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1984-04-06 第101回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月六日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  四月五日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     山中 郁子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒朝次郎君                 安恒 良一君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省海運局長  犬井 圭介君        運輸省港湾局長  小野寺駿一君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省航空局長  山本  長君        労働大臣官房審        議官       白井晋太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁交通局審        議官       八島 幸彦君        大蔵省銀行局銀        行課長      千野 忠男君        国税庁税部所        得税課長     岡本 吉司君        国税庁調査査察        部調査課長    木下 信親君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      堤  富男君        運輸大臣官房情        報管理部長    深川  弘君        建設省道路局企        画課長      鈴木 道雄君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道技        師長       半谷 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      岩瀬 虹兒君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君        日本国有鉄道常        務理事      岩崎 雄一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管及び日本国有鉄道)     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  去る三日、予算委員会から、四月六日及び七日の二日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、三十分ほど、福島交通問題で運輸の面からお尋ねいたします。  まず第一に、福島交通の総資本、利益等を含めて、経営に関するいろんなデータをレクチャーの際申し上げておりますから、時間がありませんから言いません。この資料提出について大臣、お約束願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  4. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 福島交通の問題がいろいろ新聞等で騒がれておりますことは、まことに遺憾千万だと思っております。個別企業経理内容を明らかにするということは控えさせていただかなければなりませんが、福島交通については補助金を出しておるわけでございます。その関係につきまして、乗り合いバス事業並びに鉄道事業につきましては、これは相当厳重に私どもの方で見て承知をいたしておりますので、それらの点については提出をさせていただきたいと思います。  また、きょうお尋ねがあればある程度のところまではお答えができると思っております。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 お願いします。  福島交通小針社長さんは我々の隣県でありますが、福島交通織田大蔵氏の関係で解散宣言された。その後いみじくも昭和四十二年十二月二十一日、この運輸委員会で私の大先輩である勤労出身中村順造氏がこの問題を取り上げて追及をしておるわけであります。そのときに当時の運輸大臣である中曽根さんは、私の在任中早急に片づけると、こういう答弁をして小針氏を選定したわけでありますが、この小針氏の社長就任というのは、地方鉄道法第三十七条による大臣の職権で当時行ったのかどうか。その間の経緯がわかれば参考のために教えてもらいたい。
  6. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 今お話がありましたように、当時の議事録も読ませていただきまして、確かに当時運輸大臣であります中曽根総理が、いろいろ混迷しておりました福島交通問題について任期中に片づけたいという御発言がありました。御質問があるということでいろいろ調べたわけでありますが、当時の事情が、なかなか交代のときの事情がわかりませんでしたが、少なくとも、今御質問になりました地方鉄道法の三十七条で云々ということで、その法律によって云々したということではないということでございます。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 中曽根さんと小針さんのかかわり合いというのは、調べてみますと、我が党の大森創造氏が国会で追及した那須国有林野払い下げ事件、今回も衆議院予算委員会で取り上げられて、この件については関係省庁調査をすると、こう言明しておるわけでありますが、この問題を通じて河野一郎さんとのかかわり合い中曽根さんとつながりを持ったと、こういうふうに記録は示しておるわけでありますが、今、地方鉄道法の三十七条でないとすれば、個人的な中曽根さんのつき合いで福島社長と、こういうふうになったと理解していいんですか。
  8. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) その関係につきまして我々としてははっきりわかっておりませんが、少なくとも小針さんが株主総会におきまして、当該会社において所定の手続で選任されたものであると、こういうふうに考えております。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その関係は、決算の総括で中曽根さん本人に確かめます。  この小針さんという方は、そういう形で福島交通にお世話になって、我々もいろんな面で福島交通労働者世話になっておるわけでありますが、現在この方は三十社近くの会社社長さんを兼ねております。しかし、私はちょいちょい本も見るのでありますが、こういう言葉が載っているのですね。これはいいか悪いかよく聞いてください。  側近に言った言葉として、公益事業というものはいいものだ、金は幾らでも銀行が貸してくれると。こういうことをあちらこちらで感想を述べたり側近に話している、こういうことを我々が聞くわけであります。したがって、この感覚、この感想から見ますと、三月二十二日朝日新聞が報道してからずっと連載されている問題、あるいは政府答弁している問題を聞きますと、私も随分隣で世話になっておることでありますけれども、ちょっと聞き捨てならない。こういうことで二、三お伺いします。  大臣から冒頭、この福島交通はいわゆるバス事業補助を受けておると、こういう話がありましたけれども補助とのかかわり合いでこの福島交通あるいは関連福島不動産、これらの関係については全然今日までわからなかったんですか、補助金の算定その他を含めて。いかがでしょうか、運輸省
  10. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 運輸省は、運輸事業所管官庁として福島交通に対しましては、乗り合いバス事業それから地方鉄道事業等運輸事業経営につきまして、道路運送法、それから鉄道関係につきましては地方鉄道法に基づいて、指導監督を行っているところでございます。今回のいろいろ新聞で取りざたされている問題につきましては運輸省としては承知していなかったところでございまして、しかし乗り合いバス事業、それから鉄道事業に関します経理状況につきましては、補助金の交付、そういう事務との関連で、その範囲内でのチェックは十分してまいってきておるところでございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、経営方針とか経営内容銀行から金を借りるときのいろんな五カ年計画とかなんとかということがいろいろ出ておるわけでありますが、そういう経営全般についても全然知らなかった、チェックしなかったということでありますか。自動車局どうですか。
  12. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 例えば乗り合いバス事業の部門について金融費用がどうなっているかという点を見ます場合に、福島交通自体の全体の金融費用をこれは眺めておるわけでございます。私どもといたしましては、福島交通がいろいろな事業をやっておりますけれども道路運送法に基づいて乗り合いバス事業を監督する、そういう立場、それからもう一つ地方バス補助金を交付しているという立場から監督してまいってきておるわけでございます。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、ちょっと国税庁にお伺いします。  国税庁はこの使途不明金、こういうものについて、事案内容がわかったわけでありますが、私は今回偶然にわかったわけじゃないと思うんです、後で触れますが。それで国税庁あるいは東北国税局も含めて、こういうのはちょっとおかしいといったならば、双方通報制度といいますか、政府一体の原則からいって、当然国税局から運輸省に向かって、こういう点があるからやっぱり大きくならないうちに指導した方がいいよと、こういう内部通報を当然国税局から運輸省にやってしかるべきじゃなかろうかと私は思うのであります。この件について国税庁はどういう関係でしたか。
  14. 木下信親

    説明員木下信親君) お尋ねの法人につきましては、昨年調査を下しましたことは過般申し上げたとおりでございます。ただ、その調査内容につきましては、先生御存じのとおり個別の会社のことでございますので、従来から答弁を差し控えさせていただいております。ただ一般的に申し上げまして、調査に当たりましては、使途不明金の把握並びにその徹底的な解明には特段の配慮をいたしているところでございます。  それから、先生指摘政府間の連絡につきましては、国家行政組織法にそのような規定があることは存じておりますが、現在の税務行政のあり方としましては、納税者の信頼を得て正しい申告をしていただく、こういうことが現在の税法の基本になっております。これに対しまして私ども守秘義務がかぶっておるわけです。これはもう御存じのとおり、国家公務員よりもきつい守秘義務税務職員にはかけられておるわけでございまして、この守秘義務があることによって納税者は自分の秘密を税務官庁に漏らす、こういった仕組みになっておるわけでございまして、したがいまして、税務行政に重大な支障が生ずるということで、私ども運輸省に通報しておりません。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 守秘義務があるから全然運輸省に通報していない。それはそれでまた後で聞きましょう。  じゃ国税庁は、衆議院段階で、この使途不明金流れについて解明する、こういう言明をしているんですが、現在どの程度調べているんですか。この前十四名とか二十名とかいろいろ出ておりますが、我々もいろいろつかんでいます。この使途不明金の問題をめぐって政治家とのかかわり合いについてはどの程度進展していますか。これも守秘義務ですか、何でもかんでも。
  16. 岡本吉司

    説明員岡本吉司君) やはり使途不明の解明につきましては、今担当の木下調査課長の方から申し上げておるとおりでございます。個々の流れにつきましても、使途不明の解明という段階におきまして我々は極力追求しているわけでございますし、また使途不明の解明につきましては従前から万全の努力をしているところでございます。ただ、いかんせん相手の協力を得ながらやっている調査でございますので、我々といたしましてなかなかその解明が意を尽くせないところもある、こういった状況でございます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 田中角榮さんでもああやるんですから、この流れについてはぜひ国民の疑惑にこたえるように、守秘義務なりを振りかざさないで、ぜひ調べて公表してもらいたいということを要望しておきます。また別途やります、決算委員会その他で。  それから、今回のこの金の流れの一番の特徴は、政治献金とかなんとかじゃなくて皆貸し借りなんですね。何億円貸しました、何千万貸しました、私は借りましたと。この借りました、貸しましたというのは非常に巧妙なやり方です。  あなたが知っているかどうか知りませんが、三年ほど前にヤクルトの社長さんの献金の際に、私がネタをつかんで、突っ込むぞと言ったら、緊急株主会議を開いて、全部借りたことにしろ、おまえには一千万貸した、おまえには一千万借りたと。そうして全部貸し借りの処分にしておけと言って、借り貸してありますから問題ありませんと言って逃げた。じゃいつ借り貸しに切りかえたかといったら、私が国会で取り上げようという情報流れてから、借り貸しに切りかえたといってあなたたちは守秘義務を盾にとって逃げた、こういう関係があるわけであります。今回の我々の調査段階では極めてこれまで巧妙に貸し借り——新聞に出ておる点でも東京の大物いますわね、これも貸し借りである。あるいは亡くなった北海道の大物もこれも貸し借りである。いわゆる返せばいいんだから問題ないと。こういうところでやっているんですね。この貸し借りやり方についても、ひとつ関心を持って見てもらいたい。その背景は何なのかということについてひとつ、一般国民のときは極めて厳しく国税庁もいじめるけれども、こういう問題になると守秘義務を盾にとってなかなか解明しない、こういう不公平があってはならないと思うんです。一般国民もこういう権力者も同じですよ、税という問題の前には。  ですから、そういう点では十分に誠意を持って、私の言わんとするところについて答えてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか、基本的な考え方で。
  18. 岡本吉司

    説明員岡本吉司君) 資金を貸した借りたということのみにおきましては、今先生指摘のとおり、そこで所得が発生するというものではございませんので、その限りにおきましては税金問題は出てこないわけでございます。  ただ、今先生指摘ございましたように、貸付金の行く先についても十分調査しろ、こういったような御指摘だと思いますが、我々、調査段階におきまして、やはりその全体的な資金流れの中で貸付金につきましても十分調査をしてまいっているという状況でございます。  一般論だけをお答えさせていただきたいと思っております。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 期待しております。  それで、これは運輸大臣それから大蔵省ね、何も知りませんでと言いますが、私は去年の、五十八年の五月二日、こういう文書をもって、去年のこの決算明細書を見るとちょっといろんな問題があるぞと。したがって注意を喚起する意味で、運輸省大蔵省に書面を出して、これに文書回答してほしいということで申し上げました。これはレクチャーで言ってありますから。これに対する大蔵省運輸省回答は全く木で鼻をかむような回答。全くわかりません、守秘義務でございます、こういう答弁でした、答弁書。  私は改めて要求します。この問題がこの国会で発生して衆参両院関係委員会でいろいろ質問されて、政府側からいろいろ答弁いたしております、現在まで。時間がありませんから言いません。これだけあります、答弁。その答弁書をもう一回政府側が洗って、私の質問事項について改めて答弁をしてもらいたい。回答してもらいたい。  五十八年五月二十四日、大蔵省、これもレクチャーで言ってありますし、もう項目も全部渡してありますから、時間がありませんから言いません。  それから運輸省は五十八年五月二十五日、運輸省自動車局旅客課、ちゃんと回答もらってありますが、この回答を、この国会政府側答弁した趣旨に従って回答書をつくり直してほしい、いかがですか、大臣
  20. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 五十八年五月ごろ、目黒先生から資料の御要求があったことは存じております。そのうち当省関係項目十二項目のうち七項目でございまして、我が省に関する分につきましては、一応……
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がないから回答するかしないか、言ってくれよ。
  22. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) やったつもりでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、今国会政府答弁の中で私ども回答した分、それから私ども調査した中で差し支えない範囲内のものにつきましては、できる限り御提出するようにしたいと思っております。
  23. 千野忠男

    説明員千野忠男君) お答えいたします。  昨年の五月に御指摘のように資料の御要請がございまして、当時としては可能な限りの御回答をしたところでございますけれども、ただいまのお話がございましたので、どのような御説明ができるか、十分検討をさせていただきたいと思います。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃそれを待っています。  次は、福島交通退職金の問題で、四月三日半分払った、こういう情報がありまして、我々組合から聞きました。しかし、これ四億のうち二億。自動車局長ね、先月に約八億三千万福島交通に行ったんでしょう、現ナマ、現金が。現ナマが行ったら、金がないんじゃないから、イの一番に四億の退職金の未払いを、三十年も四十年も働いた労働者に、借金しながら家を買って家の金払っている労働者に、そんなみみっちい思いをさせる必要はないんじゃないですか、退職者に。八億円という現ナマ入ったんだから、四億円ぽっとなぜ払わないのですか。やっぱり運輸省責任で、これは労働省じゃないんですが、あと半分は年賦払いだなんて言わないで、運輸省責任を持って、八億円もくれたことだから、あと二億円払えということを政府責任社長なり福島交通使用者側に言うべきだ、私はこう思うんですが、ひとつ考えを聞かせてもらいたい、こう思います。
  25. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 退職金の問題につきましては、私から申し上げるまでもありません、基本的には労使間の問題と考えますけれども、現在退職金の残りの支払いの分につきまして労使間で協議中と聞いております。運輸省といたしましては、退職者が困ることとならないように、労働省及び県と連絡をとりながら、運輸省としての立場から努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 協力協力。まあいいですわ。  五月二十三日、丸森線の第三セクターの問題についてきのうも株式会社が発足したんですが、冷たい発足だとこう書いてありました。私も生まれ故郷の問題で非常に遺憾だと思うのでありますが、しかし私は、この中で東北経済雑誌福島県の企画調整部長さんがいろんな意味でインタビューに答えておるんですが、二、三運輸省国鉄立場を聞きます。  一つは、丸森線電化ということを言っておるんですが、この部長さんは、先生方提案でと。先生方とは宮城県は三塚代議士福島県側亀岡代議士天野代議士、この三人の先生提案丸森線電化するんだと、こういう会社方針を決めたというんですが、これは運輸省運輸大臣とか国鉄は、この問題についてオーケーのサインをしているんですか。いろんな関係がありますからね。あっちへはこう言っている、こっちへはこう言っている、あっちへはこう言っている、勝手気ままに適当にもてあそんでは困る。政府の一貫した責任ある方針は何なのか。電化なら電化、するならする、しないならしない、そこをはっきりしてもらいたい。これどうですか。
  27. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 丸森線の第三セクター化につきましては、先生今おっしゃいましたように二月の十六日、ほぼ二カ年間にわたっていろいろ地方対策協議会で議論があったわけでありますが、そこで第三セクターにしようというほぼおおむねの合意がなされたわけでございます。  その際、協議会におきまして、県側からいわゆる第三セクター計画概要というものの説明がなされまして、そしてその中でこの計画の中に電化をするという計画内容があったわけでございます。これにつきましては、当然協議会のメンバーの中には国鉄あるいは議長として陸運局長も入っておりまして、いろいろな計画概要電化その他の一種の要望的な中身だと思いますが、これにつきましてはいろいろまた問題が、その計画のいろいろな問題について問題があるので今後検討をしよう、こういうことで第三セクターについての大方の合意はなされましたが、その計画概要につきましてのいろんな問題につきましては今後の検討ということで協議会は一応終えたということでございますが、今電化について、じゃ運輸省どう考えるか、こういうことでございますが、これにつきましては、やはり今後そういう地元の要望につきまして、利用者への利便がどうだとか、あるいは第三セクターに対する経営面での影響がどうだとかというような問題があると思いますし、また建設費にやはり電化費用がかかりますので予算との関係というような問題もありますので、我々としては、そういう第三セクター側がそういう考え方を持っておるということは我々としても十分承知いたしておりますけれども、これに対応するものにつきましては、今申しますようないろんな要素を考えながら検討いたしたいということで、現時点におきまして、その電化について、だめだとか、あるいはやろうとかということをまだ決めておるわけではございません。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは非常にあいまいですね。社会党の国会議員にはそういう答弁をして自民党の国会議員にはぴったり一〇〇%約束したような答弁をする、そういう二重人格は私も地元の一人としてやめてもらいたい、そんな二重人格答弁は。  それで、じゃ、大体現地では百億から百二十億と言われていますが、電化をするとすれば、国が負担するんですか、第三セクターが負担するんですか。私は、電化の金を国が負担するというんなら、いっそ第三セクターなんていう難しいことをやらないで、やはり電化するならば、まさかあそこだけ直流でやるわけにいかないでしょう、交流電化でしょう。それから電源をどうするか、あんな短い区間に電源を設備するとしたらこれまた大変でしょう。電化必要性があるならば、やはり制度をきちっとして交流電化をして、そして国鉄で直接運営する。そして今、阿武隈交通が考えているいわゆる観光開発、そういうものを国鉄の新しい商品として観光開発を考えていく、あるいは仙台のニュータウンとして考えていく、そういうふうにすれば十分に国鉄でやれるんじゃありませんか。電化まできちっとしてやって、やれませんからどうぞ第三セクター——それでは余りに私は運輸経営者として、あるいは運輸に携わる者として知恵がないじゃないか、だからどうせ電化するなら国鉄でやり直しなさいと、こういう議論になると思うんですよ。そうすると、仙台—郡山間の乗り入れ問題なども我々は問題を起こさない、そうなるんですが、この点はどうなんでしょうか。  その点はまだ、あなたが言ったとおり、きょうは公式の場ですから、公式の場にはまだ検討中だ、目黒参議院議員にも三塚代議士にも福島県の亀岡代議士にも、同じ立場でやっていると、表も裏もない、水面下もないということで確認していいんですか。
  29. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) それは先生のおっしゃるとおりでありまして、経営協議会の場におきましても、公式の席で協議会の議長たる陸運局長が、この計画の概要の電化を含んだものにつきまして、直ちに結論を得ることが困難な問題点もあるので今後関係者間で検討を進めてもらおうということでこの協議会は一応終えて第三セクター合意はなされたということでございまして、今申しますように、電化については先生がおっしゃるようないろんな問題もあろうかと思います。  それで今国鉄でというお話もありましたけれども、これは現時点において国鉄で約四億ほどの赤字が出ておりますし、やはり輸送密度等から見ても全体的に地方ローカル線として代替すべき線として指定しておりますし、地元地元の足としてやろうということであればそちらの方でお願いするということが現在の我々の行政の方針でありますので、その場合に電化ということが仮にいろんな問題点として今申しましたような点がクリアできればその方向に行きますし、現時点においてはいろんな問題点を抱えておりますので検討させていただくということに、これはもうどこで申し上げましてもそういうことであると思います。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはそれとして確認しておきます。私も耳あり目あり体がありますからね、どこを潜っておってもすぐぴぴっと入りますから、余りきれいごとでごまかしをしないように、私も社会党の県本の委員長ですから、ですから適当なことをやってもらいたくない、こう思うんです。  それで国鉄側に聞きますが、もう一つ前提条件として仙台−郡山間の許可ということが絶対条件となっているんですが、五九・二の問題で仙台あたり乗務員が余ってどうしようかどうしようかと大騒ぎしておるのに他国の——他国じゃない、私鉄の皆さんが自分の庭に入ってくることを指をくわえて国鉄の運転士に見ていると言うんですか。私はこんなときは、同じ地元だってそこはきちっと区切りをつけて、福島から郡山間、槻木から仙台間、相互乗り入れしたいからその間は国鉄の乗務員に車掌さんを含めて運転してくれというなら、あることですから、それは大いに協力しましょう、朝夕のラッシュの段階で、あるいは営業成績上がるならそれはいいと、それは私は理解も示します、相互乗り入れについては。ただ、営業権まで譲るとなると、これはちょっと話が違いませんかと、こう思いますので、国鉄立場としては相互乗り入れには協力する、こういう態度をぜひ表明してもらって、営業権の譲り渡しとかなんとかということはしないということをこの国会ではっきり表明してもらいたい、こう思うんですが、国鉄総裁。
  31. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 今先生がおっしゃったようなことが協議会会議の場で出たことはこれは事実でございますが、営業権等の問題、さらには郡山等への乗り入れについて合意をしたというようなことはございません。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、仙台で行われているきのうの株式会社の総会も、今言った電化の問題と仙台−郡山間の営業権の問題、この二つの前提がなければ福島交通は引き揚げますと言っているんですよ、これが前提条件なんですよ。  こんな大事な前提条件を、鉄監局長電化関係国鉄はそんな話は聞いたことはない、彼らは勝手にやったんだと。こうなりますと、会社設立当事者は何を考えて会社を設立したんでしょうか。この二つの条件がパアになれば阿武隈急行はパアだと言うんですがね、これ。その点はどうなの。やはり内々は三塚さんからあって、勤労の目黒はうるさいけれども、肩たたいてまあ相互乗り入れぐらいは勤労の乗務員に協力願うというような何かの暗示を与えたから、三塚先生は自信を確信を持って営業権の問題、最悪の場合は相互乗り入れ可能だと、こういうことを彼は声明しているんじゃありませんか。何もないというのは余り無責任だね。どうですか、それは。
  33. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 仙台と郡山の間に営業権設定というようなことにつきましては、これは法的にも問題がありますし、国鉄としても考えていないところでございます。ただ、郡山への乗り入れあるいは仙台への乗り入れということにつきまして、これから今後阿武隈急行鉄道国鉄との間で、申し入れがあればその点について協議をする、こういうことでございます。ただ、福島への乗り入れにつきましては、先生も恐らく線形等から御判断されますように、物理的に福島までの乗り入れについては必要がある、このように考えております。郡山等の乗り入れについては会社側から申し入れがあった段階協議をする、こういうことでございます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、申し入れがあった段階協議する、現段階では一切意思表示してないということを確認いたします。いいですね。  それから、さっき自動車局ね、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の第一条、第三条、第五条でいろいろ規定があるわけであります。さらに、同施行令第三条の補助金の交付の申請書の要件には、「申請者の資産及び負債に関する事項」、これが義務づけられている、法律に従って。したがって、福島交通が金を申請する際に、福島交通とその関連産業との関係、例えばAという銀行から五百二十五億借りました、五百二十五億借りてまた別な会社に五百二十億貸しましたと。こういう貸し借りも当然資産と負債ということにかかわるわけでありますから、さっき自動車局長は一切知りませんでしたということはちょっぴり無責任じゃありませんか。  したがって私は、そうすれば、この同施行令第三条の補助金の交付の申請書、この要件を運輸大臣はどう解釈しているのかお伺いしたい、こう思うんです。
  35. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 補助金を交付する場合には、ただいま先生が御指摘になりましたように、補助金等の適化法、それからさらに私どもの方で決めております道路運送法に基づく一般自動車事業会計規則、こういうものに基づいて兼業部門とそれから本来の乗り合いバス部門との経理の区分け、こういうものを二足の基準に基づいてきちっと定めた上で補助金の交付を申請してくる、こういう手はずになっておりまして、その限りにおきまして私どもは全体の金融費用、例えば先生おっしゃいましたように、五百二十億なら五百二十億の借り入れを福島交通がやっておるというふうにした場合に、投融資部門にそれが流れているのか、乗り合い交通部門の方に来ているのか、その辺のところを十分見きわめた上で補助金は交付しておるわけでございます。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もうこれだけ問題になったんだからきれいごとを言わないで、そんなら十カ年間この問題を逆算して、今五十九年ですから、四十八年ごろからほぼ十カ年間ぐらいの私は福島交通補助金の申請書、それを公式非公式は構わないから、具体的に私の目の通せるように、私自身もこの問題でチェックしますから、その申請書をぜひ見せてほしい。十カ年分お願いします。いかがですか。
  37. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 補助金の交付申請書そのものはやはり個別企業にかかわる問題でございますので、それを全部お見せするというわけにはなかなかまいらぬと思いますが、その中の要点、例えば年度ごとの経常収支、バス部門に係る経常収支等につきましては、資料をそろえてできるだけ先生の方にお出しできるように努力したいと思います。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、その資料を見た上で。  今もあったその五百二十五億、百六十六億、今新聞に問題になっている。こういう流れがどうであったかということも、私のこの質問項目の中にあるんですよ、この質問項目の中に。去年出した。あなた出さない。そういうときに親切に答弁して、親切に出しておれば、あるいはこんなに大きな問題にならないうちに私でちょこちょこ——ちょこちょこは語弊があるか。まあ具体的な問題で、これはちょっとおかしいぞといってある程度修正、是正が可能じゃなかったのか。だから私は、必要なものはやっぱり国会議員が請求すれば出してもらいたい、こう思うんですが、それは、じゃ、それを見ます。  それから、もう一つ、これも、福島交通決算書を見ますと、補助金をもらう関係のお金として五十五年度は二億七千万、五十六年度は三億円。これは福島交通決算書ですかね。運輸省から補助金をもらうために所要の経費としてこれだけかかっているというんですね。これは、書面出すのに二億も三億も何でかかるんだろうか。かかるような接触を、運輸省自動車局補助金をもらうのに一つ会社が二億も三億も金がかかるように接触をしておるんですか、どうですか。
  39. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 常識的に考えまして、補助金の申請の手続のために二億、三億かかるというようなことはないと思います。会計の整理上の項目の中に当然雑費としてそういう補助金の手続に要するような経費は入っていると思いますけれども、まずそのようなことはないと思います。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 株主から見れば、運輸省に行くのに三億もかかるのかなと、補助金もらいに。そういうことになりますから、そういう疑惑があるという点だけ、問題点だけ指摘しておきます。あなたはそういう金はかからないということでありますから、それはそれとして受けとめます。  それから、国鉄が、きのう予算委員会で問題になった福島の駅前の問題についてきのう野澤施設局長記者会見しておるんですが、これを私は確認のために言いますと、A地区の払い下げは福島交通に払い下げることを前提とした福島市の要望があり払い下げを内定した、B地区については払い下げは決まっていないと、こういう記者会見のようですが、間違いありませんか。
  41. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) そのとおりでございます。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 前日の福島市当局の発言と国鉄の発言と、それからこれにも三塚さんが出てくるんですが、三塚さんが記者会見で表明したことと、これはみんなちぐはぐなんですがね、ちぐはぐ。私にもけさ午前二時に、ある仙台の放送によると、目黒議員に大分——ある先生とある先生と、国鉄の本社からある方面とある方面に、そんなこと余計なことを言った、訂正し直せという圧力が大分かかっておると、こういう目黒NHK情報が午前二時に入っておるんですがね。やはり私はこんなことに、赤字国鉄で〇・三ぐらいの手当しかくれない国鉄がそんなに義理立てて高い、この土地は大体十三億でしょう、平米百万の十三億円という金だそうでありますが、こんなことに国鉄はそんなにびくびくする必要ないんじゃないですか、自分の土地だから。自分の土地だから胸を張って、そういうことはないと。  逆に聞きますが、これは福島交通がそう言ったからだと。じゃ、私はこの航空写真を持ってきました。この航空写真で、ここの福島交通のハイヤー、タクシーだけじゃないんですよ、この開発にかかわる地権者は。国鉄もこれは地権者ですよ、一部、この開発によりますと。だから、ほかの地権者が小針さんのように、おれのところもこうやりたいから福島市を通して国鉄にお願いする、じゃおれもお願いすると、そういうのを全部したら一体国鉄は、みんなそういう方々の要望を受けて福島交通のように、三等地から特等地だね、ここだ、ここが福島駅だから。この三等地から特等地、これを一般の市民にもやるんですか。じゃ、目黒株式会社が申請して福島市長さんを通して、国鉄さんお願いします、大体ここでは都合が悪いから新ビル、隣を使いたいから譲ってくださいと言われれば、払い下げるんですか。  地権者はみんな同等じゃありませんか。同等に対して国鉄はどういうふうに処分するの。ここでは小針だけが問題じゃない、あんた。この地権者は何人あるの、開発の。駅前に商売を営んでいる人、この開発で犠牲になっている人もいっぱいいるんですよ。そんなことを考えたらあんた、福島交通が申請したから、はいそうですかというのは、ちょっと水面下であなたとあなたとあなたが   もうわかっているんです、これは、我々の情報ではね。言いますか——言っちゃ悪いか。我々のあれでは言えるんですがね。でも、余り言うと個人のあれがまあね。それくらい我々は、何月何日だれとだれがどこで会っている。これをやる前にそのくらい我々は情報をつかんでいるんですよ。  だから私は、これだけの疑惑問題がある段階では、こういうことはやめて、白紙に戻してもう一回考え直すというくらいの、緊迫した国鉄の財政から見てそうやってほしいと、こう思うんですが、それでも釈明しますか。  これは総裁に。常務は要らない、総裁、こういう疑惑の多いときに、一回白紙に戻して、この問題については公平な立場から検討するというふうに、やっぱりやり直すべきだと。私は、同じ仙台の人間として絶対これは、ここで中途半端だったら私は徹底的にかみつきますよ、国鉄なんて協力しないで。どうですか。
  43. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 総裁が御答弁申し上げます前に、私から本件の背景につきましてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。  東北新幹線の福島駅の乗り入れに伴いまして、福島駅の東口周辺の都市整備を行う必要があるということで、福島市長の諮問機関といたしまして、昭和五十五年の十二月に、学識経験者、県、市、国鉄から成る福島駅周辺整備計画委員会というものが設置されたわけでございます。  それで、今先生お話ございましたけれども、これらの答申に基づきまして福島市長から、この周辺におきまして国鉄用地三カ所の譲渡方についてお申し出がございました。そのうちの一カ所、置賜の宿舎の跡地につきましては、再開発事業の代替地ということで、五十八年の六月に福島市に売却をいたしております。今お話がございました福島駅の北側の用地、約千三百平米、四百坪でございますが、につきましては、同じく栄町の北地区の再開発事業の代替地ということで市長から要望があったわけでございます。この地区には、御承知のように福島駅には福島交通飯坂線が乗り入れをいたしております。したがいまして、この代替地ということで福島交通がここへ入るということで、旅客サービス、福島交通の飯坂線の旅客ターミナルの整備拡充が図れる、そういう観点がございます。それと、再開発事業の推進も図れるという両方の観点から、国鉄も市長の御要望に応ずることはやむを得ないという考え方で処理を進めたいと考えているものでございます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が言った前段にも答えない。そうすると、他の地権者から同じような市長に陳情をして、市長からあんたのところへ行った場合には、同じ立場で平等の取り扱いをすると。開発の関係者が、自分たちの商売上の関係福島市を通して国鉄側に払い下げの申請をしたという場合には、この問題と同じような取り扱いをするんですか。
  45. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 既に置賜の宿舎用地は、市街地再開発計画の代替地ということで売却をいたしております。  それからなお、本件の用地を福島交通の代替地ということで処理をしようというふうに考えておりますのは、当該地域に福島交通飯坂線の旅客ターミナル、当該地域を使って福島交通の飯坂線の旅客ターミナル施設を整備するという御計画があるということの両面から、そういう判断をいたしたわけでございます。したがいまして、普通のごく一般の方々の代替地というふうには考えておりませんで、公益事業を営んでおられる福島交通が現にここで旅客ターミナル施設を持っておられる、それらの整備拡充に充てるという目的も果たすことができる。あわせて再開発事業の促進を図ることができる。そういった両面の角度から本件検討しているわけでございます。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは私は納得しません。大分あるときにある方といろいろな方が介入して、政官財、はっきり言いましょう。政官財がかかわってこの問題については相当裏の取引があるということだけは表明しておきます。あと、ここは運輸委員会だから、決算委員会あたりで、関係した政官のお名前が発表できるようにさらに裏づけをして、あなたの答弁を覆せるように私の方が努力します。それ以上これはあなたに言ったってしょうがありませんから言いません。  それで総裁、これは総裁にお聞きします。  これは跡地利用の関係がありますからね。膨大な跡地利用をする際に、あなたはこの前の決算委員会で、国鉄職員のためになるように公平に、どなたからも疑われないようにということを答弁されました。私はこれは撤回しませんけれども福島交通のあれだけの問題はそういう疑惑を生む私は一つの典型的な問題だ。こうとらえますと、この跡地なり国鉄の用地の払い下げをする際に公共団体または準ずるものとなっておりますが、その際にやっぱり使用目的制限であるとか、あるいは譲渡制限であるとか、そういう国有財産をするようなそういうことについてもう少し、国鉄国民から預かっているものですから、公正明朗にやるように私は規則の整備をすべきである。これは、この前常務が、会計検査院の指摘事項の際にきれいなことを言ったけれども、ちっともあんた言葉だけ言って、きれいなことを言ってやってないじゃないか。  だからこれは総裁に、跡地利用の問題についてきちっと公明正大にやるように、基準をもっと整備をしてもらう、そういうことについて、風邪を引いておりますがこのぐらいはいいでしょう、見解を表明してもらいたい、こう思うんです。
  47. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今先生から御指摘のように、国鉄のいろいろ出てまいりました。地を活用するということは、実は国鉄再建のためにも大変重要なことであるというふうに思っております。しかしその中で、売るべきものは売るというようなことも、いろいろ予算上の都合等で出てまいると思いますが、これらにつきましては、今先生から御指摘のあったような、いささかも国民の方から疑念を抱かれないような処理の仕方というものを十分考えて処理をしてまいりたいと思っております。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ期待しております。  最後に大蔵省。三月二十六日衆議院の大蔵委員会で宮本局長が、日本債券信用銀行より福島に融資した五百二十五億の問題について、会計検査院の意見書に従って銀行に問い合わせたと。銀行としては、福島交通に貸した五百二十五億を福島交通不動産に肩がわりする、そういう行為については同意していないと、こういう答弁をしておりますが、間違いありませんか。
  49. 千野忠男

