○
説明員(竹内
哲夫君) 資産の評価、再評価ということでございますけれ
ども、メリット、デメリットがまずどうなのかということでございますけれ
ども、評価益が出てまいりますと、これは資本積立金として計上するということができるということで、自己資本が増加するということで、資産に対する資本の割合というのは改善されてまいります。それからこれを、資本積立金をさらに、
運輸大臣の承認が必要な条件になりますけれ
ども、これを受けまして減額いたしまして、繰越欠損金を整理するというようなことが可能になってまいるわけでございます。現に、この
昭和三十年に再評価をいたしました際に約一兆円強の再評価積立金が生じまして、これは累積赤字を消すということで、過去にそういう
意味で整理をしたという事例もあるわけでございます。
それと、さらに民間で行います再評価の目的といたしまして、先ほど申し上げました資産の実体を維持するという観点からいたしますと、減価償却費としては適正な減価償却費が計上されるということになるわけでございますけれ
ども、しかしこれは現在の
段階におきましては、確かに累積赤字を消すということは可能であるわけでございますけれ
ども、負債そのものがこれによって消えるということにはならないわけでございます。
むしろ
国鉄として今一番問題点は、負債をどうやって減らすのかというところが一番問題点であるというふうに私
ども考えておりまして、その
意味合いにおきましては、現在の状態のままで再評価をいたしましても、過去債務がそのまま維持されていくということでございまして、その面ではやはり利子負担の軽減というものにつながっていかないということで、そこのところに
一つ問題がある。
それから、再評価をいたしますと、やはり減価償却費はふえてまいるわけでございますけれ
ども、
国鉄の今の
経営の実態からいたしますと、減価償却費がふえるということは、経費がそれだけ増大するということになってまいりまして、赤字額がさらに拡大するという問題にもつながってまいりますし、市町村納付金その他諸税の
関係、そういう面でのいろいろ経費増につながる部分が多いということでございますので、確かにメリットはあるわけでございますけれ
ども、一方において、現状におきましてはデメリットの方に作用するという部分も多いということでございます。
それから、どんな評価の方法があって、目的によってどういうふうにそれが異なってくるのかというような点でございますけれ
ども、先ほどの、時価を中心として考える場合、それから収益を還元するという観点からの方法と、大きく分けますと二つの方法に分かれるのかと思いますけれ
ども、これはやはり再評価の目的によりましてそのとる方法というものが異なってまいるわけでございます。例えば実体資本を維持するという観点からいたしますと、ただいま
先生からも
お話がございましたように、復成式な評価法というような
やり方もありますし、また貨幣価値修正主義というような
やり方もあるわけでございます。欠損金を消去するという観点からしますと、ただいま申し上げたような方法でよろしいのではなかろうかというふうに思います。が、債務を処理するというような観点からになりますと、これはまたちょっと方法が変わってくるのではなかろうか。時価見込み主義だとかいう方法をとるということも
一つ考えられるのではないかと思いますし、さらに、企業というものを、
一つの企業をさらに次の企業に移していく、あるいは
一つの企業の形態を変更するというような場合、この場合におきましては、むしろ収益を還元する還元法というような方法をとる方が妥当なのではなかろうか。
いずれにいたしましても、今の
国鉄の、あるいは
鉄道の持っております用地の評価と申しますのは、どだい
鉄道がそこに存続する、あるということが前提になりまして、周辺地価もそれに応じて決定されてくるということでございまして、
鉄道がもしなくなったと仮定いたしますと、これは周辺の地価もまるっきり変わってくる。それによりまして、
鉄道を敷設しております
鉄道用地そのものにつきましても変化が出てくるというようなことで、なかなか難しい問題があるわけでございますけれ
ども、それぞれの目的目的によりまして評価の方法というのもいろいろの変化があるのではなかろうか。しかも、この評価につきましては大変に膨大な作業を伴ってまいりますので、何回も何回もこれを行うということは事実上不可能ではなかろうかというふうにも思っております。
特に
国鉄のように大変膨大な用地を持っておりますと、あるいは資産を持っておりますと、なかなかこの評価というのは大変な作業でございまして、したがって、もしこの再評価をやるという
段階には、かなり目的が明確になりまして、その上でそれに見合った再評価の方法をとっていくということが必要なのではなかろうかというふうに考えております。