運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-07-31 第101回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十一日(火曜日)    午後一時四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月十九日     辞任         補欠選任      吉村 真事君     柳川 覺治君  七月二十日     辞任         補欠選任      柳川 覺治君     吉村 真事君  七月二十二十三日     辞任         補欠選任      吉村 真事君     倉田 寛之君  七月二十四日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     吉村 真事君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括  棚橋  泰君        審議官        運輸省国際運   仲田豊一郎君        輸・観光局長        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省貨物流通        局長       栗林 貞一君        運輸省海上技術        安全局長     神津 信男君        運輸省海上技術        安全局船員部長  武石  章君        運輸省航空局長  西村 康雄君    事務局側        常任委員会専門  村上  登君    説明員        外務省欧亜局ソ        ヴィエト連邦課        長        野村 一成君        運輸省航空局管        制保安部長    平井磨磋夫君        労働省労働基準        局安全衛生部計        画課長      松本 邦宏君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      岩瀬 虹兒君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      内田 隆滋君        日本鉄道建設公        団理事      萱場 英造君        日本鉄道建設公        団理事      松尾 昭吾君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (青函トンネルに関する件)  (足尾線問題に関する件)  (国鉄問題に関する件)  (大韓航空機撃墜事件に関する件)  (小型航空機安全運行に関する件)  (函館ドック経営問題に関する件)  (船員問題に関する件) ○道路運送法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○連合審査会に関する件     ―――――――――――――
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会に、日本鉄道建設公団総裁内田隆滋君、同公団理事萱場英造君及び同松屋昭吾君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鉄建公団総裁に御出席をいただきましたが、鉄建公団として工事をしている内容は、非常に多岐にわたっております。その中でも特に大きな工事として、青函トンネルがあるわけであります。この青函トンネルを、先日私どもも実際現地に行って見てまいりましたし、事情も聞いてまいりました。確かに世界的な大きな工事であって、このトンネルをどうするかということは、単なる採算上の問題だけでは片づけられない重要な内容を含んでいると思います。  そこで、まさにでき上がろうとしておる鉄建公団が担当したトンネルでありますけれども、このトンネル利用方法をめぐっていろんな意見が出ておりますが、我々が今まで聞いたところによりますと、年間使用料を八百六十億ぐらい払わなければならない、こういうことであります。そうすると、今国鉄経営形態がいろいろ問題になっておりますけれども国鉄が続けてこの青函トンネルを引き受けるとすると、年間八百六十億を払わなければならぬということになる。これはまさに現在の国鉄にとってはどうにもならない負担であろうというふうに考えますが、この負担を一体政府としてはどのようになさるおつもりなのか、まず運輸大臣からお伺いしたいと思います。
  6. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 青函トンネルは世紀の大工事でございます。また、北海道皆さん方の長年の熱望が実現しようとしておる、そういう隆道でございます。開通後はどう使うかということについて、やはり鉄道輸送に使うべきである、こういうのが先ごろの、青函トンネル問題懇談会という運輸大臣私的諮問機関でございますが、この懇談会の結果報告の中にある結論でございます。私もこの御意見に従って何とかやはりこれは鉄道輸送として使うべきであるということで、いろいろ今検討を加えておる段階でございます。  ただ問題は、御質問の中にもございましたように、使用料が八百億かかるということでございまして、現在の国有鉄道がそのままの姿で、できました、はい引き受けましょうというわけにはまいらないと、これが国有鉄道総裁初め国鉄意見でございますし、また私どももごもっともだと考えておるわけでございます。  でございますから、鉄道輸送として使う場合には、大きく言うと結局二つの方法しかないと考えております。一つ方法は、国有鉄道がやるとした場合に八百億の問題を別途処理するという考え方でございましょうし、また国有鉄道から切り離した何らかの形の団体が青函間のトンネル輸送を受け持つという形にして、それに特別の措置を講ずる、このいずれかしかないと思っておりますが、まだいずれとも結論を得ておるわけではございません。  また、輸送形態その他についてもいろいろ今検討を実は加えておる段階でございます。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 どっちにいたしましても、でき上がれば、それから先八百何十億を払ってもらわなければ、鉄建公団としては困るということになるわけです。その点、鉄建公団総裁にお伺いしたいと思うんですが。
  8. 内田隆滋

    参考人内田隆滋君) このトンネル有償資金をもって工事を進めておりますので、御指摘のとおり何らかの措置をしていただかないと、私どもとしては大変困るということになると思います。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、今大臣から二通りの方法考えられるということでありますが、鉄建公団とすれば、このトンネルが完成した後の措置は、例えば維持管理といったような関係はどうするのか、それから担当した職員処遇は一体どうするのか、それらのことについても問題があろうかと思うのでありますが、その完成以後の鉄建公団としての対処というものはどのようにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  10. 内田隆滋

    参考人内田隆滋君) 青函トンネルが完成いたしました暁どうするのかという御質問でございますが、これは御承知のとおり五十四年十二月に閣議決定がございまして、青函トンネル上越新幹線等の大工事が終わった後は建設公団について他との統合等について検討するということになっておりますが、御承知のように、当公団は今まで青函トンネル上越新幹線あるいは国鉄京葉線というようなものの工事を担当してまいりました。私の口から申し上げるのは何かと思いますが、いわゆる土木の技術といたしましても大変高度な技術能力を持っております。また、鉄道工事プロパーとしても、相当のノーハウを持っているわけでございます。現在当公団には二千六百人の職員がおりますが、これらの職員は、個々の職員それ自体が大変技術的にすぐれておるという以外に、それらの大工事を推進したという意味で、一つのシステムとして大工事をやっていく大変貴重な存在であるというように考える次第でございます。  したがいまして、青函トンネルが終わったらどうするのかということにつきましては、今後これから鉄道工事が一体どうなるのか、それに我々がどういうように参画していくのかというようなことがまだ決まっておりませんので、何とも申し上げられないわけでございますが、私たち希望といたしましては、日本の国におけるこの貴重な組織というものを将来十分生かしていただけるようなことをお考え願いたい。そういうことを前提といたしまして、今後国会並びに政府の御指導を得て組織検討してまいりたいし、またそれに対応して職員処遇考えてまいりたい、こういうように考えております。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 このトンネル問題懇談会結論としていろいろなことを私ども聞いたのでありますが、カートレーンを走らせたらどうかといったような意見があったということなんでありますが、その新聞の解説等もいろいろ読んでみましたけれどもカートレーンを走らせるということになってもかなりの追加投資を必要とする、しかもそれが海峡を通過するだけで相当投資を必要とするということなんでありますが、このカートレーンといったような方法を、津軽海峡を横断することのためだけに使用するというメリットがあるのか、採算が合うのかどうか、この点についてどのように大臣はお考えになりますか。
  12. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) そこらのところをいろいろ検討しなきゃならぬわけなんでございます。  懇談会カートレーン方式というのは、現在の北海道本州との間の鉄道を今のゲージで結ぶという場合に、自動車をそれに載っけるとすると大きい自動車が載らない、大きい自動車を載っけないと意味がないじゃないか、大きい自動車を載っけようとすると、やはり広軌新幹線並みゲージ、いわゆるスタンダードゲッジにしまして、そしてそれ専用の貨車を、低床の貨車ですね、をつくって十五トン、二十トンという自動車まで積めるというようにしなければならぬのじゃないか、こういうところで矛盾があるわけなんでございます。したがって、いろんな考え方がありまするけれども、いわゆるカートレーン方式でやったらどうかと言われておるのは、要するに第三軌条を敷いて、トンネルの中を旅客列車は普通のゲージで走る、貨物列車については大きな自動車も載れるようにしていわゆる広軌で通す、こういう考え方なんでございます。  だから、これも実はワン・オブ・セムなんで、一つ考え方としてそれがどうかということ。もちろん追加投資も必要でございますから、そういうことをいろいろ勘案してどちらがいいか考えろ、それの一つ方法である、こういうふうに我々に示されておるということなんでございまして、この検討を十分しないといろいろ問題があることはおっしゃるとおりだと、かように思っておる次第でございます。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 標準広軌にしないと大きな車両は積めない、これは当然そうですよね。在来線の狭軌だったならば大きな車は積めない、これも物理的に当然そうなります。そうすると、標準広軌で運ぶということになると、青森函館の間だけを新幹線と同じゲージで走らせるということをしたとしても、自動車を、人間のように一人で乗るわけじゃないですから、積み込んで、運んで、おろしてということをやらなきゃならぬ。時間的には、カーフェリーやあるいは連絡船を使うのと変わりはないということになっちまう。そうすると、余り意味がないということになりますわね。  そうすると、もし標準広軌で結ぶということになれば、これだけではまことに中途半端で、恐らくペイはしないだろう。中途半端なままペイしないということになると、国鉄が引き受けるにしてもこれは困るだろうし、第三セクターじゃなおさら引き受けられないだろう、こういうことになるのでありますが、その点はどうですか。
  14. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) カートレーン考え方は、大臣がお答え申し上げましたとおりでございますけれども三つ考え方がございまして、一つは、在来線のまま青森-函館間にカートレーンを走らせる。この場合には、現在のフェリーで運んでおりますのが約四時間かかります。それに対しましてこのようなカートレーンは二時間半で走りますので、時間の短縮効果としては一時間三十分ございます。それから、基本計画区間である中小国-木古内間だけを標準軌にして、そこに大型トラックも載るカートレーンを走らせる。この場合は、中小国木古内まで到達いたしますアクセスタイムがかかります関係で、三時間四十分ぐらいということで、フェリーの四時間に比べて余り短縮効果はない。それから最後に、青森-函館間を標準軌にいたしまして大型トラックも載りますカートレーン運行いたしますと、カートレーン運行時間が一時間二十分というふうに見込まれておりますので、現行のフェリーの四時間に比べて二時間四十分の時間短縮効果があるというふうに、青函トンネル問題懇談会下部機関でございます研究会で、御報告が出ておるわけでございます。  したがいまして、ただ追加投資は、先生指摘のように、今三つの案のうちで一番短縮効果のある最後の案は約千五百億の追加投資が要るわけでございまして、この場合には短縮効果が非常にございまして利用は非常にふえるであろうと思いますが、その投下する資本費の回収という問題がございます。研究会の方では、長期間を見れば一応採算がとれるというふうに結論が出ておりますけれども青函トンネル問題懇談会の方では、その点を再度もっと十分に詰めた上で政府結論を出すようにと、こういうふうな御指摘をいただいております。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そういう経過はわかっているんですがね、要するにうまい方法はないということでしょう、結局は。絶対にこれなら採算が合うという妙案は出てないわけだよね。採算がとれるんではないかというような希望的観測はあるかもしれない。しかし、若干の時間の短縮があったとしても、あの津軽海峡の間だけ若干の時間の短縮をしてみたところで、これは車なんですからね。そうすると、北海道から関東あるいは関西方面へ車が走る場合に、その海峡区間だけ一時間やそこら時間短縮ができたところでどれだけの意味があるかということになると、余り意味はない。区間的には、遠回りをして余計な運賃を払わなきゃならぬということになるんじゃないかなという気がするんです。  そこで、公団立場として、一体このトンネルの有効な利用方法というのは、何が最適であるというふうにお考えになるのか。これは生みの親として、生んでしまえば後は知らぬというわけにはいかぬと思うので、それらのことは公団としても相当研究をされていると思うのでありますが、その点はどうですか。
  16. 内田隆滋

    参考人内田隆滋君) 先生の御指摘がございますが、そもそもこの青函トンネル公団が始めましたのは二十年前、計画はもっと前からございました。その当時は、国鉄輸送量貨物も含めて大変本州-北海道間は多かったわけでございますし、また例の洞爺丸事件等がございまして、どうしても本州-北海道間はトンネルで結ぶんだという前提仕事が始まったという、これはもう先生承知のとおりでございます。  しかし、ここに来て世の中が大変変わって、鉄道輸送量等自動車航空機等との競争で大変輸送量が少なくなったということも、覆い得ない事実でございます。そこで、そういう建前の中で、じゃどういう利用方法が一番いいのかということで、この懇談会結論につきましては、当公団相当の勉強をさせていただきまして、意見具申等をいたしましてこういうような結論が出てまいりましたわけで、私たちとしてはやはり、トラック輸送鉄道でやるということがこのトンネルを使う一番いい方法ではないかと、現在確信している次第でございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もしこの青函トンネル建設を中止または凍結した場合どういうことになるかというと、その場合でも維持管理に毎年二十億程度が必要となるし、それから有償資金の額を増加させないためには金利分四百九十億円が必要となるというふうな、一つの数字も出ているわけです。  この点については、やはりこのとおりであると確認してよろしゅうございますか。
  18. 内田隆滋

