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1984-06-26 第101回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十六日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員の異動  六月二十一日     辞任         補欠選任      藤田  栄君     堀江 正夫君  六月二十二日     辞任         補欠選任      堀江 正夫君     藤田  栄君  六月二十五日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     橋本  敦君  六月二十六日     辞任         補欠選任      江島  淳君     山本 富雄君      内藤  健君     佐藤栄佐久君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 佐藤栄佐久君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 山本 富雄君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 橋本  敦君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        大蔵省主計局次        長        兼内閣審議官   保田  博君        運輸省船舶局長  神津 信男君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省航空局長  山本  長君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        建設省道路局長  田中淳七郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       加治  隆君        環境庁水質保全        局瀬戸内海環境        保全室長     桜井 正昭君        大蔵省主計局主        計官       涌井 洋治君        水産庁振興部長  渡辺  武君        運輸省航空局飛        行場部長     松村 義弘君        運輸省航空局飛        行場部関西国際        空港計画室長   小坂 英治君        自治省行政局振        興課長      小島 重喜君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関西国際空港株式会社法案内閣提出衆議院  送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  関西国際空港株式会社法案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 安恒良一

    安恒良一君 関西国際空港問題の質問に入る前に、運輸関係する緊急の問題が出ておりますから、若干時間をとって、それから関西空港の中に入っていきたいと思います。  それは、実を言うと函館ドックにおきまして、現在の人員が、一般社員が千五百六十九人、管理職が百四人で、合計千六百七十二人の中で、一般社員を七百五十名、管理職を四十名、こういう人員削減が出ております。これは総体の人員の約五〇%に当たりますと同時に、函館ドック所在地域にも重大な影響を与える緊急問題でありますから、若干質問して、それから中に入ります。  御承知のように、六月の六日の日に、突如函館ドック株式会社の方から、今私が申し上げたような、現存をしている人員の約半分にわたる、いわゆる人員削減提案をされました。もちろんこの函館ドックは、経営上のいろんな問題がありますから、昨年の、八三年の春闘ではいわゆる大幅な労働条件の切り下げが提案をされ、十一月までかかってやっと組合側が大譲歩をして妥結した。その妥結の状況を言いますと、労働時間を一日四十五分延長する、それから賃上げはゼロ、定期昇給のみ、定期昇給は三千七百五十円、夏のボーナスは二十二万、年末は二十三万、こういうことで大幅な譲歩をして妥協をした。ことしの八四年春闘も全く同じような状況で、双方生産に全力を挙げる、こういうような中で、配転や多能工化などの職場体制、こういうことについてもことしの二月、労使話し合いが調って、実施に入ったばかりであります。  こういう状況ですから、組合員の一人当たりの年収は二百七十六万七千円ということで、非常に低い低賃金。いわゆる合理化に協力できるものはすべて組合は協力をして、生産を上げるべく努力をしているそのやさきに、全く唐突にこの人員削減が出てきた。  どうもこの人員削減計画がどういうことになるかというと、このような人員削減をやった上で、その後会社経営は有名な坪内グループに入ると、こういう考え方が提案をされてきています。  そこで私は、この問題は今申し上げましたように、ドックで働く労働者にとって重大な問題であると同時に、非常に北海道というのは雇用不安が高いところでありますが、さらに函館ドック室蘭並び函館地域社会に与える影響、こういうものが非常に大きいわけでありますから、以下、次のようなことについて質問をしたいと思うのであります。  まず一つは、これはもう一々答えていただくと時間がかかりますから、私の方から少し設問をして、その事実についてお答えを願いたいと思いますが、造船界の今後の見通しについてでありますが、大体昭和六十一年から六十二年ごろには船腹需給バランスがとれるものだというふうに 思っていますし、不経済船のスクラップ、それから中型タンカー耐用年数が終わるということ、それから穀物や石炭などの荷動きによるばら積み船の増、こういうようなことが考えられる。そういうことから、ことしの五月ごろからタンカー引き合いが急増しているように私は造船界現状考えているのでありますが、この点はどうなんだろうか。  それから、韓国との関係では、今、船の値段の差が六%と試算されていますが、韓国自体がインフレになってきたということ、それから関連工業エンジン等の弱さを考慮に入れますと、日本造船競争力は劣ることはないだろう、こういうふうに今後の予測考えられますが、この点はどうか。  それから、造船産業社会性について少し聞いておきたいんですが、日本造船は、ほぼ国内船全数建造し、輸出入等円滑化経済発展に今日まで寄与してきていると思います。それから、総合組み立て産業として先端技術を絶えず取り入れられる、組み合わせられる性格から、技術的に重化学工業装置産業など、技術面に大きく今日まで寄与してきているということ。それから、造船産業というのは全国各地に立地をし、各地経済雇用への貢献とともに、技術供給源として機能してきていると思いますが、以上のような認識についてほぼ間違いがあるのかどうか、この点をまずお聞きします。
  4. 神津信男

    政府委員神津信男君) お答え申し上げます。  まず、今先生から具体的に御指摘がございました問題の前に、我が国並びに世界造船業を取り巻きます状況につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  我が国造船業は、前回のオイルショック以降、世界的な船腹過剰とその後の経済安定成長下におきまして世界的な新造船需要減少がございまして、日本造船業も非常に大きな影響を受けておるところは御承知のとおりだと思います。そのような状況の中で、需要減少、それから船価水準が非常に低くなっているということ、それから今先生の御指摘がございました韓国など第三造船諸国が台頭してきておるということから、非常に厳しい状況に直面をしておりまして、各企業ともこの不況乗り切りのためにいろいろの合理化努力をしているところでございまして、私どもといたしましても、今後造船業のあるべき姿につきましていろいろ検討を加えておるところでございます。  そこで、先生指摘のまず第一点でございます今後の見通してございますが、昨年の海運造船合理化審議会の御審議におきまして、今後の造船需要見通しといたしまして、六十二年ごろには世界的な船腹過剰状態が解消されて、いわゆる代替建造が始まってくるであろうという見通しを立てておりました。その後の情勢を見ますと、昨年、予想外の実はばら積み貨物船の発注がございまして、当初予定していましたよりも五十九年、六十年の仕事量がふえたのは事実でございますが、これは一部、省エネルギー船建造需要がふえたことと、非常に船価底入れ感がございまして、需要先食いではないかという見方が強いわけでございまして、現在の段階では、必ずしも、六十二年ごろに船腹需給バランスがとれて新造需要が出てくるということにつきまして、やや問題があるのではないかというふうに考えられております。それからタンカー需要につきましてでございますが、確かにタンカーにつきましても、前回高度成長時代につくりましたタンカー耐用年数がそろそろいっぱいになりまして、新規の需要が出てくるのではないかという期待はございますが、現在のところ、まだ特にその引き合いが急増したというような情勢ではございません。  以上のような情勢を踏まえまして、今後の見通しにつきましては、必ずしも需要が増してくる、強含みであるということはまだ申し上げられない段階でございまして、私どもといたしましても、現在さらに需要見通しにつきましていろいろの作業を進めておる段階でございます。  それから御質問の第二点でございまして、韓国との船価差を含みました国際競争力の問題でございますが、コスト計算をいたしますと一応韓国とは五、六%の差であるという試算もございますが、実際いろいろ国際競争国際入札をしてみますと、かなり船価差があるという結果が出ておりまして、今後相当我が国造船業合理化をしていかないと、韓国などとの国際競争を十分に戦っていくということについてはまだまだ問題があるというふうに考えております。  それから第三点、造船業社会性の問題でございますが、一つ国内船全数建造を初めといたしまして、我が国輸出入貨物の円滑な輸送並びに世界船腹相当量建造しておりまして、世界的に見ましても貿易構造発展寄与をしておるという御指摘、それから総合工業といたしましていろいろの先端技術を取り入れまして、我が国総合工業の推進並びに技術面での寄与という点、それから第三の、各地に存在をしておりまして、各地経済並びに雇用に多大の貢献をしておるという点、これらの造船工業社会性につきましては、全く先生指摘のとおり、私も非常に重要なものであると考えておる次第でございます。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 造船産業日本経済に占める社会性はそのとおりだと。あとのところ、若干違っているようですが。  あなたたちは、造船産業長期ビジョン作成について、既に作成をされておりますね。これは間違いないですね、おたくでお決めになったんですから。そういうものを私は参考にしながら、いわゆる今後の予測というものを立てたのでありますし、さらにいわゆるあなたたちがいつもこの審議会等でよく聞かれる小山東大教授の「造船産業現状と将来」という、こういうものも参考にしながら私は聞いたわけですからね、あんまり違ったような話をするとこれをまたじっくりやらなきゃならぬけど、これはまた改めて次の運輸委員会でやりますが、こういうものから見た小山先生の御意見、それから運輸省が立てられた造船産業長期ビジョン、こういうものの中から私は造船産業の今後の将来性について申し上げたということだけは、一言申し上げておきます。でないと、こういうことを聞かれて肯定したら何かえらいあとがあるかわからんと思って、えらく否定的なことを言いよるけれどもね、あなたたちがお出しになったものを私は読んでそういうことを申し上げているんですから、そこは間違いがないように答弁してくださいよ。  そこで、そういう状況の中で、私はこれから先よく大臣に聞いておいてほしいんですが、今回の会社再建案を見ますと、事業計画は全然ないんですよ。とにかく人間を減らすんだと。そして、その後坪内グループに入って二百億円程度の売り上げ企業にすればいいんだと。現在は三百億から三百二十億の売り上げを持っている企業だ。ですから、それにするために人員を減らすと、こういうことですね。そして、新会社がどういうことをやるかというと、債務処理——現在五百七十億の負債を抱えていますが——は、この負債会社から企業設備をリースをする、そして営業する、こういう関係考えているようですが、全く縮小生産体制ですから、私は、こういうやり方をすると五百七十億の負債を返すのには大変になるというふうに考えて、なかなかこのやり方では正常化することは非常に困難になるだろうと思っています。  一方、ちょっと労働省にここで一つお聞きをしておきたいんですが、函館求人倍率室蘭求人倍率はどうなっていますか。
  6. 加藤孝

    政府委員加藤孝君) 北海道全体の今求人倍率が非常に厳しい状況にあるわけでございまして、全国平均が〇・六四倍になっておるのに対しまして、北海道全体で〇・二四倍というような低い水準にあるわけでございます。特に函館室蘭関係につきましては、この四月で函館が〇・二六倍、室蘭は〇・一八倍、こんなような非常に厳しい状況にございます。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 ですから、今職安局長に答えていただいたとおり北海道自体が非常に雇用不安です。特に函館の場合は、〇・二六、室蘭は〇・一八 という最悪不況地域ですね。その最悪不況地域にこれだけの失業者がほうり出される、大量はうり出される。そういうことが社会的に許されていいのだろうかどうだろうか。特に五十四年からこの函館造船経営はだれがやっているかというと、日本鋼管、丸紅、富士銀行、この三社がバックでこれをやっているわけですね。これはいずれも日本トップ企業であります。ですから、そういうトップ企業経営の主体を担っておきながら、ただ単に人員を大幅に削減をするということだけで再建計画、果たして責任を持つことができるんだろうか、こういう実は私は疑問を持ちます。  じゃ、会社側のやっていることだけを批判をして、具体的な再建案安恒君なり組合はどう考えているかということでありますが、その点については組合組合なりできちっとした再建案考えています。現在函館ドックが持っているドックの中で、函館における八万トン、それから室蘭における二万八千トンの船台は現在使用されておりません。これはなかなか運輸省としては簡単にこのことを使用をすぐ許可するというわけには造船削減計画全体でいかないと思いますが、こういう、いわゆる会社人員の半分をも縮小しなきゃならぬ、しかも厳しい雇用状況における北海道に大量の人が出るんです。これはなぜ私がこのことを重視したかというと、御承知のように三井の問題でありますね。これ、北海道であれだけの事故を起こして大量の解雇が出たまま、依然としてあれが今日雇用吸収ができていないということは、これは職案局長承知のとおり。加えてまたこんなに出るという状況であります。  でありますから、こういう船台をやはり使用する。その中で新造船売り上げを、三百四十億から四百億の売り上げを見込むことができる、こういうようなことでですね、時間がありませんから細かく組合の私は再建計画案をここで申し上げようと思いません。これは労使で十分話し合ってもらわなきゃならぬことでありますが、いずれにいたしましても、私はこういうような縮小生産ということじゃなくして、むしろ組合等は積極的に経営再建する方策を提起しております。  そこで、私はもう一つこれを運輸省に聞いておきたいのでありますが、特定不況産業安定臨時措置法がございます。造船産業はいわゆるこれに指定をされて今日まで乗り切ってきたのでありますが、私はこの特定不況産業安定臨時措置法審議するときには、商工委員会で五時間このことについて質問をした記憶を持っております。この中で、いわゆる安定基本計画案は、「雇用の安定及び関連中小企業者経営の安定に配慮しつつ」「国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と、こういうふうに第一条では明確に「目的」になっていると思いますが、この点は間違いありませんか。
  8. 神津信男

    政府委員神津信男君) 函館ドック再建計画につきまして、先生からいろいろ御指摘をいただきまして、先生のおっしゃることも私どももよくわかるわけでございますが、従来から先ほど申し上げましたような世界的並びに日本造船業の置かれた立場から、いろいろの不況対策を実施してきておる中でございまして、会社提案再建案あるいは組合提案再建案、いろいろの問題点があると思いますので、私どもといたしましては、そういう問題につきまして労使でよく話し合っていただきまして、先生おっしゃるように、なるべく地域経済あるいは雇用に悪影響の出ないような再建をしていただきたいと思っておるところでございます。  ただいま先生指摘ございました特定不況産業安定臨時措置法につきまして、ただいま先生の御指摘のように「目的」に雇用の安定と経営の安定というのを両立させろというのがあることは、私どもよく承知をしております。なお、この法律は臨時措置法でございますので、一応五十八年の六月、昨年に期限は切れておりますが、その精神は依然として生きておるというふうに私どもも理解をしております。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 私もこれは切れていることを知っていますが、この適用のもとに造船産業が今日ずっと進んできたんだろうということを言っているわけです。  そこで、ひとつ運輸大臣お願いをしたいんでありますが、ぜひひとつ、造船業運輸大臣監督下にあるわけでありますから、どうぞ運輸大臣、それから雇用問題は労働省関係します、労働大臣ですね、それからいわゆる銀行債務関係がございますから、いろいろ、富士銀行がバックボーンになっているようでありますから、大蔵大臣等とぜひ運輸大臣ひとつ御相談をいただきまして、労使双方でこの問題が円満な話し合いがつくような御指導をぜひお願いをしたい。  特に、どうも七月九日から希望退職を一方的に募るなどという動きが今あるようでありますが、そうなりますと、また今度は組合反対闘争となると、ますます事態が大きい問題になると私は思います。ですから、積極的に労使がこの問題の中身について、どうしたら前向きに会社が立派にやっていけるかということがお話し合いができるような御指導を、ぜひ運輸大臣監督官庁としてお願いをしたいと思います。  大臣の御答弁お願いします。
  10. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 造船業界全般が大変な冷え込みで問題でございますが、なかんずく函館ドックは大変な問題になっておりますし、特に場所が、今御指摘になったような北海道、非常に特殊な事情下にもございます。問題は非常に困難な状況下にあると思いますけれども、困難であればあるだけ、今おっしゃったようにあらゆる方面で知恵を出していかなければ、ただ単純に——まあ単純でもないんでしょうけれども、いろいろ考えた末ではあろうと思いますが、一方的なことだけではこれは、社会秩序といいましょうか、一種の社会問題になる、こういう問題でございますので、運輸省としましては、関係各省との間、また経営者金融機関、あるいは労働組合皆さん方、御意見を調整しながら、できるだけ影響のないように、影響が少ないようにできるだけの努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  11. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ大臣の御努力お願いしまして、関西空港問題に入ります。  関西空港問題について、前回質問後いろんな資料をたくさんいただきました。その資料に基づいてこれから質問をしていきたいと思いますが、まず、一億五千万立方メートルの土取りについて、この前、ボーリングをしている場所、地名、土地所有形態について資料を出していただくことになりまして、出していただきました。  そこで、ちょっと大臣にお聞きをしたいんですが、大臣は、私とのやりとりの中で、できるだけ公有地中心にやりたいんだ、しかし、公有地だけでは全部とれないかわからない、こういうやりとりにこれはなっているわけですね。それから衆議院におきましても、この土地はだれが持っている、だれが持っているという野党側質問がありまして、既に利権としての買い占め等が行われているという議論があったときも、大臣は、いいことを聞かせていただきましたと、そういうふうに、いわゆるわかりやすい言葉で言いますと、金もうけ主義のようなことについて、大臣は、排除をしていきたいんだという趣旨の御答弁もされています。そういう中で私は、このボーリングをやった箇所の資料手元にいただきましたら、いわゆる民間個人所有と、それから今度は県公社、それから財産区、それから住民共有、まあこれは個人じゃありませんね。ですから、公的とまで言えないかもわかりませんけれども、あえて私は点数を甘くして、住民共有も公的の土地だと考える、それから財産区も公的だ、県公社はもちろん公的な土地ですね。こうすると、半分はこれは完全な民間個人なんですね、私の手元に来ています。  例えば一つの例を挙げますと、和歌山深山字田井谷というところは株式会社明和が持っている。和歌山加太字大谷株式会社興和が持っている。その他あとのところ、もう大臣手元にあると思いますが、あとのところはどこどこは個人個人と。これちょうど、私たまたま計算しました ら、半分半分なんですよ。甘く見た公有地個人のところを見ても、これは半分半分になっているわけですね。これで果たして、大臣が何回も何回も答弁をされているように、公有地中心に土がとれるんだろうかなと。いや安恒君、それはボーリングした場所だ。これは、ボーリングしたということは、大体ボーリングしたところを中心にとろうというお考えだろう、高い金使ってボーリングされたと思うんですけれども、これを見ますと、個人所有といわゆる甘く見た公有地とがまるっきり、ちょうど偶然の一致か知りませんが、丸半分半分になっています。  こういう点で後でちょっと大臣に聞く前に、株式会社明和株式会社興和というのは、これは和歌山信用組合といいますか、そこのいわゆるダミー会社だというふうに思いますが、その点はどうですか。まず、その二つの会社性格だけちょっと教えていただきたい。
  12. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 御指摘株式会社明和興和和歌山商工信用組合が一〇〇%出資しております同組合担保不動産管理会社でございます。
  13. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、そんなことなんですね。ですから、こういう状況の中で大臣は、一億五千万立方メートルの土取りは、公有地中心に、どうしても足らぬときは民有地もとおっしゃっているんですが、本当にそういうことが守り通せるんでしょうか。その点をちょっと、実態が明らかになったものですから、大臣のお考えをこの際お聞かせを願いたい。
  14. 山本長

    政府委員山本長君) 土取り地の選定につきましては現在調査をやっておりまして、慎重の上にも慎重を期して問題なからしめるようにしていかなければならないというふうに基本的に考えておるところでございまして、そのためにも公有地比率が高いところがやはり無難である、こういうところをやはり重点に考えるべきだという考え方については、大臣も御答弁申し上げたとおりでございます。  先生の御指摘ボーリング地点、現在十八地点でございまして、この十八地点のボーリングをしている地点の所有形態を調べてみますと、先生指摘のように、準公有と申しますか、住民共有土地も含めまして九カ所、つまり民間所有が九カ所というふうになっておるのでございます。現在ボーリング地点の所有形態はこのとおりでございますけれども、これを取り巻く広い範囲の所有形態等については現在鋭意調査を続けておるところでございます。  私たちの調査の結果によりまして、先ほど言いましたような慎重な検討の上、土取り地を決めてまいる、こういう考え方でございますけれども先生の御指摘のこの九カ所、十八地点と九カ所との関係につきましては、私たち土取り候補地というものがこの九カ所にまたがってというふうなことはあり得ないというふうに考えておりまして、このうちのどこかからとる、最終的にどこかからとるということになると思うのでございますけれども、その最終的な決定に際しましては、大臣が御答弁申し上げておりますように、その周辺における土地所有形態等も十分精査し、そしてまた、これも前から言っておりますが、公害の防止あるいは環境面への配慮、それから地域発展に資するように跡の土地が利用できるかどうかというその可能性等々をも勘案して決めてまいりたいという考え方でもって進みたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま航空局長から御答弁申し上げましたが、これらの泥の質なり、あるいはとってそして運ぶという技術的な問題も非常に絡んでまいることはもう当然だと思うのでございます。しかしながら、この今回の土取りにつきましては、これは今回だけに限ったわけじゃないですけれども、跡地をどうするかという問題があるわけですね。ですから、望ましくんば、あなたがお認めになって、今御質問の中にあった広い意味での公有地、またはこれに準ずるものの方がもう望ましいことは、これは少々無理をしても、少々高くついてもその方が結果的にはいいものになる、いい結果が得られる、こういうことはもう間違いがない事実だと思うのでございます。ですから極力努力しなきゃなりませんが、それでもなおかつ、どうしてもそれはできないんだ、またそれでは足りないんだというものについては、これはやむを得ない。  これはもう当然私は全力を挙げて、少々無理をしても公有地を優先に考えることの方が当然である、かように今でも信じておるわけでございます。  ただ、量の問題がございますから、どれだけの量になるかという問題は、技術的な問題やその他実際の運用上の問題が絡んでまいりますが、考え方としては私申し上げておる考え方に間違いがないと思っております。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 結局、公有地ということについて私まあきょうは少し甘くしたのは、たまたま私この資料に基づいて、住民共有とか財産区という問題が出てきたから言っているわけですね。この資料だけで見ると、県公社が持っているというのは一カ所しかないんです。しかしあえて財産区までは私は一つ公有地だと思いますし、さらに甘くしても住民共有、住民みんなが持っているというのが共有というところまでであって、ですから私も、十八カ所ボーリングされたからすべて十八カ所でおとりになるとは、それは考えていません。  そこで、今の大臣答弁は、この前大臣がこう答えているんです。「なるべく公有地にいたしたいと思います」、「しかし、それだけで全部賄えるかどうかということになると、なかなかそうはいかないという場合もあります」と。そこで、何%ということは答えられないけれども、最後に、「私の気持ちとしてはもうできる限り公有地からとるべしという気持ちでお答えを申し上げたのです。」ということは変わっていないですねということなんです。変わっていないなら変わっていない、それだけで結構なんです。変わっていませんね、大臣
  17. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 考え方としては変わっておりません。技術的な量がどれだけになるかという問題についてはこれは別としまして、私としては最優先に考えるべきであると、かように思っております。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 次は、空港機能について。  前回質問の中で私、空港機能については主として滑走路のことを申し上げました。時間がありませんから、私はこの空港機能がかなり、二十四時間国際空港としてはやはり問題があるなどいう気がします。  その一つは横風滑走路、これは時間がありませんからきようは議論しませんし、衆議院でも議論されていますが、一番私が問題にしているのは、当初四千メートル二本、それと補助というのが、三子三百メートルになったということなんですね。そこでちょっと、まず、この一本を当初計画の四千メートルに戻す、そうするとお金がどれだけ余計要るんでしょうか。三千三百でつくった場合と四千メートルに戻した場合のお金の差についてひとつ答えてください、資料はもらっていますから。
  19. 山本長

