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1984-04-07 第101回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月七日(土曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動 四月六日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省船舶局長  神津 信男君        運輸省船員局長  仲田豊一郎君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省航空局長  山本  長君        海上保安庁長官  石月 昭二君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        会計検査院事務        総局第三局運輸        検査課長     立神 清章君        会計検査院事務        総局第五局鉄道        検査第一課長   疋田 周朗君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管及び日本国有鉄道) ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  前回に引き続き、予算委員会から委嘱がありました昭和五十九年度総予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道についての予算を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄に伺いたいのですけれども新聞を拝見いたしますと、国鉄が三分の一、千葉県が三分の一出資している第三セクター京葉臨海鉄道会社が、昨年からことしにかけて株の投資を三億四千万も行っていたということが指摘されております。  国鉄や県民の税金が使われている第三セクターというものの性質から見ても、株の売買に手を出すということは、本来の使命から外れている行為と言わなければならないと思うわけなんですけれども、大株主である国鉄相談されてなさったことか、また、このことについてどう対処されたか、まずお伺いしたいと思います。
  4. 須田寛

    説明員須田寛君) 京葉臨海鉄道が株の取引をしたということでございますので、商法上違法という姿ではございませんけれども、決して好ましいことではないというふうに考えておりますので、国鉄と同じ出資者でございます千葉県当局とも相談をいたしまして、やめていただくようにお願いをした次第でございます。
  5. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄出資なさっていらっしゃるという会社は百十社あると伺いました。このようなことが起こらないように、この機会に調査していただきたいと、お願いします。
  6. 須田寛

    説明員須田寛君) 国鉄出資いたしております会社は、いずれも国鉄の仕事をかわってやっていただいているような、そういうふうな第三セクター的な性格のものが多うございますので、その運営につきましては、第一義的には会社のお考えになることではございますけれども国鉄株主として重大な関心を持ち、かつ適正な運営をするべく助言指導すべき立場にございますので、十分実情等をよく調べまして、全般的に善処してまいりたいと、このように考えております。
  7. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 「千葉日報」という新聞報道を拝見いたしますと、その京葉臨海鉄道株式会社が、空出張不正経理を行い、国会議員後援会費に充てている。また、交際費名目で、現職大臣を含む複数の国会議員の、例によってパーティー券を年間五十枚前後購入しているというふうになっております。金額はどうなのかわかりません、金額の多少は別として、国鉄と県で約六五%の出資をし、営利を目的としない第三セクターが、このような不正な経理を行い、まして政治献金という形でこれにつながっているということが事実といたしますと、これは非常に大変な問題と指摘せざるを得ないんです。  国鉄総裁、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  8. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 会社自体としてパーティー券を購入するということはあり得ることだとは思いますが、今御指摘のように、国鉄県等公共団体出資をしているというような会社については十分節度ある行動をとるべきであるというふうに思いますので、今後そういう方向で指導してまいりたいと思っております。
  9. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、事実はどうだったのかということについて、国鉄としてはどういうふうにお確かめになったんですか。
  10. 須田寛

    説明員須田寛君) 空出張の事実につきましては、現在までのところは承知をいたしておりません。パーティー券を買ったということは確かにあるようでございますけれども、私どもの今承知いたしておりますところでは、会社業務範囲の中で処理をしたというふうに聞いておりますが、なお詳細につきましてはよく事情を聴取いたしたいと存じます。
  11. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 承知していないとおっしゃったわけですけれども、それは何にも言ってこないから承知していない、そういうことはないと思うという、そういう受け身の承知の仕方みたいに、私もきのう伺ったところでは、会社がそのようなことをした事実はないと、だから信ずるしかないというようなニュアンスのお答えをいただいたわけなんですね。  山崎社長という方、これも新聞ですけれども山崎社長がこう発言していらっしゃるわけなんですね。「第三セクターとして一部特定の国会議員を支援することは好ましいとは考えていない。」、ここまではまともですね。「しかし、ある程度のことは先輩に対して仁義は尽くさなければならない。いいか、悪いかを尋ねられれば、いいとはいえないケースかもしれない。」と、こういうことを言っていらっしゃる。つまり、この発言で見ると、事実上白状していらっしゃることになるわけですよね。  国鉄総裁、また伺いますけれども鉄建公団におられて、空出張なんという問題では十分いろいろな御教訓をお持ちになっていらっしゃると思うんですね。  ここで大事なことは、言ってこないから聞いておりませんと。聞いたところが、いや、ないはずだと、ということでは不十分だと思うんですよね。悪いことやりましたなんて言ってくるのは、今の世の中なかなかそういうのはいませんから、だから、そういうんじゃなくって、この前の空出張なんかの一つの大事な点は、決算書を見ただけではわからないですね、こういうのを調査いたしますときに。だから、決算書についてはもちろん、具体的な資料ですよ、私もやりましたけれども。例えば、本当に出張したか、出張したとしたらそこで何をやったかというような、何かいろいろの経費がかかる、その伝票ですね。こういうような資料として伝票まで当たって調査しなければわからないものですよ、数字だけで出てきたらね。だからそういうような調査をきちっとやるべきだと思うんですけれども、どうなんですか。そこまでやっていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  12. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 空出張ということは、官あるいは私を通じまして許されることでないというふうに考えております。今御指摘のありましたように、なかなか空出張というのをつかみにくいということも事実でございますが、けさ私が聞きました範囲内では、会社としてはそういうことでパーティー券を買ったことはないと言っておりますが、さらに十分具体的に精査するようにいたしたいと考えます。
  13. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ところで運輸大臣、もらっていらっしゃらないでしょうね、その政治献金パーティー券を買ったなんというような関係はおありでしょうか、どうですか。——おたくですよ。
  14. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私は、励ます会というのをここのところずっとやっておりません。おととしの秋かなんかに出版記念会というのをやりましたが、そのとき買ってもらったのかどうなのか、その辺はよくわかりませんが、少なくとも十枚とか二十枚とか、そんなものでないことだけは、仮にあったとしてもそんなものではないと思います。私は多分いただいていないと思いますがね。
  15. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 多分いただいてないなんというのは、なかなか正直でいいですよ。いただいているかいただいてないか、はっきりさせていただきたいと思いますけれども。それから会計検査院、いらしていますか。——じゃ会計検査院にお伺いしたいと思うんです。  国鉄出資している第三セクターというようなところにおいて、職員の空出張などという経理上の不正というようなものがあると、こう指摘されているわけなんです。私は、事実としたら、先ほどから言っているようにこれは大変なことだと言わざるを得ないんです。会計検査院としてもどのように対処なさるお気持ちか、伺わせていただきたいと思います。
  16. 疋田周朗

    説明員疋田周朗君) お答え申し上げます。  京葉臨海鉄道のように国鉄地元等と共同いたしまして資本金の一部を出資いたしておりますいわゆる第三セクター方式会社につきましては、会計検査院といたしましても、これらの会社国鉄出資目的に沿って運営されているか否か、こういった点について関心を持っているところでございますが、これらの会社は法律上国鉄のように当然に検査することになってはおりませんことと、またこのような会社が多数ございまして検査に従事する人員等関係もございますことから、国鉄検査の際に、国鉄との取引関係とあわせましてこれらの第三セクターの財務諸表などを取り寄せまして、健全な運営がなされているかどうか、こういったことを確認することにいたしております。  先生指摘報道につきましては、出資者としての立場から国鉄京葉臨海鉄道監査できるということになっておりますので、国鉄側から詳しく事情をお聞きいたしまして対処することにしたいと考えております。
  17. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうですね、国鉄側から聞いてそれで対処をしたいと。その国鉄さんが具体的に伝票などのきちっとした調査も今のところはやってないということになりますね。そうすると、まず国鉄さんの方できちっとその具体的な調査というのをいつごろまでにやるんですか。
  18. 須田寛

    説明員須田寛君) 国鉄出資者といたしまして出資会社、特に京葉臨海の場合もそうでございますけれども監査役を派遣いたしております。したがいまして、そういった者から絶えず情報を聞く体制にございますし、また監査役はいつも随時会社の内部を監査できる立場にございますので、随時かつ適切にそういった調査監査はいたしてまいる体制ができていると、かように考えております。
  19. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことで、会計検査院としてもそれをにらみながら、疑いが強くなれば当然なさっていただけると思いますが、大事な性格の問題でございますから早急に事実をはっきりさせていただきたいと、そう思います。よろしくお願いをいたします。  その次に、今度は問題の福島交通の問題に入らせていただきたいと思います。  住民の足を守るための大切な補助金というものが他の目的に使用されているということになると、これは大変なことでございます。今度の福島交通の乱脈な経理というのは、その中に一つ大きくこの補助金の使い方というものに疑いが出てきていると思うのです。  そこで、まず運輸省にお伺いしますけれども、五十八年度の補助対象となる路線バス営業損失営業外損失幾らになっておりますでしょうか。
  20. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 福島交通バス事業部門の五十八年度の営業損益は十億八百六十七万七千円でございます。それから営業外損益が千五百五十八万八千円、これいずれも営業損営業外損でございまして、トータルいたしますと経常損益として十億二千四百二十六万五千円の赤と、こういう状況でございます。
  21. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そのとおりだと思います。私も調べてみました。いろいろその中身を調べなければならないと思って、決算報告書数字をずっと調べて出してみたんですね。そうすると、これはおかしいなと、異常な点が私なりに見つかったんです。といいますのは、五十八年度のバス事業全体の損失ですね、バス事業全体の損失は十一億七千八百四十万円という数字が出てきます、バス事業全体の損失といたしましてね。その中で補助対象となるいわゆる路線バスですね、路線バス損失幾らかといいますと、今おっしゃったように十億八百万円ということになるわけです。そうすると、バス事業全体の損失が約十一億八千万ですね。そのうち路線バスが十億ちょっとということになりますと、バス全体の中で、補助対象となる路線バス損失がもうほとんどすべてだというような大きな額を占めているということに気がついたわけなんです、見ていてね。非常に大きいですよね。  そこで伺うんですけれども、五十二年から五十七年度のどの年度を見ても、バス全体の損失に対して補助対象となる路線バスの占める割合ですね、これが大体五割から高くて七割程度なんですよ。具体的に申しますと、例えば五十二年を見ますと、これはここもまた非常に問題点が出てきたんです、五十二年を見ますと。バス事業全体の損失が八億三千九百万、約八億四千万ですね。それでそのうち路線バス対象となる路線バス損失というのが六億一千二百二十万というふうになっています。そして問題は営業外損失です。営業外損失がこの年、五十二年は十七億三百九十万というわけですね。その中で、補助対象となる路線バスの額が五億五千二百四十万というふうになっています。そうすると、ここのさっき言いました十一億のバス事業全体の損失うちバス路線対象が十億八百万、非常に大きな額ですよね。その前の年五十七年を見ますと、バス全体が十億約五千万、うち七億二千九百万がバス路線対象。それから五十六年を見ますと、十一億五千二百万という中で七億八千五百万というようなここは数字が出てくるわけですよね。今問題にしている営業外損失と、うち補助対象となるバス路線というのを見ましても、大体平均が一五%程度ということになっているわけなんですね。それが、補助対象となる割合が五ないし七割なのに、先ほどおっしゃったように九割を占めているという点が非常に異常だと。  わかっていただけたでしょうか。少しごちゃごちゃしてわからないといけませんね。もう一回繰り返しますね。済みません、ちょっと説明ごちゃごちゃ言っちゃったから。  大事なことは、先ほどおっしゃったように、バス事業全体の損失が五十八年度で十一億七千八百四十万ですね。それでバス路線損失というのが十億八百万円、これがさっき言ったように、全体のバス事業損失の中の路線バス損失というのが九割近くを占めているというのが特徴だと。その前の年、さっき言いました五十七年のをずっと調べてみても、ここのところで非常に大きくなっているというのがちょっと異常だということは年度数字見ていってわかると思うんですね。  まとめて言います。今のが一つの問題ですね。  それから二番目が、さっき続けて言っちゃいましたけれどもバス全体の中には貸し切りバス部門というものもあるわけですよね、路線バスだけではなくて。そして、この比重というのが三ないし四割はあるはずだと見ているわけなんですね。それなのにこれが非常に少なくなっているわけでしょう、ほとんどが路線バスで九割占めているということになると。貸し切りバスなんかでも当然赤字が出てきているはずなんです。というところから見ても、これだけ見てみると、ちょっと異常だなということに気がついたわけなんです。これについて、私も数字を追っていたらけさまでかかっちゃったんで、ちょっと大変ですけれどもぜひ御調査いただきたい。そちらは専門で見ていらっしゃるからその辺のところ御調査をいただきたいということなんです。いかがでございますか。
  22. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいまの先生の御指摘は、乗り合いバスの欠損、営業損失が年によってでこぼこがある、その結果、バス事業全体の中での乗り合いバスの占める営業損失割合がこれもまたでこぼこがある、こういうことだろうと思いますが、これは運賃改定を二年ごとにやっておりますので、運賃改定の翌年は改定の効果が寄与いたしまして損失が少なくなっております、これは長期的に見まして。そういうことだろうと判断しておりますが、なおこの点は中身をよく検討をいたします。今までも詳細な検討の上補助金を交付しているわけですから、私どもとして不審な点はないと考えております。
  23. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その点一度、また私も具体的にずっと追っていきますので、専門のそちらの立場で御調査をいただきたいと、そう思うわけです。  それから、さっきまたこれも一緒に言っちゃったんだけれども営業外損失ね、今度は。営業外損失うち補助対象になる額ですね、これも見ていって異常なのに気がついたんです。  整理して言いますと、五十二年、先ほど言ったように、十七億三百九十という数字ですね、そのうち補助対象となる額ですね、それが五億五千二百四十と、こうなってくるんです。そうすると、営業外損失に占める補助対象額というのがここで三五%を占めているんですわ。非常に大きくなっているんですね。ほか五十三、五十四、五十五、五十六、ずっと見ていったわけですけれども、例えば五十六年を見ますと、営業外損失が十五億約五千万、そのうち補助対象になるのは二億六百十万。そうすると、これ一五%ですよね。補助対象となるのは一五%しか占めていない。その前の年で言いますと二〇%と、大体その程度なんですわ。それが三五%も占めているというのは、この辺のところもおかしいなと、補助対象となる額がふえれば補助金もどうせふえるということなので、その点も私は異常だというふうに言わざるを得ないので、この点もあわせてお調べをいただきたいと思います。
  24. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 営業外損失につきまして乗り合いバス事業の方に区分して経理する基準、これは私どもの方で省令あるいはそれに基づく通達による基準で明確な基準がございまして、その基準に基づいて乗り合いバスの方に営業外損失の方を割り掛けているはずでございますので、不当にほかの部門営業外損失乗り合いバス部門に割り掛けられているとは考えておりません。  ただ、確かに五十二年度の営業外損失バス部門に割り掛けられた営業外損失が高いのは事実でございますが、これはそのときにバス事業のために車両の購入を相当多くやったか、あるいはそのほかバス事業のために投資をしたか、そういうようなことに起因するものと思われますけれども、その辺については再度中身を分析してみたいと思います。
  25. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 よろしくお願いします。  次は、会計検査院お願いしたいんですけれども福島交通福島不動産へ五百億以上も不良貸し付けをしております。二年前と比べますと百二十億円ほどふえているんですね。こんなことから福島交通経営が乱脈になったと。退職金社会保険料も支払えないでいると。だから、仙台陸運局の幹部も、調べていてどっちが赤字だかわかりかねる状態が続いたと。これではバス事業についての適切な指導監督ができないので改善するよう指導をしていたと、問題点に気づいて指導したと言っているわけです。  先ほどから言っていますように、バス補助金が正しく使われているかどうか、ここが非常に大事な点だと思うんですね。厳重に検査検討しなければならぬ。会計検査院としてはどういうふうにお考えになるか、どうなさろうとするか、お答えをいただきたいと思います。
  26. 立神清章