    参考人内田隆滋君) そのとおりでございます。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうなると、ますますこのトンネルは何とか使わなきゃならぬということになってくるわけです。使わなきゃならぬということになると、中途半端なことをやって継ぎはぎの投資をするということは利口な方法じゃないという気がするんですがね。  そこで、公団のあり方なんですけれども、実は鉄建公団ができ上がるときに私は、当時の予算委員会だかよく覚えておりませんが、委員会質問をしたことがある。そうしたら、そのときの答弁は、これは国鉄負担をかけないために鉄建公団という機関をつくって、そして建設費は国の方で保証するんだと、こういう話だったんですよ、趣旨が。綾部健太郎運輸大臣が余りはっきりした御答弁ができないで、田中角榮大蔵大臣運輸大臣答弁をことごとく引き受けておやりになったということを私は記憶しているんです。ところが、今は話がちょっと違ってきた。掛かりは全部また国鉄が払わなきゃならぬという仕組みになっております。だから、誕生したときの話とちょっと事情が違ってきているわけですね。  そこで、改めて私は大臣にお伺いしたいと思うんですけれども鉄建公団というものが、赤字路線ということがわかっておっても建設をする、あるいはこういう世界的な大プロジェクトについての建設を担当するということをやって、仕事が終わったらもう用済みだというのは、どう考えてもむだなことだという気がするんです。国鉄自体として、例えばこれは赤字があってもやらなきゃならぬという公共性というものがあると思うんですね。それらの点について、鉄建公団等が、建設だけじゃなくて、それらの赤字路線維持管理といったようなこともあわせて考えるといったようなことは、政府として考えられないのかどうか。  その点は、これからもちょっと問題にしたいと思いますが、先般当委員会視察をいたしました足尾線の問題がございます。この足尾線地元とすれば死活問題なんです。国鉄とすれば、そろばん勘定だけで、この種のものは早いとこ切ってしまいたいという気持ちがあるかもしれませんけれども地元とすれば、やたらと取られてしまえば、製錬所自体がやっていけなくなる。製錬所がやめてしまえば町が廃れてしまう、こういう問題が出てまいります。こういう公共的な立場でもって存続考えなければならない路線、これは足尾線だけではない、北海道にも九州にもいっぱいあるし、あるいはまた青函トンネルも同様ということになってくると、これらの政府の責任において維持存続を図らなければならないような路線というものは、今後の国鉄経営形態とかかわり合いを持ってくると思うのでありますが、政府としてはどのように処置をされるつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  20. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 鉄建公団ができるときの綾部運輸大臣答弁そのものは私今見ておりませんが、恐らくその話はこういうことだろうと思います。いわゆる新線建設AB線と称するものがございます。AB線は、鉄建公団でつくって、国有鉄道で無償でこれを使うという仕組みになっておるわけなんでございます。海峡線とかCD線とかいうものは有償鉄建公団国鉄に使わせるという仕組みになっておりますので、その前者のものについて御答弁になったのではなかろうかと私は思っておるわけでございます。  その問題はつけたりでございますが、鉄建公団自体をどうするかという問題は、五十四年に閣議決定が一応ございまして、青函隧道完成後は他との統合等を図ると、こう書いてある。わかったようなわからぬようなことが書いてあるのでございます。青函トンネルはもう間もなく、まあ考え方ですが、本隧道がごらんになったように貫通する、両端のアクセスを入れればもうちょっとかかるわけですが、どれを青函トンネル開通と言うかは別としまして、いずれにしましてもその閣議決定が生きている以上は、鉄建公団が現在の形のままではないということに一応なるわけなんでございます。しかし私どもは、国鉄経営形態とあわせまして、鉄建公団がどうあるべきかということを改めて慎重に考えていかなければならない、このように実は思っておるのでございます。結論はどうだとおっしゃいましても、今のところ、どういう結論と言うわけにはまいりません。今、政府としてどうかとおっしゃれば、これは閣議決定に書いてあるとおりでございますとお答えする以外にないのでございますが、そのままで他との統合を図っていいのかどうか、この他とのという意味は、私ども承知しておりますところでは、国有鉄道と一緒にしたらというような意味も多分にあったような感じもいたします。国有鉄道それ自体をどうするかということが議論になっておるわけでございますから、したがってこの閣議決定についても、やはりもう一遍十分に検討を要するというふうに実は考えておる、こういう次第でございます。  私どもは、鉄建公団というものがやはり相当仕事をしてまいりましたし、現在も仕事をいたしております。特に、大都市近郊国鉄、私鉄の通勤線建設などについては大きな役割をしておるわけでございまして、そういう点も十分考えた上で鉄建公団をどうするかを考えていかなければならない、かように考えておる次第でございます。  足尾線の問題は、お尋ねがあればまた後からお答えしたいと思います。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 足尾線も、先般視察をしてきたんですけれども、とにかく群馬栃木と両県にまたがっておるわけです。本体の足尾の製錬所が栃木県、首の方が栃木県で胴体の方が群馬県、こういう形になっておるわけです。したがって、首の方は製錬所の貨物輸送、それから胴体の方は桐生方面に通勤する通勤者の足といったような、それぞれの任務を分担しているわけです。しかも足尾の製錬所の場合は、高純度金属砒素日本国内の一〇〇%、アメリカの二〇%、全世界の六〇%近くのシェアを有するものであるということをこの間も聞きました。こういう製錬所ですが、これを経営が立ち行かなくなるような窮地に追い込むということは、政府としては考えてはならぬことじゃないかという気がするんですね。  そうすると、両県にまたがっている、つまり二つ以上の複数の県にまたがっている赤字ローカル線ということになると、地方自治体としても処理が非常にしにくいと思うのでありますけれども、どうしてもこれは政府自身が面倒を見なきゃならぬ、こういう立場にあると思うんです。この種の、旅客も貨物相当数の利用者があるにもかかわらず、しかも地元が一生懸命に存続のために運動をしているような線区に対して、これを国鉄経営立場からだけ処理をするということは、やはり政治のあり方としては間違っているんじゃないかなという感じがするのでありますが、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  22. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私がそういうことを申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、五十五年にできた再建促進法という法律によってローカル線の処理が決まったわけでございます。これはもちろん社会党は反対でございましたけれども、とにかく法律は通ったわけでございます。それによって政令ができておりまして、その政令に当てはめたら足尾線はそれに該当するということで、これが第二次で指定をするということでございます。問題は、政令に外れる条項があればもちろん外すわけでございますけれども、政令から外れる条項はないという形でございますので、今度指定をいたすということになったわけでございます。  でございまして、これをもっと客観的に見て一体どうすべきかということについては、これは私は個人的な意見もいろいろ持っておりますけれども、公式に申し上げると、これはやはり協議会というものをおつくりいただいて、協議会の場で十分いろんな角度から御検討いただいて、どうしたらいいかという結論をお出しいただく、こういうことをお願いする以外には、法律を守っていこうということであればそれしかない。これから後どういうふうな話にするのか、足尾線の場合は御案内のように、御質問にもございましたように、他のローカル線と違った、一部北海道に石炭の出る路線がございますが、貨物という特別なものを持っておる線でございますので、そういった意味から、協議会の席上でこういう町の存廃にも関するような問題ではないかといったような点が恐らく議論をされまして、私はいい結論が得られるものと、かように考えておる次第でございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 政令の基準そのものが果たして妥当であるかどうかということも、検討の余地があるんじゃないかという気がいたしますが、その点はどうですか。機械的に画一的に決めてしまっていいものじゃないと、こういうふうに思うのです。  それから、時間の関係もありますからまとめていろいろ御質問したいと思いますけれども青函連絡船にしても、使い方によっては、例えばオートバイとか自転車も載せるようになった、そうしたらかなり利用者が多くなったということも聞いております。したがって、利用者のニーズにこたえるという方法をとれば、連絡船利用者もふえるという可能性があるんじゃないかという気がするのであります。  それから、これは具体的な例を申し上げますけれども、先般私は武蔵野線に乗ってみまして感じたのでありますが、わずか一名の駅員しかいない。ところが、電車の回数は一時間に二本がそこらしかないので、乗降客が非常に多いんです。乗降客が非常に多いと、事実上、無改札の状態になってしまう。見ておりましたが、もう無札の乗降客がほとんどである。ああいう現状を見ますと、私は、閑散線区の場合は閑散線区としての取り扱いもあるけれども、繁忙線区、特に武蔵野線なんかのように首都圏に入ってまいりますとかなりの繁忙線区になってくるわけです。おまけに、ダイヤが利用しにくくなっているせいもあるのですけれども、こういう地域における要員の無人化というのが果たしていいのかどうか。川越線でも話を聞きましたら、箱を置いておいて、そこへ切符を入れてくれと書いてあるけれども、切符を入れていく、金も入れていくということになっていると、高校生なんかだと箱ごと持っていってしまうのがおると聞いたのですよね。わずかな人間の配置を怠ったために、なけなしのおさい銭みたいな金まで持っていかれてしまう。こういう状態はどう考えても国鉄としてはばかげた語だと思うのですね。  だから過員をどうのこうのと言っておりますけれども、無理に人を減らして、合理化が人減らしであるかのように考えているということは私は間違いだと思うんです。必要なところに人間の配置をしないと、幾らだってただで通られてしまう。ただで通られるだけじゃなくて、あり金をさらって逃げられてしまう。こういうようなことがあるでしょう。こういう問題は私は国鉄として十分に考え直す必要があるのじゃないかという気がするのでありますが、この点については国鉄総裁、前段申し上げた点については運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  24. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 最初に、政令の基準についてでございますけれども、御指摘のように、政令によりまして一日四千トンということが決められておるわけでございます。利用者の場合には乗車密度二千人、こういうことでやっております。これは五十五年の法律の公布の後でいろいろな議論を経ました上で制定した政令でございまして、既に第一次線におきましてこの基準に基づきまして処理をさせていただいてきております。その結果、御承知のように足尾線と同じような環境にございます神岡線、樽見線、清水港線というようなものが、相当量の貨物はございますけれども地元の御協力によりまして第三セクターないしはトラック輸送というものへ転換を済ませ、または近く切りかわろうとしておるわけでございます。そういうような点から考えまして、基準年次におきます政令というものの基準というものは、私どもこの線でやらせていただきたいと、かように考えておるわけでございます。  それから第二点の、青函連絡船フェリー等に活用できないかという御指摘でございますが、御承知のように青函連絡船は既に現在乗用車を積載いたしております、一日片道百三十両程度輸送をいたしております。ただこれも、御案内のように、青森-函館間には別途の民間のフェリーも頻繁に通っておるわけでございまして、また、青函連絡船そのものを本格的なフェリー等に改装するためには非常な費用がかかりますこと、さらには、現在の船が既に船齢が古くなっておりまして、その観点から、これを改装しても、船の耐用年数というものの関係もございまして、それやこれやを考えまして、これをフェリーないしはそれに類似したものに改装して行うということはいろいろ困難が伴うのではないかと、かように考えております。
  25. 須田寛

    説明員(須田寛君) 川越線、武蔵野線の御指摘をちょうだいいたしましたが、そういった首都圏周辺の非常にお客様の多い駅につきまして要員配置が非常に手薄な駅があることは事実でございまして、先生指摘のような問題は確かに一部の駅で生じております。  今私ども、やはり収入ということは非常に大切でございますので、そういう要員配置の比較的手薄な駅に、時間を限りまして要員を巡回させたり派遣をしたりするといったようなことも考えておりますし、また武蔵野線につきましては、やはり先生がおっしゃいましたように、非常に列車の回数が昼間四十分ぐらいあいているところがございまして、一列車当たりのお客様が集中するというふうなこともございましたが、この辺につきましては、やはりお客様の数に応じまして列車の増発を今考えております。そういうことをあれやこれやとりまして、先生指摘のように大都市周辺、非常に営業上大事な地域でございますので、そういうところの収入を守りますと同時に、お客様のサービスに努めてまいりたい、こんなふうに考えて今いろいろと措置をとっておるところでございます。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 新幹線の上野乗り入れに伴う通勤新線の問題でありますが、これらも、地元との約束がなかなか実行されずに、通勤新線の開通が危ぶまれておるということを聞いております。これはやはり地元に対する信頼感を国鉄が失うことになると思うのでありまして、これらはぜひとも、通勤新線の完全な同時進行ということをやるべきであるというふうに考えておりますが、それらの点について総裁の方からの御答弁をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 通勤新線につきましては、五十三年十二月に大臣の認可をいただきまして、東北新幹線の上野開業と同時開業ということを目途にして、工事を進めているところでございます。  ただ、当初予定いたしておりました車両基地が、浦和周辺に予定をいたしておりましたけれども、用地買収がどうしても困難であるということから、五十七年秋に至りまして、浦和周辺に予定いたしておりました車両基地を断念いたしまして、川越線の沿線の南古谷という地区がございますが、そちらへ移さざるを得ないということで、地元にも御了解をいただきましていろいろ用地買収の仕事を進めているわけでございますけれども、現在時点におきます南古谷の用地の取得率は五〇%をまだわずかに切っている状況でございます。そういった問題、あるいは大宮-宮原間の用地買収につきましても、四〇%台ということで、大変工事工程的にはいろいろな問題を残しております。特に大宮-宮原間の工事につきましては、ほかの区間に比べましてもなお工事の進捗状況がおくれている状況でございますけれども国鉄といたしましても、この高崎線沿線と申しますか、広く申しますと首都圏の北口の通勤輸送対策、これの重要性は十分承知をいたしておりますので、通勤別線につきましても、何とか新幹線との同時開業ということを目指して、鋭意努力をしているという段階でございます。
  28. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、きょうは四十分しか時間が与えられておりませんので、七月の十三日の日に私ほか、社会党の細谷代議士、八木代議士が一緒に、佐賀県のいわゆる国鉄の過貝センター、営業開発センターの実情調査に行ってまいりました。そのことに基づいて少し国鉄総裁、それから運輸大臣にいろいろ所見を承り、ぜひとも改善をしていただきたいと思う点があるわけであります。  そこで、まず前提としてお断りしておきますが、今国鉄に出ている二万四千五百名の過員をどう処理するかということについては、既に国鉄当局から労働組合に問題の提起がされ、労働組合側は公労委にこれを提訴した結果、公労委が労使団体交渉事項として話し合いをしなさい、こういうことになっておりますから、そのことの中身に立ち入る気はありません。それはまだ、今これから労使でお話しくださることですから。その前段の問題として少しお聞きをしたいのでありますが、私はまず、今日の過員問題一つをとらえても、また国鉄の再建一つをとらえても、労使の協力がなくしては再建はあり得ないと実は思うわけです。  そこで、改めてもう一遍お聞きをしますが、この委員会国鉄総裁の労使問題に臨む態度については何回もお聞きしましたが、私は佐賀県下の実情、実は駅を六カ所見ました。駅は佐賀駅、それから肥前山口駅、唐津駅、西唐津駅等々で、六カ所の過員センターを見たときに、実は非常に心配になってきました。そこでもう一回ここでお聞きいたしますが、国鉄総裁としての、労使問題についてのあなたの思想、哲学、方針についてひとつお聞かせください。
  29. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今先生からお尋ねでございますが、現在の国鉄の状況が非常に危機的状況にあるということは、我々も十分認識いたしております。それに向かいましてやはりこれを解決していくというのは、前提として、国鉄自体の自助努力ということが前提になると思いますが、同時に、国鉄だけではなかなか解決のしにくいたくさんの問題があるということでございます。そういう点につきまして、我々としては、さきに申しましたように、国鉄自体としてできるだけのことをしていくということが第一であると思うわけでございます。そのためには、やはりもちろん、経営者であり管理者である国鉄当局というものがきちっとした対応をするということが必要でございますが、同時に職員ないしは労働組合員等につきましても、その認識を高めてもらいまして、お互いに相協力するということ、これが第一でありまして、やはり労使がお互いに相協力し合ってこの難局を乗り切るという姿勢で参らなければならないというふうに考えます。そのためには、いろいろな問題点につきましていろいろ議論があると思いますが、お互いに胸襟を開いて話し合うというような姿勢を前提として、お互いに相協力するというふうにしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  30. 安恒良一

    ○安恒良一君 私も、もちろん国鉄の再建が、累積赤字の問題一つをとらえても、国鉄だけでできるというふうに思っておりません。しかし、その中心に国鉄の労使がやはり相互信頼をし相協力し合って、いろいろな問題に今総裁がおっしゃったように胸襟を開いて話し合いをして事の解決に当たっていかなきゃならぬという、そのとおりだと思います。  そこで、もう一遍、総裁、お聞きしますが、あなたのその方針が末端の管理者まで行き届いておりますかどうですか、その点お聞かせください。
  31. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 私は、関係局長会議等がございます際、あるいは総務部長等の会議がございます際にいつも申しておりますのは、今申しました非常な国鉄の難局を乗り切るために労使相協力していくというためにいろいろいうと話し合いをするということが前提になり、また、私就任のときに申しましたように、第一線の職員の幸せになるというような立場で愛情を持って処理をしていくということを強調しておる次第でございます。  これうにつきまして私は一生懸命に努力しておるつもりでございますが、第一線まで十分行き通っているかどうかという問題につきましては、いろいろ御批判があるところかと思っております。
  32. 安恒良一

    ○安恒良一君 残念ながら、実は十三日丸一日をかけて私が、申し上げた以上の駅を調査した結果、あなたがおっしゃるように、国鉄職員に幸せをとか、愛情を持ってという、そういうことに現実がなってないんです。実は、行って驚きました。  実はこの委員会で山田さんから一遍いろいろの問題の質問があったときも、あのときも、山田先生質問は非常に私は感銘深く聞いておったんですが、当局の答え方についてはいろいろ問題があるなど聞いておりました。私は今度現実に行ってみて、なるほどこれは大変だなということを感じたんです。以下、具体的事例を挙げて、総裁にもひとつ知っとっていただきたいと思いますし、運輸大臣は今トイレへ行っていますが、運輸大臣にもひとつ答えてもらいたいと思うのであります。  まず、私は、貨物合理化に基づいて、貨物ヤードを中心とする余剰人員がたくさんできたことは承知しています。そこでその処理方法が、一つは営業開発センターということで、運転部門を除く過員をそこに集められてやっている、それから運転部門は運転部門だけで、同じいわゆる過剰センターということで、それぞれに駅に集められてやられていることを見てきました。率直に申し上げて、運転部門の過剰センターのあり方については余り大きな苦情というのは聞きませんでした。しかし一番問題なのは、いわゆる営業開発センターというところに大変な問題があるわけです。  まず第一点は、どういうやり方をしているのかということで行きましたら、非常に狭いところにたくさんの人間が詰め込まれています。例えば一つの例を挙げますと、肥前山口駅でありますが、ここは二十二名の人が過員センターにおります。その部屋へ入りましたら、非常に細長い部屋で九十三立方メートルしかございません、その部屋の広さは。そこに二十何人が詰め込まれまして、この暑いのに冷房も一つも入っていない、こういう状況ですね。そしてそこにはトイレがない。トイレに行くためには百二十メートルも向こうに行かなきゃならぬ。で、トイレをつくってくれと言ってもトイレはつくってくれない。それから駅が非常に狭い。こういうところではもうぎゅうぎゅう詰め込まれている。そういう点について問題がある。  それから、同じく今度は久保田駅の関係に行きましたら、ここも過員センターには三十九名おります。ところがそこの広さは二百二十七立方メートルでありますから、少なくとも労働基準法から言いますと十立方メートルが必要ですから、三百九十必要なところ二百二十、そういう狭いところでやられている。こういうやり方ですね。  それから唐津駅に参りましたら、せっかく営業センターがあって営業に出ていって帰ってきても、その部屋には鉄道電話も一つもない、ましてや公衆電話もない。そこで鉄道電話か公衆電話を引いてくれと。なぜかと言ったら、営業に行って売りにいって帰ってきたら、今度は住民から問い合わせがあるのは当たり前ですよ。そうしたら一々駅長室の備えてあるところまで行かなきゃならぬ。こういうことについて、鉄道電話か公衆電話を設置してくれと言っても設置してくれない。こんな問題。  それから、午前中は今度は無人駅に改札に行っているわけです。ところが、その無人駅の中には既に駅舎がある。駅舎があるのに、改札に行って、一つの列車が通過して次の列車が来るまで相当の時間がありますから、駅舎に入って休憩しておきたいから駅舎を使わせてくれと言ったら、かぎをかけで使わせない。なぜ使わせないのかと聞いたら、かぎをあけておいたらいろんな人が、民間人が入ったら困るからと言って、こんなばかげたことをやっている。これはもちろん、今は直っていると答えますよ、太田さん。私たちが行った後、指摘したから慌てて駅舎のかぎをあけたらしいんです。総裁、闘いとってください、運輸大臣も。そんな使い方をしておるわけです。  しかも今度、以下これから申し上げるところ、鬼塚、和多田、一貴山、松原、大人等は待合室がなくて駅長室がない。それから東佐賀、伊賀屋は待合室があるが駅長室がない。こういうところがあるわけです。ですからこういうところへ行った場合にどういうことになるかというと、冬の寒い日はいわゆる吹きさらしですね。例えば、上の屋根だけあるところがあるわけです。屋根だけあるんですが、お客さんがおりるわけですからそこで待っておらにゃいかぬ。そういう無人駅に行った場合に、どうしてこの吹きざらしや炎天下にそういう人々に休むところを提供しないのか。これは人の扱いではありませんね。  それから営業方法を見ましても、非常に私はおかしいと思うんですが、開発センターで訓練を受けて売りに行っているのは何を売りに行っているかというと、いわゆるパッケージになっていないんです。少なくとも旅行業者がやる場合は、例えばAという地点から出発して観光に行ってAという地点に帰ってくるまでを、全部セットにしてあるんですね。国鉄の列車は何を使う、飛行機は何を使う、観光地ではこういうバスを使って、ホテルはどこに泊まってと、こうやるからこれは売れるんですよ。ところがそういう部面、中間部面は他の業者にやらせるということで、必ずしもそこがセットになっていない。そんな物を売りに行ったってなかなか売れないんですよ。  ですから私はどうも、行ってみてみんなに会ったら、かつてのいわゆる捕虜収容所と言うのはいけないかもわかりませんが、強制収容所のような印象を受けたわけです。それが、若い人から年とった人まで、意気消沈をしてそこにおられる。特に、夢と希望を持って、特に佐賀とかいうところでは国鉄というのはもう第一線の就職口ですが、そこに入った若い諸君が、今までは貨物ヤードで働いておった、それが、おまえたち余ったよということでそこに持ってこられて、ぼそっと入れられて、今度は午前中は無人駅へ改札に行ってこい。行ったら行ったで、吹きさらし、日の当たりっ放しのところでやらせられるし、帰ってきて、午後は午後で今度は、三人一組で売りに行ってこいと、こうなる。その売る品物も立派な品物じゃないわけだ。  これじゃ私は見ておったら、もうおまえさんたちはやめろ、人員が余っておるからやめろと言わんばかりのやり方で、これでは夢も希望もありません。私は私鉄ですが、私鉄で同じ過剰人員が出たとき、そんなやり方はしません。これは総裁、あなたも私鉄に十年おられたからわかっておると思うんです。私鉄でも余剰人員は出ます。出ますが、今国鉄がやっておるような荒っぽい、人を人とも思わぬようなやり方、あなたは愛情を持ってと言われた、幸せと愛情と言われているけれども、あなたの部下のやっていることは幸せも愛情もない。私は実は驚いたんです。  それで、私帰ってきてこのことを指摘して、まず解決したことは、トイレットは近くつくります、これは私から言われてトイレットは近くつくりますということになりました。それから駅長室は、駅長室にかぎをかけておったのは、慌ててあけて、使えるようにしたんです。ところがそれ以外、例えば佐賀駅について鉄道電話と公衆電話はどうですかと言ったら、とりあえず鉄道電話は引きましょうとこうなった。公衆電話はと言ったら、いや今の売り上げから言うと公衆電話を引くほどじゃないし、隣の駅長室と助役の部屋にあるからいいじゃないですかと、こう太田さんは言っていますが、商売するなら商売するらしくやったらいいと思うんですよ。営業センターで品物を売らせるなら、赤電話を引いて、お客から注文があったら注文に応じられるようにしなきゃならぬ。中途半端もいいところなんです、このやり方は。  そういうことではせっかくのあれだけの若い人が、私は行ってみて本当に気の毒だと思った。同じ私鉄でやるなら、まず大体本人たち希望を聞きますよ。で、できるだけ本人たち希望に沿えるようにして、ちゃんと訓練をして、それから仕事です。ところが、今のやり方は全く荒っぽい。こういう状況が出ていた。  しかも、これはこの前山田先生がおっしゃったんですが、これは私も聞いてきたんですが、例えば余剰センターで点呼があった。「何々君」「はい」と言う人があります。ある人は、「私は出勤している」と言う人がいる。「私は出勤簿に捺印した」と言ったら、それはけしからぬ、「はい」と言えと。そんな人間らしい扱いをしなくて、「はい」と言えと強制することが無理じゃないでしょうか。私から言わせると、出勤していると本人が言えば、出勤を確かめればいいこと、それを「はい」と言わなければ業務命令、業務違反だと、こうなるんですね。そんなやり方というのは私はちょっとこれはないと思うのであります。  以上のような点について、まずちょっと総裁、今私は実態を申し上げました。どういうふうに本当に愛情を持って、あなたがおっしゃったように愛情を持ってやるんですか。私たちは、行って実は驚いたんです。これがいわゆる国鉄における営業開発センターのあり方か、余剰センターのあり方かと。  こんなやり方をしておったら、今度出ておるところの二万四千五百人の問題は大変な問題になると思うんです。今の過員ですらこれだけの問題が職場で実は起きておって、私は同じ鉄道で働いている者の一人として、こんなやり方はないじゃないか。もう少し本当に本人たち希望を持ってやっぱり働けるように、余剰人員が出たことは余剰人員が出たことなんだから、その余剰人員をどういうふうに本人たちに労働意欲を持たせて使っていくのか、このことについての考えがない。だから基本的に、総裁、あなたが言われた哲学が末端まで徹底していない、末端の管理職に徹底していない。私から言わせると、いわゆるそんな不心得なやつはおらぬと思いますが、今は組合いじめをしたやつが出世できるぐらいに末端の職制は思っているんじゃないかという感じがしました。非常に私はいけないことだと思います。こんな状況の中ではとっても二万四千五百人の余剰問題は片づかぬで、大問題になるだろうと思います。こういう感じが六カ所を調査させていただいた結果出ました。このことについて総裁考え方を伺いたい。
  33. 太田知行

