在のレーダーとか望遠レンズとかそういうものと、今回配備しようというのはどのぐらいの性能、つまり能力を持っているのか。それからもう一つは、それをなぜそこに設備しなきゃならぬのか、そこのところを聞かしてください。
  61. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) 従来とも宗谷海峡を初めといたしまして三海峡につきましては所要の部隊を配置いたしまして、レーダー、望遠鏡等で艦船等の行動状況を監視しておるわけでございます。今回の監視装置につきましては、その能力を向上させるというものでございます。ただ、いかほどその能力が向上するかということにつきましては、情報機能の能力の問題でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  62. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 情報だから差し控えさせてくれというのであれば、別な方から聞きますが、この装置というのは兵器ですか兵器でないですか。
  63. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) 厳密な意味で武器というものではないかと思います。防衛庁におきましては、我が国を防衛するために諸種の機能を備えておるわけでございまして、レーダー、望遠鏡等、そういう監視装置の一つであるということでございます。
  64. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一度聞きますが、兵器ですか兵器でありませんですか。
  65. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) 自衛隊が自国を防衛するものが兵器というものであれば、これは兵器に入るというふうに存じます。
  66. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 何のためにこれはつける必要があるんですか。
  67. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) 自衛のため必要な範囲内で適切な規模の防衛力を保有するということは、憲法でも認められておるところでございまして、私ども「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、」に「わが国を防衛することを主たる任務」とするという自衛隊法の目的に従いまして、我が国周辺の動きに対しまして必要な監視を行うということが任務と承知いたしておりますので、このような活動を行っているわけでございます。
  68. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それじゃ、もっと角度を変えて質問しますが、こういう施設、装置を設備することに対して、これは推測とかそんたくで結構ですが、ソ連側はどういうふうにこの事実を見るだろうと分析されますか。
  69. 松村龍二

    説明員(松村龍二君) 先ほども申しておりますように、専守防衛を旨とする我が国の防衛にとりまして、情報の果たす役割が極めて大きいことにかんがみまして、防衛庁では各種情報機能の充実に努めているところでございます。我が国が特定の国について、これを仮装敵国として考えるようなことをしていないということは、従来から政府が御答弁申し上げているとおりでございます。
  70. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 時間が三時までですから、これ以上お聞きしませんが、私の意見としては、いみじくも読売新聞も書いてありますが、「兵器」という言葉を使っていますね。こういう施設に対してのいわゆるマスコミというか読売新聞というか、大新聞ですから、国民の声と見てもいいんじゃないでしょうか。私も、ある意味であなたが答え切れないということは、いわゆる兵器であるというように私は見ます。そのために大変相手の国に対して不信とか、まあ仮想敵国視されているというように受け取るようなつまり措置ではないかと思うんです。なぜならば、あの海峡で、数字を挙げてもいいんですが、ソ連船の通航というのがもう六割からでしょう。そのことをキャッチしようというのですから、仮想敵国というようには思っていないかもしらぬけれども、事実そのことを確かめたいというように私はなっているんだと思います。答えは要りません。  もう一つ防衛庁にお尋ねします。もう一つの問題は、空中給油機を導入するということが、これは東京新聞ですが、四月二十三日に報道されています。「「洋上防空」整備へ本格検討」が始まったということですが、この問題は国会の中でも大変取り上げられて、いろんな意見もございますが、現在どのような進行の状況にあるのか、またどういうことを企画しているのか教えてほしいと思います。
  71. 藤井一夫

    説明員(藤井一夫君) お答えいたします。  空中給油の問題でございますけれども、私どもは今先生指摘の報道があることはよく承知しております。この空中給油に関します防衛庁の見解でございますが、これはかねがね国会でも表明しておりますように、私ども現在空中給油機を持つという計画はございません。しかし、遠い将来のことを考えますと、最近の航空技術の著しい進歩を考えますと、将来空中給油機を保有するということを検討することはあり得るというのが見解でございます。また、このこと自体は憲法に違反するものでもないというふうに考えております。  ただ、御指摘の新聞の記事は、五九中業の中でこのことを検討しておるというような記述がございますけれども、五九中業というのはこれから長官指示を出しまして作業を開始するというものでございますので、すべて五九中業の内容は今後の検討に係るということでございます。したがいまして、防衛庁の現在の立場は、繰り返して申し上げますが、空中給油機を保有する計画はないというのが現在の段階でございます。
  72. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 言葉じりで恐縮ですが、現在はないということは、後ほどあり得るということですか。
  73. 藤井一夫

    説明員(藤井一夫君) これもたびたび国会で答弁をしておりますが、将来の問題といたしましては、航空技術の進歩を考えますと空中給油機の保有を検討することはあり得るという考えでございます。
  74. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そこで外務省にお尋ねしますが、今私は事実関係二つ、宗谷海峡と空中給油の問題しか取り上げていませんけれども、つまりこれからの日ソの冷却化した関係を回復するというときに、やはり軍事、軍備というような問題が大変な阻害の条件になっているんじゃないでしょうか。つまりグロムイコ外相が、行きたいけれども行くだけの環境にないじゃないかということを答えているというのも報道されていますね。ですから、私は第二の大きな障害というのは、そういう軍事、軍備という問題を片方でやりながら仲よくしましょうと言っても、なかなかこれは言葉どおりにはいかない難問が控えているという認識なんですが、いかがですか。
  75. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 先生も御承知のとおり、近年におけるソ連の極東軍事配備というものは非常に大きな増大を見ているわけでございます。SS20の配備は百三十五と言われておりますけれども、やがてさらにそれに十八が加わって全部で百五十三になるのもそう先のことではないというふうに言われておりますし、そもそも我が国固有の領土であるところの北方領土においてすらソ連の軍事力は逐次増強されている、そういう状況でございます。したがいまして、その削減、撤廃方を強く申し入れるということは、これは我が国といたしまして安全保障の観点から我々といたしましては当然の対応であるというふうに考えております。したがいまして、この問題とそれから北方領土の返還の問題とは切り離して別個の問題として考えるべき性質のことかと存じます。
  76. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 別に切り離してということは、それはそれなりに論理というか客観的条件というか、そういうお話もできるでしょう。できると思います。私はしかし違うんです。そこは、そういう問題の本質的なところが何ら手を入れられないであって、ただ隣国だから話し合って返してくれというだけでは問題があるように思うんですね。  ですから今、政府が非常に肝いりで北方領土返還の大運動が展開されようとしているし、またされています。きょうも理事会であるお話がございました。私はそのことに対して反対じゃありません、日本の国民ですから返してもらうことに。積極的に取り組みたいと思っています。けれども、今あなたがおっしゃっているやり方だけでいくとその可能性というものは非常に遠いというふうに私は見ざるを得ないんです。もっとひねくれた言い方をすれば、つまり国内向けの運動でしかないんじゃないかというように見られることはやっぱりよくないと思うんですね。だから別々に取り組むということでしょうけれども、ぜひそこの本質のところに手を加えながら話し合っていくことが絶対に必要だと思いますが、再度見解を述べてください。
  77. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 先生の御意見よく承りましたが、まさしく先生指摘のような趣旨に従いまして、私どもとしては同時に動かせるものから対話を通じて動かしていきたい。ただ、基本的な根本問題であるところの立場、すなわち北方領土が戻ってこなければ真の安定した関係は設立てきないのである、そういう立場を譲ることなく動かせるものから動かしていきたいという対話を進めていくということで現在やりつつあるわけでございます。  北方領土返還運動が国内向けのポーズだけではないかというお言葉でございますけれども、私どもは先ほども申し上げましたように、この問題はありとあらゆる機会を通じましてソ連に対してはもちろん、例えば国際連合の毎年の総会であるとかその他の国際的な機会に常にこれを言っておりますし、我が方の在外公館を通じてもこれが日ソ関係改善の上の最大の問題なのであるということについて広く国際的な理解を求めている次第でございます。
  78. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 最後に、長官から一言感想をいただきたいんですが、今私は北方問題について非常に危惧の念として二つの問題を取り上げました。  つまり、大韓航空機のあの撃墜事件後の措置がしっかりしないうちに、事実上これが解消されるみたいな人的交流の拡大が始まっていくということに対して、補償措置がおろそかにされやせぬかという心配の点を一つ問題点として挙げました。もう一つ、軍備、兵器、そういうものを拡大していくことのために冷却期間がますます拡大していくという心配があるんじゃないですか、そういうことに対してどういう見解をお持ちかということに対して最後に長官の感想を聞いて質問を終ります。
  79. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 外務省当局からいろいろお話がありました。私ども内閣をつくっておりますので全く同じ考えであるということのほかお答えのしようがございませんが、いずれにしても、基本的には北方領土が解決された上で平和条約という路線を踏まえながら一つ一つ外交問題も処理していただいて、それらの中で民族の悲願である返還を期したい、かように考えております。
  80. 中野明

    ○中野明君 私は、きょうは油による海の汚染のことについてお尋ねをいたします。  大臣も御承知のように、我が国は高度成長を遂げました。その背景に油を海外から輸入して、そして高度成長の原動力になったことは御承知のとおりなんですが、かねてから油による海の汚染ということについては何回か私も取り上げてまいりましたが、一向に廃油ボールによる海の汚染というのはなくなりません。非常に残念なことでございますが、まず最近の廃油ボールによる汚染の状況をちょっと説明をいただきたいんです。
  81. 山添健一

    説明員(山添健一君) 最近におきます油による汚染状況でございますが、私ども水産庁でございますので、漁業被害補償や漁場清掃等を必要とした最近の原因者不明の油濁事故発生件数、こういうことで申し上げますと、最近のところでは五十四年度が全国的に見ますと八十件、それから五十五年度は六十三件、五十六年度は五十四件、それから五十七年度が四十件、五十八年度は四十五件、こうなっておりまして、特に減少しているとか増加している、こういうはっきりした傾向は見られない、こういう状況でございます。
  82. 中野明

    ○中野明君 特に廃油ボールによる汚染が今横ばい状態で、大してふえもしない減りもせぬということのようですが、特にひどいのはやはり何といいましても沖縄を中心にする南西海域だと私も思いますが、今御報告がありましたその中で、沖縄海域、これの漁場油濁の状況はどういうことになっていますか、パーセントで。
  83. 山添健一

    説明員(山添健一君) 先ほど申しました全国の数字のうち特に沖縄地域、ここで申し上げますと、五十四年度が十八件、それから五十五年度が十二件、五十六年度六件、五十七年度八件、五十八年度は十五件となっておりまして、全国の発生件数の約二割から三割を占めているということでございまして、沖縄地域全国的に見てもやはり油濁事故の多い地域と、こういうことになっております。
  84. 中野明