    説明員立神清章君) お答え申し上げます。  この補助金がいわゆる過疎地住民に一定の足を確保するという役割を持っていることは、先生指摘のとおりでございます。今回の事態は私どもとしても大きな関心を持っているところであり、今後とも十分注意を払っていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次は、阿武隈急行の場合、お伺いするんですけれども福島交通の株が五一%という過半数になって、筆頭株主、他の第三セクター株主比率と株式の比率は大体どうなっているかということを伺いたいと思います。
  28. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 一般に第三セクターと申しまして、関係地方公共団体あるいは地元資本、こういうものが合弁でやるわけでありまして、例としまして、まあ五〇%かどうかというお話であると思いますが、基本的にはそれぞれの地方自治団体なり関係者が合意して決めることだと思いまして、特段我々基準ということを持っておりませんが、例えば三陸鉄道につきましては、岩手県ほか自治体が七五%ほど持っております。それから最近、ローカル線で第三セクターをしようということで、バス転換でなくて地方鉄道業でやりたいということで、神岡鉄道樽見鉄道という、神岡線と樽見線につきましては、それぞれ第三セクター運営することになっておりますが、こっちの方は、神岡鉄道につきましては三井金属 鉱業が五一%、それから樽見鉄道につきましては、これも地元地方公共団体相談しながら、地元交通業者であります西濃鉄道というのがございまして、これが五一%を持っておりまして、さらに大阪の北大阪急行等につきましても、阪急電鉄が五割持っております。まあ必ずしも鉄道事業者なり、そういう企業体が少なくて地方自治体が多いということでもないし、逆の場合でもないし、それぞれその地元事情に応じて出資比率関係者間で相談をして決めるのではないか、こういうふうに考えております。
  29. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今おっしゃいました神岡線なんかも、確かに五一%持っていますよね。これは御承知のように、あれは三井金属の専用みたいな線だから五一%持つというのは当然だというふうに思うんですよね。また一方、おっしゃったように、三陸鉄道七五%自治体だよと、こうおっしゃいましたね。私は、例えば野岩線の場合もまた調べてみましたら、出資金三億で、比率自治体八五%、民間一五%と、こういうふうになるわけですよね。  そうすると、地元住民の足を守ろうという立場で、そういう性格から発足すると、やっぱり地域住民中心にしての自治体なんかが大きなウエートを占めるというのは、これはすんなり入るんですよね。ところが、この福島交通の場合は、五一%を福島交通が占めていると。しかも、こんな問題が起きなきゃ、これですうっといっちゃったのかもしれないけれども、ここは借金経営である、今疑惑の真っただ中、労働者退職金も満足に払えない、こういう会社が株を半分以上占めているということは非常に不安だということはもう巷間言われておりますしね、私も当然そうだと思うんです。それについてやっぱり不安と思うことに対しては、どういうふうにお答えになりますでしょうか。
  30. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 二月に地方交通対策協議会で、地方公共団体、宮城県あるいは福島県が地元福島交通を糾合し、合同して会社を、第三セクターをやっていこうということで決めまして、それで、創立総会が今月の初めに開かれて、まだその後正式な手続に入るわけでございます。  しかし、先生おっしゃいましたように、福島交通をそういう目でごらんになるという、いろいろ議論があるところということでございますが、まあ長年当該会社は、福島の地域では長い間交通事業としていろいろ担当してきたわけでありますし、本来の姿とすれば、当該地域で第三セクターができ、当該地方公共団体のために一肌脱いでくれないかと、こういう場合に結構な話ではないかと思いますし、まあ実態上いろいろ言われてはおりますけれども、我々としては、交通事業者としての福島交通につきましては特段の問題がないし、むしろそういうノーハウなりいろんな面での期待もあるわけでございます。反面、当該福島交通の企業そのものがさらに健全になることの方がもちろん望ましいと、そういうふうには考えております。
  31. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これも新聞報道ですけれども、第三セクター経営に参加している岩沼市ですか、渡辺市長がこう言っていますね。問題のある福島交通に主導権を握られるのはまずい、福島交通五一%、自治体四九%の出資比率を逆転、見直すべきであるというのが大きく出ておりました。これは四日の設立総会での発言になっているわけです。ましてや、定款を見たんですけれども、定款を見ると、第三セクターのこの会社は不動産もやるということになっているんですね。本当に地域住民のためにというだけではなくって不動産、そして福島交通不動産部門で今疑惑の真っただ中ということになっているわけですね。  そうすると、なぜ私が心配がというのは、実質的に経営権を持っている福島交通、この沿線自治体の開発計画をもう打診しているということを言われていますね。そうすると、公共の足を不動産投機に利用される懸念が十分にあるということを、この今の時点で考えなければならないと思うんですね。だから今後、これを見直す、指導するということは当然考えていかなきゃならない、もうよっぽど目を光らせていかなければならないと思うんですね。で、まあ現在、役員の数は福島交通が六人の県が十二人、大丈夫ですよとおっしゃるけれども、その役員を決めるのはだれだといったら株主総会、五一%過半数持っていれば役員だってかえられるんですからね。  そういう意味で、相当きちっとした御指導をいただきたいと思います。いかがですか。
  32. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 第三セクターというのは、そういう地元地方公共団体等が合意に基づいて地元の足を確保するというのが第一義的な目的であると思いますけれども鉄道事業としてそこにある程度民間的な創意と工夫で、やはり鉄道事業者としてのいろんな仕事をやっていく上におきまして、ただ鉄道というよりも、鉄道によって地域を開発するという面が当然あるわけでありまして、私も詳細には見ておりませんが、恐らく第三セクター、また他の事業でも、不動産事業というのはある程度やって、そして地域の開発ともども鉄道を維持していくということではないかと思うんです。  ただ、おっしゃいますように、五一%の会社があって云々ということでございますが、しかし、それはやはり社長が宮城県知事でもありますし、副社長に福島副知事も入っております。地方公共団体、今も質問のときにありましたけれども、当然そういう面では非常に目を光らせていると思いますので、そういう事態はないし、健全にその鉄道事業の育成に全体で地方公共団体等が、仮に株式自体はそういう形になっておるとしましても、問題はないんではないかと我々は考えております。
  33. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 問題がないと思っているところでみんな問題が起きてくるんだから、今は私の言ったことをきちっと胸におさめていただきたいと思います。  時間がなくなりましたから、次、退職金の問題に入ります。  福島交通退職金どうなっているか。これは調べてみますと、六十二人分で四億六千万円という退職金がございます。で、百万円未満の退職金は全額を払った、しかしそれ以上超える大きなものについては、やっと三月の二十八日労使の団交で半額を払うということになったと、こういうわけですよね。やっとこれだけ問題になって半額払う。あと半額残るわけですから、だからこれは労働基準法から言っても違反ですよね、退職したのに。夕張なんかがもうその例だけれども、最後には踏み倒すなんていうところまでいっちゃうわけだから。まして退職金を当てにして生活設計をしている労働者立場に立ってみれば、これは大変なことでございますよ。だから、運輸省がしっかりこれも指導して、それは労働省にもあるけれども、担当としてしっかりと見ていただきたいということで、これは大臣、しっかり見ていてください、犠牲になるのはいつも労働者なんだから。ということで、それをしっかりやっていただきたい、お答えいただきたいと思います。
  34. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 退職金の問題につきましては基本的には労使間の問題と考えますけれども、現在半分退職金を支払って、残りの半分につきましては労使で現在協議中というふうに聞いております。  運輸省といたしましては、今お話しのように、退職者が困ることのないように労働省それから県とも連絡をとりながら努力してまいりたい、かように考えております。
  35. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 自動車局長からお答え申し上げましたとおりでございますが、私としましても厳重にこれはやらなきゃいかぬと、かように考えております。
  36. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 労使の話し合いということでいつもつらい目に遭ってきたわけですよ。そもそもその内容が労働基準法違反なんだから、だから労使が協調するときに、違反を知りながら、しようがないやなんと言って犠牲になる労働者が出ないように、もう本当に夕張なんかでも最後ひどいことになっちゃいましたから、今大臣もやるとおっしゃったし、ぜひそのことを私は信頼しますから、そういう犠牲が出ないようによろしくお願いをいたします。  最後になりますけれども、この阿武隈急行株式会社発起人会議の案というのがあるわけですね、五十九年二月二十五日付ですか、この案を見せていただきました。この会社の要員、人員は七十二名なんですね。その七十三名のうち五十人以上が福島交通から入るわけです、第三セクターの。この人たちが今言ったように全額退職金をもらっていないわけですね。退職金が残っているわけです。その退職金の残っているのを、福島交通で出た退職金をそのまましょって阿武隈急行に行って、第三セクターへ行って、この第三セクターが引き継いで払う、こういうふうに言われているわけです。こっちの会社福島交通での退職金を第三セクターの方に引き続いて持っていくということですね。北炭なんかの場合もそうですよ。退職金はみんなもう、今度はこっちへ行くんだから行くんだからというので、ずっとしょっていって、最後切られちゃったんですからね。こういうのはおかしいんじゃないか、福島交通で働いた分を、退職金まで第三セクターにしょっていくというのは。これはもう福島交通、まさに社会的責任も放棄しちゃっている、全くおかしいということですから、これについてはっきりとお答えをいただきたいと思います。
  37. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 丸森線の設立の過程で、福島交通バスやっておりますので、その関連から鉄道バスの調整という問題がいろいろ問題にはなったようでして、そのときに、鉄道が来た場合にバスはある程度撤収しなければならない、業務を縮小しなければならない、こういうときに従業員はどうしようかという問題が当然関係者ではいろいろ議論になったというふうに、それは聞いております。  しかし、今お話しのように、バス業者がこちらに転職した場合の退職金まで、からげてひっかぶって持ってくるかどうかというような具体的な話は我々は聞いておりません。しかしそれは、ある程度新しい交通機関が出てきて他の交通機関に影響があるときに、そのあたりの若干の調整というのはこれはあり得ると思いますけれども、やはりその新しい会社に著しい、何といいますか経営的な影響を与えるような、そういうような形というのは余り好ましくないと思いますんですけれども、いずれにしましても今後どういう形で阿武隈急行の具体的な経営計画が出てくるかというのは、今後の話でございますので、そのあたりを踏まえながら対応したい、こう思います。
  38. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当にこれ、調べていけばいろいろ出てきますね。つつけばつつくほどあっちからこっちからほころびが出てくるから、だからもう大変だと思うんです。きょうのところは時間がありませんからこの辺の問題にとどめますけれども、やっぱり本腰を入れてやっていただきたい。  新聞を見ると、その退職金を払うのも、お金がないから過疎バス補助金をこれにつき込むんだなんというのがあったから、こうなったらもう本当にこれはとんでもない考え方だし、とんでもないことだ、そう思うわけですね。  今も申し上げましたように、福島交通退職金阿武隈急行にまで持っていってここで何とかしようじゃないかなんという考え方は、好ましくないところじゃないです、とんでもないことですよね。というのは、この第三セクターである阿武隈急行というのには、補助金として出ているわけでしょう。県民の血税も注ぎ込まれている。その会社が人の分までしょって払えるような経営かと言ったら、そうじゃない。調べてみると、計画を見ると、会社の計画自身を見ても、設立後九年間は赤字だ、こういう計画ですよね。第三セクターでやるけれども会社自身が九年間赤字だと言っているんですわ。そして国も、第三セクターにしてもらいたいということでサービスなさるわけだから、五年間、赤字の二分の一サービスするわけでしょう。せっかくサービスしたその補助金が、これが福島交通退職金に上手に、どこから流れていくか知らないけれども、そういうところに流されていくということではこれはもうとんでもないことだ。そういう点も踏まえて、これは本腰を入れて、大丈夫だなんて言っていて、事が起こってからでは手おくれでございますので、この辺のところをしっかり押さえて監督をしていただきたい、御指導をしていただきたい。  そしてずっと、これはまだ序の口ですわね、これからまだまだ問題を出しますけれども、こういうものを抱えて大臣としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかな、しっかりと監督するということ、大臣の今までの御所見を承って終わりたいと思います。