    説明員(太田知行君) 事実関係を私からかいつまんで申し上げます。  何点がお話しございましたのを重複を避けまして、あるいはかいつまんで申し上げますと、トイレの件は、早急に設置すべく、ただいま準備しております。  それから、電話の件でございますが、これは唐津駅のことかと存じますが、お話しございましたように、鉄道電話につきましてはブランチをするようにただいま準備に入っております。赤電話につきましては、この開発センターと駅長事務室、オフィスでございますが、電話の置いてあるところが七メートル、廊下一つ隔てて比較的近い距離だということ、それから使用実績が大した回数に上っていないということ、それからお客様の方からセールスをやった結果お電話がかかってくるという場合も若干ありますけれども、開発センターそのものが外歩きが主体でございますので、センターそのものに置いておいた場合に人がいないという場合がありますので、だれもいない場合にお客さんから電話がかかってきたときには、今のオフィスにある電話の方がより有効ではないだろうかというようなことをかれこれ考えまして、さしあたり赤電話の設置は見送りたい、こう現地では判断しております。鉄道電話につきましては、むしろ開発センターの諸君の活躍が、例えば何月何日の指定券をどう取ってもらいたいとか、あるいはこの日の旅行行程をどうしたらいいかとかいったようなお話をその場で承ってきて、そして指定券の話であれば、旅行センターとか、しかるべき内部のところへいろいろ問い合わせをした上で確認をして、その次の機会に、お客さんこうでございますと言うケースが多くなってきていると思います。初めは鉄道電話も、実態から比べてそう必要ではないんじゃないかという判断であったんですが、大分成果が上がってきましたので、今のようにさしずめ鉄道電話を先行して設置いたしたい、こういうふうに判断しております。  それから、無人駅の問題でございますが、駅舎につきましてお話がございましたような判断があったのでございますが、設備の管理の問題その他いろいろ総合的に勘案しまして、判断といたしまして、行っている諸君にかぎを持ってもらって使う、こういうふうにさせていただいております。  それから、待合室の方は、これはございまして、今幾つか駅名をおっしゃいました中で、全く待合室のないのが鬼塚という駅だけでございまして、ほかはあるのでございます。大きな駅なんかには、乗務員や動力車乗務員のための待合室あるいは休憩室というのがございます。専用という意味ではございません。みんなお客様と共用でございますが、まあまあ繰り合わせていただけば、そう長時間お客さんは待っておられるわけじゃございませんので、何とか休憩がとれるであろうということでございます。  鬼塚には何もございませんが、ホームの上に簡単な上屋がありまして、その下にベンチがあるということで、何とか休養はとれるんではないか。基本的に、この特別改札にセンターの要員を派遣する場合には、風のときとか雨のときは控えるようにしておりますし、途中でそういう気候の変化があったような場合には、連絡を受けて助役が判断をして、戻るように手配をして事例も既に三回ぐらいあるわけでございまして、臨機応変の対応はとるようにしていると聞いております。  それから、面積の問題をおっしゃいました。平面の面積的にはまあまあという判断をしているのでございますが、気積という点でいきますと確かに不備な点がございます、足りない点がございます。現地局では、対策がおくれておりましたのは、一つにはこの営業開発センターから学園の方に教育に振り向けたいという希望がありまして、これを速やかにやりたいということを言っておりましたものですから、多少対策がおくれました点は反省しておるのでございますが、早急に御指摘のあった三駅所属の、三駅だけじゃありませんで全般的に学園教育は循環させていますが、当面、三駅の所属職員については早急に学園の入学措置を講じて、そこで再教育なりさらに一層の教育を深める措置をとりたい、こういうふうに申しているわけでございます。  それからあと、点呼の問題お話しございましたが、先般当委員会で私もお答えしたのでございますが、やはり何といいましても点呼は一日の仕事の始まりでございます。やはりみんな心を込めて、「だれそれ君」「はい」というところからスタートする。これは本当に国鉄の純風美俗でございまして、別に「はい」ということに格別の意味があるわけではございませんが、さあやろうという気迫を込めて言っているわけでございます。それで、九州管内でも、先般当委員会で御指摘があった以後、やはりその意味はみんなわかってくれていまして、ほとんどのところで「だれそれ君」「はい」という本来のやり方に戻っていると聞いておりますが、たまたま七月六日、七日、この両日は余剰人員対策反対ということで、特定の組合が順法闘争を全国的に実施いたしました。運休三百本などということで大変申しわけなく存じておるのでありますが、御指摘のあったところにおきましては、この両日に限って、順法闘争の一環ということで「はい」と言ってはいかぬというどうも指示が流れたやに聞いておりまして、その日だけ「出勤」とか「作業」とか「捺印」とか、「はい」以外の言い方をしたようでございますが、その日も、注意いたしましたら、みんなまた「はい」と言ってくれたと言っておりますし、その後は全部「はい」という返事に戻っているというふうに報告を受けているわけでございます。  それから、最後の点で、組合いじめ云々というお話がございましたが、決してそんなことではなくて、管理者はやはり信頼され、職員の心配事や悩み事に答え得る資質を持つと同時に、やはり仕事を遂行する責任者でございますから、毅然として指示すべき点は指示をする、毅然たる側面、きっちりした側面と愛情を持った側面を両方兼ね備えるようにこれは絶えず注意しているところでございまして、組合いじめなどが出世の糸口、契機というような考えは毛頭持っておる者はないものと確信している次第でございます。
  34. 安恒良一

    ○安恒良一君 総裁、今のを聞いて最後に答えてもらいたいけれども、幸せとか愛情を持ったということには現実になっていないんですよ。  僕が一番驚いたのは、末端の職制というのは実に無礼きわまると思うのは、私ども調査に行くためには、小柳委員を通じて、国鉄本社を通じて、調査に行かせてもらいますということをちゃんと断って行きました。佐賀駅に着きましたら、門鉄管理局の担当課長、駅長等が出迎えておりました。そして案内してくれました。結構なことです。そして、余剰センターに入って私どもの団長があいさつをし、私は国鉄の組合員と一問一答を、夢と希望を与えなきゃいけませんからやってきたんですが、ついてきた管理職の諸君は、最初から最後まで、黙って私どもの一問一答を全部記録をとるんですよ。かつての国鉄の労使では考えられなかったことですね。  私どもの一問一答をとるならば、いわゆる過員センターで私どもが話し合いをする、そこまで案内するのはいいんですが、過貝センターの中に入ることも、ましてや私の言うことを一問一答をとるなら、それは断るべきじゃないでしょうか、私に。実は先生の一問一答をとって善処すべきところは善処したいと思うから記録をとらせてくれと言うなら、これはわかるんです。一言もそういうことを言わない、最初から最後まで。  私は、一喝して追い出す道を知っておったんです。佐賀駅で追い出してやろうかなと思ったけど、この課長や駅長がどんな態度をとるか見る必要があるなと思って最後まで黙っておったら、六カ所とも全部ついてきて、人に断ることなく一問一答を全部記録する。失礼きわまりないじゃないですか。失礼きわまりない。私の方はちゃんと、入ることについて手続をとって入っておる。お断りもして、しかもできるだけ人を過員センターに集めておってもらいたいという手続をちゃんと本社にして、行っているんですね。そういうやり方をあんたのところの職制はするわけなんだ。それで愛情を持ってとか、国鉄の純風美俗とか、「はい」というのは美俗だからやってもらわなきゃいかぬと言うけれどもね、その前に自分たちが直すことがあるんじゃないですか。私たち国会議員で調査に行っておる人間でも、そんな無礼な態度をとるんだ、無礼な態度を。それが国鉄の現状じゃないですか。  そんなことで本当にあなたがおっしゃるような、幸せとか、愛情を持って国鉄労使が再建ができるでしょうか。私はできないと思う。少なくともトイレをつくるとか駅長室を使わせるとか、――駅長室があるのにかぎをかけて使わせぬとは何事ですか。かぎを貸して、そして使ったらまたかぎをかけてきて駅長に戻せばいいことなんじゃないですか。それを、雨風にさらして、僕たちが行って言うまでは、駅長室を使わせないで改札に行ってこいとは何事ですか。しかも今は、待合室がある。そんなことを言うなら太田理事、あなたたちが一遍行って現場を見てきなさい。屋根だけあって吹きさらしのところに、寒い日、暑い日に何時間もおっていいんですか。あなたたち自身が現場をもう少し見なさいよ。現場を見てから答えなさい。鬼塚以外には屋根もある、それはあるでしょう。あったって、暑い日、寒い日もあるんだ。風の吹く日もあるんですよ。雨が降った日は、朝から降った日は行かせてないと言う。途中で降ったら帰ってこいと言っていると言うけれども、風の強い日もあるんですよ。  だから、もう少し過員が、余剰の人員が出たら、それは人間らしく扱って、人は人として扱って、それをどう生かすかということについての考えを持たなきゃいけないんじゃないですか。でなければ、労働意欲というのは山てこないんじゃないですか。そこらを私は太田さんに技術的なことを答弁してもらう気はありません。その考え方について、運輸大臣も今私のやりとりについて、ひとつどうお感じになったのか。私は行って、実は本当に驚いたんです。何で過員センターというのが強制収容所になっているんだろうかな、こんなことで国鉄の再建ができるのだろうかなと。非常に実は心配をしておる。  総裁、まずそのところを答えてもらいましょう。
  35. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今、先生の御指摘がございました点につきまして、急にいろいろ対応をしたという点もございまして多少おくれた点がございまして、先生から御指摘を受けそれを改善するというようなやり方は必ずしもいいことではない、もっと早く手を打つべきであったというふうに私も考えております。国鉄の置かれている厳しい中でございますから、金を使うとかいう問題についてなかなか厳しいとは思いますが、できるだけ愛情を持ってというつもりで処理するように、現地の局長以下を指導してまいりたいと思うわけでございます。  また、先生から御指摘がございましたメモをとったという点につきましては、まことにお断りもしなかったという点について申しわけないと思っておりますが、できるだけ正確に先生の御意図を記録しそれに対応してまいりたいということだったんだろうと思いますが、そういうお断りしなかったということはまことに申しわけないと思っております。今後十分気をつけるように指導をしてまいりたいと思うわけでございます。
  36. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 二万数千人という過員が一遍に出てきたということでございまして、二万数千というのは大変な数なので、一つの企業として考えても大きな企業である。これが、私は率直に言いまして、このようにたくさん出るはずでなかった。これが実際にいろいろやってみた結果が出てきた。そこで対応が、一種の今お話しになったようなことがもう本当にあるのだろうと思うんですね。あちこちに起こっておる。混乱状態と言っていいのではなかろうかというふうに思います。これはやはり今後もあることでございますし、もっと計画的に対応ができておればこのようなことはない。思わざるところへ、ほかで浮いた人間をほかへ、他の場所へ移す。受けた方は受けた方で、突然受けてこれに対応するのに戸惑っておるという感じ、先生のお話を承って私は、率直に言いましてそういう感じを受けております。  こういうことでは困る、いけない。早急にとりあえずのところの対処をしてもらうと同時に、今後の問題もございますので、やはり計画的にいろいろなことについてやってもらわなければ困る、かように私は思っておる次第でございます。
  37. 安恒良一

