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1984-07-10 第101回国会 参議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十日(火曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員の異動  七月五日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    政府委員        運輸省貨物流通        局長       栗林 貞一君        運輸省港湾局長  小野寺駿一君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    参考人        社団法人日本港        運協会会長    高嶋四郎雄君        全国港湾労働組        合協議会議長   吉岡 徳次君        成蹊大学法学部        教授       谷川  久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本委員会参考人として、社団法人日本港運協会会長高嶋四郎雄君、全国港湾労働組合協議会議長吉岡徳次君、成蹊大学法学部教授谷川久君が御出席しております。  この際、参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。各参考人におかれましては、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。まず、高嶋参考人吉岡参考人谷川参考人の順で、お一人二十分以内に御意見を取りまとめてお述べいただきまして、その後、委員からの質疑お答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、高嶋参考人からお願いいたします。
  3. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) ただいま御紹介にあずかりました高嶋参考人でございます。  本日の港湾運送事業法の一部を改正する法律案につきましては、私ども港湾運送事業者としては、このような法律改定につきましては心から賛意を表しておるものでございまして、このような法律案につきましては、我々港運協会としては、理事会常任理事会なり、あるいは要するに幅広い各部会の関係者等にも、法改正内容につきまして十分な説明も申し上げ、会員としては本当に心から理解しておる改定案でありますことを、まずもって御報告させていただきます。同時に、私はあくまでも本改正案が一日も早く改定されることを心から望んでおる関係者の一人であるということも、あわせて申し述べさせていただきます。  御承知のように、港湾運送事業法は、昭和四十一年に法改正がなされて今日に至っておるわけでございますが、四十二年の時点から、輸送革新と申しますか、コンテナ輸送を初めとする専用船大型埠頭等の造成なり運営なりによる流通革新変化が始まりまして、その後の問題として、非常に速いスピードでこれらの革新荷役が、今日のような状態に流れ込んできておるということでございまして、四十二年以降、現在の日本港湾におきましては、革新荷役が八〇%を占めておるというようなことであって、従来の港湾における在来船による輸送関係というものは二〇%以下になっておるというようなことであり、今後ますますすべてが革新化されていくというような変化の中に、流れているわけでございます。  こういうような状況でございますので、四十一年の法改正基礎として、我々港運業者はそれぞれ、そのような法の上にいろいろな対応処置がとられてきたわけであり、また、とってきたわけでございますが、今申しますように、革新荷役が八〇%を占めておるというような現状から申しまして、港湾を利用する利用者の面から見ますと、過去の法律で言う在来荷役が少なくて革新荷役ばかりが中心になっておる今日から言って、従来の一種事業だ、二種事業だ、三種事業だ、四種事業だ、あるいはいかだ事業だとかいうような、各業種についての考え方の上に立って、今日それが基礎となって物が考えられておることについては、不自然な面が非常に多い。したがって、今の革新荷役現状に沿った物の考え方に、法は別としても、港運協会運営はそのような考え方の上に立って運営されるべきであるというような、要するに、船社団体なりあるいはすべての港湾を利用するユーザー団体からは、そのような強い要請を常に受けてきておるというような環境にあるわけでございます。  したがいまして、そういうようなユーザー船社等の要望にできるだけ沿わしていくべきだ、法は法として、法改正がいつかはなされるであろうが、法は法として、少しでも実情に合わせた弾力的な物の進め方をすべきだというようなことで、それなりに今日まで対応してきておりますが、いずれにいたしましても、そのような環境からいきまして、非常に矛盾が大きくあるというのが、現実の港湾運送事業法であると思います。  そのようなことから申しまして、今日、在来船はしけ基盤とした港湾運送事業者というような関係では、これはその輸送量幾らもないということから申しまして、百八十万トンからのはしけを、かれこれ九十万トンほど自主買い上げ、解撤をして、現在九十万トンほどのはしけに減船し てきておるわけでございますが、このこと自身といえども今日ではまだまだ多くの問題点を持っておるというような環境にございますし、また、革新荷役がどんどんふえたことによって、二種だ四種だという作業区分というものが、非常に区分として線引きができがたいというような環境にあるわけでございますが、事実上そのような環境にあるのですが、しかし、法はあくまでも二種事業、四種事業というものを明確に打ち出しておる関係からいきまして、そのような革新荷役の二種、四種事業に対する業者業種としての意識がまだまだ強く残っておる関係からいきまして、幅広い面に不満を持たれておるという環境にあると思います。  このような問題点をすべて、今日は、ある程度改善していくというねらいで、法改正がなされてきたということであるわけでございまして、我々としては非常に、この法律改定に大きな期待を持っておるわけでございます。  そのようなことでございまして、我々港運業者といたしましては、非常に革新荷役がウエートが大きくなっただけに、業域と申しますか、あるいは労働組合の言う職域と申しますか、これが非常に狭められてきておるというような環境にあるわけでございます。  このことにつきましては、今回、要するに港湾地帯における流通埠頭流通基地等管理運営というものが、従来の三種事業基盤とする一種事業者という考え方に凝り固まるのではなくして、そのような流通基地管理運営していくというような考え方一種事業であるべきだというような、新しい方向を示していただいておりますので、法律改正されたことを一つ時点といたしまして、このような流通基地管理運営を足がかりとして、できるだけ幅の広い業域確保港運業者から言えば業域確保労働組合職域確保に対して、十分な今後努力をしていく必要があるというようなことも、私どもとして当然の問題として取り組む環境にあるわけでございます。  以上のようなことで、私どもとしては、一日も早く諸先生方の御理解の上で法改正が実施されることを望んでおるものでございまして、私どもは、今回の法改正によって、ただでさえ中小企業が多いと言われておる我々の業界で、また業者がこの法改正で大きく方向転換をしなきゃならない、あるいは事業が継続できないというような法改正であってはならないということで、この点に対しましても、あくまでも法改正によって事業者が大きな変化を求められたり事業転換しなきゃならないということでは我々としては理解できないということからいきまして、今日の法改正によっては、我々業界業者としては、一人の犠牲者も出ないんではないかということでございます。そのようなことで、一人の犠牲者も出ない法改正、と同時に、新しい要するに革新荷役に沿った法改正であるという、両面の環境を持っておりますので、そういう意味におきまして、非常に我々としては、法改正に対する大きな期待を持つ考え方であるわけでございます。  以上申し上げましたように、この法律が我々の業者にとって、だれにも犠牲を与えない、また新しい方向に向かって新しく業域確保ということができていく法律であるということ等でございますので、したがいまして、心から要するに賛成をしておるわけでございます。  以上、参考人として、法改正、一部を改正する法律案につきまして、所信を申し述べさせていただきました。  どうもありがとうございました。
  4. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ありがとうございました。  次に、吉岡参考人お願いいたします。
  5. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) 御紹介を受けました全国港湾議長をやっております吉岡でございます。  まず初めに、今回の事業法改正問題につきまして、私ども意見陳述の機会を与えていただきましたことについて、感謝をいたします。  私は、今回の事業法改正に対して、反対の立場から、以下三点について意見を申し上げます。  その一つは、事業法改正の基本的な問題についてであります。  今回の事業法改正は、コンテナ化などによって革新荷役が多くなり、現行事業規制では実態に合わなくなってきているので、規制を緩和しようとするものであります。このことは、法改正の動機となっております臨調答申中身が、自立自営、行政の過度の介入の排除を基本理念とした規制緩和を、明確に打ち出していることからも明らかであると思います。  私の知る限り、今までの事業法改正は、登録制から免許制へ、免許基準の引き上げなどによる業の集約あるいは一貫直営体制導入など、業の基本強化に重点が置かれてきたと思います。ところが今回は、輸送革新による港湾荷役変化理由に、免許基準を引き下げ、競争原理導入して弱肉強食によって自然淘汰を図り、企業労働者を減らそうとしています。  既に運輸省は、昨年の秋に、労働者の数を減らすなど、免許基準を引き下げ、それに、特殊料金が適用されております作業については、地方海運局長の権限で特殊免許基準を新たに定めることができるという通達を出しております。そして、この今回の法改正でも、船内沿岸を一本化することによって、免許基準をさらに引き下げようとしています。また、料金についても、一貫作業料金と称して、さらに引き下げようとしています。つまりこのことは規制緩和であります。  今日、国際複合一貫輸送体制が進んでいます。これが本格化すると、港運機能主宰者、つまりフォワーダー的なものと、単なる作業会社的なものの二つに分かれると、学説的には言われております。一種元請の大手の企業は、前者の方へ行くでしょう。その他は、作業会社として激しい競争にどう生き残るか。既にその体制に向かって動きが始まっております。  今回の改正で、一種元請の免許基準として、近代的施設においてみずからの統括管理のもとにおいて行う場合には、その引き受けた港湾運送をすべて下請させることを認めたのも、国際複合一貫輸送体制が進む中で港運機能変化を考慮に入れたものと、私は思います。つまり、革新埠頭においては、一種元請は統括管理行為だけで、直接の荷役作業はすべて下請できるというもので、やがては主宰者として事業法の枠から外れ、自由化方向に進む公算が大きいと思います。  料金の問題についても、現在既に輸送革新によって、特殊料金というものが、全体の七〇%を占めていると言われています。この特殊料金というのは、いわば船会社荷主と個々の港運業者との話し合いによって決められているわけでありまして、形の上では認可料金といっても、それは形式的で、実際にはいわゆるネゴ料金、つまり自由料金であります。また、コンテナ荷役などは、もう既にパー・マン料金と言って、港湾労働者一人について幾らという、いわばエキストラ的な料金的なものも既にあらわれております。輸送革新が進めば進むほど、こうした自由料金的な特殊料金がこれからもふえることになります。  運輸省は、今回の法改正で、事業法の根幹に触れるような免許制やあるいは料金自由化はやらないと強調されておりますが、今後絶対にやらないという保証は何らありません。むしろ実態は、今私が申し上げましたように、規制緩和方向がとられており、国際複合一貫輸送体制が進むと、今の料金体系は果たして維持できるかどうか、恐らく維持できなくなっていくんじゃないか、こういうことを懸念いたしておるものであります。  第二点は、港湾労働者雇用問題が無視されているということであります。  今回の事業法改正は、既に述べましたとおり、港湾荷役革新化が進んだことによると言われています。ところが港湾労働は、荷役革新化によって雇用不安が高まり、人減らしという大きな犠牲を今日まで受けてまいっております。  一九六七年、昭和四十二年にコンテナ船日本に初めて就航して以来、今日まで約十七年たって いますけれども、その間に約四万人の港湾労働者が港から去っております。また、港湾労働法が制定をされて六大港に全面施行されたものもちょうどこのころでありますが、制定された当時の常用届け出数は約五万六千八百人でありました。それが現在では三万九千人で、三二%常用が減っております。また、登録日雇い労働者の当時の登録者数は約一万五千でありましたが、現在では千四百、まさに九三%も減っているのであります。  昭和四十八年に採択されましたILO港湾労働条約は、輸送革新によって港湾労働者雇用不安が起きないよう、国はすべての関係者をして雇用安定についての政策を講ずることを定めています。この条約は、当時、労使はもちろんですけれども政府賛成されたわけであります。ところが、十年以上たっても、今日なお批准をされていません。その理由に、現行港湾労働法ILO条約の精神に沿っているとか、あるいは労使意見相違があることなどを、挙げられています。しかし、現行港湾労働法は、いわゆる日雇い労働者登録優先就労を定めているだけでありまして、ILO条約に言うところの、常用を含めたすべての労働者登録就労保障制度とは、基本的に違いがおります。労使意見相違が挙げられていますけれども、私はそのことよりもむしろ政府の姿勢に問題があると思います。  港湾運送事業は、輸送革新が進んだとしても、今日なお労働集約型産業であることは間違いありません。したがって、労働問題を抜きにして運送事業基盤確立はできません。今回の法改正は、こうした重要な労働問題を無視して、業のあり方のみについて改めようとしていることについて、私たち全国港湾としては強い不満を持っておるものであります。  運輸省は、法改正そのものによって港湾労働者雇用不安は起きないと答えられています。しかし、私たちが言いたいのは、輸送革新によって港湾労働者が大量に減らされている。法改正もその輸送革新によってやはり進められているわけであります。とするならば、なぜ港湾労働者雇用安定について法律的に触れられないのか、ということを申し上げたいのであります。しかも、今回の法改正は、港湾労働者雇用安定に触れるところか、輸送革新理由に、免許基準の引き下げなど規制緩和方向をとって、競争原理導入あるいは弱肉強食による自然淘汰が進められているわけで、逆に雇用不安を促進するものであると私は言わざるを得ません。  また、運輸省は、労働問題については港湾労使によって五・三〇協定が結ばれ、雇用基金制度が確立されているとか、労働安定協会が設立されていろいろな保障制度が確立されていることなど、これがさも何か運輸省労働対策であるかのような発言があります。しかし、これらはすべて、港湾労使が自主的に交渉し決めてきたものであって、これを運輸省労働対策として引用されることは私はどうかと思います。ILO条約が述べていますように、輸送革新によって港湾労働者雇用不安が起きないよう国としての対策を私たちは求めているのであります。  全国港湾は、昨年もことしも、輸出コンテナ港湾労働者によるバン出し、バン詰めが行われていないものについては、港への搬入を実力で阻止する闘いを組んでまいりました。ことしは日港協も私たちと同じ立場に立って、労使特別委員会を設けて検討することにしています。もしこの話し合いがうまく進まないとするならば、私たちはこの秋から来春闘にかけて三たび阻止闘争に立ち上がることになります。  今日、定期航路貨物は約七〇%以上がコンテナ輸送であります。そして、コンテナ輸送に伴うバン出し、バン詰め作業は、その約三〇%ぐらいが港湾労働者の手にかかっているだけで、七〇%は奥地の工場だとかあるいは倉庫などで行われています。本来港湾労働者の仕事であるものが、コンテナ輸送によって港湾を通過するだけになったために、今日、港湾労働者雇用不安が増大をしているわけで、私たちはバン出し、バン詰め作業港湾労働者職域として港頭地帯で行うよう数年前から要求して、今日に至っています。  運輸省は、他の法律との関係などから難しいとお答えをされているのではありますけれども、アメリカのニューヨーク側では、五十マイルまでは港湾労働者職域であることを、裁判所の再調査命令労働委員会が結論を出しています。したがって、日本だけが特別だということにはならないわけで、輸送革新によって事業法改正をするというのであれば、こうした港湾労働者職域についても、雇用を守るという立場から法律で明記されるべきだと私たちは思っております。  第三は、法律改正に伴う具体的な諸問題についてであります。  その一つは、船内沿岸を一本化して港湾荷役業という新たな免許制度を設けることになっていますが、なぜ一本化するか釈然といたしません。一本化しなくとも、作業遂行には今日何ら支障は来していないのであります。したがって、一本化の大きなねらいは何かと言えば、合理化コストダウンにあると思います。船会社などが賛成をしておられるのも、コストダウンが容易になるからであります。したがって、こうした合理化港湾労働者雇用労働条件低下につながるわけで、港湾労働者にとっては極めて重要な問題であります。  また、今までの船内沿岸単独免許業については限定免許にするということであります。これは単独免許業者を助ける手段だと言われていますけれども、確かに実際には、企業者がまずスタートラインに並ぶことは間違いないと思います。どの業者免許から落ちる者はいないと思います。しかし、一応スタートラインに並んで、それから先の結果は、恐らく競争によって淘汰されることになると思います。そういう強い危惧を私たちは持っております。特に、一本化された港湾荷役業者沿岸業者との間に競争が激しくなると思います。そのことがまた、港湾労働者雇用労働条件低下となってあらわれてくることになります。  次は、十六条関係統括管理行為とは一体何かということであります。  改正案内容は、統括管理行為を新たに免許基盤に加え、これを十六条で規定づけようとしています。しかし、港湾運送行為に関する定義は第二条で定められ、十六条は、二条の定義を受けて、下請の制限、事業一貫直営化を定めているものであります。したがって、従来の作業行為のほかに統括管理行為を加えるのであれば、二条の定義を改めなければ、十六条だけの改正では問題があるのではないかと思います。また、統括管理行為について、その中身は別に省令で定めることになっていますが、自動車専用埠頭あるいは鉄鋼埠頭など荷主専用埠頭においては、荷主が直接指示する場合が多いのであります。その場合の統括管理行為とは、一体何を指すのかということであります。  いずれにしましても、この問題は、今回の法改正で当初運輸省が考えておられた、一種元請は単に集貨と受け渡し行為だけにするという方向と、余り変わらないと思います。また、さきに述べました、一種請業者主宰者として港運機能変化していくことと重要な関連があるものと思います。  また、このことと関連をして、はしけ労働者雇用問題が発生することは明らかであります。はしけ基盤の元請業者統括管理行為基盤に変更することによって、はしけ労働者は解雇あるいは下請化されることになります。はしけ労働者雇用保障について、単なる離職者対策ではなくて、具体的な対策を強く私たちは求めているところであります。  以上、重要な問題点について意見を述べましたが、特に港湾労働者雇用保障について、抽象的ではなく具体的な対策を重ねてお願いをして、私の意見を終わります。  ありがとうございました。
  6. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ありがとうございまし た。  次に、谷川参考人お願いいたします。
  7. 谷川久

