○石田
分科員 大臣、結局これらの遷延性の身障者に対しても二万円の手当が出るようになろうとしているわけですね。これは、いわゆる
福祉対策の一環としてそういう問題がなされておるわけでございますので、その
対策について評価をしないというわけではありません。しかし、その看護する家族の方々の生活
実態について見てみますと、余りにも不十分なのではないかという疑念を私は強く持つわけなんです。この
実態調査を
厚生省でもう少しおやりになったらいかがですか。
と申しますのは、恐らくまだ
大臣お読みになってないと思いますが、二千から二千五百と推定をされた重度の心身
障害者の中には、交通事故によりますところの
人たちも入っているわけなんですよ。交通事故の
対策センターで調べたこれらの患者の
実態あるいは生活
実態というものは、まことに悲惨なわけです。しかも、交通事故センターの方では、入院をしている人には日に三千円、月に九万円、それから自宅療養の人については日に千五百円、月四万五千円支給されているわけです。そういうような
立場から考えてみましても、月に二万円では何ともならぬ。
若干申し上げますと、例えば自動車賠償保険の方から出ている
人たちの生活
実態の中で、受給資格者の六三%が入院をしておる、三七%は自宅で介護を受けているという状態。それから、今
医療の状態についてもちょっと触れられましたけれども、多くの人が手術や専門の治療を受けなければならないために転院をするという状況があるのですが、何と病院側の都合によって転院を勧められたからやむなく転院をいたしましたというのも四一%に上っておる。
それから、介護の状況を申し上げますと、六一%の
人々が家族のみで介護に当たっておる。それから、家族が介護にかかわる割合というものは、その他の交代者等を含めて実に八一%だというのです。身内の
人たちの介護がなければ、ほとんどこれらの
人たちの療養はできないという状態になっておるわけですね。
介護の
内容を見てみますと、患者の体位交換は一日平均七・五回、三時間に一回の割合。食事は四七%がカテーテルによる鼻腔栄養である。残りの者はスプーンなどによってやわらかい食べ物を食べさせておる。ほとんどの者がおむつを使用しておるというような状況ですね。
それから生活状態を見ますと、看護婦の付添看護料等を含めて介護料が一月平均九万七千円。これはたしか五十四年度の調査かと思いますから、もっと上がっているはずです。それから、余病を併発すれば治療費を払わなければならないので、その場合でもやはり治療費が約九万六千円。両方含めると十九万三千円払っておるわけです。
それで、交通事故によりますところのこれらの遷延性身障者の場合は、平均の生存期間は三年一カ月ですけれども、かなり長くまで生存していらっしゃる人も最近は出てきている。
それから
家庭の状況を見ますと、四九%がこの患者になった人が主たる家計を維持する者であった。九〇%の
家庭が事故後生活が苦しくなった、こういうことを訴えておる。今の
厚生省の御報告でもわかりますように、破壊状態にあるのが一〇%でしょう。それから余裕がないというのが七〇%でしょう。そういうような状態ですね。
だから、家族の
人たちの悩みはどういうことかというと、介護のために
家庭の中の仕事は全然できない、介護に疲れて病気がちで、かわりの介護をする人がいない、収入が少なくて生活が苦しい、介護費用に金がかかり過ぎる、もう実に悲惨な状態であるわけですね。ですから、月二万円のこの
福祉関係の特別手当を出してもらったところでまさに焼け石に水、こういう状態ですね。
もう時間がありませんからどんどん申し上げてしまいますけれども、今度千葉に事故
対策センターの方で専門病院をおつくりになりまして、この十月までに約四十人の人が収容されようとしているのですね。三月に九人入院されたということです。それらの
実態が新聞などに報告をされておるわけでございますけれども、そういうものを見ましても、一つは、植物状態患者と言われる人はもうだめなんだというふうに
医療から見放されているように思うけれども、そうでもない、多少希望が出てきた人、治療効果の出そうな人もおる、こう病院長さんが言ってらっしゃるのですね。それからまた、ここに入院しておる九人の方々は、すべて家族が付き添っておる。そういう状態で、原則的に宿泊が認められないから、遠方からの人が多いので
負担も厳しくなってくる。場合によっては、病院のそばにうちを引っ越してこなければならぬのじゃないかというような状態が報告されておるわけですね。
こういう状態を見ますと、単なる
福祉手当等で問題は片づかないのではないか、こう思うのですね。これは確かに、例えば事故
対策センターでやっている介護手当の問題は、保険に入っているからというようなことで行われておるのでございますけれども、しかし保険の余剰金で手当てをしておるわけですね。そういう
制度だから、九万円という費用が多いか少ないかは別としまして、それを基準にすれば、いわゆる
厚生省関係で把握をすべき
人たちは余りにも差があり過ぎるのではないか。法の平等という問題を考えてみましても、あるいは憲法二十五条で言われているところの健康で文化的な生活、あるいはまた行政としてこれらの
福祉増進のために
努力しなければならぬという義務
規定、そういう問題から考えても、これは何とかしてもらわないと、
厚生省の
福祉対策という観点、そういう観点からではこの問題は解決できないのですね。まさにこれはいわゆる政治問題ではないか。政治家
渡部さんとして厚生の行政を預かるようになったわけでございますが、それだけにこの問題を何とかひとつ解決できないか、これは私のお訴えであるわけでございます。どうぞ御答弁をお願いいたします。