  39. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 第三セクター発足に当たりまして初めからそんなものを背負わされたんでは、これは大変よろしくない、けしからぬことで、これはもう当然のことでございます。バス会社退職金バス会社で払って、新しく就職を恐らくさせるんだと思います。そこで新しく出発をするわけでございますから、これははっきりさせなきゃいかぬ、これはもう同感でございます。厳重に監督をいたします。  なお、先ほどちょっとお話がございましたが、新しい第三セクターが副業でいろんなことをやるということ自体はこれは御否定になってはいけませんので、第三セクターにする大きな一つ目的が、これは国鉄がそれができなくて今日困っておるんですから、附属の土地を——外国の鉄道なり私鉄なりは、鉄道を引くときには土地を買っておいてそれで建設費を出してくるわけです。いわば不動産業なり開発業を一緒にやることによって鉄道赤字を減らす、あるいは黒字を出すということをやるわけでございますから、先ほどちょっと伺いますとどうも、鉄道鉄道だけというふうにも聞きましたが、それはそうじゃないんで、適正にこれをやって、鉄道の方では迷惑はかからぬ、赤字がない、補助金もなしでやれるというようにむしろしてもらう。ただ、その副業でやる不動産業そのものに不正があったりいろんなことがあったり、そうしてはそれはいけませんがね。ですからその点だけは分けて考えなきゃいかぬと私は思っております。  なお、福島交通の問題についていろいろな問題が起こっておりますが、私どもバス鉄道両方とも補助金を出しておりますが、これらについては御指摘もございますし、新聞にも出ておりますので、先般も、バスについては福島県が第一次的に補助しますので、福島県に国会の私が答弁をしました後で調査を厳重にさせたわけでございますが、五十八年度については間違いございませんという報告を受けておりますけれども、今後とも厳重にこれはやらせていただきたいと思っております。
  40. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今のに対してちょっと三十秒下さい。  第三セクターというのがほかのものを何にもやっちゃいけないというわけではないと、こうおっしゃいましたよね。だけれども、その中身というのはやっぱり、第三セクターがほかの会社みたいにどんどんどんどん営業利益を上げていかなきゃならないと、しかもその利益が一企業のための利益になってはいけないということは当然のことだと思いますので、その辺の立場でしっかりと御指導、監督をお願いしますということを重ねて申し上げて、終わりにいたします。
  41. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) それはそのとおりでございます。
  42. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 よろしくお願いします。
  43. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最初に、大臣に私は御再考を願いたいことがありまして、その点から質問をしていきたいと思うんです。  十二月からこの一−三月、北洋、ベーリング海あたりでこれはもう毎年漁船の海難事故が絶えないわけですね。しかも、事故というと、もう全員が一瞬のうちに死亡してしまうという、非常に悲惨な事故が起こっているわけです。ことしも、二月十五日に協和丸と安洋丸が衝突を起こしまして、十六名が亡くなっているわけです。  そのときに、安洋丸に乗っておりましたアメリカのオブザーバーが、亡くなっていく日本人の漁船員を見ているわけですね。それがアラスカヘ帰りましてアンカレジで記者会見して、これは現地の新聞にも大きく載っておりますけれども、要するに、日本の漁船員で本当は助かるものが助からなかったと。それはやっぱり、サバイバルスーツをほとんど着ていなかったということですね。しかも薄手のシャツやズボンを着てテニスシューズを履いていた、こういうような姿で作業をしていたと。向こうでは考えられないようにびっくりしているわけですね。向こうではイマージョンスーツなどを着用しておりますから、漁船がひっくり返っても助かる率が多いわけです。ところが、日本の漁船はまだそこまで義務づけが行われていませんから、非常に助かるものも助からないで亡くなっていくという悲惨な状況があるわけです。  これは私は、五十七年の一月のあけぼの丸の事故のとき、これは三十二名も亡くなったわけですから、当時予算委員会で、小坂運輸大臣でございましたけれども、何とか海難防止、積極的に事政策をやってほしいということを要望しておきまして、その中にこのイマージョンスーツの開発の問題、これも取り上げたんですが、関係者のさまざまな要望と要求によりましてこの開発が進んできております。  で、Aタイプと言われる商船用のやつはほぼ完成をしている、これはもう民間に任せてもいいという状況になっている。ところがBタイプは、重労働をやりますから汗をかく、その汗を防止するのにはどうしたらいいかというまだ研究すべき余地がたくさん残っている、こういう状況なんですね。ところが、もう三月十五日でこのイマージョンスーツの開発の補助金が切られちゃう、これはまことに残念なんです。やはり完成品ができるまで国が責任を持って開発すべきだと、こう思うんですよ、それでなきゃ余りにも無責任だと。しかも、それはもうああいうところで働いているすべての人の要望なんですからね。  ひとつこの点再考をいただいて、やっぱり積極的に国が完成品ができるまで責任を持って開発を促進する、もう半分研究ができたから民間にあとは任せて開発させりゃいいんだ、これでは開発が進んでいかない。やっぱり民間は営利ですから、もうからなきゃやらぬということになりますから。そうじゃなくて、完成品ができるまでこのBタイプについても研究すべきだ、国が責任を持っていただきたい、こういうことを要望したいんですが、大臣お答えになってください。
  44. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 北洋の漁船員が非常な痛ましい損害を受けておるということは、実は長年のことだと思うのでございます。それが最近になって、今御質問にもございましたが、たしか昭和五十七年でございますか、先生が国会に問題を提起され、また全日海が中心になってこの運動を展開されて、関係の業者が新しい技術開発を進めてくれておることは御承知のとおりでございます。  商船用についてはもうおおむねでき上がったということで、あと漁船の重労働に耐える、激しい運動に耐えるものがどうであるかという段階までやっとこぎつけてきたようでございまして、これは国としてほっておくことはできない人道上の問題でもあるし、また経済的にも大きな問題でもあるわけでございます。こういう意味で、私ども今後ともこれが完成までは一日も早く完成するようにやってまいらなければならぬ、かように考えておる次第でございますが、具体的な点については船舶局長からお答えをさせていただきます。
  45. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 具体的にはいいです、時間がありませんから。とにかく大臣、そういうことで本当に開発を急いでいただきたいですね、これを義務づけをさせるようにすれば助からないものが助かってくるわけですから。大変重要なことだと思いますので、ぜひひとつ促進をしていただきたい。時間がありませんので、経過説明は結構でございます。  そこで、もう一つ私はこれらの問題について要望をしたいんですけれども、やっぱりああいうところの海難事故というのは、どういう状況で起こったのか、どういう状況でみんな亡くなっていってしまったかということが、現実にはよくわからないわけですね。よくわからないからこの事故防止対策もなかなか進まぬということがあるわけですね、わからないんですから。わからない部分が多いものだからなかなか進まぬ、こういうことがあるんです。  そこでやっぱり、こういうものの海難事故防止対策について、運輸省とそれから民間のそういう漁船を持っている人たち、それからそこで働いている人、要するに官労使ですね、三者がこの防止対策について真剣にお互いに経験を話し合う、こういう場が必要ではないか、要するに三者協議機関ですね、これも私は小坂運輸大臣に要望したんですよ。そうしたら、それは積極的にやらにゃいかぬと、こういうお答えをいただいた。ところが当時、五十七年、労使の三者の懇談会が一回開かれただけです。後、何にもやってないんですね、今日まで。だから、これらの事故防止対策をやっぱり真剣に考えていくためには、この三者協議機関を復活していただきまして、そして労使も呼びまして、その中で絶えず、どうしたらいいんだろうかという意見を聴取していただきたい、こういうことなんです。一回で終わっちゃっているんですよ、懇談会、ただ一回やっただけで。その点の大臣のお考えももう一度お聞きしてみたいと思います。
  46. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 小坂元運輸大臣が既にお約束をしておられるという話ですが、もう言うまでもなく万全を期するべきことだと思います。  総務審議官からお答えさせます。
  47. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 先ほどお話しのように、この第二十八あけぼの丸事件をきっかけに、この海難の原因を究明するために関係者が一応集まりまして懇談会を開いたということでございますが、そのときは組合からも来ていただきましたし、広く関係者集まって隔意なくいろいろと問題点について意見交換をしたということですが、じゃこの後どうするかという点につきましては、それぞれの問題ごとに専門家と協議して問題点を詰めていくと。非常に短期に結論が出るものもあれば非帯に長期にかかるものもあると。先ほどお話のあったイマージョンスーツにつきましても、そういう問題点を受けて研究開発を進めて今日非常にいい結果を得ている状況でございますが、そういうことで、私どもこれからその総合的な対策についてもう少しフォローアップするということで、必要があればまた懇談会の形でやるか、あるいはさらに海上安全船員教育審議会でやるか、そういうところでこの問題の詰めをやりたいというふうにも考えておりますし、あるいはまた組合側からいろんな問題を別の角度で議論をしたいということであれば、問題の性質によっては中労委なり何なりでもまたお話をしていただくという行き方もあろうかと思いますので、そこら辺は、実際に関係者からの御要望も勘案しながら、また私どもの対策の進捗状況も合わせながら検討していきたいと思っております。
  48. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたい。  それから、問題を変えますけれども、一九七九年のSAR条約、海上捜索救難に関する国際条約、これ十五カ国が批准すれば発効することになるわけですが、まだ今のところ十四カ国ですね。日本はまだ批准していない。  やっぱり日本は先進海運国ですから、そしてかつ、よその国からさまざま、海工事故が起こったような場合にはお世話になっているわけですから、むしろ率先して私は批准すべきじゃないかと思うんですがね。ところが何か、どこに障害があるのかわかりませんが、外務省筋にちょっと問題があるように聞いておるわけですが、やっぱり運輸省として積極的にこれは批准すべきだということを外務省にも強く要望していただいて、何とか批准への態勢をつくっていただきたい、こういうことを思っているわけでありますが、お答えをい たたきだい。
  49. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) ただいま伊藤委員のおっしゃいますように、世界の有数なる海運国として、こういうSAR条約に一刻も早く加盟をいたしまして、全世界的な海難救助体制の一翼を担うべきであるという認識におきましては、私も全く同意見でございます。したがいまして従来から、ハード面でこれの対応をすべく、大型のヘリ巡の予算要求やら、それからまた大型の航空機の予算要求というようなことを着々と進めてまいりましたが、なお具体的な問題といたしまして、関係省庁間の意見の調整を今精力的にやっているところでございますので、一刻も早く入りまして、日本として当然の責任を果たしたいというぐあいに考えておるところでございます。
  50. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ぜひこれはやっぱり外務省筋に積極的に働きかけていただきたい、こういうふうに思います。  それから、これは時間がありませんのであえて聞きませんが、もう一つ、洋上緊急医療体制についてですけれども、これも海員組合などが再三要望してきているんですけれども、遅々として洋上緊急医療体制が進んでいない。要するに我が国の周辺海域というのは医療過疎海域と、こうなっているわけですね。問題はどこにあるのか、この点について、どちらでしょうか、お答えをいただきたい。
  51. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) 伊藤委員がおっしゃいますように、この問題につきましては、私どもも海員組合等から要請も受けておりますし、また現実に陸上の医療体制に比べまして大変おくれているということを認識しているところでございます。  従来から海上保安庁といたしましては、こういう海上での事故が起きました場合に、そのたびごとに私どもの巡視船艇なり航空機にお医者さんを乗せて、それで運んでいるわけでございますけれども、いずれにいたしましても急にこういう事故が起きますので、お医者さんの確保に若干手間取る。その間に患者の病状が悪化するというような事態もございますし、また医師の方も、出かけました場合にあんまり長くなると、自分のところの病院の医療体制が確保できないというような問題もございます。さらにはまた、これは危険な洋上に行くわけでございますので、医師や看護婦に事故が起きた場合その災害の補償をどうするかというようないろいろな問題がございまして、何らかのシステムとしてこういうものを整備しておきまして、何人かの候補の医師がおって、いざというときにはだれかがすぐ行けるというような体制を整える必要があろうかと思います。最近には宮城県でこういう洋上医療の協議会というようなものができまして、既に実績を上げているようでございますが、私どももこれをどんどん奨励して、こういう組織を全国的に広げなければいかぬと思っております。  そういうことで、実はただいま海上安全船員教育審議会でどういう形をとったらいいかということを御検討いただいているところでございますので、できるだけ早く結論を得まして、その結論に基づきまして万全を期するような体制を整備したいというぐあいに考えておる次第でございます。
  52. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 大臣、この問題は単に海上保安庁だけじゃなくて、運輸、防衛、それから厚生省、こう幅広く関係があるわけですよね。だから今お話のあったように、この問題を一歩前進させるために、もう少し関係各省庁が寄り集まって協議を続けていく、こういう機関をつくることが必要な段階ではないかと、こう思っておるんですが、ぜひこれをやっていただきたいと思うんですよ。どうでしょうか。
  53. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 大変ごもっともな御提案でございまして、恒久的な機関をつくるかどうかという問題は後の問題としまして、とりあえず関係の省庁の間でこの問題をどう取り上げるかということは大変私は大切な問題だと存じます。私は防衛庁長官もやらせていただきましたが、いろいろな点から見まして海上のこういう医療の体制というものがおくれておることはもうはっきり承知いたしておりますので、とにかく集まりましてどうすべきかということについて相談をさせていただきたいと存じております。
  54. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 海の関係はこの程度にしておきまして、あと航空の方に移りたいと思います。  国内航空三社ですね、今の経営の状況はどうでしょうか、簡単で結構ですが。
  55. 山本長