    政府委員山本長君) お答え申し上げます。  私たち計画でございます第一期計画は、五百ヘクタールの用地に先生指摘の三千三百メートルの滑走路をつくって供用を開始するという計画でございました。それに要する工費は八千二百億というふうに算定をいたしております。  先生お尋ねの、これをさらに四千メートルに延ばす。一たん三千三百メートルをつくって、そして四千メートルにその後延伸するというところの追加投資と申しますか、といたしましては、約八百億円弱というふうに計算をいたしておりまして、工事費の合計はそういたしますと約九千億円弱ということになるのでございます。  それに対しまして、先生お尋ねの、最初から四千メートルをつくるというふうにして建設した場合の工事費は、これも約八千九百億円でございます。試算の数字をちょっと細かく申し上げますと八千九百四十億円というふうに試算されておりま す。  その差は六十億円という差でございまして、差があることは事実でございますが、この理由は
  20. 安恒良一

    安恒良一君 いいんだ、聞いたことだけ答えてください。  私が言っているのは、三千三百を最初から四千メートルでつくったらどのくらい金がかかるのかと言ったんだから、その金だけ言ってもらえばいいわけですよ。その差とか、その理由とか、そんなことを聞いているわけじゃないんだよ。時間がもったいないから聞いたとおり答えてください。  大臣ね、それから大蔵省も来ていただいておりますが、私いただいた資料によると、今おっしゃったように三千三百メートルの滑走路をつくる。これは用地造成費が違うだけで、空港施設費とか橋梁費は違わないわけですね。そうすると片方は八千二百億だと。それから最初から四千メートルをつくると八千九百四十億なんですよ。そうすると、いわゆるその差は七百四十億の違いがあるだけですね。七百四十億しか違わないんですよ。今度、後から継ぎ足すと幾らかかるかというと、その場合にはこの資料によると九千億かかる。ですから、やはり最初からつくった方が安く上がることは間違いないんです。  そうすると、せっかくいわゆる、この前も聞いたように、これからますます日米の交流は盛んになってくる。西海岸までしか行けないと。東海岸まで行けるようにするためにどれだけの金を余計差額を出せばいいかというと、最初にやっておけば、七百四十億今の計画よりも上積みすれば立派なものができる、こういうことにこれはなるわけですね。  ですから、どうしてここをこういうふうに、最初は四千メートル二本と補助と言われたのを、一本にして、補助もやめて、しかもそれを三千三百にね。お金と言われるでしょうが、お金といっても七百四十億しか遣わぬのですからね、七百四十億しか。せっかく二十四時間空港をつくるならば、大型ジャンボ機が東海岸まで行けるようなのをどうしておつくりにならないのか。私はよほど工事費が違うかなと思って事務当局に出してもらったら、これだけの違い。私はこれは非常に理解に苦しむんですね。  ですから、それは大臣、大蔵大臣とあなたのメモの中に、いただいた資料の中にこういうくだりがあります。それが影響しているのかなと私は思うんですが、ことしの予算編成時に両大臣の折衝の際の中の覚書の第三項に「工事費の削減に努める等、会社の採算性の確保を図るよう会社指導すること。」、こういうふうに大蔵大臣とあなたのメモがあるんですね。  そこで、大蔵省にもきょう来てもらっているんですが、この「工事費の削減に努める」というのは、大蔵省のお考えは、このような欠陥空港といいますか、せっかく日本からアメリカに行くのに、一遍西海岸におりてそれからワシントン、ニューヨークに乗りかえなきゃならぬようなことを大蔵省はお考えになっているのかどうか。この「工事費の削減に努める等」というここは、両大臣のメモの解釈について後から聞かせてもらいますが、どうなんでしょうかね。ここのところは、私はやはりせっかくおやりになるならば、あと七百四十億出せば四千メートルができて、一遍にアメリカの東海岸まで行けるのを、ここで節約することはないんじゃないですか、これだけのでっかいことをやるのに。  わかりません。そこをひとつ聞かせてください。
  21. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 全くありがたい御指摘なんでございまして、国のやることはこういうことが案外多いんですが、やるならば四千メーターつくっておいた方がいいだろうというお考えは、これはもう、一つの御見識であり、我々も非常によくわかるところでございます。  ただ問題は、現下の予算事情が非常に窮屈であるということ、今おっしゃったような大蔵、運輸大臣の申し合わせの問題、これがいいことか悪いことかは別でございますが、やむを得ずそういうふうになったということと、それから、やはり当初の投資が大きいということ、その大きいことによって得られる利益というのは東海岸に直行ができるということなんですね。これはもう大きいといえば非常に大きいわけですけれども、西海岸まではとりあえずのお役には立つということなんで、会社経営上、利益の問題とか、そういったいろんなことから考えますると、三千三百でもとりあえずの役には立つということなんでございまして、この辺の考え方は非常に微妙なものだと私は思うのでございます。  ですから、あなたの御意見に私同調したいような気持ちも非常に強いわけでございますけれども、政府の中はなかなかいろんな事情があって、そういうわけにもまいらないのでございますけれども、私は、もうすぐに四千メーターに拡張する工事を続けてやらなきゃならなくなる、また、そういうような構えで埋め立ては続けてやれるような態勢でやっておくということで辛抱するしかないかな、こういうことでございます。ざっくばらんなところを申し上げると、そういうことでございます。
  22. 保田博

    政府委員(保田博君) お答えいたします。  ただいま運輸大臣からお答えがございましたとおりでございます。政府部内におきまして予算編成の過程においていろいろ検討を重ねてきた結果がああいう結論になっておるわけでございますが、我々としては、新空港に期待されておる空港としての機能を果たしつつ、かつまた安全運航が可能であるような空港であってほしいということでございます。それを犠牲にして三千三百メートルにカットするといったようなことを運輸省に強制するといったようなことはしなかったつもりでございます。
  23. 安恒良一

    安恒良一君 だから、本当に安全運航を考えるならば、まず一つは横風滑走路というのが要るんですよ、横風滑走路というのがね。それは衆議院で議論になっていますが、年間何%というから、比率からいって当面はと言っていますけれどもね。  それから、大臣に重ねて僕はお聞きしたいんですが、本当にあなたたちは大蔵省なり関係各省と、八千二百億、四千メートルにするために八千九百四十億、あと七百四十億あればアメリカの東海岸まで直行便で行ける飛行場がつくれるんだ、しかし、いや、それでも七百四十億は今は節約しようじゃないか、こんな議論をされたんですか。  それから大臣は、またすぐ四千メートルに延ばさなければならぬと。延ばしたら今度は、最初やっておくよりもお金が余計かかるんですよね、これは。ですから、どうせ延ばさなければならぬのだったら、一遍ぐらいあなたたち原案出されても、野党側から建設的な提案があったら、それをやっぱり聞くぐらいの耳を、政府部内で相談をされたらどうですか。わずか七百四十億です。というのは、私の手元に、乗客の何%が東海岸に行っている、便数が何ぼある、直行便が何ぼあるというのをいただいています。そういうもの等を考えて、今後ますます私は東海岸へ行くお客はふえてくると思うんです、直行便。たまたま現在でもらいましたら、全体のまだ九%程度だと、こういうふうに今資料をいただきました。  しかし私はやっぱり、アメリカと日本の交流、アメリカから日本に来る場合等、いろんなことを考えると、七百四十億ぐらいあと足せば、その方が安上がりなんですね。安上がりでしかも、ジャンボジェット機が直行便でお互いに行けるということになるなら、私はこういうところについては少し耳を傾けられて、やはり政府部内においても御相談されてしかるべきじゃないか。八千二百億の工事をやるのと八千九百四十億の工事をやるのと、わずか七百四十億でしょう。だから、どうせこれつくり上げるまで六、七年かかって、つくり上げた途端にまた次を延ばさなければならぬなんて、そんな中途半端なこと、いま少し運輸大臣やっぱり頑張って、ほかを説得しなければだめですよ、こんなもの、だれが考えたって。私はこういう提案については、何もたまたま私が言っている わけじゃなくて、恐らくここでお聞きの皆さん方もそんな無理なことじゃないと思うんですよね。  そういう点について一遍考えてみたらどうですか、大臣
  24. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御案内のように、今公共事業費マイナス五%シーリングというような中で、これだけの大プロジェクトに新規着手をすることを認めてもらうわけです。それはもう予算の環境からいうと、これは大変な事業のわけなんでございますね。そこで、いろいろありましたけれどもこれでおさまったということなんですが、今おっしゃっておるのは非常な前向きな御意見で、ごもっともな御意見だと思いますので、まあ一年二年でできるものじゃございませんので、私はこの点についてはさらに政府部内で頑張ってみます。  そこまでにしてください。ちょっとそれ以上お約束をするというようなわけには、私は財政当局でございませんのでできませんし、それから何しろ予算が厳しゅうございますので、新空港をやる予算そのものを新たにとる、そしてしかも相当長期にわたって約束させるということなんでございますから、そういう点もひとつ苦しい政府の財政の事情も御勘案をいただきたい。しかし、おっしゃっていることは大変私は傾聴に値すると思いますので、政府部内で努力をさせていただきます。
  25. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ大臣、政府部内で。  というのは、今公共事業費なりマイナスシーリングについても、与野党いろいろな合唱が起こっているじゃないですか、現実に。竹下大蔵大臣はきょうお見えになっていませんが、あと総理はいろいろ言っておられますけれども皆さん方の政調の方からも、この際は少し公共事業をふやさなければいかぬとか、マイナスシーリングおかしいじゃないかという声が、与党の中からわっと今あなた起こっている時代でしょう。その場合に、そうかといって私はただ単純に赤字公債じゃなくて、このようにやはり我が国の将来に残るもの、いわゆるこういう建設的なものについては、これこそ大臣頑張られれば、今あなた、与野党でみんな、一律マイナスシーリングは間違いだ間違いだと、みんな来年度の予算に向けて大合唱が起きている時代でしょう、率直なことを言って。  野党が言っているだけじゃなくて、与党がまず先に言い出したんだ、与党がわっと。しかもあなた、党の中枢都におる人がいろいろ言う。そういう中で、こういうものは一番国民的に合意性がある、国民的に意見が一致するものですから、ぜひこの問題は、これ以上やりませんが、ひとつ大臣頑張ってもらいたいということを申し上げておきます。  そこで、その次は、今度はいわゆる空港に至るまでのアクセスについて少しお聞きをしたいと思います。  まず、新関西国際空港のアクセス問題について、乗客をどう運ぶかということですが、今度つくられる新関西国際空港は大阪の中心部から直線で約三十五キロメートルのところに位置をしているわけであります。そこで、この空港利用者の利便と地域社会に交通公害をもたらさない方法を考えなきゃならぬと思いますが、このアクセスの施設について整備に万全を私は期さなきゃならぬと思います。これには私は二つの方法があると思うんです。どちらもやらなきゃならぬと思いますが、一つは大量輸送である鉄道をどのようにやるのかという問題があります。それから二つ目には道の、道路の整備計画だと思います。  そこで、順次聞いていきますが、道については、一つは湾岸道路をどうするのかという問題。二つ目には近畿自動車道和歌山線の問題があります。それから、三つ目には国道百七十号線の問題があります。それから、四つ目にはいわゆる空港連絡橋をどういう形でどのようにつくるのか。これは必ずしも連絡橋だけじゃなくて、一時期にはトンネルという説もいろいろあったようですが、こういうのはこれから順次聞いていきますが、少し時間をかけてお聞きをしたいんです。  ところが、その前に一つ。成田ですね。非常に足の便が悪いことで有名ですね、これ。東京から成田へ行くのは大体一時間ちょっとで行けますが、外国から帰ってきて東京へ入るのに大体二時間見ておかぬとほとんど不可能だということで、非常に首都の国際空港としては、日本国民だけじゃありません、いわゆる外国のお客さんからも大変不便な空港だといって評判が悪いんです。  そこで、当時成田をつくるときのいわゆるこのアクセスについて、やはり国会でいろんな議論をされていますが、道、鉄道、それが計画どおりにできているか、できていないか、成田についての現状について、これも表をいただいていますから、簡単に説明をしてみてください。
  26. 山本長

    政府委員山本長君) 私から、直接道路、鉄道の所管じゃございませんが、概括的に御説明を申し上げたいと思います。  道路につきましては、首都高速、京葉道路、東関東自動車道、それから空港線、湾岸道路等について計画がございました。これについては、計画に沿いまして供用が開始されているという状態でございます。詳しくは建設省からお答えを願いたいと考えております。  鉄道につきましては、総武本線の東京−千葉間の複々線化が一つございました。これは五十六年七月に供用を開始いたしております。  成田線佐倉−成田間の複線化という計画がございました。これは六十一年度以降工事に着手する、こういうふうな計画と承っております。  それから空港線、これは成田−新空港間の延伸でございますが、現在検討中ということでございます。  それから地下鉄の五号線、つまり東陽町と西船橋間の建設でございますが、これについては既に供用を開始しておる状態でございます。  なお、都心と新空港を結ぶ直通高速鉄道、いわゆる成田新幹線の建設については、諸般の事情によりまして、一部空港周辺において工事に着手いたしたわけでございますが、全般的には着手に至らず、なお検討中と、こういう段階でございます。
  27. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) ただいま道路につきまして航空局長さんからある程度概括的なお話がございましたが、詳細を申し上げますと、まず、首都高速道路の七号線を京葉道路まで延伸するということが一つと、それから、京葉道路の第一期区間、これが四車線であったわけでございますけれども、それを六車線に広げると。具体的に申しますと、谷河内から船橋インターまででございます。それから、京葉道路の第三期区間、これは幕張−宮野木間でございます、の新設。それから、東関東自動車道鹿島線、これは京葉道路の第三期の区間の終点から成田市までの間でございます。それからもう一つは、空港線。それらにつきましては全部空港開港時までに完了いたしております。  ただ、昭和四十二年十二月二十一日に臨時新東京国際空港閣僚協議会で、新空港供用開始以降の交通量の増加に対して東京湾岸道路を経由して首都高速九号線により都心に連絡する道路の調査、計画をしろということでございまして、今述べましたこの新しいルートに関しましては、昭和五十五年二月に供用しております。  したがいまして、概括的に言いますと、道路に関しましては全部終了したということでございます。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 細かいのは一覧表をもらっていますから、あれです。  そこで、お聞きをしたいんですが、道の方は何とか計画どおりやったと。ところが自動車で輸送では一定の人員がある。やはり何としても大量輸送機関は鉄道なんですよね。  そこで、大変不思議なことが私あると思ったんですが、実は調査に行ったんですが、成田空港の真下に国鉄が乗り入れられる駅はちゃんと確保されている。ところが、そこまで行く空港線、成田−新空港間はできてないんです。一方、京成電鉄の路線については、これは行ってみられるとわかるんですが、上野から乗りまして空港の手前に地下駅で入って、そして地下駅からエスカレーターで重たい荷物を持って上がって、そしてバスに乗 りかえて空港に行く。こうなると、なかなか、利用者が少なくなる。何でこんなばかな駅をつくったのか。あの駅、二十五億かかった。いや、実は京成も当然上野から空港の下への乗り入れについてお願いしたんだけれども運輸省か国鉄か知りませんが、まかりならぬと。  こんなばかげたことをやっているんですね。あれ今あのまま、国鉄は将来乗り入れる計画だというが実際つくっていない。京成があのまま乗り入れておれば、上野から大量輸送で空港の下まで行ってさっと上に上がると相当の人が運べていると思うんですが、その間のいきさつはどうなっているんでしょうか。何であんなばかげたことになったんでしょうか。とても私企業で二十五億かけた駅をまたぶっ壊しちゃって、今度ずっと手前から線路を曲げて成田に乗り入れるなんて、こんなばかげたことはできない、とても資金が持てないと、こう言っていますが、国鉄にも来てもらっていると思いますが、当時これは、自分たちの方は駅だけは確保しておいて仕事は全然やらぬ。私鉄が乗り入れたいというやつは、おまえたちはまかりならぬと言って入れてない。  こういう運輸政策というのがあっていいんでしょうかどうでしょうか、そこを聞かしてください。
  29. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 成田のアクセスにつきまして、鉄道について十分でないということの御指摘でございますが、確かに最初の成田のアクセスにつきまして、一つは京成の空港線としまして現在のスカイライナーの線、さらに国鉄の新幹線構想と、この二つの考え方があり、さらに先ほどの総武本線なり成田線の在来線の増強と、こういういわば三本立てのようなことで考えておったわけであります。  京成の空港線につきましては、免許申請が四十三年で、四十四年に免許をいたしておりまして、四十五年から工事の着手を行ったわけであります。  それから、新幹線につきましては、四十六年に基本計画が決定されまして、四十七年に工事認可、そして四十九年に工事の着手ということで若干のずれがございました。したがって、一つには空港の下に、確かに先生おっしゃいますように、ある程度、もうほとんど完成したような駅がございますが、もし成田新幹線が開通、予定どおりなり若干遅れても通っておればその駅自体が活用されたと思うのでありますが、御案内のように、地元住民の方々の反対だとかあるいは千葉の関係市町村のいろいろな反対がありましてこれが実行できないということで、現状のような形にはなっておるわけであります。  そもそも最初に、駅に今の空港の下のスペースを使うときにどうするかという問題は、確かにいろいろ議論があったようでございます。  それで、新幹線の駅として使う、それに対して京成としては、その部分についての使用について内部でいろいろ議論があったようでございますが、一つには、あそこの空港は第一期ターミナルの現在ありますビルと、それから反対側に第二期のターミナルビルということの構想がございまして、その中間に位するということを一つは配慮し、それからさらにいろんな建設費等々の勘案から、会社側として、現状において現時点の駅を一つ設置することによっていわば両方のターミナルビルをにらんで、若干のバスのアクセスの必要がありますけれども、その選択をいたしまして、さらに将来は、行く行くその線を九十九里まで延ばすというような構想も会社側としては考えまして現在のような格好になっておりますが、最初の計画どおり新幹線が建設され、あるいは第二期ターミナルビル等が建設されれば、一つの形としては、それなりのアクセスの両方の鉄道ができたんではないかと思いますが、結果的に現在見ますと、先生がおっしゃいますように、両方とも何となく中途半端な形になっておりまして、我々としても、それじゃ現在の成田の京成の線を、今建設がほとんどされている空港の駅と結べないかということでいろいろ検討したわけでありますが、これは曲線半径等々、工事費等の関係からどうも難しいということで、現時点におきましては、別の方途で空港の下の現在の新幹線用につくりました駅を活用できないかということを考えておるところでございます。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 鉄監局長はその当時局長じゃなかったかしらぬけれども、うそを言ったらいかぬ、うそを言ったら。京成がスカイライナーを引くときには、空港下にも乗り入れたいということの申請はしているんですよ。ところがそれは許可してないんだよ。それをあなたは、何かね、中間に駅をつくるからいいと言っている。あのね、外国に行ったり帰ったりするときは、荷物が重たいから中間なんかだめなんですよ。第一空港と第二空港があったら、その空港の下に行かなきゃお客さんは乗らないんですよ。そんなうそを言ったらいかぬわね。  私は、これは既に、国会議員になって、参議院の交特の筆頭理事としてみんなで調査に行ったんだから。そのときに会社側も全部呼んで聞いたら、いや、実はこんな中途半端な駅はつくりたくなかったんだと。ぜひ乗り入れさせてくれというお願いをしたけれども、だめになって、これをやりましたと。だから、今になって、この二十五億かかった駅を自分のところの会社でぶっ壊しちゃってまたつくるということは、とても今の京成では無理だ。  技術的にあなたはできないって。できないことないよ。お互い鉄道屋だから、あんなもの簡単ですよ。ただ、私企業ではし切れぬと言っている、今さらあの駅ぶっ壊しちゃっては。手前から曲げればいいんですから、技術的には全然難しくない、技術的には。この際もう国鉄は、新幹線を当分はとてもつくり切れぬと。せめてスカイライナーならスカイライナーで大量輸送しようと思うなら、国なり公団が金を出して、手前の方から曲げて持っていけば、あの下の駅はできているんだからね。それから、駅というのは、私鉄と国鉄の共同使用駅というのは幾らでも全国にあるんですからね、幾らでも。そういうことでやろうと思えば、やれるんですよ。技術的には困難なことはありません。それもうそを言ってはいけません。技術的には困難、それもちゃんと私は調査した上で言っているんです、鉄道屋として技術的にできるかできないかと。ただ金の問題だけですね。  ですから大臣、きょうは新関西空港ですけれども、成田空港も本当に困っているんですよ、これ、皆さんが。というのは、これで自動車道路、一応道については建設省の道路局長が言ったように終わっている。なお新しい計画もということになっていますが、やはり大量輸送の方法について考えないと、非常に成田の場合に評判が悪い。まあきょうは成田のことを議論をしているわけじゃないですが。  ただ、私が気に入らぬのは、答弁で結果論として中途半端になったと言うけれども、結果論じゃないんです。当初の計画が非常に、大臣がおっしゃったようにお役所仕事でずさんなんです、ずさん。ずさんだからこういうことになる、お役所仕事というのは。片方は駅だけつくってほったらかしてある。それから片方は、当初から、一緒に使わせてもらいたい、入りたいと言ったとき、おまえさんのところはだめじゃということにしておって、そして結果的にだれが迷惑がかかっているかといったら、成田空港を利用する人が大変な迷惑。特に、道はできたけれども自動車で向こうから帰ってくるときは二時間ないと都心に入れないというのが、これはもう現実の姿ですからね。二時間もかかる。どうしても二時間かかる。込んで込んでとってもだめ。  私は、そういう点については、前におけるそういう失政は失政としてやっぱり認めてもらわぬと、何となく、いやそうじゃない、おれたちがやったことは正しかったんだけれども、たまたま国鉄の新幹線ができていないからしようがないんだということじゃ困るんで、あなたは局長だったですか、そのとき。鉄監局長じゃないでしょう、まだこのころは。そんな人がうそを言ったらいかぬわね。 現実は現実でやっぱり認めた上で、今すぐ私はどうこうせいと言っているわけじゃないんだよ。そういうやっぱりあったことはあったことだから、これから今度は関西空港の方にその話でいろいろ心配をするから、現実の誤りは誤りとしてやっぱり認めるものは認めていかなきゃ、あなた。  何か、いかにも、自分たちがやったことは正しいけれどもたまたま新幹線ができていないから国民に迷惑かけている、そんなうそを言うたらいかぬわ。どうだい、そこのところは。
  31. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 言葉が足りなかった、あるいは表現がまずかったことをおわびしますが、確かに最初にそういうお話があったことは承っております。結果的には、形式上の申請としては、京成は現状の位置で申請をしてきたわけでございますので、事業者としてそういう決断をして現状の形になったわけでございますが、我々としても、今後の国際空港のアクセスにつきまして、さらに関西等につきましては、今後こういうことのないように十分配慮してやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 承っておったけれども、申請書が出なかったというのは、それは当たり前だ。圧力をかけるからさ。あんたたち監督官庁で、圧力をかけるから、監督官庁が怖いから、申請するときになったらあきらめて出してないだけの話だよ、あきらめて。最初、ぜひ入れてくれと言ってきたことは事実でしょうが。ところが、まかりならぬと言うから、それじゃ許可もらうのにしょうがないからさ、これ申請書のときにはあなたたちの言うとおり書いて出した、それだけの話ですからね。私は、このことはこのことにしておきましょう。  しかし、大臣ね、やっぱり聞いておってほしいのは、今度も私鉄と国鉄の乗り入れの問題がまた出るわけですから、そこで私は執拗にこのことを言っているんですよ。もうちょっとそういうものについては、親切に国民のことをやっぱり考えて、私は成田の場合やるべきだったと思う。今になってみると、非常に国民的、経済的損失だと思う。どうですか、大臣
  33. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 成田の鉄道アクセスはもう大失敗だと、こう思います。それはおっしゃるとおりです。どうしてこうなったかということは、空港をつくるときに一緒に駅だけはつくっておかなきゃいかぬと、こういうことになった。それから当時の空気としては、東北、上越新幹線とともに成田新幹線と、三本の新幹線というんで新幹線ブームみたいな、すぐにでもできるような話だった。実際問題は、やってみると、用地の問題その他で新幹線が行き詰まってどうにもならなくなった。そこで、京成も中途半端になった、国鉄も中途半端になった、駅は宙に浮いた。——地下にあるというんだから宙に浮いたというのはおかしいけれども、地下にできて形骸をさらしている。こういう醜態をさらしておるんですね。  私は、まあ過去のことは過去のことで、確かに失敗であった。というのは、新幹線の見通しについての誤りがあったということが一番大きいと思うんです。これができるように思ったところに大きな誤りがあったということだと思うんです。しかし、今一番大事なことは、鉄道のアクセスが悪いですからね、これをどうするかということについて基本方針がまだ決まっていないということなんです。これは基本方針を決めます、なるべく早く決めます。どういうふうにするということを決めたいと思っております。そのことは十分ひとつ私どもよく考えて、あの駅もどうしても利用しなきゃいけませんし、空港のすぐ近くヘアクセスをつくるという、つまり今の現状をもとにして近い将来にやれる方向をどうするかということを考えたい、かように思っております。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひひとつ成田の大量輸送について、今の新幹線構想の問題なり、それから空港線の問題なり、それから京成自体も中途半端になっています。スカイライナーを走らせてもお客は余りないですよ。あんなところで途中でおりて、重たい荷物を持って下から上まで担ぎ上げて、それからまたバスに乗っていかなきゃならぬ、こんな中途半端なことをやったって全然だめですから、それらを含めて一遍大臣、成田の大量輸送をどうするかということについて早急に御検討し、結論を出してもらいたいと思います。  そこで今度は関西の方に入っていきます、  そういう状況の中でまず一つ一つ片づけていかなきゃならぬと思いますが、いわゆる鉄道では、この前のお答えでは、一つは南海電鉄、それから阪和線、そういうものが大量輸送機関としてある。それからこれも絵にかいたもちのようですが、新幹線構想ですね、いわゆる新大阪駅から。そんな話等もありますが、なかなかそうは簡単にはいかないだろうと思います。  そこでとりあえず、まず鉄道についてお聞きしますが、空港と鉄道で結ぶ場合に、トンネル構想ですね、それから連絡橋構想、それから同じくそれをつくる場合の前島ですか、いろんなことが議事録を読んでも出ているんですが、最終的には連絡橋ということでほぼ固まっているというふうに考えていいんでしょうか。連絡橋でやるということ、そこをまず答えてください。
  35. 山本長