    ○中野明君 海上保安庁でしょうか、この廃油ボールがどういう原因で出てくるのか、それをどうつかんでおられるのか。結局今日まで、今御報告のありましたように、五十四年度からでも毎年毎年繰り返されているわけですが、それの原因はどこにあるのか、そして一体だれが犯人なのか、その辺をちょっと御報告いただきたいんですが。
  85. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) お答え申し上げます。  廃油ボール、これは沖縄周辺海域、南西海域と呼んでおりますが、その付近では非常に多いわけでございます。その原因につきましては、主としてタンカーのバラスト水あるいはタンクの洗浄水等、これが排出されまして、その油分でございますが、これが海上あるいは海岸で性質が変化して凝固したものでございます。油の排出する船舶としてはタンカーには限りませんが、沖縄海域の廃油ボールにつきましては、主としてタンカーではなかろうかというふうに考えられます。
  86. 中野明

    ○中野明君 今私お尋ねしました二点目は、タンカーではないだろうかという非常に疑問符なんですが、公明党の沖縄県本部が約半年にわたって実態調査をいたしたわけですが、後ほどこの問題にも触れてみたいと思いますが、ほとんど原因は大型タンカーであるという大体一致した結論になっているようなんですが、何かタンカーよりほかに原因があるとお考えになっているんですか。
  87. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) これまで南西海域を担当しております第十一管区海上保安本部で日本船舶、外国船舶によります海上公害違反を検挙あるいは旗国通報いたしておりますけれども、これを見ますと必ずしもすべてがタンカーではないということが伺えます。  以上でございます。
  88. 中野明

    ○中野明君 そうすると、タンカー以外ではどういうことが考えられますか。
  89. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) タンカー以外につきましては、一般の船舶のビルジ、これは機関室にたまる廃油でございますが、そういうものを過って排出、あるいは故意に排出した場合にもやはり油汚染になる、こういうふうに考えております。
  90. 中野明

    ○中野明君 それは量で言えばもう問題にならないんじゃないかと思います。今問題になっている廃油ボールは、沖縄南西海域、沖縄方面に相当流れ込んで、おたくからいただいた資料でも七千二百キロとか七千五百キロとか、大変な量が海岸に打ち上げられてきているわけであります。そういうのはタンカー以外に考えられないと私は思います。  そこでやはり原因がタンカーということになると、どのタンカーが流したのか、一体どのタンカーが不心得者なのかということを保安庁としては追跡をし、調査をし、そして犯人を捕まえる、こういう役目があるんじゃないかと思うんですが、過去から、今私いただいているのは五十四年からなんですが、追跡をして犯人を確定しようとして努力をされておると思いますが、一番新らしい、昨年ですね、昭和五十八年の十二月から本年の一月にかけて宮古島、そして沖縄本島の西側、これへ七千五百キロ打ち上げられてきたと言うんですが、これの原因はどの程度までお調べになっているんですか、ちょっと報告を願いたいんです。
  91. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) お答え申し上げます。  先生指摘の昨年十二月から本年一月にかけまして、宮古島東岸及び沖縄本島西岸にかけまして大量の廃油ボールが漂着しております。この漂着量は先生指摘のとおり七千五百キログラム、これが私どもの方で調査の結果、三十六カ所、延べ約三十キロメートルの海岸線に漂着いたしております。この廃油ボールにつきまして分析の結果、インドネシア産の重油ということが判明しておりまして、これらの油を積載して我が国に入港した船舶、これをリストアップしまして捜査中でございますが、現在のところまだ排出船舶は判明していない、こういう状況でございます。
  92. 中野明

    ○中野明君 今までの五十四年から本年まで同じく大量の廃油ボールが流れ着いているんですが、この中でどうなんですか、原因、どの船がながしたかということをつかめた事例はあるのですか。
  93. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) お答え申し上げます。  過去廃油ボールの漂着事件は先生指摘のとおり多うございます。これにつきましては、廃油ボールは長期間にわたりまして海上を漂流して海岸に漂着するというふうなことでございまして、その経時的な変化あるいは海流、潮流、風、こういうものを考えていろいろ捜査するわけでございますが、なかなか捜査は難しいということで、現在まで、私ちょっと手元に資料を持っておりませんけれども、私の記憶ではまだタンカーに結びついたというものはないように考えております。  以上でございます。
  94. 中野明

    ○中野明君 広い海のことですから、そして今のお話のように、時間が経過してからわかるということで難しいということはある程度理解できるんですが、これほど廃油ボールがたびたび漂着をして、そして保安庁の方でも精力的に飛行機を配置したりして調査をなさっているんですから、やはり何らかの効果が出てこなければならないと私も思うわけですけれども、この状況を見ますと余り効果が上がっていないような気もするわけですけれども、その辺はどういうふうに、こういうことを起こさないように、これはやはりタンカーに乗っている人のモラルの問題でもあるでしょうけれども、その点の指導といいますか、周知徹底はどういうふうになっているんですか。
  95. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) お答えいたします。  タンカーその他船舶に対する海洋汚染防止の指導という御質問でございますが、我が国周辺海域におきまして海上保安庁が確認しました海洋汚染は、そのほとんどが船舶からの油の排出によるものでございます。その原因としては、油取扱作業時における基本的な知識の欠如あるいは初歩的なミス、または海洋汚染防止に対する認識の欠如によるものが多うございます。  このようなことから、海上保安庁は、油排出事故の防止のために基本的な事項を内容とする日本語及び外国語のパンフレットを作成いたしまして、日本船舶及び外国船舶の立入検査の際などに配付いたしまして指導しております。特に毎年期間を定めまして、全国一斉に船舶からの漏油事故、そういう事故防止を目的とした集中的な海洋汚染防止指導実施しております。また、大型タンカーにつきましては、日本船舶にあっては船主団体等を通じまして、外国船舶にありましては代理店の団体等を通じまして船主等に対しまして廃油の適正な処理について指導しておるところでございます。
  96. 中野明

    ○中野明君 沖縄県にとりましては廃油ボールというものがこれほどたびたび後を絶たないぐらいに流れてくるということは大問題でして、御承知のようにサンゴ礁、それから漁場、白い砂浜、こういうのが廃油ボールで汚染されるということ、私も国元が高知県なんですが、タンカーが座礁して廃油ボールが流れ着いて、それをみんなと一緒に回収するのに随分苦労した覚えがあります。固まってしまって、ちょっと時間がたちますとコールタールのようになって、それで軽油で溶かないと持ち運びもできないというようなことで、大変な苦労をした経験がありますけれども沖縄県の現状を見ましたときに、我が党が総点検をした結果上がってきた一つ傾向として、これは環境庁に関係するんだろうと思うんですが、サンゴ礁が死滅をするという、こういうことが大きくクローズアップされてきたわけなんですが、環境庁はこのサンゴ礁の死滅の原因ということについてどういうふうに見ておられますか。
  97. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) サンゴ礁の死滅の原因についてのお尋ねでございますが、この問題は大変科学的な事柄でございまして、私どもがいろいろ伺いましたところによりますれば、従来言われております原因といたしましては水温の変化によるもの、それからまたオニヒトデによります食害、それから赤土の流出によりますところの汚染、こういったような事例、原因が挙げられておるようでございます。
  98. 中野明

    ○中野明君 それは確かに今までから通説になっておるようでありますが、今回総点検をして、いろいろ沖縄の人たちは神経をとがらしてこの問題の対策と根絶に懸命の努力をなさっているわけですが、その間に浮かび上がってきた問題の一つに、地元の琉球大学の海洋学科の専門家は、いわゆる廃油汚染の薄い膜でサンゴのポリプ穴というんですか、穴が覆われて養分を吸収することができなくて死滅を招く、こういう説が非常に有力に浮かび上がってきているわけなんです。これは因果関係を解明しなければならないということで精力的に地元でも研究を進めているんですが、なぜこういうことを言うかといいますと、廃油ボールが流れ着く、それと時を同じくして潮の満ち引きで、干潮のときには頭を持ち上げておったサンゴ礁が全然見えなくなってきた、これは時期が同じなんですね。そこで探求が始まったようであります。そういうことが明らかになってきておるんですが、この点環境庁としては、何か行政側として、沖縄にとっては大事な財産でもありますし、観光資源です。これが死滅していくというようなことが油の汚染で起こってくるということになると大問題ですので、何かその辺研究をするというんですか、因果関係の解明について対策考えられる気持ちはあるんですかどうですか、ちょっと。
  99. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 先ほど申し上げましたサンゴ死滅の原因として言われております事柄のほかに、ただいま先生がおっしゃいましたような廃油ボールに起因いたします薄い膜あるいは粒子の付着によりますところのサンゴの死滅があるんじゃないか、こういうようなお説につきましては聞いております。このような原因を含めまして、サンゴの生態及び死滅の原因につきましてはいろいろな問題があろうかと思いますので、これについては直接私どもというよりは、むしろ科学的な原因の究明を待ちたいというふうに考えております。私どもはそれの結果、経過についてはいろいろまた承知をしていきたい、勉強していきたいというふうに考えております。  ただ、沖縄の非常に美しい海中の景観を守ります場合に、原因の究明だけではだめじゃないかというような声が前からございまして、先ほど来申し上げました要因のうちでオニヒトデの食害、これはある程度対策を講ずることは可能でございますので、すぐれた海中景観の地区につきましてはオニヒトデの防除対策というものに対して補助をいたしておるというような措置をとっております。
  100. 中野明

    ○中野明君 そうすると環境庁は、研究はどこでやってもらうんですか、こういう因果関係の。サンゴ礁が死滅する原因の一つじゃないかという説が出てきているわけですが、環境庁は、それはうちの所管と違うんだということですか。どこでそういう科学的なことは解明されるようになるんですか。
  101. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 自然の生態系の研究につきましては、直接私どもの方で研究実施する機関を持っておらないわけでございまして、サンゴの問題につきましても、いろんな大学あるいは研究機関におきますところの研究者が何人かいらっしゃいますので、そういう方々の研究を私どもいろいろ結果につきまして情報収集をいたしましてトレースしてまいりたいというふうに考えております。
  102. 中野明

