○大村
主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔
坂本国務大臣の説明を省略した部分〕
次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
第一は、高齢化
社会の進展に対応した労働対策の推進に必要な経費であります。
高齢化
社会の進展の中で、経済
社会の活力を維持発展させていくためには、高年齢者に対し安定した
雇用就業機会を確保することが重要であります。
このため、六十歳定年の
一般化の早期実現に向けて、引き続き、取り組みのおくれている企業に対する
行政指導の推進に努めるとともに、高年齢者職場
改善資金の融資枠の
拡大等各種相談援助措置の充実活用により、定年延長の推進に一層努力してまいります。
今後、高齢化の波は六十歳台前半層に移行し、この年齢層の高年齢者が大幅に増加するものと見込まれております。このため、五十九年度においては、特に六十歳台前半届の
雇用対策に政策の重点を置き、短時間勤務を含む多様な形態による
雇用延長を促進するための事業主に対する助成、短時間勤務による雇い入れを促進するための事業主に対する助成、退職前事業主による定年退職者等の再就職のあっせんを促進するための助成などの
施策を講じるとともに、シルバー人材センターの拡充強化等、この年齢層の多様な就業ニーズに対応した
雇用就業対策の総合的な整備を図ることとしております。
さらに、中高年齢者については、その職業能力の開発
向上を図ることが極めて重要であります。このため、生涯
訓練の
基本理念に立って、事業主等が行う中高年齢者等の教育
訓練に対する生涯職業
訓練促進給付金の活用や、公共職業
訓練施設における高年齢者向け職業
訓練科の増設を図る等、中高年齢者の職業能力の開発
向上の推進に努めてまいります。
これらに必要な経費として八百七十九億八千二百万円を計上いたしております。
第二は、産業構造・就業構造の変化に対応した労働対策の推進に必要な経費であります。
現在、我が国産業界においては、マイクロエレクトロニクスを利用した技術革新が急速に進展しており、労働面においてもこれらの変化に適切に対応することが重要な
課題となっております。マイクロエレクトロニクスを中心とした技術革新の
雇用に及ぼす影響に対応するため、
雇用職業総合研究所の研究体制等の強化を図るとともに、部門別
雇用安定労使会議の開催による労使その他の
関係者の意志疎通の促進を図るなど、積極的な対策を講ずることとしております。また、マイクロエレクトロニクス機器の普及に対応した職業
訓練や、安全衛生対策の充実に努めてまいります。
今後、
雇用の
拡大の見込まれる第三次産業の分野において適正な
労働条件が確保され、安定した
雇用の場が形成されることは極めて重要であります。このため、商業、
サービス業等の事業主の団体を
対象として、自主的
労働条件改善モデル集団の指定と
労働条件改善アドバイザーの設置等による
指導援助を行うことにより、労働時間を初めとする
労働条件の自主的な
改善を促進するなど、産業
社会の
実態の変化に即応した的確な
施策を推進してまいります。
さらに、パートタイマーの
雇用の安定、
労働条件の確保等を目的とする総合対策を盛り込んだパートタイム労働対策要綱を策定し、これに基づいて労使に対する啓発
指導に努めるとともに、パートバンク等を中心とした職業紹介体制の充実に努めてまいります。
これらに必要な経費として十一億七千三百万円を計上いたしております。
第三は、
雇用失業情勢に即応した
雇用対策の推進に必要な経費であります。
最近の
雇用失業情勢は、なお厳しさを残しているものの、景気の回復を背景として
改善の動きが出てきております。
労働省としては、こうした
改善の動きを確実なものとするため、失業の予防、再就職の促進を図るとともに、業種、地域における失業の
実態に即した
雇用対策を機動的に進めてまいります。
また、
雇用保険
制度については、
雇用失業構造の変化に対応して、失業者の再就職の促進を図るとともに、
制度の不合理な面を是正し、将来にわたる
制度の健全かつ機能的な運営を確保することとしており、今国会にそのた凶の法律案を提出いたしました。