    ○安恒良一君 総裁大臣、もう時間がありませんから私からあれしておきたいのですが、今度の二万五千人をどう活用するかというのはこれはこれからの問題ですが、今出ている過員というのは、貨物合理化を中心とする過員がうんと出てきたわけですよね。それで、主として今働いておった方は、貨物ヤードで働いておった方が多いんです。そういう方が過員になっておるわけですからね。ですから、そういう方を活用するなら活用するように、全然新しい分野の仕事になるんですよ、率直なことを言って、今の。それならそれのように、本人にそれに意欲を持たせるように僕はやっぱり労使しなきゃならぬと思うんですよ。そこが基本だと思うんです。そこがないと、今度二万五千人の余剰人員の整理も私はうまくいかないと思うんです、いわゆるどう使うかということについて。二万五千人に近い提案をされているのですから。ですから私はやっぱり、国鉄に入って国鉄で自分は頑張りたいという意欲を持ってきた人が、意欲を持って働けるようなことにしたい。  だから、もう一遍総裁にお願いしておきたいのは、運輸大臣にお願いしておきたいのは、過渡期の混乱ということとか、たまたまということじゃないんです。というのは、貨物合理化が進んで今日まである程度日数がたっているわけですから。にもかかわらずに、私たちがたまたま佐賀に七月の十三日の日にこれ入ったからよかったんですけれども、入らなければ、トイレもできなければ、駅長室にあんた、ある駅長室にかぎをかけて使わせないなどというばかげたことが行われているわけなんです。それで、たまたま私たちが入って佐賀を見たものですから、指摘をしたから、やはりだれが考えたって駅長室にかぎをかけて使わせぬなんてばかげたことがまかり通るはずがないわけですから、慌ててやり出したというようなやり方。だから私は、どうも一事が万事じゃないか。  これは最後にこのところをきちっとしてもらいたいのですが、これだけ過員が大量に出ていると言いながら、例えば筑肥線等における駅の作業を外部に委託されていますね。これは一つの例ですが。私は、それだけ余剰人員が出るなら、外部に委託はやめて、まず本体の人間を使って仕事をやるべきだと思います。でなければ、いろんな駅の仕事は外部には委託は出すわ、人は余っておるわ、余っておってその使い方は夢も希望もないような何か強制収容所におるような形に押し込めておったら、これはもう国鉄にとっても不経済きわまりないんですよ。ですから、そういうところについてですね。  それから、今申し上げたように、世間の常識を国鉄は持ってもらわなきゃ困ると思うんですよね。私たち調査に入ったときに私たちの一問一答をとるなら、私たちに断るというのは常識じゃないですか。それを断らないで平気でやるという、そんな常識のない職制に指導されたんじゃ、私は国鉄は再建できないと思うんですよ。もうちょっと民間で通る常識を持ってもらわなければ、国鉄の官僚だけで通る常識で運営されたら、かないません。民間の常識を持ってもらわぬと、私は国鉄の再建というのは難しいと思うんです。ごく簡単なこと、お互いに、着いたら名刺交換をしているんですよ。そのときは一言も、じゃこれからずっと速記、議事録をとらせてもらうと一言も言わないんですよ。名刺交換もしてそして入っていったんです。それがあなた、あれですよ、門司の管理局の課長ですよ。管理局の課長がそんな常識を持っているんだから、それじゃたまったものじゃないですわ。ましてや今度は駅長や助役においてをやですわ、課長自身がそんな非常識なことをするんですから。  ですから、総裁、太田さん、あなたも、いま少し、もうちょっと現場を見てもらいたいと思うんだね。現場を見られたらびっくりされるですよ。私も、現場に行って実は驚いた一人です。いろんなことを聞いていましたが、現場に行ってみて、なるほどな、これじゃ大変な問題だなと実は思いました。  お断りしておきますけれども、私は決して、全部が全部組合員の主張を支持しているものじゃありません。私は、組合員の主張の中でも、一問一答の中で、やはりそれはちょっと民間の常識で考えられないものは、あなたたち考えになったらどうですかというのは言ってきました。率直なことを言わしてもらいました。  しかし、少なくとも民間の常識でやれるようなことはきちっとやってもらわないと、どうも今のやり方は、例えば太田さんは、今度は学校にやるからいいんだと、こう言われるんですね。学校の方にやるんだから、今は狭いけれども、学校にやるからと言うんですがね。じゃ何人学校にやらにゃならんのかというようなことはわからない。私から言わせると、過員が三十九人あるならばやっぱり少なくとも建物は三十九人が入れるような部屋の広さにしてあげることが、まず愛情を持つことじゃないでしょうか。いや、今度は学校の方にやるんだからまた三十六人安恒さん、減りますよと言わんばかりです。そんな気持ち、それから私は、そんなところに金を惜しんでもしようがないと言うんです。やっぱり国鉄が再建できるのは、労使が、よし、やったろうと、みんなで力を合わせて再建しようという気持ちを持たぬ限りはできないんですよ。よし、頑張ろうじゃないかと。その、よし、頑張ろうじゃないかという気持ちを持たせる労使関係というものをおつくりになるのは、それは組合にもあるでしょうけれども、まず使用者側だと思いますよ。だから私は総裁に、あなたの思想、哲学を聞いたんですよ。そうしたらあなたは、組合員の幸せ、愛情を持って労使双方が信頼し合って、協力し合ってやろうとおっしゃる。  ところが、残念ながら、あなたの思想が、いわゆる理事以下からずっと末端まで伝わっていない。伝わっていないところに今日のいろんな問題がある。わずか私が佐賀県の六カ所を見ただけでも、これじゃいかぬな、手荒いな、民間ではこんなやり方はしないがなと、こういうことをつくづく感じてきました。今後の善処方をひとつ要望して、いま一遍総裁考えを聞かせてください。
  38. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 先ほどからお答えしているとおりでございますが、今先生から御指摘がございましたように、必ずしも国鉄の中で世間常識と相反するような例もないことはないと思っております。これらの是正につきましても今極力努めるつもりでございます。なかなか力不足で十分浸透いたしておりませんけれども、今後、先ほどお答えいたしましたとおり、管理局長以下、よく指導をいたしまして、御趣旨に沿うように指導をしてまいりたいと思うわけでございます。
  39. 安恒良一

    ○安恒良一君 はい、終わります。
  40. 小島静馬

    ○小島静馬君 海の向こうのアメリカでは、今、世界の平和の祭典のオリンピックが開始されたわけであります。しかし、これには、ソ連を中心といたしました東側の多くの国々は、参加をいたしておりません。前回のモスクワ・オリンピックも、逆の意味で、同様な偏ったオリンピックであったわけでございます。世界は一つであるというテーマの中で開かれているオリンピックがこういう状況でありまして、今日、東と面との対立の問題はいろいろなことの中に影を投げかけているわけでございます。  思い起こしますれば、昨年の九月の一日大韓航空機撃墜事件というものが起こりましたときに、私ども大きな衝撃を受けますと剛時に、これまた東西対立のその厳しさの中に生まれた本当に悲劇であったという実感を、しみじみ持ったわけでございました。この乗客乗員、もちろん墜落沈没してしまいました大韓航空機は、その破片をようやく捜索活動によってとどめることができましたけれども、それこそフライトレコーダーも発見されない、ブラックボックスも発見されない、こういう状況の中で、その原因すらなかなかにつかみ得ないという状況であったわけでございますが、一つは、領空侵犯がなぜ行われたかという疑問であります。もう一つは、民間航空機を、領空侵犯という事実があったとしてもなぜ撃墜をすらしなければならなかったんだろうか、大きな憤激を感じたわけでございます。  我が国会におきましても、とうとい同胞二十八名がその二百六十九名の中にはおられたわけでございまして、その方々の心情を思いながら、この国際的な暴挙と言うべき撃墜事件に対して国民全体の世論が沸騰いたしました。それを受けまして国会も、これに対する真相の究明、あるいはまた決議等までも行ったわけでございました。決議後におきましても、当委員会あるいは予算委員会等におきましても、いろいろなそのことの究明に対する議論が行われたわけでございます。  まず、これらの問題につきましてきょうは絞ってお伺いをしてみたいと思うわけでありますが、昨年の九月の十三日に大韓航空機撃墜事件に関する決議というものを本院は採択をいたしたわけであります。その前の日の十二日には衆議院におきまして、文言こそ違いますけれども同様の決議が採択をされているわけでございまして、政府に対するこれらを内容とするところの、今後の解決のための努力を図られるよう要望いたしておるわけでありまして、とりもなおさずこれは、国民の決議であるというふうに理解をいたしているわけでございますが、その後これらの決議の内容に対しまして政府はもちろん大きな努力を払われたと思うわけでありますが、どのような経過をたどっておられますか、外務省からわざわざ御足労願っておりますが、どうぞひとつその経過についてお知らせをいただきたいと思います。
  41. 野村一成

    説明員(野村一成君) お答えいたします。  先生指摘のとおりこの大韓航空機事件、まことに遺憾な事件でございまして、六項目の決議につきましてそれぞれ私ども外務省の方としましても最大限の努力をしてまいったわけでございます。  まず、事実究明の点でございますが、これは御承知のようにICAOの方で主として担当したわけです。その審議にはもちろん積極的に参加しますと同時に、去年十月ICAOの調査団が来日したわけでございますが、その際に資料提供等積極的な協力を行っております。  それから、決議の二番目にございます捜索活動でございます。これは事件当初から私ども、ソ連側に対しまして繰り返し、再三にわたりまして、領海内の立ち入りも含めて求めてまいったわけでございますが、遺憾ながらソ連側は一度も、領海立ち入り捜索というのを認めなかったという経緯がございます。  それから、補償の問題を含めましてソ連への申し入れの件でございますが、去年九月十四日、政府は次の三点を申し入れております。一つはソ連の公式の陳謝、それから二番目に今回のごとき不法行為の再発防止のための措置をとること、それから三番目に我が国国民である乗客の生命、財産に対する損害賠償。しかしながら、ソ連側は自分みずからの責任を認めないという対応をとっておりまして、最近では、本年に至りましてアンドロポフ書記長の葬儀の際に安倍外務大臣がモスクワでグロムイコ外務大臣と会談しております。その際にも、誠意を持ってソ連側に対応するよう強く求めております。遺憾ながらソ連側の対応は、みずからの責任を認めない、そういう対応をとっております。  それから、大韓航空機によるルート逸脱の結果生じた損害に対する責任という問題がございます。これは大韓航空と乗客との間の民事上の問題でございますが、政府としても、直接関与する立場にはないとしましても、可能な範囲内で援助を行うということから、大韓航空に対しましては、日本人遺族に対する補償問題の円満な解決に特別な努力を払うよう、また韓国政府に対しましても、側面から補償問題の円満解決のために協力するよう、累次これも申し入れを行っております。  それから、決議の五にございます再発防止でございますが、シカゴ条約の改正という形で本年五月開催されたICAOの臨時総会で、すべての国が民間航空機に対し武器の使用を差し控えなければならないといった条項を、シカゴ条約に改正するという改正案が、採択されております。実は我が国は、この改正案の採択に向けて非常に積極的な努力をしてまいったということがございます。  それから、決議の六にございます国際緊張緩和との関連でございますが、これは先生承知のように、やはり東西関係、特に軍縮、軍備管理をめぐる米ソ関係というのが非常に緊張しておるということでございます。そのため、先般の安倍・グロムイコ会談、先ほど申しました二月のときにも、やはり米ソ関係を改善するための努力を大いにやってもらいたいと、ソ連に対話の申し入れというのを行ってまいりました。やはり物事は話し合わないといけないということで、私どもも今後とも引き続いてそういう腹構えでやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 小島静馬

    ○小島静馬君 なかなかに思わしくない進行状況であるわけでございますが、しかし、どうぞひとつ粘り強く今後も御努力を御継続願いたいと思います。  運輸省といたしましては、これはもう航空行政をつかさどる我が国大元締めであるわけでございますから、それなりの対応の仕方があったと思うんですが、今日までにどのようなことをなされたか承っておきたいと思います。
  43. 仲田豊一郎

    政府委員仲田豊一郎君) 運輸省といたしましては、航空機事故に引き続きまして、大韓航空の社長が運輸省を訪れました折に、事務次官より、遺族の心情を十分理解して十分な補償を行うよう、強く要請をいたしたという経緯がございます。その後も二度ほど遺族会と大韓航空との間の会合が持たれまして、その経過におきましても、一番初めの会合は昨年の十二月十一日でございますが、大韓航空の社長が出席された会合におきましても、我が方から専門家をここに派遣いたしまして、その様子を十分把握するということ。それから次に、三月の二十日に、さらに大韓航空機の責任者がこちらに訪れております。その際にも、航空局及び外務省からも同席して、交渉の席におきましてお互いのお話しになることを十分伺っておるということがございます。さらには、五月の十二日には、これも大韓航空の社長が出席いたしまして具体的な提案をいたしたわけでございますが、この際にも航空局からは、遺族会の御要請がございましたので、専門家を派遣して同席させております。  そういうような形ででき得る限りの努力を、側面的ではございますが、今まで払ってきておるところでございます。
  44. 小島静馬

    ○小島静馬君 六項目にわたる内容について個々に検討していきますと、いろいろ問題がそれぞれあるわけでございますが、時間を非常にかければ何とかなろうかという問題もございますし、時間をかけてもこれはどうにもならぬという問題もあるわけでございますけれども、特に私は、去る者は日々に疎しとも言います。何といいますか、人間の記憶というものはとかくに薄れていくものであるわけでありますが、ややその記憶も薄れていこうとすることの中で、いつまでたってもその悲しみの消えない人たち、それは二十八名の犠牲者の皆さんの御家族の心情であろうと思うわけであります。  そのことを考えながら、あるいら立たしさの中で、せめて一つどもとして遺族補償の問題だけは、国会決議に基づくような本当に十分のことをしてあげたい、そういうふうな視点に立つわけでございます。  申し上げましたような、いろいろもう人命もみんな海底に消えてしまったとか、資料となるブラックボックスを初め、そういういろいろな計器類もなくなってしまったとか、発見されない、そういう状況の中でICAOの報告書が昨年の十二月かにまとめられたというふうに承っておりますし、私も日本語に訳されたものを役所からいただきまして通読をいたしてまいりました。非常に感ずるところが多かったわけでございますが、そこでまず、ICAOとはどういう組織であるのか。それから、このICAOの報告書というものは、どういうふうな経路の中からこの調査報告が出されたものであるのか、その権威はどの程度のものであるのか、こういう点についてひとつお尋ねをしてみたいと思います。
  45. 仲田豊一郎

    政府委員仲田豊一郎君) ICAOと申しますのは、国際民間航空機関と我々呼んでおりますが、一九四四年の国際民間航空条約、シカゴ条約と申しておりますが、これに基づいて設立されました国連の専門機関一つでございます。  この任務でございますが、国際民間航空の安全な運航と秩序ある発達及び国際航空運送業務の健全かつ経済的な運営を図るということを目的とした各種の活動を行っておりまして、現在百五十二カ国が加盟しているところでございます。もちろん、日本も韓国も加盟国でございます。  このICAOの場におきまして、実は昨年の九月十六日に採択されました理事会の決議に基づいて、ICAOの事務局の専門家がアメリカ、韓国及び日本の各国から事情の聴取を行った上で、報告書を本件について取りまとめているところでございます。  報告書の内容といたしましては、かなり詳細なものでございますが、結論から申し上げますと、韓国航空機の経路逸脱に関していろいろな可能性が推測されたわけでございますが、そのうち証拠としては全くない、こういう可能性は非常に少ないんではないかという結論を出しているものとして、一つに、ソ連が主張しているスパイ飛行説があるわけでございます。それから二番目に、飛行距離短縮のために……
  46. 小島静馬

    ○小島静馬君 内容はいいです。
  47. 仲田豊一郎

    政府委員仲田豊一郎君) では、ここは省略させていただきます。  こういうことで、調査の結果、仮定に基づいた一つのあり得べき原因というのを二つばかり提示していると思いますが、これは先生承知のことかと思いますので、省略させていただきます。
  48. 小島静馬

    ○小島静馬君 はい、わかっています。  ICAOの権威という問題では、国際的には今これしかないというぐらい、加盟国百五十二カ国とおっしゃいましたか、権威のあるものであるわけですね、それはどうですか。一言でいいです。
  49. 仲田豊一郎

    政府委員仲田豊一郎君) 報告書の内容自身の評価はいろいろあるかと思いますが、現在国連の専門機関であるICAOの専門家が、各国政府の協力のもとに総合的に行った唯一の調査結果でございますので、これ以上のものは現在は望めないというふうに考えております。
  50. 小島静馬

    ○小島静馬君 今、途中で遮って申しわけなかったんですけれども、時間が何しろ三十分しかないものですからお許しをいただきたいと思いますが、そこで、私もこれを通読いたしまして、従来国会でもいろいろ究明された問題、当委員会連合審査会に参加をしまして、参考人を呼んでまでいろいろ調べたわけでありますが、そういう状況等をあわせ考えて見てまいりますと、いろいろなことがある意味では理解もされてまいりました。いろいろありますけれども、なぜ領空侵犯を犯してしまったか、その原因を究明していきまして、それこそ世界の航空業界のトップが、国でいいましても企業でいいましても、トップが相集まりましてこのことを究明していったわけでありますが、そこで特にシミュレーションやら、精密な計算は資料がないからできないわけでありますが、それに基づいて得た結論というのが、私ども本当に驚くような大きなミスであったというふうに思います。二つの事態が想定できるというんですが、細かく分ければ三つですね。三つですけれども、これは二つですよ。インプットを間違えたのか、それとも、何というんですか、磁性飛行というんですか、この二つ。分ければさらに三つになるわけですが、この原因というものを、こういうことをもし犯したとしても、今日の最先端技術を結集した、そういうふうな航法、INS等の状況あるいはレーダーの使い方、それこそかつて瀬谷先生予算委員会で言われたわけでありますけれども、マージャンか酒でも飲んでいるか、そんなことでもしなければ察知できたはずだというふうな表現でおっしゃっておりますが、私も全くそのとおりだということを痛感したわけでございます。これはもう重大な過失だと思うわけでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  51. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今先生から御指摘のように、今回の航空事故の原因につきましては、確かにコースの逸脱ということが最初の大きな引き金になっているわけで、どういう状況でコースの逸脱がされたか、それが、先ほどICAOの報告書にありますように、入力の手続のミスということも考えられますし、そのような仮にエラーがございましても、さらにそれをリカバーするようなやり方、常に自分の位置を他の方法で確認していくという航法をとり得なかったかどうかという点に、いろいろと問題があると思います。ただ、現在私ども考えていろいろとやっておりますのは、あくまでも推論でございますので、そういう仮説をとれば過失があったということも言えるかもしれませんが、現実にどのような状況でどのようにしてコース逸脱をしたかということが明確でない以上、過失があったということを私どもがこの場で申し上げるわけにはまいりません。
  52. 小島静馬

    ○小島静馬君 それはそうだろうと思います。それで、それをどういうふうに推論していくかということはいろいろ難しい問題ですけれどもね。今後究明していくことの中で、やはり資料収集ですね、これはいろんな角度で、国際的な活動の中で行われていくべきだろうと思います。  そのことは要望として申し上げておきますが、その中の一つですけれども、ロメオ20というこの航路は、いつから開設をされて、頻度はどのくらいであったか、過去にどういう事故が起こったかということを、では教えていただきたいと思います。
  53. 平井磨磋夫

    説明員平井磨磋夫君) ロメオ20の開設の時期でございますが、これは、昭和五十七年の三月十八日九時一分、これは日本時間でございます、このときに開設をいたしております。この事故の後、五十八年の九月三日〇〇四四分、一度クローズいたしましておりますが、現在では、五十八年の十月三日の午前四時零分からまた再開いたしておるということでございます。この大韓航空の事故以前あるいは再開後、全く事故というものは起こっておらないわけでございます。頻度につきましては、ちょっとデータを本日持ってまいっておりませんので、後ほど調べまして御提出申し上げたいと思います。
  54. 小島静馬