    説明員千野忠男君) お答えいたします。  日本債券信用銀行福島交通に対する貸付金の移管問題につきましては、私どもも、銀行を監督する立場といたしまして、債権の管理という見地から関心を持っております。  で、御指摘の点につきましては、日本債券信用銀行としては移管に同意していない、こういうふうに聞いております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと同意していないということが明確になったわけでありますが、そうしますと、福島交通決算は粉飾決算だと私は見るわけでありますが、理由は要りません、粉飾決算だと見ることについて大蔵省は、間違いであるか、その点だけ簡単に一点見解だけ述べてくださ
  51. 千野忠男

    説明員千野忠男君) お答えいたします。  日本債券信用銀行に聞きましたところ、移管に同意していないと言っておりますが、これはいわば当事者の一方である銀行から聴取したものということでございまして、先生指摘の問題につきましては、権限のある所管の部局が関係会社からも十分これは確認をしなければならない、こういうことでございます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは時間が来ましたから、今銀行局いいことを答弁してくれましたよ。そういうことでありますから、私は本件の締めくくりとして、やはりこの福島交通小針社長さんをこれは証人として、今言った銀行の片方の当事者、日本債券信用銀行の頭取、頴川史郎さん、この方を参考人として、当委員会に喚問して、今まで言ったやつの事実関係をさらに確かめたい、こう思いますので、証人の喚問の申請をしますので、後ほど理事会で協議をしてもらいたいということを委員長にお願いします。いいですね。じゃお願いします。  あと十分くらいしかありませんから、国鉄問題で二、三お伺いします。  これは大臣、一番大事なことですが、一月十九日の参議院の決算委員会目黒質問、あるいは二月二十日、衆議院予算委員会の島田質問に対して、運輸大臣は、この二十兆円に及ぶ累積債務、この問題をどう処理するか、どのように始末をつけるかということが一番緊急の課題だということを再三答弁されて、国鉄総裁もそのとおりだ、こう答弁されておるわけでありますが、所管は違うんですが大臣として、国鉄再建監理委員会に、今大臣の言った問題についてぜひ早いとこ取り組んでもらいたい、そういうような要請はしていると思うんですが、その辺の大臣の考えと監理委員会のかかわり合い、現時点でどうなっているんでしょうか。
  53. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 国鉄の長期債務をどう処理するかというのが国鉄再建監理委員会の最大の任務であるということについては、亀井委員長初め十二分に承知をしておられます。私と会談をいたしました際にも十分申し上げでございます。  御案内のように、臨調答申による分割民営化ということがもう一つの大きな使命になっておりますが、分割民営化をやるにいたしましても、長期債務の問題をどうするかということが片づかなければこれは結論が出ないわけでございます。そういった意味で十分承知しておられますし、私もその後、林次長という事務当局を初め、委員の皆さん方にお会いするたびに申しておりますが、改まって書面やなどで申し上げることではないので、当然心得ておられることでありますし、それがどうしても先行しなければ分割民営化の問題にも入れないというのが私どもの共通の認識でございます。  したがって、きょうは監理委員会の方からも事務当局が出ておりますが、この問題についていろいろ御検討をいただいておるやに聞いておる次第でございます。私ども運輸省の中でもこれは並行して検討しなければなりませんので、本体は今監理委員会の方の検討ということになっておりますけれども、私どもの方も並行して検討をいたしておるということでございます。私は、一番大事な問題で、一番先にこれに対する基本的な態度を決めなければならぬ問題である、さように強く認識しております。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、この監理委員会が一月三十一日の委員会で、四国を対象に事例研究に入る、いわゆる四国を分割のモデルとしてやろうじゃないか、そういうのが検討をされたと新聞は報じております。また、一部新聞では、この分割民営の問題については八月ころ中間報告が出るんじゃないかということも流れております。したがって私は、今の大臣答弁とこの四国の問題とか八月とかという問題を組み合わせますと、話が逆じゃないかと。いわゆる問題の赤字の原因は何なのか、それを解消する処方せんはどうなのか。まあ、国鉄は十項目でやると言われていますが、それも一つの方法でしょう。そういう問題点をやっぱり赤裸々にやって、我々国会にも提案してもらってこの場でもけんけんがくがく議論されると。そういうことを通じて原因と対策が大体わかったら、対策の一環として四国をモデルにやってみようというんなら、私はそれなりに理屈は、賛成反対は別として、取り組みとしてはわからないわけではない。  ところが、今から四国だけ先行してしまう、いや北海道をやってみようなんということは、ちょっと民営分割論だけが先行しちゃっていわゆる問題の本質にちっとも触れてないと、こう思うのでありますが、委員会でこの間についてどういう議論がされているのか、八月ころ本当に出るのか出ないのかということを含めて最近のあれを答弁してもらいたい、こう思います。
  55. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 新聞でいろいろと報ぜられたわけでございますけれども、一月の三十一日の委員会におきまして四国についての検討をしたということはこれは事実でございますが、ただこれは、全体の中の分析検討一つといたしまして四国についてその交通の実態というものを、これを十分把握していく必要があるということで、これは四国に限りませんでその後北海道もあるいは九州も現にやっておりますけれども、そういう観点からの実態把握を中心にしたものでございます。したがいまして、鉄道とかあるいはバスとか、航空とか海運、こういうふうないろいろな交通機関の現状でありますとか、あるいは、空港あるいは港湾、高速道路といったものの今後の整備計画でありますとか、あるいは国鉄の現在の旅客貨物の流動実態でありますとか、こういうふうな実態分析をやったわけでございまして、決して四国だけを先に取り上げてこれを分割民営化のモデルケースとして、そういう見地からの検討をするという観点ではございません。あくまで実態分析、調査検討というものの一環でございます。  それから、八月に何らかの結論を、中間結論を出すのではないかというふうなことがしばしばよく私どもの耳に入りますけれども、いま監理委員会の審議スケジュールといたしましては、来年の大体中ごろ、このころを目途といたしまして、いろいろな経営形態の問題、長期債務の問題、これらを総合的に取りまとめて最終的な案を策定するというのが現在のスケジュールでございまして、中間的にそれを切り離して何らかの答申を出すというふうなことは全然考えていないということでございます。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう時間が来ましたから、それじゃ、ここでお願いすることは、総裁、これだけはひとつ。  三月二十七日、勤労の家族組合が、北海道から九州まで集まりまして、今言った民営分割問題、年度末手当の問題、五九・二貨物合理化の後のいろいろな不安問題、乗務員の事故防止に対する問題などを追って、話し合いをしながら政府にお願いしようということで、当日は細田運輸大臣、あるいは鉄監局長、あるいは渡部厚生大臣、それから労働大臣はちょうど国鉄、林野の期末手当の問題で放せないというので谷口労政局長などが、お会いしていろいろお話を聞いてくれたんですよ。そして細田運輸大臣も渡部厚生大臣も、頑張れと、私たちも頑張りますと言って、和気あいあいで帰っているんですよ。  ただ、その際、私はここから総裁にお願いしなければならぬ、大臣さえも会っているのに、国鉄の地方の管理局長は、家族組合がこういう問題について局長に会いたい、陳情したいという問題について、もう頭から玄関払いをかけているのですね、玄関払いを。国の大臣が会っているのに一管理局長が玄関払いだと、これは私はもってのほかだと思いました。それで二言目には、もう国鉄は厳しい現段階であるから皆さん絶対運転事故を起こさないようにと。それは事故については、乗務員の生命ですから、やりますよ。しかし事故を起こさないように運転士がやっているのは、内助の功のかかあがいるからね、かかあがいるから内助の功があるからじゃありませんか。  その奥さんたちが、年に一回ぐらい局長の顔を見たい、あるいは総裁の顔を見たい、そう言って全国から集まってきたのに、門前払いとはちょっと私は言語道断だと。したがってこれは、私はあなたの責任で、そういう従業員なり家族の問題については、きちっと一定のルールがあるからルールはみんな守っているでしょう、一定のルールを守って来れば、やっぱりあなたは職員がかわいい、職員が大事だ、お客さんが大事だと言っておるならば、家族組合の代表ぐらいには年に一回か二回会って家族に協力を求める、あるいは家族の意見も聞くということがあっていいじゃないかと、こう思うんですが、これは総裁ひとつあなた自身から、もう後ろの方を向く必要はないから、総裁の責任で、これはほかの局長が言ったってだめ、総裁の責任で、善処しますということを一言言ってください。——常務要らないよ。時間延びちゃうよ。
  57. 太田知行

    説明員(太田知行君) 一言、簡単に。  私自身も地方の管理局長をやったことがございますけれども、今のようなお申し出が年に一回か二回あります。都合が悪かったりしまして、時間を変えてくださいというようなことはございますし、部屋が狭いので余り大人数ではなくというようなこともございまして、ある程度の取り決めルールはございますが、拒否したことはございませんでしたし、今具体的にどういう事情があったかは承知しておりませんが、今地方の管理局長諸君も同じような気持ちで御応対していることと存じます。詳しい事情はただいまは承知しませんが、一般的にはそういうふうに確信しております。
  58. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今目黒先生から御注意がございましたが、実は私この間の詳しい事情をまだよく承知いたしておりませんが、私の本心といたしましては、家族の方々がおいでになるという場合にはできるだけ時間を都合してお目にかかり、いろいろなお話もしたい。事実、国鉄の列車を支えている者は第一線の職員であるという認識をいつも持っております。そういうつもりで対処してまいるつもりでございますので、御理解願いたいと思っております。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 総裁ね、今常務理事からもありましたけれども、どこのどなただと言うとまた傷がつくから私は言いません。しかし、これは本部も知っていることだし、あるいはお互いにわかっていることですから、ここで答弁したことを本当に実行してもらいたい、こう思います。  じゃ、二、三分時間をもらいましたから、お願いします。  もう一つは、労使関係ですね。五九・二の問題の後、我々国会議員団が全国七カ所を回ってきました。時間がありませんから詳しいことは言いませんが、結論から言うと、貨物合理化で大分過員が出ているんですが、この過員の取り扱いをめぐって、言い方は悪うございますけれども労使交渉で話をする際にやっぱり当局側の方が、抑え込むと言ったら語弊がありますが、抑え込むことだけに専念しちゃって、非常に過員になって、仕事がなくて、収入も減って、もううちへ帰ってもかかあとけんかばかりする。そういう環境に置かれておる職員の気持ちというのを本当に無視しているという形で私は行われているということが、これは全国的な社会党議員団の結論でした。  したがって私はこれは、太田常務もいますが、やはりもう少し職員を、現在の環境に置かれている国鉄職員の悩み、毎日毎日新幹線二百キロ運転しながら〇・三の、公労協の中で最低の期末手当もらわなくちゃならぬ。最も激しい仕事をやっておって〇・三だと。まあ皆立派な仕事だけれども、片方の方は〇・七だと。赤字はだれがつくったのか。新幹線の運転士がつくったわけじゃない、国がやったんだと。そういうことを泣きながら、新幹線の高速運転をやっている乗務員の立場、これを見るともう少し私は、——あなたたちは労働組合員の前に職員になれと。それはいいですよ、なりましょう、職員に。しかし職員であると同時に労働組合員ですから。もう少し人間的な扱いをするようにやっぱり総裁から各管理局長に、同じ悩みなんだから、あなたも悩み、我々国鉄出身議員も悩み、現場の組合員も悩み、OBも悩んでいますよ。家族も悩んでいますよ、一体どうなるんだと。そういうことをおいている。労使関係でいろいろ理屈はあるだろうけれども、悪いところはびしっと締めていいと私は思うよ。そういう人間味ある労使関係をやはりここ二、三年、確立すべきだ。そういうことが、あなたが総裁に就任の最初に述べた私はあなたの本心であろうと思う。言っていることとやっていることが、社会党国会議員調査した現地の情勢はなっておらぬですよ。こういうことを私は一言言いたいのです。  これについてもひとつ、実態はわからないかもしれませんが、我々はそう見ているんですから、総裁もそういう視点からやっぱりもう一度労使関係を見直してもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 太田知行

