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1984-03-12 第101回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月十二日(月曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 原田昇左右君       中西 啓介君    三塚  博君       上田  哲君    武部  文君       山花 貞夫君    駒谷  明君       二見 伸明君    宮地 正介君    兼務 井上 普方君 兼務 上原 康助君    兼務 小川 国彦君 兼務 上西 和郎君    兼務 川俣健二郎君 兼務 新村 勝雄君    兼務 森中 守義君 兼務 長田 武士君    兼務 斉藤  節君 兼務 橋本 文彦君    兼務 福岡 康夫君 兼務 滝沢 幸助君    兼務 永江 一仁君 兼務 横手 文雄君    兼務 米沢  隆君 兼務 中林 佳子君    兼務 正森 成二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      前田 正道君         運輸大臣官房長 松井 和治君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸大臣官房会         計課長     宮本 春樹君         運輸省船舶局長 神津 信男君         運輸省港湾局長 小野寺駿一君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省航空局長 山本  長君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 澤田 茂生君         郵政省簡易保険         局長      奥田 量三君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         郵政省人事局長 三浦 一郎君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         大蔵省関税局輸         出課長     高橋 幸夫君         文部省初等中等         教育局小学校教         育課長     熱海 則夫君         厚生省社会局老         人福祉課長   古瀬  徹君         食糧庁管理部企         画課長     馬場久萬男君         労働省労働基準         局監督課長   野崎 和昭君         労働省婦人少年         局婦人労働課長 佐藤ギン子君         建設省都市局特         定都市交通施設         整備室長    椎名  彪君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     太田 知行君         日本国有鉄道常         務理事     岩崎 雄一君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社監査局長   篠田 謙治君         日本電信電話公         社職員局長   外松 源司君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         日本電信電話公         社業務管理局長 神林 留雄君         日本電信電話公         社計画局長   池沢 英夫君         日本電信電話公         社経理局長   飯田 克己君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  薗村 泰彦君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      矢橋 幸一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂倉 孝一君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   上田  哲君     山花 貞夫君   二見 伸明君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     武部  文君   渡部 一郎君     駒谷  明君 同日  辞任         補欠選任   武部  文君     上田  哲君   駒谷  明君     宮地 正介君 同日  辞任         補欠選任   宮地 正介君     斎藤  実君 同日  辞任         補欠選任   斎藤  実君     宮地 正介君 同日  辞任         補欠選任   宮地 正介君     二見 伸明君 同日  第一分科員上原康助君、新村勝雄君、正森成二  君、第二分科員小川国彦君、永江一仁君、中林  佳子君、第三分科員井上普方君、橋本文彦君、  第四分科員上西和郎君、川俣健二郎君、福岡康  夫君、第五分科員斉藤節君、横手文雄君、米沢  隆君、第六分科員森中守義君、滝沢幸助君及び  第八分科員長田武士君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度一般会計予算  昭和五十九年度特別会計予算  昭和五十九年度政府関係機関予算  (運輸省所管郵政省所管)      ――――◇―――――
  2. 原田昇左右

    原田主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算及び昭和五十九年度政府関係機関予算運輸省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
  3. 山花貞夫

    山花分科員 運輸省にお伺いいたしたいと思いますが、まず初めに航空局に一つ二つお伺いいたしたいと思います。  従来からいろいろお尋ねしてまいりました調布市にあります場外離着陸場に係る問題であります。最近の使用状況、飛行機の飛来状況とその代替飛行場選定作業現状につきまして、今日までの状況について御説明をいただきたいと思います。
  4. 山本長

    山本(長)政府委員 それでは二つの御質問のうち、まず調布飛行場使用状況について御説明をいたします。  調布飛行場使用につきましては、周りが都市化された状態にあるというところから、やはり周辺の環境問題も十分考慮いたしまして、従来から不要不急の発着は制限するということで対処してまいったものでございますが、特に五十五年の八月でございますか、学校の校庭に墜落するという事故が起きまして、そういった事故を契機といたしまして、それまでは先ほども申し上げましたように緊急性のあるものを優先し、そうでないものはできるだけ制限するということで、緊要性のある、緊急に救難に飛び立つというものを除きまして、日曜祭日につきましては朝十時から日没までとする飛行制限をやっておったわけでございますが、先ほど事故が発生いたしましたことに伴いまして地元からも強い飛行制限要望があり、二地点間輸送というような定期に類似した一般のお客を運んでおるというふうなものなど緊要性の高いものを除きまして、平日においては一日に離着陸を一機当たりそれぞれ一回、つまり離着陸ですから二回、一カ月では十五回以内にするという規制をいたしました結果、離着陸回数は五十三年ごろ一万九千回、日に直しますと五十二回程度でございましたが、五十八年、これは暦年でございますけれども一万一千回、一日当たり約三十回という状態になってきております。不要不急のものは周りのことを考えでできるだけ制限していただくという方針でやっていくつもりであります。  それから第二番目の御質問の、調布飛行場にかわって関東のほかに代替空港をつくる作業についてのお尋ねでございます。この作業は具体的な調査を開始してから随分たつわけでございますが、現在までの段階調査をどんどん絞ってきておりまして、都心から約八十キロという範囲内で空域条件、それから土地の状況等から見まして立地可能な地点選定を進めてまいりまして、現在約十六カ所の地点を抽出することができました。本年度におきましては、各地点におきまして現地踏査などを含めましてさらに詳細な調査を行っておるところでございます。こういった調査を踏まえまして、さらにその十六カ所から詰めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 山花貞夫

    山花分科員 最近その気象条件についての調査に入るあるいは進んでいると伺っておりますが、この点はいかがでしょうか。
  6. 山本長

    山本(長)政府委員 今年度は現地踏査ということに進む予定でございますけれども、おっしゃるように現地観測施設をつくったりして気象条件を調べるというところまでいくには相当場所を特定する必要がございますが、そこまで現在のところはいっておりません。
  7. 山花貞夫

    山花分科員 私が従来伺っていた予定では、今年度中は今お話がありました十六カ所についての現地調査、そして空域調査を進める、また来年度に入りますと気象条件調査も進めて鋭意代替飛行場の問題について取り組んでいきたいと伺っておったと思うのですけれども、きょうは分科会質問でありますからこれ以上突っ込んでお伺いすることは時間の関係もあって控えますが、ぜひ従来の方針にのっとって、大変問題の多い飛行場でありますので、作業の進展を進めていただきますことを強く要請をしておきたいと思います。  次に、船舶局に伺いたいと思いますけれども、きょうの朝刊各紙を拝見いたしますと、先月の十五日、吹雪のべーリング海で福島県いわき市小名浜漁協所属北洋底びき網漁船第十一協和丸に宮城県塩釜港所属の第十五安洋丸が衝突し、乗組員二十四名中十四人が死亡、二人が行方不明になった事件につきまして、関係者が逮捕されたということが報じられているところであります。実は北洋海域における漁船遭難は毎年今の時期によく私たちの耳にするところでありまして、特に五十七年一月六日、同じくベーリング海におきまして第二十八あけぼの丸三十三名の乗組員のうち生存者わずか一名であったという事故が私たちの記憶になお新しいところであります。第二十八あけぼの丸の場合には最新鋭の装置を持った北洋底ひき漁船であり、新聞によりますと不沈船とまで言われておった、そうした船についての事故でありました。  実はこうした状況について、全体の海難事故の中で北洋海域における事故というものが非常に大きな事故にもなり、かつ死亡者も多いということが従来から大変不安となっておったところでありますけれども、まず冒頭、こうした全体の事故状況中、北洋海域における海難事故の問題につきまして船舶局でどのように把握しておられるか、この点について伺いたいと思います。
  8. 神津信男

    神津政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のございましたように、北洋におきます事故大変人命を損なうという危険も多いものでございまして、私たちも重要な問題であるという認識を持っております。私どもの把握しておりますところでは、最近の五年間で五十二件の海難事故が起こっておりまして、そのうち九割、四十六隻が漁船事故であり、死亡者、行方不明が八十六名に及んでおるということを把握しております。  そのうち、大きな事故につきましては、ただいま先生から御指摘ございました、この二月にございました第十一協和丸事故、それから五十七年一月に起こりました第二十八あけぼの丸、五十六年三月の第五十五大東丸の事故というようなものが非常に大きな海難であるという認識を持っております。
  9. 山花貞夫

    山花分科員 この第二十八あけぼの丸海難事故につきましては、各方面から大変大きな関心が集まったところでした。直後の一月十一日のことですけれども全日本海員組合運輸省、海上保安庁、水産庁に「荒天時の航海、操業については一定規制措置を取れ」など、国側海難事故再発防止対策強化を申し入れているところであります。  この内容は、まず第一に、「気象、海象の予報体制の充実を図り、荒天時には一定基準を設けて漁業、航海規制せよ」、第二番目は「関係官庁海運関係者安全確保のための協議機関を設置、事故原因究明などを通じて再発防止策強化を図れ」、第三に「船体構造船舶復元能力の向上を図り、転覆事故の続発を防止せよ」などでありまして、実はこうした対策については運輸省としても船舶局でさまざま講じられてきたと伺っておりますが、きょう私がお伺いしたいと思っておりますのは、第二十八あけぼの丸につきまして、五十八年十二月十五日、横浜地方海難審判庁裁決書を出しておりますけれども、この裁決書におきましても、海難防止上の要望事項指摘されているところです。「船側外板開口の運用及び設計・構造について」という項目と「救命設備関係の活用と研究改善について」、この二点となっているわけですが、後段の救命設備関係の中で、イマーションスーツ改善につきまして、特に第二十八あけぼの丸の場合にも、ただ一人の生存者救命胴衣を着用して、かつそれを二重にも着用して荒天の中何とか命を取りとめたということも伝えられておりまして、今お話ありました特に北洋海域における遭難事故多発状況からいたしますと、こうした救命胴衣等開発改善、そしてこれが各船舶に備えられる、特に漁船についても備えられるということが人命の観点から大変重要になっているのではなかろうかと思います。  イマーションスーツ開発につきまして、これまでの運輸省指導の経過と作業進捗状況、特にこの関係委員会が本年三月十五日をもちまして一たんの区切りをつけると伺っておりますので、概括的に以上の問題について御説明をいただきたいと思います。
  10. 神津信男

    神津政府委員 お答えを申し上げます。  イマーションスーツにつきましては、寒冷区域を航行する一般商船につきましては、七四年の海上人命安全条約の第二次改正によりまして、一九八六年すなわち昭和六十一年四月一日から義務づけられることがほぼ確定しております。また、漁船用につきましては、五十七年に起こりました第二十八あけぼの丸転覆沈没事故の経緯にかんがみまして、作業性に富んだイマーションスーツ開発に対する要請が非常に高まったわけでございます。しかしながら、このイマーションスーツは、保温性作業性など技術的に解決すべき問題が多くありましたので、一つ先ほど申し上げましたSOLAS条約に基づきます要件に沿うもの、これを私どもAタイプと言っておりますが、Aタイプイマーションスーツ、それから漁船等にも使用できる作業性に富んだもの、これをBタイプと言っておりますが、この二種類イマーションスーツにつきまして、五十七年の秋から本格的にその開発を推進をしておるところでございます。  開発当たりましては、当時イマーションスーツをつくっているメーカーがほとんどございませんでしたので、私ども指導で、民間財団資金を活用いたしまして五社のメーカーを選びまして、おのおのそのノーハウを生かしてAタイプについて二種類、それからBタイプにつきまして四種類イマーションスーツについて試作を行ってまいりまして、昨年の十一月末には函館において海上実験を実施をいたしました。その結果、IMO基準に沿いますAタイプのものにつきましては、ほぼ所期の目的を達成したものができたわけでございます。それから、作業性に富んだBタイプのものにつきましては、その作業性等についてさらに改良を加えていく必要がございますので、もう少し研究を続けてまいるということにしております。  ただいま先生の御指摘のございました研究が一応三月十五日で終わるということにつきましては、従来財団メーカーによります共同研究という格好で開発研究を進めてまいりましたが、五十九年度からおのおののメーカーによります実用化研究に入るということでございまして、さらに実用に向けての研究を一段と進めるという体制をとることにしております。
  11. 山花貞夫

    山花分科員 今御指摘ありましたIMO基準をちょっと見てみますと、AタイプBタイプということと、ここにある低保温型、高保温型というものが分類として正確に一致するかどうか、若干ずれもあるのではないか、こういうように思いますけれども、共通の試験項目として、着用試験作業性試験視界試験浮上試験、復正試験、水の浸入と飛び込みの試験、水の漏入試験、遊泳及びはい上がりの試験耐油試験耐火試験、温度繰り返し試験浮力試験強度試験とありまして、低保温型、Bタイプイマーションスーツといたしますと保温性試験、また高保温型イマーションスーツにつきましては同じく保温性試験、手の器用性試験等々、たくさんの試験項目につきまして基準ができているところです。  従来ですと、外国にはかなりいいものもある、しかし日本もこれに負けないものができるであろうということで開発が進んできた、こういうふうに伺っているわけですけれども、今のような大変完璧性を要求しましたAタイプBタイプにつきましては、お話ありました函館における実用化に向けての試験段階でもそれぞれの完成度におきましてはなお若干の部分開発余地が残るというところが双方について残っておったのではないかと思いますし、特にその一方については進んだけれども、一方についてはまだおくれておるという現状があったのではないでしょうか。  そうした開発現状、今後の実用に向かっての各企業開発は別といたしまして、運輸省としてどの程度に把握されておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  12. 神津信男

    神津政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘のございましたAタイプBタイプ、それぞれ要件がございまして、特にまずAタイプにつきましては、保温性、これは零度Cから二度Cの水の中に六時間つかっておりまして着用者直腸温度が二度C以上下がらないというようなことを基本にいたしまして、その他、浮力性運動性防水性、その他作業のしやすさというようなことがいろいろ要作で要求をされておるわけでございます。これらの点につきましては、この前の函館海上実験でほぼ要件を満たしているものができ上がったというふうに聞いております。  それから、Bタイプの特に作業性に富んだものにつきましては、保温性といたしまして、五度Cの水の中で一時間半いて着用者直腸温度が二度C以上下がらないこと、その他浮力性運動性が要求されております。特に、この運動性の中で、問題は、作業中に汗をかかずに仕事ができること、それから修理が簡単であること、二分以内に着装できること、そのほか、値段が比較的安価であることというようなことが要求されるわけでございまして、特にこの中で、汗をかかずに作業ができることという点につきまして、現在のものではまだ性能が不十分である、この点を中心にさらに開発を続けていくという状況であると考えております。
  13. 山花貞夫

    山花分科員 私、手元にありますのは、昨年、五十八年十二月十二日付の日本水産新聞に掲載されておりました、このイマーションスーツ開発状況についての記事でありますけれども、今御指摘がありましたとおり、実験の後、当時お集まりの皆さんの「質疑応答」という項が実は掲載されているわけです。その「質疑応答」を見ますと、御指摘のとおり、Aタイプはさておきまして、Bタイプにつきましては、例えば「運動性に関し問題がある」「今後、実際に洋上で実験する等、十分、慎重に開発を進めてもらいたい。」とか、「Bタイプを見るかぎり漁船漁労作業実態がまったく把握されていないのではないか、現時点では漁船員にとって雨ガッパが最も安全な作業着とされている。見ればわかると思うが、今のカッパには突起物がまったくない。」しかしこの大事な部分について、まだ実態把握が少ないのではないか、あるいは「開発しても着てもらわなければ意味がないので、漁船員が着用するようなものを開発してほしい。」等々、さまざまな問題が提起されております。  まず、大臣に伺っておきたいと思いますことは、先ほどお話がありましたとおり、これまで二年間、運輸省当局指導によりまして、日本造船振興財団補助金が出されてこの開発が進められてきた、こういうように把握しておるわけですが、Aタイプについてはさておいて、Bタイプにつきまして開発いまだしの現状にあるとするならば、心配としては、ここですぐ各企業の競争に任せるということには不安があるのではないだろうか。運輸省として、こうした開発程度が、Aタイプ八〇%と言われておりますけれどもBタイプにつきましてもせめて七、八〇%程度開発というところまでは、従来の体制で、なお実際のコンサルティングも含めて指導されることがよかったのではなかろうか、こういう声も伺っているところでありまして、この点どうでしょうか。そうした、Bタイプ開発がおくれているという現状のもとで、運輸省として従来のような形で補助金を出す等の指導も行っていただいて、さらにこのBタイプ完成に向けて指導強化ということにはならないでしょうか。
  14. 神津信男

    神津政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、Bタイプにつきまして、その作業性に十分こたえられる性能が必ずしも備わっていないということを私どもも聞いておりまして、今後、その点を鋭意開発してまいりたいと思っております。  なお、今、開発体制について御指摘ございましたが、従来から日本造船振興財団技術開発基金を活用した開発を行っておりまして、従来は共通的な開発に取り組むといういわゆる応用研究段階でございましたので、こういう研究につきましては補助金を交付して研究を行ってまいったわけでございますが、現在の段階応用研究段階はほぼ達成したということで、いよいよ実用化研究に入る、こうなりますと、この制度の趣旨といたしまして、今後は融資制度に切りかえてこの研究を行っていく。しかも、従来は各社共同研究でございましたが、一応応用的な、共通的な部分研究は済みましたので、あとは商品化に向けました実用研究各社でやる。それに対して、研究資金に対しまして、私どもはかなり有利な条件と思っておりますが、融資を与えてその研究実用化に進めてやっていくという体制をとってまいりたいと思っております。
  15. 山花貞夫

    山花分科員 実は、この点、できましたら大臣にもお答えいただきたいと思うのですが、現状二つの問題が残っているのではないか、私はこういう気がいたします。  第一のテーマは、いよいよSOLAS条約改正の時期を控えまして、ある程度時間的な制約もある中で、Bタイプの、日常働いている皆さんが着用して万一の場合に効果を生ずる、こうしたイマーションスーツ開発についてなおおくれた部分がありますので、これを完成させるために、運輸省の立場でもなお引き続き強力な御指導をお願いしたいということが一つ。  もう一つは、実はこれは最近の水産タイムスでありますけれども、五十九年二月二十日付、このイマーションスーツにつきまして座談会が開かれておりますけれども、これを見ておりまして、全日本海員組合安全福祉部長の佐々木さんが指摘しているところですが、「労働安全面についても船員は陸上よりも法制面で遅れ、しかも漁船は商船よりさらに遅れている。特に漁業界は二百カイリ以後、経営面にも苦しい立場にあることから、安全福祉面に金が回わりづらくなっている。船主さんは、事業遂行のための設備にはお金をかけられるが、人命を守るための設備についてのお金のかけ方が足りない。」こういう指摘があるわけでして、一方において強い指導のもとで開発を進めていただきながら、できた後の現実の使用についての指導、これも大変大事ではないかと思いますので、人命の問題でありますから、その点についての指導も含めてぜひ強力な対策を立てていただきたいと思うわけですけれども、最後に大臣にこの点についてお願いいたしたいと思います。
  16. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 おっしゃる問題は、もう非常に大切な問題だと思います。お話しのとおりに、私ども運輸省としては重大な責任があると考えておりますので、お説のように、さらにこのBタイプ改善につきましても、どうすることが一番いいか、とにかくおくらせない、早く完成するということですから、その手段方法等についてはひとつ行政の方へお任せいただいて目的を達成するように、また使用する面、この点は非常にごもっともでございますので、この点につきましても十分の配意をいたしたいと考えておる次第でございます。
  17. 山花貞夫

    山花分科員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  くどいようですけれども、私ども、これはその後の実用化との絡みで議論、見解が分かれるところだと思いますけれどもAタイプBタイプと進めた今日までの開発状況をにらんで、補助金制度という形で、運輸省船舶局が積極的に指導をしたこの形があと一年ぐらいは続けられて、その指導のもとでの実際の着用をした働いている皆さんの声を反映した改善のための開発作業というものが好ましかったのではなかろうか、望ましかったのではなかろうか、私どもはそう考えております。しかし、この三月十五日の期限で新しい補助金制度という方針が固まっておると伺っておりますので、今この問題を蒸し返すことは時期的に難しいのではなかろうかと思いまして、きょうの質問のようなお願いにしたわけでありますけれども、ぜひ人命のために完成を目指しての実用化企業間の競争とノーハウもあると思いますけれども、御指導のほどを最後に重ねてお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  18. 原田昇左右

    原田主査 これにて山花君の質疑は終了いたしました。  次に、武部文君。
  19. 武部文

    武部分科員 私は、民航で言えば米子空港、所属、所管は自衛隊でありますからこれは航空自衛隊美保基地、この問題について若干質問をいたします。  現在、千五百メートルの滑走路でありまして、過去、この自衛隊の基地の滑走路延長問題をめぐって、昭和三十一年、三十六年、二回にわたって延長の計画が発表されまして、地元は大変な混乱に陥り、強い地元の反対によって、二回にわたる延長は撤回をされたわけであります。今日、千五百メートルの滑走路にC1ジェット輸送機が発着をいたしておりまして、それを民航が併用しておる、こういう実態であります。  こういうときに、運輸省が今回、自衛隊の飛行場である美保基地の滑走路の突端に、運輸省の所管にかかわる五百メートルの埋め立てをして滑走路を延長するという計画を発表されて、既に調査費がついておる。これは一体何の目的でそういうことをされたのか、これを最初にお伺いします。
  20. 山本長

    山本(長)政府委員 御質問のように防衛庁所管の飛行場でございますが、この飛行場は、民間航空機用としても使用するということで公共用施設としての指定が行われ、民間航空機が東京、大阪、隠岐等の間を飛行しているわけでございます。利用状況も非常に順調に伸びておりますが、特に、この航空路にジェット機を入れたいということが地元からの強い要望でございました。五十六年十二月から東京-米子間にはジェット機が就航するということになったわけでございますが、御指摘のように千五百メートルの滑走路でございます。  現在、一番小型のジェット機であるB737が飛行いたしておるわけでございますが、私たちといたしましては、安全確保という面については絶対に落ち度があってはならないという観点から、千五百メートルの滑走路で離着陸するというところから、滑走路については、グルービングといいまして溝を切って安全を確保するという点が一つと、もう一つは、運航に当たって種々の制限を課しております。特に重量制限を課しております。やはり重い飛行機になりますと滑走路が長く要るということでございますので、重量を制限をして巡航をいたしております。これも安全確保の見地からでございます。現在、この737の飛行機はフルに積みますと一万三千ポンド、約六トンばかりの貨物も積めますけれども、夏場におきましては、八月などは四百ポンド、つまりキログラムにいたしますと百八十キログラムになりますか、貨物はほとんど積まないという状態でございます。なぜやるのかといいますと、そういった制限を除去して満足な空港にするということであります。
  21. 武部文

    武部分科員 わかりました。私たちも737を利用しておるわけですから、あなたのおっしゃることはわかりました。  ただ、先般ひそかにアメリカのC130というジェット輸送機がこの飛行場に着陸したという事実があるわけです。これは防衛庁も認めたわけですが、このC130はC1と比べものにならぬほど大きな飛行機であることは、皆さん御承知のとおりです。それも千五百メートルの滑走路に着陸をしておるわけであります。  これは時間があれば後でやりたかったのですが、もう時間もなさそうですから申し上げておきますが、今政府は科学技術庁をしてSTOLという新型のファンジェット輸送機、民間輸送機の開発にかかっておりますね。既に七年間経過をして、三百億円もの金をつぎ込んで、間もなく実験機の一番機が飛ぶ、こういう状況になっていることは御案内のとおりです。これは百五十人乗り、あるいは胴体をかえれば二百人ぐらいの乗客が乗れるのではないかと言われておるし、離陸に六百八十、着陸には四百八十メートル、こんな短い離着陸のできる飛行機が現実に目の前にもうあらわれようとしておる。滑走路は今の千五百の半分でよろしい。しかも急角度だ。今は三度ですが、六度から十度で離着陸できる。騒音が十分の一だ。全くこれは大変な飛行機が日本政府の手によって開発されようとしておるのであります。そうなれば、むしろたくさんの金をつぎ込んで滑走路を延長する必要はないじゃないか、これはだれの目にも明らかであります。  そういうことが目の前にあらわれておる今日、なぜ自衛隊の飛行場運輸省が莫大な、六十億と言われておるようでありますが、金をつぎ込んで、しかも地元が反対をしてまだ同意さえ得ておらない、そういうことをやろうとするのか、私はちょっと疑問に思うのであります。  そこで時間の関係で、疑問点が二、三点ありますから最初にこれを解明しておかなければなりませんが、今度滑走路を延長しようという箇所は、中海という水面を埋め立ててやろうというのであります。名前はなるほど中海ですが、正式な名前は建設省一級河川斐伊川、一級河川、川であります。川を三十ヘクタールも埋め立てて、滑走路を五百メートル延ばす。非常に浅いところであります。  しかもあそこは、御承知のように日本海の海水が境水道を通って入ってくる、非常に落差のひどいところであります。したがって、先ほど申し上げましたが、三十一年あるいは三十六年に自衛隊の滑走路が延長されるという計画が発表されたときに――滑走路の延長のすぐ向こうは島根県であります。大臣の地元ですから御承知のとおり、安来であります。したがって、その島根県の知事は挙げて反対をして、一貫して反対を続けてきたわけですね。なぜか。それは騒音のこともありますし、いま言うように川ですから水位が非常に低い。そこへ日本海の潮流が大量に入ってくる。干満が非常に落差が大きい。したがって、水位の問題がある、汚濁の問題がある。騒音の問題も当然ですが、漁業関係者を初めとして強い反対が出て立ち消えになったことは先ほど言ったとおりです。こういう状況が今日まであったわけであります。  したがって、五十八年度にあなたの方は一億二千六百万円の調査費を計上されておるようですが、ほとんどこれは使われていない、使うこともできなかった、地元の同意はいまだに得ておられない、こういう状況ですが、これはお認めになりますか。
  22. 山本長

    山本(長)政府委員 五十八年度の予算におきまして、実施設計調査費という費目でございますけれども、計上いたしまして、現地のボーリング等をやるという計画で予算を組んだわけでございますが、このボーリングをやるに当たっては漁業組合等の協力、理解を得なければならないことは当然でございます。現在のところ、漁業組合が幾つかございますけれども、その同意が得られていないという状態で、予算の執行ができない状態であるということでございます。
  23. 武部文

    武部分科員 ボーリングはもちろんおっしゃったとおりです。したがって、この五十八年度の予算はどういう処置をおとりになりますか。
  24. 山本長

    山本(長)政府委員 もう三月でございます。現在の見通しといたしましては、本年度中にこの予算が執行できるという見通しを持つわけにはまいりません。したがいまして、五十八年度予算は執行できないという状態になるであろうと思います。これにつきましては、五十九年度の中に繰り越しという形でもって実施計画を五十九年度の方に繰り越して、実施できる状況を待って実施できるようになれば実施をするということになるというふうに考えております。
  25. 武部文

    武部分科員 この五百メートル、三十ヘクタールの埋め立て完成の時期をいつと運輸省は見ておるか、それをひとつ承りたい。
  26. 山本長

    山本(長)政府委員 埋め立てを完了いたしまして、それにまだ上物といいますか、滑走路もつくる必要がございますけれども、私たちといたしましては、何年というところまではっきり見通せる状況ではございませんけれども、六十年代の前半には完成をさせたいという気持ちでございます。
  27. 武部文

    武部分科員 先ほど、埋め立てするについて調査をする、それについて地元の同意を得たいということでございましたが、地元とは何を指しておるか。
  28. 山本長

    山本(長)政府委員 地元と申しますと、両県にまたがっておるわけですが、地域は鳥取県でございますが島根県にも関係あるということで、両県及び中海を囲む市町、それから漁業組合等もございますけれども、私たちといたしましては、特に関係者というならば地方公共団体をもって意見を集約していただく、こういうふうな考えでございます。
  29. 武部文

    武部分科員 この機種はYS11からC46になって、C1になって、機種がずっと変わってきたわけですね。今までそういう変遷を経てきた中で、地元の同意を得なければ機種の変更はしない、こういう約束を我々は防衛庁との間にやっておるわけであります。  この地元とは一体何かということについて話し合いをした結果、両県並びに弓浜半島、境港市、米子市、安来市、東出雲町、八束町、松江市、美保関町、二県七市町、これをもって地元と言う、こういうことを約束をしておるわけですが、今の点でよろしゅうございますか。
  30. 山本長

    山本(長)政府委員 そのように理解をいたしております。
  31. 武部文

    武部分科員 大臣はどこまで御承知か知りませんが、実はあそこは県境であります。鳥取県と島根県の県境でありまして、県境の線をめぐって両県は対立をしておる。古文書によってはっきりと示されておると鳥取県側は主張するし、島根県側はそれに反論をする、こういうことで県境は実は今のところ定かではない、このように私は理解をしておるわけであります。したがって、県境問題等を挟んでこの基地は大変長い、いろいろな混乱の歴史を繰り返してきたわけであります。  そういう中で、今防衛庁所管の自衛隊の基地に民航が、全く借家人が家主のところに何かひとつ家を建てるような、小屋を建てるようなそういう格好になるわけですが、非常に不つり合いな気持ちを我々は感ずるわけですね、地元の者としては。今鳥取県側の漁業組合は若干調査に応じたよということが報じられておりますから、そういう空気があったかなということは我々も知ったわけですが、肝心な滑走路が延長をされる方向にある島根県側、特に地元のちょうど先端に位する安来周辺の漁業組合及び自治体は賛意を表していない、こういうことは明白であります。  したがって、先ほど申し上げるように、あの小っちゃな面積の正確に言うならば川、俗称海ですが川、川の中に滑走路が飛んで出るというようなことは異常だと言っていい。そうなれば一体水流はどうなるだろうか、水位はどうなるだろうか、汚濁はどうなるだろうか、騒音はどうなるだろうか、これはたくさんの問題点があるのです。その点は明確に皆さんの方で把握をし、具体的な調査を完了し、地元の同意がない以上、やはりこれは実施しないという態度は、私は明白だと思うのですが、これは大臣から、あなたの地元の問題ですからよく御承知だと思うので、ひとつ細田さんから聞かしていただきたい。
  32. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私も承知のように米子空港を大いに利用させていただいておる方でございます。また、中海の県境の問題についても、経緯等についても若干承知しておるつもりでございます。両県の県会議員がお出かけになって、県境問題のための協議会、委員会が持たれ、断続的に相当な回数、これは御議論になっておることも承知いたしておりまして、いまだこれも決定をいたしておらない。私は昭和四十三年、自治省の政務次官をしておりましたが、そのころでも既に実はこの問題がやかましくなったくらいで、よく承知しております。  今おっしゃっておりますように、これの延長について関係の七市町の承諾が得られなければ、これは進行しないということは、おっしゃるとおりだと思いますが、ただ、基本的な問題としまして、私の承知しております限りでは、反対があることはもちろん承知しておりまするけれども、両県知事、特に鳥取県知事のごときは非常な御熱心でございまして、何とかやってくれということなんでございまして、運輸省が積極的にこれをどうしてもやらなければならないということで乗り出したものでは必ずしもないのでありまして、地元の鳥取県、島根県、特に鳥取県知事が中心になられまして、関係の市町が御要望になっておる、こういうことに了解しておるのでございます。したがって、これは話し合いがつかなければ、これまで何回も挫折しておるわけでございますが、挫折するということになります。  しかし、予算をつけたということは、運輸省も責任があるわけでございますし、今年度の予算も四億くらいつけようということで、今御審議願っておるわけでございますけれども、これは大筋においては、大部分のところにおいては、これはもうやろうということになって、一部にいちいろまだ問題がある、この問題については知事さんを中心に何とか話をまとめようという見通しがあるから、とにかく予算はつけてもらいたい、また、我我の方も米子の空港の必要性から見ますと、そういう必要がある、こう考えてつけておる、こういうことだと了解しておる次第でございます。
  33. 武部文

    武部分科員 わかりました。確かに経過はそういうことですから、よくわかりました。  もう一つ、時間の関係で聞いておきますが、先ほど私、STOLのこと言いましたね。これは既にマスコミの方でも取り上げられておるわけですが、運輸省としては将来の国内の民間輸送機にこのSTOLを採用する、科学技術庁と何かそういうような話し合いですか、そういうものがあって、もちろんあってやっておると思うのですけれども、そういうことは十分御承知の上で協力しておられるというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  34. 山本長

    山本(長)政府委員 科学技術庁でジェットSTOLと申しましょうかを開発を進めておられるということは十分承知いたしておりますし、私たちもできるだけの協力をしていくというのが現状でございます。
  35. 武部文

    武部分科員 先ほど申し上げますように、これは滑走路が非常に短くて済むし、急角度という、特徴が二つですね。騒音が非常に少ないという特徴を持った世界にも誇れるような飛行機だということを、我々は科学技術庁から説明を聞いておるわけです。そういうものが目の前に出てきたわけですから、これは画期的なことだと思うのです。滑走路が半分で済むようなことならば、何も海を埋め立てて一生懸命金をつぎ込んでやる必要はないじゃないかというふうに素人から見れば――こういうものがどんどん新聞に出れば、立派な飛行機が出てきて七百ほどで離陸して四百ほどで着陸すれば、これは立派なものだ、千三百メートルの飛行場、千二百メートルだってあるのですから、隠岐島だってそうなんですから、そんなところでも着陸できるかなということを考えるのは当然だと思うのです。そういう事態があるときに、混乱を押してまでこの問題をごり押しする――ごり押しとは言いませんが、必要ないんじゃないかという気持ちも一部にあることも事実だということをひとつお考えをいただきたいのです。  もう一つお伺いいたします。この滑走路は、厚さ二十五センチ、幅が四十五メートルが一本、それから二十三メートルの誘導路がこれにつくということでございまして、何か地元の県会では、これが補助滑走路になるんじゃないかというような質疑が取り交わされて、知事はよくわからぬというような答弁をしておったようですが、あなたの方に聞きますと、そんなことはない、厚さが全然違うんだ、だから誘導路が滑走路の役目を果たすなんということは技術上あり得ぬというお話でございましたし、そのとおりだと思います。それはいいのです。  問題は、千五百は自衛隊の滑走路ですね。あなたの方がここへ五百メートル継ぎ足すわけですね。完成した暁に、この滑走路の所有権、管理権あるいは管制権、これは一体どういうことになるのでしょうか。
  36. 山本長

    山本(長)政府委員 自衛隊といいますか、防衛庁といい運輸省といい、これは主体はどちらも国でございます。国の仕事を、この部分は防衛庁が、この部分運輸省がというふうに分け持っておるわけでございます。したがいまして、運輸省のお金として組まれたもので工事が行われて、その場合に工事を防衛庁にやっていただくという場合もございます。この場合はそうなります。みずからやる場合もございます。その反対もございます。要するに、国の仕事でございます。ただ、それをどこの官庁が担当するかということでございます。でき上がったものは国の財産でございます。  米子空港の場合は、むしろ民間航空側から自衛隊の空港を二千メートルにしてもらう必要があるというところから、運輸省の予算で計上をして、この工事は防衛庁に担当してやっていただく、これは支出委任と言っておりますが、やっていただく。でき上がった財産については、形の上では一たん運輸省の所管という形になりますけれども、一体として使うわけでございますから防衛庁の方へ所管がえをいたしまして、防衛庁の方で管理をしていただくという形になると思います。もちろん、飛行場の管制は従来と同じように自衛隊がやっていただくということになります。自衛隊と運輸省というのは別の主体ではない、国一本だ、ただ所管についてそういうふうに分かれておるものについては一番いい方法でもって所管をするという手続になるわけでございます。  それから、先ほど先生から御質問がありましたSTOL機の問題でございますけれども、科学技術庁がSTOLを開発しようとしていろいろな研究を行っておられますが、現在科学技術庁が行っておりますこの実験機は、五十九年度から実験飛行に入りたいということでございます。しかし、先生ちょっとおっしゃる言葉の中にございます、もう目の前にそれが来ているという御認識のようでございますけれども、科学技術庁が行っておりますのも、この実験機でもっていろいろなテストをやりまして、そしてそこで得られたところの諸データをもとにいたしましてさらに開発のための航空機を設計していきたい、こういうふうなものであるというふうに理解をいたしております。お手元にありますようなそういうパンフレットの航空機が、実験機としてのテストを終わればそこでもってそれが実用機になるのだというふうなものではまだない。そこで得られたデータをもとにして飛行機を開発する、こういうふうなものであろうと思っております。したがいまして、それの実用化の可能性についてはまだ未知数である、こういう状態であろうと思います。
  37. 武部文

    武部分科員 所管がえのことはわかりました。わかりましたが、例えばその滑走路が傷んだ、この場合はどこが修理するか。これはでき上がってからのことでありますが、でき上がる前に、航空自衛隊の所管である美保基地の突端に全く違う官庁の、国といえば同じ国ですけれども、所管の違う官庁の運輸省が工事を進める、調査をする、ボーリングをする、そういう場合、この滑走路は何年何月を目標にこうやってでき上がったときにはこうこうなって、所管がえをして、管制、修理その他管理は防衛庁がつかさどる、こういうような話し合い――何も話し合いせずにぼっとつくるわけではないのですから、話し合いをして話し合いがついて、それならばひとつここの五百メートルはうちにやらせてもらいたいうちがやりましょうということで予算を要求してこうこういうふうになったと思うのです、先ほど説明は。そうなれば、この所管の違う二つの官庁が一本の滑走路をつくるわけですから、でき上がっておるところへ継ぎ足しするわけですが、運輸省と防衛庁との間に何がしかの話し合い、申し合わせというものが成り立ってここにかかると思うのですが、そういう協定はすでに行われ、協定文というものはあるのですか。
  38. 山本長

    山本(長)政府委員 もちろん、そういう話し合いは行われた結果、あの延長をするという計画ができ上がっておるわけでございます。
  39. 武部文

    武部分科員 それならば、その協定の写しをお示しいただきたいのです、後で結構ですから。
  40. 山本長

    山本(長)政府委員 役所の中の、将来の事務処理を円滑にしていこうということでもって、そういった両者間での話し合いの結果を記録として形を整えてお互いに持っておろうという役所間の文書でございます。こういう文書について従来、外部に出すということはいたしておりません。これについては私たちと防衛庁との間の問題でございますので、防衛庁とも十分協議をいたしたいと思います。
  41. 武部文

    武部分科員 別に秘密にすることはないので、何メートルの幅の滑走路で何メートルの長さのもので厚さが何ぼで、でき上がったときにはあなたの方に所管がえいたします、あとは全部あなたの方でやってください、結構でございますという協定でしょう。別に秘密にすることも何でもないのだ。ただ、今まであの飛行場はいろいろ経過がありました。これは十八年にでき上がった飛行場なんですよ。あれからずっと長い、四十年の歴史があって、中に何遍もいろいろな山があったのです。そういう経過をたどってきた基地ですから、自衛隊の基地に、今まで何遍かあった滑走路延長問題が途絶えて、今度初めて新しい形の滑走路の延長問題が出てきた。それに対して非常に疑問を持っておる者もおるし、あるいはそれで話がついたかと思っておる者もおるし、地元はよくわからないのですよ。したがって、どういうような――別に秘密にすべきものじゃないのですから。話し合いがあって協定が結ばれたのだろうから、協定書の内容を示してもらうのは、別に秘密でも何でもないでしょう。それはできませんか。
  42. 山本長

    山本(長)政府委員 協定の中身は私はもちろん承知いたしておりますが、やはりこういうものについては、役所の中の一つの所管をしておるもの同士の文書というものは従来は公表するというふうなことはいたしておらないのでございます。どういうことが書かれておるかということについて、先生の御質問であれば申し上げても結構でございますが、文書を出すということは今までいたしておりません。これは私限りにおいて出しますとここで申し上げるわけにもいきませんので、防衛庁とも十分協議をいたしたい、その上で……
  43. 武部文

    武部分科員 わかりました。わかりましたが、私は理解できないのですよ。これは機種の問題とかかわりを持つからこういうことを言っているのですよ。あなたがそこまでおっしゃるのなら、また別のところでやりましょう。
  44. 原田昇左右

    原田主査 これにて武部文君の質疑は終了いたしました。  次に、福岡康夫君
  45. 福岡康夫

    福岡分科員 国鉄当局にお尋ねいたしますが、近時全国的に貨物取り扱いの廃止に伴う跡地の処理及び国鉄赤字財政再建下における請願駅の設置の問題が起こっておりますが、これらの問題に取り組む国鉄当局の基本的姿勢をお聞きしたいと思います。  また、時間の関係がありますから、この処理基準または設置基準等があるかないかをお答えいただきたいと思います。
  46. 岡田宏

    ○岡田説明員 最初に、貨物駅等国鉄の事業用地として使用が廃止をされました。地の処理についてお答えを申し上げます。  貨物駅等として使用しなくなりました。地の活用処理に当たりましては、将来における鉄道本来の事業計画並びに関連事業計画等の活用方を検討いたしまして、その上で資産処分として売却するものを決定をいたしております。資産処分として売却いたします場合には、地方公共団体から公共目的のために御使用になるというようなお申し出がありますれば、それを優先的に考慮させていただくということはいたしておりますが、いずれにいたしましても、国鉄の財政基盤の確立ということを重点に置きまして処理を考えてまいりたい、このように考えております。     〔主査退席、二見主査代理着席〕
  47. 福岡康夫

    福岡分科員 設置基準、処理基準の問題はあるのですか、ないのですか、それをまず最初にお答え願いたいと思います。詳しいことは後でお聞きしたいと思います。
  48. 岡田宏

    ○岡田説明員 例えば売却をする場合に、それを随意契約によるかとか、公開競争入札によるか、そういったことに対する包括的な規定はございますけれども、個々のケースについて、例えば鉄道の事業用地として使うかあるいは関連事業用地として使うかというようなことに関する規定はございません。
  49. 福岡康夫

    福岡分科員 私の申しているのは内部の処理基準、総括的なものを指しているので、総合的なものは当然規則とか規約とかであると思います。だから、内部処理基準があるかないかをお答え願いたいと言っているのです。
  50. 岡田宏

    ○岡田説明員 用地の処理に関しましては、今先生おっしゃったような形での処理基準はございません。
  51. 福岡康夫

    福岡分科員 請願駅の処理基準についてはいかがですか。
  52. 須田寛

    ○須田説明員 今先生、請願駅のお話があったのですが、そういった新駅の設置基準につきましては部内的な基準をつくっております。  簡単に申し上げますと、新駅の収支採算がとれること、それから、費用負担その他につきまして地元の御理解が得られること、御協力が得られること、それから、技術的にあるいは駅間距離等において一定条件を満たすこと、こういった部内的な処理基準をつくっております。
  53. 福岡康夫

    福岡分科員 よくわかりました。  では、具体的な事例をお聞きいたしますが、国鉄山陽本線の西広島駅は、広島市の西の玄関口であるわけですが、本年二月一日付で貨物取り扱いの廃止がなされております。関連の敷地が遊休地となっておりますが、この遊休地を今後どのように活用されるのか、国鉄当局の御見解をお聞きしたいと思います。
  54. 岡田宏

    ○岡田説明員 先生指摘のように、西広島の駅におきましては、貨物として使用いたしておりました。地が、線路の南側におきまして千六百平米、線路の北側に六千七百平米とりあえず発生をいたしております。これらの用地の処理につきましては、地元の御要望として駅舎改築、橋上化もあるやに聞いております。そういったことと関連をいたしまして、地元の再開発計画構想並びに国鉄としての設備投資計画あるいは関連事業計画といったものと十分整合性をとりながら、総合的に検討を進めてまいりたいと考えております。
  55. 福岡康夫

    福岡分科員 抽象的なことはわかるのですが、具体的にもう少し御説明願いたいと思うのです。
  56. 岡田宏

    ○岡田説明員 現在の時点で具体的に、この部分を例えば駅ビルとして使いたいとかあるいはこの部分を売却いたしたいとかいうことについては、まだ煮詰めておりません。何分にも廃止になりましたのが五十九年二月でございまして、用地の処理の具体的なことまでは決まっておりません。
  57. 福岡康夫

    福岡分科員 広島鉄道管理局と広島市との間に青写真によっての折衝が行われておるのじゃないですか。二月一日には廃止されたのですが、二月一日以前に廃止される予定で昨年からその折衝に入っておると思うのですが、いかがでございますか。
  58. 岡田宏

    ○岡田説明員 地元のそういう御計画と十分整合性をとって、地元の御要望にもこたえつつ処理を今後考えてまいりたいと思っております。
  59. 福岡康夫

    福岡分科員 現在、国鉄当局といたしまして、広島市との間にどの程度の進展したプランがあるのか、御説明できれば御説明していただきたいと思います。
  60. 岡田宏

    ○岡田説明員 私どもとしましては、まだ具体的な話について承知いたしておりません。例えば、橋上化をお考えいただくようにいたしましても、自由通路の位置でありますとか、それに伴う駅舎の在来の跨線橋との関連、あるいはその橋上駅舎の位置でございますとか、そういったもろもろの問題が、国鉄の設備計画と合わせて検討しなければいけない問題が多々ございますので、そういった問題と地元の御要望とをすり合わせながら検討を続けてまいりたいと考えております。
  61. 福岡康夫

    福岡分科員 では、もう少し煮詰まった状況におきましてひとつ御報告をよろしくお願いしたいと思います。  では、次の質問に参りたいと思うのですが、広島市やその地元の商店街、町内会においては、この国鉄遊休地を利用しての西広島駅周辺再開発への動きがあると私は聞いておりますが、国鉄当局は御存じでございますか。
  62. 岡田宏

    ○岡田説明員 詳細については承知をいたしておりませんが、例えば、裏駅をおつくりになるというようなことで、駅前広場の御計画その他のものを今勉強の過程ということで御検討なさっていると承知をいたしております。
  63. 福岡康夫

    福岡分科員 では、お願いしたいわけでございますが、私は、広島市や民間団体等にこの遊休地を譲渡して、国鉄当局が西広島駅周辺再開発計画をバックアップすることが、客観的に見て最善のことだと考えますけれども、いかがでございましょうか。
  64. 岡田宏

    ○岡田説明員 地方公共団体等の再開発事業の御計画等がございます場合には、それらの御計画と国鉄自身のいろいろな計画とを十分整合させてまいりたいと考えておりますし、また、そういう御計画については最優先的に配慮させていただきたいと考えております。
  65. 福岡康夫

    福岡分科員 はなはだ申しわけございませんけれども、優先的に考えていくという抽象的な御発言でございますが、もう少し具体的に、どの程度とういう形で行われる予定なのか、一応御発表できる範囲内のことについてお示し願いたいと思うのでございますが。
  66. 岡田宏

    ○岡田説明員 まことに申しわけございませんけれども、私、ただいま地元の御計画と地元の広島鉄道管理局との間で具体的にどのような話が進行しているかという細部の点については承知をいたしておりませんけれども、再開発計画等で国鉄の用地が御必要であるということの場合には、在来のケースから申しましても、国鉄の関連事業計画等にございます場合には、それらと十分調整をとり、地元の再開発計画が円滑に進められるように最大限の配慮をいたしておりますので、本件につきましてもそのような方針で取り組むつもりでおります。
  67. 福岡康夫

    福岡分科員 次に、請願駅の設置についての具体的な事例についてお伺いいたしたいのでございますが、私は、広島鉄道管理局管内の山陽本線の西広島駅と五日市駅との間に仮称井ノ口駅が、地元広島市及び関係団体の強い要請によって新設される準備が進められていると聞いていますが、国鉄当局は御存じでございましょうか。
  68. 須田寛

    ○須田説明員 承知をいたしております。大体におきまして地元で費用の御負担等のお話し合いがつきまして、事務が進んでおるというふうに承知をいたしております。
  69. 福岡康夫

    福岡分科員 今の、いろいろ地元との問題という割合等をお示しのようでございますので、その内容についてひとつ御説明願いたいのでございますが。
  70. 須田寛

    ○須田説明員 私どもの承知いたしておりますところでは、まず、工費を地元に御負担をいただく、約四億六千万でございますが、広島市とそれから地元の期成同盟会で御負担をいただくというお話し合いがつきまして、これは既に自治大臣の御承認もちょうだいしております。したがいまして、本社の方に今設置承認の書類が上がってまいっておりまして、その事務を進めておるという状況でございますので、ほどなく設置が決定できるものという段階に達しておると存じます。
  71. 福岡康夫

    福岡分科員 では、請願駅と仮称井ノ口駅との関連性というものは全くなく、別々にこの問題は進めていく予定でございますか、どうですか。
  72. 須田寛

    ○須田説明員 請願駅ということで先生お話してございますが、先ほど申し上げましたように、国鉄の新駅設置基準というものがございまして、部内の内規でございますが、それにこの駅は条件を満たしておりますので、そういった新駅設置基準に該当しているということで設置をさせていただきたいというふうに思っております。
  73. 福岡康夫

    福岡分科員 ちょっと、私がお聞きしているのは、請願駅がつくっていただける、それと並行しての西広島駅の跡地の開発との問題は関連性を持ちながらやっていられるのか、独自独自の立場でおやりになっているのかということを御質問しておるわけでございます。
  74. 須田寛