    政府委員(山本長君) 結論的に非常に厳しい経営状態でございます。収入が伸び悩んでおるということでございます。貨物が若干ふえておりますが、旅客が非常に低調であるということで。かつまた経費も、その年その年で若干違いますけれども全般的には上昇しておる、非常に厳しい環境にあるというふうに思います。
  56. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それで、経営が厳しいというのの大きな原因の一つにやはり私は、航空会社が負担する公租公課ですね、料金、税金、それと燃油なんですけれども、この両方合わせまして営業収入の五一%に達しているわけですね。これは四十五年は一二であったし、五十年は三一%であったんですが、今や五一%、まさに限界に達しているというように思うんですが、この負担を軽減することが必要ではないかと、こういうように思っておるわけですが、いかがでしょう。
  57. 山本長

    政府委員(山本長君) 空港あるいは航空保安施設というものの整備を急速に図るというところから、過去十年程度でございますが、非常にいわゆる利用者負担ということで着陸料でございますとか燃料税でございますとかいうものをやはりふやしていきまして、急速に整備していったその結果、航空会社の負担も重くなっていったというのは事実でございます。  先生今五一%でございますか、その数字についてちょっと私たちが会社から報告を受けております比率と申しますかを申し上げますと、営業費用に占める比率でございますが、空港使用料あるいは燃料税等いわゆる公租公課と俗称されておりますものが、五十七年度の実績で二一・二%、燃料費が二二・三%、人件費二〇・四%、償却費八・二%、その他二七・九%、こういうふうな数字になっておるのでございます。ただ、公租公課と言われております、先生はそれは燃料も含めておっしゃいましたけれども、私たちはこれは先ほど二一・二%と申し上げましたが、この数字というものは、五十四年度が二四・九%ということでございましたが、逐次下がってまいりまして、五十七年度は先ほど申し上げましたように二一・二%というふうになっておるのでございます。  これが経営悪化の原因ではないかというふうな御指摘でございますが、経営悪化の原因というのはやはり大局的には、費用がふえておる、人件費、物件費がふえておる。それに対しまして、航空会社の事業収入というものがここ三、四年もうほとんど横ばいだというところに根本的な原因があるのでございます。    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 公租公課と申しますのもたしか、先ほどずっと十年来ふやしてきたと申し上げましたが、五十五年に着陸料の値上げをいたしましたが、それ以降負担の強化をしておりません。そういった関係で逐次下がってきている、こういうことでございまして、経営悪化の原因というのが公租公課の増徴であるというふうには私たちは理解をしておりませんで、むしろ収入の伸び悩み、それに対するその他経費全体のアップというところが経営を非常に圧迫している、こういうふうに私たちはむしろ理解をしておるのでございます。
  58. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 別の観点から問題を指摘したいんですが、これからの最大の事業というのは関西新空港、それから羽田の沖合い展開、それから成田の二期工事、こういうことになると思うんですがね。これだけ合わせても二兆円かかる、こう言われておるわけですね、事業費というのは。  そこでお伺いをしたいんですけれども、この空整特会の今後十年間、大体羽田ができる、関西空港ができる、それの前後までの期間なんですが、今後十年間の長期の収支の見通しですね。これをちょっとわかったらお聞かせいただきたい。
  59. 山本長

    政府委員(山本長君) 細かくは時間もございませんから、大まかに私たちの考えを御説明申し上げたいと思います。  特別会計の収支を長期的に考えますと、収入の伸びにつきましては、需要がやはり安定期に入ってきておる。しかしながら、航空需要というものを全般的に見ますと、まだまだ混雑しておる路線もございます。空港の整備が進みますとそれがジェット化をして、潜在需要が顕在化してくる、こういうふうなところも相当まだ見受けられるところでございます。そういったところから、収入の伸びというのは、従来ほどではございませんけれども緩やかな伸びをやはり示していくだろうというふうに考えておるところでございます。  一方、歳出面は、御指摘がございましたように、大きなプロジェクトをこれからやろうとしております。ただ、いわゆる三大プロジェクトと申しますのも、資金需要が生ずるのは六十年代の前半から後半、六十七、八年というところにかけてであろうと思います。この三大プロジェクトだけじゃございません、地方空港もございます。資金需要は大きいわけでございますが、しかしこの大きな三大プロジェクトというふうなものは、成田の例、あるいは今法案をお出ししておるところの関西国際空港の例のように、全体の資金は確かに大きな資金でございますけれども、それを全部国の特別会計の金で賄うというものではございませんで、相当大きな部分、計画においては約八割相当部分は、財投なり民間借り入れで賄うというふうな方式をとることといたしております。  また、非常に空整特会の支出圧力となっておりました、また現在でもそうでございますが、環境対策費というものが、既に峠を過ぎております。逐次減りつつあるわけで、これは永久に続くものとは思いますけれども、相当峠を越してきております。こういったことを考えますと、空整特会の収支というものにつきましては、将来必ずしも著しい収支不均衡というものを生ずるものではないというふうに考えておる次第でございます。空整事業を円滑に進めるためには必要な適切な措置をとっていく必要がありますが、ことし五十九年度の予算で御審議いただいております空整特会の中にも、二百五十億資金運用部から借り入れるというふうな措置を講じております。そういった措置も年度によって適切に講じていく必要があると思いますけれども、長期的に見まして著しい不均衡というものを生ずるものではないというふうに現在考えておる次第でございます。
  60. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そういう航空局長の見通しのようでございますけれども、私は空整特会というのはやがてパンクするんじゃないかとこう危惧しているのです。そして、パンクを防ぐためには料金と税金を上げていく、要するに運賃大幅値上げと、こういうことに直結してくるのではないかと思うのです。あるいは、パンクを防ぐためには外部から借金をする、債券を民間の金融機関に引き受けてもらう、こういうことになってくるのではないかとこう思うのですが、どうなんでしょう。
  61. 山本長

