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渋沢分科員 大臣、この間のような地震がありますと、本当に背筋の寒くなる思いでありまして、東京は大型の地震に対して、一言で言えば無防備に近いと言っていいと思うのですね。ああいうスケールの大きい地震に対しての対応というのは非常におくれている。特に、今までいろいろな
調査の中で、東京で言えば東京の東部地区、大臣の千葉に近い方ですが、この東部地区は地盤の軟弱さとか、中小河川が非常に多くて脆弱であるとか、いろいろな条件からいって非常に地震の影響を大きく受ける地帯とされておる。その証拠に、
建設省の指導援助で東京都が窓口になって東京の防災拠点づくりというのが進んでいますけれ
ども、これも東京の東部地区に限定をしてやられているという
状況ですね。ところが、その中の、例えば江戸川区、江東区にかかわる大島・小松川地区
計画というのですか、あの
地域などは住民に対して
計画が明らかにされて、これで行くぞ、
協力してくれというのを、かなり格好のいい絵を出してから十五年たっておるわけですよ。この十五年の間に実際に何ができたかというと都営
住宅です。政策
住宅で、行き場のない人を拾ってやるよという都営
住宅が二棟かそこらできましたが、それだけなんですね。いろいろ
計画はありますし、今も進んでいるので御苦労いただいているのだが、この事業などはまさに国がその気になって力をかさなければ全く進まない。このテンポでいったら、あの一地区だけですらこんな
状況ですし、しかもその中にいる
人たちは、もう十五年間やるぞやるぞということだけで、それでよそへ出られる者は出なさいというので、土地もどんどん売られて、先行買収もやられて、寂れる一方でどうにもならぬ。商店なんか商売にならない。ならないけれ
ども動くわけにもいかない。店を直すことも
住宅を直すことも、いずれ壊さなければならないということで疲弊し切っておるのですね。こういう
状況の中にありまして、私はやはり地震に対して、国が、まず東京で一番大きな被害が発生すると思われる
地域に対して、これじゃ何もやっていないと言っていいような
状況じゃないだろうかと思うのです。
時間がありませんから、簡潔に
局長や大臣の所見をただして、その
施策を進めてほしいと思う点は、今、事が始まりますと、再
開発部が再
開発事業として進めているわけですが、もともとは大地震対策で、周辺のたくさんの
人たちのいわば逃げ広場、その広場をつくるために、さあみんなどいてくれ、そして平地に住むという発想をやめて、ビルに空間利用で入ってもらって、とにかく空間が、大きな土地が必要なんだ、いざというときにそこへみんな逃げ込ませなければならない、これしかない、だから
協力せい、こういうことで始まった事業なんですね。しかし、それだけでは
地域の住民が、自分たちのためにではなしに、まさに大地震のための周辺のデルタ地帯の避難地として、自分たちの権利を損なうあるいは移動するということについての犠牲だけ強いるというわけにいかぬから、そこで再
開発を
中心にして、地震対策でのいてもらうけれ
ども、そのかわり将来的に安住の地として、いい町として、いい居住環境を保障する、この二つが柱なんだ。単なる道路のための道路、震災のための追っ払い、これではありませんといううたいとげで再
開発というものと地震対策というものをかませて、そして住民の
協力を仰いできた。しかし十五年間町は疲弊するだけ。展望もないままに都営
住宅が二棟できてという現状ですね。
そこで、今度いよいよ始まるということになると、これは再
開発事業の原則がある。つまり従前資産と従後の資産の等価、こういうことですから、結局今ある資産を評価して、そして新しくビルをつくるものに入ってもらう、これはそれぞれ等価で権利移動を行うといったてまえがありますから。そうすると、十何年ほうり出されて疲弊をして、虫食い状態になっているところですから地価も下がる。権利の評価は下がっているという状態で、その移転の補償は低い評価にならざるを得ない。そしてその後新しくつくられるであろうビルの評価は、かなりいろいろ努力をして、補助を出して負担を下げようという努力をしていることはわかるけれ
ども、この
格差が激しいために、弱小住民は十五年待たされたけれ
ども結局は住めない。大きな借金をするかあるいはあきらめてまたここで改めて逃げ出さざるを得ない、こういうところに追い込まれている。
だから、そういうことで都や国にも陳情もしていると思うのですが、こういう
状況を踏まえて、これは大地震対策という政策的な
観点で行われる再
開発事業だから、その政策的な
観点がもっと強く生かされてこないと地震対策に住民は
協力しないです。しかし、地震対策でああいう種類のものをこれからさらに広げていこうというならば、それは関係住民のそういう生活感覚を変えてもらって、同時に
協力してもらう。ある程度自己犠牲もやむを得ないというものを強いていく上では、うたい文句の、しかし将来にわたって住みやすい住居環境を保障するというこれが崩れてしまうと説得力がなくなる。そういうところに来ておると思うので、震災対策というのを
具体的に行政が、政治がどういう姿でやるのだろうかということを注目している。そういう
観点で見ますと、やはりそこに今ぶつかってきている。結局再
開発というのは、押しなべていろいろうたいとげるけれ
ども、最終的にはいいところに大きな銀行や大きな店舗が出て、弱小住民は常に再
開発事業の中でうたかたのごとく権利を
分散させられているというような言われ方を保障してしまうような、そういう心配があると私は見ておる。地震対策という
観点で、この
一つのモデルとしてこの
地域などどうされようとしているのか。
それから、こういうテンポでやっておったのではとても間に合わない。ここだけすればいいものではあうませんから、一体どういう
計画を、例えば危ないと言われる東部デルタ地帯に対してどんな対応を、指導をお考えになっているのか、ぜひ聞かせていただきたい。