    ○中野明君 積極的に努力してもらいたいと思います。これは地元にとりましても、やはり沖縄のサンゴの海というのは国家的な一つの財産であろうと思いますので、あらゆる面で原因が、いろいろの要因が重なっているでしょうけれども、検討をし、環境庁が音頭をとって努力をしてもらいたいということを要望しておきます。  それで、海上保安庁と水産庁、水産庁の方は結局漁場油濁で被害が出てくるものですから、いわゆる漁場油濁被害救済基金ということで、清掃とか、あるいは漁業の被害が出てくればそれを認定して補償するということで毎年のようにやっておられるわけですが、これに出てこない小さなものとか、あるいは調べているうちに出てきた問題なんですが、余り油で汚れているということで大騒ぎをすると魚の値段が下がるのでもう言わないと、黙って、もうしようがないからということで、自分たちでないしょで処分したとか処理しているというようなことも耳に入ってくるわけです。ですから、まだまだ実態がはっきり把握できてないんじゃないかと思うんですが、一番しっかり把握できるのは水産庁の方じゃないかと思います。というのは、清掃すればその清掃した費用を出してもらえるわけですから。  そこで、海上保安庁と水産庁の横の連携ですね、これはうまくいっているのかどうかということがちょっと心配なんですが、どちらもが互いに連携をとり合って、こういう事態が起こってますよと、海上保安庁といっても万能じゃありませんし、恐らく海上保安庁が実際に自分の能力で把握されたというのは限られた部分で、あとは地元からの報告とかそういうことだろうと思いますので、横の連携が密にいかないと実態の把握も完全じゃないということにもなってくると思うんですが、その辺はどうなっているんですか。
  103. 山添健一

    説明員(山添健一君) 漁場に油濁被害がありました場合には、原因者の究明等の問題もございますので、保安庁さんの方にはすぐ連絡している、そういう体制になっております。
  104. 中野明

    ○中野明君 私心配しますのは、保安庁の方から資料をいただいて、廃油ボールの漂着の状況をいただいた資料の中では、五十六年も五十七年も別に上がってなかったわけです。それで改めてお聞きしますと後からまたおっしゃってきたわけですが、五十七年度だけを見ましても、やはり三千万円ぐらい出ているわけですね。ですから、ちょっと資料を出していただいても五十四、五十五、その次は五十八と、こうなっているわけですから、そうすると五十六年と五十七年は何にもなかったのかなと思っていろいろ聞いてみると、いや五十七年にはかなりありましたというようなことで、説明をお聞きすると後から出てくるというようなことでありますので、横の連絡はうまくいってないのかな、そういうふうに心配したもんですから今お尋ねをしているんですが、どうでしょう。
  105. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) お答えいたします。  先生指摘の件数でございますが、主なものということでございまして、一応規模の大きい千キログラム以上のものの資料を差し上げたわけでございます。海上保安庁の調査では、廃油ボールの漂着事件として取り上げたものとしましては、五十四年十一件、五十五年十七件、五十六年三件、五十七年三件、五十八年二件、こういうふうになっております。
  106. 中野明

    ○中野明君 いわゆる防除、清掃の認定額を見ましても、五十四年、五十五年、五十七年と大体同じぐらい金額が出ているもんですからね。ですから、おたくからいただいた廃油ボールの漂着の資料を見ても、五十六年と五十七年が抜けておったもんですから、後でまあお尋ねしたいことです。その点さらに横の連携を密にしていただいて実態の把握とともに、今後の対策ということが大事ですから。  それで、我が党が半年間かかって実態調査をして、私もこれを克明に見ましたが、非常に苦労して実態をつかみ出しております。このことについて、環境庁もそれから海上保安庁その他沖縄開発庁、何かの形で要請を地元の県の方でもいたしていると思いますし、皆さん方もこれをごらんになったと思うんですが、こういうことはやはり行政が積極的に乗り出して実態の把握をし、今後の事故の絶滅ということに力を入れていただかなきゃなりませんが、この間もお渡しし、いろいろ検討を加えてくださいということでお見せをしたわけですが、環境庁とそれから保安庁ですか、そして沖縄開発庁ですか、御感想をちょっと聞かしていただきたいです。
  107. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 私ども関係、先ほど先生がおっしゃいました廃油ボールによる汚染とサンゴの問題がございますが、こういった問題につきましては、今後さらに研究が進みますのを見守り、それに応じて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  108. 堀尾重雄

    説明員(堀尾重雄君) お答えします。  先ほどの廃油ボール汚染総点検について海上保安庁どう考えるかということについての御質問でございますが、海上保安庁としては、このような調査は国民の海洋汚染防止思想を啓発する上で有意義なものであるというふうに考えます。
  109. 中野明

    ○中野明君 開発庁
  110. 関通彰

    政府委員関通彰君) 沖縄開発庁といたしましても、廃油ボールによります汚染につきましては重大な関心を持ってきたところでございます。これまでも関係の水産庁あるいは海上保安庁等から状況等はお伺いいたしておりましたが、このたびまとめられました調査、非常に全般的に汚染の状況をおまとめになっておりまして、大変貴重な資料だと存じております。参考にさしていただきたいと思っております。
  111. 中野明

    ○中野明君 最後に大臣、この問題につきまして、これは沖縄県にとりましても毎年毎年減らないで、大してふえもしないようですけれども、被害が後を絶ちません。この問題について重大な関心を示していただいて、開発庁も県と密接な連携をとって万全の対策と、それから事故の絶滅に関係省庁と連携をとっていただいて手を打っていただきたいと思いますが、大臣の所見を聞いて終わりたいと思います。
  112. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お話を聞いておりまして、いろいろ調査研究をしていただいておることに敬意を表します。また、関係の役所もそれなり努力しておるようでございますが、国内船舶については内政上の問題、外国船舶についてはまた国際関係、いろいろ難しい関係があろうと思います。いずれにしても、原因の方を抑えませんとどうにもならないと思いますので、関係省庁とよく相談しながら対処をしてまいりたいと思います。
  113. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 南の方から北の方、北の方からまた南の方で申しわけございません。  過日、予算委員会の委嘱ということで予算のことについていろいろお尋ねを申し上げ、また今後のあり方等についても意見を述べたわけでありますが、総体的に財政の非常に逼迫した中ということでありますけれども、特別措置法までつくりながら現実は予算が非常に少なくなっている、減少傾向にある、こういうことで、大臣に申し上げましたが、それは私の就任前の話でなんということでしたけれども、就任前であろうが、まあそういうことなら来年はしっかり頑張るんだなということでこの前もお話はお聞きしておったんですが、今度、北方領土の返還要求運動については、大臣ももう現地に行かれましたし、また現地の方々のいろんな要望等についても御存じのとおり、もう戦後四十年近い月日がたっておりますし、二世、三世の時代に入るということで非常に難しい問題があります。それだけに、この灯を消してはならぬということで国内的な運動というものについてはいろいろ工夫されていることは御存じのとおりです。  しかし、現在の国内的な啓発、また国内での運動ということだけではやっぱり対外的な交渉、相手があるわけでありますから弱い。そういうことで、大臣も今度国連に返還要求の署名、こういうことで訴えようというお考えがあるようでありますけれども、あれこれ幅広く内外にわたって力強く運動を展開しなきゃならぬ。そういうことについて過日もちょっとお聞きしましたけれども、ひとつ力強い抱負のほどをまずお聞きをいたしたいと思います。
  114. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 北方関係、一月でございましたが視察してまいりました。今改めての御質問がございまして、視察当時のあの地域における元島民の方々あるいは地元方々の痛切なる要望を今思い出しておるところでございます。何といっても民族の悲願として返してもらわなければならないわけでございますから、これからも粘り強くこの運動を展開していく所存であります。  既に、御承知のように三千四百万名を超える署名運動が行われました。これは民間団体いろんな方々努力の成果でございまして、貴重な運動と私は考えております。また都道府県では県民会議が結成されまして、既に四十二県できております。そういったようなことで、総理府としては、政府広報もやっておりますし、今の県民会議の活動の強化あるいは北方領土を目で見る運動というようなことも推進しておるわけなんです。またお話のように、国際的な理解を深めることについても知恵を出したいというふうに考えておるところでございます。
  115. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置法、この法律によりまして国民世論の啓発それから元居住者に対する援護措置、そしてまた北方領土臨接地域振興、住民生活の安定、こういうことについてはこの法律で何とかやろうということであります。しかし、この実効性については相当御努力いただきませんと絵にかいたもちになってはいかぬということを過日予算面についていろいろ申し上げたわけでありますが、今大臣お話がありましたように、これは相手のあることですから、やっぱり国内的な盛り上がりと国際世論の啓発といいますか、こういうことが非常に重要であるということは大臣のお話の中にもございました。それは当然のことですが、私今日まで当委員会でも何度か申し述べてきたんでありますが、五十六年ですか、諸外国でここの北方領土をどういうように地図で記しているのか、こんなことについていろいろ申し上げました。五十六年にまた衆議院でもいろいろ御質疑があったようでございまして、その後、外務省で平和条約を締結している四十八カ国の中で、入手できなかった七つの国は別としまして、四十一カ国ほとんど日本領という明記がなかったという外務省の発表もあったんですが、間違いございませんか。
  116. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) お答え申し上げます。  その後いろいろと調査をいたしまして何回かそのチェックをいたしたわけでございますが、一番最新の我々の調査では十カ国、すなわち韓国、中国、西独、パナマ、ホンジュラス、パラグアイ、ボリビア、オランダ、オーストラリア、イラン、こういう国で北方領土を日本領というふうに地図に記されていることが判明しております。
  117. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 局長、それは現在外務省でわかっておる……
  118. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 現在でございます。
  119. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、今お話しのように、私がこれを申し上げたのは五十六年。で、これは五十七年当時ですか外務省で一回調べられて今度は周知徹底するように努力するという答弁もあったんですが、四十一カ国、それが十カ国減ったということです。まだ三十近い国が明記はされてないということです。外務省も限られた予算の中で一生懸命やっているんだと思いますけれども、現在のこういう広報活動について外務省では相当予算が組まれて、そしてこれはまあいつも当委員会でも言われていることですから、大使館を通じていろいろ広報活動なさっているんだろうと思いますけれども、外務省ではどのぐらいの予算でどのような活動を続けられていらっしゃるのか。五十六年からというと三、四年ですか、十カ国ということですから、これは外務省のお働きによってこうなつたのかどうかわかりませんが、そのように善意に解釈してみましてもなかなかちょっと時間のかかることだなと思うんです。  しかも、去年アメリカの大統領が日本に来るというときに、その大統領訪日の報道用の資料もこれは明記がなかったといいますか、こういう点について私ども最も関心を持っておりますことについての記述がどうもしっかりしてなかったということも報じられておりますね。こういう友好国として一番力になっていただけると思っておりますアメリカの中枢でさえもこういう認識ではという、こういうふうに思わずにはおれない。私は、まあ地図とか地球儀とか、それはっくるのはそれぞれの私企業でなさるわけですから、これが指導徹底ということはなかなか大変なことだと思いますけれども、これはやっぱり相当な粘り強い外交努力、それは外務省が直接というわけにはいきませんから、非常に手のかかることで、努力の要ることで、お金のかかることだろうと思うんですけれども大臣こういうことがあるわけで、これは本当に地道に一回やっていただかなきゃいかぬ、これは国内もしっかりしなきゃいけませんけれども、国際世論ということから見ますと非常な地道といいますか、力の要ることであり、これがまたなされなければ国際世論の喚起にはならぬ。まあ、国連での演説、これはしっかり頑張っていただかなければなりません。しかし、もっと足元といいますか、地道な活動がなきゃならぬ。こういうことで、外務省の現在の予算の中でどういうふうに現在進められているのか、その辺ちょっと御説明いただけますか。
  120. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 先生からただいまお励ましの言葉をちょうだいしたわけでございますが、私どももできるだけの努力を続けてまいっておる次第でございます。  先ほど十カ国と申し上げたんでございますが、そのほかにも最近二十二公館を通じまして各地にある地図の出版会社あるいは教科書等の改訂申し入れを行いまして、少なくともインドネシアとそれからトルコについては今後改訂する場合に日本側の申し入れのとおり改訂しようというふうな返答を得ておりますし、その他十数カ所においても、今後改訂の場合には我が方と協議するなり前向きに考えていきたいというふうな反応を得ております。したがいまして、相当の効果が上がっているというふうに考えております。  なお、外務省がこのために使いました予算でございますが、御承知のとおり、非常に外務省の予算は厳しい状況にございますために思うように使えない次第でございますけれども、従来、英文パンフレットを二種類、それから英語版の広報映画、「日本の北方領土」というのを作成いたしまして、それに約千四百万円を使っております。またそのほか、昭和五十六年度以降毎年、年ごとにこれまで三回北方領土返還促進国連使節団が派遣されておりますけれども、その費用の一部を外務省から補助金という形で援助をさせていただいておりまして、昨年は百八十万円補助金ということで出しております。  大体以上のようなことでございます。
  121. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣も、外務省そんなことかというんじゃなくて、閣僚の一員ですからしっかりひとつ、大変予算がなくて困っているようですから、ひとつ閣議なりまたこういう問題がありましたときに力強く御発言いただきたいし、推進をぜひしていただきたいと思います。  これは、国防とかなんとかという大きな面から言うといろんな言い方があるのかもしれませんが、私は当面する問題として申し上げているんですが、さっきいろいろ対ソ措置の問題についてはお話ございましたからあれですが、チェルネンコ政権になって何か新しい兆しが出るのではないか、こういう期待感もあったわけでありますが、新しいものが出るのではないかなんて待っているんじゃなくて、やっぱりそういうものをつくり出していくことが大事なんだろうと思います。そういう点では、日ソ事務レベル協議が始まったということはそれなりに大分評価できると思うんですが、この事務レベルで報道されていることは私どもは聞いておりますが、先ほどの話のように報道と事実は大分違うみたいな面もあるんで、公の席でまたきちっとお話をいただかなきゃならぬと思うんですが、この事務レベル協議の中で、地元方々が望んでおります北方墓参の問題、どういう話になったのか。それから漁船の拿捕問題についても、現在これは海上保安庁の方が実態を把握していらっしゃるんだと思いますが、現在何そう、そしてまた抑留人員は何人か、そしてまたどのくらいの期間か、そういうことの上に立って交渉でこの問題についてはお話し合われたのかどうか、そしてまたどうであったのか、こういう問題についてお聞きをしておきたいと思いますが、海上保安庁の方からちょっと。
  122. 姫野浩