このほか、我が国の経済
社会の著しい変化に対応して、労働力需給のミスマッチを防止するため、機動的な職業紹介を推進するとともに、
雇用情報提供等の
雇用サービス機能を強化することとしております。
これらに必要な経費として一兆三千九百六億七千七百万円を計上いたしております。
第四は、労働者の安全と健康を確保するための
施策の推進に必要な経費であります。
働く人々の生命と健康を守り、快適な作業環境を形成することは、労働
行政の最重要
課題であります。
五十九年度においては、産業安全研究所の爆発・火災研究
施設の充実などにより、爆発・火災による重大災害の防止対策の
確立を図るとともに、機械等の安全確保、
建設業における労働災害防止のための
施策の促進、じん肺、振動障害等の職業性疾病対策を進め、労働災害の着実な減少を図ることとしております。
また、産業医科大学に大学院及び藤業生態科学研究所を設置するなどにより、産業医学の振興を図ることといたしております。
なお、不幸にして労働災害をこうむった
方々や、その遺族に対しましては、適正迅速な
労災給付を行うとともに、
労災被災者の
社会復帰の促進を図ることとしております。
これらに必要な経費として九千三百六十五億二千八百万円を計上いたしております。
第五は、経済
社会の変化に対応した能力開発の推進に必要な経費であります。
産業構造の変化、産業技術の高度化等
社会経済情勢の変化に伴い、職業
訓練の果たす役割はますます重要となってきております。特に高齢化
社会への移行の中で勤労者が生涯を通じて職業能力の開発
向上ができるよう、民間、公共一体となった
訓練体制の整備を図る必要があります。
このため、民間における能力開発を振興するため、第一で述べたように、生涯職業
訓練促進給付金の積極的活用を図るほか、中小企業事業主等の行う認定
訓練に対する助成の充実、地域職業
訓練センターの増設等を行うこととしております。また、技術の高度化、多様化に対応した公共職業
訓練を推進するため、総合高等職業
訓練校の職業
訓練短期大学校、技能開発センターへの転換を推進するとともに、職業能力評価体制の整備と技能尊重機運の譲成を図ることといたしております。
これらに必要な経費として六百七十九億五千八百万円を計上いたしております。
第六は、職業生活の充実と労働者
福祉対策の推進に必要な経費であります。
労働者の
福祉の増進を図るため、週休二日制の普及等労働時間短縮については、今後とも労使の自主的努力を基本に、経済動向、産業、企業の実情を踏まえ、その一層の推進に努めてまいります。
また、勤労者の貯蓄や持ち家などの資産形成を促進するため、勤労者財産形成持家個人融資
制度を初めとして、勤労者財産形成促進
制度の普及を図ることとしております。
このほか、最低賃金
制度の推進、未払い賃金立て替え払い事業の充実等
労働条件に関する
施策を推進するとともに、中小企業退職金共済
制度の普及促進、勤労青少年
福祉対策の推進、勤労者のための
福祉施設の整備等を行うこととしております。
これらに必要な経費として二百六十二億六千二百万円を計上しております。
第七は、
雇用における男女の機会の均等及び待遇の平等の確保対策の推進に必要な経費であります。
雇用における男女の機会の均等と待遇の平等については、婦人差別撤廃条約の批准に向け、国内法制等諸
条件の整備に努めることが、
昭和六十年までの国内行動計画の後期重点目標の重点
課題とされております。
このため、
雇用における男女の機会と待遇の平等の促進のために必要な法制の整備が必要であると考えております。法制整備の内容については、現在、婦人少年問題審議会において鋭意
検討が進められているところでありますが、その結論を待って、
関係法案を今国会に提出する所存であります。
また、育児休業
制度の普及を促進するため、特定
職種育児休業利用助成給付金等の拡充を図るほか、再就職型等女子の就業パターンの多様化に応じた
施策を推進することとしております。
これらに必要な経費として十二億千三百万円を計上しております。
第八は、
障害者等特別の配慮を必要とする人々に対する
施策の推進に必要な経費であります。
心身
障害者等の特別の配慮を必要とする人々に対して、
雇用機会を確保するための