    説明員(太田知行君) 時間が余りないようでございますので、簡潔に二点に絞って御答弁申し上げたいと思います。  まず一点は、余剰人員が発生しているのは事実でございますが、この発生してくる仕組みでございますが、これは従来からも、合理化を一生懸命やってまいりますと、その合理化が年度中途で労使双方で妥結いたしますと、その妥結した瞬間にその部門について余剰人員が発生いたします。ところが、年度末に特別退職がございますのでそこで大体調整ができております。人員構成が少し膨らんでおりましたのがちょうどうまいぐあいに機能いたしまして、たくさん退職が出る状況がございましてうまくアジャストできていたのですが、だんだんそのたくさんやめる時期が過ぎてまいりました。一方、合理化の方は、特に貨物の問題が非常に深刻でございましたので、その幅を広げなければいかぬ状況に相なりまして、アンバランスが生じました。五十八年度においては、五九・二を初めとする大変大規模な貨物を中心とする合理化を実施いたしましたので、年度中途においては三万人を超える余剰人員が発生したことは間違いございません。ついこの間年度末を終わったのでございますが、年度末特別退職者によってかなりな部分が置きかえられているはずでございますが、どのくらい持ち越しになっているかは数字としてまだ正確につかんでおりませんが、今言いましたようにアンバランスな状況がございますので、十分にはカバーし切れないで五十九年度に持ち越しになっている数字があるかと存じます。  そこで、二番目でございますが、そういうふうに年度途中で大量にとにもかくにも余剰人員が発生しましたことにつきまして、労使でそういう場合の扱い方の協約を持っております。雇用安定協約でございますとか、配置転換に関する協約とか、その他いろんな通達等でルールを決めております。簡単に申しますと、諸ルールに基づいて取り扱いを決めているわけでございます。まず、一番端的な例は、仕事がなくなった、あるいは合理化をした現場におきましては、配置転換に関する調書、配転調書というものをとりまして本人の希望を聴取する。できるだけ希望に沿って、場所を置きかえたり、あるいは職種転換をしたりというようなことをやっておりまして、極力その本人の希望に沿った扱いができるようにしております。しかしながら、配転を希望しなかったり、あるいはその場所にいたい、職種転換も希望しないというようなケースもございますので、そういう職員に対しましてはまたそれなりの対応を講じなければいけないということでいろんな知恵を講じておりますが、例えば学園に入れてこの機会に技術教育やその他サービス教育を行ったり、あるいは試験に合格している者をこの機会に登用し、登用する前のいろんな必要な教育を行う、あるいは増送、増収活動に充当する、特別改札に充てる、いろんな知恵を講じながら対応策を講じているわけでございます。  公企体になりまして三十何年の歴史の中で大変かって例を見ない状態でございますだけに、いろいろ不十分な面もあろうかと思いますが、双方それぞれ各地、現地におきまして、創意工夫を凝らし知恵を凝らしながら今その対応策を講じつつあるところでございます。今後とも、職員に不安が起きないように、また家族も安心して職員をバックアップできるように、我々も一生懸命努力してまいりたい所存でございます。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで、やっぱり私はそういうルールはルールでわかっています。だから、私が言った、非常に深刻な気持ちに全職員、OBもなっていることであるから、ルールはルールとしてありますけれども、人間的な温かみを持ってこの難局を総裁以下末端の職員、家族に至るまで一丸となってやるためには、もう少し人間的な温かみを持ってこの局面の問題に当たってほしいということを、全管轄の管理職にやっぱりあなたから徹底してほしい。労働組合も、それを受けて真剣にこたえていこうと、こういうふうになるわけでありますから、そういう意味で総裁の、今の常務のことを含めた答弁を求めたいと、こう思うんです。
  62. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) ただいま実態並びに対策等につきましては太田常務理事からお答えをいたしましたが、今先生が御指摘のとおり、やはり労使関係の温かい心の通じ合いということが、今後の非常に難しい国鉄の再建の基本になければならないというふうに思っております。  今先生から御指摘がありましたような点につきましては、過員というような問題あるいは余剰員というような問題は、ことし初めてというようなことで多少現場に混乱があったことは事実のようでございます。今後はこういう混乱のないように努力いたしますとともに、第一線の方にもなるべく不安のないような努力を重ねてまいりたいと思いますので、また先生方の御指導、御鞭撻を期待する次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 要望をひとつ。  一つは、時間がありませんから、この二月四日の函館本線奈井江駅下の特急脱線、二月十七日の同じく幌向線の駅長のミスによる特急の運休、また雪害による新幹線三十四日間の連続混乱、それから東日本、裏日本を一帯とした吹きだまりの問題、脱線、転覆、それからこの前、つい二、三日前に外房線の脱線事故で運転士が死亡し、六十二人が負傷したと。ここ、運転事故が悪質化している、こう見ているんで、これに対する対応について、これは後で結構ですから、私の方で一段の対策の強化をしてもらいたいということを提起をしておきます。  それから、時間がありませんからもう一つ。これは自動車局にお願いしますが、四国の瀬戸内タクシーの紛争に入った経過については、会社側の一方的な労働条件の改悪提案で去年の一月二十六日からストライキに入って四百三十七日、きょうで四百三十七日間全面ストをやっているわけですよ。それで四日の日、裁判所から仮処分が出てきて、会社側のやり方が悪いという仮処分が出て、じゃストライキを解いて就労しようと言ったら、就労には何だか難癖をつけてまたトラブルが起きていると。したがって、地方労働委員会へ申請したら、社会的な事案であるから公益あっせんが開始されたと、こういう報告を受けております。この問題についてもやはり自動車局で、余り長いですから対策を強化してもらいたい。  それから、これも私は、私のところの宮城県のマルカンタクシー、この問題についてもあなた方を信頼してじっと待っておるんですが、今のところ県評と全自交の宮城、それから宮城県の自動車協会、この三者へ一任してまとめていると、こう言っているんですが、私は三月三十一日までにまとめなければ承知しないぞと言っておるんですが、まだまとまっておりません。したがって、マルカンタクシーの問題についても、ひとつ早期解決のために特段の御努力をお願いしたい。  それから港湾関係。港湾関係については、おたくの方は事業法の改正を今回提案しておりますが、それはそれとして、私は港湾労働の問題については、一九七三年のILO港湾労働条約、この批准がやっぱり前提条件である。同時に、港湾労働法、きょう労働省呼んでいませんが、港湾労働法の内容の改善と、六大港以外の、仙台港なども国際港になろうとしているわけでありますから、やはり適用港の拡大、それから雇用保障制度、それからこの前大阪の小林組のやみ雇用、私見てまいりましたが、こういう問題についてもひとつこの委員会で提案したということを確認してもらって、後ほどこれらに対する見解をひとつぜひ別途説明してほしい。きょうは時間がありませんから回答は要りません。別途説明してほしいということを要望して、質問を終わります。
  64. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは、何か国鉄総裁風邪を召されているようですから、私の質問が終わりましたら国鉄総裁どうぞ御休憩ください。  そういう意味でまず最初に国鉄総裁と運輸大臣に一言だけお聞きしたいんですが、実は東海道新幹線が開通して以来、この三日で乗客が二十億に達した。この間、太平洋ベルト地帯としての重要な任務を果たして、しかもいわゆる人身事故もなくて大変結構なことだと思います。非常に国鉄労使が御努力されたことに私は敬意を表するんです。しかし、依然としてドル箱であるが、近距離におけるところのいわゆる競合、特に国鉄が、マイカーやそれからいま一つは飛行機との競合、こういう意味でこれから六十六年度最高二百六十キロと、こういうふうに段階的に車両の改造もやるし、それから二階建てのラウンジカーをつくるとか、個室用寝台車などと、こういうことをやるということも私は非常に結構なことだと思うんです。  ところが、一つ何か忘れておりはしませんかということを私は言いたいのは、実は今手元に資料をいただいたんですが、ことしの冬、新幹線の雪によるところの輸送の遅延というのが非常に特徴的に起こっています。東北の方の新幹線とか上越新幹線というのはほとんどそれがないんですから、まあ私も、大変な雪が降って年に一日や二日あるというならこれはやむを得ないことだと思いますが、ことしの傾向を見ますと、もう常時おくれている、こんな状況ですね。  そこで、一方航空の方を調べてみましたら、航空会社はほくほくしているわけです。一月から二月には非常に一〇%以上も増収がある。新幹線がおくれるから当てにならぬ、こういうことにこれはなっているわけで、ですから、私から言わせると、こういうことをおやりになる前に、当面、米原、いわゆる新岐阜から京都に至るあの雪の地帯について、抜本的なやはり、ちょっとしたぐらいの雪でおくれぬようにぜひしてもらいたいものだと思いますが、ことしの国鉄予算を見せていただきましたが、そういうものは余りないようなんですね、これは大項目しか私たちはいただいていませんから。ですから、新幹線のスピードアップやいろんなことをされる前に、今一番国民が考えていることは、やはり雪に弱い新幹線というところをどうしてくれるのかということですが、その点についてひとつ総裁並びに大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。また、ことしはどうされるのか、今年度とうされるのか。
  65. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今、先生から御指摘のとおり、看板列車であります東海道新幹線が毎年のようにおくれている。殊に昭和五十五年、それから昭和五十九年におきましては連続三十五日を超えるというようなことでございます。これらにつきましては早急に対策を立てるべきであるというのが、私、実は総裁になる前からの持論でございますが、参りましていろいろ調べてみましたが、一つの非常にネガティブな御返事を申し上げるようで、本心ではございませんが、例えば払戻金を見てまいりますと、割合に少ない額で済んでいるから、これを利子として見るならば非常に少ない金しか投じられないではないかという論が、国鉄の中にもございます。しかし、私は、そういう考え方はおかしいんではないか、むしろやっぱり航空機その他との対抗、あるいは看板列車に対する信用という問題で、徹底的にこれに対応すべきであるという考え方を述べております。  それで、これに対しまして、またしかし一方これはいろいろな方法が考えられるのでございますが、上越新幹線の場合には、これが上越新幹線が非常に高くかかった一つの原因でもございますが、全線が全部コンクリートで路盤ができております。ところが東海道新幹線におきましては、土でできているところがかなりたくさんあるということでございます。これはどういうことかといいますと、水をまいたときに一つは路盤がうむという問題、もう一つはまきました水を路盤から回収できないという問題がございまして、実はちょっと一般の方におわかりにくいんですが、東海道新幹線の雪対策というのはかなり難しい問題であるということでございます。ただ一つ違う点は、上越ほど雪は降らないということも事実でございます。これらを勘案いたしまして、どういうふうにやったら一番安くできるかということを目下検討しております。  それで、今のところまだ御指摘のように予算にきちっと計上してございませんが、もしその方法が見つかれば直ちにこれを予備費あるいは他からの流用等によりまして実施に移す考えでございます。  少なくとも、今非常に大きな考え方を申し上げますと、線路を別にするとかあるいは全部にシェルターをかける、まあこれをかけますと千億、二千億オーダーの金がかかってしまうということでございますので、そんなにかけなくてもいけるんではないか、三百億ぐらいか五百億ぐらいでできないかというようなことを今検討いたしておりまして、それは温度の高い水をなるべく量を少なくまいていけないかというようなことを考えておりますが、これらについては少なくともことし雪のひどいところで実験をできるようなことをやってみたいと思いますが、まだどういう方法がというところで決定されておりませんので、もう少し時間をかしていただきたいというのが現状でございます。
  66. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今、国鉄総裁から説明がございましたが、私はもう東海道新幹線、今年のような状態にはほっておけないということだと思います。ただ、かける金には限界があると思います。しかし、国鉄の優秀な技術をもって、金をかければ大丈夫というのはもう上越の例でできておるわけですから、どの辺までこれがやれるかと。必ずこれはことしのままではいかぬ、来年の冬は。何とかどこまでやれるかやらせなければならぬと、こういうふうに思っております。
  67. 安恒良一

    ○安恒良一君 総裁ね、ちょっと私あんたの言葉で聞き捨てならぬことがあるわけですよ。  あんたの本心じゃないと言うけれども、なるほど手元に払い戻しは三億七千五百万円だけれども、影響を受けた人間は五百八万人だよ。この人の社会的経済的損失をあんたたちはどう考えるのか。そんな意見が国鉄のなかにあるからいろんな問題が起こってくるんだよ。払い戻し金額が少ないから金かける必要がないじゃないかと言わんばっかりの話が、あんたにはないけれどもあると言ったでしょう。国会の公の席上で、訂正しなさいよ。五百八万の人間、払い戻しを受けた人間五百八万、それ以外もおるんですよ。二時間だったら。だから一時間とか何十分とおくれている人間ははかり知れないんだよ。その人たちの社会的経済的損失のことを考えなきゃだめですよ、あんた。そういう国鉄の感覚が、私は今日国民から大きく批判されていると思う。今のことは聞き捨てなりません。  あんたの本心じゃないと言ったけれども、そんな考えが国鉄にあるのかね、あんたたちに。ああ、いわゆる新幹線を立派にするよりも、雪でおくれたって知っちゃいないじゃないか、三億ぐらいの金なら国鉄の会計から大したことないと。そんなことだれが言っておるんだ。国鉄の中でそんな意見があること、そんなのは経営者としては不適任じゃ。そういうのをだれが言っているんだ、そんなことを。とんでもない。私は、新幹線を前向きに評価しながら、国民にこんなに影響を与えることについてどうしたらいいのかというのを聞いているんだ。しかし、国鉄の中にそんな意見があるというなら、そんな意見を持っている人間にお目にかかりましょう。出てきてください、ここに。そんなことを、意見を常務会か何かで言うようなばかな常務がおったらやめてもらわにゃいかぬわな。どういうことなんだい、それは。
  68. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 少し余計なことを言ったかもしれませんが、そういう人間がおったことも事実でございますが、その人間はもう既にやめておりますが、そういう感覚もあるということもあって少しおくれてきたんではないかというふうに私は見ておったわけでございます。  しかし今、先ほど申しましたように、私自身はそんなことをこれから先も考えているわけではございません。なるべく早くやるべきである。これは私は、実は鉄道建設公団の総裁の時代から随分叫び続けた。これだけ東海道新幹線のようにたくさんの金を稼ぐところが、少なくとも国民の期待にこたえられるように、冬はきちっと走れるような対策は早く講ずべきであるというのが私の持論でございます。
  69. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、これはやっぱり大臣の監督権限として、もうそういう人はやめたそうですけれども、私は単なる経済性だけじゃいかぬと思うんですよ。国民に与える影響ということを考えて、ことしの冬はどれだけ国民があの新幹線で、しかもほとんど毎日おくれるんだから、もう毎日、ちょっとした雪で。それは二時間というのをここに資料をいただいていますが、二時間で七十四日間おくれているんだから、二時間以上で。毎日のようにおくれている。こういう状況からすると、私は、六十六年度に向かっていろんなことをされることも結構ですが、その前にまず、少なくとも雪に弱い新幹線、ここを私は少々金をかけても直すしかないと思う、少々金をかけても。  とにかく、いやもうかりゃいいんだ、時間はおくれてもいいんだといったら、ますます国鉄離れするんですよ。もうかることにももうからぬのですよ。だから、それに対してあなたたちは少し認識を新たにして、金がかかるからやらぬ、とにかく今の現状で稼げばいいということであったら、じり貧になるんだよ。そういう思想を持つから国鉄はじり貧になるんだよ、じり貧になってしまうんだ。そんな考えを持つからじり貧になるんだ。そういう点について大臣、しかとひとつ御答弁ください。
  70. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 全くお説のとおりでありまして、東海道新幹線が今日の状況にあるということは国鉄の公共性から見て非常に大きなマイナスであるということなんでございます。したがってこれは、私が先ほど申し上げたように、他のことに先んじてやらなければならないことだと思っておるわけでございます。もうお説のとおりに考えるべきだと思っております。
  71. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは、国鉄結構でございます、総裁。  続いて、特に地方においては最後の公共交通と言われているバス問題について少し御質問したいと思います。  地域社会の生活の重要な手段でありますが、しかしその実態は非常な深刻な状態になっています。昭和四十三年に百一億の輸送をしておったのを頂点に、この十五年間にいわゆる乗客は減少の一途をたどりまして、五十七年度には七十六億人までに減少しました。こういう中で、地方バス労使は懸命に、合理化できるものについては最大限合理化をすると、こういうことでいろいろ努力していますが、乗客の低落傾向は一向にとまらない状態にあります。  なぜとまらないんだろうかということについて考えますと、私はやはり運輸行政としての効果的な行政施策がなされてないというところに問題がありはしないかというふうに思います。もちろん、バスがこのような状態に陥りました主要な原因は、今さら言うまでもありませんが、我が国におけるモータリゼーションが欧米諸国に見られない急激なテンポで普及しているということが第一に挙げられますし、最近では二輪車、つまりバイコロジーの増加が著しい大きな原因になっているということは否めない事実だろうと思います。また、このところ若干の変化はございますが、過疎過密の我が国における固定化の問題。いわゆるモータリゼーションと過疎、これが地方バスを危機に追いやっている主要な原因であることはだれの目にも疑いがないところであります。  そこで運輸省にお聞きをしたいのでありますが、ここ五年間の全国的に非常に苦しい状態に置かれています系統別実態を、ひとつ明らかにしてほしいのであります。五人未満、五人以上から十五人、それから十六人以上という、このここ五年間の状態について運輸省の御説明をしていただきたいと、まず思います。
  72. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 五十二年度から五十七年度までの全国の乗り合いバスの平均乗車密度別系統の推移を申し上げますと、まず五人未満の路線が五十二年度から五十七年度にかけまして五千五百十八系続から七千八百七十系統へ、また五人以上十五人未満の路線につきましては二万四千七百二十二系続から二万五千八百十五系統へ、そういうふうに過疎の路線はふえております。一方、十五人以上の路線につきましては一万二千百五十六系続から一万五百十六系統というように、十五人以上といいますと採算がとれるような路線でございますが、それが減少していると、こういう状況でございます。
  73. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  74. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 速記を起こして。
  75. 安恒良一

    ○安恒良一君 今資料説明していただいた中で、五十三年から五十七年まで見ますと、採算分岐点というのは十五人以上と言われているんですが、そこは千六百四十系統実はもう減っているわけですね。そして、一番問題のある五人未満は二千三百五十二ふえている。それから五人から十五人未満も千九十三ふえている。これは間違いありませんね、局長
  76. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) はい。
  77. 安恒良一

    ○安恒良一君 そういう状況にまずなっているということが一つ大きい問題としてあるわけであります。  そこで、運輸省はこういう状況の中で地方バス路線の維持対策要綱を施行して、昭和四十七年から三年後の五十年度に乗車密度五人未満の路線に対してようやく補助を始めました。バス事業を取り巻く環境の改善、つまり乗客離れの防止策としてのマイカーの規制や運賃の抑制など積極策を持たず、いわゆる対症療法の域を出ない補助を続けてきたのであります。しかし、それにもかかわらずに、今言ったように第三種路線は減らずに逆にふえ続けているということが今の現状だと思います。問題はこの第三種路線でありますが、これは通学通勤、それから老人、子供、車を持てない人にとっては必要不可欠な生活の手段になっています。こういうように地域社会で一定の役割を果たしておりますが、単に経済効率の上から補助をこの際やめたらどうかとか、いろんなことが議論をされているわけでありますが、私は非常に今数字を挙げていただいたことを見ても問題があるというふうに実は考えます。しかも今度は、五十五年度からは三年間補助を受けた第三種路線は五十八年度以降補助の対象とならなくなりました。そして三年間の経過措置がとられていますが、五十九年度予算をもって全面打ち切りとなるということであります。  そこで、次に質問をしたいのでありますが、    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕いわゆる全国の補助対象路線を二種、三種別にキロ当たり収入、支出、補助金額はここ五年間どうなっているのか明らかにしてもらいたい。路線ごとにこれを洗うことが大変難しければ、全国の単位地域割でいいから資料を示して、結論だけを説明してもらいたい。
  78. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいま先生お話にございました地方バス補助対象路線の走行キロ当たり欠損額、二種、三種別というお話でございますが、私ども三種につきましてまだなかなか計算できませんので、二種につきまして全国の平均で申し上げますと、キロ当たりの欠損額が五十五年度八十七円、それから五十六年度九十三円、それから五十七年度九十八円というように増加しているような状況でございます。
  79. 安恒良一

    ○安恒良一君 私はこの資料、きのう言ったんでは大変だろうと思って、数日前に局長以下関係者にお願いをしておったんですが、資料ができていないというのは非常に残念です。ですからこれは早急に、三種についてもこのような計算をしたのをいただきたいと思います。  そこで、これ二種だけ見ましても、キロ当たり欠損が、例えば今一番後に言われました五十七年度で見ると九十八円あるわけですね。そしてキロ当たりの補助金については、私の手元には資料が百万円単価で出ていますが、ただ一つだけちょっと五十七年度を見ると六十五円二十銭と、こう出ているわけですね、これだけ。私が要求したのは、地域別に補助金もキロ当たりで出してもらいたいということを要求しておったんですが、これもまた資料ができていません。できていないからこれはきょうはやむを得ませんから、後日運輸委員会等でも議論したいと思いますから早急に三種を、二種についても補助金、いわゆる金額についてもキロ当たりに直してもらいたいと思う。  いずれにしましても、この資料大臣見ていただいてもわかるように、二種、三種とも大変困難な状況で一生懸命バスの運行に当たっているというのが、この二つの資料大臣おわかりになっていただいたと思うわけであります。  一方、国家の補助金国民の税金を使うんだ、だから効果的に使わなきゃならぬということがあるわけであります。ところが、これまで第二種、第三種の補助が出されてきますが、この補助事業は、この資料を見ていただくとわかるように、第二種、第三種のバスにおいてはもうなくてはならない補助に現実になっているわけですね。キロ当たりの収入、支出、欠損、補助金額、これを見ていただくと大臣おわかりだと思う。しかしながら大臣、第三種がどんどんやっぱり依然としてふえている、不採算路線が。どうしてこんなに不採算路線が毎年ふえ続けるのでしょうか、どうして歯どめがかからないのでしょうか、その原因を明らかにしていただきたい。  それと同時に、このような不採算路線をこれ以上ふやさない手だてがあるんだったら、そのことについて、以上の私と自動車局長なりとのやりとりを聞いていただいて、運輸大臣として、まあ運輸大臣も御出身地はかなり過疎地域で御承知だと思いますから、お考えをひとつまずこの点について聞かせてください。
  80. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私も今御指摘のように島根県という大変な過疎地域でございまして、大きいバス会社が一畑電鉄と石見交通、これが二つの大きな会社でございますが、これが四苦八苦いたしております。また、国鉄自動車も山間部を大分走っておりますが、これまた乗客の減で苦しんでおります。  なぜ減るかということにつきましては、もう先ほど来御指摘がございましたとおりで私から改めて説明する必要はないと思いますが、モータリゼーションあるいは二輪車の利用が非常にふえたこと、また私どもの方では過疎が進行しておること、この三つが重なっておるわけでございます。したがってこのような状況になっておるのでございますが、私は、私の方の山間部等について特に申しておるのでありますけれども、バスを走らせるのに非常に、例えば五人以下というようなところについてはバスの形をしたものでなきゃならぬということは必ずしもないんで、ミニバスあるいはもっと小型の自動車で何とかできないかと。  これは少し長くなりますが、私は、一番過疎のところで農協が通院、通学者をトラックで屋根をつくって運んでおりまして、これが白バスでひっかかったわけであります。これはこれしか方法がないから農協がやっておったわけですが、これに乗り合い自動車の免許を与えるということをやりました。これは今も続けてやっておると思いますが、トラックに臨時に屋根をつけて、そして通学と通院等の客だけを運ぶというような例を一つつくってみました。これは組合の事業として、一応とにかく曲がりなりにもシビルミニマムを達成できるということで、一つの効果があったように思っております。ですから、いろんな角度からこれは見ていかなければならぬことだと思っております。  また、これは先の話になるかもしれませんが、補助金の問題につきましての一般の認識が、ほかのものよりもどちらかというと非常に、一般の方々にバスに対する補助金については薄いということ、利用者が未成年者や特に学生や老人や病人やそういう方々でございまして、生きのいい人は皆自家用車を持っておるという格好でございますので、予算を我々とります場合にも、バスの補助金についての認識といいましょうか、力といいましょうか、そういうものは非常に少ないように思うのでございます。そういう点で、今御質問をいろいろいただいておるような点、大変私ども意を強くしておるわけですが、そういうことに相なっておるのではないかというふうに思っております。ちょっと余計なことをしゃべりましたが。
  81. 安恒良一