    参考人谷川久君) 成蹊大学谷川でございます。  本日は、港湾運送事業法の一部改正について意見を陳述せよということでございまするが、港湾運送事業法は、御案内のとおり、昭和二十六年に制定され、その後の若干の港湾運送事情変化に伴って改正を重ねてまいっておりますけれども、最後に改正されたのは実は昭和四十一年でございまして、ただいまの両参考人意見陳述にもございましたように、その昭和四十一年改正以後における港湾荷役革新は著しいものがございます。特に、昭和四十二年以降、コンテナ輸送導入という、いわば海上運送における輸送技術革新港湾に及ぼした影響というものは、非常に大きなものがあるということは、一般に指摘されておるところでございます。  特に、これは私の経験で、かつてヨーロッパから船で帰ってまいりますと、ヨーロッパの港はクレーンが林立する港でありました。それが、スエズを越えた途端に、クレーンの見えない港になって、沖取りを原則とするという港湾荷役形態になっておったのでありますが、現在では、港の整備、特に我が国における港湾整備が非常に進みまして、沖取り荷役ということはほとんどなくなっている。そこへもってきて、コンテナ船による輸送というものが導入されてまいりましたために、岸壁での荷役というものもほとんどが機械化されてしまってきているという事情変化がございます。そのために、コンテナの場合のみならず、そのほかの荷役形態というものが一挙に機械化されてくることになって、コンテナ埠頭のみならず、例えば専用埠頭におきましても、機械化荷役というものが導入されてくるということになってまいりました。  そうなってまいりますと、従来、沖取りを主体にしておりました荷役において主役を占めておりましたはしけによる港湾運送というものが、姿を消していくということになるわけであります。もちろん、現在でも、在来型の船舶における荷役の促進のために、片側は岸壁で片側ははしけを使うという荷役も行われておりますし、さらに川筋への輸送についてははしけを使わざるを得ないという形態も残っておりますけれども、かつての姿に比べますと、港湾荷役の形態というものは、特にはしけを考えれば非常に大きな変化をしておる。  一方、先ほど来指摘もありましたように、コンテナ化が異常な勢いで進んできておるわけであります。かつて私が、アメリカで見てまいりまして、これからの輸送形態にはコンテナ導入されるであろうということを皆さんに申し上げたのでありますが、そのときは、往航復航の荷物のバランスがとれない以上、コンテナ輸送導入できないだろうという予測を立てられた方が大方であったわけでありますけれども、十年たった四十二年にはコンテナ導入され、導入されるとその後の進展はこれまた予想以上に激しいものがありまして、現在の定期航路におきましては、アフリカ関係と一部南米関係、これは特に港湾設備の関係からでありますが、そこの関係定期航路を除きましては、ほとんどコンテナ化されておるというのが現実であります。  そうして、御存じのとおり、コンテナによる輸送の港頭地区における荷役というのは、全く大型機械に頼り、しかも荷役の効率化を図るために、電算機を導入したコンピューターと結びつけての効率的荷役を行うというような形態に変化してきているわけであります。  そうなってまいりますと、二つの面で問題が出てまいります。  在来型の荷役というものをしなければならない船舶、そういう荷物もまだたくさん残っておるわけでありますが、これは量的に言えば非常に減ってきておるということで、在来型荷役の形態を前提にして物を考える、それを中心にして物を考えるということができなくなってきているという面が出てまいります。  それから一方では、沖取り荷役の原則から岸壁荷役の原則に変わってきたことによって、コンテナ船以外の部分におきましても、船内とそれから沿岸との荷役を直結してこれを扱うということが通常の形態になってくる。間にはしけの介在がございませんから、船内沿岸とが直結するということになってきて、その割合が非常にふえてくるということになってまいります。  そういう状況の変化を前提にして業法を考えましたときに、業法における免許基準というのは、これほどの激しい荷役形態変化というものを前提にしないで、業の区分免許区分をしてきていたわけでありまして、それから見ると、実際の港湾運送業の引き受け形態と甚だ一致しない部分というものが出てくるというわけでありまして、その意味では、まず今回の改正の中で船内沿岸とをあわせて行う業態というものを取り出して、これがいわば主流になってきている部分でありますが、これを取り出して別の免許基準とするということに位置づけるというのは当然のことでありまして、事態の変化からいいますと、この改正はむしろ遅きに過ぎているのではないかと私は考えているわけであります。  この点との関連で、もちろんこの法改正によって既存業者の利益、権益というものが害されるということになってはいかぬという考慮からでありますが、経過措置として、従来の免許そのものはそのままの範囲で効力を有するという取り扱いをされているのは当然かと思いますが、ただ、新たに設定されます船内沿岸とをあわせて行う業種について考えますと、一方で業界への新規参入というものが事実上制限をされておるという状況のもとで、果たして新しい免許基準に基づく免許申請がどれだけなされるのか。必ずしもそう一気に、新しい免許基準に従った新しい業者が出てくることにはならないのではなかろうかという気がいたします。むしろ、一方でそういう新しい実態に即した、船内沿岸とを結びつけた業を行う業種を設定して免許基準を設定する以上は、少なくとも船内沿岸と両方の免許を受けている者については、一定の期間を限って、その間に新しい基準に適合するように誘導していくぐらいの配慮があってもよかったのではなかろうか、という気もするわけでございます。  いずれにしましても、新しい免許基準を設けるということにつきましては、私はそれでいいのではないか、それがむしろ正しい道ではなかろうかというふうに思うわけであります。  それから、もう一つ問題になってまいります下請制限の十六条の関係でありますが、この十六条はどういう前提ででき上がっておるかと申しますと、本来は、一般港湾運送事業者が荷物を集めてきて、そして全部下請に出してしまう、そして港湾運送事業者とはいいながら何ら自分では本来の港湾運送事業を行わないという態勢ができたのでは困る、しかもその中で中間利益を収受するというような形態ができたのでは困るということで、そこにはいろいろ弊害が出てくるということから、少なくとも一部について直営をするのでなければ下請をしてはならないという形で制限をしてきたのが、十六条の本来の趣旨でございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、港湾における荷役形態というものは非常に変化をしてまいりまして、特に大型設備を投入した近代的港湾におきましての荷役というものは、相当複雑なシステムを駆使してこれを行わなければならないという部分が出てまいります。それだけの施設をつくって、そしてその統括管理をしている者については、これはそれ自体が港湾運送事業の一部と見られるわけでありますから、みずからその個々の行為について直営をしなくても、下請に出すことを認めても弊害は起きないであろう、そしてそういう統括管理的行為を行う業者というものを育成していくことが一方で必要であるという認識に基づいて、新たに統括管理の場合の下請制限の例外規定を設けようというのが今回の十六条の改正の趣旨だと思います。  私は、少なくとも、コンテナ埠頭等近代的な設 備で複雑な港湾荷役のオペレーションについてコントロールをしていく、管理をしていくという作業を行っている限りにおいては、これを下請制限の例外的に取り扱っても、本来十六条が危惧して、十六条を設ける前提としていたような弊害というものは出てこないということになると思います。これは、どういうものを具体的な対象としてとらえるかという命令の定め方にもよると思いますが、少なくともここで基本的に考えられている部分というのは、そういう弊害を伴わない部分であるので、これはそういう形態を認めても弊害は起こらないであろうと思われるわけで、この点についても、これでいいのではないかというふうに思います。  さらに、この改正の持っているメリットが出てくるだろうと思われまするのは、実は先ほど申し上げましたように、港湾荷役の形態が沖取り荷役から岸壁荷役に変わってきた、そうなりますと、はしけ荷役というものが非常に激減してくる。いろいろと政府も施策を講じて、これは買い上げその他の手だてを講じておりますけれども、なおかつはしけは現在でも過剰状態ということになっている。それはなぜそういう状態になるかといいますと、一つには、一般港湾運送事業者が一部の作業を直営しなければならないという前提がございまするので、はしけを直営基盤にして一般運送事業者として免許を受けて営業している港湾運送事業者は、はしけを手放すわけにはいかないということになるわけでありますが、新しい統括管理者を基盤とする、港湾施設における作業統括管理をする者を基盤とするその種の免許ができ上がりますと、そういう体制ができ上がりますと、従来、はしけ基盤であるがゆえに、余剰であり、不経済的であると観念しながらも整理できないでいたはしけを手放して、そして新しい基盤の上に、一般港湾運送事業者としての活動の基盤を見出していくということが可能になる、そういうメリットが出てくると思うのであります。  いずれにいたしましても、そういう意味で、この主な改正点、二点でございまするが、この二点、いずれもこのように改正してよいのではないかというふうに考えるものであります。  私の陳述をこれで終わります。
  8. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 最初に、吉岡参考人にお伺いをいたしたいと思います。  先ほどのお話で、アメリカでは五十マイルまでという一つの区切りがあるというお話がございました。  これらの問題、日本と国情は違うかもしれませんけれども、やはり職域の分野というものをそういうふうに決めるということは、そこで働く者の立場にとってみれば非常に大事なことであるというふうに思われるのでありますが、日本でそれを適用するということについての隘路とか問題とかいうのはあるのかどうか。それから、日本でそのような問題を考える場合には、港湾労働者だけではなくて、関係者がそれによっていろいろと問題を生ずるというような、トラブルが起こり得る可能性があるのかどうか。それらの点は、今後の問題として我々も十分にお伺いをしておく必要があるというふうに思われますので、その点をひとつお答えをいただきたい。  それから、谷川参考人にお伺いしたいと思うのでありますが、今、吉岡参考人から特に言われたことは、雇用の問題がやはり労働者にとって非常に重要な問題であると。なるほど、コンテナ輸送、というものがどんどん進出をしてきたということで、港湾事業そのものが昔と大変な変わり方をしてきたということは我々も認めざるを得ないのでありますが、しかし雇用とか労働条件というようなことはこれまた極めて重要な問題であります。じゃ具体的にそれぞれの点を一体どうしたらいいのか、職域とそれから雇用といったようなことを考えた場合に、それらの問題について、港湾で働いている人たちに対して安心感を与えるための具体的な方策としては、どのように行政の立場から進めていったならばよろしいのかということが大きな問題になろうかと思われますので、特に谷川参考人の多年にわたるこの方面の学問的な御研究というものは、世界的に非常に視野が広いと思われますので、そういう諸外国の例等をも勘案の上、いかにすべきかということもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) お答えいたします。  まず、アメリカで五十マイルまでは港湾労働者の仕事であるということを労働委員会一つの裁定をしたということは先ほど申し上げたとおりでありますが、このことを日本に適用する場合に、私どもとしてはそんなに隘路はない、難しいことはないと思っております。  といいますのは、道路運送法との関係をよく言われるのでありますが、実際にコンテナ輸送をしておりますトラックというのは、一般のトラックがやっているわけではないのでありまして、海上コンテナをほとんど専門とする、いわゆる俗に言う海コン輸送、つまり海コントラックと言っているんですけれども、そういう専門的なものがほとんど、全部ではありませんが、大半はそういうことでやっているのでありまして、これはかなり港運業者の資本も入っているわけですから、私どもとしてはやっぱり港運業の職域をもっと奥地まで広げる、あるいは業域といいますか、そういうことをやっぱり法律上にきちっとすればそんなに難しいことはないんじゃないかと、こう思っております。  それからもう一つは、他の労働者とのトラブルの問題であります。  アメリカでは、トラックの、つまりチームスターの組合と港湾の組合とのトラブルがあったようでありますけれども日本の場合には、今申し上げましたように、海コントラックというものは特別でほとんどやっているわけで、もちろんそのほかにもありますけれども、大半はこれですから、やはりそれを全部事業法という枠内にくくればそんな難しいことはないと、こういうふうに思います。
  11. 谷川久

