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1984-03-10 第101回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十九年三月五日(月曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       亀井 静香君    高鳥  修君       村田敬次郎君    山下 徳夫君       清水  勇君    武田 一夫君 三月九日  村田敬次郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和五十九年三月十日(土曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 村田敬次郎君       亀井 静香君    高鳥  修君       山下 徳夫君    串原 義直君       佐藤  誼君    渋沢 利久君       清水  勇君    鈴木  強君       渡部 行雄君    木内 良明君       武田 一夫君    山田 英介君    兼務 加藤 万吉君 兼務 永井 孝信君    兼務 松浦 利尚君 兼務 吉原 米治君    兼務 草川 昭三君 兼務 斉藤  節君    兼務 塩田  晋君 兼務 菅原喜重郎君    兼務 滝沢 幸助君 兼務 岡崎万寿秀君    兼務 藤木 洋子君 兼務 藤田 スミ君  出席国務大臣         建 設 大 臣 水野  清君         国 務 大 臣         (国土庁長官)稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁長官官房         会計課長    安達 五郎君         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁土地局長 永田 良雄君         国土庁水資源局         長       堀  和夫君         国土庁大都市圏         整備局長    杉岡  浩君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎分科員外出席者         国土庁大都市圏         整備局計画課長 白兼 保彦君         国土庁地方振興         局総務課長   桝原 勝美君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     小林  惇君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     水田 嘉憲君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 井上 春夫君         建設省道路局企         画課長     鈴木 道雄君         建設省道路局高         速国道課長   高見 昌信君         自治省財政局財         政課長     小林  実君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事)   大西 英雄君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  久保田誠三君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  吉岡 昭雄君     ————————————— 分科員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   清水  勇君     佐藤  誼君   武田 一夫君     木内 良明君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     渡部 行雄君   木内 良明君     草野  威君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     鈴木  強君   草野  威君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     串原 義直君   山田 英介君     武田 一夫君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     佐藤  誼君   武田 一夫君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     渋沢 利久君   山田 英介君     武田 一夫君 同日  辞任         補欠選任   渋沢 利久君     鈴木  強君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     渡部 行雄君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     清水  勇君 同日  第一分科員松浦利尚君、塩田晋君、藤木洋子  君、第二分科員永井孝信君、藤田スミ君、第四  分科員加藤万吉君、草川昭三君、第五分科員吉  原米治君、斉藤節君、第六分科員菅原喜重郎  君、滝沢幸助君及び岡崎万寿秀君が本分科兼務  となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度一般会計予算  昭和五十九年度特別会計予算  昭和五十九年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 村田敬次郎

    村田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私、村田敬次郎が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算及び昭和五十九年度政府関係機関予算総理府所管国土庁)について政府から説明を聴取いたします。稻村国土庁長官
  3. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十九年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千三百八十七億五千九百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ三十億五千三百万円余の城となっております。  その主要な内容は、第一に、第四次全国総合開発計画策定作業等国土計画推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用促進等総合的土地対策推進。第三に、水資源開発水源地域対策の充実、水資源有効利用促進等の総合的な水資源対策推進。第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進。第五に、人口地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会形成を図るための地方振興推進。第六に、地方都市開発整備工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団の事業の推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十九年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 村田敬次郎

    村田主査 以上をもちまして、総理府所管国土庁)についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 村田敬次郎

    村田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
  6. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それでは質問いたしてまいります。  第三次全国総合開発計画実施されて約六年経過いたしております。私は、国土の均衡ある発展という立場から見て、地域格差是正は極めて重要な政策課題だと考えております。この点についてどう考えるか。同時に、格差是正について、いわゆる三全総の施行を通じて、その是正についてどのように取り組んできたのか。そしてまた、今フォローアップしているという話も聞きますが、その結果、格差是正はどのような結果を生んでいるのか。その点についてまずお考えをお聞きいたします。
  7. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 国土の均衡ある発展、これは国土庁の最重点政策であります。そういう意味から、昭和三十年後半から大分地域の差が縮まったように思われますけれども、まだまだ地方都市の差が相当開いておるものと見ております。そういう意味から、三全総等々の問題のフォローアップをしながら、四全総策定の中で、この重点地域格差是正を図る、こういうことで策定を進めたいというふうに考えています。
  8. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 特に東北は、山形県も含めてですけれども、三全総で格差是正に努めた結果、どのように是正されたのか、どのような課題が残っているのか、重ねてお伺いします。
  9. 川俣芳郎

    川俣政府委員 東北地方は、御案内のとおり三全総におきましても、特に地方定住を拡大していく場として位置づけられておったわけでございます。最近におきましては、南東北中心にいわゆる先端技術産業も張りついてきておるというような状態があると思います。特に、東北新幹線、それから粟北自動車道の開通に伴いまして、東北地方はあすへの躍進に向かって新しい段階に入っているというふうに言ってよろしいかと思うのでございますが、一方、いわゆる東東北とそれから西東北との間の、まあ格差とまで申して適当かどうかと思いますけれども、そういった問題が関係者の間で意識されてきておるということも事実でございます。私ども、そういった観点から、特に山形県を含む西東北につきましては、やはり今後いろいろな施策を通じましてその開発に努めなければならないというふうに考えておるわけであります。  そんなような観点で、実は国土庁におきましても、いわゆる国道十二号沿い産業展開軸中心といたしました西東北内陸地域開発整備推進するという観点から、五十七年度から、関係省庁協力しまして諸般の調査実施しておるところでございます。また一方、御案内のとおり、一昨年、五十七年でございましたが、東北地方開発特別委員会から答申がございまして、開発促進計画具体化を図るための提言もいただいております。ここに盛られました事項についても、関係省庁協力をしながら、その実現に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  10. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 東北山形県は、今後の開発の躍進する地域として焦点を当でながらその施策を施したい、こういう趣旨だと思うのですが、実は、昭和五十二年の三全総、それを前後して格差がどのように縮まっていったかという、このことについていろいろな資料があるようですが、私が入手した資料によりますと、例えば一人当たり県民分配所得を見ますと、東北の例をとりますと、昭和五十年に、指数であらわして全国平均一〇〇にした場合に八三・五、五十四年で八二・〇になっているのですね。それから山形県の場合には、同じ年度で、五十年に八三・〇が五十四年には八〇・〇。工業出荷額で言いますと、東北昭和五十年に六四・六、昭和五十五年に六四・〇、以下ずっとあります。  五十二年に三全総が策定されて、現在これが施行されているわけですから、それを五十年と五十四年、五十五年、ちょっと古い統計ですが比較してみると、少なくとも今申し上げているように、県民分配所得工業出荷額指数は申しませんでしたけれども、一人当たり付加価値、どれもそんなに伸びていないのです。これは物によっては落ちているのですよ。ただ、その後のデータはちょっと私のところにありませんので何とも申し上げられませんけれども、これなどを見ると、果たして言うなれば格差是正がなされているのかどうか。これはあらわれた結果でありまして、私はそのもとになるこれらの所得を上げる、工業出荷額を上げる、付加価値を高めるというこの条件整備格差がまだかなりあるのではないか。例えば高速交通の問題なり技術集積の問題なり、これから課題になる高度情報網整備の問題なり、この辺がかなり立ちおくれているということがこういう結果にあらわれてきているんじゃないかというふうに私は思うわけです。  先ほどもありましたけれども、三全総のフォローアップ作業を踏まえてという、このコメントがずっとあるのですけれども、それを見ますと、「経済社会構造変化」という項の中には、地域間格差は依然として存在する、こういう一つのとらえ方。それからもう一つは、先ほどもありましたけれども、「三全総で伸び期待された北海道東北等地域想定どおり伸びがみられず」こうあるんですね。そして今後の地域産業振興についてはずっとくだりがありまして、「従来から行ってきた産業基盤整備高度化に加え、空港高速道路など高速交通体系整備及び交通結接点へのアクセスの改善を図る必要がある。」こういうふうにフォローアップではコメントしているのですね。恐らく四全総でもこれを踏まえながら策定されていくと思いますが、私は、三全総で一定の格差是正のねらいを持ちながらそれなり施策、努力はされたと思うのです。しかし、実態は今、数字で申し上げ、フォローアップコメントでおわかりのように、依然として格差があって、これからやはり産業基盤整備には諸条件整備、とりわけ高速交通体系整備などに力点を置かなきゃならぬ、こういう趣旨のことを言っているわけです。  聞くところによると、四全総昭和六十一年策定で今進められているやに聞いておりますが、こういう状況を踏まえて、重ねてでありますが、東北北海道とりわけ山形県などにどういう形でこういう産業基盤整備等を通じて格差是正を図っていこうとしておるのか、その辺のまず国土庁長官の基本的な考え方決意をひとつお伺いしたいと思います。
  11. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 やはり北海道東北、特に東北を言われたわけですが、山陰、北陸その他九州、鹿児島というところは、これは当然数字でも出ておるように格差が明確に出ております。そういう意味から、国土庁としましても、やはり均衡ある発展を図らねばならぬ、住みよい環境づくりということでございますから。例えば東北に至っては、交通体系としては、これは新幹線の問題も、また東北自動車道その他産業立地についても大変うまくいってないということもよく承っております。  そういう意味から、どういう形でこういった問題を位置づけていくか。例えば教育、産業にしても、あるいはまた工業張りつけの問題にしても、やはりなかなかそういう地点というのは企業が喜んで行ってくれないのは、例えば北海道も同じことでありますが、なかなか行ってくれない。そういうところについてどういう一つ考え方張りつけをさせていくか。言うなれば、人口分散というか、あるいはまた分散ということよりか人口を定着さす、こういうことが大変私は大事なことだと思いまして、その一つとして定住圏構想等々も打ち出されております。  そういう意味で、あらゆる全般のこういったことを配慮しながら、やはり四全総作業に着手したわけでありますから、いろいろなものを考えて格差是正をいかにして縮めていくか、格差是正をいかにしてなくしていくか、その方向で二十一世紀に向けて大変東北あるいはその他過疎地域人たちが夢と期待を持てるような一つ方向を打ち出したいというふうに考えておるわけであります。
  12. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 国土庁長官、大変立派な抱負と決意を述べられて期待をしているのであります。  私は重ねてちょっと申し上げますけれども、特に産業基盤整備という観点から、高速交通体系整備焦点を当てながら申し上げたいのですけれども、今までもありましたように、昭和五十七年三月に国土審議会東北地方開発整備方策という答申を出しているわけですね。今のような交通体系整備については、次のように述べられているのです。「当面陸上高速交通体系の便利を享受できない地域において空港整備を進め、全国的なネットワークと連結する航空路線網形成を図る。」これは答申ですね。それからもう一つは、高速道路等については次のようにあるのです。「東北地方の均衡ある発展を図るため、横断路線整備促進するほか、日本海沿岸を縦貫する路線等について検討を進める。」飛行場高速道路等について、こういう答申昭和五十七年になされているのです。  それからなお、運政審では昭和五十六年の七月に、ずっと長い、「幹線高速交通サービス水準地域間格差」という答申があるのですが、言わんとするところは、格差是正に当たって、今申し上げた空港とか高速道路とか新幹線とか、つまり高速交通体系に代表される少なくともこの三つのものがあるが、少なくとも一つぐらいは、その地域で享受できるようにしなければならぬのではないかという趣旨のことを言っているわけなんですよ。  そうすると、例えば東北全体がそういう観点でおくれていますが、東北の中でも太平洋側とまた日本海側で違うのですよ。例えば太平洋側は御承知のとおり東北新幹線がありますし、東北縦貫高速道路がありますし、またそれなりの県ではずっと空港整備されておりますね。ところが日本海側山形とか秋田を見ますと、新幹線は通らない、奥羽新幹線ができておりませんから。それから高速道路となれば、肋骨線がまだできていないわけです。つまり太平洋から日本海側に来る肋骨線もできていない。それから空港となれば、その県の中心都市には、あるところはあります、山形とか秋田とか。そういう点からいうと、太平洋側日本海側を比べても差があるわけですね。  特に、日本海側でも海岸地方山形県の酒田鶴岡中心とする庄内という地域焦点を当ててみると、そこにはもちろん新幹線はございません。高速道路もございません。飛行場もないのです。しかもそこには酒田鶴岡、十万都市が二つあるのです。  こういうふうに、同じ東北でも太平洋日本海側、同じ日本海側の同じ県内においても、さらに海岸側内陸側でまた格差がある、こういうような状況にあるのですね。この点を特に御理解をいただきたいというふうに思うわけでありますが、そういう点について、同じ東北の中にもそういう実態がありますけれども、その辺をどう国土庁はとらえているのか、その辺についての考え方をまずひとつ聞きたいと思います。
  13. 川俣芳郎

    川俣政府委員 先ほども申し上げたとおりでございまして、私ども東北の中で、いわゆる東東北西東北との間で、高速交通体系整備にいささか差があるということは十分認識をいたしております。そういった観点で、ただいまお話のございました東北開発促進計画について、東北開発特別委員会で出されました具体的方策、その中で交通体系整備については、特に強調されておる幾つかの点があるわけでございまして、青森空港拡充整備でございますとか、東北横断自動車道整備促進でございますとか、福島、庄内空港新設の問題でございますとか、具体的に整備を進めるべき目標が掲げられておるわけでございまして、今後四全総なり、あるいは新しい東北開発促進計画策定過程でも、個々に掲げられました事項については、私ども十分頭に入れて、今後対処してまいらなければならないと考えております。
  14. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 そのとおりなんですけれども、重ねて、今具体的に挙げられました山形県の海岸側鶴岡酒田中心とする庄内地方と言われる地域焦点を当てて、この高速交通体系の問題を考えてみると、先ほど申し上げましたように、昭和五十七年の国土審議会答申東北地方開発整備方策の中に、今もありましたけれども庄内空港新設東北横断自動車道酒田線整備、これが盛られておりますね。それから三全総の中には、日本海沿岸縦貫高速道のことが指摘をされております。ですから、それぞれの計画答申の中には、今申し上げた高速交通体系の代表的な三つについて、特に庄内地方の問題については指摘がされ答申がなされておるのだけれども具体的にそれがどう進んでいるのかというと、非常に目に映るような形になっていないわけです。したがって、そういう点から、時間もありませんので、次の三つ具体的な点についての状況を聞きたいと思うのです。  その一つは、まず庄内空港です。今のような状況の中にあって、庄内地方高速交通網の谷間にあって、これを脱却するため住民三十二万人は、この庄内空港建設に大変な熱意を燃やしております。このことについてどう受けとめているのか、この点が一つ。これは航空局になるかと思うのですけれども。  同時にもう一つ関連して、地方空港昭和七十年以降かなどという報道がなされていますけれども運輸省として、そのような方針を決めたことがあるのかどうか、まずこの二点。これは運輸省航空局の方に聞きたい。  次に、これは建設省になると思いますが、高速自動車道についてです。一つ東北横断自動車道酒田線の今後の整備見通しはどうか。  もう一つ、同じ建設省道路関係の局だと思うのですけれども日本海沿岸高速自動車道整備方針はどう考えているか。時間がありませんので、それぞれの所管からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  15. 井上春夫

    井上説明員 昭和六十年代の前半を展望いたしました場合、ローカル空港整備具体的にどう進めるかということにつきましては、現在、第四次空港整備五カ年計画実施期間中でございますけれども昭和六十年度をもって終わりますので、六十一年度からスタートいたします第五次五カ年計画策定作業の中で、地方要望も十分聞き、また航空需要の動向、空港整備特別会計収支見通し等も踏まえまして、具体的に検討して結論を出してまいりたい、かように考えております。  庄内空港につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、各種の答申あるいは計画の中でその必要性は十分指摘されておるところでございますし、運輸省といたしましても、地元に強い要望があるということはかねがね承知しておるところでございます。また人口三十五万余を擁しておるにもかかわらず、高速交通体系から取り残された地域であるということについても認識をしておるつもりでございます。一方、具体空港計画につきましては、今、県がいろいろ策定作業をやっておるわけでございますけれども、まだ完全に煮詰まり切っていないという状況にございます。したがいまして、運輸省といたしましては、今後県のいろいろな調査結果がまとまるのを待ちまして、想定される需要等十分検討の上、六十一年度からスタートいたします第五次五カ年計画の中での取り扱いを国土庁とも協議しながら決めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、運輸省といたしましては、県が実施をしておりますいろいろな調査過程で、技術的な雨その他について助言、協力をしていくことは今後も続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 鈴木道雄

    鈴木説明員 まず、東北横断自動車道酒田線整備見通しについてお答えいたします。  酒田線は東北縦貫自動車道の宮城県の村田町から東北縦貫道と分離いたしまして、山形を経て酒田に至る約百八十キロの高速自動車国道でございます。現在、村田町から寒河江市の間五十七キロにつきましては、その間、一般有料道路笹谷トンネルとして供用しております八キロの区間を除いて整備計画が出ております。現在、村田ジャンクションから山形東インターチェンジの間におきましては設計協議を行っております。それから山形東インターチェンジから寒河江インターチェンジの間では用地買収あるいは一部工事を進めておりまして、六十年代の中ごろに逐次供用されることになっております。それから寒河江と酒田市の間でございますが、まず朝日村から酒田市間については基本計画策定されておりますが、現在、東北地方建設局において整備計画策定すべく必要な計画調査、環境調査等を行っておるところでございます。それから残る寒河江市から朝日村の間については、現在、これは予定路線でございますので、基本計画のための必要な調査を同じく東北地方建設局で行っているところでございます。  それから次に、日本海沿岸縦貫自動車道の整備方針についてどうかということでございますが、これについては第三次全国総合開発計画において、全国的な幹線交通体系の長期構想として、国土開発幹線自動車道を含めおおむね一万キロの高規格の幹線道路網の整備が提唱をされております。建設省といたしましては、これを受けて、現在、高規格幹線道路網の調査実施しているところでございますが、現在の第九次道路整備五カ年計画の中で、その対象路線をどうするか、またそれをどうやって整備をするかということについて、この五カ年計画中に結論を出したい。今後検討なされます四全総との調整を図っていくことは当然でございますが、そういうことをしながらこの高規格幹線道路網計画策定したいと考えております。  なお、日本海沿岸縦貫自動車道につきましては、その中でどういうふうに取り扱うか、全国ネットワークの一環としてどうするかということについて検討をする予定でございます。
  17. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 時間もありませんので、私の方から要望してこの問題は終わりたいと思うのです。  庄内空港についてはすでに御承知だと思うのですけれども、あそこの地域鶴岡酒田おのおの十万都市なんです。合わせれば二十万都市なんです。酒田から東京まで来るのに在来線で七時間なんです。酒田から山形空港、そして東京まで四時間十二分かかるのです。これは大変なんです。特に、新幹線空港まで一時間以上かかるという地域をずっと調べてみて、その中に十万都市のところがどのくらいあるかということをずっと調べてみると、十万都市新幹線空港まで一時間以上かかるというのは鶴岡酒田なんです。珍しい地域なんです。しかも、それは鶴岡酒田という十万都市がぱらっと離れているのではなくて、ほとんど三十キロぐらいのところに十万都市が二つあるのですよ。それが新幹線空港に行くのに一時間以上かかるというのは全国にまれなんです。こういう地域で、今も指摘しましたように、空港もなければ高速自動車道路もなければ新幹線もない。そういう意味では、まさに庄内地方というのは、合い言葉になっているのですが、庄内地方を陸の孤島にするなどいう地域の住民の熱望は皆さんもわかると思うのです。この点からぜひ庄内空港の建設について十分こたえていただきたいし、また東北横断自動車道酒田線整備促進、そしてまた日本海沿岸高速自動車道の建設についてぜひ見通しを立ててもらいたい。その点についてはお願いをしておきたい、要望しておきたいと思います。  ついては、いま申し上げた庄内といわれる地方で、ことしの大変な豪雪の中で、地元では地吹雪と言うのですが、大変な被害に遭っているのです。この点について質問して終わりたいと思うのです。  実は、今申し上げた山形県の海岸地方、つまり庄内地方鶴岡酒田一帯の地域でことしは三回の地吹雪があるのです。これは一月の十六日から十八日、それから二月の三日から二月の四日、二月六日から二月九日、こうありまして、地吹雪と言われてもちょっとぴんとこないと思いますが、上から雪が降るのではなくて、その降った雪が風で舞い上がって吹きだまりができる、簡単に言うとそれなんです。具体的な現象としては、視界が大体一メートルから二メートルくらいしか見えなくなってしまう。したがって車両の進行は不能になってくる、車は突っ込む、放置車はできる、方々に車が放置されて吹きだまりになっていますから除雪車は入れない、入っても有効に作動できない、したがって交通は麻痺してしまうわけですね。それから仮に除雪をしても、三十分なり一時間後にはまた地吹雪ができる、こういう現象です。したがって、この状態のために幾つかの被害が出ておりますが、列車の運休が例えば二月の七日などは二十二本、それから国道の規制が一日大体十一回くらいもされる、それから学校の休校が小学校で一日大体三十校を超える、こういう状態なんです。これに対して国土庁がどう考えるのか、どう施策を施していくのか。私はこれは極めて重要な課題だと思うのです。  そこで、時間もありませんので、私は三つの点を要望しておきたいと思うのですが、一つは、特別豪雪地帯の指定基準に地吹雪を組み入れることはできないか。それから二番目は、地吹雪対策に有効な防雪さくの整備促進について考えてもらえないか。それから三番目は、地吹雪と言ってもなかなか理解ができないので、このことについてもっと国が総合的に調査研究してもらえないか。この三つ要望なんです。  そこで私は、そう言ってもなかなか皆さんに御理解いただけないと思いますので、ちょっと長官、この写真を見てください。(写真を示す)これは私は、いずれ機会をとらえて国土庁の皆さんにビデオでひとつ見ていただきたいと思いますが、これが地吹雪なんです。言葉で言ってもなかなかわからないのですが、今私が申し述べたようなこういう状態なんです。まさにその地域は陸の孤島になってしまうんですね。後で長官にもよくごらんになっていただきたいのですが、時間もありませんので、以上実態要望を申し上げて終わりたいと思います。最後に担当者一言だけ、長官どうですか。
  18. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 地吹雪、これは今お話を聞いておりますと、また写真を拝見してもなかなか大変なことだと思います。この前豪雪の調査に参りまして、福井もやはり相当ひどいということを聞いてまいりました。  そこで、これに対する対策、それに対する防止策、こういうものがどういうことでできるのか、それからまた今後これについてどういう形で研究調査をするかということで、今の御意見を踏まえて国土庁の中でこれに対する検討を加えていきたいと思います。
  19. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  20. 村田敬次郎

    村田主査 これにて佐藤曲君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 私は、時間の関係で、まず建設省の方から先にお伺いしたいと思います。  それは東北横断自動車道、いわき−新潟線建設に関してでございますが、この路線が昭和五十九年度には一体どの程度の進捗率を示すようになるのか、その見通しについてお答え願いたいと思います。時間がありませんから単刀直入に御質問申し上げますから、答えの方も具体的にはっきりと短くお願いいたします。
  22. 高見昌信

    ○高見説明員 五十九年度の建設費の路線別の配分でございますが、これは今年度の進捗状況を踏まえながら現在公団で作業を進めているところでございまして、先生御指摘の平−新潟線に現在幾らということはまだ決まってございません。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 決まっていないというのはおかしいじゃないですか。昨年度の進捗率がわかればことしの予算要求の中でどの程度進むかというのがわからないはずないと思うのです。
  24. 高見昌信

    ○高見説明員 概算要求時点では、その時点での進捗状況を見て概算要求しているわけでございまして、その後、この三月までの進捗状況を見て予算をつけるということでございまして、もう少し具体的に申しますと、郡山から猪苗代の間につきましてはルート発表が終わりまして、現在地元に説明中でございます。それから会津坂下から猪苗代の間につきましては、ルート発表をできるだけ早急にすべく現在公団で鋭意作業を進めているところでございます。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ちょっとあなた、それでは答えになっていないじゃないですか。私は数字を聞いているのですよ。それでは予算要求の段階でどれだけの進捗状況を見越して予算を要求したかという、五十九年度末になったら一体どの程度の工事が進むのか、そういうことを聞いているのであって、そんな何が何だかわからない、修飾語は要らないのですからずばりと数字を言いなさいよ。
  26. 高見昌信

    ○高見説明員 実は五十九年度から猪苗代−郡山については地元と設計協議をしまして、用地買収に入る予定でございますので、今、先生がおっしゃったように、例えば工事で何%進捗するとかそういった具体的な数字はまだ出てこないわけでございます。それから会津坂下−猪苗代につきましても、これから事業を始めるという段階でございますので、何%というふうな具体的な数字はちょっと出てこないわけでございます。  以上であります。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 私が言っているのは、全線の中で五十九年度末にはどの程度の進捗状況になるのかということなんですよ。何も郡山−猪苗代間とか猪苗代−会津坂下間とか、そんなことを言っているのじゃないです。それはどうなんです。
  28. 高見昌信

    ○高見説明員 全線の延長が二百十キロございまして、そのうち郡山−いわき間につきましては基本計画策定された段階でございまして、今後整備計画を出すべく東北地方建設局で調査中でございます。  それから、新潟−津川につきましては、整備計画が出まして、現在地元にルート発表をすべく公団で鋭意調査中でございます。  それから、津川−会津坂下、新潟、福島の県境でございますが、これにつきましては基本計画が出ておりまして、整備計画策定するための調査東北地方建設局で現在行っているところでございます。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 もう時間がありませんから、幾ら大体の数字でいいから言ってくれと言っても言わないので、先へ進みます。  そこで、郡山−猪苗代間、猪苗代−会津坂下間の開業については、当初、同時供用という方針で来られたと思いますが、この方針は現在でも変わりはありませんか。
  30. 高見昌信

    ○高見説明員 整備計画の出た時点が若干違うわけでございますが、地元の方から会津坂下まで局時に完成してもらいたいという強い要望が出ていることはよく承知しております。若干時間的なずれがあるわけでございますが、今後鋭意事業を進めてまいりまして、その趣旨に沿えるように、今後事業展開を進めていきたいと考えております。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、猪苗代−会津坂下間の路線についてはいまだに着工されていないようでございます。この本区間の施行命令が出されるのは一体いつごろでしょうか。またその郡山−猪苗代間の事業は今後どのような段階をたどって計画を進められるおつもりなのか、それをひとつ、時期的な御判断を加えて御説明願いたいと思います。
  32. 高見昌信

    ○高見説明員 猪苗代−会津坂下につきましては、先ほど申しましたように、現在公団で調査中でございまして、その調査が済み次第道路公団に対して施行命令を出したいと考えております。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 大体見通しはいつごろですか。
  34. 高見昌信

    ○高見説明員 今の時点ではちょっとまだ具体的なことを申し上げられないのでございますが……(渡部(行)分科員「大体でいいよ」と呼ぶ)五十九年度末があるいは六十年度早々かという感じでございます。  それから、郡山−猪苗代につきましては、中心ぐいを打設したところでございまして、今後地元と設計協議を進めていくという状態でございます。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 郡山−いわき間の事業はどういうふうに進めるのか。質問をよく聞いてくださいよ。
  36. 高見昌信

    ○高見説明員 郡山−いわき間につきましては、基本計画が定められておりまして、現在東北地方建設局で調査中でございます。それで整備計画策定に向けまして東北地建で調査を鋭意進めてまいる予定でございます。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それから会津坂下−津川間、また郡山−いわき間は現在基本計画路線となっておりますが、これらに対する整備計画策定方針、さらに次期国土開発幹線自動車道建設審議会にかけられる本路線関係の案件について、一体どの程度がこの審議会にかけられる見通しなのか、その辺をひとつ御説明願いたいと思います。
  38. 高見昌信

    ○高見説明員 現在基本計画の出ている区間の整備計画策定、これは審議会にお諮りする必要があるわけでございますが、ただいま先生が申されました二区間につきまして、次の審議会にかけるかどうかということにつきましては、今のところまだ決めてございません。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 今のところまだ決めていないと言われますが、この東北横断自動車道の猪苗代、特に郡山から新潟までの間というのは豪雪地帯でございまして、今の国道四十九号線ですらほとんど麻痺状態になる日が多いわけですよ。先ほど委員の質問にもあったように、まさに陸の孤島となるような状態がしばしばあるわけで、そういう意味では、この高速道路は新潟、福島県の県民にとっては欠くことのできない重要な路線なのでございます。そういうことを考えると、まだどうするかわからないなどということで一体いつこれは終わるつもりですか。五十九年度の予算は、今回、全体でどのくらいに見積もったのか、そしてまたそれが福島県分はどのくらいになっているのか、そういうことについて御説明願いたいと思います。
  40. 高見昌信

    ○高見説明員 五十九年度の高速自動車国道の建設予算は、政府案としまして七千九百億円を考えでございますが、先ほど申しましたように、これの道路別の配分は、現在公団で今年度の事業の進捗状況を見ながら作業中でございまして、例えば福島県分が幾らということは、今の段階ではちょっと申し上げられないわけでございます。(渡部(行)分科員「じゃ全線ではどうだ」と呼ぶ)全線でもまだ申し上げられない段階でございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そういうことで実際、計画できますか。あなた知っていても、そういう段階、時期が来ないから言わないだけなんだよ、発表しないだけなんだよ。新聞発表を待っているからそういうことを言うんでしょう。ここは国会だよ、あなた。冗談じゃないよ。そんな予算がわからないで、それじゃ七千九百億円というのはつかみ勘定ですか、これは。
  42. 高見昌信

    ○高見説明員 今申しましたように政府案でございまして、国会で現在検討していただいているわけでございます。(渡部(行)分科員予算要求時の数字でいいですよ」と呼ぶ)概算要求のときにはそれぞれ、昨年の八月でございますが、そのときの五十八年度の工事の進みぐあいあるいは調査の進みぐあいを見まして五十九年度の必要額を積み上げたものでございます。それで現在は、昨年の八月から今の三月までの現地の進捗状況の、あるいは進んでいるところ、あるいはおくれているところ、そういうところを検討いたしまして、政府案をつくったわけでございます。(渡部(行)分科員「幾ら。だからその政府案を言えばいいのですよ」と呼ぶ)路線全体で約三億円でございます。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 わかっているじゃないか。  それで、今のような進捗状況でいけば、貫通して全線開業ができるようになるまでには、当初の計画から見てどのくらいおくれる見通しですか。その点について……。
  44. 高見昌信

    ○高見説明員 整備計画が出ましてから、最近でございますと、供用するまで約十二年ぐらいかかっておるのが実情でございます。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それは当初の計画よりもどの程度おくれますかと聞いているのです。
  46. 高見昌信

    ○高見説明員 それぞれの区間で違うわけでございますが、今のところ、当初考えています供用開始の時点とはそんなに違わないで事業が進められると考えております。
  47. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 もうこれ以上、余り時間がありませんから、この程度で終わりますが、とにかくこの路線の重要性を十分御認識いただいて、早期完成をして、福島、新潟の両県民に対して早く安心をさせていただきたい。どうかひとつこの実情を御賢察くださって、最善の努力をお願いして、建設省に対する質問を終わります。  次に、国土庁長官にお伺いします。  この国土調査というのは非常に大切なものでありまして、いってみれば国の基本資料をつくるような仕事だろうと思います。そこで国土の効率的、合理的開発を進める上で大変重要なものと私は位置づけておりますが、残念ながら国民の認識は非常に低い。そればかりではありません。政府内部の認識にいたしましても、甚だ欠如しておる、こう言わざるを得ないのであります。今度のこの分科会の質問を見ましても、国土庁に対してはわずかに三名だと聞いておりますが、この実態を見ましても、いかに国土庁が軽視されておるか、これはやはり国土庁長官、ひとつ十分PRをしながら、この国土調査の重要性について対処していただきたいと思います。それについて、まず、長官の所信のほどを承っておきたいと思います。
  48. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 渡部さんおっしゃったように、国土調査事業というのは大変基礎的な問題を提供するわけでありますから、大変重要な仕事であろうと私は考えております。そういう意味から、本事業につきましては、厳しい財政事情のもとでありますが、国土庁の最重点施策一つとして、ひとつ今後強力に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 私は、稻村長官はよく存じておりますし、非常に実行力に富んだ立派な政治家だと認識しております。どうかひとつ稻村長官の独特の力を発揮していただいて、国土行政の重要性とそれに対する国民その他に対するPRというものを十分やっていただきたい、こう思います。  そこで、この地籍調査というものを、その中でもよく見てまいりますと、大変進捗率が低いわけです。しかも、国土調査は今まで始まってから三十年を経過しておる、こういう中でもまだまだその進捗率は非常に低い。このおくれておる問題点、原因、それは一体どこにあるのか、そしてそれに対する対策をどのようにお考えなのか、お示し願いたいと思います。
  50. 永田良雄

    ○永田政府委員 御指摘のように、地籍調査事業の進捗状況、大変余り芳しくないような状況でございます。私ども一生懸命努力いたしておるわけでございますが、今後とも長官がお答えいたしましたとおり、努力してやっていきたいと思っております。  なお、このおくれておる原因は何かということでございますが、もともと地籍調査事業というのは大変地味な仕事でございます。したがいまして、私ども一生懸命PRはやっておるわけでございますが、市町村に重要な仕事であるという認識がまだなかなか普及しなかったということが一つあろうかと思います。それから、それと絡むわけでございましょうが、市町村の実施体制がやはり十分でなかったという面もあろうかと思います。それから、これが一番大きいわけでございますが、財政状況を反映いたしまして、予算の確保が十分でなかったという面でございます。まあ、そういうところかと思います。  今後、それでは一体どうやって推進していくのか、こういうことでございますが、幸い最近になりまして、市町村の認識も十分高まってまいってきております。今後とも私どもは、その普及、啓蒙に十分努力をいたしていきたいというふうに思っております。  それからもう一つ、二番目に申しました実施体制、人の確保、専門家等の確保の問題でございますが、これについても市町村と十分連絡して、その強化、指導そういったものをやっていきたいと思います。  それから、財政的な金の面でございますが、これについては大変厳しい財政状況でございますが、幸い国土庁の中ではかなり重点的に配分をしていただいておる状況でございます。しかし、せっかくいただいたお金でございますので、できるだけ効率的に使っていきたいと思っております。したがいまして、事業実施のやり方についても改善を加えまして、同じ金でできるだけ事業量が伸ばせるような方策を考えていかなければいかぬというふうに考えておりまして、その点についても、今後鋭意検討をしていきたい、かように考えております。  よろしく御指導いただきたいと思います。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ただいまも一番重要なのは予算措置であると言われましたが、まさにそのとおりだと思います。  そこで、これらの問題を強力に推進していくためには、自治省やあるいは大蔵省の理解がなければならないわけでございますが、とりあえず自治省に対して、これに対する特別交付金が交付されるわけでございますが、その特別交付金の交付の算定が今度下げられたわけでございます。そのために市町村は非常に困ってきておる。なぜ下げなければならなかったのか、この点についてお伺いいたします。  それから、今の交付税を出す側からの国土調査に対する御認識をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  52. 小林実

    小林(実)説明員 国土調査地方負担に対する財政措置の御質問かと思いますが、特別交付税で従来から措置をしてまいっておりますが、五十八年度の特別交付税は三百一億前年度より減っております。また、災害等もございまして、豪雪の問題もまたつけ加わってきたわけでございます。そのようなことで、この一部の問題につきまして算定要領の見直しを行いまして、国土調査につきましても交付率の引き下げを行ったわけであります。決して私ども国土調査事業を軽視しているとかそういうつもりはございませんが、全体に非常に厳しいという中での措置をやむを得ず講じたということで御理解をいただきたいと思います。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは、いわゆる市町村の超過負担ということで、国土庁、自治省、大蔵省、この三省で、補助金あるいは交付金に対する超過負担があるかないか、こういう実態調査したやに聞いておりますが、その結果、地方公共団体の超過負担はどのようになっておりますか。
  54. 永田良雄

    ○永田政府委員 地籍調査の補助金が超過負担があるということで問題になりまして、私どもといたしましては、三省庁で五十五年覚書をつくりまして、了解事項をつくりまして、五十六年から調査いたしました。その結果に基づいて五十六年から逐次超過負担についての解消措置をやってきておりまして、五十八年度で超過負担はないということで解消いたしましたわけでございます。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そういう認識だから困るのですよ。あなた、そういうことを言うなら、今市町村に行って聞いてみなさい。現実には超過負担がすごくなってきているのですよ。例えば補助金、負担金の区分が、国が六分の四、県が六分の一、市町村が六分の一、こういうふうになっておった。そこで事業枠が仮に千五百万だとすると、補助金は五百万しかこない、そして一千万は市町村の持ち出したということが実態なんですよ。そういうものを全然超過負担がなくなったなんという認識の中でやるから、このように国土調査すべてがつまずいてしまうわけです。もっと真実を把握してその上に立って対処しなければならないと思うのです。  ちょうど時間になりますから、最後に大臣の、こういう問題に対してどうこれからやっていかれるおつもりか、また、この予算獲得のためにはどのような御努力をなされるおつもりか、その心構えをお聞かせ願って、私の質問を終わりたいと思います。
  56. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 渡部さんの国土調査事業に対する大変な熱意のほどをお聞きいたしまして、これから先もうすく来年度予算に取りかかるわけでありますから、必ず、今のお話は大変重要に私も受けとめておりますので、精力的に予算獲得に向けて全力を尽くします。よろしくお願いをいたします。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  58. 村田敬次郎

    村田主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  59. 滝沢幸助

    滝沢分科員 どうも御苦労さまです。国土庁に一連のお伺いをしたいと思うのでありますが、時間が極めて短いことでありますから、ひとつ結論だけを要領よくお答えちょうだいしたいと思います。  水資源開発事業というのが進められておりまして、水資源開発公団はまことに結構でありますが、私はここで最初に私の思想、考え方を申し上げておきたいと思います。  私は、自然は、特に水は、その地方に住む者の所有に帰する、これがいわゆる自然の中における人間界の約束じゃないのかな、こんなふうな考えを持っておるわけであります。  ところが、今国が持っていらっしゃる六つの水系の調査を立案されるというのでありますが、利根川、荒川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川なんというようなことでありますが、東北の方はどうなっているのか。東北水資源開発利用計画の将来の展望というようなものはどうなのか、そこら辺を踏まえながら、尾瀬沼のあの尾瀬水系、これは御承知のように伊南川、只見川、大川、阿賀川、阿賀野川ということで日本海に注ぐわけでありますが、これは有名な電源開発の地帯でありますから通産省とも関連するかもしれませんけれども、この水の計画はどうなっているのか。  私の知るところでは、これは明治以来東京電力がいわば発電用としての水利権は持っているけれども、四十一年にその更新のときに福島県が同意書を出さぬということで宙に浮いているみたいに記憶をしているわけであります。生活用水という面からいうと、東京首都圏で尾瀬沼の水をよこせという運動が久しいわけでありますが、さきに私が申し上げました思想から言うならば、これはやはり会津の水だ、新潟の水だということに私は信じている。  そこで、それらのことを踏まえまして、この水の利用計画はどうなのか、これをお伺いしたいと思います。
  60. 堀和夫

    ○堀政府委員 まず第一点の、東北地方水資源についての計画あるいは展望はどうかという点でございます。  東北地方はわが国において広大な面積を有しており、比較的水資源に恵まれておりますが、しかしながら日本海側太平洋側で非常に偏っております。太平洋側は非常に水が少ないというような地域的な偏りが見られます。近年、東北地方発展に伴いまして、水需要は増大しておりまして、これに対処するために多くの水資源開発事業が各県で行われております。今後は、東北地方高速交通網等の整備に伴いまして、東北地方発展が見込まれておりまして、水資源の確保がますます重要になってまいります。このため、国土庁といたしましては、四全総策定に合わせまして長期水需給計画策定いたしまして、長期的ビジョンに立ちまして水資源開発利用の方向づけを行ってまいりたいというふうに考えております。     〔主査退席、亀井主査代理着席〕  第二の、尾瀬を含む、これは阿賀野川水系が中心だと思いますが、水資源方向づけあるいは尾瀬の分水問題まで触れられておったと理解いたしまして、どうなっているかということについてお答えいたします。  尾瀬分水につきましては、これは発電の水利権が大正十一年申請されまして、現在、四十一年に更新の手続がなされておりますが、処分されないまま現在に至っております。この尾瀬分水そのものにつきましては、これは尾瀬という自然公園法の特別保護区内でございますので、流域の変更とか自然保護との調和という非常に大きな問題を含んでおりますので、長期的な観点に立って、慎重に検討さるべき問題だというふうに考えております。  それから、阿賀野川水系については、従来まで地元の地域の農業を中心に、近年になりまして水力発電を中心に利用されてきておりますが、最近、地域発展に応じまして水需要が出ておりますので、この点に対しましては、先ほど申し上げました長期水需給計画の中で、また県と協議いたしまして地域の水利用計画をつくって対応してまいりたいと考えております。
  61. 滝沢幸助

    滝沢分科員 わかりました。  先に進みますけれども、今おっしゃったいわば四全総というような計画とも絡み合うわけでありますけれども、承れば大都市圏構想、そしてまた首都圏の改造計画というようなことで苦労されておるようでありますが、先ほどの水の話は、要するにこの水を利用する人間、水を飲む人間の問題に来るわけですけれども、日本の人口無慮一億二千万、その中で東京都に大体十分の一、一千二百万の方が住んでいらっしゃる。そして、横浜、千葉、埼玉等を合わせれば無慮三千万人の人がここに住んでいらっしゃる。こういうことは、名古屋、大阪周辺のあの大都市のことをもあわせ含めて、不健全な人口分布だ、私はこういうふうに思うわけです。万が一、関東地方の大震災等があるならば、これは日本にとってはゆゆしきことになる。大体私は、東京が政治の中心であり、文化の中心であり、産業中心でありするようなことは非常に不健全なことだ、こう思うのです。  人口のいわば適正分布ということを私は常に考えておるのでありますが、承れば、国土庁計画はこれ以上東京首都圏をふやさぬということにとどまると聞いておりますが、それじゃ不十分じゃないのかな、東京都の周辺に三千万人集中しているこの人口地方分散させることが必要だ。このことはつまり、先ほど申し上げた、尾瀬の水を東京都周辺の人が使うということはけしからぬよ、これは水のあるところにおいでなさいということにつながるわけでございまして、一言。
  62. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたとおり、現在首都圏の改造計画について我々努力をいたしておるわけでございますが、人口につきましては、最近首都圏については自然増を中心にいたしまして、社会増につきましてはほとんど横ばい状態といいますか、社会増は余りないという現象になりつつあるわけでございます。こういった観点から、さらにこの東京に人口あるいは産業が集中しておる、この過密状態に基づく弊害を我々いかに解消するかという努力をいたしておるわけでございますが、工場あるいは人口の制限区域におきましては、工場だとかあるいは大学とか、そういったものの抑制をするというような努力、あるいはさらには、東京に一点的に集中いたしております機能を地方分散するといったような政策をとりまして、首都圏の人口あるいは産業の集中によるひずみ、問題点の解消について努力をいたしておる次第でございます。
  63. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大変賢明な計画で、ありがとうございました。  ところが、東京の人口をいわば自然の豊かなところに分散しなさいという構想は、当然この地域に受け入れの状況がなくちゃいかぬわけです。きれいな水ときれいな空気だけでは、キリギリスだって住まぬ。人間には無理なわけであります。そこで、農山村僻地の対策、これをあわせての考え方だと思うのでありますが、定住圏構想というのをお持ちだと聞いております。定住圏構想という中には山村僻地に人口を呼び戻すようなことをも含めているのかどうか、これはどうですか。
  64. 川俣芳郎

    川俣政府委員 三全総で言っております定住構想を実現するためには、やはりお話のように農村、山村、過疎地域といったいわゆるハンデキャップ地域振興が大変重要であるというふうに思っております。そういう観点から、各種の法律上の制度あるいは予算上の制度を通じまして、これら地域振興に今までも鋭意努力してきておるということであります。地方人口を定住させるために一番必要なことは、何と申しましても雇用の場の確保ということでございます。そういったことで、三全総のフォローアップにおきましても、地方における産業振興ということが大きくクローズアップされてきているわけでございます。私どもといたしましては、今後もこういった産業振興、雇用機会の拡大ということを最重点に考えながら、これらの施策を進めていかなければならないと考えでおるところであります。
  65. 滝沢幸助

    滝沢分科員 川俣局長さんの久々の御見識、どうも懐かしく、ありがとうございました。  今おっしゃったようなことだと思うのです。ところがこれは、通産省からもおいで願っておりますけれども、通産省の方で山村僻地に工場をどのようにして再配置されるかというようなことにもつながってこなくてはならぬことであります。先ほど申し上げました水資源のことでも、発電の利用計画というような面からいっての尾瀬の水の再検討ないしは東北の水は東北に使わせるというようなことをも含めて、ひとつ通産省の見解を。
  66. 小林惇

    小林(惇)説明員 ただいま国土庁川俣局長から御答弁がございましたけれども、通産省といたしましても昭和五十二年に工業再配置計画というのをつくりまして、工業地方分散という仕事を一生懸命進めておるわけでございます。     〔亀井主査代理退席、主査着席〕その中心となる施策は、再配置計画をつくることによって地方公共団体あるいは企業に対する指針とするということが一番ポイントでございますけれども、その次の金融的な措置でございますとか、あるいは団地を造成する場合の借入金に対する利子補給制度でございますとか、あるいは工業立地促進するための補助金制度でございますとか、いろいろな手段を講じて地域への企業の立地が円滑にまいりますように努力しておるところでございます。
  67. 滝沢幸助

    滝沢分科員 先ほど話のありました豪雪地帯のことに入りますが、その前に二つほどつけ加えてお伺いしておきたい。  ということは、国土庁でいろいろの地域に対しての国土利用計画の網を張って地域指定をしていらっしゃる。また、農林省では農用地の面からいった網の張り方、あるいはまた環境庁は環境庁としての立場の網の張り方、それぞれやっていらっしゃる。ところが見ますと、市町村長がみずからの網にみずからがひっかかって困っていらっしゃるわけです。国土庁というのはこれだけの立場をもって仕事を始めて既に久しいわけでありますから、これらをきちんと一本化して網を一つに絞っていったらどういうものか、そういうお考えはないかどうか。  もう一つ国土庁のお考えになっているさまざまの今承りましたような計画、それぞれ承れば賢明なことでありますけれども、日本の政治の最たる欠陥としまして、これは道路行政をも含めて、都市構造そのとおり、すべてにおいて欠けたるものは、防衛に対する結びつきだと私は思うのです。国土利用計画の中で防衛庁との、これはシビリアンコントロールかどうか知りませんけれども、防衛の面の配慮、これはどうなっていますか。この二つをお聞きします。
  68. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 国土庁におきます地域の網の張り方でございますけれども国土利用計画法に基づきます地域の網の張り方につきましては、国土利用計画全国計画及び国土利用計画都道府県計画を基本にいたしまして、各都道府県が定めます国土利用基本計画と対応いたしまして、農振法あるいは自然環境保全法あるいは自然公園法あるいは森林法等々とまた結びついた形で土地の網が張られておりまして、そういう点では各省の網の張り方とつながっておるわけでございます。  それから、そのほかの地域振興法に基づきますいろいろな網がございまして、例えば離島振興法あるいは過疎法あるいは山村振興法等々ございますけれども、それはそれぞれの法律に基づきます要件に沿って網を張っておりますので、それと各省の網とを一致させるということは、事実上不可能であるというふうに考えております。
  69. 滝沢幸助