    ○安恒良一君 時間がございませんからできるだけひとつ簡単にお願いしたいんです。  それで、これも資料が来ておりませんから、来ておればもう結論だけ示してもらいたいんですが、今もちょっと大臣が言われたように市町村でバスをやっているところもあると。大臣もそういうことを一つさせたとおっしゃっていますが、今全国で市町村バスがかなり走っておりますが、それはどのくらいあって、その運営の実態を私は数字で示してほしいということをきのうお願いしておきましたが、この資料にちょっと今あるのかどうかわかりません。もしもなければこれを改めて出してもらうということで、ただ、これも私は、私なりの調査で見ると、まあ何とかやっているということで、なかなか健全な運営ということが非常に問題があるように思っています。ですから、これは資料がありませんから次回やるということにして、資料をひとつ出してほしいと思います。  そこで、次の問題に入っていきたいと思いますが、今も大臣がおっしゃったように、第三種生活路線は企業性に乏しい、こういう考え方でいわゆる廃止代替運行切りかえ政策、これを運輸省がとっておられます。ところが、私は、この第三種路線というのはただ単に、何回も言うように、企業性だけで考えるべきじゃないんじゃないか、お年寄りとか子供とか、それからいわゆる過疎地域において。そこで、五十八年度以降第三種路線についての打ち切りが行われている現状にかんがみまして、廃止代替バスが各地域で走っていますが、その実態は決してよい状況にあるというふうに私は考えていません。例外には非常にうまくいっているところもありますが、その全体の内容については非常に問題があると思いますが、その内容について、廃止代行バスがどういう状況になっているのかということについてちょっと説明してください。
  82. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 五十八年度中に第三種生活路線の補助の打ち切りに伴いまして運行された代替バス、これは約百系統ございます。このうち市町村がみずから運営しているもの、これが約二十五系統、それから五十八年度から新しく導入しました貸し切りバス形態によるものが七十五系統、こういうような状況になっております。
  83. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣ね、これはなぜこういうものがうまくいかないかというと、代替運行補助金、いわゆる補助というものが、一つは車両購入費の補助ですね、それから二つ目には初年度開設補助、それから第三番目は運行補助と、こうなっています。しかし、運行の中で一番大きいものは、バス事業とか電鉄事業というのは人件費なんですよね。ところが、この人件費については全然補助の対象にされないわけです。ここに私は非常に問題があると思うんですね。ですから、今おっしゃったように廃止になって代行バスをいろいろやろうと思いましても、またやっていく中で非常に問題が出てきています。  ですから、私は、少なくともこの部面において、第三種路線から廃止代替運行く切りかえられる場合には、当然運行の主要な部分を占める人件費についても補助対象としなければ、実際のバスの足は守れないと思いますが、この点について今後どういうふうに考えるか。ひとつ私は積極的に大臣として——まあ今までも、率直なことを言って、運輸省はお考えのようですが、大蔵省が頭からぽんとそんなものはだめだと、こう来るらしいんですね。これはぜひ、特にかつて運輸官僚であられた大臣としては一番詳しいと思いますから、少なくともこの廃止代行運行の場合については、この運行補助の中における人件費補助について前向きに積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、大臣のお考えなり決意のほどをお聞かせくださ
  84. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) おっしゃるとおり、第三種路線につきましては非常に悩んでおるわけなんでございます。  私はやっぱり一番大切なのは、この第三種路線、これの性格づけといいましょうか、いわゆるシビルミニマムとしてこれを守らなくちゃいけないんだという観念が確立されることが何より必要なんで、ところが先ほどちょっと先走って申し上げたんですけれども、その認識が私どもがいろいろ言いましても政府部内でもなかなか得られないというところに非常に問題があると思うんです。根本は私はそこにある。絶対額として大した額のものじゃありませんから予算編成においても考えられてしかるべきことだと思うんでございますが、最小限度必要なんだと、このバスは。だからやらなくちゃいけないんだ、存置しなければいけないんだという基本観念が確立することが前提だと思っております。私としましては、その点は安恒委員も同感でそういう説をなさっておると思うのでございますが、この点について一体どういうふうな説得をし、また自治省との関係もいろいろございます。交付税やなんかとの関係も考えてみなきゃならぬ問題もあると思います。  いろんな点で、いわゆるシビルミニマムとして確保するんだという観念をどこまで打ち立てられるか。これはもう予算当局は非常にきつい当たり方になっておるわけでございます。むだといえばむだのように見えるわけでございますからこれはきついわけでございますが、そういう点について来年度の予算編成までに少しどういうふうにやっていくか考えさせていただきたいと思います。
  85. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、六十年度からは第三種の補助金は完全に打ち切るというふうに聞いていますが、    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕私は、今言われた政府のシビルミニマムをつくるとかそういう積極策がないままですと、今のバスの状況を見ますと、一種から二種へ、二種から三種へというふうに、幹が枯れるようにこのままでいくとなってしまうというんです。なぜかというと、第三種路線というのはいわば枝路線なんですね。それから第二種路線といえば幹に近い枝と言えます。ところが第二種が第三種に落ち込まないという保証はないわけで、これを見てもわかるように、だんだん十五人以上からそれが第二種へ転落し、そして第三種へと転落をしているわけですね。  しかしながら、それなら、第三種に落ちてしまったところは、三年なら三年補助してあとは打ち切りゃいいじゃないかということにはならぬと思うんです。少なくとも第三種を頼りに生活をしている人が全国の過疎地に多くいるわけですね。ですからこういう実態を無視してはいけない。いわゆるトランスポーテーション・プアと言われることを一体どうするのか。国民は憲法のもとにおいて平等の保障を受けているわけです、生活については。ところが足のない地域がこのままでいくと出てきてしまう、こういうことにこれはなるわけですから、その面から見ると単に採算性ということ、企業性ということだけで私はやっぱり考えてはいけないと、こういうふうに思うわけです。でありますから、その辺をどういうふうにお考えになっているのかということなんだと思います。
  86. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今私が申し上げたので、これは単に採算性だけで物を考えちゃいかぬと思いますが、この点につきましては、私は地方公共団体が、こういう小さい問題についての面倒を見るという第一次的な機関だと思うのでございます。したがって、地方と国との関係、国の予算も窮屈、地方も窮屈ではございますが、そういう点についてもっと工夫を凝らしてみるべきではなかろうか。基本的に採算だけでこういうものをどんどん切り落としていいということは私は絶対にいけないということであるということについては、同感でございます。そういう点について地方と国の分担、役割分担というようなものをもっと考えてみる必要があるんじゃなかろうかと、かように思っておる次第でございます。
  87. 安恒良一

    ○安恒良一君 局長、足らない点があれば後で補足してもらうことにします。  それで、まずこれは局長にもお聞きしたいんですが、六十年度には現行のバスの補助制度について全面的な見直しをする、こういうふうに言われていますが、それはどのように改定をするのか、構想を明確にしてもらいたいと思う。
  88. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 現在の地方バス補助の仕組みは、これは五十五年度から五十九年度までの五カ年間と、一応こういうふうになっております。したがいまして、六十年度からはまたこれの見直しをして、新たな構想で地方の、地域の住民の足を確保するために、地方バスの維持整備について対策を考えていかなければならない、こういうことでございまして、まだ具体的にどういうようなことでその仕組みを考えるか、その辺のところについては結論は得ておりません。  先ほど来いろいろ御議論のございました三種の路線も含めまして、二種につきましても、それから市町村の代替バスにつきましても、現行の制度でいいのかあるいは現行の制度を抜本的に見直すべきか、そういうような点につきまして、いろいろな方々の御意見を聞きながら、地方バスの維持整備のための仕組みをこれから検討してまいりたいというふうに考えております。
  89. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、今お聞きのとおりこれから検討するということらしいですから、私はぜひともこの際、今私が申し上げましたように、第三種路線の維持、第二種路線の維持、それから既に廃止代替をした地域におけるバスの維持、こういう点については、前向きに積極的にひとつ六十年度改正に向けて取り組んでいただきたいということを要望しておきます。  特に、これは私の意見でありますが、現状のバスの補助に照らして、補助そのものに関して直接、法を設定する必要があるんではないだろうか。実を申し上げまして、私ども社会党は今議員立法の準備にかかっています。でありますから、どうかそれらの問題も含めて前向きな御検討をひとつバスの維持のためにぜひ大臣にお願いをしたいのでありますが、その点どうでしょうか。
  90. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御趣旨を十分踏まえまして、前向きで検討させていただきます。  先ほど申し上げましたように、強力な応援体制というものがなかなか難しいものでございますから、そこへ持ってきて行革だ、財政再建だと、こういうことなんで、非常な苦しい状況の中でございますが、我々としてはシビルミニマムを守るという見地から努力してまいりたい、かように思います。
  91. 安恒良一

    ○安恒良一君 そこで、検討事項の中でぜひ検討してもらいたいことを申し上げておきます。  今のいわゆる第三種とか第二種の計算方法は、乗車密度を大人一人当たりの運賃に換算をする、こういうやり方になっているわけですね。ところがこの基礎には通勤通学定期、それから小児、子供は運賃割引があります。しかしこれは、社会政策や文教政策で国の指導によって業者自体が割り引いているわけです、国がそうしなさいということで。でありますから、したがって子供でも定期券でも五人は五人、十人は十人として計算してもらわないと、子供の運賃は大人の運賃に換算して一人かどうかと、こういう計算になっているように私は思うのでありますが、この点はぜひ再検討してもらいたい、これが一つであります。  それから二つ目に、同じく検討に当たってお願いしておきたいのは、いわゆる今もシビルミニマムをどうつくるかということで大臣御苦労されているんですが、私はやっぱり、生活路線とは何だろうかということの国民的なコンセンサスをつくる必要があると思うんです、国民的なコンセンサスを。それは、私から言わせると、やはり集落から集落を結ぶバス、そして今大臣もおっしゃったように、地方におけるところの自治体の首長がこれは生活路線だ、必要だと、こういう認定をしますと生活路線にしていくというふうにしていかないと、今言ったような計算方法で、子供の分を大人に換算して計算して、これは五人未満とか、これは五人から十五人だという計算をしておったのでは、なかなか私は過疎地におけるバスを維持していくということは非常に困難だと思います。  ですからこれは、私の考えを申し上げましたから、局長もこれからだということでありますから、検討の際に、今申し上げたいわゆる集落から集落を結ぶバス路線、そして地方自治体の首長が必要だと認めたのはやはり生活路線とするというようなやり方、それから今のような計算のやり方については再検討してもらいたい。国の施策によって割引させておって、割引した料金を今度は大人の一人前に換算をしてやるから五人未満にどんどん落ちるとか、こんなばかげたことはないと思いますから、御検討願っておきたい。これは検討課題として申し上げておきます。  そこで、その次に一つお聞きしたいことがあるのでありますが、廃止代行運行が行われています。そのとき運輸省は、廃止代替バスについては、まず市町村がみずから運行する場合、それから市町村が貸し切りバスを借り上げて運行する場合、それから市町村の依頼を受けて貸し切りバス会社が代行バスを運行する場合の三つの方法が、行政指導としてされています。私は率直なことを言わせていただいて、これはもちはもち屋ということで、やはりこの一、二、三のうちで一番いいのは三の方法の方がいいんじゃないか、それから、やり方いかんによれば、コスト的にもこの方が国民経済的にも安くやれるんじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。  ところが、実はこういうことが起こっています。  これは、関東の葛生町と山野井運輸が最近、代替輸送を行う自家用車自動車有償運行業務の協定を結んでいます。一つの路線で一日二往復、年間請負百八十万という請負になっているわけですね。これは、いかに町がバスを提供し何を提供しても、とっても一日三往復、年間の契約百八十万などということでできるはずはないのであります。これは、最寄りのバス会社がコストを出したときには、たしか四百六十万か四百八十万。ところが、競争入札になって、百八十万の方が落札をしたということですね。そこで問題は、トラックをやっておる方々が大型二種免許を持っているかというと、大型二種免許を持っていない。ただ、ここで使うバスは、大臣がおっしゃったように、小型バスでありますから大型一種免許を持っていれば、まあ免許行政に関してはトラック運転手が大型一種免許を持っているということですわ。  しかし、私から言わせると、こんなことを言ったら悪いんですが、物を運ぶのと人を運ぶのとでは全然違うんですよ。ですから、なぜこんなことが起こったかというと、これはたまたま、私はこれからも起こってくると思いますが、町としては、どこかへ依頼するときに、できるだけ安いところに頼みたい、こうなるわけですね。そうすると、トラック会社が荷物を運びながら片手間にお客を一日三往復ということで落札、こういうことになりかねません。  私はやっぱりこれから残念ながら、廃止代行がふえないことを望むのでありますが、この代行がふえてくるということになってくると思うんです。それから、率直に言って、これは百一条の拡大解釈と見られる部面も私はあると思います。きょうは時間がありませんから、この問題を細かく、今私は起こっているこのことについて申し上げているわけじゃないのであります。問題は、こういうことが全国的に発生をしてはいけませんので、全国的な発生を防止するために局長としてはどういうふうに今後指導されるのか、このことについてお聞きをしたいんです。
  92. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 私どもといたしましては、従来から三種路線を廃止して市町村の代替バスに切りかえる、こういう場合に、法律的には百一条の「許可」を運用してやっておるわけでございますが、その際に、できる限りバス事業者の能力を市町村の方で活用するようにと、そういう方向で対応してきておるわけでございますが、ただいま先生が御指摘なされましたような事例がありましたので、今後、こういうような事例が発生しないように局長通達を出すなり、あるいは出先の自動車部長あるいは陸運事務所長等の会議におきまして、この趣旨の、私どもの趣旨の徹底をしっかりと図っていきたい、かように考えております。
  93. 安恒良一

    ○安恒良一君 これは大臣目黒議員もいろいろ国鉄労使関係を言われましたが、やはり労使関係を維持していく上に当たっても、一定のコストというのがあるわけであります。それを割るとどういうことになるかというと、それは今度は運転手さんを初め従業員の方にしわ寄せが来る。そうすると、従業員の方にしわ寄せが来ますと、今輸送業で一番大切なことは、いわゆるお客さんを安全に運ぶということなんです。そのことに支障があっては私はいけないと思うんですね。安かろう悪かろうでは困るわけです、少なくとも人間を乗せて運ぶわけですから。  その意味からいって、今局長が言われたように、こういうことが今後起こらないような局長としての通達をきちっと全国に出して、御指導をぜひともお願いしたいと思う。よろしゅうございますね。
  94. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいまも申し上げましたとおり、出す予定でございます。
  95. 安恒良一

    ○安恒良一君 次に、六十年度の改定に向けて重ねて考え方を私は述べ、今後改定の中で十分参考にしてもらいたいと思います。  私は、何といっても、今の事業法の枠内だけで過疎地域における二種や三種を守っていこうということは、なかなか無理があるだろうと思うんです。ですから、交通労働、いわゆる乗客の安全、生命を預かっているという、こういう交通労働の特殊性から考えて、私は国の制度的な保護がどうしても必要だろうと。それはやはり財政それから税制、金融ですね。それから、大臣がおっしゃったように、地方への権限の移譲、自治体にも責任を持たせるというならば、自治体に対する権限の移譲、こういうことをあわせて交通の健全化を考えなければならぬのだと思います。  そういう思い切った抜本的な対策をぜひ六十年度改正に向けてやっていただきたい、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  96. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいた先生が御指摘されましたような地方バスの維持のためのいろいろな御提言、私ども十分に参考にさせていただきたいと思いますが、ただいまも、現在の地方バス補助制度、これも国だけではなくて、県なり市町村と一体となって助成をしておるわけでございます。それから、財政面につきましても税制面につきましても、厳しい財政状況の中で地域の住民の足を守るという観点から私ども最大限に努力をしてきておりますし、また相当程度、財政当局にもかなりの御理解はいただいて予算も年々増加しているというような状況でございます。しかし、五十九年度までの制度でございますので、六十年度この見直しに当たりまして、ただいま先生がおっしゃいましたような御趣旨を踏まえて私どもとしては最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  97. 安恒良一

    ○安恒良一君 これは、何回も言いましたように、私としてはやはりいわゆる法制化が必要だと思うんですが、しかし、この点についてはいろいろ事務当局も御意見があるようで、特に大蔵なんかはいろいろな意見を持っているようでありますから、私は、そういう努力はこれからも国政の場において続けていきたいと思っていますが、少なくともそのことに至るまでにはまだ紆余曲折があるだろうと思いますから、それまでは第三種の補助は続けるということ、それからこの代行運行の補助にぜひとも人件費ぐらいは入れると。これは、大蔵省には要求を出されて、なかなか通ってないということでありますが、これくらいの処置はどうしてもやっていかないと、なかなか私は過疎地域における国民の足としてのバスを守ることができないと思いますが、この点についてはどういうお考えをお持ちですか。
  98. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいまの三種の補助の維持、それから市町村の代行バスの人件費等の問題、それから先ほど先生から御指摘いただきました平均乗車密度の計算方法、いろいろ貴重な御意見を賜ったわけでございますが、私ども、十分にただいまのような諸点につきまして検討を加えて、地域の住民の足を守るという見地から最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  99. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、最後に。  私は十七分までで、トラック関係も用意しておりましたが、時間がありませんので、これは次の一般のときに譲ることにいたしまして、最後に今の点について大臣に御要望し、大臣のお考えを聞いて終わりにしたいと思います。  ぜひとも、大臣自身が何回もおっしゃるように、一番過疎地域の御出身でもありますし、しかも運輸行政に素人の大臣ではない、もともと運輸行政に非常に通暁をされている大臣としまして、今私が申し上げましたようなことについて、事務当局一生懸命努力をすると言っておりますが、何といってもこれは、大臣もおっしゃったように、もうそんな採算性のないところに金を出すのは国民経済的にむだじゃないかという、こういう大蔵官僚的な思想、これをやはり打破していただかないと私は、もう一生懸命労使で本当に協力して、大臣も過疎地域におけるバスの実態を見られていると思います、私たちから言わせると労働基準法違反を組合側から提案をしてでもバスの路線を守らなきゃならぬといういじましい努力をしています、率直なことを言って。そういう実態は大臣自身の県でもよく御承知だと思います。  でありますから、今私が申し上げましたように、第三種に対する補助は続けていく、それから代行運行の補助については、やはり人件費ぐらいはまず入れる、こういうひとつ御努力をぜひともお願いをしたいと思いますが、大臣よろしゅうございますか。
  100. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 過疎地域のバスの問題について、もう非常に詳細にわたって、温かい気持ちからいろいろな御質問をいただき、あるいは御提案をいただいておることを非常に感謝いたしております。私どもも痛感をしておりますいろいろな問題でございます。  先ほども私申し上げましたが、この問題が、例えば市町村長が陳情に出かける場合でも、いろいろな問題を出すときに、大きな問題として出されるかというと、なかなかこれが出されない、政治的な大きな力にならない、こういう性格を持っておると思います。そういうことで、実際には非常に必要なことなんで、絶対にやらなければならぬことなのですが、力が弱いというか、押しまくられちまうというのが、偽らざる実情であるように思うのでございます。そういう点は、運輸省というのは、公共性を守る、国民の足を守る、特に安全を守るということが大きな仕事でございますので、できるだけの努力をひとつやってみたいと思うのでございますが、これは与野党を通じてまた政治的な御協力もお願いしなければならない問題になろうかと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  101. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  102. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間が四十五分しかありませんが、三点質問いたします。  一つは、アメリカ大陸横断新幹線鉄道の建設について。第二番目に、中国鉄道に対する日本の協力について。第三点が、いま交通渋帯がひどいのでありますが、この解決策と物流対策について。この三点を御質問いたします。  まず、国鉄質問いたしますが、アメリカ大陸新幹線の建設問題について、先般からいろいろ新聞情報を見ていますが、去る三日、ロサンゼルスからの情報によりますと、アメリカの高速鉄道会社が依頼したアーサー・D・リトル社の調査報告が出まして、ロサンゼルス−サンジエゴ間の新幹線を建設すれば、一日大体十万人ぐらいのお客があって採算が合うんだと、したがって建設を進めるべきだという報告が出たようでありますが、この新幹線建設に対する今日までの国鉄の取り組み、情報によりますと、いろいろ民間の会社も出資しておるようでありますし、また政界筋もいろいろひもがあるようでありますが、今日までの取り組みとそれから現状、これからの構想について御答弁を求めます。
  104. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) アメリカ合衆国に対します国鉄の技術協力というものは昭和五十三年以来行われておりまして、最初行われましたのがボストン−ニューヨーク−ワシントン、いわゆる北東回廊と言われております鉄道の改良でございます。その後鉄道の見直しというような空気が世界全般にございまして、特に日本の国鉄の新幹線、これが昭和三十九年開業以来非常に安定して安全で、しかも輸送量も相当多いと、鉄道の見直しの機運をつくったわけでございますが、そういった日本の鉄道の技術というものもアメリカで大分評価されまして、一九八一年、昭和五十六年から今日まで、このカリフォルニアにおきますロサンゼルス−サンジエゴ間約二百十キロの新幹線の鉄道建設につきまして、技術的な協力を行ってまいりました。私どもフィージビリティースタディーと申しておりますが、この両都市圏の間を結びます新幹線鉄道につきまして、主たる経過地点あるいは停車駅あるいは構造等につきまして調査検討を進めてまいりまして、大体の計画をまとめ、建設の概算工事費をはじくまでになったわけでございます。  一方、アメリカ側としましては、一九八一年十二月、AHSRCと言われておりますが、アメリカ高速鉄道という会社が設立されまして、この会長をやっておられるのはボイドさんといわれる、前アムトラックの総裁をおやりになりその前は運輸長官をおやりになったという立派な方でございますが、その方が会長になりましてこの会社が設立されたということでございまして、私どもの技術的な協力と同時に、先ほど先生からお話のありました、こういうものができた場合の輸送量想定、それからそれに基づきます、収支はどうなるかといういわゆる収支の試算につきまして、アーサー・D・リトルという、これはアメリカにおきます立派な調査会社でございますが、そこに委嘱いたしましてこれらの調査を進めてきたということで、最近に至ってその結果が出てきたということでございます。  私どもも今その結果につきまして、これを今送ってもらっておりますけれども、これを私どもももう一度チェックをしたいと思っておりますが、今お話にありましたように、輸送量十万人というお話が出ておりますが、大体その程度のものになるかなというのが私どもも感じているところでございます。  建設費で比べますと、日本の新幹線の建設に比べましてやはりアメリカ合衆国での建設というのは、地質の条件もありますし、あるいは都市の分布状況もございますし、土地の広さというようなこともございまして、構造物も割合日本でつくる構造物に比べますと軽易なもので済む予定でございます。したがいまして、建設費のコストそのものは日本の建設に比べますと大分安くなるという見込みでございまして、そういうことを考え合わせますと、アメリカ人の生活慣習その他ございますけれども、このアーサー・D・リトルがそういう数字を出しているとすれば収支の見込みも十分立つのではないかというふうに見ているわけでございます。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 アメリカの高速鉄道会社がもうできているんですが、向こうはいいですが、こちらの方の折衝の主体、どこが一番主体となってこれから話を進めていくか。  例えば、アメリカの要求では、三十億ドルの四分の一ぐらい日本の銀行から借りたいというようなこと、それからあと技術協力なり、あと職員の派遣などありましょうが、この会社と折衝していく一番の窓口なりあるいは主体はどこですか。
  106. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) 技術的には私どもがやるわけでございますが、今お話のございました資金調達でございます。  概算見込みとして三十億ドルぐらい要るだろう、そのうちの四分の一ぐらいを日本側で調達してほしいという要請が、アメリカン・ハイ・スピードの会社から出ているようでございます。これを受けて、今日本でこの資金調達の関係を日本側として受けておりますのが、東京銀行、日本興業銀行、野村証券、この三社と聞いております。この三社が今財界あるいは金融筋あるいは関係政府機関等といろいろお話をされていると聞いておりますけれども、この四分の一の調達についての作業は現在進みつつあるというふうに聞いているわけでございます。
  107. 小柳勇

    ○小柳勇君 まだ進行中でありますから正確なことも御答弁できないと思うが、過去に例えば日本の政商あるいは政治家どもパイプを持って動いたようであります。願わくはそういう疑獄などが起こりませんように、私どもはいろいろこの情報をずっと集めておりますが、特にそういう点でひとつ注意してもらいたい。  と同時に、今日本の国有鉄道その他、合理化でたくさん優秀な技術屋もおりますから、できるだけたくさんの人を派遣するような方途も考えていただきたい。お願いをしておきます。具体性が出ましたらまた質問いたします。  第二は、中国鉄道でありますが、この間中曽根総理が参りましたときも話が出たように聞いておりますが、第二段階に入っておるようだ、対中鉄道技術協力の第二段階、五十九年から六十三年ということで、中曽根訪中で相当合意されたんではないかと、そういう話を聞いておりますが、その内容はどうであるか。特に中国の場合は、かつて満鉄もありましたし、日本の国鉄の中にもあるいはその他にもたくさん地理的にも近い人がいますから、これからの中国との鉄道協力の問題は非常に重要であります。これは運輸省の方で窓口があるようでありますが、運輸省から答弁を求めましょう。
  108. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) このたびの第二次の中国の円借につきましては、鉄道と港湾と通信、水力発電の七案件につきまして、財政事情等を勘案の上できる限り協力を行おうというような話があったようでございまして、具体的な借款の額や条件につきましては、毎年度の対象案件の進捗状況なりあるいは我が国の財政事情なり、こういうものを見ながら実務者で決めていこうと、こういうことでございまして、今、先生御案内と思いますが、鉄道に関しましては衡陽と広州間の鉄道の拡充計画、鄭州−宝鶏の鉄道電化計画というこの二つのプロジェクトが大きく対象になっておりまして、これにつきましては五十八年度にはいわゆるフィージビリティースタディーも行っておりまして、我々としても、特に国鉄の技術力というものが大いに買われておりますので、そういう面からもぜひ積極的に参画をし貢献をしてまいりたいと、かように考えております。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 中国に行く訪中団もたくさんありますから、話題になりますから、この点も積極的に進めていただくようにお願いします。  次は、現在の交通渋滞の解消とそれから物流対策で具体的に質問してまいります。各省関係者に来ていただいておりますが、要点だけ簡潔に御答弁を願いたいと思います。  けさもテレビを聞いておりますと、東名高速道路が十二キロ渋滞、神奈川まで渋滞だと放送しております。毎朝テレビが放送している。五キロ、十キロ、十三キロといいますともう大事故ですが、それがもうなれてしまって、当たり前になっている。大変な情勢でありますから、この交通渋滞を解消するには一体どうするか。一億二千万の人間の足を守り、かつ六十億トンに近い荷物を運ばなければ日本の経済は成り立たない。その道路が動きがとれない、私はもう四、五年したら動きがとれないのではないかと思います。  したがってきょうは、現在の車の動きと、それからこれからの生産両数、道路の整備状況、それから貨物の動き、それから国鉄のこれから六〇・三に対する考え方、そして最後に、一体この交通渋滞をこれから重くしないで解消する方途は一体何か、特に、この貨物の六十億トンを満足に各地域で運送する方法はどういう方法があるか、このことを質問していきたい。恐らく時間が足りませんでしょうが、これはあと足らない面は一般質問に譲ります。  大体各省から一応の資料はとっておりまして、この小さい論文にまとめておりますから、その補強という意味できょうは各省を呼んだわけです。そういうことで、簡潔に要点だけを御答弁願えれば、それをずっとここへ入れましてまとめてみたいと思っているところであります。  そこで、まず警察庁に、現在の交通状況、交通渋滞の状況について御説明を求めます。一般国道、高速道路、首都圏の交通渋滞、交通渋滞と事故発生の状況、まずこれだけを簡潔に御答弁願います。
  110. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) お答えいたします。  最近の交通状況を見ますと、この十年間に自動車につきましては七一%、運転免許保有者が五九%と、それぞれ大幅に増加しておりますけれども、他方、道路の延長は八%の増にとどまっておりまして、交通渋滞は一般的に言いましても年々深刻さを増しているところでございます。このような状況のもとで警察といたしましても渋滞解消のために全力を尽くしているわけでございますが、それにもかかわらず、例えば東京について見ますと、現在の統計方法によることとなりました昭和五十一年から五十八年の七年間に、一般道路での渋滞が一一%増、首都高速での渋滞が二八%増というように深刻化している状況にございます。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 非常に簡潔過ぎまして、聞いている皆さんおわかりにならぬと思うんです。私は資料をもらっていますから全部わかっているんですけれども、例えば高速道路でも一日十万台通るところがある。一日十万台といいますと、一秒間に一・二台通過していくわけです。そういうところがこの図表の中に出ておりまして、この黒い大きなところは一日十万台通るところです。十万台といいますと、本当に一秒間に一・二台通らなければなりませんよ。それから、首都圏のこの辺の都内に入ります高速道路の渋滞が、これは朝と午後ととってあります。これが大体五キロから八キロの渋滞、朝と午後が。これは毎日なんです。それから一年間の平均、この渋滞をとりますとこういうふうで、一カ月間に百二十時間ぐらいの渋滞、こういう状態です。  これからそれじゃ道路の渋滞が楽になるかというと、車の生産状況を次に通産省に質問いたしますが、まず運輸省から、現在の車の保有両数と廃車台数。現在大体車というのが何台動いておるか、それで年間どのくらい廃車になるか、そのことを運輸省から報告してください。
  112. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 先生のお手元に詳しい資料があると思いますので、簡潔にお答えいたしますが、五十八年の三月末で自動車は四千二百六十九万台でございます。十年前の四十八年三月に対比しますと、七八・八%の増、こういう状況になっております。  それから、保有台数の増加でございますが、当然、生産増に伴って増加する分と廃車される分と、こうございますので、増加の状況を申し上げますと、年間の保有台数の増加の状況、これは最近の三年間でございますが、五十五年度が百六十六万台、それから五十六年度が百八十四万台、五十七年度が百八十五万台というふうに年間増加しております。  それから、廃車でございますが、廃車の台数は五十五年度は四百六十一万台、五十六年度は四百五十六万台、五十七年度が四百七十万台と、こういうふうに廃車の台数としてはほぼ横ばいという状況です。先ほど申し上げました増加の台数は、当然この廃車の分も引いてカウントしてございます。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 今御答弁のように、大体現在の保有台数四千三百万台、それにこれから質問いたします生産台数、通産省ですね、毎年何台ぐらいできるか、そして外国にどのくらい売りますかということを御答弁願います。
  114. 堤富男