    参考人谷川久君) お答えいたします。  御質問は二点だったと思いますが、一つ雇用安定の問題、労働条件の問題が非常に重要である。  この点はどういうふうに考えたらいいのかということで、特に職域雇用の問題、そして雇用不安にならないための、労働者に安心感を与えるための方策いかんということでございますけれども雇用の問題が非常に重要であるということは私も重々承知しております。しかし、業法の改正の問題、今回の業法の改正の問題が雇用の問題に直接結びついてくるとは思わないわけで、この点は除外して考えまして、コンテナ化が進むことによって雇用不安の問題を生じておる点についてはどうかということでありまするが、これは既にそういう状態はこの十年来顕在化してきているわけでありまするが、この問題はやはり私は、労使間の問題として片づけるべき問題ではないかという気がするわけであります。  特に、この点に関連しまして、職域雇用職域拡大による雇用確保という点を指摘されておるわけでありますけれども職域拡大というのは、コンテナの場合について考えてみますと、コンテナバンへの詰め込み、あるいはコンテナバンからの引き出しを港湾運送事業の中に取り入れて、港湾労働者職域の中に含めよという御主張だと思うのでありますが、新たにこれがそういう形態を導入するというときの議論でありますると、それは議論として成り立ち得るのかと思いまするが、既に十年以上港湾運送事業以外の形で内陸においてコンテナバン詰めコンテナバン出し等をしてきておるわけで、それに従事しておる業者もおるわけでありますし労働者もおるわけであ ります。それを一方で、港湾労働者雇用不安ということのために、その職域港湾運送事業者でなければやってはいけない職域であり、それは港湾労働者が取り扱うべき作業であるということにいたしますと、従来それに従事していた業者及び労働者をはじき出すということになって、そこでまた新たな雇用対策を講じなければならないということになるのではなかろうかという気がいたしまして、どうも職域を内陸部まで拡大すべきであるという議論は、直ちにはいただけない議論ではないか。  それなら一体どうしたらいいかと言われましても、私もどうも、そういう政策を考えているわけではございませんので、必ずしもいい政策が考えられるわけではございません。しかし、これは先ほど申し上げましたように、労使間の問題であるということを基本に据えれば、使用者の方で、そういう職域、あるいは他の職域港湾運送事業者という肩書、免許を持ってということではなく、経営の多角化の一環として事業を拡大し、そこに余剰となる労働者を吸収していくという方法で解決するのが、本来の解決策ではなかろうかと思うわけであります。  諸外国ではどうなっておるかということのお尋ねでありますけれども、諸外国でも確かに、コンテナ化の波に対しまして非常な港湾労働者の激減を来しております。それはそれなりに手当てをして港湾労働者たる地位から離職をさせる、その際それぞれの手当てをするということ、イギリスなどではそういう手を打っておりますし、アメリカの場合、ただいま五十マイルというお話がございましたけれども、これは法的な裁判所の命令で労働委員会決定ということでありますが、これは基本的には労使間の問題、あるいは他の職域との調整の問題として使用者サイドで労働者とともにかち取ってきた制度ではないかと思うので、我が国で直ちに法をもってそういうことを実行できるかどうかというのは問題があるのではないかと思うわけであります。
  12. 小柳勇

    ○小柳勇君 御苦労さまでございます。  御発言の順に従って質問いたします。  まず、高嶋参考人に三問、簡単に問題を御質問いたします。  第一は、高嶋参考人日本港運協会の会長として、港湾における労使関係の安定のために随分御努力をしていただきまして、心から敬意を表するものでありますが、さっき吉岡参考人も述べられたように、この法律港湾労働者の職場を奪うものである、うんと激減するものであるということが述べられました。吉岡参考人としては、この法律への反対の主なる理由はそうである。したがいまして、高嶋参考人としては、この港湾労働者職域確保する、どんどんどんどん人間が減っていく、これをどういうふうにして確保する、また労使関係安定のためにはどのように今後御尽力をいただきますか、これが第一点でございます。  それから第二点は、コンテナ化を初めとする革新荷役が主役となろうとしておるときに、在来の、今日までの荷役業者の仕事がなくなってしまう。先般、我々も埠頭を見に参りました。ほとんど機械でやってしまう。在来の荷役業者の将来については、どのように対策をお立てになろうと考えておるのか、業者団体だけでできるのか。あるいは、どうしてもであれば、法的にも考えなきゃなりません。その点についてのお知恵を拝聴したい。  それから第三点は、中小零細業者の多い港運業界基盤強化のためには、認可料金の完全収受など、港湾運送の秩序を守っていかなければならぬと思うのであります。日本港運協会としても積極的に推進運動を展開してこられましたが、さらにその実効を上げるために行政や荷主にどのような措置を講じていただきたいとお考えでございましょうか、お伺いいたします。  高嶋参考人には三点です。
  13. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) それではお答えさせていただきます。  まずもって一の、職域の激減するという問題、これに対して安定策をどのようにとるんだということでございますが、確かに革新荷役がどんどんふえることによりまして港湾労働者職域が狭められていきつつあるということは、そのような現状にあるわけでございますが、これにつきましては、これの安定策として、労使の間で御相談申し上げて行政等の指導も得てまとめました港湾労働安定協会という、この事業内容を十分ひとつ強化していくべきであろう。したがいまして、まず何が必要なのかと申しますと、十分な職業訓練をするということで、今それぞれ、日本に三、四カ所職業訓練に対する施設がございますが、これは残念ながら非常に小規模なものだというわけでございますが、これを思い切って拡充強化して、港湾労働者の、これからはあくまでも筋肉労働の労働者ではなくして、技能労働者が必要な時代に現在あるわけでございまして、今後といえどもますます技能労働者が必要だというようなことからまいりまして、職業訓練というものに最重点を置いて十分な職業訓練をしていただくということで、職域が縮められて港湾を去らなきゃならない現状になっても、技能労働者として迎え入れられるような技能を習得させるということが必要だというようなことから、このようなことに本年から十分な力を入れていきたいという考え方でおるわけでございます。そのような考え方で、労使の間の安定協会につきましては、十分な話し合いをして、こんなような方向に物を進めてまいりたい、このように思っております。  それから、次の第二の、革新荷役がどんどんふえて在来荷役が減ることによっての、在来荷役業者の将来問題はどうだろうかということでございますが、今日まで既に革新荷役が始まって十五年以上の月日を経ておりますが、このことにつきましては、革新荷役業者の大半が、要するに在来荷役が減ることによって必然的に革新荷役に絡んできておるということで、荷役業者の大半というものは二と四の事業に絡んでおる、免許を持っており絡んでおる、この方々が今度港湾荷役業者になるわけであって、二と四の区分を廃止して荷役事業者になる方々であって、この方々が大半を占めておるということであって、この革新荷役にかかわり合いを持っておらないという方については、今後港運協会といたしましては、コンテナ埠頭運営を、従来のように船社中心的な運営方式ではなくして、港運業者中心的な運営方式に切りかえていきたい、そういうような考え方の上に立って、この在来荷役のみに絡んでおる方については、地域ごとにできるだけそのような関係に絡ましていこうというような救済処置を、業種的にとっていこうということに考えておるわけでございます。特に、四種事業の方は、港湾運送事業に絡んでおる四種業者の方よりは、むしろ倉庫事業に絡んでおる四種業者の方が多いというようなことでございまして、倉庫事業に絡んでおる四種業者の方というのは、これは別に革新荷役のしわ寄せとか変化ということを大きく受けておるものでもなく、この十年来の変化現状にそれぞれ対応しておるというような環境でございます。  そのように、二の問題につきまして、今度新しく港湾荷役業者の限定二種、限定四種の方で倉庫事業に絡んでおらない方々につきましては、できるだけこれから、革新埠頭整備されていく過程において、我々港運協会としては、船社中心主義の革新埠頭運営ではなくして、港運業者がある程度の権益を持つ環境に物を進めますので、そういう面でできるだけ業者を絡まして救済措置をとっていきたい、このように考えております。  それから、三の、中小企業者が多い、したがって料金の遵守、完全収受という問題は非常に重要な問題じゃないかという御指摘でございますが、このことは当然でございまして、私どもは昨年の三月から、行政当局から、料金が遵守されておらない、したがってそのことによっていろいろ港の働く人たちにしわ寄せがいっては困るということで、そのような強い指導のもとに、料金遵守委員会というようなものを中央でまとめまして、私自身がその委員会委員長を引き受けさせていただ きまして、一年有余にわたりまして料金の遵守問題に格別な努力をしてまいっておるということでございます。  しかし、御承知のように、我々の相手方であって比較的関係の深いのが、実は木材業者でございます。で、日本の九十八港の港湾のうち、四十港近い港湾に木材がばらまかれてきた。高度成長で、木材がどんどんそれらの港に入って、ばらまかれてきた。それが、この三年ほど前から、一挙に三割減った、四割減ったというようなことで、木材が中心の港が非常に多いというようなことで、それが三割も四割も貨物が激減していったというようなことからいって、木材業者の方々としては、長いつき合いであり、自分らがもう死ぬか生きるかで、次から次に倒産しておるんだと。にもかかわらず、港運業者の方々は、苦労はしておるだろうけれども、何とかかんとか企業経営を行っておるので、したがって、長いつき合いなんだからこんなときには多少とも料金的に理解してもらうべきというような、長い取引であるだけにそういうようなお互いの環境もあって、業界なり行政の指導を得て必死な努力はしておりますが、そのうちの非常に多い部分が木材でございますので、そういう面から見て、料金が十分守られなかった、成果が上がっておらなかったという現状にはあるわけでございますが、しかし少なくとも、必然的に下がる、どんどん下がっていく料金に歯どめをかったということと、それから、そのような運動によって、当然三割なり何なり料金を値引きしたというものが、段階的に、一割上げてもらった、また一割上げてもらったというようなことで、現在、一歩一歩改善されていくというような形にあるわけでございます。で、木材ですらそのような改善策がとられておるだけに、他の物資につきましても、当然な問題として遵守方に対して格別な指導と努力をしておるということでございまして、そのようなことで、料金の遵守につきましては、十分な努力をしてまいる考え方でございます。  以上でございます。
  14. 小柳勇