    ○須田説明員 私の承知いたしておりますところでは、この駅は、昨年のダイヤ改正で国鉄の電車の増発をいたしまして、その際に、沿線の皆様方から、電車が増発されたのに駅間が非常に、六キロメートル以上あいておりまして不便だということで、駅をつくれという御要望がかねがねあったように承っておりますので、西広島の開発の問題とももちろん話し合いの時期がたまたま合ってきてはおると思いますけれども、この駅はこの訳といたしまして、従来から御要望のあったもので、それにおこたえをして考えているものというふうに考えております。
  75. 福岡康夫

    福岡分科員 そうすれば、仮称井ノ口駅の新設の準備が進められているとすれば、その新設工事の着工と完成の時期はいつごろか、お教え願いたいと思うのですが。
  76. 須田寛

    ○須田説明員 今のお話で本社にもう大体事務が参っておりますので、これはほどなく事務が済むと思います。大体年度内ぐらいには事務を整理したいと思っております。それから、地元で工事の着工に伴いますいろいろなお話し合いを申し上げることになると思いますが、それから着工いたしまして、工期はほぼ一年というふうに承知をいたしております。
  77. 福岡康夫

    福岡分科員 今は抽象的なことでいろいろお教え願ったわけでございますが、これを具体的に、大体推定時期で結構でございますが、お示し願えればいいかと思うのでございますが。
  78. 須田寛

    ○須田説明員 駅の設置でございますので、どうしてもダイヤ改正の時期に合わせたいという気持ちを現地でも私ども持っております。次期のダイヤ改正の時期がまだ確定いたしておりませんが、大体六十年の春というふうに考えておりまして、そのころに合わせて供用ができるようにということで、今工事を進めたいと思っております。
  79. 福岡康夫

    福岡分科員 地元広島市及び地元の商店街等はこれを熱望しておりますので、なるべく早い機会にこれを着工していただき、そして完成さしていただきたいと思います。ひとつこのように御協力願いたいと思います。
  80. 須田寛

    ○須田説明員 現地の管理局と十分相談をいたしまして、現地の皆様の御要望に沿うように努力したいと思います。
  81. 福岡康夫

    福岡分科員 この新しい駅の設置については、現在、国鉄が財政再建に取り組んでおられる特殊事情から、どういう仕組みややり方で進められるのかお伺いしたいと思います。
  82. 須田寛

    ○須田説明員 今先生御案内のような非常に厳しい財政事情でございますので、先ほど説明を申し上げましたように、工費は全額地元で御負担をいただくということがまず第一の条件でございます。それから、駅の運営形態につきましても、やはりかなり合理的な形態を志向せざるを得ないと思っておりますので、業務委託で最小限度の要員体制で極力効率的な駅として発足させたいと考えております。
  83. 福岡康夫

    福岡分科員 国鉄にお尋ねいたしますが、この駅の新設には国鉄からの出費は全くない、こういうことでございますか。
  84. 須田寛

    ○須田説明員 工費につきましては、今のように現地で御負担いただくわけでございますけれども、いろいろな運営経費がございます。今のところ運営経費が年間約八千万ぐらい、具体的には今の駅の駅務費でございますとかあるいは保守費でございますね、それから市町村にお払いいたします納付金、減価償却、そういったような経費を約八千万ぐらい国鉄は年々出費をすることになると思います。
  85. 福岡康夫

    福岡分科員 そうであるとすれば、現在、国鉄の赤字財政と請願駅であることを理由として、国鉄当局にとっては全く財政負担を回避した状況で新駅の設置ができることになるわけでございますが、この地は、ここ四、五年西部卸売団地等の整備発展に伴い、広島市内の市街地の中で最も急激な建物のビル化及び住宅等の増加を伴っている地域であります。近隣の民間商店及び事務所に住む人、働く人等は、山陽本線の列車の騒音対策として防音壁の必要性を望んでおりますが、国鉄当局のただ一つの地元へのサービスとして、せめて防音壁の設置ぐらいは考えてもらいたいと私は考えておりますが、いかがでございましょうか。
  86. 岡田宏

    ○岡田説明員 新駅を設置いたしますこととそれから騒音問題とは直接にかかわり合いかないというふうに私どもといたしましては考えております。
  87. 福岡康夫

    福岡分科員 それはちょっと極端なお話ではございませんでしょうか。やはり列車が井ノ口駅に発着する、今までスムーズにすっと通っていったものがストップする、発車する、こういう形での騒音で、今の状況と全く変わるじゃないですか。
  88. 岡田宏

    ○岡田説明員 一般に列車の走行に伴います騒音といたしましては、列車の速度が高い方が高いわけでございまして、本件につきましては、無論通過する列車もあるわけでございますけれども、停車する列車については、そのことによって特に騒音がふえるというふうには考えておりません。ただ、駅の放送でございますとか、発車ベルでございますとか、そういった点につきましては、それが著しい騒音公害を地元にもたらさないということで考えてまいりたいと思っております。
  89. 福岡康夫

    福岡分科員 御答弁者にお尋ねいたしますが、現地を視察したことはございますか。
  90. 岡田宏

    ○岡田説明員 申しわけございませんが、視察をしたことはございません。
  91. 福岡康夫

    福岡分科員 この地におきましては、御承知であればそういう発言は返ってこないと思うのです。ということは、この西広島駅から五日市の駅は、約十年前は海岸線でございました。これを、広島市の西部開発工業団地計画に基づいて、約十年前から海岸を埋め立てまして、西部卸売団地、西部卸売市場その他、広島市内の卸売業者、小売業者、それをここへ集結させたわけでございます。この四、五年のビル化及びこれに対する交通量その他いろいろ地形変化は、広島市内では一番大きな変化を遂げておるところでございます。この実情を視察の上にいろいろ御見解をお述べになるのはいいのですが、そういうことを御存じないでこういう御発言をされることは、ちょっとおかしいのじゃないかと思いますので、もう一度、現地の鉄道管理局の方に、どういう地形変化がこの四、五年にあったのか、御検討をお願いしたいと思います。
  92. 岡田宏

    ○岡田説明員 先生指摘のように、私自身も現地の情勢を見せていただきまして、その上でいろいろ地元の管理局それから地元の方々との間で御相談をさせていただきたいと思っておりますが、一般的に申し上げますと、国鉄の線路の周辺の環境がその周辺の地区における開発によりましていろいろ変わってくる。そのために、例えば出水の問題でございますとかいろいろな問題がございますので、そういったものに対応するのが、現在の国鉄の厳しい財政事情のもとで非常に困難な事情であることについては、ひとつ御理解を賜りたいと思っております。  ただ、この件につきましては、先生の御指摘のように、私も現地の実情を十分見させていただきまして、しかるべき対応をさせていただくように考えたいと思っております。
  93. 福岡康夫

    福岡分科員 もう一度、もう一つ指摘しておきたいことは、先ほど駅が新設になってもそんなに騒音の変化はないというような御発言でございましたが、駅は、一つ新設すれば、列車はそこへとまる、発車する。それから、御承知のように、広島と岩国との間には、国鉄の国民に対する非常なサービス精神に基づいて、十五分間間隔におけるシティー列車を走らせておるわけでございます。この結果、この一年間におけるこの着発に基づくこの間の列車の通過量、出たり入ったりする量というものは、約四分の一倍ぐらい、今までの現地状況と変わってきております。そういう形で、そういうシティー列車のサービス精神については、国鉄当局としての国民に対するサービスには私は非常に敬服いたすわけでございますが、これに基づく沿線の変化もあるということにひとつ御留意願って、これの騒音対策も国鉄のサービス精神の一つとしてお考えになっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  94. 岡田宏

    ○岡田説明員 先生指摘の点もございますので、十分検討させていただきます。
  95. 福岡康夫

    福岡分科員 では、最初の御質問のときの請願駅の設置基準、これをちょっと具体的に御説明願いたいと思います。
  96. 須田寛

    ○須田説明員 まず、採算性に関する基準というものが第一にございまして、これにつきましては、用地費、建設費等の投資が収入で一定の年限に回収できることというのを一つ基準にいたしております。それから、駅間距離でございますけれども、東京、大阪の国電区間にありましては二キロ以上あること、その他ではおおむね四キロ程度、都市の周辺で三キロ程度というふうな基準をつくっております。それから、その他の基準といたしましては、技術上、例えば勾配の途中にないこととか、曲線の途中でないこととかといったような問題がございます。そのほか費用の御負担につきましては、今のような収支を償うという前提で考えておりますので、それの償いの非常に時間のかかるものにつきましては、償いますまでの間、駅務の経費等を御負担いただくような場合もある、こんなような基準を考えております。
  97. 福岡康夫

    福岡分科員 今の請願駅の基準につきまして、現在まで広島市との接触は行われておると思うのでございますが、その経過過程についてお差し支えなければ御発表願いたいと思うのでございます。
  98. 須田寛

    ○須田説明員 細部の詳細につきましては存じませんが、仮称新井ノ口駅におきましては、今のような点につきまして、おおむねその条件を満たしている。つまり、駅間間隔も六・六キロございますし、それからお客様が新規に御利用いただく度合いが非常に多うございまして、先ほどの年間八千万ほどの国鉄の経費負担がほぼ償えるというふうなことでございましたので、先ほどお話し申し上げましたように、広島市その他とのお話の中では、工費の御負担のみをお願いする、こういったようなことで合意をさせていただいたいきさつがあるように聞いております。
  99. 福岡康夫

    福岡分科員 先ほど運営費の問題については、国鉄当局で受け持つというような御発言でございますが、その運営費の内容を詳細にちょっとお教えを願いたいと思うのです。
  100. 須田寛

    ○須田説明員 駅務費が約二千万でございます。それから停車費と申しまして、列車をそこにとめますために電力代が余分にかかるというふうな、こういったものが年間約二千万ございます。それから保守費が千五百万、減価償却費と市町村納付金が千八百万、その他が八百万でございまして、合計八千百万というふうに計上されております。
  101. 福岡康夫

    福岡分科員 よくわかりました。  今後ともそういう形で、この仮称井ノ口駅の設置と、西広島駅の跡地の再開発の問題については、地元は国鉄当局の非常に強力なる御協力を待ち望んでおりますので、ひとつ国鉄のサービス精神にのっとって、できるだけの御協力をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうも御苦労さまでございました。
  102. 二見伸明

    二見主査代理 これにて福岡康夫君質疑は終了いたしました。次に、川俣健二郎君。
  103. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 大臣、国鉄再建に挑む大臣に期待を申し上げながら、質問をしたいと思うのでございます。  国鉄離れという言葉がよくあるのですが、どうも私たち地方にいると、国鉄離れというよりも、国鉄の方が国民を離れるというか、手離すというか、例えば、私たちは東北で、その東北の中でもさらに奥羽線という、太平洋にも日本海にも遠い真ん中の奥羽本線に住む住民の一人ですが、東北の出先官庁のある仙台に行くのに、前は一本であったけれども、二回は乗り継ぎをしていかなければならぬ。東北線の盛岡から走る新幹線に乗れということで、盛岡に出るなり北上に出るなりということはわかるのだが、それすら乗りかえていかなければならない。こういう非常に国鉄から最も手離された住民の一人でございまして、今度貨物駅もなくなる、ああいよいよ貨物もだめになったらもう国鉄というのはひとりで走っているのだな、これは車を買わざるを得ないな、こういうことで、あるいはペリカンでもいよいよ仲よくしなければならぬなと、こういうことになって、問答無用で二月一日から貨物駅もああいうことにされてしまったのでございますが、それでいいものかどうか、時間があれば大臣に先に所信を聞いていきたいと思うのですが、それは後にいたします。  そういう中で、国鉄も結構ユニークというか明るいというか、女性駅長が登場したから明るいという意味ではないのだが、今度鹿沢口駅の駅長さん、「二人目の女性駅長さん」、こうなっておりまして、これは帽子なんかなかなか似合いそうだが、男の帽子だろうな。女性用の帽子があるものだろうかということと、それから、女性駅職員は国鉄に何人いるのだろうか、これからどんどん出るのだろうか。この清水娃子さんという人は、「女性の目から見た駅づくりをし、地元の人や観光客に親しまれる駅にしたい」と。これが非常に大事なんですね。やはり私鉄とかそっちの方は、ちょっと暑いとお絞りを出したり、ちょっと高いかもしらぬけれども、そういうのが非常に国民のニーズに合うようになった。こういうのは非常にあれなんですが、さらにその辺を担当局に聞きたいのでございます。  それから、労働省来ていますか。――佐藤課長さんがせっかく見えておるから、二、三質問いたします。  この方は今度は転勤なんですね、単身赴任。これからどんどん女性の単身赴任というのが出てくるのだろうと思います。男で言えばさっチョンとか、方々でチョンガー暮らしをやらされる。女はチョンガーと言わないんだろうが。こういった者の、労働省の婦人労働課長さんから見た場合にはどういう施策を考えておられるか、一般的にちょっとお話し願いたいと思います。  最初に国鉄当局の方から伺います。
  104. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 今手元に正確な数字は持ってございませんけれども、国鉄には看護婦さん等もおいでになりますので、全体としては約三千名ぐらい女子職員がおります。その中で駅務関係につきましては、駅長さんといたしましては、過去に、五十五年から五十七年まで、米子管理局の乃木という駅の駅長さんを初めて女性駅長として登用したわけでございます。それ以後、今度の高崎管理局の万座・鹿沢口駅の駅長さんが二人目でございまして、数としては本当にまだ微々たるものという状況でございます。  これはやはり、女子労働に関します労働基準法の定めがございますので、私どもとしては、最近、管理職がほかの企業におきましてもかなり進出をしてきているというような事情、あるいは米子管理局の例を見ましても、大変に地元からも好評であり、お客様からも好評をいただいたということで、十分能力をお持ちの女子職員は、むしろ今後ともできるだけこういう面で働いていただきたいというふうに思っておるわけでございますが、なかなかそんな関係もございまして、非常に制約を受けておるわけでございます。乃木駅にいたしましても、それから今度の万座・鹿沢口駅につきましても、いずれも日勤駅長でございまして、一交勤務というようなことの勤務は女子職員を充てていくということがむずかしいというような状況でございますので、気持ちとしては私どももこれから前向きに対処してまいりたいと思いますが、なかなかそういう制限的な問題もございまして、現状のような状況になっておるわけでございます。
  105. 佐藤ギン子

    ○佐藤説明員 先生指摘のように、最近は大変職場に女性が進出するという例がふえておりまして、この清水駅長さんの例もその一環かと存じます。  労働省といたしましては、今後ますます女子が職場で能力を有効に発揮していこうということで進出してくる方が多いと考えておりますので、雇用の場での機会均等を確保するための法制の整備をしていきたいと考えておりまして、今運輸省から御指摘のございました労働基準法の女子保護規定等につきましても、女子の機会均等を推進するという立場から、母性保護を除き女子保護全般についての見直しを進めていくことが必要だろうと考えておりまして、現在、労使の代表に参加していただいております婦人少年問題審議会でこの問題について御検討いただいているところでございますので、その御結論を待って関係法案を今国会に提出したいというふうに考えております。
  106. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 時間がありませんから……。  私は、女性にも機会均等を与えるべし、こういうことで問題提起する面と、それから、まあ愛される国鉄というか、国鉄というのは何となくイメージがかたいですから、あれはやわらかかったら大変だろうけれども、かたいのを和らげてやはり清水さんも意気込んでおるとか、そういうことで親しまれる駅になってみたい、こういうところがあるだけに、国鉄当局は、もっと入れたいのだが労働省側はどういう規制があるかということを、むしろ積極的に国鉄側の方から労働省に相談した方がいい面も非常にあるんじゃないだろうか。労働省は労働省で、もっと機会均等を与えろ、こういうことなんです。  さっき、女の駅長さんの帽子というのはあるものだろうかという質問には答えてくれていないのだが、やはりそういった面で細かい経営センスというのが国鉄に必要なんじゃないかという意味もあって、一例として申し上げたので、その辺はどうか。
  107. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 確かに、この間新聞に載りましたような、帽子につきましては、現在男子の駅長と同じ帽子をかぶっておりますけれども、制服につきましては、やはり女性らしさを出したいということで、女子の駅長さんに関しましては特別な制服を実は用意をいたしております。今後いろいろ先生のおっしゃるような方向で私どもも考えなければならないというふうに考えております。
  108. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 やはり女性にも、男女平等と男女同等とは違うのだろうから、考えてやらないと。社会党のPRじゃないのだが、今度、私の提案で社会党に災害服というのをつくります。その場合に、やはり女性議員もおりますので、女性議員には最もふさわしい流行の先端を行くようなやつをそのうちつくってお見せしますから……。  そこで、本論に入りますが、大臣、地域性を運賃に入れる、地域別運賃制を導入するというのはどうしてもすとんといかない。特に、私の場所というものをさっき提示しましたような格好で、ああいう方面が今度簡単に高くなるわけですから、そうなると私たちは、一物一価主義というか、同じ国鉄、国営国管の鉄道の一キロ単価が、乗り手の少ない僻地が高くなるというのはどうしてもすとんとおりないで、総括質問もしたし、一般質問もしたのだが、夜眠れないので、どうしても大臣にもう少し哲学を教えてもらいたいのです。
  109. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 川俣先生御承知のとおり、鉄道国有以来今日まで、国有鉄道の運賃は単一の均一運賃といいましょうか、地域による差別というものは、極めて例外はありますけれども、原則的にはなかった、これで通してきたわけでございます。  今回、国鉄から申請がございまして、今運輸審議会で審議中のものが初めて実は三段階になっておるのでございます。東京、大阪の電車区間、これが据え置き、それから幹線区間と支線区とローカル線と、こうなっておるわけでございます。  そこで、この問題につきましては、純粋に運賃の議論をしたり、国有鉄道の公共性と営業性、企業性とをどう調和させるかという議論からいきますと、真っ二つに分かれるような議論が実はあるわけでございまして、私どもも最近ごく近い過去まで均一運賃制をむしろ主張しておった側、総合原価制でいくということが国有鉄道の運賃であると言って主張しておった方なんでございます。     〔二見主査代理退席、上田(哲)主査代理着席〕  ところが、国鉄の財政が御承知のような状況でございまして、最近の状況は、これも運輸委員会なんかでも盛んに議論された議論でございますけれども、最近の状況はやはり経営という問題を重く見るということ、そして、したがって原価というもの、それから競争機関との関係を重く見るという傾向が勝ちを制するといいましょうか、それが強くなってまいったわけでございまして、それのあらわれが昭和五十五年にできました日本国有鉄道経営再建促進特別措置法、特別措置法と普通称しておりますが、国鉄再建特別措置法で、明らかにこれは第十三条で、「地方交通線の運賃については、地方交通線の収支の改善を図るために必要な収入の確保に特に配慮して定める」と、これも解釈の仕方がいろいろございましょうが、一応こういうものが法律の中に出てきたわけでございます。  そして、さらに、御案内のように、第二臨調では、都会では国鉄の運賃が場所によっては私鉄の二倍くらいするじゃないか、地方に行くと私鉄の運賃が国鉄よりも高くて場所によっては倍ぐらいじゃないか、こういったような観点から、どうしても差別運賃をつくるべきである、こういう御答申でございまして、特に、昨年この国会で法律をつくっていただいて誕生いたしました国鉄の再建監理委員会からは、昭和五十九年度の予算編成に当たって、特に運賃については差別をつけるということが勧告されたのでございます。これを受けて、国鉄が今出しておるということなんでございます。全体で千八百億ほどの増収のうち、ローカル線の特別運賃で五十億でございますから、五十億のためにこれだけの問題を起こしてはという御意見があることはごもっともだろうと思うのです。そういう御説があるのでございますが、とにかく、経緯を今やや詳しく申し上げましたけれども、そういう経緯で、ただいま運輸審議会で慎重に、地方からも公述人の方々も出ていただいて十分御意見も反映させたいと思っておりますが、審議をしておる、こういうことでございます。
  110. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 わずか五十億のためにこれだけ騒がせるというか、日本の考え方をがらっと変えるわけですから、勧告されているからということだけでは片づけられない。  そうすると、大臣、赤字だからこういう考え方が出るのか、黒字だったらこの考え方は出ませんな。
  111. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 国有鉄道の経営が今日のような状態でない、赤字が出ていなかった昭和三十八年度以前においては、このような考え方は出るはずがない。やはり総合原価でいくべきであると。総合原価というのは、全体で、損をするところもあれば得をするところもある、黒字が出るところもあれば赤字が出るところもあるということでいったものと思います。しかし、何しろ窮迫しておるものですから、少々のことでもとにかくやっていこうという考え方に臨調なり監理委員会が考えておられる、こういうことでございます。
  112. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 大臣、私らはせっかく国鉄再建に勢い込んでいる大臣の足を引っ張るという意味ではなくて、やはり制度の根幹に触れるというか、哲学的な一物一価主義というものを、この際日本の国が覆すのかな。  そこで、きょうは法制局長官はおいでになっておりませんが、法制局の長官の話だと、それは幾ら国営団管でもできる、やっても差し支えないという考え方を総括質問で示された。ところが、赤字だからこういう話が出たということも大体わかる。  それじゃ、農林省にも来てもらっておりますが、米ですね。私らは、比較的地域別運賃の格差をつけられる、高くつけられる地域の人間は、並行的に米が隣にあるという僻地寒村地方にあるわけです。したがって、私らは周りに田んぼを持っておる。乾燥して脱穀機にかければ台所の米びつに入るというところに生活しておる。しかし、東京都の方に、消費者米価と同じ類の米の場合は単価は同じである、運賃、倉庫料を全部分けてやっておる。こういうことを考えると、それじゃ、一体我々は、米をひとつ東京都に高く買ってもらおうか、こういうことにならざるを得ない。委員長もうなずいておるようでございますが、私らはそういう考え方で、やはりこれは危険な思想ではないかと思うのですが、できるという法制局の考え方は、水もそうやればいいじゃないかということを言っておるようなんですが、そうですかね。
  113. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 先般、私どもの長官からお答えいたしましたのは、そういう地域別運賃制をとることにつきまして特段の合理的な理由があるかどうかということを申し上げたつもりでございます。したがいまして、今先生は米の対比でお話がございましたけれども、米についてそういう特段の合理的な理由があると考えられるかどうかという問題に帰着すると思います。
  114. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 もう少しゆっくり話してください。大事なところだよ。あのときの長官は、法制的にはできるんだという方向で私に教えてくれた。それだったら水もできるんだな、さらに言うと、水もやればいいじゃないかというように聞こえたんだよ。そうですか。少しゆっくりしゃべってください。
  115. 上田哲

    上田(哲)主査代理 丁寧に答えてください。
  116. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 前回お答え申し上げましたのは、地域別運賃制をとることについての法理論上の問題点を御質問ございました。それで、それに対しまして、地域別運賃制をとれるかどうかという点につきましては、それをとることについての特段の合理的な理由があるかどうかということに帰着をするというお答えをしていると存じます。そのことから、直ちに米についてそういう特段の合理的理由があるからとるべきであるとか、そういうことを申し上げたことではないと考えております。
  117. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 それじゃ、それは法制局、官房長、内閣全体の問題でしょうから、場を移してその問題を取り上げたいと思います。まだ一日あるようですから、予算委員会は。  そこで、時間ございませんが、急遽、山本航空局長さんお見えになっておられますね。ちょっと気になるのは、新聞で申しわけありません、余り大きく出ているものだから、私ら乗客の一人としてあるいは法治国家の一人として伺ってみたいのですが、「空の免許、大量不正取得」「業者暗躍、ハワイへ受験ツアー」「米試験官に工作〝替え玉受験〟?」これはクエスチョンですが、「百人、疑惑者リスト 運輸省へ米航空局から通告」「大半、日本の空を飛ぶ」、こういうことですね。「未熟な〝インスタント操縦士〟日本の空 飛び回る」「飛行時間も水増し」「英語ができず 着陸できなくても合格」「業者の自宅で 解答を教え合い受験」、結局、業者の暗躍がそこにあるのだと思うのですね。さらに、「FBIが来日し捜査」「三十人から事情聴く 金のやりとり質す」、こういうことで大きく取り上げられております。「まさか!FBIが…」、こういう見出しもあります。「パイロット免許不正取得事件」「驚き…不安つのる受験生」「訓練内容など詳細に」、こういうのが出ておるのですが、これが日本の空を飛び回っておる。  こういうことになると、これは大変なことになるわけですが、その辺、我々国民はこれをどう理解していいのか、ただしてみた結果はどうだったのか、その辺を少し聞かしてくれませんか。
  118. 山本長

    山本(長)政府委員 それでは、私たちが承知をしていることについて御説明を申し上げます。  航空機のパイロットのライセンスというのは、ICAO、国際民間航空機構、国連の下部機関でございますが、ICAOの定めによりまして、一国で取得した免許については他国もその免許を認める、相互互認という制度をとっておりまして、世界各国そうすべきであるというICAOの取り決めによって日本もそういう制度をとっておるというのが一つ前提でございます。  そこで、お尋ねの件でございますが、FBIのことについては私たちはよく存じておりませんが、FAA、これは連邦航空局、ちょうど米国における日本の航空局に該当するところでございますけれども、FAAというところから、五十七年十一月に、ホノルル及びロサンゼルスにある日本人経営の飛行学校で訓練を受けた日本人に対して不正な試験が行われ、米国の自家用操縦士の免許が与えられた疑いがあり、FAAはその真偽、内容について調査を行っている、こういう連絡が入りました。その後のFAAからの連絡によりますと、昭和五十六年の半ばから五十七年の後半にかけて、この日本人が経営する米国における飛行学校で、経営者及びFAAから試験委員として指定を受けた三名の米国人により不正な試験が行われた模様であるということでございまして、そこでアメリカのライセンスが交付されて、そしてかつ、互認協定によって、それを前提として日本で手続を経て日本のライセンスを得た者が約百名いるということまで判明しております。     〔上田(哲)主査代理退席、主査着席〕  このように大量の日本人に対しまして米国の免許をもとに我が国の技能証明、ライセンスを受けているということは、仮にこれは米国の場における不正行為であったとはいえ、実際にそれが日本の空において飛ぶ資格を持つということでございますので、運輸省としても重大な関心を持っております。  FAAに対しましては、早期に十分な調査を行い、その不正行為の真偽、内容、そして不正行為があったということであれば、米国の免許付与について厳密な処理をしてもらいたい、仮に不正行為が行われたことが判明した場合には、米国の免許を取り消し、所要の措置をとってもらいたいということを強く要請をしてきております。FAAの調査に対しては、私たちが協力できる範囲については今までも協力をしてきておるのでございます。FAAは相当広範な調査を行っているということでございますが、遺憾ながら事件の真相が解明されたという連絡をまだ現時点において受けておりません。また、FAAにおいて、米国で発行したライセンスを取り消すというところまでまだいっておらないのが実情でございます。  私たちといたしましては、事アメリカにおける不正行為の疑いとはいえ、その結果ライセンスを持っておる者が日本にいるということについては、極めて重大なことであると考えており、早期解明を米国側要請するとともに、私たちとしてもできるだけの協力をして、不正な不安な要素を早く取り除くということでもって努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  119. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 時間になりましたが、大臣、これは大変重大な問題だと思いますね。ICAOライセンスを悪用したやり口で、しかも業者が暗躍しておるという。それから、日本の航空の信頼が非常に失われることだし、びくびくして乗らなければならない、こういうような状態でもある。それに対して早急に厳重に厳正に、しかもFBIであろうが何であろうが調査は早急にやるべきだという感じがするのですが、大臣からそういう考え方を一言……。
  120. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 まことにとんでもない話でございまして、私ども新聞を見てびっくりしておるわけでございます。インチキの免状を持っているのが空を飛ばれてはたまらない、これはおっしゃるとおりでございます。したがって、早くやらないとそのうち何が起こるかわからぬわけでございますから、もとのところをとにかく取り消してもらわないといかぬわけでございますので、これは厳重に早急にやってもらうように頼まなければならぬと思っております。余り長くかかるようだと、場合によってはその学校のやつ全部留保処分か何かしなければいかぬのではないか、私はそういうふうにさえ実は思っておるわけでございますが、とにかくそれよりも、正しい人もおるでしょうから、早く結末をつけてもらうように米側と十分連絡をとりたいと思っております。
  121. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 ありがとうございました。
  122. 原田昇左右

    原田主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、永江一仁君。
  123. 永江一仁

    永江分科員 私は、国鉄再建問題を中心にお尋ねいたしたいと思っております。  実は、私事で恐縮でございますが、四年前には私、衆議院の運輸委員会におりましたが、当時最大の課題が国鉄再建問題でございまして、特に四十二万人体制を三十五万人体制に五年間で七万人削減する、こういうことが一つの大きな骨子であったわけでございます。私どもは民社党でございますから、そういう趣旨、方向については基本的に賛成をして推進しておったのでございますが、正直、五年間で七万人も減らせるかどうかという危惧の声が強かったのでございますが、三年半ぶりに国会へ戻ってまいりまして、先般の衆議院の予算委員会で我が党の塚本書記長の質問に答えられまして、きょうはまだ国鉄総裁お見えでございませんが、これは三十五万人はおろか、三十四万五千人になる、こういう答弁がございまして、これは高く評価するわけでございますけれども、今日の現状と合理化のこれからの見通しにつきましてお尋ねいたしたいと思います。
  124. 太田知行

    ○太田説明員 合理化関連でございますが、当初の目標は、今お話ございましたように四十二万人の要員規模を五年間で約七万四千人縮減いたしまして三十五万体制、五十九年度末に持っていく、こういう計画でございました。途中年次、五十四、五十五、五十六までは当初計画のとおり推進してまいりましたが、その後、国鉄の業務量の規模その他の情勢を勘案いたしまして、さらに計画を見直しまして一層の合理化の進展を図るということにいたしまして、五十七年度は計画を一万二千ほど上回る実績を達成いたしました。  ことし五十八年度でございますが、当初改善計画では一万五千五百人の合理化計画でございましたが、本年度は二万八千九百名という計画を立ててただいま推進しております。二万八千九百名のうちの主たる柱は、五十九年二月一日に実施しましたところのいわゆる五九・二ダイヤ改正をこれに充てておりまして、おかげさまでこれをほぼ計画どおり完成いたしましたので、本年度の二万八千九百名、まだ年度末までに若干ございますけれども、ほぼ間違いなく達成できる見通しでございます。これによりまして、五十四年から五十八年まで約七万九千名の合理化が達成できる見通しでございますので、当初の五十九年度末三十五万体制が、五十八年度末において三十四万五千の要員規模になる見通しでございまして、五十九年度の予算案におきましてもその要員規模で数字を策定していただいている次第でございます。  なお、残る一年間の、つまり五十九年度につきましては、今まで申し上げましたような計画の達成実績並びに今後の見通しを勘案いたしまして今後具体的な計画を策定するつもりでございます。したがいまして、具体的な数字は本日は申し上げかねますけれども、方向としては、やはりかなり思い切った合理化を進めるという所存でございます。
  125. 永江一仁

    永江分科員 かつての体制からいえばかなり合理化が進展したことは認めるわけでございますが、先般の新聞等の報道によれば、それでもなおかつ、ある意味では合理化が進み過ぎたというか、二万人ほど余っておる、ブラ勤者がおるということも伝えられておるわけでございます。そういう意味でさらに一層の合理化を進めなければならないと思うのでございますけれども、これからの一応の中期的な目標としてはどの程度まで削減をされるおつもりでございますか。
  126. 太田知行

    ○太田説明員 その点につきましては、国鉄の業務の規模あるいは業務範囲という展望が明らかになりませんと、要員だけが先行するというわけにはまいりませんので、経営改善計画の見直し作業と並行しまして今我々が検討しております。現時点では明確な数字は持ち合わせておりませんのですけれども、私鉄並みの効率という観点からいたしましても、かなりな程度の合理化を推進しなければいけないというふうに考えている次第でございます。
  127. 永江一仁

    永江分科員 さらに国鉄再建のためには努力をしていただかなければいけないわけでありますが、せっかく運輸大臣もいらっしゃいますので、ひとつ今後の国鉄のそういった合理化、再建についての大まかな大臣としての所見もこの機会に伺っておきたいと思います。
  128. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 五十八年度末三十四万五千人体制というものができた。おっしゃるように貨物が急激な過員を生んでおりますので、一部まだ配転その他十分でない点があることも御質問の中にありましたとおりでございます。これをどの程度まで減らせるかということにつきましては、いろいろな角度から検討が加えられておるわけでございますが、この三十四万五千というものをどこまで落とせるか、これはまだまだ、今太田理事から申しましたように、減らさなければならぬ。でき得れば二十万人台まで何とかしなければならぬというぐらいに私は考えておりますが、実はここで御承知のように非常に大きな問題が起こっておるわけでございまして、昨年法律を通していただいてできました再建監理委員会におきまして、分割・民営化というものが、つまり国有鉄道の経営形態をどうするかということが、実は真正面の日程に上っておるわけなんでございます。したがいまして、実はこれとの関係は一体どうなるのかということになるわけでございまして、この民営化ということが言われておるのは、できれば私鉄の合理化された人数ぐらいでやれということ、少なくともできるだけ民営に近づけるということなんでございまして、こういうことになりますと、今の国鉄のやり方そのものが根本的に変わってまいるということになりますので、その結果、分割・民営化というものができて、それを足したものが何人になるかということについては、今はっきりした数字を申し上げるという段階にございません。
  129. 永江一仁

    永江分科員 いずれにしましても、民営化に移行するにしても、今のような国鉄の現状、特に職場規律ということであれば引受手がないとよく言われておるのでございますけれども、国鉄自体としての合理化にいたしましても、これはやはり職員の協力が必要だということは言をまたぬわけでございます。特に私が御質問して指摘したいわけでございますが、管理責任ということですね、このことが非常に大きくなってくるわけでございますが、その管理責任とあわせて職員とか組合の今日までの協力はどういうものであったか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  130. 太田知行

    ○太田説明員 何点かに分けて御説明申し上げたいと思いますが、第一点の管理者の責任あるいは管理者の指導力の問題でございますけれども、やはり職場規律なり管理体制を固めていく上で最重要なポイントだと心得ております。やはり管理者がまず自覚をし、使命感に燃えて職員を指導するということが、職場規律の確立なり管理体制強化するための要請でございまして、まず我々はその点に全力を注いでおるわけでございます。  御承知のように十何年前に不幸な出来事がございまして、管理者が上局に対して必ずしも信頼していないという状態がありました中で、その管理者の資質向上を図るという、これは大変難しい問題がございましたけれども、何とか実践を積み重ねることによりましてその管理者の信頼感も増しつつあるように我々も感じておる次第でございます。と同時に、管理者の自覚も高まってきつつあると思いますが、まだまだこれは十分ではございませんので、今後さらに管理者の資質向上、能力向上、さらにその基本であります相互の信頼感の確立に向かって努力いたしたいと思っております。  それから、一般職員の自覚ないしは取り組み方の問題でございますけれども、そういった次第で管理者が自覚を深め責任感を高めることによって職員に対する働きかけも随分力を注ぐようになってまいりました。  これは二通りやっておりまして、一つは学園でございますが教育施設、中央鉄道学園でありますとか各地方鉄道学園にいろんな科を設けて、そこに職員を入れ立教育をするやり方と、職場内それぞれの現場機関におきまして、いろんな機会を利用しまして管理者から職員に向かって働きかけるという、二つのやり方を併用しながら今やっているところでございます。
  131. 永江一仁

    永江分科員 今管理者もそれなりにかなり積極的に職場規律に向かって努力をしておるということでございますが、実際問題、それぞれの地域に行きますと必ずしもそうはなってない。きょうは国鉄総裁も大臣もいらっしゃいますが、一例を申し上げますと、私は神戸でございますが、あそこには鷹取工場があるわけでございますけれども、ここは大体千三百人、管理者を入れれば千五百人ほどいらっしゃいますが、我々の関係の深い鉄道労働組合がここ数回にわたって職場規律について工場側に申し入れておるわけでございます。しかし、申し入れておるその行き来を見ておりましても、これで本当に職場規律が確立できるのかどうか、まことに疑わしいわけでございます。  一例を挙げますと、昨年十月に申し入れした中には、五十八年度実施計画集約に当たって、その国鉄の鷹取工場の内燃機職場では現にやみ休暇二日間が与えられておるのですね、このことについてどうかという申し入れをしておる。これに対して当局のお答えは、言うならば、その作業の配置がえをするために、なかなか職員を納得させがたいので、何かこんなパンフレットを与えて、これで二日間家で勉強しておいてほしい、こういう形で頭をなでて配置がえをしようとしておる。こういうことがいかに職場の中において甘えを増長させ、そして職場規律を緩ませておるか。こういうことが現実に、これは昨年十月六日の申し入れに対して十月十三日回答されておりますけれども、実際に依然としてそういうやみ休暇が与えられておる。  職場の教育をするならば、集めてそこで教育するのが当然だと思うのでございますけれども、こういうことが依然として行われておるということについてどうお考えになっておるか、できたら総裁もお見えでございますからお答えください。
  132. 太田知行

    ○太田説明員 先ほどは職場規律全般について申し上げましたのですが、私どもは、運輸大臣の御指示によりまして、五十七年の三月以来半年置きに、したがいまして今日まで四回にわたって、職場規律の総点検を実施いたしまして、大体のところを把握しておるわけでございます。それに基づいて基本的な傾向として申し上げたのでございます。もちろん、個々の職場、個々の具体的な項目について、すべて安心、足腰が強まったというわけでございませんで、十分に心しながら、問題のある箇所あるいは問題のある項目についての是正に取り組んでいるわけでございます。  その一環といたしまして、鷹取工場につきましても、いろんな機会に私ども把握しているわけでございますし、かつまた現場においても、工場当局もそのつもりで取り組んでいるところでございますが、若干問題があると認識しております。  その中には幾つか項目があるわけでございますが、今先生から御指摘のありました事項につきましては、先般我々もその報告を受けたのでございますが、大変遺憾に存じております。おっしゃるように、これは一種の教育に対する便法のようなやり方でございまして、配置がえに伴っていろんな職務内容が変わり、業務知識を知悉させる必要があるのは当然でございますから、それであるならば、多少時間がかかるならば学園に入れるべきであるし、短期間であるならば職場内にその勉強のための設備もあるわけでございますから、講習室みたいなところで、集めて集中的に教育するというのが本来でございまして、いかにも便法過ぎるわけでございます。厳重に注意したところでございます。  問題は、こういうものが常時あるわけじゃございませんけれども、ちょこちょこ一つの問題の節目みたいな際に出てくるというその体質に問題があるわけでございまして、こういう体質のものを改善すべくさらに努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  133. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 私、就任三カ月余りでございますが、わずかでございますが現場等も見まして、いろいろと状況を把握に努めておるわけでございまして、今先生の御指摘のように、現場規律の問題につきましては、かなりの向上を見ているということは事実だと思いますが、まだまだ不十分である。特に、接客面におきましては非常に改善がなされておりますが、裏方の職場でございます工場あるいは保線等の職場においては、必ずしも非常に顕著な改善がされたというふうに認めがたいのではないかというような感じを持っております。  私は、基本的にはやはりまず、国鉄が今再建途上にあるわけでございますが、再建をする前提といたしまして、国鉄としてなすべきことはきちっとするということが前提になっていなければならないというふうに考えておりまして、幹部はもちろんでございますが、第一線の管理者あるいは職員、そういうものがきちっとした規律をもっていくということが前提になるというふうに考えておりまして、就任以来このことを強調しているわけでございますが、何せ大きい世帯でございますので、まだ必ずしも徹底してないということはまことに申しわけないというような感じを持っております。  今後につきまして、基本といたしましては、やはり現場の管理者と、管理局、あるいは工場等ございますが、それの幹部並びに第一線管理者と実際作業をする職員との間の対話というものをもっともっと深め、そしてお互いに心の通った職場にしていくということが必要であろうと思います。その中におきまして、また今国鉄の役職員全員がどういうふうにしていかなければならないということの理解を深め、これによってきちっとした職場が確立されるというようなプロセスをとっていかなければならないと思っております。これらにつきまして今いろいろな具体策について検討をいたしておりますが、今後、先生の御指摘のありましたようなことのないように、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  134. 永江一仁

    永江分科員 職場の中の対話をしてということは、まことにそれはごもっともでありますが、そういうきれいごとはともかくとして、これはやはり管理者の姿勢なんですよ。これだって、パンフレットを与えて、二日ほど家で勉強しておってくれ。その間に出勤のタイムカードはだれが打ったのか、これは管理者に決まっておるわけなんですね。そういうところにも、全く対話が欠けておるとか何とかじゃなしに、やはり管理者の姿勢だと言わざるを得ないわけです。  その他、いろいろ、職場の内の就業時間内に組合活動がやられておる、現実にこれも一つ一つ挙げますときょうは時間がありませんから省略いたしますけれども、この一月――ことしのですよ、去年とか昔の話じゃないのです。ことしの一月十日に、その就業時間内に、いわゆる旗開きと称して一杯飲んでおる、こういうことも現実にあるわけなんです。しかも、これは管理者が注意すべきであるのに、同じ働く仲間であってもこういうことでは職場がなくなる、そういう本当に国鉄を守ろうという働く仲間が申し入れをしておる。それに対して管理者の方は、これはもうやはり認めておるわけなんです。だけれども、今後はこういうことはさせません、今後はこういうことをさせませんという回答なんです、運輸大臣。そういうことは事実無根という答弁じゃないわけなんです。これに対してどう思うかと言ったら、いや、そのとおりだ、今後は厳正に処置します。何十回やってきておるのです。しかもこれは去年おととしじゃなしにこの一月十日、一番新しいのはこの三月一日の文書があるわけなんです。そういうような中で、ここの鷹取工場においてもいろいろな職場があって、それぞれ秩序が保たれておるところ、そうでないところもあるようでありますけれども、一番悪いと内部的に言われておる機関車職場などにおいては、毎朝点呼をやる、そして、点呼をやって管理者がいろいろ説明をする、その済んだ後、長いときには三十分にわたって組合のいわゆる集会。ですから、点呼が始まってからですからもう就業時間内です。こういうことが週に数回行われておる。このことを何とか改めるべきでないかという申し入れに対して、まあ今後は何とかという答弁ばかりを繰り返されておるわけなんです。しかも、何ですがね、個人の名前までは申しませんけれども、そういう一番札つきと言われておる機関車職場の職場長ですか、今度三月十日付で天王寺管理局に栄転をされる。何かまるでそこで厳しくやらない管理責任者が栄転をしていく。学士職場長というのはなかなか国鉄においてはエリートコースだそうでございますけれども、そういうことが実際に目の前で起これば、まじめに働こうという者の意欲をそいでおるわけなんです。こういうことが現実にあるということをひとつ十分御認識いただきたい。  運輸大臣、ひとつお答えいただけませんでしょうか。
  135. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 ただいま鷹取工場の実例について極めて具体的に御説明がございましたが、そのようなことが確かにあると思います。随分とよくなったといいましても、残っておることはもう間違いがないと思います。心ある職員から非常に苦苦しく思われているような事態が公然と行われておるということでございまして、管理者については十分な注意をさせなければならぬと思っております。この点につきましては、一昨年以来特に厳重にやっておるところでございますけれども、この上とも、せっかくの具体的なお話もいただきましたが、そういう内部からの話というようなものについても取り上げて、一つ一つ解決していかなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  136. 永江一仁

    永江分科員 もう時間が余りありませんので、このことについてはこれ以上触れませんが、やはりそれは、日本じゅう全国各地ですから、大臣やら総裁が全部目が届かないということはまあわかるわけでございますけれども、何といってもそれぞれ地域の管理者にそのことをしっかりと認識させる。そして、あわせて言うならばそこらの管理者に対する信賞必罰ですね、このことを意識させないと、何となく普通の人事交流の中でやっていけば、偶然そういうめぐり合わせであったかもわかりませんけれども、その中で最も乱れておる職場の責任者が何となしにちゃんと栄転をしていくということであれば、どんなにほかのところで頑張ってもすべて崩れていくと思うのです。そういう意味で、ひとつ人事管理の面も含めてぜひ厳正にやっていただきたいと申し上げておきたいと思います。  最後に一点だけ。国鉄の再建の中で、国鉄は随分遊休土地を持っていらっしゃる。かつてはなかなか売るのを嫌がっておられたですけれども、去年も千六百億、ことしも千六百億。しかも先般の塚本書記長の質問にも、国鉄総裁はできるだけ遊休土地は売却して国鉄再建に寄与したい、こういうお話がございました。神戸駅の南側も最近何か神戸市に売られたように聞いておるわけでございますけれども、今後のこういう遊休土地の処分の進め方、できるだけ地方自治体に売ろうというこの趣旨はわかるのですけれども、時には民間企業、まあパチンコ屋に売って後で物議を醸してもいけませんが、やはりできるだけ高く売るという方法でその点は柔軟にお考えになってはいかがかと思うわけでございます。できましたら、きょうは分科会でございますので地元のことを言ってもいいということでございますから、その神戸のそういう土地明細のようなものがあれば、後ほどで結構でございますからまた教えていただきたいと思うのでございます。  というのは、今は鷹取工場のことを言いましたけれども、こういうのが神戸市のど真ん中にどんとあるのです。そうすると市街地改造、もうそこにあるために車も人も全部迂回して動かなければいかぬ。非常に大きな土地をと真ん中にどんと抱えられて非常に困っておるというのも一面あるわけなんでございます。これが必要な土地なら土地でいいのでございますが、お聞きしますと、仕事も非常に減ってきておる、あんな広大な土地が要るのかどうかということでございますので、ひとつ最後に御答弁いただきたいと思います。
  137. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 国鉄用地の売却につきましては、先ほどお話がございましたように、鉄道本来事業に使います。地あるいは関連事業に使います。地を除きまして逐次売却をしていく方針で進めてきております。  なお、神戸市内に所在します土地につきましては、先ほどちょっとお話に出ましたように、湊川貨物駅の一部を本年神戸市の住宅公社に売却する予定で現在進んでおります。そのほか、逐次湊川駅構内の残りの部分でございますとかその他若干のものを売却をしていく計画を持っておるわけでございます。  なお、個々の用地につきましては、今お答えする用意がございませんので、御趣旨を体しまして、地元の管理局ともよく相談してまいりたいと思います。
  138. 原田昇左右