    滝沢分科員 防衛計画とはどうなっていますか。
  70. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 失礼いたしました。  国土計画と防衛計画と、直に結びつけておりません。
  71. 滝沢幸助

    滝沢分科員 だから、私はそこら辺だと思うのですよ。さっきのおっしゃり方も、それぞれの省庁で網を張っているけれども、それはそれぞれの法律に基づいているので、これを一本化することは事実上不可能だと言うのだけれども、国民は一緒でしょう。国土一つなんです。そこの中で各省庁がそれぞれの行政目的を円滑にするために網を張るというならば、これを国土庁で一本化できないはずはない。法律に多岐にわたるものがあったならば、それを基本法ということで一緒にしたらいいじゃないですか。その辺のことをしませんと、いわゆる役所の縄張り争いも含め、市町村長がみずから政府に意見を言ってつくったその網にみずからが縛られているわけです。どうぞひとつ、そこら辺は発想の転換をお願いしたい。  なおまた、防衛計画とは直接結びつかぬと言うのだけれども、日本が本当に他国の侵略を受けないで平和を維持するというならば、建設省のつくる道路も港湾も、そしてビルの建て方も、これは全部いざ有事の際、一朝事あるときに備えたものでなくてはならぬ。もしも日本がそれがないとするならば、これは重大なる不健全国家だ、そういう都市があるならばまことに不健全な都市だ、そういう国は日本しかないのじゃないかな、こういうふうに私は思うのです。ですから、防衛庁が今ここにいらっしゃっていなければお答えできないようなところにそもそも問題がありまして、国土利用計画は全部防衛庁ともよく御相談の上に遺憾なきを期しておりますという答えが出てくるようでなくては、私は日本の将来どうかな、こういうことを思うわけで、どうぞひとつ発想の転換をお願いしたい。
  72. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 各省の持っております計画並びに地域の割り方と、それから国土庁のつくりますもろもろの計画とは、それぞれ各省と調整を十分にしております。したがいまして、その間に矛盾はございません。  それから、国土利用計画を定める際にも、当然のことではございますが、防衛庁とも協議をしてその上で決定をいたしておりまして、そういう点では矛盾なくやっておるということでございます。
  73. 滝沢幸助

    滝沢分科員 長官、今お聞きしているとおりです。どうかひとつ国土利用計画の網の張り方を、あるいは国土利用基本法というようなことで、各省庁の網をあなたの手元で一本化するような立案の方向にひとつ御努力を願いたい。特に、防衛のことで今のようなやりとりをするような状況では、これは本当に寂しいのではないか、こう思うのですよ。
  74. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 大変御見識のある御意見であります。  しかしながら、国土庁の役割というのは各省庁の調整、企画、この機能を十分果たすわけです。そういう意味から、一本化ということでなくても、みんなそれぞれ力強く省庁等々との連絡を果たしておりますから、今お説の問題については十二分に御期待に沿うことができる、こういうように私は確信を持ってお答えできると思います。
  75. 滝沢幸助

    滝沢分科員 それで最後に、先ほど社会党さんからも出ておりましたけれども豪雪地帯、これについての御認識は、中央省庁は非常に薄い。もちろん私の福島県でも、雪害課をつくらせるのに十年かかったようなことでございまして、雪のことは雪の降らぬ地方の人々にはとってもわかっていただけないのでございますけれども、私は雪害という考え方は、雪が降ること積もることそのものが雪害だ、こういう思想で三十年間やってきたのであります。水は、雨が降ってそれが流れていっちゃった跡に施設が破壊されれば水害。雪も、半年雪の中に暮らして——私の故郷は今も三メートル五十の雪の中でございまして、きょうも吹雪でございますけれども、そこで五月になって雪が消えちゃったら、あなたの家もちゃんとしているじゃないか、道路もきちんとしているじゃないか、全然壊れはせぬ、つまり雪害はないとおっしゃるけれども、そうではない。これは一軒の家を建てるのにも、壊れないだけの家を建てておく、施設の管理に壊れないだけの金や労力をかけてやっている、だから壊れないだけの話でありまして、東京の都市と同じ家を建てておいたならば会津に一軒も家は残らぬ。学校の管理も都会と同じにやったならば、東北地方には学校は一校も残らずにつぶれちゃうということでございますよ。ですから、雪は降ること積もることそのものが雪害だ、こういう認識にひとつ発想の転換をしていただきたいのであります。つまり豪雪地帯に対する対策について、何か政府の新しい認識と見解、こういうものがありませんかどうか、ひとつ承りたいのであります。
  76. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これは今、滝沢さんおっしゃったように、雪の降るところに住む者でないとやはりこの苦痛というものはわからぬと私は思うのです。そういう意味から今一つの例を挙げられましたけれども、そのようにしてやはり日に見えないところに経費がかかっておるわけであります。  しかし、雪が害なり、雪は雪害なり、これは仰せのとおりでありますけれども、それによる被害が災害であって、雪そのものは災害ではない。水も同じことです。水は災害であるとは限らない。豪雨によって起きたところの水の災害災害である、こういう受けとめ方を財政当局と申しますか政府としても、やはりそういう考え方が正しいと思います。しかしながら、その雪を大いに活用するということ、自然に親しむというか、きれいな水、きれいな空気、それは何でもたらされるかというと、雪が大変大きな役割を果たしております。私はそういう意味から、健全な日本人をつくり上げていく、健全な若人をつくり上げていくということを考えた場合には、やはりきれいな水、きれいな空気、その中で雪をこれからどうして利用していくか、雪をどうして活用していくか。と同時にまた、雪国に対してどういう施策を、今のような豪雪特別措置法、基本法というのから見てもう少し豪雪に対する積極的な取り組み方が何かないものかどうか、こういうふうに今考えておるところでありまして、まあ雪に埋もれ雪に苦しんできた私でありますから、私のときに何かしら一足踏み出す、それが完璧なものでなくても、その一足踏み出したことが将来に大きな輪を描いていくというような形から、何かを一つ出すということでかたい決意で臨んでおりますので、滝沢さんがおっしゃることは私が言っていることと同じように実は聞いておるわけでございますから、ぜひひとつ御期待を願いたいと思います。
  77. 滝沢幸助

    滝沢分科員 稻村長官の大きなる政治力にひとつ御期待を申し上げたいと思います。なおまた、川俣局長にも福島県で御苦労を長くおかけしたことでありますから、その名コンビのもとでどうぞひとつ雪国のために新しい道を開いていただきたいと思います。  そこで、豪雪地帯対策特別措置法十四条、十五条等によりましていろいろしていただいておるわけでありますけれども、実は失対にしろ何にしろ、一度法の保護をしたら後を絶対に卒業させぬということはいけない。やはり努力をして改善して卒業させるところにこういう特別措置法のいいところがあるわけでありますから、雪に対する完全なる装備ができて、豪雪地帯の指定から卒業してくることが望ましいのでありますが、しかし、それにはそれだけのことをしてあげなくちゃならぬというふうに考えますときに、例えば会津の田島町のごとき、指定と指定でないところのボーダーラインで結構苦労しているものがあるわけです。どうかひとつ、卒業させるところは卒業させても、新たなる入学生をも認めて、豪雪地帯のあまねき救済ができまするように、時間がありませんけれども、最後にこの辺についてひとつお答えをちょうだいして終わります。
  78. 川俣芳郎

    川俣政府委員 現行の特別豪雪地帯の指定は、五十四年三月につくられました指定基準で決まっておりまして、豪雪地帯九百六十七市町村のうち二百八十市町村が指定をされております。それで、せっかくのお話なんでございますが、ただいま挙げられました田島町は、実は五十四年に定めました基準には残念ながら該当していないのでございます。基準の見直しについては、ただいまのような御意見もあるわけでございますけれども、実はいろいろ難しい事情もございまして、今後の検討課題にさせていただければありがたいと思っております。
  79. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大変短い時間でありましたがいろいろ承りましたけれども国土庁のお仕事は今の議論を通じてもわかりますとおり、大変重要なことでありますから、どうぞひとつ稻村長官の大きなる政治力によって、雪のことを特に申し上げましたけれども、雪だけではありません、水資源のこと、人口の再配分のこと、ここら辺のことを、日本の歴史の将来に道を開く懸命なるお働きを期待して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  80. 村田敬次郎

    村田主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  81. 村田敬次郎

    村田主査 昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算及び昭和五十九年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。水野建設大臣。
  82. 水野清

    ○水野国務大臣 建設省関係の昭和五十九年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百六十九億百万円余、歳出三兆九千七百六億三千七百万円余、国庫債務負担行為五千三百三十億三千六百万円余でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係の一般会計予算では、歳出四兆五千二百九十六億六千六百万円余、国庫債務負担行為五千六百八十二億八千百万円余を予定しております。  次に、建設省所管の特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千八百五十九億六千三百万円余、国庫債務負担行為二千六百九十三億三千百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆一千百十五億九百万円余、国庫債務負担行為二千四百九十五億五千八百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百八十三億四千四百万円余を予定しております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出六十四億五千九百万円余、国庫債務負担行為六十二億八千五百万円余を予定しております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策、都市対策、国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる国土建設施策推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算の事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十九年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  83. 村田敬次郎

    村田主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  84. 村田敬次郎

    村田主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  85. 串原義直

    串原分科員 時間がありませんので、私、端的に質問いたします。簡潔に御答弁をいただいて時間を有効に使いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  中部電力の泰阜ダムの水利使用期限が昭和六十年三月に切れるはずであります。あと一年後ということになりました。市電から更新の申請が出ておりますか。
  86. 井上章平

    井上(章)政府委員 泰阜ダムの水利権の更新申請はいまだ提出されておりません。水利権の更新の申請につきましては、許可期限の六カ月前から一月前までに建設大臣に対して出されるということになっております。水利権の更新の申請がありました場合には、河川法の定めるところによりまして、長野県知事の意見を聞いて処分することと相なります。
  87. 串原義直

    串原分科員 そうすると、この更新申請というものは六カ月前に提出すればよろしい、こういうことですね。あと何カ月かで出さなければならぬわけでございますね。六カ月前とすると、三月だからことしの九月末まででいいわけですね。——そうですか、なるほど。  そうすると、九月末に提出をされたならば、長野県知事の意見を徴して検討をする、右か左かにするかは検討する、こういうことですか。
  88. 井上章平

    井上(章)政府委員 そのとおりでございます。
  89. 串原義直

    串原分科員 この泰阜ダムに関連することについて順次伺ってまいりますけれども、御承知のように、昨年の台風十号によりまして天竜川の伊那谷地域は大被害を受けました。殊に飯田市の川路、竜江、竜丘、松尾などの地帯における被害というのは大変なものでございました。この地帯は、かつて大災害と言われました三十六災を上回るところの洪水湛水による被害でございました。これは前からも指摘をしておりましたように、あるいは関係者が憂慮しておりましたように、泰阜ダムによる被害がその原因としては最も大きいのだ、こういうふうに私も考えているわけですけれども、これは大臣から御答弁願いたいのでございますが、どうですか、御所見を伺いたい。
  90. 水野清

    ○水野国務大臣 この泰阜ダムにつきましては、詳しくは河川局長から御説明申し上げますが、天竜峡の狭窄部がございまして、治水上大変不利な地形になっているようでございます。昔から大変災害が多いわけでございますが、加えてこの泰阜ダムの堆砂が当地域に非常に影響を及ぼしているというふうに認識をしております。したがって、こういうような考えから昨年の台風十号による災害に対し、昭和四十一年の四月に締結いたしました協定書に基づきまして中部電力株式会社が被害を補てんをする、こういうふうに聞き及んでおります。
  91. 串原義直

    串原分科員 つまり大臣、地形上まことに複雑である、天竜峡に狭窄部があって、あそこの付近、大変に被害を受けていかぬ、それはダムによる堆砂が大きな原因だと考えている、つまりダムの影響による被害と理解をしている、こういうことでいいわけですね、大臣。
  92. 水野清

    ○水野国務大臣 さようでございます。
  93. 串原義直

    串原分科員 ダムによる被害ということを御答弁いただいたところでありますけれども、そこでもう一つ大臣、この際伺っておきたいわけでありますが、川路、竜江、竜丘地域の少し上部に飯田市の松尾という地域がございます。ここも前回の台風十号災害、大きな被害でございました。泰阜ダムによる被害であるといたしまして、この地元関係者、つまり松尾地区の地元関係者はこの対策委員会を地域でつくりまして、ダムによる影響だからダムを撤去してくれと、こういう要求をしているわけなのであります。この辺について大臣は、きょう時点どんな理解をなさっていらっしゃるか、御答弁ください。
  94. 水野清

    ○水野国務大臣 ただいま委員のお話しのように、この松尾地区というのは、川路、竜江、竜丘地区——私は現地に行ったことがないものでございますから、今地図その他で説明を聞いたところでございますが、上流に位置をしておりまして、その間に鵞竜峡狭窄部というのがあると聞いております。そのために本地区への泰阜ダムの直接の影響はないと考えられますけれども、現在築堤とか護岸等とかそういう改修工事を推進している、これによってその対策を講じていきたい。そのダムを撤去しろという要望もあると聞いておりますが、そういうことでなくて、築堤とか護岸を高くして浸水地域を防ぐ、そういったような対策でやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  95. 串原義直

    串原分科員 大臣、つまりこういうことですか。この松尾地域については、ダムによる直接の影響はないと考えている、しかし雨のたびに被害が続出するところだから、築堤等々のいろいろな対策を講じていきたい、こういうことなんですか。ちょっとその辺はっきりしていないように思うのですが、もう一遍確認しておきます。
  96. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま先生からお話のありました松尾地区でございますが、これはただいま大臣からお話し申し上げましたように、川路、竜江、竜丘地区からはさらに上流であって、その間に鵞竜峡という狭窄部があって、その鵞竜峡の上流側であるというような位置関係でございます。そういうことから、私ども考え方としては泰阜ダムの直接的な影響はこの地区には及んでいないというふうに考えておるわけでございます。しかし、そういった狭窄部の上流側という地形は非常に水害を起こしやすいということでございますので、私どもといたしましては、築堤、護岸等の改修事業を進めることによってこの地域の水害防止を進めてまいりたいという考え方でございます。
  97. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、局長、ダムの影響というのは川路、竜江、竜丘付近にはある、しかし、それから少し上流の松尾地区にはダムの直接の影響はない、こういう御答弁ですけれども、ここまではダムの影響であって、ここになるともうダムの影響はないという判断は、どこでだれがするのか。どうでしょう。
  98. 井上章平

    井上(章)政府委員 この泰阜ダムの堆砂による天竜川、それより上流地域の影響につきましは、従来から私ども調査を進めてまいってきておるところでございます。とりわけ六十年にはこの水力発電の水利権の更新が行われるという時期に差し迫っておることもありまして、私どもとしては、広くこれらの問題の斯界の権威者を集めましていろいろ検討を進めてまいりました。その結果、ただいま申し上げましたように、川路、竜江、竜丘地区についてはこのダムの堆砂影響があるということを、私どもとしては純学術的にそう判断したわけでございます。ただ、それから上流につきましては急速にその影響はなくなるというふうに考えられておるわけでございます。
  99. 串原義直

    串原分科員 局長さん、つまり川路、竜江、竜丘地域から上流については直接のダムの影響はないと思うという判断は、どこでだれがなさるのですかということをさっき聞いたわけです。どうでしょう。
  100. 井上章平

    井上(章)政府委員 河川管理者として建設省が行います。
  101. 串原義直

    串原分科員 そうすると、ダムの影響は直接松尾地域にはありませんという判断をしたのは、いつですか。
  102. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま考えられますという表現をいたしたわけでございますが、私どもは京都大学の防災研究所の芦田和男先生を委員長とする委員会をつくりまして、この委員のメンバーとしては全国のこういうダム堆砂あるいは河川の水理関係の専門家、権威者を集めまして、その委員会でいろいろ検討を願っておるところでございます。いつまでもこの問題の結論がつかないわけにいきませんので、私どもとしてはそこからただいま申し上げましたような一つの結論を得まして、ただ、どの程度の影響がということは今詰めている最中でございますけれども、影響のあるなしの判断につきましては、その委員会の先生方の結論をいただきまして、それで私ども建設省の見解としておるわけでございます。
  103. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、いま御答弁になりました検討委員会の結論を踏まえて、今のところ泰阜ダムの直接の影響は松尾地域にはないと考えておるという御答弁ですね、そういうことでいいわけですね。  そういたしますと、この検討委員会がきちっとした結論を出すのはいつごろなんですか。
  104. 井上章平

    井上(章)政府委員 できるだけ早い機会にいただきたいと考えております。
  105. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、局長さん、この検討委員会が出された結論によりましては、松尾地域の泰阜ダムによる影響ということに対する最終的な結論はそこで出るということですね。今御答弁になったのは中間答弁、こういう理解でいいですか。
  106. 井上章平

    井上(章)政府委員 天竜川上流部土砂対策技術検討委員会という名前でございますが、この委員会の結論は私どもはいただいておりますが、それを建設省の見解とするための詰めを合いたしているということでございまして、この委員会の結論は既に、ただいま私が申し上げたような結論は出ております。
  107. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、泰阜ダムによる直接の影響は松尾地域にはないということですね。そういう判断を今なさっていらっしゃるわけですね。  そこで、泰阜ダムによる影響が若干なりともあろうということになるのか、ならないのかということは、もうこれからの検討結果にはないということですか。
  108. 井上章平

    井上(章)政府委員 この検討委員会は、純粋学術的な見地から御検討願っておるわけでございます。しかし、私どもも長年この天竜川を管理しておりますので、私どもがその検討委員会の結論を受けて、ただいま鋭意その内容について詰めておる段階でございますので、はっきりあるなしということをここでは申し上げられませんが、しかしこの検討委員会の結論をそう変えることにはならないのではないかということでございます。
  109. 串原義直

    串原分科員 およそわかりました。  そういたしますと、いま一足進めて、きちっとした結論というものはまた出す時期がございますということですね。そういたしますと、それはおおよそいつごろ出るのですか。
  110. 井上章平

    井上(章)政府委員 これは長年懸案の問題でございまして、私どもも結論を公にする場合にはしっかり詰めた上で行いたいと思っておりますので、もうしばらく時間をいただきたいと思います。
  111. 串原義直

    串原分科員 しばらくということですから、待つということでございますが、五十九年度中くらいには出るのですか。
  112. 井上章平

    井上(章)政府委員 そのように努力いたしたいと思っております。
  113. 串原義直

    串原分科員 それでは、そのことはまた結論が出られたときにお伺いをする機会を持ちましょう。  そこで、建設省は昨年十二月、恒久対策とも言える川路、竜江、竜丘地区の今後の治水対策を策定いたしまして地元に示されました。その具体的な内容を、時間がありませんから手短で結構ですけれども、ここでお聞かせいただけませんか。
  114. 井上章平

    井上(章)政府委員 恒久対策の概要をかいつまんで申し上げますと、これは昨年の十二月に発表したものでございますが、まず第一に、泰阜ダムの影響ありという前提のもとに、影響の排除の方策として、川路、竜江、竜丘地区においで、地上げ等を基本に置いて今後具体的にその方策検討するということが第一点でございます。  第二点が、泰阜ダムの影響対策については、原則的にはこの施設の所有者であります中部電力株式会社が応分の負担をするものであるということでございます。  第三点が、これらの事業を本地区の地域振興観点から具体的、円滑に実施するために、飯田市を中心とする関係機関より成る新たな実行組織をつくっていただきたいということでございます。  第四点が、本地区の河川改修については、所要の河道幅を確保するとともに、面的整備とあわせまして築堤、護岸等の事業をこの恒久対策の地上げと一緒に実施する。  以上が骨子でございます。
  115. 串原義直

    串原分科員 地上げをするということですけれども、今のところで考えていらっしゃる地上げの高さ、現況と比較しましての高さ、何メートル地上げをしようと考えていらっしゃるか。もう一つは、三メートルなら三メートル地上げをすると仮に考えていらっしゃるとするならば、地上げをする関係面積はどのくらいになりますか。
  116. 井上章平

    井上(章)政府委員 これは泰阜ダムによってどれだけ河床なり洪水時における水位がこの地点で上昇したかということになるわけでございまして、私ども先ほど来申し上げましたように、詰めております。したがって、まだ何メーターであるということを具体的に申し上げる段階ではないわけでございますが、可及的速やかにそれは発表できるように努力いたしたいと思っております。したがいまして、その地上げの面積等につきましても、その高さに応じてでございますので、変動はございましょうが、およそ私どもの見積もりといたしましては、堤内地におきまして大体九十ヘクタールぐらい、堤外地において四十ヘクタールぐらい、合わせて百三十ヘクタールというふうに考えております。これは当然地上げ高によって変動があるというふうに御了承をいただきたいと思います。
  117. 串原義直

    串原分科員 地上げ高によりまして地元の話し合いが右へ行ったり左へ行ったりすることもあり得るだろうということを想定して伺うわけでありますが、地上げ高はまだ確定を実はしていません、発表をする段階ではきょうはありませんという御答弁ですが、これは私は急ぐべきだと思う。いつ発表されますか。
  118. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほど申し上げましたように、できるだけ早く発表できる段階にこぎつけたいと考えております。
  119. 串原義直

    串原分科員 できるだけ早くですけれども、例えば六月、夏の出水期が来ますからね、六月あたりまでですか。
  120. 井上章平

    井上(章)政府委員 まだはっきり申し上げられないのは残念でございます。
  121. 串原義直

    串原分科員 それでは、それは話し合いの大きな要素でもありますから、できるだけ早くということを強く要請をしておきたいと思う。  そこで、この恒久対策と関連して伺っておきたいのは、今局長の答弁なさった恒久対策で、およそこの地区の災害は将来解消する、相当な雨が降っても災害はもう来ない、こういう格好になるとお考えですか。
  122. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生御承知のように、天竜川は暴れ天竜と言われておりますように、古来から非常に災害、水害の多い、逆に言えば治水対策の非常に難しい河川でございます。でございますので、私どもは、当面、昭和三十六年洪水が非常に大きかったわけでございますので、これを計画の対象といたしまして、天竜川全川についてこの昭和三十六年の洪水で安全になるようにということを基本に置いて改修計画を立て、今事業を進めておるところでございます。  したがいまして、川路、竜江、竜丘地区の恒久対策につきましても、その一環として実施するという位置づけをいたしております。したがいまして、これが完成いたしますと、戦後最大の洪水でございました昭和三十六年洪水に対して安全が確保されるというふうに私どもは考えております。
  123. 串原義直

    串原分科員 いま一つこの際伺っておきますけれども、恒久対策は泰阜ダムの影響ありと考えて中部電力に応分の負担を願いたいと考えているというお話がございましたね。例えば一〇〇といたしますならば、その一〇〇の中でのおよその中電の負担分というのは、今のところ建設省としてはどんな程度にお考えになっていらっしゃいますか。
  124. 井上章平

    井上(章)政府委員 恒久対策は、ただいま申し上げましたように、泰阜ダムの影響をなくすための地上げと、それからこれは本来河川管理者の責務でございます治水対策、これを両方一体となって進めようというのが恒久対策の中身でございますので、中部電力さんが負担して行う事業と私どもが河川管理の一環として行う治水対策とは本来どういう割合でという性格ではございませんので、ちょっと先生の御質問がよく理解できなかったわけでございますが、全く別の観点からそれぞれ事業を進めていくことに相なろうかと思います、予算の支出上は。
  125. 串原義直

    串原分科員 私の伺いましたのは、これは全く仮の話ですけれども、恒久対策に金額にしたならば百億かかる、その場合に中部電力の負担すべき割合はおよそどういうことになるのでしょう、こういうことです。
  126. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほども申し上げましたようにまだかさ上げ高が確定していないということでございまして、中部電力が負担する金額はかさ上げ高によって非常に大きな差異が生じてまいります。したがいまして、まだそういうどの程度ということもお話し申し上げる段階ではないのでございますけれども
  127. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、局長、かさ上げ高がまだ決まらないということでしたね。だから、そのかさ上げ高を公表するときには今お話しの中電の負担部分というものもおのずから答えが出てくる、どのくらいの負担割合になります、こういうことが言える、こういう理解でいいわけですか。
  128. 井上章平

    井上(章)政府委員 そのとおりでございます。
  129. 串原義直

    串原分科員 それでは、時間がありませんから、ちょっと次の問題に移りましょう。  ダム管理について伺いたいのであります。  泰阜ダムの上流に諏訪湖、美和ダム、小渋ダム、松川ダム、四つがあることは御承知のとおりです。洪水のときには、諏訪湖釜口水門からの放流とともに三つのダムから放流された水が泰阜ダムに貯水をされまして、天竜川の水位は急速に上昇をいたします。なお、泰阜ダムの放流がおくれたり放流されなかった場合、川路、竜江、竜丘などの湛水被害はさらに大きなものになるのであります。昨年の十号台風の十月二十八日夕方から深夜にかけて川路、竜江、竜丘地区の水位は見る見るうちに上りまして、驚きますことに三十六年災害のときを何と四十センチメートルもオーバーいたしまして大被害になったのであります。  ここに「台風十号に係る天竜水系ダム放流量について」の資料があります。先ほど大臣のところへお届けしておいたからちょっとごらんください。  この資料によりますと、この四つの大貯水池の最大放流時と川路、竜江などの水位の急上昇とが一致しているわけですね。上流ダムの放流と泰阜ダムゲートを開くことの連携プレーが行われなかったのではないか。諏訪湖、松川ダムは県の管理、そして美和ダムと小渋ダムは建設省の管理です。それから泰阜ダムは御承知のように中部電力の管理です。私がダム管理事務所に聞いてみますというと、放流はそれぞれのダム事務所の判断で行っておりますというのであります。ほかのダム事務所とは連携をとっておりませんというのであります。だといたしますならば、この泰阜ダムの影響に加えまして、五つのダムの放流操作の連帯性の欠如というものが台風十号の場合大災害をもたらした一つの原因ではないのか。見解をお伺いをいたしたいと思うのです。
  130. 井上章平

    井上(章)政府委員 これは洪水調節ダムの本質的な問題でございますが、多くのダムがありますときのそれぞれのダムの洪水調節計画は、おのおののダムが一体となって下流に十分な調節の効果が発揮されるように計画されるものでございます。そして、ダムの洪水時における運用につきましても、この計画に基づいて各ダムで定められております操作規則に従って操作するという建前になっております。したがって、このただいま御指摘のございました天竜川筋のダム群につきましても、このような考え方で操作規則が定められており、その操作規則に従って洪水時に操作をする、こういう乙とになっておるわけでございます。  今先生がお話ございましたように、下流の出水の状況を見ながらいろいろ変えて下流のある地域の洪水調節効果が最大になるようにという形で操作したらどうか、こういうお話だと思いますが、そのように下流の洪水を見ながらのいわゆる随時操作といいますか、ある判断を入れていろいろ操作規則以外の操作をするということになりますと、これは今日降雨予測技術が全く開発されていない段階のもとにおきましては極めて困難なことでありまして、洪水発生時においてそのようなことを行いますとむしろ逆に大きな危険を伴うものでありまして、決して行うべきものではないと考えております。  それから諏訪湖の放流でございますが、釜口水門につきましては現在改築工事を進めておりまして、これは昭和六十五年ごろに大体完成する目標を置いて進めておるわけでございます。したがいまして、昨年の九月出水におきましては、現存する水門能力いっぱいに放流したわけでありますが、諏訪湖の水害は防ぎ切れなかったという事情がございます。しかし、この新水門は現在の三倍の放流能力を持つわけでございますが、これを全量放流することになりますと今度は下流のそれに伴う改修が必要でありまして、そのために今後とも引き続いて下流改修を進めて、まず下流の体制を整えてからこの水門を稼働させるというような順序を踏む必要があるわけでございます。  それからそれぞれのダムの連携でございますが、天竜川上流におきましては、これらの施設を管理しております関係機関等におきまして、毎年放流連絡会議というものを開くなど、相互に連絡を密にして洪水時における万全な情報連絡体制はとっておるところでございます。しかし、それに基づいて随時操作を行うことは、現在ただいま申し上げました事情で行うことはできないということでございます。
  131. 串原義直

    串原分科員 時間が参ったようでありますが、今のダム間における連携プレーの問題はまた機会を改めて私議論をさせていただきたいと思っております。  最後に大臣に一つ伺いたいわけでありますが、ただいままで議論をしてまいりましたように十号台風の災害は泰阜ダムによる影響でもある、さらに前々から災害のたびにこの問題が議論されてきた、こういうことの上に立って伺いたいのでありますが、恒久対策を建設省は示されて今お話しのように地元と話し合い中である、それからこれからいろいろな対策も考えていかなければならぬ、こういうことでありますけれども、水利権の使用許可更新が六十年三月、目前になっておる。そうなってきた場合に、この恒久対策の問題が地元とうまく合意ができなかった、こういうことになりますと、水利使用権更新というのは地元の同意なき場合にどうなるのですか、見切り発車をするということになるのですか、ちょっとこれを最後に伺っておきます。
  132. 井上章平

    井上(章)政府委員 昭和六十年三月に水利権の更新が来るわけでございますので、私どもといたしましては、ただいま地元に御協議申し上げております恒久対策をさらに詰めまして、地元の御理解を得て滞りなく更新できるように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  133. 串原義直

    串原分科員 時間が来ましたから終わります。
  134. 村田敬次郎

    村田主査 これにて串原義直君の質疑は終了いたしました。  次に、木内良明君。
  135. 木内良明

    木内分科員 きょうは、都市における河川改修及び治水対策の問題について、大臣初め関係者の方にお伺いします。  まず、共通の認識として、これまでの建設大臣の所信演説等に見られますように、我が国の国土は洪水等の自然の脅威に対しては極めて弱い体質を持っているわけでありまして、いわばその保全施設等の整備状況は甚だ低い水準にあるということが言えると思います。しかして、こうした災害から国民の生命と財産を守り、国土を保全することは、政治の大きな使命でございますし、また国政の基本である、このように私はまず初めにお訴えをするものであります。  こうした意味から、整合性のある総合事業計画推進が不可欠となるわけでございまして、こうした点についで、治水事業の五カ年計画等の推移も踏まえて、大臣の所信をまずお伺いしたいと思います。
  136. 水野清

    ○水野国務大臣 木内先生の御質問の点は、都市河川の問題が中心であろう、こう思いますが、御承知のように、最近都市人口といいますか後背地がどんどん広がってまいりまして、今まで大したことはないと思っておった小さな都市河川が集中豪雨などがありますと大変な洪水をもたらしまして、思わぬ地域に被害を与えております。  建設省といたしましても、第六次の治水計画の中で都市河川対策というのを最重点課題として取り上げているわけでございます。建設省の河川予算の中でも都市河川対策の予算というのは一割以上を超えておりますし、全国各地にいろんな河川がございまして、各地から非常に強い御要望が出ておりますが、特に都市河川には予算重点的につけて、ともかく人口の非常に集中している地域でございますから、一たん何か事故があれば非常に多くの方々に御迷惑をかけるわけでございますから、今後とも流域の治水対策を含めまして都市河川対策を一生懸命やっていきたい、かように思っておるわけでございます。
  137. 木内良明

    木内分科員 今、大臣から御答弁をいただいたわけでございますけれども、この五カ年計画の中のまず予算の推移について局長の方からでも結構ですからぜひ御答弁願って、同時に、今、大臣の方からお話ございましたように、この都市河川の問題といいますのはその問題だけを単一に取り上げることはなかなか難しいわけでございまして、例えば後背地域における市街化の進捗の状況でございますとか、あるいはまた下水道整備等状況、さらにまた新しい社会構造に見合ったいわば改修工事等の推進というものがどうしても必要になるわけでございますが、こうしたいろんなファクターを踏まえての総合計画である、このように思うわけでございまして、こうした点を踏まえてこれまでの予算措置の推移等をまず御説明を願いたいと思います。
  138. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま大臣からお話のございましたように、第六次治水事業五カ年計画におきましても、都市河川対策は最大の課題として積極的に推進することといたしております。  それで、この第六次五カ年計画策定するに際しまして、私どもは治水事業の長期構想というものをつくりました。この中で、全国の都市河川、これは要整備延長が一万一千キロでございますが、これを昭和七十年度までに概成したいというような取り組みをもちましてこの第六次五カ年計画策定したという事情がございます。  この五カ年計画実施状況でございますが、総額十一兆二千億円で昭和五十七年から発足いたしましたが、三カ年の累計進捗率は、全体では四六・三%でございます。したがいまして、計画からするとかなりおくれておるということが言えるわけでございますが、しかしその中にありましても都市河川関係につきましては重点的に配分いたしておるわけでございまして、この五カ年計画が滞りなく完了いたしますと、ただいま都市河川の整備率が三八%でありますのを五三%にいたしたいということを目標にいたしまして、鋭意努力をいたしておるところでございます。
  139. 木内良明

    木内分科員 先ほどの御答弁で七十年度までにというお話もございました。今この五カ年計画が予定どおり進捗を見たとして、まだまだ不十分なわけでございますけれども、全体計画としてこれが一〇〇%の完了を見るのはいつごろを想定されておられますか。
  140. 井上章平

    井上(章)政府委員 一万一千キロの都市河川すべてを完成いたします経費は、実に六兆四千四百億円という膨大な金額でございます。したがいまして、これをすべて完成するには相当長期を要するであろうと思いますが、私どもとしては何とか昭和七十年度までに概成いたしたい。概成するという趣旨は、すべて完了ということではございませんが、およそ今日起きておるような水害は基本的にはなくなるような状態にしたいというような考え方を持っておるわけでございます。
  141. 木内良明

    木内分科員 ぜひこの一〇〇%完了に向けてさらに特段の努力をしていただきたいことをお願いします。  特に、この都市河川の治水対策の特性という問題についてのお互いの認識をさせていただきたいと思うわけでございます。  この都市における先ほど申し上げました市街化の発展というような要素等々、これは非常に複雑な事情というものが絡み合って、結果として時間雨量で相当量降るときには地域的に甚大な被害が発生しているということになるわけでありますけれども、水源地域並びに都市部において流域の急激な市街化により元来保たれていた保水機能、遊水機能というものが失われて、宅地化されたりあるいは路面舗装等の理由によりまして雨水の流出が非常に早くなってピークが大きくなるというようなことがあるわけであります。実は都市河川におけるこの災害状況における本質的な認識というものが必要でありますけれども、この点について、総合対策の中の位置づけ、さらにまた、こうしたいろいろなファクターを勘案しての今後の取り組みということについてお聞きしたいと思います。  と申しますのは、後ほどお聞きするわけでございますけれども、時間降雨量三十ミリ一応達成、あるいは五十ミリに向けて努力をされる、さらに百ミリ、これについては後ほど詳しくお聞きをするわけでございますけれども、あくまでも対症療法的なものであってはならないというのが私の持論でございますし、同時に、一〇〇%の完成から逆算して今この特性をどうとらえて全体計画の中で具体的にどう対応していくかということが大きな問題であろうか、こういうふうに思うわけでありまして、御答弁を願いたいと思います。
  142. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生から御指摘いただきましたように、都市河川は非常に難しい問題を抱えております。都市化が進展いたしまして都市河川の範囲は拡大するわけでございますが、これらの一般的な特徴は、先生から御指摘がありましたように、流域内の保水、遊水機能が流域の都市化現象によって失われ、そのために洪水の流出がふえる。ところが、下流域においては、一般にはそれらの河川は既成市街地を貫流している河川でございますから、それの再改修は非常に困難であるということがございます。そのために、私どもといたしましては、上流部でできるだけ雨水の流出を抑制するためのさまざまな施策を展開してまいってきておるわけでございます。そういうことを進めることによりまして都市河川の対策を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  143. 木内良明

    木内分科員 今の御答弁の中にありました上流域における雨水の流出を防止するといいますか適正に行う措置というものが具体的に行われているということでございました。しかし、都市における、一たん市街化が進んだ地域での対策というのはなかなか難しい面があるわけです。その点における建設省の皆さんの御苦労もあろうかと思うわけでありますけれども具体的にどういうような施策をこれまで講じられてきておるか、また、今後の市街化の進捗に伴う対応を具体的にお聞きしたいと思います。
  144. 井上章平

    井上(章)政府委員 洪水対策は本質的には河川の能力を増大することが一番重要なことでございます。したがって、河川改修事業を積極的に進めております。しかし、それだけでは先ほど申し上げましたような流域で起きた現象についての対策にはなりませんから、私どもとしては、宅地等の開発行為に際しまして、その行為によって増大する洪水流出量をできるだけ抑制していただくために、防災調整池と申しますか、そういったため池をつくっていただいておる。また、私どもといたしましても、河川事業の中でそういった事業を進めるために努力しておるわけでございますが、五十九年度からは、これら宅地開発等に伴って築造されました暫定調整池を地方公共団体がその管理を引き受けてさらにその機能を増大するための経費を補助しようというような制度も新しく発足させようといたしておるわけでございます。
  145. 木内良明

    木内分科員 今の雨水の流量、流出の問題に関連してお聞きするわけでございますけれども、護岸整備あるいは下水道の整備、これが単独の形で進んでまいりますと、全体とのバランスの中で流量がピークに達し大量の洪水状態になるというような逆の危険性が出てくるといううらみが実はあるわけですね。ですから、これは非常に複雑な問題をはらんではいるわけですけれども、今聞くところによりますと、建設省の土木研究所ですか、こちらの方で流水、流量の問題等についてかなりの研究が進んでいると聞いております。これは、研究の成果がそのまま治水整備計画の中にその都度反映されていかなければならないとも思いますし、この辺の研究の状態はどういうふうになっておりますか。
  146. 井上章平

    井上(章)政府委員 都市河川の対応策というのは非常に難しい面がございますので、私どもは、従来から、土木研究所等を通じましてさまざまな研究あるいは手法開発を行ってきておるわけでございます。  その成果といたしましては、まず、流域の開発あるいはさまざまな都市の利用状況の変化に対応して洪水流出がどういうふうに変化するのか、あるいはそれらを抑制させるために、例えば地下に雨水を浸透させることでありますとか、それらを区分して貯留する施設でありますとか、そういう面での開発も進めてまいっておるわけでございます。これらの成果につきましては、私どもの今日行われております事業に反映しておるところでございます。
  147. 木内良明

    木内分科員 具体的に都市河川の象徴的な例と言われております神田川流域の問題についてお聞きをいたします。  実は、私は、昭和五十五年三月、当予算委員会分科会におきまして、この問題についての質疑を当時の渡辺建設大臣に行っております。もとより旧来からの地元区の区長初め関係者のこの問題解決に向けての並み並みならない努力の積み重ねがあったわけでございますし、実は、そうしたそれまでの実績を踏まえて、この分科会におきまして私は神田川の改修現場への大臣視察を要請いたしました。当時、渡辺建設大臣、非常にお忙しい中でございましたけれども、視察の実現を願ったというような経緯があるわけでございまして、実はその後の工事の進捗が相当進んでいるというふうに私は認識しているわけでございます。しかし、残念なことに、その後なお集中豪雨のときなどはその災害状況というものが実は今なお目に余るものがあるわけでございます。  この辺についてのまず被害状況の問題でありますけれども、例えば五十六年十月二十二日、これは台風二十四号のときですけれども、高田馬場、西早稲田、早稲田鶴巻町、山吹町、改代町、水道町、西五軒町、東五軒町、新小川町等々の非常に広い地域にわたりまして、床上で八百六十二戸、床下九百四十九戸、こういうような浸水被害がございました。また、例えば五十七年九月には、その翌年でございますけれども、台風十八号で、新宿区の高山馬場、北新宿等においては、この地域で床上で千百九十二戸、床下四百二十一戸の浸水、こういう被害が出ているわけであります。これはあくまでも例として申し上げた災害の事例でございまして、このほかにも相当の頻度にわたって被害状況が出ているわけであります。  まず、今日に至るその後の被害状況の推移並びに現実を勘案しての大臣の所見をお伺いしたいと思いますし、また、具体的な数字につきましては局長の方からお願いしたいと思います。
  148. 井上章平

    井上(章)政府委員 神田川につきましては、典型的な東京の都心部を流れる都市河川でございますが、これにつきましては、昭和五年から改修を進めておりまして、一たんは時間雨量三十ミリの計画は完成したわけでございます。その後の上流域の都市化に対応いたしまして、四十三年から今度は時間雨量五十ミリを対象にいたしまして改修をしておるわけでございますが、何と申し上げましても都心部を流れる河川でございまして、ごらんのように河川を拡幅してその能力を増大することがほとんど不可能な河川であったわけでございます。そのために、私どもこの神田川の改修には大変な努力をしたわけでございますが、しかし、先生が御指摘になりましたように、神田川の水害も年々増大するというような経過をたどってきておるわけでございます。五十五、五十六、五十七、五十八と毎年一回ないし三回大きな浸水被害が生じております。先生御指摘のとおりでございます。  しかし、私どもの改修の効果も逐次上がってきておるのではないかと思います。例えて申し上げますと、高田馬場分水路あるいは江戸川分水路がそれぞれ五十二年ごろまでに完成いたしております。それからまた、新宿の上落合から都電早稲田駅付近までの間は激特事業に入れまして改修いたしましたが、これは五十七年に完了いたしました。またさらに、現在は、都市河川緊急整備事業というもので取り上げまして、水道橋分水路を鋭意つくっております。これにつきましても、二連のうち一連は完了したわけでございます。これによりまして、この高田馬場から下流につきましてはかなり能力が増大したのではないか、そのために、この地域におけるはんらん被害は、おおむね五十ミリ対応で防止できるような状態になったのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、これから上流については、実はまだこれから行おうとしている区間でございますので、これらの地域につきましては残念ながらまだ抜本的な水害防止対策には相なっていない。今後一層努力してまいりたいと思う次第でございます。
  149. 水野清

    ○水野国務大臣 神田川の改修の問題というのは、ただいま河川局長から申し上げましたように、都市化と改修との追いかけっこみたいな形になっている。最初は三十ミリ雨量に対応して一応概成したのだが、上流部に開発が進んで、都市化が進んで、あるいはコンクリートで固められてしまったというようなことから五十ミリになってきた。その五十ミリで、ただいま河川局長が申し上げましたように、大体五十八年度の末で五一%ぐらいは対応策ができてきたわけであります。その残りの四九%、これも早くやってしまわなければいけません。しかし、同時にまた、これは確かに先生の御指摘のように、将来さらに東京都かといいますか、武蔵野地区あたりからも影響があるわけでありまして、そういうところの都市化がさらに進めば、この五十ミリ雨量で追いつかないという面があろうと思います。これは確かに、東京という一千万を超える大人口中心部を流れる都市河川でございますので、建設省としては、都市河川はさっき申し上げたように全国に一万一千キロあるわけでありますけれども、その中でも最重点施策として考えていきたい、かように思っております。
  150. 木内良明

    木内分科員 今、大臣の方から、都市河川、とりわけ神田川については最重点施策として取り組んでいかれるということで、大変意を強くしているわけでございます。しかし、先ほど河川局長の方からお話がございましたように、特定地域についてはかなり被害が減少した、効果が見られるというお話でございましたけれども、現実問題としては今申し上げたような被害が出ているわけでございまして、こうした点も踏まえて実はお聞きしたいと思います。  当初、神田川につきましては、時間降雨量三十ミリへの対応というものがまずあったわけです。さらに五十ミリ対策というものが今進められているわけであります。その工事の進捗について数字を挙げての御説明があったところでありますけれども都市河川は全体で見てみますと、東京の河川は全部で百九河川、延長で八百六十キロ、このうち時間雨量五十ミリへの改修が必要とされるのは四十六河川、三百二十四キロとされているわけであります。さらに、改修率で言えば、五十七年度末で二二%、五十八年度末、これは予定という数字になっておりますけれども、二五%。まだまだ全体としても今後に残された課題が余りに大きいわけであります。また、具体的に今申し上げております神田川については、改修率がまだまだ五〇%前後ということでありまして、今年度末で大体どのくらいまで進むのか、これをまずお聞きします。さらに、五十ミリ対策の一〇〇%完了の現実的な見通しを当初の計画とのずれも踏まえながらひとつ御答弁願いたいと思います。
  151. 井上章平

    井上(章)政府委員 神田川の時間雨量五十ミリ対策といたしましては、五十八年度末時点で事業量として五一%の進捗率、ただいま大臣から御説明があったとおりでございます。  それから、全体がいつ完了するかということでございますが、これは時々の財政事情にも左右されますので非常に難しいわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早く進めたいと申し上げるしか方法はないわけでございます。
  152. 木内良明

    木内分科員 実は、本日のこの質疑では、ぜひともその時期の明確化をお願いしたいと思っておりました。予想された答弁ではありますけれども、こうした事業計画は、完成の目途というものが設定されて、その目標達成に向けての御努力を願うということが当然のあり方ではないかと思います。当初、五十ミリ対策は、当該地域については何年までに完成という予定でございましたか。
  153. 井上章平

    井上(章)政府委員 特に完成時期については定めていなかったと思います。
  154. 木内良明

    木内分科員 それでは、あえてここでお願いをするわけでありますけれども、今後いろいろな要因が財政面での問題等を含めてあるわけですが、早急にこの計画完了のプランの策定をされるようにお願いをしたい、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  155. 井上章平

    井上(章)政府委員 神田川は代表的な都市河川、首都の中央部を貫流する河川でありますので、私どもといたしましても全力を挙げて改修促進に努めてまいりたいと思っております。
  156. 木内良明

    木内分科員 実は当初はこの五十ミリ対策の計画完了というめどもあったわけでありますけれども、今ずれ込んでいるという事実、これだけはひとつ認識していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  157. 井上章平