    ○小柳勇君 職業訓練の問題などを追質問しとうございますけれども、時間がございませんもんですから、吉岡参考人に、御質問いたします。  港湾労働者労働条件なり生活確保のために大変な御苦労をなさっております。敬意を表するところでありますが、この今度の法改正によりまして港湾労働者が激減するのではないかと我々も心配をいたしています。運輸省は、はしけ労働者百八十人程度に影響が出る程度だと雇用問題を非常に軽く考えていますが、この点に対して吉岡参考人はどういうお見通しであるか。  それから、今、高嶋参考人の職業訓練のお話もありましたが、緊急措置をしていませんね、港湾労働法では。したがって、言うはやすく、なかなか職訓などできないのです。したがいまして、今後どうしようと考え、また我々国会としてどうしたらいいとお考えか、お聞きしたい。これが第一点。  それから第二点は、今の職域確保ですね。そのためには、さっきうちの理事から質問いたしましたが、地域五十マイルにつきましては、いろいろ問題もあるようであります。谷川参考人もその問題を追求されましたが、少なくともゲート内はバン詰め、バン出し、いろいろありますから、港湾労働者がやるべきだ、我々そう思うんですけれども、こういうものに対する御見解。  第三点は、一九七三年のILO総会で採択された百三十七号条約の批准問題について。これは一体どこの責任か。今日まで、国内法の改正も十分ない。批准もされてない。政府は、まだ全体的な情勢が整ってないと言うが、これを批准しないから今のような問題が起きているわけですね。したがって、今後この批准に対しての決意と、我々はどう国会として、あるいは政府にどういう御注文があるか、この点を御質問いたします。  三点お聞きします。
  15. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) お答えをいたします。  まず第一点の、いわゆる今度の法改正で一体港湾労働にどの程度の影響を、どの程度雇用問題に影響を与えるのかという問題でありますが、はしけ労働者の百八十名程度、そんなものではありません。先ほど私が申し上げましたように、現にもう輸送革新によって四万人から減っているわけですから、常用三二%、日雇い登録労働者九三%も減っているわけですから、これから先さらに輸送革新がどんどん進むと、なお労働者の数が減る。それで、今度の改正はそれをさらに促進するような方向になっているわけですから、とてもはしけ労働者百八十名程度でおさまるなんて、そういうふうには私は考えておりません。  特に、これも先ほど申し上げましたが、船内沿岸と一本化することによって、もっと労働者のいわゆる定数を減らそうとなさっているわけであります。昨年の運輸省の通達で——例えば京浜港の場合、無限定の船内業を持っている者は船内労働者九十名を持てと前の省例では決めておりました。それが、昨年の十月には五十名でよろしい、四十名減らして五十名でよろしいと、こう言っているわけであります。それから沿岸は、八十名ぐらいから、三十五名でよろしいと。それで今度は船内沿岸と合わせますと八十五名、仮に今の通達をそのまま守るとした場合に八十五名という計算になりますが、これを一本化の港湾荷役業になりますと、さらにそれを減らしてよろしいという通達を出されようとなさっているわけであります。いわゆる労使問題という以前に、法律がどんどん減らしてよろしいという方向で指導するわけですから、どんどん労働者が減ることは間違いない、こう見ております。  それからもう一つは、総括管理行為という、今でもコンテナ基地なんか行われていますけれども、そこにはもう既に検数あるいは検定等の労働者が出向しているわけであります。それは、今度総括管理行為ということで別に法律的に認められますと、今出向しております検数なり検定の労働者はそこからはじき出されるというふうに私どもは見ておるわけでありまして、そんな百八十名程度だとか、これから先、法律改正によってそういう問題がそんな大したことありません、こういうものではないと思います。  同時に、これは先ほどから労使問題、雇用問題というのはなるほど労使問題でありますけれども港湾の場合にはこれは労使問題では片づかないのであります。  特に、施設にしましても、あるいは船が大型化し近代化の船が入ってくるのも、これは港湾業者がやるわけではないのでありまして、これはまさに体制的な合理化としてやってくるわけですから、その中で港湾労使がいかに話し合ってみても、革新船が入ってくるのに革新船来るなと言うわけにはいかないんでありますから、港湾労使問題で港湾雇用問題が片づくわけはありません。そのためにILOは、いわゆる国が関係者一同を集めてその対策をとれ、こう言っているわけでありますから、単に労使問題で港湾雇用問題が片づくわけではありません。  また、先進資本主義国では、労使と言う場合は港湾の場合には、日本の場合には直接の雇用主である港運業者労使とこう言われておりますけれども、先進資本主義国、つまりヨーロッパ、アメリカあたりでは船会社がそれに、やっぱり労使の中に入っているわけでありまして、ここが日本と諸外国の違うところであります。そういう立場からすればなおさらのこと、港湾労使雇用問題が片づくとは思っておりません。これが第一点であります。  それからもう一つ、第二の点でありますけれども、私どもは、コンテナというのはもともとがドア・ツー・ドアサービスを目的としておりますから、必ず門口から門口にお届けをするというのがコンテナの本来の使命だと思っております。本来はそれを港頭地帯に全部持ってきてバン出し、バン詰めをやれと、私たちは要求しているわけであります。この点は、業界もその精神を認めて、今いろいろ努力をしているわけです。しかし大変難しいと思います。今申し上げましたように、本来 がドア・ツー・ドアサービスの目的を持っているわけですから、それをやめろということはまさに流通革新に逆にさおを差すような問題でありますから、大変難しいと思う。  とすれば、私ども職域を広げるかという話になるわけであります。それは、なるほどもうすでに働いておる労働者がいる、そこにトラブルが起きるというのはそれは私たちもわかります。しかし、本来私どもの仕事が向こうにいったわけですから、私どもの仕事が向こうにいったのをこちらに返せというのは、アメリカあたりがやっておりますようにかなり激突をした例もありますけれども、私どもからすればその要求は当然だと思うのであります。決して無理なものではないと思います。  同時に、もう一つは、道路運送法という法律がある。私ども港湾運送事業法免許を持たなければ奥地のバン出し、バン詰めはできないと仮に法律規制しようとすると、そこに道路運送法とかいろんな法律等が兼ね合って難しいとおっしゃる。しかし、それならば、港湾コンテナ基地はゲートがあります。ゲートからいわゆる港頭地帯は、これは道路運送法の適用の道路でも何でもありません。在来の港の場合は埠頭が一応道交法の適用がありますけれどもコンテナ埠頭の場合は道交法の適用もありません。道路運送法も関係ありません。そこに道路運送法の免許を持っておる自動車が、どんどん乗り込んできているわけです。私どもが出ていくと言ったら、それはだめと言う。そして今度はおかのトラックの業者は、どんどん港頭地帯に入ってくる。それならば私どもは、そこへ線引きをしていただきたい。つまり、ゲートに入ったらそこですぱっととめてくれ、これから先は私どもがやりますと。ちょうどオーストラリアでもどこでも、そういうことをやっているわけであります。一般の労働者がゲートに入ってきたら、そこでドライバーはおりる。そこから先は港湾のドライバーが乗って作業をする。これは、それならば一体そこの線引きをどうするのかという、私ども一つの対案として申し上げているわけであります。どちらかをきちっとしてもらいませんと、一体港湾運送事業の範疇とは何ぞや、こうなってくると、それはないのであります。それで、一体どこからどこまでが港湾運送事業がというと、今コンテナ基地はゲートがあるわけですから、ゲートへ来たら全部おろす。それはもう諸外国ですでにそういうこともやっているわけですから、そういうことが日本でなぜできないんでしょうか。  だから、本来は、先ほど申し上げましたように、私どもの仕事の範疇であるから私どもが出ていく、こう言っているんですけれども、どうしてもできないのであれば、それじゃそこで線引きをするかというのが、これは私どもとしては当然の要求である、こう思っているわけです。ですから、これも先ほど申し上げましたが、この話がつかなければ私どもやっぱりこれは実力で阻止していく以外にない、こういうふうに思います。  それから、ILOの条約の批准の問題は、これは労使意見が対立をしておることは間違いありません。しかし私は、そのことが批准が行われていないそういう大きな要因ではないと思っております。やっぱり政府が積極的な姿勢をとっていただく、そのことによって私はこの問題は解決するのではないか。どうも労使意見が一致しないからと言って逃げておられるように思うんですけれども、私はその責任はやっぱり政府にあるんじゃないか、こういうふうに思っております。  以上です。
  16. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に谷川先生でございますが、先生は港湾調整審議会の委員として港湾労働問題に大変詳しく、当委員会としても再三お世話になっているわけでありますが、時間がありませんから一問だけ質問いたします。  日本港湾労働者は、国際的に見て、労働条件なり、その職域確保なり、生活の安定度なり、どの程度にお考えであろうかということと、それから、今吉岡参考人もおっしゃいましたが、五十マイルアメリカではバン詰め、バン出しをやっておる。しかし、それがいけないなら、少なくともヤード内はこれは港湾労働者職域ではないか。さっき谷川先生は五十マイルのところは問題があるようにおっしゃいましたけれども、もう一回その点についての御意見をお聞きしたい。  以上です。
  17. 谷川久

    参考人谷川久君) お答えいたします。  港湾調整審議会の委員とおっしゃられましたけれども、私、港湾調整審議会の専門委員でございまして、確かに長いこと港湾労働の問題もいろいろ勉強させていただいておりまするが、労働条件そのものがそれほど諸外国の場合に比べて劣っているとは考えておりません。ただ、具体的な末端における労働条件が場合によれば劣悪な条件のもとで使用されている者が全くいないのかと言われますと、それは何とも申し上げられませんけれども、少なくとも吉岡さんたちの努力、あるいは高嶋さんたちのそれに対する対応の努力もあって、それほどに労働条件が劣悪であるとは私は考えておらないわけでございます。  それから、その職域拡大の問題、五十マイルとの関係でありますが、五十マイルというのは、アメリカの場合の五十マイルと日本の場合の五十マイルというのは、土地の広がり等から見てもどうか。五十マイルで線を引くのは日本の場合適当であるかどうかということは問題があると思いますが、ただ、港湾労働者あるいは港湾運送事業者事業を行う範囲というもの、実はこれが必ずしも明確ではない。港湾地区というんですけれども、どこで線が引かれていものか必ずしも明確ではないというところがあると思います。  これを線引きをするというのも一つの方法かと思いますし、あるいは、先ほど吉岡参考人が申されましたように、コンテナヤードのゲートのところから先は労働者が交代をして作業をするということも一つ考え方かもしれませんが、この辺のところはその業の調整の問題だと思いますので、どうすべきであるということは私からは差し控えたいと思います。
  18. 小柳勇