    原田主査 これにて永江一仁君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。
  139. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 まず、大臣にお伺いいたしますが、現在の日本状況の中で国鉄の基本的な役割は何だとお考えでしょうか。
  140. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 国有鉄道の役割は近年、大変変化をしてまいっておると思います。一方にモータリゼーションがございますし、一方に航空の発達がございます。そのために、旅客面におきましては、大都市並びに大都市を中心にした付近の通勤交通というもの、これは国有鉄道がしょうべき大きな仕事であり、現在もしょっておると思いますし、今後ともしょっていかなければならない大きな任務だと思っております。  それから都市間の輸送、非常な遠距離のものにつきましては御承知のように航空機の分野である場合が多いのでございますが、近距離、中距離、ある程度の遠距離も含めまして、こういう都市間輸送というものが一つの大きな任務でございます。  それから貨物につきましては、これはもう御承知のようにことしの二月からやり方を変えたわけでございますけれども、長距離にわたる、しかもややまとまった貨物を運ぶということにいたしまして、これを拠点間輸送あるいはヤード方式をやめる輸送というふうに言っておりますが、そういう方式でやる。こういう任務に変わってまいっておる、かように思っております。
  141. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 今、大臣のおっしゃったとおりだと思います。  そこで、三つの点をお挙げになったわけでありますけれども、その中で大都市周辺の通勤輸送ということは、他の交通手段で代替することができない、どうしても鉄道に頼らざるを得ないという極めて重要な任務を国鉄は負っていらっしゃるわけであります。大都市圏内の通勤輸送は、日本経済それからまた日本の社会活動を支える根幹でございまして、これは鉄道だけが果たせる大変基本的な使命だと思います。  こういう中で、国鉄の経営危機ということがございますけれども、通勤輸送というこの至上的な課題については、絶対に優先的に確保をしていただかなければならないし、今後ともこの問題に取り組んでいただかなければならないわけでありますけれども、この通勤輸送という点について、大臣の基本的なお考えを伺いたい。
  142. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 実は東京を中心にしまして、御案内のように千葉、埼玉あるいは一部の群馬、そして神奈川、これは大変な交通状態でございます。これはもう御承知のとおりで、言うまでもないところでございます。その間におきましても、そのひどさの程度はいろいろ各方面、各県によりまして非常に差がある場合もあると思っております。  こういう点から考えまして、私どもこの東京圏の鉄道網の整備を一体どうしたらいいだろうかということ、これについて運輸政策審議会というところで審議を実は今お願いしております。なるべく早く結論を出していただき、そして大量の交通というのはどうしても地下鉄あるいは高速鉄道によらざるを得ませんので、これを運政審の答申を受けまして実現に持っていく、こういう考え方でおるわけでございます。その意味でも、実は運政審の答申というものをなるべく早く出していただくように、だんだんと仕事が進行しておるようでございますので、さように考えておる次第でございます。  個々の問題につきましてもいろいろ意見はございますが、長くなりますから、一応全般の問題をお答え申し上げた次第でございます。
  143. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大臣は大都市の通勤輸送については三大使命の一番最初にお挙げになっておりますし、今のお答えで、東京周辺が大変混雑をしておる、これの対処については連政審で審議中だということでございますが、そのとおりでありまして、東京周辺どっちを向いても大変な混雑であります。ローカルな問題でちょっと恐縮なんですけれども、特にその中で東京の東側が歴史的に鉄道網が非常に疎である、粗いということが言えるわけであります。常磐線の輸送力強化について私は毎年お願いするのでありますけれども、その都度前向きの回答をいただいておりますが、現実の問題としてはなかなか遅々として進まないというのが実態であります。  そこで、この問題については、まず東京周辺の鉄道網の配置の問題から考えていかなければいけないわけでありますが、東京を中心とする鉄道網の配置を見ますと、まず鉄道網というのは放射線と環状線がございますけれども、それとそれを相互につなぐ線とがあるわけであります。その東京周辺が、鉄道網が同じように四通八達をしているという状況ではございませんで、これはいろいろ東京の都市的な発達の過程、あるいはまた日本のすべての文化が西から東漸したという歴史的な経過もございますけれども、東京の東側が非常に鉄道網に恵まれない、こういうことであります。  東北線がまず北に向かっておる。そして、それを補助するように私鉄の東武線がありますけれども、これもやはり東北線と並行に北に向かっておるわけであります。それから東南方に向かって総武線がございますし、またそれを補完するように地下鉄東西線がございますが、この東北線と総武線との間の開き、これは百二十度以上ありますね。放射線としては、その中にたった一本常磐線があるという状況でありまして、東京の東側が鉄道に全く恵まれないということになっております。大体百二十度くらいの扇形の大きな地域の中に一本しかないわけでありまして、その中には東京に入る放射線は常磐線しかない。そしてその間に、これを補完するものとして私鉄がありますけれども、これらはいずれも常磐線に乗り入れをするということであって、真っすぐに東京には入ってこないということでありますから、ますますもって常磐線が込んでくる、こういうことになっております。環状線としては、国鉄の武蔵野線が戦後できました。また私鉄としては、従来から東武線、流山鉄道、新京成あるいは関東鉄道というものがございますけれども、これは今申し上げたように、そのお客は全部常磐線に乗りかえて行くわけであります。こういうことで、東京東部が全く鉄道に恵まれない。今大臣、地図をごらんになっておりますけれども、ごらんになっていただけばすぐわかりますが、全く東京東部が鉄道に恵まれないわけであります。こういう現状、これをまずひとつ頭に入れていただきたいわけであります。今常磐線の混雑度は、当局のお調べで一八〇から一九〇ということでありまして、先般総裁が現地を御視察なさったという報道がございましたけれども、私も利用させていただいておりますが、これは全くひどい。  これをまず頭に入れていただいてお答えをいただきたいわけでありますが、この現状をどうお考えになっておりますか。これは、総裁にひとつお伺いしたいと思います。
  144. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今先生お話のとおり常磐線が、線路網の状態から申しましても、また最近のあの付近の住宅の開発というような点から見ましても非常に込んでいるということでございまして、常磐線も四十年代に複々線にするというような工事をいたしたのですが、その後の発展でこれがもう限度にきているということで、実は先日も私、柏、松戸等でその状況を見ましたが、ちょうど学生さんが休みだったものですから多少まだ少ないのだという説明がございましたが、それにしてもひどいなという感じを持っております。  とりあえずの方策といたしましては新しい線路を敷くと申しましてもなかなか時間と金がかかるのでございますので、とりあえず中電を十五両にするという対策、並びに引き続いて快速を十五両にするという対策をとるように今計画をいたしておりますし、先日も事務当局にその旨指示をいたしました。  しかしそれでも、昭和七十年ごろを見通しますと、今先生の御指摘のように、鉄道網のあり方としてどうもまだ弱いという感じがいたしますので、事務当局に対しまして、別の線をつくるということ、これはさっき大臣からお話がございましたように、運輸政策審議会の方の御議論も踏まえなければなりませんが、国鉄事務当局としてもいろいろ勉強していかなければならないと思いますので、そういう勉強を早急にするようにということを命じた次第でございます。
  145. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 常磐線の輸送力が限度に近づいておるということ、総裁もお認めのようでございます。この問題については、常磐線沿線の輸送力増強に対する熱望というものは大変なものでありまして、実はこの間の総選挙でも、すべての候補者が真っ先に常磐線の強化ということを掲げておるわけであります。そのくらい常磐線の沿線の熱望が強いわけであります。そういう悪条件の中で、常磐線は限度に近いわけでありますが、勤労者は毎日、日本経済を支えるためにこの混雑と闘っておるわけでありますから、何としても早く常磐線の輸送力の強化現状のままで強化ができるのかどうか我々素人でありますけれどもこれは大変疑問でありまして、何としても第二常磐線をつくっていただきたいというのが沿線の強い要望であります。  先ほど申し上げたように、東京の東側が鉄道網が非常に疎であるということは、同時に東京の東側の開発が非常におくれておる。東京周辺の宅地需要がまだ潜在的にも顕在的にもかなりあるわけであります。こういうことに対処をするためにも、東京の東側の開発ということは、これは絶対におろそかにすることのできない大問題であります。そういう総合的な施策を考えた場合にも、どうしても第二常磐線の建設が必要ではないかと考えるわけであります。  そこで、第二常磐線についてはこれまた何回もこの席であるいは決算委員会等でお願いしてございますが、どうも遅々として進まない。現在運政審で審議中だということでありますけれども、その審議の内容はどういうものであるのか、首都圏の鉄道網の見直し作業がどういう状況であるのか、この概略をひとつわかったらお示しをいただきたいと思います。
  146. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 第二常磐を含みます首都圏の交通問題、特に通勤通学輸送の問題につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、昭和五十七年の九月に運輸政策審議会に対しまして、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備についてという諮問をいたしました。その後、この審議会では、東京圏の交通問題に関します部会を設けまして、さらにそこでは小委員会を設けまして、問題を詰めておるわけでございます。  この問題を詰めるに当たりまして、実際には各県あるいは東京都、さらには関係事業者から、現在の輸送の状況、将来の見通し等をお伺いいたしましたし、特に各県からは、こういう交通状況があるのでこういう整備をしてほしいというような、いろいろな意見の陳述を受けているわけでございます。  今どういうふうな審議をしているかと申しますと、これは現在、御承知のように首都圏の交通網の整備は、昭和四十七年の、運輸政策審議会の前身でございます都市交通審議会の答申に基づきまして交通網の整備を進めているわけでございますが、この当時予測しました交通需要あるいはそれに基づきましてこういう交通機関を整備しようということを考えていたわけですが、それらはいずれも現実とかなりそごを来しております。  どういうそごかと申しますと、具体的には、御承知のような東京のドーナツ化という現象、特に東京の北部、東部の方の人口の急増というような事情、したがいまして夜間人口と昼間人口の非常な較差あるいは就業人口の東京都内における重心の移動というようなものもございます。さらには、現実の輸送機関の整備の方も、地元の関係あるいは財政上の制約、あるいは建設費の高騰というような事情で、なかなか思うに任せない部分もございます。この十年間かなりの整備が進んだと思いますが、なお思うに任せない。したがいまして、先ほど指摘のありましたように、例えば常磐線等におきます混雑というのは非常なものがございます。また、人口の急増から申しましても、千葉県の北西部というものは、当時答申が予想していました人口とかなり較差がございまして、昭和六十年に予想しました通勤人口を昭和五十五年ではるかに上回っているというような事情もございます。  こういうような状況に基づきまして、現在、審議会では、各県のヒアリングの後、実際に首都圏というのは全国の中でどういうような人口の張りつき方をこれからしていくか、また方面別にはどうなるか、具体的にさらに細かい線別にはどんな状況になるかという作業を今鋭意進めております。こういう作業が終わりますと、具体的にこういう方にもう少し路線を整備する必要がある、これらの路線は整備をある程度先に延ばしてもいいというようなことが出るわけで、このことを近近、さっき大臣も申し上げましたように、できるだけ早くやりたい。さらに、この問題だけでネットワークが仮に出ましても、それだけで整備が進むわけでございません。先ほど申し上げましたようないろんな制約条件がございますので、実際にこれからは都市鉄道あるいは郊外鉄道をつくるに当たりましては大変な財政上の負担がございます。そしてまた、鉄道をつくりましてから十年、十数年これは採算に乗らない、赤字の状態が長く続くということがございます。  そうすると、そのようなことが大きな経営上の負担を持つような鉄道をどうやってつくったらいいかということを具体的に詰めていかなければならぬ。そのためにはいろいろな工夫があると思います。また、地元側のいろんな意味での御協力も願わないとこれはやっていけない。単に利用者がその費用を全部運賃という形で負担するというのでは、非常に高い運賃で鉄道を利用できなくなるということにもなりかねませんので、実際にはどういう形で整備したらいいかというのは一工夫二工夫なければならない。その問題についても今私ども審議会で御審議をお願いしておりますし、また、地元の要望の強い方面につきましても、ひとつ地元もいろんなお知恵を出していただきたいということもお願いして、そのようなことがバックになりまして具体的にここは整備していけるという見通しがつくのだろうと思います。  今、審議会は、御指摘のように、できるだけ早く結論を出して、この問題の推進に取り組みたいというふうに考えておりますので、私ども事務当局もそのような方向で一生懸命努力している次第でございます。
  147. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 審議中で大変御苦労なさっているということはわかりますけれども、どうも具体的なものが何にもないというようでありますが、新聞等の報道によりますと、五十九年中には具体的にルートの案が提示されるのではないかというようなことも言われておりますけれども、その程度の進みぐあいだというふうに考えていいですか。
  148. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 できるだけ早く具体的なルートについてはお示ししたいということで、もちろん五十九年中にはそのような段階に至りたいと考えております。
  149. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 それと同時に、この事業主体をどうするかとか、今お話もありましたけれども、ルートについても千葉県案とかあるいは茨城県案とか、いろいろな案が今地方では盛んに流布されておるわけでありますが、これらのルートを決めるに当たっては地元とどんな協議をされるのか、あるいは国鉄が独自の案を示してそれで推進すのか、そこらの点はどうなんでしょうか。
  150. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 審議会に対しまして、具体的に申しますと第二常磐につきましては、茨城県も千葉県も埼玉県も、また東京都も、それぞれ熱心な意見をお述べいただいております。それで実際には、まず手順といたしますと、私どもは現在の常磐の沿線方面の人口の将来の状況あるいはこれから都心に流入してくる通勤通学輸送の需要の状況等をまず推定をいたしていくわけでございます。  そして、次いで具体的にどういうルートになるかということでございますが、これにつきましては、各県の知事をそれぞれ私どもの審議会の委員にお願いしております、これらの委員会でそれらの各知事と御相談さしていただきまして、大体のルートを考えていく、こういうことになろうかと思います。
  151. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そして、その結論が出るのは大体五十九年いっぱいだということですか。
  152. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 大体そういう日程で進めたいと思っております。
  153. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大変明るい展望が開けたように思うわけでありますけれども、その場合に、この事業者はだれになるのか。国鉄さんが独自でおやりになるのか。先ほどは事業のやり方についてもいろいろ形があるということもございましたが、これは考え方としてはどういうことになりますか。
  154. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 現在の段階では事業主体がだれになるかということは具体的に上っておりません。先ほど、実際にこれを建設しようとするにはいろいろな工夫が要ると申し上げました。そういう意味では各県の知事さんとも御相談しながら、実際にだれがどういう負担をしていくかということとの関連でもまた事業主体が決まっていくわけでございます。そういう意味では、国鉄がやるということも一つの候補ではございますが、国鉄が当然にやるというような考え方は持っておりません。
  155. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 せっかくルートが決まっても、事業者がだれになるか決まらなければ、これはもう先に出ないわけでありまして、先ほど大臣も、現在国鉄の負っておる三大使命の随一は、何といっても大都市圏内の通勤輸送の確保だということはおっしゃっておるわけであります。国鉄さんは大変赤字を抱えて苦しんでいらっしゃいますけれども、首都圏内、大都市圏内の部分については大きな黒字だと思いますね。例えば常磐線なんかについては大変黒字でもうかっておるわけでありますから、そういう点も考慮されて、国鉄が赤字であると言っても、大都市圏内の通勤輸送についてはやはり特段の御考慮をいただかなければいけないと思うわけであります。その点についてどこがやるべきだということについては、これは我我には言えませんけれども、とにかくルートが決まっても事業者が決まらないということではなくて、ルートの選考と同時に、事業の形式についても真剣に検討をいただいて、ルートが決まったらすぐに仕事にかかる、こういう態勢でなければいけないと思うのですが、大臣いかがですか。
  156. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 全くごもっともでございます。私ども、運政審の答申が出ますと、率直な話、この地帯を何とかしなければならぬというものが出ることは間違いがないと思っているのですよ。大体、常識的に考えましても、それから数字の上から見ましても、そうだろうと思っておるのです。  そこで、実は大プロジェクトになるわけですね。これを今、御承知かどうかわかりませんけれども、国鉄がやる場合と、それから東京や大阪の地下鉄がやっている方式、これは国鉄が線路をつくる場合と違った方式でございます。おかしな話ですけれども、地下鉄がやる方がむしろ国の助成は大きいわけでございます。それからもう一つは、私鉄がやる、鉄建公団P線方式というものもございます。要するに現在でも三つあるわけでございます。しかし、もっと特別な方法も考えられないわけではないわけでございますから、まあ財政自体も苦しいですから、その中でどうやったら早く実現するかということで、この中身との関連において企業主体が決まってくる、こういうことだろうと思うのでございます。  ですから、国有鉄道も、おっしゃるように大都市付近は成績は悪くございませんから、これは一つの考え方でございまして、国鉄ではいけないとかなんとかいうあれは毛頭ないわけでございまして、国鉄が望ましい面もたくさんあると思います。ただそこらのところは、財源をどこから持ってきてどういうふうにやっていくかということとの関連でございますので、要は、企業主体を早く決める、この検討を早くするということだろうと思っておるわけでございます。
  157. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 時間が参りましたので最後にお願いをいたしたいのですが、五十九年中にルートの案を示される、案というのか、これはルートの結論だと思いますが、結論が示されるということで大変前向きの御答弁をいただいたわけでございますけれども、これと同時に、やはり五十九年中には事業主体を中心とする建設の構想についてもぜひ固めていただいて、この緊急の問題に対処していただきたいことを特にお願いするわけであります。通勤輸送というのは、先ほど申し上げたように、日本の経済あるいは日本の社会を支える根幹でありますから、これが現在のような状態ですと、勤労者の職場における勤労意欲あるいは能率も下がるわけでありまして、これは行革にも沿わないということにもなりますので、そういう大局的な点からぜひひとつこの点は、ローカルな問題のようでございますけれども、決してそうではございませんので、特に、大臣、総裁の御努力をお願いしたいと思います。終わります。
  158. 原田昇左右

    原田主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十分開議
  159. 原田昇左右

    原田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。駒谷明君
  160. 駒谷明

    駒谷分科員 私の方から三点にわたってお尋ねを申し上げたいと思います。  最初に、現在の大阪空港の存廃の問題につきまして、運輸大臣にお伺いをいたしたいと思います。  昭和四十九年の航空審議会の答申におきましては、現在の大阪空港の廃止を前提として、新関西国際空港の必要性があるということであったというように私も理解をしておるわけでございます。しかし、現在、運輸省では泉州沖国際空港の建設計画の調査設計が進められておるわけでございますが、現在の大阪国際空港の存廃については明確な方針が示されていないのであります。早急にこの方針を明確にすべきであると思いますけれども、本年の一月に運輸大臣が兵庫県坂井知事と会談をされた際、現空港の存廃問題については、昭和五十八年度中にも調査を着手すると言われているけれども、どのような調査をされる予定なのか、明らかにしていただきたいと思います。
  161. 山本長

    山本(長)政府委員 大臣と知事との会談におきまして、調査を今年度中にも開始したいと大臣が答えられたのでございます。その大臣と知事との会談に基づきまして、私たち作業を進めておるところでございます。  現在、存廃に関する必要な調査項目調査の内容、その手法また手順等について検討に着手をしておる、こういう段階でございます。
  162. 駒谷明

    駒谷分科員 それでは、この調査を続けられた、完了の見通しはいつごろになるのか、明らかにしていただきたいと思います。したがいまして、この調査の結果で存廃の結論が出されると思うわけでございますが、それはいつごろになるのか、あわせてお伺いをいたします。
  163. 山本長

    山本(長)政府委員 存廃調査についての運輸省方針は、各地方公共団体に既にお示しをしておるとおりであり、また、存廃問題について公害等調整委員会に付近の住民の方々が調停を申請された結果に基づきまして、五十五年の六月に調停条項として示されておるとおりでございますけれども、これが運輸省方針であり、かつ地元の方々との約束事項でございます。  国がこの調査を、関西国際空港の建設が決定された時点から可及的速やかに行い、その結果を申請人ら関係地方公共団体等に適宜開示して、その意見を十分に聴取すること、それから本件空港の存廃については、国はその責任において関西国際空港開港時までにこれを決定すること、こういうふうになっておるのでございます。これが運輸省の約束事項であり方針でございますが、大臣が知事との会談で言われたのは、本空港の存廃というものが各方面に与える影響が大きいということを考えると、必ずしも関西国際空港の建設が決定された時点から開始するということではなく、できるだけ早期に着手をし、早期に結論を得ることが望ましい、こういう観点から、むしろこの約束事の時期を早めて、本年度から調査を着手する考えである、こういうふうに述べられたものでございます。  私たちといたしましては、この結論を得る時期というのはできるだけ早期が望ましいというふうに考えておりますが、この調停条項に示されておりますように、調査を開始し、その結果を開示し、かつ、地方公共団体の意見も聞きながら調査を進めるということになっておりますので、今この時期に何年ということをはっきり申し上げることができない状態でございますが、できるだけ早期に結論を得るという考え方で対処をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  164. 駒谷明

    駒谷分科員 それでは、地元としてはその結論が大変待ち遠しいわけでございますけれども、早期にひとつ結論を出していただくように重ねてお願いをいたしておきます。  なお、この存廃の問題を含めまして大臣が坂井知事と会われたときに、この新国際空港の建設について理解と協力の要請大臣から行われまして、この席上で、関西における航空体系の整備や兵庫県内の地域航空輸送システムの整備という観点から、仮称でありますけれども、神戸沖を初め複数の地方空港の設置の必要性が知事から述べられました。それに対して大臣は、その必要性については理解をされ、そして地元自治体が行う地方空港の調査には運輸省としても協力を行う、このように約束されたと聞いております。  この調査の協力、この問題についての具体的な内容についてお伺いをいたしたいと思います。具体的にはどのような協力を運輸省はしていただけるのか、その点について伺いたいと思います。
  165. 山本長

    山本(長)政府委員 兵庫県神戸市が提唱されております神戸沖地方空港案というものは、現在まだ私たちといたしましては構想段階というふうに理解をいたしております。今後、自治体が航空需要の見通しでございますとか、気象、海象条件、港湾機能に与える影響あるいは空域、飛行経路の計画、環境保全等の観点から種々の問題について調査を行い、かつ、関係機関と調整を行った上で判断すべきものであると考えております。  お尋ねのどういう点について協力をするのかということにつきましては、やはり調査を行いますのが自治体でございますので、そこからどういう要請があるかということを受けて、その要請を受けて私たちは判断をする必要があると思います。まだ具体的な中身について要請を受けてはおりません。  しかしながら、協力の態様といたしまして私たちとしてでき得るというふうに考えておりますのは、これまで大阪湾における気象とか海象あるいは地質などの自然条件に関する資料、我々長年にわたって調査をしております。何億あるいは何十億の単位になると思いますけれども、これを新たにこういう調査をやられるということになると、やはり何十億という金がかかるものでございますが、しかし、そういった資料について私たちそれを開示することを惜しむものではございません。また、海上交通に関する基礎資料もございます。こういった資料の提供やあるいは空域の問題に関する指導助言等があり得るのではないかと考えておりますが、これはやはり御要請に基づいて私たちは判断をすべきものだというふうに考えております。
  166. 駒谷明

    駒谷分科員 例えば神戸沖の空港調査検討委員会、そういう名称になるかどうかわかりませんけれども、そのように地元で空港設置についてのいろいろな検討委員会、そういうものが設置された場合、運輸省としてはその専門官がそれに参画をしていただく、そのような考え方はございませんか。
  167. 山本長

    山本(長)政府委員 地方において空港をつくりたいという希望が各地でございます。地方空港につきましては、地方公共団体が中心となられて調査検討を進められ、また、地元条件も整えて採択を国に要請されるという状況でございます。私たちといたしましては、そういった要請を受けまして、この空港の整備については長期計画に基づきまして――現在は第四次の空港整備計画でございますが、そういう長期の空港計画を策定いたしますときに、地方公共団体等の希望なども十分聞きながら、また航空審議会といった大臣の諮問機関がございますが、そういったところでの御答申を受けて、そして計画を決める、さらに、その後財政事情等も考えながら採択をしていくというふうな運びになってくるわけでございます。そして、現地における諸調査は地方公共団体にやっていただく。神戸についてだけ他の空港と別扱いをするという扱いは、ちょっといたしかねるのではないか。先ほど申し上げましたような限りにおける調査、協力については、私たちほかの空港においてもやっておりますので、それと同じような扱いにおいて協力させていただきたいというふうに考える次第でございます。
  168. 駒谷明

    駒谷分科員 大臣にお願いいたしておきますけれども、地方空港といいましても、やはり専門的な問題が多いわけでございます。したがって、運輸省の専管事項というのが大変多いわけでございまして、そういう問題等をとらえて、あくまでも専門家の協力が絶対必要であろうと思いますので、今後この空港問題については、ひとつ大臣からも積極的に御協力をいただきますように重ねてお願いを申し上げておくわけでございます。よろしくお願いいたします。
  169. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今航空局長がお答えしましたのは、何とか管理委員会とか計画委員会とかいうものをつくったときにメンバーに入ってもらえるかというようなお尋ねだったから、ほかの方に波及することも考えられるしなかなか難しゅうございますよ、こう言ったのだと思います。しかし、空港のことでございますから、専門家が地方におるわけじゃないので、私と坂井知事との話し合いの中でも、とにかくできるだけの調査に対する協力をいたします、こう言っておりますので、委員とかなんとか、名前がどうとか、委員会に入るとか入らぬとかいうことは別といたしまして、できるだけの協力は、専門家は航空局にしかいないと言ってもいいぐらいなものですから、そういう意味で十分調査に協力させるようにいたします。
  170. 駒谷明

    駒谷分科員 大臣から心強い御答弁をいただきまして、どうかよろしくお願いをいたします。  次に、国鉄再建問題に絡みます地方交通線の対策についてお伺いをいたします。  国鉄の経営再建促進特措法に基づいて地方交通線の廃止、転換を検討する対策協議会が発足をいたしました。兵庫県内では高砂線そして三木線、北条線、この三つの線が協議の対象となったわけでございます。最近になりまして、この三線につきましては、高砂線廃止、そしてバスに転換をする、三木線、北条線については第三セクターで検討が行われる、そのようになったようでございますが、住民にとっては日常生活あるいは地域の産業経済の活動の上からこれは極めて深刻な影響を及ぼすものと思うわけでございます。したがいまして、これら地域の人々の不安をなくし、将来の総合交通体系のあり方について政府は責任を持って地域の交通の確保のために措置をとる必要があると思いますが、今後の対応についてお伺いをいたします。
  171. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 この問題は地域にも非常に影響の大きいことでございますので、今日まで協議会の場でお話し合いを続けてまいったわけでありますが、先生がおっしゃいましたように、三線とも一応方向が出たというように考えております。  最初に方向が決まりました高砂線については、これはバスに転換をするということであります。現在の鉄道の線路敷を代替道路の一部に使用したいというようなお考えが地元にあるようでございますし、そんなことについてこれから話し合いをしてまいるということでございます。その他、バスの運営主体をどうするか、バスの運行内容をどうするかということが今後残された課題でございます。  それから、北条線については一応第三セクターで鉄道として運営するということが決められております。これからその具体的な輸送計画の検討に入るわけでございますが、重立った点としては、出資者をだれにするか、あるいは運営主体をだれにするか、運行内容をどうするか、あるいは国鉄から施設の譲渡を受けるわけでありますが、それをどのように考えるかというようなことがこれから詰めるべき問題でございます。  三木線についても大体同様でございまして、こういうような具体的な検討の後、最終的にいつから新しい計画に移行するかということを決めるわけでございます。その過程において国鉄としても全面的に御協力させていただきたい、このように考えております。
  172. 駒谷明

    駒谷分科員 先ほども申し上げましたように、これは地元にしては大変関心の深い問題でございますし、現在の赤字ローカル線という現状から見ても、新しい第三セクターなりバス路線にしても、その効果というものはやはり大変厳しい状況ではなかろうかと思うわけでございます。  またもう一つは、播磨の内陸部においては人口が大変増加しつつございます。しかも地場産業等がこれからも大きな期待をかけられているところでございますので、今後のこの第三セクターの設置については、総合的な交通体系を考えながら、今までの御専門を十分に生かしていろいろとアドバイスなりしていただく必要があるのではないか、そのように思うわけでございます。その点、要望でございますけれども、どうかこの問題については地元の皆さんの不安のないようにひとつ積極的にお力添えをいただきたいとお願いをいたしておきます。  次に、鉄軌道の整備の問題でございますが、この東側は神戸市そして西側は姫路市に挟まれております明石、加古川など臨海都市の三市二町においては、近年東播磨工業地帯として大きく発展をいたしております。臨海部には大工場が次々と建設され、操業するとともに、人口が加速度的に増加をいたしております。さらに阪神の都市へのベッドタウンとして都市化も急速に進んでおります。通勤通学などの人の流動がますます拡大される傾向から、交通のふくそうの緩和、都市機能の向上、都市環境整備の促進が重要な課題となっておるのであります。  そこで、鉄軌道整備については、山陽本線の複複線化はもとより、内陸部、臨海部を結ぶ加古川線、播但線そして姫新線等国鉄線の増便、増強、国鉄及び山陽電車の高架化の促進が必要と思われますけれども、今後の対応についてお伺いをいたします。また国鉄駅舎の橋上化についても含めてお伺いをいたします。
  173. 岡田宏

    ○岡田説明員 最初にお話がございました国鉄山陽本線の問題でございますが、現在この区間は複線でございまして、線路設備の点から申し上げますと、現状のままでなお列車増発の余地は十分あると私ども考えておりますし、今後の輸送上の動向を勘案をいたしながら列車の増発あるいは増結等を考えてまいりたいと思っております。  なお、先ほど駅の橋上化を実施する場合の原則というお尋ねがございましたけれども、地元の御要請に伴います駅の橋上化を実施する場合の費用負担の考え方は、当該駅が老朽、狭隘のため国鉄においてあらかじめ改築を計画しているという場合に限りまして国鉄が費用負担することといたしまして、その金額は、原則として地平駅として老朽している駅舎を地平のままで改築をした場合の仮想工事費相当額を国鉄工事費として支出することにいたしております。したがいまして、橋上化をいたします工事費のうち残りの工事費については地元に御負担をしていただくという考え方をとっております。
  174. 駒谷明

    駒谷分科員 実際に一例を挙げますと、ちょうど加古川の東側に東加古川駅という駅があるのです。これにつきましては、御承知のとおり昭和三十六年に東加古川駅ができましてちょうど二十二年になるわけでございます。この東加古川駅につきましては、既に橋上駅化の要請が地元の加古川市から国鉄御当局の方に参っておると思うわけでございますけれども、この問題については具体的にどのような方向で進められておりますか、その点についてお伺いしたいと思います。
  175. 岡田宏

    ○岡田説明員 東加古川駅につきましては、先生お話にもございましたように昭和三十六年に建設をした駅でございます。したがって、経年二十二年ということで、構造も鉄骨づくりということになっておりまして、現在の状況におきましては老朽あるいは狭隘ということは言いがたいと考えております。したがって、地元の御要請に基づきここを橋上駅ということで改築をする場合には、国鉄の費用の負担はいたしかねるというふうに考えております。
  176. 駒谷明

    駒谷分科員 費用の負担はゼロということですか。
  177. 岡田宏

    ○岡田説明員 現在の時点で橋上化をぜひお考えということであれば、まことに申しわけございませんが、国鉄の費用負担はいたしかねると思っております。
  178. 駒谷明

    駒谷分科員 実はこの東加古川駅の方は、既に御存じだと思いますけれども、乗降客がもう既に二万を超えておるわけでございます。定期並びに通常の乗車券を買っての乗客が一万三千人余りでございます。工業地帯に向かっておりる乗客を含めますと、既に三万近くになっているというデータが出ておるわけでございます。しかもこの通勤は、阪神間の方に通勤する人たちが多いのです。そして、駅の東側約三十メートル先に踏切があるのですけれども、電車に乗車するために時間いっぱいまでこの踏切で待たされて、踏切から線路を渡ってそうしてホームに上って乗車する。安全性からいきますと、この管理体制は大変問題があるのではないかと私自身は思っておるわけでございます。そういう意味から、地元としてはどうしても北側に改札日が欲しいという要望でございます。しかし、現在の国鉄再建の状況の中から合理化問題等を考えますと、北側に改札口を設置するということは大変不可能だろう、そういうことから橋上駅の要請が出ておるわけでございます。そういう点を踏まえまして、この橋上駅の建設については国鉄の方で積極的に十分に配慮していただきたい、そのように思いますけれども、重ねてお伺いをいたします。
  179. 岡田宏

    ○岡田説明員 地元の市の方ともよく御相談をさせていただいて、橋上駅に対する改築については積極的に考えてまいりたいと思っております。
  180. 駒谷明

    駒谷分科員 最後に、時間もありませんけれども、東播磨港の港湾整備の問題についてまとめてお伺いを申し上げたいと思います。  貿易依存度が高く、また人口、都市、工場が臨海部に集中をいたしております我が国の地理的条件から、東播磨港の港湾整備は、定住構想の推進及び臨海部の再編、また港湾及び海洋の快適な環境の実現を目指して港湾の整備が特に重要な意味を持っていると思うのでございます。  東播磨港は現在重要港湾になっているが、取扱貨物並びに入港船舶の推移、東播磨港の人口増加、社会的、経済的発展、地域性から、同港を将来どのように位置づけをなされようと思われているのか、その御所信をお伺いいたしたいと思います。
  181. 原田昇左右

    原田主査 時間がありませんので簡潔に御答弁願います。
  182. 小野寺駿一

    ○小野寺政府委員 東播磨港につきましては、ただいまお話しございましたように、昭和三十九年に重要港湾として政令指定された港湾でございます。この港は、その東側に隣接いたしております姫路港とともに、播磨地区の工業整備特別地域の中核を担う工業港として従来鋭意整備が進められてまいったところでございまして、現在では既に鉄鋼でありますとか機械工業あるいは化学工業、電力などの各種産業が立地されております。  今後のこの港の担うべき役割、位置づけに関しましては、昨年十二月に開催されました港湾審議会第百四回計画部会の議を経て決定されました東播磨港港湾計画で明らかにされておるわけでございます。それによりますと、引き続き播磨工業地帯の拠点的な工業港湾としての機能の充実を図るということと、それに加えまして背後地域の開発、発展に伴う物資の流通の増大に対応した機能の整備を進めるということ、さらに快適で潤いのある港湾環境づくりを図っていくというふうな考え方で整備を進めてきているわけでございます。
  183. 駒谷明

    駒谷分科員 それでは、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  184. 原田昇左右

    原田主査 これにて駒谷明君質疑は終了いたしました。  次に、中林佳子君。
  185. 中林佳子

    中林分科員 昨年の八月に国鉄監理委員会が内閣に提言を提出されましたが、これによりますと、ローカル線の廃止だとかあるいは貨物部門の縮小や切り捨ての促進、また国鉄労働者への大合理化などを強調しているわけです。これは国鉄の公共性を踏みにじって国民生活と地域経済に一層深刻な犠牲を強いるもので、私も許すことができないと思っているわけですが、今全国の多くのところで生活の足を守れという地域ぐるみのローカル線廃止反対運動が展開されておりますし、また地域ぐるみの自主的な乗車運動も進められているところです。今国民的な要求としてぜひ国鉄を存続してほしいという大きな声が出ているところですが、ここに大臣の著書であります「国有鉄道を語る」というのを読ませていただきますと、ローカル線についての考え方として、国鉄から切り離して第三セクターあるいは民営化の方向でというお考えのように読み取れたわけです。  また、山陰中央新報のインタビュー、昨年の十二月二十九日の新聞に載っておりますけれども大臣就任早々のインタビューに答えられたものの中で、山陰のローカル線については、「第三セクター方式・株式会社経営で考えるべきでしょう。」、こういうふうに述べていらっしゃるわけですが、現在も同じようなお考えなのでしょうか。
  186. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今お話しの、同じ考えかというのは、同じ考えでございます。  地方交通線につきましては、第二次臨時行政調査会それから再建監理委員会方針等がございます。その前に国鉄再建促進の特別措置法がございまして、そして政令で定める一定の範囲内のものについては、地方で協議会を設けて、そして地方の協議会でこれを廃止してバスに転換するか、あるいは鉄道のままで運営するか、どういう形で運営するかということをよく相談してください、こういうことになって、第一次四十線、第二次三十三線が指定されておるわけでございます。  それで、私はローカル線については大体大きく言って二種類に分けて考えるべきじゃないかと思っております。それは一つは、非常に距離が短くて、盲腸線のような格好をしておりまして、付近で道路網も非常に完備しておる、線路のすぐ隣が完備しておる、バスにかえた方がフリクエンシーの上からいってもよくなる、運賃は若干割高になるかもしらぬが、これは非常に便利になるということで、地元の住民の皆さんの一〇〇%とはいかないでしょうが、大方の皆さんが御賛成の場合にはバスにかえるということがいいのではないか。これは現にそういう方向が、例えば山陰においては鳥取県の倉吉線などについて進められておりますし、北海道の白糠線とかその他例があるわけでございます。しかし、それよりもやや長大なローカル線につきましては、これは考え方が、地域地域によって事情が違ってまいります。付近の道路の状態も違いますし、乗客の状態も違っておりますから一概には言えませんけれども、なかなか地元の反対が強いところが多いわけでございますが、こういうところは協議会を開いていただいてどうしたらいいのか、鉄道を残して、もう最大限の合理化をやってこれを残すことがいいのか、それとも外してバスにする方がいいのか、そういう点について十分御審議をいただくということだろうと思っておるのでございます。  私としましては、本にも書いておりますが、どちらかというとやや長いものについて、また地元の住民の皆さんが非常に御希望が強いものについては何らかの形で合理化を進めて、線路の撤去をしないという方向が望ましいのではないか、こう考えておる次第でございます。
  187. 中林佳子

    中林分科員 お考えは従来と変わっていないということはよくわかりました。しかし、このインタビューなどを見まして地元の者は大変びっくりしているわけなんですよ。つまり、結局は住民に負担が大きくなる。若干の負担が多くなるというような大臣のお考えのようでございますけれども、実際やってみると、現在でも第三セクター方式で出発したところの経験などを見ましても、やってみなければわからないなどというようなことで、大変困難な状況というのは私、考えられるようなところでございます。そこで、この問題は引き続きぜひ国鉄を残してほしいという住民の意向をお聞き取り願いたいということを御要望して、次に参ります。  今回国鉄が運賃の値上げ申請をなさっているわけですが、これは明治以来の全国一律運賃制を崩して、地方交通線に割り増し運賃を導入するということです。これによって、つまり地方交通線の割り増し導入によってどれだけの増収を図ろうとなさっているのか、その金額だけを簡単にお答えください。
  188. 須田寛

    ○須田説明員 幹線系の運賃に比べまして約五十億ぐらい、地方交通線からこの特別運賃で増収をいただきたいという案を申請申し上げております。
  189. 中林佳子

    中林分科員 五十九年度の予算で地方交通線特別交付金が前年比で二百九十八億円削られているわけですね。それで、一方で割り増しの運賃導入で五十億円増収するということですから、結局ローカル線利用者にその負担のしわ寄せをする以外の何物でもないというようなことで、私、これは到底納得できないものだと思っているわけです。このローカル線に頼って生活する人にとっては本当に大変深刻な問題が今後起きてまいります。  例えば、大臣よく御存じの島根県松江市の三つの高校、これは松江商業高校、松江工業高校、松江農林高校、ここは比較的国鉄利用者が多いわけですね。ここは三校合わせて六百十人が国鉄を利用しております。木次線の出雲大東駅から松江に通学している生徒は、三カ月定期で現在一万六千百十円ですが、これが割り増し運賃導入によって値上げされますと一万九千七百三十円で、二二・五%の値上げになります。それから、これも同じく木次線ですが、出雲三成から松江に通学している生徒は、現在でも二万五千九百九十円、それが何と今度割り増し運賃が導入されますと三万七千三百七十円と、一挙に一・四倍以上になるという大変なものになるわけですね。生徒を持つ父母から、大変な負担になって、ことし自分のところの子供は二人も高校に通わせることになるのだけれども何とかこの値上げをやめてもらえないか、ローカル線だけにこんなしわ寄せをしてくるのは我慢ならない、こういう訴えが出ているわけです。  大臣は、一月七日付の朝日新聞のインタビューで、基本的には地域別運賃に賛成だ、赤字ローカル線を続けさせていくためには多少高くなっても辛抱してほしい、こういうことを述べていらっしゃるわけですけれども、こういう本当に大変な生活になるという実情を大臣は御存じでしょうか。
  190. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 明治四十年の鉄道国有以来、鉄道運賃というのは総合原価主義で均一であったということは間違いないのでございます。これは鉄道の公共性という見地から見て一つの立派な運賃理論であるということは間違いがないのであります。しかし、他の半面から考えますと、国鉄がこのような赤字でございますので、原価との関係、原価対収入の関係、それからもう一つは国鉄が今非常に競争にさらされているわけでございますが、このローカルの私鉄の運賃と国鉄の運賃とを比較し、大都市付近の国鉄と私鉄の運賃を比較しますと、実は逆になっておるわけでございまして、大都市付近では国鉄がうんと高くなっておりまして、ローカルでは国鉄の方が安くなっておる、こういうことなんでございます。  そこで、運輸委員会等でも国会の中でもいろいろ議論がございまして、その均一の運賃でいくべきか、それとも差をつけるべきかという議論はこれまで何回となくこれは続けられてきておるものでございます。そこで、五十五年に再建の特別措置法が通りましたときに、この法律で差をつけるという方向、公共性の問題よりもむしろ経営とかそういう競争とかいうことに力点を置いた条文が入ったわけでございます。それから第二臨調でもそういう経営という面を強くした方向、そして昨年法律が通ってできました再建監理委員会が、五十九年度の予算を編成するに当たって勧告をしておる。この勧告は、政府は従わなければならない、尊重しなければならないとなっておるその勧告に、地方の運賃については差別運賃を設けるべきである、こういうふうに御勧告があったものでございますから、それで、最小限度の差別をつけるということで、国有鉄道が原案を、今、運輸大臣に申請し、運輸審議会でお諮りしておるわけなんでございます。したがいまして、おっしゃるような事情がございますことは重々承知しております。ローカルの方々は大変不便な上に高くなるではないかということで、私のところへも投書もうんと来ております。しかし、これは長いこと、どちらにするかということで論争をして、今、どちらかといいますと、率直に言いまして差別をつけるという方に軍配が上がって、そうせよという御命令を、法律によってできた監理委員会の方から御勧告をいただいておる、こういうことでございますので、私も、本質的な議論としてはいろいろ議論を持っておりますけれども、そういうことでございまして、今国鉄が申請をいたしておる、こういうことになっておると思うのでございます。  それから、先ほどお話がありましたことで、ちょっと誤解があるといけませんので、つけ加えて申し上げておきますが、第三セクターや株式会社にしたら赤字がますます大きくなって、運賃がますます高くなるではないかというようなお話がございましたが、これは、そういう傾向にあるということは事実かもしれませんが、ローカル線をもし分離して第三セクターなり株式会社で経営した場合に、独立採算で、補助金も何も全然なしで絶対にやれという考えではございません。徹底的な合理化をやった上でもなおかつ赤字が出るならば、国なり地方公共団体なりが税金の中から出してもいいのじゃないか、それでも地方のために残すべきではないか。運賃が高くなり過ぎれば、この運賃はこう高くてはみんなのためにならぬから低く抑えよう、そのかわり、国なり地方なりがその第三セクターなり株式会社を面倒見ようじゃないか、ただ、支出については徹底的に合理化をするんだ、そういう考え方が私のローカル線に対する基本的な考え方でございますので、ちょっとつけ加えて申し上げておきます。
  191. 中林佳子

    中林分科員 事情はよくわかっているけれども、法律でも決まったことだし、勧告も受けていることだから仕方がないとおっしゃるわけですけれども、運輸大臣は、ずっと国鉄の問題に、生涯をかけていらっしゃるといいますか、取り組んできていらっしゃるわけですから、本当に住民の声に沿って、ただ勧告がある、法律で決まったということではなくして、御承知のように過疎におけるところの不便さを――こうした国鉄運賃がよそよりも高く上がるというのは、過疎を一層進行するものでもあると思いますし、住民にとっては極めて納得のいかないものである、私はこのように思います。  それから、民営化や分割化の問題で、重ねてお話がありましたけれども、私はそれでよくなるとは思えないし、大臣も私鉄との格差の問題がローカルにいくと大変つくんだ、だから上げるんだというふうにもおっしゃっているわけですから、必ず住民負担というのは大きくなるし、サービスも徹底して合理化されますと低下しますし、命にもかかわる重大な問題が出てくるのではないか、こういうふうに思います。これについては、今まで随分論議もされていることですから、これ以上言及はいたしませんけれども、本当に国鉄というのは、国民の足を守るだけではなくして、そうした命をも守る問題も含まれているのではないかと私は思います。  そこで、国鉄の方ですか、これは運輸省ですか、ちょっとお伺いしますけれども、五十二年に国鉄運賃の法定制が緩和されて、連続五回値上げ、そして今回また値上げ申請ということで、七年の間に六回の値上げになるわけですね。値上げをすれば乗客は当然減ってくると思うのですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  192. 須田寛

    ○須田説明員 七年の統計をちょっと今持っておりませんが、十年間で調べたものがございまして、昭和四十八年から五十八年までの例がございますが、この間、値上げを七回お願いさせていただいておりますけれども、その間運賃が大体二・九倍ぐらいになっております。しかし、収入は大体二倍余りちょうだいいたしました。お客様の利用がこの間、一割ほど減っております。したがいまして、私どもは値上げをさせていただきまして、お客様が幾らか減るわけではございますけれども、極力いろいろ営業施策その他でカバーをいたしまして、減収を最小限度にとどめるということが前提になれば、運賃改定をお願いいたしますことは、やはりそのまま収入につながるというふうに考えております。
  193. 中林佳子

    中林分科員 お客が減るからまた値上げをする、それによって収入もふえていく、結局、その繰り返し繰り返しになってきていると思えてなりません。  今度の地方線への割り増し運賃の導入によりますと、ますますローカル線廃止の方向に追い込んでいくことになりはしないか。これは当然考えられることです。ですから、私は、今ここで、こうした割り増し運賃の導入はぜひやめていただきたいと思います。と言いますのは、本当に国鉄を必要とするのは、先ほども話しましたように、車を持たない学生だとかあるいはお年寄りだとか、子供だとかいう人たちのためにあるわけですね。これで今度のように大変な値上がりになってくると、それでは知り合いの人に車に便乗させていただこうかとか、そうした無理をしてでも国鉄に乗らなくなる現象というのは、必ず起きてくると思います。そういうことになれば、国民をますます国鉄から遠ざける結果になると思いますので、値上げについては大臣の意向一つで左右できると思うのです。ですから、もちろん幹線についての値上げも私どもはやめていただきたいと思うわけですけれども、この割り増し運賃導入については、ぜひ判こを押さないでいただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  194. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 実は、今国鉄からの申請に基づきまして、運輸審議会というところで審議をしておるわけでございます。恐らく運輸審議会の中でも、この問題については、初めてのことでもございますし、大変な議論が出るのじゃなかろうかと思っております。ローカル線を代表する御意見も審議会は特にお聞きになるというようなことも承っております。また、そうあるべきだと思っております。今ここで、しかし、私がこの運賃、監理委員会の勧告に反することをやるということを申し上げるというには至りませんので、その点は御勘弁を願いたいと思います。しかし、慎重にやります。
  195. 中林佳子

    中林分科員 ぜひ慎重にやっていただきたいと思うわけですが、来年はこの割り増し運賃の導入、これはおやりになる計画なのでしょうか。大体どの程度までの格差を広げていくというお考えなのか、その見通しについてお聞かせください。
  196. 須田寛

    ○須田説明員 今回、とりあえず申請申し上げたものの、まだ御認可をいただいているわけではございませんので、私どもの希望といたしましては、まず御認可をちょうだいいたしまして実施させていただきたいということで、目下頭がいっぱいでございます。したがいまして、その実施をさせていただきました結果を見まして、また明年度以降、どのようにお願いするかということを考えたいという考え方でございまして、どこら辺までお願いするかということについて成案を持っておりませんけれども、また、現在の地方交通線の財政状況、特に収支の状況等、あるいはいろいろ他の交通機関との運賃格差等から考えまして、やはり今後も地域別運賃というものにつきまして、より一層の深度化をお願いすることになろう、こんなふうに考えております。  詳細のパーセンテージその他はまだ成案を得ておりません。
  197. 中林佳子

    中林分科員 結局、ローカル線に乗る者にとっては一層の負担が押しつけられるということだけはわかりました。  私どもは、国鉄の赤字の最大の原因は、政府は田中元首相の列島改造計画にのっとって、採算を無視して借金で新幹線などの大型設備投資など、莫大な債務を重ねてきたところにあるというふうに思うわけです。そのツケを国民、特に弱いところに回すことは本当に許されないと私は思います。今、国鉄が、赤字ローカル線を切り捨てる方向ではなくして、これまでレールなどの投資をしているわけですから、それを生かしていく方途をもっと検討する必要があるのではないかと思うのです。  そこで、レールバスについて国鉄にお伺いしたいと思うのですが、戦後間もなく、国鉄が閑散線区改善のために昭和二十九年ごろから一時期レールパスを導入された経過があるわけですが、これがなくなったのはなぜですか。
  198. 坂田浩一

    ○坂田説明員 確かに先生おっしゃいますように、昭和二十九年から三十二年ごろにかけまして北海道を主体にレールバスを運営した経緯がございます。レールバスは一般的に鉄道車両に比べまして、先生おっしゃいますように、車両の価格が約半分ぐらいでありますし、またエネルギー的にもすぐれているという面もございます。しかし、一方では単位輸送力、一両の定員といいますか、当時国鉄が採用しましたレールバスは四十六名の定員ということで、極めて単位輸送力が小さくございます。したがいまして、ピーク時におきまして輸送力が不足するという問題を抱えておりますし、また、レールバスは構造的に車両耐用年数といいますか、寿命が非常に短うございまして、大体鉄道車両の半分、約十年ぐらいで寿命というように考えられておりまして、そういった面で必ずしも経営改善に十分な成果が果たし得なかったという点がございます。また、レールバスは運行上もいろいろ、強風だとかあるいは雪だとか、そういった面につきましても弱点を持っておりまして、運転規制という面についてもかなりシビアに規制しなければならぬということもございまして、そういった経緯で四十一年ごろから逐次レールバスを取りやめまして、四十三年には終了いたしましたという経緯でございます。
  199. 中林佳子

    中林分科員 今のような原因もございますでしょうが、もう一つ、そういう小さい車両で、しかもたくさん乗せられないという中でこれが廃止になった最大の原因は、たくさん乗客がふえてきたということで、これでは対応できなくなったのでというふうに私は書物などで読んでいるわけですが、そうであるならば、非常に軽微な設備といいますか、それで非常に安くて、しかも定数がそんなにたくさんなくても四十人とか五十人の範囲で乗れるということになりますと、これは改めて、今はお客が減って大変だという話ですから、それを赤字を出さないように運営していくというためには、このかつてのレールバスをもう一度考え直してもいいのじゃないかというふうに思うわけです。  それで、今では非常に優秀な車両も開発されているというふうに私は聞いているわけなんです。大臣、ローカル線を廃止する方向ではなくて、今まで設備してきたそういう経緯を考えて、ぜひ今後のローカル線対策として検討課題に挙げてもいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  200. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 おっしゃるとおり、大変貴重な御意見でございまして、このレールバスをやめた一番大きな理由は、通勤通学のピーク時にもたないということが一番大きい理由だったかと思うのでございます。しかし、このローカル線というのはいろいろな線がありまして、交通の動態が違うわけですから、私はこの点については、車両の面からも、今お考えのように技術も進歩してきておりますし、十分考える。車両の単位を小さくし、車両の大きさを小さくしてフリクエントサービスをする、そうすれば、お客がふえるという場面も相当あると思います。そういう点は今後国有鉄道において十分検討されてしかるべきことである、かように思っております。     〔主査退席、中西(啓)主査代理着席〕
  201. 中林佳子

