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1984-06-21 第101回国会 参議院 運輸委員会,地方行政委員会,建設委員会,環境特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十一日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。    運輸委員会     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                目黒今朝次郎君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    地方行政委員会     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 吉川 芳男君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 神谷信之助君    建設委員会     委員長         青木 薪次君     理 事                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 村田 秀三君     委 員                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 工藤万砂美君                 志村 哲良君                 福田 宏一君                 二宮 文造君                 馬場  富君                 安武 洋子君                 山田  勇君    環境特別委員会     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 飯田 忠雄君     委 員                 梶木 又三君                 藤田  栄君                 星  長治君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 片山 甚市君                 高桑 栄松君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        建 設 大 臣  水野  清君        自 治 大 臣  田川 誠一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稲村佐近四郎君    政府委員        警察庁警備局長  山田 英雄君        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁長官官房        審査官      大塩 敏樹君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君        国土庁土地局長  永田 良雄君        国土庁大都市圏        整備局長     杉岡  浩君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省自動車局        整備部長     丹羽 一夫君        運輸省航空局長  山本  長君        建設省計画局長  高橋  進君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  田中淳七郎君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       田井 順之君        自治大臣官房審        議官       津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君        常任委員会専門        員        村上  登君        常任委員会専門        員        田熊初太郎君        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        水産庁漁政部協        同組合課長    樋口 健夫君        水産庁振興部沿        岸課長      窪田  武君        水産庁研究部漁        場保全課長    山添 健一君        運輸省港湾局技        術参事官     藤野 愼吾君        運輸省航空局飛        行場部長     松村 義弘君        運輸省航空局飛        行場部関西国際        空港計画室長   小坂 英治君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関西国際空港株式会社法案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————    〔運輸委員長矢原秀男委員長席に着く〕
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会地方行政委員会建設委員会環境特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、運輸委員長であります私が連合審査会会議を主宰いたします。  関西国際空港株式会社法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料のとおりでございますので、御了承のほどをお願い申し上げます。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 片山甚市

    片山甚市君 私は、いわゆる新空港政府の今日までの対応で特殊法人特殊会社として建設されることについて大いに疑問があり、慎重の上にも慎重な審議を通じ、懸念される諸問題のすべてが解明されない限り、将来に大きな禍根を残すことを恐れるものであります。みずからその政治的責任を痛感するがゆえに、この際あいまいな官僚答弁はお断りをし、適切、簡潔で責任ある答弁を冒頭に要求しておきます。  特に私は、環境保全重視の立場から、以下質問するものであります。  一つは、環境基準達成状況についてお尋ねいたします。  昭和四十八年十二月環境庁が告示した「航空機騒音に係る環境基準について」は、達成期間を最長十年としておりますが、その期限も昨年の十二月であったと思います。その達成状況調査結果はどうなっておるか。
  4. 林部弘

    政府委員林部弘君) お答えいたします。  昭和五十八年十二月末に達成期限が到来しております飛行場につきまして、先般、達成状況の把握をいたしました。公共用飛行場でございますが、昭和四十八年当時と比較いたしまして、七十五W以上の騒音影響区域が半減するところがあるなど、大幅な騒音改善傾向は見られますけれども、十五飛行場のうち屋外の環境基準達成されている飛行場は二飛行場でございます。一方、民家防音工事が行われておりますが、その実施率は五十八年十一月末現在で七三%というような状況でございます。
  5. 片山甚市

    片山甚市君 特に大阪空港騒音値は、他の空港と比べてどういうことになっておるか。達成状況についての資料を説明してもらいたい。
  6. 山本長

    政府委員山本長君) お答え申し上げます。  環境基準で定められております十年期限の到来を機に調査をいたしまして、大阪国際空港におけるその実施状況について、その結果を申し上げます。  五十八年度末までのいわゆる環境基準達成のための一番大きな仕事でございます民家防音工事実施率でございますけれども、五十八年度末までの民家防音実施率は、民家防音世帯に対しまして七一・五%と、こういう状態になってございます。先生お尋ねの今後の問題でございますが、大阪国際空港については、これまで非常に多額の、合計いたしまして四千三百億円という多額の費用を投じまして、周辺対策実施してきたものでございます。  なお、ただいま申し上げましたように未実施のものがございます。現在、七十五WECPNLの範囲にございます世帯について、鋭意できるだけ早く、これの希望者については全世帯完了するように努力をいたしておるところでございます。私たち計画といたしましては、六十年度末までには希望者に対してこれが実施し終えるように実施いたしたいという方針で今後臨んでまいりたい。予算面についても、そういった予算が組めるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、大阪国際空港については、民家防音工事だけの問題ではなく、周辺における緑地整備の問題等々、諸般の問題をまだ抱えております。私たち大阪国際空港における騒音問題はまだ残された問題が多いというふうに理解をいたしております。これについて努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 片山甚市

    片山甚市君 大阪空港は、発着便数を制限し、時間規制も行っておって、にもかかわらずこのような程度の状態であるということは、非常に残念でありますから、この改善が図られなければ次の新しい空港の問題についても大きな支障があることをまず警告しておきたいと思います。  そこで、大阪空港公害訴訟は、原告側大幅譲歩によって一応の示談決着となっておりますが、環境基準が未達成のままで、解決したことにはならないのではないか。当然賠償責任状態が続いていると理解すべきであると思いますが、いかがでしょう。  国側は、危険への接近理論と称するものが最高裁で認知されたと主張するだろうけれども、国の責任において環境基準を設け、その達成が当然なされるものと信じて居住した騒音被害者を、達成義務が果たせない国が接近理論のみで切り捨てるというのは誤りであると思いますが、いかがですか。
  8. 山本長

    政府委員山本長君) いわゆる伊丹空港公害裁判でございますが、これは先生も御存じのとおり、五十六年十二月に最高裁判決が出まして、これは数多くの訴訟がございますが、いわゆる一−三次と申す訴訟団についてでございます。その後提起されておりました四次訴訟がございまして、これらの方々については、最高裁判決も出たことでもあるので和解をしてはどうかという裁判所の慫慂もありまして、和解が成立いたしたのでございます。この結果、大防空港周辺における訴訟につきましては、すべて終結をいたしております。原告方々も、訴訟を取り下げるという手続が完了いたしております。  なお、大阪空港周辺における損害賠償問題といたしましては、調停団総理府調停委員会に対してやはり損害賠償請求をなさっておりまして、現在その調停の作業が進められておるところでございます。この問題が残っております。  なお、私たち、この和解に際しましては、最高裁判所判決趣旨というものを基礎に置きまして和解に臨み、調停団とも合意に達したというところのものでございます。
  9. 片山甚市

    片山甚市君 私が聞いておるのは、そういうものが出ても、騒音環境基準達成ということになれば、責任空港側、国にあるというように理解をしてよろしゅうございますか。
  10. 山本長

    政府委員山本長君) この最高裁判所判決も、先生先ほど若干触れられましたけれども、空港がいわゆるジェット化いたしまして、騒音が非常にひどくなった時期、具体的にはBランウエー供用開始の時期以降その空港周辺に居住をすることとなった人というものにつきましては、先生は若干御批判の言葉はございましたけれども、危険への接近理論というものは最高裁判所判決においても取り入れられております。私たち和解趣旨は、そういう趣旨でもってやったものでございます。今後、やはり先生がおっしゃるように、何と申しますか、だれでも賠償に応ずるのかというふうな御趣旨のように聞こえますけれども、私たちは、やはり訴訟というものはそういった請求に基づいてなされるものであり、また、その果実というものは、現時点においては、最高裁判所判決というものの趣旨にのっとって解決さるべきであるというふうに考える次第でございます。
  11. 片山甚市

    片山甚市君 今まで政府側はそのような答弁を繰り返してきて、裁判において和解をしたということでありますが、住民側がこれ以上裁判を続けることについて困難を生じて和解をしたのであって、騒音公害解決ができたのではないということを特に申し上げておきたいと思います。  そこで、大阪空港欠陥空港であるということを承知しておるのかどうか。そのために航空機騒音対策抜本策として国際空港が必要となったということについて、認知できるかどうか。大阪空港欠陥空港だから新しい空港を必要とした、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  12. 山本長

    政府委員山本長君) 新しい空港建設問題というのは、先生がおっしゃるようにこの伊丹空港問題、特にその騒音問題というものが原点であるということは言えると思います。したがって、この伊丹空港騒音問題について解決を図るということが一つ大きな目的でございます。同時に、関西地区における国際窓口として、国際化時代における窓口としてそういった空港整備を図っていく、航空需要の増大に対応し得るような体制をつくるということもその一つでございます。  大きく分けまして二つ理由だと考えております。
  13. 片山甚市

    片山甚市君 新国際空港ができる一番大きな問題は、大阪空港における騒音解消をしていく、公害に対して解消をしていくということであるというように私は思います。そのようなことの要求の中で、新しく関西に二十四時間操業のできる飛行場をつくりたい、そのことによって大阪関西経済、文化の向上を図りたいということであったと思います。今申したようなことでありまして、それが経済のためにつくられる前に、大阪空港公害解消ということに重点があることについてもう一度申し上げておきます。  私は、この際、新空港計画原点に立ち戻り、関西空港の将来について明確な方針を示す必要があると考え、そのためには新空港法目的に、大阪空港騒音環境改善を図るために設置する空港であるとの趣旨を明記すべきであると思いますが、いかがでしょう。新国際空港法のいわゆる目的の中に、大阪空港騒音環境改善を図るため設置する、そういうように書いてもらいたいと思うんですが、いかがでしょう。
  14. 山本長

    政府委員山本長君) この法律におきます株式会社目的というところには、この会社の行います事業趣旨から見まして、関西国際空港設置管理するということをその法人目的とするというふうに書かれておるのでございます。もちろん関西国際空港設置管理するという場合におきまして、公害問題について配慮しなけりゃならぬことはこれは当然でございます。公害問題もございますし、同時に安全の問題もございます。この点につきましては、会社運旨基本的なやはり考え方でございますので、私たち、その法律の第三条におきまして、運輸大臣はこの会社空港設置管理するについて基本計画を作成する、会社はそれに従って事業を行っていかなければならない、こういうふうになっておるのでございます。私たち、その基本計画を定めますときに、これは政令でその記載事項は決めることになっておりますけれども、会社運営の、空港運営基本的な方針として公害問題に十分留意しつつ空港建設管理を行わなければならないというふうな計画の中身にいたしたいというふうに考えております。  そういった法律上の担保によりまして、現在の法律体制の中におきます制度におきまして、空港設置管理業務に基づきまして公害防止方針が貫けるというふうに措置してまいりたい。かように考えておる次第でございます。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 今申されたことについては後から触れますが、私が申し上げておるのは、会社設置目的の中に、大阪空港騒音対策のためにつくられるものであるというように、原点を明確にしてほしいと思うんですが、大臣いかがですか。
  16. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 航空審議会答申というものを受けて新空港建設するということにいたしておるのでございますが、この答申の中では、現在の「大阪国際空港の廃止を前提として、」ということになっておるわけでございます。したがいまして、新法では、現在の空港を廃止するかどうかということには一応触れておらないわけでございます。ということは、非常に大きな問題がここに絡んでおるわけでございます。したがって、この話が起こりました出発点をおっしゃった。おっしゃるとおりなんでございますけれども、廃止するかしないかということが現時点では決まっておりません。したがってこの法律に私どもはこれをうたうというまでもない、出発点からさようなことである、かように考えて、法案の中には私は入れる必要はなくて当然のことであると、かように考えておる次第でございます。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 大臣はそうおっしゃるけれども、当然のことができておらなくてこういうことが起こったのですから、会社をつくるときに、空港をつくるときにきちんと、会社責任特殊法人特殊会社責任として大阪空港の二の舞をしないということを書いてもらうと、読むたびに身が引き締まる思いがすると思いますが、それは嫌だったらそれ以上言いません。  さらに、大阪空港及び新空港騒音環境基準達成義務を国、関係地方公共団体及び新事業体に負わせる規定を、それでは挿入したらどうですか。今局長の方では、そういう文章を入れてあるとおっしゃっておるんですが、明確に環境基準達成義務を国、関係地方公共団体及び新事業体に負わせる規定を明文にしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 山本長

    政府委員山本長君) 航空機騒音にかかわる環境基準は、環境保全をする上で望ましい基準というものとして、公害対策基本法に基づき定められたものでございます。これによりまして、政府は、公害防止に関する施策を総合的に実施いたしましてこの基準が確保されるように努めなければならないという努力義務政府に課せられておるわけでございます。この見地から、運輸省におきましても、騒音問題につきまして、予算の確保、各種の制度確立等によりまして強力に推進してきたところでございます。  ところで、この関西国際空港につきましては、現在の既存の空港周辺において見られます騒音問題を発住させないように、その建設基本として、先ほど大臣が御答弁申し上げましたけれども、航空審議会答申に基づき、泉州沖五キロの海上位置するということといたしておりまして、航空機離発着回数がこの空港の最大の能力に達するときにおきましても、空港周辺におきまして航空機騒音問題が生じないように計画しておるところでございます。  こういった環境共準達成のための政府政策目標につきましては、政府の責務といたしましてその基準達成されるように関西国際空港位置政令で定めるということにいたしたのでございまして、政府といたしましては、その政令におきまして、その位置空港周辺において航空機騒音問題を発生させないような泉州沖五キロにするということによりまして、騒音問題を発生させないように措置していくというふうに考えておる次第でございまして、騒音問題を発生させないようにするのがこの空港基本でございまして、先生おっしゃる、この主体に義務を負わせるようなことが発生しないように措置をするというのが基本的な言え方でございます。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 公害が起こらないようにすることは当然だとおっしゃいます。それで、そういうことで五キロ沖にしたんだから起こるはずがないんだと。よって義務にしてもらってもいいじゃないですか、起こらないことですから。起こる可能性があるから義務に書かれたら大変だと思っておるでしょう、本音は。政令などは必要ないんです、省令も。私は、法律として明示をしてほしいと言っておるんです。  そういうようなことについて三者、事業体地方公共団体と国とがそれぞれ責任を持つことにしてもらいたいと思いますが、もう一度大臣、お答え願いたい。
  20. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今航空局長から御答弁申し上げましたが、関西空港を、非常に異例なことでございますが、泉州沖五キロの水深二十メーターというような場所に、埋め立てをつくって飛行場をつくる。相当巨大な金も要るわけでございますが、ここに場所が選ばれたという根本の理由は何だというと、これはもう環境問題が起こらない、公害が起こらないということが前提になってこれが選ばれたということなんでございまして、出発点がそういう、いわば原点がそういう格好になっておるわけでございます。そこでわざわざ今ここで私どもうたうまでもなく、もし万が一そのようなことがあって、環境の問題が起こったり騒音の問題が起こったりしたらどうするんだ、こういうお話でございますが、もちろん、おっしゃるように国が最終的な責任を持たなければならないと私は考えておる次第でございます。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、いわゆるフェニックスの法が通ったのが昭和五十六年でございますが、廃棄物ではありますけれども、適正な埋め立てによる処理等を図るため、環境保全に留意しつつ地域の均衡ある発展に資すると「目的」に書かれております。同じ大阪湾の中の巨大な埋め立てをする公共性の高いこの事業体が、なぜ環境保全を「目的」に明文化しないか。  なぜそういうことを言うかというと、広域臨海環境整備センター法フェニックスですが、それの「目的」の中にきちんと、「環境保全に留意しつつ港湾において広域処理場建設管理等業務を行うことにより、生活環境保全及び地域の均衡ある発展に資する」と、こう書かれてありますから、それら文章を「目的」の中に入れてもらうとさらにこの空港公害を起こさない空港だということが明確になるので、そのように先ほどから言っていますが、フェニックスができてなぜこれではできないのか。フェニックスは確実に環境保全はできるけれども、空港の問題はまだ危惧があるから書けなかったんではないだろうか。  局長頭をかしげても、伊丹空港騒音解消できておらぬですよ。十五あるうちのたった二つしか基準達成せぬじゃないですか、ほかは全部未達成です。航空機というのはそれほど騒音公害日本国じゅうにばらまかれておることは明らかですから、首かしげるんだったら入れてください。入れたらわかります。入れられぬということは、これは保証できないということです。環境保全をする自信がないから書けなかった。フェニックスの場合は第三セクターですが、自信があったから書いたと思うんです。どうです。
  22. 山本長

    政府委員山本長君) お答え申し上げます。  広域臨海環境整備センター法におきますこのセンター仕事も、また関西国際空港株式会社法によりますこの会社仕事も、いずれも海上埋立事業を行うものでございます。また、いずれの事業につきましても公有水面埋立法の適用がございます。そして、これはいずれの事業についてもございますけれども、この埋立法に基づく知事の免許、主務大臣の認可、環境庁長官の意見を徴するということになっておりますので、その認可の基準といたしまして、埋め立て環境保全に十分配慮されたものでなければならないということが埋立法にも明記をされておるのでございます。したがいまして、環境保全に十分留意しなきゃならぬというのはいずれの仕事においても同じでございます。  しかし、センター法の目的規定におきまして特に「環境保全に留意しつつ」と規定されておりますのは、陸上におきまして生じた廃棄物の適正な海面埋め立てによる処理等を図るため、港湾において広域処理場建設管理業務を行うことにより、このセンター事業生活環境保全に資することを目的とするものでございます。センター事業生活環境保全そのものを目的としておるというものでございます。そういった性格をセンター法は持っておるということ。また、具体の問題といたしまして、埋め立てられる廃棄物の用材は多種多様にわたっておりまして、その海上投棄に伴う水質への影響というものは、土砂の投棄によります汚濁だけにとどまらず、やはり汚染の問題というものも発生するので、その防止に特に留意をする必要があるということを勘案してこのように規定が置かれたものというふうに理解をいたしておるのでございます。  このように、センター自身の設置目的趣旨と、それから埋め立てそのものの特殊性というものに着目して、特にこういう規定が置かれたというふうに理解をいたしておるのでございます。  関西国際空港株式会社は、関西国際空港建設のために海上埋め立てという方法によりまして空港用地を造成するのでございますが、また、その埋め立て用材の主体は廃棄物ではございませんで山土等を使用することといたしております。したがって本法案目的規定におきましては、この会社の主目的でございます空港設置管理を行うということをそのものずばり端的に表現することといたしまして、環境保全に関する文言を用いておらないのでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、この事業実施に伴う環境保全の重要性は十分認識しているところでございまして、会社が行う空港設置管理の指針として運輸大臣が定める基本計画におきましては、環境保全に配慮しつつ空港設置管理を行うべきである旨を規定することとしておりまして、これによりまして会社事業運営公害防止に十分配慮しつつ運営されるということを担保してまいる、こういうふうな建前にしておるのでございます。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 フェニックス空港とは内容が違う、フェニックスの場合は衛生上の問題で、埋め立てる物が品物が違う、こういうふうにおっしゃっていますが、私が聞いておるのは、空港の問題として騒音公害もあるし、海の海流の流れの問題もあるし、あらゆることについて環境保全については新しい会社責任を持つ体制をとらなきゃならぬ。それで今度の特殊法人特殊会社をつくったものだと思っておる。  これについては大きな疑問がありますが、それでは、この島をつくるためにどれだけの土をとって、どういう埋め方をするんですか、説明してください。
  24. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) お答えします。  今回の計画におきまして必要とします埋め立ての土量は、全体で約一億五千万立米になります。この土砂を現存泉州の背後におきます和泉葛城山系で安定的に確保しようということで調査をやっておりますけれども、ここから発生します土砂を主体としまして埋め立てようというふうに考えております。当然ながら、先生おっしゃいましたように環境問題ということが重要な問題でございまして、埋め立てに当たりましてはそれぞれ環境、水質に影響がないように、少なくなるようにということで構造的にも考えておりますし、埋め立てに当たりましては護岸部を先行させて、その中で土砂を捨て込むというようなことを考えておるわけでございます。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 この調査の費用は幾らぐらいかかりましたか。そしてこの跡地の利用等についてのやり方についてはどういう検討をされていますか。
  26. 山本長

