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1984-04-20 第101回国会 参議院 エネルギー対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十日(金曜日)    午後一時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井上  孝君     理 事                 川原新次郎君                 小柳  勇君                 馬場  富君                 小西 博行君     委 員                 工藤万砂美君                 熊谷太三郎君                 宮島  滉君                 山本 富雄君                 大森  昭君                 菅野 久光君                 中野 鉄造君                 小笠原貞子君                 青島 幸男君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       岩動 道行君    政府委員        科学技術庁計画        局長       赤羽 信久君        科学技術庁原子        力局長      中村 守孝君        科学技術庁原子        力安全局長    辻  栄一君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        工業技術院長   川田 裕郎君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁長官官房審議  松田  泰君        官        資源エネルギー        庁石油部長    松尾 邦彦君        資源エネルギー        庁石炭部長    村田 文男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君    事務局側        常任委員会専門  野村 静二君        員    説明員        外務省経済協力        局技術協力第一  黒川 祐次君        課長        大蔵省主計局主        計官       中平 幸典君        通商産業省通商        政策局経済協力  荒尾 保一君        部長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○エネルギー対策樹立に関する調査  (エネルギー対策基本施策に関する件)     —————————————
  2. 井上孝

    委員長井上孝君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。  エネルギー対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 菅野久光

    菅野久光君 我が国における原子力発電の比重は年々ふえて、五十八年度末では全発電量の二〇%を超えました。今後さらに原子力発電設備をふやす方向で建設あるいは建設準備中であります。  エネルギー見通しには、安定供給の面とともに経済性も欠かすことはできない、このことは当然でありますが、今の原発建設費は年々増加する一方である。しかも、安全性の問題、そして放射性廃棄物処理廃炉の経費はまだ不明のままであります。原発建設が経済的に引き合うかどうかは疑問であるというふうに言わざるを得ないわけであります。したがって私は、原発以外の代替エネルギー開発にも、今真剣に取り組まなければならないというふうに考えているわけです。  特に原発の問題については、ウラン燃料原子炉に入れると発電機が回るという前半のプロセスまでしか今ないわけで、その後の発電量に比例して燃料の中に生じた死の灰をどうすればいいかという後半のプロセスについては、今の技術では答えを出していないというのが実態だというふうに思うわけです。  そこで本日は、古くて新しい原発安全性の問題を中心にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  最近になって、原子炉中性子による脆化が、意外に早く深刻であることがアメリカで明らかになってまいりました。最近といってもいいと思いますが、八一年の七月九日、読売の夕刊では「原子炉壁材質欠陥 加圧水型、米で監視体制」という見出しで、「アメリカ発電用原子炉の主流を占める加圧水型原子炉の約二十基について、ステール製炉壁材質的にもろくなる欠陥があり、米原子力規制委員会が特にこれらの原発を対象に注意深く監視する体制をとっていることがわかった。」というふうに報じておりますし、同じ八一年の十一月二十二日の朝日では、「冷却水流失事故原子炉破裂恐れ」というようなことで、非常に加圧水型の原子炉についての危険な状況というものが報ぜられているわけであります。三号  そこで、こういった脆化の問題について、今どのようなことが、テストなりあるいは対策といいますか、そういったことをなさっているのか、その点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  4. 松田泰

    政府委員松田泰君) 今、先生御質問のありました中性子脆化、特にPWRにおきます原子炉容器中性子による脆化の問題については、これは当初、原子炉設置許可時点から一応問題の所在はわかっておりまして、古くから現在あります軽水炉はすべてその圧力容器と同じ材質テストピースとして挿入しております。これを一定期間ごとに取り出しましてその材質性質を調べまして、いわゆる中性子脆化がどの程度進んでいるかということを監視するという計画になっております。  アメリカの方でそのテストピースを調べましたところ、最初設置許可段階でいろいろ検討した予想に比べまして、ある程度進んでいるというふうな結果が出たわけでございますが、それのいろいろな解析をいたしましたところ、主として鋼材に含まれます不純物、特に銅の含有量影響が非常に大きいというようなことがわかってまいりました。わが国の場合には、そうした材質鋼材品質管理というような面におきましては、アメリカに比べて数段すぐれた実績を持っておりまして、その結果といたしまして、銅の含有量等わが国の場合には非常に少のうございます。そういうことから、この中性子脆化に関しますテストピース監視結果におきましても、アメリカ状況に比べましてこのような中性子脆化のおそれがないというデータが出ております。したがいまして、この問題についてわが国では特に現在のところ心配する必要はないと思っております。  ただし、この問題につきましては、一定中性子脆化による進みぐあい等につきましての実証試験というものを現在行っておりまして、そういう結果によりましても一般の方々に安心していただくという意味試験も行っているというのが状況でございます。
  5. 菅野久光

    菅野久光君 テストピースでやられた場合に今のところは問題がないと、それはあくまでも今のところということでありますが、テストピースそのものが、例えば原子炉でありますと、それぞれのところに圧力がかかっているわけですね。しかし、テストピースそのものは、やっぱり一つの片といいますか、そういうものが入っているので、実際に炉の状況とは、圧力がかかってないといいますか何というか、そういうことでは違うのではないでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
  6. 松田泰

    政府委員松田泰君) 材質が脆化するということは、主として中性子線影響によって起こるわけでございまして、原子炉の実際の中性子の当たる場所テストピースが挿入してあるわけでございます。それが壊れますときには、ある温度のときにある急激な圧力が加わりますと壊れるわけでございます。したがいまして、そのテストピースを出しまして、そのテストピースはどのような圧力で、どのような温度で壊れるかということを調べるわけでございまして、したがいましてその結果が、ある温度でこのような圧力では大丈夫だという結果を試してみるわけでございます。
  7. 菅野久光

    菅野久光君 いわゆる炉壁溶接だとかなんとかという形もやっぱりありますね。そういったようなものもテストピースとして入れて、脆化の問題については研究をされているのでしょうか、いかがでしょうか。
  8. 松田泰

    政府委員松田泰君) 圧力容器溶接いたします場合に、溶接棒材料というものがかなり今言ったような中性子脆化の性質影響するわけでございます。しかし、実際には圧力容器をつくったときと同じ材料テストピースとして最初に入れているわけでございまして、そういう意味で特に溶接そのものという問題よりは、圧力容器母材そのものテストをやっておるということでございまして、先生お尋ね溶接影響というのは十分加味してやっているわけでございます。
  9. 菅野久光

    菅野久光君 脆化の問題については、例えば材質不純物の問題なんかについても、これもいろいろあるわけですね。そういった面で、あくまでも炉の材質と同じものということで、もっと不純物の入り方のいろいろな違った形、そういうことでもやっておられるのでしょうか、いかがでしょうか。
  10. 松田泰

    政府委員松田泰君) 現在、実際の軽水炉に入れておりますテストピースといいますのは、その母材と同じ性質のものでないと意味がありませんので、監視でございますから、それが入っているわけでございますが、もちろん圧力容器母材そのもの材質改良につきましては、実際に鋭意メーカー等研究は行っておるわけでございまして、この中性子脆化ということに限らないで、不純物の少ないいいスチール圧力容器をつくるという努力はなされているわけでございます。
  11. 菅野久光

    菅野久光君 脆化の問題が原発先進国であるアメリカで非常に問題になっているというようなことが報道されているだけに、我が国技術が非常にすぐれているという面はあったとしても、しかし、あくまでもそれは今の時点ということであって、それが絶対大丈夫だという保証はやっぱりないわけですね。大丈夫だ、大丈夫だということでやりながら、現実的にスリーマイル島のようなああいうことが起きたり、あるいは今までも我が国の中でも事故があったわけであります。八二年の九月二日付の日経新聞では「原発予想外危険米重大事故十一年間に百六十九件も」という見出しでこれもまた出されております。アメリカで八二年六月に発表された報告によれば、その十一年間にアメリカ原発で起こった一万九千四百件の事象を検討し、百六十九件を深刻な事故先駆け事象として選び出している。この百六十九件のうち五十二件は、もしそのときに同時に安全装置、例えば緊急炉心冷却装置が作動しなければ深刻な炉心損傷を招いたと考えられる大事故先駆けであったというようなことが報ぜられているわけですが、我が国でも原発事故が今までも何回かありましたけれども、こういったような分析の中で、言えば炉心に何らかの影響があるような、そういう深刻な事故になるところであったとか何とかと、そういうようなことが今までの中であったかどうか、そのことをお知らせいただきたいと思います。
  12. 松田泰

    政府委員松田泰君) 今、先生引用されましたアメリカ報告は、もし間違っていなければ、実は、いわゆる原子炉予想されますというか考えられます事故につきまして、一連の確率計算をやったレポートであろうかと想像いたします。その場合には、実際に今先駆け現象と言われました事象に加えまして、安全装置故障というものを幾つか想定するわけでございます。それの確率を掛け合わせて事故確率を出すという作業が行われているわけでございまして、その場合、安全装置が壊れますれば当然大きな事故に発展するわけでございますので、その場合、この現象が起こればある種の大きな事故先駆けであるかどうかというのは、立場によっていろいろ見解の分かれるところでございます。そういうレポートだと思いますが、お尋ね我が国におきますいろんな小さいトラブル等の結果は、私どもは大きな事故に発展すると考えられるような事故は現在までは起こっておらないというふうに考えております。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 確率の上での数値ということではなくて、この新聞では、「オークリッジ国立研究所は、この期間、全米で運転中の原発から通報を受けた計一万九千四百件の事故内容」云々というふうに書いてあるわけです。ですから、単なる机上での計算といいますか、そういうことで出された件数ではないということを申し上げておきたいというふうに思います。  そこで、昨年の十月二十七日にアメリカでは増殖炉建設が中止された。これは八三年の十月二十七日の朝日夕刊でございますが、「増殖炉建設中止 米核転用恐れ予算否決」と書かれておりますが、その中で「建設中止米国原子力政策原子力産業の将来だけでなく、日米高速増殖炉協力協定のもとで原型炉「もんじゅ」以降の開発を進めようとしていた日本原子力開発にも影響しそうだ。」と、こう出ておりますが、アメリカ予算が否決されたということで、この報道にあるような原子力開発にどのような影響があるのかないのか、そのことを含めてお答えいただきたいと思います。
  14. 中村守孝

    政府委員中村守孝君) お答えいたします。  アメリカにおきます高速増殖炉開発につきまして、先生指摘のように、クリンチリバーという原型炉建設計画がございましたわけでありますが、これが一九八四年度の予算で認められないことになりましたことは事実でございます。ただ、米国では、この原型炉計画は中止いたしましたものの、高速増殖炉そのもの研究開発というものは従前に増して続けておるということで、その関係予算は認められておるところでございます。  一方、我が国におきましては、御承知のようにエネルギー資源が乏しいということで米国とも事情を異にしておりまして、ウラン資源有効利用を図るという観点から高速増殖炉開発を積極的に進めております。これは、我が国事情を同様にいたします西独、フランスにおいても同様に積極的な開発が進められておるわけでございまして、我が国におきましては、この高速増殖炉開発自主技術によって開発をする、もちろん部分的にはいろいろ先進諸国との協力ということがございますが、主体は自主技術開発をするということで進めてまいってきております。  したがいまして、現在このアメリカとの間にも基盤的な技術についての交流というのはやっておりまして、情報交換その他はやっておるわけでございますが、具体的なクリンチリバーという原型炉建設について直接的な関係というものはございませんので、このプロジェクトが中止したからといって、我が国高速増殖炉開発につきまして直接的な影響があるわけではございません。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、影響がありそうだというようなことについては、影響がないというふうに受けとめさせていただきたいというふうに思います。  次に、動燃の核燃料処理工場の問題でございますけれども、「再処理工場の新溶解槽公開」ということで、五十九年四月十八日新聞に報道されました。これの事故の問題は、実際に工場という名前にはしてあるけれども、しかし工場ということではなくて、言えば実験的な施設と言ってもいいのではないかというふうに私どもは考えているわけでありますが、あれのピンホールが何カ所かあいたということで、その事故の解明といいますか、そういったようなことはどのようになさっているんでしょうか。
  16. 中村守孝

    政府委員中村守孝君) 東海の再処理工場は、実際に実用規模工場として原子力発電所から出てくる使用済み燃料処理も行っておりますが、同時に、我が国最初プラントでございまして、そういう意味フランス技術を導入してつくったものでございまして、パイロットプラント的な要素が非常に多うございます。ということで、この再処理工場運転に当たりましては、我が国における再処理技術のいろいろな経験を蓄積するという意味で、各種のトラブルにつきましては徹底的な究明を図り、稼働率を落としても、犠牲にしてもそういった問題の究明を図って、以後の再処理工場建設に役立てていこう、そういう精神で運営を図ってきておるものでございます。  先生指摘の再処理工場におきます十ラブルにつきましては、主なものといたしましては、酸回収蒸発缶故障とか酸回収精留塔故障あるいは溶解槽故障というようなものがございますが、これらにつきましてはその原因というものはわかっておりまして、大体共通的な問題といたしまして高濃度の硝酸硝酸使用条件としては比較的温度の高い状況の中で発生しておるものでございます。これが共通的なことでございまして、結局は高温部におきます硝酸による腐食、そういったものの化学的反応が顕著であるということと、それから特に溶接部分でございますが、溶接をするときの熱が加わりますが、このことによりまして材料が、技術的用語で言うと鋭敏化と言っておりますが、もう少し砕けた言葉で言えば腐食しやすいというような状況になっているわけでございまして、これらの二つが主要な原因であるということが解明されております。  こういった原因が解明されておりますので、これに対応する手段といたしまして、溶接材材質を変えて工夫するとか、あるいは溶接施工方法改良、これは温度の加え方で腐食しやすい状態になりやすい条件が変わるものですから、こういったことで溶接施工方法改良する。それから材料の面におきましても耐食性にすぐれた材料を使うということで、例えば具体的に申しますと、ニオブ添加高クロムニッケル鋼というスチールを利用しているんですが、これの不純物の少ないものを使って耐食性を増すというようなこと、さらにはその材料を使っております硝酸温度等につきまして変化を加えるというようなことで見直しをいろいろしてございまして、所要の技術開発及び改良措置を実施しておる、こういうことで基本的にはこれらのトラブルというものは十分克服していけるという見通しを得ておるわけでございます。  具体的に一つの例といたしましては、先生先ほど御指摘になりました新型溶解槽というものを、これはフランスから持ってきました溶解槽二つトラブルの例にかんがみまして、これを日本技術でしっかりしたものをつくろうということでつくり上げました。これも新聞にございましたように、先日一応工場組み立てを完了したと。これは今年中に現地に据えつけまして、来年からはこの新型溶解槽を使っていこう、そういう状況にございます。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 一たん事故が起きるとやっぱり非常に影響が大きい、それだけに慎重にやっていかなければならないわけですが、どういう関係かこの関係は、実験段階が本当に綿密になされた上で、そういう何というか、商業べスといいますか、そういうことにしているのかどうかということが、何か極めて先を走り過ぎるのではないか、そのことからこういったような事故が起きるのではないかというふうに考えられるわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  18. 中村守孝

    政府委員中村守孝君) 再処理工場東海村に建設いたしますにつきましては、その以前に日本原子力研究所の方で再処理技術に関する基礎的な研究も行っておりましたし、当時もまた今もそうでございますが、ピューレックス法という国際的にも共通な技術でございまして、これはフランスにおきましていろいろな実験を積み重ねた上ででき上がってきたものでございますが、そういう技術実態を調べまして、当時やはり日本技術ではいきなり自分の方で設計するという能力はなかったものですから、フランスからの技術を導入したということはございますが、その技術そのものフランス十分実験もされ、その後現在に至るまで二十年間の実績のあるピューレックス法という技術でございますので、特に実験が足りなかったのではないかというようなことよりも、むしろプラントとして組み上げたエンジニアリング的な面でいろいろトラブルといいますか、経験不足の点で問題が出ておるということでございます。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 では、世界で再処理工場として機能しているのはどこの国でどの程度やっているのか、そのことについてひとつ教えていただきたいと思います。
  20. 中村守孝

    政府委員中村守孝君) 外国の状況でございますが、フランス原子力庁では、マルクールに設置しましたもので天然ウランの量で千トン・バー・年、一年に千トンの処理能力を持つものが既に二十五年間運転をいたしております。さらにフランス核燃料公社、COGEMAと言っておりますが、この公社がラアーグという場所に設置しておりますUP2というプラントがございます。これは天然ウランにいたしますと年に八百トン、それから濃縮ウランにいたしますと年に四百トンの処理能力を持つものでございまして、天然ウランの分につきましては一九六七年から、それから濃縮ウランにつきましては一九七六年から運転をいたしております。  さらに、イギリスについて見ますと、イギリス核燃料公社、略してBNFLと言っておりますが、これがセラフィールドという場所、昔はウィンズケールと呼んでいた場所でございますが、ここに設置しました工場で、天然ウランにつきまして一年に二千トンの処理能力を持っている工場が、一九六四年以来約二十年間運転をしておるということでございます。  さらに、西ドイツにおきましては、これはやや規模が小そうございますが、カールスルーエの再処理施設がございまして、これは年間三十五トンという処理能力でございまして、一九七一年に運転開始いたしました。一時とまっておりましたが、一九八二年の十月に運転を再開いたしまして、現在運転中という状況でございます。これらの施設は、いずれも先ほど申しましたピューレックス法による再処理施設でございます。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 再処理工場としては今お答えになったところが現実的に稼働しているのかどうか、そのことを再度お尋ねしたいと思います。
  22. 中村守孝

    政府委員中村守孝君) ただいま私が申し上げました工場は、いずれも稼働いたしております。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 実は、ごらんになっていると思いますけれども朝日ジャーナルの三月二十三日号に「原発に未来はなくなった!?」という記事が出ておりますけれども、この中でも放射性廃棄物の問題について、何か一九九〇年までの契約を結んで、それまでに再処理ができないようなときには日本の国に送ったものを戻してくるような、そんな記事がちょっとあるようなんですけれども、そのような契約というものの内容でやられているのか、それから今までに再処理のためにどの程度のものがどこの国に送られているのか、そのことについてひとつお知らせいただきたいと思います。
  24. 中村守孝

    政府委員中村守孝君) お答えいたします。  最初先生おっしゃいました日本に戻してくるという話でございますが、これは使用済み燃料を戻してくるということではございませんで、使用済み燃料を再処理いたしますと高レベルの廃液等が出てまいります。これをガラス固化といいまして固めまして、液体状でなくて固体化したものを将来日本に、日本といいますか再処理を委託した国に返すことがあるべしということでございます。  それから、再処理の海外への委託の状況でございますが、五十七年度までの数字で申し上げますと、英国の核燃料公社とそれからフランス核燃料公社、ここに合わせまして約八百二十トン引き渡しております。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 記事では「全国の都道府県が放射性廃棄物を投げつけ合う時代がそこまできていることを、かなりの確実性をもって推測できる。それは、あと六年後、一九九〇年に明瞭な形をとる可能性が強い。フランスイギリスに送り続けられている廃棄物が、そのころに、わが国にどっと返還される契約が結ばれているからである。」という記事が出ているんです。この記事内容はいかがでしょうか。
  26. 松田泰

    政府委員松田泰君) ただいま原子力局長が御説明しましたとおり、向こうから送り返されます返還廃棄物は、現在までのところ、つくられると予想されます商業再処理工場にためるというのがこれまでの考えでございます。記事にございます、いわゆる発電所その他から出るような廃棄物で、各都道府県で処理処分場といいますか貯蔵場所をめぐっていろんな争いが起こるというのは、若干論理が少し飛躍しているように受けとめられます。実際にフランス等から返還される廃棄物は、特に全国その場所をめぐって争うという対象にはならないというふうに考えております。
  27. 菅野久光