    政府委員山本長君) トンネルというふうな一つの構想として意見があるという向きもございますけれども、現在空港計画といたしましては、連絡橋でもって陸岸との連絡を図る、こういう計画でございます。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、この連絡橋は、既にもう同僚委員質問にも答えているように、鉄道と自動車両方の併用の連絡橋だ、両方が通れる連絡橋をつくられる、これでいいですね。
  37. 山本長

    政府委員山本長君) 併用橋として計画したいと考えております。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 そこでその場合に、これは六十七年度営業開始ということになっているわけですから、今から十年ないわけですね。十年ないわけですが、ここに南海電鉄が近くを走っている。阪和線が走っている。これはゲージは同じでありますから、いずれにしてもそこから空港へ鉄道を敷かなきゃなりませんね。連絡橋もつくらなきゃなりませんね。こういうものの経営形態は、どこがどうするんでしょうか。金はだれが出してやるんでしょうか。
  39. 山本長

    政府委員山本長君) 空港計画としては、対岸の二本の鉄道を空港にぜひ乗り入れるという計画で進めてまいりたいと考えております。そこで、この空港に鉄道を乗り入れるということについては、相当な金がかかります。これについて、空港サイドといたしましては、第一義的には既存鉄道つまり南海鉄道、国鉄というところで連絡鉄道の敷設をやっていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  しかし、最近いろいろ調整を進めてまいっております過程におきまして、鉄道側におきましてもこの建設費の負担等につきまして、鉄道側のいろんな現在の財政上、経営上告しい問題があるというふうなことを承っておるところでございます。そこで、鉄道のこの敷設につきましては、地元の公共団体でございます大阪府、それから鉄道会社、それから本空港の主体でございます関西国際空港株式会社というものが出資し合った、いわゆる第三セクターという方式でもって鉄道の敷設を行い、その上をと申しますか、それぞれの鉄道会社が列車を走らせる。こういうふうなことにして、そしてその鉄道の運行に伴いましてそこで使用料というものを徴収しつつ、長期にわたってこの投下資本というものを第三セクターが回収をしていく、こういう構想が現実的ではないか、こういうふうな意見が出てまいりました。私たちといたしまして、やっぱり現実的な方向として可能な道を模索すべきだという考え方から、この第三セクター方式について検討しておるところでございまして、今後具体化について詰めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 そうするとあれですか、第三セクターをつくってまず連絡橋をつくる、そしてその上に鉄道も走らせるし道もつくる。こういうことで、その第三セクターの負担は、関西空港株式会 社と、それからそこを利用する南海電鉄、国鉄、それから、あとはあれですか、橋をかけるところの地元の市ですか、それとも大阪府を含めた地方公共団体全体ですか。そして大体そのお金はどのくらいかかるんでしょうか。  それから工事の計画は、これはやっぱり、少なくとも六十七年にはでき上がるというのですから、それに向けてこれをちゃんと作業しなきゃいけませんね。でないと、空港だけはでき上がったけれども橋がなかったら行けませんからね、これは。ですから、その投資計画等を、まあもういよいよこの法案、きょう場合によったら採決をするというようなときに、少なくともこれから空港を六十七年までかけてつくると同時に、一方、橋の方も、何年計画で、金額はどのくらいの金が要って、それによって橋もでき上がっていわば鉄道をそこに引き込めると、こういうことにきちっとしておかないと困るんですが、そこらはどうなっていますか。
  41. 山本長

    政府委員山本長君) 先ほどの私の御説明が少し舌足らずであったと思います。連絡橋、これは道路橋と鉄道橋併用でございますけれども、これは関西国際空港株式会社が建設する、こういう計画でございます。それから、橋を渡りまして空港島に入りまして、そして空港のターミナルビルの下でございます一番いい場所というところまでのいわゆる通路でございますね、線路などが敷かれないところの一つのコンクリートの箱と申しますか、それからターミナルビルの下に当たる鉄道の駅の部分の一つのスペースといいますか、どんがらと申しますか、これにつきましてはこの会社がつくる、こういう考え方、計画でございます。  そこで、空港の中の駅の施設、それから連絡橋の上につくるところの路線といいますか軌道、電気設備、それから連絡橋を出まして陸岸からそれぞれの鉄道に至る部分の鉄道の敷設、これについて先ほど申し上げました主体がやったらどうか、こういうふうな構想であることを補足させていただきます。  それから、経費でございますけれども、詳細に陸岸におきますルート、鉄道の連絡場所等について細部がきちっと決まったという段階ではございませんので、ある前提を置きまして試算をいたしますと、南海と国鉄阪和線、両線を接続するとした場合には六百億ないし七百億円程度というふうに試算がなされておりまして、それから南海本線だけという部分について試算をいたしますと、三百億ないし四百億円程度というふうに見込まれております。いずれも五十七年度の価格での試算でございます。
  42. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  そうすると、いずれにしても、今それぐらいの金がかかるから、これを第三セクターでやって、通行料を取って長期に採算をとる。私は、収支がかなり長期でないとなかなか簡単にこれはペイしないだろうと思うわけですね、率直なことを言って。そんなに高い通行料を取ったんでは、足の問題ですからなかなかそうはならないと思うんです。そうすると、もう一遍聞きますと、連絡橋自体は、そういうものはつくる。だから連絡橋に鉄道を敷設する、その敷設をする金その他いろいろ金がかかるから、それらは今あなたがおっしゃったように、第三セクターをつくって、そしてまず鉄道のあれをする。  それからこれは、国鉄もお見えになっていますが、国鉄と南海とは同時に六十七年には乗り入れられるようにおやりになるつもりですか、ここのところは。
  43. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 阪和線を利用いたしましての鉄道アクセスにつきましては、目下鋭意検討中でございまして、今先生からお話がございましたように、空港開港時においてはいずれかの方法によりまして阪和線を使って大阪都心に乗り入れることができるように考えてまいりたいというふうに勉強中でございます。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 これ大変心配になってくるんですが、勉強中って。というのは、やはり大量輸送機関というのは鉄道ですから、だから南海電鉄も運ぶのは運ぶ、それから阪和線の方も運ぶ、こういうふうにね。それからまた工事も、一つだけつくっておいてまた後からつくると高くつくわけですよね。だから、やはり一番時間に正確に空港に行けるのは鉄道だと思う。時間に正確に行けるのは鉄道だと思いますから、その意味から言うと、国鉄は大変な赤字を抱えているからあれもこれも非常に消極的だと思いますけれども、もうちょっとやはりこういう雄大な計画を立てるときは、きちっとやはり国鉄は国鉄の使命を果たすという前向きの考えがないと私はいけないと思います。  いずれにしても、私は、鉄道による大量輸送というものはね、というのは、その次の、これは聞くまでもないと思うけれども、簡単にいま新大阪駅からまたここに新幹線を敷くなどというのは、成田ですらできないんですから、これも言うだけの話になるから私はそこまで言いません。そこまで言いませんが、せめて南海電鉄と阪和線というのは、これはやはり大量交通機関として、空港が六十七年度から開業するならば、そのときにはやはりお客さんをそれで運べるというふうに大臣、鉄道の方についてひとつお考え願いたいと思いますが、鉄道よろしゅうございますか。
  45. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 鉄道のアクセスは私一番大事だと考えております。  なお、お話が出たかどうかわかりませんけれども、新幹線を敷くということは無理でございますけれども、現在の既設の環状線等を利用して最小限度の投資で何とか新幹線と結ぶ方法ができればこれが一番いいことだと、これは研究問題かと思っておりますが、恐らくそういう一般の民間の声が上がってくるのではなかろうかなあというふうに実は思っております。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 今度は建設省に少しお聞きしたいんですが、まず一つ一つ聞いていきましょう。  近畿自動車道の和歌山線については、これを一つの大阪からの自動車輸送による足ということで非常に重視をされていますが、これは土地の取得、まだ工事の残っているところですね、四七%ぐらいしか土地を取得されておりませんが、近畿自動車道については空港開設までにこれは間に合いますね。
  47. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 御指摘の用地買収の点でございますが、ことしの三月末で、正確に言いますと四九%を完了しております。それで、結論から申し上げますと、相手のあることでございますのでそう簡単にはいかぬと思いますが、我々は六十一年度末には全部買収する予定でおります。  ただ問題は、当該地区に非常にたくさんの文化財がございまして、文化財の発掘調査に相当時間がかかります。これも先生御案内のように、文化財を発掘するためには用地を買収してからでないと発掘調査ができません。それが約一年ほどで六十二年、したがいまして結論的に言いますと空港開港時までには必要な部分を全部完了さすというつもりでおります。
  48. 安恒良一

    安恒良一君 すなわち、これは東大阪まではできておって、阪南町に至る約六十キロが未完成ですね。そして、その中の用地買収が済んでいるのが四九%、残りはまだ用地買収が済んでいない、一方文化財が何かたくさんあると。  しかし、そうすると、これに対しては空港が開港する六十七年度までには用地買収も済むし、それから道も完全にでき上がるということで、それに必要な投資金額は幾らになりますか。それから投資計画はどうなっていますか、年次計画等あったら聞かせてください。
  49. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 東大阪ジャンクションから阪南町の間、先生指摘の、延長が五十八キロでございます。それに必要な総事業費が、用地費も込みでございますが、三千九百六十億でございます。六十年以降残が二千六百八十五億、以上でございます。
  50. 安恒良一

    安恒良一君 三千九百六十億で、六十年以降の残が二千幾らですか。
  51. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 六十年以降、残が用地費も含みまして二千六百八十五億でございま す。
  52. 安恒良一

    安恒良一君 その二千六百八十五億の投資はきちっとして、もう一遍念を押しておきますが、これはこれで完全にでき上がると承っていいですね。
  53. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 建設省としてはそのつもりでおります。
  54. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、これお聞きのとおり、建設省としてはそのつもりだということですから、これもひとつ大臣に力を入れていただかなきゃならぬと思います。  そこで、お聞きしますと、やはり近畿自動車道というのは大阪市内からはここにかなり遠いんですよね。そこで、どうしてももう一つなければならぬということにこれがなるわけであります。それがいわゆる湾岸道路というやつなんですが、湾岸道路について今どこまででき上がっているのか、そして今後どうするか。これも大体議事録を読んでいますから、ちょっと簡単に聞かせてください。
  55. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 簡単に御説明しますが、概略的に申し上げますと、大阪湾岸道路は、先生御案内のように、大阪湾に沿いまして神戸市垂水区から大阪府泉佐野市に至ります延長九十キロの道路でございます。このうち、現在、大阪市の港区の港晴から堺市の三宝間約八キロは、阪神高速道路大阪湾岸線としてもう既に供用しております。堺市三宝から泉大津市臨海町までの間約十一キロにつきましては、今事業を実施しております。さらにその南の、泉大津市の臨海町から泉佐野市に至る区間につきましては、昭和五十四年度より調査に着手しておりまして、この区間には阪南港の港湾計画との調整の問題、それから大阪府下の貴重な海水浴場でございます二色の浜の公園の調整の問題、そういう問題がございまして、路線計画作成するための調査を現在行っているところでございます。  現況はそういうところでございまして、関西新空港整備計画の具体的な内容に合わせまして、今後関係機関との調整を進めながら、関連する湾岸道路の調査の一層の促進を図り、できるだけ早く路線計画を確定して、随時その整備に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  56. 安恒良一

    安恒良一君 衆議院でもこれ問題になったんですが、近畿自動車道だけでは不十分だと。どうしても湾岸道路が要ると思いますが、今お聞きしたのを見ると、できるんやらできないんやらちょいとわからないんですね。正直に答えてもらいたいんですが、これは努力してもらわなきゃなりませんが、間に合いますか間に合いませんか。
  57. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) いわゆる湾岸道路を、先ほど御質問ございました取りつけ道路、空港への。それまでに湾岸道路として通すのは極めて困難である、ほとんど不可能に近いと考えております。
  58. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、お聞きのとおりですよ。もうほとんど不可能に近いということです。  そこで、じゃ聞きますが、六十七年までは難しいがあとどのくらいあったらでき上がりますか、それじゃ。六十七年は極めて不可能だというふうにお聞きしましたが、その後何年ぐらいしたらつくり上げられるというのですか。
  59. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) いろいろ調査しないとわかりませんので、先ほど申しましたように阪南港港湾計画の調整、それから海水浴場の調整、それからさらに南の方、何も手を出してないところがあるわけです、都市計画決定もしておりませんし。そういうところでございますので、何年までということを現在明確にお答えすることは非常に難しい状態でございます。
  60. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、お聞きのとおりなんですよね。やっぱりこれ神戸から、大阪からこの空港に行くためには、私は一番いいのは湾岸道路だと思うんです。近畿自動車道は大阪からかなり距離が離れてますから、それに乗るために。乗るためには距離が離れておる。  そこで大変困難だということですが、進めてもらわなければなりませんが、私は次のような新しい提案一つしてみたいと思いますが、これをひとつ建設省はぜひ検討してもらいたいと思います。  今、御承知のように一番問題になるのは、現在泉佐野まで行くのに大変な難しさがある。そこで御承知のように岸和田までは一般国道百七十号線、あれに乗るところに臨海道というのができていますね、海辺にずっと。私も何回もあそこへ行った。ですから問題は臨海道を、あの工業地帯をずっと走っていますあれをさらに拡幅して、岸和田までたしか来ておると思いますから、岸和田から泉佐野の間をむしろ臨海道をおつくりになれば、これは一つのいわゆる道としてのアクセスになると思いますが、そういうことについて前向きに取り組む考えはありませんか。
  61. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 先生指摘の主要地方道大阪臨海線は、一般国道の二号から泉佐野市の主要地方道、枚方、富田林、泉佐野に至る約三十八キロの道路でございます。現在、御指摘のように岸和田市以北につきましては供用中でございます。岸和田市以南につきましては、現在路線計画がまだ定まっておりません区間もございますし、今後早急に路線計画を定めるよう大阪府と検討しているところでございます。本路線の整備につきましては、今後、事業主体である大阪府と協議しつつ検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  62. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、今お聞きのとおりで、これは大臣もぜひ積極的に建設大臣とお話し合いを願いたいと思いますのは、やはり湾岸道路については、今聞いたとおり、とってもいつできることやらわからぬと言っているんですから。六十七年にはもう間に合わない。よしわかった、それじゃ六十七年にできなければ七十年にできるか七十五年にできるかと言えば、それもまだわからぬというんだ。  それよりも私は、今途中まででき上っている臨海道というのがありますから、それをさらに泉佐野まで拡幅する方は、やろうと思えばできぬことはないと思う。私もあそこの地形はよく存じていますから。そういう意味からいって、やはり一つは、大阪から、今でき上がっているこの湾岸道路をある程度利用するところまで利用して、それから今度は下におりる、臨海道におりて、そして行くという手もあるわけです、どうしても湾岸道路を延ばせなければ。その方が私は現実性があると思うんです。途中まではもうでき上がっているんですから、途中からおりればいいわけですから。おりて、そして臨海道に乗って、それで臨海道を今できていないところをあとつくれば、それでさっと泉佐野までは大体行ける、私はそういうふうに思います。  ですから、こういう問題についてひとつ建設省も前向きに検討するということを約束してもらいたいし、大臣としてはやはり、近畿自動車道だけではまた成田と同じになっちゃう、また成田と同じで、自動車に乗ったらもうとても時間がかかっちゃってと、こうなることはもう火を見るよりも明らかですから、どうしてもいま一本とりあえず、湾岸道路の完成を急いでほしいんですが、それがなかなか見通しがないというんならば、今の既存の湾岸道路と既存の臨海道、そしてさらにできていないところをとりあえず臨海道につないでいく、完成するということになると、足の問題はかなり片づくと思いますが、それらについてのお考えをちょっと聞かしてください。
  63. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 建設省といたしましては、新空港開港時におきましては、近畿自動車道和歌山線で新空港へのアクセスする交通に当面は対処できると考えています。しかしながら、先生指摘のように、もっと、でき得れば御指摘の大阪湾岸道路の泉大津市以南の整備にも着手したい、あるいは臨海道路、どちらか何とかしたいというふうに考えております。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 建設省さん、あんたたちはそんな役人答弁じゃだめなんだよ。成田のときも、これができれば間に合うと言ったけれども、実際間に 合ってないでしょう、成田を見てごらんなさい、あんた。どれだけ自動車がふえるかという予測もしないで、空港ができ上がるのは六十七年だよ。  そのときに、いや、近畿自動車道だけで間に合いますなんてそんなことを言っておったら、今度は七年たったらもうすぐ  まああなたはそのころ建設省におるかどうかわからぬよ、わからぬけれども、私はやはり成田の経験からいっても近畿自動車道だけでは不十分じゃないか、これから車社会なんだから。そんなことを考えて、前向きに取り組んだらどうかと言っているのに、前向きに取り組むと言うんならいいけれども、間に合うと思うからということでは、これが間に合うと思っておって間に合わなかったらどうするの。間に合わなかったら。成田なんか、現実そうじゃないの、間に合ってないじゃないの。成田は、計画どおり道はでき上がった。でき上がったけれども、今成田からこっちに来るのに二時間かかっている、二時間。国内外で物すごい不評判だ、もう成田空港なんかやめて羽田の方に戻ってきたらどうかという声がうんと出ているじゃないの、国民から。だから、そういう点について、何かあなたたちは、自分たち計画したらそれがもう絶対正しいように思ったらいけないんだよ、絶対正しいように。  僕は、こういう点について、近畿自動車道はまず完成してもらいたい、湾岸道路も完成してもらいたい。しかし、湾岸道路の方が大変見通しが暗いというから、それじゃせめて既存の国道を利用して、そして臨海道路というのがせっかく中途までできているんだから、あとそれをつくればそこも一つのアクセスになるじゃないかと、こういう前向きの提案をしているのに、それは間に合うからいいというんなら、もしも間に合わなかったら責任をとるか、それこそ。間に合わなかったらどうするんだ。大臣もあんたもころころころころかわるから、だれが責任とるか知らぬけれどさ、どうですか。
  65. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 先生、別に先生に盾突くわけじゃございませんが、現在も二十六号線のバイパスの第二阪和道路というのが昨年の十二月に開通しております。それと、先ほどからの近畿自動車道和歌山線、さらにできれば御指摘のように湾岸線及び臨海線の混合部隊、そういうふうにできるだけ三つの線を使って何とかしたいと、そういうふうに考えています。
  66. 安恒良一

    安恒良一君 私が予算委員会で、道路特会やめて一般会計に金を少し回したらどうだと言ったら、前の道路局長は飛んできて、いやまだまだ道はできておりません先生と一生懸命言っておるんだからね。こっちはいい話をしているんだから。それなら、道路特会を今度は一般会計に回せという話を、また今度予算委員会に行って言わなければいかぬよ。言うたら、そのときあんた、飛んできて、いやまだまだ道はこんなに残っております、これやってくださいやってくださいと言っておきながら、こんなときになったら、何か、せっかくいい話をしてやっているのに、いや間に合う間に合うって。どうなっているのかね、建設省というのは。  それならそれでいいよ。この次は私は予算委員会へ出て、ああ間に合っておるというから道路予算ぱっぱっぱっぱっ切って、一船会計が赤字だからどんどんどんどん繰り込めという話になるよ、これは。
  67. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 理想的な状態で空港開通までに自動車に関するアクセス道路を完成させるためには、近畿自動車道のまず開通、それから御指摘の阪神公団が施工するであろう湾岸道路、それができなければ一部区間臨海線を利用する、その三つであるのは事実でございます。
  68. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 道路のアクセスにつきましては、地元の関係の方々、また衆議院の論議の中でも、湾岸道路がどうしても必要なんだと、大体こういう意見でほとんどコンセンサスがあるのでございます。  しかし、私もこの間もちょっと行って見ましたけれども、なかなか、言われるように阪南港なり、二色の浜ですか、二色の浜の問題はこれはちょっとやそっとで解決がつきそうもないような場所でございますね、見てまいりますと。それで見当がつかないと建設省でもおっしゃっておるんだろうと思うんですが、港の問題は私ども運輸省のことですから何とでも考えたいと思っておるんですけれども、海浜の問題はやっぱり一番住民との関係その他で難しいと思います。そこで、便宜な方法としてあなたのおっしゃったような方法をやはりとらざるを得ない、とっていただかざるを得ないんじゃなかろうか、私も関西空港閣僚会議で建設大臣にはぜひともお願いをいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、大体残り時間が少なくなってまいりましたから、最後に要望だけいたしておきます。  どうぞ、新関西国際空港のアクセス問題については、成田空港の二の舞にならないように、空港ができ上がったときにいわゆる鉄道による大量輸送、それから道路整備計画を進めて、再び成田のように国民なり外国の方々から御不評を買うことがないように、アクセス問題について、もちろんこれは空港利用者の利便と同時に地域社会における交通公害のことも考えなきゃなりませんから、その両面を考えながらアクセスの施設の整備については万全を期していただきたいと思いますので、国務大臣として、各大臣を代表して運輸大臣、御答弁を願いたい。
  70. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 空港の死命を制するようなアクセスの問題でございますので、成田空港の失敗といいましょうか、成田空港の現状にかんがみて十分な配慮をいたすように関係閣僚でお願いをいたしたいと思っております。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 次に、自治省もお見えになっていると思いますが、いわゆる関西新空港の人工の島の帰属問題についてちょっとお聞きをしたいのであります。  我が国で初めて二十四時間運航可能な国際空港で、空港面積はでき上がると最終的には千二百ヘクタール、現在の新東京国際空港、成田の約二倍ということなんですが、問題は、この人工島は、いずれどこかの市町村に編入されなきゃならぬと思うんですね。地方自治法によりますと、公有水面の埋め立てが認可されるまでの間に所属市町村を定めるように規定されておりますが、私が聞くところによりますと、連絡橋が結ばれる泉佐野とか、泉佐野周辺の田尻町とか、何かいろいろ名のりを上げて、水面下ではおれのところおれのところと、こういう話があるようでありますが、この人工島の帰属問題はどのようにされるつもりなのでしょうか。自治省並びに運輸省等のお考えをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  72. 小島重喜