    政府委員山本長君) この関西国際空港建設計画に関しましてこれまで投じました調査費は、約百八十億円でございます。その百八十億円の中身といたしましては、空港建設計画もございますが、その多くは環境問題に関する調査環境アセスメントに関する調査費用が極めて多うございます。  次に、土取り地の跡地の計画についてどのように考えておるか、こういう御質問でございますけれども、私たち、土取り地を決定いたしますときには、単に空港のサイドから見まして土をとる必要があるから土をとるんだ、こういう考え方だけではございませんで、この土取り跡地というものは、陸岸から見ますれば、大きな用地の造成になるわけでございます。  したがいまして、そこが跡地として十分活用できるような場所をやはり選ぶ、またそのとり方も跡地が十分利用できやすいようなとり方をするという必要があると考えております。その跡地の利用計画につきましては、これらの具体的な問題につきましては、やはりこの周辺地域地域開発に熱意と知識を持っておられる地方公共団体が中心となって跡地の利用計画というものを定め、これを実施されていくのが妥当であろうと考えております。  空港建設に伴いまして土砂をとる場合におきましては、その跡地の利用というものが十分可能であるように、地方公共団体とも十分協議しつつ場所を決めていく、その後におきましては地方公共団体等が中心になられまして跡地利用計画を定められ、そして適切な地域発展に資せられるということを期待をしておるのでございます。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 それでは環境庁の方に聞きますが、瀬戸内法の前身である臨時措置法も含めて十年たちました。そのうち、瀬戸内法三条の一項と十三条の一項に基づいて、そのときの答申としては、瀬戸内海における埋め立てば厳に抑制すべきであるとされていますが、この十年間にどのような埋め立てをしたのか説明してもらいたい。
  28. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) お答えいたします。  瀬戸内環境保全臨時措置法施行後五十八年十一月までの間に二千百三十九件、総面積四千八百四十三ヘクタールの埋め立ての免許または承認がなされております。これは、同法施行前の、環境庁発足いたしました四十六年一月一日から四十八年十一月一日までの間の実績と比べまして、年平均の件数で六〇%、面積で二二%となり、埋め立てば大幅に減少している、こういうような次第になっております。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 説明はそうでありますが、それではお聞きいたします。  過去の大規模開発の事業としての本四架橋またはむつ小川原の開発などについては、環境庁は曲がりなりにも環境アセスのガイドラインを示しました。環境保全の立場から関与したと思いますが、過去の二大開発よりも大きな環境に影響を与える事業であるにかかわらず、今回なぜ開発当事者の運輸省のアセスに頼ったのですか。たとえ同じ国の機関であり、その過程で意見交換はしたとしても、その前提が開発促進なら、環境行政の基本はどうなるのか。環境庁はガイドラインを示さないまま、意見交換の内容もやみの中ということであれば、もはや環境庁は必要でないから解散される必要があるんじゃないか。環境庁が必要であれば、これは環境庁責任を持ってアセスを示すべきだと思いますが、環境庁長官、お答えください。
  30. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 御指摘のとおり、むつ小川原あるいは本州——四国連絡橋につきましてはガイドラインを当該官庁に対してお示しいたしたわけでございますが、御案内のようにそれぞれ五十一年、五十二年のころでございまして、アセスメントという仕事そのものに対する各省庁のレベルにおきましてまだ成熟していない段階でございまして、環境庁の蓄積しておりますアセスメントに対する基本的な考え方なり技術の体系をその際各省にお示しいたしたわけでございますが、その後十年余を経まして、各省庁におかれましてもアセスメント技術の体系化及び水準の向上というのは著しいものがございます。  また、その間のたくさんのプロジェクトがございますが、そのプロジェクトを通じまして、例えば埋め立て、例えば橋梁等を含めて、環境庁と各省が鋭意その都度技術的な意見交換なり方法論についての向上を図ってきたわけでございまして、特に本プロジェクトにつきましては、運輸省におかれてつとにこの問題について研究されておりまして、また技術的な見解といたしましては私ども環境庁の方からもいろいろな御見解を申し上げていたわけでございます。まあ環境庁の今までの仕事が各省にやはりある程度蓄積としてもうでき上がってきているという意味合いで、私ども環境庁のアセスメントに対する技術の問題がうまくいってきたと思っているわけでございまして、また今後も、こういうプロジェクトについてはそのようなやり方で参りたいと思っておるわけでございます。  また、本件につきましては、実施段階で、御案内と思いますが、いろいろ今度細かいアセスメントが行われますので、そういった場合においてきちんとまた意見交換の上やりたい、こういうふうに存じております。
  31. 片山甚市

  32. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答え申し上げます。  今局長からいろいろと御説明をさせていただきましたが、以前に環境アセスメントのガイドラインを出しておったのでございますが、当初でございまして、環境アセスメントに対しての考え方が各省におきまして非常にまだわかりにくかったというか、御理解がなかなか初めのうちはいただけなかったのでございますが、最近になりましてだんだんとこの環境アセスメントに対する御理解もいただけるようになってまいりました。したがいまして、運輸省の方におかれましても、当初のうちはガイドラインを出させていただいていろいろと御相談をさせていただいておったんですが、それを出さなくてももうアセスメントに対するお考えが固まってきておりますので、運輸省の方から実は環境庁の方においでをいただきまして、いろいろと今度の場合のアセスはどういうふうにやったらいいだろうかというようなことを、こういうふうにやりたいというようなこともいろいろ御相談になってきておられまして、ガイドラインを出すまでにもう既にその一致点を見ておりますので、ガイドラインを出さないでもう何といいますか、両省の意見が一致をいたしまして進めさせていただいておるというところでございます。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 内容は全く反対で、わからぬから運輸省の言うとおりになったということであろう。今お話がありますけれども、環境庁環境影響評価、環境アセスすら法案が出せないですね。事業体が強くて、通産省であろうと運輸省であろうと、よそが強くて環境庁が弱いから環境アセス法が出せない。今度出す湖沼環境保全法も水質保全になってしまって、矮小化されて「環境」がなくなってくる。そういうことで私たちが心配する環境保全の問題についてはなおざりにされて、飛行場をつくることに一生懸命になり、工場をつくることに一生懸命になり、ダムをつくることに一生懸命になっておるという姿でありますから、この空港が将来幸福なものを呼ぶかどうかについては疑問があると思います。  そこで、本新事業体業務の範囲についてお聞きします。  本法施行後の騒音対策等については、新事業体が行うとすれば、第六条一項一号ですが、新国際空港設置及び管理に含まれるとする意見、見解がありますが、新東京国際空港、成田の公団ですが、昭和四十年、第二十条一項四号に「航空機騒音等により生ずる障害を防止し、」というようにありますが、そういうふうにこれから航空機騒音等についていわゆる解消する業務を明記される必要があると思いますが、山本局長は反対だと言っておるようですが、書いてほしいんです。これから起こることについては成田公団と同じように明記をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  34. 山本長

    政府委員山本長君) お答え申し上げます。  成田の公団法におきましては、新東京国際空港が陸上空港、内陸空港でございまして、同空港周辺騒音対策事業が相当の規模となることから、騒音対策事業会社業務として法定をしているのでございますが、関西国際空港は、先ほども御説明を申し上げましたように、騒音による影響区域が海上にとどまり、環境基準に適合するよう環境保全に十分配慮し海上設置される空港でございまして、騒音対策を講じる必要がないように陸岸から約五キロ沖合の海上設置することといたしておりますので、特に騒音対策事業を法定していないものでございます。現に、これまでの調査によりますれば、航空機離発着回数が最大となる時点におきましても、基準でございますWECPNL七十の区域は海域内にとどまっており、環境基準を満足するものと考えております。また、先生のそうであっても仮に起きた場合というふうなお尋ねも先ほどございましたけれども、もしもそういう場合に、万が一講ずる必要があるというふうな事態になりましても、本法案の第六条第一号の空港設置管理業務の一環として事業を行い得るということになっておるのでございます。  なお、成田の公団法においても、設立以降昭和四十九年までの間におきましては、公団法二十条第一項一号の空港設置管理業務の一環として騒音対策事業を行ってきたのでございますけれども、四十九年に至り、騒音防止法が改正になりまして騒音防止対策が拡充強化されることに伴いまして、この公団法を改正いたしましてつけ加えるということといたしたのでございます。こういった考え方にのっとりまして現在の法体系ができておるのでございまして、くどいようでございますけれども、そういう必要がないようにできておる、こういうことでございます。
  35. 片山甚市

    片山甚市君 御説明を受けましたけれども、やはり海上だから騒音公害がないとか航空公害がないとかいうような安易なことでありますが、漁業の問題もありますし、海流の問題もありますし、大阪湾は閉鎖水域のようなものでありますから、その入り口で空港をつくりますから、大変皆さんがびっくりするようなことが起こると思いますから、予告をして終わります。
  36. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、ちょうど今環境問題が議論されておりますから、一つだけ環境問題に先に入りたいと思います。  今、長官のお話を聞いていますと、総合的なアセスメント、これを実施しなかった経緯を聞きましたが、しかしこれは空港の現地の調査室長ですか所長ですか、奥田さんも言っておるように、地元としてやっぱり事業者ごとではまずい、どうしても総合的にこれだけの調査をして出すべきだ、こういう強い不満を持っておるわけですね。私はこれは当然だと思うんですよ。しかも、さっき細田大臣答弁にございますように、この問題はやっぱり環境問題が原点でスタートを切ったという経緯もございますし、しかも山を崩して土砂を埋めて、それが瀬戸内のいわゆる特別環境地域でしょう。これに、自然現象に人工的につくるわけだから、これが影響ないということはないわけだ。しかもそれの運搬手段をどうするのか、その間における環境をどうするのか。これはやっぱり事業主体じゃなくて総合的にやるのが私は当然だと思うんですよ。それをやらなかった一番大きな理由は何なのか、ここはやっぱりきちっと国民に明らかにしないと、運輸省環境庁に呼んでごそごそ話したからといったって何の役にも立たぬわけですよ。  それからもう一つは、やっぱり今からでも遅くないと思うんです、私は。そうしないと、海五キロの地点に出したからといって、騒音は消えるかもしれませんよ、これは何とも言えません。これは長崎の例もございますからね。しかし、これだけの一億五千万立米という土砂を運搬してやる過程の中では大変な問題を巻き起こすに相違ないと思うんです。そこら辺はひとつぜひ、先ほどの答弁はございますけれども、これはひとつ環境庁長官として総合的にやってガイドラインを示すべきだ、今からでも遅くない、そう私は思うんですが、この見解はいかがですか。
  37. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  ただいま先生大変御心配をいただいておりまして、大変ありがたいのでございますが、実際の工事の埋め立て、今度は飛行場をおつくりになるときには埋め立てをおやりになるのでございますが、その埋め立てに対しましては、これはまたアセスをやっていただくわけでございます。それからまたいろいろな土取りをおやりをいただく、それも大変な量、一億五千万立米でございますか、非常に大きな量でございますので、これもやはり環境破壊をするおそれがあるんじゃなかろうか。これに対しましてもアセスをやっていただきたい、こういうことで実は関係閣僚会議の席上でお願いをしております。で、これはやっていただくことになります。また、そのほかアクセス等いろいろ関連の事業がございますが、これに対しましてもアセスをやっていただくということをお願いをしております。
  38. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 事業主体じゃないんだ。総合的にやるべきじゃないかと言っているわけです。
  39. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) 総合的には、今大体この辺というような観点で、騒音その他についてのアセス、三点セットについてのアセスを実は出していただいておるのでございますが、それでやらせていただいておるのでございます。
  40. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 それはさっき聞きました。ですから、それは答弁にならぬのです。私が言うのは、総合的に環境庁がやって、そしてガイドラインを示すべきだ。これはやっぱり地元が非常に強く要求しておる問題ですからね、賛成、反対も含めて。そういう意味で、私は今からでも遅くない、そういう意味で長官の答弁を求めておるわけですから、そこはきちっとしてください。
  41. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) やや事務的にわたりますのでお答えを申し上げたいと思いますが、アセスメントにつきましては、アセスメントを行う者は事業者というふうに我が国では制度化されておりまして、例えば本体の埋め立てばどこの事業者、それからアクセスについてはどこの道路の公社、それから土砂の採取につきましてはどこの主体というふうなものが決まりまして、初めて計画なりそのアセスメントが行われます。それに基づきまして、私ども運輸省等を経て審査を申し上げる形になります。本計画は非常に長年月にかけて、また多岐にわたるものですから、設置主体も今御審議いただいている株式会社法で初めて本体計画についてはできるとかという形になっておりますので、それぞれの主体が決まって、それぞれの主体のアセスメントが行われた段階でやるという余儀ない事態ではございますが、そういう伝統的なやり方をいたしております。  基本的には、先生の御趣旨もよくわかってやらせていただいているつもりでございます。
  42. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 時間がありませんから、この問題はこの程度にとどめますが、これは長官、余り役所間の問題にこだわらずにひとつぜひ私は今後のこともございますからやるべきだと思いますので、言っておきたいと思います。  環境庁、結構です。  そこで、事業主体の問題についてお聞きしたいと思うんですが、この空港予算概算要求までは公団と第三セクターの二本立てでやったんですね、運輸省が要求する場合は。それが第一種空港として私は、高い公共性なり国際性、安全性、高度技術、膨大な資金、環境地域社会に対する影響、こういう面から見て当然であろうと思うのでありますが、なぜか突然、この株式会社に変わってきたわけでありますね。これは単に前文に書いてありますように、臨調が民間活力の云々とか、それから細田大臣が早期に着工するためにはこれしがなかったとか、こういうことでは、私は理解しにくい面があると思うんですね。なぜこういうふうに変わったのか、この真意が一体どこにあるのか、これは地元ではまだぬぐい切れていない不安と疑惑を持っておりますので、わかるようにひとつ御説明いただきたいと思います。大臣から。
  43. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答えいたします。  第一種空港は国の責任においてつくるということは空港整備法にはっきりしておるのでございまして、今回の法律による株式会社という主体を入れますと、三つの異なったものが日本の第一種空港にできるわけでございます。したがって、今おっしゃったような御疑問が起こるのは当然かと私ども心得ております。それにはやはりしかるべき理由がなければならない。私ども、今回の新空港株式会社でやるというのは非常に新しい試みで、ぜひともこれを成功させたいと、こう思っておるわけでございます。  概算要求の段階におきましては、基幹部分は公団でやって、そして附属部分を第三セクター、こういうのが概算要求のときのいわば率直に申しまして運輸省の原案であったことは御指摘のとおりでございます。  これに対しまして、二つの団体をつくってやるということがいいのかどうか、それよりはむしろ法律による特殊法人特殊会社をつくって一本にして、そして民間活力を大いに利用する。それから地方公共団体も入ってもらう。これを全体に及ぼした方がより仕事もスムーズにいくし、国費も比較的、相対的に少なくて済むし、いろんな点でいいんではないか、こういうことでいろいろ各省の間で協議をいたしましてそういうことになった次第でございます。
  44. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで、今大臣のお話を聞きますと、一緒にやった方が二つでやるよりも仕事もうまくいくし、それから国費も少なくて済む、こういうのが二つの、今度株式会社にした最大の理由だというふうにこれは確認していいんですか。
  45. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) こういう形になりますまでにはいろんな観点から見たわけでございますから、それも一つ理由であるというふうにお考えいただいて結構でございます。
  46. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで、それではちょっともう一つ聞きますが、今一種というのは、成田がございますね、羽田がございますね。この二つと対比してどういうメリットなりデメリットがあるのか、そこら辺についてが一つ。  もう一つは、税制、財政の面で優遇措置をいろいろとっておりますね。こういう面で三空港の対比はどういうふうになっておるのか。
  47. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 細かい点は事務当局からお答えいたしますが、この法律による株式会社でございますけれども、著しく公団と似通った点もたくさんございます。税制の問題とか、あるいは刑事上の責任の問題とか、そういったような問題は国または公団と同じような扱いに実はいたしておるわけでございます。  どういうメリットがあるかということを大きいものを申し上げますと、資金的にこれは国が八、地方公共団体が二、そして民間が二という、そういう資本金の構成にする。その限りにおいて国の資金が、資本金の額が減ることはもう当然でございます。  それが一つと、逆にまた地方公共団体や民間が出資をして参加することによりまして、人的構成においてもさようなことになると思いますが、参加することによりまして協力体制がより得られる。特に先ほど来問題になっておりました跡地の問題とか、環境の問題とか、いろいろ地元の問題がもう非常に重大であることは成田の問題で我々よく承知しておるわけなんでございます。そういった点から、御参加を願って主体の中へ入っていただくことの方がベターではないか、そういうふうに実は考えておる次第でございます。  デメリットというものは私ども今は考えておりませんけれども、これにつきましてはいろいろな防止方法を私ども講じなければならぬと思っておりますが、会社がいたずらに営利に走って公共を無視するということがないかどうかということが一番考え得るデメリットでございますから、これについて厳重に取り締まる、厳重にやるということでこのデメリットは防ぎ得るものと、かように考えておる次第でございます。公共性の確保という見地からは十分な監督をしてまいる、またそれができる、かように考えておる次第でございます。
  48. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 新東京国際空港公団と関西国際空港株式会社との税制面の比較という御質問にお答えいたします。
  49. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 羽田も。
  50. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) はい、わかりました。  法人税と事業税につきましては、新東京国際空港公団は全面的に非課税になっております。関西国際空港株式会社の場合には、これは課税されます。しかしながら、関西国際空港整備準備金という制度をつくりまして、土地の造成費分につきまして、借入金が返済されるまでの間課税を猶予するという制度を特に取り入れてございます。国はもちろん、羽田の場合には非課税でございます。  次に、登録免許税を申し上げます。成田の公団の場合には登録免許税、印紙税ともに全面的に非課税になっております。関西国際空港株式会社の場合には、登録免許税に関しまして、政府の出資分について、会社の資本の登記をする場合には非課税になっております。それから基本施設の用に供する土地の所有権保存登記だけは非課税になっております。それ以外は課税されます。国の場合には全面的に非課税になります。  不動産取得税につきましては、成田の公団は、基本施設等の用に供する不動産は非課税になっております。これは関西国際空港株式会社も同じでございます。国の場合には非課税でございます。  固定資産税、これは成田の公団の場合には、本来事業の用に供する固定資産の課税標準を二分の一に軽減しております。関西国際空港株式会社も同じでございます。国の場合には全面的に非課税でございます。  特別土地保有税、成田の公団の場合には、空港の用に供する土地につきましては非課税になっております。関西国際空港株式会社も同様に措置してございます。国の場合には非課税でございます。  事業所税、成田公団の場合には非課税でございます。関西国際空港株式会社の場合には、本来事業の用に供する施設のみ非課税になっております。国の場合には非課税でございます。  以上でございます。
  51. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 今、対比をしていただきますと、いわゆる国際空港については、今度の新空港については登録税、免許税の問題は、事実上基本施設等については非課税ということですから、若干の違いはありますけれども、そう大したあれはない。そうしますと、あと見ると大体同じような内容になっているわけですが、大臣の言うように国の経費が縮減できるというのは、資本金の八%、そういうところ以外は見当たらないような感じがするんです。  ただ、これは今度は貸付金がございますね、無利子の。一二%ですか。そういうのを加えますと、これも決してあなたがおっしゃるようにプラス要因ということにはならぬのじゃないかと思います。  現に、大阪府が出しております「着工に向う関西国際空港」というパンフがございますね。この中を見ますと、「国から種々の特典を受ける会社です」、こういうことで、一つは、出資金を八%国が出しておるけれども、しかし無利子貸付があって二〇%で成田と変わりませんと明確に書いてありますし、それから社債の発行は、普通の場合と違って純資産の七倍まで特例措置でできるようになりましたと。それから、国内の債務や外債については国が保証しますから安全ですとか、空港整備準備金制度も特設されまして、課税上は損金扱いになるからこれも優遇ですと。固定資産税は公団並みに減免になりますとか、政府の保有する株式配当は後配ということで、これも優遇措置をとられている。  これを見ると、なぜ公団でやらなかったのかということがどうしても理解しがたい。しかもあなたがおっしゃるように、デメリットとすれば、これは民間が入ってくれば当然営利にいくのは当たり前ですよ。何ぼあなたが監督しようといったってできるものじゃない。現実に羽田の場合でもそうでありますけれどもね。そうすれば、デメリットだけが多くてメリットはないということになる。いかがですか。
  52. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 現に成田空港が公団でやられておるわけでございますから、これは関西も公団でやったらいいじゃないか、同じことじゃないかという御意見があることは、もう当然のことなんでございます。現実に、先ほど申し上げましたように、運輸省の原案では空港の本体の部分は公団でやろうという原案だったぐらいでございますから、著しく違ってこれはもうどうでもこうでなければ絶対にいけないというものはないと思うのでございます。  ただ、いろいろな点から比較して、これで公共性の問題についても確保できるということであれば、この新しい方式が、いわゆる第二臨調の言う民間活力の有効利用というような見地、それから御協力を得るというような見地、いろいろな点から考えてベターであると考えたということにすぎません。公団では絶対にいけないとかなんとかいうことではない、かように思うのでございまして、そういう判断を政府としていたしたということでございます。  それから、今資金だけの話じゃないかというお話でございますが、そのほかにもいろいろな点はございます。国が財政的には有利な点はあると思います。今後も出資金についてもさらにどういうふうになるか、最近の出資金に対するいろいろ各地方公共団体や民間の協力ぶりなどを見ておりますと、あるいは政府の出資ももっと減らし得るのじゃないかというようなことも考えられないわけじゃございません。  大体そういうわけでございまして、この種のものに絶対的にこれでなきゃいかぬという理由はこれはないのでございます。  それから、公団と似たようなものじゃないかとおっしゃるのも、なるべく公団と似た形の株式会社にいたし、しかも法律によるものにしておる、一般の会社ではないんだということにいたしておると、こういうことでございます。
  53. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 だから、あなたのお話を聞くと、ますますこの疑惑が深まるわけですね。  例えば私は、あなたも衆議院の答弁をいろいろやられておりますが、その議事録を見ますと、例えばこれは関連がないわけじゃないんです、今後の問題として。今建設段階だから直接あれは出ていませんが。例えば羽田の事例を一つとってみても、御承知のとおりにあれは基本施設から全部国がやっていますね。しかし、空港ビルですか、これについては純民間でしょう。しかも、これは運輸省が直轄して、運輸省の天下りを入れて、そして監督をしておるところですね。これが利潤追求に走り始めてどういう結果が出たかということは、あなたも御存じのとおりに、衆議院でも言われているように、例えばこの社長が七千六百万円も関連会社を含めて報酬を取ったり、それから退職金二億六千万円を出したり、これは衆議院の決算や予算委員会の中で、これはもう実は聞いて驚いたとあなた自身が言っておるわけですね。びっくりしたと。運輸大臣がびっくりしちゃいけませんよ、監督官庁が。ところが、そういうことになっていって、しかもそのときの専務の発言を見ると、それは民間だから利潤追求し、利潤に基づいて高配当をするのは当たり前じゃないかと。いろいろ言われることはないじゃないかということを言っておる。  それであなたの方はそれに対して改善命令を出したか指示したのか知りませんが、一向に改善の効果が出ていない。民間が入ってきますと、今度はビルディングだけじゃなくて本体も含めて民間も入れた一つ特殊会社をつくったわけですから、これは必ずそういう傾向が将来出てこないという保証はない。そういうことも含めてあなたはさっき心配なさっておると思う、デメリットの面で。それを指導監督するというけれども、今度は単に代表取締役とそれから監査委員をあなたが任命、許可権を持つだけであってね、今度の新空港のやつは。あとは自主運営をさせるということになっておるわけでしょう。ですから、ここにちゃんと書いていますよ。この中の二番目に「自主的・効率的経営が尊重された会社です」と書いてある。  こういうことになると、あなたが御心配のように、そのデメリットの部分が将来起こらないという保証はないわけです。そこら辺を含めて考えてみますと、なぜ第一種空港を国が直接やらなきゃならないかという、これはもうこの整備法できちんとなっておる。それをあえてこの際、しかも運輸省がそういう要求をしながら突然株式会社に変わっていった経緯、この経緯に疑問を持たざるを得ぬじゃないですか。どうですか。
  54. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御質問でございますが、羽田の空港ビルの問題、まことに遺憾な状態だと思うんです。これは国がやっておるんですよ、公団でなくて、飛行場を。国がやっておるところで起こった問題でございますから、これがけしからぬから今度の形態がいけないのだということにはならないんです。国がやっておるものですから、羽田は。そこでそういうことについてまことに遺憾な状態が起こっておるわけでございます。それはもうおっしゃるとおりでございます。  私が驚いたというのは、私が運輸大臣になって早々でその話を聞きましたので驚いたというもので、運輸省としてはしかしこれについては調査が不十分だったことは私は認めます。で、いろいろ改善については航空局長からまた御報告、御答弁をさせていただきますが、私は、この羽田空港ビルの問題が起こったからこれは株式会社じゃいけないんだという議論で、むしろ直営にして、今のような羽田のような形態の方がいいんだという議論にはならないんじゃなかろうかなと、かように思っておるのでございますが。
  55. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 今改善計画を出していうんなら、示してください。
  56. 山本長