    中林分科員 次に、山陰線の出雲市以西の不便な列車ダイヤの問題でお伺いしたいと思うわけです。  特急やくも号の電化に伴って、やくも号は従来山陰線の島根県の益田市まで行っていたのですが、これが出雲市駅どまりあるいは始発になってしまったために、出雲市以西の住民が大変不便を感じているわけです。出雲市での接続列車の待ち合わせは今最高五十二分というのがあるわけですけれども、二十分程度が大体ぎりぎりだと利用者はおっしゃっております。それから、米子だとか松江の病院に通う人も非常に多いわけですし、県庁の所在地が松江市であるわけですから、そういう意味では、出雲で切れるというのは大変不便を感じるわけですね。ですから、そういう意味では直通の特急列車、これらをぜひ増発してほしい、そういう要求もたくさんございます。  それから、実は市内の高校の生活指導先生からこういう訴えがあるのです。松江駅を利用している高校生は、土曜日の授業は一時過ぎに終わるというのですね。それで、松江駅に行ってみると、下りの方は一時前に発車するダイヤになっている、それから上りの方も一時三十七分で間に合わない生徒がたくさんいる、その次は三時過ぎでないとないわけです。そうすると、大体一時間から二時間を松江駅周辺でたむろする、非常に非行の温床になっている、これはぜひダイヤ改正のときに考慮していただきたい、こういう強い訴えが出ております。  ですから、乗りかえなしの特急列車の増発あるいは待ち時間の短縮、そして、こうした高校生の非行防止の問題を考慮して、聞きますと、六十年にダイヤ改正の話があるように聞いておりますので、その中でぜひこういう問題を考慮しながら取り入れていただきたいというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  202. 須田寛

    ○須田説明員 御指摘のように、電化をいたしましたので、確かに出雲市の東と西とでは、電化されているところとそうでないところがございますので、どうしても出雲市では乗りかえが出てまいります。今先生のおっしゃいましたように、直通の特急を米子、松江付近まではある程度入れておりますが、やはり岡山付近までになりますと相当速度差がございますので、これを全部ディーゼルでやるのは問題がございますので、やはり今お話がございましたように、出雲市での連絡を極力便利なものにする、こういうふうなところに力を入れまして、次回のダイヤ改正等でできるだけの改善をいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、松江市の高校の土曜日の下校問題につきましても、現地の管理局の方から同じような話を私どもも承知をいたしておりますので、これも次期のダイヤ改正その他の機会をとらえまして、できるだけそういった方々にも御便利なダイヤにするように、地元の管理局とも十分調整して努力をいたしたいと思います。(細田国務大臣「これは大臣も同感だよ」と呼ぶ)
  203. 中林佳子

    中林分科員 大臣もぜひよろしくお願いしたいと思うのですが、あと一点だけ、よろしくお願いします。  過疎バスの問題ですが、島根県の第三種生活路線で五十八年に補助の切れる路線については、今年度じゅうに第二種への昇格だとかあるいは代替バスに踏み切るなど何らかの解決の努力はされておりますが、五十九年度で三年の期限が切れるところが二十一路線あるわけです。この路線も、いずれも今自治体が努力をして何とか解決しようとしておりますけれども、対応し切れなかった場合、ぜひ経過措置をとってほしいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  204. 角田達郎

    ○角田政府委員 地方のバスの問題ですが、これは私ども、地域の住民にとってバスというのは最後の公共交通機関だと思っていますので、最大限の努力を払って助成措置等についてもやってきているわけでございます。  それで、三種の路線につきましては、御案内のように一日の平均乗車密度が五人未満というふうに非常に低いものですから、企業としてはこれはなかなか維持しにくいということで、五十五年度の予算から、お話のように三年を限度として補助を打ち切る、こういうふうにしてまいったわけでございます。ただ、切りっ放しということではなくて、三種の路線を廃止して、後、地域の住民の足としてどうしてもバスが必要な場合、これは市町村の代替バスという制度がございまして、国と県とで市町村に助成をいたしまして、市町村代替バスということで運行していただく、こういう方式をとっているわけでございます。  それで、これは五十八年度から、従来の市町村営のバスに加えまして、市町村が貸し切りバス事業者等に委託して運行する場合にもその代替バスの補助金を出す、こういうことで五十八年度からやってまいっております。お話しの五十八年度で三年間の三種の補助期限が到来するというものにつきましても、これは市町村代替バスに移行するとか、あるいは二種の格上げにするとか、そういうような具体的ないろいろな対応手段のとれるものにつきましては、経過措置として一年を限度にして三種の助成をする、こういうふうにしておりますので、私どもいろいろな手を打って地方の住民の足を確保してまいりたい、かように考えております。
  205. 中林佳子

    中林分科員 五十九年度は。
  206. 角田達郎

    ○角田政府委員 五十九年度で切れる話は、これは今後の話でございまして、どういうような方向で地方のバスを助成していくか、この辺のところはまたいろいろな角度に立って見直しをしていかなければならぬと思います。
  207. 中林佳子

    中林分科員 終わります。
  208. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて中林佳子君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  209. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、運輸省、大蔵省高級官僚が天下っている日本空港ビル、この会社の子会社十社、この両者を含めまして、役員の大変な高給与、高額退職金、この是正の問題と、それから同時に、この高給与、高額退職金のもとになっている独占的な免税ショップの経営の問題、この改革について、大臣関係者質問さしていただきたいと思います。  まず最初に、先般私が国会で取り上げました日本空港ビル前社長阿部泰夫氏の退職金は、二億四千万円というふうに言われているわけでありますが、この退職金の是正措置はどういうふうになされたか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  210. 山本長

    山本(長)政府委員 先般の臨時国会におきまして、先生から、前社長が勤務いたしております会社についての退職金の規定等から、余りにも過大になり過ぎるのではないかという御指摘を受けまして、会社に対して、その是正措置について指導してきたわけでございます。関連会社も含めまして、日本空港ビルにおきましては、退職金の規定というものを昨年の九月でございますか改めまして、支給の基準率というものを引き下げるという措置をとっております。  同時に、さらに、関連会社で退職金を受ける者につきましては、既に支給を受けたものも含めまして重複支給をしないということで、既に支給したものについては、重複支給しない、一社でもって計算されたものにつきまして支給をして、重複するものについては控除する、こういうふうな扱いをするというふうに会社から報告を受けております。そのうちの一社につきましては、既に支給がなされておりますけれども、今後、該当の方に対する退職金の支給につきましては、支給率を改めたということ、重複の支給をしないという、こういう会社の方針に基づいて支給がされるということになるものと思います。まだ支給されておらない部分がありますので、幾らになるかということを申し上げるわけにはいきませんけれども先生が御指摘になる以前、つまり昨年の九月以前のものに比べますと、これは計算上の問題でございますけれども、約三分の一くらい、あるいは重複支給を避けるというところのもので計算したものに比べれば約半分ぐらいになるというふうな、これは試算でございますけれども、なるわけでございまして、引き続き会社に対しましては、世間の批判を招かないような措置をとっていくように、会社によく申し伝えてあるという状態でございます。
  211. 小川国彦

    小川(国)分科員 私の推定計算では二億六千万と思っておったのですが、皆さんの方の計算だと二億四千万。そうすると、是正措置でまいりますと、三分の一と言えば八千万、二分の一と言えば一億二千万になる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  212. 山本長

    山本(長)政府委員 これはいつの時点でそれを支払うかということにも関係いたしますので、退職金が幾らになるということを今計算するわけにはまいりませんけれども先生が言われました計算の中で、むしろ後者の金額といいますか、それに近いものになろうかと考えます。
  213. 小川国彦

    小川(国)分科員 持って回らずに、一億二千万とはっきり言ってくださいよ。そうでしょう。
  214. 山本長

    山本(長)政府委員 先生、これは退職金というものは、勤務の期間、それから退職金を支給する場合の基準になります給与額、その退職時点における給与額等々から計算をされていくわけでございますので、一定にこの社長がいつ退職するというふうな前提を置いて計算をしなければ、計算は出てこないわけでございまして、幾らになるということをはっきり言えるような状態ではないと思います。
  215. 小川国彦

    小川(国)分科員 航空局長の答弁は非常にいいかげんですよ。大臣、しっかり聞いていてもらいたいのだけれども、もう前社長は退職寸前なんです。退職したも同然なんだ、阿部さんは。いろいろなところをやめて、これからあと何年この方が勤務なさると思いますか。もう皆相談役か平取締役になって、退職は一、二年、目前でしょう。もう実質的な仕事をしていないんですよ、この方は。関係会社へも出社していないんですよ。私の調べたところではほとんど出社していない。ただ、形の上で今、最近丸ビルの本社に行く格好をつくったようですが、退社は目前ですよ、一、二年のうちでしょう。そういう人を見当がつかないからという、そういうあいまいな態度で対処しているから、こういう高額退職金がいつまでたっても是正されないんですよ。そういうことでしょう。あと何年勤めると思いますか。
  216. 山本長

    山本(長)政府委員 それは個人のことでございますし、会社の扱いのことでございますから、私の口からは、いつ何年勤めるということを申し上げるのは不謹慎のような気がいたします。
  217. 小川国彦

    小川(国)分科員 そういう態度であなた方が対処してきているから、こういう問題は是正されないんですよ。常識外れな二億四千万もの退職金を取ろうとしていて、そういうことが明るみになって、皆さんが、もう私が質問してから三カ月以上たつでしょう、四カ月になるでしょう、そういうときに是正の方針がいまだ示されない。普通の民間会社ならいいですよ。国有地を借りて商売をしている、国の特別な許可を受けて商売をしている、しかもあなた方の先輩の運輸官僚がみんな天下っている会社。だから、あなたがそういうふうにずぼらにやるのもわかるのだけれども、ずぼらもいいかげんにしなければいけない、こういうふうに思うんですよ。いいですわ、それは大体一億二千万ということで。  それから、次に、現社長の高橋寿夫というのですか、この給与も大体年間二千五百万から三千万。国務大臣の給与が年間二千四十四万から見ると、これも高過ぎると思うのですが、この是正はどうお考えになりますか。
  218. 山本長

    山本(長)政府委員 給与の是正につきましては、私たち指導いたしまして、社長はもちろんでございますけれども、社長を含む常勤の役員については関連会社からの兼職報酬というものをゼロにしたという報告を受けております。  それから、現社長の給与水準につきましては、前社長のものを約一七%程度引き下げております。この一七%ほど引き下げたものにつきまして、高いか安いかという問題があろうかと思いますが、民間企業の社長の給料のバランス、それが高いか安いかということについては、先生おっしゃるように、国務大臣あるいは公団の給与ともその関連を考えなければなりません。また同時に、一般の民間企業の役員の給与ともバランスを考えるべきではないかというふうな気もいたします。民間の……
  219. 小川国彦

    小川(国)分科員 いいです。わかりました、結構です。  もう一つ伺いますが、二千五百万もらっている高橋社長が、国家公務員の年金を約三百万ももらっているのですよ。年金というのは老後の生活の安定のために支給されるべきものであって、航空局長や海上保安庁長官の当時よりも高い給料を取っている人が三百万の年金を受け取っているということはどういうふうに思いますか、局長。これは局長の見解を承りたいと思います。
  220. 山本長

    山本(長)政府委員 この問題は、私の寡聞な知識でございますけれども、年金の支給のあり方からいたしまして、その年金を受ける時期における所得というものをも勘案し、ある一定限度以上の所得のある者については、年金の支給について、今までと違って年金の支給を制限するということが適当であるという意見が世間にあるということも承知いたしております。私は、これは個人としてはそういう方向は妥当な方向ではないかというふうな感じを持っております。
  221. 小川国彦

    小川(国)分科員 個人でそれだけ立派な見解を持っていらっしゃるのですから……。一般の厚生年金で働いている二千万の労働者が、六十歳になって定年になっても、十五万以上の収入があったら年金はもらえないのですよ。国家公務員だけがこういう恩典を受けるのですが、その国家公務員も、定年後給料は半分になってしまったという人が年金をもらっているのなら話はわかるのですよ。こんな二千五百万もの高給を取っている人にまた三百万円の年金を国家が支給していたら、これは年金財政が火の車で赤字になるのは当然なんですよ。皆さん方が先輩の会社を指導なさるときにはそういうところもきちっと、あなたの個人的な見解でいいですから、それを生かしてもらいたいというように思います。  それから、日本空港ビルの役員とその子会社十社の役員は現職で活躍しているわけですが、子会社の役員を三年なり四年やりますと、その退任の都度退職金を取っているのですね。あなたは先ほど最初の答弁では、こういうものについては最終的な退職金で調整する、一社での計算でいくというふうに言われたのですが、私が全体を調査した中でまいりますと、今、日本空港ビルの監査役の恵良行雄さんという方は、弥栄観光、日本空港技術サービス、東京エアポートレストラン、共栄産業、国際協商、コスモ企業から、五百五十万、五百八十万、六千万、二百四十万、三十万、二百十万、合計七千六百十万。それから、副社長の周正八郎さんは、これも四社から受け取って二千三百十万、専務の松本純一さんは同じく四社から千百八十二万、取締役の木村隆志さんは二社から二千四百万、相談役の家久良造さんは二社から九百九十五万、取締役の石原荘平さんは二社から九百四十万、青木系祐さんは二社から五百十万、山崎鋓秋さんは一社から二百五十万、酒井典男前専務、コスモの社長は一社からで八百三十万。この人たちはいずれも子会社から既にこれだけ退職金を取っちゃっているのですよ。  こういう人たちは、当然、日本空港ビルの役員ですから、この退職金の規定によれば、代表取締役は勤務月数、一カ月の給与の六割掛ける月数ですか、代表取締役以外の取締役、監査役は五割、これをもらうわけになりますと、先ほどの計算じゃないけれどもまた大変な退職金の金額になるわけですね。二重取り、三重取りならいいのですが、六重取りをしている人がいるのですよ。今度取ると七重取り。こんな退職金を取りほうだいやっている。しかも、周正八郎副社長なんか弥栄観光の千九百五十万なんという退職金を取っているのですが、この会社はたしか五年間ぐらい何も商売していないのじゃないですか、ペーパーカンパニーの休眠会社ですよ。休眠会社の役員をほんの一期か二期勤めたということで千九百五十万の退職金を取っている。副社長ですから、この人は大蔵省から天下って日本空港ビルにもう長いですから、そうするとこの人の場合にはどうなんですか。退職金はどこから――もう本社から支給しないということになるのですか。
  222. 山本長

    山本(長)政府委員 日本空港ビル株式会社から、退職金については既に受けたものを含めて重複支給分は控除する、そういう扱いをする方針であるというふうに報告を受けております。該当の方にそういう支給の必要性が出てきたときには、会社がこの方針に基づいて処理されるというふうに我々は考えておりますし、そのとおりやられるものと期待をいたしております。  いずれにいたしましても、その支給の額が社会的な批判のないようにするようにということは、私たちの基本的な指導といいますか方針でございまして、会社がその方針に従ってやるということを期待をいたしておるものでございます。
  223. 小川国彦

    小川(国)分科員 日本空港ビルの「役員退任慰労金支給内規」を見ますと、旧内規だったら、社長は十割、副社長は九割、専務八割、常務七割、取締役六割と、一月の給与掛けるこれ。それと勤務月数なんですよ、この会社は年数じゃなくて。指摘を受けてから去年の九月に皆さん改正したのだけれども、それによっても、「退任慰労金の算定方法は、各役位別の現行報酬月額に、歴任せる当該役位別在任期間及び第三条に定める各役位別支給基準率を夫々乗じて算出した額の合計額とする。」というので、代表取締役は六割、それ以外の取締役は五割、こういうことになっているのですよ。ただ、運営につき顕著な功績があるとまた「五割以内を加算することができる。」ということになっているので、これは、顕著な功績があると、代表取締役は十一割になってしまうし、取締役は十割になってしまうのです。この規定そのものも大変な問題なんですが、そうすると、今局長がおっしゃるのは、今私が申し上げた九人の日本空港ビルの役員は、この本社の退職金規定で計算をして一もちろん、顕著な功績なんというので五割乗せられたんでは困るのですよ、六割、五割でいってもらわなければ困りますよ。六割、五割でいって計算した退職時の退職金から今まで十社の子会社からもらっていた退職金は差し引く、こういうふうに理解してよろしいですか。
  224. 山本長

    山本(長)政府委員 先ほど申し上げましたように、重複支給分は控除するという方針で会社は処理するというふうに我々に報告をしてきておりますので、その方針に従って処理されるものと思っております。
  225. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣、この辺は大臣としても一言、この方針を守らせるという御所見を伺いたいと思います。
  226. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 小川委員の先般の御指摘、またさらに今日の御指摘、まさにこれはある意味では大変驚くべきことだと思っております。したがって、今航空局長が申した新しい方針、これについても私もう一遍さらに、詳しく検討したいと思っておりますが、とにかく厳重に守らせるということだと思います。
  227. 小川国彦

    小川(国)分科員 詳しく検討して厳重に守らせる、こういう大臣の今後の指導に期待したいと思います。  それから、こうした退職金の六重取り、七重取りまで行われる、各種の子会社をつくってそこに大変な利益隠しをやっているわけです。利益隠しの状況も大変なものでございまして、それぞれ十億から二十億という大変な額です。そういう形での利益隠しが行われているその根源は何かというと、私はやはり免税ショップの問題だろうと思うのですね。この免税ショップは大変巨額な利権になっておりまして、羽田と成田の関係だけでも、日本空港ビル一社で百五十億の売り上げ、粗利三三%というと五十億。国全体で見れば約三百億、粗利三三%でいけば百億。そして、皆さんの方も私が指摘してから慌てて各国の空港ビルあるいはその航空局、そういうところに問い合わせをなさってきているようでありますが、その結果は、先日私伺ったところですが、まずあらゆる国々が全部入札制でやっている。高いところは売り上げの四割、五割を国ないしは公団、そういうところに納入させている。そうすると、成田と羽田を見ても、百五十億の仮に五割を国の収入にすれば七十五億になる。三百億の国全体の収入を半分国庫収入にさせれば百五十億になる。私は、この改善は当然行われるべきだと思うのです。  大蔵省、お見えになっていますが、大蔵省は、この点を是正すべきは大蔵省と考えるか、運輸省と考えるか、伺いたい。
  228. 高橋幸夫

    高橋説明員 お答えいたします。  関税法上、免税ショップにつきましては保税倉庫の許可ということで行っておるわけでございますが、保税倉庫の許可は、許可申請者がまずその空港内にしかるべきスペースを確保した上で申請してまいる、こういうことになっておりますので、スペースをいかにして確保するか、これは空港管理者と当事者との関係であると考えております。したがいまして、まず当事者がいかにしてそのスペースを確保するかという問題であろうと思います。
  229. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、そのスペースを確保させる運輸省の問題だ、こういうわけですが、運輸省いかがですか。
  230. 山本長

    山本(長)政府委員 免税ショップが一つの御指摘でございますけれども、免税ショップだけではなく、空港という非常に大勢の旅客が集散し、そこでこういう営業を営むということは、いわば特殊な地位をそこに得ておるわけでございまして、そういう特殊な地位に基づきまして極めて高収益を上げておるという状態は、これは是正していかなければならぬ問題だと思います。  ただ、適正な水準を超える利益というものをどう考えるかということはあります。これは常識的な考えに従って処理しなければなりませんけれども、こういったものを直接、間接いかなる方法によるかはなかなか難しい問題でございますが、何らかの方法によって空港の利用者なりあるいは公に還元をしていく。一番いい方法はそういった高収益を上げないような営業をするということだろうと思いますが、そういった高収益を上げて、適正な利潤を超えるような利益を与えておるという状態につきましては、これをやはり何らかの還元策を考えるというのが常識的なまた妥当な考え方であろうというふうに考えるのでございます。  ただ、過剰利益というものを私たち空港管理という立場から考えますと、ビル会社に土地を貸しておるということを通じまして、つまりそのことによる空港の土地の使用料という観点から考えざるを得ないわけでございますけれども、そういう考え方をとりました場合におきましても、徴収の方法でございますとか徴収の基準など検討を要する問題が多々あるわけでございます。こういった問題につきましては、今後、私たち学識経験者などの意見も聞きながら、是正、改善の方向を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、先生の御質問の中の提言と申しますか、入札の問題がございましたけれども、これを選ぶこと自身、こういうふうな方法をとること自身、日本の風土になじむかどうかという問題もございます。また、既存の営業者の従業員の雇用問題等もございますし、また、免税ショップというのは空港以外の場所にもございますので、そういった空港以外の免税店との関連をどうするかという問題もやはりあろうかと思います。また、入札制度で公入札によって費やした費用を価格に転嫁をするというようなことがありますれば意味がないということにもなるわけでございますので、今直ちに先生の御提言を採用することにつきましては種種の問題があろうと思うのでございますけれども先ほど申し上げましたように、高収益、過大な利益というものを何らかの方法で、直接あるいは間接的な方法で公に還元するというふうな方法につきまして、学識経験者等の意見も聞きながら、改善の方向を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  231. 小川国彦

    小川(国)分科員 一歩前進した改革の考え方を持たれて、欧米先進国の例はこの入札制というのは当然であって、入札の場合にはもう場所をちゃんときちんとつくって、そして、ほかの入札で入る業者が費用がかからないように品物だけ持ってくればいいということでやっているわけで、それは利用者に犠牲を負わせずにできると考えますが、その方法は皆さんの方にお任せすることにしますが、近く羽田空港も沖合移転する。そうすると、当然あそこの国有地を借りていた日本空港ビルも沖合移転するということになる。その場合に皆さんは、この際こそ、国有地の上に借りているああいう私的な存在のものをまた認めるのか、あるいはきちっと公的なものに切りかえる、免税ショップについても今言った適正な利潤を国に還元するようなそういう方法をとられるかどうか、この点はいかがですか。
  232. 山本長

    山本(長)政府委員 羽田の沖合展開をいたしました後、今のビル自身が空港の中央部に移ってもらわなければならぬというような計画になっておりますので、この主体をどうするかとか、あるいはその場所における営業につきまして、今先生が言われましたような高収益があったときに、それがその地位を利用してそのままその会社に入ってしまって、そして社会の非難を受けるというふうなことがないようにしなければならぬと思います。先ほど申し上げましたような何らかの方法に、よって、過大な部分が出てきたときには公に還元をするというふうなことを検討しようといたしておるわけでございますので、そういった検討の経過も踏まえて対処していきたいと思います。
  233. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっと参考に、この会社の事業税は取っておられますか、どうなっておりますか。
  234. 山本長

    山本(長)政府委員 確認をしてはまいりませんでしたけれども、事業税を免除するあるいは軽減するというふうな制度は現在ないと思います。取られているというふうに私は思います。
  235. 小川国彦

    小川(国)分科員 最後に一点だけ。  大臣、今、日本空港ビルあるいは全国の免税ショップのあり方について、ひとつ学識経験者も含めて徴収の方法や基準、土地使用料などの適正化の方向を打ち出すということですが、検討三年では困るわけですし、こういう問題は早期の解決が必要だと私は思いますが、大臣としては時期的なめどをどの辺に置いてこの検討を進められる――これは改むるにはばかることなかれで、是正は早いほどいいと思いますが。その時期をひとつ御明示いただきたいと思います。
  236. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 羽田沖の展開にいたしましても、それから成田ももとよりそうですけれども、空港をつくるには大変な金がかかっているわけですよ。ですから、それを使って不当なというか過当な利益を私的な会社がむさぼっておるということは許されない。これはもう適正な利潤で、あとは召し上げて借金返す方に回さなければ困ると思うのです。これはだれがやるかということもありましょうが、基本的な考え方としてそういう考え方でなければいかぬと思っております。だから、これはもうすぐにでもやるべきなんです。どれをもって過当と言い、どれを過剰と言うかということは問題があると思いますが、これは相当国の金がかかっておりますから、そういうところを種にしてうんともうけられてはたまらない、こう思っております。  まあ国鉄についても昔、似たような話がございまして、これは随分といろいろ問題になったこともあるようなことを私も承知しておりますが、こういう点は特に気をつけていかなければならぬ。これからの空港については特に借金が大きいですから、そういう点からも考えなければならぬ問題だ、こう思っております。
  237. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっと大臣の答弁で、借金を返す方というのは新しくつくった場合のことですね。だから、一般的には収益金を国庫に納付させる、こういう考え方に理解していいですね。
  238. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 そのとおりでございまして、もともと金がかかってできておるものなんです。借金の払いが済んでいるかどうかという問題、羽田の空港ができるのには国の予算が使われておるということですから、それを利用して不当な利益をむさぼられてはいけない、こういうことを申し上げておるわけです。新しくつくる、つくらないの問題じゃない。
  239. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 もう質疑の時間が終了しておりますので……。
  240. 小川国彦

    小川(国)分科員 国庫納付金を取るという考え方でいいですね。
  241. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 余分なもうけがあれば取るということです。そうでなければ、余分なもうけがないようにサービスさせるか、どっちかです。
  242. 小川国彦

    小川(国)分科員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。
  243. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、横手文雄君。
  244. 横手文雄

    横手分科員 国土の均衡ある発展あるいは産業の発展、これらの問題については交通問題が大きなかぎを握っているということは御案内のとおりであります。今後、我が国の全国的な均衡ある発展のために、空港あるいは新幹線網の整備あるいは高速道の整備、こういったものは不可欠のものであろうと思いますけれども、今後、我が国におけるこれらの交通の整備について、運輸省のお考えをまずお伺いいたしたいと存じます。
  245. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 我が国の交通ネットワークの整備、特に今お話のありましたような高速の交通体系の整備というような問題は、運輸政策の根幹における重要な問題でございます。  これらにつきましては、現在あるいは将来の国民生活あるいは国民経済の動向、需要のあり方というのを眺めながら、計画的な整備というのが特に重要になっていくかと思います。本来、交通需要にどのように対応していくかというのは、そのときどきの需要を忠実に探りながらそれらに対する必要な供給を図っていくということでございますが、このような体制をつくりますのは社会資本の整備ということが必要になります。社会資本の整備につきましては、幾多の財政投融資等も必要となりますし、そういう見地からかなり計画的な考え方を導入していく必要がある。特にこれからの国の社会資本の整備につきましては、効率的な整備ということが必要でございます。そういう点では、新幹線なり航空というものを注意深く効率的に組み合わせていくという考え方が必要でございまして、それぞれの需要のあり方に応じてこれらの配置を考えていくということが、交通政策として大変重要なことと考えております。
  246. 横手文雄

    横手分科員 私は、それらの交通政策を進めていく上で、今一つの問題になっておることについて質問を進めてまいりたいと思いますが、地方空港問題であります。  今御答弁の中にもございましたように、それぞれ効率化ということも十分考えていかなければならないことでございましょうし、また、今日の産業の発展は大変目覚ましいものであり、それだけにまた、情報の伝達の迅速化、これはまさに不可欠であります。したがいまして、今日航空業界は大変な進歩を続けてきたわけでございます。  しかしながら、一方、この幹線から外れてしまった地方空港は、そのあおりを食ってしまいまして、減便あるいは休航状態に遭い込まれており、幹線の陰になってしまっている実情にありますけれども、これらの問題に対して、これら地方空港の活性化のために運輸省の今後の政策はいかがになっておりましょうか。
  247. 山本長

    山本(長)政府委員 ここ十数年来、航空需要が非常にふえてまいりまして、空港の整備というものが各地から熱心な御要望があり、私たち航空行政担当者といたしましても、これについて積極的に取り組んできたつもりでございます。各地方空港も逐次整備されてまいりまして、現在全国で七十七民間空港ございますけれども、三十七空港が現在ジェット化されておる、こういう状態でございまして、なお二十空港余り滑走路の延長あるいは新設ということに取り組んでおる状態でございます。  地方空港も逐次整備されてまいりました。それによってジェット化が図られ、さらにまた増便をしたいというふうな要望がたくさんございますが、今先生が言われる地方空港の活性化のために一番ネックになっておるというのは、むしろ幹線空港、とりわけ東京地区及び大阪地区の空港問題でございまして、関東及び近畿圏における空港というものが、整備をいたしますと大空港になるものだけに非常に難しい問題があり、地元の合意形成というものがおくれ、ようやくにして緒につき始めたという状態でございます。そして、今日現在におきましては、羽田空港にいたしましても、地方空港から一便ふやしたいというふうなものにも応じ切れない、大阪空港においても同じような状態になってきておるのでございます。  先生おっしゃる、地方空港の活性化というものについての今後の方向というのは、むしろ、幹線空港の中でも東京地区及び大阪地区における空港の整備を図って、そして地方空港をもっともっと利用できるようにしていくということが一番の急務であるというふうに考えております。
  248. 横手文雄

    横手分科員 御質問を申し上げました内容の中で、我が国の中心的な空港になっておる羽田あるいは大阪、こういったところについては、拡張なりあるいは新設等が積極的に進められなければならぬと思いますけれども、あるいは地方の中にありましても、幹線空港から外れて減便あるいは休航状態に追い込まれている空港もあるわけでございまして、これらの活性化対策運輸省いかがでございますかと、こういう御質問を申し上げたのですが。
  249. 山本長

    山本(長)政府委員 先生のおっしゃる、一般的な地方空港においてこういうふうな事例とおっしゃるおっしゃり方の中から、私はむしろ具体的なものが頭に浮かんでまいります。空港があるけれども定期便が飛んでない、あるいはかって飛んでいたけれども今は飛んでないという空港が、数は少のうございますけれどもございます。そして、そういうふうな状態になったのはやはりいろいろ経緯があってそうなっておるわけでございますが、現在その空港から例えば羽田に入りたいというふうな希望というものにつきまして、その空港の活性化を図る見地からそれを実現しようといたしましても、羽田空港には入らないというふうな現状がございます。ただ、その地方空港を活用する方法といたしまして、地方空港から地方空港へというふうな路線をつくる、そしてそこで輸送がなされるというふうな方法でもって活性化を図るという方法があり得ると思いますけれども、今、現時点においてそれはやはり需要との関連でございまして、国が補助金を出してやるというわけにもまいりませんので、採算ベースに合うかどうかというふうな判断からなかなかそれが実現ができない、こういうふうな状態でございます。  いずれにいたしましても、地方空港を現在以上に利用するというためには、その地方空港の相手の空港というものがどうしても東京、大阪になってくるものでございますから、それを整備を図る。これは今まだ大きな金を費やしているわけではありませんが、緒についた段階でございますけれども、これをできるだけ早くやっていくというのが地方空港活性化の航空政策としての一番大きな問題だというふうに考えております。
  250. 横手文雄

    横手分科員 御答弁の中にもございましたように、それぞれの地方空港の中で問題を抱えておるところがあるわけであります。私は、先ほど来申し上げておりますように、今日の情報化社会の中で国土の均衡ある発展のためには、やはり地方空港の定期便のネットワーク等の整備が必要不可欠であり、一方、発展を続けてまいりました地方航空業界もやや成熟期に入ったような感もあるわけでございまして、したがって、これからは小型化あるいは分散化というようなぎめの細かい対策を進めることによって、それらの活性化への、さらに航空業界の基盤を安定させる道にもつながる、そういった意味でも、それらきめの細かい施策というものは大変重要な時期を迎えた、このように考えておるわけでございますが、今お話の中にありました地方空港のジェット化のための滑走路の延長、現在多くのところで行われておりますけれども、これが一段落をした時点で、新規工事については少し見合わせをする、こんな方針運輸省の内部で決められておるという話も聞くわけでございますけれども、それらの問題についてはどうなっておりますか。
  251. 山本長

    山本(長)政府委員 地方空港の新規のジェット化を今後見合わせるというふうなことについて、私たち方針を決めたことはございません。  先生も御存じのように、この空港のジェット化計画につきましては、第何次計画というふうな空港整備の計画を策定いたしまして、その中で、空港整備についてはこれぐらいで五年間はやっていこう、こういうふうな計画、これは財政全体の枠組みから決められて、その枠組みの中で、航空局といたしましては、運輸大臣の諮問機関でございます航空審議会の意見も聞きながら策定をしていくという進め方をいたしておるわけであります。現在は第四次の空港整備五カ年計画中でございますけれども、計画期間は六十年度まででございます。六十一年度以降まあ第五次ということになっていくものと思いますけれども、こういった長期計画策定の中で地方空港の整備の今後の方針というものも検討していくわけでございまして、この段階で一切やらないというふうな方針というものを決めたわけではございません、今後の問題でございます。
  252. 横手文雄

    横手分科員 それじゃ、これからも第五次計画が組まれて、いまだ滑走路が短くてジェット機の乗りおりができないような空港については、それら延長を含めた整備計画を進めてまいります、このような運輸省方針であるということを確認ををしてよろしいわけですね。
  253. 山本長

    山本(長)政府委員 各地に御要望がございますので、それを踏まえまして、我々はその長期計画の中で検討してまいりたいと思います。
  254. 横手文雄

    横手分科員 滑走路を延ばしてジェット化をしていくということもございますが、それといま一つは、新しい航空機の開発によって、滑走路の延長なくして離着陸が可能であるといった飛行機も開発をされたやに聞いておるわけでございますけれども、それが経済的にどうこう、いろいろな問題もあるでしょうが、これが経済ベースに乗るということになれば、いろいろ問題のある滑走路の延長でなくして、今の千二百メートルぐらいのもので離着陸ができるというのは大変いいことだし、今後に明るい展望を開くと思いますが、この問題に対する運輸省の見解はいかがですか。
  255. 山本長

    山本(長)政府委員 各地からの御要望の中には、先ほど私ちょっと申し上げましたように、空港を拡張してジェット化を進めてもらいたいというふうな御要望と、また余り需要が大きくない、したがって、今のYSクラスでございますとかあるいはそれの後継機、先生が言われたような短い距離で離発着できるような将来の航空機、割合小型になると思いますが、そういったものを使用して、現在の地方空港からのネットワークというものをつくることによって、言うならば地方の高速交通体系の中に組み込んでいきたい、こういうふうな要望がございます。その場合には必ずしも今までやってまいりました空港を大きくする、拡張するという方向ではなくて、むしろ今の空港をそのまま使いながら、割合小さな飛行機でもって各地区を結んで住民の足を確保するという方向でございます。この問題は、それに伴う空港の整備も若干あると思いますけれども、むしろ、飛行機が小さくなることに伴いましてどうしても一人当たりの輸送コストというものが高くなってまいります。日本において小型機における旅客輸送というのがなかなか発展しないというのは、小型機でございましてもやはりパイロットは二人要るというふうなことでございまして、運航費、整備費というものがどうしても割高になってまいります。そういたしますと、他の交通機関の運賃との格差あるいは既存の航空運賃との格差との関係で、その運賃バランスを考えれば企業がやっていけない。それから、やっていけるような運賃を設定するとすればむしろ需要がついてこないのじゃないか、こういうような一つの悩みというものがございます。諸外国において、比較的小さな飛行機でありましてもネットワークが張られておるというふうな例もございます。日本においてもそういう時代がだんだん来るんじゃないかというふうに考えますが、この問題は、空港の整備の問題もないわけじゃございません、ないところには空港をつくらなければならないという意味において空港の整備の問題もございますが、投資の額から見ればそう大きな問題ではないと思います。むしろ、経済性をも確保しつつどういうふうな方法によってそういう航空路の網というものを形成できるのであろうかという点が一番重要な問題ではなかろうかと思っております。この点は、将来の問題としてやはり大きな問題だというふうに我々認識しておりまして、いろいろ検討を始めているという段階でございます。
  256. 横手文雄

    横手分科員 さて、福井空港の問題について具体的に御質問申し上げたいと存じます。  御承知のとおり、昭和四十一年に開港して十年間、福井-東京、福井-名古屋と飛び続けてまいりましたけれども昭和五十一年に休航になったままであります。昨年の六月、福井空港定期便就航期成同盟会が運輸省に対しまして、「福井空航定期便再開について」という御要請を申し上げておりますが、これに対する運輸省の御見解はいかがでございますか。
  257. 山本長

    山本(長)政府委員 この福井空港の定期便就航問題というのは、先生も御存じと思いますが、相当古い、長い経緯を持っておるものでございます。かつて福井から東京にYSが運航していたという時期があったわけでございますけれども、御存じのように、福井空港を拡張してジェット化するといっても、地形上、周り状況からなかなか難しいということもありまして、ジェット化の波の中でむしろ小松空港というものを、自衛隊所管空港でございますけれども、小松の空港を整備し、そこにジェット機を入れ、さらには現在ではジャンボが入っておる、便数も相当あるというふうな状態になっておるわけでございます。  福井県を初め地元から、定期便を再開していただきたいという要望を強く我々も受けております。これは地元の熱意は十分理解いたしておるわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、現在の小松との関係、さらにはあそこには北陸自動車道という道路もできたという関係、それによってYSを飛ばすこととジェット機を飛ばすことによるメリット、デメリットの問題などを考えなければならぬと思います。  さらにまた、先ほど申し上げましたが、現時点においては羽田がもう目いっぱいになっておりまして、例えば福井からここにYSを入れるということになりますと、他の空港を減便しなければ、これは理用の上から、ここで出っ張ればここを引っ込ませなければいかぬというふうな難しい問題がございます。本件につきましては、先ほど最初に申し上げましたけれども、羽田の沖合展開の計画、今後の需要の動向などを見ながら、地元の強い熱意を実現するという方向で、将来の問題として検討させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  258. 横手文雄

    横手分科員 大変消極的な御答弁で、地元の皆さんにしてみれば大変やるせない気持ちでございます。  大臣、いま休航しておる空港についてはそれぞれの事情はあろうと思うのですけれども、ただ、福井空港の場合には、全日空が定期便を停止するときに、休航期間に入るときの念書も入っているわけでございますね、「新東京国際空港開港の時期において再度東京-福井線の運航について」、こういったようなことで。ですから、地元の皆さんにしてみれば、当時羽田がいっぱいだというようなこともあって、そしてどうにもなりません、したがって、成田ができれば羽田もあいてくるであろう、そのときにまた考えようじゃありませんか、こういうことでございますから、それに期待をしていた。ところが、成田ができ上がっても一向にその再開のめどが立たない。したがっていろんな運動が出てきた。そして、今聞いてみると、羽田はいっぱいなんで、もう福井から飛んでくる余地はありませんわ、こんな返事しか返ってこない。  あるいはもう一つは、これは地元としても県としても放置されておったわけではない、いろいろ運動はしてきたけれども、なかなかその定期便の再開が思うように任せない、したがって、はたから見ると何か空港はほったらかしになっておるような形になっておるということでございますから、地元の春江町としても、福井県に対しまして、「福井空港再開に関する意見書」ということで、定期便再開の促進、その他幾つかございますけれども、「尚、県御当局の最善の努力にもかかわらず、その目途が昭和六十年までに立たない場合には、福井空港を廃港とされ跡地利用による地域振興の途を開かれるよう強く要望する。」こういうことにもなってきておるわけであります。仮に地元の皆さん方のそういったことになるとすれば、先ほど来答弁の中にございますように、これからも地方空港は整備していかなければならないという前提に立ちながら、一たんああいったものを廃港にしてしまうと、もう一遍つくるというのはほぼ不可能に近い。ならば、これを何とか再興のめどをつけて地元の皆さん方にも安心をしていただけるし、いましばらくこんなことで、いつごろこんなことになるというような説明も大変必要な時期に来ておる、このように考えますので、あえてもう一度、それらの問題を含めて御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  259. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 福井空港が将来にわたってどういう形であるべきかということが問題だと思うのですね。今お話があったように、もう福井空港はやめてしまって跡地を利用しようということになると、これは新幹線の問題等もありますが、空港としては小松を使うとか、あるいはもう鉄道の分野だけにするのだということでいいかどうかという問題になると、これはいろいろな角度から検討しなければならぬ問題であって、これから先の航空というものの発達のスピードがありますから、私の個人的な見解を述べれば、福井空港というのはやはり要るんじゃないかというふうに思うのですね。やめてしまう、もう将来にわたって要らないというふうにはどうしても考えられない、そう思っておるのです。あなたの一番初めの御質問に対する答弁もいたしたと思いますが、そういうふうに考えます。  ただ、現在の状況で、このままで今東京、大阪へ入れるといいましても、ただ普通では入らないわけですよ。ですから、簡単に言えば、どこかやめてでもとにかく福井は入れなければいかぬという程度の需要もあり採算もとれるという話になれば、これは変わるわけですね、今大阪も東京もいっぱいになっているわけですから。ですから、そういう形の中で一体どういうふうにしていくかという考え方の根本を我々もっと地元の皆さんともよく相談していかなくてはならぬのじゃないか、そう思うのですね。  それから、特にこの際大事なことは、空港というのは、国と地方公共団体がつくるわけですけれども、運航するのは会社がやるのですよ。飛行機をつくったって、会社が、いや、これはもう話になりませんよ、飛べませんよと言えば、つくっただけ、それだけのことになっちゃうのですね。ですから、これは会社もある意味では一体になり、それから福井のいろんな地方の計画がございますね、そういうものと考えて一体どうするかということで、やはり御相談をいただくという以外にはないのじゃなかろうか、私はさように思っております。  ですから、基本的には私は空港については必要があるということで、そこから問題を、今申し上げたように関係の方面でいろんな角度からもっと十分話し合わなくちゃいけないのじゃないでしょうか、さように考えておる次第でございます。
  260. 横手文雄

    横手分科員 もう時間も参りましたので、なんですけれども、今福井県におきましては、この空港の再開に向けて、先ほども申し上げましたような、それらの団体あるいはそのほかの期成同盟等が組織をされて、官民挙げて利用者の掘り起こしをやろうではないか、例えば福井からの出張の場合には出張旅費を払うのじゃなくて航空券でそれを渡すとか、そういったことも考えられるではないか、こんなことが官民挙げて今その相談がなされているわけであります。そして一日も早いその再開が待望されておるところであります。  特に、福井県の産業は、繊維あるいは眼鏡、こういったのが特徴的でございまして、まさに世界の産地であります。特に福井県の繊維あるいはその繊維加工、こういった問題は、特に世界的な技術のレベルを持っておりますから、ただ単に繊維を染める、加工するということではなくして、これをほかの分野にも、繊維の特性を生かしながら何かを加工すれば、これからの新しい産業の中にも食い込んでいける、こういった研究も盛んに行われておるのであります。そうすると、そういったものが、開発をして、これからいくのかどうかという情報は、一日も早く欲しいわけですね。  そういった意味では、やはり東京にすっと来るあるいは東京からも来てもらう。役所の皆さん方にも来てもらって、いろんな話もしてもらう。そのためにはどうしても空港が必要だ。いつまでもその生産基地であってはならない。もっと付加価値の高いものをつくる。そして、いろんな産業の中に、製品の中に、それらの技術を盛り込んでいきたい、こんな意欲を持っておられるわけであります。例えば通産省が進めてまいりましたテクノポリスの構想にいたしましても、近くに空港がありますかとか、こんなのが一つ条件になっているわけでございますから、そして、大臣が今おっしゃいましたように、私は基本的に必要だ、だから関係者皆さんと相談をして、これら開港のために努力をしていくということでございますが、地元のこういったいわゆる熱望をさらに受けとめていただいて、一日も早いこの定期便の再開のために、大臣並びに運輸省皆さん方の御努力を心から要望して私の質問を終わるわけでございますが、大臣、一言これらの要望に対していかがでございましょうか。
  261. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 おっしゃる気持ちも非常によくわかります。そのとおりだと思います。また、今ごろ飛行場のないところには工場は来ませんからね。ですから、地元の方、御熱心にもう十分お考えになっていると思いますが、それと、全体の中においてどういう地位にあってどうすべきかということになるわけでございますからね。ですから、おっしゃることにつきましてはそのとおり、特に地元の御熱意については十分感得することができるわけでございます。
  262. 横手文雄

    横手分科員 どうもありがとうございました。
  263. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。
  264. 宮地正介

    宮地分科員 私は、首都圏におけるところの交通輸送体系の整備拡充の問題につきまして、限られた時間でございますが、運輸大臣を初め関係当局の皆様方に御質問をさせていただきたいと思います。  また、きょうは参考人として営団の総裁には、大変御多忙の中、御協力ありがとうございました。  初めに、既に国土庁が昭和五十一年の十一月に、首都圏の基本計画というものを発表されました。特に東京都を中心といたしました埼玉県、千葉県、神奈川県など大変な人口の急増がここ十年来激しいわけでございまして、そういう中における特にこの通勤ラッシュの解消という問題は、今や重要な社会問題になってきているわけでございます。  特に、初めに私は運輸大臣並びに財政当局の大蔵省に伺いたいわけでございますが、国土庁が既に昭和五十一年につくられましたこの首都圏の基本計画によりますと、「鉄道網の整備に当たっては、混雑の緩和、所要時間の短縮及び安全の確保を図る。このため、複線化、複々線化等の線増、電化、新線建設のほか、相互乗り入れ、鉄道の連続立体交差化、踏切道の整備、追越駅待避線の新設等を図る。」と明確にこの基本計画が述べているわけでございますが、それを実行する特に最も大事な運輸省当局、この見解をまず運輸大臣からお述べいただき、何といいましても実際に計画を実行する最大のポイントは財政問題でございます。大蔵省としては、こうした人口急増の地域に対する交通網の整備拡充に当たっては、どういう基本的な方針をもって当たられているのか、現場の運輸省そしてその根っこである財政当局のお考えをまず伺いたい、このように思います。
  265. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私は、個人のことを申し上げて、なんですけれども、運輸大臣になる前、日本地下鉄協会の会長をいたしております。終戦直後から地下鉄の大拡充を、その当時は役人でございましたが、特に提唱し、都市交通審議会をつくって、その初代の幹事でもございました。今の国土庁の御計画についてもよく存じております。  地下鉄は、大都市交通の見地からはもっともっと拡充しなければならぬ。実はいまの補助制度というのは、大変これも申しわけないのですが、私が政治家として、言うならば小委員長のような格好で今の補助制度を確立した、こういうような関係もございまして、私自身は、これは運輸省方針も御同様で結構だと思いますが、地下鉄網の整備ということは、これはもう最大限のプライオリティーを置くべきものである。補助制度についても、実はことしは少しバックしたような形になって、もう残念でしょうがないのですが、もっと進めるべきである、このように考えております。非常な積極論者でございます。
  266. 日高壮平

    ○日高説明員 大都市交通の整備の重要性については、先生指摘のとおりでございますし、私ども財政当局としても、乏しい予算の中から、できるだけ配慮を続けてきておるつもりではございます。  具体的には、地下鉄に対する助成あるいはニュータウン鉄道に対する助成、さらには鉄建公団におきますP線制度を活用するなど、いろいろな助成制度を活用して今までに予算措置を講じてきているところでございます。ただ、五十九年度につきましては、いわゆる一般歳出を三百四十億円弱削減しなければいけないというような非常に厳しい財政状況のもとにおきまして、前年度に比べて若干の減額になってはおりますけれども、基本認識としては、ただいま運輸大臣が申し上げたとおり、私どもも十分認識しておるつもりでございます。
  267. 宮地正介

    宮地分科員 今運輸大臣から大変積極論者であるという大変ありがたい答弁がありました。しかし、財政当局もいろいろ御苦労がありますが、現実に国費ベースで見ますと、例えば地下鉄の問題と言えば帝都高速度交通営団でございます。この帝都高速度交通営団に対する国費ベースの補助金は、五十五年度百二億円、五十六年度八十二億円、五十七年度九十二億円、五十八年度六十八億円、現在予算審議しております五十九年度、来年度予算ではわずか三十七億円。五十五年ベースに比べますと現実は三分の一に厳しく減ってきておる。大臣のそうした積極論者の御発言と今の主計官の御発言を聞いておりますと、かけ声は結構でございますが、現実にはなかなか厳しいものである。そのために人口の急増しておる首都圏においては、通勤通学者の皆さんが大変御苦労しておる。この実態をどのように考えでいられるか、大臣に伺いたいと思います。
  268. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今補助金について営団の減額というお話がございましたが、これは地下鉄全体の補助制度とは、もちろん関係はございますけれどもちょっと別な角度から、営団の成績が、大変喜ばしいことでございますが、当節余りないのでございますけれども、経営の合理化にも非常に努力しておりますし、人口の関係で人の移動が多いということもございまして、非常に成績が上がっておるわけでございます。したがいまして、その他の地方の、大阪市初め公営交通で大体やっておりますが、やっておるところと比べますと非常に格差が東京についてあるものでございますから、それで補助金は削りまして、辛抱してもらってほかの地下鉄の方へ回しておるという感じなんでございます。しかし、全体として少しパックしましたのは、今主計官から話がありましたように、非常に厳しい予算だものですから少し減っておる、その減っておるもののしわを少し営団に、成績がいいものですから寄せたということなんですが、これはしかし営団も、黒字というわけにいかないので、運賃値上げの問題が出てまいったというようなことになっておるわけでございますけれども、それだけで御判断をいただくということではなくしたいと思っておりますし、営団としてどこをやるか、どこの工事をいつやるかということを決めて、これは順次やっているわけでございますから、その計画を進めていくということだと思うのです。通勤の状態が非常に困っておるということにつきましては、これは東京都を中心にして千葉県、埼玉県、神奈川県、もう全体として相当なものでございまして、営団につきましても、路線にもよりまするけれども、総じて非常な混雑であることはよく承知しております。
  269. 宮地正介