    菅野久光君 もう時間がありませんので、ただ一九六〇年にどっと返されてくるというようなことはあり得るんでしょうか、どうですか。
  28. 松田泰

    政府委員松田泰君) 現在の実態で申し上げますと、返還廃棄物をどういう形で送り返すかというその仕様につきまして向こうから提示があることになっておりますが、その提示自体が実はおくれておりますので、その年につきましては若干おくれるのではないかというふうに考えておりますし、またどっと来るというのではないと思います。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 先ほどの再処理工場の問題も、東海のを今度据えつけてやっとこれからまた動かしてみる、動かせるのかどうか、すぐまた前のような事故が出てくるのかどうか、それはやってみなきやわからぬということになるんでしょうが、今また、さらにこの再処理工場を含めた一連のものをむつ小川原、下北半島につくるというようなことが新聞なんかにも出ているわけですけれども、これは本当に慎重にやっていかないと大変なことになるなという思いでいっぱいです。  電力の今の需要の状況からいくと、発電の総体の設備、そしてピーク時に使うものから見ると約四千万キロワットぐらいが余裕があるわけですね。それでもなおかつ原発をやらなければならないのかどうなのかということには非常に私は疑問がありますし、とにかく原発の問題については、廃棄物の問題を含め安全性の問題を含めて、まだ多くのことが未解決のままの状況の中で、原発をつくることだけ急ぐということは私はするべきではない、もっと多様なものを考えていくべきではないかということを最初に申し上げましたが、その辺のことについて、ひとつ大臣の方から御答弁いただければというふうに思います。
  30. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 昨年十一月の電気事業審議会の需給部会では、今後の電力需要は安定的な経済成長のもとで着実に増大ということが見込まれているわけであります。このような電力需要の増加に対応しまして、電力の安定的かつ低廉な供給を確保するために、引き続き電源の脱石油化、多様化の推進が必要であると私どもは考えておるところでございます。このために、供給の安定性、経済性等にすぐれた原子力発電によりまして、これが石油代替電源の中核として、おっしゃるような安全性の確保ということに万全を期しながら、私どもは積極的な開発を促進していきたいと考えております。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 先ほど私が申し上げましたように、非常にまだ解決されてない部分がありますので、その辺の研究開発ということは、これは全世界的なやっぱり問題でもあろうというふうに思いますが、この問題はまだまだいろんな多くの問題を含んでおりますので、きょうのところはこの程度で私の質問を終わらさしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  32. 小柳勇

    ○小柳勇君 エネルギーの直接の問題に入ります前に、先般の三池有明鉱の事故の問題で報告をいただいておきたいと思います。  衆議院の石特の方では、参考人を呼んで現状なり将来の対応を論議したようでありますが、こちらの方ではなかなかその機会がありません。したがいまして第一点は、三池の有明鉱の事故調査委員会が事故原因について調査をいたしておられますが、その調査の推捗状況及びいつごろ結論が出るか、これが第一点であります。  それから第二点は、三池炭鉱全体で過去の石炭の出炭量に比べて現在は一体どうであるか、事故のためにどのくらい減産をしておるか、この二点について政府から答弁を求めます。
  33. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 第一点の事故調査委員会の現状及び将来の作業手順につきまして御報告を申し上げますと、三月十二日に中間報告を通産大臣に委員会が提出いたしましたことは御案内のとおりでございますが、それ以後三月二十九日から三十日にかけまして、これまで火災による損傷で天盤状況が非常に悪化しておりました十一番ベルトが走っております三百二十メーター西一卸ベルトコンベヤー坑道、この坑道へ入坑が可能になったわけでございます。したがいまして、この箇所の調査を主目的といたしまして、現地の委員による調査と、それから小委員会が開催されております。また四月十六日には第六回の全体委員会を開催いたしまして、今後究明するべき具体的な項目について検討が行われたわけでございます。  今後の究明すべきポイントと申しますのは、中間報告にも示唆されておりますが、まず火災発生原因に関しまして申し上げますと、第十番ベルトコンベヤー、これが発火地点と推定されておるわけでございますが、このベルトコンベヤーのフレームのぶれ等が現認されておるわけでございますが、これらの状況が果たして災害前に起こったものか、あるいは火災によって生じたものなのか、この精査を行うというのが第一のポイントでございます。それから第二に、第三調量門付近の落炭のコアサンプルの検査を行う。それから第三に、小型ベルトコンベヤー試験装置を用いまして、ベルトとボタあるいはベルトと金属あるいはベルトと木片、こういったものの各種条件下におきます摩擦の発熱試験を行う。さらに、現場におけるベルト走行テスト等を実施いたしまして、発火メカニズムについての解明を行っていく予定になっております。  それから第二に、この火災によりまして多くの犠牲者を招きました被害拡大要因でございますが、各方面からの事情聴取をさらに継続して行っております。それに加えまして、現場におきまして消火用水が減圧、これが初期消火に失敗しました原因になっておるわけでございますが、消火用水の減圧状況テストあるいはその測定を実施いたす予定にいたしておりまして、被害拡大要因に関連する事実関係究明をさらに続けるということとしております。  それで、大体いつごろの予定かというお尋ねでございますが、現在そういった各種試験を進めておる段階でございまして、確定的には時期につきまして申し上げにくいのでございますが、事故調査委員会としましては、夏前には最終報告を出したいということで作業を続けていただいております。  以上でございます。
  34. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 生産状況について御説明申し上げます。  三月十九日にほぼ全面再開いたしたわけでございますが、それ以降今日までの生産実績は、平均日産量が一万五千トン弱でございまして、計画出炭量を若干下回る程度まで回復しているものと承知いたしております。  それから減産の状況でございますが、五十八年度の三池炭鉱全体の減産量は約六十六万トンでございます。ただ、この中には事故以前の自然条件の悪化等による減産も含まれておりますので、事故に直接関連する減産量につきましては四十万トン前後かと推定いたしております。  以上でございます。
  35. 小柳勇

    ○小柳勇君 石炭問題につきましては、また次の機会に集中審議をしたいという委員の希望もありますから、石炭プロパーの問題は以上で終わりたいと思います。  先般、石油の税が税制改正で大幅に増税になりました。その理由としては、エネルギー対策に不足するからということでありました。したがって、石油税が上がった、その税はエネルギーの対策に金を使うべきであるのに主として道路財源に使われている、これが実態であります。石油の税、大体年間三兆円以上、そのうちガソリン税、軽油引取税、石油ガス税のすべてが道路財源に使われているという実態である。道路だけで全税収の七九%、一方石油対策にはわずかに十二%しか使われておらない。現に五十九年度の石油税の増税による増収見込みが六百七十億円であります。そういうものを考えますと、道路事情もまだ完全でありません、改善の余地はありますけれども、石油税として増税されたものが、石油などいわゆるエネルギー対策の費用よりも、道路の方にプロパーに大部分使われているということは不合理ではないかという意見がたくさんあるわけです。先般の運輸委員会でもそういう議論がなされました。  したがいまして、まず通産大臣、通産大臣もいろんな面に関係がありますから、道路関係もいろいろ御配慮になっておると思いますが、このような今回の石油税の増税について、これをもっとエネルギー対策費用に使うべきではないか、それから大蔵省に対しては、この石油税のあり方について根本的に石油諸税は見直すべきであると考えるがどうか、この二点を御答弁願いたい。
  36. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 先生指摘になりましたように、現在の石油諸税の使途は、八割が道路整備、二割しかエネルギー対策に使われていないということは事実でございます。こうした現状につきましては、実は道路整備ということ自身私ども通産省の所管外のことでございますので、正式にどうこうと言うことは差し控えさしていただきたいと思いますが、先生の御意見も含めて現行の石油諸税のあり方についていろいろ意見のあることは、私どももかねて承知しておるところでございます。したがいまして、この問題については、今後の道路整備の進め方との関係あるいはエネルギー対策との関係、それから受益者と負担との関係、いろいろございまして、そういう角度から慎重に検討すべき問題であるというふうには考えております。
  37. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) 石油に関します税が石油税以外にも幾つかございまして、ただいま先生指摘のように石油関係諸税のかなりの部分が道路整備の財源として充てられておる、このあたりを見直すべきではないかという御指摘でございます。道路その他の特定財源制度につきましては、昨年の十一月にいただきました税制調査会の答申におきましても「特定される公共サービスの受益と負担との間にかなり密接な対応関係が確認される場合には、一定の合理性を持ち得るが、一方、それが資源の適正な配分を歪め、財政の硬直化を招く傾向を持つことも確かであり、」というような御指摘もいただいておりまして、その妥当性につきましては常に吟味をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、ただいまの道路財源、すなわち石油諸税のうち揮発油税及び石油ガス税につきましては道路整備財源に充当することになっておるわけでございますけれども、この考え方といたしましては、道路整備に要する財源を道路利用者の負担に求めるという考え方によっておるわけでございます。  しからば道路整備の現状はいかがかということになるわけでございますけれども、私どもといたしましては、道路整備は進んではきておりますけれども、なお整備水準は不十分な状況にあると。例えば都道府県道以上の幹線道路について見ましてもその整備率は約五〇%にすぎません。あるいは地域住民の足となっております重要なバス路線約十四万キロのうち、満足にすれ違えない区間というのが約四割もある。あるいは緊急に歩道設置が必要な区間約十万キロのうち、約三割は未整備であるというような実情にあることもまた事実でございまして、そういう状況からしますと、揮発油税等を道路特定財源とすることには現状では意味のあるところではないかというふうに考えておるわけでございます。もとより、最初に申し上げましたように、特定財源の問題というのは常に見直しをして、それが妥当性を持ち得るかどうかということは今後も考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  38. 小柳勇

    ○小柳勇君 こういう機会ですから、大蔵省の主計官、世論でも、例えば衆参の道路族などと言われる議員各位がその石油税はもう大部分道路に使うんだということで一歩も譲らないんだと。我が党としては、交通特別会計などをつくりまして交通一般、ただ道路だけではなくて交通一般などに使うならもっと広い意味に使われるのではないかと、そういうものを考えます。また、一番このエネ特として言いたいのは、石油税などと言うのですから、例えば代替エネルギー開発などにももっとこの石油税から持っていっていいではないか、そういう議論もあるわけです。したがいまして、今のところではなかなか道路族などという人が強いようでありましていかないけれども、主計官会議などでは、きょうここで話題になりました、議論になりました点、十分にひとつ頭に入れて論議してもらいたいと思います。  通産大臣にもその点特にお願いしておきたいんですけれども、いかがですか。
  39. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) まことに道路族というのはけしからぬということには、委員長の前で大変恐縮でございますが、同感でございまして、大臣になる以前より私はこの問題についていろいろと同僚たちと議論したことでございますけれども、しかし、国の財政厳しい折、あるいは諸般の情勢等々を考えてみますと、そのような成り行きもまた決してうなずけないことではございません。しかし、基本的には今後我々はこの問題を慎重に検討し、合理的な線に戻す努力をしなければならぬものと考えております。
  40. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは大蔵省の方は忙しいでしょうからどうぞ。  次は、長期のエネルギー需給見通しの見直しで、再び石油依存に逆戻りするのではないかという問題を質問いたします。  一次石油ショック、二次石油ショックで石油が非常に重要視されてから、最近はだんだん石油というものの依存度が低下してまいっている。特にこの石油依存度が低下しておったのにかかわりませず、今回、昨年の暮れのエネルギー見通しではまた石油依存の方に転換をしつつある。  ここに、経済企画庁経済研究所産業調整ユニットの「エネルギー需給の計量分析」というものが、昨年十一月八日に発表された論文がありまして、その最後にこう書いてあるんです。「エネルギー供給の総コストを最小にするという目標と、エネルギー危機にたいする安全度を高めるという目標は、必ずしも整合的でない。この両者をいかにバランスさせるかが、あるべきエネルギー政策を思案する上での一つの鍵である。」と、こう書いてありまして、危機的状態から安心してエネルギーを使うという問題、それからうんとエネルギーのコストを下げようという問題、これは必ずしも両立しないと。どちらを優先して考えるかということであるが、その中で特に最近はコスト低下というのか、石油依存の方向にずっとまた見直しがなされているのではないか。逆戻りしている。我々もここ数年間代替エネルギーにうんと力を入れて、石油をなるべく減らそうとやってきた。ところが石油の値段は下がるし、どんどん石油が入れるという情勢になりますというと、今度は逆に——したがいまして、現在の情勢、これを通産大臣はどうお考えかということと、石油依存に逆戻りするというようなことでは、将来また第三次石油ショックなり発生した場合には大変ではないか、こう思いますので、大臣の御見解を聞いておきたい。
  41. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 昨年十一月の長期エネルギーの需給見通しの改定におきましては、近年のエネルギー需要の減少あるいは原油価格の引き下げなど、エネルギー情勢の大きな変化を踏まえて行われたものであることは御承知のとおりでございます。  新しい見通しでは、エネルギー需要全体が下方修正となりました結果、石油依存度低減のペースは若干落ちますものの、エネルギー需要の増加分のほとんどを石油代替エネルギーで賄う、石油依存度を着実に低減させていくとの基本方針は堅持いたしておるのでございます。今後とも中長期的な視点に立ちまして、総合エネルギー政策を鋭意推進してまいりたいと存じております。
  42. 小柳勇

    ○小柳勇君 予算の面からちょっと申し上げておきたいんですが、五十九年度のエネルギー関係予算を見ますというと、石特会計の石油及び石油代替エネルギー勘定で、前年度比四十六億円、一・二%の増、これが石油対策。ところが、代替エネルギー対策予算が二十八億円、四・九%の減となっておる。石油の方を余計にプラスして、代替エネルギー予算は減らした。言うなら代替エネルギーの方はもう大体いいではないか、石油で賄えるのではないかという思想になりつつあるという、これは危険ではないかということを言いたいわけであります。  したがいまして、今、大臣がおっしゃいましたように、約二割方の大幅な下方修正をしたこのエネルギーの長期需給見通しというのが、五十四年八月、五十七年四月、それから五十八年十一月と、もう言うなら、初めは三年ですけれども、ここ一年置きに見直される。しかも、今回は二割方の大幅下方修正。したがいまして、エネルギーの長期需給見通し、その取り組みが甘いのではないか。日本の経済はエネルギーの上に成り立っておりまして、エネルギーの見通しというものを長期的に、まあそれはなかなか確定はできません、非常に難しいと思いますけれども、五年なり十年見通しを持っておりませんと経済計画も樹立てきない。したがいまして、政府の長期需給見通しへの取り組みについて、もっと厳しさを求めたいと考えておりますが、大臣の御見解を聞いておきたい。
  43. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ただいま先生おっしゃいました長期需給見通してございますが、確かに五十四年のときには、一九九〇年、昭和六十五年七億キロリッターぐらいの原油換算の需要があるということで、それに対しまして五十七年の四月つくりましたときは五億九千万、六億キロリットル弱と下方修正したわけです。昨年再び二二%下方修正いたしまして四億六千万キロリットルと、こうなりました。したがいまして、その辺について随分違いがあるじゃないかという御指摘一つあろうかと思いますが、この点確かにたった一年ばかりにという御議論もあろうかと思います。ただ、若干説明させていただきますと、今度の改定では非常に現実的につくったわけでございますが、特にエネルギー情勢、第二次石油ショック以来非常にエネルギーの価格が上がったということもございまして、五十五、五十六、五十七とGNPが三%以上伸びているが、それに対しましてエネルギー全体の需要が三%以上減ったと、こういう過去に例のないような大きな情勢の変化があったという点が、この辺の全体の見通しが非常に狂った原因ではないかと思っておりますが、今後ともその辺は真剣に、なるべく正しい近い線に持っていくという努力はいろいろとしていきたい、このように考えております。あらゆる政策の前提は見通し等も大きな要因でございますので、そのように考えております。  それからもう一点でございますが、石油依存脱却、せっかく相当なスピードで進めているのが若干甘くなったじゃないか、どうも石油依存脱却という政策がスローダウンしたじゃないか、こういう御指摘かと思いますが、この点、大臣がただいま御答弁されたとおりでございますが、先ほど申しましたように、大きく需要が落ちたということでございまして、したがって石油自身の消費量は、この一年前につくりましたときの二億九千万キロリッターというのから二億五千万に、相当石油を落としているということでございまして、エネルギーの増分は全部石油以外で賄うということでございます。若干、比較になるかどうかわかりませんけれども、需要は十年おくれでございまして、五十七年度に予測した六十五年度六億キロリッターというのは、大体七十五年といいますか十年おくれの数字でございまして、そういう中における石油の占める比率というのはこれは四二%ぐらいということでございまして、同じ需要規模を前提とすればうんと石油の依存度は下げていく、こういうことになっている点も御理解いただきたいと存じます。
  44. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、中近東への石油依存度を低減するためにはどういう努力をしておりますかということを質問いたします。  今、我が国の石油の輸入依存度が九九・八%、その中で輸入石油の中東への依存度が七〇%である。イラン・イラク戦争なり中近東戦争などを考えますと、いつまた中東の石油が途絶えることもあるかもしれない。ホルムズ海峡の封鎖などの心配もありますが、ホルムズ海峡の封鎖などはしないとはイランもイラクも言っていますけれども、戦争というものは突発的に発生いたします。私もイラン、イラク、あの辺、アラブ諸国を先般見てまいりましたが、あれは決して意図的に戦争を始めたんじゃありませんで偶発的に、国境整備をやっていて結局は今のような大戦争に発展しておるわけでありまして、したがいまして中東依存の石油を低減する努力を日本はやるのが一番エネルギー対策としては重要ではないか。また、アメリカの大統領選挙などでも、日本がもっと中東の問題について関心を持て、アメリカだけが何であんなに力を尽くすのかというようなことを言っているような情勢であります。  そういうことでありまして、中東からの石油を減らすならば、それではその分ほかに一体どこがありますか。中国もあります。あるいはアメリカもありましょう。インドネシアもありましょうが、今政府としては、石油をもしふやすとするならば、どういう方向にふやそうと考えておりますか。
  45. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 中東依存度が非常に高いということは非常に問題でございます。したがって、その原油の供給先というものを多角化していくということでございますが、先生、今お名前をお挙げになりましたけれども、我々としては中東以外のところの地域との取引をふやす、あるいは新しくそれ以外の地域での石油開発を進めるということでいたしております。  中国、これは政府間の合意によって長期協定といいますか、やっておりますし、それからメキシコも御承知のように十六万バレルということでございます。それから、インドネシアにつきましてもいろいろな長期の取り決めといいますか、も存在いたしておりまして、そういう中東以外の地域や、それから石油開発にいたしましても、御承知のように中国でも現在探鉱を進めておりますし、新しい鉱区の取得もいたしております。インドネシアも進めております。そういうことでいろいろと開発も進めていくということです。それから最近では、日米貿易関係ということもございまして、アラスカの石油ということも非常に大きな問題となっておりますが、これも多角化の観点から積極的に、コマーシャルベースということは前提でございますが、取り組んでいく、こういう姿勢を示しておるところでございます。
  46. 小柳勇

    ○小柳勇君 先般、長崎沖の大陸棚の石油開発の法案が自民党の多数で通過したんですけれども、その後、大陸棚の石油開発はどういうふうに動いておりますか。
  47. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 日韓大陸棚協定、それからそれに基づく国内法の措置に基づきまして、これまでのところ三本の試掘を実際実行いたしております。ただ、残念ながらこれまで探鉱いたしたところでは商業採算に乗るような油徴は見られなかったところでございます。そういうことでございますが、五十九年度において第五鉱区だったと思いますが、日本石油開発がこちらの側でございますが、さらに一本掘るということでございます。深いところでございますので、テンポがややゆっくりということもございますが、これは民間企業のリスクにおいて一応計画どおり進んでおる、こういうことで今後に期待したいと思っております。
  48. 小柳勇