    説明員(堤富男君) お答え申し上げます。  自動車の一九八三年における生産台数は一千百十一万台でございます。そのうち国内販売に回った分が五百三十八万台ございます。輸出は五百六十七万台でございまして、これは生産がすぐに販売と輸出に割れないので足し算しても数字はちょっと合いませんが、在庫の調整という形になっております。千百十一万台といいますとこれは世界一でございますが、一九六〇年のときには七十六万台でございまして、六〇年代では二〇%、七〇年代では約七・六%、八〇年代になりましてからは非常に伸びが小そうございまして一%弱の伸びをしております。  簡単でございますが。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 今通産省から答弁がありましたように、一千百万台ぐらい年間製造いたしまして半分は外国へ行きます。半分はこの四千三百万台の現在の車に加わっていくわけでありまして、さっき自動車局から廃車を聞きますというと、大体三百万台ぐらいふえていくと。そうしますと、五カ年いたしますと、今四千三百万台ですから、それに一千万台、五千五、六百万台になりますね。  そこで、建設省に聞きますが、道路の整備状況、拡幅なり延長なりその整備状況について、高速道路、一般国道など御説明を願います。
  116. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) 道路の整備状況でございますが、まず高速自動車国道について申し上げますと、法定路線七千六百キロに対しまして、昭和五十九年四月一日現在完成が三千四百三十五キロでございまして、進捗は四五%でございます。  それから、一般道路について申し上げますと、まず一般道路のうちの一般国道でございますが、五十八年四月一日現在でございますが、整備率は延長四万四千キロに対しまして六二%、都道府県道は延長十二万四千キロメートルに対して四六%、市町村道は延長九十五万キロに対しまして二九%、合計で百十二万キロ、三二%となっております。また舗装率でございますが、簡易舗装を含めた数字を申し上げますと、一般国道は九六%、都道府県道は八四%、市町村道は四五%、合計で五一%になっております。それから次に道路幅員でございますが、一般国道及び都道府県道等の幹線道路について見ますと、現在でもバスのすれ違いのできない幅員五・五メーター未満の延長は七万一千キロでございまして全体の四二%、それから四車線以上の道路は全体の四%の六千キロメートルにすぎないと、そういった状況でございます。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 今御説明のように、道路、大体全部の道路百十二万キロでありますが、これからの道路の五カ年計画をばりばりやりましても、これから五千キロ延長なかなか大変なことであります。したがいまして、高速道路、国道、県道、これで大体十七万キロぐらいしかございません。これに道路整備の金をぶち込みましても、その十七万キロを何万キロ延ばすという可能性はもうない。  その道路の上を五千五百万台の車がこれから走らなきゃならぬ。これも、簡単な算術計算をやりましても、車間距離はもう八メーターか十メーターぐらいしかないような情勢である。だから、ちょっと事故をやりますともう十キロ、けさのように十三キロの渋滞。これを解決する方途は一体どこにあるのか。  その前にちょっと建設省に。高速道路で例えば貨物がドライブインに入りますと、ドライブインでは貨物の大きなトラックが入ると嫌うと。それかといって、高速道路の途中ではもちろん休憩所もない、休息するところもない。この休息所の建設とかあるいはドライブインなどは、高速道路建設の条件になっていない、法律上義務的になっていない。そういうものも非常な大きな事故の原因ではないかと思うが、建設省として、この高速道路の休憩所なりあるいはドライブインの余分の建設など、お考えになっているのかどうか聞いておきたい。
  118. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) 高速自動車国道におきます先生指摘のトラックの休憩施設でございますが、大体五十キロごとにサービスエリア、これは給油施設等を伴った大規模のものでございますが、サービスエリアと、それから十五キロ間隔ぐらいでパーキングエリアと、こういったものを高速道路に設置するようにしております。  ただいま御指摘のように、大変トラックの交通がふえましてそういったものの不足が言われておりますので、私どもにつきましては、新しいそういったパーキングエリアを増設するとか、あるいは既設のものについてこれを拡充して駐車台数をふやすというふうなことにつきまして、トラック協会さんの方のいろいろな御意見を聞きながら現在努力しているところでございます。しかし都市周辺につきましては、例えば港北パーキングエリアの増設なんかをやっておりますけれども、非常に地価が高いということもございますので、先日拡幅が終わったところでございますが、まだまだ不十分でございますので、現在東京周辺で考えておりますのは東名の六車線化、御殿場と大井松田の間を六車線に拡幅する計画を今やっておりますが、その間に大規模なトラックが十分駐車できるようなパーキングエリアを現在計画して建設をこれから進めたいと考えております。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連しまして、トラック協会などで従業員の休憩所をつくっていますね。したがって、国の補助金、交付金がないとやっていけないが、交付金については打ち切るという構想はないんですね。
  120. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) ただいま先生指摘のように、トラックステーションというものに運輸事業振興助成交付金という形で各都道府県からいただいておりまして、それをもとにトラックステーションをつくっております。現在相当程度整備が進んでおりますが、この交付金の制度は、軽油引取税の関係がございますので、五十九年度までという形に一応なっております。しかし私どもとしては、今計画中のものあるいはそれ以上にトラックステーションあるいはトラック事業の運営の円滑化のためにそういうものが必要だと考えておりますので、六十年度以降も継続していただけるようにこれは私どもなりに十分努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  121. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設省の方から圧力があると聞いておったから、建設省ちょっと意見聞いておきます。
  122. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) ただいまの御質問でございますけれども、建設省といたしましてもそういった休憩施設につきましては十分配慮していきたいという考えでございまして、ただいまのトラックステーションは高速道路の区域外でございますが、高速道路の区域内に、例えば東名で申しますと足柄にその仮眠施設というようなものをつくりまして、これは道路施設協会等でそういったものをつくってトラック利用者の方の便利になるように準備しておりますし、そういったものを今後必要な箇所についてはまたつくれるように検討をしているところでございます。
  123. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  運輸省に。今の六十億トンぐらいの貨物の流れを、地域的に私の方でも北海道なりずっと各ブロック、九州まで一応の数字はとっておりますけれども、この貨物の流れというものが、例えば北海道を例にとりますと、北海道から出る貨物とそれから入る貨物、それから北海道を流れている貨物、出入りが同じような数字が数字的にある。その貨物の流れというものを、これは経済企画庁も御答弁願いたいけれども、十分に把握して——もちろん把握はこの統計が出ておりますからあるでしょうが、これをそのままほっておいていいかどうか、ここが一番重点ではないかと思いますから、まず運輸省と経企庁から御答弁を求めます。
  124. 深川弘

    説明員(深川弘君) お答え申し上げます。  先生指摘の国内貨物輸送量の地域間の流動につきましては、私ども各輸送機関別に、鉄道、それから内航海運、自動車といった輸送機関の別に、地域的にはこれを各都道府県別に、北海道は若干もう少し細かく分けでございます。  それから、品目につきましては、三十二の品目に分類いたしまして、それぞれの地域から他の地域への発着の状況というものを統計的に把握いたしておるわけでございまして、御指摘のようにこういう膨大な資料に実はつくってございます。したがいまして、これによりまして、どこの地域、どこの県からどこの県へどういう貨物が何トンどういう輸送機関によって運ばれたかということの実態を把握いたして、こういう表に作成いたしているところでございます。
  125. 小柳勇

    ○小柳勇君 今のその実態はわかっておりますが、運輸省なり——まあ運輸省ですか、指導機関は。運輸省が各民間のトラック協会なり、あるいは国鉄の貨物局なり、その他海運局なり、相談をしながらこれを調整するような考えがあるのかないのか、その点を聞いておきたい。
  126. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 地域間の流動というのは、現実に各地で起きます生産と消費、販売のネットワークによりまして実質的に貨物の流動が決まってくるわけでございます。  そういう意味では、貨物の流動の中で輸送の面から合理化をするということが可能な部分は、取引そのものを変えていくということにかなり関与していかないと、これは達成することは非常に難しい。そういう点からの問題で可能なのは、極めて同質の生産物につきましては、各地域ごとにできるだけアウタルキーのようなものを形成していくという考え方がとり得るわけでございます。しかしそのためには、その産業内での取引の仕方を、ある面ではカルテルなり何なりそういうものをつくってこれを実施していかなきゃならないということになりますし、それは場合によっては企業合同ということも必要かもしれません。そういう点で割合なじみやすいのが石油等の商品かと思いますが、かなり品質がお互いに似ているという点で。しかしその他の製品につきましては、かなり商品一つ一つに個性があるということで大変難しい。ただ、一つの生産者がなお実際の販売がうまくいかないために交錯輸送ということが各地で行われている場合には、これは各企業者の努力によってやっていかなきゃならない。  実際に私どもができますのは、むしろ荷物の集約ということによって全体の輸送量を圧縮していく、車の交通量を圧縮していくということが実質的にやり得ることでございます。そういう意味では、各地域のトラック業者もそれぞれ集荷体制や何なりで中小企業がお互いに連携をするということでそういうものに取り組もうという機運も出てまいっておりますし、これからもいろいろな意味で競争も激化してきます。コストの圧縮も必要になります。そういう背景のもとに、輸送の合理化ということは、各地域ごとにひとつ陸運局もこれらの問題に協力して合理化を進めていくという体制が必要かと思っていますし、またそのような方向で動いております。
  127. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、国鉄の貨物が五九・二によりまして一億トンのが七千万トンぐらいにダウンいたしました。全体的な今受け持ちが七%ぐらいにありますが、六〇・三の合理化計画もまた考えられておるようだが、鉄道貨物を一体どうするつもりであるか、運輸省国鉄から意見を聞きたい。
  128. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 国鉄の貨物につきましては、国鉄再建監理委員会の提言もありますし、従来から国鉄の貨物の合理化というものは進めておったわけでありますが、ことしの二月には極めてシステムチェンジとも言うべき拠点間の直行輸送に転換したわけでございます。  御案内のように、確かに一億トンぐらいありました貨物の量は、その拠点間直行体制に変わることによりまして七千万トン台ということを一応現在もくろんでおるわけでありますが、今後、やはり非常に厳しい国鉄の財政状況の中で効率化を目指すために、貨物につきましても現在、二月に行いましたシステムチェンジの方向を見きわめながら、さらに拠点間の直行体制というものを深度化しなければならないのではないかと思っておりますし、御案内のように、再建監理委員会では、個別費を収支で貨物は六十年までに賄うという改善計画の上に、さらにある程度アボイダブルコストというようなものまでもやはり貨物の収入で賄うべきではないかというようなお話もありますので、さらに徹底をした合理化で貨物輸送体制を確立していかなければならないのではないかと、かように考えております。
  129. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今運輸省から御答弁がございましたように、私どもも極力効率的な貨物輸送、同時に鉄道の最も特性に合った貨物輸送に国鉄の貨物というのは特化すべきだというふうに考えておりますので、今後ともその深度化を図りたいというふうに考えておりますが、具体的には、コンテナ輸送でございますとかあるいは専用貨物のような鉄道特性に見合いましたものにつきましては、これから列車のスピードでございますとかあるいは若干のサービスアップを考えてまいりまして、大いに御利用いただきやすい貨物輸送にしてまいる。それ以外の貨物につきましては、今後の輸送の状況等を見きわめまして、極力合理的かつ効率的なものにしてまいりたいということで、極力鉄道特性の生かせるものとして社会に奉仕ができるような貨物輸送にしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣、今度省内の機構改革をされまして物流局になりますから、全般的な調整がきく、にらみがききますし、指導もできますね。ただ、今ちょっと言われた、合理化のため、鉄道の赤字を解消するために鉄道輸送を減少するという考えは絶対反対です。一番ここで今論議しているのは、この交通渋滞に対して、輸送を円滑にする、物流を確保する、物流体制を確立するという態勢にきょう私は主題を置いているんですが、それをやっておきませんと、政治家は一体何をしているか。それは国鉄はわかりますよ、もうけなきゃやりません。しかし運輸省は、もっとやっぱり経済企画庁とも相談しながら、この物流の面は、赤字でも国民生活を守るという立場をとってもらわなきゃならぬと私は考える。  したがって、もう時間がありませんものですから、もう一問労働省にどうしても言っておかなきゃなりませんから、運輸大臣からそういう基本的なことを聞いておきたいんです。
  131. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま御質問にもございました、今回物流局をつくるということは、今度の機構改正の大きな目玉の一つでございます。それは、今あなたの御心配になっておるこの問題を、いわゆる縦割り行政から政策的な横割りの方に変えることによって初めてできることだということで、大きく期待をいたしております。  私はこの方面の関係を長くやっておる者でございますが、鉄道の貨物は今、方式を変えましたけれども、本当のところは七千万トンやそこらじゃない、もっと運ぶべきものがある。それから運賃や制度やそんなやり方をすれば、もっとふえると私は思っております。これは現に、日本通運やあるいはいろんな通運会社あるいはトラック会社、そういうところの幹部の意見を聞いてみても、遠距離のものでこれはうまくいけば鉄道に移した方がいい、鉄道と自動車とのコンビネーションでうまくやっていけばまだまだ遠距離のものについては鉄道に依存するものがあると、こう言っております。もう現実にそう言っておるわけでございます。ですから、これを運賃や制度やいろんな点で考えなくちゃいかぬ。私はこの点には大きな期待を持っておりますし、ぜひこれをやらなければならぬと思っております。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 労働省に。  今一番問題は、この前の運輸委員会でもこれは問題にいたしましたけれども、五十四万台の青ナンバーのトラック通運事業などは二七通達によりまして運転者の労働条件を守ってありますが、その他の八百万台に及ぶ自家用白ナンバーのトラックは野放しです、これは、二七通達は適用できませんから。そうしますと、九州から東京へ来て、新潟へ行って大阪へ行って九州へ帰るというような、そのような一台一人親方の白トラもあるわけだ。そんなのがまた事故の原因にもなる。したがって、今の二七通達というのをもう少し国際的に考えて法制化する、そして少なくとも、トラックで県外に出るような長距離の貨物自動車は法令によって運転者の労働条件が守られている、そういう体制が一番今必要ではないか。  この前も言ったと思いますけれども、ドイツの長距離貨物の協会長が私に言いましたことは、鉄道あるいはトラックあるいは海運、いろいろあるが、物流を確立するためにはその機関の運転者の労働条件を統一することだ、そのことがもう基礎だと、こう言いました。私もそう思うんです。特に鉄道の機関士あるいはトラックの運転者、——船の船員はまたこれは別途のあれで、船員の法律で守られていますけれども、その労働条件を守る。その一つの具体的な例として、せっかく労働省がやっている二七通達を法令化して、もう少し、青ナンバーのトラックだけではなくて白ナンバーのトラックの運転者にも何らかの形で適用して、労働条件を平等にする、そしてこの交通渋滞をなくし及び事故をなくする、そういう体制をしなきゃならぬと思うが、労働省からの見解を聞きたいんです。
  133. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  第一点の、自家用自動車運転者の場合でございますが、一人親方その他の問題はございますけれども、この二七通達の改善基準は自動車運転者を使用します全事業所を対象といたしておりますので、基準法上の労働者である限りはその対象として取り締まってまいりたいと思っております、まいってまたおります。そういうことで把握してまいりたいというふうに思っております。  それから、御指摘の二七通達の法制化問題でございますが、この改善基準につきましては、何回も申し上げているのかもしれませんが、労働基準法で規制されていない事項、拘束時間や運転時間、休息期間等を主たる内容といたしておりますので、直ちにこの基準法に基づきます省令化は困難な面があるわけでございまして、この二七通達の指導基準に基づきまして指導の強化を、監督の強化を進めてまいりたいというふうに思っておりますので、御了解をいただければと思います。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 警察庁に交通渋帯の解消の方法について答弁を求めておりましたから、警察庁としては、今の交通渋帯を解消する方策としてはどういうものをお考えですか。
  135. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) お答えいたします。  警察といたしましては、都市交通機能、特に都市公共交通の機能を確保するために、都市交通の円滑化等を図る必要があると考えているところでございます。そのための対策といたしましては、交通管制機能の高度化、信号機の機能の高度化、駐車規制や駐車取り締まり等の駐車対策、道路交通情報の提供、また、マイカー利用者を大量公共輸送機関へ転換させることをねらいとしました公共交通機関の通行優先対策といたしまして、バス専用レーン、バス優先レーン等の整備拡充、バス優先信号機、バス専用右折可信号機等の増設、バス専用レーン等の設定のための中央線変移システムの採用等の対策を講ずることによりまして、都市公共交通の円滑化に努めているところでございます。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間が少ないからこれで質問を終わりますけれども、交通渋帯解消の方法、例えばパーキングシステムをつくったり、特に国鉄の用地などであいているところは駐車場をつくったりして、もう少し都内に入るものを制限する方法はないものであろうか。例えば、国鉄の無人駅になりましたところが非行少年の巣窟になりますから、市が今度は駅の前の土地を鉄道から買い取りまして、市みずから駐車場をつくって、そこに国鉄OBを雇って切符を売り出す、私も地元でそうやらせました。地方でそれだけやっているのですから、国鉄運輸省ももう少し具体的なもので、官僚的な理想、机の上でなくて、具体的にもう少しやってもらいたい、それが願いであります。  一般質問でまたやりますが、それからもう一つ運輸大臣にお願いしておきたいのは、そのままいきますと鉄道の貨物が七%から四%ぐらい下がるんじゃないかというのがうちの調査で調べた、分析しました見通しです。これではもっともう物流は渋滞いたします。私が言いたいのは、海運はそのままもうほとんど移動がありませんが、トラックを少しふやすぐらいで、鉄道の貨物を一〇%ぐらいまでに持っていきますともっと道路の交通渋滞は解消するんではないかと、うちの方でずっといろいろ分析してもらっていますが、そういうものを運輸省なり経済企画庁が具体的にひとつ計算してもらいたい。  この次の一般質問でやりますから、きょうは時間がありませんから、以上で質問を終わります。
  137. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私は、運輸大臣になるより前に全国通関連盟の会長もいたしておりましたし、また全日本トラック協会の会長もいたしたことがございます。トラックの問題というのは、環境公害の問題、それから今一部お話がございました労働の問題、特に労働基準の問題、たくさんの問題を抱えております。それから経営自体も相当な無理がいっておることも事実でございます。  したがって、今回のように国鉄の改正をやりましてそれをトラックに載っけるということについては、荷物があればいいというものじゃないんです。実際は困っておる。ひいては国の産業、国民生活にも悪い影響を及ぼすと思います。したがって、おっしゃるように国有鉄道のシェアをふやすように考えなくちゃいかぬ。どうしても考えなきゃいかぬ。まあドイツの法律の関係お話がございましたが、法律的に何キロ以上はどうというような規制は日本では向いておらぬだろう、結局これは運賃とか制度とかいろいろなやり方、またフォワーダーのあり方、そういうものによって鉄道に誘導していく、こういうことで考えていくということだと思います。もう今日の状態でも、国有鉄道は例えばコンテナが足りない。コンテナが今増備されたり運用がうまくいけば、ある程度までもっとふやせるということが現在はっきりしているんです。  でございますから、御趣旨のような方向でぜひともこれは、国鉄というか、鉄道全体の占めておるウエートを上げるように努力したいというふうに思っております。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 ありがとうございました。
  139. 梶原清

    ○梶原清君 時間が短うございますので、質問通告をして御用意をいただいておるにもかかわりませず途中で切れるかもしれませんが、まずその点お断りをいたしておきたいと思います。  まず総務審議官お尋ねをいたしたいと存ずるわけであります。  先般来の予算委員会でも、運輸省は他の省庁に比べまして許認可事項が多い、その整理を進めていくべきではないかとの質疑がございまして、中曽根総理からも、運輸省については発足以来の機構の大改革を行い、許認可官庁から政策官庁に転換させる旨の御答弁がありましたことは御承知のとおりであります。運輸行政に課せられた政策目的の達成に、より以上の努力をされることは心から期待をするところでございますし、また、むだな事務手続を排除することも当然であります。重箱の隅をつつくような行政運用も慎むべきであります。  しかしながら、御存じのように、昭和四十六年の許可認可等の整理に関する法律によりまして軽貨物自動車運送事業の免許制が外れ、軽貨物自動車運送事業者が白タク営業類似行為をすることが非常に横行いたしております。その結果、沖縄県とか鹿児島県の奄美大島地区等を中心に、大変な混乱と弊害を惹起しておるわけであります。行政簡素化をねらいました措置が逆に大変な騒ぎになっておることは運輸当局が十分御認識をされておるところであります。このような事例から考えてみましても、運送事業についての許認可制度の整理につきましては極めて慎重な態度をとるべきではないかというのが私の考え方であります。  過日の予算委員会一般質疑の際にも申し上げたことでございますけれども、書生っぽい議論になりまして恐縮でございますけれども、テレビとか冷蔵庫などのいわゆる貯蔵財と違いまして、例えばタクシーについて見ますと、お客さんを運ぶときが、同時にお客さんにとりましては運ばれるときであります。生産と消費が全く同時に行われるという意味でいわゆる即時財であります。安全で、確実で、快適で、かつ適切な運賃料金で安心して乗れるタクシー、良質なタクシーサービスであるかどうかということは、利用し終わって初めてわかるわけでございますので、国の制度といたしますと、利用者あるいは国民の利益を守るためには、どの車を使いましても、どの車を利用しましても良質なタクシーサービスの提供が受けられる、そういう担保をする必要がある。その知恵が私は免許制である。政府規制制度の中のいわゆる参入規制でございますが、その中で最も厳しい免許制を採用しておる、私はそのように解釈をいたしておるわけでございます。十分な資格要件に加えまして適切な需給関係を保つ、そういう観点からの許認可制度を行う、そのために免許制を採用しておるというのが現行の制度であると私は考えておるわけでございます。  もし運送業でこの免許制を外してしまいました場合に、先ほど御紹介いたしましたような沖縄、奄美における軽貨物自動車運送事業、いわゆる軽タクと言われるような事態が発生するわけでございまして、そのような状態のときにいかに誘導行政を行おうとしましても、いかに政策目的を達成しようとしましても、到底できるものではないと私は確信をいたしております。  財政補助とか政策税制、それに財政投融資等の政策手法といいましょうか、政策手段があるわけでございますが、こうした政策手段にあわせまして、適切な政府規制とその弾力的、戦略的な運用を図っていかなければならない、そのことを運輸当局に強く期待をいたしておるわけでございますが、これにつきましても、運輸省の基本的な考え方を総務審議官から拝聴したいわけであります。
  140. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) ただいま梶原先生からいろいろと運輸事業のあり方について御見解をいただきましたが、私ども運輸省、先ほどお話しのように、このたびの組織改正の中では、許認可官庁から政策官庁へというのを一つの目標に掲げて、これから行政の刷新をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  しかし、事業規制の問題につきましては、多かれ少なかれ一般的には、サービスの提供ということには非常に、御指摘のような即時財としての性格がありますし、地域的に需給関係は常にアンバランスで跛行的な状態が出る、あるいは間欠的な需要が生ずるということで、供給を需要に適合させていくということは非常に難しい問題があります。一般の商品の売買とはかなり異なった色彩を持っているわけでございますから、そういう点では、国が政策介入を行ってこの需給を常に適合させるようにすることは必要でございますし、また、そういった事業の性質からは、経営の安定ということを需給全体の調整の中で考慮していくことが、運輸サービスを継続的に安定的に国民に提供するというために必要だということで、今日まで事業規制が運輸行政の一つの根幹とされてきたわけでございます。  そういう点で、今後もそういった運輸という財の性質が基本的には変わらないということであれば、事業の性質によりまして、これは緩急の差はあると思います、しかし、そういうことを今後とも基本的な部分では考えていかなければならないというふうに思うわけですが、しかしまた一方、最近のように産業構造も変わってきております。あるいは個別の産業の立地もどんどん変わって、地域間のいろんな、地域の産業が大きい、あるいは縮小するというようなこと、あるいは実際に道路の交通容量が多くなるということで、これは産業側からの要請も非常にいろいろございます。計画性、定時性、速達性というようなこともありますし、新しいネットワークをつくるという動きもあります。そういうことで、これからやはり、今までの事業規制のあり方というのを、そういう点では、新しい動向に即しているかどうかということの見地から見直していく必要があると。特に利用者のニーズとか経営の活性化の問題、あるいは事業者の事業監督による負担の軽減というような見地から、いろいろと考えていく必要があろうかと思うわけでございます。  今申し上げたようなことで、これから、誘導行政というのか、新しい将来の方向ヘビジョンを掲げながら各事業を誘導していくという行政手法とともに、許認可というものが一方でベースとして行政を行っていくというような考え方で参りたいと思っております。
  141. 梶原清