    説明員(姫野浩君) お答えいたします。  北海道周辺海域におきまして昨年一年間にソ連に拿捕された日本漁船は十九隻、二百三十八人でございます。これを海域別に見ますと、道東海域が七隻五十三人、カムチャツカ海域が一隻十七人、北千島海域が八隻百三十五人、沿海州海域二隻六人、ベーリング海一隻二十七人となっております。また本年は、三月末現在三隻三十人がソ連に拿捕されております。
  123. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 今御指摘がありましたような事実がございますために、政府といたしましては、拿捕事件発生に際しましては、その都度ソ連政府に厳重に抗議いたしまして北方領土に関する我が国の立場を明確にいたしますとともに、拿捕漁船及び乗組員の即時釈放の申し入れを行っております。また抑留されておる漁民の方々についても、その即時釈放について機会あるごとにソ連に申し入れを行っている次第でございます。  なお、先ほど先生の御質問にございました第一点、墓参問題について一言申し上げますと、この点につきましては、先般三月モスコーで開かれました第四回の日ソ事務レベル協議におきましても、それ以前の三回の協議におけると同様に、北方地域及びソ連側から通報を受けたソ連本土の墓地のうち、これまで墓参が行われていない五カ所の墓参の実施につきましてソ連側の善処を求めた次第でございますけれども、ソ連側は人道主義の観点から日本側の墓参要請を肯定的に見るというふうには言っておりますものの、若干の墓地が外国人立入禁止区域である、そういうことが問題を複雑化させていると、また墓参はソ連の出入国手続を守って行われねばならない、そういうことを述べておりまして、今回は従来の立場を何ら変える兆しを見せなかった次第でございます。なお、この三月の協議におきましては、五十九年度の政府ベース墓参をこれまでの九月から繰り上げて七月ごろ実施できるようにソ連側の協力を要請してございます。
  124. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これも今日までもいろいろ御努力いただきながら少しずつ窓口が開いたり閉じたりということで非常に難しい問題で、これはひとつ大臣も外交交渉のその衝に当たるということじゃないかもしれませんが、地元へ行って強い要望のあったことだろうと思いますので、ぜひ外務省と連携とりながらこの問題についても積極的にお取り組みいただきたいと思います。  それから、さっき海上保安庁からお話ありましたけれども、拿捕問題、拿捕されている現状は話ありましたけれども、この問題については交渉した、申し入れをしたということですけれども、申し入れをして、その結果についてはお述べいただけませんでしたけれども、その後のことで何か申し入れをしただけで返答は何もないのかどうか、その辺どうなんですか。
  125. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 我々の申し入れに対しまして、ソ連側は現在抑留されている八人の人はソ連内の某所にいて元気であると、そういうことは言っております。
  126. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それからもう一つ、これは痛ましい話ですが、過日新聞の「声」の欄に出ておりましたですね、北千島の占守島の守備隊の方々が、もう八月十五日過ぎてからなんですけれども、いろんないきさつがあったようですが、いずれにしましても、この占守島で七百人の方々が戦闘に加わって亡くなったか行方不明になったということ、これが当時、当時というよりその前にいらっしゃった方なんでしょう。それらの方々の、この北海の地に眠る方々の遺骨は一体何とかできないのかという胸の張り裂けるような投書がございましたけれども、これは厚生省が担当なのかもしれませんけれども、こういう事実については政府としてもおつかみになっていらっしゃって、今日までも何らかの議題というか、交渉のいろんな話し合いの中では遺骨収集ということで、今までもソ連の問題についてはいろんなことをやっていますけれども、それらの遺骨収集の交渉の中に、占守島のこういう事実についてはお含みになって交渉に当たっておったのかどうか、そこら辺どうでしょう。
  127. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) 政府といたしましては、従来から機会あるごとにソ連側に対しまして、ソ連邦内で死亡した邦人の墓地に関する資料の提出方を要請してきております。その結果、これまでに二十六カ所の墓地の通報は受けたわけでございますけれども、御指摘の占守島に関する資料についてはまだ提出を受けていないというのが現状でございます。  遺骨収集の問題につきましても、これも日ソ国交回復以来ソ連に対しましてその実現方をこれまたあらゆる機会を利用して申し入れてきているわけでございますけれども、ソ連側は風俗、習慣の違いとか技術的困難等々を挙げまして我が方の要請に応じてきていないということでございます。まことに遺憾であると私ども考えております。  先ほども申し述べました第四回の日ソ事務レベル協議におきましても、我が方から今申し述べましたような未通報の墓地に関する資料の提供及びその遺骨収集の実施方をソ連側に要請しているわけでございますが、今後ともこの件につきましては機会あるごとにソ連側に申し入れていく方針でございます。
  128. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 どうも相手のあることで、外交事が多いみたいで大臣にお聞きすることが少なくて申しわけないんですが、全部関係あることですから。こういう痛ましい事実がまだ残っておるということで、まさしく戦後処理の終わらない大変な問題の一つであろうかと思います。  もう時間もありませんからあれこれのことをお聞きすることができませんが、どうしても一回より二回、二回より三回、この事務レベルそしてまた政治レベルといいますか、こういうことでの積み重ね、話し合いの回を重ねていくことが大事なことだろうと思います。今お話聞きますと、こっちからいろいろなことを申し上げても、なかなか進展というのは難しいことのようでありますけれども、それでもいろんな機会をとらえて進めることが大事だと思います。  グロムイコソ連外相の訪日ということについても、今までもいろいろ論じられていますが、報道なんかされておりますけれども可能性は一体どうなのか、これは外務大臣に聞かなきゃわからないことかもしれませんけれども、今後の国連の場等で話し合いのできる場もあるわけでありますから、積極的に話し合う、こういう外務省の方針だろうと思いますが、ひとつおわかりになりましたら、外交方針としてのことをまず聞いておきたいと思いますが、あと日ソ事務レベル協議ですね、これからの予定としては、何月にどういうふうにこれが予定されているのかということや、カピッツァ外務次官の訪日、こういうことがいろいろ取りざたされておりますけれども、この問題。それからパブロフ駐日大使の対日経済交流団または議員交流団、こういういろんな働きかけがあるということもいろいろ報道されておりますけれども、こういうことについての予定といいますか、人的交流ですね。過日の事務レベルでは文化的なことや人の交流やいろんなことが話し合われたようですけれども、私どもこれから一番の問題としてグロムイコ外相の訪日があるのかないのか。それから事務レベル協議はどういうふうに進展していくのか。外務次官が本当に来るのかどうか、来るとすればいつごろになるか。それからパブロフ駐日大使の言われた対日経済交流団、議員交流団、こういうものがどういうふうに進展するんだろうか。こういうことについては非常に大きな関心を持ち、そういう中から少しでも手がかりが得られる機会が、話の進展が新政権になってから何か新しいものが出てくるのかという、こういう関心があるわけなんで、交渉に当たられました局長、その他のことについて感触をひとつお伺いをしておきたいと思います。
  129. 西山健彦