    ○小柳勇君 終わります。
  19. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 参考人の皆様にお願いをいたします。  時間の制限等がございますので、答弁は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
  20. 藤田栄

    ○藤田栄君 本日は、参考人先生方、それぞれの立場から大変貴重なる御意見を伺わせていただきまして、本当にありがとうございます。  高嶋先生にまず第一にお伺いしたいと思うわけでございますけれども、質問が若干重複するかもわかりませんが、今後の海運業界の課題というものは、先ほど来申されているように国際複合一貫輸送への対応であると思うわけでございますし、他の一つは、はしけ、いかだを中心とする在来荷役の、先ほど申されました構造改善対策問題であると思うわけでございますが、この点につきましてもう一度、どういうような取り組み方を先生はお考えであるかということが第一点でございます。  それから第二点は、経営の合理化によって新しい事態に入っていくと思うわけでございますが、業者の方々、またあるいは働く人たち立場を考えると、港湾業界荷役方式が近代化されてきました今日においても労働問題というものが先ほど来大きく問題になっているわけでございますけれども、    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 今後の労働問題につきまして、どのような取り組み方をされていかれるのか。また、基本姿勢と考え方につきましてお伺いしたい、こう思うわけでございますが、この二点につきましてよろしくお願いします。
  21. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) お答えさせていただきます。  港運業界はこれからの国際複合輸送に対してどのように対応していくんだという御質問のように思いますが、港運業界といたしましてはあくまでも、要するに旧来の港湾運送事業法という枠の中 ですべての事業を行っていくんだということではなくして、今言う港頭地帯のターミナルの運営を通じて、複合輸送に大きく業域確保を図るべきだ、そのことが港湾労働者職域にも大きく結びつくというような考え方から申しまして、本年の港運協会の最も大きな目玉になるのは、港湾労働安定協会の強化策と、複合輸送に対して積極的な事業活動をするということで、今日総会で、複合輸送部会というものを新しく生み出しまして、それで積極的な事業活動を行っていくという考え方で物を進めさせていただくわけでございます。そのような考え方でございます。  それから、いろいろ合理化が進む中で、特にはしけなりいかだなりという関係に対するいろいろ問題が大きくあり得るわけでございますが、これにつきましては要するに、はしけにつきましては、先ほど来吉岡さんからいろいろなお話がございますが、これらの労働問題につきましてはまた格別に、別個な立場で労働問題については十分労使で話し合って対応策をとっていこうというような考え方であり、いかだは現在のところ、現状時点で一応安定した、いろんな助成措置なり改善策をとったということで、現在のところ一応安定しておるという環境にあるわけでございます。  なお、労働問題につきましては、非常に革新荷役が進み、あるいは機械化され省力化されていっても、これは非常に港湾運送事業としてはまた関心を持って対応する問題でございますので、このことにつきましても、もう既に吉岡さんとは三十年来ああじゃない、こうじゃないといって話し合いを進めてきておるわけでございまして、我々港運業界としては、労使話し合いというもの、団体的な組織と組織との話し合いというものにつきましては、お互いに信頼感を持ちつつ十分熱心な話し合いをしていくという気持ちで今日までも物を進めておりますが、今後といえどもそのような考え方でより一層物を進めていきたいと、このように考えております。  以上がお答えです。
  22. 藤田栄

    ○藤田栄君 吉岡先生にお願いしたいと思うわけでございますけれども、産業構造の変化によりまして港湾荷役の占める分野というものが減少してきているというようなお言葉もあるわけでございますが、それに伴って港湾労働者立場も十分考えていかなければならないわけでございますが、港湾荷役の近代化に伴いまして、労働されている方も、労働力の需要の小さくなる在来部門から、職業訓練などを受けてそして革新荷役部門へ移行する、いわゆる配置転換というような声も起きているわけでございますけれども、こういう点につきまして先生の御意見をひとつお伺いさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  23. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) 私ども、基本的にはやはり、今まで持っております自分たちの仕事を手放したくないという気持ちは持っておりますから、配転とか、そういうものについては反対の立場をとりますけれども、しかし現実にやはりこれだけ輸送革新が進んで、それに転換していかなければならないということについては、あえて反対をいたしておりません。積極的に技術訓練を受けながらやっていきたいと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、今労使の中でいわゆる労働安定協会というものをつくりまして、そうして港湾労働者雇用の安定についていろいろと労使ではやっておりますけれども、全然なかなかうまく進行しないのであります。つまり、雇用を守るという点になりますと、なかなか難しくて進展しないのであります。そういう意味から、やはり政府のそれに対する施策というものと相まっていきませんとなかなか対応が難しい、そういうことを私ども言っているわけであります。したがって配転そのものに反対をするとか、そういうことの態度をかたくなにとっておるものではございません。
  24. 藤田栄

    ○藤田栄君 谷川参考人お願いしたいわけでございますけれども、最近になって欧米船の大型化、それから南北航路のコンテナ化に伴いまして我が国の海運、それから港運港湾は厳しい競争下に置かれているわけでございますけれども、先生先ほど来伺っておりますと、世界各国の海運、港湾事情に非常に詳しいようでございますが、我が国の海運、港湾が置かれているいわゆる環境につきまして、どういうような環境に今なっているかというような点について、世界の港湾事情から見ましてお伺いさせていただきたいと思うのが、第一点でございます。  第二点は、最近における港湾の変貌、それから技術革新の進展を考えると、今回の改正点である船内それから沿岸の統合及び先ほど申されました統括管理基盤、いわゆるターミナルオペレーターの基盤の創設は、むしろ遅きに失したと考えるというような御意見もあったと思うのでございますけれども、この点につきましてもう少し詳しく聞かせていただけたらとこう思うわけでございますが、この二点をよろしくお願いしたいと思います。
  25. 谷川久

    参考人谷川久君) お答えいたします。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  世界の中における日本港湾の置かれている環境ということでございますけれども、世界の中でと言いますと、日本港湾は、結局は世界の海運の荷動きというものと日本関係というものとして出てくるのではないかと思うわけでございまして、御案内のとおり、日本からの輸出貨物の例をとりますと、多くの輸出産品の主流は、一つは付加価値の高いものに移行しつつあります。したがいましてこれは、それだけが理由とは申しませんけれども、航空への貨物の流出というものが非常に大きなウエートを占めてきております。したがいまして、従来港湾を通過して諸外国に流れていた荷物が、飛行機によって諸外国に運ばれるということで、港湾現状に重大な影響を与えておる。  それから、全体の景気の停滞というものが日本の輸出を非常に停滞させておるわけでありまして、したがいまして、輸出産品の港頭地区の通過ももちろんでありますが、その原料となる鉄鉱石であるとかその他の輸入の量というものも非常に落ち込んでおります。それがまた港湾における荷物の量の激減というものに影響を与えておるわけでありまして、これが将来回復するであろうかということでありまするが、ある程度は回復するかもしれませんが、主要産品が航空に流れるというような問題が影響して、それほどはかばかしくいかないであろう。のみならず、従来我が国から輸出をされていた産品が、東南アジア、中進国からの輸出に切りかわっておる。そして物流の相当部分が、韓国であるとか、台湾であるとか、シンガポールであるとか、香港であるとか、そちらの方からの産品に切りかえられておるということで、我が国からの荷動きというものはやはりそう急速には回復しがたいのではないか、そういう非常に厳しい環境の中に日本港湾日本海運が置かれている事情でもありますが、それが投影する港湾の荷動きの事情として指摘できるのではないかと思うわけであります。  それから第二点の、船内沿岸免許統合の問題でありますが、これは遅きに失したと申し上げましたのは、既に昭和四十二年にコンテナ化導入されるということのほかに、港湾の近代化が進みますと同時に、船内港湾との一貫した引受体制というものが大勢を占めるようになってきたのは、何もここへ来ての問題ではなくて、既に相当前から始まっておったわけでありますから、その辺の業態の変化をにらんでもう少し早く手を打って、その中で有機的な合理的運営というものを実現していくことが必要だったのではないかと私は考えておるということでありますし、ターミナルオペレーションを中心とする行為というものも、既に十年以上の歴史を経験してきておるわけでありまして、今さらという感じがしないわけでもない、もっと早くこの体制というものを考えてもよかったのではないかというふうに考えるわけです。そういう意味で、遅きに失したと申し上げたわけでございます。  以上でございます。
  26. 藤田栄

    ○藤田栄君 終わります。  ありがとうございました。
  27. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は谷川先生からお尋ねしていきたいと思います。  先ほどから谷川先生は、今回の法改正についてはむしろ遅きに失したのではないかという御意見をたびたび開陳をされたわけでありますが、さて、現在のいわゆる港湾運送につきましては、先ほどからもちょっと議論が出ておりましたが、複合一貫輸送体制というものが今後確立されていくのではないかという御意見もあるわけでございます。そういったものを踏まえながら考えていきますと、いわゆる今後の日本における港湾運送業がどういうふうに今から先進んでいくのか、あるいはまた世界のこういった港湾運送業というものがどういう方向づけをしていくべきであろうか、こういう先取りした観点からもう一遍港湾運送業というものを見直してみる必要があるのじゃなかろうか、こういうふうにも思うわけです。その場に来て、いや労働対策だ、いや云々だといろいろなことを言いましても、これは間に合わないことが多いわけですね。全体の世界の流れ、それに日本はどういうふうに即応していかなければならないかというやはり長期展望というものをもう一遍ここで見直すという立場から、先生の御意見を伺っておきたいと、こういうように思うわけでございます。
  28. 谷川久