    政府委員山本長君) 御報告申し上げます。  衆議院の決算委員会あるいは行政改革に関する特別委員会におきまして、日本空港ビルデング株式会社にかかわる退職金の問題、あるいは給与の問題等について御指摘を受け、私たち、この会社空港の土地を借りて営業をいたしておる会社でございますので、特殊法人と違いまして一般的な運輸大臣の監督命令という権限はございませんけれども、その会社位置しております。その場所というものが極めて公共性の高いものであり、かつ独占的な立場にあるということを考慮し、この改善の措置を講ずるように会社に検討を求めたのでございます。
  57. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 計画実施後を言いなさいよ、どうなったか。
  58. 山本長

    政府委員山本長君) はい。  一つは、退職金の問題でございます。これにつきましては、同社に対して是正を求めたわけでございますが、退職金の支給につきましては、会社は検討の上、昭和五十八年九月一日に支給内規を改正いたしまして、旧来に比較しておおむね四割から二割の引き下げを図っております。また、五十九年一月から、関連会社の役員を兼務している場合には重複して支給しないということといたしております。  問題になりました方の退職金についてでございますけれども、こういった計算によりまして、旧来のものに比較しますと、五十六年九月一日以前のものにいたしますと、おおむね三分の一程度に減額されたと、こういうことになります。これは計算上でございます。  もう一つ、この空港ビルデング株式会社の役員の兼務の問題、関連会社との兼務の問題が指摘をされました。これにつきましては、会社の株主としての立場から必要な限度において、最小限度において関連会社の役員を兼務するということにとどめておりますが、その場合には関連会社における給与は取らない、重複支給はしないというふうにしたという報告を受けております。  もう一つ、役員の報酬が高いということについての御指摘がございました。この過大であるという批判があり、なぜそうなるかということについて調査をいたしましたところ、この過大である一番大きな原因は、本社からの給与だけでなく、先ほど申し上げました兼務会社からの給与所得が相当に上っているためでございまして、この点について会社に対し是正を求めたのでございます。先ほど申し上げましたように、五十九年一月から常勤役員の関連会社からの兼職報酬についてはゼロにしたと、こういう報告を受けております。  さらに同社社長の報酬額自身につきましては、会社から、五十九年四月から引き下げたというふうに報告を受けております。  以上でございます。
  59. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 大臣ね、国が直営というか、そういう羽田ですら、しかも社長その他取締役を見るとほとんど運輸官僚の天下りが入っておると。ですから、あなたは初めて聞いてびっくりしたと言うけれども、運輸省の現在の局長クラスは皆知っておるわけですよ。十分知っておった上であなたに報告してなかったにすぎないんであってね。そういう問題ですら起こる。  ましていわんや、関西国際空港というのは国の直轄じゃない、監督権は持つけどね。そうなると、あなたがデメリットの中に一番先に挙げたように、そういう傾向というのは、利潤追求だけじゃなくて、その利潤追求に伴ってこの報酬は当たり前だという、こうなってくるのは当然だと思うんですよ。  私はきのう、この是正計画について、衆議院の予算委員会でのあなたの答弁、今度の三月のですね、早急に実施しますということで、その結果を求めたんです、運輸省に。どういう結果になったのかということで。そうしたらなかなか、出したくないと、こう言っておるわけですよ。そこで、きょうここでやるぞと言ったんです。これで時間を費やすのは大変惜しいんですけれどもね。しかし‘今出された内容を聞いてみると、それが結果的にどうなったかということは一つも出ていない。三分の一とかなんとかということでね。あいまいで一つもないわけですから、私はこれは資料を一遍出してもらいたいと思う、どういうふうにきちっとしたか。それと同時に、大臣にさっき言ったように、そこら辺の約束とあわせてもう一遍ひとつこの問題について大臣答弁をいただきたいと思います。
  60. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 資料は提出させます。  それから、新しくできる関西空港株式会社運輸省、その監督の度合いと空港ビルデングに対する運輸省の監督の度合いとはけた違いに違うものでございます。羽田の日本空港ビルデングはこれは単なる会社でございまして、厳密な意味におげる運輸省が監督権を持っていない。ああいう有利な場所へああいう会社をつくってこういうことをやっておったということなんでございまして、関西空港株式会社の方は予算も決算もみんな運輸大臣のところへ出てくるわけでございます。どういう収益が上がった、役員にはどういう給与を出している、どういう俸給を出している、これをみんな見るわけでございます。ですからこれは、今の羽田の空港ビルがけしからぬということにつきましてはもう全く私も憤慨しておるわけでございまして、これはやらなきゃいかぬですが、今まで監督というものが間接みたいな格好になっておる、こういうところにこの種の問題が起こったものだと、私はかように考えておりまして、関西空港株式会社になったらもっと監督が厳重にできる、できるために法律による特殊な会社になっておるんだと、こういうふうに理解をお願いしたいと思うのでございます。
  61. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 委員長ね、時間がございませんからあれしますが、しかし大臣、あなたの答弁を聞いていますと、これはこういう特殊会社やいろいろな問題、公団をつくる場合でも、つくるときにはいつも大臣答弁を見るとそういうことを言っておるんですよ。絶対に間違いありません、こう言っておるんだよ。  ところが、現実にそれが起こっておる。羽田の場合だってもやっぱり、今あなた盛んに違う点を強調しておるけれども、確かにあのビルについては民営ですね、完全な。しかし、あなたおっしゃったように、あれは国がすべて羽田というものについては直轄しておるわけです。そういうところですらそういう現象が起こってくるということから見ると、私がさっき言っておるのは、民間を含めたこういう関西空港についてはいかに——盛んに強調しておりますけれども、いわゆる今までの経緯から見るとまたそのおそれがある。ですから、あなたもさっきデメリットの中へその点を挙げておる、現実に。利潤追求に走ってそういうことになるということが非常に安全性やもしくは環境その他の問題で責任の問題が出てくるんじゃないかというおそれがあると、こう言っておるわけですから、そこら辺はひとつ、時間がございませんから、今後十分検討していただいて万全を期していただきたいということを一つつけ加えておきます。  次に、自治大臣見えておりますが、自治体の出資金の問題ですね、自治体の出資金二%の問題。これは条文を見ますと、自治大臣の許可を受けてと、「承認を受けて」という字句も入っていますね。私は、いわゆる地方公共団体が出資をするということは、この場合の面を見ると、どうもやっぱり、当分の間国または公社、公団に対する寄附行為の禁止をしておる財政再建法二十四条二項ですか、これに触れるんじゃないかと思うんです。  私が一番心配しておるのは、最近の土光臨調の動向から見ると、国の財政再建が最優先で、そのために地方に対する補助金は打ち切れ、それから借金のしりぬぐいは地方自治体にさせろとか住民にさせろとか、こういう傾向が非常に顕著になってきておる。この新国際空港も、ちゃんと、その臨調答申の民間活力云々という言葉ですけれども、やっぱりそれを生かして株式会社に変えたんだとこう言っておるんですけれども、しりぬぐいを自治体の方に持ってくる、その場合には財政再建法もへったくれもあったものじゃない、やるんだ、こういうのがありありと見れるんですね。  私は、このままこういうことでいきますと、例えば一昨年でしたかフェニックス法案、これもそうです。さらに今問題になっておりますのは、例えば静岡の掛川で駅を誘致するために、自治体が全額負担しなきゃならぬ、それで二戸当たり十万の寄附金を取っておるとか、こういう現象も起こってきておる。さらに新幹線五線の整備ということになりますと、これもまた地元負担になる。こういうことが次々にやられる一つの大きな前提になるんじゃないかというような気がするんですが、ここらに対して自治省はどういうふうに対処しておるのか、大臣のそういう見通しを含めてきちっとした見解をいただきたいと思うんです。
  62. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 佐藤さんの御指摘になりました地方自治体の寄附の問題は非常に重要な問題でございまして、私どもは地方財政法あるいはまた地方財政再建促進特別措置法に基づいてやはり厳格にやっていかなければならない。特に、今御指摘のございました、鉄道を誘致する場合に寄附を割り当てたりというようなことは厳に慎んでいかなければならない。御指摘になりました掛川の問題につきましては、早速調査をしてまいります。こういうことは、今言っておられましたような問題がもしあるとすればやはりこれはよくないことでございます。  ただ、今回の関西国際空港に関する出資につきましては、これは寄附行為ではございませんし、そして関西国際空港に自主的に地方公共団体が出資をしていくということでございますので、特別措置法に直ちに違反をするというような問題とはちょっと違うんではないかと思います。ただ、厳しい地方財政の状態の中にこうした巨額な出資をしなければなりませんので、この空港の今後の運営についてはやはり私どもも重大関心を持たざるを得ませんし、空港の経営が健全にいかなければならない、このように期待をしているわけでございます。  御指摘の点は十分注意をしてまいります。
  63. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 時間が来ましたからですね、いろいろまだこの問題には議論があるんです。大臣、寄附行為に当たらないということですが、これは出資金という名前の問題じゃないのです、実体の問題です。例えば地方自治体の住宅供給公社とか、そういうものに出資するものとは本質的に違う。国がこれはやらなきゃならぬ第一次義務があるわけですから。そういう点でいろいろありますが、時間がございませんから私の質問はこれで終わります。  ひとつ、そこらは十分注意していただきたいと思います。
  64. 青木薪次

    ○青木薪次君 時間がありませんので、要点だけ質問いたしたいと思います。  まず、私は関西国際空港建設に関しまして、成田の建設状況の主要経緯を調べたわけでありますが、これは昭和四十一年の七月三十日に公団が発足をいたしました。そして、昭和五十三年の五月の二十日に開港ということになったわけでありまして、この問丸十二年有余というものがかかっている、こういうことで確認してよろしゅうございますか。
  65. 山本長

    政府委員山本長君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  66. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、この関西国際空港株式会社が設立をするのはいつで、それからこの国際空港が始動を始めるのはいつかということについてひとつ答弁してください。
  67. 山本長

    政府委員山本長君) この会社が発足いたします時期でございますが、もちろんこの法案の御審議で御了承願いまして、法案が成立してから速やかに設立のための事務を開始したいと考えておりまして、私たちその目途を本年の十月一日というふうに置いておるのでございます。会社が設立いたしましてもすぐに事業を開始するというわけにはまいりません。事業に着手するための準備が必要でございますが、私たちといたしましては、六十年度の後半には事業に着手したいというふうに考えておるのでございます。  それから、始動するのはいつかという御質問でございますが、昭和六十七年度中に第一期工事を完成いたしまして、六十八年度の初めにはオープンしたい、こういう計画でもって進めてまいりたい、かように考えております。
  68. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、先ほどは成田が十二年、それから今回の関西国際空港は七年ということでいいですね。
  69. 山本長

    政府委員山本長君) 事業主体が発足してからという計算をいたしますと、八年ということになると思います。
  70. 青木薪次

    ○青木薪次君 私が質問いたしたいと思いますのは、関西国際空港はこの法律案によって設立される関西国際空港株式会社が「大阪府の地先水面で政令で定める位置設置する」となっているのでありますが、まずその位置空港の面積を簡単にひとつ説明してください。
  71. 山本長

    政府委員山本長君) 政令においてはっきりと明示したいと考えておりますが、この空港位置は、航空審議会が二度にわたって答申をいたしました大阪湾のいわゆる泉州沖海上五キロの位置でございます。その面積につきましては、空港がオープンをする時期という時期をとらえますとおおむね五百ヘクタールということでございます。
  72. 青木薪次

    ○青木薪次君 泉州沖五キロメートルの地先ということのようでありますが、一期工事として五百ヘクタールこの空港埋め立てられるということは、これは将来もっと大きくなるようでありますが、公有水面の埋立法による埋立免許の問題が起きてくると思うんですね。そこで、この空港設置の水域は港湾区域の内か外かという問題が実は提起されると思うんですけれども、これはどういうふうに解釈していらっしゃるのですか。
  73. 藤野愼吾

    説明員(藤野愼吾君) 現在では港湾区域の外でございます。
  74. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうなりますと、これはもう大変な、さっきの説明によりますと一億五千万立米というような大変な土砂を埋め立てるということになりますと、これは容易ならざる事態だ。成田とはまた別の、違った意味の大変なリスクが伴う埋立作業でありますから、この点については建設省はどう考えていますか。内か外かという問題で、権限はどこにわたるかということなんです。
  75. 井上章平

    政府委員井上章平君) 本件の埋め立てにつきましては、免許権者は埋立法によりますと都道府県知事でありますが、この場合大阪府知事であると考えられます。免許権者に対しましてまだ出願がなされておりませんので、私どもとしては詳細については承知いたしていないところでございます。
  76. 青木薪次

    ○青木薪次君 私の調べたところによりますと、都道府県知事の免許申請があって、公有水面埋立法の第二条、それから主務大臣の認可、今の井上河川局長答弁によりましても、主務大臣の認可というものは五十ヘクタール以上の場合においてはこういう港湾区域の外という話でありますから当然これは建設大臣ということになると思うのでありますが、この中で公有水面埋立法四十七条、それから施行令第三十二条ということになってまいりますると、これはもう大変な手続的に合意がなされないとできませんよ。その点どう考えていますか、運輸省
  77. 山本長

    政府委員山本長君) 海面の埋立事業でございますから、公有水面埋立法の適用によりまして知事の免許を受ける必要がございますし、その場合に面積的に見ましてこれは建設大臣のたしか認可であったと思いますが、を、知事が免許するに対しては受けなければならないことになっており、さらにまた面積的に見まして環境庁長官公害防止に関する意見というものを主務大臣は聴取されるという手続を経て、その手続がさらに知事の方に返ってまいりまして知事が免許をする、こういうふうになるというふうに理解をいたしております。
  78. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうしますと、大臣のところへこの相談は来ているんですか。
  79. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいまも御説明がございましたが、埋立法によりますと、まずは都道府県知事に出願がなされまして所定の手続を経まして免許に至るわけでございますけれども、その際埋立規模等一定要件のものについてはあらかじめ主務大臣、この場合は建設大臣でありますが、その主務大臣の認可を要することとなっておるわけでございます。したがいまして、免許権者であります都道府県知事から認可申請が行われるわけでありますので、その場合には建設大臣は必要な審査あるいは環境庁長官の意見を聴取するなど所要の手続を経て判断することと相なるわけでございます。
  80. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうしますと、今局長答弁以前の段階にある、こう解釈してよろしゅうございますか。
  81. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先ほどもお話し申し上げましたように、まだ出願はなされていない段階でございます。
  82. 青木薪次