    ○小柳勇君 我々も学者を呼んで十分に調査をして、あそこを掘りましてもそんなに油田はありませんよと言ったにもかかわらず、強引にあれを通されたわけだ。今ずっと我々も追跡していますけれども、大変だと思う。したがいまして、あと平和外交を進めながら中国とかその他、中東以外にも少し石油のよりどころを早くちゃんと見つけておかないというと、例えば第三次石油ショックなどが参りましたら、私はこれから日本の経済も大混乱ではないかと危惧いたします。これはもう皆さんベテランですから、私が危惧するしないにかかわりませずおわかりと思いますが、きょう特に注文をしておきます。  それからもう一つは、省エネルギー対策については具体的にどういうふうに進めておりますか。我が党としても、省エネ対策について随分今日まで政府にも提言をしてまいりましたし、独自にも調査をやっておりますが、もしも第三次石油ショックなど参りますと大変ですから、具体的に省エネ対策をもう一歩進めなきゃならぬのではないか。何かエネルギー総合開発機構ができましたから、そこで新しい代替エネルギーができるからというようなことで、ちょっと省エネ対策の方が政府の取り組みも甘くなったのではないかというような気がしてならぬのでありますが、省エネ対策に対してはどう具体的にその後進めていますか。
  49. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 先生御承知のように、省エネにつきましては、いわゆる省エネ法を制定いたしまして省エネの基本目標を定めるということをいたしております。それから、エネルギー管理士ということで、いわゆる大きな工場等のエネルギーの省エネの推進を図る、あるいはいろいろなその目標の中で、例えば住宅の建材等あるいは工場の設備等、そういういろいろな指針を出して、それに対する対策も講じておるところでございますが、特に制度的に見ますと、金融機関、特に政府関係金融機関を通ずる省エネのための融資ということを充実しております。  それからまた、税政面では、省エネ投資を進めるためのエネルギー効率化等投資促進税制というものを五十九年度から、従来の省エネ税制に加えましてそういう税制の創設ということで、エネルギー関連設備投資を強力に推進するということをいたしております。  そのほか、ムーンライト計画ということで、燃料電池あるいは汎用スターリングエンジンあるいは高効率ガスタービン等、省エネの技術開発、大規模なプロジェクトを今進めており、そういう技術開発面でもいろいろな手を打っておるということでございます。
  50. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、省エネとともに新しいエネルギーの開発について。  昨年出されました「長期エネルギー需給見通しとエネルギー政策の総点検について」の中で、エネルギーコスト低減の政策的な見地から、新エネルギー技術開発を見直して、当面ステージアップを行わないプロジェクトとして太陽熱発電と電気分解法による水素を指摘しております。五十九年度のエネルギー対策予算もこれを受けた形で組まれております。また、本年一月二十五日に「行政改革に関する当面の実施方針について」が閣議決定されました。この中で、新エネルギー総合開発機構について「代替エネルギー技術開発業務については、技術開発の進展に伴い、厳格な評価を加え、重点的、効率的に推進する。」と書かれている。  行革の一環として、代替エネルギー、新エネルギーの技術開発についても合理的な推進が必要なことはもちろんでありますが、これらの閣議決定を受けて、重点的、効率的な推進とは一体具体的にどのようなことか。この太陽熱発電、電気分解法による水素などは一応これはもうステージアップを行わないプロジェクトに入れておりますが、その他の新エネルギーについてはどういうふうに合理的に進めようとしておるか、お伺いいたします。
  51. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 新エネルギーというものは、石油にかわるエネルギーとして非常に大事であるということでこれを進めなくちゃいけないわけですが、今先生指摘のように、行管でもいろいろと効率的、重点的ということでございまして、確かにエネルギーであればどんなに高くてもいいというわけにもいきませんし、あるいは技術面で見ましても余り見込みがないということをいつまでも続けていてもしようがないということでございます。したがいまして、研究開発の初期の段階ではいろいろなアイデアを探っていくということが必要でございますが、これが実際上、基礎的な研究から実験段階、あるいは。パイロットプラント段階、あるいはそれ以上のデモンストレーションといいますか、実用化に近いところのプラント段階、そういうところへ研究段階を進めていくに当たりましては、それぞれの段階で経済的面あるいは技術的面の評価をして次へ進む、そこで見込みのないものはやめるということでございます。  具体的には、先ほど先生の言われました太陽熱発電につきましては、日本の気象条件ではこれ以上やりましても非常に経済的に合わないということでございまして、もちろんこれまでの成果というのは、例えば太陽熱の強い中東の砂漠のところあたり、しかも孤立した村というようなところではあるかもわかりませんが、一応日本で適応するということからいうと、次の大きなものにやるのは打ち切るということでございます。それから、水素のエネルギーにつきましても、電解法によるものにつきましては日本の電気料金高いということで、基礎的な研究は終わりにいたしましたが、ここで打ち切るということでございます。  そのほかのものについて申しますと、例えば石炭液化というものにつきましては、従来歴青炭について三方式があったわけで、それぞれ研究を進めておったところでございますが、五十九年度から新しい段階、パイロットプラント段階ということで二百五十トンぐらいのプラントをつくってやっていこうということになりますと、この辺を全部やるというのは非常に問題でございますので、その三つの中のそれぞれ利点をとりまして一本に絞っていく、こういうことをいたしておるわけです。  具体的にはそんなところでございますが、今後ともそういう段階段階に応じて重点化を図り、効率的にやっていく、このように考えておるわけでございます。
  52. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、石油備蓄の問題でありますが、今我が国の石油備蓄は百二十日分であります。民間備蓄が九十六日、国家備蓄が二十四日。ところが、米国は三百日、西ドイツが百三十一日、IEA、これは国際エネルギー機関でありますが、その加盟諸国の平均備蓄は百六十七日分であります。我が国の備蓄はこれに及んでおらぬ。  先般、昨年の四月、私も参りましたIEAの閣僚理事会で、日本政府は、高度に輸入エネルギーに依存する日本経済の安定性をさらに高めるために、特に世界の石油市場が緩和しているときに石油備蓄をさらに増加させることを考慮すべきであると指摘されました。このような閣僚理事会の合意事項と我が国の石油備蓄目標について、政府の考えを聞きます。
  53. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先生の御指摘にございましたように、石油の備蓄につきましては、先ほど先生のいろいろお述べになられましたように、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性ということを踏まえまして、従来から経済安全保障上の緊急時の対策として、極めて重要な施策として石油備蓄を推進してまいったところでございますし、昨年八月の総合エネルギー調査会が行いましたエネルギー政策の総点検におきましても、中東依存度の高いことなど、我が国のエネルギー供給構造が極めて他の諸外国に比しまして脆弱であるということを勘案いたしまして、引き続き現行の備蓄目標の達成、維持が要請されるという指摘をいただいておるわけでございます。  今、先生指摘のございましたようなIEAの閣僚理事会、さらにはIEAが行っております対日エネルギー政策の審査報告におきましても、我が国が諸外国に比べましてまだ備蓄水準が低いということを考慮して適切な石油備蓄の維持、増強を重視していかなければならない旨の指摘をいただいているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました総合エネルギー調査会の指摘された線に従いまして、民間の九十日備蓄を今後とも維持していくことはもとよりでございますけれども、国家備蓄につきましては、かねて決めております三千万キロリットルの備蓄目標の達成を、昭和六十三年度までに着実に進めてまいる方向で現在取り組んでいるところでございます。
  54. 小柳勇

    ○小柳勇君 北九州の北の方の海の中に白島基地というのが計画されておるんだが、最近石油の備蓄の方が急がなくなって、工事もおくらしていいというような風評が流れておるが、白島基地の建設の進捗状況並びに見通し、政府の考えを聞きます。
  55. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) ただいま御指摘の白島の備蓄プロジェクトにつきましては、かねてから関係省庁の手続等を進めてまいってきたところでございますけれども、ことしの二月の二十七日に公有水面の埋め立ての認可を運輸大臣からちょうだいいたしまして、その後、ことしの三月二日に至りまして、関係の自治体でございます北九州市の市長から、公有水面埋立免許でございますとか、水域占用許可でございますとか、危険物貯蔵所の設置の許可等の一連の行政手続が終了いたしたところでございまして、現在国家備蓄会社におきましては、着工のための準備作業をいたしているところでございます。
  56. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは初めの予定どおりに進捗する、進むものと考えていいですか。
  57. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) この白島の基地につきましては、現段階で考えますと、完成時期につきましては、昨年の八月の総合エネルギー調査会の報告あるいは備蓄政策全体の関係もございまして、国家備蓄三千万キロリットルの達成を六十三年度までに行うことは着実に推進していくわけでございますけれども、その油を入れます国家備蓄基地につきましては、財政面の状況ども考慮いたしまして時期の繰り延べもせなければならないということになってまいるかと思いますので、現在私どもといたしましては、白島の基地の完成につきましては、全体の工事の進捗もあわせ考えて六十五年度末を目途とすることにいたしているところでございます。
  58. 小柳勇

    ○小柳勇君 初めの予定はいつでしたか。
  59. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 当初は六十三年度完成を目標といたしたところでございます。
  60. 小柳勇

    ○小柳勇君 二年おくらすのはなぜですか。
  61. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほども申し上げましたけれども、総合エネルギー調査会におきましては、国家備蓄の着実な達成はぜひとも必要なところである、しかしながら、厳しい財政状況に照らしますと、国家備蓄の基地の完成時期につきましてはその延期を図る等、弾力的な運用のもとに着実かつ効率的に推進すべきであるとの指摘を受けたところでございますし、また、本白島プロジェクトにおきましても諸手続の遅延等もございましたので、そのような状況の中で、ただいま申し上げましたように、六十五年度末を現時点における完成目途といたしているところでございます。
  62. 小柳勇

    ○小柳勇君 きょう私が初めエネルギー問題で質問しているのは、今あなたがおっしゃったようなところにあるわけだ。総合エネルギー調査会が少し、何というのかな、エネルギーに対して危機感が薄らいでいる。危機感がないとは言わない。もう石油は安いしどんどん売ってくれるから大丈夫ではないかというような安易感、一次、二次石油ショックのあの後遺症がいえて何かだらっとしているというのが印象ですよ。したがって、新エネはどうですかとか備蓄はどうですかとか、きょうずっと聞いてきたわけで、今最後になってあなたがおっしゃったとおり、総合エネルギー調査会ももう備蓄は二年ぐらい延ばしても大丈夫というようになってしまっているわけだ。それは危険ではありませんかと、そう言いたいわけですよ。長官から聞いておきたい。
  63. 豊島格