    宮地分科員 具体的に地下鉄有楽町線の問題につきまして、営団総裁並びに鉄監局長に、現状と今後の見通しについて。特に池袋-営団成増間が昨年六月に開通をし、また新桜台間が十月一日から開通をいたしました。今後さらにこれが営団成増から和光、志木、そして西武鉄道沿線につきましては、練馬、石神井公園、保谷と、こういう計画があるようでございますが、現状と今後のネック、見通し、この問題についてお二方から御答弁をいただきたいと思います。
  270. 永光洋一

    ○永光政府委員 今申されました有楽町線の現状は、先生がおっしゃいましたとおりでございまして、現時点におきましては、西武関係では新桜台までの線が通っておりまして直通乗り入れをしておりますし、さらに成増につきましても営団が延ばしております。将来、今言われましたように、さらに新桜台から石神井公園にまで西武の方は新線あるいは複々線化で延ばしていく。現在その西武の方の画でございますが、高架にいたしますために地元との調整問題で手間をとっておりますし、あるいは向原から新桜台まで若干用地買収等の問題がございまして、予定が六十一年三月になっておりますけれども、できるだけ予定どおり開業できて、沿線の皆様方が直通乗り入れによって利便が得られるように努力をいたしておるところであります。さらに、成増-和光間につきまして、あるいは和光と志木との間の工事につきましてもそれぞれ営団、東武が一生懸命やっておりまして、これも昭和六十一年三月にはあわせて開業いたしたいということで、それぞれの予定の目標につきまして努力をいたしておるところであります。
  271. 薗村泰彦

    ○薗村参考人 営団総裁の薗村でございます。いつもお世話になっております。  有楽町線の現状は、今永光鉄道監督局長から御説明がございましたとおりでございます。先ほど大臣お話もございましたように、私どももできるだけ重点的に工事を進めていくということが大事な現在の情勢であろうと思いますので、有楽町線については引き続き重点を置いて工事を進めていきたいと思っております。
  272. 宮地正介

    宮地分科員 六十一年三月開業に御努力いただいておることについては、私は敬意を表したいと思います。既にこの地下鉄の八号線有楽町線の問題は、十数年来計画変更がたびたび行われて、今日に参りました。事務当局としては十分御承知おきと思います。特にこの有楽町線の東武東上線乗り入れの志木までの開通の六十一年三月、これはもう待ったなしである。当初は五十六年十月という開通計画もあったわけでございますし、地元地域住民にとっては恋い待ち望んでいる問題でございます。  そこで、現在和光駅周辺あるいは朝霞駅周辺にまだまだ用地買収のできないネックが二、三あるというふうにも伺っております。この辺の克服をぜひしていただきまして、六十一年三月志木までの相互乗り入れによる開通をぜひ御努力いただきたい。また西武鉄道沿線における新桜台-練馬間あるいは石神井公園の高架問題もまだまだ住民の中には反対運動をしている嫌いもある、このようにも伺っているわけでございますが、こうしたネックを乗り越え、今営団総裁あるいは鉄監局長からお話のありました六十一年三月に向けましてぜひ御努力をいただきたい。決意をもう一度伺いたいと思います。簡単で結構です。
  273. 永光洋一

    ○永光政府委員 その予定の期日に向かって頑張っていきたいと思います。
  274. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、この六十一年三月に特に東武東上線の志木までの相互乗り入れ、それに伴って次の大きな課題は、既に御存じと思いますが、埼玉県西部地域の人口急増、これに伴う通勤通学難解消、この根本的な心臓部は、むしろ志木以北の川越までの相互乗り入れが最大の心臓部である。昭和五十二年三月の当分科会においても、当時の住田鉄監局長にも私は要請をしてまいりました。また、関係の歴代の運輸大臣にも、あるときには二十万人の署名をもちまして陳情をし、また予算の分科会でもその推進方をお願いしてまいりました。この志木-川越間の一般相互乗り入れについては、運輸省としては現在どのように把握おされているのか、お伺いをしたいと思います。
  275. 永光洋一

    ○永光政府委員 恐らく今の御質問は、志木まで一応複線をやっておりますが、志木からもちろんのことであるけれども、その奥の方の利用者の方方の利便を図るためにも相互直通を川越まで延ばしたらどうか、こういうようなお話だと思います。  相直でどこまでやっていくかという問題は、それぞれの鉄道事業者の関係もあると思いますけれども、やはり当該輸送需要がそういう運行系統なりにマッチしているかどうかという問題がまずあろうかと思います。ただ、先生がおっしゃいましたように、あの西部の方は相当発展をしておりますし、輸送需要の伸びも顕著でございますので、我々としても、当面は志木ということであるにしても、今後のお客さんの利用状況等を見まして、そしてある程度の遠距離の方々が非常に御利用いただけるということでありますならばその方向で対応いたしたい、こういうふうに思っております。
  276. 宮地正介

    宮地分科員 御存じだと思いますが、川越市長が会長になりまして地下鉄建設促進協議会というのが既にできて、発足をしているわけでございます。この地下鉄建設促進協議会の協議の中におきまして、特に民間でございます東武鉄道におきましては、この川越-志木間の一般相互乗り入れについて、相互乗り入れ区間については輸送需要等を勘案しつつ交通営団と協議の上、協定をいたしたいということで、具体的には、既に現在川越市の駅には車両基地がございまして、この車両基地を車庫としていくならば乗り入れも十分可能である。また、今鉄監局長が申されましたような輸送需要の面から見ましても、その輸送需要の見通しも非常に明るい。こういうことがこの協議会の中で論議をされているわけでございますし、このデータにつきましても、都市交通年報によりますれば、東上線の川越-新河岸間を一〇〇といたしますと、既に現在実績のあります東武鉄道の伊勢崎線の春日部-一ノ割の相互乗り入れ、これは八五・七です。一日平均で、東武東上線のこの間においては約六万人、現在実績のある春日部-一ノ割間ではもう五万人。こういうようなことから見ましても、既に輸送需要を満たしておるというように考えられるわけでございます。  要は、今後営団がこうした民間の積極的な前向きの対応に対してどのように対応していけるのか、この点についてまず営団総裁に伺いたいし、また首都圏の交通網の整備拡充という国の大きな立場から、私は運輸省がもっともっとリーダーシップをとって調整工作などをしてこの解決に努力すべきである、このように思うわけでございますが、お二人の御答弁をいただきたいと思います。
  277. 薗村泰彦

    ○薗村参考人 今、宮地先生お話は、東武線について現在の計画では志木までの直通運転になっているのを、輸送要請もあることだから川越まで延ばしていったらどうだというお話で承りました。  東武の方のお考えを私どもよく承りまして、私どもは受け取る方でございますから、そういう乗り入れについて対応できるように今から計画を立てて、路線計画をしていくということでございます。その東武の線の中でどこまで直通運転を行っていくかというのは、私これは別に逃げ隠れするわけでも何でもございませんが、東武の会社の計画にマッチできるように私どもは対応して今後とも計画を進めていきたいと思っております。
  278. 永光洋一

    ○永光政府委員 先ほど話がありましたように、両方の鉄道事業者のそれぞれの関係もございまして、例えば車両の運用とかという問題もあるかと思いますが、この問題につきましてはさらに両事業者から十分話を聞きまして、できるだけ御意向に沿うような形でまた話を聞いてみたいと思っております。
  279. 宮地正介

    宮地分科員 この志木-川越間の一般相互乗り入れにつきましても、これは十数年来の悲願でございますので、今お話を伺っておりますと、何か私から今初めて聞いたような感じの答弁でございますが、これはとんでもないことでございまして、もう十数年来、東武鉄道さんあるいは営団さんあるいは運輸省、この関係ではいろいろと論議を呼び、財政的にも厳しい中に推進をされてきたわけでございます。私は、機は熟してきていると思っております。そういう点で、この問題について運輸大臣としての決断を促したい、こう思います。
  280. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 実は東京中心の高速鉄道網について、御承知と思いますけれども運輸政策審議会にかけていろいろ御検討いただいておるところでございます。そう遠くない時期に御答申をいただくことになると思っておりますが、その中にこういう問題も入っておるのだろうと思います。  私は特に川越はよく存じておるのですが、このごろ変わり方が我々の知っておる川越と違います。随分変わっておりますので、おっしゃる点は前向きに、どうしたらできるか、どの程度やれるかということを検討するような時期が来ているというふうに、率直に私は思います。
  281. 宮地正介

    宮地分科員 前向きとの答弁でございますので、今後ともぜひよろしくお願いをしたいと思います。  時間が限られておりますので、地下鉄問題についてあと一点だけ、私は御要望とその対応について伺っておきたいと思います。  先ほどからお話ございましたが、この地下鉄有楽町線の問題は、当初はこれは地下鉄八号線ということで保谷から練馬を通って向原、池袋、それから新宿方面、もう一方は地下鉄十三号線、これが志木から和光を通り営団成増、向原、池袋そして今の有楽町線、こういう二つの計画が、いろいろ財政事情の大変な中から計画変更が行われ、今日のような事態になったわけでございます。でありますから、現実に今池袋-小竹向原間は地下二階を使って地下鉄有楽町線が運行されておる。しかし、現実には地下三階も掘られておる。これはやはり十三号線と八号線という営団と西武、営団と東武、この二つ関係を配慮してそうした工事が進捗し、既に掘られておる。こういう実情から見ましても、余りこれを放置しておりますと会計検査上、地下三階が税金のむだ遣いになるのではないか、こういう世論の非難も受けるのではないかと思います。  そういうことを両にらみで見てまいりますと、この問題はやはり解決に積極的に努力して、既に掘られている地下三階の活用という問題もあるわけでございますので、その点についてもどうか運輸省は慎重に、今行政改革あるいは財政再建という厳しい折でございますので、そうした国民の批判のないようこの問題には取り組んでもらいたい、角度を変え、なお一層の努力を要請したいと思います。簡単で結構ですから、鉄監局長の決意を述べていただきたいと思います。
  282. 永光洋一

    ○永光政府委員 二重の構造につきましては、現在一段しか使っておりませんけれども、将来の輸送需要あるいは交通網の充実という観点から、有効になるものと我々も考えておりますし、そういう考え方のもとに先生がおっしゃいますような考えで対応いたしたい、こういうふうに思っております。
  283. 宮地正介

    宮地分科員 次に、国鉄の川越線、八高線の複線電化の問題を含め、いわゆる通勤新線と言われております宮原あるいは大宮、赤羽、池袋、場合によっては貨物線を利用しての新宿まで、こうした問題が東北新幹線の大宮-上野間の開通に伴って現在計画実施が進んでいるわけでございますが、まずこの点についての現況、また、ネックと言われておりますこの南古谷駅の車両基地問題がどうも相互にいろいろと働いておる、こういうことも伺っているわけでございますが、この辺の相関関係を簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
  284. 岡田宏

    ○岡田説明員 宮原-赤羽間の通勤別線につきましては、六十年春の開業を目指しまして、現在鋭意工事中でございます。なお、その際、南古谷に車両基地を設けさせていただくということで計画を決定いたしておりまして、地元といろいろお話を進めております。これもその時期に間に合うように鋭意進める所存でございます。  なお、一般的に申しまして、川越線は東京の近郊線区といたしまして逐年輸送量も増加をいたしておりますし、電化の可能性について検討を行ってきているところでございますけれども、これにつきましても、国鉄の極めて厳しい財政状況のもとでございますけれども、鋭意検討をいたしまして、近く電化の範囲等につきまして計画を決め、大臣の認可を申請したいというふうに考えております。
  285. 宮地正介

    宮地分科員 私は、この南古谷の車両基地の問題というものは非常に大事な問題を含んでいると思っております。それはなぜかといいますと、今常務理事お話しのように、宮原、大宮、赤羽、池袋の通勤新線の車両基地であるということ。もう一つは、国鉄の川越線、八高線の車両基地であるということが計画として盛り込まれておる。しかし、南古谷のある川越市というところは、いわゆる通勤新線の車両基地がここに置かれる、こういうことでございまして、では、この基地のある国鉄川越線あるいは八高線については今後どういうようになっていくんであろうかということになりますと、一部電化、こういうことで、住民との用地買収の問題等にいろいろネックがあるようでございます。常識的に見まして、やはりそうした基地が別の通勤新線に伴って別のところにできる、そこを通る国鉄川越線は一部電化だけで単線のディーゼルカーが走っておる。これでは住民もなかなか納得はしないと私は思うのであります。  そこで、この通勤新線と国鉄川越線あるいは八高線との連結、こうした問題についてはどのように考えておられるのか。私は、昨年十一月に前総裁の高木さんにお会いしたときには、この大宮、赤羽、池袋、新宿、これと国鉄の川越線、八高線とドッキングさせまして、将来的には首都圏のいわゆる交通体系を整備するので、できれば高麗川から八王子、八王子-新宿、こうした第二の山手線的な、環状的な、そうした大計画もぜひ検討をしていきたい、非公式でございますが、陳情の際、そうしたお話もあったくらいでございます。私は、これは非常にユニークな、また現状を非常に把握したすばらしい構想ではないか、こう評価して帰ったわけでございますが、この点について最後に国鉄並びに大臣の所見を伺って終わりにしたいと思います。
  286. 須田寛

    ○須田説明員 今御指摘のように環状運転と申しますのは非常に能率的な、お乗りかえの少ない輸送形態でございますが、今先生お話しのところはうんと将来の話、ビジョンではまた別でございますが、当面の問題といたしましては、輸送量にかなり差がございます。したがいまして、環状運転には今すぐになじむというものではございませんので、今後の発展状況等よく見きわめながら、また各線をどういうふうに整備していくかという状況をよく見きわめまして関係当局の御指導もいただきながらビジョンを検討すべきである、このように考えております。
  287. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 川越線、八高線を電化して武蔵野線のもう一つ外の環状線にしようという大構想でございます。私も特によく存じておる両線でございますが、とりあえずのところは、部分的に輸送需要に見合った運行をするような方法で考えていくべきじゃなかろうか。将来の構想としては大変雄大な構想でございまして、それも交通の需要というのはわかりませんから、今どんでもないことだといっても現実の問題になる場合もございますし、私は大変大きな構想には敬意を表します。
  288. 宮地正介

    宮地分科員 終わります。
  289. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次に、森中守義君。
  290. 森中守義

    森中分科員 運輸大臣、非常に限られた時間で意を尽くし得ませんが、問題は、あなたが大臣に就任される以前、全国トラック協会の会長をやっておられました全ト協、その全ト脇の主力の一つである社団法人全霊協、これにかかわる問題であります。  本来、この業界に対しましては、社団法人に認可されて以来、運輸省の非常に適切な指導と援助のもとに全国的に感謝している次第でございます。ところが、昨今、殊に九州を中心にこの業界の免許が次から次に乱免乱許といいましょうか、そういう状況があって、しかも例の構造改善が非常に促進をされているやさきに、ことしの一月二十七日、東京陸運局によりまして東京都内及び横浜、この二つの地区に新しい免許が交付されました。そのために非常に心痛いたしまして、きょうもここに会長岡さんを初め東海、近畿あるいは中国、こういう地方からも代表があなたのきょうの御答弁をしかと承りたい、こういうつもりで傍聴に参加しております。したがって、限られた時間で十分お尋ねすることができませんけれども、できるだけ要領よくお尋ねしますから、大臣の方もこの業界の消長をここで分けるわけでございますから、できるだけ責任ある御答弁をちょうだいしたいと思います。  まず、原点といたしましては、自動車運送事業における秩序とは一体何なのか、その秩序における免許制度とは何なのか、この基本になることからまず最初にお尋ねしておきたいと思います。
  291. 角田達郎

    ○角田政府委員 二点のお尋ねでございますが、自動車運送事業の秩序とは、私ども、自動車運送事業が良質で安定した輸送サービスを提供し得るように、事業の公正な経営と健全な発達を確保する、こういうことであろうと考えております。  もう一点の免許制度問題でございますけれども、事業の免許制というのは、このような道路運送法の目的を達成するために輸送需要と供給輸送力との関係、それから事業計画の適切性、事業者の事業遂行能力、そういったものをチェックすることによって自動車運送事業への無制限な参入を防止する役割を果たす、かように考えております。
  292. 森中守義

    森中分科員 免許の場合、当然道路運送法四条の免許の運用が非常に重要なものになってくるわけですが、物流というのは非常に好景気の場合にはいい、不況になればおのずから荷物の奪い合いになる、つまり過当競争になってくるわけですね。こういうものに運送の秩序を保つというわけで免許があるわけですね。ですから、道路運送法四条の免許の運用というのが一体適正に行われているかどうか、適正に行われれば問題は起きないけれども、今回の東陸における二地区への免許というものは、果たして適正であったかどうか非常に疑わしい。つまり、一般区域貨物自動車運送事業の中には年間を通じて非常に物流が多いものと全く物流に変動されない霊柩車、この二つのものが混入しているわけですね。そういうことを避ける意味で、五十五年十一月に運輸省は通達を出された、よく言われておる大久保通達というものですね。これは、確かに霊柩は他の事業と違うよというものを指し示したものだと私は心得ておるわけです。しかるに、今回の東陸における横浜、東京、二地区に対する新しい免許というものは、このことについてかなり抵触するものが多いんじゃないでしょうか。その点、どういうように局長は理解していますか。
  293. 角田達郎

    ○角田政府委員 今お話しの事務連絡、五十五年十一月二十七日付だったと思いますが、この事務連絡は、ただいま先生おっしゃいましたように霊柩運送事業というのは他の一般区域貨物自動車運送事業と実態が違う、したがって一般区域の免許を持っているからといって霊柩事業ができるものではないということが一点。それから、需給のバランスもよく考えてくれ、こういうような点が二点。大体その二点が中心の事務連絡であったと思います。  それで、今東京と横浜で一月二十七日付で免許した事案についてお触れになりましたが、東京陸運局ではこの東京と横浜のそれぞれ一社ずつでございますが、霊柩自動車運送事業の免許をしたわけでございますが、これについては東京陸運局におきまして厚生省あるいは関係の市町村の資料といったものを分析いたしまして、霊柩自動車運送事業の需要量と既存の輸送事業者の実績を調査いたしまして、新規免許を行っても供給過剰にならないというふうに判断して東京陸運局で免許したものと考えております。
  294. 森中守義

    森中分科員 その辺の係数的なものがどうなっているか、ちょっとここでは時間がないから余り問いただしませんが、少なくとも私の聞く範囲では、免許しなければならぬようにユーザーの側から、どうも車の回り方がまずいとか遅いとか、そういうような苦情があったとは全く聞いておりません。要するに、需給がアンバランスになっていたという話はない。しかも、戦後三十八年間というものは東京あるいは横浜に新しい免許申請がない。もちろんその状況の中から当局は、これは新免を出さなければならぬ、増車しなければならぬ、こういうようなことも何もなかったようですね。  それで、特に東京の場合には、葬祭を営んでいた一般区域貨物運送事業者が免許をもらっている。しかもこの業者は一般区域貨物には限定がないのだから道路運送法八条の運賃、料金の認可さえあれば自由に霊柩運送に参入できるという理由のもとに東京地裁に訴訟を起こしておった。運輸省はこの訴訟に被告側という立場で参加しておった。しかもこの公判が進むにつれて、この訴訟にはひょっとすると敗訴するのではないか、そういう懸念があったのかどうかわかりませんが、裁判所側において裏和解というものが出てきた。したがって、この機会に免許をおろそう、そのかわりに訴訟を取り下げる、こういう取引的なもので免許をおろしたというにおいが決してないとは言えないのですね。この辺に、そもそも免許とは一体どういうものかという私がお尋ねした原因がある。その点どうなんですか。
  295. 角田達郎

    ○角田政府委員 確かに霊柩自動車運送事業について訴訟が提起されたわけでございます。それで原告は、一般区域貨物自動車運送事業であるから霊柩運送事業もできる、こういう判断のもとに訴訟を提起したようでございます。一般区域を持っているからその事業ができるのだというような訴訟を提起したわけですが、私どもとしては道路運送法の運用として、一般区域の免許を持っているからといって霊柩ができるものではない、それは先ほどお話し申し上げたような五十五年十一月の事務連絡ではっきりしていますし、私どもも従来からそういう運用をしてきているので、東京陸運局においても、そういう訴訟に負けるから慌てて免許をおろした、こういうようなことではないと考えております。
  296. 森中守義

    森中分科員 そうしますと、五十五年十一月の事務連絡というこの通達は依然として消滅していない、存在するというように確認してよろしいですか。
  297. 角田達郎

    ○角田政府委員 事務連絡は私ども取り消しておりませんので、そういう方針に沿って各陸運局で運用しているはずでございます。
  298. 森中守義

    森中分科員 そうしますと、その東陸における二件の免許が全国に非常に波紋を呼んでいるわけですよ。ですから、今局長が言われたことで結構でありますけれども大臣どうでしょう、貨物運送事業者に免許を交付する場合、免許証を出す場合に、裏の方に、その免許をもって霊柩運送に参入できませんよという何かただし書きでもつけ加えておくとか、あるいは政省令の一部にでも、事務連絡を単なる事務連絡としないで、政省令の中にきちんとうたいとげておくようなことはできませんか。
  299. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 一般の貨物と御遺体とは同じく扱うべきものではないと思います。したがって、そういう通達を出しておることと思いますし、一般のトラック運送免許をもらったからといってそれが霊柩輸送に適しておるかどうかという問題はまた別な角度から検討を要するものだというふうに私も思います。したがって、とりあえずそういう取り扱いになっておるようですが、もっとより明確にせよということでございますので、その点につきましてはもうしばらく検討させていただきたいと思います。おっしゃることは大変ごもっともなことであるというふうに思っております。
  300. 森中守義

    森中分科員 これは大臣、よくお聞きになってください。  この東陸の免許以来、業界は騒然としているのですよ。つまり、あちこちで新免を出そう、そして却下になれば、じゃ裁判にいこうじゃないか、つまり東陸のこういう状況があるから。こういうわけで非常に恐れている。ですから、もちろん業界も大臣の承認に基づいて構造改善事業をやっている。その構造改善とは言うまでもなく送霊分離でいこう、つまり専業者としてやっていこう、こういう立場を貫こうとしているわけですね。こうなってくると、これはそうもいかぬ。しかもその構造改善は、大臣の承認に基づくものであり指導に基づくものです。何もこの業界が免許事業だからといって独占にあぐらをかいているわけではない。しかしながら、構造改善だけは運輸省方針であり指導だから進めなければいかぬということで業界はやっているわけですね。しかし、こうも次から次へ新免を出されるというのであれば背に腹はかえられぬじゃないか。つまり、事業防衛のためにはみずからもやはり参加をして、それで専業としてやっていけなければやっていけるようにする以外にないということで、構造改善事業についても非常に危うくなってきておる。今大臣が検討させてくれということですから、もちろんその余裕は必要でしょうけれども、要するに一般区域運送事業ではそのまま霊柩運送に参入できないという裏書きを免許証にするとか、あるいは政省令に、単なる事務連絡ということではなくて、きちっと正確な根拠を与えておくべきだと思うのです。
  301. 角田達郎

    ○角田政府委員 先ほどから申し上げておりますが、霊柩運送事業というのは通常の一般区域の運送事業と実態が異なるわけですから、一般区域の免許を持っているからということでは霊柩運送事業ができないということは、私ども従来からはっきり各陸連局を指導しておるわけでございます。  先ほどの東京陸運局の免許でございますけれども、これはそういう従来の方針を変更したものでも修正したものでも何でもございません。これは先ほど説明いたしましたように、免許基準に照らして厳正に審査した結果免許したものでございまして、従来の方針をこの免許によって修正ないしは変更したものではないというふうに御理解いただきたいと思います。  確かに先生おっしゃいましたように全霊協で構造改善事業をやろうということで、五十六年に運輸大臣の承認を得て、全霊協加入の事業者の方々が構造改善事業に取り組んでおられることは私ども承知しておりますし、これは好ましいことだと考えております。ただ、そうだからといって一律に、需要のあるところで新規免許が出せないというような法律の運用というのはなかなか困難でございまして、やはりある程度需給のバランスというものを行政庁の側としては見て、そこで厳正に運用していかなければならないと考えております。
  302. 森中守義

    森中分科員 局長の御答弁は大体一般的な説明として理解しますし否定もしませんけれども、やはり全霊にしますと東京及び横浜の二つの免許というのは非常に神経をとがらかしております。しかも係争中に起きた事件であればあるだけに、まさか訴訟を取り下げるなら免許をやるよ、こういう取引があったとは思えないけれども、この辺は業界に誤解を与えないようにもうちょっときちっとしてもらいたいですね。それと、検討さしてくれとおっしゃるけれども、政省令の中にうたいとげるかあるいは免許に裏書きするか、そのいずれかに大臣の方で検討されるというふうに理解していいですか。
  303. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 森中先生のおっしゃられる趣旨は非常によくわかります。よくわかっております。ですから御心配がないようにしなければいかぬ。今まで平和で構造改善事業もやっているしいろいろやっているのだから、私はそのことをよく承知しています。ですからどうすることがいいのか。といって、今自動車局長が言ったように、いやもう今あるままで全然ふやさないのだということを言えと言われてもそれはできぬ。それは道路運送法の基本原則によっているわけで、さっき言ったことは。ですからその中で非常に御苦心、御苦労になっておるのですよ、霊柩自動車の皆さんが。その点十分よく承知しておりますから、どうするのがいいかということについてはひとつ検討させていただく、こういうことで御了承いただきたいと思います。
  304. 森中守義

    森中分科員 わかりました。それでどうでしょう。これは全国的に混乱していますから、一度、混乱を少しおさめるためにも、東陸における今回の免許の背景というのは真相はこうだくらいのことを全国の局長にでも、今角田局長が言われたようなことを一遍説明でもしたらどうですか。
  305. 角田達郎

    ○角田政府委員 私どもそれほど業界の皆さん方が不安を感じているというふうには思っておらなかったわけですけれども、各陸運局に対して東陸のとった措置についての説明等は、やることについて検討したいと思います。
  306. 森中守義

    森中分科員 もう少しいろいろお願いをしたいこともありますけれども、時間も来ましたし、大体御答弁が非常にはっきりしましたから、これで質問を終わります。よろしくどうぞ……。
  307. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて森中守義君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  308. 米沢隆

    米沢分科員 私はローカル的な問題で大変恐縮でありますが、日豊本線の宮崎地区連続立体交差事業の促進の件について御質問をいたします。  宮崎市街地を東西に分断しております日豊本線の連続立体交差事業の促進は、市街地の一体的な整備、交通の円滑化等多大の事業効果があり、早期に解決すべき宮崎県政の重要課題の一つであります。本事業につきましては、昭和五十年四月に事業調査がなされ、昭和五十二年の四月には本事業の採択が決定しているにもかかわりませず、九七年を経過した今日に至るまで進捗率ゼロという実情にあります。  そこで、この際、今日までおくれてきた理由につき、建設省並びに国鉄当局の御説明をいただきたいと思います。
  309. 岡田宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  宮崎県の高架につきましては、五十二年度に事業採択がされたわけでございますが、その後、ここは何分にも日豊本線の国鉄の一つの拠点駅、輸送拠点でございます。したがいまして、旅客駅施設のみならず貨物駅もございますし、また車両基地等の施設もございます。そういったものを高架に伴って移転をする必要があるわけでございますが、そういった貨物施設なりあるいは車両の置き場なり、そういったものの施設の移転という問題につきましていろいろ鋭意検討をする必要があったということが、国鉄側から見まして、今日まで大変計画の決定がおくれまして地元の皆様に御迷惑をおかけしてきたことの一因でございます。
  310. 椎名彪

    ○椎名説明員 お答え申し上げます。  宮崎の日豊本線の連続立体交差事業につきましては、米沢先生指摘のとおり非常に重要な事業でございまして、昭和五十二年度に採択をいたしました。この事業は、御承知のように都市計画事業として実施するものでございまして、そのための手続が必要になるわけでございますが、今日まで関係機関との調整を続けてまいったものでございます。しかしながら、県から聞くところによりますと、その調整もまとまりつつあるやに聞いておりますので、建設省といたしましては、今後とも早急に都市計画決定が行われるよう事業主体であります宮崎県を指導してまいりたい、このように考えているところでございます。
  311. 米沢隆

    米沢分科員 最近、国鉄といたしましても、近くこの都市計画決定に同意をする予定であるというふうにお伺いをいたしておりますが、いつごろになりそうでしょうか。
  312. 岡田宏

    ○岡田説明員 現在、国鉄部内で鋭意審議中でございまして、できれば年度内にも都市計画決定同意の御回答を申し上げたいというふうに考えております。
  313. 米沢隆

    米沢分科員 本事業の都市計画決定が完了いたしますと、今度は都市計画事業の認可、工事協定の締結という手続になっていくわけでありますが、本件の場合、都市計画決定後、事業認可に至るまでどれぐらいの時間が必要なのだろうか、都市計画決定後の建設省の事業認可を急いでもらいたいのでありますが、どのようになりましょうか。
  314. 椎名彪

    ○椎名説明員 御指摘のとおりの手続に入るわけでございますけれども、私どもといたしましては、今後都市計画決定がされたならば所要の手続が早急に行われるように、事業主体である宮崎県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  315. 米沢隆

    米沢分科員 この都市計画の決定がなされて、今度は都市計画事業の認可ということになりますと、今おっしゃいましたように、それぞれの手続等を急がせるという御見解でありますが、問題なのは、国鉄さんはそのおくれた理由について、深くその点については触れておられませんが、やはり内情は御案内のとおり、国鉄監理委員会等の設置によって利益導入の伴わないような投資は極力避ける、また国鉄の財政的にも非常に厳しい事情にあるということで、いわゆる国鉄の都市計画決定の同意という問題も都市計画法第二十三条六項の協議に乗りにくかったというのが本音ではないかと私は推測をするのでございます。したがって、今建設省の方がお答えいただきましたけれども、その言葉どおりにさっさと手続が済みさえすれば、じゃあ工事協定を結びますよというふうになるかならないか、これは我々が非常に心配をしておるところでございます。  事業の認可といいましても、国鉄そのものが工事協定を結ぶことができる段階のめどを踏まないとやりにくいものもあるのではなかろうかとひとり合点で考えるのでございますが、この工事協定は、国鉄が工事協定を結べるような環境になるかならないかということは全然配慮の外に置いて都市計画事業の認可がなされると思ってよろしいですか。建設省。
  316. 椎名彪

    ○椎名説明員 都市計画事業につきましては、これは都市の将来を展望いたしまして必要な施設を都市計画決定をするものであろうかと存じております。
  317. 岡田宏

    ○岡田説明員 先ほど先生からもお話がございましたけれども、今日まで都市計画決定に御同意を申し上げられるのが大変遷延してまいりました一つの理由としては、国鉄の厳しい財政事情ということがあることも事実でございます。  さて、今、工事協定はいつごろかという御質問がございましたけれども、事業認可につきましては、これは建設省側がなされる行為でございますので、国鉄としてはその時期については明確にすることはできないわけでございますが、工事協定の締結の問題を考えてみますと、先ほどお話ししましたように、現在の駅に併設して貨物設備がございます。この貨物設備を移転をする必要があるわけでございます。  そういったものを含めてこの工事の協定が締結をされるわけでございますが、貨物設備の移転ということになりますと、先生も御承知のように、五十九年二月のダイヤ改正におきまして国鉄は貨物輸送に関しまして極めて大きな転換を行ったわけでございます。拠点間直行輸送体制へ転換を行ったわけでございます。そういったことと関連をいたしまして、今後の貨物輸送需要の動向をなお慎重に見きわめて貨物設備を決定をする必要があるというふうに考えておりますので、そういった意味で工事協定の締結に至るまでには若干の時間を要するというふうに考えております。
  318. 米沢隆

    米沢分科員 国鉄が工事協定を結ばれるまでにどれだけの時間がかかるかというのが私どもの一番の関心事でございまして、今おっしゃいましたように、越えねばならないハードルは、一つは宮崎駅の貨物設備と車両基地の移転というものが一つのハードルだということなんでございますが、今おっしゃいましたように、貨物輸送等のこれからのダイヤ改正後の動きを見て貨物設備の計画ができ上がるというお話であります。大体、ダイヤ改正後どれぐらいを見たら貨物設備の計画ができるような一つの資料みたいなものができるのでしょうか。
  319. 岡田宏

    ○岡田説明員 今正確に申し上げることはちょっと難しいのでございますけれども、おおよそ半年から一年の期間を考慮していただきたいというふうに考えております。
  320. 米沢隆

    米沢分科員 ということは、結局貨物のこれからの動向を見るということにかこつけて延ばすようなことはない、こういうことですな。
  321. 岡田宏

    ○岡田説明員 そのようなことはございません。
  322. 米沢隆

    米沢分科員 その際、国鉄の予算事情等がその時点においていろいろとやっぱり問題になってくると思うのですが、この事業の事業費等からして予算事情によって今度はまた引き延ばされるというようなことはよもやありますまいと思うのですが、いかがですか。
  323. 岡田宏

    ○岡田説明員 何分にも、この高架化工事は大変長期の工事を要する事業でございますので、五十九年度あるいは六十年度、六十一年度、そういった今後長期にわたる国鉄の工事経費の規模等について、規模がこの工事の今後の進捗に影響を与えることはあり得るというふうには考えております。
  324. 米沢隆

    米沢分科員 そうありますが、努力したい、こう言ってほしいのですがね。
  325. 岡田宏

    ○岡田説明員 そのように努力をいたします。
  326. 米沢隆

    米沢分科員 それから、国鉄は、このような高架事業等に安全投資という名前で年間約五、六十億、予算を計上しておると聞いたわけでありますが、五十九年度予算は総額、一体どれくらいになりましょうか。  同時に、今、高架事業として継続している事業の箇所数、それから調査段階にある事業名を明らかにしてもらいたい。
  327. 岡田宏

    ○岡田説明員 五十九年度の高架化工事に充当いたします予算につきましては、現在精査中、配分中でございますが、約五十五億円ということを考えております。また、現在高架化工事といたしまして継続中の件名は十四件でございます。  なお、調査中の件名につきましては、山形、伊那、行橋の三件でございます。
  328. 米沢隆

    米沢分科員 そこで、継続している事業箇所数が十四件の中で、完了間際のものはどのくらいありますか。
  329. 岡田宏

    ○岡田説明員 今申し上げました十四件につきましては、現在、いずれも工事の最盛期にございまして、五十九年度で完成をするという工事件名はないと思います。――ちょっと調べさせていただけますか。ないと考えております。  ちょっと補足して申し上げますけれども、現在調査中と申し上げましたのは、五十八年、五十九年度にまたがって調査をする件名が今の三件でございまして、五十七年、五十八年にまたがって、すなわち、今五十八年度でございますので、五十八年度を含めますと、勝川、東舞鶴、武雄、大元、その四件を五十七年、五十八年という二年間で調査中でございます。したがって、五十八年度の時点で申しますと、計七件ということになります。
  330. 米沢隆

    米沢分科員 完了間際のものがなくて、最盛期がほとんどだということで、これはちょっと心配になるわけでありますが、もし五十九年度予算の計上額が引き続き似たような金額が確保できたとすれば、大体十四件の事業を継続的に行うことができるわけでありますから、いわゆる宮崎県の本事業の場合、高架事業だけを見ますと、いただいた資料では、事業総額が約百七十四億円、国鉄負担分が約十九億円とありますが、着工して六、七年かかつて完了するとすれば、年間約三億円前後の資金でございますから、大体現在のような予算額が確保されるならば、引き続き宮崎の方も着工できるぐらいの、そんな難しいものではないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  331. 岡田宏

    ○岡田説明員 先生指摘のとおりでございます。また、まずこの高架工事を進めるに当たりまして、先ほどからもお話を申し上げておりますけれども、車両基地と貨物設備の移転が一番最初になるわけでございます。車両基地と貨物設備の移転につきましては、その用地取得を、これは国鉄工事費が負担をすることになっておりますが、この用地取得を地元にお願いをいたしておりまして、地元の宮崎市の方で御取得願い、国鉄の現在の貨物駅なり車両基地の用地を交換をするというふうに処理をさせていただくということで、いま協議を進めておりますので、そのようなことになりますと、当面、国鉄の工事経費の支出は要らないことになるわけでございます。
  332. 米沢隆

    米沢分科員 かなり明るくなってまいりましたが、あとは三分の二の負担を持つ建設省予算、街路事業費というのですか、この推移が今後問題でございます。その確保については、大半めどが立っておると思いますが、予算事情等々、建設省の方に御答弁いただければ……。
  333. 椎名彪

    ○椎名説明員 連続立体交差事業の予算規模といたしましては、昭和五十九年度は約七百億円を予定さしていただいております。厳しい財政事情の折ではありますが、できるだけこの予算の確保を今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  334. 米沢隆

    米沢分科員 かなり簡明率直に御質問いたしましたので、大体答えも出てきたようでございます。大分明るい展望が開けそうでございまして、心から感謝を申し上げますが、今後なお一層の御努力をいただきまして、早くこの事業が完成するように、何分とも関係皆さん方の御努力を心から祈念を申し上げます。  どうもありがとうございました。以上です。
  335. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  336. 長田武士

    長田分科員 まず、都営地下鉄十二号線の建設促進についてお尋ねをいたします。  昭和四十九年に東京都が地下鉄十二号線の免許を取得して以来、沿線住民は、地域開発の交通手段といたしまして、また、町の活性化を図る上からも早期完成を望んでおる、わけてあります。特に、現在大規模な都市開発が計画されておりますところの光が丘地区、私も先月この団地の視察をしたわけでありますが、既に入居しております皆さんは、希望に胸を膨らませて入居したわけでありますけれども、余りの不便さにほとほと困惑している状況であります。  こうした中で、光が丘地区は学校、公共施設、住宅などの建設が着々と進んでおりまして、本年末には二千三百二十一戸入居が予定されております。そして、六十三年三月までには合計一万二千戸、人数では約四万二千人に上る入居計画が明らかにされておるわけであります。また、これに加えまして高校が二校、そして小学校が二校開設をいたしまして、これらに対する足の確保が最も重要な課題になっております。そして、この問題につきましては、私もこれまで毎年当委員会で早期着工を強く要望してまいったところであります。  折しも、このたび東京都が第一期工事、これは光が丘-練馬間四・二キロでありますけれども、第一期工事といたしまして六十一年着工、そして六十五年完成をめどに準備段階に入っている状況であります。そこで、私は、十二号線建設に当たりまして、より一層促進を図る立場から何点か伺っておきたい、このように考えております。  まず、十二号線についてでありますけれども昭和四十七年、当時の都市交通審議会から出されました東京圏高速鉄道網整備計画の中で整備すべき路線といたしまして答申されたのは御承知のとおりであります。そして、東京都も早期着工に向けて積極的に努力しているわけでありますが、運輸省はこうした十二号線を含む首都圏の新線建設に対しどのように取り組んでおられるのか、また、新線の建設について予算措置はどのようになっておるのか、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  337. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいまお話しいただきましたように、現在の首都圏内、特に東京圏を中心とします高速鉄道網の整備につきましては、昭和四十七年の十五号答申に基づいて推進しておるわけでございますが、全般には必ずしも当初の答申どおり進行しているということは言えない状況にございます。  ただ、そういう中でも、できるだけ人口の急増地域、そういう方面への鉄道網の整備ということに鋭意努力しているわけでございますが、現実には、工事施行のいろいろな意味での困難性も出てきておるのも事実でございます。特に、建設費の高騰あるいは土地取得の困難さというようなこともございます。そういうことで、なかなか進んでいない部分もございます。  ただ、政府といたしますと、地下鉄を中心とします整備あるいは鉄道建設公団を通じましての民鉄線の整備というようなことについてせいぜい努力しているわけでございまして、地下鉄予算につきましては、昭和五十九年度、助成費四百九十億円というのを計上しておりまして、工事費の七〇%につきまして十年間で分割して補助するというような体制をとりまして、これを国と地方公共団体で二分の一ずつ補助するというような制度予定しておりまして、そういうことで、せいぜい現在の状況におきましてできる限りの努力をして整備をしておるということでございます。
  338. 長田武士

    長田分科員 交通事業が果たす公共的役割を考える場合、国の積極的な補助が必要であることは当然であります。現在、地下鉄建設については、国から三五%の補助がなされておりますけれども、補助対象となる建設費の実費は約二五%というふうに聞いております。  そこで、地下鉄建設費に対する国庫補助について、今後引き上げを図ることができるのかどうか、また、地下鉄十二号線のような緊急的な必要を迫られておる新線、こういう場合においては優先的に予算措置を図るべきだと私は考えておりますけれども、運輸大臣の御所見をお尋ねいたします。
  339. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 実は私は運輸大臣になるまで、日本地下鉄協会の会長を務めさせていただいております用地下鉄に対する補助制度というのは、実は私が小委員長で、これの企画立案に当たったものでございます。昭和五十三年に、工事費の七〇%、これは実質は大体六〇%ぐらいになろうかと思っておりますが、七〇%の補助を十年間でやる、しかも、これを国と地方公共団体の一般会計とが半額ずつ、こういうことになっておることは御承知のとおりでございます。  そこで、私どもとしましては、本当は地下鉄というのは、大体百万程度以上の大都市でございますので、限られたところでございますが、どうしても都市交通を解決するためには地下鉄をつくらなければ対処できない、こういうことなので、もっと補助の率を上げる、補助金の額を多くするということ。と同時に、地下鉄は非常に高いものですから、もっと手軽にできないか。ミニ地下鉄というようなものも地下鉄協会などでいろいろ技術開発をいたしまして、東京都が今度初めてミニ地下鉄を採用するというところまで実はいっておるわけでございまして、全体としては国がもっともっと力を入れなければならないことであると存じておりますが、何しろ御承知のような財政窮迫の状態で今年も多少後退をする。極めてわずかですが、大蔵省も苦しい中でございまして、多少後退をするということでまことに遺憾に存じております。私としましては、これはさらに積極的にやらなければならないものと考えておる次第でございます。
  340. 長田武士

    長田分科員 地下鉄十二号線につきましては、昭和四十七年、当時の都市交通審議会から出された答申の指摘を踏まえまして、現在運輸政策審議会で再度検討作業を行っている旨、私伺っております。しかし、運輸省は四十九年八月に十二号の事業免許をしておきながら、今日まで工事の施行を認可していないというのが現状のようですね。これは一体どうなっちゃっているのかなという疑問を私は持っております。東京都では地下鉄十二号線が特に重要な路線であるというふうに認識ししておりまして、一つは、今大臣からお話がありましたとおり小型地下鉄、ミニ地下鉄の採用、第二番目には新技術の積極的な導入、第三番目には建設費及び運営費の節減等々について建設計画の検討を行いまして、積極的に東京都は努力をいたしております。東京都がこうして準備しておる追加工事施行認可申請については、受け付け以前の段階運輸省と調整が難航しておるというのが実態のようであります。私はその話を伺いまして、この点具体的にどうなっておるのかお尋ねをしたいと思っております。
  341. 永光洋一

    ○永光政府委員 四十九年に全線三十八・九キロを免許いたしまして、五十年に今先生お話しになりましたように練馬と高松町間で免許申請。その後の経過としまして、オイルショックがあったりあるいは東京都の財政上の問題があったりで、若干都側にもいろいろ事情があったようでございますが、今お話しのように何とか建設費が安くならないかとか、いろいろなことを御研究になりまして、ミニ地下鉄をここにひとつ導入してみようというお話がございました。それで、工事施行認可は五十年に上がったのでございますが、そういう新しい構想が出てまいりました。それで、新しい構想のもとに追加申請をして工事の中身を少し変えたい、こういうお話があったことは事実でございまして、今事務当局とその建設なり工事費についてお話を伺って、難航しておると申しますか、もう少し何とか建設費が安くならないかというような、構造的にこうだというお話をしているというふうに実は事務的には聞いております。免許し、しかも実態上工事施行認可というお話でありますので、そのあたりをもう少し話を詰めれば、我々としては、東京都の一つの大きなプロジェクトでもありますし、都交審にも出ておりますので、向こうの意向を十分受けとめてやっていきたいと思っております。確かに追加申請を出したいという御意向で若干事前的なお話をしておるということでございますが、先生のおっしゃいますようにできるだけ都の方もその追加申請の中身等について積極的に解明をいたしておるようでありますので、私といたしましても、この件につきましてはできるだけ御意向に沿うような格好でやっていきたい、こう思っております。
  342. 長田武士

    長田分科員 現在東京都が準備しております工事施行申請の件については、光が丘の入居状況と合わせて足の確保という観点から、緊急に必要な路線として、その認可と同時に工事の早期着工が強く要請されておるところなんですね。もう人が入っちゃっているのですから。十二号線の放射部、光が丘から新宿、十二・九キロ、これについて、長期計画の中では昭和六十一年度を初年度とする第一期から第三期までの建設区分で、完成昭和七十年度とすることを既に東京都としては明らかにしております。  しかし、運輸省側は、今いろいろ話がありましたけれども、小型地下鉄として建設費が高過ぎるのじゃないか、コストが高過ぎるのじゃないかということが第一点。第二点は、光が丘の入居者が、三建住社(住宅・都市整備公団、東京都、公社)と地元との折衝によって当初の計画より少ない一万二千戸になりました。理由といたしまして、こういうようなことで認可の受け付けを保留していると私は聞いております。そういう点では、東京都の計画について、もう人も入っておりますし、運輸省もこの点は積極的にすぐ対応してもらいたい。私はこのように考えるわけであります。対応としては早急にできますかどうか……。
  343. 永光洋一

    ○永光政府委員 基本的には全くそのとおりでありますが、たまたま、たまたまと申しますか、事務的にその説明を両者で聞いておる段階でございますので、私がいまここですると言うわけにまいりませんけれども、そういう方向で早く処理をいたしたい、こういうふうに考えております。
  344. 長田武士

    長田分科員 東京都から申請が出ました節は、その折衝の段階であるようですけれども、どうかひとつ前向きでやってくれませんか、運輸大臣
  345. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 とにかく促進させましょう。
  346. 長田武士

    長田分科員 よろしくお願いします。  次に、地下鉄十二号線の大泉地区への延伸についてでありますが、私はかねてより地元練馬区の住民の方々から強い要請を受けております。光が丘以西の大泉地区につきましては、御存じのとおり、北は東武東上線、南は西武池袋線が東西に走っておりますが、両線の間隔が著しく離れております。そういう意味では日常の通勤、通学に大変不便な地域であります。この問題は、昭和四十七年当時の都市交通審議会答申第十五号にも明らかにされておるわけでありますが、光が丘から西へ延伸、特に交通過疎地域である大泉地区、この地域については、地下鉄十二号線の延伸を計画されているのかどうか、今後における大泉地区への路線について、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  347. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいま運輸政策審議会の都市交通部会で新しい東京圏のネットワークの検討をいたしております。現在の審議の仕方といたしますと、東京都あるいは各県から具体的な要望を聞き、また各事業者からいろいろな計画を聞いているという段階で、さらにこれに引き続きまして将来の人口がどうなるか、夜間人口あるいは昼間の就業人口がどういうふうに張りついていくかということも検討して、これから具体的な線別の輸送需要なり、あるいは事業として十分にやり得るかどうかというようなことの検討に入っていくところでございます。  今おっしゃいました高松町から大泉方面への延伸についての検討につきましては、これはさきの十五号答申に一応触れられているところでございますが、具体的にこれをどうしたらいいかということにつきましては、東京都も練馬区北西部の足を確保したいということ、都心周辺の各地域を有機的に連係したいということ、また将来にわたっては埼玉県内への延伸を検討するというような考え方を述べられております。私どももこういう考え方を前提にしながらこれから委員会で検討していくことになるわけでございます。しかし、具体的にこれが路線として可能かどうかという点は、現在の十二号線がいろいろな意味で高松町までがまず非常な困難に遭遇している、実際に建設費の問題、あるいは光が丘の住宅地が当初の計画よりかなり縮小して輸送需要が減少してくる、これでは事業の採算の可能性というのは非常に難しいという現状があるので、現在工事施行の認可がやや難渋しているわけでございますが、そういった状況もまた当然考慮しなければならないわけで、一体これから先、北西部についてどの程度の人口が張りついていくかということを真剣に検討して路線計画をつくっていくということが必要かと感じております。
  348. 長田武士

    長田分科員 御存じのとおり、運輸大臣、大泉地域は非常に交通の不便なところでございまして、これが二十三区かと思うぐらいのところなのであります。そういう意味で、私は、やはり住民の皆さんにはある程度将来プランというものを提示して――これは夢がないようじゃいけないよね、採算がとれなきゃ全然やりそうもないとか、人がどうのこうのなんて言っているようじゃうまくないという感じがするんだね。そういう意味で、ひとつ前向きにやってもらいたい、前向きに。もう一回、ひとつ運輸大臣、その点どうですか。
  349. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 これは今運政審でいろいろやっている中に必ず入るのじゃなかろうかと思っておりますよ。私は、多分そういうふうになるのじゃなかろうかと思っておりますので、前向きに検討したいと思います。
  350. 長田武士