    説明員小島重喜君) お答え申し上げます。  この人工島の設置が予定されております区域は、先生御案内のとおり、法律上は「大阪府の地先水面で政令で定める」ということになっております。今運輸省からもいろいろお伺いをしまして、設置がおおむね予定されていると思われる地域につきましては、先ほど御指摘ございましたように、これは公有水面でございまして、大阪府のいずれかの市町村には属することは明らかでございますけれども、公有水面上は通常境界線が引かれておりません。したがいまして、今後の手続といたしましては、大阪府の知事が地方自治法の九条の二、あるいは先ほど御指摘ございました九条の三、こういう規定によりまして決定をするとかあるいは裁定をする、さらには調停に持ち込むというような手続きを経た上で、どの市町村に属するかということが決まるというのがその法律上の手続でございまして、したがいまして現状でははっきりどの市町村に属するということは決まっておりません。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 私はこれ、空港が完成しますと、埋立地や滑走路、空港ビルなどの固定資産税や航空機燃料譲与税などが見込めますから、もちろん成田空港に準じて固定資産税は通常の半分にするとかいろいろ言っておりますが、例えば成田の場合は、成田市の固定資産税全体の半分に当たる約 二十五億が同空港から入っているわけですね。ですからやはり市町村にとっては魅力があることですが、しかし私は少なくとも一貫した行政を進めるためには一つの自治体にやっぱりやる必要があるんじゃないか。大阪府の何町村、何々市と決めにゃいけないと思いますが、そこのところはどうされるおつもりですか。複数の市町村にされるんですか、それとも一つの市町村の所属にされるんですか、どうするんですか。
  74. 小島重喜

    説明員小島重喜君) この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、国が決めるということでございませんで、御案内のとおり大阪府の知事が最終的に調整をするということになっております。  その際に私どもの方にも相談がございましょうし、今先生指摘ございましたように大変魅力的な土地地域であるということは確かでございまして、水面下ではいろいろとお話があることもこれも事実でございます。ただその際に、やはり今御指摘ございましたようなこれは国際空港でございますから、そういうものの一体的な運営といいますか、そういうようなものに支障が起こらないように、これはやっぱり運輸省の方からもいろいろと大阪府の方にも申していただきたいと思いますし、私ども運輸省と十分連絡をとりながらそういう点は努力をしてまいりたいと、かように思います。
  75. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、お聞きのとおりでね、知事が最終的に決めるけど、下手をするとこれでまた裁判や争いになったらいかぬと思うんですね。例えば、東京の大井埠頭埋め立てで、地区割りをめぐって品川区と大田区がうんと争ったケースがあるんですよ。  しかも今回の場合には幾らになるかまだ計算できないと、こう言いますが、成田の場合でも約二十五億固定資産税が入っているわけですから、これは成田よりもまだ広くなるわけですからね。そうかといって私は、島のこっちの方は何々市、こっちの方はって、こんなことじゃとても空港行政はうまくいかないと思うんですね、空港行政は。いろんな問題が起こった場合に。そこで、ぜひとも一貫をした行政を進める立場に立って、一つの自治体にやっぱり帰属すると。私は何も今ここでどこと言っているわけじゃありませんが、そういうふうにこれは大阪府ともよく、これは自治省、運輸省、特に空港をつくるのは運輸省ですから、御相談をしていただいてやっていただかないと、島のとり合いになったんじゃこれは大変なことになる。どうも水面下では、いや、おれのところによこせよこせ、それがだめなら、いわゆるこの市とこの町のここに島が浮かんでいるんだから少し島を分けてくれとかね、こんな話が私たちの耳に入ってくるわけですよ。  空港という非常に公共性の高い人工島ですからね、それが何か市町村によって空港が線引きされるなんて、こんなばかげたことがあってはいけないと思いますが、そこのところ大臣、どうされますか。
  76. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 具体的には今自治省から答弁があったとおりでございますけれども、でき得べくんば一つの市町村に所属した方が望ましいということはもう間違いはない、かように思っておる次第でございます。
  77. 安恒良一

    安恒良一君 いや大臣ね、望ましいんじゃなくて、空港の建設は民間でやるんですが、監督官庁としてやっぱりこれは運輸大臣中心に、また国も余計出すんですからね、銭出してつくるんだから、望ましいじゃなくて、大臣としてもそういう方向でこれは自治大臣とも相談をされ、大阪府知事とも相談をされて、そしてやってもらうということの努力をしてもらうということ。望ましいなんてね、それは望ましいのは私はわかっている、望ましいから私が聞いているんですから。あんたも望ましいだけじゃなくて、大臣として御努力願えますかと聞いている。
  78. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) できるだけ努力をいたします。この問題はしかし、非常にやかましい問題でございますので慎重な発言をいたしておる次第でございますが、努力いたしたいと思います。
  79. 安恒良一

    安恒良一君 非常にやかましい問題ですけどね、それと同時に、私はこんなことでまた裁判とかなんとかかんとかになったらみっともないと思うんですよ、率直なことを言わせてもらって。だから、難しい問題だけど大臣中心になって努力をされないとみっともないですよ、これ。また、せっかくできたけれども島とりで裁判が起こったなんて、そんな物笑いになりますからね。前例がないわけじゃないんですから、埋立地ですらあるわけですからね。ましてや今度は、立派な島ができて税収がばばっと入ってくるということになると、魅力がありますからね。どうぞそういうふうに。  それじゃ、時間がありません、最後にお聞きしますが、経営資料をいろいろいただきました。そこで、この前お聞きしたときに、これは民間でやった方がいいということの中で、一つは給油事業、それから貨物輸送の事業、それから空港の中における売店その他ですね、いろいろについて民間でやらせようということで資料をいただきまして、何回となくやりとりした中で、きょう、資料をいただきました。  そこで、もう一遍整理して、その中で直営でやるものですね。これとこれとこれは直営でやりたいとか、これは民間でやるがいわゆる委託でやるとか、もちろん直営でやるといったって、中にある銀行とかそんなもの直営でやるわけにはいきませんからこれはやっぱりテナントだと思いますが、そんなわかり切ったことを聞いていないんです。その経営寄与できるという資料は、かなりもう何回となくやりとりして、一応きょうの朝いただいたものですから、細かくは読めませんでした、率直のところ。しかし、なるほど若干こういうふうに直営でやれば委託でやるよりもとか、もしくはテナント料を取るよりも収入がある程度上がり得るだろうという見当はつけることができました。  そこで、その中身を整理して、やはりこの空港株式会社が直接やるものと、それからいわゆるテナントを入れてやるものと、それから委託でやるものと私はあると思いますから、例えば給油事業は直営でやるのかやらないのか、貨物はどうするのか、それから空港施設の中の売店やその他。そういうものについての考え方をちょっと整理して答弁してみてください。
  80. 松村義弘

    説明員松村義弘君) どの部分を直営にし、どの部分を専門の業者の方に委託するかということの最終決定は会社の方ですることに相なると思いますけれども、現段階で我々が考えておりますのは、まず直営部門につきましては、給油施設は直営をしたいと考えております。次に、旅客ターミナルビルの中の物品販売店の大部分は直営したいと考えております。旅客ターミナル部分の中にあります小さい売店、それから飲食店業、サービス店業、そういったものは、しかるべき専門の業者の方にビルの一部をお貸しして営業していただくということに相なろうかと思います。それから、貨物ターミナルビルにつきましては、これは道路運送事業の免許等の諸手続が必要になりますので、恐らく専門の業者の方にビルの一部をお貸しして営業していただくということに相なろうかと思っております。
  81. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、給油事業は直営でやる、こういうことですね。きょういただいた資料を見ると、成田の場合は直営でやって赤字が出ていますが、これは暫定輸送期間だから、やはり直営でやった方が空港にはプラスになる、こういうふうにこの資料は読んでいいわけですね。  それから、貨物ターミナルビルについては、これは道路運送法の関係があるから、これはどこかに委託をしてやるということですね。そして、そこからいわゆるあれですか、テナント料を取ることになるんですか、これは。ということになるわけですね。  それから、あといわゆる空港ターミナルビルの問題については、物品販売等については直営でやるが、レストランとかその他細かいものについて はテナント。だからこれは直営とテナントの方式のいわゆる合併でやる、こういうことですね。  そういう方法によって、いわゆるその結果が、総合的には羽田、成田等々の経営よりもより関西国際空港の方が高い収益性を上げて、そしてそれが関西国際空港のいわゆる収益性に寄与する、こういうふうに最終的にお伺いしていいんでしょうか、この資料について。
  82. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 先生のおっしゃいましたとおり、旅客ターミナル部分については直営部分と委託部分、貨物ターミナルビルにつきましては委託、給油施設につきましては直営、こういった経営形態をとることによりまして空港の円滑な運営に資することができると考えております。
  83. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、空港の円滑なる運営だけじゃないんだよ。  あんたたちが盛んに大臣以下唱えたことは、空港の円滑なる運営と同時に、この方式が一番収益性を上げるということでやりとりをしてきて、それで何回も資料をつくり直してもらって今日まで来ておりますからね。私は、民間会社自体がやった方がいいということだから、まあテナントというのはこれはごく、貨物なんかは道路運送法がありますから別、銀行とかそういうところはやるわけにいかないんだが、物品販売その他はもう直営でやると。それからレストランなんかも、やり方によれば直営の方がいいのかそれともテナントを入れた方がもうかるかということは、これは検討すればいいことですけれどもね。民間でやるということは、貨物等を除くと、かなりやっぱり直営でやるということでしょう。それが、民間空港株式会社がやって寄与するということになるんじゃないですか。テナント方式というのはどこもやっているわけですよね。これは成田でもテナントを入れてやっているし、東京空港は直営とテナントとの両方の併合でしょう。  そういうふうでないと、何となく聞いておると、また今度、民間でやるやると言いながら、直営が少なくなってテナントが多くなったらこれ意味ないと思うんですが、どうなんですか、そこらは。
  84. 松村義弘

    説明員松村義弘君) たびたび繰り返して申しわけございませんけれども、給油施設部分については直営でやります。旅客ターミナル部分において営業されます大部分の物品販売業、これは恐らく免税売店なども当然入ると思います。そういったものは直営でやることを考えております。それ以外、専門の業者の方に委託した方がいいと考えられますものは、委託ということでテナント料を取るということで収益を確保する、こういった経営形態になろうと思います。そういった形態をとりまして収益を確保してまいりたいと考えております。
  85. 安恒良一

    安恒良一君 以上で終わります。
  86. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時十八分開会
  87. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 桑名義治

    ○桑名義治君 きょうは私は、関西空港法案について、特に環境問題あるいは漁業に対する影響もしくは補償問題、こういった点について少し審議を進めていきたい、こういうふうに思う次第でございます。  まず最初にではございますが、関西国際空港の建設は、いわゆる瀬戸内海環境保全審議会が埋め立てを厳に抑制すべきものである、こういうふうに言っているわけでございます。  あるいはまた、瀬戸内海環境保全特別措置法の第三条の中にも、「政府は、瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、瀬戸内海の環境の保全上有効な施策の実施を推進するため、瀬戸内海の水質の保全、自然景観の保全等に関し、瀬戸内海の環境の保全に関する基本となるべき計画を策定しなければならない。」、こういうふうにうたっているわけでございます。  そういった中で、今回の関西空港の建設ということは非常に大型な事業でもございますし、こういったいわゆる規定に基づいて、どういうふうに環境庁としては基本的に認識をしているのか、まずその認識を伺っておきたいと思います。
  89. 加治隆

    説明員(加治隆君) お答え申し上げます。  この関西国際空港計画は、埋め立てを厳に抑制すべきものとされております瀬戸内海における大規模な埋め立てを伴う計画でございますが、この計画が国家的事業として進められているものであることに加えまして、大阪国際空港の騒音問題の解決を図ろうとするものであることなどを考慮いたしまして、やむを得ないものと判断したところでございます。
  90. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、次に運輸省にお尋ねをしたいわけでございますが、運輸省と環境庁との覚書の中に、関西国際空港の基本計画は瀬戸内海環境保全基本計画に適合しなければならないものとする、こういうふうに覚書が交わされているわけでございます。そこで運輸省は、このような計画について、環境庁とどういったいわゆる協議を重ねてきたのか、現在までの経過を伺うと同時に、今後空港の工事並びに運用について、環境保全上どのような態度で臨むのか、まず伺っておきたいと思います。
  91. 山本長

    政府委員山本長君) 運輸省といたしまして、この空港計画に関する諸調査を長年にわたり実施し、多額の費用を投じてまいりましたけれども、その非常に多くの部分が環境アセスメント、保全に関する問題をどう考えるかということについてでございます。それを取りまとめたのがいわゆる三点セットという形になっておるわけでございますけれども、その三点セットの中の環境アセスメントにつきましては、関係府県に提示し意見交換を行うだけではございませんで、環境庁にもこの説明をいたしまして、十分その意見を聞くということで意見交換を行ってきたところでございます。  また、昨年五月にこの関西国際空港の建設に関する閣僚会議が開催されまして、政府が一体となって取り組んでいくという体制がなされましたことに伴いまして、環境庁との意見交換も極めて活発に私たち行ってきたつもりでございます。環境庁のいろんな御意見も入れて、私たちの諸調査もやってきたというものでございます。  今後、この関西国際空港が計画段階から建設段階に移行するという段階を迎えまして、新しい段階に入ってまいる。この法案が通りますればそういう段階になっていくわけでございますが、私たち今まで空港建設のアセスメントをやってまいりましたけれども会社がこれを、この成果をもとにいたしましてさらに具体的な建設計画に従って環境アセスメント、これはいわゆる工事の実施アセスメントと申しておりますけれども、を行っていくことになります。こういう過程におきましても環境庁から、いわゆる実施アセスメントというものが適切に行われるように意見が述べられているところでございます。  先生先ほどおっしゃいました瀬戸内の基本計画に適合するようにというものも、環境保全の見地から環境庁から強く私たち意見が述べられておるところでございます。  今後、具体的には公有水面埋立法の手続等がございまして、この手続の中で環境庁の環境保全に関する意見が徴されるということになっていくわけでございます。運輸省といたしましても、この空港計画を円滑に実施していくためには、やはり環境庁とも十分連携をとりまして、会社が適切な環境アセスメントを実施し、また、そのアセスメントに従うところの事業を実施いたすことによりまして、良好な環境の保全が図られるように最大限の努力をいたしていきたい、こういう考えでご ざいます。今後とも環境庁と十分意見の交換をいたしながら、環境保全について万全を期していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  92. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこでお尋ねしたいことは、特別措置法の中の十三条の二項で、これは「埋立て等についての特別の配慮」の項でございますが、「前項の規定の運用についての基本的な方針に関しては、瀬戸内海環境保全審議会において調査審議するものとする。」、あるいはまた、同法の中の二十三条の二項で「審議会は、環境庁長官又は関係大臣の諮問に応じ、瀬戸内海の環境の保全に関する重要事項を調査審議する。」、こういうふうに特別措置法の中にはうたっているわけでございます。  にもかかわらず、今回のこの事業に関しましては審議会に諮問をしてないわけでございますけれども、しかし位置的な問題から見ますと、一部とはいいながらもいわゆる「瀬戸内海環境保全臨時措置法第十三条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針について」、こういう答申があるわけでございますが、この答申のいわゆる中身の中にこの位置が抵触をしているわけです。にもかかわらず、審議会にかけなかった理由というのは那辺にあるのか。まず、これ環境庁と運輸省の両者からその理由を説明していただきたいと思います。
  93. 桜井正昭

    説明員(桜井正昭君) お答えを申し上げます。  瀬戸内海の環境保全の観点から、いわゆる瀬戸内法におきまして「埋立て等についての特別の配慮」が規定されております。その運用についての基本的な方針に関しましては、瀬戸内海環境保全審議会において調査審議することとなっております。同審議会は環境庁長官の諮問によりまして、昭和四十九年五月九日に「瀬戸内海環境保全臨時措置法第十三条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針について」と題します答申を行いました。瀬戸内海の埋め立てを伴う計画につきましては、法及び基本計画に基づき、ただいま申し上げました埋め立ての基本方針を踏まえまして立案され、また審査されているというところでございます。  ところで、本件、関西国際空港の建設に係る埋め立て問題でございますが、この問題は重要な問題でありますが、既に埋め立ての基本方針について答申を受けておりますので、個別案件である本問題を本審議会で特に事前に審議していただくことは必ずしも必要ではないと判断をいたしたところでございます。  なお、本件につきましては、昨年の九月十九日と本年三月二十六日に開催をされました本審議会において、それまでの経緯を御報告しているところでございます。  以上でございます。
  94. 山本長

    政府委員山本長君) 審議会との関係における手続問題につきましては、環境庁の御判断に従って私たち考えておるところでございます。
  95. 桑名義治

    ○桑名義治君 環境庁にお聞きしますけれども、いわゆる関西空港関係閣僚会議、このときの環境庁長官の発言の要旨を読んでみますと、先ほどからの御答弁と同じように、やむを得ないものと判断すると、こういう御発言があるわけです。やむを得ないものと判断するということは、これは大変な重要事項で、慎重に審議をしなければならないという意味を私はむしろ含んでいる発言だと思うんです。とするならば、しょせん先ほどの、お話し申し上げましたように、いわゆる法に抵触をするというその事項でございますので、当然この出発の時点から審議会にかけるべきではなかったか。審議会がたまたま開かれている、その審議会に報告をしたという、そういう報告事項では済まされない問題ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、環境庁どうですか。
  96. 桜井正昭

    説明員(桜井正昭君) ただいま申し上げましたように、私どもといたしましては、全体的な基本方針は既に御答申をいただいておりましたので、個別の案件につきましてはこの基本方針に照らして事務当局で判断をするということで、この判断をさせていただいたわけでございます。
  97. 桑名義治

    ○桑名義治君 そんなオウム返しみたいな、そういう答弁を僕は要求しているわけではございません。環境上必要があるのかないのかという、その根拠を明快にしてもらわなきゃだめだ。  実際に「瀬戸内海環境保全臨時措置法第十二条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針について」、このいわゆる答申の中には「大阪湾奥部」ということで、ちょうどこの位置がきちっと入り込んでいるでしょう。この中にもきちっとうたい込まれている位置に抵触するわけですね。そういう重要条項であるとするならば、しょせんは、なぜかけなかったかというもう少し具体的な理由を説明しなければ、それは答弁になりませんよ。
  98. 桜井正昭

    説明員(桜井正昭君) 繰り返しで大変申しわけないのでございますが、ただいま御答弁申し上げたとおり、そのように判断をさせていただいたわけでございます。
  99. 桑名義治

    ○桑名義治君 答弁が不十分だよ。
  100. 加治隆

    説明員(加治隆君) ただいま審議会に関する、諮問に関する御質問でございましたのですが、その基本となります判断につきましては、いわゆる三点セットの中における環境影響評価案、これに基づきましてこの位置内容が妥当であるという判断も根底にございまして、ただいま申しました答申の趣旨、事務的に任されておるという判断に基づいて諮問をされなかった、これが一つの理由かと存じます。
  101. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、この問題についてある程度環境庁としては調査したんですか。
  102. 加治隆

    説明員(加治隆君) 環境アセスメントにつきましては、事業者がそのアセスメントを実施するのが基本でございます。したがいまして、我々環境庁といたしましては五十六年の五月からこの環境アセスメント、いわゆる三点セットを十分検討いたしました。その検討するに当たりましては、我々の既に環境アセス問題の知見、事例、そういうような問題を十分踏まえましてこの内容を検討したところでございます。したがいまして、その結果をもって妥当であるという判断をいたしたところでございます。
  103. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、いわゆるその特別措置法や、あるいはまたいわゆる措置法の第十二条一項の埋め立ての答申等について、この一つの答申やあるいは法に定められた事柄、これが実際に行われていないということについては、これは相当な大きな理由がなければならないと思うんですよね。ただ一つの国策的な事業であるがために削除することができるというような、そういう安易な考え方は瀬戸内海を殺してしまうおそれがあるわけですよ。だから、そこら辺はもう少し慎重に考えてもらわなければならないと私は思います。  そうしないと、こういった問題がいろいろと提起されてきますと、たとえばここにこういう「エネルギーと公害」という雑誌の一部を持ってきたわけでございますけれども、こういったところにもこういった問題を全部引き上げて、そして非難されているんです、現実に。やはりこういう大きなプロジェクトをやる場合には、あるいはまた、こういうふうに法がかぶさっている地域については、特に万全を期してやるべきではないか、こういうふうに私は思うんです。そうしないと、結局、手抜きと言えば怒られるかもしれません、皆さんが不満かもしれませんけれども、成田空港のような問題が必ず起こるんです、現実に。だから、万全を期して、どこから指摘をされようとも完全な一つのルールを踏みながら、しかも完全な調査を進めた上で、そしていわゆる着工をしていく、これが私はもう最もベターな方法であろうと、こういうふうに考えるわけです。  その点についてはどう思いますか。やはり、あなたたちの今までとってきた、審議会にかけなくてもいいという論理は正しいとあなた方思いますか。
  104. 加治隆