    政府委員(西山健彦君) まず第一に、グロムイコ外相の訪日の問題でございますが、これは先生がまさしく御指摘のとおり、我々といたしましてはかねがね強くグロムイコ外相が来日されて懸案を解決して平和条的を締結するという交渉に入ることが日ソ関係基本的によくする大前提であるということを繰り返し申しているわけでございますが、先方はそういう雰囲気あるいは条件が整ってないということを言っておりまして、現在のところ来日がいつになるかははっきりとは申し上げられる状況にない次第でございます。  しかしながら、私どもといたしましては、そういう状況が厳しいだけに対話というものを拡大していきたいと考えておりまして、そのために私自身この連休の機会にソ連へ参りまして、今後の対話の日程と申しますか、段取りと申しますか、そういうものを先方と話し合ってまとめてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  その対話の中身につきましてはいろいろございますけれども政府レベルではかねがね懸案になったままになっております日ソの租税条約交渉というふうなところからまず始めていきたい。それから国連についての日ソの意見交換。それから九月になりますと外務大臣が国連総会に出席されますので、その機会にグロムイコ外相との間で日ソの外相会談を持とうと。それから最近国際問題の上で非常に大きなウエートを占めるようになりました中東に関する日ソの協議ということもある時点で取り行うように進めてまいりたい。さらに、貿易問題につきましても政府間の貿易経済協議というものをことしの秋には行うようにしたいというふうにいろいろ考えているわけでございます。このほかに映画祭の開催というふうな問題もございます。  それから、特に先生が御指摘になりました経済使節団の来日あるいは先方の最高会議、つまり先方の国会議員の来日の問題でございますが、前者につきましては、これは日本側の財界が今いろいろと御検討中と承知しておりますので、日本側の受け入れ態勢がまとまればこれは進んでいくものと存じます。我々政府の方といたしましては、そういう機会にいろいろと意見交換が行われることは、先ほど来申し上げております対話の強化拡大という観点から結構なことだと存じている次第でございます。それから議員交流の方は、これはもう第一義的に国会の方でお決めいただくことでございます私どもとしてはそれが実現すれば、これは大変結構なことだというふうに考えている次第です。
  130. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう時間であれですから。何度も申し上げておりますが、大臣、外交は相手のあることで、相手に我が国の世論というもの、こういうものをいかに理解させるかという地道な活動が大事だと思います。一生懸命それぞれの立場で総力を結集していかなければならぬだろうと思います。そういう点では大臣はまさしく外務省のいろんな働きの上に乗っかっていると言ったら語弊がありますけれども、そういう面も非常にあるんで、地域の問題についていろいろなことは過日申し上げましたからまた次の機会に譲りたいと思いますが、ぜひひとつ、ようやく何か人の交流ができつつあるという兆しもあるようでございますので、積極的にお取り組みいただきたい。大臣の一言決意か何か知らぬけれども伺っておきたいと思います。
  131. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 難しいだけにこれは繰り返すことを嫌がってはいけない、むしろ繰り返すことの中から糸口が開かれるというふうに思っています。人生万般そうじゃないかと思うのですが、特にこの問題については繰り返し繰り返し言うべきことは言う、なすべきことはなすということで実現を図ってまいりたいと、かように考えます。
  132. 市川正一

    ○市川正一君 本日私は、沖縄県民の生活環境問題を中心に論議をいたしたいと思います。  まず、基地周辺における住宅の防音工事助成でありますが、政府は一九七四年に制定された防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づいて、基地周辺にある個人住宅が実施する防音工事に一定の助成を行っております。ところが、地域指定の告示が数次にわたったために、後から告示されたいわば相対的に騒音の低い地域が助成の対象になりながら、爆音源に近い、つまり最も騒音のひどい地域が助成の対象にならぬという不合理な事態が生じております。政府はこういう実態を把握しておられるかどうか、まずその事実だけをお聞きしたい。
  133. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 先生指摘の点は十分認識しております。
  134. 市川正一

    ○市川正一君 こういう矛盾が典型的にあらわれているところとして嘉手納飛行場周辺の嘉手納町と北谷町があります。若干入り組んだ説明に相なりますが、大臣ぜひお聞き願いたいんですけれども、まず嘉手納飛行場の北側にある嘉手納町の場合は、一九七八年の十一月二十八日に第一種区域、WECPNL、うるささ指数とも言っておりますが、八十五以上、私ここに地図を持ってまいりましたが、この地図で言いますとこのグリーンの地帯なんです。そして第二種区域として同指数が九十以上、このピンクの部分なんです。そしてこれで町内の住君地域のほぼ全域が指定されたんです。その後一九八一年の七月十八日に第一種区域、指数八十以上、この草色の部分なんですが、この部分。そして八三年三月十日には町の庁舎などのある部分を第一種区域、指数七十五、このオレンジの小さい区域ですが、ということで指定をいたしました。こうして住宅区域全体がいわば全域指定を見たわけです。  一方、嘉手納町の隣の読谷村を見ますと、ここでは八一年の七月十八日に第一種区域、指数八十以上、残りの読谷村の住宅区域が八三年三月十日に第一種区域、指数七十五以上で指定されました。また嘉手納飛行場の南側にある北谷町では七八年の十二月二十八日に第一種区域、指数八十五です。第二種区域、指数九十、第三種区域、指数八十五、八一年七月十八日には第一種区域、指数八十、八三年三月十日には第一種区域、指数七十五。そのほか普天間飛行場との関係で八三年九月十日第一種、指数七十五で指定された。こういうふうに嘉手納飛行場を中心に騒音の高い地区から騒音の低い地区へと同心円状に広がっているわけです。  しかし、今非常に煩殖に過ぎるぐらい私あえて経過を詳しく御説明いたしましたが、区域指定告示に時差があります。タイムラグがあります。そのために公示以後に建築した住宅については助成対象外となるために騒音源に近い地域であっても、先に建てた住宅であるにもかかわらず助成措置が受けられない。ところが、騒音源に遠い地域で後に建てた住宅の方が助成措置を受けるという、地元の新聞報道の表現をおかりしますとドーナツ現象というべき矛盾した事態が起こっておるんです。非常に煩瑣な御説明をいたしましたけれども、長官、お聞き及びのようなこういう事態は整備法で言う「関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与する」、こういう趣旨に沿ってみると、これに即したものとお考えでしょうか、今お聞きになっていかがでしょうか。
  135. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 教えていただいてまことにありがたいのですが、ドーナツ現象、どんな経過か知りませんが、そういうふうになっているということでございます。  公平かどうかというお尋ねでございますが、素直に考えると住民感情の中にはいろいろ屈折したものが出てくることは当然じゃないかというふうに思います。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 屈折した感情、要するにこれは非常な矛盾なんですね。それはお認めになっていただいたと思うし、防衛庁もそういう事態になっているという事実は先ほど確認された。  そうすると、防衛庁にお聞きしたいんですが、こういう状況を放置されるんですか。これに何かやっぱり改善措置をとるべきだと思うんですが、その点はどういうお考えでしょうか。
  137. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 告示が三回にわたり実施されましたことは先生おっしゃるとおりでございますが、私どもといたしましては生活環境整備法の四条によりまして、告示の際現に所在する建物、住宅でございますが、これを対象とするということでございまして、告示の後からお建てになった方々に対しましては助成の対象にならないわけでございます。それで私どもの方は、嘉手納飛行場を含めまして全国的に非常に基地周辺の家屋の数が膨大でございまして、数字で申し上げますと、対象になる家屋が二十五万三千世帯ございます。それで五十八年の末までに十一万三千世帯に防音工事の助成をしましたけれども、まだ十四万世帯も残っておるわけでございます。法で認められます住宅の方の助成を現在も一生懸命やっておりますし、今後も一生懸命やっていかなければならないと存じております。わが庁といたしましても最大限の努力を払って、戸数の消化、まだ実施されていない方々の一戸でも二戸でも行き渡るように工事の助成に努めているところでございまして、先ほどの対象とならない住宅につきましては、当面対象とする考えはございません。
  138. 市川正一

    ○市川正一君 要するに、もう後からやったんだからこんなもの相手にせぬと、そういうことですね。それはほんまに沖縄県民犠牲にしてはばからぬ冷酷な答弁ですよ。ここにいらっしゃる同僚委員の喜屋武委員が質問主意書を出されました。それに対する政府答弁は、「当該住宅が区域指定の後障害を承知して建設されるものであるから」と、承知の上で建てたんだからどうなろうと構うておられぬと、これが日本政府の態度ですか。一体、嘉手納町にしろ北谷町にしろ米軍基地によってどんな状態に追い込まれているのか、あなた知っているでしょうが。政府は知っているんですよ。  私も去年の夏、本委員会調査団の言貝として板垣委員長を初めとして沖縄に参りました。そのとき嘉手納町にも立ち寄りました。また防音工事をした民家にも伺いました。その実感を込めて私申し上げるんでありますけれども、例えば嘉手納町は町全体の八五%が米軍基地で押さえられているんじゃないですか。北谷町も五七%が基地です。町民は基地の間で、あるいは基地の傍らの狭い地域に押し込められておるんです。ここに嘉手納町の地図を持ってきました。これが嘉手納町です。この広大なところがアメリカの基地です。そして住民は、町民はここへひさぐように押し込められているんです。だから、この町全体の面積、二・二三平方キロメートル、そこに基地を除いた、住民が住んでいる町です、面積です。そこに一万四千三百人以上の町民が住んでおるんです。したがって、人口密度は一平方キロ当たり六千四百人、異常な高さです。  ここに私、嘉手納町の町勢要覧を持ってきました。この町勢要覧には、「町面積の八五パーセントの土地が軍用地に接収され居住地域がせばめられたため宅地造成難をまねき、人口密度は異常なまでに高く、更に産業経済基盤は閉ざされ都市計画地域開発においても基地が大きな障害となり町発展の大きなネックとなっています」、こう町当局が訴えておるんです。ですから、町当局が住民のための町づくりをやってもどうしようもない状態になるんですね。やむを得ず海岸を埋め立てて住宅地をつくります。ここに写真があります。あるいは住民の施設をつくる。にもかかわらず、それがもう時間切れやいって助成対象にせぬのです。ですから、住宅防音工事してもそれが適用されぬのです。結局のところ、基地の騒音が嫌なら文句があるのやったら出ていけと。いわば追い出しに事実上かかっているにも等しい扱いじゃないですか。  これは北谷町でも同様です。地図がここにあります。これが北谷町です。住民が住んでいるのはここだけです。全部基地に囲まれておるんです。ですから、もう時間切れですというわけにいかぬのです、そこで生き延びるためには。砂辺という町があります。ちょうどここです。この北谷町の砂辺という地区で、県営住宅十五棟建っているんです。そのうち一号から五号までは告示までに建っていたので防音工事は済んでおるんです。ところが、六号棟から十五号棟までは、これは防音工事やられないんです、もうあかんのやというんです。こういう全く血も涙もない行政がやられておるんです。沖縄を愛するとおっしゃっている中西長官、こういう事態を何とかやっぱり是正せぬといかぬと私思うんですが、全く同感だとお思いでございませんでしょうか。
  139. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 同感だと思いたい気持ちと同感だと思いたくない気持ちと両方ございますが、ともかく問題は深刻なようでございますから、よく検討させていただきます。
  140. 市川正一