    ○青木薪次君 運輸大臣、その本家本元の一番基本的な問題が議論されずに枝葉末節的な問題ばっかりを議論しているということだと思うんですよ。それで、さっき私が調べてみましたら成田は十二年、それから今の航空局長答弁では無理をして年から年まで勘定をして八年だとわざわざ注釈しましたけれども、その四年という歳月が縮まることができるかどうか。成田はいろんなことがありました。管制室の中に入って壊したりなんか、いろんなことがありました。あったにしても、あるところへうちを建てるんですよ。そういうことについて運輸大臣はどう考えていますか。
  83. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今河川局長から答弁がありましたのは、事務的にまだ埋め立ての認可が出ていないということはもうそのとおりだと思います。  私ども政府といたしましては、関西空港のための関係閣僚会議を持っておりまして、基本計画については閣僚会議で認めるということにいたしておりまして、それを具体的にどうするかという問題はこれから進むということになっておるわけでございまして、航空審議会答申の新空港位置その他については基本計画で関係閣僚の了解を得ておる、それからなお事務当局相互間のいろいろな事務折衝もいたしておる、こういうことに御了解をいただきたいと思います。
  84. 青木薪次

    ○青木薪次君 私がなぜ質問をするかと言えば、私どもはこの地域建設委員会として視察に行ったんです。いろんなことについて聞いておりましたところが、私も相当関西国際空港の問題については関心を持っておりますからいろいろ聞いていったところが、一つとして手続的になされていないということが判明したんです。これは大変なことだからひとつきょうの連合審査で質問しなきゃならぬ、こういうことになったわけでありますが、あなたは、事務的にはなされていないけれども閣僚会議があってまあまあと、そこでもって全部話が通じて、以心伝心全くうまくいくんだというふうなニュアンスとして受け取られるように思いましたけれども、それじゃなお、あなたは首を振っているけれども、できないじゃないですか。
  85. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) これは当然でございまして、今、国会で御審議を願っておる関西空港株式会社が主体になって出願するわけでございますから、この会社ができておらぬのですから、出願が出るはずがないのでございまして、出た後で手続が進むというのがこれはもう当然じゃございませんでしょうか。主体がまだできておらぬのでございますから。  それから、問題がしかく簡単だというふうには私ども考えておらないことは、つけ加えて申し上げておきます。
  86. 青木薪次

    ○青木薪次君 埋め立ての出願があったときに建設大臣は認可なりをするということです。そういたしますと、公有水面の埋め立てというものは、主務大臣として公共上あるいはまた経済上あるいはまた環境保全上の観点から、いろいろこれから株式会社法ができて、十月一日に会社が設立して、社長も決まって、そうしてそれから事務的に提案をして、今私の言ったようなことをやる。そうして一億五千万の土砂を、土取りを始める。その場所を大体これから決めるということ、これらの関係に当たって、私は、八年間でもう飛行機が飛び立つまでにやるんだということでありますが、これはもう、私は今から予言しておきますが、絶対できないと思いますよ。  その点について大臣は、絶対できるという確信のもとにやりますか。
  87. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 右の物を左に置くような簡単な話じゃないことはもうおっしゃるとおりだと思っております。ただ、成田の空港が十数年かかったというのとは事情が著しく違うということも、これも間違いがない事実だと思います。成田の空港については、何といいましても一番問題は、用地の買収でございます。今日、第二期工事が着工できないのも、十二軒の地主とそれから一坪地主が残っておりますために第二期が着工できないことは、もう御承知だろうと思います。  これとは事情が著しく違うのでございまして、私どもは技術者が自信を持って八年間で完成をすると、こう申しておりまするので、私はなかなかそれは大事業だなと思っておるわけでございますが、これが初めから何年かかるだろうということを私とやかく申し上げるような材料を持っておりません。したがって、日本の優秀な港湾技術者、土木技術者の技術を信頼するということ以外にはない、かように考えておりますし、ぜひ、必要性から申しますと関西空港は今日でももうすぐ必要だというような客観的事態でございますので、私どもはどうしてもなるべく早くやりたい、こういうふうに考えておりますので、是が非でも予定のとおりで実現するように全力を挙げてまいりたい、今のところそう申し上げるよりほかにちょっと方法がないわけでございます。
  88. 青木薪次

    ○青木薪次君 私も別に港湾技術を軽視しているわけじゃありません。優秀なことはよく認めておりますが、運輸大臣、新会社が発足してから申請を出す、その後にアセスの問題、特に漁業補償の問題でこれは容易じゃない、それから土取り場の問題、それから、今から申し上げたいと思いますが、一番肝心かなめのアクセスの問題があるわけであります。  そこで、立派な空港だと言われることは、空港施設自体の能力もさることながら、アクセスと環境問題だというように私は考えているわけでありますが、この間の我が党の瀬谷議員の質問に対しまして、日経新聞でしたか、あなたがあそこまで、泉佐野まで新幹線を引くというようにいろいろな間違った記事が出ておったわけでありますが、新大阪の駅からここへ、泉佐野地区に向かって、また泉佐野地区から新国際空港までのアクセスというような問題についてどんなふうにお考えになっていますか。
  89. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 空港に対するアクセスの問題が重要であるごとはもう成田新空港で懲りておるわけでございます、率直に申しまして。  ですから、相当な距離がございますから、アクセスの問題はこの新空港の死命を制するような大きな問題だと思っております。これはもちろん道路、鉄道、それから船によるアクセスも考えなきゃならぬのじゃないかというふうに考えておりますが、今お話のありました点だけについて申し上げますと、新幹線を新空港の近くまで持っていくという話ではないのでございまして、新幹線の新大阪駅から鉄道を結んで大阪の環状線を使って、そして阪和線を結んだらどうかという一つの考え方がある、有力な考え方があると。しかし国鉄の今の財政状態ですから、そういうことができるかどうかもつと慎重に考えなきゃいけませんが、そういう考え方をしておられるところが相当あるということ、国鉄の中でも研究はいたしておるということを申し上げたわけでございます。
  90. 青木薪次

    ○青木薪次君 成田空港が、いろんなことがあって、取り返しのつかないような犠牲の連続の上に莫大な投資をして、予想できないような長年月の日時を費やして実はできたわけでありますが、六十数キロというのはいかにしても遠い。私ども外国へ行く場合にも、前日から来ていなければならない。また見送りの人がこれまた大変なことです、ちょっと何か騒ぎがありますと全部チェックされますからね。これは依然として成田空港は私どもは欠陥空港ではないかという気持ちが捨て切れないのですよ。  今度の場合、新空港はそういう意味で、三十五キロですか、ということを聞いているわけであります、大阪の都心から。聞いているわけでありますが、アクセスの関係から言うならば、今大臣のおっしゃったように新大阪から大阪駅を通り、天王寺を介してそれから泉佐野地区に行く、それから今度は当該新空港までということになりますと、これは三回ぐらい乗りかえなきゃならぬのじゃないですか、現在の考え方から言うならば。国鉄が赤字であるとして、なかなか投資ができぬということになりますと、余計現在の天王寺の駅、これは三階建てになっていますね、一階はコンコースですけれども。その点で、それが昭和六十七年までにできるという確信がありますか。
  91. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 鉄道のアクセスだけについて申し上げますと、難波から出ております南海電車、それからほとんど並行して走っておりますもう少し山側の阪和線、御承知のように天王寺から出ておるわけでございます。それのむしろアクセスとして最初に手をつけなきゃならぬ問題は、橋をかけてどう空港へ渡るかという問題がとりあえず一番鉄道に関しては当面急を要する問題だと思うのでございます。それ以上の問題については、阪和線の天王寺なりあるいは大阪の難波なりまでを一体どう結ぶかという問題として、第二段といいましょうか、引き続いて考えていなきゃならぬ問題だということだと思います。  今お話の出ました新大阪から結ぶというようなことになりますれば、これは輸送の形そのものは、ちょんちょんちょんちょん乗りかえていくという格好のものでなく考えなきゃならぬのじゃないか。しかし、その問題は非常に大きな投資を要しますので、まだこれをやろうという話にはなっておるものではございませんで、そうした方がいいんじゃないかという、鉄道のアクセスの将来の図として描かれておるということでございます。さようなことだと思っております。
  92. 青木薪次

    ○青木薪次君 私どもも非常にこの点は心配しているんですよ。そこで南海電鉄もある、確かに今のお話のとおり。それから大臣のこの間の答弁ではヘリコプターも考える、それから海上輸送も考える、道路の計画等もある。もう何でもかんでもこれでもう全部完璧だというように答弁をされておったので、ここに甘さはございませんかということを私は指摘を実はしているわけでありますが、これの死命を制するのは、大臣みずから答弁されましたように、アクセスなんですね。アクセスなんです。  そこで国鉄の、——きょういますか、このアクセスの関係について、一つはやっぱり新大阪とその他の接続、それから天王寺の関係の設備等の関係について、また今大臣答弁されました向こうの島へ渡る関係をどうするかという点について、計画はありますか。
  93. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 鉄道によります関西国際空港へのアクセスにつきましては、今大臣からもお話がございましたけれども、空港立地に伴いますあの周辺地域におきますところの国あるいは地域整備の考え方との整合性並びに鉄道投資の投資採算性ということを勘案しつつ検討を進めたいと考えておりますけれども、今先生お話がございました具体的な点につきまして、部内での勉強の過程でございますが、ちょっとお話しを申し上げますと、いずれにしましても、空港から阪和線に向かって渡る、この部分につきましては、島内でのいろいろな利用計画等もございますので、今後十分空港島内におきますところのもろもろの設備計画と整合性をとって考えていく必要があるというふうに考えております。  阪和線に取りつくといたしまして、取りついてから新大阪まで直通電車を運転するということになりますと幾つかの案が浮かんでくるわけでございますが、その一つといたしましては、阪和線から天王寺の構内におきまして、天王寺の構内に改良の必要がございますが、天王寺の構内から環状線に結び、環状線から西九条を通して梅田貨物線を使って新大阪に入れるという案も一つ考えられるというふうに思っております。しかし、これらについては列車回数等の問題もございますし、またさらに大阪市内のなにわ筋線を使っての乗り入れということもございますでしょうし、それから現在計画を持っております大阪外環状線の旅客運転を使ってそれを南下して結ぶという案も考えられると思います。  この辺につきましては、いろいろ今後勉強をしてまいりたいということでございます。
  94. 青木薪次

    ○青木薪次君 湾岸道路とか近畿自動車道は空港アクセスとしても極めて重要であると思うのでありますが、建設省はこの点どう考えていますか。
  95. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 関西国際空港建設は、建設省の仕事にとりましても非常に重要な問題であると認識しております。  今先生がおっしゃいましたように、アクセス道路として重視している路線としましては、近畿自動車道和歌山線、大阪湾岸道路、第二阪和国道がございます。  これは、現状について簡単に申し上げますと、近畿自動車道につきましては、阪南町から海南市に至る二十七キロメートルを供用しております。その他の区間も全線事業中でございます。  大阪湾岸道路につきましては、大阪市港区港晴から堺市三宝間約八キロメートルを供用しておりますが、堺市三宝から泉大津市臨海町に至る延長約十一キロメートルについて現在事業中でございます。  第二阪和国道につきましては、大阪府堺市から泉南郡阪南町の区間を既に全線供用したところでございます。  今後とも、いろいろな面で努力してまいりたいと思っております。
  96. 青木薪次

    ○青木薪次君 時間がありませんから、いろいろとまだ詰めていきたい点がたくさんあるわけでありますが、株式会社法という点について我が党としては大変な異議を差し挟んでいるわけであります。  民間的手法で能率のいい経営をするんだと言うけれども、先ほどから聞いておりますと、運輸大臣のこのことに対する答弁は、羽田空港のビルディング等については純民間で経営しているけれども、これらは純国営の空港であってなかなか大臣が間接的指導をしなきゃならぬような点が多過ぎる。そこへいくと今度は、この新関西国際空港はすべての関係で、資金計画から大事から業務計画等についてすべて運輸大臣のところへ持ってくるから、その点は監督ができるんだと、こういうようなことを言われているわけでありますが、私どもは、ただの金を貸してやって、しかもその点に対して登録税その他についてもこれはただにしてやって、しかも実質的に成田の空港とほとんど同じような条件のもとに、もうかっても国に納めなくてもいいよといったようないろんな猶予の関係、温情あふれるような措置をしているわけでありますけれども、そうだとするならばなぜ株式会社法でやらなきゃならぬのかという点について、大変疑問が残っているわけであります。  関西国際空港の必要性という点について我々は別に人後に落ちるものではないのでありまするけれども、なぜこんな運用をするのかという点については国民も非常に疑問に思っているという点で、私どものところへ投書も参ります。  そういうことでありまして、今いろいろ詰めてまいりましてもこのようにいろんな問題点が起こっているわけでありまして、実際にアクセスの点、これから島へ水だって補給しなきゃならぬわけですね、埋め立てばかりじゃないんです。それらの関係を考えてまいりますと、運輸省建設省が全く一体にならなければこれはできるものじゃないという点を私は感じております。ところが、なかなかその辺の関係については、私も今建設委員会におりまするけれども、そのサイドから見ましても、両方の合い議というか話し合いというか、全くなされていないんじゃないかと思うくらいの節がたくさんございます。  そういう点について、これからの、先ほど申し上げましたように漁業補償の問題なんといったら、成田で棒を持っていろいろ作業をしておったあの諸君の問題よりより以上に難しい問題が、海上から起こるであろうということを実は考えているわけであります。ですから、そういうことを考えただけでも、私はやっぱりこの問題に対しては、我々野党の意見というものも十分これから聞きながら、各関係省庁と近絡をしながら、創意と工夫とお互いの連帯を持ちながらやっていかなければ、私はとても八年間で、足かけ八年間でできるものじゃないということをここに申し上げて、特に主務大臣である運輸大臣の反省を促しながら、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  97. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 大変御心配いただいてありがとうございます。  日本に、こういう心配をしなくてもいいような空港をつくる場所があれば、これだけの苦労は要らないと存じておるのでございますが、どう研究しても二十四時間使える飛行場埋め立てるしかない、こういうことでここに決まったこと御承知のとおりでございます。これは先ほど申し上げましたように右の物を左に置くような簡単なものでないことは当然でございますし、また役所としましても建設省、自治省、環境庁、農林水産省、その他もう挙げてこれは一致してやっていかなきゃならぬと思っております。  いろんな問題がございます。大変困難な問題が控えておることを十分覚悟いたしまして、いろいろ御批判は十分ありがたくちょうだいをいたしたいと思っております。
  98. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時一分開会    〔運輸委員長矢原秀男委員長席に着く〕
  99. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 中野明

    ○中野明君 最初に、運輸大臣にちょっとお尋ねをしたいんですが、趣旨説明にもありますように、現在の大阪国際空港状況から考えて今回の関西国際空港設置するという、そしてまたそれが二十四時間運用が可能、こういうことでございまして、私どももそのことについては必要性を認めております。  ただ、けさほど来からもまた前々からもいろいろ議論になっておりますように、現在第一種空港というのは、いわゆる国が設置して管理するのと、それからもう一つは成田の新東京国際空港、公団方式、この二つになっておるんですが、今回は新たに民間資本を導入して株式会社方式、こういうことになったわけでありますが、私どももどうしても、現在のやり方、いわゆる公団方式でやって都合の悪いことが何かあるんだろうか、こういうことにやはり第一の疑問を持つわけでございますが、いま一度運輸大臣の方から、公団方式で都合の悪いことがあったのかどうか、その辺を含めて経緯を御説明いただきたいと思います。
  101. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答えいたします。  けさほども御答弁申し上げましたが、空港の主体的なものにつきましては公団でやろうというのが運輸省の概算要求を出したときまでの原案でございますから、公団では絶対にいけないという理由は私はないと思います。  問題は、臨時行政調査会等でいろいろ御主張になっており、また中曽根総理大臣も非常に力を入れております民間活力の最高の利用ということを考えました場合に、法律による特殊法人株式会社の方がベターである、こういう結論に到達をして途中で変更してこの法案を提出するに至った、かようなわけでございます。絶対的に云々というようなものは、両方についてはないと考えております。
  102. 中野明

    ○中野明君 そこで、参議院の運輸委員会の参考人として出られました関西経済連合会の日向会長さんも、意見陳述の中でこういうふうに言っておりますね。  「関西空港は、元来、民間出資になじまないプロジェクト」であり、「信念を持って当初から民間出資に強く反対してまいりました。」と。御本人、途中から、説得を受けられたのか、今盛んに民間の資金導入に努力しておられるんですが、信念を持ってこれは民間の出資にはなじまないプロジェクトだと、このようにおっしゃっているわけなんですが、この辺は、運輸大臣として、なぜここまで強く心配をなさったかということ、その辺も一応考えておく必要があるんじゃないかということと、もう一人の参考人である大阪市立大学の川島名誉教授ですか、この方も、特殊株式会社方式が採用されたことについて、地元で「失望と将来に対する懸念を引き起こしたことは事実でございます。」と、こう参考人として意見を述べておるわけです。  この点について、運輸大臣として、この人たちが何を心配しているのか、またどうしてそこまで強く信念を持って反対されたのか、こういうことについてあなたの見解をお聞きしたいのです。
  103. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 日向さんが参考人としてお出になりましてそういう公述をなすったのは、私も聞いております。過去においてそういうふうに自分は信念的に考えておったと、こういうお話でございまして、座談的にも私どもも伺っておるところでございます。  しかしながら、いろんな点から考えまして、これを株式会社方式にするということについて、そういう心配をいろんな方法でなくするということが当然条件だと思いますが、株式会社にすることを御賛同いただいた。その後の日向さんの関西におけるいろいろな動き、特に民間の出資者を募集するといいましょうか、割り当てといいましょうか、集める段階等における御努力状況から考えますと、かつてはそういう信念であったけれどもこの新しい方針に従ってやるんだと、こういうことであろうかと思うのでございます。  また、いま一人の方の御意見は、これはやはり基本的に株式会社であれば公共的な問題についてどうであろうか、心配があると、こうおっしゃるわけでございまして、私どももこれは当然、心配をなさると言われる立場に対していやそんなことは必要ないでしょうと言うわけにはまいりません。これは、それならなぜ株式会社かと言われればこれはもう一言もないわけでございますから、私どもはそういう心配については十分ひとつ監督なりいろんな方法によって防圧してまいる、かように考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、非常に新しい一つの試みでございますので間違いなくこれをやってまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  104. 中野明

    ○中野明君 今おっしゃっているように、とにかくこれ世界でもこういう式は初めてというふうに私も聞いておりますが、新しい試みでございますので、いろいろ関係者が心配していることだけはひとつ十二分に手を打っていただいて、そういうことのないようにしていた、だきたいと思います。  それから、いま一つは、こういう形式をとっているのは、でき上がればこの関西空港だけということになるわけですが、対外的に、外国の方から見て、日本でこういう空港ができると、それについて、株式会社方式で民間の資本を導入しているということについての理解といいますか、信用の度合いといいましょうか、あるいは不安といいましょうか、そういうことは一切ないのかどうか、その辺について運輸大臣としてどこまで自信を持っておられるのか、その辺の所感をちょっと。
  105. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 政府が実質上三分の二の出資をいたしておるものでございます。それから、いろいろ会社運営その他について法律で、今御審議中の法律でございますが、法律で縛っております。そしてかなり、これもまあ余り監督が厳重でもというような意見もいろいろ政府部内にもございましたが、いずれにいたしましても、かなりな監督をするという形にいたしておりまするので、外国の方、航空会社等からその信頼性について云々ということはないものと私ども信じております。  実は昨日、イギリスの連合王国の下院の運輸委員長を初め、一行が見えました。空港の問題の調査で見えまして、今回の関西空港についての話を私並びに航空局の者からいたしたのでございますが、非常に興味を持って、これをどうだこうだと言って聞いておられたようなわけでございまして、これでは心配ではないかというような御質問はなかったのでございます。
  106. 中野明