    説明員(加治隆君) この関西国際空港計画の今後の実施に当たりましては、さらに公有水面埋立法、それに基づいて環境アセスメントが実施されるわけでございますので、さらに詳細にその点に ついて十分な審査をして万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  105. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、こういった態度を示すために、環境庁は弱い弱いと言われてくるんですよ。結局、各省庁あるいは政府の方針に従ってずるずるずるずる、ずるずるずるずる押し込められてしまう。環境庁あってなきがごとし、こういうふうな批判が国民の中にあるわけですけれども、厳然たる一つの態度をやっぱり示していくことが環境庁のよって立つべき任務であろうというふうに私は思います。その点、今から先の工事の段階でやはり監視の目を厳しくしていく必要があるんではないかと、こういうふうに指摘をしておきたいと思います。  それから、審議会が四十九年の五月に答申したいわゆる「埋立てに関する基本方針」があるわけでございますが、この基本方針、「瀬戸内海環境保全臨時措置法第十二条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針について」の中で、大きく分けて三つあるわけですね。一つは「海域環境保全上の見地」、二つ目には「自然環境保全上の見地」、三つには「水産資源保全上の見地」から、埋め立てを避けるべき基準を明示しているわけであります。それによりますと、埋め立てに際してそれぞれの見地から影響の度合いが軽微であることとなっている必要がある、こういうふうになっているわけでございますが、一方、運輸省でまとめた「海域生物及び漁業に及ぼす影響」についての調査結果のまとめによると、決して影響の度合いが軽微とは私は思えないわけでございますが、これはどういうふうに理解をしていけばいいのか、運輸省の見解をお尋ねしたいと思います。
  106. 山本長

    政府委員山本長君) 先生お尋ねの、いわゆる運用に関する基本方針と関西国際空港の建設、すなわち海上埋め立てとの関連で、基本方針についていろいろな留意事項が書かれてございます。これについての運輸省としての判断と申しますか考え方というものにつきましては、関西国際空港計画室長から答弁させていただきたいと思います。
  107. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 三点セットの段階でございますけれども、「埋立てに関する基本方針」に適合するということがこの埋め立てを進めます前提条件でございます。その意味におきまして、今先生がおっしゃいました三つの項目について見解を出しております。  まず、第一の「海域環境保全上の見地」につきましてでございます。これは基本方針の記の1の(1)に書いてございますが、関西国際空港はいわゆる海上空港でございますので、その建設に当たって沿岸の海岸線の変更をもたらすということはございません。五キロ離れておるということでいろいろと検討してございます。  また、埋め立てによる周辺海域の水質への影響の度合いは極めて軽微でございます。これはやはり潮流にどういうふうに影響を与えるか、水流がどうなるかというようなことを別途研究した結果でございます。  さらに、空港の設置後における空港施設からの排出水に係るCOD負荷量は、これは小さいものでございまして、当該海域に設定されているCODに係る環境基準の達成に支障を与えるものではないと考えております。  ちなみに、私どもの調査では、大阪湾での汚染負荷量が一日約二百四十トン程度であるというふうに計算してございますが、この空港から出てまいります汚染負荷量は、私どもの調査によりますと〇・ニトン程度でございます。水質にかかわるシミュレーション等を計算しましても、空港の周辺にのみの変化でございます。  それから、埋め立てにより、潮流、恒流はもちろん埋め立てをやるわけでございますので少し変化はしますが、大阪湾及びその周辺海域にわたります海水の流れのパターンを変える程度のものではございません。  また、空港の設置が周辺海岸への波浪、高潮、津波に及ぼす影響については、場所によっては若干の変化が起こるということが想定されましたものですから、私ども計画では空港の護岸をすべて消波構造ということで、すべてといいますか、波当たりの強いところにつきましてはすべて消波構造とすることで対処することにしております。あるいは大阪湾の沿岸における海岸構造物の計画天端から判断しましても、海岸の保全及びその利用にほとんど支障を及ぼさない程度のものと考えられます。さらに、このように離しました結果、海岸の浸食または堆積に対する影響については、砂の粒径等の変化から見ましても、ございません。  それから、埋め立て用地の工事に当たっては、空港の護岸工事を先行して施工することによりまして、埋め立て土砂の投入によります濁りの拡散についてはほとんどございません。これも検討してございますが、空港の直近部に限られます。  それから、二番目の「自然環境保全上の見地」でございますが、これは「埋立てに関する基本方針」の記の1の(2)にございます。  この問題につきましては、空港を泉州沖という海上五キロの位置に設置することとしておりますので、景観上でございますが、陸から見ますと海上に線状に展望される程度のものでございまして、景観上特に支障を与えるものとは考えられません。  また、海域環境に影響を及ぼすと考えられます流れ、水質、波浪等のパターンの変化も比較的軽微でございまして、その結果、同海域の海域生物に与える影響は軽微なものと考えられます。先生が御指摘になりましたように、水産生物に与える影響そのものにつきましては、別途、流れ、水質、波浪等の検討によりまして軽微なものと判断したわけでございます。  なお、埋め立てにより海水浴場等の利用に影響を及ぼさないものということはもちろんでございまして、当然ながら、また文化財の保護という面でもこの海上埋め立てについては支障がないと考えております。  三番でございますが、「水産資源保全上の見地」ということがございます。これは基本方針の記の1の(3)にございます。  当然ながら、埋め立てにより海面を消滅しますので、その分での影響がございます。しかしながら、水産資源の増殖、養殖、漁場の整備等の対応を積極的に進めることによりましてその軽減を図ることができるものであり、大阪湾及びその周辺海域全体から見ますと、海域生物の生態及び漁業に著しい影響を及ぼさないものと考えられます。  また、空港の設置後における空港施設からの排出水の汚濁負荷量は、先ほども申し上げましたように小さく、また埋立工事に伴う投入土砂によります濁りの拡散につきましても、先ほど言いましたとおりでございます。空港の護岸の概成後に土砂を投入するということで、工事中につきましても拡散防止対策を行うことによりまして万全を期したいと。その結果、その影響は十分軽微なものと考えておるわけでございます。
  108. 桑名義治

    ○桑名義治君 おたくからいただいた資料の中には、確かにそういうふうに軽微である、軽微であるというふうに言われているわけでございます。ところがまた一面、「海域生物及び漁業に及ぼす影響」、おたくの調査の一部でございますが、この中を見てみますと、「海域環境の変化」、まず12の2でございますが、この中にもいろいろと書いてございますが、やはり潮流が変わるという可能性が考えられるというふうになっているわけでございます。あるいはまた、「空港の設置に伴って底層の潮流の流速が小さくなる空港の北あるいは南西側の海域では、この貧酸素海域を湾央及び南西方向に拡大させる傾向が助長され、」と、こういうふうに、海域環境の変化についてもこの調査結果は述べているわけであります。  あるいはまた、12の3の2でございますが、「底生生物」、この問題についても、「潮流の変化とそれによる貧酸素化傾向の助長とが加わって底生生物相が貧困になることが考えられる。」と、こういうふうになっているわけです。  それから、12の3の4、これは魚類あるいは甲殻類その他の水産動物の件についても同じような影響考えられるというふうに載っております し、あるいは浮魚ですか、この問題についても、「水質に大きな有変化があればスズキ、カタクチイワシ及びマイワシの幼若期の発育に影響を及ぼすことが考えられる。」と、こういうふうにそれぞれの甲殻類その他の水産動物あるいは底魚、貝類あるいは藻類、こういったものも全部影響があると考えられる、可能性があると考えられる、そういうふうに全部この報告書はなっているわけですね。  そういった立場から考えますと、非常に影響が軽微であるというふうにおたくの方では言われますけれども、現実にこの調査が言っている事柄は、すべて影響考えられるということで全部締めくくられているわけですね。そうやった立場から考えると、運輸省のおたくたちの言っている、いわゆる影響が非常に軽微であるというその発言はどうもいただけないわけでございますが、この調査結果によっての皆さん方の軽微であるという判断は那辺にあるのか、御説明願いたいと思います。
  109. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先生海域生物につきましておっしゃられましたけれども、私どもとしても海域生物そのものにつきましては残念ながら素人でございます。このために、五十一年度から調査をしましたが、それぞれの専門家にお手伝いいただきましていろいろ検討したわけでございます。  その中で、海域生物に関してこの調査をまとめるに当たりまして、まず四年間の時間をかけてやったわけでございます。この四年間というのは、海域生物あるいは漁業に及ぼす影響というものを調べるという意味では、短いということだそうでございます。どうしても定性的な分野に陥らざるを得ない。したがいまして、私どもとしましては、まずこの海域生物、漁業に関しましては、可能性がある、影響がないということでそういうことを言い切るつもりはございません。やはり影響がありそうなものにつきましては素直に影響があると言うことにしました。さらにそれを補てんします、その影響を及ぼします水流の変化であるとか濁りであるとか、そういう問題につきましては別途調査しまして、全体で判断してその軽微であるという結論を出したわけでございますが、しかしながら、影響そのものを否定するわけでございませんで、この五十四年、この調査が終わりました後にも、さらに継続して調査を続け、今後ともその辺をさらに続けて見守っていきたいという考え方でおります。
  110. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、今の御答弁の中では、影響が軽微である、いわゆる少ないというような、そういう発言は今なかったわけですね。なかったわけですね、今。今の御答弁の中では。要するに影響があることはあるであろうと。しかし、今後の問題としてこの問題はやっぱり慎重な上になお一層慎重な態度をとりながら建設をしていかなければならない、見きわめていかなければならない、こういう御答弁だったように思うんですが、そうですか。
  111. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 漁業だけでなくて、水流であるとか潮流であるとか波浪であるとか、こういう調査をした結果、影響が軽微であるだろうという一応の判断をしたわけでございますが、海域生物関係につきましては、ただ四年間の調査に基づいてやってきたわけでございますので、さらに続けて確認のための、あるいはさらに建設を進める段階のためにも調査を続けておるということでございます。
  112. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、これはエコノミストに掲載されておりました岩本さんという人の論文でございますが、この中でも、「一般に大阪湾は「汚れた海」のイメージが強い。しかし、どっこい大阪湾は生きているのだ。」と。ガザ三、チヌ、シャコ、タコ、カタクチイワシ、マイワシなど豊富な魚種に恵まれている、こういうふうになっております。あるいはまた、「なかでも新空港の予定地は漁業生物たちの産卵、生育、回遊に欠かせない海域である。」、それから、「「アセス原案」のように、埋め立ては大阪湾の一〇〇分の一にすぎないから影響は軽微、と片付けてしまうのは、まさに自然の大きな営みに目を向けぬ所業ではないだろうか。」、こういうふうに述べているわけでございます。  水産庁、この問題についてはどういうふうにお考えになりますか。
  113. 渡辺武

    説明員(渡辺武君) お答え申し上げます。  私たち、先ほど未御説明がございますように、まず漁業影響の調査を五十一年から始められましたときに、水産に関しましては専門的知識を要するということから、我々水産庁の所管団体でございます社団法人日本水産資源保護協会というものがこの漁業影響の調査の部分を担当しておるということでございまして、そのような調査の結果等を通じまして、私たちといたしましては次のようなことを考えておるわけでございます。  漁業に対する関西空港建設による影響、いろいろ定性的に考えればあるわけでございます。潮流が変わるからとか、あるいは航空機の騒音だとか、あるいは工事による影響とかいろいろあろうと思いますけれども、大きくは二つあるのではないかというように認識をいたしております。  一つは、先ほど先生もおっしゃいましたように、大阪湾というところは非常に生産力の高い、私たちから見ますと良好な漁場であるということでございまして、ある程度の規模の空港建設によりましてそれが物理的に一部分なくなるということ、それによる漁獲の減、あるいはそこに依存しておったものが他へ若干転化して依存せざるを得ないというような影響が出るということが第一であろうかと思います。  それから第二番目は、空港建設予定地と目されておる場所は、ほかでもございませんが、これも先生のお話にもございましたが、産卵場あるいは幼稚仔の生育場としてかなりの魚種がそれに依存をしておるわけでございますので、そのようなものに対する影響があるのではないかというようにも考えるわけでございます。  そのような定性的な判断は持っておりますけれども、より具体的な影響等につきましては、今後事業主体が作成されることになると聞いております実施アセス等を十分検討させていただきまして、関係省庁ともよく協議検討をさせていただきたいというように思っておりますが、さしあたり、今申し上げましたような形での定性的な影響がそれなりにあるのではないかというように考えておる次第でございます。
  114. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の運輸省並びに水産庁の御答弁をお聞きして、環境庁としてはどういうふうな御意見をお持ちですか。
  115. 加治隆

    説明員(加治隆君) 埋め立ての実施によりまして海域生物の生息の場が消滅するものの、新たに生息の場の設置などによりまして措置を講ずるというようなことがアセスメントに書かれておりまして、そういうことによって影響が軽減されるのではないか、そういうように判断したところでございます。
  116. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしても、環境庁の御答弁がどっちを向いているのかさっぱりわからないわけですよ。環境庁という庁ができたそもそもの由来を、私は姿勢としてはもう一遍考え直してみる必要があるのじゃないか、そういうふうに思わざるを得ないわけです。先ほどからの水産庁の御答弁をお聞きをしておりましても、相当な影響が出るであろうことは予知できるというふうな意味合いの御言葉があったわけですね、御答弁が。そういう立場に立ちますと、環境庁としてはやっぱり慎重の上に慎重を期す必要がある、そういう姿勢を示すのがむしろ私は環境庁の大きな役割ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、今度お聞きしたいのは、運輸省にお聞きしますのは、今水産庁からは、いわゆる潮流の変化あるいはまた産卵場が大きく荒らされるということで、魚介類に対する影響というものはどうしてもこれは免れることはできない、こういうふうな意味のお話があったわけでございます。今後のいわゆるアセスも非常に大切である、こういうふうに言われているわけでございますが、運輸省としては今後どういうふうな方向でこの問題に取り組んでいこうと思われているのか、この点につ いてお伺いをしておきたいと思います。
  117. 山本長

    政府委員山本長君) 海域生物、なかんずく漁業に与える影響につきましては、先生おっしゃるように慎重な上にも慎重な判断をしなきゃならぬ事柄であると我々も考えております。運輸省が実施いたしました海域生物に関するアセスメントにつきましても、相当な専門家にお願いをしてその意見を集約したものではございますけれども、先ほどちょっと水産庁の部長からもお答えのありましたように、定性的な面でどういう影響があるか、どういう影響考えられるかということは言えるのでございますけれども、定量的に把握というのは、やはり現在の知識、知見というふうなところから見て限界があるというのが専門家の御意見のようでございます。  私たち、この定性的な面における研究は相当長い間やってきたものでございますけれども、それを定量的にどう判断するかということについては、先ほど先生の御指摘がございましたけれども、海流だとか流れから軽微だというふうな定量的な判断をしたというふうな点について先生の御指摘もあったところでございます。こういった判断につきましては、やはり私たち今後この計画の具体化を図ってまいりますときに、漁業に関する専門家の方々、私たちが今まで御意見をお聞きした方々、あるいはもっと広い方々、あるいは漁業関係者の方々、こういったものの一つの経験からする実感というふうなものも加味しつつ、漁業に関する考え方というのをまとめてまいらなければならないというふうに考えております。  またさらに、影響があるということは事実でございますから、それに対する対策といたしまして、空港の護岸構造といった面につきまして、私たちも漁業面からの配慮をいたしまして、新しい何といいましょうか、魚礁となり得るような護岸の構造あるいは下の石積みの仕方というふうなことについて十分配慮をしたつもりでございます。そういったものが新しい漁業の環境になっていくというふうなことにも配慮いたしたのでございます。  しかしながら、そういったことにとどまらないで、漁業の保全あるいは振興といった観点から、この影響というものを緩和する方策といたしまして、いろんな方策につきまして地方公共団体あるいは水産関係、農水省の方々の御意見も聞きながら、いかなる対策が一番いいかというふうなことにつきましても今後十分検討いたし、有効な対策がとられるように私たち努力をしてまいりたいと、そんな考え方で対処をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  118. 桑名義治

    ○桑名義治君 水産庁にお尋ねをしたいんですが、空港及び連絡橋が設置をされるわけでございますが、その海域の漁獲量、それから漁獲金額、それから漁業者数、それから魚種、それから組合の数、こういうものをちょっとお尋ねしたいと思います。
  119. 渡辺武

    説明員(渡辺武君) お答えいたします。  空港が設置される海域あるいはそれを含めました周辺海域ということで、大阪湾につきましての漁業の実態を御説明申し上げます。  まず、漁獲量でございますが、最近大阪湾の漁獲量がふえてまいっておりまして、昭和五十七年には十三万五千トンになっております。  その金額は、百八十億五千万円になっております。大阪府が大体八十億円弱、兵庫県が九十億円強、和歌山県が十億円強でございます。  三番目に、関係の漁協あるいはその組合員、要するに漁業者でございますが、関係漁協といたしましては、これは県の言っておる数字というように御認識いただきたいと思いますが、八十三漁協でございます。県ごとに申し上げますと、大阪府で二十四漁協、その組合員数が千七百二十一名。兵庫県が三十一漁協、五千四百一名。和歌山県が二十八漁協、四千九百六名、計八十三漁協、一万二千二十八人ということになっておるわけでございます。  そこでとれます主な魚種は、マイワシ、これが八万四千二百トン、カタクチイワシ一万九千六百トン、あたりが中心でございまして、イワシ類が大宗を占めております。そのほかイカナゴ、シラス等と、エビ、カレイ、スズキ、マダイ等若干漁獲量は少のうございますが単価の高いものもあるということでございます。  とっております漁業種類といたしましては、ちょっと専門的になって恐縮かと思いますが、あぐり網、船引き網、小型底びき網、刺し網、釣りといったようなものでございまして、大宗はそれぞれ知事が許可をした船が操業してとっておるというのが中心になっております。  以上でございます。
  120. 桑名義治

    ○桑名義治君 こういうふうなさまざまなことをお聞きしたのは、いわゆる今後の漁業補償の問題にこれは絡んでくると思います。そこでお尋ねをしたわけでございますが、現在の水産庁の御報告の中では、いわゆる漁協の数が八十三漁協というふうにお話がありました。前々から運輸省の方といろいろと質疑を重ねた中では四十幾つというような数が挙がっているわけでございますが、正確には運輸省が把握している漁協の数は幾つでございますか。
  121. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 私どもがこの空港島の関係で幾つかの試験工事をやっております。その段階で漁業補償を過去八回やっておりますけれども、そのときに大阪府漁連、これは場所が、空港島周辺海域は大阪府知事による許可漁業区域、と同時に、入会協定によります兵庫県摂津、淡路地域の漁船操業区域、いわゆみ許可漁業区域になっているわけでございます。  私どもが調査におきまして大阪府漁連あるいは兵庫県漁連と調整し、漁業補償の対象としてまいりました漁業組合数でもって申し上げておるわけでございますが、その漁協数は大阪府が二十四組合、兵庫県が十七組合、計四十一組合となっているわけでございます。当然ながら、その工事の様相によりましてはこの辺は変わる可能性があるわけでございますが、私どもの工事に伴います関係漁協は今申し上げましたとおりでございます。
  122. 桑名義治

    ○桑名義治君 今まで運輸省がそれぞれ折衝した段階では四十一組合だと、それから、いわゆる水産庁からお聞きした関係漁協というのは八十三漁協だと。こうなってくると、八十三と四十一といったら、運輸省関係は四十一で半分ですね。  現実に空港の作業がいよいよ始まる前には、これは当然それぞれの漁業補償問題が俎上に上がってくる。これが解決しなければまたこの空港の建設というものは大きくおくれると同時に、これが解決しなければできないわけでございます。まず、水産庁と運輸省との間で、こういうふうに漁協の数でさえも大きな隔たりがあるわけでございますが、これはどちらを信用し、どちらを主体にしながら漁業補償というものに取り組んでいかれるおつもりでございますか。
  123. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 今水産庁の方で言われた数字は、この周辺三府県の関係の漁協数をすべて網羅されたんだろうと思います。私どもは今までの調査の段階で、和歌山県との折衝はございません。和歌山県については、この地域に許可漁業を行っておるということはございませんで、省いております。こういうようなものを含めて、トータルとしての八十数漁協だろうというふうに理解してございます。
  124. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、最終的には大体どのくらいの漁協の数になりますか。
  125. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 漁業補償をやります場合には一つ考え方がございまして、消滅する場所、あるいは価値減が生ずる場所影響する場所、そういう考え方の中で、そこの区域で漁業をやっておられる方々を中心に補償するという、一つの公共事業での考え方がございます。工事の仕方あるいは工事の内容によりまして判断されるべきものと思っております。現在、まだそこまで検討してございません。
  126. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、漁業補償という問題はこれ非常に重要な問題なんですね。陸上に飛行場をつくるならば、どういうふうに土地を確保するかということがこれ非常に大きな問題になるわけですが、海上空港ということになれば、 漁業補償が解決しなければ空港はできないわけでございます。  そういった意味で、ここにやっぱり大きな視点を置きながら慎重な態度で臨んでいかなければ、私はこの空港建設が一つの大きな暗礁に乗り上げるのではないかという危惧を抱くのでございます。私は別に責めるつもりで言っているわけではなくて、もちろん私たちにとってはこれは賛成法案でございますから。だけれども、いわゆる成田のようなことが起こる、あるいはせっかく決められた期限内で工事が完成できなければ、しょせんまたここで大きな予算的なそごを来す。こういうことでここに大きな視点を抱きながら私はやっぱり考えていかなきゃならぬ、こういうことを特に申し上げたいわけです。  そうした場合に、今言えないならば言えないで結構なんですけれども、現実に少なくともどのくらいの漁協とこの交渉をやっていかなければならないかということは、ある程度私は把握しておくもう時期に来ている、こういうふうに申し上げたいわけなんです。現実にそこに漁業権があるもの、ないもの——ないものも今までのいわゆる漁業補償の中ではあります。影響があるから。魚はそこにじっととまっているわけじゃありません、ずっと動いているわけですから、遊魚しているわけですから。したがってそういうふうに付随的に起こってくる影響というものは必ずあるわけでございます。そこまで輪を広げながら慎重にやはり一つの枠、基本方針というものを決めておかなければいけないと思うんですが、漁業補償に対する基本方針というものは慎重の上に慎重を期さなければいけないと思うんです。  最近特に「むつ」の帰港港に対する補償問題がいろいろなことがうわさされ、あるいは新聞紙上で問題になっているわけです。だからといってぎっちりと締め上げてしまえば漁業者に過剰な負担を及ぼすことにもなりますし、そこら辺は非常に慎重の上に慎重を期していかなければならない問題だろうと思うんです。  この漁業補償の問題についての運輸省の基本的な物の考え方、直接には皆さん方が漁業補償の問題で交渉するわけじゃないかもしれません。それは新会社がするのかもしれません。するんですけれども、しかしもうたびたびこの委員会で言われているように運輸省としては責任を持って指導する、助言する、こういう立場に立っているわけでございますから、また国家的な事業でございますから、この点についてのきちっとした基本方針をどこに置いているのか、まずお示し願いたいと思います。
  127. 山本長