    ○小島静馬君 頻度については、それでは資料をいただきたいと思います。  それで、これは本当は中にちょっと、非常に気になる文言が入っているんですよ。しかしそのことは、もう時間がなくなりましたから、きょうはやめることにいたします。  そこで、遺族の補償問題というものが非常に重大な問題だと考えるわけでありますが、補償は一体だれがするんでしょうか。これは外務省の方でしょうか、どっちでしょうか。
  55. 野村一成

    説明員(野村一成君) 補償の当事者といたしまして、補償を行う者といたしましては、本件の場合に、国際法違反という形でのソ連政府、及び先ほど申しましたようにルート逸脱の責任という意味におきましての大韓航空、そういうことになろうかと思います。
  56. 小島静馬

    ○小島静馬君 遺族会というものができて、大韓航空との補償問題の話し合いが中心に行われているわけでありますが、その経過を非常に御関心をお持ちだろうと思いますし、また立ち会ってもおられた、技術者が立ち会っておられたのかもしれませんが、それにいたしましても、その経過はどうなっているかということをお知らせいただきたいと思います。
  57. 仲田豊一郎

    政府委員仲田豊一郎君) 遺族会と大韓航空の話し合いの経過、私ども承知している範囲内でございますが、まず一番初めの大韓航空との接触は昨年の九月二十三日でございまして、大韓航空の社長が経緯を説明の上、遺族に対して謝罪を行ったということでございます。二度目は、十二月の十一日に同じように社長が出席いたしまして、その席上で大韓航空より、乗客一人当たり七万五千ドルプラスアルファという補償を提示したと聞いております。遺族側よりは、いろいろ法律問題、法律的な疑惑がございまして、この七万五千ドルという限度額を適用し得るかしないかということに関して御意見、強い御主張が出されたようでございます。その次は、一月二十二日に一応御予定があったようでございますが、かつ私どもの航空局の専門家が同席する予定になっておりましたが、遺族会の御希望によって延期されたと伺っております。さらに三月二十日、大韓航空側から副社長が出席いたしまして、この問題についてさらに話し合いを進めようということでございましたが、社長の出席もありませんのでこれ以上進展をしなかったと伺っております。この席にも航空局から専門家が出席をしております。その次の機会は五月の十二日に大韓航空の社長が出席いたしまして、これはいわゆる限度額七万五千ドルを援用し得るような状況であったという主張があり、また同じような、金額も七万五千ドルプラスアルファという補償の申し出があったようでございます。しかしながら、この会合におきましては何もまとまってはいなかったということでございます。この会合におきましても、航空局の担当者が同席しております。  以上が、私どもが把握している大韓航空と遺族会との間の話し合いの概要でございます。
  58. 小島静馬

    ○小島静馬君 三十分という時間の短さを今日ほど痛感したことはございません。実は私はこの遺族会長の川名君は学生時代からの友人でございます。最愛の息子がこの事故のために亡くなりました。自分の子供が亡くなっただけでも随分ショックであろうと思いますが、遺族会が結成されて、その会長に就任して、家業をやる暇なんか全くないわけであります。東奔西走、奔命に疲れ果ててなお頑張っております。他の遺族のメンバーの皆さんもお気持ちは全く同じでございますが、その状況を見るにつけましても、これは何とかしてあげられないだろうか、そういう思いの切なるものがあるわけでございます。そういう状況の中で、聞きたかったいろいろなことも半分しか聞けませんでしたけれども、しかし御答弁という形で明らかにしていただきましたけれども、私もそのことは承知をいたしております。  これから、どういうふうにして大韓航空機との折衝を進めていくか。大韓航空機が、もう少し誠意のある態度を見せてもらえないだろうか。私はここに持ってまいりましたけれども、遺族会の出された声明書がございますが、なぜもっと率直に、誠実に話し合ってもらえないだろうかという、本当に悲痛な叫びがこの声明書の中に入っております。この中の幾つかの文章を読みたくても読む時間がもう実はなくなったわけでございます。また、重大なる過失があるというふうに思われても、航空局長は今、答弁の限りではない、これは日本の運輸省の航空局長が言えることではないということも、私も理解をいたすわけでありますが、そういうふうなことが、起こり得べからざることが起こった。そのことは本当に私ども何といいますか、ICAOの報告書のその中に込められている幾つかのものを実は感じ取るわけでありまして、これを立証していくにはどうしたらいいだろうか、生の資料が欲しいというのも遺族会の悲痛な訴えであるわけでございます。  そのことを考えますと、今こういう状況の中で、交渉が実は停とんいたしておりまして、この上はもう提訴するしかないではないだろうか、そういうどんじりまで追い込まれているというのが実情であるように思われるわけでありますが、運輸大臣といたしまして、何とかこれ日韓親善という立場もございますので、民事不介入という原則もわかりますけれども、こういうふうな事件の性格から言いまして、両国の親善のためにも話し合える方法、そういうふうな方法をあっせんしていただくようなわけにはいかないだろうか、そんなことを痛切に感じますし、また、不幸にしてこれが提訴されるというふうなことの中でも、このことの解明のために何とか生の資料を収集していく、そういうふうな面での、裁判活動になったならばそれに対する援助をしていくというふうなことで、まだ訴訟にもなっておりませんのでそれに対してどうこうと言うことはできないかもしれませんが、ぜひひとつ航空行政の大元締めとして、大臣おんみずからこのことに対する御配慮と御協力を煩わしたいというふうに心から思っているわけでございますが、運輸大臣としてのひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 大韓航空機の撃墜事件が起こりましてから、既に十一カ月が経過いたしたわけでございます。この原因につきまして、またその後の調査の結果につきましては、今質疑応答の中でございましたが、いずれにいたしましても、ソ連の撃墜ということは全く憎むべきことでございまするけれども、そのまた原因をなしておるものは航空路の針路が違ったということであることにはもう間違いがない、これだけはもうだれが見ても動かせないことであるというわけでございます。私どもは、法律上の問題から見て責任云々ということはいろいろやかましい問題がございましょうけれども、しかしどう考えましても、航路を誤ったということがこのたっとい犠牲者を出したことであるというふうに理解する方が、人間のこれ常識だと、かように思うのでございます。  私どもと韓国との、日本と韓国との関係は、もう既に小島委員承知のように、大統領が日本へも来られようかというような間柄でございます。中曽根総理大臣もお出かけになったというようなことでございますし、非常に親善の間柄でございます。また、大韓航空という会社は、私ども日韓航空協定に基づいてそれこそ毎日入ってきておる航空会社でございまして、言うならば、日本の我々運輸省との関係も非常に緊密なものがある関係の会社でございます。  こういった点から考えまして、少なくとも、これで済むものではございませんけれども、遺族の補償の問題だけは何とか御遺族の皆さん方に、御満足とはいかなくても、少なくとも十分なできる限りのことはして差し上げるということでなければならないと考えておるわけでございます。これまでも、先ほど来答弁等もございましたが、我が省といたしましても、外務省とともにいろいろこの問題に関与し、いろいろやってまいっておるのでございますけれども、らちが明かない、こういうことなんでございまして、さらに私ども、日韓両国の立場、大きな立場からこの問題について、円満に話し合いで解決ができるように全力を挙げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 小島静馬

    ○小島静馬君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。  終わります。
  61. 桑名義治

    ○桑名義治君 ただいま航空機事故の問題で質疑があったわけでございますが、航空機の事故というものは、いかなる理由があろうとも、どういう形でありましょうとも、大変に悲惨な事件でございます。  そこで、七月の二日に千葉県の上空におきまして、全日空機と小型のセスナ機が異常接近をしたという、いわゆるニアミス事件が発生をしているわけでございますが、この事件の概要とその後の調査結果を報告願いたいと思います。
  62. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) ただいまお尋ねのニアミス事件と申しますのは、ことしの七月二日、八丈島空港を出発して東京国際空港に向かっておりました全日空の八三〇便が、十四時二十分ごろ千葉県市原市南方上空を高度約千五百メートルで飛行中、小型機と接近したという報告がなされたわけでございます。  この報告によりますと、全日空の八三〇便は東京国際空港の進入管制所のレーダー誘導を受けていたわけですが、小型機を右斜め前方に発見し、危険を感じて回避操作を行ったと言ってきております。そして交差したときの高度差は、約十五メートル程度と言っているわけでございます。  この報告を受けまして、直ちに本件について調査を開始したわけでございますが、この報告の状況から見まして、相手機は有視界飛行を行っている小型機と考えられるわけでございます。そして現在、この時点でこの付近の空域を飛行していた小型機を多数の中から調査しましたところ、一応現在は、二機それに該当するかなというようなものが出ております。しかし、現在両方の事情聴取をさらに進めておりますが、これまでの段階では、それらの航空機相互間でニアミスがあったということを認定するまでには至っておりません。したがいまして、全日空機及び該当されると思われる小型機等につきましてさらによく事情を聴取して、ニアミスの事実があったかどうかということを調査を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  63. 桑名義治

    ○桑名義治君 小型機につきましては、今から先もどんどん伸びていくのではなかろうかという予想がつくわけでございます。これは輸送会社として、いわゆる近距離航空輸送の会社としてもまたふえていくのではなかろうかと思われますし、また個人の趣味でやっている方が最近は非常にふえているというように思われるわけでございますが、ごく最近のこの小型機のふえた状況は、どういうふうな状況でございますか。
  64. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 現在小型機が何機ということを、ちょっと小型機全部について申し上げる用意がないんですが、例えば小型機の一番中心的なものは航空機使用事業でございますが、これらに用いられているものは、回転翼航空機を含めまして六百五十七機ございます。
  65. 桑名義治

    ○桑名義治君 これは、最近の動向から見でふえる動向にみると思うんですが、将来をどういうふうに見通しておられますか。
  66. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 小型航空機利用というものは、これからのいろいろな産業活動が盛んになるに従いまして、    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 やはり小まめにいろいろな小回りの情報活動あるいは宣伝活動、調査活動というようなものに使われる可能性は非常に高まってくる。そういう意味では、大都市周辺の小型機の飛行場の整備等ももちろん問題になってまいりますし、また各地域でもこういった小型機の使用というのが順次ふえてくる。そういう点では、小型機の運航の安全という問題は、従来以上に十分注意を払っていくべき問題だと存じます。
  67. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の御答弁にもございましたように、今後の小型機の動向を考えてみますと、一層やっぱりふえていく傾向にあるということはだれも否定することのできない事実であろうと思います。そういった意味から考えますと、大都市周辺のいわゆるニアミス事件というものがあってはならないわけでございますけれども、そういった事件が今後もふえていくのではなかろうかということが一応予測されるわけでございまして、この問題は、ただ単にニアミスが起こったからという簡単な問題として取り上げるものではなくて、これは今から先のいわゆる航空行政の中の大きな目玉の一つとして私はとらえていくのが至当な考え方であろう、こういうふうに思うわけでございますが、そういった意味で、いわゆるこうやった事件が今までも起こってきたわけでございますが、現在までどのような対策を講じてきたのか、その点についての御説明を願いたいと思います。
  68. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 最初に、ニアミスが小型機についてどのように起こっているかと申しますと、ニアミスがあったという報告はかなり多いんですが、現実に調べてみると、ニアミスに至っていない、一方的にそう思い込んでしまったというようなケースもあって、意外と少ないんで、五十一年に一件、五十三年に一件ということで、ここのところ小型機のニアミスというのはほとんどないというのが現状でございます。  ただ、そうは申しましても、実際に小型機の安全ということ、小型機が大型機の間を通って航行するということについては、かなりの安全のシステムをつくっておく必要があるわけでございます。こういったことは、航空の一般的な問題としますと、巡航高度を遵守するとか、進路権をどちらが優先的に持つかというようなルールがあるわけですが、雫石事故の際の教訓としまして、まずパイロットの見張り義務というものを課したわけで、これによりましてすべて、IFRの状態も含めまして、常に前方を見ているということで、衝突をかなり回避できるということがまず大原則でございます。  そして、さらに航空交通が非常にふくそうしている空域、特に管制圏、管制区の中でそういった空域につきましては、特別管制空域というものを設けまして、ここでは有視界飛行を禁止している、つまり必ず航空交通管制のコントロールのもとでやられるわけで、そうなりますと、そのような空域を飛ぶ飛行機は管制と十分交信ができ、そして管制から自分の飛行機の所在を認識できるようなトランスポンダーというものを装備した航空機でないと、これを飛ぶことができないという仕組みになっているわけでございます。こういった形で、現在ふくそう空域については安全の制度をとっております。
  69. 桑名義治

    ○桑名義治君 今いろいろな説明があったわけでございますが、トランスポンダーのいわゆる取りつけ義務、これは有視界飛行の小型の中には現在ないんではないですか、義務化が。この義務化を今後進めるという御答弁になるわけですか、今の御答弁は。
  70. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 現在まで、トランスポンダーの義務化をしていますのは、特別管制空域を航行する場合に限られているわけでございます。ただ、特別管制空域というのは、一般の定期航空運送事業の航空機と同じようなコントロールを受けるということで、そう大きな、広い空域ではございません。主要空港の進入空域に設定されているわけでございます。  ただ、それ以外でも、ふくそうする空域が今後出てまいりますときには、小型機にもトランスポンダーを義務づけるということも一つのやり方で、これによって、管制宮がレーダーを見ておりますと、そこに小型機があるということがわかる。それが他の航空機と異常接近をした場合には、他の航空機あるいはトランスポンダーを備えている航空機に対して、回避動作をするように指示することも可能になるわけで、そういう点では今後の方向としてはトランスポンダーの義務づけということを考えるわけですが、現実にどの程度にふくそうすればそういうものを義務づけたらいいかということは、かなり金額も張ることでございますので、小型機の利用ということも考えまして、そこのバランスを考えながら安全のためのシステムをつくっていきたいというふうに考えております。
  71. 桑名義治