    政府委員(山本長君) 空港整備の中の一番大きな事業というのは、先生先ほど指摘になりました国家的な大きなプロジェクトでございます。確かに、この大きなプロジェクトをやってまいりますためには、先生おっしゃるように外部からの借入金というものを多額に必要とするわけでございます。ただ、こういうプロジェクトについて多額の外部からの借金でもってやっていくということにつきましては、やはり空港整備事業につきましても、ほとんど採算性が期待できない事業があります反面、東京、大阪地区における空港というものはやはり路線が集中しておる。多数の旅客、貨物がそこに集中するというところから、一つの独立経営企業としてやっていける、こういう見通しのもとに借金をしても大丈夫と、こういうふうな前提でやっておるのでございます。  空港整備特別会計からはこういった事業に対する出資金等を支出しているというものでございます。先生おっしゃる出資金等におきましても、支出圧力になっていくことは事実でございますけれども先ほど申し上げましたように収入もさほど、今までほど多く見積もるわけではございませんし、また航空会社経営状況から見ましてその負担を超えるような負担というものをやっていく考えもございません。これにつきましては慎重な配慮のもとにやっていく必要がございます。収入の増加と、それから支出面におけるそういった外部資金の活用が採算的に成り立つものについては、そういう活用をしていく。それからさらに、支出面につきまして軽減をしていく要素もございますし、それからまた整備事業について重点的、効率的にやっていくというような方法を通じまして、行き詰まるというふうな事態を避けていく。そのためには一時借り入れる、借金をする、空整特会にも借金をする、こういうふうな方法、現に講じておるところでございますけれども、そういうふうな方法をとりまして、先生おっしゃるような、事業をやるために大きな負担を、過重な負担をかけていく、運賃の上げになっていくというふうな循環と申しますか、というふうなことは避けていきたいというふうに考えている次第でございます。
  62. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 これは大臣にどうしても聞いておかなければいかぬのですけれども、やっぱり空港建設、空港のようなこういう社会資本ですね、この投資というのは本来国が行うべきものなんです。特に国際空港のようなものは国が建設して運営をする、こういう思想で空港整備に関する法律ができていると思うのです。ところが空整特会というものは、航空会社と利用者の負担のみで賄われているということですね。使用料、税金、そういうことで賄われている。  そこで、こういう状況から、やっぱりこの制度の見直しを一部やるべきではないか、これは航空関係者の間から強くそういうことが叫ばれるようになったわけでございます。  例えば国と地方が一般財源の中からもう少し金を出す。港湾は国と地方が九五%出しておるわけですからね。道路は二五%です。航空の場合はたった五%しか一般財源から出していませんから、その割合をもっとふやしていただきたいという要望ですね。あるいは、航空の通行税は廃止したらどうか。通行税というのは、昔はあれはやっぱり奢侈税のようなものであって、ぜいたくなものに乗っているからかけるという思想なんで、今は四千何百万人の人が利用するわけですからね。だからもうこれはぜいたくのものでも何でもないわけですね。だから通行税なんというのは廃止したらどうか。あるいは沖縄や離島空港の整備については、一般財源を充当したらどうか。あるいは空港維持運営費の一部に一般財源を入れたらどうだろうか、こういうもろもろの主張があるわけですね。  要するに今日の空整特会のあり方を一部見直していただきたいという要望があるわけですが、大臣、この辺についてのお考え方を聞いておきた
  63. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今、国会に提案をいたしております関西空港株式会社、これは第一種空港である関西の新空港を、国と地方公共団体と民間と三者が資本を持ち寄る、こういう形で法律による特殊法人として始めることにいたしました。これは今おっしゃったことに直接のお答えになるわけではないと思いますけれども、やはりそういった空港特会の負担というものを一方で軽くし、そして一方で附帯事業をこの会社にやらせることによって赤字が出てくるのを防ぐ、こういうことの非常な新しい試みだと思うのでございます。  この間から羽田空港の空港ビルなんかにつきましてもいろいろ問題が出たりいたしておるわけでございますが、こういった点で空港の今後の経営、空港特会のあり方ということにつきましては、確かにおっしゃるように検討すべき段階に来ておると思います。ただ、このことだけは申し上げておかなくちゃいけませんが、どの程度がいいかわかりませんけれども、とにかく受益者が全然負担しなくてよろしいという形にはこれはできないと思うのでございます。これは各機関によりまして、今一部お述べになりましたけれども、例えば国有鉄道の場合と飛行機の場合と、あるいはバスにおける道路の場合、あるいは地下鉄の場合、船における港の場合、やっぱりいろいろ違っておるわけでございますが、そういう意味で全然受益者負担なしというわけにはこれはまいらない、かように思っておるのでございます。しかしながら全体的には、やり方そのものについて、空港の運営、特に大空港の運営については私は今後どうしていくか、基本的にしかるべきところでやはり考えていかなきゃならぬときが来ているんじゃなかろうか、こう思います。  なお、通行税につきましては、私は年来通行税反対論者でございまして、通行税をやめていただきたいと言って叫び続けておる方でございますが、なかなかいろんなところに障害がございますし、特に今日のような財政状態でございますので、財源をあっちこっち探し回っておるような中ではなかなか今の通行税をやめるということが困難な事情にあることはもう御想像のとおりでございます。本来はしかし通行税というようなものは昔から悪税の代表と言われておるようなものだと、私はかように思っておる次第でございます。
  64. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今大臣の言われましたように、空港の管理運営だけは国と公団などがやるということなんですが、やっぱり空港に経営感覚というのが今までなかったんです、確かに。この間も、だから航空局に調べてもらったんですよ。国際空港を五つばかり挙げて、一体救急医療体制、飛行機に乗ってきて、気圧の薄いところを来るわけですからどのくらい空港で死んだ人がいるだろうか、調べてもらったのです。かなり年間いるんですね。  ところが、日本には航空医なんというのはないですよ。ヨーロッパあたりでは航空医というのがあって、専門の医者を空港に配置しておるわけです。日本はただビルを借りて民間のお医者さんが入って、そしてそこの従業員とかそういう人たちの健康管理の医者がそこにいるだけで、専門の医者がいないんですよ。ところが、飛行機に乗ってきて気持ちが悪くなって、病気になってそして死ぬという人が結構いるんですよ。  そういう、利用者に非常に利便を与えるというか、利用者のことを考え経営感覚ですね。あるいは、空港ビルの問題が出ましたけれども退職金を二億何千万円も出すなんて、ああいうものじゃいかぬと思うんです。やっぱりああいうところのもうけというものは、空港の整備やそういうところに回していかなければいかぬわけです。そういう意味での経営感覚というものを大臣ひとつ積極的に導入していただきいと思うんですよ。したがって、今度の羽田の沖合展開の場合にもそういう感覚を導入していただいて、そして今のように空港ビルもお任せするというんじゃなくて、全体の経営というもののもうけを空港整備やなんかの方に回せるような、そういうシステムをつくり上げる、こういうことが私は必要だと思うんですね。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  だから、例えば関西新空港でやりましたような特殊法人、この沖合展開を機会にしまして特殊法人のようなものをつくって、そういう体制をやるようなことができないものかどうか、この点お伺いをしておきたいんです、もう一度。
  65. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 関西空港ができるのは少し先になりますけれども、これは新しい試みでございまして、私どもは非常に大きな期待をいたしております。この関西空港がこういう特殊法人であることによって、空港の単なる建設、管理だけでなくて、いわゆる附帯業務なり何なりいろんなものの経営も一緒にやるということになりますと、これは必ずや私は大きな今までとは変わった状態がプラスの面において出てくるんじゃないかと思うんです。そうなってまいりますると、そう簡単にはいかないかもしれませんが、その考え方そのものが空港特会に与え、あるいは空港の建設、管理に与える影響というのは非常に大きいものがあると思います。  したがって、でき上がるのを待ってどうこうという意味ではありませんが、十分にいろんなそういう角度からそういう考え方も入れて考えてみたいと存じております。
  66. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ほかに質問をしたかったんですが、時間がもうありませんので国鉄にお伺いをしたいんです。  一つは職場規律の問題なんですけれども、職場規律の乱れがマスコミに指摘をされてからもう二年たつわけですね。この間どのように改善をされてきたのか。恐らく積極的に国鉄も努力をされていることは承知をしております。しかし、必ずしも大幅に改善されたとはどうしても思えないですね。  それは、国鉄の表玄関と言われる東京駅なんというところで、私は毎日通っているんですけれども、氏名札をつけた職員なんというのにほとんどお目にかかったことがない。ワッペンやあれはやっぱり抵抗の象徴ですよ。ワッペンをやはり今もくっつけている。そして改札口に二人おれは、我々が定期券を出してその間を通っていくと、二人同士で大声上げてべらべらしゃべっておる、こういうのがまだ多いんですよ。やっぱり国民の目に国鉄の職員の職場規律もなるほど改善されたという姿が見えないと、例やっているかと、こういうことになるわけですね。  そういう意味で、当局の取り組みになおまだ欠陥があるのではないか、こういうように思っているんですが、その点についての総裁の御見解をまずお伺いしたい。
  67. 太田知行

    説明員(太田知行君) 職場規律まず全般につきましてでございますが、五十六年の秋ごろでございましょうか、大変国鉄の職場規律が乱れているという具体的な御指摘が相次ぎまして、そういう状況の中で、五十七年三月でございますが、運輸大臣から総点検の指示をいただきました。以後半年に一回ずつ、今までに四回総点検を実施いたしました。ただいま第五次の総点検をやっている最中でございますが、この四次にわたる総点検によりまして職場の規律の乱れの実態をまず把握し、把握されたものにつきましてその是正に取り組んできたところでございます。  例えばやみ休暇でありますとか、やみ専従でありますとか、いろんな作業の規制とかいったようないわゆる事象面については、かなりこの四次にわたる是正のプロセスにおいて進んでまいりました。また、その途中におきましては、かような職場規律の乱れの温床と目されておりましたところの現場協議制度につきましても、制度内容の改善を果たしたところでございます。  それからまた、職場規律の是正維持に向かってリーダーシップを発揮すべき管理者の意識もまたかなり定着してきたように思いますが、しかしながら一方では、今御指摘いただきましたように、接客業務に従事する者の間のリボン、ワッペンといったような現象が依然として直っていない。あるいはまた先般、実体を伴わない旅費支給の現象がある箇所で明らかになったり、それからまた先般、ある工場におけるいろんな事象面の御指摘が当国会でもありました等、まだまだ問題は残っておりますので、これに向けてさらに努力をする必要を痛感している次第でございます。  それから、具体的に東京駅の問題の御指摘がございましたが、まさに東京駅は国鉄の顔でございます。東京駅における状態を通じて国鉄に対する国民の世論あるいは利用者の感じ方というものが形成される面が多いわけでございますので、格別に力を入れて努力をしているところでございますが、しかしながら依然としてワッペンが根絶できなかったり、かなりこれも一進一退を繰り返しながら少しずつは前進をしている跡は明らかでございますが、しかしながら依然として国鉄の顔にふさわしい東京駅と言えるに足るだけの是正はまだ残念ながら実現していないという状況でございまして、駅長以下、さらに一層この事態を早急に改善すべく今努力をしているところでございます。  せんじ詰めますれば、職員一人一人の自覚、職員一人一人に対する働きかけ、指導という問題に帰着するわけでございまして、まさに管理者の指導力が問われるゆえんでございますので、そういう観点に立ちまして懸命の努力をし、そしてまた、単に東京駅長以下東京駅の管理者だけの課題ではなくて、それを統括しております東京南鉄道管理局全体の問題であり、またさらに国鉄全体の問題であるという観点から、さらに努力をしてまいりたいと存じている次第でございます。
  68. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後ですけれども、二点簡単にお伺いをしておきます。  確かに管理者教育は積極的にやられたと思うんですが、一般職員の教育は一体どうなっているのか、これが第一点です。  それから最後に、再建監理委員会は来年の夏には結論を出すということですから、あと一年とちょっとしかないわけですね。それでやはり国鉄当局としては、単に再建監理委員会の結論を待つということではなしに、国鉄自身の意思ですね、要するに国鉄としての最終計画書というようなものですね、こういうものをもう明らかにすべき時期に来ていると思うんですが、これについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  69. 太田知行