    長田分科員 運輸大臣から非常に明快な答弁をいただきましたから、次に進みます。  次に、首都圏における鉄道整備について、特に現在建設中の通勤新線の問題について何点かお尋ねをしたい、このように考えております。  この通勤新線は、東北本線並びに京浜東北線利用の通勤通学難の解消のために建設工事が進められておるわけであります。国鉄の計画では、赤羽-宮原間の完成昭和六十年三月と計画をしております。私も、通勤通学輸送の混雑緩和を図るこの工事の重要性を強く認識しておりまして、これまで何度か当委員会で、早期建設を目指しこの問題を取り上げてまいりました。  そこで、まず国鉄にお伺いするのでありますが、赤羽-宮原間の工事は間違いなく六十年三月に完成できるのかどうか、この点をお尋ねします。
  351. 岡田宏

    ○岡田説明員 通勤新線赤羽-宮原間につきましては、車両機種の問題でございますとかあるいは大宮駅構内におきます道路との立体交差の問題とか、幾つかの問題は残されておりますが、私どもといたしまして、六十年三月の新幹線上野乗り入れと同時開業を目途にいたしまして懸命に工事を進めているところでございます。
  352. 長田武士

    長田分科員 そうしますと、現在の国鉄の計画のままでいきますと、池袋駅の乗り入れに伴う混雑、混乱、これは大変なことになりますね。そこで、国鉄は、この計画を池袋どまりとした場合、開通初年度と沿線開発の進む三年から五年後について、池袋駅の乗降客の数をどのぐらいに想定しておりますか。
  353. 須田寛

    ○須田説明員 今のお尋ねでございますが、六十年度首の数字、仮に六十年に開通するといたしました場合の推計値でございます。ラッシュ一時間に大体四万五千名ぐらいのお客様が池袋へ入ってこられるものと思います。赤羽線では、現在に対しまして約一万人ぐらいラッシュ一時間で増になると思います。(長田分科員「それは六十年ね」と呼ぶ)さようでございます。  六十五年の数値まで持っておりますが、これは推計値で、いろいろな仮定要素が入っておりますけれども、約五万一千ぐらいになるのではなかろうか、こんなふうに考えております。
  354. 長田武士

    長田分科員 国鉄の計画によりますと、この通勤新線は宮原から大宮を経て赤羽に入ってまいります。赤羽線を使って池袋まで乗り入れることになっているわけですね。  そこで、お尋ねしたいのでありますけれども、このような列車の本数をふやすだけの計画では、私は、現在の赤羽線に対して負担がちょっとかかり過ぎるかなという感じがいたしております。例えば将来沿線の乗客がふえた場合、複々線にするとかあるいは高架にして交通のいわゆる増強を図るとか、そういう計画というのはないのですか、あるのですか。
  355. 岡田宏

    ○岡田説明員 今先生の御指摘の点につきましては、池袋の乗降、乗りかえの問題については確かに問題がございますが、赤羽線自体の輸送力として見ますと、現在赤羽線はラッシュ一時間帯片道十一本の運行を行っております。これが通勤別線の完成によりまして赤羽駅の構内も池袋駅の構内も一面二線と申しますか、完全に複線の形になりますので、線路設備の方の輸送力から申し上げますと、一時間例えば三分ヘッド、二十本程度の運行は可能となりますので、当分の間は線路の設備としては輸送量の増大に対応できるというふうに考えております。
  356. 長田武士

    長田分科員 その点、私、ちょっと負担がかかるかなという感じてお尋ねしたのでありますけれども、当面大丈夫だということですね。  そこで、先ほど池袋の駅の問題を私はお聞きいたしました。この池袋の混雑は今でも一日乗降客が百六十二万と言っていましたね。日本で第二位であります。そういう点を考えますと、私も通勤ラッシュのときに何回か乗るのですけれども、大変な混雑状況ですね。一番最高の混雑状況は大体三〇〇%ぐらいいっていませんか。
  357. 須田寛

    ○須田説明員 現在赤羽線は八両から十両運転にいたしましたので、現在は二四〇%ぐらいの混雑率に一応落ちついております。
  358. 長田武士

    長田分科員 そして今赤羽線は一番線、二番線、ここへ着いていますね。  私、かつて数年前に当委員会で、この赤羽線のホームが非常に危険であるということを話しました。そうしたら、何とか考えましょうということで、赤羽線のホームが増設をされました。  そこで、私の提案でありますけれども、この赤羽線の一番、二番線からおりてくるあのお客さんがまた山手線の方へ入るということで、あそこが非常に混雑をしているのですね。ここいらの対策を考えないと、ましても宮原からの通勤新線が入り込む。そうなると、ますますそこいらが混雑するのじゃないか。そういうことで、この赤羽線を新宿まで通勤新線の延長として乗り入れることができないかどうか、この点はどうでしょうか。
  359. 岡田宏

    ○岡田説明員 先生指摘のとおり、池袋駅におきます赤羽線と山手線の乗りかえは大変な問題になるというふうに考えております。あわせまして、現在山手線の池袋-新宿間はかなり輸送力も逼迫をいたしております。この間には、先生も御承知のように、現在貨物線が一複線併設をされておりますので、その貨物線を利用いたしまして、池袋、赤羽線から入っていきました列車をそのまま直結して新宿方に乗り入れるという構想に基づきまして各般の検討を行っているところでございます。
  360. 長田武士

    長田分科員 検討ですね。やるつもり拡あるのですか。
  361. 岡田宏

    ○岡田説明員 実施をすべく鋭意検討をいたしております。
  362. 長田武士

    長田分科員 私は、昭和五十七年の当委員会でもこの問題を取り上げました。当時、小坂運輸大臣に対しまして、池袋-新宿間の延伸について、山手は貨物線を利用すれば、あとはホームの建設だけで済むわけで、比較的実現しやすい問題ではないか、このように私は提案をいたしました。そうしたところが、小坂運輸大臣は「私も、山手線の貨物線の活用ということに大変興味を持っておりまして、また事務当局からもいろいろと話を聞いております。これは特に東京の通勤緩和、いろいろな面に非常に大きな効果があると期待をいたしておりまして、国鉄としても、なるべく積極的にこれを検討するように期待をいたしております。」こういう答弁をしているわけであります。  そういう点で、どうかひとつ早いところできるようにやってもらわぬと、検討、検討じゃ、もう何年もたってしまうよ。この点、いつごろがめどでしょう。
  363. 岡田宏

    ○岡田説明員 御承知のように、五十九年の二月の時点におきまして新宿の貨物扱いを廃止をさせていただいたわけでございます。そういった意味から、いわゆる貨物線にホームをつくることが可能な条件が生まれたわけでございます。したがいまして、この貨物線を利用しての池袋-新宿間の旅客運転、今の通勤別線の延長運転は実現に向かって大きく一歩踏み出したというふうに考えていただいて差し支えないと思っております。
  364. 長田武士

    長田分科員 運輸大臣、いつごろをめどにやられますか。
  365. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 これはもう可能な限り早くということなんですね。池袋で打ち切った日には池袋は大変ですよ。ですから、可能な限り早く延ばすべきだ、こう私は思います。
  366. 岡田宏

    ○岡田説明員 ちょっと補足して説明をさせていただきますけれども、今の、山手貨物線に旅客列車を運転してまいりますために、線路強化でございますとか架線の強化でございますとか信号回路、その上に、先ほどお話し申し上げました新宿駅に旅客ホームをつくるという必要がございます。いずれにいたしましても、これらの工事を急ぎまして、何とか六十一年度ごろには新宿まで乗り入れが実現するように鋭意努力をしたいというふうに考えております。
  367. 長田武士

    長田分科員 新宿までノンストップですか。どこか駅をつくれませんか。
  368. 岡田宏

    ○岡田説明員 中間の地点に駅をつくりますことは大変困難な状況にございます。
  369. 長田武士

    長田分科員 新宿まではよくわかりましたけれども、地元の人たちは、さらにこれを渋谷までぜひ延長してほしいという強い要請があります。これは現実的に可能ですか、不可能ですか。
  370. 岡田宏

    ○岡田説明員 線路はつながっておりますので、決して不可能ではないわけでございますけれども、問題点といたしましては、現在新宿を出まして渋谷に参りますところに、代々木の駅の構内に踏切が二カ所ございます。この踏切は、旅客運転を行いましてかなり高頻度運転を行うということになりますと、踏切をどうするかという対策が問題だと思っております。したがいまして、東京都あるいは渋谷区長ともよく御協議を申し上げまして、この踏切の処置を何とかつけさせていただきませんと、新宿以南と申しますか、そこの乗り入れ問題というのはなかなか問題があるというふうに考えております。また、渋谷の駅等につきましては、御承知のように、現在渋谷のホームがございますところは、デパートあるいは東横線のホーム等に挟まれて、ここに並列してホームをつくるという余裕はございませんので、その辺についても大いに検討する必要があるということで、いろいろ部内的には勉強を既にいたしております。
  371. 長田武士

    長田分科員 最後に、運輸大臣の御答弁をいただきたいのですけれども、渋谷までは相当困難もあるかなということは私も考えておりますが、しかし、踏切の問題あるいは渋谷駅の駅舎の問題等等、私は、工夫すれば何らかの形でそういう形が実現できるんじゃないかという感じがするのです。どうかひとつ、国鉄と運輸省でこの点前向きに何とがやる方法で、どうでしょうか。
  372. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 貴重な御意見を賜りまして大変ありがとうございます。新宿よりは渋谷まで延びた方が結構であることは言うまでもございませんので、前向きに検討させていただきます。
  373. 長田武士

    長田分科員 以上で終わります。
  374. 中西啓介

    ○中西(啓)主査代理 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、上西和郎君。
  375. 上西和郎

    上西分科員 まず最初にお断りしておきます。私は全く新人でございまして、こういう場での御質問、そうしたことは全く初めての体験ですから、質問する内容あるいは言葉遣い等についてやや当を欠くことが出てくるかもしれません。あらかじめお断りを申し上げ、御了承を得ておきたいと思います。  まず最初、大臣にお尋ねしたいのであります。  私のように鹿児島の、本当に今で言う片田舎に住んでおりますと、諸悪の根源はすべて国鉄の営業収支の悪化にある、それあるがゆえに貨物打ち切り、ローカル線を取っ払う、こういうことになりまして、格差運賃の導入などもそうでありますが、なぜ国鉄はみずからの持てる武器を生かしてもっと大胆に営業収入の増加を図る施策を打ち立てないのか、私は常日ごろ極めて不審な気持ちを抱いておりました。幸いなるかな、今度九州総局長に赴任なさった武藤さんは、地元マスコミのインタビューに答えて、増収に対する知恵をいただきたいと御発言なさっています。ようやく鉄道省のあしき体質から新しい大臣のもとで国鉄も脱皮をしたのかと、私は大変心強く思っているのでありますが、この増収ということに関する基本的なお考えをまずお示しをいただきたいと思います。
  376. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私は、実は昭和十一年に鉄道省へ入ったのですが、ずっと営業関係のことをやっておったわけです。前の一九三〇年代の不況時に非常な営業努力をやったものなのでございます。ハイキングコースを鉄道省がつくるとか、あるいはスキーの講習会をやるとか、あるいはスキー場を開発して山の家をつくるとか、あるいは海の家をつくる、あるいは民宿のあっせんをするとか、とにかく営業活動というものは、そのほかにも一割引きをするとかいろいろな工夫を実はいたしたものでございまして、その点から考えますと、今日の営業というものは努力が足りない、絶対足りない、こう私は思っておるのです。私は、五十八年度も、運賃改定をやめる、運賃改定をやめてむしろ増収努力で収入をふやせ、五十九年度もそう申したのですが、五十九年度どうしても大蔵省との折衝の中で、厳しい予算で、千八百億ほど増収せにゃいかぬということになったのですけれども、本来から言うと、運賃値上げ、運賃のレベルアップをするんじゃなくて増収をする気構えが必要だと思うのでございます。そのように営業というものを考えております。そして、申し上げるまでもないのですが、旅客について見ますと、新幹線ががらがらで走っておる。乗せれば乗せるだけ、本当は極端に言えばただで運べるということになるわけですから、これはもう本当に努力のしがいのあることだと思っておるのです。貨物についても、今度拠点間直通輸送というものをやるのですが、一個列車の単位で動いてくるわけです。この列車が、仮に五十両引けるものが二十両しかなければ、あと三十両はむだな空気を運ぶわけだ。だから、この空気を運ばないようにするためにはどうしたらいいか、こういうことを考えるべきである、このように言っているわけですが――これをやりますと私だけで時間をとってしまいますから、もうこの辺で……。
  377. 上西和郎

    上西分科員 大変心強い大臣の御発言をいただきました。私は、実は当選した直後新幹線の中で「グッデイ」を読みました。大臣と安倍外務大臣との対談を読んで非常に心強く思っておったのであります。こういう大臣がお見えになったときに図らずも当選できて、私は、何としてでも国鉄の旅客局長クラスの感覚で大増収に対して大胆な提言をしたい、こう思っておりますが、最初まず苦言を呈しておきます。  その「グッデイ」が鉄道監督局に来ているのか、政府委員室に来ているのかと、私今日たまたま入手したい、大臣のお顔を拝見したいと、選挙区へ、自宅へ持って帰っているものですから、尋ねたら、どこにもないのですね。何をやっているんだ、国鉄本社は、と私は申し上げたいのです。グリーンのお客に無料で配付している雑誌が監督局にも行ってなければ政府委員室にも配られてない。そんな怠慢があるか。大臣はこのように前向きに御発言になり、お答えになる。局長とか常務理事は一体何をしているのか。私は本当に怒っていますよ。「グッデイ」がない、この一事をもって国鉄当局の怠慢としか私は言いようがない。大臣はこれだけ前向きに御発言なさっている。総裁がしり押しをしよる暇があれば、もっと大胆に営業の問題について知恵を出し合おうじゃありませんか。職員の呼名点呼に行って、はい、いいえと言った、言わない、賃金カット、そんなくだらない暇があるなら、大胆に営業増を図ろうじゃありませんか。こうした意味合いで、「グッデイ」一つを取り上げて、体質改善をまず、大臣を含めて、強くお願いしておきます。大臣の対談が届いてないんだから、監督局に。そうでございましょう。それは答えていただかぬでいいです。きょう確認しましたから。政府委員室にもなかった。僕は愕然としました。こんな国鉄の姿勢でどうなるのか。まずこれは利用者という立場で申し上げておきます。  以下、少しく具体的に御質問をいたします。  まずフルムーン、これは私も実は利用いたしました。大変立派な制度であります。ただし、私使ったときは夫婦合わせて八十八歳に辛うじて到達する年齢でありましたから、七日間で行きました。長男の嫁が青森から来ておりましたので青森まで行ったのです。しかし、実際行ってみますと、帰って家内と共通した感懐は、青森までせめて十日間で行きたい、十五日あれば北海道まで行けるというのが実感であります、使った者の立場から言うと。ところが、週刊誌を総動員してもう二年目になりますが、女性もおいでですが、高峰三枝子のあれは真贋いずれであるかなどということを盛んににぎわしながら、売れた売り上げは二けたでございましょう。三けたになってないでしょう。私は、だからここで大胆に、去年二ランクにしたことは知っていますけれども、今年はせめて十五日の、もう一つ上のランクまで、金額張り込んでもいいから。そうすると、合わせて百二十歳ぐらいのお方々も陣づくりとグリーンを利用して、国鉄のよさを満喫をしてディスカバージャパンができる、私はこういう発想ております。そうした点について、フルムーンのあともう一つ長期のランクを増設するお考えありや否や。  さらには、四月いっぱいで切れますね、利用が。あと一カ月延ばすようなお考えはないのか。当初よりか一カ月延びておりますけれどもね。それについてちょっと御見解を。
  378. 須田寛

    ○須田説明員 大変貴重な御意見をちょうだいいたしまして、感謝申し上げております。  フルムーンにつきまして、今年度から十日分の発売をいたしました。北海道や九州のような非常に遠方においでになりますお客様に御好評いただいておりまして、十日間のフルムーンはかなりの売れ行きを示しておりますので、先生指摘のように十五日がいいのか、また十二日がいいのか、いろいろ長期のフルムーンが必要だということは当然考えられますので、次回検討いたします際に、先生の御意見も参考にさしていただいて、通用期間の方も検討していきたいと思っております。  それから、今回もまた、本年の秋からでございますが、第四回目を実施するつもりは持っております。したがいまして、今回やはり、今売り出しておりますのはもう四月いっぱいということで一応売り出したものでもございますし、この種のものは盛り上げが必要でございますので、一定のところで期限を切って、次の作戦を立てる方がよろしいかと思っておりますので、現在フルムーンの通用期間は、今やらしていただいておりますような状況でやりたいと思っておりますが、また秋にはいろいろ新機軸を盛り上げまして、先生の御指導もいただきながら新機軸を出してまいりたい、こんなふうに思っております。
  379. 上西和郎

    上西分科員 大変前向きの御発言で大変ありがたいのでありますが、ここであえて注文をつけておきます。  当初、フルムーンの発売箇所は、鹿児島鉄道管理局の場合、西駅旅行センターのあるところと限定されましたね。私はそこまで買いに行ったのです。その翌年、大分、鹿鉄と折衝をして、鹿屋駅でも志布志駅でも売るようにしてもらいました。そして、鹿屋駅の発売第一号は私は妹夫婦に買わしたのです。そういったことを、フルムーンつくったからいいじゃいかぬのですよ。発売はどうなのか。週刊誌が取り上げてにこにこ笑っていてはだめで、あと一つ前向きに、本当の意味で体質改善で、やっぱり瀕死の状態でリンゲル注射打っているんですから、もっと大胆な、そういった発想の転換をやっていただきたい。  なお、ちなみに私は選挙区鹿屋で言ったのです、大学生の子供さん方の卒業式はフルムーンで行けと。これで大分行ってもらいました。ちょうど八十八になるのです、大学を卒業するお子さんをお持ちの方々は。東京までフルムーン、上がりましたが、七万五千円で行けるじゃないか、あらこんな便利なものがあるのということで行くんですけれども、いかんせん国鉄独自のPRがないんです。これは後からまとめて申し上げますけれども、そうした意味の若干の提言を申し上げておきます。  二つ目にお尋ねしたいのは、Q切符であります。少なくとも私が大型時刻表――私は最もこれを熟読しておりまして、愛読書でございますが、もうここ二十年ぐらいあれは非常によく読んでいるんです。驚くのです。Q切符は何と九州と北海道にしかないのですね、現在。そうでしょう。私は上野-仙台間ということを知っているのですよ、仙台駅で買ってみたことがあるから。しかし、今大型時刻表を見ますと、九州と北海道ではQ切符、こうなっている。果たして四国とかほかの区域でこうしたことをやっているのか、やっていないかということを含めてちょっとお尋ねしたいのでありますが、実は地元のことを言って恐縮ですけれども、鹿児島鉄道管理局、鹿児島本線に限って言いますと、西鹿児島-熊本、西鹿児島-福岡、西鹿児島-北九州の三本しかないのです。ところが、すべての特別急行列車がとまる原発で有名な川内、ツルの渡来地出水、ここら辺から出るQ切符は一つもないのです。そうでございましょう。だから、一体、Q切符ありますからと言って、鹿児島本線で言えば県庁所在地の鹿児島、西鹿児島駅だけ起点で三本設けている。なぜ川内とか出水とか、あるいはほかの県でも出てくるでしょう、あるいは西鹿児島-宮崎はどうなのか、別府はどうなのか。こうしたところに、はっきり言って大臣以下、総裁以下皆優秀な方がおいでなのに、なぜそこまで気配りがないのかと不思議でたまらないんです。したがって、Q切符についても全国的な体制づくり、あるいは現にあるもののあと一つスタートの都市を、駅をふやしていく、対応区間をふやしていく、こういうお考えはないのか、お尋ねしたいと思います。
  380. 須田寛

    ○須田説明員 現在Q切符は全国で二百七区間ございまして、今先生おっしゃいましたように、九州、北海道にもかなりございますが、実は本州線内にもかなりございます。北陸にもございますし、それから東京近郊のものもございますので、必ずしも九州、北海道だけじゃございません。ただし、やはりこれらは競争条件ということを頭に描いて考えておりますので、国鉄として、飛行機に対しましてあるいはほかの交通機関に対しまして、比較的競合関係の少ないところには確かにつくっていないわけでございまして、その辺が、先生が御指摘のように必ずしも全国ネットになっていないうらみがあろうかと思います。  それから、今先生の御指摘がございました川内、出水でございますけれども、川内-鹿児島間におきましては、実はS切符と申しまして、Q切符ではございませんが、簡単な往復割引の企画商品はございます。やっぱり先生おっしゃいますように、こういった企画商品というのは相当あちらこちらで親しんでいただいてまいっておりますので、極力今の競争条件、市場条件等を考えながら、拡充をする方向でこれからも取り組みたい、こんなふうには考えております。
  381. 上西和郎

    上西分科員 今、前向きに検討という御発言ですから大変ありがたいのでありますが、私の申し上げたのは、川内-西鹿児島にいわゆるショート切符ですね、これがあることは知っているのです。私が申し上げたいのは、川内-鹿児島ということもあるでしょうけれども、川内、出水から熊本、福岡、北九州に行く方も結構おられるわけですね。そうすると、西鹿児島から行くのはQ切符がある、出水、川内では何もない。これを八代、水俣、こう広げていきますと、やっぱりすべての特急が停車する駅だけに限ってでもQ切符制度の抜本的見直し、増設ということをやるべきじゃないでしょうか。九州高速道ができたおかげで、例えば西鹿児島-宮崎は、バスに比べて二百円割高になる、今度格差運賃まで入ると。そんなことを考えていきますと、大胆な、今大臣がおっしゃったように、空気や風を運ぶくらいなら、やっぱり少々割り引いてでも乗客を乗せる、このことが大事じゃないかと思いますから、重ねてお願いをしておきます。  三番目、これは私、ここ五年間執念を燃やして、野にあるときも声を大にして聞きました。しかし、バッジをつけているといないとでは発言力に雲泥の差がありまして、きょう初めてここで発言する機会を得たのでありますが、私は極論を申し上げますと、今から申し上げる航空機対策のS切符について、大臣以下国鉄当局が本当に本腰を入れて真剣に取り組むならば、羽田空港から八重洲口に大和民族の大移動が行われると確信をしているんです。一千億年間増収間違いありません。  というのは、もうあなた方は御承知の方も多いと思いますが、私の後ろにおられる方は初耳の方もおいででしょうが、これは九州が出している「エル」ですね。これは調査室に来ていました。九州のが来ておって本社のが来ていないところに、国鉄の摩訶不思議な現象があるのです。これにS切符というのがある。一例を挙げましょう。西鹿児島駅から東京まで往復して、ブルトレ、在来線の寝台特急プラス新幹線あるいはL特急プラス新幹線、いずれをとっても十八日間の範囲で有効とし、全車座席指定、寝台料を含め往復料金三万二千八百円なんです。これを航空機ですと、全日空も東亜国内航空も、日本航空は飛んでいませんから、鹿児島-東京間は七日以内五万六千八百八十円になります。これを細かくリムジンバスだ、モノレールだと行きますと、二十三区内は国電で行けますからさらに差が広がる。二万四千円違う。朝食と昼飯をあるいは昼と晩を列車の中で食べたところで、仮に一食千円としたら二万二千円。少なくとも二万円以上浮くのです。私は、少し生々しい話になりますが、来月平塚で私の先輩の息子さんの結婚式があるのでぜひ出てくれというので、私は快諾をしました。事のついでに、先輩は私の選挙区にお住まいですから、御親族はどうするのか、いや上西君、飛行機よとおっしゃるので、S切符知っているか、S切符って何か、ローカル線ですからわからない。私が事情を御説明したら、十人行けば二十四万円、二十人行けば四十八万円も浮くじゃないか。じゃ一族郎党挙げてS切符へ。たった一言で鹿児島県では乗客が二十名も東京まで往復してくるのですよ。そうしたことについて、皆さん方は御承知と思いますけれども、この制度があるにもかかわらず、こうしたことをやっているのは熊本鉄道管理局、大分鉄道管理局、鹿児島鉄道管理局。全国二十九の管理局のうち三つなんです、S切符やっているのは。割引切符は別ですよ、門鉄がやっているのは。だから、大分、宮崎、鹿児島、熊本から大阪、名古屋、東京はあるけれども、佐賀、長崎から大阪、名古屋、東京というS切符はないのであります。  大臣、おかしいじゃございませんか。かつてのベテラン営業屋の大臣にあえて申し上げますが、武藤総局長に僕は申し上げた。これを見てびっくりした。佐賀、長崎載っていない。これは国鉄の殿様かたぎのあしき残滓なんです、僕に言わせると。そこまでダンピング、そこまで安売りしなくても、腐ってもタイだというお気持ちがおありじゃないかと思う。Aクラスの局はやろうとしないから、これから先の問題は私はあえて大胆に指摘しますが、今申し上げたように、都道府県庁所在地で言うと、大分、宮崎、鹿児島、熊本からはある。ところが、その反対の大阪、名古屋、東京から四つの県庁所在地に対するS切符はないのであります。だから、両親が東京にS切符で来る。息子夫婦がいるから、たまに帰ってこい、S切符使え。東京の窓口に行くと、どこも売ってくれないのです。そんなのありません。こんな、悪いけれども不公平な摩訶不思議なやり方はありませんよ。  繰り返し申し上げます。リンゲルを打って、瀕死の重症であえいで、不本意ながら仮想距離まではじく、格差運賃まで導入しよう、そこまでなっている国鉄が、なぜ鹿児島からはいい、なぜ東京からはだめなんですか。素朴な疑問があるんです。その辺についてまずお答えいただきたいと思います。
  382. 須田寛

    ○須田説明員 先生おっしゃいますように、各地から東京に対するいろいろな企画商品が実は設定されておるわけでございまして、今の、九州からのS切符もそうでございますし、Q切符でも東北各地からあるいは上信越からも東京向けのものは随分たくさんあるわけでございます。そのすべてが、先生おっしゃるように片道発売では実はございませんが、確かに、先生がおっしゃるような片道発売のものが相当数ございます。これはなぜかと申しますと、従来、こういった特殊な切符は全部手作業で売っておりまして、手書きの切符を売っておったわけでございます。つまり、印刷した乗車券を売っておったわけでございます。そういたしますと、東京でございますと山手線内に大変たくさんの駅がございますので、その一々にそういう切符を置いておかなければいけない。その中で、発売実績の非常に少ないものでございますと、職員の取り扱いの際に非常に複雑になるということがございまして、東京の局がこういった切符を置くことにやや消極的であったことは事実でございます。  ただ、最近、今のような御指摘がかなり出てまいりましたので、私どもはこういうQ切符、S切符のものをコンピューターに入れることを考えておるわけでございます。こうなりますと、ボタンを押すだけでどういう切符でも発売が可能になりますので、そういったような発売の対応の仕方を少し変えまして、逐次、東京でも逆の発売ができるように、少なくとも向こうから売るものはこちらから往復で売れるように、これを建前として処理していきたいというふうには考えております。  それから、問題は、東京でいろいろこういう各種の切符を発売宣伝をいたします場合に、若干その宣伝が散漫に流れることもございますから、東京で宣伝をやりますときに、やや重点的にやりたいという気持ちはございますけれども、やはりそういうふうな発売態様を機械に変えることによりまして、極力やはり公平感からいきましても両方で売るのが建前だと思いますので、そういうふうに処理をしていく方向で、今いろいろそういった機械に乗せることで考えております。
  383. 上西和郎

    上西分科員 大変前向きのお答えをいただいて、うれしく思うのでありますが、私は、ただ単に自分の選挙区のことを言って、鹿児島を認めると言うだけでなくて、なぜ北海道にS切符をつくらないのですか。青函連絡船、私は週刊新潮の広告をよく見ています。あれを見ますと、青函連絡船は本土に旅行する者わずか三%でしょう、利用率は。そんなところまで今落ち込んでいるのを回復するのはSしかないですよ。函館、札幌、釧路、旭川、せめてこのあたりにはS切符をぴしゃっと認めてやる、こうしたことをむしろ今、極端なことを言うと、各地方のB級、C級の管理局長の権限に任せて――悪いけれども、言葉はちょっと不適当かもしれませんが私生児扱い、だから大型時刻表に載っていないでしょう、このS切符は。やはり国鉄運賃の認知をし、ちゃんと大臣が認めて、そしてこういうことを一生懸命やっているから鋼鉄も札幌も青函もやれという形でやらない限り、僕は本当の意味での国鉄の再建はあり得ない、格差運賃導入なんかというこそくな手段の前に、このいわゆる航空機対策をもって任ずるS切符を全国にネットをする、このことを大臣に提言をしておきたいと思います。  あわせまして、今お答えがありましたけれども、具体的なことを申し上げておきます。  一昨年の夏、鹿児島の県議会は、定例議会が済んだ後、各常任委員会が全国に視察旅行に行きました。そのうちのある委員会が大阪、関西方面を回ったのです。鹿児島は集団就職していますから、鹿児島出身者の若年労働者がいるところをずっと回った。トップは中山製鋼でした。ずっと回って歩いて、鹿児島県の大阪事務所で、帰ってきて集約の結果、第一番に出たのは、若い労働者が、交通費が上がり過ぎて郷里に帰ることが非常に困難になった、これが一番寂しいと言っているのです。ところが、彼らにS切符を言っても、大阪も天王寺もそっぽを向いているんです。自称Aクラス局、腐ってもタイという鉄道省の悪しき残滓が残っているからだ。ここでやはり大胆に、鹿児島や宮崎、大分、熊本はやっているんだから、これをきちっとやっていただく、それが働く勤労青少年に、やはり国鉄はいい、安全で安くて信頼できる――国鉄の利用者をリターンすることなくして、どんなことをやっても、今の国鉄の症状はよくならない、私はこういう感覚を持っているものですから、言葉が過ぎるかもしれませんが、あえてそのお答えの迅速な実現をお願い申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。何かありましたら……。
  384. 須田寛

    ○須田説明員 今先生に申し上げましたように、極力とこの管理局でも、そういう切符について迅速的確な発売ができるようにいたします。  ただ、北海道につきましては、ちょっと私どもの考え方を一言申し述べさせていただきたいのでございますが、これはやはり飛行機と鉄道とで相当な条件が違っております。九州のようにレールがつながっているところとはかなり違っておりますので、これは今のS切符、Q切符式の方式だけでは私は十分でないと思っております。今どういうことをやっておるかと申しますと、片道飛行機を御利用いただいて片道鉄道というふうな商品をつくっております。それから、札幌までつまり千歳まで航空機を御利用いただいて、北海道内は当方を御利用いただくという、そういうセットの商品を置いております。これはQでもSでもございませんので、先生のおっしゃるような一覧表の中にはあるいはないかと存じますけれども、そういうふうな知恵もあるわけでございます。したがって、Q切符、S切符だけがすべてではございませんけれども、あらゆる方策を講じまして、さっき大臣がおっしゃいましたように、お客様に御利用いただくということで考えてまいりたいと思っておりますので、いろいろな方策が地域ごとに違うということだけはひとつ御理解賜りたいと思います。     〔中西(啓)主査代理退席、主査着席〕
  385. 上西和郎

    上西分科員 今、大臣の前向きの御答弁に続いて、国鉄当局から非常に建設的な前向きの御発言がありました。私は国鉄を利用してきた者で、一昨年だけでもS切符を十回利用しております、上京に当たって。乗らない列車はないのです。そういった観点から、少し具体的なことを御指摘しておきたいと思いますで  一つは、大型列車時刻表、日本国有鉄道監修、あの連絡早見表の中に、九州で言いますと「日南」と「かいもん」が一昨年落ちていたのです。これを私は鹿鉄の交渉の中で指摘したら、営業部長以下みんな真っ青になりました。連絡早見表に載ってなかった、「日南」と「かいもん」が。それで私が指摘をした。そして、交通公社の本社かどこかに連絡した結果、おととしの十一月の大時刻改正、大ダイヤ改正のときに載せる、と。以来、載っているのです。そういったところがあるのです。L特急でないから載せない、ブルトレじゃないから載せない、急行寝台だから載せないという感覚がおたくの本社にあったわけですよ。  それから、もう一つ申し上げておきますと、例えばこの「エル」が各駅に来るのです。私毎月もらっていますけれども、乗ったときはもらう。駅で分けてもらってずっと持っていますが、これをどう活用しているかといいますと、鹿屋の市役所の住民待合室に。行って置いているのですよ。それで、僕は駅長さんにやかましく言って、そんなことではいかぬと言って、市の広報担当の課長のところにこれを持っていかせた。そうしたら、わあ、S切符っていいですなということで、市の広報に書いてくれた。そういうきめ細かな努力を現場長の皆さんにしてないから、呼名点呼でトラブルを起こすようなへまが出てくるのだ。むしろ各現場長は、国鉄があろうとなかろうと、そういうところに、こういう新しい切符をつくりました、できましたから御利用ください、そうしたことを、市町村の広報が毎月出るのですから、その一隅に日本国有鉄道から、○○駅からのお知らせということで載せていく。さっき言ったように、フルムーンで大学卒業式に行きましょう、こういうのを載せていけば、国鉄はやはり公共企業ですから無料で載せてくれるのです。鹿屋でそうでした。私は自分が民間企業の出身ですから、私の職場は大体四半期に一回市町村の広報に、どれだけ自分の会社、電力ですけれども、半ば公益事業だから、電力のことが載ったかというのを市町村ごとに全部集計する。そういう御努力は、僕の伺っているところでは、各管理局も総局も本社もなさっていないようにお見受けします。言葉が過ぎるようでしたら御訂正いただきたいと思いますが、そうしたきめ細かな、あと一つ突っ込んだPR、旅客に対するお知らせ、サービスということをぜひ大胆に展開する中から、今や国鉄は瀕死の重体と言われておりますけれども、古きよき時代の国鉄とまでいかなくても、少なくとも日本国有鉄道のよさが満喫できる営業政策の確立、このことについて大臣以下皆様方が一体となって御努力されることを心からお願いをしたいと思います。今のことについて何かございましたら……。
  386. 須田寛

    ○須田説明員 いろいろ貴重な御意見を拝聴させていただいて感謝申し上げておりますが、いまおっしゃいましたPRということは非常に重要でございまして、商品がよく知られていない、もっとこういう商品があるのだということをよく知らせるようにというような御意見はよくございます。  ただ、お言葉もございましたけれども、地域の広報誌を使わせていただいておるところもかなり実はあるわけでございます。ただ、駅長なり管理局において一様ではございませんので、先生がおっしゃるように、まだまだ十分でないところがあろうかと思いますが、やはりそういった地域に密着ということを総裁からも非常に強く言われておりますので、よく現場をあるいは管理局を指導いたしまして、地域と密着したそういう広報宣伝につきましても力を注いでまいりたいと思います。ありがとうございました。
  387. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 おっしゃることは全く同感でして、営業の観念が後退しているのですよ、営業という観念が。私はそう思います。ですから、これは総裁初め皆さんに営業の観念で徹底してもらわなければいかぬ。私は悪口を言うようで、国鉄の悪口じゃないが、営業局というのは首あったけれども、今営業局というのはない。旅客局、貨物局。営業という名前が地方にもみんなあったのですけれども、今は管理局に営業部長というのがあるくらいで、あとはみんな営業という字はない。商売というのがなくなっちゃっている、こう言っているのですが、これは本当に新総裁初め努力していただきたいと思っております。非常におっしゃることは私は胸をつくものがございました。それと、いろんな利用なさる方の意見をもっと吸い上げる必要がありますね。どうもいろいろありがとうございました。
  388. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今、上西先生からいろいろ貴重な御意見を拝聴いたしました。実は私就任したときに、大臣が就任されましたときに私に、一割くらい増収ができないかというような御指示がございました。私、営業の方の専門ではないのでございますが、営業からいろいろな話を開いておりましたが、その中でやっぱり一番強く感じましたのは、今、先生から御指摘がありましたように、待ちの営業をやっている、ウエイトの営業をやっている。逆に、出ていく営業が必要ではないか。殊に過員も出てくることでございますから、今、そういう方向で各市町村あるいは老人会その他にいろいろと出ていって営業をするというような方向を、御指摘のようにQ切符、S切符等も国民の皆さんは案外知らないという実態があると思いますので、これらにつきましても一生懸命努力をいたしてまいりたいと思いますし、今御注意がありましたいろいろな点についても、できることについては実現するように努力してまいりたいと思っております。
  389. 上西和郎

    上西分科員 ありがとうございました。
  390. 原田昇左右

    原田主査 これにて上西和郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、運輸省所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  391. 原田昇左右

    原田主査 次に、郵政省所管について政府から説明を聴取いたします。奥田郵政大臣
  392. 奥田敬和

    奥田国務大臣 郵政省所管各会計の昭和五十九年度予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は、二百四十五億一千二百万円で、前年度予算額に対し、三億二千八百万円の増加となっております。この歳出予定額には、宇宙通信政策の推進とニューメディアの振興に必要な経費を初め、電波資源の開発と利用秩序の維持など、多様化する情報社会と増加の著しい通信需要に対応した施策のほか、国際放送の充実を含む放送行政の推進、国際協力の推進に必要な経費等を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は、四兆三千五百六十三億二千五百万円で、前年度に対し、一千五百四十五億九百万円の増加となっております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便サービスの改善と需要の拡大に必要な経費を初め、郵便貯金、簡易保険・郵便年金の普及推進に必要な経費、郵便局舎等施設の整備及び事業経営効率化のための機械化を推進するのに必要な施設費、その他所要の人件費などを計上しております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和五十九年度単年度で百五十五億円の欠損を生ずる見込みで、年度末では過年度のものと合わせて四百四十八億円の累積欠損金が見込まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出ともに六兆八千七百四十三億三千三百万円で、前年度に対し七千三十二億三千八百万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は五兆八千五百四十三億五千九百万円で、前年度に、対し四千九百一億二千七百万円の増加となっております。歳出予定額は三兆七千八百一億五千八百万円で、前年度に対し六千八百五十一億九千九百万円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は一千百二十五億七千八百万円で、前年度に対し、百二十九億二千万円の増加となっております。歳出予定額は百五十三億二千二百万円で、前年度に対し、五十六億九千二百万円の増加となっております。  最後に、日本電信電話公社の予算案につきまして概略を御説明申し上げます。  事業収入につきましては、四兆五千三百二十五億円で、前年度に対し、二千四十一億円の増加となっており、事業支出は、四兆三千五百三十二億円で、前年度に対し、一千五百五十三億円の増加となっております。  建設投資につきましては、一兆七千百億円といたしております。これにより、一般加入電話百十万加入の増設等を行うとともに電気通信網の維持改善に特に配意することといたしております。  また、昭和五十九年度限りの措置として、昭和五十八年度の経営上生じた利益のうち、二千億円に相当する金額を昭和六十年三月三十一日までに国庫に納付することとなり、これに関し、昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案が今国会に提出されたところであります。  これらの建設投資のほか、電信電話債券の償還、国庫への臨時納付金等に必要な資金は、二兆五千七百十一億円となりますが、その調達につきましては、内部資金で一兆五千百九十七億円を、特別債、借入金、財政投融資等の外部資金で、一兆五百十四億円をそれぞれ予定いたしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計の昭和五十九年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  393. 原田昇左右

    原田主査 以上をもちまして、郵政省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  394. 原田昇左右

    原田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  395. 井上普方

    井上(普)分科員 お伺いいたしたい点が多々あるのでありますが、きょうは時間の関係もありますので、言いたいことの三分の一ぐらいしか聞けぬだろうと思いますが、これはひとつなにいたしたいと思います。  そこで、私は、田舎へ行きますと、郵政と電報と電話局との交差するところで一体どうなっているんだ、電報部門においては電電公社の方で大赤字ということを聞くのであります。電報を扱っておる電電公社の職員は肩身の狭い思いをしておる。しかし、話を聞いてみると、えらい四百五十五億円もともかくこれに行っておるらしいのであります。あるいはどのくらいか知りませんが、一体どういうような会計のやり方をこの電報事業において郵政省に委託する場合やっておるのか、ひとつ金と手続等々についてお知らせ願えればと思います。
  396. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま先生の御指摘になりました電報のことでございますけれども、電報の利用道教は、昭和三十八年度の九千四百六十一万通をピークにいたしまして、漸次減少を続けてまいりましたが、五十三年度以降は微増の状況にあります。このような中で、電報の基本的性格から、かつての緊急的な記録通信手段から、儀礼的な慶弔電報が大宗を占めるように利用のあり方が変わってきておりますが、なお年間四千三百万通に及ぶ利用があります。  他方、電報事業について大きな赤字を生じていることは先生指摘のとおりでございまして、その収支改善と合理化が緊急の課題となっております。各種の効率化施策について指導し、また、利用通数の少ない夜間電報のあり方についても検討方指示しているところでございます。  ただいまのところの収支の関係でございますが、昭和五十七年度の統計でございますけれども、収入が三百六十六億、支出が千五百六十六億で、約千二百億円の収支差、結局赤字が生じているというごとは私ども把握している次第でございます。
  397. 井上普方

    井上(普)分科員 私はどういうように金が流れているのかを聞いているのです。私が一例を申し上げますが、これはひとつ聞いていただきたい。  私の方の田舎に電報局がある。そこの電報局が特定郵便局に電報の委託をやっています。話を聞いてみたら、ともかく金がえらい余計行っている。調べてみたらどうもおかしい。一体どういう金の流れをやっているんだと言って私も調べました。そうすると、通信局、四国でいいますと松山通信局、あそこがまとめて四国の郵政局へ金を渡しているのですね。毎月まとめて渡しているでしょう。ところが、郵便局に渡っておる金というものがえらい少ないのだ、特定郵便局に渡っている金が。どこでピンはねが行われているのか、そこらをひとつ解明していただきたい。
  398. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生のお尋ねに直接該当するかどうか若干疑問ですが、現在の郵便局で受け持っておる電報の委託状況は、全体で電報が四千三百三十一万通の利用が五十七年度でございますが、そのうち郵便局で受け持っている電報は、発信が四百十八万通、着信が五百一万通でございます。それで、公社から郵政省がいただいているお金が五十七年度で、全体で六百七十億でございます。しかし、それは、ただいま申しました電報の受け付け、配達業務のほかに、約一万八千の郵便局で電話の受け付け事務等をあわせて行っておりますが、それらを含めた金額が六百七十億でございまして、電報の部分と電話の受け付け部分とは、ただいまのところ私の方で資料をちょっと持っておりません。
  399. 井上普方

    井上(普)分科員 電話の受け付けに幾ら要るんです。
  400. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 現在その分計を持っておりませんが、公社の方で資料があるのではないかと思いますが……。
  401. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  電話関係でございますが、電話の受け付け関係で七十二億、それから現金取り扱い四十五億、以上百十七億でございます。
  402. 井上普方

    井上(普)分科員 ある郵便局で私は承った。そうすると、郵便局に年間三百七十万円くらい払っていることになっている。実際行っていますか、それだけ金が特定郵便局に。行ってないのだよ。これはどこでピンはねが行われているのだ。郵便局に実際三百七十万、大きい局も小さい局も大体同じになっている。それで私は聞いているのですよ。どうなっているのです。
  403. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま詳細な資料を持ち合わせておりませんが、電報の場合、恐らく郵便局の職員にかかわる経費もございますが、郵便局で電報の配達要員を別に雇用している場合もございます。そういった場合にはそういった電報の請負配達人にかなりの金が使われているというふうに思います。
  404. 井上普方

    井上(普)分科員 かなりの金じゃないんだ。払われているのが七万六千九百円だ。ある電報局が四つの特定郵便局に払う金は二千六百万円だ。ところが、余りにも高いというので電電公社の方が委託事務にこれを切りかえた。そうしますと、何と驚くなかれその金は七百三十九万で済むのです。二千六百万から七百四十万に下がってしまう。どこでこの金が一体行方不明になっているのか。しかも、その払っている金というのは、今度委託する場合に決して無理な金じゃないんだな。一体どこでこの金は、地方の郵便局でピンはねが行われているのか、郵便局内においてピンはねが行われているのか、どっちかわからぬ。これの実態はどうなんですか。
  405. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生の御質問にございました具体的な事例について詳細を承知しておりませんので……。
  406. 井上普方

    井上(普)分科員 ちょっと待ってくれ。実態がわかっていない、そんなんで郵務局長が勤まるのかい。今、電報電話局で一番大きな赤字は電報部門における大赤字ということを電電公社も発表しておる。だから、今度電電公社ではこれの合理化を図ろうとしておる。委託先は、直営でやるところもあろうし、また民間、すなわち共済会ですか、に委託してやろうとしているでしょう。今までどれくらいそれができているのですか。そして幾ら節約ができるのですか。その点をお伺いしたい。――わかっていませんか。わかっていなければよろしい。
  407. 飯田克己

    ○飯田説明員 先生の御質問でございますが、ただいま手元に資料がございませんので……。
  408. 井上普方

    井上(普)分科員 手元に資料がないからということだが、正確な数字を言わなくてよろしい。何千何百万円までは要りません。おおよそのことでいいです。幾ら節約できるのです。
  409. 飯田克己

    ○飯田説明員 お答えいたします。  五十九年度予算に計上しております郵政委託費の額は、総額において五百九十四億でございます。
  410. 井上普方

    井上(普)分科員 それで幾ら節約できるんだと聞いている。今度あなたの方、電報の委託事務を拡大するでしょう。それが幾らぐらいできるのです。おおよそのところでいいです。
  411. 寺島角夫

    ○寺島説明員 電報の合理化についてのお尋ねと思いますけれども先ほど郵政省の方からも御答弁ございましたように、五十七年度の数字で申しますと、年間で千二百億の赤字を出しております。このことが大変重要な問題であることは十分認識しておりまして、いかにしてこの赤字を解消するかということにつきまして、例えば受け付け事務を集中していくとか、あるいは配達につきまして委託を拡大していくとか、あるいは電報のシステムと申しますか、それ自体をいろいろ考え直すということで、少し長いレンジで収支の改善を今考えておるわけでございます。  ただ、何にいたしましても、この電報という業務、長い間ずっといろいろ努力してまいりましたけれども赤字が解消されておらない業務でございまして、大変厳しい情勢ではございますけれども、その改善に今鋭意努力をしておるということについて御理解をいただきたいと思います。
  412. 井上普方

    井上(普)分科員 時間がむだなんだ。三十分ぐらいしかないんだから。あなた方は三十分過ぎたらいいように思っているけれども先ほども委員長が言ったように、的確に質問に答えてもらいたい。  今度あなたの方で合理化を進めているでしょう。そして、特定局に今までは金を払っていた。これをあなた方はともかく共済会を使って、あるいはまた委託事務を直営でやろうという考え方になっているんでしょう。だからお伺いしている。どれくらい節約できるんだ。不合理でなかったらこんなことやりはせぬでしょう。
  413. 原田昇左右

    原田主査 寺島総務理事、ひとつ明快に答えてください。
  414. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先ほどお答え申し上げましたように、五十九年度の予算で申し上げますと、六百億弱の委託費を計上してございます。この委託費にいろいろなものがございますけれども先ほど郵政省からもお答えございましたように、各郵便局におきまして電報の受け付けあるいは電話の受け付け等の事務を行っております。これに対する経費がございます。それから、電報の配達というものを郵政省の方に委託をしておるものがまだ相当ございます。これに対しても百億余の金を支払っておるわけでございます。  こういったものにつきまして、特に配達につきましては、できるだけこれを郵政省の委託から離しまして、私どもの方で委託でやっていくということも考えておりますが、ただ、ずっと郵便局の委託をやっておりまして、郵便局の方やも正規の職員を使って配達している分野も相当ございますので、人の問題もございまして急にはまいりませんけれども、その方向で努力をいたしております。
  415. 井上普方

    井上(普)分科員 そういう理解は私はできない。場所を言いましょう。徳島県の三好郡の池田電報電話局が、祖谷であるとかあるいは西祖谷であるとか、山間僻地の郵便局に委託をいたしております。その金が年間二千六百万円、四つの箇所で。今度あなたの方で直営でやろうといたしております。そうしますと、その実際の費用は幾ら要るんだといいますと、この四つの局に払う金が七百三十九万円と三百九十万円、合計いたしまして一千百万円であります。これは受け付け事務が電報と電話の受け付け事務、それと配達と両方合わせまして一千百万になった。二千六百万円のうちで千五百万、六割以上がともかく節約になる。一体、今までの金はそれではどういうようになっているんだ。郵便局において電報の配達あるいは電話の受け付けあるいは電報の受け付けのために払っている金というものを一局一局当たってみましたところが、どういたしましても数字が合わない。どうなっているんだろうか。私は素朴な疑問を生じたので聞いているわけなんです。大きい局も小さい局も大体同じように今までは出しているようだ。それで、この金というものは、先ほども申しましたように、通信局から郵政局にまとめて金が払われている。委託事務についてはまともに全部これが郵便局に払われていない。その差は一体どこへ行ったんだ。また、特定郵便局の中においても、その金は電報配達あるいは受け付け、そういうのに十分に渡っていない、そこにも大きな差があるのであります。どこでどうなっているのか、どんぶり勘定をやるのも甚だしい。しかも片方電電公社においては、電報部門において大赤字、こう言う。私がちょっと調べたのでも、池田の電報電話局の委託費二千六百万円、そのうちで千五百万円はともかく今度浮いてくるんだ。同じ人を使うんだろうと私は思う。あなた方、こんな実態知らぬのですか。知っておってごまかして言っておるのですか。あるいはまた、郵政本省に対して電電公社は御遠慮して物を申しておるのか、どっちなんです。
  416. 寺島角夫