    井上(章)政府委員 よく承知いたしております。
  158. 木内良明

    木内分科員 次に、五十ミリ対策が一〇〇%完了した時点で現在の被害がどの程度減少されると見込んでおられるか、この点についてお聞きします。
  159. 井上章平

    井上(章)政府委員 東京で時間雨量五十ミリというのがどういう確率になるかと申し上げますと、大体三分の一ないし五分の一つまり、三年に一回ないし五年に一回そういった雨が降るようでございます。そういうことから申し上げますと、五十ミリ対策が完了いたしましても、やはり異常な集中豪雨等がございますとはんらん等の被害は避けられないということになります。したがいまして、私どもは、この五十ミリ対策を進めていくさらに次の段階といたしまして、東京都でも七十五ミリ計画というのはお考えのようでございますが、最終的には、確率で申しますと三十年に一回ないしは百年に一回というようなこの程度の降雨を対象に事業を進めてまいりますとまずそういったはんらん等の被害は起きないということに相なりますので、引き続きそういった計画の安全度を上げていく努力をしてまいたいと思う次第でございます。
  160. 木内良明

    木内分科員 先ほど来時間雨量五十ミリ対策について聞いてきたわけでございますが、実はこの対策も総合的な改修計画のあくまでもワンステップということでございまして、今局長の方から七十五ミリ対策という話があったわけでありますけれども、実は七十ミリ以上の降雨量を見る状況というのがこれまで何度かあるわけでございまして、この辺の計画の着手または策定も早急にお願いをしたい、こういうふうに思います。しかしながら、先ほど来答弁をいただいているように、まず五十ミリ対策の完了、さらにそれを踏まえての七十五ミリ、百ミリというような方向に向けての具体的な努力をぜひお願いしたいことを要望いたします。  時間が大変限られておりますので次に進みますけれども都市河川のはんらん、先ほども若干触れましたが、都市型の鉄砲水発生における大きな原因の一つに下水道整備の問題があるわけであります。緊急雨水対策としての下水道整備状況について、河川改修問題との関連の中でどのような状況になっているかをお聞きします。  あわせて、総合治水計画の中での神田川流域における遊水地計画、これらの現状について御報告を願いたいと思います。
  161. 松原青美

    ○松原政府委員 まず私の方から下水道の関係につきましてお答え申し上げます。  御承知のように、神田川流域の下水道の面積整備率は、九五%というほぼ概成の状態でございます。しかしながら、先ほど来先生御指摘のような急激な市街化の進展によって既に整備された地区で浸水被害が発生している、こういうことでございますので、このために神田川流域の神田川上流地域、神田川の下流地域、千石、白山地域あるいは下駄木、根津、池之端地域で緊急雨水対策整備事業というものを五十七年度から東京都が実施いたしてございます。これは、既に整備済みの地区でさらにポンプ場の建設、雨水幹線の増設等を行いまして市街地の内水排除を行うものでございまして、東京都が五十七年度から事業を実施いたしてございまして、六十五年に完成する計画を東京都が持っております。私どもとしてはできるだけこの計画の実現に協力してまいりたいという方針でございます。
  162. 井上章平

    井上(章)政府委員 現在五十ミリで事業を進めておりますが、しかし、ごらんのように、川幅を広げてさらに七十五ミリ、百ミリ対策をするということはもう不可能でございます。したがいまして、私どもは、五十ミリからさらに進む場合の方策といたしましては、流域における雨水流出の抑制策あるいは計画遊水地といったような手法を用いまして治水安全度を上げていくしか方法がないのではないかということでございまして、もう既に二、三の実例もございますし、私どもはそういった治水対策に対する手法の発想の転換を図って、新しい考え方で治水対策を進めていく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。
  163. 木内良明

    木内分科員 時間が参りましたのでこれで私の質疑は終わりますけれども、最後に局長からまた新しい展開のお話等も出ておりますので、この問題は引き続き私も取り上げてまいりますし、また、きょうは大分天気も曇っておりますけれども、どうも天気予報で雨だなということになりますと、もう空模様を見るだけで地元住民は、洪水の心配はないだろうか、そういう不安におののくわけでございまして、この問題についてのさらに今後ともの御努力を、また解決に向けての御努力をお願いしまして、私の質疑を終わります。
  164. 村田敬次郎

    村田主査 これにて木内良明君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  165. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長に初めに要望しておきますけれども、議運の約束の時間なのでございますから、時間をきちんと守れるように運営をお願いしておきたいと思います。  初めにお伺いしたいのですけれども、大臣、交通手段の責任分担というようなことを国全体としてはお考えだと思うのです。例えば東北地方を見ますると、国道四号線、そして東北自動車道、そして、所管は違うけれども、そこで国全体と申し上げたわけだけれども東北木線鉄道、そしていわゆる東北新幹線というように四つが並行して真ん中を走っていますね。そして横断となりますと、これはなかなかいずれもうまくいかぬ。鉄道が廃止をしようというところは国県道も遅々として開発が進まぬ、こういうことでありますから、国全体の交通の責任分担といいますか、分野の分担といいますか、そういうことについてどう考えますか。
  166. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 その問題につきましては、昭和四十六年政府におきまして総合交通政策を当時の経済企画庁が中心になりまして策定いたしました。それぞれの交通機関の機関分担、役割というようなものが中心にして定められたのでございます。これにつきましては、現在、国土庁に総合交通課等がございまして、そこで各省庁にまたがる交通政策を調整しつつ全国的な均衡ある交通網の整備を進めておるところでございます。
  167. 滝沢幸助

    滝沢分科員 実は、申し上げておるのは、なかなかしかしこのことは言うべくして西欧諸国でもそうそううまくいかぬのです。日本でもうまくいかぬです。どうかひとつ、無用の、各省が相競合して同じところに投資をするようなことのないように、今後ともお願いをしたい。  そこで、具体的なことでございますけれども東北横断道、名前はどうなるか知らぬけれども、いわゆる郡山を中心として、片やいわきに、片や会津を経て新潟にというこの道路計画でありますが、これは公団の仕事かどうか知らぬけれども、全体的なひとつ年次、そして予算、問題点等があらば、それも承りたいと思います。
  168. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 東北横断自動車道平新潟線は、いわき市を起点とし、郡山市において供用中の東北縦貫自動車道に接続し、さらに新潟市に至る延長約二百十キロメートルの高速自動車国道であり、全線について基本計画が、また郡山市から会津坂下町間六十キロメートル及び津川町から新潟市間四十四キロメートル、合わせて百四キロメートルについて整備計画が決定されております。  整備計画区間のうち、郡山市から猪苗代町間二十六キロメートルについては、現在日本道路公団において地元への路線説明を行っているところであり、昭和五十九年度においては、用地買収のための地元協議を進めることといたしております。また、猪苗代町から会津坂下町間三十四キロについては、現在日本道路公団において事業実施のための調査を行っておりますが、昭和五十九年度においては、なお一層調査推進することといたしております。  事業の進捗は、設計協議や用地買収に要する日時に大きく左右されるものでございますが、郡山市から会津坂下町間の供用は、昭和六十年代後半になる見通してあります。
  169. 滝沢幸助

    滝沢分科員 何か苦労している問題点はありますか。
  170. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 特にこの区間について大きな問題点があるというようなことは聞いておりません。
  171. 滝沢幸助

    滝沢分科員 今のことは、おっしゃるように、なかなかことし、来年というわけにはいきません。そこで、今緊急な課題としては、今使っております四十九号線、これを実はことしにももっとどうにかしていかぬことには、午前中にも議論があったようでありますけれども、会津にとりましては、新幹線ができましても、あるいは東北自動車道ができましても、郡山−会津の間に二時間のロスというものは、会津開発の上でこれは致命的な欠陥ですね。  そこで、四十九号線の現状というのは、若松から郡山に全線黄色く塗ってありまして、いわゆる追い越し禁止区域ですね。しかし、中には十年ぶりで来てゆっくり走ろうという人もあれば、中には三時までに銀行に行かないことには倒産するというような人もあるわけでありまして、毎日ここにはいわば交通スピード違反で捕まる人があるわけでありますけれども、私はその横断道の遠大な構想はそれはそれとしていいんだけれども、今とにかく会津と郡山の間を短縮するという意味においては、まあ知りませんけれども、十キロあるいは五キロ、三キロ、それは数字は別として、追い越し可能区間、つまり時々膨らませて、それならばことしじゅうにも何カ所かできよう。そうしたならば、ああ、あと五百メートル行けば追い越せるな、そして追い越していただこうなというようなことで、これはうまくいくと思うのです。そういうものを私は今年中にも急速にひとつやってほしい、こう思うのです。  あわせて、ここで苦労なものは中山峠です。郡山と猪苗代の間です。これの改良計画等をちょっと承りたい。
  172. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道四十九号のうち、郡山市から会津若松市に至る延長は約六十キロメートルであり、このうち四車区間は約七キロメートルで、残りの五十三キロメートルは二車線区間となっております。  二車線区間のうち、交通量が多い区間について、バイパスの設置、登坂草線の整備、道路の拡幅等を実施し、追い越し可能な区間を設けることに努めているところであります。現在、熱海バイパス、中山局改、若松拡幅の三カ所で事業を実施いたしております。  熱海バイパスは、熱海町安子ケ島から同町二渡に至る延長四・七キロメートルの二車線のバイパスで、昭和五十八年度に新規に事業に着手したところでございます。  それから中山峠におきましては中山局改を実施しておりますが、この中山局改は、郡山市熱海町中山から猪苗代町に至る延長二・八キロメートルの登坂車線の設置と線形改良を目的とした事業でありまして、昭和五十六年度に着手し、特に急勾配であります熱海町の一キロメートルを重点区間として昭和五十八年度工事に着手したところであります。今後も引き続き重点区間の整備促進してまいりたいと考えております。  また、若松拡幅については、会津若松市船ヶ森北から同市町北町に至る延長二・四キロメートルの四車線拡幅工事でありまして、昭和五十三年度に事業に着手し、五十八年度は、起点会津若松市船ヶ森北からでございますが、〇・五キロメートルの区間について供用を図っております。今後も引き続きこの事業の促進を図るとともに、必要な登坂車線等については検討してまいりたいというふうに考えております。
  173. 滝沢幸助

    滝沢分科員 次でありますが、国道の四百号、これは多分栃木県の湯津上から出て田島を通り金山町そして喜多方かと思っているのですが、それはそれとしまして、ここの中で特に昭和村と田島町を結ぶところの舟鼻峠、これが難所でございます。たしか五十八年度に調査費をちょうだいしているわけでありまするけれども、これはどのようにされるか。そして今の路線の全体像もひとつあわせて承りたいと思います。
  174. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道四百号は、先生今おっしゃられましたように、茨城県水戸市を起点とし、栃木県大田原市、福島県田島町、金山町、三島町等を経て西会津町に至る路線で、昭和五十七年四月に国道昇格したものであります。  福島県内の整備状況は、改良率については五二%、舗装率については、簡易舗装を除いたもので九%、簡易舗装を含めますと五七%でございます。  本路線の整備については、現在、改築事業として昭和村において綱木工区の整備等を進めているところであります。  御指摘の舟鼻峠、これは田島町から昭和村間にある峠でございますが、この峠については幅員が狭隘で線形不良であり、また冬季には交通困難となる状況にあるところから、現在福島県において別ルートと申しますか、現ルートも勘案しながら新しいルートを調査中でございます。その整備につきましては、県で行っております調査結果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  175. 滝沢幸助

    滝沢分科員 細かいことの連続で恐縮でございますけれども、同じく国道の二百五十二号、これは会津地方では大事な道路でございます。しかし、これはなかなか思うようには進まぬというようなことでありますが、この中で特に六十里峠というのがございまして、一応は大変改良を見たわけでありますけれども、全体の道路をどのように今後の計画を持っておいでか、ちょっとお伺いさせていただきます。
  176. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道二百五十二号は、新潟県柏崎市を起点とし、十日町市、福島県の只見町、金山町等を経て会津若松市に至る幹線道路であります。  福島県内の整備状況は、改良率については九四%。大変高くなっておりますが、調べてみますと、これはずっと沿線でダム工事をやりまして、ダムの工事に伴うつけかえ道路で整備されたようでございます。舗装につきましては、簡易舗装含みで九六%であります。  本路線の整備につきましては、現在、改築事業として、金山町において金山工区、三島町において三島工区の整備等を進めております。  また、御指摘の新潟県境部にあります通称六十里越付近については、一次改築は完了しておりますが、冬季交通の確保を目指してスノーシェードを設けるなどの雪寒事業を進めておるところであります。  今後とも引き続き事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
  177. 滝沢幸助

    滝沢分科員 続いて道路でございますが、二百八十九号というのがございます。これは今の二百五十二号のようにもなかなかいっておりませんが、ここに、実は只見町と新潟県との境に八十里峠、そして会津と白河を結ぶところに甲子トンネルートンネルにしてほしいからトンネルと言うのでございますが、甲子峠というのがあるわけでございます。これらのことについて一言触れてください。
  178. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道二百八十九号は、新潟市を起点とし、燕市、三条市、それから福島県の只見町、南郷村、田島町、白河市等を経ていわき市に至る東北地方南部を横断する幹線道路であります。  福島県内の整備状況は、改良率については五九%、舗装率については、簡易舗装含みで八五%、除きで五八%でありますが、新潟県境部に通称八十里越がございますし、また下郷町から西郷村にかけての区間に通称甲子峠がございまして、この区間は自動車交通が不能となっております。  本路線の整備については、現在、改築事業として、只見町において入叶津工区、それから常盤橋、南郷村において山口工区、下郷町−西郷村において甲子工区、白河市において白河工区及び南湖工区、いわき市において田人工区及び勿来工区の整備等を進めております。  いま御指摘になりました交通不能区間の八十里越については、建設省でルート等の調査を進めておるところでございます。  また、同じく甲子峠については、現在補助事業でトンネルのアプローチとなる区間の施工をしておるところでございます。  今後とも調査及び事業の促進に努めて交通不能区間の解消に努めてまいりたいと考えております。
  179. 滝沢幸助

    滝沢分科員 つかぬことをお伺いしますが、大臣、今国家賠償法で係争中の事件は何件ありますか。あるいはまた、五十八年度に支払い済みの賠償は何件ございますか。これは先に通告しておきませんでしたからちょっとなにだと思いますが。  私がこれをお伺いしまする思想は、一つは、国民の皆さんの方で何でも国家の責任だとおっしゃるような思想が最近満ち満ちております。権利要求の時代、こう言っても過言ではないでありましょう。しかし、一面から言うなれば、この法律ができまする以前は申すまでもありません。しかし、この法律ができても、初めのころはそういう事象はほとんどございませんで、いわばけがした人はしたことが損、亡くなった人は亡くなったことが御不幸ということであったわけでありますが、最近は、これは道路に限りませんが、何事につけ、国家がいかぬ、政府がいかぬ、県がいかぬ、市町村がいかぬというようなことになっておりまして、この間のことを憂慮しながらも、しかしそのような訴え等がないことを期さなければなりませんので申し上げているわけでありまして、どうぞひとつ……。
  180. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 現在係争中の道路管理瑕疵訴訟は約百五十件ございます。  事故の態様別に見ますと、道路の安全施設の不備、不完全な点を争点とするものが多くなっております。
  181. 滝沢幸助

    滝沢分科員 お支払いになったのはありませんか。
  182. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 ちょっと今……。
  183. 滝沢幸助

    滝沢分科員 後からで結構です。  それで、それは先ほど申し上げたようなことでありますから、そういうことのないようになるべくうまくやってほしいことと、一つは、啓蒙して——これは国全体の話であります。国民全体がこれほどに、今日ほどに権利要求というようなことであっては国家の秩序は保てませんね。ここら辺も、大きな意味においてひとつ啓蒙これ努めていただきたいと思います。
  184. 水野清

    ○水野国務大臣 今、滝沢先生から大変高適なお話をいただきました。戦争中はむしろ国民、個々の立場が国家に対し非常に弱い立場だったのでありますけれども、戦後はその反動で、逆に、国家にすべて要求すればいい、国家に尽くすことを忘れて国家に要求することだけをやっているわけでありますが、国家といいましても、これは国民から徴収された税金が中心になって国家機構というものは運営されているわけでありまして、結局は国民全体のものであります。今、先生のお話のように、確かに道路の通行中、道路の不備から事故を起こしたというような例もあって必ずしもすべてが訴訟者の方に責任があるわけではありませんけれども、何でも賠償要求してみようという風潮が大変強いわけであります。これは私は、先生の御指摘どおり、こういうことで国家がもつであろうかというふうな憂慮することもございまして、ただいま先生のお話について大変御高邁なお考えであると思って感銘した次第でございます。
  185. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ひとつどうぞそういうぐあいにお願いをしたいと思います。  そこで、私県会に長くおりましてつくづく苦労をしたことでありますが、除雪のことであります。ここの中で私が苦労しましたと申しますのは、お役所の中には悪く言えば縄張り争い、逆に言えば、それは私の係ではございませんという考え方、しかし、これは役所的言葉で言うと補助目的が違うという言い方もあるわけでありまして、例えば除雪の機材、機具、これは御存じのように建設省所管のものはございます。しかし、同じような仕事ができる能力を持っておる機械、機材に農水省等が賄っていらっしゃるものもある。非常に数少ないかもしれませんけれども、文部省のはあるかどうか、あっていいのだけれども、そういうふうなものでありましょう。もう一つは、市町村が責任を分担し、市町村が持っているものもございます。ところが、事実雷のことで、大体四月ともなれば、あの雪深き会津といえども道路はほとんど除雪ができて、雪崩が来るときのためにみんな待機していらっしゃるわけです。その待機をしていらっしゃる運転手さんに、その機械を持って学校のグラウンドを除雪をしてちょうだい、苗代を農家のために除雪をやってくれませんか、こういうふうに頼めば、上の土木事務所長に言ってくれ、土木事務所に話をすれば、県の道路課長に言ってくれ、道路課長に言うと部長に、部長に言うと知事にということになるわけです。知事に私がそれを持っていくと、今度は、いや、それはここまで持ってこられても私もどうにもならぬ、地元の運転手さんに酒の一升もなにして人情的に頼んだらいいでしょうということなんです。そこで、同じ国民の金でもって国民のためにお買いになる各省の機材、機具でございます。建設省から補助をもらって買った除雪の機材といえども、これが学校のグラウンドをやっていけないはずがない、農家の田んぼ、苗代の除雪をお手伝いしていけないはずがない。ここにひとつ上の方から、こういう共用の目的に法律的に合う合わぬ以前の問題として、そのようなことに対する国民的要望にこたえる認識をちょうだいしたいと思うのですが、大臣、いかがなものでしょうか。
  186. 水野清

    ○水野国務大臣 お互いに滝沢先生も私も多くの国民の皆さんから御支持を得て国会に出てきた政治家同士として、私も同じような経験を持っていることはございます。ただ、今、先生のお話の中で、例えば建設省の除雪機械で校庭の雪かきができるがという問題、機械は償却の問題がございますが、やはりそこに燃料を使わなければならぬ、建設省予算も大変厳しい中でございまして、しかも除雪費で大体もう使い果たしている、そういう中でその燃料費をどうするかといったような問題がやはりそこで出てくるのだろうと思います。私もそういうほかの、私の県は雪がございませんが、同じような苦労をしたことはございます。しかし、確かに先生のお話のような事態がございますし、日本の国家行政が確かに縦割り機構で余りにも横の融通がなさ過ぎるという点は私も痛感をしております。建設省の出先機関にも、余りしゃくし定規でやらないように、やはり庶民のお立場を考えて行政の弾力附な運用をやるようにということはよく指導したい、かように思っております。
  187. 滝沢幸助

    滝沢分科員 何か予定がおくれていて委員長気の毒ですけれども、あと少しちょうだいしていい時間があるようですから、一、二問させていただきますけれども、大臣おっしゃるとおりです。ですから、これは各省大臣等が話し合ってくださいまして、その間のことは何も除雪に限らぬと思うわけで、どうかひとつ、国民のために国民の血税をもって買ったところの機械あるいはまた設備、こういうものを各省の間にも融通し合うことのできるふうなシステムを考えていただきたいと思います。  そして最後に、これは先ほど国土庁長官にも実は質問といいますかいわばお願いをしたことでありまして、私はこれは国家的課題として実は申し上げているわけであります。およそ私の知っている限り、道路計画の中で、いわば一朝有事、他国の侵略等に備えての国防的立場に立っての計画を持たぬ国は日本だけじゃないのかな、こういうふうに私は思いますよ。日本は平和国家建設、結構です。他国を侵略せぬこともこれは結構でありますけれども、一朝事ある場合に、平生は交通のための、産業のための道路であっても、そのときはいつでも国を守るための道路にとってかわれるだけのあるいは飛行機の滑走路になれるだけのものでなくてはいかぬのじゃないかな、私はこう思うものでありますから、この辺のことはどうなっておるのか、あるいはこれに足らざる点がありと大臣お考えならば、どうかひとつ発想の大きなる転換をもってこの間のことを政府の大きな課題として対処していただきたい。大臣の政治力に期待してこれをひとつお尋ねしたいと思います。
  188. 水野清

    ○水野国務大臣 確かに私もそういう考え方をしたことがあるのでございますが、日本の国全体として今日そういう議論が建設省の道路を国防計画と合わせてやるという考え方がまだ全くできていないようでございます。さらに、道路を飛行機の滑走路にする、これは外国なんかではよく見る例でありますが、日本は電線があったり何かして飛行機がなかなかおりられるような状態でもないわけであります。確かに一つ課題であると思いますが、これは現下の社会情勢の中では、先生のお考えは歩といたしますが、今の建設省では、大変申しわけないのでございますが、そこまで踏み込んで行政をやる、行政の考え方を指導していくということは、まだ私の今の立場としては差し控えていきたい、かように思っております。
  189. 滝沢幸助

    滝沢分科員 差し控えたいと言うのですが、どうかひとつ閣議等の余談なりと、こういう叫びが出てきたよ、そして私は本当は日本が高度成長経済時代のお金のあるうちにそういうことをきちんとしていただきたかった、そして例えば毛沢東の遺言で中国が穴を掘っているならば、世界でただ一つ核爆撃を受けた国ならば、穴を、ごうをこれは整備すべきであったと思うのです。今からでは遅いのだけれども、しかしどんどん経済、財政は厳しくなってくるわけでありますから、こういうことをもひとつ話題に供していただきたいと思うのです。
  190. 水野清

    ○水野国務大臣 お話を承っておきます。
  191. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ありがとうございました。
  192. 村田敬次郎

    村田主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後零時三十二分開議
  193. 村田敬次郎

    村田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  194. 松浦利尚

    松浦分科員 私は、二つのことを、お願いを含めてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  御承知のように、九州でも東九州地帯は道路網の整備の大変おくれておるところでございまして、東九州縦貫高速道をつくるというのは、鹿児島、宮崎、大分を通じて長年の悲願でありましたが、御承知のように、えびのから高速道が釣り針的に宮崎まで参りまして、一応宮崎から鹿児島の関係は時間的に非常に短縮され、あとは八代−人吉の開通を待つのみという対応ができておるのでありますが、ただ、残念なことに北の方が全く手つかずの状態であります。  そこで、道路局長にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、東九州縦貫高速道という発想は、将来展望としてこの際考えられない、難しいのじゃないかというようなあきらめに似たものが県民の間あるいは我々議員の間にも相当出ておるわけです。しかし、大変幸いなことに、第五次道路整備五カ年計画の中で高規格道というものが提起されておるということで、この際、高速道というものの発想を転換して、高規格道に我々県民の意思を結集しようじゃないか。御承知のように、東九州出身の国会議員も全部集まりまして、東京でそういった決起集会あるいは建設省等に対しての陳情活動も昨年あたりから行っておるところでありますが、東九州三県の県民に対して、東九州高速道から高規格道に要求を変えていきまして、一体実現する可能性があるのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたい。確かに計画上はあるのですけれども、御承知のような予算状況でありまして、公共事業そのものまでもマイナスシーリングあるいは財政投融資も伸びがわずか一・九%程度に抑えられるというようなことで、建設財源も非常に厳しくなってきておる状況ですから、そういう点を含めて道路局長の御見解を承りたいと思います。
  195. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初に、高規格道路が何かを説明させていただきたいと思います。  私たち、高規格幹線道路としては、将来の我が国経済社会発展を支え、国民生活の向上に資するための高速自動車国道を含め、現在予定路線として定められております七千六百キロを含め、おおむね一万キロメートル余で形成される自動車の専用道路網を考えておるわけでございまして、先生、今、高速自動車国道をあきらめて高規格道路に変えるとかいうようなお話でございましたが、でき上がるものは同じ自動車専用道路でございまして、物理的に、また実際そこを走行する方にとっては、高速自動車国道であれ、今申し上げております高規格幹線道路はそれを含めたもう少し広い意味に使っておりますが、同じものができるわけでございます。これからの均衡ある国土発展と、地方の定住とか、あるいは地方の活性化に資するためにも、いわゆる高速道路ネットワークというものは不可欠だというふうに考えておりまして、この第九次道路整備五カ年計画の前半で調査をし、後半におきまして、路線並びに整備手法等を定めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  196. 松浦利尚

    松浦分科員 そうしますと、今言われたように、高規格道というのは、従来、我々が考えておるような高速道というものだというふうに発想してよろしいのですか、理解してよろしいのでしょうか。
  197. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 今、通称高速道路と言っておりますのは、道路公団が現在、建設、管理しているものを通称言っておられるわけでございまして、今、東九州縦貫道等で言われております高規格道路というものは、でき上がれば全く同じものでございます。ただ、これをだれが事業主体となって建設していくのかというような、そういうことの違いによって名称が変わっておる、変わっていくというだけでございます。したがって、高規格幹線道路というものは、もし道路公団が高速自動車国道法等の手続でやれば、同じ高速道路と名称されるものでございまして、これがまた別の手法でやられれば別の名称等がつけられるかと思いますが、でき上がるものは全く同じ自動車の専用道路でございます。
  198. 松浦利尚

    松浦分科員 よく理解できましたが、そうすれば、我々が概念として持っておる、例えばバイパスとか、現在、地方自治体が持っておる有料道路、そういうものを接続していって、高規格道の道路網の整備をするというのではなくて、やはり従来言われておるようなものをつくるのだ、そういうふうに理解してよろしいですか。
  199. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 それは整備手法の問題でございまして、例えばある市をバイパスする、そのバイパスを自動車専用道路でつくる、そういうものが高規格道路の一環となる、一区間にそういうものが出てくることは当然あるわけでございまして、それはまさにつくり方の問題だというふうに考えております。
  200. 松浦利尚

    松浦分科員 それでは道路局長に再度お願いを申し上げておきますが、昨年、東九州の議員、知事等が集まりまして会合を持ちましたときにおいでをいただきまして、道路局長の方から、東九州高規格道路については重点的に配慮しておるのだというお言葉が実はあったわけであります。それを私たちは素直に理解をいたしまして、それぞれ大分県、宮崎県等も調査費等を県単で計上して、それぞれの高規格道が建設されたときの開発メリット等について事前調査をするべく既に準備を始めているわけでありますが、その御発言はそのまま理解をしてよろしいかどうか、お聞かせください。
  201. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 高規格幹線道路は、三全総におきまして提唱されたものでございます。その三全総の中で、高規格幹線道路の例示として、いわゆる東九州縦貫自動車道、今、先生がおっしゃったものに当たるものが挙げられておるわけでございます。したがって、例示に挙げられるわけでございますから、かなり有力であり、かつ、重点的に私たちも調査しなければならないと考えております。
  202. 松浦利尚

    松浦分科員 大変力強いお言葉でしたが、大臣にぜひお願いをしたいのですが、自分の選挙区のことを余り言うと主査に怒られるかもしれませんが、私の宮崎県の県北に工都延岡という都市がございます。ここと宮崎間がわずかに八十七キロしかないのでございます。ところが、実際に国道十号線による以外に方法がありませんために、実に八十七キロが三時間以上もかかるという渋滞を繰り返すわけです。常時ではありませんけれども、ラッシュ時にはそういう状況でありまして、今どき八十七キロを三時間もかかるというところは、全国を見てもそう例がないと思うのであります。大臣におかれましても、今、道路局長が言われたことを御理解いただきまして、そういった東九州、特に宮崎県の状況であるということを御理解いただいた上で、ぜひ御配慮いただきたい。県民の悲願である東九州高規格道の早期着工についての御配慮と御協力をぜひお願いしたいということを申し上げたいと思うのでありますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  203. 水野清

    ○水野国務大臣 今、道路局長が申し上げましたように、三全総の中で、全国一万キロ余りで形成されておる高規格幹線道路網というものがございます。その中で、今、先生の御指摘の東九州縦貫道、これも、今後どうするかということを、ただいま第九次道路五カ年計画の中で策定中であります。確かに、宮崎県の道路事情その他につきましては、どちらかといえば北九州に比べて御不便な点が多々あろうということは、事情はわかっているわけでございますが、もうしばらく検討を続けさせていただきたい。私も在任中、松浦先生の御質問に対しては誠実にひとつ検討等、単に前向き検討ということだけではなくて、勉強させていただきたい、かように思っております。
  204. 松浦利尚

    松浦分科員 大変ありがとうございました。これは宮崎県民の悲願であり、また鹿児島、大分も含めた東九州国民の悲願でもあります。今の大臣のお言葉で了解をいたします。ぜひ御協力をお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。  続いて、きょうは住宅都市整備公団の武田理事においでをいただいておるわけでありますが、実は、私の方で調査をいたしました五十八年三月現在の住宅公団建設になります空き家、建ててから初めから人が入らないという住宅が、賃貸で八百十六戸、分譲で七千八百七十二戸、合わせて八千六百八十八戸ある。それから退去した後、後の補充がなくて空き家になっているところが三千八百四十一戸。合計の一万二千五百二十九戸が実は今日空き家になっておるわけであります。何遍も国会でも取り上げられて、それはそれなり住宅都市整備公団も御努力中だと思うのでありますが、今私の申し上げたこの数字に誤りがあるかないか、まずお答えいただきたいと思います。
  205. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  先生がただいまおっしゃられました数字につきましては、間違いございません。
  206. 松浦利尚

    松浦分科員 住宅公団でせっかくつくってなおかつ一万二千五百二十九戸も空き家がある。これは資金の有効利用から見ましても、あるいは資金コストの面から見ましても、大変に障害になる問題だと思うのです。  それで、二戸を一戸に改築をして入居促進を図るとか、いろいろな対応の仕方をしておられるわけでありますが、実は、これは一つの提起でありますけれども、現在の法体系の中では、住居として使う以外に禁じられておるというのか、適当な言葉が見つかりませんが、いずれにしても、住居として建てた、ですから、ほかのものに利用するということは制限を受けるというようなことが、やはり障害としてあるのではないかという気がするのですが、武田理事はどういうふうにお感じになっておられますか。
  207. 武田晋治

    武田参考人 ただいま先生がおっしゃられましたように、公団は、現に住宅に困っていらっしゃる方々に、良好な居住性能あるいは居住環境を有しますところの集合住宅を建設いたしまして供給しているところでございます。したがいまして、本来の用途以外に使用することは、公団住宅趣旨から好ましいことではないというように考えております。また別の面におきまして、住宅以外の用途に利用いたしました場合には、近隣住戸への騒音の問題あるいは居住環境を悪化させるというようなおそれもございまして、適正な管理ということが困難になるのではないだろうかというような考えがございまして、現在まで住宅以外の用途使用は認めていないというのが現状でございます。
  208. 松浦利尚

    松浦分科員 そこでお尋ねでありますが、実は、住宅公団でおつくりになりました建物の未利用の部屋を地域の皆さん方が、例えば子供会の習字とか学習とか、学習というのはそろばんですね、そういったものに月幾らで貸していただけぬだろうか、こういう要望があるのです。それは確かに地域には公民館なり集会所があるわけですが、今日のように社会活動が活発になってきますと、子供会が独占して使うということができない、あおりを食らって子供会のそういった校外活動というのが制約を受けるという中から、実は子供会の役員の皆さんが、もう建てて何十年とたっていて人が入らない空き部屋、それを貸してもらえぬだろうか、そしてそこで習字をやったりそろばんをする、管理は子供会がちゃんとするというような要望が出てきておるのですが、今、武田理事から御説明いただきましたように、住宅公団の趣旨からいって、そういうのは住居するという範疇に入らない、目的外利用であるからだめだ、こういうことに今日結論づけられるのだろうと思うのですが、そういうことですね。
  209. 武田晋治

    武田参考人 住宅そのものは、先ほど申し上げたとおりでございます。  それかう、先生のお話でございました子供会のそろばん教室とかあるいは習字教室という利用でございますが、御承知のように、原則的には集会所等がその団地等には設置されているのが例でございまして、そういう集会所等をうまく利用していただくことによりまして目的を達成しているのが現在かと思います。  しかしながら、先生から今御提案ございました事柄につきましては、団地のいろいろな実態と申しますか、そういうような事柄をつまびらかに調査いたしました上で、それからまた先ほど申し上げましたいわゆる近辺の居住者の方々の居住環境とかいろいろな条件等があるわけでございまして、そういう実態等をよく調査した上で、何と申しますか、場合によれば、そういうことの是非について検討をする必要があるのではないだろうかというふうに考えております。
  210. 松浦利尚

    松浦分科員 検討すると言われても、実質的には利用は不可能なんでございましょう、今検討すると言われましたけれども。それは検討してもノーなんですよね、イエスにはならないわけですね、その点はどうでしょうか。
  211. 武田晋治

    武田参考人 先ほど来からも実は申し上げておりますように、公団住宅の用途廃止等の問題につきましては、公団の施行規則等で一定の、何と申しますか、手続によって認められるということがあるわけでございまして、少なくとも現在までは、その規定によりますと、用途廃止をした例はないというのが実情でございます。  先生も御提案なさっていらっしゃいますように、今後の対応の問題に実はなるんではないだろうかと思います。したがいまして、先ほど来かる申し上げておりますように、その団地の実態と、それからその中に入るわけでございますけれども、現在の空き家住宅の解消状況というようなもの等をにらみ合わせながら、その空き家住宅の解消等が、御承知のように、最近非常に賃貸住宅の需要が強くなってまいっておりますというようなこと等ともいろいろとにらみ合わせながら対応等を検討していく必要があるのではないだろうかというように考えております。
  212. 松浦利尚

    松浦分科員 大臣にお考えを承りたいと思うのでありますが、確かに分譲よりも賃貸住宅に、最近の所得増加が抑えられておるという意味で、国民の要求が変わってきつつあることも、今御説明がありましたように事実だろうとは思うのでありますが、これも一つの例として御理解いただきたいのです。  実は、住宅公団の建っておる建物の周辺に県営とか市営とか、あるいは民間賃貸アパート等で住居しておる人たちがおるのです。     〔主査退席、山下(徳)主査代理着席〕 そういう人たちの子供さんたちも含めて地域の子供会というのができ上がっておるわけです。たまたま集会所は、大人の皆さんたちが社会活動で使われるために、子供さんの入る余地がない。それではみ出してきておるから、この際、長年空き家になっておる住宅公団の一部屋をお借りをして、そこに入居者が来れば、また別のところに移ればいいわけでありまして、汚さないようにして、もし損傷があればそれも弁償するというような契約書を入れて利用さしてもらう。そうしますと、住宅公団の内部のPRにもなるわけですよね、こういう建物ですよというところに親御さんも一緒に入ってきますから。そうすると、むしろ空き家を、こういうところが空いておりますよということを、これから住宅の必要な人に見せるような効果も生まれてくるわけです。ですから、できたら、これほどの空き家が現実に存在をする今日でありますから、他目的利用ですね、原則としては住居である、しかし一定期間空き家であったものについては他目的利用も認める。それで契約なら契約を一定の金額で契約をして、他目的利用を認めるというようなことも、将来の問題としてお考えがあってもいいのではないか、大変失礼な言い方ですが、そういうような気がしてならないのです。これが私のところで出ておるということは、宮崎県というのは御承知のように非常に人口の少ないところであります。ですから、大都会等に来れば来るほどそういう要求というのは強いのではないかという気がしてなりません。  そこで、大臣に私がお尋ねしたいポイントというのは、住宅公団の住宅については他目的利用、一定期間空き家であったものについては、一定の条件が満たされれば認めてもいいのではないかというようなことについて、大臣のお考えをいただければというふうに思うのです。
  213. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  先ほども実はお答えしたわけでございますが、公団の住宅の本来的な性格というものがあるわけでございますので、原則的には用途以外の使用というのは、やはり難しい問題だというように思います。それとまた、なお今後の検討課題だろうと思いますけれども、問題は団地の中におきます状況に問題があるのだろうというように思います。そこでまた一番関係してまいりますのは、空き家住宅の数という問題にもなってくるわけでございますけれども、その解消状況が非常に著しいというような場合には、やはり絶えずお客さんのために準備をしておくということが必要だろうという感じもいたします。  それからまた、いろいろな意味において、お使いいただくのも結構かと思いますけれども、居住されている方々にとってみると、今、先生の御提案になっておりますいわゆる学習塾等の利用がいわゆる居住環境の面で果たして喜ばれることなのかどうなのかというのも、これはいろいろ立場の見方があると思いますけれども、変わってくる面があろうかと思います。そういう事柄を団地の実情に合わせまして検討していくということが必要だろうというように考えております。
  214. 松浦利尚

    松浦分科員 今、学習塾という特定な集団を言われましたが、そうではないのです。ボランティアみたいな形の子供会ですね。学習塾というのは営利を目的としておりますから、そういうものに貸すということを私は主張しておるのじゃないのです。ですから、地域の子供会あるいは婦人会、そういったものを対象にして利用させてもらいたいという場合のことを申し上げておるので、その点をひとつぜひ誤解のないようにしていただきたいと思います。
  215. 水野清

    ○水野国務大臣 せっかく松浦先生から御下問をいただきましたから……。  私の見ておりますところ、公団住宅の空き家というのは、あるところにたくさんあって、ないところはない。大体東京都内なんかに空き家があるわけないわけです。あるところというのは、要するに遠くて足が不便なところはなかなか抽せんをしても埋まらない、こういう例は実は私の県なんかにもあるわけです。いかがしたものかと私も見ております。ですから、全国的に平均して空き家があるという問題ではない、こういうふうにまず思います。  それと原則は、実は公団住宅というのは、やはり住宅に供するために建設をしてきたわけでありまして、むしろ空き家があるということ自身が問題があるわけでありまして、まだまだ住宅に困っていらっしゃる方があるのに空き家があるというのは、足の不便だとかいろいろな問題があって、むしろそっちに欠陥があるからこういう事態になってきたわけなんです。しかし、せっかくそういうお話でございますから、場所とかいろいろなことによっては可能な点もあろうと思いますし、法制上どこまで踏み込めるかという問題もあろうと思いますので、ひとつ勉強させていただきたいと思います。
  216. 松浦利尚

    松浦分科員 大臣の御答弁で結構でありますが、私のことで恐縮ですけれども、宮崎の団地に日本住宅公団がつくられた建物があるのです。そうすると、方向がわからぬときには、日本住宅公団の東、西と言えばみんなわかる、何十年かそういう目標になっている。ところが入っておる人は少ないのです。空き家が多い。ですから、そういうことからあそこの地域の子供会の人たちが貸してもらえぬでしょうかという意見が上がってきておるのですね。ですから、地域によって、今、大臣が言われたようにそれぞれ違いがあると思うのですが、ぜひ他目的利用についても調査その他によりまして、住民の要求が満たされるように御配慮をいただければと思います。  大臣の御答弁を多として、私の質問は以上二つで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  217. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて、松浦利尚君の質疑は終了いたしました。  次に、渋沢利久君。
  218. 渋沢利久

    渋沢分科員 大臣、この間のような地震がありますと、本当に背筋の寒くなる思いでありまして、東京は大型の地震に対して、一言で言えば無防備に近いと言っていいと思うのですね。ああいうスケールの大きい地震に対しての対応というのは非常におくれている。特に、今までいろいろな調査の中で、東京で言えば東京の東部地区、大臣の千葉に近い方ですが、この東部地区は地盤の軟弱さとか、中小河川が非常に多くて脆弱であるとか、いろいろな条件からいって非常に地震の影響を大きく受ける地帯とされておる。その証拠に、建設省の指導援助で東京都が窓口になって東京の防災拠点づくりというのが進んでいますけれども、これも東京の東部地区に限定をしてやられているという状況ですね。ところが、その中の、例えば江戸川区、江東区にかかわる大島・小松川地区計画というのですか、あの地域などは住民に対して計画が明らかにされて、これで行くぞ、協力してくれというのを、かなり格好のいい絵を出してから十五年たっておるわけですよ。この十五年の間に実際に何ができたかというと都営住宅です。政策住宅で、行き場のない人を拾ってやるよという都営住宅が二棟かそこらできましたが、それだけなんですね。いろいろ計画はありますし、今も進んでいるので御苦労いただいているのだが、この事業などはまさに国がその気になって力をかさなければ全く進まない。このテンポでいったら、あの一地区だけですらこんな状況ですし、しかもその中にいる人たちは、もう十五年間やるぞやるぞということだけで、それでよそへ出られる者は出なさいというので、土地もどんどん売られて、先行買収もやられて、寂れる一方でどうにもならぬ。商店なんか商売にならない。ならないけれども動くわけにもいかない。店を直すことも住宅を直すことも、いずれ壊さなければならないということで疲弊し切っておるのですね。こういう状況の中にありまして、私はやはり地震に対して、国が、まず東京で一番大きな被害が発生すると思われる地域に対して、これじゃ何もやっていないと言っていいような状況じゃないだろうかと思うのです。  時間がありませんから、簡潔に局長や大臣の所見をただして、その施策を進めてほしいと思う点は、今、事が始まりますと、再開発部が再開発事業として進めているわけですが、もともとは大地震対策で、周辺のたくさんの人たちのいわば逃げ広場、その広場をつくるために、さあみんなどいてくれ、そして平地に住むという発想をやめて、ビルに空間利用で入ってもらって、とにかく空間が、大きな土地が必要なんだ、いざというときにそこへみんな逃げ込ませなければならない、これしかない、だから協力せい、こういうことで始まった事業なんですね。しかし、それだけでは地域の住民が、自分たちのためにではなしに、まさに大地震のための周辺のデルタ地帯の避難地として、自分たちの権利を損なうあるいは移動するということについての犠牲だけ強いるというわけにいかぬから、そこで再開発中心にして、地震対策でのいてもらうけれども、そのかわり将来的に安住の地として、いい町として、いい居住環境を保障する、この二つが柱なんだ。単なる道路のための道路、震災のための追っ払い、これではありませんといううたいとげで再開発というものと地震対策というものをかませて、そして住民の協力を仰いできた。しかし十五年間町は疲弊するだけ。展望もないままに都営住宅が二棟できてという現状ですね。  そこで、今度いよいよ始まるということになると、これは再開発事業の原則がある。つまり従前資産と従後の資産の等価、こういうことですから、結局今ある資産を評価して、そして新しくビルをつくるものに入ってもらう、これはそれぞれ等価で権利移動を行うといったてまえがありますから。そうすると、十何年ほうり出されて疲弊をして、虫食い状態になっているところですから地価も下がる。権利の評価は下がっているという状態で、その移転の補償は低い評価にならざるを得ない。そしてその後新しくつくられるであろうビルの評価は、かなりいろいろ努力をして、補助を出して負担を下げようという努力をしていることはわかるけれども、この格差が激しいために、弱小住民は十五年待たされたけれども結局は住めない。大きな借金をするかあるいはあきらめてまたここで改めて逃げ出さざるを得ない、こういうところに追い込まれている。  だから、そういうことで都や国にも陳情もしていると思うのですが、こういう状況を踏まえて、これは大地震対策という政策的な観点で行われる再開発事業だから、その政策的な観点がもっと強く生かされてこないと地震対策に住民は協力しないです。しかし、地震対策でああいう種類のものをこれからさらに広げていこうというならば、それは関係住民のそういう生活感覚を変えてもらって、同時に協力してもらう。ある程度自己犠牲もやむを得ないというものを強いていく上では、うたい文句の、しかし将来にわたって住みやすい住居環境を保障するというこれが崩れてしまうと説得力がなくなる。そういうところに来ておると思うので、震災対策というのを具体的に行政が、政治がどういう姿でやるのだろうかということを注目している。そういう観点で見ますと、やはりそこに今ぶつかってきている。結局再開発というのは、押しなべていろいろうたいとげるけれども、最終的にはいいところに大きな銀行や大きな店舗が出て、弱小住民は常に再開発事業の中でうたかたのごとく権利を分散させられているというような言われ方を保障してしまうような、そういう心配があると私は見ておる。地震対策という観点で、この一つのモデルとしてこの地域などどうされようとしているのか。  それから、こういうテンポでやっておったのではとても間に合わない。ここだけすればいいものではあうませんから、一体どういう計画を、例えば危ないと言われる東部デルタ地帯に対してどんな対応を、指導をお考えになっているのか、ぜひ聞かせていただきたい。
  219. 水野清

    ○水野国務大臣 渋沢先生のお話、実はたまたま私、一昨日国会がストップしておったものでございますから、その時間を利用させていただいて、この江東地区のいわゆる荒川と隅田川に囲まれたデルタ地帯を見せていただきました。大臣の視察でありますからいいところだけとおしかりを受けるかもしれませんが、例えば白鬚東地区などは私は大変よくできていると思います。あれだけの仕事をやるのに大体四割国が補助をしたというわけであります。あの中で先生の今御指摘なのは、亀戸・大島・小松川地区を主としておっしゃっておられるのでしょうが、あの計画でも十数年かかった、こういうわけであります。なるほど話を聞いてみますと、自分の土地に自分の家を建てている方ならば交換をして高層化したものに入りやすい。ところが借家に入っている。土地も人のものだし家も人のものだ。御商売もどちらかというと昔から、江戸時代から続いているような職人さんみたいな方が多い、今で言うと珍しい大事な職業なのかもしれませんが。ですから、ああいうものに入ってしまうとどうも御商売もままならなくなってしまう。なるほど難しいものだな、こう思いました。しかし、今、先生の御指摘のとおり、関東大震災があって、あるいは東京の大空襲があって、あの江東地区全体としては、また何か東京に大きな震災のようなものがあれば、何十万という人がもしかしたら焼け死ぬかもしれないという大災害が予想されるわけであります。これは確かに緊急な対策だと思います。私はあの中で、国としてあるいは東京としてやるべきこともたくさんやってあげなければいかぬ。これは本当に焦眉の急だ。ともかくマイナス何メートルという地帯もあるわけでありますから、万一堤防が決壊してくれば水浸しにもなるわけであります。  しかし、同時にああいうものをやるときには、国家や東京都に対して要求するだけではなく、多くの人たちが、この際はいろいろなことがあるが、再開発をして、いい町づくりをして子孫に譲るというような気構えももう一つ必要なんじゃないかな。十数年かかった御苦労を関係者から聞きましたが、私の千葉県でも区画整理をやりますと、大したことないのに文句ばかり言ってなかなかまとめようとしない人が今の日本には非常に多いわけであります。私は国としてもやるべきことはもっとやらなければいかぬと思います。そこに住んでいらっしゃる方も、将来とか万一の災害ということを考えれば、もうちょっとお互いに歩み寄って積極的にやることが、予算を効率的に使うことでもあるし、大事なことじゃないかなと思いました。  確かに先生御指摘のこの地区は、早くやらぬと、万一のことがあったら一体どうするんだろうかというふうに思って、東白鬚の高層住宅の屋上から周辺も見てまいりましたし、あれだけのことを今後各地でやれればすばらしいなと思ってきましたが、聞いてみると、あれだけ国が金を出してやる仕事を今後続けていったら、これは建設省予算もなかなか追いつかないというほどの大事業であったようでございます。いろいろ考えさせることがございましたが、私どもも緊急対策の一つとして一生懸命やらせていただきたい、かように思っております。
  220. 渋沢利久