    政府委員(豊島格君) まあ一般にのど元過ぎれば熱さ何とかと言いまして、そういう風潮が世間的にあるのかもしれませんが、通産省といたしましては、そういうことであってはならないということで、中長期的な視点から一生懸命やっておるということでございます。もちろんその中でできるだけコストも安くということも一つのポイントになる、もちろんセキュリティーを確保する上でということでございます。  そこで、備蓄基地につきましては、若干おくれたのはほかにもいろいろ理由があるわけですが、現在民間タンクも若干あいておるということもありまして、備蓄自身は三千万キロリットル予定どおり進める、しかし、基地の建設につきましては実情も若干おくれておるところでございますので、そこ自身はもうちょっと、まあセキュリティーに関係の範囲で延ばしたらどうなんだろうかということが出てきておるわけでございます。例えばタンカー備蓄等も、これも陸上基地があいているならばそこへ積みかえた方がコストも下がるということで、セキュリティーを第一としながらもいろいろと工夫をしておるというのが実態でございまして、セキュリティー自身を忘れるとか、あるいはゆるがせにしているということは絶対あってはならないし、我々もそのような考え方は毛頭持っておりません。
  64. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょうどいい機会ですから発言しておきますが、あの白島基地をつくるために多額の補償金などの分配で不正があったということで、地元の新聞では大変騒がれました。県会、市会などでも随分この疑惑究明が議論されている。しかしながら我々としては、それはそれ究明するとして、備蓄は進めなければならぬと今割り切りながら地元の議会も話を進めているわけです。そういう点は十分に理解しておいていただきたい。  同時に、これは大臣、長官にお願いですけれども、地元の諸君も最近近いうちに上京してきて陳情するそうですけれども、その白島基地は工事はやるけれども、地元の業者、地元の労働者は使わないで、言うなら東京大手企業がやるというような話が専らで、ちょうど北九州は今新日鉄その他大企業が撤退作戦あるいは分散作戦をとっていまして、どんどん労働者が余っているわけだ。あるいは人材も余っていますし、機材も余っています。したがいまして、建設をやるならば地元をひとつ十分に見てくれないか、こういう陳情に近く来るという話を聞きました。いい機会でありますから今発言しますけれども建設については立派なものができて、しかも環境を汚染しないようにできますことを念願しますと同時に、地元の住民のそういう切なる願いについても聞いていただきたい。いかがでしょうか。
  65. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 国家備蓄基地としては、何よりも安全性あるいは経済性を確保するということが大前提でございます。これを前提といたしまして、可能な範囲内で地元の産業あるいは人材を活用いたしますように、石油公団あるいは備蓄会社等を私は指導してまいりたいと思います。
  66. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間が参りましたから、結論だけ申し上げながら意見をお聞きして終わりたいと思いますが、この石油産業の集約化、合理化によりまして、もちろん企業はもうけなければなりませんが、ただそのことによって庶民大衆が高い石油代あるいはガソリン代その他、高い石油製品を買わないように、石油産業の合理化については当然やらなければなりません。もうけなければなりませんからと、その犠牲に庶民大衆の生活がなりませんよう、十分指導をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  67. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 石油産業はエネルギーの安定的な供給の担い手であるということで、現在のように非常に経営が弱体である、企業体質が脆弱であるということでは困るわけでございます。しかしそれかといって、その結果消費者が困る、高い製品を買うということであってはならないわけでございます。私ども、石油産業集約化に当たりましては、それによって企業の合理化が進む、例えば精製設備につきましてもあるいは流通面におきましてもいろいろと合理化を行う、そして一方ではコストダウンを図りつつ体質を強化していく、こういうことで消費者に対してもそれだけサービスができるということの両建てでいかなくちゃいけないということを強く言っておるわけでございます。石油業界も、我々の意を体して、今後の集約化については十分こたえてくれるものと期待しております。
  68. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問終わります。ありがとうございました。
  69. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 今さら申し上げるまでもございませんけれども、我が日本の国土の三十七万七千平方キロメートルという極めて狭隘な土地の中で、一億一千七百万人という人口がひしめき合って生活をしておるわけでございますけれども、その我々日本民族が生きていくためには、石油、石炭、天然ガス等のいわゆるエネルギー、さらにはまた木材、鉱石、食糧等のほとんどの原材料を海外から輸入をして、高度ないわゆる日本技術によって加工をして付加価値を高めて、言うならば輸出をしながら国家の運営が行われているわけでございまして、したがいまして、好むと好まざるとにかかわらず、いわゆる国際間で紛争が発生をした時点におきましては輸入に大きく影響を来すような事態になるわけでございまして、そういう時点では我が国の国民生活というものはたちまちにして大恐慌を来すということが必定であるわけでございます。したがいまして、エネルギーを制する者はその国を制するというように言われますように、国家としての経済的独立にも関する重要な問題はいわゆるエネルギー問題であると断言をしてはばからないわけであります。  したがいまして、そのような観点から、政府関係者のエネルギー問題と取り組む基本的な姿勢について、まず大臣からお伺いをしたいと思います。
  70. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) おっしゃるとおり我が国は、そのエネルギーの供給をほとんど輸入に頼るという、非常に脆弱な供給構造になっているわけでございます。エネルギー問題の解決というものは、今後我が国経済が持続的な成長を図り、国民に安心できる生活を確保していくためには、まことに重要であることは申し上げるまでもございません。国際的な石油需給の緩和や価格が下がったというような一時的な動向に左右されないで、私たちは中長期的観点に立ちまして今後とも石油の安定供給の確保、あるいは省エネルギーの推進、あるいは代替エネルギー技術開発等を行いまして、総合エネルギー政策の推進に努めてまいる所存でございます。
  71. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そこでお伺いをしますけれども、例の昭和五十四年の東京サミット宣言というものがなされたわけでございますけれども、当時の宣言といたしましては、石油の消費量を極力節減をして省エネ対策及び代替エネルギー開発に力点を置くということが発表をされたわけでありますし、さらにまた翌年のベニスのサミットでは、各国の共通の問題として一九九〇年までに石油の依存度というものを四〇%程度にするという宣言がなされたわけでございますけれども我が国の場合、東京サミットから約五カ年経過をした中で、今日までのいわゆるエネルギーの需給構造の変化というものがどのように行われてきたのか、お伺いをしたいと思います。
  72. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 我が国の石油供給構造というのは、石油に過度に依存した体質でございまして、第一次石油ショックが起こりました昭和四十八年には全エネルギーの七八%、ほぼ八割近くを石油に依存していたわけでございます。しかしその後、省エネルギーあるいは代替エネルギーという二つの政策を進めてきたわけでございまして、特に代替エネルギーにつきましては原子力、天然ガス等を中心に導入が進められました結果、五十七年度では大体六二%ということでございますから、石油依存度が一六%下がるということでございまして、これを昭和六十五年度には五二・五%ぐらいということをねらっておるわけですが、現在のところまで、六二%まで下がったということでございます。  それから、省エネルギーについて申しますと、昭和四十八年から五十七年、十年間を見ますと大体三割強、GNPに対するエネルギー消費量でございますが、これはエネルギーのGNP原単位と言っておりますが、これが大体三割強減ったということでございまして、五十五年度以降三年間を見ますと、経済成長が三%以上毎年伸びておる中で、エネルギー自身は三%以上消費が減っているということでございまして、そういう意味で一応の成果を上げてきていると思っております。
  73. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そこでお伺いしますけれども、先ほども小柳先生からちょっと御質問がございましたので重複は避けますけれども、御案内のような昨年十一月にいわゆる政府として長期エネルギー需給見通しというものが発表されたわけでございますけれども、その中で気になりますことば、これは長期的な試算であるから弾力的に対処するというふうにうたわれておるわけでございます。しかし、外国と我が国商社との、いわゆる石炭に例えて言いますと、石炭の輸入契約等はほとんどが長期契約ということになってございますので、引き取りに変動を来した場合に国際信義に反するということになるということで、言うならばせっかく開発を促進しつつある国内産のエネルギーの需給を抑える、いわゆる国産エネルギーにしわ寄せをされる、こういうようなことになると大変だと思うわけでございますし、特にせっかくのエネルギーの開発の意欲にも影響を来すということになりかねない、かように考えるわけでございます。  したがいまして、国内エネルギーの需要、特に石炭の需要に変動がございましても、これはひとつ下方修正された中でも国産のエネルギーの供給を最優先として使用するように指導すべきであるというふうに考えますけれども、この点についてはいかがですか。
  74. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 石炭につきまして、国内炭の供給には限度がございますので、今後ふえます需要に対応してはやっぱり海外炭に頼らざるを得ないということでございまして、そういう意味での海外炭の安定供給のためのいろいろな施策を講じておる、その中に長期契約というのもあるわけでございます。ただ、エネルギーの中で、我が国においていわば非常に例外的に賦存するのが国内炭でございまして、そういうことがございますので、我々としては当然その国内炭の重要性というのは十分認識しておるわけでございまして、実際、海外炭を輸入するに当たりましても、国内炭優先使用の原則というのは当然遵守しておるわけでございまして、輸入割り当て制度の運用等によりまして、海外炭のユーザーにつきましても国内炭を十分引き取るようにやっておるわけでございまして、いわゆる海外炭が入ってくるから引き取りがおくれている、減るというようなことは現実には起こっておらないわけでございます。
  75. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 実態と今のお答えとは多少の食い違いがあると思いますし、ずれもあると思うんです。    〔委員長退席、理事川原新次郎君着席〕 例えば東京サミット以降の省エネ対策とか代替エネルギーのいわゆる開発の振興とかいうようなことを言われて、日本の産業界の中ではそれではということで、石炭に換算いたしまして大体千五百万トンぐらいは石油から石炭に切りかえるといったようなことが各産業界で行われたわけでございますけれども実態としては石炭のいわゆる外国炭も非常に価格が低下をしているということと、御承知のような、小柳委員から御指摘もございましたような、石油が多少下がったということでまたぞろそちらの方へ切りかえていく、あるいは外国炭指向になる、こんなような空気が実は見受けられて、国内の石炭産業界としては非常に失望している面が多々ございますので、この辺は調整をしながら、ひとつぜひ御指導をしていただきながら、国内石炭を使っていただけるような方向に導いていっていただきたいなと、かように思うわけでございます。  そこで、代替エネルギー開発の問題について伺いますけれども、この問題については、主としてサンシャイン計画推進本部を設置をされて促進しているわけでございますけれども、そのサンシャイン計画の全容と現在の活動状況と、それからまた総体的な予算は一体どうなっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  76. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) サンシャイン計画におきましては、昭和四十九年度から発足をいたしておるわけでございます。石油にかわる代替エネルギーの、特に新しいエネルギーの実用化ということを目指しまして、太陽エネルギー、地熱エネルギー、それから石炭エネルギー等の新しい実用化を目指して研究開発を積極的に進めておるわけでございます。    〔理事川原新次郎君退席、委員長着席〕 現在でございますが、太陽光発電、それから石炭液化、それから地熱エネルギーを利用するものといたしまして熱水利用発電等の主なプロジェクトにつきまして、基礎的な研究の成果を踏まえまして、新たに新しい段階に移行して進めておる状態でございます。  また、予算の件でございますが、このサンシャイン計画に関連いたします予算といたしましては、昭和五十九年度におきましては三百九十八億円が計上されております。具体的に内容を概略申し上げますと、太陽エネルギー関係に八十九億円、地熱エネルギー関係に六十九億円、石炭エネルギー関係に二百二十四億円を投入いたしまして研究開発を進めておるわけでございます。
  77. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 それでは、個別の問題についてお伺いをさせていただきますけれども、まず石炭の液化についてお取り扱いをいただいておるわけでございますけれども、これについては直接水添法とか溶剤抽出法あるいはまたソルボリシス法の三つの方法を研究をされてきたわけであろうと思いますけれども、この三つの方法を踏まえて、今後の研究開発の進め方をどう考えていらっしゃるのか。さらにまた、外国技術との比較あるいは製造コストの面からいって実用的な技術を確立する見通しがあるのかどうか。また、研究費あるいはまた委託費等についての予算不足ということはあり得ないのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  78. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) まず、石炭液化の今後の研究開発の進め方について概略申し上げます。  歴青炭の液化技術につきましては、先ほど先生指摘のように、三つの方法につきまして進めてきておるわけでございますが、この研究開発も大分多くの研究成果を得まして、それを踏まえまして、五十九年度からはこれらの三つの方法のいいところを集めまして一本化いたしまして、二百五十トン・パー・デー、一日に二百五十トンの油がとれるような方式のパイロットプラントの設計をまず行いまして、それを踏まえましてプラント建設並びにその運転研究に移行をしていく計画でございます。プラント研究におきましては、先生指摘のように、経済的な実用化可能性の検証を含め、もちろん技術的な問題がございますので、こういう面について実際に適応する上からの技術的な問題の解明に努力をしてまいる所存でございます。  それから、外国との比較でございますが、主として進めておりますアメリカでは、私どもが進めようといたしておりますパイロットプラントに関する研究に関しましてはほぼ終了いたしております。西ドイツにおきましては、ちょうど私どもと同じようなパイロットプラントをつくりまして、現在運転研究を進めておるようでございます。我が国研究、これから進めようといたします歴青炭パイロットプラントと比較をしてみますと、私どもといたしましては、なるべく温度圧力などの高くない、いわゆる温和な反応条件のもとでできるだけ油の収率のいいもの、また加えて、いわゆる軽質油というものが一番望まれるわけでございますので、そういう油を高い効率で収集できるような技術開発したいということで進めておりまして、こういうものが開発を進められますと、現在諸外国で進められているよりはそういう面で非常に優秀な技術開発できるものと期待をいたしておるわけでございます。  それから、経済性につきましては、石油の需給、これは緩和の状況にあるということは御指摘のとおりでございます。しかし、現在、IEAその他の見通しでは、御指摘のように一九九〇年代には恐らく油がなお逼迫するであろうというような見通しでございますので、それを踏まえますと二〇〇〇年ごろまでには石炭液化の油が経済的に現在のエネルギーにも匹敵して使用できる、生産ができるような時期が到来できるものということで、私どもそういう目標のもとに研究開発を進めておるところでございます。  それから、財政的なことでございますが、財政面につきましては、最近の厳しい状況もございますので、私どもといたしましては、研究開発の重点的な効率化、そういうようなものを積極的に進めますと同時に、必要な予算につきましては確保するように今後も努力してまいりたいと存じております。
  79. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 予算のことについてお伺いをしたわけでございますけれども、御案内のように民間委託という問題もなさっていらっしゃるわけですね。例えば九州・長崎の三菱重工に委託しているプラントがございますけれども、私、過去三回ぐらい現地を見ておりますけれども、行くたびに指摘をされますことは、こんなようないわゆるスズメの涙みたいな予算で我々研究ができると思うんだろうか、もう少し政府の方で力を入れていただいてこの研究というものを促進していただかないと我々意欲を失ってしまうというようなことをおっしゃる方が随分おられたわけでございまするし、結局、委託をされても予算が少ないために企業の方から逆に持ち出しをするといったようなことが随分行われるというようなことになっていたわけでございます。  したがいまして私は、直接研究をされる場合でも、あるいはまた民間に委託する場合でも、委託される側の立場になっていただいて十分なひとつ手当てをしていただきませんと、意欲を持って研究するということにならぬのじゃないか。しかも、見てまいりますと、非常にちゃちと申し上げたら大変御無礼でございますけれども、スケールの小さいプラントでおやりになっていらっしゃる。これが果たしてこの数百倍のプラントになった場合に、本当に実用的なプラントがつくり得るのかどうかということについても非常に私は疑念を持って見てきたわけでございますから、その点ひとつできるだけ御配慮をいただけるように、これは御要請だけ申し上げておきますから、よろしく頼みたいと思います。  そこで次の点は、地熱の開発についてちょっとお伺いをさしていただきますけれども、現在、国内で実用化されている地熱エネルギーというのは電力換算で二十万キロワットぐらいだというふうに聞いておるわけでございますけれども、現在のいわゆる開発中あるいはまた開発予定箇所というものと、将来の地熱発電量をどの程度に計画されていらっしゃるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  80. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 地熱の既に運転中のものは、先生指摘のとおり二十万キロワットを少し超えておりまして、九地点で二十一万五千キロワットというレベルに達しております。そして、現在開発に向けてスタートを切っておりますのは、御案内のようにNEDOの行います開発促進調査、そしてそのステージがさらに上がった段階でデベロッパーが行います調査井の掘削、それには国が補助を行っております。その二つのステージに分けて申し上げますと、NEDOが行っておりますのは既に促進調査として十一地域を実施してきております。そして、さらに民間デベロッパーが調査井掘削費補助を受けてやってまいりました調査が二十五地域に及んでおりまして、これらの中にはかなり有望な地点が幾つか浮んできておるという状況でございます。  こういう状況でありますが、先の目標はどういうふうに置いておるかという御質問の部分でございますが、昨年の十一月につくりました長期エネルギー需給見通しにおきます見通しは、昭和六十年度には六十九万キロワット、昭和七十年度には百七十万キロワットという目標を置いておりまして、この目標に向けて今のような諸調査の動きが十分であるかどうかという点は、この目標の可能性は持っておりますが、なお今後相当意欲的に国も民間も取り組まなければ達成は困難であるかと、こういう数字だと理解しております。
  81. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 NEDOが十一カ所、民間が二十五カ所というようなことでございますけれども、資源の少ない日本の国としては純然たるエネルギーとしては石炭とそれから地熱ということで、しかも地熱はもう既に実施段階にきているわけでございますから、私は地熱発電という問題についてはもっともっと意欲的に取り組んでいただきたいと思いますと同時に、各所で、我が町我が村ではこういう熱量を蓄えた地下構造の地熱資源がある、こういうことでぜひ開発をしていただきたいという希望がまだまだ私はあるような気がしてならないわけです。私の住む北海道でもまだまだたくさんございます。  そういうことから申しましても、まあ多少地熱開発あるいは発電コストが高くなるというようなことになりましても、先ほどの豊島長官ではございませんけれども、何でもエネルギーであれば高くてもいいということにはなりませんということではございましょうけれども、これは未来半永久的に続く純然たる国産のエネルギーでございますから、多少経費がかかっても、高くなってもこれは活用していただくようにお願いしたいと思います。特に、地熱の賦存する地域というのはわりかし過疎地域に多うございまして、例えば温泉地帯でも温泉業者が反対するなんというような問題は内蔵はしておりますけれども、できる限りひとつ今後とも新しく要請をするような地域等についても、地域振興の面ということも考えあわせながら、積極的に取り組んでいくべきではないかというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
  82. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 御指摘のとおり、火山国である我が国として非常に豊富にこの地熱という国産資源を持っておるわけでございますから、この分野でもっともっと力を入れるべきであるという点、私どもも自覚しております。  それで、具体的にそれでは五十九年度にはどういう動きを示したかということを申し上げるのがお答えになるかと思いますが、五十九年度には、非常に予算の制約の厳しい中で、NEDOの行います地熱開発促進調査についても予算を増額いたしまして、希望の多い中で何とかこたえていこうと、またデベロッパーが行う調査井への補助金であります地熱発電所調査井掘削費補助金、これもまた増額をいたしました。  さらには、いよいよ地熱開発業者が事業を行う場合に資金を借り入れるという必要が出てまいります場合、今まで制度がございませんでしたけれども、開銀から何とかこの開発業者に低利の融資をするということを五十九年度の財投の中で努力をいたしまして、何とかそれは実現をいたしたということでございまして、当年度におきましてもこういった拡充の努力をいたして、何とか御指摘のような意識で地熱開発を促進してまいる構えでおります。
  83. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 地熱発電のいわゆるコストの問題でお伺いしますけれども、その地域それから自然条件さらにはまた電力の使用目的、そういうことによっては多少はコストが上下すると思いますけれども、大体現状での各所の平均した一キロワットアワーの発電コストというのはどの程度になっていますか。それから、どの程度ぐらいまでだったら産業に使用するエネルギーとしての場合経済性がとれるのか、そんなことで御存じでしたらお知らせ願いたいと思います。
  84. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 現在進めておりますもので見ますと、地熱発電のコストはキロワットアワー当たりで二十円程度でございます。ただ、これは運転開始直後のコストでございますから、資本費が中心であるこの発電コストでは、償却が進むにつれまして原価が安くなっていくというメリットがございます。したがって、二十円と申しますと、今の石油火力のコストより割高に見えますし、また水力の初年度コストとほぼ同様だということでございますが、長い目で見ますと、償却後の姿を考えれば比較的有利性も持っておるということで、この程度の発電コストであれば十分対象として進め得るものではないかと考えております。
  85. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 石油火力の発電コストとそんなに変わらないような気が私もいたしますし、当初金がかかっても、今お答えになりましたような償却を含めてまいりますと将来さらに安くなる、そういうことであるならば殊さらのこと、ぜひひとつ国産エネルギーとして力を入れていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほども小柳先生お触れになりましたことですが、太陽発電という問題についてはコストが非常に高いという御答弁もあったわけでございますけれども、太陽発電の中で特に太陽光発電というものが極めて有望視されておるようでございます。したがいまして、ことしの予算につきましても七十億円以上という予算を盛り込んでいるわけでありますけれども、この太陽光発電の実用の見通しについてお伺いをしたい、かように思いますのと、ついででございますから、その中でアモルファス太陽電池の研究をなさっていらっしゃると思いますけれども、このいわゆるアモルファス太陽電池の実用化のめどについてと、それからまたコストについてお伺いをしたいと思います。
  86. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) お答え申し上げます。  まず、おわび申し上げますが、先ほどの歴青炭の中でございますが、三方式の一本化したのを二百五十トン、油の生産量と申しましたが、これは石炭の処理量二百五十トンの間違いでございます。どうも失礼いたしました。  では、ただいまの御質問にお答え申し上げます。  太陽光発電のうち、特にアモルファスにつきましては、私ども日本が世界に先駆け研究開発をしたものでございます。御承知のとおり、アモルファスに対しまして結晶性の太陽電池というのがございますが、その両者を比較をいたしまして、アモルファス方式ですと非常に原材料が少なくて済む、それから電池をつくるときにエネルギーの消費量が非常に少なくて済む、そういうようなことがございまして、私ども日本といたしましてはアモルファスに力を入れて進めておるところでございます。  それで、具体的な太陽電池の生産コストにつきましては、この私どもの新エネルギー開発研究が進みました時点からいろいろ検討を進めてきたわけでございますけれども、初期の段階におきましては一ワット当たり二ないし三万円程度でございました。現在におきましては、私ども技術開発が進みまして、一ワット当たり二千円程度まで縮まる段階に来ております。なお、今後さらにこれを一けた下げようということで、現在、研究開発を進めておるところでございます。  しかし、現在、これらの太陽電池の技術が進みまして二千円程度までは下がりましたけれども、これの現在の段階におきましても、送電線で非常に遠いところから電力を持っていかなければいけないとか、そういう離島とか遠隔地あるいは発展途上国における小さな部落、そういうようなところにおきましてはこの太陽光発電による電力というものが非常に有望視されておりまして、一部そういう部門につきましては実用化のためのいろいろな実験を進めておるところでございます。
  87. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 コストがまだ非常に高いということでございますけれども、いずれそのコストが低下をするような努力と研究をなさっていただいて、ぜひひとつこれも実用化に踏み切られるように御努力を賜りたいと思うわけでございます。  そこで、原子力の問題についてお伺いいたしますけれども、先ほど来菅野委員からもお話がございまして、原子力安全性という問題を中心に御質疑がなされたわけでございますけれども、私は原子力経済性の問題についてお伺いをしたいと思います。  原子力の平和利用という問題については、今や各国が積極的に取り組んでいるところでございますけれども我が国のいわゆる核燃料サイクルの確立を含めた原子力開発の基本的な考え方についてまずもってお伺いをしておきたいと思います。
  88. 岩動道行

    ○国務大臣(岩動道行君) まず、日本原子力の平和利用につきましては、日本のエネルギー政策の非常に大きな基本をなしているという認識を持っております。  特に、エネルギー資源としての石油につきましては、御案内のように、ほとんど一〇〇%海外に依存をしているところでありますし、またその大部分を中東に依存している。したがって、中東の情勢というものは私どもには大変大事な、注目しなければならない地域で、イラン・イラク戦争でありますとか、そしてペルシャ湾の状況、ホルムズ海峡の封鎖の不安とか、さらにまたごく最近はリビアによるいろいろな不安と、絶えずそのような問題がつきまとっている地域でございますので、できるだけ石油資源というものの供給源を広げていかなければいけないと同時に、脱石油のエネルギー政策をとらなければいけない。  そういう中において、コストの点から見ても極めて有利でありますのは原子力の問題である、こういうことで、原子力委員会におきましては長期的な研究開発、利用に対する政策を打ち立て、あるいはまた科学技術会議におきましてもそのような提言をしまして、そして長期的な観点から原子力の平和利用、こういうことを進めてきているわけでございます。そして、通産省におきましては、具体的に原子力発電については非常に努力をされまして、今日では二十五基、千八百二十万キロワット、日本の電力供給の二〇%を占める、しかも稼働率は七〇%を超す、このようなことは、安全性ということが大前提となって、国民の非常に大きな理解と御支援をいただいて実現をしてきているところでございます。  発電の方は、このように極めて順調に私どもの基本政策が実現を見ているわけでございますが、一方、問題は核燃料サイクル、これが確立しないと本当の原子力の平和利用というものは完結をしない、こういうことで、私どもはこれから特に重点を置いていきたいと思っておりますのは核燃料サイクルの確立ということでございます。この核燃料サイクルについての基本的な研究は、動燃事業団でありますとか、あるいは原研等においてやってきているところでございますが、さらにこれから具体的に商業的な段階に入っていくということになろうかと思います。そういう意味におきまして、まず核燃料サイクルとしては、ウラン濃縮の問題そして再処理の問題、さらに廃棄物処理の問題、こういったような一貫したものを早急に確立する必要があるということでございます。  これにつきましては、既に人形峠等において着々とその準備の話が進んでいるわけでございますが、ごく最近、本日、電事連においては下北半島にそのような三点セットの計画を持つということで、青森に出向いて、青森県の御理解と御支持をいただいて進めたい、こういう話が出ているようでございます。これにつきましては、私は今申したような原子力の平和利用という観点から歓迎すべきことであると思っておりますが、問題は、何と申しましても第一義的には起業者のお考えであり、またこれを受け入れる地元の理解と御協力がなければならない。そういう中におきまして、私ども安全性という観点からこれは十分に国民の納得のいくもので進めていかなければならないということで、原子力の平和利用の総体的な完結を進めてまいりたいと考えているところでございます。  なお、つけ加えて申しますと、原子力のエネルギーにつきましては、私どもは現在の軽水炉というものを中心にしておりますが、やはりウラン資源も有限のものであろうと思います。したがって、これをさらに有用に活用してまいるというためには、高速増殖炉あるいは新型転換炉、こういう新しい炉について鋭意研究を進め、その開発に努力をいたしているところでございます。
  89. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 今、長官の御答弁をいただいたわけでございますけれども、まあ総体的に伺った限りでは、これからの原子力の平和利用というのが我が国にとっては必須のものであるということからさらに進めたい、こういうお話でございますけれども、先ほどの質問の中でも、ある雑誌を提示されて、原発の未来はなくなったなんというようなことを仰せられたわけでございますけれども、そういう印象を受ける国民の考え方というのがどうなのかというふうに私は非常に心配するわけでございまして、殊さらに長官仰せられたように、原子力安全性というものをさらにPRしていただいて、国民的ないわゆるコンセンサスを得られながら積極的にひとつ取り組んでいただきたいなと、御希望を申し上げておくわけでございます。  そこで、石炭火力と石油火力、原発、この三つが大体我が国の電力の中枢をなしているところでございますけれども、この原発のコストというのはほかに比較してどの程度のコストになっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  90. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 私どもの方でモデル計算一定の前提条件はございますが、試算をしておりますが、五十八年度に運転を開始するという発電所、新規の発電所をとっていたしますと、初年度の発電原価は、一キロワットアワー当たりにいたしまして原子力が十二円五十銭、石炭火力が十四円、石油火力が十七円、こういうふうになっておりまして、原子力は石油、石炭に比べて安いという試算が出ております。
  91. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 安いコストだというふうに伺ったわけでございますけれども、ただ気になりますことは廃棄物の最終処理の問題、いわゆるバックエンドコストというものがこの中に含まれているのかどうか、いかがですか。
  92. 豊島格