    説明員(太田知行君) 前段について私からお答え申し上げます。  まず、やはり職場規律あるいは業務運営の効率化を達成するためにはリーダーである管理者の質の向上が大事であるという観点から、まず管理者教育には相当力を入れてまいりました。さらに一般職員の質の向上、意識の充実を目指しましてただいま努力を進めているところでございます。鉄道学園という教育施設を持っておりますので、その中に一般職員を入れて、幾つかのコースがございますので、そういう学園教育という形での教育、それからやはり日々これ教育、日々指導という観点から、学園以外で職場においてもその教育の充実を期するという観点から、二面にわたっていろいろ努力をしているところでございます。  まだまだ決して十分とは思いませんけれども、多少の前進は今感じられるところでございますので、この芽を大事にしてさらに充実を図っていきたい、かように存じている次第でございます。
  70. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 第二番目の件につきましてお答え申し上げます。  国鉄監理委員会が今長期債務あるいは国鉄のあり方を御審議になっていることは御承知のとおりでございますが、国鉄といたしましてこれを黙って見ているというわけにまいらないということは先生の御指摘のとおりでございます。実は国鉄は今まで、六十年をめどといたしました国鉄再建計画というものに懸命に取り組んでまいったわけでございます。しかし、私着任いたしましていろいろ考えておりますのに、分割民営化というようなことをいたしますにいたしましても、いろいろなことを討論いたしますにいたしましても、基本になるものは、将来国鉄企業体として成り立つだろうかというちょっと心配な問題がございます。これは最近の旅客、貨物もそうでございますが、傾向が低落傾向を示しているというような問題点もございまして、いろいろ問題点が今私の頭の中にございます。  これらにつきまして、実は今六十五年程度をめどにいたしましてその時点における国鉄の姿というものを作業してもらっておりますが、まだ皆さんに御披露するほどきちっとしたものは出ておりませんが、どうもかなり厳しいというような予感を受けておるわけでございます。これに対しまして、この結果が出ましたときにこれをどうしていくかというような問題ももちろん国鉄として考えなければならないと思いますが、これらのいろいろな作業を通じまして、運輸省ともよく御相談し、また国鉄監理委員会にもいろいろお話し申し上げまして、我々の実務者としての意見はきっちり申し上げていきたいというふうに考えている次第でございます。
  71. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 先日の本委員会におきまして、運輸大臣の所信表明の中で、国鉄再建を第一に取り上げておられました。そして、そのためにこそ職場規律が必要であるということを強調されました。ただいまも伊藤委員が、国鉄の職場規律の確立についてお尋ねをされました。  私自身も、職場規律の確立の大切なことにはいささかの疑念も挟むものではございません。ただしかし、今日国鉄のそれぞれの現場でやっておられます職場規律確立の手法に、いささか疑念を挟みます点があります。これらについて若干私見を交えてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず第一点は、昨年の秋に門司鉄道管理局管内の長崎線道ノ尾駅に起こっております点呼問題についてであります。  問題の内容については、既に本件は解決をしておりますもののようでございますから、詳細は割愛をさせていただきます。要するに職場規律の回復運動のために、立席、すなわち我々の古い言葉で言えば起立、着帽、「はい」という返事をすることを義務づけていこうとするお導きであったように思います。そのことに従わなくて、「はい」という返事ができなかったばかりに、二人の職員合わせまして一万五千六百円の賃金がカットをされたという問題でございます。  このときの道ノ尾駅の現状を申し上げますと、駅長一人、助役二人、都合管理職は三人、一般職員は二名、そして過員が一名。だから管理職三、一般職三という配置でありました。なぜこんな配置になりますのか、これにもやっぱり問題は感じますけれども、きょうはそれを問題にしようとは思いません。  それから、当日の状況は、カットをされましたA職員は朝七時四十分に出勤、B職員は八時三十分に出勤をして、それぞれ所定の作業をいたしております。そういうときに午前九時に点呼が行われましたのであります。駅長が名前を呼びますと、「はい」とする答えのかわりに「出勤してます」とか「出勤」とかいうことの押し問答がありまして、七分間経過をいたしまして、結局駅長の点呼拒否であるという判断から、駅長の指示に従わない、あなたはきょうはもう帰りなさいと、こういうことで就労を拒否をなさったということであります。ところがA、Bの両職員はいずれもその日は、その九時七分以降も小荷物の受け付けですとか荷物の計量ですとか、あるいは切符の裏面書きですとか電話の案内、さらには構内清掃等を実施をいたしましたということです。  それで、その一日の間の業務中の特徴的なやりとりの一部を申し上げさせていただきますと、  A職員 駅長さん、両替です。  駅長 Aさんは仕事せんでよかです。  A職員 仕事に来とる。  駅長 勤務は認証しとりません。 結局駅長は両替を拒否して、助役がかわって両替をなさったということのようでありますし、駅長とB職員とのやりとりの一部を見てみますと、  駅長 あなたはきょうは勤務を認めていないから帰らんな。  B職員 私は日勤だからこうしているんですよ。  駅長 いや、あんたは勤務じゃない。勤労奉仕しとるけ、見上げたもんばい。  B職員 忙しい体とにそんなことができますか。日勤だからしているんですよ。 ざっとこういうようなことでございまして、結局駅長は両職員に対しまして勤務時間が終了する直前まで、九時七分以降の勤務は認めていないから帰りなさい、金は払わぬよということでございました。そして、お客さんが切符を買うために待っておられるのを注意されながらも、執拗に彼らが退庁時刻直前まで言い続けておいでになったということであります。  こういう中で、三名対三名の職員配置ですけれども、勤務の都合によっては管理職が三名、一般職員が一名という日も出てまいりますのは理の当然でございます。そういうときに起立、着帽、「はい」というこれの繰り返しがやっぱり職場規律として大切だという御感覚がありますようなのですけれども、それはまた後段に譲らせていただきますが、こういう押し問答がここまでいけば、やっぱり職員としては権力に屈してしまうか、さらにはもうやけっぱちで意地を通してしまうか、そのいずれかしかありませんと思いますんです。  たまたまおとといの朝日新聞の天声人語に、浅利慶太さんという劇団四季の指揮者が舞台げいこを指導しておいでになりますときに、大変厳しくしかられます。けれども、そのしかり方が非常に上手だ、またしかられる方もしかられ方が非常に上手だ。そういうことからつい天声人語の執筆者が四、五時間つき合ってしまいましたと、そういうことが書いてありましたが、その話の中で、同じ人に同じしかり方を三度続けてもだめなら、しかり方を変えますというお話が出ておりましたけれども、これは今日のような社会で人を使っていくためには考えなければならない問題なのではないか、このように私は感じました。  だから、今の管理者のように力の論理や圧迫の構図だけで職場規律が確立するのだろうかという、この二人のやりとり、駅員と管理者のやりとりを見まして、私大きな疑問を持ちましたのでございますけれども、これについては国鉄御当局としてはどのようにお考えになりますか、お考え方を御表明をいただきたいと思います。
  72. 太田知行