    参考人谷川久君) お答えいたします。  最初に、複合一貫輸送体制が相当大幅に取り入れられてくるであろうという御指摘、これはそのとおりだと思うわけでございます。ただ、私の考え方では、コンテナ化ということと複合運送化ということは別のことでありまして、コンテナというのはこれはいわば荷姿の問題であります。複合一貫輸送というのはこれは運送引受体制の問題でありまして、これは区別しなければならないと思うわけでありますが、コンテナ化が進んだがゆえにその複合一貫輸送というものが可能になったということは関連のあることでありますし、コンテナ化がなければ複合一貫輸送というものはこれほど大々的には考えられなかったであろう、そういう点において関連を持っておるということが言えると思うのであります。  そうして、港湾運送事業という観点から考えるときには、これは複合一貫輸送であるかセグメンテッドな輸送であるか、セグメンテッドというのは分割されて引き受けられた輸送であるかということと、港湾における作業体制荷役体制というものとは直接は関係がないことではないかと思うわけであります。むしろ、荷役の方式あるいは荷姿がコンテナ化されたということの影響というものが港湾に出てきている。ただ、そうはいいましても、そのことによって労働者雇用不安を与えてきたという事実は否定できないわけでありまして、これはむしろ、高嶋さんが先ほど申されましたように、元請業者があるいはコンテナターミナルのオペレーションの方に出ていくということもありますが、それを土台にして国際複合一貫輸送体制の方に進出をするという意向を持っておられるということでございますが、これはもはや、港湾運送事業の枠を超えて、新しい業種としてその複合一貫輸送というものの引受業者になろう、そういう方に脱皮していこうということを言っておられるのだと私は理解いたしますし、そのことによって、従来港頭地区でのみの作業に従事していた労働者をその国際複合一貫輸送体制の中で吸収していくことができるのであれば、これは先ほど私ちょっと触れましたけれども事業者の経営の多角化の中で余剰労働者を吸収していくという方策として十分に成り立つことであるし、そういう方向に進んでいただけるならば、港湾労働者も安心して関連する職場を確保していくことができるのではないかと考えているわけであります。
  29. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、吉岡参考人にお伺いをしたいと思うんですが、現在のいわゆる港湾事業というものは革新化がますます進んでまいるというふうに見なければならないわけでございまして、そういった立場から港湾労働者職域というものが大きく狭められてくる、これは火を見るよりも明らかであるわけです。一つの時代の流れとして、食いとめることができないとするならば、どういうふうな形で港湾労働者職域を守っていかなければならないか。多少やはり労働の質の変化というものはこれは否めない事実でございまして、これは否定できないと思うんです。  そのためには、いろいろな御意見も先ほどから出てまいりました。今谷川先生からもお話がございましたように、企業の多角化を進めながらその中でいわゆる労働力を吸収していくという、そういう方式も今開陳をされたわけでございます。それから、先ほどからの質問の中では、では職業安定等を通しながらオペレーターみたいなような、そういう質の変革をしながら吸収をしていく方法を考えるべきではないか、こういうことにつきましても、吉岡参考人は、そういったことについては我々は拒否をしていない、こういうようなお答えがあったわけで、それもまた一つの方法でもあるわけでございます。それから、先ほどから、バン詰めの方にも皆さん方のいわゆる職域を広げていってほしいというような御意見もまた一面に出されたわけでございます。あるいはまた、港ごとの共同雇用制度という、プール雇用ですか、こういう御意見もあるようでもございます。  こういうように、今までの議論の中でも多少具体的に一つ一つ方策が述べられておるわけでございますが、吉岡参考人の方で、それ以外にまたこういう方向がある、こういう方向があるという方策をお考えならば、それをお聞かせをまず願いたいと、こういうふうに思うわけでございますが、よろしくお願いをいたします。
  30. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) お答えをいたします。  まず、私どもとしては、今の革新化が進むことについてこれをとめることができないという認識は、私どももそのとおり思っております。ただ、ILOなんかでも言っておりますように、その場合にかなりの利益が出るわけですから、これの還元がもっと労働者にあってしかるべきだというのを、私たちは主張しているわけであります。  現実に、在来荷役の場合とそれから今の革新荷役の場合とは、綿密に計算したわけではありませんけれども、生産性は十数倍に上がっているんじゃないか、十倍以上に上がっているんじゃないかと思うのであります。ところが、今日なおそれの利益の還元が、私どもの力の関係もありますけれども、ないのであります。依然として、これだけ輸送革新が進んでいるのに、港湾労働者は二千六百時間ぐらい働いているのであります、年間。今二千時間の問題がいろいろ言われておりますけれども、とても二千時間に追いつくものではありません。二千五、六百時間の労働をやっているわけであります。だから、それだけ長時間労働をやっているわけですから、本来これだけ輸送革新が進めば、時間短縮というものがもっと重視されなきゃならない。  あるいはまた、こういうふうに非常に港湾というのはそれでも波動性の高い産業でありますから、私どもは、常時に必要とする個々の企業に働いているいわゆる常用と、それから波動性に対応できるためのプール制というものを今いろいろ主張しているわけであります。なかなかその点は、業界との間に意見が一致しませんから進みませんけれども、そういうことをしているわけであります。今私ども業界その他に出しておりますプール雇用制、これが私どもは一番ベターだと思っておりますし、そのほかに何かという考え方は今持ちません。あくまでも、一定のプール制をつくって、その労働者に対する雇用の保障をする。あるいは、個々のレギュラーとして企業者に雇われている常用については、企業が仕事があるなしにかかわらず保障をしていく。こういう制度をきちっと打ち立てるべきであろう、これが私どもの言うILOの条約の精神に沿ったものである、そのためにはやはり、今の港湾労働法というものを抜本的に改正してそういう方向に持っていってもらいたい。このことを私どもは強く今要求しているところであります。
  31. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、高嶋参考人にお伺いをいたしたいわけですが、先ほどからいわゆる認可料金の収受の問題が出ていたわけでございますが、日本港運協会といたしましては、認可料金の完全収受についていわゆる法令遵守運動を展開してこられたわけでございますが、この経過並びに状況をちょっとお尋ねしておきたいと思います。これが一点です。  それから、同じように、認可料金が守られていない一因として、現在の料金体系が余りにも複雑である、こういうような御意見もあるわけでございます。わかりにくい、こういう指摘もあるわけでございますが、港湾運送料金体系のあり方について高嶋会長の御意見をお聞きしたい、こういうふうに思います。
  32. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) お答えさせていただきます。  認可料金につきましては、先ほどお話しをさせていただきましたが、法令遵守委員会料金遵守委員会で、料金の完全遵守という問題につきましては、港運協会の何よりも大事な仕事の一つとして熱心に取り組んできましたが、このこと自身はそれなりに大きな成果があった。ただ、ただ単に成果があったということじゃなく、今後といえども完全に料金が収受できるような方向に物を進めていくべきだというように考えておりますが、先ほど、非常に複雑でわかりにくい料金ではないかという御指摘がございましたが、現在の料金在来荷役をもととしてそれぞれの業種ごとに料金ができたものでございますし、それぞれの業種のそれぞれの事情があって、いろいろ附帯料金とか、付随料金とか、割り増し料金とかというものが絡まっておる関係からいって、非常に複雑でわかりにくいという御指摘はそのとおりでございます。したがいまして、今後は、港湾荷役料金というものは、荷主が依頼した時点でこれはもう幾らなんだということがはっきりわかる料金でなければ、料金の遵守、完全に料金を守る上においても非常に難しさがあるということも私ども、今回の料金遵守委員会を通じていろいろ物を進めてきた結果として、このようなことに対しては十分従来の欠陥を体験したわけでございます。したがいまして、この複雑である料金というものは今後、依頼主から見て、依頼した時点で、これは幾らなんだということがはっきり直ちにわかる料金改定させてもらうべきであろうというように考えております。  以上でございます。
  33. 桑名義治