    ○中野明君 私、申し上げておるのは、結局国内でもやはり、予想に反してといいますか、こういう形式が出てきたもので、いろいろと心配をして議論が出ている向きもありますので、そういう点を含めまして、日本のいわゆる経済的な考え方、いわゆる経済合理主義ということが外国でも非常に評判になっておるきょう今日でありますので、今回の空港がそういうことで経済性のみに走ってしまいはしないかという心配を持っておられたらいかぬということで、今お尋ねをしているわけでして、その辺は、大臣の今の御答弁にもありましたように、初めてのことですから、失敗ももちろん許されませんし、ぜひいろいろの心配をされている人たちの意見というものを十分酌み取られて、万遺憾のない立派な運営を今後もお願いしたい、こういうふうに思います。  それから次の問題なんですが、現、伊丹にある大阪空港、これが非常に問題になってくるわけでございますが、まず、大阪空港環境整備、いわゆる騒音公害等につきまして、裁判の費用も相当かかったように思いますが、今までにこの伊丹大阪国際空港環境整備に一体どれぐらいお金がかかったことになっているのか、その辺は。
  107. 山本長

    政府委員山本長君) お答え申し上げます。  いつからという期限でございますが、航空機騒音防止法に基づきまして特定飛行場と指定されましたのが四十二年でございますので、そのときから今日まで、つまり五十九年度までの予算額を含めまして、累計で約四千三百六十億円でございます。この大阪空港に投じました費用は、全国においてこういった同種の費用を投じておるのでございますけれども、その大体六〇%ぐらいに相当するというものでございます。  投じました費目と申しますと、学校、病院等の公共施設に対する防音工事でございますとか、移転補償でございますとか、住宅に対する防音工事、それから緑地の整備、それから空港周辺整備機構におきまして周辺の再開発事業を行っておりますが、それに関する費用、それから移転補償者に対する代替地の造成事業、こういったものが主な事業でございます。
  108. 中野明

    ○中野明君 そのほかに、これは兵庫県とか大阪府とか、そういうところは幾らかお金を出しているのか。その辺は掌握しておられませんか。
  109. 山本長

    政府委員山本長君) 詳細なものは、実は役所に持っておるのでございますが、ちょうど今持ち合わせておりません。それぞれ補助割合と申しますか、というものが決まっておりまして、全額国費というものもございますし、九割九分国費でごく一部持っていただいているというのもございますし、約半額持ってもらっているというのもございます。いろいろな種類がございます。
  110. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、兵庫県も大阪府も何がしか受け持っているということです。  それから、いま一点、まだこれで一切環境整備が終わったわけじゃないんですが、今後どの程度この予算が必要と、このように見込んでおられるんですか。
  111. 山本長

    政府委員山本長君) これから幾らかかるかという見通しは極めて実は難しい御質問でございまして、先ほど申し上げました、投じました金のうち一番大きな額は民家防音工事でございます。この民家防音工幸は相当にもう進んでおりまして、六十年度末までには現在の七十五WECPNLの区域の中にあります民家の希望者に対する工事は完了するという見通しになっております。したがいまして、この金額につきましてはある程度の予想ができるのでございまして、六十年度において約二百億円計上すれば完了するということでございます。しかしながら、学校、病院等の防音工事の助成にいたしましても、また移転補償というのにつきましても、これは希望者について移転補償を行うというものでございますので、こういったものについて引き続き要望があるものと予想されます。  また、周辺地域と調和のある発展を図っていきますためには、やはり基本的には地方公共団体と協力をいたしまして、緑地等の整備というものを都市計画手法などを用いまして実施していくというふうなことが必要であろうと考えております。目下、大阪府側、兵庫県側につきまして具体の計画づくりを進めているところでございまして、事業費の見積もりというところまで至っておらないのでございます。いずれにいたしましても、なお相当金がかかるであろうというふうに考えております。
  112. 中野明

    ○中野明君 それで、現在の伊丹大阪国際空港の役割は、今大変なものを果たしているわけですが、国内と国際便に分けまして、これ九州、四国、沖縄と、こうありますね、その他の本州と。このように分けて、大体発着便数ですね、国際便と。何便ぐらいになっていますかね。
  113. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 五十八年度におきます大阪国際空港発着便数でございますが、国内線約十万四千八百回、国際線約一万九千六百回、合計十二万四千三百回でございます。
  114. 中野明

    ○中野明君 内訳、四国、九州と、その他の本州というふうに分けてわかりますか。
  115. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 残念ながら手元に資料がございませんので、後ほど資料としてお届けいたします。
  116. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、また教えてください。  それで、運輸大臣、けさほどの御答弁でも、この伊丹国際空港のことについてはこれから決めるんだと、一応何か廃止を前提にしてとかいうような意味のお話もあったやに聞いたんですが、これだけお金をつぎ込んで努力をして、今日もまた重要な役割を果たしておりますし、私も四国に住んでおりますが、この伊丹空港というのは非常に我々にとっても重要な役目を果たしてくれているわけですが、この新関西空港とこの大阪空港との位置づけといいますか、そういう点については運輸大臣としてどうお考えになりますか。
  117. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) けさほど、廃止を前提としてと申しましたのは、航空審議会答申にさように書いてあるということでございます。  ただいまの政府方針といいましょうか、運輸省方針といたしましては、伊丹空港に対しましては、今度の新しい関西国際空港建設が決定された時点から可及的速やかに本空港の存廃を決定するに必要な諸般の調査を行い、関係地方公共団体の意思を十分聴取した上で、運輸省責任において関西国際空港の開港時までに存廃についての結論を出したい、これが今の基本方針でございます。少し長くなったからあれですが、向こうの工事が始まった——というのは、もうすぐ後、これから始まるわけでございますが、空港の開港のときまでに決めると。しかしこれは、方針はこうなっておりまするけれども、実際問題として、七年も八年もかかるものをそれまで決めないでおくということはいろんな点で非常に不都合だと思いますので、関係公共団体その他地元の皆さん方とも御相談をしながら、なるべく早く現空港の取り扱いについて方針を決めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  118. 中野明

    ○中野明君 それぞれ、地方も、環境対策に応援もしていますし、いろいろの面もありますので、十分これ地元の意見を参考にしてお決めいただきたいと思うんです。  新空港のもう一つの問題点は、やはり新空港の採算性について種々議論が交わされているようでございますが、採算が立つという見通しについて御答弁になっているようなんですが、改めて採算の見通しについて示していただきたいんですが。
  119. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 関西国際空港のプロジェクトは非常に大きなプロジェクトでございます。また、長期にわたって建設期間が続きます。そういった意味から、収支採算をなかなか見通すことは難しいのでございますけれども、現段階で我々がいろいろ考えた結果推定しております収支採算を申し上げますと、開港後おおむね五年程度で単年度損益計算上の利益を生じ、開港後おおむね九年程度で株式に対する配当が可能となり、開港後おおむね二十三年程度で有利子の借入金の償還が可能となると考えております。  もちろん、この見通しは、いろんな前提条件に基づいております。主な前提条件を申しますと、まず、工事費が八千二百億円、総事業費一兆円でおさまるということ。  二番目に、その総事業費の三〇多が出資、実質的に出資という格好で調達可能であるということ。もちろん出資という形態で取るのは一二%でございますけれども、それ以外に一八%。一八多のうち一二%は、政府から無利子融資という格好で御融資したいと思っております。それ以外の六%につきましては、長期低利の資金を地方公共団体、民間から調達していただくということを考えております。ひっくるめまして、三〇%の無利子相当の資金の確保が第二の条件でございます。  第三の条件といたしまして、一応収支採算上厳しい条件を設定するために、大阪国際空港は一日二百便のジェット機を残すという前提を置いております。  また、収入の予測の面でございますけれども、六十八年度に開港いたしました時点において、国際旅客一年間に九百万人、国内旅客一千百万人、国際貨物五十八万トン、国内貨物二十八万トン、年間離着陸回数約十万回と想定しております。  このやり方につきましては、弾性値方式という方法をとっております。国民所得が何%伸びたときにどのぐらい航空需要が伸びるかということを、四十九年から五十七年までの期間につきましていろいろ計算いたしました。その間の実績を考慮いたしまして、国民所得の伸びを六十五年度まで年率四%と想定しまして、その弾性値方式によりまして六十八年度の需要を想定したものでございます。なお、需要想定に当たりましては、成田の空港公団の実績値を大いに利用しまして、着陸料その他はその横並びということで処置しております。  なお、収入支出の点でございますけれども、本株式会社法案にはいろいろの税制面の特例が盛り込まれております。その特例をフルに活用するという前提で収支採算をはじかせていただきました。  以上でございます。
  120. 中野明

    ○中野明君 今のお話の中で大体わかりますが、その伊丹大阪空港に一日二百便を残しておくということは、これは、それがそっくり、どういうんですか、新空港で発着する余裕がないから残しているんですか、それとも余裕はあるけれども大事を踏んで残しているのか。あるいは、伊丹空港との関連を考えて残すという計算にしておられるのか、その辺はどうなんでしょう。
  121. 山本長

    政府委員山本長君) ただいま部長が答弁いたしました言葉の中に、収支採算上の厳しい条件を設定してはじいたと、こう申しております。  この点でございますけれども、新空港の収支計算をはじきますときに、もちろん新空港の需要が多ければ、まあ言うならば着陸回数が多ければ、これは収支採算上プラスに働くわけでございます。そういった意味におきまして、伊丹空港がないと仮定いたしましたときには、伊丹空港の発着機数は全部こちら、新しいところへ参りまして、さらに今後伸びます需要がそこに加算されるということでございます。収支計算上はプラスに働きます。伊丹空港が存続するという結論になりましたときには、現在が二百便ジェットで運用いたしておりますので、その程度が残るというふうに仮定いたしますと、それを超える需要が新空港の需要になるということでございます。  収支計算上はじきましたときには、非常にマイナスに陥る要素というものを避けておく、一番厳しい条件ではじいておくということが正しい方式である、こういうところから、伊丹空港について二百便のジェット機というものを残しておくという前提で収支計算をはじいた、こういうことでございます。  伊丹空港の存廃問題につきましては、大臣が先ほど御答弁をいたしましたけれども、早く結論を出したいというふうに考えておりますけれども、現段階ではその手続を踏んで結論を出すということでございますので、結論的にはまだ決まっていない、こういう状態でございますので、収支計算上はそういう前提でしたと、こういうことでございます。
  122. 中野明

    ○中野明君 そうすると、運輸省の考え方はまだ決まっていない、このように理解しておいてよろしいですね。  それじゃ、空港の警備の問題でちょっとお尋ねをしておきます。  空港の警備、成田の場合は空港警備隊が置かれております。この人員と予算の関係をちょっと説明してもらいたいんですが。
  123. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) お答えいたします。  成田空港につきましては、成田空港におきます警備活動を実施するための部隊として、昭和五十三年に当分の間千葉県警察に新東京国際空港警備隊を設置するということが定められまして、千五百人の空港警備隊が五十三年以来千葉県警察に設けられております。  この関係の予算でございますが、全体で国費補助金含めまして五十九年度で申し上げますと、五十九年度予算では総額五十八億八千八百万円の予算が措置されておるわけでございますが、ここでの問題は、千葉県警察は千葉県という自治体が維持する自治体警察でございまして、したがって千葉県警察に属する職員の人件費については、警察法上もそのように定められておるわけですが、全額都道府県支弁というのが原則でございます。  しかしながら、空港警備といいますのは大変に国際的にも重要な性格がある、国家的色彩も強い事務である、そういう観点から、空港警備隊につきましては、設置以来、極めて異例な措置ではございますが、警察法施行令附則二十一項の規定によりまして、人件費は全額国庫補助というふうに措置されておるわけでございます。
  124. 中野明

    ○中野明君 成田の場合はこれは特別でしょうけれども、この四月の初めでしたか、関西空港に反対する過激派のしわざと見られる爆発事故が起こったと報じられておりますが、やはりこういうことがあるということは、その後の動きも非常に私どもも心配でございますが、再びそういう行動を起こすおそれはどうなんでしょう。
  125. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 関西空港に対しまして極左系の動向は、反対行動としてかなり古くからございます。彼らの反対組織、現在大阪、兵庫、和歌山にわたりまして既に三十一の極左系の反対行動の組織がつくられておるわけでして、極左の関西空港に対する認識を申し上げますと、三つの事柄を彼らは言っております。  一つは、巨大な軍事空港で、しかも日本初の二十四時間空港だと。二つ目は、政府、地方自治体、財界の共同出資会社による資本の延命のための空港で、人民の収奪犠牲の上につくられた空港だ。三番目には、地方住民の生命、生活環境の破壊をもたらす空港だと。そういう認識の上に反対行動に取り組んでおりまして、これは昭和五十五年以来具体的な反対行動が出ております。  かいつまんで申し上げますと、五十五年の五月十八日には中核派が大阪空港交通バス、これ四台に放火をいたしました。五十六年の八月には、中核系のグループが、岸和田の市民会館で行われました大阪府主催の関西空港問題府民説明会の会場に乱入しまして、演壇を占拠し、妨害いたしました。これは威力業務妨害で十七人逮捕しております。三つ目には、五十八年の四月に、ノンセクトのグループ百五人が、貝塚市の福祉センターで開かれた運輸省の現地事務所開設披露会粉砕を叫んで、会場敷地内に侵入して座り込んだ。これは不退去、公妨で七人を逮捕しております。そして最近では、御質問にもございましたような、四月四日に中核系が時限式可燃物を仕掛けまして、大阪府本庁四階と財団法人大阪科学技術センター三階にゲリラ放火を行ったという事案がございまして、最近六月三日には中核派の者が泉佐野市の海辺に約九百人を集めて集会、デモを行うというような反対闘争がございました。  今後の見通しとしましては、彼らは、三つの軸を立てまして闘争に取り組むということを言っております。  一つ会社法案の今国会通過阻止、二つ目には十月一日特別会社設立粉砕、三つ目には八五年工事着工阻止と、彼らなりの予想を立てて、空港関連の施設あるいは官公署、業者等に対するゲリラ、抗議行動、あるいは今後起こってくるでありましょう補償問題、公害問題に介入して大衆闘争を盛り上げる、工事妨害を行っていくということが出てくるのではないかと、かように予想しております。
  126. 中野明

    ○中野明君 どうも私知る範囲では、今回の関西国際空港設置されるこの泉州地域というのは、警察力も関西全体から見れば手薄な方じゃないかというふうに私思いますが、いろいろそういう動きがあるということになりますと、やはり空港の警備ということもさることながら、事前の、そういうことについての住民に被害が及ばないような対策というものが必要じゃないかと思います。それにはどうしても現状のままでは到底無理だろうと思いますので、これは運輸大臣も自治大臣もおられますが、やはりそうしますと、こういう新しい大きな事業をするということになりますと、当然要員の増員ということも必要になってくるんじゃないだろうか、私はこのように思いますので、これはこの機会に強く要望を申し上げておきます。  次の問題として、これ地方公共団体に今回出資を求めるということで、自治大臣の許可が、認可といいますか、それが必要になってくるわけですが、運輸大臣、現在どの程度を考えておられるのか。申し込みの希望というのはどれぐらい出ているんでしょうか。
  127. 山本長

    政府委員山本長君) お答え申し上げます。  私たち、この空港。プロジェクトを進めてまいりますときに、関係の深い地方公共団体といたしまして、いわゆる三府県、大阪府、兵庫県、和歌山県というものを窓口にいたしまして地方公共団体と接触をしてきたわけでございます。私どもといたしましては大阪府、兵庫県、和歌山県の三府県に対しまして、本会社の設立、それから出資等の要請をいたしたところでございます。大阪府、和歌山県からはこれについて協力する旨の回答を得、また兵庫県からは会社の設立については異存はないという回答を得てきたところでございますが、去る六月の十六日、先週の土曜日でございますが、近畿ブロック知事会議大阪市内で開かれました。近畿圏内の八府県知事さん、大阪府、兵庫県、和歌山県、京都府、奈良県、滋賀県、三重県、それから福井県も含めまして八府県知事でございますが、が出席されまして、この関西国際空港に対して近畿圏全体として出資をしていこうということに合意され、その出資の比率と申しますか、につきましては自治省に調整を要請する、こういうふうになったという報告を受けておるところでございます。  そういった意味におきまして、先生お尋ねの比率がどうなっているかということについてはまだはっきりとはしておりません。自治省に調整を依頼する、こういうことに申し合わせたということでございます。  ただ、私たち運輸省といたしましても自治省に対しまして、この地方出資については自治省がチェックされる立場にございますし、また地方公共団体の財政全般に関しまして自治省が見ておられるという立場でございますので、この出資については、関係地方公共団体に対しまして、調整を自治省にも御依頼申し上げていたところでございます。私たちも、自治省の御協力を得て、この出資の割合というものについて、最終的に円滑に決まるようにやっていきたい、また自治省にもお願いしたいと、かように考えておる次第でございます。
  128. 中野明

    ○中野明君 いま一点お尋ねしますが、今都道府県の話、関西で言えば府県ですね、府県の話が出ているんですが、この関係地域のいわゆる市町村はどういうふうに受けておられますか。
  129. 山本長

    政府委員山本長君) 私たちといたしまして、これは自治省と相談をいたさなければなりませんけれども、運輸省の立場から見てまいりますと、やはり将来配当の可能性はあるとはいえ相当長期にわたって配当がない時期が続きます。そういったところから見まして、やはり府県及び政令市というところが出資を期待できる地域団体ではなかろうか、こういうふうに考えております。  近畿におきましては、先ほど申し上げました府県のほかに三つの政令市がございます。三つの政令市のうちの、全部ではございませんけれども、一部からは出資をしたい、こういうふうな申し出も受けておるところでございます。この辺につきましては、よく自治体と、自治省とも相談をいたしまして決めてまいりたいと考えております。
  130. 中野明

    ○中野明君 自治大臣、今お聞きのとおりなんですが、これはかなり当初と違って、各近畿の関連の地方公共団体からの希望といいますか、要請が強まってきているようなんですが、市町村も含めまして、恐らく空港埋め立てができるその隣接の市町村なんかも、強い要望が出てくるんじゃないかという気がするんですが、やはり自治省として認可を与えられるわけですから、それについてはもう今からはっきりした基準をお示しになつて、それ以外のところは無理だというような何かを示してあげないと、いたずらに、どういうんですか、この際これに一枚かんでおかなければ損だとかいうようなことで、みんなが、どの市町村も無理してこれに頭を使い努力をした結果、だめなんですよということになると、やっぱりそれだけ混乱が多いと思いますので、事前にもうはっきりした基準を決めて、こういう条件でこういうところでないとこれは無理ですよということをはっきり今から示しておく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  131. 津田正

    政府委員(津田正君) 先ほど運輸省から御説明申し上げましたところとあれでございますが、あした代表知事が自治省に参って、先般の近畿知事会の結果を報告、要請に来る、こういうふうに聞いておりまして、今後法案審議等もにらみながら各地方団体の調整を図りたいと、かように考えておる次第でございます。  基本的な性格としては、これは各地方団体の意思によるところでございますが、私どもからいたしますと、やはり長期にわたる出資というような観点からいたしましても、都道府県ないしは大阪市、神戸市等の特別市、これが中心であるべきと、このように考えて、各団体の御意見を十分承るつもりでございますが、基本的にはそういうスタンスで臨みたい、かように考えております。
  132. 中野明

    ○中野明君 それから、先ほどの収支の採算性の問題のところで出ておりましたけれども、将来いわゆる融資の要請というようなものも出てくるようなことも含めますと、なかなかこれは大変なことになるんじゃないかというような気がしますので、自治大臣、結局、今私が申し上げているように、地方公共団体が自分の意思で決めるのは、それはもう当然それをとめるというのはどうかと思いますけれども、やはり許可をされるのは自治大臣ですから、大体の基準を、今の審議官答弁で大体理解できるんですが、政令指定都市以上でないといけませんよとか、そういう基本的な方針はお決めになるつもりなんですか。
  133. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 今審議官から説明がありましたように、明日以降関係の団体の知事さんもおいでになりますし、地方自治体側の意見も十分市町村の意向も含めてお聞きをして、そして万全の処置を講じていきたい、このように思っております。
  134. 中野明