    政府委員(豊島格君) この発電原価の中には再処理は入っておる、バックエンドの中に再処理は入っておるんですが、廃棄物の最終処分、それから廃炉に伴う費用というのは実は入っておらないわけです。この点につきましては、その費用がどのくらいかかるか、あるいは処分方法がどうなるかということがまだ不確定の部分がありますので入れておらないわけです。ただ、大体の感じとして言いますと、発電原価の一割程度がそれに当たるんじゃなかろうかということでございますので、この程度のものであれば、今入れておりませんバックエンドの費用を入れましても、原子力経済性は損なわれるものではないのではないか、こう考えております。  それから、若干敷衍して御説明させていただきますと、最初にお断りいたしましたように、この発電原価というのはあくまでも運転開始の初年度コストということでございます。現在、石炭につきましては、石油が五ドル下がったということ、それから世界のエネルギー需要が非常に緩和化されているということで、相当石油以上にむしろ値が下がっているということでございます。そういう特殊な要因がございます。それから、燃料費が、先ほど原子力につきましては十二円五十銭という中で大体二割ぐらいじゃないかと思うんですが、石炭は大体四割ということです。そういうことで、今後仮にエネルギーの価格が上がるとすると、石炭火力についてはさらにコストが上がるんじゃないかということも考えられます。そんなことも入れますと、いろいろな前提はございますが、原子力はそういうものを入れてもなおかつ有利であろうか、このように考える次第でございます。
  93. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 今、最終処理のいわゆる原価がまだはっきり申し上げられない、こういうことのようでございますけれども、ただ私ども考えますに、今の低レベルの廃棄物だけに限って考えてみましても、いわゆる五十八年の九月でドラム缶二百リッターで四十八万八千六百本もある、こういうことでございまするし、それからこれに対するいわゆる貯蔵能力というのが八十四万本しかない。しかも年間五万本か六万本ぐらいずつ発生をしていくわけですね。そうしますと、六年ないし七年しかもたないなというような感じがする、現状の施設で。でありますから、これらの問題を取り上げていわゆる永久的な貯蔵施設をつくっていくとするならば、かなり事前から時間をかけて地元のコンセンサスも得なきゃならぬという問題も出てくるわけでございますね。先ほど岩動長官がおっしゃられましたように、燃料サイクルの中の一つということで取り上げていかなきゃならぬ問題ではございますけれども、これはひとつできるだけ早目に、そのときになって慌てふためいて、いわゆる泥棒をつかまえて縄をなうという、表現は非常に悪いんですけれども、そんなことにならないように、できるだけ早くひとつスピードアップしていただいて、その処理施設等の建設についても御努力願いたい。それからコストの面につきまして、これは国民的なコンセンサスを得られる第一の条件安全性でございますけれども、第二の条件は何といってもこれはコストの問題だろうと思うんですね。やはり石油火力や石炭火力よりも安いということになれば、産業振興にもなり国民生活のプラスにもなり、そしてまた国民の全体でもって納得でき得る唯一のこれは問題だろうと思いますので、できる限りひとつコストが安くなるように、とにもかくにも日本のエネルギーで一番安いということを前提としてこれからも御努力を賜りたいと思うわけでございますので、よろしくお願いします。  そこで、石炭問題についてお伺いをさしていただきますけれども、まず二千万トンの位置づけという問題が、北炭夕張新炭鉱の閉山ということやら、先ごろの御案内のような三井有明鉱の事故、さらにまた北炭幌内炭鉱の出炭不振というような問題で、随分とその二千万トン体制が大きく崩れてきているわけでございますけれども、エネルギーの安全保障という面からも、言うなれば国で定めた七次政策の二千万トン体制の堅持という問題、この堅持という問題とどう取り組んでいくものなのか、そしてまたその見通しはどうなるのか、これについてひとつお伺いをしたいと思います。
  94. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 国内炭の生産状況は、微減気味ではございますけれども、おおむね安定的に推移してきているところでございます。三池炭鉱におきまして先般あのような大事故が発生しまして多くの罹災者が出たということ、まことにこれは残念なことではございますけれども、その生産の再開後今日まで生産実績が平均日産一万五千トン程度となっておりまして、計画出炭量を若干下回る程度まで回復しているものと私どもは承知いたしておるわけでございます。  このため、五十六年の八月の石炭鉱業審議会第七次答申、この基本的な考え方には私たちは本質的な変化は生じないと理解いたしておるわけでございます。したがって政府としましては、引き続き第七次答申の基本的な考え方に沿った政策を今後とってまいりたいと考えております。
  95. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 引き続き七次政策を堅持をしていくための努力をするというお答えでございますが、問題は、昨今の外国炭の値下がりという問題等に絡みまして、やはり国内炭の炭価の面については大変業界が苦しんでいらっしゃるわけでございます。毎年毎年賃金をアップをしなきゃならぬ、そしてまた坑内条件はますます深くなっていくというようなリスクが出てくるわけでございますけれども、昨年は残念ながら基準炭価も上がらなかったということでございまするし、しかもことしからは御案内のような貨物運賃が引き上げられる、六・四%ぐらい上がるということになりますね。そうすると、この貨物運賃の引き上げだけでも平均いたしますと二百円以上のリスクをしようということになります。この労働賃金の上昇分と運賃値上げ分についてのユーザーとの折衝の労をとっていらっしゃると思いますけれども、ことしの炭価アップの問題と運賃値上げのリスクの処置をどういうふうに対処していかれるのか、これについて、お答えづらいと思いますけれども、お伺いしたいと思います。
  96. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 御案内のとおり、国内炭の炭価につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法の五十八条に基づきまして、「石炭の生産費、石炭の輸入価格、石炭以外の燃料の価格その他の経済事情を考慮して、」通産大臣が毎年一回石炭鉱業審議会の意見を聞いて決定することになっております。したがいまして、今年度の炭価決定に当たりましても、賃金あるいは採炭コストの動向、海外炭の動向等、考慮すべき所要の指標が明らかになりました後、これらの指標並びに昨年度御指摘のように基準炭価が据え置かれました事情を考慮いたしまして、決定してまいりたいと考えております。  国鉄の運賃を含みます流通経費につきましては、従来から需要者が負担するという建前になっておりますので、その辺も十分考慮いたしまして、いずれにいたしましても石炭企業の収支の改善と国内炭需要の安定的な確保、そういう観点から適正な価格を早期に決定してまいりたい、このように考えております。
  97. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そこで、引き続き炭価の問題については御努力を賜りたいと思いますけれども、一番今石炭産業の中で心配されておりますことは、国鉄の再建の問題との絡みでございまして、実は赤字ローカル線の廃止問題の中で石炭貨物路線があるわけでございます。ただ、私ども非常に疑義に思っておりますことは、この国鉄赤字ローカル線の廃止問題の中では、初めから石炭貨物についてはその取り扱いというものを念頭に置かないで計画をされたというふうに聞いておるわけでございまして、言うなれば乗降する旅客の数で大体決定をした、位置づけをした、こういうふうに伺っておるわけでございますが、この問題等について国鉄や運輸省からはローカル線の廃止の枠組みの中で発表以前に通産省の方に意見が求められたのかどうか、それについてお伺いしたいし、またその過程の中で通産省としては石炭貨物路線の存続について今後どのような努力をなさっていかれるのか、お伺いしたいと思います。
  98. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 廃止路線のうち貨物、石炭を取り扱う路線でございますが、具体的には歌志内線、幌内線のことだと存じております。この二線につきまして国鉄あるいは運輸省との折衝状況を簡単に申し上げますと、まずこれら二線は当初第一次廃止路線の対象になっておったわけでございますが、石炭貨物輸送の重要性というのにかんがみまして、これから除外するように要請した次第でございます。  それから、さらに本年二月には、廃止路線の取り扱いとは別に、貨物の合理化の一環として石炭貨物の取り扱いを中止する、停止するというような計画があったわけでございますが、これにつきましても、それを貨物路線の取り扱いと先行してそういう扱いをすることについては問題があるというような指摘をしてきたわけでございます。この点につきましては地元の強い要望もあり、我々の要請どおりになっておるわけでございます。  さて、二次路線の廃止問題でございますが、五十七年の十一月に国鉄から運輸省に廃止の承認申請があったと承知いたしております。この際運輸省からは、事前にその旨の連絡を受けたわけでございます。これに対して私どもからは、石炭の輸送の確保の観点から、他の交通体系の整備の実情をも十分踏まえて、承認するかどうかを総合的に判断されたい旨申し入れをいたしておるところでございます。今後とも地元知事の意見、あるいはまだ設置されてはおりませんが地元協議会の動向等を十分踏まえまして、必要に応じ運輸省あるいは国鉄と十分連絡をとりながら対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  99. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 今お答えをいただきました中で、第一次路線に指定をされたけれども、石炭産業の重要性にかんがみ一次の発表された中から外していただいた、こういう御努力をなさったその経緯について私も存じ上げているわけでございますから、まあ一次線から外したということは、これは二次線にも当然入らない、石炭産業の重要性というのを認めていただいて外したわけでございますから、当然これは二次路線からも外すべき、あるいはまた外さないまでも特例などを設けて、石炭産業の安定と産炭地域振興のためということでの特例なども設けていただく、そして石炭路線を守っていただくという努力がなされてしかるべきだと思いますけれども、その点今後どういうふうに対処されますか。
  100. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 一次路線から抜けましたが、法の建前上二次路線に入っていることは事実でございまして、貨物の、石炭の輸送の重要性ということはいささかも変わっておりませんが、法の枠組みの中でいろいろ努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  101. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 では、今後とも御努力をよろしく頼んでおきたいと思います。  そこで、最後になりますけれども、御承知のように日本学術会議から試験炭鉱の設立に関する勧告というものが総理大臣あてになされておるようでございますけれども、その内容についてちょっとお伺いしたいと思います。
  102. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 昨年の十一月でございますが、日本学術会議の勧告で試験炭鉱構想が出されております。これは通常の炭鉱と同様に、出炭規模で約三十万トンの石炭生産を行いながら、テーマに応じまして試験研究を実際の規模で行うことができるような、要するに炭鉱に研究部門を附置した特殊法人を設置すべきであるという内容と承知いたしております。
  103. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そこで、試験炭鉱の問題については従来からいろんな提言をなされたり、あるいはまた夕張新炭鉱が閉山をする時点で夕張新炭鉱を試験炭鉱にした方がいいとかいろんな地元の要請がありましたり、いろんな学者からの御提言もあったことも私は伺っておるわけでございますけれども、ただ、参考人としてお招きをしてお聞きした中で、例えば有吉参考人は、稼働炭鉱においてそれぞれテーマを与えて研究していくべきだという御意見がございましたし、それからまた、伊木参考人は、試験炭鉱ができたら、その山での成果そのものは上がるけれども、他の山に適応できるとは限らないし、国費のむだ遣いだというような厳しい御指摘もいただいておるわけでございます。さらにまた、一方磯部参考人に言わせますと、炭量の少ない日本であり、このままの状態で稼行するならば、いわゆるあんパンの中のあんだけ食べてしまって、乱掘をされて石炭資源が多く投げられてしまう、日本の石炭産業の寿命を縮める結果になる、したがって資源を大切にする意味からも採炭技術、保安技術の完璧を期するためにも試験炭鉱は必要であると、こういうふうに仰せられているわけでございます。  ただ私考えまするに この試験炭鉱たまたま今三十万トン程度と言いましたか、その石炭の産出を進めながらということのようでございますけれども、これは提言の中身を見ますと、建設費としては百五十億円かかると言っておりますね。さらに年間の維持費たるや七十億円かかるんだ、こういうことでございます。ですから、十年間で合計いたしますと八百五十億円程度かかるわけでございましょう。それからまた、準備期間が恐らくは三年ぐらいはかかると思われますね。そうすると、七年間というものは三十万トンを出炭するといたしましても二百十万トン、販売価格一万二千円で計算していきましても差し引きで大体六百億円ぐらいの金を使うことになると思うんですよ。これは概算ですから、果たしてこのとおりいくかどうかわからないにいたしましても、これは大変な金だと思うわけでございます。  したがいまして、私は決してこの試験炭鉱の設置に反対するものではなくて、必要性は私は認めると申し上げても過言ではございませんが、ただ考えなければならないことは、山というものは毎日地下で動いている、いわゆる生き物でございます。毎日毎日が生きている、こういうことでございまするし、しかも、日本の炭鉱で、二十八炭鉱ございましょうか、その炭鉱の一つ一つの坑内条件というのは全く違っているわけでございます。  例えば、第一点で考えてみますと、地質的に盤圧の強いところ、いわゆる上盤が押す、下盤が盤ぶくれをするとか、したがって崩落事故が多く、そしてまた運搬災害が頻発する地質の炭鉱の落盤を優先して考えていかなければならぬ炭鉱もございましょう。また、二点目としては、ガス袋が非常に多い、ガス帯が多いために、常時ガス突出防止等の対策をしていかなければならぬ。それで今専門にガス抜きをやらなければならぬという炭鉱もございましょう。さらにまた、三点目としては、深部に入ったために坑内温度が非常に上がって、黙って放置しておきますと四十度以上になってしまうということであるから、そんな労働条件が劣悪化していく中で働くことは困難である。だから、その温度の低下についてはどうするというような研究もしなきゃならぬ。さらにまた、四番目には、恐ろしい坑内出水というものの対策をどうするか。さらにまた、その五番目としては、賦存する炭鉱の枚数によって坑内骨格構造を策定するための方策というものがそれぞれ違ってくるわけですね。これは石炭部長御存じでしょう。そういうこともございます。それからまた、六点目は、平層でありますとか緩傾斜、あるいはまた急傾斜、立て樋、あるいはまた薄層の稼行の研究も一体どうしたらいいんだという問題もございましょう。さらにまた、七点目でございますけれども、原料炭山と一般炭山とはっきりしておりますけれども、これは同じコストがかかりながら手取りが違ってくるわけですね。したがって、どこに生産目標を置いたらいいかという経済性というものを考えながらやっていかなきゃならぬというふうに、非常に難しい問題が多々ございます。  ですから、これだけの条件が、一つの例えば試験炭鉱をつくったからといって、日本の全炭鉱全部適応するということは全くこれはあり得ないわけでございますね。そういう観点から恐らくは伊木さんあたりも国費のむだ遣いではないのかといったような御指摘をなさったと思うんでございますけれども、私ども実態として考えてまいりまする場合に、もっといい方法がないものかと。例えば、国の方で一生懸命やっていらっしゃるようでございますけれども、当面はそれぞれの抱えている炭鉱の特色に対する研究テーマを指定して、テスト炭鉱という言葉を使ってなんでございますけれどもテスト炭鉱としての坑内の稼行地域を指定して保安技術あるいはまた採炭技術というものを究明していく。そしてまた、炭鉱の第一線の係員の徹底した教育を重点的に考えていかなければならぬし、さらに加えて、従業員の方々の総合的な教育を推進することによって、私はある程度試験炭鉱の目的はそういうことで達せられると思うわけでございます。  例えば、我々、私自身も炭鉱の経験ございますし、現在もなおやっておりますけれども一つの高抜けをした、落盤、崩落事故が起きたという場合には、我々のときには、言うならばカラコを組んで、カラコというのはサドルですが、サドルを組んで、山の安定したのを見計らいながら抑えていく。ところが今は、もう落盤したら、高抜けしたら、全部高抜けしてしまって山が落ちつくまで待つ、その間一週間かかろうが十日かかろうが放置しておく、だから災害が大きく拡大されるという問題もございます。そういう技術なんというのは、実は今の炭鉱マンにはなかなかできないことでございますから、そういうこともあわせかねて教育をしていくとか何とかやっていくことの方がよりベターであるということから考えますと、やはり今までのいわゆる預けた各テーマにもっと積極的にお取り組みいただいて予算化もしていただく、こういうことになる方が私はベターだと思いますけれども、いかが考えますか。簡単で結構です。
  104. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 試験炭鉱方式がいいか、あるいは現在の炭鉱を活用しながらそれぞれの諸条件に適合したテーマで試験を行うべきか、これはいわばアプローチの方法でございます。本来、日本の石炭鉱山の現状及び将来の深度化あるいは条件の劣悪化、そういった観点から何が開発されるべき保安技術かということが一番大事でございまして、その保安技術研究開発に何が一番適した方法であるかということが基本的な問題だろうと思っております。  私どもは、五十八年五月に鉱山保安技術検討委員会に学識経験者にお集まりいただきまして、保安技術開発総合プラン、要するに今後の石炭鉱山の保安技術のいわば長期開発計画を策定していただいたわけでございます。このプランに従いまして、現在、国、研究機関及び業界の適切な役割分担のもとにそれぞれのテーマごとにプロジェクトチームをつくりまして、そのもとに各鉱山の稼行条件、自然条件に適合したテーマを研究していただくという体制で進めておりまして、一応この総合プランは大体五年ないし八年で進めようとしておりますが、その方法で我々は研究開発の課題を達成し得るんではないかというふうに期待しておるものでございます。
  105. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 なお一層の保安技術の向上に御努力をされますことを心から念願をいたしまして終わります。ありがとうございました。、
  106. 馬場富

    ○馬場富君 大臣の所信表明を見ますと大変熱心にエネルギー問題に取り組んでおられます通産大臣を中心にいたしまして、通産行政に対しましてきょうは何点かを質問さしていただきます。  最初に、エネルギー対策と海外協力についてでございます。  一点は、先般私は、スイスのジュネーブで開かれました列国議会同盟会議に参加をいたしました。自民党の河本先生と社会党の浜本先生と三人で実は出席いたしましたが、本会議の討論の中で私は、今日本が行っておるエネルギー対策についての討論を行いました。ところが、参加国に大変な反響がございました。その理由は、エネルギー問題の解決は先進国と発展途上国の双方が協力し合う人類共通の問題であるという点であったと思います。特に、発展途上国よりの賛同の強かったのは、石炭開発あるいは地熱開発あるいは太陽エネルギー、バイオマスエネルギー等について高度の技術を持つ日本が、発展途上国の国々との間に具体的な技術協力を行っているということでございました。  このように関心のある石炭開発あるいは地熱開発、太陽エネルギーあるいはサトウキビ、キャッサバ等からのバイオマス利用などについて現在どのような技術協力を行っているのか。またあわせまして、今後発展途上国から大いに期待されておる代替エネルギー開発について、政府はどのように技術協力の拡充強化を行っていく方針であるかをお尋ねいたします。
  107. 荒尾保一

    説明員(荒尾保一君) 石油の代替エネルギー関連の技術協力でございますが、JICA、国際協力事業団を中心といたしまして海外開発計画調査を実施をいたしております。お話のございました石炭開発につきましては、トルコ、コスタリカ、スワジランド、地熱開発につきましては、フィリピン、インドネシア等におきまして実施をしておるわけでございます。このほか、太陽熱を利用いたします海水の淡水化でございますとか、あるいはキャッサバ等を利用いたします植物性のアルコールの製造といったようなものにつきまして、こういった協力を実施をしておるわけでございます。また、以上のようなJICAでやっております技術協力のおおむね六割は代替エネルギー開発でございまして、今後ともこの代替エネルギー開発の重要性にかんがみまして、重点分野として拡充をいたしていきたい、努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  108. 馬場富

    ○馬場富君 外務省の方におきましても、この海外協力についての御見解をお尋ねいたします。
  109. 黒川祐次

    説明員(黒川祐次君) 外務省といたしましても、代替エネルギーの重要性ということにかんがみまして国際協力事業団、JICAを通じまして積極的に技術協力を推進していきたいというふうに考えております。
  110. 馬場富

    ○馬場富君 この海外協力につきましては、過去におきまして、政府間の交渉のみで行われたために、やはりこの協力にまつわるいかがわしい問題等も多々ございました。そのために、私は予算委員会等でもこの点を随分強く指摘してまいりましたが、経済協力がかえって二国間のマイナスになるような実は現象も起こっておるところもございました。こういうものを私はずっと考えてみたときに、先ほど私がジュネーブのIPUで演説を行いました、日本が今とっておる発展途上国へのエネルギー問題での技術協力につきましては、大変その国々から強い関心があるということが私はわかりました。そういう意味におきまして、相手国の人々から喜ばれるような海外協力こそ私は今後力を入れてやっていくべき点ではないか、こう思うわけでございますが、局長並びに通産大臣の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  111. 荒尾保一

    説明員(荒尾保一君) ただいま先生からお話しのとおり、経済協力技術協力、これは相手側のニーズに我が国協力をしていくというのが本来の趣旨であろうかと思います。我が国の経済協力、基本的には海外からの要請に基づきまして、その要請に応ずるという形で実施をいたしておるわけでございますが、今後ともそういったニーズを的確に把握をいたしまして、これに効果的に協力をするという体制をとるように努力をいたしたいと考えます。
  112. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 世界の中において日本経済というものがこれほど向上した点を認められている現在、我が国開発途上国に対して技術援助あるいは経済協力をするということは当然の義務であると私どもは認識いたしております。それがさらに世界経済の活性化に大きな貢献をするということになれば、これほど喜ばしいことはないわけでございます。開発途上国が日本の動きというものに非常な関心を持っているときに、ただ単に経済協力技術協力ということでなしに精神的な意味でもやはり大きな評価を得なければならない、かような考え方で私ども開発途上国へ貢献する道に努力してまいりたいと存じておるところでございます。
  113. 馬場富

    ○馬場富君 その際、各国からの非常な反響がありましたが、特に中でもブラジル代表との対話の中で、同国では既にバイオアルコールが実用化しておるわけでございます。そして、この成功を得ているアルコール製造に関しては、大量のサトウキビの搾りかすが発生して、ブラジル等では公害にもなりかねないという国民の心配があるようでございます。この問題とあわせまして、このブラジルでは大変食糧に食肉を多く使う関係がございまして、やはり畜産というものが大変必要であるわけですけれども、飼料が非常に不足するという点でブラジルは悩んでおります。こういうような立場から、この搾りかすを飼料や肥料にうまく再利用できないかという、こういう方法について大変ブラジルでは悩んでもおりますし、この開発について一生懸命努力をしておるようでございます。そういう面から日本の高度の科学、機械技術に大きな期待をかけておるのが実はブラジルの現状であるということが、ブラジルの代表と話しておる中でうかがうことができました。  それで、私自身も調査をしてみた結果では、企業レベル等では両国間で研究等も進めておるかのように実は私は聞いております。そういう点につきまして、通産省はどのような調査をなされておりますか、お尋ねいたします。
  114. 荒尾保一