    ○桑名義治君 高嶋参考人にもう一点だけお聞きしたいわけですが、先ほどから、国際複合一貫輸送体制の問題につきましては、業界としては賛成であるという意味の御答弁がございました。それについて、それを進めていく上においては、業界としては今後何をしなければならないか、そういう具体的な詰めなり、具体的な事項が検討されているならばお教え願いたいと思うんですが。
  34. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) 現在、この複合輸送につきましては、業界としては今後の進め方につきまして十分な検討を行っております。  まずもって、今日の法改正で、埠頭地域におけるターミナル、流通基地管理運営という問題によってそのような基盤確保されることによりまして、コンテナ埠頭、そのような流通基地というようなものを結び合わせまして、複合輸送は航空機であるか海運であるかという二つの道しかないわけでございますので、したがいまして、航空貨物は別としまして、海運貨物として複合輸送貨物は港を通って出入りするわけでございますので、したがって、それぞれの輸送機関と連携を持って、何と申しますか、玄関を預かっておる関係上、これらの地域、これらの関係で、複合輸送の中核的な存在として各輸送業者と連携をとって物を進めていくというようなことであるべきだというように考えて、現在そのような大ざっぱな物の考え方体制づくりを進めておる反面、そのようなより細かい基本方針を打ち出して、幅の広い輸送業者と連携の上で物を進めていきたい、このように考えております。  以上です。
  35. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最初に高嶋参考人にお伺いしたいと思います。  きよういろいろお話しいただきましたけれども、具体的に余りつかめなかった。要するに、私の方でまとめてお伺いしたいと思いますことは、お話の中で、だんだん荷役革新的になってくると矛盾が大きくあるとおっしゃいました。それから、幅広い面で不満がある、こういうふうにおっしゃったわけです。そして一方では、一人の犠牲者も出さない法改正にする、そしてだれにも犠牲を与えない、こういうふうにおっしゃいまして、これが本当にできれば問題はないわけでございます。  正確を期するために、衆議院での議事録からとらせていただきますと、港湾労働者雇用の安定にも通じるように一生懸命にやるという御努力を発言なすった。そして、質問に答えて、経営合理化方向として、各業種間における企業の統合なり合併についてどう考えるかという質問を受けられましたときに、こうお答えになっています。事業者については、免許業者であっても云々対応できないものについては転廃業をしていただく、あるいは合併していただく。また港湾労働者の方々に対しては、転職される方には業種の訓練、何らかの助成、就職あっせんをすると。まあ先ほどもそういうことをおっしゃいました。  そこで、具体的にお伺いしたいんですけれども、いろいろと職業訓練をなすって業種をあっせんして、そして先ほどおっしゃったように、一人の犠牲者も出さない法改正ができると本当に思っていらっしゃるのかどうか。それからまた、業者の合併などについても、これは仕方がないと、こういうふうにおっしゃっているわけだから、そうすると、事業者に対しても相当働く人と一緒に影響が出てくるのではないか。建前、おっしゃることと本音とが大分食い違っているんじゃないかというふうに、私素人ながら受けとめたわけでございます。その辺のところを具体的に、本当に業者にも犠牲者を出さない、働く者にも犠牲者を出さない法改正になるから賛成だとおっしゃれるのかどうか、これが第一点でございます。  それから第二点、時間がございません、第二点ちょっと抜かしましょう。  もう一つの問題としてお伺いしたいんだけれども一つは政治献金の問題なんです。私の方で調べました、五十七年度の政治献金収支報告書を拝見させていただきましたら、五十六年度の倍以上、千七百万円余のパーティー券を買われていらっしゃいます。そして一方では、不況だ合理化だという理由労働者の賃上げを抑え、人減らしを続けていらっしゃる港運業界であるわけですね。そうすると、そう不況だとおっしゃりながら、政治献金とも言えるパーティー券をお買いになるということは、これはちょっと説得力がないのではないか。この次もまた、政治献金としてのパーティー券をお買いになるおつもりがあるのかどうか、その辺のところを伺わせていただきたいと思います。
  36. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) 職業訓練の問題と法改正の御質問でございますが、私ども法改正については、要するに法改正港運業、今の免許業者を殺してもらっては困る。免許基準を極端に引き上げたり、あるいはいろいろ従来の業法上の内容を変えて、法改正で一人の港運業者が落後しても困る。落後すればそれだけ働く人にも影響があるんだということで、もちろん、今日我々の事業港湾労働者数が非常に基準になっておりますが、長い間省力化というものに対して強く港運業者を指導してまいっておりますので、かなり高度な省力化ができておる現実からいって、労働者数の当然ある程度の変化のあることはこれはもう当たり前のことではございますが、いずれにいたしましても、法改正で殺してもらっては困るということで、法改正では要するに死なないような法改正にしていただくことであることによって我々港運業界というのは会員の理解が得られるということです。  しかし、法改正で一人も殺さないから、それじゃ今日これだけの革新荷役変化に対してだれも現状このままでいけるのかというと、そうではないと。法改正では死なないけれども、これだけの輸送革新については、それぞれの企業港湾運送事業だけに頼るんじゃなくして、多角的な事業にも関心を持ちつつ企業努力をしなければ、それはその面で落後していくんだということを申し上げておるわけでございます。そのようなことで落後していく業者に対しても構造改善促進財団というもので何らかの業者に対する、企業努力が足らなくて落後する者についても何らかの助成措置をとっていこう、またそれらの方々に雇用されておる港湾労働者の方々については、今日まででも具体的ないろいろなきめの細かい助成策が労使の間で決められておりますが、個々の企業者でやることは個々の企業者でやることだ、私ら日本港運協会は協会として、組合との団体交渉で決められるルールの上に立ってそれなりに、そういう企業者雇用されて転職しなければならない方については、それなりの業界としての助成策をとっていこうということで、すべてがまとめ上げられておるということです。そういうことをお答えをさせていただくということです。  それからなお、そういうような情勢からいって、業者がお互いに自主的に合併等の処置をとるとするなら、より一層何と申しますか、十分な助成策を新しい問題として考えていこうというようなことも、内部に向かってそのような発表をしております。それじゃ合併に対してどうしてやるんだといえば、そういう金額的な具体的な問題についてはその時点の問題として問題をまとめていこう、このように思っております。  それから最後に、先生からのパーティー券の問題でございますが、我々業界といたしましては、このわずかなパーティー券につきましてはそれぞれ軽くおつき合いをさせていただくということでございまして、まあ一カ年間の間に非常に幅の広い御関係を持っておりますので、そういうような御関係で最小限度の、わずかほどのおつき合いをさせていただいておるということでございまして、今後もそのようなことはないのかということになれば、今後といえども常識的な最小限度のおつき合いはさせていただくという考え方を持っております。それだからといって、決して働く港湾労働者にしわ寄せをするとか、あるいは何と申しますか、それぞれの業者は非常にこういうことに派手で事業の日々の流れには非常に厳しいんだというような、そんなような業者の物の考え方は持っておらないということを、そのように御返事させていただきます。  以上です。
  37. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう時間がございませんので、次に吉岡参考人にお伺いしたいと思います。  高嶋参考人の衆議院における意見陳述を拝見いたしました。再三再四にわたって港湾における労使関係について触れられております。日本の港はストライキのない港として港湾労使はそれを誇りとしているとか、労働組合とは十年来すべての問題について熱心に話し合う、ストライキ等の問題を一切起こさないように、ストライキのないことを互いの誇りとしようではないかとの考えの上に立って十分話し合いをしてきておると。また、先ほども三十年来の大変お近しい間柄だということもおっしゃいましたんですけれども、まあ円満に労使協調路線でやっていると自慢をされておりますが、高嶋氏の言われるように本当に何もかにもうまくいってきたのだろうか、今後それでうまくいくのだろうかという点について御意見、お考えをお述べいただきたいと思います。  それから、続いて二点目でございますが、本法案の審議の傾向は六大港が中心でございまして、ほかに地方港湾の今後の影響等についての議論が非常に少ないように思われます。特に北海道の場合を考えてみますと、運輸省港運統計資料の各指標を見ましても、全国よりも指標がすべて下回っているという実態でございまして、例えば労働者稼働実績保有人員というのを見ますと、昭和五十四年常用一〇〇に対して昭和五十八年八七%、日雇いは同じく六四%になっております。それから、扱いトン数についても、同じく昭和五十年一〇〇といたしますと五十八年は一〇六%。イもロも、今言いました二つのいずれも、五大港はもちろん、全国九十七港平均よりも劣っておりました。  また、現行港湾労働法の適用が六大港のみとなっていること、それから港湾産別の最低賃金の適用にいたしましても、全国適用ではないわけでございますね。  それからまた、青函トンネルというようなものが開業間近と言われている中でございます。本州−四国に今度は橋がかかる、こういうような場合、一体どうなっていくのだろうか、非常に問題がたくさんございます。  地方港湾労働者雇用状態と、政府に対する政策のあり方について、今いろいろ問題を申し上げました。全国一律の最低賃金になっていないというような問題についての御意見がおありだろうと思うのですが、伺わせていただきたいと思います。
  38. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) まず第一点に御質問でありますけれども、私どもとしては、できるだけひとつ解決するように、いろんな意味でやっぱり熱心に労使話し合いしていることは間違いありません。しかしながら、昨年もストライキを私どもやっているのでありまして、ことしも二十四時間の全面ストライキ、それから三日間のコンテナの封鎖までやっております。今、とかくストなしと言われている中で港湾だけがやっているわけですから、ストライキがないというよりむしろストライキは港湾の方が多いんじゃないか、こう思っております。その意味では、やはり一面厳しく対決を私どもはしている、こう思っております。  それからもう一つは、先ほどからいろいろ労使で細かい決めをしているというのは、それはそのとおりでありますが、しかしこれで港湾雇用安定が保たれているかというとちっとも保たれていないのであります。  例えば、今、安定協会を設立しまして、一定期間、ことしは一年ということになりましたが、今までは四カ月間再就職のあっせん期間をとって、その間にいわゆる企業倒産等で解雇された港湾労働者の、あるいは企業縮小等で解雇された港湾労働者の再雇用をいろいろ努力をしてきたわけであります。これは労使で決めたわけですけれども、残念ながら、今までいろいろやりましたけれども、一人か二人だけ助けたぐらいです。あとは全部、転職資金をもらってやめているのであります。だから労使関係でなかなかうまくいきません、実際問題として。したがって私どもとしては、法律的な一つの対処を先ほどからお願いをして意見を申し上げているわけであります。  そうしませんと、このままいきますと、今港湾労働者、平均年齢約四十六歳であります。先ほど谷川先生が労働条件は余り悪くないとおっしゃいましたが、私ども四十六歳の今の労働条件港湾は大変悪いんです。私どもは決していいとは思っておりません。そういうことからしますと、これは何かの方法をしませんと、港湾労働というのはもうこれからいわゆる新陳代謝もないわけでありまして、だんだん高齢化していきますと労働力は私は枯渇をするんじゃないかと思っております。そういう意味からは、もっとやっぱり政策的な手がないと、労使問題だけで解決がつくとは思っておりません。  第二番目の点でありますけれども、御指摘のとおり、残念ながら地方港の場合はなかなか、今中央で交渉しておりますのもほとんど六大港中心でありまして、地方港までそういういろんな決定、協定が広がっておりません。現に今御指摘のように、北海道では地場産業が非常にうまくいっていない関係もありまして、もう港もどんどん寂れてきております。検数あるいは検定などもだんだん人員整理をかなりやってきておりますし、ほかの船内沿岸も同様であります。  そういう中で今度青函トンネルができて、カー トレーン構想というものが今度出て、全部トンネルを通して陸上で貨物輸送されるということになりますと、ますます海上貨物が陸上の方に移っていく。とすれば、なおさら港湾というものは、港は寂れていく、こういうふうに私どもも憂慮をしているところであります。あるいは、日本沿岸では木材が激減をしております。  また、こういうことからしますと、私どもとしては地方港についてどういう対応をしていくのかということになれば、やはり今の港湾労働法というものを全国的にもっと広げる、あるいは速やかにILO条約に基づくところの抜本改正をしてこれを全国に適用していく。こういうことをやるのと同時に、今私ども日港協にも要求しております、先ほど申し上げましたが、共同雇用の理念に基づくところのプール雇用制度、こういうものもやはり地方港にも早急に広げていってもらいたい、こういうことをまず現在私どもとしては要求しているわけであります。現実は進んでいません。  それから、例の産別最賃については、これは六大港だけではありませんが、残念ながら北海道が入っていないのでありまして、これはことし北海道も入れたいと思っております。  本四架橋問題については、これは別なルートで総評等を中心にしながら今いろんな対策を進めてきまして、これは一定の方向が今日定められてきております。  以上でございます。
  39. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 谷川参考人にも質問を用意いたしましたのですけれども、私の時間が十四分までで、御丁寧な参考人お答えがございましたものですから、私申しわけございませんけれども、御丁寧な参考人の時間で質問ができなくなったということで、またの機会に伺わせていただきたいと思います。お許しいただきたいと思います。  終わります。
  40. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 これは高嶋さんと吉岡さんに第一点は同時にお聞きをしたいと思うんですが、それは、先ほど高嶋さんも、これからの重要な課題として、例の港湾労働安定協会の強化ということを触れられました。そして、荷役革新というものから、教育、職業訓練、こういうものを大いにやっていきたい、こういうようにお話がございました。  そこで、これに関連をいたしましてお伺いをしたいのですが、この協定は労使間で労働者雇用と生活保障の強化という面でつくられたものでありまして、したがって、年金だとか転職資金だとか、そういうところに使われているわけですね。しかし、その財源として一トン一円の別建て料金、これは私は非常に安いんではないかと思うんですね。アメリカなどでは外国船が入りますとコンテナ一個につき一ドル徴収しているわけです、その金によって労働者雇用と生活の保障をやっているわけですからね、そういう面から考えますと非常に安い。したがって、これを大幅に上げるべきではないか、こういう意見もあるわけですが、これは労使間で協定ができて運営されているものでございますので、高嶋さんと吉岡さんの御両名からこの点についての御意見をまずお伺いします。
  41. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) お答えさせていただきます。  安定協会に対する一円問題につきましては、それで十分だとは考えておりません。したがいまして、今後労使の間でいろいろ協議した結果として取り上げなきゃならない問題につきましては取り上げるという考え方であり、それに必要な原資は一円には別にこだわっておりませんので、したがって必要な原資はまたそれなりに行政当局なりユーザーの理解を得つつ確保していきたい、このように考えております。
  42. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) 私どもも、トン当たり一円というのは極めて低いということでございます。したがって、昨年から私どもはトン当たり三十円に引き上げるという要求を今やっているところであります。今のトン当たり一円というのは大体六億円ぐらいでありますから、今の制度は全部、やめていく人に何らかの金を出しているのでありまして、雇用対策ではありません。だから、雇用対策というのは、仕事があろうとなかろうと一定の保障を基金からしようとすれば、少なくとも三十円、百八十億円ぐらいの金は必要だということで、私どもは今要求していますけれども、なかなか実現をしていないのが現実であります。
  43. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それで、これとさらに関連をして、これはもっぱら高嶋参考人にお聞きをしたいんですが、もう一つ港湾構造改善促進財団というのがありますね。これは運輸省の指導ででき上がって、港湾事業者の救済、事業の廃止とか、あるいは集約とか、縮小とか、合併とか、そういうために、これは事業者とか、荷主とか、船会社とか、港湾利用者がそれぞれ拠出をし合ってできている、こう思うわけですが、これが今の状態では事業者のみの救済措置だと思うんですね。  したがって、今の安定協会との関連で私考えているんですけれども事業者の救済措置だけじゃなしに、事業というのは労働者と直接、密接に関連しているわけですから、労働者雇用面に対する助成措置にもこの財団の基金というものを振り向けることができないだろうか。したがって、その促進財団から安定協会を通じて雇用保障のための財源を何らかの形でこの際、これからいろいろ問題が起こってくるわけですから、出し得ないものだろうかどうか。その辺のところの考え方をお聞きしておきたいと思うんですが、どうでしょう。
  44. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) お答えをさせていただきます。  港湾構造改善促進財団につきましては、これは。これでまた要するに、業者の後ろ向き姿勢に対して助成措置をとっていく、革新荷役のしわ寄せ等でしわ寄せを受けていく港運業者に対してそれなりに助成措置をとっていくということであり、それから安定協会は安定協会で、港湾労働の安定策に財源を確保していくということで、それぞれ別な立場で財源確保に当たっていくという考え方でおるわけでございます。
  45. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この問題は余り十分に意見をお聞きすることはできないんですが、時間がありませんので進みます。  それからもう一つの問題といたしまして、はしけの救済措置、そしてそこに働く労働者雇用の問題ですけれども、これは横浜回漕協会などが試案を出しておるんですけれども、私もこの間の委員会で質問をいたしまして、例の共国運航体制、これについては運輸省も、今後も大いに指導していきたい、こういう考えを持っているようですが、このはしけの共国運航の問題について高嶋さんはどのように考えられておるか。  それから、吉岡さんにですね、これも港ごとに先ほど言われておるような共同雇用制度、プール制度、こういうものが確立をされ、それを確立をされたという前提の上に立って、はしけの共国運航、こういうものを認めていくといいますか、この共国運航体制というものについて組合として踏み込んでいくことができないのだろうかどうか、この点についての御意見を、簡単で結構でございますがお伺いをしておきたい。
  46. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) 私ども日本港運協会としては、それぞれの地区におけるはしけ運営問題につきましては、できるだけ個々の運営ではなくして大きなブロック運営運営されることが必要だという指導は行っております。したがいまして、共国運営につきましては、地域によってはなかなか一本化なんというようなことはできることでもございませんが、五つなり六つなりの共国運営体制をとることは望ましいことだ、このことが不当競争の防止策にもなるというような考え方で、このことについては長い間そのような指導をしてまいっておりますが、なかなかこの問題につきましては、地域ごとで非常に問題のあることだというのが現状でございます。  以上です。
  47. 吉岡徳次

    参考人吉岡徳次君) はしけの共国運航体制そ のものについて、私どもは否定をしているものではありません。一つの方法かと思います。しかしそれには、今も先生がおっしゃいましたように、はしけ労働者をいわゆるはしけ関係業者が共同で雇用の責任を持つ、このことが明確になりませんと、共国運営体制の中にはしけだけおっぽり出して後は知らないでは困るわけでありまして、何としてもはしけ関係業者が、共同でどのような場合であっても一切はしけ労働者雇用の責任を持つ、このことがきちっと前提でなければ、簡単に、これでよろしゅうございますというわけにはまいらぬと、こう思います。
  48. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 谷川先生に、最後になりましたけれどもお伺いをするんですが、先ほども料金の問題が出ていました。この業界のダンピング防止のために業界労働組合も真剣になって対処をしてきている。してきているけれども運輸省が入り込んでチェックをしてやっているわけですけれども、なかなかダンピングというのがなくならない、こういう状況なんですけれども、これをどういう形で持っていけば一体防止できるものなのか。  あるいは、先ほど高嶋さんからお話がございましたけれども料金体系が非常に複雑だ、これを荷物の依頼主がその依頼した時点でわかるふうな料金にしてほしい、こういうふうに言われましたけれども、私もこの料金の問題は、本当にわかりやすく、複雑なものをこの法律改定と同時にすっきりすべきではないか、こういうような考えを持っておるわけでありますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  49. 谷川久