    ○寺島説明員 ただいま御指摘ございました金額につきましては、私どういう性質のものかちょっとわかりませんが、恐らく、現在我々は郵政省に対しまして、例えば窓口におきます電報の受け付け、電話の受け付け等の事務に対しましては、一局当たり月額幾らという単金を郵政省と御協議の上で定めまして、それに基づいて払っておるわけでございます。それに対しまして、その支払いの計算方法と申しますか、そういうものを仮にこういうふうに変えるとすればこれだけ金額が違うじゃないか、こういう趣旨かと思いますが、そういう趣旨の金額、こう御理解をいたしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  417. 井上普方

    井上(普)分科員 あなたの言うのは、それは違う。池田の電報電話局は五十九年度から委託事務に切りかえるのですよ。私は一例を挙げているんだ、あなた方が余りにも使途を正直におっしゃらぬから。これは恐らく郵政省の方にはわかっておると思う。郵政局の中において一体何割これを押さえているんだ。そこらあたりはっきりしてほしい。
  418. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵政省と電電公社との関係は、例えば郵政省とNHKの関係等と同じでございまして、中央において料率、金額等を決定しておりまして、中央において決済しておりますので、個個の郵便局で金を支払ったりそういったことにはなっておりません。  それから、電報の配達局は五十七年度は三千四百五十六局でございますが、これは公社との協議で年々減らしてまいっておりまして、例えば昭和五十年であれば四千三百二十三局であったものが、現在三千四百五十六局になっております。  それで、先生ただいまおっしゃいました五十九年度で徳島県の郵便局が郵政省委託から一般民間委託にかわるという御指摘もございましたが、五十八年度の予定としては三千四百五十六局の委託局が三千百七十四局と約二百八十局ほど減少することになっております。なお五十九年度は二千七百七十四局に減らすということ、そういった点を含めまして、電報の合理化につきまして公社と郵政省で毎年協議をしておりまして、取扱局の縮小それから単金の改定等を行っております。
  419. 井上普方

    井上(普)分科員 委員長、聞いてないことをべらべらしゃべるのはとめていただきたい。  それじゃ、お伺いするが、本省で決定しておると言うが、かくいう特定郵便局に対してあなた方は一体どういうようななにを、電報受け付けには幾ら、あるいは電報配達には幾ら、あるいは電話の受け付けには幾ら、一局当たり考えているのですか。今までやってきているのですか。そのことをお伺いしましょう。
  420. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便局の仕事は、電報を含めまして郵便、貯金、保険、それぞれございますが、それらについての詳細な分計はいたしておりません。
  421. 井上普方

    井上(普)分科員 いたしていないと言うたって、委託して事実渡しているのでしょうが、特定郵便局に。渡していないのですか。これはおたくの方、郵政局においてまとめて通信局から毎月毎月金を取っているのでしょう。そうでしょう。郵便局の算出の基礎というものがあるはずだ。それはどうなっているのです。
  422. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 例えば、電報電信の受け付けのための定員が五十七年度は五千二百八十四人というふうに定められております。そういったものをベースにトータルとして六百七十億ということが一定基準で公社との協議で定められることになっておりまして、個々具体的な郵便局についての原価計算を積み上げてそれぞれ合計しているという姿ではございません。
  423. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、この毎月毎月通信局が、すなわち電電公社だな、が郵政局に払っているのは根拠のない金なんですか。どういう算出の基礎に基づいて払っているのか、その点をお伺いしたい。
  424. 寺島角夫

    ○寺島説明員 公社から委託費として郵政省に支払っております金額につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、業務、業種別によりまして、協議の上単金を定めまして、それによって算出をして支払っておるわけでございまして、決して恣意的にやっておるわけではございません。
  425. 井上普方

    井上(普)分科員 公の金が恣意的に使われておったら大変だ。だから、それの算出の基礎はどういうようにして払っているんだと言って私は聞いている。
  426. 原田昇左右

    原田主査 的確に答えてください。
  427. 草加英資

    ○草加説明員 ただいま寺島総務理事からお話ししましたように、本省、電電公社間で協議を行って、例えば電信関係で申し上げますと、電信内務及び電話通話ということで、終日局、夜間集中局、昼間局。電信外務につきましては、電信外務ということで、一局当たりの単金を出しまして、それに委託する局を掛けまして支払う、こういうことでございます。
  428. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、本省との間でともかく単価を出してやっておる。実態と大分違うから、どういうような金の支払いをしているんだと言って私は聞いている。  それじゃ、具外的に聞きましょう。電報配達については、今そこのお方言われたように五千二百八十四人分ともかく算出しておると言いましたな、五十七年度。そうすると、この五千二百八十四人は郵便局において必ずこれは一人ずつ雇っておるんですか。どうなんです。
  429. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  私の方は郵政と合理化状況等を十分に協議いたしまして、能率その他を勘案いたしまして、年間一局当たり幾ら支払えば一番適切かを算定をして払っているわけでございまして……(井上(普)分科員「その基礎は幾らだ」と呼ぶ)五十八年度につきまして約七百億でございますが、五十九年度の予算案では五百九十四億と、約百数十億の合理化を行っているところでございます。
  430. 井上普方

    井上(普)分科員 これは合理化できるのは当たり前だ。池田の電報局で、わずか四つの特定郵便局に対して、先ほど来申すように二千六百万円が、これが一千百万になるんだから。これだけむだがあるということなんだ。これで電信部門に働いておる電電公社の職員はどういう肩身の狭い思いをしているか。実際はそうなんだ。一体その金がどこへ行っているのだ。このわずか小さな田舎の電報電話局の中においてこういうことが言われる。どこでこんなに金が要らなきゃならないんだろう、こういうことになっているんだ、赤字だ赤字だと言って。
  431. 草加英資

    ○草加説明員 先生指摘のように、地域事情それから加入者事情、電報の通数その他刻々と変化してまいりますので、現在の単金が私どももそのまま適切だとは考えておりません。今後とも、これにつきまして十分に合理化をする方向での単金を求めていきたい、このように思っている次第でございます。
  432. 井上普方

    井上(普)分科員 ともかく親方が郵政省だと思って遠慮しい遠慮しいあなたは物を言っているな。あることならあることでぴっしゃり言えばいいんだ。  それじゃ、郵政省に聞きましょう。一局当たりのそういうような例を今私は申し上げた。これに対してあなた方は、今まで郵政局に支払われておる委託料は全部特定郵便局、委託郵便局に払われていますか、この点ひとつお伺いしたい。
  433. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 特定局に要する経費は、必要な経費は郵政事業特別会計からそれぞれ支出されておるわけでございまして、電報の収入、郵便の収入、貯金の収入、保険の収入と、最終的にはそれぞれの会計から出されるわけですが、ダイレクトに直接これだけの金がかかるのでそれだけを払うという、そういった仕組みにはなっておりません。
  434. 井上普方

    井上(普)分科員 いや、わかっておる。私が聞いているのは、通信局から郵政局に毎月毎月支払われているのが、そのまま全部特定郵便局なり委託業務のところに払われているかと、こう聞いているんだよ。
  435. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 もちろん、郵政局の管理共通費、本省の管理共通費等々ございますので、それらはそういった面で必要な経費は落としておるという状況でございます。
  436. 井上普方

    井上(普)分科員 それは本省においては幾ら吸い上げているんだ、あるいは郵政局において幾ら吸い上げているんだ。
  437. 高橋幸男

    高橋(幸)政府委員 お答え申し上げます。  本省の郵政局、郵便局のそれぞれのあれは、今資料が手元にございませんので不明確でございますが、電電公社からいただいている委託費、これはそのままの形で郵便局へ流れているというわけではございません。中には、例えば年金、恩給関係の経費であるとか、先ほど郵務局長がお答えいたしましたような共通関係の経費であるとか、あるいは公社の収入金を郵便局で取り扱っている、それから公社の支出金等も取り扱っているわけでございます。そういう直接、委託業務運営経費と関係のない部分がございます。そういうものがありますので、公社からいただいておる、例えば五十九年度の予算で申し上げますと……(井上(普)分科員「わかった、わかった」と呼ぶ)という内容でございます。
  438. 井上普方

    井上(普)分科員 私がお伺いしているのは、だから本省の方でピンはねしているんじゃないだろうかと思ったら、やっぱりある。しかもこれは手が込んでいるんだよ、大臣。四国の通信局から四国の郵政局に委託費が支払われているんですよ。その金は本省に吸い上げているんですか。共通――年金の問題であるとか、どうも年金が、電電公社の年金の関係がともかく郵政省にどんな関係があるのかわからぬけれども、年金の関係だあるいは共通部門の関係だといって、一体どれだけ支払われているんだよ、現場に。委託費といってやられるのだから私は当然――しかも手が込んでいるんだ。通信局から郵政局に払われているんでしょう、毎月毎月。それがまた東京へ戻ってくるのですか。どうなんです。そこらあたりの仕組みはどうなっているんです、金の行き方。
  439. 原田昇左右

    原田主査 もう時間が来ておりますから、簡明に答えてください。
  440. 高橋幸男

    高橋(幸)政府委員 吸い上げるという表現が適当かどうかわかりませんけれども、本省において各郵政局に対しまして枠を流すと同時に、郵便局はいろいろな現金を取り扱っておりますので、その中の資金管理の一環として整理しておる。したがいまして、地方の電気通信局、郵政局間において決済されるやりとりにつきましても、すべて本省の方で帳簿の上で整理しているということでございます。
  441. 井上普方

    井上(普)分科員 どうもわからない。またこれはひとつ予算委員の皆さん方にここらあたりをもう少し詰めていただきたいと思う。今の話を私ら、どうも委託費が十分に郵便局に渡ってない、あるいは実態より十分過ぎるほど渡っている。ですから、特定郵便局長は電報部門のボーナスだと言って莫大なる、これこそ恣意的だ、恣意的に払われておる事実がある。実に伏魔殿がごとき様相を呈しておる。まだ後聞こうと思いましたけれども、どうも答弁がふにゃふにゃとごまかす答弁に終始いたしておりますので、ここらあたりはもう少し的確に、次の機会において御答弁になるように強く要求いたしまして、私の質問は終わります。
  442. 原田昇左右

    原田主査 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。  次に、橋本文彦君。
  443. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 いわゆる電話料金の料金体系の中で、グループ料金制というものを導入しようというお考えがあると聞いておりますが、このグループ料金制というものが一体どういうものなのか、まずそこからお聞きしたい。     〔主査退席、上田(哲)主査代理着席〕
  444. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  現在、電話料金が遠近格差、近々格差という問題を抱えておりまして、近いところで料金が連檐しているところの差が非常に大きいという問題がございます。これを解決する一つの方法といたしまして、イギリスにおきまして、隣の単位料金区域は同じ単位料金にするということ、したがいましてまた連檐していくに従ってそれが移っていく、こういう形の単位料金制というのをとっております。これは一つの検討要素でございます。
  445. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 従来のいわゆる単位料金区域、これを二つ併合して一つの一通話料金体系にする、端的にこう見ていいわけですか。
  446. 草加英資

    ○草加説明員 ちょっと私の答弁で誤解があったかと思いますが、全国五百六十七の単位料金区域がございまして、グループ料金制をとった場合、この単位料金区域から隣の単位料金区域へ同一料金でかけるということになるわけでございますので、二つ連機するわけじゃございませんで、隣が四つあれば四つ、単位料金区域と連接する同一料金区域になる、こういう仕組みでございます。
  447. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 その場合に、料金はどうなるんでしょうか。今一通話十円という単位でございますね。
  448. 草加英資

    ○草加説明員 これはグループ料金制をとるかどうかも含めまして、現在検討中でございますので、料金がどうなるかにつきましては、ちょっと今のところはまだ見通しを持っておりません。
  449. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 このグループ料金制度を導入した場合のいわゆるメリット、デメリットをどういうふうにお考えですか。
  450. 草加英資

    ○草加説明員 先ほど申し上げましたように、特に大都市におきまして近郊の格差が激しいわけでございます。例えば東京を例にとりますと、東京から三鷹に行きますと、現在の三分十円が八十秒十円になる、こういう格差がございますので、グループ料金制をとった場合には公平感というものは出ると思います。ただ、連檐が現在続いておりますので、その先のまた格差というものが今度は逆に大きくなる、こういう弊害があるかと思います。一長一短であろうかと思います。
  451. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 相模原市の中に相模大野局と厚木局、二つのメッセージエリアがあるわけでして、通常、同一自治体あるいは同一市町村内においては一つの単位料金区域であればいろいろな意味で至便かと思うのですが、このように同じ市内にありながらいわゆる市外料金が取られる、市外局番を回さなければつながらないという点で非常な不便をしておるわけです。相模原市の場合には約十五万二千世帯がございまして、そのうち市外局番を回さなければつながらない電話が九千二百、厚木電報電話局に属しております。このように、同じ市にありまして九千二百という数の、大きな数でございますけれども、このようなケースは全国的にございますか。
  452. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、全国的に単位料金区域が五百六十七ございますが、その中で百七十が同一市町村でありながら単位料金区域を異にしている。全国、市町村で三千二百ございます。そのうちの二百二十が同一市町村で単位料金区域を異にしている、このような実態でございます。
  453. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 質問は、九千二百という、このような大きな数に上るものはないのじゃないでしょうかという質問なんですが、いかがですか。
  454. 草加英資

    ○草加説明員 手元に正確な数字はございませんが、千単位の市町村の単位料金区域を異にするところは全国でも幾つかございます。
  455. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 質問は、同じ市内に十五万二千ありまして、そのうち約一万本が市外局番を回さなければつながらないという不便をかこっている市町村は相模原市を除いてもほかにありましょうかという質問なんです。
  456. 上田哲

    上田(哲)主査代理 営業局長質問者の趣旨に答えてください。
  457. 草加英資

    ○草加説明員 先ほど申し上げましたように、一つの市町村で同一単位料金区域に属さないところが二百二十ございます。
  458. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 質問が悪いせいかなかなかお答え願えないのですが、同一市町村の中で一万本も違う市外局番を回さなければならないという、そういう市町村はあるかということなんです。
  459. 草加英資

    ○草加説明員 先ほどお答えしましたように、ちょっと手元にございませんので、どこかと言われましてもあれですが、かなりございます。
  460. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 かなりあるでは次の質問が続かないのですけれども、じゃ相模原市に限定しましてお聞きします。  この相模原市内におきまして、いわゆる相模原メッセージエリアと厚木メッセージエリア、これができてしまった経過をまずお聞きしたいのです。
  461. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  単位料金区域を、メッセージエリアを設定いたしましたのは昭和三十七年の九月でございまして、それまでは加入区域単位で料金を計算いたしておりました。こうなりますと非常に煩瑣でございますので、行政的、地域的に連檐のある幾つかの電話局を合体いたしましてメッセージエリアをつくりまして、そのメッセージエリア相互間の距離で料金をはかる、こういうことを導入いたしたわけでございます。その後四十七年にこのメッセージエリアを、広域時分制の制度をとりまして三分七円にいたしました。  座間の局に属する今先生指摘のところは、もともと座間局の連檐が非常に強いところでございまして、座間局に加入いたしておりました。その関係で、三十七年九月に座間局が厚木のメッセージエリアに入りますときに、あわせて厚木のメッセージエリアに入った、こういういきさつでございます。
  462. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 その際、異なる市外局番を使うということになりますと、地域住民の意向というものは確認した上で決定したわけですか。
  463. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  当時メッセージエリアをつくる際に、全国の加入区域を約五百六十のメッセージエリアにいたしたわけでございますが、その際には局単位でメッセージエリアをつくりました関係上、その時点で住民の御意向を伺うということはいたしませんでした。
  464. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 住民の意向を聞かないで、行政の単位外のいわゆるメッセージエリア、電電公社の方の都合だけによって決めてしまった、こうとってよろしいわけですな。
  465. 草加英資

    ○草加説明員 お言葉でございますが、その加入区域に属しておった――これは具体的に申し上げます、座間局の加入区域に属しておったということは、座間局と経済的、行政的その他地域交流におきまして非常に密接であったということで座間の局に加入を続けておったわけでございますので、私どもといたしましては、座間局に属しておるということにつきまして、住民の皆様にその当時御不便をかけているということは認識いたしておりません。
  466. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 電電公社としては認識していなかったということですね。  現在、このように相模原市が人口増が甚だしく大きいということ、そしてどんどん厚木電報電話局の加入者がふえてきてしまっている。今、九千二百本にもふえてしまっている。非常な不便をかける。隣にかけるにも市外局番を回さなきゃならない。しかも料金は二・二五倍である。こういうような、時間的にも費用的な面においても出費があるわけです。こういう現況における不便、これを改正するということはお考えでしょうか。
  467. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、全国で市町村が同じであるが単位料金区域を異にする地域が約二百ございます。メッセージエリアをつくった当時から行政区域の再編成等ございまして、いろいろないきさつがございますが、その地域の住民の方方が全員一致で同一市町村に移りたい、こういう要望がございましたら、私の方は収容変えをいたしております。現在までのところ、全国で四十二そういうケースがございます。
  468. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 加入者の全員一致の希望があれば、いわゆる市外局番でなしに市内局番に変更できる、こういうことですね。今、四十二の市町村で市外局番から市内局番に移った、そういう例があると聞きましたけれども、この四十二市町村の加入者数というのはどの程度だったのですか。一番小は何本、大は何本……。
  469. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  一番大きいところが、大きいというか数が多かったところが約六百でございます。一番小さいところが十という数字がございます。
  470. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 問題にしております九千二百本というこの数と十ないし六百という間には相当な懸隔がございます。今お答えになりました、全員一致となれば引き直すということですけれども、事実上九千二百本、できないんじゃないかと思います。いかがでしょうか。
  471. 草加英資

    ○草加説明員 この地区の座間局に収容した経過から見まして、先ほど申し上げましたように、当初は座間に経済圏等有しておったということは事実でございます。先生指摘のように、その後住民の方々が非常にふえまして、東京に御勤務なさる方も非常にふえてきたということもまた事実でございます。したがいまして、この地域における住民の方々の構成というものは、非常にその後複雑になっておると私どもは判断いたしております。  ただ、先ほど申し上げましたように全員一致の方向で対処するということにつきましては、お一人でも反対がございますと、その方は今まで座間とか厚木とか横浜に非常に安くかけられておったものが、相模原に収容されることによって逆に御不便を感じるという方もあるわけでありますので、その点につきまして全員一致で御希望いただきたい、このように思っておるわけでございます。
  472. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 九千二百というと、必ずや反対者が出るかと思います。その場合に、今、一人でも反対者があれば引かないというのであればこれは事実上やりませんという回答になると思うのです。そこで、逆にいわゆる希望者があればその希望者だけについては市内局番の方に組み入れるということはできないものでしょうか。
  473. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  電話の加入区域を設定した理由といたしまして、経済的に電話を設置いたしましてあまねく広く御利用いただくという趣旨でございます。同じ地域で両方の局に入る、こういう配線をいたしますと膨大な設備がかかる、こういうことでございますので、一つの地域には一つの加入区域ということを私どもは原則といたしておりますので、御了解いただきたいと思います。
  474. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 今の答弁よく理解できないのですけれども、単位料金区域というものが設定されてしまう、そうするともはや不変というわけじゃなくて、その地域の全員の一致があればその単位料金の区域もおのずから変わることができるんだ、こういう御説明ですね。
  475. 草加英資

    ○草加説明員 失礼しました。  それに一つだけつけ加えさせていただきますと、先ほど申し上げましたが同一市町村で二つに分かれているところがそういう扱いをさしていただく、こういうことでございますのでお願いいたします。
  476. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 先ほどからの質問は相模原市のことに限局して聞いております。ですから、全員一致の希望があれば単位料金区域界そのものを変えることができるということですね。
  477. 草加英資

    ○草加説明員 はい。
  478. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そこで、今、一人ではだめなんだ、全員一致ではできるんだということなんですが、この相模原市に関しましては従来町田電報電話局、これがありました。その後相模原ができまして、相模原電報電話局ができている。そのほかに橋本分局というのも置かれている。こういういきさつからしまして、現在麻溝に電話の施設がございますね。この麻溝の施設を利用していわゆる分局化をして、そして座間電話局の機能を麻溝の方で引き上げる、これは理屈の上では可能かと思うのですが、いかがでしょうか。
  479. 草加英資

    ○草加説明員 先生のおっしゃる現在座間局に収容しております九千の加入者の方々を麻溝に変えるということは設備上可能でございます。設備上可能と申しますのは、それに対しまして実際に線路を敷設してやれば可能でございます。先ほどから申しておりますように、全員一致の要望があれば私どもはそういう形のケーブルを引きまして麻溝局に引くということになるかと思います。
  480. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 あくまでも全員一致、全員一致が先ほどから繰り返されるわけでございますけれども、一人ではだめとなりますと、先ほど十ないし六百という加入者数の賛成があった場合には引いておるというこの事実に照らし合わせまして、全員一致は不可能だけれどもあるいは自治会、町内会でまとまった場合に、その一グループだけをいわゆる相模原市の市内局番の方に移行するということは、これはできるでしょうか。一人じゃございません。百、二百とまとまった場合でございます。
  481. 草加英資

    ○草加説明員 その地域の、ここは具体的に二つの地域に分かれてございますが、一つの社会的、経済的にまとまった地域でございましたら検討の対象とさせていただきたいと私どもは思っております。
  482. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そうしますと、随分しつこくて申しわけないのですけれども、自治会なり町内会がまとまれば検討する余地がある、しかし一人ではだめなんだというのがよく理解できないので、もう少しこの辺を細かく御説明願いたいのですが……。
  483. 草加英資

    ○草加説明員 自治会、町内会という単位が適切かどうか、ちょっとまだここではお答えいたしかねますが、新戸、新磯地区でございますね、この新戸地区とか新磯地区、そういう一つの経済的、歴史的に、または行政も含めましてまとまった地域であれば、設備を改めて起こすということは相当な経費がかかるわけでございますが、住民の方の御要望にこたえてお引きいたしたい、このように申しておるわけでございます。
  484. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 このいわゆる線の引きかえ工事につきまして、これは仮定になりますけれども、麻溝分局をつくった場合の費用というのはどのくらいかかるのでしょうか。
  485. 草加英資

    ○草加説明員 機械設備は麻溝の方にあると思います。これはまだ検討いたしておりませんが、線路設備は改めて引くものでございますから、相当な費用がかかると思いますが、これはまだ具体的に積算しておりませんので、御勘弁いただきたいと思います。
  486. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 大ざっぱで何億とか何十億という数字が出れば結構なのでございますけれども、大変な金額が予想されると思います。そこで、現在のこの不公平というか、格差を是正するために、現状で希望者に対して電話の基本料金という点でもって減免するとかいうようなことは考える余地がございませんでしょうか。
  487. 草加英資

    ○草加説明員 先生の御提案の基本料による減免ということも今初めてお伺いいたしまして、どういう仕組みになるかちょっとお答えいたしかねるわけでございますが、私は、この地域が、例えば東京方面への通話を望まれる方、または横浜、川崎方面への通話を望まれる方、両方が混在しておるところにこの問題の解決が難しい原因があると思います。冒頭に先生から御質問のありましたようなグループ料金制とか、それを拡大した県内均一料金制ということが今後検討の対象になってまいるかと思います。このような形で単位料金区域をさらにまた幾つか集めて一つの同一料金でかけられるということになりますと、その辺の不公平感もかなり少なくなるのではないかというふうに考えておりまして、こういう方向も含めまして今後検討させていただきたい、このように思う次第でございます。
  488. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 しかし、グループ料金制の問題、あるいは県内同一局番あるいは同一料金という問題は、現段階ではあくまでも検討の段階でありまして、何ら具体性を持っておられないし、また将来的な展望もないという状況でございます。今は、現実的に九千二百本というこの電話の人が大変な不便を強いられている。ですから、理想論としてグループ料金制だとか、あるいは県内同一局番、同一料金というのは結構なんでございますけれども、現実的問題としてこの不公平感をどのように是正するのか、全員一致ということは極めて困難であるし、ほかに方法はないものでしょうか。
  489. 草加英資

    ○草加説明員 重ねて恐縮ですが、全員の御了解を得て相模原局麻溝の方へ移す以外に今のところはちょっと解決策がないように思いますので、御了解いただきたいと思います。
  490. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 それでは将来的な展望といたしまして、このグループ料金制が導入された場合、今一通話三分間十円という料金体系でございますけれども、これは当然料金値上げにつながってくるのでしょうね。
  491. 草加英資

    ○草加説明員 グループ料金制または先ほど申し上げましたその拡大した県内均一料金制というものにつきまして検討している段階でございますが、その際に料金をどのようにいたすかにつきまして、まだ私どもでは具体的な案を持っておりませんので、今後検討させていただきたいと思います。
  492. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 長距離料金、遠距離料金については世界的に見ても極めて高いのが日本の実情である、こういうことで、何とか遠距離料金の引き下げを図ろうということを前々から言われております。今回のいわゆるマイクロウエーブの通信回線の整備だとか、あるいは通信衛星を開発して利用する、そういう形でどんどん電話料金が遠距離については引き下げが可能じゃないか、こう思います。同時に、経営の合理化とか近代化、そういうものを進めていけば、グループ料金制あるいは県内均一料金をとったとしても、現在の一通話十円という体系を維持すべきではないか、このように思うのですが、いかがでございましょうか。
  493. 草加英資

    ○草加説明員 今の質問にお答えする前に、先ほど先生おっしゃいました遠距離が世界的に見て高いというお話でございましたが、実は過去そうでございました。過去三回にわたりました遠距離の値下げを行いまして、今は大体世界的な水準になっておるというふうに理解しております。ただ、市内を含めた近距離が世界的に見て割安であるということから、遠近格差というものはまだかなり大きいわけでございますが、これらにつきましても、先生指摘のように合理化その他を図りながらまた遠距離を値下げしていくということも一つの方法かと思います。ただ、その際、今申し上げました世界的に見て割安の単位料金区域内料金をどのようにするか、これは一つの大きな検討課題ではないか、このように思う次第でございます。
  494. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 電電公社の改革が叫ばれておりまして、その改革の中でグループ料金制を導入したとしても、現在のこの割安な料金体系をぜひとも維持していただきたい、このように思います。同時に、同一市町村内で二つに分かれた不便さということも、あくまでも利用者の立場に立った制度をぜひとも実現したい、重ねて要望いたしまして質問を終わります。
  495. 上田哲

    上田(哲)主査代理 これにて橋本文彦君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  496. 滝沢幸助

    滝沢分科員 初めに一言郵政大臣にお尋ねをしなければなりませんけれども日本が明治以来、近代国家として発展してまいります過程、今日の世界第二の経済大国として誇るこの姿になりまする過程におきまして、郵便事業が果たしました功績というものは全く高く評価さるべきものである、このように心得ておるわけであります。しかしながら、一面、最近におきまするいわば文化のさま変わり、言うなればテレホン文化と申しまするか、また電波社会と申しまするか、こういうことになってまいりますると、いわば書き物としての郵便物というような立場からすれば、郵政事業の受難期と言っても過言ではないだろうということで、御苦労のほどお察しをしているわけであります。  しかし、文明が近代化すれば近代化するほど、郵政事業の使命はもっと強く高いものであることを認識しないわけにはまいりません。そこで、やはり郵政事業におきましても、時代に即応いたしましたところの手法の転換、発想の転換、そういうことが必要なんではないのかな、こういうふうに思うわけであります。それならば、まずその発想の転換、手法の転換に何が必要かといいますと、郵便物の輸送、運搬の手段であろう、このように思うわけであります。言うなれば、これはかつて飛脚であり、また列車になり車になりしているわけでありますけれども、今円以後は、むしろ空輸、空中輸送の時代であろう。特に速達便その他長距離の郵便物等においてはそうではないのかな、こう思うものでございますから、そこら辺の郵便手段の転換、発想の転換というあたり、大臣、いかがお考えですか。
  497. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全く同感でございます。今日でも、大体年間百五十五億通くらい、年賀郵便、いい伝統でございますけれども、正月だけでも三十億通という、これだけは年々史上最高というか、記録を書きかえておるというのが現状でございます。ただ、先生指摘のように、ニューメディアの時代とはいえ、やはり心のこもった郵便、そういった送達の手段は依然として国民生活の中に定着したものだと思っております。  問題は、今御指摘のとおり、ことしの二月一日から輸送システムを改善いたしました。これはやはり最近の民間のサービスの業務のスピーディーなこと、そして需要者のニーズにこたえると申しますか、そういった点においては、昔どおりの飛脚時代の伝統を受け継ぐ人力の多い作業ではございますけれども、システムを変えて効率化を図っていくということは大変必要なことである、全く同感でございます。したがって、二月一日から空輸システム、そして、まことにあれですけれども、今まで貨物鉄道に頼っておった形を一部貨物自動車、トラックに変える等々で大変スピーディーな体制改善して、民間のサービスに劣らぬような形で頑張ろうと今システム改善を図ったところでございます。
  498. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ところで、列車を貨物自動車に変えることは極めて簡単、安易にやりやすいのに比しまして、おっしゃいました最近、ふやそう、またふえるであろうところの空中輸送といいますが、航空輸送。といいますか。このことはなかなか準備態勢が伴うことでありまして、そこに至りますと、いささか日本の空港設備といいますか、ないしは空港の配置といいますか、この点がアンバランスに過ぎるのではないか、こう思うわけであります。  幸いに、御多用のところ、運輸省山本航空局長さん見えていただきますので、ひとつ率直にお伺いさせていただきますけれども、御存じのように、あの苦労をされました成田空港の一連の事件等も最近はほとんど解決に近づきつつありまして、まことに御同慶の至り、また、大阪空港におきまするあの騒音公害等の裁判ざたも幾つかありまするけれども、そのうちに和解に至りましたものもございまして、これまた喜ばしいことでございます。  しかし、ここにおきまして日本全体の空港体制というものについていかがにお考えでありますか。承れば第四次の計画がいわば一つの終期に達しようとしていることでもございますし、このお考えをまずたださせていただきたい。第五次空港計画が今策定作業に入っていらっしゃるかと思うのでありますが、第四次の反省の上に立って第五次の空港五カ年計画策定につきましてのお考え。今ほど郵政大臣より郵便物の輸送の手段もこれにゆだねることが多くなろうというようなお言葉もあったことをも踏まえまして、お考えをただしておきたいと思います。
  499. 山本長

    山本(長)政府委員 空港整備の計画は、先生も御存じでございますけれども、その都度その都度場当たり的と申しますか、毎年度毎年度その都度決めているというものではございません。御指摘ございましたように、大体五カ年を単位とする長期計画を定めまして、その長期計画の規模といいますのは、財政の見通し等々諸般を考えて規模を決めまして、そして有識者の意見も聞きまして、大臣の諮問機関であります審議会の意見も聞いて、それで固めていき、それをもとにして毎年度毎年度事業を採択していく、こういうシステムといいますか、やり方をとっておるのでございまして、各地におきまして空港を拡充したい、新設をしたい御要望が多々あるところでございます。  四次の計画は現在進行中でございますが、六十年度までということになっておりまして、第五次について具体的なところまで入っておりません。これは六十一年度以降の経済成長でございますとかあるいは財政がどうなるかというようなことによって決められていくのでございまして、まだ具体的な検討に入っておりませんけれども、いずれ検討に入らなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  500. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そういう時期でありますから特にこれは申し上げさしていただくわけでありますけれども、この第五次計画を策定されるに当たりましては、今郵政大臣指摘のとおりに、郵便物の輸送というような面もお考えをちょうだいしまして、全国にバランスよくひとつ御計画をちょうだいしたい。  特にその中で私は、これは東北の人たちの被害者意識じゃございませんけれども、東北、いわば白河以北は一山三文というようなことを言われまして、明治政府以来まま子扱いにされたという意識はどうしてもぬぐい切れないものがございます。特に地図を見まして、仙台-東京の間ほとんどあいているようなことでございまして、そこで実は福島空港という構想が期せずして上がりまして、今着々と地元なりの準備を進めている。そして学者、先生等のいろいろな資料の収集等ちょうだいいたしました結果におきましても、これは極めて必要にして有望なもの、こういうふうに我我は自負しているわけでございます。そのような立場に立ちまして我が福島県、官民、地域民挙げて協力体制を組み、かつまた資金の策定にも入っているわけでありまするが、この五カ年計画はまだ実際の作業には入っておらぬというようなことでございまするけれども、実際の作業に入りまするに当たりましては、どうぞひとつ有力なる候補地としてこれを検討の対象にさせてちょうだいしたい、これは知事以下二百万県民の熱願でございます。この件についてのお考えといいますか、承れればありがたい幸せだ、こう思います。
  501. 山本長

    山本(長)政府委員 福島県におきまして新しい空港を新設したいという強い希望を持っておられる、また要望も私たち聞いておりますし、よく承知しております。また、県におかれましては、大体候補地を絞って、そして県費でもって調査をここもう四、五年やってきておられるということも十分承知しておるところでございます。こういった地元の御要望については、私たちふく理解をしているところでございます。ただ、空港というものは一つの空港では存立いたしませんで、相手がなければ飛行機は飛んでいって降りられません。そういった意味において福島空港というものを考えた場合、需要の観点から見ますと、やはり大阪地区が過半を占めるだろう、これは県の調査でもそのようなことでございますが、御存じのように大阪というものが、現在の空港は一便も入らないような状態でございまして、そのために新しい関西新空港をつくろうということで法案も出させていただいておる次第でございます。一刻も早くそれに取りかかりたいと思っております。そういった交通系絡上の問題が一つあろうかと思います。それからまた、県が調査をなすっている最中でございますので、特に空港の技術的な観点から、気象条件等につきまして、余りにも就航率が悪いということでもやはりいけないと思いますので、その辺、年間を通じて就航率がどうなるかというようなことはその調査の結果を見てみる必要もあると考えております。いずれにいたしましても、県及び市を初めとする強い御要望でございますので、次の五カ年計画を考えていきますときに、そういった御要望も十分踏まえまして私たち検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  502. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ありがとうございました。今おっしゃいましたように、なるほど相手がなくては飛べぬことでありますから、大阪のあの事情を踏まえまして、新関西空港の計画等と相関連して、ひとつよろしく御検討をいただきたいと思います。  実は、この地域はダムの計画があった地域でありますが、この空港建設のためにダムの計画を変更させて、地権者の協力体制をしいているところでもあります。これら松平知事を先頭にしましての二百万県民、超党派的に一丸となって近代東北、そこの中の表玄関としての福島県の位置づけということに燃えております事情等も御賢察いただきまして、ひとつよろしく検討の対象としていただきたいと思います。――どうもありがとうございました。そのように了解させていただきます。  局長、どうも御苦労さまでした。色よい御返事を残して退席をちょうだいしました。  そこで、今は一つの輸送の手段のことを実は申し上げたことでございますが、大変細かいことでありますが、実は私は、三十年来、前にいろいろの出版の事業等をやっておりまして、大変郵便のことに関心を持っておるものであります。大変細かいことで恐縮でありますが、何といっても今の、ような輸送の体系づくりのことと、あとは、これはみみっちいことでありますけれども、極力生産のコストを下げること、これにあろうと存じまして、そのコストダウンのアイデアを二、三申し上げたいと思うのであります。  ここに持ってまいりましたのははがきでございますが、実は、戦中小さいはがき、戦後また大きくなりましたのは、でっかいことはいいことだ、これは結構でございます。ただ、私は印刷のことにいろいろ携わっておりますると、二色刷りでもやはり郵便は郵便、一色刷りでも郵便でございます。ですから、郵便番号の枠とこの郵券のところを同じ色に刷ってちょうだいできれば、なれれば、みんながそうならばいいんですから、人様が立派なものを持ってこっちが質素なのはつらいのでありますけれども、みんな日本じゅうそうならいいのですから、そうしてちょうだいしたら一回印刷機を通したのでいいのではないかな、こう思うのです。  そうして、もう一つアイデアを申し上げますが、実は往復はがきですな。これは、事の始まりより裏表、往と復、こう刷ることになってございます。こういうものだと思っているわけですよ。だけれども、私は、これを切って張り直してまいりましたので、こういうふうに組み合わせていただきますと、これまた一面刷りで結構なわけです。一面刷りにして、しかもさっき申し上げたようにこれも一色にしてちょうだいしますと相当のコストダウンになりゃせんか、こういうふうに思うわけです。  そして三つ目のアイデアですね、やはり二つでは数が悪いですから。実は、広告を入れていただいているはがきがありまして、これはいい発想だ、私はこう思うのでありますが、しかし、実際使ってみますとちょっと広告面が大き過ぎる。御存じのように、このはがきの表半分を使うことができるようになっているのですが、実際ああなれば使えないのです。そのことと、あと広告が大き過ぎて目ざわりだ。それと、実は五円安いのでしょう、その五円安いというのが、いかにも飛びつきそうなんだけれども、こちら使わしていただく立場から言うと、何かどうも相手様に失礼なような、内心はどうもけちんぼみたいな感じがするわけです。そこで、私はここに書いてまいりましたから、せめてこの程度の大きさにして、こういうところで固有名詞を使うのはどうかと思いますが、例えば仁丹とか、滝沢生命なんてありませんけれども、こんなぐあいにしてちょうだいできれば、そして全部のコストを下げて、せっかく四十円納得したのですから下げるとは言いません。せめてそれを郵政事業の方でひとつプラスにしていただいて、全部の値段の中に入れてちょうだいしたい。そうでありませんと、五円安いはがきを使うというのはいかにもというわけです。これは一つの提案でありますから、きょうの質問の記念にどうぞ。  さてそこで、提案のついでに、実は郵便ポストにも、赤いのはポストだということになっておりますから目につきやすいわけでありますし、そこにひとつ広告を貼付してください。また郵便局の局舎にも、あるいはまた郵便自動車にも、どうぞひとつ広告をどんどん募っていただきまして、国民が参加のできる郵政事業ということで十分意義あることだと思いますので、そんなぐあいにお願いしたらどうかな、こう思うのであります。そこら辺のことは一区切りしまして、どなたか、技術的な面でありますから……。
  503. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 お答えいたします。  先生が郵便事業に対して非常に御理解いただいておりますことを感謝申し上げます。  まず第一の御質問の、はがきの料額印面を番号枠と同じような色で刷った方がコストが安いのではないかという御指摘でございますが、先生おっしゃるとおり、二色刷りよりも一色刷りの方がコストが安くなります。具体的には、私どもの事業では、二色刷りの場合一枚八十八銭、一色刷りの場合八十四・二銭ということで、差し引き三・八銭安くなりますので、年間官製はがきを約八億枚調達しておりますので、約三千万円コストが減になるということは言えるかと思います。なお、往復はがきの往信部と返信部を同一色で印刷した場合も、先生指摘のようにコスト面では安くなりますが、往復はがきの場合、そういうふうにいたしますと、機械が間違って返信部の方に消印をするとか、そういったミスの起こる可能性がございますので、そういった観点から、現在のように折り畳んだときに往信部と返信部が同じ表面に出ないというふうにいたしておるわけでございます。  なお第三点目の、はがきに、広告つきはがきに準じて、むしろ小さな広告をすべてのはがきにとってはどうかという御指摘でございますが、おっしゃいますように、そういったことをいたしますれば郵便事業としての広告収入は増加するというふうに思いますが、日本の広告はがきというのは世界的にも非常に珍しい事例でございまして、一般的には、官製はがきに広告をとっている例は世界的にも非常に少のうございます。したがいまして、そういったこともございますし、やはり広告がついてないはがきを利用したいという素朴な御意見の国民も多数あろうかと思いますので、原則としてはがきに広告を付するのはにわかには賛成できないというふうに思っております。  なお、郵便局舎とか郵便車に広告を付するということは、現在もいたしております。先生はもっと積極的にやったらどうかということかと思いますが。  なお、ポストにつきましては、道路を特別に使用させていただくということで、建設省等の許可をとってやっております。その設置基準の中に、道路使用基準の中に、広告等に使用してはいけないという条項もございますので、アイデアとしては大変私どもも魅力を感ずるわけですが、現実にはなかなか実施できないという状況でございます。
  504. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ひとつ、いろいろ隘路はありましょうが、そして郵便はがき、広告のやつはということもありますけれども日本じゅうそうならいいのです。今、日本の財政がパンクしようとして、土光会長、苦労しておるところでありますから、どうかひとつ踏み切ってちょうだいしたいもの、こういうふうに思うわけであります。  なお、これははがきが売れる手段としては、文部省の方では答えにくいことになりますけれども、しかしそれを抜きにしても、私は恐れておりますのは、大学を卒業した子供に、子供じゃありませんな、これは成人か青年か知りませんけれども、いわば学士様にはがきを書いてもらっても、ろくなはがきが書けないのです。そして、これはどこかのデパートで、大学を卒業した新採用の子供に何か大売り出しの郵便物を書かせたら、個人にも全部御中御中と書いたというのですよ。そんなことを知らぬものですから投函しましたら、お客さんから随分と、というようなことです。  そこで文部省におかれて、郵便局のサービスという意味ではありません、しかしありませんとこの関連になりませんですが、いずれにしましても、国語教育の中でせめて小中学校を出たならば、いわんや高校、大学を出たならば、きちんとお手紙が書けるというように御教育を願いたい。そのためには郵便局からどんどんはがきを教材として買って、そしてひとつ勉強させていただきたい。また郵便局の方でも学習はがきみたいな、ちょっとぐらい薄くても結構ですから、安いはがきならなおいい、ひとつそこら辺のところを御分別を願いたいと思います。文部省、どうですか。
  505. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  現在、手紙やはがきの書き方については、小中学校とも国語の作文の指導の中で取り扱うことになっているわけであります。現在、国語の中に作文の時間が、小学校の場合ですと週当たり二ないし三時間、中学校が一時間ぐらいございますが、その中で、大体小学校では目的に応じて事柄を整理して書くというようなことを中心に指導しているわけであります。それから中学校になりますと、いろいろ先生から今御指摘がありましたように、書き出しからあいさつ、その順序、こういった起承転結とか、こういったところまできちっと実は教科書などにも出ておりますし、小学校でも、手紙を書くというようなことで、毎学年出ております。そういったことで指導することになっておりまして、やっておるわけであります、  それから、毎年郵政省が主催してはがきコンクールなんというのがございますが、これは文部省が後援しております。これを見ますと、五十八年度の例ですと、八万九千ぐらい小学生の応募があったり、やはり相当こういったはがきとか手紙に対する関心は高いようになっておるわけであります。今後ともいろいろ指導してまいりたいと思います。
  506. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そして、ひとつ大臣、この前一般質問のときに大変御理解いただきましたけれども、これは日本でも有名な俳句の雑誌でありますが、実は八百くらいしか出ない。そこで第三種をあきらめて、このように一種として出しているわけです、ところが、この前申し上げましたとおり、こういうのが無慮数百、五百を下回らないほどの雑誌が廃刊をしているわけです。重ねて要望申し上げます。これは、日本のいわばそういう詩をつくったり歌をつくったりするような人々は、政治的発言力が弱いというか、下手なものでありますから、大臣のところに陳情にも見えませんけれども、祈りを込めてこのことの成り行きを見ているわけでありますから、どうか第三種郵便物の取り扱いの緩和ないしは規定の千部というものを下げてちょうだいするようなことに、重ねてひとつ日本文化のために道を開いてちょうだいしたいと思います。どうか一言。
  507. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先般の委員会先生から御指摘をいただきました。早速事務当局に検討を命じさせてあります。  特に今先生の言われる第三種郵便物千部規定を五百部までに緩和したらどうだという形については、これはやはり昭和二十五年ごろから一つの三種郵便物の規則というものは定着してきておりますので、その中のルールにどうするかということについては多少御意見があろうと思います。ですけれども、これの例えば四種の中で学術誌とかそういった専門誌ですね、それに対しては別途優遇措置を講じておるわけですから、この仕分けを、今先生の言われたような例えば俳句同人とか、だれが見ても同人文化誌であるという形で定着してきているものについては何か特別な措置ができないだろうかということで、全体の三種、四種の枠組みの中で、全体の中でとらえて、何とかひとつ先生の御意向に沿うような方向で努力させてみたいと思っております。
  508. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ありがとうございます。  最後に一言でありますが、なおこの郵便事業が、お金がなんとかなるようにという話でありますけれども先ほど質問の中で、電話料金の話がありました。しかし私は、増税反対、減税を言っている野党の中でちょっとおかしいのですけれども、取られつけたものは仕方がないということで、電話の料金を下げるよりは、それによって得たるプラスがもしもあるならば、赤字になっている郵政の方にこれを回してやれたらどうか。これは予算操作の面でいろいろございましょう。ございましょうが、一般会計に繰り入れてそして出していくようないろいろなことがございましょうが、そういうこともあわせて御検討願いたい、こう思いますが、最後に一言だけ。
  509. 高橋幸男

    高橋(幸)政府委員 御存じのとおり郵便事業と電気通信事業につきましては、それぞれが受益者負担ということを原則といたしまして、料金をいただくという事業でございます。独立採算制のもとに企業的、能率的にそれぞれ国と公社という異なる事業体により経営されているところでございます。これらの事業が、今御指摘のように通信手段ということでそれぞれ密接な関係があるということは私ども承知しているところでございますが、それぞれの事業の利益と申しますのはやはりそれぞれの事業の利用者に第一義的に還元すべきじゃないかということで、一方の黒字で他方の赤字を補てんするということにつきましては、負担の公平という観点から、黒字事業の利用者に対して重い負担をかけることになるんじゃないか、また、別個の事業体で事業が行われているということで、それぞれの事業の経営責任をあいまいにするおそれがあるのじゃなかろうかということで、私ども、いかがかというふうに考えておるところでございます。
  510. 滝沢幸助

    滝沢分科員 ありがとうございました。
  511. 上田哲

    上田(哲)主査代理 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  512. 正森成二

    ○正森分科員 どうも夕方遅くまで、大臣、御苦労さまでございます。真藤総裁、こんな遅い時間においでいただきまして、御苦労さまです。委員長も、なかなかお疲れのところ、まことにごあいさつがおくれまして……。  まず最初に伺いたいと思いますが、KDD事件などが起こりました前後だったと思いますが、会計検査院の調べで、近畿電気通信局の不正経理ということで、二年間で総額約十二億余りのお金が、いろいろ必ずしも有用と思われない方向に使われたという件がございました。このうち、第一営業部の元課長ら七人が七千八百万円余りをバーの支払いなどに不正使用をしたという疑いで、大阪地裁で起訴されたことは御存じのとおりであります。  この件については、我が党の村上議員などが逓信委員会でもいろいろ質問をいたしました。そのときに真藤総裁は、総裁におなりになって間もないときでございましたが、そのときの速記録を拝見いたしますと、この金のうち、約四千万円は、労働組合との会議の後などの飲み食いに使われているということもございまして、当時の速記録では「私は、過去長い間民間におりましたが、民間の組合とのつきあいで酒席の座に出たことは一回もございません。これははっきり申し上げることができます。ただ年に一回だけ親善宴会のものをやるだけで、」云々ということを答弁されまして、これらの点については厳重に規制するように努力するという趣旨のことをおっしゃっておられます。また、同じ質問の中で、これらの点について、四千万円の使途について現在はまだ捜査が進行中で十分に正確には答えられないけれども、一段落つけば、その詳細な内容については報告をいたしますという意味のこともお約束なされているようであります。  そこで、この点についてもう電電公社としてのお調べがついておるのかどうか、ついておられれば、この席でお読み上げになるのが長ければ、後で私の方にお示しを願いたい。それから、なおそのときに言われた、こういうことが絶対にないように姿勢を正していきたいという趣旨のことを言われましたが、以来、二年有余たちましたが、それはどのように行われているかについて御見解を承りたいと思います。――総裁が答えているのです。総裁が答えなきゃだめじゃないか。総裁が言っている議事録を読んで、総裁がお答えになったことについてどういうぐあいに措置されているかということを伺っているんです。あのときはまだ総裁になったばかりですからというのでエクスキューズがあったから、我々は余り深くは言わなかった。
  513. 真藤恒

    ○真藤説明員 今のお尋ねに対してお答えしますが、この前、今先生もおっしゃいましたように、そういうことをお答えしたことは覚えております。その後、その御趣旨に従って、いろいろ調査も進めております。それからそういうお答えしたことについて、いろいろ承知しております。その詳細につきましては、まずその衝に当たっております監査局長からお答えさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  514. 篠田謙治

    ○篠田説明員 お答えいたします。  近畿の不正経理に関しましてはいろいろ御指摘、御指導をいただいておりまして、私どもとしまして真摯に受けとめるところでございます。  御質問の趣旨につきましては、村上先生からお話がございまして以後、五十七年の二月二十四日衆議院の逓信委員会におきまして、それから五十八年の二月二十三日に同じく逓信委員会におきまして、藤原先生から御質問がございました。その点につきまして、私どもとして御説明をさせていただき、またその際に藤原先生のところへ資料もお届けしたというふうに理解しておるところでございます。
  515. 正森成二

