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参考人(
川島哲郎君) 非常に難しい御質問だと思いますが、一般的に
国際空港をつくりましたときにその波及効果というのは、例えば東京あるいは
大阪といったような大都市を除きますと、限定されたものにならざるを得ない。特に既存の
産業との結びつきというのは比較的希薄であるというのが、一般的には言えるだろうと思います。
ただ、成田と比較いたしますと、
泉州の場合には開発の熟度が非常に高こうございまして、現在はやや斜陽化しておりますけれども、
産業的には成田の場合とは非常に違うと思います。例えば先ほどの毛布にいたしましても、
全国のほとんど一〇〇%近いシェアを持っておりまして、これから先の問題は、どのようにして海外の市場を開拓するかという問題でございます。そうしますと、毛布というのは海外へ売る場合には非常に難しゅうございまして、国の気候条件、慣習等をよほど研究しないと簡単に輸出はきかないのでございます
が、しかしこの
機会に輸出に転向するとか、そういった可能性はかなりあるわけでございまして、
地場産業が全く
国際空港と結びつかないものであるというふうには私は考えておりません。ただその点では、多かれ少なかれ限られた効果であることは御指摘のとおりだと思います。
もう
一つ、しかしこの
地域に
国際空港の立地が及ぼす
影響は、
国際空港が立地いたしますともちろん
空港で働く人々が
空港の周辺に定着いたします。従来の例で申しますと、大体
空港従業者の五〇%は十キロ以内に住んでおりまして、七五%が二十キロ以内に住みますので、ほとんどこの
地域に大
部分の人が住むということになりまして、その人たちのもたらす波及効果が、
地域の小売商業に至るまで波及的な効果を持つということはこれは非常に大きいと思います。御指摘のように土取り跡地にどのようなものをつくるかということも非常に
地域にとっては重要でございますが、そういうものをも入れまして、
地域経済にかなりなインパクトを与えるであろうということは私は否定できないだろうと思います。
ただ、そのためには、先ほどもちょっと申しましたが、それに適切な
対策といいますか政策が伴うことが必要でございまして、現状のまま放置いたしますと、御指摘になったように、あるいは多くの人が
懸念するように、単なる通過都市で終わるということも起こらないとは言えないと思います。
それともう
一つは、既存の
産業だけではなしに、新しい
産業がこの周辺にもちろん張りついてくるということも考えられます。そうして、
地域全体としての
産業の構造が現在のままずっと永続していくということは考えられないのでありまして、非常に変わっていくだろうと思います。ただ私が強調いたしましたのは、そういう新しく外から入ってくる
産業だけではなしに既存の
産業にも浮揚の
機会をできるだけ与えたいという希望でございまして、事実上
地域経済の
振興には外部から入ってくる人口なり
産業というものがかなり大きい刺激を与えるだろうというふうに考えます。
御質問の第二点の、比較の問題でございますが、私は、
地域政策の観点からいたしますと、率直に申しまして兵庫県沖よりは
泉州沖の方が適切であると考えております。と申しますのは、先ほど
アクセスをめぐって問題が出ましたが、今度つくられます
空港は
大阪の都心から直距離三十五キロぐらいでございまして、
アクセスさえ
整備されますと現在の成田に要する時間の六割ないし半分に近い時間帯で本来到達できる距離でございます。しかも
泉州沖というのは、先ほど申しましたように
泉州・
紀北地域というのは国道軸から離れておりまして、非常に従来開発の
機会に恵まれなかったところでございまして、
地域内の
格差を埋めるという方向では、そういうむしろ後進
地域に経済
発展の刺激を与えるようなものを設けるという方が政策的には私は正しいのではないかと思っております。ただ、神戸港の場合にはもう
一つ、非常に過密でございまして、私はその方はそれほど専門ではありませんが、その
沖合にさらに過密化を促進するような
施設を設けることが果たして適切であるかどうかという点にも疑問が、率直に言ってあるように思います。
以上でございます。