    ○梶原清君 今議題にいたしましたことと関連をいたしまして、海運局長お尋ねをし、また御要望申し上げたいわけでございますけれども、旅客船業に関する参入規制制度のことでございます。  定員十三名未満の旅客船につきましては届け出制になっておると存じます。ところが、地域によりまして何か困難なり、問題が発生しておるようなことをちょっとある記事で読みましたわけでございますが、もし一部の地域にトラブルなり問題が発生しておるとすれば、適切な行政指導をぜひお願いしたいものだなあと、このように希望しておるわけでございますが、海運局長からお答えをいただきたいと存じます。
  142. 犬井圭介

    政府委員(犬井圭介君) お答え申し上げます。  旅客船につきましては、先生からもいろいろ御指摘がございましたような理由に基づきまして、免許制あるいは許可制がしかれておるわけでございますが、今お話がございましたように、旅客定員十三名未満の船舶をもって人の運送をするようなものについては、届け出制になっているというのが実情でございます。  なぜこの十三人未満ということで線を引いたかということでございますが、一つは、旅客航路事業事業として成り立つためにはどの程度の規模が必要最小限なものであるかという観点、すなわち海上運送法で事業として規制すべきものはどの程度の規模以上のものであるべきかという点、それからもう一つ、旅客定員十三人以上の船舶につきましては、船舶安全法上、旅客船として他の船舶よりも厳しい安全規制が課せられているというような点、そういう点を考えまして一応こういう線が引かれておりまして、十二人以上の旅客定員を有する船舶をもって旅客航路事業を行う場合には、免許または許可の対象になるということになっているわけでございます。  もちろん、今お話がございましたように、個々の航路について見た場合には、定員十二名未満の船舶を使用して事業として成り立つ航路もあり得るかもしれませんし、またそういうものが既存の旅客定期航路事業と競合関係に立つということもあると思われますが、現在までのところ、地域的には若干問題もあるようでございますが、全国的な規模で問題になっているわけではないというふうに考えておりますので、現時点で法律を改正するというようなことによって規制を強化する必要性はまだ乏しいのではないかというふうに考えております。  しかし、今御指摘がございましたような点は確かにございますので、そういう点につきましては、いろいろ調査をいたしまして検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。
  143. 梶原清

    ○梶原清君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、航空局長お尋ねをするわけでございますが、最近、国内の航空需要の低迷で各企業の経営状況は悪化をしておるわけでございまして、これが今後好転する見通しも暗いような状況にあるわけでございます。もちろん、航空企業のあり方につきましては、人件費など今後の企業努力を必要とする一方で、着陸料その他の公共負担のあり方、空港整備特別会計のあり方につきましても、業界筋で若干の要望も出ておるようでございます。  そこで、これに対する運輸省考え方、特に通行税とか固定資産税の特例措置等につきまして今後とも御尽力をいただきたいという個人的希望を持っておるわけでございますが、こうした点につきましての航空局長のお考えをいただきたいと思います。
  144. 山本長

    政府委員(山本長君) 航空企業の経営状況は、先生指摘のとおり、特に五十五年以降需要の伸び悩みを反映いたしまして、一方経費が上がってくる、さらに御指摘のいろんな会社の中の合理化要素もございますけれども、結果といたしまして航空企業の損益状況というのは非常に厳しい状況が続いておるということも事実でございます。今後の見通しについては、なかなか難しゅうございますけれども、ようやく若干上向きかげんになってきたかな、こういう感じになってきておりますけれども、まだ本格的な指数として目立ったものはございません。  そこで、この空港整備あるいは安全施設等の整備のために、御指摘のいわゆる公租公課と言われておりますけれども、特別会計における負担というものを利用者負担の強化という形でその財源の充実を図って、その結果といたしまして空港の整備、航空路の整備というものが相当急テンポで整備されていったということも事実でございます。今後につきましては、需要の伸びというものが今までほどには期待できないということをやはり背景といたしまして考えていかなければならないと思います反面、御承知のとおり、地方空港におきましても、また首都圏近畿圏における空港の整備というものがまた焦眉の急の問題になってきているというように、何と申しますかそういった事業の推進というものの必要性も非常に高こうございます。これらの事業もまた円滑に推進していかなければならないという事情もございます。  御指摘のようにいろんな要望がございます。空港使用料の問題、それから税の問題、もろもろの問題がございます。そういった空港の整備、安全施設の整備等々の整備の問題とそれから航空会社の負担の問題というものは今後の大きな課題でございまして、双方につきまして十分検討しながら、やはり双方が成り立っていかなければならないわけでございますので、解決点を今後見出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  145. 梶原清

    ○梶原清君 次に、整備行政に関連をいたしまして、自動車局長に二点、御質問なりまた御要望を申し上げたいと思うわけであります。  第一点は、過般の車検整備制度に関する運輸技術審議会の答申の中で、国民負担軽減の見地からユーザー参加についての提言が行われたわけであります。最近、ユーザー持ち込み車検、いわゆるユーザー車検が相当ふえてまいっておるわけでございますけれども、これに関連しまして、車検と自動車の分解整備との関係についてどう考えておられるのか。車検を受けますときには分解して点検をしなければいけませんし、分解整備をしなければいけないことが義務づけられておるわけでございますけれども、これが普通のユーザーで果たして十分適切にできるのかどうか。また、今全国的にふえつつありますところのいわゆる車検代行業が、それを十分できるのかどうか。こうした関係で、車検と自動車の分解整備との関係、これについて運輸省当局の考え方いかん、これがまず第一点。  それから、先ほどもちょっと触れました、整備工場以外の者が他人の需要に応じまして対価を得て車検代行業を行っておる、これが恐らく全国には百事業者近い数に上っておると思うわけであります。この車検代行業は、確実に点検整備をしないで、ただ単に検査に合格する目的のみをもって検査を受けに来る。したがって、ユーザー車検の今の再検率は大体四三%でございますので、半分近い数字が再検をするという状態になっておるわけでございまして、私は、このような存在を認めこれをばっこさせることは、車検整備制度本来の目的を崩壊してしまうのではないだろうか、このように憂えておるわけであります。もちろん車検整備制度本来の目的、同時に、法律に基づいて適正な事業をやっておりますところの整備工場の経営を危殆に瀕しさせてしまうのではないだろうかということを恐れておるわけでございます。  この点につきましてまず御答弁をいただきたい。どのように今後やっていこうとされておるのか、また実態を把握しておられるのか、これにつきましての自動車局長の御答弁をいただきたいと存じます。
  146. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 第一点の問題でございますが、ユーザー車検の最近の状況はおおむね一カ月当たり三千件程度ということでございます。ただ、月によって季節によってでこぼこがございますが、継続検査に対するユーザー車検の割合というのは、ほぼ〇・五%ないし〇・六%ということで横ばい状態でございまして、この数字が急激に変化するとは今のところ考えられません。  それから、そういうような状況のもとにおきまして、ユーザー車検というのはこれは先ほど先生からもお話がございましたように、運輸技術審議会でも御提言があり、それから私どもの方からいたしましても車の安全について責任を持つというのはこれはやはり第一義的には車を現に使用しているユーザーの方でなければいけないわけでございまして、定期点検整備という道路運送車両法に決められております義務はユーザーがみずから守る、そのための一つの規定でございます。  それで、それと検査との関係でございますが、そういう関係でございますので、私どもの陸運事務所でやっております検査、これは当然ユーザーが車両法に定められた定期点検整備をやった上で車検場に持ち込まれる、こういうことで検査の仕組みが組み立てられているわけでございますが、しかし最近のユーザーの中には、車検さえ受かればいい、定期点検整備はしないで車検にさえ受かればもうそれで経費も浮くし得するんだというような誤った考えをお持ちの方もおられますので、その点につきましては、陸運事務所の窓口におきまして定期点検整備の必要性、安全確保の必要性につきまして十分な御指導、啓蒙をしている、こういうことでございます。  それから第二点の、ユーザー車検の代行業、車検代行業の問題でございますが、これもお話がございましたように私どもの実態調査によりましても百程度の業者がございます。ただその中で、全然事業活動をやってないものもありますし、一カ月に五台ぐらいしか検査場に持ってこないのもございます。そういうのを差し引きますと、実質的に活動をしておるのは約その半分程度ではなかろうかというふうに考えられます。この車検代行をしている者が陸連事務所に車を持ち込まれた際に、いろいろ私ども調査しておるわけでございますが、全く定期点検整備をしてないで持ち込まれるケース、これは割合少ないのでございますけれども、あることは確かでございます。  それからもう一つは、定期点検整備をやるにしましても、車両法に定められた認証工場、認証を持った工場で分解整備をやってこなければいけないわけですが、それをやらずに代行業がみずから、認証工場の資格を持っていなくて分解整備をやる、こういうようなケースも中には入っているようにも思われます。  こういうような点につきましては、やはり自動車の安全の確保の見地から、指導取り締まりを強化していかなければならないというふうに考えておりますけれども、代行業そのもの、車を検査場に持ってくるという代行の行為そのものについて法的に規制する、これはなかなか難しいのではなかろうか。いずれにいたしましても、私どもとしては、なお代行の実態を調査し、違法な状態にある代行業につきましては指導を強化していく、取り締まりを強化していく、こういう立場におるわけでございます。
  147. 梶原清

    ○梶原清君 時間の関係もございますので、御指摘なり御要望だけにとどめたいと思うわけでございますが、例えば、私が今手元に持っておりますのは、ユーザー車検センター、これは西宮の事業者のチラシでございます。これを見ますと、私は誇大広告といいますのか、表示が非常に適切でない、こういうものが横行しつつあるわけでございまして、当然公正取引委員会にお話をしてこれの取り締まりをしていただかなければいけない、このように思っておるわけでございます。別途公取の方にはお話をしたいと思っておりますけれども、また業界からも正規の手続をとられると思いますけれども、こうした面についてのひとつ目を光らせていただきたいということが一つ。  それから、整備作業量といいますのは、六十年には恐らく数%落ち込んでまいります。一方、整備事業者は毎年七百とか九百のペースで今ふえつつあります。当然過当競争がひどくなるわけであります。そうでなくとも中小零細企業が多いこの整備工場、その過当競争によりまして大変な混乱に陥るんではないだろうか。また一方において、ユーザーのニーズにこたえるような適正整備、適正料金というものを実現していかなければいけません。また、技術水準を高めていかなければいけません。  そこで、今までのような取り組み方でなくて、役所と業界とが十分対話をしていただいて、そして適切な行政指導、それから民間活力を盛り上げていくということがぜひ必要である。これから整備行政にとりまして一番大切なのは、対話が大切ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございますので、ぜひとも自動車局長の手元におきまして、そういう御指導をお願いしたい。御答弁は要りません。そのことを強くお願いを申し上げる次第でございます。  時間が切迫しましたのでなにですが、問題点だけの指摘をさせていただきたいと思うわけでございます。  国鉄のローカル線の関係で第一次の計画が今進んでおりますし、また第二次の計画につきましての今この関係者との折衝が進められつつあると思います。これ皆、相当の時間をかけて解決をするという状態でございます。また、別途建設中のAB線、工事を中止しておるような線もたくさんあるわけでございますが、いずれにしましても、一線一線の解決をしますのに相当の時間がかかる。そこで、できるだけ早く関係者がテーブルについて話し合いをしていくということ、こういうことでなければいけないんではないだろうか、私はそういうふうに思っておるわけでございますので、ぜひひとつこの点の御配慮をお願いをいたしたい、これが一つ。  それから、ローカル線問題の前に、国鉄バスの廃止につきまして、整理につきまして、もっと積極的に取り組むべきではないだろうか。  国鉄バスの営業線区の中にも、第三種生活路線というのはたくさんございます。これとやはりもっと積極的な姿勢で取り組んでいただきたい。その際に、民営バスのあり方、先ほど午前中の質疑の中に安恒先生のお考えもございましたけれども、私は私なりのまた別の考え方を持っております。今までのバス会社が今では大型バスをがらがらで走らせておる、こういうことではいけないのであって、できればバス会社が直接、もしそれが不可能であるならば小型バス専用の子会社をつくって、そこがいろいろの事業を、例えば過疎バスの運営、それから貸し切りバス、スクールバスその他の事業を、何でも屋の形式でもってきめ細かな輸送をやる、こういう事業運営体制に切りかえていくことが私はいいのではないだろうか。そういう過程の中で国鉄バスの整理をしていく、こういうふうにしていただきたいな、このように希望しておるわけでございます。これは一般質問のときもそういうことを申し述べたわけでございますけれども、ぜひひとつ御検討いただきたい、このように思うております。  私の時間がもう過ぎてしまいましたので、大変恐縮でございますが、そういう提言をいたしましたままで私の質問を終わらせていただきたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  148. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、まず最初に、国鉄の資産問題について質疑をしていきたいと思います。  国鉄の資産問題は、今後の国鉄再建という立場からも、あるいはまた国鉄の今後の形態がたとえ変更になるようなことがあるとしても、これはどうしても逃げてはならない重大なやはり問題の一つであろう、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、国鉄は、北海道に広大な山林を保有しております王子製紙に次いで、日本では第二の大地主である、こういうふうに言われているわけでございますが、現在国鉄が保有している土地の総面積はどのくらいあるのか。  また、最近国鉄が資産の総点検を実施したと、こういうふうに言われているわけでございますが、その結果についての報告を願いたいと思います。
  149. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 国鉄が現在持っております土地の総面積は六億七千百万平米でございます。  なお、土地の総点検につきましては、結果だけ申しますと、約千六百万平米ほどの用地を売却対象として生み出すことができております。
  150. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、行政管理庁の行政監察結果というのが五十六年の十二月に出されているわけでございますが、五十五年度の国鉄所有地は六億七千二百八十五万平米と、こういうふうになっております。東京の二十三区の面積を上回る広さではありますが、その帳簿価額は六千八百九十九億円にすぎないわけでございます。最近、品川貨物駅の跡地が一千億で売却されたということで、新聞紙上で大変な話題になったわけでございますし、あるいはまた国鉄自身も、大変高値で売れたなと驚いているというふうに一応新聞の上では報道されているわけでございますが、国鉄所有地の総評価価額が六千八百九十九億円というのは余りにも安過ぎると、こういうふうにだれでも思われるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、帳簿価額算定の方式がどういうふうになっているのか、まずここらから説明を願いたいと思います。
  151. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 国鉄の資産につきましては、昭和三十年に再評価をいたしてございます。これに先立ちまして民間では、資産再評価法という法律に基づきまして昭和二十五年以降、インフレが大変に進んだということで、目的といたしましては、そのままではどうも資本の実体は維持できない、結局減価償却費が立たないということでございますので、資本の実体維持を図るという観点から法律が制定されまして、再評価をやってまいったわけでございます。  国鉄におきましても、三十年に再評価をいたしたわけでございまして、その際におおむね現在の土地につきましては原簿価額ができたということでございます。それ以降につきましては、これは民間につきましても国鉄におきましても、再評価というのは行われておりませんで、ただ法律上は、会社更生法の適用ということになりますと、その手続の中に再評価という問題が出てまいるわけでございます。したがいまして、国鉄としても昭和三十年以降はその原簿価額をいわゆるそのままに継続してまいってきておりますので、お話のございますように、評価額が、原簿価額が六千八百九十九億円というような、実態とかなりかけ離れておるんではないかという御指摘が出てまいるのではないかというふうに思っております。
  152. 桑名義治

    ○桑名義治君 今のお話では、一応昭和三十年に再評価をしたというような御答弁でございます。その再評価のときには一応取得時の価額で算出をした、こういうふうに御説明があったわけでございますが、いずれにしましても、会社更生法の適用を受けたときにいわゆる取得財産というものを再評価するというのが今までの通例である、一般的な通例である、こういうようなお話ではございましたが、しかし今も答弁の中でお話がありましたけれども、六千八百九十九億円というものは余りにも現実に離れているような、そういう感を持たれているというようなお話があったわけでございますが、しかしこれはやはり、もう一度再評価する必要があるんじゃないか。  特に私が申し上げたいのは、先ほど冒頭にも申し上げましたように、今後の国鉄再建をなすに及んでも、これが一つのやはりベースにならざるを得ないということと、それから今後国鉄を再建する場合に、どういう経営形態にしていくかということが今大変な議論になっているわけでございますが、そういった場合にもやはりここらで適正な再評価をしておく必要がある、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどういうようにお考えになりますか。
  153. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 資産の再評価につきましては、その目的が那辺にあるかということによりまして、評価の手段、方法もかなり変わってまいるのではなかろうかというふうに思っております。  評価の方法といたしましては、原価を基準とする場合と、それから収益力を基準とする場合というような、いろいろ方法があるわけでございますけれども、現在の国鉄が例えば用地の売却をいたすというときには、これは周辺土地、近傍類地の価格を参考として、これに基づいて鑑定額を定めるというようなやり方でやっておるわけでございます。しかし、まあこれは一つやり方であるわけでございますけれども、また企業の収益力なり何なりの、これを将来どう評価するのかというような点からの評価の方法もあるということであろうかと思います。  で、現在国鉄といたしましては、今の鉄道事業というものを将来に向かって存続していくという前提の上に立っておりますので、現行の用地売却の際に使っておりますこの方法というのは、現時点では適正な、適切な処置であろうというふうに考えておりますけれども、さらに将来それをどうしていくのかということにつきましては、今先生お話にもございましたように、国鉄経営形態を一体どういうふうに考えていくのかというようなこととも、非常に大きな関連を持っているのではなかろうかというふうに思っております。それによりまして評価の方法というものもおのずから変わってまいるわけでございまして、したがいまして、今のところ直ちにこの評価ということは考えてございませんけれども、しかし必要によってはそういうこともあり得るかということで、私どもとしましては、いろんな評価の方法というのは現実的にどのようなものがあるかとか、あるいはその場合どういう段取りが必要であるのかというような点についての検討は、いろいろいたしてございます。
  154. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の御答弁の中では、売却の場合には、処分をする場合には、しょせんその周辺のいわゆる情勢等を見ながら評価をしながら売却をしていくと。それ以外は現在のところまだまだ再評価の必要がない、こういうような御答弁だったと思うんですが、いずれにしましても、今国鉄の置かれている立場というものは、いわゆる長期債務の処理をあわせて、私はむしろ再評価が必要であるんではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、今また御答弁の中にもございましたが、評価をする場合にはどういう評価をするのか。いわゆる時価評価で行う場合と収益還元法による評価の方法と両方ある。で、どちらをとるかということはその時点その時点で考えざるを得ないという意味合いのお言葉があったわけでございますが、とするならば、時価評価と収益還元法というその評価の方法、これの差異というものはどこにあるのか。あるいはまた、お互いの、それぞれの評価をした場合のいわゆるメリット、デメリット、そういうものをどういうふうに把握されておるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  155. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 資産の評価、再評価ということでございますけれども、メリット、デメリットがまずどうなのかということでございますけれども、評価益が出てまいりますと、これは資本積立金として計上するということができるということで、自己資本が増加するということで、資産に対する資本の割合というのは改善されてまいります。それからこれを、資本積立金をさらに、運輸大臣の承認が必要な条件になりますけれども、これを受けまして減額いたしまして、繰越欠損金を整理するというようなことが可能になってまいるわけでございます。現に、この昭和三十年に再評価をいたしました際に約一兆円強の再評価積立金が生じまして、これは累積赤字を消すということで、過去にそういう意味で整理をしたという事例もあるわけでございます。  それと、さらに民間で行います再評価の目的といたしまして、先ほど申し上げました資産の実体を維持するという観点からいたしますと、減価償却費としては適正な減価償却費が計上されるということになるわけでございますけれども、しかしこれは現在の段階におきましては、確かに累積赤字を消すということは可能であるわけでございますけれども、負債そのものがこれによって消えるということにはならないわけでございます。  むしろ国鉄として今一番問題点は、負債をどうやって減らすのかというところが一番問題点であるというふうに私ども考えておりまして、その意味合いにおきましては、現在の状態のままで再評価をいたしましても、過去債務がそのまま維持されていくということでございまして、その面ではやはり利子負担の軽減というものにつながっていかないということで、そこのところに一つ問題がある。  それから、再評価をいたしますと、やはり減価償却費はふえてまいるわけでございますけれども国鉄の今の経営の実態からいたしますと、減価償却費がふえるということは、経費がそれだけ増大するということになってまいりまして、赤字額がさらに拡大するという問題にもつながってまいりますし、市町村納付金その他諸税の関係、そういう面でのいろいろ経費増につながる部分が多いということでございますので、確かにメリットはあるわけでございますけれども、一方において、現状におきましてはデメリットの方に作用するという部分も多いということでございます。  それから、どんな評価の方法があって、目的によってどういうふうにそれが異なってくるのかというような点でございますけれども、先ほどの、時価を中心として考える場合、それから収益を還元するという観点からの方法と、大きく分けますと二つの方法に分かれるのかと思いますけれども、これはやはり再評価の目的によりましてそのとる方法というものが異なってまいるわけでございます。例えば実体資本を維持するという観点からいたしますと、ただいま先生からもお話がございましたように、復成式な評価法というようなやり方もありますし、また貨幣価値修正主義というようなやり方もあるわけでございます。欠損金を消去するという観点からしますと、ただいま申し上げたような方法でよろしいのではなかろうかというふうに思います。が、債務を処理するというような観点からになりますと、これはまたちょっと方法が変わってくるのではなかろうか。時価見込み主義だとかいう方法をとるということも一つ考えられるのではないかと思いますし、さらに、企業というものを、一つの企業をさらに次の企業に移していく、あるいは一つの企業の形態を変更するというような場合、この場合におきましては、むしろ収益を還元する還元法というような方法をとる方が妥当なのではなかろうか。  いずれにいたしましても、今の国鉄の、あるいは鉄道の持っております用地の評価と申しますのは、どだい鉄道がそこに存続する、あるということが前提になりまして、周辺地価もそれに応じて決定されてくるということでございまして、鉄道がもしなくなったと仮定いたしますと、これは周辺の地価もまるっきり変わってくる。それによりまして、鉄道を敷設しております鉄道用地そのものにつきましても変化が出てくるというようなことで、なかなか難しい問題があるわけでございますけれども、それぞれの目的目的によりまして評価の方法というのもいろいろの変化があるのではなかろうか。しかも、この評価につきましては大変に膨大な作業を伴ってまいりますので、何回も何回もこれを行うということは事実上不可能ではなかろうかというふうにも思っております。  特に国鉄のように大変膨大な用地を持っておりますと、あるいは資産を持っておりますと、なかなかこの評価というのは大変な作業でございまして、したがって、もしこの再評価をやるという段階には、かなり目的が明確になりまして、その上でそれに見合った再評価の方法をとっていくということが必要なのではなかろうかというふうに考えております。
  156. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、ちょっと今度は方向を変えた質問をしたいと思いますが、行政管理庁が五十六年の十二月の監査結果としまして、処分対象用地の見直しとそれから資産処分の促進、これを勧告しているわけでございます。それとあわせてといってはちょっと時間的なずれがございますけれども政府は現在、国有地等有効活用推進本部を発足させまして、民間活力を導入して都市にある国鉄用地の具体的な活用計画を進めていく、こういうことになっているわけでございますが、このいわゆる行管の勧告と、それからこの国有地等有効活用推進本部、これとの兼ね合いですね、この兼ね合いをどういうふうに国鉄としては把握されているのか。  あるいはまた、この行管の勧告に従って、国鉄が現在まで未利用地あるいはより高度利用が可能な用地、こういう区分の作業をなさっているのかどうか。  ここら辺を報告してもらいたいと同時に、国有地等有効活用推進本部が現在検討中の国鉄用地は十カ所になっているわけでございますけれども、どの程度この部分は進んでいるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  157. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) まず行政管理庁の監察報告でございますが、これは五十六年十二月十四日に行管庁長官から運輸大臣に勧告がなされまして、運輸大臣から五十七年の十一月十日に改善措置の回答がなされておるものでございます。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕  内容的には、要旨といたしまして、具体的な資産処分については資産処分における収入目標の達成、関連事業における約五千億円の収入目標の達成、職員の福利厚生を含む円滑な事業運営の確保等を総合的に勘案しながら、御指摘の用地を含め対象用地を確保していくこととする旨の回答をいただいたわけであります。国鉄といたしましては、この勧告並びに運輸大臣からの回答に基づく運輸省の御指導をいただきまして、その後いろいろと用地の総点検なども行っているわけであります。  行管庁から指摘をいただきました。地は、百二万平米が対象用地であります。この百二万平米は、行管庁の御指摘によりますと、国鉄経営改善計画で予定している売却対象用地以外に、このような百二万平米ほどのまだ検討に値する用地があるのではないかということでございました。  私どもでは、これについて、これはいろいろ国鉄としての本来業務でありますとか、あるいは関連事業の推進計画とかを十分御説明したわけではございませんので、若干お考えの中には少し違ったところもあるわけでございますけれども、非常に示唆に富んだ御指摘でございましたので、その後、この百二万平米のうち十万一千平米ほどは既に売却をしております。  そのほか四十万平米ほどにつきましては、使用目途等について見直しを行いまして、これについては現在もう売却予定ということで、その一部については既に売却の折衝に入っております。これはそのように逐次売却をしていくことになると思います。なお、そのほか残された用地につきましては、四十九万平米ほどが国鉄の本来業務に使う用地それから関連事業の用地としてありますけれども、これにつきましても十分今後検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、政府の国有地等有効活用推進本部でございますけれども、ここにお取り上げいただきました十カ所の用地につきましては、国鉄が先ほど先生の御質問にございました総点検の結果出てまいりました。地の中から、ある程度の規模以上のものについてお取り上げいただいたわけでございます。その用地はいずれも広大な用地でございまして、売却するといってもなかなか売却できない、しかも非常に私企業だけでまた使い切れるものでもないということで、総合的に政府の民間活力を使っての再開発を推進するというお立場から、もろもろの御検討をいただき推進されるというものになっているわけでございます。これにつきましては、今申しました行管庁の勧告とはちょっとまた規模が違うものでございまして、行管庁さんの御指摘は、私ども持っております未利用地でありますとか個々の宿舎でありますとか、そういうところの観点検の中から出てきた用地でございますし、片方はまた総点検ということで出てきました、どちらかというと非常に広大な用地を対象としたものであるということで、ちょっと違っておるものであるということでございます。
  158. 桑名義治