    渋沢分科員 私、時間が少ないから、あの白鬚の評価は非常に高くしているのだけれども、その評価の部分で演説をぶっていたのでは時間がないものだから、そこは省いてしまったのだけれども、ナンバーツー地点の今私が尋ねた部分が大変におくれている。あの白鬚は非常にいろいろな意味でいい条件があって割合に短時間で仕上げた、よくできている。しかし、今の計画で言うと、当初六カ所とか東部地区であったけれども、今やナンバーツーの大島地区をどう仕上げるかということで精いっぱいという状況ですね。それだけに私はこれはやはりきちんと早くけじめをつけてほしい。おっしゃるように、確かに震災対策などは、特に役所に向けてないものねだりをするということだけでは本当の事業にならない。しかし、そのためには地震に弱い地域を、その地域住民の協力を得て地震に強い耐えられる地域に変えていくという、こういう住民の中に理解と協力の機運を積極的につくり出していく。国にいろいろ施策を求めるけれども、自分たちも国に対してこういう協力をする、こういう気風を育てていくということは、私は都市開発の上で非常に大事な視点だと思うけれども、そのためには政府や自治体が住民を説得したこと、約束したこと、その部分について信頼をつなぐような毅然とした態度、約束は守るという部分がないといけないと思うわけで、特に、それだけの協力を得ていく地域としては、あの地域は大臣も半日やそこらでなかなか状況をつかんだとは言い切れない状況です。にもかかわらず、おっしゃるように大変零細な職人さんや小売商業といってもまさに微細な企業や住民が密集して生活をしている地点である。非常に暮らしの困難が多い地域でありますから、役所の感覚で言えば、マンションを買うことを考えなさいよなどとうかつに役所の人はおっしゃるのだが、この地域ではなかなか通用しない事情にあるということも考えないと、あの地域を選んだ以上は、もっと早く住民が納得する、満足するような条件を整えてやってほしいと私は思うのです。これはいつごろまでに仕上げるということについて、もうちょっと具体的なプログラムがあったら、簡単でいいですが、言ってください。
  221. 松原青美

    ○松原政府委員 先生御指摘のように、この亀戸・大島・小松川地区は、白鬚に続く第二番目の再開発事業の実施を予定しているところでございまして、既に事業に一部着手したところでございます。江東防災六拠点地区の構想が発表されましてから十数年たっております。最近ではこの亀戸・大島・小松川地区につきましても、住民として非常に前向きの空気が出てきたということも報告を受けておりまして、我々としても、この機会にひとつ事業を大いに前進させなければいかぬと考えております。  現在、御承知の第一地区で再開発住宅をやる。第二地区で工場団地をつくっております。いわばこれから第三地区を始める際の受け皿というものが先行して整備されたわけでございます。今後の第三地区の問題につきましては、五十九年度の前半までに事業計画を立て決定すべく現在東京都で準備中であると聞いております。先ほど来御指摘が再々ございましたように、この江東地区の再開発の早期完成を図るためには、この事業計画について地元関係者の理解を得ながら推進するということが最も肝要であると考えております。事業施行者でございます東京都においても、この実態に即した補償の考え方を近く示す予定ということで作業中と聞いております。東京都に今後とも適切な助言補助をしてまいりまして、事業の早期推進を図ってまいりたいと考えております。
  222. 渋沢利久

    渋沢分科員 都も苦労しているわけですよ。あそこは日本化学などというクロムの生産工場の跡地であったりして、そういうことを調整するためにも大変余分な努力と費用を投入して土壌づくりをやってみたりしているわけで、これは今適切な助言と補助を、こう言われた。助言は十分行き届いているようだけれども、補助の方が行き届いておらぬところに、今東京都が渋い顔をして住民とにらみ合っていなければならぬような条件があるのです。おっしゃるように、地元も積極的に協力しよう、早く処理してほしいという強い願いを持っているわけである。しかし、やはりあの地域住民の生活権、当初うたいとげた約束を具体的に果たしていくという意味で、ひとつ特段の努力をお願いをしておきたいというふうに思います。  それで、あわせてこの防災拠点地域とも関連して、地震対策ということであのデルタ地帯の隅田川、荒川を囲む内河川の整備計画、水位を下げる事業計画というのが進んでおる。旧中川の整備計画というものを一つの柱にしながら、そういう事業が取り組まれておるわけですね。これは河川局の担当におろうと思うけれども、これがまた大変おくれておりまして、まさに地震対策、震災対策ということで、東部が危ないと言われるのは、一つばやはり中小河川が非常に疲弊をして、これがいつ崩れるかわからないという状況と、地盤の緩みということの中で、まさに火責め、水責め、それに最近の建築構造からいえば、ガス責めぐるみの大惨事になりかねない地域だということで、河川整備ということが非常に大きな政策の課題になっておると思うのです。例えばあの旧中川なども、当初のうたいとげでは、これは単に震災対策で河川整備、水位を下げるというような事業に取り組むだけじゃなくて、将来はボートを浮かべ、周辺は散歩道にして、それはまあすばらしい、お花見のできる都市公園、自然公園のようなものに住民には描いてアピールされておるわけですが、しかし、これまた事業が遅々として進んでおらないということであります。財政の困難ということが一つありまして、こういう仕事が大変おくれるということは事情なしといたしませんけれども、しかし、この震災対策ということの一点で考えると、これまた大変心配な状況です。  私が聞いたところでは、ここなども、例えば旧中川整備などの第二次水位低下のための工事というのは六十五年以降になっておる、こういうのですね。これは手をつけて、おおむね十年程度で仕上げるということで始めたのが、たしか昭和四十二、三年ごろだったと思うのです。遅くても四十五年ごろだろうと思いますが、皆さんの方が御存じですけれども、これもいろいろ努力はされておるけれども、大変おくれております。これはどういう進捗状況、そしてどういう見通し、いつまでに仕上げるというのがここについてはないのですね、聞いてみると。めどをどこに置いておくというようなものがないのですよ。いつ来るかわからない大地震に備えて、いつとも果てぬめどのないこの計画が、しかも遅々として進まないというのは大変心配にたえないのですね。  ちなみに、内河川全体の整備計画、デルタ地帯の整備計画の中でメーンである旧中川の整備計画について、どんな状況になっているか、いつまでにどう仕上げるということになっておるのかおらないのか、知らしてほしいですね。
  223. 井上章平

    井上(章)政府委員 旧中川を初めとする東京都江東内部河川につきましては、大地震災害を防止するために、昭和四十六年から耐震対策河川事業を実施しておるわけでございます。事業の内容はもう御承知と思いますが、在来の河川護岸を強化する耐震護岸方式、これは主として隅田川沿いに展開しております。それから平常時の河川水位を低下させて、堤防の安全を図ろうとする内水低下方式、これは地盤沈下の激しい旧中川沿いに実施いたしております。この二つの方式を対象地域状況に応じて適用してただいま進めておるところでございます。  それで、進捗状況でございますが、今日までこの耐震対策河川事業に投ぜられました予算は三百三十二億円に上っております。しかしながら、これを全部仕上げるまでに幾らかかるかと申しますと、全体の事業が九百七十億円と東京都で見積もっておりますので、まだ予算上からいえば三分の二近くが残っておるという形になるわけでございます。  しかし、実際今日まで行われました事業の内容を見てみますと、特にこの旧中川について申し上げますと、ここは内水低下方式を採用しておりまして、第一次計画といいますか第一段階として、まずAPゼロメーターまで水位を下げるということで進めてまいったわけでございますが、これにつきましては、昭和五十三年にほぼその高さまで河川水位を下げることができました。これによりまして、地震時の河川の安全性は相当向上したというふうに私ども評価しておるわけでございます。今後さらにこの水位を最終的には三メートルまで下げようとしておるわけでございますが、これを実施するためには、さらにポンプの増強あるいは特に護岸の補強が必要でございまして、これらの経費が先ほど申し上げましたような残事業として残っておるというところでございます。  東京内の中小河川対策は各地で非常に予算が必要でございまして、現下の財政上ではなかなか予算伸びていないわけでございますけれども、私どもとしてはできる限り速やかにこの三メーターの水位低下を図るべく一層努力を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  ただ、もう一つ先ほど先生の御指摘がございました旧中川の公園化でございますけれども、これにつきましては、五十九年度から水辺環境総合整備モデル事業を採択いたしまして、地域住民が河川に親しめるような対策に着手しようといたしているところでございます。
  224. 渋沢利久

    渋沢分科員 今の局長の答弁でよくわかりました。特に最後の部分で、五十九年度からそういうモデル地区として夢も実もある河川整備計画に手をつけていくということですから、これは大変結構なことです。私、いらいらしておったのですが、一体いつどこから始めるつもりか、時間のかかる仕事だけれども、ぜひ力を入れてやってほしいと思うのです。  防災拠点づくり、それから震災対策としての河川整備ということでお尋ねをしたわけでありますが、時間がありませんので、最後に、大臣、やはり地震対策は結局なかなか金のかかることでして、都会の建築構造全体として耐震構造に変えるといいましても、金のかかることだから、それをどう見ていくのかということで、お互いに自力でやれと言ってもなかなかできない。どこでどういう規制なりあるいは援助なりというものをやっていくか。それはお金がないからということだけで、実はこの種のものはずるずるとおくれて、そして何事か起きなければ生きた施策が出てこない。事故が起きないと信号がつかない、死人が何人その地点で発生したかをいうことで交通信号が出てくるというような構造が、大地震対策ということでいっても同様のパターンで、時間だけが進んでいるというふうに思うのです。大手を振ってこれだと言ったものが、今言ったとおり白鬚に次ぐナンバーツーの計画もこういう状況でありますから、大変心寒い思いがするわけであります。これは財政問題も含めて、場合によれば、この種のものはやはり国民の協力を得ながら政府が責任を持ってこれに対応するという政策とあわせて、財政問題も新たな国民の協力を得る手法と知恵を絞り出してやらなければいかぬと思うのです。歴代建設大臣、地震問題でかなり力を入れて足跡を残したと言われるような建設大臣は、戦後数え切れないほど大臣がおられるけれども、そういう大臣は私は知らない。私はあなたにはそういう点で、大変首都圏を知っておられる大臣の出現ですから、短い——短いと言っては失礼かもしらぬが、限られた任期の中でそんな大きな仕事に成果を上げることは困難だろうけれども、足跡をきちっと残してほしい。地震対策はもっと本気で国が責任を持ってやる。これはローカルな自治体の努力や能力の限界を超えた部分でありまして、国がその気にならなければ持ち上がってきません。  きょうはごくローカルな視点を材料にしてお尋ねをしたわけですが、今の状況、一言で言えば心配にたえないという状況でございますので、最後に大臣の御発言を伺って終わりにします。
  225. 水野清

    ○水野国務大臣 渋沢先生のお話はおっしゃるとおりでございます。例えば一昨日、江東地区の方を見ましても、あれは建設省だけではできない仕事、例えば労働省の就業対策みたいなものをあわせなければいかぬし、あるいは中小企業庁、通産省の商店街の整備計画もあわせてやらなければいかぬ。たまたま今度、これは建設省じゃございませんが、国土庁の中に防災局というものを内閣でつくることになりました。防災というのは、やはり震災ということが一番多かろうと思います。その中で、各省の調整をとってもらって、今、縦割り行政でいろいろなものが停滞していると、先ほど来、諸委員からもおしかりを受けましたが、そういうものを調整しながら、内閣全体として取り上げる、こういうことに今度相なったわけでございます。その運営の中で、今御指摘のように、震災対策について、私もひとつ一生懸命努力をしていきたい、かように思っております。
  226. 渋沢利久

    渋沢分科員 ありがとうございました。
  227. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて渋沢利久君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。
  228. 山田英介

    山田分科員 建設省におかれましては、国土建設の推進を任務とされまして、都市整備あるいは下水道の整備促進、良好な住宅宅地の供給とか、あるいはまたこの経済社会を支える道路の整備国土保全、治水、水資源対策などなど、大変多くの課題に取り組まれて、一定の成果をおさめられているところでございます。  しかし、例えば道路の整備などについて見ましても、我が国の本格的な道路整備に取りかかった歴史はまだ非常に浅うございまして、例えば一般国道とか都道府県道、市町村道などあわせた全体の改良率などで見ても三五%というような非常に低い水準にあるわけでございます。また、四車線以上の区間の割合は、一般国道ですらわずか八%というような現状がございます。  このことにも見られますように、国土建設の本格的な推進というのは、全般にわたりましてまさにこれからというような感を深くするわけでございます。五十九年度の予算案での公共事業関係費を見ても六兆五千二百億三千九百万ですか、五十八年度比でも幾らかマイナスとなっているなど、非常に厳しい財政面からの制約があるのが現状でございますけれども国土建設行政の重要性を踏まえられて、国民の期待に十分こたえられるように一層の御努力を期待しているわけでございます。  そこで、建設省所管する事業の中で、特に治水事業についてお伺いをしたいと思っております。  水害による被害について興味ある報告を拝見いたしました。例えば昭和三十六年から五十五年までの二十年間で、被害家屋数が年平均二十六万棟あるいは被害額が年平均で五千億円を超えるというような、この被害額は火災の五倍、地震の約二百倍にも相当するのだそうでございます。安全で快適な国土建設の大きな柱の一つは、まさにこの治水事業にあるのではないかと言うこともできるのではないか、こんなふうに私は考えております。例えば利根川などの大河川がはんらんをしたということになれば大変な混乱が起きるわけでございまして、終戦直後の被害などとはまた比較にならないような大きさになるのではないか、あるいは近年は都市化の著しい河川で大変大きな水害が続発されております。来年度予算を見て、治水事業費が五十八年度を下回っておるわけですけれども、マイナスシーリングという一つの原則のもとでの予算編成であるにしても、私は、この治水事業の重大さを考えまして、むしろほかを抑えても治水事業費を伸ばして、国民の命だとか財産を守り、あるいはまた発達をしている経済社会をまさに根底から支える、私はそういう必要があるのではないかと思っておるわけでございます。この点についての、大臣の所感なりをお聞かせをいただきたいと思います。
  229. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生御指摘のように、治水事業は国の根幹を形成する事業だと認識いたしております。そのために私どもも五カ年計画を数次にわたって作成し、今日まで続いてまいったわけでございます。現在、実施しておりますのは、第六次治水事業五カ年計画でございまして、総額十一兆二千億円を持って、ただいま五十九年度が第三年目に相なるわけでございますが、折からの財政の厳しい状況を反映いたしまして、残念ながら計画からはおくれておりますが、しかし、この事業を何とか六十一年までの年度内に達成すべく、今後、最大の努力を払ってまいる所存でございます。  また、とりわけ先生から御指摘ございましたように、例えば都市河川対策等、現在の社会の状況から見まして、特に重点を置くべき事業につきましては、こういった限られた予算の中ではございますけれども重点を置きまして、それぞれ緊急なものにつきまして、対策を講じてまいるつもりでございます。
  230. 山田英介

    山田分科員 そこで、私は、建設省推進されております具体的な治水事業の何点かについて、伺いたいと思っております。  一つは、流域総合治水対策についてでございますが、中川と綾瀬川、この流域は社会の急激な発展によりまして、開発が非常に著しい、かつての田畑で、洪水時には自然に保水、遊水機能を果たしておりましたが、近年の宅地化あるいは建設残土の埋め立てなどで、水害に極めて脆弱な地域一つでございます。五十七年の台風十八号のときには、この流域におきまして、浸水戸数は約三万六千戸という未曾有の被害が出ているわけでございます。そういうことから、私は、この中川、綾瀬川の流域の治水施設の整備促進を図りますとともに、適正な土地利用の誘導などを図って、総合的な治水対策がなされることが極めて緊急の課題であるというふうに理解をしておるわけでございます。  そこで、中川、綾瀬川流域総合治水対策の現状と今後の見通しにつきまして、簡単で結構でございますので、お話をいただきたいと思います。
  231. 井上章平

    井上(章)政府委員 中川、綾瀬川の総合治水対策につきましては、昭和五十五年度から特定河川に指定されまして、流域市町村の関係者及び河川管理者から成る流域総合治水対策協議会を、同年八月に設置いたしたところでございます。この協議会におきまして、三年間さまざまな調査検討をしてまいりました。その結果、五十八年八月に、流域整備計画策定を見たわけでございます。また、その間、五十六年には、適正な土地利用の誘導等に資するために、浸水実績図の公表を行っております。  この流域整備計画でございますが、骨子としましては、一つはまず、河川改修の推進があるわけでございまして、これはおおむね五十ミリへの対応を図るように、暫定目標を設けまして促進を図るということにいたしております。また、流域対策といたしましては、一つには市街化調整区域の保持、それから遊水地域における盛り土の抑制、新規開発地での流出抑制対策といったような広範な内容の流域内での治水対策をこの整備計画の中に盛り込んでおるわけでございます。  現在、この計画に基づきまして、まず河川改修事業でございますが、これは中川、綾瀬川を総合治水対策特定河川事業にいたしまして、通常の改修に比較しますと重点を置いて事業費の増額を図っております。また、流域対策事業といたしまして、昭和五十九年度には流域貯留浸透事業を四カ所において実施することといたしておりますほか、新しい事業として、先ほど先生からの御指摘がございましたように、遊水地域における無秩序な残土処分の対策と団地開発とを一体として行います特定河川流域総合整備事業を発足させる予定にいたしております。今後は、各種流域対策を関係者協力のもとに一層促進いたしますほか、河川改修についても努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  232. 山田英介

    山田分科員 今局長の御答弁にもございましたが、特定河川流域総合整備事業でございますが、これは五十九年度の建設省の新たな事業と伺っておりますけれども、この概要を御説明いただきたいと思います。
  233. 井上章平

    井上(章)政府委員 制度としては五十九年度から発足する新しい制度でございますが、第一番に着手いたしますのが、この中川、綾瀬川流域内にあります吉川地区でございます。近年、大都市圏から発生する建設残土が大量にこれらいわゆる遊水地域、中川、綾瀬川で申しますと、埼玉県の東部の低地地域に無秩序に捨てられております。このことによりまして、一つには河川の遊水機能が著しく損なわれるわけでございまして、またそれが無秩序であるために、周辺に浸水被害の危険が増大するというような問題を生じておるわけでございます。  このために、五十九年度予算におきまして、これら遊水地域対策として、建設残土処分を抑制して遊水地域の保全を図るため、建設残土を利用する高盛り土の宅地の開発等と、それと一緒になって実施いたします計画遊水地の造成を行います特定河川流域総合整備事業を創設したわけでございまして、第一に着手いたしますのは埼玉県の大場川流域吉川地区で、住宅都市整備公団の事業と一体として行う予定でございます。
  234. 山田英介

    山田分科員 その吉川が対象として一番最初の事業ということでございますが、調べますと、六十三ヘクタールという広大な土地を住宅都市整備公団で開発をなさる。御案内のとおり中川流域、綾瀬川流域というのは低湿地帯でございまして、毎年台風シーズンとか長雨などによりまして大変な浸水被害が出ている流域でございます。六十三ヘクタールからの広大な田畑は、すなわち自然な形で洪水時に遊水とか保水の機能を果たしてきているわけでございますが、ここを高盛り土とおっしゃいましたけれども、全面的に残土で造成するわけですね。そうすると、六十三ヘクタールに洪水時に滞留していた水が、要するにたまる場所がなくなってしまうということで、これは実は大変な問題でございます。  東京とか近県というのでしょうか、その県内から出てまいりました残土を全部高盛り土の造成分に使うという、その見返りと言ったら失礼でございますが、遊水地の建設の半分とか何割かを国が補助しよう、こういう事業なんだろうと私は理解しているわけでございますが、そうしますと、問題の一つは、六十三ヘクタールをつぶすわけですから、遊水、保水機能をつぶしてしまうわけですから、それにかわる遊水地ということになれば、要するに、その六十三ヘクタールの機能を少なくとも維持できるような、あるいはそれ以上の遊水地の建設でなければこれは大変なことになってしまうわけでございます。この点はどういうことになっているのでしょうか。私は非常に心配をしているわけでございます。六十三ヘクタールつぶされるわけですから、それに伴って国が補助しようとする遊水地の規模ということについては、どういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  235. 井上章平

    井上(章)政府委員 埼玉県東部地域の低地につきましては、これは、ここを流れております中川、綾瀬川の一種の遊水機能を維持してきた地域でございます。これらの遊水機能の確保は、これらの河川の治水対策上非常に重要な事柄でございますが、しかし、先ほど総合治水対策で申し上げましたように、これらの低地に対して的確な盛り土規制を行うという制度はございません。  したがいまして、私どもとしては、市町村に対して働きかけをし、その遊水機能というものの認識を十分持っていただいて、できるだけ盛り土を抑制していただきたいとお願いしているわけでございますが、残念ながら十分な規制効果が上がらないために、周辺から大量の建設残土がこの地域に捨てられておるという実情がございます。  したがいまして、これらはいずれも遊水機能を日々阻害しているわけでございますので、そういった建設残土の処理をある程度この地域で引き受けざるを得ないのだとするならば、それはむしろ高盛り土にいたしまして、高盛り土にするということは、それだけ同じ土量を捨てるにいたしましても遊水機能が減ることが少なくなるという効果がありますので、したがって、こういう事業によりまして大量の建設残土の受け入れ先をつくり、またそれにいたしましても、遊水機能はその分減るわけでございますから、計画遊水地を併設いたしまして、この盛り土によります遊水阻害効果をすべて回復するという措置を講ずることによって、この地域の治水対策を進めてまいりたいということでございます。
  236. 山田英介

    山田分科員 ぜひそういうきめの細かい対応を今後ともお願いしたいと思っているわけでございます。  それから、ただいまの御答弁にもございましたように、この中川流域に対する建設残土、これは年間東京あたりから七百万トンとか一千万トンとかと出てくるわけですから、全然規制がなされていないとおっしゃいましたけれども、これはしっかりやっていただきたいわけです。  何もそこを中川流城が引き受けなければならないと法律で決められているわけではないわけですから、そういう地域の置かれている事情というものをしっかりと局長建設省も踏まえていただいて、その規制がなされていない、そういうことを言うだけではなくて、現実にどうしたらいいのかということを、しっかり対策を立てられるべきだと私は思うのです。そうしなければ、東京とかよその地域の皆さんの残土を全部引き受けて、それによって遊水機能が減殺されて、それで毎年毎年床上だ、床下浸水だといって苦しまなければならない人たちの立場をしっかり考えていただきたいのです。強く御要望申し上げておきたいと思います。  具体的に、この新しい流域総合整備事業というのが五十九年度、来年度からスタートするわけでございますけれども、細かいことを言うようで恐縮でございますが、これは全国初めてのケースということでございますので、あえて申し上げたいと思っておりますけれども、例えば六十三ヘクタールなんというところを高盛り土をするためには、搬入におけるトラックとかダンプカーとか、そういうものが走ることによってもたらされる影響というのは大変なものがあろうかと思うわけでございまして、現実に今、建設省計画をされております事業の地域の西側には、同じく住宅都市整備公団の吉川団地というものが既にあるわけです。そこで数千戸の皆さんが現実に生活を営んでおられる。その残土の搬入に伴う交通事故の心配とか、あるいはまた騒音とか振動とか、トラック、ダンプカーを走らせる時間帯の規制の仕方によっては、大変大きな地域の社会問題になりかねないという心配な側面も同時にあるわけでございますので、この点に対しましても、現在残土処理についての、何といいますか、要綱のようなものを煮詰めている段階だというように私は伺っておりますけれども、十二分にそこを踏まえた残土処理の要綱づくりをお願いしたいと思っております。  それから、先ほどもお話がございましたが、現在第六次治水事業五カ年計画というものが進行中でございますけれども、五十七年度を初年度として十一兆円以上の巨費が投ぜられるという計画でございます。閣議決定。この計画の重要施策一つが中小河川とか都市河川対策の強化ということにあるわけでございます。そうされておるわけでございます。  ちょうど東京都と埼玉県の境を流れる垳川という川が実はあるのですけれども建設省もよく御存じの川でございます。この垳川は、まさに治水事業五カ年計画の目標の一つでございます著しく整備の立ちおくれている中小河川の一つである、こういうふうに思うわけでございますが、この垳川は同じく中川、綾瀬川の流域内でもございます。そういう河川であるからこそ、私は優先的に整備が図られてしかるべきだというふうに考えておりますけれども、この垳川の整備につきまして、どのような方針で対処をなされるのか伺いたいと思います。
  237. 井上章平

    井上(章)政府委員 垳川はただいま先生がお話しございましたように、東京都と埼玉県の県境をなす河川でございまして、南岸が東京都、北岸が埼玉県になるわけでございます。それぞれにおきましてただいま改修を鋭意進めております。  進捗率でございますが、埼玉県側で申し上げますと、整備区間八百メートルのうち、用地につきましてはもうほとんど完了に近いわけでございまして、九五%、工事につきましても五〇%の達成を見ております。  ところで、この河川は先ほど来お話のございました中川、綾瀬川総合治水対策の特定河川事業の中に組み込まれることになりまして、したがって一層推進が図られるであろうと期待いたしておるわけでございます。
  238. 山田英介

    山田分科員 ぜひ垳川の整備につきましては、ただいま御答弁のとおり、ひとつがっちり取り組んでいただきたいと御要望申し上げます。  次に、激甚災害対策特別緊急事業につきまして伺います。  この事業の趣旨につきましては、もう御案内のとおりでございます。五十七年に中川、綾瀬川流域の新方川という河川がございまして、区間延長が五千メートルで、いわゆる激特事業に採択をしていただいておりまして、まことにありがとうございました。総額で全体事業費が三十九億六千万円ということで、六十一年度でございますか、そこを最終年度といたしまして今工事が進められておるところでございますが、私はせっかくの機会でございますので、新方川の激特事業につきまして二点ほど御要望申し上げ、また確認をさせていただきたいと思っております。  その一つは、全体事業費三十九億六千万円でございますけれども、折から大変財政事情厳しいわけでございますが、それは私も十分に理解をしておるつもりでございますけれども、再度災害を防止をするという観点から、ぜひ事業費を決して削り込まないでいただきたいと思っておるわけでございます。この激特事業の趣旨に基づきましても、全体事業費の三十九億六千万につきましては、優先的にぜひひとつ確保をお願いを申し上げたい。できましたらぜひこの際お約束をいただきたいと思っております。  もう一つは、細かい話になりまして大変恐縮ではございますけれども、掘削とか築堤、護岸を促進をして、五十八年度改築中の伏せ越しの逆転工事というのがあるのです。それから温水、洪水のネックの一つであります橋梁二橋、これを完成させるために、約十三億近くの事業費をぜひ確保していただきたいということが、浸水地域の新方川流域の、あるいは越谷市とか埼玉県とか、こういう地域の極めて切実な要望でございまして、五十九年度におきましても、当初計画どおりの約十三億円という事業費になりますけれども、ぜひとも優先的に確保いただきたい。この二点でございますが、ぜひ前向きの御答弁を賜りたいと思って、期待をいたしております。
  239. 井上章平

    井上(章)政府委員 新方川につきましては、五十七年の九月の災害によりまして、浸水家屋六千戸という大きな災害を受けたわけでございます。したがいまして、これは再度災害を防止するためのいわゆる激特事業に該当いたしますので、五十七年から激特事業として実施いたしております。  その範囲は、先生お話しございましたように、五千メートルの区間でございます。また工事内容につきましても、築堤、護岸それから橋梁、それに伏せ越し工事等がすべて含まれております。これにつきましては総事業費は三十九億六千万円でございまして、おおむね五カ年間で完成させるというのがこの制度の趣旨でございますので、私どもは、必ずこの五カ年間で工事が完成するように、最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
  240. 山田英介

    山田分科員 ぜひひとつ全体事業費確保、五十九年度におきましてもそれを達成する観点からも、計画の事業費をぜひとも確保していただけるように、再度御要望を申し上げておきます。  最後になりますが、せっかく大臣お見えでございますので、一言くらい御答弁いただきたいと思っておりますが、治水から今度道路整備の関係で一つ二つ、それで終わりにしたいと思っております。  五十八年五月二十七日、政府では第九次道路整備五カ年計画を閣議決定されております。五十八年度以降五カ年間に総額三十八兆二千億、うち国が関与をして二十五兆二千億の巨費を投ぜられるという大変な整備事業でございます。この計画期間中における道路整備の目標の重要な一つに、「生活環境の改善を図るため、交通混雑が特に著しく沿道環境が悪化している区間に係るバイパス等の建設及び良好な市街地を形成するための道路の整備推進する」と、目標として掲げられておるところでございますが、近年特に経済の成長とか生活の高度化に伴いまして、自動車による旅客とか貨物の輸送量が増大をしておりまして、必然的に道路交通需要も増大をしておる、こういう現状にございます。  政府におかれては、昭和二十九年から第一次道路整備五カ年計画ということをスタートさせまして、今日まで取り組まれているところでございますが、依然として道路の混雑状況はイタチごっこではありませんけれども、解消されていないというのが現状でございます。私は、この第九次道路整備五カ年計画が所期の目標を達成して、安全で便利、生活環境の改善あるいは経済社会の一層の発展などに資することを願っている一人であるわけでございますが、まずこの五カ年計画推進する最高責任者でございます建設大臣のお立場で、どのような御決意といいますか、所感などございましたら伺いたいと存じます。
  241. 水野清

    ○水野国務大臣 今、先生から第九次道路五カ年計画についてお話がございました。御承知のとおり、この第九次道路五カ年計画の中で今最大の障害になっておりますのは、やはりこの四年間公共事業費が横ばいである、こういうことであります。安全な道路をつくらなければいけない、あるいは長距離の輸送を担うべき高速道路もつくらなければいかぬ、たくさんの市町村道に至るまで各種の道路の整備をしなくてはいけない、それぞれでございますが、ともかく来年度の予算の中では、国費で落ちこぼれたところを、財政投融資資金とか民間資金というようなものを取り込みまして、いわゆる民間活力を利用するという言葉で一言に言っておりますが、最大の目標は予算の獲得であろうと思います。  しかも、現在の第九次五カ年計画の進捗度が、先ほど申し上げましたように財政事情から必ずしも進捗率が思わしくございません。しかし、いずれ五十九年度予算が御成立いただければ、さらに六十年度の予算の概算要求も始まると思いますし、このすべての問題はまずお金からだ、そのお金の確保をしていかなくてはいけない、かように思ってやっている次第でございます。  なお、先生から御指摘いただきましたように、ただ道路をつくるというだけではいけないわけでございまして、これからやはり国民の生命を大事にしてくれるといいますか、安全な道路をつくる、そういったことにも十分注意をしてやっていきたい、かように思っております。
  242. 山田英介

    山田分科員 最後でございます、済みません。一点だけお話を聞いておいていただきたい。  一般国道四号の整備についてでございますが、御案内のとおり、この国道四号線というのは東京の日本橋を起点として青森に至る全長約八百キロ、首都圏と東北地方を結ぶ一大動脈でございます。また、首都圏の交通網の重要な放射幹線の一つでもあるわけでございます。したがって、交通量が非常にふえ続けて、これに対応する形で昭和四十二年に国道四号線の草加バイパスが建設をされております。それから十五年余りたった今日、一日の平均交通量が四万六千台を超えるということに端的にあらわれておりますように、渋滞が著しく、加えて事故の多発とか道路環境の悪化がもたらされているという実情でございます。  この首都圏と東北地方の旅客貨物輸送に決定的な役割を持つ国道四号線でございます。しかし、それが通過車両の激増などによりまして、バイパス沿線の地域や住民の犠牲の上にあってはならないと私は思うわけでございます。そういうことで、ぜひひとつ、これを解決するためにはバイパスの建設が非常に大きな決め手になるのだろうと思っておりますので、建設省に対しましては、第九次道路整備五カ年計画の目標を踏まえまして、あるいはこのバイパス沿線の地域とか住民の痛みをよく理解をしていただいて、いわゆる第二草加バイパスの建設については、今御調査が進んでいらっしゃると思いますけれども、速めていただき、真剣かつ積極的なお取り組みをいただきたいことを御要望いたしまして、私の質疑を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  243. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて山田英介君の質疑は終わりました。  次に、塩田晋君。
  244. 塩田晋

    塩田分科員 私は、昭和五十九年度建設省関係予算につきまして、建設大臣並びに関係局長にお尋ねいたします。特に、主として兵庫県の明石市、東播地区、北播地区と言われる地域建設省関係事業につきまして具体的に申し上げますので、簡潔明瞭かつスピーディーにお答えをいただきたいと思います。  第一は本四架橋の明石ルートのことでございます。いわゆる夢のかけ橋として本州と四国を結ぶ計画でございますが、この夢の大橋の計画と進捗状況、今後の見通しについて御説明願います。
  245. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 神戸−鳴門ルートについては、現在、津名インターチェンジから鳴門インターチェンジ間四十五キロメートルの建設を進めており、昭和五十九年度には大鳴門橋を含む西淡インターチェンジから大毛島インターチェンジ間の六・九キロメートルが完成する予定であります。残りの津名インターチェンジから西淡インターチェンジ間及び大毛島インターチェンジから鳴門インターチェンジ間についても工事に着手しており、昭和六十一年度には全線完成する計画であります。  津名インターチェンジから神戸間については、本四公団が調査を行っているところでありまして、このうち明石海峡大橋については、国土庁運輸省と協議の上、社会経済情勢、国鉄の財政事情等を勘案し、道路単独橋の可能性についても所要の調査検討を行うこととし、本四公団に調査実施させているところであります。  調査は、現在本四公団が取りまとめているところでありますが、その報告を受けて今後の取り扱いの方針について関係省庁とも協議していきたいと考えております。
  246. 塩田晋

    塩田分科員 これは最も早く計画を要請されたところでございまして、今一番おくれているのではないかと思います。付近の住民、関係者は皆心配しております。できるだけ早期にこれを着工まで持っていき、完成を急いでいただきたいと思います。  次に、第二でございますが、明石のフェリー問題です。  これは道路公団が明石市と淡路島の間をフェリーで運営しておるものでございます。最近、一部拡張工事が行われたりしておりますが、将来縮小するのではないかといううわさがございまして、これの運送に当たっております同盟傘下の海員組合の方々や関係者あるいは住民、利用者の皆さん方が不安に思っておられます。今後の見通しはどうでございますか。
  247. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 明石フェリーは兵庫県明石市と淡路町を結ぶもので、日本道路公団が一般有料道路として営業しており、現在の利用台数は一日当たり約千八百台となっております。  明石フェリーは昭和六十一年十一月十九日をもって一般有料道路としての料金徴収期間を満了することとなりますが、それ以後の対応については、現在、日本道路公団において関係機関である建設省運輸省、兵庫県などと検討しておる段階であります。
  248. 塩田晋

    塩田分科員 御検討に当たっては、そういった不安のないように十分に配慮して検討をいただきたいと思います。  第三点でございますが、いわゆる養浜事業、これは海岸浸食に対する護岸の工事でございます。その関連事業としていわゆる養浜事業が明石−二見間で行われておりますが、その進捗状況について御説明願います。
  249. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいまお話のございました海岸はかつては豊かな砂浜でございました。しかし、近年海岸浸食が進行し、また台風などによる災害を受けてきたところでございます。  このような状況から、建設省におきましては昭和二十五年から補助事業、三十六年度から直轄事業として海岸事業を進めてまいったところであります。今日までほぼ護岸工の整備は概成いたしました。ただいまは昭和四十六年から始めております浸食対策としての離岸堤の整備を行ってきておるところであります。この海岸は明石海峡に面しておりまして潮の流れが速いために、この離岸堤の背後になかなか砂がつきにくいという状況にございます。また、他方、当海岸の背後は市街地でございまして、海水浴や散策等の場としての砂浜の回復の要望が非常に強いところでございます。こういったことから、建設省といたしましては海岸の保全を図ると同時に、ただいま申し上げましたような利用あるいは環境に配慮した新しい養浜工法をこの地域におきまして実験をしておる段階でございます。
  250. 塩田晋

    塩田分科員 この事業につきましては住民の皆さん方非常に喜んでおられます。実験が成功して離岸堤のあるところはかなり砂がつき始めておるということでございますし、やはり砂をつけるということが白砂青松の景観をよくすると同時に、また、海水浴等のレクリエーションにも役立つとともに、海水の汚濁を根本的に解決するのはやはり砂浜だと言われております。こういったことも含めまして、また、海岸の保全のためにも砂がつくということはそのこと自体が既に護岸になるわけでございますから、なお研究とともに事業を進めていただきたいと思います。要望いたします。  第四点でございますが、たびたびこの分科会でも取り上げてまいりましたし、先ほども申し上げました地域の南北道路の問題でございます。より根本的には、南北を通ずる幹線道路、四車線の貫通した道路が一本もないという地域でございます。かつては加古川という大きな川の舟運の便があって発展した地域でございますが、現代の陸路につきましては非常に貧弱な状況でございます。ぜひともこの幹線道路について研究をしてもらいたいということをたびたび申し上げておりますが、その後の研究状況はいかがでございますか。  それとともに、これに関連しましていつも御答弁がございますのは、国道百七十五号線のバイパスで西脇、小野地区がおくれております。これの今後の見通し計画をお知らせいただきたいと思います。
  251. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 今先生のお話しになりました一般国道百七十五号のバイパスとしましては、三木バイパス、小野バイパス、社バイパス、西脇バイパスを整備しておりますが、このうち三木バイパス、社バイパスにつきましては全線暫定二車線で供用済みでございます。  そこで、小野バイパスと西脇バイパスについて御説明させていただきますと、小野バイパスは、小野市街地における現国道の交通混雑の緩和と交通安全の確保を目的として計画された小野市樫山町から古川町に至る延長八・一キロメートルのバイパスでありまして、本バイパスは五十四年度から用地買収に着手し、五十八年度までに事業費で約二二%、用地取得で約七八%の進捗率となっております。当面、都市計画道路北環状線の整備とあわせて回路線との交差部から北部のバイパス区間について六十年代前半の部分供用を目途に事業を進めていきたいと考えております。  次に西脇バイパスについてでございますが、本バイパスは兵庫県滝野町から西脇市上戸田に至る延長五・四キロメートルのバイパスであります。本バイパスは五十四年度に用地買収に着手し、五十八年度までに事業費で約二七%、用地取得で約五三%の進捗率となっております。当面、都市計画道路西脇芳田線から北側の区間を重点に六十年代前半の部分供用を目途に事業を進めてまいりたいとしております。  以上でございます。
  252. 塩田晋

    塩田分科員 南北幹線道路の件はどうですか。
  253. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 兵庫県の南北方向の幹線道路といたしましては、今御説明いたしました一般国道百七十五号線あるいは幡但有料道路等がありまして、これらの整備を今鋭意進めておるところであります。したがって、現在財政事情も非常に苦しいときでありまして、南北幹線道路の新規計画については今すぐというようには考えが至っていないのでございます。
  254. 塩田晋

    塩田分科員 財政事情等もあって今すぐ建設にかかれとは私は御無理は申し上げませんが、そういう幹線道路の必要性、この前も申し上げているのですが、海岸地帯には鉄鋼産業、造船重機産業初め、神戸、大阪地区からどんどん工場が進出してきておる、北の方からはどんどん通勤者がふえているという中で、幹線の四車線の道路が一つもないということを先ほど申し上げましたが、そのことでございます。加古川という川の堤防なんかも利用してやる気になればやれないことはないということを申し上げたのですけれども、そういった検討をひとつお願いしたい、研究していただきたいということでございます。これは要望いたしておきます。  次に、国道四百二十七号線でございますが、これも国道に昇格したものでございますが、その後の整備状況、特に丹波地区との境にあります播州峠の改修、これはその後どうなっておりますか、お伺いいたします。
  255. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道四百二十七号は明石市を起点とし、兵庫県山東町に至る路線で、昭和五十七年四月に先生今おっしゃられましたように国道に昇格したものであります。その整備状況は、改良率については七五%、舗装率については簡易舗装含みで九二%、簡易舗装を除きますと六六%であります。  本路線の整備につきましては、現在青垣町において特殊改良一種事業の大名草工区として集落を避けたバイパスを事業中であるほか、今お話しの播州峠付近におきまして落石等危険箇所の防災事業を実施しているところであります。  御指摘の播州峠付近につきましては、未改良であるところから、現在兵庫県におきまして路線の調査中でありますが、地形的にも大変難しい条件がありますので、今後なお詳細な調査が必要である旨を県から聞いております。その重要性にかんがみまして、県の方にも路線を早く決めていくよう調査促進等に指導してまいりたいと考えております。
  256. 塩田晋

    塩田分科員 強力な県に対する指導をお願いいたします。播州峠については南側の加美町側もひとつよろしくお願いします。  次に、都市街路の問題でございますが、明石、加古川、高砂を初めといたしまして、この地域の各都市の街路事業、これを整備促進をしていただきたいということでございます。特に南北の街路事業につきまして非常に混雑をいたしております。幹線の南北道路もそうでございますが、街路も混雑をきわめておりますので、また国鉄あるいは山陽電車の立体交差、こういった問題との関連もあるわけでございます。国鉄、山陽電車の高架化をそれぞれ進めていただくとともに、この街路事業が立体交差で南北円滑に交通が行われるように、ひとつぜひとも街路事業の整備をしていただきたい。特に藤江鳥羽線あるいは魚住支所前線あるいは尾上小野線あるいは土山小野線等々といった街路、また県道では高砂北条線といったものがございますが、こういった南北の道路につきまして整備促進をお願いしたいと思います。いかがですか。
  257. 松原青美

    ○松原政府委員 先生御指摘の明石、加古川、高砂の各市の南北幹線街路事業としまして、現在明石市では西二見地区から小野市へ向かう都市計画道路、二見土山線を初めとしまして、魚住支所前線、藤江鳥羽線、加古川市におきましては高砂北条線、加古川別府港線、高砂市におきましては、宝殿荒井線、梅井島線の各都市計画街路事業を進めているところでございますが、今後とも引き続き促進に努めてまいる方針でございます。なお、明石市におきまして鉄道の高架化事業を現在施行中でございまして、これも引き続き進めてまいる方針でございます。
  258. 塩田晋

    塩田分科員 第五点でございますが、東西線につきまして御質問いたします。  その最初は、山陽自動車道についてでございますが、姫路−三木間の二十三キロメートルの路線につきまして、早期に計画決定をし、着工にこぎつけていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  259. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 姫路東インターチェンジから三木市間の約二十三キロメートルについては、昭和四十七年六月に基本計画策定されました。現在、建設省近畿地方建設局におきまして、整備計画策定のために必要な地質、構造物、環境などの諸調査や県立播磨中部丘陵自然公園との調整を鋭意進めているところでありまして、できるだけ早い機会に成果をまとめたいと考えております。
  260. 塩田晋

    塩田分科員 早期にまず路線を決定していただきたいと思います。  次の問題ですが、現在一部二車線を残しまして供用が開始されております明姫幹線につきまして、まだ四車線完全にできておりません。用地はもう既に買収され、もう形もできておるわけでございますが、立ち退きあるいは買収に応じた人たちにしてみますと、かなり以前に協力したのになかなか目の前にできないということにつきまして、いろいろ意見が出ております。これも早期に完成を目指していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  261. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 明姫幹線は、明石市小久保から加古川市を経て高砂市中筋に至る延長二二・六キロメートル、幅員が四車線のところは三十メートル、六車線のところは四十メートルの一般国道二百五十号のバイパスであります。  本バイパスにつきましては、昭和四十二年度より事業に着手し、昭和五十年十二月に高砂市の一部が供用され、その後順次供用が図られまして、昭和五十五年九月に全線が供用されました。この間に投じた事業費は約三百四十億円となっております。延長二十二・六キロメートルのうち、四車線で整備されている区間は、起点側の明石市小久保から県道江井ケ島大久保停車場線間の三・九キロメートル及び終点側の主要地方道、加古川高砂線から高砂市中筋間の六キロメートルの計九・九キロメートルであります。中間部の十二・七キロメートル及び高砂側四車線区間の中にあります播州大橋については暫定二車線となっております。このため播州大橋につきましては、昭和五十六年度から拡幅工事に着手し、昭和五十八年度中に完成する予定であります。残る暫定二車線区間につきましても、厳しい財政事情下ではありますが、この区間の交通量が非常に多いこと及び今後臨海部からの交通需要の増加なども考えられますので、引き続き四車線化を促進してまいりたいと考えております。
  262. 塩田晋

    塩田分科員 前向きの御答弁をいただきましたので、よろしくお願い申し上げます。  続きまして、中国縦貫自動車道の加西インターの建設でございますが、この建設の見通し、いつから始まっていつ完成するかをお答え願いたいと思います。  続きまして、加古川のバイパス、これは東加古川と加古川の間が若干距離があるのですが、その中間、野口付近で上り線用のランプをつくっていただければ東加古川の跨線橋、南北道路がかなりの交通混雑の緩和が図られるわけでございますが、これについていかがでございましょうか、この二点をお伺いいたします。
  263. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初に中国縦貫道の加西インターの建設についてでございますが、この加西インターチェンジは、昭和五十七年一月の国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て定められた追加インターチェンジであります。  当インターチェンジにつきましては、昭和五十八年三月に日本道路公団に対し建設大臣から施行命令を出したところであります。現在、公団におきまして地元説明を行っており、今後、地元の協力を得て、六十年代前半の供用を目途に事業を進めておるところでございます。  第二点の、加古川バイパスについて、野口付近で上り線用のランプをつくることは考えられないかということでございますが、この一般国道二号、加古川バイパスは、明石市の魚住町から高砂市の阿弥陀町に至る延長十二・五キロメートルの自動車専用道路で、五カ所のランプが設置されております。  御指摘の加古川市野口地先の前後には、加古川東ランプと加古川ランプが三・五キロメートルの間隔で設置されており、加古川市野口地先からは、加古川バイパスの側道を経由してバイパスへ乗り入れることができるようになっております。既設の二つのランプの中間に新しいランプを設けることにつきましては、ランプ間距離が短くなることによる交通安全上の問題も考えられますことなどから、ランプ新設につきましては今後慎重に検討したいと考えております。
  264. 塩田晋