    ○桑名義治君 いわゆるトランスポンダーの取りつけ義務ということ、あるいはまた特別空域を広げていくという、そういう方法考えられているというふうに言われているわけでございますが、いずれにしましても、この問題は、今の御答弁の中にもございましたように、小型機についてトランスポンダーを取りつけるということは非常に費用がかさむというような一面もあるわけでもございますが、そういった意味合いで今後またそういう機器を取りつけることも、これも有効な手段かもしれませんし、あるいはまた特別空域を広げるということもまた一つのいわゆる手段かもしれません。  それと同時に、小型機のいわゆる操縦士に対する教育ですね、この教育をやはりある程度強化していくということが、非常に有効な手段につながっていくのではなかろうか、こういうふうにも思うわけでございますが、その点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  72. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 先般の全日空のニアミスの報告を受けまして、私どもからは、航空事業連合会あるいは航空機の操縦士協会あるいは自家用操縦士協会等に対しまして、技術部長から通達をいたしております。  その中では、IFRで飛ぶ飛行機、VFRで飛ぶ飛行機等全般について、特に先ほど申し上げました見張りの徹底的な指示ということ、あるいは回避操作を適切にやるというようなこと、あるいは管制機関と通信を適当に設定するというようなことを言っておりますし、また、特にVFRで飛ぶ小型機につきましては雲からの距離を適正に確保する、あるいは航法訓練等を行う場合には、特に操縦練習飛行、試験飛行等を所定の空域で必ずやるというようなことなど、以上を事細かに申しておりまして、またこのためのマニュアルもつくられております。また、管制協会では、年二回そういった会議をいたしまして、周知を図っているということでございます。
  73. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回のこのニアミス問題を契機にしまして、運輸省から一つの通達が出ているようでございます。通達が出ております。この通達も私、書類としていただいておるわけでございますが、こういったいわゆる通達が出ているだけでニアミスの防止というものが今後万全であろうかどうかということは、これは極めてまだ私たちとしては心配な事柄でございます。  そこで改めて、先ほども二、三申し上げましたけれども、このニアミス事故が起こらないという防止対策として運輸省としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  74. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今後の対策といたしましては、自家用操縦士に対しまして、特に安全運航についての基本的な問題についての注意喚起を徹底していきたいということでございますが、これに並行しまして、航空交通のふくそう状況等を勘案しながら、必要に応じてトランスポンダーの装備を義務づけることを順次拡大していくというようなこと、あるいは特別管制空域というものをさらにより広く設定するというようなこと、その他必要な管制上からのアドバイスのシステムができるように研究していきたいというふうに考えております。
  75. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣、今の質疑の中で大臣ももうよく御存じと思いますけれども、いずれにしましてもこの問題は、日本の現在の大都市圏の上空におきましては非常に重要な問題だと思うんですが、大臣としての御所見を伺いたいと思います。
  76. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) まことに重大な御指摘だと思います。運輸行政の一番大事なのは安全でございます。事が起こってから騒いでも、これは後の祭りというわけでございます。こういった意味で、安全確保のためには幾らやかましくしてもやかまし過ぎるということはないんじゃないかとさえ実は思っておるわけでございまして、今いろいろ質疑応答がございましたが、私ども、厳しくこめ問題に対応していくという考え方で臨みたいと存じておる次第でございます。
  77. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、先ほども瀬谷委員の方から質疑があっておりましたが、足尾線の問題について少し伺いたいと思います。  足尾線の問題でございますが、瀬谷理事も言われておりましたように、足尾線の一番のネックはどこにあるかといえば、これは栃木県と群馬県にまたがっているということが、まず一つの大きなネックになっておると思います。今から先協議会ができるとしても、二つの県を、意見をまとめ上げていくということは、これは非常に現地としては厳しい問題があるのではなかろうかと思います。  それと同時に、一番ここでやっぱり大きな問題として取り上げられているのは、この足尾線が廃止になった場合には今までの足尾鉱業所が撤退をするということを、先日の視察のときにもはっきりと言明をしておりました。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 もう永続ができない、こういうふうに言明をしておりました。そうなった場合に、足尾町が今後という経路をたどっていくか。この問題が非常に大きな問題に、社会問題になりあるいは政治問題に浮き上がってくるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで私がお尋ねしたい問題は、まずこの足尾鉱業所、これは先ほどの論議にもございましたように、言うならば先端技術をつくっていると言っても決して過言ではないわけでございまして、それと同時に濃硫酸を運んでいるという、重大な危険物でございますので、これが鉄道以外では不可能だという結論が出ておるわけでございます。パイプラインを敷くことも考えたけれども、これもだめだと。そうすると、トラック輸送ということになれば、現在の道路事情ではだめだ。あるいは濃硫酸を引き受ける方も、トラックのタンクローリーでは困ると、拒否をされている。こういうことになれば、おのずから出てくる問題は、結論としては、この足尾線が廃止になればいわゆる撤退をするということにつながっていくわけでございます。  撤退をすれば足尾町はどうなるかといえば、やはり従業員と家族を合わせると三分の一の人口を占めているわけでございまして、これに頼って生活をしあるいは町が運営されていると言っても決して過言ではございませんので、急速な人口減を来すことは事実であります。足尾銅山がなくなったから三分の一の人口が減るということでおさまらないわけでございまして、それに付随していろいろな生活をしている住民の方々が足尾からいなくなっていくということは当然のことだろうと思います。そういうふうに考えますと、足尾線存続問題、それからこういうふうな優秀な技術を持っている足尾鉱業所をここで撤退させるかどうかという問題、こういうところにつながってくると思うわけでございますが、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。
  78. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 大変恐縮でございますが、先ほどの御質問の関連で今この委員会にちょっと御報告させていただきたいのですが、きょう一時に明石で、新聞社の取材中のヘリコプターが二機衝突をいたしまして、墜落をいたしました。死者二名、重傷四名という報告を受けております。一機は毎日新聞の社機でございますし、一機は朝日放送のチャーターした飛行機で、市内の銀行に事件があって、その取材中だったというふうに報告されております。  小型機の安全については、特にまた今後とも注意してまいりたいと思います。
  79. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 足尾線の問題につきましては、先生指摘のとおり、あそこは古河鉱業の由緒ある鉱業所でございまして、現在は銅鉱石を輸入いたしまして、それを列車で運搬をいたしまして、製錬をいたしまして、その副産物として出る硫酸もまた鉄道で運んでおる、こういう状況でございます。  ただ、先ほどの瀬谷先生の御質問にもお答え申し上げましたように、私ども再建法の規定に基づきます政令によりまして、旅客では乗車密度二千人以上、それから貨物では四千トン以上という線を対象に、これを鉄道から他の交通機関に転換していく、こういうことで法律の規定に従いまして転換の措置を講じておるわけでございまして、足尾線もそういう意味では基準に該当する線でございますので、これらにつきましてはぜひ何らかの形で他の輸送に転換をしていただきたい。先ほどいろいろ硫酸等の輸送についてのお話がございましたが、私どもといたしましては、まず第一次的にはトラック、道路輸送に転換をしていただきたい。技術的にも、いろいろの措置を講じました場合には、硫酸、銅鉱石等の輸送は一応可能であるというふうに考えております。  ただ、地元としてどうしても鉄道輸送、会社を中心として鉄道輸送によりたい、こういう御希望でございました場合には、地元等がないしは古河鉱業等が中心になって、何らかの形での鉄道輸送会社をおつくりいただきまして鉄道として存続されるという場合には、それなりの、法律の規定に従いまして、助成その他の措置を講ずる、こういうことになっております。  似たような例といたしまして神岡線というのがございまして、また同じ岐阜県に樽見線というのがございまして、これらも大体今先生のお話しの足尾線と似たような事情にございますが、これは一次線でございますけれども地元で二年間をかけていろいろ御協議をいただきました結果、これらの線につきましては第三セクターとして鉄道会社を設立して、そしてそういう鉱石ないしは濃硫酸というようなものを輸送し、それを国鉄線につなぐ、こういうことで第三セクターに転換するということで話がつきまして、ことしの十月一日から新しい会社で輸送をされるということで話ができておるわけでございます。  足尾につきましても、道路輸送、または今申し上げましたような第三セクター等、多面的な面について協議会において地元で十分御協議をいただいて、何らかの形で国鉄線からの転換をお願いしたい、こういうことで進めてまいりたい、かように存じております。  なお、二つの県にまたがるという点につきましては、確かに御指摘のようななかなか難しい問題がございますけれども、先ほど申し上げました神岡線も岐阜県と富山県にまたがっておりますし、そのほか九州の甘木線とか、いろいろ二県にまたがっております線につきましても既に大体転換の方向等が合意されておる例もございますので、そういう意味で、群馬栃木両県にも十分お願いをいたしまして協議会での御検討を進めていただきたい、かように存じております。
  80. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の御答弁の趣旨あるいは筋というものは、私もよくわかるんです。特別ないわゆる線区をつくってはならないという配慮もあるんだろうと思います。実際に地方ローカル線の問題を論ずるとするならば、私は福岡県出身ですから、福岡の各路線をばっばっばっばっと出していろいろな論議をしてもいいんですけれども、それ以上にこの足尾視察した中で、これは重大な問題だなあというふうな認識に立ったから、私は地元の問題を出さないで、あえてこの問題を出しているわけです。  先ほども申し上げましたように、トラック輸送というものは、これはほとんど不可能だというふうに私は認定して差し支えないんではなかろうか、こういうふうに思うんです。相手側の濃硫酸をいわゆる受ける方も、これはそういうふうなトラック輸送、タンクローリーでは引き受けない、こういうふうに言われておるわけでございますし、あるいは現在の道路事情を私たちも見てまいったわけでございますけれども、その道路事情考えても、十トンの積載のタンクローリーで四十台、その他のものにあっては十トンの積載ダンプ等でも六十五台、あわせて百五台、こういうような状況にもなりますし、先ほど申し上げましたように、パイプを敷くということについても、これは不可能である、これは認可がおりないであろう、こういうような事情もあるわけでございます。  いずれにしましても、いわゆる足尾町というのは、この足尾鉱業所がなくなればこれは完全にもう消滅してしまうというようなところでもございますし、あるいは昨日の新聞に出ていたそうでございますけれども、何か東南アジアの難民を受け入れるという努力もしているということが新聞に出ておりました。町長が同意をした。こういう努力もどんどん続けているわけでございます。  それと同時に、あの周辺の市町村を見てみますと、果たして第三セクターにした場合に各町村に負担するだけの能力があるだろうかという問題もございますし、あるいはまた、先日の視察のときには、鉱業所としては第三セクターというような形になれば撤退せざるを得ないニュアンスの答弁がもう既になされているわけでございまして、そういうことをいろいろと考えますと、ただ単に法律にこういうふうになっているからということではなくて、ここをもう一歩進めた上で、過疎対策という立場から見ましても、あるいはまた、今後こうやった優秀な企業を残すという意味合いにおきましても、これは政治的ないわゆる配慮というものもあえて必要なところではなかろうかというような、こういう感覚を持ったわけでございますが、この点について大臣はどのようにお考えになられますか。
  81. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ローカル線の問題は、国鉄経営の再建という見地から起こっておる問題でございます。したがって、どの線につきましてもいわゆる公共性という見地からは反対が強い。この証拠には、各県知事の意見というものがまず出てまいりますが、賛成ということを初めから言ってきた知事は一つもないわけでございます。しかし問題は、ただいまいろいろ御指摘がございましたように、足尾線の場合の公共性というものは、自動車にした場合の、硫酸を自動車で運ぶことによる公共性に対するマイナス、つまり危険性とかあるいはいろんな点、それから足尾という町がこの工場によって成り立っておると言っては失礼ですけれども、非常に大きなウエートを占めておるという点、こういう点から、他の地域よりもその公共性というものがより強いのではないか、もっと強く考えなければいかぬのじゃないか、こういうことではなかろうかと私は思っております。線路別に差別を加えて公共性の強さがどうこう言っては本当は相済まないわけでございますけれども、まあ御質問にもございますので、私は、特にそういう点が強いということについては否定できない事柄である、かように考えております。したがいまして、今後、審議会の席上におきましてそういう点が十分に検討されなければならない。政治は生きておるものでございます。でございますから、この相矛盾する国鉄の経済性、経営の合理化というものと公共性との調和をどこで結んでいくか、どこで調和点を見出していくかということについて十分な御審議をいただいてこれは対処していかなければならない問題である、かように存じておる次第でございます。
  82. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、この問題をもう少しいろいろと議論したいんですが、時間も十分しかございませんので次の問題に移りますが、しゃくし定規にこの問題を考えるんではなくて、そういうふうな特別な公共性という立場から見た場合には、私は、ここは非常に強い公共性を持っておる、こういうように思うわけでございまして、どうかその点を十二分に運輸省としても考慮をしながら、あるいは国鉄としても考慮をしながら、地元の人との話し合いを、これは積極的に話し合いを進めていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから次は、東京駅の八重洲の北口の遊休地を有効利用する計画国鉄自身が進められているという新聞記事が出ておりました。その計画の概要及び見通しについて、まず伺っておきたいと思います。
  83. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) この計画の対象地でございますが、これは、昭和三十五年までは東京鉄道管理局庁舎として使用していたところでございます。東海道新幹線の線路、ホーム、それからCTC等の建設のため建物約六〇%を撤去したその残りの部分でございます。現在は、現業機関庁舎として、また路線バス、団体バスの発着所、東名バスの駐車場として、さらに東京駅の広報施設として使用をしております。  この対象地の整備につきましては、東海道新幹線建設に着手した昭和三十五年以前から、東京都との間において密接な協議を続けてきたものでございます。これは、東海道新幹線を東京駅の八重洲口側に位置させることになりましたために、駅と都市との関係、なかんずく旅客の流動のバランスが丸ノ内側から八重洲口側の方に重心が移ってまいりますので、現有の八重洲駅前広場のあり方、その整備等について検討が生じたことが一つございます。それから東京駅の旅客ホームでございますが、これは国電の場合には二百二十メートルの長さを持っておりますが、新幹線はその約二倍ございまして、その延びた部分が専ら東京駅の北方向、すなわち八重洲北口方向に延びておるわけでございます。そのようなことから、北口での旅客扱い施設の整備の問題が生じておりました。この二十年間にわたります協議の結果、まず八重洲北口北部地区、すなわち永代通り側に約五千平方メートルの広場機能を確保すること、それから、八重洲口と丸ノ内口とを結ぶ自由通路を整備すること、それから、日本橋方向への旅客流動を十分に考慮して八重洲北部駅舎を整備すること等で、おおむねの合意が得られて、今日に至っているわけでございます。  そのようなことから、この八重洲北口駅舎につきましては、一階部分はこれはコンコースとして旅客の利便のための施設を整備いたしますが、その上層部分につきましては、有効活用を図るということで、関連事業ビルの開発を計画しているものでございます。  なお、国鉄といたしましては、またこれは事務段階のものがたまたま新聞報道に抜けておりますので、まだ意思を固めているわけではございませんけれども、早急に詰めてまいりたいというふうに考えているものでございます。
  84. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題については、この新聞紙上では、「監理委員会筋から」ということで記事になっているわけでございますが、「赤字穴埋めには売却の方が即効性があるし、開発するにしても民間ベースでやらせたい」「経営形態をめぐる監理委員会の答申を一年後に控えている時に、急ぐことはない」、こういうふうな事柄が記事になっているわけでございますが、監理委員会としてはどういうふうにお考えでございますか。
  85. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 新聞記事に確かにそのような記述がございましたけれども、監理委員会として八重洲の土地について具体的に見解を表明したということはございません。  それから、監理委員会は基本的にはその所掌事務としまして個々具体的な事案についていいとか悪いとか言う立場にはございませんので、そういうことはやはりこれは政府及び国鉄において最終的に御判断をいただくことだろう、こう考えております。  ただ、一般論として申し上げますと、こういう貴重な土地というものの取り扱いでございますけれども、やはり効率的な経営形態というものを確立した暁におきまして、新しい経営主体が鉄道事業とあわせて関連事業をどのように展開していくかという、その新しい事業体の新しい制約のない状態での経営戦略というものと密接にかかわっていると思いますし、それから一方におきましてまた、膨大な長期債務というものを抱えておりまして、これを何とか処理しなくちゃならない、その場合にこの土地との関係を一体どう考えたらいいかという問題もございますし、やはりその辺の基本的な将来の方向というものを十分見きわめた上で考えていくというような、いわば慎重な態度で臨むということも必要じゃなかろうか。こういう苦しい時期でございますから、少しでも関連事業を展開して一銭でも余計稼ぐということも重要なことだと思いますが、一方におきまして、今申し上げたようなそういう将来を展望した経営戦略というものとの関係考えていくということも必要じゃなかろうかということで、私ども監理委員会としては、できるだけひとつ慎重に御検討いただきたい、このような感じを持っておるということでございます。
  86. 桑名義治

    ○桑名義治君 私がこの問題を持ち上げたらば恐らくそういう答弁が来るのではないかという予想はしておりました。しかしながら、ここではっきりしておかなきゃならない問題は、今の御答弁の中にもございましたけれども、こういう一つのビルならビルという形での再開発をした場合には、経営形態をどうするかという問題が一つあると思いますね、今の御答弁の中にありましたように。実際にそういう遊休地については、即座に売却して今の穴埋めにすることがベターなのか、それともそこを有効に利用して今後の問題としてこれを取り扱っていくことがベターなのか、その二つの方法があると思うんですけれども、どちらの方向を優先させようというふうにお考えになっているのか、そこら辺が少し私は知りたかったわけです。  すぐに売って穴埋めをすること、そういう方向で遊休地を取り扱うのか、多少時間的にかかって費用がかかるとしても、一つの企業体をそこにつくり上げて、そこからの永久収益という形でこれを利用していくことがベターなのか、もう大きく分けるとこの二つの方向性しかないと思うんですよ。どちらは選択なさろうとしているのか、監理委員会としては。その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  87. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 具体的に、今問題になっております八重洲の土地がどちらに入るかということは、ちょっとこれはなかなか難しゅうございますけれども、一般的に申し上げますと、いわゆる非事業用地でございますね、これについてはやはり両面があろうかと思います。非事業用地の中でも、駅に非常にくっついていまして、そこをその関連事業に使うことによって非常に鉄道事業に大きな利益がもたらされる、そういう場所もございましょう。そういう場所については、やはり将来にわたって大いに活用をして、収益を上げていくべきだろう、こう思います。それから一方におきまして、飛び地のようなところで、関連事業というよりはむしろ、その周辺の状況等から見て、これは処分をして債務の穴埋めに充てた方がいいという土地もあろうかと思います。そういうふうに、具体的にどこでどう線を引くかというのは非常に難しゅうございますけれども、やはり用地の状況、性質によりまして両面があろうかと思いますので、その辺の仕分けをやはりやっていく必要があるんだろう、このように考えております。
  88. 桑名義治

    ○桑名義治君 一概に、こういう方向ということは言えないかもしれません。しかし、方向性というものはやっぱり立てておくべきだろう。そういう基本的な方向の上に立って仕分けをしていく、いわゆる即、穴を埋めるために売るか、あるいはそこに何かの企業体をつくってそこから永久に利益を生み出していく方向でいくか、この基本線にのっとって仕分けをしていく、どっちをとっていくかということが私は今から先の一番の問題点になろうと、こう思うわけでございますが、この問題について大臣はどういうふうにお考えになりますか。  時間がございませんので、これで終わりたいと思います。
  89. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今の林次長のお答えと同じようなことなんですが、一番ここで今慎重にと言って林次長が申しておられるのは、経営形態をどうやっていくか、それから長期債務をどうするかということがもうしばらくたつと決まるということが一つあるわけなんでございます。これが決もう決まってしまっておれば、その観点から、一体どっちに振り向けるんだということがもっとはっきり言えると思うのでございます。この長期債務問題、これと経営形態とはまた密接に絡んでいる問題でございます。そこで、その基本的な問題の決まり方によりまして若干これは変わってまいる。そこで慎重にという言葉が出ておると思うのでございます。それでも決めなきゃいけなければ、一件一件を、どのようになったらどうというふうに細かく分析して態度を決めていかなければならぬ問題で、これはむしろ私どもが、認可事項でございますから、行政事項で運輸大臣として態度を決めなきゃならぬ問題でございますが、そこらでその仕分けの問題が今林次長がお答えしたようなことになっておると思います。  ですから、大きく分けますれば、これはもう売って金にかえて借金を多少でも返すとか利息、利払いにした方がいいと。それから、これを活用して長い目で見て国鉄経営をよくしていく、あるいは新しい経営形態でも結構ですが、よくしていく、そして雇用対策にもこれを使うと。こういうことになるわけでございまして、その両者の仕分けは、ですから抽象的には言い得ると思いますが、今具体的な問題になってくると、そういう最初に申し上げたようなことが絡んでまいる、そういうことでございまして、この問題に対しましては、非常に重要な問題でございますので、御指摘の点を一体どう考えていくか。いずれにしましても、いつまでもほうっておける問題ではございません。決めないからのんべんだらりとだらだらしていっていいという問題ではございません。今の時点では、林次長がお答えしたようなことと同じことを私もお答えをいたすわけでございます。
  90. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  91. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 函館ドックの問題について伺いたいと思います。  造船の受注状態を見ますと、五十八年度はばら積み船の大量発注で、石油ショック以来十年ぶりの大量の発注、一千万トンを超えております。しかし、そういう中にあって、函館ドックが大変な経営危機に陥っているというのが現実の問題でございます。  函館ドックは、五十三年、五十四年にかけて、御承知のように大合理化を行ってまいりました。五十二年には三千三百人もいたという労働者が、現在は、半数の千六百七十五人に大幅に削減されております。船台も、三十万トンタンカーがつくれるという、そこのところも買い上げられました。で、函館の現在四千九百トンと室蘭一万八千五百トンの船台というように、人数も施設も非常に大幅に縮小されています。こういうふうに大合理化を行い、経営の面で見ますと、まあとんとんでやってきたと。ところが今回、会社はにわかに、経営危機だという名のもとに、また人員を七百九十名削減したい、一つは。そして二つ目には、来島グループによる新会社をつくるという構想を提案してきました。御承知のとおりだと思います。しかし、労働組合や函館市など関係者は、全く寝耳に水だったと非常にびっくりもし、その内容が驚くべきものであるということで、これはちょっと大事な問題になってまいりましたので、具体的に伺っていきたいと思うんです。  会社がなぜこういうような提案をしてきたかというと、五十八年に赤字になった、累積赤字も五百六十三億になったということが原因になっているわけです。そして、時間の関係もございますので数字でお答えをいただきたいんですけれども、まず五十四年の大合理化をいたしました。そしてその次の五十五年、五十六年、五十七年の経営利益額とそれから累積欠損はどうなっているでしょうか。
  92. 神津信男