    説明員(太田知行君) 簡単にとおっしゃいましたんですが、まず概要を申し上げますと、去年の秋のことでございますが、大体先生指摘の時間などはそのとおりでございます。そして、一たん賃金カットをいたしましたけれども、行われた事実と当局側の措置との間にアンバランスがあるということを門鉄当局も後に認めまして、カットした相当額に法定利子をつけましてこれは本人に支給をいたしております。  事実関係としては以上でございますが、お話の中に今幾つかの御指摘がございました点について申し上げてまいりたいと思いますが、まずひとつその背景をぜひお聞きいただきたいと思うのでございます。  これはちょっと長くなるかもしれません、なるべくかいつまんで申し上げたいと存じますが、去年の春ごろでございますけれども、長崎諌早地区におきましてある箇所の主席助役の自殺事件が発生いたしました。本当の深層心理というのはだれにもわからぬとは思いますけれども、状況から見ますると、ある箇所へ転勤して一カ月後にそういう痛ましい事件があったのでございまして、やはり職場の中で職員の協力が得られなかったとか、あるいは苦情処理委員会で若干のトラブルがあったとかといったようなことに起因するのではなかろうかと、ほかにどうもサラ金だとか家庭内のトラブルだとかというのがないので、大方の関係者は大体そんな推測をしているのでございますが、そんな事件がございましたものですから、総裁から特別命令が出まして、私も特別調査団の一員として長崎地区へ参りましていろいろ調査をする機会がありました。  その機会に点呼にも、今のこの問題の駅ではございませんが、その地区の点呼にも私立ち会いました。そこで非常に異常だなと思いましたのは、点呼でございますが、それはかなり大きな駅で、この駅は大きな箇所でございますから、助役が三人ぐらいいて、点呼を受ける人が三十人ぐらいいて、そういう規模を御想定いただけばいいんですが、「A君」−「出勤」、「B君」−「捺印」、「C君」−「作業」、こういう返事が返ってくるわけなんです。その前にまず、「A君」と言っても、最初は返事が出ないわけです。二度目に「A君」と言うと今のような大体三つのパターンの返事が返るわけなんですね。これは大変異常なことだなと、こういうふうにそこで思いました。  後で、一連の調査を終わりまして現場長や管理職諸君に集まってもらって懇談会をやった際に、あれはどういうことなんだと私から尋ねましたところ、どうも点呼の際に「はい」という返事をすることが屈従や屈服を意味するという、まあこれはどこがどう指導したかわからないけれども指導があるやにその人たちは聞いておるんだと。それでまたその指導においては、しかしずっといつまでも無言でいたり返事を拒否したりするとまたいろいろトラブルも生ずるから、二度言われたら二度目には今のように答えると。「出勤」というのは、出勤しているから見ればわかるだろう、「はい」と答えなくたっていいだろうと。「捺印」というのは、出勤簿に捺印をしているのをもう助役、君たちは見ているだろうと。「作業」というのは、作業をする意思でここに来ているんだから返事をしなくていいだろうと。  こういう趣旨ではないかという想定を、まあはっきりそれは指導があったとか指令があったということじゃないと思いますけれども、推定を聞かされまして、実はこういう状態はもう何カ月も続いているんですよと。何とかこれを是正しなければいけないんで苦慮しているところですが、何か本社としていい指導の仕方はないでしょうかと、もう本当に涙ぐみながらの問いかけがございまして、私どももいささか返答に窮する受けとめ方をしたのでございますが、特効薬がないんだと。ここはやはり一人一人に今の国鉄の置かれておる状況を説明し、事態の認識を求めて指導し、教育をして注意を喚起するしかないと。ここはもうひとつ、君たちも大変だろうけれども繰り返し繰り返し指導してくれよと言いおいて帰ってきたのでございます。  先生のお言葉の中に、点呼の際に起立、着帽云々と、こういうことがございますが、これは何も職場規律を是正するに当たって昨今そういうことを言っているんではなくて、もう国鉄のまさに大げさに言えば百年来の伝統としまして、朝の点呼というのは、さあ一日がこれから始まるんだという非常に大事な大事なこれはきっかけでございます。  ちょっと脱線して恐縮ですが、例えば保線とか電気という保守部門は定量化されておりません。天候に応じてあるいは設備の状況に応じて作業が変わりますので、朝、さあきょうはこういう仕事をしよう、Aグループはこれ、Bグループはこれと、まさに仕事を指示する大事な場面でございますし、それからまた動力車乗務員にしても車掌にしてもこれは一対一の点呼をやります。朝、朝じゃない、まあいろいろ時間がありますが、当直助役の前に出て、きょうの注意事項はこうこうこうこうと。だれそれ出勤、それであなたの勤務はこうこうこうだ、注意事項はこうこうということをやりながら仕事を確かめ合って、まさに業務の円滑な遂行を期するという、これは私どもはやっぱり純風美俗だと思うのでございます。  ですから、点呼を受けるに際しましては、もうすぐそのまま作業できるような態勢、保守部門の要員であれば制服を着て作業靴を履いて、あのスパッツと申すんですか、脚半みたいなのを巻いて行ける状態にある、車掌であれば腕章を巻き全部その装備を整えて当直助役の前に立つ、こういうことでございますし、駅であればそれぞれの職務にふさわしい服装をして出ると。ですから、服装の整斉、作業への態勢というのが点呼に臨むに当たっての大事な大事なこれは要素でございます。それから帽子を持っている人もおりますし、それは帽子の要らない職種もある、こういうことでございますし、「はい」という返事は、そういう点呼の中でお互いにこれから仕事に向かうんだという気迫を示し合い、お互いに伝達事項を確かめ合うためのやっぱりこれは大事なきっかけだと。で、大げさですが、百年間やってきたことでございますし、それからまた全国のかなりな地域においてはそこのところは今や浸透されております。  長崎諌早地区において私が見ました異常な事態というのは非常に局地的でございまして、そういう状態であるだけに、あの地区における管理者というのはやっぱり必死に懸命の思いでこの是正に取り組んでいるのだろうと思いますので、やはりその心情は察していただきたいと思います。  ただ、明らかにこれはアンバランスがございまして、やっぱり勤務に対する知識の欠如もございますので、その当該の管理者たちを責める前にその指導をもっともっと管理局はすべきだったんじゃないか、本社はもっとすべきだったんじゃないか。あわせて、私自身について言えば、恐らくそこの駅長さんもいたかもしれません、私との懇談の場に。一人一人を地道に指導しなさいよと言っただけでは足りないんで、もう少し勤務の問題についても指導しなければいけなかったんだなというふうに反省しているわけでございまして、そういう背景があるということも御理解をいただきたいし、それからお言葉にありましたように、力の論理とか圧迫の構図というのはいささかも我々考えてない次第でございます。
  73. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 確かに今お話しなさいましたような現場の状況は、私は異常だと思います。だから、それは異常だだけでは済まない問題でございます。  もう一つ。諌早の駅では、やっぱり点呼をいたしましたときに、ちゃんと業務連絡が行われます。けれども、出札や改札ではそれに連なることができませんから、欠席をいたします。伝達簿が回されます。そうしたら、それを閲覧して捺印をします。このことによってすべてが承知をするということですけれども、今度はまた出札係であれば出札の班で業務日誌をつくります。その業務日誌に職場通達を写しかえて出しなさいと、こういうような要請がされてきました。それに対しては、我々が全部承知をしたらそれでいいのであって、なぜまた業務日誌に写しかえてせなければならないんだという、合理性に対する一つの疑問が出てきて、そのことをやらなかった出札の班の担当者は賃金カットをされた。  ところが、この駅では出札と改札とそれから小荷物とがございますけれども、その写しかえをすることを義務づけられたのは出札係だけであったという、同じ駅内におきましてもそういったアンバランスがありますのですけれども、この辺もやっぱり問題をこんがらがす一つの原因になっておるのではないか。  さらに、賃金カットをされましてから二十日たちまして、その写しかえのことはもうやめておいでになります。これもいろいろの判断をなさってやめたのだろうとは思いますけれども、批判の目で見れば、そんなに簡単にやめるものであったらなぜ当初にそういうことを考えられたのか、やっぱり若干の疑問が残ってくることを避けることはできませんと私は思いますのです。  常務理事さん確かに、涙を流してこの現状を何とかしてくれという感情につまさせられたお話もありましたけれども、私はやっぱり部下をしかるのはその人がきちっとした責任感と自信を持っていなければやれない、このように思いますのですけれども、そういったことを積み重ねてこられまして、私結局皆さんにお尋ねをしたいのは、そうしたら国鉄当局が志向されます職場規律とは何なのですか、どういう職場規律を確保したいのか。  例えば、百年前からやっているというお話でしたけれども、立席、着帽、「はい」と言う、それからは何か軍隊的規律を私は連想せざるを得ませんのです。すなわち、これによりますと、規律すなわち軍隊的規律を理想とされておるように思いますのですけれども、それは百年前からやっておることだからそうさせると言われますのかどうか。もし軍隊的規律を理想としておられるのであれば、私は思想の貧困を指摘せざるを得ないと思います。確かに我々は、軍隊的規律のもとで育ってまいりました。しかしそのときには、絶対的なやっぱり天皇制がございました。さらにまた、今日のような情報の供給がこんなに激しい時代ではございませんでした。さらにまた、今日の人はやっぱり、逆戻り傾向にあるとはいえ、人権の尊重ですとか自由をかなり享受してまいりました。その中で行っていく規律のあり方というものが百年前のままであってよいのだろうかという疑問を持ちます。  さらにまた、軍隊的規律が絶対必要だという立場から考えてみましても、確かに天皇制のもとで命令によって部下を動かすことができてまいりました。さらに、指揮官は天皇の人権であります統帥権も付与されておりました。けれども、現実に軍隊生活をした者として、命令を乱発することによって部下を統制し、統帥権を振り回すことによって確保されております団結の部隊とともに共同作戦をするときには、大変な注意をしてやらなければならなかったのです。  それは、指揮官とその部下との間に信頼関係の通いかないことにはとてもでないが死地へ赴く兵を指導することは困難であった、私はそういう経験がありますけれども、やっぱり当局の指導なさいます職場規律というのは、そういうものを考えておいでになりますのかどうか、その辺をちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
  74. 太田知行

    説明員(太田知行君) 前段、諌早駅の問題が御指摘ありましたので、簡単にまず触れてみたいと思いますけれども、点呼のやり方でありますとか、そしてまた、その点呼を伝達する方法でありますとか、これはそれぞれの箇所によりまして方法も違いますし、また伝統も違うわけでございまして、それぞれ創意工夫を凝らしてやっているというふうに見ていただきたいと思うのでありますが、諌早駅の点呼のやり方は、まず駅長のもとに、それぞれの担当助役、改札助役でありますとか出札助役という人たちが、管理者が集まって点呼を受ける。  改札助役は、それを受けましてから点呼伝達簿というものをつくりまして、きょうの列車は臨時列車がどう動くとか、あるいは本日の特記事項はお祭りがあってお客さんがたくさん来られるからこうこうこうしろとか、あるいはその他一般的な注意事項といったようなものを伝達簿に記入いたしまして、それを改札係の中の当番の者に渡します。その当番の者はそれを改札日誌に写しかえるわけでありますが、改札日誌はもともとその点呼を伝達するのをメーンの目的にしているのではございませんで、前日の売り上げがどうであったとか払い戻しがどうであった、業務日報みたいなものを記入するというのがメーンでございましたが、その余白にこの点呼注意事項、引き継ぎ事項、その他という欄を設けて転記するようにしておりました。  問題の職員は、当初はこの改札日誌の全体の記入もしないというような反応があったようでございますが、やがて後に業務面は記入し、この引き継ぎ事項の欄の記入を拒否したというケースがございました。注意をして聞き入れてもらえないために、就労をする意思がないのかということで御指摘のような経緯がありました。やはりこれも、起きた事実と対応する措置との間のアンバランスということを門鉄局において認めまして、賃金カット相当額の支給は実現しております。  さて、その後にですが、この点呼のやり方につきまして検討がされたようでございまして、点呼伝達簿にももともとこういう閲覧印という欄がございまして、そこを回覧板風のもので見てもらえば足りる、そんなダブルの仕事をあえてする必要はないじゃないか、それから引き継ぎその他の業務量もふえてきたというようなこともあって、そのやり方は変えたというふうに聞いております。  それから後段の、職場規律全体についてのお話でございますが、私どもはやはり、国鉄の存在というものをまず考えました場合に、特徴点が幾つかありますけれども、主なものを考えてみますと、まず何といっても、独占企業ではなくて、他運輸機関との間に大変厳しい競争場裏に置かれているということ、そしてまた、国民から、税金の中から大変巨額な助成金をいただいているという特徴を持っているわけでございます。それを考えてみます場合に、国鉄の存立にとって一番大事なことは、国民や利用者に信頼され、愛され、そして選択されるということが存立のやっぱり第一の基盤であるということを常に自覚しているわけでございますけれども、そういうあるべき国鉄の姿から見まして、昨今、特に五十六年の秋以降、具体的にいろいろ御指摘をいただいた面から見まして、余りにもかけ離れているという印象を国民、利用者がお持ちになっているように痛感いたします。  そういう状況のもとでこのまま放置せんか、国鉄の存立、組織の存立そのものが危殆に瀕するという、いわば瀬戸際までいっていたのではないかというふうに思うわけでございます。私ども真摯に反省をいたしまして、まず、国民の信頼を取り戻すためにどうあるべきか。何といっても、組織の基盤であります職場規律の乱れを是正し、その確立を図ることが先決であるとの認識に立って取り組んできたわけでございます。  職場規律の確立と一口に申しましても大変広範囲な問題でございますので、まず、先ほど申し上げましたように、運輸大臣からの総点検を契機に、どれだけ乱れているかという状況、実態把握に取り組み、そして今度はそれに対する処方せんを立て、そして実施に着手する、こういう段取りを経て努力してまいりました。要すれば、職場規律なくして国鉄の存立はあり得ないという基盤的な問題として取り組んでいる次第でございます。
  75. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私はやっぱり、今の関係では、どうも職場で聞きますと、近代的な労使関係を否認して、職場にあっては支配服従、上令不服——上の命令には下は従いなさいの関係しかありませんという一方的見解を押しつけておられるのではないか、そのように疑わざるを得ないような事態も耳に入ります。けれども、そのことについてお答えは結構です。  私は、理想論かもしれませんけれども、いわば百家争鳴の中で国鉄再建の合意を形成することが今は何よりも必要です、と言っておられる人がありました。この意見には同感であります。そして国鉄には、人間と、その人間同士の和が今は何よりも肝心だ、このように思っておりますが、これにはお答えは結構です。  最後のお尋ねとして、真の職場規律はどういうところから生まれると考えておいでになりますのか、そのことについて、まず私の考え方を申し上げ、承りたいと思います。  国鉄経営赤字が計上され出しましたのはそんなに古いことではありません。国鉄の労働運動というのはそれ以前からもありました。だから、これだけが今日の国鉄を招いた原因として指摘をされることには合意ができません。二つ目は、とはいっても、国鉄労働者に対する国民の目の厳しいことも事実です。しかし、冷静な識者の目は、立派な資産をお持ちになりながら経済社会の変化に対応できなかった経営のトップを中心とするスタッフの皆様方や、やっぱり政治に対しても、批判の目はさらに厳しいように私は受けとめております。だとすれば、下の締めつけもさることながら、その前に上部の反省と対応こそが必要になってくるのではないか。  先日の防衛大学の卒業式に中曽根総理大臣は次のように言っておられます。指揮者という言葉と管理者という言葉をかえていただいたらよいのだと思いますけれども——指揮統率の基本は何物にも増して指揮官の人格が重要であり、ということを言っておられますし、さらにはまた、人格の陶冶に常に心がけてほしい、と強調をしておられます。次いで、指揮官は、部下に対しては常に注意を払い、苦楽をともにして、部下の心の痛みのわかる情のある人間であることが望まれる、こういうように申しておいでになりまして、これは本音だろうと思います。けれども、このことを人間として実践していくことは大変に難しいのです。けれども、それへ近づいていく努力はやっぱり避けてはならないと思います。だから、「はい」という返事をさせられる方よりも、「はい」という返事をすることを要望なさる方の方が教養を積む機会もあり、あるいは徳を養う機会もありますと思いますし、十分とは言いませんけれども国民はその処遇を与えておいでになりますと思います。こういった職場の管理者を指導なさい。まず管理局や本社の皆様方は、さらに高い立場での存在でございますので、その辺のところはやっぱりよく考えていただきたいと思います。  はしなくも常務理事由されましたように、瀕死にあえぐ国鉄をどうしたらよいかということで意見の交換をしておりますわけですけれども、この瀕死にあえぐ国鉄再建の道は、言論の抑圧による一枚岩の職場体制ではなく、多様な意見が醸し出す活力が欠かせないのですと言い切っておいでになりますのも、これは多分朝日新聞の社説であったかと思いますが、出ておりました。だから、これも同じことを申されましたが、国鉄は国民から委託をされた大切な公器であります。この国鉄の皆様や、さらには政治にかかわりますすべてが、国民の負託にこたえていこうということをやっぱり忘れてはならないと思いますのですけれども、私の言いましたように、上からまずやっていくということは、今日の国鉄の労使の関係の中にあってはもうそれはたわ言なんでしょうか。この辺に一遍お答えをいただきたいと思います。
  76. 太田知行

