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島田(琢)
分科員 そういう今の
お話の延長線上に私が考えております
一つの具体的な例を申し上げますと、当たり前のことでありますけれども、円が高くなれば輸入がふえる、こういうことは避けられないと思いますね。
そこで、今非常に話題の中心になっております牛肉とかオレンジとかの輸入問題。今牛肉、オレンジばかりがやたらと強く目に映ってくるのでありますけれども、しかし正直言いますと、高くなってきて大変困りますのは、もっと深刻に考えておかなければならない、えさの問題があると思うのです。これは量も多いし金額も大変多い。ですから、これが一円上がるか下がるかというのは、国内の畜産酪農家に大変大きな
影響を与える。
ちなみに、
大臣御承知のことを申し上げて恐縮ですけれども、昨年の
我が国の
会計年度で、えさ用の穀物として入れてまいりましたのは、千六百二十一万トンというのが数量的に発表になっております。これを当時のレート、いろいろありますけれども、上がったり下がったり多少しましたが、大体五千四百三十億円、円にいたしまして買っているわけですね。ですから、これが十円も違ってまいりますと大変な金額になりますから、それはもろに畜産農家のえさ代になっていくわけであります。そういう点でいいますと、牛肉の問題、オレンジの問題にいたしましても、両方合わせまして千二百十億ぐらいでありますから大したことはないではないかという
議論が、一面輸入の促進とか枠拡大とかという問題とつながって
議論されてくるわけであります。しかし、その問題は別として、金額の差からいいますと、千二百億対五千四百億というのは、これは容易ならぬ量的にも金額的にも大きな違いであります。これは同じように農家に被害になってあらわれるわけでありますけれども、及ぼす被害の大きさということになりますと、大変これは深刻になる。ですから、必ずしも
円高をそのまま喜べないという側面も、こういうところにはあることになるわけであります。
そういう点でいいますと、
財政とか
経済政策を進めていく上で一定の目安というものを持っていていただけませんと、非常に大きな被害を受けることになりかねません。ですから、そういう点で
大臣、あなたが物を言いますと世界の
ドルや円を動かしていくという力はあることは私は当然認めますから、用心深く、かなり口が重くなるのは当たり前のことでありますけれども、しかし一定の、ことし単年度の
見通しぐらいのところはほのめかしておいていただきませんと、国民にとっては心構えとか気構えとかいうものが大変違ってくるわけで、それで私は何回もこの間からそんなことを
お話しして
大臣の
考え方を少しでも聞かしてもらおう、こう思ってきたのでありますが、それはちょっと無理なのかもしれません。
ところで、この間やはり
一般質問で、こうした円の回復といいますか、世界的にも
経済がやや回復基調にあるということはそういう点では言えるのでしょう、
ドルが弱くなったという
前提に立つとか立たぬとかは別として、世界
経済がやや経常収支のバランスを取り戻す
方向に動いていく兆しが少しでも出てきたとすれば世界
経済の回復と見ていいのかもしれません、そういう
前提に立っての
お話だったと思います。
私の
質問ではないのでありますが、
経済企画庁長官の河本さんは、五年ぶりに世界
経済は回復してきた、これはしばらく続くだろう。それは、円がどうなるのか
ドルがどうなるのかということまで細かにはおっしゃいませんでしたが、ややニュアンスとしては私が持っておるような
考え方をお持ちになった上で、それを
前提にしてしばらく続くとおっしゃったのではないか、こう思います。そうしますと、日本の
経済というものもそれにつれて一定の
方向性が見えてくるのではないか、むしろこの際積極的に成長率の高目のところをねらった
政策をやることがいいんではないか、そうすることが対外の貿易摩擦や
財政再建を解決していくチャンスではないかという意味のことをおっしゃいました。このときの
大蔵大臣の
お話とは大変対照的に私は聞きました。
改めて、きょうは経企庁長官がいらっしゃらないので、当時の河本さんの御発言についてあなたはどう考えますかということを聞くのはちょっと酷なのかもしれませんけれども、当日、一緒にお立ちになって前後して答弁をなされましたときに私は印象としてそのように
感じましたので、この際同じ中曽根内閣の大事な
経済閣僚でございますから、この河本長官の御発言についての印象をお聞かせいただければありがたいと思います。