    政府委員(神津信男君) お答え申し上げます。  五十四年度からの経常利益を申し上げますと寸五十四年度は十九億円の赤字でございました。五十五年度はプラス二億円、五十六年度プラス七億円、五十七年度プラス三億円でございます。それから繰越欠損額は五十四年度五百六十七億円でございましたが、五十五年度五百六十六億円、五十六年度五百六十一億円、五十七年度五百五十八億円となっております。ただし、五十八年度は再び採算が悪化しておりまして、経常利益はマイナス五億円、繰越欠損五百六十三億円ということになっております。
  93. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今お答えいただきましたとおりなんです。五十四年マイナス十九億とおっしゃったけれどもこれは合理化の前ですから、合理化してからはプラス二億円、七億円、三億円というふうに、合理化されてから合計いたしますと十二億の黒字が出ております。また、累積欠損も今数字をおっしゃったとおりなんで、累積欠損も、決して多いとは言えないけれども八億円減少させているわけですね。少なくとも、大きくはないけれども、黒字十二億を出してきた、欠損も八億円少なくしたということは、決してこれは悪化したんではなくて、上向きになってきているというふうに、数字の上からはっきり見れるのではないだろうか。  そこで、五十九年三月期、五十八年度に四億七千八百万円の赤字が出たと、こういうことなんです。で、さあ大変だ、七百九十人首切れということになるわけなんですね。だから、そこのところがちょっとおかしい。もうちょっとこれを分析していかなければならないと思うんです。五十四年の合理化のときには十九億のマイナスになっていたけれども、その後労働者が人員も減らされた、そして非常に協力しているんですね。労働時間を四十五分延長した、それからベースアップはない、一時金も下げた、そして一生懸命に協力してそして少したけれども利益も上げ、欠損額も減らしてきたと。そしてここへ来て、これではもうやっていけない、一歩も引けない、でなければ死を待つばかりだとか、いろいろとおどかしみたいな宣伝がなされているのを私は、おととい帰ってきたんですけれども、見てきました。  そこで、経営内容について具体的に伺っていきます。  五十四年度に債務の棚上げは幾らで、五十九年三月期では幾らになっているでしょうか。一つは債務の棚上げ、五十四年と五十九年三月期。  それから次は、五十四年に三十万トン船台を買い上げてもらいましたね。それは幾らで買い上げてもらったか、その二つ、また数字をお願いします。
  94. 神津信男

    政府委員(神津信男君) 棚上げ債務は、五十四年の二月に五百九十六億円でございましたのが五十八年度末で五百七十九億円になっております。  それから、設備の買い上げ額は百五十億三千七百万円でございます。
  95. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、初めのは五百九十何億円。
  96. 神津信男

    政府委員(神津信男君) 五百九十六億円が五十四年二月でございまして、五十八年度末が五百七十九億円でございます。
  97. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今、買い上げてもらったのが百五十億三千七百万円で買い上げてもらったんですけれども、この百五十億三千七百万円という大きな額がどういうふうに使われたかということですね。これは決算報告書を見ればわかるわけなんですけれども、この決算報告書をずっと調べていきますと、この売却代百五十億というのはほとんど借金返済に充てられているという形が出てくるわけなんです。例えば決算書を見ますと、長期借入金の返済額が幾らか、これを見ますと百三十六億なんですね。だから、百五十億で買ってもらった、そしてその百五十億の大部分百三十六億というのが長期借入金というものに充てられたと言うに大体等しいような返済というふうに、数字を見てもいいと思うんですね。  そしてその返済の中を見ますと、富士銀行に幾ら返済されたかというのを調べてみましたら、富士銀行に十三億三千万円返済されている、こういうわけなんですね。  それから、今おっしゃいました債務の棚上げの額ですけれども、ちょっと私の方の調べは、六百四十億が六百三億というので三十七億の差というものが出たんです、私の方の数字では。これはちょっと考えてみてください。おたくの方でおっしゃっただけでも、五百九十六億が五百七十九億ということになりますと、結構棚上げも減らしている、こういうことになりますよね。そうすると、ここで童言いたいことは、悪化ではなくて、返済にどんどん使っている、棚上げも減っているということがこの数字できちっと出てくると思うんですね。  それで次に、五十八年度を今度は調べてみたいと思うんです。  五十八年度の赤字決算、四億何ぼの赤字決算になったからということで首切り、合理化が出ているんだけれども、この赤字と五十八年度の長期借入金残高というのを調べてみたんです。その長期借入金残高も五十七年、前年度よりも三十七億四千四百万円減っているんですわ。だから、これも前年度よりも長期債務は減っている。一つ問題がありますね。それから経営が大変苦しいと。苦しい中なんだけれども、その苦しい中からメーンバンクの富士銀行、これがもっと協力してやるべきだと思うんだけれども、その富士銀行にもきちっと八億三千三百万円、五十八年度で返済しているわけですよね。だから、五十八年度は赤字だ、大変だ、首切りだ、合理化だとやんやん言ってきているけれども、長期借入金も返済しているではないか、三十七億五千万近く返済しているじゃないか。そして富士銀行は、メーンバンクなんだから経営が大変ならうんと協力すべきなのに、ちゃんと――ちゃっかりというのかな、八億三千三百万というのを取っているではないか。もしも富士銀行が本当にメーンバンクとしての責任を持って猶予とかを考えたら、八億三千万円返済を取らないで、これは半分でいいですよと言えば、四億何ぼの赤字が出ないで済むわけですわ。そういうことでしょう。  それからもう一つ私はけしからぬと思うのは、内部留保というところをずっと調べてみたんです。そうすると、先ほど申し上げましたように五十四年に大合理化をいたしましたよね。設備も減った、人間も減っちゃったと。それなのに、内部留保の一部である引当金、退職金引当金だとかいろんな引当金を見ますと、五十四年度は三十八億六千万円だったのが五十八年度は四十四億六千万円というふうに、人数も設備も減らして合理化しているのに、ここで六億円も内部留保というのはふえているということなんですね。だから、ここはもう本当に問題だと思うんですね、こういう点は。これは十分な時間がなかったので、一応ちょっと気がついたところを申し上げたんですけれども、こんなに利益も上げている、返済もいたしました、内部留保は積み増しました、それで大危機というのはどうもわからないですね。  大臣、こういう数字をごらんになって、お聞きになって、どういうふうに思われますでしょうか。担当でも、簡単に。時間の関係がございますから。
  98. 神津信男

    政府委員(神津信男君) 先ほどちょっと棚上げ債務に違いがあるというお話がございまして、私の説明で、これは特定不況産業信用基金の保証による借入金が、先ほど申し上げました棚上げ債務のほかに五十四年二月で三十億、五十八年度末で二十四億ございますので、それを足しますと六百二十六億、五十八年度末が六百三億という数字になりますので、ちょっと御訂正を申し上げます。  それから、私どもが聞いておりますところでは、売却代金の使途につきましては、退職金充当が十七億、それから設備の移設に十億、運転資金に八十九億、それから棚上げ債務の内入れに三十四億、合計百五十億がその使途であるというように聞いております。  それから、先生今細かい数字、内部留保がふえているとかいろいろ御説明がございまして、私ちょっときょうその実態は調べておりませんが、実は五十五年度、六年度、七年度、一応の黒字を出して経営は向上したという御指摘がございまして、まさにそのとおりではございますが、造船はちょうどその時期に、オイルショックの後、一時市況は持ち直しをいたしまして、ほかの造船所もかなりオイルショック後の経営危機に陥っていたわけでございますが、いずれもこの時期の経営で累積の債務を全部解消いたしまして、大体健全経営といいますか正常の経営に戻った中で、函館ドックは、減ったとはいえ多額の累積債務が残っておるということ、それから五十七年度の後半から一応の発注量は先ほど最初に先生お話しございましたようにふえてまいりましたが、船価が非常に低落をいたしまして、低船価受注ということで造船企業の経営が全体にまたそこからどんどん悪くなってきておるということで、函館ドックも五十八年度五億円、それからさらに五十九年度以降赤字が大きくなって累積もふえてくるという見通しから、関係者は非常に経営の危機感を強めておるというのが状況だと私ども考えております。
  99. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間がなくなったので、またその問題は後にします。  次に進みたいと思うんですけれども、確かに決していい業績ではないです、非常に経営が苦しいわけですけれども、それじゃなぜ五十八年度大変だと、見通しが暗いとかなんとか言い出したかといったら、これ調べてみたら五十七年には七隻、五十六年には七隻、五十五年には六隻注文をとっているわけですよ、受注ね。それなのに五十八年には一隻しか注文をとっていないんです。前の年の七分の一、一隻しか注文をとっていなければ、それは大変になるのは当たり前だと思うんです。しかも五十八年といったら、三光汽船で百二十三隻発注したわけでしょう。そんなにたくさん発注されているのに、函館ドックは前の年七隻注文を受けているのに五十八年は一隻しか注文をとってない。もう仕事がないよということはこれはどういうことなんだと、ここに一つの問題があると思うんです。時間がないからひとつまとめて聞きますから、その問題をどう考えるか、なぜもっと仕事をとろうとしなかったのかという点について、大臣も含めて御見解を伺いたいんです。  それから、今船価が高いとこうおっしゃいました。確かに函館は船価が高いと言われるけれども、「我が国造船業の現状と展望」、おたくの方の海上技術安全局からもらった資料を見ましたら、一番船価が高いのが五十六年ですよ。この船価が高い五十六年に七隻とっているんですよ。それから船価が五十七年に下がっているんです。下がっていて、五十八年も下がってきている。それなのに一隻しかとらないということは、船価だけの問題じゃない。船価が高いときにもちゃんととっているではないかということですよね。  それから函館の場合には、今度来島どっくが入ろうとかいろいろな問題が来るわけですけれども、結局船価が高いということでどんどんどんどん下げるということになって、今造船界でも問題になっています。やっぱり来島グループが非常に船価を安く下げてしまう、するとほかの大手なんかと矛盾が出てきます。こういう船価を際限なく下げていくということについて、運輸省としてはどのような考え方で、どのように指導していらっしゃるかという問題を聞きたいわけです。  それから、今まで函館ドックは四千九百トンしかつくれない、船台を売られちゃったから、大きいのを。だから三つ割りにしてつくって、室蘭へ持っていって、そして大きくしてまた函館へ戻って、そして外装をやったりなんかして仕上げるということです。だから、函館三つ割りにして室蘭へ持っていって一つにして、また函館へ戻ってというので、一隻について調べてみたら一億円コストが上がっているんです。だから、今まで二十七隻つくったから、二十七億というのはむだなことをやっている。だから、ここでこの函館の問題を解決するためには、八万トンの船台があります。これは特定船舶製造業安定事業協会法によって売ったのではないわけだ。そして、この安定基本計画で今使えなくなっているけれども、これも五十八年六月三十日という日付があるわけです、それまではだめだよと言っているけれども。そうすると、この八万トンドックを使えるように、船台を使えるようにすれば、函館としては非常に業績を上げることもできる。生かす道を具体的に考えてもらいたい。八万トン船台を使えるようにしていただけるかどうかということです。  それから最後に聞きたいことは、例えば富士銀行、芙蓉グループです。芙蓉グループが責任を私は持たなければならない。だから、運輸省として、芙蓉グループ富士銀行に対してどのような強力指導をしていらっしゃるかということと、それから八月ごろに合理化が一方的に強行されるというので、今函館は大変な騒ぎになっております。労働組合と事前協議も無視してそういうことが行われれば大変だ、問題だ。函館市や関係者とも十分合意がなされないまま強行することはおかしい、だから労働組合を無視してやるということ、そういうことはしないように指導を強めるべきであるというのが私の考え方であり、それについてのどういうふうな見解を持って対処されようとしているかということをお答えいただきたいと思います。
  100. 神津信男

    政府委員(神津信男君) お答え申し上げます。  まず、なぜ五十八年度に函館ドックは一隻しか受注ができなかったかという点でございますが、先生指摘のように、船価のまず問題があると思うのでございますけれども、これは五十六年ピークで、それからどんどん船価が安くなってきております。それで、これはいわゆるここで言っております船価というのは売り値、プライスでございまして、それとはまた別個にいわゆる製造にかかるコスト、製造原価がございます。それで、製造原価が低いところは船価が低くなってもそれに対応してどんどん受注ができますが、製造原価の高いところはなかなか船価が安くなると受注しにくくなる、みすみす赤字が出ることがわかってまいりますので。非常に船価が下がるとむしろ受注がしにくくなるという現象がございます。そういう原因が船価との関係ではあるかと思います。  それが一つと、昨年の春闘におきまして労働時間の延長などを含む労働条件の変更と賃上げをめぐりまして労使紛争が発生をいたしまして、去年のちょうど十二月までのほぼ一年間会社がそういう状態であったために、なかなか受注をするチャンスに恵まれなかったということもあるのではないか、その結果が一隻受注にとどまってしまったのではないかというふうに私ども考えております。  それから船価指導の点でございますが、おっしゃいますように船価が非常に下がっておりまして、五十六年度に比べまして五十八年度は約三割近く船価が下がっております。このままこのような低船価が続きますと、造船業のみならず、関連工業とか、いわゆる関連の地域経済にも非常に大きな影響を及ぼしてくるということ、それから、西欧造船諸国からも非常に日本の低船価受注というものに対する非難が高まっておるというふうなことを踏まえまして、ことしの六月から船舶の建造許可に関しまして船価指導を強化いたしまして、適正船価の受注を行うような方向での指導を強化しておるところでございます。  それから、三番目にお話しのございました函館ドックの工事の進め方でございますが、これは特定船舶製造業安定事業協会が函館ドックの設備を買い上げましたときに、特安業法によりまして、いわゆるそこでは特定船舶製造業を行わないということを条件にして大型の造船設備を買い上げたわけでございまして、特定船舶製造業というのは五千総トン以上の船舶でございます。したがいまして、函館ドックの函館工場ではその船をつくれないということで四千九百六十総トンにし、室蘭で組み立てはするということになったわけでございますが、昨年の六月で一応基本計画が切れましたので、ことし函館で一万八千総トンの船をつくれるように設備の振りかえをいたしましたので、今までは函館の設備を買い上げるための条件でもございましたのでやむを得なかったと思いますが、今後はその点の合理化は進むというふうに考えております。  それから、八万トン重量トンの能力を返せないかという点につきましては、これも設備を買い上げましたときの条件でその設備も小さくするという条件でございまして、現在もその設備を買い上げました借入金を返却するために残存の事業者から一定の納付金を取りまして、今は借入金の返済に充てている段階でございまして、基本計画が切れたからいいじゃないかというお話もございましたが、特定不況産業安定臨時措置法に基づきます措置が依然として続いておると私どもは解釈をしておりますので、これを八万トンに戻すことは非常に難しい問題があるというふうに考えております。  それから、芙蓉グループへの指導の点でございますが、函館ドックの再建に当たりまして、特に大口の債権者である富士銀行の果たす役割というのは非常に大きいということを承知しておりますので、富士銀行に対しましては函館経営が危なくならぬように十分指導はしておるつもりでおります。  それから、合理化を八月中に強行するという点につきまして、私どもは労使双方に、極力話し合いをして双方よく納得の上でやるような指導はしております。ただし、この問題は経営の基本の問題でもございますので、必ずしもいつまでも引き延ばせる問題ではないという事情も、一面ではやむを得ない点もあるのかという考えを持っております。
  101. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 我が国の造船業界が非常に苦しい状態にあるということは、御質問の中にもありましたとおりでございます。その中でも函館ドックが、特に何といいましょうか、ひどい状況になりまして、大合理化計画を進めるということになってまいっておるわけでございます。なぜこうなったかといったような点につきましては、私も専門家でもございませんし、経営をやったこともないものでございますから、いろいろ今局長から話をしたようないろんな事情が重なって今日に至っておると考えておるのでございます。  ただ、申し上げるまでもございませんが、函館ドックは、北海道における、また特に函館における、非常に重要な意味を持った企業でございます。そういった意味から、先般来も北海道知事、それから実は私は一昨日函館市長からも陳情を受けたのでございますが、とにかくこの函館ドックの灯を消してもらったんではこれはもう困る、こういうことなんでございまして、我々運輸省としましては、生産は通産省が一般的に所管しておりますけれども、造船に関する限りは我々運輸省が所管をいたしておる官庁でございますので、事情はどうであれ、やはり責任官庁であると私は認識し覚悟いたしておるわけでございまして、できるだけのことをあらゆる方法を通じてやってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  102. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最初に、船員に関係いたしまして二点ばかり御質問を申し上げておきたいと思います。  一つは、海員の大臣表彰の問題でございまして、これにつきましては海女婦人会あるいは海員組合などが毎年陳情をしてきたわけですが、運輸省として私どもの要望を聞いていただきまして、表彰者も一昨年から百三十名が百五十名になりましたし、あるいはことしからは外国船舶に乗船をしている期間も通算されるということで、その点については大変感謝を申し上げる次第でありますが、さらにもう一歩、この大臣表彰の基準というものを緩和していただけないかということでございます。  その理由といたしましては、船員が大変平均年齢が高くなりまして、さらに退職者が急増をするような情勢にもありますし、もう一つの理由としては、若い船員が非常に今少なくなっておりまして、やはりそういう人たちに励みを与えるという意味におきましても、この大臣表彰の基準をもう少し緩和していただけないだろうか、将来の海運のためにもそういうことが大変重要なときではないか、こういうように思っておりますので、その点についての御見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  103. 武石章