    説明員(太田知行君) お答えは要らないとおっしゃいましたのですが、近代的労使関係の形成が大事であるという点は私どもも全く同じ考え方でございまして、例えば先般の五十九年二月、いわゆる五九・二ダイヤ改正、これは提案当初においてはもう本当に労使の意見の懸絶というのは著しいものがございましたけれども、一年かけまして本社も地方も真剣な論議を重ね、団体交渉を積み重ねて一週間前に妥結に至ったということなどは、まさに近代的労使関係の確立に向けての実践の一こまだというふうに我々は考えている次第でございます。  それから、職場規律のあるべき形、あるいはまた、その乱れのよって来る原因等々についての御指摘でございますけれども、私どもも職場規律を直すためには、なぜ乱れたのかというその原因をきちっと把握しておくことが先決だという立場で取り組んでいるつもりでございます。  抽象論ではなくて具体的に申し上げたらよろしかろうと存じますのは、私どもこの五十七年の三月の運輸大臣の御指示を契機に是正に取り組んだ、その際にいろいろと組合側とも話をしてきているわけでございますけれども、その際に申し上げていることは、まず避けなければいけないのは、この乱れた原因が組合にあるとかいうようななすりつけを当局はとるものではないと。やはり職場規律の確立、是正はまずもって管理者が責任を持って取り組むべき事柄だと思うけれども、現状、遺憾ながら十何年前にさかのぼるいろいろな経緯がございまして、その肝心の管理者同士に相互の間に不信感が横たわっている、そういう状況の中で管理者が方向を見失い、物すごい戸惑いがある、それがしょせんは職場規律の乱れにつながっているんだと。それは例えば、管理者に金銭負担を強いるというような動きがあったとしても——これございましたけれども、毅然として管理者がそれに対処していれば多少摩擦があってもやがて正常化できたと思うんですけれども、その際に毅然とした態度をとり得ない構図が管理者の中にある。つまり、より上部の機関からバックアップと支持を得られないという不信感があるというのも一つの大きな原因。そういうことを考えまして、これから是正をしていくに当たって、既得権侵害だとかあるいはいろいろな見方があって摩擦、亀裂もあり得るだろうと。しかしそれを決定的にしないように、職場規律を確立するのはまさに国鉄の再建を図るためでありますから、亀裂が生じて再建に逆行するようなことがあってはいけない。そうしないためにも、まず基本的なスタンスとして職場規律の是正、確立は管理者の責任なんだと。そこのところが不十分な面があったのを我々反省して、みずからの課題としてこれに取り組まなければいけないということをるる述べてまいりました。  その考えは今日も変わっておりません。そういう過程でもちろん職員の理解、組合側の協力というものを訴えてまいったところでございまして、今後ともそういうスタンスで努力してまいりたいという所存でございます。
  77. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 時間がありません、簡単にお願いをいたします。  総裁にお尋ねをいたします。私の郷土の政治の先輩で矢尾喜三郎という人がおられました。鉄道建設審議委員もやられた方ですけれども、たびたび仁杉総裁のお話をなさいました。高い評価をしておいでになりました。私もそういうイメージを持って、総裁をこの席でお迎えをいたしました。私自身は、今申し上げたとおりの考え方を持っております。やっぱり古い言葉ですけれども、上の率先垂範しかないのではないか、こう思っておりますのですけれども、しかし今の現状はそういうようになっておるとは私自身が認めがたい面もございます。  この委員会の部屋においても、そこが聞きたいというところがなかなか聞かしていただけません。そういうことからして、やっぱり末端の国鉄職員にしましても、自分たちだけがというような気持ちがなしといたしませんのだろうと思いますけれども、今日のこの労使の不幸な関係を何とか是正して国民の期待にこたえられる労使関係をつくり上げていただきたいと思いますのですけれども、その辺に対します御決意をお願いいたします。  あわせまして、大臣はもう日本の運輸行政界の生き字引でおいでになります。私のような駆け出しが今申し上げておりますようなことをお聞きいただいて、やっぱり大臣に今の状態を直していくことに大きな期待を持たざるを得ないのでございますけれども、あわせて御所見を承りたいと思います。
  78. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今山田先生からいろいろお話を伺いまして、大変感銘するところが多うございました。今、矢尾先生の話が出ましたけれども、私も矢尾先生とは非常にいろいろな面でおつき合いをいたしまして御指導を受けた仲でございまして、私も矢尾先生を尊敬している一人でございます。  そういう中で、私実は着任当時に二つのことを申しております。一つはお客様を大切にということ、もう一つは職場に幸せをという、この二つのことを申しております。これは私は、国鉄三十年私鉄十五年というような経歴、私鉄と申しますか、国鉄以外の鉄道絡みが十五年ぐらいでございますが、そういう中で、やはり今の競争場下においてはお客様を大切にすることが必要だし、それから何と申しましても、鉄道がこういうふうに動いている最大のものは第一線の職員が一生懸命でやっているということ、そういう方々を幸福にしてあげなければいけないということが私の信念でございます。  その中におきまして、今先生の御指摘になりましたように、国鉄の労使の関係が必ずしもいい関係にないということも事実でございます。これらにつきましては、今太田常務から申しましたように、労組が悪いというように一方的に決めつける気はさらさらございませんので、この間におきます経営者側の対応のまずさということも反省しなければならないというふうに思うわけでございます。しかし、先ほどから御指摘もございますように、国鉄の再建の基本といたしましては、やはり労使の心からなる協力というものがまず第一だということは私もよく認識しておりまして、着任以来何とかこの関係を改善したいというきっかけをつかみたいと思っているわけでございますが、今太田常務からもるるいろいろなケースを御説明いたしましたが、必ずしも現地においてうまくいってないということ、これにつきましては、御指摘のように第一線管理者、あるいはそれより上部の管理局等におきます対応が必ずしもうまくいってないという面もあることは事実でございます。  これらにつきましては教育その他を通しまして、なかなかすべてのたくさんの人間を聖人のような人間に教育するわけにはいかないと思いますけれども、できるだけそういう方向に持っていくということで努力を重ねてまいりたいと思います。しかし、基本的に申しますと、やはり労組と私どもとの間にどうも長い伝統の中から生まれた不信感というものがまだあるということを、昨今非常に強く感じております。これらにつきまして、何とかうまいきっかけをつかみまして腹を割った話を我々もする、また第一線も、職員と第一線部隊の間でもするということによってのみ私は労使の関係の改善が図れるのではないかというふうに思って、そういう方向で今後努力してまいりたいという決意でおる次第でございます。
  79. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 山田先生からのお話よく拝聴いたしました。また今、仁杉総裁から決意を述べられたのはそのとおりでございますが、私の感じておりますことを二、三点つけ加えて申し上げたいと思います。  現在でも三十数万という人間がおるわけでございます。管理者の方もそれから管理者でない方の側もいろんな人がおるわけでございます。私も国鉄の現場で見習いをしたこともあるわけでございますが、戦前といえども全部それではそういう関係が万全にうまくいっておったかどうかということになりますと、やっぱりいろんなときにいろんな問題が起こっておったのであります。ましていわんや、戦後になりますとこういう自由主義といったような点もございます。先ほど来お話があったような若い人たちの考え方も戦前とはうんと違ってまいります。  したがっていろんな点で問題が起こるということなんですが、しかし翻って考えてみますと、全体的には汽車は満足に動いているんです。それから運転事故が非常に減っているんです。特に人身事故が減っておるんです。もう自動車の事故などと比較にならない。とにかく労使関係について総裁初め非常な努力をしてきておりまして、その点ではもう一歩合総裁が言ったような点をやっていけば私は、戦後は戦前と違いますが、戦後の近代的な労使関係、そして近代的な鉄道経営が生まれてくるものと確信をしております。  私ども上の者がどうという中で私は特に責任を感じますことは、今御質問の中にもありましたが、昭和三十九年以来赤字になっておるわけですけれども、国有鉄道赤字であるということ、大きな赤字を出して、ある論説を書かれる方は国賊とまで言われた。私どもは非常な侮辱を感じたわけでございます、先輩の一人として。とにかくこのような状態から脱出させてやらなければ管理者側も被用者側も働く意欲を失うんです。こういうことなんでございまして、そこのところの根本的な問題が解決するということ、これを私は総裁や、いやそれどころじゃなくて総理大臣まで含めて、政治がとにかく解決をしてやらないとこれはなかなかいろんな問題が残るのではないか。要するに、働きがいがあるといいましょうか、使命感が持てるといいましょうか、責任が持てるというような環境をつくってやることが私どもは非常に大切なことだと、かように考えております。
  80. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 突然に自動車局長さん、出席をいただきまして恐縮です。  けさのサンケイ新聞の朝刊に次のことが出ておりました。「軽すぎた試作車 重量合わせ、最高四十二キロも」、いかにもショッキングな見出してございますんですけれども、それの内容を平たく申し上げますと、車をつくります申請書に記載をされた重量と、試作車として完成された車の重さにかなりの違いがあります。そういった重さの違いがありますものを自動車として運輸省が認可をなさった。そのことについて自動車局長さんの談話も出ております。「そんな話、聞いたことがない。世界に冠たる自動車王国、日本の業界で考えられないことだ。」ということですけれども、私も全くそのとおりだと思います。  これは何かの間違いがあるのではないかとさえ思っておるのでございますけれども、その中で、その届け出重量をなぜ修正させられなかったのか。それをしないで、対策方法としてはこのようなことがなされておるようであります。すなわち鉛のプレートを接着剤で四カ所に固めてつけておいでになる。その方法として、一つは外から見えない部分、二つは簡単に取り外しのできないところへ、三つ目は可動部分は避けるべき、四つ目は機密上外注部分での対策を避けること、何かそんなようなことが指示をされておるようなのですけれども、やっぱり私も素人ですからよくわかりませんが、自動車の重量に変わりがありますということはひょっとして何かの欠陥事項があるのではないか、何よりも安全の確保が重要な自動車にあってそういうことがこういった形で進められていくことは大変危険なのではないかと思ったりいたしますので、御回答いただける範囲で結構ですのでお願いをいたします。
  81. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 自動車を量産いたしまして市場に出す場合には一台一台の検査をする必要がない手続がございます。それが型式指定の手続でございます。道路運送車両法に基づいてそういう手続がとられているわけでございまして、運輸省の型式指定をとった車については一台一台生産、販売するときにチェックを受けなくてよろしい、こういうことになっております。  新聞に出ました車種についてもそういう型式指定の申請をして型式指定を受けた、こういうふうな記事になっておりまして、その型式指定を受ける段階において最初に提出した書類の重量と、それからこれは型式指定をとる際には乗用車の場合でサンプル車として新車一台、トラックの場合ですとサンプル車として新車一台と、それから二万キロ走行を安全及び公害のそれぞれについて走らせた車二台、こういう車を出させてこちらは審査するわけですが、その車の重量と書類の重量とが食い違っておった、それをつじつま合わせするために工作をしたと、こういう記事でございます。  ただ私どもはこれはまだ新聞記事で承知した範囲のことでございまして、こういうようなことがもしあればこれは非常に遺憾な状態でございますので、直ちに今調査に入っております。きょうの午後でも責任者を呼んで事情を聴取し、厳重にこれは調べていかなければいけない、かように考えております。
  82. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 とにかくきちっとしてくださ  終わります。
  83. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) これをもって昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  85. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  関西国際空港の建設等に関する実情調査のため、委員派遣を行うこととし、その取り扱いについては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十分散会      —————・—————