○安恒良一君 残念ながら、実は十三日丸一日をかけて私が、申し上げた以上の駅を
調査した結果、あなたがおっしゃるように、
国鉄の
職員に幸せをとか、愛情を持ってという、そういうことに現実がなってないんです。実は、行って驚きました。
実はこの
委員会で山田さんから一遍いろいろの問題の
質問があったときも、あのときも、山田
先生の
質問は非常に私は感銘深く聞いておったんですが、当局の答え方についてはいろいろ問題があるなど聞いておりました。私は今度現実に行ってみて、なるほどこれは大変だなということを感じたんです。以下、具体的事例を挙げて、
総裁にもひとつ知っとっていただきたいと思いますし、
運輸大臣は今トイレへ行っていますが、
運輸大臣にもひとつ答えてもらいたいと思うのであります。
まず、私は、
貨物合理化に基づいて、
貨物ヤードを中心とする余剰人員がたくさんできたことは
承知しています。そこでその処理
方法が、
一つは営業開発センターということで、運転部門を除く過員をそこに集められてやっている、それから運転部門は運転部門だけで、同じいわゆる過剰センターということで、それぞれに駅に集められてやられていることを見てきました。率直に申し上げて、運転部門の過剰センターのあり方については余り大きな苦情というのは聞きませんでした。しかし一番問題なのは、いわゆる営業開発センターというところに大変な問題があるわけです。
まず第一点は、どういうやり方をしているのかということで行きましたら、非常に狭いところにたくさんの人間が詰め込まれています。例えば
一つの例を挙げますと、肥前山口駅でありますが、ここは二十二名の人が過員センターにおります。その部屋へ入りましたら、非常に細長い部屋で九十三立方メートルしかございません、その部屋の広さは。そこに二十何人が詰め込まれまして、この暑いのに冷房も
一つも入っていない、こういう状況ですね。そしてそこにはトイレがない。トイレに行くためには百二十メートルも向こうに行かなきゃならぬ。で、トイレをつくってくれと言ってもトイレはつくってくれない。それから駅が非常に狭い。こういうところではもうぎゅうぎゅう詰め込まれている。そういう点について問題がある。
それから、同じく今度は久保田駅の
関係に行きましたら、ここも過員センターには三十九名おります。ところがそこの広さは二百二十七立方メートルでありますから、少なくとも労働基準法から言いますと十立方メートルが必要ですから、三百九十必要なところ二百二十、そういう狭いところでやられている。こういうやり方ですね。
それから唐津駅に参りましたら、せっかく営業センターがあって営業に出ていって帰ってきても、その部屋には
鉄道電話も
一つもない、ましてや公衆電話もない。そこで
鉄道電話か公衆電話を引いてくれと。なぜかと言ったら、営業に行って売りにいって帰ってきたら、今度は住民から問い合わせがあるのは当たり前ですよ。そうしたら一々駅長室の備えてあるところまで行かなきゃならぬ。こういうことについて、
鉄道電話か公衆電話を設置してくれと言っても設置してくれない。こんな問題。
それから、午前中は今度は無人駅に改札に行っているわけです。ところが、その無人駅の中には既に駅舎がある。駅舎があるのに、改札に行って、
一つの列車が通過して次の列車が来るまで
相当の時間がありますから、駅舎に入って休憩しておきたいから駅舎を使わせてくれと言ったら、かぎをかけで使わせない。なぜ使わせないのかと聞いたら、かぎをあけておいたらいろんな人が、民間人が入ったら困るからと言って、こんなばかげたことをやっている。これはもちろん、今は直っていると答えますよ、太田さん。私
たちが行った後、
指摘したから慌てて駅舎のかぎをあけたらしいんです。
総裁、闘いとってください、
運輸大臣も。そんな使い方をしておるわけです。
しかも今度、以下これから申し上げるところ、鬼塚、和多田、一貴山、松原、大人等は待合室がなくて駅長室がない。それから東佐賀、伊賀屋は待合室があるが駅長室がない。こういうところがあるわけです。ですからこういうところへ行った場合にどういうことになるかというと、冬の寒い日はいわゆる吹きさらしですね。例えば、上の屋根だけあるところがあるわけです。屋根だけあるんですが、お客さんがおりるわけですからそこで待っておらにゃいかぬ。そういう無人駅に行った場合に、どうしてこの吹きざらしや炎天下にそういう人々に休むところを提供しないのか。これは人の扱いではありませんね。
それから営業
方法を見ましても、非常に私はおかしいと思うんですが、開発センターで訓練を受けて売りに行っているのは何を売りに行っているかというと、いわゆるパッケージになっていないんです。少なくとも旅行業者がやる場合は、例えばAという地点から出発して観光に行ってAという地点に帰ってくるまでを、全部セットにしてあるんですね。