    説明員(荒尾保一君) サトウキビの搾りかすをバガスと言っておりますが、これを発酵いたしまして飼料にするというプロジェクトにつきましては、昨年の十二月にブラジルのサンパウロ州のレメ市市長から要請がございまして、これを受けまして日本プラント協会がことしの二月にフィージビリティースタディーを行うための調査団を派遣をしたわけでございます。  現在までの調査の結果によりますと、このバガスを供給源とする飼料の生産につきましては、原料が出ます、バガスが出ますアルコールまたはサトウキビの工場と牧場が比較的近い場合に、その工場に附帯をいたしまして飼料工場建設するというようなプロジェクトであればかなりフィージビリティーは高いという結論が出ておるわけでございます。また、特にブラジルにおきましては、乾季におきまして飼料が不足するというような状況でございますので、ブラジルの東北部においてはかなりこの事業は普及をするのではないだろうかというふうに見られております。  ただし、これにつきましては若干問題点もございまして、今申しましたように、原料を発生するところと消費するところが比較的近くなければならないということと、それからアルコール工場等の企業とこれを使用します牧場との間で、これを生産しよう、あるいは利用しようということについてのかなり熱意が必要であるということ、それから飼料としての有効性につきまして中立的な第三者機関の認定が必要であるというような点について、それを確認をするということが必要であるというようなことが課題として残っておるわけでございます。  以上申し上げましたような調査結果につきまして、ただいま日本プラント協会で最後の仕上げをいたしておりまして、近くこの結果をブラジル側に通報をするという段階に今立ち至っておるわけでございます。
  115. 馬場富

    ○馬場富君 この開発技術につきましては、私の調べたところでは、ブラジル等の民間レベルでの協力体制の依頼等があって、日本でもやはり民間レベルでこの研究もかなり進められて、かなり有望な結果を得ておるようにも聞いておりますが、その点はいかがでございましょう。
  116. 荒尾保一

    説明員(荒尾保一君) ただいま申し上げましたように、フィージビリティーという点で申しますと、申し上げましたような課題が残っておるわけではございますが、しかし有望性があるということでございます。したがいまして、この結論を向こう側に伝えまして、ブラジル側としてこういった問題点についてどういうふうに克服をしていくのか、あるいは具体的にどういったことを先方としてこのプロジェクトの中身について考えるか、そういった具体的な提案がございますれば、私どもといたしましては、これを非常に意義が高いものと考えますので、積極的に技術協力のテーマとして取り上げて検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  117. 馬場富

    ○馬場富君 それでは、技術的に見通しが立ちましたならば、このような相手国の問題が解決できるような協力こそ真の海外協力意味があると私は思うので、そういう点で、困難はあってもやはり努力すべきである、前向きでこれは努力すべきだと、こう思うわけでございます。現在行われておりますブラジルの海外協力の実情とあわせまして、この問題についての通産省の見解と外務省の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  118. 荒尾保一

    説明員(荒尾保一君) ただいま申し上げましたとおり、やはり基本になりますのは、ブラジル側でこれを積極的に取り上げようということが必要であろうかと思います。先方からそういった強い要請がある、ニーズが強いということが前提であろうかと思いますが、そういった強いニーズがあって、さらにそれについての具体的な構想が向こうから示されるということでございますれば、私どもとしては特に技術協力の点につきましてできるだけ積極的に、前向きに対処をいたしたいと考えております。
  119. 黒川祐次

    説明員(黒川祐次君) 外務省といたしましては、外交ルートを通じまして先方政府から具体的な要請が参りましたならば、効果的な協力可能性ということにつきまして検討いたしたい、かように考えております。
  120. 馬場富

    ○馬場富君 ちょっと申しおくれましたが、ちょうどブラジルの代表団とロビーで話し合ったときに、代表団は、今度の五月に大統領も来日されるというようなこともこれあって、そういうことを機会にブラジルとしてもできるだけ日本協力を依頼したいというような意向を示しておりましたので、その点ひとつ御検討をお願いします。  続きまして、大臣に御質問いたしますが、御承知のようにブラジルは明治以来日本の方々が多く移民して、特に農業開発につきましては、現地ではその推進力となっておるのが実は日系の方々でございます。現在、日系並びに在留邦人を合わせますと八十万人に及ぶと言われておりますが、日本に最も関係が深く、またお世話にもなっておるのがこのブラジルではないかと私は思います。そういう意味で、五月には同国の大統領も来日することも予定されておりますので、やはり日伯親善のパイプをますます強くする意味でも、強力にひとつ海外協力とあわせて技術協力ができるような努力を通産省で、また外務省でぜひお願いいたしたいと思いますが、通産大臣の御見解をお尋ねいたします。
  121. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 日本とブラジルとの伝統的な友好関係というものは、もちろん大いに尊重すべきものであると認識いたしております。馬場委員のただいまの御意見に沿いまして、私どもは十分努力してまいります。
  122. 馬場富

    ○馬場富君 次に、質問を変えまして、石油とLNGの課税問題について質問いたします。  昨年の十月六日の当委員会におきまして、当時の宇野通産大臣に対し、石油税の引き上げとLNGに新規に課税するのに対して、特にLNGについてはそれほどコスト的にメリットがあるわけでもなく、課税されることが経済性をさらに悪化するということになるから、そういう点についてこれは大変危険があるのではないかという質問に対しまして、実は宇野通産大臣は、石油税については増税を考えていない、またLNGについては、産業を預かっている者といたしましてはそうした増税には常に反対の立場をとっていきたいと明言されたわけでございます。ところが、それから間もなくして、五十九年度の予算編成の作業が進むに従って石油税の増税が具体化し、結果、石油税率が三・五%から四・七%へ、LNGについては新規に一・二%の課税ということになったわけでございますが、石油及びガスに非常に安易な課税ではないか、やはりこの問題を考えてみたときに、この税金がもたらすガスや石油に対して大きい反対効果があらわれてくる、また、その税の使い道も合理的とは考えられない面が多分にあると私は思います。  そこで小此木通産大臣、通産大臣がこのように簡単に自分の言ったことを変えるということは、余りにも行政の責任、一貫性についての保証がないと私は思います。金がないから、では税金をふやしましょう、また新しい税金をつくりましょうというようなことで、果たして恒久的なエネルギー対策というのが順調に進むかどうか、私は大変心配なものがあります。関係者におきましては、こういうことによって大変意欲を失ってくるおそれも私はあると考えておりますが、この対応についての当局と大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  123. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 前任者の宇野大臣の発言は、LNG課税そのものについての反対ということを述べたというよりも、一般論といたしまして、歳入が減少したからといって直ちに増税が必要というような短絡的な増税論には反対であるということを言ったと私は理解いたしておるのでございます。  今回の石油税の拡充というものは、石油税の大幅減収という事態を踏まえまして、今後ともエネルギー対策計画的かつ着実に推進していかなければならない、歳出面における徹底した節減合理化、あるいは歳入の面における石油税収の一般会計留保額の最大限の取り崩し、これを前提といたしまして、なおかつ不足する財源につきまして必要最小限の財源措置をお願いしたものでございまして、この点はぜひ御理解願いたいと思うのでございます。  なお、今回の石油税の拡充によりまして、LNGにつきましてもエネルギー対策財源としての負担を求めることにいたしましたのは、第一に、エネルギー対策財源については、本来その利益を受けるエネルギー消費者が広く負担することが究極的には望ましいと考えましたことと、LNGにつきましては、原油価格引き下げに伴いその価格が低下しておりまして、価格低下分のごく一部をエネルギー対策財源負担に振り向けるということが可能となっていることによるものであることを御理解賜りたいのでございます。
  124. 馬場富

    ○馬場富君 大臣はこれから通産大臣をおやりになるわけですけれども、宇野大臣のように、やはり委員会や議会での答弁については必ず遵守してほしいと、そういうことを実はお尋ねしたいわけですが、ひとつその腹構えを聞かしてもらいたいと思うんです。
  125. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 私はまだ始めましてから四カ月ほどでございますが、委員の御指摘のように、今後大いに努力することはもちろんでございます。
  126. 馬場富

    ○馬場富君 次に、サハリンの天然ガス開発につきまして質問いたします。  報道等によりますと、サハリンの大陸棚のチャイウォ、オドプト地区で実施した探鉱が終了いたしまして、ソビエトの意向では、一九九〇年ごろから生産を開始して、日本に対して供給ができる態勢ができたというような見解が出ておるわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  127. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) ただいま御指摘のございましたソ連のサハリンのプロジェクトにつきましては、現在のところ、ソ連側におきましてこのプロジェクトにかかわります開発生産計画を作成中でございます。私どもといたしましては、このソ連側の生産計画が出てまいりましたところでその内容を十分検討いたしまして、これが経済的に十分可能性のあるフィージブルなものであり、また価格等の供給の条件が適切なものでありますれば、私どもといたしましては、LNGのプロジェクトは多々あるかと思いますけれども、新しいプロジェクトの中では最優先に取り扱うようにしてまいりたいというふうに現在考えておるところでございます。
  128. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、国内におけるLNG需要が今後それほど膨らむとは考えられない情勢に今ございます。いかに順調なLNGの取引を保証するかがやはりこれからの政策課題だと、私はこう思うわけでございますが、このLNGを石油代替エネルギーの柱の一つとして位置づけるということについては私も異論はございません。また、この問題が対ソ関係の好転材料としても格好のことと私は考えておりますが、ただし、このLNGのデメリットとしての点からこれを見てみますと、石油等価という価格制度、またテーク・オア・ペイの条項がございます。それから長期の契約期間などがございますが、これらについてソ連側と交渉して、ぜひともよい結果をと私たちも期待するところですが、この点、通産省の方策を伺いたいと思います。
  129. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先生指摘のように、LNGは確かに代替エネルギー一つの柱といたしまして今後ともその導入が期待されるわけではございますけれども、御指摘のように、契約条件を見ますと、熱量において石油と等価で硬直的にスライドするとか、あるいは供給条件においておっしゃったようなテーク・オア・ペイという硬直的な供給条件がついているというような問題もございますので、私どもといたしましては、LNGの導入に当たりましてこれらの問題に十分対処しながらその導入を図っていくことが必要だということを、かねがね総合エネルギー調査会からも御指摘をいただいているところでございます。したがいまして、サハリンのプロジェクトを推進するに当たりましても、十分御指摘の点を踏まえ、今後、先ほども申し上げたところでございますけれども、供給条件が適切なものであるということでありますればそれを前提として推進をしてまいるよう、関係業界にも理解を求めていきたいと考えております。
  130. 馬場富

    ○馬場富君 この点につきまして、特にガス業界やあるいは電力業界においても、LNGの需要をつくり出すことや、あるいは業界間の相互融通によって柔軟に需要をさばこうとすることなど、随分と努力を実は今しておるわけです。そういう点で、こうしたLNGのユーザーの対策を政府としても後押しすることがやはり肝要であると私自身は考えるわけでございますが、こういう点につきましての見解はどうでしょうか。
  131. 豊島格

    政府委員(豊島格君) LNGにつきましては、石油代替エネルギーとして安定供給のソースであるということでございます。それで問題があるとすれば、一つは御承知のように経済性の問題で、石油等価では石炭、原子力にかなわないということで、代替エネルギーの中で非常に経済性に問題がある。ただ、公害対策として都市周辺の発電所あるいは都市ガスとしては非常に重要であるということでございます。  今先生が御指摘になりましたいろいろな対策を電力業界、ガス業界も研究をしておるということでございますが、例えばLNGの無公害燃料としての需要促進のために、それを従来供給する配管についての開銀融資の問題、あるいは中の設備をLNGに転換する場合の開銀の特別融資の問題等々の制度的な助成ということもいたしております。それから、緊急時にどうするか。いわゆるLNGにつきましては、石油のようにいろいろなところから買ってこれるというわけではございませんで、一たんとまりますとよそのソースから持ってくるわけにいかないということで、先ほどの相互融通というのもその一つでございますが、例えば発電所においては石油とか石炭その他に切りかえるというようなことも必要かと思いまして、そういう検討もいたしております。
  132. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、通産省は特にサハリンのエネルギー導入についてプロジェクトチームを設けられたと聞いております。LNGの石油代替エネルギーとしての位置づけを踏まえてしっかりとした方向性と方針でこれに対処しなければ、最初から何となしの取り組みでは私はならぬと思うし、やはり対外国との問題もございますし、外交上の問題もございます。そういう点で、しっかりとした心構えで臨んでほしいと思いますが、この点についての御見解と、あわせまして、これに対しての大臣の答弁をお聞きしまして、質問を終わりたいと思います。
  133. 豊島格

    政府委員(豊島格君) サハリンの開発でございますが、これが実は石油がわずかで天然ガスがたくさん出てきたということでございまして、一方LNGにつきましては需要もなかなか伸びないといいますか、既に手当て済みのところが多いということでございます。しかし、現実問題として相当の国家資金を含めて探鉱にも金を使っておるというナショナルプロジェクトでございます。それから、日ソの経済関係の改善のためにも非常に大事なプロジェクトであるということで、これが実らないようなことでは大きな問題でございますので、これをいかに現実的に今申しましたような厳しい条件の中で解決していくかということでございまして、その引き取り先をどうするか、あるいは条件をどうするかということはいろいろの観点から私どもも相当真剣になって今チームをつくってやっておる、こういうことでございまして、その結果、このプロジェクトができるだけ早くめどがつき、うまく運ぶように最大限の努力をしていきたい、このように考えております。
  134. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 通産省といたしましては、開発生産計画が出てきたところでもちろん検討しまして、その内容等が条件に適切に合うものであるとするならば、これを優先的に扱ってまいりたいと考えているところでございます。
  135. 小西博行

    ○小西博行君 私は、二十分しか実は時間をいただいておりませんので、まず最初に私の考え方を申し述べて、そして大臣の御意見をお伺いしたいと思います。  先ほどの議論の中でも、私自身もよく理解ができたわけでありますが、日本というのはほとんど資源がない、資源を輸入していわゆる生産活動して付加価値をつけて海外に輸出する、そして利益を生む、こういうのが今の日本の産業の形態だというふうに私は認識しております。  そういう意味でいきますと、何としても、これは電力もそうでありますが、エネルギーということになりますと石油がやはりその主役である。ということになりますと、石油を永遠に安く安定的に輸入していく、これが一つの大きな私は課題だというふうに考えております。  それから二番目は、どうしても電力料金をできるだけコストリダクションしなければいけない。そして生産コストを下げる、我々の生活にもそれが非常に大きな影響を与える、こういうことで電力料金というものをできるだけリダクションしていく、これが二つ目の柱であります。  三つ目は、石油もこれは有限時代と言っておりますし、同時に諸外国のいろんな政治的な事情もありますから、石油にかわる代替エネルギー、この辺の安定的な供給というか、これは非常に大切な問題だと思うんです。そういう意味で、現在火力発電、これは石炭を中心にした火力発電、あるいは石油というのがありますが、石炭による火力発電というのもこれから少しずつ伸ばしていきたい、こういうのが政府の計画の中に入っております。  そして原子力、現在の原子力で一番問題になるのは何といってもやっぱり安全かどうかという問題が議論の中心になっておると思います。ですから、できるだけこの安全性という問題について政府でちゃんと整理をしてもらわなければいけない。これは通産省はもちろんでありますが、科学技術庁もそういう問題が非常に大きな問題になろうと思います。  そのほか、先ほどから何回も出てまいりましたいわゆる水素あるいは太陽エネルギーあるいは地熱あるいは波、そういういろんな新エネルギーと称されるものもたくさんございます。それに関連して先ほどのバッテリーの開発、蓄電ですね、こういう問題も当然出てくるのじゃないかと思います。  それからまた、先ほどのリサイクルという問題が出てきました原子炉、そうなりますと、どうしてもFBR、ATR、こういう分野、あるいは核融合、こういう問題、特にこれは科学技術庁の方で相当勉強してもらわなければいかぬと思いますが、そういうものでやはり原子力を補っていく、あるいはもっと大きくしていく、こういう私は問題があるのではないか、このように理解しております。  まず、最初の石油の問題です。石油の問題は、やはり国との関係がいろいろありますから、私はこれから先、イランとかイラクの戦争とか、この辺の世界のそういう情勢というものが非常に将来に影響を与えるだろうと思います。そのことに対して政府としてはどのように分析しておられるのか、将来に対して、その問題をまず第一点お聞きしたいと思います。
  136. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 石油の問題につきましては、御承知のように、一九七九年を需要のピークといたしまして、その後四、五%ずつ下がってきておるということで、五十八年まで下がり続けておるということでございますが、それからOPEC以外の国の生産もふえるということで、御承知のように昨年の三月にはOPEC結成以来初めて五ドルの基準原油価格の引き下げということを行ったと。初めてそういう事態になったわけでございまして、情勢は非常に大きく変わったわけでございます。  で、現在どうなっておるかというと、最近では年末から年始にかけまして非常に寒かったというようなこともございます。それから、アメリカ景気が非常によくなったということもございまして、五十九年はむしろ若干需要もふえるだろうということでございます。ただ、短期的に見ますと、OPECの生産余力というのは相当まだございますので、したがってそういう意味では需給はまだ依然として緩和基調ということが言えると思います。  ただ、その後どうなるかということでございますが、OPECの生産能力にも限界がございます。それから、北海その他の油田とか新しく発見された油田の生産力というものもある程度いきますとピークを過ぎてだんだん減衰するというような見方も行われております。それから、先進国におきましては、代替エネルギー開発、導入が非常に進んでおりますので、そんなに石油の需要はふえないということでございますが、発展途上国あたりになりますと、経済成長とともに最も便利な石油の需要というものがふえるということで、一九九〇年代、特に後半にかけては、需給はかなりタイト化すると。いろいろな試算がございまして一概に申し上げられませんが、例えばIEAの試算では四百ないし八百万バレルの需給ギャップができる、こういうことも言われております。したがって、そういう中において価格はだんだん上がっていくということが一般に言われておるわけでございます。  あと、政治情勢の問題があるわけでございますが、中東の問題というのは、いわば今に始まったことではございませんで、人によりますと、あそこで何らかの意味の紛争がなかったことはないんじゃないか、こういうことでございます。したがって、その不安定性というのは依然としてそう簡単には直らないということでございまして、そういうことから申しますと、いわば石油の埋蔵量、賦存量の半分が中東であるということを考えますとき、いずれにしても短期的ないろいろなトラブルといいますか事態、例えば供給途絶というような事態というのはなかなか解決しないんじゃないか、そういう事態が起こるおそれは依然として相当長く続くというふうに考えるべきではないかと思っております。
  137. 小西博行

    ○小西博行君 今の御意見ですと、我々の考え方と余り変わらないわけですね。私は、これはもう情勢によって随分変わってくると思いますので、今の時点でということに当然なろうと思いますけれども、特にサウジですが、サウジから最近、ちょっと前になりますか、タンカー備蓄の要請がありましたね。どうもサウジも危ないということで、何とかどんどん生産をして、それをタンカー備蓄をしたいと日本協力要請がありましたね。価格の面で少しいろいろ問題があったようでありますが、それをお断りをしたという経緯がありますね。私は、サウジというのは非常に日本に対して協力的だというふうに聞いておりますし、そういうものに対する協力体制というのが非常に将来大切じゃないかなと、こういう感じがしておるんですが、その辺の実情はいかがでございますか。
  138. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 中東の中でもサウジが一番埋蔵量が多いわけでございまして、中東中東といいましても、一番困るのはサウジがおかしくなっちゃうということが最大の問題でございまして、ほかの国を軽視するというわけでは決してございませんが、サウジがどうなるかということは最大の問題であろうかと思います。そういうことで、サウジにつきましては日サ合同委員会等々、日本との経済協力の推進ということはかねていたしておりますし、例えばテトケミのプロジェクト等につきましても官民挙げて協力する等のプロジェクトを初めとして、いろいろな協力関係、友好関係を保つ、それから増進する、こういうことが基本的な姿勢でございます。  ただ、今先生指摘のありましたタンカー備蓄といいますか、備蓄の問題でございますが、これはいろいろ理由があるようでございまして、よくわからないのですけれども、一般的に最近言われておりますことは、やはりイラン・イラク紛争の帰趨いかんではホルムズ海峡からの積み出しができなくなるんじゃないかということも一つの要因になっておるようでございまして、既に相当の備蓄をしておるということも事実でございます。  ただ、日本に対しまして実は話があったかどうかということでございますが、日本の民間の基地を利用したいというような打診がサウジ側からあったことも事実でございますが、それに対していろいろと料金といいますか借上料等々について話をしたことも事実でございますが、サウジ側からはそれに対して一応問い合わせがあっただけで、その後何ら音さたがないというのが我々の承知しておる事実関係でございまして、先生指摘のようないろいろな協力はあろうかと思いますが、この点については民間側で話が成り立たなかった、今のところ音さたがないということで、これを拒否したとか、あるいは政府がそういうことを受け付けさせなかったと、こういうことでは決してございません。
  139. 小西博行