    政府委員山本長君) 漁業補償についての補償の基本的な考え方は、公共用地の取得に伴う損失補償基準というものに照らして交渉していくということになるのでございますけれども、しかしこれはそういった基準にのっとってやるということでございまして、この漁業補償の問題が解決しなければ、この空港は会社ができても実はスタートしないといったほど重要なことでございます。  私たち、この空港計画につきまして、先ほど申し上げましたように約八回漁業交渉を経験してきておりますけれども、それはボーリングをやりますとかいうふうなことでございます。本格的なものをここで工事をやっていくということになりますときには、空港の敷地というものの海域が消滅するという問題、これは新しい問題でございます。こういった漁業補償のあり方というものについては、やはり現場の漁場における状況というものを当事者でなく第三者の立場から見て一番よく知っておられる方、例えば交渉するのは会社であり漁業組合でございますけれども、その第三者の立場と申しますか、に立ちかつ漁業の実態というものも十分知っておられるというふうな方々、例えば府、県の漁業の担当の方々というものの御意見も十分聞き、かつまたこの交渉を進めていく場合には、そういう方々の御努力というものも私たちの協力として得ながら進めていくというふうなことが必要だと思います。  また、この問題を解決する上におきまして、漁業の方々と折衝していきます場合に、漁業における実態について、また影響についての心配について一番直接的に身をもって危惧を抱いておられる漁業の方々の意見というものもやはり真摯に誠意を持ってそれを聞き、交渉に当たるというふうな態度で進めていく必要があると考えております。また、会社に対しても、そういった運輸省が今までやってきております態度というものを貫きながら漁業対策というものをやっていくように指導していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  128. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま御指摘になっております漁業補償問題というのは、関西空港の当面する死命を制する一番大事な問題だと思っております。成田空港の場合は用地買収が御承知のようにもう致命的な問題であったわけでございますが、新関西空港についてはむしろ土取り場の問題その他よりも、漁業補償の成否がどうなるかということが工期を左右し、工費を左右しいろいろすることだと考えております。会社の責任者は、これは挙げて全力を注がなければならぬ問題であります。  また、今、いろいろ関係方面の御協力を得ると同時に、やはり地域皆さん方、あるいはむしろある意味では国民的な世論、そういったことも十分考え、漁業者の立場も十分考えてこの問題に当たらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  129. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、もう時間があと少ししかありませんけれども、これはぜひお尋ねをしておきたいと思うのですが、漁業者の中には、いわゆる埋め立て周辺海域、これを有効に利用しまして漁業を継続される方もおられると思います。それから、漁船を大型化しまして、そして遠くの海域に出漁したいと、こういうふうに願っておられる方もおられると思います。それと同時に、この際ということで、小さな漁業者は転業を余儀なくされる方もおられるのではないかと思います。したがって、この地域における漁業振興対策が非常に重要な課題になるわけです。  運輸省のこの報告書の中にも、埋め立てによる海面の消滅に関して、「水産資源の増殖、養殖、漁場の整備等の対策を積極的に進めることにより、その影響を軽減することができるもの」であると、こうあります。そうしますと、考えられることは、いわゆる栽培漁業施設、種苗センターの設置ですね、それから増養殖場の造成、それから漁港の整備、それから漁船建造資金の融資、こういった手法が考えられるわけでございますけれども、こういった問題も計画的に私は進めていかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、この件について運輸省並びに水産庁の御意見を伺いたいと思います。
  130. 山本長

    政府委員山本長君) 運輸省考え方は、三点セットで先生今お読みになった考え方でございます。  やはりこれは地域の振興ということとも関連をしてまいっておりますし、このいわゆる漁業の補償ということだけではなくて、漁業の振興という面について地域と空港とが共存していくというそういう観点から見まして、そういう観点から配慮をし施策をしていく必要があるというふうに考えておるところでございます。この件につきましては、具体的な計画、具体的な施策というものについては、府、県を初めとする地方公共団体の意見も十分聞き、また関係省庁の御意見も十分私たちも伺いながら、運輸省としてそういった施策が積極的になされるように運輸省の立場から努力をしてまいりたいというふうに基本的に考えておるところでございます。
  131. 渡辺武

    説明員(渡辺武君) お答えいたします。  先ほど来御説明申し上げましたように、大阪湾というところそれ自身が私たちから見ますと非常に優良な漁場である、あるいは産卵場、あるいは幼稚仔の生育場を包含しておるというようなことでございまして、従来から、漁業振興につきましてもこの地域にかなりの重点を置いてやってまいったところでございます。  また、空港立地に伴います地域振興というよう な観点からいたしましても、この地域の漁業振興をより一層充実してやっていかなければならないというようなことも強く認識をいたしておるわけでございます。  先生、四つほどの具体的なことでの事業名等を挙げられましたが、そのうち増養殖施設、あるいは栽培漁業センター等につきましては、具体的に例えば栽培漁業センターで申し上げますと、和歌山県からもあるいは兵庫県からもあるいは大阪府からも、それぞれ私たちのところに、中身はいろいろ違いますけれども設置の要求が参っております。強度もいろいろ違います。緊急度も違います。しかし、一応各県から御要望が出てまいっております。また、大規模増殖場につきましても具体的な御要望が大阪府からあります。これらにつきましては、できるだけ、本年度あるいは来年度予算等々でも処理できるもの等もありますので、そのようなものは積極的に対応させていただきたいと思いますし、また若干時間がかかるようなものもございますが、いずれにいたしましても、十分に地元の関係者の意見等を各県を通じましてお聞きいたしまして、あわせて関係省庁ともよく御相談をした上でできる限りの援助、指導というようなことに心がけてまいりたいというように存じておる次第でございます。  また、漁港整備あるいは漁船建造資金の融資という点につきましては、残念ながら今のところ私たちの方に具体的な形で御要望は参っておりません。しかし、空港の建設がおいおい進むという中におきまして、今先生おっしゃいましたような形で漁船建造資金の必要性といったようなことについての御要望が出てまいることもあろうかと思います。そのようなときには、今申し上げましたような基本的な考え方にのっとりまして十分な御協力をあるいは御支援を県の方を通じて漁業者に対してやってまいりたいというように思っておりますので、よろしく御了承いただければということでございます。
  132. 桑名義治

    ○桑名義治君 最後に大臣にお伺いしたいんですが、今、漁業補償の問題、それと同時に、その以前の問題あるいはまたそれ以後になるかもしれませんが、いわゆる漁業振興対策についての私御提案を申し上げたわけですが、これは漁業補償と大きな関連を持つわけですね。  漁業補償がうまくいくかいかないかということは、こういった施策にどういうふうに積極的に政府が取り組んでいくかというその姿勢がやはり私は大きな影響力を持つ、これは重要な事柄であろうと、こういうように思うわけでございますが、この点についての大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  133. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) まことにごもっともな御指摘でございまして、単純に漁業補償をするという考え方でこの問題にぶつかってはいかぬのであって、漁業全体を一体どうしていくんだという大きな見地からやっていかなければこれは解決できない問題、それほど大きな問題だと思っております。関係閣僚協議会もございますので、農林水産大臣の十分な御協力も得たいと思っておりますし、関係地方公共団体の御協力も得るように全力を挙げてまいりたいと考えております。
  134. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  135. 橋本敦

    橋本敦君 前回委員会におきまして、我が党の小笠原議員から、関西国際空港に関していわゆる将来の航空需要予測に関連をして質問をいたしました。問題は、その需要予測が大きく変わってきたという点の重大性を取り上げたわけであります。  それに対して大臣の方も、速記を起こしての答弁を私も拝見をいたしましたが、率直に、私も驚いておる、毎年こんな格好になったら大変だ、もっと慎重にやらなければならないと、御答弁をなさった次第でございます。  まさに大臣の御答弁にもありますように、この将来の需要予測は難しい問題ではありますけれども、関西国際空港の建設の計画、あるいは地域整備やアクセスや住民合意、あるいは強いて言うなら関西国際空港の必要性そのものにもかかわる重大な問題だと私は思うんですが、そういう重大な問題だということについて、大臣も認識は私と違わないと思いますが、まずこの点の大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  136. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 全く同様に考えております。すべての基礎になるものであって、しかも非常につかまえにくい、難しい。それから、この前も小笠原委員にも申し上げたんですが、ある程度設備をしたりいろいろするときには大き目に見ておかなければいかぬ。しかし経理の面やその他では低目に見ておかなきゃいかぬ、かた目に見ておかなきゃいかぬというような性格の問題もありますので、いずれにしても今お説のように、極めて慎重にこれは取り扱わなきゃならぬ問題だと、こう思っております。
  137. 橋本敦

    橋本敦君 航空局長に確認をまずしておきますが、この需要予測については運輸省として公的に表明をした需要予測が過去三回、一つ昭和五十六年の三点セット当時の予測、それから五十九年度予算概算要求時の予測、それから最終的には今年一月の五十九年度予算、この本予算に関して出されたときの最終的な予測、この三つと承知しておりますが、間違いございませんか。
  138. 山本長

    政府委員山本長君) 直接的に関西国際空港計画に関連をいたしまして需要予測を行ったものを挙げれば、三つでございます。しかし運輸省といたしましては、こういう関西国際空港計画というものに焦点を当てたところの需要計画ではなく、もう少しマクロ的に、例えば第四次空港整備五カ年計画をつくるというときには、その時点で需要予測をするというふうな観点からの需要予測もございます。この関西国際空港というものに焦点を当てた需要予測と申せば、この三回でございます。
  139. 橋本敦

    橋本敦君 三つですね。その数字の一覧表を私つくりましたので、御答弁いただく都合で大臣局長、飛行場部長にこれちょっとお渡しをしておきたいと思います。(資料配付)  いろいろな立場の予測があるにしても、私は一つの問題は、運輸省予測が過大に過ぎたという嫌いがあるという問題をぬぐえないと、こう思うのです。  そこで、まず、五十九年度の予算をめぐって大蔵省と運輸省との折衝があり、その中で需要予測見込みが下げられて、五十九年度の今表でお渡しした数字になったと承知しておりますが、その経緯について大蔵省の立場から御説明を簡単にいただきたいと思います。
  140. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 我が国の航空需要の動向を見ますと、五十年度初期までは国内線、国際線とも高い伸びを示してきたものの、その後伸び率は鈍化傾向を示しております。将来の需要予測につきましてこれはいろいろな見方ができるかと思いますけれども、本事業の採算性を確保し、将来に問題を残さないようにするためには、近年の鈍化した航空需要の伸びを十分考慮した需要予測を前提に採算性を確保することが基本であると、そういうことでございます。
  141. 橋本敦

    橋本敦君 そういう大蔵省の立場を運輸省も了解をされて、この数字で示しておりますように、五十九年度予算時の予測運輸省としても確定をしたと、こう伺って局長よろしゅうございますか。
  142. 山本長

    政府委員山本長君) そのとおりでございます。
  143. 橋本敦

    橋本敦君 私、新聞を見ておりますと、去年の九月なんですが、これと別に飛行場部長がおっしゃった数字があるのに気がついたのですが、これは五十八年九月二十一日付の読売新聞が報道しておるんですが、松村行場部長が、九月の二十日東京で開かれたセミナーで関西国際空港の収支見通しに触れられまして、ここのところで、借入金の返済見込みが十九年でいくだろうという明るい見通しを述べられたその背景に、この需要予測につきましてこうおっしゃっているんですね。  六十八年開港時には国内線二千八百万、国際線一千三百万、七十五年度になりますと、国内線三千五百万、国際線二千万、こういう予測をなさったと、こういう報道があって、これはまた非常に大きな数字なんですが、飛行場部長、こういうよ うに御説明をなさった事実はあったわけですか。
  144. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 数字は私は記憶にないんですけれども、たしか先生、この「都市と空港」というのでございますか——に書いてあるから多分そうなんだろうと思います。
  145. 橋本敦

    橋本敦君 そうしますと、この七十五年度をとってみますと、これで比較をしますと、昭和七十五年度の五十九年概算要求時の運輸省予測は、これで見ましても、国内線は千七百万人、それから国際線は二千万人、こういうわけですが、今の松村部長の予測では、国内線が三千五百万、国際線二千万、かなり大きな数字をお述べになっているんですね。しかも、五十九年度概算は五十八年八月終わりの時期ですから、一カ月ほど後のセミナーでの御発言でこれほど大きな予測値の違いがあるというのは、これは私はまた何としたことであろうかという疑問を抱かざるを得ないのですが、どういう経緯なんでしょうか。
  146. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 今その数字を見ましたところ、これは関西国際空港と私はその時点で述べたようでございますけれども、関西地区の数字を申し上げたようでございます。関西地区について五十九年度概算要求時の数字を、繰り返すようでございますが申し上げてみますと、昭和七十五年度において国際旅客二千万人、国内旅客三千五百万人と想定しておけます。この数字を申し上げたようでございます。
  147. 橋本敦

    橋本敦君 そうすると、違うわけですね。正確でないということになるわけですか、部長。間違って述べられたわけですか。
  148. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 関西国際空港というところを関西地区と読めば、これで正確でございます。
  149. 橋本敦

    橋本敦君 読めばだけれども、あなたがおっしゃったんだから。
  150. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 私は、こういうことを言ったかどうか全然記憶にないんですけれども、こういうふうに記録があるんだから言ったのかもしれません。これは確認できません。
  151. 橋本敦

    橋本敦君 そういう、誤りなら誤りということで率直に御訂正になり、事実を明らかにされたのでこれ以上追及はいたしませんが。  さて、運輸大臣、その表を見ていただきたいのですが、私は予測は難しいということは知っております。しかし、余りにも大きな違いがあるということは問題だということで申し上げたい。運輸大臣は先ほど、つくる方は多少の余裕を見て考えるという立場があるというようにおっしゃいましたが、三点セットのときの予測を見ますと、運輸大臣、まず、昭和七十年度でいきますと、合計、旅客計で三点セット三千七百万と見ておりますが、五十九年度予算は二千二百万というように抑えられている。七十五年度予測を見ますと、三点セット予測は四千九百万、これが二千六百万、半分になるんですね。それから八十年度は五千九百万が三千百万、これも半分。八十五年度になりましても六千八百万という三点セット時の予測が三千四百万と半分。発着回数にいたしましても、三点セットは二十六万回と言っておりますが、五十九年度予算は十七万回と、こうなるんですね。そこで運輸大臣、この開きは余りにも大き過ぎはしませんかという問題なんです。半分なんですよ。百万違った、二百万違ったという程度じゃない。六千八百万人の需要があるだろうと見たのが、半分の三千四百万、これは大変なことですね。  そこで大臣、先ほどおっしゃいました、こういう大きな、半分も減ってしまうという狂いが生じたということになれば、これは改めて、三点セット時に運輸省がおっしゃった計画やアクセスや、あるいは地域整備の基本的考え方や工事計画や、あるいは第二次工事計画については、これは具体的に工事着工の時期がずれてくるわけですから、大きく違ってくるわけですから、こういう問題については運輸省としては、あの三点セットで合意をしたときの需要予測が半分に減ったという重大な事実について、どういうふうに釈明をされるかということなんです。いかがですか。簡単に答えてください。
  152. 山本長

    政府委員山本長君) 地域といろいろ話し合いをしてきたということとの関連でこの数字の差をどう考えるかと、こういうことだと思います。  三点セットで、まず空港計画について申し上げますと、私たち、最終的には三本の滑走路を持つ空港をつくるということでございますが、三点セットにも、いわゆる段階施工として、最初は必要最小限度のもの、滑走路一本のものをつくる、そして需要のあれに応じまして逐次ふやしていくというふうな考え方をとっております。この空港計画に関しますれば、その現在計画しておりますものは、大阪空港の現況から見て必要最小限度のものをまずつくって、そして後ほど、需要の増加に応じて拡大していくという考え方でございますので、こういった  私これを釈明するつもりはございませんけれども、この需要の増加というものがこういうふうにスローダウンをしたということは、将来の空港の拡張整備というものの時期がおくれていく、こういうことになっていくわけでございます。私たち、今つくりたいといって段階施工の方法としてやっておりますのが、滑走路一本の必要最小限度のものをつくる、こういうことでございますので、影響はそういった将来の拡張にあらわれてくる。  それから、もう一つ大きな問題はアセスメントの問題です。  アセスメントといたしましていろいろなアセスメントをいたしておりますが、これに関連いたすのはやっぱり騒音の問題が一番影響があると思います。アセスメントにつきましても、私たちは、何年時点での状態ということではございませんで、アセスメントというのは、この空港の能力というものがある時点に達するとき、つまり、二十六万回という最大限に達するとき、十六万回に達するとき、二つの時点をとらえまして、しかしこれは時期ではございません、そういう時点をとらえまして、騒音というものがどういうふうになるかということを予測し、評価をして地元に示したわけでございます。そういった意味における十六万回時点とか二十六万回時点という時点が、需要のスローダウンによりますと後へおくれていく、こういうことになってくるわけでございます。
  153. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。  ですから、私が言ったことは全面的にお認めにならなくても、二期工事開始時期、あるいはアセスメントでも、今おっしゃったいろんな策定の時期、時期がスローダウンによって後へずれていくということは、影響があるということはお認めになったわけですね。  例えば、三点セットのときには、あの需要予測でいくと、二期工事の開始はいつごろという予測になりますか。    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕 今度は、五十九年度予算でいくと、二期工事の開始は何年度からやらなくちゃならぬという予測になりますか。その違いをちょっと言ってください。ずれたという答弁の具体的内容。
  154. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 滑走路一本でターミナル地区をフルに整備した状態での能力は、十六万回と我々は想定しております。したがいまして、十六万回に達したときに、それ以上の増加にはやはり二期工事が必要という前提でお答えいたします。  三点セット時点で十六万回に離着陸回数が達しますのは昭和七十年でございます。五十九年度概算要求時点では七十五年でございます。
  155. 橋本敦

    橋本敦君 七十五年で十六万になっていないでしょう、五十九年度予算。
  156. 松村義弘

    説明員松村義弘君) 順番に申し上げます。  五十九年度概算要求時点では、十六万回は七十五年でございます。予算編成時における十六万回は八十三年と考えております。
  157. 橋本敦

    橋本敦君 そうでしょう。だから、八十三年と七十年、十三年の違いが大臣、起こってくるわけですよね。これは大きいですよ。だから、地方自治体の周辺整備、あるいは地方自治体のいろんな計画考える上でも十三年ずれてくる。  そこで大臣、これは国会で論議をしておりますが、大阪府を初め三点セット合意で地方自治体に 説明したときにはこういうことは予想もしなかったことですから、今改めて、こういう五十九年度で確定した予測に基づいて、今言ったような工事のずれも起こるということも含めて、きちんと運輸省としては三点セットを合意した関係団体に対して、あるいは必要な地域住民の合意を得られるそういうような具体的な方途も考えて、もう一遍説明をし直すという態度をおとりになることがこれは当然じゃないでしょうか。いかがですか。大臣のお考えを聞きたい。
  158. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私はこういうふうに思っております。  この数字をどうして出したかについては今つまびらかにしておりません。しかし、当てずっぽで数字が出たものでないことだけは確かです。
  159. 橋本敦

    橋本敦君 変わったんですからね、半分に減ったんですから。
  160. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) これは数字はある条件のもとに出ておるもので、この条件が変わったから数字が変わったと。当てすっぽでただ出したものではない。条件が変わったから変わった数字が出たと、こういうふうに思うんですね。  それから、三点セットと数字との関係がどの程度の密着度があるか、どの程度の関連度があるかと。大きくても小さくても同じようなものもあるでしょう。それから、大きければ、今第二期工事云々のお話がございましたが、これなどはごもっともなことなんですが、その他のことについてどの程度との項目がどういうふうに変わるかということだと思います。これは物の理屈としまして、少々ふえようがふえまいが同じような態度で臨んで差し支えないものもたくさんあるはずなんで、そういう点からいいますと、見直さなければならぬ点はあるいはあると思いますが、私ども今これについて直ちに、会社を設立したり工事に着工したりする段階で、これを見直してから会社を設立させるとか着工させるとかいうことではなく、これは少し長くといいましょうか、そう長いわけじゃありませんけれども、いろんな点について再検討を要するところがあるということは御指摘のとおりだと思いますが、私、しなきゃならぬところと、それからしなくてもいいところと出てくると思います。そういうふうに思います。
  161. 橋本敦

    橋本敦君 だから大臣、これだけ違ったんだから、しなくちゃならぬところは率直に運輸省として関係地元等にきちっと説明をしてやるということが必要じゃないかということを私な言っているわけですよ。いかがですか。それはもう責任上当然でしょう。
  162. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今この三点セットを全部やり直したりいろいろするというのは実際の工事をおくらせるだけのことでございますから、これはいろんな点で修正可能でございますからね。ですから、そういう点で見直すべきところは見直すと、こう私は申し上げておるわけで、あなたのお説を、その点で結構ですと、こう申し上げておるわけなんです。  ただ、これをやらなきゃもとから御破算じゃないか、こういうことで会社の出発もおくらせろというようなお話でございますとちょっと困る、こういうことでございます。
  163. 橋本敦

    橋本敦君 会社の出発をおくらせろとまだ言っていないんで、私は会社に反対している立場ですから。  次の問題に移りますけれども、時間がないので大臣ね、これは巨大なプロジェクトでありますけれども、大体今まで巨大プロジェクトというのはなかなかやっぱりうまくいっていないという実例がある。例えば青函トンネルですね。これはもう予測に反して、何に使うかこれ考えなくちゃならぬ。午前も問題になりましたが、成田空港の地下には百五十億以上かけた駅が眠っておるという状況になっている。行革行車と言っていますけれども、大変な国費のむだ遣いということが問題になるわけですね。  そこで、この関西国際空港でも、国が八百億の投資ということで大変な金を投入するわけですが、この需要予測がこういうように、出発した三点セットのときから半分に減ってしまった。将来スローダウンだということはお認めになったんですが、スローダウンどころか、こういうような大プロジェクトがまたまた予測が狂って失敗するということになりはしないかということを私どもは深く危惧をして、その点で今言ったような慎重な、見直すべきは見直すという点を厳しくお願いをしたわけです。  もう一つの問題は、私は今後国の責任と住民のかかわる被害との関係で心配をしておるんですが、例えば運輸大臣、今までも議論されておりますが、騒音公害が発生をした。あるいは先ほども漁業問題が桑名先生の方からも出されておったわけですけれども、予想を超える潮流変化で、漁業補償をしたその後の予想せざる新たな損害が、海の中に大きなものを設置したということで起こってきて損害問題が起こってきた、こうなってきた場合に、その場合の住民との関係での被害補償責任というのは、挙げてこの会社が負う、国は法律上責任はないと、こういう建前になっていくように思うんですが、その建前は局長、間違いありませんね。
  164. 山本長

    政府委員山本長君) その責任という場合に、法的責任というふうなことになってまいりますと、やはりその原因と損害というものの因果関係というものが一つの前提として検討されなければなりませんけれども、しかしそれは検討の事項といたしまして、法的責任というものをとらなければならない、この会社が。公害とかあるいは予期せざる災害とかというものによって生じましたときには、その責任というものは、空港設置に関してがその原因である場合には、この会社の責任ということになると思います。  その場合に、この会社に対しましては、この法案でも明らかにしまたこの会社の資金計画でも御説明しておりますように、国が非常に大きな役割を果たしております、資金調達にいたしましても。そういった国の大きなバックアップ体制のもとにおきましてこの会社が運営を行うわけでございますので、会社が責任を全うする上において必要な支援というものは国がしていかなければならないと、こういうような立場になると思います。
  165. 橋本敦