    ○正森分科員 私が伺っているところでは、それらがいずれも不十分で、我々が十分期待するものではないという引き継ぎを受けておりますので、私があえて申し上げているわけであります。ですから、そういう点についてきょう御用意がないようでしたら、短い時間ですから押し問答はいたしませんが、どういう点が不十分かについて、それなら改めて申しますから。不十分な点については補足をしていただきたいと思います。  ただ、真藤総裁、あなたが村上議員の質問に対して、少なくとも私は民間の労働組合との酒席の会合に出たことは、民間に在職中ございませんというように言われたこととの関連で、あなたのそういう公社の姿勢についての御見解は依然として変わっていないのかどうか、なお今後厳格に履行されるのかどうかだけは総裁から承っておきたいと思います。
  516. 真藤恒

    ○真藤説明員 あのときに御質問に、今おっしゃるようにお答え申し上げたことを覚えておりますが、その後お答えしたとおりの態度を今日まで続けております。いささかの言行不一致の点はないと自信を持っております。
  517. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、私が今申し上げました点については後ほどよろしくお願いしたいと思います。
  518. 篠田謙治

    ○篠田説明員 わかりました。
  519. 正森成二

    ○正森分科員 大臣に伺います。  労働基準法の第三条では、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と定められております。これは至極当然のことでございまして、現在では婦人の差別撤廃条約批准に絡みまして、男女雇用平等法などで、この中に性による差別が入っておらないのは非常に不十分であるという言葉も出ているところであります。したがって、少なくとも労働基準法三条に規定されたこの内容については、信条等によって差別するということがあってはならないと思いますが、御意見を承りたいと思います。
  520. 奥田敬和

    奥田国務大臣 思想、信条によって差別は行われていないと思っております。
  521. 正森成二

    ○正森分科員 労働省においでいただいていると思いますが、労働条件について差別をしてはならないということについては、例えば残業をある特定の者にだけさせないとか、あるいは一般的に多くの職員がその職務を遂行するために受ける技術の習得訓練ですね、こういうものについて差別をした場合には労働条件についての差別というものに入り得ると思うのですが、御見解いかがですか。一般論で結構です。
  522. 野崎和昭

    ○野崎説明員 先生お尋ねのございましたような残業をさせないという例は、ちょっと考えなければならない問題があるかと思いますが、教育訓練というものが制度化されておれば、それは労働条件に当たると思います。ただ、具体的なケースが差別に当たるかどうかは、具体的なケースに即して判断する必要があると思います。
  523. 正森成二

    ○正森分科員 そこで、電電公社に伺いたいのですが、大阪の西成の天下茶屋電報電話局でありますが、ここでは保全課というところで四十四人職員がおりますが、特定の十人だけが残業をさせるリストにも載っておらないということで差別をされているわけであります。その差別をされている人は、いずれも全電通の労働組合と意見を異にして、例えば選挙において政治資金のカンパをしないとかあるいはかつて労働運動で意見を異にしたという場合の人がすべてでありますが、こういうことは、資料も差し上げておきましたが、一切あってはならないというように思うのですね。私は、八月にこのことについてここにおられる外松さんにもお話をしたことがあります。そのときにはそういうことはないと言われましたが、私どもが資料をよく見ますと、当該課長がこういう差別があったということを認めておるのですね。そして私が申しましたのが八月だったわけで、選挙が近いというので、正森成二が落選するかどうかということを見ておったのかもしれませんが、総選挙で私が当選するや否や、そういう残業差別は取り消してそれで残業をさせるというように変えているのですね。電電公社というのはなかなか勘定高いな、あの男が落選するなら幾ら申し出があってもこれはほったらかしておこう、通れば国会で何か言うかもしらぬから、少なくとも非常にはっきりしている残業差別についてだけは直していこう、こういうことかなというように思ったのですが、こういう見え透いたことはやったらいかぬと思うのですね。直したなら直したで結構ですが、今後差別をしないということも含めて答弁を願いたいと思います。
  524. 外松源司

    ○外松説明員 お答え申し上げます。  近畿電気通信局に先生お見えになられまして、いろいろ今御指摘のございました天下茶屋電報電話局におきます訓練とか時間外労働といったような問題についてのいわゆる差別問題というものについての御指摘があったわけでございます。私どもはすぐ現地の局を呼びまして、それで調べました。そして何回か調べたのでございますけれども、そのような事実はないということで先生の方に御連絡申し上げであったかと存じます。
  525. 正森成二

    ○正森分科員 何ですか、その答弁は。いまだにそんなことはなかったと言うのですか。いいかげんなことを言ったら困るですな。その局の田尻という課長が、今回の人選は最善と思っているのか、そうは思っていない、反省しているといって、当該差別を受けた人にちゃんと言っているのですよ。そして悪かったと思ったのかしらぬが、総選挙が済んだら早速残業をさせる対象名簿に入れると言ってきているのですよ。そういうことがあるのに、今言うたようなことを平気で言うのですね。私はこういう感覚というのは疑わざるを得ないのですね。調査が全く行き届かないのか、電電公社というのはよっぽどうそつきが局長になることになっているのか、そのどちらかですね。本当に現地では労働者が物すごく怒っているのですね。それだけではないんですよ。一天下茶屋のことだけではなしに、そういうことが私の調べただけでも関西一円にいっぱいあるんですね。労働条件がはっきりしているものだけについてもこういうような調子だったら、訓練の差別については当然またしらを切るに決まっているんです。  真藤総裁、あなたにわざわざおいでいただいたのですが、あなたはINS構想などで、物の本によると二十兆から三十兆もかかるようないろいろな計画を電電公社てやろう、こう思っているようですが、そういうように高度情報化の方へ電電公社が進んでいくということになれば、一層職員の訓練などをやって職員が能力を最大限発揮できるようにするのは当り前じゃないですか。それを、私は外松さんには去年の八月と今回質問するに当たってと二回にわたって資料を差し上げましたが、私が調べただけでも、名前は申しませんが、同期のIさんというのは同じ期間中に二十四種類の訓練を受けたのに、Hという人は、平山という人ですから名前を挙げてもいいですが、十三種類しか訓練を受けていないんですね。こういうような状況では能力が発揮できないじゃないですか。しかも訓練を受けないでほかの者と同じように仕事をさせられているんですね。これではどれだけ能力のある者でも訓練を受けてないで仕事をするということになれば、十分平等の仕事ができなくなってくるというのは当然じゃないですか。真藤総裁、あなたは民間でいろいろ難しい企業を立派に百姓されたということで、土光さんともおつき合いが深い方ですから、人間の能力を十分に開発するということの重要性は知っているでしょう。こういう点について残業にしろ差別があるとすれば、それは絶対に許せないという一般論については御答弁願えますか。
  526. 真藤恒

    ○真藤説明員 原則として先生のおっしゃることに私は何も、先生のおっしゃるとおりだというふうに思います。
  527. 正森成二

    ○正森分科員 はい、結構です。  そこで奥田郵政大臣に伺いたいんですが、村八分ということがございますが、村八分とはどういうことですか。
  528. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私の常識的な返事ですけれども、何かいわば慣習による冠婚葬祭というような形にまぜないというか、立ち会わないというか、そういったことで精神的な非常な圧迫を与えることだろうと思っております。
  529. 正森成二

    ○正森分科員 半分は当たっておりまして、半分は外れているんです。  なぜ村八分というかというと、村十分ではなしに二分だけは残すから村八分というんです。つまり、ほかのつき合いは一切絶つけれども二分だけは残すから、それで村八分というんです。二分残すのは何かと言えば、火事が起こった場合と葬式なんです。火事が起こった場合は、つき合いかないからあの家消してやらないとなれば村全体に広がりますから、この場合は何ぼつき合いをしないといってもそれは消してやる、それから葬式は、死んだらこれはもう仏さんになったんだからといって葬式はしてやる、それ以外は一切つき合いを絶つという、昔から日本で行われた制裁なんですね。ひどい場合にはこれは犯罪になるということで、判例もあります。しかし、村八分ということで十分にしていないのは、これは救いなんですね。  ところが、全電通は、火事はまだ起こってないからわからぬが、少なくも村九分をやっておるんですね、今私が言いました差別を受けている労働者に対しては。そういうことを思想、信条を理由としてやっておるのです。言語道断と言わなければならないんですね。  私は調べてまいりましたが、例えば奈良の郡山あるいは西宮あるいは京都等でもあるようですけれども、公社がレクリエーションで観光バスなどを出して出かけるんです。そのときに、日曜日で子供の手を引っ張って皆来る。そのときにある特定の労働者だけはその観光バスに乗せないんです、あんたらはこの観光パスに乗ってもらったら困ると言って。それで、いいですか、真藤総裁、職制がわざわざ銭を何がしか渡して、あんたらは電車で行け、こう言って観光バスに乗せないんです。そんな屈辱的なことをされて、一体人間としての誇りが保てますか。  それから、それだけじゃないんですよ。ひどいのは、例えば京都の市外局では、職場で管理者が買ってきて湯飲み場所には茶わんが置いてあるでしょう。我々その茶わんをどれでも洗うて飲んでまた置きますね。そうしたら、おまえはこの茶わんを使うな、おまえの使う茶わんはこれである、こう言って管理者が別の茶わんを買うてきて、正森なら正森、山田なら山田という労働者の分は、おまえはこれを使え、こう持ってくる。普通の人間扱いじゃないじゃないですか。管理者がわざわざ茶わんを買うてきて、おまえはこれを使え、皆の使うのを使うな、こう言っているんだ。  私が村九分だと言ったのは、お葬式のときに、ある特定の労働者のお父さんが死んだような場合には、通常は直属の上司は行くんですね。全部行くんです。ところが、特定の労働者の場合には行かないんです。一家兄弟そろっておって、国鉄も上司が来る、民間の会社も来る、ところが電電公社だけはだれ一人来ない。意見を異にする労働組合が来ないならいいけれども、普通どんな場合でも直属の上司は来るのが当たり前じゃないか。そんな村八分でも除くような葬式まで差別して、INSで高度情報が聞いてあきれるじゃないですか。そんなものはやめた方がいい。そんなものをやろうというなら、少なくとも村九分というようなことはやめた方がいい。真藤総裁の意見を承りたい。
  530. 真藤恒

    ○真藤説明員 今先生のおっしゃるような現実が過去にあったといたしますと、これは私それを直す責任があると思っております。私の方でもよく調査いたしまして、そういうことのないように持っていきたいと思います。
  531. 正森成二

    ○正森分科員 今原則的なお答えがありましたが、能力がないから出世できないというのはまだ慰めがあるんです。しかし、今のような茶わんの件だとか観光バスの件だとかお葬式の件というのは、能力と関係ないことでしょう。そんなことで差別されたら、これは人間としての誇りが保てないでしょう。奥田郵政大臣、あなたもさっきからお顔を見ていますと、いやこんなことが今の日本にあるかなというような慨嘆のお顔で聞いておられましたから、もう御答弁は要りません。大臣のお顔で十分御同情いただいているということがわかりました。私はこういうことはあってはならないと思うのですね。  それで、真藤総裁のお手元に行っているかどうかわかりませんが、公労法では苦情処理というのが法律で定められております。ところが、こういう差別に耐えかねて苦情処理の申請をしようとしたら、ここに苦情処理の用紙、苦情解決請求書というのがありますが、これは当局がくれないんですよ。管理者と半数でしょう。課長のところへもらいに行ったら、課長はそんなもの渡せぬ、自分で書けというようなことを言って、くれないんですね。自分で書いたら書いたで、正規の請求書があるからそれに書けと言うのは決まっているんですよ。  それで、真藤総裁、とうとうそれがけしからぬじゃないかといって、京都市外電話の第一機械課の梅田という人と第三機械課の阿津川という人は、日本電信電話公社京都市外電話局長村田宏殿ということで内容証明を出しているんです。内容証明をつけて私のところへ陳情の手紙が来ているんです。私はこんな内容証明を出したというのは聞いたことがないんですね。苦情処理が解決できないというならまだいいけれども、そうじゃないですよ。そのための用紙をくれない。明らかに公労法違反じゃないですか。公労法はあなた方に申さないまでもよく御存じでしょう。そういうことをやっている。これはやはり許せないと思うんです。公労法の十二条、法律にちゃんとあるでしょう。  真藤さん、この内容証明を全部読まなくてもいいからごらんになるだけでも見ていただきたいと思うのです。  そういうことじゃ、幾ら高度付加価値だとかINSだとか言ったって世間が納得しないですよ。半ば封建社会に隔たるところ遠くないと言わなきゃならないと思うんですね。真藤総裁から、そういうことがあるとすればあってはならないと原則的なお答えがありましたから、私は次にいきたいと思います。外松さん、何か言い分があるんですか。
  532. 外松源司

    ○外松説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の京都市外局におきます苦情処理の問題は、私どもの方でも調査いたしました。これは、もちろん苦情処理は職員個々人の労働条件に関するいろいろ問題を迅速かつ適切に解決するということでございますけれども、その内容的に苦情処理になじまないというようなことがございまして、そういうことを申し上げたのが制度の利用そのものを否定したというようなぐあいに誤解されたんじゃないかというふうに、私どもの方としては調査結果ではそういうふうになっております。
  533. 正森成二

    ○正森分科員 制度を利用するなど誤解されたと、あなたはなかなか、私も弁護士だけれども三百代言的言い方をしますな。窓口で請求用紙を出さないという場合は、明らかに苦情処理を円満に受けつけるという気がなくて差別しているんですからね。それをそういうぐあいに言い抜けるというのは、あなた、職員局長というつらい職業でそういう答弁をしなきゃいけないのかもしれないけれども、決してこの委員会で聞いている方や大臣を納得させるものではないということを申し上げておきたいんです。  もう時間がありませんので最後に一問だけです。  これは大阪市の住吉区なんですけれども、ここはもと住吉区というのは大阪市内でも一、二を争う大きな行政区だったんですが、これが分区されて住吉区と住之江区になったんです。そこで、郵便局本局は住之江区だけはあるけれども、住吉区は人口が二十万もあるのに郵便局がない。そのために配達が非常におくれるということになっておるんです。この点については、私はここ五年ほど郵務局長に連続して問題を提起しているんです。どんなことが起こっているかというと、新年会の案内状が届かなかった、お正月にですよ。会議の案内状が期日を過ぎてから届いた、年賀状が一月二十日過ぎに届いた、遅配で会合案内、封筒入りの商品が届かないことが多く、みんな泣き寝入り、二月二十三日に局受けの郵便物が三月四日に届けられた、こういう陳情がどんどん来ているんです。  実は、私の娘も被害を受けまして、去年就職したんですが、おととしの十月ごろに高等学校の英語の教師の試験を受け、同時に民間も受けた。そうしたら、大学の英文科ですが、同級生のところには英語の高校教師の採用通知が皆来ているんです。私の家は、たまたま住吉区だから、娘のところには来ない。二日たっても三日たっても来ないからてっきり落ちたものだと思って民間の企業に採用の内定についての承諾をしに行ったんです。それで帰ってきたら時期おくれに英語の教師の採用通知が着いているんですわ。それで、娘から、お父さん、郵便局といったら国政に関することじゃないんですかと言われて、大いに面目を失墜したんです。それでやむを得ないからその娘は今民間で勤めているんです。  だから、こういうことを抜本的に改善するためには、やはり住吉区に郵便本局を設置するというようなことでなければ、遠く離れたところから来るわけですから、解決できないと思いますが、私は何年も前からお願いしていますが、どういうぐあいになっているか簡潔に郵務局長でもお答えいただいて、時間ですから質問を終わらせていただきます。
  534. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 住之江局の業務運行につきましては、かねて先生からいろいろな御指摘を受けまして、まことに申しわけなく思っております。二月一日からのいろいろなシステムの改善で最近はかなり改善されてきたとは思っておりますが、抜本的には新しい局舎を住吉区に設置することが必要かと思います国先生を初めいろいろな地元の方からそういう強い陳情を受けておりまして、幸いにして五十九年度の予算案の中には敷地を購入する予算が盛り込まれておりますので、本予算成立後なるべく早く新しい敷地を買い求め、新局舎を建ててまいりたいというふうに思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  535. 正森成二

    ○正森分科員 ありがとうございました。
  536. 上田哲

    上田(哲)主査代理 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  537. 上原康助

    上原分科員 私は、放送衛星の実用化の問題と、公衆電話、福祉電話の件についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  既に御案内のように、我が国初の実用放送衛星ゆり二号aが去る一月二十三日に打ち上げに成功して、大変国民の感銘というか共感を呼んでいるところでございます。これは一九八〇年度に開発に着手して以来、実に四年に及ぶ関係者の御努力がいよいよ実を結んで、全国の四十二万の難視聴世帯が一応NHKのテレビは見ることができることが間近に迫っているということで、非常に期待をされていると思います。  そこで、五月にも放送開始がなされるということのようですが、この放送衛星の現況、今後のスケジュール及び使用目的など、難視聴解消の見通しについてまず明らかにしていただきたいと思います。
  538. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  我が国初の実用放送衛星BS2aでございますが、NHKのテレビジョン難視聴の解消を主な目的といたしまして、先生お話しのように、ことしの一月二十三日に種子島の宇宙センターから打ち上げられております。その後BS2aは順調に推移をいたしておりまして、静止軌道にも定着をいたしております。このまま推移をいたしますとこの五月から、これは予定でございますけれども、NHKによります放送が開始されることに相なっております。  BS2aの軌道上の予備機といたしましてのB32b、こちらの方は明年八月の打ち上げに向けまして現在開発中という状況にございます。  このBS2は、a、bともに重量約三百五十キログラムの衛星でございまして、送信出力は百ワット、テレビジョンの二チャンネルの放送が可能でございますが、この二チャンネルは、先ほど申しましたようにNHKのテレビジョン難視聴の解消を主な目的といたしております。
  539. 上原康助

    上原分科員 そこで、五月にも放送開始になるということですが、後ほど、ずばり言って五月の何日から放送がなされるのか、この点もできれば明らかにしていただきたいわけですけれども、今御説明ありましたように、この打ち上げによって、先ほど申し上げました四十二万世帯、特に私はしばしばこの分科会あるいはほかの委員会でも取り上げてまいりましたが、よく引用されました沖縄県の南北両大東の七百四十世帯が今度のこの放送衛星の打ち上げによって恩恵を受けるということで、非常に期待をしているわけです。その点、関係者の御努力に改めて敬意を表しておきたいと思いますが、しからば、現在、この放送衛星活用、実用化に向けてNHKあるいは郵政省はどのような準備作業を進めておられるのか。先ほど申し上げましたように、五月の何日から同時放映になるのか、この点もぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  540. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 NHKといたしましては、正式にこの放送局に対します検査等が予定どおり終わりますれば、今のところ、予定といたしましては五月の十二日あたりを目標に準術を進めているわけでございます。
  541. 上原康助

    上原分科員 準備をする場合のいろいろな施設とかそういうのもあると思うのですが、そういう点はどうなっていますか。
  542. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 お答えいたします。  もちろん、放送衛星の地上局を初め、NHKとしては放送衛星に番組を送ります地上施設の整備も同時にあわせてやっております。それから、そのほか衛星放送の受信の普及その他いろいろな対策を準備しておるわけでございます。  特に衛星放送、離島の関係でございますけれども、南大東あるいは小笠原も含めまして離島の関係につきましては、衛星の電波が弱いものですから、実際に受信する場合、大型のパラボラを用意しなければならぬ。具体的に言いますと、南大東で言いますと三メートルないし四メートルの大きさのパラボラが要るわけです。したがいまして、その大きなパラボラを各家庭で持つわけにいきませんので、地上の受信と同じVHFで受信できるようにNHKの方で受信設備を設けまして、南大東で再送信を行う、そういう準備をいたしております。
  543. 上原康助

    上原分科員 パラボラアンテナ施設の建設が進んでいるということは私も聞いているわけですが、そこで、今御指摘ありましたように、南大東と小笠原に中継放送局を設置をする。NHKの方から、これは当然事務的なことだと思うのですが、中継放送局の免許申請が郵政省に出されておると思うのです。これは支障なく許可はできるわけですね。どうですか。
  544. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 可能でございます。
  545. 上原康助

    上原分科員 ぜひ速やかな処理をやるように特段の御配慮を願いたいと思います。  それと、詳しい専門的なことはよくわかりませんが、来年八月ですか、BS2bをまた打ち上げる。しかし、BS2の放送衛星の実用化というのも、十二GHZ帯では八チャンネルのうちわずか二チャンネルの使用で、今は黎明期に達したところだという指摘もあるわけですね。そうしますと、NHKの方は同時放映、難視聴地帯の解消ということに大きく踏み出していく、前進するわけですが、郵政大臣、民放関係の難視聴地帯というのはまだまだたくさん残るわけですね。こういう問題の今後の解決策というのはどうなっていくのか。さらに、八チャンネル全体をカバーできるまでに必要な衛星放送政策というものを推進をして、これがほぼ完成というか、あるいは目的が達成できるという具体的プロセスというか、展望というのはどういうふうになっているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  546. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 現在の難視聴、特に辺地難視聴と私ども言っております数は、NHKが約四十三万、民間放送のものが約百十八万ございます。     〔上田(哲)主査代理退席、主査着席〕  御指摘のように、数の差がございます点につきましては、NHKにつきましては、先ほど申しましたBS2によります解消が図られようとしておるわけでございますけれども、民間のものにつきましては、NHKとの間におきます中継所の格差も残存しておりますので、これにつきましても、速やかに中継局の設置をするような指導をしてまいりたいと考えております。  なお、先ほどお話のございました八チャンネルでございますけれども、BS2の後継機といたしましてのBS3の中では、NHKの二チャンネルのほかに民放で一チャンネルを使用するということで、これは五年後の打ち上げを予定をいたしておりますけれども、BS3ということで現在その予備的な設計に取りかかっているという状況でございます。なお、昨年この衛星のチャンネルの利用の仕方について省としての考え方を固めました際に、当面は段階的な利用をしていくということを決めておるところでございますが、これから先の技術動向あるいは需要動向等を見まして、我が国に割り当てられております八チャンネルの割り当てについては、これから先の問題として検討してまいりたいと考えているところでございます。
  547. 上原康助

    上原分科員 確かに、衛星を打ち上げるには相当費用もかかるし、また、技術面でいろいろ困難な問題もあるでしょうし、時間もそれ相当にかかるということも理解できるわけですが、郵政大臣、情報化社会と言われている中で、民放が一チャンネルを利用するのは五年先の打ち上げのときにしかという、相当悠長に構えたような感も否めないわけですね。やはりこういった国民生活とかかわりのある面、あるいは先ほど申し上げましたように、全体的な衛星放送政策というか、そういうものをもっと具体的なプランを立ててそれをスピード化していくというのも、これからの一つの大きな課題でなければいけないと私は思うのですね。今政府委員から御答弁があったのですが、その件についての大臣の御見解をちょっと聞いておきたいと思います。
  548. 奥田敬和

    奥田国務大臣 実用放送の術屋は今度世界でも初めての打ち上げでございますけれども、確かに、割り当て八チャンネルをフルに使ってできるだけ利用者である国民全般にその恩恵を分から与えたらどうだという御意見については、基本的には全く賛成でございます。  今度も、六十二年打ち上げ予定のBS3、これに対して、民放一チャンネルということでございますけれども、これとても、本当は大変まだリスクが伴って、打ち上げにも相当大きな費用もかかることですし、負担も多い。果たしてペイテレビ方式でみんなパラボラの大きいおわんをつけた形で見てくれるかどうかということについても、民放部内でも相当いろいろ意見が分かれていることは事実です。何とかBS3の一波に関しては今月中に調整を行う段階になっておりますけれども、計画してから飛ばすまでにやはり四、五年の時間経過も必要でございます。我が国の宇宙開発技術がおくれておると言えばそれだけのものですけれども、大変計画してから時間と費用がかかります。そういうこと等もあって、できるだけ御趣旨に沿うように、八チャンネルをできるだけ有効に使うという基本方針は確認しつつも、現状の点においては今のベースが妥当な段階ではなかろうかと思っております。
  549. 上原康助

    上原分科員 いろいろ事情もあるでしょうが、それはペイするかしないかだけ考えるとなかなかいかないと思いますよ。こういうものにこそもっと予算を注ぐとか御配慮する必要があるということを申し上げておきたいと思います。  そこで、これも非常に関心を持たれていることですが、この放送衛星の利用によってNHKのテレビを見る。これはお聞きしておきたいわけですが、通常の一般家庭の受信料より高くなるということはないですね。今おっしゃるように、金がかかったからその分は特に受益者負担というようなことでやられたのでは、ただでさえ離島苦に悩む、あるいは難視聴でこれまでも文化的に非常に疎外というか疎遠な地域がより負担を多くこうむるということはいかないと思うので、その点は、恐らくそういうお気持ちはないとは思うのですが、今後を含めてひとつ御見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  550. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 NHKといたしましては、この放送衛星から衛星放送が出ます当初の目的といたしましては、先ほど郵政省の方から御答弁がございましたように、難視聴の解消というのが大きな目的でございますので、そういった段階におきましては、現在の総合料金と別の料金をいただくという考え方ではないわけでございます。ただ、例えば南大東のようなところは難視聴解消ということで新しく放送局になりますので、そこにつきましては、やはり受信料はいただくわけでございます。特に大東島の場合は沖縄料金ということでいただく予定にただいま予算を提出しているわけでございます。
  551. 上原康助

    上原分科員 ですから、通常の料金はまあ一般化しているわけで、別にそのことをとやかく申し上げるつもりはございませんが、それによって、パラボラアンテナ施設に金がかかったとか、放送衛星を打ち上げるのに銭がかかったからといって、そういう地域は別格の料金にしてはいけないということを重ねて念を押しておきたいと思うのです。  それと、南大東にその中継局を設けることによって北大東もカバーできますね。その点もはっきりさせておいていただきたい。
  552. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 御指摘のとおり、百ワットの置局によりまして南大東と北大東、両方ともカバーできます。
  553. 上原康助

    上原分科員 それと、いま一つはローカル放送、ローカルニュースの問題が残ってくるわけです。ある面では地方の時代と言われている、特にローカル文化、そういう重要性からすると、ますます地域社会のニュースであるとかいろいろなことについては、そういった難視聴地域においても放送衛星の実用化によって放映できるということが大事だと思うのですが、説明を聞いていますと、なかなかそれは難しい面があるということですが、ここいらの改善策については今後どのようにお考えになっておられるか、ちょっと御見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  554. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 今先生お話のとおり、衛星放送というのは全国同じ番組を出すわけでございまして、地上放送のような各地方別のローカル放送ということは、これは困難なわけでございます。ただ、私どもといたしましては、そういったローカル放送に対する視聴者の御要望というのは十分認識いたしているわけでございます。この衛星放送につきましても、そういったような状況の中で、やはり衛星放送独自の番組としてローカル情報というものを、例えばリレーニュースといったような形で、地上放送ローカルとは違った独自番組として、ローカル情報というものを編成していきたいというふうに考えております。  それから、番組には各それぞれのローカル局で制作いたしました番組を定時の時間帯の中にも入れていこうというふうに考えております。特に沖縄につきましては、定時の時間帯の中に沖縄放送局制作によります「沖縄の歌と踊り」といったような番組を衛星放送のプログラムの中に組んでいるわけでございます。将来につきましては、そういった技術的な発展の中にそういったことにも応ずる十分な研究を進めていきたいというふうに考えるわけでございます。
  555. 上原康助

    上原分科員 そこいらのことにつきましても、十分これからの問題として御研究、御検討をいただいて、地域住民の御期待に沿えるようにひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、時間もありませんので先に進みますが、通信衛星打ち上げ問題で、平和利用か軍事利用を含むかということで、大変国会でも議論になったことは御承知のとおりであります。改めてお尋ねをするまでもないとは思うのですが、いわゆる放送衛星の軍事利用ということは私はあり得ないと思うのですが、その点、大臣の方でもいいし、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  556. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいまのお話は、衛星放送の受信を自衛隊が行うことがどうかという御趣旨と理解をしておりますけれども、もしそういうことでございますと、衛星放送と申しますのは、物理的には受信のためのアンテナ等所要の設備を設置いたしますと、全国あまねく受信できることになっております。同時に、放送というものはどなたでもごらんになれるということで送信をされるというのが大原則でございます。したがいまして、自衛隊の方で衛星放送を受信するにつきましては、制度的な制約はございません。
  557. 上原康助

    上原分科員 それは今でも当たり前のことじゃないですか。自衛隊だからテレビ見るなとは私は言っていないのです。衛星そのものの軍事利用はないですかと聞いておる。それははっきりさせてください。
  558. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 現在の放送衛星は放送のために利用されるというふうに理解をいたしております。
  559. 上原康助

    上原分科員 いろいろ通信衛星の問題で国会が紛糾したこと、きょうも時間があればその点もちょっとお尋ねしたかったのですが、改めてここは大臣の方も特にノートしておいていただきたいと思います。  時間がありませんから、次に公衆電話。厚生省がいらしていると思うので聞きたいわけですが、沖縄の電話の積滞数も、復帰十年、十一年目にしてようやく解消されて、何とかとんとんというか、本土並みの水準まで来ているわけですが、公衆電話、私はこの問題はかねがね遠距離の電話料金問題なども何回か取り上げて、一応は前進しているのですが、まだまだ格差がありますね。まだ普及状況は相当公衆電話にしてもおくれておる。今後の見通しなど、特に福祉電話のことにつきましては、全国及び沖縄の五十九年度末の設置見通しはどうなっているのか。あるいは同じく、今後の福祉電話の需要見通しとその供給見通しはどうなるのか。さらに、電電公社当局としての福祉電話の今後の研究開発というものはどのようにお考えになっておるのか。格差解消の問題を含めて、時間的な問題がありますので、あわせてお答えいただきたいと思います。
  560. 神林留雄

    ○神林説明員 厚生省御所管のこともございますけれども、電電公社の方で扱っている分だけお答えいたします。  公衆電話は、先生御存じかと思いますが、沖縄県復帰の際は千三百ほどだったのですが、現在、五十七年度末で見まして約七千百となってございます。普及率は、ちなみに申し上げますと、現在千人当たり六・二、全国ベースで七・八でございますから、全国ベースに比較しますと確かに若干下がっておるということです。私どもとしては、基本的に言いますと、今後とも必要な公衆電話の増設は行っていきたい、こう思っております。あわせて、増設だけではなくて、古い、百円が使えない公衆電話がございますので、こういったものを新しい公衆電話にかえていきたいと思っております。  それから、福祉電話の関係でございますけれども、これは私どもはおつけするという立場でございますので、計画等は私ども所管ではございませんけれども、御計画等には一〇〇%沿っていきたいと思っております。  それから、福祉機器のお話がございましたけれども、これも私ども特に積極的にいわば勧奨してお売りするというものではございませんが、出てきたものについては万全のいろいろな手配、たとえば料金なんかも大分低くしておりますが、こういったことでいつでも御需要に応じられるようにしたい、こう思っておりますが、先生指摘のとおり、福祉機器の普及は沖縄県の場合やはり若干低いようでございます。  以上であります。
  561. 古瀬徹

    ○古瀬説明員 昭和五十八年度におきましては、沖縄県から七十一台の福祉電話の国庫補助申請がございまして、申請どおり国庫補助を行っております。この結果、お年寄りに対します比率でいきますと、五十八年度末の見込みで、全国が四・八五台となっておりますのに対しまして、沖縄では四・五四台となっております。ちなみに五十五年度末で見ますと、全国の四・五台に対しまして沖縄は二・八台でございましたので、大分追いついてまいったということが言えるかと思います。
  562. 上原康助

    上原分科員 一応、この申請あるものは十分設置をされていると理解していいですね、電電公社も厚生省も両方。ぜひその点も、特にこういった福祉電話というふうに大きなあれも出しているわけだから、宣伝だけ多くして関係者の希望にこたえられないでは困りますよ。  それと、時間がありませんから、質問の中に入れてなかったのですが、電波障害が北部地域非常にあるのですね。以前もあったのですが、この問題についてはぜひ御研究いただきたい。夜間は全く北部地域は聞けないんですよ、名護以北、国頭村、東村、大宜味村に至って。このことについて、どちらがお答えになるかわかりませんが、この電波のあれによっていろいろあるようですが、ひとつ御検討いただきたいと思いますが、どなたかお答えをいただきたいと思います。
  563. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生お話は外国電波による混信の問題かと存じております。私どもといたしましては、実情を極力把握をいたしまして、可能な限り対策の手を打ってまいる所存ではございますけれども、必ずしも思うようにまいらない面もありまして、この点は御理解を賜りたいと思っておるところでございます。
  564. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  565. 原田昇左右

    原田主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  566. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私は、公明党・国民会議の斉藤節でございます。大変長い時間、どうも御苦労さまでございます。私は大変簡単な質問でございますので、関係の方が終わりましたら御退席を願って結構だと思います。  最初に、電電公社総裁もおいでをいただいていると思いますけれども、これは簡単な質問でございますので、終わりましたらお帰りになって結構でございます。  御案内のように、百円硬貨を利用する電話機がございます。これについてお尋ねをしたいのでありますけれども一般に、申すまでもなく自動販売機というのはたばこもそうでありますし、そのほかジュース、また切符なども自動販売機であるわけでありますけれども、大抵料金が決まっているせいもあるのでありましょうけれども、おつりがちゃんと出てくるわけでございます。しかしながら、百円硬貨を使う電話機におきましては、五円分使わなくても受話器を切ればそのまま全部入ってしまう。電電公社さんは大変御商売がお上手なのか知りませんけれども、そのように料金をオーバーに取ることになるんじゃないか。その辺ちょっと不合理じゃないかと私考えておるわけなんです。これは電話機の機構の問題もいろいろあるのかもしれません。私、専門でありませんのでよくわかりませんけれども、おつりが出るような方策がとれないものかどうか、その辺を御答弁いただければと思うわけでございます。今後の対策ども含めましてお答え願いたいと思います。
  567. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  先生の御指摘まことにごもっともでございまして、一般のお客さんからも、百円公衆電話はおつりが出るようにすべきではないか、そういう御要望も、あるいは御苦情も大分いただいてございます。私ども、できればそういうようにしたいとは思っておるのでございますけれども、いろいろネックがございまして、一つのネックは、私どもの料金というのは対地によって違いますし、時間帯もまた違うわけですね。深夜だとか夜間だとか、あるいは日曜、祝日、そんな問題もございます。そういうようなこともございまして、つくろうとしてできないわけでもないのですが、相当複雑な機構で、かつ大型になってくるというハード的な、あるいはコスト的な問題もございますが、しかし一番大きい問題は、実は運用上の問題も大変ございます。先生、自動販売機というのは大体御存じでしょうけれども、駅なんか一番ポピュラーですね。裏側に駅員の方がいらっしゃる。それから普通のお店でも、必ずお店があっておつりが出ないときは申し出るというようなかっこうになっております。私どもの公衆電話は町中にございまして、人がいないということがございます。一方、おつりの問題というのは、例えば百円入れて十円だと九十円のおつりというようなことになりまして、一般の自販機よりもコインの補給というか、スペアが大変要るわけなんですね。そういう運用上の問題もございまして、私ども、実はおつりを出すという方式は技術的にはできても運用上は大変難しいと思っております。  ただ、そういうことではいけないということで、実は最近そういったかけ残しかないというカード公衆電話、カードで使う公衆電話を昨年からつけ始めまして、今後これを相当大幅につけて、もちろんこれは便利になるわけですけれども、同時にまたそういったおつりの問題なんかにも対応していきたい、こんなふうに考えております。
  568. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大変よくわかりました。しかし、カードを使う電話機、現在それほど普及しているんじゃないのですね。その辺ちょっと。
  569. 神林留雄

    ○神林説明員 これもまた先生指摘のとおり、現在時点で日本全国三千百台、大変少のうございます。つけ始めたばかりでございますので、実は来年度以降、この四月以降相当大幅に増設を図っていきたい。当面、来年度は一挙に一万五千台新しくつけたいと思っております。その後の計画は決まっておりませんが、引き続きかなりなハイピッチで普及を図っていきたい、こう考えております。
  570. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 カードの普及、それは大変結構だと私、思います。それは大いに普及させていただきたいと思うのですけれども、つり銭じゃなくて、今度は両替ですね。両替機を置くというようなことはできないものですかね、百円硬貨を使うような電話機の場合。
  571. 神林留雄

    ○神林説明員 私、ここで正確な数はちょっと申し上げられないのですが、現在、公衆電話等が多数設置されている場所には両替機を大体置いてございまして、逐次、毎年少しずつふえているというのが現状でございます。もっといろいろつければいいのですが、やはり今のところは集合設置の場所につけさせてもらっています。
  572. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 では、両替機もだんだん設置しつつはあるわけですね。わかりました。百円硬貨の電話機につきましてはそのくらいでございます。  次は、市外局番ということについてお尋ね申し上げたいと思うのでございます。  私、全国的に調べておりませんのでよくわかりませんが、例えば私の住んでおります近くあたりでは、一つの市でありながら市外局番が二つあるいは三つぐらいあるところがあるのですね。例えば調布市などは〇四二二と〇四二四それから〇三ですか、そんなふうに三つもありまして、同じ市内でかけるのにもダイヤル式なら非常に長ったらしくなる、プッシュホンなら案外簡単でございますけれども、そういう不便さを私、感じておったわけでございます。人によっては、私の住んでいるところは調布市でも〇三で東京都心と同じでなんというようなことで、格が高いような感じをしている人もおるようであります。しかし、いずれにしましても、これは非常に不便だと私は思っていたわけです。その点何とかならないものでございましょうかというのが私の質問でございます。御答弁願います。
  573. 池沢英夫

    ○池沢説明員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、同一行政に二つ二つが多いのですけれども二つ以上の市外局番というところが全国で約四百。そのうちの約二百が、三分十円でかけられる単位料金区域と言っておりますが、同じ単位料金区域内にそういう状況のところがございます。これは単位料金区域の中を全都市外局番なしでかけられるようにしていきたいということで地元の御要望を承りながらそういうことを進めていっております。あとの半分の二百は、今狛江のお話がちょっと先生からございましたけれども、料金区域がちょっと一部隣の料金区域にはみ出ているわけでございます。狛江のケースで言いますと、狛江市の大部分は東京の方の単位料金区域の中にございます。それから一部は調布市の方に入れているわけです。そういうようなところが二百あるわけでございます。合わせて四百あるわけでございます。
  574. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういった料金的な関係で難しいということでございますね。
  575. 池沢英夫

    ○池沢説明員 はい。
  576. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 わかりました。  いずれにしましても、多摩地区ですけれども、これ〇四幾つというような局番になっておりますけれども、ここらあたりも統一してもらえるようなことができるならば非常に電話もかけやすくなる、そんなふうに思っていたわけですけれども、そういう料金的な関係があるのであれば、これは仕方がないのかもしれません。わかりました。  これで電電公社さんに対する質問は終わりでございますので、どうぞお帰りになって結構でございます。  次は、テレトピア構想について郵政省にお尋ね申し上げたいと思います。  現在郵政省ではテレトピア構想の具体的作業に入っていると聞いておるのでありますけれども昭和五十九年度目途に全国で土地域を指定する、このような検討作業がなされているそうでありますけれども、どのくらい進んでいるのか、その辺御答弁願いたいと思います。
  577. 小山森也

    ○小山政府委員 本年の四月をめどにいたしまして、まず地方公共団体でどのような形でこれからのテレトピア構想について進めていくか、そういったことについての指標を出すつもりでございます。そうしますと、各地方公共団体ではその指標に基づきまして、それぞれの地域に合った形のテレトピア構想というのを進めて、いろいろな構想を進めて、郵政省に対して申請していただくということでございます。そのような作業をする傍ら、今度は具体的にどのような形でその地域を選定するかという選定基準をつくっていくということにしておりまして、最終的にそれぞれの地域の割り当てをする、地域を決定いたしますのは五十九年度末になるものと考えております。
  578. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私の住んでおります八王子市でございますけれども、ここも今回申請していると思うのでありますが、これは各地方電波監理局ごとに一地域程度指定したいというお考えだそうでありますけれども、そのようになっているわけでございますか。
  579. 小山森也

    ○小山政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  580. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 東京都では八王子市のみでございますね。
  581. 小山森也

    ○小山政府委員 今、全国で九十二都市が立候補いたしておりまして、私、今手元に資料がございませんでして、東京都で何カ所かというお答えができないことをまことに申しわけないと思っています。
  582. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私の調べた範囲では、八王子市だけが申請しているということでございます。これは実態調査書も提出しているということであるわけです。  八王子市は申すまでもなく現在十七大学がございまして、将来二十一大学まで膨れ上がるのじゃないか、そんなふうに今考えられておるわけでありますけれども、このテレトピアの地域指定をする方向でぜひとも我が八王子市を入れていただきたいというのが私のお願いなんでございます。その辺考慮していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  583. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま具体的に御返事できる段階にございませんことを非常に申しわけないと思いますけれども、そういう段階でございますので、御容赦いただきたいと思います。
  584. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 わかりました。いずれにしましても、テレトピアは非常にいい構想でございますので、ぜひとも関東――関東地区に一つということではないんでございましょうね。東京都に一つくらい指定されるのでございましょうか。その辺もひとつお聞きしておきたいのです。
  585. 小山森也

    ○小山政府委員 関東地区に一カ所でございます。
  586. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 じゃ大変厳しい競争率ということになるわけでございますけれども、ひとつこの辺、御考慮のほどお願いしたいと思います。  テレトピア構想につきましての質問は以上でございます。簡単ですが、結構でございます。  次、今度は難視聴対策でございますけれども、私の住んでおります多摩地区でございます。これはテレビ難視問題が非常に古くから、昭和五十六年ごろからもう既に問題になっているわけでありますけれども、申すまでもなく最近のビルの高層化に伴ってテレビの電波の電界が弱くなっている、そういう地域が生じているわけでございます。辺地型難視聴のほかに、都市型受信障害あるいは都市型難視聴問題、それから地形難視、こういったような難視問題が非常にあるわけでありますけれども、特に都市化が著しい多摩地区におきましては、テレビ難視の世帯が非常に多くなってきているわけです。特に多摩市などの多摩ニュータウンを他えている自治体では、たびたび市議会におきましても非常に問題になりまして、取り上げられているわけでありますけれども、国の対応もそろそろ問われてきているのじゃないかと思うわけでございます。  この問題に関しましては、先ほども申し上げましたように、昭和五十六年ごろからこれまで何回も逓信委員会におきまして私どもの竹内議員が質問しているわけでございます。ここに議事録を持ってきておるわけでございますけれども、これを一々全部読み上げるのは大変時間がかかりますので省略いたしますけれども、この答弁の中に、例えば田中(眞)政府委員の回答の中には、「多摩丘陵一円に地形難視がございます。」ということで「私どもが検討中のものは、多摩中継局というようなことで現在検討中でございます。」というような御答弁を昭和五十六年十月三十日に逓信委員会でなさっていらっしゃるわけです。この当時でさえも「いわゆる辺地難視という形で把握しておる世帯数が現在約一万世帯、九千六百世帯ほどは把握しておる」というようなことも高橋参考人からも御答弁をいただいているわけです。  そのほか、昭和五十七年三月十八日、これもやはり逓信委員会でやっているわけであります。このときもいろいろ答弁しておられるのでありますけれども、「最終の段階に来まして、まだいささか調整を要する点があるというふうに聞いておる次第でございます。いましばらく時間をおかしいただきたいということでございます。」というような御答弁があるわけです。  このように、努力をするということを盛んに言っておられまして、五十八年二月二十三日におきまして、「残念ながら先ほどもちょっと申しましたように、いわゆる地形難視に対する考え方と、人為的な建造物等原因者が通常あるものに対する解消の考え方ということで、最後的な詰めがまだできてないということで、いまは時期を明確にすることはできませんけれども、」というような御返事があるわけです。しかし、このタワーにつきましては、構想をここで明らかにしておられるわけです。「多摩タワーの規模でございますけれども、送信規模一キロワット、鉄塔高百七十メートル程度であれば、地形の難視の解消のほかに、東京都の二十万世帯のうちの十万世帯程度の都市難視もあわせ解消できるというふうに計算いたしております。」というようなことで、田中政府委員が五十八年二月二十三日に逓信委員会で御答弁なさっていらっしゃるわけでありますけれども、私がお尋ね申し上げたいのは、その後どうなっているのか。もう随分時間がたってきているわけでありますけれども、現在の多摩地区のテレビ難視の現状について、その電波の送り手でありますNHKさんはどのように把握しておられるのか、まずお答え願いたいと思うのでございます。
  587. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 今お話しございましたように、多摩地区のいわゆる辺地難視につきましては、御指摘のように現在一割近く難視がございまして、昭和六十五年と言われておりますけれども、多摩ニュータウンが完成したころにはそれがもう少しふえるというような予想もされております。そういう中でNHKといたしましては、昭和五十三年から多摩地区の辺地難視については計画を始めております。ただし、御指摘の都市難視との関連につきましては、NHKといたしましてはこの辺地難視の置局は、お話のありましたように一キロワット、百七十メートルという規模を拡大いたしますと、都市の受信難視の解消に役立つというようなことも検討されているわけでございますけれども、NHKといたしましてはそれに対します調査あるいは受信人調査、そういった面は積極的に協力していっておるわけですけれども改善のための都市難視の、都市の受信障害の費用の負担につきましては、原因者が負担するという郵政省の指導要領もございまして、その原則に従って対処するというふうに考えております。その意味におきましても、置局の規模を拡大するということによって経費がふえるということにつきましては、原因者において負担してもらいたい、そういう考え方でおりますけれども、基本的にはその実現には努力していきたいというふうに考えております。
  588. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういう努力してくださることはわかるのでありますけれども、早くから構想が出ているにもかかわらずなかなかうまくいかないというのは、何かまだほかに原因があるのじゃないかと私は思うのでございます。ないのでございましょうか。
  589. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 多摩の中継局の設置の構想は、先ほど先生お話がございましたとおりでございます。五十六年に設置の構想を私どもで固め、それを関係者にお示しをしたわけでございますが、多摩のニュータウンに送信規模一キロワット、鉄塔の高さ百七十メートルというふうなことで、UHFの波を七波使うということで考えたものでございますが、この中にいわゆる先ほどからお話の出ております地形によります難視、辺地難視という呼び方もございますけれども、そういう地形的な難視解消とあわせまして都市受信障害、すなわち人為的な原因による難視聴の解消にも、副次的な効果でございますけれども役立てたいというのがこの構想の考え、もとになっておるわけでございます。今申しました二つの考え方に関しまして関係者の間での意見の一致が必ずしも見られていないということが、まだ話の詰まっていない理由でございます。
  590. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私の聞くところによりますと、何か民放さんの協力が得られないというふうに伺っておるのでございますけれども、そうでございましょうか。
  591. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 関係者の中に御指摘のような放送事業者も含めて私ども考えているわけでございますが、その関係者の中で合意が得られていない。特にここで社名まで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、民放の中におきまして先ほど申しました中継局構想に関します問題の規模あるいは経費等の関連におきまして、まだ合意が得られていないというのが実情でございます。
  592. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういう規模とか経費の関係で行き詰まっているだけでございましょうかね。何かそのほかにも別な理由があるようにも伺っておるのですけれども、ここでは特別それ以上、私、時間もありませんので申し上げませんが、いわゆる第二東京タワーとも通常言われておりますね。このタワーを建設することによって、先ほども申し上げましたように、多摩地区だけじゃなくて新宿の方まで、いわゆる地形難視以外のそういう人為的な難視によることまで解決できるということでございますので大変――現に今NHKさんの方では放送衛星を上げられましたから私の方は関係ないと言われるかもしれませんけれども、しかしそうでもないと思うのです。やはりパラボラアンテナも大きいものをつけてもう一回再放送するというようなことでございますから、いろいろ難視問題はそう簡単には衛星だけでは解決つかないだろうと私思うわけでございます。そういうことで現在多摩地区の皆さん方は非常に困っておるわけです。現に私も調査してまいりましたけれども、建設業者の方から特別UHFのコンバーターをあれしてもらってやっているというところもありまして、そうやって解決しているところもありますけれども、それは部分的でございまして、やはり全体的な解決にはなっていないわけでございますので、この辺でぜひとも住民の声を一日も早く実現させてあげていただきたいと思うわけです。  郵政大臣にひとつ、そういう住民が困っておるということに対しまして大臣はどのようにお考えでおられるか御所見をいただいて、私はまだ時間が少しありますけれども、終わらしていただきたいと思います。
  593. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今お聞きして、東京のど真ん中に十万世帯以上の難視聴区域が現存しているという事実は大変遺憾でございます。国民生活に今もうテレビは欠かせない問題になっているわけですし、今お聞きしておりますと、第二東京タワーの構想が計画的にはできておるにかかわらずなぜ実現できないのかということを聞くと、何か一放送事業者の協力が得られないということのようでございます。開発事業体も含めて、住民も含めて積極的に難視聴対策に取り組んでおるのに、その一事業者だけがどういう理由で反対しているのか、私も即刻ただしてみたいと思っております。こういう形に御指摘の点は十分理解できますので、私もせっかくこの構想の内容を詰めてみたいと思っております。
  594. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 以上のようなことをくれぐれもお願い申し上げまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  595. 原田昇左右

    原田主査 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、郵政省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時五十八分散会