    塩田分科員 野口地区のこのランプにつきましては、今言われましたような事情もわかっておりますが、交通が非常に混雑している両方ランプの中間ですね、そこに上りだけでもランプをつければかなりの交通混雑緩和になるということを申し上げているわけでございまして、引き続き前向きでひとつぜひとも検討をお願いいたします。  第六点でございますが、加古川流域下水道の関係でございます。これは既に小野地区の黍田で処理場が着工に入っておりますし、おかげさまで着々進んでまいっております。しかしこの地域、全体的には非常に下水道の整備がおくれている地域でございます。  なおまた、終末処理場につきましてまだ決定がなされてないという状況の中で、ぜひとも文化のバロメーターと言われる下水道の整備、そしてまた、この地域の各都市の公共下水道の整備促進をお願いしたいと思います。これについてお伺いいたします。
  265. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘の加古川流域下水道につきまして、特におくれております下流の処理区につきまして御説明申し上げたいと存じます。  加古川下流部の水質保全等、生活環境の改善を図るため加古川市等の二市二町の区域を対象として整備を進めているわけでございます。現在その処理場位置の決定のための環境影響評価調査実施中でございまして、調査終了後この評価作業を行いまして処理場の位置を決定する予定と聞いております。処理場の位置の確定後に所定の手続を行いまして事業着手をするわけでございますが、早期に事業着手できるよう兵庫県を指導してまいりたいと存じております。  なお、明石市の公共下水道につきまして、明石駅を中心とした船上処理区と市の西部の二見処理区を中心整備が進められておりまして、現在、特に朝霧処理場の整備と船上処理区内のポンプ場の整備並びに環境整備促進しているところでございます。  高砂市の公共下水道につきましては、高砂駅南部地区が概成し、伊保処理区について昭和五十九年七月の供用開始を目途に処理場の建設と環境整備に力を注いでいるところでございます。今後とも効率的な整備を行いまして、早期に下水道の普及が図られるよう指導してまいる所存でございます。
  266. 塩田晋

    塩田分科員 最後に一つ具体的な問題で、これは要望しておきます。  加古川大堰の問題でございますが、昨年九月の大雨の際、上荘橋の下流、右岸の方で一時堤防決壊のおそれがあるということで非常に心配されたことがございます。これは加古川大堰の建設との関連で補強が必要ではないかということを聞かれておるのでございますが、そういった必要があれば、調査していただいて、ひとつその対処をしていただきたいと思います。これは要望しておきます。  最後に、建設大臣にお伺いいたします。  今申し上げましたようなことは、いずれも公共事業に関連する問題でございまして、公共事業費が財政難の折から非常に抑制的に推移してまいっております。我々は、公共事業の大幅増ということによりまして、公共事業を一つの大きなてことして景気の回復、経済の発展を考えて主張しておるわけでございまして、これにこたえて建設大臣、公共事業費の追加増額につきまして、どうかひとつ今後とも格段の御努力をお願いしたいと思いますが、大臣の所見を伺いまして質問を終わります。
  267. 水野清

    ○水野国務大臣 大変ありがたい御激励のお話をいただきました。御承知のとおり五十九年度予算を現在審議をお願いしておりますが、財政投融資資金とかいろいろなものをかき集めまして、ようやく前年度並みという公共事業費を確保したわけでございます。  今御指摘があったとおり国際的には、輸出型の、輸出による景気浮揚ということでなくて、もっと内需を刺激して内需による景気浮揚ということを要望されている最中でありますから、公共事業費をもっと伸ばしたい、こういう考え方を持っております。しかし一方では、日本の公共事業費の多くが公債に依存をしておりましたり、財政全体からいうと非常に難しい状態にある。現在の財政の中では、五十九年度予算が公共事業費が前年度並みという予算を組めだということも、他省庁の御理解もあったことであろうし、与野党問わず、そういう御要望をいただいて、御支援をいただいたたまものであったと私は思っております。補正予算をどうするかというようなことは、今、本予算をお願い申し上げているわけでございますから、そういうことを申し上げるのは不謹慎なことでございますし、まだいかんとも考えるべき方向ではないわけでございますが、今後とも適切な弾力的な物の考え方に立って対処していきたい、かように思っております。
  268. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  269. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、大阪府和泉市で今行われております和泉丘陵ニュータウンの開発問題についてお伺いをしたいと思います。  今までニュータウン開発では、大阪では泉北ニュータウン、千里ニュータウン、それから東京では多摩ニュータウンあるいは千葉ニュータウンというふうに、さまざまなニュータウン開発が行われてきました。必ずしもその開発が全部だめであったなどと言う気はありませんけれども、しかし、その開発の中でさまざまな問題が提起されてきたことも事実であります。私は、新たな開発をするに当たって、この和泉丘陵のニュータウンに対しては、そういう過去のニュータウン開発の中からやはり教訓を酌み取っていかなければならないと思うわけです。  そこで、まず第一に、これまでのニュータウン開発について、どういう教訓を酌もうとしておられるのか、建設省にお尋ねをしたいと思います。
  270. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お答えいたします。  ニュータウン事業のうち先ほど先生のおっしゃいました泉北、千里は私どもの施行ではございませんで、東京では多摩ニュータウンであるとか、港北ニュータウンであるとかを施行しているわけでございます。したがいまして、ニュータウン全体につきましてどうこうということを私どもの方から申し上げるわけにはまいりませんが、公団事業におきましては、在来の地域社会との融和、防災あるいは教育その他全般の都市機能の充実といったような点につきまして、従来から十分意を用いているところでございます。ただ、いろいろな点がございまして、時代も推移してまいりますし、若干、その時代時代の要請に伴って計画上修正を要する部分もあるかというふうに思っております。
  271. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、ニュータウンの開発で、今までを振り返って非常に大事だなと思うのは、その既存の町ですね、既存の町全体の発展、そこに住んでいる人たちが住みよい町づくりとして恩恵を受けていくというのですか、寄与していく、そういうものでなければならない。これが和泉丘陵のニュータウンの中でも、ぜひ貫かれなければならないと思うわけです。  私は、たまたま大阪府企業局の開発しました泉北ニュータウンに住んでおりますが、とにかく周辺の町と非常に違和感がございまして、確かにその泉北ニュータウンはぴかぴかと新しいわけですが、従来住んでいたその町の人たちは何か谷間に追い込められたような気分になる。あるいは堺市全体の住民にとってみれば、泉北ニュータウンができたということがどういうふうなかかわりがあるんだというような気分を持たされる、こういうような問題があるわけです、  そういう点からいえば、この和泉市の丘陵開発にいたしましても、今現在和泉市は人口十三万ですが、今度のこの開発によりまして三万二千人人口がふえると言われているわけです。したがって市全体の様相もこの開発によって大きく変わってまいります。だからこの開発に当たっては、私はやはり、単に隣接区域の人たちだけじゃなしに、もちろん、その人たちの意見というのは非常に大事ですが、市全体の様相が変わるのだという点で、市民の意見、そこに住んでいる人たちの意見というものに十分耳を傾けていくということが不可欠の条件だと考えるわけですが、公団としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  272. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お話の和泉丘陵地区の開発でございますが、これにつきましては御承知のとおり昭和四十八年の和泉市の開発基本構想というのがございまして、それに基づいて、新しい都市機能の増加の要請にこたえるための市街地の整備ということが一つの柱になっているわけでございます。私どもの仕事は、御承知のとおり府、市による都市計画によりまして、法定の仕事、法律によって定まった仕事として行っているわけでございます。  この都市計画の決定の手続でございますが、これは地元大阪府、和泉市におきまして、審議会等、その他法律上の所要の手続を経て、地元の意見を取り入れて決定されているわけでございます。私ども、まだ法律工事業施行者となっているわけではございませんけれども、事業認可で公団が事業者となりました暁には、こういうような計画に沿いまして地域発展に寄与するような整備をしてまいりたいと思っております。
  273. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 都市計画の手続を経て行われるということはよく知っているわけです。しかし、一体この和泉中央丘陵にどんな町ができるのか、その町に対して、私はこうでありたいといろいろ願う市民の声、それはもちろん市議会の中でも出されているわけです。出されているわけですが、それが公団にどういうふうに反映されているのかな、反映されていないのじゃないだろうかという不安だとか不満だとかいうのも非常に大きいわけです。都計審で、確かにそこで初めて意見が出されたんだというような気持ちさえするぐらいのところで出されたわけですが、これはもう区域設定だとか、そういう非常に大きなところですから、そこの意見だけで十分酌み尽くされるというものではないわけですね。  一方、和泉市は、きょう私はここに「広報いずみ」という市の広報を持ってまておりますけれども、これはことしの三月に出されたものです。本当にすばらしい夢の町のようなことがずっと書かれているのですが、そうなるのだろうか。これに対しても、確かめたい、あるいはもっと意見を言いたい、そしてバランスのとれた町づくりを進めてもらいたいという、この意見の反映の保証というのは、具体的には今の御説明でも私よくわかりませんし、もう少し絞って、市民の意見をどういうふうに具体的に酌み上げようとされているのか、その辺をお答えいただきたいわけです。
  274. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 公団の都市開発事業につきましては、この和泉地区に限らず、一般的に地元と二人三脚で仕事をするという姿勢でやっております用地元と相提携しながら町づくりをしていくという基本姿勢は、すべての地区に貫かれているわけでございます。  ただ一方、そうは申しましても、事業の協力者としての地元という立場もあるわけでございますし、地元で逆に果たしていただかなければならない役割もあるかと思います。この和泉地区につきましては、約五十人ほどの各学校区から選出されました委員の方々によって、地元の開発対策委員会というのがございます。そういう委員会で地元の御意見を集約しながら、この開発をまとめていくというふうな体制をとっておられるように聞いております。このような委員会の御意見等も、十分事業施行者となりました段階では承りながら、十分地元の御意見を取り入れながら仕事をやりたいというふうに思っております。
  275. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 この各校区につくられている開発対策委員会というのは、三百七十ヘクタールの用地を買収するために協力を求めなければならない地主さんたち関係の校区の委員会なんです。もちろん、もともとそこに住んでおられた方ですから意見を尊重するのは大いに大事なことです。ただ、今までの経緯からいえば、用地を買収するために必要な、そういう場所として圧倒的な役割を果たしてきました。だから、これがあるから、意見を聞いているというふうに思われては、ちょっと現地の感覚と合いません。  こればかり言っていても仕方がありませんから次に行きますけれども、しかし私は、もう一度お約束をいただきたいわけです。幾ら何でも、市議会に直接公団が行って意見交流をしていく、これくらいの積極さは見せていただかないと、今までと同じ轍を踏んでいくのではなかろうか。こういう点で、一言だけで結構です、次へ行きたいですから。
  276. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 ただいま先生のお話のありました、開発対策委員会は用地買収のためではないかというのは、従来はそうでございます。昨年の九月に対策委員会の改組がございまして、町づくりを主眼とするというふうに対策委員会の性格に変更があるわけでございます。  それはそれといたしまして、先生の御質問の御趣旨を踏まえて今後仕事を進めてまいりたいというふうに思っております。
  277. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 その用買の方も九〇%方進んでいったわけですね。そして今回、都市計画決定を市の段階で済ませていくとともに、市から公団にこの用買の仕事というのは移っていっているというふうに聞いております。未買収の部分というのはまだ一〇%ばかり残っているわけでありまして、問題は、この地域の住民は、新住法の適用によって、土地収用法に基づく強制執行というようなものが行われるんじゃなかろうかという点で非常に心配をしているわけです。私は、そういうことのないように、あくまでも住民との話し合いによって民主的なニュータウン建設が進むように、この点、公団も十分わきまえる必要があると思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  278. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  先生は、ただいま未買収地一〇%とおっしゃいましたけれども、二〇%程度でございます。約八〇%の買収が済んでいるわけですが、これまで地元の方々に大変御協力をいただいてきたわけです。現在も鋭意買収につきましての交渉を続けてきているわけでございますが、今後とも引き続きまして、先生が申されましたように誠意を持って話し合い、できるだけ双方の合意のもとに用地を取得できるように努めてまいりたい、そういう考え方でおります。  しかしながら、未買収者どこのように一生懸命に話し合いましても、万が一と申しますか、時には同意が得られないということがございます。そういう場合には、やはり新住宅市街地開発法は区域の全面改修事業でございますので、したがいまして、そういう場合に、やはり場合によりますれば収用手続に入ることも考慮せざるを得ないというような場合もあるかと存じます。しかし、できる限り合意で用地が取得できるように最大限努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  279. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それは最大限誠意を尽くして精いっぱい努力をするということが原則でして、真ん中の部分というのは要りませんよ。  このニュータウンの都市計画決定を見ますと、決定には足、大量輸送の鉄道の延伸がまだ計画されていないわけなんです。そして、もし足がなければ、まさにこれは欠陥ニュータウンということになるわけでして、これはもう大変な問題なんですね。その点で私は将来的にも非常に公団の責任が厳しく問われる場面が出てくるというふうに考えます。今どう探しても、この都市計画の中にも出ていない。しかし一方では鉄道は延伸されるんだと言われている。この鉄道の延伸の問題についでどのように考えているのか、明らかにしていただきたいわけです。
  280. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お答えいたします。  和泉中央地区の開発に伴います鉄道の導入ということにつきましては、人口の定着、都市の熟成の段階に応じて、基本的には鉄道を導入することが必要であるというふうに私どもも考えております。公団といたしましては、鉄道の延伸につきまして国、府、市あるいは鉄道事業者等とも関係機関と十分協議いたしまして、実現に向けて努力してまいりたいというふうに思っております。
  281. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 さっきお見せしましたこの「広報いずみ」に「華やぐまちづくり鉄道延伸と交通網の整備」こういうふうに書いてあるわけです。市の新聞ですがね。だから期待はもう非常に大きいし、できるということを前提にして、いろいろ市民に、それこそ協力を訴えているわけですね。多分先ほどの八〇%の用地を売った人たちも、そういうことを非常に期待して協力をしているわけです。だから、人口の定着だとか都市の熟成だとか、卵が先か鶏が先かみたいなことで、そろばんばかり弾いておくれをとっていったら、これは非常に大きな裏切りになる。その点で公団は十分責任を受けとめて取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから市の基本計画を見ますと、ここは研究学園ゾーンだということを全面に打ち出しているわけです。この研究学園ゾーンというのがちょっとよくわからないのですね。これはどういう考え方なのか。そしてまた、これは公団としてどういうふうに責任を持っていくお考えなのか、この点明らかにしていただきたいわけです。
  282. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お答えいたします。  研究学園ゾーンと呼ばれているものにつきましては、これも先ほど申し上げました昭和四十八年の和泉市の基本構想というものに原点があるわけでございます。そういう構想が下敷きになりまして土地利用計画等が詰められているわけでございまして、一般的に申しますと、こういう大学を初めとする研究所等の研究学園ゾーンというのは、ニュータウンづくりにつきましても重大な意味を持っているというふうに考えておりまして、私どももその具体化につきまして、和泉市を初め関係機関と十分協議して進めてまいりたいというふうに思っております。
  283. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 こういう問題があるから、なおさら市民の意見を聞いていくということは非常に大事になってくるわけでございます。  もう一つの問題は、この新聞でメーンになっているのは、良好な生活環境を目指して森林の保存あるいは緑豊かな魅力ある町づくりということで「緑とうるおいのある街づくり 二一世紀に向かって」これが大きなキャッチフレーズになっているわけですね。  私は都計審に諮られた議案書というのを見せていただきました。これを見ますと、この地域の公園緑地用地は一一・四%です。間違いありませんね、一一・四%なんです。先ほど私、泉北ニュータウンのことを申し上げましたけれども、泉北ニュータウンというのは、今でも必ずしも住民は、ここが緑豊かなそういう町だというふうに認識しているかということになりますと、非常に疑義が出てくる状態なんですが、ここの公園緑地は、この和泉丘陵と同じ面積の地域、光明池地域というところが公園緑地二二%とっております。泉北ニュータウン全体で、三つのあの台で平均して二二%、そして光明池地域も二二%なんですね。だからキャッチフレーズの割に何だというような気持ちがするわけなんですが、こういうことは非常に大事な問題でございます。この点についてはいかがなものでしょうか。
  284. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お答えいたします。  先生お話しの光明池の二二%と申しますのは、光明池という例の農業のかんがい用水池が地区の中にかなりの面積を占めています。したがいまして、非常に緑地率が高いというふうなことがございます。  私ども一般的に都市開発昭和三十年以来やっておりますけれども、公園緑地率というのは初期には五・六%程度のものでございます。最近に至りまして九・七、約一〇%近いというのが各地区の状況でございます。これは国の緑のマスタープランその他につきましても大体十分充足している、あるいは諸外国の水準に対しても、そう見劣りのしない水準でございます。  一方、緑地につきましては、いろいろ将来の維持管理の問題もあります。それから町づくりと緑地との関係では、町のにぎわい、活気といったような面との関連もございます。あるいは町の保安上の問題もあるわけでございます。そういった点もございますので、適正な緑をできるだけ効果的に確保していくということにおいては、私どもも努力をしていきたいというふうに思っております。
  285. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 泉北ニュータウンは光明池だけじゃないのですよ。栂地域も泉ケ丘地域もいずれも和泉丘陵の一一・四よりも多いのです。だから、こういうようなことから考えると、いろいろ理屈をつけられてもなかなか納得が得られない。キャッチフレーズと随分違うじゃないかというふうに思うのは当然のことであります。  この問題はまた今後のこともありますので、これにとどめますが、大事なことは防災問題なんですね。上の方はよくなかった。しかし従来の谷間の方は河川がはんらんして大変だというようなことは、泉北ニュータウンでも嫌というほど経験をしてきました。そして結局、泉北ニュータウンという町ができ上がってから後追いで、河川の改修がずっと今日もなお進められているわけです。こういうことは絶対に繰り返してはならない。特に和泉丘陵は松尾川と槙尾川と二つの小さな川、しかも非常に蛇行の多い川がございます。ここに集中をしていくだろうという点で、防災対策は万々怠りなく、これはむしろ町づくりよりも先行してやっていくという点で、建設省にも大いに力を入れていただかなければなりませんが、この点についてはっきりしておいてほしいわけです。
  286. 台健

    ○台政府委員 御指摘のように町づくりにとりましては安全性ということは一番大事なことでございますので、私たちもそのように指導しているわけでございます。  御指摘の和泉丘陵地区につきましても、関連する河川が未改修の部分が多く、造成に当たりましては十分な防災措置を講ずる必要があるというふうに考えております。これから都市計画法あるいは新住法に基づく手続が進むわけでございますが、その段階で、事業実施に当たって地元の河川管理者等とも十分協議し、また必要な防災措置を講ずることができるように指導してまいりたいと思っております。
  287. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 最後になりますが、大臣、今までずっと私は非常にはしょってお尋ねをしてきましたので、十分御理解いただけたかどうか。私が言いたいのは、最初に言いましたように、そこの開発されたニュータウンだけが飛び上がった存在になって、従来の町と融合していないというのですか、バランスがとれていない。それは周辺だけじゃなしに、その小さな市全体にとっても、町づくりにかえって違和感が生まれてくるというようなことをしてはならない。そういう点では、何といっても住民の意見を聞いていくことが非常に大事だ。それは用買に必要な対策委員会などという関連する範囲の声だけではなしに、やはり思い切って市民の声に耳を傾けていくということが大事じゃないかということを強調したつもりであります。  そういう立場に立って、私は幾つかの問題で力を入れてもらいたい問題点をただしてまいりました。特に、不可欠な鉄道問題、これはどうしても国としても責任を持って対処していただきたいわけです。形はどういうことになりますか、これからでしょうが。新住宅市街地開発法第四十四条を見ますと、建設大臣は今回のニュータウンのような新住宅市街地開発事業に関する都市計画を定めるときには、あらかじめ鉄道などの輸送施設の配置の観点から運輸大臣の意見を聞かなければならないというふうに定めております。そういう点から見ましても、今回のこの鉄道の問題はあくまでも責任を持って対応していただきたい。河川の改修はもちろんです。そして住民の意見の問題、この三つの問題について最後に大臣から御決意をお伺いして終わりたいと思います。
  288. 水野清

    ○水野国務大臣 先ほど来、住宅都市整備公団の理事や建設省局長からお答えいたしました。取りまとめて私からも意見を申し上げますが、この和泉丘陵地区の住宅都市整備公団の事業は、大阪府と和泉市と一緒に、先ほど二人三脚と申しましたが、三人四脚でやらしているというふうに私は思っております。不十分なことだというおしかりもあるようでございますが、それは一層やらしていきたいと思っております。  周辺との調和の問題、これは実は私の千葉県でも、千葉ニュータウンというばかでかいものを県が始めて、さらに住宅都市整備公団に手伝ってもらっている事業をやっておりますが、確かに周辺との問題は非常に大事であります。むしろ新しく来た人は大変恵まれた設計の中の都市環境に住めるわけでありますが、昔からいる人、我々は先住民族と言っているのでありますが、先住民族は何をやっていいかわからない。昔は農業をやったり小さな商売なんかをやっておりましたけれども、大型店舗は出てくるし、農業はできないし、土地は売ってしまいましたし、そういったような問題も出てくると思います。これは住宅都市整備公団だけにやらせるというのはちょっと酷な話でありまして、建設省でやるのか、あるいは通産省の中小企業庁とか一部は労働省とか他省庁、国土庁その他を含めて総合的に考えてやっていかなければいかぬことだと思いますが、確かに藤田先生のおっしゃるように総合的に考えていかなければいかぬことだと思っております。  それから鉄道輸送の問題は、先ほどもお答えをしておったようでございますが、人口がある程度定着しませんといかぬのでありますが、鉄道の延伸ということは計画的には考えているようでございます。  それから河川など防災の問題、これも仰せのとおりであります。いままで山林であったり畑であったものが住宅になってアスファルトが敷かれれば、河川なんかの流量その他も変わってくるわけでありますから当然のことでございますが、大阪府、和泉市ともどもによく御意見を聞かせて総合的に、二人三脚と申しましたが三人四脚でやるように監督をしたいと思っております。
  289. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 時間が参りましたので、終わります。
  290. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。     〔山下(徳)主査代理退席、清水主査代理     着席〕
  291. 永井孝信

    永井分科員 道路計画の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  まず初めに、第九次道路整備五カ年計画昭和五十九年度は第二年度に当たるわけでありますが、道路整備方針について概略、大臣から聞きたいと思います。
  292. 水野清

    ○水野国務大臣 第九次道路整備五カ年計画は、国民生活の向上と国民経済の健全な発展を図るために、日常生活の基盤としての市町村道路から国土構造の骨格を形成いたします高速自動車国道に至るまでの道路網を計画的に整備をするということでございます。  昭和五十八年度以降五カ年間の道路投資額としては総額三十八兆二千億予定をしております。この計画においては、道路交通の安全を確保する、生活基盤を整備する、生活環境の改善を行う、国土発展基盤の整備及び維持管理の充実に係るいろいろな施策について計画的かつ効率的な推進に努めていくというつもりでございます。
  293. 永井孝信

    永井分科員 三十八兆に及ぶ予算が一応計上されているわけでありますが、道路予算の規模と内容については、ここで詳しくお聞きする時間はございませんけれども地方で生活を支える道路については、その中でどのように対応されようとしているのか、基本的な考え方を。
  294. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 地方道の整備に当たっては、広域的な生活圏の形成に必要な都道府県道及び日常生活の基盤となる幹線市町村道等について整備推進しているところであります。しかしながら、昭和五十七年度当初における地方道の整備状況は、都道府県道の整備率は四四・五%、市町村道の改良率は二九・六%となお低い水準にありますので、今後ともバス路線、防災、震災対策のための生活確保路線、地域生活に不可欠な各種施設との連絡道路などの整備重点として地方道の整備推進に取り組んでまいりたいと考えております。
  295. 永井孝信

    永井分科員 そこで、具体的な問題でお聞きをして恐縮なんでありますが、私が日常常に車で走る実情のわかっているところの問題についてお聞きをしてみたいと思うわけでございます。  せんだって、昨年の九月に私どもの地元では集中豪雨がありまして、大変な河川はんらんで水害を起こしました。そのときには、迅速に激甚地災害の指定をしていただいて感謝を申し上げているわけでありますが、たまたまその水害のあった当日でありますが、私は兵庫県の南部から北部へ仕事の関係で、集会に参加するために南北の道路を使って中国山脈を越えようとしたのですが、ついに丸一日かかって越えることができなかったのです。それは、中小と言ってもいい本当の小さな川がはんらんしただけでありますが、すべての道路が崩壊してしまって九二日間くらいは南北は完全にシャットアウトということになりまして、結局二日目に私は大阪まで出て、大阪から遠回りで目的地へ行くという経験をいたしました。当時の問題を見てわかりますように、兵庫県の南部の話でありますが、南北道路の建設促進というのは実は悲願になっているわけであります。  ちなみに申し上げてみますと、東西の国道とかあるいは高速道路は、不十分さはあっても整備されておりまして、ちょっと指折り数えてみますと、まず国道二号線がある。自動車専用道路でありますが国道二号線のバイパス道路がある。国道二百五十号線が走っておって、二百五十号線のバイパスとして同じく国道で名姫幹線と呼んでおりますが、そういう東西道路が走っておる。そうして高速道路の中国縦貫道路が走っておる。加えて三百七十二号線という国道が走っておる。これは全部東西なんですよ。この東西が、それぞれの国道国道の間は間隔は狭いのでありますが、集中して私の地元を東西路線は延びている。膨大なトラックやマイカーの走行量なんですね。  だから、ここからどういう問題が起きてくるかというと、毎日の新聞に全国の交通事故死者の数を統計資料であらわすものが出ておりますけれども、残念ながら兵庫県というところは、毎年交通事故死の数の上においてはいつもワーストファイブに入っておる。既にことしも現在ワーストファイブに入っているわけですね。これは主として東西の交通量が激しいから、それぞれの東西の幹線と幹線を結ぶ主要地方道とか一般地方道の上で起きてくるわけです。大臣、そういう情景は頭で考えていただいてわかると思うのですね。そういうことから、この南北道路というものは非常に大きな悲願になっている。これについて地元の兵庫県あるいはそれぞれの各自治体からも毎年のように南北道路の整備拡充ということが要請をされているはずでありますが、そのことについては道路局長どのように受けとめていらっしゃいますか。
  296. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 兵庫県において南北道路、特に四車線の幹線道路が必要だということにつきましては、私たちも十分認識いたしておりまして、そのため一般国道百七十五号線、これは明石から舞鶴に至る国道でございますが、これについては一応二車線でできておりまして、交通混雑しておるような区間から現在四車線化の事業を進めており、全線四車線化するための調査等もあわせて実施しておるところでございます。  また、そのほかに播但有料道路がございまして、これもやはり南北道路として将来全線が供用したときに大きな役割を果たしてくれると考えております。  そのほかいろいろな県道等もございますので、そういうものを活用しながらひとつ南北交通の確保に努めていきたいと思っております。
  297. 永井孝信

    永井分科員 もう一つは、交通事故死者が全国に比して非常に多いという原因は、私どもの地元兵庫南部というのは、神戸市あるいは大阪市という政令都市のベッドタウンになっておるわけです。だから国勢調査のたびに異常なと言えるほど人口のふえる地帯なんです。人口がふえるということは集中的に住宅開発が行われていくので、どこへ行っても新しい団地というものがどんどん一年ごとに目をみはるばかりに変わっていくところなんです、私の地元というのは。  これは選挙をやる者は常によく経験することですが、選挙区を回りますと、選挙のたびに道路が変わってしまっている。主な道路は変わっていないのですけれども住宅地がどんどんできるものですから、道路とは無計画住宅地が民間の手で開発されるから、その住宅地に迷い込んだら出られないというところが枚挙にいとまがないのです。その住宅地の開発と、国や県が行う道路行政とは必ずしも結合していない。それは行政が悪いというよりも、行政とかかわりなく開発していく方が問題があるのかもしれませんけれども、そういう問題についても建設省自体はもっと地域の生活の改善とか、環境を維持するために十分な配慮をして道路計画というものを立てるべきだと思うのでありますが、これは大臣どうでありますか。
  298. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 住宅宅地と道路を初めとする建設省のいろいろな公共施設とは大変密接な関係がございますので、建設省の中に住宅宅地関連の協議会が設けられておりまして、関係局長がみんな委員となり、年何回か開催されて、公団関係の理事さん等もお呼びして、その協議会で、私の立場であれば普通の一般の道路事業でそのものを応援するほかに、関公費と申しまして、一般にいろいろな公共事業に必要なものに使える、そういうものが約千億ほどございますので、そういうものについての配分などもその場で調整して、住宅宅地に関連する公共施設の円滑な提供、供給に努めているところでございます、
  299. 永井孝信

    永井分科員 この地域の生活というものを十分配慮して、これからも建設省の立場から、十分に地方自治体との連携をもって扱っていただきたいと思うのであります。  そこで、この南北道路に絞ってさらに御質問申し上げてみたいと思うのでありますが、今道路局長が言われましたように、百七十五号線というのが走っているわけです、明石から舞鶴まで。これはバイパス計画が随所にありまして進捗率もかなり進んではきているのでありますけれども、まだまだ不十分であります。これは当然道路関係予算が、緊縮財政下であってももう既に着工しているものでありますから、これは早急に進めてもらいたいということがあるのですが、あわせて、主要地方道であっても一般道であっても、県道と国道の関係において、国道でないがためになかなか整備が進まないという面が現実にあります。  そこで私の地元で言いますと、南北道路で国道と言えるものは百七十五号線がわずかに顔をのぞかせている程度でありまして、あとはほとんど県道、それも一般県道と主要地方道なんですね。ところが、この国道への昇格問題というのは、地元でこれまた大変な悲願になっているのですが、一向にその問題が進んでいかない。国道になろうと主要地方道のままであろうといいのでありますが、要は、地域の住民のニーズにこたえて道路がよくなっていけば、あるいは交通事故がなくなるような安全施策が随所にできていけば、国道であろうと県道であろうと構わないのでありますけれども、現実には国道であれば比較的そういう施策がとれやすいものがとりにくいという面があるものですから、地元で例えば主要地方道に高砂北条線というのがあるのですが、この高砂北条線というのは県下で一番古い主要地方道でありまして、そういう主要地方道の国道昇格という問題については、これから先展望があるかどうか、ひとつお答えいただけませんか。
  300. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道のネットといたしましては、将来計画として約五万キロ余を考えております。このうち現在既に一般国道に指定されたものが四万キロメートル少しございます。したがって、長期計画としてはまだ国道昇格は今後とも実施していかなければならない課題であると考えており、前回の国道昇格は二年前だったかと思いますが、従来から大体五年、六年間隔でこの国道昇格を実施しておりました。しかしながら、こういう財政事情でございますので、既に昇格したものについての整備がおくれておる関係上、従来のペースでの国道昇格は行われないにしても、長期計画の上で国道昇格というものは必要であり、今後とも実施しなければならないというふうに考えております。
  301. 永井孝信

    永井分科員 そこで、最前から東西の幹線は随分あるというお話を申し上げました。中国縦貫というのがあるのですが、これは日本道路公団が管理をしておるわけでありますけれども、この中国縦貫ですね、加西市というところにインターチェンジをつくってもらいたい、これは当時どなたでしたか、大臣は斉藤大臣でしたか、そのときでありましたけれども、私も直接大臣にお会いをして、そのインターチェンジの設置についてお願いをしたことがございました。これは一応事業計画としては決定をしていただいておるわけです。  この加西インターチェンジ、もちろん事業計画策定をした以上、一日も早くこのインターチェンジを完成させてもらいたいのでありますけれども、これが完成しますと、私が今申し上げました高砂北条線というものに集中的に車両がなだれ込んでくる、こういう実情が想定されるわけですね。現在も南北に幾つか道路が県道として存在しておりますけれども、一番混雑しているのはこの高砂北条線という主要地方道なんだ。  ここについては、これまた建設省にも大変な御無理を申し上げまして、鉄道との立体交差などについては現在工事を進めてもらっています。道路の拡幅もしてもらっています。これは国道二号線と国道二号線のバイパスの間だけでありまして、長さにすればわずかに五、六百メーターでしょうか、その程度しか実は今工事の対象になっていないわけですね。そうして私は交通事故が多いと申し上げましたけれども、この高砂北条線という県道を持っている警察署管内というのは、また兵庫県で一番交通事故の多いところでありまして、それは道路の実情が余りにも劣悪であるがゆえに私はそういうことになってきていると思うのですね。これは警察の責任でもなければドライバーの責任でもない、やはり私は道路にその根幹があると思うのですね、原因として。  そこで、この高砂北条線の今行っている工事をさらに具体的に延長をして改善をするということを、地元からも要請が毎回上がっていると思うのでありますが、これについて今後の事業計画としての見通しを道路局長、ひとつ。
  302. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 主要地方道高砂北条線は、東播地区の臨海部と内陸郡を南北に結ぶ幹線道路であります。本路線は全線改良済みでありますが、加古川市内、特に国鉄山陽線踏切付近におきまして著しい交通混雑を生じているため、この解消を図るべく、国鉄山陽本線棚田下踏切及び一般国道二号との立体化事業を実施しておるところでありまして、鉄道との踏切は六十一年度を、一般国道二号との立体化は六十三年度を目途に鋭意事業を進めているところであります。  さて、さらにその区間を北の方に延長することについてでありますが、昭和五十五年度からのゼロシーリング、さらに昭和五十九年度のマイナスシーリングによりまして、新規事業特に一次改築が終わりました区間の拡幅、バイパスなどの二次改築の新規事業は著しく制約せざるを得ない状況にありますので、高砂北条線のバイパス整備につきましても、東播地域の南北幹線道路であります他の主要地方道高砂加古川加西線とか、あるいは主要地方道加古川小野線などをも含めて、その整備方針検討するための調査が必要であります。昭和五十九年度から兵庫県においてそのための調査を進めるというふうに聞いておりますし、そういうものを踏まえてこれからの整備方針を立てていきたいというふうに考えております。
  303. 永井孝信

    永井分科員 今道路局長は、私が指摘いたしました主要地方道高砂北条線の関係については一応全線改良済みだ、こう言われた。何を根拠に改良済みだと言われるのですか。
  304. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一次改築が完了したと申し上げました。一次改築と申しますのは、道路構造令に一応合致した道路が整備されていること、言いかえれば、自動車が対向車線で来た場合お互いにずれ違える幅員が確保され、その上に舗装がされているということでございます。
  305. 永井孝信

    永井分科員 これは道路構造令に基づいて対向車とすれ違いができるというお話がございました。すれ違いの絶対不可能な箇所があると私は申し上げません。しかし現実は、そんなに対向車がすれ違える状況にはないのですよ。これは現地へ行ってもらったらわかるのですがね。私はかつて交通安全対策特別委員会から委員会派遣で視察をしましたときに、この地域も視察をしたことがあるのですね。私の地元でありますが、視察をしたことがあります。そのときには建設省の担当者も参加してもらっておったのでありますが、この実情は極めて厳しい状況にある、いわばひどい状況ですね、ということは当時認識をして帰ってもらっているのです。  どういう状況か。今対向車がすれ違えるということでありましたが、えらい小さい細かい問題で失礼でありますけれども分科会の性格上許してもらいたいと思うのでありますが、例えば荷物を持って歩行者が歩くときに、車線側に荷物を持てば間違いなくはねられるのですよ、荷物を引っかけられるのです。だから、荷物を持つときは必ず道路の外側の方に荷物を持たないと、うかつに道路が歩けないぐらいの状況なんですよ。それはどういうことかというと、一般の乗用車ならいいのですけれども、その地域は建設工事の砕石の運搬が非常に激しいところでありまして、大型ダンプが通る、大型バスが通る、そして今申し上げたように、中国縦貫と国道あるいは国道バイパスとのつながり、あるいは海岸線に大企業が林立をしておるわけでありますから、その間の物資輸送で大変な大型トラックが走るのです。トラックの方が大き過ぎて道路の実情に合わないのです。だから、この人家がある町内ではしばしば、大型が来ると待避をしなくては交差できない。大型同士がすれ違うことは全く不可能な状況なんです。  ところが、現実はどうかというと、そこを立ち退きをさして安全施策を進めるために道路を拡幅するということは現実はなかなかできないのですよ。歩道をつけることも、人家のないところは幾らかつけました。一番危険なところはなかなかつけることができないのですよ。  そういう状況であるだけに、今道路局長が言われたように、この予算シーリングの関係からいいましても極めて厳しい制約をせざるを得ない、こういうのでありますが、これだけ、四千四百万台もトラックや自動車が走っているときに、免許証の所有者が四千九百万人にもなっているときに、幾ら予算が厳しいからといっても、まずその安全施策を進めるための施策というのは最優先されるべきではないか、そういう立場で私はお聞きをしておるのです。  ですから、今言われたように、これから五十九年度に県が検討に入るというのでありますけれども、しかし、この県の検討というものが具体化されたときには、迅速にそれに対応してもらえるのかどうなのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  306. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 私申し上げましたのは、一次改築が終えているということを申し上げましたので、大型車等が非常に多く通っている現状から見れば、二次改築が必要な時期に来ておると思います。  ただ、この地区におきましては、高砂北条線のみならず、先ほど私が申し上げましたように、高砂加古川加西線あるいは加古川小野線などの主要地方道もあるわけでございまして、こういうものを同時に二次改築して、拡幅したりバイパスをつくっていったりというわけにもまいりませんので、こういう路線の中でどういうものを先にやっていくかというようなプライオリティーも含めてのいろいろな調査をこれから県でやっていただくことになっております。そういうものを踏まえて、これから順次二次改築を実施していきたいと思っておるわけでございます。
  307. 永井孝信

    永井分科員 具体的に一つ要望しておきたいと思うのですが、北条高砂線というのは、今言われたように、高砂と同じ北条との間でも全然設置箇所が違う県道もありますし、小野へ抜ける道もあります。もちろんいずれも改善が必要でありますけれども、私が今指摘しているように、北条高砂線というのは、極めて使用度が高い、交通量が頻度が高い、危険度が高いということなのですね。  そこで、その北条高砂線に、いわゆる国道二号線のバイパスと、そこから北の加西市までの間に、この際バイパスをつくろうということから、都市計画としては十七、八年になると思うのでありますが、計画があるのですよ。ところが、これは予算の関係とかいろいろな関係があって、まだ事業化されていないのですけれども、このバイパスの新設ということについては、地元からも強い要望が、毎年自治体から県にも出されているし、県の方からも国の方に上がっているはずなのですね。このバイパスを設置する、整備するための条件というものは幾つかあるようでありますけれども、やはり緊急的にそういう事情を考慮して改善しようとすれば、何十キロという長距離間ではありませんので、市街地のバイパスぐらいは優先的に対応することがあっていいのではないかと思うのでありますが、これについて建設省、そういう計画があることを御存じか、あるいは計画があるものについて、これから事業化の可能性があるのか、これについてお聞きしたいと思います。
  308. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 今、先生のお話のありました計画は、あることは存じ上げております。当初四十年三月に決められ、四十九年に変更されておるわけでございます。ただ、大変残念なことでございますが、やらなければならないこのような道路が大変多うございますので、その中で、予算を最も効率的に、何とかして少しでも皆さん方の御要望に応じたいということから、こういう同様な道路についての事業実施をしていく上のプライオリティー等について、各県でいろいろ調査をしていただき、その上で、その結果を踏まえて、順次プライオリティーに沿った形で事業化をしておるわけでございます。そのための調査を五十九年度から兵庫県で実施することになっておりますので、その調査結果を踏まえて、これからの事業化を検討してまいりたいと思います。
  309. 永井孝信

    永井分科員 その検討の中で十分な御配慮をいただきたいと思うのでありますが、私が冒頭に申し上げましたように、兵庫県というのは、常にワーストファイブに入るような交通事故の多いところ、これは幾ら警察の方に努力してもらっても、それだけで解消できないのですよ。地元の者にすれば、これだけ東西の幹線がたくさんあって、集中的にのど首のようにそこに集まってきているわけですから、その幹線間を、それぞれ大企業が林立をする工場地帯もあるものですから、その間の自動車輸送が非常に頻度が高いということから交通事故が必然的に多発をする。そこに生活の基盤を持っている者にすれば非常に迷惑な話なのですよ、極端に言えば通り抜けの車も多いことですから。そうすると、今の道路行政の中で、そういうところについては集中的に改善策をまずとっていくということがあってしかるべきだと私は思うし、そういう視点から対応してもらいたい、これを強くお願いしておきたいと思うのです。     〔清水主査代理退席、山下(徳)主査代理着席〕  同じ東西の関係で言うなら、明姫幹線というものが、国道二百五十号線の幹線があるのですが、この二百五十号線だって全部用地買収は済んでいるけれども、現実に一車線ずつの対向二車線ということで、現在、工事が中途半端なままに終わって、非常に交通渋滞が激しい、こういうこともありますから、そういう用地買収が一〇〇%全部完了しているところなどについては、早急に四車線にしていくような努力をお願いしたいということを、あわせて申し上げておきたいと思うのであります。  もう一回繰り返しますが、交通事故多発の汚名をそそぎたい。そしてその生活基盤がそういう交通事故の多発地帯によって侵されることのないようにしてもらいたい。そのためには私は特定の具体的な例を挙げて、ここで問題提起をしているわけでありまして、特段の御配慮をお願いをしたいと思うのでありますが、大臣のこれからの取り組みに対する姿勢を一言お聞きして、終わりたいと思います。
  310. 水野清

    ○水野国務大臣 ただいま先生から、この加古川市周辺の道路の、特に東西間の道路があって、南北がなくて、それによるいろいろな交通事故の多発、その他の御事情を御説明いただきました。今、道路局長が申しましたように、なるべく今後、加古川市周辺の交通網の問題につきましては、努力をいたしますように督励をいたします。
  311. 永井孝信

    永井分科員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  312. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  313. 草川昭三

    草川分科員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  まず国土庁にお伺いをいたしますが、実は、東海環状都市帯構想というのが昭和五十七年の六月に、国土庁大都市圏整備局、これは建設省、通産省、運輸省、それぞれ各省庁にまたがった一つの大きな未来構想でもあるわけでございますが、中部東海地域というのは、東京圏及び京阪神圏の両国とともに、わが国の三大都市圏の一つでございますけれども、非常に中央に位置するという絶好の地理的な優位性もあるわけでございまして、開発余力があるというのでさまざまな調査をしておるわけでございますが、その中からひまわり計画というものが出てきておるわけでございます。このひまわり計画策定の現状はどうなっておるのか、まずお伺いをしたい、こう思います。
  314. 白兼保彦

    ○白兼説明員 お答えを申し上げます。  東海環状都市整備計画につきましては、先生、先ほど指摘のように、五十七年度から二カ年の予定で国土庁建設省等五省庁で、いろいろな地域整備方向産業振興都市基盤整備、もろもろの調査実施しておりまして、現在、本年度末を目途に、計画としての取りまとめを進めていこうということで、作業を進めているところでございます。
  315. 草川昭三

    草川分科員 特に、この策定に当たって、いろいろな立場というのですか、スタンスがあると思うのでございますが、産業から交通網あるいは都市機能、さまざまなところに及んでいくと思いますけれども、基本的な問題というのはどのようなところに置かれているのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  316. 白兼保彦

    ○白兼説明員 この中部東海地域、愛知県、三重県、岐阜県という三県を指しておりますが、当該地域での課題と申し上げますと、まず一つは、先生御指摘ございましたように、当該地域は非常に工業の集積度が高いところでございます。伝統的な産業から輸送機器とさまざまな産業が展開いたしておりますが、今後の技術革新また需要者のニーズ、そういうものに対応していくためには、まず工業機能の高度化、それから複合化、こういうものをまず進めていかなければいけないというように認識しております。  それから、二番目の認識といたしましては、この名古屋市、それから名古屋市を周辺に取り囲みます諸都市、これらの連携を密にしていく。それから地域間交流を活発化していく。またこれが先ほど申しました第一の課題にこたえるためにも非常に重要なものでございますが、これにこたえていくための交通体系整備を図っていくということでございます。  それから三番目に、当該地域、我が国の第三の人口産業等の集積をしている圏域ではございますが、それに比べまして総体的に管理機能、それから都市的なサービス機能というものの集積がまだまだ不十分でございます。これらの集積を図っていくということであろうかと思います。現在関係省庁と、先ほど申し上げましたように、計画の取りまとめ作業を進めておりますが、以上申し上げました三つ観点を基本的姿勢としまして、現在作業を進めているところでございます。
  317. 草川昭三

    草川分科員 今、産業あるいは交通網、都市機能、いろいろとおっしゃいましたが、一口で言うならば、中部全体を見ましても、自動車産業が一番大きなウエートを今までは占めてきたわけでございますが、これを除きますと、産業的な活力も非常に弱いわけであります。  そこで、これは県なり国の方もいろいろとお考えがあるわけでございますが、目の細かい実際の現場の実情というものをぜひ理解をしていただきたいと思うのです。私どもも最近後援会を歩いておりますと、IC関係等の非常に急速に伸びている企業が、中部圏から離れまして、例えば長野県だとか北陸等の工場団地に誘致をされていく例が多いわけであります。どうしたことかというので調べてまいりますと、これは非常に卑近な例でございますけれども、新しい工場が急速に伸びた。ところが、例えば従業員用の駐車場がない、手続が地方自治体では非常に面倒なことがある、農業委員会等いろいろなことがある。県なり国の方はベンチャービジネスとして育成は言っておるのだけれども、末端のところでは動きがつきませんから、思い切ってそこから離れて他の地域の工場誘致に行ってしまうという例が随分あるわけであります。これは一つの卑近な例でございますけれども、わかりやすい例でございますが、ひとついろいろな機能を改めて考える場合には、現場、まあ現場という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、本当の末端のニーズというものをどこかでキャッチをしていただいて取り組んでいただくような機能、そういう計画というものをぜひつくっていただきたいということを、大変大きな構想でございますので、細かいことを申し上げるようでございますが、その接点の意見というものをぜひ反映をするように策定計画なりに入れていただきたいということを要望しておきたいと思います。これは第一番の問題であります。  続いて建設省にお伺いしたいわけでございますが、都市帯構想と言われる大きな交通網の中で、特に東海環状道路というのがあるわけでございますが、これは既に何回か議論にもなっておりますし、要望も出ておるわけでございますが、この大きな都市帯構想に言われる環状道路というものは、どういうような形で対応をされていくのかお伺いしたい、こう思います。
  318. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 先生今お話しの東海環状道路は、名古屋市の周辺三十キロメートルから四十キロメートル圏に位置する諸都市を相互に連絡する延長百六十キロメートルの幹線道路の計画でありまして、名古屋市を中心とした中京圏の均衡ある発展を図る上で極めて重要な役割を果たすものと考えております。  このような観点から、ただいま国土庁から御説明があったところでありますが、東海環状都市整備計画調査の成果など地域整備方向を踏まえまして、昭和五十九年度から新たに大規模特殊事業計画調査として、この東海環状道路の調査に着手したいと考えております。
  319. 草川昭三

