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政府委員(
小野寺駿一君)
港湾整備につきましての
基本的な考え方についてでございますが、現在、
港湾の
整備につきましては、第六次
港湾整備五カ年
計画に基づきまして実施いたしておるわけでございますが、この五カ年
計画が来年度、
昭和六十年度に終了することになっております。したがいまして、私どもといたしましては、六十一年度から第七次
港湾整備五カ年
計画を発足させることが必要ではないかというふうに現在考えておりまして、その場合、考え方の
基本となる長期的な
港湾整備の
政策をどう立てるべきかということにつきまして、現在検討いたしておる最中でございます。
すなわち、最近の
我が国の経済社会の
情勢がいろいろと変わってまいっておりますので、その変化に対応いたしまして、
港湾の
整備につきましても、きめ細かい対応が必要ではないかと考えられるわけでございます。
その際、二、三の点につきまして申し述べさせていただきますと、まず第一は、エネルギーの安定供給の
要請に対処するという点でございます。石油危機が起きまして以来、
我が国では、エネルギー源の多様化が進んでまいっております。
〔
委員長退席、理事
下条進一郎君着席〕原油の輸入がかなり落ち込んでまいったわけでございますが、その一方で石炭の輸入が急にふえてきておる。あるいはLNGあるいはLPGの輸入も着実にふえてきておるということでございますし、また、石油の安定供給のために石油備蓄の促進ということも必要性が高まっておるわけでございます。
これらのエネルギーの確保にかかわる諸
要請、いろんな
要請に対応いたしまして
港湾の
整備をする必要があると考えておりまして、それを次の五カ年
計画にきめ細かく盛り込んでまいる必要があるというふうに考えるわけでございます。
それから次に、海上
輸送全体の分野でございますが、
船舶の
大型化あるいは専用船化あるいは
貨物輸送の
コンテナ化などの
輸送革新が、引き続き進んでおるというふうに考えております。
一方、既存の
港湾施設の中には、岸壁の水深が不足していたり、あるいは埠頭の幅が不足しているということなど、
港湾機能がこれらの新しい
情勢に対応できず、十分発揮できないという場面があらわれてきておるわけでございます。また、大都市の
港湾を中心といたしまして、利用度が低下した
港湾機能を、まあ昔式の
港湾であるためにその機能が低下しておるという場面がございまして、そのような
港湾空間を、市民のための新しい緑地であるとか、あるいは国際
会議場が必要であるという場面での土地とかに、利用を転換していくという必要性も高まっておるわけでございます。このような
港湾の再開発の必要性に対応いたしましては、都市機能と
港湾機能を十分調和させるという点に配慮いたして、港の再生を図る必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
また、次の場面といたしましては、大都市などにおきまして、
港湾の直背後の市街地において交通渋滞が慢性化しておって、
港湾と内陸の
貨物発生地との間を行き来する
港湾関連車両の市街地通過時に、非常に多くの時間を要するという問題が出てきております。一方で年々そういうふぐあいの量が増加してきておるわけでございますが、
大型化していく
港湾関連車両が都市交通の混雑に拍車をかけるというふうな場面も出てきておりますので、このような問題を解決するために、市街地を迂回して
港湾と背後の幹線道路を直結した規格の高い臨港道路を
整備する必要があるというふうに考えております。
また、次のような場面もあろうかと思います。すなわち、昨年の
日本海中部地震を契機といたしまして
要請が高まってきておるところの、大規模地震
対策という点でございます。あるいはまた、
港湾背後の各種の
活動に伴って発生する廃棄物を処理するための、廃棄物埋め立て護岸の
整備という点につきましても、非常に
要請が高いわけでございます。また、今後予想されます
港湾の
整備や海洋の開発を円滑に実施していくために、
港湾の技術の開発を一層進めなければならないというふうな
課題があろうかと考えておるわけでございます。
それで、特に
コンテナ埠頭の
整備の点についてもう少し申し上げさせていただきますと、最近、商品の軽薄短小化が進んできておるわけでございまして、これに伴いまして、
貨物、国際
貨物の
輸送という面につきましては、国際航空
貨物が非常にふえてきておるわけでございますが、同時に外航海上
コンテナ貨物の伸びも大変著しいわけでございます。過去十年間の伸び率は、年間の平均伸び率で見ますと、約一四%ということになっておりまして、
昭和五十八年には既に約六千万トンというふうな量に達しておるわけでございます。一方、航空
貨物は、この間、十二年間の伸び率は一二%でございまして、五十八年度には、総量といたしましては七十万トンというふうな量になっておるわけでございます。
こういう点からしましても、海上外航
コンテナ貨物の伸びが大きいし、また重要性も非常に高いということが御理解いただけようかと思います。
さらにまた、この
コンテナ船につきましては、
大型化の傾向もいまだに続いておるわけでございまして、既に喫水十三メーターの
コンテナ船が国際的には就航いたしておるわけでございます。
コンテナ船のこのような
大型化に対処いたしまして、欧米誌国はもとより近隣の韓国あるいは台湾などにおきましても、既に水深十四メーターの
コンテナバースができ上がって供用されておるわけでございます。一方、
我が国の
コンテナバースの水深は、現状ではすべて十二メートル以下でございまして、この面からしまして、世界の大勢にやや立ちおくれておるというふうなことが出てきておるわけでございます。現在、
我が国の各港に設置されております埠頭公社あるいは
コンテナ埠頭株式会社が管理しあるいは供用しております
コンテナ埠頭の数は、全部で三十五バースであるわけでございますが、さらにこの供用中のものに加えまして、東京、横浜、神戸などにおきまして、合わせて五バースの
コンテナ埠頭を埠頭公社によって
整備いたしておるところでございます。
さらに外航
コンテナの
貨物量は先端
産業の
発展と相まって今後とも大きな増加が見込まれますので、今後は、
我が国を代表いたします東京、横浜、名古屋、大阪、神戸などの基幹的な
コンテナポートでは大水深の
コンテナ埠頭を
整備する必要がありますし、また清水でありますとか北九州などの
港湾におきましても、
コンテナを取り扱うことのできる埠頭をそれぞれ
整備していく必要があるというふうに考えております。
これらの、
港湾にかかわる諸事情に関しまして、内外における
情勢をきめ細かくにらみながら、対処していく必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。