    ○小西博行君 最近はだからサウジも陸へ備蓄していると。従来タンカーをたくさん置いて、そこへ備蓄しておったんだけれども、最近は陸上備蓄の方向に変わっていると、このように聞いておるんですが、事実ですか。
  140. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 大体最初はタンカー備蓄ということでホルムズの沖、それからその他の地域、例えばボルネオだとか、いろいろ言われております。それで陸に揚げたのがあるかどうかということでございましたが、これは私どもの理解でございますが、たしかカリブ海とかボネアの一部にタンカー備蓄を陸揚げしたということは聞いておりますが、大部分はタンカーであろうかと、こういうふうに理解をいたしております。
  141. 小西博行

    ○小西博行君 実は、これはエネルギーフォーラムという雑誌がございますね。これに去年の十一月に飯倉さんという方が論文を寄せておりますね。これは多分御存じだと思います。この中で、これから先ずっとエネルギー開発をやっていくという場合に、大変たくさんの資金が不足するんじゃないかという論文ですが、これは数字を非常に細かく挙げて書いておりますから、まずこれは正確だというふうに私は判断したわけですが、これに対してどのように理解されているでしょうか。公的資金がえらい不足するということがありますね。三兆五千億というような数字が出ておりますが、これに対してどのように判断しておりますか。
  142. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 飯倉さんのエネルギーフォーラムの試算では、たしか五十八年から六十五年の八年間に大体六十七兆の資金が要るという計算でございまして、ただ、これにつきましてはいろいろと前提もございまして、私どもこれを比較してみましても若干違っておるんですが、私ども計算では、五十六年から六十五年までに大体九十兆ということで、まあ私どもの方が若干多くなっております。これは期間が十年と八年という違いでございますが、中身を比較しますと、期間が違うので何とも言えないわけですが、例えば省エネルギー等については、エネルギーフォーラムに掲載されておる試算というのはちょっと小さい、そのかわり石油等については非常に大きな数字になっておりまして、この点は一概に比較できませんが、そんなに違ったものではないのではないかという感じがしております。いずれにしても相当膨大な量が要る、どちらも試算でございますが、そういう感じがいたしております。
  143. 小西博行

    ○小西博行君 今おっしゃったのは、民間の資金も入れてですね。六十七兆一千億ですか、このぐらいの数字がここに出ておりますね。  私も時間が余りないものですから端的にお答えしてもらいたいんですが、この解決方法です。公的資金が要するに不足するんだ、これに対してどういう形で対策をとれば将来のそういうエネルギー開発というものが進んでいくのだろうか、これは長期計画になると思いますが、そのお答えはどうでしょうか、何か対策ございますか。
  144. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 公的資金をどのように調達するかという問題もあるわけですが、いずれにしても直接税金その他の関連で取るということに限界がありますし、そういうのをどんどんふやすというわけにはいかないことは事実だと思います。したがって、いかにして一定の量の公的資金を前提として有効に使うかということでございまして、そういう観点からは総合エネ調でも指摘されておりますように、一つはやっぱり歳出の方といいますか、そういうものにつきましてできるだけ重点的、効率的にプロジェクトを進めていくということが一つでございます。それからやり方としては、これはトータルすると似たようなことになるのかもわかりませんが、例えば石油備蓄等につきましては借入金で利子補給をするということも具体的な方法としてとられておるところでございます。それからやはり民間の活力を活用するということでございまして、そのやり方につきましても、例えば石炭液化のプロジェクト、パイロットプラントを二百五十トン・パー・デーを五十九年度からやることになっておるわけですが、その場合においてもある程度応分の負担を民間に期待するということで進めておる次第でございまして、そのほか総合的にいろいろと考えていかなくちゃいけないと思っております。
  145. 小西博行

    ○小西博行君 ここでは非常に明快に四つの答えを出しておりますね。エネルギーの研究開発、具体的にこうやりなさいということが四つほどあります。既存エネルギーの財源の使途を変更しなさい、それから税金というのがありますね、石油税をもう少し上げなきゃどうにもならぬだろうというようなこともちょっと書いてありますけれども、そういう四つ、官民分担の見直しを考えなさいとか、こういうふうに非常に具体的に書いている。私感心したわけですが、こういうものをやはり具体化していかなければ、計画は立てたんだけれどもさっぱりそれはだめだという結果になってしまうんじゃないかという感じがして、ぜひその辺は勉強していただいて、具体的な方策を立てていただきたいということをお願いしたいと思います。  まだやりたいのでありますけれども、せっかく科学技術庁長官に来ていただいておりますので、そちらの方のお話をちょっとしてみたいと思います。  と申しますのは、私は去年の八月あるいは十一月、いろいろなエネルギーの見直し的なものが出てまいりました。ことしの予算もそうでありますけれども、やっぱりお金がないから何となく研究開発的なものは少し自粛しようじゃないかというようなことで、いろんなプロジェクトがちょっとトーンダウンしているんじゃないかという感じがしているわけですね。  特に科学技術庁長官にお伺いしたいんですが、今、流動研究システムというのを科学技術庁を中心にやっておられますね、各大学であるとか、あるいは通産とか、あるいは産業界とか、いろいろな人が集まって。たしか今テーマは六つだったでしょうか、新しい金属の開発というのもありましたし、それからバイオもありましたね。その中に、将来の日本のエネルギーを担うという意味で新しい何か  さっきの新しく電池を開発するとかいろいろありましたけれども、基本的ないろんな研究になると思うんですけれども、もう少しそういうエネルギーの問題に対しての科学技術での研究開発というものはできないものでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
  146. 岩動道行

    ○国務大臣(岩動道行君) 私ども、エネルギー問題の研究開発は大変大事でありまして、先ほど莫大な金額のお話もあったんですが、例えば原子力研究開発の関連で申しますと、五兆円以上のものが研究開発だけで要る。そして新型転換炉に対してはおおむね五千億でありますとか、あるいは高速増殖炉につきましては一兆円とか、そういったような研究開発費が要るわけでございますね。これらは年次を追って私どもは着実にその計画を進めてまいるということで、もう既に着々とそれは進めております。  そういう中におきまして、新エネルギー等につきましては、私どもの基礎的な研究もございますが、これは通産省の方でもいろいろと、サンシャイン計画でありますとか、そういうことで着々と進めておるわけでございまして、私どもとしてはやはりエネルギーは、国家経済そして国民の重大な血液の問題として、したがって油だけには頼っていけない、脱石油という観点からさらに努力をしてまいらなければいけないと思っております。  したがって、それらに対する財源はどうするかということが出てまいります。大変残念な財政状況でございますが、このようなエネルギー対策の費用等につきましては、マイナス予算の中ではまずまずの成果を上げてきておりますので、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  147. 小西博行

    ○小西博行君 もう時間が参ったようでありますけれども、最後に通産大臣に質問を申し上げますけれども、一番最初に申し上げましたように、日本というのはどうしても資源をよそから買いますから、その原材料が高い分というのはできるだけ付加価値で求めていかなければいけない。そうなりますと、どうしても電力なんというのが非常に大きな原価的なウエートになるわけです。特に素材産業とよく言いますけれども、亜鉛の製錬なんかいきますと、大体製造原価の六〇から七〇%が電力なんですね。だからもうこれは経費じゃなくて原材料以上かもわかりませんね。それだけに電力料金というものがこれから将来日本が海外にいろんな物をつくって輸出する場合に非常に大きなウエートになる、競争において非常に大きなウエートになるということを考えまして、何としてもエネルギーの政策についてはやはり着実に長期計画に向かって推進していくべきじゃないか。  そういう意味では、新エネルギーと言われておるわけですが、最近は少しトーンダウンしておりますが、ちゃんとした技術の蓄積だけはそこまではどうしてもやっておいて、そして事情事情だからしばらく休もうということは結構でありますけれども、そこまでまだ十分いってないだろう、こういう問題がたくさんあろうかと思うので、その辺をぜひ推進していただきたいということを申し上げまして終わりたいと思います。
  148. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 私ども第一次、第二次の石油ショックというものを考えますと、我が国が資源が少ない少ないとは言いながら、それ以前は油というものが無限にあるのではないかというような錯覚に陥っていたことは事実でございまして、二回の石油危機というものを経験いたしまして、我が国の資源の非常に惨めさというものを我々痛感いたしたわけでございますが、それゆえに政府といたしましても、通産省といたしましても、この脆弱な石油供給構造というふうなものをいかにして切り抜けるかということが、いわば最大の悲願でもあるわけでございます。そのために私どもは、石油の供給の多角化ということを常に努力いたしておるのでございますが、結果は依然としてやはり中東への依存度というものが非常に高い。この脆弱な構造というものを私どもは打破する努力をなおしていかなければならないと思っております。  しかし、一方においてやはり省資源、代替エネルギー開発というものに努力しなければなりませんし、絶ゆまざる努力によりまして私どもはこのエネルギーの問題について懸命に取り組んでいかなければならないという覚悟を決めておる次第でございます。  また、電力料金のことについてもお尋ねがございましたけれども、私はこのような公共料金というものは、何よりも国民生活というものを安定させる一番の大きな要素であると思うのでございます。でありますから、私どもは、この公共料金、電力料金というものはやはり長期安定というものに最大の努力をしなければならない、かような考え方で今後も進んでまいることを御理解願いたいのであります。
  149. 小西博行

    ○小西博行君 終わります。
  150. 青島幸男

    ○青島幸男君 先ほどからの質疑を私も拝聴しておりまして、いかにエネルギーが我が国にとって大事であるかということも痛感している次第でございます。しかし、それにいたしましても、資源の安定性を含めて考えます長期的、将来的展望に立ちますと、これから先は新エネルギーの開発というものに本腰を入れて取り組んでいかなきゃならないんじゃないか。特に二十一世紀を迎えるに当たってはそういう心構えが非常に大事だろうと思いまして、まず通産大臣の取り組む姿勢についてのお考えからただしたいというふうに考えたんですけれども、今他の委員の御発言にお答えになりまして、新エネルギーの開発にも本腰を入れて取り組んでいかなきゃならぬという決意であるというように私はこれを伺いましたので、これ以上お尋ねすることはないのですけれども、私の認識に間違いがなければ、それでよろしいというふうにお答えいただければ結構です。
  151. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) さようなことで結構でございます。
  152. 青島幸男

    ○青島幸男君 先ほどからの質疑によりましても、石油にやっぱりどうしても依存していかなきゃならない体質は捨て切れずにある。しかもその九〇%に近い石油は輸入している。しかもそのうちの七〇%はサウジから来ている。しかもサウジの情勢——一時我が国が高度経済成長を迎えたころに、その中東の油の上に乗っかって我々の繁栄があるというような表現も使われておりましたけれども、サウジの政情の上に今乗っているような気がするわけですね。あの辺の国際情勢というのは、長い歴史的な確執と宗教的あるいは風土的なさまざまなものが入り組んだ、一触即発といいますか、非常に不安定な状況にあることはこれまた事実なんですね。そういう、人の国のことですから、間へ入っていってどうしろこうしろということは言えない状況の上に我々が立っているということはどうしても反省しなきゃならないし、これを排除していかなきゃならないというので、どなたも石油依存を少しでも和らげていかなきゃならないという方向で御検討なすっているのはわかっているわけです。  一方では、そうなるとすぐに原子力ということで、原子力開発にも進んでおられるようですけれども、しかし、先ほどの御質疑の中にもありましたけれども、何でもエネルギーがあればいいという問題ではなくて、ある程度経済的な効率も考えなきゃならない、安くなきゃならぬと。しかし、その考え方を突き進めていくのは私は大変危険だと思いますね。安ければそれでいいんだということにのっとってやりますと、かつての高度経済成長時代みたいにじゃぶじゃぶ湯水のように使えた石油の上に乗っかって繁栄を続けてまいりましたが、国土は荒廃し、人の心まで荒廃するような結果になりましたね、残ったのは公害だけだったというような格好で。その第一次、第二次石油ショックを踏まえて我々は大いに反省させられてまいりました。  聞けば、この原子力に頼っている発電にしても、エネルギー開発にしましても、その廃棄物処理あるいは再処理、あるいは最終的な処理まで一貫したサイクルができ上がって、その見通しもはっきりついて、それで実用に付しているのならまだしも、しかも一般の国民の方々の間の安全性に対するコンセンサスも得られて、我が国のよって立つ基盤からすればこれもいたし方がないことだろう、多少危険か冒険が伴うかもしれないけれどもこの道を進まなけりゃならぬという、国民的なコンセンサスを得られたわけじゃないですね、現状まだ。かなり不安に思っていらっしゃる方もおいでになるし、最終的なサイクルも確立してない状態で、途中見切り発車みたいな状態で、サウジの上に乗っかっているのも危険きわまりない、どちらを選ぶかということならば、多少の危険があってもまだ原子力開発の方が各国も認めている、安全性も保障もあるということで出てきたような気がするんですね。これも我が国がかなり大量のエネルギーを必要としてその上にのっとって生活を営んでいますから、好むと好まざるとによらず歩んでいかなければならない道であったことも事実だと思います。  しかし、こういう状況を踏まえればこそ、今後は新エネルギーというものの開発に精いっぱいの努力を傾けていきまして、クリーンで安全で、将来とも安定的なエネルギーの供給を得られるであろうというものに邁進しなきゃならない時期だと思うんです。最初は確かに高くつくかもしれません。開発するためのエネルギーと労力と費用もかかるかもしれません。しかし、今安い石油が入るから、比較的安い原子力があるからといって、新エネルギーに対する開発の努力を怠ったら、また三次、四次というショックに見舞われて、のっぴきならない羽目に追い込まれるでしょうし、大変な混乱を招く時期もやがて来ると思いますので、その点からお尋ねするわけですけれども、総合エネルギー調査会の見通しにおける新エネルギー依存度について、これと民間の見通しとの間にかなりギャップがあるわけですね。民間の方がもっと依存度が高くなるだろうと予想しているんですけれども、このギャップはどこから来ているんですか。
  153. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 私どもの手元にある資料で申しますと、民間の研究としてはエネルギー経済研究所が五十六年十一月に出しましたもの、それから石油連盟が五十八年六月に出したものとそれぞれございます。それでエネ研の資料について申しますと、新エネルギーは四百三十三万キロリットル、昭和六十五年度の予想でございます。それから石油連盟は百十万キロリットルでございます。それに対しまして私どもが最近つくりました、五十八年十一月、総合エネ調でできたわけですが、それによりますと八百万キロリットルという数字がございまして、先生の御指摘の資料は別のところにおありかと思いますが、私たちの承知している限りでは、新エネルギーの大きさといいますか、量は民間より大きいと、このように理解いたしております。
  154. 青島幸男

    ○青島幸男君 総合エネルギー調査会の策定しました長期エネルギー需給見通しにつきまして、五十八年に発表された第二次の見通しの新エネルギーが、五十七年の一次見通しから見るとかなり後退しておるようですけれども、依存度を高めるように研究すべきであると思うのに、後退しているというのは納得できないんですが、この辺はいかがでしょう。
  155. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 五十七年につくりましたときには新エネルギーは千五百万キロリットルですから、若干減っておるという、半分ぐらいになっておるということは事実でございます。ただ、これはどうしてこのように減ったのかということでございますが、これは御承知のように、第二次石油ショック以来特に省エネというものが進みまして、GNPが毎年三%以上増加するのにエネルギーの消費自身は逆に三%以上減る、こういうような状況もございまして、エネルギーの需要そのものが非常に下方修正されざるを得なかった、こういうことでございます。そういうことで、現実的の問題として新エネルギーが入り込む余地というのがそれだけ少なくなっておるということでございます。  ただ、比率について申しますと、これはいろいろな計算ができますが、基準年から六十五年までの全エネルギーの増加分に占める新エネルギー等の比率というのを見ますと、今回のといいますか、昨年十一月の最新の見通しでは九・九%ということでございますが、五十七年四月のときは八一八%ということで、むしろ増加寄与率はさらに今回の方が高いということも言えるわけでございますし、特に今回目標年度としました七十五年度においては新エネルギーは三千五百万ないし五千五百万ということで、相当な意欲的な目標を設定しておるということでございまして、そういう意味からシェアとしても大体従来どおりのシェアを維持しているんじゃないか、このように思いますが、いずれにしましても基本的姿勢としましては、先生先ほど来御指摘のように、今後の日本の長期的なエネルギー供給構造ということを考えますと、新エネルギー技術開発、その技術の確立ということは不可欠な重要な課題である、このように考えております。
  156. 青島幸男

    ○青島幸男君 科学技術の進歩はもう日進月歩でございまして、いつどういうものができるかわかりませんけれども、それも不断の努力があればこそ新発見もあるんだと思いますし、特にLNGなんかの例を見ますと、かつては石油の井戸からガスがどんどん出て、このガスの処置にむしろ困って、そのまま放出したり火をつけて燃やしてたりしていたわけでしょう。それを高圧のもとで零下百六十五度ですかに冷やすと液化ができる、この技術開発されまして、それが実用に付されてから、それまで空気中に放出したり燃やしたりして全くむだにしていたものが、そのままリキッドの形で方々へ運ぶことができるし、しかもそれで都市ガスの大部分はもう既に補われているということまで聞きますと、つい最近開発されたその努力によりまして、技術の力によりまして、そういう実際むだになっていたものがそのまま使えるようになったということは大変なことだと思うんですね。こういう例もございますから常々そういう形で検討を進めていかなきゃならないだろうと思います。  それからもう一つ、省エネの効果も私は大変すばらしい、新たなエネルギーの発見に見合うくらい大きな力を持っていると思いますね。それは今まで政府が率先指導なすってきたさまざまの省エネの手段が功を奏したこともあるでしょうけれども、これは我が国の国民性にも根差している部分があると思うんです。一たん足りないぞと危機感をあおられると、すぐトイレットペーパー買いに走るような気持ちで、もう省エネに向けて一斉に一億二千万の国民が走るような格好で、水道の蛇口を締める、人のいない部屋の電気は消すというようなことがかなり行き届いた格好で、しかも大企業が大規模に省エネに向かって設備を改善したリなんかして、そのことでかなり大きく省エネということが新しいエネルギーの開発につながるぐらい逆に大きなエネルギーをもたらしたと思いますね。  そういう意味で、省エネにもなっていることなんでしょうけれども、新エネルギーの一つとして、地方の都市なんかへ参りますと、特に屋根の上にソーラー湯沸かし器と言うんですか、あれをかなり数多く見ますね。ああいう各家庭の一般の国民の一人一人の中に、太陽エネルギーに依存して少しでも電力あるいはガスの料金を下げようと、いじましい気持ちばかりでなくて、国策に沿った生き方をしようというようなけなげな気持ももあると思うんですよ。ああいうものがそれぞれの家庭へ行き渡っている分だけでも相当な省エネにつながっていると思いますね。そんなものはどの程度の省エネにつながっているか、計算なすったことありますかね。
  157. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ソーラーシステムでどのくらいエネルギーが出ておるかということでございますが、現在たしか五十七年実績で五十七万キロリットルの石油換算の量になっております。したがって、現在のところ年間五十七万キロばかりの石油の節約になっている、こう言えると思いますが、長期エネルギー需給見通しでは、大体ソーラーシステムで六十五年度四百七十万キロリットルぐらい、それからさらに七十年度はそれの倍近くですか、そういうものを見通して進めておるところでございます。
  158. 青島幸男

    ○青島幸男君 先ほども地熱発電のお話を伺いましたけれども、もはや実用に供せられるような状況にあるという、その技術力のすばらしさと関係者の皆さん方の御努力に私は心から敬意を表する次第ですけれども我が国は火山国でありますからして地熱というのも一つの重大な資源には違いありませんが、周りは海に囲まれておりまして、潮流だとか、あるいは波だとか、あるいは干満の差だとかによる発電、あるいはエネルギーとしての利用の仕方というのもかなり開発が進んでいるはずだと思いますけれども、これも大規模に行うようなことが可能ならばかなり大きなエネルギーが得られるんじゃないかという気がします。この方の研究の成果はどのようになっていますか。
  159. 豊島格