    草川分科員 続いて、その一環ではございますけれども、名古屋港のところに名港西大橋、それから名古屋港をまたぎます中央大橋、それからさらに名港の東大橋というのが出てくるわけでございますけれども、まず名港西大橋の進捗状況についてお伺いしたい。
  320. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初に、名港西大橋の進捗状況等でございますが、名港西大橋は名古屋港の金城埠頭と西二区埋立地を結ぶ中央径間四百五メードル、橋長七百五十八メートルの斜長橋であり、港湾地域に発生集中する交通を処理するとともに、名古屋市の周辺を取りまく全長六十六キロメートルの名古屋環状二号線の一部を形成するものであります。  本橋梁は、昭和五十四年度に日本道路公団の一般有料道路として、またその取りつけ部の高架橋は、直轄国道事業として着手し、以来順調に進展しておりまして、昭和五十九年度の完成を目途に現在鋭意事業を進めておるところであります。
  321. 草川昭三

    草川分科員 そのとおりでございまして、それで問題は、それだけでは港にかけるわけでございますから非常に不十分でございますから、計画としては、名港の中央大橋という、これは大変大がかりな事業になるわけでございまして、千五百六十メートルでございますか、非常に大きな橋になるわけでございます。これが現在の事業実施に向けていろいろな、もう一つ名港東大橋というのもあるわけでございますが、見通し等についてお伺いをしたいわけでございますが、地質等から考えて果たして基礎構造物を受けとめることができるのかどうか。従来の設計では、これはつり橋方式ですか、それできておるわけでございますので、どのような形で今後この事業が伸びていくのかお伺いをしたい、こういうように思います。
  322. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 名港中央大橋及び名港東大橋は、事業中の名港西大橋とともに、名古屋環状二号線の一部を形成し、名古屋周辺の交通需要に対応するとともに、都市機能の向上に資する重要な幹線道路であります。  中央大橋と東大橋につきましては、現在調査実施しているところでありますが、西大橋に比べ航路空間が大きく、大規模な構造物となること、海上部であって地質が極めて悪いことなどから設計、施工上解決すべき問題点も残されておりまして、さらに技術的な調査を進めていく必要があると考えておりますが、架橋の可能性につきましては、地質が悪ければ悪いに対応した橋梁形式を選定するとかいろいろ技術面で対応できますので、そういう面の現在調査、勉強をいたしておるところでございます。  今後、調査の進展を踏まえまして、財政事情等を勘案しつつ事業実施の時期や事業主体など、その整備方針について検討していきたいと思っております。
  323. 草川昭三

    草川分科員 今、事業主体なり整備方針の変更もあるとおっしゃっておられますが、一応現在発表されております中央大橋の設計は、引っ張る、いわゆるつり橋方式になっておりますけれども、これを名港西大橋のような形に変えるようなことにもなるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  324. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 名港西大橋は現在斜長橋で実施しております。これができると世界一の長大径間かと思っておりますが、それに対しまして名港中央大橋はつり橋形式を考えております。と申しますのは、斜長橋形式ですと、少しの地盤等あるいは基礎等の変動に上部工が大きな影響を受けやすいものでございますので、そういう影響が少なくなるつり橋タイプのものをこの名港中央大橋で検討しておるわけでございます。
  325. 草川昭三

    草川分科員 つり橋方式で橋げたは十分もつ地盤なのか。あるいはつり橋方式の橋げた、いわゆるその基礎構造物ですね、それが耐え得ないという答弁ではなかったのですか。その点、どうですか。
  326. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 これはつり橋でもいろいろなタイプがございまして、その両側を大きなコンクリートをつくって、それで完全にアンカーする方式、また逆に補剛げたというものがありまして、それがケーブルでつられて橋梁、つり橋を形成するわけでございますが、それの反力を補剛げたに一部持たすとか、内部不静定構造にするとか、いろいろな方式がございますので、そういう方式の中で、基礎地盤の弱いもの、換言すれば、少しの変動があっても、橋梁上部工において影響が余り及ばないような、そういう形式のものをあわせて検討していかなければならないと考えております。
  327. 草川昭三

    草川分科員 では、この問題はそれでおきまして、今度は北部の方へ行きますけれども、名古屋空港と小牧インターというのがございますけれども、この名神高速度道路の小牧インターと名古屋空港とを高速度道路で、高架橋で、これは国道といいましても四十一号線のことでございますけれども、第二環状線まで高架専用部の設置をしたらどうだろうかという要望が実は愛知県の方にあるわけでございます。これは名古屋空港への利用者も非常に増大をしておりますし、この周辺に名古屋市の台所というべき豊山市場という大きな市場が開設をされまして、交通渋滞が非常に早朝から続いておるわけでございます。名古屋空港への交通アクセスの整備検討を、これは地元の方でも特に県が中心になってやられておるわけでございますけれども国道四十一号線の拡幅工事を早期に完成させて、拡幅をした四十一号線の中央につくって、今申し上げました名神高速の小牧インターチェンジから名古屋空港へ直接利用者を運んだらどうだろう。こうしますと、名古屋市内の方々も名神を通って非常に楽に名古屋空港の利用もできるというようなこともあるわけでございまして、非常に熱心に県の方では議論がなされておるわけでございますが、その点はどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
  328. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道四十一号の名神高速道路小牧インターチェンジから名古屋環状二号線、今、先生空港までというお話もございましたが、名古屋環状二号線に至る区間の交通混雑対策としては、現在の四車線を八車線に拡幅する計画となっております。このうち名古屋環状二号線から名古屋空港入り口である主要地方道、春日井稲沢線までの区間につきましては、昭和五十八年度中に拡幅事業を完了する予定であります。残りの区間の拡幅につきましても、主要交差点などから逐次事業化を進めていきたいと思っております。  したがって、当面はこの四車線を八車線に拡幅することによって交通需要に対応してまいりたいと思っておりますが、御指摘の高架専用部の設置につきましては、長期的な課題として検討、勉強させていただきたいと思います。
  329. 草川昭三

    草川分科員 これは愛知県の方から建設省の方に要望が出ておると思うのですが、出ておるかどうか、まずお伺いします。
  330. 水野清

    ○水野国務大臣 昨年、本年の予算編成期におきまして、愛知県知事から、あるいは愛知県選出の多くの国会議員の先生方から、先ほど来御質問のございました東海環状道路につきましても、また西大橋につきましても、現在、先生が今御指摘の小牧インターから名古屋の環状二号線に至る区間の道路の整備につきましても、陳情もいただいておりますし、いろいろと何遍も御説明を承っております。
  331. 草川昭三

    草川分科員 承っておられると思うので、名古屋空港へ、空港直接ではございませんけれども、四十一号線の改善については今鋭意努力がされておるわけでございますけれども、ぜひ高架橋で設置をするということは非常に大きな問題でもございますし、要望も強いわけでございますから、ぜひこの地元の要望というものを大臣は受けとめていただいて、確かにあすからとか来年度の予算からというものではございませんけれども、もう少し理解を示すとか、何らかの御答弁があってもしかるべきだと思うのですが、その点、もう一押し質問をしますが、どうでしょう。
  332. 水野清

    ○水野国務大臣 ただいま道路局長から申し上げましたように、この空港に至る道路の問題については、現在、四車線を八車線に拡幅する計画をやっております。  それから、環状二号線から空港の入り口である主要地方道春日井稲沢線までの区間につきましては、今年度じゅうに拡幅工事を完了する予定になっております。これは御説明申し上げたとおりであります。  ところで、残りの区間の拡幅についても、主要交差点などから逐次事業化を図っておりますが、御指摘の高架専用道路をつくれ、こういうお話につきましては、確かにお話はわかっておりますが、来年度から着工とか再来年度から着工ということでなければ、ひとつ長期的な課題として取り組ましていただきたい、こういうふうに思っております。
  333. 草川昭三

    草川分科員 ぜひ長期的な課題として前向きで取り組んでいただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、これもやはり名古屋の北部の方でございますが、名古屋鉄道、名鉄の小牧線というのがあるのでございますが、これは北部の新しい住宅開発等で非常に大きな輸送力を持っておるところでございますが、実は名古屋市内への乗り入れというのですか、ジョイントができておりません。非常にわずかな区間でございますが、上飯田という地点でとまっておりまして、名古屋市の地下鉄の七号線の建設を本来は急いでいただければ一番いいわけでございますが、なかなか名古屋市の方も予算等の関係がございまして、地下鉄七号線の計画路線というのがまだ明確になっておりません。  そこで、これも愛知県が議会の中でもいろいろな議論があるわけですが、知事としても、七号線の完成を待っているには時間がかかるので、部分開通などケース・バイ・ケースで取り組みたい、特に第三セクター方式というので当面必要な一部を建設するのも一つ考え方だ、費用の一部負担も考えていることを示唆した答弁が議会の中でもあるわけでございますが、これは運輸省が受ける側になるわけでございますけれども運輸省は、もし第三セクター方式で申請がなされた場合に、免許申請についてどのような受けとめ方をされるのか、お伺いをしたいと思います。
  334. 水田嘉憲

    ○水田説明員 お答えいたします。  名古屋市の鉄道のネットワークを考えた場合に、御指摘のように、名鉄の小牧線と地下鉄を結ぶということは非常に重要なことでございまして、運輸省といたしましても、運輸省都市交通審議会におきまして、十四号答申として既に昭和四十七年に答申をしておるわけでございます。私どもといたしましても、特に上飯田と地下鉄を結ぶ部分につきましては非常に重要視いたしておるわけでございます。  先生御指摘のとおり、ここ名古屋の市交通局におきましては、現在、六号線の整備をいたしておりまして、七号線までなかなか手が回らないという状況でございます。特に予算の問題とか工事能か等の問題がありまして、おっしゃるような状況でございます。  そこで、今後この路線を第三セクター方式で整備したらどうかということ、まあ一つのアイデアかと思います。ただ、この第三セクター方式で建設する場合におきましても、工事資金の調達の問題、さらには助成が必要なわけでございますが、何らかの助成を行う場合の財政当局との調整の問題、さらには工事採算性の問題、事業採算性の問題というふうなこともあろうかと思います。私どもといたしましては、こういう問題をよく勉強いたしまして、先生おっしゃるような要請もあわせて検討いたしまして、適切に対応したいというふうに思っております。
  335. 草川昭三

    草川分科員 ぜひこの問題は、一番最初に申し上げました東海環状全体の大きな構想の中にも組み込まれてしかるべきものでございまして、今、採算性の問題の御心配が若干あったようでございますが、これはどういう形であろうと、採算性は十分カバーできる将来の展望はあるのではないか、こう私は思っておるわけでございますので申し上げたいわけですが、もう一言、この第三セクター方式のいろんな申請というものについて、この場合は別として、一般論としてお伺いするわけでございますが、運輸省としては、このような最近の現状の中では、第三セクターとしての申請は望ましいものではないだろうかと思うのですが、そのものについて、一般論としてのお答えを願いたいと思うのですが……。
  336. 水田嘉憲

    ○水田説明員 第三セクター方式の場合の方が公営でやる場合よりは若干国の出す予算等が少なくなるんじゃないかという議論もあろうかと思います。ただ、その場合におきましても、現在のゼロシーリングまたはマイナスシーリングというような財政状態でございまして、そこら辺の財政当局との調整が残っておるんではなかろうかと思っております。今後そういう問題、助成の問題等も踏まえまして対応してまいりたいというふうに考えております。
  337. 草川昭三

    草川分科員 ぜひ今のような点についてはお願いしたいわけでございますので、十分検討していただきたいと思います。  そこで、時間がないので、最後に暫定調整池のことについて、これは建設省にお伺いをいたしますが、新しいデベロッパーというのですか、地域開発が出てまいりますと、非常に雨水調整の暫定的な保水事業というものが必要になってくるわけでございまして、この五十九年度の予算に、私どもの選挙区の豊明市の方に、境川の支流に調整池というのですか、そのこれは新しく第一号というのですか、できたようでございますが、その点についての計画をお伺いしておきたい、こういうように思います。
  338. 井上章平

    井上(章)政府委員 特定保水池整備事業につきましては、五十九年度に新しい制度として発足しようとしておるものでございます。先生がお話しになりました境川の稚池調整池でございますか、これにつきましては、その適用第一号として予定されているものでございます。これは既設の暫定調整池でありますものの容量増を図りまして、恒久施設として利用するための改良工事を実施し、それに対して補助をしようというものでございます。  具体的な内容といたしましては、現在の調整池の容量が六千立方メーターでございますが、これを約二倍の一万二千立方メーターにするほか、池底の掘削工事、洪水吐け、オリフィスの設置等をこの事業で実施することを予定いたしております。
  339. 草川昭三

    草川分科員 これは全国で何カ所やられるわけでございますか。
  340. 井上章平

    井上(章)政府委員 新しい制度でございまして、五十九年度はとりあえず三カ所について実施する予定でございます。
  341. 草川昭三

    草川分科員 ぜひこのような調整池の整備ということは、これからも非常に重要なことだと思うので、今後一層の拡充をお願いを申し上げたいということを私は特に要望しておきたいと思います。  それから最後に、これは国土庁になりますが、つい最近、国土庁の方から半島振興の問題の懇談会等ができておりまして、いろんな提案が出ておるわけでございますが、これは知多半島との関係を含まれておるのかどうかお伺いをして、私の質問を終わりたい、こういうように思っております。
  342. 桝原勝美

    ○桝原説明員 草川委員の御質問でございますが、半島振興問題につきましては、去る二月二十一日懇談会を発足させ、来る三月十六日第一回の会合を開催し、今後検討を進めていくという段階でございまして、その際、立ちおくれている半島の問題を検討すると同時に、一方、半島につきましては、観光資源寺恵まれた特性も有しておるわけでありますから、この両面から検討を続けていかなければならないという基本的姿勢にあろうかと思いますが、現段階におきましては、全国の半島、二十七府県の四十四半島につきまして、各個別に問題点を洗い出しておる段階でございまして、知多半島が具体的にどうかという段階には立ち至っておりませんので、御了解を賜りたいと思います。
  343. 草川昭三

    草川分科員 時間が来たようですから、これで終わります。どうもありがとうございました。
  344. 山下徳夫

    山下(徳)主査代理 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に岡崎万寿秀君。
  345. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 私は、大都市問題として最近緊急の課題になっている都市水害対策と、それから大団地の駐車場問題について質問したいと思うのです。  最初に都市水害の問題ですが、御承知のように、今、第六次の治水五カ年計画が進行中です。建設白書を見ましても、都市河川対策の強化ということは重点項目の一つに挙がっていますけれども、しかし、集中豪雨や台風による水害というのは一向に減少していない。これは都市化というのが即コンクリート化になっていまして、そういう点では極めて重要な都市水害対策問題を提起しているように思うのですね。  東京都の調査によりましても、五十三年から五十七年までの五カ年の間、これは五十五年を除きますけれども、集中豪雨が七回、台風が三回、その総浸水面積というのは五千五百ヘクタールになっています。また延べ床上浸水は二万二千五百二十四棟にもなっているわけです。例えば品川などを流れています目黒川流域、この五反田地域の住民の声ですけれども、たび重なる浸水で商品はぬれるし、コンピューターつきの機械はだめになるし、製品も大半はだめになる、このままでは倒産してしまう、根本的な対策はできないか、こういう声も耳にします。  そこで、私も東京都の河川部長等にも会いまして、水害の実情を調査してみました。そうしますと、最近の都市水害というのは、河川の水があふれて出る溢水はんらんより、かえって流域における内水洪水といいますか、下水道からあふれ出るとか、鉄砲水のように低地に水が集中してくるとか、そういうのが増大しているわけです。先ほど挙げました総浸水面積の八九%、総床上浸水の六九%が何とこの内水洪水によるということがはっきりしています。この河川改修事業、これはおくれていますけれども、これを急ぐとともに、このような状況を考えると、それとあわせて流域における雨水対策、これをより重視して急ぐ必要があるということを痛感するわけです。  そこで、建設省に聞きますけれども、来年度の予算の中で河川改修事業の予算と、それから流域における雨水対策、貯留浸透事業の予算、それぞれどのくらいになっていますか。
  346. 井上章平

    井上(章)政府委員 来年度の予算都市河川として実施いたしますものはいろいろな種類がございますが、トータルいたしますと千七百八十七億円余でございます。これは前年度に比較いたしましてほぼ同額でございます。それから貯留浸透事業といいますのは、実は五十八年度から新規に事業化されたものでございますので、五十九年の事業費といたしましては三億六百万でございます。これは前年に対比いたしまして三倍でございますが、何分にも始まったばかりの事業でございますし、金額も少額でありますので、大幅に増額したという事情でございます。
  347. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 河川改修事業費一千七百八十七億、これ自体も決して多いわけではございませんけれども、それに比べて、今私が重要性を指摘しました雨水対策の方、三億六百万円ですか、これでは総合治水対策にはなっていないと思うのですね。流域貯留浸透事業の予算が余りにも少な過ぎる。これはどなたでもお認めになることだと思います。また現在進められている河川整備状況も、時間雨量五十ミリに対応したものであって、まだまだ不十分なものでありますし、さらに下水道からの河川への雨水の流出率も高まる一方でございますので、それだけに流域における雨水対策を抜本的に強化しないと都市水害は治りませんね。そういう点で、住民が安心して暮らせる町をつくっていくということには、いまの治水対策というのはまだまだほど遠いように感じるわけです。  そういう点で、関係者の努力は多としますけれども、しかし総合治水対策のためには、建設省としても総予算は三兆九千七百億あるでしょう。この中で、先ほど言いました数からいってもまだ二千億にも足りませんので、大型プロジェクトや産業基盤整備の公共投資など、こういった費目を多少回してでも、大都市の盲点になっている、いわばコンクリート化の犠牲と申しましょうか、こういう水害対策に思い切った予算措置を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょう。
  348. 井上章平

    井上(章)政府委員 都市河川対策につきましては、現行の第六次五カ年計画におきましても最重点課題として取り組んでおるところでございまして、残念ながら財政事情のために予算はそれほど増大いたしておりませんが、私どもといたしましても、最大限の努力を今後続けてまいりたいと思う次第でございます。  特に、先生の御指摘にありましたように、河川改修もさることながら、保水・遊水機能といいますか、流出増大を抑制し、あるいはそういった事業を一層制度化する必要があるのではないかということでございますけれども、これにつきましても、やっと近年そういう機運になりまして、それぞれにお願いいたしまして、あるいは県、市町村などが非常に熱心に取り組まれまして、全国各地で始まったばかりでございます。したがいまして、多くの場合は、そういった局地的な地域防災対策のための事業といたしまして地方公共団体が取り組んでおるわけでございまして、私どもといたしましても、五十八年から流域貯留浸透事業を発足させまして、これを核にいたしまして、積極的にこういった流域における保水・遊水機能の確保のための事業を一層進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  349. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 重点項目というにしては余りにも予算が少な過ぎます。それから重要性を指摘される割には、流域の雨水対策というのは取りかかるのが遅過ぎたように思います。  建設省昭和五十五年五月十五日付で都道府県知事あてに「総合治水対策の推進について」という文書を送られていますね。それはそれで結構でございます。しかしそれならば、こういう都市河川の流域にあるみずからの土地、国の庁舎や施設や国道や国鉄、公団の用地など、こういうところでどのくらい貯水浸透工事をやられているのか。私は、やられていないとするならば、まず隗より始めよ、直ちに着工すべきでないかというふうに考えるわけです。私も目黒川流域を視察しましたけれども、浸透性の舗装とか透水ますなどはそれほどの予算がなくてもできるものですね。そういう点で例えばの話ですが、目黒川流域の例をとりますと、国道十五号線もあるし、国道一号線も走っています。また国鉄大井工場のアパートもございますし、こういったところには早速にでも遊水、保水あるいは浸透のそういう施設をつくるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  350. 井上章平

    井上(章)政府委員 流域貯留浸透事業につきましては、先ほど説明申し上げましたように、昭和五十八年度から発足した事業でございまして、目黒川流域の鳥山工業高校等六カ所で実施をいたしております。さらに五十九年度につきましては、三億六百万円をもちまして新規に十八カ所に着手することといたしております。
  351. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 それは知っていますよ。まず隗より始めよと言っているのです。自分のところでやる意思があるかどうかと言っているのです。それはほかの方に被害を及ぼすわけですから、国の施設がまずやるべきじゃないですか。
  352. 井上章平

    井上(章)政府委員 学校のグラウンドあるいは公園などの公共公益施設を利用いたしましてこの事業は始められております。ところで、こういった貯留浸透対策は、河川の上流域でありますほど効果が大きくなるという問題があります。またその流域内における位置関係もさることながら、確保されるべき広さあるいは経済性等を考慮して適地につくる必要がございます。こういったことで公団住宅や、ただいま先生からお話のありましたような国の施設におきましても、ただいま申し上げましたような適当な条件の場所があれば、既に公団住宅については実施いたしておりますが、これらの施設管理者とも協議いたしまして、積極的に進めるよう今後とも検討してまいる所存でございます。
  353. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 そういう施設については積極的に対応したいということでございますので、それはぜひ進めてもらいたいと思いますが、建設省の出している今の事業が、予算の都合もありますけれども、それほどまだ効果を発揮してない理由の一つは、この事業の採択基準が五百立方メートルの貯留機能を持つ工事にのみ限定されているわけですね。しかし、大都市の場合は過密状態でして、こういう広い土地がなかなか見つかるものじゃないわけです。だからこういう点では、貯留浸透事業を住民の立場に立って広範にやっていこうとするならば、まずこういう基準そのものをもっと弾力的に考えていく必要があるように思うのです。品川区の場合ですけれども、五十九年度の予算として区が独自に西五反田に職員寮の庭を利用して一千五百立方メートルの雨水貯留施設をつくるために二億九千万円も予算を計上しているわけです。これなどは本来国の方から補助すべきだったと思いますけれども、余りにも国の予算が少ないために、申請を見合わしたというように話を聞くわけです。  それで建設省にお伺いしますけれども、今後は雨水対策の問題については予算をもっとふやし、それから採択基準をもっと弾力的に運用するなど補助の枠を広げて、こうした事業からの申請があれば、できるだけ国としてもこたえていくという姿勢が必要ではないか。それほど都市水害の問題というのは深刻だし、単に河川改修だけではなくて、今時におくれているこういう流域における雨水対策に重点を置いてやる必要があると思いますけれども、大臣の所見はいかがでしょう。
  354. 水野清

    ○水野国務大臣 ただいま岡崎議員からお話がありましたように、都市河川の対策というのは、ややおくれておった感があります。しかし、今局長から申し上げましたように、新規事業を起こしたり、いろいろなことでようやくこれを追っかけているという段階になってまいりました。本日もこの委員会で多くの委員の方から、それぞれの地区の都市河川の問題の対策を、急を要するという御指摘をいただきました。それを受けて、ひとつ今後対処していきたいと思っております。
  355. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 採択基準の見直しといいますか、弾力的運用についてはいかがでしょうか。
  356. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほど来から申し上げておりますように、この制度は発足したばかりでございます。ところで、総合治水対策のお話がございましたが、総合治水対策ということで、治水対策を河川改修だけでなしに、流域においても、それぞれの地先で雨水をためて洪水の流出増大を防ぐというのが総合治水対策のそもそもの考え方でございますが、こういう考え方自身が比較的新しいと申し上げますか、それまでは治水対策はすべて河川改修、河川改修を進めることが洪水防御対策、こういうふうな社会の認識があったわけでございます。それにつきまして、今日ようやくこういう状況になりましたので、私どもといたしましては、できるだけ効率のよい事業としての採択をしていかなければならない。大小いろいろなそれぞれについて効果はあると思いますが、やはりある程度の規模以上でございませんと、下流の河川改修への効果というような形で結びついてまいりませんので、私どもの補助の採択としましては、おのずから限界がある、それがただいまお話ございましたように五百立方メーターであるというふうに御理解いただきたいわけでございます。まず、この事業はまだスタートしたばかりでございますので、全国に潜在的な需要が非常に多いと私ども思っておりますので、この採択基準のもとで事業拡大を図ってまいりたいと思います。よろしく御理解のほどお願いいたします。
  357. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 都市が過密化していますので、そういう広い地域はなかなかないわけです。ですから、この採択基準についても十分弾力的に運用されるよう再度検討されることを希望したいと思うのです。  時間の都合もありますので、次の大団地における駐車場問題に移ります。  大都市でこういう大団地が建設された場合、さまざまな問題が発生しているわけですけれども、わけても駐車場の確保というのはその重要な一つだと思うのです。今、問題になっているのは東京湾の埋立地、品川区の八潮団地の問題です。これは住宅都市整備公団を中心に都営その他五千二百四十六戸が建設されることになっている。今二千数百入っている状況ですね。都内有数の大規模な団地ですが、この駐車場が圧倒的に足りない。そういう点で入居者の間から深刻な意見、不満が噴出しているという状況で、この問題は緊急を要する問題だろうと思うのです。管理組合の中には、多額の借金をしてみずから二層式の駐車場をつくるようなところも出てきていますし、これから五千世帯余入るとなればますます深刻な問題になってくると思います。  そこで、公団の方に聞きますけれども、分譲価格や賃貸価格との接点で、駐車場を戸数の三〇%分にしたという経過は了承します。しかしそれにしても、ここは湾岸道路や京浜運河に囲まれていますし、ほかに駐車場を求めようとしても求められない、タクシーもほとんど通らない、いわば陸の孤島なのですね。こういうところに大団地をつくる場合は、三〇%の駐車場では大問題になるということは当然予想される問題であったと思うのです。この特殊性についての理解が欠けていたのじゃないか。  それに、私ここにパンフレットを持ってきましたけれども、なかなか結構ずくめのPRなのですね。「ふれあいのMY・TOWN」ということで「人と車が調和する、ふれあいの街」決してこれは調和していないと思うのです。また「生活施設も整って、快適な暮らし」「交通便利」今の生活施設の中で駐車場問題は基本ですよ。整っていないし、交通も不便ですよ。こういう宣伝をしながら集められているわけですが、初めに駐車場問題の深刻さを多少書いてありますけれども、やっと探しで見つけ出すようなところです。内陸部と違った足の不便さ、これは入居希望者には初めからはっきりと認識させる必要があったと思うのです。こういう事態になった責任は重大だと私は思います。そういう点で、公団側はこの深刻な問題についてどう認識され、自覚をされておるのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  358. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 この計画はもともと東京都の港湾局の埋立事業で始まった計画でございまして、そこの中の約四十ヘクタールにつきまして、先生御指摘のように、東京都、東京都の住宅供給公社、雇用促進事業団あるいは勤労者住宅協会というようなところで共同で住宅建設をやるということでスタートしております。当初の計画段階で当然そういった東京都等との打ち合わせの中で計画が決められるわけでございます。先生御指摘のように、駐車場が必要だ、あればあるほどいいのだということは、これは事実でございます。しかし、実際の私どもの、限られた都市の中、大都市の中での貴重な土地を使って国民に住宅を供給していくという立場になりますと、できるだけたくさんの住宅を建てたい、そしてまた高層化してまいりたい、それが、先生も御指摘になりましたが、家賃の低廉化あるいは分譲住宅価格の引き下げということにもつながるわけでございます。そういうことで、全体計画の中で私ども、四十ヘクタールでございますが、公園、学校、いろいろな施設をとりますと、住宅として使える土地、住宅の建てられる土地というものが約半分ぐらいの二十二ヘクタールでございます。そこに五千二百戸の住宅を建設するということでございますから、一戸当たり住宅用地として使っている土地が四十平米ちょっとというような格好になってまいります。したがって、その範囲内でいかに駐車場をたくさんとるかという計画を立ててまいりまして、平面だけでは足りないで、一部立体式にしたところもございますが、それでようやく三〇%を確保できたというようなことでございます。したがいまして、先生の御趣旨もよくわかりますが、我々もやはり住宅供給と駐車場の設置をどのところでタイアップさせるかというようなことで日ごろ悩んでおりますが、この場合はまあ三〇%を確保できたということで御了承いただきたいというように私どもは考えております。
  359. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 事情はわかりますよ。しかし、また問題が深刻なこともおわかりになっているわけでしょう。私はそこだと思うのです。昨年来入居者の間からこの問題は次々と公団などにも申し出があっているはずだし、当然公団としても、住民の要求の切実さを考えて、この駐車場問題を考えるための積極的な打開策を講ずべきであったと思いますけれども、今までのところそれが具体化していないように思うのです。  そこで私は、住民の方々のいろいろな要望もありましたので、具体的に視察もしました。その上に立って提案をしてみたいと思いますが、この八潮団地に隣接している港湾道路など高架になっていますので、その下に相当の空白地があります。これを駐車場に活用するために最大限の努力を公団側としてやる必要があると思いますけれども、いかがでしょう。
  360. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 現在湾岸道路の立体交差のところに、高架道路の下がございます。これにつきましては、一部は東京都の港湾局の所管になっておりまして、そういう関係でいろいろ御相談申し上げているわけでございますが、いわゆる構造上の問題と、それから交通の安全の問題、この両面から見て非常に困難であるというような御意見を伺っております。そういうことで、私ども必要性はわかりますが、なかなか解決が難しいというように考えております。
  361. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 それは国道の方でしょう、交通上の問題というのは。もう一つの港湾道路という略称、その下はそういう交通上の問題ではそう面倒なことはないはずなんですよ。ですから、とにかく積極的な姿勢で臨むかどうかということなんですよ。こういう深刻な問題が起こって、そちらの方がイニシアチブをとられない状況のもとで住民の方々と一緒に土地を探し、ここならいけそうだという形で提案しているわけですね。そういうことについて前向きに努力されるかどうかという点です。
  362. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 なお引き続き、そういった問題につきまして道路の管理者等とも、できるだけ何とかならぬかというような形で接触を持ちたいというように考えます。
  363. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 いろいろと努力をすればできないわけじゃないと思うのです。私どもはさらに京浜運河、このところに、団地の横ですので、例えば桟橋式の駐車場など考えれば、それほどの経費もかからずに駐車場をつくることができると思いますが、こういう検討はできませんか。
  364. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 これは東京都の港湾計画なり都市計画の中で、京浜運河沿いには、先生御承知と思いますが、いわゆる河岸の公園的な遊歩道を設けまして、ここには車を通さないという基本計画がございます。そして、そこを住民の方々が軍の心配なしに散策されるという、いわゆる河岸公園的な使い方をするんだという基本構想がございます。したがって、その川側に桟橋式に駐車場をつくる、これは物理的には不可能ではございませんが、そういう基本構想のもとでつくられた計画でございますので、それを無視してやるということは私は事実上不可能ではないかというように考えております。
  365. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 河岸公園も結構なんですよ。しかし、とにかく深刻な足の問題なんですね。ですから構想は構想でしょうけれども、やはりこういういろんなアイデアを出し、そして住民の人たちが、できるだけ駐車場を本当に何とか再建してほしいという要求があった場合は、その構想についてもさらに練り直し、そういう遊歩道ということも必要でしょうけれども、遊歩道ならばこそ多少はどこからか通るところを設ければ不可能じゃないと思うのですね。     〔山下(徳)主査代理退席、亀井主査代理着席〕 ですから、あれはだめこれはだめという姿勢ではなくて、前向きにこういう問題も検討してみるという姿勢でないと打開は望めないというふうに思うのですね。その点再度検討されるかどうか。  私は、時間の都合がありますから、あわせて言いますけれども、中央部分の八潮公園、ここも視察しますと、もう大分公園ができつつありますけれども、長期的な視野に立つならば、これは五千数百世帯入るのですが、必ず大問題になりますよ。こんなところに人はいっぱい押し込むし、入ったところが駐車場は十軒のうち三軒しか持てないという状況でしょう。だから、できるだけいろんな方途をめぐらしてつくるということを考えて、地下駐車場なども考えてみてはどうかと私は考えましたけれども、しかし維持費その他もあるでしょう。少なくとも見積もりぐらいはつくって住民と相談するような姿勢が必要ではないかと思いますが、以上の二つの点どうでしょう。
  366. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 先ほどちょっと申し上げませんでしたが、さっき御説明いたしました緑道部分、それから当然川の部分は私どもの権限の及ばないところでございます。したがって、そういったところとの御相談ももちろん必要でございますし、それからその基本構想自身も、私どもの構想というよりもむしろ東京都の都市計画あるいは港湾計画の構想でございますので、私どもがイニシアチブをとってやるというわけではございませんが、なお先生の御意見でございますので、いろいろ関係方面と御相談してまいりたいというふうに考えます。  それから、公園の下に駐車場を設けたらどうかということでございますが、これは全般的に見まして、公園なりあるいは道路の下に駐車場をつくったらというお話がございますが、従来の経験で申しますと、一台当たりの建設費が大体四百万から五百万くらいかかります。したがいまして、もしそういったものをつくったとしますと、駐車場料金が数万円というものでないと成り立ちません。したがいまして、本当の大都市の都心部ならともかくも、今の状態では、ちょっとあそこの場合で四、五百万の建設費でもって駐車場を公園の下でふやすということは不可能ではないかというように考えております。
  367. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 見積書をつくるかどうかです。
  368. 亀井静香

    亀井主査代理 時間があれですから簡潔にやってください。
  369. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 まだ時間があと二分ありますよ。  では、見積書をおつくりになりますね。
  370. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 見積書は、今申し上げましたようにいろいろな例がございます。したがって、それが大体四、五百万になるということは確実でございます。したがって、詳細設計して詳細な見積もりをやれという必要は私はないんじゃないかという……(岡崎分科員「住民の納得する程度の見積もりでいいです」と呼ぶ)それは結構でございます。
  371. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 管理組合などが今の状況の中で苦労しながら敷地内に二層式の駐車場をつくっているわけですが、それに対して相談があれば低利の融資のあっせんとか、あるいは保証人になることなども前向きに検討する必要があるんじゃないか。これは個人の問題ではなくて、やはりこういう深刻な公団側の責任に属する問題ですので、運用面について考えてみる必要があると思いますけれども、前向きの返事はできませんか。
  372. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 私どもの力がなかなか及ばない面もございますが、関係方面とよく相談して対処いたしたいというふうに考えております。
  373. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 時間だそうで、最後になりますが、これはできれば大臣、建設省にお願いしたいと思います。  大団地でこういう問題が起こっているということ。これは国の建設行政の上から見ましてもやはり重視をすべきことであるというふうに思うのです。建設省自身直接の担当所轄でなかったにせよ、やはり都内有数の大団地でこういう問題が起こって、将来はさらに問題化しようとしていることについては、やはり責任もお感じいただき、今後のことを含めてお考えになる必要があると思いますけれども、大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  374. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま住都公団からお話し申し上げましたように、大都市における既成市街地あるいは既成市街地の周辺の中で駐車場用地を取得するということは、用地の取得難あるいは高度の用地価格等によりまして非常に難しゅうございます。しかしながら、先生の御指摘のように、駐車場施設というものがこういった団地で重要であるということは私ども十分認識しておりますので、今後ともこれらにつきまして勉強していくよう、住都公団に対して指導してまいりたいと考えております。
  375. 岡崎万寿秀

    ○岡崎分科員 指導を大いに強められることを期待して、発言を終わりましょう。
  376. 亀井静香

    亀井主査代理 これにて岡崎君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  377. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 細かいというとあれですが、私にとりましては非常に大事な質問でございますので、時間もありませんから簡単に申し上げますので、ひとつ簡明にお答えをいただきたいと存じます。  まず第一は、東富士有料道路の建設の進捗状況はどうなっておりますでしょうか。大変御苦労いただいて路線の決定、さらに着工という段取りができまして、地元では大変感謝をいたしております。六十一年国体が山梨で開会される関係もございまして、ぜひ早目に建設、供用開始をお願いしたいという強い願望がありますので、ぜひひとつ現在の進捗状況、これをお聞かせください。
  378. 水野清

    ○水野国務大臣 東富士有料道路の建設の進捗状況ということでございますね。東常士道路は、一般国道百三十八号の山梨県河口湖町から静岡県の小山町に至る間のバイパスとして五十六年度に事業認可をいたしまして、延長十八・六キロの道路公団の一般有料道路でございます。この道路は五十七年十二月路線発表を行い、五十七年度中には中心ぐいの設置を終えたところでございます。五十八年度は、地元との設計協議を進め、五十九年の二月末までに約十五キロ、八二%に当たりますが、幅ぐい設置を完了しております。このうち、山梨県側の起点付近につきましては、本年度中に工事を着工いたしたい、かように思っておりますし、鈴木先生の御要望どおり、早期完成を目指しまして、鋭意事業の推進を図ってまいるつもりでございます。
  379. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 ここは非常に権益がふくそうしておりまして、問題点が多いのでございます。ですから私も何回かここでお願いしてきたのでございますが、そういう隘路がございますので、ひとつどうか大臣も、積極的に山梨県側とも連絡をとって、係争事件等もございますので、ぜひ早目に完成できるよう格段の御協力を重ねてお願い申し上げまして、次に移ります。  次は、中部横断高速自動車道の建設計画についてでございますが、これは超党派議員によりまして考えられたことでございまして、すでに私ども、関係の静岡、山梨、長野、新潟、それぞれの議員が期成同盟会をつくりまして、建設省の方にもお願いをし、それぞれの地方自治体も何とかこれを計画路線の中に入れていただきたいという強い願望を持っておりますので、ぜひひとつ御採用方お願いしたいという願いを込めて、どうなりますか、ひとつ大臣の所見を承りたい。
  380. 水野清

    ○水野国務大臣 中部横断高速自動車道計画の問題でございますが、これは、第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総でございます。昭和五十二年の十一月四日に閣議決定をしておりますが、この中で、全国的な幹線交通体系の長期構想として、既定の国土開発幹線自動車道を含めまして、おおむね一万キロ余りで高規格の幹線道路網を考えております。ところで、建設省で高規格幹線道路網につきましては基本的な調査を今実施しているところでございますが、今後その路線整備の手法等に関する調査推進して、現在行っております第九次道路整備五カ年計画期間内に高規格幹線道路網計画策定する考えでございます。  ところで、今先生の御指摘の中部横断高速自動車道でございますが、御質問があるということで調べてみましたら、昔、武田信玄公が、山梨県から清水まで塩をとりに行く昔からの由緒のある道筋であるということも承っております。中部横断高速自動車道につきましては、そういう歴史的なものも踏まえてひとつ積極的に検討していきたい、かように思っております。
  381. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。熱意を込めて、ぜひひとつお願いしたいと存じます。  次に、国道百四十号線というのがございまして、山梨県と埼玉県を結ぶ道路なんです。これは唯一の幹線道路でございますが、県境におきましてこれがまだ未開通になっております。したがって、両県の関係者は、議員期成同盟会をつくりまして、毎年総会を開き、その都度建設省にもおいでいただき、いろいろ御配慮をいただいておりますが、なかなか工事が進んでおりません。頂上は非常に峻険な地域でございますから、建設省の直接工事としてやっていただけるというお話も伺っておりますが、具体的に、五十九年度はどこまで、どういうふうにやられるのか、ひとつその点をお伺いしたいのであります。
  382. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 国道百四十号の未開通区間は、地形が極めて急峻であり、峠付近には長大トンネルが想定されるなど、技術的にも極めて難しい路線であります。昭和五十三年度より建設省において調査に着手し、山梨、埼玉両県と協力して地形、地質、自然環境、路線の比較検討等に関する調査実施いたしております。また、当地域は秩父多摩国立公園の特別地域に当たるため、これとの調整をも図る必要があります。今後長大トンネル計画や自然環境保全対策に重点を置いて一層調査の進捗を図り、できるだけ早期に計画ルートを確定したいと考えておりますが、五十九年度におきましては、建設省では、この両県にまたがります長大トンネルの予備設計とか地質調査実施していきたいと考えておりますし、山梨県側では同じく地質調査、予備設計、埼玉県側でも同じく地質調査、予備設計等を進めて、早くこの路線を確定していきたいというふうに考えております。
  383. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 何せ、もう下の部分は非常に立派にできておりまして、一部分が開通すると山梨、埼玉を結ぶ幹線道路として非常に有効に利用でき、産業、経済の発展に寄与できるわけでありますが、大事なところで未開通になっておるわけですから、局長、これは何回も耳にたこができるほど申し上げてあるわけですけれども、五十九年度二つの点について御調査等していただけるようでありますが、さらにスピードアップしてやってくださいよ。そうしないと宝の持ちぐされなんです。財産を持っていてもそれが使えないような仕組みになってしまっているわけですから、その点はよくわかっていると思いますからこれ以上申し上げませんが、ぜひ一層力を入れて促進方をお願い申し上げておきます。  それから、次に国道五十二号線でございますが、これも長い年月かかりまして立派になりました。ただ、集落のところですね、ちょっとバイパスを必要とするところがございます。今日お伺いしたいのは身延バイパスと西島のバイパスの建設の状況です。どうなっておりますか。西島の方は、昨年伺いましたら、調査をすると、こういうようにおっしゃっておられました。身延の方は、地元におきましてルートを三つぐらいを考えて、なかなか路線の決定が延びておりましたが、ようやく固まりましたので、これを機会にひとつ建設の促進をしていただきたいという気持ちを込めて、現状をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  384. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 国道五十二号の身延町地区や中富町西島地区におけるバイパス計画につきましては、現在地質状況、路線設計等に関する調査実施しているところであります。今後さらに調査の進捗を図り、バイパスとしての路線計画策定の上逐次事業化を図っていきたいと思っております。この身延バイパスと西島バイパスでは身延バイパスの方が調査が先行いたしておりますので、できるだけ早い機会に事業化をしていきたいと思っておりますし、西島バイパスについてはさらにこれからトンネル施工法などの検討を進めていきたいというふうに考えております。
  385. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうしますと、西島の点はあれですか、昨年よりも一歩前進したと見ていいですか。
  386. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 昨年は地質調査等をいろいろやっていたわけでございますが、五十九年度にはトンネル施工法の検討を進めていきたいということでございますので、なかなか調査というのは急に進むものではありませんが、半歩ずつでも前に歩んでおるという状況でございます。
  387. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 できるだけ半歩でなくて一歩二歩前に前進するように頑張ってくださいよ。お願いします。  それから、次は河川局長にお願いしたいのですが、私の選挙区、県都甲府というところは、盆地でございまして、小河川が非常に多うございます。いろいろ御配慮いただいて、それぞれ修復をし、拡幅をし、だんだんとよくなっておるのでございますけれども、特に濁川というのは都市河川でございまして、一級でございますが、これについても着々と準備を進めていただいておりますが、この進捗状況がどういうところまでいって、最終的にはいつごろ全体の改修が終わる予定がどうか、これが一つですね。  それからもう一つ滝沢川というのがございます。山梨県には天井川という、どこにもあると思いますが、そういう川がございますが、この滝沢川は天井川の最たるものでございまして、これの改修については格段の御配慮をいただいておりますが、これもひとつ、国家財政の非常に困難なときですから申しにくい点もありますけれども、ぜひひとつさらに促進方をお願いしたいと思いますが、現状とその完成の見通し等、ちょっと聞かせてください。
  388. 井上章平

    井上(章)政府委員 初めに、濁川の改修状況について御説明申し上げます。  御承知のように、この川は県都甲府市を貫流する重要な河川でございます。そのために、昭和四十三年度から中小河川改修事業として改修を進めてまいっております。ところが、昭和五十二年の八月に、集中豪雨によりまして床上、床下浸水合わせて二千四百戸というような大きな災害がございました。これを受けまして激特事業を実施したわけでございますが、総額三十三億三千万円の事業費を投入いたしまして、これは五十七年度に完了いたしております。したがいまして、現在はもとの中小河川でその激特事業で対策を講じましたところも含めまして、中小河川事業として進めておるわけでございます。  中小河川改修事業としての進捗率でございますが、今日まで激特事業を含めて投入いたしました金額は、約百億円でございます。全体の事業費としては百五十二億でございますので、大体四〇%ぐらいの進捗率ということになっております。  それから次に滝沢川の改修でございますが、これも先生から御説明がございましたように、大変な天井川、天井河川でございまして、したがって、下流から抜本的に天井河川を切り下げつつ上流に進んでおるというような事業を実施しておる河川でございます。これも昭和四十六年から中小河川の改修事業に着手したわけでございますが、今日まで、昭和五十七年度までで申し上げますと、二十三億六千九百万を投じまして、富士川合流点から二・七キロメーターの改修は完了したわけでございます。したがいまして、さらに五十八年は四億五千六百万円を投じまして、さらに上流へ向かいまして、三百四十メーターの改修を実施しておるという状況でございます。五十九年度におきましても、さらにその上流へ向かって継続促進する予定になっております。
  389. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 最後に述べられました局長の四億五千六百万円というのは五十八年度の予算のことですか、五十九年度はどうなっていますか。
  390. 井上章平

    井上(章)政府委員 四億五千六百万円は五十八年度の予算でございます。五十九年につきましては、ただいま検討中でございます。まだ発表の段階にはないわけでございます。
  391. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 予算がまだ通っておりませんし、実行計画予算が通った後だと思いますが、おおよそ腹づもりはできていると思います。したがって、できるだけ、これはやはり国庫の補助がないとできませんでつらいんですよ、確かに。財政ピンチのときですから。それを承知でこうやってお願いしているわけですから、よろしくお願いしたいと思います。  それから次に、昨年山梨県は台風五号、六号に襲われまして、河口湖周辺には八百四十五ミリ、こういう大量の降雨がございました。そのために、富士五湖の一つである河口湖が異常な増水をいたしまして、放水路というものが完備していなかったためもありました関係で、大変な被害を受けておるのでございます。  私は、十月五日の災害特別委員会におきまして、河口湖の放水路問題を取り上げ、新放水路の建設を強く河川局長にお願いをいたしました。そのときにも申し上げましたように、あそこの水位は大体八百三十三・五二五メートルというのが基準水位になっているのでございます。ですから、どういう事態になってもこの基準水位を保持してもらいたいということが、あのときの私の強い願望でありました。そのことについてはここに議事録も私持ってきておりますが、そのときに河川局長が、今度のような総雨量を対象に抜本的な恒久対策を樹立したいと考えているという積極的な御発言がありまして、私は局長の深い御理解と、そして非常にかたい決意を持って、こういう事件が再び起こらないように新しい放水路をつくっていただけるという御発言を聞きまして、深く感銘をいたしたものでございます。いろいろ調査もあるでしょう。  例えば東電の放水路を使う問題、あるいは旧県庁隧道を使う問題、しかし、これではどうにもならぬわけでありますから、やはり新しい構想の上に立って新しい放水路をつくっていただきたいという願いでありますが、その後御調査等をなさっておられると思いますが、この件につきましてはどこまで進んでおりますか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  392. 井上章平