    橋本敦君 それはかねてから答弁されているからわかっておるんです。つまり、会社に対する国の指導監督権を使って、十分住民に対する誠実な対処をするように指導していくという答弁でしょう。国自体が責任があるという答弁じゃないんですよ。  試みに、運輸大臣も百も承知でございますが、新東京国際空港公団法によりますと、第二十条でこの公団の「業務の範囲」として第四号には明確に、騒音等から出てくる障害を防止し、損失を補償する、そのために防音工事を行うとか、いろいろな損失の補償をやる、緩衝地帯の整備をやる、こういったことの問題について公団が必要な業務として行うべきことを法律で明定しているわけですよ。おわかりですね。だから、言ってみれば、国が本来空港整備法によって責任を持つことを、公共性の立場で公団が全責任を引き受けるということを法律で明定しているわけです。  ところが、この関西国際空港になりますと、こういうものは全部抜けてしまって、恐らく将来会社の定款でもこういうものは出てこないでしょう。あるのは、国として言えば、明確に国が設置管理責任は持ちませんから、指導助言しますよというだけだと。これは国民にとったら、航空行政は公共性だ公共性だと言いながら、将来不測に起こり得る事態について国はまともに責任を負ってくれない。ただ会社指導するだけだということにならざるを得ない。  そういう意味で、この空港公団法から比べても、公共性と住民に対する責任を国が負うという立場から見れば、大変な後退だ。私は、そういう意味では、こういう公団法の規定から考えても、こういうものがどこにもないというのは、住民との関係、国の責任との関係で欠陥法じゃないかというように思うぐらいですが、大臣、どうお考えでしょうか。
  166. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今、航空局長が申し上げたように、一応責任はこの会社が持つわけでございますけれども会社自体は三分の二政府出資でございますし、政府が監督をしたりいろんなことをやっておりますので、実質的に政府がそういうものについて努力をしなきゃならぬということはこれはもう今答弁があったとおりです。  そのほかに私は問題が起こると思います。ということは、この計画自体が国が計画をしたことでございますから、国が計画した島によって大きな問題が起こってきたというときに国の責任は全然なしていいのかどうかというのは、これはまあ私は裁判になってどういう格好になりますか、純粋に法律論的に議論していきますと非常に問題が残るんじゃなかろうかと、かように実は思っております。  しかし、そういうところまでいかなくても、国が実際上面倒を見て、会社の名前でいろいろ補償するということにしたいと考えておるわけでございまして、純粋な法律論からすると空港そのものは会社計画する前に国が計画しておるわけですから、国会でしかも御審議願う、まあ反対の方もいらっしゃるわけでしょうけれどもね、そういうことでございますから私は問題にはなり得ると、このように実は法律的には、純粋に法律的にはそうだと思っております。しかし、そうしたくない、したくない。実際上国が面倒を見るということにしたいと、こう思っております。
  167. 橋本敦

    橋本敦君 ちょっとまあ大臣微妙な答弁なんですが、要するに国として全然責任がないというわけにいかぬという考え方も大臣の頭にはおありだということですね。問題は、国家賠償法の適用がありませんから、法律的に、せっかく大臣がそう思ってくださっても、いざ問題になりますと結局局長が言ったように指導、助言以外にないということにもなりかねないという、そういうことなんですね。そういう意味で私は、これは住民との関係で言えば、成田空港公団法から見ても大きな後退で、欠陥法だと、こう言っているわけです。  大臣のおっしゃることが本当に生かされるなら、例えば定款なりあるいは指導要綱なり、あるいは毎年の会社が出してくる業務計画大臣が認可されることになりますが、そういうことの中に、きちっと住民に対する環境アセス、被害補償、そういったことも含めて業務としてきちっと責任をとってやるということを明確にさせるかどうかという問題がありますわね。そこらあたり、どうお考えですか。
  168. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) もう何遍も申し上げておりますけれども、第一種空港を国がつくる、公団がつくるというのが原則になっておるわけでございますから、これで今度はやらない、メリットを認めてこれでやらないというんですから、違う点がいろいろ、国がやったり公団がやったりしておることよりは少し違ったところが出てくることはやむを得ないということなんで、その限りにおいて、そこをとらえて、だから国がやるべきだ、だから公団がやるべきだという御議論は、御議論としてはその点だけをとらえればわかりますけれども、そういうことは別に救う方法があるので、もっとメリットがあるので株式会社法でお願いします、こう申し上げておるのがこの法案だと、こう私は思っておるんです。  おっしゃる点は、公団がじかにやった方が今おっしゃった点に関する限りはより明確ではないかと、こうおっしゃれば、それはその点はそのとおりだと思います。
  169. 橋本敦

    橋本敦君 時間が参りました。いろいろ私も法律的にもう少し議論をしたいところがあったんですが、時間が参りましたので、最後に一問だけお伺いします。  今、私は不測の事態についての住民被害等の救済の関係で聞いたんですが、今後会社の運営について、あの地域住民及び関係地方公共団体も含めて、地元の意見をこの会社の業務運営にどう反映させていくかという課題は、これから一つの重要な課題だと思いますが、その点は、この会社の今後の運営について、どこでどんなふうに地元の意見を反映させる保障なり手だてなりが考えられるか、いかがでしょうか。  この点について伺って、時間が参りましたから質問を終わります。
  170. 山本長

    政府委員山本長君) 会社の運営に当たりまして、地元の意見というものが十分反映される必要があるというふうに考えております。  地方公共団体がここに出資するということも、その一つの手段になり得ると思います。しかしながら、十分に、この出資者の立場というだけではなくて、地域関係者という意味での意見というものもやはり反映させる必要があると思います。この点につきましては、地方公共団体の代表者とかあるいは学識経験者等がこの会社に対しまして、運営について意見が言えるように、例えばこの会社の執行機関の諮問機関というふうな形でもって、例えばの話でございますけれども、運営委員会のようなものをつくって、そしてそこで開陳された意見会社の執行部が尊重して運営を実施するというふうな形でもって、意見を吸収するというよりはそれを反映して事業を実施するというふうな体制というものを考えてやっていく必要があるというふうに考えております。
  171. 橋本敦

    橋本敦君 終わります。
  172. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最初に、航空三社の部長以上の管理職の中で、運輸省OB、これが現在各社別にどのくらいおるのか。そして、その比率は、各社の部長以上の管理職の中で何%くらいになるだろうか、その点をまずお伺いをしたいと思います。
  173. 山本長

    政府委員山本長君) 航空三社の部長以上の管理職は、現時点で三百七十三ポストでございます。そのうち、運輸省のOBということで、その地位のいかんを問わず運輸省にいやしくも過去において在籍したことがあるという者で拾い上げてみますと、二十二名ということでございまして、五・九%という数字になっております。
  174. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 各社別にわかりますか。
  175. 山本長

    政府委員山本長君) それでは各社別に申し上げます。  日本航空につきましては百六十一のうち一ということでございまして〇・六%、全日空が百五十のうち八でございまして五・三%、東亜国内航空が六十二のうち十三でございまして二一・〇%。これを平均いたしまして、先ほどの五・九%ということでございます。
  176. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この新会社の役員の問題もこの間の委員会でも出ておりましたけれども運輸省、まあ国ですね、国と出資会社、さらに地方公共団体、こういうところからの出向者が多数を占めてくるだろうと予測をするわけですが、そこで問題は、この空港を利用する者、すなわち航空会社と、利用者、まあ国民ですね。こういう者の意見が、役員構成や職員の構成上どのように反映されてくるものだろうか。利用者というものの意見が私は非常に重要なものだと思うんですが、その点についてどのように考えられておりますか、御答弁をいただきたい。
  177. 山本長

    政府委員山本長君) 利用者の声がこの会社の運営に反映されることが必要だという御意見については、そのとおりであるというふうに考えます。  その方法といたしまして、先生例えば役員とか職員というふうなことを御質問で申されましたけれども、そういった面からの配慮がいいのか、あるいは先ほど来も御議論になっておりましたけれども地域の声をやはり反映させるべきだ、こういうような観点と同じような観点から、会社の業務執行に当たりましてそういった利用者の声が反映されるような仕組みを考えるというふうな方法も一つの方法であろうかと思います。いずれの方法によるかは今後会社において十分検討するように私たち指導いたしたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、航空会社あるいは旅客等、利用の立場の方々の意見会社の運営に反映されるというふうな何らかの方法を考えていくべきだというふうに考えております。
  178. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今度の関西新空港法案は、昭和四十九年八月に航空審議会が泉州沖を候補地とすると、この答申を出してから丸十年、しかもこの行 政改革と財政難のもとで、環境問題なども含めまして多くの問題を抱えながら、ここにようやく新空港建設の第一歩が踏み出される、こういうことになってきたわけであります。  そして、この新空港は、第一種空港としては初めての第三セクター方式、二十四時間開業の国際空港、これも初めて、そういう点で大変意義がある、こういうふうに私は考えているわけでございますが、そういう点で期待も大きい割に私は不安もまた大きい、環境問題、需要予測の問題も先ほどから議論になっておりますけれども、そういう状態だと思うわけですね。  新空港が開港されてから採算ベースに乗るまではやっぱり数十年かかる。そういうプロジェクトに民間企業が出資をする、こういうことは私は、採算を度外視したといいますか、経営感覚的に見まして、感覚というよりも経営理念から見まして、大変なことだと思うわけですね。  そこで、そういう意味もありましてこの委員会で再三指摘をしてきたんですが、民間活力を十分に導入をして、運営面でも民間の自由な発想が経営に反映できるようにやっていただきたい、こういうことを再三主張し述べてきたわけであります。すなわち、政府が三分の二出資するとはいいながら、政府の影響力を極力抑制して、企業としての自由は活動、自由な発想、そういうことができるようなそういう基本姿勢が堅持されるべきではないか、こういうことを主張してきたわけでありますが、きょうは締めくくりの質疑でございますので、その点についてもう一度大臣から御答弁をいただきたい。
  179. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいまおっしゃいまするように、このたび初めて法律による株式会社のこういう特殊な形態で運営をすることでございますので、民間の活力を太いに活用したいということについてはもうおっしゃるとおりに考えております。  ただ、本委員会でも御議論がいろいろございまするように、公的な立場というものもこれは十分考えていかなきゃなりませんので、その辺の調和を十分とってまいりたい、かように考えてもる次第でございます。
  180. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それでは具体的な問題、提案も含めて質問をしていきたいんですが、この二月十日の関係閣僚会議に報告をし承認をされましたこの運輸省の関西国際空港計画という資料の中では、地元が最も期待をしている地域整備ですね、地域整備は地元で勝手にやれという意味かもしれませんが、この地域整備につきましてはわずかしかこの資料の中では触れられていないわけですが、そこで提案も含めまして質問をしたいんですが、今後この空港建設に伴って地域整備、大変さまざまな問題が出てくると思うわけですが、地域整備大綱といったものを取りまとめて提示していく、こういうことが整合性のある地域整備にとりまして私は必要なことではないか、こういうように思いますので、そのような地域整備大綱というものを取りまとめていくお考えはないかどうか、この点についてお伺いをいたします。
  181. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 地域整備大綱という名前がいいかどうかは別といたしまして、そのような趣旨のものをなるべく早期につくり上げることが私は非常にこの計画をスムーズにやっていく上において、また会社の運営を円滑にやっていく上において非常に重要なことであると存じておりますので、そういう方向で努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  182. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこでもう一点なんですが、昭和五十八年度から国土庁を中心にいたしまして泉州・紀北地域総合整備計画調査、こういうものが行われているわけですが、今度の空港建設、当然に環境破壊が伴ってくる。山を切り崩して、また新たに切り崩したものを島をつくるために海を埋めるわけですから、したがって環境破壊がどうしても避けられない。問題は、その環境破壊を最小限に食い止める、こういうことが重要なことだと思うんですが、したがってそういう意味も含めまして、この泉州・紀北地域総合整備計画調査の結果を今後そういう点でどのように生かしていくのだろうか、生かしていくようなお考えがあるのかどうか、この点をお伺いをしておきます。
  183. 山本長

    政府委員山本長君) お尋ねの、国土庁が中心となりましての、五十八年度から六省庁によりましてこの泉州・紀北地域において関西国際空港の設置等による立地条件を生かして活力ある地域社会を形成するための交通体系の整備、産業振興など地域の総合的な整備のあり方というものを明らかにしようとする調査でございますが、したがいまして、空港の立地に伴う地域整備というもののみに限定をいたしませんで、空港もそこに立地するという条件を生かして活力ある地域社会を築きあげる、こういう方向を見出そうというものでございます。  こういう意味におきまして、私たち運輸省といたしましても、この地域の将来の計画の枠組みとかあるいは発展の方向というものを示すものとして、この資料が非常に有意義なものである、また、有意義な資料が得られるものと考えておる次第でございます。  今後、この地域におきます整備に関する計画の策定あるいは推進に当たりまして関係者間で協議、調整を図っていかなきゃならない運輸省といたしましても、この調査に積極的に参加をし、また調査の結果をも有効に活用して、この関西空港の推進、それに伴う地域整備の推進に役立てていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  184. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 もう一つは、先ほど来からも委員の方々からいろいろの議論がございまして、それぞれの立場からこの関西新空港につきまして大きな危惧というものをみんな抱いておるわけであります。  私も、そういう点で、今度の計画の規模というのがかつてないスケールの大きなものですね、土を削り取ってきて埋めて島をつくる、こういうことですから。したがって、この大きないまだかってないスケールの事業、これに伴って陸海両面に大きな影響が及ぼされる。環境破壊と公害、あるいは建設公害とでも言いますか、建設公害に住民を巻き込む、こういうことも避けられないのではないか。そうしますと、そこにさまざまな問題が起こってはこないだろうか。それから、漁業の問題ですが、これも漁業補償の問題も必然的に起こってくる。そうした場合に、成田で経験をしたように、計画の十倍もの金がかかる、年月がかかってしまう、こういうことがこの関西新空港の場合でも起こり得るのではないかという危惧があるわけですね。  その点についての政府の見通しと対応策というんですか、そんなようなことをどの程度の範囲でどのようなことを考えられておるのか、この点についてお考えがあったら聞いておきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  185. 山本長

    政府委員山本長君) 御質問のように、確かにプロジェクトとして前例のない点が多々ございます。が、同時に、それだけのものを計画しようとしてきた立場といたしまして、前例のないほどのいろいろな調査というものも実施をし、また、地域の合意形成のために非常に長い年月と労力を費やして今日までやってきたというふうなこともまた前例がないのではないかというふうに考えておりますが、そういった意味におきまして、計画面におきましても、公害の発生、あるいは予期せざる空港の設置に伴う損害というふうなものが他に波及しないように、万全の計画をしたつもりでおります。  しかしながら、先生おっしゃいますように、予期せざることが起きないということはだれも保証はできないところでございまして、そういった意味におきまして、公害問題あるいは漁業補償問題におきましていろいろ問題が発生してくることは考え得ると思います。そういった場合につきましては、やはり会社がその対応をする。法律的にはそうなるわけでございますけれども、先ほどの御議論でもありましたように、形の上では会社が対応するということでございますけれども、第一種 空港というものは国の方針でつくるものであり、また会社自身に対しまして政府はもろもろの面におきまして支援を行い、また監督を行うというふうな面で関与をしてきておるわけでございます。大きな役割を果たすことになるわけでございます。そういった立場から、予期せざることが起きましたときには、政府としてもこれについて会社を万全に支援をしていくというふうな態度でもって、会社の運営に対して政府が関与をし支援をしていくという考え方で対処してまいりたい、そして万全を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  186. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今から予測できない問題がさまざま起こってくるということなんで、それについての的確な御展望をいただくということはちょっと無理なことだろうとは思いますけれども、しかし、予測されるそれぞれの諸問題について的確に迅速に対応していく、こういうことが必要ではないか、こういうように思うわけです。  そこで、この大阪には大変多くの中小企業者があるわけですわ。非常に多いわけなんですが、景気浮揚のためにもこの関西新空港にかける中小企業者の期待も私は大きいと思うわけです。そこで、こうした中小企業者にも建設、運営に参画できる道というものが開かれておるのだろうかどうなんだろうか、その点をお伺いをしたいと思います。
  187. 山本長

    政府委員山本長君) この空港の建設、それから運営段階に入りましても、この空港の事業に対する中小企業の参画につきましては、基本的には、これは形式的には関西国際空港株式会社が妥当なその方法を検討するということではございますけれども運輸省といたしましても、空港の建設あるいは運営が公正であるように、また公平な取り扱いができるように、また中小企業への配慮というところから、例えば共同請負制の採用をするとか、地域社会と調和のとれた運営をするという観点から、中小企業の扱いについて会社に十分指導してまいりたいと考えております。  中小企業への配慮につきましては、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律あるいはこれに関する閣議決定というものがあるわけでございます。この会社は、直接この法律に該当しているわけじゃございませんけれども、やる仕事自身が、政府が今まで公共事業としてやっておりました空港の整備という仕事をやるわけでございますので、運輸省といたしましても、この事業の性格にかんがみまして、公共的な観点から会社指導するという理念といたしまして、中小企業の参画というものについて、今までの政府の官公需についての方針というものを念頭に置いて、それに沿うように会社指導してまいりたいというふうに考えております。
  188. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 時間が参りましたので、あと二点だけお伺いをしておきたいんですが、これはお答えしにくいかと思いますが、一つは、鹿児島、熊本、帯広、秋田等の現在の空港、これは古い空港を売却してその資金の一部を現在の空港、要するに新空港の建設の資金の一部に充当をしている、こういうように聞いておるわけですが、関西空港も伊丹空港を開港時に売却をして、そしてその売却資金を新国際空港の経営の健全化のために役立てる、こういうような考えは今の時点ではお持ちかどうか、これが第一点。  それから、この関西新空港は未来永劫この特殊会社でいくのか。例えば、経営が安定して黒字基調に変化したと。こういう段階で、徐々に今の特殊会社、第三セクター方式の特殊会社を民営化に、完全民営化に持っていくのか、それとも逆に公団化していくのか、この点についてお考えがあったらお伺いをして私の質問を終わりたい、以上でございます。
  189. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 伊丹にあります現在の国際空港を廃止するかどうかという問題が、御案内のように決定をいたしておらないわけでございます。新しい空港に着手してからこれの使用開始までの間に、現在の空港の存廃、どういう使用の仕方をする等を決めるということになっておるわけでございますが、各般の事情から、なるべく早い時期にこれを決定しなければならないというふうになっておるわけでございます。したがって、またこれを廃止する、航空審議会の答申には「廃止を前提として、」とございまするけれども、廃止と決定したわけでございませんので、ただいまのところ、売るとか売らないとかということは申し上げにくい状態であると、かように言わざるを得ないと思うのでございます。  それから、後の方の問題でございますが、純粋の民営会社にするということは、飛行場という、第一種飛行場の性格からいっていかがなものでございましょうか。私は、もちろんこれ将来のことでございますからどういう状況になるかはわかりませんけれども、やはり今のような状態の、国が相当程度の干渉をすることができるという公的な色彩を持っておるものの方がよろしいんじゃなかろうか。ただ、配当だけはいたすということで、民間の配当を先にやるわけでございますが、国も配当がもらえれば国も配当をもらう、うんとよくなればですね、そういう形の方がいいのではなかろうかというふうに思っております。しかしこれは、どこで決めたわけでもございませんので、私のむしろ私見というようなものでございますので、御批判があればお受けしなきゃなりませんし、将来の問題でございますので確たることは言えない、かように思っておる次第でございます。
  190. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 大変たくさんの問題について質疑応答が行われました。重複を避けてお尋ねをいたしたいと思います。  今日、日本の国際空港の立ちおくれを指摘します意見の中に、次のようなことが言われております。すなわち一つは、時差を無視して日本側の事情だけで航空ダイヤを組んでいては真の国際化時代に大きく立ちおくれることになると言われております。また、現在の大阪空港のように、半日営業で売る商品も一日二百個に限っていては商売は成り立ちまへんという例え話も出ております。まことにそのとおりでありますのですが、このような実態は、これを解消して諸外国の強い要請にこたえる二十四時間開かれた空港の必要性は私もわかります。  しかしその反面、関西国際空港法案の審議を通じまして委員の皆さんから疑問とする多くの問題点指摘をされましたが、当局の熱心な答弁にもかかわりませず、疑問点の多くが解明されないままに残されておるように私は考えます。  難航を予想されておりました地方自治体や民間企業の出資については順調に予測をされ、特に民間の出資は、商売と出資が直接間接につながるのではないかとの思惑が強く働いたのではないかと言われながらも、国の出資分を肩がわりしようかという説さえ出る状況が報道されております。  しかし一つは、事業主体がなぜ株式会社でなければならないのか、懸念される不安は取り除かれておりません。  二つには、新空港の極端な規模の縮小は、開港時における航空需要や安全性を損なうおそれがないのか。  三つ目には、地域整備と地方財政対策はこれでよろしいのか。  四つ目には、その他、交通アクセス、土取り場及び跡地の利用、漁業補償あるいは水の供給と廃棄物処理等々は未解明であります。  これらについてはそれぞれ委員質問をなさいましたので、私はお答えになったそのこと等を確認させていただく意味でお尋ねをいたしたいと思います。  第一点は、関西国際空港の事業主体に関連をしてでございますけれども、総理大臣は行政改革、民間活力の導入のモデルケースと強調をしておられますが、委員審議の中では、採算性優先の会社が公害対策や安全管理をどこまで責任を持つのだろうかとの指摘もされております。マスコミもまた、公害対策や地域整備に対する当局の消極姿勢を批判をされており、さらに地域住民も一様に、公害対策、地域整備等に不安と不満をあらわにしておいでになります。  特殊会社にはもちろん運輸大臣の監督権はあり ますけれども、通常の経営面では会社がひとり歩きしていくようにも思われます。そうでなければまた民間の活力も生かされてまいりませんが、この特殊会社に対する公共性の担保として、その設立、運営に当たって地域社会に責任ある対応が果たされますよう、地元自治体も参加した協議組織等を設けて、地域との共存の手だてとされるべきだと存じます。  先ほど山本航空局長からお答えがありましたようですけれども、再度お答えをいただきたいと存じます。
  191. 山本長