    ○中野明君 それでは、将来必ず問題になってこようと思いますが、漁業の補償の問題がいつの場合でも大きな問題になってくるわけですが、漁業に及ぼす影響評価というものは現在はどこが中心になって調査をされているんですか。
  135. 山添健一

    説明員(山添健一君) 関西空港建設に伴います漁業影響の調査、これは昭和五十一年度から開始されているわけでございますが、この調査に当たりましては、大変水産についての専門、特殊な技術が必要ということでございますので、私ども水産庁の所管します社団法人の日本水産資源保護協会というところが調査を担当ということでやっておりますが、この資源保護協会の調査のメンバーにつきましては、私どもの水産庁の附属機関の水産工学研究所及び南西海区水産研究所の所長以下の研究所員が主体となって構成して、調査をずっと進めてきている、こういう状況でございます。
  136. 中野明

    ○中野明君 それで、今回のこの関西空港ができるに当たりましての漁業に及ぼす影響については、どういうふうに掌握しておられますか。
  137. 山添健一

    説明員(山添健一君) この関西国際空港建設が予定されております大阪湾南部の泉州沖の海域でございますが、ここは非常に良好な漁場であるとともに、大阪湾の中ではいわゆる魚類の産卵場、また幼稚仔の生育場ということになっておりますので、空港建設に伴います直接的な埋め立てによります影響はもちろんのこと、資源上の問題、操業上の問題からあわせましてこの影響というのは周辺海域にも及ぶのではないかというように考えておる次第でございますが、詳細につきましては、さらに事業主体が作成します環境影響評価書、これにつきましても検討の上、運輸省の方とも十分協議していきたいというように考えておる次第でございます。
  138. 中野明

    ○中野明君 どの程度影響が出るのか、ちょっと考えただけでも、五百ヘクタールの埋め立てをするんですから、そこはもう頭からその周辺は漁業ができないということは当然ですし、関係する漁協というのが非常に私は多いように聞いているんですが、幾らぐらいあるんですか。
  139. 樋口健夫

    説明員(樋口健夫君) 関西空港建設に関係いたします漁業協同組合は、現在のところおおむね八十組合になると承知いたしております。
  140. 中野明

    ○中野明君 この八十組合、これは大阪府、兵庫県、和歌山県も入っているんですか。それと、それからこの関係組合は一応、空港設置に納得をしているんですかどうですか。
  141. 樋口健夫

    説明員(樋口健夫君) ただいまの八十組合は、大阪府、それから兵庫県、それから和歌山県にございます関係組合でございます。それでこの関係組合と申しますのは、大阪湾におきまして漁業を営んでいる組合員を抱える組合、あるいはこの空港によりまして魚の回遊等が変わるというようなことで間接的な影響を受けると思われる組合を含むものでございまして、この空港にどういう態度をとっているかということについては承知いたしておりません。
  142. 中野明

    ○中野明君 そうすると、これは水産庁は、地元の漁民が直接影響を受けるわけですから、そういうことについて、地元の組合の状況もつかんでないというようなことで、果たしてこれ将来漁業交渉に当たってうまくいくんだろうかという心配を私はするわけですが、そうしますと、当然この地元の漁業組合並びに漁業者の人たちの要望といいますか、この空港ができるに当たって自分たちはこういう心配と不安がある、それに対してこうしてもらいたいああしてもらいたいという要望は、水産庁の方に把握できていないんですか。
  143. 窪田武

    説明員(窪田武君) 今後のお話でございますけれども、いわゆる漁業補償の問題だろうと思いますが、これは本来事業主体と関係漁業者との間の話し合いの上で解決されるというのが大前提でございますが、この空港を円滑に進めるためにはやはりその漁業交渉が円滑に行われるということが必要であるということは我々も理解しているところでございまして、ただ、現段階で、具体的な話につきまして、いわゆる漁業者の方からもそういう要請等はまだ来ておりません。したがいまして、私どもといたしましては、当時者間の相互の理解が十分図られますよう、運輸省を初め関係官庁とも十分連絡をとりまして、できる限りのことはしたいというふうに考えている次第でございます。
  144. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、ここに運輸省から出ております環境影響評価、これについていろいろ資料が出ているんですが、この海域生物及び漁業関係への影響評価というものはどこでやられたんですか、運輸省の。
  145. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 漁業への影響でございますけれども、航空審議会におきまして泉州沖場所が決まりました段階で、私ども、昭和五十一年度からでございますが、泉州沖空港前提とするもろもろの調査を始めたわけでございます。  その中で、やはり漁業への影響ということが非常に大きな問題であるという認識に立ちまじて、五十一年度から、先ほど水産庁の方がおっしゃられましたけれども、やはり特殊な分野でございまして専門家の意見を聞くということで、今言われました日本水産資源保護協会に私どもは調査を委託しまして、非常に多くの方々の斯界の専門家を集めていただきましていろんな調査をやったわけでございます。その結果、この漁業関係の問題というのは、五十一年から五十四年度までほぼ四年間にわたっていろいろ調査をしていただいたわけでございますが、こういう種類の問題というのは、四年というのは必ずしも長い期間ではございません。むしろ短過ぎるという議論がございますけれども、それはそれなりに勉強していただきまして、水産部門から考えた、漁業から見た影響というものを勉強していただきました。  一方、それと同時に、大阪湾の潮流がどうなるとか、工事に伴う濁りがどうなるとか、やはりそういう面からの調査もやりまして、この部分、この関西空港、三点セットを出しました段階では約一千二百ヘクタールの埋め立てを考えておりましたけれども、それに伴います海流等の変化、水の変  化、これが相当狭いものであると。そういうものも含めまして、三点セットに環境影響評価として私どもがまとめたものでございます。  さらに、五十一年度より調査を続けております一段階で、もろもろの漁業者との調整もやってまいりました。現在までに八回にわたりまして、ボーリング調査であるとか、あるいは観測のためのやぐらをつくるとか、漁業者と調整をしてまいりまして、大阪府、それから兵庫県——この空港島をつくりますところはいわゆる漁業権漁業ではございませんで、大阪府知事と兵庫県知事が許可する許可漁業の範囲でございます。その中で漁業者とも話し合いまして大体私どもが漁業補償等過去八回にわたってやっておりますけれども、大阪府下で二十四組合、それから兵庫県関係で十七組合、この方々と既に相当な実績をもって話し合いをしてきたものでございます。もちろんこれは調査に伴うものでございまして、埋め立てそのものに伴う補償とは違いますけれども、それなりに漁業者との話し合いを続けてきておるわけでございます。
  146. 中野明

    ○中野明君 どうも今お話を聞いていると、私は、水産庁の答弁、先日も委員会で問題になったようですが、水産庁は何か部外者のような立場で、運輸省がしんになって専門外の漁業のことまで一生懸命に掌握をしてやっている。ところが肝心の水産庁は、八十組合漁業組合があるけれども、その人たちがどういう考えを持っているのかということも知らぬし、漁業に及ぼす影響もこれから真剣になってやりますというような、非常に受け身のような立場で、これ一体果たして将来漁業の補償問題もうまくいくんだろうかというふうに一応不安を持っております。いずれこれはまた前回の関係で運輸委員会で問題にされると思いますが、私はその心配だけをきょうは申し上げておきます。  それで、最後になりましたが、環境庁の問題です。  これもやはりけさほど来の議論がありましたように、環境庁が何か枠の外から今回のあれを眺めておられるという感じを受けてなりませんのですが、これだけの大型のプロジェクト、大事業をするわけですから、やはり環境庁本来の役目、なぜ環境庁ができたかということは、もう私が申し上げるまでもなく長官初め関係者はよく御承知ですが、関係行政機関の環境保全に関する事務のいわゆる横の連携は、やっぱり環境庁というところがなかったらできないと。今回も六省庁がそれぞれ分野があるわけですから、そういうことになりますと、やはり環境庁として、運輸省が最終的にまとめ上げたものと結果は同じかもしれませんけれども、環境庁としては、最低こうあるべきであるという環境基準といいますか、ガイドラインをやっぱりお示しになる必要があると思うんです。  そうでないと、何のために環境庁があるのか。設立当初は非常に環境庁に期待が集まっておったわけですが、最近は何か、環境庁というのはこれどないなってるんだろうかという声が非常に強いです。せっかく上出さんも環境庁長官になられて努力を前向きにしておられるわけですから、やはりこの際住民の安心の上からも、実際にこれから監督し、やっていこうとする運輸省がつくった影響評価ではやっぱり不安が出てくると思うんです。ですから、環境庁は、最低この線は守ってもらわなきゃいけませんよというガイドラインを、騒音にしても、あるいは大気汚染にしても、海水汚濁にしても、全部それをガイドラインとしてお示しになる必要がある、私はこう思います。  それを、何か向こうでつくられたのを見て、それでおおむねいいようですということでは、環境庁は要らぬじゃないかという説が出てくるわけでして、環境庁がひとつリーダーシップをとってこれからの環境問題、これはもうこれから実際に工事に入ってくるとたちまち出てくる問題ですから、そういうことについてのガイドラインを示されたらどうなんですかということを長官に御答弁願いたいんです。
  147. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  先ほども実は御答弁を申し上げたのでございますけれども、この空港問題につきましては、三点セットというものをおつくりをいただいておるのでございます。これは御案内のとおり、本体の計画とアセスとそれから周辺整備計画と、こういうふうな三点セットをお出しをいただいておるのでございますけれども、それに基づいて実はアセスをやらせていただいたのでございますが、運輸省の方は環境庁の方に実は、御相談というとなにでございますが、こういう程度のもの、例えば騒音については幾ら以下と、こういうことにここのところはしたい、これはこれでどうでしょうかという細かい御相談が実はあるのでございます。ずっとやらせていただいてきたのでございまして、ガイドラインといいますと、結局環境庁がかつて、こうずっと決めていってなにするんですが、ここはこういうことで、この点とこの点とこの点とぐらいが一番いいと運輸省では考えるけれどもどうだと。これは飛行機を飛ばした結果そう思うと言われると、それに対して、これはこうこうでそれでいいとか、ここのところをちょっと変えてもらいたいとか、こういうような細かいいろいろ打ち合わせをさせていただいてやらせていただいておりますので、何といいますか、ガイドラインでぽんとこう突きつけて知らぬふりをしているんじゃなくて、非常にきめ細かくやらせていただいておりますので、私はガイドライン以上のものができておると思っておる。ガイドライン以上と言うとおかしいですが、前のいわゆるガイドライン以上といいますか、そういう決めたやり方以上のものでやらせていただいたと思っておるのでございます。  その点をひとつ御理解をいただきたいと思います。
  148. 中野明

    ○中野明君 何か私、逆のような気がするんです。  事務的にとか、下から相談を受けるのはこれはもう幾らでも受けていただいて結構です。しかし、環境庁の所掌事務と権限というものがあるんです。その権限に基づいて、例えて言えば大気汚染とか水質汚濁、騒音規制あるいは海洋汚染、あるいは瀬戸内海の環境保全といろいろありますね、そのガイドライン、ガードラインですね。こうなけりゃいけません、これ以上では絶対いけませんよというものをまず示されなければ、内輪で何ぼやっておられたって、それはここで聞いて初めてわかることでして、一般の人たちから見れば、環境庁何してるんやということになるんでして、環境庁環境庁として、ここまでの線は守ってやってもらわなきゃいけませんと。そして、それを守ってくれているかどうかということを絶えず連携をしながらやっていくというのが環境庁の私は筋道だろうと、こう思うんですけれども、今の大臣のお答えでは、もうちゃんとやっているからそれでいいじゃないですかというようなことだったら、これ環境庁というのはもう要らぬのじゃないか、こういう話がストレートで出てくるわけです。  だから、やはり環境庁としては、厳然として、環境庁環境基準はこうですよと。それに従ってくれれば結構です。従ってなければ勧告をするなりあるいは要請するなりして環境を守る、これが環境庁の役目だろうと、こういうふうに思いますので、これは大臣、御答弁いただきましたけれども、ぜひ、結果は同じものであっても環境庁としての考えをぴしゃっと出されることが、これが今後の空港の工事を始めるに当たって、やはり地域の安心とそして協力と理解が得られるんじゃないかと思うんです。  何でならば、運輸省が全部主体になって、この会社でもほとんど運輸省がやっぱり矢面に立って監督もしていくわけですから、そこが決めた環境基準というものは甘いんじゃないかというふうにだれでも思うのは人情です。そこのところを環境庁長官よく考えていただいて、ぜひこれは、これから工事に実際に入るわけですから、それだけの基準というものはやっぱりお示しになっておいた方が私はいいんじゃないかと、こういうように思いますが、もう一度御答弁を。
  149. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) ガイドラインを全部、何と申しますか、アセスと同じことになるわけでございますけれども、アセスによってやっていただいた数値と同じことになるわけでございますが、そういうガイドラインと言っていいと思うんですが、そのガイドラインを、今度実際に工事をおやりになります場合にまた実は出してきていただくことになるわけでございます。  例えて申しますと、本体工事をおやりになるときに、これは埋め立てでございますから、当然これはまた埋め立てのアセスを環境庁にお出しをいただくんですが、それは今のガイドラインと言っていい。それに基づいてやっていただくということになる。それから、土取り場につきましても、これもアセスを出していただく。普通はそういうことは、何もないところについては必要ないのでございますけれども、ここのところは余りにも大きく土をおとりになるという計画でございますし、これはぜひとも出してもらわなくちゃいけないということで、出してもらうようにしております。それからまた、いろんな関連と申しますか、附帯的なアクセスの今度は工事でございますけれども、それにつきましても、いろいろアセスをやっていただくというようなことも取り決めておるのでございます。そういうような場合に、今の先生の御指摘のものがこれはガイドラインになってくるわけでございまして、それでこの取り締まりを、その上にまだ私どもの規定がありますので、それに基づいて監督——監督というわけじゃないですが、そのアセスを見ていくということになるのでございます。  そういうことでございますので、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  150. 中野明

    ○中野明君 時間が参りましたので議論はこれ以上できませんが、環境庁長官の考え方が私どうも理解できません。  逆のような気がしてなりません。やはり環境庁として、こういうことを守ってもらいたいということを出して、それを守ってくれさえしたらそれでよろしいと、こういう考え方で工事の実施に当たってやってもらいたいということを強く要望して、終わります。
  151. 神谷信之助

    神谷信之助君 たくさんの問題があるんですが、時間の関係があって、私は二つの問題をお聞きしたいと思うんです。  まず最初に、自治大臣ですが、昨年の概算要求を各省が出す前に、自治省としてこの問題についての申し入れを運輸省になさっています。それは「関西国際空港建設に関しては、同空港の性格にかんがみ、関係地方公共団体に対し財政負担を求めることのないようにされたいこと。」と。その理由として、新東京国際空港がその建設について一切の地元負担を求めなかったことと、それからもう一つは、関係地方団体の現下の厳しい地方財政の状況ということですね。  これは、午前中の同僚議員の質問の中で地財再建促進法の二十四条の二項の問題を言われていましたが、私は地財法の第二条の第二項の趣旨からいっても当然だし、そして空港整備法の建前からいっても、自治省のこの申し入れば整合性がある、正確な正しい見解だというように思う。今日の段階でも自治省はこの見解そのものはお変えになっていないのかどうか、この点いかがですか。
  152. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 昨年運輸省に自治省が申し入れたということは、恐らく第一種空港である国際空港というものは全額国庫負担でやらなきゃならぬ、そしてそれに伴う地方負担というのはできるだけ避けていかなきゃならぬ、こういう考えは現在も変わっておらないのでございまして、今度の関西空港が民間になりましても、これはもうこの考え方は変わらないし、ただ、後で御質問があると思いますから先に申し上げますと、——いいですか。——じゃ、やめておきましょうか。じゃ、それだけ。
  153. 神谷信之助

    神谷信之助君 おっしゃるかと思ったんだけれども。  いや、だから、その見解が変わっていないのに今度出資金について地方団体の負担をお認めになっているという、この関係は一体どういうことなんですか。
  154. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 先ほど申し上げましたのは、第一種の国際空港は全額国庫負担でやらなきゃならぬ。しかしながら、それに伴う利便施設というものは、やはりこれは地方にも、経済の活性化とかいろいろな影響も与えるようなことになって、地方としても一部分協力をする必要がある、こういう考え方でございます。  今度、当初の考え方から違って、関西空港が民間組織で運営されるようになった。この考え方は先ほど運輸大臣がしばしば言われたとおりでございまして、こういう立場から私どもは、利便施設に伴ういろいろな恩恵を受けるような場合も随分ある、こういう立場から地方自治体が応分の出資をする、こういう考え方で出資になったものでございます。もちろん、空港建設に伴ういろいろな地方自治体の負担その他はございます。こういう問題はまた私どもが考慮していかなければならない問題である、こういうことでございます。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 説明を聞くと、そういうようにおっしゃるんです。  しかし、空港整備法とか施行令、それを見ますと、基本施設、これが一〇〇%、附帯施設が一〇〇%。その附帯施設をわざわざ二つに分けて利便施設というものをおつくりになって、そしてつじつまを合わせようという状況になっているんですね。しかし、あの空港ができて一体その利便施設が、ターミナルですね、待合室とか、そんなのがその地域周辺の自治体にどんな利便を与えることになるのですか。空港の待合室、ターミナルとか食堂とかいうのは乗客が利便を得るんであって、大阪府民が特別に利便を得るというわけではない。だから、どうもおかしいんですね。  さらに説明を聞くと、それは公団と第三セクターの二元方式でやるというときに、公団の方は基本施設で、第三セクターの方はそういう附帯施設、両方があって、それで利便施設の方を自治体が負担をするという、そういう考え方を入れたんだということになる。それで今度はそれが一本化されて、だから一緒になったのだから二百億、二%ですか、の分は自治体で持ってもらいたい、出資金をお願いすると、こうなってきたわけでしょう。結局、成田のときとは違って、今度は自治体からの負担を導入するために株式会社法をつくった。あるいはその前段階で言えば、第三セクター方式を考えた。自治体の方からの出資を導入するために、第三セクター方式とか、あるいは今度は公団と第三セクターを一緒にして株式会社方式をとったということにしかならぬ。  これは僕は、現行法を変えて、利便の場合はよろしいとか、趣旨ではできるとか、あるいは空港整備法の方で変えるとか、附帯施設を二つに分けて、こっちは違いますというようにするならまだわかりますが、現行法をそのままにして、そのものはそのまま置いといて、そして軽々にこういうものを負担する、導入してやむを得ないというのは、私はいかがなものかというふうに思うんですね。  それからもう一つ理由は、現下の厳しい財政事情からいってそれは無理でございますよということもおっしゃっておる。そうすると、そういう現下の厳しい財政状況だけれども、大体空港ができるあの地域周辺の自治体の財政はゆとりがあるのだからそこは出してよろしいと、こういう判断に立たれるのですか。その点はいかがですか。
  156. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 神谷さんのおっしゃっているのは、地方自治体が空港ができちゃ困るということならある程度わかりますけれども、空港をつくってもらいたいという希望を持って今日まで来ているわけなんですよね。そういう状態の中で空港をつくる場合に、利便施設についての一つ経済的な問題もある。そういう考え方から、出資をしてやろうと、こういうことなんですよ。  それで、そればかりじゃなくて、やっぱり一つ空港ができれば地方が潤う面もあるわけです。現に羽田の空港で、羽田の国際空港が千葉県へ移った。移ってしまってから後、これはしまったというような声も出るわけなんです。ですから、いろいろ問題は随分、公害もいろいろな面も起こるには起こるわけですけれども、やはり全体的に空港ができることによって恩恵を受ける、こういう考え方からすれば、地方自治体が一定の、出資ですからね、寄附するわけじゃないですから、出資をするということはこれは当然のことであり、また法律的にも、先ほどおっしゃったように、別にこれが地方財政法や再建措置法に違反をするものではないわけです。  ただ、私がそう申し上げても、もちろん目に見えないいろいろな負担がかかることは、これは今までの例で、どういう施設ができてもかかることはかかるわけです。そういうかかる問題については、地元と自治省が相談していろいろ考慮をしていこうじゃないか。もちろんこれは自治省が奨励してやったことじゃなくて、地方自治体が自主的な判断のもとに出資をしているわけでございますから、ひとつその点は誤解のないようにお願いをいたしたい。
  157. 神谷信之助