国鉄の列車は何を使う、飛行機は何を使う、観光地ではこういうバスを使って、ホテルはどこに泊まってと、こうやるからこれは売れるんですよ。ところがそういう部面、中間部面は他の業者にやらせるということで、必ずしもそこがセットになっていない。そんな物を売りに行ったってなかなか売れないんですよ。
ですから私はどうも、行ってみてみんなに会ったら、かつてのいわゆる捕虜収容所と言うのはいけないかもわかりませんが、強制収容所のような印象を受けたわけです。それが、若い人から年とった人まで、意気消沈をしてそこにおられる。特に、夢と
希望を持って、特に佐賀とかいうところでは
国鉄というのはもう第一線の就職口ですが、そこに入った若い諸君が、今までは
貨物ヤードで働いておった、それが、おまえ
たち余ったよということでそこに持ってこられて、ぼそっと入れられて、今度は午前中は無人駅へ改札に行ってこい。行ったら行ったで、吹きさらし、日の当たりっ放しのところでやらせられるし、帰ってきて、午後は午後で今度は、三人一組で売りに行ってこいと、こうなる。その売る品物も立派な品物じゃないわけだ。
これじゃ私は見ておったら、もうおまえさん
たちはやめろ、人員が余っておるからやめろと言わんばかりのやり方で、これでは夢も
希望もありません。私は私鉄ですが、私鉄で同じ過剰人員が出たとき、そんなやり方はしません。これは
総裁、あなたも私鉄に十年おられたからわかっておると思うんです。私鉄でも余剰人員は出ます。出ますが、今
国鉄がやっておるような荒っぽい、人を人とも思わぬようなやり方、あなたは愛情を持ってと言われた、幸せと愛情と言われているけれ
ども、あなたの部下のやっていることは幸せも愛情もない。私は実は驚いたんです。
それで、私帰ってきてこのことを
指摘して、まず解決したことは、トイレットは近くつくります、これは私から言われてトイレットは近くつくりますということになりました。それから駅長室は、駅長室にかぎをかけておったのは、慌ててあけて、使えるようにしたんです。ところがそれ以外、例えば佐賀駅について
鉄道電話と公衆電話はどうですかと言ったら、とりあえず
鉄道電話は引きましょうとこうなった。公衆電話はと言ったら、いや今の売り上げから言うと公衆電話を引くほどじゃないし、隣の駅長室と助役の部屋にあるからいいじゃないですかと、こう太田さんは言っていますが、商売するなら商売するらしくやったらいいと思うんですよ。営業センターで品物を売らせるなら、赤電話を引いて、お客から注文があったら注文に応じられるようにしなきゃならぬ。中途半端もいいところなんです、このやり方は。
そういうことではせっかくのあれだけの若い人が、私は行ってみて本当に気の毒だと思った。同じ私鉄でやるなら、まず大体本人
たちの
希望を聞きますよ。で、できるだけ本人
たちの
希望に沿えるようにして、ちゃんと訓練をして、それから
仕事です。ところが、今のやり方は全く荒っぽい。こういう状況が出ていた。
しかも、これはこの前山田
先生がおっしゃったんですが、これは私も聞いてきたんですが、例えば余剰センターで点呼があった。「何々君」「はい」と言う人があります。ある人は、「私は出勤している」と言う人がいる。「私は出勤簿に捺印した」と言ったら、それはけしからぬ、「はい」と言えと。そんな人間らしい扱いをしなくて、「はい」と言えと強制することが無理じゃないでしょうか。私から言わせると、出勤していると本人が言えば、出勤を確かめればいいこと、それを「はい」と言わなければ業務命令、業務違反だと、こうなるんですね。そんなやり方というのは私はちょっとこれはないと思うのであります。
以上のような点について、まずちょっと
総裁、今私は実態を申し上げました。どういうふうに本当に愛情を持って、あなたがおっしゃったように愛情を持ってやるんですか。私
たちは、行って実は驚いたんです。これがいわゆる
国鉄における営業開発センターのあり方か、余剰センターのあり方かと。
こんなやり方をしておったら、今度出ておるところの二万四千五百人の問題は大変な問題になると思うんです。今の過員ですらこれだけの問題が職場で実は起きておって、私は同じ
鉄道で働いている者の一人として、こんなやり方はないじゃないか。もう少し本当に本人
たちが
希望を持ってやっぱり働けるように、余剰人員が出たことは余剰人員が出たことなんだから、その余剰人員をどういうふうに本人
たちに労働意欲を持たせて使っていくのか、このことについての
考えがない。だから基本的に、
総裁、あなたが言われた哲学が末端まで徹底していない、末端の管理職に徹底していない。私から言わせると、いわゆるそんな不心得なやつはおらぬと思いますが、今は組合いじめをしたやつが出世できるぐらいに末端の職制は思っているんじゃないかという感じがしました。非常に私はいけないことだと思います。こんな状況の中ではとっても二万四千五百人の余剰問題は片づかぬで、大問題になるだろうと思います。こういう感じが六カ所を
調査させていただいた結果出ました。このことについて
総裁の
考え方を伺いたい。