雇用対策を積極的に推進するほか、職業生活を援助するための
施策の充実を図る必要があります。
このため、心身
障害者対策については、
身体障害者雇用率達成
指導を強力に推進するほか、特に、就職の困難な
重度障害者及び精神薄弱者については、
重度障害者雇用企業の設置に対する融資
制度の創設、
地方公共団体の積極的参加のもとに、民間の活力を生かした第三セクター方式による
雇用企業の育成を図るなど、
雇用の
改善を促進するための
条件整備を図ることとしております。また、
障害者の職業的自立を図るためには、その職業能力の開発
向上等が重要であります。このため、
障害者の
一般の職業
訓練校への入校の促進、入校者の障害の
重度化に対応した
身体障害者職業
訓練校の整備を図るほか、治療から
社会復帰までを一貫して行う総合リハビリテーション
施設の設置計画を推進することとし、五十九年度においては医療部門の
建設に着手することとしております。
このほか、
建設労働者、季節・出稼労働者、同和
関係住民、炭鉱離職者、母子
家庭の母等、インドシナ難民等のための
雇用対策についてもそれぞれ充実を図るほか、中国引揚者についても特定求職者
雇用開発助成金を適用することによりその
雇用の促進を図ることとしております。
さらに、失業対策事業につきましては、今回、その運営について見直しを行ったところでありますが、今後とも事業の適正な運営に努めてまいる所存であります。
これらに必要な経費として千四百十九億七千三百万円を計上いたしております。
第九は、経済
社会の変化のもとでの労使
関係の安定の推進に必要な経費であります。
今後の経済
社会情勢の大きな変化に対応するためには、労使が広い視野から自主的に話し合うことによって、これまでに形成されてきた良好な労使
関係を維持発展させ、問題の合理的、平和的解決を図る必要があります。
このため、今後とも産業労働懇話会等の場を通じ、政・労・使間の相互理解と信頼
関係を一層深めることに努めるとともに、労使
関係の実情に関する調査研究等を行い、これらの成果の普及を通じて、安定した労使
関係の形成を促進することとしております。
これらに必要な経費として七億五千四百万円を計上いたしております。
第十は、変動する国際
社会に即応する労働外交の推進に必要な経費であります。
近年、政治、経済、文化面での国際相互依存性が高まるに伴って、労働問題も一層国際化の度合いを深めており、我が国の置かれた国際的地位にふさわしい労働外交を積極的に展開すべきと考えております。
開発途上国の経済
社会開発に対する援助協力を進めるに当たっては、特に人材育成への積極的協力が望まれております。このため、民間企業の行う海外職業
訓練を援助するための
施設として設置された海外職業
訓練協力センターの運営開始、国際技能開発計画の充実等、民間の活力を生かした海外技術協力を推進するとともに、国際
機関の行うアジア・太平洋地域技能開発計画への協力等、開発途上国労働者の労働能力の開発その他、多角的な技術協力の推進を図ることとしております。
また、先進工業国、開発途上国双方に、我が国の安定した労使
関係に対する関心が高まっており、他方、貿易摩擦が激化する背景として、我が国の労働事情に対する各国の正しい理解の必要性が
指摘されております。このため、従来から行ってきた先進工業国の労働組合
指導者の招聘に加え、米国等の若手中堅労働組合
指導者の招聘
制度を創設するとともに、開発途上国の労働問題に対する我が国労使による協力の促進等、労働
関係者の
交流を推進し、相互理解の促進に努めてまいります。
これらに必要な経費として三十八億六千五百万円を計上いたしております。
以上のほか、総合的な労働政策の樹立と、労働
行政体制の整備及び
一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
以上、
昭和五十九年度
労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
何とぞ、本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。
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