    ○市川正一君 本当に何も好きこのんでそういう基地の騒音のそばで住んではるんと違うんです、県民は、市民は、町民は。私らも板垣委員長を先頭にして行ってきたんです。その防音工事、装置をやった家のその実態を見てきました。防衛庁がもうそれは時間切れやと、はいそれまで、おまえは勝手にせいというふうな、それは私は政治じゃないと思うんです。今の長官のお言葉を胸に受けとめて、ひとつ長官ぜひこの問題の打開について関係方面といろいろの御努力を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
  141. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 検討した上で努力いたします。
  142. 市川正一

    ○市川正一君 もう一つの問題は、この防音工事と関連してクーラーの問題があるんです。  これもちょうど私ども行ったのが八月でしたから見てきました。沖縄は夏が長く、クーラーの使用時間も長いんです。ですから、これに要する電気代も物すごい負担ですね。防音工事はしたけれども、電気代がかさむためにクーラーを使わない世帯がふえているというのが沖縄の実態なんです。従来、私、政府答弁をずっと調べさせて読ませていただくと、政府も住宅防音自体の後での電気料金の補助というものは今すぐやるとは言わぬけれども、将来的には不可分のもんやということをいろんな形で表明されておられるんです。今夏場を迎えようとしているこのときに、ぜひ電気代の補助をこの機会に、電気代の補助というのはこういう基地の防音施設をやったところのそこの住宅の電気代の補助ですが、これをぜひ検討願う時期であると思いますが、段階であると思いますが、この点いかがでしょうか。
  143. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 先ほども申し上げましたように、非常に住宅防音の助成をしなければならない戸数が多いわけでございます。それで現在一生懸命工事の進捗に努めておるわけでございまして、住宅防音実施後のクーラー代の助成ということにつきましては、なかなかその余裕がございませんし、今後勉強させていただきたいと思っております。
  144. 市川正一

    ○市川正一君 アメリカ軍への思いやり予算何ぼあるんですか。あそこはもう至れり尽くせりじゃないですか、三沢にしろ。そういうところへは湯水のように銭をつぎ込んで、こっちの方は何ですか、勉強させてもらう。値切るいう意味ですか、その勉強するというのは。関西弁ではそう言うんですが。どうか長官が今さっきおっしゃったその立場であんたはそれこそ勉強してほしい。それで電気代の補助について言いますけれども、成田空港周辺の例があるじゃないですか。あそこでは成田空港周辺対策交付金から出しておる。制度的にはもう既にそういう前例があるんです、いろいろ経緯は別として。だから、なおさら基地の場合にはその気になって工夫すればできるんですよ、どうですか。
  145. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 運輸省関係の公共用飛行場の関係でございますが、これは航空機燃料譲与税とか飛行場整備交付金等の方から出ているというふうに聞いておりますけれども、これは運輸省全体の施策としてやられたことではないというふうに承っております。
  146. 市川正一

    ○市川正一君 そやけど、私が言っているのは、そういう実例が現にあるじゃないかということを言ってるのや。あなたもあるということは今認めたわけでしょう。だから、そういう例もあるんだから、問題はやる気があればもっといろいろ知恵も工夫もできるじゃないか、そういうことを言っているわけです。単なる勉強じゃなしに、ちゃんと答えを出して、ぜひ合格するような答案を出してほしい。  もう一つは、設置済みのクーラーの交換の問題ですが、例えば嘉手納の町あるいは北谷の町、七八年十二月二十八日設置してから六年近くたっております。沖縄使用時間も長く塩風も当たるので、今日もう使用にたえなくなってきているものも出てきておるんですね。こういう状況もとで、この取りかえば、私は国が責任をもって当たるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  147. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 老朽化いたしましたクーラーの取りかえにつきましては、事柄として理解できますので、今後検討いたしたいと思います。
  148. 市川正一

    ○市川正一君 理解できるので検討するということは、いわば実態を踏まえて、やはり住民の要望にこたえるように前向きにいろいろ検討するという意味ですね。そう受け取ってよろしゅうございますね。
  149. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) そういうことでございます。
  150. 市川正一

    ○市川正一君 わかりました。防衛庁頼みますよ。私、限定された時間なので次の問題に参ります。  次は、沖縄における国民健康保険制度の運用に関してでありますが、まず保険料なんですが、全国平均沖縄県平均で額をお聞かせ願いたいと思うんです。
  151. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 沖縄平均、沖縄県の各保険者の国民健康保険税の保険料の額の平均でございますが、沖縄県の場合は一万九千三百七十五円、これは一人当たりの年間の保険料でございます。それから全国平均では、三万五千二百九十九円という数字になっております。
  152. 市川正一

    ○市川正一君 あわせて保険料の収納率を全国平均沖縄県について伺いたいと思うんです。
  153. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 収納率は沖縄県の場合が平均で八八・二%、全国平均では九三・六%というふうになっております。
  154. 市川正一

    ○市川正一君 今お聞きしましたように、保険料の平均額もその収納率も全国水準から見ますと沖縄が低い。もっと端的に言えば四十七位、全国最下位というふうに言わざるを得ない状態なんですが、その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  155. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 一人当たりの保険料の額というものは、いわば所要の医療費によりまして必要額が変わってまいるわけでございますので、沖縄県が一番保険料の平均が低いということは、逆から言いますと、医療費というものが低いというのが一つ最大の原因だろうというふうに思います。それからもう一つは、やはり沖縄県の場合は所得状況というものが相当低いということも事実でございますので、そういったことの反映もそこにあらわれているというふうに見ていいのではないかというふうに思います。  それから収納率の問題でございますが、これは全国的に見ましても平均では九三・六%というふうになっておるのでございますが、低いところになりますと九〇%を切っているようなところもございますので、特に都市部等が収納率が低いという実態がございます。この収納率というのがなぜばらつきがあるのかということでございますが、一口で説明するにはなかなかむずかしい問題がございますが、大きな原因といたしましては、やはり全体的に見まして所得の伸びというものと医療費の伸びというものとの差がございまして、特に四十八年度以降医療費が非常に伸びた時期がございますので、その間に所得の伸びとの比較で医療費の伸びが大きくなっておりますので、相対的に負担のしんどさといいましょうか、負担というのが非常に大変になっているというのが一つの原因。それからもう一つは、やはり都市化といいましょうか、というものが進んでまいりますと、人口の移動その他が激しくなりますので、そういったような面でいわば被保険者の資格把握等が必ずしも十分にいかないような面も出てくるということも収納率の問題に影響してくるというふうに見るべきではないかというふうに考えております。
  156. 市川正一

    ○市川正一君 かなり多面的に御説明賜ったんですが、私の意見ではそこに沖縄一つの縮図があらわれている。言いかえれば、非常に根本的には県民所得が全国の約七割の水準である。失業率は二・九%で全国の二倍以上になる。そういうふうな沖縄のいろいろな置かれている困難な状態、特にそれは先ほど嘉手納その他を申しましたが、米軍などによって主要な地域が奪われて、そして沖縄経済が非常にゆがんだ形で押えつけられているということの反映であると私は思うんであります。  そこで伺いたいんですけれども、最近沖縄で国民健康保険料を滞納しているために保険証が交付されないという例が出ております。その結果、病気になっても病院に行けないという事態がいろいろ私報告を聞くんでありますが、もとより保険財政が加入者の保険料収入を財源としていることはよく承知をしております。しかし、保険料の滞納を理由に直ちに保険証を発行しないというやり方は、これは人道上から見ても問題があると思うんですが、いかがでしょうか。
  157. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 沖縄県においてどのようなケースがあったのか今詳しくは承知してないわけでございますけれども、したがいまして一般論にならざるを得ないんで御勘弁いただきたいと思うのでございますが、一般的に申し上げますと、被保険者証の交付というものは保険料が滞納されておるということだけの理由でこれを交付しない、交付を拒否するというふうなことは本来あるべきではないということに思っておりますし、そういったふうな事例はないのではないかというふうに考えております。ただ実際、保険といいますのはやはり保険料で成り立っておるのは先生も御存じのとおりで、御指摘のとおりでございまして、やはりみんなが保険料を納めるというふうな、大変か大変でないかは一応別にいたしまして、そういったふうなことで初めて保険というのは成り立つわけでございます。一人でも二人でもそういったふうなことを理解されないケースが出てまいりますと、保険というのは崩れてまいりますので、やはり全体のできるだけ一〇〇%に近い被保険者の方に保険料を納めていただくようにあらゆる努力をするということも、これまた行政としての一つの当然の責務ではないかというふうに考えておるわけでございます。  実態として、被保険者証の交付の際に保険料を滞納されておる方々につきまして、こういったふうなケースといいますのは往々にして住所を移転されている方とか、あるいは何といいましょうか、正当な手続きをしてない方あるいは所在にいないとかという方が多いものですから、資格の面で十分確認する必要があるというふうなケースが多いわけでございますので、こういったふうな方々については窓口の方においでいただきまして、一般的には郵送等も行われているわけでございますけれども、滞納者とかあるいは住所がどうもはっきりしないというふうな方々につきましては、窓口に直接おいでいただいた上でお渡しするようにしておるというケースはございます。そういった際に保険料の納付方についても御説明をし、できるだけ早期の納付というものを要請をするというふうな取り扱いは、沖縄だけでございませんで数多くの市町村で実態としてあるということも事実でございます。
  158. 市川正一