    神谷信之助君 皆が空港をつくることを望んでいるから出資をするのは当たり前だということにならぬのです、それは。今までも、第一種の空港は全部基本施設と附帯施設を含めてこれは当然国が負担をするんだというのが、今の空港整備法とその施行令ではっきり決まっているんです。    〔委員長退席、運輸委員会理事桑名義治君    着席〕 これは望む、望まないの問題ではない。だから、そういう状況の中で今までの第一種の空港はつくられてきているんですよ。今度その原則が破られようとしているから言っているわけです。  それからもう一つ、第二の質問はお答えになっていないけれども、出資する団体というのは富裕団体だということでいいんですか。これは事務当局でもいいですが。
  158. 津田正

    政府委員(津田正君) 出資をする団体が大阪府を中心とする各県、それから特別市というような考え方でおるわけでございますが、これは個々の団体の意見を十分聴取した上で調整を図りたいと、このように考えておるわけでございますが、先生のおっしゃいますとおり、全般的にも国の財政事情と同様、地方財政の事情も厳しいわけでございます。関係地方団体でもそんなに余裕があるというようなものではございません。しかし、今回の新空港の性格あるいは多年にわたる関係団体のこの新空港に対する期待、そしてまた、空港整備法自体の本質的なものは、滑走路部分等本体施設は国でつくってもらうという考え方は今回でも変わっておりませんで、出資比率もそういう意味で地方団体が八、二、二のうちの二というような観点で、空港整備法の基本的な考え方というのも変えてないつもりでございますし、また利便施設というのが地域開発に役立つ。  そういうようなことを考慮して各地方団体は出資を決めてまいる、かように思う次第でございます。
  159. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治省が昨年の概算要求の前に各省にいろいろ要望しましたね、自治体に対する財政負担を過度にかけないように。  その中の一つで、運輸省に対して申し入れをなさった理由に、一つは、新東京国際空港がその建設について一切の地元負担は求めなかった。これは基本施設だけでなくて附帯施設も含めてですよ。で、今度利便施設を設けるようになっておっしゃる理由は、伊丹大阪空港で、これは利便施設は会社にやらせている。空港ビルという会社ですか。これはだから、その例からいって、これらは切り離して自治体負担ということにしても筋は通るではないかという説明をなさっているんですよ。それが昨年の段階は違うんですよ。昨年の段階はもっと厳格になさっていたんだ。だから変わっているじゃないかと言うんだ。  それともう一つ。現下、地方財政事情が厳しいですから困難であると。オーケーということは、困難であると思ったけれども困難でなくなりました、だから二百億の出資を引き受けます、さらに三百億の低利の融資を引き受けますと。こういうことから言っている、だから見解が変わっているじゃないですかと。
  160. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 見解は変わってないんです。これは寄附をしているんじゃないんで、やはり出資をしているわけですから。ですから、空港の経営の形態は確かに変わったんです。しかし、自治省の考え方は毛頭変わっておりません。ひとつ御了承いただきたいと思うんです。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 これが公団方式で、第三セクターを考えないで全部公団方式、成田方式でやっているということであればこういう問題は起こってないんです。第三セクター方式が入り込み、さらに株式会社方式になっていくという、第三セクター方式を導入するときに、そういう考え方を、解釈を変えてきている。そして出資可能なように変えてきたんだ。  もう時間がありませんから、そればかりやっているわけにいかぬので、そこで、これは運輸省に聞きますけれども、負担割合ですね、四、一、一。これはどういう根拠ですか。
  162. 山本長

    政府委員山本長君) 関西国際空港建設費全体をはじいてみますと、滑走路など、そのほか誘導路、保安施設等がございますが、いわゆる基本的施設にかかわる工事費が全体の三分の二、それから機能、利便施設という、いわゆる平たく申し上げれば附帯施設と申しましょうか、にかかわる工事費が大体三分の一、こういうふうな割合を一つの目安といたしまして、これは八、四になります。その三分の一を二つに割って六分の一、六分の一つまり八、二、二と、こういうふうなことに先ほど申し上げました工事費を目安にして負担割りを決めた、こういうことでございます。
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 いわゆる附帯施設じゃないですよ。あなたの方の空港整備法の施行令に書いてあるのが附帯施設なんだ。機能施設と利便施設というのは法令にはどこにも出ていない言葉なんだ。それが、いわゆるなんですよ。  そこで、もう一つ運輸省に聞きますが、出資額、あるいは出資する、しないということと、この新会社に対する、建設から運営に至るまでの発言権というもの、これはやっぱり関連がありますか。
  164. 山本長

    政府委員山本長君) 会社運営に関する最高の意思決定機関と申しますか、最高の議決機関といいますか、方針を決める機関は総会でございます。したがいまして、総会における議決権というものは出資額に応じてその大きさが決まっている、こういうことでございます。これは、私は株式会社というものに着目した形式を申し上げておるのでございます。  国が三分の二というふうに大きな割合を持っておることは事実でございますが、これはやはり会社運営というものがうまくいくように、さらに会社の行います空港建設及び管理というものは極めて公共性の高い事業でございますので、こういった面からやはり国の関与は必要だというふうなところから、二つの面から国が大きな役割りを果たしておるわけでございます。  先生のおっしゃる、これとその会社運営とかもろもろの地域との関係はどうかということでございますが、非常に広い御質問のようでございますけれども、政府が持っておるということによってやはり確保しなきゃなりませんのは、会社運営の適正化、公益性の確保、こういった点でございます。地域とのかかわり合い等々、会社が配慮しなきゃならぬ点は十分ございます。いろいろございます。それが株式の持ち合いの割合に応じて決まっているんだと、こういうことではなく、これはやはり政府といたしましても、こういった割合にかかわらないで、地域の要望なり意見なりを会社が十分酌み取ってやっていくべきものはやっていくべきだと、こういうふうな関係にあるものと思います。一義的なものではないと思います。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは、先ほど出ました十六日の近畿ブロックの知事会議の中で出資額の相談があったときに、知事さんの中から、それで発言権に差があったり物が言えぬようだったら困るという話がありましたから、念のために聞いている。形式的なやつは、もうそれはおっしゃるとおりです。だから、国が三分の二持っているということは、出資いかんにかかわらず、地域住民の要望にこたえて自治体がいろいろな要望をすれば、それは生かしていく努力は当然国が責任を持ってやっていくということになるわけでしょう。  そこで具体的に、先ほども出ましたが、八府県、それから三指定都市ということになりますが、それぞれの財政状況というのを自治省から資料をもらって、五十七年度決算、ですから若干もう今は変わってきていますが、それぞれの自治体によって、財政力指数が低いところがあれば今度は公債費率が高いところもあったり、ざっと一斉に、も う極めて財政が健全だというのは余りないように思うんです。だから、これは自治省の方でも、あした知事さんが来られていろいろお話しになるんだろうと思うんだけれども、    〔委員長代理桑名義治君退席、委員長着席〕 今の現状からいえば、周辺市町村で、特に四市四町の財政力というものは非常に悪いですからね。だから結局、希望があれば八府県と三指定都市の間である程度考えなきゃならぬ。この点は、そういう財政力と、それからメリットの大小がありますね。特に大阪府なり市なりは割合大きいメリットになるでしょう。そういう点を十分考慮して相談をするということになるんでしょうか。
  166. 津田正

    政府委員(津田正君) 新会社に対する出資によりまして地方団体の財政運営に支障が生ずるということがあってはならないわけでございまして、私ども、十分その個々の団体の財政問題というものをチェックいたしまして、決めたいと思いますし、また、反面におきまして地域開発効果というような点もあるかと思いますので、そういう点を十分考えてバランスのとれた出資割合というものを調整してまいりたい、かように考えております。
  167. 神谷信之助

    神谷信之助君 それからもう一つお聞きしておきたいのは、低利融資の三百億の部分ですが、これも結局出資をしたところで必要に応じて負担をする。説明を聞くと、まず二百億、これも二百億一遍に出すんじゃなしに、今年度は八億五千万でしたか、それで何年かに分けて出資をしていく。そして、さらに事業の進捗に応じて、事業費の必要に応じて低利の融資三百億を具体化していくということのようですけれども、恐らくこの低利融資というのは、一つは、今言った二府六県と三指定都市、全部が全部受けるかどうか知りませんけれども、大体その辺の枠で考えるということになるのかどうかということ。  それからもう一つは、低利融資という、その低利というのは一体どれぐらいのことか。政府のは無利子だというわけでしょう。それに対して、ここにいう低利というのはどういうことになるのか。例えば五分五厘で政府資金を借りる、それよりも低利にせいというのか、あるいは、縁故債で借りて八分の利子のやつを六分にせいというのか。低利というのは一体どういうことをいうのか、この辺はどうですか。
  168. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 長期低利の三百億円の話でございますが、一応私どもが収支採算上使っております基準金利を八%と考えております。もし四%の年利で御融資いただける場合には、三百億の無利子出資と同等の効果を生むための長期低利の金は六百億円となります。これは基準金利の八%と四%のバランスの関係でございます。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 三百億というのは、基準金利の八%の利子ということで計算をしてやっているということであって、それが基準になる。だから、それ以下のパーセントであれば、額としては三百億よりも低くなる、そうじゃないの。六百億に該当するという意味……。
  170. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) もとの話は、三百億円の無利子融資をいただくのと同じ経済効果を生み出すということが基本でございます。もし、三百億円の無利子融資と三百億円の八多の融資を受けますと、六百億円で平均金利は四%になります。そういう関係でございます。したがいまして、それを逆にひっくり返しますと、もし四%の年利で御融資いただけるならば、それは三百億円の無利子融資と三百億円の八%の普通の融資を両方いただいたのとちょうど同じ経済効果になる、すなわち三百億円の無利子融資をいただいたのと同じ効果になるわけでございます。そういった関係なんでございます。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは、低利融資三百億というんだろう、無利子三百億じゃないんだろうな。
  172. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 説明が不十分でまことに申しわけございませんが、三百億円の無利子融資を受けたのと同じ経済効果を生じます長期低利の融資という意味でございます。したがいまして、もし四%の低利でもって御融資いただけるならば、六百億円を御融資いただければちょうど三百億円の無利子融資をいただいたのと同じ経済効果が生ずるわけでございます。そういったことで御理解いただきたいと思います。
  173. 神谷信之助

    神谷信之助君 結局それなら、無利子三百億に相当する低利融資ということやな。  それで自治省、今までの議事録を見ますと、もし起債でということになれば大体縁故債ということになるだろうと。自分のところで自主財源を出してそれで融資するんならよろしいよ。しかし、要望があれば縁故債で処理するということになるでしょうという答弁をなさっている。あるいは、地方単独事業ということにならざるを得ぬだろうというようなことも答弁されている。これ相当利子高いですよね。そうすると、利子分は出資をする自治体が負担をしてという形になるのか、その辺ちょっと説明してくださいよ。
  174. 津田正

    政府委員(津田正君) まず、低利融資をどのように各地方団体が協力するかという点でございますが、この基本は各地方団体で自主的に引き受けたいというようなものを出発点としまして、私どもはそれに応じて、その団体の財政運営上支障がないかという点でチェックしてまいるというような考え方でございます。  具体的にその低利融資がどういう格好になってくるのか、今、運輸省一つの例として申し上げたような状況でございますが、今後の情勢を踏まえて対処してまいる必要があるかと思いますが、基本的にこの段階で決めます出資団体が、ストレートにその比率でこの低利融資を引き受ける、協力するというようなことは考えておりません。その段階の情勢によりまして、各地方団体の判断、そしてそれが財政負担に過重にならないようにと、こういうような判断で決めたいと考えております。  それから資金でございますが、それぞれの団体、私ども一応財政上負担がないよう考えるわけでございますので、致命的な支障というものはないかと思うんですが、ただ、地方財政法上、御承知のとおり出資であるとか転貸というものについては起債の財源にできる、こういうことになっております。しかし、具体的にどうするかは諸情勢が固まった上で決めたい、かように考えております。
  175. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体当初のやつは出資を五百億の予定をしておって、それが結局二百億になって、そのかわり、今の無利子で言えば三百億に相当するものというのを融資せいと、こうなったわけでしょう。だから、本来ですと、初めの五百億だったら、五百億の中で出資をしてしまえばそれで済むんだけれども、今の自治省の説明だと、出資をしたところが必ずイコール融資団体ではない、こうなっている。そうすると、また、融資団体はそれよりも広がるか狭うなるのか、いずれにしても別になります。しかも財源が、資金手当てはこれから検討するというんだけれども、衆議院の議事録をずっと見ていますと、大体それは縁故債ということになっていますね。だから、そういう答弁をなさっていますから、これはなかなか大変なことになってくる。さらに事業費が今の八千億余り、総事業費で一兆円という、その範囲内でこうですというふうにおっしゃっているので、これがふえればその負担割合に応じた出資もふやさにゃいかぬし、融資額もふやさにゃいかぬという事態が起こってくる。だから、今財政事情が極めて厳しい、自治体にとっては大変なことになると思うんですよ。  そういう点から言いまして、私は当初申し上げましたように、地財法の第二条、それから空港整備法の規定ですね、一種空港についてはこれは基本施設も附帯施設も——附帯施設は今便宜的にいわゆる機能施設と利便施設をお挙げになって、利便施設があるからこれは出資の対象にどうというごまかしをやらぬで、そこのところはもっと厳格にしないとこれは大変だ。それで、時間がありませんから、もう一つ地域整備の問題でお伺いするつもりでしたが、これは一括してちょっと大臣に見解を聞きおきたいと思うんですけれども、それは、先ほど漁業補償の問題もありました。環境問題も起こってくるでしょう。それから交通アクセスで湾岸道路をつくったり、それから近畿自動車道をずっと和歌山へ延ばして、そしてそれに対して引き込みの道路を空港へ向けてつくらにゃいかぬでしょう。そうすると、これは立ち退きの問題も起こったり、漁業の場合は漁業ができなくなるという事態も起こってくるし、それから、それに伴って、連絡橋のつく泉佐野市を中心にしてあの周辺では、都市再開発もやらにゃいかぬという問題も起こってくるでしょう。そうすると、これは大変な自治体の財政負担が起こってくるんですね。  もう時間がないので私の方から申し上げますが、いろんな資料ももらっていましたんですけれども、例えば成田空港をつくるときに一体自治体にどれだけの財政負担がかかってきたかというと、膨大なものになっているんですよね。  成田市の場合、空港の問題が起こる直前の四十二年の歳出決算額というのは七億六千七百万円ぐらいの予算でよかったけれども、今は、五十七年度の決算で百六十二億二千二百万円というふうに、ばあっとはね上がっていますね。これは成田市の財政課の資料ですが、六八年、空港関連事業が始まったときから七六年までの間に歳出総額というのは三百三十二億七千四百万円。三百三十二億七千四百万円ですが、そのうち空港関連事業費というのは百二十二億二千四百万円、平均して総体で三六・七%必要になっている。これは成田のかさ上げ法の関連事業、それに準ずる、それに関連した事業費を含めていますけれども、これは成田市の財政課の区分で計算してもらったやつです。  あれは成田市は空港そのものが来ますから、それはまた状況が違うと思うんですね。しかし今度の場合も、空港島から連絡橋を経て、これがずうっとそのまま大阪のターミナルへ行っちゃうわけでしょう。それをどう地元で食いとめ、地元の利益に一つはしていくかという問題もあるでしょうし、それを契機にどれだけの産業が開発できるか、こういったものもあるでしょう。逆にそれができたことによって人口増ができるし、住宅の建設やら、それから保育所、学校、小中高ね、こういったものの建設の費用というものが出てくる。これは成田空港の経験も最近にありますし、それからこの大阪の近辺では堺・泉北コンビナートの建設計画があります。これは時間がありませんから言いませんが、これも、当初計画ではこれだけの計画で六項目でやりますというやつが、結局ふたをあけて終わってみたら二つしかできなくて、あとはもうパアになっていますね。計画はつぶれて、堺の市長は絶対に公害はありませんと言って、さっきの朝の運輸大臣答弁じゃないけれどもそういう話がありましたけれども、公害の町になってしまったわけでしょう。  だから、そういういろんな今までの教訓を十分反省をし、それを取り入れて、自治体財政についてのしわ寄せといいますか、そういうのがないようにしなきゃいかぬ。  だから、環境についての影響評価というのはなさっているんだから、空港建設に伴う自治体財政に対する影響評価というもの、これも相当今までいろんな開発計画が進められてきていますから、いつでも出てくるんじゃないか。それができれば、これは航空審議会答申にありますけれども、当然空港建設に伴う費用需要の増だから財政負担については負担割合について慎重に検討する必要があるというのが、航空審議会答申に明確に出ていますよね。だから、これについてやっぱりどれだけの変化が起こるであろうかと。それに対して負担割合というのはどういうように考えたらいいのか、こういうことを私は自治省として、聞いたらまだそもいう研究調査をしていないというのですけれども、研究調査をして、自治体財政についてこういう状態が予想されますよ、それに対してどうしたらいいかということの相談に乗るということをしなかったら、今のところ、言葉として絵はかけても具体化はできないという状況なんですね。  この辺を特に要請をしたいんですが、そういう調査なり研究を自治省としてはやってもらえますかな。
  176. 津田正

    政府委員(津田正君) 成田空港建設に際します市町村の財政の影響につきましては、御承知のとおり、財特と申しますか、周辺整備計画の策定の段階におきまして、関係市町村の財政状況を十分検討してあのような計画をつくったわけでございます。御指摘のとおり、この建設に伴う経費が幾らで、どういうような影響があったかという点は私ども必ずしも調査しておりませんが、現在の成田市の状況、これは一般的に決算等で報告を受けておるわけでございますが、経常収支比率等におきましてもかなり他の団体等に比べまして割によろしい状況でございますし、かなり下水道整備等に重点的にやりながらもそれほど財政的に支障が生じていない、このように承知しておる次第でございます。  新関西空港に伴いますいろんな関連公共施設の問題等が出てまいると思います。今後、国の地域整備の考え方、対処方針等が固まってまいり、地方団体におきましてもそれぞれ計画をつくってまいると存じますが、私どもとしましても、運輸省あるいは建設省などを含めまして、十分協議に応じまして、財政運営に支障のないよう、事業が円滑に遂行できるように配慮してまいる所存でございます。
  177. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  178. 山田勇

    山田勇君 大臣にお尋ねをいたしますが、大阪空港の存廃問題に引き続きお尋ねをいたします。若干質疑通告から外れるかもわかりませんが、各同僚議員のお話を承り、質疑を承り、重複を避けるためにもお許しをいただきたいと思います。  まず伊丹空港の存廃問題ですが、御承知のとおり、伊丹空港周辺地域住民というのは、死にまさる騒音公害の中で行政的な訴えをし、最高裁で国が敗訴をするという形の中で今存立しているわけであります。  さてそこで、先ほど来同僚議員からも質疑が出ております、この伊丹空港をどうするのかということになります。そうしますと、騒音で苦しみ苦しみ抜いた地域住民が、最高裁まで訴え、そしてそこで国が敗訴をした。大変これは地域住民に御迷惑をかけた、それなりの国の行政として何百億の公害防止施策と費用というものを今まで予算でぶち込んできました。  そこで、では関西空港ができるということによって、この伊丹空港を撤廃しよう、廃止しよう、そして新空港の中へ全部機能を入れていこうということになってきますと、各衛星都市では、今ここを移転されてしまったら困るという声が率直な地元の空港周辺の各市長さんたちの考え方であります。そこで運輸大臣としては、大変これはジレンマに陥っておられましょう。そしてそれを八月くらいまでに結論を出していこうというかたい御決意があるかには聞いておりますが、改めて大臣のこの伊丹空港の存廃問題について御所見をいただきたいと思います。
  179. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 先ほども御答弁申し上げましたが、形式的に言いますると、新しい空港が始まってからこれができ上がるまでの間に、運輸省において関係地方公共団体あるいは住民の皆さん方の御意見を聞きながらこれを決定する、こういうことになっております。  しかし、それでは困るという声も強い。今でも依然として騒音公害に悩んでおられる方々はどういう御意見があるかわかりませんが、全体として見ますると、私ども世論調査をしたわけではございませんけれども、今先生がおっしゃったような、やはり一挙にこれがゼロになってしまう、なくなってしまうということについては、かなり大きな抵抗があると見る方が常識的であろう、いろいろな声からさように私は考えております。率直に申し上げてさように考えております。  そこで、このあり方をどうするかということについて、できるだけ早い時期に見きわめをつける必要がある、かように思っておりますが、今、八月とか何月とかということはちょっと申し上げかねまするけれども、これは早ければ早いほど、いろいろ現在の空港に関連して、例えば何かの工事をやりたいとか、モノレールの話は、計画はどうだとかいろいろございますから、早ければ早いほどいいんじゃなかろうかと、かように思っておる次第でございます。
  180. 山田勇