    井上(章)政府委員 河口湖は昨年記録的な豪雨によりまして、大きな災害、長期間湛水という被害をこうむったわけでございます。これを受けまして、このような洪水に対してもこのような事態にならないようにするための恒久的な対策につきまして、現在いろいろ調査を継続いたしておるわけでございます。山梨県と共同いたしまして、今いろいろと調査いたしております。  先生からお話のございましたように、まず河口湖の洪水を迎える際の水位を幾らにするかということでございまして、それからさらに放水路をつくるとすれば、その規模がどうであるか、放流口をどこにするのか、これにつきましても先般は先生から、宮川にするのか桂川にするのかということも検討してほしいという御要望もあったわけでございますので、そういうことも含めまして、ただいま検討いたしておるわけでございます。  これらにつきましては非常に選択肢が多うございまして、いろいろな案をつくって、これは非常に金のかかることでございますので、できるだけ経済性を確保しながら、なおかつ地元の御要望が満足できるような案ということで、非常に難しい調査と相なっております。私どもといたしましては、この調査を速やかに完結いたしまして、方針を定めて、五十九年度からでも放水路事業に着手いたしたいと思っております。思っておりますが、まだこの調査の成果が固まっておりませんので、もうしばらく御猶予願いたいという段階でございます。
  393. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 できれば五十九年度の事業として着手したいとおっしゃったわけですが、それに必要な予算措置等は建設省内部の総体の枠の中でやり得ることでございますね。その点どうですか。
  394. 井上章平

    井上(章)政府委員 これはいずれいろいろ河川ごとの配分作業が行われるわけでございますが、その中で、まず河口湖を新規事業として採択するかどうかというものがその前にございまして、それから予算が決まるという段階を踏むわけでございますが、私どもといたしましては早くこの調査をまとめまして、事業計画を確定することに今一生懸命努力をいたしておる段階でございまして、それからの作業ということになります。ただ、年度当初といたしましては、地元説明等に多くを要しまして、それから今度は工事を実施するための調査が引き続き必要になりますので、それほど予算については、私どもは心配をいたしていないわけでございます。
  395. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私はあのときも申し上げましたように、放水の最後の終末ですね、宮川か桂川かというお話ですが、やはりこれは桂川の方がいいと思うのです。二次災害を防ぐ意味におきましても、その方が私はいいと思いましてあのときにあえて申し上げたわけですが、堀内委員からもそんな意見が出たわけでございますけれども、そこを配慮していただいて、まあおっしゃることは全部わかります。そういう手順を追わなければできないわけでありますから、その手順を踏んで、またこれ、ことしの六月、七月、台風季が来るわけでございまして、地元ではまた心配しているわけでありますから、できるだけ早く新放水路ができて、あそこは観光地帯でもございますし、いらっしゃる方々もきれいな河口湖、山中湖、精進湖、本栖湖、こういうように観光も楽しめるように、そして地域人たちも安心できるような、そういう考え方も当然持っていらっしゃると思いますから、その点を踏まえて早急な御調査と、そしてできれば着工していただくようにお願いしておきます。その点何かまたありましたら……。
  396. 井上章平

    井上(章)政府委員 放水路をつくりますとした場合に、その放流先のことでございますけれども、これはただいまいろいろ案をつくって検討しておる段階でございます。ただ、先生からお話のございました桂川へ直接落とすということになりますと、物理的にも非常に長いトンネルを必要といたしますので、こういう事業につきまして最も大切なことは、経済性をいかに確保するかということでもあるわけでございますから、その辺を勘案しながら今後詰めてまいりたいと思っております。
  397. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 経済性も確保しなければなりませんが、それだけではだめなんですね。やはり将来性に向かって、たとえ一千ミリ降っても再びこのことが起きないようなことを基本に置いてもらわないと、金がないから中途半端なものをつくったんじゃ、これはまた悔いを後に残すわけですから、そういう意味じゃないと思いますけれども局長よく理解してくださっておるから、そういう点を踏まえてひとつお願いしたいと思います。  それから最後に、建設大臣にちょっとお尋ねしたいのですけれども建設省所管をします公共事業費というのは大体どの程度ございますでしょうか。そして景気も若干よくなっているというような情勢もございますけれども、必ずしもそうではないという見方もございます。そこで、いずれにしても、景気浮揚の一策として、公共事業費というものを前倒しして、できるだけ上半期に工事を促進することによって最気浮揚の一助にしたいという考え方があるわけですね。五十八年度もそういうことでやっていただいたわけです。建設省としてはその点をどんなふうにお考えになっておられるか、ちょっと伺っておきたいのでございます。
  398. 水野清

    ○水野国務大臣 ちょっと途中のお話を聞き漏らしてしまって失礼したのですが、建設省の五十九年度の予算は、国費だけで約四兆五千二百九十億余りの予算を成立さしていただきたい、こう思っております。これは補助金もございますから、地方自治体のお金その他を合わせますと、事業費にすると倍以上の金額になるわけでありますが、それが景気浮揚に大いに役立つであろうということも期待しております。  しかし、今先生が御指摘のように、五十九年度の日本の経済がどういうふうに進展するかということは、まだ、まあ景気がよくなるよくなる、こう言っておりますが、どのぐらいのことかちょっとはっきりわからないわけであります。今前倒しをやって、この四兆五千億の金を前の方へ持ってきて、どんどん使って景気を上げて、こういうようなお考えもあろうと思いますが、これはどうも、私一人で判断、お答えをすることもできない問題でございまして、建設省としては、現在は五十九年度予算を早く成立させていただきたい。まずこれが予算案でなくて予算にしていただきたい。そこで将来のことは、これは内閣全体の問題でございますが、日本経済の推移を見ながら弾力的に運用していく以外はないであろう、こういうふうに思っておりますので、大変抽象的ですが、お許しをいただきたいと思います。
  399. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 では、若干時間が余りましたが、もともとおくれているようでありますから協力をいたします。大臣以下皆さんの健闘を祈って終わります。ありがとうございました。
  400. 亀井静香

    亀井主査代理 御協力ありがとうございました。  これをもって鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君の質疑に移ります。
  401. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 分科会での短い時間の質問ですので、一応陳情を中心にお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように、北上川上流流域は戦後のカスリン、アイオン台風で大変な被害を受けた地域でございます。以来、政府においてもその治水対策に鋭意努力を払ってこられているところだとは思うわけでございますが、流域住民にとって、殊に最近の激甚な災害発生にかんがみまして、現在の治水整備の状態では大変な不安を感じているわけでございます。このような関係で、各地方自治体から、住民の生命と財産を守り、安全で快適な生活環境を確保するため、北上川上流改修事業費予算の大幅増額の要請がされてまいったわけでございます。  そこで、まずお伺いいたしますのは、北上川上流改修事業に関して、全体の進捗状況がどうなっているのかをお聞きいたしたいと思います。
  402. 井上章平

    井上(章)政府委員 北上川は東北第一の大河でございまして、しかも大小多くの支川を集めておりますし、岩手県から宮城県に入りますに、非常に長い狭窄部を抱えておる特異な河川でございます。そういうことで、この北上川の改修につきましては、古くから鋭意実施してきたわけでございますが、何分にも昭和二十二年のカスリン台風の被害が非常に大きゅうございまして、その際大はんらんを起こしたわけでございますが、そのはんらん量は全川で六・五億立方メーターにも及んだと言われております。  そういうことで、北上川の改修もさることながら、北上川の治水対策はまずダムというような構想で進んできたわけでございます。いわゆる五大ダム構想というのが昭和十六年に策定されておるわけでございますが、これらにつきましては、最後の御所ダムが五十六年に完成することによりましてすべて完成いたしたわけでございます。これによりまして、今まで下流へきてはんらんを起こしておりましたものが上流のダムでためられることになります。このダムの治水容量は、五大ダムを合わせますと二億四千百八十万トンでございますから、先ほどの量に対比いたしましても相当の効果が出るのではないかというふうに期待いたしておるわけでございます。  引き続きまして、私ども昭和五十五年に工事実施基本計画を改定をいたしました。これによりまして、現在の社会にふさわしい新しい計画のもとに事業を進めることになっておりますが、その中でもやはり、さらに幾つかのダムを建設することが必要であるということで、その一環として、昭和五十八年度からは新石淵ダムの実施計画調査に入ったわけでございます。  それから本川の河川の改修の状況でございますが、盛岡市や花巻市など主要地域の水害を軽減するために、築堤事業を主に行ってきておるわけでございますが、この堤防はもちろんまだ暫定堤防と申しまして、完成された姿ではございませんが、大体要改修区間の五割くらいは概成しておるという状況でございます。  さらに、一番問題になっております一関遊水地につきましては、まだ着手したばかりでございますので、今後そういったことで北上川の改修には一層努力してまいる必要があろうかと思っておる次第でございます。
  403. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 そういたしますと、この改修計画に対して全体の進捗率はどのくらいのパーセントになっているわけですか。
  404. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま申し上げましたように、治水対策はさまざまな手段を用いましてやっておりますので、実はこれ全体の進捗率というのは私ども計算はいたしていないわけでございますが、ダムにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますし、堤防につきましては大体五割程度、一関遊水地はまだ始まったばかり、大体こういうことでございますので、かなり低率ではないかと考えますが、そういった集計の仕方は実は私どもいたしておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  405. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 実は私も長いことこの改修事業に対して陳情等に携わったことがあったのですが、どうも今の予算で私たちの要望している進捗率をはかっていくと、もう六、七十年くらい先にもおぼつかないのではないかなという考えに至ったわけでございますが、このダム問題については、当初アメリカのTVAに当たる総合開発の治水事業を私たちに期待させて、この五大ダムの計画も始まったと記憶しております。また、住民もそういう意味で五大ダムの建設には積極的に協力してきた経緯があるわけでございますが、この五大ダムが今計画を完成されまして、新石淵ダムというのがまた計画されたわけでございます。しかし、この新石淵ダムは現在のダムの下流に新しいダムをつくるわけなんですが、これの大きな原因は土砂流の堆積もその一つになっているのではないかと思われるのですが、この点に関してはいかがですか。
  406. 井上章平

    井上(章)政府委員 現存いたします石淵ダムは、昭和二十一年に着手いたしまして二十八年に完成したダムでございまして、総貯水容量が千六百十五万トンという非常に小規模なダムでございました。  私ども北上川の治水対策を進めてまいります上で、これは胆沢川にできておるわけでございますが、このダムの容量をぜひふやしたいというようなことで新しく新石淵ダム構想が出てきたわけでございまして、これは現在のダムの規模からいたしますと、堤高で約倍という非常に大きなダム構想に相なっております。総貯水量も八千八百万トン確保できるということでございますので、この新石淵ダム構想に入りまして、ただいまは実施計画調査中という段階でございます。
  407. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 私は、北上川の治水問題は根本的にダムそのもので治水の効率を上げる、コントロールをする、そういう体制、また、当初五大ダムのときにはそういう説明でございましたので、このことには大変私たちも賛同していたわけでございます。しかし、現実にこの五大ダムができてもなおアイオン、カスリンのとき被害を受けた支流に対するところの対策、いわゆる防災対策とかあるいはこういう災害対策のダムは計画がなされていないところが多々あるものですから、何とかしてダムによるところの治水事業は進めてもらいたいということで陳情もし、新しく新石淵ダムその他も当局において計画されたと思っております。  そこで、今幾つかのダムの計画がほかにもあるというわけなんですが、この計画を御発表できるのでしょうか。
  408. 井上章平

    井上(章)政府委員 五大ダム構想の治水計画策定した時点におきまして、これは昭和十六年でございますが、このときに一関市下流の狐禅寺というところがございますが、ここの計画高水流量は七千七百トンでございまして、五大ダムによりまして、このうち二千百トンをカットして五千六百トンを下流に流す、こういう計画で出発したわけでございます。ところが、その後カスリン台風等大きな洪水が相次ぎまして、さらに流域の開発あるいは産業発展等に対応いたしましてこの計画は全面的に改定されたわけでございます。  その結果、昭和四十八年に改定したわけでございますが、狐禅寺の、これは基本高水と申しております、それが七千七百に対して一万三千トンに上がったわけでございます。そして、それからダムあるいは一関遊水地等のカット量を差し引きまして、下流へ流す水を八千五百トンという計画に改定いたしまして、これは四十八年三月から施行されておるわけでございます。  この新しい計画に対応いたしますダムといたしましては、ただいま申し上げました五大ダムのほかに幾つかのダムを準備する必要があるという計画に相なっておりますが、現在のところ新石淵ダムが実施計画調査に入っただけでございまして、残余のものにつきましてはこれから検討して詰めていくというような段階でございます。
  409. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 いつごろ残余のダムの構想が発表できるか、見通しはわかりませんでしょうか。
  410. 井上章平

    井上(章)政府委員 これらにつきましては広範な調査を必要といたしますので、いつごろということについてはまだお話しできる段階ではないわけでございます。
  411. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この一関の遊水地計画の早期進捗の要望も来ているわけでございますが、一関がカスリン、アイオンで被害を受けたときには、北上川の支流の磐井川からの増水が大変な被害を与えております。こういう点で、この磐井川に対するところのダム計画を今後幾つか考えられる中に取り上げてもらうことができるかどうか、このこともお聞きしたいと思います。
  412. 井上章平

    井上(章)政府委員 カスリン台風の際の磐井川の大はんらん、これは私どもも十分承知いたしております。ただ、磐井川は支川でございまして、この上流のダムの適否につきましては、まだ調査の域を出ていないという状況でございます。
  413. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 それではひとつその調査要望しておくことにいたします。  次に、大臣がいなくなりましたので、大臣が参りましてから一点だけお聞きしたいと思うわけですが、それでは問題を次に移っていきたいと思います。  三陸沿岸、海の宝庫と言われる三陸沿岸の地域と内陸との関連道路、横断道路等はっとに住民から強く要望されているところでございます。今度常磐・三陸縦貫自動車道の促進に関しての陳情を受けたわけでございますが、この常磐・三陸縦貫自動車道に対しましては現在どのような配慮を国の方でなそうとしているのか。また現在、このことについて高規格遠路幹線道路網計画策定のための調査予算を確保してもらいたいというようなことも要望に来ております。この点についてひとつ当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  414. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 第三次全国総合開発計画では、全国的な幹線交通体系の長期構想として、既定の国土開発幹線自動車道を含め、おおむね一万キロメートル余で形成される高規格の幹線道路網が提唱されております。建設省におきましては、この構想を受けて、現在、高規格幹線道路網について基本的な調査実施しているところであり、今後さらにその路線、整備手法等に関する調査推進し、第九次道路整備五カ年計画期間内に高規格幹線道路網計画策定する考えであります。常磐・三陸縦貫自動車道につきましても、この中で検討してまいりたいと考えております。  なお、昭和五十八年度の調査費は八千四百万円でございましたが、昭和五十九年度ではこれを幾分上回る額にしたいということで今要望しておるわけでございますが、この調査費は全国のネットワークを調査する予算でございます。先生御指摘の常磐・三陸縦貫自動車道もこういう予算の中でこれから検討していきたいというふうに考えております。
  415. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 検討もそうですが、整備計画の中に繰り入れる、編入できるかどうかという点についてはいかがなものでしょうか。
  416. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 いろいろな調査実施した上で五カ年計画期間内に路線を決定したいと考えておりますので、今の時点でこの路線が入る、入らないというようなことは申し上げられないのでございますが、全国から、常磐・三陸縦貫自動車道のように高規格幹線道路網に入れてほしい、計画の中に入れてほしいという路線が現在六千キロ以上来ております。一万キロ構想でございますが、既に七千六百キロは高速国道があるわけでございますので、残りの二千四百キロくらいを何とか追加していきたいというのが建設省考え方でございます。
  417. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この二千四百キロの追加というのは大蔵省からの予算獲得が関連するわけでございますか。いかがですか。
  418. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 これを決める際には関係省庁とも十分協議、打ち合わせをする必要がございますので、財政当局とも十分協議しなければならない事項でございます。したがって、私申し上げたのは、建設省としてこういうふうにやっていきたいという考え方でございます。
  419. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 建設大臣が来ませんので、代理でよろしゅうございます。  この北上川の治水事業について当初、再三申し上げますが、アメリカのTVAに当たるような計画が日本にも実現できるんだ、そういう私たちの期待があったわけでございますので、ひとつモデルとして北上川の治水事業に重点的な国の計画を移して、この実現に当たってもらえる可能性ということについて、いかがなものでしょうか。
  420. 井上章平

    井上(章)政府委員 北上川につくりました五つのダムの構想は古くからあったわけでございますが、まさに先生おっしゃるようにTVAの日本版でもあったわけでございます。これにつきましては非常に努力をいたしました結果、五十六年に五ダムすべて完成する運びとなったわけでございまして、北上川は全国の河川と対比いたしましても、そういう意味では非常に重点を置いた進んだ河川と申すことができようかと思います。  ただ、河川改修事業につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、暫定堤防が五〇%程度という状況でございますし、それから、何といいましても一関市周辺の治水対策の決め手になります一関遊水地事業、これが非常に大きなプロジェクトでございまして、全体千四百五十ヘクタールに及ぶ遊水地を計画いたしておるわけでございます。これにつきましては、まだ始まったばかりでございますが、当面昭和五十六年八月洪水を対象といたします第一期工事というものを目標にいたしておりますが、これさえも事業費にいたしまして千三百億円ぐらいかかるであろうと言われておるわけでございます。これに対しまして、四十七年から始まりましたが、五十八年までに投じました金は百七十億円でございます。したがって、なお千百三十億円の残があるということでございまして、ただいま遊水地内の家屋移転等を重点実施いたしておりますが、この事業を進めることが北上川治水の最大の眼目となっております。  そういうことで、財政事情の大変厳しい時期を迎えてはおりますが、私どもといたしましては、最大限の努力をしてその推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  421. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 一関遊水地の事業が今のような進捗状況だと、あとどのぐらいかかるような試算になりますか。
  422. 井上章平

    井上(章)政府委員 年間の投資額がおよそ三十億円程度でございますので、それを割っていただければよろしいわけでございますが、ただ、そういった形では到底この遊水地事業は進められませんので、今後進捗いたしますとともに、事業の効率的な計画推進を図るべく最大限の努力をいたす所存でございます。
  423. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 再度申し上げるようなわけでございますが、アイオン、カスリンでは大変な人命を失っている一関の地域でございます。それから今の三十億円で残っている千七、八百億円以上の仕事をやろうとしますと、これも大変な年月を要する事業でございます。こういう点でひとつダムの調査を、この最も危険な、そしてまた今までアイオン、カスリン以来これといった大きなダム建設もされていない磐井川について優先的に実地調査を進めていただきたいし、いただけるのじゃないか、こう思うわけなんですが、この点についていかがなものでしょうか。
  424. 井上章平

    井上(章)政府委員 一関周辺の治水対策の上で、磐井川の処理は非常に大事なことでございます。そのために、この一関遊水地事業の中におきましても、この周辺の対策を第一に取り上げまして、これにつきましては既に磐井川のつけかえも完了したわけでございまして、ただいまこの周辺の堤防を築造している最中でございます。  ただいま御指摘のダムの問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、まだ調査に入ったような段階でございますので、どういうふうになるかは申し上げる段階ではございませんが、しかしダムをつくるといたしましても、この一関遊水地が一関市周辺の治水対策では最も効果的な、即効性のある事業だと私ども思っておりますので、この事業を今後一層促進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  425. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 遊水地事業の方が優先的だといいましても、今説明を受けたように大変な年月を要するわけでございます。こういうような遊水地事業の進捗ぶりを見ますと、やはりアイオン台風、カスリン台風双方の台風の被害後、これといって大きな治水対策のない磐井川の下流に対しては、何としてでもダム建設を局時に並進させて調査してもらいたい、こういうことを一応要望しておきます。  それから、先ほどまた説明を受けたところでございますが、五〇%ぐらいの護岸工事、堤防工事が促進されているといいましても、工事費から見ますと私はまだまだ五〇%になっていない、こう思っております。その中では石鳥谷の好地地内の堤防工事は、すぐ裏がいわゆる市街地になっておりまして、住宅の密集地でございます。それからこういう箇所がまだたくさんございますので、何としてでもこういう人家に接近しているところの護岸工事、堤防工事あるいは保護工事等は重点的に工事費を増高して促進していただきたい、こういうことをお願い申し上げる次第でございます。  それから時間もなくなってまいりましたので、北上川の前沢地区から箱石橋の架橋の早期完成を図られたい、こういう陳情も来ております。幸いこのことにつきましては、昭和五十八年度に調査費が予算化されたわけでございます。このことには感謝を申し上げたい、感謝をしていただきたいということでございましたが、本架橋についての今後の見通しについていかなるものか、お伺いしたいと思うわけでございます。
  426. 井上章平

    井上(章)政府委員 ちょっと聞き取りにくかったわけでございますが、何橋でございましょうか。
  427. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 北上川箱石橋でございます。
  428. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 ちょっと私、不勉強で申しわけなかったのですが、箱石橋は花巻市地区にある県道にかかわる……。
  429. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 前沢町でございます。
  430. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 前沢町にある県道でございますか。
  431. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 そうです。
  432. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 ちょっと私、具体的なやつを事前に承っておりませんでしたので、勉強しておりませんので、後日、先生に御報告させていただきたいと思います。
  433. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 以上をもちまして、時間も来ましたので終了いたしたいと思いますが、何とぞ要求事項につきましては当局の再度の特段の御配慮をお願いいたしまして質問を終わります。どうもありがとうございました。
  434. 亀井静香

    亀井主査代理 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、吉原米治君。  なお、大臣はあと十分で戻ってまいりますので御了承お願いいたします。
  435. 吉原米治

    ○吉原分科員 大変遅くまで御苦労さんでございます。  建設省の治水治山といいますか、建設省でございますから治水計画ということになろうかと思いますが、治水計画について主としてお尋ねをいたします。  全国的な説明をされましてもなかなか漠然としたことになろうかと思いますので、具体的な事例に基づいて御質問を申し上げますので、具体的にお答えを願いたいと思いますが、私は御案内のように島根県の出身でございますが、島根県では建設省所管の斐伊川という一級河川がございます。この斐伊川と、また支流になりますが神戸川という川がございます。この神戸川に斐伊川の本流の水を流すという放水路をつける計画があるやに聞いておりますが、この中で分流、そしてダム、そして拡幅という三点セットでもって今後斐伊川の治水計画を進めていくといったような建設省計画があるようでございますが、これは今どの程度まで進んでおって、これからどういう具体的な治水計画の実現に向かってやろうとされておるのか、時間の関係がございますので、ごく短くお答えを願いたいと思います。
  436. 井上章平

    井上(章)政府委員 斐伊川の治水につきましては、昭和四十七年に大きな洪水があったわけでございまして、それを契機として計画の見直しを行いまして、五十一年の七月に現在の治水計画ができ上がったわけでございます。  この内容は、先生ただいまお話があったとおりでございまして、斐伊川から一部放水路によって神戸川に洪水を流す、また下流部の大橋川を拡幅する、それから上流においてダムの建設をする、この三つの事業が相まって全体としての治水計画が成り立っておるというようなことでございます。これにつきましては、この計画改定以前から、実はこの斐伊川の治水対策はそれ以外に方法があるまいというようなことで、いろいろと地元におきましても御協議願ってきたわけでございます。この計画改定後も、これは非常に地域に対して大きな影響がございますので、特に松江市あるいは出雲市に対しましてこの計画説明を申し上げ、御了解を得るべく努力をしてまいったわけでございます。現在のところ、これらの問題につきましては大方の御理解がいただけつつあるというふうに理解いたしております。したがいまして、既に大橋川等につきましては、一部用地交渉にも入っておるような段階でございますので、これからこの大プロジェクトに向かいまして一層努力してまいろうかと思っておる段階でございます。
  437. 吉原米治

    ○吉原分科員 そこで具体的にお尋ねをするわけでございますが、この三点セットの中の大きな問題に今なっておるダムの問題についてであります。  この斐伊川の上流部でダムを数カ所建設をされておるようでございますが、このダムを建設するということは私はこの必要性はあろうかと思います。ですから、ダムを建設されることは結構だとは思いますが、ダム建設に伴って、その予定地域の中の部落といいますか農村といいますか、町が実は壊滅的な打撃を受ける。もちろんダムの中に水没してしまう民家やあるいは農地はもちろんでございますが、その周辺の部落というのが本当に営農意欲といいますか、さらに植林あるいは一般的に言う地域開発、こういう意欲を失わさしてしまう。  ですから、この地帯、ダムを予定されておる地域は御承知のように大変過疎地域でございますが、具体的な例を申し上げますと、志津見ダムの事例について申し上げますけれども、このダムというのは、戦前古くからいろいろダムの話がたびたび出ては立ち消えになっておる。そのたびに関係住民は、先祖伝来の家屋敷あるいは農地、山、こういったものが水没してしまうのじゃないかということで、たびたびそういう不安にさらされて今日まで来ておるわけですから、非常に長い歴史を持った地域でございます。したがって何回となく、昭和三年来というのですから随分古い話でございますが、戦後になりましてからも二十六年、四十四年、五十年、ダムの話が出ては消え、出ては消えという、そういう繰り返してございました。  こういう地域人たちの心理状況というのは、今さらこれはダムでつぶされてしまうんなら植林も、あるいは息子のための、何といいますか、営農施設、酪農にしてもそうでございますが、そういう施設をするにしても意欲を失ってしまう。つまり皆さんの方は必要があってダムをつくるとおっしゃる、あるいは治水計画の上で当然必要だ、こうおっしゃってダムの地域を予定されるわけでございますが、その予定された地域周辺の皆さんにとってはまことに迷惑な話なのでございまして、今局長はだんだんと理解を得られておるような御答弁でございましたが、実際はできるだけダムの予定地の中に入りたくない、町全体が、村全体が死んでしまうという、そういう非常に悲壮な気持ちなのでございまして、そういう意味では住民の皆さんの気持ちをひとつ大切にしてもらう。  ダムの調査実施調査に入りたい、だから了解してほしい、書面でひとつ判こを押してくれ、こういうことに具体的にはなるわけでございますが、その判こを押した後、実施計画を立てられるわけでございますけれども具体的にそこまで行った場合に、おれたちの生活の再建というのは一体どういうふうになるだろうか。だから言ってみれば、判こが先か、自分たちの生活再建はどうなるかという青写真、これが先かということになるわけでございまして、そういう意味では非常にデリケートな問題を抱えておるわけでございます。そういう意味で、関係のダム建設に伴う周辺の住民対策、これはどの程度まで今進められておるのか。  同時にまた、この大橋川の拡幅に伴う関係住民の不安も同じでございます。建設省は果たしてどこまで自分たちの要望をかなえてくれるのか、遅々として進まない交渉の中で不安にさらされておる。あるいは進まない交渉と生活設計の立たない宙ぶらりんな実は状態、これが煮え切らぬ行政へのまた厳しい批判になってきておる。こんな状況で現地はあるわけでございますから、この大橋川の拡幅に伴う問題も、一部立地調査されておるような状況に今お答えいただいたわけでございますが、特にこの志津見ダムの関係周辺の皆さんに、一体どういった手だてでそういった住民の皆さんの信頼と、不安を解消するための交渉をされようとしておるのか、お答え願いたいと思います。
  438. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生が御指摘ございましたのは、志津見ダムと大橋川の拡幅でございますが、まず志津見ダムについて申し上げますと、この事業は昭和四十七年ごろから、私ども予備調査に入りまして、五十八年から実施計画調査に着手したダムでございます。これは神戸川の上流頓原町に設けるダムでございまして、私どもといたしましては、まずはこのダムの必要性を十分御理解願うことが大切でございますが、何分にもこのダムは下流の治水対策としてつくられるということでございまして、上流の水没地域におきましては、まさに降ってわいた災難というような感じであることはやむを得ないわけでございます。  しかしながら、そういったダムの必要性の御理解をいただきますとともに、何しろおよそ六十戸の家屋が水没するわけでございますので、これらの水没される方々の生活再建を図ることがまずもって重要なことであろうかと思います。これは、先生がただいま御指摘いただいたとおりでございます。したがいまして、島根県等関係機関の協力を得て、速やかにこの生活再建策を策定するようにただいま努力をいたしているところでございます。住民の方々のダムについての御同意、御協力を得るためにも、この再建策がまず前提になるんではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。  それから大橋川の拡幅事業につきましては、一部矢田地区で用地交渉を進めておる段階でございますが、何分にも松江市の中心部を流れる河川の拡幅でございますので、これも同じようにこの斐伊川全体の治水計画の中での事業の重要性を御認識いただきまして、松江市民の御理解、御協力が得られなければなかなか進まないであろうというふうに私ども考えております。しかも松江の中心部でございますだけに、関係住民の不安が非常に大きいということも、十分私ども理解いたしておるところでございます。今後とも島根県、松江市と十分連絡をとりまして、この住民の方々の不安を取り除くように最大の努力を払ってまいりますとともに、御理解を得てから事業を進めるという建前で今後とも続けてまいりたいと思う次第でございます。
  439. 吉原米治

    ○吉原分科員 建設省河川局長の誠意のほどはわかりましたけれども具体的に、このダムの予定地域は昔砂鉄を大量にとっておった地域でございまして、土質からいきますと、私はそういう意味では素人でございますけれども、土質が大変悪いんじゃないか。特にダムは五十年から六十年と一口に寿命が言われておるわけでございますが、一体、せっかくつくられたダムが土砂によって簡単に埋まるようなダムであっては、膨大な費用をかけてせっかくつくられるわけですから、財源の有効利用にはならないと私は心配するわけでございます。  この地域は一体ダムに適した地域なのかどうなのか。どうも資料を見ますと、堆砂という問題がどうしてもこのダムの問題にはっきまとう。総貯水容量の半分以上が砂で埋まってしまったというダムが全国でも十を超えておるような資料建設省の方でも出されておるわけでございまして、大体建設俊二、三十年で堆積をしたものだということになっておるわけです。  そういう意味で、この斐伊川水系というのは他の河川に比べて土質が大変悪い。そんなことを考えますと、技術的にいろいろ土質の調査もされて工事にかかられるのでしょうけれども、そういう意味の心配はこの斐伊川水系には一体ないのかどうなのか。一般的に私どもが聞いております、あの地域は音から砂鉄をとって、やまたのおろちで有名な斐伊川でございますので、そういう意味では土質がかえって悪いのではないか、こんな感じなり不安を持っておるのですが、その点は大丈夫でございましょうか。
  440. 井上章平

    井上(章)政府委員 このダムの調査は、四十七年からおよそ十年間かけてきまざまな広範な調査を継続してまいりました。その結果、ダムに適するという判定を得て今回実施計画調査に入ったわけでございます。それで、実はこのダムの上流に中国電力の来島ダムというのが既設でございます。これらの状況ももちろん参考になるわけでございますが、これが上流側にあるということはこの志津見ダムにとって堆砂という面からは非常に大きな有利な条件であろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、ダムの堆砂につきましては、非常に重要なことでございますので、私どもといたしましても今後調査検討を進めてまいる所存でございますが、今日までの調査した結果におきましては、特に問題であるというふうには認識いたしていない次第でございます。
  441. 吉原米治

    ○吉原分科員 そこで、ダムの問題でもっと突っ込んだ質問をしたいわけですが、時間の関係で、この三点セットの中で触れられております分流ですね、放水路で神戸川につなぐという問題。毎秒二千トンということになっておりますが、これを神戸川に放水をした場合に、この神戸川の河口には大社湾があるわけでございますが、漁民に大きな影響を与える。大水の出た場合には必ずといって不漁が続くということが漁師の間では常識的になっておるわけでございますが、必要以上の毎秒二千トン、斐伊川の本流の水をこちらの方へ分流するということになりますと、当然河口の漁民の了解が得られなければならぬ。この点はどの程度まで話が詰めてあるのか、お尋ねしたい。
  442. 井上章平

    井上(章)政府委員 斐伊川放水路事業によりまして、大社湾の漁業に影響があるであろうということは十分推測されるところでございまして、私ど竜といたしましては、大社町の漁協等と綿密に連絡をとり合いまして、この影響調査について昭和五十一年から東海大学海洋研究所に、五十八年からは日本水産保護協会にそれぞれ委託いたしまして、この委託先につきましても漁協と相談の上御了解を得て、こういうところに委託しておるわけでございますが、洪水が新たに分派されて大社湾に入ってくるわけでございますので、その洪水によって漁業にどのような影響があるか、ただいま広範な調査を進めておるところでございます。今後とも地元の島根県、大社町とも協議をいたしつつ、大社湾の漁業関係者の御理解を得られるように努めてまいりたいと思っております。
  443. 吉原米治

    ○吉原分科員 そうしますと、この分流の問題もなかなか一気に解決がつけられそうにもございませんけれども、今斐伊川の河口には、御案内のように宍道湖、そして中海、そして日本海というふうにつながっておるわけでございます。今の建設省の治水計画による、神戸川へ二千トン分流するといってもなかなか今すぐということにはならぬ。毎秒三千九百トンというのは分流に二千トン取ったあとの計算かと思いますが、いずれにいたしましても、百五十年に一度と言われる規模の雨が降った場合には、当然宍道湖あるいは中海のいずれかがはんらんするのじゃないか、こんな気がしてなりません。  大橋川も拡幅をして、大量の水を一気に日本海へ流してしまうという、その計画はわからぬでもないのですが、この端末にあります中海という湾でございますが、ここは御案内のように実は農水省の計画に基づいて淡水化計画がある地域でございます。ですから、淡水化計画だから、海水をシャッターで入らなくしてしまうという施設が、既に水門ができているわけでございますが、海水を入らなくしなければ淡水化ができない。建設省の進めておる治水計画では、一気に大量の水を日本海に流していかなければならない。この水門の段階で大変矛盾が起きてくるような感じがするわけでございます。海水が入ってこないための水量というのは、今言いましたように毎秒三千九百トン。これだけの水が出ていけば海水が逆流してこないわけでございますから、それはいいのですけれども、それ以下の場合は逆に海水が入ってくるわけでございまして、そんなことを考えますと、この中海の干拓工事というものと建設省の進めていくこの治水計画は、水門の場所で、門扉をあけるべきだと言う、いやそれはあけたら淡水化ができないから困ると言う、非常にそういう矛盾が起きてくるように私は思うのですが、初めてわかった話ではないはずでございますから、その点は農林省とどの程度まで話し合いがされておるものか。素人が考えましても矛盾がある。そういう意味で、矛盾解消のために農水省とどの程度話が詰めてあるのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  444. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほど来申し上げております斐伊川の水系の治水対策は三点セットというお話がございましたが、もちろん宍道湖あるいは中海の海岸堤を設置して、これらの沿岸の洪水、はんらんを防止することも含まれておるわけでございます。これらの水系全体を通しての計画の中でこういうことが処置されるわけでございますが、しかし、この治水計画と農林省がただいま進めております中海干拓事業計画あるいは淡水化計画とは当然私ども十分協議し合って整合のとれたものとなっておるわけでございます。しかしながら、まだ放水路ができていないとかいろんな局面が今後過渡的に出てくるわけでございますので、それらのときにこの中浦水門をどういうふうに運用するか、あるいは能力があるのかということにつきましても、私どもはいろいろと農林省と詰めさせていただいております。  それで、中浦水門は淡水化のためにつくられたものでございますが、洪水時には全開するわけでございます。ただ、中小洪水時には全開できないという御説でございますが、それはそのようではありますが、十門の二段ローラーゲートを有しておる水門でございますので、全開操作のほかいろいろ越流操作、潜流操作等の放流が可能でございまして、中小洪水時におきましても、この水門は十分対応可能というふうに考えておる次第でございます。
  445. 吉原米治

    ○吉原分科員 農水省と整合性を求めて話し合いはできておるのだ、こうおっしゃるのですけれども、どうしてもそこが私ども理解いかない。治水計画では大橋川までも拡幅して水の流れをよくしようという。ところが、それを受ける側の方の宍道湖にしても中海にしましても、干拓淡水化では堤防や水門で締め切ろうとしておる。本当にこういうことで一体治水という立場で考えますと大丈夫なんだろうかという地元の心配に対しては、何ら解明をされていない。住民組織でつくっております「宍道湖の水を守る会」、「淡水化を考える会」といいますか、そういう組織の代表もそういうことを漏らしておる。非常に不安に思っておる。今あなた農水省とそれは整合性のとれた話し合いはしてある、こうおっしゃるのですが、もっと具体的にどういうことなのか、わかりやすく説明してください。
  446. 井上章平

    井上(章)政府委員 中浦水門が最下流端になるわけでございますから、ここの流出容量といいますか、それはもちろん上流の治水に非常に大きな影響があります。しかし、私どもは、先ほど来申し上げておりますような水系全体とした治水計画をもとにいたしまして、放水路計画あるいは大橋川の拡幅計画、宍道湖あるいは中海の海岸堤防、こういうものによりまして一体的に治水の安全度を水系全体にわたって確保しようという考え方で進めておるわけでございます。ところが、今、先生御指摘になりましたように、例えば放水路についても非常に年月がかかるということは十分理解できます。そういう場合に中浦水門が障害にならないかという御指摘であろうかと思われるわけでございますが、それにつきましては検討いたしておりまして、この中浦水門によって障害が起きるということはないというふうに確認をいたしておるわけでございます。
  447. 吉原米治

    ○吉原分科員 今の局長説明ではもう一つ納得がいかないわけでございます。少なくとも計画高水流量毎秒三千九百トン、このときだけは海水を押し出す作用をして、それ以下なら逆に海水が入ってくるということですから、そのたびに間断なく水門をあけたり閉めたり簡単にできれば、農水省の方の所管の淡水化の工事にも差し支えないと思うのですけれども、そう器用に、三千九百トンという百五十年に一回というような大水が出た場合に、そんな簡単に水門をあけたり閉めたり自由にできるのかなと思って私は素人ながら心配するわけです。  時間がもうなくなりましたので、大臣に一言だけお願いをしておきたいのです。今、大臣お席に著かれる前に、上流でダムをつくる計画があるのですね。これは一カ所じゃない。三カ所ぐらいのようですが、ダムをつくられますと、その地域の住民というのは本当に部落全体がもう営農意欲を失うし、あるいは植林などする気にもならぬし、あるいはどうせ水没してしまうなら家も直そうにも直せぬ、そういう不安が今高まっております。河川局長の話だと了解はほぼ取りつけられるだろうという、私に言わせれば安易なお考え方のようでございますので、ダム建設あるいは川の拡幅の関係住民の皆さんが立ち退きになる場合は、少なくともその人の生活がこれから先一体どうなるのか、あるいはダム建設の予定地域の部落は一体どうなるのかという生活のビジョンといいますか青写真といいますか、そういうものを示して、ひとつそれを最優先に住民の皆さんの不安を解消していただきたい。大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わります。
  448. 水野清

    ○水野国務大臣 ちょっと食事で出ておりまして失礼をいたしました。  承ると、約六十戸の家屋が水没をするそうでございます。この水没住民の生活再建というのは、先生のお話のとおり極めて重要なことでございます。河川局長からも申し上げたと思うのでございますが、島根県当局などと協議を重ねておりまして、生活再建策を速やかに策定するよう努めている、こういうふうに聞いておりますが、なお一層努力をするように、私からも担当者に督励してやらせるようにいたしますので、御了承賜りたいと思います。
  449. 吉原米治

    ○吉原分科員 終わります。
  450. 亀井静香

    亀井主査代理 これにて吉原米治君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  451. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私は公明党・国民会議の斉藤節でございます。きょうは三点ばかり大臣並びに関係各位の御答弁を賜りたいと思うのでございますが、まず最初に、高齢化社会の住宅対策という問題についてお伺いしたいと思うわけでございます。  二十一世紀につきましてはいろいろと大きな意味で重要な世紀となろうということがよく言われているわけでございますけれども、我が国におきましては、高齢化社会にだんだん進んでいっている、これはもう申すまでもないことでございます。その我が国の高齢化社会の特徴というのは、諸外国に比べまして、そのテンポが極めて急である、そのように我々は思っておるわけでございます。事実、それはデータもあるわけであります。現に総理府の発表によりますと、昭和五十年の総人口一億一千百九十四万人、これに対する六十五歳以上の高齢者人口でありますけれども、これは八百八十七万人、いわゆる総人口の七・九%を占めているということでございます。また五十五年九月十五日現在では、既に一千万人を突破して千六十三万人、これは九・一%になっているわけでございます。予想でありますけれども、さらに七十年には千六百五十万人になるであろう。そうなりますと一二・七%。また八十年には二千百八万人、一五・五%になる、このような見通しがあるわけでございます。  また、厚生省の五十八年度の厚生行政基礎調査、これによりますと、高齢者世帯は前年よりも十万五千世帯ふえている。二百七十九万二千世帯になっている。また昭和四十五年のちょうど二・三三倍に達するということでございます。高齢化社会が加速的にやってくることをこれは裏づけているわけでございます。さらにこのうち六十五歳以上の老人の一人暮らしの単身世帯というのは百四万六千世帯であるわけであります。これは前年よりも七万世帯もふえているというわけでございます。  このような高齢者社会を迎える前に、全国的に住宅のストックを十分に高めておくことが急務でなかろうかと思うわけでございます。ところが、現実には高齢者のための住宅対策は、福祉対策の盲点になっていると思うわけであります。特に、一人暮らしの老人への配慮がなされていないわけでございます。ただ老齢であるという理由だけで、民間の賃貸アパートだとか貸し家からも敬遠される傾向にあるわけでございます。二百二十万戸余の公共賃貸住宅も、一人暮らし老人に対しては余り配慮されていないのが現状でございます。適切な住宅がないために、元気な老人までが無理やり老人ホームに入れられて、地域社会から断絶されている、そういうような場合もあるわけでございます。  そこで、政府といたしましては、このような現状をどのように理解しておられるのか、また今後の高齢化社会における住宅対策をどのようにお考えになっておられるのか、まず大臣からお答えいただければありがたいと思うわけでございます。
  452. 水野清