    政府委員山本長君) 関西国際空港の建設、運営が地域社会と調和のとれたものでなければならないということは、考え方としてはそのとおりでございますし、実際問題として、そうでなければ会社は健全にいかないと思います。地方公共団体が出資をするという立場から、出資の地方公共団体の意思が反映できるという面はございますけれども、そういった出資者だけの立場でなく、地域社会の立場からの意見というものが会社の運営に反映されるということはぜひとも必要であるというふうに考えております。  本委員会においても、この点について再三御議論がございまして、私たちも御答弁申し上げてきたわけでございますけれども会社の執行機関に対して意見を述べる諮問的機関というふうな機関といたしまして、地域の代表者を含めた例えば運営協議会といった組織を会社に設置するというようなことが必要であろうというふうに考えております。  具体的な仕組みにつきましては、今後関係地方公共団体とも十分に相談をいたしまして、最も適切なそういった仕組みというものを考えていくように、我々も努力をいたしますし、そういう考え方でもって会社指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  192. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 今日、民間の活力ということで、企業のあり方のすべてが大変美化され過ぎておるように私は思います。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕  我が国には優秀な技術者がいて、どのような技術革新にも道を開いていきます。また、その新しい技術を直ちに生産の現場に活用をして、立派な競争体質をつくり上げていく熟練労働者には事を欠きません。また、その諸君は極めて勤勉でありまするし、その上に従順だと私は思っております。今日の日本経済はこのような人たちによって支えられておると言っても過言ではございませんと思います。  ただ、私のささやかな体験からではありますけれども、例えば、全然離れた問題ですが、今日の我が国の法律では、企業が産業廃棄物を排出した場合に、それの処理は企業の責任に帰せられております。事業場の構内で焼却をしたり埋設をしたりして処理のできる手法をとることのできる企業はよろしいけれども、そのような企業はそんなに多くはありません。大部分の企業は処理場を外に求めなければなりませんが、外に求めようといたしますと、たちまち用地の取得からかかっていかなければなりません。  企業が前面に出て地域へ用地取得に入りました場合には、多くの場合、その地域社会は門前払いであります。そういったことで処理施設ができないとすれば、それらの企業から出ました産業廃棄物はやっぱり廃棄物処理を請け負う企業にまた任されてしまいます。これが大変なことでございまして、ともすれば不法投棄であり、不適正処理に通じてしまう。これがやっぱり地域の環境を非常に汚染をいたします。だから、地域の自治体においては、住民の安全と健康を守っていく責めを果たしていくためには、当然のこととして、これらの産業廃棄物の処理をどうやっていくか、このことを考えていかなければなりませんけれども、反面、その企業の産業廃棄物処理に税金を使ってはならないという法律の枠がございます。  どうしてこれに対応するかということから考え出されておりますのが、第三セクターによりますところの、いわゆる通常の名前は産業廃棄物処理公社というような手法によってやられておるのが平均的な形であります。  それは、企業がやらなければならないところへ企業が顔を出していっては、地域の住民合意を得ることができない。だから、行政がそこに参画をして社会の秩序を守っていく手だてを講じていく、これがやっぱり実態なのだと思います。今日、行政に対します批判はまことに厳しいものがありますけれども、それでも住民側から見れば、これは我々の機関であるという親近感もあるのでしょう。また、行政は話や苦情を聞いてくれるだろうという期待感もありますでしょうし、我々の行政であればこそそれは聞くべきであるという願いもありますと思います。そういったことから機能をいたしておるのでございますけれども、これが企業になりますとそうはいきません。  関西国際空港の場合には、当然これは仕事の性格からいってやっぱり国がやらなければならないものを、今回はそれを民間に任す形になりますのでありますから、住民のそれに対する不安も一緒に住民側に押しつけてはならないと思います。いろいろの制約があるかもしれませんけれども、今局長からお答えをいただいたとおり、きちっとこのことをやっていただいて、住民の不安を取り除いていただきたいと思いますのですが、重ねて運輸大臣の御所見をお願いをいたします。
  193. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答えいたします。  全くおっしゃるとおりに考えております。もう、そういう努力をしてまいらなければならないと思っております。
  194. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 第二点は、関西国際空港の規模と機能についてでございます。  これは、さきに安恒委員が御質問をなさいましたそのことに対して、運輸大臣は明確にお答えになりました。私は、ここで重ねて質問をさせていただくことを避けさせていただきますが、今の時点では大変難しい問題だとは思いますけれども、お答えをいただきました趣旨によって対応をしていただき、開港早々から間尺に合わないような空港でないように、さらにそのことのために安全が阻害をされることのないよう対応をしていただきますことを重ねてお願いを申し上げさせていただいて、次に移らせていただきます。  第三点は、地域整備に対する財源措置でございます。  この空港建設に伴う地域整備については、かさ上げ法は新設をいたしませんというのがこれまでの運輸大臣答弁でございます。さらに、地域の総意に基づく町づくりには国が協力していくことになっており、関係省庁に働きかけていくというのは山本航空局長答弁であります。しかしこの答弁も、結局は現行制度の活用で対応をしてほしいということのようでございます。  さらに、この第一期工事は、特徴的なものは、大量の土砂の採取、運搬、そして埋め立てということで、公害対策上大変重要な問題が起こり得る可能性のある仕事であります。同時に、交通手段の整備も当然のこととしてお金を必要といたします。さらにまた、出資金や貸付金は別としましても、工事費の増加もまだ未知数でありますし、経営に赤字が出た場合に果たして地元負担の可能性はどうなるのか、やっぱりこれも残っております。こういう状態でありますので、特に市町村側においての財政支出は大変な重荷になってくると思います。  したがいまして、以上のような状況から考えてみました場合に、成田空港の場合とは余りにも財源措置に格差が大きいように私は思います。行政の公平を欠くことはやっぱりやってはいけません。だから、ほかのことは別としても、せめても成田空港の場合と同様に国の助成のかさ上げくらいは行うべきだとは思いますけれども、重ねてこの点の所見をお伺いいたします。
  195. 山本長

    政府委員山本長君) 地域整備を初めとする地方財政の負担増というものを考えて、かさ上げ措置というものをやるべきではないかという御議論でございまして、この問題につきましては、私こういう場において何遍かお答えいたしており、ま たお答えするときには、何と申しますか、お答えづらいような気持ちでお答えをしておるのでございますが、国の財政が、かかる状態の中で、補助金の整理というものが行われておりますさなか、新しいかさ上げ法というものを制定するということは、この現在の中におきましては困難であると申し上げざるを得ないのでございます。  この問題につきましては、何遍もまた同じような御答弁をいたすことになるわけでございますけれども、各種公共施設の整備に関しまして、現在の補助制度、それから補助の反面、地方公共団体自身の裏負担というものに対する財源手当てとしての各種の制度というものを活用しながら、また実際面の運用に当たって、公共施設の整備の緊要性あるいはその熟度というものを勘案しつつ、その採択の優先度というふうなものをやはり活用しながら進めてまいるという以外に、現段階においては方法はないと思います。また、そういった面からの配慮というものにつきましては、この空港の地方出資等につきましては自治省も関与しておることでもございますので、自治省ともその辺、地方財政との面につきまして十分に打ち合わせをしながら進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  196. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次は、この新しくできます会社の採算性と、それに赤字を生じた場合の出資団体への影響等についてお尋ねをいたします。  運輸省は、この事業は開港五年目で単年度の黒字が出る、九年目で累積赤字を解消して配当開始を予測しておいでになります。局長も、三〇%の無利子の資金の確保さえできればこれはうまくいくというお答えをされたこともございます。運輸大臣は、多少不安を表明したお答えのありましたこともございました。私たちはやっぱり、この事業の事業費の積算が現実とはかなり離れた積算ができておるのではないか、そのように考えます。  もう一つは、極めて大型な事業でありますだけに、不測の事態も起こり得ることを考えておかなければなりません。そういったことから、赤字が出た場合にはどうなるのかという質問に対しましては、局長は、第一義的にはやっぱり会社努力を要請していくというように答えておいでになりますけれども、出資団体として地域に責めを負います自治体としては、このことのために負担の増加も予想されますが、地方財政との関係はどのようになっていく見通しを持っておいでになるのか。  さらには、地域に及ぼす大きな事故等ができました場合には、会社は果たして責任がとれるのかどうかということに対する住民の不安がありますが、これらを解消する手法について考えておいでになりますのか。  この二点、お尋ねをいたします。
  197. 山本長

    政府委員山本長君) 将来の地方出資についてのお尋ねが第一点でございますが、建設工費の見積もり等につきましては相当綿密な調査を行った結果でございますので、先生のお言葉でございますけれども、若干甘いのではなかろうかというふうな御懸念の御質問のようにも受け取りましたけれども、しかし私たちといたしましては厳密に積算をしているつもりでございます。  ただし、先生が御指摘になりますように、不測の事態と申しますか、によりまして会社経営が予定どおりに進まないで赤字が出る、欠損が大きくなるというふうな場合というものは決してないんだというふうなことは言い切れないと思います。そういった場合につきましては、収支採算上配当がおくれるとか、あるいは借入金の償還がおくれるというふうな形になって、会社経営を圧迫していくわけでございます。  そういった場合に、これも前と同じ御答弁になるかと思いますけれども、やはり一義的には、会社というものが努力をしていかなければならないと思いますけれども、しかし何度も申し上げておりますように、この会社の設立に当たって、あるいはこの事業を進めるに当たって、国が出資あるいは貸付金、債務保証等々、税制の面におきましてもそうでございますが、財政面、税制面各般にわたりまして大きな役割を果たしておるところでございます。それはやはりこの空港が第一種空港の建設、管理であるという性格を持つことがそういうふうな態勢となってきておるというふうに理解するものでございます。  こういった考え方に基づきまして、政府が大きな関与をいたし支援をいたしておるわけでございますので、不測の事態によりまして何らかの予期せざる事態が発生いたしましたときには、政府が持っております役割、現実の役割というよりは、その背景となっている思想というものがこの法律の中にあるわけでございますから、その思想を外しまして、将来の出資問題にいたしましても、会社の不測の第三者への損害というふうなものに対しましても、そういった政府の第一種空港に対する責任、役割というものを念頭に置きまして、これを会社に対する運輸省指導のやはり第一義的な指針として会社を支援し、指導し、バックアップをしていくという態度で臨んでいくということにいたさなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  198. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 最後に。  この会社に対する自治体側の出資が急速、大変スムーズに進んでいきました。初めはいろいろと懸念が表明をされておりましたけれども、その実態はいろいろあると思います。けれども、私なりに考えてみますと、一つは、出資をいたします団体がすべてフェニックス計画の範囲内にある自治体であるということ、さらにまた、国が主導する大型事業でありますから、やっぱりそれらへの参画をしておくことが自治体側からの将来に対する深い読みや配慮もあったようでございます。  そして、形の上では極めて円満に一決されたようでございますけれども、これらはお互いに苦しい財政運営を強いられております団体でありますので、国の方の特別な配慮で、このことのために地方財政に大変な圧迫が加わることがないよう、将来とも配慮をしていただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  199. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  201. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、日本社会党を代表して、関西国際空港株式会社法案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由でありますが、そもそも第一種国際空港は、国が建設をし管理することが基本的な原則であるということになっております。法案提出の経緯から見ても、運輸省の当初案は、公団と第三セクターとの併合案であったはずであります。なぜこれが変更されたのか、極めて奇怪千万であります。中曽根総理の指示によると言われておりますが、運輸省の構想が基本的に変えられてしまいました。また、地元地方公共団体、財界等は不安と戸惑いを感じておるということは、現地に参りまして現地の公聴会を我々が聞いた範囲でも明らかになっております。  民間活力の導入と言われておりますけれども、一兆円に及ぶ膨大な建設資金に対して、地方公共団体や民間それぞれの出資は二百億円程度にすぎないのであります。国が三分の二以上出資するとはいいながら、会社の運営に対して地方公共団体、財界等がそれぞれ出資者の立場で思惑と利益誘導に走ったならば、本来の公共事業そのものであるべき会社の事業遂行が混乱をするというおそれが多分にあるということを考えなければならないのであります。  また、かかる状況では、どんな優秀な役員を持ってきても円滑な会社の運営は期待できない、こういうことを心配しなければなりません。  公団に近い株式会社と言われておりますけれども、両者を比較して、絶対的に株式会社でなければならないという根拠は、この法案の審議を通じ でついに明らかとなりませんでした。  また、関西国際空港の必要性は我々も決して否定をするものではございません。しかし、建設主体は、基本に戻って、国が直接設置をし管理をするという方式に戻すべきであるということを強く主張をしたいと思います。  次に、地域整備計画と実施体制の確立という問題について触れてみたいと思います。  空港へのアクセスについても、道路、鉄道等の整備計画が開港時までに完成できるという保証がございません。これは本日の安恒質問にも指摘をされたことでありますけれども、鉄道の計画も極めてあいまいもことしております。道路計画にいたしましても、建設省側の答弁は極めてちぐはぐであります。また、島ができても橋ができるのかどうか、こういうような質問もきょうあったわけでありますけれども、その点も心もとない答弁が返ってまいりました。島ができたけれども橋ができないということになりますと、そのときになって、しまったと言っても間に合わないわけです。  総合的に検討して実施する責任体制というのが要するに確立をされていないという不安を、我々は感ぜざるを得ないのであります。成田にはいわゆるかさ上げの法律ができて、国は財政的に積極的な支援体制をとっておりますけれども、今回はそういう措置がとられておらず、地方財政の現状から見て地域整備に多くの不安があります。  また、漁業補償に対する政府の対応は極めて冷淡であります。  本日も水産庁の答弁がございましたが、先般の水産庁の対応に至っては、まるで人ごとのようにどこ吹く風と、こういう感じを受けたのであります。こういうことでは、これからの補償問題に対する政府側の対応というものが一体どうなるかということを我々としては考えざるを得ません。もし、この漁業補償等の問題でつまずきを生じますと、成田の農民にかわって今度は漁民が反対闘争の先頭を切るという可能性も十分考えなければならないのであります。  また、環境問題に対しても、地元住民に対して不安を与えないような十分な配慮をしなければならないのでありますが、この環境問題に対しても、一体どういうふうな手だてが講ぜられるのか。株式会社というような形でもって責任がとれるのかどうか。要するに、この政府の今回の株式会社法の問題について言うならば、責任を会社と地元に転嫁をするということで重要な問題を避けようとしているとしか考えられないのであります。  以上のようなもろもろの点を勘案をいたしました場合には、やはり基本的には第一種国際空港は国の責任において設置をし運営すべきであるというこの原点に戻るべきことを我々は強く主張をいたしまして、反対の討論とする次第でございます。
  202. 梶原清

    ○梶原清君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、ただいま議題となっております関西国際空港株式会社法案に対し、賛成の立場から討論いたします。  昨年八月閣議決定されました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」において、「一九八〇年代は、戦後の経済社会の歩みが大きな曲り角を迎える中で、これまで得た実りを生かしながら、来たるべき二一世紀に備えた基礎を築くべき重要な時期である。」と指摘し、その基本的取り組みとして、経済社会の安定を目指して創造的対応を図る必要があり、「国際性」、「民間活力」などといった面を重視する新たな発想の必要性を述べているわけであります。  現在、我が国運輸行政においては、来るべき二十一世紀社会を展望し、国土の均衡ある発展を促進する総合交通体系の整備が急がれておりますが、とりわけ、世界第二位の経済大国となった我が国の国際的役割の重要性を考えますとき、二十四時間世界に開かれた国際空港を早急に建設することは極めて緊要事であります。  周知のように、大阪国際空港は、現在厳しい運航規制からジェット機の新たな乗り入れができないため、国際航空交渉において大きな支障となっております。また、地方の各県でジェット機が就航できる空港の整備が着々と進展しているにもかかわらず、国内航空交通体系の一つの重要な拠点。である現大阪国際空港への増便が不可能になっている事態は、経済発展、国民生活の向上にとって大きな阻害要因となっていると言えます。このような状況の中で、大阪国際空港の環境町題と将来の内外航空輸送需要の増大に対処するため、航空機騒音問題の全くない海上空港として二十四時間世界に開かれた関西国際空港が建設されることは、我が国の将来にとって極めて重要な意義を有するものであります。  本計画は、調査開始以来、今日まで実に十有六年、その間、多くの新しい試みの中で地道な努力が忍耐強く積み重ねられてまいりました。  その一つは、二度にわたる航空審議会の審議であります。同審議会は、空港の位置の選定に当たり、航空機騒音公害を全く起こさないという方針のもとに、三年近い時間をかけて幅広い慎重な審議、検討を行い、また第二次答申においては新たな技術の導入の可能性も探り、広い視野に立った検討がなされております。  第二は、徹底した環境アセスメントを初めとする事前調査と、その結果の公開であります。いわゆる三点セットによる地元への説明は、大規模プロジェクトにおける新しい試みでございました。  第三は、本法案にあります株式会社方式による公共事業の実施でありまして、これは、事業の効率的な運営が行われるよう、国の監督措置を必要最小限度にとどめ、企業の自由性を最大に尊重する中で民間活力を導入しようとするものであります。地元経済団体や関係地方自治体も資金を出資することにより、地元に密着した空港になることが期待されると同時に、今日の国の財政事情を勘案するならば、まことに適切な方式がとられていると言えます。この方式は、今後、地域性の強い公共事業の実施につきまして将来モデルケースともなり得るもので、その成功を強く期待したいと存ずるわけであります。  関西国際空港は、来るべき二十一世紀に向かって、公害のない、二十四時間世界に開かれた極めて重要なプロジェクトであります。国、地方公共団体及び財界の一体的責任体制のもとで、ぜひとも一日も早く円満に成功されていただきたいと心から念願をする次第であります。  今後、実施に向けて出てまいります諸問題の解決に際しましても、関係者間で十分協議を重ね、地元の方々に不安を起こすことのないよう事業を推進させていただくよう要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
  203. 橋本敦

    橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、関西国際空港株式会社法案に対して反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本来国が行うべき国際空港の建設、管理運営等を民間活力の導入と称して株式会社に行わせ、その結果、国の責任を放棄するとともに、安全性、公共性を犠牲にするという問題であります。  今日、国際空港は国際、国内両面にわたる輸送の上で大きな役割を果たしておりますが、それだけに、その公共性や安全性の確保こそ、まさに空港設置管理の第一義的な使命であるはずであります。同時に、このような空港の設置は、騒音問題等の環境対策を初めとして、アクセス交通など周辺地域整備も含めますと、まさに大規模な事業となっております。こういう現状を率直に見た場合に、どの点から見ても国が全面的に責任を負う建前は堅持すべきが当然だからであります。  反対理由の第二は、政府の収支採算や第二期工事着工の時期あるいはアクセス全体像、周辺地域整備の全体像など将来計画の全般にわたって、いずれも具体性、合理性を欠き、不安定な内容のものだからであります。  会社の収支採算にとって最も重要な前提であるべき航空需要予測数さえ、この三年間に三度も大幅に変更され、現在では三点セット時で関係住民、自治体と合意をした予測数の約二分の一という数字にまで訂正されているのであります。これは一口で言うなら、運輸行政上まことに無責任かつ重 大なことではないか。しかもこういった需要予測の狂いというものは、さまざまな面において大きな影響を与えることは言うまでもありません。  反対理由の第三は、安全性、環境保全の問題であります。  現空港との併存の場合には、大阪湾や瀬戸内海海上で重複、交差するなどといった複雑な空域と飛行経路の問題、これは安全面で非常に心配が残っております。そしてまた、漁業資源の保全や騒音公害等も重大な問題として残されたままであります。ところが、これらの問題について十分の解明と対策が全般的に行われ明確になったものではないという上に、新会社の業務でこれらの問題を全部地域住民の不安を解消し権利を保全するという方向で全面的にやり抜くということは到底期待できないものだからであります。  反対の理由の第四は、株式会社の人事や経営に関して、本来必要な国民的規制を取り外し、大幅に緩和したことであります。  この点は、国が責任を負うべき公共事業における国民主権の考え方に逆行する問題でありますが、特に役員の兼職禁止規定を外し、利益配当制限を政令にゆだね、あるいはまた中小企業への体事確保についても官公需法の適用が外されてしまう、こういった問題を考えましても賛成できないものであります。  反対理由の最後は、地方財政法の本旨に背いて自治体の出資を強行しようという点であります。  空港整備法の規定をねじ曲げまして、附帯施設を意識的に機能施設と利便施設に分け、利便施設への自治体出資は、地方財政法にいうところの「国は、」「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」という規定には当たらないというのは、これは詭弁ではないだろうか。こういうことをあえてやって、自治体に出資を求めるということは私どもは断じて認めることはできないものであります。  以上のとおりで、国民のための国際空港は、あくまで国の責任で建設、管理運営し、民主的経営を保障した国営方式で設置、管理、業務遂行すべきでありまして、これ以外に国民の側に立っての公共性、安全性を十分に確保する保障はないと考えます。  以上の次第で、新空港計画本案全体を再検討すべきだという立場から反対をいたしまして、討論を終わります。  以上であります。
  204. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、公明党・国民会議を代表して、関西国際空港株式会社法案に対し、賛成の討論を行うものであります。  御承知のように、我が国航空輸送の二大拠点となっている大阪国際空港の現状は、航空機騒音が深刻な社会問題となり、環境対策上、厳しいジェット機の発着枠規制や運用時間制限が実施され、国内地方空港からのジェット機の乗り入れや、新たな国際路線の開設等の内外からの要望を受け入れることができない状況にあり、関西地区発展の大きな阻害要因となっております。公害のない二十四時間運用可能な本格的な国際空港を関西地区に建設することは、国家的な緊急課題であります。  関西国際空港計画は、運輸省が四十三年に調査を開始してから十六年、航空審議会が泉州沖を候補地と決定してから十年の長きにわたる年月が過ぎて、今日、関西国際空港株式会社法の成立により、ようやく離陸しようとしているのであります。新空港建設の緊要性から見れば、余りにも時間をかけ過ぎ、遅過ぎた感がありますが、その間十分な環境調査と地元の協力を得るための努力が根気よく続けられ、結果的には早期着工につながることが期待されるのであります。今日となっては、一日も早く工事着工の運びとなり、予定どおり六十七年度末開港となることが何よりも肝要かと考えるのであります。  事業主体を民間が出資する株式会社とすることについては、意見のあるところでありますが、今日の厳しい財政事情を勘案すればやむを得ない面もあり、まず事業をスタートさせることが大切であります。事業の公共性を十分認識して、営利本位になることなく、民間的手法を導入したことによる効果が上がるよう会社指導し、効率的な事業実施の実を上げていただきたいのであります。幸い関西国際空港建設の必要性に対する各界の理解も深まり、当初危惧されていた関係地方公共団体や民間経済界の資金協力も順調に運ぶように報じられております。予定どおりこの秋には会社が発足し、新空港建設の第一歩を踏み出すこととなったのであります。政府は会社をよく指導し、新空港建設の円滑な実施を図っていただきたいのであります。  最後に、会社の発足と同時に、土砂採取地の決定、漁業補償、公有水面埋立法による埋立免許申請等と、工事着工までに早急に解決しなければならない困難な問題が山積しており、また道路、鉄道等のアクセスの問題、空港周辺の地域整備の問題等、開港までに間に合わせなければならない問題も広範にわたっております。政府は、関西国際空港の建設を国家的なプロジェクトと明確に位置づけ、関係各省が一体となってこれら空港建設に伴う諸問題に総力を挙げて取り組んでいくことを強く要請いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  205. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  関西国際空港株式会社法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  207. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、瀬谷英行君から発言を求められておりますので、これを許します。瀬谷英行君。
  208. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、ただいま可決されました関西国際空港株式会社法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     関西国際空港株式会社法案に対する附帯     決議一案一   政府は、本法施行に当たり、次の事項につき、  適切な措置を講ずべきである。  一 会社の運営に当たっては、事業の公共性に   かんがみ、地元地方公共団体等の意向が十分   反映できるような仕組みを整備するよう指導   すること。  二 関西国際空港の建設工事(土砂採取を含   む。)に当たっては、関係住民に不安を与える   ことがないよう事前に十分な環境影響評価を   行うとともに、建設及び運営に際し、環境保   全に留意し、環境監視のための体制を確立す   るよう指導すること。  三 関西国際空港へのアクセスについては、空   港の開港時に、十分な機能が発揮できるよう   整備を促進すること。  四 関西国際空港の建設に伴う関連施設の整備   については、関係地方公共団体と協議し、空   港と地域社会との調和が図られるよう努める   とともに、地域の振興に資するよう配慮する   こと。  五 地方公共団体の会社への出資及び地域整備   等については、その財政運営の健全性の確保   に配慮すること。  六 会社の役員等の大事については、会社の機   能が十分発揮できるよう広く適材適所の人材   起用に配慮すること。    右決議する。  以上でございます。  皆様の御賛同をお願いいたします。
  209. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいま瀬谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 多数と認めます。よって、瀬谷君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、細田運輸大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。細田運輸大臣
  211. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま関西国際空港株式会社法案につきまして、慎重審議の結果、御可決いただきましてまことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。  また、附帯決議につきましては、政府といたしましてその趣旨を十分に尊重し努力してまいる所存でございます。  ありがとうございました。
  212. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  214. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件のため、来る六月二十八日の委員会に、日本国有鉄道再建監理委員委員長亀井正夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会      —————・—————