    ○市川正一君 滞納だけで発行しないというのは適切でないという冒頭の御答弁が大事なんです。  そこで、しかしそのことは地方自治体だけの責任にするわけにいかぬのですね。そうせざるを得ない事情というのがあるんです。国は収納率の高低によって調整交付金にペナルティー的な措置をとっていらっしゃるのですが、数字だけで結構ですから、収納率に対して何ぼカットするか、もう私時間がないんで、あと一問になりましたので簡単にやってください。
  159. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 収納率に応じた、これは調整交付金の何%のカットということでございますね。全体の定率の分は、大多数が定率でいっているわけでございますが、それはいっておりますので念のため申し上げますが、調整交付金のカット率は収納率が九〇%から九〇%未満が五%、それから八〇%から九〇%までが一〇%、七〇%から八〇%が一五%、七〇%未満が二〇%の調整交付金の額から今申し上げた率でカットするというふうなことになっております。
  160. 市川正一

    ○市川正一君 そこで、最後に長官にお伺いしたいんですが、今の基準から言いますと、沖縄県は調整交付金の一〇%カットに相当するところがもうほとんどなんです。例えば那覇市は収納率が八三・五%、また沖縄市も八六・一%、名護市も八九・一%、糸満市が八二・五%、豊見城村が九〇%、だから大部分の自治体が交付金の一〇%カットということになっていますね。各市町村はそういう苦しい財政の中からでも保険財政の赤字を埋めるために毎年相当額を一般会計から繰り入れしているわけです。  そこで私は、そういういろんな沖縄の苦しみを前提にして、保険証の再発行停止は人道上の問題としてもやっぱりやってはならぬというふうに思いますし、同時に沖縄の市町村のこういう財政状態を考えてみますと、そうせざるを得ない自治体の窮状もあるわけですね。そこで、こういう実際にあったということは厚生省の方は御認識なすってないかもしれませんけれども、新聞報道でも出ているんです、沖縄の現地では、再交付されてないと。私はそういう県民の命にかかわる、暮らしにかかわる問題として、長官として何らかの積極的な手を打たれるべきであるというふうに思うんでありますが、所見を最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  161. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 今のお話もそうなんですが、沖縄開発庁の権限に属する事項とそうでない事項いろいろございます。そういった意味で、今当面の保険料云々のお話につきましても、責任を持ってどうするということは申し上げかねるのですが、実情をよく調べまして関係省庁と相談をしてまいりたいと思います。
  162. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 日本とアメリカの関係を私にこう言った人がおるのであります。アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引くんだと。ところが風邪の菌の理解の薄いおやじのためにその風邪がこじれて、それが広がって沖縄に吹きだまって沖縄県民は猛烈な風邪に侵されて大変困っておる、かわいそうだね、こう言った人がおるのであります。私もなるほど傾聴に値する言葉であると思っておるわけなんです。  そこで、なぜ私がこれを言っておるかといいますと、沖縄の置かれておる立場について、私は総理にもただしました、外務大臣にもただしました、運輸大臣にもただしました、そして農水大臣にもただしました、防衛庁長官にもただしました。ところが、はね返ってくる言葉はみんな同じなんです。ニュアンスの違いはありますけれども、結局抑止力に必要だから、役立つから、安保が、地位協定が、こういう形ではね返ってくるのが皆さんの喜屋武に対する答弁なんです。  そこで私は、沖縄理解し、沖縄に関心を持たれる、愛情を持っておられる窓口の責任者の開発庁長官は、どうしてもこのはね返ってくる同じ一線上の姿勢では沖縄も救えない、県民が救えない、風邪も治らない、こう思ってどうしても一歩でも抜け出してもらいたい。こういうことで、今沖縄に何が起こっておるか、こう私が問いましたら長官は選択にお困りだと思います、余りにも問題が多過ぎて。  それで、ひとつここに具体的に、「米特殊部隊・トマホーク配備に抗議し即時中止を要求する決議」、県民の心を集約したマスコミ、新聞社は、「沖縄が核戦争の危険に」「「特殊部隊」に抗議 トマホーク配備も糾弾」そしてまたもう一つには、「米特殊部隊・トマホーク 配備阻止、一歩も退かぬ」「県民大会、日米を糾弾」このように県民の心を集約して打ち出しておることは重々御承知だと思うんです。トマホークは沖縄だけの問題ではないわけですけれども沖縄にも重大なかかわりがあるということを忘れてはいけないと思います。  そういう意味で、しかもこの声をひっ下げての一部のはね上がりではないということは重々御承知だと思います。まず読谷村長を中心に、読谷村民が村ぐるみの立ち上がりを始めております。県議会では与野党完全に一致してこの問題を決議して抗議しておりますね、この問題というのは特殊部隊の。それから各市町村も市町村議会で次々と右へ倣えをして決議をしつつあるさなかであります。この要請は開発庁も要請を受けておられますね。ですから、それに対する心得はできておられると思います。すなわち県民総決起大会の名において要請をしておるわけでありますから。そこで、ひとつそれに対する、もうきょうは具体的に掘り下げる時間もありませんし、そこは遠慮いたしたいと思いますから、今申し上げたことに対する長官の姿勢をひとつ伺いたい。
  163. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お話の文章も手元にございます。精査してよくは読んではいないのですが、この文面ずっと見ますと、私ども開発庁の所管にかかわることそれからかかわらないこと両方あるわけでございます。そういうことで、これに対して全体にお答えできる立場にないということは御理解いただきたいと思います。  以上のようなことを踏まえて申し上げるのですが、沖縄県の県民の方々本土とは違った意味合いでの条件のもとにおられるということについては十分理解できるわけでございます。そういう理解の上に立って、全般的に沖縄開発経済振興開発について我々開発庁としては全面的に協力してまいりたい、かように思います。  お話しの特殊部隊あるいはトマホークというような問題もございますが、これは開発庁という立場でなしに閣僚の一人として申し上げますと、これはやはり我が国の安全保障の問題とかかわる問題であり、国を守るということも大変重要なことでございますから、そういった意味で、沖縄にいろいろな負担がかかっておるということもよく理解できます。しかし、だからといってこの特殊部隊あるいはその他の問題について直ちにそれに対してどうこうということも言いがたい、むしろ安全保障上必要があるのならばやむを得ないのではないかというふうにお答えをするわけでございます。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 かかわりがないとおっしゃったことに私は抵抗を感じます。ということは、日本政府体質を変えてもらわない限り沖縄問題は前進しない、これが一つのポイントです。ところが、長官は政府における重大な責任の立場にある閣僚のお一人であられるということならば、どうしても沖縄問題に関しては、特に政府内の考え方、姿勢を変えていく重大な責任があられるということを忘れぬでいただきたい。そしてかかわりがないというその問題を、具体的にそれぞれのかかわりがある省がありますが、かかわりはそれにはないけれども、かかわりのとれるその分野においてはぐんぐん切り開いていくという、先ほども意思の表示を伺えるわけでありますが、どうかそういう両面をあわせて沖縄問題解決に邁進をしていただきたいことを要望も添えて申し上げておきます。  次に、農水省に尋ねたいことは、日米農産物交渉においてガット十三品目については決着がついた、こう承っておりますが、その合意内容を明らかにしていただきたい。そして特に、沖縄関係のあるパイナップルの問題が非常に重大なかかわりを持ち、また県民、生産農家が重大な関心を持っておるわけでありますので、伺いたいと思います。
  165. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) お答え申し上げます。  十三品目の合意内容ということでございますが、私ども果樹花き課でございますので、果樹花き課の所管物資だけに限らしていただきたいと思いますが、私どもの方は、ピューレ・ペーストとそれからパルプ、果汁、そしていわゆるパインの調整品、これを所管いたしております。  それでピューレ・ペーストにつきましては、かんきつとかパイン、ここにもパインが入っております、パイナップル、桃、リンゴ、ブドウというものはこれは自由化はできないということで、こういうものを除いたその他の、中心になりますのは熱帯産果実でございますが、そういうものについて一部自由化をいたしましたが、国内産に生産があるものについては自由化をいたしませんで、全体の枠といたしまして二千トンの範囲内で入れるというふうな合意内容でございます。  それから同じくパルプでございますが、パルプも同じ思想でございまして、かんきつ、パイナップル、桃、リンゴ、ブドウ、これは要するに自由化はできないということで、これもやはり枠拡大、枠の範囲内二千トンということにとどめてございます。  それから一番問題でございますパイナップル缶詰でございますが、やはりパイナップル缶詰は前にも先生から御指摘がありましたように、沖縄県の農業並びに産業にとっても非常に大事だと考えておりまして、これは強くアメリカ側に主張いたしまして、現在二年間入れておりますのが九十万ケースでございますが、それが私どもも今日入れられる限界ではないかと考えておるわけでございまして、九十万ケースをアメリカに主張して、今回の合意はこの九十万ケースになっております。前回のときは八十万ケースが一つの下限とする数でございましたが、今回は九十万ケースを上限とする、つまり九十万ケースを努力するという数字になっておりまして、これは現状にとどめ得たというふうに考えております。ただ、これからはかなりいろいろとやはり厳しさが増してくると考えておりますので、我々としては沖縄産のパインがさらに安定的に生産されるような、そういうものをぜひ努力してまいりたい、こう考えております。
  166. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、十万ケース枠がふえたということなんですか。
  167. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 前回の三年前の合意内容からいたしますと十万ケースがふえたという感じになりますが、実態から申しますと、全体が二百五十万ケースが現在国内で消費されております。その二百五十万ケースのうちに、沖縄生産していただいていますのが百万ケース、それから冷凍パインというのがございまして、冷凍パインの方からパイ缶がつくられておりますのが六十万ケース、それに輸入物が九十万ケース、これで二百五十万ケースを全体賄っているわけでございます。その九十万ケース、現状水準にとどめた、こういうことでございます。
  168. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 農水大臣も、アメリカに行かれる前に農水委員会でもずっと質疑いたしましたが、日本の農業を守るんだ、これを一貫して持っておられますね。そこで長官、沖縄の農業を守るんだと、こういう立場から沖縄のパイナップル産業をどのように持っていこうと考えておられるか、お聞きしたい。
  169. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) パイナップルは、申し上げるまでもなく沖縄における基幹作物の一つでございます。とりわけ沖縄本島北部及び八重山地域におきましては、パイナップルが基幹的作物として農家経済上重要な地位を占めておるわけでございます。パイナップル缶詰につきましての今回の措置は、沖縄におけるこのようなパイナップルの位置づけから従来どおり非自由化品目として取り扱うとともに、輸入枠についても、今農水省の方からお話がございましたように過去の割り当て実績を維持することとなったものでございまして、これによる沖縄パイン産業への影響は非常に少ないものと私ども考えております。  なお、今お尋ねのパイナップル産業振興につきましては、今後とも優良品種の導入、改良、栽培技術の改善などを進めまして生産性及び品質の向上を図りながら、需要の動向に応じた生産を図っていくことが重要であると考えております。
  170. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、責任者は長官ですが、今の報告に基づいて、やはり沖縄の基幹作物はサトウキビとパイナップルである、だからパイナップルは変わりなく守っていくんだということなのか、あるいは多様化によって少しは後退してもよろしいとこういうお気持ちなのか、どっちなのか。
  171. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 御心配のないように、九十万ケースが上限ということでございますし、品種改良あるいは栽培管理、いろいろ努力することによって、今よりもパイナップル産業を八重山あるいは本島の北部でもっと活発に農民の方々が富んで取り組むことができるようにしたい、かように思います。
  172. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 農水省、もう一遍聞きたいが、聞くところによりますと、アメリカからの側圧といいますか圧力があると聞いておりますが、ところが相当今のパイナップル産業を守るためには、いわゆる上限下限をおっしゃったが、沖縄の土産としてどうしてもこの線を守ってくれないと困ると、こういうことがあるのではないかと思われますが、いかがですか。
  173. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) おっしゃるとおりだと思っておりまして、私ども今一番心配しておりますのは、沖縄のパイナップル産業が間々しますと百万ケースを割ろうという、そういう生産になることがございます。これは私どもは大変困ると考えております。やはりぜひ百万ケースという生産量は安定的に維持していただきたい。やはりそれが今後対アメリカに私どもがいろいろと交渉する際もぜひとも必要なことである。そうかと申しまして、全体の需要が余り大きく伸びておりません、むしろ全体から言いますと停滞ぎみでございますので、また著しく伸ばすことも基本的に問題があろう。ですから、やはり安定的に、そして合理的に生産していただく、これが大事だ、こう考えます。
  174. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 よくわかりました。次に移ります。  次の問題は、長官の所信表明の中にも強調されておりますし、また長官も強調しておられますが、開発金融公庫の果たす役割というのは、今日の沖縄が十年を締めくくってこのようになったのもいろいろな要因はあるわけですが、開発庁の予算もあるが、金融公庫の役割というのは非常に大きいことはもう今さら申し上げるまでもない。ところがその中で、せっかく予算はあるけれどもなかなかそれがはけ口がうるさくてだぶついておる、思うほど利用していない、こういう声も聞くわけですが、このことは岩瀬公庫理事長のお言葉にもよくあらわれておりますが、沖縄の若者たちは研究開発企業に非常に意欲を持っておる、ところがやっぱり資金の借り入れに困難点があるということを聞いた、こういうコメントをしておられるんですね。ですからお聞きしたいことは、どういうところに困難点があるのか、ならばそれをどのように改善していこうと思っておられるのか、そのことを伺いたいと思います。
  175. 関通彰