    ○桑名義治君 それで、今の御説明の中で、いわゆる国有地等有効活用推進本部の場合には、主に広大な土地でもございますし売却するにしてもこれは大変な問題でもある、したがって、いかように有効的にこれを活用していくかという検討をしてもらっておるというお話でございます。  今までの質疑を通しまして、実際に莫大な債務を抱えている現在の国鉄、それと同時に、その中のいわゆる未利用地あるいは現在国鉄運営の用に供さなくてもいいというような処分対象の土地ですね、これとの兼ね合いというもの、借金との兼ね合い、債務との兼ね合いですね、これは大体何%ぐらい占めるというふうにお考えになりますか。
  159. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) これは、私どもが今先ほど来御答弁申し上げておりますように用地の売却として一応予定しておりますのは、経営改善期間中に五千億円分でございます。なお、私どもが持っております累積債務、中長期借入金残高は約十八兆円でございますので、用地の売却によってこれをどうこうできるという額ではないわけでございます。しかしながら、私どもはこの長期債務を持っておりますのでかなりの金利負担をしておるわけでございますし、その金利といいますか、要するに債務を少しでもふやさないというためにいろいろな施策を講じているわけでありますけれども、用地売却もそういう意味では非常に大事な財源だというふうに考えておりまして、少なくとも今の国鉄経営状況の中におきましては、持っていた方がいい程度の土地を持つ余裕はございませんので、極力そういうものについては売却してまいりたいと思います。  なお、鉄道でございますので、やはり鉄道の本来業務のための用地はどうしても持っておきたいと思いますし、また、国鉄が自立経営をするために必要な関連事業用地もぜひ確保してまいりたいというふうに考えております。
  160. 桑名義治

    ○桑名義治君 ちょっとまた話を変えてみたいと思うんですが、品川の先日一千億円で売れた土地、これは大体国鉄としてはどのくらい見込んでいましたか、当初。
  161. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 約一千億円で売れたわけでありますが、これは公開競争入札でございます。私どもはどのくらいの予定と申しますと、一つは、予定価格というものは持っておりますけれども、これはそれ以下では売らないという線でございまして、それで売れると思っているわけではございません。ただ私ども、あの土地を売るに当たりましては、国鉄が造成した用地でありますし、そういう意味では非常に手放したくなかった気持ちでありますので、できればなるべく高く買っていただきたいとは思っておりました。いろいろ、その用地を売り出すにつきましては、何分にも大きな用地でございますので、普通の宿舎とかを売るのと違って、関係のところにもぜひ買ってもらいたいという声をかけておいたわけでありますが、その中でいろいろ出てきている話を耳にいたしますと、私どもが考えておりましたのは公示価格から引いてきた数字でございますが、かなり経済的な価値を見ていただいている方が非常に多いように思っておりましたので、まああそこまでは考えておりませんでしたけれども、かなり高い価格ではないかというふうに思っておりました。
  162. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の数字を出すことははばかったと思われるんですが、それはそれなりに数字は聞かなくても結構ですけれども、しかしかなり上回った数字で売れたんじゃないかと思います。そうすると、今の未利用地あるいは不用の土地を売却したときには五千億、こういうふうなお話がございましたが、私はそんなものじゃないと思いますね。どういうわけか国鉄さんは低目低目に積算をされているようでございますけれども、それは全体的な立場から考えられての事柄だろうとは思いますが、いずれにしてもこういった国鉄の資産というものがいろいろな面で注目をされているわけでございますので、最も有効に、国鉄のためにも有効に、あるいはまた国民立場から見ても最も有効な、そういうお考えのもとにこの処置をしていただきたい、このことを特にお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  総裁、ぐあいがお悪いそうでございますので、国鉄の問題を終わりましたから、どうぞ。  次に、タクシーの運賃問題について少し伺っておきたいと思います。  六大都市のタクシー運賃値上げの動きの先頭グループであった東京、横浜地区の値上げ申請に対しまして、運輸大臣は去る二月の十日に、東京地区については九・五%、横浜地区については九・九%の値上げを認可しているわけでございますが、値上げ申請の理由と、認可された理由をまず説明していただきたいと思います。
  163. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 東京、横浜地区のタクシー運賃につきましては、昭和五十六年の九月の運賃改定がこれは前回の改定でございまして、その後人件費を中心とする諸費用が上昇いたしまして経営が悪化してきた、こういうことで運賃改定の申請が行われたわけでございます。  私どもといたしましては、申請の内容を十分に審査いたしまして、これは経済企画庁とも協議し、物価問題に関する関係閣僚会議にも付議する、こういう手続を経まして認可した、こういうことでございます。
  164. 桑名義治

    ○桑名義治君 両地区について、値上げ前後の実車率がもし今わかるならば、ちょっとお知らせ願いたいと思うんですが。
  165. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) まだ余り時間がたっておりませんが、五十九年の一月の実車率、これは値上げ前でございますが、東京につきまして五十九年の一月の実車率が五二・五%、運賃改定後の三月の一カ月間の実車率は五二・三%ということでございまして、ほぼ横ばいに推移しております。  横浜地区につきましては一月が五一・三%、ただ、横浜地区につきましては改定後の三月の実車率がまだ私どもの手元に届いておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんけれども、東京とほぼ同様に横ばいの状態ではなかろうかというふうに考えております。
  166. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、大阪、神戸それから京都、いわゆる関西地区の値上げ申請でございますが、この値上げ申請がどうなっているのか。それから、関西地域の値上げ申請が他の地域に比べましておくれているという事情は、どういう事情があるのか。特に、京都地区につきましては、現在値上げ申請が一件も出されていないというような実情にあるわけでございますが、その事情はどういう事情なのか、御説明願いたいと思います。
  167. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 関西地区の三都市、京都、大阪、神戸の運賃の改定申請状況でございますが、京都につきましては法人が四十七社、個人が二千七百二十四人おるわけでございますが、この全事業者が未申請でございます。  大阪地区につきましては、今まで申請が出てきているものが、法人では全事業者百六十社のうち百五十二社、ウエートにいたしますと九五%、これは車両数のウエートにいたしましても大体同じでございまして九四・八%、これが申請をしております。残りが未申請と、こういう格好でございます。ただ、大阪につきましては、個人タクシーが全部で五千四業者ございますが、これは全部未申請でございます。  それから神戸でございますが、神戸は五十八年の十月の十二日から五十九年の三月十日にかけまして、法人百十一社、個人千四百二十七人、計千五百三十八社の全事業者から申請が出されておりまして、大阪陸運局において三月十六日に公示をしたところでございまして、これについては、今運賃の改定につきましての審査の作業をやっている、こういう状況でございます。  それから、もう一つお尋ねの、京都、大阪がなぜ未申請になっているのかということでございますが、これは、運賃の改定申請は事業者自身が行うわけでございまして、行政側として、なぜ、申請者がどういう意思で申請をするのかしないのか、その点につきまして確たる御答弁はできないわけでございますが、    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕ただ、聞くところによりますと、京都地区につきましては法人、個人とも、先ほど申し上げましたように全事業者が未申請でございます。これは、京都の一部の事業者の運賃値下げ申請に係ります行政訴訟が係争中でございまして、同地区のタクシー事業者が同一地域同一運賃を維持したい、それによって利用者の混乱を回避したいということで申請を見合わせているというような情報は、私どもとしては得ております。ただ、大阪地区の未申請の事業者がいかなる理由で申請を出していないのか、この辺のところにつきましては、私どもとしては確たる情報は得ておりません。
  168. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、人件費の値上がりあるいは燃料費の値上がり、それが経営に大きく作用しているということが運賃値上げの申請の大きな要因になっているということになれば、当然、関東、中京、関西地域でも同じような申請が同じような時期に出てくるのがこれは当然であるのではなかろうかと、私たちは表面上から見た場合にはそう推察せざるを得ないわけです。ところが、こういうふうに差が出てきているということはこれは那辺にあるかということを、これは真剣にここらで考えていかなければならない問題ではなかろうかと思うんです。  京都地区の場合には、はっきりしたお話はなかったわけでございますが、これはもう前々から、一社のMKタクシーの問題が絡みながらこういうような状況になっていることと思いますし、あるいは今の御答弁の中で、大阪の場合は個人の五千四が未提出になっているということになれば、必ずしも値上げしなくてもいいんではなかろうかというような、そういう考え方もできるわけでございまして、そういう意味におきましては、今回運賃値上げの問題はもう少し私は慎重にすべきであったのではなかろうかと、こういうふうにも思うわけでございますが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  169. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) タクシーの運賃値上げにつきましては、従来からこれは毎年人件費、物価は、上昇率が多いときも少ないときもございますけれども、毎年上がっていくわけでございまして、毎年毎年申請を受けて当方が認可をするということでは手続も煩雑でございますし、また、一年一年運賃を改定していくというのも物価政策上いかがかということで、経済企画庁とも相談の上、大体二年ローテーションで、申請があった場合には二年ローテーションで見直しをしていく、こういうことで改定作業を従来やってきたわけです。ただ、最近になりまして、物価安定政策会議あるいは物価問題に関する閣僚会議等の場におきまして、単純に二年ローテーションで運賃を改定するということではなくて、改定した運賃をできるだけ長くもたせるようにと、こういう御提言がつくようになってきております。  私どもとしては、利用者のためを思えば、タクシーの運賃の値上げというのはなければ、低ければ低いほどいいわけでございますけれども、人件費なり物価なりが上がりまして経営が苦しくなる、こういう状態のもとでタクシー事業というものを放置していくのは、それを突き詰めていけば、利用者の方にしわ寄せがいってサービスが悪くなる、こういう状態になりますので、できるだけ運賃というものは改定しないで済ませたいわけでございますけれども経営状況等を勘案しながら所定の手続を経て改定を認可していると、こういう状況でございます。  それで、もう一つ申し上げておきたいわけでございますが、タクシーの運行のコストでございますけれども、この中で約八割が人件費でございます。不当に運賃を低く抑えておきますと、結果は労働者の賃金の方にしわ寄せがいく、こういうような状態の事業体でもございますので、その辺も十分私どもとしては配慮しなければならない事柄ではないかというふうに考えております。
  170. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで恐らく、京都が一社も申請をしてないということは、これはやっぱりMKのタクシーの問題がそのまま反映していることだろうと私は思います。  そこで、前回の値上げ、すなわち五十六年の十月でございますが、京都では、値上げ申請を提出しないタクシー会社に対して京都乗用自動車協会が圧力をかけた、このことに対して公正取引委員会が警告を発しております。公正取引委員会の警告が出ているわけでございますが、この件について運輸省がとった措置というものはどういう措置であったかを御説明願いたいと思います。
  171. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 確かに、前回の京都地区のタクシー運賃の改定につきまして、京都の乗用自動車協会が、申請を行わなかった会員に対しまして申請を勧めたという行為があったわけでございます。その結果、公正取引委員会が、この京都の乗用車協会に対して警告を発したわけでございます。  運輸省としては、従来から、事業者団体の活動につきまして独禁法に違反することのないように指導してきたところでございますが、この件につきましては、五十七年の四月に再度、事業者団体の活動が独禁法に違反することのないように、事業者団体を指導したところでございます。
  172. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、MKタクシーがいわゆる値下げ申請を出した。それに対して運輸省も、この値下げ申請に対しては却下したと。こうなってくれば、そういう独禁法に違反しないように指導を協会の方にしたと言いながらも、その協会の方に同調したと、こういうふうに表面的に見れば言わざるを得ないわけでございます。  そうなってくると、公正取引委員会の厳重警告、すなわち、独占禁止法第八条の規定に違反するおそれがある、こういうふうに警告をしているわけでございますが、そういう立場から見た場合に、運輸省のとった処置というものが、どうもすんなり胸の中におさまらないというような気がするわけでございますが、その点についてはどういうふうなお考えでございますか。
  173. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) MKタクシーの値下げ申請に対しまして、大阪陸運局がその申請を却下したことについての御質問でございますが、これは、MKタクシーの値下げ申請の理由が、運賃の値下げをすれば需要が増大して前回の運賃改定後に失った乗客を確実に取り戻すことができる、こういう理由の運賃値下げ申請でございます。で、陸運局におきましていろいろな調査検討を行ったわけでございますが、京都におきます輸送需要の低下というものは、これは運賃改定ということではなくて、既にそれ以前から、長期にわたる経済不況、それから京都独自の状況といたしましては、地下鉄の開通それからタクシーに乗るはずの京都でおります鉄道旅客の減少、こういったような理由によってタクシーのお客が減少してきている、これがまず第一でございます。したがいまして、その値下げを行ったとしても、現行運賃に基づきます営業収入を上回るような収入をもたらすというような需要の拡大は期待できないのではないか、これが一つでございます。  それから二番目の理由といたしましては、タクシー事業というものは、先ほど申し上げましたように、高度の労働集約性の強い産業でございます。需要の拡大が期待できないまま運賃の値下げをした場合には、営業収入の減というようなことになりまして、結局タクシー労働者の労働条件に大きな影響を及ぼす。したがいまして、その結果お客に対するサービスの改善それから輸送の安全の確保に支障を生ずるおそれがある。  それからさらに、私ども、タクシーの運賃政策上、同一地域同一運賃の原則をとっておりますが、それにも反してくる。こういうようなことを総合的に判断して大阪陸運局において却下したものであるというふうに考えております。
  174. 桑名義治

    ○桑名義治君 タクシーの料金の値下げを申請し、ましても、諸般の事情を勘案した上でこれを却下したというような事柄でございますけれども、しかし、考えてみますと、MKタクシーが値下げ申請をしたということは、これはやはりMKタクシー自身の試算と今までの経験上から、売り上げが上昇するということを考えたことだろうと思います。そうなってくると、やっぱり主なる理由はどこにあるかと言えば、恐らく運輸省側としては、一番最後に言われた同一地域同一運賃制度、これが崩壊をする、それを恐れたことではなかろうかと、私はそういうふうに思わざるを得ないわけでございますけれども、その点はどういうふうなことなのか、そこら辺をもう一度お聞きをしておきたいと思います。
  175. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) MKタクシーの運賃値下げの申請に対しまして却下した理由は、先ほど申し上げましたが、ただ単に同一地域同一運賃というタクシーの運賃政策を守るためだけでMKタクシーの運賃の値下げ申請を却下した、こういうことではございません。
  176. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、同一地域同一運賃制度というものは、これは今までよりももう少しいわゆる弾力的な見方をしながら運賃値上げに今後対処していくということにつながるわけでございますが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  177. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 私が今まで申し上げたのは、そこまで踏み込んだ御答弁を申し上げているわけではありません。同一地域同一運賃というのは、やはり利用者に対するサービスを維持するというようなこと、それからタクシー事業について不当な、過当な競争を惹起しないようにするためというようないろいろな要因によりまして私どもがとっておる運賃政策でございまして、これは従来どおり私どもは運用していくつもりでございます。
  178. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、公正取引委員会は、競争政策を維持していく上からも、先ほど申し上げましたように、五十七年の八月に「政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度の見直しについて」の報告書を出しておりますし、その中でタクシー運賃について、「最高料金制など伸縮性のある料金制度に改めることを検討する必要がある。」、こういうふうに述べられているわけでもございますし、あるいは、物価安定政策会議特別部会、この中にも、六番目に、「同一地域同一運賃制の問題等を含め、タクシー運賃制度のあり方について中長期的な検討を進めるべきである。」、こういうようないわゆる答申もなされているわけでございます。  で、先ほどから局長がいろいろ答弁をなさっておられますが、そのタクシー運賃値上げの問題については、ただ単に同一地域同一運賃制度というものがこれは確たるものではなくて、全体のあらゆる客観情勢を加味しながら値上げの問題については許可を出しているんだ、こういうようなお話になれば、ここに、同一地域同一運賃制度というものがこれはもう一番の柱であるがためにということではないというふうにおっしゃった。そうなれば、いままでの運賃の改正については、多少弾力性のある、伸縮自在のやはり考え方に今後改めていくんだ、こういうふうに私はとらざるを得ないわけですが、そうとってよろしゅうございますか。
  179. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 確かに、公正取引委員会から、タクシー運賃の自由化につきまして御提言はされております。それから物価安定政策会議におきましても、同一地域同一運賃について中長期的に検討をされたい、こういうことが言われております。  しかし、私どもといたしましては、同一地域同一運賃を維持している理由は先ほど申し上げましたような理由でございますし、また、諸外国におきましても、運賃につきましては大体一定の運賃で決めておる、こういうところが多いわけでございまして、あるアメリカの都市におきましては、タクシーの参入規制あるいは運賃規制の緩和を行った結果、非常にタクシーのサービスが悪くなって、再度規制の強化に逆戻りした、こういうような情報も私ども得ておりますが、そういうようなことで、この同一地域同一運賃につきましては、前々回の物価安定政策会議で中長期的に検討をしろという御意見がありましたけれども、今回の東京、横浜の運賃改定につきまして物価安定政策会議で御審議いただきましたときには、私どもの方からこの運賃政策についての説明、それから諸外国の事情等、こういうものもよく説明しました結果、この運賃政策に対する御意見というものはなくなった、こういうことでございます。
  180. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、利用者の方から見た場合には安い方がいいわけですよね。  そこで、運賃の値上げの理由のまた一本の大きな柱として、申請書の中には必ずサービスの向上ということがうたわれているわけです。  果たして利用者は、タクシー運賃の値上げがあったから、じゃ、サービスがよくなったか——僕は一回もよくなったと思ったことがない。実際に利用してみまして、全然そういうあれはありません。そこで私は、もうタクシーに乗るたびに運転手さんに聞いてみるんです。こういうふうな運賃の値上げにあなたたち賛成なのかどうだろうかと聞くと、大抵の運転手さんは反対だと言っているんです。なぜあなたは反対なのか。——別に運賃値上げをしたからって我々の収益が上がるわけでも何でもない、強いて言うならば、今までの走行距離よりも短い距離で今までの収益が一応上がるようになった、この程度でしょう、しかし実車率は大抵落ちてしまいます、こういうふうな返事がぽんと返ってくるわけです。問題はやはり上限を決めて、そしてその上限の中でそれぞれの会社が競争体制に入るという方がむしろ私はサービスの面においても向上していくんではなかろうか、こういうふうに思うんです。  私は北九州に住んでおるわけでございますけれども、さまざまなタクシー会社がございますが、私たちが常時使っているタクシー会社というのはやはりサービスのいいタクシー会社を使っているわけです。そこはやっぱり会社の姿勢が非常にサービス精神に徹して訓練が行き届いている、そういったところにあるわけでございまして、サービスの問題からだけ論じていくならば、しょせんこれは会社の姿勢であって料金との兼ね合いではないということを私はしみじみと現在感じておるわけです。  そういった立場から考えますと、上限までを決めておいて、ある一定の幅の中でそれぞれタクシーの運賃については会社が選択をする、その中で公正な競争をしていく、これの方がむしろタクシー業界の前進につながるのではなかろうか、あるいはまた消費者もそのことを望んでいるのではなかろうか、こういうふうに私自身は思うわけでございますが、局長のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  181. 角田達郎

    政府委員角田達郎君) 私どもの方はただいま先生がおっしゃいましたようなところまではなかなか踏み込めないわけでございまして、それはなぜかといいますと、まず利用者に対する問題が一つあります。しかし、それはさておきまして、タクシー事業の中における労働者立場というものを考えた場合に、先ほど言いましたようにタクシーの運行のコストの八割が人件費、運転手の賃金で占められているわけでございます。したがって、あとの二割で事業者間の競争が行われなきゃならない。としますと、その二割の中のコストの競争というのはこれまたほとんどできないわけでございまして、残りの二割の中の一割は燃料費で取られますから、そうしますと、その他の一割というのは車両の償却費とか一般管理費、こういうことになります。  そこで、タクシーの運賃を上限を決めて下の方は自由ということにしますと、ある事業者は当然他の事業者に勝つために労働者の賃金を切り下げていく、こういうことが起こる可能性が非常に私どもは大きいと考えております。それがまずタクシー事業者内の問題でございます。  それからもう一つは、タクシーを利用する利用者が、運賃を定額で今決めておりますけれども、上限を決めて下限を決めないということにいたしました場合に、タクシーを利用する利用者が、走っておるタクシーをつかまえて、このタクシーは五キロ走ったらどのくらいの運賃になるのか、そういうことがすぐわかりません。それからもう一つは、乗って初めてサービスの内容がわかるわけでございまして、そういうような関係からやはり私どもとしては現在の段階では、まだタクシーの運賃の定額制というものは守っていかなければならないというふうに考えております。
  182. 桑名義治

