○西村(康)
政府委員 第二常磐を含みます首都圏の交通問題、特に通勤通学輸送の問題につきましては、
先ほど大臣から申し上げましたように、
昭和五十七年の九月に運輸政策審議会に対しまして、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備についてという諮問をいたしました。その後、この審議会では、東京圏の交通問題に関します部会を設けまして、さらにそこでは小
委員会を設けまして、問題を詰めておるわけでございます。
この問題を詰めるに
当たりまして、実際には各県あるいは東京都、さらには
関係事業者から、現在の輸送の
状況、将来の見通し等をお伺いいたしましたし、特に各県からは、こういう交通
状況があるのでこういう整備をしてほしいというような、いろいろな意見の陳述を受けているわけでございます。
今どういうふうな審議をしているかと申しますと、これは現在、御承知のように首都圏の交通網の整備は、
昭和四十七年の、運輸政策審議会の前身でございます都市交通審議会の答申に基づきまして交通網の整備を進めているわけでございますが、この当時予測しました交通需要あるいはそれに基づきましてこういう交通機関を整備しようということを考えていたわけですが、それらはいずれも現実とかなりそごを来しております。
どういうそごかと申しますと、具体的には、御承知のような東京のドーナツ化という現象、特に東京の北部、東部の方の人口の急増というような事情、したがいまして夜間人口と昼間人口の非常な較差あるいは就業人口の東京都内における重心の移動というようなものもございます。さらには、現実の輸送機関の整備の方も、地元の
関係あるいは財政上の制約、あるいは建設費の高騰というような事情で、なかなか思うに任せない
部分もございます。この十年間かなりの整備が進んだと思いますが、なお思うに任せない。したがいまして、
先ほど御
指摘のありましたように、例えば常磐線等におきます混雑というのは非常なものがございます。また、人口の急増から申しましても、千葉県の北西部というものは、当時答申が予想していました人口とかなり較差がございまして、
昭和六十年に予想しました通勤人口を
昭和五十五年ではるかに上回っているというような事情もございます。
こういうような
状況に基づきまして、現在、審議会では、各県のヒアリングの後、実際に首都圏というのは全国の中でどういうような人口の張りつき方をこれからしていくか、また方面別にはどうなるか、具体的にさらに細かい線別にはどんな
状況になるかという
作業を今鋭意進めております。こういう
作業が終わりますと、具体的にこういう方にもう少し路線を整備する必要がある、これらの路線は整備をある
程度先に延ばしてもいいというようなことが出るわけで、このことを近近、さっき
大臣も申し上げましたように、できるだけ早くやりたい。さらに、この問題だけでネットワークが仮に出ましても、それだけで整備が進むわけでございません。
先ほど申し上げましたようないろんな制約
条件がございますので、実際にこれからは都市鉄道あるいは郊外鉄道をつくるに
当たりましては大変な財政上の負担がございます。そしてまた、鉄道をつくりましてから十年、十数年これは採算に乗らない、赤字の
状態が長く続くということがございます。
そうすると、そのようなことが大きな経営上の負担を持つような鉄道をどうやってつくったらいいかということを具体的に詰めていかなければならぬ。そのためにはいろいろな工夫があると思います。また、地元側のいろんな意味での御協力も願わないとこれはやっていけない。単に利用者がその費用を全部運賃という形で負担するというのでは、非常に高い運賃で鉄道を利用できなくなるということにもなりかねませんので、実際にはどういう形で整備したらいいかというのは一工夫二工夫なければならない。その問題についても今私
ども審議会で御審議をお願いしておりますし、また、地元の
要望の強い方面につきましても、ひとつ地元もいろんなお知恵を出していただきたいということもお願いして、そのようなことがバックになりまして具体的にここは整備していけるという見通しがつくのだろうと思います。
今、審議会は、御
指摘のように、できるだけ早く結論を出して、この問題の推進に取り組みたいというふうに考えておりますので、私
ども事務当局もそのような方向で一生懸命努力している次第でございます。