    参考人谷川久君) お答えいたします。  私、料金の細かい問題についてつまびらかにしているわけではございませんけれども、一般論として申し上げますれば、ダンピングの問題というのは、一つは過当競争から出てくる問題であります。これを適正規模に業者を整理をするということになると、そこからまた雇用不安の問題が出てくるという、まあそれに輪をかけるということになるわけで、一応業法の建前としては、過当競争を起こさないような状態で業の認可をしていくという建前になっておりますけれども、しかし仕事がどんどん減ってくれば、どうしても過当競争状態というのは防ぎ得ない。これはやはり業者間で十分にその自覚を持って適正な料金を収受するという方向で努力していただく以外にないわけでありまして、それに対する業者間の制裁措置というものはどういうものがあり得るのかというような問題がありますけれども、どこまでならできるかという問題もありますけれども、その辺も含めてさらに努力をしていただくということではないか。それでも過当競争であるということであれば、ある程度の合理化はしていかざるを得ないし、そうでなければ共倒れになるという問題も生ずるのではないかという気がいたします。  それから料金体系の問題でありますが、これも一般論でございますけれども、複雑な料金体系というのは絶対に好ましいものではありませんので、簡易化されることがいいと思いますけれども、しかし簡易化されることの中で、わけのわからない料金が取られるということになるのは、利用者の側から見ると非常に困ることになるのではないか。その十分なコスト計算をした上で簡明な料金体系にするということは、私は賛成であります。そうあるべきだと思います。
  50. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 御出席の皆さん、御苦労さまでございます。  私は、今日の港湾運送事業の問題は個別対策では対応をし切れる問題ではないと思っております。賢明な関係者の皆さん方には、将来的展望に立った計画をちゃんと持っておられると思います。けれども、このことは余りにも関係者に対する影響が大きいので、何か伏せられておるような気がいたします。そういう前提の上に立って、まず谷川参考人にお尋ねをいたします。  一つは、今日の日本の海運ですとか港運における革新荷役はどこまで進んでまいりますのか、そして予見し得る事業者労働者に対する影響はどういうことになってまいりますのか、第一点としてお尋ねをいたします。  それから第二点は、そのような競争の中で、貿易立国を国是とする我が国にとって、国民生活に重要な貢献をしてきたといつも言われますのでありますけれども、このような改革のたびに重要な貢献をしてきたという賛辞を受けながら、犠牲を一番多く受けていくのが港湾労働者のように思えてなりません。はしなくも参考人の皆様方が港湾労働者の数の減り方を激減という言葉で表現をなさったのは、そのことを物語っておりますと思います。だから、変革には犠牲が伴いますのが常だと思います。けれども、かつての時代のことはいざ知らずといたしまして、これだけの革新荷役を行い得るシステムをつくる知恵を持った人間が、なぜこの犠牲を食いとどめることができないのだろうか、私は、こういう点を非常に痛ましく思いますのです。  だから、先ほど先生がおっしゃっておられましたように、例えば今の制度が今回のように改正されることによってメリットはありますとおっしゃった。それは例えばはしけの問題ですけれどもはしけを持たなければならないのが法改正によって持たなくてもよいということは、その業者にとってはメリットという意味で申されましたけれども、逆に百八十名のはしけ労働者にとってはデメリットになってしまうのでございますが、こういった点のより有効な調整がないのかどうか、この辺をお尋ねいたします。  それから、ただいまもお答えの中でありましたように、関連職場の開拓で労働問題への対応が必要だということを申されてきましたけれども、例えば荷役革新が行われてからもう十年になっております。けれども、こういった面で関連職場の開拓が真剣に行われたという実績がございませんから、それだけにやっぱり説得力がありませんと思いますが、これは事業者にそれだけの熱意がないのか、港湾労働の職場がそういうことを非常に困難としておるものがありますからできませんのか、その点、以上三つについてお尋ねをいたします。
  51. 谷川久

    参考人谷川久君) お答えいたします。  最初の問題、革新荷役がどこまで進むのかということでありますが、どうも私にはどこまでという見通しを必ずしも十分に立てる能力がございません。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、コンテナ化できる航路というのはほとんどコンテナ化が済んでおるというのが現状であるということであります。ただ、そうは言いましても、今度は技術革新のみならず、現在これは海運の方で問題になって、国際競争力の問題として、定期航路に投入する船腹の大型化が進められようとしております。そういたしますと、隻数は減ってまいりますわけでございまして、あとは景気によって物流がどの程度になるかということで港湾荷役の量というものが決まってくると思いますが、技術革新自身がどこまで進むかというのは、どうも私には十分わかりませんし、ただいま港湾局の方でも何か情報化の問題等結び合わせての研究などもされておるようでございますけれども、それが一体港湾運送にどういう影響を与えてくるのかということも、私は十分に存じているわけではございません。  それから、法改正によるメリットがあるということだけれども、例えばはしけにとってみれば、百八十名の余剰が出るということで、そこには犠牲があるのではないか。確かにそのとおりでございます。ただ、はしけ基盤にしがみついているというために、はしけ業全体が過剰状態になって全体が過当競争ということになれば、全体が共倒れをする可能性もなきにしもあらず、あるいは何らの対策を講じられないまま弱肉強食で弱いところが廃業に追い込まれ、必然的に失業者を出さざるを得ないということになる可能性もあるわけでありまして、これはそういうものが法改正の結果として出てくる離職者あるいは転職希望者についての対策というのはそれなりに行政の方で講じられ るものと考えておりまするので、その受け皿の中で処理をする方がよりベターではないかというふうに考えるわけでございます。  それから関連職場の開拓でありますが、これは実績がない、確かにそのとおりでございます。私は正直言って、業者が今までその点については怠慢であったのではないかというふうに思います。そう言うと高嶋さんに怒られるかもしれませんけれども、私はそう思います。そういう意味で、業域を拡大して失業労働者あるいは余剰労働者を吸収しようという努力は十分になされていなかったと私は思います。ただ、港湾労働者の側にも、そういう従来長年住みついてきた港湾、自分がやってきた仕事以外の仕事へ転職を余儀なくされることについて、強い抵抗があるということも事実だと思います。しかし、それよりも何よりも、十分にその努力をしていなかったのではないかと私は考えておるわけでございます。
  52. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ただいまの第二点目の、法改正によってはしけにおいて百八十名のいわゆる過員が生じてまいりますというその問題は、政治の問題であるという御意見のように受けとめさせていただいて、終わらせていただきます。  その次には、高嶋参考人にお尋ねをいたします。  一つは、ただいま谷川先生にお尋ねをいたしましたように、やっぱり関連職場の開拓ということについてはどのような努力をなさってこられましたのか、あるいはそのことは非常に難しいことでありますのか、難しいことであるとすればその理由は何でございますか。一般的に余剰労働力の吸収に対して私自身ももっとやっぱり努力をしてもらわなければならない問題なのではないか、このように思っておりますから、その点を第一点としてお尋ねをいたします。  第二点では、法改正については全面的賛意を表しておられますし、なるべく早く成立を要望しておいでになります。それは、あなたが統率をなさいます協会員全体の願望でありますのか、そのことについてお尋ねをいたします。  第三点は、あなたの協会にはたくさんの企業者がおいでになりますと思います。先ほど吉岡参考人もそのお答えの中で申されましたように、確かにこの法改正によって関係港運業者スタートラインに一応は一斉に並びますというメリットはありますけれども、後はやっぱり競争の社会の中で弱肉強食ではないか、それが単にその人の怠慢であるとか、あるいはその人の能力ということだけでその結果が出てくるのであれば、それもまたいたし方がない面があるかと思いますけれども、今日のそれぞれの港湾業者については、資格の問題もありましたりいたしまして、条件が一様ではありませんところにやっぱり必然的に追い込まれていく業者がありますことと思います、そういう人たちももろ手を挙げての賛成なのかどうか、あるいはそういう声はあると言われますのかどうか、その辺をお尋ねさせていただきます。  それから、私は、港湾事業というものは、やっぱり資本を持って事業を進められる方と港湾労働者と、さらにはまた荷主と消費者とがあってこそ、これ成り立っておると思います。必要なときには使っておいて、革新荷役の進行に従って不必要になったときには、それ職業訓練だ、離職手当だということではやっぱり済まされませんと思いますし、もう今日の港湾労働者というのは、日本の将来から考えてみても、これだけの人員ぐらいは確保しておかなければならないぎりぎりのところに来ておるのではないか、私はこのように思います。そうしたら、この人たち雇用不安を取り除いて、この労働者の仲間の中へ新しく参入をしてくるやっぱり若い人たちで新陳代謝が図られるような魅力のあります職場にせなかったら、皆さんの方の企業者にとっても不幸なのではないか。そんなことであれば、日本全体にとって大変な問題だと思いますが、以上の点についてどのようにお考えになっておられますか。お願いをいたします。
  53. 高嶋四郎雄

    参考人高嶋四郎雄君) お答えをさせていただきます。  我々港運業者は、昭和二十六年に登録制になり、昭和三十四年に免許制に相なったということでございますが、この二十六年の登録制の時代というのは、我々港運協会の会員というのはそれぞれ港湾運送事業だけを行っておったという関係者が大半であったというわけでございますが、この三十四年の免許制になり、それなりに業者としての自覚がついてきたわけでございますが、残念ながらこの時点貨物が非常に多くて、港に滞船、滞貨が続いたというようなことで、余剰労働力等の問題に対しては何らの関心を持っておらなかった。むしろ、要するに何らか違った方法で、少しでも港の仕事が少なくなる、あるいは簡素化される方向になってもらえないだろうかなというような、まあ安易な気持ちを持っておったということでございますが、四十二年以来の変化に対応して我々港運業者は、多角事業と申しますか、港湾運送事業関連のあるトラック事業あるいは倉庫事業、そのような事業にそれぞれ事業の幅を広めたというようなことで、かなり企業体質の強い港運業者にそれぞれ育ってきたわけでございます。  そういうことから申し上げまして、何万人の余剰労働者が港を完全に去っていったというわけではありません。それなりにそれぞれの企業の他の業種にある程度消化されていったというような関係にあるのであって、そういう環境にあるので、要するに、それぞれの企業とそれぞれの雇用労働者との間に問題が処理されていったというようにお考え願ってよいんではなかろうかと思っております。  それから、第二の、法改正のことにつきまして協会員は全部が賛成なのかという御質問でございますが、我々港運協会は千八百五十ぐらいの要するに地域ごとの港運業者免許業者を持っておるわけでございますが、これらの方々につきましては、法改正について、当然の問題として十分に意見を求めるための会合を行ってきておるわけでございまして、そのようなことからいきまして、この今日の法改正である限り、我々の会員の中に反対を言う——反対のための反対を言う人が二、三あるかもわかりませんが、全体的に反対を言うような方は私はあり得ない、そんな港運業者はあり得ないと、このように思っております。  それから、我々の業会は、内部にそれぞれ業種別に強力な部会がございまして、上から一方的に要するに無理なことを言っても、部会の中では、それに対して部会の組織をもって強力に反対をして、言うことを聞かないというような部会組織が確立しておりますので、まあ今言うように、一方的なものではあり得ないということと、それだけに部会のそれぞれがお互いに助け合う、会員が助け合うという精神が十分に渡っておりますので、この狭い港々の地域で同業の者がお互いに日々助け合って仕事をしておるわけでございますので、その助け合いの精神、協力し合っていくという精神が非常に強いということからいきまして、先ほどのいろいろ御質問の問題点につきましては、それなりに、我々を含めてすべて、要するに内部の関係によって運営されておるということで、御承知おきをお願いいたしたいと思っております。  それから、使うだけ使っておいて、とにかくまあ大きな変化があるから去っていくべきだというような物の考え方は理解できないんじゃないか、またそのような考え方を理解してはならないんじゃないかというような御質問もございましたが、時間の都合上私らは余り詳しいことを御説明するわけにはいきませんが、港運協会としては、行政の指導を受けつつ、船社団体ユーザー団体等からも、先ほどは単なる一円の問題が例に挙がりましたが、相当な金額のものが港運協会には助成として流れており、それが適切に要するにそれぞれの環境で処理されておるというようなことも御報告させていただきまして、お答えにさせていただきます。  どうぞよろしくお願いいたします。
  54. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 吉岡参考人には大変失礼でございますけれども、おわびをいたしまして、時間が 経過をいたしましたから、質問を終わります。
  55. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、お忙しい中を本委員会の審査のため貴重なお時間をお割きいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の本委員会の審査に十分に活用させていただく所存でございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会