○梶原清君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、ただいま議題となっております
関西国際空港株式会社法案に対し、賛成の立場から討論いたします。
昨年八月閣議決定されました「一九八〇年代
経済社会の展望と指針」において、「一九八〇年代は、戦後の
経済社会の歩みが大きな曲り角を迎える中で、これまで得た実りを生かしながら、来たるべき二一世紀に備えた基礎を築くべき重要な時期である。」と
指摘し、その基本的取り組みとして、
経済社会の安定を目指して創造的対応を図る必要があり、「国際性」、「
民間活力」などといった面を重視する新たな発想の必要性を述べているわけであります。
現在、
我が国の
運輸行政においては、来るべき二十一世紀社会を展望し、国土の均衡ある
発展を促進する総合交通体系の整備が急がれておりますが、とりわけ、
世界第二位の
経済大国となった
我が国の国際的役割の重要性を
考えますとき、二十四時間
世界に開かれた国際空港を早急に建設することは極めて緊要事であります。
周知のように、大阪国際空港は、現在厳しい運航規制からジェット機の新たな乗り入れができないため、国際航空交渉において大きな支障となっております。また、地方の各県でジェット機が就航できる空港の整備が着々と進展しているにもかかわらず、国内航空交通体系の
一つの重要な拠点。である現大阪国際空港への増便が不可能になっている事態は、
経済の
発展、国民生活の向上にとって大きな阻害要因となっていると言えます。このような
状況の中で、大阪国際空港の環境町題と将来の内外航空輸送
需要の増大に対処するため、航空機騒音問題の全くない海上空港として二十四時間
世界に開かれた関西国際空港が建設されることは、
我が国の将来にとって極めて重要な意義を有するものであります。
本
計画は、調査開始以来、今日まで実に十有六年、その間、多くの新しい試みの中で地道な
努力が忍耐強く積み重ねられてまいりました。
その
一つは、二度にわたる航空
審議会の
審議であります。同
審議会は、空港の位置の選定に当たり、航空機騒音公害を全く起こさないという方針のもとに、三年近い時間をかけて幅広い慎重な
審議、検討を行い、また第二次答申においては新たな技術の導入の可能性も探り、広い視野に立った検討がなされております。
第二は、徹底した環境アセスメントを初めとする事前調査と、その結果の公開であります。いわゆる三点セットによる地元への
説明は、大規模プロジェクトにおける新しい試みでございました。
第三は、本法案にあります株式
会社方式による公共事業の実施でありまして、これは、事業の効率的な運営が行われるよう、国の監督措置を必要最小限度にとどめ、
企業の自由性を最大に尊重する中で
民間活力を導入しようとするものであります。地元
経済団体や
関係地方自治体も資金を出資することにより、地元に密着した空港になることが期待されると同時に、今日の国の財政事情を勘案するならば、まことに適切な方式がとられていると言えます。この方式は、今後、
地域性の強い公共事業の実施につきまして将来モデルケースともなり得るもので、その成功を強く期待したいと存ずるわけであります。
関西国際空港は、来るべき二十一世紀に向かって、公害のない、二十四時間
世界に開かれた極めて重要なプロジェクトであります。国、地方公共団体及び財界の一体的責任体制のもとで、ぜひとも一日も早く円満に成功されていただきたいと心から念願をする次第であります。
今後、実施に向けて出てまいります諸問題の解決に際しましても、
関係者間で十分協議を重ね、地元の方々に不安を起こすことのないよう事業を推進させていただくよう要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)