    ○桑名義治君 その点については私とまた多少考え方が違ってくるわけです。私は値上げを全然してはいけないとか言っているわけじゃないんです。値上げの上限を決めろ、こう言っているわけでしょう。その上限の幅の中でそういうふうに   もっとも余りにもダンピングし過ぎるというんなら幅を決めればいいわけです。  そうすると、乗る人についてどのくらいのタクシーの値段なのかということがわからない、こうおっしゃるけれども、安くしたらどんどん宣伝しますわ。日本の行政の一番の欠陥は何かというと、余りにも頭を突っ込み過ぎる、余りにもサービスが過剰過ぎる。よく言われるじゃないですか、国鉄ももう朝から晩までホームでぎゃんぎゃらぎゃんぎゃら言ってやかましくてしようがない、あんなことはもう乗る者にとっては大人なんだからわかっていると。確かに諸外国に行っても、そんなに列車に乗ってもがんこらがんこら放送はしていませんわね。これは乗る人の責任においてやるべきことであって、それと、やっぱり商業活動というのは安ければ安いほどどんどん宣伝します。口コミになりますわ。ああ、あそこ安いぞ、サービスいいぞ、こういう口コミになって良質なタクシー会社が現出をしてくる。私はそういうふうな自由競争の立場ということを特に強調しておきたい、こう思います。  この問題ばっかり今やっておったらもう切りがございませんので次に進んでいきますが、そういった事柄もひとつ今後の検討の課題として私も一言言っておきたい、こういうふうに思います。  次に、海上運送法の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、アメリカの海運の再建と活性化を目的としていると言われておりますアメリカの新海運法が去る三月の二十日、レーガン大統領が署名したことによりまして、いよいよ来る六月の十八日から発効することが確定をしたわけでございます。  そこで、この内容については、インデペンデントアクションだとか、タイム・ボリューム・レートだとか、サービスコントラクトだとか、そういうものがいろいろと盛り込まれているわけでございますが、今後、アメリカの海運法がこういう形になっていけば、さらに一層船社間の運送競争が激化していくのではなかろうか、こういうふうに思うんですが、この点についてどういうふうにお考えになられるか。  それから、北米航路は国際海運にとっての基幹航路でございます。とりわけ我が国の外航海運は、北米航路をめぐりまして、太平洋岸航路における共同配船体制の見直し問題、また、ニューヨーク航路における運営一元化問題、こういうような困難な問題に直面をしているわけでございますが、こういうことを踏まえて、今回のアメリカの新しい海運法に対して、日本の国としてはどういうふうに対処をされようとお考えになっているのか。また、新法に対する評価をどのようになさっておられるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  183. 犬井圭介

    政府委員(犬井圭介君) お答え申し上げます。  今お話がございましたように、米国の新海運法が六月十八日に実施されるということになっております。内容につきましては、今先生からもお話がございましたが、大きく言って二つの点がございます。  一つは、従来の海運法では海運船社間の海運同盟の協定とかあるいは日本の船社が行っているスペースチャーター協定とか、そういうものについて独禁政策上の見地からかなり厳しい規制が課せられていたわけですが、今回の新しい法律によりまして、そういう船柱間の協定について、従来事前認可制だったものが、例えば届け出をしてから原則として四十五日経過すれば発効するというようなことで、この認可はアメリカのFMCという役所に行わなければいけないわけですが、そのFMCとの関係における手続が非常に簡素化されたということが一つございます。協定がしやすくなったということかと思います。  第二番目に、そういう協定についての独占禁止法の適用除外の規定というのは以前もあったわけですが、今回は届け出をし発効した協定には独占禁止法は適用しないということがはっきりうたわれましたし、また、合理的な根拠に基づいて発効した協定の範囲内と判断される活動については、これまた独禁法を適用しないということがはっきりうたわれております。こういう意味で独禁法との関係では規制が緩和されたという点が第一点でございます。  第二番目は、一方、船社協定の典型的なものである同盟の内部規則についてですが、これについては、規制を緩和することとの見合いだと思いますが、要するに同盟の拘束力を若干弱めるというような措置をとっております。今先生がおっしゃったインデペンデントアクションの導入とかそれからタイム・ボリューム・レートの導入、それからサービスコントラクトの導入とか、そういうことは、拘束力が弱くなるということになってあらわれてまいるわけでございます。  六月十八日に実施されることになっておりますが、実は大統領が署名したばかりで細目的なそういう規則というものがまだ制定されておりません。それから運用の方針もまだ必ずしもはっきりしておりません。実は昨日から日米海運協議が東京で行われておりますが、その中でも我が方としては、この法律の解釈とか運用についてアメリカに対してクラリフィケーションを求めているというそういう段階でございます。  したがいまして、もうしばらくたたないと実際にどう評価すべきか、あるいはどういうふうにこれに対して対応すべきかということは最終的に申し上げられないと思いますけれども、今のテンタティブな我々の評価というのは次のとおりでございます。  一つは、独禁法関係の規制の緩和ということにつきましては、これは船社間の協定がしやすくなるということで、評価すべきではないかというふうに考えます。また、独占禁止法の適用除外の拡大とか明確化と申し上げましたが、そういう点についても、海運活動の法的安定性が保たれるという見地から、歓迎すべきことだというふうに評価いたしております。  しかし一方、インデペンデントアクションなどの同盟の拘束力を弱くするというような要素が入っておりまして、これについては、海運同盟の運賃調整機能の低下をもたらして、運賃水準の不安定化とか輸送秩序の混乱を招くのではないかということを憂慮する意見もございます。これにつきましては、こういう点についての実際の運用がどうなるか、あるいは個々の船主あるいは同盟というものがこういう新しい規定に対してどう対応するかということとの絡みで、断定的なことは今言えないと思いますが、我々としてもこういう点は一つの問題点であるというふうに懸念をいたしております。  最後に先生がおっしゃいました、北米航路における再編成問題とか、あるいはニューヨーク航路の一本化問題ということについてこの新法がどういうふうに影響するかということでございますが、これも細則が決まり運用方針が決まらないと最終的にはっきり申し上げられませんが、現在の時点で一応申し上げますと、そういう再編成とか合理化の問題は協定につながるわけですから、協定をFMCにファイルして四十五日たてば原則として発効するということですから、そういう協定とか一本化の問題というのはこれから進みやすくなるんじゃないかというふうに考えております。しかし、今後どういう運用方針がとられるかわかりませんので、この再編成問題とか一本化問題というのは、運輸省としても推奨して運輸省から話をしてそういうことを進めてもらっているということもありますので、必要な場合には米国の海事当局ともよく協議をしながら、これが実現するような方向で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  184. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで定期船同盟行動憲章条約、これが昭和四十九年の四月に国連で採択をされて十年たったわけでございますが、昨年の十月の六日、ようやくこれが発効しました。この採択に当たりましては日本の国は賛成をしているわけでございますが、定期船同盟行動憲章条約の発効後既に六カ月を経ているにもかかわらず、国会に、同条約及び条約の国内法制化等を内容とするいわゆる海上運送法等の一部を改正する法律案、これがいまだに提出をされる気配が見えないわけでございますが、これはどういう理由なのか。あるいはまた、六カ月間経過しておるにもかかわらず、こういった後の受け皿の作業が非常におくれているということは、国際間の不信を大きく招いていくおそれも出てくるのではないか、こういうふうに懸念をするわけでございますが、その点についての見解もお聞きをしておきたいと思います。
  185. 犬井圭介

    政府委員(犬井圭介君) 今先生から御指摘がございましたように、定期船同盟行動規範条約、コード条約というふうに呼ばせていただきたいと思いますが、これが昨年の十月六日に発効いたしました。  この条約は昭和四十九年に採択されたものですが、日本は当時UNCTADの中での議論を通じまして、発展途上国側の一方的な海運規制に歯どめをかけて定期船の分野における新しい海運秩序を形成するのに資するのではないかということで、発展途上国、先進国の間に立ちまして、むしろ積極的な調整役も買って、この条約の採択に際し賛成票を投じたといういきさつがございます。その後も国際会議で機会あるごとに、早期に批准をしたいという意向を表明してまいりました。また、我が国の海運会社あるいは貿易業界も、この条約の早期批准と国内法化を強く望んでいるわけです。  運輸省といたしましても、そういう状況を踏まえてできるだけ早期にこの条約を批准したいということで、特に昨年発効したことでもありますので、できれば今国会に批准の承認をいただいて、それを国内法化するということでお願いしたいということで、鋭意作業を進めてまいったところであるわけです。  しかし、この問題については実は先進国間でいろいろ議論がございまして、特にアメリカがこの条約の実施について非常に大きな懸念を持っているということがございます。こういう世界的な海運問題につきましてはアメリカと西欧諸国と日本の間で海事当局者間でいつも相談をしながら事を取り運ぶという慣行がございまして、そういうことでアメリカの懸念をめぐりまして昨年来鋭意協議が重ねられているところであります。  アメリカの懸念は何かといいますと、条約の第一条に同盟加入についての規定があるわけですが、ナショナルライン、つまり貿易当事者国の海運会社はほぼ自動的にオープンで同盟にはいれるんだという規定がございます。能力があることが必要ですが、それを条件としてはいれるという規定がございます。一方、三国船は一定の条件がないとはいれない、需給状況等を勘案した上で一定の条件がないとはいれないということになっているわけです。また第二条には、いわゆる四、四、二と言われますが、プール協定を定める際の一つの基準として当事国船社が四割、四割、それから第三国船が二割、四、四、二という原則でやるんだという規定が盛り込まれてございます。  この二つをとらえましてアメリカは——アメリカは入る意思がないわけですから、例えば日本とアメリカとの間の航路にはこの条約は適用されないということでそれ自身は問題にならないわけですが、例えば日本と発展途上国との間の航路についてはアメリカは第三国船になるわけです。そうすると不利な立場に立ちます。そうすると、同盟にはいれないのではないか、同盟に入った場合に非常にマイナス面が多いのではないか、あるいは第三国船としてついにはトレードから排除されてしまうのではないか、そういった場合には国際的にどういう措置をとられるべきかというようなことを問題にしているわけです。  こういう点につきまして、昨年来ヨーロッパ、日本、アメリカとの間で再々協議が重ねられてきましたが、本来、昨年の十二月に答えが出るべきところが出ないで、この二月に会議が予定されていたわけですが、それも延びて、この五月にもう一度協議をするという状況になっているわけです。これは、我々が当初考えていた予定と大分変わってきているということであります。そこで、実はアメリカに日本へ来てもらいまして、さっき申し上げましたが、今、日米海運協議をやりまして、そこでこの問題について意見を交換している最中でございます。意見交換の結果はまだきょう聞いておりませんが、海運局でも次長以下が出席して今交渉を行っております。したがいまして、その交渉の結果を踏まえまして今後どうするか考えてまいりたいと存じます。  それから、条約の批准と絡みまして国内法というものを準備しなければいけないわけですが、現在運輸省で法案を準備しまして各省に内々御相談しておりますが、当然のことながら、運輸省の案については通産省も含め各省からいろいろ御意見も出ております。ですから、アメリカとの協議の結果、あるいは各省の御意見等も踏まえまして鋭意調整に努め、大分おくれましたけれども、できれば今国会に条約の批准をお願いしまた国内法化をお願いするということでなお努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  186. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、先ほどから話を申し上げておりますように、批准が半年おくれているということでございますが、その最たる原因は、アメリカの強烈な反対がある、それと同時に国内においては通産省と運輸省との間のあつれきがある、こういうふうな報道機関の記事になっておるわけです。  それが現実とするならば、これはアメリカともうこれ以上の話し合いの余地がないのかどうか。西ドイツやオランダはもう既に批准をしました。イギリスはどういう態度か、ちょっと態度があいまいなようでございますけれども、いずれにしましてもこの批准というものは日本の海運、荷主、貿易業界、こういった方々ももう全部賛成をしているわけです。  それが仮にアメリカの圧力やあるいはまた国内の通産省と運輸省との意見調整ができないためにおくれたということになれば、これはゆゆしき問題だと、こういうように思うわけでございますが、運輸省と通産省とのいわゆる話し合いは一致点が出たのかどうか、この点どうでしょうか。
  187. 犬井圭介

    政府委員(犬井圭介君) 通産省と最終的に意見が一致しているということではございません。通産省と意見を調整している傍らで、米国との関係協議を行っているというような段階でございます。しかし、通常、法案を作成する段階で、他の省からいろいろ意見が出て調整に時間がかかるというのはよくあることでございます。この点につきましては、そういう調整ができないために法案が出せなくなるというようなことのないように、今後とも最大限の努力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。  それから、アメリカとの関係も、圧力がかかっているとかそういうことではなくて、従来から、ヨーロッパとアメリカと日本の海運国の間では、そういう世界的な海運問題についてはお互いに議論を尽くして対処するのだということで、常に会議を重ねるという慣行がございまして、そのために今度も一生懸命行っている、若干時間がかかっているというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  188. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、今国会中になるべく法案を提出したい、あるいは批准の段取りをつけたい、こういうふうにお話しになりますけれども、御答弁としては。ところが、通産省との話はまだついておりません、アメリカとイギリスとの話もまだ少し長引いておりますと。四日から行われております日米の海運会談の中では恐らく議題として出ているのではなかろうかと私は推測するわけでございますけれども、じゃ果たしてここで話し合いがつくかどうかという、これは絶対につくという確信はないんじゃなかろうかと、こう思うわけですね。  そうすると、今国会中に法案の提出というのはこれは不可能に近いというふうに断定せざるを得なくなるわけですが、そうなってくるとまた相当延びできますよ。私は、国際上の問題、こっちは賛成の票を投じているわけですから、しかも西ドイツやオランダ等についてはこれ全部批准も終わっておりますし、言うならば、日本の国の省内の意見調整ができないということ、あるいはまたイギリスやアメリカ等の出方待ちで批准が少しおくれているということは、これは理由にならないと思うんですな。批准をしている他の外国の目から見た場合にはこれは問題にならない、非常に恥ずかしい問題ではなかろうか、またおかしい問題ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。  日本のように大量の原材料を海外、特にまた開発途上国から輸入をしているという立場、あるいは製品を大量に送っているという立場、こういった立場から考えますと、これは他の国に先駆けてでも批准するのが当然であろう、こういうふうに思うわけでございますが、その点についての御意見を再度伺っておきたいと思います。
  189. 犬井圭介

    政府委員(犬井圭介君) 運輸省といたしましては、今先生がおっしゃったようなことを十分踏まえまして現在まで最大限の努力を重ねてきたつもりですし、今も申し上げましたように、今後ともできるだけの努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。  もちろん、日本の国内で海運業界あるいは貿易業界がこの条約の批准を熱心に望んでいるということはよく承知しております。ですから、できるだけ早期に、できればこの国会中に批准、国内法化をしたいと思っております。また、国際的に見ても、ヨーロッパ諸国はオランダと西独が批准しただけで、ほかの国、例えば英国、フランス、北欧諸国等は日本と同じように、米国等との議論を十分尽くしてからこの批准をしたいということを考えておりますので、そういう点では日本は決して孤立しているわけではありません。  しかし、国際的に見ますと、おっしゃるように、最初のときに、採択のときに賛成したんではないかという意見も当然あるかと思います。日本が今批准しないからといってすぐに非難されるという特段のことはないと思いますけれども、早いにこしたことはないということは御指摘のとおりでございますので、私たちとしては今後最大限の努力を重ねるというつもりでございます。
  190. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、この問題について大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  191. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 桑名議員のおっしゃっている趣旨はもう全く間然するところがございません。そのとおりなんでございます。いろんな関係でこれがおくれてまいっておることは日本としては大変遺憾なことだと思います。したがって、今、日米の海運の会議もやっておりますが、海運局長が申しましたように、できるだけ急がせるように私からも努力を続けてまいりたいと思っております。
  192. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、私は日米間の航空問題について少し伺っておきたいと思います。  我が国と米国との間に存在をしております航空権益の不平等の是正、このために日米航空交渉が去る三月二十七日から四日間開催をされましたが、その間の交渉の議題、内容、結果についてまず御報告願いたいと思います。
  193. 山本長

    政府委員(山本長君) お答え申し上げます。  御質問のとおり三月二十七日から四日間日米の航空交渉を行ったわけでございます。この交渉は、日米の航空協定改定交渉というのは非常に長い歴史を持っておりまして、実は五十一年から続けておるのでございますが、これも御存じのことと思いますが、一昨年の九月に暫定取り決めということで当面の相互の権益の新たな交換というものをいたしましたときに、引き続き、暫定期間は三年と決めると同時に交渉をさらに行うということになっていたものを受けて行ったものでございます。この行う趣旨は、日本側といたしましては、やはり双方の権益の均衡を図るということを目的といたしまして私たち主張をいたしておるわけでございます。細かい具体的なことは差し控えさせていただきますけれども、基本的には、路線権、以遠権、それから輸送力の調整の方式等につきまして両国間の均衡を図るという見地から、私たちの方から主張をいたしたわけでございます。これにつきまして米国側からは、この次に、ことしの九月に次の協定交渉が予定されておりますので、その時期に米国側より正式のコメントをする、こういうことでもって今回の会談を終わったということでございます。
  194. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、今回の二十七日から四日間行われたいわゆる話し合いの中では、権益の問題については前進がなかった、棚上げされた、延ばされたと、こういうふうに理解していいんですか。
  195. 山本長

    政府委員(山本長君) この交渉はこの三月に行いましたが、同時に引き続き九月に行う、それからさらに来年の初頭、さらに来年の九月というふうに一応はスケジュールと申しますか、交渉の予定と申しますか、というものが相互で合意されております。私先ほど申し上げましたように、この三月の交渉では合意といいますか、結論的なものは出なかったわけでございますけれども、これは非常に大きな、非常に長い交渉の一つの過程でございますので、引き続き今後の交渉におきまして私たちも努力をしてまいりたいと思います。今回の交渉で一つの結論を得るということでもって三月の協議が行われたということではございませんで、そういった交渉の中の一つのステップとして三月の交渉が行われたと、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  196. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうなりますと、先ほどお話がございましたように、暫定取り決めが行われているわけでございますが、これは三年間ですから六十年で切れるわけですね。六十年を見通していわゆる日本の権益をある程度伸ばすことができるかどうか、この見通しを含めてこの取り扱いをお聞きしておきたいと思います。
  197. 山本長

    政府委員(山本長君) この暫定取り決めは、昭和六十年九月つまり三カ年、または協定改定交渉の決着、いずれか遅いときまで暫定取り決めが有効である、こういうふうにされております。この点、九月までというのが一つの期限でございますけれども、交渉がその後も継続する場合にはなお有効となっておるということを御説明申し上げたいと思います。  それからもう一つの、見通しというものにつきましては、これは両国間の交渉マターでございますし、さらに双方それぞれ主張を持っておるわけでございまして、現実問題としてどういうところに落ち着くか、見通しをこの場において御説明するということは難しゅうございます。ただ、先ほども申し上げましたように、日本側といたしまして、権益の均衡というものを目指してやらなければならない事態が現に存在しておるということでございますので、この交渉を通じまして粘り強く最大限の努力をいたしまして、日本側としての権益の確保というものについて努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  198. 桑名義治

    ○桑名義治君 なぜ私が見通しということを申し上げたかといいますと、今までの話し合いの中ではほとんど前進がないわけですね。わずか前進があったけれども、必ず相互乗り入れという形で、アメリカの権益の方が逆に伸びてくるというような話し合いの煮詰めに終わっているというのが現実の姿であるわけですね。  しかも、五十七年の日米暫定取り決めにより昨年の四月から日本の乗り入れが認められましたユナイテッド航空が、同社を利用して日本から米国内の都市を訪れる旅客を対象とするUAコンポと呼ばれる国際線の運賃込みの格安な運賃制度を四月一日から実施すると、こう発表しているわけでございます。これを利用すれば、シアトル経由でニューヨーク往復で十一万円も安くなる。同種運賃を導入できない日本航空は不利な条件に置かれるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、我が国政府としてユナイテッド航空の新運賃にどのような見解を持っているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  199. 山本長

    政府委員(山本長君) ユナイテッド航空が四月一日から新たに導入いたしました運賃につきましては、非常に問題があるというふうに考えております。この運賃が、ユナイテッド航空の太平洋線の利用客のみに利用可能とされております。またさらに、その額が、多くの米企業が通常の国際線利用客に対しまして提供いたしております他の類似の運賃——類似のものといたしまして外国から来た旅客に対して若干安い運賃を適用するというのは現に存在しております。がしかし、その額から比べまして著しく低廉だという問題がございます。したがいまして、これは先生の御質問にありましたように、この運賃を利用することによって、利用者にとりましては非常に安い運賃でもって米国内を旅行できるし、また米国内で複数地点を旅行しないお客に対しても、ある地点へ行く旅客に対しましても、乗り継ぐことによって安い運賃が適用される、こういうことになるわけでございます。  運輸省といたしましては、このような運賃が自社の利用客のみに限られた範囲で適用される、排他的だというところに問題があり、また我が国の航空企業がこれに対抗する有効な手段を持ち合わせないというような状況下で適用されるということは、やはり両国の航空企業がこの太平洋の路線において運営する場合に、公平かつ均等な機会を損うとか、あるいは不当な影響を及ぼすおそれがある。こういった点につきましては、日米航空協定でも、公平かつ均等の機会を損う、あるいは不当な影響を及ぼすおそれがあるというふうなものについては、こういうことを排除するというふうな協定もございますので、こういう規定に抵触するおそれが強いというふうに考えまして、三月末に外務省を通じまして、我が国の航空企業も含めてこの運賃が利用される、つまりオープンな運賃であるということであればそれもまた一つの方法であるが、しかしながらそうでない限りはこの運賃の実施が停止されるよう、米政府に対しても文書をもって要請をいたしたのでございます。  さらにまた、先ほどの御質問の、三月未東京で日米の航空協定交渉が開催されました。この交渉の場を通じても同趣旨の申し入れを行ったところでございます。  これに対しましての米側の対応につきましては、可能な限り早く検討の上日本側に連絡をする、こういう旨を申し述べていると、こういう状況でございます。
  200. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間がもう一分しかございませんので、これ一問で終わりにしたいと思うんですが、いずれにしましてもユナイテッド航空に続きましてノースウエストもこの割引運賃導入を予定しておりますし、さらにパンナムにも波及しそうな状況になっていると、こういうふうに報道されているわけでございます。  ところが、先ほどからいろいろと御説明がございましたが、日米航空協定の第十一条、相手国企業の同一路線に不当な影響を及ぼしてはならない、この規定に違反をするのではないか。こういうふうに私も思うわけでもございますし、この点について御答弁を願いたいし、それから今回のこういった形式については日本国政府の認可が必要であるというふうに日米航空協定に基づいて考えられるわけでございますが、日本航空もそういうふうに言っているわけですね。この点について政府はどういうふうに解釈なさっているのかお聞きをして、終わりたいと思います。
  201. 山本長

    政府委員(山本長君) 日米航空協定上の問題につきましては、先生おっしゃる条文に照らして、違反の疑いがあるということでもって米国に申し入れている、政府の態度としてもそういう態度をとっているということでございます。  二番目の、この運賃は国際運賃であるという点に関してでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたが、非常に程度が今度の場合は低廉の度合いが大きいという問題がございますけれども、同種の運賃が既に米国に存在をしているという事実もございます。そしてそれに対しまして、日本航空を初め外国の航空企業が、これらの運賃は国際運賃であると主張いたしまして米国内航空委員会に提訴をしているという状態でございまして、このような、太平洋線の旅客に限り適用されることになっている運賃でありますけれども国内において適用される、そういう運賃でございます。これを国際運賃として取り扱うべきかどうかにつきましては、過去のいろいろな扱い方、過去の例もあるということでございますので、現在新たにこれを国際運賃として認可の対象であるというふうな主張をすべきかどうかにつきましては検討いたしておりますけれども、むしろこれらの運賃というものについて、先ほど申し上げましたように、我が国の航空企業とそれから米国の航空企業がやはり公平な機会を得なければならぬというふうな規定とか、あるいは不当な影響を及ぼすおそれがないようにしなければならぬ、こういう点に着目いたしまして日本の政府としての主張をいたしておるというところでございます。
  202. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間がないからこれは何にも言いませんけれども、少し弱腰みたいな気がしてしようがない。非常に甘いですね。  終わります。
  203. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時十分散会      —————・—————