    政府委員関通彰君) 沖縄公庫の資金をできるだけ地元で活用していただきまして振興開発に結びつけていただきたいということで、公庫もこれまでできるだけ手続の簡素化等に努めてまいってきておりますし、沖縄開発庁もそのように指導してきたところでございます。  基本的には、公庫の手続は本土の住宅公庫その他の本土公庫と全く同様の手続を採用しているわけでございます。手続が難しいのじゃないかというようなお話が出ますのは、やはり公庫の融資はその性格上通常の金利より非常に安い特利の融資をいたしておりまして、そういう非常に特利の融資をいたします場合、例えて申しますと、電気事業、ガス事業等でございますと事業について通産省からの書類が必要である、あるいは中小企業の改善資金等でございますと商工会議所の推薦が必要であるというような手続がございます。これらも特利制度を採用しております以上最小限度必要なものは出していただかなければならないわけでございますが、一般的に申しまして、手続が公庫だから非常に通常の融資に比べて難しいというものではないというぐあいに私ども考えております。しかし、公庫では内部にこのための特別の委員会ども設けておりまして、これまでも事務の簡素化あるいは制度の周知等に努力をいたしてきておりまして、今後とも改善は続けていくというぐあいに公庫も申しておりますし、私どももそのように指導していきたいというぐあいに考えております。
  176. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 せっかくの公庫であり、またその目的を最高度に発揮していくためにはどうしても利便を図ってもらわなきゃいかぬ、この点ひとつ絶えず改善をしていただきたい、これも要望いたしておきます。  それから五十七年度の貸付実績をちょっと見てみますと、総額貸し付けば千百七十億になっています。ところがそれを分析しますと、住宅資金が四百九十億で四一、九%、産業開発資金が三百三十九億で二九%に、それから中小企業資金が二百五十四億で二一・七%、農漁業資金五十六億で四・八%、それから医療・環境衛生資金が三十一億で二・六%、こういうデータが出ておりますが、私が特に注目したいのは、農漁業資金が五十六億で四・八%の位置づけしかないという、私はこれに重点を置くことが豊かな沖縄づくりにつながると見ておりますが、長官いかがでしょうか。
  177. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 融資額が先生おっしゃるように全体の貸し出しの中でシェアが少ないというのはそのとおりなのですが、借りる側の設計あるいは将来に対する意欲、そういうものと両方が相またないと貸したくても貸せないということもありましょう。そういうこともございますので、私自身は沖縄県にとっては一次産業というのは大変重要なウエートを持つべきだと思っております。それだけに、一次産業に従事する方々に対して技術の展開のための援助をする、あるいはいろんな情報を集中的に沖縄の第一次産業従事者の皆さん方に提供する、いろんな形で沖縄県の特性を生かした第一次産業を伸ばすということには努めたいと思います。そういったことで、下地ができてきてお金を借りたいということの行き足がついてくれば公庫の貸し出しもおのずからふえていくのじゃないかというふうに思うのでございますが、県当局あるいは所管の農林水産省等ともよく相談をしてまいりたいと思います。
  178. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 豊かな沖縄をつくるには三つの柱を大事にしなければいかぬ。一つが農漁業の振興、それから中小企業を守る、地場産業育成する、この三つが定着をして伸びていく中から豊かな沖縄が生まれる、こう私は思うわけですね。そういう考え方からこの実績を分析した場合、特に農漁業の比率が落ち込んでおるというところに疑問を持たざるを得ないわけですので、以上意見も添えて今後の御検討をお願いしたい。  次に、これは森林、緑との関連において今問題になっておることがございます。それはタイワンカブトムシが沖縄の五十八号線のヤシ並木、それからずっと北に走って恩納を通って名護、そしてその名護—恩納の両翼には数々のゴルフ場がございます。そのゴルフ場にもココヤシの並木がいっぱい植えられておるわけなんですね。そういう状況の中でタイワンカブトムシが猛威を振るってヤシの木が死滅する、こういうことでありますので、私この前の農水委員会でそのことを尋ねましたら、建設省の方が、国道ですから、何と言ったかというと、パトロールをしたけれどもそういうのは見つからなかったという返事をもらったんですよ。それじゃおかしいんじゃないか、ここにちゃんと新聞に写真入りでこうして「褐色のヤシも」と、そう出ている。「恩納村北部にも飛び火」と。ここに、今に、手を打たなければ枯れてしまうだろう、急を要する対策を講じなきゃいかぬと新聞もちゃんと報道しておるんですよね。それを、パトロールしたが一つも見つからなかったという、この答弁に私は疑問を持つわけなんです。それで、やっぱり沖縄開発の責任者たる長官を中心として、この実態をどのように調査され、そして手を打っておられるのか、また打とうとしておられるのであるか、そのことをお尋ねしたい。
  179. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 私どももタイワンカブトムシによるヤシ類の被害が生じておるということはよく承知しておるところでございますが、ただいまお話の国道五十八号線、恩納村の地先の国道の街路樹については、枯死したものはないという報告は受けております。ただし、これまた調べましたところ恩納村では、沖縄グランドパークというんでございますか、この中で被害が生じておると、こういうことは聞いております。いずれにしましても、私どもまだ一般的な調査をこれは行っておりません。関係機関からの情報を得ただけでございますので、これから県の方と連絡をしまして、被害状況調査した上で、防除対策どういうものが有効であるのかということを検討してまいりたいと、かように存じております。
  180. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 こういった病害虫というのは一刻も早く対処しなければ遅きに失する。同時に、転ばぬ先のつえということも非常に大事であると思うんですね。だから災害を復旧するということと、今度は災害を予防するという両面は表裏一体である、表裏一体である。こういう意味において関連的にそれを受けとめなければいかぬ。手を打つには予算が必要である。それを実は探り当てておる財源を、これは当たっておるかどうか知りませんが、もう時間がありませんので、私から進言しまして御検討をお願いしたい。  開発庁予算に植物防疫費という費目がありますね。その中にまた、特殊病害虫特別防除費補助金というのがありますね。それが五十九年の予算によると、総額約十一億六千九百万ございますね。で、国費が十一億三千九百万ありますね。これは主体としては、ウリミバエやミカンコミバェ、ああいったのを中心に補助する対策費だと思うが、それからでもおすそ分けをして、これに対策を講ずる予算に充ててもらう。こうでもしてもらわぬというと、あれよあれよという間にみんなすっからかんに枯れてしまう。こういうことを思うときに、ぜひひとつお願いしたいんだが、長官いかがでしょう。
  181. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 先生の御提案よくわかるわけでございますが、現在の、今御指摘の植物防疫対策費の特殊病害虫は、今おっしゃいましたウリミバエ、ミカンコミパエのほかはアフリカマイマイが入っているだけでございまして、このタイワンカブトムシというのは入ってないわけでございます。入ってないからいいというわけじゃございませんで、ただいま申し上げましたように、被害状況を把握しないといけません。それからまた、このタイワンカブトムシにつきましては、被害木の伐倒、焼却、それからまた農薬の散布のようなことをやっておるだけで、今のところ特に有効な防除対策というものができてないというぐあいに承知しております。そこで、繰り返して申し上げますが、沖縄県と連絡をとりまして、被害状況を把握しました上で、また有効な防除対策を練らなきゃいけないわけでございますから、農林水産省とも十分協議をしてまいりたい、このように考えております。
  182. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 農水省も傍観的に見てもらうだけではいけませんが、いかがでしょうか。
  183. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 率直に申し上げまして、植防課の方の所管でございまして、私は同じ農蚕園芸局でございますので、きょうの先生の御趣旨を植防課長によく伝えます。
  184. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、時間ですから終わります。
  185. 板垣正

    委員長板垣正君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会