    政府委員(武石章君) お答えいたします。  船員に対する大臣表彰は、多年船舶に乗り組んで、成績操行ともに他の船員の模範である船員に対して行うものでございます。    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕  最近の、海事関係大臣表彰者に占める船員の割合は、約五割に達しておりまして、またここ数年船員の受彰者数も増加しているのでございます。全体的には、船員という職業の意義及び重要性が十分に認識されているものと考えているところでございます。  今先生からの御指摘もございますように、海洋国日本にとりまして船員は極めて重要な職業でございまして、その仕事も海上という特殊なかつ厳しい環境のもとで行わなければならないということは私どもも十分理解しておるところでございますので、今後大臣表彰に該当する船員数の動向などを考慮しながら、今後とも適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  104. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 先ほど私が申し上げましたような理由をもちまして、さらに情勢の変化に対応しつつ御検討いただきたい、こういうように要望をしておきたいと思います。  それから第二点ですけれども、今、陸上の労働者と比較して、海上の船員の失業率とかというものは陸上と比べて一・五倍というようになっておりまして、船員をめぐる環境というものはますます厳しさを加えておるわけでありますが、ところで、五十七年の九十六国会で、船員二法及び船員災害防止協会等に関する法律の改正審議の中で、各種資格等の海陸互換性につきまして運輸省としても関係各省庁と話し合いを進める、そういう御答弁もあったわけでありますが、その後二年がたっているわけですけれども、この問題についての進展状況、そして、これからどのような対策を講じようとしておりますか。その点をお伺いしておきたいと思います。
  105. 武石章

    政府委員(武石章君) 船員の雇用情勢が極めて深刻となっております今日、船員が陸上の職業に転換する機会も多くなり、またその必要性も高まっております。このような状況のもとで、船員の持っている能力が陸上の職業に就業する際に活用されることが極めて有益でございますし、望ましいことでございます。  そこで、陸上の技能資格のうち海抜資格と共通の技能を前提とするもの、いわゆる互換性があると考えられるものについて、運輸省においていろいろと検討してきたところでございます。五十七年の附帯決議をいただきました国会以後も、広範な範囲におきましていろいろと検討してみたところでございますが、当面、労働安全衛生法による技能資格十一種類というものが客観的にもそのような基盤があるというふうに考えられましたので、これを所掌いたします労働省に対して協議を行っているところでございます。互換性の有無につきましては、陸上資格と関係する海技資格とを具体的に対比させて検討する必要がございますので、鋭意この作業をさらに進展させてまいりたいと思っているところでございます。  なお、海技大学校におきましては、ボイラーとかあるいはクレーンの運転手、クレーンの操作とか、そういうような関係の作業につきまして、労働基準局長の指定を受けまして技能講習をやっております。そういうところで、現実にも当省の行政機関の中でそのような訓練教育も行っているところでございます。
  106. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 やっぱり、エンジン操作にしてもクレーンの操作にしても、あるいはボイラーの運転にしましても、船の中という限られた、むしろ環境の厳しい中でそういうことを船上の労働者はやっているわけですね。その持っている技能が陸に揚がったら全然用をなさぬ、こういうことでは困るわけでありまして、その点についてはまさに、今十一種類と言われておりますけれども、さらにこの辺の検討を急いでいただきたい、こういうふうに思うわけですね。非常に陸への転換者が多くなる趨勢にあるわけですから、その辺のところを考慮をしながら積極的に進めていただきたい。  そこで、関連して労働省にお伺いをするわけですが、本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法、これは昭和五十六年十一月六日から施行をされているわけですが、この第十九条において、その船員が持っている能力に適合する職業につくことを容易にしてそれを促進するために職業転換給付金が支給されている、こういうことですけれども、この職業転換給付金が支給されているという制度を、制度というかこの規定を、さらに実効あらしめるためにも、今言いましたいわゆる海陸互換性、これについてはさらに積極的に労働省としても取り組んでいただきたいし、むしろ、海陸互換性を今後早急に制度化をする、こういう必要があるのではないか、こういうように考えておりますけれども、労働省といたしまして、この点についてどのような考えを持って取り組んできたのか、今後どのように取り組もうとしておるのか、この点についての御見解をお伺いしておきます。
  107. 松本邦宏

    説明員(松本邦宏君) 労働省といたしましては、今先生指摘のございましたように、船員の不況に伴った就職問題というのは深刻だというようなお話をお伺いしておりまして、かねがねその海技資格の陸上への乗り入れ問題についても運輸省の方からお申し出がございました。検討を続けてまいりましたが、最近になりまして具体的に、先ほど申されました十一種の資格につきまして、こういう点をこういう形で免除してほしいというお申し出がございまして、現在、私どもの方で事務的にその十一の資格につきまして、労働安全衛生の観点から見て陸上への資格を与えていいかどうかという点についての、詳細の検討を続けておるという段階でございます。
  108. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 検討を続けているだけでは困りますので、むしろ、制度化というものまで含めまして積極的に取り組んでいただきたい、こういうことを要望をしておきたいと思います。  時間が余りありませんので、次に国鉄の問題につきましてお伺いをしていきたいんですが、昨年八月に、国鉄再建監理委員会の第一次緊急提言が行われたわけですが、この中で、関連事業の見直しについて指摘をされているわけですが、その後どのような見直しが行われてきておるのか、この点についてまず最初にお伺いをしておきます。
  109. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 関連事業につきましては、管理の強化を強く言われております。これはやはり、国鉄の関連事業が、国鉄のこの危機的な状態の中で十二分に活躍をして、国鉄に貢献をするということをさらに一層強く国鉄としても管理をしろというような御趣旨だと思います。そういうようなことから、関係会社の管理の強化、特に国鉄出身の役員についての仕事の仕方については、強く管理をしてきておるところでございます。
  110. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 国鉄関連事業としては、国鉄法第六条に基づく出資事業と、それから国鉄法第三条に基づく附帯事業がありますが、具体的にお伺いをいたしますが、それぞれ、これらの事業を営んでいる会社というものは何社存在するのかということが第一点。  それから、この会社の役員構成の問題ですけれども、どのようになっておるのか。特に、出資事業をやっているところの会社の、役員の中に占める国鉄のOBというものは、どのくらいになっておるのか。附帯事業の中で、やはり役員の中に占める国鉄OBというのが一体どのくらいおるのか。具体的におわかりだったら、お話しをいただきたい。
  111. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 国鉄法第三条の直営事業はまだ非常に、どちらかと申しますと、広告収入でございますとかあるいは構内営業の収入を上げるというようなことで、ほかの事業者が事業をしているものから料金を徴するということで、まだ、さしたる直営事業はしておりません。  主たる関連事業といたしましては国鉄法第六条によります出資事業でありまして、現在国鉄が出資をしております会社は、本日現在で百十五社でございます。そのうち一番たくさんございますのが旅客ターミナル施設、いわゆる駅ビル事業でございますが、これが六十七社でございます。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕 それから貨物関係の会社、物品運送関連施設等の会社が十四社、それから臨海鉄道が十三社、その他でございます。  それに勤めております国鉄のOBでございますが、現在、この百十五社のうちで役員数は、非常勤の役員を含めて千六百四十五名でございます。これは一社当たりにいたしますと大体十四名ぐらいが取締役になっておるわけでありますが、この中で常務以上のいわゆる役付役員は三百九名でございます。この三百九名のうち国鉄のOBは百九十六名でございます。
  112. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この関連事業収入ですけれども、私鉄の場合は、これは大手なんですけれども、関連事業からの収入は総収入の三三%を占めていると。国鉄はわずか三%にしかならぬ。私鉄の場合は不動産業による収入もありますから、それを差し引いたといたしましても、この関連事業から受ける国鉄の収入というものは格段に低いわけですね。  これが一体、どのような原因によってそうなっておるのか、これは法的規制による格差なのか、どのように見ておるのか。あるいは、先ほど私OBのことを聞きましたけれども、やっぱりOBが関連事業、出資事業に多く役職を占めている、そういうところに問題があるのか。この辺のところの御見解をお伺いしておきたいと思います。
  113. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 先生指摘のように、大手私鉄十四社の経営概況を見ますと、総収入に占める関連事業の割合は三三%でございます。私どもではまだ八百億台ということで、非常に率から申しますと、その十分の一ぐらいの率にしかならないわけでございます。これはやはり私鉄との歴史の違いがあるわけでございますけれども、私鉄の場合にはやはり直営事業ということで、行いました関連事業の収入すなわち売り上げ自体が収入に上がっているということがございますが、私どもでは出資事業ということでございますので、出資した事業からの配当でありますとか、その事業から上がります構内営業料金でありますとか、あるいは地代でありますとか、そういうものは関連事業収入に上がっておるわけであります。したがいまして、額的には、あるいはその比重的には非常に差があるわけでありますけれども内容的には、私鉄の場合には、そのコストがそのほかにその裏にある。国鉄の場合には、比較的純益に近い格好で上がってきているものであるという差があろうかと思います。  しかしながら、やはり私鉄の場合には、直営事業を行っているということが非常な大きな強みであります。これは、私鉄の中でも不動産関係が非常に大きな比重を占めておりますが、国鉄の場合にも土地の売却を含めると比較的若干私鉄にも追いついていくのではないかと思いますが、しかしながらやはり一般的な事業に非常に制約があることも事実でございます。今後国鉄の大きなヤードなどがあいてまいりますにつきましては、そこである程度の売れるような土地をつくっていくこととか、あるいはその土地に関連をいたしました、あるいは不動産に関連いたしました事業などを行いまして、国鉄経営改善に資してまいりたいというふうに考えております。  なお、OBのことでございますけれども、これは先ほどから御答弁申し上げましたように、関連事業の中で百九十六名が常勤の役員として勤めているわけでございますけれども、これは百十五社でごらんいただきますとわかりますように、一社当たりにいたしますと二人にもならない、一・何人という数字でございます。非常に国鉄の出資会社の場合には経営陣を簡素につくっておりまして、ほとんどの役員が非常勤ということで、しかもこれは民間の方々などに役員になっていただいて、報酬などを余りお出ししないでいろいろと意見を言っていただいておるというようなことがございます。そういう意味では、国鉄のOBが非常に動きが悪いということは、私どもでは、ないというふうに考えております。また、特に会社の場合には、会社の社長あるいは専務というような代表権を持った人たちの意思で会社の帰趨が決まるわけでありますので、特にそういう役付役員の選定に当たりましては、国鉄でも気をつけておるつもりでございます。  先生の御指摘のようなことがあってはいけませんので、今後ともよく注意をしてまいりたいというふうに考えております。
  114. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後一つだけお伺いをしておきますが、最近は国鉄の改札を通りますと、かなり外部委託をしているというように見受けられるわけですが、その人員については後でお伺いをするといたしまして、私はこの外部委託のメリットを全面的に否定するつもりはありません。  しかし、今のやり方を見ておりますと、国鉄の部内に合理化に反対する勢力があるために、それに遠慮して、そして部外委託を簡単に進めているような感じがしてなりません。そういうような形で部外委託というものをやることは、私は国鉄の再建のために必ずしもよくない。一方で余剰人員が二万四千人も出ているわけですから、したがってまずこの余剰人員をどのように活用するか、ぎりぎりのところまでその活用方法を煮詰めて、そしてやむを得ざる部門だけを外部委託していくというようにしていかないとまずいのではないか。内部における勢力に動かされながら、したがって面倒だから外部委託した方が楽だというような姿勢では困る。そういうように思いますので、この点について私は根本的に見直していくべきではないか、こういう主張をしたいわけでありますが、できれば総裁の御見解を伺いまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 太田知行

    説明員(太田知行君) 外部委託についてのお尋ねでございますが、二つに分けて申し上げたいと存じます。  一つは、余剰人員問題が顕在化してきた以後の取り扱いにつきましては、外部委託を拡大する、あるいは外部委託によって合理化を進めるという手法は、ほとんどとらないようにしている次第でございます。それからまた、予定をしておりましたものの実施を繰り延べて、私どもの方の言葉で申しますと暫定グループ、直営人員によるそういうグループをつくりまして直営人員がいる限りは続ける、逐次実施していく、こういう手法をとっているところでございます。これは今後の問題でございます。  しかしながら、余剰人員が発生する以前につきましては、率直に申し上げまして貨物輸送量がこれほど激減するとは予想しておりませんでした。経営改善計画の当初においても貨物は横ばいという想定をしておりましたものですから、これほど大量に余剰人員が発生するという想定のもとに組んでおりませんので、したがいまして外注も、合理化を進める上での有力な手法として進めてまいりました。これ今お話しございましたように、決して外部勢力その他に対するおもんばかりだとか配慮というもとにやったわけではございませんで、それなりに外部の技術力を活用するとか、あるいはまた波動対応に対して直営人員では対処し切れないような弾力的な勤務体制をとるといったようなメリットもいろいろございましたものですから、今申しましたように、合理化を進める上での有力な手法として考えてきたことは事実でございます。  そういうことで実施しましたものにつきましても、見直しの御指摘もいろいろございますけれども、これはこれでまたいろいろ問題を抱えております。それから、国鉄全体、関連を取り巻く業務量そのものが落ち込んでいる状況下におきましては、既に外注に委託している部分も相当減量していかなければいけない。今手元に一例で出改札関係の数字がございますが、五十七年度末には二千五百五十人ぐらい、五十八年度末には二千五百名ぐらい、本年度末の見込みでは二千名に減少せざるを得ないではないかという想定もあるわけでございますので、これについては慎重にやはり継続という視点を持ちながら見直していくことが適切ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  116. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 大綱につきましては、ただいま太田常務から御説明したとおりでございます。外注、業務委託の問題につきましては、昭和五十五年とか六年とかいう時点に、欠員というような問題点がございまして、それに効率化というようなことも考えながら外注をしてきたわけでございますが、先ほど太田常務が御説明しましたとおりに、最近の合理化、効率化が非常に進んだということで、今、外注、業務委託をしながら一方に過員があるというような非常に矛盾した状態が出ております。これらにつきましては我々も、急に今までの外部委託を全部ゼロにするというのもなかなかいろいろな事情がございますので、そのような事情考えながら、今太田常務が説明をいたしましたように、将来の問題といたしましては、そういうものの減少というようなものを考えながら処置を進めてまいりたいというふうに考えておりまして、先生の御指摘のような方向でだんだんと考えてまいりたいと思っております。
  117. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 本日の調査はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  118. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、道路運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴収いたします。細田運輸大臣
  119. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま議題となりました道路運送法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年我が国の自動車の保有台数は著しく増加し、また、輸送活動に占める自動車の役割は、非常に重要なものとなっております。自動車の活動範囲の広域化や各種交通機関の整備に伴い、自動車行政についても、広域的観点や総合交通政策の観点からの対応が求められており、これに即した自動車行政の事務処理体制の整備が必要となっております。  現在、地方における自動車行政事務の処理体制といたしましては、ブロック単位の地方運輸局のほか、都道府県単位の機関として陸運事務所が設けられておりますが、その職員は昭和二十四年の設立当初より、国家公務員でありながら都道府県知事の指揮監督を受ける地方事務官という特殊な身分とされ、予算、業務運営の面におきましても園の地方行政機関としての実態を備えていながら都道府県の機関であるという変則的なものとなっております。  このため、昭和五十八年三月の臨時行政調査会の最終答申においては、陸運事務所を運輸省の地方支分部局とし、陸運事務所の地方事務官をすべて運輸事務官とすることとされており、これを受けて政府は、同年五月の「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について」の閣議決定及び本年一月の「行政改革に関する当面の実施方針について」の閣議決定において、地方事務官制度を廃止するための所要の法律案を今国会に提出する旨の方針を決定したところであります。本法律案は、この方針にのっとり提出するものであります。  本法律案におきましては、陸運関係事務に係る運輸大臣等の権限を都道府県知事に委任する制度を廃止し、これらの権限については、運輸省の地方支部局の長に委任することができることとするとともに、陸運事務所を運輸省の地方支分部局とすること及びこれに伴い従来の陸運事務所の職員を運輸事務官、沖縄県については総理府事務官とすることといたしております。このため、道路運送法、道路運送車両法、運輸省設置法等の関係法律につきまして所要の改正を行うものであります。なお、この法律案は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  120. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。     ―――――――――――――
  121. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会      ―――――・―――――