    山田勇君 今、聞くところによりますと、地方自治体の各知事さんたちがあしたから自治省との折衝に入るということですが、その中で当然この問題も出てまいりましょうし、また自治大臣の方からも大臣の方に御報告もございましょうし、そういう点でぜひ、この空港というものは新空港ができてもできれば存続をしていっていただきたいという気持ちもある一人として、お聞き取りをいただきたいと思います。  そこで、先ほど来の質疑の中で聞いておりますと、農林水産の方は帰られましたが、空港をつくるという形の中で、漁業、海流、潮流、ボーリング、あらゆる形の中で御調査をなさいました。そこで、漁業補償の問題で、農林水産の方としては余り的確に把握をしていないように私も聞いております。かえって運輸省の方が、大体漁業団体が幾つあって、どのくらいの漁獲高で、どのぐらいの補償額が大体算定できるんじゃないかというふうなぐらいまで、お調べになっておられるように思います。  そこで、特に成田空港にも御貢献が高かった細田運輸大臣でございますが、当初は成田闘争というのは純粋な農民運動でございました。これはやっぱり国として反省をすべきものは反省をするという形の中で、今もそのお気持ちは僕は持っておられると思います。しかし、国家威信をかけて開港した空港が、これは失敗であったとか、補償問題をもう少し支出すべきものは支出しておけばここまでにならなかったというようなことは、立場上申せられないかもわかりませんが、我々ずっと成田空港の開港までのときに運輸に籍を置いておりました。その間の事情は十分わかります。最初は純粋な農民闘争、もう少し補償を下さい、等換地をもう少しいい地を下さいという形の中で、むしろを持ってやった。そこへ各団体のオルグが入る、偏った思想を持った人たちが入ってくる。そして、時代の英雄戸村一作という人を出し、世界の成田闘争にまで発展をしていった。そのために開港が、十五兆という大きなお金が損失する、十五年もかかってしまった、そういう形の中で成田は開港した。  そういう中で、今度新しい関西空港をつくるに当たって、僕は補償すべきものは十分に補償する、手当てをしていく。何といいましても、民間会社といえども国の支出額が三分の二を持っておるんですから、大半の責任は国にある。ですから、空港整備法等々において、国際第一級の空港はすべて国の負担によってつくらなければならないことは明文化されておりますが、しかし時代のニーズによって、国家の財源によって、新しい手法なんです、これは、大臣ね。民間と自治体と一体となって関西空港というものをつくっていくんですから、これは世界の注目すべきあり方だと思うわけですね。  それがゆえに、失敗をしたんでは到底取り返しがつかないということになりましょうし、ですからその点、漁業補償問題、それがいわゆる先ほど警備局長も申されましたとおり、左翼の方はそういう形の中で、新しい拠点の中で、そういうまあいわば、解釈したら、軍事空港だなんてとんでもない物の考え方をされる方もおられるやに聞いておりますが、そうでなくても、やっぱり補償問題を十分にしてあげればそういう反対をしている方たちにも説得をする大きな私は材料になりますし、地元選出の議員としましても十分反対の皆さん方とひざを交えてお話しすることはできますので、ひとつ大臣の方からも、この補償問題はもう支出すべきものは十分支出していこうというかたい御決意をいただければ私は幸いだと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  181. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 成田空港は一番初めのところからもういろいろつまずきがあったわけでございます。場所の選定そのものが何転もいたしたというところが、もう根本の出発点のところからまずかった。これは結果的に、原因はともかくとして結果的に明らかな事態でございます。  したがって、成田の状態を我々はよく学んで、今いろいろ御趣旨の御説明がございましたそういう御趣旨を十分体していかなきゃならない。私ども実は、先ほど来から株式会社か公団かという問題についていろいろ利害得失の問題がございましたが、私は今度株式会社であるということはそういう意味では生かしていけるんじゃないか。長い目で見て損のいくことなら思い切って早く出す方がいいとかいったような、そういう機動性が持てるんじゃないかということでございまして、お話のような点を十分気をつけてこの新しい事業主体が対応していくように政府として十分指導すると同時に、政府が出すべき金は政府が出すということにいたしたいと、かように考えております。
  182. 山田勇

    山田勇君 真の国際化をしていく中で、十六万ないし十七万回の離着陸、延べ七万から八万人の人が乗降客としてあの空港を利用していく。その中で文化、芸術、ファッション、そういうあらゆるものがあの空港を通じて入ってきましょうし、あの空港周辺に定住する人口、空港関連労働者といいますか、働く人たちは十七万人とも言われておりましょう。そして大阪府失業人口率十二万態勢の中で、労働稼働力といいますか、そういう形で約七万から八万人ぐらいの人間を吸収していく。そういうことで、関西経済圏に対するインパクトというものは、非常に期待をすべき大きいものがこの新空港にあるわけでございます。そういう中で、何としても一握りの反対の人たちにも十分説得ができ、そしてその人たちと十分説得ができるまで話し合いをしていくという形でひとつ推し進めていっていただきたいと思います。  そういう中で、アクセスの問題ですが、僕アクセスの問題、交通アクセスの問題何度も聞くんですが、航空局長さんもよく御承知だと思いますが、前回もちょっと質疑したんですが、神戸市の東灘区を拠点として湾岸道路が阪南町、泉佐野市ですか、阪南町まで来ると。それを何とか、先日和歌山の知事の方からも御陳情を受けたとおり、和歌山までわずかあと何キロですから延ばしてもらえませんかということをお尋ねしたことも委員会でもあります。  そこで、きょう聞いておりますと、またその湾岸道路の対応がちょっと違う。臨海線を一部また利用して上がっていくのか、あくまで独立したものの中で湾岸道路というのが引かれるのか。それのいわゆるインターチェンジといいますか、そういうものはとれるのであるか。また、大阪市内からインターチェンジを使ってその湾岸道路へ入って、直接空港へ行けるのか。交通アクセスとしてその辺、僕、ちょっと何度聞いてもまたぐいちが出てくるんですが、いかがなもんでしょう。
  183. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) お答えいたします。  私ども、やはりこの空港にとりまして一番便利な高速道路は、湾岸道路だろうと思っております。したがって、神戸市の方からずっとつながってまいります湾岸道路が空港対岸まで来るということを希望しておるわけでございますが、やはりいろいろ問題を抱えております。これを何とかして早く片づけるためには、今できております臨海線みたいなものも使ったらいいじゃないかという案が大阪市とか大阪府の一部にございます。基本的には湾岸線として独立したものを最後までつくるという話が基本になって建設省さんの方も調査していただいておりますけれども、その一つの早めるための妥協としましてそのような案があるということは、地元から聞いておるわけでございます。
  184. 山田勇

    山田勇君 では、時間が来ましたのでかわります。
  185. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私も地元の議員の一人として、またこの関西空港建設を推進する立場でこれまで一生懸命やってきたつもりである者の一人として、いわば本法律案の審議もいよいよ大詰めに参りましたところで、ここまでの運輸大臣初め行政当局の労を大いに多とすることをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  それだけに大臣、後世の人に一点指弾を受けるところのない立派な空港をつくらなければ申しわけがないと、こう思うんです。いわゆる三点セットの中で、空港本体と周辺整備、これは予測が可能な問題でございますし、例えば予算を立てるにいたしましても、おおむねそのことは可能であると思います。ただ、環境アセスメント、すなわち我々が住んでおる環境がどのように変わっていくかということにつきましては、予測困難な面もございますし、時代の動きとともに大きく環境そのものが自然的に変化するということもございますから、この環境アセスについては、どんなに慎重に、どんなに丁寧にやってもやり過ぎであるということはない、こう思うわけでございます。  したがって私は、この環境問題につきまして、その一点に集中してお尋ねをきせていただきますが、これまで各委員もお尋ねでございましたけれど、この環境アセスについて、主としてその衝に当たり調査をしてこられたのは、どの行政当局のどの分野でございますか。
  186. 山本長

    政府委員山本長君) 昭和五十一年以来この空港調査に投じました金が百八十億円、約百八十億円でございます。これは、運輸省空港に関する調査費として支出してきたものでございます。したがいまして、形の上で申し上げれば、あるいは責任という上で申し上げれば、運輸省が行ってきたということが言えると思います。ただし、この調査は、単に運輸省の職員だけの働きではできかねます。先ほど農水省の方もおっしゃっておられましたけれども、やはり専門分野の方々の御協力を得て、形としてはそういった専門のところに委託するという形で、広範囲な調査でございますので、そしてそれを集積しまとめ上げていく、これが運輸省が行ったアセスメントでございます。
  187. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いわば、例えば土の問題一つとりましても、良好な自然環境が保たれておる山を不自然に崩して、一方で良好な環境が保たれておる海を不自然に壊廃して埋め立てるわけでございますから、自然保護という面から見ると、山を崩し自然を壊し、自然の海中を不自然にするわけでございますから、いわば環境に対しては二重の裏切りという見方もあるいは可能ではないかと私は考えるのでございますが、それだけに、このことは、どんなに慎重であってもいいし、どんなにお金をかけて調査をしていってもやり過ぎということはないと思うんですが、今後のこのアセスについてはどのような御計画をお持ちでございますか。
  188. 山本長

    政府委員山本長君) そもそも本来のアセスメントの性格は、先ほど環境庁からも御説明がございましたけれども、その事業を行う事業主体が、その事業主体がプランをしておる計画実施するという場合に、環境に対してどういう影響を与えるか、またその影響をどこまででとどめるのが合理的であるか、その合理的なものに対してどこまで手が打てて結果としてどうなるか、これが環境アセスメントでございます。したがいまして、本来的な意味におけるアセスメントは事業主体が行うべきものであります。  先ほど私が、百八十億円もかけて、その多くの金はアセスメントに費やしたという説明を申し上げましたが、正確に申し上げれば、計画アセスメントと言っております。それに対して、事業主体が実際に具体的な。プランニングに基づいてやるのを実施アセスメントと言っておりますが、今までのものは計画アセスメントというふうに御理解願いたいと思います。もちろん、その計画自身が実施主体が計画いたす計画と大差なければその計画アセスメントの結果は使えるわけでございますので、実態においては実施アセスメントも進んでいると言ってもいいと思いますけれども、性格的にはそういう区分けになると思います。  したがいまして、実施段階におきまして事業主体が、すべての項目にわたりましてアセスメントを行うということでございます。ただ、計画段階でやっておりませんアセスメントがございます。これは土取りに関するアセスメントでございます。これは、候補地を諸般の事情によりまして決めかねております。また、この段階までには、決めるのがまだ早うございます。したがいまして、その面につきましては計画アセスメントもでき上がってはいない。これは、実施アセスメントとして事業主体がやるわけでございます。
  189. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ちょっともう一遍確認させていただきますが、そうすると、これからの実施アセスメントにつきましては、その生体は、本法律案が成立をした場合には、関西国際空港株式会社がこれを実施するということになっていいわけですか。
  190. 山本長

    政府委員山本長君) そのとおりでございます。
  191. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、もしそのことによって重大な問題が惹起をした場合は、例えば漁業問題とか騒音公害とか、こういうことで問題が起きた場合は、その交渉の当事者は株式会社になるわけですか。その場合、責任の所在は、例えば運輸省あるいは農水省、環境庁等には一切ございませんか。
  192. 山本長

    政府委員山本長君) アセスメントに伴う予測の違いによると申しますか、要するに、公害が発生するということに伴って第三者に損害を与えるということに伴いまする責任というのは、事業主体ということになると思います。ただし、国はこの事業主体に対しまして非常に大きな役割を果た  しております。そういった意味において、この会社事業が的確に適切に十分に行われるように、国がパックアップする義務がございます。そういった国の役割というものを踏まえて国は努力をしていかなければならないと考える次第でございます。
  193. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 というと、もう一遍押して確認だけしておきますが、今局長努力と、こうおっしゃいましたね。責任がある、義務、こういう言葉をお使いになりましたが、そうしますと、逆に言いますと、仮に問題が起きた場合、法律的にはすべてその責めは株式会社関西国際空港に属するものであって、いわばいかなる問題が惹起しても国としては一切関知を法律的にはしない、こう言ってしかるべきであるわけでございますね。
  194. 山本長

    政府委員山本長君) 極めて法律的なという前提をつけてでございますれば、そのとおりでございます。
  195. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そのことだけ確認をさせておいていただきたいと思います。  ただ、一言付言をすれば、仮に問題が起きた場合、我々は国会で審議をして法律によってこの株式会社をつくり上げたのであるから、環境の激変、公害等々による責任はすべて当事者にあるのであって、我々は法律を生み出すまでが仕事であるから、助言はするし指導もするけれども責任は一切当方にはないのであると言って、逃げを打ったりしないように、やはり自分が生み出した子供につきましては最後まで面倒を見るという決意を固めておいていただきたい。  そのことにつきまして運輸大臣、一言お言葉をお伺いしておきたいと思います。
  196. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 形式的には今航空局長が申し上げたとおりでございますが、何らかの障害でこれが実現がどんどんおくれていくというようなことになりますれば、これは直ちにやっぱり政府責任になってくるわけでございますから、私たちは実質上は重大な責任をしょってこの会社と関係の皆さんとの間に立つということにしなければ、仕事はできない、かように思っております。
  197. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 さらに念を押しておきますけれどね、話は変わりますが、高知県の山の中で、以前に埋めました農薬がどうも地下水の中にまじって入っているらしいということが問題になっていることは、御存じのとおりでございますね。私の所属しております環境特別委員会も、きのう一般調査を行いました。各委員が質問いたしましたけれども、例えば資料請求いたしますと、役所の資料は例えば五年とか十何年とか十三年、こういう周期でもう全部廃棄してしまっている。だから、どういう状況でこの農薬が埋められたかわからない。しかも、そのときの例えば林野庁の責任者の方、営林署の責任者の方は、これは十何年前の話でございますからもうおやめになっていて、今その責任にある我々はその当時のことを聞かれてもわからない、書類がない、こういう話もございます。  だから、将来にわたって、そういう問題が起きたときに、なるほど今は運輸大臣はそう言ってくださいましたけれども、しかし、今から例えば十数年後の運輸大臣が、いやあれはもう十何年前の運輸大臣がそれは議事録にはそういうようにおっしゃっていますけれども、あれは十何年前の運輸大臣の言ったことで今の私が言っていることじゃございませんからと言われることのないように、ひとつしっかりと御認識をお願いしておきたいと思う次第でございます。  四年前になりますが、私は手紙を一通ちょうだいいたしました。これは、今マリンパークの館長さんをしていらっしゃる末広恭雄先生でございます。東大の名誉教授です。日本魚学界の泰斗であり、世界的な魚類学者として有名な方でございますが、  一度お目にかかってお願いしたく考えておりますが、問題は大阪空港の問題です。御承知のとおり、各方面で是非が論じられておりますが、魚類の聴覚生理上、この問題は瀬戸内海から一匹残らず魚を追い出してしまうような、大変な結果になりがちであります。米軍基地が千葉県九十九里浜にあった折に、水中音とイワシの聴覚生理の関係を詳しく実験をして、米軍を現地から撤退せしめた我々研究グループとして、この問題を黙視できないのであります。ほうっておきますと、瀬戸内海全面を魚の荒野にしてしまうおそれがあります。 このお手紙を末広先生からちょうだいいたしましたのは、ちょうど満四年前の七月の七日でございました。そのとき既に、このような大学者が、新空港環境の変化ということについて、こういう御心配をしていらっしゃるわけでございます。  単に私は漁業補償の問題にこれをリミットしてお伺いするつもりはございません。行政というのは往々にしてそのような対応をしがちであります。被害が出たから補償をすればいいというものじゃなくて、我々の生態系そのものがこの関西空港によって大きく変わるおそれがありとすれば、例えば、こういった魚の聴覚生理上、せっかくきれいになった大阪湾から魚が一匹もいなくなるかもしれないというおそれを、末広先生のような大学者が指摘していらっしゃるのでございます。  現に九十九里浜では、米軍の大砲の実験が、イワシを全部追っ払ってしまったんですね。それで、当時東大の教授であった末広先生のグループが研究されて、水中を伝わる音波の速さというのは空中よりもはるかに密度が濃く、速いものだから、だからイワシの群れが逃げてしまったんだと、そういうことで米軍は実験を取りやめたというようないきさつがあるわけでございます。  水産庁来ていただいていると思いますが、どうなんでしょう、例えば飛行機の騒音というようなものは相当に魚の生理に影響をいたしますか。そして、これまで委託をしておられた、日本水産資源保護協会でございますかで、こういった魚の聴覚生理に及ぼす影響についてのアセスはおやりになりましたでしょうか。
  198. 山添健一

    説明員(山添健一君) 御説明申し上げます。  魚類と騒音の関係についてでございますが、音と魚の関係は、魚種によって非常に違う、それからまた音の種類、また周波数によって非常に違うわけでございます。特に先生今御指摘がありましたように、水中に音源があるような場合ですね、先ほどの射爆場のような場合と、それから何といいますか、底の方から音が、振動が伝わる、こういうときには非常に忌避行動を起こすわけでございます。  今度の場合は、航空機騒音で、いわゆる空中に音源があるわけでございます。この場合には、音が水中に入るときは、大気中では非常に大きな音でも、相当水面で反射されるとか、それから減衰ということがございまして、何といいますか、こう、音の……
  199. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そういうことをお伺いしているんじゃなくて、そういう実験をおやりになったかどうかを聞いているんです。
  200. 山添健一

    説明員(山添健一君) はい。それでもって、非常に影響を及ぼす範囲は大きくないわけでございますが、これにつきまして、先ほどからちょっと御説明申し上げていました水産資源保護協会の影響調査でございますが、これの中の一環に、私どもの水産工学研究所の専門家がこの調査もやっておりまして、余り大きな影響は出ないだろうと、滑走路の直下のわずかな区域というように推定しております。
  201. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 時間が参りましたので、私は事実だけ指摘しておきます。  実は、きのう末広先生にお電話でお伺いしたんですよ。九十九里浜でこの実験をやっていますときに、水中に入れておいたマイクロホンにジャズの音楽が非常に大きく入ったんだそうです。そのマイクを空中に引き揚げましたら、全く音を拾わない。調べてみましたら、はるか沖合を航行しておりますアメリカ船が船上でダンスパーティーをやっていたんですね。それで、空中で拾わない音を水中マイクになったら拾ったと。こういうことを末広先生が実験の結果報告していらっしゃるのでございますから、今あなたがおっしゃったことと全く正反対の実験の結果も出ているという事実を指摘し、だからこそ、こういう自然の生態系に重大な影響を及ぼすようなこういう大工事、大プロジェクトは、どんなにやったってやり過ぎることはない。  その点において、特に環境庁の勇気を持った行動を大いに期待をいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  202. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後三時十七分散会