    ○水野国務大臣 斉藤委員の御指摘のとおり、日本の社会の高齢化が非常に進んでまいりまして、かつて住宅公団がやってきた政策も、それに合わせて急速に対応していかなきゃならない、こういう事態になったことはよく私ども承知をしております。     〔亀井主査代理退席、主査着席〕 現在、住宅宅地審議会というのがございまして、これに高齢者向けの住宅をどうすればよろしいかということを含めて、身体障害者の問題もございますが、そういったものを含めて諮問をしている最中でございます。その中で、高齢化社会対策につきましては、恐らく近いうちに審議会の御検討をいただいて、今後の施策をやっていくつもりでございます。  なお、現在も融資制度であるとかあるいは高齢者向きの住宅についての建設は、急速に方向転換をしてやっておりますが、細かいことは住宅局長から説明をいたさせます。
  453. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま建設大臣から御説明がございましたように、高齢者社会の到来に対応いたしまして、住宅対策はいかにあるべきかということで、そういう内容を含めまして住宅宅地審議会で今検討をしていただいております。御指摘のとおり、我が国の高齢化社会の到来のスピードが大変に早い。欧米諸国に比べまして二倍以上のスピードで高齢化社会の到来へ向かって邁進をしているというのが現状でございます。昭和九十五年には二千八百万人の人が六十五歳以上の人口になると言われております。その総人口に対する割合は二一・八%であるということでございます。  したがいまして、現在住宅宅地審議会でいろいろ御検討はいただいておりますが、私どもといたしましても、種々の住宅対策を実施をしておりまして、例えば公営住宅、公団生宅、公庫融資住宅等につきまして、老人世帯向けの住宅につきましては種々入居の優遇をいたしております。公営住宅につきましては、六十歳以上の老人世帯につきましては、特定目的公営住宅といたしまして規模、設備等の面で配慮いたしました公営住宅を供給しております。また御指摘の単身の老人がふえてくる、これに対しましては、昭和五十五年度に公営住宅法を改正をいたしまして、六十歳以上の老人であれば、従来は単身入居は禁止されておりましたが、これを単身老人入居の道を開いております。さらに公団住宅につきましても、住宅変更制度でありますとかあるいは賃貸住宅や分譲住宅への入居の優遇。さらに公庫融資住宅につきましては、貸付利率の優遇等々の措置を行っているところでございます。
  454. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大変いろいろの手を打たれているということで、私、幾らかほっとしているわけでありますけれども、しかし、いずれにしましても、現在でさえ大変老人が住宅に苦労しているという状況でございますので、なお一層の御配慮のほどをよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  老後の住宅の保障というのは、申すまでもありません、社会福祉の基盤であると思うわけでございますが、そのような視点から、公共住宅の建設に際しましては、先進諸国のように、その一定の割合を一人暮らしの老人あるいは老夫婦ですね、こういうものに充てるべきではないかと思うわけです。例えば老人向け住宅の建設、これにつきましては、先進諸国でありますデンマーク、これなどは公共住宅の一〇%をあらかじめそういう単身の老人あるいは老夫婦、こういったものに充てるということで既に決めているわけです。オランダなどでは六%、フランスなどでは五%。さらに七五%程度の住宅の手当をやっている。イギリスなどは一五%。これは一九六〇年代の実績でございますけれども、このように諸外国では既にもう住宅を建設する段階から老人向けのものとして考えているわけであります。我が国も、財政困難な折でもありますけれども、これからはどんなふうに財政が変わっていくかわかりませんので、ぜひともそのようなことを御考慮していただければありがたいと思うわけでございます。  また、現在の居住者も、私も含めましてやがて老人になるわけでございまして、そのようなことも考えまして、居住用住宅の建築基準を再検討されることも必要ではないかと思うわけでありますけれども、このような観点につきまして、大臣の御所見をいただければ……。
  455. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 最初の点の、老人世帯向けの公的住宅を建設当初から一定割合を考えて建設したらどうかという御指摘でございます。まことにごもっともな御指摘でございます。実はこれにつきましては、昭和三十九年度から、先ほど説明申し上げました、老人世帯向け特定目的公営住宅といたしまして、一定割合をそういった六十歳以上の老人夫婦世帯等に割り当てをするということで実施をいたしております。具体的には、各地方公共団体がそういった六十歳以上の老人夫婦世帯のうち、公営住宅入届希望のある者をアンケート調査をいたしまして、それらの希望に基づいて一定戸数の建設を実施しているわけでございます。ただ、御指摘のように、北欧諸国のような状況で十分にそういった老人世帯向け公営住宅が建設されているかどうか、これについてはやはり検討する必要はございますが、さらに今後ともこういった老人世帯向け住宅の建設の拡充を図っていくよう研究していきたいと考えております。  それから、こういった老人向け住宅の設置の基準等の問題でございますが、これにつきましても、建築基準法自体にはそういった基準はございませんが、公営住宅の建設基準あるいは公庫融資住宅の建設基準等におきまして、規模、設備等の面で配慮をするよう基準を整備しているところでございます。
  456. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういう公営住宅の設備その他といった問題ばかりじゃなくて、こういった老齢者を抱えている家庭は非常に苦しいわけでございますから、家賃問題といったことも含めまして、御考慮していただきたいと思うわけでございます。  現在、そのようにいろいろ努力されておられるわけでありますけれども、実際には一人暮らし老人向けの公共住宅建設は進展していないのが現状じゃないかと思うわけでございます。そこで提案なんでございますけれども、現在東京都中野区などで実施している民間アパート活用方式というのがあるわけでございます。こういう方式を国が助成して促進してはどうかなと思うわけでございます。  これはもう御案内だと思いますけれども、例えて申し上げますと、中野区では、通常の社会福祉施設のほかに、法外援護として、一人暮らし老人に対して昭和五十年度から毎年アパートを区で確保して、一棟について十名の老人を入居させる。また通常の家賃、現在でしたら大体三万五千円から三万九千円ぐらいになると思いますけれども、これに対して前年の所得に応じて区が適切な家賃補助を行っているわけです。最低三千円から最高二万円ぐらいまでですね。このような補助をやって、そして入居者に貸与しておるわけでございます。現在九棟ございまして、九十一名が中に入っているわけですが、このような方式を国がやれないものかどうか。この民間アパートというのは、青写真の段階から家主、業者、区で検討しまして、例えば手すりをつけるとか、あるいは階段を緩やかにするとか、そんなようなことまでやりまして特別につくっているわけでありますけれども、このようなことを中野区だけじゃなくて世田谷、杉並、練馬でも実施していると聞いているわけでございます。これを国の方でできないものかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいのですけれども
  457. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま御指摘のございました、中野区におきます民間アパートを、公的住宅といたしまして借り上げもしくは買い取りをして、そういった制度を実施しているというお話は、私どもも伺っております。これにつきまして、私どもいろいろ検討、研究をしてはおりますが、国の施策としてこれを実施するには、管理の面あるいは住宅の建設基準、設備基準、そういった面、いろいろ解決をしなければならない問題があろうかと思います。そこで、最初に大臣からお話がございましたように、そういったことも含めまして、住宅宅地審議会で現在高齢化社会の到来に伴って住宅対策はいかにあるべきかということでいろいろ御検討を賜っておりますので、それらの結論を得まして、そういった施策の反映を行ってまいりたいと考えております。
  458. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大変前進的な御返答をいただきまして大変ありがたいのでありますけれども、さらに老人から孤独と貧困を取り去るという配慮を兼ねまして、三世代同居ということを可能にする必要があるのではないかと私は思うわけです。そういうことで、一定条件のもとで適正規模の住宅取得に対しまして、二世代にわたる超長期住宅ローンというような制度などを、建設省さんにお願いするのはちょっとこういう金融機関関係でありますから別かもしれませんが、その辺どのように考えておられるか。非常に長い住宅ローンなどをつくっていただいて、そして一世代でなくて二世代、三世代にわたって返済していくというような方法で、老人が三世代ともに暮らしていけるような特別な方策をやってはどうかなと思うわけでありますけれども、その辺いかがお考えでありますか。
  459. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 二世代にわたります住宅ローンの承継償還制度につきましては、住宅金融公庫におきまして昭和五十五年度より、高齢者に対する貸し付けであっても、一定の親族を後継者と指定しまして、その者が返済を継続する場合には通常の償還期間を認めるという制度を実施いたしております。また一般の民間住宅ローンにつきましても、昨年より御指摘のような二世代住宅ローンが実施されております。さらにこういった制度を十分研究してまいりたいと考えております。
  460. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういう実施されているということはかねがね聞いてはおったのでありますけれども、さらにそれを推し進めていただきたいと思うわけでございます。  以上で老齢化社会における住宅問題を終わりまして、時間もなくなってしまいまして、次の問題につきまして簡単にやらしていただきたいと思います。  居住宅の地下室ですね。我が国は地下室というのは余り使われていないと思うわけであります。普及もしていないと思うわけでございます。そういうことで、地下室の普及ということで私は御質問申し上げたいと思うわけでございます。  欧米諸国などは、御案内のように非常に地下室の利用というのが多いわけであります。例えば食料庫だとか家事室、あるいはホビー室としてビリヤードを置いている家などもありますけれども、そういったことで大変地下室が利用されているわけであります。我が国の場合は非常に地下室が、特に居住宅におきましては少ないわけでありますけれども、今非常に土地も高くなっておりますし、そういうような客観情勢を踏まえて、一定条件のもとで許可してはどうかなと思うわけです。例えば一定以上の広さを確保している敷地とか、あるいは上下水道、道路の完備している地域、こういったところには地下室を容積率の対象から除外する、そういうような有効な措置をとって、大いに地下室をつくることを普及してはどうかなと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  461. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 住宅におきます地下室の利用につきましては、大都市のように用地取得事情、用地事情が厳しいところでは確かに御指摘のようなことがあろうかと思いますが、ただやはり地下室に居室を置くということは、一般的に採光及び換気の確保、あるいは湿気の防止など衛生上解決すべき課題が多数ございまして、これらについて十分な配慮を行う必要があると思います。こういったことから、建築基準法の第三十条におきまして、住宅の居室を地下に設けることについては制限を加えているわけでございますが、しかしながら同条にはただし書きがございまして、「居室の前面にからぼりがある場合その他衛生上支障がない場合においては、」地下に居室を設けてもよい旨を定めております。したがいまして、衛生上十分な配慮がある一定基準によってなされた場合については制限を加えるものではございませんので、これにつきましてはできるだけ前向きに技術的な基準についての検討を加えながら、地下室の有効利用についても研究していきたいと考えております。
  462. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 今の地下室の問題、これはつくる場合に容積率の中に含まれているわけですね。それを何とか外してあげればなお一層つくりやすくなるのじゃないかと思うわけでございますけれども、その辺、御検討のほどをお願いしたいと思います。
  463. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 容積率の算定につきましては、現行の法規では、考え方といたしまして、地上部分も地下部分も車の交通量の発生状況等につきましては同様な考え方であるので、これを地下室だからということで除外するということは、現在ではなかなか難かしいかと考えております。
  464. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 なかなか難しい問題だと思いますけれども、やはり土地の面積が非常に狭い状況にあるわけですから、一定の条件を整えれば、そういう基準から外すといったことなども大いに御検討のほどお願いしたいと思うわけでございます。  あともう時間がありませんから、残り時間を使わせていただきまして、これは非常に狭い範囲になりますけれども、多摩川の国道バイパスにかかる新国道橋、いわゆる新日野橋と一般に言われておりますが、これについて御質問申し上げたいと思います。  申すまでもなく、今日の道路渋滞は目に余るものがございます。そのために救急車も十分通れなくて、急患の方が十分な手当てもされないような状況にある、あるいは手おくれにするといったようなことも考えられますし、——現に起こっているかどうか、私、調査しておりませんので何とも申し上げられませんけれども、そのように渋滞が激しい。それから物資輸送に関しましても、そういう点で非常に困る問題でございます。特に都心の近く、三多摩、多摩川にかかっている橋の数からいきますと、ほかの河川に比べて交通量の割に橋が少な過ぎるのではないかと私は思っているわけでございます。  そこで、五十五年に、私どもの元議員でありました長谷雄元委員が法務委員会におきまして既にこのことについて御質問しているわけですね。そのときと現在とどのぐらい進歩してきているのか、その辺御返事いただきたいと思うわけでございます。まだ調べておられなかったら、ここにありますので……。
  465. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 新日野橋は、国立市谷保を起点とし、八王子市高倉町に至る延長八・一キロメートルの一般国道二十号日野バイパスの中の多摩川に架設が予定されております延長約三百メートルの橋梁であります。日野バイパスは、現在までに起点側、これは都心側でございますが、〇・六キロメートルが中央道国立府中インターの連絡道路として供用済みであり、また終点側の八王子側の二・七キロも区画整理事業に合わせて供用済みであります。現在、万願寺区画整理事業第一期区間に合わせて五十八年度から管理者負担金を支出して道路用地の取得を行っているところであります。新日野橋につきましては、バイパスの全線供用に合わせて整備することとしており、橋梁の着手時期につきましては、本バイパスの用地買収の進捗状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。
  466. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 確かに今読まれたとおりなんでありますけれども、五十五年当時から見ますと非常に交通量が激しくなってきているわけですね。ここに私持ってまいりましたのは「多摩川中流部橋梁及び関連道路整備計画」ということで「(中間のまとめ)」というのが「概要版」として東京都建設局道路建設部から五十八年四月に出されているものでございますけれども、これによりますと、全国交通情勢調査が行われているのですね。これは昭和五十五年です。これを見ますと、発生集中交通量は東京都全体で前回比、つまり昭和五十二年に全国交通情勢調査を行っているわけですが、それによりますと〇・九でありますけれども、多摩川地域では一・一となっているのですね。非常に高いのです。これを走行距離で比較してみますと、昭和四十六年を一〇〇としますと都区部は一〇六でございます。これに対しまして多摩地域は一四六ということで、極めて大幅な増加になっているわけです。朝夕のラジオの道路情報などを聞いておりますと、日野橋は上下線とも何キロと渋滞であるということが報じられております。これは何とか早く解消していただかないと非常に大きな問題があると私は思っているわけでございます。そういうことで、今いろいろ読み上げられましたように、万願寺の地域の買収が住民の反対とか何かがあってなかなかうまくいっていないようでありますけれども、これを何とか早く解決していただきまして、もう一本橋をかけていただきたいと心から念願するものでございます。
  467. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 今、先生からお話しのとおり、この地域における一般国道二十号の混雑はかなりのものでございますので、そういう関係もありまして、現在バイパスを計画し、その進展を図るよう努力しているところでございます。なかなか都市部におきましては、特に団地等がある区域では皆さん方の了解をとるにかなりの時間が必要でございまして、現在、鋭意この沿線の方々の理解を得るよう努めておるところでございます。これから着実に事業の進展を図っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  468. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 時間になりましたので、私の質問をこれで終わらしていただきますけれども、ぜひとも関係の方々によりまして善処方をお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  469. 村田敬次郎

    村田主査 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  470. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 最初に下水道関係の問題で、第五次の下水道整備計画昭和六十年度に終了するわけでありますが、私は専ら上下水道、水問題を含めて党のそういう仕事をやってまいりました。第二次、三次、四次、それぞれの下水道計画について流域下水道問題が提起をされまして、もう建設省の方は御案内でしょうが、流域下水道の計画についてはさまざま問題があったことは率直に言って御案内のとおりであります。各都市が単独で処理場をつくるべきではないか、こういう意見に対して、財政能力あるいは公益的な下水道処理という立場から流域下水道という措置が各種とられたわけであります。  相模川の左岸、右岸含めて、相模川流域下水道もその例に漏れませんで、今流域下水道工事が進捗しておるわけでありますが、これは一般論でありますけれども、今度中津川のダムができまして相模川への流水量が大変少なくなってまいります。地下水の枯渇という問題あるいは下流における地下水のくみ上げによる地盤沈下などという課題がありますが、これはきょうの課題から少し抜くとして、流域下水道問題はしょせんそういう問題が含まれているということを前提に置きながら、まず相模川の流域下水道、今日どのような状況下にあるのか御説明いただきたい、こう思います。
  471. 松原青美

    ○松原政府委員 相模川流域下水道左岸処理区の関係について御説明申し上げます。  相模川流域下水道左岸処理区は、御承知のように昭和四十四年度に事業に着手いたしまして、昭和五十二年度に一部供用を開始しております。この左岸の事業の進捗につきまして、管渠の整備のおくれがございまして、関係市町村並びに事業主体である神奈川県からは管渠の整備要望が強く出ております。その現状は、全計画延長が六十七・三キロでございますが、五十八年度末の整備見込みが三十六・四キロということで、その整備進捗率は約五四%という現状でございます。
  472. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 現在のその進捗状況でまいりますと、当初の左岸の管渠を含め、処理場の完成時期は見込みとしていつごろになりましょうか。
  473. 松原青美

    ○松原政府委員 以上申し上げましたような進捗状況でございます。特に、先生も御案内と思いますが、流域下水道、長期にかかる事業でございますし、昨今の財政事情で下水道事業費が伸び悩んでおります。そういう状態でございますので、私どももできるだけ早く供用の面積を広げ、地元の要望にこたえたいと思っておりますが、今の段階ではいつ全体事業が完成するかといってとは明確にお答えできない状況でございます。
  474. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 それでは第五次下水道整備計画は、今年度は五十九年、すなわち次の六十年度でおしまいになるわけですが、その第五次五カ年計画の中での六十年度末における進捗状況はどのくらいになりますか。
  475. 松原青美

    ○松原政府委員 五十六年度を初年度といたします第五次でございまして、六十年度まででございます。六十年度の予算がまだ展望できない状態でございますので、その点につきましては明確にお答えできませんが、現在のところを申し上げますと、五十八年度末の五カ年計画の進捗率は約四五%、ただいま御審議いただいております五十九年度予算案によります進捗率は約五八%にとどまる見込みでございます。
  476. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、一応五十九年度の延長線上に六十年度はある、こう推定をいたしますと、五十九年度末で五八%ですから、前年度から見ますと十何%伸びているのですか、一三%ですかね。そうしますと、七〇%強、七二、三%まで伸びる、こういうように見てよろしいのでしょうか。
  477. 松原青美

    ○松原政府委員 残された期間は実質二年でございますが、予算年度としまして、五十九年度予算案は御承知のとおりでございまして、六十年度につきまして、厳しい見方の御質問でございますが、私どもとしては、これから残された期間を全力を挙げて事業を伸ばすことに努力を払ってまいりたいと思っておりまして、今、先生お示しの数字のとおりということを申し上げたくない心境でございます。
  478. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 それは困るのでね。今度の予算委員会で最終的に与野党の折衝の中でも、公共事業費の問題については、御案内のように、大臣、景気浮揚の問題を含めて——私は地方行政委員会に長いことおりますが、やはり県の単独事業が国の公共事業投資のおくれによって拡大をしているわけですね。財調も各地方自治団体取り崩しになっていますから、結果的には、それで神奈川県などでも、今の流域下水道だけ見ましても、五十九年度、今予算がついていますが、一〇五・七%に上げているのですね。でないと、管渠の場合には三分の二の補助率ですから、そういう面も含めてそういうことをしないと住民のニーズに合っていかない。私は流域下水道に対する住民の問題がありますと、これは実は衆参の両院でたしかやったと思いますけれども、流域下水道の是非論について、実は参考人を呼んでやったことがあるのです。特に流域になってしまいますと、上から水を取りまして下にパイプで出てしまうものですから、結果的に河川の地下水が枯渇する、近隣の農業用地で農産物に対する水の吸い上げが少なくなるとか、いろいろ障害がありました。しかし国として、公益的な面あるいは市町村の財政能力から見て、流域下水道というものは、この際ということで二次、三次ないしは四次計画あたりから急速に国がやや指導的な意味でやった公共事業ですよ。そういう意味では、やはり一般的な公共事業が、財政が弱いから削減する、ないしは横並びだということはわかりますけれども、国のやった事業に対して、その計画に対して、少なくとも八割から八割五分ぐらいいっていませんと、住民の側から見ての不信感が出ますよ。そうでしょう。  例えば私の方も今度中津川のダムの問題なんかもありますけれども、これなんかでもやはり早く土地を売った人、そして国の政策に協力した人、期間が延びて、何だ、結果的にはいま一遍あの土地を買い戻しすればよかったなんていう意見が住民の側から起きてくる。そういうことが起きないためにも、私は、同じ公共事業の中でも、国が行うものと、それから単独に対して補助事業として国がつけるものとの、そういう施策上の考慮というものがあってしかるべきじゃないかと思うのです。そういう意味では、局長、今あなたの御説明では、六十年度はどうなるかわかりませんという全く心細い返事なんですが、どうでしょうね、私が申し上げましたように、少なくとも五十八年度は五十九年度並び、そして六十年度の第五次の整備計画の終わる段階では、今言った延長線上にその国庫補助事業の事業費なり工事の進捗が行われる、そういう財政の面、それから事業の面の御指導をされるということがしかるべきではないかと思いますが、いま一遍ひとつお答えください。
  479. 松原青美

    ○松原政府委員 確かに第五次の五カ年計画策定いたしました五十六年度におきましては、私ども、この五次の計画が十分達成できるものという見込み、確信を持ってこれを策定したわけでございます。その後、急激に国の財政状態が困難になりまして、下水道もその例に漏れず、国費で前年同額というベースが数年続いてまいりました。その結果、先ほど申し上げましたような五カ年計画の進捗率という点につきまして、私ども担当している者としましては甚だ残念でございますし、またそれぞれの自治体でそれぞれの住民に、いついつまでの時期にこの下水道を整備して供用する、こういうことを住民の方々にお話しされてきておりまして、そういう見込みがかなり狂ってくる、こういうことにつきまして、その県の当局者なり市の当局者から常に私どもその窮状を訴えられております。甚だ残念でもありますし、申しわけないという気持ちもあるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、残された期間二年ございますので、精いっぱいの努力をして一%でも余計達成するための努力を重ねてまいりたいと思っております。
  480. 水野清

    ○水野国務大臣 加藤委員何もかもお見通しでおっしゃっておられる御質問でございますが、確かに下水道整備の五カ年計画がはかばかしい進捗率を示しておりません。しかもあと残るところ、五十九年度はもう予算案になって今審議をお願いしている際でございますから、あと一年しかない。達成できるかどうか。今私どもは、たてまえから言えば、何とか達成いたしたいということしか申し上げられませんが、しかし、御推察のような問題は既に起こっているわけでございます。これをどうするか。実は建設委員会でも同じような問題がたくさん御質問がありまして、その中で、例えば、では次の五カ年計画に移ったらどうだ、あるいは改定をしたらどうだ、いろんな御提案がございまして、そういうことも私どもは全く考えないわけではありませんけれども、改定をするにしましても、実際は、やはり改定の準備期間というのがございまして、実はあと一年、予算の執行まで一年でございますから、実際上は同じことになるわけであります。  そういうことを考えまして、ともかくいましばらくこの状態でやっていきたい。ある意味では非常に五カ年計画と実績の乖離がありましたが、非常に高い水準の目的を立てたために、この苦しい財政の中でもこれだけ予算は何とか確保してきた、こういうふうにひとつ海容に御理解をいただきまして、次の五カ年計画の中で私どもはいずれいろんな問題を吸収していきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  481. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 ここでは多くは論議できません。公共事業投資に対して地方財政計画でもそうですが、大変乖離が大きいのですね。私はやはりあの乖離をなくさなければいかぬと実は思っているんですよ。そうでないと、当初計画と決算計画とがこんなに何兆円という差があるなんという予算計画というのはずさんじゃないかと言って、今度も田川さんを責めようと思っているのです。  それからいま一つは、下水道でとってみれば、例のオイルショックのときに、やはり公共事業投資が相当ぎくしゃくしましたけれども、あれを乗り切ったわけですから、そのことを考えられて、今日の財政の状況の中でも乗り切れる策を、そしてしかもそれが住民のサイドから見て、ここに重鎮を置けばというものがあるはずですから、その辺はひとつ十分配慮して、特に、相模川流域下水道のように、やはり国の指導型の下水道工事というものに対しては、できる限り住民から国の政治に対して批判が起きないような策をとっていただきたい、こう思うのです。  それからいま一つ。これはやはり去年の当委員会で私、質問さしていただきましたが、新湘南国道、通称新湘南バイパスの問題であります。  時間がありませんから、進捗状況についてはお伺いをいたしても時間が長くなるだけでありますから申し上げません。  そこで、新湘南国道の特徴は、先ほども御質問がありましたが、一号線のバイパスが二つ、藤沢市にもあり、平塚市にもある。その真ん中が実はバイパスがない。したがって、ちょうどヒョウタンで言えばヒョウタンのくぼみのようなところが数キロにわたってできてしまうわけなんです。したがって、上り線はどうにか車の処理ができると私は思うのですが、下り線がバイパスの通過によって数キロの間渋滞状況が続く、こういうことでございます。  そこで、下町屋というインターまで今度工事が行われまして、これが旧一号線と接触するインターになるわけですが、それから先の工事見通しをどういうふうにお持ちなのか、いま一遍ここでただしておきたい、こう思うのです。
  482. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 新湘南バイパスを延伸して西湘バイパスに接続するバイパス計画を現在調査しておるところでございます。本バイパスの計画区域には、相模川河口部に野鳥が集まる干潟がありましたり、また河口部左岸に今お話のありました相模川流域下水道の終末処理場が建設されておるわけでございますが、そういう問題。さらに平塚地域の湘南海岸は風致地区に指定されており、湘南海岸整備構想も進められておるところでございます。今延伸するバイパスの計画につきましては、これらと十分調整する必要があり、現在、関係機関と協議を進めているところであります。  今後、さらに調査の進捗を図り、関係機関と調整の上、早期にルートを確定し、都市計画決定を図りたいと考えております。なお、都市計画決定は全線同時に行いたい。すなわち、今、先生おっしゃいました現在施工中の新湘南バイパスの終点から西湘バイパスまで一気に都市計画決定をやりたいと考えておりますが、事業の実施当たりましては、これは段階的に整備を進めていくことも検討したいというふうに考えております。
  483. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 その計画を同時決定ということがなかなか難しいんだと私は思うのですね。今の御指摘にありましたように、ちょうどその一番渋滞をするところが流域下水道の終末処理場に協力したところであり、おととしでしょうか、相模川にかかっておる馬入橋のかけかえ工事がありまして、これまた協力したところなんですね。  そこで、私は地元の市長にも言っておるのですが、この際、下町屋から西湘バイパスまでの事業計画決定を同時にやる。もちろん同時にやることが一番望ましいのですが、どうしてもできなければ、私ども湘南道路と言っておりますけれども、あれは何号線になるのでしょうか、百三十四号線ですか、そこの部分までを計画決定をして、それから先を、アセスの問題もあるし野鳥の問題もあるし、あるいは橋が今度はどうなるかという問題もありますから、事業で早くやったり遅くやったりするのじゃなくして、計画そのものも百三十四号線までを先にやって、後に西湘バイパスの側に対して事業決定、同時にまた工事の将来的な見通し、こういうものをやったらどうか、こう思うのですが、ここはいかがでしょうか。
  484. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道百三十四号まで都市計画決定を先にやって、そしてその区間の工事を先に始めたらどうかということでございますが、この一般国道百三十四号線は二車線道路でございますし、今計画いたしております新湘南バイパス、さらにそれを延伸しようとする道路は四車線道路を考えておるわけでございますので、やはり全体としてバランスのとれた、整合性のとれた計画でないと、都市計画していく上においても、また私たち実際その計画を進める上でもいろいろ支障がございますので、まず計画だけはきちっとしたものをつくらしていただきたい。  その上、事業については、今、先生おっしゃられましたような、例えば一般国道百三十四号までを一期工事でやるとか、そういうことで進めていきたいというふうに思っております。
  485. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 二車線の問題でいけば一号線だって二車線なんですよ。ですから私は、このバイパスができるときに、この一号線だけにぶつけてしまうと、片一方のバイパスが二車線ですから、しかも旧一号線との両方の車が一つの二車線のところへ寄ってくるわけですから大変なことですよということは前々から申し上げておったのです。ただ民家の面から見てどちらが一体はけやすいだろうか。去年御質問したときには、いや、そのバイパスに来る車はよそにはけ道がありますと言われたから、ああ、そうですかということに僕は理解しておったのです。恐らくそれは西久保のインターチェンジのところのことを指されておったのだろうと思うのです。ところがこれは県道でして、従来でも相当混み合うところですから、ここで逃げ場をつくるということは困難だ。したがって私は、そのほかにどこかスロープをつけて県道に流されるのかな、こう思っておったけれども、それもなしということになりますれば、あとその混雑緩和を、いわゆる馬入橋を渡る混雑を緩和する方法論としては、この百三十四号線のところにまず事業を早急にやって処理をする以外はないだろうというのが私の見解なんですね。これ以上言い合いましても話は進捗しないと思いますので、全体の計画決定が極めて難しいという状況の中では、今言いました百三十四号線までの工事の進捗を早めるということも含めながら、その問題も御検討の内容に含めてひとつ今後御検討していただきたい、こう思うのです。  それから、いま一つお聞きをしますが、関連して西久保のインターチェンジから厚木の国道ですね、厚木から平塚に通る道路。これの計画が、実は県や地方自治体で検討されておるのです。これはまだ検討の段階ですから、建設省の方に上がってはきてないと思うのですが、これが完成しますと、実は今私が言ったいわゆる一号線の渋滞というものは極めて解消される可能性があるわけです。もし地方自治体、神奈川県あるいは街路ですと両都市、平塚と茅ケ崎と両都市計画になるが、これはこれから地方自治体間で詰める問題ですが、できた場合に建設省側としては、これに対する対応といいましょうか、積極的にこれを評価をして支持をする、あるいはその計画が進行できるような条件をできる限り整えられる用意があるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  486. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘の西久保インターから西に向かいまして国道百二十九号でございますか、それまでの間の道路計画は、現在も茅ケ崎市と寒川町地内では都市計画道路藤沢大磯線、平塚市内に入りますと都市計画道路湘南新道として都市計画決定が行われております。幅員二十五メートルで決定されております。  この事業化は、先ほど先生もおっしゃいましたように、まだ私どもの方には上がってきておりませんで、神奈川県で検討中というふうに聞いてございます。かなりの事業になろうかと思いますが、神奈県で検討して方針を定められた場合には、私どももそれに対応すべく検討を今後いたしてまいりたいと考えております。
  487. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 検討するだけではなくして、今の一号線を西湘バイパスにつなげるには相当時間がかかると見ているのですよ。したがって、事によると百二十九号線の方の事業計画の方が先行する可能性が、地元の条件からいろいろな面から見て、干潟の問題だとかアセスの問題だとかあるいは向こう側の、平塚市側のバイパスの条件等を見て、並行的になれば一番いいのですけれども、あるいはこちらが、百二十九号線にぶつかる都市計画道路の方が早目になる可能性もあるわけですね。その際に、建設省として、今の下町屋で一号線にぶつかるその渋滞緩和のためにも、積極的にその道路計画を支持をされて評価をされて、ただ見守るというのではなくて、積極的な評価の中で財政措置とか、あるいはいろいろ指導の面もあるでしょうから、その辺の措置をとることが可能でしょうか、あるいはその意思がおありでしょうかということを聞いているわけです。
  488. 松原青美

    ○松原政府委員 確かにこの都市計画決定されております道路は、相模川にかかっている橋梁の現況から見ますと、上下にかなり間があいているところに計画されておるわけでございます。その意味では、この道路の価値というものはそれなりにあるだろうと思っておりますが、まだ神奈川県から詳細についても伺っておりません段階でございますので、これ以上の積極的なお答えができかねる状況でございます。
  489. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 終わりますが、恐らく上がってくると私は思うのです。地元でも大変期待をしておる道路であり、また橋でもありますから、ぜひそういう立場で上がってきた住民の意向を御検討いただきたい、こう思います。どうもありがとうございました。
  490. 村田敬次郎

    村田主査 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。  次に、藤木洋子君。
  491. 藤木洋子

    藤木分科員 道路行政についてお伺いいたします。  これまでの道路行政は自動車がふえるから道路をふやす、道路がふえるとさらに自動車がふえるという無秩序なモータリゼーションの拡大を進めて、排ガス、騒音、振動という自動車公害を各地で激化させてまいりました。  最近の特徴は大型車の増加でございます。二月からの国鉄貨物の合理化にも関連いたしまして、大型車は一層ふえ、道路公害をさらに激しいものにする心配がでてまいっております。中でも日本一の公害道路と言われております国道四十三号線、阪神高速道路と重なりまして十二車線となり、一日に十六万台を超える交通量となっている芦屋、西宮、尼崎地域の環境はもう受忍限度を超えるものがございます。自動車公害対策は、自動車構造の改善、交通規制、そして道路構造の改善の三つを柱に当たるべきだと考えますが、例の民家防音工事は環境改善までの緊急避難的なものであったと理解しておりますが、いかがでしょうか。
  492. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 道路交通騒音による障害の防止につきましては、今お話しのとおり、自動車構造の改善、道路構造の改善、交通規制などの各種の施策を総合的に実施することにより対処すべきものと考えておりますが、緊急的措置として防音工事助成を行ってきておるところであります。
  493. 藤木洋子

    藤木分科員 ところが緊急措置ではありますけれども、環境の方はどうかといいますと、改善されるどころか、深夜の騒音悪化に低周波振動が加わりまして、四十三号線沿線の住民の皆さんにとっては、防音防振工事はますます切実なものになってきております。先日、阪神高速道路公団では、五十九年度から防音助成の対象を六十ホンに下げると発表されましたが、どのような施策をなさるのか、概要をお話しいただきたいと思います。
  494. 大西英雄

    ○大西参考人 阪神高速道路公団におきましては、従前から高速道路に係ります道路構造上の騒音対策といたしまして、遮音壁の設置、環境施設帯の設置及びジョイントの改良等を行ってまいりますとともに、それでもなお騒音により生じます障害が著しい沿道民家につきましては、緊急的な措置として、夜間騒音が六十五ホン以上ものにつきまして防音工事等の助成を五十一年度から実施してまいりました。実施状況は五十八年十二月末日現在、その助成達成率が九六%に至り、昭和五十九年度末までにはおおむね完了する見込みでございます。  こうした実施状況と沿道の住宅構造、土地利用状況等を考慮しまして、今回建設省にも協議し、六十ホン以上の家屋につきましても、防音工事の助成ができるよう範囲を拡大することといたした次第でございます。なお、工事内容につきましては、昭和五十一年要綱に準じて実施することといたしております。
  495. 藤木洋子

    藤木分科員 そういうことになりますと、この五十一年の実施要綱に基づいてと言われましたが、この五十一年の七月に建設省がお出しになった「高速自動車国道等の周辺における自動車交通騒音に係る障害の防止について」という通達も、内容的には古くなってまいりますが、改定の必要があるのではございませんでしょうか。
  496. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 今申しましたように、防音助成は緊急的な措置として防音工事助成を行ってきておるものでありますが、基本的には六十五ホン以上の騒音障害の著しい住宅を優先する考え方には変わっておりません。したがって、六十五ホン以上の防音工事助成の進捗度、他の対策の可能性等を勘案しつつ、それぞれの事情に応じて対処する必要があるため、五十一年通達の改正によらずに、阪神公団が採択基準を六十五ホンから六十ホンに下げましたのは、阪神公団からの協議を受けまして、その協議に対して特別な理由があるということでこれを了承したものでございます。したがって、この五十一年の通達を今変えるというようなことは考えておりません。
  497. 藤木洋子

    藤木分科員 確かに三つ施策を同時的に進めていくということが大切なわけですけれども、しかし、緊急避難的な対策であるならば、道路事情が改善されるまでの間は、これをやっぱり補助していくといいますか助成をしていくということは必要欠くべからざることだというふうに考えます。しかも、既にその自動車交通騒音の値を六十ホンにまで下げて実施されるわけですから、この際ぜひ見直しを検討していただきたいということを重ねて要望申し上げたいというふうに思うわけです。そしてこれまでの防音工事が住民の間で幾つかの不満を残している点もぜひ改めていただきとうございます。  その第一は、施工する部屋の数の問題なんですが、家族数が一人なら一室、二人なら二室、三人であれば三室、四人以上になりますと四室というふうになっておりますね。本来部屋数といいますのは個々の事情によって異なるわけでして、窓のある部屋は全室防音工事を保障するということが基本であっていいのではないか、こんなふうに考えるのですが、その点もぜひ御検討いただきたいと思います。  いま一つは、工事が既に終わりましたところのアフターフォローについてですけれども、第一期とも言えるこれまでの防音工事は五十一年に始まっておりますから、既にもう八年近い年月を要しております。冷房装置などの耐用年数に達しているところもあるわけですけれども、もう機械が使えない、こういう声も私のところに寄せられております。四十三号線が現状のままでございますと窓もあけられませんし、夏季のクーラー使用は欠かすことができません。そこで機械のオーバーホールや買いかえなど必要な経費はこの助成制度の中で見ていただきたい。また運転に要する電気料金につきましても、一定額を負担していただくわけにはいかないだろうか、こういった要望が数多く寄せられております。絶え間ない自動車公害に悩まされ続けてきた住民の方々のこの切実な要求におこたえくださる姿勢をぜひここで見せていただきたい、こんなふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  498. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初の、五十一年通達の改正を行ってはということでございますが、これにつきましては阪神公団から、阪神一般国道四十三号沿道における住居の構造やさらには土地利用状況、さらには六十五ホンを超える住居に対する防音助成の進捗度等から見て、今回六十ホンにするのはある程度やむを得ないのではないかということで、阪神公団からの協議に応じた特殊な例でございます。  ただ、他の公団につきましても同様な措置について協議があれば、今申し上げましたような点を検討の上判断してまいりたいと思っておりますので、五十一年通達を改正するということは考えず、臨機に対応していきたいというふうに思っております。  それから、防音工事助成の対象の部屋数でございますが、防音工事助成における助成対象室数は、今、先生言われたとおり、居住人員に応じて一人の場合は一室、二人の場合は二室で、四人以上の場合は四室までということになっておりますが、これは夜間の安眠等の確保を早急に図ろうとする緊急的な措置として、この防音工事助成が行われておったものであり、いまだ夜間の室内騒音の水準が必ずしも十分でない住宅が数多く残っておる現状でありますので、これらの住宅への措置の拡大の方を優先させなければということで、部屋数をふやすことよりも、まだこの措置を受けられていないところに、この防音助成の措置を進めていくことを先行したいというふうに考えております。  それから、防音工事助成後寿命が来たクーラー等設備類の買いかえや電気代についても助成すべきではないかということでございますが、防音工事助成採択基準値の緩和、今申しましたように、阪神公団においては既に六十五ホンから六十ホンにしたわけでございますし、また今、先生おっしゃいましたような対象室数の拡大などの要請もあるわけでございます。そしてそういうものがまだ数多くの残事業として残っている現在、維持費、更新費等の助成は困難であると考えております。
  499. 藤木洋子

    藤木分科員 まだ夜も寝られない地域があるから拡大をする、確かにそれも結構ですけれども、私は両方同時的に進めでいただきたいと思うわけですね。どちらか一方だけをやって、片一方おくらすのですか。おくれて、その室数の見直しなどはなさるおつもりですか、重ねてお伺いいたします。
  500. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 この六十五ホンに決めた最初は、住居系以外のところの夜間の要請基準が六十五ホンということで六十五ホンという数値を決めたわけでございます。その後、今申しましたような諸般の情勢があって、そういう六十ホンに下げるべきところは下げたわけでございますが、まだ六十五ホンの基準でやらなければならないものが相当数残っておりますので、まずそちらの方を先行してやるべきではないかという考え方でございます。
  501. 藤木洋子

    藤木分科員 先ほど来の御答弁を伺っておりましても、環境改善までの緊急的な措置だけでは救済し切れていないのだということがはっきり示されているというふうに思うわけです。私も体験宿泊をいたしましたけれども、大臣、あなたも一度体験宿泊をしてみるお気持ちはございませんでしょうか。道路設置者である建設大臣としても、モータリゼーションの拡大で自動車公害の激化を招いたその問題にどれだけの予算をつぎ込んで救済をしていくのか、今後どのようにして取り組んでいかれるのか、こういった御所見をぜひお聞きかせをいただきたいと思います。
  502. 水野清

    ○水野国務大臣 ただいまお話を承っておりまして、阪神が六十ホン以上のものについて防音工事をした、もっと広げたらどうだというお話、これは確かに住民対策としてはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、阪神の道路公団というものもこれまた一つの企業体でありまして、今日、一銭の金をむだにしないように、我々はその企業体のあり方について行革の中で指導しているわけであります。でございますから、クーラーのようなお話もございましたけれども、ある限度のものは私はもうやむを得ない。実は日本の国の経済全体の問題として、確かに先生のお話しのように、道路が貧弱なところへ自動車が出てきた、自動車が出てきたから道路は追っかけた、また自動車がふえたということがあって、日本経済全体としては一つの試行錯誤をやってきたわけでありますけれども、しかし、その試行錯誤の中で、やはり日本経済というものは伸びてきた、私はそう思っております。ただ、先生のおっしゃるように、幾つかのひずみはたくさんございましょう。そういうものは、私どもはそれがそれでいいということではないんでありまして、各方面でき得る限り対処をしていかなければいかぬと私は思っております。  ただ、やはり限界があると思います。例えば今、先生のお話でございますが、調べてみますと、今日日本の貨物輸送というのは全体で五十七億トンございますが、そのうち自動車が何と五十二億トン、その大半を分担しております。これはかつて国鉄が分担していたものをほとんどトラック輸送が分担せざるを得ないところになってまいりました。これは一つの流通の必然だと私は思います。何と国鉄の貨物は一億トンでございますから、これはやむを得ない。昔、国鉄にもやはり踏切の騒音公害とかいろいろなこともございましたけれども、やはり日本経済の持っている一つの宿命でありまして、だから騒音対策に対してほっておいていいということじゃございませんが、試行錯誤の中でございますけれども藤木先生の御要望に沿うようにだんだんとこれはやらせていきたいと思っております。  体験につきましては、また関西の方へでも参りましたら、どこか知人の宅を探して、泊めていただく機会を探してみたいと思います。
  503. 藤木洋子

    藤木分科員 ぜひ体験宿泊をしていただきとうございます。御要望の前もございますので、適当な旅館の方はぜひこちらでお世話をさせていただきたい、このように思っております。  さて、助成の対象に対する室数の問題や工事のアフターフォローにつきましては、だんだんにとおっしゃる、そのだんだんを縮める枠の中でぜひ再検討をしていただきますように強く要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  伊丹市の都市計画道路の伊丹内南線の橋梁整備についてお尋ねをいたします。  現在、伊丹市内を流れております猪名川には、国道百七十一号線の軍行橋と県道伊丹豊中線の桑津橋の二つの橋がかかっておりますが、いずれも幹線道路で、その交通量は年々増加しております。交通混雑や渋滞は恒常化している状態です。そのために、猪名川と大阪国際空港に挟まれました神津地域住民の日常生活にも支障を来しております。この地域は航空機騒音の公害と交通不便で取り残された地域となって過疎化現象が起こってきています。こうした中で地域住民は、観光農園など地域の活性化を目指して独自の努力をしております。  そこで伊丹市は、市街地とこの神津地域の交流を図りまして地域発展を進めるために、国鉄伊丹駅に通じる都市計画道路に関連をいたしまして、生活道路であり、住民のコミュニケーション橋とも言うべき計画を立てて国に要望してこられました。中学校もないこの地域の子供たちにとって通学の安全を保障することにもなると思います。国としてぜひ予算措置を御検討いただきたいと思いますが、御検討いただけますかどうですか、お答えをお願いいたします。
  504. 松原青美

    ○松原政府委員 今、先生御指摘都市計画道路の橋は、仮称猪名川大橋と称している橋のことだと存じますが、この猪名川大橋の建設につきましては、兵庫県を通じまして地元の伊丹市から五十九年度から新規事業として採択してもらいたいという要望が出ております。現在検討を進めているところでございます。
  505. 藤木洋子

    藤木分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  では最後に、下水道整備についてお尋ねをいたします。  第五次五カ年計画は普及率四四%の目標を掲げましたが、到達はわずか三二%にとどまっております。このおくれが影響いたしまして、兵庫県阪神間の武庫川流域下水道整備も大きく立ちおくれております。この地域は阪神間のベッドタウンでございますけれども、この二十年間で二倍半に人口が急増いたしました宝塚市を取り上げてみますと、二四・三%の普及率で、同じ規模の都市の普及率三三%と比べてもその立ちおくれは歴然としております。観光都市でもございますので、旅館業者も多いために、宝塚市は独自に支線についてはかなりの自己努力をして整備を進めてこられました。けれども、国の補助金がここ二年間連続減らされておりまして、そのため支線が遊んでいるという状態です。今日のような財政事情のもとでは、予算の効率的運用から申しましても、こういったところにこそ措置をすべきだというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  506. 松原青美

    ○松原政府委員 ただいまの御指摘の宝塚市等は武庫川流域下水道の下流処理区の関連公共下水道でございます。武庫川流域下水道の下流処理区につきましては、五十一年度から処理場の供用を開始いたしてございます。この関連の公共下水道につきましては、この流域下水道の整備とにらみ合わせながらこの整備を進めてまいっておるところでございます。  今御指摘のとおり、下水道の五カ年計画の進捗率がはかばかしくございません。その結果、全国的にそれぞれの市当局が住民に対しまして、何年までにどの地域整備するとか、何年までにその市の普及率を何%まで上げるということをそれぞれ示してきたことが大きく狂ってきております。私ども甚だ残念に思っておるわけではございますが、ひとつ今後ともこの関連公共下水道の整備を含めまして、下水道の整備を進め、普及率を上げてまいりたいと考えております。
  507. 藤木洋子

    藤木分科員 やりたいというお気持ちはわかるのですが、具体的にその裏づけがどうなのかということでは甚だ疑問を感じないわけにはまいりません。私は行政改革と申しますのは、そのように今までつくった支線などを遊ばせておくようなむだ、こういったむだをなくすために効率的な予算の運用をしていただきたいということを申し上げているわけで、この行政改革に反対しているわけではなくて、むしろそれを本当に住民の立場で進めるということを申し上げているわけですから、その点は具体化のためにぜひ急いでいただきたいというふうに思います。  いま一つ申し上げたいのは、昨年の台風十号の際ですが、阪神間は特に災害がひどうございました。武庫川の決壊も心配されたわけですが、私も現地で救援活動をさせていただきました。市内の浸水地域のほとんどが公共下水道のまだ整備のされていないところに集中していたことが特徴的だったわけです。尼崎の台風十号による浸水状況と下水道の整備について地図にあらわして持ってまいりました。一目瞭然なんです。この水色に塗ってあるところが下水道の完備しているところでございます。そうでないところに集中的にあらわれておりまして、下水道がすでに整備されているところについて起こっているのは、もうこの地域は本管が満杯でして、新しくもう一本本管をつけ加えるという予定が立てられているところなんです。全く正直にこのようにあらわれております。今のままの状況ですと、ことしの梅雨また秋の台風シーズンにかけまして同様の被害が予想されるわけです。特に尼崎市の場合は、この国鉄以南、市全体の三分の一に当たる地域というのがゼロメートル地域なんです。市の三分の一がそうなっているわけです。管渠を入れただけで雨水や汚水を流すことはできません。したがって、どうしてもポンプアップという作業を伴うことになるわけですが、今の補助金制度では配慮がございませんので、多額の費用がかかるこのポンプ場建設、これにぜひ国が独自の予算措置をするべきではないか、こんなふうに考えるのですけれども、いかがでございましょう。
  508. 松原青美

    ○松原政府委員 御承知のように、都市の浸水対策は、公共用水域の水質保全、生活環境の改善と相まって下水道の重要な役割でございます。この下水道の役割を非常に理解していただいた御質問をいただいているわけでございますが、私どももこの役割を決して軽視しているわけではございませんで、ポンプ場につきましても必要な補助金を交付し、その事業の進展を図っているところでございます。  今お話しの尼崎市の浸水対策に関しましては、これまでも国鉄東海道線以南について下水道の整備によりその普及を図ってきたところでございまして、今お示しの地図によりましても、浸水対策として非常に効果があったということが顕著になつだろうと思います。国鉄以北につきましてがまだ未整備地域でございます。この以北につきましては、武庫川流域下水道事業の一環として、特に今北のポンプ場を五十八年度中に概成させる予定でございます。浸水の解消をそういうことで図ることにいたしております。さらに今後とも公共下水道の雨水対策のポンプ場につきましては、大庄第二ポンプ場、高田ポンプ場、栗山ポンプ場等の早期概成を図るべく私どもも努力して市当局を指導しているところでございます。  なお一言、先ほど来下水道のおくれております現状を御指摘いただいたわけでございますが、何分にも下水道の整備を本格的に始めました時期が戦後、それも三十年代後半から四十年代に入ってでございます。そういうことで全国的な普及率がまだ三二%という現状で、先進諸国としては一番最低のレベルでございますが、戦前からのストックのない戦後、それもかなり遅くなってから始めました。下水道の事業を施行している都市も、その三十年代というものは非常に数えるほどしかなかったわけでございます。それが昨今の都市の生活環境向上の住民意欲の反映としまして、ほとんど全国的に下水道を整備したいという要望が非常に強くなってきてございます。そういう中で努力してまいってきたわけでございますので、普及率は決して自慢できる数字ではございませんが、その間に行ってきました投資努力というものもひとつ御了解いただきたいと存じます。
  509. 藤木洋子

    藤木分科員 下水道整備の問題というのは、今の御回答にもありましたように、健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできないことでございます。災害とも深く関連をしております。ぜひ軍事費を削って国の補助金をここに大幅にふやして、第五次五カ年計画のおくれを取り戻し、その達成を一刻も早くなし遂げるため、最後に大臣の決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  510. 水野清

    ○水野国務大臣 下水道計画につきましては、五カ年計画があっていろいろやっておりますが、なかなか達成できない。財政の非常に苦しい時期で御要望に沿えないという事情は、今、都市局長から申し上げたとおりであります。また先生が十号台風で御活躍で、コピーもいただいて拝見をしております。  ところで、軍事費というのは多分防衛庁の予算のお話だと思いますが、それを削って、こういうことでありますけれども、これはどうも基本的な物の考え方の相違でありまして、先ほども申し上げましたように、日本の防衛費が軍事費という言葉で置きかえられるにしましても、GNPの一%より上にいくかいかないかということで予算委員会で議論をしているわけでありまして、こんな国は世界じゅうにないわけであります。そういう低い防衛費であるからこそ、下水道や道路やあるいは河川、いわゆる再生産につながる公共事業費に多くの投資ができた、社会資本の充実が少なくとも欧米先進諸国に比べまして、第二次大戦で負けて日本じゅう焼け野原だったのですが、短期間にこれだけのものができ上がった、私はそういうふうに信じております。その軍事費を削ってという御要望には沿えませんが、これは意見の違いでございますので、ひとつ私の考え方を申し上げて御容赦を願いたいと思います。
  511. 藤木洋子

    藤木分科員 質問を終わります。
  512. 村田敬次郎

    村田主査 これにて藤木洋子君の質疑は終了いたしました。  次回は、来たる十二日午前九時より開会することとし、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十九分散