    政府委員(豊島格君) それぞれ検討いたしておるところでございまして、その成果もあるわけでございますが、特に潮流とか潮汐とか、あるいはさらに申しますと風力というものにつきましては、自然的条件が非常にございますので、どのくらい大きな量のエネルギーが期待できるかといいますと今後の課題でございまして、外国では特定地点においてそれぞれ相当実用化といいますか、相当見通しがついているところもありますが、まあ研究段階とお考えいただいたらよろしいかと存じます。ただ、地熱につきましては既に二十一万キロワットございまして、五十七年度、先ほどのソーラーで五十七万キロリットルの石油に相当するエネルギーを節約していると申しましたけれども、地熱につきましては五十七年度四十万キロリットルということでございまして、これをさらに六十五年度百五十万、七十年度三百五十万ということで推し進めていきたいと、こう考えております。
  160. 青島幸男

    ○青島幸男君 それぞれに御努力くだすって、一日も早く石油あるいはコンセンサスを得るのは難しい原子力発電などに依存せずに、少なくとも二十一世紀には我が国独自の技術開発によって自然条件の中から、あるいは我が国独特の資源の中から外国に頼らないで、全部という話はとてもやっぱり無理でしょうけれども、かなりの分量を安定的にエネルギーの供給が得られるように御努力あってほしいというふうに私は要望いたしますけれども、大臣、今までの私の発言をお聞きになっておられまして、新エネルギーの開発について新たに御決意がありましたらお伺いさしていただくことで質問終わりたいと思います。
  161. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 冒頭いろいろな説を青島委員おっしゃられましたけれども、まず油の問題から触れられましたけれども、このことに私一言申し上げたいんです。というのは、やはり中東の不安の上に乗っているということ、そういうような非常に供給の脆弱性というものがありましても、しかし、中東問題あるいはいろいろな情勢について与野党を問わず日本の政治家が非常に不安なるがゆえに関心を持っている、それゆえにいろいろな政治家が中東を訪問してその政情を視察するし、何とかこの不安な情勢というものが解決できないかと、みんなそろって私は努力しているんだと思うんです。と同時に、我が国におきましても政府において、この不安な状態を何とか解決できないかと、外交ルートを通じてそのような努力をしていることは事実であるということをひとつ御評価願いたいと思います。この日本の努力によって簡単にイラン・イラクの問題が解決するかどうか、これは別問題として、今後与野党を問わず我々はその解決の努力は当然していかなければならないと思います。  しかし、そのような情勢であるからこそ、やはり今御指摘のいろんな新エネルギーの開発の問題も出ましたけれども、それゆえに政府といたしましても、通産省といたしましても、この不安な情勢の中にさらに一歩前進してそれを解決するために、新エネルギーというものの技術の推進ということをやっているわけでございまして、これは単に政府が、あるいは通産省がやるということではなしに、国民挙げてその努力をすべきだと思うのでございます。ソーラーシステムの問題にいたしましても、ごくわずかな努力が五十七万キロリットルの油を節約しているということになりますれば、こういう微々たる一つ一つの努力というものが、やはり我が国エネルギー対策一つの大きな要素となって貢献し得るということを私どもは期待するわけでございまして、そのような総合力というものを我々は我々の大きな結集の力として今後我が国の発展のために資していければ、これほど喜ばしいことはないと思っておる次第でございます。
  162. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 三井有明鉱の大災害、これは最新設備を持った炭鉱だと言われておりましたけれども、事実はもう全くお粗末な保安無視、基本的な保安すら行っていなかった。例えば、ベルトコンベヤーの当番が配置されていなかった、ガス感知器がなかった、災害の報告が大幅におくれた等、まさに会社のずさんな保安管理体制、ここに原因があったと言わざるを得ないと思います。その三井鉱のずさんな保安について、特にきょうはダイナマイトの問題についてお伺いしたいと思います。  ダイナマイトというのは、大変危険なものでございます。とりわけ、炭鉱の坑内にあっての使用管理は厳重を期さなければならないというのが一番大事なことだと思いますけれども、当然だと思いますが、いかがでございますか。
  163. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 御指摘のとおりでございまして、石炭鉱山保安規則及び社内のそれぞれの鉱山におきます作業手順をもって厳格に実施しているところでございます。
  164. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこで、事実関係を具体的に伺っていきたいと思います。  我が党が調査いたしました結果、極めて重大な事態をつかみました。三池鉱で不発のダイナマイトと雷管が大量に発見され、適切に処理されていないという事実をつかんでまいりました。昨年一年間で千数百本、月にすれば百本以上の不発の雷管が選炭工場で発見されているわけです。  まず、この問題について、例えば五十八年、マイト、雷管の拾得本数は何本ございましたでしょうか。
  165. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 鉱山におきまして、坑道掘進等のためにダイナマイト、要するに爆薬を用いるわけでございますが、この爆薬を爆発させるのが雷管でございます。私ども承知している限りにおきまして、不発雷管の発生ということはございます。不発雷管について申し上げれば、五十七年約千二百三十余、五十八年に同じく千二百八十余、これが不発雷管として拾得されております。
  166. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今数をお示しになりましたけれども、私たちが調査いたしました教よりは少のうございます。それよりももっと多いということを指摘せざるを得ない。具体的な数字をもう一度きちっとお調べいただきたいと思います、五十七年と五十八年。そして、調べ直して御報告いだだきたいと思います。
  167. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 私どもは、三池鉱山におきまする拾得雷管調査表に基づきまして調査をいたしたわけでございまして、あるいは先生指摘の数が先生の方の数字と合わないと言われるゆえんは、輸入炭にかかわります不発雷管ではなかろうかと思うのでございます。私ども調査表を集計いたしました結果で申し上げれば、最後の数字まで申し上げますと、千二百三十七及び千二百八十八でございます。
  168. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 千二百八十八。
  169. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) はい。
  170. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 採炭現場だとか掘進現場でダイナマイトを使い、そのうち採炭現場で発破をかけると、炭と一緒にコンベヤーに乗って雷管が選炭工場まで来る。選炭場までというと、長さにしますと一万メートルの距離を流れてくるということもあり得るわけですね。それが今事もなげに、私の方の数字よりも少ないんですけれども、一年間に千二百三十七と約千三百というような、五十七年、五十八年、というような数、これは異常と言うほかはないと思うんです。これは普通なんですか。
  171. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 三池炭鉱におきまして、昭和五十八年におきます雷管の使用状況を申し上げますと、月平均約三十万本、年間にしまして三百六十万本でございます。このうち、今御指摘のように、年間千二百本余、大体月百本程度ということでございます。私どもこれは限りなくゼロにすべき性格のものでございまして、本来坑内の掘進現場、これを使いました現場において回収さるべき性格のものだろうと思います。しかし、落炭の中に入ってしまった場合に、その検査を義務づけておりますが、一〇〇%そこで回収することはできない。したがいまして、選炭場におきましてマグネットキャッチャー等を用いましてこの回収を今行っておるわけでございますが、他鉱山との比較において、やはりこの雷管使用数が他の鉱山よりオーダーの違いがあるほど大きな使用量でございますけれども、不発雷管の発生量といたしましては多い方ではないかというふうに考えております。
  172. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 多い方じゃないかどころか、私はそういう認識でいらっしゃるところに一つは問題がある。  このダイナマイトというのは砕けてしまっているかもしれない、発見は雷管で発見されて集められる、こういうわけですね。そして、一本その雷管を拾ったら二十円の特別手当が出る、こういうことですね。今おっしゃったけれども、本来ならばこういうものはそんなにちょろちょろ出てきたら大変なものですよね。にもかかわらず、一本二十円の特別手当を出している。非常に危険だと言わざるを得ない。私はこれを見て、驚くべきことだと、こう思いました。で、一個拾ったら二十円というのは、安い高いということは問題を抜きにいたしましても、当然これが出てくると、一年に千数百本出てくる、月に百本だとおっしゃるようなこういう出方が当たり前のこととして——これは給料明細書を私見せてもらった。ここにこの危険な雷管を拾ったら何ぼというのはで、これが当たり前のこととしてやられているということを、私は非常にびつくりしたわけなんです。  他の山に比べてとおっしゃいましたけれども、私も炭鉱は北海道だから随分歩きました。そして、この問題についてもほかの山の労働者にも聞きました。それから、火薬の専門家からも聞きました。雷管と簡単におっしゃるけれども、この雷管自身も静電気でも爆発する、これは非常に危険なんだという、こういうことですね。この雷管が爆発して手が飛んじゃったなんというようなこともあるわけですよね。  そして、今度この三井のこの間の有明鉱で、あそこでベルトコンベヤーに乗って雷管も一緒になって出てきた。あそこで火災が発生しましたよね。もしこのときに雷管が乗っていたとしたら、この熱で当然爆発するということになるわけでしょう。そうすると、これは簡単におっしゃるということは、私は大変危険な問題だと。こういうことが当たり前だ、仕方がないんだと見られているところにずさんな保安管理体制というものがあって今度の事故につながってきていると、これが私は言いたいところなんです。  大臣、ダイナマイトだとか雷管だとかというのは非常に危険なものですよね。危険なものだからいろいろときちっと取り扱い注意しろと言われているのに、千数百本出てきましたよというような感覚でやられたら、私はこれから非常に危険なことが出てくると思うんですね。だから、これに対しては決められたようにきちっと管理するという形で、こういうことがどんどん出てくるというようなことを何としても抑えていただかなければならない、許されてはならないことだと思うんですけれども、具体的にこの問題についてどういうふうに御指導、善処するというふうにお考えですか、お伺いしたいと思います。
  173. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) この不発雷管というもの、石炭鉱山においてこれは完全にゼロとするということは不可能であるというような気がいたすわけでございます。しかし、これを極度に減少させるということは、これは可能と思われるわけでございまして、その意味では、今小笠原委員御指摘のように、三池炭鉱には非常に多いということになると、これは問題であると思います。至急実態調査いたしまして、実情を把握して、今後遺漏なきを期してまいりたいと存じます。
  174. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 また具体的に申し上げますけれども、それでは伺いますが、先ほど五十八年の数字をお出しになりましたけれども、五十八年の一月だけで何本出てますか。
  175. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 昨年の一月におきます不発雷管発生本数は九十九本でございます。
  176. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それも事実と違うんです。事実はその倍からありますよ。  それから、五十七年の八月、何本になってますか。
  177. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 九十本でございます。
  178. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私の方は、行って具体的に事実を、きちっと数を数えて調べてきたんですよ。事実、私たち調べますと、五十八年一月には二百本以上出ているんです。それから、五十七年八月には八百本出ているんですよ。なぜそんなに違いがあるか、ここにも一つ問題があると思いますから、だからぜひ再度調査して具体的にお調べいただきたいと思うんです。一カ月に八百本、五十七年八月なんですけれども、これ一カ月に八百本といいますと、ちょっとざっと計算しても一日に二十六本ですよ。まさにごろごろそれが出てきているという状態になっているわけなんです。そして労働者に、実態どうなんだと、具体的にやっている労働者に聞いたんです。ある労働者は、坑内のベルトコンベヤーに雷管の導火線がひっかかったままくっついてきたよと。またある人は、コンベヤーから落っこっていたのを拾ったよと。ある人は、採炭現場で不発雷管がついたままダイナマイト二本拾ったよと言いました。  それから、この問題について先ほど、ほかの山と比べてちょっと多いかもしれぬと、そして一〇〇%そういうことをなくすということはなかなか無理だとおっしゃいましたけれども、では、このダイナマイトの取り扱いについてどういうことが決められているんですか。例えば、鉱山保安法だとか石炭鉱山保安規則がございますね。それから、これは具体的に三池炭鉱の保安規程ですが、この保安規程にどう書いてあるか。御承知だと思いますけれども、ダイナマイトに雷管がついていますね、金属性の。この雷管には全部ナンバーがついているんですよ。そして、そのナンバーによってだれがそのナンバーをいつどこで発破かけたかということをきちっと押さえなければならないから雷管についているんでしょう。こんなものが出てきたってしようがないんだよ、少しぐらいと言うなら、なんで雷管にナンバーまでつけるんですか。危険だからこそ、だから一つ一つにナンバーを打ち込んで、そして点検をしているわけでしょう。  私は北海道ですから、北海道で聞きました。こういうことがあったらどうするんだと言ったら、ベルトコンベヤーをとめてでもそこでどうなっているんだということをきちっとやっているんですよ。それがこの三井では千数百本平気で出てきている。私の調べでは月によって八百本出ているというわけですよね。これが、出てきてもしようがないんだ、一〇〇%きちっと回収もできないんだといったら、一々克明にナンバーつける必要ないじゃありませんか。  そして、この保安規程を見ました。二百六十二条、「火薬類を紛失した時は直ちに当該係員は管理者、保安係長、火薬係員にその種類、数量、番号、日時、箇所等を急報し、そう査すること」と書いてあるんですよね。こんな危険なものだからこそ刻印打ってあると私は重ねて言いたいんです。そして、石炭鉱山保安規則、もう御承知だと思いますが、百九十一条で何て書いてあります。「不発火薬類は回収すること」「回収することができないときは、不発火薬類が混入したおそれがある鉱車に適当な標示をし、かつ、ただちに管理者に報告しなければならない。」、こういうことが書いてあるのですよ。こういうふうにきちっと保安規則にも書いてある。そしてここにもちゃんと、保安規程にも書いてある。こういうものなんだと、こういう大変なものなんだという認識を私はきちっと持ってもらわなければならない、そう思うわけですよね。明らかに処理、管理について鉱山保安法違反になるんじゃないですか。あなたがおっしゃったようなのだったら、これはしようがないやで済んでしまいますね。済ましてはいけない、きちっと管理して、きちっと報告をしなさいと、これに書いてあるのです。これに書いてあることから見て、あなたのおっしゃったことは私はおかしいと思う。大臣、いかがお考えになりますか。法にも規程にも規則にもちゃんと書いてある。そのとおりやっていないのですよ。これは問題だと思うのです。いかがですか。
  179. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 三池鉱山につきましては、三月の二十七、八の両日にわたりまして監督官を現地に派遣いたしまして調査をいたしまして、先ほど申し上げました数字は、その段階におきまして、三池炭鉱に帳簿の記載義務がございますが、その拾得雷管調査表によってお答えを申し上げたわけでございます。  それでさらに、四月の五日から十二日にわたりまして、三池の三区域につきまして不発雷管に関する特定検査を実施いたしました。これは、御承知のように、三池炭鉱の場合湧水が多いものですから、脚線結線箇所による漏電等で不発雷管の発生の可能性が非常に高いのではないかという問題も含めまして、そもそもこういった不発雷管が発生する理由は何か。要するに最初の発破手順、これは作業手順がきちっと決められてございますが、それをきちっと遵守をして確実な発破を行っているのかどうか、その作業手順の面からくる不発雷管発生の可能性。それから第二に、不発雷管を掘進現場においてチェックをしなくちゃいかぬわけでございますが、そのチェックがおろそかなためにその不発雷管が選炭場において発見されているのか、この両面からする原因の検討が必要だというふうに考えておるわけでございます。その段階でとりあえず、いずれにしましても保安規則及び保安規程あるいは会社の作業手順、それに従った確実な教育の徹底を行うと同時に、作業手順について十分なフォローアップを行わせるという必要があるのではないかということで、相当項目の改善指示事項を会社側に発したわけでございます。  それで、今後私どもは、この改善指示事項の実施状況をフォローアップするつもりにしておりまして、先生指摘のように、雷管にそれぞれのナンバー、それによってどの発破作業員がそれを使用したものであるかという点もわかるわけでございますから、そういった今後は個々の作業員の行動を含めてフォローアップをしてまいりたい、それでできるだけ不発雷管の発生を防止したいというふうに考えております。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、私は先ほど言いましたね、これは危険なものなんだと。だから刻印も押してある。そしてみんなきちっと持ち出すときには管理上の記録もされているわけだ。だから、これが何本か出てきても当たり前だという考え方には絶対立つべきではないし、立ったら大変なことですよ、あなたの方の責任として、法にも違反するのだから。とすれば、私の方の調査とあなたの方の調査とは余りにも違い過ぎます。私の方では五十七年八月、八百本なんです。そうするとあなたの方では九十本、これはもうけた違いもいいところですよ。ということは、あなたの方は会社からその報告を聞いての数字だと思うのですわ。そうすると、会社は本当の数字を出しているか出していないのかというのが一つ問題ですよね。  この会社は、御承知のように、全くもうひどい原始的な保安無視やって事故起こしたところでしょう。それで普通だったら、発破やりますね、雷管つけて、ダイナマイトつけて発破やる。そして発破やったら発破の係の人が点検しますね。そして落盤がないのか、そしてガスが出ないのか、不発弾がないのか、これをその場で点検するのが義務づけられた本当の体制ですよね。こんなベルトコンベヤーに乗ってのこのこ出てくるなんていうのは大体おかしいんですね。そうすると、そういうことをきちっと三池鉱でやられていたか。ほかの山だったら、不発弾あったと言ったらベルトコンベヤーとめて探すというのですよね。これがどんどんどんどん流れてきている。ここのところに一つ問題が私は大きくあると思うんですよね。  だから、私はここで大臣に要求したいと思います。私の言った数字との差というのは、どこに違いがあるか。会社の方から出てきた数字と、こうおっしゃいました。そうすると、五年間、どれだけの数字で出てきているか、それを出してください。私の方でいただきたいと思います。よろしいですか。
  181. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 先ほど御指摘の、例えば五十八年一月の不発雷管数、先生二百本というようなお話、あるいは五十七年八月でございますか、八百本というお話でございますが、大体その使用量、使用雷管本数から割り出しまして、私は極度に多過ぎると、これは異常な数だと思います。そういう意味においては、私どもは発破日誌に基づきまして火薬類の受け払い簿を見、かつ先ほど申し上げました不発雷管拾得処理簿というものを見てチェックをいたしておるわけでございまして、私どもはそういった数値から会社側の調査表を、これは必要記載事項でございますが、この数値はある程度信頼できる数値だというふうに理解いたしておるわけでございます。  それで今お尋ねの……
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 五年間の数字、おたく持っていらっしゃるでしょう。五十七年、五十八年、出ていますね。
  183. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 五十七、五十八は持っております。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その前。
  185. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) その前は今手元にございません。これにつきましては、お出しできるかどうか、後刻先生に御連絡をさしていただきたいというふうに思います。
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう時間だから終わりにいたしますけれども、私は、これ好きこのんで大変だ、大変だと言っているのじゃないんですよ。余りにもほかの山と比べてずさんもいいところですわ。それで事故が起こっちゃったということ、これをきちっと管理し、保安対策を立てなければ、この次にまたこんなことが起こったら何ておっしゃるんですか。もう本当に残念ですと、繰り返しああいう言葉は聞きたくないんです、私は。人命がかかっておりますからね。大事な炭鉱の仕事、そして人命尊重という立場からも、その食い違いについてもぜひ私は、もうほじくり出してというようなんじゃなくて、きちっと処理されなければならないという立場から私は伺ったわけだから、五十七年、五十八年もうつかんでいらっしゃるんだからそれは出していただけると思いますが、あとその前、少なくとも五年くらい、それくらいの調査と数字というのを出していただきたいと思います。大臣、お願いしますね、それについて。  そして、もう最後ですから伺いますけれども、こういうことが大したことないわと放置されているということは、監督行政の責任として、私ははっきり言いたいんですが、それはもう会社側にも責任があり、いろいろ責任あるかもしれないけれども、やっぱり監督行政していらっしゃるおたくの立場から言えば、これは本当に重大な責任を感じていただかなければならないと思うのです。大臣、本当に大変な問題でございますので、しっかり指導して具体的に善処していただきたい。私の申し上げましたことを資料としても出していただきたいということで、大臣の見解をお伺いして終わらせていただきたいと思います。
  187. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) それは今、局長が約束いたしましたからできる限りのものを出させますけれども、監督局といたしましても追跡検査等を行ったということは、今、局長の説明で明らかでございます。さらに実態の把握というものを指示いたしまして、今後万遺漏なきを期してまいります。
  188. 井上孝

    委員長井上孝君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会